JP2004537499A - 抗血管新生薬 - Google Patents

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Abstract

望ましくない血管新生を特徴とする哺乳類疾患を、一般式(I)の2−メトキシエストラジオールの誘導体を投与することにより治療するための組成物および方法であって、当該変数が明細書中で定義される組成物および方法

Description

【0001】
[発明の分野]
本発明は、異常細胞有糸分裂を特徴とする疾患状態の治療、および異常血管新生を特徴とする疾患の治療、ならびにこれらの事象の組合せを特徴とする疾患状態の治療に関する。より詳細には、本発明は、2−メトキシエストラジオール(2ME)の類縁体、および異常細胞有糸分裂および/または異常血管新生を特徴とする疾患に対するそれらの効果に関する。
【0002】
[発明の背景]
血管新生とは、組織または器官中における新しい血管の生成である。正常な生理学的条件下では、ヒトおよび動物は非常に特定の制限された状況においてのみ血管新生を受ける。例えば血管新生は通常、創傷治癒、胎児および胚発生、ならびに黄体、子宮内膜および胎盤の形成において観察される。
【0003】
血管新生は、血管新生刺激剤および阻害剤により高度に調節された系により制御される。血管新生の制御が、ある種の疾患状態によって変更されることが判明しており、多くの場合、疾患に関連した病理学的損傷は、制御されていない血管新生に関連する。制御されている血管新生および制御されていない血管新生のいずれも、同じように発生すると考えられている。基底膜に取り囲まれた内皮細胞および血管周囲細胞が、毛細血管を形成する。血管新生は、内皮細胞および白血球により放出される酵素によって基底膜が侵食されることにより開始する。次に、血管の内腔を覆う内皮細胞が、基底膜を貫通して突き出る。血管新生刺激剤は、内皮細胞が侵食基底膜を通って移動するように誘導する。移動細胞は、内皮細胞が有糸分裂を経て増殖する親血管の「肉芽(sprout)」を形成する。内皮肉芽は互いに合流して、毛細血管ループを形成して、新規の血管を生じる。
【0004】
持続的非制御性血管新生は、多数の疾患状態において、つまり腫瘍転移および内皮細胞による異常成長において起こる。非制御性血管新生が存在する多様な病理学的疾患状態は、血管新生依存性疾患または血管新生関連疾患として分類されている。
【0005】
血管新生が介在する疾患の一例は、眼血管新生疾患である。この疾患は、眼の構造、例えば網膜または角膜中に新血管が侵襲することを特徴とする。それは失明の最も一般的な原因であり、約20の眼病に関与する。
加齢性黄斑変性では、関連視覚問題は、網膜色素上皮下の線維血管組織の増殖を伴うブルーフ膜の欠損による脈絡膜毛管の内方成長により引き起こされる。血管新生性損傷は、糖尿病性網膜症、未熟児網膜症、角膜移植片拒絶、血管新生緑内障および水晶体後繊維増殖症にも関連する。角膜新生血管形成に関連したその他の疾患としては、流行性角結膜炎、ビタミンA欠損症、コンタクトレンズ過剰装着、アトピー性角膜炎、上輪部角膜炎および乾性翼状角膜炎が挙げられるが、これらに限定されない。望ましくない血管新生に関連したその他の疾患としては、シェーグレン症候群、酒さ性ざ瘡、フリクテン症、梅毒、マイコバクテリア感染、脂質変性、化学的熱傷、細菌性潰瘍、真菌性潰瘍、単純ヘルペス感染、帯状ヘルペス感染、原生動物感染、カポジ肉腫、モーレン潰瘍、テリエン辺縁変性、辺縁角質溶解、慢性関節リウマチ、全身性狼瘡、多発性関節炎、外傷、ヴェーゲナー類肉芽腫症、強膜炎、スティーブン−ジョンソン病、類天疱瘡および放射状角膜切開が挙げられる。
【0006】
網膜/脈絡膜新生血管形成に関連した疾患としては、糖尿病性網膜症、黄斑変性、鎌状赤血球貧血、類肉腫症、梅毒、弾性繊維仮性黄色腫、パジェット病、静脈閉塞、動脈閉塞、頚動脈閉塞性疾患、慢性ブドウ膜炎/絨毛組織炎、マイコバクテリア感染、ライム病、全身性エリテマトーデス、未熟児網膜症、イールズ病、ベーチェット病、網膜炎または脈絡膜炎を引き起こす感染、推定眼ヒストプラスマ症、ベスト病、近視、視神経乳頭先天性構造的欠陥、シュタルガルト病、扁平部炎、慢性網膜剥離、過粘稠度症候群、トキソプラスマ症、外傷およびレーザー後合併症が挙げられるが、これらに限定されない。その他の眼関連疾患としては、皮膚潮紅に関連した疾患(角の新生血管形成)、ならびに線維血管または線維組織の異常増殖により引き起こされる疾患、例えば全形態の増殖性硝子体網膜症が挙げられるが、これらに限定されない。
【0007】
血管新生に関連する別の疾患は、慢性関節リウマチである。関節の滑膜の内側を覆う血管は、血管新生を蒙る。内皮細胞は、新規の血管網状構造を形成するほかに、パンヌス成長および軟骨崩壊をもたらす因子および反応性酸素種を放出する。血管新生は、骨関節炎にも関与している。血管新生関連因子による軟骨細胞の活性化は、関節の崩壊の一因になる。後期段階で、血管新生因子は新しい骨成長を促す。骨崩壊を防止するために治療的介入することは、疾患の進行を停止し、関節炎に罹患しているヒトの苦痛を和らげる。
【0008】
慢性炎症は、病理学的血管新生とも関係がありうる。潰瘍性結腸炎およびクローン病のような疾患は、新規血管および炎症組織の内方成長を伴う組織学的変化を示す。南米で見出された細菌感染症であるバルトネラ症は、血管内皮細胞の増殖を特徴とする慢性期を生じ得る。血管新生に関連した別の病理学的機能は、アテローム硬化症に見出すことができる。血管の管腔内に形成されるプラークは、血管新生刺激活性を有することが示されている。
【0009】
腫瘍成長が血管新生依存性であるという仮説は、1971年に始めて提唱された(Folkman, New Eng. J. Med., 285:1182−86(1971))。簡潔に言うと、この仮説は、以下のように明記する:「いったん腫瘍の「生着(take)」が発生した場合に、腫瘍細胞集団が増大するには、腫瘍に集中する新規の毛管の増大が先行する必要がある」。腫瘍の「生着」とは、現在では、2〜3立方ミリメートルの容積を占め、2百〜3百万細胞を超えない腫瘍細胞の集団が、既存の宿主微小血管上に生存している状態であり、腫瘍成長の前血管段階を意味すると理解されている。この段階を超えて腫瘍容積が拡張するには、新規の毛細血管の誘導が必要である。例えば、マウスにおける早期前血管段階での肺微小転移を検出することは、組織切片に関して高性能顕微鏡による検出以外では不可能である。
【0010】
この概念を裏付ける間接的証拠の例を以下に挙げる:
(1)マウスにおいて皮下透明小室中に移植された腫瘍の成長速度は、新生血管形成前は遅くかつ一定であるが、新生血管形成後は急速でかつほぼ指数関数的に速くなる(Algire, et al., J. Nat. Cancer Inst., 6:73−85(1945))。
(2)血管が増殖しない単離灌流器官における腫瘍成長は1〜2mmに制限されるが、それらがマウスに移植され、新生血管が形成されるようになると、この容積は急激に拡張し、1000倍を超える(Folkman, et al., Annals of Surgery, 164:491−502(1966))。
(3)無血管角膜中の腫瘍成長は徐々に一定速度で進行するが、新生血管形成後は指数関数的に成長するようになる(Gimbrone, Jr., et al., J. Nat. Cancer Inst., 52:421−27(1974))。
(4)ウサギ眼の前眼房の水性流体中に懸濁された腫瘍は、生存が可能であり、無血管であり、かつサイズは1mm未満に限定される。それらがいったん虹彩血管床に移植されると、それらは新生血管が形成されるようになり、急速に成長して、2週間以内に元の容積の16,000倍に達する(Gimbrone, Jr., et al., J. Exp. Med., 136:261−76)。
(5)腫瘍が鶏胚漿尿膜上に移植された場合、それらは72時間未満の無血管期中は徐々に成長し、平均直径は0.93+0.29mmを超えない。新生血管形成が開始された後の24時間以内に急速な腫瘍拡張が起こり、7日目までにこれらの血管形成腫瘍は8.0+2.5の平均直径に達する(Knighton, British J. Cancer, 35:347−56(1977))。
(6)ウサギ肝臓における転移の血球円柱は、転移のサイズの不均一性を明示するが、血管形成が存在する比較的均一なサイズに関する切離点(cut−off point)を示す。腫瘍は一般に直径1mmまでは無血管であるが、その直径を超えると新生血管が形成される(Lien, et al., Surgery, 68:334−40(1970))。
(7)膵島のβ細胞中に癌腫を発症するトランスジェニックマウスでは、前血管過形成島は1mm未満のサイズに限定される。6〜7週齢では、島の4〜10%において新生血管が形成されるようになり、これらの島から、前血管島の容積の1000倍より大きい血管形成腫瘍を生じる(Folkman, et al., Nature, 339: 58−61 (1989))。
(8)VEGF(血管内皮細胞成長因子)に対する特異的抗体は微小血管密度を低減し、(ヌードマウスにおける)血管新生の唯一の媒介物質であるVEGFに依存している3つのヒト腫瘍の成長の「有意のまたは劇的な」抑制を引き起こす。その抗体は、インビトロでは腫瘍細胞の成長を抑制しない(Kim, et al., Nature, 362:841−44(1993))。
(9)抗bFGFモノクローナル抗体は、血管新生の唯一の媒介物質であるbFGFの分泌に依存しているマウス腫瘍の成長の70%を抑制する(Hori, et al., Cancer Res., 51:6180−84(1991))。
(10)bFGFの腹腔内注入により、腫瘍中の毛管内皮細胞の成長を刺激することにより、原発腫瘍の増殖およびその転移を促進する。腫瘍細胞それ自体はbFGFに対する受容体を有しておらず、bFGFはインビトロでは、腫瘍細胞に対する有糸分裂促進因子でない(Gross, et al., Proc. Am. Assoc. Cancer Res., 31:79(1990))。
(11)特定の血管新生阻害剤(AGM−1470)は、インビボでの腫瘍成長および転移を抑制するが、インビトロでの腫瘍細胞増殖の抑制に関してはずっと低活性である。その阻害剤は、腫瘍細胞増殖を抑制する濃度よりも、4log低い濃度で、血管内皮細胞増殖を最大半減に抑制する(Inger, et al., Nature, 48: 555−57(1990))。腫瘍成長が血管新生に依存性であるという間接的臨床的証拠も存在する。
(12)硝子体に転移するヒト網膜芽細胞腫は、それらが生育可能であり、H−チミジンを取り込むという事実にもかかわらず、無血管球状体の発達は1mm未満に制限される(摘出眼から除去し、インビトロで分析した場合)。
(13)卵巣の癌腫はごく小さな無血管白色種(1〜3mm)として腹膜に転移する。これらの移植片は、それらのうちの1つまたは複数が新生血管を形成するようになるまで、それより大きく成長することはめったにない。
(14)乳癌における(Weidner, et al., New Eng. J. Med., 324: 1−8 (1991); Weidner, et al., J Nat. Cancer Inst., 84:1875−87(1992))、および前立腺癌における(Weidner, et al., Am. J. Pathol., 143(2): 401−09 (1993))新生血管形成の度合は、将来の転移の危険と密接に相関する。
(15)ヒト皮膚黒色腫からの転移が、新生血管が形成される前に起こることはまれである。新生血管の形成が開始されると、病状の悪化および転移の危険性が増大する(Srivastava, et al., Am. J. Pathol., 133:419−23(1988))。
(16)膀胱癌では、血管形成タンパク質bFGFの尿中レベルは、細胞学的レベルよりも、疾患の状態および程度の指標として高感度である(Nguyen, et al., J. Nat. Cancer Inst., 85:241−42(1993))。
【0011】
したがって、血管新生が癌の転移に重大な機能を果たしていることは明らかである。この血管新生の活性を抑制または排除することができれば、腫瘍は存在しつつも成長しない。疾患状態において、血管新生を防止することにより、新規の微小血管系の侵襲により引き起こされる損傷を回避することができる。血管新生過程を制御する療法は、これらの疾患の廃絶または緩和をもたらすことができる。
【0012】
血管新生は、多数の異なる種類の癌、例えば固形腫瘍および血行性腫瘍に関連している。血管新生が関連している固形腫瘍としては、横紋筋肉腫、網膜芽細胞腫、ユーイング肉腫、神経芽細胞腫および骨肉種が挙げられるが、これらに限定されない。血管新生は、血液性腫瘍、例えば白血病、通常は貧血、血液凝固障害、ならびにリンパ節、肝臓および脾臓の膨大を伴う白血球の非拘束性増殖が起こる骨髄の種々の急性または慢性腫瘍性疾患のいずれにも関連する。血管新生は、白血病腫瘍および多発性骨髄腫疾患を生じる骨髄中の異常に関連していると考えられる。
【0013】
小児期において最も頻繁に起こる血管形成性疾患の1つが、血管腫である。血管腫は、新規形成血管からなる腫瘍である。ほとんどの場合、腫瘍は良性で、介入しなくても治癒する。より重症の場合には、腫瘍は大型空洞性および浸潤性形態に進行して、臨床的合併症を生じる。全身性形態の血管腫である血管腫症は、高い死亡率を示す。現在行われている療法で治療することができない治療耐性血管腫も存在する。
【0014】
血管新生は、遺伝性疾患、例えばオースラー−ウェーバー−ランデュ病または遺伝性出血性毛細管拡張症において見出される損傷にも関与する。これは、血管またはリンパ管の腫瘍である多発性小血管腫を特徴とする遺伝性疾患である。血管腫は皮膚および粘膜に見出され、しばしばエピタクシー(鼻出血)または胃腸出血を、場合によっては肺または肝臓動静脈瘻を伴う。
【0015】
したがって、血管新生を抑制することができる組成物および方法が必要とされている。さらに、特に腫瘍中の血管の望ましくない成長を抑制することができる組成物および方法が必要とされている。
【0016】
血管新生は、正常生理学的過程、例えば生殖および創傷治癒にも関与する。血管新生は、排卵において、また受精後の胞胚の着床においても重要な段階である。血管新生を防止することにより、無月経を誘導し、排卵を遮断し、あるいは胞胚による着床を防止する。
【0017】
創傷治癒において、外科的手法における有害な副作用である過剰修復または繊維増殖症は、血管新生により引き起こされるかまたは悪化される可能性がある。癒着は手術における高頻度合併症であり、小腸閉塞といった問題を引き起こす。
【0018】
いくつかの化合物が、血管新生を抑制するために用いられてきた。Taylor等(Nature, 297:307(1982))は、血管新生を抑制するためにプロタミンを用いた。プロタミンは毒性があるため、治療薬としての実務上の使用が限定される。Folkman等(Science, 221:719(1983)ならびに米国特許第5,001,116号および第4,994,443号)は、血管新生を制御するためにヘパリンおよびステロイドを使用することを開示している。糖質コルチコイドおよび鉱質コルチコイド活性を欠くステロイド、例えばテトラヒドロコルチゾールは、血管新生阻害剤であることが明らかになっている。
【0019】
動物において内因的に見出されたその他の因子、例えばウシ硝子体液からの4kDa糖タンパク質および軟骨由来因子が、血管新生を抑制するために用いられてきた。細胞性因子、例えばインターフェロンは、血管新生を抑制する。例えば、インターフェロンαまたはヒトインターフェロンβは、ヒト腫瘍細胞により刺激されたマウス真皮における腫瘍誘導性血管新生を抑制することが示されている。インターフェロンβも、同種異系脾臓細胞により誘導された血管新生の強力な阻害剤である(Sidky, et al., Cancer Res., 47:5155−61(1987))。ヒト組換えインターフェロン(α/A)は、血管新生誘導性疾患である肺血管腫症の治療に首尾よく用いられることが報告された(White, et al., New Eng. J. Med., 320:1197−1200(1989))。
【0020】
血管新生を抑制するために用いられてきたその他の作用物質としては、アスコルビン酸エーテルおよびその関連化合物が挙げられる(日本国公開特許公報第58−13号(1978))。硫酸化多糖DS4152も血管新生を抑制する(日本国公開特許公報第63−119500号)。さらに、抗血管新生化合物として、アンギオスタチン(登録商標)(米国特許第5,639,725号、第5,792,845号、第5,885,795号、第5,733,876号、第5,776,704号、第5,837,682号、第5,861,372号および第5,854,221号)およびエンドスタチン(商標)(米国特許第5,854,205号)が挙げられる。
【0021】
血管新生を抑制することが示されている別の化合物は、サリドマイドである(D’Amato, et al., Proc Natl. Acad. Sci., 90:4082−85(1994))。サリドマイドは、血管新生に関連する多数の疾患、例えば慢性関節リウマチ(Gutierrez−Rodriguez, Arthritis Rheum., 27(10):1118−21(1984); Gutierrez−Rodriguez, et al., J. Rheumatol., 16(2):158−63(1989))、ベーチェット病(Handley, et al., Br. J. Dermatol., 127 Suppl, 40:67−8(1992); Gunzler, Med. Hypotheses, 30(2):105−9(1989))、移植片対宿主拒絶(Field, et al., Nature, 211(55):1308−10(1966); Heney, et al., Br. J. Haematol., 78(1):23−7(1991))、マイコバクテリア疾患(Vicente, et al., Arch. Intern. Med., 153(4):534(1993))、単純ヘルペスおよび帯状ヘルペス感染(Naafs, et al., Int. J. Dermatol., 24(2):131−4(1985))、慢性炎症、潰瘍性結腸炎(Meza, et al., Drug Ther, 23(11):74−80, 83(1993); Powell, et al., Br. J. Dermatol., 113 Suppl 28:141−4(1985))、ハンセン病(Barnes, et al., Infect. Immun., 60(4):1441−46(1992))ならびに狼瘡(Burrows, BMJ, 307:939−40(1993))を治療するために首尾よく用いられてきた催眠鎮静剤である。
【0022】
サリドマイドは成人においては、副作用は最小限であるが、それは強力な催奇物質である。したがって、出産年齢の女性におけるその使用に関しては懸念がある。最小限ではあるが、治療としてサリドマイドを使用することの適切性を限定する多数の副作用がある。このような副作用の1つが嗜眠状態である。多数の治療的研究において、サリドマイドの初期投与量は、患者が嗜眠状態になり、正常に機能することが困難であるため、低減する必要があった。サリドマイドの使用を制限する別の副作用は末梢性ニューロパシーであって、この副作用により、個体は四肢の麻痺および機能不全に陥る。したがって、容易に投与することができ、かつ血管新生を抑制し得る方法および組成物の改良が必要とされる。
【0023】
必要なのは、望ましくない副作用を生じない安全かつ有効な治療方法である。
【0024】
2−メトキシエストラジオールは、強力な抗増殖活性を有し、広範な種々の腫瘍および非腫瘍細胞系においてアポトーシスを誘導するエストラジオール(E)の内因性代謝産物である。経口投与される場合、それは抗腫瘍および抗増殖活性を示し、毒性をほとんど伴わない。2−メトキシエストラジオールはその抗増殖活性のためのエストロゲン受容体を必要とせず、エストロゲン依存性MCF−7細胞増殖によりアッセイした場合に、広範囲の濃度全体にわたってエストロゲン様でないことをインビトロデータは示唆する。しかしながらインビボおよびインビトロでデメチラーゼが存在すると、この化合物は2−ヒドロキシエストラジオールに代謝され、これは、いくつかのアプローチによりエストロゲン様であることが示されている。エストラジオールまたは2−メトキシエストラジオールの生物学的利用能を改良するための手段、およびエストロゲン様2−メトキシエストラジオール代謝産物の生成を低減するための手段が必要である。さらに、エストロゲン様誘導体への変換、代謝的抱合およびエストロンへの変換を防止することができるように、エストラジオールまたは2−メトキシエストラジオールを修飾するための手段が必要である。
【0025】
[発明の概要]
本発明は、異常有糸分裂および/または異常血管新生を特徴とする疾患を治療するのに有効である2−メトキシエストラジオールの類縁体を提供する。特に本発明は、2、16または17位あるいはそれらの組合せで修飾された2−メトキシエストラジオールの類縁体に関する。細胞増殖を抑制する一般式で表される化合物が好ましい。血管新生を抑制する一般式で表される化合物も好ましい。好ましい組成物は、エストロゲン受容体結合、吸収改良、輸送(例えば血液脳関門および細胞膜を通しての)、生物学的安定性または毒性低減の変化(増大または低減)も示し得る。本発明は、特許請求の範囲の一般式により記載されたような、本方法に有用な化合物も提供する。
【0026】
