JP2005006886A - 放射線画像撮影装置 - Google Patents

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JP2005006886A JP2003174449A JP2003174449A JP2005006886A JP 2005006886 A JP2005006886 A JP 2005006886A JP 2003174449 A JP2003174449 A JP 2003174449A JP 2003174449 A JP2003174449 A JP 2003174449A JP 2005006886 A JP2005006886 A JP 2005006886A
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Abstract

【課題】従来の「X線透過率の異なる2つ以上の物質(Pb,Al等)」を用いる方法によりゲイン変動の補正手段する方法をFPDに用いる場合に課題が生じる。なぜならFPDでは白補正を行うためである。つまり前記「X線透過率の異なる2つ以上の物質(Pb,Al等)」が、画像を形成する範囲内にある場合、白画像に写ってしまう。このため、白補正後には、上記物質の画素値が白補正されてしまうため、前記オフセット変動や、前記ゲイン変動を補正する手段として用いることができないという課題があった。
【解決手段】動画撮影が可能なX線画像撮影装置において、X線の透過率が低いリファレンス用の1つ以上の物質を用いて行うオフセット変動補正手段、X線透過率の異なる2つ以上の物質を用いて行うゲイン変動補正手段、前記物質の画像領域を入力する手段、前記画像領域以外の領域のみ行う白補正手段を有することを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、撮像装置に関し、特に、動画を撮像し、オフセット変動補正、ゲイン変動補正を行う撮像装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図5は従来例のX線を用いて動画を撮像するX線撮像装置の構成を示すブロック図である。図5において、101はX線を放射するX線源、102はX線撮像パネルである。X線撮像パネル102は2次元に配列された複数の光電変換素子及びその駆動回路から成っている。X線源101から放射されたX線は被写体103を通ってX線撮像パネル102に入射し、X線撮像パネル102で画像として検出される。なお、被写体103を通ったX線は図示しない蛍光体で可視光に変換され、X線撮像パネル102に入射する。
【0003】
また、104はX線撮像パネル102からの信号をA/D変換するA/D変換器、105はFPN(固定パターンノイズ)の補正値を記憶したFPNメモリ、106はFPN補正値を取得するタイミングを発生するFPN取得タイミング発生回路である。このFPN取得タイミング発生回路106からタイミング信号を発生すると、スイッチ107がオンし、A/D変換器104からFPNがFPNメモリ105に読み込まれる。108はA/D変換器104の出力からFPNメモリ106の補正値を減算する減算器、109は撮影画像を表示するモニタ、110は画像データを記録する記録媒体である。
【0004】
図6は図5のX線撮像装置の動作を示すタイミングチャートである。まず、図6(a)はFPN取得タイミング発生回路106からのFPN取得タイミング信号、図6(b)はA/D変換器104の出力を示している。撮影開始時には、図6(a)に示すようにFPN取得タイミング信号がスイッチ107に供給され、スイッチ107をオンさせることによってA/D変換器104からFPNメモリ105にFPN補正値が読み込まれる。以後、撮影時は図6(c)に示すように減算器108によりA/D変換器104の出力からFPNメモリ106の補正値が減算され、FPNを除去した補正画像データがモニタ109、記録媒体110に供給される。
【0005】
上記従来の動画撮像装置では、撮影開始時にFPN補正値をFPNメモリに記憶させているのでFPN補正値は固定である。即ち、動画を撮影する時は常時FPN補正データを得ることができない。そのため、例えば、出力アンプ(X線撮像パネル内の出力段のアンプ)のオフセットが電源変動や温度変動等により変化すると、図6(b)に示すようにそのままオフセットの変化が出力に現われる。従って、図6(c)に示すように補正出力にオフセットの変化が現われ、画質が低下するという問題があった。
【0006】
また、X線発生装置のX線出力が時間と共に変動するため、動画撮像装置で撮影された画像を動画で表示した時、出力画像の濃度に変化が現われ、画質が低下するという問題があった。
【0007】
この解決方法として、例えば、対前者では、オフセット変動の補正手段として、非破壊読み出しで得られた値を用いて補正する方法があった(参考:特開2002−51265)。
【0008】
また、対後者の解決方法では、ゲイン変動の補正手段として、「X線透過率の異なる2つ以上の物質(Pb,Al等)」を用いる方法により、補正する方法があった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
前記後者の従来の解決方法をFPDに用いる場合に課題が生じる。なぜならFPDでは白補正を行うためである。つまり前記「X線透過率の異なる2つ以上の物質(Pb,Al等)」が、画像を形成する範囲内にある場合、白画像に写ってしまう。このため、白補正後には、上記物質の画素値が白補正されてしまうため、前記オフセット変動や、前記ゲイン変動を補正する手段として用いることができないという課題が本発明で解決しようとする課題である。
【0010】
【課題を解決するための手段】
斯かる目的下において、第1の発明は、動画撮影が可能なX線画像撮影装置において、X線の透過率が低いリファレンス用の1つ以上の物質を用いて行うオフセット変動補正手段、X線透過率の異なる2つ以上の物質を用いて行うゲイン変動補正手段、前記物質の画像領域を入力する手段、前記画像領域以外の領域のみ行う白補正手段を有することを特徴とする。
【0011】
第2の発明は、上記第1の発明における動画撮影が可能なX線画像撮影装置において、前記画像領域の位置を画像中に表示することを特徴とする。
【0012】
