JP2004537051A - 物性値評価のための有限要素解を使用する球形圧入試験機 - Google Patents

物性値評価のための有限要素解を使用する球形圧入試験機 Download PDF

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Abstract

有限要素解法に基づいた自動化圧入システムは、圧縮圧入荷重(P)を加えて、測定される圧入荷重(P)、圧入深さ(ht)、解荷重傾き(S)を利用して弾性率(E)と降伏強度(so)と硬化指数(n)とを計算する非破壊的圧縮試験を行なうシステムである。システムは、ステップモーター制御システム(1)と、圧入深さを測定するレーザー変位センサー(17)と球形圧入子(18)とを有する測定装置(2)と、ロードセル(15)とレーザー変位センサー(17)とからの信号を増幅し且つフィルタリングする信号増幅器を有するデータ取込システム(3)とステップモーター(12)の移動速度及び方向を調整し制御するコンピュータープログラムアルゴリズムが内蔵された制御ボックス(4)とから構成される。制御ボックス(4)は測定データと材料物性値の格納及び読み出しが可能であり、信号データに基づいて荷重-変位曲線と応力-変形率曲線のグラフをプロットすることができる。コンピュータープログラムアルゴリズムの処理は次のとおりである。先ず、n及びeoの初期推定値と傾きSとを利用してヤング率を式(29)から計算する。そして、荷重-変位データ数に応じてc2、ep、及びsを計算した後、これを利用した応力-変形率関係からn、K、so、及びeoの値を計算する。許容誤差範囲以内に、更新されるeo及びnが収束するまで 更新されるE、d、c2、ep、s、n、K、so、及びeoを繰り返し計算する。

Description

【技術分野】
【0001】
本発明は、材料の物性値測定用の球形圧入試験機とその試験技術に関するものである。特に、圧入試験機は既存の引張試験機で測定できない、性質が連続的に変わる溶接部、試片の加工または試験中に不安定な亀裂が生じる脆性材料、及び、現在、使用中の構造物の部品の物性評価に使用することができる。特に圧入試験法は非破壊的でありながら比較的簡単に材料の物性値を得ることができる。本圧入試験技術は大変形の増分塑性理論に基づいた有限要素解を利用して新しい材料物性値評価法を使用した。圧入試験から得られた荷重−変位曲線は、応力−変形率曲線に首尾よく変換される。
【背景技術】
【0002】
圧入試験法は材料物性値等を測定するにおいて、その操作法が簡単であるのは勿論、非破壊的であるという特性を有する。しかし、圧入試験法は圧入子下部の複雑な三軸応力状態に起因して、試験結果の分析が難しい。このため、初期には圧痕サイズから硬度値だけを得る試験が主に行なわれ、素材の多様な機械的物性評価方法として使用するのに不適合であった。しかし、最近では、圧入下部の弾・塑性応力場の有限要素解析によるとともに、荷重及び深さ変化を連続的に測定することにより、以前の制約を克服した。結果として、荷重-変位曲線を得て、この曲線の解析を通して応力-変形率の関係を得ることができる。
【0003】
自動化された圧入試験により、測定された荷重−変位データからの応力−変形率曲線が得られる。図1は、圧入の概略的な側面図を示す。ここで、ht及びdt は理想的な圧入深さ及び投影接触直径であり、dp及びhpは荷重除去時の投影直径及び圧入深さを意味する。直径がDである圧入子を使用した場合、球の幾何形状から次のような関係を得る。
【0004】
【数1】
Figure 2004537051
ヘルツ(Hertz)は図2から見るように圧入時と解荷重時の「投影」圧入直径は同じであるという仮定下で次のようにd(=dt=dl、この仮定の下で)を表現した。
【0005】
【数2】
Figure 2004537051
ここで、γ1とγ2とはそれぞれ荷重がかけられていないときの圧入子の半径と材料に生ずる圧痕半径とを意味し、E1は圧入子のヤング率、E2は試験材料のヤング率である。圧子が剛体である場合、γ1=D/2及びγ2はdとhpとで表すことができる。これから式(3)のような関係式を得ることができる。
【0006】
【数3】
Figure 2004537051
ここで、Cは5.47P(1/E1+1/E2)である。
【0007】
テーバ(Tabor)は(ブリネル(Brinell)及びマイクロビーカス(Micro Vickers))圧入子の接触端での相当(塑性)変形率が次のように表現され得るという実験的結論に到達した。
【0008】
【数4】
Figure 2004537051
ここで、dは式(2)を使用して計算される。反面、ヘッカク(Haggag)らはパイル-アップ(pile-up)とシンク−イン(sink-in)の影響を無視した。彼らは、圧入時は式(1)を使用して圧入直径を、解荷重時で式(3)を使用して圧入直径dpを計算し解荷重時圧入直径dpを式(4)に代入して、塑性変形率を計算した。
【0009】
圧縮圧入荷重Pが加えられた時、平均接触圧力pmは、pm≡4P/(πd2)と定義される。拘束因子ψは、平均接触圧力と相当応力との間の比として定義され、ψは相当変形率の関数である。
【0010】
【数5】
Figure 2004537051
よって相当応力は次のように表現できる。
【0011】
【数6】
Figure 2004537051
厳密な意味では、相当塑性変形率と相当応力は、変形強度それ自体と同様に、圧子下部の変形領域内の位置の関数であるから拘束因子ψも位置の関数である。フランシス(Francis)は多数の材料に対する圧入試験結果を総合してψに対する実験式を得て、
次のように圧入状態を3つの領域に分けて区分した。
【0012】
