JP2005000818A - 排気ガス浄化用フィルタ及び排気ガス浄化装置 - Google Patents

排気ガス浄化用フィルタ及び排気ガス浄化装置 Download PDF

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Abstract

【課題】ウォールフロータイプのハニカム構造体のDPFにおいて、PMの比較的大きな粒子だけでなく、PMの微細な粒子も捕捉可能で、しかも、熱エネルギーを効率よく使用して触媒を活性温度以上にしてPMを酸化除去できる排気ガス浄化用フィルタ及び排気ガス浄化装置を提供する。
【解決手段】ウォールフロータイプの多孔性セラミックス製ハニカム構造体からなる排気ガス浄化用フィルタ10において、流入出側セル12Aと流出側セル12Bを仕切り、排気ガスGが通過する多孔質壁11に酸化触媒15を担持すると共に、少なくとも流出側セル12B内にマイクロ波によって発熱する粒体16を充填する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ディーゼルエンジン等の排気ガス中のPMを捕捉するための排気ガス浄化用フィルタに関し、より詳細には、マイクロ波により発熱する発熱体を備えた排気ガス浄化用フィルタ及びそれを使用した排気ガス浄化装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ディーゼルエンジンから排出される粒子状物質(PM:パティキュレート・マター:以下PMとする)の排出量は、NOx,COそしてHC等と共に年々規制が強化されてきており、規制の強化に伴いエンジンの改良のみでは、対応できなくなってきている。そこで、エンジンから排出されるPMをディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF:Diesel Particulate Filter :以下DPFとする)と呼ばれるフィルタで捕集して、外部へ排出されるPMの量を低減する技術が開発されている。
【0003】
直接、このPMを捕集するDPFにはセラミック製のモノリスハニカム型ウォールフロータイプのフィルタや、セラミックや金属を繊維状にした繊維型タイプのフィルタ等があり、これらのDPFを用いた排気ガス浄化システムは、他の排気ガス浄化システムと同様に、エンジンの排気通路の途中に設置され、エンジンで発生する排気ガスを浄化して排出している。
【0004】
これらのDPFでは、PMは比較的大きな粒子から超微粒子まで広い範囲の粒度分布を有しているため、広い範囲でPMを捕集すべく様々な工夫がなされている。
【0005】
その一つに、一方向に通過可能なセルからなるハニカム構造体のDPFにおいて、排気ガス通路の断面に対するセルの密度が段階的又は断続的に大きくなるハニカム構造体のセル内を通過させることにより、排気ガス中の粒子状物質(PM)の拡散作用を利用して、粒子状物質を壁面に担持した酸化触媒に接触させて、上流側のセル内では粒子状物質の比較的大きな可溶性有機成分(SOF)を酸化すると共にこの可溶性有機成分の酸化により粒子状物質のスート(SOOT)を分離して微細化し、下流側セル内では微細化したスートを酸化する排気ガス浄化方法とその装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
一方、DPFはフィルタがPMを捕集すると捕集量に比例して排圧が上昇するので、捕集されたPMを燃焼させるなどして除去し、DPFを再生する必要があり、この再生方法は色々な方法が提案されており、電気ヒーター加熱タイプ、バーナー加熱タイプ、逆洗タイプ等がある。
【0007】
しかしながら、これらの再生方法をとる場合には、外部からエネルギーの供給を受けてPMの燃焼を行うので、燃費の悪化を招き、また、再生時の制御が難しく、PM捕集、PM燃焼(DPF再生)を交互に行うような二系統のDPFシステムが必要になる等、システムが大きく複雑になるという問題がある。
