JP2004538659A - 磁気抵抗効果を高めた積層システム及びその使用 - Google Patents

磁気抵抗効果を高めた積層システム及びその使用 Download PDF

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Abstract

磁気抵抗効果を高めた積層システムは、軟磁性材料から成る少なくとも1つの検出層と、検出層に隣接し非磁性材料から成る少なくとも1つの分離層と、分離層により検出層に対して間隔をおかれ人工の反強磁性磁石を形成しかつ検出層から分離された層部分システム(5)とを含んでいる。この層部分システム(5)は、第1の強磁性層と第2の強磁性層(11、12)とを有する。第1の強磁性層は、非磁性の結合層(13)を介して第2の強磁性層(12)と反強磁性的に結合され(K2)、その結合層(13)と反対の側に反強磁性の付加層(14)が設けられ、これと交換結合され(K3)、さらに第2の強磁性層(12)と異なる材料組成を有する。

Description

【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気抵抗効果を高めた積層システムであって、軟磁性材料から成る少なくとも1つの検出層と、検出層に隣接し非磁性材料から成る少なくとも1つの分離層と、分離層により検出層に対して間隔をおかれ人工の反強磁性磁石を形成しかつ検出層から分離された少なくとも1つの層部分システムとを含む積層システムに関するものである。この層部分システムは、分離層に隣接する少なくとも1つの第2の強磁性層と、少なくとも1つの第1の強磁性層とを有し、この第1の強磁性層が非磁性材料から成る結合層を介して反強磁性的に第2の強磁性層と結合され、その結合層と反対の側に反強磁性の付加層が設けられ、かつこの付加層と交換結合されている。さらに本発明はこのような積層システムの使用可能性に関するものである。
【0002】
相応する積層システムの使用は、特に測定変換器、磁気結合器または電流センサ用として提案されている。このような積層システムは重要な構成部分として、いわゆる人工の反強磁性磁石(略称:“AAF”=artificial antiferromagnet)を形成するサブシステムまたは部分システムを有する。このようなAAF部分システムは、比較的高い磁気的剛性及びわずかな結合に基づいて、いわゆるみかん肌(Orange peel effect)及びマクロスコピックな静磁気的な結合領域又はそのいずれか一方による磁気的に比較的軟質の検出層または測定層に関して有利である。
【0003】
相応するAAF部分システムの構成は原理的に知られている(国際特許第94/15223 A 号明細書参照)。このシステムは一般に、非磁性材料から成る結合層を介して反強磁性的に結合されている少なくとも2つの強磁性層から成っている。このシステムはたとえば2つの磁性Co層とCuから成る反強磁性結合層とから形成することができる(例えば“IEEE Trans.Magn”、Vol.34、No.5,Sept.1996、第4624〜46266頁、またはVol.34、No.4、July.1998、第1336〜13386頁、または“Journ.Magn.Magn.Mat.”、Vol.165、1997、第524〜528頁参照)。
【0004】
このようなAAF部分システムの磁気的剛性、すなわちその外部磁界に対するレジスタンスを改善するため、部分システムの検出層と反対側の、以下では第1の強磁性層と呼ばれる層に反強磁性の付加層を配置することは知られている。こうして反強磁性の付加層を介して、直接に隣接する(第1の)強磁性層が存在している交換結合に基づいてその磁化を付加的にピン止めされ、AAF部分システムが全体として磁気的に硬質となる(いわゆる“exchange pinning”または“exchange biasing”)。
【0005】
相応する積層システムおよびそのAAF部分システムの製造の際の処理費を制限する理由から、これまでは常に、AAF部分システムの両強磁性層はたとえばCoまたはCo合金のような同一の強磁性材料から成っているべきであるということから出発してきた。その際、場合によっては磁化の方向付けを可能にするため、または改善するために、これら両強磁性層の厚みを異なるものとすることが計画されてきた。しかしそれによって積層システムのその他の部分へのAAF部分システムの磁気的な観点での適合が制限されることが分った。