第3の発明は、動画撮影が可能なX線画像撮影装置において、前記物質が取り外し可能であること、を特徴とする。
【0013】
第4の発明は、動画撮影が可能なX線画像撮影装置において、前記物質が画像上の自由な位置に付け替えることが可能であること、を特徴とする。
【0014】
第5の発明は、上記第3,4の発明における動画撮影が可能なX線画像撮影装置において、散乱線除去機構内に前記物質があることを特徴とする。
【0015】
第6の発明は、上記第1〜5の発明における動画撮影が可能なX線画像撮影装置において、前記物質が素抜け以外の領域にある時警告を表示することを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
<放射線撮影装置の全体構成>
図7、図8を用いて、やや冗長になるが、本放射線装置の全体構成に関して述べる。
【0017】
図7は、本発明の一実施例を示すX線撮影システムの構成ブロック図を示す。10はX線室、12はX線制御室、14は診断室やその他の操作室である。
【0018】
図7中のX線制御室12について説明する。X線制御室12には、本X線撮影システムの全体的な動作を制御するシステム制御器20が配置される。X線曝射要求SW、タッチパネル、マウス、キーボード、ジョイスティック及びフットスイッチなどからなる操作者インターフェース22は、操作者21が種々の指令をシステム制御器20に入力するのに使用される。操作者21の指示内容は、例えば、撮影条件(静止画/動画、X線管電圧、管電流及びX線照射時間など)、撮影タイミング、画像処理条件、被検者ID及び取込み画像の処理方法などがある。
【0019】
図7中のX線制御室12中のシステム制御器20について説明する。撮影制御器24は、X線室10に置かれるX線撮影系を制御し、画像処理器26はX線室10のX線撮影系による画像を画像処理する。画像処理器26における画像処理は、例えば、照射野認識、画像データの補正、空間フィルタリング、リカーシブ処理、階調処理、散乱線補正及びダイナミックレンジ(DR)圧縮処理などである。大容量高速の記憶装置28は、画像処理器26により処理された基本画像データを記憶するものであり、例えば(RAID)等のハードディスクアレーからなる。30は映像を表示するモニタディスプレイ(以下、モニタと略す。)、32はモニタ30を制御して種々の文字及び画像を表示させる表示制御器、34は大容量の外部記憶装置(例えば、光磁気ディスク)、36はX線制御室12の装置と診断室やその他の操作室14の装置を接続しX線室10での撮影画像などを診断室やその他の操作室14の装置に転送するLANボードである。
【0020】
次に図7中のX線室10について説明する。X線室10には、X線を発生するX線発生器40が置かれる。X線発生器40は、X線を発生するX線管球42、撮影制御器24により制御されてX線管球42を駆動する高圧発生源44、及びX線管球42により発生されたX線ビームを所望の撮影領域に絞り込むX線絞り46からなる。撮影用寝台48上に患者としての被検体50が横たわる。撮影用寝台48は、撮影制御器24からの制御信号に従って駆動され、 X線発生器40からのX線ビームに対する被検体の向きを変更できる。撮影用寝台48の下には、被検体50及び撮影用寝台48を透過したX線ビームを検出するX線検出器52が配置されている。
【0021】
図7中のX線検出器52の構成について説明する。X線検出器52は、グリッド54、シンチレータ56、光検出器アレー58及びX線露光量モニタ60の積層体と、光検出器アレー58を駆動する駆動器62とからなる。グリッド54は、被検体50を透過することによって生じるX線散乱の影響を低減するために設けられている。グリッド54はX線低吸収部材と高吸収部材とから成り、例えば、A1とPbのストライプ構造からなる。光検出器アレー58とグリッド54との格子比の関係によりモアレが生じていることがないように、X線照射時には、X線検出器52は、撮影制御器24からの設定に基づいて駆動器62の制御信号に従いグリッド54を振動させる。グリッド54を振動させるか否かは撮影者の選択によるものであり、グリッド54を固定させて撮影しても良い。グリッド54を固定させて撮影する場合には、光検出器アレー58とグリッド54との格子比の関係によりエリアシングやビート等のモアレが発生しにくいように設定することが望ましい。またグリッド縞そのものが画像に写るが、画像処理によってグリッド縞そのものの周波数を弱める等の処理をすることも望ましい。
【0022】
シンチレータ56では、エネルギーの高いX線によって蛍光体の母体物質が励起(吸収)され、その再結合エネルギーにより可視領域の蛍光が発生する。即ち、X線を可視光に変換する。その蛍光はCaWo4やCdWo4などの母体自身によるものや、CsI:TlやZnS:Agなどの母体内に付加された発光中心物質によるものがある。X線画像撮影装置において最も良く用いられているのはCsIの柱状結晶である。この柱状結晶の構造は、正面撮影において、光が柱状の結晶の方向に伝播しやすいことが特徴である。光検出器アレー58は、シンチレータ56による可視光を電気信号に変換する。
【0023】
また、本実施例ではシンチレータ56と光検出器アレー58とを別々の構成としたが、勿論、直接X線を電子に変換する検出器で構成するものにも適用される。例えば、アモルファスSeやPbI2などの受光部とアモルファスシリコンTFTなどからなるX線検出器である。
【0024】
X線露光量モニタ60は、X線透過量を監視する目的で配置される。X線露光量モニタ60としては、結晶シリコンの受光素子などを用いて直接X線を検出しても良いし、シンチレータ56による蛍光を検出してもよい。この実施例では、X線露光量モニタ60は、光検出器アレー58の基板裏面に成膜されたアモルファスシリコン受光素子からなり、光検出器アレー58を透過した過視光(X線量に比例)を検知して、その光量情報を撮影制御器24に伝達する。撮影制御器24は、 X線露光量モニタ60からの情報に基づいて高圧発生電源44を制御し、X線量を調節する。駆動器62は、撮影制御器24の制御下で光検出器アレー58を駆動し、各画素から信号を読み出す。
【0025】
