JP2005004129A - 光ファイバの接続方法及び光ファイバの接続構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】放電による融着接続において、ファイバ外径の異なる光ファイバ同士を容易に接続することができる光ファイバの接続方法を提供する。
【解決手段】ダブルクラッドファイバ20と、ダブルクラッドファイバ20のファイバ径より小さいファイバ径を有するマルチモードファイバ30と、を接続する方法であって、ダブルクラッドファイバ20のファイバ端部を、そのファイバ端部のファイバ端面におけるファイバ径がマルチモードファイバ30のファイバ径と略同一となるようにエッチングするファイバ端部加工工程と、ダブルクラッドファイバ20のエッチングされたファイバ端部と、マルチモードファイバ30のファイバ端部とを突き合わせて接続するファイバ接続工程と、を備える。
【選択図】図2
【解決手段】ダブルクラッドファイバ20と、ダブルクラッドファイバ20のファイバ径より小さいファイバ径を有するマルチモードファイバ30と、を接続する方法であって、ダブルクラッドファイバ20のファイバ端部を、そのファイバ端部のファイバ端面におけるファイバ径がマルチモードファイバ30のファイバ径と略同一となるようにエッチングするファイバ端部加工工程と、ダブルクラッドファイバ20のエッチングされたファイバ端部と、マルチモードファイバ30のファイバ端部とを突き合わせて接続するファイバ接続工程と、を備える。
【選択図】図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ファイバの接続方法及び光ファイバの接続構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ファイバレーザや光増幅器に用いられている光ファイバとして、近年、ダブルクラッドファイバがよく使用されている。
【0003】
図6(a)は、一般的なダブルクラッドファイバ20のファイバ縦断面を示す。
【0004】
このダブルクラッドファイバ20は、そのファイバ中心から、光増幅成分として希土類元素がドープされたコア1と、そのコア1を被覆するように設けられコア1より屈折率が低い第1クラッド2と、その第1クラッド2を被覆するように設けられ第1クラッド2より屈折率が低い第2クラッド3と、から構成されている。さらに、コア1、第1クラッド2及び第2クラッド3を補強するために、第2クラッド3を被覆するようにサポート部4が設けられている。
【0005】
このダブルクラッドファイバ20では、第1クラッド2に入射された励起光が第1クラッド2と第2クラッド3との界面で反射を繰り返しながら第2クラッド3で囲まれた領域を伝搬し、励起光がコア1を通過する際にコア1にドープされた希土類元素を最外殻電子が励起した反転分布状態にさせ、その誘導放出によってコア1を伝播する光を増幅する。
【0006】
このダブルクラッドファイバ20は、マルチモードファイバ等の光ファイバと接続されてファイバレーザのレーザ媒質や光増幅器を構成する。
【0007】
このファイバレーザや光増幅器を高出力化するには、ダブルクラッドファイバ20の第1クラッド2への励起光の入力を高めればよい。そのため、ダブルクラッドファイバ20の第1クラッド2の外径を大きくして、第1クラッド2のファイバ横断面の断面積を大きくすることが考えられる。これに伴って、ダブルクラッドファイバ20のファイバ径が250〜300μm程度となり、マルチモードファイバ30及びシングルモードファイバの標準的なファイバ径の大きさの125μmと比較して、かなり大きくなることが多い。
【0008】
ところで、光ファイバ同士を接続するには、一般的に信頼性に優れ、低損失な接続が可能な融着接続による接続方法がよく用いられている。
【0009】
この融着接続は、図7に示すように一対の電極6a,6b間で光ファイバF1,F2をそのファイバ端面同士が対向するように配置し、次いで、その両電極6a,6b間で放電させることにより両ファイバ端面を加熱溶融させ、最後に、ファイバ端面同士を突き合わせる、というものである。
【0010】
この融着接続において、マルチモードファイバ30と上述のようなファイバ外径の大きいダブルクラッドファイバ20とを接続する場合、図8に示すように、両ファイバ間でファイバ外径の大きさに差があるので、一対の電極6a,6b間で放電を生じさせて両ファイバ端面を加熱すると、ファイバ外径の大きいダブルクラッドファイバ20側は、ファイバ外径が大きい分だけ熱容量も大きく、両ファイバ端面に同じ熱量を与えているので、ファイバ外径の小さく熱容量の小さいマルチモードファイバ30側が早く溶融してしまう。このため、ファイバ外径の異なる光ファイバ間では、両ファイバのファイバ端面において均一な加熱ができないので、放電による安定した融着接続を行うことは困難である。
【0011】
そこで、特許文献1では、第1クラッドを、コアと同じ石英系の材料で形成された内層と高分子材料で形成された外層との2層構造として、その内層及び外層の屈折率を略同一に、且つ、その内層の外径を、接続する光ファイバのクラッドの外径と略同一になるように設定されたダブルクラッドファイバが開示され、これにより、接続界面を挟んで両方のファイバの熱容量がほぼ等しくなり、良好にファイバ同士を融着することができると記載されている。
【0012】
しかしながら、上述のような接続技術は、第2クラッドが高分子材料で形成されているようなダブルクラッドファイバにおいて適応することができるが、第2クラッドが複数の細孔を有するダブルクラッドファイバにおいては、このような接続技術を適応することができないという問題がある。
【0013】
【特許文献1】
特開平10−51050号公報
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、放電による融着接続において、ファイバ径の異なる光ファイバ同士を容易に接続することができる光ファイバの接続方法を提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明の光ファイバの接続方法は、ファイバ径の異なる一対の光ファイバを接続する方法であって、上記一対の光ファイバのうちファイバ径の大きい一方の光ファイバのファイバ端部を、そのファイバ径が他方の光ファイバのファイバ径と略同一になるように加工するファイバ端部加工工程と、上記ファイバ端部加工工程で加工した一方の光ファイバのファイバ端部と、上記他方の光ファイバのファイバ端部と、を突き合わせて接続するファイバ接続工程と、を備えることを特徴とする。
【0016】
上記の方法によれば、ファイバ径の異なる一対の光ファイバのうちファイバ径の大きい一方の光ファイバのファイバ端部を、そのファイバ径が他方の光ファイバのファイバ径と略同一になるように加工して、その加工された光ファイバのファイバ端部と、他方の光ファイバのファイバ端部とを突き合わせて接続するので、ファイバ径の異なる一対の光ファイバの接続界面において、ファイバ外径差が無くなることになる。これにより、ファイバ径の異なる一対の光ファイバ同士を容易に放電による融着接続によって接続することができる。
【0017】
本発明の光ファイバの接続方法は、上記光ファイバが、光増幅成分がドープされたコアと、該コアを被覆するように設けられた第1クラッドと、該第1クラッドを被覆するように設けられ該コアに沿って延びる複数の細孔が形成された第2クラッドと、を備え、該第1クラッドに入射された励起光が該第1クラッドと該第2クラッドとの界面で反射を繰り返しながら該第2クラッドで囲まれた領域内を伝搬し、該励起光が該コアを通過する際に該コアの光増幅成分を活性化させ、該光増幅成分が該コアを伝搬する光を増幅するように構成されたダブルクラッドファイバであってもよい。
【0018】
上記の方法によれば、コア内を伝搬する光を増幅することができるダブルクラッドファイバと、そのダブルクラッドファイバのファイバ径より小さいファイバ径を有する光ファイバとを、放電による融着接続によって容易に接続することができる。
【0019】
本発明の光ファイバの接続方法は、上記一方の光ファイバであるダブルクラッドファイバの上記第1クラッドの外径が上記他方の光ファイバのコアの外径よりも小さいものであり、上記他方の光ファイバのファイバ径と略同一となるように加工された上記ダブルクラッドファイバのファイバ端部の基端側を、上記第1クラッドが露出するように加工する第1クラッド露出加工工程と、上記ダブルクラッドファイバのファイバ端部の端面側を、上記第2クラッドの複数の細孔が滅失するように加工する細孔滅失加工工程と、をさらに備えてもよい。
【0020】
