JP2005006039A - Arq方式通信装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】通信装置10は、誤り検出符号によって符号化された受信バーストを含む受信信号のサンプリングデータを所定期間分積算した積算値を各タイミングで順次取得する区間積分処理部26と、積算値の時間変化に基づいて受信信号中の前記受信バーストを特定する受信バースト特定部22と、を備える。閾値に対する振幅の大小によって受信バーストを特定する従来装置に比べ、ノイズが多く含まれるような比較的劣悪な通信環境においても、受信バーストの特定およびシンボル同期をより精度良く実行することができるようになる。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、受信信号に誤りが検出されると当該誤りの検出されたデータの再送を送信側に要求する自動再要求方式(ARQ:Automatic Repeat reQuest)で通信を行う通信装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
通信における誤り制御方式の一つとしてARQ方式がある。ARQ方式では、送信側の通信装置は、誤り検出符号を用いて符号化したデータを送信する。そして受信側の通信装置は、その符号化されたデータの誤り検出を実行し、その結果を送信側に通知する。このとき、受信側の通信装置は、データに誤りがなければ受信確認信号(Positive Acknowledgement:ACK)を送信し、誤りがあれば再送要求信号(Negative Acknowledgement:NAK)を送信する。
【0003】
ここで、図面を参照して、ARQ方式の受信信号についてより詳細に説明する。図4は、ARQ方式の受信信号の一例を模式的に示す図、また図5は、従来装置における受信バーストの特定方法の説明図である。なお、図4,5において、横軸は時間、縦軸は信号の振幅である。
【0004】
図4の(a)に示すように、所定周期(この例では450ms)のデータフレームには、受信用タイムスロットSrと応答用タイムスロットStとが交互に含まれている。受信用タイムスロットSr内に含まれる受信バースト30の時間長(送信期間)は、データフレームの周期の半分より若干短く(この例では210ms)設定される。
【0005】
また図4の(b)に示すように、各受信バースト30には、公知の誤り検出符号を用いて符号化したデータを所定の変調方式で変調した信号(この例では2つのキャリア周波数F1,F2による2値のFSK信号)が含まれる。受信装置は、この信号を復調し、さらに誤り検出復号処理を実行することで、データに誤りが含まれるか否かを判別する。そして、応答用のタイムスロットStを用いて、誤りが無い場合にはACKを、また誤りが含まれる場合にはNAKを、送信側に送信する。
【0006】
さて、受信装置では、上記復調および復号を行うにあたり、まずはその対象とする受信バーストを特定(抽出、検出)する必要がある。従来の受信装置では、受信バーストの特定を、所定の閾値に対する振幅の大小判定に基づいて行っている。これについて具体的に説明すると、例えば図5に示すように、従来の受信装置は、閾値レベルAthより振幅が大きい期間を受信バーストとしている。なお、受信バーストがFSK信号で構成されている場合、受信信号から抽出した周波数キャリアを含む成分について上記閾値Athに対する振幅の比較を行っている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来技術のように、設定された所定の閾値に対する振幅の大小判定によって受信バーストを特定すると、C/N(またはS/N)比が低い場合、すなわち、例えばノイズ成分が多数混入するような劣悪な通信環境下では、受信バーストでない部分も閾値を超える場合等が生じ、受信バーストの特定ひいては受信バースト内シンボルに対する同期を精度良く行うのが難しいという問題があった。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明にかかるデータ取得回路は、誤り検出結果に基づくARQを実行する通信装置に用いられるデータ取得回路であって、誤り検出符号によって符号化された受信バーストを含む受信信号のサンプリングデータを所定期間分積算した積算値を各タイミングで順次取得する区間積分処理部と、上記積算値の変化に基づいて受信信号中の上記受信バーストを特定する受信バースト特定部と、を備え、上記受信バースト内のデータを取得する。
【0009】
また、本発明にかかる上記データ取得回路では、1シンボルの周期の略1/N(N:2以上の整数)の周期で上記受信バースト内からサンプリングして取得した連続するN個以上のデータからなるデータ列に基づいてシンボルとの同期をとるシンボル同期処理部をさらに備えるのが好適である。
【0010】
また、本発明にかかるARQ方式通信装置は、上記本発明にかかるデータ取得回路と、上記データ取得回路によって取得されたデータの誤り検出を行う誤り検出部と、上記誤り検出部の検出結果を通信相手先に通知する応答信号を生成する応答信号生成部と、を備える。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。図1は、本実施形態にかかる通信装置10の要部の概略構成を示すブロック図である。図1に示すように、通信装置10は、受信処理部12、演算処理部13、および送信処理部14を備える。このうち、受信処理部12および演算処理部13が、本発明のデータ取得回路に相当する部分である。
