JP2005003301A - 蒸気管からの復水回収装置 - Google Patents

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智則 丸田
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Abstract

【課題】蒸気の乾き度を把握し制御できると共に、所定の回収箇所へ復水を確実に回収することのできる蒸気管からの復水回収装置を得ること。
【解決手段】蒸気管1に電磁誘導加熱器28と冷却水噴霧ノズル29を取り付けて気液分離器2へと接続する。気液分離器2の入出口に圧力センサ25,26を取り付けて演算部27と接続する。気液分離器2の下部に液体圧送装置3を連設する。高圧圧送流体の導入口16と排出口18をフロート20と連結する。フロート20の上下動作を検出する近接センサ21,22を取り付ける。
蒸気管1内の蒸気が任意の乾き度に制御されて気液分離器2へ至り、蒸気流量と分離された復水量から蒸気の乾き度が演算される。分離された復水は、液体圧送装置3内へ流下して復水回収管15へと圧送され回収される。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、蒸気管内の蒸気が凝縮して発生した復水を、所定の復水回収箇所へ移送するもので、特に、復水回収箇所が比較的高圧状態であっても確実に復水を回収することのできる蒸気管からの復水回収装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】特開昭57−16702号公報
これには、蒸気主管の下方に併設した復水集水管と、この復水集水管へ蒸気主管内で発生した復水を流下させる立下り管と、復水集水管からの復水を流入させる復水タンクと、この復水タンクの上部と蒸気主管を連結する蒸気戻し管、及び、復水タンクの下部から温度の低い復水を排出する低温復水排出手段から成る蒸気主管の復水回収装置が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の蒸気主管の復水回収装置では、蒸気主管内の蒸気圧力が比較的高い場合は、この蒸気圧力よりも低い圧力状態の所定の復水回収箇所へ復水を回収することはできるが、蒸気主管内の蒸気圧力が低くて復水回収箇所の圧力が高い場合は、復水回収ポンプを別途介在させなければ復水を所定箇所へ回収できなくなる問題があった。復水回収ポンプは、インペラを回転するための電動モータを必要とするために、設備費及び運転費が嵩むと共に、化学プラントなどの防爆地区では使用しづらい問題もあった。
【0004】
また、上記従来の蒸気主管の復水回収装置では、蒸気主管内の復水の量を測定することができず、蒸気主管を流下する蒸気の乾き度又は湿り度を把握できない問題、更には、蒸気の乾き度又は湿り度を任意に制御することができない問題があった。すなわち、蒸気中に含まれる復水量に応じて蒸気の乾き度又は湿り度は変化するために、蒸気の使用用途によってはこの乾き度又は湿り度を常に把握し制御しなければならないのである。
【0005】
従って、本発明の課題は、蒸気管を流下する蒸気の乾き度又は湿り度を把握し制御できると共に、蒸気圧力の高低に係わらず所定の回収箇所へ復水を確実に回収することのできる蒸気管からの復水回収装置を得ること。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために講じた本発明の手段は、蒸気管内の蒸気が凝縮して発生した復水を、所定の復水回収箇所へ移送するものにおいて、蒸気管内の蒸気の流量又は蒸気と復水の混合流量を検出する蒸気流量検出器と、蒸気と復水を気液分離する気液分離器と、当該気液分離器で分離された復水を高圧圧送流体によって所定の回収箇所へ圧送する液体圧送装置と、当該液体圧送装置の作動回数を検出する圧送作動回数検出手段と、蒸気管内の蒸気へ冷却流体を供給する冷却流体供給手段、及び、蒸気管内の蒸気を加熱する蒸気加熱手段とから成り、圧送作動回数検出手段と蒸気流量検出器との検出値から蒸気管を流下する蒸気の乾き度/湿り度を演算すると共に、冷却流体供給手段と蒸気加熱手段によって蒸気管を流下する蒸気の乾き度/湿り度を任意に制御するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
蒸気管を流下する蒸気の流量又は蒸気と復水の混合流量が蒸気流量検出器で検出される。また、気液分離器で蒸気管内の蒸気と復水が分離され、分離された復水は高圧圧送流体によって液体圧送装置から所定の復水回収箇所へ圧送され回収される。この場合、圧送作動回数検出手段によって、液体圧送装置の作動回数が検出され、この作動回数検出値と液体圧送装置の一定の容積とを乗じることにより蒸気管を流下してきた復水量を演算することができる。この復水量と蒸気流量検出器での検出値とから、蒸気の乾き度/湿り度が演算される。
