JP2004533410A - カルボン酸を製造するための改善された方法 - Google Patents
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Abstract
好適な溶媒中で、対応する前駆物質を触媒で液相酸化することにより、カルボン酸又はそのエステルを製造する改善された方法であって、高圧および高溶媒比で、反応物を第1の酸化反応区域に供給し、そこで酸素の取込が、前記前駆物質を、対応するカルボン酸に完全に転換するのに必要な酸素の50%未満の値に制限される工程と、その後、結果として得られる反応媒体を第2の反応区域に供給する工程とを含む方法。
Description
【技術分野】
【0001】
本発明は、好適な溶媒中で対応する前駆物質を触媒で液相酸化することにより、カルボン酸又はそれらのエステルを製造する改善された方法に関する。更に特定的には、本発明は、パラキシレンを触媒で液相酸化してテレフタル酸を製造する改善された方法であり、温度および酸素の取込が制御され、生成するテレフタル酸が全て溶液中に残存する第1の反応区域に反応物を、高圧で供給し、次いで、結果として得られる反応媒体を第2の反応区域に供給し、酸化反応を完了させる連続的な工程を含む。
【背景技術】
【0002】
実際に、全てのテレフタル酸は、商業的規模で、パラキシレンを触媒で液相空気酸化することにより製造される。商業的方法では、溶媒として酢酸を、触媒として多価の重金属又は金属を使用する。コバルトおよびマンガンは、最も広範に使用される重金属触媒であり、この方法では、臭素は再生可能なフリーラジカル源として使用される。
【0003】
酢酸、空気(分子状酸素)、パラキシレンおよび触媒は、175℃〜225℃、および1000〜3000kPa(即ち、10〜30atm)に維持される酸化反応器に連続的に供給される。供給原料の酢酸:パラキシレンの比は、典型的には、5:1未満である。パラキシレンをテレフタル酸に完全に転換するため、化学量論的必要量を超過する量で空気を添加し、着色物質などの望ましくない副生成物の生成を最小限にする。酸化反応は発熱性であり、酢酸溶媒を蒸発させることにより熱を取り除く。対応する蒸気は凝縮され、凝縮物のほとんどは反応器に還流され、凝縮物の幾らかは、反応器の水の濃度を制御するため、抜き取られる(1モルのパラキシレンが反応すると2モルの水が生成する)。滞留時間は、プロセスによって変わるが、典型的には30分〜2時間である。例えば、温度、触媒濃度、および滞留時間などの酸化反応器操作条件に応じて、溶媒および前駆物質の顕著な劣化が起きることがあり、そのためプロセスの操作費用が増大することがある。
【0004】
酸化反応器からの排出液、即ち、反応生成物は、粗テレフタル酸(TA)結晶のスラリーであり、これは、ろ過してスラリーから回収され、洗浄され、乾燥され、運搬されて貯蔵される。その後、それらは別々の精製工程、又は直接、重合プロセスに供給される。粗TA中の主な不純物は、パラキシレンが不完全に酸化された、4−カルボキシベンゾアルデヒド(4−CBA)であるが、p−トルアルデヒドおよびp−トルイル酸も、望ましくない着色物質と共に存在することがある。以下に更に詳細に記載されるように、本発明に従って酸化反応を実施することにより、最終TA生成物中の不純物の生成を実質的に低減し、溶媒および前駆物質の劣化を効果的に制御することができる。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本出願は、共に現在係属中の2000年1月12日に出願された米国特許出願第09/481,811号、および2001年1月10日に出願された米国特許出願第09/757,458号の利益を主張する。
【0006】
本発明は、パラキシレンを触媒で液相酸化してテレフタル酸を製造する改善された方法であり、好適な溶媒を含む反応物を、温度および酸素の取込が制御され、生成するテレフタル酸が全て溶液中に残存する第1の反応区域に、高圧で供給し、次いで結果として得られる反応媒体を第2の反応区域に供給する連続的な工程を含む。この方法は:
(a)少なくとも約2,000kPa〜最大10,000kPaの範囲、又はそれより高圧で、溶媒および酸化触媒を含む供給流を形成する工程と、
(b)(1)供給流、(2)パラキシレン、および(3)酸素供給、を第1の反応区域に連続的且つ同時に供給し、溶媒:パラキシレンの質量比が10〜25:1の範囲である反応媒体を形成する工程と、
(c)第1の反応区域の反応媒体内での酸素の取込を、パラキシレンをテレフタル酸に完全に転換するのに必要な酸素の50%未満の値に制限する工程と、
(d)反応媒体の圧力を1,200kPaから2,000kPaの範囲の値に低下させるのと同時に、反応媒体を第2の反応区域に供給する工程と、
を含む。
【0007】
結果として生じるテレフタル酸を、第2の反応区域から流出する反応媒体から、任意の簡便な手段で回収することができる。
【0008】
本発明は、パラキシレンをテレフタル酸に転換する改善された酸化系に関して、本明細書に記載されるが、本発明は、好適な溶媒中で、対応する前駆物質を触媒で液相酸化して、ある範囲のカルボン酸又はそのエステル、特にフタル酸又はそのエステルを製造するのに応用可能であることが認識されるであろう。本発明は、
(1)少なくとも約2,000kPaの高圧で、溶媒および酸化触媒を含む供給流を形成した後、供給流、前駆物質、および酸素供給を高圧の第1の反応区域に供給し、溶媒:前駆物質の質量比も比較的高く、即ち、10〜25:1の範囲であるが、経済性および操作性から好ましい比が、10〜20:1である反応媒体を形成する工程と、
(2)第1の反応区域から、酸化反応が完了する第2の反応区域へ反応媒体を供給する工程と、
を含む、少なくとも2工程、又は帯域で、酸化反応を実施することにより、前駆物質の対応するカルボン酸への転換が実質的に改善され得るという発見にある。
【0009】
溶媒:前駆物質の質量比を記載されるように維持することに加えて、前駆物質に応じて1つ、2つ、3つ、又はそれより多くの酸基を有し得る、対応するカルボン酸又はエステルに、前駆物質を完全に転換するのに必要な酸素の50%未満の値まで、第1の反応区域での酸素の取込を制限する。第1の反応区域での酸素取込は、以下の方法、即ち:
(i)酸素供給(即ち、酸素濃度)を予め決定された範囲内に維持する方法と、
(ii)触媒濃度を予め決定された範囲内に維持する方法と、
(iii)第1の反応区域内での滞留時間(反応器の液体容量を反応器への原料供給速度で除したものと定義される)を約6分未満まで、好ましくは4分未満までに制限する方法と、
(iv)任意に、反応区域から熱を取り除き、反応媒体が第1の反応区域から流出する時の反応媒体の温度を約210℃未満の値に維持する方法、
のうち、1つ以上により制御される。
【0010】
反応媒体を第2の反応器に供給するのと同時に、反応媒体の圧力を1,200kPa〜2,000kPaの範囲の値まで低下させる。生じるカルボン酸を、通常は酸の結晶のスラリーである最終反応媒体から、慣用的な方法で回収することができる。
【0011】
本発明の好適な実施形態によれば、酸素は、溶媒および酸化触媒を含む供給流に直接、溶解され、酸素化された供給流は、次いで、プラグ流れ反応区域である第1の酸化反応区域に、前駆物質と共に連続的且つ同時に供給される。第1の反応区域に入るとすぐ、前駆物質、例えば、パラキシレンは、酸素化された溶媒と完全に混合され、反応を開始する。酸素供給、触媒濃度、第1の反応区域中の滞留時間および/又は温度を制御することにより、反応媒体内の酸素の取込を、前駆物質を対応するカルボン酸に完全に転換するのに必要な酸素の50%未満の値に制御する、即ち、制限することができる。次いで、反応媒体は前述のように、第2の、より慣用的な反応器に供給される。