本明細書中に記載されたような望ましくない細胞有糸分裂を特徴とする哺乳類疾患としては、内皮細胞の過剰または異常刺激(例えばアテローム硬化症)、固形腫瘍および腫瘍転移、良性腫瘍、例えば血管腫、聴神経腫、神経繊維腫、トラコーマ、ならびに化膿性肉芽腫、血管機能不全、異常創傷治癒、炎症性および免疫障害、ベーチェット病、痛風または痛風性関節炎、以下を伴う異常血管新生:慢性関節リウマチ、皮膚疾患、例えば乾癬、糖尿病性網膜症およびその他の眼血管新生疾患、例えば未熟児網膜症(水晶体後繊維増殖)、黄斑変性、角膜移植拒絶、新生血管性緑内障およびオースラー−ウェーバー症候群(オースラー−ウェーバー−ランデュ病)が挙げられるが、これらに限定されない。その他の望ましくない血管新生としては、正常過程、例えば排卵および胞胚の着床を含む。したがって、上記の組成物は、排卵および胞胚の着床を遮断するために、または月経を遮断する(無月経を誘導する)ために用いることができる。
【0027】
固有のエストロゲン活性を有しないエストラジオールの内因性代謝産物である2−メトキシエストラジオール(2ME)は、広範な種々の腫瘍および非腫瘍細胞系においてアポトーシスを誘導する強力な抗増殖剤であることは既知である。経口投与される場合、それは抗腫瘍および抗血管新生活性を示し、毒性をほとんどまたはまったく伴わない。現在、2MEは、PANZEM(商標)の名称で、いくつかの第I相およびII相臨床試験段階にある。
【0028】
2MEの生物学的活性を保持しつつ、代謝が低減されると予測される新規の一連の化合物が合成されている。いくつかの類縁体は、17位のヒドロキシ部分が無いため、2−メトキシエストロンに代謝されない、またはその位置で抱合されない。別の組の化合物は、2−メトキシ基が脱メチル化されて潜在的にエストロゲン様の2−ヒドロキシ誘導体を生じさせないように、メトキシ基を別の位置に置換した化合物である。2MEにおける観察とは逆に、これらの新規類縁体のうちのいくつかは、評価された腫瘍細胞系全体で内皮細胞に関する選択的インビトロ抗増殖活性を有する。これらの考え得る抗腫瘍および抗血管新生性化合物の合成およびSAR特性を考察する。
【0029】
2MEの生物学的活性を保持しつつ、17位および2位での代謝が低減されると予測される一連の新規化合物が合成された。17位がアルキル化された類縁体はヒドロキシル部分を欠き、その位置で2−メトキシエストロンに代謝されることはないか、または抱合されることはないが、HUVECおよびMDA−MB−231細胞中で抗増殖活性を保持する。
【0030】
他の基、例えば2−N−ホルムアミドまたは2−ホルミルおよび2−N,N−ジメチルアミノにより2−メトキシ基を置換した場合は抗増殖活性を保持したが、これらの基は脱メチル化してエストロゲン様である2−ヒドロキシル誘導体を生じさせることはない。これらの類縁体は、評価された腫瘍細胞系全体で内皮細胞に関する選択的インビトロ抗増殖活性を有する。
【0031】
それがデメチラーゼのための基質および脱メチル化の結果生じる化合物のための基質であり得ないように、2−メトキシエストラジオールのメチルエーテル部位を修飾した化合物およびその方法も開示される。
【0032】
2−メトキシエストロンへの変換および/または2−メトキシエストラジオールまたは代謝産物の他の分子との抱合ならびに排出中のその後のその損失を防止するための、2−メトキシエストラジオールの16位および17位の化学的性質、およびその結果生じる化合物の化学的性質を変えた化合物およびその方法も開示される。
【0033】
本発明のその他の特徴および利点は、その好ましい実施形態の以下の説明から明らかである。
【0034】
[発明の詳細な説明]
下記のように、本発明に従って有用である化合物としては、抗有糸分裂、抗血管新生および抗腫瘍特性を示す、新規の2−メトキシエストラジオール誘導体が挙げられる。本発明による特定の化合物は、以下に記載される。本発明の好ましい化合物は、2、16または17位あるいはそれらの組合せにおいて修飾される2−メトキシエストラジオール誘導体である。本発明は、本明細書に記載される特性を有する限り、併記の特許請求の範囲に示された式に含まれるその他の化合物に及ぶ、と当業者は理解する。これらの特性は、以下においておよび他の文献中で詳述されるアッセイを用いて各試験化合物に関して確定することができる。
【0035】
2−メトキシエストラジオールは、強力な抗増殖活性を有し、広範な種々の腫瘍および非腫瘍細胞系においてアポトーシスを誘導するエストラジオールの内因性代謝産物である。経口的に投与される場合、それは抗腫瘍および抗増殖活性を示し、毒性はほとんどまたはまったくない。2−メトキシエストラジオールは、インビトロおよびインビボの結果により示されるように、低活性代謝産物である2−メトキシエストロン(2ME)に代謝される。理論により限定されたくはないが、この代謝産物は、エストロンがエストラジオールから生成されるのと同一の酵素的経路を経て生成されると考えられる。理論により限定されたくはないが、エストラジオールに関するこの反応に関与する酵素は、補因子としてNADP+を利用する17β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(17β−HSD)である(Han et al., J. Biol. Chem. 275:2, 1105−1111(2000年1月12日)および先に引用されたその他の参考文献)と考えられる。この酵素ファミリーの4つの成員、すなわちタイプ1、2、3および4は、それぞれ別個の活性を有する。17β−HSDタイプ1は還元反応(エストロン→エストラジオール)を触媒し、一方、17β−HSDタイプ2は酸化反応(エストラジオール→エストロン)を触媒し、タイプ3は4−アンドロステンジオンをテストステロンに変換する反応を触媒すると考えられる。付加的な代謝不活性化経路は、2−メトキシエストラジオールまたは2−メトキシエストロンと、硫酸塩またはグルクロン酸などの分子との抱合ならびに排出によるその後の損失を生じることも考えられる。本発明において、このような代謝経路が生じるのを防止するために、2−メトキシエストラジオールの16位および/または17位が修飾され得る。
【0036】
2−メトキシエストラジオールはかなり低活性の代謝産物に代謝されるため、本発明は、この基質上での17β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼのファミリーと補因子NADPの相互作用を遅延または防止するために2−メトキシエストラジオールの16位および17位に、立体バルクおよび/または化学的または静電気的特性の修飾を付加する。2−メトキシエストラジオールの16位および17位に立体バルクを付加することおよび/または化学的または静電気的特性の修飾を付加することにより、抱合、例えばグルクロニル化を遅延または防止することもできる可能性がある。これら2つの代謝非活性経路の遅延または防止により、所望の抗血管新生活性および抗腫瘍活性を保持しながら、2−メトキシエストラジオールおよびその他のエストラジオール誘導体の血清寿命を延ばすことができると考えられる。グルクロニル化および抱合を測定するために用いられるアッセイは、基質酵素ウリジン5’−ジホスホグルクロン酸(UDGPA)を用いる。
【0037】
これらのステロイドを17β−HSDにとって不十分な基質にする(立体的および/または電気的作用により)ことにより起こり得る2MEから2MEへの考え得る代謝の防止は別にして、2位で修飾された類縁体は、2位にメチルエーテル基が存在しないため、2MEにおいて起きることが既知である脱メチル化を受けることは考えられない。このような類縁体は、2−ヒドロキシエストラジオール(2MEの脱メチル化産物)がエストロゲン様活性を有することが実証されているため、望ましい。
【0038】
経口送達ステロイド、例えばエストラジオール(E)およびエチニル−Eは、胃腸器官を通過中に、および肝臓における一次通過代謝により、広範に代謝されることが知られている。急速な不活性化および排出をもたらす2つの主要代謝経路が、十分に研究されている(Fotsis, T.; Zhang, Y.; Pepper, M.S.; Adlercrcutz, H.; Montesano, R.; Nawreth. P.P.; Schweigerer, L., The Endogenous Estrogen Metabolite 2−Methoxyestradiol Inhibits Angiogenesis and Supresses Tumor. Nature, 1994, 368, 237−239; Wang, Z.; Yang, D.; Mohanakrishnan, A.K.; Fanwick, P.E.; Nampoothiri, P.; Hamel, E.; Cushman, M.「Synthesis of B−Ring Homologated Estradiol Analogs that Modulate Tubulin Polymerization and Microtubule Stability.」J. Med. Chem., 2000, 43, 2419−2429)(例えばエストロンを生成するためのEのD−環の17−ヒドロキシ基での酸化ならびにA−環上の3位およびD−環上の17位のヒドロキシル基での硫酸塩および/またはグルクロン酸塩との抱合)。
【0039】
2ME類縁体のSARを確定するためにいくつかの研究がなされた(D’Amato, R.J.; Lin, C.M.; Flynn, E.; Folkman, J.; Hamel, E.「Inhibition of Angiogenesis and Breast Cancer in Mice by the Microtubule Inhibitors 2−Methoxyestradiol and Taxol」Cancer Res., 1997, 57, 81−86; Cushman, M.; He, M.−H.; Katzenellenbogen, J.A.; Lin, C.M.; Hamel, E.「Synthesis, Antitubulin and Antimitotic Activity, and Cytotoxicity of Analogs of 2−Methoxyestradiol, an Endogenous Mammalian Metabolite of Estradiol that inhibits Tubulin Polymerization by Binding to the Colchicine Binding Site.」 J. Med. Chem. 1995, 38, 2041−2049)が、その代謝経路を低減または停止するための研究はされていなかった。エストロン生成またはグルクロニド化を遮断するために、2MEのD環の17位のヒドロキシル基を置換することにより、鎖を有さないかまたは一連のメチレン鎖長(1〜4)を有する化合物が合成された。同様に、2位で修飾されている17−デオキシエストロン類縁体のいくつかが、グルクロニド化およびメトキシ基のヒドロキシル基への加水分解を遮断するために合成された。これらの類縁体に関して、合成についてのデータ、ならびに抗増殖活性に関してはヒト臍静脈内皮細胞(HUVEC)および乳癌腫瘍MDA−MB−231細胞における、およびエストロゲン様活性に関してはMCF−7腫瘍癌細胞における予備的インビトロスクリーニングについてのデータが示されている。
【0040】
2−メトキシ−17−デオキシエストロン、17−エチル−2−メトキシエストロンおよび17−メチル−2−メトキシエストロン類縁体は、2MEと同等またはそれより良好な抗増殖活性を示したが、2−メトキシエストロンに変化するまたは17位で抱合する能力は減少した。
【0041】
2−メトキシエストロンの17位で炭素鎖を増大させると、抗増殖活性が低減する。
【0042】
2位を修飾したいくつかの17−デオキシエストロン類縁体はHUVEC細胞中でのみ良好な抗増殖活性を保持したが、このことは、これらの類縁体がインビボで強力な抗血管新生薬であり得ることを示唆する。
【0043】
2−N−メチルアミノ−17−デオキシエストロンが2−N,N−ジメチルアミノ−17−デオキシエストロンに変化した場合、HUVEC細胞中での抗増殖活性はわずかに低減がした。
【0044】
光活性化後の2ME結合タンパク質を同定するために、かなりの抗増殖活性を保持する2−アジド−エストラジオールが合成された。
【0045】
デメチラーゼの基質およびその結果生じる化合物でないようにするため、2−メトキシエストラジオールのメチルエーテル部位を修飾した化合物およびその方法も開示される。
【0046】
本発明の別の実施形態では、誘導体は2、16または17位の組合せで修飾される。
【0047】
インサイチュでの抗増殖活性
抗増殖活性は、改良型エストラジオール誘導体が新血管細胞の増殖(血管新生)を抑制する能力を試験することにより、インサイチュで評価される。適切なアッセイは、Crum et al. Science 230:1375(1985)に記載されたヒヨコ胚漿尿膜(CAM)アッセイである。CAMアッセイを記載する米国特許第5,001,116号(この記載内容は、参照により本明細書中に含まれる)も参照されたい。要するに、受精ヒヨコ胚を3または4日目にそれらの殻から取り出して、薬剤を含有するメチルセルロース盤を漿尿膜上に移植する。48時間後に胚を検査して、明らかな無血管帯域がメチルセルロース盤の周囲に現れたら、帯域の直径を測定する。このアッセイを用いて、エストラジオール誘導体である2−メトキシエストラジオールの100μg盤は、48時間後に細胞有糸分裂および新血管成長を抑制することが判明した。この結果は、2−メトキシエストラジオールの抗有糸分裂作用が細胞有糸分裂および血管新生を抑制し得ることを示す。
【0048】
インビトロでの抗増殖活性
2MEが細胞増殖に影響を及ぼす過程は依然として明らかでないが、多数の研究が種々の作用メカニズムおよび細胞標的を示唆する。2MEは、細胞周期の進行に関与する種々のタンパク質のレベルおよび活性における変化を誘導した。これらの例としては、DNA複製および修復のコファクター、例えば増殖細胞核抗原(PCNA)(Klauber, N., Parangi, S., Flynn, E., Hamel, E. and D’Amato, R.J.(1997), Inhibition of angiogenesis and breast cancer in mice by the microtubule inhibitors 2−methoxyestradiol and Taxol., Cancer Research 57, 81−86; Lottering, M−L., de Kock, M., Viljoen, T.C., Grobler, C.J.S. and Seegers, J.C.(1996) 17β−Estradiol metabolites affect some regulators of the MCF−7 cell cycle. Cancer Letters 110, 181−186);細胞分裂周期キナーゼおよび調節剤、例えばp34cdc2およびサイクリンB(Lottering et al.(1996); Attalla, H., Makela, T.P., Adlercreutz, H. and Andersson, L.C.(1996) 2−Methoxyestradiol arrests cells in mitosis without depolymerizing tubulin. Biochemical and Biophysical Research Communications 228, 467−473; Zoubine, M.N., Weston, A.P., Johnson, D.C., Campbell, D.R. and Banerjee, S.K.(1999) 2−Methoxyestradiol−induced growth suppression and lethality in estrogen−responsive MCF−7 cell may be mediated by down regulation of p34cdc2 and cyclin B1 expression. Int J Oncol 15, 639−646);転写因子調整剤、例えばSAPK/JNK(Yue, T−L., Wang, X., Louden, C.S., Gupta, L.S., Pillarisetti, K., Gu, J−L., Hart, T.K., Lysko, P.G. and Feuerstein, G.Z.(1997) 2−Methoxyestradiol, an endogenous estrogen metabolite induces apoptosis in endothelial cells and inhibits angiogenesis: Possible role for stress−activated protein kinase signaling pathway and fas expression. Molecular Pharmacology 51, 951−962; Attalla, H., Westberg, J.A., Andersson, L.C., Aldercreutz, H. and Makela, T.P.(1998) 2−Methoxyestradiol−induced Phosphorylation of bcl−2: uncoupling from JNK/SAPK activation. Biochem and Biophys Res Commun 247, 616−619);ならびに細胞分裂停止およびアポトーシスの調節剤、例えばチューブリン(D’Amato, R.J.; Lin, C.M.; Flynn, E.; Folkman, J.; Hamel, E. (1994) 2−Methoxyestradiol, and endogenous mammalian metabolite, inhibits tubulin polymerization by interacting at the colchicine site. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91, 3964−3968; Hamel, E., Lin, C.M.; Flynn, E. and D’Amato, R.J.(1996) Interaction of 2−methyoxyestradiol, and endogenous mammalian metabolite, with unploymerized tubulin and with tubulin polymers. Biochemistry 35, 1304−1310)、p21WAF1/CIP1(Mukhopadhyay, T. and Roth, J.A.(1997) Induction of apoptosis in human lung cancer cells after wild−type p53 activation by mthoxyestradiol. Oncogene 14, 379−384)、bc1−2およびFAS(Yue et al.(1997); Attalla et al.(1998))、ならびにp53(Kataoka, M., Schumacher, G., Cristiano, R.J., Atkinson, E.N., Roth, J.A. and Mukhopadhyay, T.(1998) An agent that increases tumor suppressor transgene product coupled with systemic transgene delivery inhibits growth of metastatic lung cancer in vivo. Cancer Res 58, 4761−4765; Mukhopadhyay et al.(1997); Seegers, J.C., Lottering, M−L., Grobler C.J.S., van Papendorp, D.H., Habbersett, R.C., Shou, Y. and Lehnert B.E.(1997) The mammalian metabolite, 2−methoxyestradiol, affect p53 levels and apoptosis induction in transformed cells but not in normal cells. J. Steroid Biochem. Molec. Biol. 62, 253−267)が挙げられる。cAMP、カルモジュリン活性およびタンパク質リン酸化のレベルに及ぼす作用も互いに関連する可能性がある。さらに近年、2MEは、ヒト内皮細胞系および腫瘍細胞系におけるデス受容体5およびカスパーゼ8をアップレギュレート(upregulate)することが示された(LaVallee, T.M., Zhan, X.H., Herbstritt, C.J., Williams, M.S., Hembrough, W.A., Green, S.J., and Pribluda, V.S. 2001. 2−Methoxyestradiol induces apoptosis through activation of the extrinsic pathway. (Manuscript in preparation))。さらに2MEは、スーパーオキシドジムスターゼ(SOD)1およびSOD2と相互作用し、それらの酵素活性を抑制することが示されている(Huang, P., Feng, L., Oldham, E.A., Keating, M.J., and Plunkett, W. 2000. Superoxide dismutase as a target for the selective killing of cancer cells, Nature. 407:390−5)。上記の細胞標的はすべて、必ずしも能動的分裂している細胞における2MEの阻害作用に対して相互に排他的ではない。
【0049】
