JP2004537594A - ジスルフィドリガンドおよびチオスルホネートリガンド、ならびにこれらのリガンドを含むライブラリー - Google Patents

ジスルフィドリガンドおよびチオスルホネートリガンド、ならびにこれらのリガンドを含むライブラリー Download PDF

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Abstract

本発明は、式(I)を有する化合物および化合物ライブラリーを提供し、ここで、Lおよびnは、特許請求の範囲において規定されたとおりであり、そしてAは、−S(CHA1または−S(O)A2であり、p、RA1およびRA2は、特許請求の範囲に記載されたとおりである。式(I)の化合物を含むこのライブラリーは、薬物発見プロセスにおいて有用であり、そして目的の生物学的標的部位に弱く結合するかまたは目的の生物学的標的部位に対して中程度の結合親和性を有するフラグメントの同定のために有用である。

Description

【技術分野】
【0001】
(優先権情報)
本願は、米国出願番号10/121,216(2002年4月10日出願);米国出願番号09/990,421(2001年11月21日出願);および米国出願番号60/310,725(2001年8月7日)に対して優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
一般に、薬物発見プロセスは、多数の化合物のスクリーニングから開始して、適度の親和性(Kが約1〜10μM)のリードを同定する。このプロセスにおける重要なツールは、コンビナトリアルライブラリーの使用である。具体的には、低分子ライブラリーの作製および引き続くスクリーニングのためのコンビナトリアル方法は、全体として、生物学的高分子に対する低分子リガンドの同定のための重要な技術となっている(例えば、Thompsonら、Chem.Rev.1996、96、555−600;Balkenhohelら、Angew.Chem.Int.Ed.Engl.1996、35、2288−2337;Dolleら、R.E.Mol.Diversity 1998、3、199−233;およびDolleらJ.Comb.Chem.1999、1、235−282を参照のこと)。
【0003】
明らかに、このプロセスを使用して同定されるリガンドは、薬学的研究および薬物開発のための強力なツールとして働く。今日まで最も首尾よいライブラリーは、生物学的標的の機構もしくは構造の知識のような特定の情報に基づくか、または標的に結合することが以前に同定されたリード化合物に基づくライブラリーによる、ライブラリーである(例えば、Kickら、Chem.Biol.1997、4、297−307;Rockwellら、J.Am.Chem.Soc.1996、118、10337−10338;Grayら、Science 1998、281、533−538;Yangら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 1998、95、10836−10841;Rohrerら、Science 1998、282、737−740を参照のこと)。
【0004】
不運にも、いくつかの標的は、このスクリーニングプロセスに十分適切であるが、適度の親和性のリードを得ることが困難であるので、ほとんどのものは問題がある。より弱い結合化合物を同定し、引き続いて最適化することは、成功率を改善するが、これはより高濃度でのスクリーニングを必要とし、そしてこの高濃度のスクリーニングは、化合物の不溶性およびアッセイアーチファクトに起因して、一般には実用的でない。さらに、代表的なスクリーニングプロセスは、薬物設計のための特異的部位を標的化せず、高スループットアッセイが利用可能である部位のみを標的化する。最後に、多くの伝統的なスクリーニング方法は、反応性化学種または変性物によって引き起こされるアーチファクトにしばしば供される、阻害アッセイに依存する。
【0005】
Erlansonら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 2000、97、9367−9372は、最近、タンパク質または他の高分子上の特異的に標的化された部位に対して低い親和性で結合する小さい(約250Da)可溶性薬物フラグメントを迅速かつ容易に同定するための、中間体ジスルフィド「テザー(tether)」を使用する新たなストラテジー(「テザー化(tethering)」と称される)を報告している。このアプローチによれば、ジスルフィド含有分子のライブラリーを、迅速なチオール交換を促進する部分的還元条件下で、システイン含有タンパク質と反応させる。分子が標的タンパク質に対して弱い親和性を有する場合にさえ、分子を標的タンパク質に連結するジスルフィド結合(「テザー」)は、エントロピー的に安定化される。次いで、このジスルフィドテザー化フラグメントは、種々の方法(質量分析(MS)を含む)によって同定され得、そしてそれらの親和性は、ジスルフィドテザーの除去の際に従来のアプローチによって改善される。PCT公開番号WO 00/00823(2000年1月6日公開)および米国特許第6,335,155号もまた参照のこと。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
テザー化方法の可能性がより完全に認識され得るので、このアプローチとの使用になじみやすい化合物のライブラリーについて詳述する必要性がなお存在する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記のように、薬物発見プロセスを加速する必要性が残っている。一般に、本発明は、上記の一般的テザー化アプローチを拡張し、そしてこのアプローチにおいて使用するための、新規な化合物および化合物ライブラリーを提供する。特に、本明細書中に記載される新規な化合物およびライブラリーは、薬物リードの開発のための強力なツールを提供し、そして目的の生物学的標的部位に弱く結合するかまたは目的の生物学的標的部位に対して中程度の結合親和性を有するフラグメントの同定のために有用である。
【0008】
(1)本発明の化合物およびライブラリーの一般的説明)
本発明の化合物としては、以下にさらに定義されるとおりの一般式(I)の化合物およびライブラリーが挙げられる:
【0009】
【化75】
Figure 2004537594
【0010】
ここで、Aは、−S(CHA1または−S(O)A2であり、ここで、pは1〜5であり、RA1は、−NRA3A4;ORA3;SRA3;−NHCORA3;−NHCONRA3A4;−NRA3A4A5+であり、ここで、Xはハロゲン;−COORA3;CONRA3A4;−SOA3;−OPOA3;−SOA3であり;そしてここで、RA2は脂肪族部分、ヘテロ脂肪族部分、アリール部分、またはヘテロアリール部分であり、そしてRA3、RA4、およびRA5の各出現箇所は独立して水素、保護基、または脂肪族部分、ヘテロ脂肪族部分、アリール部分もしくはヘテロアリール部分であり;
nは0〜5であり;
Lは、以下の構造:
【0011】
【化76】
Figure 2004537594
【0012】
のうちの1つを有する部分であり、
およびRの各出現箇所は、独立して、水素、脂肪族部分、ヘテロ脂肪族部分、アリール部分、ヘテロアリール部分、−(脂肪族)アリール部分、−(脂肪族)ヘテロアリール部分、−(ヘテロ脂肪族)アリール部分、または−(ヘテロ脂肪族)ヘテロアリール部分であるか、またはここで、RおよびRは、一緒になって脂環式部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分またはヘテロアリール部分であり;
それによって、上記の脂肪族部分およびヘテロ脂肪族部分の各々が、置換または非置換の、環式または非環式の、直鎖状または分枝状のものであり、そして上記の脂環式部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分またはヘテロアリール部分の各々が、独立して、置換または非置換のものである。
【0013】
一般的に上に記載されるとおりの化合物およびライブラリーについて、特に目的の特定のクラスの化合物およびライブラリーとしては、Lが、以下の構造:
【0014】
【化77】
Figure 2004537594
【0015】
のうちの1つであり、
ここで、RおよびRが、各々、上記に一般的に記載され、そして本明細書中の例示的実施形態に記載されるものが挙げられることが理解される。
【0016】
特定の他の実施形態では、特に目的の化合物およびライブラリーとしては、
【0017】
【化78】
Figure 2004537594
【0018】
が、以下の構造:
【0019】
【化79】
Figure 2004537594
【0020】
のうちの1つを表し、ここで、rが1または2であり;そしてtが0、1または2である、化合物およびライブラリーが挙げられる。
【0021】
特定の他の実施形態では、特に目的の化合物およびライブラリーとしては、
【0022】
【化80】
Figure 2004537594
【0023】
が、以下の構造:
【0024】
【化81】
Figure 2004537594
【0025】
のうちの1つを表し、ここで、rが1または2であり;そしてRA2が、アルキル部分、ヘテロアルキル部分、アリール部分、ヘテロアリール部分、−(アルキル)アリール部分、−(アルキル)ヘテロアリール部分、−(ヘテロアルキル)アリール部分、または−(ヘテロアルキル)ヘテロアリール部分である、化合物およびライブラリーが挙げられる。
【0026】
上記に直接記載される化合物についての特に目的の特定の実施形態では、RA2が、メチルまたはフェニルである。
【0027】
なお他の実施形態では、特に目的の特定のクラスの化合物およびライブラリーとしては、RもしくはRの一方もしくは両方が、
【0028】
【化82】
Figure 2004537594
【0029】
であるか、またはここで、RおよびRが、一緒になって、以下の構造:
【0030】
【化83】
Figure 2004537594
【0031】
を有する環状部分を形成し、
ここで、B−D、D−E、E−G、G−J、Jの2箇所以上の出現箇所、およびJ−Bは、各々独立して、原子価および安定性が許容する場合、単結合または二重結合によって連結されており、ここで、Bが、N、CHまたはCであり、Dが、−NR−、=N−、−O−、−CHR−、または=CR−であり、Eが、−NR−、=N−、−O−、−CHR−、または=CR−であり、Gが、−NR−、=N−、−O−、−CHR−、または=CR−であり、Jの各出現箇所が、独立して、−NR−、=N−、−O−、−CHR−、または=CR−であり、
mが0〜4であり、そしてpが0〜4であり、
、R、R、R、RおよびRの各出現箇所が、独立して、水素、保護基、−(CRNR、−(CROR、−(CRSR、−(CR(C=O)R、−(CR(C=O)OR;−(CR(C=O)NR、−(CRS(O)、−(CRNR(C=O)R、−(CRNR(C=O)OR、−(CRS(O)NR、−(CRNRS(O)、または脂肪族部分、ヘテロ脂肪族部分、アリール部分、ヘテロアリール部分、−(脂肪族)アリール部分、−(脂肪族)ヘテロアリール部分、−(ヘテロ脂肪族)アリール部分、もしくは−(ヘテロ脂肪族)ヘテロアリール部分であり、
qが0〜4であり;そして
、R、RおよびRの各出現箇所が、独立して、水素、保護基、または脂肪族部分、ヘテロ脂肪族部分、アリール部分、ヘテロアリール部分、−(脂肪族)アリール部分、−(脂肪族)ヘテロアリール部分、−(ヘテロ脂肪族)アリール部分、もしくは−(ヘテロ脂肪族)ヘテロアリール部分であり;
それによって、上記の脂肪族部分およびヘテロ脂肪族部分の各々が、置換または非置換の、環式または非環式の、直鎖状または分枝状のものであり、そして上記の脂環式部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分またはヘテロアリール部分の各々が、独立して、置換または非置換のものである、化合物およびライブラリーが挙げられる。
【0032】
なお他の実施形態では、特に目的の特定のクラスの化合物およびライブラリーとしては、Lが、
【0033】
【化84】
Figure 2004537594
【0034】
であり、そしてRが、
【0035】
【化85】
Figure 2004537594
【0036】
であり、
ここで、mが0〜4であり、pが0〜4であり、DがCHRまたはNRであり、GがCHRまたはNRであり、そしてJの各出現箇所が、独立して、CHRまたはNRであり、ここで、R、R、R、R、R、およびRの各出現箇所が、独立して、水素、保護基、−(CRNR、−(CROR、−(CRSR、−(CR(C=O)R、−(CR(C=O)NR、−(CRS(O)、−(CRNR(C=O)R、−(CRS(O)NR、−(CRNRS(O)、または脂肪族部分、ヘテロ脂肪族部分、アリール部分、ヘテロアリール部分、−(脂肪族)アリール部分、−(脂肪族)ヘテロアリール部分、−(ヘテロ脂肪族)アリール部分、もしくは−(ヘテロ脂肪族)ヘテロアリール部分であり、ここで、qが0〜4であり;そしてここで、R、R、RおよびRの各出現箇所が、独立して、水素、保護基、または脂肪族部分、ヘテロ脂肪族部分、アリール部分、ヘテロアリール部分、−(脂肪族)アリール部分、−(脂肪族)ヘテロアリール部分、−(ヘテロ脂肪族)アリール部分、もしくは−(ヘテロ脂肪族)ヘテロアリール部分であり;
それによって、上記の脂肪族部分およびヘテロ脂肪族部分の各々が、置換または非置換の、環式または非環式の、直鎖状または分枝状のものであり、そして上記の脂環式部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分またはヘテロアリール部分の各々が、独立して、置換または非置換のものである、化合物およびライブラリーが挙げられる。
【0037】
なお他の実施形態では、特に目的の特定のクラスの化合物およびライブラリーとしては、Lが、
【0038】
【化86】
Figure 2004537594
【0039】
であり、そしてRが、以下の構造:
【0040】
【化87】
Figure 2004537594
【0041】
のうちの1つである、化合物およびライブラリーが挙げられる。
【0042】
なお他の実施形態では、特に目的の化合物およびライブラリーとしては、Lが、
【0043】
【化88】
Figure 2004537594
【0044】
であり、そしてRおよびRの一方もしくは両方が、
【0045】
【化89】
Figure 2004537594
【0046】
であるか、またはここで、RおよびRが、Nと一緒になって、以下の環状構造
【0047】
【化90】
Figure 2004537594
【0048】
を形成し;
ここで、N−D、D−E、E−G、G−J、Jの2箇所以上の出現箇所、およびJ−Nが、各々独立して、原子価および安定性が許容する場合、単結合または二重結合によって連結されており、ここで、Dが−NR−、=N−、−O−、−CHR−、または=CR−であり、Eが−NR−、=N−、−O−、−CHR−、または=CR−であり、Gが−NR−、=N−、−O−、−CHR−、または=CR−であり、Jの各出現箇所が、独立して、−NR−、=N−、−O−、−CHR−、または=CR−であり、
mは0〜4であり、そしてpは0〜4であり、
、R、R、R、RおよびRの各出現箇所が、独立して、水素、保護基、−(CRNR、−(CROR、−(CRSR、−(CR(C=O)R、−(CR(C=O)OR、−(CR(C=O)NR、−(CR、−S(O)(CRNR(C=O)R、−(CRNR(C=O)OR、−(CRS(O)NR、−(CRNRS(O)、または脂肪族部分、ヘテロ脂肪族部分、アリール部分、ヘテロアリール部分、−(脂肪族)アリール部分、−(脂肪族)ヘテロアリール部分、−(ヘテロ脂肪族)アリール部分、もしくは−(ヘテロ脂肪族)ヘテロアリール部分であり、
qは0〜4であり;そして
、R、RおよびRの各出現箇所が、独立して、水素、保護基、または脂肪族部分、ヘテロ脂肪族部分、アリール部分、ヘテロアリール部分、−(脂肪族)アリール部分、−(脂肪族)ヘテロアリール部分、−(ヘテロ脂肪族)アリール部分、もしくは−(ヘテロ脂肪族)ヘテロアリール部分であり;
それによって、上記の脂肪族部分およびヘテロ脂肪族部分の各々が、置換または非置換の、環式または非環式の、直鎖状または分枝状のものであり、そして上記の脂環式部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分またはヘテロアリール部分が、独立して、置換または非置換のものである、上記に一般的に記載したような、化合物およびライブラリーが挙げられる。
【0049】
なお他の実施形態では、特に目的の化合物およびライブラリーとしては、
Lが、
【0050】
【化91】
Figure 2004537594
【0051】
であり、そしてRおよびRの一方もしくは両方が、以下の構造のうちの1つを有する部分であるか、またはここで、RおよびRが、Nと一緒になって、以下の構造:
【0052】
【化92】
Figure 2004537594
【0053】
のうちの1つを有する環状部分を形成する、上記に一般的に記載したような、化合物およびライブラリーが挙げられる。
【0054】
なお他の実施形態では、特に目的の化合物およびライブラリーとしては、Lが、
【0055】
【化93】
Figure 2004537594
【0056】
であり、そしてRおよびRが、各々独立して、水素または、置換ヘテロアリール部分で必要に応じて置換された、脂環式部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分もしくはヘテロアリール部分である、上記に一般的に記載したような、化合物およびライブラリーが挙げられる。
【0057】
なお他の実施形態では、特に目的の化合物およびライブラリーとしては、この置換されたヘテロアリール部分が、以下の構造:
【0058】
【化94】
Figure 2004537594
【0059】
のうちの1つを有し、ここで、Rが、−COO(R10)、−CO(R10)、−CO(NR1011)、−NR1011、−NR10COR11、−OR10、または−SR10であり、ここで、R10の各出現箇所が、独立して、水素、保護基、または脂肪族部分、ヘテロ脂肪族部分、アリール部分、ヘテロアリール部分、−(脂肪族)アリール部分、−(脂肪族)ヘテロアリール部分、−(ヘテロ脂肪族)アリール部分、もしくは−(ヘテロ脂肪族)ヘテロアリール部分であり、
それによって、上記の脂肪族部分およびヘテロ脂肪族部分の各々が、置換または非置換の、環式または非環式の、直鎖状または分枝状のものであり、上記の脂環式部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分またはヘテロアリール部分の各々が、独立して、置換または非置換のものである、上記に一般的に記載したような、化合物およびライブラリーが挙げられる。
【0060】
上記のクラスの各々のうちの多数の重要なサブクラスは、それぞれ注目されるに値する;これらのサブクラスとしては、以下である、上記のクラスのサブクラスが挙げられる:
i)ライブラリーが、少なくとも5つのメンバーを含む、上記に直接的に記載されるとおりの化合物ライブラリー;
ii)ライブラリーが、少なくとも20のメンバーを含む、上記に一般的に記載されるとおりの化合物ライブラリー;
iii)ライブラリーが、少なくとも100のメンバーを含む、上記に一般的に記載されるとおりの化合物ライブラリー;
iv)ライブラリーが、少なくとも500のメンバーを含む、上記に一般的に記載されるとおりの化合物ライブラリー;
v)ライブラリーが、少なくとも1000のメンバーを含む、上記に一般的に記載されるとおりの化合物ライブラリー;
vi)各々のライブラリーメンバーが、異なる分子量を有する、上記に一般的に記載されるとおりの化合物ライブラリー;
vii)各々のライブラリーメンバーが、別のライブラリーメンバーと少なくとも5原子質量単位異なる質量を有する、上記に一般的に記載されるとおりの化合物ライブラリー;ならびに
viii)各々のライブラリーメンバーが、別のライブラリーメンバーと少なくとも10原子質量単位異なる質量を有する、上記に一般的に記載されるとおりの化合物ライブラリー;
ix)本明細書中に記載されるとおりの化合物および化合物ライブラリーであって、特定の実施形態では、Lが、
【0061】
【化95】
Figure 2004537594
【0062】
であり、そしてRが、以下の構造:
【0063】
【化96】
Figure 2004537594
【0064】
のいずれか1つであり;ここで、ARが、置換または非置換のアリールまたはヘテロアリールである化合物は除外される、化合物および化合物ライブラリー;
x)本明細書中に記載されるとおりの化合物および化合物ライブラリーであって、特定の実施形態では、Lが、
【0065】
【化97】
Figure 2004537594
【0066】
であり、そしてRが、以下の構造:
【0067】
【化98】
Figure 2004537594
【0068】
のいずれか1つであり;ここで、ARが、置換または非置換のアリールまたはヘテロアリールであり、そしてR、R、RまたはRの少なくとも1つが、−SO−(アルキル)または−SO−(アリール)である化合物は除外される、化合物および化合物ライブラリー;
本明細書中に記載されるとおりの化合物および化合物ライブラリーであって、特定の実施形態では、以下の構造:
【0069】
【化99】
Figure 2004537594
【0070】
であって、ここで、RA1が、NRA3A4またはNRA3A4A5であり、ここで、RA3、RA4およびRA5の各出現箇所は、水素または保護基であり、そしてXはハロゲンであり;そしてRが、以下:
【0071】
【化100】
Figure 2004537594
【0072】
のうちの1つである化合物は除外される、化合物および化合物ライブラリー。
【0073】
読者が理解するように、特定の目的の化合物としては、とりわけ、前述のサブクラスの1つ以上の特性を共有する化合物が挙げられる。これらのサブクラスのいくつかを、以下の化合物分類によって例示する:
I)上記式(I)の化合物およびこの化合物のライブラリーであって、
ここで、Lは、
【0074】
【化101】
Figure 2004537594
【0075】
であり、そしてRは、以下の構造:
【0076】
【化102】
