JP2005001077A - 眼鏡レンズ素材切削粉の処理方法 - Google Patents

眼鏡レンズ素材切削粉の処理方法 Download PDF

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秀樹 酒井
Tetsuhisa Ono
哲央 小野
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Abstract

【課題】眼鏡レンズ切削粉を効率よく処理することができ、汎用性の高い着色粉体を容易に得ることができ、有効な再利用を可能とする眼鏡レンズ素材切削粉の処理方法を提供する。
【解決手段】眼鏡レンズ用プラスチックの切削粉を含有するスラリーをろ過処理し、水分を除去してプラスチック微粒子粉体を得る工程を含む処理方法において、スラリーと色材とを混合するか、或いは、スラリーから水分を除去して得たプラスチック微粒子粉体を色材で処理することにより、着色粉体を製造することを特徴とする。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、眼鏡レンズ用プラスチック切削粉の処理方法に関し、詳細には、切削粉を着色して着色粉体とすることで有効な再利用を図り、廃棄物を低減するための切削粉の処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
眼鏡レンズの素材であるプラスチックは、高機能あるいは高性能の材料である。この素材に装用者の視力に応じたさまざまなカット加工を施してレンズ製品を製造するものであるが、切削加工に際しては、多くの切削粉(研磨粉)が生じる。このような切削粉は2001年日本医用光学機器工業会の調査では年間約570トンにも達しており(「眼鏡」2002年1月号第88頁〜)、また、その処理方法もまちまちで環境への影響が懸念されている。
【0003】
レンズ加工は高度な加工精度を要するため、研磨粉の粒径は均一ではなく、加工度により比較的大きなものから微粒子粉末まであり、形状も板状や不定形などさまざまな粉末の混合物である。レンズの切削加工は粉塵の飛散防止や被加工物の保護の観点から通常は湿式で行われ、ここで用いられる切削液は切削粉が混合したスラリー状の流体となる。切削液はそのまま排水すると環境に与える影響が大きく、また、流体から切削粉のみを回収する場合においても、乾燥した粉体、なかでも微粒子粉体は吸引すると健康への悪影響が懸念されている。
【0004】
通常は切削液から所定の開口径を有するフィルターでろ過して切削粉を除去し、水分のみを排水することが行われているが、切削粉の粒径が均一ではないため、目の粗いフィルターを用いると粉体の除去性が悪化し、目の細かいフィルターを用いるとすぐに目詰まりを起こして、粉体の除去効率が悪くなるといった問題があった。
また、このような切削粉のリサイクルについては、廃プラスチック粉末は、例えば、セメント会社へ搬送され、炭化水素系燃料或いは骨材として利用されている。燃料に利用する場合においても、含水率の高いスラリー状の混合物では燃焼効率が低く、このため水分除去を行う必要があるが、この水分除去処理の煩雑な工程に加え、含水率が低くなると粉末が飛散しやすくなるといった、別の問題も生じてくる。
【0005】
眼鏡用のプラスチックは、その切削粉が粗粉(30μm以上)、普通粉(10〜30μm)および細粉(10μm以下)の混合物で、その粒子容積に比して表面積が大きく、表面特性のある粉体であり、且つ、原料として高強度、高機能のプラスチックを用いていることから、上記のみならず、種々の分野への再利用を図ることが期待されている。