【0006】
従って本発明の課題は、冒頭にあげた特徴を有する積層システムを、そのAAF部分システムの適合に関するより大きなフレキシビリティが可能なように構成することである。
【0007】
この課題は、本発明によれば、請求項1にあげられている措置により解決される。本発明においては、このことは、反強磁性の付加層を設けられ、この付加層と交換結合されている第1の強磁性層が第2の強磁性層と異なる材料組成を有することによってのみ達成されるという認識から出発するものである。もちろんその場合両強磁性層間の反強磁性の結合は保たれていなければならない。
【0008】
積層システムの本発明による構成と結び付けられる利点は、AAF部分システムの最適化に関する自由度が高められることにある。すなわち特に下記の点に関して最適化を行なうことができる。
−非磁性の結合層を介しての両強磁性層間の間接的な交換結合(いわゆるRKKY結合)
−反強磁性の付加層と隣の第1の強磁性層との間の直接的な反強磁性的な交換結合
−第1の強磁性層の磁気的な回転特性(または磁化方向の設定可能性)
及び
−第2の強磁性層とそれから分離された軟磁性の検出層との間のいわゆるネール結合
【0009】
本発明による積層システムの有利な構成は従属請求項に明らかにされている。
【0010】
部分システムの磁化挙動の理由から、第1の強磁性層として第2の強磁性層よりも磁気的に硬質の材料を特に有利に選ぶことができる。すなわち本発明による積層システムに対して、分離層に向いている最も上側の強磁性層(ここでは第2の強磁性層)が外部磁界において最初の磁化(いわゆる基本磁化)、いわゆる初期化、の際に反転磁化することが不可欠である。このプロセスは180°スイッチング過程により行われ、この過程にはしばしば磁壁が関与している。これらの磁壁はいまやスイッチングする強磁性層(=第2の強磁性層)において、磁気抵抗効果に望ましくない作用をし得るいわゆる360°磁壁を発生し得る。上側の第2の強磁性層に対して磁気的に軟質の材料を使用する場合には、このような望ましくない360°磁壁の生成は回避されることが認められた。特に360°磁壁(またはそれらのフラット成分)の数がそれにより減少する。
【0011】
それに応じて第2の強磁性層は、第1の強磁性層よりも比較的低いCo成分を有するCoFe合金から形成することができ、それによって第2の強磁性層は磁気的に軟らかくなる。
【0012】
積層システムの第2の強磁性層の前記の反転磁化は、第1の強磁性層が第2の強磁性層よりも大きい厚みを有することによっても支援される。
【0013】
反強磁性の付加層がNiO、FeMn、IrMn、NiMn、TbMn、CrPtMn、RhMn、PtMn、PdMnまたはFePt3 の群から選ばれると有利である。
【0014】
結合層は好ましくは貴金属群、特にCu、Ag、Au、PdおよびRuの群、からの材料から成っている。
【0015】
積層システムを本発明により構成することの利点は、特にそれがXMRシステムとして構成されているときに効果を発揮する。
【0016】
本発明による積層システムは、たとえば電流センサのような磁界センサ又は磁気結合器において特に有利に使用することができる。
【0017】
本発明による積層システムの他の有利な実施形態は上記以外の請求項に明らかにされている。
【0018】
以下に図面を参照して本発明を説明する。
【0019】
