JP2004533264A - バクテリオファージのシグナルペプチドをコードする発現ベクター - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
本発明は、バクテリオファージのシグナルペプチドをコードするヌクレオチド配列、こうした配列を含む発現ベクター、並びに細菌系でポリペプチド、特に抗体を異種発現及び分泌させるためのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願の全体にわたって、著者ごと年度ごとに様々な文献を参照している。これらの文献の完全な引用リストを、本発明の詳細な説明及び実施例の後に提供する。
【0003】
組換えタンパク質の産生は、目的のタンパク質を、それが発現される細胞から搬出することのできる発現系の構築によって、大幅に容易になってきた。宿主細胞から組換え産物を分泌させるために、これらの発現系は、アミノ末端ペプチドの伸展、又は真核及び原核生物のタンパク質の大部分に見られる、細胞質からの搬出用のシグナルペプチドを利用する。多様な起源由来のいくつかのシグナルペプチドの特徴付けにより、それらのシグナルペプチド間での配列相同性はわずかであるが、ある機能特性がそれらに共通することが明らかになった。これらの共通の特徴は、正に帯電したアミノ末端領域、中心の疎水性コア、及び通常はシグナルペプチダーゼ切断部位で終端する、より極性のC末端領域である。
【0004】
こうした発現系で使用するシグナルペプチドが発現宿主に本来備わっているものであることは、極めて一般的である。例えば、その生物の周辺質にポリペプチドを分泌させるために、大腸菌(Escherichia coli)のPhoA、MalB及びOmpAシグナルペプチドが広範に使用されている。しかし、シグナルペプチドには、種間で移動させた場合でも働く能力を有するものもある。例えば、大腸菌周辺質へのヒト成長ホルモンの分泌は、本来備わっているシグナルペプチドを使用した場合により効率的であり(Grayら、1985)、イネのα−アミラーゼは、酵母(Saccharomyces cerevisiae)からそれに本来備わっているシグナル配列を使用して効率的に分泌される(Kumagaiら、1990)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
遺憾ながら、個々のシグナルペプチドの異なる系での有効性は予測できない。このプロセスはしばしば非効率的であり、通常低収率である。さらに、誤って排除あるいは不完全に切断され得るシグナルペプチドのミスプロセシングによって問題が生じることもある。したがって、効率的で一般的な方法で常に分泌を指令できる、すなわち高収率及び/又は正確な切断を実現できるシグナルペプチドが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明者らは、意外にも、分泌プロセスを媒介するのにバクテリオファージのシグナル配列(例えば、バクテリオファージM13の主要コートタンパク質のシグナル配列)を使用すると、原核細胞から高レベルの可溶性ポリペプチド、特に抗体又はその抗原結合フラグメントが得られることを発見した。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
したがって、本発明の第1の態様によれば、抗体鎖、又はその抗原結合フラグメントをコードする第2の核酸と作動的にかつ読み枠を合わせて連結された、バクテリオファージのシグナルペプチド又はその変異体をコードする第1の核酸を含む発現カセットを含む宿主細胞を、その発現カセットから抗体鎖又はその抗原結合フラグメントの発現が得られる条件下で培養することを含む、抗体鎖又はその抗原結合フラグメントを産生させる方法が提供される。
【0008】
抗体は、ジスルフィド結合によって互いに結合している2つの軽鎖及び2つの重鎖ポリペプチドから組み立てられている。したがって、本明細書で使用する「抗体鎖」という用語は、抗体軽鎖ポリペプチド又は抗体重鎖ポリペプチドのどちらかを意味する。
【0009】
抗体鎖に適用される「抗原結合フラグメント」という用語は、本明細書では、抗原と独立的かつ選択的に結合できる、抗体鎖の任意のフラグメント又はドメインとして定義する。本発明の方法によって発現及び分泌され得るこうした抗原結合フラグメントの例には、例えば、VH及びVLフラグメント、並びに例えばscFvなどの単鎖抗体がある。
【0010】
別の態様によれば、本発明の方法を使用して、完全長の重鎖及び軽鎖、又は例えば、Fab、Fab’、F(ab’)2、及びFvフラグメントを含めたフラグメントを含む完全な抗体を産生させることができる。これは、本発明の方法に従って異なる宿主細胞中で抗体軽鎖及び重鎖又はその適切なフラグメントを産生させ、次いでこれらの鎖が発現された後、適切な鎖又はそのフラグメントを互いに結合させて、完全な抗体又は抗体フラグメントを形成させることによって実現することができる。
【0011】
あるいは、完全な抗体又はそのフラグメントは、少なくとも2個の発現カセットを同じ宿主細胞に導入することによって産生させることもできる。それぞれの発現カセットは、バクテリオファージのシグナルペプチド(又はその変異体)をコードする第1の核酸を含む。これは、一方の発現カセット中で抗体重鎖又は適切な重鎖フラグメントをコードし他方の発現カセット中で抗体軽鎖又は適切な軽鎖フラグメントをコードする第2の核酸と作動的にかつ読み枠を合わせて連結されている。したがって、重鎖及び軽鎖又はそのフラグメントが同じ細胞内で同時に発現され、それぞれの分泌がバクテリオファージのシグナルペプチドによって媒介され得る。こうした発現カセットを、1個の核酸分子内に組み込まれた異なる実体として宿主細胞中に導入することができ、あるいは別々の核酸分子に導入することもできる。
