JP2005004061A - 電気光学装置及び二端子型非線形素子の製造方法、電気光学装置、及び電子機器 - Google Patents
電気光学装置及び二端子型非線形素子の製造方法、電気光学装置、及び電子機器 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】TFD素子等の二端子型非線形素子を備えた電気光学装置において、面内の素子特性の均一性を保持しながら、素子有効面積の縮小を実現することができる電気光学装置の製造方法、並びに二端子型非線形素子の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の電気光学装置の製造方法は、支持基板(素子基板)10上に、下電極14をパターン形成する工程と、前記下電極14上面14aをマスク材40により部分的にマスクした状態で前記下電極14を陽極酸化して絶縁層18の第1領域181を形成する工程と、前記マスク材40を除去する工程と、前記マスク材40を除去して露出された前記下電極14表面領域14cに、前記第1領域181よりも薄い層厚を有する前記絶縁層18の第2領域182を形成する工程とを有している。
【選択図】 図5
【解決手段】本発明の電気光学装置の製造方法は、支持基板(素子基板)10上に、下電極14をパターン形成する工程と、前記下電極14上面14aをマスク材40により部分的にマスクした状態で前記下電極14を陽極酸化して絶縁層18の第1領域181を形成する工程と、前記マスク材40を除去する工程と、前記マスク材40を除去して露出された前記下電極14表面領域14cに、前記第1領域181よりも薄い層厚を有する前記絶縁層18の第2領域182を形成する工程とを有している。
【選択図】 図5
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気光学装置及び二端子型非線形素子の製造方法、電気光学装置、電子機器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
アクティブマトリクス方式の電気光学装置において、画素のスイッチングを行うための非線形素子として薄膜ダイオード(TFD;Thin Film Diode)素子などの二端子型非線形素子を備えた液晶装置が実用化されており、配線の交差部分がないために配線間の導通不良が生じない点や、成膜工程およびフォトリソグラフィ工程が少ない点において薄膜トランジスタ(TFT;Thin Film Transistor)素子を備えたものに比して有利である。
この種の液晶装置としては、種々の構成のものが提案されており、例えば下記特許文献1に記載の液晶装置では、複数のTFD素子間における特性のばらつきを抑えるために、TFD素子を構成する下部電極上に、下部電極を構成する材料の酸化物からなる中間層を設けるとともに、この中間層の前記下部電極上面と対応する位置にコンタクトホールを設け、係るコンタクトホールの底部に設けられた酸化膜を介して上部電極と下部電極とを対向配置させた構成を採用している。
この構成によれば、前記下部電極の上面にTFD素子の素子容量が形成され、従って下部電極の端縁に形成されているテーパー状の領域において素子容量が形成されないようにすることができ、TFD素子の特性ばらつきを抑えることができるようになっている。
【0003】
【特許文献1】
特開平1−283524号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このようなTFD素子を備えた液晶装置においても、近年、高精細化が進み、それに伴ってTFD素子面積を縮小する必要が生じている。そして、上記特許文献1に記載の技術では、TFD素子の微細化に十分対応することができず、TFD素子の特性ばらつきが生じる可能性が生じるおそれがある。これは、下部電極の微細化により、この下部電極上面に対応する位置に正確にコンタクトホールを形成することが困難になっているのに加え、特許文献1に記載のTFD素子では、基板上に下部電極をパターン形成する工程と、下部電極を覆って形成された中間層にコンタクトホールを形成する工程とにおいてエッチング処理が施されるため、寸法精度が低下することによる。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑み成されたものであって、TFD素子等の二端子型非線形素子を備えた電気光学装置において、面内の素子特性の均一性を保持しながら、素子有効面積の縮小を実現することができる電気光学装置の製造方法、並びに二端子型非線形素子の製造方法を提供することを目的としている。
また本発明は、面内素子特性が均一であり、かつ素子有効面積が縮小された電気光学装置を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の電気光学装置の製造方法は、電気光学物質層を支持する支持基板と、該支持基板上に形成され、第1導電層と、該第1導電層上に絶縁層を介して形成された第2導電層とを備えるスイッチング素子とを具備した電気光学装置の製造方法であって、前記支持基板上に前記第1導電層をパターン形成する工程と、前記第1導電層上面がマスク材により部分的にマスクされる状態で該第1導電層上に前記絶縁層の第1領域を形成する工程と、前記マスク材を除去する工程と、前記第1導電層の表面領域のうち前記絶縁層の第1領域が形成される領域とは異なる領域に、前記第1領域の絶縁層厚より薄い絶縁層厚を有する前記絶縁層の第2領域を形成する工程と、を有することを特徴とする。
【0007】
この製造方法によれば、前記第1導電層上面に所定の絶縁層を形成するに際して、マスク材により前記下電極の上面を部分的にマスクした状態で、前記絶縁層の第1領域を形成するようになっているので、前記マスク材を取り除くのみで、後の工程で絶縁層の第2領域が形成されるべき下電極上面の平面領域を開口させることができる。従って、先の特許文献1に記載の技術のように、下電極を覆う中間層を形成した後、フォトリソグラフィ技術を用いて中間層にコンタクトホールを形成する場合のように、エッチング処理を行う必要が無く、前記絶縁層の第2領域の寸法精度、及び位置精度において、パターニング精度の影響を受け難く、より正確に第1導電層上面に前記絶縁層の第2領域を形成することが可能になっている。
相対的に薄い層厚に形成された前記絶縁層の第2領域において、当該電気光学装置における二端子型非線形素子の素子容量が形成されるので、第1導電層の寸法に対して二端子型非線形素子の有効素子面積を低減できるとともに、前記第2領域は第1導電層の上面にのみ形成され、第1導電層の側壁部を含まないため、支持基板面内における二端子型非線形素子の特性ばらつきを効果的に抑えることができる。
従って、本製造方法によれば、画素を高精細化するために第1導電層を微細化したとしても、二端子型非線形素子の支持基板面内における特性ばらつきを効果的に抑えることができ、高画質の表示が得られる電気光学装置を製造することができる。
【0008】
本発明の電気光学装置の製造方法では、前記絶縁層の第2領域は、前記第1導電層の表面領域のうち前記マスク材を除去して露出される領域に形成されることが好ましい。係る製造方法によれば、前記マスク材を用いて所定パターンにて開口された領域に前記絶縁層の第2領域を形成するので、この第2領域の平面形状及び寸法を上記マスク材により容易かつ正確に制御でき、素子の微細化に容易に対応でき、かつ均一な特性の二端子型非線形素子を備えた電気光学装置を製造することができる。
【0009】
本発明の二端子型非線形素子の製造方法は、支持基板上に形成された第1導電層と、該第1導電層上に絶縁層を介して形成された第2導電層とを備えた二端子型非線形素子の製造方法であって、前記支持基板上に第1導電層をパターン形成する工程と、前記第1導電層上面をマスク材により部分的にマスクした状態で前記第1導電層を酸化して前記絶縁層の第1領域を形成する工程と、前記マスク材を除去する工程と、前記第1導電層の表面領域のうち前記絶縁層の第1領域が形成される領域とは異なる領域に、前記第1領域の絶縁層厚より薄い絶縁層厚を有する前記絶縁層の第2領域を形成する工程と、を有することを特徴とする。
【0010】
