JP2005002830A - 粒子状物質を除去する方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】フィルタに堆積している粒子状物質を効率的に除去する粒子状物質除去方法を提供する。
【解決手段】本発明では、排気ガス中の粒子状物質を捕集可能なフィルタに堆積した粒子状物質を除去する方法が提供される。この粒子状物質除去方法では、フィルタの温度を煤燃焼温度以下であってSOF燃焼温度以上に上昇させるSOF除去制御を前回実行してからフィルタに新たに堆積した粒子状物質の量が所定堆積量以上となったことが推定されたときにSOF除去制御を実行し、その直後に、フィルタへの粒子状物質の総堆積量を推定し、推定された総堆積量が限界堆積量以上である場合には、フィルタの温度を煤燃焼温度以上に上昇させる。
【選択図】 図4

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、排気浄化装置における粒子状物質除去方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、機関本体から排出される排気ガス中に含まれる粒子状物質を捕集することができるパティキュレートフィルタ(以下、「フィルタ」と称す)の前後差圧を検出し、検出された前後差圧に基づいてフィルタへの粒子状物質の総堆積量を推定する堆積量推定方法が知られている。また、このようにして推定した粒子状物質の総堆積量が排気ガスの流れを悪化させてしまうような量になる前に、堆積している粒子状物質を燃焼・除去させる粒子状物質除去方法も同様に知られている。
【0003】
このような粒子状物質除去方法としては、例えば、特許文献1に記載されたような方法が知られている。特許文献1に記載の方法では、センサによってフィルタの前後差圧を検出すると同時に、別のセンサによってフィルタの排気後流に設けられたマフラーの前後差圧を検出している。そして、マフラーの前後差圧からフィルタへの流入排気ガスの流量を算出し、この流入排気ガスの流量と上記フィルタの前後差圧とからフィルタへの粒子状物質の総堆積量を推定している。そして、推定された総堆積量が所定量以上となった場合には、フィルタを昇温して粒子状物質を除去し、フィルタによる排気ガスへの流抵抗が大きくなってしまうのを防止している。
【0004】
【特許文献1】
実開昭62−190841号公報
【特許文献2】
特開平07−189656号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、粒子状物質には、煤等の有機溶剤に不溶な成分(以下、「煤」と称す)とSOF等の有機溶剤に可溶な成分(以下、「SOF」と称す)とが含まれており、煤が燃焼し始める煤燃焼温度はSOFが燃焼し始めるSOF燃焼温度よりも高い。上記特許文献1に記載の方法では、これら煤とSOFとの区別なくフィルタの温度を高めて粒子状物質の除去を行っている。よって、フィルタに粒子状物質が多く堆積していると判定されると、燃焼温度の低いSOFがフィルタ上に多く堆積していてフィルタの温度をあまり高くしなくても十分にフィルタに堆積している粒子状物質を除去することができる場合等においても、常にフィルタを煤燃焼温度よりも高い温度に一定時間維持することになり、無駄に燃料やエネルギを消費してしまっていた。
【0006】
そこで、本発明の目的は、フィルタに堆積している粒子状物質を効率的に除去する粒子状物質除去方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、第1の発明では、排気ガス中の粒子状物質を捕集可能なフィルタであって該フィルタへの粒子状物質の総堆積量が限界堆積量以上になるとフィルタによる排気ガスに対する流抵抗が一定値以上に大きくなるようなフィルタに堆積した粒子状物質を除去する方法において、上記フィルタの温度を煤燃焼温度以下であってSOF燃焼温度以上に上昇させるSOF除去制御を前回実行してからフィルタに新たに堆積した粒子状物質の量が上記限界堆積量よりも少ない予め定められた所定堆積量以上となったことが推定されたときにSOF除去制御を実行し、その直後に、フィルタへの粒子状物質の総堆積量を推定し、推定された総堆積量が上記限界堆積量以上である場合には、フィルタの温度を煤燃焼温度以上に上昇させる。
第1の発明によれば、SOF除去制御によりフィルタに堆積しているSOFを除去してから、フィルタへの粒子状物質の総堆積量が推定されるため、推定された総堆積量は煤の総堆積量を示している。そして、この煤の総堆積量が限界堆積量以上となった場合にのみ、フィルタを煤燃焼温度以上に昇温することによって煤の除去が行われる。したがって、フィルタを煤燃焼温度にまで昇温する回数は最小限に抑制される。フィルタを煤燃焼温度以上に昇温する場合には、多量の燃料やエネルギが消費されるので、フィルタの煤燃焼温度への昇温回数を少なくすることにより燃料やエネルギの消費量を少なく抑えることができる。
なお、「総堆積量」とは、実際にフィルタに堆積している粒子状物質の総量を示しており、「SOF除去制御を前回実行してからフィルタに新たに堆積した粒子状物質の量」とは、連続した二回のSOF除去制御を実行する間にフィルタに堆積する粒子状物質の量である。
【0008】