【0012】
上記のように産生され得る完全な抗体には、多量体の単一特異性抗体、並びに二重特異性又は多重特異性抗体がある。
【0013】
本発明の任意の態様に従って発現又は分泌される抗体又はその抗原結合フラグメントは、ポリクローナル、あるいは特にモノクローナルでよい。それは、どの免疫グロブリンクラスに属するものでもよく、例えばIgG(例えばIgG1、IgG2、IgG3又はIgG4)、IgE、IgM又はIgA抗体でよい。それは、動物、例えば哺乳動物由来のものでもよく、例えばラット(murine rat)又はヒト抗体あるいはそれら由来の抗原結合フラグメントでもよい。あるいは、抗体又は抗原結合フラグメントは、キメラ、すなわち異なる動物種由来の部分を含むものであってもよい。具体的な例は文献に詳しく記載されており、CDR移植抗体及び抗原結合フラグメントも含まれる。
【0014】
バクテリオファージ由来のどんなシグナルペプチドも本発明で使用できるが、第1の核酸が、バクテリオファージM13の主要コートタンパク質又はその変異体由来のシグナルペプチドをコードすることが好ましい。本明細書で使用する「変異体」という用語は、後述のM13主要コートタンパク質のシグナルペプチドとほぼ同じアミノ酸配列を有し、少なくとも本来備わっているM13シグナルペプチドと同じくらい効率的に機能できるシグナルペプチドを意味する。これには、例えば、シグナルペプチダーゼ認識部位などの特定の特徴を変える又は高めるように改変されたものであり得るM13主要コートタンパク質のシグナルペプチド誘導体も含まれる。「ほぼ同じアミノ酸配列」を有するシグナルペプチドは、M13主要コートタンパク質シグナルのアミノ酸配列との同一性が70%より高いものである。好ましい変異体は、M13主要コートタンパク質由来のシグナルペプチドとの同一性が75%より高く、同一性が80%より高いことがより好ましく、同一性が90%より高いことが最も好ましい。
【0015】
変異体M13主要コートシグナルペプチドの有効性を評価するためには、それらを使用して標準ポリペプチド、例えば、β−ラクタマーゼ又はアルカリホスファターゼの分泌を指令することができる。次いで、以下のパラメーター、すなわち収率、蓄積速度、切断の正確さのいずれかを測定し、同じモデルポリペプチドの分泌を指令するのに使用したときに本来備わっているM13主要コートタンパク質のシグナルペプチドによって得られる結果と比較することができる。これは、本来備わっているM13主要コートタンパク質のシグナルペプチドと少なくとも同じくらい効率的に、あるいはより効率的に機能することのできるシグナルペプチドに適したスクリーンの基礎を提供する。収率及び/又は蓄積速度を推定する方法は、当業者には自明のはずであり、ポリペプチド産物の直接測定を利用でき、あるいはポリペプチドの任意の固有酵素活性を利用することもできる。このような方法の具体例は、本明細書において、好ましい実施形態の詳細な説明により詳細に記載されている。
【0016】
本来備わっているバクテリオファージM13主要コートタンパク質のシグナルペプチドは、23アミノ酸長であり、アミノ酸配列「MKKSLVLKASVAVATLVPMLSFA」を有する。遺伝暗号の縮退により、いくつかのヌクレオチド配列のうちのどれもこの配列をもつシグナルペプチドをコードすることができる。本来備わっているバクテリオファージM13配列を含むこれらの核酸のどれでも、本発明で使用することができる。実際に、バクテリオファージM13主要コートタンパク質のシグナルペプチドのアミノ酸配列ではなくヌクレオチド配列を変えることによって、大腸菌中での可溶性タンパク質の発現及び分泌を最適化することができる。こうした可溶性タンパク質の例には、酵素(アルカリホスファターゼなど)、タンパク質ホルモン又はタンパク質毒、可溶性の輸送タンパク質、構造タンパク質、又は収縮タンパク質、特に抗体がある。
【0017】
したがって、野生型M13バクテリオファージ核酸配列とヌクレオチド配列は異なるが、それがコードするアミノ酸配列は異ならない、M13主要コートタンパク質のシグナルペプチドをコードする核酸は、さらに本発明のさらなる態様を形成し、やはり本明細書に記載の本発明の方法に使用することができる。本発明のこの態様による核酸によってコードされるM13主要コートタンパク質のシグナルペプチドを、所望に応じて使用して、完全長の可溶性タンパク質、あるいはそのフラグメント又はドメインの分泌を指令させることができる。
【0018】
本発明のこの態様による核酸は、コードされるアミノ酸配列が変化していないことを条件として、M13主要コートタンパク質のシグナルペプチドをコードする野生型ヌクレオチド配列と任意の数のヌクレオチド位置で異なってよい。したがって、本発明のこの態様による核酸は、ただ1個の位置だけで配列が異なっているものでもよく、あるいは最大で約31個の位置で(野生型と)配列が異なっていてもよい。こうした核酸は、ヌクレオチド配列が野生型と約18〜25個の位置で異なっていることが好ましい。本発明のこの態様による核酸は、配列が野生型と合計で20、21、22、又は23個のヌクレオチド位置で異なっていることがより好ましい。
【0019】
本発明の様々な態様で使用するM13主要コートタンパク質のシグナルペプチドをコードする好ましい核酸配列の例には、本来備わっているM13ヌクレオチド配列(MCPn)、及び下記の表1に示した新規なヌクレオチド配列MCP1〜MCP9がある。MCPn、MCP1、MCP3、MCP4、又はMCP8のいずれかに相当するヌクレオチド配列の使用が特に好ましい。
【0020】