しかしながら、廃棄物であるために一定の物性を有する原料を大量に集めることが困難であり、その用途も限られていることから、コスト的な問題もあり、再利用が一般に広く行なわれていないという問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記問題点を考慮した本発明の目的は、眼鏡レンズ切削粉を効率よく処理し、汎用性の高い着色粉体を容易に得ることにより、有効で、且つ、広汎な再利用を可能とする眼鏡レンズ素材切削粉の処理方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の眼鏡レンズ素材切削粉の処理方法は、眼鏡レンズ用プラスチックの切削粉を含有するスラリーをろ過処理し、水分を除去してプラスチック微粒子粉体を得る工程と、得られたプラスチック微粒子粉体を色材で処理し、着色粉体を得る工程と、を含むことを特徴とする。
また、本発明の別の態様として、眼鏡レンズ用プラスチックの切削粉を含有するスラリーをろ過処理する前に、スラリーと色材とを混合し、その後、スラリーをろ過処理して、着色粉体を得る方法が挙げられる。
また、前記各処理方法において、眼鏡レンズ用プラスチックの切削粉を含有するスラリーをろ過処理する際に、スラリーにコロイド溶液を添加することにより、微細な粒子が比較的大きな粒径の粒子表面に吸着して複合化され、プラスチック切削粉表面が親水性に改変されるため、ろ過効率を向上させることができる。
本発明の方法により得られた着色プラスチック粉体は、高濃度で鮮やかな着色粉体であるため、種々の用途に用いることができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、発明を詳細に説明する。
通常、眼鏡に用いられるプラスチックレンズは、プラスチック素材を射出成形法、反射射出成形法、注型成形法などの方法により、所望の光学性能を有する形状に成形し製造され、硬化被膜(ハードコート膜)、反射防止膜などにより被覆されて製品となる。
【0009】
本発明の処理方法において使用される原料は、眼鏡レンズ用プラスチック素材切削粉である。まず、この眼鏡レンズ用プラスチック素材について説明する。プラスチックレンズ用樹脂としては、例えばポリジエチレングリコールビスアリルカーボネート、ポリメチルメタクリレートが一般に使用されるが、通常は、耐摩耗性を向上させるために、ハードコートといわれる処理を施し、表面に硬化被膜を作成する。硬化被膜とレンズ基材との屈折率が異なると干渉縞が発生しやすいので、これを防止するため、レンズ表面には二酸化チタン微粒子を含む硬化被膜が形成され、この硬化被膜の経時劣化を抑制するため、硬化被膜上にさらに後述する反射防止膜が形成されることが多い。
【0010】
ここで用いられる二酸化チタン微粒子は、単体の場合もあるが、他の無機酸化物微粒子、例えば、二酸化セリウム、二酸化ケイ素、または二酸化スズなどとの複合微粒子や、有機ケイ素化合物、有機アルミニウム化合物、有機チタン化合物などの有機金属化合物の加水分解物を被膜形成成分として含む二酸化チタン微粒子などの複合微粒子が用いられる場合もある。二酸化チタン以外の微粒子や複合微粒子を用いる場合であっても、平均粒子径は前記した二酸化チタン微粒子と同じていどの粒子径である。
硬化被膜中におけるこれら微粒子の含有量は好ましくは5〜80質量%、好ましくは20〜60質量%であることが好ましい。
【0011】
硬化被膜表面に、無機物質からなる反射防止膜を形成する方法としては、真空蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法などが挙げられ、膜の構成としては単層反射防止膜もしくは多層反射防止膜があるが、どちらを用いて処理したものにも後述する紫外線防止加工が可能である。
反射防止膜の形成に使用される無機物質としては、二酸化ケイ素、二酸化チタン、二酸化ジルコニウム、二酸化セリウム、酸化マグネシウム、三酸化二イットリウム、二酸化スズ、三酸化タングステンなどが挙げられる。
なお、この反射防止膜形成に先だって、硬化被膜に表面処理を施してもよく、具体的には、例えば、酸処理、アルカリ処理、紫外線照射処理、アルゴン等の不活性ガスもしくは酸素雰囲気中での高周波放電によるプラズマ処理、アルゴン処理などの不活性ガスもしくは酸素などのイオンビ−ム照射処理などが挙げられる。
