JP2004534849A - 光学的記録に有用なフタリド化合物 - Google Patents
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Abstract
三次元光学的データ記憶媒体、及び該媒体に記憶されたデータへのアクセスを備える装置を含む、三次元光学的データ記憶及び取り出しシステム。データ記憶媒体は、書き込みサイクルと読み取りサイクルでエネルギーの異なる多光子励起を起こし得る、低分子量の又は高分子のガラス状固体のいずれかである光学的データ記憶材料を含む。光学的データ記憶材料は、従来の材料と比較して実質的により高い記憶容量を提供し、かつ書き込み及び記憶されたデータが消去又は上書きされることなく多数回の読み取りサイクルを受け得るという高い堅牢性を示す。前記媒体へデータ記録し、かつ記憶されたデータにアクセスする装置は、制御可能なエネルギー可変性発光励起源及び発光検出器を含む。
Description
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、多光子励起され得る安定な固体を形成する光学的データ記憶材料の合成、ならびに光学的データ記憶媒体にそれらを使用する、特に三次元光学的データの記憶及び取り出しに使用する装置及び方法に関する。
【0002】
[連邦政府資金による研究に関する記述]
本発明は、一部空軍科学研究局交付金番号F49620-01-1-0455の援助によってなされた。合衆国政府は本発明に一定の権利を有する。
【背景技術】
【0003】
従来の二次元(2−D)光学的データ記憶は、回折限界での可視又は赤外波長による記憶材料の光励起を使用することによって達せられる。2−D系の記憶密度の理論的限界は、一般的には〜108bits/cm2である。大きなメモリ及び記憶容量を有する、経済的に実行可能な、高性能コンピュータの必要性は現在も大きくなっているので、三次元(3−D)フォーマット(>1012bits/cm3の理論記憶容量を持つ)でデータを書き込み及び読み取る能力を備える光学的記憶媒体は、小型で、低コストで、高速な、高記憶容量を有するメモリデバイスを実用化する潜在的な解決法を提供する。3−D記憶又は「メモリ」デバイスの容量内の情報の光学的記憶は、通常、光学的記憶媒体を構成する光学的記憶材料内に3−D様式でマイクロドメイン領域(micro-domain areas)に光プロセス(一般的には紫外範囲の)を介した化学変化を誘導することによって達せられる。本明細書中で使用されるように「光学的記憶材料」は、光誘導され、引き続きモニタリングできる変化を受ける能力がある材料(化学化合物を含む)を示す。本明細書中で使用されるように「光学的記憶媒体」は、情報セットを表す所定のパターンでの3−Dマトリクス内のマイクロドメインの照射を可能にする方式で、光源に対して光学的記憶材料が3−Dマトリクスで現れ得るようにするための、光学的記憶材料の適切な形態及び構成を示す。情報(又はデータ)記憶プロセスは、「書き込み」と呼ばれ、これは、記憶媒体内の光子吸収「書き込み」型の分子の照射を意味し、それらを可視光吸収型へ変換するか、又はそれらの光透過性を変化させる。これらの変化を受けた分子は、「書き込まれた」型であると示される。記憶されたデータは、「読み取り」によりアクセス(又は取り出し)され、これは、「書き込み」型の分子を、光子源で、及び放出された蛍光などそれらの光応答又は変化した屈折率による透過性における変化をモニタリングすることにより、精査することを意味する。
【0004】
現在、材料に3−D光学的記憶メモリを供与するために2つのアプローチが取られている。第1のものは、光記憶材料内のマイクロドメインへの光学的書き込みを含み、これにより書き込まれたマイクロドメインで材料の局所的屈折率変化が誘導される。次いで、異なる屈折率パターンは、続いて標準的な光学的方法を使用して読み取られる。第2のアプローチは、フォトクロミック分子、又は光退色(photobleaching)を受ける能力があるポリマー(これは色素分子などの発色団(chromophores)でさらにドープされていてもよい)のいずれかを含む光学的記憶材料を使用することである。光学的変化は、可視領域での発光(これは続いてモニタリングされる)を引き起こす色素分子に光子的に導入される。そのような材料は、理論的には1立方センチメートルあたりテラビット(terabits)のビット密度を提供する能力を有するものの、安定な3−D記憶媒体を提供することが商業的に実用可能であることを実証していない。
【0005】
従来の3−D光学的記憶媒体は、2種類の型に分類され得る。第1は、データ密度に得られる3−Dスタックの面の数を乗じる、2−Dビットアレイのスタックを含む記録可能な媒体からなる。記憶媒体におけるこの型の光学的データ記憶及び取り出しプロセス(retrieval processes)は、多光子励起プロセスを利用することにより、従来から達成されていた。これは二光子励起工程を含み、「書き込み」プロセスを開始し、これにより光化学反応が媒体内のマイクロドメインに誘導されて、そのドメインで永久化学変化を誘導する。光活性化し得る色素(photoactivatable dye)を含浸した高分子マトリクスからなる光学的記憶媒体について、化学変化は、例えば蛍光部分への色素の転換(transformation of the dye)を含む。記憶されるデータを含む書き込まれたマイクロドメインは、続いて、それらの蛍光発光を引き起こす光照射により「読み取り」され得る。特許文献1、及び特許文献2は、3−Dフォトクロミック光学的メモリ媒体において情報の書き込み及び読み取りをローカライズするための、多数の交差ビームの使用を開示している。特許文献3は、二光子励起を経由して情報を記録及び読み取りするために単一の高収束ビームを利用する、より簡単な方法を開示している。光化学的に修飾されない限り非蛍光である蛍光色素の二光子光活性化もまた報告されている。しかしながら、蛍光変調に依存するそのような二光子励起プロセスの実用的な寿命は、書き込まれたデータの多数回読み取りで生じる光退色により制限される。この制限は、これらの媒体における読み取りプロセスの光励起エネルギーが高分子マトリクスの光化学的劣化又は架橋を誘導して、それらを光学的に透過性のより劣るものにするという事実に起因するかもしれない。こうして、媒体内に記憶されたデータは、もはや光源により効果的に読み取りされ得ない。この型の媒体での別の大きな制限は、面間の「クロストーク(cross-talk)」であり、ここで励起ビームは、データが書き込まれる焦点面の上下の面に強力に混入する。これらのスタックしたアレイ系(stacked array systems)に3−Dソリューション(3-D resolution)で書き込むことは、データ記憶を焦点面へ閉じ込めるために媒体の非線形二光子励起により達成されるので、そのような混入又は「クロストーク」は、記憶容量及び記憶されるデータの完全性の両方を深刻に制限する。
【0006】
3−D光学的記憶媒体を提供する第二のアプローチは、「書き込み」プロセスの間に光化学的に誘導された材料の屈折率の局所的変化を受ける能力がある記憶材料を使用する。これは、材料内のマイクロドメインでの光架橋などの光化学反応を開始させることにより達成され、これによりそのドメインの材料屈折率に周辺の媒体に対して局所的変化を引き起こす。これらの変化は、続いて、屈折率の変化により引き起こされた材料内の光透過性の変化を識別する能力がある光源により「読み取り」される。特許文献4は、三次元多層フォーマットにデータを書き込み及び読み取りする技法を開示しており、ここで情報は、高分子媒体の二光子励起プロセスにより開始される光架橋反応により誘導される、修飾された屈折率ドメインの、サブミクロンボクセル(すなわち、一連の断面イメージを利用する3−D形状及び構造の視覚化により処理可能であるドメイン)として書き込まれる。光学的屈折「ビーズ」のアレイは、複数のスタックした面に形成される。書き込まれた情報は、続いて、微分干渉コントラスト顕微鏡を使用して3−Dソリューションで読み取りされる。そのような記憶媒体は、蛍光色素含浸型の場合のような光退色に影響されにくいものの、それらの制限として以下が挙げられる:1)媒体を構成する感光性ポリマーは、収縮及び流動による歪みを防ぐため、光学的データの書き込みにそれらを使用する前にUV光を照射して、試料をゲル化しなければならない、及び2)このプレゲル化プロセスは、一般的に高分子媒体内に不均一な架橋密度をもたらし、これによりバルク媒体内に様々な屈折率をもたらす。これは、次いで、書き込みできないゲル内の高架橋密度のドメイン又は「デッドスポット」による記憶容量の減少、ならびに記憶されたデータの実質的な読み取り感度低下という結果をもたらし得る。
【0007】
従来の媒体に存在する光学的データ記憶及び取り出し法の別の難点は、書き込み及び読み取りプロセスの光子励起エネルギーが実質的に同じであることである。例えば、色素ドープしたポリマー媒体において、データ書き込みプロセスは、代表的には、マイクロドメインの色素が蛍光性になるようにするために、マイクロドメインの含浸された色素マトリクスの二光子励起を含む。書き込まれたマイクロドメインは、続いて、蛍光ドメインの光励起及びそれらの発光パターンの解析により読み取りされる。「読み取り」プロセスは、書き込みに必要なものと同様な大きさの光子エネルギーを必要とするため、書き込まれたデータは、読み取りプロセスの間に「上書き」により汚染され得る。この制限は、書き込みプロセスの間の光誘導された光学的屈折率変化を介して機能する光学的記憶媒体に固有のものであり、続く光学的読み取りプロセスが汚染又は「上書き」の問題を引き起こし得るため、多数の読み取りサイクルにわたってデータの劣化(「メモリの損失」)をもたらす。
【特許文献1】
米国特許第4,466,080号公報
【特許文献2】
米国特許第4,471,470号公報
【特許文献3】
米国特許第5,034,613号公報
【特許文献4】
米国特許第5,289,407号公報
【発明の開示】
【0008】
本発明は、高メモリ容量の記憶媒体を製造するための光学的データ記憶材料を提供し、ならびにその記憶媒体に三次元の多層フォーマットでデータを書き込み及び読み取りする装置及び方法を提供する。より詳細には、本発明は、光学的データ記憶のための、ビスフェノール及びフタレインジエーテル化合物及びそれらの誘導体、ならびに架橋したエポキシポリマーを含む材料のクラス(class of materials)を提供する。本発明の光学的データ記憶材料は、Ti:サファイア発振器からの800nmパルス光の多光子活性化(multi-photon activation:MPA)に曝露することで非常に蛍光性になり、これによりそれらを3−D光学的データ記憶に優れたものにする。本発明の光学的データ記憶材料は、比較的安価であり、高光学品質で入手可能であり、容易に加工でき、かつ架橋したガラス状ポリマー同様に低分子量ガラスとして入手可能である。3−Dデータ記憶は、本発明の材料記憶媒体中に高密度で光学的に達成され得、これは非常に安定で、かつ実質的に、多数の読み取りサイクルにわたる材料劣化による「メモリ損失」がない。
【0009】
本発明の光学的記憶媒体は、その融点より高温に加熱され、続いて室温に冷却された場合に、光学的に透明なガラス(本明細書中、「分子ガラス」と呼ぶ)を形成する化合物から得られるガラス状材料を含む。そのガラス状態において、これらの化合物は、レーザー源からの多光子励起に曝露されることにより活性化されるMPAプロセスにかけられた場合、蛍光部分へ変換され、これは次いで、強い蛍光発光を生じる。材料を含む光媒体へのデータ記憶は、800ナノメートル(nm)前後に集中し、かつきちんと収束した励起ビームを提供する能力があるモードロックTi:サファイアレーザーと連動して多光子蛍光顕微鏡を使用する本発明の書き込み法により達成される。MPAプロセスは、分子ガラス内の照射されたマイクロドメインに位置する分子の化学的転換(chemical transformation)を引き起こし、蛍光性にする。書き込み又は記憶された情報は、続いて、作成された光活性化パターンを光学的に読み取りすることにより、取り出され得る。蛍光分子は、励起ビームが入射し、かつレーザービームの焦点と近接した場所でのみ生成されるので、情報の三次元の書き込み及び読み取りは、光媒体内の様々な深度でビームの焦点を合わせることにより実用化される。媒体に入射する書き込みビームの出力、持続時間、及び焦点の大きさは、変更することができ、異なる容量の書き込みビットを生成する。本発明の材料及び方法を使用することで、1平方センチメートルあたり上限1ギガバイトまでの記憶密度が可能である。記憶された情報の読み取りは、本発明の方法により達成され得、ここで光励起「読み取り」ビームは、書き込まれたドメインに分子の多光子吸収(multi-photon absorption)を引き起こし、その結果このドメインから発せられる蛍光は本発明の検出装置により光学的に検出される。読み取りビームは、最適化され得、書き込まれたビットの信号対雑音比(S/N)を最大にする。これにより、感度を増加させながら、多数回の読み取りサイクルによるメモリ劣化を実質的に最小化する。一方で、記憶されたデータは、もはや必要がなくなったデータを除去するために、より高エネルギー、例えば三光子励起プロセスを使用して上書きを行うことにより「消去」することができる。
【0010】
本発明の光媒体の耐久性に対する重要な特性である本発明の光媒体の別の態様、すなわち、上書き又は光退色によるメモリ劣化を被ることなく書き込まれた材料の多数回の読み取りサイクル(上限2,000,000回までの読み取り)に耐える能力は、書き込み及び読み取りモードの多光子プロセスが、エネルギー必要条件の点で実質的に異なっているということである。書き込みプロセスは三光子プロセスであり、そして、エネルギー必要条件のより低い二光子プロセスである読み取りサイクルよりも実質的に大きいエネルギーを必要とする。したがって、読み取りプロセスは、メモリ劣化をもたらす可能性のある偶発的な上書きを引き起こさない。
【0011】
情報は、励起ビームの焦点で媒体内に多光子励起(MPA)プロセスを引き起こす高収束モードロックレーザー(highly focused mode-locked laser)により を含む容量内の多光子励起(MPE)ステップの結果として媒体に書き込みされる。この励起点で媒体を構成する分子は化学的転換を受け、これによりそれらは可視光の照射で蛍光性になるようになる。上記の方式で記憶された情報は、その後、「書き込まれた」マイクロドメインの蛍光発光をモニタリングすることにより、三次元ソリューション(three-dimensional resolution)で取り出し又は「読み取り」され得る。
【0012】
本発明の光学的記憶材料及び記憶/取り出し法は、上限1ギガバイト/cm2までの密度でデータを記憶する能力がある。本発明の光媒体への及びからの、データの記憶及び取り出しのための読み取り及び書き込みプロセスは、レーザー源、焦点レンズアセンブリ、スキャナ、及びアバランシェフォトダイオード検出器(ADP)を含む、本発明の読み取り/書き込み装置により容易に達成される。レーザーからの光は、光媒体材料内の所定の特定の位置で焦点が合わせられる。光源のエネルギーは、制御可能であり、そして最適値に設定することができ、書き込み又は読み取り機能のいずれかを遂行する。材料内の焦点深度(depth of the focus)は、レンズアセンブリにより制御され得、そしてデータが三次元モードで媒体内の異なる深度に記憶されかつそこから取り出されることを可能にする。読み取りサイクルの間、媒体内の書き込まれたドメインから発せられる蛍光発光信号は、同じレンズアセンブリを通過し、これに続いて、それらはアバランシェ型フォトダイオード検出器の活性領域上に焦点を合わせる。高速でレーザービームをライン走査又はラスター走査するためのガルバノメータスキャナ(Galvanometric scanners)を使用することができ、迅速な書き込み及び読み取りサイクルを達成する。
