JP2004533906A - 医用チタン体内理植体 - Google Patents
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- A61L31/08—Materials for coatings
- A61L31/082—Inorganic materials
- A61L31/088—Other specific inorganic materials not covered by A61L31/084 or A61L31/086
Abstract
(a)少なくとも表面がチタンまたはその合金から成る医用理植体を供する工程、(b)前記医用理植体表面を0℃以下の露点をもつ酸素含有ガスへ露出させる工程、及び(c)前記医用理植体表面を加熱処理して少なくとも該表面上へチタン酸化物を生成させる工程から構成される、表面上にチタン酸化物を有する医用理植体の製造方法。
Description
【技術分野】
【0001】
本発明は医用体内理植体(インプラント)、特にチタンあるいはチタン系医用体内理植体表面への酸化物層の形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
歯科用骨内理植体等の骨内理植体の使用にあっての必要条件は理植体と骨との骨統合及び/または生体統合を成し遂げることである。
広範囲に亘る材料が医用理植体に用いられてきたが、骨統合という必要条件を十分なレベルまで満たすことができる材料は僅かである。チタン及びチタン系合金はかかる理植体に用いる好ましい材料である。チタンの表面自然酸化物の性質が良好な骨統合を得るための基礎をなす要因であると思われる。かかる表面酸化物が生体分子の沈着を促進し、かつその全体成分の溶解を制限していると思われる。かかる成分の放出が歯科理植体に対する生体反応を決定づけていると考えられる。
骨統合されたチタン理植体には正常な骨株をもつ無歯患者の治療において長期に亘る成功例があるが、臨床介入から得られた結果は骨量及び骨質が劣る場合はさほどよいものではない。このように結果が好ましくない場合には、骨統合の状態を改善することが理植を成功させるために最も重要な要因となる。また、骨統合が改善されれば、現状上顎の場合で6カ月を要する十分な負荷受け能の獲得に必要な時間を短縮することも可能である。チタン系材料の臨床上の性能に表面状態が決定的な役割をもつため、それら材料の性質を改善するための努力は、チタン系合金の組成のみならず表面処理の利用にも集中して行われてきた。
【0003】
歯科用骨内理植のみならず、他の広範囲に亘る医用理植においても良好な骨統合を得るための必要条件は同様である。
医用理植体への細胞の付着を改善するため、チタン酸化物粒子を用いた表面のグリット・ブラスト及びセラミック・コーティングを含め種々の表面処理が行われている。例えばプラズマ溶射による50−100μm厚のヒドロキシアパタイト(HA)型コーティング等の多孔性コーティング処理が1980年代初頭以降広範に行われてきた。しかしながら、それら処理効果に対してコーティング/基板界面の機械的弱さや複雑な形状をもつ理植体上へ均質な層を形成する困難性を含む種々の臨床上の問題が生じてきた。プラズマ溶射に関する他の難点として、プラズマ溶射では約40μmより薄いコーティングの沈着ができないことがある。これらセラミック・コーティングの長期的効果は、コーティングの持続的(不適切な管理による)溶解のために危惧されている。コーティングの結晶化度は、結晶性コーティングよりも生分解性である非晶質コーティングについて溶解速度を決定する主要な要因である。表面積の増加と裂け目腐食効果双方によって起こり得る腐食速度の増加との関連もある。電気化学的処理を含む他の方法による他のセラミック・コーティングも形成されているが現在まで大きな成功例はない。チタン系合金から生理的溶液へのイオン放出の減少を達成する方法として空気中での熱処理も報告されている。酸化物厚の増加(自然酸化物厚2.5nmに対して一般的には4nm以上)や酸化物構造の変形等のいくつかの要因が金属酸化表面からのイオン放出に影響する可能性もある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、