【発明の効果】
【0012】
本発明の方法は、酢酸および水を含む溶媒中で、パラキシレンを触媒で液相酸化することによりテレフタル酸を製造するのに、特に応用可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明は、酢酸溶媒の存在下でパラキシレンの液相触媒酸化を実施する場合、商業的規模での酸化反応を、第1の高圧反応区域で、続いて、第2の、より慣用的な反応区域で効果的に、段階的に実施するため、プロセス効率および生成物の品質がかなり改善される、という発見にある。
【0014】
このプロセスの第1の反応区域は、以下の一実施形態で更に詳細に記載されるように、溶媒:前駆物質の質量比が比較的高く、10〜25:1の範囲、又はそれより高いこと、および、圧力が比較的高く、例えば、少なくとも2,000kPa〜最大10,000kPaの範囲、又はそれより高いことにより特徴付けられる。溶媒:前駆物質の質量比は、よりずっと高いものを使用してもよく、例えば、30:1までの、又はそれよりずっと高いものであってもよいが、パラキシレンが、専ら、第1の反応区域を通って、又は介してプロセスに供給される場合、第1の反応区域の溶媒:前駆物質の質量比が10〜20:1の範囲である時、プロセス全体で最良の結果が観測された。任意に、第1の反応区域を冷却し、反応媒体が第1の反応区域から流出する時の反応媒体の温度を約210℃未満の値に制御する。温度、触媒濃度、反応器内の滞留時間の制御および/又は第1の反応区域への酸素供給を予め決定された範囲内に維持することにより、反応媒体内の酸素の取込を、パラキシレンをテレフタル酸に完全に転換するのに必要な酸素の50%未満の値に簡便に制限することができる。
【0015】
例えば、第1の反応区域内に内部冷却コイル、又は他の冷却装置を設置することにより、又は冷却ジャケットを使用して反応装置を取囲むことにより、又は反応器から外部に位置する熱交換器に反応媒体を循環させることにより、温度制御を確立することができる。
【0016】
触媒制御は、例えば、触媒含有母液の幾らかが、第1の反応区域をバイパスし、直接、第2の反応区域に送られることにより確立され得る。
【0017】
第1の反応区域のどの冷却表面にも固体のTAが析出しないことが重要である。TA生成は、酸素取込を制限することによって制限され、TA析出は、反応媒体内で、高い溶媒:前駆物質比を維持することにより、また適切な冷却材(例えば、沸騰水)、および反応媒体内のどの位置にも低温スポットが形成されないようにする冷却手段を選択することによっても防止される。
【0018】
反応媒体が、第1の反応区域から流出し、より慣用的な酸化反応器に供給される時、同時に反応媒体の圧力を低下させる。この反応器は、典型的には、例えば、撹拌槽型反応器、又は気泡塔反応器とすることができるであろう。圧力低下は、反応媒体を、反応器の周囲に位置決めされる1つ又は複数の圧力低下バルブに通すことにより、簡便に達成され得る。反応媒体が第2の反応器に入ると迅速に分散される場合に、最良の結果が得られる。迅速な分散は、パラキシレン含有の供給原料を慣用的な反応器に分散させる、確立された方法を使用することによって達成できる。撹拌槽型反応器では、例えば、これは、撹拌機の回転翼からの放出物に近い液体ラインより下で反応器に反応媒体を注入することを含む。反応媒体の迅速な分散は、気泡塔反応器では、供給される空気の近くに反応媒体を注入することによって達成できる。
【0019】
ここで、図面を参照すると、図1は、一実施形態による本発明のプロセスの簡略化した概略図である。本発明は、ある範囲のカルボン酸、又はそれらのエステル、およびこれらの混合物の製造に応用可能であるが、前述のように、この方法をテレフタル酸の製造に関するものとして記載することにする。
【0020】
このプロセスは、最初に、溶媒、即ち、酢酸および水、並びに酸化触媒を含む供給流10を形成することにより実施される。実際は、供給流は、(i)リサイクルされる溶媒、リサイクルされる母液および触媒、ライン11、(ii)第2の反応器からの反応器凝縮物、ライン12、(iii)補充用の新しい酢酸、ライン13、を含む混合物を含むであろう。混合供給流は、典型的な触媒成分(例えば、Co、Mn、Br)を、単一の慣用的な酸化反応器を使用する場合に通常存在するものより、一般に希釈された濃度で含有するであろう。図示されないが、任意に、第1の反応区域の触媒濃度の制御は、触媒を含有する母液、ライン11の幾らかを、直接、第2の反応器20にバイパスさせることにより達成できる。
【0021】
混合供給流の温度は、供給流を形成する様々な成分の温度を基にして、一般に、130℃〜160℃の範囲である。しかし、供給流の温度は重要ではない。
【0022】
供給流10の圧力は、好適なポンプ14を介して少なくとも約2,000kPaの、しかし一般に2,000kPaを越える値まで上昇され、供給流は、ライン16を介したパラキシレン、およびライン17を介した酸素供給源と共に、第1の撹拌槽型反応器15に連続的且つ同時に導入される。
【0023】
ライン17を介して酸素供給は、空気、酸素富化空気、例えば二酸化炭素などの不活性ガスと混合された酸素、又は本質的に純粋な酸素とすることができる。酸素供給源が窒素又は別の不活性なキャリアガスを含む場合、第1の反応区域中の冷却の程度、およびその操作圧力は、第1の反応区域中に存在する蒸気が、燃料希薄となる、即ち、蒸気の炭化水素含量が爆発下限(LET)未満となるように選択されることが好ましい。本質的に純粋な酸素が、酸素供給源として使用される場合、第1の反応区域中の冷却の程度、およびその操作圧力は、第1の反応区域に蒸気相が存在しないように選択されることが好ましい。図1には示されていないが、任意に、供給ポンプの下流に位置する混合装置を介して供給原料10に直接、酸素を幾らか予備溶解させることができる。
【0024】
パラキシレン供給原料16を任意に酢酸溶媒と予備混合し、供給ポンプ14の上流又は下流のいずれかで系に導入してもよい。図示されていないが、任意に、パラキシレン供給物16の一部は、反応器15をバイパスし、第2の反応器20に直接供給されてもよい。パラキシレンを全く第2の反応区域にバイパスさせずに、第1の反応器中で生じる反応媒体は、酢酸:パラキシレンの比が10〜25:1の範囲である。この実施形態では、酢酸:パラキシレンの質量比が10〜20:1の時に、最良の結果が観測された。
【0025】
供給原料のパレキシレン、即ち、図1のライン16、並びに、図2および図3のライン31の一部は、第1の反応器をバイパスするように配置され、第2の反応器20に直接供給される場合は、その結果得られる、第1の反応器の反応媒体中の溶媒:パラキシレン質量比を、第1の反応器をバイパスするパラキシレンの一部に対応して上方に調整することになり、その結果得られる質量比は最大100:1までの範囲の値に達してもよい。パラキシレン供給物、ライン16は、第1の反応器に入ると迅速に分散されなければならない。これは、慣用的な反応器中にパラキシレン含有の供給原料を迅速に分散させる、確立された任意の方法を使用して達成できる。図1に表わされる本発明の実施形態に示されるように、撹拌槽型反応器15中では、撹拌機の回転翼からの放出物の近くに供給原料を注入することを含む。撹拌槽型反応器は図1に示されるが、満足できる結果が得られれば、他の慣用的な酸化反応器の形態を使用してもよい。
