JP2004537515A - ウィルス感染症治療用薬物のターゲッティング送達 - Google Patents

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Abstract

トランスフェリンまたはトランスコバラミンと抗ウィルス剤との複合体は、ウィルス感染症の治療に有用である。好適な抗ウィルス剤としては、アポトーシス誘導化合物、ウィルス複製を阻害する化合物、細胞毒性抗生物質、アルキル化剤、植物毒素および変異細菌毒素が挙げられる。トランスフェリンまたはトランスコバラミンは、グルタルアルデヒドを用いて抗ウィルス剤に結合させることが好ましい。

Description

【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に生物作用物質の分野、より具体的には、ストレスを受けているヒト細胞、特にウィルス感染の結果ストレスを受けているヒト細胞を含む細胞の治療に好適な生物作用物質に関する。
【背景技術】
【0002】
薬物関連治療において、よく見られる2つの問題は、患者を衰弱させる薬物毒性問題と、より多くの薬物を必要とすることから薬物毒性問題を増大させて、しばしば死に至らしめる薬物耐性の問題がある。薬物毒性問題を解決する1つの方法は、疾患細胞のみを標的とするように薬物を送達することである。多くの研究者が、薬物送達のための抗体開発を研究中であり、この手法は有望でもある。しかしながら、抗体には問題がなくもない。例えば、抗体は正常組織と交差反応をすることが多く、また血管を損傷し(例えば、血管漏出症候群)、危険なアレルギー反応(例えば、アナフィラキシー)を引き起こす可能性がある。
【0003】
悪性細胞に対して毒性である薬物を含む薬物送達による悪性細胞の治療法は、新しいものではない。特許文献1;特許文献2;特許文献3;特許文献4;および特許文献5は、ガン細胞の治療としてまたはガン細胞を造影するために、蛋白質、主にトランスフェリンに複合化された細胞毒性物質または放射性造影物質を記載している。これらの出版物は、このような物質の作製および使用のための有用な方法を開示している。
【0004】
例えば、ウィルス感染のヒト宿主細胞およびガンにより侵襲されたヒト細胞などのストレスを受けている細胞は、鉄などの栄養物の送達増加を必要とし、その増加は、鉄の場合、トランスフェリンなどの栄養担体に提示する受容体数の増加によってなされることが知られている。ストレスを受けている細胞において栄養担体に対する受容体増加は比較的一定であり、大きさの位数は、間欠的に比較的少数の受容体を示すことが知られているストレスを受けていない細胞よりも大きな数であることが知られている。上記に掲げた出版物およびその他のものは、ストレスを受けた細胞に対し造影物質または薬物またはその双方を送達するために、ガン含有細胞によって提示される、特にトランスフェリンに関する受容体数増加を利用することを開示している。
【0005】
ストレスを受けた細胞の全てで、トランスフェリン受容体のアップレギュレーションがあるのか、また正常細胞の全てで、トランスフェリン受容体のダウンレギュレーションがあるのかを問うている研究はないが、多くの出所データにより、正常細胞の全てで、トランスフェリン受容体のダウンレギュレーションがあることが示唆されている。例えば、幼若赤血球(すなわち、正常赤芽球および細網赤血球)は、表面にトランスフェリン受容体を有するが、成熟赤血球は有さない(非特許文献1)。循環性単球でもまた、トランスフェリン受容体のアップレギュレーションはなく(非特許文献2)また、クッパー細胞などのマクロファージは、赤血球貪食というトランスフェリン非依存的方法により鉄の大部分を獲得する(非特許文献3)。実際、インビボ研究では、鉄が血漿トランスフェリンから細網内皮系にほとんど入らないことが示されている(非特許文献4)。マクロファージトランスフェリン受容体は、ガンマインターフェロンなどのサイトカイン類によりダウンレギュレートされ(非特許文献5)、細胞内寄生体を死滅させるための鉄制限機構としてダウンレギュレートされると推定されている(非特許文献6)。
【0006】
休止リンパ球において、トランスフェリン受容体はダウンレギュレートされるのみならず、トランスフェリン受容体の遺伝子は測定不能である(非特許文献7)。対照的に、刺激されたリンパ球は、後期Gにおけるトランスフェリン受容体をアップレギュレートする(非特許文献8)。受容体発現は、c−myc癌原遺伝子の発現、次いでIL−2受容体のアップレギュレーションに引き続き起こり(非特許文献9)、それに伴って鉄調節蛋白結合活性の測定可能な増加があり(非特許文献10)、これによりトランスフェリン受容体mRNAが安定化される(非特許文献11)。これは、Tリンパ球およびBリンパ球の双方に当てはまり(非特許文献12)、またIL−2依存性の応答である(非特許文献13)。
【0007】
上記に掲げた出版物中に記載された物質で、最もよく理解されているものは、トランスフェリンとよく知られた有効な細胞毒性分子であるドキソルビシンとの複合体である。ドキソルビシンはガンに対し有効ではあるが、蓄積性の心臓毒性のためヒトへの最大生涯投与量を有している。前記複合体は、ヒトにおける薬剤耐性ガンを含む種々のガンを死滅させるのに驚くほど低用量で有効であることが示されている。
【0008】
ヒト免疫不全ウィルス(HIV)による感染などの重篤なウィルス感染治療のために、よく知られて現在使用されている方法としては、ウィルスが細胞に侵入する上で利用する細胞受容体の遮断、融合機構への干渉、および蛋白分解酵素および逆転写酵素などのウィルスにより乗っとられた細胞酵素への干渉が挙げられる。このような方法、およびこれらの方法に使用される薬物は、重篤疾患患者の生命を延長させるのに有効であるが、全面的治癒には至っていない。これらの物質自体は、世界の多くの地域で使用するには法外に高価であることがよく知られている。このような薬物による治療は、複雑な投与計画により患者に負担をかけ、不快な副作用を与えることが多い。
【0009】
HIV感染により生じたエイズのような顕著な病態の治療に使用するための患者に対し、より低コスト、より少ない副作用で、より有効な結果を提供する物質が必要である。また、サイトメガロウィルス、アデノウィルス、肝炎ウィルス、単純ヘルペスウィルスなど、社会の負担となっている他の種々のウィルス感染で感染した細胞治療に使用する物質も必要である。また、少量でも細胞毒性物質を使用することなくこのようなウィルスや種々のガンを死滅させる薬物もまた必要である。
【0010】
関連技術の説明
