JP2005006509A - メタロプロテアーゼの保存方法、および前記方法を用いたメタロプロテアーゼ試薬溶液 - Google Patents

メタロプロテアーゼの保存方法、および前記方法を用いたメタロプロテアーゼ試薬溶液 Download PDF

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Abstract

【課題】メタロプロテアーゼを、溶液状態で安定に保存する方法を提供する。
【解決手段】メタロプロテアーゼを溶液中でカルシウムイオンおよびナトリウムイオンと共存させた状態で保存する。前記メタロプロテアーゼの濃度は、50,000〜20,000,000U/Lの範囲であり、カルシウムイオンの濃度は、0.1〜30mol/Lの範囲であり、ナトリウムイオンの濃度は、Ca2+濃度とNa濃度との積が40〜800mmol/Lとなる濃度範囲である。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、メタロプロテアーゼを溶液中で安定に保存する方法、および前記方法により保存する試薬溶液に関する。
【0002】
【従来の技術】
酵素は、通常、液体の反応系において使用されるため、溶媒に溶解した酵素溶液が用いられる。しかし、酵素は、溶液中では不安定であり失活し易いため、その種類に応じて、例えば、前記酵素溶液のpHを調整したり、安定化剤等を添加する必要がある。特に、溶液状態で酵素を保存する場合は、その条件設定が非常に重要なものとなる。
【0003】
プロテアーゼの一種であるメタロプロテアーゼについては(例えば特許文献1、特許文献2、特許文献3)、溶液を調製する場合、例えば、pH約6.0以下の酸性条件下で、塩化カルシウムおよび塩化ナトリウムを共存させ、安定化させることが知られている。
【0004】
このようなメタロプロテアーゼ溶液を保存する場合には、特に、メタロプロテアーゼを約100,000,000U/L以上の高濃度に設定するか、または、塩化カルシウムおよび塩化ナトリウムをそれぞれ50mmol/Lおよび1000mmol/L以上の高濃度に設定する必要があり、また、長期保存する場合においては、さらに、グリセロール等の安定化剤を添加する必要もある。しかしながら、このような条件で保存しても、常温では極めて不安定であるという問題が生じる。このため、より一層メタロプロテアーゼの失活を防止して安定性を維持し、さらに、低温に限らず、常温においてもメタロプロテアーゼの安定性を維持できる保存方法が求められている。
【0005】
【特許文献1】
特開平5−211869号公報
【特許文献2】
特開平5−268950号公報
【特許文献3】
特開平6−273418号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明の目的は、メタロプロテアーゼを溶液中で安定に保存する方法および前記方法により保存する試薬溶液の提供である。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明のメタロプロテアーゼの保存方法は、メタロプロテアーゼを溶液中で安定に保存する方法であって、50,000〜20,000,000U/Lのメタロプロテアーゼを含む前記溶液に、0.1〜30mmol/LのCa2+、およびCa2+濃度とNa濃度との積が40〜800mmol/LとなるようにNaを共存させることを特徴とする。
【0008】
このように、前記濃度範囲になるように、溶液中でメタロプロテアーゼ、Ca2+およびNaを共存させれば、メタロプロテアーゼの安定性が向上し、例えば、低温だけでなく常温条件下においてもメタロプロテアーゼの失活を防止して安定に保存することができる。
【0009】
本発明の保存方法において、Ca2+の濃度は、好ましくは0.1〜30mmol/Lの範囲であり、より好ましくは0.5〜5mmol/Lの範囲である。また、Naの濃度は、好ましくは20〜1000mmol/Lの範囲であり、より好ましくは50〜500mmol/Lの範囲である。
【0010】
本発明の保存方法において、pH5.0〜6.5の条件下で保存することが好ましい。
【0011】
本発明の保存方法において、さらに0.1〜10mmol/Lの2−(4−ヨードフェニル)−3−(2,4−ジニトロフェニル)−5−(2,4−ジスルフィドフェニル)−2H−テトラゾリウム塩(以下、「テトラゾリウム化合物」ともいう)を共存させ、pH5.0〜6.5の条件下で保存することが好ましい。
【0012】