第2の発明では、第1の発明において、上記フィルタに新たに堆積した粒子状物質の量の推定は内燃機関の運転時間に基づいて行われる。
第2の発明によれば、粒子状物質を強制的に除去しない場合にフィルタへの粒子状物質の総堆積量がほぼ零から限界堆積量に到達するまでにかかる内燃機関の運転時間よりも短い運転時間が経過する毎に、すなわち比較的短い運転時間間隔毎にSOFの除去が行われる。したがって、フィルタへの粒子状物質の総堆積量を、常にフィルタへの煤の総堆積量に近い量に維持することができ、フィルタによる排気ガスへの流抵抗を比較的小さく抑えることができる。
【0009】
第3の発明では、第1または第2の発明において、上記フィルタへの粒子状物質の総堆積量の推定は、機関燃焼室に流入する空気の質量流量と単位時間当たりに機関燃焼室に供給される燃料量とからフィルタへの流入排気ガスの質量流量を算出し、該流入排気ガスの質量流量とフィルタへの流入排気ガスの温度とからフィルタへの流入排気ガスの体積流量を算出し、該算出された流入排気ガスの体積流量と実際のフィルタの前後差圧とから粒子状物質の総堆積量を算出することによって行われる。
第3の発明によれば、機関燃焼室に流入する空気の質量流量と、単位時間当たりに機関燃焼室に供給される燃料量と、フィルタへの流入排気ガスの温度とに基づいてフィルタへの流入排気ガスの体積流量が算出される。ここで、計算の対象となる燃料量は、機関燃焼室に取付けられた燃料噴射弁から直接的に、または機関燃焼室の吸気上流に取付けられた燃料噴射弁から間接的に機関燃焼室に供給された燃料量を含むが、これら燃料は内燃機関の圧縮・膨張行程においてほぼ完全に燃焼または気化されるものと考えられるため、その排気ガスは完全に気体状態となっている。気体状態の排気ガスにおいては、その全質量と温度とに基づいてその体積が定まる。したがって、機関燃焼室に流入する空気の質量流量と機関燃焼室に供給される燃料量とから流入排気ガスの質量流量が求められ、求められた流入排気ガスの質量流量と流入排気ガスの温度とからフィルタへの流入排気ガスの体積流量を算出することで、フィルタへの流入排気ガスの体積流量を正確に算出することができる。
このようにフィルタへの流入排気ガスの体積流量を正確に算出できれば、圧力センサ等によって検出されたフィルタの前後差圧における流入排気ガスの流量の影響を排除することができ、フィルタへの粒子状物質の総堆積量を正確に推定することができるようになる。
【0010】
第4の発明では、第3の発明において、上記粒子状物質の総堆積量の算出は、上記流入排気ガスの体積流量毎にフィルタに粒子状物質が堆積していない状態におけるフィルタの前後差圧を検出し、流入排気ガスの体積流量が上記算出された流入排気ガスの体積流量となっている場合の粒子状物質が堆積していない状態におけるフィルタの前後差圧と上記実際のフィルタの前後差圧とを比較することによって行われる。
第4の発明によれば、粒子状物質が堆積していない状態におけるフィルタの前後差圧を基準とすることにより、フィルタ毎の製造誤差等によって生じる総堆積量の推定誤差を低減することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の粒子状物質除去方法を説明する。図1は本発明の粒子状物質除去方法が用いられるディーゼル型の圧縮自着火式内燃機関を示す。なお本発明は火花点火式内燃機関にも適用可能である。
【0012】
図1を参照すると、1は機関本体、2はシリンダブロック、3はシリンダヘッド、4はピストン、5は燃焼室、6は電気制御式燃料噴射弁、7は吸気弁、8は吸気ポート、9は排気弁、10は排気ポートをそれぞれ示す。吸気ポート8は対応する吸気枝管11を介してサージタンク12に連結され、サージタンク12は吸気ダクト13を介して排気ターボチャージャ14のコンプレッサ15に連結される。
【0013】
吸気ダクト13内にはステップモータ16により駆動されるスロットル弁17が配置され、さらに吸気ダクト13周りには吸気ダクト13内を流れる吸入空気を冷却するための冷却装置18が配置される。図1に示した内燃機関では冷却装置18内に機関冷却水が導かれ、この機関冷却水により吸入空気が冷却される。一方、排気ポート10は排気マニホルド19および排気管20を介して排気ターボチャージャ14の排気タービン21に連結され、排気タービン21の出口は排気管22を介してパティキュレートフィルタ(以下、「フィルタ」と称す)23を内蔵したケーシング24に連結される。
【0014】
排気マニホルド19とサージタンク12とは排気ガス再循環(以下、「EGR」と称す)通路25を介して互いに連結され、EGR通路25内には電気制御式EGR制御弁26が配置される。またEGR通路25周りにはEGR通路25内を流れるEGRガスを冷却するためのEGR冷却装置27が配置される。図1に示した内燃機関ではEGR冷却装置27内に機関冷却水が導かれ、この機関冷却水によりEGRガスが冷却される。
【0015】
一方、各燃料噴射弁6は燃料供給管6aを介して燃料リザーバ、いわゆるコモンレール28に連結される。このコモンレール28内へは電気制御式の吐出量可変な燃料ポンプ29から燃料が供給され、コモンレール28内に供給された燃料は各燃料供給管6aを介して燃料噴射弁6に供給される。コモンレール28にはコモンレール28内の燃料圧を検出するための燃料圧センサ30が取り付けられ、燃料圧センサ30の出力信号に基づいてコモンレール28内の燃料圧が目標燃料圧となるように燃料ポンプ29の吐出量が制御される。