【0008】
この問題を解決するために、酸化触媒を利用しPMの酸化温度を下げ、外部からエネルギーを受けることなく、エンジンからの排気熱でPMを酸化してDPFを再生する技術が提案されている。この場合には、DPF再生が基本的には連続的になるため連続再生型DPFシステムと呼ばれているが、これらのシステムは、より簡素化された一系統のDPFシステムとなり、再生制御も簡素化されるという利点がある。
【0009】
この連続再生型DPFシステムの一つであるNO再生型DPFシステムでは、NO(二酸化窒素)によりPMを酸化し、DPFを再生しており、通常のウォールフローフィルタの上流に酸化触媒を配置し、排気ガス中のNO(一酸化窒素)を酸化する。従って、酸化触媒後流の排気ガス中のNOxは殆どがNOになる。このNOで、下流側のフィルタに捕集されたPMを酸化してCO(二酸化炭素)とし、PMを除去している。このNOは、Oよりエネルギー障壁が小さいため、PM酸化温度(DPF再生温度)を低下させ、外部からエネルギーの供給なしに排気ガス中の熱エネルギーで連続的にPM燃焼が生じる。
【0010】
そして、このNO再生型DPFシステムの改良システムとして、酸化触媒の多孔質触媒コート層をウォールフローフィルタの多孔質壁面に塗布し、NOの酸化とこれにより発生したNOによるPMの酸化を、ウォールフローフィルタの壁表面上で行うように構成し、システムを簡素化したものがある。
【0011】
また、ウォールフローフィルタの多孔質壁面に、酸化触媒と酸化物等のPM酸化触媒との多孔質触媒コート層を塗布し、フィルタに蓄積したPMを低温で燃焼し、連続再生するシステムもある。
【0012】
更に、ウォールフロータイプの多孔性セラミックス製ハニカム構造体からなる排気ガス浄化用フィルタにおいて、流入側のセル内に酸化触媒を担持させた耐熱性繊維を充填して、ハニカム壁及び耐熱性繊維の酸化触媒により、排気ガス中のPMを燃焼除去させるディーゼル排気ガス処理装置が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0013】
そして、これらの触媒付きDPFシステムは、触媒及びNOによるPMの酸化反応によって通常のフィルタよりもPM酸化開始排気温度(PM強制燃焼温度)を下げてPMの連続再生を実現するシステムである。
【0014】
しかしながら、PM酸化開始排気温度を下げても、まだ、350℃程度の排気ガス温度は必要であり、エンジンの始動直後やアイドルや低負荷のエンジン運転条件では、排気ガス温度が不足し、PMの酸化及びDPFの再生が生じない。
【0015】
従って、このようなエンジンの始動直後やアイドルや低負荷のエンジン運転条件では、排気ガス温度が酸化触媒やPM酸化触媒の活性温度以上にならないため、PMの燃焼除去がされず、PMが蓄積し、この状態が継続すると、PMが蓄積してもPM酸化状態にならないため、排圧が上昇し、燃費の悪化を招き、また、エンジン停止等のトラブルが生じるおそれがある。
【0016】
そこで、これらの連続再生型DPFシステムでは、PMの酸化除去のために強制的に排気温度を上げるためのポスト噴射等を含む制御運転を行い、排気温度を触媒の活性温度以上に上昇させて、捕集されたPMを酸化除去している。この強制的に排気温度を上げる運転では、排気温度を上げるために燃料を消費したり出力トルクの変動を伴ったりするので、エンジン運転条件からフィルタへのPM蓄積量を算出したり、又は、PM蓄積量に対応したフィルタ圧損からPM蓄積量を推定したりして、捕集したPMを燃焼除去する必要が生じているとするDPF再生必要条件を設定し、このDPF再生必要条件を満たした時に、この排気温度上昇制御運転を行っている。
【0017】
