JP2005000981A - 溶融金属成形機の射出装置 - Google Patents

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Yoshiyasu Itsuji
孔康 井辻
Yasuo Tanno
康雄 丹野
Takuya Sasaki
卓也 佐々木
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Abstract

【課題】簡単な構成でありながら、射出シリンダの熱が駆動装置に伝達されることを防止することができるようにする。
【解決手段】溶融された成形材料を射出する射出シリンダ21と、該射出シリンダ21内に移動可能に挿入されたプランジャ22と、前記射出シリンダ21及びプランジャ22を移動させる射出駆動装置11と、前記射出シリンダ21と射出駆動装置11との間に形成された断熱空間56とを有する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、溶融金属成形機の射出装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、溶融金属成形機においては、加熱して、溶融させた金属材料、例えば、マグネシウム合金を射出装置から金型内に射出して所望の成形品を成形するようになっている。このような溶融金属成形機の一種として、チクソモールディング式のマグネシウム成形機が知られている。該チクソモールディング式のマグネシウム成形機においては、粉砕された固体のマグネシウム合金を射出装置の供給口からシリンダ内に供給し、該シリンダ内のスクリュの回転攪拌(かくはん)作用によって、マグネシウム合金を半凝固スラリー状にして射出するようになっている。しかし、シリンダ内のスクリュの回転攪拌作用によってマグネシウム合金を半凝固スラリー状にするために、シリンダ、スクリュ等の構成が複雑となり、高い工作精度が要求され、かつ、シリンダ、スクリュ等の温度管理が困難となるので、射出装置の製造コスト及び運転コストが高くなってしまう。
【0003】
そこで、射出装置に接続された溶解炉において、加熱して、溶融させた金属を射出装置のシリンダ内に供給する溶融金属成形機が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。この場合、溶融金属が射出装置に供給されるので、該射出装置の構成を簡素化することができ、シリンダ等の温度管理も容易となり、射出装置の製造コスト及び運転コストを低くすることができる。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−179422号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来の溶融金属成形機の射出装置においては、高温の溶融金属を射出シリンダ内に供給するようになっているので、該射出シリンダが高温になるとともに、該射出シリンダ内のプランジャを駆動するための駆動装置までもが高温に曝(さら)されてしまう。該駆動装置は、シリンダ装置、電気モータ等の駆動源や、ギヤトレイン、ベルト等の駆動力伝達装置のように複雑な構造の可動部材を多数備えた装置を有しているので、高温環境下では十分に性能を発揮することができないだけでなく、故障が頻発してしまう。
【0006】
もっとも、射出シリンダにおいて高温となるのは、溶融金属が内部に供給される前方部分であるので、射出シリンダの全長を十分に長くすることによって、射出シリンダの後端に接続される駆動装置の温度を低下させることが考えられる。しかし、射出シリンダの全長を長くすると溶融金属成形機全体のサイズが大きくなってしまう。また、射出シリンダの全長を長くすると、射出シリンダの自重による撓(たわ)み量が増加し、射出シリンダ先端のノズルと金型との位置合わせの精度が低下してしまう。さらに、射出シリンダは一般にインコネル(R)等の高価な材料によって構成されるので、射出シリンダの全長を長くすると、材料費が高くなり、溶融金属成形機のコストが上昇してしまう。
【0007】
本発明は、前記従来の溶融金属成形機の射出装置の問題点を解決して、簡単な構成でありながら、射出シリンダの熱が駆動装置に伝達されることを防止することができる溶融金属成形機の射出装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
