JP2005001285A - 印刷方法及び印刷システム - Google Patents
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Abstract
【課題】バーコードのような光学的に読み取るコードの場合のように、オペレータがコードを探して読み取るといった作業負担を軽減できるとともに、各工程における諸資材をオペレータが意識することなくセットでき、印刷インキ等による諸資材の汚れに拘わらず、印刷工程を間違いなく正確に運用でき、さらに工程全体を自動的、且つ、効率的に稼働させることができる印刷方法及び印刷システムを提供する。
【解決手段】印刷方法及び印刷システムQ,Q’は、印刷版データを作成し、印刷版データに基づいて印刷版AAA’を作成し、印刷版AAA’、インキカートリッジ31及び被印刷体収容部32をセットした印刷機30を使用して印刷物を作成する。印刷版AAA’、インキ及び被印刷体に関する管理情報を非接触ICタグT1〜T3に記憶させる。前記ICタグを印刷版AAA’、インキカートリッジ31、インキ缶31’及び収容部32に付加する。前記ICタグから前記管理情報を読み出し、該読み出した管理情報に基づいて、印刷版AAA’、インキ及び被印刷体を管理する。
【選択図】 図1
【解決手段】印刷方法及び印刷システムQ,Q’は、印刷版データを作成し、印刷版データに基づいて印刷版AAA’を作成し、印刷版AAA’、インキカートリッジ31及び被印刷体収容部32をセットした印刷機30を使用して印刷物を作成する。印刷版AAA’、インキ及び被印刷体に関する管理情報を非接触ICタグT1〜T3に記憶させる。前記ICタグを印刷版AAA’、インキカートリッジ31、インキ缶31’及び収容部32に付加する。前記ICタグから前記管理情報を読み出し、該読み出した管理情報に基づいて、印刷版AAA’、インキ及び被印刷体を管理する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、印刷方法及び印刷システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の印刷工程のなかには、印刷版を作成するための印刷版データを作成する印刷版データ作成装置(例えば、コンピュータにレイアウト編集ソフト等を搭載したもの)を使用し、印刷版データを作成する印刷版データ作成工程、この印刷版データ作成工程にて作成された印刷版データに基づいて印刷版を作成するための印刷版作成装置(例えば、コンピュータを用いたCTP(Computer To Plate)システム)を使用し、印刷版を作成する印刷版作成工程、この印刷版作成工程にて作成された印刷版を用いて印刷物を作成するための印刷機を使用し、印刷物を作成する印刷物作成工程などがある。これらの工程においては、既述の印刷版の他、被印刷体(例えば、印刷用紙)や印刷インキ等の諸資材が使用される。
【0003】
近年、これらの印刷工程全体の工程管理、資源管理、品質管理等の目的で各工程の関連する機器等をネットワーク等の通信手段で結び管理する印刷管理部を備えた印刷システムが提案されている。
【0004】
この印刷システムによる従来の印刷工程においては、例えば、印刷を行うに際して、印刷管理部から、どのような印刷物を印刷するのかを示す印刷指示データ(例えば、使用すべきインキの種類等のインキに関する指示データ、使用すべき印刷用紙の種類やサイズ等の印刷用紙に関する指示データなど)がネットワーク経由で発せられ、印刷版データ作成工程、印刷版作成工程及び印刷物作成工程等の各工程において、この指示データに従って、印刷版データ作成作業、印刷版作成作業及び印刷物作成作業が順次行われることがある。このとき、各工程は処理結果(作業時間、良品の数、不良品の数など)を印刷管理部にネットワーク経由で報告し、印刷システムによる印刷工程全体の最適化が図られている。このように、印刷システムは、ネットワーク経由で集められた各工程からの情報により印刷工程全体の最適化を図るための仕組みの一つとして構築されている。
【0005】
また、各工程での処理の結果(例えば、印刷版データ作成工程や印刷版作成工程の処理の結果)、得られた情報の中で後工程(例えば、印刷版作成工程や印刷物作成工程)へ伝達すれば有益なデータ(例えば、印刷版データや印刷版に対して調整されるべきインキ量のデータ)についてもネットワークを経由して後工程に伝達され、後工程ではこのデータを利用することで、作業の効率化を図っている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来の印刷工程では、前記したように各工程の関連する機器等がネットワーク化され、オンラインで接続されることで、印刷工程全体の最適化や作業の効率化を図っているにもかかわらず、各工程内で使用される諸資材(例えば、印刷用紙、印刷インキや印刷版など)については、ネットワークとは隔絶されたところで扱われている。例えば、各オペレータが意識的にネットワーク上を流れるデータと一致するように取り扱う必要がある。そのため、印刷システムを間違いなく正確に運用し、さらにはシステム全体を自動的、且つ、効率的に稼働させるための障害となっている。これについて図7から図11を例にとってさらに説明する。
【0007】
図7は従来の印刷システムによる印刷工程例において印刷用紙及び印刷インキを中心に記載した概略工程図である。
【0008】
図7に示すように、印刷版データ作成工程では、印刷用紙の種類や印刷インキの種類等を考慮して印刷版データが作成され、この印刷版データに基づいて、印刷版作成工程にて印刷版が複数(例えば、シアン色(C)、マゼンタ色(M)、イエロー色(Y)、ブラック色(K)の四色の印刷インキに対応する四つの印刷版)作成され、該作成された印刷版が印刷物作成工程に渡される。
【0009】
印刷物作成工程では、印刷版作成工程にて作成された四つの印刷版を印刷機にセットし、該四つの印刷版をセットした印刷機を使用して印刷物を作成する。この印刷にあたっては、印刷機に対して、印刷指示データで指示された通りの印刷インキ、印刷用紙等をセットする必要がある。このとき、印刷機にいずれの種類のインキ(例えば、メーカー、C,M,Y,K等の色、インキの特性、量など)、いずれの種類の用紙(例えば、表面処理、枚数、サイズなど)がセットされているかを印刷機オペレータが意識する必要があり、或いは版を印刷機にセットするに際して、セットすべき場所を間違えることがある。
【0010】
また、印刷版データ作成工程にて用紙の種類やインキの種類等を考慮して印刷版データを作成する場合、例えば、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)からC,M,Y,Kへの変換が含まれるデータを作成する場合や印刷版データに対してカラーマッチング処理を行う場合(さらに言えば、プルーフに色を合わせる場合や他の印刷機に色を合わせる場合)等には、この印刷版データ作成工程で想定している用紙、インキ等と実際に印刷する際に使用する用紙、インキ等とが一致しないと、印刷版データ作成工程で想定した用紙、インキ等とは違うもので印刷されることになり、例えば、得られる印刷物の色に関して、想定とは異なるものになったりする。この問題は、特に、カラーマッチング処理をより厳密に行おうとした場合に顕著となる。
【0011】
図8は従来の印刷システムによる印刷工程例において印刷版を中心に記載した概略工程図であり、図9は図8に示す工程の流れを示すフローチャートである。
【0012】
図8及び図9に示すように、印刷版データ作成工程にて印刷版データが作成され(ステップS1”)、この印刷版データ作成工程により作成された印刷版データに基づいて、印刷版作成工程にて印刷版(例えば、C,M,Y,Kの四色の印刷インキに対応する四つの印刷版AAA’)が作成される(ステップS2”)。このとき、印刷版AAA’の文書名、版名などが出力される。図10に従来の印刷版の一例を示す。図10に示すように、印刷版AAA’には所定の領域Nに文書名A、この文書名Aに対して版名Y版、M版、C版、K版などが付される。さらにこれらの印刷版による印刷が適正なものとなるように各印刷版に対するインキ量のデータが作成(例えば算出)され(ステップS3”)、印刷物作成工程に該作成された印刷版が渡されるとともに、インキ量のデータがネットワーク経由で送られる。
【0013】
図11に図8及び図9に示す印刷版データ作成工程で作成された印刷版データが複数ある場合の概略工程図を示す。この場合も、図8及び図9の印刷工程と同様にして、印刷版データAAA,BBB,CCCが作成され(ステップS1”)、印刷版データAAA,BBB,CCCに基づいて、例えば、C,M,Y,Kの四つの印刷版AAA’,BBB’,CCC’が作成され(ステップS2”)、さらに各印刷版に対するインキ量のデータAAA”,BBB”,CCC”が作成され(ステップS3”)、印刷物作成工程に該作成された印刷版AAA’,BBB’,CCC’が渡されるとともに、インキ量のデータAAA”,BBB”,CCC”がネットワーク経由で送られる。
【0014】
印刷物作成工程では、印刷版作成工程にて作成された四つの印刷版AAA’,BBB’,CCC’を印刷機にセットし、該四つの印刷版AAA’,BBB’,CCC’をセットした印刷機を使用して印刷物を作成する。この印刷にあたって印刷機に対し、インキ量AAA,BBB,CCCに対応する印刷版AAA’,BBB’,CCC’をセットする(ステップS4”)必要がある。この印刷版AAA’,BBB’,CCC’上に付された文書名A等から印刷版AAA’,BBB’,CCC’がいずれのインキ量データAAA,BBB,CCCに対応しているのかは印刷機オペレータ自身が判断するしかない。例えば、ネットワーク上のデータからはいずれの印刷版が対象で、いずれの版を使用すればよいかについて文書名などから判断するしかなく(ステップS4”)、いずれの印刷版を使用するかは、印刷機オペレータが判断してインキ量データを手動で選択する必要がある(ステップS5”)。このとき、間違ったインキ量データを選択してしまうと、印刷の前準備に余計な時間がかかってしまう。
【0015】
また、既述したように、印刷機にはC,M,Y,Kの四つの印刷版AAA’がセットされるが、印刷機においては、印刷版をセットする際、C,M,Y,Kの四つの印刷版AAA’のうち、いずれの版がセットされたかの検知は行われていないため、印刷機オペレータが印刷版作成工程にて版AAA’上に予め付される各印刷版の情報(例えば、文書名A、版名Y版、M版、C版、K版など)を目視で読み出し(図10参照)、版の種類を確認することで、印刷機のセットすべき場所(例えば、印刷ユニット)にセットしている。この場合、印刷版上に出力される印刷版の情報を示す文字等は、往々にして印刷物の印刷内容への影響を最小限に抑えるために、小さく、読み取りにくいものとなっており、印刷版の情報を容易に間違いなく確認することが困難である。
【0016】
これに対し、印刷版にバーコードのような光学的に読み取る印刷版コードを付すことで、印刷版を管理する印刷システムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0017】
ところが、このような印刷システムでは、印刷版に付されたコードの近傍に読取部を配置するか、又は印刷版のコードと読取部とが互いに離れている場合には、印刷版のコードを読み取る際に、コード及び読取部のうち少なくとも一方を近づけてやる必要がある。例えば、印刷版のコードを読み取るにあたって、オペレータがコードを探して読み取る必要があり、オペレータの作業に負担がかかる。また、コードが印刷インキ等で汚れることがあり、この場合、コードをうまく読み取ることができない。
【0018】
また、前記の問題とは別に、次のような問題もある。すなわち、印刷工程終了後、再度印刷依頼があることを想定して、当該印刷に用いた印刷版を保管(置き版)することがある。置き版は、通常、複数の印刷に対してなされることが多いので、保管場所には多くの版が保管されることになり、再度印刷依頼があった場合に多くの版の中から所望の版を探し出すのに多くの時間がかかってしまう。
【0019】
本発明は、前記問題に鑑みてなされたもので、バーコードのような光学的に読み取るコードの場合のように、オペレータがコードを探して読み取るといった作業負担を軽減できるとともに、各工程における諸資材をオペレータが意識することなくセットでき、印刷インキ等による諸資材の汚れに拘わらず、印刷工程を間違いなく正確に運用でき、さらに工程全体を自動的、且つ、効率的に稼働させることができる印刷方法及び印刷システムを提供することを課題とする。
【0020】
さらに本発明は、印刷工程終了後、再度印刷依頼があった場合に多くの版の中から短時間で所望の版を探し出すことができる印刷方法及び印刷システムを提供することを課題とする。
【0021】
【特許文献1】
特開2001−158075号公報
【0022】
【課題を解決するための手段】
本発明は前記課題を解決するため、次の第1から第3の印刷方法及び印刷システムを提供する。
【0023】
(1)印刷方法
(1−1)第1の印刷方法
印刷版を作成するための印刷版データを作成する印刷版データ作成工程と、前記印刷版データ作成工程にて作成された前記印刷版データに基づいて前記印刷版を作成する印刷版作成工程と、前記印刷版作成工程にて作成された前記印刷版をセットした印刷機を使用して印刷物を作成する印刷物作成工程とを含み、前記印刷版データ作成工程、前記印刷版作成工程及び前記印刷物作成工程を管理する印刷方法において、
非接触ICタグに対して前記印刷版に関する印刷版管理情報を記憶させる記憶工程と、
前記ICタグを前記印刷版に付加する付加工程と、
前記ICタグの前記印刷版管理情報を読み出す読出工程と
をさらに含み、
前記読出工程にて前記印刷版の前記ICタグから前記印刷版管理情報を読み出し、該読み出した印刷版管理情報に基づいて、前記印刷版を管理することを特徴とする印刷方法。