エイズ患者の治療のためにFDAにより現在承認されている薬物は全て、Tリンパ球においてHIVのライフサイクルでの特定段階を攻撃するようにデザインされている(非特許文献14)。この観点から、エイズへの戦いに勝利するために存在する薬理学的戦略は、現在2つのみである。1つは、DNAへのRNA逆転写時にウィルス複製を遮断する逆転写酵素阻害剤(ヌクレオシドおよび非ヌクレオシドの双方)の使用である(非特許文献15)。ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤は全て、活性三リン酸類縁体に対する細胞内代謝を必要とするプロドラッグであり(非特許文献16)、それらの使用により薬物耐性を生じることが多い(非特許文献17)。
【0011】
もう1つの方法は、ビリオン熟成時に、gagおよびgag−polポリ蛋白の処理を担うHIV蛋白分解酵素阻害剤を含む(非特許文献18)。しかし、蛋白分解酵素阻害剤による治療もまた、薬剤耐性になることが多い(非特許文献19)。薬剤耐性の発現は、抗ウィルス剤使用における主要な問題である(非特許文献20)。
【0012】
ウィルスのライフサイクルに基く従来型薬剤デザインのほかに、ウィルス宿主のエイズ患者の細胞であるTリンパ球の免疫生物学に基く他の方法がある(非特許文献21)。
【0013】
最近の2つの研究は、これが有望な方法であることを示唆している。第一に、HIVの初回抗原刺激を受けたCD8Tリンパ球を、エイズ患者に移すと、ウィルス血症を減少させることが示されている(非特許文献22)。第二に、HIV蛋白分解酵素活性部位を有するカスパーゼ(caspase)−3酵素前駆体は、HIV感染Tリンパ球にトランスフェクトされた場合にアポトーシスを活性化することが示されているが、非感染細胞にトランスフェクトされた場合には示されていない(非特許文献23)。これらの報告は、ウィルスが生存している細胞を選択的に死滅させることによるHIV感染制御の可能性を示唆する。
【0014】
エイズ患者についての観察により、彼らの疾患の免疫不全要素は、HIVが生存するTリンパ球の亜集団であるCD4リンパ球欠乏のためであることが確証されている(非特許文献24)。これらの細胞がエイズ患者に欠乏している理由は、アポトーシスとして知られている反応により細胞を除去するプログラム化された細胞死の酵素介在過程をウィルスが開始させるためである(非特許文献25)。感染細胞がウィルスにより死滅すると、プラズマHIV RNA濃度により測定されるウイルス血症が増加するが(非特許文献26)、感染細胞が抗レトロウィルス剤により死滅する場合、ウイルス血症は減少し(非特許文献27)、ウイルス血症の減少は臨床転帰の改善を伴う(非特許文献28)。
【0015】
特許文献6は、薬理活性物質をパピローマウイルス感染細胞に送達する方法を開示している。この方法は、薬理活性物質とリガンド認識CD16とを含む複合体を使用する。前記リガンドが細胞のCD16に結合する十分な条件下で前記複合体をパピローマウイルス感染細胞に曝露させる。したがって、前記薬理活性物質が、感染細胞に近接し、送達される。この方法の使用により、薬理活性物質の感染細胞への標的送達が可能になる。これによって、非感染細胞におけるこのような薬剤活性に起因する多くの付随的副作用なしに、感染細胞に送達される多くの薬理活性剤を比較的高濃度に使用することが可能になる。
【0016】
薬物の標的送達は、有効性を増加させる利点を有する一方、より少量の薬物を用いることにより、毒性を減じ、正常細胞に引き起こす損傷を少なくし、これら全てによって効果的にコストが減少し、患者医療の質も向上する。また標的送達により、薬物が細胞へ非特異的に入り込むことにより活性化される薬剤耐性が避けられる(非特許文献29)。トランスフェリン−薬物複合体は、受容体特異的な経路を使用することにより特異的に細胞に入り込むため(非特許文献30;非特許文献31)、それらは、耐性細胞中の流出ポンプなどの薬物耐性機構の周縁でやりとりされる。
【0017】
【特許文献1】
米国特許第4,886,780号
【特許文献2】
米国特許第4,895,714号
【特許文献3】
米国特許第5,000,935号
【特許文献4】
Faulkへの米国特許第5,108,987号
【特許文献5】
Stjernholmらへの米国特許第4,590,001号
【非特許文献1】
Lesley J、Hyman R、Schulte RおよびTrotter J、「Expression of transferrin receptor on murine hematopoietic progenitors」、Cell Immunol、1984年;83:14〜25頁
【非特許文献2】
Testa U、Pelosi EおよびPeschle C、「The transferrin receptor」、Crit Rev Oncogen、1993年;4:241〜276頁
【非特許文献3】
Bothwell TA、Charlton RW、Cook JDおよびFinch CA、「Iron Metabolism in Man」、Blackwell Scientific、Oxford、1979年
【非特許文献4】
このレビューについて、Ponka PおよびLok CN、「The transferrin receptor:role in health and disease」、Int J Biochem Cell Biol、1999年;31:1111〜1137頁
【非特許文献5】
Hamilton TA、Gray PWおよびAdams DO、「Expression of the transferrin receptor on murine peritoneal macrophages is modulated by in vitro treatment with interferon gamma」、Cell Immunol、1984年;89:478〜488頁
【非特許文献6】
Byrd TFおよびHorowitz MA、「Interferon gamma−activated human monocytes downregulate transferrin receptors and inhibits the intracellular multiplication of Legionella.pneumophila by limiting the availability of iron」、J Clin Invest、1989年;83:1457〜1465頁
【非特許文献7】
Kronke M、Leonard W、Depper JMおよびGreene WC、「Sequential expression of genes involved in human T lymphocyte growth and differentiation」、J Exp Med、1985年;161:1593〜1598頁
【非特許文献8】