(a)少なくとも表面がチタンまたはその合金から成る医用理植体を用意する工程、
(b)前記医用理植体表面を0℃以下の露点をもつ酸素含有ガスへ露出させる工程、及び
(c)前記医用理植体表面を前記ガス中で加熱処理して少なくとも該表面上へチタン酸化物を生成させる工程から構成される、表面上にチタン酸化物を有する医用理植体の製造方法を提供する。
前記酸素含有ガスの露点は前記ガスの湿度を指示する。前記ガスの露点は概して0℃以下、好ましくは−60〜0℃、より好ましくは−40〜−10℃、さらに好ましくは−30〜−15℃の範囲内である。
【0005】
本発明方法によれば、医用理植体の骨統合性が従来技術によるチタン及びチタン系理植体に比べてより改善されることが見出されている。特に、露点が0℃以下であるガス中で形成された前記表面酸化物の表面形態は、より湿度の高い環境中、すなわち露点がより高い環境中での酸化によって形成された表面酸化物よりも均質なようである。従って、上記の露点をもつ環境を利用して、外表面がより均質である特徴をもち、より欠陥の少なくより付着力のある表面酸化物層を形成することが可能である。
前記酸素含有ガスの露点は加熱工程中ほぼ一定に保持できるし、あるいは加熱工程中に変化させることもできる。後者の操作は前記酸化物層の化学的性質及び/または微細構造の深度(depth)を変化させる場合に用いることができる。従って、より質の高い酸化物構造を得るために湿度レベルの異なる環境における2以上の熱処理を組み合わせることも可能である。
【0006】
加熱処理は一般的には300〜900℃、より典型的には700〜900℃の温度範囲内で、かつ一般的には酸化性ガス源と取入口及び取出口が備えられた適当な炉中で実施される。加熱処理後には理植体は放冷されるか(例えば炉内冷却)、あるいは理植体上へ冷却液を流して積極的に冷却される。その後で付加的な表面処理工程を施すことも可能である。かかる理植体は通常使用前において滅菌される。
前記医用理植体の表面は加熱工程中ほぼ一定の温度に保つことができる。あるいは、加熱工程中に前記温度を変化させることも可能である。さらに、加熱工程中に前記温度を変化させる操作を利用して前記酸化物層の化学的性質及び/または微細構造の深度を変化させることも可能である。前記表面酸化物層の付着性を改善するために酸化処理中に温度サイクル処理を行うことも可能である。前記酸化性ガスの湿度をほぼ一定に保ちながら非等温処理あるいは温度サイクル処理を行うことも可能である。もしくは、前記酸化性ガスの温度と湿度の双方を変化させることも可能である。
加熱処理は概して100℃/分以下、より典型的には10〜70℃/分、さらに典型的には30〜50℃/分の加熱速度で行われる。
加熱処理は望ましい酸化物の形態及び/または厚さを得るのに適当な時間継続することができる。例えば、加熱処理は概して200時間以内、あるいは150時間以内、あるいは100時間以内、あるいは50時間以内、あるいは10時間以内、あるいは1時間以内まで行うことが可能である。
【0007】
前記酸化性ガスには酸素ガス及び/または分子性ガスあるいは酸素を含有する蒸気が含まれていてもよいし、あるいは前記酸化性ガスはこれらガス等から成るものであってもよい。適当なガスの例として、空気あるいは酸素及び窒素を含むガス混合物が挙げられる。前記ガスの湿度の尺度である好ましい露点は前記ガス中に含まれている1またし2以上のガスの一部あるいは全部を水上へ流すことによって得ることができる。前記ガスの相対湿度は22℃で好ましくは10%未満、より好ましくは5%未満、さらに好ましくは1%未満である。前記ガスの水分圧は好ましくは500Pa未満、より好ましくは200Pa未満である。
前記医用理植体の表面は市販の純チタン(cpTi、1,2,3または4級)あるいは合金Ti6Al4Vから成っている。該医用理植体の一部あるいは全部はチタンあるいはその合金から作ることが可能である。以下において明らかとなるが、本発明に係る製造方法は理植体の一部あるいは全部に対して用いることが可能である。
ここで用いる用語「理植体(インプラント)」とは理植体の部品及び部分を含むあらゆる種類の医用及び歯科用理植体のことを言う。
