JP2005003757A - 厚さを制御した誘電体膜の製造方法、液晶素子及び液晶素子の製造方法 - Google Patents
厚さを制御した誘電体膜の製造方法、液晶素子及び液晶素子の製造方法 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】第1の透明基板と、第1の透明基板上に形成される第1の透明電極と、第1の透明電極上の少なくとも一部の領域に形成され、位置により厚さが連続的に異なる透明誘電体層と、透明誘電体層上を含む領域に形成される第1の配向膜と、第1の透明基板に対向配置される第2の透明基板と、第2の透明基板の、第1の透明基板に向き合う面上に形成される第2の透明電極と、第2の透明電極上方に形成される第2の配向膜と、第1の配向膜と第2の配向膜との間に挟持される液晶層とを有する液晶素子を製造する。
【選択図】 図6
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、厚さを制御した誘電体膜の製造方法に関する。また、液晶素子とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の液晶を用いた光制御については、以下の方法が知られている。
【0003】
たとえば液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display,LCD)では、パターニングされたITO等により多数の画素を形成し、各々の画素に電圧を印加し、画素部分の液晶層の配向を制御している。また、複数の電極で有効な液晶領域を分割し、分割領域ごとに印加電圧の制御を行って、通過する光の焦点距離を変化させる液晶素子(液晶レンズ素子)も提案されている。(たとえば、特許文献1参照。)
液晶素子のセル厚を制御する方法としては、感光性材料膜(光学的透過膜)を用いて、複数回成膜及びフォトリソグラフィを行う方法、グレイスケールフォトマスクを用いること等によって、基板上の感光性材料膜(光学的透過膜)を所望の厚さに制御する方法が知られている。また、基板が所定の凹凸形状に作製された液晶素子も提案されている。(たとえば、特許文献2参照。)
また、液晶素子を製造する方法としては、一方の基板に紫外線硬化性シール剤で所定のパターンを形成し、基板上に所定量の液晶を滴下し、もう一方の基板を重ね合わせた後、紫外線領域の光を照射して、シール剤を硬化させる製造方法(液晶滴下重ね法)等が知られている。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−81600号公報
【特許文献2】
特公平7−77031号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、複数の電極ごとに印加電圧を変化させ、液晶層の配向を制御することで、光制御を行う方法は、任意の2次元配向状態を得やすい反面、駆動回路が複雑となり、更に、多数の配線を必要とするために、製造が難しかった。また、パターンを構成する複数の電極間に存する液晶領域の制御も困難であった。電極分割に伴い、開口率が低下する等の問題が生じた。
【0006】
感光性材料膜(光学的透過膜)に複数回、成膜及びリソグラフィを行い、光学的透過膜を所望の膜厚に制御する方法は、工程が複雑となり、更に、感光性材料膜(光学的透過膜)に、なだらかな断面形状を形成することが難しかった。また、グレイスケールフォトマスクを用いて、基板上の感光性材料膜(光学的透過膜)の膜厚を制御する方法には、フォトマスクが非常に高価である等の問題があった。
【0007】
紫外線硬化性シール剤を用いる製造方法においては、紫外線硬化性シール剤が硬化前に液晶と接触した場合、特に、シール近傍の液晶の配向性や、抵抗値等の物性に、悪影響を与えるという問題があった。この問題は、熱硬化性シール剤を用いて製造する場合にも同様に生じた。
【0008】
図17は、液晶素子の面内中心を通る直線に沿った断面における相対リターデーション(実効液晶屈折率×液晶層厚)分布の一例を示すグラフである。横軸は、断面位置を、液晶素子の中心を0、直線断面の両端を±1として示し、縦軸は、相対リターデーションを、最大値が0、最小値が−1となるように示した。たとえば、図17に示したような相対リターデーションの分布曲線を、電圧を印加すること等により、形状類似のまま変化させることができれば、この液晶素子を、焦点距離を制御可能な光学素子(液晶レンズ素子)として用いることができる。
【0009】
この光学素子(液晶レンズ素子)を2枚の平行平板基板間に液晶を満たした液晶素子で実現するとすれば、通常、液晶層を挟む電極にパターンを形成し、各々のパターン部分を独立に電圧制御する方法が採用される。
【0010】
電極パターンを形成し、パターン部分ごとに液晶層の電圧制御を行う方法以外の方法も考えられる。たとえば、液晶層を挟む一対の基板の少なくとも一方の面上に厚さの変化する透明誘電体層を形成し、2枚の基板を対向配置することにより、厚さの変化する空間を形成する。この空間に液晶を充填することにより、図17に示すような相対リターデーションの分布を実現できる。
【0011】
図18は、図17に示した相対リターデーション分布を簡略化したグラフである。素子内の液晶層の厚さを透明誘電体で制御することにより、図18に示すような線形的な相対リターデーション分布が実現される液晶素子について考える。
【0012】
図19は、平行平板基板間の液晶層厚を、透明誘電体で制御した液晶素子の一例を示す概略的な断面図である。
【0013】
平行に配置された透明で平板なガラス基板61、62の一方(図においては、ガラス基板62)に、位置によって厚さの異なる透明誘電体層63が形成されている。透明誘電体層63の表面、及び、透明誘電体層63が形成されていない他方のガラス基板(図においては、ガラス基板61)に、それぞれ透明電極65、64が形成されている。2つの透明電極64、65上には、それぞれ配向膜70、71が形成されている。2つの配向膜70、71間に液晶層66が挟持される。透明電極64、65間には、電圧印加手段80により、任意の電圧を印加することができる。
【0014】
図19に示す液晶素子においては、透明誘電体層63の厚さを場所により変化させることにより、液晶層66の厚さに変化を与えている。なお、図19に示す液晶素子は、透明電極65が、透明誘電体層63の表面を覆うように形成され、液晶層66が、2つの透明電極64、65上の配向膜71、70間に挟持される構造を有する。
【0015】
透明電極が、透明誘電体層の表面を覆うように形成され、液晶層が、2つの透明電極上の配向膜間に挟持される構造の液晶素子において、図18に示すような線形的なリターデーション分布を実現するのに必要な液晶層の厚さ分布、及び、その厚さ分布を有する液晶層を含む液晶素子の透明電極間に印加する電圧を変化させた場合の、リターデーションの変化をシミュレートした。
【0016】
図20(A)及び(B)は、それぞれ、シミュレーションの結果得られた、液晶素子の断面位置と液晶層厚の関係、及び、液晶素子の断面位置とリターデーションとの関係を示すグラフである。両グラフとも、横軸は、液晶素子の断面位置を、液晶素子の一方の端部(基準点)からの距離で示す。単位は「μm」である。図20(A)の縦軸は、液晶層厚を、単位「μm」で示す。図20(B)の縦軸は、リターデーションを、単位「nm」で示す。
【0017】
なお、電圧の印加に当たっては、8つの分布形状が類似のリターデーション分布が得られるように、レベル1〜レベル8の8つの電圧を選択した。レベル8の印加電圧は0V(無印加)である。レベル1からレベル8に向かうにつれ、印加電圧は小さくなる。なお、電圧無印加時の液晶の配向は水平であるとし、液晶材料の誘電率異方性を正として計算した。