【0008】
冷却流体供給手段から蒸気管中の蒸気へ冷却流体を供給することによって、蒸気の湿り度を上昇させることができ、一方、蒸気加熱手段によって蒸気を加熱することによって蒸気の乾き度を上昇させることができる。
【0009】
なお、復水が液体圧送装置から高圧圧送流体によって圧送されることにより、蒸気管内の蒸気圧力の高低に係わらず、また、復水回収箇所の圧力の高低に係わらず、蒸気管内で発生した復水を所定の回収箇所へ確実に回収することができる。
【0010】
【実施例】
図1において、蒸気の流下する蒸気管1に接続した気液分離器2と、この気液分離器2の下部に接続した液体圧送装置3と、圧送作動回数検出手段21,22と、冷却流体供給手段29及び蒸気加熱手段28、及び、演算部27とで蒸気管からの復水回収装置を構成する。
【0011】
気液分離器2の入口4に、蒸気と復水の混合流体が流下する蒸気管1を接続する。気液分離器2は、入口4から流入してくる流体を旋回羽根5で旋回させて遠心力によって質量の大きな液体としての復水と、質量の小さな気体としての蒸気を気液分離する。気液分離器2で分離された蒸気は、円筒状の旋回羽根5の内周6と出口7を介して蒸気管8から所定の蒸気使用箇所へと流下する。
【0012】
蒸気管1に圧力センサ25を、また、蒸気管8に圧力センサ26をそれぞれ取り付ける。圧力センサ25,26は、蒸気管内の圧力値を検出して気液分離器2の入口4と出口7の間の圧力差を検出する。圧力センサ25,26を演算部27と電気接続して、この演算部27で圧力差と気液分離器2の通過面積から蒸気管1,8を流下する蒸気流量を演算する。本実施例においては、演算部27と圧力センサ25,26とで蒸気流量検出器を構成する。
【0013】
蒸気管1に蒸気加熱手段28と冷却流体供給手段29を取り付ける。蒸気加熱手段28は、電磁誘導加熱器から成り、蒸気管1の外周のパイプ中に発熱体としてのステンレス製の平板を複数枚積層して配置し、パイプの更に外周に磁束を発生するコイルを取り付けて、このコイルで発生する高周波磁束で平板状の発熱体を発熱させることによって、蒸気管1内を流下する蒸気を加熱するものである。コイルに供給する電力を適宜制御することにより、蒸気への加熱量を任意に調節することができる。
【0014】
冷却流体供給手段29は、冷却水噴霧ノズルから成り、この噴霧ノズル29へ冷却水供給管30を接続する。冷却水噴霧ノズル29から蒸気管1内の蒸気へ冷却水を噴霧することによって、蒸気管1内の蒸気を冷却するものである。噴霧ノズル29から噴霧する冷却水の量あるいは温度を適宜制御することにより、蒸気の冷却量を任意に調節することができる。
【0015】
気液分離器2において分離された復水は、下端の復水溜室9に溜まり、連通孔10と逆止弁11を通って液体圧送装置3の内部へ流下する。液体圧送装置3は気液分離器2の下部へ一体に配置する。気液分離器2と液体圧送装置3の間に取り付けた逆止弁11は、気液分離器2から液体圧送装置3方向のみの流体の通過を許容するもので、逆方向の流体の通過は許容しないものである。
【0016】
液体圧送装置3の下部に位置する復水圧送口12に逆止弁13を介して復水圧送管路14を接続する。復水圧送管路14は更に、所定の復水回収箇所と連通する復水回収管15に接続する。なお、逆止弁13は液体圧送装置3から復水圧送管路14側へのみ流体を通過させるものである。
【0017】
液体圧送装置3の側方上部に高圧圧送流体の導入口16を設ける。この導入口16には高圧蒸気管17を接続する。導入口16の下方には、高圧圧送流体の排出口18を設け排出管路19と接続する。
【0018】
液体圧送装置3は、内部に配置した上下動自在のフロート20が図1に示すように下方部に位置する場合に、高圧圧送流体の導入口16が閉口され、一方、排出口18が開口されて、連通孔10と逆止弁11を通って復水溜室9の復水が液体圧送装置3内に流下し、圧送装置3内に復水が溜まってフロート20が所定上方部に位置すると、今度は排出口18が閉口され、一方、高圧圧送流体の導入口16が開口されて、高圧蒸気管17から高圧圧送流体としての高圧蒸気が圧送装置3内に流入して、圧送装置3の内部に溜まった復水を圧送口12と逆止弁13と管路14を経て復水回収管15へ圧送するものである。
【0019】
復水が圧送されて圧送装置3内の水位が低下すると、再度、高圧圧送流体の導入口16が閉口され、排出口18が開口されることにより、逆止弁11から復水が圧送装置3内へ流下してくる。このような作動サイクルを繰り返すことにより液体圧送装置3は、気液分離器2で分離された復水を、復水回収管15を介して所定の回収箇所へ圧送する。