【0024】
(1−2)第2の印刷方法
印刷版を作成するための印刷版データを作成する印刷版データ作成工程と、前記印刷版データ作成工程にて作成された前記印刷版データに基づいて前記印刷版を作成する印刷版作成工程と、印刷インキのインキ供給容器をセットした印刷機を使用して印刷物を作成する印刷物作成工程とを含み、前記印刷版データ作成工程、前記印刷版作成工程及び前記印刷物作成工程を管理する印刷方法において、
非接触ICタグに対して前記印刷インキに関するインキ管理情報を記憶させる記憶工程と、
前記ICタグを前記インキ供給容器及び/又は前記インキ供給容器にインキを補給するためのインキ収容器に付加する付加工程と、
前記ICタグの前記インキ管理情報を読み出す読出工程と
をさらに含み、
前記読出工程にて前記インキ供給容器及び/又は前記インキ収容器の前記ICタグから前記インキ管理情報を読み出し、該読み出したインキ管理情報に基づいて、前記印刷インキを管理することを特徴とする印刷方法。
【0025】
(1−3)第3の印刷方法
印刷版を作成するための印刷版データを作成する印刷版データ作成工程と、前記印刷版データ作成工程にて作成された前記印刷版データに基づいて前記印刷版を作成する印刷版作成工程と、被印刷体又は被印刷体の収容部をセットした印刷機を使用して印刷物を作成する印刷物作成工程とを含み、前記印刷版データ作成工程、前記印刷版作成工程及び前記印刷物作成工程を管理する印刷方法において、
非接触ICタグに対して前記被印刷体に関する被印刷体管理情報を記憶させる記憶工程と、
前記ICタグを前記被印刷体又は前記被印刷体収容部に付加する付加工程と、
前記ICタグの前記被印刷体管理情報を読み出す読出工程と
をさらに含み、
前記読出工程にて前記被印刷体又は前記被印刷体収容部の前記ICタグから前記被印刷体管理情報を読み出し、該読み出した被印刷体管理情報に基づいて、前記被印刷体を管理することを特徴とする印刷方法。
【0026】
(2)印刷システム
(2−1)第1の印刷システム
印刷版を作成するための印刷版データを作成する印刷版データ作成装置と、前記印刷版データ作成装置にて作成された前記印刷版データに基づいて前記印刷版を作成する印刷版作成装置と、前記印刷版作成装置にて作成された前記印刷版がセットされる印刷機と、前記印刷版データ作成装置、前記印刷版作成装置及び前記印刷機を管理する印刷管理部とを具備する印刷システムにおいて、
非接触ICタグの情報を読み出す読出部をさらに備え、
前記ICタグに対して前記印刷版に関する印刷版管理情報が記憶され、
前記ICタグが前記印刷版に付加され、
前記管理部は、前記読出部にて前記印刷版の前記ICタグから前記印刷版管理情報を読み出し、該読み出した印刷版管理情報に基づいて、前記印刷版を管理することを特徴とする印刷システム。
【0027】
(2−2)第2の印刷システム
印刷版を作成するための印刷版データを作成する印刷版データ作成装置と、前記印刷版データ作成装置にて作成された前記印刷版データに基づいて前記印刷版を作成する印刷版作成装置と、印刷インキのインキ供給容器がセットされる印刷機と、前記印刷版データ作成装置、前記印刷版作成装置及び前記印刷機を管理する印刷管理部とを具備する印刷システムにおいて、
非接触ICタグの情報を読み出す読出部をさらに備え、
前記ICタグに対して前記印刷インキに関するインキ管理情報が記憶され、
前記ICタグが前記インキ供給容器及び/又は前記インキ供給容器にインキを補給するためのインキ収容器に付加され、
前記管理部は、前記読出部にて前記インキ供給容器及び/又は前記インキ収容器の前記ICタグから前記インキ管理情報を読み出し、該読み出したインキ管理情報に基づいて、前記印刷インキを管理することを特徴とする印刷システム。
【0028】
(2−3)第3の印刷システム
印刷版を作成するための印刷版データを作成する印刷版データ作成装置と、前記印刷版データ作成装置にて作成された前記印刷版データに基づいて前記印刷版を作成する印刷版作成装置と、被印刷体又は被印刷体の収容部がセットされる印刷機と、前記印刷版データ作成装置、前記印刷版作成装置及び前記印刷機を管理する印刷管理部とを具備する印刷システムにおいて、
非接触ICタグの情報を読み出す読出部をさらに備え、
前記ICタグに対して前記被印刷体に関する被印刷体管理情報が記憶され、
前記ICタグが前記被印刷体又は前記被印刷体収容部に付加され、
前記管理部は、前記読出部にて前記被印刷体又は前記被印刷体収容部の前記ICタグから前記被印刷体管理情報を読み出し、該読み出した被印刷板管理情報に基づいて、前記被印刷体を管理することを特徴とする印刷システム。
【0029】
前記印刷版に関する印刷版管理情報としては、文書名、版名、インキ量データなどを例示できる。前記印刷インキに関するインキ管理情報としては、メーカー、色、インキの特性、量などを例示できる。前記被印刷体に関する被印刷体管理情報としては、表面処理、枚数、サイズ、厚さなどを例示できる。但し、それに限定されるものではない。
【0030】
本発明に係る第1の印刷方法及び印刷システムでは、非接触ICタグに対して前記印刷版管理情報を記憶させてから、該印刷版管理情報を記憶したICタグを前記印刷版に付加するか又は非接触ICタグを前記印刷版に付加してから、該印刷版に付加されたICタグに対して前記印刷版管理情報を記憶させ、さらに前記印刷版の前記ICタグから前記印刷版管理情報を読み出し、該読み出した印刷版管理情報に基づいて、前記印刷版を管理する。本発明に係る第2の印刷方法及び印刷システムでは、非接触ICタグに対して前記インキ管理情報を記憶させてから、該インキ管理情報を記憶したICタグを前記インキ供給容器及び/又は前記インキ収容器に付加するか或いは非接触ICタグを前記インキ供給容器及び/又は前記インキ収容器に付加してから、該インキ供給容器及び/又は該インキ収容器に付加されたICタグに対して前記インキ管理情報を記憶させ、さらに前記インキ供給容器及び/又は前記インキ収容器の前記ICタグから前記インキ管理情報を読み出し、該読み出したインキ管理情報に基づいて、前記印刷インキを管理する。本発明に係る第3の印刷方法及び印刷システムでは、非接触ICタグに対して前記被印刷体管理情報を記憶させてから、該被印刷体管理情報を記憶したICタグを前記被印刷体若しくは前記被印刷体収容部に付加するか又は非接触ICタグを前記被印刷体若しくは前記被印刷体収容部に付加してから、該被印刷体若しくは被印刷体収容部に付加されたICタグに対して前記被印刷体管理情報を記憶させ、さらに前記被印刷体又は前記被印刷体収容部の前記ICタグから前記被印刷体管理情報を読み出し、該読み出した被印刷体管理情報に基づいて、前記被印刷体を管理する。従って、本発明に係る第1から第3の印刷方法並びに第1から第3の印刷システムによると、いずれにしても、バーコードのような光学的に読み取るコードの場合のように、オペレータがコードを探して読み取るといった作業負担を軽減できるとともに、各工程における諸資材をオペレータが意識することなくセットでき、印刷インキ等による諸資材の汚れに拘わらず、印刷工程を間違いなく正確に運用でき、さらに工程全体を自動的、且つ、効率的に稼働させることができる。
【0031】
前記非接触ICタグは、書き換え可能なICタグであってもよい。この場合、本発明の第1から第3の方法において、前記記憶工程では、前記管理情報を書き換え可能なICタグに書き込んでもよい。この場合の本発明の第1から第3のシステムは、前記管理情報を前記ICタグに書き込む書込部をさらに備えることができる。この書き換え可能なICタグでは、前記管理情報の変更、追加、更新等を行うことができる。
【0032】
本発明に係る第1方法において、前記印刷版作成工程では、前記印刷版データ作成工程にて作成された前記印刷版データに基づいて前記印刷版を作成するとともに該作成された印刷版に対する印刷インキのインキ量を求め、前記記憶工程では、前記印刷版管理情報として、前記印刷版作成工程にて求めた前記印刷インキのインキ量を含む管理情報を前記ICタグに記憶させてもよい。このとき、例えば、前記の書き換え可能なICタグに前記印刷インキのインキ量を含む管理情報を書き込んでもよい。そして前記読出工程にて前記印刷版の前記ICタグから前記印刷インキのインキ量を含む印刷版管理情報を読み出すとともに前記印刷機に対し該読み出したインキ量を設定し、前記印刷物作成工程では、前記印刷機に対し設定されたインキ量の印刷インキで印刷することができる。この場合の本発明第1システムでは、前記印刷版作成装置が、前記印刷版データ作成装置にて作成された前記印刷版データに基づいて前記印刷版を作成するとともに該作成された印刷版に対する印刷インキのインキ量を求め、前記印刷版管理情報として前記印刷版作成装置にて求めた前記印刷インキのインキ量を含む管理情報が前記ICタグに記憶される。このとき、例えば、前記の書き換え可能なICタグに前記印刷インキのインキ量を含む管理情報を書き込んでもよい。そして前記管理部が、前記読出部にて前記印刷版の前記ICタグから前記印刷インキのインキ量を含む印刷版管理情報を読み出すとともに前記印刷機に対し該読み出したインキ量を設定し、前記印刷機が、前記管理部にて設定されたインキ量の印刷インキで印刷する。こうすることで、前記印刷版を前記印刷機にセットするだけで、前記印刷機への前記印刷版に対するインキ量の設定を自動で確実に行うことができる。
【0033】
本発明に係る第1方法において、前記読出工程にて前記印刷版の前記ICタグから読み出した印刷版管理情報から、前記印刷物作成工程にて前記印刷版が前記印刷機にセットされる際に正しくセットされているか否かをチェックし、正しくセットされていなければ、正しくセットする旨の警告を発してもよい。この場合の本発明第1システムでは、前記管理部が、前記読出部にて前記印刷版の前記ICタグから読み出した印刷版管理情報から、前記印刷機に前記印刷版がセットされる際に正しくセットされているか否かをチェックし、正しくセットされていなければ、正しくセットする旨の警告を発する。こうすることで、前記印刷版を間違いなく確実に前記印刷機にセットできる。
【0034】
また、本発明に係る第1方法において、前記読出工程にて前記印刷版の前記ICタグから前記印刷版管理情報を読み出し、該読み出した印刷版管理情報により、前記印刷版が保管場所の何処にあるかを検索してもよい。この場合の本発明第1システムでは、前記管理部は、前記読出部にて前記印刷版の前記印刷版管理情報を読み出し、該読み出した印刷版管理情報により、前記印刷版が保管場所の何処にあるかを検索する。こうすることで、印刷工程終了後、再度印刷依頼があった場合に多くの版の中から短時間で所望の版を探し出すことができる。例えば、本発明第1方法において、前記記憶工程では、前記印刷版管理情報として、前記印刷版の印刷終了後の保管場所の情報を含む管理情報を前記ICタグに記憶させ、前記読出工程にて前記印刷版の前記ICタグから前記印刷版の前記保管場所情報を含む印刷版管理情報を読み出し、該読み出した保管場所情報により、前記印刷版が保管場所の何処にあるかを検索する場合を挙げることができる。また、本発明第1システムにおいて、前記印刷版管理情報として前記印刷版の印刷終了後の保管場所の情報を含む管理情報が前記ICタグに記憶され、前記管理部が、前記読出部にて前記印刷版の前記ICタグから前記印刷版の保管場所情報を含む印刷版管理情報を読み出し、該読み出した保管場所情報により、前記印刷版が保管場所の何処にあるかを検索する場合を例示できる。この場合、前記印刷版の前記ICタグに固定のID符号を記憶させ、前記印刷版の保管場所(例えば、保管棚等)に前記ID符号に対応するコード(例えば、バーコード等)を設けておくことで、例えば、印刷版が正しい保管場所に保管されていない場合であっても、当該保管場所(例えば、保管棚等)のコード(例えば、バーコード等)を読み出して(例えば、スキャンして)、当該印刷版が何処にあるかを当該印刷版のICタグに記憶されたID符号により探すことができる。
【0035】
本発明に係る第2方法において、前記読出工程にて前記インキ供給容器の前記ICタグから前記インキ管理情報を読み出すとともに該読み出したインキ管理情報に基づいて前記印刷インキの変更に対して変化する前記印刷機の設定値(例えば、インキ量の調整値など)を自動で設定し、前記印刷物作成工程では、前記印刷機に対し設定された前記設定値で印刷してもよい。この場合の本発明第2システムでは、前記管理部が、前記読出部にて前記インキ供給容器の前記ICタグから前記インキ管理情報を読み出すとともに該読み出したインキ管理情報に基づいて前記印刷インキの変更に対して変化する前記印刷機の設定値(例えば、インキ量の調整値など)を自動で設定し、前記印刷機が、前記管理部にて設定された前記設定値で印刷する。こうすることで、前記インキ供給容器を前記印刷機にセットするだけで、前記印刷機の設定を自動で行うことができる。
【0036】
また、本発明に係る第2方法において、前記読出工程にて前記インキ供給容器の前記ICタグから読み出したインキ管理情報から、前記印刷物作成工程にて前記インキ供給容器が前記印刷機にセットされる際に正しくセットされているか否かをチェックし、正しくセットされていなければ、正しくセットする旨の警告を発してもよい。この場合の本発明第2システムでは、前記管理部が、前記読出部にて前記インキ供給容器の前記ICタグから読み出したインキ管理情報から、前記印刷機に前記インキ供給容器がセットされる際に正しくセットされているか否かをチェックし、正しくセットされていなければ、正しくセットする旨の警告を発する。こうすることで、前記インキ供給容器を間違いなく確実に前記印刷機にセットできる。或いは/さらに、前記読出工程にて前記インキ収容器の前記ICタグから読み出したインキ管理情報から、前記印刷物作成工程にて前記インキ収容器から前記インキ供給容器にインキが補給される際に正しく補給されているか否かをチェックし、正しく補給されていなければ、正しく補給する旨の警告を発してもよい。この場合の本発明第2システムでは、前記管理部が、前記読出部にて前記インキ供給容器の前記ICタグから読み出したインキ管理情報から、前記インキ収容器から前記インキ供給容器にインキが補給される際に正しく補給されているか否かをチェックし、正しく補給されていなければ、正しく補給する旨の警告を発する。こうすることで、前記インキ収容器から前記インキ供給容器にインキを補給するときに、正しいインキ収容器が使われているか否かを管理することができる。