(1)可逆変形が起こる弾性領域
(2)弾塑性変形が起こる還移領域
(3)塑性変形が起こる完全塑性領域
ヘッカク(Haggag)らは式(6)において、dの代わりにdpを使用して応力を計算し、拘束因子は変形速度及び変形硬化性によって拘束因子が異るという点を考慮してフランシス(Francis)の拘束因子を修正して次のように表現した。
【0013】
【数7】
Figure 2004537051
αm は拘束因子指数であり、変形速度に比例し、低い変形速度を有する材料では1である。フランシス(Francis)は実験結果を詳しく調べることによって規格化した変数φを次のように表した。
【0014】
【数8】
Figure 2004537051
式(4)において、相当変形率は圧入子接触端部での値であるから、式(5)−(8)の値は全て圧入子接触端部における値を意味する。
【0015】
球形圧入子に対して作用荷重Pと圧痕の投影直径d間には次のような関係式が成立し、この式をメイア(Meyer)の法則という。
【0016】
【数9】
Figure 2004537051
ここで、kとmは圧入子直径Dが固定された時の材料定数であり、mをメイア(Meyer)の指数といい、普通2-2.5の間の値を有する。
【0017】
メイア(Meyer)は実験を通じて次のように、指数mは圧入子直径Dに対して独立的であり、kはDが増加すれば減少するのを発見した。
【0018】
【数10】
Figure 2004537051
ここで、Aは定数であり、よってAを式(9)に代入して次のように整理される。
【0019】
【数11】
Figure 2004537051
式(6)は式(11)によって式(12)のように変形される。
【0020】
【数12】
Figure 2004537051
ヘッカク(Haggag)らは式(11)のdをdtに置換し、ジョージ(George)らが実験を通じて求めた次のような降伏強度と傾きAと間の関係から降伏強度σoを計算した。
【0021】
【数13】
Figure 2004537051
ここで、βmは材料が与えられると決定される定数で、鋼材の場合、約0.229程度の値であり、引張降伏強度とAの分析から求められる。
【0022】
ライス(Rice)とロジェングリン(Rosengren)は、区分的指数法則(piecewise power low)の形式で応力−変形率の関係を提案している。
【0023】
【数14】
Figure 2004537051
ここで、σoは降伏強度、εo=σo/Eは降伏変形率であり、nは変形硬化指数である。総変形率εtは、弾性変形率と塑性変形率とに分解される(εt=εep)。
【0024】
図3はヘッカク(Haggag)が使用した材料物性値計算過程を表したものである。ヘッカク(Haggag)らの方法は、荷重−解荷重反復回数に応じて応力−変形率データ点を得ることができる。よって、一回の圧入試験を通じて合計6-7個程度のデータを得ることができる。また、この方法は別途の引張試験等を通じて材料定数等を決定する過程が追加的に必要である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
SSMシステムに使用されたヘッカク(Haggag)のモデルは、実験的観察と一部解釈に依存し確立されたフランシス(Francis)とテーバ(Tabor)らの圧入理論を利用した。この方法は追加の引張実験を通じた材料定数決定過程が必要であるという短所がある。また、6-7回の反復的な荷重−解荷重過程を通じて得られた荷重-変位データを回帰して応力−変形率曲線を得る過程において、不十分なデータ数は不正確な回帰を惹起させる。何よりも、ヘッカク(Haggag)の方法の最も大きな問題点は、変形理論を根拠した材料の応力場は実際の応力場と全く異なるという点である。
【課題を解決するための手段】
【0026】
本発明は、前で説明した短所を補完するための、圧縮圧入荷重(P)をかけることにより圧縮試験を行なう自動化圧入システムに関するものである。弾性率(Е)、降伏強度(σo)、及び硬化指数(n)は測定された圧入深さ(ht)と圧入荷重(P)と解荷重傾き(S)とから計算される。
【0027】
本発明の自動化圧入システムはステップモーター制御システム(1)、測定装置(2)、データ取込システム(3)及び制御ボックス(4)を含む。
精密な移動距離制御とモーターの振動を最小化するためにステップモーター(12)を使用する。
【0028】
測定装置(2)はロードセル(15)と圧入深さの測定のためのレーザー変位センサー(17)、そして球形圧入子(18)で構成される。
データ取込システム(3)はロードセル(15)とレーザー変位センサー(17)から出る信号を増幅及びフイルタリングするための信号増幅器を含む。
【0029】
コントロールボックス(4)にはステップモーター(12)の移動速度と距離を調整及び制御するためのコンピュータープログラムアルゴリズムが内蔵されている。また、増幅された信号データに従って、荷重−変位曲線と応力−変形率曲線を計算し、且つグラフを描くことができ、測定された信号データと材料物性値と生成されたデータを格納し、且つ処理することができる。
【0030】
ステップモーター制御システム(1)はバックラッシュが無いボールスクリュー(14)とバックラッシュナット(16)を使用した円筒形リニア-アクチュエーター及び、回転を規制しながら同時に反復性を高くするために、ボールスクリュー(14)とバックラッシュナット(16)とに接続されたフレキシブルカップリング(13)を備える。ステップモーター制御システム(1)はまた、ステップモーター(12)の加減速を制御できるようにし、3-5%の再現性を有する速度制御を可能にする。
【0031】