また、排気温度を上昇させて触媒を活性温度以上にする代りに、ウォールフロータイプ等のDPFの本体自体を、マイクロ波を吸収して高い効率で熱エネルギーに変化して発熱する耐火性酸化セラミック群に属するマイクロ波吸収材料で形成し、マイクロ波発生器によりDPFを発熱させるディーゼル排気フィルタも提案されている(例えば、特許文献3参照。)。
【0018】
【特許文献1】
特開2002−276332号公報
【特許文献2】
特開2002−276339号公報
【特許文献3】
特開2002−80271号公報 (第4頁)
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
これらのDPFにおいては、排気ガス中に含まれているPMの粒度分布が幅広く、数十ミクロンの大きな粒子からナノオーダーの微細な粒子まで幅広く混在している。そのため、比較的大きな粒子から微細な粒子まで捕捉する必要が有る。このうち数ミクロン以上の比較的大きな粒子は質量が大きく、その運動は慣性に支配されるため、これらの粒子はウォールフロータイプのハニカム構造体の多孔質壁の気孔入口での慣性さえぎり効果によって捕捉される。
【0020】
しかしながら、従来技術におけるDPFにおいては、PMの成分の内、例えば1ミクロン程度より小さい超微粒子の捕捉が困難であるいう問題とがある。
【0021】
また、捕捉されたPMを燃焼除去するために、エンジン始動直後やアイドルや低負荷域のエンジン運転状態においても、PMの捕捉量が増加してきた時には、酸化触媒やPM酸化触媒を活性温度以上にする必要があるが、従来技術の排気ガスの温度を昇温するDPFにおいては、触媒を担持しているDPF全体を暖めることになるため、必要な熱エネルギーが大きく燃費が悪化するという問題がある。
【0022】
特に、低温始動時においては、排気温度が非常に低く、また、DPF自体も暖められていないため、排気ガス温度の上昇により触媒を短時間の内に活性温度以上にすることは難しく、昇温までの時間も長くなり、また、燃料消費量も多くなる。
【0023】
本発明は、上述の問題を解決するべくなされたものであり、その目的は、ウォールフロータイプのハニカム構造体のDPFにおいて、PMの比較的大きな粒子だけでなく、PMの微細な粒子も捕捉可能で、しかも、熱エネルギーを効率よく使用して酸化触媒やPM酸化触媒を活性温度以上にしてPMを酸化除去できる排気ガス浄化用フィルタ及び排気ガス浄化装置を提供することにある。
【0024】
【課題を解決するための手段】
以上のような目的を達成するための排気ガス浄化用フィルタは、多孔性セラミックス製ハニカム構造体からなり、フィルタ機能を有する多孔質壁により仕切られ、かつ、該ハニカム構造体の両端に開口を有して連通するセルにおいて、互いに隣接するセルごとに反対側の開口を封止して流入側セルと流出側セルが形成され、排気ガスが流入側セルの入口から流入して前記多孔質壁を通過して隣接する流出側セル内に入り該流出側セルの出口から流出するように形成された排気ガス浄化用フィルタにおいて、前記多孔質壁に酸化触媒を担持すると共に、少なくとも前記流出側セル内に粒体を充填して構成される。
【0025】
つまり、ウォールフロータイプのフィルタにおいて、フィルタ機能を有する多孔質壁に触媒を担持し、流出側セル内に粒体を充填することにより、流出側セル内における捕集面積を著しく増加でき、PMの微細な粒子である超微粒子成分を捕捉することができるようになる。
【0026】
また、上記の排気ガス浄化用フィルタにおいて、粒体に触媒を担持させることにより、流出側セルの壁及び粒体に捕捉及び捕集されたPMの超微粒子成分を比較的低い温度で容易に酸化除去できるようになる。
【0027】
なお、PMの粒度分布によっては、流入側セル内にも粒体を入れて、多孔質壁の上流側においても、PMの微細な粒子を捕捉及び捕集できるようにしてもよい。
【0028】