【0037】
本発明に係る第3方法において、前記読出工程にて前記被印刷体又は前記被印刷体収容部の前記ICタグから前記被印刷体管理情報を読み出すとともに該読み出した被印刷体管理情報に基づいて前記被印刷体の変更に対して変化する前記印刷機の設定値(例えば、厚みなど)を自動で設定し、前記印刷物作成工程では、前記印刷機に対し設定された前記設定値で印刷してもよい。この場合の本発明第2システムでは、前記管理部が、前記読出部にて前記被印刷体又は前記被印刷体収容部の前記ICタグから前記被印刷体管理情報を読み出すとともに該読み出した被印刷体管理情報に基づいて前記被印刷体の変更に対して変化する前記印刷機の設定値(例えば、厚みなど)を自動で設定し、前記印刷機が、前記管理部にて設定された前記設定値で印刷する。こうすることで、前記被印刷体又は前記被印刷体収容部を前記印刷機にセットするだけで、前記印刷機の設定を自動で行うことができる。
【0038】
また、本発明に係る第3方法において、前記読出工程にて前記被印刷体又は前記被印刷体収容部の前記ICタグから読み出した被印刷体管理情報から、前記印刷物作成工程にて前記被印刷体又は前記被印刷体収容部が前記印刷機にセットされる際に正しくセットされているか否かをチェックし、正しくセットされていなければ、正しくセットする旨の警告を発してもよい。この場合の本発明第2システムでは、前記管理部が、前記読出部にて前記被印刷体又は前記被印刷体収容部の前記ICタグから読み出した被印刷体管理情報から、前記印刷機に前記被印刷体又は前記被印刷体収容部がセットされる際に正しくセットされているか否かをチェックし、正しくセットされていなければ、正しくセットする旨の警告を発する。こうすることで、前記被印刷体又は前記被印刷体収容部を間違いなく確実に前記印刷機にセットできる。
【0039】
本発明に係る第1から第3の印刷方法において、前記管理情報及び前記管理情報に対応する固定のID符号をデータベースに格納する格納工程をさらに含み、前記記憶工程では、前記固定ID符号を前記ICタグに記憶させ、前記読出工程では、前記記憶工程にて記憶された前記ICタグの前記固定ID符号を読み出すとともに、該読み出した固定ID符号により、前記格納工程にて格納された前記データベースの前記管理情報を読み出してもよい。この場合の本発明に係る第1から第3の印刷システムにおいては、前記管理情報及び前記管理情報に対応する固定のID符号をデータベースに格納する格納部をさらに備え、前記固定ID符号が前記ICタグに記憶され、前記読出部は、前記ICタグの前記固定ID符号を読み出すとともに、該読み出した固定ID符号により、前記格納部にて格納された前記データベースの前記管理情報を読み出す。こうすることで、前記ICタグの記憶容量を超えて、前記管理情報を記憶させることができる。
【0040】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る実施の形態について図面を参照しながら説明する。図1は本発明に係る第1から第3印刷方法を実施する第1から第3印刷システムの一例Qにおいて印刷版を中心に記載した概略工程図であり、図2は図1に示す工程の流れを示すフローチャートである。また、図3は前記本発明の印刷システム例Qにおいて印刷用紙及び印刷インキを中心に記載した概略工程図である。
【0041】
図1及び図3に示す印刷システムQは、印刷版データ作成工程で使用する印刷版データ作成装置10(ここではレイアウト編集ソフト等を搭載したパーソナルコンピュータ)と、印刷版作成工程で使用する印刷版作成装置20(ここではCTPシステム)と、印刷物作成工程で使用する印刷機30と、前記の印刷版データ作成装置10、印刷版作成装置20及び印刷機30をネットワーク等の通信手段NWを介して管理する印刷管理部40とを具備している。
【0042】
印刷版データ作成装置10は印刷版AAA’を作成するための印刷版データを作成するものであり、印刷版作成装置20は装置10にて作成された印刷版データに基づいて印刷版AAA’を作成するものである。また、印刷機30は、カラー印刷を行うものであり、図示を省略したが、複数の印刷ユニット及び該印刷ユニットに被印刷体(ここでは印刷用紙)を供給する供給部を備えている。この印刷機30は、印刷版AAA’及び印刷インキのインキカートリッジ31(インキ供給容器の一例)が前記各印刷ユニットにセットされ、また印刷用紙を給紙する際に印刷用紙を載置するパレット32(被印刷体の収容部の一例)が前記供給部にセットされる(図3参照)。なお、インキカートリッジ31はインキ缶31’(インキ収容器の一例)からインキが補給されるインキ壺として構成されても良い。
【0043】
印刷管理部40は、前記の通信手段NWを具備し、コンピュータを中心に構成されており、印刷版データ作成装置10、CTPシステム20及び印刷機30を管理するためのプログラムが実行されることで、該装置10、システム20及び印刷機30を通信手段NWを介して管理することができるように構成されている。なお、各機器10,20及び30にそれぞれ管理部を設け、それぞれの管理部において、対応する機器を管理するようにしてもよい。
【0044】
図1に示す印刷版AAA’には、非接触ICタグT1が付加されている。具体的には、印刷版AAA’上にICタグT1が貼り付けられたり、印刷版AAA’にICタグT1が埋め込まれたりしている。図3に示すインキカートリッジ31及びインキ缶31’には、非接触ICタグT2が付加されている。具体的には、インキカートリッジ31及びインキ缶31’上にICタグT2が貼り付けられたり、インキカートリッジ31及びインキ缶31’にICタグT2が埋め込まれたりしている。また図3に示すパレット32には、非接触ICタグT3が付加されている。具体的には、パレット32上にICタグT3が貼り付けられたり、又はパレット32にICタグT3が埋め込まれたりしている。なお、ここではパレット32にICタグT3を付加するが、印刷用紙自身にICタグT3を付加してもよい。
【0045】
非接触ICタグT1〜T3は、ここではいずれも書き換え可能なICタグであり、電波によって内部メモリがアクセスされ、非接触でデータの読み出し、書き込みを行うことができるものである。ICタグT1は、印刷版に関する印刷版管理情報(例えば、文書名、版名、インキ量データ等)が印刷版出力時に記憶され、ICタグT2は、印刷インキに関するインキ管理情報(例えば、インキメーカー、インキの種類、インキの色、使用期限等)が予め記憶され、また、ICタグT3は、被印刷体(ここでは、印刷用紙)に関する用紙管理情報(例えば、表面処理、サイズ、枚数、厚み等)が予め記憶されている。なお、ICタグのインキカートリッジ31や印刷用紙への付加及び/又は情報の記録は、インキメーカーや用紙メーカーにおいて(例えば、出荷時に)行ってもよい。
【0046】
図1及び図3に印刷システムQは、さらに読出部50及び書込部60を備えている。読出部50は、ICタグT1〜T3の各情報を読み出すことができるものであり、書込部60は、前記の印刷版管理情報、インキ管理情報及び用紙管理情報をそれぞれICタグT1〜T3に書き込むことができるものであり、これらは一体的に構成されている。
【0047】
このシステムQでは、図1及び図2に示すように、印刷版データ作成工程にて印刷版データ作成装置10により印刷版データAAAが作成され(ステップS1)、この印刷版データ作成装置10により作成された印刷版データAAAに基づいて、印刷版作成工程にてCTPシステム20により印刷版(ここでは、シアン色(C)、マゼンタ色(M)、イエロー色(Y)、ブラック色(K)の四色の印刷インキにそれぞれ対応する四つの印刷版AAA’)が作成され(ステップS2)、さらにこれらの印刷版AAA’による印刷が適正なものとなるように各印刷版AAA’に対するインキ量AAA”のデータが作成(例えば算出)され(ステップS3)、印刷物作成工程の印刷機30に該作成された印刷版AAA’が渡される。このとき、印刷版AAA’に関する印刷版管理情報として文書名、版名やCTPシステムにて求めた印刷インキのインキ量AAA”を含む管理情報が、書込部60によりICタグT1に書き込まれる(ステップS4)。なお、図1では四つの印刷版のうち一つの印刷版のみ図示しており、他の印刷版については図示を省略してある。
【0048】
印刷物作成工程では、CTPシステム20にて作成された四つの印刷版AAA’を印刷機30の前記各印刷ユニットにセットし(ステップS5)、該四つの印刷版AAA’をセットした印刷機30を使用して印刷物を作成する。このとき、管理部40は、読出部50にて印刷版AAA’のICタグT1から印刷インキのインキ量AAA”を含む印刷版管理情報を読み出し(ステップS6)、読出部50にて印刷版AAA’のICタグT1から読み出した印刷版管理情報(例えば、文書名、版名等)から、印刷機30の適切な位置(ここではセットされるべき前記印刷ユニット)に印刷版AAA’がセットされる際に正しくセットされているか否かをチェックし(ステップS7)、正しくセットされていなければ、例えば、印刷機30における表示装置等に、正しくセットする旨の警告を発する。こうすることで、印刷版AAA’を間違いなく確実に印刷機40にセットできる。
【0049】
また、前記管理部40は、印刷機30に対し読出部50にて読み出したインキ量AAA”を設定する。こうすることで、印刷版AAA’を印刷機30にセットするだけで、印刷機30への印刷版AAA’に対するインキ量AAA”の設定を自動で行うことができる。こうして印刷版AAA’が印刷機30にセットされることで、印刷機30に印刷版AAA’に対するインキ量AAA”が自動設定され(ステップS8)、印刷機30は、管理部40により設定されたインキ量AAA”の印刷インキで印刷を行う(ステップS9)。
【0050】
このシステムQによると、誰でもが間違いなく確実に印刷版AAA’を印刷機30にセットでき、且つ、印刷版AAA’を印刷機30にセットするだけで、印刷機30の設定が自動で行われる。
【0051】
さらに、この印刷システムQでは、図3に示すように、管理部40は、読出部50にてインキカートリッジ31のICタグT2から読み出したインキ管理情報から、印刷機30の前記各印刷ユニットにカートリッジ31がセットされる際に正しくセットされているか否かをチェックし、正しくセットされていなければ、例えば、印刷機30における表示装置等に、正しくセットする旨の警告を発する。さらに言えば、どのような印刷物を印刷するのかを示す印刷指示データにある指定のインキ(例えば、インキメーカー、インキの種類、インキの色、使用期限等)と一致しているかをチェックし、不一致の場合、警告を出す。こうすることで、カートリッジ31を間違いなく確実に印刷機30にセットできる。また、インキカートリッジ31がインキ缶31’(インキ収容器の一例)からインキが補給されるインキ壺として構成される場合は、管理部40は、読出部50にてインキ缶31’のICタグT2から読み出したインキ管理情報から、インキ缶31’からインキカートリッジ31にインキが補給される際に正しく補給されているか否かをチェックし、正しく補給されていなければ、例えば、印刷機30における表示装置等に、正しく補給する旨の警告を発する。さらに言えば、どのような印刷物を印刷するのかを示す印刷指示データにある指定のインキ(例えば、インキメーカー、インキの種類、インキの色、使用期限等)と一致しているかをチェックし、不一致の場合、警告を出す。こうすることで、インキ缶31’からインキカートリッジ31にインキを補給するときに、正しいインキ缶31’が使われているか否かを管理することができる。また、管理部40は、読出部50にてパレット32のICタグT3から読み出した用紙管理情報から、印刷機30の前記供給部にパレット32がセットされる際に正しくセットされているか否かをチェックし、正しくセットされていなければ、正しくセットする旨の警告を発する。さらに言えば、印刷指示データの印刷用紙に関する情報(例えば、表面処理、サイズ、厚み等)と比較し、適切な印刷用紙がセットされているかをチェックし、一致していない場合、警告を出す。こうすることで、パレット32を間違いなく確実に印刷機30にセットできる。なお、印刷用紙自身にICタグT3を付ける場合には、印刷用紙自身で「厚み・種類等」を判別することができる。
【0052】
なお、管理部40が、読出部50にてインキカートリッジ31のICタグT2から前記インキ管理情報を読み出すとともに該読み出したインキ管理情報に基づいて印刷インキの変更に対して変化する印刷機30の設定値(例えば、インキ量の調整値など)を自動で設定し、印刷機30が、管理部40にて設定された前記設定値で印刷してもよい。こうすることで、インキカートリッジ31を印刷機30にセットするだけで、印刷機30の設定を自動で行うことができる。また、管理部40が、読出部50にてパレット32のICタグT3から前記用紙管理情報を読み出すとともに該読み出した用紙管理情報に基づいて印刷用紙の変更に対して変化する印刷機30の設定値(例えば、厚みなど)を自動で設定し、印刷機30が、管理部40にて設定された前記設定値で印刷してもよい。こうすることで、パレット32を印刷機30にセットするだけで、印刷機30の設定を自動で行うことができる。このシステムQによると、指定された印刷インキ、印刷用紙で印刷が間違いなくできるようになる。
【0053】