ロードセル(15)は圧入試鹸の有限要素シミュレーションを通じてその規格を決定する。圧入荷重(P)は圧入子のサイズと材料物性値によって決定されるが、最大圧入荷重は1mm圧入子に対して100kgf以下となる。
【0032】
圧入深さ測定のためのレーザー変位センサー(17)はリニア-アクチュエーターに平行に連結されており、このセンサー(17)の測定範囲は4mmであり、分解能は0.5μmである。
【0033】
球形圧入子(18)はタングステンカーバイド(WC)からなる一体型球形圧入子であり、圧入深さを正確に測定し、圧入子先端の直径は1mmとする。
一般的に、測定された圧入深さ(hexp)にはシステムの変形(hadd)に因る追加的な変位が含まれる。よって、正確な圧入深さを得るために、測定された圧入深さ(hexp)とFEAから得られる実際の圧入深さ(hFEM)との差を求めて実用的な圧入深さを補正する。
【0034】
コンピュータープログラムされたアルゴリズムは圧縮圧入荷重(P)を加え、測定される圧入荷重(P)、圧入深さ(ht)、解荷重傾き(S)を利用して弾性率(E)と降伏強度(σo)と硬化指数(n)とを計算し、圧入された材料の応力-変形率曲線を描くことにより、自動化された圧入試験を行なうようにする。
【0035】
コンピュータープログラムされたアルゴリズムは次のような段階で行なわれる。:予め格納されたデータから測定圧入深さ(ht)、荷重(P)、及び解荷重傾き(S)の入力を受ける。解荷重傾きと、n及びεoの初期推定値を利用してヤング率(E)を計算し、荷重-変位データ数に応じてc2 関数を利用して圧入直径(d)を計算する。計算された圧入直径(d)を利用して相当塑性変形率(εp)と相当応力(σ)を計算して、この応力-変形率関係から変形硬化指数(n)とkを求め、降伏強度(σo)と変形率(εo)を計算する。E、d、c2、εp、σ、n、K、σo 及びεoを更新し、更新されたεo及びnが許容誤差範囲以内に収束する時、材料物性値(E、σo、n)を出力し、また応力-変形率曲線をプロットする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
本発明の目的と長所は、図面とともに下記の詳しい説明を通じてより明確に理解され得る。
図4から見るとおり、球形圧入試験の有限要素モデルを形成した。大変形の有限要素解析にはJ2流れ理論(flow theory)に従う等方性弾塑性材料を使用する。荷重と形状が全て軸対称であることを考慮して4折点軸対称要素CAX4(ABAQUS 2002)を使用する。予備的な解析により、8折点CAX8要素は中間折点における相当塑性変形率が不連続的であるという問題があることが明らかになった。このとき、CAX4形状関数が1次数低いものを補完できるように材料の接触表面に圧入子直径の0.25%サイズの微細要素を配置する。要素サイズが変わる境界にはMPC(Muli-Point Constraints)が簡便に使用されるが、この場合、MPC折点上の応力と変形率が均一でない。このため接触部近傍の遷移領域では梯形要素を使用し、接触部から十分に離れた遷移領域においてMPCモデルリングする。母材と圧入子との有限要素モデルはそれぞれ約2300個と630個との要素から構成される。圧入子と母材の接触面には接触要素面(Contact Surface)を配置する。対称軸上折点は軸対称条件を満足させ、母材底面を固定した後、圧入子を下降させる。圧入子は直径1mm、ヤング率650GPaにモデルリングした。
【0037】
メチュス(Matthews)やヒル(Hill)らの圧入理論は変形塑性理論に基づいている。変形理論は増分塑性理論に比べて理論展開し易いが、二つの理論から生じる圧入下部の変形状態は大変相異する。一つの代表的例として、最大応力は変形理論では圧入中心の下端部、増分理論では圧入中心から0.4d程度離れた表面部に位置する。ここで、投影接触直径dはパイル-アップ(pail-up)とシンク-イン(sink-in)を考慮した投影接触直径を意味する。
【0038】
図5は変形硬化指数n=10、摩擦係数はそれぞれf=0、0.1、0.2である場合に対し、d/D=0.5で、特定の深さι/Dにおける半径方向γに沿う相当塑性変形率εpの分布を表したものである。ここで、γは圧入中心からの投影距離を、ιは材料表面から表面下部の観測深さを表し、 d/Dは投影接触直径と圧入子直径の比を意味する。図面に示すように、圧入下部へ行くほど振動と摩擦係数の影響が減少する。本研究では接触影響が少ないながらも圧入表面に近い、圧入表面から圧入子直径の1%になる所(ι/D=0.01)を応力-変形率観測地点に選んだ。
【0039】
図5から変形率の分布は摩擦係数によって影響を受けるのを見ることができる。材料の間の摩擦係数は0.1-0.2間の値に推定され得るが、摩擦係数は温度や湿度等の周辺環境によって影響を受けるため、正確な測定が難しい。また、既存のテーバー(Tabor)の相当塑性変形率の取込地点はγ/(d/2)=1、即ち接触端部である所であり、変形率の勾配変化が大きく、且つ摩擦係数の目に見える影響があるので正確な応力-変形率関係を得ることが難しい。よって本発明では圧入中心から0.4dほど離れた点をデータ取込点に選んだ。この位置は、i) 摩擦係数の変形率に対する影響が小さく、ii) 変形率の傾きも小さく、iii)5倍程度大きい変形率が測定される長所を有する。材料の相当応力と相当変形率は各地点で圧入深さに従って変るが、このように相当応力-塑性変形率観測地点を任意に選択できる理由はどの地点の相当応力及び相当変形率も単軸の応力-変形率曲線上に置かれなければならないからである。一方、この地点は増分塑性理論と変形塑性理論の応力-変形率の差異が大きいため、流れ理論に準する新しい圧入理論数式等が要求される。
