JP2005005293A - バリスタ、整流子、回転子及びモータ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】リング状のバリスタ10の平面には、3つの同心円状の電極11が所定間隔をおいて形成されている。すなわち、同心円状の電極11は、点対称に形成されている。このため、バリスタ10を整流子30に取り付ける場合であっても、バリスタ10の位置決めを考慮する必要はない。従って、バリスタ10の位置決めを省略することができる。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ノイズ吸収や接点保護のためのバリスタ、そのバリスタの電極に当接する整流子、その整流子を備えた回転子、その回転子を備えたモータに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、リング状に形成されたバリスタがノイズ吸収や接点保護のために広く採用されている。すなわち、図6(a)に示すように、回転軸121には、絶縁体125が固着されている。絶縁体125の下端にはフランジ126が形成され、バリスタ110の内周面を係止する3つの係止片127が120度間隔で立設されている。
【0003】
図6(b)に示すように、バリスタ110を3つの整流子片131からなる整流子130に取り付ける場合には、バリスタ110の内周面を3つの係止片127に係止させるとともに、バリスタ110を整流子130のライザ132上に配設する。このとき、バリスタ110の電極111を整流子130の当接片133で狭持させる。その後、バリスタ110の電極111と整流子130の当接片133と半田付けする。従って、バリスタ110の電極111を整流子130の当接片133に当接させなければならなかった。つまり、バリスタ110の位置決めが必要であった。
【0004】
そこで、バリスタの外周面に亘って予め電極を形成しておき、バリスタを整流子に装着させた後、バリスタの電極と整流子のライザとを半田付けで電気的に接続するとともに、機械的に固定する。そして、スロット数に応じて部分的に電極を切断して個別電極を形成する。従って、バリスタの位置決めを行う必要はない(特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平8−317609号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1では、バリスタの位置決めを行う必要はなくなったが、未だバリスタの電極と整流子のライザとを半田付けする必要がある。しかも、スロット数に応じて部分的に電極を切断する必要もある。このため、これらの作業工数が必ず発生していた。
【0007】
本発明は、このような問題点に着目してなされたものであって、その目的は、下記の通りである。
[1]位置決めを省略することが可能なバリスタを提供することにある。
【0008】
[2]半田付けを省略することが可能な整流子を提供することにある。
[3]位置決めを省略することが可能なバリスタと、半田付けを省略することが可能な整流子を有する回転子及びモータを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明では、リング状に形成されたバリスタにおいて、複数の電極を点対称に形成した。
【0010】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載のバリスタにおいて、同心円状の電極を平面に形成した。
請求項3に記載の発明では、リング状に形成されたバリスタにおいて、回転子を構成するコアのスロット数より多い電極を平面に形成した。
【0011】
請求項4に記載の発明では、リング状に形成されたバリスタにおいて、回転子を構成するコアのスロット数より多い電極を外周面に形成した。
請求項5に記載の発明では、請求項4に記載のバリスタにおいて、外周面に形成した電極における周方向の端部は、周方向に対して直行している。
【0012】
請求項6に記載の発明では、請求項4に記載のバリスタにおいて、外周面に形成した電極における周方向の端部は、周方向に対して傾斜している。
請求項7に記載の発明では、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のバリスタと、そのバリスタの電極に当接する当接片とを備えた。
【0013】
請求項8に記載の発明では、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のバリスタと、そのバリスタの電極に当接する当接片とを備え、当接片の長さは、バリスタの電極までの距離に対応して決定している。
【0014】