前記医用理植体の表面上に形成されたチタン酸化物は一般的にはTiO2、TiO及びTi2O3のうちの1または2種以上を含んでいる。
前記医用理植体はその部品及び部分を含め、骨内理植用、好ましくは歯科用骨内理植体用に用いられた場合に利点が大きい。
前記医用理植体の表面へ酸化処理を行う前後に付加的な表面変形を加えることもできる。例えば、かかる変形例としては、表面の機械的処理(例えばショット・ブラスティング)、化学的処理(例えばエッチング)及び物理的処理(例えばイオン注入)等がある。
本発明に係る方法には、要求があれば、滅菌工程を含ませることも可能である。
【0008】
本発明はさらに、チタンまたはその合金で作られた医用理植体表面上への酸化物層の形成方法を提供する。本方法は、
(i)前記医用理植体を0℃以下の露点をもつ酸素含有ガスへ露出させる工程、及び
(ii)前記医用理植体の少なくとも表面を前記ガス中で加熱して該理植体上へチタン酸化物を生成させる工程から構成される。
【0009】
本発明はさらに、チタンまたはその合金で作られた医用理植体の骨統合性の改善方法を提供する。本方法は、
(i)前記医用理植体を0℃以下の露点をもつ酸素含有ガスへ露出せる工程、及び
(ii)前記医用理植体の少なくとも表面を前記ガス中で加熱して該理植体上へチタン酸化物を生成させる工程から構成される。
疑問が残らないようここで述べるが、本発明に係る方法に関連して記載された特徴のすべてはここで説明する方法の単独あるいは組合せにも同等に適用可能である。
【0010】
本発明はさらに、ここで述べる処理あるいは方法によって得られあるいは製造される医用理植体を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
次に本発明を実施例に基づき添付図面を参照してさらに詳細に説明する。
図1(a)の顕微鏡写真に示した本発明のチタンサンプルは図1(b)に示した本発明によらないチタンよりずっと構造が均質であることが分かる。
本発明においては、チタンまたはチタン系の外科用あるいは医用理植体の表面改良は空気等の酸化性環境下で熱処理を行うことによって行われている。前記ガスの湿度は通常の実験室の湿度よりも低いレベルに調節されている。つまり空気は乾燥されている。水分の存在により酸化割合が増大されることが分かる。
本発明に係る処理及び方法は従来技術に比べて多数の利点を提供するものである。第一に、本発明によれば医用理植体の骨統合性を改善することが可能である。第二に、下にある基体材料への表面酸化物の付着性も改善される。第三に、正にその特徴により、複雑形状をした理植体であってもほぼ均質に表面処理することが可能である。第四に、本発明に係る処理及び方法は汚染物質を除去できる洗浄作用を兼ね備えていることも分かる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1A】800℃で150時間乾燥空気(露点−40℃以下)中に露出されたチタンの表面形状を示すSEM顕微鏡写真である。
【図1B】800℃で150時間湿空気(露点約8℃)中に露出されたチタンの表面形状を示すSEM顕微鏡写真である。
【0001】
本発明は医用体内理植体(インプラント)、特にチタンあるいはチタン系医用体内理植体表面への酸化物層の形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
歯科用骨内理植体等の骨内理植体の使用にあっての必要条件は理植体と骨との骨統合及び/または生体統合を成し遂げることである。
広範囲に亘る材料が医用理植体に用いられてきたが、骨統合という必要条件を十分なレベルまで満たすことができる材料は僅かである。チタン及びチタン系合金はかかる理植体に用いる好ましい材料である。チタンの表面自然酸化物の性質が良好な骨統合を得るための基礎をなす要因であると思われる。かかる表面酸化物が生体分子の沈着を促進し、かつその全体成分の溶解を制限していると思われる。かかる成分の放出が歯科理植体に対する生体反応を決定づけていると考えられる。