SHBGとの高親和性結合は、エストラジオールおよび5α−アンドロスタン−3α,17β−ジオールによるシグナリングが、2ME2により抑制された前立腺癌のイヌモデルにおけるその効力に機械論的に関連していた(Ding, V.D., Moller, D.E., Feeney, W.P., Didolkar, V., Nakhla, A.M., Rhodes, L., Rosner, W. and Smith, R.G. (1998) Sex hormone−binding globulin mediates prostate androgen receptor action via a novel signaling pathway. Endocrinology 139, 213−218)。
【0050】
上記の、より関連のあるメカニズムについて、Victor S. Pribluda, Theresa M. LaVallee and Shawn J. Green, 2−Methoxyestradiol: A novel endogenous chemotherapeutic and antiangiogenic in The New Angiotherapy, Tai−Ping Fan and Robert Auerbach eds., Human Press Publisherにおいて広範に考察されている。
【0051】
作用メカニズムおよび細胞増殖に関連したアッセイは、当該技術分野で既知である。例えば、チューブリン重合活性に及ぼす作用により媒介される抗有糸分裂活性は、インビトロでエストラジオール誘導体がチューブリン重合および微小管アセンブリーを抑制する能力を試験することにより評価され得る。微小管アセンブリーは、電子温度制御器を装備したギルフォード記録分光光度計(モデル250または2400S)で追跡調査される。反応混合物は、通常、1.0Mグルタミン酸モノナトリウム(pH6.6)、1.0mg/ml(10μM)チューブリン、1.0mMのMgCl、4%(v/v)ジメチルスルホキシドおよび試験される20〜75μMの組成物を含む。反応混合物を37℃で15分間インキュベートし、次に氷上で冷却する。2.5mMのGTP10μlの添加後、反応混合物を0℃でキュベットに移して、基線を確立する。ゼロ点で、分光光度計の温度制御器を37℃に設定する。350nmでの濁り度の増大を測定することにより、微小管アセンブリーを評価する。あるいは微小管アセンブリーの抑制は、米国特許第5,504,074号、第5,661,143号および第5,892,069号の実施例2に記載されたように透過型電子顕微鏡により追跡調査され得る。
【0052】
その他のこのようなアッセイとしては、組織培養プレート中の細胞の計数、あるいは代謝アッセイによる、または標識化した(放射線化学的、例えばH−チミジンまたは蛍光的標識化)もしくは免疫反応性(BrdU)ヌクレオチドをDNA中に組み込むことによる細胞数の評価が挙げられる。さらに、抗血管新生活性は、ラット大動脈環のような半ビボモデルにおける内皮細胞の移動、内皮細胞細管形成または血管外方成長により評価され得る。
【0053】
適応症
本発明は、異常細胞有糸分裂を特徴とする任意の疾患を治療するために用いられ得る。このような疾患としては、内皮細胞の異常刺激(例えばアテローム硬化症)、固形腫瘍および腫瘍転移、良性腫瘍、例えば血管腫、聴神経腫、神経繊維腫、トラコーマ、ならびに化膿性肉芽腫、血管機能不全、異常創傷治癒、炎症性および免疫障害、ベーチェット病、痛風または痛風性関節炎、以下を伴う異常血管新生:慢性関節リウマチ、皮膚疾患、例えば乾癬、糖尿病性網膜症およびその他の眼血管新生疾患、例えば未熟児網膜症(水晶体後繊維増殖)、黄斑変性、角膜移植拒絶、血管新生緑内障、肝臓疾患およびオースラーウェーバー症候群(オースラーウェーバーランデュ病)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0054】
本発明により治療され得る角膜新生血管形成に関連した疾患としては、糖尿病性網膜症、未熟児網膜症、角膜移植片拒絶、血管新生緑内障および水晶体後繊維増殖症、流行性角結膜炎、ビタミンA欠損症、コンタクトレンズ過剰装着、アトピー性角膜炎、上縁角膜炎、乾性翼状角膜炎、シェーグレン症候群、挫瘡、酒さ、フリクテン症、梅毒、マイコバクテリア感染、脂質変性、化学的熱傷、細菌性潰瘍、真菌性潰瘍、単純ヘルペス感染、帯状ヘルペス感染、原生動物感染、カポジ肉腫、モーレン潰瘍、テリエン辺縁変性、辺縁角質溶解、外傷、慢性関節リウマチ、全身性ループス、多発性関節炎、ヴェーゲナー類肉芽腫症、強膜炎、スティーブン−ジョンソン病、類天疱瘡放射状角膜切開、および角膜移植拒絶が挙げられるが、これらに限定されない。
【0055】
本発明により治療され得る網膜/脈絡膜新生血管形成に関連した疾患としては、糖尿病性網膜症、黄斑変性、鎌状赤血球貧血、類肉腫症、梅毒、弾性繊維仮性黄色腫、パジェット病、静脈閉塞、動脈閉塞、頚動脈閉塞性疾患、慢性ブドウ膜炎/絨毛組織炎、マイコバクテリア感染、ライム病、全身性ループス、未熟児網膜症、イールズ病、ベーチェット病、網膜炎または脈絡膜炎を引き起こす感染、推定眼ヒストプラスマ症、ベスト病、近視、視神経乳頭先天性構造的欠陥、シュタルガルト病、扁平部炎、慢性網膜剥離、過粘稠度症候群、トキソプラスマ症、外傷およびレーザー後合併症が挙げられるが、これらに限定されない。その他の疾患としては、皮膚潮紅に関連した疾患(角の新生血管形成)、ならびに繊維性血管または繊維性組織の異常増殖により引き起こされる疾患、例えば全形態の増殖性硝子体網膜症(糖尿病に関連する場合もしない場合も)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0056】
本発明により治療され得る別の疾患は、慢性関節リウマチである。関節の滑膜の内側を覆う血管は、血管新生を受けると考えられる。新規の血管網状構造を形成するほかに、内皮細胞は、パンヌス増殖および軟骨崩壊をもたらす因子および反応性酸素種を放出する。血管新生に関与する因子は、慢性関節リウマチの慢性炎症状態に積極的にに寄与し、炎症状態の保持を補助し得る。
【0057】
本発明により治療され得る別の疾患は、血管腫症、オースラーウェーバーランデュ病または遺伝性血行性毛細管拡張症、固形または血行性腫瘍ならびに後天性免疫不全症候群である。
【0058】
さらに本発明は、種々の閉経後症候群、骨粗鬆症、心臓血管性疾患、アルツハイマー病を治療するために、発作の出現を低減するために、そして従来のエストロゲン置換療法の代替物として用いられ得る。本発明の化合物は、エストロゲン様および非エストロゲン様生化学的経路により作用し得る。
【0059】
プロドラッグ
本発明は、抱合型プロドラッグ、およびその使用にも関する。特に本発明は、エストラジオール化合物の抱合体、例えば2−メトキシエストラジオールならびにその機能的活性類縁体および誘導体と、血管新生の増進または細胞分裂の加速に関連した症状(例えば癌)、および炎症性症状(例えば喘息、慢性関節リウマチ、ならびに過増殖性皮膚障害、例えば乾癬)の予防または治療においてこのような抱合体を使用することに関する。本発明は、本発明のプロドラッグを含む組成物、ならびにプロドラッグの合成方法にも関する。
【0060】
本発明の一態様において、生物学的活性修飾剤と抱合されるエストラジオール化合物の、好ましくは2−メトキシエストラジオールあるいはその機能的活性類縁体または誘導体の抱合型プロドラッグを提供する。
【0061】
「機能的活性」とは、2−メトキシエストラジオールの類縁体または誘導体が2−メトキシエストラジオールの1つまたはそれ以上の生物学的活性を有することを意味する。2−メトキシエストラジオールの生物学的活性としては、内皮細胞増殖の抑制、平滑筋細胞増殖の抑制、腫瘍細胞増殖の抑制、微小管機能の抑制、白血球活性化の抑制が挙げられるが、これらに限定されない。このような機能的活性類縁体または誘導体の例としては、2−エトキシエストラジオール、2−ヒドロキシエストラジオール、および2位で修飾されたその他の類縁体、2−メトキシエストラジオール−3−メチルエーテル、4−メトキシエストラジオール、ならびにB環が7員環に拡張されたその他の類縁体が挙げられる。国際公開第95/04535号および国際公開第01/27132号(これらの記載内容は、参照により本明細書中に含まれる)を参照されたい。
【0062】
あるいは本発明による抱合型プロドラッグとしては、ペプチド部分に抱合された2−メトキシエストラジオールあるいはその機能的活性類縁体または誘導体が挙げられる。
【0063】
疾患依存的活性化プロドラッグ中への2−メトキシエストラジオールのようなエストラジオール化合物の組み込みは、効力の有意の改善ならびにこの抗癌薬および抗炎症薬の選択を可能にする。
【0064】
本発明の化合物のほかに、本発明の医薬製剤組成物は、本明細書中に上記したような1つまたは複数の疾患状態を治療するのに有効な1つまたは複数の薬理学的作用物質をも含んでいてよく、あるいは共投与(同時的にまたは逐次的に)することができる。
【0065】
さらにプロドラッグは、生分解性ポリマー中に組み込まれることによって、持続性放出を可能にし、ポリマーは、送達したい場所、例えば腫瘍の部位の付近に移植される。生分解性ポリマーおよびそれらの使用は、Brem et al., J. Neurosurg 74: 441−446 (1991)に詳細に記載されている。
【0066】
標準的教科書、例えばRemington’s Pharmaceutical Sciences 17th editionを参照することにより、当業者は、配合物の製造方法ならびにこれらの投与方法を確定し得る。
【0067】
本発明のさらに別の態様では、血管新生あるいは細胞分裂または炎症の加速に関連した症状を予防または治療するための薬剤を調製するための、本発明による抱合型プロドラッグの使用が提供される。
【0068】
本発明のさらに別の態様では、本発明による抱合型プロドラッグとともに、薬学的に許容可能な担体、希釈剤または賦形剤を含む製剤組成物が提供される。
【0069】
製剤組成物は、血管新生あるいは細胞分裂または炎症の加速に関連した症状を予防または治療するために用いられ得る。
【0070】
本発明のさらに別の態様では、血管新生あるいは細胞分裂過形成性成長または炎症の加速または量の増大に関連した症状の予防または治療方法であって、上記のような本発明による、有効量の抱合型プロドラッグをこのような予防または治療を必要とする患者に投与することを含む方法が提供される。
【0071】
上記の症状の予防または治療は、上記の症状の改善を含むと理解されるべきである。
【0072】
「有効量」とは、治療的または予防的有効量を意味する。このような量は、治療される症状、投与経路およびその他の関連因子を考慮しながら、適切な当業者により容易に確定され得る。このような当業者は、適切な投与用量、投与様式および投与頻度を容易に確定することができる。
【0073】
当該式の化合物の薬学的に許容可能な塩は、例えば遊離塩基および酸から、任意の慣用的方法で調製され得る。インビボ加水分解性エステル、アミドおよびカルバメートは、任意の慣用的方法で調製され得る。
【0074】
改良型エストラジオール誘導体の合成
本発明に従って用いられる既知の化合物および本発明による新規の化合物の前駆体は、例えばSigma Chemical Co., St Louis、SteraloidsおよびResearch Plusから購入することができる。本発明によるその他の化合物は、既知の方法により、公的に入手可能な前駆体から合成され得る。
【0075】
エストラジオールの化学合成が公知文献に記載されている(Eder, V. et al., Ber 109, 2948(1976); Oppolzer, D.A. and Roberts, DA. Helv. Chim. Acta. 63, 1703, (1980))。本発明の誘導体のいくつかを調製するために用いられる合成経路は、エストラジオール誘導体およびジメチルヒドラゾンに関する出版文献に記載の手順の変法(Trembley et al., Bioorganic & Med. Chem. 1995, 3, 505−523; Fevig et al., J. Org. Chem., 1987, 52, 247−251; Gonzalez et al., Steroids 1982, 40, 171−187; Trembley et al., Synthetic Communications 1995, 25, 2483−2495; Newkome et al., J. Org. Chem. 1966, 31, 677−681; Corey et al., Tetrahedron Lett 1976, 3−6; Corey et al., Tetrahedron Lett 1976, 3667−3668)ならびに独国特許第2757157号(1977)に基づいている。例えば、第3表中の化合物2、3、4、6を参照されたい。該変法は、以下の実施例15に提示されている。エピマー16−エチル−2−メトキシエストラジオールおよび類縁体の初期スクリーニングにより、それがインビトロでのHUVEC細胞増殖の抑制に関して2−メトキシエストラジオールとほぼ同程度の効力であることを示した。
【0076】
投与
上記の組成物は、既知の技法を用いて生理学的に許容可能な配合物として提供され、これらの配合物は標準経路により投与され得る。概して、該配合物は、局所、経口、直腸または非経口的(例えば静脈内、皮下または筋肉内)経路で投与され得る。さらに配合物は、生分解性ポリマー中に組み込まれることにより持続性放出を可能にし、ポリマーは、送達したい場所付近、例えば腫瘍の部位、あるいは眼の中または近くに移植される。生分解性ポリマーおよびそれらの使用は、Brem et al., J. Neurosurg 74: 441−446 (1991)に詳細に記載されている。組成物の投与量は、治療される症状、用いられる特定の誘導体、ならびにその他の臨床的因子、例えば患者の体重および症状、ならびに化合物の投与経路に依存する。しかしながらヒトへ経口投与するためには、0.01〜100mg/kg/日、好ましくは0.01〜20mg/kg/日の投与量で一般的には十分である。
【0077】
配合物としては、経口、直腸、鼻、局所(例えば頬および舌下)、膣あるいは非経口(例えば皮下、筋肉内、静脈内、皮内、眼内、気管内および硬膜上)投与に適したものが挙げられる。配合物は、単位投与量形態で提供されると便利であり、慣用的製薬技法により調製され得る。このような技法は、活性成分および薬学的担体(単数または複数)または賦形剤(単数または複数)を会合させる工程を含む。概して、配合物は、均一にかつ密接に調製されて、活性成分を液体担体または微粉砕固体担体またはその両方と会合させて、さらに、必要な場合には、生成物を造形する。
【0078】
経口投与に適した本発明の配合物は、各々予定量の活性成分を含むカプセル剤、カシェ剤もしくは錠剤のような個別の単位として、粉末もしくは顆粒として、水性液体もしくは非水性液体中の溶液または懸濁液として、または水中油型エマルションもしくは油中水型エマルションとして、およびボーラス剤等として提供され得る。
【0079】
錠剤は、任意に1つまたは複数の補助成分とともに、圧縮または成形することにより製造され得る。圧縮錠剤は、任意に結合剤、滑剤、不活性希釈剤、防腐剤、界面活性剤または分散剤と混合された、易流動性形態の、例えば粉末または顆粒の形態の活性成分を、適切な機械で圧縮することにより調製され得る。成形錠剤は、不活性液体希釈剤で湿潤させた粉末化合物の混合物を、適切な機械で成形することにより製造され得る。錠剤は、任意にコーティングされまたは刻み目をつけられて、その中の活性成分がゆっくりとまたは制御されて放出されるように成形され得る。
【0080】
口の中に局所投与するのに適した配合物としては、風味基剤、通常はスクロースおよびアラビアゴムもしくはトラガカントゴム中に成分を含むロゼンジ、不活性基剤、例えばゼラチンおよびグリセリンまたはスクロースおよびアラビアゴム中に活性成分を含む香錠、ならびに適切な液体担体中に投与される成分を含むマウスウォッシュが挙げられる。
【0081】
皮膚への局所投与に適した配合物は、薬学的に許容可能な担体中に投与される成分を含む軟膏、クリーム、ジェルおよびペーストとして提供され得る。好ましい局所送達系は、投与される成分を含む経皮パッチである。
【0082】
直腸投与のための配合物は、例えばココアバターまたはサリチレートを含む適切な基剤を有する座薬として提供され得る。
【0083】
鼻投与に適した配合物(この場合、担体は固体である)としては、鼻から吸う方法で、すなわち鼻の近くに保持された粉末の容器から鼻道を通して迅速に吸入することにより投与される、例えば20〜500ミクロンの範囲の粒子径を有する、目の粗い粉末が挙げられる。担体が液体である場合の、例えば鼻腔スプレーまたは点鼻液として投与するのに適切な配合物としては、活性成分の水性または油性溶液が挙げられる。
【0084】
膣投与に適した配合物は、活性成分のほかに、当該技術分野で適切であると知られている、例えば担体を含有するペッサリー、タンポン、クリーム、ジェル、ペースト、フォームまたはスプレー配合物として提供される。
【0085】
非経口投与に適した配合物としては、酸化防止剤、緩衝剤、静菌剤および意図されたレシピエントの血液と配合物を等張にさせる溶質を含有し得る水性および非水性滅菌注射溶液、ならびに懸濁剤および増粘剤を含み得る水性および非水性滅菌懸濁液が挙げられる。配合物は、単位用量または多数回用量容器中で(例えば密封アンプルおよびバイアル中で)提供され、また注射液として使用する直前に滅菌液体担体(例えば水)の添加のみを必要とするフリーズドライ(凍結乾燥)状態で貯蔵され得る。即席の注射溶液および懸濁液は、上記の種類の滅菌粉末、顆粒および錠剤から調製してもよい。
【0086】
好ましい単位投与量配合物は、本明細書中に上記で列挙したような、1日分の用量または単位、1日分の亜用量の投与成分を含む配合物、あるいはそれらの適切な分画を含む配合物である。
【0087】
特に上記された成分のほかに、本発明の配合物は、当該配合物の種類に関する技術分野で慣用的であるその他の作用物質を含み得る(例えば経口投与に適したものは風味剤を含み得る)ことが理解されるべきである。
【0088】
2−メトキシエストラジオールは、強力な抗増殖活性を有し、広範な種々の腫瘍細胞系および非腫瘍細胞系においてアポトーシスを誘導するエストラジオール(E)の内因性代謝産物である。経口的に投与される場合、それは抗腫瘍および抗増殖活性を示し、毒性をほとんど伴わない。2−メトキシエストラジオールはその抗増殖活性のためのエストロゲン受容体を必要としないことをインビトロデータは示唆する。しかしながらインビボでデメチラーゼが存在すると、この化合物は2−ヒドロキシエストラジオールに代謝され、この化合物は、エストロゲン様であることがいくつかのアプローチにより示されている。本発明は、エストラジオールまたは2−メトキシエストラジオールの生物学的利用可能性を改良し、エストロゲン様である2−メトキシエストラジオール代謝産物の産生を低減する。理論により限定されたくはないが、本発明は、デメチル化、酸化および代謝中の別の分子との抱合を防止または阻害するような方法でエストラジオール類縁体を修飾することが考えられる。
【0089】
本発明は、2−メトキシエストラジオールの誘導体を投与することによる、病原性血管新生を特徴とする哺乳類疾患を治療するための組成物および方法を含む。誘導体は、2、16または17位またはそれらの組合せで修飾されるが、その修飾は当業者にとって化学的に可能である。物理的に不可能である組合せ、例えば5つの結合を有する炭素原子は、本発明により意図されない。2、6、16および17位は、以下の基を用いて修飾され得る:
a)アルキル(αまたはβ立体化学構造を有し、飽和または不飽和であり、置換または無置換であり、直鎖および分枝鎖でもよい、炭素数10までの炭素鎖)、
b)アルケニル、例えばオレフィン位置異性体および/または立体異性体(オレフィンのE−およびZ−立体配置。炭化水素鎖は、炭素数10までの直鎖または分枝鎖であり、飽和または不飽和であり、置換または無置換であり得る)が挙げられ、任意の位置にC=Cを有するが、これらに限定されない。
c)炭素数10までの直鎖または分枝鎖アルキル鎖を有するアルキニル。飽和または不飽和であり、置換または無置換であり、任意の位置にC≡Cを有し得る。
d)上記のアルキルのいずれかに、芳香族基またはヘテロ基が組み込まれ得る場合、アルケニルおよびアルキニル鎖は単一またはそれらの組合せであり、芳香族基の例としては、フェニル、フェノール、アニリン、アニソール、トルエン(オルト、メタまたはパラ誘導体)、ザイレンが挙げられるが、これらに限定されず、ヘテロ基としては、エーテル、アミン、官能基を含有するカルボニル、アルコール、ホスフェート、トリフルオロおよびチオール基、酸、エステル、スルフェート、スルフォネート、スルホン、スルファメートおよびアミドが挙げられるが、これらに限定されない。
e)αまたはβ立体化学構造を有するモノ、ジアルキルまたはトリアルキルアミン置換基(アルキルは、炭素数10までの直鎖または分枝鎖であり得る)。
f)−CF、−CHF、−CFおよび炭素数10までのより長い炭素鎖、例えばトリフルオロエタン、ペンタフルオロエタン、炭素数10までのフッ素化アルキルまたはアルケン鎖。これらの炭素鎖上におけるフッ素の位置は、当業者にとって化学的に可能である限り可変である。
g)無置換、一置換または多重置換のd)およびe)以外のヘテロ基。
h)無置換、一置換または多重置換のd)以外の芳香族基。
i)同じ位置に同時に組み込まれるアルキル基、およびヘテロ基または芳香族基の両方。ならびに
j)同時に組み込まれているジェミナルアルキル基、ヘテロ基または芳香族基(ジェミナルとは、同一の炭素での2つの置換基と定義される)。
【0090】
ヘテロ基とは、CまたはH以外の原子を少なくとも1つ含む任意の基と本明細書中では定義される。ヘテロ基は、その他の置換基、例えば芳香族環およびその他の官能基を含んでいてもよい。ヘテロ基は、環上にまたは基の置換基上に直接結合されていてもよい。特に考慮されるのは、O、N、SおよびPである。