上記の方法によれば、ダブルクラッドファイバのファイバ端部の基端側を第1クラッドが露出するように加工するので、第1クラッドに入射する励起光が第2クラッドの端部で反射して外側に出射することがなくなる。また、ファイバ端部の端面側を第2クラッドの複数の細孔が滅失するように加工するので、ファイバ端部の端面側の第2クラッドが中実化しその部分に励起光を伝搬させることができる。
【0021】
本発明の光ファイバの接続方法は、上記第2クラッドの複数の細孔をコラプスすることにより滅失させてもよい。
【0022】
上記の方法によれば、ダブルクラッドファイバの第2クラッドの複数の細孔をコラプスすることにより滅失させるので、容易に第2クラッドの複数の細孔を滅失させることができる。
【0023】
本発明の光ファイバの接続方法は、上記一方の光ファイバのファイバ端部の加工をエッチングにより行ってもよい。
【0024】
上記の方法によれば、光ファイバのファイバ端部の加工をエッチングにより行うので、容易に光ファイバのファイバ端部を加工することができる。
【0025】
本発明の光ファイバの接続構造は、ファイバ径の異なる一対の光ファイバのファイバ端部同士が突き合わされて接続された光ファイバの接続構造であって、上記一対の光ファイバのうちファイバ径の大きい一方の光ファイバは、ファイバ端部のファイバ径が他方の光ファイバのファイバ径と略同一に形成されていることを特徴とする。
【0026】
上記の構造によれば、接続界面において、一対の光ファイバのうちファイバ径の大きい一方の光ファイバは、ファイバ端部のファイバ径が他方の光ファイバのファイバ径と略同一に形成されているので、ファイバ径の異なる光ファイバ同士において、放電による融着接続を容易に行うことができる。
【0027】
本発明の光ファイバの接続構造は、上記一方の光ファイバが、光増幅成分がドープされたコアと、該コアを被覆するように設けられた第1クラッドと、該第1クラッドを被覆するように設けられ該コアに沿って延びる複数の細孔が形成された第2クラッドと、を備え、該第1クラッドに入射された励起光が該第1クラッドと該第2クラッドとの界面で反射を繰り返しながら該第2クラッドで囲まれた領域内を伝搬し、該励起光が該コアを通過する際に該コアの光増幅成分を活性化させ、該光増幅成分が該コアを伝搬する光を増幅するように構成されたダブルクラッドファイバであってもよい。
【0028】
上記の構造によれば、一対の光ファイバのうちファイバ径の大きい一方の光ファイバが、ダブルクラッドファイバであるので、接続された他方の光ファイバからの励起光がダブルクラッドファイバの第1クラッドに入射されることにより、ダブルクラッドファイバのコア内を伝搬する光を増幅することができる。
【0029】
本発明の光ファイバの接続構造は、上記一方の光ファイバであるダブルクラッドファイバの上記第1クラッドの外径が上記他方の光ファイバのコアの外径よりも小さく、上記他方の光ファイバに接続されたファイバ端部において、第1クラッドと複数の細孔が滅失した上記第2クラッドとからなる中実部分を有し、該中実部分の外径が長さ方向に沿って連続的に変化していてもよい。
【0030】
上記の構造によれば、他方の光ファイバに接続されたダブルクラッドファイバのファイバ端部において、第1クラッドと複数の細孔が滅失した第2クラッドとからなる中実部分が、ダブルクラッドファイバの第1クラッドの外径より大きくなっているので、より多くの励起光を第1クラッド内に入射させることができる。また、その中実部分の外径が長さ方向に沿って連続的に変化しているので、他方の光ファイバからの励起光が、ダブルクラッドファイバの第2クラッドの端部で反射することなく、第1クラッド内に効率よく入射することになる。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態に係る光ファイバの接続方法について、図面を用いて詳細に説明する。
【0032】
本発明の実施形態では、光ファイバとして、ダブルクラッドファイバを例に説明するが、他の光ファイバについても適応することができる。
【0033】
図7は、一般的に用いられている光ファイバ融着接続装置10の構成を示す。
【0034】
この光ファイバ融着接続装置10は、接続対象である一対の光ファイバF1,F2のそれぞれを保持するファイバ保持部(不図示)と、そのファイバ保持部で保持された光ファイバF1,F2を挟むように配設された一対の電極6a,6bと、両電極6a,6bに繋がった電源7とを備えている。ファイバ保持部は、一対の光ファイバF1,F2の少なくとも一方をその長手方向に移動させる移動機構を備えている。一対の電極6a,6bは、それぞれが針状に形成されており、その先端同士が対向するように設けられている。この光ファイバ融着接続装置10では、電極間隔、電極径、放電電流、放電時間等の設定が可能である。
【0035】
次に、この光ファイバ融着接続装置10を用いて、本発明のダブルクラッドファイバの接続方法を説明する。
【0036】
(実施形態1)
以下に、本発明の実施形態1に係るダブルクラッドファイバの接続方法について、図2を用いて工程を追って説明する。
【0037】
図2は、本発明のダブルクラッドファイバを接続する工程を示す。
【0038】
<準備工程>
まず、ダブルクラッドファイバと、エッチング液と、ダブルクラッドファイバに接続する光ファイバとしてマルチモードファイバを準備する。
【0039】
図1に示すように、ダブルクラッドファイバ20は、全体が石英から構成され、ファイバ中心をなし光増幅成分がドープされたコア1と、コア1を被覆するように設けられた第1クラッド2と、第1クラッド2を被覆するように設けられた第2クラッド3と、第2クラッド3を被覆するように設けられたサポート部4と、を備えている。
【0040】
このダブルクラッドファイバ20は、第1クラッド2に入射された励起光が第1クラッド2と第2クラッド3との界面で反射を繰り返しながら第2クラッド3で囲まれた領域内を伝搬し、その励起光がコア1を通過する際にコア1の光増幅成分を活性化させ、その光増幅成分がコア1を伝搬する光を増幅するように構成されている。
【0041】
コア1は、光増幅成分としてエルビウム(Er)、ネオジム(Nd)及びイッテルビウム(Yb)等の希土類元素、ゲルマニウム(Ge)及びクロム(Cr)等がドープされており、第1クラッド2より屈折率が高くなっている。
【0042】
第1クラッド2は、ファイバ横断面の外郭形状がD字形状になっている。ところで、第1クラッドのファイバ横断面の外郭形状をコアと同心の円形とした場合には、第2クラッドで囲まれた領域内を伝播する励起光にはコアの周りを周回してコアを通過することがないスキュー光が含まれることとなるため、コアにドープされた希土類元素を十分に反転分布状態にすることができず、コアを伝搬する光を大きく増幅することができない。そこで、このスキュー光を低減するために、第1クラッドのファイバ横断面の外郭形状が非円形状になっている。
【0043】
第2クラッド3は、複数の細孔3aを有しており、第1クラッド2より屈折率が低くなっている。その細孔3aの径の大きさは10μm以下である。
【0044】
エッチング液は、ファイバ構成材料(石英)を溶解させることができる溶液であり、例えば、フッ化水素、フッ硝酸(フッ化水素及び硝酸の混合物)及びフッ化アンモニウム等の水溶液である。
【0045】
マルチモードファイバ30は、図6(b)に示すように、全体が石英から構成され、ファイバ中心をなすコア1’と、コア1’を被覆するように設けられコア1’より屈折率が低いクラッド2’と、を備えている。このマルチモードファイバ30は、入射された光がコア1’とクラッド2’との界面で反射を繰り返しながら、コア1’内を伝搬するように構成されている。なお、コア1’の径の大きさは、50〜100μm程度である。
【0046】
<ファイバ端部加工工程>
ダブルクラッドファイバ20のファイバ中間部を、そのファイバ外径がマルチモードファイバ30の外径の大きさになるようにエッチング液に所定の時間、浸漬する。これにより、図2(a)に示すようなサポート部4、及び、第2クラッド3の表層が除去されたダブルクラッドファイバ20aが得られる。
【0047】
また、図5(a)に示すように、ダブルクラッドファイバ20の細孔3aの径の大きさが、10μmであるので、細孔3a内への毛細管現象によるエッチング液の浸透速度が遅くなるので、ほぼエッチング液に浸漬している部分のみをエッチングすることができる。一方、図5(b)に示すように細孔3aの径の大きさが、例えば、30μm〜50μmと大きい場合には、第2クラッド3の外側のサポート部4がエッチングされた段階で、浸漬している部分の近傍の細孔3a内にも毛細管現象によりエッチング液が浸透してしまい、所望の部分以外もエッチングされてしまうためである。
【0048】