請求項9に記載の発明では、請求項8に記載の整流子において、当接片には、バリスタの電極までの距離に対応して溝が形成されている。
請求項10に記載の発明では、請求項7〜請求項9のいずれか1項に記載の整流子において、バリスタの電極と当接する複数の当接片を備えた。
【0015】
請求項11に記載の発明では、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のバリスタと、請求項7〜請求項10のいずれか1項に記載の整流子とを備えた。
請求項12に記載の発明では、請求項11に記載の回転子を備えた。
【0016】
(作用)
請求項1に記載の発明によれば、リング状のバリスタにおいて、電極を点対称に形成している。このため、例えばバリスタを整流子に取り付ける場合であっても、バリスタの位置決めを考慮する必要はない。従って、バリスタの位置決めを省略することができる。
【0017】
請求項2に記載の発明によれば、電極は、同心円状に形成している。つまり、電極を点対称に形成している。従って、バリスタの位置決めを省略することができる。
【0018】
請求項3〜請求項6のいずれか1項に記載の発明によれば、例えばバリスタを整流子に取り付けた場合であっても、整流子の各当接片は少なくとも1つの電極11に当接する。従って、バリスタの位置決めを省略することができる。
【0019】
請求項7に記載の発明によれば、当接片がバリスタの電極に当接するため、半田付けを省略することができる。
請求項8に記載の発明によれば、当接片の長さがバリスタの電極までの距離に対応して決定されている。このため、当接片がバリスタの電極に当接する。従って、半田付けを省略することができる。
【0020】
請求項9に記載の発明によれば、バリスタの電極までの距離に対応して溝が形成されている。このため、当接片を溝に沿って折り曲げれば、当接片はバリスタの電極に当接する。従って、半田付けを省略することができる。
【0021】
請求項10に記載の発明によれば、いずれか1つの当接片がバリスタの電極と当接する。従って、半田付けを省略することができる。
請求項11または請求項12に記載の発明によれば、バリスタの位置決め及び半田付けを省略することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した一実施形態について図面を用いて説明する。
図1に示すように、バリスタ10は、リング状に形成されている。バリスタ10の平面には、3つの同心円状の電極11が所定間隔をおいて形成されている。すなわち、同心円状の電極11は、点対称に形成されている。
【0023】
回転子20は、回転軸21に固着されたコア22を備えている。そのコア22には、3つのスロット23が120度間隔で形成されている。そのスロット23間に形成されたティースには、巻線24が巻回されている。回転軸21には、絶縁体25が固着されている。絶縁体25の下端には、フランジ26が形成されている。そのフランジ26の側面には、バリスタ10の内周面を係止する3つの係止片27が120度間隔で立設されている。
【0024】
整流子30は、3つの整流子片31から構成されている。各整流子片31は、絶縁体25に固着されている。各整流子片31の下端には、巻線24を接続するとともに、バリスタ10を載置するライザ32が延設されている。各ライザ32には、バリスタ10の電極11に当接する3つの当接片33が立設されている。各当接片33は、上方に向かって僅かに拡開している。各当接片33の長さは、整流子片31毎に異なる。具体的には、3つの同心円状の電極11に対応するように、各当接片33の長さが決定されている。
【0025】
図2(a)、(b)に示すように、各当接片33には、半球状の当接部33aが突出形成されている。各当接片33には、対応するバリスタ10の電極11に対応してV字溝33bが形成されている。具体的には、3つの同心円状の電極11までの距離に対応してV字溝33bが形成されている。その結果、各当接片33をV字溝33bに沿って容易に折り曲げて、当接部33aをバリスタ10の電極11に当接させることができる。しかも、このとき各当接片33における折り曲げ位置を間違うおそれもない。
【0026】
図1に示すように、バリスタ10を整流子30に取り付けるときには、バリスタ10の内周面を3つの係止片27に係止するとともに、バリスタ10の外周面を3つの当接片33に係止する。すなわち、バリスタ10を3つの係止片27と3つの当接片33とで狭持させる。このとき、各当接片33は、上方に向かって僅かに拡開している。このため、各当接片33の当接部33aが突出していても、バリスタ10が半球状の当接部33aに当接することはない。従って、容易にバリスタ10をライザ32上に配設することができる。