【0091】
100%純粋である異性体が本発明により意図されるが、αまたはβとして区別される立体化学的異性体は、当業者により化学的に考え得る任意の比率でのそれらの混合物であってもよい。
【0092】
特に2位、16位および17位で考慮されるのは、CHの代わりにカルボニル、−CO−、−S−、−NH−、および/または−O−などの(これらに限定されない)ヘテロ原子で置換されている、またHの代わりにヒドロキシル、アミノ、スルフィドリル、アジド、ハロゲン化合物、ニトロ、アジド、ニトリル、スルファメート、カルバメート、ホスフェート、アジドおよびアゾ、エステル、エーテル、ハロゲン化合物、ホルムアミド、ニトロ、ニトリル、スルフィド、スルホキシド、スルフェート、スルファメート、ホスフェートおよびホスホネートで任意に置換されている酸、アミド、アミン、直鎖および分枝鎖アルカン、アルケンおよびアルキンによる修飾;2、16または17位に直接結合されるか、あるいは−S−、−NH−および/または−O−などの(これらに限定されない)ヘテロ原子で置換されている直鎖または分枝鎖アルカン、アルケンまたはアルキンを介して連結される、飽和または不飽和の3、4、5、6、7または8員の単一もしくは多重同素式環または複素環式環(環の水素および側鎖の水素は、ヒドロキシル、アミノ、スルフヒドリル等の(これらに限定されない)当業者にとって化学的に可能である上記に開示した基(これらに限定されない)基によって任意にさらに置換される)による修飾である。
【0093】
さらに、ステロイド環上の任意の位置で、以下の基が組み込まれ得るが、これは当業者により化学的に可能である:
i)Rが水素である、
ii)Rが、立体異性体を有する炭素数10までの直鎖および分枝鎖のアルキル鎖である、
iii)Rが、任意の位置にオレフィンまたはアルキン部分を有し、鎖上に任意の立体配置を有する上記のアルキル鎖のアルケンまたはアルキン誘導体である。炭素数10までの任意の立体配置の多重不飽和アルキル鎖も含まれる。アルキル鎖はフェニル置換基および置換フェニル置換基で置換されていてもよい(置換フェニル基の例としては例えばアニリン、アニソール、トルエン、フェノールが挙げられるが、これらに限定されない)。
iv)独立して、1つまたは複数のエステル(エステルのRは上記の段落iiおよびiiiに定義される)、カルボン酸、ケトン(ケトンのRは上記の段落i、iiおよびiiiに定義される)、アルデヒド、アルコール、アミン(第一、第二、第三および第四級アミン、アミンのRは独立して上記の段落i、iiおよびiiiに定義される)、ニトリル、アジド、尿素(尿素のRは上記の段落i、iiおよびiiiに定義される)、オキシム(およびアルキルオキシム)およびハロゲン(F、Cl、Br、I)を含む炭素数10までのアルキル、アルケンまたはアルキン鎖(直鎖または分枝鎖)、ならびに上記のものの薬学的に許容可能な塩。
v)アミン(第一、第二、第三および第四級)(アミンはステロイドに直接結合され、アミンのR基は独立して、上記の段落i、iiおよびiiiに定義される)および薬学的に許容可能な塩、
vi)ステロイドに直接結合されるエーテルおよびポリエーテル(ここでC=1〜10)、
vii)ステロイドに直接結合されるポリアミンおよびポリオール(ここでC=1〜10)、
viii)以下で示されるような環(エポキシド、アジリジンおよびエピスルフィドも含む):
【0094】
【化2】
Figure 2004537499
【0095】
上記の環は、環上の任意の位置で置換されているR基(i〜viiおよびix〜xvで定義されている)を有していてもよく、任意の不飽和結合を有していてもよく、直接(例えばスピロ環のジャンクションまたはヘテロ原子で)、あるいはアルキル鎖またはヘテロもしくはアルキルへテロ鎖を介して、ステロイド上の任意の位置に結合されていてよいが、この場合、これらは当業者にとって化学的に可能である。
ix)スルフェート、スルホキシド、スルファメート、スルホン、スルフィド、ジスルフィド、
x)ホスフェート、ホスホネート、
xi)ニトロ、
xii)上記の段落i、iiおよびiiiで定義された任意のR基で置換されているアミドであって、カルボニル炭素またはアミド窒素によりステロイドに結合されているアミド、あるいは上記の段落iiおよびiiiで定義されたようなR基を介してステロイドと連結されているアミド、
xiii)アルキル、アルケンおよびアルキン部分(例えばCX、CX、CX(ここで、X=F、Cl、Br、I))を有する任意のハロゲン、
xiv)−CO(CHOR(n=0〜10)、ここでアルキル鎖は上記のi、iiおよびiiiで定義されたようなアルケンまたはアルキン部位も含み得る。
xv)20個のアミノ酸長までの、天然に存在するまたは人工的なアミノ酸またはペプチド。
【0096】
概して、化合物はすべて、類似のエストラジオール類縁体のために開発された化学手順を用いて合成された。これらの手順の変法は一般に、ベンジルエーテルによる2−メトキシエストラジオールの3−ヒドロキシ基の保護、ならびにスキーム1〜15に示されたような合成経路中の適切な時点でのこのエーテル結合の切断を含む。
【0097】
第1表に列挙した化合物は、3位が保護された2−メトキシエストラジオールまたはエストロンまたは2−メトキシエストロンから、種々の合成方法により合成された。第1表において、エントリー2は、スキーム2に示すようなMitsunobu反転反応を用いて合成された(Clive et al J. Org. Chem, 1991, 56, 3801)。エントリー4および11は、スキーム1、ルートAおよびスキーム3に示すような還元的アミノ化により合成された。エントリー3は、スキーム4に示すように合成された(Shapiro et al J. Org. Chem, 1964, 86, 2825)が、その他の方法、例えばバートン脱酸素化(Robins et al J. Am. Chem. Soc. 1983, 105, 4059)、その他の標準的方法、例えばクレメンソン還元またはシャピロ反応も同様に利用することができる。化合物5および14は、スキーム1ルートBおよびスキーム4に従って合成された。エントリー7、8、9、10、12、13、ブチルおよびブテンは、スキーム1ルートBおよびスキーム5に従って合成された(Schow et al J. Org Chem. 1979, 22, 3760)。
【0098】
無塩条件下において不安定なイリドであることから予測されるように、17(20)Zオレフィンがメジャー異性体であった。これは、NOESY NMR分光分析により確証された。弱いNOEが、ビニルのH20およびメチルのH18間に観察されたが、一方、有意のNOEが、メチルのH18およびアリルのH21間に観察された。強いNOEもビニルのH20およびアリルのH21間に認められた。このデータは、メジャーの異性体はZ−アルケン立体配置であり、マイナーの異性体はE−オレフィン立体配置であることを示す(相対比は、実施例に示されている)。
【0099】
オレフィン生成物を合成するためのその他のアプローチは、チタンベースの試薬(McMurray Chem. Rev. 1989, 89, 1513またはPine et al Synthesis, 1991, 165)またはピーターソンオレフィン化反応(Peterson et al J. Org. Chem. 1968, 33, 780)を利用し得る。エントリー6はDean et al Steroid, 1971, 18, 130の場合と同様に、2−メトキシエストラジオールから合成された。
【0100】
第2表に関しては、化合物2、3および4はスキーム6に従って合成された(Pert et al Aust. J. Chem. 1989, 42, 405; Lovely et al Tetrahedron Lett., 1994, 35, 8735およびNambara et al Chem. Pharm Bull 1970, 18, 474(代替的方法))。化合物7、8、14および17は、スキーム7に従って合成された(Cushman et al J. Med. Chem 1995, 38, 2041;ニトロ化合物の代替的還元−Stubenrauch et al Steroids 1976, 28, 733; J. Org. Chem. 1988, 53, 1775)。スキーム8に従って、エントリー10、11、12、13および19を合成した。化合物15はスキーム9により合成され、化合物16および18は、Cushman et al J. Med. Chem. 1995, 38, 2041の場合と同様に合成された。
【0101】
第3表中の全ての類縁体に関する出発物質は、スキーム1Aに従って調製された3−ベンジルエーテル−2−メトキシ−17−エストロンであった。第3表に関しては、エントリー2および13はスキーム10および11に従って合成され、専ら16−α立体異性体が得られた(独国特許第2757157号(1977);Newkome et al J. Org. Chem. 1966, 31, 677; Corey et al., Tetrahedron Lett. 1976, 3; Corey et al Tetrahedron Lett. 1976, 3667)。エントリー3、5、6、8および9は、スキーム12および11に従って合成され(Tremblay et al Bioorg. & Medicinal Chemistry 1995, 3, 505)、メジャー生成物として16−β立体異性体が得られた。化合物5および6は、カラムクロマトグラフィーにより分離された(Tremblay et al Synthetic Comm. 1995, 25, 2483)。エントリー4、7、10および11は、スキーム13および11に従って合成され(Tremblay et al Bioorg. & Medicinal Chemistry 1995, 3, 505)、ほとんどの場合にメジャー生成物として16−α立体異性体が得られた。スキーム14は、エントリー12を合成するために用いられた(Gonzalez et al Steroids 1982, 40, 171)。
【0102】
【化3】
Figure 2004537499
【0103】
【化4】
Figure 2004537499
【0104】
【化5】
Figure 2004537499
【0105】
【化6】
Figure 2004537499
【0106】
【化7】
Figure 2004537499
【0107】
【化8】
Figure 2004537499
【0108】
【化9】
Figure 2004537499
【0109】
【化10】
Figure 2004537499
【0110】
【化11】
Figure 2004537499
【0111】
【化12】
Figure 2004537499
【0112】
【化13】
Figure 2004537499
【0113】
【化14】
Figure 2004537499
【0114】
【化15】
Figure 2004537499
【0115】
【化16】
Figure 2004537499
【0116】
【化17】
Figure 2004537499
【0117】
【表1】
Figure 2004537499
Figure 2004537499
【0118】
これらの類縁体は、MDA−MB−231およびMCF−7胸部腫瘍細胞およびHUVEC内皮細胞を用いてインビトロで評価された。構造と活性の関係は、C−17位の立体中心の反転により、抗増殖活性が約1/10に低下することを含む。デヒドロキシ誘導体を生成するために17−ヒドロキシ基を除去しても、2−メトキシエストラジオールと類似のインビトロプロフィールを生じる。17−ヒドロキシ基を窒素官能基へ変換しても、インビトロ活性はいくらか保持された。17位にメチレン基の組み込むと、2−メトキシエストラジオールと比較してインビトロ活性は増大した。
【0119】
これらの化合物のさらなる評価は、以下を包含し得る:以下のようなアッセイを用いた抗腫瘍活性、抗増殖活性または抗血管新生活性に関するインビトロ評価:直接細胞計数により分析されるインビトロ腫瘍細胞系アッセイまたは内皮細胞増殖アッセイ、細胞代謝機能(例えばMTTおよびXTT)を測定する市販キット、あるいは標識化(H−チミジン)または免疫反応性ヌクレオチド(BrdU)をDNAへ代謝的に組み込むことを用いた細胞の計数;運動性または移動(例えば膜貫通移動あるいは内皮細胞層創傷)のインビトロアッセイ;2ME類縁体の特定の機能、例えばチューブリン重合またはSODに関する代理インビトロアッセイ、あるいはその他の酵素結合または酵素阻害アッセイ;アポトーシスの誘導または細胞機能のその他の変化に関するインビトロアッセイ、例えばTUNELおよびヒストン分析、酸素ラジカルレベル、p53レベルまたはp53リン酸化、あるいはアポトーシス経路における酵素(例えばカスパーゼまたはその他のアポトーシス分子、例えばデス受容体またはカスパーゼ活性化に関連したその他の受容体)のレベルまたは活性化状態の分析;骨または大動脈環からの内皮外方成長を含めた半ビボアッセイ、管形成アッセイ、有糸分裂誘発あるいは運動性または形態形成アッセイ;あるいはヒヨコ胚漿尿膜アッセイ(CAM)、マトリゲルプラグアッセイ、ウサギまたはマウス角膜眼ポケット血管新生アッセイ、肝臓スポンジアッセイ、あるいは血管新生依存性腫瘍成長、例えばB16BL6黒色腫転移またはルイス肺原発性および転移性ラットまたはマウスモデル、あるいは感受性株、例えばAJマウスまたは突然変異体マウス株、例えばアグーチまたはras−過剰発現株、あるいはminマウスまたはその他のトランスジェニックまたは突然変異マウスモデル系における腫瘍異種移植または腫瘍発症のインビボアッセイを含めたインビボアッセイ。特定の疾患および病状に対するこれらの類縁体の適合性を確定するために用いられ得る分析の例としては、さらに以下のものが挙げられる:エストロゲン依存性MCF−7増殖アッセイを用いてインビトロで、または子宮重量増分あるいは子宮または膣細胞学または発情間期時間変動のような動物アッセイにおいて、評価され得るエストロゲン様活性;インビトロで肝臓ミクロソームを用いて、あるいは動物またはヒト被験者に投与して、および分析技法(例えばHPLC、LCMS、GCMSまたはLCMSMS)を用いて化合物の代謝または特定の代謝産物(例えば酸化または脱メチル化生成物または抱合体)の形成を測定して、分析され得る代謝安定性;炎症関連血管新生のモデル、例えば乾癬、肉芽腫およびコラーゲン誘導性関節炎モデル;アテローム硬化症性血管新生のApoE−/−ノックアウトマウスモデル;再狭窄損傷のブタモデル;低酸素症作動性網膜症の新生児マウスモデル;コレステロールレベルの測定;受精能または生殖または子宮内膜症に及ぼす抗脈管形成作用(例えば濾胞発生中の血管新生の阻害)に関するアッセイ;皮膚パンチ生検測定を含めた創傷治癒に及ぼす抗脈管形成剤の作用に関するアッセイ;ならびに骨粗鬆症モデル、例えば破骨細胞および骨芽細胞分化、増殖および機能のインビトロ測定、骨吸収(点食)の半ビボ評価、あるいは骨密度のインビボ測定。
【0120】
例えば本発明の一実施形態は17位での上記の修飾を含み、デメチラーゼに対する基質となり得ないように、2−メトキシエストラジオールのメチルエーテルを修飾することを含む。さらに、エストラジオールの2位を他の電子リッチな基(プロピン、プロペン、エトキシ)で修飾した誘導体が良好な抗増殖活性をインビトロで有することが主張されており(米国特許第5,504,074号)、また実証されている(Cushman et al J. Med. Chem. 1995, 38, 2041−2049)。エストラジオールのC−2位での修飾、例えばホルミル、アセチル、メタノール、1−エタノール、2−エタノール、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、メチレンアミノ、メチレンアルキルアミンおよびメチレンジアルキルアミン、ならびにアルキルアミドにより修飾すると、エストロゲン活性が低減または除去されて、デメチラーゼにより2−ヒドロキシ−Eに代謝されることのない、抗増殖剤および抗血管新生剤であることが開示されている。アルキルは、炭素数10までの分枝鎖または直鎖である任意の炭素鎖と定義される。以下の第2表に列挙されているのは、HUVEC、MDA−MB−231およびMCF7増殖データに関する2位が修飾されたエストラジオール誘導体のデータである。これらの類縁体の調製のための合成経路は、Pert et al Aust. J. Chem. 1989, 42, 405−419; Lovely et al Tetrahedron Lett. 1994, 35, 8735−8738; Gonzalez et al Steroids 1982, 40, 171−187; Nambara et al Chem. Pharm Bull. 1970, 18, 474−480; Cushman et al J. Med. Chem. 1995, 38, 2041−2049に、ならびに本明細書中で先に論じられた企業内で開発された方法において見出され得る。
【0121】
【表2】
Figure 2004537499
Figure 2004537499
【0122】
第2表に提示された2位が修飾された類縁体はすべて、エストロゲン依存性MCF−7細胞におけるそれらの増殖指数により示した場合、有意に低いエストロゲン様活性(エストラジオールと比較して)を有する。2−ヒドロキシメチル(エントリー4)誘導体および2−ホルミル(エントリー3)誘導体はともに、HUVEC細胞において良好な抗増殖活性を有した(IC50<10μM)が、一方、2−アセチル(エントリー2)誘導体は同一アッセイにおいて不十分な活性であった。対照的に、2−ヒドロキシメチル誘導体および2−ホルミル誘導体は乳癌MDA−MB−231細胞において不十分な活性を有したが、2−アセチル−E2はこの細胞系中では良好な活性を有した。
【0123】
理論により限定されたくはないが、分子モデリングは、2−メトキシエストラジオールの3−ヒドロキシ基とメトキシ基との間に形成される水素結合が存在する可能性を示唆する。この相互作用は、2−メトキシエストラジオールの抗増殖性および抗血管新生作用の両方に、ならびにその非エストロゲン様活性に関して重要である可能性がある。エストラジオールの2位に、3−ヒドロキシ基と水素結合を形成する能力を有する任意の基がある誘導体は、エストロゲン様活性を欠く抗増殖剤および抗血管新生剤である、ということが開示されている(Brzozowski et al., Molecular basis of agonism and antagonism in the oestrogen receptor, Nature 389:753−758(Oct. 16, 1997))。理論に限定されたくはないが、2位を修飾することにより、2−メトキシエストロンは生成されないとも考えられる。2位を修飾することにより、エストロンへの抱合および酸化は起こらないという可能性がある。
【0124】
抗増殖活性を有し、および低エストロジェン性である、2位で修飾された2−メトキシエストラジオールの非水素結合類縁体が存在することも開示されている。これらの化合物も、本発明により意図される。
【0125】
別の例では、本発明の一実施形態は、17位での上記の修飾を含み、2−メトキシエストラジオールの16位も修飾する。16位で修飾される類縁体の例は、第3表に示される。
【0126】
【表3】
Figure 2004537499
【0127】
エピマー16−エチル−2−メトキシエストラジオールおよび類縁体の初期スクリーニングは、それがインビトロでのHUVEC細胞増殖の抑制において、2−メトキシエストラジオールとほぼ同等の効力を有することを示した。
【0128】
2−メトキシエストラジオールが2−メトキシエストロンに代謝されると、生物学的活性は大きく低減される。理論により限定されたくはないが、本発明は、この基質上での17β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼと補因子NADPの作用を遅延または防止するために、2−メトキシエストラジオールの16位および17位に、立体バルクおよび/または化学的または静電気的特性の修飾を付加すると考えられている。2−メトキシエストラジオールの16位および17位に、立体バルクおよび/または化学的または静電気的特性の修飾を付加することは、抱合、例えばグルクロニル 化を遅延または防止する可能性がある。これら2つの手段による代謝の非活性化経路の遅延または防止により、所望の抗血管新生性および抗腫瘍活性を保持しながら、2−メトキシエストラジオールおよびその他のステロイド化合物の血清寿命を延長することができると考えられる。16位および17位での修飾は、2位での脱メチル化を防止する。2MEの2MEへの代謝の可能性の防止は、これらのステロイドを17B−HSDにとって反応性の低い基質にする(立体および/または電子作用により)ことにより達成することができる。
【0129】
特に上記した成分のほかに、本発明の配合物は、当該配合物の種類を考慮して当該技術分野で慣用的であるその他の作用物質を含み得るし、例えば経口投与に適したものは風味剤を含み得る、と理解されるべきである。
【0130】
実験データ
以下の実施例は、以下の一般式で表される化合物である:
【0131】
【化18】
Figure 2004537499
【0132】
(式中、a)RおよびRは独立して、−H、−Cl、−Br、−I、−F、−CN、低級アルキル、−OH、−OR、−CH−OH、−NH、またはN(R)(R)(当該RおよびRは独立して、水素、または炭素数10までのアルキルまたは分枝鎖アルキル)であり、
【0133】