Figure 2004537594
【0077】
のうちの1つを有する。
【0078】
特別な目的の特定の実施形態において、RおよびRは、各々独立して、水素、保護基,−(CRS(O)であるか;または脂肪族部分、ヘテロ脂肪族部分、アリール部分、ヘテロアリール部分、−(脂肪族)アリール部分、−(脂肪族)ヘテロアリール部分、−(ヘテロ脂肪族)アリール部分もしくは−(ヘテロ脂肪族)ヘテロアリール部分であり、そしてここでRおよびRの各存在は、独立して、水素、保護基または脂肪族部分、ヘテロ脂肪族部分、アリール部分、ヘテロアリール部分、(脂肪族)アリール部分、−(脂肪族)ヘテロアリール部分、−(ヘテロ脂肪族)アリール部分もしくは−(ヘテロ脂肪族)ヘテロアリール部分であり、
それにより、上記脂肪族部分およびヘテロ脂肪族部分の各々は、置換もしくは非置換、環式もしくは非環式、直鎖状もしくは分枝状であり、そして上記シクロ脂肪族部分、ヘテロシクロ脂肪族部分、アリール部分もしくはヘテロアリール部分の各々は、独立して、置換もしくは非置換である。
【0079】
II)上記式(I)の化合物およびこの化合物のライブラリーであって、
ここで、Lは、
【0080】
【化103】
Figure 2004537594
【0081】
であり、そしてそしてRは、以下の構造:
【0082】
【化104】
Figure 2004537594
【0083】
のうちの1つを有する。
【0084】
特別な目的の特定の実施形態において、Rは、水素、保護基、−(CRS(O)または脂肪族部分、ヘテロ脂肪族部分、アリール部分、ヘテロアリール部分、−(脂肪族)アリール部分、−(脂肪族)ヘテロアリール部分、−(ヘテロ脂肪族)アリール部分もしくは−(ヘテロ脂肪族)ヘテロアリール部分であり、そしてここで、RおよびRの各存在は、独立して、水素、保護基または脂肪族部分、ヘテロ脂肪族部分、アリール部分、ヘテロアリール部分、−(脂肪族)アリール部分、−(脂肪族)ヘテロアリール部分、−(ヘテロ脂肪族)アリール部分もしくは−(ヘテロ脂肪族)ヘテロアリール部分であり、
それにより、上記脂肪族部分およびヘテロ脂肪族部分の各々は、置換もしくは非置換、環式もしくは非環式、直鎖状もしくは分枝状であり、そして上記シクロ脂肪族部分、ヘテロシクロ脂肪族部分、アリール部分もしくはヘテロアリール部分の各々は、独立して、置換もしくは非置換である。
【0085】
III)上記式(I)の化合物およびこの化合物のライブラリーであって、
ここで、Lは、
【0086】
【化105】
Figure 2004537594
【0087】
であり、そしてRは、以下の構造:
【0088】
【化106】
Figure 2004537594
【0089】
の1つを有する。
【0090】
特別な目的の特定の実施形態において、Rは、保護基、−(CRS(O);または脂肪族部分、ヘテロ脂肪族部分、アリール部分、ヘテロアリール部分、−(脂肪族)アリール部分、−(脂肪族)ヘテロアリール部分、−(ヘテロ脂肪族)アリール部分もしくは−(ヘテロ脂肪族)ヘテロアリール部分であり、そしてここで、RおよびRの各存在は、独立して、水素、保護基または脂肪族部分、ヘテロ脂肪族部分、アリール部分、ヘテロアリール部分、−(脂肪族)アリール部分、−(脂肪族)ヘテロアリール部分、−(ヘテロ脂肪族)アリール部分もしくは−(ヘテロ脂肪族)ヘテロアリール部分であり、
それにより、上記脂肪族部分およびヘテロ脂肪族部分の各々は、置換もしくは非置換、環式もしくは非環式、直鎖状もしくは分枝状であり、そして上記シクロ脂肪族部分、ヘテロシクロ脂肪族部分、アリール部分もしくはヘテロアリール部分の各々は、独立して、置換もしくは非置換である。
【0091】
IV)上記式(I)の化合物およびこの化合物のライブラリーであって、
ここで、Lは、
【0092】
【化107】
Figure 2004537594
【0093】
であり、そしてRは、以下の構造:
【0094】
【化108】
Figure 2004537594
【0095】
の1つを有する。
【0096】
特別な目的の特定の実施形態において、Rは、水素、保護基、−(CRS(O);または脂肪族部分、ヘテロ脂肪族部分、アリール部分、ヘテロアリール部分、−(脂肪族)アリール部分、−(脂肪族)ヘテロアリール部分、−(ヘテロ脂肪族)アリール部分もしくは−(ヘテロ脂肪族)ヘテロアリール部分であり、そしてここで、RおよびRの各存在は、独立して、水素、保護基または脂肪族部分、ヘテロ脂肪族部分、アリール部分、ヘテロアリール部分、−(脂肪族)アリール部分、−(脂肪族)ヘテロアリール部分、−(ヘテロ脂肪族)アリール部分もしくは−(ヘテロ脂肪族)ヘテロアリール部分であり、
それにより、上記脂肪族部分およびヘテロ脂肪族部分の各々は、置換もしくは非置換、環式もしくは非環式、直鎖状もしくは分枝状であり、そして上記シクロ脂肪族部分、ヘテロシクロ脂肪族部分、アリール部分もしくはヘテロアリール部分の各々は、独立して、置換もしくは非置換である。
【0097】
V)上記式(I)の化合物およびこの化合物のライブラリーであって、
ここで、Lは、
【0098】
【化109】
Figure 2004537594
【0099】
であり、そしてRは、以下の構造:
【0100】
【化110】
Figure 2004537594
【0101】
の1つを有する。
【0102】
特別な目的の特定の実施形態において、R、RおよびRの各存在は、独立して、水素、保護基または脂肪族部分、ヘテロ脂肪族部分、アリール部分、ヘテロアリール部分、−(脂肪族)アリール部分、−(脂肪族)ヘテロアリール部分、−(ヘテロ脂肪族)アリール部分もしくは−(ヘテロ脂肪族)ヘテロアリール部分であり、
それにより、上記脂肪族部分およびヘテロ脂肪族部分の各々は、置換もしくは非置換、環式もしくは非環式、直鎖状もしくは分枝状であり、そして上記シクロ脂肪族部分、ヘテロシクロ脂肪族部分、アリール部分もしくはヘテロアリール部分の各々は、独立して、置換もしくは非置換である。
【0103】
VI)上記式(I)の化合物およびこの化合物のライブラリーであって、
ここで、Lは、
【0104】
【化111】
Figure 2004537594
【0105】
であり、そしてRは、以下の構造:
【0106】
【化112】
Figure 2004537594
【0107】
の1つである。
【0108】
特別な目的の特定の実施形態において、RおよびRの各存在は、独立して、水素、保護基または脂肪族部分、ヘテロ脂肪族部分、アリール部分、ヘテロアリール部分、−(脂肪族)アリール部分、−(脂肪族)ヘテロアリール部分、−(ヘテロ脂肪族)アリール部分もしくは−(ヘテロ脂肪族)ヘテロアリール部分であり、
それにより、上記脂肪族部分およびヘテロ脂肪族部分の各々は、置換もしくは非置換、環式もしくは非環式、直鎖状もしくは分枝状であり、そして上記シクロ脂肪族部分、ヘテロシクロ脂肪族部分、アリール部分もしくはヘテロアリール部分の各々は、独立して、置換もしくは非置換である。
【0109】
VI)上記式(I)の化合物およびこの化合物のライブラリーであって、
ここで、Lは、
【0110】
【化113】
Figure 2004537594
【0111】
であり、そしてRは、以下の構造:
【0112】
【化114】
Figure 2004537594
【0113】
の1つである。
【0114】
特別な目的の特定の実施形態において、RおよびRの各存在は、独立して、水素、保護基または脂肪族部分、ヘテロ脂肪族部分、アリール部分、ヘテロアリール部分、−(脂肪族)アリール部分、−(脂肪族)ヘテロアリール部分、−(ヘテロ脂肪族)アリール部分もしくは−(ヘテロ脂肪族)ヘテロアリール部分であり、
それにより、上記脂肪族部分およびヘテロ脂肪族部分の各々は、置換もしくは非置換、環式もしくは非環式、直鎖状もしくは分枝状であり、そして上記シクロ脂肪族部分、ヘテロシクロ脂肪族部分、アリール部分もしくはヘテロアリール部分の各々は、独立して、置換もしくは非置換である。
【0115】
VII)上記式(I)の化合物およびこの化合物のライブラリーであって、
ここで、RおよびRは、以下の構造:
【0116】
【化115】
Figure 2004537594
【0117】
のうちの1つを示す。ここで、Rは、COOHであるかまたはCO(NR1011)であり、ここで、R10およびR11の各存在は、独立して、水素、保護基または脂肪族、ヘテロ脂肪族、アリール、ヘテロアリール、−(脂肪族)アリール、−(脂肪族)ヘテロアリール、−(ヘテロ脂肪族)アリールもしくは−(ヘテロ脂肪族)ヘテロアリールであり、
それにより、上記脂肪族部分およびヘテロ脂肪族部分の各々は、置換もしくは非置換、環式もしくは非環式、直鎖状もしくは分枝状であり、そして上記シクロ脂肪族部分、ヘテロシクロ脂肪族部分、アリール部分もしくはヘテロアリール部分の各々は、独立して、置換もしくは非置換である。
【0118】
上記サブグループI〜VIIの各々について、種々の他のサブクラスが特に目的のものであり、これには、上記i)〜xi)のクラス、ならびに上記および本明細書中の実施例に記載される化合物のクラス、サブクラスおよび種が挙げられるが、これらに限定されないこともまた、理解される。
【0119】
上記化合物のいくつかは、種々の異性体形態(例えば、立体異性体および/またはジアステレオマー)で存在し得る。さらに、本明細書中に記載されるような特定の化合物は、他に示さない限り、Z異性体またはE異性体のいずれかとして存在し得る1つ以上の二重結合を有し得る。本発明はさらに、実質的に他の異性体を含まない個々の異性体として(例えば、R鏡像異性体またはS鏡像異性体のいずれかとして)、そしてあるいは種々の異性体の混合物(例えば、立体異性体のラセミ混合物)として、これらの化合物を包含する。上記化合物自体に加えて、本発明は、これらの化合物の薬学的に受容可能な誘導体、ならびに本発明の1種以上の化合物および1種以上の薬学的に受容可能な賦形剤もしくは添加剤を含有する組成物もまた包含する。
【0120】
(2)化合物および定義)
上記で考察されるように、本発明は、薬物発見プロセスにおいて有用な新規化合物および化合物のライブラリーを提供する。本発明の化合物およびライブラリーには、上記に具体的に示され、そして本明細書中に記載されたものが挙げられ、そして本明細書中の他の箇所に開示された種々のクラス、亜族および種によって、一部例示される。
【0121】
非対称中心が、本発明の化合物中に存在し得ることは、当業者に理解される。従って、本発明の化合物およびその薬学的組成物は、個々のエナンチオマー、ジアステレオマーもしくは幾何異性体の形態であり得るか、または立体異性体の混合物の形態であり得る。さらに、本明細書中に開示された特定の化合物は、1つ以上の二重結合を含み、そしてこれらの二重結合は、他に示さない限り、ZまたはEのいずれかであり得ることが、理解される。特定の実施形態において、本発明の化合物は、鏡像異性体的に純粋な(enantiopure)化合物である。特定の他の実施形態において、立体異性体またはジアステレオマーの混合物が、提供される。
【0122】
さらに、本発明は、本発明の化合物の薬学的に受容可能な誘導体、およびこれらの化合物、その薬学的組成物、または1以上のさらなる治療剤と組み合わせたこれらのいずれかを使用して被験体を処置する方法、を提供する。句「薬学的に受容可能な誘導体」は、本明細書中で使用される場合、このような化合物の任意の薬学的に受容可能な塩、エステルもしくはこのようなエステルの塩、あるいは患者への投与の際に本明細書中の他の箇所に記載されるような化合物またはその代謝産物もしくは残渣を(直接的または間接的に)提供し得る任意の他の付加物もしくは誘導体を示す。従って、薬学的に受容可能な誘導体としては、とりわけ、プロドラッグが挙げられる。プロドラッグは、インビボでの除去に対して感受性なさらなる部分を含んで、薬学的に活性な種として親分子を生じる、有意に低減された薬学的活性を通常は有する、化合物の誘導体である。プロドラッグの例は、インビボで切断されて目的の化合物を生じるエステルである。種々の化合物のプロドラッグ、ならびにプロドラッグを生成するために親化合物を誘導体化するための材料および方法は、公知であり、そして本発明のために適合され得る。
【0123】
本発明の特定の化合物、および特定の官能基の定義はまた、以下により詳細に記載される。本発明の目的について、化学元素は、the Periodic Table of the Elements,CAS version,Handbook of Chemistry and Physics,第75版,表紙裏に従って同定され、そして特定の官能基は、この文献に記載されるように一般に定義される。さらに、有機化学の一般原理、ならびに特定の官能部分および反応性は、「Organic Chemistry」,Thomas Sorrell,University Science Books,Sausalito:1999(この全内容は、本明細書中で参考として援用される)に記載される。さらに、本明細書中に記載される合成方法が、種々の保護基を利用することは、当業者によって理解される。用語「保護基」は、本明細書中で使用される場合、特定の官能部分(例えば、O、SまたはN)が一時的にブロックされ、その結果、多官能性化合物中の別の反応性部位にて反応が選択的に実施され得ることを意味する。好ましい実施形態において、保護基は、良好な収率で選択的に反応して、計画された反応に対して安定な保護された物質を生じる;この保護基は、容易に利用可能な、好ましくは非毒性の、他の官能基を攻撃しない試薬によって、良好な収率で選択的に除去されなければならない;この保護基は、容易に分離可能な誘導体を形成する(より好ましくは、新規のステレオジェン中心を生成せずに);そしてこの保護基は、さらなる官能性を最少にして、反応のさらなる部位を回避する。本明細書中で詳述されるように、酸素保護基、硫黄保護基、窒素保護基および炭素保護基が、利用され得る。例えば、特定の実施形態において、本明細書中で詳述されるように、特定の例示的な酸素保護基が利用される。これらの酸素保護基としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:メチルエーテル、置換されたメチルエーテル(例えば、いくつか挙げれば、MOM(メトキシメチルエーテル)、MTM(メチルチオメチルエーテル)、BOM(ベンジルオキシメチルエーテル)、PMBM(p−メトキシベンジルオキシメチルエーテル))、置換されたエチルエーテル、置換されたベンジルエーテル、シリルエーテル(例えば、いくつか挙げれば、TMS(トリメチルシリルエーテル)、TES(トリエチルシリルエーテル)、TIPS(トリイソプロピルシリルエーテル)、TBDMS(t−ブチルジメチルシリルエーテル)、トリベンジルシリルエーテル、TBDPS(t−ブチルジフェニルシリルエーテル))、エステル(例えば、いくつか挙げれば、ホルメート、アセテート、ベンゾエート(Bz)、トリフルオロアセテート、ジクロロアセテート)、カーボネート、環式アセタールおよびケタール。特定の他の例示的な実施形態において、窒素保護基が利用される。これらの窒素保護基としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:いくつか挙げれば、カルバメート(いくつか挙げれば、メチルカルバメート、エチルカルバメートおよび置換エチルカルバメート(例えば、Troc)を含む)アミド、環式イミド誘導体、N−アルキルアミンおよびN−アリールアミン、イミン誘導体およびエナミン誘導体。句「保護されたチオール」は、本明細書中で使用される場合、ある基または分子と反応して、チオールをあまり反応性でなくする共有結合を形成し、そして脱保護されて遊離チオールに再生され得るチオールをいう。特定の他の例示的な保護基は、本明細書中に詳述されるが、本発明がこれらの保護基に限定されるとは意図されないことが、理解されるべきである;むしろ、種々のさらなる等価な保護基は、上記基準を使用して容易に同定され得、そして本発明中で利用され得る。さらに、種々の保護基は、「Protective Groups in Organic Synthesis」第3版、Greene,T.W.およびWuts,P.G.,編,John Wiley & Sons,New York:1999(この全内容は、本明細書中で参考として援用される)に記載される。
【0124】
本明細書中に記載されるような化合物は、任意の数の置換基または官能部分で置換され得ることが、理解される。一般に、用語「置換(された)」(用語「必要に応じて」が先行するかしないかにかかわらない)、および本発明の式中に含まれる置換基は、特定の置換基のラジカルを有する所定の構造中の水素ラジカルの置換をいう。任意の所定の構造中の1つ以上の位置が、特定の基から選択された1つより多くの置換基によって置換され得る場合、この置換基は、全ての位置で同じであるか異なるかのいずれかであり得る。本明細書中で使用される場合、用語「置換(された)」は、有機化合物の全ての許容された置換基を含むことが企図される。広い局面において、許容性の置換基としては、有機化合物の、非環式および環式、分枝および非分枝、炭環式および複素環式、芳香族および非芳香族の置換基が挙げられる。本発明の目的について、ヘテロ原子(例えば、窒素)は、水素置換基および/またはヘテロ原子の価数満たす、本明細書中に記載される有機化合物の任意の許容性の置換基を有し得る。さらに、本発明は、有機化合物の許容性の置換基によっては、決して限定されないことが意図される。本発明によって想定される置換基および変数の組み合わせは、好ましくは、例えば、上に一般に記載されるようなカスパーゼ媒介性の障害の処置において有用な、安定な化合物の形成を生じる組み合わせである。用語「安定な」は、本明細書中で使用される場合、好ましくは、製造を可能にするに十分な安定性を有し、そして検出されるのに十分な期間にわたって、そして好ましくは本明細書中に詳述される目的のために有用であるのに十分な期間にわたって化合物の完全性を維持する、化合物をいう。
【0125】
用語「脂肪族」は、本明細書中で使用する場合、飽和および不飽和の両方の、直鎖(すなわち、非分枝)の、分枝の、環式のまたは多環式の脂肪族炭化水素を含み、これらは、1つ以上の官能基で必要に応じて置換される。当業者に理解されるように、「脂肪族」は、アルキル部分、アルケニル部分、アルキニル部分、シクロアルキル部分、シクロアルケニル部分およびシクロアルキニル部分を含むが、これらに限定されないことが、本明細書中で意図される。従って、本明細書中で使用される場合、用語「アルキル」は、直鎖、分枝鎖および環式のアルキル基を含む。同様の慣習が他の一般的な用語(例えば、「アルケニル」、「アルキニル」などに適用される。さらに、本明細書中で使用する場合、用語「アルキル」、「アルケニル」、「アルキニル」などは、置換された基および非置換の基の両方を含む。特定の実施形態において、本明細書中で使用される場合、「低級アルキル」は、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基(環式、非環式、置換された、非置換の、分枝または非分枝)を示すために使用される。
【0126】
特定の実施形態において、本発明において使用されるアルキル基、アルケニル基およびアルキニル基は、1〜20個の脂肪族炭素原子を含む。特定の他の実施形態において、本発明において使用されるアルキル基、アルケニル基およびアルキニル基は、1〜10個の脂肪族炭素原子を含む。なお他の実施形態において、本発明において使用されるアルキル基、アルケニル基およびアルキニル基は、1〜8個の脂肪族炭素原子を含む。なお他の実施形態において、本発明において使用されるアルキル基、アルケニル基およびアルキニル基は、1〜6個の脂肪族炭素原子を含む。なお他の実施形態において、本発明において使用されるアルキル基、アルケニル基およびアルキニル基は、1〜4個の脂肪族炭素原子を含む。従って、例示的な脂肪族基としては、例えば以下が挙げられるが、これらに限定されない:メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、−CH−シクロプロピル、アリル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、シクロブチル、−CH−シクロブチル、n−ペンチル、sec−ペンチル、イソペンチル、tert−ペンチル、シクロペンチル、−CH−シクロペンチル−n、ヘキシル、sec−ヘキシル、シクロヘキシル、−CH−シクロヘキシル部分など。これらの部分はまた、1つ以上の置換基を保有し得る。アルケニル基としては、例えば以下が挙げられるが、これらに限定されない:エテニル、プロペニル、ブテニル、1−メチル−2−ブテン−1−イルなど。代表的なアルキニル基としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:エチニル、2−プロピニル(プロパギル)、1−プロピニルなど。
【0127】
用語「アルコキシ」(すなわち「アルキルオキシ」)または「チオアルキル」は、本明細書中で使用する場合、酸素原子または硫黄原子を介して親分子部分に結合した、上記定義のようなアルキル基をいう。特定の実施形態において、アルキル基は、1〜20個の脂肪族炭素原子を含む。特定の実施形態において、アルキル基は、1〜10個の脂肪族炭素原子を含む。なお別の実施形態において、本発明において使用されるアルキル基、アルケニル基およびアルキニル基は、1〜8個の脂肪族炭素原子を含む。なお別の実施形態において、アルキル基は、1〜6個の脂肪族炭素原子を含む。なお別の実施形態において、アルキル基は、1〜4個の脂肪族炭素原子を含む。アルコキシの例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、tert−ブトキシ、ネオペントキシおよびn−ヘキソキシ。チオアルキルの例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、n−ブチルチオなど。
【0128】
用語「アルキルアミノ」は、構造−NHR’を有する基をいい、ここでR’は、本明細書中に定義されるようなアルキルである。用語「ジアルキルアミノ」は、構造−N(R’)を有する基をいい、ここで、R’は、本明細書中に定義されるようなアルキルである。用語「アミノアルキル」は、構造NHR’−を有する基をいい、ここで、R’は、本明細書中に定義されるようなアルキルである。特定の実施形態において、アルキル基は、1〜20個の脂肪族炭素原子を含む。特定の他の実施形態において、アルキル基は、1〜10個の脂肪族炭素原子を含む。なお他の実施形態において、本発明において使用されるアルキル基、アルケニル基およびアルキニル基は、1〜8個の脂肪族炭素原子を含む。なお他の実施形態において、アルキル基は、1〜6個の脂肪族炭素原子を含む。なお他の実施形態において、アルキル基は、1〜4個の脂肪族炭素原子を含む。アルキルアミノの例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:メチルアミノ、エチルアミノ、イソ−プロピルアミノなど。