そのために、本発明の溶融金属成形機の射出装置においては、溶融された成形材料を射出する射出シリンダと、該射出シリンダ内に移動可能に挿入されたプランジャと、前記射出シリンダ及びプランジャを移動させる射出駆動装置と、前記射出シリンダと射出駆動装置との間に形成された断熱空間とを有する。
【0009】
本発明の他の溶融金属成形機の射出装置においては、さらに、前記断熱空間は、前記射出シリンダの後端面と射出駆動装置の前端面との間に形成される。
【0010】
本発明の更に他の溶融金属成形機の射出装置においては、さらに、前記射出シリンダは、シリンダ支持装置によって断熱的に支持される。
【0011】
本発明の更に他の溶融金属成形機の射出装置においては、さらに、前記シリンダ支持装置は、前記射出シリンダを支持するサポートブロック、該サポートブロックを支持するサポートブロック支持部材、及び、前記サポートブロックとサポートブロック支持部材との間に配設された断熱ブロックを備える。
【0012】
本発明の更に他の溶融金属成形機の射出装置においては、さらに、前記サポートブロックはタイロッドによって射出駆動装置に結合される。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本実施の形態においては、金属材料としてマグネシウムを使用した例について説明する。
【0014】
図2は本発明の実施の形態における溶融金属成形機の構成を示す側面図である。
【0015】
図において、10は溶融金属成形機としてのマグネシウム成形機であり、装飾品、各種容器、精密部品、カメラ、コンピュータ等の精密装置の筐(きょう)体、自動車部品、事務機械部品等のマグネシウム合金製の各種成形品を成形するための成形機である。そして、前記マグネシウム成形機10は、成形機フレーム12上に配設された射出装置20、該射出装置20と対向するように前記成形機フレーム12上に配設された金型装置40、前記射出装置20の上方に配設され、該射出装置20に溶融マグネシウム合金を供給する溶解炉50、及び、該溶解炉50の上方に配設され、成形材料としての粉砕された固体のマグネシウム合金を前記溶解炉50に供給する材料供給装置60を有する。なお、前記マグネシウム合金は、成形品の用途等によって成分が異なり、いかなる成分から成るものであってもよいが、一般的には、AZ91マグネシウム合金が使用される。
【0016】
ここで、前記成形機フレーム12上には支持プレート13が固定され、さらに、長尺のスライドガイド15が、両端を取付部材15aを介して固定されることによって、前記支持プレート13の上方に配設されている。そして、前記射出装置20を駆動する射出駆動装置11を支持する支持台ユニット14が、図における横方向にスライド可能に、前記スライドガイド15に取り付けられている。
【0017】
また、前記支持プレート13上には、前記射出装置20の射出シリンダ21を支持するサポートブロック25がサポートブロック支持部材26を介して図における横方向にスライド可能に配設されている。なお、該サポートブロック支持部材26の下部には、サポートブロック25の高さを調整する高さ調整機構32を介してスライド部材31が取り付けられ、該スライド部材31が前記支持プレート13上をスライドする。また、前記サポートブロック25とサポートブロック支持部材26との間には断熱ブロック27を介在させて、射出シリンダ21の熱がスライド部材31等に伝達しないようになっている。なお、必要であれば、前記スライド部材31と支持プレート13との間に車輪、ベアリング、リニアガイド機構等を配設して、前記スライド部材31が支持プレート13上をスムーズにスライドすることができるようにしてもよい。また、前記サポートブロック25は複数本(例えば、四本)のタイロッド16によって射出駆動装置11に結合されている。そのため、射出シリンダ21と射出駆動装置11とは一体的に結合された状態で、成形機フレーム12上を図における横方向に移動する。なお、前記サポートブロック25、サポートブロック支持部材26、断熱ブロック27、高さ調整機構32、スライド部材31及び支持プレート13は、射出シリンダ21を断熱的に支持するシリンダ支持装置を構成する。