この製造方法によれば、前記第1導電層の上面に部分的に形成された絶縁層の第2領域において素子容量が形成されるので、有効素子面積が縮小された二端子型非線形素子を作製することができる。また、上記第2領域を形成するに際して、第1導電層上面をマスク材によりマスクした状態で前記第1導電層を酸化することにより前記絶縁層の第1領域を形成するので、第1領域に比して薄い層厚の第2領域を形成するためにエッチング処理を施す必要が無く、正確な位置、及び寸法で前記絶縁層の第2領域を形成することができる。
【0011】
本発明の二端子型非線形素子の製造方法では、前記絶縁層の第2領域は、前記第1導電層の表面領域のうち前記マスク材を除去して露出される領域に形成されることが好ましい。係る製造方法によれば、前記マスク材の形成領域が前記絶縁層の第2領域の形成領域となるので、前記マスク材を用いて前記第2導電層の形状ないし寸法を制御でき、素子面積が縮小された二端子型非線形素子を容易かつ正確に製造することが可能である。
【0012】
本発明の電気光学装置は、電気光学物質層を挟んで他の基板と対向する支持基板上に、配線と、該配線に接続された二端子型非線形素子と、前記二端子型非線形素子に接続された画素電極とが形成された電気光学装置であって、前記二端子型非線形素子が、支持基板上にパターン形成された下電極と、該下電極上に絶縁層を介して形成された上電極とを備え、前記絶縁層が、前記下電極の上面において部分的に薄く形成された領域を有し、当該領域において前記絶縁層を介して対向配置された前記上電極と下電極とが、前記二端子型非線形素子の素子容量を形成していることを特徴とする。
この構成によれば、前記上電極と下電極を電気的に絶縁する前記絶縁層の前記下電極上面において、他の領域に比して層厚の薄い領域が形成され、係る領域において前記二端子型非線形素子の素子容量が形成されるため、下電極の平面領域に比して有効素子面積を大幅に縮小でき、高精細化に容易に対応できる構成を備えた電気光学装置を提供することができる。
【0013】
また、本発明の電気光学装置は、前記領域は前記下電極の上面にのみ形成され、前記下電極の側壁部には形成されていないことを特徴としている。係る構成によれば、前記下電極の側壁部に二端子型非線形素子の素子容量が形成されないようにすることができ、これにより、基板面内の複数の二端子型非線形素子間で、素子容量の不均一を生じ難くなり、素子特性の均一性に優れ、もって高画質の表示が可能な電気光学装置を提供することができる。
【0014】
本発明の電子機器は、先に記載の本発明の電気光学装置を備えたことを特徴とする。この構成によれば、高精細で面内の輝度均一性に優れる表示部を備えた電子機器を提供することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
(液晶装置の構成)
図1は、本発明に係る電気光学装置の一例である液晶装置の電気的構成を示すブロック図である。同図に示す液晶装置は、スイッチング素子としてTFD(Thin Film Diode)素子(二端子型非線形素子)を用いたアクティブマトリクス方式の液晶装置である。この液晶装置は、図示X方向に延在する複数の走査線25と、Y方向に延在する複数のデータ線11と、走査線25およびデータ線11の各交差に設けられたサブ画素50とを有する。さらに、複数の走査線25のうち図1における上から数えて奇数本目の走査線25(以下、単に「奇数本目の走査線」と表記する)は第1のYドライバIC401に接続される一方、図1における上から数えて偶数本目の走査線25(以下、単に「偶数本目の走査線」と表記する)は第2のYドライバIC402に接続されている。そして、各走査線25には、これらのYドライバICによって生成された走査信号が供給される。
なお、以下では、第1のYドライバIC401と第2のYドライバIC402とを特に区別する必要がない場合には、単に「YドライバIC40」と表記する。また、各データ線11はXドライバIC41に接続されており、このXドライバIC41によって生成されたデータ信号が供給される。一方、マトリクス状に配列する複数のサブ画素50の各々は、R(赤色)、G(緑色)またはB(青色)のいずれかの色に対応する。各サブ画素50は、液晶表示要素51とTFD素子13とが直列接続された構成となっている。
【0016】
次に、図2は、本実施形態に係る液晶装置を背面側(つまり観察者が位置すべき側と反対側)からみた場合の構成を示す斜視図である。なお、図2に示すように、X軸の負方向を「A側」、正方向を「B側」と定める。
図2に示すように、液晶装置は、相互に対向する素子基板(支持基板)10および対向基板(他の基板)20がシール材30によって貼り合わされるとともに、両基板とシール材30とによって囲まれた領域に電気光学物質である液晶(図2においては図示が省略されている)が封入された構成となっている。シール材30は、対向基板20の縁辺に沿って略矩形枠状に形成されるが、液晶を封入するために一部が開口された形状となっている。このため、液晶の封入後にその開口部分が封止材31によって封止されるようになっている。
【0017】
また、シール材30には導電性を有する多数の導通粒子が分散されている。この導通粒子は、例えば金属のメッキが施されたプラスチックの粒子や、導電性を有する樹脂の粒子であり、素子基板10および対向基板20の各々に形成された配線同士を導通させる機能と、両基板の間隙(セルギャップ)を一定に保つスペーサとしての機能とを兼ね備える。なお、実際には、素子基板10および対向基板20の外側の表面に、入射光を偏光させるための偏光板や、干渉色を補償するための位相差板などが適宜貼着される。
【0018】
素子基板10および対向基板20は、ガラスや石英、プラスチックなどの光透過性を有する板状基材である。このうち観察側に位置する素子基板10の内側(対向基板20側)表面には上述した複数のデータ線11が形成される一方、背面側に位置する対向基板20の内側(素子基板10側)の面上には複数の走査線25が形成されている。また、素子基板10は、シール材30から外側の領域(すなわち、シール材30および液晶と対向しない領域である。以下、「縁辺領域」と表記する)10aを有する。そして、縁辺領域10aのうちX方向の中央部近傍にはXドライバIC41が、当該XドライバIC41を挟んで両側の位置には第1のYドライバIC401および第2のYドライバIC402が、それぞれCOG技術を用いて実装されている。すなわち、これらのドライバICは、接着材中に導通粒子を分散させた異方性導電膜(Anisotropic Conductive Film;ACF)を介して素子基板10上に実装されている。また、縁辺領域10aのうち素子基板10の縁端部近傍には複数のパッド17が形成されるとともに、パッド17…が形成された部分の近傍には、フレキシブル基板(図示略)の一端が接合される。このフレキシブル基板の他端には、例えば回路基板などの外部機器が接合されている。
【0019】
係る構成のもと、XドライバIC41は、外部機器からフレキシブル基板およびパッド17を介して入力された信号に応じてデータ信号を生成し、これをデータ線11に対して出力する。他方、YドライバIC401,402は、外部機器からフレキシブル基板およびパッド17を介して入力された信号に応じて走査信号を生成して出力する。この走査信号は、素子基板10上に形成された引廻し配線16からシール材30中の導通粒子を介して対向基板20側へ伝達され、この上基板20上の各走査線25に与えられる。
【0020】
次に、液晶装置のうち、シール材30の内周縁によって囲まれた領域(以下、「表示領域」と表記する)内の構成を説明する。図3は、図2におけるC−C’線からみた断面のうち表示領域内の部分を示す図である。また、図4(a)は、本実施形態に係る液晶装置の1つのサブ画素領域を示す平面構成図であり、図4(b)は、図4(a)に示すTFD素子13を拡大して示す平面構成図であり、図4(c)は、図4(b)に示すD−D’線に沿う断面構成図である。
【0021】
図3に示すように、本実施形態の液晶装置は、互いに対向して配置された素子基板10及び対向基板20と、これらの基板10,20との間に挟まれた領域内に封止された液晶35とを備えて構成されている。同図に示す表示領域内における素子基板10の内側(液晶35側)表面には、マトリクス状に配列された複数の画素電極12と、各画素電極12の間隙部分においてY方向に延在する複数のデータ線11とが形成されている。各画素電極12は、例えばITO(Indium Tin Oxide)などの透明導電材料によって形成された略矩形状の電極である。そして、各画素電極12と、当該画素電極12に一方の側において隣接するデータ線11とは図示略のTFD素子を介して接続されている(図4(a)参照)。また、図3に示すように、データ線11、画素電極12およびTFD素子が形成された素子基板10の表面は、配向膜151によって覆われている。この配向膜151は、ポリイミドなどからなる有機薄膜であり、電圧が印加されていないときの液晶35の配向方向を規定するためのラビング処理が施されている。