【0129】
本発明の化合物の上記脂肪族(および他の)部分の置換基のいくつかの例としては、脂肪族;ヘテロ脂肪族;アリール;ヘテロアリール;アルキルアリール;アルキルヘテロアリール;アルコキシ;アリールオキシ;ヘテロアルコキシ;ヘテロアリールオキシ;アルキルチオ;アリールチオ;ヘテロアルキルチオ;ヘテロアリールチオ;F;Cl;Br;I;−OH;−NO;−CN;−CF;−CHCF;−CHC1;−CHOH;−CHCHOH;−CHNH;−CHSOCH;−C(O)R’;CO(R’);−CON(R’);−OC(O)R’;−OCOR’;−OCON(R’);−N(R’);−S(O)R;−N(R’)S(O)R’、−S(O)R’N(R’)、−NR(CO)R’、が挙げられるが、これらに限定されず、ここで、R’の各々の存在としては、独立して、脂肪族、ヘテロ脂肪族、アリール、ヘテロアリール、アルキルアリール、もしくはアルキルヘテロアリールが挙げられるが、これらに限定されず、ここで、上記および本明細書中に記載される脂肪族置換基、ヘテロ脂肪族置換基、アルキルアリール置換基もしくはアルキルヘテロアリール置換基のいずれもが、置換されても非置換でもよく、分枝でも非分枝でもよく、環式でも非環式でもよく、そして上記および本明細書中に記載されるアリール置換基もしくはヘテロアリール置換基のいずれもが、置換されても非置換でもよい。一般的に適用可能な置換基のさらなる例は、本明細書中に記載される実施例に示される特定の実施形態によって例示される。
【0130】
本明細書中で使用される場合、一般的に、用語「アリール」および「ヘテロアリール」とは、好ましくは3個〜14個の炭素原子を有する、安定な単環式もしくは多環式、複素環式、多環式、および多環複素環式の、不飽和部分をいい、これらの各々は、置換されていても置換されていなくてもよい。置換基としては、安定な化合物の形成をもたらす、前述した置換基のいずれか(すなわち、脂肪族部分または本明細書中で開示された他の部分について引用された置換基)が挙げられるがこれらに限定されない。本発明の特定の実施形態において、「アリール」とは、1つまたは2つの芳香族環(フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダニル、インデニルなどが挙げられるが、これらに限定されない)を有する単環式または二環式の炭素環系をいう。本発明の特定の実施形態において、本明細書中で使用される場合、用語「ヘテロアリール」とは、5個〜10個の環原子を有する環状芳香族基をいい、それらのうちの1つの環原子は、S、OおよびNより選択され;0個、1個、または2個の環原子は、S、OおよびNより独立して選択される、さらなるヘテロ原子であり;そして残りの環原子は、炭素であり、この基は、任意の環原子を介して分子の残りの部分に結合されている(例えば、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、チオフェニル、フラニル、キノリニル、イソキノリニルなど)。
【0131】
アリール基およびヘテロアリール基(二環式アリール基を含む)は、非置換または置換であり得、ここで、置換としては、その基の1個以上の水素原子の、以下の部分の任意の1つ以上での独立した置換が挙げられるがこれらに限定されないことが理解される:脂肪族;ヘテロ脂肪族;アリール;ヘテロアリール;アルキルアリール;アルキルへテロアリール;アルコキシ;アリールオキシ;ヘテロアルコキシ;ヘテルアリールオキシ;アルキルチオ;アリールチオ;ヘテロアルキルチオ;ヘテロアリールチオ;F;Cl;Br;I;−OH;−NO;−CN;−CF;−CHCF;−CHCl;−CHOH;−CHCHOH;−CHNH;−CHSOCH;−C(O)R’;−CON(R’);−CON(R’);−OC(O)R’;−OCOR’;−OCON(R’);−N(R’);−S(O)R’;−N(R’)S(O)R’、−S(O)R’N(R’)、−NR’(CO)R’;ここで、Rとしては、各々の場合、独立して、脂肪族置換基、ヘテロ脂肪族置換基、アリール置換基、ヘテロアリール置換基、アルキルアリール置換基、またはアルキルヘテロアリール置換基が挙げられるが、これらに限定されず、ここで、上記および本明細書中に記載される脂肪族、ヘテロ脂肪族、アルキルアリール、またはアルキルヘテロアリールのいずれもが、置換されていても置換されていなくてもよく、分枝鎖でも非分枝鎖でもよく、環状でも非環状でもよく、そして、ここで、上記および本明細書中に記載されるアリール置換基またはヘテロアリール置換基は、置換されていても置換されていなくてもよい。さらに、任意の2つの隣接する基が、一緒になって、4員環、5員環、6員環、または7員環の環式の、置換または非置換の脂肪族部分またはヘテロ脂肪族部分を表し得ることが理解される。一般的に適用可能な置換基のさらなる例が、本明細書中に記載される実施例に示される特定の実施形態により例示される。
【0132】
本明細書中で使用される場合、用語「シクロアルキル」とは、詳細には、3個〜7個、好ましくは3個〜10個の炭素原子を有する基をいう。適切なシクロアルキルとしては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルなどが挙げられるがこれらに限定されず、これらは、他の脂肪族部分、ヘテロ脂肪族部分または複素環部分の場合、必要に応じて以下を含むがこれらに限定されない置換基で置換され得る:脂肪族;ヘテロ脂肪族;アリール;ヘテロアリール;アルキルアリール;アルキルへテロアリール;アルコキシ;アリールオキシ;ヘテロアルコキシ;ヘテルアリールオキシ;アルキルチオ;アリールチオ;ヘテロアルキルチオ;ヘテロアリールチオ;F;Cl;Br;I;−OH;−NO;−CN;−CF;−CHCF;−CHCl;−CHOH;−CHCHOH;−CHNH;−CHSOCH;−C(O)R’;−CO(R’);−CON(R’);−OC(O)R’;−OCOR’;−OCON(R’);−N(R’);−S(O)R’;−N(R’)S(O)R’、−S(O)R’N(R’)、−NR’(CO)R’;ここで、R’のとしては、各々の場合、独立して、脂肪族置換基、ヘテロ脂肪族置換基、アリール置換基、ヘテロアリール置換基、アルキルアリール置換基、またはアルキルヘテロアリール置換基が挙げられるが、これらに限定されず、ここで、上記および本明細書中に記載される脂肪族、ヘテロ脂肪族、アルキルアリール、またはアルキルヘテロアリールのいずれもが、置換されていても置換されていなくてもよく、分枝鎖でも非分枝鎖でもよく、環状でも非環状でもよく、そして、ここで、上記および本明細書中に記載されるアリール置換基またはヘテロアリール置換基のいずれもが、置換されていても置換されていなくてもよい。さらに、上記および本明細書中に記載される脂環式部分または複素脂環式部分のいずれもが、それらに縮合されたアリール部分またはヘテロアリール部分を含み得ることが理解される。一般的に適用可能な置換基のさらなる例が、本明細書中に記載される実施例に示される特定の実施形態により例示される。
【0133】
本明細書中で使用される場合、用語「ヘテロ脂肪族」とは、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、リン原子、またはケイ素原子のうち1つ以上を(例えば、炭素原子の代わりに)含む脂肪族部分をいう。ヘテロ脂肪族部分は、分枝鎖でも、非分枝鎖でも、環状でも、非環状でもよく、そして、飽和複素環および不飽和複素環(例えば、モルホリノ、ピロリジニル、など)を含む。特定の実施形態において、ヘテロ脂肪族部分は、その部分の1個以上の水素原子の、以下を含むがこれらに限定されない部分での独立した置換により置換される:脂肪族;ヘテロ脂肪族;アリール;ヘテロアリール;アルキルアリール;アルキルへテロアリール;アルコキシ;アリールオキシ;ヘテロアルコキシ;ヘテルアリールオキシ;アルキルチオ;アリールチオ;ヘテロアルキルチオ;ヘテロアリールチオ;F;Cl;Br;I;−OH;−NO;−CN;−CF;−CHCF;−CHCl;−CHOH;−CHCHOH;−CHNH;−CHSOCH;−C(O)R’;−CO(R’);−CON(R’);−OC(O)R’;−OCOR’;−OCON(R’);−N(R’);−S(O)R’;−N(R’)S(O)R’、−S(O)R’N(R’)、−NR’(CO)R’;ここで、R’としては、各々の場合、独立して、脂肪族、ヘテロ脂肪族、アリール、ヘテロアリール、アルキルアリール、またはアルキルヘテロアリールが挙げられるが、これらに限定されず、ここで、上記および本明細書中に記載される脂肪族置換基、ヘテロ脂肪族置換基、アルキルアリール置換基、またはアルキルヘテロアリール置換基のいずれもが、置換されていても置換されていなくてもよく、分枝鎖でも非分枝鎖でもよく、環状でも非環状でもよく、そして、ここで、上記および本明細書中に記載されるアリール置換基またはヘテロアリール置換基のいずれもが、置換されていても置換されていなくてもよい。さらに、上記および本明細書中に記載される脂環式部分または複素脂環式部分のいずれもが、それらに縮合されたアリール部分またはヘテロアリール部分を含み得ることが理解される。一般的に適用可能な置換基のさらなる例が、本明細書中に記載される実施例に示される特定の実施形態により例示される。
【0134】
本明細書中で使用される場合、用語「ハロ」および「ハロゲン」とは、フッ素、塩素、臭素、およびヨウ素より選択される原子をいう。
【0135】
上で規定されるように、用語「ハロアルキル」は、1個、2個、または3個のハロゲン原子が結合したアルキル基を意味し、クロロメチル、ブロモエチル、トリフルオロメチルなどのような基により例示される。
【0136】
本明細書中で使用される場合、用語「ヘテロシクロアルキル」または「複素環」とは、非芳香族の5員環、6員環もしくは7員環または縮合された6員環を含む二環式基もしくは三環式基を含むがこれらに限定されない多環式基であって、酸素、硫黄、および窒素より独立して選択される1個〜3個の間のヘテロ原子を有する環または基であり、ここで、(i)各々の5員環は、0〜1の二重結合を有し、そして各々の6員環は、0〜2の二重結合を有し、(ii)窒素へテロ原子および硫黄へテロ原子は、必要に応じて酸化され得、(iii)窒素へテロ原子は、必要に応じて四級化され得、そして(iv)上記複素環式環は、置換または非置換のアリール環またはヘテロアリール環に縮合され得る。代表的な複素環としては、ピロリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、オキサゾリジニル、イソキサゾリジニル、モルホリニル、チアゾリジニル、イソチアゾリジニル、およびテトラヒドロフリルが挙げられるがこれらに限定されない。特定の実施形態において、「置換ヘテロシクロアルキルまたは置換複素環」基が利用され、そして本明細書中で使用される場合、上で規定されたヘテロシクロアルキルまたは複素環基であって、その基の1つ以上の水素原子の、以下の(これらに限定されない)置換基での独立した置換により置換された基をいい:脂肪族;ヘテロ脂肪族;アリール;ヘテロアリール;アルキルアリール;アルキルへテロアリール;アルコキシ;アリールオキシ;ヘテロアルコキシ;ヘテルアリールオキシ;アルキルチオ;アリールチオ;ヘテロアルキルチオ;ヘテロアリールチオ;F;Cl;Br;I;−OH;−NO;−CN;−CF;−CHCF;−CHCl;−CHOH;−CHCHOH;−CHNH;−CHSOCH;−C(O)R’;−CO(R’);−CON(R’);−OC(O)R’;−OCOR’;−OCON(R’);−N(R’);−S(O)R’;−N(R’)S(O)R’、−S(O)R’N(R’)、−NR’(CO)R’;ここで、R’としては、各々の場合、独立して、脂肪族、ヘテロ脂肪族、アリール、ヘテロアリール、アルキルアリール、またはアルキルヘテロアリールが挙げられるが、これらに限定されず、ここで、上記および本明細書中に記載される脂肪族置換基、ヘテロ脂肪族置換基、アルキルアリール置換基、またはアルキルヘテロアリール置換基のいずれもが、置換されていても置換されていなくてもよく、分枝鎖でも非分枝鎖でもよく、環状でも非環状でもよく、そして、ここで、上記および本明細書中に記載されるアリール置換基またはヘテロアリール置換基のいずれもが、置換されていても置換されていなくてもよい。一般的に適用可能な置換基のさらなる例が、本明細書中に記載される実施例に示される特定の実施形態により例示される。
【0137】
用語「リガンド候補」とは、標的上の相補的または適合可能な反応性基と共有結合を形成し得る反応性基を保有するか、保有するように改変された化合物をいう。リガンド候補上または標的上のいずれかの反応基は、例えば、保護基でマスクされ得る。
【0138】
語句「目的の部位」とは、リガンドが結合し得る標的上の任意の部位をいう。本明細書中で用いられる場合、目的の部位は、タンパク質の第一の結合部位の外側にある任意の部位である。例えば、標的が酵素である場合、目的の部位は、活性部位ではない。標的がレセプターである場合、目的の部位は、レセプターリガンドの結合部位ではない部分である。
【0139】
用語「標的」、「標的分子」および「TM」は、互換的に、かつ最も広い意味に用いられ、そしてそしてリガンドの結合がその標的の機能に対して影響を有する、化学的実体または生物学的実体をいう。この標的は、分子、分子の一部分、または分子凝集物であり得る。リガンドの結合は、可逆的であっても不可逆的であってもよい。標的分子の特定の例としては、以下が挙げられる:ポリペプチドまたはタンパク質(例えば、プロテアーゼ(例えば、システインプロテアーゼ、セリンプロテアーゼ、およびアスパルチルプロテアーゼ)を含む酵素)、レセプター、転写因子、レセプターについてのリガンド、増殖因子、サイトカイン、免疫グロブリン、核タンパク質、シグナル伝達成分(例えば、キナーゼ、ホスファターゼ)、アロステリック酵素調節因子など、ポリヌクレオチド、ペプチド、糖質、糖タンパク質、糖脂質、ならびに他の高分子(例えば、核酸−タンパク質複合体、クロマチンまたはリボソーム)、脂質二重層含有構造体(例えば、膜)または膜に由来する構造体(例えば、小胞)。この定義は特に、以下に定義されるとおりの標的生物学的分子(「TBM」)を包含する。
【0140】
本明細書中で用いられる場合、「標的生物学的分子」または「TBM」とは、低分子アゴニストまたは低分子アンタゴニストがTBMの機能に対して影響を有する、互いに生物学的に適切な複合体を形成し得る、単一の生物学的分子または複数の生物学的分子をいう。好ましい実施形態では、このTBMは、タンパク質もしくはその部分であるか、または2以上のアミノ酸を含み、そして相補的反応性基を有する化合物と共有結合を形成し得る反応性基を保有するかまたは保有するように改変され得るタンパク質もしくはその部分である。例示的なTBMの例としては、以下が挙げられる:酵素、レセプター、転写因子、レセプターについてのリガンド、成長因子、免疫グロブリン、核タンパク質、シグナル伝達成分、糖タンパク質、糖脂質、および他の高分子(例えば、核酸−タンパク質複合体、クロマチンまたはリボソーム)、脂質二重層含有構造体(例えば、膜)、膜由来の構造体(例えば、小胞体)。この標的は天然の供給源からの単離および精製、化学合成、組換え産生、およびこれらの方法および同様の方法の任意の組み合わせを含む、種々の方法において得ることができる。
【0141】
好ましいタンパク質標的としては、以下が挙げられる:細胞表面レセプタータンパク質および可溶性レセプタータンパク質(例えば、リンパ球細胞表面レセプター);酵素;プロテアーゼ(例えば、アスパルチルプロテアーゼ、システインプロテアーゼ、メタロプロテアーゼ、およびセリンプロテアーゼ);ステロイドレセプター;核タンパク質;アロステリック酵素;凝固因子;キナーゼ(セリン/スレオニンキナーゼおよびチロシンキナーゼ);ホスファターゼ(セリン/スレオニンホスファターゼ、チロシンホスファターゼ、および二重特異的ホスファターゼ(特に、PTP−1B、TC−PTPおよびLAR);チミジル酸シンターゼ;細菌酵素、真菌酵素、およびウイルス酵素(特に、HIV、インフルエンザ、ライノウイルスおよびRSVに関連する酵素);シグナル伝達分子;転写因子;DNAおよび/またはRNAの合成または分解に関連するタンパク質または酵素;免疫グロブリン;ホルモン;および種々のサイトカインについてのレセプター。レセプターの例示的な例としては、例えば、以下が挙げられる:エリスロポイエチン(EPO)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)レセプター、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)レセプター、トロンボポイエチン(thrombopoietin;TPO)、インターロイキン(例えば、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−10、IL−11、IL−12、成長ホルモン、プロラクチン、ヒト胎盤ラクトゲン(LPL)、CNTF、オンコスタチン、RANTES、MIPb、IL−8、インスリン、インスリン様成長因子1(IGF−1)、上皮成長因子(EGF)、ヘレグリン(heregulin)−aおよびヘレグリン−b、血管内皮増殖因子(VEGF)、胎盤増殖因子(PLGF)、組織増殖因子(TGF−αおよびTGF−β)、ならびに神経増殖因子(NGF)。他の標的としては、種々のニューロトロフィン(neurotrophin)およびそれらのリガンド、他のホルモンおよびレセプター(例えば、骨形態形成因子、卵胞刺激ホルモン(FSH)、および黄体形成ホルモン(LH)、CD40リガンド、アポトーシス因子1およびアポトーシス因子2(AP−1およびAP−2)、p53、bax/bcl2、mdm2、カスパーゼ(1、3、8および9)、カテプシン、IL−1/IL−1レセプター、BACE、HIVインテグラーゼ、PDE IV、C型肝炎ヘリカーゼ、C型肝炎プロテアーゼ、ライノウイルスプロテアーゼ、トリプターゼ、cPLA(サイトゾルホスホリパーゼ A2)、CDK4、c−junキナーゼ、アダプター(例えば、Grb2、GSK−3、AKT、MEKK−1、PAK−1、raf、TRAF1〜TRAF6、Tie2、Erb 1およびErb 2、FGF、PDGF、PARP、CD2、C5aレセプター、CD4、CD26、CD3、TGF−α、NF−kB、IKK β、STAT 6、ニューロキニン−1、CD45、Cdc25A、SHIP−2、ヒトp53、bax/bcl2、IgE/IgER、ZAP−70、lck、syk、ITK/BTK、TACE、カテプシンS、カテプシンK、およびカテプシンF、CD11a、LFA/ICAM、VLA−4、CD28/B7、CTLA4、TNFαおよびTNFβ(およびp55TNFレセプターおよびp75TNFレセプター)、CD40L、p38マップキナーゼ、IL−2、IL−4、Il−13、IL−15、Rac2、PKCθ、IL−8、TAK−1、jnk、IKK2およびIL−18)。
【0142】
(3)本発明の化合物および化合物のライブラリの合成)
本明細書中の例示により詳細に記載されているように、種々のテザー化試薬およびテザー化試薬のライブラリ(それらの化合物およびライブラリは、上に詳述されている)が、調製され得る。一般的に、これらのテザー化試薬およびテザー化試薬のライブラリは、適切なリンカーを用いて所望の構築ブロックを誘導体化することによって調製される。種々のビルディングブロックが、テザー化試薬およびテザー化試薬のライブラリについて用いられ得ることが理解される。例えば、アルキル酸、アリール酸、第一級アルキルアミン、第二級アルキルアミン、第二級アリールアミン、アルデヒド、およびケトンが上および本明細書中により詳細に記載されるように用いられ得る。これらのビルディングブロックの各々が、商業的供給源より購入され得るか、または特に目的のビルディングブロックを生成するために合成され得ることが理解される。さらに、商業的供給源より購入され得るビルディングブロックはまた、さらに、誘導体化されて、さらなる多様性を生じ得る(「1+nub」化学、ならびに本明細書における例示において記載される「N側」および「C側」化合物およびライブラリの合成を参照のこと)。
【0143】
本発明における使用のための特定の例示的なリンカー(本明細書の例示に記載される合成)としては、直後に示される以下のリンカーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0144】
【化116】
Figure 2004537594
【0145】
アミンリンカーが、一般的に、カルボキシレート、スルホニルクロリドまたはイソシアネートを保有するビルディングブロックについて利用され、一方で、カルボキシレートリンカーが、一般的に、アミンの誘導体化のために利用されることが理解される。リンカーの長さが、所定のタンパク質、より一般的には目的の標的の表面をサンプリングするのに必要なだけ変化し得ることも理解される。一般的に、標準的なカップリング条件が、本明細書においてより詳細に記載されるように、所望のビルディングブロックと所望のリンカーとをカップリングするために用いられる。一旦所望のビルディングブロックが、適切なリンカーに結合されると、これらのビルディングブロックは、本明細書中でより詳細に記載されるように試薬を「カスタマイズする」ようにさらに誘導体化され得ることもまた理解される。
【0146】
(3)使用)
上記のように、本発明は、テザー化方法を用いる新規の薬物リードの開発に有用である新規の化合物および化合物のライブラリを提供する。
【0147】