【0018】
図20(A)を参照する。図18に示すようなリターデーション分布と類似形状のリターデーション分布を実現するためには、液晶素子断面の両端(液晶素子の外周)における液晶層の厚さを0に近づける必要があることがわかる。なお、一般に、透明電極が、透明誘電体層の表面を覆うように形成され、液晶層が、2つの透明電極上の配向膜間に挟持される構造を有する液晶素子では、電圧印加によるリターデーション制御が不要な領域については、液晶層厚を0に近い値にする必要がある。これは電極が一括であるため、リターデーションを制御したくない部分に液晶層があると、リターデーションが変化してしまうためである。
【0019】
図20(B)を参照する。図20(A)に示す液晶層厚分布を有する液晶素子に印加した(無印加も含む。)レベル1〜レベル8のすべての電圧において、図18に示すようなリターデーション分布と類似の分布形状が得られることがわかる。
【0020】
図20(A)及び(B)からわかるように、図18に示すリターデーション分布と類似形状のリターデーション分布を得るためには、液晶層の外周に沿う部分の厚さを0に近づけなければならない。このため、2つの電極間でショートが生じる可能性がある。また、液晶層厚が0に近い領域が液晶層の外周に存在すると、液晶素子製造に当たって、最も用いられる液晶注入法である「真空注入法」を使用することが困難になるという問題も発生する。
【0021】
なお、図19に示す液晶素子においては、ガラス基板62上に、位置によって連続的に厚さの変化する透明誘電体層63が積層されている。このような、位置によって、連続的に厚さの変化する透明誘電体層63は、光の透過率が0%または100%である2値フォトマスクで密着露光を行い、1回だけの露光で形成することは非常に困難である。1回の露光では、位置によって、厚さが2つの値のみをとる透明誘電体層が形成される。
【0022】
本発明の目的は、マスク上の位置により単位面積当たりの開口率の異なる2値フォトマスクを用い、膜厚を制御することのできる誘電体膜の製造方法を提供することである。
【0023】
また、本発明の他の目的は、液晶層の厚さが0に近い部分を有さず、かつ、1対の電極のみで、リターデーションを効果的に制御することのできる液晶素子、及び、その効率的な製造方法を提供することである。
【0024】
更に、本発明の他の目的は、高品質の液晶素子を製造する方法、及び、その方法で作製した液晶素子を提供することである。
【0025】
【課題を解決するための手段】
本発明の一観点によれば、感光性誘電体膜の形成された基板を準備する工程と、複数の開口を有する2値フォトマスクであって、該2値フォトマスク上の位置によって単位面積当たりの開口率が異なっている2値フォトマスクを、前記感光性誘電体膜から離して配置する工程と、前記2値フォトマスクの複数の開口を通して、複数の開口からの光が重なって到達するように前記感光性誘電体膜を露光する工程と、前記露光された感光性誘電体膜を現像し、位置により厚さが連続的に変化する誘電体膜を得る工程とを有する厚さを制御した誘電体膜の製造方法が提供される。
【0026】
この厚さを制御した誘電体膜の製造方法によれば、安価な2値フォトマスクを用いて1回露光を行うことにより、任意の厚さ分布を有する透明誘電体膜を形成することが可能となる。
【0027】
また、本発明の他の観点によれば、第1の透明基板と、前記第1の透明基板上に形成される第1の透明電極と、前記第1の透明電極上の少なくとも一部の領域に形成され、位置により厚さが連続的に異なる透明誘電体層と、前記透明誘電体層上を含む領域に形成される第1の配向膜と、前記第1の透明基板に対向配置される第2の透明基板と、前記第2の透明基板の、前記第1の透明基板に向き合う面上に形成される第2の透明電極と、前記第2の透明電極上方に形成される第2の配向膜と、前記第1の配向膜と前記第2の配向膜との間に挟持される液晶層とを有する液晶素子が提供される。
【0028】
また、本発明の他の観点によれば、第1の透明基板と、前記第1の透明基板上に形成される第1の透明電極と、前記第1の透明電極上の少なくとも一部の領域に形成され、位置により厚さが連続的に異なる第1の透明誘電体層と、前記第1の透明誘電体層上を含む領域に形成される第1の配向膜と、前記第1の透明基板に対向配置される第2の透明基板と、前記第2の透明基板の、前記第1の透明基板に向き合う面上の少なくとも一部の領域に形成され、位置により厚さの異なる第2の透明誘電体層と、前記第2の透明誘電体層上を含む領域に形成される第2の透明電極と、前記第2の透明電極上に形成される第2の配向膜と、前記第1の配向膜と前記第2の配向膜との間に挟持される液晶層とを有する液晶素子が提供される。
【0029】
これらの液晶素子は、透明電極上に透明誘電体層が形成される構造を有する。一対の透明電極で、リターデーションを効果的に制御することが可能である。また、液晶層の厚さが0に近い部分をもたないため、液晶素子の電極間でショートは生じず、これらの液晶素子を製造する際には、液晶層を真空注入法で形成することができる。更に、液晶滴下重ね法を用いて、これらの液晶素子を高品質に製造することも可能である。
【0030】
更に、本発明の他の観点によれば、(A)第1の透明基板を準備し、前記第1の透明基板上に、第1の透明電極を形成する工程と、(B)前記第1の透明電極上の少なくとも一部に、位置により厚さが連続的に異なる透明誘電体層を形成する工程と、(C)前記透明誘電体層上を含む領域に、第1の配向膜を形成する工程と、(D)第2の透明基板を準備し、前記第2の透明基板上に、第2の透明電極を形成する工程と、(E)前記第2の透明電極上方に第2の配向膜を形成する工程と、(F)前記第1の透明基板と前記第2の透明基板とを、前記第1の配向膜と前記第2の配向膜とが向き合うように対向配置し、前記第1の配向膜と前記第2の配向膜との間に液晶層を形成する工程とを有する液晶素子の製造方法が提供される。
【0031】
更に、本発明の他の観点によれば、(K)第1の透明基板を準備し、前記第1の透明基板上に、第1の透明電極を形成する工程と、(L)前記第1の透明電極上の少なくとも一部に、位置により厚さが連続的に異なる第1の透明誘電体層を形成する工程と、(M)前記第1の透明誘電体層上を含む領域に、第1の配向膜を形成する工程と、(N)第2の透明基板を準備し、前記第2の透明基板上の少なくとも一部に、位置によって厚さが連続的に異なる第2の透明誘電体層を形成する工程と、(P)前記第2の透明誘電体層上を含む領域に、第2の透明電極を形成する工程と、(Q)前記第2の透明電極上に第2の配向膜を形成する工程と、(R)前記第1の透明基板と前記第2の透明基板とを、前記第1の配向膜と前記第2の配向膜とが向き合うように対向配置し、前記第1の配向膜と前記第2の配向膜との間に液晶層を形成する工程とを有する液晶素子の製造方法が提供される。
【0032】
これらの液晶素子の製造方法によれば、1対の電極のみで効果的にリターデーションを制御することのできる液晶素子を製造することが可能である。また、2値フォトマスクを用いて1回露光を行うことにより、任意の厚さ分布を有する透明誘電体層を形成することができるので、液晶素子を効率的に製造することが可能である。更に、液晶層を形成する際には、真空注入法を用いることができる。また、液晶滴下重ね法を用いて、高品質の液晶素子を製造することも可能である。
【0033】
【発明の実施の形態】
図1〜図5を用いて、第1の実施例について説明する。第1の実施例は、複数の開口部を有し、光の透過率が0%または100%である2値フォトマスクを用いて、厚さを制御した誘電体膜を得る方法に関する。
【0034】
まず、本願発明者らが行った予備実験について記述する。本願発明者らは、基板上に形成された感光性誘電体膜に、2値フォトマスクの開口部を通した光を照射する実験を行った。