また、印刷データを作成する際に印刷インキの種類、印刷用紙の種類を考慮してデータを作成する場合があるが、この場合、印刷データの作成条件と印刷時の印刷条件とで不整合が発生しないようにすることができ、予想通りの印刷物を仕上げることができる。印刷データを作成する際に印刷インキの種類、印刷用紙の種類を考慮してデータを作成する場合としては、例えば、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)からC,M,Y,Kへの変換が含まれるデータを作成する場合や印刷版データに対してカラーマッチング処理を行う場合(さらに言えば、プルーフに色を合わせる場合や他の印刷機に色を合わせる場合)等が挙げられる。
【0054】
図4に図1から図3に示す印刷システムQの他の例Q’において印刷版を中心に記載した概略工程図を示し、図5に図4に示す工程の流れを示すフローチャートを示す。
【0055】
図4及び図5に示す印刷システムQ’は、図1から図3に示す印刷システムQにおいて、前記印刷版管理情報(例えば、文書名(A,B)、版情報(C,M,Y,K)、インキ情報(AAA”,BBB’)等)及び前記印刷版管理情報に対応する固定のID符号(例えば、0,1,2,3,4,5等の固定ID番号)をデータベースに格納する格納部70をさらに備えたものである。図4に示す印刷版AAA’には、非接触ICタグT1’が付加されている。このICタグT1’は、ここでは書き換えできないタイプのICタグであり、前記の固定ID番号が予め記憶されている。
【0056】
このシステムQ’では、図4及び図5に示すように、ステップS3’にて各印刷版AAA’に対するインキ量AAA”のデータが作成される。なお、ステップS1’〜S3’の工程については前記のシステムQのステップS1〜S3の工程と同様であり、ここでは説明を省略する。このとき、管理部40は、読出部50にて印刷版AAA’のICタグT1’から固定ID番号を読み出し(ステップS4’)、印刷版AAA’の固定ID番号と前記の印刷インキのインキ量AAA”を含む印刷版管理情報との関係を格納部70のデータベースに登録し、前記固定ID番号と前記印刷版管理情報とを関連付けたデータベースを作成する(ステップS5’)。
【0057】
次に、印刷物作成工程では、CTPシステム20にて作成された四つの印刷版AAA’を印刷機30の前記各印刷ユニットにセットし(ステップS6’)、該四つの印刷版AAA’をセットした印刷機30を使用して印刷物を作成する。このとき、管理部40は、読出部50にて印刷版AAA’のICタグT1’から固定ID番号を読み出し(ステップS7’)、該読み出された固定ID番号により、格納部70にて格納されたデータベースのインキ量AAA”を含む印刷版管理情報を読み出し(ステップS8’)、印刷機30に対しインキ量AAA”を設定する。こうすることで、印刷版AAA’を印刷機30にセットするだけで、印刷機30への印刷版AAA’に対するインキ量AAA”の設定を自動で行うことができる。なお、ステップS9’〜S11’の工程については前記のシステムQのステップS7〜S9(図2参照)の工程と同様であり、ここでは説明を省略する。
【0058】
この印刷システムQ’では、固定ID番号がICタグT1’に記憶され、印刷版出力時に印刷版の固定ID番号と前記印刷版管理情報(例えば、文書名、版名、インキ量データ等)とを関連付けたデータベースが作成され、読出部50が、ICタグT1’の前記固定ID番号を読み出すとともに、該読み出した固定ID番号に対応する、格納部50にて格納された前記データベースの前記印刷版管理情報を読み出すので、ICタグT1の記憶容量を超えて、前記印刷版管理情報を記憶させることができる。
【0059】
なお、格納部70は、前記インキ管理情報及び前記インキ管理情報に対応する固定ID番号をデータベースに格納してもよいし、前記用紙管理情報及び前記用紙管理情報に対応する固定ID番号をデータベースに格納してもよい。格納部70が、前記用紙管理情報及び前記用紙管理情報に対応する固定ID番号をデータベースに格納する場合、例えば、用紙のサイズに関しては、用紙が裁断されて使用される場合があるため、印刷機30への自動設定後、用紙サイズを変更できるようにしておくことができる。
【0060】
また、図1から図3に示す印刷システムQ及び図4に示す印刷システムQ’において、印刷終了後の印刷版を保管する置き版の管理を行ってもよい。図6(A)に印刷版の保管場所の情報(ここでは保管場所を示す保管場所符号)を含む印刷版管理情報を示し、図6(B)に保管場所符号に対応する場所に置き版が保管されている状態を示す。
【0061】
図6(A)に示すように、ICタグには、印刷版管理情報として印刷版AAA’の印刷終了後の保管場所を示す保管場所符号を含む管理情報が予め記憶されている。管理部40は、読出部50にて印刷版AAA’のICタグから印刷版AAA’の保管場所符号を含む印刷版管理情報を読み出し、該読み出した保管場所符号により、印刷版AAA’が保管場所の何処にあるかを検索する。なお、印刷版のICタグに固定ID番号を記憶させ、印刷版の保管棚にID番号に対応するバーコード等を設けておくことで、例えば、印刷版AAA’が正しい保管場所に保管されていない場合であっても、当該保管棚のバーコード等をスキャンして、当該印刷版AAA’が何処にあるかを当該印刷版AAA’のICタグに記憶されたID番号により探し出すことができる。こうすることで、図6(B)に示すように、印刷工程終了後、再度印刷依頼があった場合に多くの版の中から短時間で所望の版を探し出すことができる。なお、印刷版管理情報として固定ID符号を用いる場合には、格納部70は、保管場所符号を含む印刷版管理情報及びこの印刷版管理情報に対応する固定ID番号をデータベースに格納してもよい。
【0062】
なお、前記の印刷システムQ,Q’において、非接触ICタグを使用する上のメリットとしては、
・オペレータの肉眼での確認が不要である点、
・バーコード等の場合のようにバーコード等を探しての読取作業が不要である点、
・読み取りが迅速にできる点、
・無線によりデータを読み取ることができ、容易に情報収集ができる点、
・印刷インキ等の汚れに対してデータの読み取りに支障がない点、及び
・ネットワーク上にあるデータとのリンクができるようになり、各工程における諸資材を含めた印刷システム全体の自動化を図ることができる点
等を挙げることができる。
【0063】
以上説明した印刷システムQ,Q’によると、印刷版管理情報をICタグT1,T1’に記憶させ、ICタグT1,T1’を印刷版AAA’に付加し、印刷版AAA’のICタグT1,T1’から印刷版管理情報を読み出し、該読み出した印刷版管理情報に基づいて、印刷版AAA’を管理するので、また、前記インキ管理情報をICタグT2に記憶させ、ICタグT2をインキカートリッジ31及びインキ缶31’に付加し、カートリッジ31及びインキ缶31’のICタグT2から前記インキ管理情報を読み出し、該読み出したインキ管理情報に基づいて、前記印刷インキを管理するので、さらに、前記用紙管理情報をICタグT3に記憶させ、ICタグT3をパレット32に付加し、パレット32のICタグT3から前記用紙管理情報を読み出し、該読み出した用紙管理情報に基づいて、印刷用紙を管理するので、いずれにしても、バーコードのような光学的に読み取るコードの場合のように、オペレータがコードを探して読み取るといった作業負担を軽減できるとともに、各工程における諸資材をオペレータが意識することなくセットでき、印刷インキ等による諸資材の汚れに拘わらず、印刷工程を間違いなく正確に運用でき、さらに工程全体を自動的、且つ、効率的に稼働させることができる。なお、本例では、インキ供給容器としてインキカートリッジを採用したが、このインキカートリッジについては、印刷機に装着されてインキを自動で印刷機に供給するものであればいずれのものでもよく、インキカートリッジに限定されるものではない。
【0064】
また、印刷版管理情報として印刷版AAA’の印刷終了後の保管場所を示す保管場所符号を含む管理情報がICタグに記憶され、管理部40は、読出部50にて印刷版AAA’のICタグから印刷版AAA’の保管場所符号を含む印刷版管理情報を読み出し、該読み出した保管場所符号により、印刷版AAA’が保管場所の何処にあるかを検索するので、印刷工程終了後、再度印刷依頼があった場合に多くの版の中から短時間で所望の版を探し出すことができる。
【0065】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によると、バーコードのような光学的に読み取るコードの場合のように、オペレータがコードを探して読み取るといった作業負担を軽減できるとともに、各工程における諸資材をオペレータが意識することなくセットでき、印刷インキ等による諸資材の汚れに拘わらず、印刷工程を間違いなく正確に運用でき、さらに工程全体を自動的、且つ、効率的に稼働させることができる印刷方法及び印刷システムを提供することができる。
【0066】
また本発明によると、印刷工程終了後、再度印刷依頼があった場合に多くの版の中から短時間で所望の版を探し出すことができる印刷方法及び印刷システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る第1から第3印刷方法を実施する第1から第3印刷システムの一例において印刷版を中心に記載した概略工程図である。
【図2】図1に示す工程の流れを示すフローチャートである。
【図3】前記本発明の印刷システム例において印刷用紙及び印刷インキを中心に記載した概略工程図である。
【図4】図1から図3に示す印刷システムの他の例における印刷版を中心に記載した概略工程図である。
【図5】図4に示す工程の流れを示すフローチャートである。
【図6】図(A)は印刷版の保管場所の情報(ここでは保管場所を示す保管場所符号)を含む印刷版管理情報を示す図であり、図(B)は保管場所符号に対応する場所に置き版が保管されている状態を示す図である。
【図7】従来の印刷システムによる印刷工程例において印刷用紙及び印刷インキを中心に記載した概略工程図である。
【図8】従来の印刷システムによる印刷工程例において印刷版を中心に記載した概略工程図である。
【図9】図8に示す工程の流れを示すフローチャートである。
【図10】従来の印刷版の一例を示す図である。
【図11】図8及び図9に示す印刷版データ作成工程で作成された印刷版データが複数ある場合の概略工程図である。
【符号の説明】
10…印刷版データ作成装置 20…印刷版作成装置 30…印刷機
31…インキカートリッジ 31’…インキ缶 32…被印刷体収容部
40…印刷管理部 50…読出部 AAA…印刷版データ AAA’…印刷版
T1〜T3…非接触ICタグ Q,Q’…印刷システム
【発明の属する技術分野】
本発明は、印刷方法及び印刷システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の印刷工程のなかには、印刷版を作成するための印刷版データを作成する印刷版データ作成装置(例えば、コンピュータにレイアウト編集ソフト等を搭載したもの)を使用し、印刷版データを作成する印刷版データ作成工程、この印刷版データ作成工程にて作成された印刷版データに基づいて印刷版を作成するための印刷版作成装置(例えば、コンピュータを用いたCTP(Computer To Plate)システム)を使用し、印刷版を作成する印刷版作成工程、この印刷版作成工程にて作成された印刷版を用いて印刷物を作成するための印刷機を使用し、印刷物を作成する印刷物作成工程などがある。これらの工程においては、既述の印刷版の他、被印刷体(例えば、印刷用紙)や印刷インキ等の諸資材が使用される。
【0003】
近年、これらの印刷工程全体の工程管理、資源管理、品質管理等の目的で各工程の関連する機器等をネットワーク等の通信手段で結び管理する印刷管理部を備えた印刷システムが提案されている。
【0004】
この印刷システムによる従来の印刷工程においては、例えば、印刷を行うに際して、印刷管理部から、どのような印刷物を印刷するのかを示す印刷指示データ(例えば、使用すべきインキの種類等のインキに関する指示データ、使用すべき印刷用紙の種類やサイズ等の印刷用紙に関する指示データなど)がネットワーク経由で発せられ、印刷版データ作成工程、印刷版作成工程及び印刷物作成工程等の各工程において、この指示データに従って、印刷版データ作成作業、印刷版作成作業及び印刷物作成作業が順次行われることがある。このとき、各工程は処理結果(作業時間、良品の数、不良品の数など)を印刷管理部にネットワーク経由で報告し、印刷システムによる印刷工程全体の最適化が図られている。このように、印刷システムは、ネットワーク経由で集められた各工程からの情報により印刷工程全体の最適化を図るための仕組みの一つとして構築されている。
【0005】
また、各工程での処理の結果(例えば、印刷版データ作成工程や印刷版作成工程の処理の結果)、得られた情報の中で後工程(例えば、印刷版作成工程や印刷物作成工程)へ伝達すれば有益なデータ(例えば、印刷版データや印刷版に対して調整されるべきインキ量のデータ)についてもネットワークを経由して後工程に伝達され、後工程ではこのデータを利用することで、作業の効率化を図っている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来の印刷工程では、前記したように各工程の関連する機器等がネットワーク化され、オンラインで接続されることで、印刷工程全体の最適化や作業の効率化を図っているにもかかわらず、各工程内で使用される諸資材(例えば、印刷用紙、印刷インキや印刷版など)については、ネットワークとは隔絶されたところで扱われている。例えば、各オペレータが意識的にネットワーク上を流れるデータと一致するように取り扱う必要がある。そのため、印刷システムを間違いなく正確に運用し、さらにはシステム全体を自動的、且つ、効率的に稼働させるための障害となっている。これについて図7から図11を例にとってさらに説明する。