一般的なテザー化方法は、標的と潜在的なリガンドとの間の共有結合の形成に依存する。標的と潜在的なリガンドとの間に形成される共有結合は、結合の化学量論および結合位置の両方の容易な決定を可能にする。テザー化方法は、米国特許第6,335,155号、PCT公開番号WO 00/00823、およびErlansonら、Proc.Nat.Acad.Sci.USA 97:9367−9372(2000)(これら全ては、本明細書中に参考として援用され、そして以下に簡単に記載される)。一般的に、化合物および化合物のライブラリは、上記の方法において有用である。従って、本発明の別の実施形態において、リガンド開発の方法が提供され、この方法は、以下:1)目的の部位または目的の部位の近傍に化学反応基を含む標的を、本明細書中に記載される化合物または化合物のライブラリと接触させる工程であって、これらの化合物または化合物のライブラリは、化学反応基との共有結合を形成し得る、工程;2)標的と化合物との間の共有結合を形成する工程であって、これにより、標的−化合物結合体を形成する、工程;3)標的化合物結合体を同定する工程、を包含する。
【0148】
図1は、テザー化方法の1つの実施形態を概略的に例示する。この場合、標的は、タンパク質であり、そして共有結合は、ジスルフィド結合である。示されるように、チオール含有タンパク質は、複数のリガンド候補と反応させられる。リガンド候補は、ジスルフィド結合を形成し得る部位を含むように改変されている潜在的なリガンドである。この部位は、チオール基または式−SSR’’のジスルフィドのようなマスクされたチオール基であり得、ここでR’’は、非置換のC〜C10脂肪族、置換C〜C10脂肪族、非置換アリールまたは置換アリールである。特定の実施形態において、R’’は、潜在的なリガンド候補の可溶性を増強するように選択される。リガンド候補の例示的な例としては、本明細書において上で詳述されるようなリガンド候補が挙げられる。特定の例示的な実施形態において、リガンド候補としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:
【0149】
【化117】
Figure 2004537594
【0150】
ここで、rは、1または2であり;tは、0、1または2である。
【0151】
一旦、上記のテザー化方法を用いてリガンド候補が同定されると、上記のテザー化合物が、X線結晶学的方法を用いて特徴付けられ得ることもまた理解される。特徴付け方法としてX線結晶学(または他の特徴付け方法)を用いる場合、還元条件に曝した後に、均質な化合物を得ることが所望される。従って、特定の実施形態において、特定の目的の化合物およびライブラリは、これらの化合物およびライブラリを含み、ここで、
【0152】
【化118】
Figure 2004537594
【0153】
は、置換チオスルホナート部位を有する構造を表し、この部位は、還元条件に曝された際に、以下の均一な化合物を生じ:
【0154】
【化119】
Figure 2004537594
【0155】
ここで、rは、1または2であり;RA2は、アルキル部位、ヘテロアルキル部位、アリール部位、ヘテロアリール部位、−(アルキル)アリール部位、−(アルキル)ヘテロアリール部位、−(ヘテロアルキル)アリール部位、または−(へテロアルキル)ヘテロアリール部位である。
【0156】
特に、特定の目的のRA2の実施形態は、メチルまたはフェニルである。
【0157】
示されるように、標的に対して固有の結合親和性を有するリガンド候補が、同定され、そして同定された結合決定基(○により表現される)を含むジスルフィド部位を含まない対応するリガンドが作製される。
【0158】
図1Bは、テザー化の背後にある理論を例示する概略的に例示する。チオール含有タンパク質が、少なくとも1つのジスルフィド含有リガンド候補とともに平衡化される場合、平衡は、改変されたタンパク質と改変されていないタンパク質との間で確立される。好ましい実施形態において、反応は、還元剤の存在下で行われる。リガンド候補が、標的タンパク質に対して固有の結合親和性を有さない場合、平衡は、改変されていないタンパク質にシフトされる。対照的に、リガンド候補が、このタンパク質に対して固有の結合親和性を有する場合、平衡は、改変されたタンパク質にシフトされる。両方の状況が図1Bに例示される。第一に、リガンド候補のR部位は、このタンパク質に対する結合親和性をほとんど有さないか、または全く有さない。従って、タンパク質−リガンド結合体の形成は、タンパク質、リガンド候補、および還元剤の濃度から与えられるジスルフィド結合を形成する可能性の関数である。第二に、リガンド候補のR部分は、タンパク質に対して固有の結合親和性を有する。結果的に、一旦ジスルフィド結合がタンパク質とリガンド候補との間で形成されると、タンパク質−リガンド結合体が安定化される。従って、平衡が、タンパク質−リガンド結合体の形成の方へとシフトされる。
【0159】
テザーをさらに例示するために、この方法は、チミジル酸シンターゼ(「TS」)(事実上全ての生きた生物にとって必須の酵素)に適用されている。ジヒドロ葉酸レダクターゼ(「DHFR」)およびセリンヒドロキシメチラーゼと共に、TSは、RNAベースのdUMPからDNAベースのチミジン5’一リン酸(「dTMP」)の合成のための単一のde novo経路を提供する生化学的機能単位である、チミジル酸シンターゼ回路を形成する。TSおよびDHRFの両方は、抗癌剤開発の標的である。TS遺伝子はまた、多くのウイルスにおいて見出されるので、抗寄生物剤、抗真菌剤、および抗ウイルス剤の開発のための標的でもある。
【0160】
TSは、いくつかの理由から、理想的なバリデーション標的である。第一に、種々のTS酵素の多数の高分解能結晶構造が決定されており、その結果、構造的情報が、化合物の設計に組み込まれ得る。第二に、潜在的なリガンドがTSに結合するか否かを決定するための単純な比色アッセイが存在する。このアッセイは、dUMPの存在下での5,10−CH−H葉酸のH葉酸への変換の比率に依存する。結合についての第二のアッセイはまた、分光光度法であり、TSと独特のスペクトル特性(signature)を有する複合体を形成するピリドキサル−5’−ホスフェート(「PLP」)との競合に依存する。
【0161】
例示目的のために選択されたTSは、E.coli TSである。全てのTS酵素同様に、それは、テザー化に用いられ得る、活性部位に天然に存在するシステイン残基(Cys146)を含む。E.coli TSは、4つの他のシステインを含むが、これらは、他のTS酵素の間で保存されず、かつ埋まっているため接近可能でない。しかし、1つ以上のこれらのシステインが、ジスルフィドに対して反応性である場合、これらのシステインが、別のアミノ酸(例えば、アラニン)と変異された、これらの酵素の変異バージョンが用いられ得る。
【0162】
第一の実験において、野生型TSおよびC146S変異体(ここで、146位のシステインがセリンに変異されている)を、シスタミンHNCHCHSSCHCHNHと接触させた。野生型TS酵素が、当量のシスタミンと完全に反応したが、一方で変異体TSは反応せず、このことは、シスタミンが、Cys−146と反応し、Cys−146に対して選択的であったことを示す。
【0163】
野生型TSは、リガンド候補の異なるプールを用いる複数のテザー化実験に供された。図2は、2つの例示的なテザー化実験を例示し、ここで、これらのリガンド候補は、以下の式
【0164】
【化120】
Figure 2004537594
【0165】
のものであった。
【0166】
これは、式RSSR’’の種類のリガンド候補の特定の実施形態であり、ここで、Rは、RC(=O)NHCHCH−に対応し、そしてR’’は、−CHCHNHに対応する。Rは、非置換C〜C10アルキル、置換C〜C10アルキル、非置換アリール、または置換アリールであり、そしてこのライブラリーメンバーのプールの間の可変部分である。
【0167】
図2Aは、TSとTSに対する結合親和性をほとんど有さないかまたは全く有さない10種類の異なるリガンド候補のプールとの反応の逆重畳された質量スペクトルである。任意の結合相互作用の非存在下で、TSと個々のリガンド候補との間のジスルフィド交換反応の平衡は、改変されていない酵素に向かう。これは、以下の式により概略的に例示される。
【0168】
【化121】
Figure 2004537594
【0169】
予想されるように、改変されていない酵素に対応するピークは、そのスペクトルにおいて2つの最も主要なピークのうちの1つである。他の主要なピークは、TSであり、ここで、Cys146のチオールがシステアミンで改変されている。この種は、任意の個々のライブラリメンバーについて有意な程度まで形成されないが、このピークは、ライブラリプールの各々のメンバーについての平衡反応の蓄積した効果に起因する。この反応が、チオール含有還元剤(例えば、2−メルカプトエタノール)の存在下で実施される場合、活性部位はシステインはまた、還元剤を用いて改変され得る。システアミンおよび2−メルカプトエタノールが類似の分子量を有するので、これらそれぞれのジスルフィド結合したTS酵素は、この実験において用いられる条件下では区別不可能である。右側の小さいピークは、目立たないライブラリーメンバーに対応する。特に、これらのピークのいずれもあまり有意ではなかった。図2Aは、いずれのリガンド候補も、標的に対して固有の結合親和性を有さない場合のスペクトルに特徴的である。
【0170】
図2Bは、TSと10種類の異なるリガンド候補のプールとの反応の逆重畳された質量スペクトルであり、ここで、これらのリガンド候補のうち1つは、酵素に対する固有の結合親和性を有する。見られ得るように、最も主要なピークは、Cys146のチオールがN−トシル−D−プロリン化合物で改変されている、TSに対応するピークである。このピークは、改変されていない酵素およびCys146のチオールがシステアミンで改変されているTSに対応するピークを含む全ての他のピークを小さく見せる。図2Bは、質量分析の例であり、ここで、テザーは、所望の部位に対する強力な固有の結合親和性を有する部位を捕捉している。
【0171】
還元剤の存在下でテザーが生じる場合、このプロセスは、より熱力学的により活発になり、そして平衡制御される。図3は、この現象の例示であり、そしてTSが、漸増濃度の還元剤、2−メルカプトエタノールの存在下で、選択されたN−トシル−D−プロリン化合物を含む同じライブラリプールと反応させられる3つの実験を示す。
【0172】
図3Aは、反応が2−メルカプトエタノールなしで実施された場合の逆重畳された質量スペクトルである。最も主要なピークは、システアミンで改変されたTSに対応するピークである。しかし、それにも関らず、N−トシル−D−プロリンに対応するピークは、中程度で、他のリガンド候補を超えて選択される。図3Bは、反応が0.2mMの2−メルカプトエタノールの存在下で実施された場合の逆重畳された質量スペクトルである。図3Aにおけるスペクトルと対照的に、N−トシル−D−プロリンに対応するピークは、最も主要なピークであり、従って、他のリガンド候補より強力に選択される。最後に、図3Cは、反応が20mMの2−メルカプトエタノールの存在下で実施された場合の逆重畳された質量スペクトルである。驚くべきことではないが、このような強力な還元条件下での最も主要なピークは、改変されていない酵素である。それにも関らず、N−トシル−D−プロリンに対応するピークは、ライブラリプール中の他のリガンド候補のピークを超えてなお選択される。
【0173】
図3は、標的に対して固有の親和性を有する特定のリガンド候補による標的タンパク質におけるシステイン改変の程度が、一部、還元剤濃度の関数であることを強調表示する。一般的に、標的タンパク質に対するリガンド候補の結合親和性が高くなれば高くなるほど、使用され得る還元剤の濃度はますます高くなり、さらに、強力な選択を得る。結果として、テザー化スクリーンに使用される還元剤の濃度は、結合親和性に対する代用として使用され得、そして結合親和性の下限を設定するために、リガンド候補は、強力に選択されなければならない。
【0174】
先に述べたように、テザー化方法は、単一のリガンド候補または複数のリガンド候補を用いて使用され得る。好ましい実施形態において、テザー化方法は、スループットおよび効率を最大化するために、複数のリガンド候補(例えば、5個、20個、100個、500個、1000個、および>1000個でさえ)をスクリーニングするために使用される。
【0175】
構造−活性相関(「SAR」)は、SARが従来のアッセイを使用して開発された方法とほとんど同じ方法で、テザー化実験からの情報を使用して開発され得る。例えば、以下のスキームの左側にRを有するリガンド候補は、E.coli TSに対して強力に選択されるが、右側にRを有するリガンド候補は、そうではない。
【0176】
【化122】
Figure 2004537594
【0177】
約1200個の化合物のスクリーニングからのデータに基づいて、フェニルスルホンアミドコアおよびプロリン環が必須であることを決定した。例えば、TSは、フェニル環(ここで、このフェニル環は、非置換であり得るか、またはメチル、t−ブチル、およびハロゲンを含むある範囲の基で置換され得る)の周りに大きな可撓性を受け入れるようであるが、その存在は、選択のために必要とされる。同様に、プロリン環は、必須であるようである。なぜなら、フェニルアラニン、フェニルグリシンまたはピロールで置き換えられた化合物は、選択されなかったからである。
【0178】
上記に加えて、テザーから選択された化合物が標的に対する結合親和性を有する化合物に対応することを確認するためにさらなる実験が実施された。1つの例示的な例において、テザー化実験を、既知の物質の存在下で実施する。選択されるリガンド候補が標的に対して固有の結合親和性を有する場合、基質による置換に耐性である。対照的に、固有の結合親和性またはシステアミンを欠くリガンド候補は、この基質によって容易に置換される。別の例示的な例は、テザーを含まないアナログについての従来の酵素アッセイである。例えば、リガンドフラグメントのR部分の親和性は、ミハエリス−メンション動力学を使用して決定された。遊離酸1のKは、1.1±0.25mMであった。特に、遊離酸は、天然の基質dUMPと競合した。従って、N−トシル−D−プロリン1は、TSの弱いが競合性のインヒビターである。
【0179】
【化123】
Figure 2004537594
【0180】
別の実施形態において、活性部位に天然に存在するシステイン残基は、セリン(C146S)に変異され、そして別のシステインが、導入された(L143CまたはH147C)。C146S/L143C変異体を使用するテザー化は、野生型酵素と類似の結果を生じた。特に、N−トシル−D−プロリンアナログは、強力に選択された。対照的に、C146S/H147Cは、N−トシル−D−アナログを選択しなかったが、いくつかの他の分子が選択された。これらの結果は、反応性システインを取り囲む局所結合環境およびジスルフィドリンカーの幾何学的束縛における違いを反映していると考えられる。
【0181】
X線結晶学を使用して、ネイティブな酵素およびいくつかの複合体の3次元構造を解き、テザーから得られた情報が、標的に対する生産的結合と関連し得ることを確認した。表1は、結晶学的データおよび精密化パラメーターを詳述する。1つの複合体は、TSに結合したN−トシル−D−プロリンの遊離酸の複合体である(表1の第4のエントリー)。別の複合体は、活性部位システイン(Cys−146)にテザー化したN−トシル−D−プロリン誘導体の複合体である(表1の第2のエントリー)。なお別の複合体は、C146S/L143C変異体にテザー化したN−トシル−D−プロリン誘導体の複合体である(表1の第3のエントリー)。
【0182】
【表1】
Figure 2004537594
【0183】
重要なことに、N−トシル−D−プロリン部分の位置は、全ての3つの場合において非常に類似する(タンパク質における全てのCα炭素についての0.11〜0.56Åと比較して、0.55〜1.88ÅのRMSD)。N−トシル−D−プロリン置換基は、密接に重なり、一方で、アルキル−ジスルフィドテザーが、異なるシステイン残基からこの部分の上に集中するという事実は、N−トシル−D−プロリン部分が、テザーではなく、結合決定基であるという考えを支持する。
【0184】
示され得るように、テザー化は、標的における目的の部位に結合するリガンドを同定し得る強力な方法である。テザー化は、単独でまたは他の医薬品化学方法と組み合わせて使用されて、薬物候補を同定および最適化し得る。
【0185】
本発明の1つの局面において、テザー化は、結合決定基(例えば、R)を同定するために使用され、次いで、従来の医薬品化学が、同定された結合決定基またはその改変体を含むより高い親和性の化合物を作製するために使用される。1つの実施形態において、テザー化は、結合決定基を同定するために、そして同定された結合決定基の改変体を含む化合物が高い親和性で標的に結合するか否かを評価するための両方で使用される。言い換えると、テザー化は、機能的アッセイが、利用可能でもなく、人為産物に感受性でもない、従来の結合実験に対する代替として使用され得る。このアプローチは、図4に概略的に示される。示され得るように、テザー化は、結合決定基Rを同定するために使用される。一旦、このような結合決定基が同定されると、従来の医薬品化学アプローチが改変ライブラリーにおいてRの改変体を合成するために使用される。リガンド候補の改変ライブラリーは、アイソスターおよびそのホモログのようなRの改変体を含む。改変体ライブラリーはまた、Rまたはその改変体、ならびに隣接結合領域を利用し得る他の結合決定基を含む「拡張」化合物を含み得る。図4は、元の結合決定基RがR’に改変され、そして選択された化合物が、第2の結合決定基Rを含む、改変ライブラリーからの選択された化合物を図示する。
【0186】
図4に概説されるアプローチの例示は、以下の通りである。ここで、選択されたN−トシル−D−プロリンの誘導体化合物が作製され、そしてテザーを使用する一連のリガンド候補として試験された。TSに結合したN−トシル−D−プロリンの結晶構造に基づいて、フェニル環から離れたメチル基は、誘導体化点としての使用に有望な位置であった。6つの異なるリンカー長を有する88個の誘導体が合成され、そして選択されたリガンド候補のテザー化されていないバージョンの阻害定数を決定した。最も良い化合物のうちの2つは、以下であった:
【0187】
【化124】
Figure 2004537594
【0188】
化合物2のKは、約55μMであることが決定され、そして化合物3のKは、約40μMであることが決定された。
【0189】
本発明の別の局面において、2つの結合決定基(これは後に一緒に連結される)を同定するための方法が提供される。一般的に、この方法は、以下:
a)標的タンパク質に結合する第1化合物を同定する、工程;
b)標的タンパク質に結合する第2化合物を同定する、工程;および
c)標的タンパク質に結合する結合体分子を形成するために、リンカー要素を介して、第1化合物および第2化合物を連結する工程、
を包含する。好ましい実施形態において、結合体分子は、第1化合物のみまたは第2化合物のみのいずれより、高い結合親和性で、標的タンパク質に結合する。
【0190】
1つの実施形態において、第1化合物は、式RSSR”の化合物であり、そして第2化合物は、式RSSR”(ここで、R”は、先に記載された通りであり、そしてRおよびRは、それぞれ独立して、C〜C20非置換脂肪族、C〜C20置換脂肪族、非置換アリール、または置換アリールである)の化合物であり、そして第1化合物および第2化合物は、ジスルフィド結合を介して標的タンパク質に結合する。図5は、この方法の概略的図示であり、ここで、2つの別々のテザー実験を使用して、結合決定基RおよびRを同定し、これらのRおよびRは、続いて、一緒に連結されて、標的タンパク質に結合する結合体分子を形成する。別の実施形態において、結合決定基RおよびRを同定するためのテザー実験は、同時に行われる。このようにして、2つの同定された結合決定基が、非重複部位において標的タンパク質に結合することが確実にされる。
【0191】
別の実施形態において、第1化合物は、テザーを使用して同定され、そして第2化合物は、非テザー化方法をによって同定される。1つの実施形態において、非テザー化方法は、合理的な薬物設計および従来の医薬品化学から構成された。TSに結合されたN−トシル−D−プロリンの結晶構造は、トシル基が、メチレンテトラヒドロホレート(TS酵素に対する天然の補因子)のベンズアミド部分とおよそ同じ位置および配向であることを明らかにした。結果として、メチレンテトラヒドロホレートのグルタメート部分は、化合物1上に移植された。表2は、選択された数のこれらの化合物を示す。
【0192】
【表2】
Figure 2004537594
【0193】
プロリンのL−エナンチオマー(化合物4)よりもD−エナンチオマー(化合物5)に対して明瞭に好ましく、そしてグルタメート残基のα−カルボキシレートが、重要である。なぜなら、そのグルタメート残基のα−カルボキシレートを除去する(化合物12)かまたは第1級アミド(化合物10)に変えることは、結合親和性における有意な減少と関連するからである。
【0194】
本発明の別の局面において、テザー化方法における改変は、化合物を作製および最適化することに使用するために提供される。この方法は、以下:
a)目的の部位または目的の部位の近くに反応性求核剤を有する標的を提供する、工程;および
b)標的をエクステンダーと接触させ、それによって、標的−エクステンダー複合体を形成し、ここで、このエクステンダーが、共有結合を形成するために標的において求核剤と反応する第1官能基およびジスルフィド結合を形成し得る第2官能基を含む、工程;
c)この標的−エクステンダー複合体を、ジスルフィド結合を形成し得るリガンド候補と接触させる、工程;
d)標的−エクステンダー複合体とリガンド候補との間でジスルフィド結合を形成し、それによって、標的−エクステンダー−リガンド結合体を形成する、工程;および
e)標的−エクステンダー−リガンド結合体に存在するリガンド候補を同定する工程、
を包含する。必要に応じて、標的は、還元剤の存在下でリガンド候補と接触される。
【0195】
適切な還元剤の例示的な例としては、以下が挙げられるが、これらに限定しない:システイン、システアミン、ジチオトレイトール、ジチオエリスリトール、グルタチオン、2−メルカプトエタノール、3−メルカプトプロピオン酸(3−mercaptoproprionic acid)、ホスフィン(例えば、トリス−(2−カルボキシエチル−ホスフィン)(「TCEP」)、または水素化ホウ素ナトリウム。1つの実施形態において、還元剤は、2−メルカプトエタノールである。別の実施形態において、還元剤は、システアミンである。別の実施形態において、還元剤は、グルタチオンである。別の実施形態において、還元剤は、システインである。
【0196】