【0035】
基板としては、透明電極付きの透明で平板なガラス基板を用いた。この基板の透明電極上に、透明な誘電体膜となる感光性レジスト、ここではNN777(JSR製)を、スピンコートで塗布した。この感光性レジストは、強い紫外線を照射した部分が残膜する紫外線硬化性のネガ型レジストであり、ある露光量までは露光の積算強度に比例して残膜の膜厚が厚くなる性質を有する。
【0036】
この感光性レジストを塗布した基板と、紫外線に対する透過率が0%または100%の2値フォトマスクとを、密着させず、間隔を置いて配置し、紫外線を、2値フォトマスクを通して、感光性レジストを塗布した基板に露光した。
【0037】
図1は、第1の予備実験に使用した、ドット状開口部を有する2値フォトマスクの開口パターンを示す概略的な平面図である。開口パターンは、4つの合同な正方形状の開口部を1単位として構成される。4つの正方形状の開口部は、各々の開口部の中心が、1つの菱形の4頂点に位置するように、形成されている。菱形の2本の対角線の長さは、それぞれ0.1925mm、0.1665mmと定めた。したがって、隣り合う2つの正方形状の開口部については、それらの中心は、菱形の長い方の対角線と平行な方向に0.09625mm、短い方の対角線と平行な方向に0.08325mmだけ離れていることになる。なお、4つの正方形状の開口部はすべて、平行な一組の辺が、菱形の対角線の1つと平行になるように形成されている。
【0038】
第1の予備実験では、図1に示すような開口パターンを有する2値フォトマスクを通して、紫外線を、ネガ型感光性レジストを塗布した基板に露光した。その際、正方形状の開口部の大きさを変えることにより、マスクの単位面積当たりの開口率を、マスク上の位置により変化させて、ネガ型感光性レジスト膜の厚さを測定した。更に、紫外線の露光時間を変えて、ネガ型感光性レジスト膜の厚さを測定した。
【0039】
図2は、開口ドット角と感光性レジスト膜の膜厚との関係を示すグラフである。横軸は、ドット角を単位「μm」で表し、縦軸は、レジスト膜厚を単位「μm」で表す。白四角間を点線で繋いだ曲線は露光時間が10sec、白丸間を一点鎖線で繋いだ曲線は露光時間が43secの場合の両者の関係である。開口部のドット角とは、開口パターンを構成する正方形状の開口部における、正方形の対角線の長さを意味する。
【0040】
測定に当たっては、厚さが5.5μmの感光性レジスト膜を形成した基板に、紫外線を照射した。また、図1に示す開口パターンが、連続して2次元平面内に現れるように、図1の開口パターンを有するマスクを配置し、それらを通して紫外線を露光した。露光後、基板をアルカリ性溶液に一定時間浸した後、乾燥させ、触針式段差計を用いて、感光性レジスト膜の膜厚を測定した。グラフに表したのは、測定した膜厚の、単位面積当たりの平均である。
【0041】
2つのグラフは、ともに、ドット角が大きくなるにつれ、すなわちマスクの開口率が増大し、感光性レジスト膜への紫外線の露光量が多くなるにつれ、レジスト膜厚も増加することを示している。また、2つのグラフの比較から、露光時間が長い方がレジスト膜厚が厚くなることがわかる。したがって、開口部がドット状に形成されている2値フォトマスクの開口率または露光時間を制御することによって、感光性レジストの膜厚(誘電体膜の厚さ)を制御することが可能である。一般に、感光性レジスト膜に露光する紫外線の露光量を制御することによって、感光性レジストの膜厚(誘電体膜の厚さ)を制御することが可能である。
【0042】
図3は、第2の予備実験に使用した、スリット状開口部を有する2値フォトマスクの開口パターンを示す概略的な平面図である。マスクには、開口幅15μmのスリットが、平行に、一定間隔で設けられている。
【0043】
第2の予備実験では、図3に示すような開口パターンを有する2値フォトマスクを通して、紫外線を、感光性レジストを塗布した基板に露光し、隣り合う2つのスリット間の間隔(マスク幅)を変えることにより、マスクの開口率を変化させ、更に、紫外線の露光時間を変化させて、感光性レジスト膜の厚さを測定した。
【0044】
図4は、マスク幅と感光性レジスト膜の膜厚との関係を示すグラフである。横軸は、マスク幅を単位「μm」で表し、縦軸は、レジスト膜厚を単位「μm」で表す。白四角間を一点鎖線で繋いだ曲線は露光時間が10sec、白丸間を実線で繋いだ曲線は露光時間が43secの場合の両者の関係である。
【0045】
第2の予備実験においても、第1の予備実験と同じく、厚さ5.5μmの感光性レジスト膜を形成した基板に、紫外線を露光した。また、露光後も、第1の予備実験と同様の基板処理、膜厚測定を行った。
【0046】
2つのグラフは、ともに、マスク幅が大きくなるにつれ、すなわちマスクの開口率が減少し、感光性レジスト膜への紫外線の露光量が少なくなるにつれ、レジスト膜厚も減少することを示している。また、2つのグラフの比較から、露光時間が長い方がレジスト膜厚が厚くなることがわかる。したがって、スリット状の開口を有する2値フォトマスクの開口率または露光時間を制御することによっても、感光性レジストの膜厚(誘電体膜の厚さ)を制御することが可能である。前述したように、一般に、感光性レジスト膜に露光する紫外線の露光量を制御することによって、感光性レジストの膜厚(誘電体膜の厚さ)を制御することが可能である。
【0047】
2つの予備実験の結果から、単位面積当たりの開口率がマスク上で異なる2値フォトマスクを準備し、その2値フォトマスクの開口部を通して、紫外線硬化性の感光性レジスト膜(誘電体膜)に紫外線を1回露光することにより、感光性レジスト膜(誘電体膜)を3種類以上の厚さに制御することが可能となることがわかる。この制御は、前述した通り、通常の2値フォトマスク密着露光法による1回露光では非常に困難であった。
【0048】
一般に、ある波長の光に対する透過率が0%または100%の2値フォトマスクであって、その2値フォトマスク上の位置によって単位面積当たりの開口率が異なっている2値フォトマスクを通して、当該波長の光を光硬化性の誘電体膜に1回以上露光することにより、任意の厚さの誘電体膜を得ることができる。
【0049】
なお、予備実験の結果、通常の密着露光法に必要な露光量の2倍〜数十倍の露光量の範囲で、誘電体膜の厚さ制御が可能であることがわかった。また、誘電体膜と2値フォトマスクとの間隔を、0.5mm〜数十mmの範囲で変化させることによっても、誘電体膜の厚さを制御できることがわかった。
【0050】
図5(A)〜(C)は、第1の実施例による厚さを制御した誘電体膜の製造方法を説明するための概略的な図である。
【0051】
図5(A)を参照する。まず、たとえば、紫外線硬化性のネガ型感光性レジストで形成された感光性の誘電体膜11が積層された基板10を準備する。予備実験の説明に記したように、たとえばネガ型感光性レジストを、スピンコート等で基板10に塗布することによって、誘電体膜11を形成する。
【0052】
図5(B)を参照する。次に、複数の開口12aを有し、マスク上の位置によって単位面積当たりの開口率が異なっている2値フォトマスク12を、誘電体膜11から、たとえば10mm離して配置する。
【0053】
図5(C)を参照する。2値フォトマスク12の複数の開口12aを通して、複数の開口12aからの光が重なって到達するように紫外線を誘電体膜11に露光する。この後、誘電体膜11が形成された基板10をアルカリ性溶液に浸すなどの現像処理を行うと、誘電体膜11のうち、2値フォトマスク12の開口率の大きい部分を透過した紫外線が露光された領域は、膜が厚く残り、開口率の小さい部分を透過した紫外線が露光された領域は、薄い膜が残る。また、紫外線が全く露光されない領域には、誘電体膜は残らず、基板10の表面が露出する。このようにして、誘電体膜の厚さを制御し、位置によって厚さの異なる誘電体膜を形成することができる。更に、この厚さを制御した誘電体膜の製造方法によれば、位置によって、厚さを連続的に(なだらかに)変化させた誘電体膜を製造することができる。なお、第1の実施例による厚さを制御した誘電体膜の製造方法は、安価な2値フォトマスクを用いて行うことができる。