【0007】
図7は従来の印刷システムによる印刷工程例において印刷用紙及び印刷インキを中心に記載した概略工程図である。
【0008】
図7に示すように、印刷版データ作成工程では、印刷用紙の種類や印刷インキの種類等を考慮して印刷版データが作成され、この印刷版データに基づいて、印刷版作成工程にて印刷版が複数(例えば、シアン色(C)、マゼンタ色(M)、イエロー色(Y)、ブラック色(K)の四色の印刷インキに対応する四つの印刷版)作成され、該作成された印刷版が印刷物作成工程に渡される。
【0009】
印刷物作成工程では、印刷版作成工程にて作成された四つの印刷版を印刷機にセットし、該四つの印刷版をセットした印刷機を使用して印刷物を作成する。この印刷にあたっては、印刷機に対して、印刷指示データで指示された通りの印刷インキ、印刷用紙等をセットする必要がある。このとき、印刷機にいずれの種類のインキ(例えば、メーカー、C,M,Y,K等の色、インキの特性、量など)、いずれの種類の用紙(例えば、表面処理、枚数、サイズなど)がセットされているかを印刷機オペレータが意識する必要があり、或いは版を印刷機にセットするに際して、セットすべき場所を間違えることがある。
【0010】
また、印刷版データ作成工程にて用紙の種類やインキの種類等を考慮して印刷版データを作成する場合、例えば、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)からC,M,Y,Kへの変換が含まれるデータを作成する場合や印刷版データに対してカラーマッチング処理を行う場合(さらに言えば、プルーフに色を合わせる場合や他の印刷機に色を合わせる場合)等には、この印刷版データ作成工程で想定している用紙、インキ等と実際に印刷する際に使用する用紙、インキ等とが一致しないと、印刷版データ作成工程で想定した用紙、インキ等とは違うもので印刷されることになり、例えば、得られる印刷物の色に関して、想定とは異なるものになったりする。この問題は、特に、カラーマッチング処理をより厳密に行おうとした場合に顕著となる。
【0011】
図8は従来の印刷システムによる印刷工程例において印刷版を中心に記載した概略工程図であり、図9は図8に示す工程の流れを示すフローチャートである。
【0012】
図8及び図9に示すように、印刷版データ作成工程にて印刷版データが作成され(ステップS1”)、この印刷版データ作成工程により作成された印刷版データに基づいて、印刷版作成工程にて印刷版(例えば、C,M,Y,Kの四色の印刷インキに対応する四つの印刷版AAA’)が作成される(ステップS2”)。このとき、印刷版AAA’の文書名、版名などが出力される。図10に従来の印刷版の一例を示す。図10に示すように、印刷版AAA’には所定の領域Nに文書名A、この文書名Aに対して版名Y版、M版、C版、K版などが付される。さらにこれらの印刷版による印刷が適正なものとなるように各印刷版に対するインキ量のデータが作成(例えば算出)され(ステップS3”)、印刷物作成工程に該作成された印刷版が渡されるとともに、インキ量のデータがネットワーク経由で送られる。
【0013】
図11に図8及び図9に示す印刷版データ作成工程で作成された印刷版データが複数ある場合の概略工程図を示す。この場合も、図8及び図9の印刷工程と同様にして、印刷版データAAA,BBB,CCCが作成され(ステップS1”)、印刷版データAAA,BBB,CCCに基づいて、例えば、C,M,Y,Kの四つの印刷版AAA’,BBB’,CCC’が作成され(ステップS2”)、さらに各印刷版に対するインキ量のデータAAA”,BBB”,CCC”が作成され(ステップS3”)、印刷物作成工程に該作成された印刷版AAA’,BBB’,CCC’が渡されるとともに、インキ量のデータAAA”,BBB”,CCC”がネットワーク経由で送られる。
【0014】
印刷物作成工程では、印刷版作成工程にて作成された四つの印刷版AAA’,BBB’,CCC’を印刷機にセットし、該四つの印刷版AAA’,BBB’,CCC’をセットした印刷機を使用して印刷物を作成する。この印刷にあたって印刷機に対し、インキ量AAA,BBB,CCCに対応する印刷版AAA’,BBB’,CCC’をセットする(ステップS4”)必要がある。この印刷版AAA’,BBB’,CCC’上に付された文書名A等から印刷版AAA’,BBB’,CCC’がいずれのインキ量データAAA,BBB,CCCに対応しているのかは印刷機オペレータ自身が判断するしかない。例えば、ネットワーク上のデータからはいずれの印刷版が対象で、いずれの版を使用すればよいかについて文書名などから判断するしかなく(ステップS4”)、いずれの印刷版を使用するかは、印刷機オペレータが判断してインキ量データを手動で選択する必要がある(ステップS5”)。このとき、間違ったインキ量データを選択してしまうと、印刷の前準備に余計な時間がかかってしまう。
【0015】
また、既述したように、印刷機にはC,M,Y,Kの四つの印刷版AAA’がセットされるが、印刷機においては、印刷版をセットする際、C,M,Y,Kの四つの印刷版AAA’のうち、いずれの版がセットされたかの検知は行われていないため、印刷機オペレータが印刷版作成工程にて版AAA’上に予め付される各印刷版の情報(例えば、文書名A、版名Y版、M版、C版、K版など)を目視で読み出し(図10参照)、版の種類を確認することで、印刷機のセットすべき場所(例えば、印刷ユニット)にセットしている。この場合、印刷版上に出力される印刷版の情報を示す文字等は、往々にして印刷物の印刷内容への影響を最小限に抑えるために、小さく、読み取りにくいものとなっており、印刷版の情報を容易に間違いなく確認することが困難である。
【0016】
これに対し、印刷版にバーコードのような光学的に読み取る印刷版コードを付すことで、印刷版を管理する印刷システムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0017】
ところが、このような印刷システムでは、印刷版に付されたコードの近傍に読取部を配置するか、又は印刷版のコードと読取部とが互いに離れている場合には、印刷版のコードを読み取る際に、コード及び読取部のうち少なくとも一方を近づけてやる必要がある。例えば、印刷版のコードを読み取るにあたって、オペレータがコードを探して読み取る必要があり、オペレータの作業に負担がかかる。また、コードが印刷インキ等で汚れることがあり、この場合、コードをうまく読み取ることができない。
【0018】
また、前記の問題とは別に、次のような問題もある。すなわち、印刷工程終了後、再度印刷依頼があることを想定して、当該印刷に用いた印刷版を保管(置き版)することがある。置き版は、通常、複数の印刷に対してなされることが多いので、保管場所には多くの版が保管されることになり、再度印刷依頼があった場合に多くの版の中から所望の版を探し出すのに多くの時間がかかってしまう。
【0019】
本発明は、前記問題に鑑みてなされたもので、バーコードのような光学的に読み取るコードの場合のように、オペレータがコードを探して読み取るといった作業負担を軽減できるとともに、各工程における諸資材をオペレータが意識することなくセットでき、印刷インキ等による諸資材の汚れに拘わらず、印刷工程を間違いなく正確に運用でき、さらに工程全体を自動的、且つ、効率的に稼働させることができる印刷方法及び印刷システムを提供することを課題とする。
【0020】
さらに本発明は、印刷工程終了後、再度印刷依頼があった場合に多くの版の中から短時間で所望の版を探し出すことができる印刷方法及び印刷システムを提供することを課題とする。
【0021】
【特許文献1】
特開2001−158075号公報
【0022】
【課題を解決するための手段】
本発明は前記課題を解決するため、次の第1から第3の印刷方法及び印刷システムを提供する。
【0023】
(1)印刷方法
(1−1)第1の印刷方法
印刷版を作成するための印刷版データを作成する印刷版データ作成工程と、前記印刷版データ作成工程にて作成された前記印刷版データに基づいて前記印刷版を作成する印刷版作成工程と、前記印刷版作成工程にて作成された前記印刷版をセットした印刷機を使用して印刷物を作成する印刷物作成工程とを含み、前記印刷版データ作成工程、前記印刷版作成工程及び前記印刷物作成工程を管理する印刷方法において、
非接触ICタグに対して前記印刷版に関する印刷版管理情報を記憶させる記憶工程と、
前記ICタグを前記印刷版に付加する付加工程と、
前記ICタグの前記印刷版管理情報を読み出す読出工程と
をさらに含み、
前記読出工程にて前記印刷版の前記ICタグから前記印刷版管理情報を読み出し、該読み出した印刷版管理情報に基づいて、前記印刷版を管理することを特徴とする印刷方法。
【0024】
(1−2)第2の印刷方法
印刷版を作成するための印刷版データを作成する印刷版データ作成工程と、前記印刷版データ作成工程にて作成された前記印刷版データに基づいて前記印刷版を作成する印刷版作成工程と、印刷インキのインキ供給容器をセットした印刷機を使用して印刷物を作成する印刷物作成工程とを含み、前記印刷版データ作成工程、前記印刷版作成工程及び前記印刷物作成工程を管理する印刷方法において、
非接触ICタグに対して前記印刷インキに関するインキ管理情報を記憶させる記憶工程と、
前記ICタグを前記インキ供給容器及び/又は前記インキ供給容器にインキを補給するためのインキ収容器に付加する付加工程と、
前記ICタグの前記インキ管理情報を読み出す読出工程と
をさらに含み、
前記読出工程にて前記インキ供給容器及び/又は前記インキ収容器の前記ICタグから前記インキ管理情報を読み出し、該読み出したインキ管理情報に基づいて、前記印刷インキを管理することを特徴とする印刷方法。
【0025】
(1−3)第3の印刷方法
印刷版を作成するための印刷版データを作成する印刷版データ作成工程と、前記印刷版データ作成工程にて作成された前記印刷版データに基づいて前記印刷版を作成する印刷版作成工程と、被印刷体又は被印刷体の収容部をセットした印刷機を使用して印刷物を作成する印刷物作成工程とを含み、前記印刷版データ作成工程、前記印刷版作成工程及び前記印刷物作成工程を管理する印刷方法において、
非接触ICタグに対して前記被印刷体に関する被印刷体管理情報を記憶させる記憶工程と、
前記ICタグを前記被印刷体又は前記被印刷体収容部に付加する付加工程と、
前記ICタグの前記被印刷体管理情報を読み出す読出工程と
をさらに含み、
前記読出工程にて前記被印刷体又は前記被印刷体収容部の前記ICタグから前記被印刷体管理情報を読み出し、該読み出した被印刷体管理情報に基づいて、前記被印刷体を管理することを特徴とする印刷方法。
【0026】
(2)印刷システム
(2−1)第1の印刷システム
印刷版を作成するための印刷版データを作成する印刷版データ作成装置と、前記印刷版データ作成装置にて作成された前記印刷版データに基づいて前記印刷版を作成する印刷版作成装置と、前記印刷版作成装置にて作成された前記印刷版がセットされる印刷機と、前記印刷版データ作成装置、前記印刷版作成装置及び前記印刷機を管理する印刷管理部とを具備する印刷システムにおいて、
非接触ICタグの情報を読み出す読出部をさらに備え、
前記ICタグに対して前記印刷版に関する印刷版管理情報が記憶され、
前記ICタグが前記印刷版に付加され、
前記管理部は、前記読出部にて前記印刷版の前記ICタグから前記印刷版管理情報を読み出し、該読み出した印刷版管理情報に基づいて、前記印刷版を管理することを特徴とする印刷システム。
【0027】
(2−2)第2の印刷システム
印刷版を作成するための印刷版データを作成する印刷版データ作成装置と、前記印刷版データ作成装置にて作成された前記印刷版データに基づいて前記印刷版を作成する印刷版作成装置と、印刷インキのインキ供給容器がセットされる印刷機と、前記印刷版データ作成装置、前記印刷版作成装置及び前記印刷機を管理する印刷管理部とを具備する印刷システムにおいて、
非接触ICタグの情報を読み出す読出部をさらに備え、
前記ICタグに対して前記印刷インキに関するインキ管理情報が記憶され、
前記ICタグが前記インキ供給容器及び/又は前記インキ供給容器にインキを補給するためのインキ収容器に付加され、
前記管理部は、前記読出部にて前記インキ供給容器及び/又は前記インキ収容器の前記ICタグから前記インキ管理情報を読み出し、該読み出したインキ管理情報に基づいて、前記印刷インキを管理することを特徴とする印刷システム。
【0028】
(2−3)第3の印刷システム
印刷版を作成するための印刷版データを作成する印刷版データ作成装置と、前記印刷版データ作成装置にて作成された前記印刷版データに基づいて前記印刷版を作成する印刷版作成装置と、被印刷体又は被印刷体の収容部がセットされる印刷機と、前記印刷版データ作成装置、前記印刷版作成装置及び前記印刷機を管理する印刷管理部とを具備する印刷システムにおいて、
非接触ICタグの情報を読み出す読出部をさらに備え、
前記ICタグに対して前記被印刷体に関する被印刷体管理情報が記憶され、
前記ICタグが前記被印刷体又は前記被印刷体収容部に付加され、
前記管理部は、前記読出部にて前記被印刷体又は前記被印刷体収容部の前記ICタグから前記被印刷体管理情報を読み出し、該読み出した被印刷板管理情報に基づいて、前記被印刷体を管理することを特徴とする印刷システム。
【0029】
前記印刷版に関する印刷版管理情報としては、文書名、版名、インキ量データなどを例示できる。前記印刷インキに関するインキ管理情報としては、メーカー、色、インキの特性、量などを例示できる。前記被印刷体に関する被印刷体管理情報としては、表面処理、枚数、サイズ、厚さなどを例示できる。但し、それに限定されるものではない。
【0030】