図7中の薄型X線検出器152について説明する。薄型X線検出器152は、複数種のセンサの代表として1つを図示してあるが、空間分解能が異ったり、薄型X線検出器152の大きさ、つまり撮影領域の大きさの異なるものなどを交換して使用可能である。X線検出器52と薄型X線検出器152との相違点は、第一には薄型X線検出器152は厚さがフィルムスクリーン系カセッテに匹敵するぐらいの約20mm以下である点が最も大きく異なっている。さらに、薄型X線検出器152には、グリッド54が内蔵されていない点、簡易電源、大容量(10画像以上20画像以下)メモリを内蔵している点、中継器153とケーブルレスで画像信号および制御のやり取りが可能である点などがある。シンチレータ56、光検出器アレー58及びX線露光量モニタ60の積層体と、光検出器アレー58を駆動する駆動器62などは同様に内蔵されている。ケーブル154は有っても無くても動作可能で、ケーブル154を使用した場合は、画像転送が高速に行えるため、X線撮影後の画像取得、処理、確認の動作がより短い時間で達成される。この薄型X線検出器152は、例えば四肢などの撮影のために別の薄型X線検出器152が中継器153を介してシステム制御器20に接続されている。
【0026】
図7中の診断室やその他の操作室14について説明する。診断室やその他の操作室14には、撮影被検体の情報および撮影方法などをLANボードを経由して指示するためのHIS/LISなどに接続されていたり、LANボード36からの画像を画像処理、診断支援する画像処理端末70、LANボード36からの画像(動画像/静止画)を映像表示モニタ72、イメージ・プリンタ74及び画像データを格納するファイルサーバ76が設けられている。
【0027】
尚、システム制御器20からの各機器に対する制御信号は、X線制御室12内の操作者インターフェース22、或いは診断室やその他の操作室14内にある画像処理端末70からの指示により発生可能である。
【0028】
図7に示すシステム制御器20の基本的な動作を説明する。システム制御器20は、X線撮影系のシーケンスを制御する撮影制御器24に、操作者21の指示に基づいた撮影条件を指令し、撮影制御器24は、その指令に基づき、X線発生器40、撮影用寝台48及びX線検出器52を駆動して、X線像を撮影させる。X線検出器52から出力されるX線画像信号は、画像処理器26に供給され、操作者21指定の画像処理を施されてモニタ30に画像表示され、同時に、基本画像データとして記憶装置28に格納される。システム制御器20は更に、操作者21の指示に基づいて、再画像処理とその結果の画像表示、ネットワーク上の装置への画像データの転送、保存、映像表示及びフィルム印刷等を実行する。
【0029】
図7に示すシステムの基本的な動作を、信号の流れに従って説明する。X線発生器40の高圧電圧源44は、撮影制御器24からの制御信号に従いX線管球42にX線発生のための高圧を印加する。これにより、X線管球42はX線ビームを発生する。発生されたX線ビームはX線絞り46を介して患者たる被検体50に照射される。X線絞り46は、X線ビームを照射すべき位置に応じて撮影制御器24により制御される。即ち、X線絞り46は、撮影領域の変更に伴い、不必要なX線照射を行わないようにX線ビームを整形する。
【0030】
図7におけるX線発生器40が出力するX線ビームは、X線透過性の撮影用寝台48の上に横たわった被検体50、及び撮影用寝台48を透過してX線検出器52に入射する。なお、撮影用寝台48は、被検体50の異なる部位又は方向でX線ビームが透過するように撮影制御器24により制御される。
【0031】
図7におけるX線検出器52のグリッド54は、被検体50を透過することによって生じるX線散乱の影響を低減する。撮影制御器24は、光検出器アレー58とグリッド54との格子比の関係によりモアレが生じないように、X線照射時にグリッド54を振動させる。シンチレータ56では、エネルギーの高いX線によって蛍光体の母体物質が励起(X線を吸収)され、その際に発生する再結合エネルギーにより可視領域の蛍光を発生する。シンチレータ56に隣接して配置された光検出器アレー58は、シンチレータ56で発生する蛍光を電気信号に変換する。即ち、シンチレータ56がX線像を過視光像に変換し、光検出器アレー58が過視光像を電気信号に変換する。X線露光量モニタ60は、光検出器アレー58を透過した過視光(X線量に比例)を検出し、その検出量情報を撮影制御器24に供給する。撮影制御器24は、このX線露光量情報に基づき高圧発生電源44を制御して、X線を遮断又は調節する。駆動器62は、撮影制御器24の制御下で光検出器アレー58を駆動し、各光検出器から画素信号を読み出す。
【0032】
図7におけるX線検出器52および薄型X線検出器152から出力される画素信号は、X線制御室12内の画像処理器26に出力される。画像処理器26は、詳細は後述するが、システム制御器20からの指令に基づき画像信号の表示形式を切り換えるが、その他には、画像信号の補正、空間フィルタリング及びリカーシブ処理などをリアルタイムで行い、階調処理、散乱線補正及びDR圧縮処理などを実行できる。画像処理器26により処理された画像は、モニタ30の画面に表示される。リアルタイム画像処理と同時に、画像補正のみを行なわれた画像情報(基本画像)は、記憶装置28に保存される。また、操作者21の指示に基づいて、記憶装置28に格納される画像情報は、所定の規格(例えば、ImageSave&Carry(IS&C))を満たすように再構成された後に、外部記憶装置34及びファイルサーバ76内のハードディスクなどに格納される。
【0033】
図7におけるX線制御室12の装置は、LANボード36を介してLAN(又はWAN)に接続する。LANには、複数のX線撮影システムを接続できることは勿論である。LANボード36は、所定のプロトコル(例えば、Digital Imaging and Communications in Medicine(DICOM))に従って、画像データを出力する。LAN(又はWAN)に接続されたモニタ72の画面にX線画像を高解像静止画及び動画を表示することにより、X線撮影とほぼ同時に、医師によるリアルタイム遠隔診断が可能になる。
【0034】
図8は取得画像の処理フローブロック図である。画像処理器26の中の画像データの流れを示している。801はデータパスを選択するマルチプレクサ、802および803はそれぞれX線画像用および暗画像用フレームメモリ、804はオフセット補正回路(含オフセット変動補正回路)、805はゲイン補正データ用フレームメモリ、806はゲイン補正用回路(含ゲイン変動補正回路)、807は欠陥補正回路、808はその他の画像処理回路を代表してそれぞれ現している。