【0054】
図6〜図9を用いて、第2の実施例について説明する。第2の実施例においては、[発明が解決しようとする課題]でも触れたような、焦点距離が制御可能な光学素子(液晶レンズ素子)として用いることができる液晶素子を例として説明する。素子内の液晶層の厚さを透明誘電体で制御することにより、図18に示すような線形的な相対リターデーション分布が実現される液晶素子について、更なる説明を加える。
【0055】
図6は、第2の実施例による液晶素子の概略的な断面図である。液晶素子は、一対の、電極を備えた基板67、68及び両基板67、68間に挟持される液晶層66を含んで構成される。基板67は、透明で平板なガラス基板61、ガラス基板61上に形成される透明電極64、及び、透明電極64上方に形成される配向膜71とを含んで構成される。基板68は、透明で平板なガラス基板62、ガラス基板62上に形成される透明電極65、透明電極65上に形成される透明誘電体層63、及び、透明誘電体層63上に形成される配向膜70とを含んで構成される。透明誘電体層63は、位置によって連続的に厚さが異なる誘電体層である。
【0056】
一対の基板67、68は、一対のガラス基板61、62の延在方向が略平行であり、配向膜71、70が向き合うように対向配置され、両基板67、68の間(配向膜70と配向膜71との間)には、液晶層66が挟持される。透明電極64、65間には、電圧印加手段80が接続されている。電圧印加手段80により、2つの透明電極64、65間に、任意の電圧を印加することができる。
【0057】
図6に示す液晶素子は、図19に示す液晶素子と同様に、透明誘電体層63の厚さを場所により変化させることにより、液晶層66の厚さに変化を与えている。図19に示す液晶素子と異なるのは、透明電極65上に透明誘電体層63が形成され、液晶層66が、透明誘電体層63上の配向膜70と透明電極64上の配向膜71との間に挟持される構造を有している点である。
【0058】
なお、図6に示す液晶素子においては、透明電極65上の全面に透明誘電体層63が形成されているが、透明誘電体層63は、透明電極65上の一部の領域に形成してもよい。その場合、配向膜70は、透明誘電体層63の表面上、及び、透明誘電体層63の形成されていない透明電極65上に形成される。
【0059】
図6に示すように、一方の透明電極上に透明誘電体層が形成され、液晶層が、透明誘電体層上の配向膜と他方の透明電極上の配向膜間に挟持される構造の液晶素子において、図18に示すような線形的なリターデーション分布を実現するのに必要な液晶層の厚さ分布、及び、その厚さ分布を有する液晶層を含む液晶素子の透明電極間に印加する電圧を変化させた場合の、リターデーションの変化をシミュレートした。
【0060】
図7(A)及び(B)は、それぞれ、シミュレーションの結果得られた、液晶素子の断面位置と液晶層厚の関係、及び、液晶素子の断面位置とリターデーションとの関係を示すグラフである。両グラフとも、横軸は、液晶素子の断面位置を、液晶素子の一方の端部(基準点)からの距離で示す。単位は「μm」である。図7(A)の縦軸は、液晶層厚を、単位「μm」で示す。図7(B)の縦軸は、リターデーションを、単位「nm」で示す。
【0061】
なお、電圧の印加に当たっては、8つの分布形状が類似のリターデーション分布が得られるように、レベル1〜レベル8の8つの電圧を選択した。レベル8の印加電圧は0V(無印加)である。レベル1からレベル8に向かうにつれ、印加電圧は小さくなる。なお、図20(A)及び(B)に結果を示したシミュレーションの場合とは異なり、電圧無印加時の液晶の配向は垂直であるとし、液晶材料の誘電率異方性を負として計算した。
【0062】
図7(A)を参照する。図18に示すようなリターデーション分布と類似形状のリターデーション分布を実現するために、液晶層に厚さが0に近い部分を形成する必要はない。図から、印加電圧によるリターデーションの変化が最小である液晶層の断面における両端(液晶層の外周)においてさえも、ある程度の液晶層厚を確保できることがわかる。2つの電極間でショートは生じず、また、液晶素子製造に当たっては、「真空注入法」を使用することができる。これは、液晶層に加えられる電圧が、液晶層と透明誘電体層との分圧関係で決定され、また、液晶層の実効屈折率は、ある一定の電圧以上の電圧を加えなければ変化しないことに基づく。
【0063】
図7(B)を参照する。液晶素子のうち、印加電圧によってリターデーションが大きく変化する領域においては、リターデーション分布は、比較的類似の分布形状を保って変化している。しかし、液晶層厚の薄い、液晶層中央付近については、リターデーションが、透明電極間に印加する電圧によって、ほとんど制御できないことがわかる。
【0064】
なお、一方の透明電極上に透明誘電体層が形成され、液晶層が、透明誘電体層上の配向膜と透明電極上の配向膜間に挟持される構造の液晶素子においては、液晶の誘電率異方性が正の場合、透明電極間に印加する電圧を変化させることによって、リターデーション分布を、類似の分布形状を保ったまま変化させることは、シミュレーションによって不可能であることを確認した。
【0065】
図8は、図6に断面を示した液晶素子の変形例である。図8に示す液晶素子も、透明誘電体層63の厚さを場所により連続的に変化させることにより、液晶層66の厚さに変化を与えている。一方、図8に示す液晶素子は、図6の液晶素子と異なり、透明電極が透明誘電体層の上面に形成されている下基板(基板68)と、下面に形成されている上基板(基板67)とを併せもつ構造を有する。また、図6に示す液晶素子は、一方の基板側に誘電体層が形成されているが、図8に示す液晶素子は、両方の基板側に誘電体層が形成されている。
【0066】
図8に示す液晶素子も、一対の、電極を備えた基板67、68及び両基板67、68間に挟持される液晶層66を含んで構成される。図8に示す液晶素子においては、基板67は、透明で平板なガラス基板61、ガラス基板61上に形成される透明電極64、透明電極64上の一部に形成される、位置によって連続的に厚さの異なる透明誘電体層63、及び、透明誘電体層63表面上と透明誘電体層63の形成されていない透明電極64上とに形成される配向膜71とから構成される。一方、基板68は、透明で平板なガラス基板62、ガラス基板62上の一部に形成される、位置によって連続的に厚さの異なる透明誘電体層63、透明誘電体層63表面上と、透明誘電体層63が形成されているガラス基板62の片面上であって、ガラス基板62が露出している部分とに形成される透明電極65、及び、透明電極65上に形成される配向膜70とから構成される。
【0067】
一対の基板67、68は、一対のガラス基板61、62の延在方向が略平行であり、配向膜71、70が向き合うように対向配置され、両基板67、68の間(配向膜70と配向膜71との間)には、液晶層66が挟持される。透明電極64、65間には、電圧印加手段80が接続されている。電圧印加手段80により、2つの透明電極64、65間に、任意の電圧を印加することができる。
【0068】
なお、図8に示す液晶素子においては、透明電極64上の一部の領域に透明誘電体層63が形成されているが、透明誘電体層63は、透明電極64上の全面に形成してもよい。その場合、配向膜71は、透明誘電体層63の表面上に形成される。また、図示の液晶素子においては、ガラス基板62上の一部の領域に透明誘電体層63が形成されているが、透明誘電体層63は、ガラス基板62上の全面に形成してもよい。その場合、透明電極65は、透明誘電体層63の表面上に形成される。
