JP2005008828A - 車両の水垢除去用湿布剤、車両の水垢除去用セット及び車両の水垢除去方法 - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の水垢除去用湿布剤、車両の水垢除去用セット及び車両の水垢除去方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車等の車両に形成されている塗膜の塗膜表面やガラス表面等に水垢が付着してしまう場合があり、自動車等における輝き等の外観を低下させる原因となる。このような水垢は、新車のうちには、形成されている塗膜が撥水性に優れているため、洗車した後、水分を拭き取りせずに放置しても、その撥水機能によって水垢が付着することも少ない。
【0003】
しかし、自動車が1〜2年間屋外で曝露されると、塗膜の撥水機能が低下するため、汚れが付着し易くなる。このため、例えば、降雨後に塗膜上の水分が蒸発すると、蒸発する過程で埃や汚れ成分が濃縮され、水垢が付着してしまったり、水道水で洗車をして拭き取れなかった水分が蒸発する過程で濃縮し、水分中の不揮発性成分が残存することによって塗膜やガラス表面上に水垢が付着してしまう。
【0004】
現在、このようにして車両表面に付着した水垢を種々の方法によって除去することが行われている。水垢を除去する方法としては、例えば、市販の自動車用洗剤、汚れ取り粘土コンパウンド、研磨剤入りツヤ出し剤等を使用する方法を挙げることができる。
【0005】
市販の自動車用洗剤を使用する方法は、形成されている水垢を完全に除去することが困難であり、汚れ取り粘土コンパウンド、研磨剤入りツヤ出し剤を使用する方法は、水垢を除去するのに長時間を要し、その結果、水垢除去時に形成されている塗膜までも削り取られてしまい、塗膜の撥水性、耐久性等が低下してしまうという問題がある。
【0006】
界面活性剤、金属イオン封鎖剤及びアンモニア又は水溶性アミンを含み、pH7.5〜12.5である車輛塗装面の水垢洗浄剤が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。ここで開示されている技術は、水垢洗浄剤をスプレー等により塗装面に塗布し、水洗いすることによって水垢を除去するものである。
【0007】
しかしながら、ここで開示されている方法では、曲面等の複雑な形状を有するものに付着している水垢に対して適用しようとしても、水垢が付着している部位に水垢除去剤を保持することが困難であり、結果として、水垢を除去することが困難となる。
【0008】
洗車機を使用して水垢を除去する方法も開示されている(例えば、特許文献2参照。)。ここで開示されている技術は、車両表面に付着した水垢を洗車機によって除去する方法であるが、洗車機を用いる方法であるため、形成されている塗膜が傷付いてしまい、塗膜の撥水性、耐久性等が低下してしまい、また、大掛かりな装置を用いるものであるため経済性の面でも問題がある。
【0009】
従って、車両表面等の複雑な形状に付着している水垢に対して好適に適用でき、形成されている塗膜に傷を付けることが極力抑制され、また、容易な作業によって充分に除去することができる方法等の開発が望まれていた。
【0010】
【特許文献1】
特開平5−230499号公報(第2頁)
【特許文献2】
特開平7−40807号公報(第2頁)
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記現状に鑑み、車両表面等の複雑な形状に付着している水垢に対して好適に適用できる車両の水垢除去用湿布剤、車両の水垢除去用セット及び車両の水垢除去方法を提供することを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、水垢除去剤を液体吸収基材に含浸させたものであることを特徴とする車両の水垢除去用湿布剤である。
上記水垢除去剤は、キレート剤を含有するものであることが好ましい。
【0013】
上記水垢除去剤は、下記式(1);
【0014】
【化2】
【0015】
(式中、Aはイミノ基又は酸素原子、Rは水素原子又は水酸基、nは0又は1を表す。)で表される脂肪族ポリカルボン酸及び/又はその塩、並びに、炭素原子数4〜12の糖及び/又は糖酸を含有するものであることが好ましい。
【0016】
本発明は、上記車両の水垢除去用湿布剤を得るために使用される車両の水垢除去用セットであって、上記車両の水垢除去用セットは、水垢除去剤と液体吸収基材とからなることを特徴とする車両の水垢除去用セットである。
【0017】
本発明はまた、上記車両の水垢除去用湿布剤を水垢が付着している部位に接触させる工程からなることを特徴とする車両の水垢除去方法でもある。
以下、本発明を詳細に説明する。
【0018】
本発明の車両の水垢除去用湿布剤(以下、水垢除去用湿布剤ともいう。)は、車両、即ち、曲面等の複雑な形状のものの表面に形成されている塗膜面や、ガラス面等に付着した水垢を容易、かつ、充分に除去することができるものである。また、上記水垢除去用湿布剤を用いて、自動車等の車両に形成されている塗膜に付着している水垢を除去する際に、塗膜面を傷付けることを極力少なく抑えることができる。このため、本発明の水垢除去用湿布剤を用いて塗膜上の水垢除去を行った場合であっても、塗膜が傷付くことに起因する塗膜の撥水性、耐久性等の低下を極力抑制することができる。
【0019】
本発明の水垢除去用湿布剤は、水垢除去剤を液体吸収基材に含浸させたものである。上記水垢除去用湿布剤は、水垢除去剤を液体吸収基材に含浸させたものであるため、この湿布剤を使用することにより、曲面等の複雑な形状を有する車両に付着している水垢を容易に除去することができる。即ち、水垢除去剤のみで車両のような複雑な形状を有するものに付着している水垢を除去しようとしても、スプレー等によって水垢除去剤を付着させた場合には、水垢除去剤が車両表面から流れ落ちてしまうため、水垢が付着している部位に、充分な時間保持することができない。このため、結果として、水垢を除去することが困難となる。一方、本発明の水垢除去用湿布剤は、水垢除去剤を液体吸収基材に含浸させたものであるため、この湿布剤を曲面等の複雑な形状を有する車両表面に貼り付けることによって表面に一定時間(水垢除去に要する時間)保持することができ、車両に形成されている塗膜表面や、ガラス表面に付着している水垢を容易、かつ、充分に除去することができる。また、本発明の水垢除去用湿布剤を水垢が付着している部位に貼り付けることによって水垢を除去することができるため、除去の際に塗膜を傷付けることを充分に抑制することができる。その結果、水垢を除去することによって塗膜の撥水性、耐久性等を低下させることを極力抑制することができる。また、本発明の水垢除去用湿布剤は、加熱して用いることもでき、加熱して用いる場合には、より効率的に水垢を除去することができる。
【0020】
上記水垢除去用湿布剤は、上記水垢除去剤が上記液体吸収基材中に吸収され、基材中にある一定時間(水垢除去に要する時間)保持できるものであれば特に限定されるものではなく、水系のものであることが好ましい。
【0021】
上記水垢除去剤としては特に限定されず、例えば、水垢を除去することができる除去剤として従来から知られているものをすべて用いることができ、水系のものであることが好ましい。
【0022】
上記水垢除去剤としては、キレート剤を含有するものを用いることができる。キレート剤を含有する水垢除去剤を使用することによって、車両における塗膜表面上、ガラス表面上に付着している水垢を効率的に除去することができる。
【0023】
上記キレート剤としては特に限定されず、従来公知のものを用いることができ、例えば、ピロリン酸、トリポリリン酸のアルカリ金属塩等の縮合リン酸塩系金属イオン封鎖剤;エチレンジアミンテトラ酢酸、ジエチレントリアミンペンタ酢酸、トリエチレンテトラミンヘキサ酢酸、ニトリロトリ酢酸、1−ヒドロキシエチレン−1,1−ビスリン酸及びそれらのアルカリ金属塩等の有機系金属イオン封鎖剤等を挙げることができる。なかでも、水垢をより充分に除去することができる点から、有機系金属イオン封鎖剤が好ましい。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0024】