なお、ダブルクラッドファイバ20のファイバ中間部のファイバ外径と、接続するマルチモードファイバ30のファイバ外径との差が無いようにエッチングするのが望ましいが、両者のファイバ外径差が、エッチング後のファイバ径の大きい方のファイバのファイバ径の20%以内の範囲に収まるようにエッチングすればよい。これによれば、接続部分での接続損失が少なく、且つ、強度上の問題もない接続構造をとることができる。
【0049】
<第1クラッド露出加工工程>
このダブルクラッドファイバ20aの第2クラッド部3の露出部分を、エッチング液に所定の時間、浸漬する。これにより、図2(b)に示すような第1クラッド2が露出され、その第1クラッド2の露出部の両側が露出部に行くに従って縮径したテーパー形状となったダブルクラッドファイバ20bが得られる。
【0050】
なお、エッチング液へのダブルクラッドファイバ20及び20aの浸漬時間は、エッチング液の種類、サポート部4及び第2クラッド3の内外径の大きさ、第2クラッド3に対する細孔3aの占有率等によって決まるものである。そのため、必要な浸漬時間を予め実験的に求めておくことが好ましい。
【0051】
<切断工程>
このダブルクラッドファイバ20bを第2クラッド3の露出部分でファイバ軸に対して垂直に切断する。これにより、図2(c)に示すようなダブルクラッドファイバ20cが得られる。
【0052】
<細孔滅失加工工程>
このダブルクラッドファイバ20cのファイバ端部を、光ファイバ融着接続装置10を用いてコラプスして、第2クラッド3に含まれる細孔3aを溶融滅失する。これにより、図2(d)の右側に示すようなファイバ端部の第2クラッドが中実化したダブルクラッドファイバ20dが得られる。
【0053】
<ファイバ接続工程>
まず、図2(d)に示すように、ダブルクラッドファイバ20dのファイバ端部と、マルチモードファイバ30のファイバ端部とを突き合わすように、光ファイバ融着接続装置10にセットする。
【0054】
次いで、一対の電極6a,6b間で放電を生じさせ、その間のファイバの突き合わせ部分を加熱する。これにより、図2(e)に示すように突き合わせ部分が融着しダブルクラッドファイバ20cとマルチモードファイバ30とが接続され、接続界面において、ダブルクラッドファイバ20のファイバ外径が、マルチモードファイバ30のファイバ外径と略同一となっている光ファイバの接続構造を有する光ファイバ接続体50が得られる。
【0055】
なお、この前行程の細孔滅失加工工程のコラプスは、このファイバ接続工程での加熱によって、ファイバの接続と同時に行われてもよい。
【0056】
以上のような、ダブルクラッドファイバ20の接続方法によれば、ダブルクラッドファイバ20のファイバ端部がエッチングされ、接続界面において、ダブルクラッドファイバ20とマルチモードファイバ30とのファイバ外径差が無くなるので、ファイバ外径の異なる光ファイバ同士において、放電による融着接続を容易に行うことができる。
【0057】
また、ダブルクラッドファイバ20のファイバ端部の端面側は、エッチングで残留した第2クラッド3の複数の細孔が滅失され、その複数の細孔が滅失した第2クラッドに励起光を伝搬させることができる。
【0058】
さらに、ダブルクラッドファイバ20のファイバ端部の基端側は、第1クラッド2が露出すると共に、その第1クラッド2の露出部の両側が露出部に行くに従って縮径したテーパー形状にエッチングされるので、ファイバ端部において、第1クラッドと複数の細孔が滅失した第2クラッドとからなる中実部分が形成され、その中実部分の外径が長さ方向に沿って連続的に変化することになる。
【0059】
これにより、その中実部分が励起光の導波路となり、ダブルクラッドファイバ20dの第1クラッド2にマルチモードファイバ30からの励起光を効率よく入射させることができる。
【0060】
また、ダブルクラッドファイバ20dのファイバ端部における第1クラッドが、中実化した第2クラッド3の分だけ、その他の任意のファイバ横断面における第1クラッド2よりも大きく形成されるので、より多くの励起光を第1クラッド2内に入射させることができる。
【0061】
次に、具体的に行った実験について説明する。
【0062】
本発明の実施例として、上記実施形態1と同一の方法で、ダブルクラッドファイバとマルチモードファイバとを接続した。
【0063】
具体的には、ダブルクラッドファイバとして、細孔の径の大きさが約2μmで、第1クラッドの外径の大きさが約100μmで、第2クラッドの外径の大きさが約150μmで、サポート部の外径の大きさが約250μmの光ファイバと、エッチング液として、50重量%のフッ化水素水溶液と、マルチモードファイバとして、ファイバ外径が約125μmの光ファイバと、を準備した。
【0064】
まず、ダブルクラッドファイバのファイバ端部を50重量%のフッ化水素水溶液に浸漬させ、ダブルクラッドファイバのファイバ端部(の第2クラッド)の外径を約130μmとした。
【0065】
次いで、エッチングする範囲を狭くして50重量%のフッ化水素水溶液に浸漬させ、第1クラッドを露出させた。これにより、エッチングされた部分は、露出部の両側が露出部に行くに従って縮径したテーパー形状になった。
【0066】
次いで、得られたダブルクラッドファイバをファイバ軸に対して垂直に切断した。
【0067】
次いで、ダブルクラッドファイバのファイバ端部と、マルチモードファイバのファイバ端部とを突き合わせて、光ファイバ融着接続装置を用いて接続した。
【0068】
これにより、互いにファイバ外径の異なるダブルクラッドファイバとマルチモードファイバとを、放電による融着接続によって容易に接続することができた。
【0069】
(実施形態2)
以下に、本発明の実施形態2に係るダブルクラッドファイバ20の接続方法について、図3を用いて工程を追って説明する。
【0070】
図3は、本発明のダブルクラッドファイバ20を接続する工程を示す。
【0071】
<準備工程>
実施形態1のものと実質的に同じであるため、その説明を省略する。
【0072】
<細孔滅失加工工程>
ダブルクラッドファイバ20のファイバ端部を、コラプスして第2クラッド3に含まれる細孔3aを溶融滅失する。さらに、ファイバ端面をファイバ軸に対して垂直に切断する。これにより、図3(a)に示すようなファイバ端部の第2クラッドが中実化したダブルクラッドファイバ20a’が得られる。また、この場合、エッチングする前にダブルクラッドファイバ20のファイバ端面を切断するので、エッチング後にファイバ端面を切断する場合よりも確実に、ダブルクラッドファイバ20のファイバ端面を切断することができる。
【0073】
<ファイバ端部加工工程>
このダブルクラッドファイバ20a’のファイバ端部を、そのファイバ外径がマルチモードファイバ30の外径の大きさになるようにエッチング液に所定の時間、浸漬する。これにより、図3(b)に示すようなサポート部及び第2クラッド3の表層が除去されたダブルクラッドファイバ20b’が得られる。
【0074】
なお、ダブルクラッドファイバ20のファイバ端部のファイバ外径と、接続するマルチモードファイバ30のファイバ外径との差が無いようにエッチングするのが望ましいが、両者のファイバ外径差が、エッチング後のファイバ径の大きい方のファイバのファイバ径の20%以内の範囲に収まるようにエッチングすればよい。これによれば、接続部分での接続損失が少なく、且つ、強度上の問題もない接続構造をとることができる。
【0075】
<第1クラッド露出加工工程>
このダブルクラッドファイバ20b’のファイバ端部の基端側を、エッチング液に所定の時間、浸漬する。これにより、図3(c)に示すような第1クラッド2が露出され、その露出部の両側が露出部に行くに従って縮径したテーパー形状となったダブルクラッドファイバ20c’が得られる。
【0076】
<ファイバ接続工程>
図3(d)に示すように、ダブルクラッドファイバ20c’のファイバ端部と、マルチモードファイバ30のファイバ端部とを突き合わすように、光ファイバ融着接続装置10にセットしてファイバ同士を接続することにより、図3(e)に示すような光ファイバ接続体50が得られるが、その方法は、実質的に実施形態1と同様であり、その説明を省略する。
【0077】
以上のような、ダブルクラッドファイバ20の接続方法によれば、ダブルクラッドファイバ20のファイバ端部がエッチングされ、接続界面において、ダブルクラッドファイバ20とマルチモードファイバ30とのファイバ外径差が無くなるので、ファイバ外径の異なる光ファイバ同士において、放電による融着接続が容易に行うことができる。
【0078】
本実施形態による効果については、実質的に実施形態1と同様であり、その説明を省略する。
【0079】
次に、具体的に行った実験について説明する。
【0080】
本発明の実施例として、上記実施形態2と同一の方法で、ダブルクラッドファイバとマルチモードファイバとを接続した。
【0081】