1つの実施形態において、標的は、−SHを、反応性求核剤として含み、そしてエクステンダーは、標的上の反応性求核剤と共有結合を形成し得る第1官能基、およびジスルフィド結合を形成し得る第2官能基を含む。別の実施形態において、標的上の反応性求核剤は、天然に存在するタンパク質配列の一部であるシステイン由来の天然に存在する−SHである。別の実施形態において、標的上の反応性求核剤は、天然に存在するアミノ酸をシステインに変異させるために変異誘発を使用した、操作された−SH基である。
【0197】
1つの実施形態において、エクステンダーの第1官能基および第2官能基は、それぞれ独立して、−SHまたはマスクされた−SHである。マスクされたチオールの例示的な例は、式−SSR”のジスルフィドであり、ここで、R”は、先に記載された通りである。この実施形態において、標的とエクステンダーとの間に形成される共有結合は、ジスルフィド結合であり、従って、可逆的な共有結合である。この方法の1つの改変において、標的を、エクステンダーと接触させ、その後、標的−エクステンダー複合体を1つ以上のリガンド候補と接触させる。別の改変において、標的を、エクステンダーおよび1つ以上のリガンド候補を含むプールと接触させる。
【0198】
別の実施形態において、第1の官能基は、標的を変性しない条件下で標的の反応性求核剤と不可逆な共有結合を形成し得る基であり、第2官能基は、−SHまたはマスクされた−SHである。1つの実施形態において、第1官能基は、S2様付加を起こし得る基である。このようなエクステンダーの例示的な例は、(i)α−ハロ酸、例えば、
【0199】
【化125】
Figure 2004537594
【0200】
(ii)フルオロホスホネート、例えば、
【0201】
【化126】
Figure 2004537594
【0202】
(iii)エポキシド、例えば、
【0203】
【化127】
Figure 2004537594
【0204】
(iv)アジリジン、例えば、
【0205】
【化128】
Figure 2004537594
【0206】
(v)チイラン、例えば、
【0207】
【化129】
Figure 2004537594
【0208】
(vi)ハロメチルケトン/アミド、例えば、
【0209】
【化130】
Figure 2004537594
【0210】
が挙げられ、ここで、Rは、非置換C〜C20脂肪族、置換C〜C20脂肪族、非置換アリール、および置換アリールであり;R’は、H、−SR”(ここで、R”は、先に規定された通りである)であり;そしてXは、脱離基である。例示的な例としては、ハロゲン、N、OR、−P(=O)Ar、−NO(C=O)R、−(C=O)R、−SRおよびビニルスルホンが挙げられる。
【0211】
別の実施形態において、第1官能基は、SNアリール様付加を起こし得る基である。適切な基の例示的な例としては、7−ハロ−2,1,3−ベンゾベンゾオキサジアザロール(benzoxadiazaole)、およびオルト/パラニトロ置換ハロベンゼン、例えば、
【0212】
【化131】
Figure 2004537594
【0213】
が挙げられ、ここで、R’およびXは、先に規定された通りである。
【0214】
別の実施形態において、第1官能基は、マイケル型付加を起こし得る基である。適切な基の例示的な例としては、電子求引系(例えば、カルボニル、イミン、キニン(quinine)、CN、NO、および−S(=O)−)に隣接する2重結合または3重結合を含む任意の部分を含む。このようなエクステンダーの例示的な例としては、
【0215】
【化132】
Figure 2004537594
【0216】
が挙げられ、ここで、R’は、先に規定された通りである。
【0217】
図6は、エクステンダーを使用するテザー化方法の1つの実施形態を示す。示されるように、反応性求核剤−SHを含む標的は、反応性求核剤と共有結合を形成し得る第1官能基X、およびジスルフィド結合を形成し得る第2官能基−SR”(ここで、R”は、上記に規定されたR”と同じである)を含むエクステンダーと接触される。テザー−エクステンダー複合体が形成され、これは、次いで、複数のリガンド候補と接触される。エクステンダーは、1つの結合決定基(円)を提供し、そしてリガンド候補は、第2結合決定基(四角)を提供し、そして得られる結合決定基は、一緒に連結されて、結合体化合物を形成する。
【0218】
エクステンダーを使用するテザー化方法をさらに例示するために、この方法は、抗アポトーシス標的カスパーゼ−3(システイン アスパルチル プロテアーゼファミリーのメンバー)に適用された。現在、約1ダースの公知のカスパーゼファミリーのメンバーが存在し、これらの多くが、アポトーシスカスケードの開始または伝播に関与する。カスパーゼは、過剰なまたは異常なレベルのプログラムされた細胞死を含む種々の治療的表示(indication)(例えば、発作、外傷性脳損傷、脊髄損傷、アルツハイマー病、ハンチントン病、パーキンソン病、心血管疾患、肝不全、および敗血症)に対する潜在的な薬物標的である。さらに、カスパーゼ−3は、活性部位に天然に存在するシステイン残基を含み、そして機能的および結晶学的の両方でよく特徴付けられている。
【0219】
カスパーゼ−3活性部位における使用に適するエクステンダーは、小さなアスパルチルベースアリールアシルオキシメチルケトンが、活性部位システインと不可逆的に反応することが公知であるという事実を使用して設計された。カスパーゼ−3または他のチオールプロテアーゼとともに使用するための適したエクステンダーの2つの例示的な例としては、化合物13および14が挙げられる。
【0220】
【化133】
Figure 2004537594
【0221】
示され得るように、化合物13および14は、結合決定基としてアスパラギン酸部分を含む。特に、アスパラギン酸部分のカルボニルはまた、活性部位システインのチオールと共有結合を形成する第1の官能基(アリールアシルオキシメチルケトン部分)の一部である。エクステンダー13および14はまた、第2官能基(適切なときにマスクを取られ得るチオエステルの形態のマスク化−SH)を含む。例えば、チオエステルは、標的−エクステンダー複合体をヒドロキシルアミンで処理することによって、遊離チオールに変換され得る。
【0222】
両方のエクステンダーが、活性部位システインにおいて選択的に改変されたカスパーゼ−3に示され、そして以下の標的−エクステンダー複合体を作製するためにヒドロキシルアミンで処理される:
【0223】
【化134】
Figure 2004537594
【0224】
標的−エクステンダー複合体13’および14’は、それぞれ、約10,000個のリガンド候補のライブラリーに対するテザー化方法において使用された。標的−エクステンダー複合体13’を使用する、選択されたリガンド−候補の例示的な例は、以下である:
【0225】
【化135】
Figure 2004537594
【0226】
標的−エクステンダー複合体14’を使用する、選択されたリガンド候補の例示的な例は、以下である:
【0227】
【化136】
Figure 2004537594
【0228】
特に、リガンド候補15は、標的エクステンダー複合体14’によって選択されず、そしてリガンド候補16は、標的−エクステンダー複合体13’によって選択されなかった。選択された化合物のうち、構造−活性相関も明らかであった。例えば、リガンド候補17、
【0229】
【化137】
Figure 2004537594
【0230】
(ヒドロキシル基を欠くことを除いて、リガンド候補15と同一である)は、標的−エクステンダー複合体13’または14’のいずれによっても選択されなかった。
【0231】
エクステンダーおよび選択されたリガンド候補が標的にどのように結合するかを評価するために、標的−エクステンダーリガンド結合体の2つの構造が決定された。第1の構造は、標的−エクステンダー複合体13’がリガンド候補15と接触された場合に形成される結合体の構造であった。第2の構造は、標的−エクステンダー複合体14’がリガンド候補16と接触された場合に形成される結合体の構造であった。表3は、これらの構造についての選択された結晶学的データを要約する。
【0232】
【表3】
Figure 2004537594
【0233】
特に、両方のエクステンダーのアスパラギン酸部分は、公知のテトラペプチド基質中で、アスパルチル残基と重なった。リガンド候補15の結合決定基に関して、サリチレートスルホンアミドは、4つの水素結合を含むタンパク質と多くの接触をなす。サリチレート部分は、カスパーゼ−3中のアスパラギン酸を優先的に認識する酵素のP4ポケットを占める。リガンド候補16の結合決定基に関して、スルホンは、いくらかの、サリチレートと同じ接触をなす。
【0234】
エクステンダーおよびリガンド候補からの結合決定基が、カスパーゼ−3の活性部位と生産的な接触をなしていると仮定して、ジスルフィドがより安定な連結で置換された化合物を設計した。さらに、結合決定基のSARを探査するために誘導体を作製した。エクステンダー13およびリガンド候補15を含む結合体に関して、標的−エクステンダーリガンド結合体は、以下を含む:
【0235】
【化138】
Figure 2004537594
【0236】
この結合体から、あるクラスの強力なカスパーゼ−3インヒビターは、以下の部分を含んで、作製された:
【0237】
【化139】
Figure 2004537594
【0238】
最適化およびSARの両方のための結合体に基づいて作製された化合物の4つの例示的な例を、表4に開示する。
【0239】
【表4】
Figure 2004537594
【0240】
示され得るように、2つの硫黄原子が2つのメチレン単位で置き換えられ、そしてアリールアシルオキシメチルケトン(第1官能基)が単純なアルデヒドに置き換えられて、化合物18(2.8μMのKを有するカスパーゼ−3の強力なインヒビター)を生じる保存的なアプローチを行った。化合物19を得るためのヒドロキシル基の除去は、5の因子で親和性を減少させ、これは、SARがテザースクリーンにおいて観察されたことを確認する。化合物20を得るためのヒドロキシル基および酸部分両方の除去は、結合親和性をまったく除去した。モデリング研究は、メチレンリンカーを剛性なアミノベンジル部分に置き換えることは、アスパルチル基とサリチレートとの間の距離を効率的に架橋し、一方で、リンカーのエントロピーのコストを減少させることを示唆した。実際に、示され得るように、化合物21は、化合物18より10倍を越えてより良いKを有する。
【0241】
同様に、新規なクラスのカスパーゼ−3インヒビターは、エクステンダー14およびリガンド候補16を含む標的−エクステンダーリガンド結合体、
【0242】
【化140】
Figure 2004537594
【0243】
から得られた。
【0244】
1つの実施形態において、化合物は、以下の部分
【0245】
【化141】
Figure 2004537594
【0246】
を含む。
【0247】
別の実施形態において、化合物は、以下の構造:
【0248】
【化142】
Figure 2004537594
【0249】
の化合物であり、ここで、Yは、CH、S、SO、SOであり、R12は、非置換アリールまたは置換アリールである。別の実施形態において、R12は、非置換ヘテロアリールまたは置換ヘテロアリールである。このクラスの化合物の例示的な例は、0.33μMのKを有する化合物22である。
【0250】
本発明のサリチレートスルホンアミド含有化合物は、特に注目すべきである。適切なP4結合フラグメントとしてのサリチレートスルホンアミドの同定は、従来の医薬品化学を使用して、生じなかった。例として化合物21を使用して、化合物21のサリチレートスルホンアミドの無いバージョンは、約28μMのKでカスパーゼ−3を阻害する。このフラグメントへのサリチレートスルホンアミドの付加は、結合を約200倍改善し、そして約0.16μMのKを有する化合物21を生じる。対照的に、開始点として化合物Iのようなカスパーゼ−3のP1−P3部位に結合する公知のトリペプチドを使用する場合、結合親和性は、減少する。
【0251】
【化143】
Figure 2004537594
【0252】
示され得るように、化合物Iは、0.051μMのKを有し、そしてこの化合物に対するサリチレートスルホンアミドの添加は、結合親和性における約300倍の減少を示す化合物IIを生じる。この劇的な減少のため、トリペプチドと結合するP4を探索することは、適切なP4結合フラグメントとして、サリチレートスルホンアミドの同定を生じない。さらに、P4への結合に利用し得るこのフラグメントを有する化合物は、強力なインヒビターである。結果として、この例は、従来の方法を使用して見出され得ない重要なフラグメントを同定するためのテザーのパワーを強調する。カスパーゼ−3の場合に示されるように、これらのフラグメントは、目的の標的の強力なアンタゴニストまたはアゴニストを形成するために一緒に連結され得る。
【0253】
テザーのパワーの別の例示は、タンパク質−タンパク質相互作用の低分子モジュレーター(例えば、インターロイキン−2(「IL−2」)を含む低分子モジュレーター)を同定および/または最適化するためのテザーの使用である。酵素において代表的に見出される十分に規定された結合ポケットとは異なり、タンパク質−タンパク質相互作用は、大きなアモルファス表面積にわたって存在し、そして一般的に、ハイスループットスクリーニングアッセイを行いにくい。
【0254】
IL−2は、活性化Tヘルパーリンパ球の増殖において優勢な役割を有するサイトカインである。有糸分裂的な刺激または抗原提示細胞上の抗原とT細胞レセプターの複合体/MHC複合体の相互作用は、活性化T細胞によるIL−2の合成および分泌を引き起こし、続いて、抗原特異的細胞のクローナル増殖を引き起こす。これらの効果は、オートクライン効果として公知である。さらに、IL−2は、B細胞およびナチュラルキラー(NK)細胞の増殖および活性に対してパラクリン効果を有し得る。これらの結果は、T細胞表面上のIL−2とそのレセプターの相互作用によって開始される。IL−2/IL−2R相互作用の破壊は、免疫機能を抑制し得、これは、多くの臨床的表示(対宿主性移植片病(GVHD)、移植拒絶、および自己免疫障害(例えば、乾癬、ブドウ膜炎、慢性関節リウマチ、および多発性硬化症)を含む)を有する。
【0255】
種々の方法が、3μM(IC50)のリード化合物23
【0256】
【化144】
Figure 2004537594
【0257】
を発見するために使用され、これは、IL−2/IL−2Rα相互作用を阻害する。さらなる最適化のための従来の方法は、失敗した。結果として、テザーを使用した。化合物23の誘導体に結合したIL−2のX線構造は、さらなる親和性を提供し得る潜在的な疎水性ポケットを明らかにし、テザー実験は、IL−2、Y31CおよびL72Cの2つのシステインの変異(これらは、この部位を探索するためになされた)を使用して実行された。
【0258】
これらのテザー化(tethering)実験により、以下を含む隣接疎水性ポケットに結合するいくつかのフラグメントを同定した:
【0259】
【化145】
Figure 2004537594
【0260】
次いで、これらの同定した結合決定基を、化合物23に結合して、改善された結合親和性を有する化合物を得た。最良の化合物は、化合物24であり、この化合物24の構造を以下に示す:
【0261】
【化146】
Figure 2004537594
【0262】
この化合物24は、IL−2/IL−2Rα相互作用を阻害し、65nMのIC50を有し、化合物23の45倍以上の改善を有した。この例は、テザー化をどのように使用して、従来的にハイスループットスクリーニングしにくい標的に対して化合物を同定/最適化し得るかを強調する
図2において見られ得るように、標的に結合した化合物は、質量分析法(「MS」)によって容易に検出および同定され得る。MSは、質量 対 電荷比(m/z)に基づいて分子を検出し、そしてそのサイズに基づいて分子を分離し得る(Yates,Trends Genet.16:5−8[2000]で総説される)。標的−化合物結合体は、MSにおいて直接的に検出され得るか、またはこの標的−化合物結合体は、検出の前にフラグメント化され得る。あるいは、この化合物は、質量分析計内で遊離し、続いて同定され得る。さらに、MSは、単独でか、または標的に共有結合した化合物を検出または同定するための他の手段と組み合わせて、使用され得る。質量分析法技術のさらなる説明としては、FitzgeraldおよびSiuzdak,Chemistry & Biology 3:707−715[1996];Chuら,J.Am.Chem.Soc.118:7827−7835[1996];Siudzak,Proc,Natl.Acad.Sci.USA 91:11290−11297[1994];Burlingameら,Anal.Chem.68:599R−651R[1996];Wuら,Chemistry & Biology 4:653−657[1997];およびLooら,Am.Reports Med.Chem.31:319−325[1996]が挙げられる。
【0263】
あるいは、この標的−化合物結合体は、他の手段を使用して同定され得る。例えば、当業者は、種々のクロマトグラフィー技術(例えば、液体クロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィーなど)を使用して、反応混合物の成分を分離し、共有結合した分子を同定する能力を増大し得る。このようなクロマトグラフィー技術は、質量分析法と組み合わせて用いられ得るか、または質量分析法とは別個であり得る。当業者はまた、標識プローブ(蛍光標識、放射性標識または他の標識)を遊離化合物に結合して、上記の技術のいずれかを使用する同定を容易にし得る。さらに別の実施形態において、新たな結合の形成により、標識プローブが遊離し、これが続いてモニタリングされ得る。簡単な機能アッセイ(例えば、ELISAまたは酵素的アッセイ)もまた、このアッセイが測定するのに必須の領域で結合が生じる場合に結合を検出するために、使用され得る。標的分子に結合した有機化合物を同定するための用途を見出し得る他の技術としては、核磁気共鳴(NMR)、表面プラズモン共鳴(例えば、BIACORE)、キャピラリー電気泳動、X線結晶学などが挙げられ、これら全ては、当業者に周知である。
【0264】
本明細書中で記載される方法は、薬物リードを生成し、そして互いに接近した部位で、標的に弱く結合するか、または中程度の結合親和性で結合する1つ以上のフラグメントの同定、および互いに共有結合した同定されたフラグメント(モノフォア(monophore))を含むジアフォア(diaphore)またはより大きい分子の合成を可能にして、より高い親和性の化合物を生成するための、強力な技術を提供する。これらのモノフォア、ジアフォアまたは類似のさらなるリガンド化合物を含む多量体化合物は、合理的な薬物設計における価値のある手段であり、これらは、医薬品化学アプローチおよび構造援助設計を使用して、さらに改変および最適化され得る。
【0265】
明らかに、本発明に従って同定されるモノフォアまたはマルチフォア、ならびにこれらから改変された薬物リードおよびこれらから設計される薬物は、例えば、インビトロおよびインビボの種々の生物学的プロセス(これは2分子の部位特異的相互作用を必要とするかまたはこれに依存する)を調節するために、使用され得る。ポリヌクレオチドに結合部する分子は、例えば、活性化に必要な因子の標的遺伝子へのアクセスをブロックすることによって遺伝子活性化を阻害または防止するため、あるいは二重鎖DNAを安定化するかまたは転写機構を妨害することによって転写を抑制するために、使用され得る。
【0266】
(等価物)
以下の代表的な実施例は、本発明の例示を助けることを意図し、本発明の範囲を制限することを意図することもないし、これらの実施例が本発明の範囲を制限すると解釈されるべきでもない。実際に、本発明の種々の改変およびその多くのさらなる実施形態が、本明細書中に示されそして記載される実施形態に加えて、本明細書の全内容(以下の実施例を含む)ならびに本明細書中で引用される科学文献および特許文献に対する参照から当業者に明らかになる。これらの引用された参考文献の内容は、当該分野の状態の例示を助けるために、本明細書中で参考として援用されることがさらに理解されるべきである。
【0267】
以下の実施例は、重要なさらなる情報、例示および指針を含み、これらは、種々の実施形態およびその等価物での本発明の実施に適合され得る。
【0268】
(例示)
本発明の化合物およびそれらの調製は、これらの化合物が調製または使用されるプロセスのいくつかを例示する実施例によってさらに理解され得る。しかし、これらの実施例は、本発明を限定しないことが理解される。現在公知かまたはさらに開発された本発明の改変物は、本明細書中で記載され、上記で特許請求されるような本発明の範囲内に含まれると解釈される。
【0269】
(1)合成ストラテジーの概要)
上記で一般的に記載されるように、例示的な化合物および化合物のライグラフィーを、適切なアミン、カルボン酸、スルホニルクロリドなどの構築ブロックを適切なリンカーを用いてカップリングすることによって、合成する。例示的なリンカー、ならびに例示的化合物および化合物のライブラリーの合成は、以下でさらに詳細に記載される。
【0270】
(A.例示的なリンカーの合成)
(1.アミンリンカー)
【0271】
【化147】
Figure 2004537594
【0272】
シスタミンジヒドロクロリド(100g、444mmol)に、5NのNaOH(400mL)を添加し、そしてこの懸濁液を、透明な溶液が生成するまで撹拌した。この溶液を、DCM(6×200mL)で抽出し、そして合わせたDCM層を乾燥し(NaSO)、濾過し、そして濃縮して、64.5gの所望の遊離塩基を得た(95%)。
【0273】
この遊離塩基(422mmol)のTHF(285mL)溶液に、ジ−t−ブチルジカルボネート(0.5当量、212mmol)のTHF(212mL)溶液を滴下した。この反応物を、一晩撹拌し、次いで、油状物になるまで濃縮し、1MのNaHSO(500mL)に溶解し、そして酢酸エチルで洗浄した。水層を氷浴中で冷却し、5MのNaOH(200mL)で処理し、そして得られた溶液を、直ちにDCMで洗浄した。このDCM層を合わせ、乾燥し(NaSO)、濾過し、そして濃縮して、11.4gの所望のモノ−Bocシスタミンを得た(21%)。
【0274】
(2.カルボキシレートリンカー)
【0275】
【化148】
Figure 2004537594
【0276】