本発明に係る第1の印刷方法及び印刷システムでは、非接触ICタグに対して前記印刷版管理情報を記憶させてから、該印刷版管理情報を記憶したICタグを前記印刷版に付加するか又は非接触ICタグを前記印刷版に付加してから、該印刷版に付加されたICタグに対して前記印刷版管理情報を記憶させ、さらに前記印刷版の前記ICタグから前記印刷版管理情報を読み出し、該読み出した印刷版管理情報に基づいて、前記印刷版を管理する。本発明に係る第2の印刷方法及び印刷システムでは、非接触ICタグに対して前記インキ管理情報を記憶させてから、該インキ管理情報を記憶したICタグを前記インキ供給容器及び/又は前記インキ収容器に付加するか或いは非接触ICタグを前記インキ供給容器及び/又は前記インキ収容器に付加してから、該インキ供給容器及び/又は該インキ収容器に付加されたICタグに対して前記インキ管理情報を記憶させ、さらに前記インキ供給容器及び/又は前記インキ収容器の前記ICタグから前記インキ管理情報を読み出し、該読み出したインキ管理情報に基づいて、前記印刷インキを管理する。本発明に係る第3の印刷方法及び印刷システムでは、非接触ICタグに対して前記被印刷体管理情報を記憶させてから、該被印刷体管理情報を記憶したICタグを前記被印刷体若しくは前記被印刷体収容部に付加するか又は非接触ICタグを前記被印刷体若しくは前記被印刷体収容部に付加してから、該被印刷体若しくは被印刷体収容部に付加されたICタグに対して前記被印刷体管理情報を記憶させ、さらに前記被印刷体又は前記被印刷体収容部の前記ICタグから前記被印刷体管理情報を読み出し、該読み出した被印刷体管理情報に基づいて、前記被印刷体を管理する。従って、本発明に係る第1から第3の印刷方法並びに第1から第3の印刷システムによると、いずれにしても、バーコードのような光学的に読み取るコードの場合のように、オペレータがコードを探して読み取るといった作業負担を軽減できるとともに、各工程における諸資材をオペレータが意識することなくセットでき、印刷インキ等による諸資材の汚れに拘わらず、印刷工程を間違いなく正確に運用でき、さらに工程全体を自動的、且つ、効率的に稼働させることができる。
【0031】
前記非接触ICタグは、書き換え可能なICタグであってもよい。この場合、本発明の第1から第3の方法において、前記記憶工程では、前記管理情報を書き換え可能なICタグに書き込んでもよい。この場合の本発明の第1から第3のシステムは、前記管理情報を前記ICタグに書き込む書込部をさらに備えることができる。この書き換え可能なICタグでは、前記管理情報の変更、追加、更新等を行うことができる。
【0032】
本発明に係る第1方法において、前記印刷版作成工程では、前記印刷版データ作成工程にて作成された前記印刷版データに基づいて前記印刷版を作成するとともに該作成された印刷版に対する印刷インキのインキ量を求め、前記記憶工程では、前記印刷版管理情報として、前記印刷版作成工程にて求めた前記印刷インキのインキ量を含む管理情報を前記ICタグに記憶させてもよい。このとき、例えば、前記の書き換え可能なICタグに前記印刷インキのインキ量を含む管理情報を書き込んでもよい。そして前記読出工程にて前記印刷版の前記ICタグから前記印刷インキのインキ量を含む印刷版管理情報を読み出すとともに前記印刷機に対し該読み出したインキ量を設定し、前記印刷物作成工程では、前記印刷機に対し設定されたインキ量の印刷インキで印刷することができる。この場合の本発明第1システムでは、前記印刷版作成装置が、前記印刷版データ作成装置にて作成された前記印刷版データに基づいて前記印刷版を作成するとともに該作成された印刷版に対する印刷インキのインキ量を求め、前記印刷版管理情報として前記印刷版作成装置にて求めた前記印刷インキのインキ量を含む管理情報が前記ICタグに記憶される。このとき、例えば、前記の書き換え可能なICタグに前記印刷インキのインキ量を含む管理情報を書き込んでもよい。そして前記管理部が、前記読出部にて前記印刷版の前記ICタグから前記印刷インキのインキ量を含む印刷版管理情報を読み出すとともに前記印刷機に対し該読み出したインキ量を設定し、前記印刷機が、前記管理部にて設定されたインキ量の印刷インキで印刷する。こうすることで、前記印刷版を前記印刷機にセットするだけで、前記印刷機への前記印刷版に対するインキ量の設定を自動で確実に行うことができる。
【0033】
本発明に係る第1方法において、前記読出工程にて前記印刷版の前記ICタグから読み出した印刷版管理情報から、前記印刷物作成工程にて前記印刷版が前記印刷機にセットされる際に正しくセットされているか否かをチェックし、正しくセットされていなければ、正しくセットする旨の警告を発してもよい。この場合の本発明第1システムでは、前記管理部が、前記読出部にて前記印刷版の前記ICタグから読み出した印刷版管理情報から、前記印刷機に前記印刷版がセットされる際に正しくセットされているか否かをチェックし、正しくセットされていなければ、正しくセットする旨の警告を発する。こうすることで、前記印刷版を間違いなく確実に前記印刷機にセットできる。
【0034】
また、本発明に係る第1方法において、前記読出工程にて前記印刷版の前記ICタグから前記印刷版管理情報を読み出し、該読み出した印刷版管理情報により、前記印刷版が保管場所の何処にあるかを検索してもよい。この場合の本発明第1システムでは、前記管理部は、前記読出部にて前記印刷版の前記印刷版管理情報を読み出し、該読み出した印刷版管理情報により、前記印刷版が保管場所の何処にあるかを検索する。こうすることで、印刷工程終了後、再度印刷依頼があった場合に多くの版の中から短時間で所望の版を探し出すことができる。例えば、本発明第1方法において、前記記憶工程では、前記印刷版管理情報として、前記印刷版の印刷終了後の保管場所の情報を含む管理情報を前記ICタグに記憶させ、前記読出工程にて前記印刷版の前記ICタグから前記印刷版の前記保管場所情報を含む印刷版管理情報を読み出し、該読み出した保管場所情報により、前記印刷版が保管場所の何処にあるかを検索する場合を挙げることができる。また、本発明第1システムにおいて、前記印刷版管理情報として前記印刷版の印刷終了後の保管場所の情報を含む管理情報が前記ICタグに記憶され、前記管理部が、前記読出部にて前記印刷版の前記ICタグから前記印刷版の保管場所情報を含む印刷版管理情報を読み出し、該読み出した保管場所情報により、前記印刷版が保管場所の何処にあるかを検索する場合を例示できる。この場合、前記印刷版の前記ICタグに固定のID符号を記憶させ、前記印刷版の保管場所(例えば、保管棚等)に前記ID符号に対応するコード(例えば、バーコード等)を設けておくことで、例えば、印刷版が正しい保管場所に保管されていない場合であっても、当該保管場所(例えば、保管棚等)のコード(例えば、バーコード等)を読み出して(例えば、スキャンして)、当該印刷版が何処にあるかを当該印刷版のICタグに記憶されたID符号により探すことができる。
【0035】
本発明に係る第2方法において、前記読出工程にて前記インキ供給容器の前記ICタグから前記インキ管理情報を読み出すとともに該読み出したインキ管理情報に基づいて前記印刷インキの変更に対して変化する前記印刷機の設定値(例えば、インキ量の調整値など)を自動で設定し、前記印刷物作成工程では、前記印刷機に対し設定された前記設定値で印刷してもよい。この場合の本発明第2システムでは、前記管理部が、前記読出部にて前記インキ供給容器の前記ICタグから前記インキ管理情報を読み出すとともに該読み出したインキ管理情報に基づいて前記印刷インキの変更に対して変化する前記印刷機の設定値(例えば、インキ量の調整値など)を自動で設定し、前記印刷機が、前記管理部にて設定された前記設定値で印刷する。こうすることで、前記インキ供給容器を前記印刷機にセットするだけで、前記印刷機の設定を自動で行うことができる。
【0036】
また、本発明に係る第2方法において、前記読出工程にて前記インキ供給容器の前記ICタグから読み出したインキ管理情報から、前記印刷物作成工程にて前記インキ供給容器が前記印刷機にセットされる際に正しくセットされているか否かをチェックし、正しくセットされていなければ、正しくセットする旨の警告を発してもよい。この場合の本発明第2システムでは、前記管理部が、前記読出部にて前記インキ供給容器の前記ICタグから読み出したインキ管理情報から、前記印刷機に前記インキ供給容器がセットされる際に正しくセットされているか否かをチェックし、正しくセットされていなければ、正しくセットする旨の警告を発する。こうすることで、前記インキ供給容器を間違いなく確実に前記印刷機にセットできる。或いは/さらに、前記読出工程にて前記インキ収容器の前記ICタグから読み出したインキ管理情報から、前記印刷物作成工程にて前記インキ収容器から前記インキ供給容器にインキが補給される際に正しく補給されているか否かをチェックし、正しく補給されていなければ、正しく補給する旨の警告を発してもよい。この場合の本発明第2システムでは、前記管理部が、前記読出部にて前記インキ供給容器の前記ICタグから読み出したインキ管理情報から、前記インキ収容器から前記インキ供給容器にインキが補給される際に正しく補給されているか否かをチェックし、正しく補給されていなければ、正しく補給する旨の警告を発する。こうすることで、前記インキ収容器から前記インキ供給容器にインキを補給するときに、正しいインキ収容器が使われているか否かを管理することができる。
【0037】
本発明に係る第3方法において、前記読出工程にて前記被印刷体又は前記被印刷体収容部の前記ICタグから前記被印刷体管理情報を読み出すとともに該読み出した被印刷体管理情報に基づいて前記被印刷体の変更に対して変化する前記印刷機の設定値(例えば、厚みなど)を自動で設定し、前記印刷物作成工程では、前記印刷機に対し設定された前記設定値で印刷してもよい。この場合の本発明第2システムでは、前記管理部が、前記読出部にて前記被印刷体又は前記被印刷体収容部の前記ICタグから前記被印刷体管理情報を読み出すとともに該読み出した被印刷体管理情報に基づいて前記被印刷体の変更に対して変化する前記印刷機の設定値(例えば、厚みなど)を自動で設定し、前記印刷機が、前記管理部にて設定された前記設定値で印刷する。こうすることで、前記被印刷体又は前記被印刷体収容部を前記印刷機にセットするだけで、前記印刷機の設定を自動で行うことができる。
【0038】
また、本発明に係る第3方法において、前記読出工程にて前記被印刷体又は前記被印刷体収容部の前記ICタグから読み出した被印刷体管理情報から、前記印刷物作成工程にて前記被印刷体又は前記被印刷体収容部が前記印刷機にセットされる際に正しくセットされているか否かをチェックし、正しくセットされていなければ、正しくセットする旨の警告を発してもよい。この場合の本発明第2システムでは、前記管理部が、前記読出部にて前記被印刷体又は前記被印刷体収容部の前記ICタグから読み出した被印刷体管理情報から、前記印刷機に前記被印刷体又は前記被印刷体収容部がセットされる際に正しくセットされているか否かをチェックし、正しくセットされていなければ、正しくセットする旨の警告を発する。こうすることで、前記被印刷体又は前記被印刷体収容部を間違いなく確実に前記印刷機にセットできる。
【0039】
本発明に係る第1から第3の印刷方法において、前記管理情報及び前記管理情報に対応する固定のID符号をデータベースに格納する格納工程をさらに含み、前記記憶工程では、前記固定ID符号を前記ICタグに記憶させ、前記読出工程では、前記記憶工程にて記憶された前記ICタグの前記固定ID符号を読み出すとともに、該読み出した固定ID符号により、前記格納工程にて格納された前記データベースの前記管理情報を読み出してもよい。この場合の本発明に係る第1から第3の印刷システムにおいては、前記管理情報及び前記管理情報に対応する固定のID符号をデータベースに格納する格納部をさらに備え、前記固定ID符号が前記ICタグに記憶され、前記読出部は、前記ICタグの前記固定ID符号を読み出すとともに、該読み出した固定ID符号により、前記格納部にて格納された前記データベースの前記管理情報を読み出す。こうすることで、前記ICタグの記憶容量を超えて、前記管理情報を記憶させることができる。
【0040】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る実施の形態について図面を参照しながら説明する。図1は本発明に係る第1から第3印刷方法を実施する第1から第3印刷システムの一例Qにおいて印刷版を中心に記載した概略工程図であり、図2は図1に示す工程の流れを示すフローチャートである。また、図3は前記本発明の印刷システム例Qにおいて印刷用紙及び印刷インキを中心に記載した概略工程図である。
【0041】
図1及び図3に示す印刷システムQは、印刷版データ作成工程で使用する印刷版データ作成装置10(ここではレイアウト編集ソフト等を搭載したパーソナルコンピュータ)と、印刷版作成工程で使用する印刷版作成装置20(ここではCTPシステム)と、印刷物作成工程で使用する印刷機30と、前記の印刷版データ作成装置10、印刷版作成装置20及び印刷機30をネットワーク等の通信手段NWを介して管理する印刷管理部40とを具備している。
【0042】
印刷版データ作成装置10は印刷版AAA’を作成するための印刷版データを作成するものであり、印刷版作成装置20は装置10にて作成された印刷版データに基づいて印刷版AAA’を作成するものである。また、印刷機30は、カラー印刷を行うものであり、図示を省略したが、複数の印刷ユニット及び該印刷ユニットに被印刷体(ここでは印刷用紙)を供給する供給部を備えている。この印刷機30は、印刷版AAA’及び印刷インキのインキカートリッジ31(インキ供給容器の一例)が前記各印刷ユニットにセットされ、また印刷用紙を給紙する際に印刷用紙を載置するパレット32(被印刷体の収容部の一例)が前記供給部にセットされる(図3参照)。なお、インキカートリッジ31はインキ缶31’(インキ収容器の一例)からインキが補給されるインキ壺として構成されても良い。
【0043】