【0016】
電子制御ユニット40はデジタルコンピュータからなり、双方向性バス41により互いに接続されたROM(リードオンリメモリ)42、RAM(ランダムアクセスメモリ)43、CPU(マイクロプロセッサ)44、入力ポート45および出力ポート46を具備する。
【0017】
アクセルペダル49にはアクセルペダル49の踏込量に比例した出力電圧を発生する負荷センサ50が接続され、負荷センサ50の出力電圧は対応するAD変換器47を介して入力ポート45に入力される。さらに、入力ポート45には、クランクシャフトが例えば30°回転する毎に出力パルスを発生するクランク角センサ51が接続される。また、フィルタ23の排気上流側と排気下流側とにはフィルタ23の排気上流と排気下流との間の差圧(以下、「前後差圧」と称す)を検出するための差圧センサ52が設けられ、また、フィルタ23の排気上流にはフィルタ23への流入排気ガスの温度を検出するための温度センサ53が設けられる。さらに、吸気通路上には燃焼室5へ流入する空気の質量流量を検出するためのエアフロメータ54が設けられる。これら差圧センサ52、温度センサ53およびエアフロメータ54は対応するAD変換器47を介して入力ポート45に接続される。出力ポート46は、対応する駆動回路48を介して、燃料噴射弁6、スロットル弁駆動用ステップモータ16、EGR制御弁26、および、燃料ポンプ29に接続される。
【0018】
ところで、上述したような内燃機関では、その排気ガス中に有害な粒子状物質(particulate matter)が含まれており、これら粒子状物質はそのまま大気中に放出されてしまうことのないようにフィルタ23で捕集される。しかしながら、フィルタ23は、粒子状物質を無限に捕集することができるわけではなく、フィルタ23に捕集されている粒子状物質が増大すると、フィルタ23が詰まり、フィルタ23による排気ガスに対する流抵抗が大きくなってしまい、フィルタ23に起因する排気ガスの圧力損失が大きくなってしまう。
【0019】
このため、多くの内燃機関では、フィルタ23に堆積している粒子状物質の総量(以下、「フィルタ23への粒子状物質の総堆積量」と称す)が、フィルタ23を通過する排気ガスがフィルタ23によって受ける流抵抗が一定値(例えば、機関運転状態に悪影響を与える程度)以上に大きくなるような総堆積量(以下、「限界堆積量」と称す)に達したときに、ほとんど全ての粒子状物質が燃焼して除去されるような温度にまでフィルタ23を昇温し、所定時間に亘ってその温度に維持する制御(以下、「フィルタ再生制御」と称す)を行っている。このような制御を実行することで、フィルタ23は、再び、粒子状物質がほとんど堆積していない状態へと戻される。したがって、多くの内燃機関では、フィルタ23への粒子状物質の総堆積量が上記限界堆積量以下に維持される。
【0020】
フィルタ再生制御を行うためには、フィルタ23への粒子状物質の総堆積量を正確に推定する必要がある。例えば、推定された粒子状物質の総堆積量が実際の粒子状物質の総堆積量よりも少ない場合、実際にはフィルタ23には限界堆積量以上の粒子状物質が堆積してしまうことがある。このときのフィルタ23の流抵抗は非常に大きくなってしまうと共に、その後実行されるフィルタ再生制御においてフィルタ23に多量に堆積している粒子状物質の燃焼熱で、フィルタ23の温度がフィルタの耐久温度を超えてしまい、フィルタ23が劣化してしまうことがある。一方、推定された粒子状物質の総堆積量が実際の粒子状物質の総堆積量よりも多い場合、実際にはフィルタ23の限界堆積量よりも少ない粒子状物質が堆積した段階でフィルタ再生制御が実行される。通常、フィルタ再生制御を実行するとフィルタを昇温するためのエネルギや燃料の消費量が増大したりするので、フィルタ再生制御の実行回数は少ない方が好ましい。このように上記粒子状物質の総堆積量が上記限界堆積量よりも少ない状態でフィルタ再生制御を実行することになると、無駄にエネルギや燃料の消費量を多くしてしまう。したがって、フィルタ23への粒子状物質の総堆積量をできるだけ正確に推定する必要がある。
【0021】
フィルタ23への粒子状物質の総堆積量の推定は、多くの場合、フィルタ23の前後差圧に基づいて行われる。すなわち、フィルタ23の前後差圧が大きくなった場合には粒子状物質の総堆積量が多くなっており、フィルタ23の前後差圧が小さくなった場合には、粒子状物質の総堆積量が少なくなっている。
【0022】
ただし、フィルタ23の前後差圧は、フィルタ23への粒子状物質の総堆積量だけでなく、フィルタ23に流入する排気ガス(以下、「流入排気ガス」と称す)の体積流量に応じて変化する。すなわち、フィルタ23への粒子状物質の総堆積量が同一であっても、流入排気ガスの体積流量が増大した場合にはフィルタ23の前後差圧が大きくなり、流入排気ガスの体積流量が減少した場合にはフィルタ23の前後差圧が小さくなる。
【0023】
したがって、フィルタ23の前後差圧と、フィルタ23への流入排気ガスの体積流量と、フィルタ23への粒子状物質の総堆積量との関係は図2(a)に示したようになる。なお、図2(a)は流入排気ガスの体積流量とフィルタ23の前後差圧との関係を示したものであり、実線a,b,cはフィルタ23への粒子状物質の総堆積量が零である場合、少ない場合、多い場合をそれぞれ示している。