tert−ブチルN−(2−メルカプトエチル)カルバメート(10g、56mmol)のDMSO(20mL)溶液に、3−メルカプトプロピオン酸(6g、57mmol)を添加し、そしてこの溶液を、70℃で48時間加熱した。この溶液を冷却し、そして得られた鑞状の固体を、クロロホルム(200mL)に溶解し、そして5%のNaHCO水溶液(4×50mL)で洗浄した。水層を合わせ、1NのHClを用いて慎重にリトマス紙で酸性化し、そしてCHCl(4×50mL)で洗浄した。有機層を合わせ、ブラインで洗浄し、乾燥し(NaSO)、濃縮し、次いで、シリカゲル(9/1 DCM/MeOH)で精製して、1.8gの無色の油状物を得た(12%)。
【0277】
(3.アルコキシアミンリンカーの合成)
【0278】
【化149】
Figure 2004537594
【0279】
1当量のB−メルカプトエタノールをAcOHに溶解する。1当量のトリチルアルコールを添加し、そして溶解するまで加熱する。1当量のBFETOを添加する。10分後、この反応をHOでクエンチする。減圧下で濃縮する。ジクロロメタンで希釈し、そして3NのNaOHで3回洗浄し、ブラインで洗浄し、そして硫酸ナトリウムで乾燥する。ロータリーエバポレーターにかけ、そしてEtOAc/ヘキサンから再結晶する。
【0280】
【化150】
Figure 2004537594
【0281】
下で、2当量のPPhおよび2当量のN−ヒドロキシフタルアミドを合わせ、そしてTHFに溶解する。氷/NaCl/イソプロパノール上で、−10℃まで冷却する。2当量のジエチルアゾジカルボキシレートを、シリンジで、1分間かけて添加する。溶液は、暗色に変わる。1分待つ。トリチル保護したB−メルカプトエタノールを、THF溶液として添加する。次いで、2時間反応させ、室温までゆっくりと加温する。溶媒を除去する。最小量のEtOAcに溶解する。濾過によって、pptを除去する。溶媒を除去する。そしてクロマトグラフィー(勾配:7:1から次いで3:1に下がるヘキサン/酢酸エチル)にかける。
【0282】
【化151】
Figure 2004537594
【0283】
フタルイミドをTHFに溶解する。過剰のヒドラジン(無水、THF中)を添加する。pptが、15分以内に形成する。さらに30〜40分間撹拌する。2倍容量の7:1のヘキサン:EtOAcを添加する。ガラスウールを通して濾過する。ロータリーエバポレーターにかける。最小量の酢酸エチルに溶解する。7:1を添加し、そして再び濾過する。溶媒を除去し、そして減圧下で乾燥させる。
【0284】
【化152】
Figure 2004537594
【0285】
下で、アルコキシアミンをTHFに溶解する。1.5当量のピリジンをシリンジで添加する。クロロギ酸9−フルオレニルメチルのTHF溶液を添加する。添加の間、pptを還流する。20分間撹拌する。エーテル(THF総容量の2倍)を添加する。10%のクエン酸で2回洗浄する。ブラインで1回洗浄する。硫酸ナトリウムで乾燥し、次いで、溶媒を除去し、そして減圧下で乾燥させる。
【0286】
【化153】
Figure 2004537594
【0287】
トリチルチオールをDCMに溶解する。トリエチルシランを添加し、次いで、TFAを添加し、そしてTLCでモニタリングする。溶媒を完全に除去し、次いで、DCMと共に3回同時エバポレートする。
【0288】
【化154】
Figure 2004537594
【0289】
チオールをDCMに溶解する。1当量の活性化ジスルフィドを添加する。30分間撹拌する。TLC(1:1のヘキサン:EtOAc)。クロマトグラフィー(4:1→2:1→1:1)。
【0290】
【化155】
Figure 2004537594
【0291】
Fmoc保護アルコキシアミンをTHFに溶解する。ピペリジン(100μlで40mg)を添加する。5〜15分間撹拌する。溶媒を除去し、次いで、ヘキサンで粉砕し、副生成物のフルベンを除去する。減圧下で乾燥し、そして生成物を、メタノール中100mMのストックとして貯蔵する。さらに詳細なプロトコールおよびNMRについては、ノート23および41を参照のこと。
【0292】
(4.ブロモアセトアミドリンカーの合成)
【0293】
【化156】
Figure 2004537594
【0294】
1当量のブロモ酢酸を少量のエーテルに溶解する。氷上で冷却する。1当量のクロロギ酸イソブチルおよび1当量のN−メチルモルホリンを添加する。N−メチルモルホリンHCl沈殿物を、フラスコに濾過することによって除去し、0℃まで冷却し、そしてエーテルで洗浄する。1当量のモノ−Boc保護シスタミンを、DCM中1Mの溶液として添加する。TLCにより反応をモニタリングし、完全に溶媒を除去した時点で、2:1のヘキサン/酢酸エチルを用いるクロマトグラフィーにかける。
【0295】
(5.MTSPAの合成)
ナトリウムメタンスルフィネート(工業等級85%)(Aldric 43,306−3、10gで50ドル)
【0296】
【化157】
Figure 2004537594
【0297】
硫黄(粉末)Aldrich41,498−0 50gで26ドル
2gのナトリウムメタンスルフィネート(MW 102,85%の純度に基づいて17mmol)、
0.55g 硫黄 (MW 32、17mmol)(JOC 53 1988 p.401)
ナトリウムメタンスルフィネートおよび硫黄を、60mLのメタノール(試薬等級)中で合わせ、そして加熱還流する。1時間還流すると、硫黄が溶解して、濁った溶液が生じる。室温まで冷却し、Celiteを通して濾過する。メタノールを減圧下で除去し、そして約50mLの熱EtOHから再結晶する。再結晶について、Celiteを通す熱時濾過により除去されるべきいくらかの不溶性物質が残る。第1の画分および第2の画分(可能なら)から約1.4g(60%)を単離する。1H NMR:3.36ppmで1重線(D20)。内部基準を使用して、全ての臭化ナトリウムが除去されたことを確認する。
【0298】
【化158】
Figure 2004537594
【0299】
3−ブロモプロピルアミンヒドロクロリド Aldrich B7,980−3 100gで86ドル
2.8g MTS−Na (MW 134、21mmol)
4.6g ブロモプロピルアミン−HBr (MW 219、21mmol)
試薬を、40mLのEtOH中で合わせ、6時間加熱還流する(これは、おそらく6時間で完了するはずである)。冷却し、濾過して、NaBrを除去し、冷EtOHで洗浄する(注:生成物は、臭化ナトリウムと共に結晶化する可能性がある)。濾液を濃縮し、EtOHから再結晶する。約60%を単離する(最適ではない)。
【0300】
(6.チオプロピルアミンリンカーの合成)
N−Bocアミノエタンチオール Fluka 15303
【0301】
【化159】
Figure 2004537594
【0302】
0.5g MTSPA−HBr (MW 250、2mmol)
0.35g NBocアミノエタンチオール(MW 177、2mmol)
0.4mL DIEA(MW 129、2.2mmol)
50mL DCM
MTSPAを、0.4mLのDIEAを含む40mLのDCMに溶解する(超音波処理によりゆっくりと溶解する。わずかに不溶性の懸濁物は、前の工程からの微量のNaBrであり得る)。N−Bocアミノエタンチオールを10mLのDCMに溶解し、そしてMTSPAの撹拌溶液に5分間かけて滴下する。10分後にTLC(DCM中5%のMeOH(数滴のTEAを含む))でチェックし、単一のスポット(RF 0.3、わずかなUV活性および強いニンヒドリン反応を有する)を確認する。
【0303】
反応物をCeliteを通して濾過して、不溶性物質を除去する。減圧下で溶媒を除去し、残渣を5mLの1M NaHSOに溶解する。10mLのEtOAcで2回洗浄し、次いで、水性部分を氷上で冷却し、そして5MのNaOHを用いてpHを11まで上げる。10mLのDCMで2回抽出し、有機物を10mLのブラインで洗浄し、次いで有機物をNaSOで乾燥する。濃縮し、そして減圧下で乾燥し、収率約85%で無色の油状物を単離する。
【0304】
(B.例示的なクラスの化合物および化合物ライブラリーの合成の一般的な説明)
(1.カルボン酸誘導モノフォア)
【0305】
【化160】
Figure 2004537594
【0306】
酸誘導ジスルフィドライブラリの合成:DMF中のDICを使用して、260μMolの594のカルボン酸を、130μMol当量の4−ヒドロキシ−3−ニトロ−ベンゾフェノン(ポリスチレン担持)と同時にアシル化した。室温で4時間後、この樹脂を、DMF(2×)、DCM(3×)およびTHF(1×)でリンスして、未結合の酸およびDICを除去した。THF中の66μMolのモノ−boc保護シスタミンを用いて、酸をアミド形成によって樹脂から切断した。室温で12時間の反応後、溶媒をエバポレートし、そしてDCM中80%のTFAを使用して、各ジスルフィドの未結合の半分からboc基を除去した。530(89%)酸誘導ジスルフィドが、LCMSにより、Q.C.にパスした。
【0307】
(2.イソシアネート誘導モノフォアおよびチオイソシアネート誘導モノフォア)
【0308】
【化161】
Figure 2004537594
【0309】
10μMolの64のイソシアネートおよび120のイソチオシアネートを、THF中の10.5μMolのモノ−boc保護シスタミンを用いて、同時に結合した。室温で12時間の反応後、溶媒をエバポレートし、そしてDCM中50%のTFAを使用して、各ジスルフィドの未結合の半分から、boc基を除去した。58(91%)のイソシアネート誘導ジスルフィドおよび94(78%)のイソチオシアネート誘導ジスルフィドが、LCMSにより、Q.C.にパスした。
【0310】
(3.スルホニルクロリド誘導モノフォア)
【0311】
【化162】
Figure 2004537594
【0312】
10μMolの66のスルホニルクロリドを、15mgのポリ(4−ビニルクロリド)の存在下で、THF(2%ジイソプロピルエチルアミン)中の10.5μMolのモノ−boc保護シスタミンと結合した。48時間後、このポリ(4−ビニルクロリド)を、濾過により除去し、そして溶媒をエバポレートした。DCM中50%のTFAを使用して、各ジスルフィドの未結合の半分から、boc基を除去した。60(91%)のスルホニルクロリド誘導ジスルフィドは、LCMSにより、Q.C.にパスした。
【0313】
(4.アルデヒド誘導モノフォアおよびケトン誘導モノフォア)
【0314】
【化163】
Figure 2004537594
【0315】
ケトン誘導ジスルフィドライブラリおよびアルデヒド誘導ジスルフィドライブラリの合成:10μMolの259のアルデヒドおよび225のケトンを、同時に、室温で12時間、1:1のメタノール:クロロホルム(2% AcOH)中の10.5μMolのHO(CHSS(CHONHと結合し、オキシム生成物を得た。259(100%)のアルデヒドジスルフィドおよび189(84%)のケトン誘導ジスルフィドが、LCMSによって、Q.C.にパスした。
【0316】
(5.フェノール誘導モノフォア)
【0317】
【化164】
Figure 2004537594
【0318】
フェノール誘導ライブラリの合成:それぞれ10μmolの206のフェノールを、0.5mLのDMFに溶解した。CsCOの0.8Mの水溶液(12.5μL)を添加し、次いで、12.5μlのDMF中の10μmolのブロモアセトアミドリンカーの溶液を添加した。反応物を密閉し、40℃で15時間加熱した。反応物を2mLのDCMで希釈し、1mLの1M NaOHで洗浄し、ブラインで洗浄し、そして硫酸ナトリウムで乾燥することにより、生成物を単離した。Boc保護基を、エーテル中2MのHClを添加することによって除去し、そして溶媒をエバポレートした後に、アミンのHCl塩を得た。
【0319】
(6.メチルチオスルホネートアナログ(MTS)の合成)
【0320】
【化165】
Figure 2004537594
【0321】
メチルチオスルホネートエチルアミン(0.25mmol、59mg)(上記のMTSPAと同じ方法で合成するか、またはToronto Research Chemicalsから購入した)を、2当量のジイソプロピルエチルアミンを含む4mLのジクロロメタンに溶解する。別個のバイアル中で、0.25mmolのカルボン酸、0.3mmolのEDCおよび0.3mmolのHOBtを合わせる。DCM中のMTSEAおよびDIEAの溶液を、カルボン酸とEDCとHOBtとの混合物に添加し、そして撹拌する。HPLCによりモニタリングし、このカップリング反応は、代表的には、2時間以内に完了する。最初に有機溶液を水で洗浄し、次いで1MのNaHSO水溶液で洗浄し、続いてブラインで洗浄して、生成物を単離する。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、そしてロータリーエバポレーションによって溶媒を除去する。生成物を、逆相分取用HPLCによってさらに精製し得る。
【0322】
(C.構築ブロックの多様性の生成)
上記のように、種々の構築ブロックを使用して、本発明のテザー化試薬を生成し得る。例えば、多数の市販の二官能性アミノ酸(以下で直接示される)は、本発明における用途に利用可能である。さらに、本発明で使用される構築ブロックは、これらの特定の試薬に限定されないことが理解される。しかし、これらの市販の試薬は、後に「カスタマイズ」試薬を生成するために改変され得る。
【0323】
【化166】
Figure 2004537594
【0324】
種々の本発明のテザー化試薬および試薬のライブラリが、市販の構築ブロックを使用して調製され得るが、これらの構築ブロックを「カスタマイズ」すること、あるいはさらなる「カスタマイズ」テザー化試薬の開発のための構築ブロックを開発することもまた可能である。
【0325】
多様性の可能性のただ一つの例として、テザーまたは「ナブ(nub)」の組み込みの前の1つの追加の合成工程の追加(「1+ナブ」)でさえ、さらに単純な出発物質からアクセス可能な新たな化合物の数を劇的に増加する。多様な要素が最後から2番目の工程に組み込まれる限り、なお多工程の合成が考慮され得る。L−プロリンから始まるこのような「1−ナブ」、「2+4ナブ」などの合成例を、以下に直接示されるような一実施形態において例示する。
【0326】
【化167】
Figure 2004537594
【0327】
上記の制限されたアミノ酸の例は、さらに改変されて(例えば、本明細書中でより詳細に記載されるような、C側改変またはN側改変)、本明細書中で記載されるテザー化試薬およびライブラリにおいてさらなる多様性を生成することが理解される。特定の実施形態における制限されたアミノ酸が、生物学的に活性な分子における先行および理論的考慮(わずかな回転自由度、抵抗疎水性崩壊、位置異性体および立体化学異性体は、構造的空間の異なる領域をサンプリングし得るなど)のために利用される。制限されたアミノ酸のN側改変およびC側改変の一般図式を、以下に直接例示する:
【0328】
【化168】
Figure 2004537594
【0329】
例示的な制限されたアミノ酸のブロックとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:
【0330】
【化169】
Figure 2004537594
【0331】
二官能性構築ブロックはまた、有利であると考えられた。なぜなら、さらなる改変点は、以下のことを可能にし得るからである:1)さらなる位置異性体の合成、2)モノフォアヒットのコンビナトリアルエラボレーション/精製、および3)他のホモフォアヒットとの組換えのための可能な部位。後者の点は、テザー化に伴う特定の有用性を有し得る。なぜなら、異なるCys変異体から得られるヒットは、定義によれば、不適切に配向された組換えナブを有するからである。わずかな制限された三官能性構築ブロックしか市販されていない。試薬の、trans−ヒドロキシプロリン、ならびにR−ピペラジン−2−カルボン酸およびS−ピペラジン−2−カルボン酸が、入手可能であり、このリストは、以下の図で例示されるように、制限されていないアミノ酸、D−2,3−ジアミノプロピオン酸(DAP)およびL−2,3−ジアミノプロピオン酸(DAP)、Asn、GlnならびにTyrで補足された。
【0332】
【化170】
Figure 2004537594
【0333】
(1.N側改変)
(「N側」改変のための試薬の選択)
制限されたアミノ酸のN末端側およびC末端側の両方を、多様性要素の組み込みのために用い得る。約200のイソシアネートおよび100のスルホニルクロリドが、適量で市販されており、そしてこれらのセットを、簡単な検査により容易に試験して、試薬を選択し得る。250よりわずかに多いカルボン酸を選択した。
【0334】
(例示的なコア骨格)
多くの制限されたアミノ酸骨格を、以下に例示されるスキームを使用して、ライブラリをテザー化するための一般的な中間体に変換した。これらのほとんどを、25mmol量で調製し、これは250個全ての計画したN側改変に十分である。
【0335】
(骨格合成スキーム)
【0336】
【化171】
Figure 2004537594
【0337】
(第1の1+ナブライブラリーのために合成された骨格)
ライブラリ合成に十分な量で調製された例示的なコア骨格の例を以下に示す。ほとんどの場合、これらの生成物を、ライブラリ合成の前に、フラッシュクロマトグラフィーによって、均質になるまで精製した。
【0338】
【化172】
Figure 2004537594
【0339】
(ライブラリー調製:合成プロトコル)
各骨格を調製するときに、この骨格を構築ブロックのセットと同じ様式で改変する。このプロセスにおいて顕著な効率が得られる。なぜならば、骨格の第1のセットのために開発されたSOPが、改変なしに続く実験において使用され得るからである。このTecanを異なる立体配置でプログラムして、その後、十分なアレンジメントを見出した。この方法は、1度に、66のN側多様性要素およびデッキ上の2つのコア骨格に順応する。出発物質によって占められておらずかつ一般的な試薬が添加される唯一の点であるクアドラント(quadrant)が存在する。
【0340】
全てのコア骨格を、N側多様性のインプットで改変して、5,000の新規モノフォア(monophore)をこえるウェルを調製した。反応物を、8:1DCM/DMF中でEDC/HOBt化学を使用して実施した。
【0341】
(ライブラリ調製:)
Tecanロボットワークステーション上の半自動化に適した効率的な液−液抽出手順を、考案した。1+Nub化学に特化したプログラムを開発し、そしてこれを以下に図示する。この方法において、(8/1 DCM/DMF中で)粗反応生成物を、1mLの0.25M HCl水溶液をもって処理する。次いで、このバイアルを、ボルテックスシェイカー上で強く攪拌して、この水層および有機層を完全に混合する。
【0342】
このバイアルを静置し、次いで、この有機層(下層)を新しいバイアルに移す。次いで、この溶液を、飽和炭酸水素ナトリウム溶液で処理し、そして、この攪拌手順を繰り返す。次いで、24ウェルディープフィルタープレートに、無水MgSOをつめ、24の空の重量を計った、バーコード付与したバイアルのラックにおく。この最終的な有機層を、フィルタープレートに分配して、この空の重量を計ったバイアルに滴下する。1mLのDCM洗浄剤を、フィルタープレートに加え、そして、合わせた濾液を、乾燥するまでエバポレートして、この半自動化ワークアップを完了する。シスタミンリンカー上のBoc保護を、HCl/ジオキサンで取り除き、そして、このバイアルを再度乾燥して、濃縮した。全てのライブラリーメンバーを、LCMSによって特徴付け;いくつかの場合において、約10%のライブラリーをまた、H NMRによって分析する。疎水性モノフォア(monophores)によって、この方法は、殆どの試薬および不十分な生成物を取り除き、所望の生成物の十分な回収を可能にする。疎水性モノフォアおよびイオン化官能基を有するモノフォアは、抽出過程において取り出されるような、HPLC精製を必要し得る。ともかく、液−液抽出方法は、調製される化合物の殆どについて適切である。
【0343】
(2.「C側(C−Side)」ライブラリー)
(「C側」改変)
C側改変は、立体配置的に制限された(カルボン酸を有さない)コア骨格を伴うアミンの高度の多様化したセットの縮合からなる(以下を参照)。選択されたアミンは、このアミンが提示する多様な官能性に基づいて選択された293のインプットを含む。
【0344】
【化173】
Figure 2004537594
【0345】
(骨格合成)
保護基化学の非存在におけるC側コア骨格の合成を可能にし、3もの合成工程を取り除く手順を考案した。以下のスキームに示されるように、このカルボン酸テザーリンカーを、Vilsmeier試薬を使用して塩化アシルに転換し、次いで、DCM/TEAにおける過剰なアミノ酸の氷冷懸濁物に添加した。殆どの制限されたアミノ酸について、この手順は有効である。
【0346】
【化174】
Figure 2004537594
【0347】
C側ライブラリーについて調製されたコア骨格を以下の図に示す:
【0348】
【化175】
Figure 2004537594
【0349】
【化176】
Figure 2004537594
【0350】

【0351】
(例示的なアミン反応)
発明者らが上記の骨格と縮合させようとした多くのアミンは、従来の活性化試薬を使用してそのアミンをコア骨格に単に結合した場合には、遊離ヒドロキシル、カルボキシレートおよび所望しない副産物を与え得る官能性を含む。あるいは、実施した活性化エステルはしばしば、所望のアミンと優先的に反応し得、次いで、副産物形成を最小化する。まず、ペンタフルオロフェニル(pFp)エステルを試みた。なぜならば、ペンタフルオロフェニル(pFp)エステルはしばしば、事実上反応性である結晶性固体として単離されるからである。モデル反応において、代表的な−OpFpエステルを使用して、アミンのクロスセクション(cross−section)をアシル化した。生成物が見出されたが、多くの反応は(24時間後であっても)未完了であった。ピリジン、DMAPなどの添加によって、収量に対して僅かな影響のみを与えた。あるいは、Vilsmeier試薬で酸を活性化した後に、同じアミンセットで処理することによって、殆どの場合における生成物の良好な変換が導かれた。全てのアミンは、以下の図で見られるように、指示したアミンを除いた生成物に容易に変換した。全てのC側ライブラリーを、Vilsmeier化学を使用して調製した。
【0352】
【化177】
Figure 2004537594
【0353】