【0013】
1つの態様において、本発明は、書き込み及び読み取りモードの開始のためにエネルギー的に区別された光プロセスを受ける能力がある材料を含む、単位容量あたりの記憶密度が大きい光学的記憶媒体を提供する。本発明の材料を含む光学的読み取り媒体は、書き込み可能、読み取り可能、かつ耐久性がある、すなわち、それらは、記憶されたデータを損失又は消失させることなく、多数回の読み取りサイクルに耐える能力がある。別の態様において、本発明は、書き込み及び読み取りプロセスを開始するための区別された光活性化エネルギーを供給する能力がある三次元の光媒体への書き込み及びそこからの読み取り用の装置を提供する。
【0014】
前述の態様に従って、本発明の光学的記憶媒体は、3Dマトリクスにデータを記憶する能力がある光学的記憶材料と、記憶媒体への書き込み及びそこからの読み取り用の装置とを含む。記憶媒体は、複数の分子層を本質的に含む有限の厚さを有するよう形状が決められ得、これにより3−Dモードで情報又はデータの光学的記憶及び取り出しができる。
【0015】
本発明の属性(attributes)及び特徴は、以下の詳細な説明及び付随する図面を参照してより良く理解される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明は、高記憶容量の光学的記憶媒体を製造するための光学的記憶材料に関し、及び三次元、多層フォーマットのこの記憶媒体を構成するこの記憶材料から情報記憶(書き込み)及び取り出し(読み取り)する方法に関する。本発明はまた、この光学的記憶媒体の三次元の光学的書き込み及び読み取りを達成する装置及び方法を提供する。より詳細には、本発明は、光学的データ記憶のための、ポリ芳香族化合物、特にビスフェノール、フタレインジエーテル、及びそれらの置換誘導体を含む光学的記憶材料のクラスを提供する。
【0017】
本発明の化合物は、その融点まで、又はそれより高温のいずれかに加熱され、続いて大気温度へ冷却された場合、光学的に符号化された情報を記憶及び保持する能力をそれらに与えるメモリ属性を有する「分子ガラス」を形成する。そのガラス状態において、この化合物は、レーザー源による多光子励起(MPE)プロセスにかけられた場合、強い蛍光を発する。この化合物を含む本発明の光媒体を使用したデータ記憶は、本発明の書き込み法により達成される。この方法は、位置特異的光子照射を利用し、蛍光部分へ転換されるべき分子ガラス内の照射されたマイクロドメインに位置する分子の化学的転換を引き起こすMPEプロセスを開始する。書き込まれた又は記憶された情報は、続いて、作成された光活性化パターンを光学的に読み取りすることにより取り出すことができる。蛍光分子は、励起ビームが入射する、かつレーザービームの焦点にきっちり隣接した、媒体内の特定のマイクロドメインにのみ生じるので、三次元フォーマットの情報の書き込み及び読み取りは、光媒体内の様々な深度で入射ビームの焦点を合わせることにより可能となる。書き込みビームが媒体に入射する出力及び所要時間は、変えることができ、異なる容量の書き込みビットを生成する。本発明の材料及び方法を使用して、1平方センチメートルあたり上限1ギガバイトまでの書き込み密度が達成され得る。記憶された情報の読み取りは、本発明の方法により達成され得、ここで光励起「読み取り」ビームは、書き込まれたドメインの分子に多光子吸収を起こさせ、その結果このドメインから発せられる蛍光が本発明の検出装置により光学的に検出される。読み取りビームは、最適化することができ、書き込みビットの信号対雑音比(S/N)を最大にし、それにより、多数回読み取りサイクルによるメモリ劣化を実質的に最小限にしながら、感度を上げることができる。
【0018】
本発明の光媒体の耐久性に対する重要な特性である本発明の光媒体の別の態様、すなわち、上書き又は光退色によるメモリ劣化を被ることなく書き込まれた材料の多数回の読み取りサイクル(上限2,000,000回までの読み取り)に耐える能力は、書き込み及び読み取りモードの多光子プロセスが、エネルギー必要条件の点で実質的に異なっているということである。書き込みプロセスは三光子プロセスであり、そして、エネルギー必要条件のより低い二光子プロセスである読み取りサイクルに用いられるエネルギーよりも実質的に大きいエネルギーを必要とする。したがって、読み取りプロセスは、メモリ劣化をもたらす可能性のある偶発的な上書きを引き起こさない。
【0019】
情報は、励起ビームの焦点で媒体内にMPAプロセスを引き起こす高収束モードロックレーザーにより を含む容量内で開始されたMPE工程の結果として媒体に書き込みされる。
【0020】
多光子励起/吸収(MPE/MPA)は、発色団分子による、二(又はそれより多くの)光子による同時励起又はその同時吸収を示す。多光子励起プロセスでは、強力光源が用いられる、というのはこの光源からの光の一光子は発色団分子による吸収をひきおこすにはエネルギー的に不十分であるが、二又はそれより多い光子は十分なエネルギーを有するからである。必要な数の光子が同時に存在するならば、MPA現象は起こり得る。MPA現象が起こる可能性は、必要な数の光子の出力に対する光源の光強度又は出力(単位面積あたりの光子数)に比例する。それゆえ、MPAは、高いピーク強度を持つ短パルスレーザーが利用される場合、より効果的である。
【0021】
MPAプロセスの基本的な特徴は、多数の光子が同時に分子に衝突しなければならないことである。それゆえ、励起速度は、吸収されるはずの光子の数の出力に対する入射強度に比例する。それにより、励起は、主に、強度が極度に高い長円体の焦点容量(ellipsoidal focal volume)に閉じ込められる。そのような励起は、本発明の好ましい形態では、ガラス状光学的記憶材料を含む分子による二又はそれより多い光子の同時吸収を起こすのに十分な入射強度を提供するレーザー源により起こされ、各光子はそれぞれ通常の一光子吸収に必要とされるエネルギーに必須の光子数を超えるエネルギーを有する。
【0022】
二光子吸収は、光の二光子の同時吸収であり、そのどちらも単独では問題の分子にその電子状態を変化させることを引き起こすのに十分ではない。三光子吸収は、光の三光子の同時吸収であり、そのどの対も単独では発色団分子にその電子状態を変化させることを引き起こすのに十分ではない。光子は、同じ波長のものでも、異なる波長の組合せでもよい。
【0023】
この励起点の、媒体を含む分子は、それらが可視光で照射されると蛍光性になるような化学的及び/又は物理的転換を受ける。前述の方式で記憶された情報は、続いて、「書き込まれた」マイクロドメインの蛍光発光をモニタリングすることにより、三次元ソリューションで取り出し又は「読み取り」され得る。
【0024】
光学的記憶媒体を作り上げるために使用される光学的記憶材料は、その融点又はそれより高い温度に曝され、続いて溶融状態へ冷却された場合、大気温度又はそれより低い温度で安定な、光学的に透明(透明なガラス)を形成する、低分子量化合物のクラスである。この特徴、すなわちガラス状態(本明細書中、分子ガラス(molecular glass)と呼ぶ)の形成を表す化合物として、2つ又はそれ以上のフェニル基を含むポリ芳香族化合物、例えば、ビフェニル、ジフェニルメタン、及びそれらの置換誘導体などが挙げられる。好ましい実施形態において、分子ガラス形成材料は、フタレイン化合物、例えば、無水フタル酸由来の化合物など、及び最も好ましくは、フェノフタレインジエーテル及びそれらの置換誘導体を含むフタレインジエーテルである。本発明の分子ガラス形成化合物の一般的クラスは、式I〜IVで示されるとおりである。
【0025】
【化4】
【0026】
【化5】
【0027】
【化6】
【0028】
【化7】
【0029】
式中、R、R'、及びR”は、それぞれ独立して、H、ハロゲン原子、又はハロゲン含有部分、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、アリールオキシ、アルコキシカルボニル、アルキルアミノ、アルキルチオ、アルキルスルホニル、及びアルキルスルフィニルを含み、それぞれは所望によりアルキル、ハロゲン、アルコキシ、アリール又はヘテロアリール部分で置換される。好ましい実施形態において、本発明の好ましいフタリルジエーテル化合物は、フェノールフタレインジメチルエーテルV及びオルト−クレゾールフタレインジエーテルVIである。
【0030】
【化8】
【0031】
【化9】
【0032】
オルト−クレゾールフタレインジメチルエーテルVIは、o−クレゾールフタレインから1工程で、高収率で調製され、そして310°KのTgを有するガラスを室温近くで形成する。1実施形態において、データを記録し記憶する試料は、きれいなガラスのカバースリップ上で約15mgのVI(Tm=387°K)を溶融させ、そしてそれを室温まで放冷して、結晶化に耐性を持つ透明で無色のガラスを形成させることにより、調製される。
【0033】
本発明の好ましいフタリルジエーテル化合物の化学合成は、以下に示されるとおり、無水フタル酸又はその置換誘導体をフェノール又は置換フェノールと反応させる(スキーム1)か、あるいはアニソール又はその置換誘導体と反応させる(スキーム2)かのいずれかで達成され得る。
【0034】
【化10】
R=H、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、アリールオキシ、アルコキシカルボニル、アルキルアミノ、アルキルチオ、アルキルスルホニル、アルキルスルフィニル
【0035】
【化11】
R=H、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、アリールオキシ、アルコキシカルボニル、アルキルアミノ、アルキルチオ、アルキルスルホニル、アルキルスルフィニル
【0036】
好ましい実施形態において、一般式IVで示される分子ガラス形成化合物は、フェノールフタレインのジエーテル及びその置換誘導体である。それらは、スキーム1に示される一般調製反応により得ることができ、ここで無水フタル酸化合物VIIは、モル過剰のフェノール化合物VIIIと縮合して対応する1:2アダクトIXを形成する。IX中のフェノール基のエーテル化は、これを、水酸化ナトリウム(NaOH)のような強塩基の存在下、水中で、R'2SO4型の硫酸塩と、あるいは、炭酸カリウム(K2CO3)のような弱塩基の存在下、ジメチルスルホキシド(DMSO)中で、例えばRI型のヨウ化アルキルなどのハライドとのいずれかで反応することにより達せられ、対応するフタリルジエーテル化合物Xが得られる。あるいは、無水フタル酸化合物VIIは、スキーム2に示されるような制御された反応条件下で、アニソール化合物XIと縮合し、これにより対応するフェノールフタレインジエーテルXIIが直接得られて、エーテル化工程が省略される。
【0037】
本発明の光学的記憶材料を含む化合物は、優れたガラス形成化合物である。材料をその融点より高温に加熱し、そして溶融した材料を大気温度に放冷させることにより、高品質のガラスが形成され得る。一実施形態において、溶融した本発明の材料は、得られるガラスを所定の最終形状に規定する鋳型中にて大気温度に放冷される。本明細書中記載されるとおり、高品質は、主として、透明、無色、かつMPAプロセスにかけられない限り蛍光性を示さない無蛍光性である、ガラス状形態の材料についての光学的高品質を意味する。得られる本発明のガラス状材料は、光学的に透明であり、結晶化及び亀裂に耐性を持ち、かつ必要に応じて加工処理(例えば研磨)することができる。さらにそのうえ、それらは長期間(数年)を経た場合でさえ、変形又は変色を寄せつけない。
【0038】
別の実施形態において、本発明の光学的記憶材料は、室温の、又はそれより高いTgを持つ、独立してガラスを形成する材料に組込まれてもよく、ここでこの記憶材料は可溶性である。そのような独立してガラスを形成する材料の例として、例えば、トレハロースなどの糖/水ガラス、LiCl/水などのイオン性ガラス、安息香酸スクロース(sucrose benzoate)などの高分子量(HMW)分子ガラス、及びポリ塩化ビニル(PVC)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリスチレン(PS)、及びポリカーボネート(PC)などの高分子ガラスが挙げられる。
【0039】
好ましい実施形態において、記憶材料及び独立してガラスを形成する材料の均一な混合物は、i)適当な基板上で両材料を含む混合物を、それらの個々の融点よりも高温に加熱し、続いて溶融した混合物を冷却することによりガラスを形成させるか、又はii)両成分を適当な溶媒又は混合溶媒に溶解させ、得られる溶液で基板をコーティングし、続いて溶液のスピンコーティングで利用されるものなどの標準的な方法により溶媒(複数可)を急速に除去することで基板表面のコーティングとして高品質のガラス状層又は膜を提供することによるかのいずれかで調製される。
【0040】
別の実施形態において、光活性化し得る光学的記憶材料分子(OSMM)は、高分子ホストマトリクスに、イオン錯体として、又は共有化学結合を通じてのいずれかで結合し得る。高分子マトリクスへの共有結合は、例えば、重合可能な官能性を含む1つ又は複数の置換基を導入することにより、達成され得る。好ましい実施形態において、本発明のフタレイン化合物は、例えばフェノールフタレインをアクリロイル又はメタクリルクロリドと反応させることにより、アクリル酸又はメタクリル酸部分で一又は二官能基導入されている。官能基導入された分子は、熱的又は光化学的方法により重合し得る単量体として機能する。本発明の別の実施形態において、フタレイン化合物は、炭化水素又はポリエチレングリコール(PEG)鎖などのアルキル又はアルキルオキシスペーサーを含むアクリル酸又はメタクリル酸部分で官能基導入され(is functionalized)ている。さらに別の実施形態において、フタレイン化合物は、直接反応してエポキシド樹脂を形成し得る。
【0041】
別の実施形態において、本発明の光学的記憶材料を含む分子は、イオン結合又は共有結合のいずれかを介して基板表面に直接固定され得る。この化合物は、基板表面にイオン結合又は共有結合を提供し得る置換基で官能基導入されている。あるいは、基板表面は、連結基部分で誘導体化され、これに続いてOSMMは、イオン化学結合又は共有化学結合のいずれかを介して誘導体化表面に固定される。好ましい実施形態において、ガラス基板は、アクリル酸エステル又はメタクリル酸エステル置換基を含むトリエトキシ又はトリクロロシランのいずれかで官能基導入され、これに続いて、OSMMはその後カップリングされて、先に記載したように、対応するアクリル酸又はメタクリル酸エーテル誘導体を形成する。
【0042】
別の実施形態において、本発明の光活性化し得るOSMMは、多孔質媒体(例えば、ゾル−ゲルガラス)などの別の媒体にドープされ得る。好ましい実施形態において、ドーパントOSSM濃度は、約0.1〜約50重量%の範囲である。さらに別の実施形態において、本発明の光活性化し得るOSSMの多数の層を含む積層構造は、望ましい光学的又は電気的性質を有するスペーサー層との交互配置である。
【0043】
本発明の光学的記憶媒体に含まれるガラス状分子データ記憶材料はまた、大気温度又はその近くであるガラス転移温度(Tg)を有する、光活性化し得る芳香族部分を含むガラス状高分子材料でもあってもよい。データ記憶材料として機能し得る、本発明のガラス状高分子材料として、光活性化し得る芳香族部分を含むアリールエポキシポリマー、芳香族ポリアミン、及びアミン−エポキシドポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0044】