【0069】
図8に示すように、透明電極が透明誘電体層の上面に形成されている下基板(基板68)と、下面に形成されている上基板(基板67)とを併せもつ構造を有する液晶素子において、図18に示すような線形的なリターデーション分布を実現するのに必要な液晶層の厚さ分布、及び、その厚さ分布を有する液晶層を含む液晶素子の透明電極間に印加する電圧を変化させた場合の、リターデーションの変化をシミュレートした。
【0070】
図9(A)及び(B)は、それぞれ、シミュレーションの結果得られた、液晶素子の断面位置と液晶層厚の関係、及び、液晶素子の断面位置とリターデーションとの関係を示すグラフである。図9(A)及び(B)に示すグラフの両軸は、それぞれ図7(A)及び(B)のグラフの両軸と、意味するところが等しい。また、図9(B)に現れる、レベル1〜レベル8の8つの選択電圧の意味するところは、図7(B)のそれらと等しい。更に、電圧無印加時の液晶の配向は垂直であるとし、液晶材料の誘電率異方性を負として計算した。
【0071】
図9(A)を参照する。図8に示すような構造の液晶素子は、図6に示すような構造を有する液晶素子と同様に、図18に示すようなリターデーション分布と類似形状のリターデーション分布を実現するために、液晶層に厚さが0に近い部分を形成する必要がないことがわかる。液晶層の断面における両端(液晶層の外周)においても、ある程度の液晶層厚を確保することができる。図8に示すような構造の液晶素子においても、2つの電極間でショートは生じず、また、液晶素子製造に当たっては、「真空注入法」を使用することができる。
【0072】
図9(B)を参照する。レベル1〜レベル8のすべての電圧において、図18に示すようなリターデーション分布と類似形状の分布が得られている。液晶層厚の薄い、液晶層の中央付近についても、透明電極間に印加する電圧によって、リターデーションの制御が可能であることがわかる。
【0073】
なお、図6または図8に示す液晶素子においては、必ずしも配向膜70または配向膜71を形成しなくともよい。
【0074】
第2の実施例においては、液晶レンズ素子として用いられる液晶素子を例にとって考察した。少なくとも一方の基板の透明電極上に、位置によって厚さが連続的に異なる誘電体層を形成することによって、2つの電極間に電圧を印加する際、液晶の応答電圧が所定の分布を示すように制御し、種々の機能を有する液晶素子を実現することができる。
【0075】
第2の実施例による液晶素子は、電極を1対だけ含んで構成されるので、[発明の解決しようとする課題]で述べたような、複数対の電極を有する液晶素子のもつ問題点を回避することができる。
【0076】
図10〜図14を用いて、第3の実施例について説明する。第3の実施例は、第1の実施例で説明した厚さを制御した誘電体膜の製造方法を利用し、素子面内で液晶層厚が連続的に分布するような構造を有する液晶素子を製造する方法に関する。
【0077】
図10(A)及び(B)は、第3の実施例による液晶素子の製造方法を説明するための概略図である。まず、図6に示したような構造を有する液晶素子の製造方法について説明する。
【0078】
図10(A)を参照する。まず、透明電極65の付いた透明で平板なガラス基板62を準備し、透明電極65上に、透明誘電体層63を形成する。透明電極65は、たとえばITOをスパッタリングすることにより、ガラス基板62上に形成される。透明誘電体層63は、たとえば、厚さが5μmであり、ネガ型感光性レジストで形成される。ネガ型感光性レジストを、スピンコート等で透明電極65上に塗布することによって、透明誘電体層63を形成する。
【0079】
図10(B)を参照する。次に、複数の開口12aを有し、マスク上の位置によって単位面積当たりの開口率が異なっている2値フォトマスク12を、透明誘電体層63から、たとえば10mm離して配置する。
【0080】
続けて、フォトリソグラフィで、透明誘電体層63を所定の厚さに制御する。2値フォトマスク12の複数の開口12aを通して、複数の開口12aからの光が重なって到達するように、紫外線を透明誘電体層63に1回露光する。露光時間は、たとえば10secである。露光後、透明電極65上に透明誘電体層63が形成されたガラス基板62を、アルカリ性溶液に一定時間浸す等して現像する。透明誘電体層63のうち、2値フォトマスク12の開口率の大きい部分を透過した紫外線が露光された領域は、層が厚く残り、開口率の小さい部分を透過した紫外線が露光された領域は、薄い層が残る。また、紫外線が、層が残る閾値以下の露光量しか露光されない領域が存在する場合、その領域には透明誘電体層は形成されず、透明電極65の表面が露出する。この結果、透明電極65上には、位置により連続的に厚さの異なる透明誘電体層63が形成される。
【0081】
図11(A)は、紫外線を露光し、厚さ制御を行って作製した透明誘電体層63の一例を示す概略的な斜視図である。図中の実線は等高線であり、隣り合う実線は0.4μm高さが異なる。第3の実施例においては、2値フォトマスク12上の位置による開口率を制御し、透明誘電体層63を、同一厚さ部分が略同心円状に分布するように形成した。ただし、後の、液晶を真空注入する工程において必要となる液晶注入口を設けるため、一部領域の層厚を薄くした。
【0082】
図11(B)は、図11(A)の11B−11B線に沿った断面図である。ほぼ同一厚さの透明誘電体層が分布する同心円の中心を通る断面を示した。横軸は、透明誘電体層63の断面位置を、基準点からの距離で示す。単位は「μm」である。縦軸は、透明誘電体層63の厚さを、単位「μm」で示す。図11(B)から、透明誘電体層63の厚さは、透明誘電体層63内の位置によって異なり、その厚さは連続的に(なだらかに)変化するように、制御されているのがわかる。
【0083】
図12(A)〜(C)は、第3の実施例による液晶素子の製造方法を説明するための概略図である。
【0084】
図12(A)を参照する。透明電極65上に、図11(A)及び(B)に示すような層厚分布を有する透明誘電体層63(位置によって厚さが連続的に異なる透明誘電体層63)を形成した後、透明誘電体層63の表面上に配向膜70を形成し、ラビング処理を施す。
【0085】
図12(B)を参照する。図10(A)〜(C)、及び図12(A)を用いて説明した工程とは別に、透明電極64の付いた透明で平板なガラス板61を準備し、透明電極64上に配向膜71を形成した後、ラビング処理を施す。なお、透明電極64は、上述のように、たとえばITOをスパッタリングすることにより、ガラス基板61上に形成される。
【0086】
図12(C)を参照する。ガラス基板62とガラス基板61とを、配向膜70と配向膜71とが向き合うように対向配置し、真空注入法により両配向膜間に、たとえば誘電率異方性が正の液晶を注入する。また、透明電極64、65間に、任意の電圧を印加することのできる電圧印加手段80を接続する。このようにして、液晶層66を有する液晶素子が作製される。
【0087】
なお、配向膜70または配向膜71を形成せず、液晶層66を、透明誘電体層63または透明電極64に隣接して形成してもよい。
【0088】
更に、上記の液晶素子の製造方法においては、透明電極65上の全面に透明誘電体層63を形成したが、透明誘電体層63は、透明電極65上の一部の領域に形成してもよい。その場合、配向膜70は、透明誘電体層63の表面上、及び、透明誘電体層63の形成されていない透明電極65上に形成される。
【0089】
図13は、上述のような工程を経て作製された液晶素子の偏光顕微鏡写真のスケッチである。この液晶素子の電圧無印加時のリターデーション分布は、図11(A)に示した透明誘電体層63の層厚分布と相関していることがわかる。