具体的には、ダブルクラッドファイバとして、細孔の径の大きさが約2μmで、第1クラッドの外径の大きさが約100μmで、第2クラッドの外径の大きさが約150μmで、サポート部の外径の大きさが約250μmの光ファイバと、エッチング液として、50重量%のフッ化水素水溶液と、マルチモードファイバとして、ファイバ外径が約125μmの光ファイバと、を準備した。
【0082】
まず、ダブルクラッドファイバのファイバ端部をコラプスして、第2クラッド内の細孔を滅失した。
【0083】
次いで、ダブルクラッドファイバのファイバ端部を50重量%のフッ化水素水溶液に浸漬させ、第2クラッドの外径を約130μmとした。
【0084】
次いで、エッチングする範囲を狭くして50重量%のフッ化水素水溶液に浸漬させ、第2クラッドの端を露出させた。これにより、エッチング部分は、第2クラッドの端に行くに従って両方向から縮径したテーパー状になった。
【0085】
次いで、ダブルクラッドファイバのファイバ端部と、マルチモードファイバのファイバ端部とを突き合わせて、光ファイバ融着接続装置を用いて接続した。
【0086】
これにより、互いにファイバ外径の異なるダブルクラッドファイバとマルチモードファイバとを、放電による融着接続によって容易に接続することができた。
【0087】
(実施形態3)
以下に、本発明の実施形態3に係るダブルクラッドファイバ20の接続方法について、図4を用いて工程を追って説明する。
【0088】
図4は、本発明のダブルクラッドファイバ20を接続する工程を示す。
【0089】
<準備工程>
ダブルクラッドファイバに接続する光ファイバとして、マルチモードファイバの代わりにシングルモードファイバを準備する。
【0090】
シングルモードファイバ40は、図6(c)に示すように、全体が石英から構成され、ファイバ中心をなすコア1’’と、コア1’’を被覆するように設けられコア1’’より屈折率が低いクラッド2’’と、を備えている。このシングルモードファイバ40は、入射された光がコア1’’とクラッド2’’との界面で反射を繰り返しながら、コア1’’内を伝搬するように構成されている。このシングルモードファイバ40では、コア1’’の径の大きさが10μm以下であり、マルチモードファイバ30のコア1’の径と比較して小さいので、コア1’’内を伝搬する光がほとんど分散することなく、単一モードの光が伝搬されることになる。
【0091】
<ファイバ端部加工工程>
ダブルクラッドファイバ20のファイバ中間部を、そのファイバ外径がシングルモードファイバ40の外径の大きさになるようにエッチング液に所定の時間、浸漬する。これにより、図4(a)に示すようなサポート部及び第2クラッド3の表層が除去されたダブルクラッドファイバ20a’’が得られる。なお、ダブルクラッドファイバ20a’’は、実施形態1に記載のダブルクラッドファイバ20aと実質的に同じである。
【0092】
なお、ダブルクラッドファイバ20のファイバ中間部のファイバ外径と、接続するシングルモードファイバ40のファイバ外径との差が無いようにエッチングするのが望ましいが、両者のファイバ外径差が、エッチング後のファイバ径の大きい方のファイバのファイバ径の20%以内の範囲に収まるようにエッチングすればよい。これによれば、接続部分での接続損失が少なく、且つ、強度上の問題もない接続構造をとることができる。
【0093】
<切断工程>
このダブルクラッドファイバ20a’’の第2クラッド3の露出部分をファイバ軸に対して垂直に切断する。これにより、図4(b)に示すようなダブルクラッドファイバ20cが得られる。
【0094】
<ファイバ接続工程>
図4(c)に示すように、ダブルクラッドファイバ20b’’のファイバ端部と、シングルモードファイバ40のファイバ端部とを突き合わすように、光ファイバ融着接続装置10にセットしてファイバ同士を接続することにより、図4(d)に示すような光ファイバ接続体50が得られるが、その方法は、実質的に実施形態1及び2と同様であり、その説明を省略する。
【0095】
以上のような、ダブルクラッドファイバ20の接続方法によれば、ダブルクラッドファイバ20のファイバ端部がエッチングされ、接続界面において、ダブルクラッドファイバ20とシングルモードファイバ40とのファイバ外径差が無くなるので、放電による融着接続を容易に行うことができる。
【0096】
次に、具体的に行った実験について説明する。
【0097】
本発明の実施例として、上記実施形態3と同一の方法で、ダブルクラッドファイバとシングルモードファイバとを接続した。
【0098】
具体的には、ダブルクラッドファイバとして、細孔の径の大きさが約2μmで、第1クラッドの外径の大きさが約100μmで、第2クラッドの外径の大きさが約150μmで、サポート部の外径の大きさが約250μmの光ファイバと、エッチング液として、50重量%のフッ化水素水溶液と、シングルモードファイバとして、ファイバ外径が約125μmの光ファイバと、を準備した。
【0099】
まず、ダブルクラッドファイバのファイバ端部を50重量%のフッ化水素水溶液に浸漬させ、第2クラッドの外径を約130μmとした。
【0100】
次いで、得られたダブルクラッドファイバのエッチングされた部分をファイバ軸に対して垂直に切断した。
【0101】
次いで、ダブルクラッドファイバのファイバ端部と、シングルモードファイバのファイバ端部とを突き合わせて、光ファイバ融着接続装置を用いて接続した。
【0102】
これにより、互いにファイバ外径の異なるダブルクラッドファイバと、シングルモードファイバと、を放電による融着接続によって容易に接続することができた。
【0103】
【発明の効果】
ファイバ外径の異なる光ファイバ同士の接続界面において、ファイバ外径差が無くなるので、放電による融着接続によって光ファイバ同士を容易に接続することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るダブルクラッドファイバ20の斜視図である。
【図2】本発明の実施形態1に係るダブルクラッドファイバ20を接続する各工程を示す模式図である。
【図3】本発明の実施形態2に係るダブルクラッドファイバ20を接続する各工程を示す模式図である。
【図4】本発明の実施形態3に係るダブルクラッドファイバ20を接続する各工程を示す模式図である。
【図5】従来のダブルクラッドファイバ20のファイバ横断面の模式図である。
【図6】従来の光ファイバのファイバ縦断面の模式図であり、(a)、(b)及び(c)は、それぞれ、ダブルクラッドファイバ20、マルチモードファイバ30及びシングルモードファイバ40のファイバ縦断面の模式図である。
【図7】一般的に用いられている光ファイバ融着接続装置10の構成図である。
【図8】従来のダブルクラッドファイバ20とマルチモードファイバ30との接続部を示す模式図である。
【符号の説明】
1,1’,1’’ コア
2 第1クラッド
2’,2’’ クラッド
3 第2クラッド
3a 細孔
4 サポート部
6a,6b 電極
7 電源
10 光ファイバ融着接続装置
20 ダブルクラッドファイバ
30 マルチモードファイバ
40 シングルモードファイバ
50 光ファイバ接続体
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ファイバの接続方法及び光ファイバの接続構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ファイバレーザや光増幅器に用いられている光ファイバとして、近年、ダブルクラッドファイバがよく使用されている。
【0003】
図6(a)は、一般的なダブルクラッドファイバ20のファイバ縦断面を示す。
【0004】
このダブルクラッドファイバ20は、そのファイバ中心から、光増幅成分として希土類元素がドープされたコア1と、そのコア1を被覆するように設けられコア1より屈折率が低い第1クラッド2と、その第1クラッド2を被覆するように設けられ第1クラッド2より屈折率が低い第2クラッド3と、から構成されている。さらに、コア1、第1クラッド2及び第2クラッド3を補強するために、第2クラッド3を被覆するようにサポート部4が設けられている。
【0005】
このダブルクラッドファイバ20では、第1クラッド2に入射された励起光が第1クラッド2と第2クラッド3との界面で反射を繰り返しながら第2クラッド3で囲まれた領域を伝搬し、励起光がコア1を通過する際にコア1にドープされた希土類元素を最外殻電子が励起した反転分布状態にさせ、その誘導放出によってコア1を伝播する光を増幅する。
【0006】
このダブルクラッドファイバ20は、マルチモードファイバ等の光ファイバと接続されてファイバレーザのレーザ媒質や光増幅器を構成する。
【0007】