そして、上記の排気ガス浄化用フィルタにおいて、粒体を誘電損失の大きい材料で形成すると、マイクロ波発生器でマイクロ波を発生して粒体を発熱させることができるので、この発熱により粒体、多孔質壁を少ないエネルギーで温度上昇でき、これらの担体に担持された触媒を活性温度以上にして、これらに捕捉されたPMを効率よく燃焼除去できる。
【0029】
そのため、排気温度が低い低温始動時等であっても、マイクロ波を発生して粒体部分を選択的に加熱して触媒活性温度以上に昇温することにより、少ないエネルギーでPMを燃焼除去できる。
【0030】
また、誘電損失が大きい材料としては、炭化ケイ素(SiC)やチタン酸バリウム(BaTiO)等も知られているが、極性や機械的特性(摩耗)が劣る。一方、金属とケイ素の複合物を分散配置させた窒化ケイ素等を材料として粒体は、低熱容量で誘電損失が大きく、マイクロ波吸収による発熱が効率よく行われ、しかも、耐摩耗性に優れ、更に極性を有しているため、PMの微細な粒子を吸着しやすいという性質を有しているので、PMの超微粒子の捕捉に効果がある。
【0031】
従って、この粒体は、金属とケイ素の複合物を分散配置させた窒化ケイ素を材料として形成され、また、この金属を、鉄、モリブデン、ニッケル、銅のいずれか一つ、又はこれらの複合物とすることが好ましい。
【0032】
また、粒体の大きさを0.5mm〜1mmとすることにより、流出側セルへの充填が容易でしかも捕捉に有効な表面積も十分に取れる。なお、粒体の大きさが0.5mm〜1mmとは、0.5mmメッシュの篩では通らず、1mmメッシュの篩いでは通過する大きさのことをいう。
【0033】
更に、この粒体の脱落防止用に流出側セルの出口側に耐熱繊維を配設することにより、容易に粒体の脱落を防止できる。この耐熱繊維としては、アルミナ繊維やムライト繊維等の無機繊維や金属繊維を使用できる。
【0034】
そして、本発明の排気ガス浄化装置は、上記の排気ガス浄化用フィルタを備えた排気ガス浄化装置であって、ハニカム構造体の近傍にマイクロ波発生器を備えて構成される。
【0035】
この構成の排気ガス浄化装置によれば、PMの比較的大きな粒子のみならず、、PMの微細な粒子も捕捉可能となり、また、マイクロ波発生により粒体は選択的に粒体を発熱させることにより、少ないエネルギーで効率よく粒体等に担持された酸化触媒を活性温度以上にすることができ、捕集されたPMを酸化除去することができる。
【0036】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る実施の形態の排気ガス浄化用フィルタ及び排気ガス浄化装置について、図面を参照しながら説明する。
【0037】
図1〜図3に示すように、この排気ガス浄化用フィルタ10は、ウォールフロータイプのフィルタとして知られている千鳥状に目封止したハニカム構造のフィルタであり、コージェライト、炭化ケイ素、窒化ケイ素等の多孔性セラミックス製ハニカム構造体として形成される。
【0038】
図1に示すように、この排気ガス浄化用フィルタ10は、フィルタ機能を有する多孔質壁11により仕切られ多数のセル12A,12Bが形成されている。このセル12A,12Bは、ハニカム構造体の両端に開口13A,13B,14A,14Bを有して連通している。図1及び図2の構成では、各セル12A,12Bは長手方向に延びて平行に形成された多数の多孔質壁11で井桁状に区切られて形成されている。
【0039】
そして、互いに隣接するセル12A,12Bごとに反対側の開口13A,13B,14A,14Bを封止して流入側セル(上流側セル)12Aと流出側セル(下流側セル)12Bが形成され、流入側セル12Aと流出側セル12Bが相互に隣合うように配置される。
【0040】
この流入側セル12Aは、排気ガス浄化用フィルタ10の入口側13Aが開放され、出口側14Aが目封止されており、また、下流側セル12Bは入口側13Bが目封止めされ、出口側14Bが開放されて形成される。そのため、図2では、排気ガス浄化用フィルタ10は、入口面においても出口面においても市松模様に目封止される。