【0012】
受信処理部12は、アンテナ16で受信した無線信号から復調データを取得するための所定の受信処理を行うものであり、具体的には、例えば、A/D変換部18、キャリア抽出部20、受信バースト特定部22、およびシンボル同期処理部24を備える。
【0013】
受信信号は、まずA/D変換部18において所定周期(例えば8KHz)でサンプリングされ、ディジタルデータに変換される。
【0014】
キャリア抽出部20は、ディジタル変換された受信信号からキャリアを抽出する。FSK方式が採用されている場合、キャリア抽出部20は、各キャリアに対応する周波数(帯域)の成分を抽出するディジタルフィルタ(例えばFIRフィルタ)として構成される。キャリア抽出後の信号は、復調のために演算処理部13に入力されるとともに、受信バーストの特定(およびシンボル同期)のため、受信バースト特定部22にも入力される。
【0015】
受信バースト特定部22は、抽出されたキャリア成分から受信バーストを特定するものであり、具体的には、例えば、区間積分処理部26、およびピーク検出部28を備える。
【0016】
ここで、図2を参照して、受信バースト特定部22の処理の一例について説明する。図2は、受信バーストを特定する処理における各データの一例を模式的に示す図である。なお、図2(a)では、1つの受信バーストに対応する部分を単なる矩形枠で示している。また、ここでは、受信バーストは図4(a)に対応するものとする。すなわち、受信用タイムスロット(前半)および応答用タイムスロット(後半)を交互に含む所定周期(450ms)のデータフレームが設定され、受信バースト30がその周期の半分より少し短い長さ(210ms)で設定されている場合について、ここでは例示する。なお、ここでは、受信バースト30の特定を行う対象を、キャリア抽出を行う前の信号C(i)(ここに、i=1,2,・・・:サンプルタイミング[無次元量];図2(a))としている。しかし、受信バーストの特定は、キャリア抽出後の信号を処理対象として実行することも可能であるし、また変調方式によっては、抽出した全キャリアのうちの一つのキャリアを処理対象としたり、キャリア抽出後さらに符号化したものを処理対象とすることも可能である。
【0017】
さて、区間積分処理部26は、各タイミングで(例えば1サンプルタイミング毎に)、一定期間(例えば210ms)積算したキャリアの積算値を取得する。すなわち、積算期間をIt(It:積算期間T(実時間)に相当するパラメータiの数)とすると、積算値S(i)は、
【数1】
となる。ここで、積算期間T(実時間)は、少なくとも受信バースト30の時間長以上かつ1データフレームの時間長tf(図4)未満とし、特に受信バースト30の時間長と等しくするのが好適である。
【0018】
図2(b)は、積算値S(i)を模式的に示すものである。この図に示すように、上記式(1)で表される積算値S(i)は、積算期間Itと受信バースト30とのずれが大きいほど小さい値となり、積算期間Itが受信バースト30と丁度一致するタイミングでピークとなる。すなわち、ピーク検出部28が検出した積算値S(i)のピークタイミングipから、受信バースト30の受信タイミングを特定することができる。式(1)の場合には、ピークタイミングipが受信バースト30の始端is(図2(a))となり、ピークタイミングipから期間It(実時間:T)経過後のタイミング(ip+It)が受信バースト30の終端ie(図2(a))となる。なお、これらタイミングip,is,ieの関係は、積算値S(i)や積算期間Itの設定によって異なるものとなるのは、容易に理解できよう。また、受信バーストの特定(積算値の取得、および受信バーストの特定)は、ここで例示した手法には限られず、例えばある限られた期間(例えば1データフレーム分;図2の例では450ms分)の受信信号に対して行うようにしてもよいし、また、積算値S(i)が最大値となるピークタイミングに替えて、積算値S(i)の立ち上がり開始のタイミングから受信バースト30を特定するようにしてもよい。
【0019】
シンボル同期処理部24は、特定された受信バースト30内のデータを用いてシンボル同期を実行する。かかる処理を実行するため、シンボル同期処理部24は、サンプリング処理部32と同期タイミング取得部34とを備える。
【0020】
ここで、図3を参照して、シンボル同期処理部24の処理について説明する。図3は、シンボル同期タイミングを取得する処理における各データの一例を模式的に示す図である。このうち図3(a)は、抽出された各キャリアA(i),B(i)を模式的に示す図である。
【0021】