【0040】
図6は投影接触直径の変化を伴う、様々な変形硬化指数に対して、圧入中心から0.4d離れた地点において変形率変化推移を見た曲線であって、摩擦係数fは0.1、降伏強度σoとヤング率Eはそれぞれ400MPa、200GPaに設定した。塑性変形率が始めて発生する地点は原点付近で、浅い圧入によっても塑性域が発生することを示している。また、値nが増加するほど塑性変形が容易であるから、変形硬化指数とともに塑性変形率が増加するのを見ることができる。既存の圧入理論のデータ取込点は接触端部であり、そこでは半球が材料に完全に圧入した状態で最大相当塑性変形率値0.2を得ることができるが、測定時、半球を完全に圧入することができないので、実際得られる最大変形率値はこの最大値より相当小さい。これに比べて新しい圧入理論は、同じ圧入深度において5倍以上の変形率の値を与え、例えば、d/D=0.5である時、相当塑性変形率は0.5以上の値を与える。
【0041】
同じ圧入深さに対して、最大変形率を得ることができ、摩擦係数の影響を無視できる2r/d=0.4d且つι/D=1%をデータ観測地点に選定して新らしい圧入理論を展開した。パイル-アップ(pile-up)とシンク-イン(sink-in)を考慮して、実際の投影接触直径は球の幾何形状から次のように求められる。
【0042】
【数15】
Figure 2004537051
ここで、hは、パイル-アップ(pile-up)とシンク-イン(sink-in)の影響に因る実際の圧入深さを意味し、htは基準表面から測定された基準深さを意味し、c2は次のように定義される。
【0043】
【数16】
Figure 2004537051
降伏強度とヤング率を固定させた状態で相当塑性変形率は図6から次のような関数に近似化され得る。
【0044】
【数17】
Figure 2004537051
先に言及したように、ヘッカク(Haggag)らが提案した理論は降伏強度を見つけるためには別途の引張試験を通じた材料定数決定過程が必要であり、これは圧入試験による物性値評価過程を複雑にする。本発明では、このような余分な過程を削除するために物性値相互間の連関性から降伏強度を計算する。塑性変形に対する区分的指数法則(piecewise power law)の関係式(14)は次のように変形され得る。
【0045】
【数18】
Figure 2004537051
ここで、kは応力-変形率データの回帰から求めることができる。この式(18)はσ=σoである時にも、成立する。
【0046】
【数19】
Figure 2004537051
一方、降伏時、応力-変形率の弾性関係式は式(20)のとおりである。
【0047】
【数20】
Figure 2004537051
式(19)と式(20)から次のような結果式が誘導される。
【0048】
【数21】
Figure 2004537051
よって、変形率に対応する正確な応力を予測することができとすれば、式(18)の変形率と応力の関係からnとKを求めることができ、これを利用してσoを式(21)から計算することができる。
【0049】
上の関係式を検証するために降伏変形率を固定させた状態での様々な変形硬化指数に有限要素解析を実施した。実際の投影接触直径dを測定するのが難しいため、本研究ではFE解析から得られるC2を回帰分析した後、式(15)に代入してdを求める方式を選んだ。
【0050】
f=0.1である時、式(16)の実際の圧入深さと理想的圧入深さ比からC2を計算して圧入深さの変化による C2変化推移を図7に表した。図7から見るとおり圧入深さに対してC2が変化しており、nが一定な場合C2が不変量であるというマチュ-ス(Matthews)及びヒル(Hill)の既存理論と異なることを確認することができる。これは、圧入初期領域は弾性変形が支配的な領域であるので理論値0.5に収束し、圧入深さが増加するほど弾塑性遷移領域を経て完全塑性領域に入りながらC2の値が増加するからである。nの値が高いほどパイル−アップが発生しやすいため、nが増加するほど C2が増加するが、これは既存のマチュ-ス(Matthews)、ヒル(Hill)そして、ノ-バリ(Norbury)とサムエル(Samuel)が主張した傾向と一致する。注目すべき点は十分な塑性領域においても、C2値は圧入深さの増大により特定値に収束せず、若干の増加を見せることである。よって、先の圧入理論において、 C2は変形硬化指数nの関数であるばかりでなく、圧入深さの関数として表さなければならない。図7の有限要素解析から得たC2の関係式は次のように表現される。
【0051】
【数22】
Figure 2004537051
ここで、aは多項関数の係数である。
【0052】
図8は f=0.1である場合、ι/D=1%であり、且つ2r/d=0.4dである地点で投影接触直径と相当塑性変形率の関係を様々な値のnに対して、回帰した曲線であり、式(23)はd及びnの関数として表されるεpの回帰式である。回帰式(23)にn=8.5を代入して得られる回帰曲線と有限要素解析から得られるデータを比較して図8に表し、これを通じて回帰式(23)によりεpがd及びnの関数としての特性をよく表すことを知ることができる。
【0053】
【数23】
Figure 2004537051
図9は様々な値のnに対して、投影接触直径の変化による拘束因子ψの変化を表したグラフである。図面に示すように、ψは d/Dに対して圧入初期領域では非線形的に増加する。十分に圧入された後、塑性変形が支配的になるため、ψは d/Dに対して線形的な関係を維持する(図10)。また、ψはnが増加するに従って共に増加するが、これは既存のマチュ-ス(Matthews)やテイラパタイア(Tirupataiah)が観察した傾向と同一である。しかし、より重要なことは、十分に圧入された十分な塑性領域においても、ψ値が一定値で飽和することなく、僅かに減少する傾向を表すことである。d/D≧0.15である区間に対して ψを線形回帰した式は次のとおりである。