【表1】
【0021】
少なくとも2個のポリペプチドが細胞から産生及び分泌されることが望まれる場合には、上記の表1に記載の少なくとも2個、すなわちそれぞれのポリペプチドごとに1個のシグナルペプチドコード配列を使用することが好ましい。シグナルペプチドコード配列は同じでよく、又分泌すべきそれぞれのポリペプチドごとに異なっていてもよい。さらに本発明のさらなる態様によれば、シグナルペプチドコード配列のランダムな組合せを含むライブラリが提供される。実施例5に、このようなライブラリをより詳細に記載する。
【0022】
「作動的に連結」という用語は、シグナルペプチドと分泌されるポリペプチドの両方をコードする核酸が、単一のプロモーター/オペレーター領域の制御下にあり、かつ単一メッセージとして転写されることを意味する。したがって、本発明に使用する発現カセットは、その最も単純な形態として、重要なポリペプチドの発現及び分泌を媒介し得る最も小さい遺伝子単位であってよい。発現カセットは一般に、適当なプロモーター/オペレーター領域(例えば、大腸菌で使用するtac又はlac又はT7又はバクテリオファージλプロモーター/オペレーター、哺乳動物細胞で使用するエクジソン応答性プロモーター又はヒトサイトメガロウィルスプロモーター又はSV40プロモーター、酵母菌で使用するGal1又はCup1又はAOX1プロモーター、並びにバキュロウィルスで使用する多角体プロモーターを含む)を5’非翻訳領域(5’UTR)の上流に含む。5’非翻訳領域の後に、シグナルペプチド及び分泌されるポリペプチドをコードする核酸が続く。発現カセットにはさらに、必要に応じて本発明の核酸分子と読み枠を合わせて連結された、又は核酸分子内に含まれる、適切な転写及び翻訳制御配列、例えば、転写促進因子、転写終結配列、mRNA安定化配列、開始及び終止コドン又はリボソーム結合部位を組み込むこともできる。発現カセットが、細胞内でエピソーム形態のままであることが望ましいかもしれない。あるいは、宿主細胞のゲノム内に組み込むこともできる。後者が望ましい場合、ゲノムとの組換えを促進する配列が発現カセットに含まれることになる。したがって、本発明のさらなる態様は、本明細書に記載の核酸もしくは発現カセットを含む、かつ/又は本明細書に記載の方法によるポリペプチドを発現する宿主細胞を提供する。
【0023】
M13主要コートタンパク質のシグナルペプチド又はその変異体をコードする核酸配列は、どんな宿主中でも有用であり得る。例えば、このようなバクテリオファージ由来のシグナル配列は、例えばバキュロウィルスなど他のウィルス系発現系で有用かもしれない。しかし、放線菌(Streptomyces)種、桿菌(Bacillus)種、大腸菌などの原核生物が、好ましい発現宿主である。大腸菌が特に好ましい宿主である。発現宿主が原核生物の場合には、発現カセットのプロモーター/オペレーター領域は、原核生物の宿主内で発現を調節できるものになる。当業者には自明なように、シグナルペプチドを他の(例えば真核生物の)発現系で使用する場合、プロモーター/オペレーター領域が、特異的な宿主内での発現を調節できるはずである。
【0024】
本発明の方法はさらに、分泌されたポリペプチドを回収することを含むことができる。発現宿主がグラム陰性菌の場合、分泌プロセスでは、ポリペプチドは細胞膜周辺腔の所までしか運ばれない。そうであるならば、どんな回収手順でも第1段階は、細胞を(例えば遠心分離によって)回収し、細胞膜周辺腔からポリペプチドを放出することであろう。これは、例えば浸透圧ショック又は他の任意の適当な物理的破壊手段によって、外膜を破壊することによって、あるいは遺伝的に易感染性で「漏出性」の外膜を有する宿主菌株(例えば大腸菌K12のある種の菌株、Atlan&Portarlier、1984;Fognini Lefebvre&Portarlier、1984を参照)を利用することによって達成することができる。外膜を欠く他の発現宿主では、ポリペプチド産物が培地中に直接分泌されることもある。
【0025】
細胞膜周辺腔から放出された、又は培地に分泌されたポリペプチドは、任意の適当な方法を使用してさらに回収及び精製することができる。これには、精製を助けるために、例えば、溶解度の差、例えば溶媒を用いた塩析及び沈殿、又は分子量の差、例えば限外ろ過及びゲル電気泳動、又は電荷の差、例えばイオン交換クロマトグラフィー、又は特異的な親和性、例えばアフィニティークロマトグラフィー、又は疎水性の差、例えば逆相高速液体クロマトグラフィー、又は等電点の差、例えば等電点電気泳動を利用する任意の方法が含まれる。適当な単離手順及びタンパク質精製戦略のさらなる詳細は当業者によく知られており、当技術分野で十分に文献に記載されている。
【0026】
当業者には明らかなように、本明細書で使用する核酸は、どんな標準的な分子生物学及び/又は化学手順を用いて生成することもできる。特に適した技法には、M13主要コートタンパク質のシグナルペプチドをコードする本来備わっている核酸のオリゴヌクレオチド特異的突然変異導入、オリゴヌクレオチド特異的合成技法、及びギャップのあるオリゴヌクレオチドの酵素的切断又は酵素的充填がある。こうした技法は、Sambrook&Fritsch、1989に記載されており、以下に含まれる実施例にも記載されている。
【0027】