サンプリング処理部32は、符号化されたキャリアA(i),B(i)を取得し、次いで、各A(i),B(i)に対して1シンボルの周期の略1/N(N:2以上の整数;この例ではN=3)の周期でサンプリングを実行することで、シンボル同期処理の対象としてのデータ列da,dbを取得する。このとき、サンプリングしたデータは所定の閾値に対する振幅の大小によって二値化し、また、このとき取得するデータ列da,dbのデータ数(ビット数;サンプリング数)は、少なくとも1シンボルの期間内に含まれるべきサンプリングタイミング数(すなわちN)以上の数(この例では3個)とする。すなわち、図3(b)の例の場合、サンプリング処理部32は、キャリアA(i),B(i)から、データ列da,dbとして、3ビットのデータ列(1,1,0),(0,0,1)を取得する。なお、このときデータ列の各データ(ビット)を取得するタイミングi1,i2,i3は、受信バースト特定部22によって取得したタイミングip,is,ieおよびサンプリング周期(シンボル転送レート)に基づいて決定するのが好適である。一例としては、受信バースト30の始端となるタイミングisからシンボル転送レートの(1/2)・Nの周期分経過した点を、データ列を取得する最初のタイミングとすればよい。
【0022】
同期タイミング取得部34は、上記データ列da,dbから、シンボル同期タイミング(データ取得タイミング)を決定する。具体的には、例えば、図3(b)に示すように、3ビットのデータ列daが(1,1,0)であるとき、シンボル同期処理部24は、同期タイミングidを、1番目のビット「1」の取得されたタイミングi1とする。すなわち、シンボル境界点となるタイミングibは、相互に値の異なる隣接2ビット(この場合2番目の「1」および3番目の「0」)の間(すなわちi2,i3の間)にあるから、その境界点を挟まないビット(すなわち1番目の「1」)をいずれかのシンボルの中央に近い値とみなして当該シンボルの代表値としている。なお、ここでは、データ数Nが3の場合について例示したが、データ数Nが2以上であれば、同様の公知の手法によってシンボル境界点およびシンボル同期タイミング(データ取得タイミング)を決定できるのは、容易に理解できよう。
【0023】
そして、演算処理部13は、キャリア抽出後の信号に所定の検波処理を施し、その信号(各キャリア)の上記シンボル同期タイミングk[=id]での値に基づいて復調データD(k)を取得する。例えば、2値FSKの場合の各キャリアの値(二値)をA(k),B(k)とするとき、各シンボルについて、A(k)>B(k)の場合は、そのシンボルの復調データD(k)は「1」とされ、逆に、A(k)<B(k)の場合は、そのシンボルの復調データD(k)は「0」とされる。以上のように、本実施形態にかかる通信装置10は、まず、所定期間におけるサンプリングデータの積算値から受信バーストを特定し、その特定した受信バースト内のデータについてシンボル同期タイミングを特定する。これにより、従来生じていたようなノイズ等の影響が軽減され、ARQ方式の受信信号に対し、より迅速かつより確実に同期をとることができるという、優れた効果が得られる。
【0024】
そして、演算処理部13は、復調データD(k)を用いて公知の手法によって誤り検出を実行する。送信処理部14は、誤り検出結果に基づいて生成された当該結果を通知する応答信号を生成し、送信用のタイムスロットTtで、相手先の装置(図示せず)にこれを返信する。こうして、誤り検出結果に基づくARQが実行される。
【0025】
以上、本発明の好適な実施形態の一例について説明したが、本発明は上記実施形態には限定されるものではなく、等価な手法による種々の変形が可能であることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態にかかる通信装置の要部の概略構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態にかかる通信装置の受信バーストを特定する処理における各データの一例を模式的に示す図である。
【図3】本発明の実施形態にかかる通信装置のシンボル同期タイミングを取得する処理における各データの一例を模式的に示す図である。
【図4】ARQ方式の受信信号の一例を模式的に示す図である。
【図5】従来装置における受信バーストを特定する処理の説明図である。
【符号の説明】
10 通信装置、12 受信処理部、13 演算処理部、14 送信処理部、16 アンテナ、18 A/D変換部、20 キャリア抽出部、22 受信バースト特定部、24 シンボル同期処理部、26 区間積分処理部、28 ピーク検出部、30 受信バースト、32 サンプリング処理部、34 同期タイミング取得部。
Claims (3)
- 誤り検出結果に基づくARQを実行する通信装置に用いられるデータ取得回路であって、
誤り検出符号によって符号化された受信バーストを含む受信信号のサンプリングデータを所定期間分積算した積算値を各タイミングで順次取得する区間積分処理部と、
前記積算値の変化に基づいて受信信号中の前記受信バーストを特定する受信バースト特定部と、
を備え、
前記受信バースト内のデータを取得するデータ取得回路。 - 1シンボルの周期の略1/N(N:2以上の整数)の周期で前記受信バースト内からサンプリングして取得した連続するN個以上のデータからなるデータ列に基づいてシンボルとの同期をとるシンボル同期処理部をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のデータ取得回路。
- 請求項1または2に記載のデータ取得回路と、
前記データ取得回路によって取得されたデータの誤り検出を行う誤り検出部と、
前記誤り検出部の検出結果を通信相手先に通知する応答信号を生成する応答信号生成部と、
を備えるARQ方式通信装置。
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