(3.他の多様化した骨格:)
上記のように、本発明のテザー化試薬(tethering reagents)のためにさらに多様化させた構築ブロックを使用することが可能である。例えば、頻繁に現れかつ治療領域のクロスセクションにおいて十分に表現されるモチーフは、1または2の複素原子を含む複素環式化合物(例えば、ピリジン、チアゾール、オキサゾール、ピリミジンなど)である。別の遍在性のモチーフは、第4級アミンである。これらの目的のフラグメントについての例示的な合成を、以下で詳細に記載する。
【0354】
(複素環の合成)
可能な限り多くの、単純なバリーションが1つより多くのクラスの構築ブロックを生じ得るほど柔軟である化学的性質を選択する。カルボン酸は、複素環式化合物の合成のための一般的なシントン(synthon)であり、そして、これをこの官能基の単純な誘導体を求電子体とあわせ、複素環式化合物を生成し得る。これを、以下に図示する:
【0355】
【化178】
Figure 2004537594
【0356】

【0357】
これらの複素環を、他の多様化した要素を用いるその後の誘導体化のための構築ブロックとして調製する。あるいは、上記の化学を使用して、以下および本明細書中に例示されるように各複素環の僅かなバリエーションを多数作製し得る。
【0358】
(チアゾールの合成)
改変されたHantzsch手順を、いくつかのチアゾール合成において使用した。このチアゾールを、MDDRにおけるこのモチーフの外観の最も一般的な形態に基づいて殆どを設計した。適切なアミノ酸を、2工程でチオアミドに変換し、その後、適切なブロモケトンを使用してシクロアデニル化を行った:
【0359】
【化179】
Figure 2004537594
【0360】
立体配置的な制限のクロスセクションを含むいくつかのチアゾールアミノ酸誘導体を調製し(以下を参照)、そして、これらを使用して作業実施例において記載されるようにライブラリーを調製した。
【0361】
【化180】
Figure 2004537594
【0362】
(ピリドンおよびピロリドンの合成)
アザ環状化(aza−annulation)化学を使用するとき、十分な収量で2つのピペリドンおよびピロリドンを合成するために、一般的な中間体を使用した(以下を参照)。この化学は、これらのモチーフの二環式アナログの合成を可能にするのに、十分に可撓性であり、これらのうちのいくつかは、β−ターン模倣物であると認識される。この化学の最適化の間に、いくつかの保護基操作(エステル加水分解)によって、テザーリンカーのジスルフィドに由来する有意な副産物の形成を生じることが見出された。最適化された経路は、O−アリル保護を使用し、Pd(PPhを使用してこのジスルフィドの存在下で効率的に脱保護され得た。これらを使用して、「C側」ライブラリーを上述のように調製した。
【0363】
【化181】
Figure 2004537594
【0364】
(置換ピペラジン)
ピペラジンは、CMCおよびMDDRにおいて最も一般的なモチーフであり、そして、いくつかのN側Nub+1ライブラリーは、ピペラジン骨格から既に調製されている。3つのピペラジンモチーフ(およびそれらの位置異性体)の調製において使用され得る共通の中間体を以下に示す。これらとしては、最終的に塩基性アミン(Boc保護)、三級アミン(N−メチル)およびアミン(N−アセチル)を示す形態が挙げられる。これらの3つのモチーフは、このコア骨格に対する誘導体化の最も通常の形態のフラグメントを代表する。これらの各々は、示されるBoc/Fmoc中間体から作製され得る。多くの実験の後に、本発明者らは、この中間体の調製のための効率的な2工程手順を考案し、そして50gより多くが、現在手元にある。各ピペラジンモチーフは、系統的に調製され、そして「Go To」アミンセットを使用して誘導体化される。
【0365】
【化182】
Figure 2004537594
【0366】
(オキサゾール)
オキサゾールもまた、通常のモチーフである。種々のオキサゾールを、立体配座的に制限されたアミノ酸およびセリンから、以下に示される経路を使用して調製した。
【0367】
【化183】
Figure 2004537594
【0368】
以下の骨格を合成した:
【0369】
【化184】
Figure 2004537594
【0370】
これらの中間体を、「C側」1+Nub化学に関して先に記載された経路と類似の経路を使用して、テザーモノフォア(monophore)に転換した。
【0371】
(骨格置換(permutation))
上記実施例は、モノフォア合成のための中間体として使用され得る、独特のまたは通常でない構築ブロックを作製する工程を包含した。以下の実施例は、化学型(chemotype)の独特の改変体を導く化学を説明する。
【0372】
(三級アミンの調製)
固相合成経路を、三級アミンの調製に適合した。簡単にいえば、システアミンリンカーのBAL樹脂への固定が、多数の異なる合成のための共通の中間体を提供する。この実施例においては、樹脂に結合したテザーリンカーをアミノ酸でアシル化し、次いで、このアミノ酸を脱保護し、次いで適切なアルデヒドでアルキル化して、所望の三級アミンを調製する。アリール化もまた、確立された方法を使用して可能である。三級アミン合成のための手順を、以下に概略的に示す:
【0373】
【化185】
Figure 2004537594
【0374】
(アミノチアゾールの調製)
アミノチアゾールは、調製中であり、そしてこれらの合成は、三級アミン合成について使用したものと同じ樹脂結合リンカー中間体を利用する。約400種のこれらの化合物が調製されており、そしてこれらは、HPLCで精製中であり、その後、モノフォア収集物に放出する。
【0375】
【化186】
Figure 2004537594
【0376】
(D.例示的なライブラリー合成)
(実施例1) ライブラリー000004は、シスタミン誘導体化テザーリンカーに接続された484個のペプチド模倣化合物からなる。このライブラリーは、立体配座的に制限された4つのアミノ酸「骨格」からなり、これらの骨格を、121種の異なるカルボン酸でアシル化した。このライブラリーに対する一般式は、以下の通りである:
【0377】
【化187】
Figure 2004537594
【0378】
ここで、R’は、本明細書中に一般的に記載されるような、RおよびRについてと同様に定義される。
【0379】
(実施例2:) ライブラリー000005は、シスタミン誘導テザーリンカーに連結された453のペプチド模倣性化合物からなる。このライブラリーは、121の異なるカルボン酸でアシル化された、立体配座的に制限された4つのアミノ酸「骨格」からなる。このライブラリーについての一般式は以下の通りである:
【0380】
【化188】
Figure 2004537594
【0381】
ここで、R’は、本明細書中に一般に記載されるように、RおよびRとして定義される。
【0382】
(実施例3) ライブラリー000006は、シスタミン誘導テザーリンカーに連結された453のペプチド模倣性化合物からなる。このライブラリーは、121の異なるカルボン酸でアシル化された、立体配座的に制限された4つのアミノ酸「骨格」からなる。このライブラリーについての一般式は以下の通りである:
【0383】
【化189】
Figure 2004537594
【0384】
ここで、R’は、本明細書中に一般に記載されるように、RおよびRとして定義される。
【0385】
(実施例4:) ライブラリー000007は、シスタミン誘導テザーリンカーに連結された681のペプチド模倣性化合物からなる。このライブラリーは、121の異なるカルボン酸でアシル化された、立体配座的に制限された6つのアミノ酸「骨格」からなる。このライブラリーについての一般式は以下の通りである:
【0386】
【化190】
Figure 2004537594
【0387】
ここで、R’は、本明細書中に一般に記載されるように、RおよびRとして定義される。
【0388】
(実施例5:) ライブラリー000014を、立体配座的に制限された4つのアミノ酸「骨格」から調製し、293の多様な一級アミンおよび二級アミンをアシル化するために使用した(1172反応)。QCに失敗した化合物を除去した後、690の化合物を遊離させた。このライブラリーについての一般式は以下の通りである:
【0389】
【化191】
Figure 2004537594
【0390】
(実施例6:) ライブラリー000017を、立体配座的に制限された10のアミノ酸「骨格」から調製し、220の多様な一級アミンおよび二級アミンをアシル化するために使用した(約2200反応)。QCに失敗した化合物を除去した後、833の化合物を遊離させた。このライブラリーについての一般式は以下の通りである:
【0391】
【化192】
Figure 2004537594
【0392】
(実施例7): ライブラリー000018を、立体配座的に制限された9つのアミノ酸「骨格」から調製した。この骨格を用いて、220の多様な1級アミンおよび2級アミンをアシル化した(約2000の反応物)。QCに合格しなかった化合物の除去後、811個の化合物を、遊離させた。このライブラリーについての一般式は以下の通りである:
【0393】
【化193】
Figure 2004537594
【0394】
(実施例8): ライブラリー000016を、5つのチアゾールコア骨格から調製した。これらの骨格を用いて、220の多様な1級アミンおよび2級アミンをアシル化した(1100の反応物)。これらのうち750がQCに合格し、そしてスクリーニングコレクションに付け加えられた。
【0395】
【化194】
Figure 2004537594
【0396】
(E.同定):
このリガンドをTBMにテザー化した後、標的に結合したリガンドは、質量分析法(MS)によって容易に検出および同定され得る。MSは、質量対電荷の比(m/z)に基づいて分子を検出し、従って、その大きさに基づいて分子を分解し得る(Yates,Trends Genet.16:5−8[2000]において概説される)。質量分析計は最初に、分子を気相イオンへと転換し、次いで個々のイオンを、m/z比に基づいて分離し、そして最終的に検出する。質量分析計の必須部分である質量分析器は、物理的特性(例えば、電界もしくは磁界、または飛行時間[TOF])を用いて、特定のm/z値のイオンを分離し、次いでこのイオンは、イオン検出器に衝突する。
【0397】
質量分析計は、データを迅速に作成し得、従って、ハイスループット分析の大きな可能性を有する。MSは、薬物発見のために用いられ得る、非常に汎用性のツールを提供する。質量分析法は、単独で、または標的に結合した有機化合物リガンドの他の検出手段もしくは同定手段と組合わせて用いられ得る。質量分析法を用いた技術は当該分野で周知であり、そして種々の適用のために用いられている(例えば、FitzgeraldおよびSiuzdak,Chemistry & Biology 3:707−715[1996];Chuら,J.Am.Chem.Soc.118:7827−7835[1996];Siudzak,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:11290−11297[1994];Burlingameら,Anal.Chem.68:599R−651R[1996];Wuら,Chemistry & Biology 4:653−657[1997];およびLooら,Am.Reports Med.Chem.31:319−325[1996]を参照のこと)。
【0398】
標的分子に結合した有機化合物を同定するための用途を見出し得る他の技術としては、例えば、核磁気共鳴(NMR)、キャピラリー電気泳動、X線結晶学などが挙げられる。これらは全て、当業者に周知である。
【図面の簡単な説明】
【0399】
【図1】図1は、テザー化方法の1実施形態を模式的に例示する。
【図2A】図2Aは、TSに対するほとんどまたは全くない結合を有する10種の異なるリガンド候補のプールを用いる、TSの反応の、逆重畳した質量分析を示す。
【図2B】図2Bは、10種の異なるリガンド候補のプールを用いる、TSの反応の、逆重畳した質量分析を示し、ここで、これらのリガンド候補のうち1種は、酵素に対する固有の結合親和性を有する。
【図3A】図3Aは、TSが、漸増濃度の還元剤(2−メルカプトエタノール)の存在下で選択されたN−トシルD−プロリン化合物を含む同じライブラリープールと反応される実験のうちの1つを示す。
【図3B】図3Bは、TSが、漸増濃度の還元剤(2−メルカプトエタノール)の存在下で選択されたN−トシルD−プロリン化合物を含む同じライブラリープールと反応される実験のうちの1つを示す。
【図3C】図3Cは、TSが、漸増濃度の還元剤(2−メルカプトエタノール)の存在下で選択されたN−トシルD−プロリン化合物を含む同じライブラリープールと反応される実験のうちの1つを示す。
【図4】図4は、結合決定因子を同定するためにテザーがいかに使用されるかを模式的に示す。
【図5】図5は、2つの別個のテザー実験が、引き続いて一緒に連結されて標的タンパク質に結合する結合体分子を形成する結合決定因子を同定するために使用される方法を模式的に示す。
【図6】図6は、エクステンダー(extender)を使用するテザー化方法の1実施形態を例示する。

Claims (49)

  1. 以下の構造(I):
    Figure 2004537594
    を有する化合物であって、
    ここで、Aは、−S(CHA1または−S(O)A2であり、ここで、pは1〜5であり、RA1は、−NRA3A4;ORA3;SRA3;−NHCORA3;−NHCONRA3A4;−NRA3A4A5+であり、ここで、Xはハロゲン;−COORA3;CONRA3A4;−SOA3;−OPOA3;−SOA3であり;そしてここで、RA2は脂肪族部分、ヘテロ脂肪族部分、アリール部分、またはヘテロアリール部分であり、そしてRA3、RA4、およびRA5の各出現箇所は独立して水素、保護基、または脂肪族部分、ヘテロ脂肪族部分、アリール部分もしくはヘテロアリール部分であり;
    nは0〜5であり;
    Lは、以下の構造:
    Figure 2004537594
    のうちの1つを有する部分であり、
    およびRの各出現箇所は、独立して、水素、脂肪族部分、ヘテロ脂肪族部分、アリール部分、ヘテロアリール部分、−(脂肪族)アリール部分、−(脂肪族)ヘテロアリール部分、−(ヘテロ脂肪族)アリール部分、または−(ヘテロ脂肪族)ヘテロアリール部分であるか、またはここで、RおよびRは、一緒になって脂環式部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分またはヘテロアリール部分であり;
    それによって、上記の脂肪族部分およびヘテロ脂肪族部分の各々が、置換または非置換の、環式または非環式の、直鎖状または分枝状のものであり、そして上記の脂環式部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分またはヘテロアリール部分の各々が、独立して、置換または非置換のものであるが、
    ただし、以下の構造:
    Figure 2004537594
    を有する化合物であって、ここで、RA1が、NRA3A4またはNRA3A4A5であり、ここで、RA3、RA4およびRA5の各出現箇所が、水素または保護基であり、そしてXがハロゲンであり;そしてRが以下:
    Figure 2004537594
    のうちの1つである化合物は除外される、化合物。
  2. 請求項1に記載の化合物であって、ここで、Lが、以下の構造:
    Figure 2004537594
    のうちの1つである、化合物。
  3. 請求項1に記載の化合物であって、ここで、
    Figure 2004537594
    が、以下の構造:
    Figure 2004537594
    のうちの1つを表し、
    ここで、rが1または2であり;tが0、1または2であり;そしてRA2が、アルキル部分、ヘテロアルキル部分、アリール部分、ヘテロアリール部分、(アルキル)アリール部分、−(アルキル)ヘテロアリール部分、−(ヘテロアルキル)アリール部分、または−(ヘテロアルキル)ヘテロアリール部分である、化合物。
  4. 請求項1に記載の化合物であって、ここで、
    Figure 2004537594
    が、以下の構造:
    Figure 2004537594
    のうちの1つを表し、
    ここで、rが1または2であり;そしてRA2が、アルキル部分、ヘテロアルキル部分、アリール部分、ヘテロアリール部分、−(アルキル)アリール部分、(アルキル)ヘテロアリール部分、−(ヘテロアルキル)アリール部分、または−(ヘテロアルキル)ヘテロアリール部分である、化合物。
  5. 請求項4に記載の化合物であって、ここで、RA2が、メチルまたはフェニルである、化合物。
  6. 請求項1に記載の化合物であって、ここで、RもしくはRの一方もしくは両方が、
    Figure 2004537594
    であるか、またはここで、RおよびRが、一緒になって、以下の構造:
    Figure 2004537594
    を有する環状部分を形成し、
    ここで、B−D、D−E、E−G、G−J、Jの2箇所以上の出現箇所、およびJ−Bは、各々独立して、原子価および安定性が許容する場合、単結合または二重結合によって連結されており、ここで、Bが、N、CHまたはCであり、Dが、−NR−、=N−、−O−、−CHR−、または=CR−であり、Eが、−NR−、=N−、−O−、−CHR−、または=CR−であり、Gが、−NR−、=N−、−O−、−CHR−、または=CR−であり、Jの各出現箇所が、独立して、NR−、=N−、−O−、−CHR−、または=CR−であり、
    mが0〜4であり、そしてpが0〜4であり、
    、R、R、R、RおよびRの各出現箇所が、独立して、水素、保護基、−(CRNR、−(CROR、−(CRSR、−(CR(C=O)R、−(CR(C=O)OR;−(CR(C=O)NR、−(CRS(O)、−(CRNR(C=O)R、−(CRNR(C=O)OR、−(CRS(O)NR、−(CRNRS(O)、または脂肪族部分、ヘテロ脂肪族部分、アリール部分、ヘテロアリール部分、−(脂肪族)アリール部分、−(脂肪族)ヘテロアリール部分、−(ヘテロ脂肪族)アリール部分、もしくは−(ヘテロ脂肪族)ヘテロアリール部分であり、
    qが0〜4であり;そして
    、R、RおよびRの各出現箇所が、独立して、水素、保護基、または脂肪族部分、ヘテロ脂肪族部分、アリール部分、ヘテロアリール部分、−(脂肪族)アリール部分、−(脂肪族)ヘテロアリール部分、(ヘテロ脂肪族)アリール部分、もしくは−(ヘテロ脂肪族)ヘテロアリール部分であり;
    それによって、上記の脂肪族部分およびヘテロ脂肪族部分の各々が、置換または非置換の、環式または非環式の、直鎖状または分枝状のものであり、そして上記の脂環式部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分またはヘテロアリール部分の各々が、独立して、置換または非置換のものである、化合物。
  7. 請求項1に記載の化合物であって、ここで、Lが、
    Figure 2004537594
    であり、そしてRが、
    Figure 2004537594
    であり、
    ここで、mが0〜4であり、pが0〜4であり、DがCHRまたはNRであり、GがCHRまたはNRであり、そしてJの各出現箇所が、独立して、CHRまたはNRであり、ここで、R、R、R、R、R、およびRの各出現箇所が、独立して、水素、保護基、−(CRNR、−(CROR、−(CRSR、−(CR(C=O)R、−(CR(C=O)NR、−(CRS(O)、−(CRNR(C=O)R、−(CRS(O)NR、−(CRNRS(O)、または脂肪族部分、ヘテロ脂肪族部分、アリール部分、ヘテロアリール部分、−(脂肪族)アリール部分、−(脂肪族)ヘテロアリール部分、−(ヘテロ脂肪族)アリール部分、もしくは−(ヘテロ脂肪族)ヘテロアリール部分であり、ここで、qが0〜4であり;そしてここで、RおよびRの各出現箇所が、独立して、水素、保護基、または脂肪族部分、ヘテロ脂肪族部分、アリール部分、ヘテロアリール部分、−(脂肪族)アリール部分、−(脂肪族)ヘテロアリール部分、−(ヘテロ脂肪族)アリール部分、もしくは(ヘテロ脂肪族)ヘテロアリール部分であり;
    それによって、上記の脂肪族部分およびヘテロ脂肪族部分の各々が、置換または非置換の、環式または非環式の、直鎖状または分枝状のものであり、そして上記の脂環式部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分またはヘテロアリール部分の各々が、独立して、置換または非置換のものである、化合物。
  8. 請求項1に記載の化合物であって、ここで、Lが、
    Figure 2004537594
    であり、そしてRが、以下の構造:
    Figure 2004537594
    のうちの1つである、化合物。
  9. 請求項1に記載の化合物であって、ここで、Lが、
    Figure 2004537594
    であり、そしてRおよびRの一方もしくは両方が、
    Figure 2004537594
    であるか、またはここで、RおよびRが、Nと一緒になって、以下の環状構造
    Figure 2004537594
    を形成し;
    ここで、N−D、D−E、E−G、G−J、Jの2箇所以上の出現箇所、およびJ−Nが、各々独立して、原子価および安定性が許容する場合、単結合または二重結合によって連結されており、ここで、Dが−NR−、=N−、−O−、−CHR−、または=CR−であり、Eが−NR−、=N−、−O−、−CHR−、または=CR−であり、Gが−NR−、=N−、−O−、−CHR−、または=CR−であり、Jの各出現箇所が、独立して、−NR−、=N−、−O−、−CHR−、または=CR−であり、
    mは0〜4であり、そしてpは0〜4であり、
    、R、R、R、RおよびRの各出現箇所が、独立して、水素、保護基、−(CRNR、−(CROR、−(CRSR、−(CR(C=O)R、−(CR(C=O)OR、−(CR(C=O)NR、−(CRS(O)、−(CRNR(C=O)R、−(CRNR(C=O)OR、−(CRS(O)NR、−(CRNRS(O)、または脂肪族部分、ヘテロ脂肪族部分、アリール部分、ヘテロアリール部分、−(脂肪族)アリール部分、−(脂肪族)ヘテロアリール部分、−(ヘテロ脂肪族)アリール部分、もしくは−(ヘテロ脂肪族)ヘテロアリール部分であり、