【0035】
図8でX線画像取得フレームFrxoフレームを取得されたX線画像が、マルチプレクサ801を経由してX線画像用フレームメモリ802に記憶され、続いて補正画像取得フレームFrnoフレームで取得された補正画像が、同様にマルチプレクサ801を経由して暗画像用フレームメモリ803に記憶される。この暗画像を用るのは、光検出器アレー58の固体パターンノイズを補正するためである。暗画像の記憶完了から、オフセット補正回路804によりオフセット補正(例えばFrxo−Frno)、オフセット変動補正が行われ、引き続き予め取得されゲイン補正用フレームメモリに記憶してあるゲイン補正用データFgを用いて、ゲイン補正回路806がゲイン補正(例えば、(Frxo−Frno)/Fg)、ゲイン変動法制を行う。オフセット変動補正、ゲイン変動補正の説明は後述する。ゲイン補正を行う目的は、光検出器アレー58の各画素毎の感度差を補正することである。なお本文中ではゲイン補正を行うための撮影を白撮影と呼び、ゲイン補正用データまたはゲイン画像を白画像と呼ぶ。引き続き欠陥補正回路807に転送されたデータは、不感画素や複数パネルで構成されたX線検出器52のつなぎ目部などに違和感を生じないように画像を連続的に補間して、X線検出器52に由来するセンサ依存の補正処理を完了する。本実施例では、画像処理器26をシステム制御器20に構成したが、上述の光検出器アレー58に大きく依存した画像処理機能はX線検出器52および薄型X線検出器152に内蔵させるように構成しても良い。
【0036】
図1は、本発明の実施例における放射線撮影装置である。前記図7や前記図8で説明した放射線撮影システムの中の1つ以上の装置が、図1に示すような放射線撮影装置200に相当する。
【0037】
この放射線撮影装置200は、特に、動画撮影時に、オフセット変動とゲイン変動を各フレーム毎に取得し、各フレーム毎の変動を補正した上で、補正後の画像を記憶媒体214に保存することで、動画表示時に各フレーム毎のオフセット変動、ゲイン変動に起因する動画画質の低下を回避ようになされていることが特徴である。
<放射線撮影装置200の全体構成>
放射線撮影装置200は、上記図1に示すように、放射線管球201により放射線(X線等)を発生する放射線発生部203と、放射線発生部203に対して放射線発生を指示するための撮影ボタン202と、放射線管球201から発生された放射線により被写体205の放射線画像を取得する撮影部206と、放射線撮影における種々の設定等を行うための操作部216と、5つのメモリ211〜213、220、221と、記憶媒体214と、本装置200全体の動作制御を司るCPU(中央処理装置)209とを備えており、これらの各構成部は、バス210を介して互いにデータ授受できるように接続されている。
【0038】
撮影部206は、放射線検出部(放射線ディジタル検出部)207及びアナログ/ディジタル(A/D)変換部208を含んでいる。
【0039】
放射線ディジタル検出部207は、放射線管球201から発生された放射線を受ける位置に設けられており、図示していないが、例えば、アモルファスシリコンとTFTで構成された光検出器の前面に蛍光体が配置されてなる撮像素子と、その駆動制御部とを含んでいる。
【0040】
放射線ディジタル検出部207と被写体205の間には、散乱線を除去するための散乱線除去機構217がある。この散乱線除去機構217は、例えば四肢など散乱線の少ない撮影部位を撮影する時には容易に取り外すことができるようになっている。散乱線除去機構上にリファレンス物質218、219が接着されている。リファレンス物質218、219は、X線透過率の異なる2つ以上の物質で、物質の構成原子が異なる、又は物質の厚さが異なる物質である。詳細は後述する。
【0041】
A/D変換部208は、放射線ディジタル検出部207の出力信号(撮影画像信号)をディジタル化してバス210へ出力するようになされている。
【0042】
メモリ(メモリa)211には、CPU209にて本装置200全体の動作制御のために実行される種々の処理プログラム等が格納されている。また、メモリ211は、CPU209での画像演算等にも使用される。
【0043】
メモリ(メモリb)212には、A/D変換部208から出力されたディジタルの撮影画像信号(撮影画像データ)等が格納される。
【0044】
メモリ(メモリc)213には、キャリブレーション時の撮影により得られた白画像が格納される。
【0045】
メモリ(メモリd)220には、各X線フレームにおけるゲイン変動指標値が格納される。
【0046】
メモリ(メモリe)221には、各X線フレームにおけるオフセット変動指標値が格納される。
【0047】
記憶媒体214には、メモリ212に格納された撮影画像データに対して、ゲイン補正、ゲイン変動補正、オフセット変動補正等の画像処理が施された後の当該画像データ等が保存される。
【0048】
操作部216は、インターフェース(I/Fa)215を介してバス210と接続されており、例えば、様々な設定等を行うための操作ボタンの他に、画像表示機能をも備えている。
【0049】
このような操作部216により、ユーザは、記憶媒体214に保存された撮影画像データを表示機能により表示して、様々な操作を行うことができるようになる。
【0050】
放射線発生部203は、インターフェース(I/Fb)204を介してバス210と接続されており、撮影ボタン202の押下やCPU209からの指示等に基づいて、放射線管球201により放射線(X線等)を発生するようになされている。
<放射線撮影装置200の一連の動作>
ここでは、放射線撮影装置200の作動原理を説明する。
【0051】
先ず、ユーザ(放射線技師等)は、操作装置216から、撮影駆動方法、1秒当たりのフレームレート、撮影枚数等を入力する。次に同一の撮影駆動方法で、オフセット画像、白画像を取得する。
【0052】
その後、被写体(被検者)205を撮影部206へ整位させ、その後、撮影ボタン202を押下することで、CPU209へ撮影動作開始を指示する。
【0053】