1実施形態において、ガラス状高分子データ記憶材料は、一般式XIIIを有するビスフェノールジエーテル単量体(樹脂)由来のポリマーであり、ここでビスフェノール基は、光活性化し得る部分として機能する。
【0045】
【化12】
【0046】
本発明のガラス状高分子光学的記憶材料を合成するためのエポキシ樹脂は、グリシジル−エーテル、グリシジル−エステル、及びグリシジル−アミンエポキシ樹脂を含むグリシジルエポキシか、又は脂肪族又は脂環式エポキシ樹脂などの非グリシジルエポキシ樹脂のいずれかであり得る。光学的データ記憶に有用なグリシジルエポキシ樹脂は、適切なジヒドロキシ化合物、二塩基酸又はジアミン、及びエピクロロヒドリンの縮合反応を介して調製され、一方非グリシジルエポキシは、オレフィン二重結合の過酸化により形成される。
【0047】
1実施形態において、本発明のガラス状高分子光学的記憶材料を合成するために使用されるグリシジル−エーテルエポキシは、市販されているビスフェノール−Aのジグリシジルエーテル(DGEBA)又はノボラックエポキシ樹脂であり、それらの構造は以下に示される。
【0048】
【化13】
【0049】
【化14】
【0050】
好ましい実施形態において、高分子ガラス状材料は、当該技術分野で既知の標準的な条件を使用して、大気温度で、DGEBAを硬化剤で硬化させることにより得られる光学的に透明な(clear)エポキシポリマーである。なぜなら、それは多くのエポキシ配合物において、樹脂の主成分だからである。
【0051】
DGEBAなどのグリシジルエーテル樹脂から本発明の高分子ガラス状材料を得るために利用される硬化剤(curing agents or "hardeners")としては、例えば、4,4'−メチレンビス−[クロロ−2,6−ジエチルアニリン](MCDEA)、4,4'−ジアミノジフェニルスルホン(DDS)、4,4'−ジメチルアニリン(MDA)、及びトリス(ジメチルアミノメチル)−フェノールなどの第一級及び第二級アミンを含むアミンベースの硬化剤、N−ベンジルピラジニウム−10−ヘキサフルオロアンチモネート(BPH)、N−ベンジルキノキサリウムヘキサフルオロアンチモネート(BQH)などのカチオン硬化剤、及び2−オクテニル、2−ドデシニル、及び2−ヘキサデセニルコハク酸無水物を含むアルケニルコハク酸無水物などの酸無水物が挙げられるが、これらに限定されない。フェノールベースの硬化剤は、フェノール性ノボラックエポキシ樹脂を硬化させるのに好適である。所望により、「促進剤」として一般に既知の触媒が、より速い硬化速度を誘導するために使用され得る。代表的な促進剤として、第三級アミン及びトリフェニルホスフィンが挙げられる。
【0052】
好ましい実施形態において、本発明のガラス状高分子データ記憶材料を得るための樹脂は、DGEBPA樹脂と、トリス(ジメチルアミノメチル)−フェノールとポリメルカプタン硬化剤とから構成されるポリメルカプタン/ポリアミン混合硬化剤とを含むDevcon 5-Minute Epoxy(登録商標)である。
【0053】
本発明の光学的記憶分子ガラス形成材料は、適切な基板上に材料のガラス状膜をあらかじめ形成することにより、対応する光学的記憶媒体へ変換され得る。好ましい実施形態の具体例において、結晶ガラス形成材料は、ガラス基板上でその融点に加熱され、そして得られる液体が冷却され、光学的に透明なガラスを形成し、これは続いて2つのガラス層の間にはさまれる。得られる構造体は、情報を光学的に記録又は書き込みするための記憶媒体として使用される。
【0054】
本発明の記憶媒体における光学的データ記憶は、記憶媒体内の分子ガラス材料でMPAプロセスを開始させ、情報を「書き込み」するため、例えば、レーザー源ビームなどの光源を使用することにより達成され得、これにより書き込まれた領域又はマイクロドメインの分子は蛍光発光し得る種類に変換される。MPAは、材料に不可逆的な光化学的転換を引き起こさせ、これがレーザー蛍光の焦点体積の範囲を表す。この方式のデータ書き込みは、代表的にはミリ秒範囲のドウエルタイム(dwell times)で、0.25nJの範囲のパルスエネルギーで達成され得、一方読み出しはこのパルスエネルギーの10分の1で達成され得る。
【0055】
本発明の光媒体内にデータを記憶し、及び光媒体からデータを取り出すための読み取り及び書き込みプロセスは、レーザー源、焦点レンズアセンブリ、スキャナ、及びアバランシェ型フォトダイオード検出器(ADP)などの検出器を含む本発明の読み取り/書き込み装置により容易に達成される。レーザーからの光源は、光媒体材料内の所定の特定の位置で焦点が合わせられる。光源のエネルギーは、制御可能であり、そして最適値に設定でき、書き込み又は読み取り機能のいずれかが遂行される。材料内の焦点深度は、レンズアセンブリにより制御され得、そしてデータが三次元モードで媒体内の異なる深度に記憶されかつそこから取り出されることを可能にする。読み取りサイクルの間、媒体内の書き込まれたドメインから発せられる蛍光発光信号は、同じレンズアセンブリを通過し、これに続いて、それらはアバランシェ型フォトダイオード検出器の有効領域上に焦点を合わせる。高速でレーザービームをライン走査又はラスター走査するためにガルバノメータスキャナを使用することができ、迅速な書き込み及び読み取りサイクルが達成される。
【0056】
好ましい実施形態の書き込み−読み取り装置の代表的な構成(set up)は図1に示され、これはコンピュータ、スキャナ、及びアバランシェ型フォトダイオード検出器(ADP)に連結されたTi:サファイアレーザーを含む。Ti−サファイアレーザーは、約76MHzの繰り返し周期で約800nmの中心波長を有する約70fsのパルスを発生する。レーザーは、2つのガルバノメータ走査鏡で反射されて倒立顕微鏡の後部ポートに入る。レーザービームは、ダイクロイックミラーで反射されて、試料に光の焦点を合わせる無限遠補正対物レンズに入る。試料からの蛍光は、同じ対物レンズを通過し、次いでダイクロイックミラーを通ってから低ノイズアバランシェ型フォトダイオード検出器の活性領域上に焦点を合わせる。ガルバノメータスキャナは、高速でレーザービームをライン走査又はラスター走査させるために使用され得、一方顕微鏡載物台は、0.1μm分解能で単独で制御され得る。レーザービームの記憶材料内の焦点深度は、対物レンズ自体を動かすことにより制御される。
【0057】
別の実施形態において、対物レンズアセンブリは固定されたままにでき、一方、記録媒体内の記憶は、媒体内の焦点深度を変えるために、対物レンズに対して制御された方式で動かされる。
【0058】
本発明の光学的記憶媒体は、蛍光法により決定される高記録密度(容量)を提供する。好ましい実施形態において、Vの3−D記憶密度は、約2.3mWの平均出力(出力は試料で測定されたものである)で約8秒間、試料の異なる位置で蛍光点を書き込むことにより決定される。次いで、イメージが約35ms/ラインの走査時間で約0.7mWの平均出力で読み出される。図2A、図2B、及び図2Cは、試料の3つの面の代表的な読み出しイメージを示し、そのうち第1及び第3のものは、そこに記憶された蛍光データを有している。これらのイメージの面内ビット間の距離は、約600nmであり、連続したイメージの面は約1250nm離れている。図2A及び図2Cからわかるように、約2500nmの面間距離は、クロストークを抑えるのに十分である。上限25枚までのデータ面が、このような面間距離で書き込み可能であり、これは薄い試料1平方センチメートルあたり約870メガバイトの記憶密度に相当する(標準のコンパクトディスクの記憶密度よりも約2桁大きい)。本発明の光媒体の記憶密度は、化合物Vの屈折率(約1.61)用に最適化された対物レンズを使用することにより、及び試料の両面にデータを記憶することにより、相当(数倍)改善され得る。同じく、データ記憶及び読み出しは、より高い強度でもっとずっと速く達成され得、この高い強度はTi:サファイア発振器で容易に得られる。記憶されたデータの読み出しに対する堅牢性(robustness)は、10101010101というパターンの2列の平行なデータを書き込むことで試験され、ここで1は蛍光点により、0は暗点により表される。次いで、下の列のデータを約0.7ミリワット(mW)の平均出力で繰り返し読み取りし、そして両方の列をこの同じ出力で周期的にイメージ化する。図2Dは、下の列が150万回読み取りされた後の2列のデータのイメージを示す。図2Eで、データの各列の中心を通る断面で示されるように、多数の読み出しサイクル後に1と0とを識別することに困難はない。読み出しにより、輝ビット(bright bits)の光退色が最小になるが、暗ビット(dark bits)の光活性化を実質的に全く引き起こさない。
【0059】
本発明の光学的記憶媒体に書き込まれたデータの並外れた堅牢性が「読み取り」プロセスに対するものであることが、図3でさらに示される。図3の上側のパネルは、5〜10mW(左から右へ)の範囲で源強度(source intensities)を増加させながら書き込みした2列のデータを示す;下側のパネルは、各列の中心を通る位置の関数として測定された、対応する蛍光強度を示す。同じ書き込みデータを、書き込み直後の高い強度(5〜10mW)で読み取った場合(図3a)と低い強度(1〜2mW)で読み取った場合(図3b)との比較(ここで、上の列のデータは500,000回読み取られた後(従来の2−Dコンパクト記憶ディスクの500,000回の取り出し又は「再生」、又は約57年間の連続「読み取り」時間に等しい)を示す)は、書き込まれたデータが容易にバックグラウンドから識別され得、かつ多数の読み取りサイクル後も実質的に影響を受けていないことを示す。同じく、記憶されたデータは、「書き込み」プロセスの数カ月後に正確に読み取り可能である。本発明の記憶媒体に書き込まれた情報は、類似の源強度を使用する従来の媒体と比較して、非常に安定である。なぜなら、従来の媒体は光退色又は上書きのいずれかによる劣化を受けやすいからである。
【0060】
本発明の記憶媒体に記憶されたデータの高い安定性(堅牢性)は、書き込み及び読み取りサイクルそれぞれについてMPAプロセスの開始のためのエネルギー要件が異なることに起因する。データ記憶プロセスの強度依存性は、一定量の時間の間に異なる平均レーザー出力で点を書き込み、ついで一定の出力でデータを読み取ることにより、決定される。書き込み及び読み取りプロセスに含まれる光子数は、励起波長での平均出力の関数としての強度データのlog−logプロットの傾きから決定され得る。図4Aからわかるように、源励起ビーム(約800nmで)の書き込み強度の関数としての記憶されたデータの蛍光強度の対数プロットは、約3の傾きの直線である。蛍光強度は、書き込み強度に指数関数での依存性を示すので、書き込み強度の指数は、そのようなプロットの傾きから決定可能であり、これは本発明の光媒体へのデータ記憶が三光子プロセスであることを意味する。読み出しプロセスについての同様なプロットもまた、傾きが約2の直線であり、読み出しが800nm励起領域での二光子プロセスであることを意味する。したがって、データ記憶は3光子プロセスであることから、これは2光子読み出しプロセスが必要とするよりも相対的に高い強度を必要とする。それゆえ、データ取り出し又は「読み取り」プロセスは、寄生的上書き(parasitic overwriting)及びメモリ劣化が実質的になく達成される。したがって、データ記憶は800nmでの効率的な三光子プロセスであるものの、読み出しはそれより大幅に低い強度で達成され得、それにより走査される試料の暗領域の光活性化を回避する。
【0061】
本発明の記憶媒体のガラス状の性質は、記憶されたデータの読み出しに対する堅牢性に重要な役割を演じる。同一の条件下、異なる温度で化合物Vに書き込み及び読み取りされる点の読み出し強度(図4B)は、データ記憶がTgの近くでより容易に達成されること、及び記憶効率がTgより上及び下のどちらでも減少することを示す。この傾向は、ある程度の分子のたわみ性(flexibility)が蛍光性光生成物(fluorescent photoproduct)の効率的な生成に必要条件であるが、過冷却液体中で利用可能な大幅に大きい立体配置の自由さはこの生成物の形成に有害であることを示す。ガラス状フェノールフタレインジメチルエーテル(VI)から得られる光媒体で行われた同様な研究は、温度がTgよりもさらに上がるにつれ、データ記憶効率が減少し続けることを示す。
【0062】
図5は、光学的データ記憶媒体に使用した場合の本発明の架橋した高分子ガラスデータ記憶材料の光学的データ記憶特性を示す。混合前の純粋な樹脂又は硬化剤のいずれかでは、低分子量ガラスVへのデータ記憶に使用されるものと同等の光強度に曝露された後に蛍光は誘発されない。硬化剤と樹脂とを混合した直後では、この強度範囲での光活性化もまた不可能である(図5A)ものの、重合化又は硬化プロセスが始まる(低架橋密度)と、混合物が完全に硬化する(中程度の架橋密度)時点まで効率を上昇させながら、光活性化はこれらの強度で可能になる(図5B)。樹脂硬化剤混合物が高温で硬化する(高架橋密度)と、書き込みプロセスの効率は顕著に低下し、制限された立体構造の可動度が光活性化の効率を大きく改善することを示している。それゆえ、中程度に架橋した本発明の高分子ガラス状材料で行われた光学的データ記憶は、続いてそのようなガラスを高温で硬化させることにより、それらを含む光学的記録媒体内に「ロック(locked)」され得る。したがって、記憶されたデータの不慮の上書き又は消去は、「ロック」されたモードで不可能になり得る。セットされた(ただし未硬化の)エポキシ試料でのデータ記憶の堅牢性は、低分子量ガラスVについてのものよりもわずかに低いものの(図5C及び5D)、従来使用されてきた材料のものよりも依然として優れている。明及び暗ビット間の識別に困難は生じず、かつ光退色によるデータ劣化は最小である。
【0063】
それゆえ、本発明の記憶媒体における書き込みプロセスの効率及び書き込まれたデータの安定性は、記憶又は多数読み取り時からの劣化なしに安定な長期データ記憶を提供するそれらの能力における重要な因子である、温度依存性を表す。記憶媒体を含む本発明の「分子ガラス」記憶材料への書き込み効率は、ガラス状材料のガラス転移温度(Tg)に近づくと増加する。図6に示されるように、書き込みプロセスはガラス状材料のTg近くでは大幅により効率的である。ガラス状材料の温度がそのTgに近づくほど、光活性化プロセスはより速く生じる。冷却に際して、光活性化は明らかにより起こりにくくなる。その図から明らかなように、書き込み時間の関数としての、書き込まれたドメインから測定される蛍光計数(fluorescent counts)は、特定の書き込み時間の間、材料温度が、そのガラス転移より十分に低い温度、例えば、Tg−13°Kと比較して、そのガラス転移(すなわち、Tg−2°K)の近くに維持される場合、最大である。ガラス状態は、分子が、MPAに媒介される光化学的転換を受けて蛍光種を生成させるために適切な程度の自由さを得ることを制限し、そのような構造的自由は、材料のTgよりすぐ上の過冷却液体状態で達成され得るため、書き込みプロセスの間局所的に生じ得るレーザー誘導加熱は、それにより記憶を促進する。一方で、これらの材料の熱伝導度は、読み取りが完了した強度において十分大きいので、材料がTgを上回ることを引き起こし得る局所的加熱は不可能である。それゆえ、読み取りサイクル中の上書きは、実質的に排除される。ガラス状態の剛性もまた、読み取りサイクル中の蛍光(書き込まれた)ドメインの光退色を防ぐのを潜在的に助けている。それゆえ、室温では、書き込まれた情報は、「その場にロックされ」ており、そして読み取りビームにより比較的影響を受けない。非最適化、ガラス状記憶材料での試験は、記憶されたデータの劣化は最小限にして数百万回もの読み取りが可能であることを示す。