Galbraith RMおよびGalbraith GM、「Expression of transferrin receptors on mitogen−stimulated human peripheral blood lymphocytes:relation to cellular activation and related metabolic events」、Immunology、1983年;133:703〜710頁
【非特許文献9】
Neckers LMおよびCossman J、「Transferrin receptor induction in mitogen−stimulated human T lymphocytes is required for DNA synthesis and cell division and is regulated by interleukin 2」、Proc Nat Acad Sci USA、1983年;80:3494〜3498頁
【非特許文献10】
Testa U、Kuhn L、Petrini M、Quaranta MT、Pelosi EおよびPeshle C、「Differential regulation of iron regulatory element−binding protein(s)in cell extracts of activated lymphocytes versus monocytes−macrophages」、J Biol Chem、1991年;266:3925〜3930頁
【非特許文献11】
Seiser C、Texieira SおよびKuhn LC、「Interleukin−2−dependent transcriptional and post−transcriptional regulation of transferrin receptor mRNA」、J Biol Chem、1993年;268:13,074〜13,080頁
【非特許文献12】
Neckers LM、Yenokida GおよびJames SP、「The role of the transferrin receptor in human B lymphocyte activation」、J Immunol、1984年;133:2437〜2441頁
【非特許文献13】
Neckers LMおよびTrepel JB、「Transferrin receptor expression and the control of cell growth」、Cancer Invest、1986年;4:461〜470頁
【非特許文献14】
De Clercq、Clin Microbiol Rev、1995年;8:200頁
【非特許文献15】
Cratlinら、Virology、1998年;244:87頁
【非特許文献16】
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【非特許文献17】
Hazuda&Kuo、Nature Med、1997年;3:836頁
【非特許文献18】
Gulnikら、「Vit&Hormones」、2000年;58:213頁
【非特許文献19】
Olsenら、J Biol Chem、1999年;274:23699頁
【非特許文献20】
Calvez、Antiviral Therapy、1998年;3(Suppl4):5頁
【非特許文献21】
Hoら、Nature、1995年;373:123頁
【非特許文献22】
Drodicら、Nature Med、1999年;5:34頁
【非特許文献23】
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【非特許文献24】
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【非特許文献25】
Cicalaら、Proc Natl Acad Sci USA、2000年;97:1178頁
【非特許文献26】
Report of NIH Panel、Ann Intern Med、1998年;128(No.12、pt2):1057頁
【非特許文献27】
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【非特許文献28】
O’Brienら、N Engl J Med、1996年;334:426頁
【特許文献6】
Kastらへの米国特許第6,242,176号
【非特許文献29】
Marbeuf−Gueye C、Ettori D、Priebe W、Kozlowski HおよびGarnier−Suillerot A、「Correlation between the kinetics of anthracycline uptake and the resistance factor in cancer cells expressing the multidrug resistance protein or the P−glycoprotein」、Biochem Biophy Acta、1999年;1450:374〜384頁
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【非特許文献31】
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【非特許文献32】
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【非特許文献33】
Wenfurtら、Medical Care、2000年;38:404頁
【非特許文献34】
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【非特許文献35】
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【非特許文献37】
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Ohnoら、Virolgy、1997年;238:305頁
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【非特許文献41】
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Laskeら、Nature Med、1997年;41:1039頁
【非特許文献56】
Sasakiら、Jap J Can Res、1993年;84:191頁
【非特許文献57】
Kratzら、J Pharm Sci、1998年;87:338頁
【非特許文献58】