b)Rは、−N、−C≡N、−CH−C≡R、−C≡C−R、−C=CH−R、−R−C=CH、−C≡CH、−CH−C≡N、>C(H)−C(O)−OR、−O−R、−R−R、−O−R−R、OR(O)R、OR(O)R、ROR、ROR、−NHC(O)R、−NRC(O)R、−NH、またはN(R)(R)(当該RおよびRは独立して、水素、あるいは炭素数10までのアルキルまたは分枝鎖アルキルである)、あるいはヘテロ基(当該ヘテロ基は1以上のヘテロ原子を有し得るし、置換され得る)であって、この場合、RはHまたは炭素数10までの直鎖もしくは分枝鎖アルキルまたはアラルキルであり、炭素鎖中または上の任意の位置において、Fが置換され得るし、Rは、Rが末端にある場合には−OH、−NH、−Cl、−Br、−I、−FまたはCFであり、
【0134】
c)Z’は、>CH、>COH、CR、>C−R−OH、>C−C(N、>CRであって、ここで、RはHあるいは炭素数10までの直鎖または分枝鎖アルキル、あるいはアラルキルであり、上記のように任意の位置において炭素鎖中または上でヘテロ基によるヘテロ置換を有し得るか、またはRは、炭素数10までのアルキルまたは分枝鎖アルキル、あるいはアラルキル(本明細書中ではアリールアルキルとも称する)あるいはヘテロ基(ここで、ヘテロ基は1以上のヘテロ原子を有し、置換され得る)であり、Rは、Rが末端にある場合には−OH、−NH、−Cl、−Br、−I、−FまたはCFであり、
【0135】
d)>C−Rgは、>CH、>C(H)−OH、>C=O、>C=N−OH、>C(R)OH、>C=N−OR、>C(H)−NH、>C(H)−NHR、>C(H)−NRまたは>C(H)−C(O)−R(RおよびRはそれぞれ独立して、炭素数10までのアルキルまたは分枝鎖アルキル、あるいはアラルキルである)であり、あるいは
は、i)直鎖または分枝鎖である炭素原子数1〜10のアルキル、ii)C〜Zoのいずれかの位置に1つまたは複数の二重結合を有する直鎖または分枝鎖である炭素数1〜10のアルケニル、iii)化学的に可能である任意の位置に1つまたは複数の三重結合を有する直鎖または分枝鎖である炭素原子数1〜10のアルケニル基、iv)各アルキル鎖が炭素原子数1〜10の直鎖または分枝鎖であるモノアルキルアミノ基またはジアルキルアミノ基、v)(CH−CF−、(CH−CRまたは(CH−CF(当該nは0〜10である)、あるいはvi)Hであり、i)〜iv)のいずれの場合にも、芳香族基またはヘテロ芳香族基で任意に置換され、あるいはヘテロ基で任意に置換され、Rはαまたはβ位のいずれにあってもよく、あるいは
は、Rg1およびRg2であって、当該Rg1は存在する場合も存在しない場合もあり、存在する場合、−H、または直鎖もしくは分枝鎖である炭素原子数1〜10のアルキル、アルケニル、もしくはアルキニルであって、任意に置換され、Rg2はヘテロ基であり(ここで、Rg1が存在しない場合、ヘテロ基は二重結合で17位に結合されている)、Rg1またはRg2はβ位に存在し、α位には他の基を有し、Rは末端にある場合には−OH、−NH、−Cl、−Br、−I、−FまたはCFで、
【0136】
e)Rh1およびRh2は独立して、Hであるか、無置換の炭素数10までの直鎖もしくは分岐鎖のアルキル、アルケニル、もしくはアルキニルであるか、ヘテロ基(該ヘテロ基は、無置換であるか、または炭素数10までのアルキル、アルケニルもしくはアルキニルで一置換もしくは多置換されている)から選択される1または複数の基により置換されている炭素数10までの直鎖または分岐鎖アルキル、アルケニルまたはアルキニルであるか;ハロゲンであるか(F、Cl、BrまたはI);または、少なくとも1つのヘテロ、ハロまたはアルキルで任意に置換される芳香族基であり、
あるいはRh1およびRh2は独立して、少なくとも1つのヘテロ、ハロまたはアルキルで任意に置換されている少なくとも1つの脂肪族または芳香族基を含有する基であるが、但し、Rh1およびRh2はともにHではなく、
【0137】
f)Z”は、>CH、>C=O、>C−OAc、>C(H)−OH、>C=N−OH、>C=N−OR、>C(H)−C≡N、または>C(H)−NR(ここで、Rは各々独立して、水素、炭素数10までのアルキルもしくは分枝鎖アルキル、またはアラルキルである)であり、
当業者にとって化学的に可能である場合、任意の環中の飽和結合は脱水素化され得るし、
当業者にとって化学的に可能である場合、立体化学的異性体はすべて、αまたはβ立体配置(RおよびS;あるいはD−およびL−)を有し、かつ
低級アルキルは、分枝鎖または非分枝鎖であり得る炭素原子数1〜10の炭素鎖であると定義され、この場合、当業者にとって化学的に可能である)。
【0138】
本発明のいくつかの実施形態においては、好ましくはZ”は>COHまたは>C−OAcである。本発明のいくつかの実施形態では、好ましくはZ”は>CHである。本発明のいくつかの実施形態では、好ましくはRおよびRはHである。
【0139】
本明細書中で用いる場合、「末端」とは、「鎖の末端」と定義される。
【0140】
本発明の化合物は、薬学的に許容可能な塩としても提供され得る。
【0141】
g2であるへテロ基の例としては、エーテル基、アミノ基、カルボニル基、ハロアルキル、ジハロアルキル、またはトリハロアルキル基、ヒドロキシ基、エステル基、ジアルキルアミノ、またはモノアルキルアミノ基、チオール、チオエーテル、またはチオエステル(ホスフェート)基およびオキシムが挙げられるが、これらに限定されない。
【0142】
C9〜C11がオレフィンである
2−メトキシエストラジオール誘導体を含む本発明の化合物の例は、第4表に示されている。この化合物は、Schwarz et al., Steroids (1999)64, 460におけるシュワルツの方法論の変法により調製された(スキーム15)。
【0143】
【表4】
Figure 2004537499
【0144】
さらに別の第5表の化合物も、本発明により意図される。
【0145】
【表5】
Figure 2004537499
Figure 2004537499
Figure 2004537499
Figure 2004537499
【0146】
第5表中の2−アルキル、17−オレフィンまたは17アルキルエストラジオール類縁体の多くは、スキーム16に示すように調製することができる。スキーム16は、2−アルキル、17−デオキシエストラトリエン類縁体への合成経路も示す。この経路は、適切な2−アルキル−エストラジオール前駆体を用いて開始する(Cushman et al J. Med. Chem 1995, 38, 2041およびCushman et al J. Med. Chem 1997, 40, 2323)。オッペンナウアー条件を用いた酸化により、2−アルキル−17−エストロンを得る。ヒドラジンおよびKOHによる17ケトンの脱酸素化により、2−アルキル−17−デオキシエストラトリエン類縁体を得る。あるいは、2−アルキル−17−エストロン類縁体をウィッティヒ反応させると、2−アルキル−17−アルケンエストラトリエン類縁体が得られる。触媒的水素添加により、17−アルケンを還元して、17−アルキル類縁体を得る。
【0147】
2位の置換基がプロペンおよびプロピニルである場合、これら2位の官能基も還元されるため、触媒的還元工程をすることはできない。その結果として、2位の置換基がアルケンまたはアルキニル官能基であって、かつ17位の置換基がアルカンである化合物は、スキーム17にしたがって一連の類縁体が調製された。市販の17−エストロンが、この経路のための出発物質として用いられた。上記のウィティッヒ条件を用いて、さらに、触媒的水素添加を用いて、17−アルキルエストラトリエン類縁体を得る。2位がアルキニルで置換された類縁体を調製するために、プロピニル基が導入され、カストロの条件(Castro et al J. Org. Chem. 1966, 31, 4071)を用いて3−アルコールがtBDMSエーテルとして保護された。その後、TBAFを用いて脱保護することにより、2−プロピニル−17−アルキル−エストラトリエン類縁体を得た。2−アルケン置換類縁体は、3−アルコールをメトキシメチルエーテルとして保護し、その後の2−ホルミル化(Lovely et al Tetrahedron Lett., 1994, 8735; Pert et al Aust. J. Chem. 1989, 42, 405)により、スキーム17における2−ホルミル−3−メトキシメチルエーテル−17−アルキルエストラトリエン類縁体を得た。さらに、ウィティッヒオレフィン化およびHClを用いた脱保護により、2−プロペン−17−アルキルエストラトリエン類縁体の一連の化合物を得た。スキーム17における2−ホルミルもアルコールに還元され、かつ脱保護されて、一連の2−メチレンヒドロキシ−17−アルキルエストラトリエン類縁体を得た。
【0148】
2−ホルミル−17−アルケニルエストラトリエン類縁体は、スキーム18に従って調製された。スキーム17の場合と同様に、エストロンは、ウィッティヒ条件を用いて17−アルケニルエストラトリエン類縁体に変換することができる。3−ヒドロキシをメトキシメチルエーテルとして保護し、その後スキーム17の場合と同様にホルミル化することにより、2−ホルミル−3−メトキシメチルエーテル−17−アルケンエストラトリエン類縁体を得る。HClによる脱保護により、最終生成物として2−ホルミル−17−アルケンエストラトリエンを生じる。
【0149】
2位が窒素で置換され、かつ17位がアルカンまたはアルケンで置換されている類縁体は、スキーム19に示されたように合成された。エストロンが、硝酸および酢酸を用いて2−ニトロエストロンに変換された。ニトロ基のアミンへの還元は、触媒的水素添加により行った。2−アミノエストロンを上記と同様、ウィティッヒ反応させることにより、2−アミノ−17−アルケンエストラトリエン類縁体を合成した。トルエン中で蟻酸を用いてホルミル化することにより、2−ホルムアミド−17−アルケンエストラトリエン類縁体を得た。あるいは2−アミノ−17−アルケンエストラトリエンから、上記と同様の触媒的水素添加およびその後のホルミル化により、2−ホルミル−17−アルキルエストラトリエン類縁体を得た。
【0150】
スキーム20は、17位がメチレンヒドロキシまたは17位がカルボン酸である2−メトキシエストラジオールの合成経路を示す。2−メトキシ−17(20)−メチレンエストラ−1,3,5(10)−トリエン−3−オールを出発物質として用いて、ヒドロキシ基をメトキシメチルエーテルとして保護した。ヒドロホウ素化(一般条件:Mayo et al Microscale Organic Laboratory, 1986, pp132, John Wiley & Sons, NY, NY)により、17−メチレンヒドロキシエストラトリエン誘導体を得る。脱保護により、2−メトキシ−17−メチレンヒドロキシエストラ−1,3,5(10)−トリエン−3−オールを得る。相間移動条件を用いた過マンガン酸カリウムによって、17−メチレンヒドロキシMOM保護中間体を酸化(Lifshitz et al J. Am. Chem. Soc, 1987, 109, 7280およびHerriott et al Tetrahedron Lett. 1974, 1511)することにより、カルボン酸を得る。脱保護により、2−メトキシ−17−メチレンヒドロキシエストラ−1,3,5(10)−トリエン−3−オールを得る。上記のような脱保護により、スキーム20に示した17−カルボキシ類縁体を得る。
【0151】
【化19】
Figure 2004537499
【0152】
【化20】
Figure 2004537499
【0153】
【化21】
Figure 2004537499
【0154】
【化22】
Figure 2004537499
【0155】
【化23】
Figure 2004537499
【0156】
実施例1
2ME誘導体の合成および17位での修飾
本明細書に記載した2ME誘導体の合成は、当業者の能力の範囲内である。本発明に係る17位で修飾されるエストラジオールの誘導体の調製のために用いられる合成経路は、前に引用されたエストラジオール誘導体に関する既知文献の手順の変法に基づいている。17位での修飾の例は、以下の実施例2〜13で提供される。
【0157】
実施例2
17−α−ヒドロキシ−2−メトキシエストラジオール(第1表、エントリー2)のスペクトルデータ
選択スペクトルデータ:HNMR(300MHz、CDCl)δ6.83(s,1H),6.67(s,1H),5.44(s,1H),3.88(s,3H),3.83(d,J=6Hz,1H),2.84−2.75(m,2H),2.41−2.16(m,3H),1.97−1.21(m,10H),0.73(s,3H).分析(C1926)計算値C=75.46、H=98.67、実測値C=75.18、H=8.70。
【0158】
実施例3
17−デヒドロキシ−2−メトキシエストラジオール(第1表、エントリー3)のスペクトルデータ
選択スペクトルデータ:HNMR(CDCl,ppm),6.85(1H,s,芳香族),6.70(1H,s,芳香族),5.45(1H,s,フェノール),3.85(3H,s,メトキシ),2.85(dd,J=7.0,3.5,ベンジル),2.25(2H,m),1.90(2H,m),1.75−1.05(10H,m),0.75(3H,s).分析(C1926),計算値C=79.68、H=9.09、実測値C=79.65、H=9.06。
【0159】
実施例4
17−アミノ−2−メトキシエストラジオール(第1表、エントリー4)のスペクトルデータ
選択スペクトルデータ:HNMR(300MHz、CDOD),6.69(s,1H),6.39(s,1H),3.75(s,3H),2.74−2.62(m,3H),2.34−2.20(m,1H),2.19−1.57(m,5H),1.50−1.14(m,8H),0.72(s,3H).分析(C19H27NO2)計算値C=79.84、H=9.29、実測値C=80.28、H=9.17。
【0160】
実施例5
17−オキシム(2−メトキシエストロン)(第1表、エントリー5)のスペクトルデータ
選択スペクトルデータ:HNMR(CDCl,ppm)δ6.80(1H,s,芳香族),6.70(1H,s,芳香族),5.60(1H,ブロード),3.90(3H,s,メトキシ),2.85(m,ベンジル),2.55(2H,m),2.35(2H,m),2.15−1.40(8H,m),0.95(3H,s)。
【0161】
実施例6
3,17−ジアセテート−2−メトキシエストラジオール(第1表、エントリー6)のスペクトルデータ
選択スペクトルデータ:HNMR(300MHz、CDOD)δ6.90(s,1H),6.75(s,1H),4.71(dd,J=7.8,8.4Hz,1H),3.82(s,3H),2.84−2.77(m,2H),2.32(s,3H),2.32−2.15(m,2H),2.08(s,3H),1.95−1.22(m,7H),0.85(s,3H).分析(C2330)計算値C=71.48、H=7.82、実測値C=71.24、H=7.82。
【0162】
実施例7
エストラジオール(E)誘導体の合成および2位での修飾
本明細書に記載したE誘導体の合成は、当業者の能力の範囲内である。2位で修飾されたE誘導体および本明細書中で考察された類縁体の合成の特定の説明は、M. Cushman, H−M. He, J.A. Katzenellenbogen, C.M. Lin and E. Hamel, Synthesis, antitubulin and antimitotic activity, and cytotoxicity of 2−methoxyestradiol, and an endogenous mammalian metabolite of estradiol that inhibits tubulin polymerization by binding to the colchicine binding site, J. Med. Chem., 38(12): 2042(1995)およびM. Cushman, H−M. He, J. Katzenellenbogen, R. Varma, E. Hamel, C. Lin, S. Ram and Y.P. Sachdeva, Synthesis of analogs of 2−methoxyestradiol with enhanced inhibitory effects on tubulin polymerization and cancer cell growth, J. Med. Chem. 40(15): 2323 (1997)に見出され得る。
【0163】
実施例8
2ME誘導体の合成および16位での修飾
本明細書の16位で修飾されたエストラジオール誘導体の調製のために用いられる合成経路は、エストラジオール誘導体に関する既知文献の手順の変法に基づいている(Trembley et al., Bioorganic & Med. Chem. 1995 3, 505−523; Fevig et al., J. Org. Chem., 1987 52, 247−251; Gonzalez et al., Steroids 1982, 40, 171−187; Trembley et al., Synthetic Communications 1995, 25, 2483−2495; Newkome et al., J. Org. Chem. 1966, 31, 677−681; Corey et al Tetrahedron Lett 1976, 3−6; and Corey et al., Tetrahedron Lett, 1976, 3667−3668)。選択的修飾の例は、以下の実施例16〜38で提供される。
【0164】
実施例9
3−ベンジル−2−メトキシエストラジオールの合成(スキーム1A)
2−メトキシエストラジオール(10.09g、33.4mmol)および炭酸カリウム(22g、278mmol)を無水エタノール中に懸濁して、0℃に冷却した。ベンジルブロミド(11.4mL、95.8mmol)を滴下して、添加後、混合物を8時間灌流させた。溶液を室温に冷却し、溶媒をロータリーエバポレーションにより除去した。その結果得られた残渣を約200mlの水で希釈して、酢酸エチル(3×200mL)で洗浄した。合わせた有機物を水(200mL)、重炭酸ナトリウム水溶液(飽和、200mL)および食塩水(200mL)で洗浄した。硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過してロータリーエバポレートした。生成物を、ヒートガンを用いて時々静かに加熱しながら真空下で乾燥して、黄色味がかったガラス(13.54g、定量的収量)を得て、これをさらに精製せずに用いた。
【0165】
選択スペクトルデータ:HNMR(300MHz、CDCl)δ7.29−7.53(m,5H),6.88(s,1H),6.65(s,3H),5.11(s,2H),3.87(s,3H),3.7(t,J=8Hz,1H),0.80(s,3H).FT−IR(neat)3341,2920,2864,1605,1513,1453,1254,1211,1117,1022cm−1
【0166】
3−ベンジル−2−メトキシエストロンの合成(スキーム1A)
塩化オキサリル(38mmol、19mL、2M、塩化メチレン)を無水塩化メチレン(25mL)に添加し、−46℃に冷却した。メチルスルホキシド(5.40mL、76mmol)を滴下し、混合物を2分間撹拌した。塩化メチレン/メチルスルホキシド(10mL/15mL)中の3−ベンジル−2−メトキシエストラジオールを5分以内に添加し、その結果生じた混合物を1時間撹拌した。トリエチルアミン(170mmol、23.5mL)を1滴ずつ添加し、5分間撹拌して、室温に戻した。水(およそ200mL)を添加し、混合物を塩化メチル(3×200mL)で洗浄した。合わせた有機物を水(200mL)、希HCl(1%水溶液、200mL)、炭酸ナトリウム水溶液(飽和、200mL)および食塩水(200mL)で洗浄した。有機物を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過およびロータリーエバポレートして、白色固体を得た。固体を熱エタノールで結晶化して、白色結晶を得た(9.94g、25.5mmol、2−メトキシエストラジオールからのトータル収率76%)。
【0167】
選択スペクトルデータ:H−NMR(300MHz、CDCl)δ7.28−7.4(m,5H),6.86(s,1H),6.66(s,1H),3.88(s,3H),0.94(s,3H).IR(neat)2920,1731,1519,1202,1012cm−1
【0168】
実施例11
16α−アルキル−3−ベンジル−2−メトキシエストロンの代表的合成(スキーム13)
リチウムジイソプロピルアミド(2M、Aldrich、ヘプタン/THF/エチルベンゼン)をTHF中に溶解し、−78℃に冷却して、THF(10mL)中の3−ベンジル−2−メトキシエストロンを滴下した。添加後、混合物を0℃に温めて、1時間撹拌した。次に混合物を−78℃に冷却して、DMPU(1mL)を、その後臭化クロチル(205μL、2.0mmol)を滴下した。混合物を4時間かけて室温に温めた。水(100mL)を慎重に添加することにより反応を停止させて、酢酸エチル(2×100mL)で洗浄した。合わせた有機物を水(100mL)および食塩水(100mL)で洗浄した。溶液を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過してロータリーエバポレートした。粗生成物を、ヘキサン/酢酸エチル(9:1)SiOBiotage FLASH装置を用いて精製した。680mg(1.53mmol)の生成物を得て、約121mg(0.31mmol)の出発物質を回収した(回収出発物質に基づいて、収率90%)。16α/βのジアステレオマー比は約2:1であった(0.88、0.79ppmでのシングレットのH18シグナル)。
【0169】
選択スペクトルデータ:H−NMR(300MHz、CDCl)δ7.28−7.48(m,5H),6.86(s,1H),6.66(s,1H),5.34−5.59(m,2H),5.13(s,2H),3.88(s,3H),0.87&0.97(s,総3H,1:2比).