【0041】
そして、更に、この多孔質壁11にカリウムコバルト系の酸化触媒15を担持させる。なお、このカリウムコバルト系の酸化触媒の代りに白金(Pt)やパラジウム(Pd)等の酸化触媒や、酸化セリウム等のPM酸化触媒を担持させてもよい。
【0042】
この排気ガス浄化フィルタ10において、図1及び図3に示すように、排気ガスGは、流入側セル12Aの入口13Aから流入して、フィルタ機能を有する多孔質壁11を通過して隣接する流出側セル12B内に入り、流出側セル12Bの出口14Bから浄化された排気ガスGcとなって流出する。
【0043】
更に、図3に示すように、流出側セル12B内に粒体16を充填して構成される。この粒体16は、鉄(Fe)、モリブデン(Mo)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)等のいずれか一つ、又はこれらの複合物の金属(M)とケイ素(Si)の化合物、例えば、ケイ化鉄(FeSi等)やケイ化モリブデン(MoSi等)等を、窒化ケイ素(Si)中に分散配置させた材料で形成される。
【0044】
この材料で形成された粒体16は、低熱容量で誘電損失が大きく、マイクロ波吸収による発熱が効率よく行われ、しかも、耐摩耗性に優れ、更に極性を有しているため、PMの微細な粒子を吸着しやすいという性質を有している。
【0045】
そして、この粒体16は、酸化鉄と窒化ケイ素及びアルミナ、イットリアを助剤として所定量調合した混合粉末を原料として、スラリー化し、更に、スプレードライヤーによって造粒処理を行い、これで得た粒体を、脱脂、焼成して形成することができる。これにより、表面に微細な凹凸を持つほぼ球状で、誘電損失の大きい焼結体で、平均粒径が0.5mm〜1mm程度の粒体が得られる。
【0046】
この粒体16に、カリウムコバルト系の酸化触媒17を担持させる。なお、多孔質壁11と同様に、このカリウムコバルト系の酸化触媒の代りに白金(Pt)やパラジウム(Pd)等の酸化触媒や、酸化セリウム等のPM酸化触媒を担持させてもよい。
【0047】
そして、これらの触媒17を担持させた粒体16を、排気ガス浄化フィルタ10の、流出側セル12B内に充填し、この粒体16が脱落しないように流出側セル12Bの出口14Bに少量のアルミナ繊維やムライト繊維等の無機又は金属の耐熱繊維18を脱落防止材として詰める。
【0048】
そして、図4に示すように、この排気ガス浄化用フィルタ10を、金属ケーシング20内に入れ、セラミック系緩衝材で形成される支持固定部材21を使って周囲を支持固定し、また、端部に脱落防止材の耐熱繊維18のための繊維抑えメッシュ22を配設する。更に、この排気ガス浄化用フィルタ10のハニカム構造体の近傍にマグネトロン等を用いて構成されるマイクロ波発生器30を配設して、排気ガス浄化装置1を構成する。
【0049】
以上の構成の排気ガス浄化用フィルタ10及び排気ガス浄化装置1によれば、ナノオーダーから数十ミクロンの大きな粒子まで幅広く混在しているPMのうち、数ミクロン以上の質量が大きく、その運動が慣性に支配される粒子は、多孔質壁11の気孔入口での慣性さえぎり効果によって捕捉される。また、更に微細な超微粒子は、極性をもち吸着性に優れた粒体16の表面上への吸着によって捕捉される。即ち、2段階捕捉により、広い粒度範囲のPMを捕捉できる。
【0050】
そして、特に、低温始動時やアイドルや低負荷域等の排気ガスの温度が低い場合には、マイクロ波発生器30で発生したマイクロ波によって粒体16を選択的に加熱することができ、しかも、粒体16の熱容量が小さいので、短時間の間に粒体16及びその周辺の多孔質壁11を昇温して、担持された酸化触媒やPM酸化触媒等の触媒15,17を活性温度以上に高めることができ、粒体16及び多孔質壁11に捕集されたPMを酸化除去できる。特に、排気温度が低く、また、排気ガス浄化用フィルタ10が暖められていないエンジン始動時に大きな効果が発揮される。