上記キレート剤の含有量は、上記水垢除去剤100質量%に対して、下限0.1質量%、上限30質量%であることが好ましい。0.1質量%未満であると、水垢除去性能が低下するおそれがあり、30質量%を超えると、富栄養化の原因となるおそれがある。上記下限は、2質量%であることがより好ましく、上記上限は、25質量%であることがより好ましい。
【0025】
上記水垢除去剤がキレート剤を含有するものである場合には、更に、酸を含有させてもよい。これにより、水垢を除去する性能をより向上させることができる場合がある。
【0026】
上記酸としては特に限定されず、例えば、硝酸、塩酸、アミド硫酸、シュウ酸等を挙げることができる。
上記酸を含有する水垢除去剤を用いる場合において、上記酸の含有量は、上記水垢除去剤100質量%に対して、上限20質量%であることが好ましい。20質量%を超えても、効果の向上は見られず、取り扱いが困難となるおそれがある。上記酸の含有量の下限は、0.1質量%であることがより好ましく、上限は、5質量%であることがより好ましい。
【0027】
上記酸を含有する水垢除去剤を液体吸収基材に含浸させた水垢除去用湿布剤を使用すると、この湿布剤は水垢除去性能に優れるものであるため、車両表面に比較的短時間貼り付けることによって充分に洗浄することができる。このため、このような比較的短時間の間で塗膜表面が酸によって劣化することもほとんどないため、好適に使用することができる。
【0028】
上記水垢除去剤がキレート剤を含有するものである場合には、更に、界面活性剤を含有するものであることが好ましい。これにより、水垢を除去する性能をより向上させることができ、より効率的に水垢を除去することができる。
【0029】
上記界面活性剤としては特に限定されず、従来公知のものを使用することができ、例えば、ステアリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアニオン系界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ノニルフェニルポリオキシエチレンアルキルエーテル等のノニオン系界面活性剤;ドデシルメチルアンモニウムクロリド、N−アルキルピリジウムハライド、テトラアルキルアンモニウム等のカチオン系界面活性剤等を挙げることができる。なかでも、洗浄性に優れている観点から、ラウリル硫酸ナトリウムが好ましい。これらの界面活性剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0030】
上記界面活性剤を含有する水垢除去剤を用いる場合において、上記界面活性剤の含有量は、上記水垢除去剤100質量%に対して、10質量%以下であることが好ましい。10質量%を超えても、効果の向上は見られず、経済的でないおそれがある。上記界面活性剤の含有量の下限は、0.001質量%であることがより好ましく、上限は、10質量%であることがより好ましい。
【0031】
上記水垢除去剤がキレート剤を含有するものである場合には、更に、増粘剤を含有するものであることが好ましい。これにより、水垢除去剤の粘度を高めることができ、その結果、増粘剤を含有する水垢除去剤を液体吸収基材に含浸させた水垢除去用湿布剤を使用する場合に、水垢が付着している部位に水垢除去剤を容易に保持することができるようになり、より容易に水垢を除去することができる。
【0032】
上記増粘剤としては、水溶性の増粘剤であれば特に限定されず、従来公知のものを使用することができ、例えば、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリアクリルアミド共重合体、架橋型(メタ)アクリル酸系樹脂、メチルセルロースカルシウム、澱粉グリコール酸ナトリウム、澱粉燐酸エステルナトリウム、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0033】
上記水垢除去剤がキレート剤を含有するものである場合には、上記水垢除去剤は、pHが下限6、上限10であることが好ましい。6未満であると、酸性が強くなり、10を超えると、アルカリ性が強くなり、人体、環境に対して負荷が大きくなる恐れがある。上記下限は、6であることがより好ましく、上記上限は、9であることがより好ましい。
【0034】
上記キレート剤を含有する水垢除去剤の製造方法としては特に限定されず、例えば、キレート剤、必要に応じて、界面活性剤、酸、増粘剤等の成分を水に溶解することよって製造することができる。
【0035】
上記水垢除去剤は、上記式(1)で表される脂肪族ポリカルボン酸及び/又はその塩、並びに、炭素原子数4〜12の糖及び/又は糖酸を含有するものであることが好ましい。このような水垢除去剤は、従来のキレート化剤と比較して、広いpH領域において高い金属イオンの捕捉能力を有するものであるため、より洗浄性に優れるものであり、また、公知の活性汚泥等の手段により分解されるものであることから、環境を汚染することがほとんどないものである。
【0036】
上記式(1)で表される脂肪族ポリカルボン酸としては、例えば、2−(1,2−ジカルボキシエチルイミノ)−3−ヒドロキシブタン二酸(HIDS、Aがイミノ基、Rが水酸基、nが1の場合)、カルボキシメチルイミノ−3−ヒドロキシブタン二酸(CIMM、Aがイミノ基、Rが水酸基、nが0の場合)、2−(1,2−ジカルボキシエチルイミノ)ブタン二酸(IDS、Aがイミノ基、Rが水素原子、nが1の場合)、カルボキシメチルイミノブタン二酸(CMIS、Aがイミノ基、Rが水素原子、nが0の場合)、2−(1,2−ジカルボキシエトキシ)−3−ヒドロキシブタン二酸(TMS、Aが酸素原子、Rが水酸基、nが1の場合)、カルボキシメトキシ−3−ヒドロキシブタン二酸(TMA、Aが酸素原子、Rが水酸基、nが0の場合)、2−(1,2−ジカルボキシエトキシ)ブタン二酸(ODS、Aが酸素原子、Rが水素原子、nが1の場合)、カルボキシメトキシブタン二酸(CMOS、Aが酸素原子、Rが水素原子、nが0の場合)等を挙げることができる。
【0037】
上記式(1)で表される脂肪族ポリカルボン酸のなかでも、Rが水酸基及び/又はAがイミノ基であることが好ましい。なお、上記式(1)で表される脂肪族ポリカルボン酸には、光学異性体が存在する化合物もあるが、本発明ではラセミ体を使用してもよく、分割することにより個々の光学異性体を単独で使用してもよい。
【0038】
更に、上記式(1)で表される脂肪族ポリカルボン酸は塩の形で使用されることが好ましい。具体的には、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、アンモニウム塩、トリメチルアミン、トリエチルアミン等のアミン塩等が挙げられる。また、脂肪族ポリカルボン酸を構成する3つ又は4つのカルボキシル基のすべてが塩を形成していてもよく、1つ、2つ及び/又は3つのカルボキシル基が塩を形成していてもよい。これらの上記式(1)で表される脂肪族ポリカルボン酸、その塩は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0039】
上記炭素原子数4〜12の糖としては、例えば、エリトロース、アラビノース、グルコース等の単糖類、マルトース、ラクトース、スクロース等の二糖類、エリトリトール等のエリトリトール類、アラビトール、リビトール、キシリトール等のペンチトール類、ソルビトール、マンニトール、ガラクチトール等のヘキシトール類等を挙げることができる。これら糖は、D体、L体及びそれらの混合物をいずれも使用できる。
【0040】
上記炭素原子数4〜12の糖酸としては、例えば、アラボン酸、グルコン酸、ガラクトン酸等のアルドン酸類、トリヒドロキシグルタル酸、グルカル酸、粘液酸等のアルダル酸類等を挙げることができる。これら糖酸は、塩の形で使用してもよい。具体的には、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、アンモニウム塩、トリメチルアミン、トリエチルアミン等のアミン塩等を挙げることができる。これら糖酸は、D体、L体及びそれらの混合物をいずれも使用できる。上記糖、上記糖酸は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0041】