【0090】
図14(A)〜(G)は、第3の実施例による液晶素子の製造方法を説明するための概略図である。次に、図8に示すような構造を有する液晶素子の製造方法について説明する。
【0091】
図14(A)を参照する。透明電極64の付いた透明で平板なガラス基板61を準備し、透明電極64上に、透明誘電体層63を形成する。透明電極64は、たとえばITOをスパッタリングすることにより、ガラス基板61上に形成される。透明誘電体層63は、たとえば、厚さが5μmであり、ネガ型感光性レジストで形成される。ネガ型感光性レジストを、スピンコート等で透明電極64上に塗布することによって、透明誘電体層63を形成する。
【0092】
図14(B)を参照する。次に、複数の開口12aを有し、マスク上の位置によって単位面積当たりの開口率が異なっている2値フォトマスク12を、透明誘電体層63から、たとえば10mm離して配置する。
【0093】
続けて、フォトリソグラフィで、透明誘電体層63を所定の厚さに制御する。2値フォトマスク12の複数の開口12aを通して、複数の開口12aからの光が重なって到達するように、紫外線を透明誘電体層63に1回露光する。露光時間は、たとえば10secである。露光後、透明電極64上に透明誘電体層63が形成されたガラス基板62を、アルカリ性溶液に一定時間浸す等して現像する。透明誘電体層63のうち、2値フォトマスク12の開口率の大きい部分を透過した紫外線が露光された領域は、層が厚く残り、開口率の小さい部分を透過した紫外線が露光された領域は、薄い層が残る。また、紫外線が、層が残る閾値以下の露光量しか露光されない領域には、透明誘電体層63は形成されず、透明電極64の表面の一部が露出される。この結果、透明電極64上の一部には、位置により連続的に厚さの異なる透明誘電体層63が形成される。
【0094】
図14(C)を参照する。透明電極64上に所定の厚さ分布を有する透明誘電体層63を形成した後、透明誘電体層63の表面上、及び、透明電極64上に配向膜71を形成し、ラビング処理を施す。
【0095】
続いて、図14(A)〜(C)を用いて説明した工程とは別に、図14(D)〜(F)の工程を行う。
【0096】
図14(D)を参照する。透明で平板なガラス基板62を準備し、ガラス基板62上に、透明誘電体層63を形成する。透明誘電体層63は、たとえば、厚さが5μmであり、ネガ型感光性レジストで形成される。ネガ型感光性レジストを、スピンコート等でガラス基板62上に塗布することによって、透明誘電体層63を形成する。
【0097】
図14(E)を参照する。次に、複数の開口12aを有し、マスク上の位置によって単位面積当たりの開口率が異なっている2値フォトマスク12を、透明誘電体層63から、たとえば10mm離して配置する。なお、図14(E)に示す工程で使用する2値フォトマスク12は、図14(B)に示す工程で使用した2値フォトマスク12とは、マスク上の開口率分布が異なる。
【0098】
続けて、フォトリソグラフィで、透明誘電体層63を所定の厚さに制御する。2値フォトマスク12の複数の開口12aを通して、複数の開口12aからの光が重なって到達するように、紫外線を透明誘電体層63に1回露光する。露光時間は、たとえば10secである。露光後、透明誘電体層63が形成されたガラス基板62を、アルカリ性溶液に一定時間浸す等して現像する。透明誘電体層63のうち、2値フォトマスク12の開口率の大きい部分を透過した紫外線が露光された領域は、層が厚く残り、開口率の小さい部分を透過した紫外線が露光された領域は、薄い層が残る。また、紫外線が、層が残る閾値以下の露光量しか露光されない領域には、透明誘電体層63は形成されず、ガラス基板62の表面の一部が露出する。この結果、ガラス基板62上の一部には、位置により連続的に厚さの異なる透明誘電体層63が形成される。
【0099】
図14(F)を参照する。ガラス基板62上の一部に所定の厚さ分布を有する透明誘電体層63を形成した後、透明誘電体層63の表面上、及び、透明誘電体層63が形成されているガラス基板62の片面上であって、ガラス基板62表面が露出している部分に透明電極65を形成する。また、透明電極65上に配向膜70を形成し、ラビング処理を施す。
【0100】
図14(G)を参照する。透明電極64、透明誘電体層63、及び、配向膜71の形成されたガラス基板61と、透明誘電体層63、透明電極65、及び、配向膜70の形成されたガラス基板62とを、配向膜71と配向膜70とが向き合うように対向配置し、真空注入法により両配向膜間に、たとえば誘電率異方性が正の液晶を注入する。また、透明電極64、65間に、任意の電圧を印加することのできる電圧印加手段80を接続する。このようにして、液晶層66を有する液晶素子が作製される。
【0101】
なお、配向膜70または配向膜71を形成せず、液晶層66を、透明誘電体層63または透明電極65に隣接して形成してもよい。
【0102】
また、上記の液晶素子の製造方法においては、透明電極64上の一部の領域に透明誘電体層63を形成したが、透明誘電体層63は、透明電極64上の全面に形成してもよい。その場合、配向膜71は、透明誘電体層63の表面上に形成される。
【0103】
更に、ガラス基板62上の一部の領域に透明誘電体層63を形成したが、透明誘電体層63は、ガラス基板62上の全面に形成してもよい。その場合、透明電極65は、透明誘電体層63の表面上に形成される。
【0104】
第3の実施例による液晶素子の製造方法においては、安価な2値フォトマスク12を用い、1回のリソグラフィ工程で、位置によって厚さが連続的に異なる透明誘電体層63を形成することができる。したがって、効率的に、液晶素子を形成することができる。
【0105】
第3の実施例による液晶素子の製造方法においては、液晶を、真空注入法により注入して、液晶層66を形成した。一方の基板に、たとえば紫外線硬化性シール剤でパターンを形成し、基板上に所定量の液晶を滴下し、もう一方の基板を重ね合わせた後、紫外線を照射してシール剤を硬化し、両基板側を接着する方法(液晶滴下重ね法)を用いてもよい。液晶滴下重ね法は、真空注入法に比べ、生産性に優れている。
【0106】
図15を用いて第4の実施例について説明する。第4の実施例は、液晶滴下重ね法を用いた液晶素子の製造方法、及び、その製造方法で製造された液晶素子に関する。第4の実施例による液晶素子製造方法については、第3の実施例として図10〜図14を用いて説明した液晶素子の製造方法に付け加える形式で、説明を行う。
【0107】
図15(A)及び(B)は、第4の実施例による、液晶滴下重ね法を用いた液晶素子製造方法を説明するための概略図である。
【0108】
図15(A)を参照する。液晶滴下重ね法で液晶層66を形成する場合は、真空注入法を用いる場合と異なり、透明誘電体層63(液晶層66のリターデーションを制御する部分)の外周に沿って、更に、外壁部72を、透明電極65上に形成する。外壁部72は、透明材料で形成される固体層であり、透明誘電体層63と同じ材料で形成してもよいし、異なる材料で形成してもよい。透明誘電体層63と同じ材料を用い、透明誘電体層63を形成する工程の中で、透明誘電体層63と同時に形成することが望ましい。外壁部72を、透明誘電体層63と別の材料で、また、透明誘電体層63を形成する工程とは別の工程で形成する場合に比べ、効率的に液晶素子を製造することができる。外壁部72は、作製しようとする液晶素子の、透明電極65と配向膜71との間隔に近い厚さに形成される。
【0109】
次に、ギャップコントロール剤を添加した紫外線硬化性シール剤73で、シールパターンを、外壁部72に関して、液晶層66を形成する領域とは反対側に形成する。液晶を滴下した後、2つのガラス基板61、62を重ね合わせ、紫外線を照射して、紫外線硬化性シール剤73を硬化させる。紫外線硬化性シール剤73の硬化した部分が、ガラス基板61側とガラス基板62側とが接着される部分である。