骨統合されたチタン理植体には正常な骨株をもつ無歯患者の治療において長期に亘る成功例があるが、臨床介入から得られた結果は骨量及び骨質が劣る場合はさほどよいものではない。このように結果が好ましくない場合には、骨統合の状態を改善することが理植を成功させるために最も重要な要因となる。また、骨統合が改善されれば、現状上顎の場合で6カ月を要する十分な負荷受け能の獲得に必要な時間を短縮することも可能である。チタン系材料の臨床上の性能に表面状態が決定的な役割をもつため、それら材料の性質を改善するための努力は、チタン系合金の組成のみならず表面処理の利用にも集中して行われてきた。
【0003】
歯科用骨内理植のみならず、他の広範囲に亘る医用理植においても良好な骨統合を得るための必要条件は同様である。
医用理植体への細胞の付着を改善するため、チタン酸化物粒子を用いた表面のグリット・ブラスト及びセラミック・コーティングを含め種々の表面処理が行われている。例えばプラズマ溶射による50−100μm厚のヒドロキシアパタイト(HA)型コーティング等の多孔性コーティング処理が1980年代初頭以降広範に行われてきた。しかしながら、それら処理効果に対してコーティング/基板界面の機械的弱さや複雑な形状をもつ理植体上へ均質な層を形成する困難性を含む種々の臨床上の問題が生じてきた。プラズマ溶射に関する他の難点として、プラズマ溶射では約40μmより薄いコーティングの沈着ができないことがある。これらセラミック・コーティングの長期的効果は、コーティングの持続的(不適切な管理による)溶解のために危惧されている。コーティングの結晶化度は、結晶性コーティングよりも生分解性である非晶質コーティングについて溶解速度を決定する主要な要因である。表面積の増加と裂け目腐食効果双方によって起こり得る腐食速度の増加との関連もある。電気化学的処理を含む他の方法による他のセラミック・コーティングも形成されているが現在まで大きな成功例はない。チタン系合金から生理的溶液へのイオン放出の減少を達成する方法として空気中での熱処理も報告されている。酸化物厚の増加(自然酸化物厚2.5nmに対して一般的には4nm以上)や酸化物構造の変形等のいくつかの要因が金属酸化表面からのイオン放出に影響する可能性もある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、
(a)少なくとも表面がチタンまたはその合金から成る医用理植体を用意する工程、
(b)前記医用理植体表面を0℃以下の露点をもつ酸素含有ガスへ露出させる工程、及び
(c)前記医用理植体表面を前記ガス中で加熱処理して少なくとも該表面上へチタン酸化物を生成させる工程から構成される、表面上にチタン酸化物を有する医用理植体の製造方法を提供する。
前記酸素含有ガスの露点は前記ガスの湿度を指示する。前記ガスの露点は概して0℃以下、好ましくは−60〜0℃、より好ましくは−40〜−10℃、さらに好ましくは−30〜−15℃の範囲内である。
【0005】
本発明方法によれば、医用理植体の骨統合性が従来技術によるチタン及びチタン系理植体に比べてより改善されることが見出されている。特に、露点が0℃以下であるガス中で形成された前記表面酸化物の表面形態は、より湿度の高い環境中、すなわち露点がより高い環境中での酸化によって形成された表面酸化物よりも均質なようである。従って、上記の露点をもつ環境を利用して、外表面がより均質である特徴をもち、より欠陥の少なくより付着力のある表面酸化物層を形成することが可能である。
前記酸素含有ガスの露点は加熱工程中ほぼ一定に保持できるし、あるいは加熱工程中に変化させることもできる。後者の操作は前記酸化物層の化学的性質及び/または微細構造の深度(depth)を変化させる場合に用いることができる。従って、より質の高い酸化物構造を得るために湿度レベルの異なる環境における2以上の熱処理を組み合わせることも可能である。
【0006】
加熱処理は一般的には300〜900℃、より典型的には700〜900℃の温度範囲内で、かつ一般的には酸化性ガス源と取入口及び取出口が備えられた適当な炉中で実施される。加熱処理後には理植体は放冷されるか(例えば炉内冷却)、あるいは理植体上へ冷却液を流して積極的に冷却される。その後で付加的な表面処理工程を施すことも可能である。かかる理植体は通常使用前において滅菌される。