更に、上記糖及び/又は上記糖酸は、グルコン酸、ソルビトール又はそれらの混合物のいずれかから選択されることが好ましく、特にグルコン酸を含むことが好ましい。更に、糖酸以外にも酒石酸を添加してもよい。上記式(1)で表される脂肪族ポリカルボン酸と糖及び/又は糖酸との割合は、使用する化合物、糖、糖酸の種類により異なるが、相乗効果を示す割合であれば限定されない。通常、上記式(1)で表される脂肪族ポリカルボン酸:糖又は糖酸=98:2〜50:50であることが好ましく、95:5〜70:30であることがより好ましく、90:10〜80:20の割合であることが更に好ましい。
【0042】
上記式(1)で表される脂肪族ポリカルボン酸及び/又はその塩、並びに、炭素原子数4〜12の糖及び/又は糖酸を含有する水垢除去剤を用いる場合には、水垢除去剤中に、更に、界面活性剤を含有させてもよい。使用することができる界面活性剤としては特に限定されず、例えば、上述の界面活性剤を挙げることができる。
【0043】
上記水垢除去剤が上記式(1)で表される脂肪族ポリカルボン酸及び/又はその塩、並びに、炭素原子数4〜12の糖及び/又は糖酸を含有するものである場合、他の成分として、無機ビルダー、有機ビルダー、漂白剤等を含有してもよい。
【0044】
上記水垢除去剤が上記式(1)で表される脂肪族ポリカルボン酸及び/又はその塩、並びに、炭素原子数4〜12の糖及び/又は糖酸を含有するものである場合には、上記水垢除去剤のpHは特に限定されない。
【0045】
上記式(1)で表される脂肪族ポリカルボン酸及び/又はその塩、並びに、炭素原子数4〜12の糖及び/又は糖酸を含有する水垢除去剤の製造方法としては特に限定されず、例えば、脂肪族ポリカルボン酸、その塩、糖、糖酸、必要に応じて、界面活性剤等の成分を水に溶解することによって製造することができる。
【0046】
本発明の水垢除去用湿布剤における水垢除去剤としては、市販品を使用することもでき、例えば、シェリパークC、シェリパークY(いずれもナガセケムテックス社製)、石膏溶解液(睦化学工業社製)、クイックメルティー(サンエス石膏社製)等を挙げることができる。
【0047】
本発明の水垢除去用湿布剤における液体吸収基材は、基材中に、上記水垢除去剤を吸収、保持することができるものである。上記液体吸収基材中に上記水垢除去剤を吸収させることによって得られる湿布剤を車両表面の水垢が付着している部位に貼り付けることよって、その部位に湿布剤を水垢除去に要する時間保持することができ、結果として、容易、かつ、充分に水垢を除去することができる。
【0048】
上記液体吸収基材としては、上記水垢除去剤を吸収して保持できるものであれば特に限定されず、例えば、紙(和紙、キッチングペーパー等)、織布、編布、不織布、スポンジシート、水溶性ゲルシート等を挙げることができる。
【0049】
上記水垢除去用湿布剤の製造方法としては、例えば、(1)上記水垢除去剤が入っている浴中に、上記液体吸収基材を浸漬して、基材中に除去剤を含浸させる方法、(2)上記液体吸収基材に対して、上記水垢除去剤をスプレーで噴霧等することによって、基材中に除去剤を含浸させる方法、等を挙げることができる。
【0050】
本発明の車両の水垢除去用セット(以下、水垢除去用セットともいう。)は、上記水垢除去用湿布剤を得るために使用される水垢除去用セットであって、水垢除去剤と液体吸収基材とからなるものである。即ち、上述したような水垢除去用湿布剤の形態で保存、流通するものの他に、上記水垢除去用セットの形態で保存、流通し、使用する直前に、上述した水垢除去用湿布剤の製造方法によって水垢除去用湿布剤を製造して、本発明の目的に使用するものであってもよい。
【0051】
上記水垢除去用セットにおける水垢除去剤としては、例えば、上述の水垢除去剤を挙げることができる。
また、上記水垢除去用セットにおける液体吸収基材としては、例えば、上述の液体吸収基材を挙げることができる。
【0052】
本発明の車両の水垢除去方法(以下、水垢除去方法ともいう。)は、上記水垢除去用湿布剤を車両表面に接触させる工程からなるものである。即ち、車両における塗膜表面上、ガラス表面上の水垢が付着している部位に、上記水垢除去用湿布剤を貼り付ける等によって接触させることによって、水垢を容易、かつ、充分に除去することができる。
【0053】
上記水垢除去方法において、上記水垢除去用湿布剤は、下限30℃、上限60℃で、車両表面に接触させることが好ましい。上記温度範囲内で接触させることによって効率的に水垢を除去することができる。従って、上記水垢除去方法においては、夏場であれば、車両自体が加熱されているため、上記水垢除去用湿布剤を加熱することは必要とされないが、冬場であれば、湿布剤を上記温度範囲となるように加熱して用いることにより、短時間で水垢を除去することができるようになる。
【0054】
上記水垢除去方法としては、水垢除去用湿布剤を車両表面に接触させ、水垢の除去に要する時間接触させたまま保持し、その後、水垢除去用湿布剤を車両表面から取り除いて、水洗することによって行うことができる。その際、必要に応じて、加温しながら水垢除去を行うものであってもよい。
【0055】
上記加温された水垢除去用湿布剤を上記水垢除去用セットを使用して得る方法としては、(方法1)上記水垢除去剤を加温し、次いで加温された水垢除去剤を上記液体吸収基材に含浸させる方法、(方法2)上記水垢除去剤を上記液体吸収基材中に含浸させ、次いで、得られた水垢除去用湿布剤を加温する方法、によって得ることができる。
【0056】
上記方法1において、上記水垢除去剤の加温温度は、下限30℃、上限80℃であることが好ましい。30℃未満であると、水垢を効率的に除去することができず、長時間接触させることが必要となるおそれがある。80℃を超えても、除去性能の向上は見られず、経済的でないおそれがある。上記下限は、40℃であることがより好ましく、上記上限は、60℃であることがより好ましい。
【0057】
上記方法1において、上記水垢除去剤の加温温度が30〜60℃である場合、加温された水垢除去用湿布剤を水垢が付着している部位に貼り付ける時間は、下限10分間、上限60分間であることが好ましい。10分間未満であると、水垢を除去することができないおそれがあり、60分間を超えると、除去性能の向上は見られず、経済的でないおそれがある。
【0058】
上記方法1において、上記加温された水垢除去剤を上記液体吸収基材に含浸させる方法としては、例えば、(1)加温された水垢除去剤の浴中に液体吸収基材を浸漬することよって含浸させること、(2)加温された水垢除去剤をスプレーで噴霧する等によって液体吸収基材中に含浸させること、等によって行うことができる。
【0059】
上記方法2において、上記水垢除去用湿布剤の加温温度は、上記方法1における水垢除去剤の加温温度と同様の温度で行うことができる。
上記方法2において、上記水垢除去用湿布剤の加温温度が30〜60℃である場合、加温された水垢除去用湿布剤を水垢が付着している部位に貼り付ける時間は、上記方法1における貼り付ける時間と同様の時間で行うことができる。
【0060】
上記水垢除去方法としてはまた、水垢除去用湿布剤を車両表面に接触させ、更に接触させた水垢除去用湿布剤を加温し、次いで水垢の除去に要する時間接触させたまま保持し、その後、水垢除去用湿布剤を車両表面から取り除いて、水洗することによって行うこともできる。
【0061】
車両表面に接触させた水垢除去用湿布剤を加温する手段としては特に限定されず、例えば、例えば、IRヒーター、ライト、温室等によって行うことができる。
【0062】
上記加温する手段による加温温度は、上記方法1における水垢除去剤の加温温度と同様の温度で行うことができる。
上記加温する手段による加温温度が30〜60℃である場合、加温された水垢除去用湿布剤を水垢が付着している部位に貼り付ける時間は、上記方法1における貼り付ける時間と同様の時間で行うことができる。
【0063】
本発明の車両の水垢除去用湿布剤は、水垢除去剤を液体吸収基材に含浸させたものであることから、車両等の表面に形成されている塗膜面や、ガラス面等に付着した水垢を容易、かつ、充分に除去することができるものである。また、上記車両の水垢除去用湿布剤を用いて、自動車等の車両に形成されている塗膜に付着している水垢を除去する際に、塗膜面を傷付けることを極力少なく抑えることができるため、塗膜の撥水性、耐久性等の低下を極力抑制することができる。従って、上記水垢除去用湿布剤は、車両等の複雑な形状を有するものに付着している水垢に対して好適に適用することができるものである。