【0110】
図15(B)を参照する。外壁部72の厚さを、作製しようとする液晶素子の、透明電極65と配向膜71との間隔に等しく形成してもよい。この場合も、図15(A)を用いて説明した工程と同様の工程により、液晶滴下重ね法を用いて、液晶素子を製造することができる。外壁部72の厚さを、透明電極65と配向膜71との間隔に等しく作製すると、紫外線硬化性シール剤73に、ギャップコントロール剤を添加する必要はなくなる。また、製造される液晶素子においては、外壁部72の最も厚い部分が、配向膜71に接することになる。
【0111】
図15(A)または(B)を用いて説明を行った液晶素子の製造方法により製造される液晶素子は、透明誘電体層63の外周に沿って外壁部72が形成され、外壁部72に関して液晶層66と反対側の領域で、ガラス基板61側とガラス基板62側とが接着されている液晶素子である。外壁部72が、配向膜71に接して形成される場合、液晶層66と紫外線硬化性シール剤73との接触はほとんどなくなる。
【0112】
[発明が解決しようとする課題]で述べたように、紫外線硬化性シール剤を用いる液晶素子の製造方法においては、紫外線硬化性シール剤が硬化前に液晶と接触した場合、特に、シール近傍の液晶の配向性や、抵抗値等の物性に、悪影響を与えるという問題があった。
【0113】
しかし、外壁部72を形成し、紫外線硬化性シール剤73で、シールパターンを、外壁部72に関して液晶層66と反対側に形成することにより、この悪影響を小さくすることができる。外壁部72を、透明電極65と配向膜71との間隔に近い厚さに、または等しく形成した場合は、硬化前の紫外線硬化性シール剤73と液晶層66との接触を、少なくすることができるためである。
【0114】
本願発明者らは、図15(A)または(B)を用いて説明した液晶素子の製造方法で製造した液晶素子の配向性や抵抗値について調べた。その結果、シールパターン付近の液晶層66においてさえも、配向不良や抵抗値下降の問題がないことが確認された。
【0115】
ここでは紫外線硬化性シール剤を用いたが、熱硬化性シール剤を使用した場合も、同様の効果が得られる。外壁部72の厚さを、透明電極65と配向膜71との間隔に近く、または等しく形成し、熱硬化性シール剤で、シールパターンを、外壁部72に関して液晶層66と反対側に形成し、硬化させることにより、液晶層66の配向不良や抵抗値下降等の問題を回避することができる。
【0116】
また、図15(A)または(B)に示す液晶素子には、配向膜70及び配向膜71が形成されているが、配向膜70または配向膜71は、必ずしも形成されていなくてもよい。配向膜71が形成されていない場合は、外壁部72の厚さを、透明電極65と透明電極64との間隔に近く、または等しく形成する。
【0117】
更に、上記第4の実施例による液晶素子の製造方法は、図6に示したような構造を有する液晶素子の製造に有効なだけでなく、たとえば図8に示すような構造を有する液晶素子の製造に適用しても効果がある。
【0118】
図16(A)及び(B)は、第4の実施例により、図8に示すような構造を有する液晶素子を製造する方法を説明するための概略図である。
【0119】
図16(A)は、外壁部72の厚さが、透明電極64と配向膜70との間隔に近く形成されている場合を示し、図16(B)は、外壁部72の厚さが、透明電極64と配向膜70との間隔と等しく形成されている場合を示す。
【0120】
図15(A)及び(B)を用いて説明した液晶素子の製造方法を、図8に示す液晶素子の製造に適用する場合は、外壁部72を、たとえば、透明電極64上に形成し、外壁部72の厚さを、透明電極64と配向膜70との間隔に近く、または等しくつくればよい。
【0121】
図16(A)または(B)のいずれに示す場合も、図8に示す液晶素子を製造する際の、透明誘電体層63を形成する工程中に、透明誘電体層63と同じ材料で、外壁部72を、透明誘電体層63(液晶層66のリターデーションを制御する部分)の外周に沿って形成することが、効率上望ましい。液晶滴下重ね法を用いても、高品質の液晶層66を形成することができる。
【0122】
なお、図16(A)または(B)を用いて説明した製造方法で製造される液晶素子も、透明誘電体層63の外周に沿って外壁部72が形成され、外壁部72に関して液晶層66と反対側の領域で、ガラス基板61側とガラス基板62側とが接着されている液晶素子である。外壁部72が、配向膜70に接して形成される場合、液晶層66とシール剤との接触はほとんどなくなる。
【0123】
以上、実施例に沿って本発明を説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。例えば、種々の変更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者には自明であろう。
【0124】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、マスク上の位置により単位面積当たりの開口率の異なる2値フォトマスクを用い、厚さを制御した誘電体膜を製造する方法を提供することができる。
【0125】
また、本発明によれば、液晶層の厚さが0に近い部分を有さず、かつ、1対の電極のみで、リターデーションを効果的に制御することのできる液晶素子、及び、その効率的な製造方法を提供することができる。
【0126】
更に、高品質の液晶素子を製造する方法、及び、その方法で作製した液晶素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の予備実験に使用した、ドット状開口部を有する2値フォトマスクの開口パターンを示す概略的な平面図である。
【図2】開口ドット角と感光性レジスト膜の膜厚との関係を示すグラフである。
【図3】第2の予備実験に使用した、スリット状開口部を有する2値フォトマスクの開口パターンを示す概略的な平面図である。
【図4】マスク幅と感光性レジスト膜の膜厚との関係を示すグラフである。
【図5】(A)〜(C)は、第1の実施例による誘電体層の厚さ制御方法を説明するための概略的な図である。
【図6】第2の実施例による液晶素子の概略的な断面図である。
【図7】(A)及び(B)は、それぞれ、シミュレートの結果得られた、液晶素子の断面位置と液晶層厚の関係、及び、液晶素子の断面位置とリターデーションとの関係を示すグラフである。
【図8】図6に断面を示した液晶素子の変形例である。
【図9】(A)及び(B)は、それぞれ、シミュレートの結果得られた、液晶素子の断面位置と液晶層厚の関係、及び、液晶素子の断面位置とリターデーションとの関係を示すグラフである。
【図10】(A)及び(B)は、第3の実施例による液晶素子の製造方法を説明するための概略図である。
【図11】(A)は、紫外線を露光し、厚さ制御を行って作製した透明誘電体層の一例を示す概略的な斜視図であり、(B)は、(A)の11B−11B線に沿った断面図である。
【図12】(A)〜(C)は、第3の実施例による液晶素子の製造方法を説明するための概略図である。
【図13】液晶素子の偏光顕微鏡写真のスケッチである。
【図14】(A)〜(G)は、第3の実施例による液晶素子の製造方法を説明するための概略図である。
【図15】(A)及び(B)は、第4の実施例による液晶素子製造方法を説明するための概略図である。
【図16】(A)及び(B)は、第4の実施例による液晶素子製造方法を説明するための概略図である。
【図17】液晶素子の面内中心を通る直線断面における相対リターデーション分布の一例を示すグラフである。
【図18】図15に示した相対リターデーション分布を簡略化したグラフである。