Seetheram、Ann Rev Nutr、1999年;19:173頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明は、HIV、サイトメガロウィルス、アデノウィルス、肝炎ウィルス、単純ヘルペスウィルス感染などのウィルス感染症を治療する物質を提供する。前記物質は、ターゲッティング剤と受容体とが結合後、複合体の細胞からの脱離を阻害する成分と複合化されたトランスフェリンまたはトランスコバラミンなど、ウィルス感染細胞によりアップレギュレートされた受容体と結合する感染細胞ターゲッティング剤を含む。前記物質は、ウィルス感染細胞におけるアポトーシスを誘導することが見出された。好適な薬物としては、限定しないが、ドキソルビシンおよびメトトレキサートが挙げられる。本発明はまた、ウィルス感染患者の治療法および前記複合体を含有する組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記の要件は、細胞、特にストレスを受けている細胞を治療する複合体により満たされ、この複合体は、一実施態様において、ある担体を含み、この担体はストレス下の細胞に、より多数またはより頻繁に発現される受容体に引きつけられ、ある物質と複合化されている。この物質は、担体と細胞表面にアップレギュレートされた受容体との間で結合後、細胞からの複合物質の脱離を効果的に防ぐ。
【0020】
前記担体は、細胞がストレスを受けている時、多数またはより頻繁に存在する細胞上の受容体に引きつけられる任意の有用な物質であり得る。この担体はトランスフェリンであることが好ましい。
【0021】
薬剤は、受容体への担体の親和性を増大させる目的を達成する任意の薬剤であってよい。前記親和性を増大させる機構は様々であってよく、例えば、機構の効果が、接触後受容体から担体の正常な置換を干渉することであるという条件で細胞表面のリン脂質または担体の立体的再配置に対する薬剤の付加を含むことができる。現在のところ、このような薬剤で最もよく知られているのはドキソルビシンである。しかし、所望の効果を達成する任意の有用な物質を使用することができる。
【0022】
担体に対する薬剤の付加は、少なくとも担体が親和性増大により対応する受容体に配置された後まで、薬剤と担体との分離を防止する任意の機構であってよい。現在、トランスフェリン−ドキソルビシン複合体に関し、最もよく知られている付加の機構は、グルタルアルデヒドリンカーであるが、当の担体/薬剤の組合せにとって有用な任意の物質であってもよい。
【0023】
本発明は、DNAインターカレーションなどの通常のドキソルビシン毒性機構により細胞を死滅させる目的で、ドキソルビシンを細胞に送達すると考えられていたよく知られているトランスフェリン−ドキソルビシン物質が、実際、その機構により細胞死滅を生じないという驚くべき、予想外の発見に基いている。複合体との接触によって処理された細胞は、ガン細胞がドキソルビシン単独で処理される場合に見られているように、壊死よりもむしろ細胞自滅型細胞死を経験していることが判明している。
【0024】
本発明の基本的な態様は、感染CD4Tリンパ球総数が血液循環から除去されるためウィルス血症が減少し(非特許文献32)、ウィルス血症減少と共に患者の健康状態が向上する(非特許文献33)という観察に基いている。この観点から、ウイルス負荷を低下させる機構の1つは、HIV−1−特異的細胞溶解性CD8Tリンパ球によるものである(非特許文献34)。特定の標的細胞を除去する他の機構は、ガン細胞表面にトランスフェリン受容体を発現するヒトのガン細胞を死滅させるためにヒトトランスフェリンのドキソルビシン複合体を用いることによって示されたように(非特許文献35)、担体蛋白質の表面受容体を発現する細胞に細胞毒性薬および/または抗レトロウィルス薬の蛋白複合体の標的送達を行うことによるものである。実際、結合反応は非常に特異的であり、トランスフェリンのドキソルビシン複合体は、細胞の不在下でも単離トランスフェリン受容体に結合することが示された(非特許文献36)。さらに、細胞膜上のトランスフェリン受容体に対するトランスフェリン−ドキソルビシン複合体の結合は、恐らく複合体と細胞膜構成要素との間のさらなる相互作用のため、細胞膜上のトランスフェリン受容体に対する非複合化トランスフェリンの結合よりも強い(非特許文献37)。
【0025】
本発明は、HIVなどのウィルス感染細胞に対する薬物の標的送達に使用されるヒトトランスフェリンの薬物複合体を利用する。本発明が有効である主要な理由は、HIV感染CD4Tリンパ球が、それらの表面にトランスフェリン受容体をアップレギュレートすることである(非特許文献38)。しかし、トランスフェリンの薬物複合体がHIV感染Tリンパ球に対して有効である理由がさらに幾つかある。第1にドキソルビシンなどの細胞毒性薬(非特許文献39)の多くはアポトーシスを誘導し(非特許文献40)、ドキソルビシンのトランスフェリン複合体が、アップレギュレートされたトランスフェリン受容体を有する細胞のアポトーシスを誘導するための有用な複合体であることを示している。第2に、たとえば、トランスフェリン−ドキソルビシン複合体によるトランスフェリン受容体の活性化は、薬物誘導アポトーシス(非特許文献41)、並びにアポトーシスのエフェクター経路(非特許文献42;および非特許文献43)に関連すると想定されるカルシウムチャネルの制御を伴う(非特許文献44)。第3に、トランスフェリン受容体およびアポトーシス誘導Fas受容体(APO−1/CD95)は、細胞表面に配置されているが(非特許文献45)、トランスフェリン複合体がアップレギュレートされたトランスフェリン受容体を有する細胞に送達されると、前記複合体が結合され、結局は細胞内に取り込まれ(非特許文献46)、したがって細胞表面並びに細胞内で活性化された機構により死滅させる可能性を与える(非特許文献35)。
【0026】
Tリンパ球を身体から一掃する免疫生物学は、アポトーシスとして知られている方法によりプログラム化された細胞死の経路を開始することである(非特許文献47)。これは、胸腺または末梢循環に生じ得る(非特許文献48)。幾つかのアポトーシス機構があるが、それら全てが働いて、選択された細胞を身体から除去する(非特許文献49)。本発明は、HIV感染Tリンパ球を除外する新規な方法である。本法の戦略は、アポトーシス経由のクローン除去により感染Tリンパ球を除外することである。これは、細胞毒性薬および/または抗レトロウィルス薬を感染細胞に標的送達するために薬物−蛋白質複合体を用いることにより達成される。
本発明の複合体の標的送達は、HIV感染Tリンパ球の表面にアップレギュレートされる受容体に結合親和性を有する複合体中の蛋白質によりもたらされる(非特許文献38)。また、薬物−トランスフェリン複合体の薬物は、アポトーシスおよび活性化末梢Tリンパ球のクローン除去を引き起こすことが知られているメトトレキサートであってよい(非特許文献50)。ガン細胞の表面に存在する(非特許文献51)感染細胞(非特許文献38)および抗原刺激化Tリンパ球(非特許文献52)以外には、トランスフェリン受容体は、正常な成人休止細胞の表面上に通常存在しない(非特許文献53)。したがって、正常細胞は影響を受けず、メトトレキサート−トランスフェリン複合体によって除外される細胞は、感染Tリンパ球のみとなる。