【0018】
そして、前記射出シリンダ21の円筒状空間21a内には、プランジャ22が図における横方向に移動可能に挿入されている。なお、該プランジャ22の後端部(図における右端部)は、プランジャ接続部22bを介して、射出駆動装置11の図示されないプランジャ駆動装置に接続され、該プランジャ駆動装置によって前進又は後退させられる。また、前記射出シリンダ21の外周には、温度を調節するための電気ヒータ等から成る加熱装置24が取り付けられ、前記射出シリンダ21の先端部(図における左端部)には円筒状空間21aに連通するノズル孔(こう)23aを備える射出ノズル23が配設されている。なお、前記プランジャ22には、溶融マグネシウム合金を前記射出シリンダ21の先端部における円筒状空間21aに導入するための成形材料導入孔としての導入孔22aが形成されている。
【0019】
また、前記射出シリンダ21の下方には、ドレインとしての漏洩(えい)した溶融マグネシウム合金を回収するためのドレイン収容装置33が配設されている。そして、前記円筒状空間21aの内面とプランジャ22の外面との隙(すき)間から漏洩した溶融マグネシウム合金は、前記円筒状空間21aに形成されたドレイン回収溝34a及び該ドレイン回収溝34aに連通するドレイン管34を介して、前記ドレイン収容装置33内に排出されて回収される。
【0020】
さらに、前記射出シリンダ21の上方には、前記溶解炉50が、前記円筒状空間21aに連通する連通管52を介して、取り付けられている。また、前記溶解炉50の上方には、前記サポートブロック25に固定された支柱61に取り付けられた前記材料供給装置60が配設されている。なお、必要に応じて、前記溶解炉50も前記支柱61に取り付けることができる。
【0021】
そして、射出装置20の前方(図における左方)には、金型装置40が配設されている。該金型装置40は、固定プラテン41に取り付けられた固定金型42aと、図示されない可動プラテンに取り付けられた可動金型42bとを有し、前記固定金型42a及び可動金型42bの合わせ面に成形品の形状を有する図示されない型としてのキャビティが形成されている。そして、前記可動金型42bは、前記可動プラテンを移動させるための図示されない型締装置が駆動することによって、前記固定金型42aに対して前進又は後退(図における右方向又は左方向へ移動)させられて、型開、型閉及び型締が行われるようになっている。前記型締装置は、例えば、サーボモータとボールナット機構との組み合わせ、油圧シリンダ装置、空圧シリンダ装置等の駆動源、及び、トグルリンク機構から成るトグル式型締装置、油圧シリンダ装置、空圧シリンダ装置等の駆動源によって可動プラテンを直接駆動する直圧式型締装置であるが、いかなる種類のものであってもよい。なお、前記固定プラテン41には、前記射出シリンダ21の射出ノズル23が進入して固定金型42aの背面(図における右側の面)にノズルタッチを行うことができるように、ノズル進入孔44が形成されている。
【0022】
また、前記固定プラテン41は、成形機フレーム12上に固定されるとともに、複数本(例えば、四本)のタイバー43によって前記型締装置の駆動源、トグル等が取り付けられた図示されないサポートプレートに結合されている。さらに、前記固定プラテン41の背面には、複数本(例えば、二本)のスライドバー17の一端(図における左端)が固定されている。そして、該スライドバー17の他端(図における右端)は、前記射出駆動装置11に対してスライド可能に取り付けられている。この場合、前記射出駆動装置11は図示されないシリンダ装置から成るスライド駆動源を備え、前記シリンダ装置のピストンロッドが前記スライドバー17の他端に接続されている。そして、前記シリンダ装置を作動させることによって、前記射出駆動装置11をスライドガイド15に沿ってスライドさせ、前記固定プラテン41に対して前記射出駆動装置11を移動させる。
【0023】
さらに、前記マグネシウム成形機10は、図示されない成形機制御装置を有する。該成形機制御装置は、CPU、MPU等の演算手段、半導体メモリ、磁気ディスク等の記憶手段、CRT、液晶ディスプレイ等の表示手段、キーボード、マウス等の入力手段、入出力インターフェイス等を備え、マグネシウム成形機10が有する手段や装置の動作を統括的に制御する。なお、前記成形機制御装置は、独立したものであってもよいし、金型の移動や開閉を制御する型締装置の制御装置のような他の制御装置と一体に形成されたものであってもよい。