【0170】
実施例12
16−アルキル−16−メトキシカルボニル−3−ベンジル−2−メトキシエストロンの代表的合成(スキーム12)
3−ベンジル−16−カルボメトキシ−2−メトキシエストロン(0.840g、1.87mmol、実施例15と同様に合成)、水素化カリウム(1.5g、10.9mmol、30%鉱油分散液、ヘキサン中で洗浄)および18−クラウン−6(120mg、0.4mmol)をTHF(40mL)中で混合し、1時間灌流した。混合物を室温に冷却し、臭化アリル(537μL、6.2mmol)を添加して、混合物を18時間灌流した。室温に冷却後、撹拌しながら約2mlの水を慎重に添加し、次にさらに100mLの水を添加することにより反応を停止させた。この混合物を酢酸エチル(2×100mL)で洗浄し、合わせた有機物を食塩水(100mL)で洗浄した。有機物を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過およびロータリーエバポレートした。85:5のヘキサン:酢酸エチルでSiOBiotage FLASH装置を用いて精製し、697mgの生成物を得た(1.42mmol、収率76%)。
【0171】
選択スペクトルデータ:H−NMR(300MHz、CDCl)δ7.28−7.48(m,5H),6.85(s,1H),6.66(s,1H),5.66−5.79(m,1H),5.15−5.20(m,2H),5.13(s,2H),3.88(s,3H),3.75(s,3H),0.99(s,3H).
【0172】
実施例13
16−アルキル−16−メトキシカルボニル−3−ベンジル−2−メトキシエストロンの代表的脱カルボキシル化(スキーム12)
16−アリル−16−カルボメトキシ−3−ベンジル−2−メトキシエストロン(697mg、1.42mmol)、塩化リチウム(1.15g、27mmol)、水(485μL、27mmol)をDMF(63mL)中に溶解し、20時間灌流した。室温に冷却し、1N HCl(100mL)を添加し、エーテル(2×100mL)で洗浄し、合わせた有機物を水(100mL)および食塩水(100mL)で洗浄して、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過してロータリーエバポレートした。85:5のヘキサン:酢酸エチルでSiOBiotage FLASH装置を用いて精製し、271mgの生成物および189mgの回収出発物質を得た。回収した出発物質は再び上記のように反応(LiCl308mg、水132μL、DMF17mL、28時間)させ、処理して、130mgの生成物を得た。反応に関する全収率は66%であった(401mg、0.93mmol)。
【0173】
選択スペクトルデータ:H−NMR(300MHz、CDCl)δ7.28−7.48(m,5H),6.85(s,1H),6.65(s,1H),5.69−5.88(m,1H),5.13(s,2H),5.00−5.08(m,2H),5.88(s,3H),0.98および0.88(s,総3H,1:1.4比).FT−IR(neat)2925,2855,1726,1514,1103cm−1
【0174】
実施例14
16−メタン−ジメチレンアミン−3−ベンジル−2−メトキシエストロンの合成(スキーム14)
3−ベンジル−2−メトキシエストロン(1.51g、3.87mmol)をtert−ブトキシビス(ジメチルアミノ)メタン(1.64mL、8.13mmol)中に懸濁し、オイルバス(155℃)中で1.5時間加熱すると、この間にステロイドが溶解した。反応混合物を室温に冷却し、氷水(100mL)中に注ぎ入れて、塩化メチレン(2×100mL)で洗浄した。有機物を食塩水(100mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過およびロータリーエバポレートして、生成物を得て、これをさらに精製せずに用いた(1.82g、定量的収量)。
【0175】
選択スペクトルデータ:H−NMR(300MHz、CDCl)δ7.23−7.47(m,5H),6.87(s,1H),6.64(s,1H),5.12(s,2H),3.88(s,3H),3.0(s,6H),0.91(s,3H).
【0176】
実施例15
16−メトキシカルボニル−3−ベンジル−2−メトキシエストロンの合成(スキーム12)
3−ベンジル−2−メトキシエストロン(1.6113g、2.978mmol)をTHF(15mL)中に溶解し、−78℃に冷却して、リチウムジイソプロピルアミド(2M、Aldrich、ヘプタン/THF/エチルベンゼン)を滴下して、1時間撹拌した。DMPU(1mL)中のメチルシアノホルメート(237μL、3mmol)を添加し、混合物を18時間かけて室温に温めた。水(100mL)を慎重に添加して、混合物を酢酸エチル(3×100mL)で洗浄し、合わせた有機物を塩水(100mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過して回転蒸発した。ヘキサン/酢酸エチル(85:15)からヘキサン:酢酸エチル(75:25)に切り換えてSiOフラッシュカラムにより、生成物を最終精製し、806mgの生成物を得た(1.8mmol、60%)。
【0177】
選択スペクトルデータ:H−NMR(300MHz、CDCl)δ7.28−7.48(m,5H),6.85(s,1H),6.66(s,1H),5.13(s,2H),3.88(s,3H),3.78(s,3H),3.23(dd,J=9,10Hz,1H),1.0(s,3H).FT−IR(neat)2929,2860,1750,1723,1604,1508,1211,1014cm−1
【0178】
実施例16
16−アルキル−3−ベンジル−2−メトキシエストラ−17β−ジオールの合成のための代表的手順(スキーム11)
16α−クロチル−3−ベンジル−2−メトキシエストロン(680mg、1.53mmol)を無水THF(10mL)中に溶解し、−78℃に冷却した。水素化リチウムアルミニウム(3.06mmol、116mg)を添加し、溶液を2時間撹拌した。水(2mL)を慎重に添加し反応を停止させ、室温に温め、次にさらに50mL部分の水を添加した。混合物を酢酸エチル(2×50mL)で洗浄し、合わせた有機物を水(50mL)、食塩水(50mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過してロータリーエバポレートした。混合物を、3:1のヘキサン:酢酸エチルを用いてSiOBiotage FLASH装置で精製し、500mgの精製生成物を得た(1.12mmol、収率73%)。
【0179】
選択スペクトルデータ:H−NMR(300MHz、CDCl)δ7.28−7.48(m,5H),6.87(s,1H),6.64(s,1H),5.47−5.56(m,2H),5.12(s,2H),3.88(s,3H),3.8(d,J=9Hz)および3.33(d,J=8Hz)(総1H,1:1.7比),0.84および0.81(s,3H全体).
【0180】
実施例17
16−メタノール−3−ベンジル−2−メトキシエストラジオールの合成(スキーム12)
上記と同様の反応手順及び処理を用いて実験を実施した(806mg、1.8mmol)の16−カルボメトキシ−3−ベンジル−2−メトキシエストロンを使用)が、但し、反応停止前にて室温に2時間撹拌した。3:2のヘキサン:酢酸エチルによりSiOフラッシュカラムを用いて、最終生成物を精製した。304mgのβ異性体、51mgのα異性体を得たが、これらはクロマトグラフィーにより分離した。
【0181】
選択スペクトルデータ:H−NMR(300MHz、CDCl)δ(主要異性体)7.28−7.48(m,5H),6.87(s,1H),6.64(s,1H),5.12(s,2H),3.97(d,J=10Hz),3.88(sまたはobscuredd,4H),3.67(dd,J=4,7Hz,1H),0.87(s,3H).(マイナーの異性体)7.28−7.47(m,5H),6.86(s,1H),6.64(s,1H),3.88(s,3H),3.83(d,J=14Hz,1H),3.69(t,J=9Hz,1H),3.54(d,J=7Hz,1H),0.87(s,3H).
【0182】
実施例18
16−アルキル−13−ベンジル−2−メトキシエストラジオールの代表的脱ベンジル化(スキーム11)
16α−クロチル−3−ベンジル−2−メトキシエストラジオール(500mg、1.12mmol)をパル(Parr)反応容器中の酢酸エチル(25mL)中に溶解した。瓶をアルゴンで充填させ、Pd/C(10%、2.5g)を添加した。瓶をパル水素発生器に取り付けて水素を5回充填およびパージして、50psiに加圧し、24時間振り動かした。混合物をセライトパッドを通して濾過して、ロータリーエバポレートさせて、3:1のヘキサン:酢酸エチルによりSiOフラッシュカラムで精製した。358mgの生成物を得た(1.0mmol、89%)。
【0183】
選択スペクトルデータ:H−NMR(300MHz、CDCl)δ6.81(s,1H),6.66(s,1H),3.87(s,3H),3.76(d,J=10Hz)及び3.29(d,J=8Hz)(総1H,1:2比),0.82および0.79(s,3H)FT−IR(neat)3245,2914,1606,1523,1414,1258,1028cm−1.分析(C2034)計算値C=77.44、H=9.56、実測値C=76.64、H=9.51.
【0184】
実施例19
16β−メチル−2−メトキシエストラジオール(第3表、エントリー3)
選択スペクトルデータ:HNMR(300MHz、CDCl)δ6.81(s,1H),6.66(s,1H),3.87(s,3H),3.73(d,J=10Hz)および3.23(d,J=8Hz)(総1H、2:1),0.83および0.81(s,3H全体).分析(C2028,1/4HO)計算値C=74.85、H=8.95、実測値C=74.93、H=8.94。
【0185】
実施例20
16α−メチル−2−メトキシエストラジオール(第3表、エントリー2)
選択スペクトルデータ:1H−NMR(300MHz、CDCl)δ6.81(s,1H),6.66(s,1H),3.87(s,3H),3.23(d,J=7Hz)(s,1H),0.81(s,3H).分析(C2028,1/4HO)計算値C=74.85、H=8.95、実測値C=74.98、H=8.65。
【0186】
実施例21
ラセミ16−エチル−2−メトキシエストラジオール(第3表、エントリー4)
選択スペクトルデータ:1H−NMR(300MHz、CDCl)δ6.82(s,1H),6.66(s,1H),3.88(s,3H),3.76(d,J=9Hz)および3.30(d,J=10Hz)(1H全体、1:1比),0.83および0.79(s,3H全体).FT−IR(neat)3214,2918,1605,1522,1229,1201,1024cm−1.分析(C2130)計算値C=76.33、H=9.15、実測値C=76.18、H=9.16。
【0187】
実施例22
16α−n−プロピル−2−メトキシエストラジオール(第3表、エントリー7)
選択スペクトルデータ:1H−NMR(300MHz、CDCl)δ6.81(s,1H),6.66(s,1H),5.43(s,1H),3.87(s,3H),3.29(t,J=7Hz,1H),0.95(t,J=7Hz,3H),0.83および0.80(s,総3H,7.3:1比).分析(C2232)計算値C=76.69、H=9.37、実測値C=76.55、H=9.44。
【0188】
実施例23
16β−n−プロピル−2−メトキシエストラジオール(第3表、エントリー8)
選択スペクトルデータ:1H−NMR(300MHz、CDCl)δ6.81(s,1H),6.66(s,1H),3.87(s,3H),3.76(d,J=10Hz)および3.29(t,J=7Hz)(総1H、2:1比),0.95(t,J=7Hz,3H),0.83および0.80(s,総3H).FT−IR(neat)3411,2923,1504,1446,1267,1202,1118,1024cm−1.分析(C2232・1/4HO)計算値C=75.71、H=9.39、実測値C=75.61、H=9.33。
【0189】
実施例24
16β−n−ブチル−2−メトキシエストラジオール(第3表、エントリー9)
選択スペクトルデータ:1H−NMR(300MHz、CDCl)δ6.81(s,1H),6.66(s,1H),5.43(s,3H),3.88(s,3H),3.76(d,J=10Hz)および3.29(d,J=8Hz)(総1H,2.6:1比),0.83および0.80(s,総3H).FT−IR(neat)3221,2921,1594,1504,1416,1265,1200,1021cm−1.分析(C2334)計算値C=77.04、H=9.56、実測値C=77.06、H=9.65。
【0190】
実施例25
16β−イソブチル−2−メトキシエストラジオール(第3表、エントリー11)
選択スペクトルデータ:1H−NMR(300MHz、CDCl)δ6.81(s,1H),6.66(s,1H),5.43(s,3H),3.88(s,3H),3.77(dd,J=9,10Hz)および3.26(t,J=7Hz)(総1H,2:1比),0.84および0.80(s,総3H).IR(neat)3525,2913,1506,1258,1202,1026cm−1.分析(C2230)計算値C=76.69、H=9.37、実測値C=76.82、H=9.47。
【0191】
実施例26
16β−メチル(ジメチルアミン)−2−メトキシエストラジオール(第3表、エントリー12)
選択スペクトルデータ:1H−NMR(300MHz、CDCl)δ6.81(s,1H),6.65(s,1H),3.88(s)および3.85(obscuredd)(総4H),2.28(s,6H),0.87(s,3H).分析(C2233N・1/4HO)計算値C=72.59、H=9.28、N=3.85、実測値C=72.80、H=9.17、N=3.66。
【0192】
実施例27
16β−メチレンヒドロキシ−2−メトキシエストラジオール(第3表、エントリー6)
選択スペクトルデータ:1H−NMR(300MHz、CDCl)δ6.78(s,1H),6.61(s,1H),3.92(d,J=11Hz,1H),3.84(s,3H)3.80(d,J=10Hz,1H),3.63(d,J=8,11Hz,1H),0.83(s,3H).FT−IR(neat)3283,3091,2919,1602,1513,1445,1204,1119,1013cm−1.分析(C2028)計算値C=72.25、H=8.49、実測値C=72.24、H=8.48。
【0193】
実施例28
16α−メチレンヒドロキシ−2−メトキシエストラジオール(第3表、エントリー5)
選択スペクトルデータ:1H−NMR(300MHz、CDCl)δ6.77(s,1H),6.61(s,1H),3.84(s,3H),3.84(dd,J=7,8Hz,1H),3.61(dd,J=9,11Hz,1H),3.45(d,J=8Hz,1H)0.83(s,3H)。
【0194】
実施例29
MDA−MB−231 in vitro細胞増殖抑制
MDA−MB−231細胞および培養条件
第3表は、細胞および腫瘍における、16位で修飾された本発明に係る2−メトキシエストラジオール類縁体の抗増殖活性試験の結果を示す。
【0195】
MDA−MB−231ヒト乳癌細胞を、10%FCS(Hyclone Laboratories, Logan UT)を含み、2mMのL−グルタミン、100単位/mlのペニシリン、100μg/mlのストレプトマイシン(Irvine Scientific, Santa Anna, CA)を補充したDMEM中で成長させた。
【0196】
増殖アッセイ
MDA−MB−231細胞を、96ウエルプレート中で5000細胞/mlで平板培養した。細胞を一夜付着させた後、下記のように、異なる濃度の2−ME2またはその誘導体を含有する適切な新鮮培地を適用した。薬剤をDMSO(Sigma, St Louis, MO)中に溶解し、200μlの容量でウエルに添加した。細胞を37℃で2日間インキュベートし、32時間目に、BrdUを添加した。BrdU細胞増殖アッセイ(DNA中に組み込まれるヌクレオチド類縁体)を、メーカー(Roche)の記載どおりに実施した。各条件を3反復実験で最適化し、実験を最低2回実行した。示された結果は、平均+/−SEである。
【0197】
実施例30
HUVEC in vitro細胞増殖抑制
HUVEC細胞および培養条件
HUVEC細胞を、EGM(Clonetics)中で成長させた。
【0198】
HUVEC細胞を、96ウエルプレート中で5000細胞/mlで平板培養した。細胞を一夜付着させた後、細胞をPBSで洗浄し、成長因子の非存在下で24時間インキュベートした(EBM、2%FCS、Clonetics)。2%FCSおよび10ng/mlのbFGFを含有するEBM中の漸増濃度の薬剤で、37℃で48時間、細胞を処理した。薬剤調製、添加容量およびBrdU増殖アッセイは、上記と同様に実施した。
【0199】
2−メトキシエストラジオールは、強力な抗血管新生剤および抗腫瘍剤である。16位での修飾類縁体の生物学的活性を評価するために、これらの類縁体の抗増殖活性を、それぞれ抗血管新生活性および抗腫瘍活性のモデルとして、ヒト臍静脈内皮細胞(HUVEC)および乳癌細胞株MDA−MB−231で評価した。抗増殖活性は、立体バルクが増大するにつれて(R=EtからR=Buへの傾向に留意)低減する(約18分の1)ことが判明した。このシリーズのほとんどの活性化合物が16α−メチルであり、これは2−メトキシエストラジオールと同様の活性を有する。
【0200】
MDA−MB−231腫瘍細胞系は、HUVEC細胞と比較して、16位での置換に対して感受性が非常に大きい。16位での置換基がエチルより大きい場合に、抗増殖活性は有意に低減する(IC50>22μM)。16α−メチル類縁体は2−メトキシエストラジオールより良好な活性を有するが、16β−メチル類縁体(α:βの1:2混合物である)は2−メトキシエストラジオールの約5分の1の活性を有し、ラセミ16−エチルは2−メトキシエストラジオールと比較して約3分の1の活性を有した。
【0201】
エストロゲン依存性乳癌細胞系であるMCF7細胞を、10%(v/v)ウシ胎仔血清(Hyclone Laboratories, Logan, UT)および1X抗生物質−抗有糸分裂剤を含有するDMEM/F12(1:1)中に保持した。MCF7細胞を継代60〜継代90で用いた。MCF7エストロゲン依存性増殖アッセイのために、24ウエルプレート中に20〜30,000細胞/ウエルで細胞を完全培地中に植えつけた。細胞を一夜付着させた後、細胞計数により播種密度を測定した。細胞をPBS(37℃)で洗浄し、それらを、2%木炭−デキストランウシ胎仔裸血清(Georgetown University)および1X抗生物質−抗有糸分裂剤を含む培地(IMEM−フェノールレッドを含まない)中に入れることにより飢餓状態にする。飢餓3日目に細胞を、漸増濃度の化合物を用いて、または用いずに処理して、培地を2〜3日毎に取り替えて、処理の8日後または10日後に細胞数を計数した。CoulterZ1細胞計数器(Coulter Corporation, Hialeah, FL)を用いて細胞数を計数することにより、増殖を測定した。それぞれの条件において3回反復して行った。
【0202】
これらのデータは、選択的抗血管新生剤である2ME類縁体を設計することが可能であることを示す。例えば、16α−プロピルは、腫瘍成長を抑制する活性は10分の1未満であるが、内皮細胞増殖を抑制する活性は良好である。その他の例としては、16β−プロピル(4倍差)、16β−i−ブチル(5倍差)、16β−n−ブチル(4倍差)および16β−メタノール(10倍差)が挙げられる。さらに、16位の小さいアルキル基は、分子の抗増殖活性を有意に変化させることなく付加することができる。
【0203】
実施例31
17(20)−メチレンエストラ−1,3,5(10)−トリエン−3−オール(第1表、エントリー10)
17−オレフィン−2−メトキシエストロン類縁体の合成のための代表的手順:カリウム−tert−アミレート(1,54M、トルエン、4.35mL、6.69mmol、Schow et al J. Org. Chem. 1979, 44, 3760におけるものと同様に調製される)を無水ベンゼン中のメチルトリフェニルホスホニウムブロミド(2.39g、6.69mmol)の懸濁液に添加し、30分間灌流した。温ベンゼン(5mL)中の2−メトキシエストロン(300mg、1mmol)を添加し、混合物を3時間灌流した。反応物を室温に冷却し、100mLの水に注ぎ入れて、エーテル(2×100mL)で洗浄した。合わせた有機物を6MのHCl水溶液(1×100mL)、NaHCO水溶液(飽和、1×100mL)、水(1×100mL)および食塩水(1×100mL)で洗浄した。硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過して、ロータリーエバポレートさせて、半固体状の黄色がかかったオイルを得た。溶離液として95:5のクロロホルム:メタノールを用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製した。220mgの17(20)−メチレンエストラ−1,3,5(10)−トリエン−3−オールを得た(0.738mmol、収率73%)。選択スペクトルデータ:HNMR(300MHz、CDCl)δ6.83(s,1H),6.67(s,1H),5.44(brs,1H),4.70(t,J=2.26Hz,2H),3.89(s,3H),2.86−2.74(m,2H),2.64−2.49(m,1H),2.39−2.17(m,3H),2.02−1.78(m,3H),1.65−1.19(m,4H),0.85(s,3H)。13CNMR(75MHz、CDCl)δ162.2,144.9,143.8,132.3,130.0,115.0,108.5,101.2,77.6,56.5,53.9,44.7,39.2,36.2,29.9,29.5,28.1,27.3,24.3,19.0.分析(C2026)計算値C=80.48、H=8.79、実測値C=80.60、H=8.77。