【0027】
HIV感染細胞への標的薬物送達を実行する本発明の方法は、血中鉄を輸送するトランスフェリンの利用に焦点を当てることである。トランスフェリンは、血漿からの単離、商品提供者、または組換え技術(非特許文献54)により得ることができる。薬物蛋白質複合体を形成するために、トランスフェリン分子は、細胞増殖抑制薬または抗レトロウィルス薬と結合させて調製するような方法で修飾しなければならない。
【0028】
薬物は、メトトレキサートなどのアポトーシス開始剤、ドキソルビシンまたはアルキル化剤などの細胞毒性抗生物質であってよいが、リシンなどの植物毒素、修飾ジフテリア毒素などの変異細菌毒素など、任意の化合物を使用することができる(非特許文献55)。グルタルアルデヒドカップリング(非特許文献53)、ジスルフィドカップリング(非特許文献56)およびベンゾイルヒドラジンカップリング(非特許文献57)などの幾つかのカップリング法が、トランスフェリンと他の化合物とを結合させるために用いられてきた。多様なカップリング法は、広範囲な細胞毒性薬とトランスフェリンとの複合化を可能にし、薬物とトランスフェリン分子との永続的結合または解離可能な結合のいずれかを生じさせる。カップリング反応後、好ましくはクロマトグラフィー法を用いることにより、薬物−蛋白質複合体を未結合薬物と遊離蛋白質から分離できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
複合化法の技術的内容は様々であり得るが、いずれの方法においてもその要件は、(a)ウィルス感染細胞との結合実験および死滅実験において活性であり、(b)有意な数の正常細胞とは結合また死滅させない、特定の複合体を調製することである。これらの要件を鑑みて、本発明による複合体の好ましい調製法は、以下の方法である:予め決められた分子比率を有する均質トランスフェリン−アドリアマイシン複合体の大量合成は、グルタルアルデヒド(GLU)の反応性基2個のうちの1個と反応させるために、3’アミノ位にあるドキソルビシン(DOX)のアミノ基のみを用いることにより量論的になされた。このように、第1ステップは、DOXの食塩水をDMSOなどの溶媒または他の好適な凍結保存剤を含有するGLUの食塩水に、DOX対GLUが1:1モル比の最終濃度になるまで滴下により加えた。得られたDOX−GLUの溶液を暗所で室温下3時間攪拌した。
【0030】
遊離DOXまたは遊離GLUのいずれも含まないDOX−GLUの最終溶液を生じるように、DOXとGLUとのモル比は上記反応と同じである。しかし、1個のGLUが2個のDOXと反応してDOX−GLU−DOXを生成する場合は、溶液中に遊離GLUの可能性があるが、一価のDOXを二価のGLU溶液に滴下することにより生じる質量作用速度論によって、この可能性は最少化される。これらの反応物の容量は制限されないので、大量の均質DOX−GLUが調製できる。
【0031】
複合化反応の第2ステップは、DOX−GLUをトランスフェリン(TRF)の食塩水に滴下により加えることである。TRFは、鉄なし(アポトランスフェリン)または鉄飽和(ホロトランスフェリン)のいずれであってもよい。DOX対TRFの所望のモル比はTRFの容量を適切に調整することにより得られた。得られたTRF−GLU−DOXの溶液を暗所で室温下20時間攪拌した。DOXとGLUとの反応とは異なって、DOX−GLUのGLU成分がTRF分子中のイプシロン−アミノリジン基数個のうち、任意の1個と反応できることから、DOX−GLUとTRFとの反応は1個の結合部位に制限されない。
【0032】
TRFに結合したDOX分子数は第2ステップにて決定された。例えば、DOX−GLU対TRFの出発比が7.2:1.0であった場合、TRF−GLU−DOXの最終溶液は、TRF1分子当たり2.5分子のDOXを含んだことになる。しかし、DOX−GLU対TRFの出発比が4.0:1.0であった場合、TRF−GLU−DOXの最終溶液は、TRF1分子当たり1.4分子のDOXを含んだことになる。同様に、DOX−GLU対TRFの出発比が2.5:1.0であった場合、TRF−GLU−DOXの最終溶液は、TRF1分子当たり0.9分子のDOXを含んだことになる。この方法で、DOX対TRFの予め決められた比率で大量のTRF−GLU−DOXを必要に応じて提供できる。
【0033】
複合化反応のさらなるステップは、エタノールアミンまたは任意の過剰リンカーを捕捉するのに好適な他の物質の添加、次いで遠心分離および透析であった。DOXとTRFとの反応は、理論的にはGLUの全てを消費するが、利用できるGLUのいずれとも結合させるために、エタノールアミンを最終反応混合物に加えた。この反応を暗所で30分間続けた。最終溶液を、2000rpmで10分間遠心分離し、100倍過剰の食塩水で6時間2回かつ同一過剰のHepes緩衝食塩水で3回透析し、得られたTRF−GLU−DOX複合体を使用のために準備した。
【0034】
複合体の生化学的特性決定:
(39)に記載されたHPLCとポリアクリルアミドゲル電気泳動を用いて、TRF−GLU−DOX複合体の均質性を測定できる。また、分光側光法を用いて、DOX対TRFの分子比を決定できる。これらの方法により、TRF−GLU−DOX複合体の一貫した均質性が繰り返し明らかにされた。さらに、凝集物または断片がないため、これらの複合体を調製する上でクロマトグラフィーを必要としない。このことにより、収量を増大させ、コストを下げる大容量の均質トランスフェリン−薬物複合体の調製が可能となる。
【0035】
トランスフェリン−薬物複合体の他のタイプにおけるTRFおよびDOXの損失により生じる費用が、使用の際の障害となっている。例えば、DOXおよびTRFの収量は、薬物および/または蛋白質を変化させるチオール化などの方法を用いることにより減少する。収量はまた、溶媒系を用いることにより、および酸安定性結合および酸不安定性結合を調製するために使用されるクロマトグラフィーにより減少する。DOXとTRFとの間のGLU結合は酸安定性であり、本発明に従って調製された有用な複合体の収量は高い。実際、他の方法と比較して、有用な複合体の収量は5倍増大する。
【0036】
トランスフェリン−ドキソルビシン複合体の調製に対する以前知られた手法はいずれも、トランスフェリン1分子当たりの薬物分子数の比率を予め決めた上で大量の均質複合体を生産することができない。さらに、他の手法では、凝集物を除外し、均質複合体に富む分画を獲得するためにクロマトグラフィーが使用される。これらの方法は、収量を減少し、コストを増加させ、分子比率を予め決定する能力を欠く。