【0024】
そこで、本発明の堆積量推定方法では、流入排気ガスの体積流量およびフィルタ23の前後差圧と粒子状物質の総堆積量との関係を予め実験的に求め、図2(b)に示したようにマップとしてECU40のROM42に保存する。そして、内燃機関を実際に使用するときには、差圧センサ52によって検出されたフィルタ23の前後差圧および後述する方法で算出された体積流量と、ROM42に保存されたマップとに基づいて、フィルタ23への粒子状物質の総堆積量を推定するようにしている。
【0025】
次に、流入排気ガスの体積流量の算出方法について説明する。まず、エアフロメータ54によって燃焼室5へ流入する空気(新気)の質量流量(以下、「空気の質量流量」と称す)を検出し、また、ECU40から燃料噴射弁6への噴射指令に基づいて全ての燃料噴射弁6から燃焼室5内に単位時間当たりに噴射される燃料の質量(以下、「燃料の質量流量」と称す)を算出する。基本的に、燃焼室5には外部から上述した空気および燃料のみしか供給されないので、単位時間当たりに燃焼室5に供給される物質の全質量は上記空気の質量流量と上記燃料の質量流量とを合計したものである。質量保存則により、燃焼室5に供給された物質の質量は燃料の燃焼の前後で変わらないので、燃焼室5から排出される排気ガスの質量流量も、上記空気の質量流量と燃料の質量流量とを合計したものである。
【0026】
そして、上述したように求められた排気ガスの質量流量を、排気ガスの密度で除算することによって、排気ガスの体積流量を算出することができる。ここで、燃焼室5内に供給された燃料のほとんど全てが内燃機関の燃焼行程で燃焼したかまたは気化しているので、燃焼室5から排出された排気ガスはほとんど全て気体状態にある。このため、排気ガスの密度は、排気ガスの温度の関数である。
【0027】
ここで、本発明において用いられる内燃機関では、フィルタ23への流入排気ガスの温度が温度センサ53によって検出される。よって、このように検出された流入排気ガスの温度から、排気ガスの密度を算出することができる。したがって、本発明では、こうして算出された排気ガスの密度と、上記排気ガスの質量流量とに基づいて、排気ガスの体積流量が算出される。
【0028】
このようにして排気ガスの体積流量を算出した場合、例えばマフラーの前後差圧に基づいて排気ガスの体積流量を算出する場合に比べて、算出される体積流量の精度が高い。すなわち、マフラーの前後差圧に基づいて体積流量を算出する場合にはマフラーに粒子状物質が堆積したりマフラーが変形したりすると正確に体積流量を算出することができなくなるのに対し、本発明の上記方法で排気ガスの体積流量を算出する場合には、このような問題が起こらない。
【0029】
また、従来では排気ガスの体積流量を算出するのに、例えばマフラーの前後差圧を検出するための差圧センサ等を設けなければならない。これに対して、一般に、本発明の堆積量推定方法を実行しない内燃機関であってもほとんどの内燃機関の吸気通路上に、燃料噴射量等、内燃機関の運転に関するパラメータを決定するためにエアフロメータが設けられる。したがって、本発明の堆積量推定方法を実行する内燃機関では、本発明の堆積量推定方法を実行することのみのために追加の装置を内燃機関に設けられることを必要とせず、よって製造コストを低減することができる。
【0030】
なお、上記実施形態では、流入排気ガスの温度のみに基づいてフィルタ23への流入排気ガスの密度を算出しているが、流入排気ガスの温度に加えて、流入排気ガスの空燃比(燃焼室5に供給された空気と燃料との質量比率)または流入排気ガスの圧力、あるいはこれら流入排気ガスの空燃比および圧力の両方に基づいて流入排気ガスの密度を算出してもよい。このように流入排気ガスの密度を算出することにより、より正確に流入排気ガスの密度を算出することができ、よってフィルタ23への粒子状物質の総堆積量をより正確に求めることができる。なお、排気ガスの空燃比は上記空気の質量流量と燃料の質量流量とから算出される。
【0031】
また、上記実施形態に示した流入排気ガスの体積流量の算出方法は、燃焼室5に流入させる吸気ガス中にEGRガスが含まれる場合にも同様に用いることができる。これは、EGRガスを再循環させている場合、すなわちEGR制御の実行中には、燃焼室5に流入したEGRガスの質量流量とほぼ同一の質量流量の排気ガスがEGRガスとして再び吸気通路に戻されるため、EGR制御の実行中であっても、燃焼室5に流入した空気および燃料の質量流量とほぼ同一の質量流量の排気ガスがフィルタ23へと流れることによる。
【0032】
さらに、上記実施形態では、体積流量と前後差圧とに基づいて粒子状物質の総堆積量を推定している。これに対し、フィルタに粒子状物質が堆積していない状態におけるフィルタ23の前後差圧と、実際に検出されるフィルタ23の前後差圧との圧力差(以下、「差圧差」と称す)を算出し、この差圧差と体積流量とに基づいて粒子状物質の総堆積量を推定してもよい。すなわち、上述した体積流量と前後差圧とのマップに替えて、差圧差と体積流量とのマップを予め用意する。そして、例えばフィルタ23を製造後初めて使用する際のフィルタ23の前後差圧を検出し、ECU40のROM42に保存する。使用時には、検出されたフィルタ23の前後差圧と、ROM42に保存されているフィルタ23の前後差圧であって検出された体積流量に対応する前後差圧とから差圧差を算出し、算出した差圧差と検出された体積流量とに基づいてフィルタ23への粒子状物質の総堆積量を推定する。