【0204】
実施例32
2−メトキシ−19−ノルプレグナ−1,3,5(10)17(20)−テトラエン−3−オール(第1表、エントリー12)
反応条件は上記と同様としたが、但し、反応規模は2倍で、エチルトリフェニルホスホニウムブロミドを用い、2−メトキシエストロン(613mg、2.04mmol)から540mg(1.73mmol、収率84%)の最終産物を得た。選択スペクトルデータ:HNMR(300MHz、CDCl)δ6.82(s,1H),6.67(s,1H),5.44(s,1H),5.23−5.07(m,1H),3.88(s,3H),2.86−2.72(m,2H),2.51−2.38(m,2H),2.38−2.17(m,3H),1.99−1.88(m,1H),1.83−1.68(m,4H),1.49−1.20(m,5H),0.94(s,Z異性体)および0.80(s,E異性体、全3H、それぞれ5:1比)。13CNMR(75MHz、CDCl)δ153.0(E異性体)および150.7(Z異性体),145.0,143.8,132.4,130.0,115.0,113.8,110.6(Z異性体)および108.4(E異性体),56.5,55.6,54.1,45.0(Z異性体)および44.5(E異性体),39.0(E異性体)および38.7(Z異性体),37.7(Z異性体)および36.6(E異性体),31.9,29.5,28.1(E異性体)および28.0(Z異性体),27.7(Z異性体)および27.4(E異性体),24.5(Z異性体)および24.4(E異性体),19.5(E異性体)および17.4(Z異性体),14.0(E異性体)および13.6(Z異性体).分析(C2128)計算値C=80.73、H=8.79、実測値C=80.60、H=8.77。
【0205】
実施例33
2−メトキシ−17(20)−Z−プロピリデンエストラ−1,3,5(10)−トリエン−3−オールの合成
反応条件は上記と同様としたが、但し、反応規模は2倍で、プロピルトリフェニルホスホニウムブロミドを用い、2−メトキシエストロン(614.2mg、2.04mmol)から358.9mg(1.10mmol、収率54%)の最終産物を得た。選択スペクトルデータ:H NMR(300MHz、CDCl)δ6.81(s,1H),6.66(s,1H),5.44(s,1H),5.07(t,J=7.4Hz,1H),3.88(s,3H),2.88−2.71(m,2H),2.53−2.04(m,6H),2.00−1.87(m,1H),1.76(t,J=9.9,12Hz,2H),1.49−1.18(m,6H),0.99(t,J=7.5Hz,3H),0.94(s,Z異性体)および0.81(s,E異性体、全3H、それぞれZ/E 5:1比)。13C NMR(75MHz、CDCl)δ151.5(E異性体)および149.2(Z異性体),145.0,143.8,132.4,130.0,122.3(Z異性体)および118.6(E異性体),115.0,108.4,56.5,55.7(Z異性体)および54.0(E異性体),45.0(Z異性体)および44.9(E異性体),44.5(Z異性体)および44.2(E異性体),39.1(E異性体)および38.8(Z異性体),37.7(Z異性体)および36.6(E異性体),31.9,29.5,28.2(E異性体)および28.0(Z異性体),27.7(Z異性体)および27.4(Z異性体),26.7(E異性体)および24.5(Z異性体),22.2(E異性体)および21.3(Z異性体),19.5(E異性体)および17.9(Z異性体),15.8(Z異性体)および14.7(E異性体).分析(C2230)計算値C=80.94、H=9.26、実測値C=80.71、H=9.30。
【0206】
実施例34
2−メトキシ−17(20)−Z−ブチリデンエストラ−1,3,5(10)−トリエン−3−オール(第1表,エントリー15)の合成
反応条件は上記と同様としたが、但し、反応規模は2倍で、ブチルトリフェニルホスホニウムブロミドを用い、2−メトキシエストロン(593.6mg、1.97mmol)から532.1mg(1.56mmol、収率79%)の最終産物を得た。選択スペクトルデータ:H NMR(300MHz、CDCl)δ6.82(s,1H),6.66(s,1H),5.43(s,1H),5.08(t,J=7.4Hz,1H),3.88(s,3H),2.81−2.72(m,2H),2.54−2.01(m,7H),1.99−1.87(m,1H),1.76(app t,J=9.6,12.6Hz,2H),1.49−1.26(m,6H),0.97−0.89(m,Z異性体のH18および末端のブチルメチル)および0.80(s,E異性体のH18,全6H,Z/E 9:1比 それぞれ積分値においてブチル鎖の末端メチルを差し引くことで確定した)13CNMR(75MHz,CDCl)δ152.2(E異性体)および149.8(Z異性体),145.0,143.8,132.4,130.0,120.5(Z異性体)および116.7(E異性体),115.0,108.4,56.5,55.7(Z異性体)および54.1(E異性体),44.9,44.5(Z異性体)および44.3(E異性体),39.1(E異性体)および38.8(Z異性体),37.8(Z異性体)および36.6(E異性体),32.0,31.0(E異性体)および30.1(Z異性体),29.5,28.2(E異性体)および28.0(Z異性体),27.7(Z異性体)および27.4(E異性体),24.5,24.3(Z異性体)および23.3(E異性体),19.6(E異性体)および17.9(Z異性体),14.4.分析(C2332)計算値C=81.13、H=9.47、実測値C=81.32、H=9.55。
【0207】
実施例35
17−アルキル−2−メトキシエストラジオール類縁体2−メトキシ−17β−メチルエストラ−1,3,5(10)−トリエン−3−オール(第1表エントリー8)の合成のための代表的手順
17−メチレン類縁体(471.9mg、1.58mmol)を酢酸エチル(20mL)中に溶解した。Pd/C10%(47.5mg)を添加し、次に反応混合物を、パル水素発生器中で、30psiの水素下で1時間、水素添加反応させた。次に反応混合物をセライトに通して濾過して、ロータリーエバポレートにより溶媒を除去して、最終生成物2−メトキシ−17β−メチルエストラ−1,3,5(10)−トリエン−3−オールを白色結晶として472.5mg(1.57mmol、収率99%)を得た。選択スペクトルデータ:HNMR(300MHz、CDCl)δ6.82(s,1H),6.66(s,1H),5.43(s,1H),3.88(s,3H),2.85−2.70(m,2H),2.32−2.15(m,2H),1.94−1.68(m,4H),1.52−1.12(m,8H),0.90(d,J=6.9Hz,3H),0.61(s,3H)。13CNMR(75MHz、CDCl)δ144.90,143.75,132.65,130.11,114.99,108.51,56.46,55.21,45.58,44.85,42.74,39.39,37.97,30.65,29.52,28.38,27.21,24.83,14.34,12.44.分析(C2028)計算値C=79.96、H=9.39、実測値C=79.98、H=9.49。
【0208】
2−メトキシ−17β−エチルエストラ−1,3,5(10)−トリエン−3−オール(第1表、エントリー13)
反応条件は上記と同様として、オレフィン(435.7mg、1.39mmol)から最終産物395.8mg(1.26mmol、収率91%)を得た。選択スペクトルデータ:HNMR(300MHz、CDCl)δ6.82(s,1H),6.66(s,1H),5.43(s,1H),3.88(s,1H),2.78(app t,J=10.2,4.5Hz,3H),2.30−2.15(m,2H),2.00−1.82(m,3H),1.79−1.69(m,1H),1.62−1.08(m,11H),0.92(app t,J=7.5,6.6Hz,3H),0.63(s,3H)。13CNMR(75MHz、CDCl)δ144.90,143.74,132.66,130.10,114.98,108.49,56.45,55.36,53.58,44.91,42.85,39.19,38.47,29.51,28.65,28.35,27.24,24.67,23.57,13.78,12.95.分析(C2130)計算値C=80.21、H=9.62、実測値C=79.95、H=9.71。
【0209】
実施例37
2−メトキシ−17β−プロピルエストラ−1,3,5(10)−トリエン−3−オール(第1表、エントリー7)
反応条件は上記と同様として、オレフィン(269.5mg、0.83mmol)から最終産物258.4mg(0.79mmol、収率95%)を得た。選択スペクトルデータ:HNMR(300MHz、CDCl)δ6.82(s,1H),6.66(s,1H),5.43(s,1H),3.88(s,3H),2.84−2.70(m,2H),2.31−2.16(m,2H),1.97−1.67(m,4H),1.52−1.06(m,12H),0.93(t,J=6.7Hz,3H),0.63(s,3H)。13CNMR(75MHz、CDCl)δ144.91,143.75,132.66,130.10,115.00,108.50,56.46,55.31,51.34,44.92,42.83,39.21,38.41,33.15,29.52,28.98,28.37,27.24,24.77,22.39,15.06,12.97.分析(C2232)計算値C=80.44、H=9.82、実測値C=80.20、H=9.86。
【0210】
実施例38
2−メトキシ−17β−ブチルエストラ−1,3,5(10)−トリエン−3−オール(第1表、エントリー16)
反応条件は上記と同様として、オレフィン(478.8mg、1.41mmol)から最終産物430.5mg(1.26mmol、収率90%)を得た。選択スペクトルデータ:HNMR(300MHz、CDCl)δ6.82(s,1H),6.66(s,1H),5.43(s,1H),3.89(s,3H),2,78(app t,J=10.8,4.5Hz,2H),2.30−2.16(m,2H),1.96−1.83(m,3H),1.79−1.69(m,1H),1.51−1.07(m,15H),0.92(t,J=9,6.9Hz,4H),0.63(s,3H)。13CNMR(75MHz、CDCl)δ144.90,143.74,132.66,130.09,114.99,108.48,56.46,55.31,51.52,44.92,42.84,39.20,38.42,31.56,30.49,29.52,29.02,28.36,27.23,24.75,23.63,14.60,12.96。.分析(C2334)計算値C=80.65、H=10.01、実測値C=80.90、H=10.10。
【0211】
実施例39
2−アセチルエストラ−1,3,5(10)−トリエン−3,17β−ジオール(第1表、エントリー6)
選択スペクトルデータ:HNMR(300MHz、CDCl)δ7.62(s,1H),6.71(s,1H),4.78(s,1H),3.73(t,J=8Hz,1H),2.94(m,2H),2.62(s,3H),0.85(s,3H)。13CNMR(75MHz、CDCl)δ204.4,160.4,147.7,132.0,127.6,118.2,118.0,86.2,50.4,43.9,43.4,38.8,37.8,30.3,28.5,27.2,26.9,26.7,23.5,12.2.分析(C2026)計算値C=76.39、H=8.34、実測値C=76.31、H=8.20。
【0212】
実施例40
2−ホルミルエストラ−1,3,5(10)−トリエン−3,17β−ジオール(第2表、エントリー3)
選択スペクトルデータ:HNMR(300MHz、CDCl、滴下CDOD)δ9.79(s,1H),7.42(s,1H),6.68(s,1H),3.75−3.63(m,1H),2.91−2.82(m,2H),0.77(s,3H)。13CNMR(75MHz、CDCl)δ196.6,159.3,148.6,133.2,131.0,119.3,117.2,58.4,43.7,43.5,38.8,36.8,30.6,30.5,27.1,26.6,23.4,18.5,11.4.分析(C1924)計算値C=75.96、H=8.06、実測値C=75.70、H=8.26。
【0213】
実施例41
2−ニトロエストラ−1,3,5(10)−エストラトリエン−3,17β−ジオール(第2表、エントリー7)
選択スペクトルデータ:HNMR(300MHz、CDCl)δ10.43(s,1H),8.00(s,1H),6.86(s,1H),3.75(t,J=8Hz,1H),3.00−2.80(m,2H)0.80(s,3H)。13CNMR(300MHz、CDCl)δ153.2,149.6,134.2,132.1,121.9,119.3,82.1,50.4,43.8,43.6,38.6,36.7,30.9,30.2,27.0,26.5,23.5,11.4.分析(C1823NO)計算値C=68.12、H=7.30、N=4.41実測値C=67.85、H=7.29、N=4.40。
【0214】
実施例42
2−アミノエストラ−1,3,5(10)−トリエン−3−オール(第2表、エントリー9)
選択スペクトルデータ:HNMR(300MHz、CDOD)δ6.68(s,1H),6.45(s,1H),3.68(t,J=8Hz,1H),0.75(s,1H)。HNMR(75MHz、CDOD)δ143.7,132.1,131.7,127.6,114.7,114.0,81.5,50.3,43.4,39.6,37.1,29.7,29.1,27.8,26.7,23.0,21.9,10.7.分析(C1825NO1/3HO)計算値C=73.68、H=8.84、N=4.78、実測値C=73.77、H=8.73、N=4.39。
【0215】
実施例43
2−エトキシエストラ−1,3,5(10)−トリエン−3−オール(第2表、エントリー18)
選択スペクトルデータ:HNMR(300MHz、CDCl、滴下CDOD)δ6.77(s,1H),6.62(s,1H),4.11(m,2H),3.69(t,J=8Hz,1H),2.86−2.63(m,2H),1.41(t,J=7Hz,3H),0.76(s,3H)。13CNMR(300MHz、CDCl)δ144.3,144.0,132.1,129.9,115.0,109.9,65.150.4,44.6,43.6,39.2,37.1,30.7,29.3,27.7,27.0,23.4,15.3,11.4.分析(C20283/4HO)計算値C=72.80、H=9.01、実測値C=72.51、H=8.60。
【0216】
実施例44
2−メトキシエストラ−1,3,5(10)9(11)−テトラエン−3,17β−ジオール(第4表)
選択スペクトルデータ:HNMR(300MHz、CDCl、滴下CDOD)δ7.08(s,1H),6.63(s,1H),6.08(s,1H)3.90(s,3H),3.82(t,J=8Hz,1H),2.88−2.65(m,2H),0.81(s,3H)。13CNMR(75MHz、CDCl)δ145.7,145.2,135.9,130.0,126.9,117.6,115.0,106.5,82.2,56.3,47.8,41.9,39.3,39.1,30.9,29.5,28.8,24.3,11.4.分析(C19241/4HO)計算値C=74.85、H=8.10、実測値C=74.70、H=7.89。
【0217】
実施例45
17β−アミノエストラ−1,3,5(10)−トリエン−3−オール(第1表、エントリー4)
選択スペクトルデータ:HNMR(300MHz、CDOD)δ6.8(s,1H),6.64(s,1H),3.86(s,3H),2.83−2.69(m,2H),0.69(s,3H)。13CNMR(75MHz、CDCl)δ145.0,143.8,132.2,130.0,115.0,108.6,63.0,56.5,52.4,44.7,43.3,39.4,37.1,31.6,29.4,27.9,27.0,23.7,11.5.分析(C1927NO)計算値C=75.70、H=9.05、N=4.65、実測値C=75.66、H=9.02、N=4.64。
【0218】
実施例46
17−α−ヒドロキシ−2−メトキシエストラジオール(第2表、エントリー2)
選択スペクトルデータ:HNMR(300MHz、CDCl)δ6.83(s,1H),6.67(s,1H),5.44(s,1H),3.88(s,3H),3.83(d,J=6Hz,1H),2.84−2.75(m,2H),2.41−2.16(m,3H),1.97−1.21(m,10H),0.73(s,3H)。13CNMR(75MHz、CDCl)δ145.0,143.8,132.3,130.0,115.0,108.5,80.5,56.5,48.1,46.0,44.3,39.5,32.9,31.9,29.5,28.6,27.0,24.7,17.5.分析(C1926)計算値C=75.46、H=98.67、実測値C=75.18、H=8.70。
【0219】
実施例47
2−アルキルアミノ−17−デオキシエストロン類縁体の合成
スキーム8に示したように、2−アルキルアミノ−17−デオキシエストロン類縁体を合成した。
【0220】
実施例48
エストラ−1,3,5(10)−トリエン−3−オールの合成
60mLのジエチレングリコール中のエストロン(8.1g、30mmol)の撹拌懸濁液中に、20mLの1−ブタノールおよび2mLの無水ヒドラジン(60mmol)を添加した。反応混合物を灌流下で1時間加熱して、透明溶液を得た。反応混合物を50℃に冷却後、5.04gのKOHペレット(90mmol)を添加し、ブタノールを蒸留した。反応混合物を50℃で2時間加熱した後、室温に冷却した。氷(50g)中に注ぎ入れ、20mLの6NHCl水溶液を添加し、反応混合物を撹拌して、白色固体生成物を得た。生成物を濾過により分離して、冷水で洗浄し、真空乾燥して、7.5g(90%)の生成物を得た。生成物を、CHCl/MeOH(99:1)で溶離するシリカゲルカラムで精製した。CDCl中でH NMRを測定し、生成物がエストラ−1,3,5(10)−トリエン−3−オールであると確証した。
【0221】
実施例49
2−ニトロエストラ−1,3,5(10)−トリエン−3−オールの合成
20mLの氷酢酸中のエストラ−1,3,5(10)−トリエン−3−オール(760mg、3mmol)の溶液中に、0.19mL(3mmol)の濃HNOを20℃で添加した。反応混合物の温度を室温に上げて、18時間撹拌した。反応混合物を水で希釈し、生成物をエチルエーテルで抽出した。エーテル層を水および食塩水で洗浄して、無水CaSO上で乾燥し、濾過して、エバポレートさせて、黄色固体を得た。生成物をHex/CHCl(4:1)混合液で溶離するフラッシュシリカゲルカラムで精製して、黄色結晶生成物を得た(400mg、55%)。CDCl中でH NMRを測定し、生成物が2−ニトロエストラ−1,3,5(10)−トリエン−3−オールであると確証した。
【0222】
実施例50
2−アミノエストラ−1,3,5(10)−トリエン−3−オールの合成
2−ニトロエストラ−1,3,5(10)−トリエン−3−オール(301mg、1.0mmol)を、30mLのジオキサン/メタノール(1:3)混合溶媒中に溶解し、パル水素発生器中で、40psiの水素雰囲気下で、Pd/C10%(200mg)の存在下で4時間、水素添加を施した。反応混合物をセライト濾過剤に通して濾過後、真空下で溶媒をエバポレートして、白色結晶(240mg、95%)を得た。CDCl中でH NMRを測定することにより、生成物が2−アミノエストラ−1,3,5(10)−トリエン−3−オールであると確証した。
【0223】
実施例51
2−N,N−ジメチルアミノエストラ−1,3,5(10)−トリエン−3−オールの合成
2−ニトロエストラ−1,3,5(10)−トリエン−3−オール(170mg、0.5mmol)を、30mLのジオキサン/メタノール1:5混合物中に溶解し、0.4mLのホルムアルデヒド(37%)を添加後、パル水素発生器中で、40psiの水素雰囲気下で、Pd/C10%(200mg)の存在下で4時間、水素添加を施した。反応混合物をセライト濾過剤に通して濾過後、真空下で溶媒をエバポレートして、白色粉末を得た。生成物をCHCl/MeOH(95:5)混合液で溶離するフラッシュシリカゲルカラムで精製して、白色固体生成物を得た(140mg、95%)。CDCl中でHNMRを測定し、生成物が2−N,N−ジメチルアミノエストラ−1,3,5(10)−トリエン−3−オールであると確証した。
【0224】
実施例52
2−N−ホルムアミドエストラ−1,3,5(10)−トリエン−3−オールの合成
5mLのトルエン中の2−アミノ−17−デオキシエストロン(135mg、0.5mmol)の熱溶液中に、0.2mLの蟻酸を添加した。反応混合物の温度を上げて沸騰させて、トルエン/水の共沸混合物を収集し、次にトルエンを1時間かけて徐々に蒸留した。トルエンの1/3を蒸留したら、反応混合物を室温に冷却して、2−N−ホルムアミド−17−デオキシエストロン(100mg、75%)の白色結晶を得た。CDCl中でのH NMRは、生成物を2−N−ホルムアミドエストラ−1,3,5(10)−トリエン−3−オールと確証した。