【0064】
【実施例】
以下本発明について実施例を掲げて更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。また実施例中、「部」は特に断りのない限り「質量部」を意味する。
【0065】
製造例1 試験板の作成
リン酸亜鉛処理した300×400×0.8mmのダル鋼板に、パワートップU−50(日本ペイント社製カチオン電着塗料)を、乾燥膜厚が20μmとなるように電着塗装し、160℃で30分間焼付けた試験板に、No.4フォードカップで25秒/20℃となるように、予め希釈されたオルガP−2(日本ペイント社製メラミン硬化型ポリエステル樹脂系グレー中塗り塗料)を、乾燥膜厚が35μmとなるようにエアスプレーで2ステージ塗装し、140℃で30分間焼き付けた後冷却して、中塗り基板を得た。上記中塗り基板上に、スーパーラックM−260ブラック(日本ペイント社製水性ベース塗料)を、室温25℃、湿度85%の条件下で、乾燥膜厚15μmとなるようにスプレー塗装した後、80℃で3分間のプレヒートを行った。プレヒート後、塗装板を室温まで放冷し、クリヤー塗料「スーパーラック O−1810クリヤー」(日本ペイント社製、酸・エポキシ硬化型アクリル樹脂系塗料)を、乾燥膜厚35μmとなるようにスプレー塗装した後、乾燥炉にて140℃で25分間加熱して、基板上に複層塗膜を形成した。形成された複層塗膜上に、水道水0.2mL滴下し、約1時間放置することによって水分を蒸発させ、水垢が付着した試験板を作成した。
【0066】
実施例1
「シェリパークC」(ナガセケムテックス社製)の浴を40℃に加温し、市販のキッチンタオルを上記加温した浴中に浸漬することによって、キッチンタオル中に水垢除去剤を含浸させ、加温した水垢除去用湿布剤を得た。得られた加温した水垢除去用湿布剤を製造例1で作成した試験板における水垢が付着した部位に貼り付け、10分間貼り付けた状態で保持した後、水垢除去用湿布剤を取り外した。次いで、貼り付けていた部位を水洗した。
【0067】
実施例2
「シェリパークY」(ナガセケムテックス社製)の浴を40℃に加温し、市販のキッチンタオルを上記加温した浴中に浸漬することによって、キッチンタオル中に水垢除去剤を含浸させ、加温した水垢除去用湿布剤を得た。得られた加温した水垢除去用湿布剤を製造例1で作成した試験板における水垢が付着した部位に貼り付け、10分間貼り付けた状態で保持した後、水垢除去用湿布剤を取り外した。次いで、貼り付けていた部位を水洗した。
【0068】
実施例3
「石膏溶解液」(睦化学工業社製)の浴を40℃に加温し、市販のキッチンタオルを上記加温した浴中に浸漬することによって、キッチンタオル中に水垢除去剤を含浸させ、加温した水垢除去用湿布剤を得た。得られた加温した水垢除去用湿布剤を製造例1で作成した試験板における水垢が付着した部位に貼り付け、10分間貼り付けた状態で保持した後、水垢除去用湿布剤を取り外した。次いで、貼り付けていた部位を水洗した。
【0069】
実施例4
「シェリパークC」(ナガセケムテックス社製)の浴中に市販のキッチンタオルを浸漬することによって、キッチンタオル中に水垢除去剤を含浸させ、水垢除去用湿布剤を得た。得られた水垢除去用湿布剤を、乾燥機を使用して40℃に加温し、加温した水垢除去用湿布剤を得た。次いで、製造例1で作成した試験板における水垢が付着した部位に、得られた加温した水垢除去用湿布剤を貼り付け、10分間貼り付けた状態で保持した後、水垢除去用湿布剤を取り外した。その後、貼り付けていた部位を水洗した。
【0070】
実施例5
「シェリパークC」(ナガセケムテックス社製)の浴中に市販のキッチンタオルを浸漬することによって、キッチンタオル中に水垢除去剤を含浸させ、水垢除去用湿布剤を得た。得られた水垢除去用湿布剤を、製造例1で作成した試験板における水垢が付着した部位に貼り付けた後、貼り付けられた水垢除去用湿布剤をIRヒーターを使用して40℃に加温した。次いで、10分間貼り付けた状態で保持した後、水垢除去用湿布剤を取り外し、貼り付けていた部位を水洗した。
【0071】
比較例1
「水アカシャンプー」(WILSON社製自動車用洗剤)をスポンジを用いて、水を流しながら表面をこすった。
【0072】
比較例2
「スベスベ粘土」(オートバックスセブン社製自動車用汚れ取り剤)を用いて水を流しながら粘土で表面をこすった。
【0073】
比較例3
「水だけで汚れおとし」(アズマ工業社製研磨スポンジ)に水を含ませて表面をこすった。
【0074】
比較例4
「ウルトラフィニッシュ」(3M社製コンパウンド)をネルにつけて表面をこすった。
【0075】
比較例5
「クリンビューイオンコート」(タイホー工業社製研磨剤入りツヤ出し剤)をスポンジにつけて表面をこすり、布でふき取った。
【0076】
比較例6
「クイックブライト」(昭和貿易社製合成洗剤)をスポンジにつけて表面をこすり、水で流した後、布でふき取った。
【0077】
〔評価方法〕
実施例、比較例で行った水垢除去に関して、以下の方法により、水垢除去性、作業性、ツヤ、膜厚確保性を評価した。
【0078】
(水垢除去性)
以下の基準により、水垢除去性を評価した。
◎:どの角度から見ても跡が全く見えない。
○:ある角度から見ると跡がわずかに見える。
△:どの角度から見ても跡が少し見える。
×:跡がはっきり見える。
【0079】
(作業性)
以下の基準により、水垢除去性を評価した。
○:時間と力があまりかからない。
△:時間又は力がかかる。
×:時間と力がかかる。
【0080】
(ツヤ)
以下の基準により、水垢除去性を評価した。
○:ツヤの低下がほとんどない。
△:ツヤの低下がわずかにある。
×:ツヤ引けがある。
【0081】
(膜厚確保性)
以下の基準により、水垢除去性を評価した。
○:膜厚の減量が見られない。
△:膜厚の減量がわずかにある。
×:膜厚の減量がある。
【0082】
【表1】
【0083】
表1から、実施例によって水垢を除去する方法が総合的に判断して優れていることが明らかとなった。
【0084】
(水垢除去用湿布剤の貼り付け時間の評価)
「シェリパークC」(ナガセケムテックス社製)の浴を40℃に加温し、市販のキッチンタオルを上記加温した浴中に浸漬することによって、キッチンタオル中に水垢除去剤を含浸させ、加温した水垢除去用湿布剤を得た。得られた加温した水垢除去用湿布剤を製造例1で作成した試験板における水垢が付着した部位に表2に示した時間貼り付け状態で保持した後、水垢除去用湿布剤を取り外した。次いで、貼り付けていた部位を水洗した。貼り付けた時間と水垢除去性との関係を表2に示した。表2において、液温(℃)は、表中の貼り付け時間における湿布剤の温度である。水垢除去性の評価は、上述したような方法で行った。
【0085】
【表2】
【0086】
表2から、10分間以上貼り付けることによって、水垢を除去することができることが明らかとなった。また、水垢を除去するのに要する時間(10分間以上)湿布剤を試験板表面に保持することができることか明らかとなった。
【0087】
【発明の効果】
本発明の車両の水垢除去用湿布剤は、上述の構成よりなるので、車両等の表面に形成されている塗膜面や、ガラス面等に付着した水垢を好適に除去することができるものであり、また、塗膜の撥水性、耐久性等の低下を極力抑制することができる。従って、上記車両の水垢除去用湿布剤は、車両等の複雑な形状を有するものに付着している水垢に対して好適に適用することができるものである。
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の水垢除去用湿布剤、車両の水垢除去用セット及び車両の水垢除去方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車等の車両に形成されている塗膜の塗膜表面やガラス表面等に水垢が付着してしまう場合があり、自動車等における輝き等の外観を低下させる原因となる。このような水垢は、新車のうちには、形成されている塗膜が撥水性に優れているため、洗車した後、水分を拭き取りせずに放置しても、その撥水機能によって水垢が付着することも少ない。
【0003】