【0024】
次に、前記構成の射出装置20の動作について説明する。
【0025】
まず、計量工程においては、射出駆動装置11のプランジャ駆動装置を駆動してプランジャ22を徐々に後退(図における右方向へ移動)させる。すると、該プランジャ22の前方(図における左方)における射出シリンダ21の円筒状空間21aが徐々に拡大し、かつ、前記プランジャ22に形成された導入孔22aが射出シリンダ21に形成された長溝を介して連通管52と連通するので、溶解炉50内の溶融マグネシウム合金が、前記連通管52及び導入孔22aを通って、前記プランジャ22の前方における射出シリンダ21の円筒状空間21a内に供給される。そして、前記プランジャ22を所定の距離だけ後退させることによって、前記プランジャ22の前方に所定量の溶融マグネシウム合金を溜(た)めることができる。すなわち、溶融マグネシウム合金の計量が行われる。また、前記溶解炉50内の溶融マグネシウム合金の量が減少した場合には、材料供給装置60から粉砕された固体のマグネシウム合金が前記溶解炉50内に供給される。これにより、該溶解炉50内の溶融マグネシウム合金の量を適正な値に保つことができる。
【0026】
続いて、射出工程においては、前記射出駆動装置11のスライド駆動源を駆動して前記射出駆動装置11と射出シリンダ21とを前進させ、射出ノズル23を固定プラテン41のノズル進入孔44内に進入させ、前記射出ノズル23の先端を固定金型42aの背面に押し付けてノズルタッチを行う。この場合、型締装置が駆動して可動プラテンに取り付けられた可動金型42bの合わせ面が固定金型42aの合わせ面に接触して、金型装置40は型閉が行われた状態となっている。続いて、前記プランジャ22を所定角度回転させた後、前記射出駆動装置11のプランジャ駆動装置を駆動してプランジャ22を急速に前進(図における左方向へ移動)させる。すると、該プランジャ22の前方における射出シリンダ21の円筒状空間21aが急速に縮小するので、該円筒状空間21aに溜められていた溶融マグネシウム合金が射出ノズル23のノズル孔23aを通って射出される。そして、射出された溶融マグネシウム合金は、固定金型42aの内部に形成された図示されないスプルー、ランナ等を通って、固定金型42a及び可動金型42bの合わせ面に形成されたキャビティ内に充填(てん)される。
【0027】
続いて、溶融マグネシウム合金の射出が終了すると、前記射出駆動装置11のスライド駆動源を駆動して前記射出駆動装置11と射出シリンダ21とを後退させ、元の位置へ復帰させる。そして、計量工程が再び行われ、前述された動作が繰り返される。なお、計量工程及び射出工程の間に射出シリンダ21の円筒状空間21aの内面とプランジャ22の外面との隙間から少量の溶融マグネシウム合金が不可避的に漏洩する。該溶融マグネシウム合金は、前記円筒状空間21aに形成されたドレイン回収溝34a及び該ドレイン回収溝34aに連通するドレイン管34を通ってドレイン収容装置33内に流入し、ドレインとして回収される。
【0028】
一方、金型装置40は、型締装置によって更に押圧力が加えられて型締が行われた状態となり、キャビティ内に充填された溶融マグネシウム合金は冷却され固化して、前記キャビティの形状通りの成形品となる。そして、型締装置が駆動して可動プラテンに取り付けられた可動金型42bの合わせ面が固定金型42aの合わせ面から離間して、金型装置40の型開が行われ、マグネシウム合金製の成形品が前記金型装置40から取り出される。以上のような動作を繰り返すことによって、所定数のマグネシウム合金製の成形品を成形することができる。
【0029】
次に、前記射出装置20について詳細に説明する。
【0030】
図1は本発明の実施の形態における溶融金属成形機の射出装置の要部拡大側面図である。
【0031】
本実施の形態においては、射出シリンダ21と射出駆動装置11との間に断熱空間56が形成されるようになっている。この場合、前記射出シリンダ21の後端面(図1における右端面)21bと射出駆動装置11の前端面(図1における左端面)11aとが離れて、前記断熱空間56が形成されるようになっており、該断熱空間56によって、前記射出シリンダ21からの熱の伝達が遮断されるので、前記射出シリンダ21が高温であっても、前記射出駆動装置11の温度が上昇しないようになっている。