【0064】
本発明のOSMMのいくつかの態様は、用途に特有のニーズに合わせて最適化又は「調整」することができる。そのような最適化は、Tg、屈折率、発色団の吸収及び発光周波数などの材料特性及びプロセスの変更を含む。上記化合物の変更可能なパラメーター及び特定の特性又は属性に対するその影響は、以下のとおりである:a)光生成物の二光子吸収スペクトル及び断面を変更して、読み出しパラメーターを最適化する。
b)ガラスの三光子吸収スペクトル及び断面を変更して、記憶パラメーターを最適化する。
c)光生成物の蛍光スペクトル及び量子収率を変更して、読み出しパラメーターを最適化する。
d)Tgを変えて、記憶されたデータの記憶パラメーター及び堅牢性を最適化する。
e)分子を高分子又は多孔質無機媒体などのマトリクスにつなぐために、化学結合点を備える置換基を導入し得る。
【0065】
分子ガラス及びガラス状ポリマーを含む本発明の光学的記憶媒体に高密度3−D蛍光データを記録及び読み取りするために使用されるMPAプロセスは、それが増幅しない超高速レーザーシステム(unamplified ultrafast laser system)で行われ得ることにさらなる利点を提供する。記憶されたデータは、読み取りプロセスに対して、現在使用される記憶媒体よりも高度に大幅により堅牢である。そのうえさらに、本発明の光学的記憶媒体に使用されるガラス状材料は、比較的安価で、かつ高い光学的品質で入手可能であり、かつ最低限の加工処理で所定の形状に構成され得る。本発明のガラス状材料はまた、容易に化学的に修飾され得、それによりそれらを特定のデータ記憶用途用に最適化することを可能にする。データ書き込み及び読み出しに本発明の光学的データ記憶媒体が必要とするレーザー強度が低いことは、両プロセスの並行化を可能にし、その結果多数の点が同時に書き込み又は読み取りされ得る。
【0066】
本発明の光学的記憶材料は、従来の回転ディスクフォーマットに構成された光学的記憶媒体で利用され得、それゆえ、現在利用可能な2−D記憶ディスク媒体より100倍以上大きい情報記憶容量を持つ、既存のフォーマットで機能するメモリデバイスを製造する可能性を有する。本発明の光学的記憶材料はまた、光演算で重要な用途のための、コンピュータで作成された容量ホログラムの作製にも適しているだろう。
【0067】
本明細書中、3D光学的データ記憶材料、それらを含むデータ記憶媒体の作製、及びそのような媒体へ情報を記憶し、情報にアクセスする装置についてのいくつかの実施形態が記載され、そして図示されている。本発明の特定の実施形態が、例として記載されたが、これは、本発明が当該分野で許されるブロードな範囲であること、かつ明細書が同様に読まれることを意図するのであって、本発明がそれに制限されることを意図しない。したがって、実施例では具体的なディメンションが与えられたけれども、材料及び基板を含む媒体のディメンションは、利用可能な材料及び製造技法に従って変化し得ることが理解されるだろう。その上、本発明の記憶媒体を利用する書き込み/読み取りプロセスを達成する好ましい装置の構成を開示したけれども、当然のことながら、本開示の利益を持つ、他の装置(apparati)及び又はそれ用の構成が使用され得、そして同様な結果が得られる。さらに、レーザー光学デバイスの一実施形態を開示したけれども、他のレーザー光学デバイスが、本明細書中開示されるのと同じ、又は同様な機能を達成し得ることが理解されるだろう。実際、当然のことながら、本発明の異なる実施形態の異なる態様が、所望であれば混合され、そして調和され又は組み合わせられ得る。それゆえ、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、さらに他の修飾が本発明になされ得ることが、当業者に認められるだろう。
【実施例1】
【0068】
硫酸ジアルキルを介した光活性化し得るフタレインジエーテルの一般的な合成法:フェノールフタレインジメチルエーテルの調製
500mL丸底フラスコに、フェノールフタレイン15.0g及び10%水酸化ナトリウム溶液200mLを投入した。硫酸ジメチル35mLを5mLずつ加え、加えるごとに十分に撹拌した。水酸化ナトリウム10gを加えた。溶液を、撹拌しながら80〜90℃で1〜2時間、還流させた。溶液と分離した油状物は、室温まで冷却すると褐色固体になった。減圧濾過を使用して固体を収集した。固体を温エタノールに溶解させて、再結晶により精製した。再結晶したフェノールフタレインジメチルエーテルを1H NMRで分析した。この合成の平均収率は、80%である。
実施例2
アルキルハライドを介した光活性化し得るフタレインジエーテルの一般的な合成法:フェノールフタレインジメチルエーテルの調製
500mL丸底フラスコに、フェノールフタレイン5.0g、炭酸カリウム5.0g、ヨードメタン10〜12mL、及びN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)約250mLを投入した。溶液を、撹拌しながら70〜85℃で5〜6時間、還流させた。冷却して、溶液をジエチルエーテル100mL及び希塩化アンモニウム100mLを入れた1L分液漏斗に入れた。分液漏斗中、この抽出での有機層に希硫酸銅150mLを加えた。有機層を再度抽出して、硫酸ナトリウム1〜2gを加えた。この混合物を重力式濾過(gravity filtered)して丸底フラスコに入れ、そして減圧下において溶媒を除去した。溶媒を蒸発させた後、非常に粘稠の液体が残った。この液体を温エタノールに溶解させて、再結晶により精製した。再結晶後、フェノールフタレインジメチルエーテルの純度を1H NMRで調べた。この合成の平均収率は、50%である。
【実施例2】
【0069】
光活性化し得るビスフェノールの一般的な合成法:フェノールフタレインの合成
フェノールフタレインは、適切な反応条件下の無水フタル酸及びフェノールとの縮合反応を含む標準的な方法(本明細書に挿入される参照文献)により合成される。置換フェノールフタレイン誘導体は、対応する置換無水フタル酸から、同様な方式で得られる。
【実施例3】
【0070】
硬化エポキシベースの高分子光学的データ記憶材料を調製する一般的な方法
ビスフェノール−Aジグリシジルエーテル樹脂(DGEPBA)を、ポリアミン−ポリメルカプタン混合物からなる硬化剤と混合した(この2部品樹脂−硬化剤は、Devcon 5-Minute Epoxy gel resin(ITW Devcon、Danvers、MA)の名で市販されている)。樹脂硬化剤混合物を、適切な基板表面上に膜又はコーティングとして塗り、そして大気温度で硬化させる。得られる光学的記憶媒体を、実施例5に記載されるように、データの書き込み及び記憶に使用する。不慮の消去又は上書きを防ぐため、書き込まれたデータをロックするために、書き込まれたデータを含む記憶媒体を100〜250℃の範囲で0.5〜3時間にわたり高温硬化にかけ、より高度の架橋を達成する。そのような高度に架橋した媒体に記憶されたデータは、読み取り可能であるが、上書きを受けにくい。
【実施例4】
【0071】
光学的記憶媒体を調製する一般的な方法
実施例1〜3で得られるガラス形成光学的記憶材料約20〜25mgを、あらかじめきれいにしたガラスカバースリップ上に置く。次いで、試料を、結晶が完全に溶けて透明な液体になるまで、200℃のオーブン中に置く。次いで、カバースリップをオーブンから取り出して室温に放冷させ、そしてさらに5〜10分間放置する。
【実施例5】
【0072】
光学的書き込み及び読み取り法を利用するデータ記憶の一般的な手順
実施例4に従って調製された、ガラス基板及び記憶材料を含む本発明の光学的記憶媒体をガラススライドに貼り、そして本発明の光学的データ記録装置の一部分を形成するZeiss Axiovert S100TV蛍光倒立顕微鏡の試料室に置く。光源は、76MHzの繰り返し周期で、800nmの中心波長で、100fs弱のパルスを発生させる、特注のモードロックTi:サファイア発振器である。発振器は、5W、ダイオード励起固体レーザー(diode-pumped, solid-state laser)によりポンピングされる。ビームは、1組のコンピュータ制御されたxy走査鏡により顕微鏡内へ向けられ、そして顕微鏡内で円偏光にされる(is made circularly polarized)。ダイクロイックミラーは、ビームを開口数1.3の40倍油浸対物レンズ内に向ける。光学的記憶媒体を含む材料の温度を制御するために、対物ヒーター(objective heater)が使用される。蛍光発光は、対物レンズにより集光され、そしてダイクロイックミラーを通過してアバランシェ型フォトダイオード検出系へ入る。機器の全収集効率は、発光した全蛍光の1〜2%である。書き込みは、40倍油浸対物レンズを通した近赤外レーザービーム(Ti:サファイア、モードロック100フェムト秒(fs)パルス、平均出力5〜10ミリワット(mW))の照射により達成される。書き込まれた記憶媒体からの読み取りは、先に書き込まれた領域全体を励起ビームで走査することにより達成される。これは、より低出力(約1〜2mW)で行われ、それにより多数回の読み取りサイクルにわたり書き込まれたデータが劣化することを防いでいる。先に書き込まれた領域全体を走査することは、バックグラウンドノイズの上に検出され、アバランシェ型フォトダイオードアレイ(APD)検出器により増幅され、そして空間分解される蛍光パターンの発光を引き起こす。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の光学的記憶材料への書き込み及びそこからの読み取りをするための配置構成図である。
【図2A】化合物Vの薄い試料の面3枚に記憶された代表的な蛍光データのイメージを示す図である。面間距離は1250nmであり、2500nmで離れている面にクロストークは実質的に出現しない。
【図2B】化合物Vの薄い試料の面3枚に記憶された代表的な蛍光データのイメージを示す図である。面間距離は1250nmであり、2500nmで離れている面にクロストークは実質的に出現しない。
【図2C】化合物Vの薄い試料の面3枚に記憶された代表的な蛍光データのイメージを示す図である。面間距離は1250nmであり、2500nmで離れている面にクロストークは実質的に出現しない。
【図2D】2列の蛍光データのイメージを示し、それぞれがビットパターン10101010101を表している図である。下の列は、150万回読み取りされている。
【図2E】図2Dのデータの各列の中心ピクセルに沿った強度パターンを示す図である。
【図3A】光学的記憶材料に様々な強度で書き込まれた蛍光データを示す図である。書き込み直後に高い強度で読み取りされた2列のデータ。各列は、読み出しで、同じ強度とバックグラウンドレベルを示す。
【図3B】光学的記憶材料に様々な強度で書き込まれた蛍光データを示す図である。上の列のデータが連続500,000回読み取りされた後に、低い強度で読み取りされた同じデータは、多数回の読み取りサイクルによる光退色が最小であり、データは依然として容易にバックグラウンドから認識され得ることを示す。
【図4A】800nm源を使用する三光子プロセスデータ記憶(書き込み)及び二光子読み取りプロセスのカウント/ピクセル/時間対平均レーザー出力のLog−logプロットを示す図である。
【図4B】5.5秒で1.7mWの平均出力で記憶され、0.7mWの平均出力で読み出されたデータの温度の関数としての読み出しカウント(破線はTgを示す)を示す図である。
【図5A】5-Minute Epoxy(登録商標)由来のガラス状高分子光学的記憶材料における書き込みサイクル後の蛍光イメージを示す図である。低分子量ガラス状材料Vにデータを記憶するために使用される範囲の強度を使用して、新たに混合された硬化剤と樹脂に蛍光点を書き込みすることはできない。
【図5B】5-Minute Epoxy(登録商標)由来のガラス状高分子光学的記憶材料での書き込みサイクル後の蛍光イメージを示す図である。図5Aと異なり、一旦樹脂/硬化剤混合物が5分又はそれより長く経過すると、容易にそこに書き込みされ得る。
【図5C】2列のデータのイメージを示し、それぞれ10101010101のデータパターンを持つ図である(下の列は200万回の読み取りサイクル後)。
【図5D】2列の中心を通した強度パターンを示す図である。読み取りサイクル後、記憶(明るい)領域に顕著な光退色も、暗(ブランク)領域の顕著な光活性化も見られない。
【図6】ガラス状材料へのMPA書き込みプロセスの温度依存性を示す図である。データ記憶は、ガラス転移温度に近づくほど、かなりより効果的である。
【0001】
本発明は、一般に、多光子励起され得る安定な固体を形成する光学的データ記憶材料の合成、ならびに光学的データ記憶媒体にそれらを使用する、特に三次元光学的データの記憶及び取り出しに使用する装置及び方法に関する。
【0002】
[連邦政府資金による研究に関する記述]
本発明は、一部空軍科学研究局交付金番号F49620-01-1-0455の援助によってなされた。合衆国政府は本発明に一定の権利を有する。
【背景技術】
【0003】
従来の二次元(2−D)光学的データ記憶は、回折限界での可視又は赤外波長による記憶材料の光励起を使用することによって達せられる。2−D系の記憶密度の理論的限界は、一般的には〜108bits/cm2である。大きなメモリ及び記憶容量を有する、経済的に実行可能な、高性能コンピュータの必要性は現在も大きくなっているので、三次元(3−D)フォーマット(>1012bits/cm3の理論記憶容量を持つ)でデータを書き込み及び読み取る能力を備える光学的記憶媒体は、小型で、低コストで、高速な、高記憶容量を有するメモリデバイスを実用化する潜在的な解決法を提供する。3−D記憶又は「メモリ」デバイスの容量内の情報の光学的記憶は、通常、光学的記憶媒体を構成する光学的記憶材料内に3−D様式でマイクロドメイン領域(micro-domain areas)に光プロセス(一般的には紫外範囲の)を介した化学変化を誘導することによって達せられる。本明細書中で使用されるように「光学的記憶材料」は、光誘導され、引き続きモニタリングできる変化を受ける能力がある材料(化学化合物を含む)を示す。本明細書中で使用されるように「光学的記憶媒体」は、情報セットを表す所定のパターンでの3−Dマトリクス内のマイクロドメインの照射を可能にする方式で、光源に対して光学的記憶材料が3−Dマトリクスで現れ得るようにするための、光学的記憶材料の適切な形態及び構成を示す。情報(又はデータ)記憶プロセスは、「書き込み」と呼ばれ、これは、記憶媒体内の光子吸収「書き込み」型の分子の照射を意味し、それらを可視光吸収型へ変換するか、又はそれらの光透過性を変化させる。これらの変化を受けた分子は、「書き込まれた」型であると示される。記憶されたデータは、「読み取り」によりアクセス(又は取り出し)され、これは、「書き込み」型の分子を、光子源で、及び放出された蛍光などそれらの光応答又は変化した屈折率による透過性における変化をモニタリングすることにより、精査することを意味する。
【0004】
現在、材料に3−D光学的記憶メモリを供与するために2つのアプローチが取られている。第1のものは、光記憶材料内のマイクロドメインへの光学的書き込みを含み、これにより書き込まれたマイクロドメインで材料の局所的屈折率変化が誘導される。次いで、異なる屈折率パターンは、続いて標準的な光学的方法を使用して読み取られる。第2のアプローチは、フォトクロミック分子、又は光退色(photobleaching)を受ける能力があるポリマー(これは色素分子などの発色団(chromophores)でさらにドープされていてもよい)のいずれかを含む光学的記憶材料を使用することである。光学的変化は、可視領域での発光(これは続いてモニタリングされる)を引き起こす色素分子に光子的に導入される。そのような材料は、理論的には1立方センチメートルあたりテラビット(terabits)のビット密度を提供する能力を有するものの、安定な3−D記憶媒体を提供することが商業的に実用可能であることを実証していない。