【0022】
次に、図4(a)に示すように、素子基板10上の要素のうちひとつのサブ画素50に対応する領域を対向基板20側(背面側)からみると、平面視略矩形状の画素電極12の長辺方向に沿って延びるようにデータ線11が形成されている。TFD素子13は、図4(b)の拡大平面図に示すように、前記データ線11とほぼ平行に延在する平面視矩形状の下電極(第1導電層)14と、この下電極14の表面に陽極酸化によって形成された絶縁層24と、絶縁層24の表面に相互に離間して形成された第1の上電極(第2導電層)11aおよび第2の上電極(第2導電層)19とから構成されている。前記第1の上電極11aは、図4(a)に示すように、データ線11の一部が画素電極12側へ延設されて形成されており、第2の上電極19は、前記下電極14と反対側の端部で画素電極12と一部平面的に重なっている。
【0023】
そして、TFD素子13は、第1のTFD素子131と第2のTFD素子132とから構成されている。すなわち、下電極14のうち、第1の上電極11と絶縁層24を介して対向配置された領域内に第1のTFD素子131が形成されており、第2の上電極19と絶縁層24を介して対向配置された領域内に第2のTFD素子132が形成されている。
上記第2のTFD素子132をより詳細に説明すると、図4(c)に示すように、素子基板10上に断面視略台形状に形成された下電極14表面を覆うように絶縁層24が形成されており、この絶縁層24上に第2の上電極19が積層形成されている。前記絶縁層18は、下電極14の上面14aにおいて、その層厚が一部薄く形成されており、係る領域が絶縁層18の第2領域182とされ、この第2領域182以外の領域が絶縁層18の第1領域181とされている。そして、この第2領域182を介して、第2の上電極19と、下電極14とが対向配置されて金属/絶縁体/金属のサンドイッチ構造を採る結果、正負双方向のダイオードスイッチング特性を有するTFD素子132が構成されている。すなわち、図4(c)に示す第2領域242に対応する領域が、本実施形態に係るTFD素子132の有効素子面積を成している。
尚、図示は省略したが、第1のTFD素子131は、図4(c)に示す断面構造において、上電極19に代えて第1の上電極11aが形成された構成を備えている。
【0024】
上記下電極14を覆う絶縁層18の層厚は、第1領域181において30〜300nm程度とされ、第2領域において10〜30nm程度とされる。前記TFD素子13の素子容量を形成する第2領域182の層厚は、TFD素子13の素子特性に応じて設定され、第1領域181は、TFD素子の素子容量を形成しないため、係る領域において電荷の貫通が生じないように、第2領域182より厚く形成される。
【0025】
また、下電極14上に、互いに離間されて第1のTFD素子131と第2のTFD素子132とが形成されているため、前記両TFD素子131,132は、反対のダイオードスイッチング特性を有する。このように、TFD素子13は、2つのダイオードを互いに逆向きに直列接続した構成となっているため、1つのダイオードを用いた場合と比較して、電流−電圧の非線形特性が正負の双方向にわたって対称化される。
ただし、かかる非線形特性の対称性を確保するためには、第1のTFD素子131を構成する第2領域242の絶縁層24の厚さと、第2のTFD素子132を構成する第1領域の絶縁層24の厚さとを同一の厚さにするとともに、前記絶縁層24の第2領域242を介して下電極14と対向する領域の上電極11a、19の面積を相等しくする必要がある。本実施形態では、図4(b)に示すように、絶縁層24の第2領域242が、下電極14の長さ方向に沿ってほぼ同一の幅を有して延在するように形成されているので、上電極11a、19を、同一幅に形成すれば、上記TFD素子131,132の対称性を容易に得ることができる。
【0026】
上記下電極14は、例えばタンタル(Ta)単体や、タンタルを主成分とした合金といった各種の導電性材料によって形成される。またデータ線11(第1の上電極11aを含む)及び第2の上電極19は、例えばクロム(Cr)やアルミニウム(Al)といった各種の導電性材料からなる同一の層から形成され、上記の金属材料の他タンタルやモリブデン(Mo)でも形成することができる。
【0027】
一方、図3に示すように、対向基板20の面上には、反射層21、カラーフィルタ22、遮光層23、オーバーコート層24、複数の走査線25および配向膜26が形成されている。
反射層21は、例えばアルミニウムや銀といった光反射性を有する金属によって形成された薄膜である。観察側から液晶装置に入射した光は、この反射層21の表面において反射されて観察側に出射され、これによりいわゆる反射型表示が実現される。ここで、図3に示すように、対向基板20の内側表面のうち反射層21によって覆われた領域は、多数の微細な凹凸が形成された粗面となっている。したがって、かかる粗面を覆うように薄膜状に形成された反射層21の表面には、当該粗面を反映した微細な凹凸(すなわち散乱構造)が形成される。この結果、観察側からの入射光は、反射層21の表面において適度に散乱した状態で反射するされ、反射層21表面における鏡面反射を回避して広い視野角が実現される。
尚、図3では、基板20表面に凹凸形状が直接形成されている場合を図示しているが、反射層21に散乱機能を付与するための構造は本実施形態で挙げた例に限定されず、例えば、基板20上に樹脂膜を形成し、その表面に凹凸を形成したものや、反射層21上に光散乱性を有する光学素子(屈折率の異なる材料どうしを混練硬化した樹脂膜等)を設けたものも適用できるのは勿論である。
【0028】
カラーフィルタ22は、各サブ画素50に対応して反射層21の面上に形成された樹脂層であり、染料や顔料によってR(赤色)、G(緑色)またはB(青色)のうちのいずれかに着色されている。そして、相互に異なる色に対応した3つのサブ画素50によって、表示画像の画素(ドット)が構成される。遮光層23は、素子基板10上にマトリクス状に配列する画素電極12の間隙部分に対応して格子状に形成され、各画素電極12同士の隙間を遮光する役割を担っている。本実施形態における遮光層23は、図3に示すように、R、G、Bの3色分のカラーフィルタ22が積層された構成を有するものである。オーバーコート層24は、カラーフィルタ22および遮光層23によって形成された凹凸を平坦化するための層であり、例えばエポキシ系やアクリル系などの樹脂材料によって形成される。
【0029】
走査線25は、オーバーコート層24の面上に、ITOなどの透明導電材料によって形成された帯状の電極である。各走査線25は、素子基板10上においてX方向に列をなす複数の画素電極12と対向するように図示X方向に延在して形成される。そして、画素電極12と、これに対向する走査線25と、両者によって挟まれた液晶35とによって、図1に示した液晶表示要素51が構成される。すなわち、走査線25に走査信号を供給するとともに、データ線11にデータ信号を供給することによってTFD素子13にしきい値以上の電圧を印加すると、当該TFD素子13はオン状態となる。そしてこの結果、TFD素子13に接続された液晶表示要素51に電荷が蓄積され、液晶35の配向方向が変化する。こうしてサブ画素50ごとに液晶35の配向方向を変化させることにより、所望の表示を行なうようになっている。一方、電荷が蓄積された後に当該TFD素子13をオフ状態としても液晶表示要素51における電荷の蓄積は維持される。また、複数の走査線25が形成されたオーバーコート層24の表面は、素子基板10上の配向膜151と同様の配向膜26によって覆われている。
【0030】
以上の構成の本実施形態の液晶装置では、図4に示すように、下電極14を覆って形成された絶縁層18が、下電極14の側壁を成す斜面であるテーパー部14bと下電極14の上面両側部とを覆う第1領域181と、下電極14の上面中央部を覆う第2領域とを有しており、前記第2領域182と、上電極11a(又は上電極19)とが平面的に重なる領域において、TFD素子131,132の素子容量が形成されるようになっているので、TFD素子131,132の有効素子面積に下電極14のテーパー部14bが含まれず、従って素子基板10面内におけるTFD素子13の特性ばらつきを効果的に抑えることができ、高精細かつ高画質の表示を得ることができるようになっている。