メタロプロテアーゼは、例えば、糖化タンパク質や糖化ペプチドの測定に使用できるが、メタロプロテアーゼを前記糖化タンパク質等に作用させる際に、前記テトラゾリウム化合物を共存させれば、前記メタロプロテアーゼが活性化され、これによって測定精度を向上できることが、本発明者らによって見出されており、すでに別途出願されている(特願2000−296539号)。したがって、メタロプロテアーゼと前記テトラゾリウム化合物とを共存させた状態で安定に保存できれば、例えば、前記糖化タンパク質等の測定の度に、前記メタロプロテアーゼおよびテトラゾリウム化合物の試薬溶液をそれぞれ調製する必要もなく、保存した前記両者を含む溶液を使用でき、容易かつ簡便に測定に適用することができる。しかしながら、前記テトラゾリウム化合物は溶液中にCa2+が存在すると沈殿してしまうのに対して、メタロプロテアーゼの保存には前述のようにCa2+が必要であり、また、前記テトラゾリウム化合物はpH4.0〜pH5.0で安定であるのに対し、メタロプロテアーゼはpH5.5〜pH6.5で安定であり、pH4.5以下では失活し易い。このように、前記テトラゾリウム化合物およびメタロプロテアーゼの両者は、保存に際して相反する条件を必要とするため、これらを同じ溶液中で安定に保存することは困難であると考えられていた。しかし、本発明者らによるさらなる検討の結果、本発明の条件によれば、前記メタロプロテアーゼだけでなく、その活性化剤となる前記テトラゾリウム化合物をも、同じ溶液中で安定に保存できることがわかった。このため、本発明の保存方法により保存したメタロプロテアーゼ溶液を、前述のような糖化タンパク質等の測定に適用すれば、測定をさらに容易かつ簡便に行うことができる。
【0013】
本発明の保存方法において、前記テトラゾリウム化合物の安定性をより向上できることから、さらに0.01〜5mmol/Lのアジ化ナトリウムを共存させることが好ましい。
【0014】
このように、さらにテトラゾリウム化合物やアジ化ナトリウム等を共存させる場合、pHが5.0〜6.5の範囲であることが好ましい。
【0015】
具体的には、例えば、pH5.0〜6.5の条件下において、50,000〜20,000,000U/Lのメタロプロテアーゼを含む溶液に、0.1〜30mmol/LのCa2+、Ca2+濃度とNa濃度との積が40〜800mmol/Lとなる濃度のNa、0.1〜5mmol/Lの2−(4−ヨードフェニル)−3−(2,4−ジニトロフェニル)−5−(2,4−ジスルフィドフェニル)−2H−テトラゾリウム塩および0.03〜1.5mmol/Lのアジ化ナトリウムを共存させることが好ましい。
【0016】
本発明の保存方法において、前記溶液が、MES、MOPS、Bis−Tris、ADA、PIPES、ACES、MOPSOからなる群から選択された少なくとも一つの緩衝液を含むことが好ましい。
【0017】
つぎに、本発明の試薬溶液は、メタロプロテアーゼ試薬溶液であって、メタロプロテアーゼ50,000〜20,000,000U/L、Ca2+0.1〜30mmol/LおよびCa2+濃度とNa濃度との積が40〜800mmol/Lとなる濃度のNaを含む試薬である。このような組成の試薬溶液であれば、前述のようにメタロプロテアーゼが安定化されるため、保存が可能となる。このため、例えば、酵素反応の度に試薬溶液を調製する必要がなく、有用な試薬であるといえる。
【0018】
本発明の試薬溶液において、pHが5.0〜6.5の範囲であることが好ましい。
【0019】
本発明の試薬溶液において、さらに2−(4−ヨードフェニル)−3−(2,4−ジニトロフェニル)−5−(2,4−ジスルフィドフェニル)−2H−テトラゾリウム塩0.1〜5mmol/Lを含むことが好ましく、さらにアジ化ナトリウム0.03〜1.5mmol/Lを含むことが好ましい。
【0020】
本発明の試薬溶液において、前記テトラゾリウム化合物やアジ化ナトリウムを含む場合、例えば、pHが5.0〜6.5の範囲であることが好ましい。
【0021】
具体的には、メタロプロテアーゼ50,000〜20,000,000U/L、Ca2+0.1〜30mmol/L、Ca2+濃度とNa濃度との積が40〜800mmol/Lとなる濃度のNa、2−(4−ヨードフェニル)−3−(2,4−ジニトロフェニル)−5−(2,4−ジスルフィドフェニル)−2H−テトラゾリウム塩0.1〜5mmol/Lおよびアジ化ナトリウム0.03〜1.5mmol/Lを含み、そのpHが5.0〜6.5の範囲であることが好ましい。
【0022】