【0051】
この触媒15,17の昇温は、熱容量の小さな粒体16である担体を直接加熱するので非常に熱効率がよく、また、多孔質壁11の加熱も接触している粒体16からの伝熱によって加熱されるので熱効率がよい。その上、このハニカム構造体(排気ガス浄化用フィルタ)10は支持固定部材21で断熱又は熱伝導が少なくなるように支持されるので、ハニカム構造体10を支持する周囲の金属ケーシング20等への伝熱は少なくなり、加熱昇温は抑制されるので、金属ケーシング20等の加熱や放熱による熱損失も著しく少なくなる。
【0052】
そのため、短時間の間、必要最小限の加熱を行うだけであるので、加熱に必要な消費電力を極めて小さく抑えることができる。
【0053】
なお、この粒体16の加熱は、消費電力を最小限にするために、通常は、排気ガス浄化用フィルタ10に捕捉されたPMの堆積量(蓄積量)が増加して、排気ガス浄化用フィルタ10の背圧が限界値より大きくなったり、排気ガス浄化用フィルタ10の前後差圧が所定の判定値より大きくなったして、排気ガス浄化用フィルタ10のDPF再生処理が必要になった時のみ行う。
〔実施例〕
図5に、上記の構成の排気ガス浄化装置の実施例として、マイクロ波発生器より2.45GHzのマイクロ波(電力は300W)を発生させた場合に、フィルタ部分の温度上昇を測定した結果を示す。なお、この実施例では、粒体は、酸化鉄と窒化ケイ素を主原料として形成され、また、カリウムコバルト系触媒を担持している。
【0054】
また、比較例1,2として、従来材のコージェライト系材料と炭化ケイ素系材料でそれぞれ形成したフィルタに対して、実施例と同様に、マイクロ波発生器より2.45GHzのマイクロ波(電力は300W)を発生させた場合のフィルタ部分の温度変化を示す。
【0055】
図5によれば、比較例1,2では、コージェライト系材料と炭化ケイ素系材料がマイクロ波を吸収しにくいために誘電損失による発熱が少なく温度上昇が低いのに対して、実施例では、材料が低熱容量でかつ誘電損失が大きいため一気に発熱して加熱され、短時間で触媒活性温度Tdoc 域まで上昇し、更に加熱するとDPF再生可能温度Tdpf 領域まで温度が上昇するのが判る。
【0056】
次に、上記の実施例の排気ガス浄化装置と、比較例1,2の排気ガス浄化装置をそれぞれディーゼルエンジンの排気マニホールドとマフラーとを繋ぐ排気管に装着し、ディーゼルエンジンから排出される排気ガスのPM浄化試験を行った。
【0057】
このPM浄化試験結果によれば、比較例1,2では、PMのうち比較的大きな粒子の捕捉は可能であったが、ブラウン運動を伴う超微粒子の捕捉は困難であったが、一方、実施例では、特に、超微粒子といわれる0.5ミクロン以下のPMが比較例1,2に比べて著しく低減し、比較的大きな粒子と超微粒子の両方を捕捉できていることが判った。
【0058】
この実施例によるPMの捕捉状況は図3に模式的に示してある。排気ガス中のPMのうちの比較的大きな粒子41は多孔質壁11で捕捉され、PMのうちの超微粒子42の多くは多孔質壁11の気孔を通過し、その後、極性の大きい粒体16の表面上に吸着して捕捉され、それぞれは触媒15及び触媒17の触媒効果によって酸化される。
【0059】
また、エンジンの始動直後において、マイクロ波発生による加熱を行い、排出されるガスの成分を分析した結果、比較例1,2では、触媒の担体の温度が上昇しないため、極めて多くのPMが含まれていたが、実施例では短時間で加熱されるため、PMが著しく減少し、低温始動時における浄化性能も優れていることが分かった。
【0060】
更に、従来から使用されているアルミナ製のセラミック球状担体を充填した比較例3の排気ガス浄化装置と、本発明に係る主原料として酸化鉄と窒化ケイ素を使用した粒体(セラミック球状担体)を充填した実施例の排気ガス浄化装置とをそれぞれ実車に搭載し、耐久試験を行ったところ、比較例3のセラミック球状担体では、振動に伴う摩滅(アトリッション)が生じたが、実施例の粒体では殆ど摩滅は認められず、耐摩耗性に優れていることが判った。