印刷管理部40は、前記の通信手段NWを具備し、コンピュータを中心に構成されており、印刷版データ作成装置10、CTPシステム20及び印刷機30を管理するためのプログラムが実行されることで、該装置10、システム20及び印刷機30を通信手段NWを介して管理することができるように構成されている。なお、各機器10,20及び30にそれぞれ管理部を設け、それぞれの管理部において、対応する機器を管理するようにしてもよい。
【0044】
図1に示す印刷版AAA’には、非接触ICタグT1が付加されている。具体的には、印刷版AAA’上にICタグT1が貼り付けられたり、印刷版AAA’にICタグT1が埋め込まれたりしている。図3に示すインキカートリッジ31及びインキ缶31’には、非接触ICタグT2が付加されている。具体的には、インキカートリッジ31及びインキ缶31’上にICタグT2が貼り付けられたり、インキカートリッジ31及びインキ缶31’にICタグT2が埋め込まれたりしている。また図3に示すパレット32には、非接触ICタグT3が付加されている。具体的には、パレット32上にICタグT3が貼り付けられたり、又はパレット32にICタグT3が埋め込まれたりしている。なお、ここではパレット32にICタグT3を付加するが、印刷用紙自身にICタグT3を付加してもよい。
【0045】
非接触ICタグT1〜T3は、ここではいずれも書き換え可能なICタグであり、電波によって内部メモリがアクセスされ、非接触でデータの読み出し、書き込みを行うことができるものである。ICタグT1は、印刷版に関する印刷版管理情報(例えば、文書名、版名、インキ量データ等)が印刷版出力時に記憶され、ICタグT2は、印刷インキに関するインキ管理情報(例えば、インキメーカー、インキの種類、インキの色、使用期限等)が予め記憶され、また、ICタグT3は、被印刷体(ここでは、印刷用紙)に関する用紙管理情報(例えば、表面処理、サイズ、枚数、厚み等)が予め記憶されている。なお、ICタグのインキカートリッジ31や印刷用紙への付加及び/又は情報の記録は、インキメーカーや用紙メーカーにおいて(例えば、出荷時に)行ってもよい。
【0046】
図1及び図3に印刷システムQは、さらに読出部50及び書込部60を備えている。読出部50は、ICタグT1〜T3の各情報を読み出すことができるものであり、書込部60は、前記の印刷版管理情報、インキ管理情報及び用紙管理情報をそれぞれICタグT1〜T3に書き込むことができるものであり、これらは一体的に構成されている。
【0047】
このシステムQでは、図1及び図2に示すように、印刷版データ作成工程にて印刷版データ作成装置10により印刷版データAAAが作成され(ステップS1)、この印刷版データ作成装置10により作成された印刷版データAAAに基づいて、印刷版作成工程にてCTPシステム20により印刷版(ここでは、シアン色(C)、マゼンタ色(M)、イエロー色(Y)、ブラック色(K)の四色の印刷インキにそれぞれ対応する四つの印刷版AAA’)が作成され(ステップS2)、さらにこれらの印刷版AAA’による印刷が適正なものとなるように各印刷版AAA’に対するインキ量AAA”のデータが作成(例えば算出)され(ステップS3)、印刷物作成工程の印刷機30に該作成された印刷版AAA’が渡される。このとき、印刷版AAA’に関する印刷版管理情報として文書名、版名やCTPシステムにて求めた印刷インキのインキ量AAA”を含む管理情報が、書込部60によりICタグT1に書き込まれる(ステップS4)。なお、図1では四つの印刷版のうち一つの印刷版のみ図示しており、他の印刷版については図示を省略してある。
【0048】
印刷物作成工程では、CTPシステム20にて作成された四つの印刷版AAA’を印刷機30の前記各印刷ユニットにセットし(ステップS5)、該四つの印刷版AAA’をセットした印刷機30を使用して印刷物を作成する。このとき、管理部40は、読出部50にて印刷版AAA’のICタグT1から印刷インキのインキ量AAA”を含む印刷版管理情報を読み出し(ステップS6)、読出部50にて印刷版AAA’のICタグT1から読み出した印刷版管理情報(例えば、文書名、版名等)から、印刷機30の適切な位置(ここではセットされるべき前記印刷ユニット)に印刷版AAA’がセットされる際に正しくセットされているか否かをチェックし(ステップS7)、正しくセットされていなければ、例えば、印刷機30における表示装置等に、正しくセットする旨の警告を発する。こうすることで、印刷版AAA’を間違いなく確実に印刷機40にセットできる。
【0049】
また、前記管理部40は、印刷機30に対し読出部50にて読み出したインキ量AAA”を設定する。こうすることで、印刷版AAA’を印刷機30にセットするだけで、印刷機30への印刷版AAA’に対するインキ量AAA”の設定を自動で行うことができる。こうして印刷版AAA’が印刷機30にセットされることで、印刷機30に印刷版AAA’に対するインキ量AAA”が自動設定され(ステップS8)、印刷機30は、管理部40により設定されたインキ量AAA”の印刷インキで印刷を行う(ステップS9)。
【0050】
このシステムQによると、誰でもが間違いなく確実に印刷版AAA’を印刷機30にセットでき、且つ、印刷版AAA’を印刷機30にセットするだけで、印刷機30の設定が自動で行われる。
【0051】
さらに、この印刷システムQでは、図3に示すように、管理部40は、読出部50にてインキカートリッジ31のICタグT2から読み出したインキ管理情報から、印刷機30の前記各印刷ユニットにカートリッジ31がセットされる際に正しくセットされているか否かをチェックし、正しくセットされていなければ、例えば、印刷機30における表示装置等に、正しくセットする旨の警告を発する。さらに言えば、どのような印刷物を印刷するのかを示す印刷指示データにある指定のインキ(例えば、インキメーカー、インキの種類、インキの色、使用期限等)と一致しているかをチェックし、不一致の場合、警告を出す。こうすることで、カートリッジ31を間違いなく確実に印刷機30にセットできる。また、インキカートリッジ31がインキ缶31’(インキ収容器の一例)からインキが補給されるインキ壺として構成される場合は、管理部40は、読出部50にてインキ缶31’のICタグT2から読み出したインキ管理情報から、インキ缶31’からインキカートリッジ31にインキが補給される際に正しく補給されているか否かをチェックし、正しく補給されていなければ、例えば、印刷機30における表示装置等に、正しく補給する旨の警告を発する。さらに言えば、どのような印刷物を印刷するのかを示す印刷指示データにある指定のインキ(例えば、インキメーカー、インキの種類、インキの色、使用期限等)と一致しているかをチェックし、不一致の場合、警告を出す。こうすることで、インキ缶31’からインキカートリッジ31にインキを補給するときに、正しいインキ缶31’が使われているか否かを管理することができる。また、管理部40は、読出部50にてパレット32のICタグT3から読み出した用紙管理情報から、印刷機30の前記供給部にパレット32がセットされる際に正しくセットされているか否かをチェックし、正しくセットされていなければ、正しくセットする旨の警告を発する。さらに言えば、印刷指示データの印刷用紙に関する情報(例えば、表面処理、サイズ、厚み等)と比較し、適切な印刷用紙がセットされているかをチェックし、一致していない場合、警告を出す。こうすることで、パレット32を間違いなく確実に印刷機30にセットできる。なお、印刷用紙自身にICタグT3を付ける場合には、印刷用紙自身で「厚み・種類等」を判別することができる。
【0052】
なお、管理部40が、読出部50にてインキカートリッジ31のICタグT2から前記インキ管理情報を読み出すとともに該読み出したインキ管理情報に基づいて印刷インキの変更に対して変化する印刷機30の設定値(例えば、インキ量の調整値など)を自動で設定し、印刷機30が、管理部40にて設定された前記設定値で印刷してもよい。こうすることで、インキカートリッジ31を印刷機30にセットするだけで、印刷機30の設定を自動で行うことができる。また、管理部40が、読出部50にてパレット32のICタグT3から前記用紙管理情報を読み出すとともに該読み出した用紙管理情報に基づいて印刷用紙の変更に対して変化する印刷機30の設定値(例えば、厚みなど)を自動で設定し、印刷機30が、管理部40にて設定された前記設定値で印刷してもよい。こうすることで、パレット32を印刷機30にセットするだけで、印刷機30の設定を自動で行うことができる。このシステムQによると、指定された印刷インキ、印刷用紙で印刷が間違いなくできるようになる。
【0053】
また、印刷データを作成する際に印刷インキの種類、印刷用紙の種類を考慮してデータを作成する場合があるが、この場合、印刷データの作成条件と印刷時の印刷条件とで不整合が発生しないようにすることができ、予想通りの印刷物を仕上げることができる。印刷データを作成する際に印刷インキの種類、印刷用紙の種類を考慮してデータを作成する場合としては、例えば、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)からC,M,Y,Kへの変換が含まれるデータを作成する場合や印刷版データに対してカラーマッチング処理を行う場合(さらに言えば、プルーフに色を合わせる場合や他の印刷機に色を合わせる場合)等が挙げられる。
【0054】
図4に図1から図3に示す印刷システムQの他の例Q’において印刷版を中心に記載した概略工程図を示し、図5に図4に示す工程の流れを示すフローチャートを示す。
【0055】
図4及び図5に示す印刷システムQ’は、図1から図3に示す印刷システムQにおいて、前記印刷版管理情報(例えば、文書名(A,B)、版情報(C,M,Y,K)、インキ情報(AAA”,BBB’)等)及び前記印刷版管理情報に対応する固定のID符号(例えば、0,1,2,3,4,5等の固定ID番号)をデータベースに格納する格納部70をさらに備えたものである。図4に示す印刷版AAA’には、非接触ICタグT1’が付加されている。このICタグT1’は、ここでは書き換えできないタイプのICタグであり、前記の固定ID番号が予め記憶されている。
【0056】
このシステムQ’では、図4及び図5に示すように、ステップS3’にて各印刷版AAA’に対するインキ量AAA”のデータが作成される。なお、ステップS1’〜S3’の工程については前記のシステムQのステップS1〜S3の工程と同様であり、ここでは説明を省略する。このとき、管理部40は、読出部50にて印刷版AAA’のICタグT1’から固定ID番号を読み出し(ステップS4’)、印刷版AAA’の固定ID番号と前記の印刷インキのインキ量AAA”を含む印刷版管理情報との関係を格納部70のデータベースに登録し、前記固定ID番号と前記印刷版管理情報とを関連付けたデータベースを作成する(ステップS5’)。
【0057】
次に、印刷物作成工程では、CTPシステム20にて作成された四つの印刷版AAA’を印刷機30の前記各印刷ユニットにセットし(ステップS6’)、該四つの印刷版AAA’をセットした印刷機30を使用して印刷物を作成する。このとき、管理部40は、読出部50にて印刷版AAA’のICタグT1’から固定ID番号を読み出し(ステップS7’)、該読み出された固定ID番号により、格納部70にて格納されたデータベースのインキ量AAA”を含む印刷版管理情報を読み出し(ステップS8’)、印刷機30に対しインキ量AAA”を設定する。こうすることで、印刷版AAA’を印刷機30にセットするだけで、印刷機30への印刷版AAA’に対するインキ量AAA”の設定を自動で行うことができる。なお、ステップS9’〜S11’の工程については前記のシステムQのステップS7〜S9(図2参照)の工程と同様であり、ここでは説明を省略する。
【0058】
この印刷システムQ’では、固定ID番号がICタグT1’に記憶され、印刷版出力時に印刷版の固定ID番号と前記印刷版管理情報(例えば、文書名、版名、インキ量データ等)とを関連付けたデータベースが作成され、読出部50が、ICタグT1’の前記固定ID番号を読み出すとともに、該読み出した固定ID番号に対応する、格納部50にて格納された前記データベースの前記印刷版管理情報を読み出すので、ICタグT1の記憶容量を超えて、前記印刷版管理情報を記憶させることができる。
【0059】
なお、格納部70は、前記インキ管理情報及び前記インキ管理情報に対応する固定ID番号をデータベースに格納してもよいし、前記用紙管理情報及び前記用紙管理情報に対応する固定ID番号をデータベースに格納してもよい。格納部70が、前記用紙管理情報及び前記用紙管理情報に対応する固定ID番号をデータベースに格納する場合、例えば、用紙のサイズに関しては、用紙が裁断されて使用される場合があるため、印刷機30への自動設定後、用紙サイズを変更できるようにしておくことができる。
【0060】
また、図1から図3に示す印刷システムQ及び図4に示す印刷システムQ’において、印刷終了後の印刷版を保管する置き版の管理を行ってもよい。図6(A)に印刷版の保管場所の情報(ここでは保管場所を示す保管場所符号)を含む印刷版管理情報を示し、図6(B)に保管場所符号に対応する場所に置き版が保管されている状態を示す。
【0061】
図6(A)に示すように、ICタグには、印刷版管理情報として印刷版AAA’の印刷終了後の保管場所を示す保管場所符号を含む管理情報が予め記憶されている。管理部40は、読出部50にて印刷版AAA’のICタグから印刷版AAA’の保管場所符号を含む印刷版管理情報を読み出し、該読み出した保管場所符号により、印刷版AAA’が保管場所の何処にあるかを検索する。なお、印刷版のICタグに固定ID番号を記憶させ、印刷版の保管棚にID番号に対応するバーコード等を設けておくことで、例えば、印刷版AAA’が正しい保管場所に保管されていない場合であっても、当該保管棚のバーコード等をスキャンして、当該印刷版AAA’が何処にあるかを当該印刷版AAA’のICタグに記憶されたID番号により探し出すことができる。こうすることで、図6(B)に示すように、印刷工程終了後、再度印刷依頼があった場合に多くの版の中から短時間で所望の版を探し出すことができる。なお、印刷版管理情報として固定ID符号を用いる場合には、格納部70は、保管場所符号を含む印刷版管理情報及びこの印刷版管理情報に対応する固定ID番号をデータベースに格納してもよい。