このように、プラスチックレンズ表面は通常、二層の表面処理がなされたことにより積層被膜が効果的に機能する。ここで用いられる二酸化チタン微粒子の平均粒子径は通常1〜100nmの範囲であり、コロイド次元のサブミクロン微粒子である。
【0012】
また、プラスチックレンズに汎用される加工としては、上記の他、表面に紫外線吸収剤を含浸させる加工や、紫外線吸収剤をプラスチックに配合する加工、紫外線吸収剤による着色の増加を緩和するために樹脂素材自体に顔料や染料を混入する加工、表面を染色剤で加工する染色加工などが挙げられる。
紫外線吸収剤としては、400nm以下の光を吸収する化合物である、2−ヒドロキシ−4‐メトキシベンゾフェノン、4−ドデシルオキシ−2‐ヒドロキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系化合物、またベンゾトリアゾ−ル系化合物、サリチル酸誘導体などや、近赤外線吸収剤である750〜1000nm範囲の光を吸収する、シアニン系色素、フタロシアニン系色素、ナフトキノン系色素、アントラキノン系色素、ジオ−ル錯塩などが用いられている。これらの化合物は、プラスチックスレンズに配合されたり、表面に吸着するが、レンズの切削加工において熱分解などはされず、そのまま残存すると考えられる。
【0013】
この完成されたプラスチックレンズは、高精度研削加工技術や超精密切削加工技術により、最終製品に加工される。
レンズの加工では、必要に応じて凹面加工、凸面加工、さらに平滑処理が施される。これらの加工では、研削処理、切削処理、あるいは研磨剤および研磨布を介在させた研磨皿や柔軟性を有する研磨工具等を用いて研磨加工される。最終的にレンズ表面は鏡面化させ光学的に仕上げられる。
上述した研削処理あるい切削処理などのマクロメカニカル加工と研磨加工などのミクロメカノケミカル加工処理を行うと、その研削粉・切削粉・研磨粉は、粗粉(30μm以上)、普通粉(10〜30μm)および細粉(10μm以下)の混合物となる。本発明における「切削粉」はこれらのすべてを包含する。これらの切削粉は、その粒子容積に比して表面積が大きく、表面特性のある微粒子である。
【0014】
また、これら微粒子は、先に述べたように、種々の加工が施され、各種の添加物が切削粉素材に含まれたり、表面に吸着したりしており、これらの切削粉の特性に応じて各種の着色処理を施せばよい。
切削粉であるプラスチック微粒子粉体を色材で処理し、着色粉体を得る方法としては、切削粉がスラリー状のうちに、スラリーと色材とを混合する処理方法と、スラリーを固液分離した後、取出した粉体を色材で処理する方法がある。
【0015】
眼鏡レンズ用プラスチック素材切削粉を切削するにあたっては、切削粉の飛散を防止するために、水分を供給しながら処理するのが一般的であるが、眼鏡用プラスチックは表面疎水性であるため、水分がレンズ表面によく付着するように、通常は界面活性剤を含有する液体を用いる。
このスラリー状の切削粉と液体との混合物からプラスチックのみを回収するために、フィルターを用いたろ過処理が行われるが、固液分離方法としてはこのろ過処理が最も簡易で、コスト的にも有利である。
【0016】
なお、粉体の形状や粒径が均一ではない研削粉において、ろ過処理の効率を向上させるために、レンズ研削粉を含有した廃水をコロイド処理することで、研削粉のうち超微粒子状の粉末を比較的粒径の大きい粒子表面に付着させ、複合化した後、ろ過処理を行うことができる。この方法によれば、微細な粒径の粉体によるフィルターの目詰まりを防止し、且つ、フィルターの開口部から微粒子が流失することを抑制し、より効率のよいろ過処理を行なうことができる。
コロイド処理を用いたろ過処理方法としては、具体的には、研削粉を含有する研削液に二酸化チタンコロイド、ジルコニアコロイド、シリカコロイド、アルミナコロイド、鉄コロイドなどの溶液を混合する方法が挙げられる。このような処理を行なった研削粉をろ過するとき、比較的大粒径の粉体がろ別される。この粉体を乾燥し、走査型電子顕微鏡で表面を観察すると、粉体表面にコロイド超微粒子が付着固定化されることがわかる。