しかし、自動車が1〜2年間屋外で曝露されると、塗膜の撥水機能が低下するため、汚れが付着し易くなる。このため、例えば、降雨後に塗膜上の水分が蒸発すると、蒸発する過程で埃や汚れ成分が濃縮され、水垢が付着してしまったり、水道水で洗車をして拭き取れなかった水分が蒸発する過程で濃縮し、水分中の不揮発性成分が残存することによって塗膜やガラス表面上に水垢が付着してしまう。
【0004】
現在、このようにして車両表面に付着した水垢を種々の方法によって除去することが行われている。水垢を除去する方法としては、例えば、市販の自動車用洗剤、汚れ取り粘土コンパウンド、研磨剤入りツヤ出し剤等を使用する方法を挙げることができる。
【0005】
市販の自動車用洗剤を使用する方法は、形成されている水垢を完全に除去することが困難であり、汚れ取り粘土コンパウンド、研磨剤入りツヤ出し剤を使用する方法は、水垢を除去するのに長時間を要し、その結果、水垢除去時に形成されている塗膜までも削り取られてしまい、塗膜の撥水性、耐久性等が低下してしまうという問題がある。
【0006】
界面活性剤、金属イオン封鎖剤及びアンモニア又は水溶性アミンを含み、pH7.5〜12.5である車輛塗装面の水垢洗浄剤が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。ここで開示されている技術は、水垢洗浄剤をスプレー等により塗装面に塗布し、水洗いすることによって水垢を除去するものである。
【0007】
しかしながら、ここで開示されている方法では、曲面等の複雑な形状を有するものに付着している水垢に対して適用しようとしても、水垢が付着している部位に水垢除去剤を保持することが困難であり、結果として、水垢を除去することが困難となる。
【0008】
洗車機を使用して水垢を除去する方法も開示されている(例えば、特許文献2参照。)。ここで開示されている技術は、車両表面に付着した水垢を洗車機によって除去する方法であるが、洗車機を用いる方法であるため、形成されている塗膜が傷付いてしまい、塗膜の撥水性、耐久性等が低下してしまい、また、大掛かりな装置を用いるものであるため経済性の面でも問題がある。
【0009】
従って、車両表面等の複雑な形状に付着している水垢に対して好適に適用でき、形成されている塗膜に傷を付けることが極力抑制され、また、容易な作業によって充分に除去することができる方法等の開発が望まれていた。
【0010】
【特許文献1】
特開平5−230499号公報(第2頁)
【特許文献2】
特開平7−40807号公報(第2頁)
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記現状に鑑み、車両表面等の複雑な形状に付着している水垢に対して好適に適用できる車両の水垢除去用湿布剤、車両の水垢除去用セット及び車両の水垢除去方法を提供することを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、水垢除去剤を液体吸収基材に含浸させたものであることを特徴とする車両の水垢除去用湿布剤である。
上記水垢除去剤は、キレート剤を含有するものであることが好ましい。
【0013】
上記水垢除去剤は、下記式(1);
【0014】
【化2】
【0015】
(式中、Aはイミノ基又は酸素原子、Rは水素原子又は水酸基、nは0又は1を表す。)で表される脂肪族ポリカルボン酸及び/又はその塩、並びに、炭素原子数4〜12の糖及び/又は糖酸を含有するものであることが好ましい。
【0016】
本発明は、上記車両の水垢除去用湿布剤を得るために使用される車両の水垢除去用セットであって、上記車両の水垢除去用セットは、水垢除去剤と液体吸収基材とからなることを特徴とする車両の水垢除去用セットである。
【0017】
本発明はまた、上記車両の水垢除去用湿布剤を水垢が付着している部位に接触させる工程からなることを特徴とする車両の水垢除去方法でもある。
以下、本発明を詳細に説明する。
【0018】
本発明の車両の水垢除去用湿布剤(以下、水垢除去用湿布剤ともいう。)は、車両、即ち、曲面等の複雑な形状のものの表面に形成されている塗膜面や、ガラス面等に付着した水垢を容易、かつ、充分に除去することができるものである。また、上記水垢除去用湿布剤を用いて、自動車等の車両に形成されている塗膜に付着している水垢を除去する際に、塗膜面を傷付けることを極力少なく抑えることができる。このため、本発明の水垢除去用湿布剤を用いて塗膜上の水垢除去を行った場合であっても、塗膜が傷付くことに起因する塗膜の撥水性、耐久性等の低下を極力抑制することができる。
【0019】
本発明の水垢除去用湿布剤は、水垢除去剤を液体吸収基材に含浸させたものである。上記水垢除去用湿布剤は、水垢除去剤を液体吸収基材に含浸させたものであるため、この湿布剤を使用することにより、曲面等の複雑な形状を有する車両に付着している水垢を容易に除去することができる。即ち、水垢除去剤のみで車両のような複雑な形状を有するものに付着している水垢を除去しようとしても、スプレー等によって水垢除去剤を付着させた場合には、水垢除去剤が車両表面から流れ落ちてしまうため、水垢が付着している部位に、充分な時間保持することができない。このため、結果として、水垢を除去することが困難となる。一方、本発明の水垢除去用湿布剤は、水垢除去剤を液体吸収基材に含浸させたものであるため、この湿布剤を曲面等の複雑な形状を有する車両表面に貼り付けることによって表面に一定時間(水垢除去に要する時間)保持することができ、車両に形成されている塗膜表面や、ガラス表面に付着している水垢を容易、かつ、充分に除去することができる。また、本発明の水垢除去用湿布剤を水垢が付着している部位に貼り付けることによって水垢を除去することができるため、除去の際に塗膜を傷付けることを充分に抑制することができる。その結果、水垢を除去することによって塗膜の撥水性、耐久性等を低下させることを極力抑制することができる。また、本発明の水垢除去用湿布剤は、加熱して用いることもでき、加熱して用いる場合には、より効率的に水垢を除去することができる。
【0020】
上記水垢除去用湿布剤は、上記水垢除去剤が上記液体吸収基材中に吸収され、基材中にある一定時間(水垢除去に要する時間)保持できるものであれば特に限定されるものではなく、水系のものであることが好ましい。
【0021】
上記水垢除去剤としては特に限定されず、例えば、水垢を除去することができる除去剤として従来から知られているものをすべて用いることができ、水系のものであることが好ましい。
【0022】
上記水垢除去剤としては、キレート剤を含有するものを用いることができる。キレート剤を含有する水垢除去剤を使用することによって、車両における塗膜表面上、ガラス表面上に付着している水垢を効率的に除去することができる。
【0023】
上記キレート剤としては特に限定されず、従来公知のものを用いることができ、例えば、ピロリン酸、トリポリリン酸のアルカリ金属塩等の縮合リン酸塩系金属イオン封鎖剤;エチレンジアミンテトラ酢酸、ジエチレントリアミンペンタ酢酸、トリエチレンテトラミンヘキサ酢酸、ニトリロトリ酢酸、1−ヒドロキシエチレン−1,1−ビスリン酸及びそれらのアルカリ金属塩等の有機系金属イオン封鎖剤等を挙げることができる。なかでも、水垢をより充分に除去することができる点から、有機系金属イオン封鎖剤が好ましい。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0024】
上記キレート剤の含有量は、上記水垢除去剤100質量%に対して、下限0.1質量%、上限30質量%であることが好ましい。0.1質量%未満であると、水垢除去性能が低下するおそれがあり、30質量%を超えると、富栄養化の原因となるおそれがある。上記下限は、2質量%であることがより好ましく、上記上限は、25質量%であることがより好ましい。
【0025】
上記水垢除去剤がキレート剤を含有するものである場合には、更に、酸を含有させてもよい。これにより、水垢を除去する性能をより向上させることができる場合がある。
【0026】
上記酸としては特に限定されず、例えば、硝酸、塩酸、アミド硫酸、シュウ酸等を挙げることができる。
上記酸を含有する水垢除去剤を用いる場合において、上記酸の含有量は、上記水垢除去剤100質量%に対して、上限20質量%であることが好ましい。20質量%を超えても、効果の向上は見られず、取り扱いが困難となるおそれがある。上記酸の含有量の下限は、0.1質量%であることがより好ましく、上限は、5質量%であることがより好ましい。