CPU209は、ユーザからの撮影ボタン202の押下による撮影動作開始要求(撮影要求)により、放射線検出部207の動作制御を行うことで、放射線検出部207を初期化し、その後、放射線発生部203の動作制御を行うことで、放射線管球201から放射線を発生させる。
【0054】
放射線管球201から発生された放射線により、放射線検出部207(撮像素子の受光面)は、被検者205の内部構造に応じた透過放射線分布で露光される。
【0055】
ここで、各X線フレーム毎のオフセット変動補正値、ゲイン変動補正値を算出するためのリファレンス物質218、219も、各々X線透過率が異なるため、各々の物質に特有の透過放射線分布で露光される。
【0056】
放射線検出部207は、受光した放射線の2次元分布光強度に応じて、2次元的に光電変換を行うことで、被検者205のアナログ的な放射線画像信号(アナログ画像信号)を取得し、当該アナログ画像信号をA/D変換部208へ供給する。
【0057】
A/D変換部208は、放射線検出部207からのアナログ画像信号をディジタル化して、当該画像信号のディジタル画像データ(放射線画像データ)を取得する。この放射線画像データは、メモリ212へ格納される。
【0058】
このとき、メモリ213には、詳細は後述する白画像生成処理にて得られた、ゲイン補正に使用する白画像が格納されている。
【0059】
CPU209は、メモリ213に格納されている白画像を読み出し、当該白画像を使用して、メモリ211へ格納された放射線画像データへのゲイン補正処理(ゲイン補正演算処理)を行う。ゲイン補正処理は、リファレンス物質218、219の画像中の領域以外を行うことが望ましい。なぜならば、リファレンス物質218、219を白補正を行うと、リファレンス物質218、219の画像上の位置がわかりにくくなり、診断上の誤診や画質低下につながるためである。
【0060】
そして、CPU209は、ゲイン補正処理後の放射線画像データを記憶媒体214へ保存する。
【0061】
次にCPU209は、メモリ221に格納されている各Xフレーム毎のオフセット変動値を読み出し、当該白画像を使用して、記憶媒体214へ格納された放射線画像データへのオフセット変動補正処理を行う。
【0062】
そして、CPU209は、オフセット変動補正処理後の放射線画像データを記憶媒体214へ保存する。
【0063】
次にCPU209は、メモリ220に格納されている各Xフレーム毎のゲイン変動値を読み出し、当該白画像を使用して、記憶媒体214へ格納された放射線画像データへのゲイン変動補正処理を行う。
【0064】
そして、CPU209は、オフセット変動補正処理後の放射線画像データを記憶媒体214へ保存する。
【0065】
以上の動作により、当該撮影が終了することになる。
【0066】
その後、ユーザは、操作部216の操作により、使用目的に応じて、記憶媒体214から放射線画像データ(ゲイン補正処理後の画像データ)を読み出し、オフセット変動補正後、ゲイン変動補正後の読出画像データを、ディジタル画像をフィルム上へ描画するイメージャや、画像診断用モニタ等へ供給させる。
<放射線撮影装置200でのオフセット変動補正処理、ゲイン変動補正処理>
上述した一連の撮影動作のなかで、良好な動画画像の画質を得るためには、各Xフレーム毎のオフセット変動補正処理、ゲイン変動補正処理を行うことが望ましい。
【0067】
そこで、本実施の形態では、例えば、図10に示すフローチャートに従った処理プログラムを、CPU109が実行することで、オフセット変動補正処理、ゲイン変動補正処理を行う。
【0068】
尚、以下に説明する白画像生成処理は、ユーザの操作部116の操作により、放射線撮影装置100の動作モードが、動画撮影モードに設定された場合に実行される。
【0069】
ステップS1001:
動画撮影モードに入ると、ユーザによる操作部216の操作により、撮影条件が入力される。この撮影条件は、撮影駆動方法、1秒当たりのフレームレート、撮影枚数等である。
【0070】
ステップS1002:
撮影条件が入力されると、CPU209は、撮影と同一の駆動条件を用いて、オフセット画像を取得する。オフセット画像は前述したFPN画像と同一である。
【0071】
ステップS1003:
CPU209は、ステップS1001で入力された撮影条件と同一の駆動条件を用いて、白画像を取得する。この白画像取得時のX線撮影条件は、前述したようにリニアリティのある範囲の線量帯である。
【0072】
ステップS1004:
オフセット変動補正処理、ゲイン変動補正処理を行う準備として、各変数を初期化する。具体的には、フレーム番号nを1に初期化し、各フレームnにおけるゲイン変動指標値G(n)、各フレームnにおけるオフセット変動指標値Off(n)を0にする。
【0073】
ステップS1005:
CPU209は、下記の処理を撮影枚数繰返し実行するために、フレーム番号nをインクリメントする。
【0074】
ステップS1006:
CPU209は、nフレームのX線照射画像を、取得する。X線照射画像を取得する手順は前記図1等で説明した方法と同じである。
【0075】
ステップS1007:
CPU209は、nフレームのオフセット変動指標値Off(n)を、取得する。オフセット変動は、電源変動や温度変動といった、時間的変動とタイミング変動があると考えられる。この変動量を知るための指標値が、オフセット変動指標値であり、オフセット画像におけるオフセット変動指標値は、次式で表されるように、オフセット画像から欠陥画素を除いた全画素の平均値をオフセット変動指標値とする。
【0076】
Off(0)=Σall(OFF_image(x,y))/Σ(all) (式1)
ここでallは全ての画素の数を指す。
【0077】
ステップS1002でオフセット画像OFF_imageを取得した時のオフセット変動指標値をオフセット変動指標基準値Off(0)とする。
【0078】
次に、各Xフレーム毎のオフセット変動指標値を得る方法を説明する。各Xフレーム毎のオフセット変動指標値を得るためには、(i)1つのX線に対する透過率が微小な物質、又は(ii)2つ以上のX線透過率の異なる物質を透過した画素の画素値が必要である。
【0079】
各々の場合のオフセット変動指標値の求め方を説明する。
(i)1つのX線に対する透過率が微小な物質を用いる場合、