【0005】
従来の3−D光学的記憶媒体は、2種類の型に分類され得る。第1は、データ密度に得られる3−Dスタックの面の数を乗じる、2−Dビットアレイのスタックを含む記録可能な媒体からなる。記憶媒体におけるこの型の光学的データ記憶及び取り出しプロセス(retrieval processes)は、多光子励起プロセスを利用することにより、従来から達成されていた。これは二光子励起工程を含み、「書き込み」プロセスを開始し、これにより光化学反応が媒体内のマイクロドメインに誘導されて、そのドメインで永久化学変化を誘導する。光活性化し得る色素(photoactivatable dye)を含浸した高分子マトリクスからなる光学的記憶媒体について、化学変化は、例えば蛍光部分への色素の転換(transformation of the dye)を含む。記憶されるデータを含む書き込まれたマイクロドメインは、続いて、それらの蛍光発光を引き起こす光照射により「読み取り」され得る。特許文献1、及び特許文献2は、3−Dフォトクロミック光学的メモリ媒体において情報の書き込み及び読み取りをローカライズするための、多数の交差ビームの使用を開示している。特許文献3は、二光子励起を経由して情報を記録及び読み取りするために単一の高収束ビームを利用する、より簡単な方法を開示している。光化学的に修飾されない限り非蛍光である蛍光色素の二光子光活性化もまた報告されている。しかしながら、蛍光変調に依存するそのような二光子励起プロセスの実用的な寿命は、書き込まれたデータの多数回読み取りで生じる光退色により制限される。この制限は、これらの媒体における読み取りプロセスの光励起エネルギーが高分子マトリクスの光化学的劣化又は架橋を誘導して、それらを光学的に透過性のより劣るものにするという事実に起因するかもしれない。こうして、媒体内に記憶されたデータは、もはや光源により効果的に読み取りされ得ない。この型の媒体での別の大きな制限は、面間の「クロストーク(cross-talk)」であり、ここで励起ビームは、データが書き込まれる焦点面の上下の面に強力に混入する。これらのスタックしたアレイ系(stacked array systems)に3−Dソリューション(3-D resolution)で書き込むことは、データ記憶を焦点面へ閉じ込めるために媒体の非線形二光子励起により達成されるので、そのような混入又は「クロストーク」は、記憶容量及び記憶されるデータの完全性の両方を深刻に制限する。
【0006】
3−D光学的記憶媒体を提供する第二のアプローチは、「書き込み」プロセスの間に光化学的に誘導された材料の屈折率の局所的変化を受ける能力がある記憶材料を使用する。これは、材料内のマイクロドメインでの光架橋などの光化学反応を開始させることにより達成され、これによりそのドメインの材料屈折率に周辺の媒体に対して局所的変化を引き起こす。これらの変化は、続いて、屈折率の変化により引き起こされた材料内の光透過性の変化を識別する能力がある光源により「読み取り」される。特許文献4は、三次元多層フォーマットにデータを書き込み及び読み取りする技法を開示しており、ここで情報は、高分子媒体の二光子励起プロセスにより開始される光架橋反応により誘導される、修飾された屈折率ドメインの、サブミクロンボクセル(すなわち、一連の断面イメージを利用する3−D形状及び構造の視覚化により処理可能であるドメイン)として書き込まれる。光学的屈折「ビーズ」のアレイは、複数のスタックした面に形成される。書き込まれた情報は、続いて、微分干渉コントラスト顕微鏡を使用して3−Dソリューションで読み取りされる。そのような記憶媒体は、蛍光色素含浸型の場合のような光退色に影響されにくいものの、それらの制限として以下が挙げられる:1)媒体を構成する感光性ポリマーは、収縮及び流動による歪みを防ぐため、光学的データの書き込みにそれらを使用する前にUV光を照射して、試料をゲル化しなければならない、及び2)このプレゲル化プロセスは、一般的に高分子媒体内に不均一な架橋密度をもたらし、これによりバルク媒体内に様々な屈折率をもたらす。これは、次いで、書き込みできないゲル内の高架橋密度のドメイン又は「デッドスポット」による記憶容量の減少、ならびに記憶されたデータの実質的な読み取り感度低下という結果をもたらし得る。
【0007】
従来の媒体に存在する光学的データ記憶及び取り出し法の別の難点は、書き込み及び読み取りプロセスの光子励起エネルギーが実質的に同じであることである。例えば、色素ドープしたポリマー媒体において、データ書き込みプロセスは、代表的には、マイクロドメインの色素が蛍光性になるようにするために、マイクロドメインの含浸された色素マトリクスの二光子励起を含む。書き込まれたマイクロドメインは、続いて、蛍光ドメインの光励起及びそれらの発光パターンの解析により読み取りされる。「読み取り」プロセスは、書き込みに必要なものと同様な大きさの光子エネルギーを必要とするため、書き込まれたデータは、読み取りプロセスの間に「上書き」により汚染され得る。この制限は、書き込みプロセスの間の光誘導された光学的屈折率変化を介して機能する光学的記憶媒体に固有のものであり、続く光学的読み取りプロセスが汚染又は「上書き」の問題を引き起こし得るため、多数の読み取りサイクルにわたってデータの劣化(「メモリの損失」)をもたらす。
【特許文献1】
米国特許第4,466,080号公報
【特許文献2】
米国特許第4,471,470号公報
【特許文献3】
米国特許第5,034,613号公報
【特許文献4】
米国特許第5,289,407号公報
【発明の開示】
【0008】
本発明は、高メモリ容量の記憶媒体を製造するための光学的データ記憶材料を提供し、ならびにその記憶媒体に三次元の多層フォーマットでデータを書き込み及び読み取りする装置及び方法を提供する。より詳細には、本発明は、光学的データ記憶のための、ビスフェノール及びフタレインジエーテル化合物及びそれらの誘導体、ならびに架橋したエポキシポリマーを含む材料のクラス(class of materials)を提供する。本発明の光学的データ記憶材料は、Ti:サファイア発振器からの800nmパルス光の多光子活性化(multi-photon activation:MPA)に曝露することで非常に蛍光性になり、これによりそれらを3−D光学的データ記憶に優れたものにする。本発明の光学的データ記憶材料は、比較的安価であり、高光学品質で入手可能であり、容易に加工でき、かつ架橋したガラス状ポリマー同様に低分子量ガラスとして入手可能である。3−Dデータ記憶は、本発明の材料記憶媒体中に高密度で光学的に達成され得、これは非常に安定で、かつ実質的に、多数の読み取りサイクルにわたる材料劣化による「メモリ損失」がない。
【0009】
本発明の光学的記憶媒体は、その融点より高温に加熱され、続いて室温に冷却された場合に、光学的に透明なガラス(本明細書中、「分子ガラス」と呼ぶ)を形成する化合物から得られるガラス状材料を含む。そのガラス状態において、これらの化合物は、レーザー源からの多光子励起に曝露されることにより活性化されるMPAプロセスにかけられた場合、蛍光部分へ変換され、これは次いで、強い蛍光発光を生じる。材料を含む光媒体へのデータ記憶は、800ナノメートル(nm)前後に集中し、かつきちんと収束した励起ビームを提供する能力があるモードロックTi:サファイアレーザーと連動して多光子蛍光顕微鏡を使用する本発明の書き込み法により達成される。MPAプロセスは、分子ガラス内の照射されたマイクロドメインに位置する分子の化学的転換(chemical transformation)を引き起こし、蛍光性にする。書き込み又は記憶された情報は、続いて、作成された光活性化パターンを光学的に読み取りすることにより、取り出され得る。蛍光分子は、励起ビームが入射し、かつレーザービームの焦点と近接した場所でのみ生成されるので、情報の三次元の書き込み及び読み取りは、光媒体内の様々な深度でビームの焦点を合わせることにより実用化される。媒体に入射する書き込みビームの出力、持続時間、及び焦点の大きさは、変更することができ、異なる容量の書き込みビットを生成する。本発明の材料及び方法を使用することで、1平方センチメートルあたり上限1ギガバイトまでの記憶密度が可能である。記憶された情報の読み取りは、本発明の方法により達成され得、ここで光励起「読み取り」ビームは、書き込まれたドメインに分子の多光子吸収(multi-photon absorption)を引き起こし、その結果このドメインから発せられる蛍光は本発明の検出装置により光学的に検出される。読み取りビームは、最適化され得、書き込まれたビットの信号対雑音比(S/N)を最大にする。これにより、感度を増加させながら、多数回の読み取りサイクルによるメモリ劣化を実質的に最小化する。一方で、記憶されたデータは、もはや必要がなくなったデータを除去するために、より高エネルギー、例えば三光子励起プロセスを使用して上書きを行うことにより「消去」することができる。
【0010】
本発明の光媒体の耐久性に対する重要な特性である本発明の光媒体の別の態様、すなわち、上書き又は光退色によるメモリ劣化を被ることなく書き込まれた材料の多数回の読み取りサイクル(上限2,000,000回までの読み取り)に耐える能力は、書き込み及び読み取りモードの多光子プロセスが、エネルギー必要条件の点で実質的に異なっているということである。書き込みプロセスは三光子プロセスであり、そして、エネルギー必要条件のより低い二光子プロセスである読み取りサイクルよりも実質的に大きいエネルギーを必要とする。したがって、読み取りプロセスは、メモリ劣化をもたらす可能性のある偶発的な上書きを引き起こさない。
【0011】
情報は、励起ビームの焦点で媒体内に多光子励起(MPA)プロセスを引き起こす高収束モードロックレーザー(highly focused mode-locked laser)により を含む容量内の多光子励起(MPE)ステップの結果として媒体に書き込みされる。この励起点で媒体を構成する分子は化学的転換を受け、これによりそれらは可視光の照射で蛍光性になるようになる。上記の方式で記憶された情報は、その後、「書き込まれた」マイクロドメインの蛍光発光をモニタリングすることにより、三次元ソリューション(three-dimensional resolution)で取り出し又は「読み取り」され得る。
【0012】
本発明の光学的記憶材料及び記憶/取り出し法は、上限1ギガバイト/cm2までの密度でデータを記憶する能力がある。本発明の光媒体への及びからの、データの記憶及び取り出しのための読み取り及び書き込みプロセスは、レーザー源、焦点レンズアセンブリ、スキャナ、及びアバランシェフォトダイオード検出器(ADP)を含む、本発明の読み取り/書き込み装置により容易に達成される。レーザーからの光は、光媒体材料内の所定の特定の位置で焦点が合わせられる。光源のエネルギーは、制御可能であり、そして最適値に設定することができ、書き込み又は読み取り機能のいずれかを遂行する。材料内の焦点深度(depth of the focus)は、レンズアセンブリにより制御され得、そしてデータが三次元モードで媒体内の異なる深度に記憶されかつそこから取り出されることを可能にする。読み取りサイクルの間、媒体内の書き込まれたドメインから発せられる蛍光発光信号は、同じレンズアセンブリを通過し、これに続いて、それらはアバランシェ型フォトダイオード検出器の活性領域上に焦点を合わせる。高速でレーザービームをライン走査又はラスター走査するためのガルバノメータスキャナ(Galvanometric scanners)を使用することができ、迅速な書き込み及び読み取りサイクルを達成する。
【0013】
1つの態様において、本発明は、書き込み及び読み取りモードの開始のためにエネルギー的に区別された光プロセスを受ける能力がある材料を含む、単位容量あたりの記憶密度が大きい光学的記憶媒体を提供する。本発明の材料を含む光学的読み取り媒体は、書き込み可能、読み取り可能、かつ耐久性がある、すなわち、それらは、記憶されたデータを損失又は消失させることなく、多数回の読み取りサイクルに耐える能力がある。別の態様において、本発明は、書き込み及び読み取りプロセスを開始するための区別された光活性化エネルギーを供給する能力がある三次元の光媒体への書き込み及びそこからの読み取り用の装置を提供する。
【0014】
前述の態様に従って、本発明の光学的記憶媒体は、3Dマトリクスにデータを記憶する能力がある光学的記憶材料と、記憶媒体への書き込み及びそこからの読み取り用の装置とを含む。記憶媒体は、複数の分子層を本質的に含む有限の厚さを有するよう形状が決められ得、これにより3−Dモードで情報又はデータの光学的記憶及び取り出しができる。
【0015】
本発明の属性(attributes)及び特徴は、以下の詳細な説明及び付随する図面を参照してより良く理解される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明は、高記憶容量の光学的記憶媒体を製造するための光学的記憶材料に関し、及び三次元、多層フォーマットのこの記憶媒体を構成するこの記憶材料から情報記憶(書き込み)及び取り出し(読み取り)する方法に関する。本発明はまた、この光学的記憶媒体の三次元の光学的書き込み及び読み取りを達成する装置及び方法を提供する。より詳細には、本発明は、光学的データ記憶のための、ポリ芳香族化合物、特にビスフェノール、フタレインジエーテル、及びそれらの置換誘導体を含む光学的記憶材料のクラスを提供する。
【0017】
本発明の化合物は、その融点まで、又はそれより高温のいずれかに加熱され、続いて大気温度へ冷却された場合、光学的に符号化された情報を記憶及び保持する能力をそれらに与えるメモリ属性を有する「分子ガラス」を形成する。そのガラス状態において、この化合物は、レーザー源による多光子励起(MPE)プロセスにかけられた場合、強い蛍光を発する。この化合物を含む本発明の光媒体を使用したデータ記憶は、本発明の書き込み法により達成される。この方法は、位置特異的光子照射を利用し、蛍光部分へ転換されるべき分子ガラス内の照射されたマイクロドメインに位置する分子の化学的転換を引き起こすMPEプロセスを開始する。書き込まれた又は記憶された情報は、続いて、作成された光活性化パターンを光学的に読み取りすることにより取り出すことができる。蛍光分子は、励起ビームが入射する、かつレーザービームの焦点にきっちり隣接した、媒体内の特定のマイクロドメインにのみ生じるので、三次元フォーマットの情報の書き込み及び読み取りは、光媒体内の様々な深度で入射ビームの焦点を合わせることにより可能となる。書き込みビームが媒体に入射する出力及び所要時間は、変えることができ、異なる容量の書き込みビットを生成する。本発明の材料及び方法を使用して、1平方センチメートルあたり上限1ギガバイトまでの書き込み密度が達成され得る。記憶された情報の読み取りは、本発明の方法により達成され得、ここで光励起「読み取り」ビームは、書き込まれたドメインの分子に多光子吸収を起こさせ、その結果このドメインから発せられる蛍光が本発明の検出装置により光学的に検出される。読み取りビームは、最適化することができ、書き込みビットの信号対雑音比(S/N)を最大にし、それにより、多数回読み取りサイクルによるメモリ劣化を実質的に最小限にしながら、感度を上げることができる。
【0018】