【0026】
このプロセスは、酸化触媒系の存在下で実施されるが、酸化触媒系は均一であっても不均一であってもよい。均一な触媒が通常は使用され、例えば、コバルト、マンガン、および/又はジルコニウム化合物などの1種類以上の重金属化合物から選択される。更に、触媒は、通常、臭素などの酸化促進剤も含む。触媒金属および酸化促進剤は、プロセス中ずっと、主として溶液中に残存し、生成物回収後に回収され、補充用の新しい触媒と共に溶液としてリサイクルされる。
【0027】
第1の反応区域、ライン10への供給流は、典型的な酸化触媒成分(例えば、Co、Mn、Br)を含有するが、生成物回収からリサイクルされる母液、ライン11中の触媒濃度と比較して約3〜5倍希釈されている。続いて、溶媒が蒸発し、第2の反応区域20の塔頂で除去される時、およびその場合、触媒濃度をより慣用的な触媒濃度レベルまで上昇させる。第1の反応区域中の全触媒金属濃度は、典型的には、150〜1,000ppm w/wの範囲であり、第2の反応区域中の触媒金属濃度は、典型的には、500〜3,000ppm w/wの範囲にある。CoおよびMn金属触媒系を使用する場合、第1の反応区域中の全触媒金属濃度は、良好な触媒選択性および活性が得られるように、好ましくは、約250ppm w/wより大きくなるように制御されなければならない。
【0028】
酸化反応は、非常に発熱性である。酸素取込および溶媒比に応じて、且つ反応を冷却する手段を使用しない場合、反応熱は、第1の反応媒体の温度を、第2の反応器の操作温度より高いより値まで、および/又は210℃より高温まで上昇させることがある。溶媒および前駆物質の劣化(即ち、燃焼)を最小限にし、第2の反応区域に入り反応媒体の圧力が低下する時、溶媒のフラッシュ蒸発が起こらないようにするため、第1の反応器の出口温度が比較的低いことが望ましい。従って、第1の反応区域には冷却コイル18があり、又は、反応器(および反応媒体)から熱を取り除く、他の幾つかの内部、又は外部手段を使用して、反応媒体の出口温度を210℃より低温に、好ましくは第2の反応器の操作温度より低温に制御してもよい。低温スポットが形成され、テレフタル酸(TA)の局部的析出が起きないように、冷却材の温度が約120℃以上であることが重要である。
【0029】
第1の反応区域への酸素の供給量を予め決定された範囲内に維持し、出口温度、触媒濃度および反応媒体の滞留時間を制御すると、反応媒体内での酸素の取込を、パラキシレンをTAに完全に転換するのに必要な酸素の50%未満の値に制限することができる。従って、本発明によれば、パラキシレンは、第1の反応器15で、主に、p−トルアルデヒド、p−トルイル酸および4−CBAなどのTA中間体に転換される。記載されるプロセス条件下で、効果的な出口温度制御を行うと、第1の反応器では固体のTAを全く生成しないであろう。
【0030】
第1の反応器15から流出する反応媒体は、ライン19を介して第2の反応器、即ち、図示のように、慣用的な連続撹拌槽型反応器とすることができる酸化帯域20に供給される。同時に、反応媒体の圧力を1,200〜2,000kPaの範囲の値に低下させる。前述のように、圧力低下は、反応器20の周囲に位置決めされる、1つ又は複数の圧力低下バルブ、又はノズル21に反応媒体を通すことにより簡便に達成できるが、ここで反応媒体は、反応器の液体ラインより下の撹拌機の回転翼領域に注入することにより迅速に分散される。反応器20内のプロセス条件、即ち、温度、圧力、触媒濃度、および滞留時間は、通常の範囲内にあるが、酸化強度(oxidation intensity)を低下させるため、酸素取込は低減される。
【0031】
第1の反応器への酸素供給源が、窒素又は別の不活性なキャリアーガスを含む場合、第1の反応器15からの使用済みの、又は過剰分の空気、ライン22、は新しく供給される空気又は酸素含有気体、ライン22aと共に混合され、その結果得られる混合供給気流は、任意の簡便な手段で、第2の反応器20の反応媒体に導入され、迅速に分散される。或いはまた、第1の反応器15からの使用済みの、又は過剰分の空気は、点線22bで示されるように、直接、凝縮器24に供給され、専ら、全く新しい空気又は酸素含有気体を第2の反応器20に供給することができる。
【0032】
TAは、析出して反応器20内にスラリーを形成し、慣用的な方法を使用して、ライン23を介してそれを反応器系から回収することができる。反応器20からの反応器塔頂蒸気は、必然的に幾らかの酢酸と水を含有するが、凝縮器24で凝縮され、凝縮物のほとんどは、ライン12を介して第1の反応器15への供給流の補充のために戻される、即ち、リサイクルされる。酢酸および水の凝縮流(いわゆる、水のくみ出し)の一部は、溶媒脱水系に分流され、反応水を除去する。図示されていないが、任意に、凝縮物の一部は、還流スリンガー(reflux slinger)を介して反応器20へ、反応器のヘッドスペースへ、および/又は別々の供給ラインを介して反応区域に、又は存在する供給流、ライン19と混合することにより戻されてもよい。
【0033】
図2は、本発明の好ましい実施形態の簡略化した概略図である。本発明の第1の反応区域、即ち、第1の反応器30は、プラグ流れ反応器である。「プラグ流れ反応器」の用語は、全体的に長い、又は管状の反応区域を定義するために、本明細書で使用されるが、この中では、反応物が管又は導管を通って流れる時、反応物の迅速な且つ完全な放射状の混合が起こる。しかし、本発明は、プラグ流れ反応区域に近似した任意の反応器形態を包含するものとする。
【0034】
図1と関連して前述されるように、供給流10は、(i)ライン11を介してリサイクルされる溶媒、リサイクルされる母液および触媒、(ii)ライン12を介する第2の反応器凝縮物、および(iii)ライン13を介する補充用の新しい酢酸、を含む混合供給流である。図示されていないが、任意に、第1の反応区域中の触媒濃度の制御は、触媒を含有する母液、ライン11、の幾らかを直接、第2の反応器20にバイパスさせることにより達成できる。この実施形態で酸素供給、ライン17aは、本質的に純粋な気体酸素である。
【0035】
混合供給流の温度は、補充流の温度によって変わり、一般に130℃〜160℃の範囲である。約140℃の範囲の温度が、酸化反応を開始するのに好適であることが分かった。
【0036】
混合供給原料10の圧力は、任意の好適なポンプ手段14によって、少なくとも2,000kPa、一般には2,000kPaを超過する範囲の値まで上昇される。ライン17aを介して導入される気体酸素が全て、確実に、図示のように第1の反応器30の前の供給流に容易に溶解されるように、圧力が選択される。次いで、酸素が溶解した混合供給流は、ライン31を介して供給されるパラキシレンと共に、プラグ流れ反応器30に同時に且つ連続的に供給され、反応が開始される。パラキシレンは、任意に、酢酸溶媒と予備混合され、混合物はライン31を介して供給されてもよい。任意に、前述のように、パラキシレン供給原料31の一部は、反応器30をバイパスし、直接、第2の反応器20に供給されてもよい。パラキシレン供給物31の一部が第2の反応器20に直接供給される場合、その結果得られる、第1の反応器の反応媒体中の溶媒:パラキシレンの質量比は、第1の反応器をバイパスするパラキシレン供給物の一部に対応して、上方に調整されることになり、従って、その結果得られる質量比は、80:1の範囲の値〜100:1の範囲の値に達してもよく、これより高くてもよい。
【0037】