【0061】
そして、実施例では、粒体の材料として、主原料として酸化鉄と窒化ケイ素を使用しているが、この酸化鉄に代えてモリブデンやニッケルあるいは銅を使用しても、金属とシリコンとの金属間化合物であるシリサイドを形成し、ほぼ同様の結果が認められた。
【0062】
また、この粒子に関しては造粒過程で中空品の作製も可能であり、中空品とすると、更に、軽量で低熱容量となるため、より消費電力を小さくすることができる。なお、粒体の形状は、球状以外でも同様の効果を得ることができるので、球状に限定されない。
【0063】
【発明の効果】
本発明の排気ガス浄化用フィルタ及び排気ガス浄化装置によれば、フィルタ機能を有する多孔質壁に触媒を担持し、流出側セル内に粒体を充填しているので、流出側セル内における捕集面積を著しく増加でき、2段階捕捉となり、PMの比較的大きな粒子のみならず、PMの微細な粒子も捕捉できる。
【0064】
また、粒体を誘電損失の大きい材料で形成することにより、マイクロ波で粒体を選択的に発熱させることができるので、この発熱により捕捉されたPMを効率よく燃焼除去できる。
【0065】
その上、マイクロ波発生器で発生するマイクロ波により、触媒を担持しPMを捕捉する粒体自体を発熱させ、短時間で触媒活性温度以上に昇温できるので、エネルギーを効率よく使用でき、消費電力を低減できる。
【0066】
特に、排気温度が低く、排気ガス浄化用フィルタ自体が暖められていない低温始動時において、捕集されたPMの燃焼除去及びDPF再生に大きな効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る実施の形態の排気ガス浄化用フィルタの側断面図である。
【図2】図1の排気ガス浄化用フィルタを排気ガスの入口側から見た図である。
【図3】図1の排気ガス浄化用フィルタの入口側と出口側の部分拡大図である。
【図4】本発明に係る排気ガス浄化装置の構成を示す側断面図である。
【図5】実施例と比較例1,2における排気ガス浄化用フィルタの昇温特性を示す図である。
【符号の説明】
1 排気ガス浄化装置
10 排気ガス浄化用フィルタ
11 多孔質壁
12A 流入側セル
12B 流出側セル
13A 入口(流入側セル)
13B 入口(流出側セル)
14A 出口(流入側セル)
14B 出口(流出側セル)
15 触媒
16 粒体
17 触媒
20 金属ケーシング
30 マイクロ波発生器
G 排気ガス
Gc 浄化された排気ガス

Claims (4)

  1. 多孔性セラミックス製ハニカム構造体からなり、フィルタ機能を有する多孔質壁により仕切られ、かつ、該ハニカム構造体の両端に開口を有して連通するセルにおいて、互いに隣接するセルごとに反対側の開口を封止して流入側セルと流出側セルが形成され、排気ガスが流入側セルの入口から流入して前記多孔質壁を通過して隣接する流出側セル内に入り該流出側セルの出口から流出するように形成された排気ガス浄化用フィルタにおいて、前記多孔質壁に酸化触媒を担持すると共に、少なくとも前記流出側セル内に粒体を充填したことを特徴とする排気ガス浄化用フィルタ。
  2. 前記粒体を誘電損失の大きい材料で形成することを特徴とする請求項1記載の排気ガス浄化用フィルタ。
  3. 前記粒体の脱落防止用に前記流出側セルの出口側に耐熱繊維を配設したことを特徴とする請求項1又は2記載の排気ガス浄化用フィルタ。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の排気ガス浄化用フィルタを備えた排気ガス浄化装置であって、前記ハニカム構造体の近傍にマイクロ波発生器を備えたことを特徴とする排気ガス浄化装置。
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