【0033】
このように粒子状物質が堆積していない状態におけるフィルタ23の前後差圧を基準とすることにより、粒子状物質が堆積していない状態におけるフィルタ23の前後差圧に関する各フィルタ23間の製造誤差を補償することができる。
【0034】
次に、図3のフローチャートを参照して、本発明の堆積量推定方法の制御ルーチンについて説明する。まず、ステップ100において、エアフロメータ54により燃焼室5に流入する空気の質量流量Qmaが検出され、燃料噴射弁6への噴射指令に基づいて燃料の質量流量Qmfが算出され、温度センサ53によりフィルタ23への流入排気ガスの温度Teが検出され、さらに、差圧センサ52によりフィルタ23の前後差圧Pdが検出される。次いで、ステップ101において、ステップ100で検出された空気の質量流量Qmaおよび燃料の質量流量Qmfから排気ガスの質量流量Qmeが算出される。次いで、ステップ102において、ステップ101で算出された排気ガスの質量流量Qmeと流入排気ガスの温度Teとから、排気ガスの体積流量Qveが算出され、ステップ103へと進む。ステップ103では、ステップ102で算出された排気ガスの体積流量Qveとフィルタ23の前後差圧Pdと図2(b)に示したマップとから、フィルタ23への粒子状物質の総堆積量Mpが算出され、制御ルーチンが終了する。
【0035】
ところで、粒子状物質は、大別すると、煤(soot)等の有機溶剤に不溶な成分(以下、「煤」と称す)と、可溶性有機物質(SOF)等の有機溶剤に可溶な成分(以下、「SOF」と称す)とに分けられる。これら成分の性質として、SOFが燃焼し始めるSOF燃焼温度は、煤が燃焼し始める煤燃焼温度よりも低い。例えば、SOF燃焼温度は250℃〜300℃以上であり、煤燃焼温度は500℃〜600℃以上である。したがって、フィルタ23に堆積しているSOFを除去する場合には、フィルタ23に堆積している煤を除去する場合に比べてフィルタ23の温度は低温でよく、よってこの場合のフィルタ23の昇温に用いられる燃料やエネルギの消費量は非常に少ない。
【0036】
また、従来では、フィルタ23への粒子状物質の総堆積量として煤およびSOFの両方の堆積量を合計したものを推定し、推定した粒子状物質の総堆積量に基づいて煤燃焼温度にまでフィルタ23の温度を上昇させ、その温度に維持して、フィルタ23に堆積した粒子状物質を除去していた。この場合、SOFが多く堆積していてフィルタ23をSOF燃焼温度にまで昇温すればSOFが燃焼してフィルタ23の粒子状物質の捕集能力が回復するときであっても、同様な操作が行われる。
【0037】
しかしながら、上述したようにSOF燃焼温度は煤燃焼温度よりもかなり低温であるため、フィルタ23の昇温に用いられる燃料やエネルギの消費量を考慮すると、フィルタ23にSOFが多く堆積しているときにはフィルタ23をSOF燃焼温度にまで昇温してSOFを燃焼させてフィルタ23の粒子状物質の捕集能力を回復させるのが好ましい。すなわち、フィルタ23を煤燃焼温度まで昇温する回数は少ない方が好ましい。そこで、本発明では以下のような方法で、フィルタ23に堆積した粒子状物質を除去する。
【0038】
本発明の粒子状物質除去方法では、昇温処理によってフィルタ23をSOF燃焼温度にまで昇温する制御(以下、「SOF除去制御」と称す)を行うことで粒子状物質のうちSOFを除去した後に、上述した堆積量推定方法によりフィルタ23への粒子状物質の総堆積量を推定する。この場合、推定される粒子状物質の総堆積量は、煤の総堆積量を指している。そして、この煤の総堆積量が上述した限界堆積量以上となった場合に、昇温処理によってフィルタ23を煤燃焼温度にまで昇温させる制御(以下、「煤除去制御」と称す)を行い、フィルタ23に堆積している粒子状物質を除去する。
【0039】
また、SOF除去制御は、比較的短い所定運転時間間隔毎に行われる。ここで、所定運転時間間隔とは、少なくとも粒子状物質を強制的に除去しない場合にフィルタ23への粒子状物質の総堆積量がほぼ零から限界堆積量に到達するまでにかかる運転時間よりも短い時間間隔である。
【0040】
図4(a)に、運転時間とフィルタ23への粒子状物質の総堆積量との関係を示した。ここで、実線は、フィルタ23に堆積している煤とSOFとを含む粒子状物質の総量を示しており、一点鎖線は、フィルタ23に堆積している粒子状物質のうち煤の量を示している。
【0041】
図4(a)では、所定運転時間間隔Δt毎にSOF除去制御が行われ、よって所定運転時間間隔毎にSOFが除去される。すなわち、フィルタ23に粒子状物質がほとんど堆積していない状態にある時刻tから所定運転時間間隔Δtが経過した時刻tに、昇温処理によってフィルタ23をSOF燃焼温度に昇温し、フィルタ23に堆積しているSOFが除去されるような時間だけその温度に維持するSOF除去制御が実行される。そして、フィルタ23に堆積しているSOFが除去された時刻(あるいは、SOF除去制御が終了せしめられた時刻)tにフィルタ23への粒子状物質(すなわち、煤)の総堆積量が推定される。
【0042】