【0225】
実施例53
2−N−メチルアミノエストラ−1,3,5(10)−トリエン−3−オールの合成
15mLの無水THF中のAlH(5mmol)(系中で生成)の溶液中に、5mLのTHF中の2−N−ホルムアミドエストラ−1,3,5(10)−トリエン−3−オール(150mg、0.5mmol)を室温で添加し、2時間撹拌した。0.4mLのTHF/HO(1:1)混合液を1滴ずつ添加後、1.5mLの15%NaOH水溶液を添加して、懸濁液を20分間撹拌した。20mLのエチルエーテルで希釈後、AlOHPPTを濾過により分離した。溶媒を留去後、生成物をHex/エーテル(1:1)で溶離するフラッシュシリカゲルカラムで精製して、白色固体生成物(120mg、70%)を得た。CDCl中でH NMRを測定し、生成物が2−N−メチルアミノエストラ−1,3,5(10)−トリエン−3−オールであると確証した。
【0226】
実施例54
3−アジドエストラ−1,3,5(10)−トリエン−3−オールの合成
3mLの氷酢酸中の2−アミノ−エストラジオール(144mg、0.5mmol)の溶液中に、1mLの水中の硝酸ナトリウム(48mg、0.7mmol)の溶液を0℃で添加した。反応混合物の色が橙色−黄色に変わった。0℃で30分間撹拌後、水中のアジ化ナトリウム(45mg、0.7mmol)の溶液を添加した。反応混合物の色が橙色−赤色に変化した。温度を0℃に30分間維持して、次に室温に上げた。1時間撹拌後、溶媒を真空下でエバポレートさせて、残さをクロロホルム中に溶解した。クロロホルム層を水および食塩水で洗浄して、無水CaSOで乾燥し、濾過して、エバポレートさせて、明褐色発泡性固体を得た。生成物をCHCl/MeOH99:1で溶離するフラッシュシリカゲルカラムで精製して、100mgの明黄色発泡性固体(70%)を得た。IRおよびCDCl中でのHNMRの測定により、生成物が3−アジドエストラ−1,3,5(10)−トリエン−3−オールであると確証した。
【0227】
実施例31〜54に関する参考文献としては、Org. Synt. Coll. Vol. 5, 552; Org. Synt. Coll. Vol. 3, 590およびShah, et al. J. Med. Chem. 1995, 38, 4284が挙げられる。
【0228】
本明細書中に記載した文献はすべて、それらの記載内容が、参照により本明細書中に援用される。上記の実施例は本発明の単なる実証であって、併記の特許請求の範囲を限定するよう意図されない。

Claims (92)

  1. 下記一般式で表される化合物:
    Figure 2004537499
    (式中、a)RおよびRは独立して、−Cl、−Br、−I、−F、−CN、低級アルキル、−OH、−OR、−CH−OH、−NHまたはN(R)(R)(当該RおよびRは独立して、水素、または炭素数10までのアルキルまたは分枝鎖アルキルである)であると別記されない限り、−Hであり、
    b)Rは、−N、−C≡N、−CH−C≡R、−C≡C−R、−C=CH−R、−R−C=CH、−C≡CH、−CH−C≡N、>C(H)−C(O)−OR、−O−R、−R−R、−O−R−R、OR(O)R、OR(O)R、ROR、ROR、−NHC(O)R、−NRC(O)R、−NHもしくはN(R)(R)(当該RおよびRは独立して、水素、または炭素数10までのアルキルもしくは分枝鎖アルキルである)、またはヘテロ基(当該ヘテロ基は複数のヘテロ原子を有し、置換されていてもよい)であって、当該RはHまたは炭素数10までの直鎖もしくは分枝鎖アルキルまたはアラルキルであり、任意の位置において、Fが炭素鎖中または上で置換されていてもよく、Rが末端にある場合にRは、−OH、−NH、−Cl、−Br、−I、−FまたはCFであり、
    c)Z’は、>C−OAcであると別記されない限り、>COHであり、
    d)>C−Rは、>CH、>C(H)−OH、>C=O、>C=N−OH、>C(R)OH、>C=N−OR、>C(H)−NH、>C(H)−NHR、>C(H)−NRまたは>C(H)−C(O)−R(当該RおよびRは各々独立して、炭素数10までのアルキルもしくは分枝鎖アルキル、またはアラルキルである)であり、あるいは
    は、i)直鎖または分枝鎖である炭素原子数1〜10のアルキル、ii)C〜Zoのいずれかの位置に1つまたは複数の二重結合を有する直鎖または分枝鎖である炭素原子数1〜10のアルケニル、iii)化学的に可能である任意の位置に1つまたは複数の三重結合を有する直鎖または分枝鎖である炭素原子数1〜10のアルケニル基、iv)各アルキル鎖が炭素原子数1〜10の直鎖または分枝鎖であるモノアルキルアミノ基またはジアルキルアミノ基、v)(CH−CF−、(CH−CRまたは(CH−CF(当該nは0〜10である)、またはvi)Hであり、i)〜iv)のいずれの場合にも、芳香族基もしくはヘテロ芳香族基で任意に置換されるか、またはヘテロ基で任意に置換され、Rはα位またはβ位のいずれにあってもよく、あるいは
    は、Rg1およびRg2であって、当該Rg1は存在する場合も存在しない場合もあり、Rg1が存在する場合は、−Hまたは任意に置換されている直鎖もしくは分枝鎖である炭素原子数1〜10のアルキル、アルケニルもしくはアルキニルであり、Rg2はヘテロ基であり(ここで、Rg1が存在しない場合は、Rg2であるヘテロ基は二重結合で17位に結合している)、Rg1またはRg2はβ位に存在し、α位には他の基を有し、Rは末端である場合には−OH、−NH、−Cl、−Br、−I、−FまたはCFであり、
    e)Rh1およびRh2は独立して、炭素数10までのアルキル、アルケニルまたはアルキニル鎖で一置換もしくは多置換されているかまたは無置換のヘテロ官能基から選択される1または複数の基により置換されている炭素数10までの直鎖もしくは分岐鎖アルキル、アルケニルもしくはアルキニル;ハロゲン(F、Cl、BrまたはI);または、少なくとも1つのヘテロ、ハロまたはアルキルで任意に置換されている芳香族基であると別記されない限りは、Hであり、あるいは
    h1およびRh2は独立して、少なくとも1つのヘテロ、ハロまたはアルキルで任意に置換されている少なくとも1つの脂肪族基または芳香族基を含む基であり、
    f)Z’’は>CHであり、
    任意の環における飽和結合は脱水素化されていてもよく、
    一置換基はすべてαまたはβ立体配置のいずれかを有し、かつ
    低級アルキルは、分枝鎖または非分枝鎖である炭素原子数1〜10の炭素鎖であると定義される)。
  2. 前記Rは−OCHであり、
    前記Rg1およびRg2は各々Hである
    請求項1記載の化合物。
  3. 前記Rは−OCHであり、
    前記Rは=CHである
    請求項1記載の化合物。
  4. 前記Rは−OCHであり、
    前記Rg1は存在せず、
    前記Rg2は=NOHである
    請求項1記載の化合物
  5. 前記Rは−OCHであり、
    前記Rg1はβ−Hであり、
    前記Rg2はα−OHである
    請求項1記載の化合物。
  6. 前記Rは−OCHであり、
    前記Rg1は−Hであり、
    前記Rg2は−NHである
    請求項1記載の化合物。
  7. 前記Rは−OCHであり、
    前記Z’は>C−OAcであり、
    前記Rg1は−Hであり、
    前記Rg2は−OAcである
    請求項1記載の化合物。
  8. 前記Rは−OCHであり、
    前記Rg1は−Hであり、
    前記Rg2は−CHCHCHである
    請求項1記載の化合物。
  9. 前記Rは−OCHであり、
    前記Rg1は−Hであり、
    前記Rg2は−CHである
    請求項1記載の化合物。
  10. 前記Rは−OCHであり、
    前記Rは=CHCHCHである
    請求項1記載の化合物。
  11. 前記Rは−OCHであり、
    前記Rg1は−Hであり、
    前記Rg2は−NHCHCHCHである
    請求項1記載の化合物。
  12. 前記Rは−OCHであり、
    前記Rは=CHCHである
    請求項1記載の化合物。
  13. 前記Rは−OCHであり、
    前記Rg1は−Hであり、
    前記Rg2は−CHCHである
    請求項1記載の化合物。
  14. 前記Rは−OCHであり、
    前記Rは=N−NH−(SO)−C−p−CHである
    請求項1記載の化合物。
  15. 前記Rは−OCHであり、
    前記Rg1はHであり、
    前記Rg2は−COOHである
    請求項1記載の化合物。
  16. 代謝中に脱メチル化、酸化および別の分子との抱合を防止または阻害するためにエストラジオール類縁体を修飾する方法。
  17. 代謝の不活性化を遅延または防止するために立体バルクを、または化学特性もしくは静電特性の修飾を、あるいはそれらの組合せをエストラジオール類縁体に付加することを含む、請求項16記載の方法。
  18. 前記Rは−OCHであり、
    前記>C−Rg1は>CHであり、
    前記>C−Rg2は>COHであり、
    前記Rh1およびRh2は独立して−HおよびEtである
    請求項1記載の化合物。
  19. 前記Rは−OCHであり、
    前記>C−Rg1は>CHであり、
    前記>C−Rg2は>COHであり、
    前記Rh1およびRh2は独立してHおよびn−Prである
    請求項1記載の化合物。
  20. 前記Rは−OCHであり、
    前記>C−Rg1は>CHであり、
    前記>C−Rg2は>COHであり、
    前記Rh1およびRh2は独立してHおよびi−Buである
    請求項1記載の化合物。
  21. 前記Rは−OCHであり、
    前記>C−Rg1は>CHであり、
    前記>C−Rg2は>COHであり、
    前記Rh1およびRh2は独立してHおよびCHOHである
    請求項1記載の化合物。
  22. 前記Rは−OCHであり、
    前記>C−Rg1は>CHであり、
    前記>C−Rg2は>COHであり、
    前記Rh1およびRh2は独立してHおよびn−Buである
    請求項1記載の化合物。
  23. 前記Rは−OCHであり、
    前記>C−Rg1は>CHであり、
    前記>C−Rg2は>COHであり、
    前記Z’’は>CHであり、
    前記Rh1およびRh2は独立してHおよびMeである
    請求項1記載の化合物。
  24. 前記Rは−OCHであり、
    前記>C−Rg1は>CHであり、
    前記>C−Rg2は>COHであり、
    前記Rh1およびRh2は独立してHおよび−CHN(CHである
    請求項1記載の化合物。
  25. 前記Rは−C(O)CHであり、
    前記>C−Rg1は>CHであり、
    前記>C−Rg2は>COHである
    請求項1記載の化合物。
  26. 前記Rは−C(O)Hであり、
    前記>C−Rg1は>CHであり、
    前記>C−Rg2は>COHである
    請求項1記載の化合物。
  27. 前記Rは−CHOHであり、
    前記>C−Rg1は>CHであり、
    前記>C−Rg2は>COHである
    請求項1記載の化合物。
  28. 前記Rは−NOであり、
    前記>C−Rg1は>CHであり、
    前記>C−Rg2は>COHである
    請求項1記載の化合物。
  29. 前記Rは−N(CHであり、
    前記>C−Rg1は>CHであり、
    前記>C−Rg2は>COHである
    請求項1記載の化合物。
  30. 前記Rは−NHであり、
    前記>C−Rg1は>CHであり、
    前記>C−Rg2は>COHである
    請求項1記載の化合物。
  31. 前記Rは−C≡C−CHであり、
    前記>C−Rg1は>CHであり、
    前記>C−Rg2は>COHである
    請求項1記載の化合物。
  32. 前記Rは−CHCHであり、
    前記>C−Rg1は>CHであり、
    前記>C−Rg2は>COHである
    請求項1記載の化合物。
  33. 前記Rは−CHであり、
    前記>C−Rg1は>CHであり、
    前記>C−Rg2は>COHである
    請求項1記載の化合物。
  34. 前記Rは−NHであり、
    前記Rg1およびRg2は各々Hである
    請求項1記載の化合物。
  35. 前記Rは−C(O)NHであり、
    前記Rg1およびRg2は各々Hである
    請求項1記載の化合物。
  36. 前記Rは−NH CHであり、
    前記Rg1およびRg2は各々Hである
    請求項1記載の化合物。
  37. 前記Rは−N(CHであり、
    前記Rg1およびRg2は各々Hである
    請求項1記載の化合物。
  38. 前記Rは−NH(CH(またはN(CHHCl)であり、
    前記Rg1およびRg2は各々Hである
    請求項1記載の化合物。
  39. 前記Rは−NH(CH(またはN(CHHCl)であり、
    前記>C−Rg1は>CHであり、
    前記>C−Rg2は>COHである
    請求項1記載の化合物。
  40. 前記Rは−OCHであり、
    前記>C−Rg1は>CHであり、
    前記>C−Rg2は>COHであり、
    C9−C11がオレフィンになっている
    請求項1記載の化合物。
  41. 前記Rは−OCHCHであり、
    前記Rg1は存在せず、
    前記Rg2は=CHCHである
    請求項1記載の化合物。
  42. 前記Rは−C≡C−CHであり、
    前記Rg1は存在せず、
    前記Rg2は=CHCHである
    請求項1記載の化合物。
  43. 前記Rは−C(O)Hであり、
    前記Rg1は存在せず、
    前記Rg2は=CHCHである
    請求項1記載の化合物。
  44. 前記Rは−NHC(O)Hまたは−NNC(O)Nであり、
    前記Rg1は存在せず、
    前記Rg2は=CHCHである
    請求項1記載の化合物。
  45. 前記Rは−CHOHであり、
    前記Rg1は存在せず、
    前記Rg2は=CHCHである
    請求項1記載の化合物。
  46. 前記Rは−CHCHであり、
    前記Rg1は存在せず、
    前記Rg2は=CHCHである
    請求項1記載の化合物。
  47. 前記Rは−CHであり、
    前記Rg1は存在せず、
    前記Rg2は=CHCHである
    請求項1記載の化合物。
  48. 前記Rは−CH=CHCHであり、
    前記Rg1は存在せず、
    前記Rg2は=CHCHである
    請求項1記載の化合物。
  49. 前記Rは−OCHCHであり、
    前記Rg1は存在せず、
    前記Rg2は=CHである
    請求項1記載の化合物。
  50. 前記Rは−C≡CCHであり、
    前記Rg1は存在せず、
    前記Rg2は=CHである
    請求項1記載の化合物。
  51. 前記Rは−C(O)Hであり、
    前記Rg1は存在せず、
    前記Rg2は=CHである
    請求項1記載の化合物。
  52. 前記Rは−NHC(O)Hであり、
    前記Rg1は存在せず、
    前記Rg2は=CHである
    請求項1記載の化合物。
  53. 前記Rは−CHOHであり、
    前記Rg1は存在せず、
    前記Rg2は=CHである
    請求項1記載の化合物。
  54. 前記Rは−CHCHであり、
    前記Rg1は存在せず、
    前記Rg2は=CHである
    請求項1記載の化合物。
  55. 前記Rは−CHであり、
    前記Rg1は存在せず、
    前記Rg2は=CHである
    請求項1記載の化合物。
  56. 前記Rは−CH=CHCHであり、
    前記Rg1は存在せず、
    前記Rg2は=CHである
    請求項1記載の化合物。
  57. 前記Rは−OCHCHであり、
    前記Rg1およびRg2は各々Hである
    請求項1記載の化合物。
  58. 前記Rは−C≡CCHであり、
    前記Rg1およびRg2は各々Hである
    請求項1記載の化合物。
  59. 前記Rは−C(O)Hであり、
    前記Rg1およびRg2は各々Hである
    請求項1記載の化合物。
  60. 前記Rは−NHC(O)Hであり、
    前記Rg1およびRg2は各々Hである
    請求項1記載の化合物。
  61. 前記Rは−CHOHであり、
    前記Rg1およびRg2は各々Hである
    請求項1記載の化合物。
  62. 前記Rは−CHCHであり、
    前記Rg1およびRg2は各々Hである
    請求項1記載の化合物。
  63. 前記Rは−CHであり、
    前記Rg1およびRg2は各々Hである
    請求項1記載の化合物。
  64. 前記Rは−CH=CHCHであり、
    前記Rg1およびRg2は各々Hである
    請求項1記載の化合物。
  65. 前記Rは−OCHCHであり、
    前記Rg1はHであり、
    前記Rg2はCHである
    請求項1記載の化合物。
  66. 前記Rは−C≡CCHであり、
    前記Rg1はHであり、
    前記Rg2はCHである
    請求項1記載の化合物。
  67. 前記Rは−C(O)Hであり、
    前記Rg1はHであり、
    前記Rg2はCHである
    請求項1記載の化合物。
  68. 前記Rは−NHC(O)であり、
    前記Rg1はHであり、
    前記Rg2はCHである
    請求項1記載の化合物。
  69. 前記Rは−CHOHであり、
    前記Rg1はHであり、
    前記Rg2はCHである
    請求項1記載の化合物。
  70. 前記Rは−CHCHであり、
    前記Rg1はHであり、
    前記Rg2はCHである
    請求項1記載の化合物。
  71. 前記Rは−CHであり、
    前記Rg1はHであり、
    前記Rg2はCHである
    請求項1記載の化合物。
  72. 前記Rは−CH=CHCHであり、
    前記Rg1はHであり、
    前記Rg2はCHである
    請求項1記載の化合物。
  73. 前記Rは−OCHCHであり、
    前記Rg1はHであり、
    前記Rg2はCHCHである
    請求項1記載の化合物。
  74. は−C≡CCHであり、
    g1はHであり、
    g2はCHCHである
    請求項1記載の化合物。
  75. 前記Rは−C(O)Hであり、
    前記Rg1はHであり、
    前記Rg2はCHCHである
    請求項1記載の化合物。
  76. 前記Rは−NHC(O)Hであり、
    前記Rg1はHであり、
    前記Rg2はCHCHである
    請求項1記載の化合物。
  77. 前記Rは−CHOHであり、
    前記Rg1はHであり、
    前記Rg2はCHCHである
    請求項1記載の化合物。
  78. 前記Rは−CHCHであり、
    前記Rg1はHであり、
    前記Rg2はCHCHである
    請求項1記載の化合物。
  79. 前記Rは−CHであり、
    前記Rg1はHであり、
    前記Rg2はCHCHである
    請求項1記載の化合物。
  80. 前記Rは−CH=CHCHであり、
    前記Rg1はHであり、
    前記Rg2はCHCHである
    請求項1記載の化合物。
  81. 前記Rは−OCHCHであり、
    前記Rg1は存在せず、
    前記Rg2は=CHCHCHである
    請求項1記載の化合物。
  82. 前記Rは−C≡CCHであり、
    前記Rg1は存在せず、
    前記Rg2は=CHCHCHである
    請求項1記載の化合物。
  83. 前記Rは−C(O)Hであり、
    前記Rg1は存在せず、
    前記Rg2は=CHCHCHである
    請求項1記載の化合物。
  84. 前記Rは−NHC(O)Hであり、
    前記Rg1は存在せず、
    前記Rg2は=CHCHCHである
    請求項1記載の化合物。
  85. 前記Rは−CHOHであり、
    前記Rg1は存在せず、
    前記Rg2は=CHCHCHである
    請求項1記載の化合物。
  86. 前記Rは−CHCHであり、
    前記Rg1は存在せず、
    前記Rg2は=CHCHCHである
    請求項1記載の化合物。
  87. 前記Rは−CHであり、
    前記Rg1は存在せず、
    前記Rg2は=CHCHCHである
    請求項1記載の化合物。
  88. 前記Rは−CH=CHCHであり、
    前記Rg1は存在せず、
    前記Rg2は=CHCHCHである
    請求項1記載の化合物。
  89. 前記Rは−OCHであり、
    前記Rg1はHであり、
    前記Rg2は−CHOHである
    請求項1記載の化合物。
  90. 前記Rは−OCHであり、
    前記>C−Rg1は>CHであり、
    前記>C−Rg2は>COHであり、
    C6−C7がオレフィンになっている
    請求項1記載の化合物。
  91. 前記Rは−Nであり、
    前記>C−Rは>CHである
    請求項1記載の化合物。
  92. 前記Rは−Hであり、
    前記 >C−Rは>CHである
    請求項1記載の化合物。
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