分子状酸素は、任意の簡便なインライン混合装置33を使用して混合供給流に溶解され、混合供給流中の溶解酸素濃度は最大3.0% w/wに達する。混合装置33は、供給流に酸素を直接放出するように配置されるインラインノズルとすることができる。インラインのスタティックミキサー(図示せず)は、混合を容易にするため、第1の反応器30の上流に位置決めすることもできる。
【0038】
本発明によれば、酸素の導入を工程的に実施する、即ち、第1の反応区域30の長さに沿って、複数の位置で酸素を導入することも可能である。酸素注入を工程的に実施することにより、局部的な最大酸素濃度が低下し、このため反応器の操作圧力を低下させることができる。
【0039】
実際には、供給流10は、パラキシレンと同時に且つ連続的にプラグ流れ反応器30に供給され、それにより反応媒体を形成するが、その結果得られる溶媒:パラキシレンの比は、少なくとも約10:1であるが、溶媒:パラキシレンの比は、25:1と高くすることができるか、又はこれより高くすることができる。好ましい実施形態では、溶媒:パラキシレンの比は、10〜20:1の範囲である。
【0040】
プラグ流れ反応区域30内の反応媒体の滞留時間は、比較的短く、即ち、6分未満である。
【0041】
図2に示される反応器30は、シェルアンドチューブ型設計である。反応媒体がチューブを通って流れるのと同時に、冷却材、例えば、加圧水(PW)が、シェル側に導入され、そこで沸騰し蒸気として除去される。水系の不純物/残留物の蓄積を制御するため、水パージ(ボイラーのブローダウン、BB)を少し行う。
【0042】
反応媒体が第1の反応器30から流出する時、反応媒体の温度は、生成される蒸気の圧力、および従って温度を制御することにより、約210℃より低温に維持される。プロセスパラメータを本発明に従って記載されるように制御すると、第1の反応区域の反応媒体内での酸素の取込を、パラキシレンをTAに完全に転換するのに必要な酸素の50%未満の値に制限することができる。従って、パラキシレンは、第1の反応器30中で、主に、p−トルアルデヒド、p−トルイル酸および4−CBAなどのTA中間体に転換される。記載されるプロセス条件下で、反応媒体が第1の反応器30から流出する時、反応媒体の効果的な温度制御を行うと、第1の反応器ではTAを全く生成しないであろう。
【0043】
シェルアンドチューブ型設計が図2に示されるが、反応器30は、任意な熱除去および任意な複数の酸素注入を有する、任意の好適な反応器設計とすることができる。例えば、反応器は、各チューブ流路の上流で反応媒体に酸素を注入する、複数のチューブ流路を有することができる。或いはまた、例えば、ポンプ式循環ループ型反応器などの逆混合反応器を使用することができ、ループへの酸素の注入、およびループからの熱の除去は図3に表す通りである。反応器は、一連の冷却又は非冷却容器を備えることができ、任意に、各容器の上流に酸素を注入する。
【0044】
プラグ流れの第1の反応器30から流出する反応媒体は、図1に示されるプロセス実施形態と関連して前述されるように、ライン19を介して第2の反応器、即ち、酸化帯域20に供給されるが、これは、図示されるように、慣用的な連続撹拌槽型反応器とすることができる。同時に、反応媒体の圧力を1,200kPa〜2,000kPaの範囲の値に低下させる。反応器20の周囲に位置決めされる、1つ又は複数の圧力低下バルブ、又はノズル21に反応媒体を通すことにより圧力低下を簡便に達成できるが、そこで反応媒体は、反応器の液体ラインより下の撹拌機の回転翼領域に注入されることにより迅速に分散される。反応器20内のプロセス条件、即ち、温度、圧力、触媒濃度、および滞留時間は、通常の範囲内にあるが、酸化強度を低下させるため、酸素取込は低減される。
【0045】
新しく供給される空気又は酸素含有気体、ライン22aは、任意の簡便な手段で、第2の反応器20の反応媒体に導入され、迅速に分散される。
【0046】
TAは、析出して反応器20内にスラリーを形成し、それを慣用的な方法を使用しライン23を介して反応器系から回収することができる。反応器20からの塔頂蒸気は、必然的に幾らかの酢酸と水を含有するが、凝縮器24で凝縮され、凝縮物のほとんどは、ライン12を介して、第1の反応器30への供給流の補充のために戻される、即ち、リサイクルされる。酢酸および水の凝縮物流(いわゆる、水の抜き取り)の一部は、溶媒脱水系に分流され、反応水を除去する。図示されていないが、任意に、その凝縮物の一部は、還流スリンガーを介して反応器20へ、反応器のヘッドスペースへ、および/又は別々の供給ラインを介して反応区域に、又は存在する供給流、ライン19と混合することにより戻されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】一実施形態による、本発明のプロセスの簡略化した概略図である。
【図2】好ましい実施形態による、本発明のプロセスの簡略化した概略図である。
【図3】逆混合機が図示される、図2に示されるプロセス図の代替の簡略化した概略図である。
【0001】
本発明は、好適な溶媒中で対応する前駆物質を触媒で液相酸化することにより、カルボン酸又はそれらのエステルを製造する改善された方法に関する。更に特定的には、本発明は、パラキシレンを触媒で液相酸化してテレフタル酸を製造する改善された方法であり、温度および酸素の取込が制御され、生成するテレフタル酸が全て溶液中に残存する第1の反応区域に反応物を、高圧で供給し、次いで、結果として得られる反応媒体を第2の反応区域に供給し、酸化反応を完了させる連続的な工程を含む。
【背景技術】
【0002】
実際に、全てのテレフタル酸は、商業的規模で、パラキシレンを触媒で液相空気酸化することにより製造される。商業的方法では、溶媒として酢酸を、触媒として多価の重金属又は金属を使用する。コバルトおよびマンガンは、最も広範に使用される重金属触媒であり、この方法では、臭素は再生可能なフリーラジカル源として使用される。
【0003】
酢酸、空気(分子状酸素)、パラキシレンおよび触媒は、175℃〜225℃、および1000〜3000kPa(即ち、10〜30atm)に維持される酸化反応器に連続的に供給される。供給原料の酢酸:パラキシレンの比は、典型的には、5:1未満である。パラキシレンをテレフタル酸に完全に転換するため、化学量論的必要量を超過する量で空気を添加し、着色物質などの望ましくない副生成物の生成を最小限にする。酸化反応は発熱性であり、酢酸溶媒を蒸発させることにより熱を取り除く。対応する蒸気は凝縮され、凝縮物のほとんどは反応器に還流され、凝縮物の幾らかは、反応器の水の濃度を制御するため、抜き取られる(1モルのパラキシレンが反応すると2モルの水が生成する)。滞留時間は、プロセスによって変わるが、典型的には30分〜2時間である。例えば、温度、触媒濃度、および滞留時間などの酸化反応器操作条件に応じて、溶媒および前駆物質の顕著な劣化が起きることがあり、そのためプロセスの操作費用が増大することがある。
【0004】
酸化反応器からの排出液、即ち、反応生成物は、粗テレフタル酸(TA)結晶のスラリーであり、これは、ろ過してスラリーから回収され、洗浄され、乾燥され、運搬されて貯蔵される。その後、それらは別々の精製工程、又は直接、重合プロセスに供給される。粗TA中の主な不純物は、パラキシレンが不完全に酸化された、4−カルボキシベンゾアルデヒド(4−CBA)であるが、p−トルアルデヒドおよびp−トルイル酸も、望ましくない着色物質と共に存在することがある。以下に更に詳細に記載されるように、本発明に従って酸化反応を実施することにより、最終TA生成物中の不純物の生成を実質的に低減し、溶媒および前駆物質の劣化を効果的に制御することができる。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本出願は、共に現在係属中の2000年1月12日に出願された米国特許出願第09/481,811号、および2001年1月10日に出願された米国特許出願第09/757,458号の利益を主張する。