さらなる態様では、本発明の核酸又は発現カセットを担体と共に使用することができる。この担体は、宿主細胞への核酸/発現カセットの導入に適したベクター又は他の担体でよい。標準的な分子生物学的技法を用いて、核酸/発現カセットを市販されている任意の適当なベクター(例えば大腸菌で使用するpUC又はpBluescriptシリーズのベクター)中にサブクローニングすることができる。このようなベクターには、プラスミド、ファージミド及びウィルス(バクテリオファージと真核生物ウィルスのどちらも含む)が含まれ得る。本発明は、本発明の核酸及び/又は発現カセットを含むクローニングベクター及び発現ベクターを含む。必要に応じて、このようなベクター又は担体は、本発明による発現カセットを2個以上含むこともできる。例えば、Fab’発現ベクターは、抗体軽鎖をコードする1個の発現カセット及び抗体重鎖をコードする1個の発現カセットを含むことができる(例えば図1Cを参照)。
【0028】
宿主細胞中への核酸又は発現カセットの導入には、どんな利用可能な技法も使用することができる。細菌細胞の場合、適当な技法には、塩化カルシウム形質転換、電気穿孔法又はバクテリオファージを用いた形質移入が含まれ得る。真核細胞の場合、適当な技法には、塩化カルシウム形質転換、DEAEデキストラン法、電気穿孔法、微粒子銃、リポソーム媒介形質移入、あるいはレトロウィルス、アデノウィルス、もしくはワクシニアなど他のウィルスを用いた、又昆虫細胞にはバキュロウィルスを用いた形質導入が含まれ得る。
【0029】
宿主細胞への核酸の導入に続いて、宿主を増殖させるのに適したそれ自体既知の培地(例えば大腸菌用の2xYT又はLBブロス)上で細胞を培養することができる。どんな適当な培地も、通常少なくとも1種の吸収可能な炭水化物、1種の窒素源及び必須ミネラルを含むことになる。炭水化物は通常ラクトース又はグルコースなど単糖の形であり、窒素源には酵母エキス、又はトリプトン、カゼイン、フィトン、ペプトン、牛肉エキスなど他の吸収可能なアミノ酸の供給源が含まれ得る。必須ミネラルは、発現宿主間で異なり得るが、一般に、微量のマンガン塩やマグネシウム塩などの遷移金属塩が含まれ得る。培地は、宿主生物内でベクター又は担体の存在を維持するために、例えば、抗生物質もしくは他の化学物質の添加、又は特定の栄養素の排除によって改変してもよい。
【0030】
増殖条件(例えば増殖培地、温度、時間、並びにプロモーターが誘導性の場合の誘導時間及び誘導化学物質の量)は、使用する個々の発現系により様々であるが、一般に、組換えポリペプチドの発現を高めるために最適化される。例えば、それらを操作して、発現されたポリペプチドを例えば細胞膜周辺腔又は培地中に蓄積させることができる。発現の後にポリペプチド産物を蓄積させることを、本発明の方法の任意選択のステップとすることができる。組換えポリペプチドの発現に適した、増殖及び誘導条件に関する一般的な指針は、当技術分野で見つけることができ(例えば、Sambrook&Fritsch、1989;Glover、1995a、bを参照)、細胞培養条件及び誘導計画の具体例は、本明細書の以下の実施例に記載されている。
【0031】
次に、本発明の様々な態様及び実施形態を実施例によってより詳細に例示する。本発明の範囲から逸脱することなく詳細の変更を行うことができることが理解されよう。
【実施例1】
【0032】
アルカリホスファターゼ遺伝子のクローニング
PCRによって、プライマーPhoA1
を用いてそれ自体のシグナルペプチドで、phoA遺伝子を大腸菌株W3110からクローン化した。本来備わっているアルカリホスファターゼ遺伝子の開始コドンを、GTGからより一般的な開始コドンであるATGに変えた。PhoA1プライマーは、その5’末端にPst I制限酵素部位を含み、それに「5’UTR」領域、変化した開始コドン及びさらに23塩基のphoA遺伝子が続く。PhoA2プライマーは、phoAのPCR産物の3’末端にNot I制限酵素部位を含む。これにより、任意の適当なプロモーターの後にあるPst I−Not I二重消化PCR産物のクローニングが可能になり、本来備わっているアルカリホスファターゼシグナルペプチドをもつ発現カセットが形成される。
【0033】
プライマーPhoA3(5’CGGACACCAGAAATGCCTGTTCTGGAAAAC 3’)及びPhoA2(上記の通り)を用いて大腸菌株W3110から成熟phoA遺伝子(そのシグナルペプチドを含まない)をクローン化した。これにより、本明細書に記載された任意のシグナルペプチドカセットの後にある成熟アルカリホスファターゼ遺伝子の、平滑末端/Not Iフラグメントとしてのクローニングが可能になる。したがって、変異体のシグナルペプチド及び/又は同じシグナルペプチドのアミノ酸配列をコードする異なる核酸の有効性を、標準タンパク質としてアルカリホスファターゼを用いて比較することができる。
【実施例2】
【0034】
M13主要コートタンパク質のシグナルペプチドカセットの構築
沸騰した水浴中で5分間加熱し、次いでそれらを室温まで徐々に冷却させることにより、緩衝液(25mM NaCl、12.5mM トリス−HCl、2.5mM MgCl2、0.25mM DTE、pH7.5)中1pmole/μlの濃度でアニールした1対の長い相補オリゴヌクレオチドから、表1に示したM13主要コートタンパク質のシグナルペプチドをコードする核酸カセットを構築した。
【0035】
これらのオリゴヌクレオチドの設計は、分泌されるべきポリペプチドをコードする遺伝子の手前にある発現カセットにシグナルペプチドを続けてクローニングできるようにするために、3つの要素、すなわち上流の5’UTR領域、シグナルペプチドをコードするコア及び下流のリンカー領域からなる。当業者には理解されるように、このリンカーの配列は、これらのシグナルペプチドカセットを他のポリペプチドに使用できるように適合させるために、様々であってよい。アルカリホスファターゼの分泌を指令するために使用したシグナルペプチドをコードするカセットは、下流のリンカーを欠いており、5’UTR及びコアのシグナルペプチドコード領域だけからなっていた。
【実施例3】