【0017】
この処理に用いられる各種コロイド溶液は、例えば、日産化学工業株式会社製の「無水珪酸の超微粒子を水中に分散させたコロイド溶液」として入手可能である。本発明に用い得る市販されているコロイド溶液を例示すれば、商品名:スノーテックス(負電荷に帯電の無定形シリカ粒子が水中に分散したコロイド)、アルミナゾル(正電荷に帯電した超微粒子アルミナコロイド)、ジルコニアコロイド、メタノールシリカゾル(アルコールを分散媒としたコロイダルシリカ)などが挙げられ、関連のものにイノプロパノールゾル、ノルマルプロパノールゾルなどが挙げられ、これらも本発明に適用できる。
これらコロイド溶液の研削液への添加量は、被処理研削粉に対して0.1〜10質量%程度であることが好ましい。
【0018】
この方法で研削プラスチック粉をコロイド処理することで、極めて親水性の粉体が得られる。なお、プラスチックレンズには、予めハードコート、反射防止コートなどの表面処理がなされいるのが一般的であり、とくに反射防止コート処理では、シリカ、ジルコニア、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化鉄などのコロイドが使用されているので、研削後の粉体表面には、これらの存在が予想され、これを考慮してコロイド溶液の濃度などを適宜調整すればよい。
これらコロイド物質を含む研削粉を再度、コロイド処理することにより、表面親水性を増大させ、さらには、研削液中に含まれる界面活性剤などの化合物をも吸着させるため、粉末をろ別したのち、系外に排水される研削液中の不純物をも同時に吸着除去し、環境に与える影響を低下させるという利点をも有する。
【0019】
なお、被処理研削液中に、コロイドより大きい多孔質微粒子(50〜100nm程度の粒子径のもの)を、加えて研削粉の表面に付着固定することにより、研削液中の各種化合物の吸着性が向上し、研削液の処理効率が一層向上する。このような多孔質微粒子としては、具体的には、炭酸カルシウム、コロイダルシリカなどが挙げられ、好ましい添加量は、研削液中の粉体の量により決定されるが、一般的には、研削液1リットルに対して1〜100g程度である。
【0020】
フィルターによるろ過処理後、得られた粉体は、乾燥して再利用に供されるが、この研削粉はコロイド処理することにより表面親水化されており、乾燥後に粉塵化して空気中に飛散する現象が抑制される。また、乾燥粉の接触帯電性(または摩擦帯電性)が少なくなり、粉体としての安息角(tanθ値)0〜10°から、自由流動性の粉体に改変される。
【0021】
一方、ろ過処理工程において本発明に係るコロイド処理を行わない場合、得られた粉体は自由流動性を示さず安息角(tanθ値)が40〜60°と大きくなり、付着凝集性を示すため、ハンドリング性に劣り、再利用へ供することが困難となる。
なお、自由流動性を示すか否かは、簡便法として、乾燥粉末をガラスビンに半分程度充填し、ビンを振ることによるガラスとの摩擦帯電性から確認することが可能である。本来、ガラスは正帯電するので、この操作により切削粉の見かけの正負電荷の程度を簡便に判定することが可能となる。
【0022】
研削粉を色材で処理する場合には、研削液スラリーと色材とを前記したコロイド処理工程において、混合して処理した後、ろ過して着色粉体を得る方法、或いは、研削液スラリーのろ過により得られた研削粉を用い、乾式粉体を得た後、着色処理を施すことにより着色粉体を得る方法のいずれの方法をとることもできる。
以下に、色材(着色剤)による処理方法について具体的に説明する。
研削粉の着色には、色材として、顔料を用いる場合と、染料を用いる場合とがある。
前記したコロイド処理或いは研削粉を分離した後の乾式粉体複合化処理の工程において、必要な色材を添加して、複合化することにより着色粉体を得ることができる。
【0023】