このように、本発明によれば、液晶装置をはじめとする電気光学装置の各画素に設けられたスイッチング素子の面内均一性を保持しながら、その有効素子面積を縮小することができ、特に、上記実施の形態においても例示したTFD素子を具備した液晶装置に用いて好適な技術である。
【0031】
(液晶装置の製造方法)
本発明に係る製造方法によれば、上記実施形態に係るTFD素子13を正確に形成することができるとともに、画素の高精細化に伴い素子面積を縮小した場合にも、素子特性にばらつきを生じることなく高画質の表示が得られる液晶装置を製造することができる。以下、本発明に係る電気光学装置(及び二端子型非線形素子)の製造方法の一実施形態として、先の実施形態の液晶装置を製造する方法を、図5を参照して説明する。
【0032】
図5は、本実施形態に係る液晶装置の製造工程を示す断面工程図である。
まず、図5(a)に示すように、ガラスやプラスチック等の透光性を有する支持基板10を用意する。この支持基板10は、本実施形態に係る各工程を経て図2ないし図4に示す素子基板10を成すべきものである。そして、支持基板10上に、タンタルからなる下電極14をパターン形成し、その上面14aに部分的にフォトレジスト等のマスク材40をパターン形成する。このマスク材40は、下電極14の上面14aにおいて図5の紙面垂直方向に延びるように形成される。これらの下電極14、及びマスク材40をパターン形成するに際しては、公知のフォトリソグラフィ技術を用いることができる。
【0033】
次いで、図5(b)に示すように、上記支持基板10上の下電極14を陽極酸化することにより下電極14表面に第1酸化膜181,181を形成する。本実施形態では下電極14がタンタルからなるものであるので、前記第1酸化膜181は酸化タンタルである。下電極14の上面14aにはマスク材40が形成されているので、第1酸化膜181は、マスク材40の形成領域以外の下電極14表面に形成される。この第1酸化膜181は、先の図4(c)に示す絶縁層18の第1領域181を成すものであり、TFD素子13の動作電圧範囲において上電極11a,19と下電極14の絶縁を確保し得る層厚に形成する。
【0034】
次に、図5(c)に示すように、マスク材40を除去した後、図5(d)に示すように、マスク材40が取り除かれて露出された下電極14の上面14aに、熱酸化あるいは陽極酸化により第2酸化膜182を形成する。この第2酸化膜182は、図4(c)に示す絶縁層18の第2領域182を成すものであり、図5(d)に示すように第2酸化膜182は、先の第1酸化膜181より薄く形成され、その層厚は作製するTFD素子の特性に応じて設定される。
続いて、図5(e)に示すように、第1酸化膜181及び第2酸化膜182上を一部覆うように、クロムからなる上電極19をパターン形成することにより、本実施形態のTFD素子132が得られる。図5(e)に示す断面構造は、図4(b)に示すD−D’線に沿う断面構造に対応しており、実際には、係る上電極19のパターン形成に際して、データ線11(及び上電極11a)も同時にパターン形成される。そして、図4(a)に示すように、第2の上電極19の一端側(下電極14と反対側)に一部乗り上げるようにITO等の透明導電材料からなる画素電極12を形成することで、図2に示す素子基板10を作製することができる。この上電極の形成に際しては、スパッタ法等の成膜法により金属膜を形成しておき、フォトリソグラフィ技術を用いてパターニングする方法を適用することができる。
【0035】
そして、上記本実施形態の製造方法による製造工程を経て得られた素子基板10を、図2に示すように、別途公知の製造方法により作製された対向基板20と、シール材30を介して貼り合わせ、シール材30と前記両基板10,20とに挟まれる空間に液晶を封止することで、先の実施形態の液晶装置が得られる。
【0036】
このように、本実施形態に係る製造方法によれば、下電極14の上面14aに、絶縁層18の他の領域より薄い層厚を有する第2領域182を形成するに際して、図5(a)に示すようにマスク材40を下電極14上に配置した状態で陽極酸化を行って第1領域の酸化膜181を形成するようになっているため、その後マスク材40を除去するのみで、上記第2領域182に対応する領域の下電極14上面を開口させることができる。従って、先の特許文献1に記載の技術に比してエッチング工程を減らすことが可能であり、そのためマスク材40の配置を正確に行うことができる。従って、本実施形態に係る製造方法を用いるならば、下電極14が微細化されたとしても、正確に下電極14の上面14aに絶縁層18の第2領域182を形成することが可能である。またこれにより、TFD素子13の有効素子面積に下電極14のテーパー部14bが含まれないようにできるので、前記有効素子面積の寸法精度が向上し、もって素子基板10面内におけるTFD素子13の素子特性のばらつきを効果的に抑えることができる。
なお、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
例えば、上記実施形態では二端子型非線形素子を備えた電気光学装置の製造方法について説明したが、これに限らず、本発明の技術思想はTFT等の三端子型スイッチング素子を備えた電気光学装置にも適用可能である。また、電気光学装置に対する本発明の適用範囲としては、液晶装置に限らず、EL(エレクトロルミネッセンス)装置、電気泳動装置、プラズマ発光や電子放出による蛍光等を用いた装置等としての形態も可能である。
【0037】
(電子機器)
図6は、本発明に係る電気光学装置を携帯電話機の表示部に適用した例を示す斜視構成図である。同図に示すように、携帯電話機1300は、本発明の電気光学装置を小サイズの表示部1301として備え、複数の操作ボタン1302、受話口1303、及び送話口1304を備えて構成されている。
上記実施の形態の液晶表示装置は、上記携帯電話に限らず、電子ブック、パーソナルコンピュータ、ディジタルスチルカメラ、液晶テレビ、ビューファインダ型あるいはモニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた機器等々の画像表示手段として好適に用いることができ、いずれの電子機器においても、高精細で明るい表示を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施形態に係る液晶装置の回路ブロック図。
【図2】図2は、同、液晶装置の外観を示す斜視構成図。
【図3】図3は、図2のC−C’線に沿う断面構成図。
【図4】図4(a)は、同、液晶装置の画素領域の平面図、図4(b)は、図4(a)に示すD−D’線に沿う断面構成図。
【図5】図5は、実施形態に係る製造方法の断面工程図。
【図6】図6は、本発明に係る電子機器の一例を示す斜視構成図。
【符号の説明】
10 素子基板(支持基板)、11 データ線、12 画素電極、13 TFD素子(二端子型非線形素子)、14 下電極(第1導電層)、18 絶縁層、181 第1領域(絶縁層)、182 第2領域(絶縁層)、11a 第1の上電極、19 第2の上電極、20 対向基板(他の基板)、40 マスク材
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気光学装置及び二端子型非線形素子の製造方法、電気光学装置、電子機器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
アクティブマトリクス方式の電気光学装置において、画素のスイッチングを行うための非線形素子として薄膜ダイオード(TFD;Thin Film Diode)素子などの二端子型非線形素子を備えた液晶装置が実用化されており、配線の交差部分がないために配線間の導通不良が生じない点や、成膜工程およびフォトリソグラフィ工程が少ない点において薄膜トランジスタ(TFT;Thin Film Transistor)素子を備えたものに比して有利である。