【0036】
異なる核酸によってコードされるM13主要コートタンパク質のシグナルペプチドを含む発現ベクターの構築
アルカリホスファターゼ発現ベクター:オリゴヌクレオチドをアニールすることによって構築したシグナルペプチドカセット(上記の実施例2を参照)を、Not I消化成熟PhoA PCR産物(上記の実施例1に記載)に連結して、Pst I−Not Iフラグメントを生成した。次いで、これをtacプロモーターの後に連結した(図1Aを参照)。
【0037】
scFv発現ベクター:新しいシグナルペプチドコード領域を容易に導入できるようにするために、既存のscFv発現プラスミドのVLドメインの初めの2つのコドンにEcoR V制限酵素部位を導入した[例えば国際特許明細書WO01/94585を参照]。このプラスミドは、VL−VH−His機構に、tacプロモーターの制御下にある、ヒトサイトカインに特異的なscFvを含む。このscFvは、(Gly4Ser)4リンカーも含む。次いで、オリゴヌクレオチドをアニールすることによって構築したシグナルペプチドカセット(上記の実施例2を参照)を、Pst I−EcoR V二重消化scFv発現ベクター中に連結した(図1Bを参照)。
【0038】
Fab’発現ベクター:tacプロモーターの二重制御下でFab’軽鎖及び重鎖を発現するベクターを以下のように構築した。既存のFab’発現ベクター内のVL発現カセット[例えば国際特許明細書WO01/94585を参照]を、Pst I及びSpl I制限酵素を用いた二重消化によって切り出し、上記のscFv発現ベクターから同様に切り出したSP−VLカセットと置き換えた。SP−VHフラグメントを作成し、CH1領域にアニールする短いリバース3’オリゴヌクレオチド及びシグナルペプチドをコードする長い5’フォワードオリゴヌクレオチドを用いて、PCRフラグメントとして導入した。これにより、40.4軽鎖及び重鎖の手前に異なるシグナルペプチドを含むFab’40.4発現ベクターのシリーズが得られた。これらのベクターは、有利には、VL及びVH領域の5’及び3’の境界にそれぞれ特異的な制限部位(EcoR V−Spl I、Pvu II−Apa I)があるように設計されており、したがって、可変ドメイン及び/又はシグナルペプチドコード領域の迅速な交換が可能になる(図1Cを参照)。
【0039】
M13シグナルペプチドを大腸菌OmpAシグナルペプチドと置き換えることによって、Fab’及びscFvの両方に対する対照発現ベクターを構築した。
【実施例4】
【0040】
M13主要コートタンパク質のシグナルペプチドを用いた異種ポリペプチド発現及び分泌
a)方法
液体培養でのポリペプチド産生−振盪フラスコ中でのアルカリホスファターゼ及びscFvの産生
テトラサイクリンを増殖培地中の最終濃度10μg/mlで使用して、振盪フラスコ実験及び周辺質画分の抽出を、基本的に既に記載されているように実施した(Humphreysら、1996)。ポリペプチド発現を、IPTGを0.2mMまで加えることによって誘導し、誘導後0〜5時間の間の時点で適宜酵素検定又はELISAによって検定した。
【0041】
ポリペプチド発現液体培養−発酵によるFab’の産生
培地「SM6E」:
中で発酵を行った。消泡剤として0.02%(v/v)のMAZU DF843を含み、NH4OHでpHを6.95にした。発酵槽(Braun BiostatB 2.5L)に十分な種培養物(10μgml-1でテトラサイクリンを補充したSM6E培地中)を播種して、初期OD600が0.2になるようにした。必要に応じて50%(v/v)NH4OH及び1.8M H2SO4を加えることによってpHを制御し、可変の攪拌及び気流によって溶存酸素を30%で維持した。培養物に80%(w/w)グリセロールを2×45mlで、OD600がそれぞれ20及び40のときにバッチ供給した。OD600が約80のとき、グリセロールの消耗と、炭素源としてのラクトースの置換によってFab’発現を誘導した。産生期間中ラクトース濃度を20〜50gL-1に維持し、誘導後24〜36時間後に細胞を回収した。
【0042】
発酵細胞ペーストを、1/2回収体積の100mMトリスHCl/10mM EDTA pH7.4に再懸濁させ、30℃で16時間、250rpmで攪拌した。既に記載されているように(Humphreysら、1998)、周辺質抽出物を25,000gで30分間遠心分離することによって清澄にし、0.2μmフィルター(Millipore)に通してからプロテインGセファロース(GammaBind Plus、Pharmacia Biotech)で精製した。
【0043】
アルカリホスファターゼ活性の検定
以下の変更を加えて、基本的に既に記載されているように(Humphreysら、1995)検定を行った。すなわち、発現を0.2mM IPTGによって誘導し、誘導後約3時間後に培養物20μlの検定を行った。アルカリホスファターゼ活性をΔA420OD600 -1min-1として表した。
【0044】
振盪フラスコ並びに発酵周辺質抽出物中のscFv及びFab’濃度のELISA