【0037】
他の手順は、トランスフェリン1ミリリットル(0.5mM)と150mM塩化ナトリウム中ドキソルビシン1ミリリットル(8.5mM)とを4分間混合してから、150mM塩化ナトリウム中21.5mMグルタルアルデヒド1ミリリットルを加えて4分間混合することである。前記反応はカップリング法であるが、これを150mM塩化ナトリウム中37.2mMエタノールアミン0.8ミリリットルと10mMHepes緩衝液(pH8)とを添加することにより中止し、4分間渦巻き回転させる。次にこの混合物を、Hepes緩衝食塩水0.5リットルに対して暗所で5℃3時間透析する透析管(分子量12,000〜14,000の分離)に移す。透析は、新鮮なHepes緩衝食塩水により少なくとも1回繰り返す必要がある。次いで混合物を1600gで4℃10分間遠心分離し、上澄液を、前もってHepes緩衝食塩水中で平衡にし、ブルーデキストラン、トランスフェリンおよびチトクロームCにより5℃で較正したセファロースCL−4Bの2.6x34cmカラム上、1時間当たり22ミリリットルの流速でクロマトグラフする。カラムからの溶出液を280nmでモニターし、3.8ミリリットルの分画を集める。各分画中のトランスフェリンおよびドキソルビシンの濃度を、トランスフェリンでは280nm、ドキソルビシンでは295nmを用いることにより測定されるトランスフェリン並びにドキソルビシンの検量線から漸次接近法により計算する。このカップリング法を修飾することにより、メトトレキサートおよび/または抗レトロウィルス薬のトランスフェリン複合体など、他の薬物のトランスフェリン複合体を調製するために使用できる。好適な抗レトロウィルス薬は、限定しないが、ジダノシン(ddI、Videx)、ラミブジン(3TC、Epivir)、スタブジン(d4T、Zerit)、ザルシタビン(ddC、Hivid)、およびジドブジン(AZT、Retrovir)などのヌクレオシド類縁体またはヌクレオシド逆転写酵素阻害剤(NRTI)、デラビルジン(Rescriptor)、ロビリド(loviride)およびネビラピン(Viramune)などの非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤(NNRTI)、インジナビル(Crixivan)、ネルフィナビル(Viracept)、リトナビル(Norvir)およびサキナビル(Invirase)などの蛋白分解酵素阻害剤が挙げられる。
【0038】
純粋な薬物−蛋白質複合体が単離されると、それらは、ポリアクリルアミドゲル電気泳動により特性決定できることから分子量が測定され、蛋白質1分子当たりの薬物分子数を決定できる。他のシステムにおける薬物−蛋白質複合体を用いた経験により、機能的薬物−蛋白質比(非特許文献53)は、蛋白質1分子当たり0.1〜4.0薬物分子であることが示されている。複合化の後、複合体特性決定における重要なステップは、(a)複合体が感染細胞表面の受容体に結合し、非感染細胞には結合しないかどうかを測定すること、および(b)複合体が感染細胞を死滅させ、非感染細胞を死滅させないかどうかを測定することである。結合試験は、フローサイトメトリーを用いることより行うことができ、また死滅試験は、微量培養法を用いて行うことができ、感染細胞数を50%死滅させるのに必要な薬物−蛋白質複合体中の薬物濃度と比較して、同数の感染細胞培養を死滅させるのに必要な遊離薬物濃度を決定する。他のシステムにおける薬物−蛋白質複合体を用いた経験により、薬物−蛋白質複合体中の薬物と比較して約10倍以上の遊離薬物が、同数の感染細胞を死滅させるのに必要であることが示されている。複合体が有効であるためには、それが、最少の非感染細胞だけを死滅させるということも必要である。
【0039】
本発明は、送達蛋白質であるトランスフェリンに関して記載したが、感染細胞の受容体部位に結合できる他の蛋白質が体内に存在することが知られている。受容体部位が感染細胞で活性化され、非感染細胞では不活性である場合、このような受容体部位に結合する任意の蛋白質または他の化合物を、本発明に使用される薬物を送達するために使用できる。このような結合蛋白質の1つの例としては、ビタミン、特にビタミンB12をヒト体内細胞のトランスコバラミン受容体に送達するトランスコバラミンがある(非特許文献58)。他の例としては、限定しないが、ソマトスタチン、上皮細胞成長因子様分子および葉酸様分子などの非蛋白ターゲッティング剤が挙げられる。
【0040】
薬物−蛋白質複合体の調製後、それを精製し、特性決定し、細胞結合性と死滅性を確認でき、また、結合実験と死滅実験により、複合体が感染細胞に結合し、死滅させるが、非感染細胞ではそうでないことを示したら、複合体を分割して滅菌できる。滅菌法は、セシウム照射装置を用いることなどによる放射線曝露により行うことができ、またはミリポアろ過法を用いることにより行うことができる。
【0041】
本発明のさらなる態様によれば、鉄担持トランスフェリンおよびトランスフェリンと抗ウィルス剤との複合体を含む腫瘍治療用試薬キットが提供される。トランスフェリン受容体を有する患者の正常細胞は、抗ウィルス剤の投与前に、これらの受容体を鉄担持トランスフェリンで飽和することにより、複合体の効果に対して保護できる。
【0042】
本発明はまた、トランスフェリンと多種類の抗ウィルス剤との複合体を感染細胞部位に個々に投与することを含む、抗ウィルス剤に対する腫瘍細胞の感受性測定方法を提供する。このような多種類の複合体を含む試薬キットが、この目的のために提供できる。
【0043】
本発明はまた、複合体が少なくとも1種の遊離(非複合化)抗ウィルス剤をも含有する「カクテル」に含まれる組成物と、この組成物の使用法を提供する。
本発明による複合体は、有効量で動物に投与される。ウィルス感染症治療において、有効量は、ウィルス力価を減じるための有効量を含む。複合体の投与量は、患者の年令、体重および病状、および抗ウィルス剤の薬物動態を考慮して決定できる。有効な治療に要する複合体量は、抗ウィルス剤単独使用に要する量よりも少量となり、用いられる抗ウィルス剤に依存する。例えば、トランスフェリン−ドキソルビシン複合体の投与量は、150ポンド(68kg)の人に対し28日間当たり0.5mgから50mgの間であることが予想される。投与量は、28日の間に間隔を変えてより少用量として投与できる。
【0044】