前記医用理植体の表面は加熱工程中ほぼ一定の温度に保つことができる。あるいは、加熱工程中に前記温度を変化させることも可能である。さらに、加熱工程中に前記温度を変化させる操作を利用して前記酸化物層の化学的性質及び/または微細構造の深度を変化させることも可能である。前記表面酸化物層の付着性を改善するために酸化処理中に温度サイクル処理を行うことも可能である。前記酸化性ガスの湿度をほぼ一定に保ちながら非等温処理あるいは温度サイクル処理を行うことも可能である。もしくは、前記酸化性ガスの温度と湿度の双方を変化させることも可能である。
加熱処理は概して100℃/分以下、より典型的には10〜70℃/分、さらに典型的には30〜50℃/分の加熱速度で行われる。
加熱処理は望ましい酸化物の形態及び/または厚さを得るのに適当な時間継続することができる。例えば、加熱処理は概して200時間以内、あるいは150時間以内、あるいは100時間以内、あるいは50時間以内、あるいは10時間以内、あるいは1時間以内まで行うことが可能である。
【0007】
前記酸化性ガスには酸素ガス及び/または分子性ガスあるいは酸素を含有する蒸気が含まれていてもよいし、あるいは前記酸化性ガスはこれらガス等から成るものであってもよい。適当なガスの例として、空気あるいは酸素及び窒素を含むガス混合物が挙げられる。前記ガスの湿度の尺度である好ましい露点は前記ガス中に含まれている1またし2以上のガスの一部あるいは全部を水上へ流すことによって得ることができる。前記ガスの相対湿度は22℃で好ましくは10%未満、より好ましくは5%未満、さらに好ましくは1%未満である。前記ガスの水分圧は好ましくは500Pa未満、より好ましくは200Pa未満である。
前記医用理植体の表面は市販の純チタン(cpTi、1,2,3または4級)あるいは合金Ti6Al4Vから成っている。該医用理植体の一部あるいは全部はチタンあるいはその合金から作ることが可能である。以下において明らかとなるが、本発明に係る製造方法は理植体の一部あるいは全部に対して用いることが可能である。
ここで用いる用語「理植体(インプラント)」とは理植体の部品及び部分を含むあらゆる種類の医用及び歯科用理植体のことを言う。
前記医用理植体の表面上に形成されたチタン酸化物は一般的にはTiO2、TiO及びTi2O3のうちの1または2種以上を含んでいる。
前記医用理植体はその部品及び部分を含め、骨内理植用、好ましくは歯科用骨内理植体用に用いられた場合に利点が大きい。
前記医用理植体の表面へ酸化処理を行う前後に付加的な表面変形を加えることもできる。例えば、かかる変形例としては、表面の機械的処理(例えばショット・ブラスティング)、化学的処理(例えばエッチング)及び物理的処理(例えばイオン注入)等がある。
本発明に係る方法には、要求があれば、滅菌工程を含ませることも可能である。
【0008】
本発明はさらに、チタンまたはその合金で作られた医用理植体表面上への酸化物層の形成方法を提供する。本方法は、
(i)前記医用理植体を0℃以下の露点をもつ酸素含有ガスへ露出させる工程、及び
(ii)前記医用理植体の少なくとも表面を前記ガス中で加熱して該理植体上へチタン酸化物を生成させる工程から構成される。
【0009】
本発明はさらに、チタンまたはその合金で作られた医用理植体の骨統合性の改善方法を提供する。本方法は、
(i)前記医用理植体を0℃以下の露点をもつ酸素含有ガスへ露出せる工程、及び
(ii)前記医用理植体の少なくとも表面を前記ガス中で加熱して該理植体上へチタン酸化物を生成させる工程から構成される。
疑問が残らないようここで述べるが、本発明に係る方法に関連して記載された特徴のすべてはここで説明する方法の単独あるいは組合せにも同等に適用可能である。
【0010】
本発明はさらに、ここで述べる処理あるいは方法によって得られあるいは製造される医用理植体を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
次に本発明を実施例に基づき添付図面を参照してさらに詳細に説明する。
図1(a)の顕微鏡写真に示した本発明のチタンサンプルは図1(b)に示した本発明によらないチタンよりずっと構造が均質であることが分かる。
本発明においては、チタンまたはチタン系の外科用あるいは医用理植体の表面改良は空気等の酸化性環境下で熱処理を行うことによって行われている。前記ガスの湿度は通常の実験室の湿度よりも低いレベルに調節されている。つまり空気は乾燥されている。水分の存在により酸化割合が増大されることが分かる。