【0032】
なお、周知のように、熱が伝達する形態としては、伝導、対流及び放射(輻(ふく)射)の三つの形態があるが、600〔℃〕程度までの温度範囲では、伝導が支配的であり、対流及び放射によって伝達する熱の量は少ないと考えられる。そのため、本実施の形態においては、対流及び放射による熱の伝達を考慮せず、伝導によって熱が伝達するものとして説明する。
【0033】
また、前記射出シリンダ21と該射出シリンダ21を支持するサポートブロック25との間には、断熱層54が形成される。本実施の形態において、前記断熱層54は、射出シリンダ21の外周面とサポートブロック25の内周面との境界の少なくとも一部に形成された空洞である。なお、該空洞内には、必要に応じて、断熱材を充填することもできる。また、図1に示される例において、前記断熱層54としての空洞は、射出シリンダ21の外周面を一周するように形成された浅い幅広の溝によって構成されるが、サポートブロック25の内周面を一周するように形成された浅い幅広の溝によって構成されてもよいし、射出シリンダ21の外周面及びサポートブロック25の内周面のそれぞれに形成された浅い幅広の溝によって構成されてもよい。さらに、図1に示される例において、前記断熱層54としての空洞は単一のものであるが、射出シリンダ21の軸方向(図における横方向)に複数個に分割して形成されるようにしてもよい。
【0034】
このように、射出シリンダ21とサポートブロック25との間に断熱層54が形成されているので、前記射出シリンダ21からサポートブロック25への熱の伝達が大幅に阻害され、前記射出シリンダ21が高温であっても、前記サポートブロック25がそれほど高温となることはない。例えば、前記射出シリンダ21の温度が約600〔℃〕であっても、前記サポートブロック25の温度は約250〔℃〕にまで低下する。
【0035】
そして、前述されたように、前記サポートブロック25は複数本のタイロッド16によって射出駆動装置11に結合されている。
【0036】
ここで、サポートブロック25がタイロッド16によって射出駆動装置11に結合されているので、前記サポートブロック25の熱がタイロッド16を介して伝達する。しかし、該タイロッド16は、円筒状で横断面の面積が小さいので、軸方向(図における横方向)に関して熱抵抗が大きく、しかも、前記タイロッド16はある程度長くなっている。そのため、サポートブロック25から射出駆動装置11への熱の伝達が大幅に阻害され、該射出駆動装置11の温度はサポートブロック25の温度よりもかなり低下する。例えば、前記サポートブロック25の温度が約250〔℃〕であっても、前記射出駆動装置11の温度は約60〔℃〕にまで低下する。したがって、射出駆動装置11が有する図示されないシリンダ装置、電気モータ等の駆動源や、ギヤトレイン、ベルト等の駆動力伝達装置のように複雑な構造の可動部材を多数備えた装置は、熱による影響を受けることがないので、十分に性能を発揮することができ、また、故障が発生することもない。
【0037】
また、前記サポートブロック25とサポートブロック支持部材26との間には断熱ブロック27が配設されている。そのため、サポートブロック25からサポートブロック支持部材26への熱の伝達が阻害される。本実施の形態において、前記断熱ブロック27は、図1に示されるように、前記サポートブロック25に接触するサポートブロック接触層27a、断熱材から成る断熱材層27b、及び、前記サポートブロック支持部材26に接触する支持部材接触層27cから成る多層構造を有する。そして、前記サポートブロック25とサポートブロック接触層27aとの間には、断熱層55が形成される。本実施の形態において、該断熱層55は、サポートブロック25とサポートブロック接触層27aとの境界の少なくとも一部に形成された空洞である。なお、該空洞内には、必要に応じて、断熱材を充填することもできる。また、図1に示される例において、前記断熱層55としての空洞は、サポートブロック接触層27aに形成された射出シリンダ21の軸と垂直な横方向(図1における紙面に垂直な方向)に延在する複数本の溝であるが、サポートブロック25に形成された溝であってもよいし、サポートブロック接触層27a及びサポートブロック25にそれぞれ形成された溝であってもよい。さらに、図1に示される例において、前記断熱層55としての空洞は複数であるが、射出シリンダ21の軸方向に広がった単一の溝として形成されるようにしてもよい。また、必要に応じて、前記支持部材接触層27cに断熱層55と同様の空洞を形成することもできる。