【0006】
本発明は、パラキシレンを触媒で液相酸化してテレフタル酸を製造する改善された方法であり、好適な溶媒を含む反応物を、温度および酸素の取込が制御され、生成するテレフタル酸が全て溶液中に残存する第1の反応区域に、高圧で供給し、次いで結果として得られる反応媒体を第2の反応区域に供給する連続的な工程を含む。この方法は:
(a)少なくとも約2,000kPa〜最大10,000kPaの範囲、又はそれより高圧で、溶媒および酸化触媒を含む供給流を形成する工程と、
(b)(1)供給流、(2)パラキシレン、および(3)酸素供給、を第1の反応区域に連続的且つ同時に供給し、溶媒:パラキシレンの質量比が10〜25:1の範囲である反応媒体を形成する工程と、
(c)第1の反応区域の反応媒体内での酸素の取込を、パラキシレンをテレフタル酸に完全に転換するのに必要な酸素の50%未満の値に制限する工程と、
(d)反応媒体の圧力を1,200kPaから2,000kPaの範囲の値に低下させるのと同時に、反応媒体を第2の反応区域に供給する工程と、
を含む。
【0007】
結果として生じるテレフタル酸を、第2の反応区域から流出する反応媒体から、任意の簡便な手段で回収することができる。
【0008】
本発明は、パラキシレンをテレフタル酸に転換する改善された酸化系に関して、本明細書に記載されるが、本発明は、好適な溶媒中で、対応する前駆物質を触媒で液相酸化して、ある範囲のカルボン酸又はそのエステル、特にフタル酸又はそのエステルを製造するのに応用可能であることが認識されるであろう。本発明は、
(1)少なくとも約2,000kPaの高圧で、溶媒および酸化触媒を含む供給流を形成した後、供給流、前駆物質、および酸素供給を高圧の第1の反応区域に供給し、溶媒:前駆物質の質量比も比較的高く、即ち、10〜25:1の範囲であるが、経済性および操作性から好ましい比が、10〜20:1である反応媒体を形成する工程と、
(2)第1の反応区域から、酸化反応が完了する第2の反応区域へ反応媒体を供給する工程と、
を含む、少なくとも2工程、又は帯域で、酸化反応を実施することにより、前駆物質の対応するカルボン酸への転換が実質的に改善され得るという発見にある。
【0009】
溶媒:前駆物質の質量比を記載されるように維持することに加えて、前駆物質に応じて1つ、2つ、3つ、又はそれより多くの酸基を有し得る、対応するカルボン酸又はエステルに、前駆物質を完全に転換するのに必要な酸素の50%未満の値まで、第1の反応区域での酸素の取込を制限する。第1の反応区域での酸素取込は、以下の方法、即ち:
(i)酸素供給(即ち、酸素濃度)を予め決定された範囲内に維持する方法と、
(ii)触媒濃度を予め決定された範囲内に維持する方法と、
(iii)第1の反応区域内での滞留時間(反応器の液体容量を反応器への原料供給速度で除したものと定義される)を約6分未満まで、好ましくは4分未満までに制限する方法と、
(iv)任意に、反応区域から熱を取り除き、反応媒体が第1の反応区域から流出する時の反応媒体の温度を約210℃未満の値に維持する方法、
のうち、1つ以上により制御される。
【0010】
反応媒体を第2の反応器に供給するのと同時に、反応媒体の圧力を1,200kPa〜2,000kPaの範囲の値まで低下させる。生じるカルボン酸を、通常は酸の結晶のスラリーである最終反応媒体から、慣用的な方法で回収することができる。
【0011】
本発明の好適な実施形態によれば、酸素は、溶媒および酸化触媒を含む供給流に直接、溶解され、酸素化された供給流は、次いで、プラグ流れ反応区域である第1の酸化反応区域に、前駆物質と共に連続的且つ同時に供給される。第1の反応区域に入るとすぐ、前駆物質、例えば、パラキシレンは、酸素化された溶媒と完全に混合され、反応を開始する。酸素供給、触媒濃度、第1の反応区域中の滞留時間および/又は温度を制御することにより、反応媒体内の酸素の取込を、前駆物質を対応するカルボン酸に完全に転換するのに必要な酸素の50%未満の値に制御する、即ち、制限することができる。次いで、反応媒体は前述のように、第2の、より慣用的な反応器に供給される。
【発明の効果】
【0012】
本発明の方法は、酢酸および水を含む溶媒中で、パラキシレンを触媒で液相酸化することによりテレフタル酸を製造するのに、特に応用可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明は、酢酸溶媒の存在下でパラキシレンの液相触媒酸化を実施する場合、商業的規模での酸化反応を、第1の高圧反応区域で、続いて、第2の、より慣用的な反応区域で効果的に、段階的に実施するため、プロセス効率および生成物の品質がかなり改善される、という発見にある。
【0014】
このプロセスの第1の反応区域は、以下の一実施形態で更に詳細に記載されるように、溶媒:前駆物質の質量比が比較的高く、10〜25:1の範囲、又はそれより高いこと、および、圧力が比較的高く、例えば、少なくとも2,000kPa〜最大10,000kPaの範囲、又はそれより高いことにより特徴付けられる。溶媒:前駆物質の質量比は、よりずっと高いものを使用してもよく、例えば、30:1までの、又はそれよりずっと高いものであってもよいが、パラキシレンが、専ら、第1の反応区域を通って、又は介してプロセスに供給される場合、第1の反応区域の溶媒:前駆物質の質量比が10〜20:1の範囲である時、プロセス全体で最良の結果が観測された。任意に、第1の反応区域を冷却し、反応媒体が第1の反応区域から流出する時の反応媒体の温度を約210℃未満の値に制御する。温度、触媒濃度、反応器内の滞留時間の制御および/又は第1の反応区域への酸素供給を予め決定された範囲内に維持することにより、反応媒体内の酸素の取込を、パラキシレンをテレフタル酸に完全に転換するのに必要な酸素の50%未満の値に簡便に制限することができる。
【0015】
例えば、第1の反応区域内に内部冷却コイル、又は他の冷却装置を設置することにより、又は冷却ジャケットを使用して反応装置を取囲むことにより、又は反応器から外部に位置する熱交換器に反応媒体を循環させることにより、温度制御を確立することができる。
【0016】
触媒制御は、例えば、触媒含有母液の幾らかが、第1の反応区域をバイパスし、直接、第2の反応区域に送られることにより確立され得る。
【0017】
第1の反応区域のどの冷却表面にも固体のTAが析出しないことが重要である。TA生成は、酸素取込を制限することによって制限され、TA析出は、反応媒体内で、高い溶媒:前駆物質比を維持することにより、また適切な冷却材(例えば、沸騰水)、および反応媒体内のどの位置にも低温スポットが形成されないようにする冷却手段を選択することによっても防止される。
【0018】
反応媒体が、第1の反応区域から流出し、より慣用的な酸化反応器に供給される時、同時に反応媒体の圧力を低下させる。この反応器は、典型的には、例えば、撹拌槽型反応器、又は気泡塔反応器とすることができるであろう。圧力低下は、反応媒体を、反応器の周囲に位置決めされる1つ又は複数の圧力低下バルブに通すことにより、簡便に達成され得る。反応媒体が第2の反応器に入ると迅速に分散される場合に、最良の結果が得られる。迅速な分散は、パラキシレン含有の供給原料を慣用的な反応器に分散させる、確立された方法を使用することによって達成できる。撹拌槽型反応器では、例えば、これは、撹拌機の回転翼からの放出物に近い液体ラインより下で反応器に反応媒体を注入することを含む。反応媒体の迅速な分散は、気泡塔反応器では、供給される空気の近くに反応媒体を注入することによって達成できる。