【0027】
上記酸を含有する水垢除去剤を液体吸収基材に含浸させた水垢除去用湿布剤を使用すると、この湿布剤は水垢除去性能に優れるものであるため、車両表面に比較的短時間貼り付けることによって充分に洗浄することができる。このため、このような比較的短時間の間で塗膜表面が酸によって劣化することもほとんどないため、好適に使用することができる。
【0028】
上記水垢除去剤がキレート剤を含有するものである場合には、更に、界面活性剤を含有するものであることが好ましい。これにより、水垢を除去する性能をより向上させることができ、より効率的に水垢を除去することができる。
【0029】
上記界面活性剤としては特に限定されず、従来公知のものを使用することができ、例えば、ステアリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアニオン系界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ノニルフェニルポリオキシエチレンアルキルエーテル等のノニオン系界面活性剤;ドデシルメチルアンモニウムクロリド、N−アルキルピリジウムハライド、テトラアルキルアンモニウム等のカチオン系界面活性剤等を挙げることができる。なかでも、洗浄性に優れている観点から、ラウリル硫酸ナトリウムが好ましい。これらの界面活性剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0030】
上記界面活性剤を含有する水垢除去剤を用いる場合において、上記界面活性剤の含有量は、上記水垢除去剤100質量%に対して、10質量%以下であることが好ましい。10質量%を超えても、効果の向上は見られず、経済的でないおそれがある。上記界面活性剤の含有量の下限は、0.001質量%であることがより好ましく、上限は、10質量%であることがより好ましい。
【0031】
上記水垢除去剤がキレート剤を含有するものである場合には、更に、増粘剤を含有するものであることが好ましい。これにより、水垢除去剤の粘度を高めることができ、その結果、増粘剤を含有する水垢除去剤を液体吸収基材に含浸させた水垢除去用湿布剤を使用する場合に、水垢が付着している部位に水垢除去剤を容易に保持することができるようになり、より容易に水垢を除去することができる。
【0032】
上記増粘剤としては、水溶性の増粘剤であれば特に限定されず、従来公知のものを使用することができ、例えば、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリアクリルアミド共重合体、架橋型(メタ)アクリル酸系樹脂、メチルセルロースカルシウム、澱粉グリコール酸ナトリウム、澱粉燐酸エステルナトリウム、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0033】
上記水垢除去剤がキレート剤を含有するものである場合には、上記水垢除去剤は、pHが下限6、上限10であることが好ましい。6未満であると、酸性が強くなり、10を超えると、アルカリ性が強くなり、人体、環境に対して負荷が大きくなる恐れがある。上記下限は、6であることがより好ましく、上記上限は、9であることがより好ましい。
【0034】
上記キレート剤を含有する水垢除去剤の製造方法としては特に限定されず、例えば、キレート剤、必要に応じて、界面活性剤、酸、増粘剤等の成分を水に溶解することよって製造することができる。
【0035】
上記水垢除去剤は、上記式(1)で表される脂肪族ポリカルボン酸及び/又はその塩、並びに、炭素原子数4〜12の糖及び/又は糖酸を含有するものであることが好ましい。このような水垢除去剤は、従来のキレート化剤と比較して、広いpH領域において高い金属イオンの捕捉能力を有するものであるため、より洗浄性に優れるものであり、また、公知の活性汚泥等の手段により分解されるものであることから、環境を汚染することがほとんどないものである。
【0036】
上記式(1)で表される脂肪族ポリカルボン酸としては、例えば、2−(1,2−ジカルボキシエチルイミノ)−3−ヒドロキシブタン二酸(HIDS、Aがイミノ基、Rが水酸基、nが1の場合)、カルボキシメチルイミノ−3−ヒドロキシブタン二酸(CIMM、Aがイミノ基、Rが水酸基、nが0の場合)、2−(1,2−ジカルボキシエチルイミノ)ブタン二酸(IDS、Aがイミノ基、Rが水素原子、nが1の場合)、カルボキシメチルイミノブタン二酸(CMIS、Aがイミノ基、Rが水素原子、nが0の場合)、2−(1,2−ジカルボキシエトキシ)−3−ヒドロキシブタン二酸(TMS、Aが酸素原子、Rが水酸基、nが1の場合)、カルボキシメトキシ−3−ヒドロキシブタン二酸(TMA、Aが酸素原子、Rが水酸基、nが0の場合)、2−(1,2−ジカルボキシエトキシ)ブタン二酸(ODS、Aが酸素原子、Rが水素原子、nが1の場合)、カルボキシメトキシブタン二酸(CMOS、Aが酸素原子、Rが水素原子、nが0の場合)等を挙げることができる。
【0037】
上記式(1)で表される脂肪族ポリカルボン酸のなかでも、Rが水酸基及び/又はAがイミノ基であることが好ましい。なお、上記式(1)で表される脂肪族ポリカルボン酸には、光学異性体が存在する化合物もあるが、本発明ではラセミ体を使用してもよく、分割することにより個々の光学異性体を単独で使用してもよい。
【0038】
更に、上記式(1)で表される脂肪族ポリカルボン酸は塩の形で使用されることが好ましい。具体的には、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、アンモニウム塩、トリメチルアミン、トリエチルアミン等のアミン塩等が挙げられる。また、脂肪族ポリカルボン酸を構成する3つ又は4つのカルボキシル基のすべてが塩を形成していてもよく、1つ、2つ及び/又は3つのカルボキシル基が塩を形成していてもよい。これらの上記式(1)で表される脂肪族ポリカルボン酸、その塩は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0039】
上記炭素原子数4〜12の糖としては、例えば、エリトロース、アラビノース、グルコース等の単糖類、マルトース、ラクトース、スクロース等の二糖類、エリトリトール等のエリトリトール類、アラビトール、リビトール、キシリトール等のペンチトール類、ソルビトール、マンニトール、ガラクチトール等のヘキシトール類等を挙げることができる。これら糖は、D体、L体及びそれらの混合物をいずれも使用できる。
【0040】
上記炭素原子数4〜12の糖酸としては、例えば、アラボン酸、グルコン酸、ガラクトン酸等のアルドン酸類、トリヒドロキシグルタル酸、グルカル酸、粘液酸等のアルダル酸類等を挙げることができる。これら糖酸は、塩の形で使用してもよい。具体的には、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、アンモニウム塩、トリメチルアミン、トリエチルアミン等のアミン塩等を挙げることができる。これら糖酸は、D体、L体及びそれらの混合物をいずれも使用できる。上記糖、上記糖酸は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0041】
更に、上記糖及び/又は上記糖酸は、グルコン酸、ソルビトール又はそれらの混合物のいずれかから選択されることが好ましく、特にグルコン酸を含むことが好ましい。更に、糖酸以外にも酒石酸を添加してもよい。上記式(1)で表される脂肪族ポリカルボン酸と糖及び/又は糖酸との割合は、使用する化合物、糖、糖酸の種類により異なるが、相乗効果を示す割合であれば限定されない。通常、上記式(1)で表される脂肪族ポリカルボン酸:糖又は糖酸=98:2〜50:50であることが好ましく、95:5〜70:30であることがより好ましく、90:10〜80:20の割合であることが更に好ましい。
【0042】
上記式(1)で表される脂肪族ポリカルボン酸及び/又はその塩、並びに、炭素原子数4〜12の糖及び/又は糖酸を含有する水垢除去剤を用いる場合には、水垢除去剤中に、更に、界面活性剤を含有させてもよい。使用することができる界面活性剤としては特に限定されず、例えば、上述の界面活性剤を挙げることができる。