【0054】
【数24】
Figure 2004537051
生成された回帰曲線を図10に実線で表した。(新たなデータ取込点での)相当応力は式(24)のψ値を式(6)に代入して求める。
【0055】
図11はヤング率(Е=200GPa)と変形硬化指数(n=10)が与えられた場合、d/D=0.5であ
る時、3つの降伏強度(σo=200、400、800Mpa)に対する相当塑性変形率の分布の変化
を示す。この場合、任意の圧入深さに対して、降伏硬度が増加するほど塑性変形率εpが減少することが観測される。このような現象を綿密に検証するためにヤング率を変化させた。
【0056】
図12は様々な降伏変形率に対するc2とht/Dとの間の関係を示す。図面においてσoとEの絶対値は異なってもその相対比(σo/E=εo)が同一であれば、c2曲線の形態が殆ど同じである。降伏変形率は曲線の位置を決定するが、遷移領域以後の曲線の形態には大きな影響を与えない。また、降伏変形率が大きくなるほどc2曲線が低い所に位置するが、これは降伏変形率が大きくなるに従って初期弾性域が大きくなるためと判断される。n=10である場合、各曲線は完全な塑性変形領域において殆ど平行であることを見ることができる。
【0057】
よって、本研究では遷移領域における圧入の変形特性を支配する変数であるεoと、完全塑性域における圧入の変形特性を支配する変数であるnを二つの互いに独立な変数として設定した。このような変数分離に基づいて式(22)のc2は下記式(25)のようにnとεoの統合関数に回帰される。このような回帰曲線が図12に実線で表されており、シンボルにより表現される有限塑性解析と良く一致するのを見ることができる。
【0058】
【数25】
Figure 2004537051
図13は降伏変形率がεo対d/D曲線に与える影響を表す。ここでも、任意のd/Dに対して、降伏変形率の増加により相当塑性変形率が減少するのを見ることができるが、これは、降伏変形率が増加するほど初期弾性域が増大して塑性域を減少させるからである。式(26)は式(23)を様々な値の降伏変形率の関数で拡張した総合的な回帰式である。
【0059】
【数26】
Figure 2004537051
図14は降伏変形率が拘束因子ψ対d/D曲線に及ぼす影響を示す。図14(a)は遷移領域、図14(b)は完全塑性域を表すもので、遷移領域では降伏変形率がψ対d/D曲線に及ぼす影響が大きいが完全塑性領域では降伏変形率が曲線にほとんど影響を及ぼさない。式(24)を様々な降伏変形率に対して拡張することによりψがd/D≧0.15である領域において求められる。
【0060】
【数27】
Figure 2004537051
圧入試験におけるヤング率は解荷重時の荷重-変位曲線の傾きや弾性回復量で計算される。パア(Pharr)らは、解荷重時の荷重-変位曲線の傾きは非線形であり、解荷重初期の曲線の傾きがヤング率と密接な関係があると見た。ここでは、解荷重初期の傾きをヤング率の決定基準に選定した。
【0061】
図15(a)は同一なヤング率及び降伏変形率と多様な材料硬化指数nを有する材料に対しするFEAにより得られた荷重-変位曲線を表し、図15(b)はこれに対応する解荷重傾きSを表す。横座標γ=Pmax/Pは一次回帰のため使用される解荷重曲線の部分を意味する。即ち、PmaxからPまでの一部が一次回帰に使用される。γが増加するほど傾きは減少し、γ<0.1区間において一定値に収束するのを見ることができる。よって収束する値が初期の解荷重傾きだと言うことができ、傾きはγ=Pmax/P<0.1である区間において測定されなければならない。
【0062】
表1は多様な材料物性値に対してγ=0.1とγ=0.5の回帰区間における傾きを比較したものである。γ=0.1での傾きと比較する時、γ=0.5での傾きは、略3%の誤差を見せており、 回帰区間γが増加するほど傾きの誤差が増加する。傾きの誤差は後述するヤング率式の誤差に累積され、測定されるヤング率の全体的な誤差を増加させるので、γ<0.1である区間において傾きが測定されるべきであるのを明らかに知ることができる。
【0063】
【表1】
Figure 2004537051
パア(Pharr)らは解荷重時の荷重-変位曲線は本質的に非線形であり、荷重-変位曲線の解荷重初期の傾きSがヤング率と密接な関係があると見た。彼らは、次のようなヤング率の式を提案した。
【0064】
【数28】
Figure 2004537051
この時、dは、材料のパイル-アップ(pile-up)とシンク-イン(sink-in)を考慮した実際の投影である。式(28)は硬質の円柱状圧入子が、弾性を有する平らな試験片を貫通すると仮定して導出された式である。即ち、断面円形状の平坦な圧入子が、弾性を有する平らな試験片に圧入される。圧入子の変形を考慮するために、有効係数の概念を導入する。有効係数は厳密には圧入子の変形を反映できない。解荷重時、先行する塑性変形により、試験片は平坦ではなく、負の曲率を伴った凹面をなすようになる。よって、式(28)は次のように修正係数を含んで表現しなければならない。
【0065】
【数29】
Figure 2004537051
ここで、修正係数к1は、変形する球形圧入子、及び平坦でない弾塑性試験片等の実状を含んだものである。к1の意味を調べるため、式(29)は次のように整理することができる。
【0066】
【数30】
Figure 2004537051