このファイバレーザや光増幅器を高出力化するには、ダブルクラッドファイバ20の第1クラッド2への励起光の入力を高めればよい。そのため、ダブルクラッドファイバ20の第1クラッド2の外径を大きくして、第1クラッド2のファイバ横断面の断面積を大きくすることが考えられる。これに伴って、ダブルクラッドファイバ20のファイバ径が250〜300μm程度となり、マルチモードファイバ30及びシングルモードファイバの標準的なファイバ径の大きさの125μmと比較して、かなり大きくなることが多い。
【0008】
ところで、光ファイバ同士を接続するには、一般的に信頼性に優れ、低損失な接続が可能な融着接続による接続方法がよく用いられている。
【0009】
この融着接続は、図7に示すように一対の電極6a,6b間で光ファイバF1,F2をそのファイバ端面同士が対向するように配置し、次いで、その両電極6a,6b間で放電させることにより両ファイバ端面を加熱溶融させ、最後に、ファイバ端面同士を突き合わせる、というものである。
【0010】
この融着接続において、マルチモードファイバ30と上述のようなファイバ外径の大きいダブルクラッドファイバ20とを接続する場合、図8に示すように、両ファイバ間でファイバ外径の大きさに差があるので、一対の電極6a,6b間で放電を生じさせて両ファイバ端面を加熱すると、ファイバ外径の大きいダブルクラッドファイバ20側は、ファイバ外径が大きい分だけ熱容量も大きく、両ファイバ端面に同じ熱量を与えているので、ファイバ外径の小さく熱容量の小さいマルチモードファイバ30側が早く溶融してしまう。このため、ファイバ外径の異なる光ファイバ間では、両ファイバのファイバ端面において均一な加熱ができないので、放電による安定した融着接続を行うことは困難である。
【0011】
そこで、特許文献1では、第1クラッドを、コアと同じ石英系の材料で形成された内層と高分子材料で形成された外層との2層構造として、その内層及び外層の屈折率を略同一に、且つ、その内層の外径を、接続する光ファイバのクラッドの外径と略同一になるように設定されたダブルクラッドファイバが開示され、これにより、接続界面を挟んで両方のファイバの熱容量がほぼ等しくなり、良好にファイバ同士を融着することができると記載されている。
【0012】
しかしながら、上述のような接続技術は、第2クラッドが高分子材料で形成されているようなダブルクラッドファイバにおいて適応することができるが、第2クラッドが複数の細孔を有するダブルクラッドファイバにおいては、このような接続技術を適応することができないという問題がある。
【0013】
【特許文献1】
特開平10−51050号公報
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、放電による融着接続において、ファイバ径の異なる光ファイバ同士を容易に接続することができる光ファイバの接続方法を提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明の光ファイバの接続方法は、ファイバ径の異なる一対の光ファイバを接続する方法であって、上記一対の光ファイバのうちファイバ径の大きい一方の光ファイバのファイバ端部を、そのファイバ径が他方の光ファイバのファイバ径と略同一になるように加工するファイバ端部加工工程と、上記ファイバ端部加工工程で加工した一方の光ファイバのファイバ端部と、上記他方の光ファイバのファイバ端部と、を突き合わせて接続するファイバ接続工程と、を備えることを特徴とする。
【0016】
上記の方法によれば、ファイバ径の異なる一対の光ファイバのうちファイバ径の大きい一方の光ファイバのファイバ端部を、そのファイバ径が他方の光ファイバのファイバ径と略同一になるように加工して、その加工された光ファイバのファイバ端部と、他方の光ファイバのファイバ端部とを突き合わせて接続するので、ファイバ径の異なる一対の光ファイバの接続界面において、ファイバ外径差が無くなることになる。これにより、ファイバ径の異なる一対の光ファイバ同士を容易に放電による融着接続によって接続することができる。
【0017】
本発明の光ファイバの接続方法は、上記光ファイバが、光増幅成分がドープされたコアと、該コアを被覆するように設けられた第1クラッドと、該第1クラッドを被覆するように設けられ該コアに沿って延びる複数の細孔が形成された第2クラッドと、を備え、該第1クラッドに入射された励起光が該第1クラッドと該第2クラッドとの界面で反射を繰り返しながら該第2クラッドで囲まれた領域内を伝搬し、該励起光が該コアを通過する際に該コアの光増幅成分を活性化させ、該光増幅成分が該コアを伝搬する光を増幅するように構成されたダブルクラッドファイバであってもよい。
【0018】
上記の方法によれば、コア内を伝搬する光を増幅することができるダブルクラッドファイバと、そのダブルクラッドファイバのファイバ径より小さいファイバ径を有する光ファイバとを、放電による融着接続によって容易に接続することができる。
【0019】
本発明の光ファイバの接続方法は、上記一方の光ファイバであるダブルクラッドファイバの上記第1クラッドの外径が上記他方の光ファイバのコアの外径よりも小さいものであり、上記他方の光ファイバのファイバ径と略同一となるように加工された上記ダブルクラッドファイバのファイバ端部の基端側を、上記第1クラッドが露出するように加工する第1クラッド露出加工工程と、上記ダブルクラッドファイバのファイバ端部の端面側を、上記第2クラッドの複数の細孔が滅失するように加工する細孔滅失加工工程と、をさらに備えてもよい。
【0020】
上記の方法によれば、ダブルクラッドファイバのファイバ端部の基端側を第1クラッドが露出するように加工するので、第1クラッドに入射する励起光が第2クラッドの端部で反射して外側に出射することがなくなる。また、ファイバ端部の端面側を第2クラッドの複数の細孔が滅失するように加工するので、ファイバ端部の端面側の第2クラッドが中実化しその部分に励起光を伝搬させることができる。
【0021】
本発明の光ファイバの接続方法は、上記第2クラッドの複数の細孔をコラプスすることにより滅失させてもよい。
【0022】
上記の方法によれば、ダブルクラッドファイバの第2クラッドの複数の細孔をコラプスすることにより滅失させるので、容易に第2クラッドの複数の細孔を滅失させることができる。
【0023】
本発明の光ファイバの接続方法は、上記一方の光ファイバのファイバ端部の加工をエッチングにより行ってもよい。
【0024】
上記の方法によれば、光ファイバのファイバ端部の加工をエッチングにより行うので、容易に光ファイバのファイバ端部を加工することができる。
【0025】
本発明の光ファイバの接続構造は、ファイバ径の異なる一対の光ファイバのファイバ端部同士が突き合わされて接続された光ファイバの接続構造であって、上記一対の光ファイバのうちファイバ径の大きい一方の光ファイバは、ファイバ端部のファイバ径が他方の光ファイバのファイバ径と略同一に形成されていることを特徴とする。
【0026】
上記の構造によれば、接続界面において、一対の光ファイバのうちファイバ径の大きい一方の光ファイバは、ファイバ端部のファイバ径が他方の光ファイバのファイバ径と略同一に形成されているので、ファイバ径の異なる光ファイバ同士において、放電による融着接続を容易に行うことができる。
【0027】
本発明の光ファイバの接続構造は、上記一方の光ファイバが、光増幅成分がドープされたコアと、該コアを被覆するように設けられた第1クラッドと、該第1クラッドを被覆するように設けられ該コアに沿って延びる複数の細孔が形成された第2クラッドと、を備え、該第1クラッドに入射された励起光が該第1クラッドと該第2クラッドとの界面で反射を繰り返しながら該第2クラッドで囲まれた領域内を伝搬し、該励起光が該コアを通過する際に該コアの光増幅成分を活性化させ、該光増幅成分が該コアを伝搬する光を増幅するように構成されたダブルクラッドファイバであってもよい。
【0028】
上記の構造によれば、一対の光ファイバのうちファイバ径の大きい一方の光ファイバが、ダブルクラッドファイバであるので、接続された他方の光ファイバからの励起光がダブルクラッドファイバの第1クラッドに入射されることにより、ダブルクラッドファイバのコア内を伝搬する光を増幅することができる。
【0029】
本発明の光ファイバの接続構造は、上記一方の光ファイバであるダブルクラッドファイバの上記第1クラッドの外径が上記他方の光ファイバのコアの外径よりも小さく、上記他方の光ファイバに接続されたファイバ端部において、第1クラッドと複数の細孔が滅失した上記第2クラッドとからなる中実部分を有し、該中実部分の外径が長さ方向に沿って連続的に変化していてもよい。
【0030】