図1に断面図で示されている本発明による積層システム2では、高められた磁気抵抗効果ΔR/Rを示す公知の多層システムから出発する。このシステムの磁気抵抗効果はそれに応じて、異方性の磁気抵抗効果(AMR効果)を有する公知の磁気抵抗単層システムにくらべて大きく、特に室温においては2%より上にある。この積層システムは巨大磁気抵抗性(GMR)又はトンネル磁気抵抗性(TMR)もしくはコロッサル磁気抵抗性(CMR)であるか、または巨大磁気インピーダンスまたは巨大交流抵抗(GMI)を示す。相応する積層システムの相違は、たとえば巻「XMR技術」−技術解析:磁気、第2巻−VDI技術センター「物理技術」、(“XMR-Technologien”-Technologieanalyse:Magnetismus,Bd.2-VDI-Technologiezentrum“Physikalische Technologien”)、デュッセルドルフ(ドイツ)1997、第11〜46頁に示されている。その用語「XMR技術」は磁気抵抗効果MR、MR、MR、MRおよびMIに基づく技術的なノウハウの上位概念を示す。好ましくは本発明による積層システムはGMRまたはTMRシステムであり、それはいわゆるスピンバルブ構成を有する。
【0020】
本発明による積層システム2を構成するため、基板3の上にそれ自体公知の方法で先ず、バッファ層またはバッファ積層システム4がその上に析出すべき層部分システム5に対する基台として設けられている。この部分システムには参照層システムとも呼ばれる比較的硬質磁性の部分システムが用いられるべきである。続いてAAF層部分システム(前記の国際特許第94/15223 A号明細書参照)として作用するこの部分システム5は、その基板3と反対側(上側)で軟磁性層7または相応する積層システムに対して、非磁性材料から成る中間層6を介して間隔をおかれている。この中間層はGMR積層システムの場合には金属材料から成っていてよく、それに対してTMR積層システムの場合には絶縁性または半導性の材料から成っていてよい。軟磁性層7は比較的に硬質磁性の層部分システム5にごく弱く結合されるか、またはこの部分システムに対して分離されている。従って中間層6は分離層とみなすことができる。図には可能なみかん肌結合および静磁気的な結合が弧状の矢印K1により示されている。層6は、軟磁性層7がその磁化の方向に関して実際上フリーであることを保証する。従って層7により検出層または測定層の機能を果たすことができる。単一のこのような検出層の代わりに、たとえば2つの強磁性層、または強磁性、非磁性および強磁性の層から成るシステムのような相応に作用する積層システム(いわゆる合成されたフリー積層システム”)を設けることもできる。
【0021】
図に弧状の矢印により示されているように、部分システム5、その上にある少なくとも1つの中間層6およびその上に配置されている少なくとも1つのフリーな軟磁性層7から成るサブシステム8の構成はそれ自体は公知の方法で周期的に繰り返すことができる(前記の国際特許第94/15223 A号明細書参照)。一般に積層システムは、たとえば保護の理由からその下に位置している層を酸化プロセスに対して保護すべき保護層9が設けられている。電流が積層体を通して垂直に流れるTRMおよびGMRに使用するためには、保護層は同時に上部電極を形成するので、電気的に伝導性で、たとえばAuまたはCrから成っていなければならない。TRMに使用するためには、たとえば下部の電極はたとえば30nm厚みのCu層の形態でバッファ層4に集積される。基板3についてはSiウェーハまたはそれ自体任意の他の構成、たとえば半導体技術構造、の他の表面を用いることができる。もちろん基板3およびそのバッファ層4に対するサブシステム8の層の順序は逆であってもよい。
【0022】
図1による本発明による積層システム2に使用すべき参照層またはAAF部分システム5は図2に詳細に示されている。この積層部分システム5の基本モジュールは、飽和磁化MFMの強磁性材料から成る厚みtFMの、分離層6の側の少なくとも1つの第2の層12と、飽和磁化MFM´の強磁性材料から成る厚みtFM´の少なくとも1つの第1の層11とである。これらの両強磁性層11および12は、非磁性材料、一般に例えばCuのような貴金属から成る厚みtK の結合層13を介して反強磁性的に結合されていなければならない。この結合は図では弧状の矢印K2により示されている。さらに第1の強磁性層11にはその結合層13と反対の側に厚みtAFMの反強磁性の付加層14が設けられており、この付加層はそれ自体公知の方法で隣の層11と交換結合されている。この結合は図では弧状の矢印K3により示されている。一般に付加的な反強磁性層14の厚みtAFMはそれに隣接する第1の強磁性層11の厚みよりも明らかに大きく、模範的な値としては30nmよりも小さく、好ましくは10nmよりも小さい。