【0027】
続いて、図3に示すように、長さの異なる3つの当接片33をバリスタ10の電極11に当接するように順次折り曲げる。具体的には、例えば最も長い当接片33をバリスタ10の中心から1番近い電極11に当接するようにV字溝33bに沿って折り曲げる。続いて、2番目に長い当接片33をバリスタ10の中心から2番目に近い電極11に当接するようにV字溝33bに沿って折り曲げる。そして、最後に3番目に長い当接片33をバリスタ10の中心から3番目に近い電極11に当接するようにV字溝33bに沿って折り曲げる。その結果、すべての当接片33の当接部33aがバリスタ10の電極11に当接する。また、このとき当接片33は、バリスタ10の上方への動きを規制する。
【0028】
そして、このように構成された回転子20を、固定子を構成する一対の永久磁石40を有するモータケース(図示略)内に配設する。また、整流子30を一対のブラシ50の間に配設すると、バリスタ10を備えた直流モータ60となる。
【0029】
以上、詳述したように本実施形態によれば、次のような作用、効果を得ることができる。
(1)リング状のバリスタ10の平面には、3つの同心円状の電極11が所定間隔をおいて形成されている。すなわち、同心円状の電極11は、点対称に形成されている。このため、バリスタ10を整流子30に取り付ける場合であっても、バリスタ10の位置決めを考慮する必要はない。従って、バリスタ10の位置決めを省略することができる。よって、バリスタ10の位置決めにかかる作業工数が発生する余地もない。
【0030】
(2)しかも、整流子30における各当接片33の長さは、整流子片31毎に異なる。具体的には、3つの同心円状の電極11に対応するように、各当接片33の長さが決定されている。このため、各当接片33を折り曲げてバリスタ10の各電極11に当接させることができる。従って、バリスタ10の電極11と当接部33aとの半田付けを省略することができる。
【0031】
(3)各当接片33には、半球状の当接部33aが形成されている。各当接片33には、対応するバリスタ10の電極11に対応してV字溝33bが形成されている。具体的には、3つの同心円状の電極11までの距離に対応するV字溝33bが形成されている。このため、各当接片33をV字溝33bに沿って折り曲げることができる。従って、当接部33aをバリスタ10の電極11に容易に当接させることができるとともに、折り曲げ位置を間違うおそれもない。
【0032】
なお、前記実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・図4(a)、(b)に示すように、回転子20を構成するコア22のスロット数より多い放射状の電極11を、バリスタ10の平面に形成した構成であっても良い。具体的には、例えばスロット数の2倍以上の電極11をバリスタ10の平面に形成すること等が挙げられる。このとき、図4(a)においては、隣り合う電極11の端部間の距離が、一対の当接部33a間の距離よりも短いことが必要である。また、図4(b)においては、隣り合う電極11の端部間の距離が、当接部33aが当接する当接長さよりも短いことが必要である。また、ある当接片33と他の当接片33とが、同一の電極11に当接しないことも必要である。この場合において、電極11を点対称に形成しても良く、又点対称に形成しなくても良い。また、整流子30の各当接片33の長さ及びV字溝33bの位置は同じであっても良い。このような構成にすれば、バリスタ10を整流子30に取り付けた場合であっても、整流子30の各当接片33は少なくとも1つの電極11に当接する。従って、バリスタ10の位置決めを省略することができる。なお、図4においては簡略化のため、1つの当接片33しか描いていない。
【0033】
・図4(c)、(d)に示すように、回転子20を構成するコア22のスロット数より多い電極を、バリスタ10の外周面に形成した構成であっても良い。具体的には、例えばスロット数の2倍以上の電極11をバリスタ10の平面に形成すること等が挙げられる。このとき、隣り合う電極11の端部間の距離が、当接部33aが当接する当接長さよりも短いことが必要である。また、ある当接片33と他の当接片33とが、同一の電極11に当接しないことも必要である。この場合において、電極11を点対称に形成しても良く、又点対称に形成しなくても良い。加えて、図4(c)に示すように、バリスタ10の外周面に形成した電極11における周方向の端部は、周方向に対して直行していても良い。また、図4(d)に示すように、バリスタ10の外周面に形成した電極11における周方向の端部は、周方向に対して傾斜していても良い。このような構成にすれば、バリスタ10を整流子30に取り付けた場合であっても、整流子30の各当接片33は少なくとも1つの電極11に当接する。従って、バリスタ10の位置決めを省略することができる。