【0019】
ここで、図面を参照すると、図1は、一実施形態による本発明のプロセスの簡略化した概略図である。本発明は、ある範囲のカルボン酸、又はそれらのエステル、およびこれらの混合物の製造に応用可能であるが、前述のように、この方法をテレフタル酸の製造に関するものとして記載することにする。
【0020】
このプロセスは、最初に、溶媒、即ち、酢酸および水、並びに酸化触媒を含む供給流10を形成することにより実施される。実際は、供給流は、(i)リサイクルされる溶媒、リサイクルされる母液および触媒、ライン11、(ii)第2の反応器からの反応器凝縮物、ライン12、(iii)補充用の新しい酢酸、ライン13、を含む混合物を含むであろう。混合供給流は、典型的な触媒成分(例えば、Co、Mn、Br)を、単一の慣用的な酸化反応器を使用する場合に通常存在するものより、一般に希釈された濃度で含有するであろう。図示されないが、任意に、第1の反応区域の触媒濃度の制御は、触媒を含有する母液、ライン11の幾らかを、直接、第2の反応器20にバイパスさせることにより達成できる。
【0021】
混合供給流の温度は、供給流を形成する様々な成分の温度を基にして、一般に、130℃〜160℃の範囲である。しかし、供給流の温度は重要ではない。
【0022】
供給流10の圧力は、好適なポンプ14を介して少なくとも約2,000kPaの、しかし一般に2,000kPaを越える値まで上昇され、供給流は、ライン16を介したパラキシレン、およびライン17を介した酸素供給源と共に、第1の撹拌槽型反応器15に連続的且つ同時に導入される。
【0023】
ライン17を介して酸素供給は、空気、酸素富化空気、例えば二酸化炭素などの不活性ガスと混合された酸素、又は本質的に純粋な酸素とすることができる。酸素供給源が窒素又は別の不活性なキャリアガスを含む場合、第1の反応区域中の冷却の程度、およびその操作圧力は、第1の反応区域中に存在する蒸気が、燃料希薄となる、即ち、蒸気の炭化水素含量が爆発下限(LET)未満となるように選択されることが好ましい。本質的に純粋な酸素が、酸素供給源として使用される場合、第1の反応区域中の冷却の程度、およびその操作圧力は、第1の反応区域に蒸気相が存在しないように選択されることが好ましい。図1には示されていないが、任意に、供給ポンプの下流に位置する混合装置を介して供給原料10に直接、酸素を幾らか予備溶解させることができる。
【0024】
パラキシレン供給原料16を任意に酢酸溶媒と予備混合し、供給ポンプ14の上流又は下流のいずれかで系に導入してもよい。図示されていないが、任意に、パラキシレン供給物16の一部は、反応器15をバイパスし、第2の反応器20に直接供給されてもよい。パラキシレンを全く第2の反応区域にバイパスさせずに、第1の反応器中で生じる反応媒体は、酢酸:パラキシレンの比が10〜25:1の範囲である。この実施形態では、酢酸:パラキシレンの質量比が10〜20:1の時に、最良の結果が観測された。
【0025】
供給原料のパレキシレン、即ち、図1のライン16、並びに、図2および図3のライン31の一部は、第1の反応器をバイパスするように配置され、第2の反応器20に直接供給される場合は、その結果得られる、第1の反応器の反応媒体中の溶媒:パラキシレン質量比を、第1の反応器をバイパスするパラキシレンの一部に対応して上方に調整することになり、その結果得られる質量比は最大100:1までの範囲の値に達してもよい。パラキシレン供給物、ライン16は、第1の反応器に入ると迅速に分散されなければならない。これは、慣用的な反応器中にパラキシレン含有の供給原料を迅速に分散させる、確立された任意の方法を使用して達成できる。図1に表わされる本発明の実施形態に示されるように、撹拌槽型反応器15中では、撹拌機の回転翼からの放出物の近くに供給原料を注入することを含む。撹拌槽型反応器は図1に示されるが、満足できる結果が得られれば、他の慣用的な酸化反応器の形態を使用してもよい。
【0026】
このプロセスは、酸化触媒系の存在下で実施されるが、酸化触媒系は均一であっても不均一であってもよい。均一な触媒が通常は使用され、例えば、コバルト、マンガン、および/又はジルコニウム化合物などの1種類以上の重金属化合物から選択される。更に、触媒は、通常、臭素などの酸化促進剤も含む。触媒金属および酸化促進剤は、プロセス中ずっと、主として溶液中に残存し、生成物回収後に回収され、補充用の新しい触媒と共に溶液としてリサイクルされる。
【0027】
第1の反応区域、ライン10への供給流は、典型的な酸化触媒成分(例えば、Co、Mn、Br)を含有するが、生成物回収からリサイクルされる母液、ライン11中の触媒濃度と比較して約3〜5倍希釈されている。続いて、溶媒が蒸発し、第2の反応区域20の塔頂で除去される時、およびその場合、触媒濃度をより慣用的な触媒濃度レベルまで上昇させる。第1の反応区域中の全触媒金属濃度は、典型的には、150〜1,000ppm w/wの範囲であり、第2の反応区域中の触媒金属濃度は、典型的には、500〜3,000ppm w/wの範囲にある。CoおよびMn金属触媒系を使用する場合、第1の反応区域中の全触媒金属濃度は、良好な触媒選択性および活性が得られるように、好ましくは、約250ppm w/wより大きくなるように制御されなければならない。
【0028】
酸化反応は、非常に発熱性である。酸素取込および溶媒比に応じて、且つ反応を冷却する手段を使用しない場合、反応熱は、第1の反応媒体の温度を、第2の反応器の操作温度より高いより値まで、および/又は210℃より高温まで上昇させることがある。溶媒および前駆物質の劣化(即ち、燃焼)を最小限にし、第2の反応区域に入り反応媒体の圧力が低下する時、溶媒のフラッシュ蒸発が起こらないようにするため、第1の反応器の出口温度が比較的低いことが望ましい。従って、第1の反応区域には冷却コイル18があり、又は、反応器(および反応媒体)から熱を取り除く、他の幾つかの内部、又は外部手段を使用して、反応媒体の出口温度を210℃より低温に、好ましくは第2の反応器の操作温度より低温に制御してもよい。低温スポットが形成され、テレフタル酸(TA)の局部的析出が起きないように、冷却材の温度が約120℃以上であることが重要である。
【0029】
第1の反応区域への酸素の供給量を予め決定された範囲内に維持し、出口温度、触媒濃度および反応媒体の滞留時間を制御すると、反応媒体内での酸素の取込を、パラキシレンをTAに完全に転換するのに必要な酸素の50%未満の値に制限することができる。従って、本発明によれば、パラキシレンは、第1の反応器15で、主に、p−トルアルデヒド、p−トルイル酸および4−CBAなどのTA中間体に転換される。記載されるプロセス条件下で、効果的な出口温度制御を行うと、第1の反応器では固体のTAを全く生成しないであろう。
【0030】
第1の反応器15から流出する反応媒体は、ライン19を介して第2の反応器、即ち、図示のように、慣用的な連続撹拌槽型反応器とすることができる酸化帯域20に供給される。同時に、反応媒体の圧力を1,200〜2,000kPaの範囲の値に低下させる。前述のように、圧力低下は、反応器20の周囲に位置決めされる、1つ又は複数の圧力低下バルブ、又はノズル21に反応媒体を通すことにより簡便に達成できるが、ここで反応媒体は、反応器の液体ラインより下の撹拌機の回転翼領域に注入することにより迅速に分散される。反応器20内のプロセス条件、即ち、温度、圧力、触媒濃度、および滞留時間は、通常の範囲内にあるが、酸化強度(oxidation intensity)を低下させるため、酸素取込は低減される。