【0023】
ところで本発明によれば、第1の強磁性層11は第2の強磁性層12と異なる材料組成を有する。ここで材料組成とは、他の元素金属、または合金を意味し、その合金は合金パートナーおよび合金パートナーの成分又はそのいずれか一方が異なるものとして理解される。さらに両強磁性層11および12は、その厚みtFM、tFM´も異なっているのが有利であり、その場合好ましくは第2の強磁性層12は、厚みtFMを有する第1の強磁性層11よりも小さい厚みtFM´を有する。一般に第1の強磁性層11の厚みtFMおよび第2の強磁性層12の厚みtFM´又はそのいずれか一方の厚みはそれぞれ5nmよりも小さく、また結合層13の厚みtKは好ましくは3nmよりも小さい。
【0024】
強磁性層11および12の材料としては公知の方法で3つの強磁性元素Fe、CoまたはNiまたはこれら3つの元素の少なくとも1つを含む合金が考慮の対象となる。場合によっては、たとえば希土類のような他の元素も付加して合金されていてよい。こうして合金構成成分の適切な選択により両強磁性層11および12の磁気特性が目的に適するように設定され得る。こうしてたとえば(第2の)層12に対しては、小さい磁気ひずみを有する公知のように比較的軟質磁性の合金を得るため、60原子%を超える、好ましくは90原子%の、Co成分を有するCoFe合金を使用することができる。それに対して(第1の)強磁性層11については、好ましくは第2の強磁性層12におけるよりも比較的低いCo成分を有するCoFe合金を選び、その際第1の強磁性層11のCo成分は60原子%以下、たとえば約50原子%とするのが好ましい。このような合金は公知のように磁気的に比較的硬質とみなされる。
【0025】
非磁性の結合層13は一般に、そのために知られている非磁性の金属、特にCu、Ag、Au、PdまたはRuのような貴金属から成っており、一方反強磁性の付加層14に対しては好ましくはNiO、FeMn、IrMn、NiMn、TbMn、CrPtMn、RhMn、PtMn、PdMnまたはFePt3 の群からの材料が選ばれる。
【0026】
強磁性の物質系Ni-Fe-Co内の異なる合金間のRKKY結合が実験的に研究された。これらの研究から、Coに富む合金は、結合層13の材料としてCuまたはRuが選ばれるときに、結合強度の最高の値に通ずることが知られている。その際、たとえば合金Co90Fe10およびCo50Fe50に対しては結合強度のほぼ等しい値が生じ、一方Ni80Fe20に対しては明らかに小さい値が観察されることも確認された。
【0027】
結合強度を推定するため、先ず、交換結合された付加層14なしの簡単なAAF部分システムを考察する。その際RKKY結合強度JRKKYは各強磁性層の飽和磁化MXおよび層厚みtx(ここでx=それぞれFM又はFM´)に基づいて、飽和磁界の強さHSから下記の関係式により導き出される。
RKKY=HS・(tFM・MFM・tFM´・MFM´)/(tFM・MFM+tFM´・MFM´)
この結合は、層11ないし13に対して最良の材料組み合わせを選ぶことによって、簡単に最適化され得る。
【0028】
他方本発明による積層システムに対しては交換結合された付加層を考慮に入れなければならない。ここでは、隣接する反強磁性の付加層14に関する強磁性層12の結合フィールドHExchは一般に強磁性層11の厚みtFMおよび飽和磁化MFMの積に逆比例しているので、
Exch=JExch/(tFM・MFM
(ここでJExchは結合エネルギーを意味する)
が成り立つ。
【0029】