【0062】
なお、前記の印刷システムQ,Q’において、非接触ICタグを使用する上のメリットとしては、
・オペレータの肉眼での確認が不要である点、
・バーコード等の場合のようにバーコード等を探しての読取作業が不要である点、
・読み取りが迅速にできる点、
・無線によりデータを読み取ることができ、容易に情報収集ができる点、
・印刷インキ等の汚れに対してデータの読み取りに支障がない点、及び
・ネットワーク上にあるデータとのリンクができるようになり、各工程における諸資材を含めた印刷システム全体の自動化を図ることができる点
等を挙げることができる。
【0063】
以上説明した印刷システムQ,Q’によると、印刷版管理情報をICタグT1,T1’に記憶させ、ICタグT1,T1’を印刷版AAA’に付加し、印刷版AAA’のICタグT1,T1’から印刷版管理情報を読み出し、該読み出した印刷版管理情報に基づいて、印刷版AAA’を管理するので、また、前記インキ管理情報をICタグT2に記憶させ、ICタグT2をインキカートリッジ31及びインキ缶31’に付加し、カートリッジ31及びインキ缶31’のICタグT2から前記インキ管理情報を読み出し、該読み出したインキ管理情報に基づいて、前記印刷インキを管理するので、さらに、前記用紙管理情報をICタグT3に記憶させ、ICタグT3をパレット32に付加し、パレット32のICタグT3から前記用紙管理情報を読み出し、該読み出した用紙管理情報に基づいて、印刷用紙を管理するので、いずれにしても、バーコードのような光学的に読み取るコードの場合のように、オペレータがコードを探して読み取るといった作業負担を軽減できるとともに、各工程における諸資材をオペレータが意識することなくセットでき、印刷インキ等による諸資材の汚れに拘わらず、印刷工程を間違いなく正確に運用でき、さらに工程全体を自動的、且つ、効率的に稼働させることができる。なお、本例では、インキ供給容器としてインキカートリッジを採用したが、このインキカートリッジについては、印刷機に装着されてインキを自動で印刷機に供給するものであればいずれのものでもよく、インキカートリッジに限定されるものではない。
【0064】
また、印刷版管理情報として印刷版AAA’の印刷終了後の保管場所を示す保管場所符号を含む管理情報がICタグに記憶され、管理部40は、読出部50にて印刷版AAA’のICタグから印刷版AAA’の保管場所符号を含む印刷版管理情報を読み出し、該読み出した保管場所符号により、印刷版AAA’が保管場所の何処にあるかを検索するので、印刷工程終了後、再度印刷依頼があった場合に多くの版の中から短時間で所望の版を探し出すことができる。
【0065】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によると、バーコードのような光学的に読み取るコードの場合のように、オペレータがコードを探して読み取るといった作業負担を軽減できるとともに、各工程における諸資材をオペレータが意識することなくセットでき、印刷インキ等による諸資材の汚れに拘わらず、印刷工程を間違いなく正確に運用でき、さらに工程全体を自動的、且つ、効率的に稼働させることができる印刷方法及び印刷システムを提供することができる。
【0066】
また本発明によると、印刷工程終了後、再度印刷依頼があった場合に多くの版の中から短時間で所望の版を探し出すことができる印刷方法及び印刷システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る第1から第3印刷方法を実施する第1から第3印刷システムの一例において印刷版を中心に記載した概略工程図である。
【図2】図1に示す工程の流れを示すフローチャートである。
【図3】前記本発明の印刷システム例において印刷用紙及び印刷インキを中心に記載した概略工程図である。
【図4】図1から図3に示す印刷システムの他の例における印刷版を中心に記載した概略工程図である。
【図5】図4に示す工程の流れを示すフローチャートである。
【図6】図(A)は印刷版の保管場所の情報(ここでは保管場所を示す保管場所符号)を含む印刷版管理情報を示す図であり、図(B)は保管場所符号に対応する場所に置き版が保管されている状態を示す図である。
【図7】従来の印刷システムによる印刷工程例において印刷用紙及び印刷インキを中心に記載した概略工程図である。
【図8】従来の印刷システムによる印刷工程例において印刷版を中心に記載した概略工程図である。
【図9】図8に示す工程の流れを示すフローチャートである。
【図10】従来の印刷版の一例を示す図である。
【図11】図8及び図9に示す印刷版データ作成工程で作成された印刷版データが複数ある場合の概略工程図である。
【符号の説明】
10…印刷版データ作成装置 20…印刷版作成装置 30…印刷機
31…インキカートリッジ 31’…インキ缶 32…被印刷体収容部
40…印刷管理部 50…読出部 AAA…印刷版データ AAA’…印刷版
T1〜T3…非接触ICタグ Q,Q’…印刷システム
Claims (8)
- 印刷版を作成するための印刷版データを作成する印刷版データ作成工程と、前記印刷版データ作成工程にて作成された前記印刷版データに基づいて前記印刷版を作成する印刷版作成工程と、前記印刷版作成工程にて作成された前記印刷版をセットした印刷機を使用して印刷物を作成する印刷物作成工程とを含み、前記印刷版データ作成工程、前記印刷版作成工程及び前記印刷物作成工程を管理する印刷方法において、
非接触ICタグに対して前記印刷版に関する印刷版管理情報を記憶させる記憶工程と、
前記ICタグを前記印刷版に付加する付加工程と、
前記ICタグの前記印刷版管理情報を読み出す読出工程と
をさらに含み、
前記読出工程にて前記印刷版の前記ICタグから前記印刷版管理情報を読み出し、該読み出した印刷版管理情報に基づいて、前記印刷版を管理することを特徴とする印刷方法。 - 前記読出工程にて前記印刷版の前記ICタグから前記印刷版管理情報を読み出し、該読み出した印刷版管理情報により、前記印刷版が保管場所の何処にあるかを検索する請求項1記載の印刷方法。
- 印刷版を作成するための印刷版データを作成する印刷版データ作成工程と、前記印刷版データ作成工程にて作成された前記印刷版データに基づいて前記印刷版を作成する印刷版作成工程と、印刷インキのインキ供給容器をセットした印刷機を使用して印刷物を作成する印刷物作成工程とを含み、前記印刷版データ作成工程、前記印刷版作成工程及び前記印刷物作成工程を管理する印刷方法において、
非接触ICタグに対して前記印刷インキに関するインキ管理情報を記憶させる記憶工程と、
前記ICタグを前記インキ供給容器及び/又は前記インキ供給容器にインキを補給するためのインキ収容器に付加する付加工程と、
前記ICタグの前記インキ管理情報を読み出す読出工程と
をさらに含み、
前記読出工程にて前記インキ供給容器及び/又は前記インキ収容器の前記ICタグから前記インキ管理情報を読み出し、該読み出したインキ管理情報に基づいて、前記印刷インキを管理することを特徴とする印刷方法。 - 印刷版を作成するための印刷版データを作成する印刷版データ作成工程と、前記印刷版データ作成工程にて作成された前記印刷版データに基づいて前記印刷版を作成する印刷版作成工程と、被印刷体又は被印刷体の収容部をセットした印刷機を使用して印刷物を作成する印刷物作成工程とを含み、前記印刷版データ作成工程、前記印刷版作成工程及び前記印刷物作成工程を管理する印刷方法において、
非接触ICタグに対して前記被印刷体に関する被印刷体管理情報を記憶させる記憶工程と、
前記ICタグを前記被印刷体又は前記被印刷体収容部に付加する付加工程と、
前記ICタグの前記被印刷体管理情報を読み出す読出工程と
をさらに含み、
前記読出工程にて前記被印刷体又は前記被印刷体収容部の前記ICタグから前記被印刷体管理情報を読み出し、該読み出した被印刷体管理情報に基づいて、前記被印刷体を管理することを特徴とする印刷方法。 - 印刷版を作成するための印刷版データを作成する印刷版データ作成装置と、前記印刷版データ作成装置にて作成された前記印刷版データに基づいて前記印刷版を作成する印刷版作成装置と、前記印刷版作成装置にて作成された前記印刷版がセットされる印刷機と、前記印刷版データ作成装置、前記印刷版作成装置及び前記印刷機を管理する印刷管理部とを具備する印刷システムにおいて、
非接触ICタグの情報を読み出す読出部をさらに備え、
前記ICタグに対して前記印刷版に関する印刷版管理情報が記憶され、
前記ICタグが前記印刷版に付加され、
前記管理部は、前記読出部にて前記印刷版の前記ICタグから前記印刷版管理情報を読み出し、該読み出した印刷版管理情報に基づいて、前記印刷版を管理することを特徴とする印刷システム。 - 前記管理部は、前記読出部にて前記印刷版の前記印刷版管理情報を読み出し、該読み出した印刷版管理情報により、前記印刷版が保管場所の何処にあるかを検索する請求項5記載の印刷システム。
- 印刷版を作成するための印刷版データを作成する印刷版データ作成装置と、前記印刷版データ作成装置にて作成された前記印刷版データに基づいて前記印刷版を作成する印刷版作成装置と、印刷インキのインキ供給容器がセットされる印刷機と、前記印刷版データ作成装置、前記印刷版作成装置及び前記印刷機を管理する印刷管理部とを具備する印刷システムにおいて、
非接触ICタグの情報を読み出す読出部をさらに備え、
前記ICタグに対して前記印刷インキに関するインキ管理情報が記憶され、
前記ICタグが前記インキ供給容器及び/又は前記インキ供給容器にインキを補給するためのインキ収容器に付加され、
前記管理部は、前記読出部にて前記インキ供給容器及び/又は前記インキ収容器の前記ICタグから前記インキ管理情報を読み出し、該読み出したインキ管理情報に基づいて、前記印刷インキを管理することを特徴とする印刷システム。 - 印刷版を作成するための印刷版データを作成する印刷版データ作成装置と、前記印刷版データ作成装置にて作成された前記印刷版データに基づいて前記印刷版を作成する印刷版作成装置と、被印刷体又は被印刷体の収容部がセットされる印刷機と、前記印刷版データ作成装置、前記印刷版作成装置及び前記印刷機を管理する印刷管理部とを具備する印刷システムにおいて、
非接触ICタグの情報を読み出す読出部をさらに備え、
前記ICタグに対して前記被印刷体に関する被印刷体管理情報が記憶され、
前記ICタグが前記被印刷体又は前記被印刷体収容部に付加され、
前記管理部は、前記読出部にて前記被印刷体又は前記被印刷体収容部の前記ICタグから前記被印刷体管理情報を読み出し、該読み出した被印刷板管理情報に基づいて、前記被印刷体を管理することを特徴とする印刷システム。
Priority Applications (1)
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JP2003168639A JP2005001285A (ja) | 2003-06-13 | 2003-06-13 | 印刷方法及び印刷システム |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2003168639A JP2005001285A (ja) | 2003-06-13 | 2003-06-13 | 印刷方法及び印刷システム |
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ID=34094013
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JP2003168639A Pending JP2005001285A (ja) | 2003-06-13 | 2003-06-13 | 印刷方法及び印刷システム |
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JP (1) | JP2005001285A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2010540295A (ja) * | 2007-10-02 | 2010-12-24 | カーベーアー−ジオリ ソシエテ アノニム | 証券文書、特に銀行券の制御生産のための方法およびシステム |
CN104275928A (zh) * | 2013-07-11 | 2015-01-14 | 北京市易丰印刷有限责任公司 | 单张纸印刷开纸裁纸方法 |
JP2016078276A (ja) * | 2014-10-14 | 2016-05-16 | レンゴー株式会社 | フレキソ印刷機の運用方法及び印版管理システム |
-
2003
- 2003-06-13 JP JP2003168639A patent/JP2005001285A/ja active Pending
Cited By (3)
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CN104275928A (zh) * | 2013-07-11 | 2015-01-14 | 北京市易丰印刷有限责任公司 | 单张纸印刷开纸裁纸方法 |
JP2016078276A (ja) * | 2014-10-14 | 2016-05-16 | レンゴー株式会社 | フレキソ印刷機の運用方法及び印版管理システム |
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