【0043】
上記水垢除去剤が上記式(1)で表される脂肪族ポリカルボン酸及び/又はその塩、並びに、炭素原子数4〜12の糖及び/又は糖酸を含有するものである場合、他の成分として、無機ビルダー、有機ビルダー、漂白剤等を含有してもよい。
【0044】
上記水垢除去剤が上記式(1)で表される脂肪族ポリカルボン酸及び/又はその塩、並びに、炭素原子数4〜12の糖及び/又は糖酸を含有するものである場合には、上記水垢除去剤のpHは特に限定されない。
【0045】
上記式(1)で表される脂肪族ポリカルボン酸及び/又はその塩、並びに、炭素原子数4〜12の糖及び/又は糖酸を含有する水垢除去剤の製造方法としては特に限定されず、例えば、脂肪族ポリカルボン酸、その塩、糖、糖酸、必要に応じて、界面活性剤等の成分を水に溶解することによって製造することができる。
【0046】
本発明の水垢除去用湿布剤における水垢除去剤としては、市販品を使用することもでき、例えば、シェリパークC、シェリパークY(いずれもナガセケムテックス社製)、石膏溶解液(睦化学工業社製)、クイックメルティー(サンエス石膏社製)等を挙げることができる。
【0047】
本発明の水垢除去用湿布剤における液体吸収基材は、基材中に、上記水垢除去剤を吸収、保持することができるものである。上記液体吸収基材中に上記水垢除去剤を吸収させることによって得られる湿布剤を車両表面の水垢が付着している部位に貼り付けることよって、その部位に湿布剤を水垢除去に要する時間保持することができ、結果として、容易、かつ、充分に水垢を除去することができる。
【0048】
上記液体吸収基材としては、上記水垢除去剤を吸収して保持できるものであれば特に限定されず、例えば、紙(和紙、キッチングペーパー等)、織布、編布、不織布、スポンジシート、水溶性ゲルシート等を挙げることができる。
【0049】
上記水垢除去用湿布剤の製造方法としては、例えば、(1)上記水垢除去剤が入っている浴中に、上記液体吸収基材を浸漬して、基材中に除去剤を含浸させる方法、(2)上記液体吸収基材に対して、上記水垢除去剤をスプレーで噴霧等することによって、基材中に除去剤を含浸させる方法、等を挙げることができる。
【0050】
本発明の車両の水垢除去用セット(以下、水垢除去用セットともいう。)は、上記水垢除去用湿布剤を得るために使用される水垢除去用セットであって、水垢除去剤と液体吸収基材とからなるものである。即ち、上述したような水垢除去用湿布剤の形態で保存、流通するものの他に、上記水垢除去用セットの形態で保存、流通し、使用する直前に、上述した水垢除去用湿布剤の製造方法によって水垢除去用湿布剤を製造して、本発明の目的に使用するものであってもよい。
【0051】
上記水垢除去用セットにおける水垢除去剤としては、例えば、上述の水垢除去剤を挙げることができる。
また、上記水垢除去用セットにおける液体吸収基材としては、例えば、上述の液体吸収基材を挙げることができる。
【0052】
本発明の車両の水垢除去方法(以下、水垢除去方法ともいう。)は、上記水垢除去用湿布剤を車両表面に接触させる工程からなるものである。即ち、車両における塗膜表面上、ガラス表面上の水垢が付着している部位に、上記水垢除去用湿布剤を貼り付ける等によって接触させることによって、水垢を容易、かつ、充分に除去することができる。
【0053】
上記水垢除去方法において、上記水垢除去用湿布剤は、下限30℃、上限60℃で、車両表面に接触させることが好ましい。上記温度範囲内で接触させることによって効率的に水垢を除去することができる。従って、上記水垢除去方法においては、夏場であれば、車両自体が加熱されているため、上記水垢除去用湿布剤を加熱することは必要とされないが、冬場であれば、湿布剤を上記温度範囲となるように加熱して用いることにより、短時間で水垢を除去することができるようになる。
【0054】
上記水垢除去方法としては、水垢除去用湿布剤を車両表面に接触させ、水垢の除去に要する時間接触させたまま保持し、その後、水垢除去用湿布剤を車両表面から取り除いて、水洗することによって行うことができる。その際、必要に応じて、加温しながら水垢除去を行うものであってもよい。
【0055】
上記加温された水垢除去用湿布剤を上記水垢除去用セットを使用して得る方法としては、(方法1)上記水垢除去剤を加温し、次いで加温された水垢除去剤を上記液体吸収基材に含浸させる方法、(方法2)上記水垢除去剤を上記液体吸収基材中に含浸させ、次いで、得られた水垢除去用湿布剤を加温する方法、によって得ることができる。
【0056】
上記方法1において、上記水垢除去剤の加温温度は、下限30℃、上限80℃であることが好ましい。30℃未満であると、水垢を効率的に除去することができず、長時間接触させることが必要となるおそれがある。80℃を超えても、除去性能の向上は見られず、経済的でないおそれがある。上記下限は、40℃であることがより好ましく、上記上限は、60℃であることがより好ましい。
【0057】
上記方法1において、上記水垢除去剤の加温温度が30〜60℃である場合、加温された水垢除去用湿布剤を水垢が付着している部位に貼り付ける時間は、下限10分間、上限60分間であることが好ましい。10分間未満であると、水垢を除去することができないおそれがあり、60分間を超えると、除去性能の向上は見られず、経済的でないおそれがある。
【0058】
上記方法1において、上記加温された水垢除去剤を上記液体吸収基材に含浸させる方法としては、例えば、(1)加温された水垢除去剤の浴中に液体吸収基材を浸漬することよって含浸させること、(2)加温された水垢除去剤をスプレーで噴霧する等によって液体吸収基材中に含浸させること、等によって行うことができる。
【0059】
上記方法2において、上記水垢除去用湿布剤の加温温度は、上記方法1における水垢除去剤の加温温度と同様の温度で行うことができる。
上記方法2において、上記水垢除去用湿布剤の加温温度が30〜60℃である場合、加温された水垢除去用湿布剤を水垢が付着している部位に貼り付ける時間は、上記方法1における貼り付ける時間と同様の時間で行うことができる。
【0060】
上記水垢除去方法としてはまた、水垢除去用湿布剤を車両表面に接触させ、更に接触させた水垢除去用湿布剤を加温し、次いで水垢の除去に要する時間接触させたまま保持し、その後、水垢除去用湿布剤を車両表面から取り除いて、水洗することによって行うこともできる。
【0061】
車両表面に接触させた水垢除去用湿布剤を加温する手段としては特に限定されず、例えば、例えば、IRヒーター、ライト、温室等によって行うことができる。
【0062】
上記加温する手段による加温温度は、上記方法1における水垢除去剤の加温温度と同様の温度で行うことができる。
上記加温する手段による加温温度が30〜60℃である場合、加温された水垢除去用湿布剤を水垢が付着している部位に貼り付ける時間は、上記方法1における貼り付ける時間と同様の時間で行うことができる。
【0063】
本発明の車両の水垢除去用湿布剤は、水垢除去剤を液体吸収基材に含浸させたものであることから、車両等の表面に形成されている塗膜面や、ガラス面等に付着した水垢を容易、かつ、充分に除去することができるものである。また、上記車両の水垢除去用湿布剤を用いて、自動車等の車両に形成されている塗膜に付着している水垢を除去する際に、塗膜面を傷付けることを極力少なく抑えることができるため、塗膜の撥水性、耐久性等の低下を極力抑制することができる。従って、上記水垢除去用湿布剤は、車両等の複雑な形状を有するものに付着している水垢に対して好適に適用することができるものである。
【0064】
【実施例】
以下本発明について実施例を掲げて更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。また実施例中、「部」は特に断りのない限り「質量部」を意味する。
【0065】
製造例1 試験板の作成