本発明に係る処理及び方法は従来技術に比べて多数の利点を提供するものである。第一に、本発明によれば医用理植体の骨統合性を改善することが可能である。第二に、下にある基体材料への表面酸化物の付着性も改善される。第三に、正にその特徴により、複雑形状をした理植体であってもほぼ均質に表面処理することが可能である。第四に、本発明に係る処理及び方法は汚染物質を除去できる洗浄作用を兼ね備えていることも分かる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1A】800℃で150時間乾燥空気(露点−40℃以下)中に露出されたチタンの表面形状を示すSEM顕微鏡写真である。
【図1B】800℃で150時間湿空気(露点約8℃)中に露出されたチタンの表面形状を示すSEM顕微鏡写真である。
Claims (15)
- (a)少なくとも表面がチタンまたはその合金から成る医用理植体を用意する工程、
(b)前記医用理植体表面を0℃以下の露点をもつ酸素含有ガスへ露出させる工程、及び
(c)前記ガス中で前記医用理植体表面を加熱処理することによって少なくとも該表面上へチタン酸化物を生成させる工程から構成される、表面上にチタン酸化物を有する医用理植体の製造方法。 - 前記酸素含有ガスの露点が−60〜0℃、好ましくは−50〜−5℃、より好ましくは−40〜−10℃、さらに好ましくは−30〜−15℃の範囲内にあることを特徴とする請求項1項記載の方法。
- 前記酸素含有ガスの露点が前記加熱工程期間中ほぼ一定に維持されることを特徴とする請求項1または2項記載の方法。
- 前記酸素含有ガスの露点が前記加熱工程期間中に変化されることを特徴とする請求項1項または2項記載の方法。
- 前記医用理植体表面の加熱処理が300〜900℃、好ましくは700〜900℃の温度範囲内で行われることを特徴とする請求項1項ないし4項のいずれかに記載の方法。
- 前記医用理植体表面が前記加熱工程期間中ほぼ一定の温度に維持されることを特徴とする請求項1項ないし5項のいずれかに記載の方法。
- 前記医用理植体表面の前記温度が加熱工程期間中に変化されることを特徴とする請求項1項ないし5項のいずれかに記載の方法。
- 前記医用理植体表面の加熱処理が100℃/分以下、好ましくは10〜70℃/分、さらに好ましくは30〜50℃/分の加熱速度で行われることを特徴とする請求項1項ないし7項のいずれかに記載の方法。
- 前記酸素含有ガスが、酸素ガス及び/または分子性ガスあるいは酸素を含む蒸気を含むかあるいはこれら酸素ガス及び/または分子性ガスあるいは蒸気から成ることを特徴とする請求項1項ないし8項のいずれかに記載の方法。
- 前記医用理植体表面が市販の純チタン(cpTi、1、2、3または4級)あるいはチタン合金Ti6Al4Vから成ることを特徴とする請求項1項ないし9項のいずれかに記載の方法。
- 前記医用理植体の少なくとも表面上に生成されるチタン酸化物がTiO2、TiO及びTi2O3のうちの1または2以上を含むことを特徴とする請求項1ないし10項のいずれかに記載の方法。
- 前記医用理植体が骨内理植体、好ましくは歯科用骨内理植体であることを特徴とする請求項1ないし11項のいずれかに記載の方法。
- (i)0℃以下の露点をもつ酸素含有ガスへ医用理植体を露出させる工程、及び
(ii)前記医用理植体の少なくとも表面を前記ガス中で加熱処理して該移植体上へチタン酸化物を生成させる工程から構成される、チタンまたはその合金で作られた医用理植体表面上への酸化物層形成方法。 - (i)0℃以下の露点をもつ酸素含有ガスへ医用理植体を露出させる工程、及び
(ii)前記医用理植体の少なくとも表面を前記ガス中で加熱処理することにより該理植体上へチタン酸化物を生成させる工程から構成される、チタンまたはその合金で作られた医用理植体の骨統合性及び/または生体統合性の改善方法。 - 請求項1項ないし12項のいずれかに記載の方法あるいは請求項13項または14項記載の方法によって得られるか、又は、製造される医用理植体。
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