この種の液晶装置としては、種々の構成のものが提案されており、例えば下記特許文献1に記載の液晶装置では、複数のTFD素子間における特性のばらつきを抑えるために、TFD素子を構成する下部電極上に、下部電極を構成する材料の酸化物からなる中間層を設けるとともに、この中間層の前記下部電極上面と対応する位置にコンタクトホールを設け、係るコンタクトホールの底部に設けられた酸化膜を介して上部電極と下部電極とを対向配置させた構成を採用している。
この構成によれば、前記下部電極の上面にTFD素子の素子容量が形成され、従って下部電極の端縁に形成されているテーパー状の領域において素子容量が形成されないようにすることができ、TFD素子の特性ばらつきを抑えることができるようになっている。
【0003】
【特許文献1】
特開平1−283524号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このようなTFD素子を備えた液晶装置においても、近年、高精細化が進み、それに伴ってTFD素子面積を縮小する必要が生じている。そして、上記特許文献1に記載の技術では、TFD素子の微細化に十分対応することができず、TFD素子の特性ばらつきが生じる可能性が生じるおそれがある。これは、下部電極の微細化により、この下部電極上面に対応する位置に正確にコンタクトホールを形成することが困難になっているのに加え、特許文献1に記載のTFD素子では、基板上に下部電極をパターン形成する工程と、下部電極を覆って形成された中間層にコンタクトホールを形成する工程とにおいてエッチング処理が施されるため、寸法精度が低下することによる。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑み成されたものであって、TFD素子等の二端子型非線形素子を備えた電気光学装置において、面内の素子特性の均一性を保持しながら、素子有効面積の縮小を実現することができる電気光学装置の製造方法、並びに二端子型非線形素子の製造方法を提供することを目的としている。
また本発明は、面内素子特性が均一であり、かつ素子有効面積が縮小された電気光学装置を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の電気光学装置の製造方法は、電気光学物質層を支持する支持基板と、該支持基板上に形成され、第1導電層と、該第1導電層上に絶縁層を介して形成された第2導電層とを備えるスイッチング素子とを具備した電気光学装置の製造方法であって、前記支持基板上に前記第1導電層をパターン形成する工程と、前記第1導電層上面がマスク材により部分的にマスクされる状態で該第1導電層上に前記絶縁層の第1領域を形成する工程と、前記マスク材を除去する工程と、前記第1導電層の表面領域のうち前記絶縁層の第1領域が形成される領域とは異なる領域に、前記第1領域の絶縁層厚より薄い絶縁層厚を有する前記絶縁層の第2領域を形成する工程と、を有することを特徴とする。
【0007】
この製造方法によれば、前記第1導電層上面に所定の絶縁層を形成するに際して、マスク材により前記下電極の上面を部分的にマスクした状態で、前記絶縁層の第1領域を形成するようになっているので、前記マスク材を取り除くのみで、後の工程で絶縁層の第2領域が形成されるべき下電極上面の平面領域を開口させることができる。従って、先の特許文献1に記載の技術のように、下電極を覆う中間層を形成した後、フォトリソグラフィ技術を用いて中間層にコンタクトホールを形成する場合のように、エッチング処理を行う必要が無く、前記絶縁層の第2領域の寸法精度、及び位置精度において、パターニング精度の影響を受け難く、より正確に第1導電層上面に前記絶縁層の第2領域を形成することが可能になっている。
相対的に薄い層厚に形成された前記絶縁層の第2領域において、当該電気光学装置における二端子型非線形素子の素子容量が形成されるので、第1導電層の寸法に対して二端子型非線形素子の有効素子面積を低減できるとともに、前記第2領域は第1導電層の上面にのみ形成され、第1導電層の側壁部を含まないため、支持基板面内における二端子型非線形素子の特性ばらつきを効果的に抑えることができる。
従って、本製造方法によれば、画素を高精細化するために第1導電層を微細化したとしても、二端子型非線形素子の支持基板面内における特性ばらつきを効果的に抑えることができ、高画質の表示が得られる電気光学装置を製造することができる。
【0008】
本発明の電気光学装置の製造方法では、前記絶縁層の第2領域は、前記第1導電層の表面領域のうち前記マスク材を除去して露出される領域に形成されることが好ましい。係る製造方法によれば、前記マスク材を用いて所定パターンにて開口された領域に前記絶縁層の第2領域を形成するので、この第2領域の平面形状及び寸法を上記マスク材により容易かつ正確に制御でき、素子の微細化に容易に対応でき、かつ均一な特性の二端子型非線形素子を備えた電気光学装置を製造することができる。
【0009】
本発明の二端子型非線形素子の製造方法は、支持基板上に形成された第1導電層と、該第1導電層上に絶縁層を介して形成された第2導電層とを備えた二端子型非線形素子の製造方法であって、前記支持基板上に第1導電層をパターン形成する工程と、前記第1導電層上面をマスク材により部分的にマスクした状態で前記第1導電層を酸化して前記絶縁層の第1領域を形成する工程と、前記マスク材を除去する工程と、前記第1導電層の表面領域のうち前記絶縁層の第1領域が形成される領域とは異なる領域に、前記第1領域の絶縁層厚より薄い絶縁層厚を有する前記絶縁層の第2領域を形成する工程と、を有することを特徴とする。
【0010】
この製造方法によれば、前記第1導電層の上面に部分的に形成された絶縁層の第2領域において素子容量が形成されるので、有効素子面積が縮小された二端子型非線形素子を作製することができる。また、上記第2領域を形成するに際して、第1導電層上面をマスク材によりマスクした状態で前記第1導電層を酸化することにより前記絶縁層の第1領域を形成するので、第1領域に比して薄い層厚の第2領域を形成するためにエッチング処理を施す必要が無く、正確な位置、及び寸法で前記絶縁層の第2領域を形成することができる。
【0011】
本発明の二端子型非線形素子の製造方法では、前記絶縁層の第2領域は、前記第1導電層の表面領域のうち前記マスク材を除去して露出される領域に形成されることが好ましい。係る製造方法によれば、前記マスク材の形成領域が前記絶縁層の第2領域の形成領域となるので、前記マスク材を用いて前記第2導電層の形状ないし寸法を制御でき、素子面積が縮小された二端子型非線形素子を容易かつ正確に製造することが可能である。
【0012】
本発明の電気光学装置は、電気光学物質層を挟んで他の基板と対向する支持基板上に、配線と、該配線に接続された二端子型非線形素子と、前記二端子型非線形素子に接続された画素電極とが形成された電気光学装置であって、前記二端子型非線形素子が、支持基板上にパターン形成された下電極と、該下電極上に絶縁層を介して形成された上電極とを備え、前記絶縁層が、前記下電極の上面において部分的に薄く形成された領域を有し、当該領域において前記絶縁層を介して対向配置された前記上電極と下電極とが、前記二端子型非線形素子の素子容量を形成していることを特徴とする。
この構成によれば、前記上電極と下電極を電気的に絶縁する前記絶縁層の前記下電極上面において、他の領域に比して層厚の薄い領域が形成され、係る領域において前記二端子型非線形素子の素子容量が形成されるため、下電極の平面領域に比して有効素子面積を大幅に縮小でき、高精細化に容易に対応できる構成を備えた電気光学装置を提供することができる。
【0013】
また、本発明の電気光学装置は、前記領域は前記下電極の上面にのみ形成され、前記下電極の側壁部には形成されていないことを特徴としている。係る構成によれば、前記下電極の側壁部に二端子型非線形素子の素子容量が形成されないようにすることができ、これにより、基板面内の複数の二端子型非線形素子間で、素子容量の不均一を生じ難くなり、素子特性の均一性に優れ、もって高画質の表示が可能な電気光学装置を提供することができる。
【0014】
本発明の電子機器は、先に記載の本発明の電気光学装置を備えたことを特徴とする。この構成によれば、高精細で面内の輝度均一性に優れる表示部を備えた電子機器を提供することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
(液晶装置の構成)