図4(a)から分かるように、時刻tにおいては、煤の総堆積量は限界堆積量にまで到達していないため、フィルタ23を煤燃焼温度にまで昇温することなくフィルタ23の昇温処理が終了せしめられる。所定運転時間間隔Δtが経過した時刻tに再び昇温処理によりフィルタ23がSOF燃焼温度に昇温される。このような制御を時刻t〜tにおいて繰り返すうちにフィルタ23には煤が堆積し、時刻tにSOF除去制御を実行してフィルタ23に堆積したSOFを除去した後の時刻tにフィルタ23への粒子状物質(すなわち、煤)の総堆積量を推定すると、煤の総堆積量が限界堆積量以上となっている。このため、時刻tにおいて煤除去制御が実行され、すなわち更なる昇温処理によってフィルタ23が煤燃焼温度にまで昇温され、フィルタ23に堆積している煤が燃焼・除去される。
【0043】
このようにフィルタ23に堆積した粒子状物質を除去することにより、フィルタ23を煤燃焼温度にまで昇温するのをフィルタ23に堆積している煤の量が限界堆積量に達した場合のみとすることができる。したがって、フィルタ23を煤燃焼温度まで昇温する回数を低減することができ、よって燃料やエネルギの消費量を低減することができる。なお、フィルタ23をSOF燃焼温度にまで昇温する場合の燃料やエネルギの消費量は非常に少ないため、上述したようにフィルタ23のSOF燃焼温度までの昇温を数回行っても、全体的には燃料やエネルギの消費量を低減することができる。
【0044】
次に、図5のフローチャートを参照して、本発明の粒子状物質除去方法の制御ルーチンについて説明する。まず、ステップ120において、カウンタの値COUNTが元のカウンタCOUNTの値に1を加えたものとされる。ここで、カウンタは、経過時間を表すものであり、このカウンタの値COUNTが所定値a以上となったときに所定運転時間が経過したことを示すものである。次いで、ステップ121において、カウンタの値COUNTが所定値a以上であるか否か、すなわち所定運転時間が経過したか否かが判定され、カウンタの値COUNTが所定値aよりも小さいと判定された場合には、制御ルーチンが終了せしめられる。
【0045】
一方、ステップ121において、カウンタの値COUNTが所定値a以上であると判定された場合には、ステップ122へと進む。ステップ122では、SOF除去制御が実行せしめられる。次いで、ステップ123において、上述した堆積量推定方法により、フィルタ23への粒子状物質の総堆積量Mpが推定される。ステップ124では、ステップ123で推定された総堆積量Mpが予め定められた限界堆積量Mpa以上であるか否かが判定され、総堆積量Mpが限界堆積量Mpaよりも少ないと判定された場合にはステップ125へと進み、カウンタの値COUNTが零にリセットされて、制御ルーチンが終了せしめられる。
【0046】
一方、ステップ124において、総堆積量Mpが限界堆積量Mpa以上であると判定された場合には、ステップ126へと進む。ステップ126では、煤除去制御実行条件が成立しているか否かが判定される。ここで、煤除去制御実行条件が成立している場合とは、フィルタ23を煤燃焼温度にまで昇温しやすい場合、例えば、内燃機関が高負荷・高回転で運転されている場合等が挙げられる。煤除去制御実行条件が成立していないと判定された場合には、再びステップ126へと戻される。一方、ステップ126において、煤除去制御実行条件が成立していると判定された場合には、ステップ127へと進んで、煤除去制御が実行せしめられる。次いで、ステップ128でカウンタの値COUNTが零にリセットされ、制御ルーチンが終了せしめられる。
【0047】
なお、本発明の粒子状物質除去方法では、上述したように所定運転時間間隔Δt毎にSOF除去制御を実行しているが、この利点について、図4を参照して説明する。図4(b)は、SOF除去制御を実行するタイミングをフィルタ23への粒子状物質の総堆積量に基づいて決定している場合における、フィルタ23への粒子状物質の総堆積量のタイムチャートであり、図4(a)と同様に、実線が煤とSOFとを含む粒子状物質の総堆積量、一点鎖線が煤の総堆積量を示している。
【0048】
図4(b)では、フィルタ23への粒子状物質の総堆積量がほぼ零の状態から基準堆積量に達するまではSOF除去制御は実行されない。ここで、基準堆積量とは、限界堆積量よりも多い量であり、SOF除去制御を実行する基準となる堆積量である。粒子状物質の総堆積量が基準堆積量に達すると、SOF除去制御が実行され、フィルタ23がSOF燃焼温度まで昇温され、フィルタ23に体積しているSOFが除去される。SOFを除去した直後の粒子状物質の総堆積量、すなわち煤の総堆積量が限界堆積量よりも少ない場合には、煤除去制御は実行されない。そして、このような制御が繰り返されて、SOF除去制御を実行した直後の粒子状物質の総堆積量が限界堆積量以上となった場合には煤除去制御が実行され、フィルタ23に堆積している煤が除去される。
【0049】