【図19】平行平板基板間の液晶層厚を、透明誘電体で制御した液晶素子の一例を示す概略的な断面図である。
【図20】(A)及び(B)は、それぞれ、シミュレートの結果得られた、液晶素子の断面位置と液晶層厚の関係、及び、液晶素子の断面位置とリターデーションとの関係を示すグラフである。
【符号の説明】
10 基板
11 誘電体膜
12 2値フォトマスク
12a 開口
61、62 ガラス基板
63 透明誘電体層
64、65 透明電極
66 液晶層
70、71 配向膜
72 外壁部
73 紫外線硬化性シール剤
80 電圧印加手段
Claims (11)
- 感光性誘電体膜の形成された基板を準備する工程と、
複数の開口を有する2値フォトマスクであって、該2値フォトマスク上の位置によって単位面積当たりの開口率が異なっている2値フォトマスクを、前記感光性誘電体膜から離して配置する工程と、
前記2値フォトマスクの複数の開口を通して、複数の開口からの光が重なって到達するように前記感光性誘電体膜を露光する工程と、
前記露光された感光性誘電体膜を現像し、位置により厚さが連続的に変化する誘電体膜を得る工程と
を有する厚さを制御した誘電体膜の製造方法。 - 第1の透明基板と、
前記第1の透明基板上に形成される第1の透明電極と、
前記第1の透明電極上の少なくとも一部の領域に形成され、位置により厚さが連続的に異なる透明誘電体層と、
前記透明誘電体層上を含む領域に形成される第1の配向膜と、
前記第1の透明基板に対向配置される第2の透明基板と、
前記第2の透明基板の、前記第1の透明基板に向き合う面上に形成される第2の透明電極と、
前記第2の透明電極上方に形成される第2の配向膜と、
前記第1の配向膜と前記第2の配向膜との間に挟持される液晶層と
を有する液晶素子。 - 更に、前記誘電体層の外周に沿って、透明材料で形成される外壁を有し、該外壁に関して前記液晶層と反対側の領域でシール剤が硬化されている請求項2に記載の液晶素子。
- 第1の透明基板と、
前記第1の透明基板上に形成される第1の透明電極と、
前記第1の透明電極上の少なくとも一部の領域に形成され、位置により厚さが連続的に異なる第1の透明誘電体層と、
前記第1の透明誘電体層上を含む領域に形成される第1の配向膜と、
前記第1の透明基板に対向配置される第2の透明基板と、
前記第2の透明基板の、前記第1の透明基板に向き合う面上の少なくとも一部の領域に形成され、位置により厚さの異なる第2の透明誘電体層と、
前記第2の透明誘電体層上を含む領域に形成される第2の透明電極と、
前記第2の透明電極上に形成される第2の配向膜と、
前記第1の配向膜と前記第2の配向膜との間に挟持される液晶層と
を有する液晶素子。 - 更に、前記第1の誘電体層の外周に沿って、透明材料で形成される外壁を有し、該外壁に関して前記液晶層と反対側の領域でシール剤が硬化されている請求項4に記載の液晶素子。
- (A)第1の透明基板を準備し、前記第1の透明基板上に、第1の透明電極を形成する工程と、
(B)前記第1の透明電極上の少なくとも一部に、位置により厚さが連続的に異なる透明誘電体層を形成する工程と、
(C)前記透明誘電体層上を含む領域に、第1の配向膜を形成する工程と、
(D)第2の透明基板を準備し、前記第2の透明基板上に、第2の透明電極を形成する工程と、
(E)前記第2の透明電極上方に第2の配向膜を形成する工程と、
(F)前記第1の透明基板と前記第2の透明基板とを、前記第1の配向膜と前記第2の配向膜とが向き合うように対向配置し、前記第1の配向膜と前記第2の配向膜との間に液晶層を形成する工程と
を有する液晶素子の製造方法。 - 前記工程(B)が、
(G)前記第1の透明電極上の少なくとも一部に、感光性透明誘電体材料膜を形成する工程と、
(H)複数の開口を有する2値フォトマスクであって、該2値フォトマスク上の位置によって単位面積当たりの開口率が異なっている2値フォトマスクを、前記感光性透明誘電体材料膜から離して配置する工程と、
(I)前記2値フォトマスクの複数の開口を通して、複数の開口からの光が重なって到達するように前記感光性透明誘電体材料膜を露光する工程と、
(J)前記露光された感光性透明誘電体材料膜を現像する工程と
を含み、前記工程(G)〜(J)によって、前記第1の透明電極上の少なくとも一部に、位置により厚さが連続的に異なる前記透明誘電体層が形成される請求項6に記載の液晶素子の製造方法。 - 更に、前記工程(B)が、前記透明誘電体層の外周に沿って、透明外壁を形成する工程を含み、前記工程(G)〜(J)によって、前記透明誘電体層を形成する工程と同一工程で前記透明外壁を形成し、
前記工程(F)が、前記透明外壁に関して前記液晶層と反対側の領域で、前記液晶層のシールを形成する工程を含む請求項7に記載の液晶素子の製造方法。 - (K)第1の透明基板を準備し、前記第1の透明基板上に、第1の透明電極を形成する工程と、
(L)前記第1の透明電極上の少なくとも一部に、位置により厚さが連続的に異なる第1の透明誘電体層を形成する工程と、
(M)前記第1の透明誘電体層上を含む領域に、第1の配向膜を形成する工程と、
(N)第2の透明基板を準備し、前記第2の透明基板上の少なくとも一部に、位置によって厚さが連続的に異なる第2の透明誘電体層を形成する工程と、
(P)前記第2の透明誘電体層上を含む領域に、第2の透明電極を形成する工程と、
(Q)前記第2の透明電極上に第2の配向膜を形成する工程と、
(R)前記第1の透明基板と前記第2の透明基板とを、前記第1の配向膜と前記第2の配向膜とが向き合うように対向配置し、前記第1の配向膜と前記第2の配向膜との間に液晶層を形成する工程と
を有する液晶素子の製造方法。 - 前記工程(L)が、
(S1)前記第1の透明電極上の少なくとも一部に、第1の感光性透明誘電体材料膜を形成する工程と、
(T1)複数の開口を有する第1の2値フォトマスクであって、該第1の2値フォトマスク上の位置によって単位面積当たりの開口率が異なっている第1の2値フォトマスクを、前記第1の感光性透明誘電体材料膜から離して配置する工程と、
(U1)前記第1の2値フォトマスクの複数の開口を通して、複数の開口からの光が重なって到達するように前記第1の感光性透明誘電体材料膜を露光する工程と、
(V1)前記露光された第1の感光性透明誘電体材料膜を現像する工程と
を含み、前記工程(S1)〜(V1)によって、前記第1の透明電極上の少なくとも一部に、位置により厚さが連続的に異なる前記第1の透明誘電体層が形成され、
前記工程(N)が、
(S2)前記第2の透明基板上の少なくとも一部に、第2の感光性透明誘電体材料膜を形成する工程と、
(T2)複数の開口を有する第2の2値フォトマスクであって、該第2の2値フォトマスク上の位置によって単位面積当たりの開口率が異なっている第2の2値フォトマスクを、前記第2の感光性透明誘電体材料膜から離して配置する工程と、
(U2)前記第2の2値フォトマスクの複数の開口を通して、複数の開口からの光が重なって到達するように前記第2の感光性透明誘電体材料膜を露光する工程と、
(V2)前記露光された第2の感光性透明誘電体材料膜を現像する工程と
を含み、前記工程(S2)〜(V2)によって、前記第2の透明基板上の少なくとも一部に、位置により厚さが連続的に異なる前記第2の透明誘電体層が形成される請求項9に記載の液晶素子の製造方法。 - 更に、前記工程(L)が、前記第1の透明誘電体層の外周に沿って、透明外壁を形成する工程を含み、前記工程(S1)〜(V1)によって、前記第1の透明誘電体層を形成する工程と同一工程で前記透明外壁を形成し、
前記工程(R)が、前記透明外壁に関して前記液晶層と反対側の領域で、前記液晶層のシールを形成する工程を含む請求項10に記載の液晶素子の製造方法。
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