scFvのELISAのために、Nunc Maxisorpプレートに100mM重炭酸ナトリウム緩衝液pH9.0中0.5μgml-1の抗原(ヒトサイトカイン)を、4℃で16時間コーティングした。ブロッキングバッファー(PBS中0.1%w/vBSA)中で4回、グレージング(glazing)バッファー(PBS中10%w/vトレハロース、0.1%w/vBSA)中で2回洗浄した後、プレートを空気乾燥し、封止した箔パウチ中で4℃で貯蔵した。精製した標準物質をPBS中1%w/vBSA中で250ngml-1に希釈し、続いて連続2倍希釈した。それぞれのウェルを試料又は標準物質100μlと共にインキュベートし、室温で1時間攪拌した。PBS中0.0002%w/vツイーン20で2回洗浄した後、それぞれのウェルをPBS中1%w/vBSAで1/500に希釈したウサギ抗ヒスタグ抗体(Santa Cruz Biotech、カタログ番号SC−803)100μlと共にインキュベートし、室温で30分間攪拌した。PBS中0.0002%w/vツイーン20で2回洗浄した後、それぞれのウェルをPBS中1%w/vBSAで1/5000に希釈したロバ抗ウサギHRP(Jackson、カタログ番号711035−152)100μlと共にインキュベートし、室温で30分間攪拌した。次いで、プレートをPBS中0.0002%ツイーン20で4回洗浄し、既に記載のように(Humphreysら、1996)発展させた。Fab’濃度を評価するELISAを、Humphreysら(1996)に記載されているように行った。
【0045】
アルカリホスファターゼの手前にあるシグナルペプチドの切断の正確さ
MCP3シグナルペプチドを用いてアルカリホスファターゼを発現し分泌する大腸菌から周辺質抽出物を産生した。これらの抽出物を、製造メーカーの指示に従って4〜20%トリス−グリシンゲル(Novex)を用いてSDS−PAGEによって分析した。10mM CAPS(3−シクロヘキシルアミノ−1−プロパンスルホン酸、Sigma)pH11.0中でエレクトロブロットすることによって、タンパク質をポリアクリルアミドゲルからPVDF膜(PSQ、Applied Biosystems)に移し、次いでポンソーSで染色した。アルカリホスファターゼに相当するバンドを切り出し、タンパク質を溶出してN末端配列分析を行った。
【0046】
b)結果
アルカリホスファターゼの発現及び分泌
【表2】
【0047】
M13シグナルペプチドが核酸変異体によってコードされている構築体間で発現のレベルに差が多少認められたが、10個すべてのM13主要コートタンパク質のシグナルペプチド構築体からアルカリホスファターゼ発現が認められた。一般に、認められた発現のレベルは、対照のシグナルペプチドOmpAで得られたものと類似していた(上記の表2を参照)。
【0048】
アルカリホスファターゼを発現するMCP3含有クローンを任意に選択して、上記の実施例4で記載したようにシグナルペプチド切断の正確さを評価した。N末端配列決定により、シグナルペプチド切断部位が正確に認識され、成熟アルカリホスファターゼの正確なN末端配列がもたらされたことが明らかになった。
【0049】
scFvの発現及び分泌
4つの変異体並びに本来備わっているM13主要コートタンパク質のシグナルペプチドの能力について、ELISAによって大腸菌の周辺質にscFvを分泌できるかどうか評価した。比較目的でOmpAシグナルペプチドも使用した。この結果を以下の表3に示す。
【0050】
【表3】
【0051】
Fab’の発現及び分泌
scFvを分泌できるかどうか評価した4つの変異体、並びに本来備わっているM13主要コートタンパク質のシグナルペプチドの能力について、大腸菌の周辺質にFab’を分泌できるかどうか評価した。上記の発酵条件下でクローンを増殖させ発現を誘導した。精製したFab’の収率をELISAによって評価し、その結果を以下の表4に示す。
【0052】
【表4】
【0053】
この場合も、M13主要コートタンパク質が、高レベルのFab’の発現及び分泌に成功したことを示した。驚くべきことに、いくつかの核酸変異体がOmpA対照よりも有効なことが示された。この結果から、この場合にMCP4変異体核酸を使用してM13主要コートタンパク質のシグナルペプチドをコードすることによって、対照のシグナルペプチドによって産生されたものに比べて発現のレベルを約5倍増大させることができることが実証された。
【0054】
異なるFab’分子の発現及び分泌
M13バクテリオファージシグナルペプチドは、異なるFab’分子の分泌を指令するのに使用することができる。これを実証するために、MCP1、MCP3、MCP4及びMCP8Fab’40.4構築体のそれぞれのVH及びVL領域を、それぞれEco RV−Spl I及びPvu II−Apa Iフラグメントとして切り出し、Fab’40.4によって認識される抗原と異なる抗原を認識する抗体から同様に消化したVH及びVL領域と置き換えた。新しいFab’の発現を可能にするために、4つのマスター構築体をこのように生成した。それぞれの構築体は異なるヌクレオチド配列を使用して軽鎖及び重鎖の手前にあるM13バクテリオファージのシグナルペプチドをコードしており(単一構築体内で軽鎖及び重鎖に同じヌクレオチド配列を使用したことに注意せよ)、それぞれ軽鎖発現カセットとそれに続く重鎖発現カセットを含んでいた(図1Cを参照)。
【0055】
上記の実施例4で記載した発酵条件下で、Fab’分子(Fab’165)の発現及び分泌を評価した。精製したFab’の収率をELISAによって評価し、その結果を以下の表5に示す。
【0056】
【表5】
【実施例5】
【0057】
Fab’発現の最適化
上記の実施例では、M13バクテリオファージのシグナルペプチドをコードするヌクレオチド配列が、それぞれのFab’発現構築体中の軽鎖及び重鎖の両方について同じである。発現及び分泌に対する、同じ構築体内のヌクレオチド配列をコードする異なるシグナルペプチドの組合せの影響を評価するために、2つのプラスミドライブラリを構築した。それぞれのライブラリは、Fab’165の軽鎖及び重鎖の手前にあるMCP1、MCP3、MCP4及びMCP8配列の考えられる16個すべての組合せを含む。
【0058】
a)VL発現カセットとそれに続くVH発現カセットを含むFab’プラスミドライブラリの構築