この理由から、より小さい厚みまたはより小さい磁気モーメントを有する強磁性層に移行されるときに、結合フィールドの増大が観察される。さらに、合金Co50Fe50に対して比較的磁気的に軟質の合金Co90Fe10に対してより大きい結合フィールドが生ずることが観察される。さらに、二重層14〜11(ここではCo50Fe50から成る強磁性層11を有する)に対する磁化曲線はスピン止めされた付加層14の脈絡のないスイッチングまたは方向転換を示す。このことはヒステリシスループの長方形状から認められ、また、角度センサへの応用(=外部の磁界中におけるセンサの応用範囲)の際のいわゆる磁気的な窓を大きくするために特に好ましい。この際磁気的な窓は、参照層(ここでは上側の強磁性層12)がフィールド方向に回転し始める角度測定から決定され、その際センサ信号は5%だけ減ぜられる。結果としてヒステリシスループの長方形状の改善は相応により高い磁界窓に通ずる。こうしてたとえばIrMn-Co90Fe10を有する二重層システム14-11に対する実験は拡げられたS字状のヒステリシス曲線を示し、それにより制限された窓範囲内の応用のみを可能にする。
【0030】
図2に上側の第2の強磁性層12において双方向矢印Mにより示されている磁化の折り返しまたは相応する回転は、正味モーメントの方向が厚い下側の(第1の)強磁性層11により決定されるいわゆる逆AAFシステムの場合には臨界的である。本発明による積層システムに対して仮定されるように、交換結合されたAAFシステムに対しては、このコンセプトは重要である。なぜならば、この場合にはAAFシステムの交換結合および初期の飽和は同時に、それも高い温度の際及び強い磁界において、誘導され得るからである。その際温度は反強磁性材料のいわゆるブロッキング温度の上側かつAAFシステムの飽和磁界HSの上側に位置している。さらに、相応する逆層順が、縁における静磁気的な結合が無視可能である比較的大きいTMRセンサの場合には、ニール結合の減少および場合によっては阻止に通じ、その結果理想的なシノイダルなセンサ特性における第2次効果が相応して減ぜられる。
【0031】
逆の層順を有する積層システムでは、AAF部分システムの最初の磁化の後に上側の強磁性層はその磁化に関して180°だけ回転しなければならない。このような回転プロセスの結果はこの層の磁気的な特性により決定的に影響される。それは、比較的磁気的に軟質の材料を有する層と予め定められた単軸の異方性を有する層又はそのいずれか一方の層が設けられることによって改善され得る。回転プロセスの間に非常に安定な360°磁壁がこのような薄い層のなかに生ずる。これらの磁壁は粒子間の結晶磁気異方性の方向の局所的な変化の際に生じ、また除去するのがかなり困難である。それらは積層システムの特性を悪化させ、このことは特に磁気抵抗効果の減少で認められる。さらに、フリーの軟磁性の検出層の非理想的なスイッチング特性は、このようなAAFシステムの磁壁構造に由来する強い漏洩磁界により惹起される結果である。この理由からCo90Fe10のような磁気的に軟質の合金は好ましい選択であり、一方Co50Fe50合金はそれにくらべて適し方が小さい。もちろん、この観点のもとでNi-Fe-Co物質系から成る他の合金を選ぶこともできる。同じく、より小さい飽和磁化を有し、また比較的容易に単軸の異方性が特により長い熱処理工程を使用して設定されるアモルファスのNiFeCo合金も特に適している。
【0032】
前記の考察から、第2の強磁性層12に対して、第1の強磁性層11の磁気的硬さより比較的軟質の磁性材料を選ぶことが特に有利であることが証明される。
【0033】
従って、図1および2による構成または層順を有する本発明による相応する具体的な積層システム2は、たとえばSiウェーハから成る基板3上に順次に下記の層を有する。
a)バッファ層4として5nm厚みのTa、30nm厚みのCuおよび5nm厚みのRuから成る3層システム
b)反強磁性の付加層14として8nm厚みのIrMn層
c)第1の強磁性層11として2.5nmの厚みtFMを有するCo50Fe50
d)非磁性の結合層13として0.8nmの厚みtKを有するRu層
e)第2の強磁性層12として1.5nmの厚みtFM´を有するCo90Fe10
f)非磁性の分離層6としてGMR積層システムの場合には2.5nmの厚みを有するCu層、またTMR積層システムの場合には1.5nmの厚みを有するAlOx
g)フリーの軟磁性の検出層7として6nmの厚みのNi80Fe20層または1nmまたは4nmの相応する材料の厚みを有するCo90Fe10/Ni80Fe20二重層
および
h)5nmの厚みを有するTaから成る保護層9
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明による積層システムの概要図。