1つのX線に対する透過率が微小な物質を透過した画像の画素値を用いて計算する場合には前記物質を透過した後の画素値を抽出し、その部分の平均値を用いる。各Xフレーム毎のオフセット変動指標値は、
Figure 2005006886
で表される。ここで、Xn(x,y)はXフレーム画像の各座標の画素値であり、referenceはX線に対する透過率が微小な物質を透過した領域の画素値の中から抽出された画素の数である。ここで、前記物質を透過した後の画素値を抽出するに当たり、散乱線の影響を考慮する必要がある。ここで使用されるX線透過率が微小なリファレンス物質の周辺領域は、素抜け領域である。その画像領域には、周辺の素抜け領域からの散乱線が、入射している。つまり、X線透過率が微小なリファレンス物質は散乱X線が回り込むことがない程度の大きさが最低限必要で、最低でも1mm以上の直径が必要である。また、リファレンス物質の直径が小さい場合や、散乱線の影響が大きい場合には、(式2)のような平均値を算出するのではなく、
Figure 2005006886
のように、リファレンス物質の中心領域の平均値の最小値を取ることが望ましい。
(ii)2つ以上のX線透過率の異なる物質を用いる場合、
次に、2つ以上のX線透過率の異なる物質を用いる場合のオフセット変動指標
で説明する。
【0080】
この2つ以上のX線透過率の異なる物質を用いてオフセット変動指標値を得るためには、X線フレームで撮影するX線発生条件(管電圧、フィルタ種類、フィルタ厚さ)におけるX線透過率があらかじめ既知であることが必要である。この2つのリファレンス物質をA、B、各々既知のX線透過率をTransmittance(A)、Transmittance (B)と置く。Transmittance(A)、Transmittance (B)を把握するためには、事前にリファレンス物質をA、Bを同一のX線発生条件で線量計を用いて測定する方法や、X線発生条件のX線スペクトルとリファレンス物質をA、Bの原子構成および密度を元に、減弱係数の既知の実験データを用いて、算出する方法をとる。
【0081】
上記条件の下で、オフセット変動指標値は、
Off(n)= pOffA(n)−Transmittance (A)×TrendAB−Off(0) (式4)
Off(n)= pOffB(n)−Transmittance (B)×TrendAB−Off(0) (式5)
で表される。
【0082】
但し、
Figure 2005006886
である。
【0083】
当然だが、(式4)と(式5)は同値である。
【0084】
ステップS1008:
次にCPU209は、nフレームのゲイン変動指標値G(n)を、取得する。ゲイン変動は、X線撮影装置自体の感度が変動すること自体が原因ではなく、X線発生装置の出力量が変動することが原因であるから、X線出力変動と言っても良い。ただし、本提案書では、呼称を統一するため、ゲイン変動と書く。
【0085】
ゲイン変動指標値G(n)を得るためには、2つ以上のX線透過率の異なるリファレンス物質を用いる必要がある。更に、前述のオフセット変動指標値Off(n)を算出した場合と同様に、ゲイン変動指標値G(n)を得るためには、X線フレームで撮影するX線発生条件(管電圧、フィルタ種類、フィルタ厚さ)におけるX線透過率があらかじめ既知であることが必要である。この条件の下でゲイン変動指標値G(n)は、
Figure 2005006886
で表される。
【0086】
ステップS1009:
n=1〜sumまで、ステップS1005からステップS1007を各フレームにおいて繰り返す。
【0087】
ステップS1011:
CPU209は、リファレンス物質218、219の画像領域を抽出する。リファレンス物質218、219の画像領域を抽出する方法等は後述する。
【0088】
ステップS1012:
各フレーム画像においてS1015〜S1018までの処理を行うため、フレーム番号nの初期化を行う。
【0089】
ステップS1013:
先ず、各フレーム画像においてS1015〜S1018までの処理を行うため、フレーム番号nのインクリメントを行う。
【0090】
ステップS1014:
ステップS1015〜ステップS1018の各補正演算は、リファレンス物質218、219のある画像領域以外の画素で行うようループにする。実際の処理は、各画像毎にリファレンス物質218、219であるAL、Pb等が存在する画像領域以外の画像領域を、オフセット補正、白補正、オフセット変動補正、ゲイン変動補正を行う。リファレンス物質218、219であるAL、Pb等が存在する画像領域の画素値は、上記補正を行った領域であることを画像上に明示するため、上記補正を行わない、又は、上記補正を行った場合も、表示する際には、補正用の画像領域であることを明示する。補正用の画像領域であることを明示する理由は、医療用の画像診断に用いられる場合、上記画像領域にはリファレンス物質のために、誤診される可能性があるためである。また、後述するように、リファレンス物質が、画像中の素抜け領域にあるか否かを判定して、素抜け領域内にない場合には、警告を表示する手段があることが望ましい。
【0091】
ステップS1015:
nフレーム画像のオフセット補正を行う。ステップS1002で取得されたオフセット画像を用いる。ステップS1006で取得されたnフレーム目のXフレーム画像の各座標の画素値をXn(x,y)、ステップS1002で取得されたオフセット画像の各座標の画素値をOFF_image(x,y)とすると、オフセット後の画像の各座標の画素値は、
Xoff_n (x,y) = Xn(x,y) −OFF_image(x,y) ‥(式10)
となる。
【0092】
ステップS1016:
nフレーム画像のオフセット変動補正を行う。ステップS1007で取得されたオフセット変動指標値Off(n)を用いる。オフセット変動補正後の画像の各座標の画素値は、
Xoffv_n(x,y) = Xoff_n (x,y)−Off(n) ‥(式11)
となる。
【0093】
ステップS1017:
nフレーム画像のゲイン補正を行う。ステップS1003で取得されたゲイン画像White(x,y)を用いる。ゲイン補正後の画像の各座標の画素値は、
Figure 2005006886
となる。
【0094】
ステップS1018:
nフレーム画像のゲイン変動補正を行う。ステップS1008で取得されたゲイン変動指標値G(n)を用いる。ゲイン変動補正後の画像の各座標の画素値は、