本発明の光媒体の耐久性に対する重要な特性である本発明の光媒体の別の態様、すなわち、上書き又は光退色によるメモリ劣化を被ることなく書き込まれた材料の多数回の読み取りサイクル(上限2,000,000回までの読み取り)に耐える能力は、書き込み及び読み取りモードの多光子プロセスが、エネルギー必要条件の点で実質的に異なっているということである。書き込みプロセスは三光子プロセスであり、そして、エネルギー必要条件のより低い二光子プロセスである読み取りサイクルに用いられるエネルギーよりも実質的に大きいエネルギーを必要とする。したがって、読み取りプロセスは、メモリ劣化をもたらす可能性のある偶発的な上書きを引き起こさない。
【0019】
情報は、励起ビームの焦点で媒体内にMPAプロセスを引き起こす高収束モードロックレーザーにより を含む容量内で開始されたMPE工程の結果として媒体に書き込みされる。
【0020】
多光子励起/吸収(MPE/MPA)は、発色団分子による、二(又はそれより多くの)光子による同時励起又はその同時吸収を示す。多光子励起プロセスでは、強力光源が用いられる、というのはこの光源からの光の一光子は発色団分子による吸収をひきおこすにはエネルギー的に不十分であるが、二又はそれより多い光子は十分なエネルギーを有するからである。必要な数の光子が同時に存在するならば、MPA現象は起こり得る。MPA現象が起こる可能性は、必要な数の光子の出力に対する光源の光強度又は出力(単位面積あたりの光子数)に比例する。それゆえ、MPAは、高いピーク強度を持つ短パルスレーザーが利用される場合、より効果的である。
【0021】
MPAプロセスの基本的な特徴は、多数の光子が同時に分子に衝突しなければならないことである。それゆえ、励起速度は、吸収されるはずの光子の数の出力に対する入射強度に比例する。それにより、励起は、主に、強度が極度に高い長円体の焦点容量(ellipsoidal focal volume)に閉じ込められる。そのような励起は、本発明の好ましい形態では、ガラス状光学的記憶材料を含む分子による二又はそれより多い光子の同時吸収を起こすのに十分な入射強度を提供するレーザー源により起こされ、各光子はそれぞれ通常の一光子吸収に必要とされるエネルギーに必須の光子数を超えるエネルギーを有する。
【0022】
二光子吸収は、光の二光子の同時吸収であり、そのどちらも単独では問題の分子にその電子状態を変化させることを引き起こすのに十分ではない。三光子吸収は、光の三光子の同時吸収であり、そのどの対も単独では発色団分子にその電子状態を変化させることを引き起こすのに十分ではない。光子は、同じ波長のものでも、異なる波長の組合せでもよい。
【0023】
この励起点の、媒体を含む分子は、それらが可視光で照射されると蛍光性になるような化学的及び/又は物理的転換を受ける。前述の方式で記憶された情報は、続いて、「書き込まれた」マイクロドメインの蛍光発光をモニタリングすることにより、三次元ソリューションで取り出し又は「読み取り」され得る。
【0024】
光学的記憶媒体を作り上げるために使用される光学的記憶材料は、その融点又はそれより高い温度に曝され、続いて溶融状態へ冷却された場合、大気温度又はそれより低い温度で安定な、光学的に透明(透明なガラス)を形成する、低分子量化合物のクラスである。この特徴、すなわちガラス状態(本明細書中、分子ガラス(molecular glass)と呼ぶ)の形成を表す化合物として、2つ又はそれ以上のフェニル基を含むポリ芳香族化合物、例えば、ビフェニル、ジフェニルメタン、及びそれらの置換誘導体などが挙げられる。好ましい実施形態において、分子ガラス形成材料は、フタレイン化合物、例えば、無水フタル酸由来の化合物など、及び最も好ましくは、フェノフタレインジエーテル及びそれらの置換誘導体を含むフタレインジエーテルである。本発明の分子ガラス形成化合物の一般的クラスは、式I〜IVで示されるとおりである。
【0025】
【化4】
【0026】
【化5】
【0027】
【化6】
【0028】
【化7】
【0029】
式中、R、R'、及びR”は、それぞれ独立して、H、ハロゲン原子、又はハロゲン含有部分、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、アリールオキシ、アルコキシカルボニル、アルキルアミノ、アルキルチオ、アルキルスルホニル、及びアルキルスルフィニルを含み、それぞれは所望によりアルキル、ハロゲン、アルコキシ、アリール又はヘテロアリール部分で置換される。好ましい実施形態において、本発明の好ましいフタリルジエーテル化合物は、フェノールフタレインジメチルエーテルV及びオルト−クレゾールフタレインジエーテルVIである。
【0030】
【化8】
【0031】
【化9】
【0032】
オルト−クレゾールフタレインジメチルエーテルVIは、o−クレゾールフタレインから1工程で、高収率で調製され、そして310°KのTgを有するガラスを室温近くで形成する。1実施形態において、データを記録し記憶する試料は、きれいなガラスのカバースリップ上で約15mgのVI(Tm=387°K)を溶融させ、そしてそれを室温まで放冷して、結晶化に耐性を持つ透明で無色のガラスを形成させることにより、調製される。
【0033】
本発明の好ましいフタリルジエーテル化合物の化学合成は、以下に示されるとおり、無水フタル酸又はその置換誘導体をフェノール又は置換フェノールと反応させる(スキーム1)か、あるいはアニソール又はその置換誘導体と反応させる(スキーム2)かのいずれかで達成され得る。
【0034】
【化10】
R=H、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、アリールオキシ、アルコキシカルボニル、アルキルアミノ、アルキルチオ、アルキルスルホニル、アルキルスルフィニル
【0035】
【化11】
R=H、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、アリールオキシ、アルコキシカルボニル、アルキルアミノ、アルキルチオ、アルキルスルホニル、アルキルスルフィニル
【0036】
好ましい実施形態において、一般式IVで示される分子ガラス形成化合物は、フェノールフタレインのジエーテル及びその置換誘導体である。それらは、スキーム1に示される一般調製反応により得ることができ、ここで無水フタル酸化合物VIIは、モル過剰のフェノール化合物VIIIと縮合して対応する1:2アダクトIXを形成する。IX中のフェノール基のエーテル化は、これを、水酸化ナトリウム(NaOH)のような強塩基の存在下、水中で、R'2SO4型の硫酸塩と、あるいは、炭酸カリウム(K2CO3)のような弱塩基の存在下、ジメチルスルホキシド(DMSO)中で、例えばRI型のヨウ化アルキルなどのハライドとのいずれかで反応することにより達せられ、対応するフタリルジエーテル化合物Xが得られる。あるいは、無水フタル酸化合物VIIは、スキーム2に示されるような制御された反応条件下で、アニソール化合物XIと縮合し、これにより対応するフェノールフタレインジエーテルXIIが直接得られて、エーテル化工程が省略される。
【0037】
本発明の光学的記憶材料を含む化合物は、優れたガラス形成化合物である。材料をその融点より高温に加熱し、そして溶融した材料を大気温度に放冷させることにより、高品質のガラスが形成され得る。一実施形態において、溶融した本発明の材料は、得られるガラスを所定の最終形状に規定する鋳型中にて大気温度に放冷される。本明細書中記載されるとおり、高品質は、主として、透明、無色、かつMPAプロセスにかけられない限り蛍光性を示さない無蛍光性である、ガラス状形態の材料についての光学的高品質を意味する。得られる本発明のガラス状材料は、光学的に透明であり、結晶化及び亀裂に耐性を持ち、かつ必要に応じて加工処理(例えば研磨)することができる。さらにそのうえ、それらは長期間(数年)を経た場合でさえ、変形又は変色を寄せつけない。
【0038】
別の実施形態において、本発明の光学的記憶材料は、室温の、又はそれより高いTgを持つ、独立してガラスを形成する材料に組込まれてもよく、ここでこの記憶材料は可溶性である。そのような独立してガラスを形成する材料の例として、例えば、トレハロースなどの糖/水ガラス、LiCl/水などのイオン性ガラス、安息香酸スクロース(sucrose benzoate)などの高分子量(HMW)分子ガラス、及びポリ塩化ビニル(PVC)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリスチレン(PS)、及びポリカーボネート(PC)などの高分子ガラスが挙げられる。
【0039】
好ましい実施形態において、記憶材料及び独立してガラスを形成する材料の均一な混合物は、i)適当な基板上で両材料を含む混合物を、それらの個々の融点よりも高温に加熱し、続いて溶融した混合物を冷却することによりガラスを形成させるか、又はii)両成分を適当な溶媒又は混合溶媒に溶解させ、得られる溶液で基板をコーティングし、続いて溶液のスピンコーティングで利用されるものなどの標準的な方法により溶媒(複数可)を急速に除去することで基板表面のコーティングとして高品質のガラス状層又は膜を提供することによるかのいずれかで調製される。
【0040】
別の実施形態において、光活性化し得る光学的記憶材料分子(OSMM)は、高分子ホストマトリクスに、イオン錯体として、又は共有化学結合を通じてのいずれかで結合し得る。高分子マトリクスへの共有結合は、例えば、重合可能な官能性を含む1つ又は複数の置換基を導入することにより、達成され得る。好ましい実施形態において、本発明のフタレイン化合物は、例えばフェノールフタレインをアクリロイル又はメタクリルクロリドと反応させることにより、アクリル酸又はメタクリル酸部分で一又は二官能基導入されている。官能基導入された分子は、熱的又は光化学的方法により重合し得る単量体として機能する。本発明の別の実施形態において、フタレイン化合物は、炭化水素又はポリエチレングリコール(PEG)鎖などのアルキル又はアルキルオキシスペーサーを含むアクリル酸又はメタクリル酸部分で官能基導入され(is functionalized)ている。さらに別の実施形態において、フタレイン化合物は、直接反応してエポキシド樹脂を形成し得る。
【0041】
別の実施形態において、本発明の光学的記憶材料を含む分子は、イオン結合又は共有結合のいずれかを介して基板表面に直接固定され得る。この化合物は、基板表面にイオン結合又は共有結合を提供し得る置換基で官能基導入されている。あるいは、基板表面は、連結基部分で誘導体化され、これに続いてOSMMは、イオン化学結合又は共有化学結合のいずれかを介して誘導体化表面に固定される。好ましい実施形態において、ガラス基板は、アクリル酸エステル又はメタクリル酸エステル置換基を含むトリエトキシ又はトリクロロシランのいずれかで官能基導入され、これに続いて、OSMMはその後カップリングされて、先に記載したように、対応するアクリル酸又はメタクリル酸エーテル誘導体を形成する。
【0042】
別の実施形態において、本発明の光活性化し得るOSMMは、多孔質媒体(例えば、ゾル−ゲルガラス)などの別の媒体にドープされ得る。好ましい実施形態において、ドーパントOSSM濃度は、約0.1〜約50重量%の範囲である。さらに別の実施形態において、本発明の光活性化し得るOSSMの多数の層を含む積層構造は、望ましい光学的又は電気的性質を有するスペーサー層との交互配置である。
【0043】
本発明の光学的記憶媒体に含まれるガラス状分子データ記憶材料はまた、大気温度又はその近くであるガラス転移温度(Tg)を有する、光活性化し得る芳香族部分を含むガラス状高分子材料でもあってもよい。データ記憶材料として機能し得る、本発明のガラス状高分子材料として、光活性化し得る芳香族部分を含むアリールエポキシポリマー、芳香族ポリアミン、及びアミン−エポキシドポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0044】
1実施形態において、ガラス状高分子データ記憶材料は、一般式XIIIを有するビスフェノールジエーテル単量体(樹脂)由来のポリマーであり、ここでビスフェノール基は、光活性化し得る部分として機能する。
【0045】
【化12】
【0046】
本発明のガラス状高分子光学的記憶材料を合成するためのエポキシ樹脂は、グリシジル−エーテル、グリシジル−エステル、及びグリシジル−アミンエポキシ樹脂を含むグリシジルエポキシか、又は脂肪族又は脂環式エポキシ樹脂などの非グリシジルエポキシ樹脂のいずれかであり得る。光学的データ記憶に有用なグリシジルエポキシ樹脂は、適切なジヒドロキシ化合物、二塩基酸又はジアミン、及びエピクロロヒドリンの縮合反応を介して調製され、一方非グリシジルエポキシは、オレフィン二重結合の過酸化により形成される。
【0047】
1実施形態において、本発明のガラス状高分子光学的記憶材料を合成するために使用されるグリシジル−エーテルエポキシは、市販されているビスフェノール−Aのジグリシジルエーテル(DGEBA)又はノボラックエポキシ樹脂であり、それらの構造は以下に示される。
【0048】
【化13】
【0049】
【化14】
【0050】
好ましい実施形態において、高分子ガラス状材料は、当該技術分野で既知の標準的な条件を使用して、大気温度で、DGEBAを硬化剤で硬化させることにより得られる光学的に透明な(clear)エポキシポリマーである。なぜなら、それは多くのエポキシ配合物において、樹脂の主成分だからである。
【0051】
DGEBAなどのグリシジルエーテル樹脂から本発明の高分子ガラス状材料を得るために利用される硬化剤(curing agents or "hardeners")としては、例えば、4,4'−メチレンビス−[クロロ−2,6−ジエチルアニリン](MCDEA)、4,4'−ジアミノジフェニルスルホン(DDS)、4,4'−ジメチルアニリン(MDA)、及びトリス(ジメチルアミノメチル)−フェノールなどの第一級及び第二級アミンを含むアミンベースの硬化剤、N−ベンジルピラジニウム−10−ヘキサフルオロアンチモネート(BPH)、N−ベンジルキノキサリウムヘキサフルオロアンチモネート(BQH)などのカチオン硬化剤、及び2−オクテニル、2−ドデシニル、及び2−ヘキサデセニルコハク酸無水物を含むアルケニルコハク酸無水物などの酸無水物が挙げられるが、これらに限定されない。フェノールベースの硬化剤は、フェノール性ノボラックエポキシ樹脂を硬化させるのに好適である。所望により、「促進剤」として一般に既知の触媒が、より速い硬化速度を誘導するために使用され得る。代表的な促進剤として、第三級アミン及びトリフェニルホスフィンが挙げられる。
【0052】
好ましい実施形態において、本発明のガラス状高分子データ記憶材料を得るための樹脂は、DGEBPA樹脂と、トリス(ジメチルアミノメチル)−フェノールとポリメルカプタン硬化剤とから構成されるポリメルカプタン/ポリアミン混合硬化剤とを含むDevcon 5-Minute Epoxy(登録商標)である。
【0053】
本発明の光学的記憶分子ガラス形成材料は、適切な基板上に材料のガラス状膜をあらかじめ形成することにより、対応する光学的記憶媒体へ変換され得る。好ましい実施形態の具体例において、結晶ガラス形成材料は、ガラス基板上でその融点に加熱され、そして得られる液体が冷却され、光学的に透明なガラスを形成し、これは続いて2つのガラス層の間にはさまれる。得られる構造体は、情報を光学的に記録又は書き込みするための記憶媒体として使用される。
【0054】
本発明の記憶媒体における光学的データ記憶は、記憶媒体内の分子ガラス材料でMPAプロセスを開始させ、情報を「書き込み」するため、例えば、レーザー源ビームなどの光源を使用することにより達成され得、これにより書き込まれた領域又はマイクロドメインの分子は蛍光発光し得る種類に変換される。MPAは、材料に不可逆的な光化学的転換を引き起こさせ、これがレーザー蛍光の焦点体積の範囲を表す。この方式のデータ書き込みは、代表的にはミリ秒範囲のドウエルタイム(dwell times)で、0.25nJの範囲のパルスエネルギーで達成され得、一方読み出しはこのパルスエネルギーの10分の1で達成され得る。