表6.考えられる16個の異なるシグナルペプチドコード配列の組合せを以下の行列に示す。第1の発現カセットを1行目に沿って示し、第2の発現カセットを1列目に沿って示す。これらの構築体は全て軽鎖発現カセットとそれに続く重鎖発現カセットを有する。
【表6】
【0059】
上記の実施例4に記載した4つのマスターFab’165構築体を初めとして、これらをPst I及びMfe Iで消化し、フラグメント及びベクター骨格をランダムに再結合させ、それによって表6に示したように、考えられる16個すべてのシグナルペプチドコード配列の組合せが得られた。
【0060】
b)VH発現カセットとそれに続くVL発現カセットを含むFab’プラスミドライブラリの構築
Pst IがNsi Iと適合性があり、Mfe IがEco RIと適合性があるので(図2参照のこと)、上記の実施例4で生成した4つのFab’165マスター構築体をそれぞれ以下のように処理した。それぞれの構築体の第1の試料をNsi I及びEco RIで消化し、シグナルペプチドコード配列及び重鎖フラグメントを単離した。それぞれの構築体の第2の試料をPst I及びMfe Iで消化し、両方のフラグメントを単離し精製した。第1の消化から得られた重鎖フラグメントを、第2の消化から得られたベクター骨格(軽鎖フラグメントを欠いている)に連結して、2つの重鎖を含む構築体を生成した。次いで、この構築体をNsi I及びEco RIで消化して、第2のシグナルペプチドコード配列及び重鎖を除去した。小さい重鎖フラグメントを廃棄し、残りのベクター骨格(5’重鎖フラグメントを含む)を第2の消化から得られたシグナルペプチド及び軽鎖フラグメントの混合物に連結した。
【0061】
表7.考えられる16個の異なるシグナルペプチドコード配列の組合せを以下の行列に示す。第1の発現カセットを1行目に沿って示し、第2の発現カセットを1列目に沿って示す。これらの構築体は全て軽鎖発現カセットとそれに続く重鎖発現カセットを有する。
【表7】
【0062】
したがって、軽鎖及び重鎖発現カセットの順番が上記a)で記載したライブラリのものと逆の16個の構築体のライブラリが生成された。表7は、このライブラリに存在するシグナルペプチドの組合せを示す。
【0063】
c)Fab’165発現の分析
前述のように少量振盪フラスコ中での発現試験を実施した。このスケールで得られた結果から続けて、この場合も前述のように、発酵でのいくつかの異なるクローンのFab’を発現する能力を評価した。軽鎖、重鎖及び全Fab’の発現レベルを、表面プラズモン共鳴及び/又はELISAを用いて評価した。
【0064】
表面プラズモン共鳴結合アッセイをBIAcore(商標)2000測定器(Pharmacia Biosensor AB、Uppsala、Sweden)を用いて行った。ハイブリドーマHP6045(ATCC)から得られたネズミIgG2aモノクローナル抗ヒトIgG Pan Fd(CH1)及びハイブリドーマHP6053(ATCC)から得られたネズミIgG2aモノクローナル抗ヒトκ軽鎖定常ドメイン(Cκ)を、標準NHS/EDC化学的手法を用いてCM5センサーチップ上に固定化した。残留NHSエステルをエタノールアミン塩酸塩(1M)で不活性化した。
【0065】
Fab’フラグメントは、固定化したモノクローナル抗重鎖抗体又は固定化したモノクローナル抗軽鎖抗体のいずれかによって別々のフローセルに捕獲された。結合したFab’の存在が、第2ステップの相補モノクローナル抗体(抗軽鎖又は抗重鎖)の結合によって明らかになった。固定化した抗体が高レベルであったことから、結合への会合速度定数の寄与が試料中のFab’濃度による寄与と比べて低い大量輸送制限条件(mass transport−limited condition)下で測定が行われたことが確実である。この相互作用の会合速度定数によって結合が制限されないように、第2ステップで使用した溶液相モノクローナル抗体は高濃度で表面上を通過させている。
【0066】
第1の捕獲ステップ中に、構築されたFab’フラグメント及び正確に折り畳まれた未構築の鎖の両方が検出される。第2の抗体の結合は、完全なFab’フラグメントだけに起こる。したがって、第1及び第2段階における相対的な結合の分析から、Fab’試料中の過剰な未構築の軽鎖、又は過剰な未構築の重鎖のいずれかの存在が明らかになり、構築の化学量論についての情報が提供される。
【0067】
それぞれの試料の両方の構造について検定を行い、それぞれの試料を2通りにランダムな順番で実施した。
(i)構築されたFab’の濃度を軽鎖捕獲によって決定する場合、試料及び標準物質(10μl/分で10μl)を固定化したHP6053上に注入し、続いてその表面上に溶液相の300μg/mlHP6045を通過させる第2ステップを行った。
(ii)構築されたFab’の濃度を重鎖捕獲によって決定する場合、試料及び標準物質(10μl/分で10μl)を固定化したHP6045上に注入し、続いてその表面上に溶液相の500μg/mlHP6053を通過させる第2ステップを行った。いずれの場合でも、30mM HCl10μlを用いて30μl/分で表面を再生させた。BIAevaluation 3.1(Pharmacia Biosensor AB)を用いて決定した共鳴単位の数を、検量線に対して読み取った。精製したFab’標準物質は2μg/ml〜50ng/mlの直線反応を示した。
【0068】
図3は、重鎖−軽鎖の順番で発現カセットを有する異なる構築体間でFab’発現のレベルが著しく変わることを示す。同様の結果が軽鎖−重鎖ライブラリについて得られた(データを図示せず)。したがって、シグナルペプチドコード配列の異なる組合せを含む2つのライブラリを使用して、Fab’発現を最適化することができる。Eco RV−Spl I及びPvu II−Apa I二重消化を用いると、他の抗体の軽鎖及び重鎖を、Fab’165のそれらの代わりに使用することができ、したがってライブラリを使用して任意のFab’分子の発現を最適化することができる。