Xwhitev_offv_n(x,y) = Xwhite_offv_n(x,y) * G(n) ‥(式13)
となる。
【0095】
ステップS1019:
ステップS1015〜ステップS1018で、オフセット補正、ゲイン補正、オフセット変動補正、ゲイン変動補正がなされた画像は表示用QA処理がなされる。このQA処理とは、撮影部位ごとの階調処理、周波数処理や、表示装置ごとの階調処理を含める。
【0096】
ステップS1020:
上記処理を撮影枚数sumになるまで繰り返す。尚、上記処理は、撮影枚数sum全てにおいて行う必要がない場合は、等時間隔等で間引きしても良い。
【0097】
図2は、本提案の方法を示す概念図である。画像上のリファレンス物質のプロファイルと位置を示した図である。図2(a)が、画素値プロファイル(断面図)、図2(b)が、画像全体図と画像上のリファレンス物質の位置である。
【0098】
図2(b)は、画像全体図と画像上のリファレンス物質の位置を示している。301は、X線画像取得可能領域を示している。通常X線の画像を撮影する際には、散乱線による画質低下や、被写体への被曝線量を抑えるために、X線をコリメータで絞って撮影を行う。この境界がX線照射野302はとなって画像上で表れる。リファレンス物質303、304は、X線透過率の異なる2つ以上の物質である。2つ以上の物質とは、材質(構成元素の組成、密度)が異なる物質を指していても、また同一材質で厚さが異なることでX線透過率が異なっても良い。ただしゲイン変動補正処理の精度からすると、同一材質で厚さが異なることが望ましい。なぜならば、材質が異なると、X線スペクトルの変化によって、2つの物質間の相対的なX線透過率の関係が変化するためである。
【0099】
また、リファレンス物質303、304は、被写体と重ならない領域にあることが望ましい。なぜならば誤診の可能性があるからである。尚、後述するように、被写体と重なる領域にある場合には、警告を表示する手段をつけることが必要である。
【0100】
図2(a)は、図2(b)の破線を通る断面での画素値プロファイルである。図2(a)では、素抜け領域の画素値が高く、リファレンス物質303、304の画素値が相対的に低い値になっているが、逆にリファレンス物質の領域だけ相対的に高い出力であっても良い。例えば、当然リファレンス物質が画像全体を覆うような構成で、特定の領域のみ、このリファレンス物質が抜けていたり、厚さが薄くなっている構造でも良い。この場合には、オフセット変動補正、ゲイン変動補正の方法は、前記リファレンス物質の領域を、リファレンス物質がた領域や、厚さが薄くなっている領域に置換して同様の計算をすれば良い。また、前述したように、画素値プロファイルは、前述の散乱線の影響でシェーディングを持っていることに注意し、前述の各領域の値を算出するためには、前述のように散乱線の影響の少ない領域(中心に近い領域)を使用して計算する。また、中心部分で散乱線の影響を少なくさせるために、リファレンス物質A、Bの直径は、最低でも1mm以上が必要であることが望ましい。
【0101】
図3は、本発明で補正を行うゲイン変動とオフセット変動を示している。ゲイン変動は、実際にはX線撮影装置自体のゲインが変動することを想定している訳ではない。むしろ原因として支配的なのは、X線発生装置の出力量が変動である。つまり、ゲイン変動と言うよりもX線出力変動と呼んでも良い。オフセットは、出力アンプ(X線撮像パネル内の出力段のアンプ)のオフセットが電源変動や温度変動等により変化することが主な原因で図3のように変動する。尚、本提案で解決するオフセット変動補正やゲイン変動補正は、上記の原因以外の原因で変動しても良い。本提案で請求する範囲は、上記の原因で起るオフセット変動やゲイン変動のみに制限されるわけではない。
【0102】
図4は、本発明におけるリファレンス物質が取り出し可能な例を示している。900がX線画像撮影装置、901‐904が各々X線透過率が異なるリファレンス物質、905が散乱線除去機構(グリッド)、906が、接着材または接着テープである。906の接着テープを用いてリファレンス物質を散乱線除去機構(グリッド)に取り付ける。リファレンス物質の取付け位置に対する要求仕様は、
▲1▼被写体がない画像領域にあること、
▲2▼X線照射野内に入っていること、
▲3▼位置が容易に抽出可能な領域であること、
が挙げられる。前記▲1▼〜▲3▼の要求仕様は、撮影部位等により変化することから、接着テープを用いて、撮影時に自由な位置に付け替えることが可能であることがベストモードである。ただし、(I)動画検診のように、同一の撮影条件で撮影を行うことが多い場合、(II)グリッド毎に撮影部位または撮影領域がおおよそ定まっている場合などは、X線画像撮影装置900にリファレンス物質901‐904が取り付けられている構造でも良い。また、散乱線除去機構(グリッド) 905にリファレンス物質901‐904が取り付けられている構造でも良い。
【0103】
図10は、リファレンス物質が被写体の素抜け領域に重なってしまった場合に警告表示を出すフローチャートを示している。
【0104】
ステップS1101:
先ず、ステップS1101で、X線画像の素抜け領域の画素値帯および領域の把握処理を行う。素抜け領域の画素値帯および領域の把握処理の方法としては、X線画像の各画素値ごとヒストグラムを作成し、判断する方法が優れている。ヒストグラム中で画素値数の頻度が高く、最大線量に相当する画素値帯の近傍が素抜け領域の画素値帯である。素抜け領域の画素値帯は、画素値に幅が出てくるのは、主にX線発生装置のシェ−ディングが原因である。シェ−ディングの中でも特にX線発生装置のヒール効果が支配的である。その量は撮影装置の傾きや撮影距離によって異なる。具体的には、撮影距離180cmでは、図示しないX線ターゲットの図示しない陽極側に20%程度のシェーディングが現われる。よって、素抜け領域の画素値帯は約20%程度の幅を持って把握することが望ましい。更にその領域を見るためには、例えば隣接する8画素全てが、素抜け領域の画素値帯に入る場合には素抜け領域とするなどの隣接画素処理などを行うことで、素抜け領域の抽出を行う。
【0105】
ステップS1102:
次に、ステップS1102で、リファレンス物質の画素値帯の把握を行う。ステップS1101で、素抜け領域の画素値帯がすでに既知である。また、撮影したX線条件(管電圧、フィルタ種類、フィルタ厚さ)でのリファレンス物質のX線透過率も既知である。前記、素抜け領域の画素値帯をPASSmin(n) ̄ PASSmax(n)と置く。また、前記リファレンス物質AのX線透過率を、Transmittance (A)と置く。すると、リファレンス物質Aの画素値帯は、
PASSmin_A(n) = PASSmin(n) × Transmittance (A) ‥(式14)
PASSmax_A(n) = PASSmax(n) × Transmittance (A) ‥(式15)
で最小値と最大値が表される。
【0106】
ステップS1103:
次に、ステップS1103で、リファレンス物質の画像領域取得を行う。ステップS1102で得られたリファレンス物質の画素値帯のPASSmin_A(n)〜PASSmax_A(n)を用いる。例えば、隣接する8画素全てが、該当画素値帯にある場合、その領域をリファレンス物質の画像領域とする。
【0107】
ステップS1104:
次に、ステップS1104で、リファレンス物質の周囲の領域の画素値帯の把握を行う。ステップS1103で得られたリファレンス物質の画像領域を元に、その境界からある一定の距離離れた領域を、リファレンス物質の周囲の領域とする。ある一定距離離す理由は、極めて境界近傍の領域を前記周囲の領域とすると、前記周囲の領域は、散乱線のため、正しい素抜け領域の画素値帯に入らない可能性があるからである。リファレンス物質の境界領域から1mm程度離すことが望ましい。リファレンス物質の周囲の領域が抽出されたならば、その領域の画素値平均値、画素値標準偏差値等を算出する。
【0108】
ステップS1105:
次に、ステップS1105で、リファレンス物質は素抜け領域内にあるか否かを判定する。ステップS1104で得られたリファレンス物質の周囲の領域の画素値帯が、ステップS1101で得られた素抜け領域の画素値帯に入っているかを判定する。前記平均画素値が前記素抜け領域の画素値帯に入っていれば、リファレンス物質の周辺の領域が、素抜け領域内にあると判定される。
【0109】
ステップS1106:
前記ステップS1105でリファレンス物質が素抜け領域内にあると判定された場合、ステップS1106の段階に移る。ステップS1106で「リファレンス物質が患者に重なっている」ことを警告表示する。この警告表示は、撮影画像中のプレビュー画像中にリファレンス物質の位置を示すことで警告することをベストモードとする。また、この警告表示は、モニタ上で文字で表示しても良いし、また画像や色や画面の一部の点滅等で表示しても良い。
【0110】
ステップS1107:
ユーザ(放射線技師等)は、ステップS1106で示された警告表示を見て、再撮影を行うか否かを判定する。
【0111】
ステップS1108:
ステップS1108で再撮影を行うとユーザ(放射線技師等)が判定した場合、再撮影を行う。再撮影は、被写体とリファレンス物資の相対位置が異なることが原因であるため、この相対位置を変えて再撮影を行う。
【0112】
ステップS1109:
上述を終えると、前述のオフセット補正、オフセット変動補正、ゲイン補正、ゲイン変動補正等の画像処理を行う。
【0113】
【発明の効果】
以上説明したように本発明では、被写体を撮影して得られた動画撮影画像に対してゲイン変動補正処理、オフセット変動補正処理を行い、その補正に使用したリファレンス物質を取り外し可能であるため、動画表示時に画像フレーム毎のオフセット変動、ゲイン変動を補正し表示できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例における放射線撮影装置
【図2】本提案の方法を示す概念図
【図3】本発明で補正を行うゲイン変動とオフセット変動の概念図
【図4】本発明の実施例におけるリファレンス物質が散乱線除去機構上にあり取り出し可能な実施例を示す図
【図5】従来例のX線を用いて動画を撮像するX線撮像装置の構成を示すブロック図
【図6】図5のX線撮像装置の動作を示すタイミングチャートである
【図7】本発明の一実施例を示すX線撮影システムの構成ブロック図
【図8】取得画像の処理フローブロック図
【図9】本実施の処理プログラムを示すフローチャート
【図10】警告表示を出す処理プログラムを示すフローチャート
【符号の説明】
200 放射線撮影装置
201 放射線管球
202 撮影ボタン
203 放射線発生部
204 放射線発生部用インターフェース部
205 被写体
206 撮影部
207 放射線検出部
208 A/D変換部
209 CPU(中央処理装置)
210 バス
211〜213、220〜221 メモリ
214 記憶媒体
215 操作部用インターフェース部
216 操作部(表示機能含)
217 散乱線除去機構
218 リファレンス物質A
219 リファレンス物質B

Claims (6)

  1. 動画撮影が可能なX線画像撮影装置において、
    X線の透過率が低いリファレンス用の1つ以上の物質を用いて行うオフセット変動補正手段
    X線透過率の異なる2つ以上の物質を用いて行うゲイン変動補正手段、
    前記物質の画像領域を抽出する手段
    前記画像領域以外の領域のみ行う白補正手段
    を有することを特徴とするX線画像撮影装置。
  2. 動画撮影が可能なX線画像撮影装置において、
    前記画像領域の位置を画像中に表示すること、
    を特徴とする請求項1記載のX線画像撮影装置。
  3. 動画撮影が可能なX線画像撮影装置において、
    前記物質が取り外し可能であること、
    を特徴とするX線画像撮影装置。
  4. 動画撮影が可能なX線画像撮影装置において、
    前記物質が画像上の自由な位置に付け替えることが可能であること、
    を特徴とするX線画像撮影装置。
  5. 動画撮影が可能なX線画像撮影装置において、
    散乱線除去機構内に前記物質があること、
    を特徴とする請求項3、4記載のX線画像撮影装置。
  6. 動画撮影が可能なX線画像撮影装置において、
    前記物質が素抜け以外の領域にある時警告を表示すること、
    を特徴とする請求項1〜5記載のX線画像撮影装置。
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