【0055】
本発明の光媒体内にデータを記憶し、及び光媒体からデータを取り出すための読み取り及び書き込みプロセスは、レーザー源、焦点レンズアセンブリ、スキャナ、及びアバランシェ型フォトダイオード検出器(ADP)などの検出器を含む本発明の読み取り/書き込み装置により容易に達成される。レーザーからの光源は、光媒体材料内の所定の特定の位置で焦点が合わせられる。光源のエネルギーは、制御可能であり、そして最適値に設定でき、書き込み又は読み取り機能のいずれかが遂行される。材料内の焦点深度は、レンズアセンブリにより制御され得、そしてデータが三次元モードで媒体内の異なる深度に記憶されかつそこから取り出されることを可能にする。読み取りサイクルの間、媒体内の書き込まれたドメインから発せられる蛍光発光信号は、同じレンズアセンブリを通過し、これに続いて、それらはアバランシェ型フォトダイオード検出器の有効領域上に焦点を合わせる。高速でレーザービームをライン走査又はラスター走査するためにガルバノメータスキャナを使用することができ、迅速な書き込み及び読み取りサイクルが達成される。
【0056】
好ましい実施形態の書き込み−読み取り装置の代表的な構成(set up)は図1に示され、これはコンピュータ、スキャナ、及びアバランシェ型フォトダイオード検出器(ADP)に連結されたTi:サファイアレーザーを含む。Ti−サファイアレーザーは、約76MHzの繰り返し周期で約800nmの中心波長を有する約70fsのパルスを発生する。レーザーは、2つのガルバノメータ走査鏡で反射されて倒立顕微鏡の後部ポートに入る。レーザービームは、ダイクロイックミラーで反射されて、試料に光の焦点を合わせる無限遠補正対物レンズに入る。試料からの蛍光は、同じ対物レンズを通過し、次いでダイクロイックミラーを通ってから低ノイズアバランシェ型フォトダイオード検出器の活性領域上に焦点を合わせる。ガルバノメータスキャナは、高速でレーザービームをライン走査又はラスター走査させるために使用され得、一方顕微鏡載物台は、0.1μm分解能で単独で制御され得る。レーザービームの記憶材料内の焦点深度は、対物レンズ自体を動かすことにより制御される。
【0057】
別の実施形態において、対物レンズアセンブリは固定されたままにでき、一方、記録媒体内の記憶は、媒体内の焦点深度を変えるために、対物レンズに対して制御された方式で動かされる。
【0058】
本発明の光学的記憶媒体は、蛍光法により決定される高記録密度(容量)を提供する。好ましい実施形態において、Vの3−D記憶密度は、約2.3mWの平均出力(出力は試料で測定されたものである)で約8秒間、試料の異なる位置で蛍光点を書き込むことにより決定される。次いで、イメージが約35ms/ラインの走査時間で約0.7mWの平均出力で読み出される。図2A、図2B、及び図2Cは、試料の3つの面の代表的な読み出しイメージを示し、そのうち第1及び第3のものは、そこに記憶された蛍光データを有している。これらのイメージの面内ビット間の距離は、約600nmであり、連続したイメージの面は約1250nm離れている。図2A及び図2Cからわかるように、約2500nmの面間距離は、クロストークを抑えるのに十分である。上限25枚までのデータ面が、このような面間距離で書き込み可能であり、これは薄い試料1平方センチメートルあたり約870メガバイトの記憶密度に相当する(標準のコンパクトディスクの記憶密度よりも約2桁大きい)。本発明の光媒体の記憶密度は、化合物Vの屈折率(約1.61)用に最適化された対物レンズを使用することにより、及び試料の両面にデータを記憶することにより、相当(数倍)改善され得る。同じく、データ記憶及び読み出しは、より高い強度でもっとずっと速く達成され得、この高い強度はTi:サファイア発振器で容易に得られる。記憶されたデータの読み出しに対する堅牢性(robustness)は、10101010101というパターンの2列の平行なデータを書き込むことで試験され、ここで1は蛍光点により、0は暗点により表される。次いで、下の列のデータを約0.7ミリワット(mW)の平均出力で繰り返し読み取りし、そして両方の列をこの同じ出力で周期的にイメージ化する。図2Dは、下の列が150万回読み取りされた後の2列のデータのイメージを示す。図2Eで、データの各列の中心を通る断面で示されるように、多数の読み出しサイクル後に1と0とを識別することに困難はない。読み出しにより、輝ビット(bright bits)の光退色が最小になるが、暗ビット(dark bits)の光活性化を実質的に全く引き起こさない。
【0059】
本発明の光学的記憶媒体に書き込まれたデータの並外れた堅牢性が「読み取り」プロセスに対するものであることが、図3でさらに示される。図3の上側のパネルは、5〜10mW(左から右へ)の範囲で源強度(source intensities)を増加させながら書き込みした2列のデータを示す;下側のパネルは、各列の中心を通る位置の関数として測定された、対応する蛍光強度を示す。同じ書き込みデータを、書き込み直後の高い強度(5〜10mW)で読み取った場合(図3a)と低い強度(1〜2mW)で読み取った場合(図3b)との比較(ここで、上の列のデータは500,000回読み取られた後(従来の2−Dコンパクト記憶ディスクの500,000回の取り出し又は「再生」、又は約57年間の連続「読み取り」時間に等しい)を示す)は、書き込まれたデータが容易にバックグラウンドから識別され得、かつ多数の読み取りサイクル後も実質的に影響を受けていないことを示す。同じく、記憶されたデータは、「書き込み」プロセスの数カ月後に正確に読み取り可能である。本発明の記憶媒体に書き込まれた情報は、類似の源強度を使用する従来の媒体と比較して、非常に安定である。なぜなら、従来の媒体は光退色又は上書きのいずれかによる劣化を受けやすいからである。
【0060】
本発明の記憶媒体に記憶されたデータの高い安定性(堅牢性)は、書き込み及び読み取りサイクルそれぞれについてMPAプロセスの開始のためのエネルギー要件が異なることに起因する。データ記憶プロセスの強度依存性は、一定量の時間の間に異なる平均レーザー出力で点を書き込み、ついで一定の出力でデータを読み取ることにより、決定される。書き込み及び読み取りプロセスに含まれる光子数は、励起波長での平均出力の関数としての強度データのlog−logプロットの傾きから決定され得る。図4Aからわかるように、源励起ビーム(約800nmで)の書き込み強度の関数としての記憶されたデータの蛍光強度の対数プロットは、約3の傾きの直線である。蛍光強度は、書き込み強度に指数関数での依存性を示すので、書き込み強度の指数は、そのようなプロットの傾きから決定可能であり、これは本発明の光媒体へのデータ記憶が三光子プロセスであることを意味する。読み出しプロセスについての同様なプロットもまた、傾きが約2の直線であり、読み出しが800nm励起領域での二光子プロセスであることを意味する。したがって、データ記憶は3光子プロセスであることから、これは2光子読み出しプロセスが必要とするよりも相対的に高い強度を必要とする。それゆえ、データ取り出し又は「読み取り」プロセスは、寄生的上書き(parasitic overwriting)及びメモリ劣化が実質的になく達成される。したがって、データ記憶は800nmでの効率的な三光子プロセスであるものの、読み出しはそれより大幅に低い強度で達成され得、それにより走査される試料の暗領域の光活性化を回避する。
【0061】
本発明の記憶媒体のガラス状の性質は、記憶されたデータの読み出しに対する堅牢性に重要な役割を演じる。同一の条件下、異なる温度で化合物Vに書き込み及び読み取りされる点の読み出し強度(図4B)は、データ記憶がTgの近くでより容易に達成されること、及び記憶効率がTgより上及び下のどちらでも減少することを示す。この傾向は、ある程度の分子のたわみ性(flexibility)が蛍光性光生成物(fluorescent photoproduct)の効率的な生成に必要条件であるが、過冷却液体中で利用可能な大幅に大きい立体配置の自由さはこの生成物の形成に有害であることを示す。ガラス状フェノールフタレインジメチルエーテル(VI)から得られる光媒体で行われた同様な研究は、温度がTgよりもさらに上がるにつれ、データ記憶効率が減少し続けることを示す。
【0062】
図5は、光学的データ記憶媒体に使用した場合の本発明の架橋した高分子ガラスデータ記憶材料の光学的データ記憶特性を示す。混合前の純粋な樹脂又は硬化剤のいずれかでは、低分子量ガラスVへのデータ記憶に使用されるものと同等の光強度に曝露された後に蛍光は誘発されない。硬化剤と樹脂とを混合した直後では、この強度範囲での光活性化もまた不可能である(図5A)ものの、重合化又は硬化プロセスが始まる(低架橋密度)と、混合物が完全に硬化する(中程度の架橋密度)時点まで効率を上昇させながら、光活性化はこれらの強度で可能になる(図5B)。樹脂硬化剤混合物が高温で硬化する(高架橋密度)と、書き込みプロセスの効率は顕著に低下し、制限された立体構造の可動度が光活性化の効率を大きく改善することを示している。それゆえ、中程度に架橋した本発明の高分子ガラス状材料で行われた光学的データ記憶は、続いてそのようなガラスを高温で硬化させることにより、それらを含む光学的記録媒体内に「ロック(locked)」され得る。したがって、記憶されたデータの不慮の上書き又は消去は、「ロック」されたモードで不可能になり得る。セットされた(ただし未硬化の)エポキシ試料でのデータ記憶の堅牢性は、低分子量ガラスVについてのものよりもわずかに低いものの(図5C及び5D)、従来使用されてきた材料のものよりも依然として優れている。明及び暗ビット間の識別に困難は生じず、かつ光退色によるデータ劣化は最小である。
【0063】
それゆえ、本発明の記憶媒体における書き込みプロセスの効率及び書き込まれたデータの安定性は、記憶又は多数読み取り時からの劣化なしに安定な長期データ記憶を提供するそれらの能力における重要な因子である、温度依存性を表す。記憶媒体を含む本発明の「分子ガラス」記憶材料への書き込み効率は、ガラス状材料のガラス転移温度(Tg)に近づくと増加する。図6に示されるように、書き込みプロセスはガラス状材料のTg近くでは大幅により効率的である。ガラス状材料の温度がそのTgに近づくほど、光活性化プロセスはより速く生じる。冷却に際して、光活性化は明らかにより起こりにくくなる。その図から明らかなように、書き込み時間の関数としての、書き込まれたドメインから測定される蛍光計数(fluorescent counts)は、特定の書き込み時間の間、材料温度が、そのガラス転移より十分に低い温度、例えば、Tg−13°Kと比較して、そのガラス転移(すなわち、Tg−2°K)の近くに維持される場合、最大である。ガラス状態は、分子が、MPAに媒介される光化学的転換を受けて蛍光種を生成させるために適切な程度の自由さを得ることを制限し、そのような構造的自由は、材料のTgよりすぐ上の過冷却液体状態で達成され得るため、書き込みプロセスの間局所的に生じ得るレーザー誘導加熱は、それにより記憶を促進する。一方で、これらの材料の熱伝導度は、読み取りが完了した強度において十分大きいので、材料がTgを上回ることを引き起こし得る局所的加熱は不可能である。それゆえ、読み取りサイクル中の上書きは、実質的に排除される。ガラス状態の剛性もまた、読み取りサイクル中の蛍光(書き込まれた)ドメインの光退色を防ぐのを潜在的に助けている。それゆえ、室温では、書き込まれた情報は、「その場にロックされ」ており、そして読み取りビームにより比較的影響を受けない。非最適化、ガラス状記憶材料での試験は、記憶されたデータの劣化は最小限にして数百万回もの読み取りが可能であることを示す。
【0064】
本発明のOSMMのいくつかの態様は、用途に特有のニーズに合わせて最適化又は「調整」することができる。そのような最適化は、Tg、屈折率、発色団の吸収及び発光周波数などの材料特性及びプロセスの変更を含む。上記化合物の変更可能なパラメーター及び特定の特性又は属性に対するその影響は、以下のとおりである:a)光生成物の二光子吸収スペクトル及び断面を変更して、読み出しパラメーターを最適化する。
b)ガラスの三光子吸収スペクトル及び断面を変更して、記憶パラメーターを最適化する。
c)光生成物の蛍光スペクトル及び量子収率を変更して、読み出しパラメーターを最適化する。
d)Tgを変えて、記憶されたデータの記憶パラメーター及び堅牢性を最適化する。
e)分子を高分子又は多孔質無機媒体などのマトリクスにつなぐために、化学結合点を備える置換基を導入し得る。
【0065】
分子ガラス及びガラス状ポリマーを含む本発明の光学的記憶媒体に高密度3−D蛍光データを記録及び読み取りするために使用されるMPAプロセスは、それが増幅しない超高速レーザーシステム(unamplified ultrafast laser system)で行われ得ることにさらなる利点を提供する。記憶されたデータは、読み取りプロセスに対して、現在使用される記憶媒体よりも高度に大幅により堅牢である。そのうえさらに、本発明の光学的記憶媒体に使用されるガラス状材料は、比較的安価で、かつ高い光学的品質で入手可能であり、かつ最低限の加工処理で所定の形状に構成され得る。本発明のガラス状材料はまた、容易に化学的に修飾され得、それによりそれらを特定のデータ記憶用途用に最適化することを可能にする。データ書き込み及び読み出しに本発明の光学的データ記憶媒体が必要とするレーザー強度が低いことは、両プロセスの並行化を可能にし、その結果多数の点が同時に書き込み又は読み取りされ得る。
【0066】
本発明の光学的記憶材料は、従来の回転ディスクフォーマットに構成された光学的記憶媒体で利用され得、それゆえ、現在利用可能な2−D記憶ディスク媒体より100倍以上大きい情報記憶容量を持つ、既存のフォーマットで機能するメモリデバイスを製造する可能性を有する。本発明の光学的記憶材料はまた、光演算で重要な用途のための、コンピュータで作成された容量ホログラムの作製にも適しているだろう。
【0067】
本明細書中、3D光学的データ記憶材料、それらを含むデータ記憶媒体の作製、及びそのような媒体へ情報を記憶し、情報にアクセスする装置についてのいくつかの実施形態が記載され、そして図示されている。本発明の特定の実施形態が、例として記載されたが、これは、本発明が当該分野で許されるブロードな範囲であること、かつ明細書が同様に読まれることを意図するのであって、本発明がそれに制限されることを意図しない。したがって、実施例では具体的なディメンションが与えられたけれども、材料及び基板を含む媒体のディメンションは、利用可能な材料及び製造技法に従って変化し得ることが理解されるだろう。その上、本発明の記憶媒体を利用する書き込み/読み取りプロセスを達成する好ましい装置の構成を開示したけれども、当然のことながら、本開示の利益を持つ、他の装置(apparati)及び又はそれ用の構成が使用され得、そして同様な結果が得られる。さらに、レーザー光学デバイスの一実施形態を開示したけれども、他のレーザー光学デバイスが、本明細書中開示されるのと同じ、又は同様な機能を達成し得ることが理解されるだろう。実際、当然のことながら、本発明の異なる実施形態の異なる態様が、所望であれば混合され、そして調和され又は組み合わせられ得る。それゆえ、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、さらに他の修飾が本発明になされ得ることが、当業者に認められるだろう。
【実施例1】
【0068】
硫酸ジアルキルを介した光活性化し得るフタレインジエーテルの一般的な合成法:フェノールフタレインジメチルエーテルの調製