【0038】
このように、サポートブロック25とサポートブロック支持部材26との間には断熱ブロック27が配設されているので、前記サポートブロック25からサポートブロック支持部材26への熱の伝達が阻害され、該サポートブロック支持部材26の温度はサポートブロック25の温度よりもかなり低下する。特に、本実施の形態においては、前記断熱ブロック27は、サポートブロック接触層27a、断熱材層27b及び支持部材接触層27cから成る多層構造を有するので、断熱性が高くなっている。また、サポートブロック25とサポートブロック接触層27aとの間に形成された断熱層55によって、サポートブロック25から断熱ブロック27への熱の伝達が阻害され、断熱性がさらに向上する。
【0039】
そのため、前記射出シリンダ21が高温であっても、該射出シリンダ21の熱がサポートブロック支持部材26、スライド部材31、支持プレート13等に伝達しないようになっている。これにより、前記射出シリンダ21の熱が、前記サポートブロック支持部材26、スライド部材31、支持プレート13等を介して、射出駆動装置11に伝達することがない。また、サポートブロック支持部材26、スライド部材31、支持プレート13等の部材が熱膨張によって変形したり寸法が変わったりすることがないので、射出シリンダ21の高さが変動することがなく、また、該射出シリンダ21をスムーズに前進させることができる。したがって、射出ノズル23の先端の軸心位置が軸方向に垂直な方向にずれてしまう芯(しん)ずれが発生することがないので、前記射出ノズル23の先端を固定金型42aの背面に押し付けるノズルタッチを正確に行うことができる。
【0040】
なお、プランジャ22の後端部が、前述されたように、プランジャ接続部22bを介して、射出駆動装置11の図示されないプランジャ駆動装置に接続されているので、プランジャ22及び射出シリンダ21の熱がプランジャ接続部22bを介して射出駆動装置11に伝達する。しかし、前記プランジャ接続部22bは、横断面の面積が小さいので、軸方向(図における横方向)に関して熱抵抗が大きく、しかも、前記プランジャ接続部22bはある程度長くなっている。そのため、プランジャ接続部22bを介しての射出駆動装置11への熱の伝達が大幅に阻害され、該射出駆動装置11の温度がプランジャ接続部22bを介しての熱の伝達によって上昇することはほとんどない。
【0041】
このように、本実施の形態においては、射出シリンダ21と射出駆動装置11との間に断熱空間56が形成されているので、前記射出シリンダ21からの熱の伝達が遮断され、射出駆動装置11の温度が上昇することがない。そのため、射出駆動装置11が有するシリンダ装置、電気モータ等の駆動源や、ギヤトレイン、ベルト等の駆動力伝達装置のように複雑な構造の可動部材を多数備えた装置は、熱による影響を受けることがないので、十分に性能を発揮することができ、また、熱の影響による故障が発生することもない。
【0042】
また、射出シリンダ21からの熱の伝達を遮断するために射出シリンダ21の全長を長くする必要がない。そのため、射出装置20全体のサイズを小さくすることができるので、溶融金属成形機としてのマグネシウム成形機10全体のサイズを小さくすることができる。また、射出シリンダ21の全長を長くする必要がないので、射出シリンダ21の自重による撓みが増加することがない。そのため、芯ずれが発生することがなく、ノズルタッチを正確に行うことができる。さらに、射出シリンダ21の全長を長くする必要がないので、射出シリンダ21を構成する材料を節減することができ、マグネシウム成形機10のコストを低くすることができる。
【0043】