【図2】図1による積層システムのAAF部分システムの詳細図。
【符号の説明】
【0035】
2 積層システム
3 基板
4 バッファ層
5 層部分システム
6 分離層(中間層)
7 軟磁性層
8 サブシステム
9 保護層
11 第1の強磁性層
12 第2の強磁性層
13 結合層
14 付加層(反強磁性層)

Claims (12)

  1. 磁気抵抗効果を高めた積層システム(2)において、
    −軟磁性材料から成る少なくとも1つの検出層(7)と、
    −検出層(7)に隣接し非磁性材料から成る少なくとも1つの分離層(6)と、
    −分離層(6)により検出層(7)に対して間隔をおかれ、人工の反強磁性磁石を形成し、かつ検出層(7)から分離された少なくとも1つの層部分システム(5)と
    を含み、この層部分システム(5)が、
    a)分離層(6)に隣接する少なくとも1つの第2の強磁性層(12)と、
    b)少なくとも1つの第1の強磁性層(11)と
    を有し、この第1の強磁性層が、
    b1)非磁性材料から成る結合層(13)を介して反強磁性的に第2の強磁性層(12)と結合され、
    b2)結合層(13)と反対の側に反強磁性の付加層(14)が設けられ、かつこの付加層と交換結合され、
    b3)第2の強磁性層(12)と異なる材料組成を有する
    ことを特徴とする積層システム。
  2. 第1の強磁性層(11)が第2の強磁性層(12)よりも磁気的に硬質であることを特徴とする請求項1記載の積層システム。
  3. 第1の強磁性層(11)が第2の強磁性層(12)のCoFe合金よりも比較的少ないCo成分を有するCoFe合金から成っていることを特徴とする請求項2記載の積層システム。
  4. 第1の強磁性層(11)のCo成分が60原子%より低いことを特徴とする請求項3記載の積層システム。
  5. 第1の強磁性層(11)が第2の強磁性層(12)よりも大きい厚み(tFM)であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の積層システム。
  6. 第1の強磁性層(11)の厚み(tFM)および第2の強磁性層(12)の厚み(tFM´)又はそのいずれか一方が5nmよりも小さいことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載の積層システム。
  7. 反強磁性の付加層(14)がNiO、FeMn、IrMn、NiMn、TbMn、CrPtMn、RhMn、PtMn、PdMnまたはFePt3 の群からの材料が選ばれることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1つに記載の積層システム。
  8. 反強磁性の付加層(14)の厚み(tAFM)が30nmよりも、好ましくは10nmよりも、小さいことを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1つに記載の積層システム。
  9. 結合層(13)が貴金属の群、特にCu、Ag、Au、PdおよびRuの群、からの材料が選ばれることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1つに記載の積層システム。
  10. 結合層(13)の厚み(tK)が3nmより小さいことを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1つに記載の積層システム。
  11. XMRシステムとしての構成を有することを特徴とする請求項1ないし10のいずれか1つに記載の積層システム。
  12. 磁界センサまたは磁気結合器に使用される請求項1ないし10のいずれか1つによる積層システムの使用方法。
JP2003522112A 2001-08-16 2002-08-07 磁気抵抗効果を高めた積層システム及びその使用 Pending JP2004538659A (ja)

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