コロイド処理工程において色材処理を行なう場合、スラリー状の被処理研削液と、コロイドより大きい顔料微粒子(50〜100nm程度の粒子径のもの)とを混合して、研削粉の表面に付着固定することにより、研削液中の各種化合物の吸着性が向上し、研削液の処理効率が一層向上する。この混合は、スラリー中へ顔料を添加する方法、顔料分散液中にスラリーを添加する方法のいずれの方法で行なわれてもよい。
顔料としては、上記の如き粒径を有するものであれば特に制限はなく、具体的には、二酸化チタン、二酸化ケイ素、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、二酸化ジルコニウムなどが挙げられる。
スラリーに対する好ましい顔料の配合量は、研削液中の粉体の量により決定されるが、一般的には、研削液1リットルに対して1〜100g程度である。
【0024】
他方、研削粉の着色に染料を用いる場合には、水系染色法、溶剤染色法、高温染色法、気相染色法などが適用できるが、この場合、分散染料を温水に分散させた染色液を、前記コロイド処理工程においてスラリーと混合して粒子表面に吸着させ、着色する方法が簡易に実施できるという観点から好ましい。
切削粉を染料で着色処理する場合、前記のように切削粉スラリーのまま処理する場合には、切削粉にはコロイド粒子が付着・固定化されているので、系中で複数超微粒子被覆切削粉(表面改質複合微粒子)となっている。
また、固液分離を行なって乾燥した後染色する場合には、プラスチック切削粉の表面には、乾燥工程において、研削・切削・研磨工程において生成したプラスチック超微粒子が付着・固定化された、いわゆる超微粒子被覆切削粉(同体複合微粒子)になっている。
【0025】
以下、いずれの眼鏡用プラスチックレンズ切削粉(同体複合微粒子、表面改質複合微粒子)にも適用し得る染料の着色方法について説明する。
(1)染料浴中に切削粉を分散後、加熱して染料を粉体表面に固定化する方法
この方法は、スラリー中に染料を添加する方法と同様に実施することができる。染料浴中の染料濃度は、用いる染料や所望する着色状態にもよるが、切削粉に対して10質量%以上であることが好ましく、10〜20質量%であることがより好ましい。着色は、切削粉を分散後、染料を添加し、撹拌しながら60℃以上、好ましくは80〜95℃に加熱して染色する。染料浴中での処理時間は30秒〜90分間程度が好ましく、さらに、1〜5分間であることが効果の観点から好ましい。この処理方法の場合、染料浴中での浸漬時間を10分間以上としても染着濃度が著しく向上することはない。
この方法に適用し得る染料としては、赤色染料Dianix Red AC−E 01、黄色染料Dianix Yellow AC−E new(商品名:ダイスタージャパン(株)社製)などが挙げられる。
【0026】
(2)レンズ基材の原料モノマ−に予め染料を溶解させておき、これに切削粉を分散したあとに重合させて、薄膜着色高分子被覆切削粉にする方法
レンズの主成分である樹脂材料を構成するモノマーに染料を添加し、均一に溶解または分散させ、溶媒中に分散した切削粉に添加して重合開始剤を添加し、40〜100℃程度の加熱しながらモノマーを重合させ、切削粉表面に重合により着色樹脂被膜を形成する。溶剤中へのモノマーの添加量は90質量%程度が好ましく、染料の添加量は、モノマーに対して0.1〜1.0質量%であることが好ましい。
ここ用いるモノマーは、必ずしも切削粉を構成する樹脂のモノマーと同一でなくてもよく、一般的に用いられる重合被膜形成性の高いモノマー、具体的には例えば、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート、ジベンジルイタコネートなどを用いればよい。また、モノマーに添加し得る染料としては、赤色染料Dianix Red AC−E 01、黄色染料Dianix Yellow AC−E new、また、モノマーへの溶解性を考慮して、二酸化チタン、群青などに染料を予め吸着させたものなどが挙げられる。
【0027】
(3)水溶性高分子の水系溶液に切削粉を分散して、まず表面に薄膜の硬化被膜を形成させた後に、次の工程で水系染料に浸漬して着色する方法