本発明の薬剤組成物は、限定しないが、経口、局所、直腸、眼、膣などの多くの経路、例えばエアゾールの使用による肺経路、または、限定しないが、筋肉内、皮下、腹腔内、動脈内、静脈内などの非経口的経路により投与できる。前記組成物は、単独で投与できるか、または標準的な製剤実施に従って製剤的に許容できる担体または賦形剤と組合せることができる。経口投与様式では、組成物を錠剤、カプセル剤、ロゼンジ剤、トローチ剤、散剤、シロップ剤、エリキシル剤、水溶液剤、懸濁液剤などの形態で使用できる。非経口投与では通常、複合体の滅菌溶液を調製し、溶液のpHを好適に調整し、緩衝化する。静脈内使用では、溶質の総濃度を制御して、製剤を等張にする必要がある。眼投与では、軟膏または点眼液を、アプリケータまたは点眼びんなどの当業界に知られた眼送達系により送達できる。肺投与では、希釈剤および/または担体が、エアゾールの形成を可能にするため適切であるように選ばれる。本発明の複合体は、輸液または注射液により非経口的、すなわち静脈内または腹腔内に投与されることが好ましい。
本発明の好ましい実施態様を以下に記載する。修飾および変更が可能であり、それらの全ては特許請求の範囲内に入ることを意図していることは、以下の記載を読めば、通常の当業者にとって明らかとなろう。
【実施例1】
【0045】
均質複合体の調製
予め分子比率で決められた均質トランスフェリン−ドキソルビシン複合体の大量合成は、グルタルアルデヒド(GLU)の反応性基2個のうちの1個と反応させるために、3’アミノ位にあるドキソルビシン(DOX)のアミノ基のみを用いることにより量論的になされた。第1ステップは、氷冷水浴中でGLUをDMSOに滴下により加えることであった。次に、DOXの食塩水をGLU+DMSOの食塩水に、DOX対GLUが1:1モル比の最終濃度になるまで滴下により加えた。得られたDOX−GLUの溶液を暗所で室温下3時間攪拌した。
遊離DOXも遊離GLUも含まないDOX−GLUの最終溶液を生じさせるように、DOXとGLUとのモル比は上記反応と同じである。しかし、1個のGLUが2個のDOXと反応してDOX−GLU−DOXを生成する場合は、溶液中に遊離GLUの可能性があるが、一価のDOXを二価のGLU溶液に滴下して加えることによって生じる質量作用速度論によって、この可能性は最少化される。これらの反応物の容量は制限されないので、大量の均質DOX−GLUが調製できる。
【0046】
複合化反応の第2ステップは、DOX−GLUをトランスフェリン(TRF)の食塩水に滴下により加えることであった。TRFは、鉄なし(アポトランスフェリン)または鉄飽和(ホロトランスフェリン)のいずれであってもよい。DOX対TRFの所望のモル比はTRFの容量を適切に調整することにより得られた。得られたTRF−GLU−DOXの溶液を暗所で室温下20時間攪拌した。DOXとGLUとの反応とは異なって、DOX−GLUのGLU成分がTRF分子中のイプシロン−アミノリジン基数個のうち、任意の1個と反応できることから、DOX−GLUとTRFとの反応は1個の結合部位に制限されない。
【0047】
TRFに結合したDOX分子数は第2ステップにて決定された。例えば、DOX−GLU対TRFの出発比が7.2:1.0であった場合、TRF−GLU−DOXの最終溶液は、TRF1分子当たり2.5分子のDOXを含んだことになる。しかし、DOX−GLU対TRFの出発比が4.0:1.0であった場合、TRF−GLU−DOXの最終溶液は、TRF1分子当たり1.4分子のDOXを含んだことになる。同様に、DOX−GLU対TRFの出発比が2.5:1.0であった場合、TRF−GLU−DOXの最終溶液は、TRF1分子当たり0.9分子のDOXを含んだことになる。この方法で、DOX対TRFの予め決められた比率で大量のTRF−GLU−DOXを必要に応じて提供できる。
【0048】
複合化反応のさらなるステップは、エタノールアミンの添加、次いで遠心分離および透析であった。DOXとTRFとの反応は、理論的にはGLUの全てを消費するが、利用できるGLUのいずれとも結合させるために、エタノールアミンを最終反応混合物に加えた。この反応を暗所で30分間続けた。最終溶液を、2000rpmで10分間遠心分離し、100倍過剰の食塩水で6時間2回、かつ同一過剰のHepes緩衝食塩水で3回透析し、得られたTRF−GLU−DOX複合体を使用のために準備した。
【0049】
複合体の生化学的特性決定:
HPLCとポリアクリルアミドゲル電気泳動を用いて、TRF−GLU−DOX複合体の均質性を測定できる。また、分光側光法を用いることによって、DOX対TRFの分子比を決定できる。これらの方法により、TRF−GLU−DOX複合体の一貫した均質性が繰り返し明らかになった。さらに、凝集物または断片がないため、これらの複合体を調製する上でクロマトグラフィーを必要としない。このことにより、収量を増大し、コストを下げる大容量の均質トランスフェリン−薬物複合体の調製が可能になる。
【0050】
トランスフェリン−薬物複合体の他のタイプにおけるTRFおよびDOXの損失により生じる費用が、使用の際の障害となっている。例えば、DOXおよびTRFの収量は、薬物および/または蛋白質を変化させるチオール化などの方法を用いることにより減少する。収量はまた、溶媒系を用いることにより、および酸安定性結合および酸不安定性結合を調製するために使用されるクロマトグラフィーにより減少する。DOXとTRFとの間のGLU結合は酸安定性であり、本発明に従って調製されたTRF−DOX複合体中のDOXとTRFの収量は高い。実際、他の知られた方法と比較して、TRFの収量は2倍近くあり(90%対50%)、DOXの収量は5倍増大する。
【0051】
トランスフェリン−ドキソルビシン複合体の調製に対する以前から知られた手法はいずれも、トランスフェリン1分子当たりの薬物分子数比率を予め決めた上で大量の均質複合体を生産することができない。さらに、他の手法では、凝集物を除外し、均質複合体に富む分画を獲得するためにクロマトグラフィーが使用される。これらの方法は、収量を減少し、コストを増加させ、分子比率を予め決定する能力を欠く。
【実施例2】
【0052】
抗ウィルス活性
種々のウィルスに対する有効性が試験された。これらは、サイトメガロウィルス(CMV)、B型肝炎ウィルス(HBV)およびHIVであった。HIVに対する結果が特に良好であった。
【0053】
例えば、ヒト血液細胞に生存するHIV−1ウィルスROJO株の阻害に関してTR−DOXにより得られた用量反応曲線を図1に示す。この実験室試験系において、TR−DOXはヒトエイズ患者のHIVを治療するために有効な薬物として使用できることを示唆する濃度で、エイズウィルスに対して強力な効果を有した。
【0054】
同様に図2は、B型肝炎ウィルス(HBV)に感染したヒト肝細胞をTR−DOXの増加濃度に曝露することにより得られた用量反応曲線を示す。ここでもまた、TR−DOXの極低濃度は、HBVのほぼ完全阻害をもたらすことが判明した。
【0055】