上記の構造によれば、他方の光ファイバに接続されたダブルクラッドファイバのファイバ端部において、第1クラッドと複数の細孔が滅失した第2クラッドとからなる中実部分が、ダブルクラッドファイバの第1クラッドの外径より大きくなっているので、より多くの励起光を第1クラッド内に入射させることができる。また、その中実部分の外径が長さ方向に沿って連続的に変化しているので、他方の光ファイバからの励起光が、ダブルクラッドファイバの第2クラッドの端部で反射することなく、第1クラッド内に効率よく入射することになる。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態に係る光ファイバの接続方法について、図面を用いて詳細に説明する。
【0032】
本発明の実施形態では、光ファイバとして、ダブルクラッドファイバを例に説明するが、他の光ファイバについても適応することができる。
【0033】
図7は、一般的に用いられている光ファイバ融着接続装置10の構成を示す。
【0034】
この光ファイバ融着接続装置10は、接続対象である一対の光ファイバF1,F2のそれぞれを保持するファイバ保持部(不図示)と、そのファイバ保持部で保持された光ファイバF1,F2を挟むように配設された一対の電極6a,6bと、両電極6a,6bに繋がった電源7とを備えている。ファイバ保持部は、一対の光ファイバF1,F2の少なくとも一方をその長手方向に移動させる移動機構を備えている。一対の電極6a,6bは、それぞれが針状に形成されており、その先端同士が対向するように設けられている。この光ファイバ融着接続装置10では、電極間隔、電極径、放電電流、放電時間等の設定が可能である。
【0035】
次に、この光ファイバ融着接続装置10を用いて、本発明のダブルクラッドファイバの接続方法を説明する。
【0036】
(実施形態1)
以下に、本発明の実施形態1に係るダブルクラッドファイバの接続方法について、図2を用いて工程を追って説明する。
【0037】
図2は、本発明のダブルクラッドファイバを接続する工程を示す。
【0038】
<準備工程>
まず、ダブルクラッドファイバと、エッチング液と、ダブルクラッドファイバに接続する光ファイバとしてマルチモードファイバを準備する。
【0039】
図1に示すように、ダブルクラッドファイバ20は、全体が石英から構成され、ファイバ中心をなし光増幅成分がドープされたコア1と、コア1を被覆するように設けられた第1クラッド2と、第1クラッド2を被覆するように設けられた第2クラッド3と、第2クラッド3を被覆するように設けられたサポート部4と、を備えている。
【0040】
このダブルクラッドファイバ20は、第1クラッド2に入射された励起光が第1クラッド2と第2クラッド3との界面で反射を繰り返しながら第2クラッド3で囲まれた領域内を伝搬し、その励起光がコア1を通過する際にコア1の光増幅成分を活性化させ、その光増幅成分がコア1を伝搬する光を増幅するように構成されている。
【0041】
コア1は、光増幅成分としてエルビウム(Er)、ネオジム(Nd)及びイッテルビウム(Yb)等の希土類元素、ゲルマニウム(Ge)及びクロム(Cr)等がドープされており、第1クラッド2より屈折率が高くなっている。
【0042】
第1クラッド2は、ファイバ横断面の外郭形状がD字形状になっている。ところで、第1クラッドのファイバ横断面の外郭形状をコアと同心の円形とした場合には、第2クラッドで囲まれた領域内を伝播する励起光にはコアの周りを周回してコアを通過することがないスキュー光が含まれることとなるため、コアにドープされた希土類元素を十分に反転分布状態にすることができず、コアを伝搬する光を大きく増幅することができない。そこで、このスキュー光を低減するために、第1クラッドのファイバ横断面の外郭形状が非円形状になっている。
【0043】
第2クラッド3は、複数の細孔3aを有しており、第1クラッド2より屈折率が低くなっている。その細孔3aの径の大きさは10μm以下である。
【0044】
エッチング液は、ファイバ構成材料(石英)を溶解させることができる溶液であり、例えば、フッ化水素、フッ硝酸(フッ化水素及び硝酸の混合物)及びフッ化アンモニウム等の水溶液である。
【0045】
マルチモードファイバ30は、図6(b)に示すように、全体が石英から構成され、ファイバ中心をなすコア1’と、コア1’を被覆するように設けられコア1’より屈折率が低いクラッド2’と、を備えている。このマルチモードファイバ30は、入射された光がコア1’とクラッド2’との界面で反射を繰り返しながら、コア1’内を伝搬するように構成されている。なお、コア1’の径の大きさは、50〜100μm程度である。
【0046】
<ファイバ端部加工工程>
ダブルクラッドファイバ20のファイバ中間部を、そのファイバ外径がマルチモードファイバ30の外径の大きさになるようにエッチング液に所定の時間、浸漬する。これにより、図2(a)に示すようなサポート部4、及び、第2クラッド3の表層が除去されたダブルクラッドファイバ20aが得られる。
【0047】
また、図5(a)に示すように、ダブルクラッドファイバ20の細孔3aの径の大きさが、10μmであるので、細孔3a内への毛細管現象によるエッチング液の浸透速度が遅くなるので、ほぼエッチング液に浸漬している部分のみをエッチングすることができる。一方、図5(b)に示すように細孔3aの径の大きさが、例えば、30μm〜50μmと大きい場合には、第2クラッド3の外側のサポート部4がエッチングされた段階で、浸漬している部分の近傍の細孔3a内にも毛細管現象によりエッチング液が浸透してしまい、所望の部分以外もエッチングされてしまうためである。
【0048】
なお、ダブルクラッドファイバ20のファイバ中間部のファイバ外径と、接続するマルチモードファイバ30のファイバ外径との差が無いようにエッチングするのが望ましいが、両者のファイバ外径差が、エッチング後のファイバ径の大きい方のファイバのファイバ径の20%以内の範囲に収まるようにエッチングすればよい。これによれば、接続部分での接続損失が少なく、且つ、強度上の問題もない接続構造をとることができる。
【0049】
<第1クラッド露出加工工程>
このダブルクラッドファイバ20aの第2クラッド部3の露出部分を、エッチング液に所定の時間、浸漬する。これにより、図2(b)に示すような第1クラッド2が露出され、その第1クラッド2の露出部の両側が露出部に行くに従って縮径したテーパー形状となったダブルクラッドファイバ20bが得られる。
【0050】
なお、エッチング液へのダブルクラッドファイバ20及び20aの浸漬時間は、エッチング液の種類、サポート部4及び第2クラッド3の内外径の大きさ、第2クラッド3に対する細孔3aの占有率等によって決まるものである。そのため、必要な浸漬時間を予め実験的に求めておくことが好ましい。
【0051】
<切断工程>
このダブルクラッドファイバ20bを第2クラッド3の露出部分でファイバ軸に対して垂直に切断する。これにより、図2(c)に示すようなダブルクラッドファイバ20cが得られる。
【0052】
<細孔滅失加工工程>
このダブルクラッドファイバ20cのファイバ端部を、光ファイバ融着接続装置10を用いてコラプスして、第2クラッド3に含まれる細孔3aを溶融滅失する。これにより、図2(d)の右側に示すようなファイバ端部の第2クラッドが中実化したダブルクラッドファイバ20dが得られる。
【0053】
<ファイバ接続工程>
まず、図2(d)に示すように、ダブルクラッドファイバ20dのファイバ端部と、マルチモードファイバ30のファイバ端部とを突き合わすように、光ファイバ融着接続装置10にセットする。
【0054】
次いで、一対の電極6a,6b間で放電を生じさせ、その間のファイバの突き合わせ部分を加熱する。これにより、図2(e)に示すように突き合わせ部分が融着しダブルクラッドファイバ20cとマルチモードファイバ30とが接続され、接続界面において、ダブルクラッドファイバ20のファイバ外径が、マルチモードファイバ30のファイバ外径と略同一となっている光ファイバの接続構造を有する光ファイバ接続体50が得られる。
【0055】
なお、この前行程の細孔滅失加工工程のコラプスは、このファイバ接続工程での加熱によって、ファイバの接続と同時に行われてもよい。
【0056】
以上のような、ダブルクラッドファイバ20の接続方法によれば、ダブルクラッドファイバ20のファイバ端部がエッチングされ、接続界面において、ダブルクラッドファイバ20とマルチモードファイバ30とのファイバ外径差が無くなるので、ファイバ外径の異なる光ファイバ同士において、放電による融着接続を容易に行うことができる。
【0057】
また、ダブルクラッドファイバ20のファイバ端部の端面側は、エッチングで残留した第2クラッド3の複数の細孔が滅失され、その複数の細孔が滅失した第2クラッドに励起光を伝搬させることができる。
【0058】