図1は、本発明に係る電気光学装置の一例である液晶装置の電気的構成を示すブロック図である。同図に示す液晶装置は、スイッチング素子としてTFD(Thin Film Diode)素子(二端子型非線形素子)を用いたアクティブマトリクス方式の液晶装置である。この液晶装置は、図示X方向に延在する複数の走査線25と、Y方向に延在する複数のデータ線11と、走査線25およびデータ線11の各交差に設けられたサブ画素50とを有する。さらに、複数の走査線25のうち図1における上から数えて奇数本目の走査線25(以下、単に「奇数本目の走査線」と表記する)は第1のYドライバIC401に接続される一方、図1における上から数えて偶数本目の走査線25(以下、単に「偶数本目の走査線」と表記する)は第2のYドライバIC402に接続されている。そして、各走査線25には、これらのYドライバICによって生成された走査信号が供給される。
なお、以下では、第1のYドライバIC401と第2のYドライバIC402とを特に区別する必要がない場合には、単に「YドライバIC40」と表記する。また、各データ線11はXドライバIC41に接続されており、このXドライバIC41によって生成されたデータ信号が供給される。一方、マトリクス状に配列する複数のサブ画素50の各々は、R(赤色)、G(緑色)またはB(青色)のいずれかの色に対応する。各サブ画素50は、液晶表示要素51とTFD素子13とが直列接続された構成となっている。
【0016】
次に、図2は、本実施形態に係る液晶装置を背面側(つまり観察者が位置すべき側と反対側)からみた場合の構成を示す斜視図である。なお、図2に示すように、X軸の負方向を「A側」、正方向を「B側」と定める。
図2に示すように、液晶装置は、相互に対向する素子基板(支持基板)10および対向基板(他の基板)20がシール材30によって貼り合わされるとともに、両基板とシール材30とによって囲まれた領域に電気光学物質である液晶(図2においては図示が省略されている)が封入された構成となっている。シール材30は、対向基板20の縁辺に沿って略矩形枠状に形成されるが、液晶を封入するために一部が開口された形状となっている。このため、液晶の封入後にその開口部分が封止材31によって封止されるようになっている。
【0017】
また、シール材30には導電性を有する多数の導通粒子が分散されている。この導通粒子は、例えば金属のメッキが施されたプラスチックの粒子や、導電性を有する樹脂の粒子であり、素子基板10および対向基板20の各々に形成された配線同士を導通させる機能と、両基板の間隙(セルギャップ)を一定に保つスペーサとしての機能とを兼ね備える。なお、実際には、素子基板10および対向基板20の外側の表面に、入射光を偏光させるための偏光板や、干渉色を補償するための位相差板などが適宜貼着される。
【0018】
素子基板10および対向基板20は、ガラスや石英、プラスチックなどの光透過性を有する板状基材である。このうち観察側に位置する素子基板10の内側(対向基板20側)表面には上述した複数のデータ線11が形成される一方、背面側に位置する対向基板20の内側(素子基板10側)の面上には複数の走査線25が形成されている。また、素子基板10は、シール材30から外側の領域(すなわち、シール材30および液晶と対向しない領域である。以下、「縁辺領域」と表記する)10aを有する。そして、縁辺領域10aのうちX方向の中央部近傍にはXドライバIC41が、当該XドライバIC41を挟んで両側の位置には第1のYドライバIC401および第2のYドライバIC402が、それぞれCOG技術を用いて実装されている。すなわち、これらのドライバICは、接着材中に導通粒子を分散させた異方性導電膜(Anisotropic Conductive Film;ACF)を介して素子基板10上に実装されている。また、縁辺領域10aのうち素子基板10の縁端部近傍には複数のパッド17が形成されるとともに、パッド17…が形成された部分の近傍には、フレキシブル基板(図示略)の一端が接合される。このフレキシブル基板の他端には、例えば回路基板などの外部機器が接合されている。
【0019】
係る構成のもと、XドライバIC41は、外部機器からフレキシブル基板およびパッド17を介して入力された信号に応じてデータ信号を生成し、これをデータ線11に対して出力する。他方、YドライバIC401,402は、外部機器からフレキシブル基板およびパッド17を介して入力された信号に応じて走査信号を生成して出力する。この走査信号は、素子基板10上に形成された引廻し配線16からシール材30中の導通粒子を介して対向基板20側へ伝達され、この上基板20上の各走査線25に与えられる。
【0020】
次に、液晶装置のうち、シール材30の内周縁によって囲まれた領域(以下、「表示領域」と表記する)内の構成を説明する。図3は、図2におけるC−C’線からみた断面のうち表示領域内の部分を示す図である。また、図4(a)は、本実施形態に係る液晶装置の1つのサブ画素領域を示す平面構成図であり、図4(b)は、図4(a)に示すTFD素子13を拡大して示す平面構成図であり、図4(c)は、図4(b)に示すD−D’線に沿う断面構成図である。
【0021】
図3に示すように、本実施形態の液晶装置は、互いに対向して配置された素子基板10及び対向基板20と、これらの基板10,20との間に挟まれた領域内に封止された液晶35とを備えて構成されている。同図に示す表示領域内における素子基板10の内側(液晶35側)表面には、マトリクス状に配列された複数の画素電極12と、各画素電極12の間隙部分においてY方向に延在する複数のデータ線11とが形成されている。各画素電極12は、例えばITO(Indium Tin Oxide)などの透明導電材料によって形成された略矩形状の電極である。そして、各画素電極12と、当該画素電極12に一方の側において隣接するデータ線11とは図示略のTFD素子を介して接続されている(図4(a)参照)。また、図3に示すように、データ線11、画素電極12およびTFD素子が形成された素子基板10の表面は、配向膜151によって覆われている。この配向膜151は、ポリイミドなどからなる有機薄膜であり、電圧が印加されていないときの液晶35の配向方向を規定するためのラビング処理が施されている。
【0022】
次に、図4(a)に示すように、素子基板10上の要素のうちひとつのサブ画素50に対応する領域を対向基板20側(背面側)からみると、平面視略矩形状の画素電極12の長辺方向に沿って延びるようにデータ線11が形成されている。TFD素子13は、図4(b)の拡大平面図に示すように、前記データ線11とほぼ平行に延在する平面視矩形状の下電極(第1導電層)14と、この下電極14の表面に陽極酸化によって形成された絶縁層24と、絶縁層24の表面に相互に離間して形成された第1の上電極(第2導電層)11aおよび第2の上電極(第2導電層)19とから構成されている。前記第1の上電極11aは、図4(a)に示すように、データ線11の一部が画素電極12側へ延設されて形成されており、第2の上電極19は、前記下電極14と反対側の端部で画素電極12と一部平面的に重なっている。
【0023】
そして、TFD素子13は、第1のTFD素子131と第2のTFD素子132とから構成されている。すなわち、下電極14のうち、第1の上電極11と絶縁層24を介して対向配置された領域内に第1のTFD素子131が形成されており、第2の上電極19と絶縁層24を介して対向配置された領域内に第2のTFD素子132が形成されている。
上記第2のTFD素子132をより詳細に説明すると、図4(c)に示すように、素子基板10上に断面視略台形状に形成された下電極14表面を覆うように絶縁層24が形成されており、この絶縁層24上に第2の上電極19が積層形成されている。前記絶縁層18は、下電極14の上面14aにおいて、その層厚が一部薄く形成されており、係る領域が絶縁層18の第2領域182とされ、この第2領域182以外の領域が絶縁層18の第1領域181とされている。そして、この第2領域182を介して、第2の上電極19と、下電極14とが対向配置されて金属/絶縁体/金属のサンドイッチ構造を採る結果、正負双方向のダイオードスイッチング特性を有するTFD素子132が構成されている。すなわち、図4(c)に示す第2領域242に対応する領域が、本実施形態に係るTFD素子132の有効素子面積を成している。
尚、図示は省略したが、第1のTFD素子131は、図4(c)に示す断面構造において、上電極19に代えて第1の上電極11aが形成された構成を備えている。