図16(a)は多様な値のEにおける、nに対するк1の変化を示す。к1はEからの影響をほとんど受けないが、к1はnの増加に伴って僅かに減少することがわかる。一般的な材料の場合、値nは5〜∞であるので、к1=0.83であることを明らかにすることができた。図16(b)は、nが1に近づく時、к1が1に収束することを示している。即ち、弾性材料に対し、к1値は、パア(Pharr)が提案したように1になる。
【0067】
図17(a)は圧入深さがht/D=0.06として与えられる場合において、多様な値のnに対するEとS/dと間のFEA関係を示す。図17(a)から見れば、Eは S/dの増加関数であり、関数の係数はnの関数である。このような観察から次式が導き出される。
【0068】
【数31】
Figure 2004537051
図17(b)は、aが6200に固定された時の1/nに対するbの線形変化を示す。式(31)にこれを適用すれば次のように表現できる。
【0069】
【数32】
Figure 2004537051
表2は式(5)で計算されたヤング率及び対応する誤差を表す。最大誤差は5%であり、誤差の大部分は2%以内である。式5は圧入子のヤング率とポアソン(Poisson)比が含まれていない。しかしながら、実験では圧入子のヤング率とポアソン比が固定されていることを考慮すると、それは決して問題とはならない。
【0070】
【表2】
Figure 2004537051
以上の事項を総合して、圧入荷重-変位曲線を利用して材料物性値を計算するプログラムを作成した。フローチャートは図18のとおりである。圧入試験を通じて測定される荷重-変位関係に基づいて最終的に、材料物性値であるヤング率、降伏強度、及び変形硬化指数を求める。
【0071】
ヘッカク(Haggag)らの方法では、荷重と解荷重とを反復する毎に一つの応力-変形率データ点を求める。よって、通常、一回の圧入試験を通じて合計6-7個のデータ点しかを得ることができないため、回帰時、誤差が大きく発生し得る。また、ヘッカクの理論では、材料定数を求めるために、別途の引張試験が必要である。
【0072】
しかし、この新規な方法では一度の荷重-解荷重を通じて得られる数百個以上のデータ点を使用して材料の物性値を予測する。また、この新規な方法では、別途の実験が不要である。よって、より正確且つ簡単な方法で材料物性値の予測が可能である。
【0073】
有限要素解析を圧入子直径の6%に該当する圧入深さに対して使用することにより、荷重-変位曲線を生成する。次いで、荷重-変位曲線をプログラムに入力して、材料物性値を評価する。先ず、n及びεoの初期推定値、並びに傾きSを利用してヤング率Eを式(29)から計算する。荷重-変位データ数に応じて式(25-27)を利用してc2、εp、及びσを計算した後、これを利用した応力-変形率関係から n、K、σo、及びεoの値を計算する。許容誤差範囲以内に更新されたε0とnが収束するまで、更新されたE、d、c2、εp、σ、n、K、σo及びεoを繰り返し計算する。
【0074】
表3には予測値が実際の材料物性値と比較されている。Eとσoとは2%以下の平均誤差を、nは3%の平均誤差を示す。
【0075】
【表3】
Figure 2004537051
図19と図20は実際の材料曲線と予測された曲線とを比較して表すものである。実線はFEAに使用された材料の曲線であり、シンボルは予測された応力-変形率曲線である。図面に示すように、多様な値のn及びεoに対するこれらの比較から、新しい方法が妥当であるのを見ることができる。
【0076】
新しい方法により、変形率の範囲が5倍も拡張する。また、予測の精度に十分な影響を及ぼす式(25-27)と(32)の向上が進行中にある。
新しい圧入関連数式の新たなセットがFE解法に基づいて提案された。圧入試験による荷重-変位曲線が好適に応力-変形率曲線に変換される。以上から次のような事項を整理してみることができる。
【0077】
(1)i)摩擦係数の影響が小さく、ii)変形率の変化が少なく、iii)最大5倍の塑性変形率を得ることができる地点である、圧入中心から0.4dだけ離れた新たなデータ取込点を設定した。
【0078】
(2)圧入分析のFE解から、様々な材料物性値に対して圧入変数c2、εp、及びψを回帰し、これらから、圧入試験における支配的な変数は変形硬化指数nと降伏変形率εoであることを知ることができた。
【0079】
(3)定数c2が圧入深さと関係していない既存の圧入理論は浅い圧入にさえ適用できない。パイル−アップ及びシンク−インのパラメータc2は概して、圧入深さと変形硬化指数nの関数であるのを見せた。
【0080】
(4)圧入変数 c2、εp 、及びψの回帰式を利用することにより材料物性値を予測するプログラムを作成した。荷重-変位曲線は、圧入子直径の6%圧入深さに対する1回の有限要素解析により得られる。荷重−変位曲線は応力-変形率曲線に変換され、それから材料の物性値を得ることができる。予測された材料物性値において、E及びεoは平均2%、nは平均3%の誤差を表す。
【0081】
(5)実験的観測及び変形塑性理論に基づいた既存の理論では引張試験から得られる材料定数が別途に必要であったし、反復的な荷重-解荷重過程を通じて応力-変形率関係が求められた。これに対して、流れ理論に基づく本研究の新圧入理論では前もって材料定数を求めることなしに一度の荷重と解荷重過程を通じて、正確な材料物性値を予測することができる。
【0082】
上記した理論に基づいて、有限要素解法を適用した非破壊的な圧縮試験は本発明の自動化圧入試験システムに利用され得る。
自動化圧入試験システムは次のように3つの部分から構成される。:ステップモーター制御システム(1)、測定装置(2)、データ取込システム(3)(図21参照)。