    qは0〜4であり;そして
    、R、RおよびRの各出現箇所が、独立して、水素、保護基、または脂肪族部分、ヘテロ脂肪族部分、アリール部分、ヘテロアリール部分、−(脂肪族)アリール部分、−(脂肪族)ヘテロアリール部分、(ヘテロ脂肪族)アリール部分、もしくは−(ヘテロ脂肪族)ヘテロアリール部分であり;
    それによって、上記の脂肪族部分およびヘテロ脂肪族部分の各々が、置換または非置換の、環式または非環式の、直鎖状または分枝状のものであり、そして上記の脂環式部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分またはヘテロアリール部分の各々が、独立して、置換または非置換のものである、化合物。
  10. 請求項1に記載の化合物であって、Lが、
    Figure 2004537594
    であり、そしてRおよびRの一方もしくは両方が、以下の構造のうちの1つを有する部分であるか、またはここで、RおよびRが、Nと一緒になって、以下の構造:
    Figure 2004537594
    のうちの1つを有する環状部分を形成する、化合物。
  11. 請求項1に記載の化合物であって、ここで、Lが、以下:
    Figure 2004537594
    であり、Rが、以下の構造:
    Figure 2004537594
    のうちの1つを有する、化合物。
  12. 請求項1に記載の化合物であって、ここで、Lが、以下:
    Figure 2004537594
    であり、Rが、以下の構造:
    Figure 2004537594
    のうちの1つを有する、化合物。
  13. 請求項1に記載の化合物であって、ここで、Lが、以下:
    Figure 2004537594
    であり、Rが、以下の構造:
    Figure 2004537594
    のうちの1つを有する、化合物。
  14. 請求項1に記載の化合物であって、ここで、Lが、以下:
    Figure 2004537594
    であり、Rが、以下の構造:
    Figure 2004537594
    のうちの1つを有する、化合物。
  15. 請求項1に記載の化合物であって、ここで、Lが、以下:
    Figure 2004537594
    であり、Rが、以下の構造:
    Figure 2004537594
    のうちの1つを有する、化合物。
  16. 請求項1に記載の化合物であって、ここで、Lが、以下:
    Figure 2004537594
    であり、Rが、以下の構造:
    Figure 2004537594
    のうちの1つを有する、化合物。
  17. 請求項1に記載の化合物であって、ここで、Lが、以下:
    Figure 2004537594
    であり、Rが、以下の構造:
    Figure 2004537594
    のうちの1つを有する、化合物。
  18. 請求項1に記載の化合物であって、ここで、Lが、以下:
    Figure 2004537594
    であり、そしてRおよびRが、各々独立して、水素または、置換ヘテロアリール部分で必要に応じて置換された、脂環式部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分もしくはヘテロアリール部分である、化合物。
  19. 請求項18に記載の化合物であって、ここで、前記置換されたヘテロアリール部分が、以下の構造:
    Figure 2004537594
    のうちの1つを有し、ここで、Rが、−COO(R10)、−CO(R10)、−CO(NR1011)、−NR1011、−NR10COR11、−OR10、または−SR10であり、ここで、R10の各出現箇所が、独立して、水素、保護基、または脂肪族部分、ヘテロ脂肪族部分、アリール部分、ヘテロアリール部分、−(脂肪族)アリール部分、−(脂肪族)ヘテロアリール部分、−(ヘテロ脂肪族)アリール部分、もしくは−(ヘテロ脂肪族)ヘテロアリール部分であり、
    それによって、上記の脂肪族部分およびヘテロ脂肪族部分の各々が、置換または非置換の、環式または非環式の、直鎖状または分枝状のものであり、上記の脂環式部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分またはヘテロアリール部分の各々が、独立して、置換または非置換のものである、化合物。
  20. 請求項19に記載の化合物であって、ここで、RおよびRが、以下の構造:
    Figure 2004537594
    のうちの1つを表し、
    ここで、Rが、COOHまたはCO(NR1011)であり、ここで、R10およびR11の各出現箇所が、独立して、水素、保護基、または脂肪族部分、ヘテロ脂肪族部分、アリール部分、ヘテロアリール部分、−(脂肪族)アリール部分、−(脂肪族)ヘテロアリール部分、−(ヘテロ脂肪族)アリール部分、もしくは−(ヘテロ脂肪族)ヘテロアリール部分であり、
    それによって、上記の脂肪族部分およびヘテロ脂肪族部分の各々が、置換または非置換の、環式または非環式の、直鎖状または分枝状のものであり、そして上記の脂環式部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分またはヘテロアリール部分の各々が、独立して、置換または非置換のものである、化合物。
  21. 化合物ライブラリーであって、以下の構造(I):
    Figure 2004537594
    を有する複数の化合物を含み、
    ここで、Aは、−S(CHA1または−S(O)A2であり、ここで、pは1〜5であり、RA1は、−NRA3A4;ORA3;SRA3;−NHCORA3;NHCONRA3A4;−NRA3A4A5+であり、ここで、Xはハロゲン;−COORA3;−CONRA3A4;−SOA3;−OPOA3;−SOA3であり;そしてここで、RA2が、脂肪族部分、ヘテロ脂肪族部分、アリール部分、またはヘテロアリール部分であり、そしてRA3、RA4、およびRA5の各出現箇所は、独立して、水素、保護基、または脂肪族部分、ヘテロ脂肪族部分、アリール部分またはヘテロアリール部分であり;
    nは0〜5であり;
    Lは、以下の構造:
    Figure 2004537594
    のうちの1つを有する部分であり、
    およびRの各出現箇所は、独立して、水素、または脂肪族部分、ヘテロ脂肪族部分、アリール部分、ヘテロアリール部分、−(脂肪族)アリール部分、−(脂肪族)ヘテロアリール部分、−(ヘテロ脂肪族)アリール部分、もしくは−(ヘテロ脂肪族)ヘテロアリール部分であるか、またはここで、RおよびRが、一緒になって、脂環式部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分またはヘテロアリール部分であり;
    それによって、上記の脂肪族部分およびヘテロ脂肪族部分の各々は、置換または非置換の、環式または非環式の、直鎖状または分枝状のものであり、そして上記の脂環式部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分またはヘテロアリール部分の各々は、独立して、置換または非置換のものであるが、
    ただし、以下の構造:
    Figure 2004537594
    を有する化合物であって、ここで、RA1が、NRA3A4またはNRA3A4A5であり、ここで、RA3、RA4およびRA5の各出現箇所が、水素または保護基であり、そしてXがハロゲンであり;そしてRが以下:
    Figure 2004537594
    のうちの1つである化合物は除外される、ライブラリー。
  22. 請求項21に記載のライブラリーであって、ここで、Lが、以下の構造:
    Figure 2004537594
    のうちの1つである、ライブラリー。
  23. 請求項21に記載のライブラリーであって、ここで、
    Figure 2004537594
    が、以下の構造:
    Figure 2004537594
    のうちの1つを表し、
    ここで、rが1または2であり;tが0、1または2であり;そしてRA2が、アルキル部分、ヘテロアルキル部分、アリール部分、ヘテロアリール部分、−(アルキル)アリール部分、−(アルキル)ヘテロアリール部分、−(ヘテロアルキル)アリール部分、または−(ヘテロアルキル)ヘテロアリール部分である、ライブラリー。
  24. 請求項21に記載のライブラリーであって、ここで、
    Figure 2004537594
    が、以下の構造:
    Figure 2004537594
    のうちの1つを表し、
    ここで、rが1または2であり;そしてRA2が、アルキル部分、ヘテロアルキル部分、アリール部分、ヘテロアリール部分、−(アルキル)アリール部分、(アルキル)ヘテロアリール部分、−(ヘテロアルキル)アリール部分、または−(ヘテロアルキル)ヘテロアリール部分である、ライブラリー。
  25. 請求項24に記載のライブラリーであって、ここで、RA2が、メチルまたはフェニルである、ライブラリー。
  26. 請求項21に記載のライブラリーであって、ここで、RもしくはRの一方もしくは両方が、
    Figure 2004537594
    であるか、またはここで、RおよびRが、一緒になって、以下の構造:
    Figure 2004537594
    を有する環状部分を形成し、
    ここで、B−D、D−E、E−G、G−J、Jの2箇所以上の出現箇所、およびJ−Bは、各々独立して、原子価および安定性が許容する場合、単結合または二重結合によって連結されており、ここで、Bが、N、CHまたはCであり、Dが、−NR−、=N−、−O−、−CHR−、または=CR−であり、Eが、−NR−、=N−、−O−、−CHR−、または=CR−であり、Gが、−NR−、=N−、−O−、−CHR−、または=CR−であり、Jの各出現箇所が、独立して、−NR−、=N−、−O−、−CHR−、または=CR−であり、
    mが0〜4であり、そしてpが0〜4であり、
    、R、R、R、RおよびRの各出現箇所が、独立して、水素、保護基、−(CRNR、−(CROR、−(CRSR、−(CR(C=O)R、−(CR(C=O)OR;−(CR(C=O)NR、−(CRS(O)、−(CRNR(C=O)R、−(CRNR(C=O)OR、−(CRS(O)NR、−(CRNRS(O)、または脂肪族部分、ヘテロ脂肪族部分、アリール部分、ヘテロアリール部分、−(脂肪族)アリール部分、−(脂肪族)ヘテロアリール部分、−(ヘテロ脂肪族)アリール部分、もしくは−(ヘテロ脂肪族)ヘテロアリール部分であり、
    qが0〜4であり;そして
    、R、RおよびRの各出現箇所が、独立して、水素、保護基、または脂肪族部分、ヘテロ脂肪族部分、アリール部分、ヘテロアリール部分、−(脂肪族)アリール部分、−(脂肪族)ヘテロアリール部分、−(ヘテロ脂肪族)アリール部分、もしくは−(ヘテロ脂肪族)ヘテロアリール部分であり;
    それによって、上記の脂肪族部分およびヘテロ脂肪族部分の各々が、置換または非置換の、環式または非環式の、直鎖状または分枝状のものであり、そして上記の脂環式部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分またはヘテロアリール部分の各々が、独立して、置換または非置換のものである、ライブラリー。
  27. 請求項21に記載のライブラリーであって、ここで、Lが、
    Figure 2004537594
    であり、そしてRが、
    Figure 2004537594
    であり;
    ここで、mが0〜4であり、pが0〜4であり、DがCHRまたはNRであり、GがCHRまたはNRであり、そしてJの各出現箇所が、独立して、CHRまたはNRであり、ここで、R、R、R、R、R、およびRの各出現箇所が、独立して、水素、保護基、−(CRNR、−(CROR、−(CRSR、−(CR(C=O)R、−(CR(C=O)NR、−(CRS(O)、−(CRNR(C=O)R、−(CRS(O)NR、−(CRNRS(O)、または脂肪族部分、ヘテロ脂肪族部分、アリール部分、ヘテロアリール部分、−(脂肪族)アリール部分、−(脂肪族)ヘテロアリール部分、−(ヘテロ脂肪族)アリール部分、もしくは−(ヘテロ脂肪族)ヘテロアリール部分であり、ここで、qが0〜4であり;そしてここで、RおよびRの各出現箇所が、独立して、水素、保護基、または脂肪族部分、ヘテロ脂肪族部分、アリール部分、ヘテロアリール部分、−(脂肪族)アリール部分、−(脂肪族)ヘテロアリール部分、−(ヘテロ脂肪族)アリール部分、もしくは−(ヘテロ脂肪族)ヘテロアリール部分であり;
    それによって、上記の脂肪族部分およびヘテロ脂肪族部分の各々が、置換または非置換の、環式または非環式の、直鎖状または分枝状のものであり、そして上記の脂環式部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分またはヘテロアリール部分の各々が、独立して、置換または非置換のものである、ライブラリー。
  28. 請求項21に記載のライブラリーであって、ここで、Lが、
    Figure 2004537594
    であり、そしてRが、以下の構造:
    Figure 2004537594
    のうちの1つである、ライブラリー。
  29. 請求項21に記載のライブラリーであって、ここで、Lが、
    Figure 2004537594
    であり、そしてRおよびRの一方もしくは両方が、
    Figure 2004537594
    であるか、またはここで、RおよびRが、Nと一緒になって、以下の環状構造
    Figure 2004537594
    を形成し;
    ここで、N−D、D−E、E−G、G−J、Jの2箇所以上の出現箇所、およびJ−Nが、各々独立して、原子価および安定性が許容する場合、単結合または二重結合によって連結されており、ここで、Dが−NR−、=N−、−O−、−CHR−、または=CR−であり、Eが−NR−、=N−、−O−、−CHR−、または=CR−であり、Gが−NR−、=N−、−O−、−CHR−、または=CR−であり、Jの各出現箇所が、独立して、−NR−、=N−、−O−、−CHR−、または=CR−であり、
    mは0〜4であり、そしてpは0〜4であり、
    、R、R、R、RおよびRの各出現箇所が、独立して、水素、保護基、−(CRNR、−(CROR、−(CRSR、−(CR(C=O)R、−(CR(C=O)OR、−(CR(C=O)NR、−(CRS(O)、−(CRNR(C=O)R、−(CRNR(C=O)OR、−(CRS(O)NR、−(CRNRS(O)、または脂肪族部分、ヘテロ脂肪族部分、アリール部分、ヘテロアリール部分、−(脂肪族)アリール部分、−(脂肪族)ヘテロアリール部分、−(ヘテロ脂肪族)アリール部分、もしくは−(ヘテロ脂肪族)ヘテロアリール部分であり、
    qは0〜4であり;そして
    、R、RおよびRの各出現箇所が、独立して、水素、保護基、または脂肪族部分、ヘテロ脂肪族部分、アリール部分、ヘテロアリール部分、−(脂肪族)アリール部分、−(脂肪族)ヘテロアリール部分、−(ヘテロ脂肪族)アリール部分、もしくは−(ヘテロ脂肪族)ヘテロアリール部分であり;
    それによって、上記の脂肪族部分およびヘテロ脂肪族部分の各々が、置換または非置換の、環式または非環式の、直鎖状または分枝状のものであり、そして上記の脂環式部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分またはヘテロアリール部分が、独立して、置換または非置換のものである、ライブラリー。
  30. 請求項21に記載のライブラリーであって、ここで、Lが、
    Figure 2004537594
    であり、そしてRおよびRの一方もしくは両方が、以下の構造のうちの1つを有する部分であるか、またはここで、RおよびRが、Nと一緒になって、以下の構造:
    Figure 2004537594
    のうちの1つを有する環状部分を形成する、ライブラリー。
  31. 請求項21に記載のライブラリーであって、ここで、Lが、以下:
    Figure 2004537594
    であり、Rが、以下の構造:
    Figure 2004537594
    のうちの1つを有する、ライブラリー。
  32. 請求項21に記載のライブラリーであって、ここで、Lが、以下:
    Figure 2004537594
    であり、Rが、以下の構造:
    Figure 2004537594
    のうちの1つを有する、ライブラリー。
  33. 請求項21に記載のライブラリーであって、ここで、Lが、以下:
    Figure 2004537594
    であり、Rが、以下の構造:
    Figure 2004537594
    のうちの1つを有する、ライブラリー。
  34. 請求項21に記載のライブラリーであって、ここで、Lが、以下:
    Figure 2004537594
    であり、Rが、以下の構造:
    Figure 2004537594
    のうちの1つを有する、ライブラリー。
  35. 請求項21に記載のライブラリーであって、ここで、Lが、以下:
    Figure 2004537594
    であり、Rが、以下の構造:
    Figure 2004537594
    のうちの1つを有する、ライブラリー。
  36. 請求項21に記載のライブラリーであって、ここで、Lが、以下:
    Figure 2004537594
    であり、Rが、以下の構造:
    Figure 2004537594
    のうちの1つを有する、ライブラリー。
  37. 請求項21に記載のライブラリーであって、ここで、Lが、以下:
    Figure 2004537594
    であり、Rが、以下の構造:
    Figure 2004537594
    のうちの1つを有する、ライブラリー。
  38. 請求項21に記載のライブラリーであって、ここで、Lが、以下:
    Figure 2004537594
    であり、そしてRおよびRが、各々独立して、水素または、置換ヘテロアリール部分で必要に応じて置換された、脂環式部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分もしくはヘテロアリール部分である、ライブラリー。
  39. 請求項38に記載のライブラリーであって、ここで、前記置換されたヘテロアリール部分が、以下の構造:
    Figure 2004537594
    のうちの1つを有し、ここで、Rが、−COO(R10)、−CO(R10)、−CO(NR1011)、−NR1011、−NR10COR11、−OR10、または−SR10であり、ここで、R10の各出現箇所が、独立して、水素、保護基、または脂肪族部分、ヘテロ脂肪族部分、アリール部分、ヘテロアリール部分、−(脂肪族)アリール部分、−(脂肪族)ヘテロアリール部分、−(ヘテロ脂肪族)アリール部分、もしくは−(ヘテロ脂肪族)ヘテロアリール部分であり、
    それによって、上記の脂肪族部分およびヘテロ脂肪族部分の各々が、置換または非置換の、環式または非環式の、直鎖状または分枝状のものであり、上記の脂環式部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分またはヘテロアリール部分の各々が、独立して、置換または非置換のものである、ライブラリー。
  40. 請求項39に記載のライブラリーであって、ここで、RおよびRが、以下の構造:
    Figure 2004537594
    のうちの1つを表し、
    ここで、Rが、COOHまたはCO(NR1011)であり、ここで、R10およびR11の各出現箇所が、独立して、水素、保護基、または脂肪族部分、ヘテロ脂肪族部分、アリール部分、ヘテロアリール部分、−(脂肪族)アリール部分、−(脂肪族)ヘテロアリール部分、−(ヘテロ脂肪族)アリール部分、もしくは−(ヘテロ脂肪族)ヘテロアリール部分であり、
    それによって、上記の脂肪族部分およびヘテロ脂肪族部分の各々が、置換または非置換の、環式または非環式の、直鎖状または分枝状のものであり、そして上記の脂環式部分、ヘテロ脂環式部分、アリール部分またはヘテロアリール部分の各々が、独立して、置換または非置換のものである、ライブラリー。
  41. 請求項21に記載のライブラリーであって、ここで、該ライブラリーが、少なくとも5つのメンバーを含む、ライブラリー。
  42. 請求項21に記載のライブラリーであって、ここで、該ライブラリーが、少なくとも20のメンバーを含む、ライブラリー。
  43. 請求項21に記載のライブラリーであって、ここで、該ライブラリーが、少なくとも100のメンバーを含む、ライブラリー。
  44. 請求項21に記載のライブラリーであって、ここで、該ライブラリーが、少なくとも500のメンバーを含む、ライブラリー。
  45. 請求項21に記載のライブラリーであって、ここで、該ライブラリーが、少なくとも1000のメンバーを含む、ライブラリー。
  46. 請求項21に記載のライブラリーであって、ここで、各々のメンバーが、異なる分子量を有する、ライブラリー。
  47. 請求項21に記載のライブラリーであって、ここで、各々のメンバーが、別のメンバーと少なくとも5原子質量単位異なる質量を有する、ライブラリー。
  48. 請求項21に記載のライブラリーであって、ここで、各々のメンバーが、別のメンバーと少なくとも10原子質量単位異なる質量を有する、ライブラリー。
  49. リガンドを見付けるための方法であって、以下の工程:
    目的の部位またはその近傍に化学反応基を含む標的と、化学反応基と共有結合を形成し得る、請求項1に記載の化合物とを接触させる工程;
    該標的と該化合物との間で共有結合を形成させ、それによって、標的−化合物結合体を形成させる工程;および
    該標的−化合物結合体を同定する工程
    を包含する、方法。
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