【0031】
第1の反応器への酸素供給源が、窒素又は別の不活性なキャリアーガスを含む場合、第1の反応器15からの使用済みの、又は過剰分の空気、ライン22、は新しく供給される空気又は酸素含有気体、ライン22aと共に混合され、その結果得られる混合供給気流は、任意の簡便な手段で、第2の反応器20の反応媒体に導入され、迅速に分散される。或いはまた、第1の反応器15からの使用済みの、又は過剰分の空気は、点線22bで示されるように、直接、凝縮器24に供給され、専ら、全く新しい空気又は酸素含有気体を第2の反応器20に供給することができる。
【0032】
TAは、析出して反応器20内にスラリーを形成し、慣用的な方法を使用して、ライン23を介してそれを反応器系から回収することができる。反応器20からの反応器塔頂蒸気は、必然的に幾らかの酢酸と水を含有するが、凝縮器24で凝縮され、凝縮物のほとんどは、ライン12を介して第1の反応器15への供給流の補充のために戻される、即ち、リサイクルされる。酢酸および水の凝縮流(いわゆる、水のくみ出し)の一部は、溶媒脱水系に分流され、反応水を除去する。図示されていないが、任意に、凝縮物の一部は、還流スリンガー(reflux slinger)を介して反応器20へ、反応器のヘッドスペースへ、および/又は別々の供給ラインを介して反応区域に、又は存在する供給流、ライン19と混合することにより戻されてもよい。
【0033】
図2は、本発明の好ましい実施形態の簡略化した概略図である。本発明の第1の反応区域、即ち、第1の反応器30は、プラグ流れ反応器である。「プラグ流れ反応器」の用語は、全体的に長い、又は管状の反応区域を定義するために、本明細書で使用されるが、この中では、反応物が管又は導管を通って流れる時、反応物の迅速な且つ完全な放射状の混合が起こる。しかし、本発明は、プラグ流れ反応区域に近似した任意の反応器形態を包含するものとする。
【0034】
図1と関連して前述されるように、供給流10は、(i)ライン11を介してリサイクルされる溶媒、リサイクルされる母液および触媒、(ii)ライン12を介する第2の反応器凝縮物、および(iii)ライン13を介する補充用の新しい酢酸、を含む混合供給流である。図示されていないが、任意に、第1の反応区域中の触媒濃度の制御は、触媒を含有する母液、ライン11、の幾らかを直接、第2の反応器20にバイパスさせることにより達成できる。この実施形態で酸素供給、ライン17aは、本質的に純粋な気体酸素である。
【0035】
混合供給流の温度は、補充流の温度によって変わり、一般に130℃〜160℃の範囲である。約140℃の範囲の温度が、酸化反応を開始するのに好適であることが分かった。
【0036】
混合供給原料10の圧力は、任意の好適なポンプ手段14によって、少なくとも2,000kPa、一般には2,000kPaを超過する範囲の値まで上昇される。ライン17aを介して導入される気体酸素が全て、確実に、図示のように第1の反応器30の前の供給流に容易に溶解されるように、圧力が選択される。次いで、酸素が溶解した混合供給流は、ライン31を介して供給されるパラキシレンと共に、プラグ流れ反応器30に同時に且つ連続的に供給され、反応が開始される。パラキシレンは、任意に、酢酸溶媒と予備混合され、混合物はライン31を介して供給されてもよい。任意に、前述のように、パラキシレン供給原料31の一部は、反応器30をバイパスし、直接、第2の反応器20に供給されてもよい。パラキシレン供給物31の一部が第2の反応器20に直接供給される場合、その結果得られる、第1の反応器の反応媒体中の溶媒:パラキシレンの質量比は、第1の反応器をバイパスするパラキシレン供給物の一部に対応して、上方に調整されることになり、従って、その結果得られる質量比は、80:1の範囲の値〜100:1の範囲の値に達してもよく、これより高くてもよい。
【0037】
分子状酸素は、任意の簡便なインライン混合装置33を使用して混合供給流に溶解され、混合供給流中の溶解酸素濃度は最大3.0% w/wに達する。混合装置33は、供給流に酸素を直接放出するように配置されるインラインノズルとすることができる。インラインのスタティックミキサー(図示せず)は、混合を容易にするため、第1の反応器30の上流に位置決めすることもできる。
【0038】
本発明によれば、酸素の導入を工程的に実施する、即ち、第1の反応区域30の長さに沿って、複数の位置で酸素を導入することも可能である。酸素注入を工程的に実施することにより、局部的な最大酸素濃度が低下し、このため反応器の操作圧力を低下させることができる。
【0039】
実際には、供給流10は、パラキシレンと同時に且つ連続的にプラグ流れ反応器30に供給され、それにより反応媒体を形成するが、その結果得られる溶媒:パラキシレンの比は、少なくとも約10:1であるが、溶媒:パラキシレンの比は、25:1と高くすることができるか、又はこれより高くすることができる。好ましい実施形態では、溶媒:パラキシレンの比は、10〜20:1の範囲である。
【0040】
プラグ流れ反応区域30内の反応媒体の滞留時間は、比較的短く、即ち、6分未満である。
【0041】
図2に示される反応器30は、シェルアンドチューブ型設計である。反応媒体がチューブを通って流れるのと同時に、冷却材、例えば、加圧水(PW)が、シェル側に導入され、そこで沸騰し蒸気として除去される。水系の不純物/残留物の蓄積を制御するため、水パージ(ボイラーのブローダウン、BB)を少し行う。
【0042】
反応媒体が第1の反応器30から流出する時、反応媒体の温度は、生成される蒸気の圧力、および従って温度を制御することにより、約210℃より低温に維持される。プロセスパラメータを本発明に従って記載されるように制御すると、第1の反応区域の反応媒体内での酸素の取込を、パラキシレンをTAに完全に転換するのに必要な酸素の50%未満の値に制限することができる。従って、パラキシレンは、第1の反応器30中で、主に、p−トルアルデヒド、p−トルイル酸および4−CBAなどのTA中間体に転換される。記載されるプロセス条件下で、反応媒体が第1の反応器30から流出する時、反応媒体の効果的な温度制御を行うと、第1の反応器ではTAを全く生成しないであろう。
【0043】
シェルアンドチューブ型設計が図2に示されるが、反応器30は、任意な熱除去および任意な複数の酸素注入を有する、任意の好適な反応器設計とすることができる。例えば、反応器は、各チューブ流路の上流で反応媒体に酸素を注入する、複数のチューブ流路を有することができる。或いはまた、例えば、ポンプ式循環ループ型反応器などの逆混合反応器を使用することができ、ループへの酸素の注入、およびループからの熱の除去は図3に表す通りである。反応器は、一連の冷却又は非冷却容器を備えることができ、任意に、各容器の上流に酸素を注入する。
【0044】
プラグ流れの第1の反応器30から流出する反応媒体は、図1に示されるプロセス実施形態と関連して前述されるように、ライン19を介して第2の反応器、即ち、酸化帯域20に供給されるが、これは、図示されるように、慣用的な連続撹拌槽型反応器とすることができる。同時に、反応媒体の圧力を1,200kPa〜2,000kPaの範囲の値に低下させる。反応器20の周囲に位置決めされる、1つ又は複数の圧力低下バルブ、又はノズル21に反応媒体を通すことにより圧力低下を簡便に達成できるが、そこで反応媒体は、反応器の液体ラインより下の撹拌機の回転翼領域に注入されることにより迅速に分散される。反応器20内のプロセス条件、即ち、温度、圧力、触媒濃度、および滞留時間は、通常の範囲内にあるが、酸化強度を低下させるため、酸素取込は低減される。