【0083】
図22は自動化圧入システムの概略図を示す。ステップモーター(12)は、パルス(pluse)によってデジタル的に制御することが可能であり、静止トルクが高く、且つ回転速度を円滑に制御できるため、本発明のマイコン(micom)において使用するのに好適なモーターである。本システムではステップモーター(AS66A-H50)を使用した。ステップモーター制御装置は、加減速を制御し、3-5%の再現性で速度制御を可能にする。円筒形リニア-アクチュエ-ターはバックラッシュ(backlash)がないボールスクリュー(14)(BTK1404C,THK)とバックラッシナット(backlash nut)(16)とを使用する。フレキシブルカップリング(13)(SOH32C)は、回転を抑制しながら同時に反復性を高くするためにステップモーターとボールスクリュー(14)を連結する。
【0084】
測定装置はロードセル(15)、圧入深さ測定のためのレーザー変位センサー(17)、及び球形圧入子(18)から構成される。
最大荷重がそれぞれ20kgfと200kgfであるロードセル(15)を使用し、相互に交替できるようにする。20kgfロードセルはゴム物性評価に使用される。
【0085】
レーザー変位センサー(model Z4M-N30V, OMRON)は圧入深さ測定に使用される。レーザー変位センサー(17)の最大移動(移動距離)は4mmであり、分解能は0.5μmである。レーザー変位センサー(17)はリニア-アクチュエーターに平行に連結されており、連結ソケットはシステムの追加変形を減らすことができるように設計された。
【0086】
図23の球形圧入子(18)には、圧入深さを正確に測定するために、タングステンカーバイド(WC)からなる一体形球形圧入子を使用する。
データ取込システム(3)と制御ボックス(4)を図21に示した。ロードセル(15)とレーザー変位センサー(17)から出る信号は信号増幅器によって増幅及びフィルタリングされる。増幅された信号はPCプログラムを通じてグラフ化され、格納される。圧入システムの携帯性のために、データ取込システム(3)とモーター制御装置(1)を統合して一つの制御ボックス(4)とノートブックPCで構成する。
【0087】
ステップモーター(12)は図24に示すように、PCプログラムで制御される。ステップモーター(12)の移動速度と方向は制御ボックス(4)から調整され得る。制御ボックス(4)とPCウインドに見られるプログラムはステップモーター(12)を制御するだけではなく、荷重-変位曲線及び材料物性値のデータを格納及びグラフ化することができる。
【0088】
圧入システムのサイズはH489×W220×D220mmで設計され、圧入子先端は直径1mmで設計された。圧入深さは非接触式光学装置であるレーザー変位センサーを利用して測定される。任意の圧入深さに対して、圧入子先端の直径及び試験片材料の物性により圧入荷重が決定される。FEAから得られる圧入深さが圧入子先端の正味の移動距離である場合、レーザー変位センサーにより測定される深さは、圧入子先端と固定されたレーザー変位センサーのヘッド部分との間の圧縮変位を含むようになる。図25はFEAと実験から得られるP-h曲線を表したものである。FEAには同一材料に対する引張試験から得られる材料物性値を利用し、FEAと試験の最大荷重が同一であるように圧入荷重を制御した。実験的に測定された変位は追加変位が含まれている。hexpは、測定された圧入深さであり、hFEMは、FEAから測定された(実際の)圧入深さである。ここでシステムの変形による追加変位haddは、hexp - hFEMである。hadd を補正した後の実験的に測定されたP-h変位曲線を図25に示す。これから、FEA解法の結果と実験の結果を一致させることができる。
【0089】
本発明が好ましい実施形態によって詳しく説明されたが、更なる修正が可能であることが分かるであろう。よって、本出願は、その一般的な原理に従う本発明の如何なる変更、使用または適用を包括するように意図されたものであり、当技術分野における既知の又は慣行的な方法を伴うこの開示からの逸脱も含み、本発明の範囲は添付された請求の範囲に限定される。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】典型的な圧痕の概略的な形状を示した図である。
【図2】圧入時と解荷重時の投影圧入直径を表した図である。
【図3】材料物性値計算過程を表したものである。
【図4】球形圧入試験用有限要素(FE)モデルである。
【図5】変形硬化指数n=10、摩擦係数f=0、0.1、及び0.2、d/D=0.5である場合に対して、指定深さι/Dにおいて、半径方向γに沿う相当塑性変形率εpの分布を表したものである。
【図6】投影接触直径が変化する時、新しいデータ取込地点での塑性変形率曲線である。
【図7】は f=0.1であるとき、様々な値のnに対して、圧入深さの変化に対するC2回帰曲線を表したものである。
【図8】f=0.1である場合、ι/D =1%、2r/d=0.4d地点で、様々な値のnに対して、有限塑性変形率εpに対する投影接触直径のFE解及び対応する回帰曲線のグラフである。
【図9】nの変化による、拘束因子ψに対する投影接触直径の変化を表したグラフである。
【図10】拘束因子ψ、対、投影接触直径の生成された曲線を実線で表したものである。
【図11】ヤング率と変形硬化指数が与えられた場合、d/D=0.5であるとき、3つの降伏強度に対する半径方向に沿う相当塑性変形率分布の変化を表したものである。
【図12】降伏変形率によるC2対ht/D曲線の変化を表したものである。
【図13】εo対d/D曲線に降伏変形率が与える影響を表したものである。