最後に、ヒト肺細胞に生存するサイトメガロウィルス(CMV)に対するTR−DOXの効果を試験したが、ここでもデータは、CMVに対するTR−DOXの強力な効果を明らかにした。CMVに対するTR−DOXの用量反応曲線を図3に示す。
【0056】
CMVに対するTR−DOXの相対的効力を、ガンシクロビル(広く使用されている抗ウィルス化合物)の効力と直接比較すると、CMVの50%阻害に要する濃度に関して、TR−DOXはガンシクロビルよりも200倍以上強力であることが判明した。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】トランスフェリン−ドキソルビシン(TR−DOX)複合体によるヒト血液細胞に生存するHIV−1ウィルスROJO株の阻害に関して得られた用量反応曲線を示す図である。
【図2】B型肝炎ウィルス(HBV)に感染したヒト肝細胞をトランスフェリン−ドキソルビシン(TR−DOX)複合体に濃度を増加させながら曝露することにより得られた用量反応曲線を示す図である。
【図3】ヒト肺細胞に生存するサイトメガロウィルス(CMV)に対するトランスフェリン−ドキソルビシン(TR−DOX)複合体の効果を示す図である。

Claims (22)

  1. ウィルス感染細胞を治療する方法であって、
    前記細胞にトランスフェリンおよび抗ウィルス剤を含有する複合体の有効量を投与することを含み、かつ前記抗ウィルス剤は、アポトーシス誘導化合物、ウィルス複製を阻害する化合物、細胞毒性抗生物質、アルキル化剤、植物毒素および変異細菌毒素からなる群から選ばれる方法。
  2. 前記抗ウィルス剤は、ドキソルビシン、メトトレキサート、ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤、非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤、蛋白分解酵素阻害剤、リシンおよび修飾ジフテリア毒素からなる群から選ばれる請求項1に記載の方法。
  3. 前記ウィルスは、ヒト免疫不全ウィルス、サイトメガロウィルスおよび肝炎ウィルスからなる群から選ばれる請求項2に記載の方法。
  4. 前記ウィルスは、ヒト免疫不全ウィルスである請求項3に記載の方法。
  5. ウィルス感染患者を治療する方法であって、
    前記患者にターゲッティング剤および抗ウィルス剤を含有する複合体を投与することを含み、かつ前記抗ウィルス剤は、アポトーシス誘導化合物、ウィルス複製を阻害する化合物、細胞毒性抗生物質、アルキル化剤、植物毒素および変異細菌毒素からなる群から選ばれ、かつ前記ターゲッティング剤は、トランスフェリンおよびトランスコバラミンからなる群から選ばれる方法。
  6. 前記複合体を投与する前にさらに鉄結合トランスフェリンを投与することを含む請求項5に記載の方法。
  7. 前記抗ウィルス剤は、ドキソルビシン、メトトレキサート、ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤、非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤および蛋白分解酵素阻害剤からなる群から選ばれる請求項5に記載の方法。
  8. 前記ウィルスは、ヒト免疫不全ウィルス、サイトメガロウィルスおよび肝炎ウィルスからなる群から選ばれる請求項5に記載の方法。
  9. 前記ウィルスは、ヒト免疫不全ウィルスである請求項8に記載の方法。
  10. 遊離抗ウィルス剤をさらに投与することを含む請求項5に記載の方法。
  11. 均質複合体および担体を含む組成物であって、
    前記複合体は、ウィルス感染細胞ターゲッティング剤および抗ウィルス剤を含有し、かつ前記抗ウィルス剤は、ウィルス複製を阻害する化合物、アルキル化剤、植物毒素および変異細菌毒素からなる群から選ばれ、かつ前記ターゲッティング剤は、トランスフェリンおよびトランスコバラミンからなる群から選ばれる組成物。
  12. 遊離抗ウィルス剤をさらに含む請求項11に記載の組成物。
  13. 前記ターゲッティング剤は、トランスフェリンである請求項11に記載の組成物。
  14. 前記抗ウィルス剤は、ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤、非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤および蛋白分解酵素阻害剤からなる群から選ばれる請求項11に記載の組成物。
  15. 均質複合体、非複合抗ウィルス剤および担体を含む組成物であって、
    前記複合体は、ウィルス感染細胞ターゲッティング剤および抗ウィルス剤を含有し、かつ前記抗ウィルス剤は、アポトーシス誘導化合物であり、また前記ターゲッティング剤は、トランスフェリンおよびトランスコバラミンからなる群から選ばれる組成物。
  16. ターゲッティング剤および抗ウィルス剤を含む複合体であって、
    前記抗ウィルス剤は、ウィルス複製を阻害する化合物であり、かつ前記ターゲッティング剤は、トランスフェリンおよびトランスコバラミンからなる群から選ばれる複合体。
  17. 前記ターゲッティング剤は、トランスフェリンである請求項16に記載の複合体。
  18. 前記抗ウィルス剤は、ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤、非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤および蛋白分解酵素阻害剤からなる群から選ばれる請求項16に記載の複合体。
  19. a)各薬物分子を薬物/リンカー組合せ中の1個のリンカー分子に結合させるために、薬物溶液を過剰モルのリンカー分子溶液に滴下して加えること、
    および
    b)予め決められた薬物:蛋白質比を生成させるために、前記薬物/リンカー組合せを蛋白質に加えること、
    を含み、前記薬物が抗ウィルス剤である予め決められた薬物:蛋白質比を有する複合体を製造する方法。
  20. 任意の過剰リンカーを捕捉することをさらに含む請求項19に記載の方法。
  21. 前記リンカーは、グルタルアルデヒド、ベンゾイルヒドラゾン、マレインイミドおよびN−ヒドロキシスクシンイミドからなる群から選ばれる請求項19に記載の方法。
  22. 蛋白ターゲッティング剤および抗ウィルス剤をそれぞれ含有する2種以上の複合体を含み、前記抗ウィルス剤は、アポトーシス誘導化合物、ウィルス複製を阻害する化合物、細胞毒性抗生物質、アルキル化剤、植物毒素および変異細菌毒素からなる群から選ばれ、かつ前記各複合体は、異なる抗ウィルス剤を有する、抗ウィルス剤に対する感染細胞の感受性を測定する試薬キット。
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