図4(a)および図4(b)を比較して分かるように、図4(b)の場合には、煤の総堆積量が少ないうちはSOF除去制御がほとんど実行されず、逆に煤の総堆積量が多くなってからSOF除去制御が短い運転時間間隔で実行されているのに対して、図4(a)の場合には、煤の総堆積量に関係無くコンスタントにSOF除去制御が実行されている。したがって、所定運転時間毎にSOF除去制御を実行している場合は、総堆積量に基づいてSOF除去制御の実行タイミングを決定している場合よりも、平均的に総堆積量が少なく維持されている。すなわち、本発明の粒子状物質除去方法を実行した場合にはフィルタ23に起因する圧損を低く維持することができることが分かる。なお、SOF除去制御の実行回数は、図4(a)の場合と図4(b)の場合とではほとんど変わらない。すなわち、燃料やエネルギの消費量は、運転時間間隔に基づいてSOF除去制御の実行タイミングを決定する場合における上記運転時間間隔を適切に設定すれば、運転時間および堆積量のいずれに基づいてSOF除去制御の実行タイミングを決定してもほとんど変わらないことが分かる。
【0050】
なお、上記実施形態においては、運転時間間隔に基づいてSOF除去制御の実行タイミングを決定しているが、運転時間間隔でなく、内燃機関を搭載した車両の走行距離、積算回転数や上述した堆積量推定方法等、粒子状物質の堆積量を推定することができるパラメータであれば如何なるパラメータに基づいてSOF除去制御の実行タイミングを決定してもよい。そして、SOF除去制御を実行してから新たに所定堆積量の粒子状物質が堆積したことが推定される毎にSOF除去制御を実行するようにするのが好ましい。ここで、所定堆積量とは、上記限界堆積量よりも少ない堆積量である。例えば、このようなパラメータとして走行距離を用いた場合、所定走行距離毎にSOF除去制御が実行される。この場合、所定走行距離とは、粒子状物質を強制的に除去しない場合にフィルタ23への粒子状物質の総堆積量がほぼ零から限界堆積量に到達するまでにかかる走行距離よりも短い走行距離である。
【0051】
ただし、SOF除去制御の実行タイミングの決定は、上述した堆積量推定方法によってではなく、運転時間間隔、走行距離または積算回転数(以下、「運転時間間隔等」と称す)に基づいて行う方が好ましい。この理由について簡単に説明する。上述した堆積量推定方法でフィルタ23への堆積量を推定する場合、ECU40での計算量が多くなってしまい、CPU44の計算負荷が大きくなってしまうため、上述した堆積量推定方法による総堆積量の推定回数は少ない方が好ましい。一方、運転時間間隔、走行距離または積算回転数に基づいて堆積量を推定する場合には、CPU44にはほとんど計算負荷がかからない。したがって、SOF除去制御の実行タイミングの決定を運転時間間隔等に基づいて行う場合、上述した堆積量推定方法による総堆積量の推定はSOF除去制御の終了直後のみとなり、CPU44への計算負荷を低減することができる。
【0052】
次に、昇温処理の方法について簡単に説明する。本発明では昇温処理は、内燃機関の燃焼室に燃料を噴射するタイミングを遅らせたり、内燃機関の燃焼室5に機関駆動用の燃料を噴射した後に少量の燃料を噴射して燃焼させたり、フィルタ23上流に電気ヒータやグロープラグを設け、これら電気ヒータまたはグロープラグを作動させたりすることによって、排気ガスの温度を上昇させることによって行われる。また、燃焼室内に燃料を点火するための点火栓が設けられている場合には、この点火栓による燃料の点火タイミングを遅らせることによって、排気ガスの温度を上昇させることによっても昇温処理を行うことができる。
【0053】
あるいは、内燃機関の燃焼室に機関駆動用の燃料を噴射した後に少量の燃料を噴射し、その燃料を燃焼させずにそのまま燃焼室5から排出させたり、フィルタ23上流において排気ガスに燃料を添加するための装置を設け、この装置から排気ガスに燃料を添加したりして、燃料をフィルタ23に供給し、これら燃料をフィルタ23内にて燃焼させることによっても昇温処理を行うことができる。
【0054】
また、本発明において用いられるフィルタ23は、上述したSOF燃焼温度や煤燃焼温度にまでフィルタ23を昇温せずに粒子状物質を除去する能力を有するフィルタであってもよい。以下、フィルタの粒子状物質除去作用について説明する。
【0055】
図6においては、貴金属触媒として白金(Pt)を利用し、活性酸素生成剤としてカリウム(K)を利用した場合を例にとって説明するが、他の貴金属、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類、遷移金属を用いても同様な粒子状物質除去作用が行われる。
【0056】
図6(a)および(b)はフィルタ23の隔壁の表面上および隔壁の細孔表面上に形成された担体層の表面の拡大図を模式的に表している。図6(a)および(b)において60は白金の粒子を示しており、61はカリウム等の活性酸素生成剤を含む担体層を示している。
【0057】
まず、吸気通路および燃焼室内に供給された空気と燃料との比を排気ガスの空燃比と称すると、フィルタ23に流入する排気ガスの空燃比はリーンである場合、燃焼室では、NO、特にNOおよびNOが発生するので、排気ガス中にはNOが含まれている。このように、フィルタ22には過剰酸素、および、NOを含んだ排気ガスが流入する。
【0058】
排気ガスがフィルタ23に流入すると、図6に示したように排気ガス中の酸素はO またはO2−の形で白金の表面に付着する。一方、排気ガス中のNOは白金の表面上でO またはO2−と反応し、NOとなる(2NO+O→2NO)。次いで生成されたNOおよび排気ガス中のNOの一部は白金上で酸化されつつ活性酸素生成剤61に吸収され、Kと結合しながら図6に示したように硝酸イオン(NO )の形で活性酸素生成剤61内に拡散し、硝酸塩(KNO)を生成する。すなわち、排気ガス中の酸素が硝酸イオンの形で活性酸素生成剤に保持される。