リン酸亜鉛処理した300×400×0.8mmのダル鋼板に、パワートップU−50(日本ペイント社製カチオン電着塗料)を、乾燥膜厚が20μmとなるように電着塗装し、160℃で30分間焼付けた試験板に、No.4フォードカップで25秒/20℃となるように、予め希釈されたオルガP−2(日本ペイント社製メラミン硬化型ポリエステル樹脂系グレー中塗り塗料)を、乾燥膜厚が35μmとなるようにエアスプレーで2ステージ塗装し、140℃で30分間焼き付けた後冷却して、中塗り基板を得た。上記中塗り基板上に、スーパーラックM−260ブラック(日本ペイント社製水性ベース塗料)を、室温25℃、湿度85%の条件下で、乾燥膜厚15μmとなるようにスプレー塗装した後、80℃で3分間のプレヒートを行った。プレヒート後、塗装板を室温まで放冷し、クリヤー塗料「スーパーラック O−1810クリヤー」(日本ペイント社製、酸・エポキシ硬化型アクリル樹脂系塗料)を、乾燥膜厚35μmとなるようにスプレー塗装した後、乾燥炉にて140℃で25分間加熱して、基板上に複層塗膜を形成した。形成された複層塗膜上に、水道水0.2mL滴下し、約1時間放置することによって水分を蒸発させ、水垢が付着した試験板を作成した。
【0066】
実施例1
「シェリパークC」(ナガセケムテックス社製)の浴を40℃に加温し、市販のキッチンタオルを上記加温した浴中に浸漬することによって、キッチンタオル中に水垢除去剤を含浸させ、加温した水垢除去用湿布剤を得た。得られた加温した水垢除去用湿布剤を製造例1で作成した試験板における水垢が付着した部位に貼り付け、10分間貼り付けた状態で保持した後、水垢除去用湿布剤を取り外した。次いで、貼り付けていた部位を水洗した。
【0067】
実施例2
「シェリパークY」(ナガセケムテックス社製)の浴を40℃に加温し、市販のキッチンタオルを上記加温した浴中に浸漬することによって、キッチンタオル中に水垢除去剤を含浸させ、加温した水垢除去用湿布剤を得た。得られた加温した水垢除去用湿布剤を製造例1で作成した試験板における水垢が付着した部位に貼り付け、10分間貼り付けた状態で保持した後、水垢除去用湿布剤を取り外した。次いで、貼り付けていた部位を水洗した。
【0068】
実施例3
「石膏溶解液」(睦化学工業社製)の浴を40℃に加温し、市販のキッチンタオルを上記加温した浴中に浸漬することによって、キッチンタオル中に水垢除去剤を含浸させ、加温した水垢除去用湿布剤を得た。得られた加温した水垢除去用湿布剤を製造例1で作成した試験板における水垢が付着した部位に貼り付け、10分間貼り付けた状態で保持した後、水垢除去用湿布剤を取り外した。次いで、貼り付けていた部位を水洗した。
【0069】
実施例4
「シェリパークC」(ナガセケムテックス社製)の浴中に市販のキッチンタオルを浸漬することによって、キッチンタオル中に水垢除去剤を含浸させ、水垢除去用湿布剤を得た。得られた水垢除去用湿布剤を、乾燥機を使用して40℃に加温し、加温した水垢除去用湿布剤を得た。次いで、製造例1で作成した試験板における水垢が付着した部位に、得られた加温した水垢除去用湿布剤を貼り付け、10分間貼り付けた状態で保持した後、水垢除去用湿布剤を取り外した。その後、貼り付けていた部位を水洗した。
【0070】
実施例5
「シェリパークC」(ナガセケムテックス社製)の浴中に市販のキッチンタオルを浸漬することによって、キッチンタオル中に水垢除去剤を含浸させ、水垢除去用湿布剤を得た。得られた水垢除去用湿布剤を、製造例1で作成した試験板における水垢が付着した部位に貼り付けた後、貼り付けられた水垢除去用湿布剤をIRヒーターを使用して40℃に加温した。次いで、10分間貼り付けた状態で保持した後、水垢除去用湿布剤を取り外し、貼り付けていた部位を水洗した。
【0071】
比較例1
「水アカシャンプー」(WILSON社製自動車用洗剤)をスポンジを用いて、水を流しながら表面をこすった。
【0072】
比較例2
「スベスベ粘土」(オートバックスセブン社製自動車用汚れ取り剤)を用いて水を流しながら粘土で表面をこすった。
【0073】
比較例3
「水だけで汚れおとし」(アズマ工業社製研磨スポンジ)に水を含ませて表面をこすった。
【0074】
比較例4
「ウルトラフィニッシュ」(3M社製コンパウンド)をネルにつけて表面をこすった。
【0075】
比較例5
「クリンビューイオンコート」(タイホー工業社製研磨剤入りツヤ出し剤)をスポンジにつけて表面をこすり、布でふき取った。
【0076】
比較例6
「クイックブライト」(昭和貿易社製合成洗剤)をスポンジにつけて表面をこすり、水で流した後、布でふき取った。
【0077】
〔評価方法〕
実施例、比較例で行った水垢除去に関して、以下の方法により、水垢除去性、作業性、ツヤ、膜厚確保性を評価した。
【0078】
(水垢除去性)
以下の基準により、水垢除去性を評価した。
◎:どの角度から見ても跡が全く見えない。
○:ある角度から見ると跡がわずかに見える。
△:どの角度から見ても跡が少し見える。
×:跡がはっきり見える。
【0079】
(作業性)
以下の基準により、水垢除去性を評価した。
○:時間と力があまりかからない。
△:時間又は力がかかる。
×:時間と力がかかる。
【0080】
(ツヤ)
以下の基準により、水垢除去性を評価した。
○:ツヤの低下がほとんどない。
△:ツヤの低下がわずかにある。
×:ツヤ引けがある。
【0081】
(膜厚確保性)
以下の基準により、水垢除去性を評価した。
○:膜厚の減量が見られない。
△:膜厚の減量がわずかにある。
×:膜厚の減量がある。
【0082】
【表1】
【0083】
表1から、実施例によって水垢を除去する方法が総合的に判断して優れていることが明らかとなった。
【0084】
(水垢除去用湿布剤の貼り付け時間の評価)
「シェリパークC」(ナガセケムテックス社製)の浴を40℃に加温し、市販のキッチンタオルを上記加温した浴中に浸漬することによって、キッチンタオル中に水垢除去剤を含浸させ、加温した水垢除去用湿布剤を得た。得られた加温した水垢除去用湿布剤を製造例1で作成した試験板における水垢が付着した部位に表2に示した時間貼り付け状態で保持した後、水垢除去用湿布剤を取り外した。次いで、貼り付けていた部位を水洗した。貼り付けた時間と水垢除去性との関係を表2に示した。表2において、液温(℃)は、表中の貼り付け時間における湿布剤の温度である。水垢除去性の評価は、上述したような方法で行った。
【0085】
【表2】
【0086】
表2から、10分間以上貼り付けることによって、水垢を除去することができることが明らかとなった。また、水垢を除去するのに要する時間(10分間以上)湿布剤を試験板表面に保持することができることか明らかとなった。
【0087】
【発明の効果】
本発明の車両の水垢除去用湿布剤は、上述の構成よりなるので、車両等の表面に形成されている塗膜面や、ガラス面等に付着した水垢を好適に除去することができるものであり、また、塗膜の撥水性、耐久性等の低下を極力抑制することができる。従って、上記車両の水垢除去用湿布剤は、車両等の複雑な形状を有するものに付着している水垢に対して好適に適用することができるものである。
Claims (5)
- 水垢除去剤を液体吸収基材に含浸させたものであることを特徴とする車両の水垢除去用湿布剤。
- 水垢除去剤は、キレート剤を含有するものである請求項1記載の車両の水垢除去用湿布剤。
- 請求項1、2又は3記載の車両の水垢除去用湿布剤を得るために使用される車両の水垢除去用セットであって、
前記車両の水垢除去用セットは、水垢除去剤と液体吸収基材とからなる
ことを特徴とする車両の水垢除去用セット。 - 請求項1、2又は3記載の車両の水垢除去用湿布剤を水垢が付着している部位に接触させる工程からなることを特徴とする車両の水垢除去方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003177200A JP2005008828A (ja) | 2003-06-20 | 2003-06-20 | 車両の水垢除去用湿布剤、車両の水垢除去用セット及び車両の水垢除去方法 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2019072395A (ja) * | 2017-10-19 | 2019-05-16 | 株式会社リベルタ | 水垢除去方法、液剤、シート、液剤とシートとのセット |
-
2003
- 2003-06-20 JP JP2003177200A patent/JP2005008828A/ja active Pending
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