そして、前記射出シリンダ21がシリンダ支持装置によって断熱的に支持されるので、前記射出シリンダ21からの熱の伝達が遮断され、支持プレート13や成形機フレーム12の温度が上昇することがない。そのため、支持プレート13、成形機フレーム12、シリンダ支持装置等の部材が熱膨張によって変形したり寸法が変わったりすることがないので、射出シリンダ21の高さが変動することがなく、また、該射出シリンダ21をスムーズに前進させることができる。さらに、射出シリンダ21の自重がシリンダ支持装置によって断熱的に支持される。したがって、熱膨張による芯ずれが発生することがないので、前記射出ノズル23の先端を固定金型42aの背面に押し付けるノズルタッチを正確に行うことができる。
【0044】
なお、前記シリンダ支持装置のサポートブロック25がタイロッド16によって射出駆動装置11に結合されているので、前記サポートブロック25の熱がタイロッド16を介して伝達するが、射出シリンダ21とサポートブロック25との間に断熱層54が形成され、タイロッド16の熱抵抗が大きいので、射出駆動装置11への熱の伝達が阻害され、射出駆動装置11の温度の上昇が防止される。また、プランジャ22及び射出シリンダ21の熱がプランジャ接続部22bを介して射出駆動装置11に伝達するが、プランジャ接続部22bの熱抵抗が大きいので、射出駆動装置11への熱の伝達が阻害され、射出駆動装置11の温度の上昇が防止される。
【0045】
さらに、前記シリンダ支持装置のサポートブロック25とサポートブロック支持部材26との間には断熱ブロック27が配設されているので、サポートブロック支持部材26への熱の伝達が阻害され、サポートブロック支持部材26、スライド部材31、支持プレート13等の温度の上昇が防止される。
【0046】
また、必要に応じて冷却水、冷却空気等の冷却媒体を使用して、射出装置20の一部の温度調節を行うこともできる。例えば、サポートブロック25に冷却媒体の流路を配設して、前記サポートブロック25の温度を調節してもよい。また、射出シリンダ21の外周のドレイン管34より後方(図における右方)の範囲に冷却媒体の流路を配設して、前記射出シリンダ21の後方の範囲における温度を調節してもよい。さらに、断熱層54としての空洞や断熱層55としての空洞の内部に冷却媒体を流通させることもできる。
【0047】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【0048】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、簡単な構成でありながら、射出シリンダの熱が駆動装置に伝達されることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態における溶融金属成形機の射出装置の要部拡大側面図である。
【図2】本発明の実施の形態における溶融金属成形機の構成を示す側面図である。
【符号の説明】
10 マグネシウム成形機
11 射出駆動装置
11a 前端面
16 タイロッド
20 射出装置
21 射出シリンダ
21b 後端面
22 プランジャ
25 サポートブロック
26 サポートブロック支持部材
27 断熱ブロック
56 断熱空間

Claims (5)

  1. (a)溶融された成形材料を射出する射出シリンダと、
    (b)該射出シリンダ内に移動可能に挿入されたプランジャと、
    (c)前記射出シリンダ及びプランジャを移動させる射出駆動装置と、
    (d)前記射出シリンダと射出駆動装置との間に形成された断熱空間とを有することを特徴とする溶融金属成形機の射出装置。
  2. 前記断熱空間は、前記射出シリンダの後端面と射出駆動装置の前端面との間に形成される請求項1に記載の溶融金属成形機の射出装置。
  3. 前記射出シリンダは、シリンダ支持装置によって断熱的に支持される請求項1又は2に記載の溶融金属成形機の射出装置。
  4. 前記シリンダ支持装置は、前記射出シリンダを支持するサポートブロック、該サポートブロックを支持するサポートブロック支持部材、及び、前記サポートブロックとサポートブロック支持部材との間に配設された断熱ブロックを備える請求項3に記載の溶融金属成形機の射出装置。
  5. 前記サポートブロックはタイロッドによって射出駆動装置に結合される請求項4に記載の溶融金属成形機の射出装置。
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