切削粉を、ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコールなどの水溶性高分子を水又はアルコール水溶液などに溶解した溶液中に浸漬し、表面に吸着させた後に切削粉を取りだし、水分を除去することで、表面に水溶性高分子被膜を形成させる。その後、水溶性染料、例えば、赤色染料Dianix Red AC−E 01、黄色染料Dianix Yellow AC−E newなどを溶解した溶液中に浸漬し、水溶性高分子被膜を水溶性染料で染色したのち、粉体を分離して乾燥させ、表面に着色水溶性高分子被膜を形成してなる着色粉体をえる。
水溶性染料溶液中の染料濃度は10〜20質量%程度が好ましく、染料溶液中への粉体の浸漬時間は5分〜60分間程度が好ましい。
【0028】
(4)気相中で有機染料を加熱・昇華させて切削粉表面に沈積着色する方法
切削粉を均一に分散し、昇華性の有機染料を約120〜130℃に加熱し、昇華させ、切削粉表面に沈積させて着色粉体を得る。
この方法に用いうる昇華性の有機染料としては、黄色染料 Dianix Yellow TA−N、青色染料 Dianix Blue AC−E(商品名:ダイスタージャパン(株)社製)、Miketon Fast Red Z(三井化学製)などが挙げられる。加熱温度条件は使用する有機染料の昇華温度を勘案し、適宜決定すればよい。
【0029】
本発明において、プラスチック微粒子粉体を色材で処理する方法は、上記の1つの方法を用いてもよく、また、目的に応じて2以上の色材処理方法を組み合わせて用いてもよい。
これらのうち、容易性、生産性の観点からは、コロイド処理液中に色材を添加する方法や(1)染料浴中に切削粉を分散・加熱する方法が好ましい。
また、(2)色材を含むモノマーを重合させて、薄膜着色高分子被覆切削粉にする方法により得られた着色粉体は、表面に強固な着色層が均一に形成されることから、色相の均一性が良好で耐久性に富む着色粉体が得られる。
さらに、(3)水溶性ポリマー被覆後に水溶性染料で染色する方法により得られた着色粉体は表面親水性に優れるという特性を有する。
このように、用いる色材やその処理方法を選択することで様々な機能を有する着色粉体を得ることができる。
【0030】
着色剤を表面に吸着して得られた着色研削粉は、着色粉体としてプラスチック成形時の着色用添加剤や木粉の着色用添加剤として用いられる。具体的には、文房具関係の素材、消しゴムに練り込んで着色したり、消しゴム中に文字を形成する場合の着色剤として用いたり、クリアホルダーなどの薄層プラスチック成形品やバインダー表紙、名刺入れなどの樹脂成形品の着色剤、その他の用途に適用することができる。
【0031】
本発明の方法によれば、通常は廃棄されていた眼鏡レンズ素材切削粉を、簡易な手段でさまざまな用途に用いうる着色粉体とすることができるため、資源として有効に活用でき、且つ、廃棄物としての処理が必要なくなるため、環境汚染を有効に防止することができる。
【0032】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに制限されるものではない。
(実施例1)
ここでは、(1)染料浴中に切削粉を分散・加熱する方法を適用した例を説明する。
60℃に加温した蒸留水500mlに、均染剤としてのナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合塩(界面活性剤:(株)花王製)2.5g、および、赤色染料(Dianix Red AC−E 01、ダイスタージャパン(株)製)0.5gを加えて攪拌し、これらが均一に溶解した後にクエン酸を加えてpH3.0に調整する。この染色溶液を90℃に加温し、その温度に維持しながらプラスチック切削粉(同体複合微粒子)50gを加えて1分間攪拌した。その後、吸引ろ過により固液分離を行ない、得られた粉体を減圧乾燥して、着色粉体を得た。得られた粉体は充分に染色され、鮮やかな赤色を呈していた。
【0033】
(実施例2〜3)