さらに、ダブルクラッドファイバ20のファイバ端部の基端側は、第1クラッド2が露出すると共に、その第1クラッド2の露出部の両側が露出部に行くに従って縮径したテーパー形状にエッチングされるので、ファイバ端部において、第1クラッドと複数の細孔が滅失した第2クラッドとからなる中実部分が形成され、その中実部分の外径が長さ方向に沿って連続的に変化することになる。
【0059】
これにより、その中実部分が励起光の導波路となり、ダブルクラッドファイバ20dの第1クラッド2にマルチモードファイバ30からの励起光を効率よく入射させることができる。
【0060】
また、ダブルクラッドファイバ20dのファイバ端部における第1クラッドが、中実化した第2クラッド3の分だけ、その他の任意のファイバ横断面における第1クラッド2よりも大きく形成されるので、より多くの励起光を第1クラッド2内に入射させることができる。
【0061】
次に、具体的に行った実験について説明する。
【0062】
本発明の実施例として、上記実施形態1と同一の方法で、ダブルクラッドファイバとマルチモードファイバとを接続した。
【0063】
具体的には、ダブルクラッドファイバとして、細孔の径の大きさが約2μmで、第1クラッドの外径の大きさが約100μmで、第2クラッドの外径の大きさが約150μmで、サポート部の外径の大きさが約250μmの光ファイバと、エッチング液として、50重量%のフッ化水素水溶液と、マルチモードファイバとして、ファイバ外径が約125μmの光ファイバと、を準備した。
【0064】
まず、ダブルクラッドファイバのファイバ端部を50重量%のフッ化水素水溶液に浸漬させ、ダブルクラッドファイバのファイバ端部(の第2クラッド)の外径を約130μmとした。
【0065】
次いで、エッチングする範囲を狭くして50重量%のフッ化水素水溶液に浸漬させ、第1クラッドを露出させた。これにより、エッチングされた部分は、露出部の両側が露出部に行くに従って縮径したテーパー形状になった。
【0066】
次いで、得られたダブルクラッドファイバをファイバ軸に対して垂直に切断した。
【0067】
次いで、ダブルクラッドファイバのファイバ端部と、マルチモードファイバのファイバ端部とを突き合わせて、光ファイバ融着接続装置を用いて接続した。
【0068】
これにより、互いにファイバ外径の異なるダブルクラッドファイバとマルチモードファイバとを、放電による融着接続によって容易に接続することができた。
【0069】
(実施形態2)
以下に、本発明の実施形態2に係るダブルクラッドファイバ20の接続方法について、図3を用いて工程を追って説明する。
【0070】
図3は、本発明のダブルクラッドファイバ20を接続する工程を示す。
【0071】
<準備工程>
実施形態1のものと実質的に同じであるため、その説明を省略する。
【0072】
<細孔滅失加工工程>
ダブルクラッドファイバ20のファイバ端部を、コラプスして第2クラッド3に含まれる細孔3aを溶融滅失する。さらに、ファイバ端面をファイバ軸に対して垂直に切断する。これにより、図3(a)に示すようなファイバ端部の第2クラッドが中実化したダブルクラッドファイバ20a’が得られる。また、この場合、エッチングする前にダブルクラッドファイバ20のファイバ端面を切断するので、エッチング後にファイバ端面を切断する場合よりも確実に、ダブルクラッドファイバ20のファイバ端面を切断することができる。
【0073】
<ファイバ端部加工工程>
このダブルクラッドファイバ20a’のファイバ端部を、そのファイバ外径がマルチモードファイバ30の外径の大きさになるようにエッチング液に所定の時間、浸漬する。これにより、図3(b)に示すようなサポート部及び第2クラッド3の表層が除去されたダブルクラッドファイバ20b’が得られる。
【0074】
なお、ダブルクラッドファイバ20のファイバ端部のファイバ外径と、接続するマルチモードファイバ30のファイバ外径との差が無いようにエッチングするのが望ましいが、両者のファイバ外径差が、エッチング後のファイバ径の大きい方のファイバのファイバ径の20%以内の範囲に収まるようにエッチングすればよい。これによれば、接続部分での接続損失が少なく、且つ、強度上の問題もない接続構造をとることができる。
【0075】
<第1クラッド露出加工工程>
このダブルクラッドファイバ20b’のファイバ端部の基端側を、エッチング液に所定の時間、浸漬する。これにより、図3(c)に示すような第1クラッド2が露出され、その露出部の両側が露出部に行くに従って縮径したテーパー形状となったダブルクラッドファイバ20c’が得られる。
【0076】
<ファイバ接続工程>
図3(d)に示すように、ダブルクラッドファイバ20c’のファイバ端部と、マルチモードファイバ30のファイバ端部とを突き合わすように、光ファイバ融着接続装置10にセットしてファイバ同士を接続することにより、図3(e)に示すような光ファイバ接続体50が得られるが、その方法は、実質的に実施形態1と同様であり、その説明を省略する。
【0077】
以上のような、ダブルクラッドファイバ20の接続方法によれば、ダブルクラッドファイバ20のファイバ端部がエッチングされ、接続界面において、ダブルクラッドファイバ20とマルチモードファイバ30とのファイバ外径差が無くなるので、ファイバ外径の異なる光ファイバ同士において、放電による融着接続が容易に行うことができる。
【0078】
本実施形態による効果については、実質的に実施形態1と同様であり、その説明を省略する。
【0079】
次に、具体的に行った実験について説明する。
【0080】
本発明の実施例として、上記実施形態2と同一の方法で、ダブルクラッドファイバとマルチモードファイバとを接続した。
【0081】
具体的には、ダブルクラッドファイバとして、細孔の径の大きさが約2μmで、第1クラッドの外径の大きさが約100μmで、第2クラッドの外径の大きさが約150μmで、サポート部の外径の大きさが約250μmの光ファイバと、エッチング液として、50重量%のフッ化水素水溶液と、マルチモードファイバとして、ファイバ外径が約125μmの光ファイバと、を準備した。
【0082】
まず、ダブルクラッドファイバのファイバ端部をコラプスして、第2クラッド内の細孔を滅失した。
【0083】
次いで、ダブルクラッドファイバのファイバ端部を50重量%のフッ化水素水溶液に浸漬させ、第2クラッドの外径を約130μmとした。
【0084】
次いで、エッチングする範囲を狭くして50重量%のフッ化水素水溶液に浸漬させ、第2クラッドの端を露出させた。これにより、エッチング部分は、第2クラッドの端に行くに従って両方向から縮径したテーパー状になった。
【0085】
次いで、ダブルクラッドファイバのファイバ端部と、マルチモードファイバのファイバ端部とを突き合わせて、光ファイバ融着接続装置を用いて接続した。
【0086】
これにより、互いにファイバ外径の異なるダブルクラッドファイバとマルチモードファイバとを、放電による融着接続によって容易に接続することができた。
【0087】
(実施形態3)
以下に、本発明の実施形態3に係るダブルクラッドファイバ20の接続方法について、図4を用いて工程を追って説明する。
【0088】
図4は、本発明のダブルクラッドファイバ20を接続する工程を示す。
【0089】
<準備工程>
ダブルクラッドファイバに接続する光ファイバとして、マルチモードファイバの代わりにシングルモードファイバを準備する。
【0090】
シングルモードファイバ40は、図6(c)に示すように、全体が石英から構成され、ファイバ中心をなすコア1’’と、コア1’’を被覆するように設けられコア1’’より屈折率が低いクラッド2’’と、を備えている。このシングルモードファイバ40は、入射された光がコア1’’とクラッド2’’との界面で反射を繰り返しながら、コア1’’内を伝搬するように構成されている。このシングルモードファイバ40では、コア1’’の径の大きさが10μm以下であり、マルチモードファイバ30のコア1’の径と比較して小さいので、コア1’’内を伝搬する光がほとんど分散することなく、単一モードの光が伝搬されることになる。
【0091】
<ファイバ端部加工工程>
ダブルクラッドファイバ20のファイバ中間部を、そのファイバ外径がシングルモードファイバ40の外径の大きさになるようにエッチング液に所定の時間、浸漬する。これにより、図4(a)に示すようなサポート部及び第2クラッド3の表層が除去されたダブルクラッドファイバ20a’’が得られる。なお、ダブルクラッドファイバ20a’’は、実施形態1に記載のダブルクラッドファイバ20aと実質的に同じである。
【0092】
なお、ダブルクラッドファイバ20のファイバ中間部のファイバ外径と、接続するシングルモードファイバ40のファイバ外径との差が無いようにエッチングするのが望ましいが、両者のファイバ外径差が、エッチング後のファイバ径の大きい方のファイバのファイバ径の20%以内の範囲に収まるようにエッチングすればよい。これによれば、接続部分での接続損失が少なく、且つ、強度上の問題もない接続構造をとることができる。