【図14】(a)は、遷移領域において、降伏変形率が拘束因子ψ対d/Dに及ぼす影響であり、(b)は、完全塑性領域において、降伏変形率が拘束因子ψ対d/Dに及ぼす影響である。
【図15】(a)は、同一なヤング率及び降伏変形率と多様な材料硬化指数(n)に対しFEAで得られた荷重-変位曲線を表し、(b)は、これに対応する解荷重傾き(S)を表すもので、ここで、横座標 γ=P/Pmax は一次回帰のために使用される解荷重曲線の部分を意味する。
【図16】(a)は、多様な値のEに対するn対k1の分布を表し、(b)は、多様な値のEに対するn対k1の外挿を表す。
【図17】(a)は、圧入深さがht/D=0.06である場合において多様な値のnに対するEとS/dとの間のFEA解析結果を表し、(b)は、aが6200に固定された時の、1/nによるbの線形変化を表す。
【図18】本発明によって創案された材料物性値計算過程を表したものである。
【図19】本発明の計算過程を経た応力-変形率曲線を表したものである。
【図20】本発明の計算過程を経た応力-変形率曲線を表したものである。
【図21】ステップモーター制御システム、測定装置、データ取込システム及び制御ボックスを具備した自動化圧入システムを表したものである。
【図22】本発明の実施形態による自動化圧入システムの正面図である。
【図23】一体型球形圧入子を表したものである。
【図24】制御ボックスと、測定された荷重-変位曲線の表示とを表したものである。
【図25】実験的に測定された、haddを補正した後のP-h曲線を表したものである。

Claims (8)

  1. 圧縮圧入荷重(P)を加え、測定された圧入深さ(ht)、圧入荷重(P)及び解荷重傾き(S)を利用して弾性率(E)、降伏強度(σo)及び硬化指数(n)を演算することにより圧縮試験を行う自動化圧入システムにおいて、
    ロードセル(15)、圧入深さ測定のためのレーザー変位センサー(17)及び一体型球形圧入子(18)を有する測定装置(2)と、
    前記ロードセル(15)とレーザー変位センサー(17)から受信される信号を増幅及びフイルタリングする信号増幅器を有するデータ取込システム(3)と、
    前記ステップモーター(12)の移動速度と方向を制御、調整し、前記増幅された信号データに基づく荷重-変位曲線と応力-変形率曲線を計算し、且つグラフ化し、測定された信号データ、材料物性値及び生成されたデータを格納し、且つ読み出すコンピュータープログラムアルゴリズムが内蔵された制御ボックス(4)とを備えることを特徴とする自動化圧入システム。
  2. 前記ステップモーター制御システム(1)は、バックラッシュが無いボールスクリュー(14)とバックラッシュナット(16)とを有する円筒形リニア-アクチュエーターと、回転を抑制しながら再現性を高くするように、前記ボールスクリュー(14)及び前記ステップモーター(12)に接続されたフレキシブルカップリング(13)とを備えることを特徴とする、請求項1に記載の自動化圧入システム。
  3. 前記ステップモーター制御システム(1)は、前記ステップモーター(12)の加減速を制御できるようにし、3−5%の再現性を有する速度制御を可能にすることを特徴とする、請求項2に記載の自動化圧入システム。
  4. 前記ロードセル(15)は、圧入試験の有限要素解析に基づいて規格が決定され、最大荷重がそれぞれ20kgfと200kgfとである前記ロードセル(15)が使用され、且つ相互に交替可能であることを特徴とする、請求項1に記載の自動化圧入システム。
  5. 圧入深さ測定のための前記レーザー変位センサー(17)は、リニア-アクチュエーターに平行に連結されており、前記レーザー変位センサー(17)の最大移動距離は、測定範囲4mmであり、分解能は0.5μmであることを特徴とする、請求項1に記載の自動化圧入システム。
  6. 前記球形圧入子(18)は、圧入深さを正確に測定する、タングステン-カーバイド(WC)からなる一体型球形圧入子であり、且つ圧入子先端の直径が1mmであることを特徴とする、請求項1に記載の自動化圧入システム。
  7. 測定された圧入深さ(hexp)とFEAから得られる実際の圧入深さ(hFEM)との間の差により、システムの変形に因る追加的な変形量(hadd)を含む前記測定された圧入深さ(hexp)が補正されることを特徴とする、請求項1に記載の自動化圧入システム。
  8. 圧縮圧入荷重(P)を加え、測定される圧入荷重(P)、圧入深さ(ht)、及び解荷重傾き(S)を利用して弾性率(E)と降伏強度(σo), 及び硬化指数(n)を計算することにより圧縮試験を行うコンピュータープログラムされたアルゴリズムであって、前記コンピュータープログラムされたアルゴリズムの処理は、
    予め格納されたデータから測定圧入深さ(ht)と荷重(P)と解荷重傾き(S)とを入力する段階と、
    解荷重傾き(S)及びnとεoとの初期推定値を利用してヤング率(E)を計算する段階と、
    荷重-変位データ数に応じてC2関数を利用して圧入直径(d)を計算する段階と、
    計算された圧入直径(d)を利用して相当塑性変形率(εp)と相当応力(σ)を計算する段階と、
    応力-変形率関係から変形硬化指数(n)とkを計算する段階と、
    降伏強度(σo)と降伏変形率(εo)を計算する段階と、
    更新されるεo及びnが許容誤差範囲以内に収束するまで、E、d、c2、εp、σ、n、K、σo及びεoを更新する段階と、
    材料物性値(E, σo, n )を出力し、応力-変形率曲線をプロットする段階とを含むことを特徴とするアルゴリズム。
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