染色溶液中に浸漬し、攪拌しながら処理する時間を1分間からそれぞれ、5分間、60分間に変えた他は、実施例1と同様にして着色粉体を得た。得られた粉体は充分に染色され、鮮やかな赤色を呈していた。
実施例1〜3で得られた着色粉体の濃度を比較したが、大きな差異は認められず、この方法によれば、短時間で充分な色材処理が行なわれることがわかった。
【0034】
(実施例4〜6)
染色溶液中に浸漬する切削粉を50gからそれぞれ、100g、150g、200gに変えた他は、実施例1と同様にして着色粉体を得た。得られた粉体は染色され、それぞれ濃度の異なる赤色を呈していた。
実施例1と実施例4〜6で得られた着色粉体の濃度を比較したが、実施例1で得られた着色粉体が最も高濃度で着色されており、実施例6は、低濃度の赤色着色粉体であった。このことから、染料/切削粉の重量比が着色粉体の着色濃度と相関することがわかった。即ち、処理時の染料/切削粉の重量比を制御することで所望の濃度の着色粉体が得られる。
【0035】
(実施例7〜11)
用いる染料を赤色染料(Dianix Red AC−E 01、ダイスタージャパン(株)製)から、それぞれ、黄色染料(Dianix Yellow AC−E new、ダイスタージャパン(株)製)、青色染料(Dianix Blue AC−E、ダイスタージャパン(株)製)、紫色染料(DianixBr.Violet B、ダイスタージャパン(株)製)、黒色染料(Dianix Black E−G 01、ダイスタージャパン(株)製)、ネイビー染料(Dianix Navy BN−E02、ダイスタージャパン(株)製)に変えた他は、実施例1と同様にして実施例7〜11の着色粉体を得た。得られた粉体は、それぞれ高濃度に着色された黄色粉体(実施例7)、青色粉体(実施例8)、紫色粉体(実施例9)、黒色粉体(実施例10)、ネイビー粉体(実施例11)であり、着色剤の色相にかかわらず、本発明の方法により高濃度着色粉体が得られることがわかった。
【0036】
(実施例12)
シリカコロイド水溶液(5質量%)を用意し、その中に眼鏡レンズプラスチック研削粉(粗粉、普通粉、細粉の混合物)100gを加えてペースト化する。コロイド処理は表面親水性を増大する機能を果たすため、ペースト化は容易に行われる。
60℃に加温した蒸留水1000mlに、均染剤としてのナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物ナトリウム塩10g、および、赤色染料(MLP レッド2、三井化学 (株)製)5gを加えて攪拌し、これらが均一に溶解した後にクエン酸を加えてpH2.9に調整する。この染色溶液を90℃に加温し、その温度に維持しながらペースト乾燥粉(同体複合微粒子)50gを加えて5分間攪拌した。その後、吸引ろ過により固液分離を行ない、得られた粉体を減圧乾燥して、着色粉体を得た。この着色粉体は、赤色染料がシリカコロイド改質研削粉の表面に付着、固定化されたものである。この着色粉体は、プラスチックのフィラー材料として好適に使用することができる。
【0037】
【発明の効果】
本発明の眼鏡レンズ素材切削粉の処理方法によれば、眼鏡レンズ切削粉を効率よく処理し、汎用性の高い着色粉体を容易に得ることができ、有効で、広汎な再利用を可能とするという効果を奏する。

Claims (2)

  1. 眼鏡レンズ用プラスチックの切削粉を含有するスラリーをろ過処理し、水分を除去してプラスチック微粒子粉体を得る工程と、得られたプラスチック微粒子粉体を色材で処理し、着色粉体を得る工程と、を含むことを特徴とする眼鏡レンズ素材切削粉の処理方法。
  2. 眼鏡レンズ用プラスチックの切削粉を含有するスラリーと色材とを混合する工程と、色材を混合したスラリーをろ過処理し、水分を除去して着色プラスチック微粒子粉体を得る工程と、を含む眼鏡レンズ素材切削粉の処理方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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