本発明の試薬溶液において、MES、MOPS、Bis−Tris、ADA、PIPES、ACES、MOPSOからなる群から選択された少なくとも一つの緩衝液を含むことが好ましい。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明によるメタロプロテアーゼの保存は、例えば、前記メタロプロテアーゼと、Ca化合物およびNa化合物とを水系の溶媒に溶解してメタロプロテアーゼ水溶液を調製し、これを保存すればよい。
【0024】
前記Ca化合物およびNa化合物としては、前記溶媒に溶解した時に、それぞれCa2+およびNaにイオン化するものであれば特に制限されない。前記Ca化合物としては、例えば、塩化カルシウム(CaCl)、CaSO等が使用できる。また、前記Na化合物としては、例えば、塩化ナトリウム(NaCl)、NaSO、NaHCO、NaHPO等が使用できる。これらのCa化合物およびNa化合物は、それぞれ一種類でもよいし、二種類以上を併用してもよい。
【0025】
前記水溶液におけるメタロプロテアーゼの濃度は、前述のように、50,000〜20,000,000U/Lの範囲であり、好ましくは100,000〜10,000,000U/Lの範囲である。
【0026】
一方、前記Ca化合物の濃度は、解離したCa2+濃度が0.1〜10mmol/Lの範囲となるように、0.1〜30mmol/Lの範囲であり、好ましくは0.2〜10mmol/Lの範囲である。また、Na化合物の濃度は、解離したNa濃度が20〜500mmol/Lの範囲となるように、20〜1000mmol/Lの範囲であり、好ましくは50〜500mmol/Lの範囲である。
【0027】
CaClとNaClの割合は、例えば、CaCl Xmmol/L、NaCl Ymmol/Lとした場合に、「X×Y」が40〜800の範囲になるよう設定することが好ましい。以下にその例を示す。
Figure 2005006509
【0028】
前記水系の溶媒としては、例えば、水、各種緩衝液等が使用できる。前記緩衝液としては、例えば、前述のように、MES、MOPS、Bis−Tris、ADA、PIPES、ACES、MOPSO等が使用できる。
【0029】
前記緩衝液のpHは、例えば、5.0〜6.5の範囲であり、好ましくは5.5〜6.5の範囲である。
【0030】
また、調製した前記メタロプロテアーゼ水溶液のpHは、特に制限されないが、例えば、5.0〜6.5の範囲であり、好ましくは5.5〜6.5の範囲である。
【0031】
前記Ca2+およびNaを共存させたメタロプロテアーゼ水溶液の保存温度は、特に制限されないが、例えば、0〜35℃の範囲であり、好ましくは2〜25℃の範囲であり、より好ましくは2〜15℃の範囲である。
【0032】
前記水溶液を4℃で保存した場合、例えば、少なくとも120日以上安定に保存することができる。また、Ca2+およびNaを前記範囲で含有しない場合に比べて、安定に保存できる期間が5〜30倍以上であるという効果を奏する。
【0033】
また、前記メタロプロテアーゼ水溶液は、さらに、前記テトラゾリウム化合物「2−(4−ヨードフェニル)−3−(2,4−ジニトロフェニル)−5−(2,4−ジスルフィドフェニル)−2H−テトラゾリウム塩」を含有してもよい。
【0034】
前記テトラゾリウム化合物の濃度は、例えば、0.1〜5mmol/Lの範囲であり、好ましくは0.5〜4mmol/Lの範囲である。また、メタロプロテアーゼに対する添加割合は、メタロプロテアーゼ1,000,000Uに対して、例えば、0.3〜4mmolの範囲である。
【0035】
このように、前記メタロプロテアーゼ水溶液がテトラゾリウム化合物を含有する場合は、例えば、さらにアジ化ナトリウムを含有してもよい。前記アジ化ナトリウムの濃度は、例えば、0.03〜1.5mmol/Lの範囲であり、好ましくは0.1〜1.2mmol/Lの範囲である。メタロプロテアーゼに対する添加割合は、メタロプロテアーゼ1,000,000Uに対して、例えば、0.05〜1.2mmolの範囲である。また、前記テトラゾリウム化合物に対する添加割合は、前記テトラゾリウム化合物1molに対して、例えば、0.2〜0.5molの範囲である。
【0036】
また、前記メタロプロテアーゼ水溶液が、メタロプロテアーゼ、CaCl、NaCl、2−(4−ヨードフェニル)−3−(2,4−ジニトロフェニル)−5−(2,4−ジスルフィドフェニル)−2H−テトラゾリウム塩およびアジ化ナトリウムの全てを含有する場合の、各成分の濃度は、例えば、メタプロテア−ゼ 50,000〜20,000,000U/L、CaCl 0.1〜30mmol/L、NaCl 20〜1000mmol/L、2−(4−ヨードフェニル)−3−(2,4−ジニトロフェニル)−5−(2,4−ジスルフィドフェニル)−2H−テトラゾリウム塩 0.1〜5.0mmol/L、NaN 0.03〜1.5mmol/Lであり、好ましくは、メタロプロテア−ゼ 100,000〜10,000,000U/L、CaCl 0.5〜5mmol/L、NaCl 50〜500mmol/L、2−(4−ヨードフェニル)−3−(2,4−ジニトロフェニル)−5−(2,4−ジスルフィドフェニル)−2H−テトラゾリウム塩 0.5〜4.0mmol/L、NaN 0.1〜1.2mmol/Lである。