500mL丸底フラスコに、フェノールフタレイン15.0g及び10%水酸化ナトリウム溶液200mLを投入した。硫酸ジメチル35mLを5mLずつ加え、加えるごとに十分に撹拌した。水酸化ナトリウム10gを加えた。溶液を、撹拌しながら80〜90℃で1〜2時間、還流させた。溶液と分離した油状物は、室温まで冷却すると褐色固体になった。減圧濾過を使用して固体を収集した。固体を温エタノールに溶解させて、再結晶により精製した。再結晶したフェノールフタレインジメチルエーテルを1H NMRで分析した。この合成の平均収率は、80%である。
実施例2
アルキルハライドを介した光活性化し得るフタレインジエーテルの一般的な合成法:フェノールフタレインジメチルエーテルの調製
500mL丸底フラスコに、フェノールフタレイン5.0g、炭酸カリウム5.0g、ヨードメタン10〜12mL、及びN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)約250mLを投入した。溶液を、撹拌しながら70〜85℃で5〜6時間、還流させた。冷却して、溶液をジエチルエーテル100mL及び希塩化アンモニウム100mLを入れた1L分液漏斗に入れた。分液漏斗中、この抽出での有機層に希硫酸銅150mLを加えた。有機層を再度抽出して、硫酸ナトリウム1〜2gを加えた。この混合物を重力式濾過(gravity filtered)して丸底フラスコに入れ、そして減圧下において溶媒を除去した。溶媒を蒸発させた後、非常に粘稠の液体が残った。この液体を温エタノールに溶解させて、再結晶により精製した。再結晶後、フェノールフタレインジメチルエーテルの純度を1H NMRで調べた。この合成の平均収率は、50%である。
【実施例2】
【0069】
光活性化し得るビスフェノールの一般的な合成法:フェノールフタレインの合成
フェノールフタレインは、適切な反応条件下の無水フタル酸及びフェノールとの縮合反応を含む標準的な方法(本明細書に挿入される参照文献)により合成される。置換フェノールフタレイン誘導体は、対応する置換無水フタル酸から、同様な方式で得られる。
【実施例3】
【0070】
硬化エポキシベースの高分子光学的データ記憶材料を調製する一般的な方法
ビスフェノール−Aジグリシジルエーテル樹脂(DGEPBA)を、ポリアミン−ポリメルカプタン混合物からなる硬化剤と混合した(この2部品樹脂−硬化剤は、Devcon 5-Minute Epoxy gel resin(ITW Devcon、Danvers、MA)の名で市販されている)。樹脂硬化剤混合物を、適切な基板表面上に膜又はコーティングとして塗り、そして大気温度で硬化させる。得られる光学的記憶媒体を、実施例5に記載されるように、データの書き込み及び記憶に使用する。不慮の消去又は上書きを防ぐため、書き込まれたデータをロックするために、書き込まれたデータを含む記憶媒体を100〜250℃の範囲で0.5〜3時間にわたり高温硬化にかけ、より高度の架橋を達成する。そのような高度に架橋した媒体に記憶されたデータは、読み取り可能であるが、上書きを受けにくい。
【実施例4】
【0071】
光学的記憶媒体を調製する一般的な方法
実施例1〜3で得られるガラス形成光学的記憶材料約20〜25mgを、あらかじめきれいにしたガラスカバースリップ上に置く。次いで、試料を、結晶が完全に溶けて透明な液体になるまで、200℃のオーブン中に置く。次いで、カバースリップをオーブンから取り出して室温に放冷させ、そしてさらに5〜10分間放置する。
【実施例5】
【0072】
光学的書き込み及び読み取り法を利用するデータ記憶の一般的な手順
実施例4に従って調製された、ガラス基板及び記憶材料を含む本発明の光学的記憶媒体をガラススライドに貼り、そして本発明の光学的データ記録装置の一部分を形成するZeiss Axiovert S100TV蛍光倒立顕微鏡の試料室に置く。光源は、76MHzの繰り返し周期で、800nmの中心波長で、100fs弱のパルスを発生させる、特注のモードロックTi:サファイア発振器である。発振器は、5W、ダイオード励起固体レーザー(diode-pumped, solid-state laser)によりポンピングされる。ビームは、1組のコンピュータ制御されたxy走査鏡により顕微鏡内へ向けられ、そして顕微鏡内で円偏光にされる(is made circularly polarized)。ダイクロイックミラーは、ビームを開口数1.3の40倍油浸対物レンズ内に向ける。光学的記憶媒体を含む材料の温度を制御するために、対物ヒーター(objective heater)が使用される。蛍光発光は、対物レンズにより集光され、そしてダイクロイックミラーを通過してアバランシェ型フォトダイオード検出系へ入る。機器の全収集効率は、発光した全蛍光の1〜2%である。書き込みは、40倍油浸対物レンズを通した近赤外レーザービーム(Ti:サファイア、モードロック100フェムト秒(fs)パルス、平均出力5〜10ミリワット(mW))の照射により達成される。書き込まれた記憶媒体からの読み取りは、先に書き込まれた領域全体を励起ビームで走査することにより達成される。これは、より低出力(約1〜2mW)で行われ、それにより多数回の読み取りサイクルにわたり書き込まれたデータが劣化することを防いでいる。先に書き込まれた領域全体を走査することは、バックグラウンドノイズの上に検出され、アバランシェ型フォトダイオードアレイ(APD)検出器により増幅され、そして空間分解される蛍光パターンの発光を引き起こす。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の光学的記憶材料への書き込み及びそこからの読み取りをするための配置構成図である。
【図2A】化合物Vの薄い試料の面3枚に記憶された代表的な蛍光データのイメージを示す図である。面間距離は1250nmであり、2500nmで離れている面にクロストークは実質的に出現しない。
【図2B】化合物Vの薄い試料の面3枚に記憶された代表的な蛍光データのイメージを示す図である。面間距離は1250nmであり、2500nmで離れている面にクロストークは実質的に出現しない。
【図2C】化合物Vの薄い試料の面3枚に記憶された代表的な蛍光データのイメージを示す図である。面間距離は1250nmであり、2500nmで離れている面にクロストークは実質的に出現しない。
【図2D】2列の蛍光データのイメージを示し、それぞれがビットパターン10101010101を表している図である。下の列は、150万回読み取りされている。
【図2E】図2Dのデータの各列の中心ピクセルに沿った強度パターンを示す図である。
【図3A】光学的記憶材料に様々な強度で書き込まれた蛍光データを示す図である。書き込み直後に高い強度で読み取りされた2列のデータ。各列は、読み出しで、同じ強度とバックグラウンドレベルを示す。
【図3B】光学的記憶材料に様々な強度で書き込まれた蛍光データを示す図である。上の列のデータが連続500,000回読み取りされた後に、低い強度で読み取りされた同じデータは、多数回の読み取りサイクルによる光退色が最小であり、データは依然として容易にバックグラウンドから認識され得ることを示す。
【図4A】800nm源を使用する三光子プロセスデータ記憶(書き込み)及び二光子読み取りプロセスのカウント/ピクセル/時間対平均レーザー出力のLog−logプロットを示す図である。
【図4B】5.5秒で1.7mWの平均出力で記憶され、0.7mWの平均出力で読み出されたデータの温度の関数としての読み出しカウント(破線はTgを示す)を示す図である。
【図5A】5-Minute Epoxy(登録商標)由来のガラス状高分子光学的記憶材料における書き込みサイクル後の蛍光イメージを示す図である。低分子量ガラス状材料Vにデータを記憶するために使用される範囲の強度を使用して、新たに混合された硬化剤と樹脂に蛍光点を書き込みすることはできない。
【図5B】5-Minute Epoxy(登録商標)由来のガラス状高分子光学的記憶材料での書き込みサイクル後の蛍光イメージを示す図である。図5Aと異なり、一旦樹脂/硬化剤混合物が5分又はそれより長く経過すると、容易にそこに書き込みされ得る。
【図5C】2列のデータのイメージを示し、それぞれ10101010101のデータパターンを持つ図である(下の列は200万回の読み取りサイクル後)。
【図5D】2列の中心を通した強度パターンを示す図である。読み取りサイクル後、記憶(明るい)領域に顕著な光退色も、暗(ブランク)領域の顕著な光活性化も見られない。
【図6】ガラス状材料へのMPA書き込みプロセスの温度依存性を示す図である。データ記憶は、ガラス転移温度に近づくほど、かなりより効果的である。
Claims (36)
- 次の式、
で表される化合物を含む三次元光学的データ記憶用材料。 - Rは1〜6個の炭素原子を含むアルキル基であり、R'及びR”は両方とも水素である、請求項1に記載の化合物。
- 次の式である、請求項1に記載の化合物。
- 次の式である、請求項1に記載の化合物。
- 化合物はガラス状固体である、請求項1に記載の化合物。
- 硬化剤により架橋される芳香族エポキシ樹脂を含む、少なくとも1つの架橋を有する高分子光学的データ記憶材料。
- 芳香族エポキシ樹脂は、グリシジルエポキシ樹脂である、請求項6に記載の高分子光学的データ記憶材料。
- グリシジルエポキシ樹脂は、グリシジルエーテル、グリシジルエステル、及びグリシジルアミンエポキシ樹脂からなる群より選択される、請求項7に記載の高分子光学的データ記憶材料。
- グリシジルエーテル樹脂は、ビスフェノール−Aジグリシジルエーテル及びエポキシフェノールノボラックである、請求項8に記載の高分子光学的データ記憶材料。
- グリシジルエーテル樹脂は、ビスフェノール−Aジグリシジルエーテルである、請求項8に記載の高分子光学的データ記憶材料。
- 高分子材料が、ガラス状態にある、請求項6に記載の高分子光学的データ記憶材料。
- 硬化剤は、中性アミン、カチオン性アミン、又は酸無水物である、請求項6に記載の高分子光学的データ記憶材料。
- 硬化剤は、少なくとも2つの第一級又は第二級アミン基を含む中性アミンである、請求項6に記載の高分子光学的データ記憶材料。
- 硬化剤は、少なくとも2つの酸無水物基を含む中性アミンである、請求項6に記載の高分子光学的データ記憶材料。
- 中性アミンは、4,4'−メチレンビス−(クロロ−2,6−ジエチルアニリン)、4,4'−ジアミノジフェニルスルホン、4,4'−ジメチルアニリン、及びトリス(ジメチルアミノメチル)フェノールからなる群より選択される、請求項12に記載の高分子光学的データ記憶材料。
- 中性アミンは、N−ベンジルピラジニウム−10−ヘキサフルオロアンチモネート及びN−ベンジルキノキサリウムヘキサフルオロアンチモネートからなる群より選択される、請求項12に記載の高分子光学的データ記憶材料。
- 酸無水物は、アルケニルコハク酸無水物である、請求項12に記載の高分子光学的データ記憶材料。
- アルケニルコハク酸無水物は、2−オクテニル、2−ドデシニル、及び2−ヘキサデセニルコハク酸無水物からなる群より選択される、請求項17に記載の高分子光学的データ記憶材料。
- 硬化剤はポリアミンである、請求項6に記載の高分子光学的データ記憶材料。
- 硬化剤は、ポリアミンとポリメルカプタンとを含む混合物である、請求項6に記載の高分子光学的データ記憶材料。
- 基板材料と請求項1又は6の化合物とを含む光学的データ記憶媒体であって、前記化合物は前記基板上にコーティングされているか、該基板に接着されているか、又は該基板内に含浸されている光学的データ記憶媒体。
- 基板は、トレハロース、無機ガラス、高分子量安息香酸スクロース、ポリ塩化ビニル、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、及びポリカーボネートからなる群より選択される、請求項21に記載の光学的データ記憶媒体。
- a)収束可能なコヒーレント光の1本の強力なビームを発生させる工程と、
b)光学的記憶材料を有する感光性三次元光学的記憶媒体に前記ビームの焦点を合わせて、前記材料内に前記ビームの焦点で多光子励起を起こさせ、それによって、前記材料に検出可能な特徴変化を起こさせる工程と
を含む光学的データを三次元ソリューションで請求項1又は6の光学的記憶材料に書き込む方法。 - 三光子励起により起こされる特徴変化は、前記感光性光学的記憶材料の密度変化から生じる屈折率不均一性である、請求項23に記載の方法。
- 光学的記憶材料全体を前記ビームで走査する工程をさらに含み、所定の位置で前記材料に特徴変化を起こし、それにより該材料中に三次元の不均一性をもたらす、請求項24に記載の方法。
- ビームで走査する工程は、前記ビームの焦点を、前記光学的記憶材料内のX−Y面で動かすことを含み、前記X−Y面において多数のピクセル位置を規定する、請求項25に記載の方法。
- ビームで走査する工程は、前記ビームの焦点をZ軸に沿って移動させることをさらに含み、前記光学的記憶材料内の多数のX−Y面を規定し、それにより前記材料のピクセル位置の三次元アレイを規定する、請求項26に記載の方法。
- a)所定のエネルギーの光を当てることにより媒体を修飾させるように光学的記憶材料を有する三次元の光学的記憶媒体を備える工程、
b)1本の強力なビーム光を発生させて、該ビーム光を前記三次元光学的記憶媒体内の焦点に、焦点を合わせる工程、
c)前記三次元光学的記憶媒体全体にわたって前記焦点を走査し、前記媒体の所定の位置で多光子励起を起こし、前記媒体の選択された物理的又は化学的特徴の修飾を起こし、各修飾は前記三次元光学的記憶媒体の光学的データビットを表す工程、及び
d)その後、前記三次元光学的記憶媒体に生成された光学的データビットを、焦点の合った読み取りビームで前記媒体全体を走査して読み取り、前記光学的データビットに対応する干渉パターンを発生する工程
を含む、請求項1又は6の光学的記憶材料に三次元ソリューションで光学的データを書き込みかつその後読み取る方法。 - 光学的データは、三次元の光学的記憶媒体内の屈折率不均一性として記憶される、請求項28に記載の方法。
- 前記1本の強力なビーム光を発生する工程は、0.1〜100fsの範囲のパルス長を有し、かつ約600〜1200nmのパルス波長を有するコヒーレント光パルスの流れを含む衝突パルスモードロック色素レーザー(colliding pulse modelocked dye laser)での発生を含む、請求項23に記載の方法。
- パルス波長は800nmである、請求項30に記載の方法。
- 焦点体積を走査する工程は、前記三次元の光学的記憶材料全体をX、Y、及びZ方向で走査することを含み、データピクセルの三次元アレイを規定する、請求項28に記載の方法。
- 三次元光学的記憶材料全体に焦点の合った読み取りビームを向けることをさらに含み、データピクセルの前記三次元アレイのイメージを生成し、それにより前記アレイに記憶されたデータを読み取る、請求項28に記載の方法。
- 選択された位置で前記特徴変化を光学的に検出することにより記憶されたデータを検出することをさらに含む、請求項28に記載の方法。
- a)収束可能なコヒーレント光の1本の強力なビームを発生する工程、
b)高分子光学的記憶材料を有する感光性三次元光学的記憶媒体に前記ビームの焦点を合わせて、前記ビーム焦点で前記材料内の多光子励起を起こし、それにより前記材料に検出可能な特徴変化を起こす工程、及び
c)前記高分子光学的記憶材料の架橋密度を増加させるように、該材料を高温で熱硬化させる工程を含む、光学的データを三次元ソリューションで請求項6の高分子光学的記憶材料に書き込み、かつ該書き込まれたデータを消去不可能な方式でロックする方法。 - 前記高温は約100〜250℃である、請求項35に記載の方法。
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