【0045】
新しく供給される空気又は酸素含有気体、ライン22aは、任意の簡便な手段で、第2の反応器20の反応媒体に導入され、迅速に分散される。
【0046】
TAは、析出して反応器20内にスラリーを形成し、それを慣用的な方法を使用しライン23を介して反応器系から回収することができる。反応器20からの塔頂蒸気は、必然的に幾らかの酢酸と水を含有するが、凝縮器24で凝縮され、凝縮物のほとんどは、ライン12を介して、第1の反応器30への供給流の補充のために戻される、即ち、リサイクルされる。酢酸および水の凝縮物流(いわゆる、水の抜き取り)の一部は、溶媒脱水系に分流され、反応水を除去する。図示されていないが、任意に、その凝縮物の一部は、還流スリンガーを介して反応器20へ、反応器のヘッドスペースへ、および/又は別々の供給ラインを介して反応区域に、又は存在する供給流、ライン19と混合することにより戻されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】一実施形態による、本発明のプロセスの簡略化した概略図である。
【図2】好ましい実施形態による、本発明のプロセスの簡略化した概略図である。
【図3】逆混合機が図示される、図2に示されるプロセス図の代替の簡略化した概略図である。
Claims (16)
- 脂肪族カルボン酸、又は非脂肪族有機酸から選択される溶媒中で、対応する前駆物質を触媒で液相酸化することにより、カルボン酸又はそのエステルを製造する方法であって、前記溶媒が任意に水を含み、
(a)少なくとも約2,000kPaの高圧で、溶媒および酸化触媒を含む供給流を形成する工程と、
(b)(1)前記供給流、(2)前記前駆物質、および(3)酸素供給を第1の反応区域に連続的且つ同時に供給し、溶媒:前駆物質の比が少なくとも10:1の範囲である反応媒体を形成する工程と、
(c)前記第1の反応区域における反応媒体内での酸素の取込を、前記前駆物質を対応するカルボン酸又はそのエステルに完全に転換するのに必要な酸素の50%未満の値に制限する工程と、
(d)反応媒体の圧力を1,200kPa〜2,000kPaの範囲の値に低下させると同時に、反応媒体を第2の反応区域に供給する工程と、
を含む方法。 - 反応媒体の圧力を1,200kPaから2,000kPaの範囲の値に低下させると同時に、反応媒体を第2の反応区域に供給する、請求項1に記載の方法であって、(a)第2の反応区域内で、反応媒体中に存在する溶媒の一部を蒸発させる工程と、(b)反応器塔頂から蒸気を除去する工程と、(c)蒸気を凝縮する工程と、(d)凝縮物の幾らか又は全てを供給流にリサイクルする工程とをさらに含む方法。
- 結果として生じるカルボン酸、又はそのエステルを第2の反応区域から回収する追加の工程を含む、請求項1に記載の方法。
- 結果として生じるカルボン酸、又はそのエステルを第2の反応区域から回収する追加の工程を含む、請求項2に記載の方法。
- 前記カルボン酸がテレフタル酸であり、前記前駆物質がパラキシレンであり、前記溶媒が酢酸である、請求項1に記載の方法。
- 脂肪族カルボン酸、又は非脂肪族有機酸から選択される溶媒中で、対応する前駆物質を触媒で液相酸化することにより、カルボン酸又はそのエステルを製造する方法であって、前記溶媒が任意に水を含み、
(a)2,000〜最大20,000kPaの範囲の高圧で、溶媒および酸化触媒を含む供給流を形成する工程と、
(b)供給流を酸素化する工程と、
(c)(1)酸素化された供給流、および(2)前記前駆物質を連続的且つ同時に第1の反応区域に供給し、溶媒:前駆物質の比が10〜30:1の範囲であり、反応生成物が形成された状態で溶液中に維持される反応媒体を形成する工程と、
(d)前記第1の反応区域における反応媒体内での酸素の取込を、前記前駆物質を対応するカルボン酸又はそのエステルに完全に転換するのに必要な酸素の50%未満の値に制限する工程と、
(e)反応媒体の圧力を1,200kPaから2,000kPaの範囲の値に低下させると同時に、反応媒体を第2の反応区域に供給する工程と、
を含む方法。 - 前記第1の反応区域が、プラグ流れ反応器、又は逆混合反応器である請求項6に記載の方法。
- 反応媒体の圧力を1,200kPaから2,000kPaの範囲の値に低下させると同時に、反応媒体を第2の反応区域に供給する、請求項6に記載の方法であって、(a)第2の反応区域内で、反応媒体中に存在する溶媒の一部を蒸発させる工程と、(b)反応器塔頂から蒸気を除去する工程と、(c)蒸気を凝縮する工程と、(d)凝縮物の幾らか又は全てを前記供給流にリサイクルする工程とを含む方法。
- 反応媒体の圧力を1,200kPaから2,000kPaの範囲の値に低下させると同時に、反応媒体を第2の反応区域に供給する、請求項7に記載の方法であって、(a)第2の反応区域内で、反応媒体中に存在する溶媒の一部を蒸発させる工程と、(b)反応器塔頂から蒸気を除去する工程と、(c)蒸気を凝縮する工程と、(d)凝縮物の幾らか又は全てを前記供給流にリサイクルする工程とを含む方法。
- 結果として生じるカルボン酸又はそのエステルを第2の反応区域から回収する追加の工程を含む、請求項6に記載の方法。
- 結果として生じるカルボン酸又はそのエステルを第2の反応区域から回収する追加の工程を含む、請求項7に記載の方法。
- 結果として生じるカルボン酸又はそのエステルを第2の反応区域から回収する追加の工程を含む、請求項8に記載の方法。
- 結果として生じるカルボン酸又はそのエステルを第2の反応区域から回収する追加の工程を含む、請求項9に記載の方法。
- 前記カルボン酸がテレフタル酸であり、前記前駆物質がパラキシレンであり、前記溶媒が酢酸である、請求項6に記載の方法。
- 酢酸を含む溶媒中で、パラキシレンを触媒で液相酸化する方法であって、
(a)2,000〜20,000kPaの範囲の高圧で、溶媒および酸化触媒を含む供給流を形成する工程と、
(b)前記供給流を酸素化する工程と、
(c)(1)前記酸素化された供給流、および(2)前記パラキシレンを第1のプラグ流れ反応区域に供給し、酢酸:パラキシレンの比が10〜25:1の範囲であり、反応生成物が形成された状態で溶液中に維持される反応媒体を形成する工程と、
(d)前記第1の反応区域における反応媒体内での酸素の取込を、前記パラキシレンをテレフタル酸に完全に転換するのに必要な酸素の50%未満の値に制限する工程と、
(e)反応媒体の圧力を1,200kPaから2,000kPaの範囲の値に低下させると同時に、反応媒体を第2の反応区域に供給し、それによって前記反応媒体中に存在する溶媒の一部を蒸発させる工程と、
(f)反応器塔頂からの蒸気を連続的に除去および凝縮し、結果として生じるテレフタル酸を第2の反応区域から回収すると同時に、その凝縮物の幾らか又は全てを供給流にリサイクルする工程と、
を含む、方法。 - パラキシレン供給物の一部を、前記第1の反応区域から前記第2の反応区域に分流し、これによって前記第1の反応区域中における前記酢酸:パラキシレンの比が、25:1を超過する値まで増大する追加の工程を含む、請求項1、請求項6、又は請求項15に記載の方法。
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