【0059】
ところで、燃焼室内では主にカーボン(C)からなる粒子状物質が生成される。したがって、排気ガス中にはこれら粒子状物質が含まれる。排気ガス中の粒子状物質は、排気ガスがフィルタ23内を流れているときに、図6(b)に示したように、活性酸素生成剤61の表面上に接触し、付着する。
【0060】
活性酸素生成剤61上に粒子状物質62が付着すると、活性酸素生成剤61の表面とその内部との間に濃度差が生じる。活性酸素生成剤61内には硝酸イオンの形で酸素が保持されており、この保持されている酸素が粒子状物質62と活性酸素生成剤61との接触面に向けて移動しようとする。その結果、活性酸素生成剤62内に形成されている硝酸塩(KNO)がKとOとNOとに分解され、Oが活性酸素生成剤61の表面に向かい、その一方でNOが活性酸素生成剤61から外部に離脱せしめられる。このように外部に離脱せしめられたNOは上述したメカニズムで下流側の白金上において酸化され、再び活性酸素生成剤61内に硝酸イオンの形で保持される。
【0061】
ところで粒子状物質62と活性酸素生成剤61との接触面に向かうOは硝酸塩(KNO)のような化合物から分解された酸素であるので、不対電子を有し、極めて高い反応性を有する活性酸素となっている。これら活性酸素が粒子状物質62に接触すると粒子状物質62は短時間(数秒〜数十分)のうちに輝炎を発することなく酸化せしめられ、粒子状物質62は完全に消滅する。したがって、このようにして粒子状物質62が酸化・除去され、粒子状物質62はフィルタ23上に堆積しにくくなる。
【0062】
【発明の効果】
本発明の粒子状物質除去方法によれば、フィルタの煤燃焼温度への昇温回数を少なくすることで燃料やエネルギの消費量を抑制することができ、その結果、フィルタに堆積している粒子状物質を効率的に除去することができる。
【0063】
第3および第4の発明によれば、流入排気ガスの流量を正確に推定して、粒子状物質の総堆積量を正確に推定することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の粒子状物質除去方法を実行する内燃機関全体を示す図である。
【図2】流入排気ガスの体積流量と、フィルタの前後差圧と、粒子状物質の総堆積量との関係を示す図である。
【図3】本発明の堆積量推定方法のフローチャートである。
【図4】フィルタへの粒子状物質の総堆積量のタイムチャートである。
【図5】本発明の粒子状物質除去方法のフローチャートである。
【図6】本発明において使用されるフィルタの粒子状物質除去作用を説明するための図である。
【符号の説明】
5…燃焼室
6…燃料噴射弁
23…パティキュレートフィルタ(フィルタ)
24…ケーシング
40…電子制御ユニット(ECU)
52…差圧センサ
53…温度センサ
54…エアフロメータ

Claims (4)

  1. 排気ガス中の粒子状物質を捕集可能なパティキュレートフィルタであって該パティキュレートフィルタへの粒子状物質の総堆積量が限界堆積量以上になるとパティキュレートフィルタによる排気ガスに対する流抵抗が一定値以上に大きくなるようなパティキュレートフィルタに堆積した粒子状物質を除去する方法において、
    上記パティキュレートフィルタの温度を煤燃焼温度以下であって可溶性有機物質燃焼温度以上に上昇させる可溶性有機物質除去制御を前回実行してからパティキュレートフィルタに新たに堆積した粒子状物質の量が上記限界堆積量よりも少ない予め定められた所定堆積量以上となったことが推定されたときに可溶性有機物質除去制御を実行し、その直後に、パティキュレートフィルタへの粒子状物質の総堆積量を推定し、推定された総堆積量が上記限界堆積量以上である場合には、パティキュレートフィルタの温度を煤燃焼温度以上に上昇させる粒子状物質除去方法。
  2. 上記パティキュレートフィルタに新たに堆積した粒子状物質の量の推定は内燃機関の運転時間に基づいて行われる請求項1に記載の粒子状物質除去方法。
  3. 上記パティキュレートフィルタへの粒子状物質の総堆積量の推定は、機関燃焼室に流入する空気の質量流量と単位時間当たりに機関燃焼室に供給される燃料量とからパティキュレートフィルタへの流入排気ガスの質量流量を算出し、該流入排気ガスの質量流量とパティキュレートフィルタへの流入排気ガスの温度とからパティキュレートフィルタへの流入排気ガスの体積流量を算出し、該算出された流入排気ガスの体積流量と実際のパティキュレートフィルタの前後差圧とから粒子状物質の総堆積量を算出することによって行われる請求項1または2に記載の粒子状物質除去方法。
  4. 上記粒子状物質の総堆積量の算出は、上記流入排気ガスの体積流量毎にパティキュレートフィルタに粒子状物質が堆積していない状態におけるパティキュレートフィルタの前後差圧を検出し、流入排気ガスの体積流量が上記算出された流入排気ガスの体積流量となっている場合の粒子状物質が堆積していない状態におけるパティキュレートフィルタの前後差圧と上記実際のパティキュレートフィルタの前後差圧とを比較することによって行われる請求項3に記載の粒子状物質除去方法。
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