【0093】
<切断工程>
このダブルクラッドファイバ20a’’の第2クラッド3の露出部分をファイバ軸に対して垂直に切断する。これにより、図4(b)に示すようなダブルクラッドファイバ20cが得られる。
【0094】
<ファイバ接続工程>
図4(c)に示すように、ダブルクラッドファイバ20b’’のファイバ端部と、シングルモードファイバ40のファイバ端部とを突き合わすように、光ファイバ融着接続装置10にセットしてファイバ同士を接続することにより、図4(d)に示すような光ファイバ接続体50が得られるが、その方法は、実質的に実施形態1及び2と同様であり、その説明を省略する。
【0095】
以上のような、ダブルクラッドファイバ20の接続方法によれば、ダブルクラッドファイバ20のファイバ端部がエッチングされ、接続界面において、ダブルクラッドファイバ20とシングルモードファイバ40とのファイバ外径差が無くなるので、放電による融着接続を容易に行うことができる。
【0096】
次に、具体的に行った実験について説明する。
【0097】
本発明の実施例として、上記実施形態3と同一の方法で、ダブルクラッドファイバとシングルモードファイバとを接続した。
【0098】
具体的には、ダブルクラッドファイバとして、細孔の径の大きさが約2μmで、第1クラッドの外径の大きさが約100μmで、第2クラッドの外径の大きさが約150μmで、サポート部の外径の大きさが約250μmの光ファイバと、エッチング液として、50重量%のフッ化水素水溶液と、シングルモードファイバとして、ファイバ外径が約125μmの光ファイバと、を準備した。
【0099】
まず、ダブルクラッドファイバのファイバ端部を50重量%のフッ化水素水溶液に浸漬させ、第2クラッドの外径を約130μmとした。
【0100】
次いで、得られたダブルクラッドファイバのエッチングされた部分をファイバ軸に対して垂直に切断した。
【0101】
次いで、ダブルクラッドファイバのファイバ端部と、シングルモードファイバのファイバ端部とを突き合わせて、光ファイバ融着接続装置を用いて接続した。
【0102】
これにより、互いにファイバ外径の異なるダブルクラッドファイバと、シングルモードファイバと、を放電による融着接続によって容易に接続することができた。
【0103】
【発明の効果】
ファイバ外径の異なる光ファイバ同士の接続界面において、ファイバ外径差が無くなるので、放電による融着接続によって光ファイバ同士を容易に接続することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るダブルクラッドファイバ20の斜視図である。
【図2】本発明の実施形態1に係るダブルクラッドファイバ20を接続する各工程を示す模式図である。
【図3】本発明の実施形態2に係るダブルクラッドファイバ20を接続する各工程を示す模式図である。
【図4】本発明の実施形態3に係るダブルクラッドファイバ20を接続する各工程を示す模式図である。
【図5】従来のダブルクラッドファイバ20のファイバ横断面の模式図である。
【図6】従来の光ファイバのファイバ縦断面の模式図であり、(a)、(b)及び(c)は、それぞれ、ダブルクラッドファイバ20、マルチモードファイバ30及びシングルモードファイバ40のファイバ縦断面の模式図である。
【図7】一般的に用いられている光ファイバ融着接続装置10の構成図である。
【図8】従来のダブルクラッドファイバ20とマルチモードファイバ30との接続部を示す模式図である。
【符号の説明】
1,1’,1’’ コア
2 第1クラッド
2’,2’’ クラッド
3 第2クラッド
3a 細孔
4 サポート部
6a,6b 電極
7 電源
10 光ファイバ融着接続装置
20 ダブルクラッドファイバ
30 マルチモードファイバ
40 シングルモードファイバ
50 光ファイバ接続体
Claims (8)
- ファイバ径の異なる一対の光ファイバを接続する方法であって、
上記一対の光ファイバのうちファイバ径の大きい一方の光ファイバのファイバ端部を、そのファイバ径が他方の光ファイバのファイバ径と略同一になるように加工するファイバ端部加工工程と、
上記ファイバ端部加工工程で加工した一方の光ファイバのファイバ端部と、上記他方の光ファイバのファイバ端部と、を突き合わせて接続するファイバ接続工程と、
を備えることを特徴とする光ファイバの接続方法。 - 請求項1に記載された光ファイバの接続方法において、
上記一方の光ファイバが、光増幅成分がドープされたコアと、該コアを被覆するように設けられた第1クラッドと、該第1クラッドを被覆するように設けられ該コアに沿って延びる複数の細孔が形成された第2クラッドと、を備え、該第1クラッドに入射された励起光が該第1クラッドと該第2クラッドとの界面で反射を繰り返しながら該第2クラッドで囲まれた領域内を伝搬し、該励起光が該コアを通過する際に該コアの光増幅成分を活性化させ、該光増幅成分が該コアを伝搬する光を増幅するように構成されたダブルクラッドファイバであることを特徴とする光ファイバの接続方法。 - 請求項2に記載された光ファイバの接続方法において、
上記一方の光ファイバであるダブルクラッドファイバは、上記第1クラッドの外径が上記他方の光ファイバのコアの外径よりも小さいものであり、
上記他方の光ファイバのファイバ径と略同一となるように加工された上記ダブルクラッドファイバのファイバ端部の基端側を、上記第1クラッドが露出するように加工する第1クラッド露出加工工程と、
上記ダブルクラッドファイバのファイバ端部の端面側を、上記第2クラッドの複数の細孔が滅失するように加工する細孔滅失加工工程と、
をさらに備えることを特徴とする光ファイバの接続方法。 - 請求項3に記載された光ファイバの接続方法において、
上記第2クラッドの複数の細孔をコラプスすることにより滅失させることを特徴とする光ファイバの接続方法。 - 請求項1に記載された光ファイバの接続方法において、
上記一方の光ファイバのファイバ端部の加工をエッチングにより行うことを特徴とする光ファイバの接続方法。 - ファイバ径の異なる一対の光ファイバのファイバ端部同士が突き合わされて接続された光ファイバの接続構造であって、
上記一対の光ファイバのうちファイバ径の大きい一方の光ファイバは、ファイバ端部のファイバ径が他方の光ファイバのファイバ径と略同一に形成されていることを特徴とする光ファイバの接続構造。 - 請求項6に記載された光ファイバの接続構造において、
上記一方の光ファイバが、光増幅成分がドープされたコアと、該コアを被覆するように設けられた第1クラッドと、該第1クラッドを被覆するように設けられ該コアに沿って延びる複数の細孔が形成された第2クラッドと、を備え、該第1クラッドに入射された励起光が該第1クラッドと該第2クラッドとの界面で反射を繰り返しながら該第2クラッドで囲まれた領域内を伝搬し、該励起光が該コアを通過する際に該コアの光増幅成分を活性化させ、該光増幅成分が該コアを伝搬する光を増幅するように構成されたダブルクラッドファイバであることを特徴とする光ファイバの接続構造。 - 請求項7に記載された光ファイバの接続構造において、
上記一方の光ファイバであるダブルクラッドファイバは、上記第1クラッドの外径が上記他方の光ファイバのコアの外径よりも小さく、上記他方の光ファイバに接続されたファイバ端部において、第1クラッドと複数の細孔が滅失した上記第2クラッドとからなる中実部分を有し、該中実部分の外径が長さ方向に沿って連続的に変化していることを特徴とする光ファイバの接続構造。
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JP2003170390A JP2005004129A (ja) | 2003-06-16 | 2003-06-16 | 光ファイバの接続方法及び光ファイバの接続構造 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2007072418A (ja) * | 2005-08-08 | 2007-03-22 | Fujikura Ltd | ホーリーファイバの接続構造及び接続方法、光増幅器及び光ファイバレーザ |
JP2008268947A (ja) * | 2007-04-10 | 2008-11-06 | Furukawa Electric North America Inc | 光ファイバ微細構造の選択した部分を修正するシステムおよび方法 |
-
2003
- 2003-06-16 JP JP2003170390A patent/JP2005004129A/ja active Pending
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