【0024】
上記下電極14を覆う絶縁層18の層厚は、第1領域181において30〜300nm程度とされ、第2領域において10〜30nm程度とされる。前記TFD素子13の素子容量を形成する第2領域182の層厚は、TFD素子13の素子特性に応じて設定され、第1領域181は、TFD素子の素子容量を形成しないため、係る領域において電荷の貫通が生じないように、第2領域182より厚く形成される。
【0025】
また、下電極14上に、互いに離間されて第1のTFD素子131と第2のTFD素子132とが形成されているため、前記両TFD素子131,132は、反対のダイオードスイッチング特性を有する。このように、TFD素子13は、2つのダイオードを互いに逆向きに直列接続した構成となっているため、1つのダイオードを用いた場合と比較して、電流−電圧の非線形特性が正負の双方向にわたって対称化される。
ただし、かかる非線形特性の対称性を確保するためには、第1のTFD素子131を構成する第2領域242の絶縁層24の厚さと、第2のTFD素子132を構成する第1領域の絶縁層24の厚さとを同一の厚さにするとともに、前記絶縁層24の第2領域242を介して下電極14と対向する領域の上電極11a、19の面積を相等しくする必要がある。本実施形態では、図4(b)に示すように、絶縁層24の第2領域242が、下電極14の長さ方向に沿ってほぼ同一の幅を有して延在するように形成されているので、上電極11a、19を、同一幅に形成すれば、上記TFD素子131,132の対称性を容易に得ることができる。
【0026】
上記下電極14は、例えばタンタル(Ta)単体や、タンタルを主成分とした合金といった各種の導電性材料によって形成される。またデータ線11(第1の上電極11aを含む)及び第2の上電極19は、例えばクロム(Cr)やアルミニウム(Al)といった各種の導電性材料からなる同一の層から形成され、上記の金属材料の他タンタルやモリブデン(Mo)でも形成することができる。
【0027】
一方、図3に示すように、対向基板20の面上には、反射層21、カラーフィルタ22、遮光層23、オーバーコート層24、複数の走査線25および配向膜26が形成されている。
反射層21は、例えばアルミニウムや銀といった光反射性を有する金属によって形成された薄膜である。観察側から液晶装置に入射した光は、この反射層21の表面において反射されて観察側に出射され、これによりいわゆる反射型表示が実現される。ここで、図3に示すように、対向基板20の内側表面のうち反射層21によって覆われた領域は、多数の微細な凹凸が形成された粗面となっている。したがって、かかる粗面を覆うように薄膜状に形成された反射層21の表面には、当該粗面を反映した微細な凹凸(すなわち散乱構造)が形成される。この結果、観察側からの入射光は、反射層21の表面において適度に散乱した状態で反射するされ、反射層21表面における鏡面反射を回避して広い視野角が実現される。
尚、図3では、基板20表面に凹凸形状が直接形成されている場合を図示しているが、反射層21に散乱機能を付与するための構造は本実施形態で挙げた例に限定されず、例えば、基板20上に樹脂膜を形成し、その表面に凹凸を形成したものや、反射層21上に光散乱性を有する光学素子(屈折率の異なる材料どうしを混練硬化した樹脂膜等)を設けたものも適用できるのは勿論である。
【0028】
カラーフィルタ22は、各サブ画素50に対応して反射層21の面上に形成された樹脂層であり、染料や顔料によってR(赤色)、G(緑色)またはB(青色)のうちのいずれかに着色されている。そして、相互に異なる色に対応した3つのサブ画素50によって、表示画像の画素(ドット)が構成される。遮光層23は、素子基板10上にマトリクス状に配列する画素電極12の間隙部分に対応して格子状に形成され、各画素電極12同士の隙間を遮光する役割を担っている。本実施形態における遮光層23は、図3に示すように、R、G、Bの3色分のカラーフィルタ22が積層された構成を有するものである。オーバーコート層24は、カラーフィルタ22および遮光層23によって形成された凹凸を平坦化するための層であり、例えばエポキシ系やアクリル系などの樹脂材料によって形成される。
【0029】
走査線25は、オーバーコート層24の面上に、ITOなどの透明導電材料によって形成された帯状の電極である。各走査線25は、素子基板10上においてX方向に列をなす複数の画素電極12と対向するように図示X方向に延在して形成される。そして、画素電極12と、これに対向する走査線25と、両者によって挟まれた液晶35とによって、図1に示した液晶表示要素51が構成される。すなわち、走査線25に走査信号を供給するとともに、データ線11にデータ信号を供給することによってTFD素子13にしきい値以上の電圧を印加すると、当該TFD素子13はオン状態となる。そしてこの結果、TFD素子13に接続された液晶表示要素51に電荷が蓄積され、液晶35の配向方向が変化する。こうしてサブ画素50ごとに液晶35の配向方向を変化させることにより、所望の表示を行なうようになっている。一方、電荷が蓄積された後に当該TFD素子13をオフ状態としても液晶表示要素51における電荷の蓄積は維持される。また、複数の走査線25が形成されたオーバーコート層24の表面は、素子基板10上の配向膜151と同様の配向膜26によって覆われている。
【0030】
以上の構成の本実施形態の液晶装置では、図4に示すように、下電極14を覆って形成された絶縁層18が、下電極14の側壁を成す斜面であるテーパー部14bと下電極14の上面両側部とを覆う第1領域181と、下電極14の上面中央部を覆う第2領域とを有しており、前記第2領域182と、上電極11a(又は上電極19)とが平面的に重なる領域において、TFD素子131,132の素子容量が形成されるようになっているので、TFD素子131,132の有効素子面積に下電極14のテーパー部14bが含まれず、従って素子基板10面内におけるTFD素子13の特性ばらつきを効果的に抑えることができ、高精細かつ高画質の表示を得ることができるようになっている。
このように、本発明によれば、液晶装置をはじめとする電気光学装置の各画素に設けられたスイッチング素子の面内均一性を保持しながら、その有効素子面積を縮小することができ、特に、上記実施の形態においても例示したTFD素子を具備した液晶装置に用いて好適な技術である。
【0031】
(液晶装置の製造方法)
本発明に係る製造方法によれば、上記実施形態に係るTFD素子13を正確に形成することができるとともに、画素の高精細化に伴い素子面積を縮小した場合にも、素子特性にばらつきを生じることなく高画質の表示が得られる液晶装置を製造することができる。以下、本発明に係る電気光学装置(及び二端子型非線形素子)の製造方法の一実施形態として、先の実施形態の液晶装置を製造する方法を、図5を参照して説明する。
【0032】
図5は、本実施形態に係る液晶装置の製造工程を示す断面工程図である。
まず、図5(a)に示すように、ガラスやプラスチック等の透光性を有する支持基板10を用意する。この支持基板10は、本実施形態に係る各工程を経て図2ないし図4に示す素子基板10を成すべきものである。そして、支持基板10上に、タンタルからなる下電極14をパターン形成し、その上面14aに部分的にフォトレジスト等のマスク材40をパターン形成する。このマスク材40は、下電極14の上面14aにおいて図5の紙面垂直方向に延びるように形成される。これらの下電極14、及びマスク材40をパターン形成するに際しては、公知のフォトリソグラフィ技術を用いることができる。
【0033】
次いで、図5(b)に示すように、上記支持基板10上の下電極14を陽極酸化することにより下電極14表面に第1酸化膜181,181を形成する。本実施形態では下電極14がタンタルからなるものであるので、前記第1酸化膜181は酸化タンタルである。下電極14の上面14aにはマスク材40が形成されているので、第1酸化膜181は、マスク材40の形成領域以外の下電極14表面に形成される。この第1酸化膜181は、先の図4(c)に示す絶縁層18の第1領域181を成すものであり、TFD素子13の動作電圧範囲において上電極11a,19と下電極14の絶縁を確保し得る層厚に形成する。
【0034】