【0037】
このような方法によれば、メタロプロテアーゼを溶液中で保存しても、失活が抑制されるため、前述のような構成のメタロプロテアーゼ水溶液は、液体試薬としても有用なものとなる。前記メタロプロテアーゼ液体試薬の用途は、特に制限されないが、さらに、前記テトラゾリウム化合物を共存させた場合は、例えば、前述のような糖化タンパク質、特に糖化ヘモグロビンの測定等に使用することが好ましい。
【0038】
【実施例】
(実施例1および比較例1)
この実施例は、Ca2+およびNaの存在下で、メタロプロテアーゼ水溶液を保存し、メタロプロテアーゼの失活の抑制を調べた例である。
【0039】
A.保存方法
以下の組成になるように、CaCl、NaClおよびテトラゾリウム化合物を含有するメタロプロテアーゼ試薬をそれぞれ調製して、これらを4℃で48時間保存した。そして、保存後のメタロプロテアーゼ試薬を用いて、糖化ヘモグロビンの測定を行った。
【0040】
(メタロプロテアーゼ試薬の組成)
Figure 2005006509
【0041】
前記メタロプロテアーゼとしてはアークレイ社製(以下同じ)を、前記テトラゾリウム化合物としては商品名WST−3(同仁化学社製、以下同じ)を使用した。
【0042】
B.糖化ヘモグロビンの測定
糖化ヘモグロビンの測定は、糖化ヘモグロビンをプロテアーゼで分解し、分解物における糖化されたアミノ酸残基に、糖化アミノ酸酸化還元酵素(以下、「FAOD」という)を作用させ、発生した過酸化水素と発色基質とをペルオキシダーゼ(POD)により酸化還元反応させて、酸化により発色した前記基質の発色量を測定することにより、糖化ヘモグロビンの量を測定する方法である。前記プロテアーゼ処理を施すのは、糖化部分にFAODを作用させ易くするために、糖化ヘモグロビンを分解する必要があるからである。したがって、プロテアーゼの一種であるメタロプロテアーゼの前記試薬溶液を用いて、前記糖化ヘモグロビンの測定を行えば、メタロプロテアーゼの活性に応じて糖化ヘモグロビンの分解物が生成されるため、メタロプロテアーゼが安定に保存されたか否かが評価できる。以下に測定方法を示す。
【0043】
まず、下記測定試料を水で3倍希釈(体積)した希釈液25μL、前記保存したメタロプロテアーゼ試薬60μLおよび下記発色試薬25μLとを混合した。そして、この混合液(110μL)を、生化学自動分析機(商品名JCA−BM8:日本電子社製)で、37℃、8分間反応させ、主波長751nm、副波長805nmにおける吸光度を測定した。
【0044】
この結果を下記表1に示す。なお、下記表1において、実施例の結果には下線を付し、比較例の結果はかっこ内に記載した。
【0045】
(測定試料の調製)
下記組成となるように測定試料を調製した。下記RBCとは、遠心分離した血球であり、HbA1c%が5.8%、7.8%、10.2%であるRBCを、Hb濃度100g/Lとなるように調製した。
【0046】
Figure 2005006509
【0047】
(発色試薬の組成)
FAOD 43.8KU/L
POD 131.4KU/L
発色基質 87.6mmol/L
Tris−HCl酸緩衝液(pH6.9) 200.0mmol/L
【0048】
前記FAODとしてアークレイ社製のFAODを、前記発色基質N−(カルボキシメチルアミノカルボニル)−4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ジフェニルアミンナトリウムとして商品名DA−64(和光純薬工業社製)を使用した。
【0049】
(表1)
Figure 2005006509
【0050】
本発明における濃度範囲でCaClおよびNaClを含有するメタロプロテアーゼ試薬を使用した比較例(かっこ内)は、短時間で吸光度の低下が発生したが、一方、実施例(下線)は、比較例(かっこ内)に比べて高い吸光度を示した。これは、メタロプロテアーゼが十分に糖化ヘモグロビンに作用しているからであり、このことから、保存したメタロプロテアーゼは、十分に安定性が保たれて失活が防止されているといえる。
【0051】
(実施例2および比較例2)
この実施例は、Ca2+およびNaの存在下で、メタロプロテアーゼ水溶液を保存し、失活の抑制を調べた例である。