【0020】
液体圧送装置3の左側面部に圧送作動回数検出手段としての近接センサ21,22を取り付ける。近接センサ21,22は、フロート20が図1に示すように下端部に位置することをセンサ21で、上端部に位置することをセンサ22でそれぞれ検出する。液体圧送装置3内部の容積は設計時に決定しているために、この容積とセンサ21,22で検出した液体圧送装置3の作動回数検出値から、所定時間における復水の圧送量すなわち蒸気管を流下してくる復水量が演算部27で演算されて記憶・表示がされる。
【0021】
この蒸気管1を流下してきた復水量と、蒸気流量検出器25,26,27で検出した蒸気流量とから、周知の計算式によって演算部27で蒸気の乾き度又は湿り度が演算され、表示もしくは伝送される。
【0022】
液体圧送装置3の下部に温度センサ23を取り付ける。温度センサ23は、圧送される復水の温度を検出するものであり、この温度センサ23の検出値と復水の圧送量とから、圧送され回収される復水の熱量を演算することができる。
【0023】
蒸気管1から流下してきた蒸気と復水の混合流体は、電磁誘導加熱器28と冷却水噴霧ノズル29で所定の乾き度又は湿り度に制御されて気液分離器2へ至り、旋回羽根5で旋回され遠心力によって復水と蒸気が分離され、分離された復水は下部の復水溜室9に溜まり、一方、復水の分離された蒸気は蒸気管8から所定の蒸気使用箇所へ供給される。この場合、圧力センサ25,26と演算部27で蒸気管1,8を流下する蒸気流量が演算される。
【0024】
復水溜室9の復水は、液体圧送装置3に設けた高圧圧送流体の排出口18が開口している時に、逆止弁11から液体圧送装置3内へ流下して所定量溜まると、高圧蒸気管17から供給される高圧圧送流体としての高圧蒸気でもって復水回収管15へ圧送される。
【0025】
このように、高圧蒸気管17からの高圧蒸気で復水を圧送することによって、蒸気管1内の蒸気圧力が低い場合であっても、中圧程度の圧力状態の復水回収管15へ復水を確実に回収することができる。
【0026】
本実施例においては、気液分離器2に旋回羽根5を設けて遠心力によって気液を分離する例を示したが、気液分離器はその他の衝突式やフィルター式等従来公知のものを使用することができる。
【0027】
また本実施例においては、高圧圧送流体として高圧蒸気を用いた例を示したが、高圧圧縮空気や高圧温水等を使用することもできる。
【0028】
また本実施例においては、圧力センサ25,26と演算部27で蒸気流量検出器を構成した例を示したが、渦式や容積式等の従来公知の蒸気流量計を用いることもできる。
【0029】
【発明の効果】
上記のように本発明によれば、冷却流体供給手段と蒸気加熱手段、並びに、気液分離器と液体圧送装置と圧送作動回数検出手段、及び、蒸気流量検出器とを組み合わせたことにより、蒸気管を流下する蒸気の乾き度又は湿り度を把握し制御することができると共に、蒸気管の圧力の高低に係わらず所定の回収箇所へ復水を確実に回収することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の蒸気管からの復水回収装置の実施例を示す一部断面構成図。
【符号の説明】
1 蒸気管
2 気液分離器
3 液体圧送装置
4 入口
5 旋回羽根
6 旋回羽根の内周
7 出口
9 復水溜室
10 連通孔
11 逆止弁
12 復水圧送口
13 逆止弁
15 復水回収管
16 高圧圧送流体の導入口
18 高圧圧送流体の排出口
20 フロート
21,22 近接センサ
25,26 圧力センサ
27 演算部
28 電磁誘導加熱器
29 冷却水噴霧ノズル

Claims (1)

  1. 蒸気管内の蒸気が凝縮して発生した復水を、所定の復水回収箇所へ移送するものにおいて、蒸気管内の蒸気の流量又は蒸気と復水の混合流量を検出する蒸気流量検出器と、蒸気と復水を気液分離する気液分離器と、当該気液分離器で分離された復水を高圧圧送流体によって所定の回収箇所へ圧送する液体圧送装置と、当該液体圧送装置の作動回数を検出する圧送作動回数検出手段と、蒸気管内の蒸気へ冷却流体を供給する冷却流体供給手段、及び、蒸気管内の蒸気を加熱する蒸気加熱手段とから成り、圧送作動回数検出手段と蒸気流量検出器との検出値から蒸気管を流下する蒸気の乾き度/湿り度を演算すると共に、冷却流体供給手段と蒸気加熱手段によって蒸気管を流下する蒸気の乾き度/湿り度を任意に制御することを特徴とする蒸気管からの復水回収装置。
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