次に、図5(c)に示すように、マスク材40を除去した後、図5(d)に示すように、マスク材40が取り除かれて露出された下電極14の上面14aに、熱酸化あるいは陽極酸化により第2酸化膜182を形成する。この第2酸化膜182は、図4(c)に示す絶縁層18の第2領域182を成すものであり、図5(d)に示すように第2酸化膜182は、先の第1酸化膜181より薄く形成され、その層厚は作製するTFD素子の特性に応じて設定される。
続いて、図5(e)に示すように、第1酸化膜181及び第2酸化膜182上を一部覆うように、クロムからなる上電極19をパターン形成することにより、本実施形態のTFD素子132が得られる。図5(e)に示す断面構造は、図4(b)に示すD−D’線に沿う断面構造に対応しており、実際には、係る上電極19のパターン形成に際して、データ線11(及び上電極11a)も同時にパターン形成される。そして、図4(a)に示すように、第2の上電極19の一端側(下電極14と反対側)に一部乗り上げるようにITO等の透明導電材料からなる画素電極12を形成することで、図2に示す素子基板10を作製することができる。この上電極の形成に際しては、スパッタ法等の成膜法により金属膜を形成しておき、フォトリソグラフィ技術を用いてパターニングする方法を適用することができる。
【0035】
そして、上記本実施形態の製造方法による製造工程を経て得られた素子基板10を、図2に示すように、別途公知の製造方法により作製された対向基板20と、シール材30を介して貼り合わせ、シール材30と前記両基板10,20とに挟まれる空間に液晶を封止することで、先の実施形態の液晶装置が得られる。
【0036】
このように、本実施形態に係る製造方法によれば、下電極14の上面14aに、絶縁層18の他の領域より薄い層厚を有する第2領域182を形成するに際して、図5(a)に示すようにマスク材40を下電極14上に配置した状態で陽極酸化を行って第1領域の酸化膜181を形成するようになっているため、その後マスク材40を除去するのみで、上記第2領域182に対応する領域の下電極14上面を開口させることができる。従って、先の特許文献1に記載の技術に比してエッチング工程を減らすことが可能であり、そのためマスク材40の配置を正確に行うことができる。従って、本実施形態に係る製造方法を用いるならば、下電極14が微細化されたとしても、正確に下電極14の上面14aに絶縁層18の第2領域182を形成することが可能である。またこれにより、TFD素子13の有効素子面積に下電極14のテーパー部14bが含まれないようにできるので、前記有効素子面積の寸法精度が向上し、もって素子基板10面内におけるTFD素子13の素子特性のばらつきを効果的に抑えることができる。
なお、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
例えば、上記実施形態では二端子型非線形素子を備えた電気光学装置の製造方法について説明したが、これに限らず、本発明の技術思想はTFT等の三端子型スイッチング素子を備えた電気光学装置にも適用可能である。また、電気光学装置に対する本発明の適用範囲としては、液晶装置に限らず、EL(エレクトロルミネッセンス)装置、電気泳動装置、プラズマ発光や電子放出による蛍光等を用いた装置等としての形態も可能である。
【0037】
(電子機器)
図6は、本発明に係る電気光学装置を携帯電話機の表示部に適用した例を示す斜視構成図である。同図に示すように、携帯電話機1300は、本発明の電気光学装置を小サイズの表示部1301として備え、複数の操作ボタン1302、受話口1303、及び送話口1304を備えて構成されている。
上記実施の形態の液晶表示装置は、上記携帯電話に限らず、電子ブック、パーソナルコンピュータ、ディジタルスチルカメラ、液晶テレビ、ビューファインダ型あるいはモニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた機器等々の画像表示手段として好適に用いることができ、いずれの電子機器においても、高精細で明るい表示を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施形態に係る液晶装置の回路ブロック図。
【図2】図2は、同、液晶装置の外観を示す斜視構成図。
【図3】図3は、図2のC−C’線に沿う断面構成図。
【図4】図4(a)は、同、液晶装置の画素領域の平面図、図4(b)は、図4(a)に示すD−D’線に沿う断面構成図。
【図5】図5は、実施形態に係る製造方法の断面工程図。
【図6】図6は、本発明に係る電子機器の一例を示す斜視構成図。
【符号の説明】
10 素子基板(支持基板)、11 データ線、12 画素電極、13 TFD素子(二端子型非線形素子)、14 下電極(第1導電層)、18 絶縁層、181 第1領域(絶縁層)、182 第2領域(絶縁層)、11a 第1の上電極、19 第2の上電極、20 対向基板(他の基板)、40 マスク材
Claims (7)
- 電気光学物質層を支持する支持基板と、該支持基板上に形成され、第1導電層と、該第1導電層上に絶縁層を介して形成された第2導電層とを備えるスイッチング素子とを具備した電気光学装置の製造方法であって、
前記支持基板上に前記第1導電層をパターン形成する工程と、
前記第1導電層上面がマスク材により部分的にマスクされる状態で該第1導電層上に前記絶縁層の第1領域を形成する工程と、
前記マスク材を除去する工程と、
前記第1導電層の表面領域のうち前記絶縁層の第1領域が形成される領域とは異なる領域に、前記第1領域の絶縁層厚より薄い絶縁層厚を有する前記絶縁層の第2領域を形成する工程と、
を有することを特徴とする電気光学装置の製造方法。 - 前記絶縁層の第2領域は、前記第1導電層の表面領域のうち前記マスク材を除去して露出される領域に形成されることを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置の製造方法。
- 支持基板上に形成された第1導電層と、該第1導電層上に絶縁層を介して形成された第2導電層とを備えた二端子型非線形素子の製造方法であって、
前記支持基板上に第1導電層をパターン形成する工程と、
前記第1導電層上面をマスク材により部分的にマスクした状態で前記第1導電層を酸化して前記絶縁層の第1領域を形成する工程と、
前記マスク材を除去する工程と、
前記第1導電層の表面領域のうち前記絶縁層の第1領域が形成される領域とは異なる領域に、前記第1領域の絶縁層厚より薄い絶縁層厚を有する前記絶縁層の第2領域を形成する工程と、
を有することを特徴とする二端子型非線形素子の製造方法。 - 前記絶縁層の第2領域は、前記第1導電層の表面領域のうち前記マスク材を除去して露出される領域に形成されることを特徴とする請求項3に記載の二端子型非線形素子の製造方法。
- 電気光学物質層を挟んで他の基板と対向する支持基板上に、配線と、該配線に接続された二端子型非線形素子と、前記二端子型非線形素子に接続された画素電極とが形成された電気光学装置であって、
前記二端子型非線形素子が、支持基板上にパターン形成された下電極と、該下電極上に絶縁層を介して形成された上電極とを備え、
前記絶縁層が、前記下電極の上面において部分的に薄く形成された領域を有し、当該領域において前記絶縁層を介して対向配置された前記上電極と下電極とが、前記二端子型非線形素子の素子容量を形成していることを特徴とする電気光学装置。 - 前記領域は前記下電極の上面にのみ形成され、前記下電極の側壁部には形成されていないことを特徴とする請求項5に記載の電気光学装置。
- 請求項5又は6に記載の電気光学装置を備えたことを特徴とする電子機器。
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JP2003169440A JP2005004061A (ja) | 2003-06-13 | 2003-06-13 | 電気光学装置及び二端子型非線形素子の製造方法、電気光学装置、及び電子機器 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US8223084B2 (en) | 2007-09-06 | 2012-07-17 | Panasonic Corporation | Antenna element |
-
2003
- 2003-06-13 JP JP2003169440A patent/JP2005004061A/ja not_active Withdrawn
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