【0052】
A.保存方法
以下の組成になるように、CaCl、NaClおよびテトラゾリウム化合物を含有するメタロプロテアーゼ試薬(a〜f)をそれぞれ調製して、これらを所定の温度(4℃、25℃)で保存し、所定の期間経過後(0日、5日、9日、20日、26日、33日)、サンプリングを行った。そして、サンプリングした保存後のメタロプロテアーゼ試薬を用いて、糖化ヘモグロビンの測定を行った。なお、メタロプロテアーゼ試薬a,d,fが実施例であり、メタロプロテアーゼ試薬b,c,eが比較例である。
【0053】
(メタロプロテアーゼ試薬の組成)
Figure 2005006509
【0054】
B.糖化ヘモグロビンの測定
まず、下記測定試料を水で3倍希釈(体積)した希釈液25μL、前記保存したメタロプロテアーゼ試薬(a〜e)60μLおよび前記発色試薬25μLとを混合した。そして、この混合液(110μL)を、前記生化学自動分析機で、37℃、8分間反応させ、主波長751nm、副波長805nmにおける吸光度を測定した。
【0055】
(測定試料の調製)
下記組成となるように測定試料を調製した。なお、下記溶血液は、実施例1と同様にして調製し、そのHb濃度は100g/Lとした。
【0056】
Figure 2005006509
【0057】
この結果を下記表2、3および図1〜6に示す。なお、下記表2および図1〜図3は、前記メタロプロテアーゼを4℃で保存した場合の吸光度の結果であり、下記表3および図4〜図6は、25℃で保存した場合の吸光度の結果である。また、図1および図4は、CaCl添加(e)、無添加(b,c)の場合の吸光度と保存日数との関係を示したグラフであり、図2および図5は、NaCl濃度を変化させた場合(d,e)の吸光度と保存日数との関係を示したグラフであり、図3および図6は、pHを変化させた場合(a,e)の吸光度と保存日数との関係を示したグラフである。
【0058】
(表2)
Figure 2005006509
【0059】
(表3)
Figure 2005006509
【0060】
(1)CaClの必要性について
前記表3に示すように、CaClおよびNaclの両方を含む実施例eによれば、CaClを含まない以外は実施例eと同じ比較cに比べて、高い吸光度を示した。これはCaClおよびNaclを共存させることによって、十分な安定性でメタロプロテアーゼを保存できたためといえる。
【0061】
(2)pHについて
前記表2、3および図3、6に示すように、保存温度がいずれの場合であっても、pH5.5の条件よりもpH6.5の条件で保存する方が、より一層メタロプロテアーゼを安定に保存できることがわかった。
【0062】
【発明の効果】
以上のように、本発明の保存方法によれば、メタロプロテアーゼを安定に保存することができる。このため、メタロプロテアーゼの液体試薬が必要な場合でも、使用の度に試薬を調製する必要がないため、試薬の低コスト化が可能となり、測定操作も簡便なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の保存方法の一実施例において、塩化カルシウム存在下におけるメタロプロテアーゼの保存日数(4℃)と糖化ヘモグロビンに相当する吸光度の関係を示したグラフである。
【図2】前記実施例において、NaCl濃度を変化させた状態におけるメタロプロテアーゼの保存日数(4℃)と糖化ヘモグロビンに相当する吸光度の関係を示したグラフである。
【図3】前記実施例において、pH変化させた状態におけるメタロプロテアーゼの保存日数(4℃)と糖化ヘモグロビンに相当する吸光度の関係を示したグラフである。
【図4】前記実施例において、塩化カルシウム存在下におけるメタロプロテアーゼの保存日数(25℃)と糖化ヘモグロビンに相当する吸光度の関係を示したグラフである。
【図5】前記実施例において、NaCl濃度を変化させた状態におけるメタロプロテアーゼの保存日数(25℃)と糖化ヘモグロビンに相当する吸光度の関係を示したグラフである。
【図6】前記実施例において、pH変化させた状態におけるメタロプロテアーゼの保存日数(25℃)と糖化ヘモグロビンに相当する吸光度の関係を示したグラフである。

Claims (1)

  1. メタロプロテアーゼを溶液中で安定に保存する方法であって、50,000〜20,000,000U/Lのメタロプロテアーゼを含む溶液に、0.1〜30mmol/LのCa2+、およびCa2+濃度とNa濃度との積が40〜800mmol/LとなるようにNaを共存させることを特徴とする保存方法。
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