【0034】
・前記実施形態では、1つの整流子片31に対して1つの当接片33を設けた構成であったが、1つの整流子片31に対して2つの当接片33を設けた構成であっても良い。
【0035】
・加えて、図5(a)に示すように、当接片33の先端の中央にスリットを形成し、複数の当接片33を設けた構成にしても良い。そして、このように構成された当接片33を、例えば図4(a)に示す複数の電極11を形成したバリスタ10に適用すれば、バリスタ10の取付位置に関わりなく、当接片33の当接部33aはバリスタ10の電極11に当接する。従って、バリスタ10の位置決めを省略することができるとともに、バリスタ10の電極11と当接部33aとの半田付けをも省略することができる。
【0036】
・図5(b)、(c)に示すように、長半球状の当接部33aを当接片33を形成しても良い。このように構成すれば、長半球状の当接部33aは、少なくとも1つの電極11と当接する。従って、前述と同様にバリスタ10の位置決めと半田付けとを省略することができる。
【0037】
・整流子片31と当接片33とを一体成形した構成でも、整流子片31と当接片33とを別体とした構成であっても良い。なお、別体としては、各整流子片31のライザ32に対して当接片33を脱着する構成等が考えられる。
【0038】
・前記実施形態では、3スロットのコア22を用いて説明したが、勿論7スロット、9スロット等のコア22に前記実施形態を適用しても良い。
【0039】
【発明の効果】
本発明は、以上のように構成されているため、次のような効果を奏する。
請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の発明によれば、バリスタの位置決めを省略することができる。
【0040】
請求項7〜請求項10のいずれか1項に記載の発明によれば、半田付けを省略することができる。
請求項11または請求項12に記載の発明によれば、バリスタの位置決めと半田付けとを省略することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】回転子を示す斜視図。
【図2】(a)当接片を示す平面図。(b)当接片を示す側面図。
【図3】バリスタと当接片とを示す平面図。
【図4】(a)〜(d)別の実施形態におけるバリスタの電極を示す斜視図。
【図5】(a)〜(c)別の実施形態における当接片を示す平面図。
【図6】(a)、(b)従来技術におけるバリスタと整流子と示す斜視図。
【符号の説明】
10…バリスタ、11…電極、20…回転子、22…コア、23…スロット、30…整流子、31…整流子片、33…当接片、33a…当接部、33b…溝としてのV字溝、60…モータとしての直流モータ。
Claims (12)
- リング状に形成されたバリスタにおいて、
複数の電極を点対称に形成したバリスタ。 - 請求項1に記載のバリスタにおいて、
同心円状の電極を平面に形成したバリスタ。 - リング状に形成されたバリスタにおいて、
回転子を構成するコアのスロット数より多い電極を平面に形成したバリスタ。 - リング状に形成されたバリスタにおいて、
回転子を構成するコアのスロット数より多い電極を外周面に形成したバリスタ。 - 請求項4に記載のバリスタにおいて、
外周面に形成した電極における周方向の端部は、周方向に対して直行しているバリスタ。 - 請求項4に記載のバリスタにおいて、
外周面に形成した電極における周方向の端部は、周方向に対して傾斜しているバリスタ。 - 請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のバリスタと、
そのバリスタの電極に当接する当接片とを備えた整流子。 - 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のバリスタと、
そのバリスタの電極に当接する当接片とを備え、
当接片の長さは、バリスタの電極までの距離に対応して決定している整流子。 - 請求項8に記載の整流子において、
当接片には、バリスタの電極までの距離に対応して溝が形成されている整流子。 - 請求項7〜請求項9のいずれか1項に記載の整流子において、
バリスタの電極と当接する複数の当接片を備えた整流子。 - 請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のバリスタと、
請求項7〜請求項10のいずれか1項に記載の整流子とを備えた回転子。 - 請求項11に記載の回転子を備えたモータ。
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