【0069】
図4では、シグナルペプチドコード配列の様々な組合せについて実施した発酵過程中の、それぞれの鎖及び全Fab’の収率を比較している。重鎖及び軽鎖の発現レベルが密接に平衡した場合に、全Fab’の収率が最大であることは驚くべきことである。したがって、シグナルペプチドライブラリを用いて軽鎖及び重鎖発現間の平衡を達成することによって、Fab’発現を最適化することができ、これは特にそれぞれのシグナル配列がそれ自体のプロモーター/オペレーターの制御下にある場合に、本発明のさらなる態様を形成する。
【0070】
(参考文献)
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】アルカリホスファターゼ、scFv及びFab’発現カセットの概略図である。A)部では、アルカリホスファターゼ発現カセットの構成が示されており、シグナルペプチドコード領域(SP)が、アルカリホスファターゼ構造遺伝子に読み枠を合わせて連結されている。これらはtacプロモーター(pTac)の制御下にある。5’非翻訳領域(5’UTR)の位置も示されている。B)部では、scFv発現カセットの構成が示されている。シグナルペプチド(SP)が、VLコード配列の手前に読み枠を合わせて連結されており、続いてVLコード配列が、(Gly4Ser)4リンカー(図示せず)を介してVHコード配列に読み枠を合わせて連結されている。発現は、tacプロモーター(pTac)によって制御されており、5’非翻訳領域の位置も示されている。C)部では、Fab’40.4発現構築体中の発現カセットの配列が示されている。VL及びVHコード配列のどちらも、それぞれ同じシグナルペプチド(SP)コード配列に読み枠を合わせて融合されている。これらは別々のtacプロモーター(pTac)の制御下にある。2つの5’非翻訳領域(5’UTR)の位置が示されており、軽鎖と重鎖の発現を分離するcKappa遺伝子間スペーサー(Cκ)の位置も同様に示されている。CH1コード領域が、VHコード領域に読み枠を合わせてその下流に融合されていることが示されている。
【図2】Fab’−シグナルペプチドライブラリの作成を可能にする構築体の図である。A]tacプロモーターの第2のコピーをXho I−Xba Iフラグメントとして除去し、内部Pst Iを除去しMfe I及びNsi I部位を含むように改変したtacプロモーターを含むXho I−Xba Iフラグメントで置き換えた。B]は改変した構築体を示す。
【図3】重鎖及び軽鎖の手前に異なるシグナルペプチドコード配列を含む構築体からのFab’の収率を示すグラフである。重鎖発現カセットとそれに続く軽鎖発現カセットを有するシグナルペプチドライブラリの様々なメンバーからのFab’165の収率を、発現を誘導してから2時間後にELISAによって評価した。示した結果は、3つの少量振盪フラスコ実験の平均値±SDである。
【図4】発酵における、重鎖、軽鎖及び全Fab’収率に対する異なるシグナルペプチドコード領域の影響を示すグラフである。発現を誘導してから2、13、20及び38時間後に採取した試料について表面プラズモン共鳴によって収率を評価し、共鳴単位(RU)で表した。データは、2つのシグナルペプチドライブラリの様々なメンバー、すなわち軽鎖発現カセットとそれに続く重鎖発現カセットを含むライブラリのメンバー(LC:HC)並びに重鎖発現カセットとそれに続く軽鎖発現カセットを含むライブラリのメンバー(HC:LC)について示されている。SP CDS=シグナルペプチドコード配列
Claims (25)
- 抗体鎖又はその抗原結合フラグメントを作成する方法であって、発現カセットを含む宿主細胞を、その発現カセットから抗体鎖又はそのフラグメントの発現が得られる条件下で培養することを含み、前記発現カセットが、抗体鎖又はその抗原結合フラグメントをコードする第2の核酸と作動的にかつ読み枠を合わせて連結された、バクテリオファージのシグナルペプチド又はその変異体をコードする第1の核酸を含む方法。
- 前記第1の核酸が、バクテリオファージM13主要コートタンパク質のシグナルペプチド又はその変異体をコードする請求項1記載の方法。
- 前記第1の核酸が、バクテリオファージM13主要コートタンパク質のシグナルペプチドとの同一性が70%よりも高いM13主要コートタンパク質シグナルペプチドの変異体をコードする請求項2記載の方法。
- 前記第1の核酸が、バクテリオファージM13主要コートタンパク質のシグナルペプチドとの同一性が75%のM13主要コートタンパク質シグナルペプチドの変異体をコードする請求項2記載の方法。
- 前記第1の核酸が、バクテリオファージM13主要コートタンパク質のシグナルペプチドとの同一性が80%よりも高いM13主要コートタンパク質シグナルペプチドの変異体をコードする請求項2記載の方法。
- 前記第1の核酸が、バクテリオファージM13主要コートタンパク質のシグナルペプチドとの同一性が90%よりも高いM13主要コートタンパク質シグナルペプチドの変異体をコードする請求項2記載の方法。
- 本来備わっているバクテリオファージM13主要コートタンパク質シグナルペプチドのアミノ酸配列をコードする前記第1の核酸が、ヌクレオチド配列の点で本来備わっているM13ヌクレオチド配列と異なる請求項2記載の方法。
- 前記第1の核酸が、MCP1、MCP3、MCP4、MCP5、MCP6、MCP7、MCP8、又はMCP9のヌクレオチド配列を有する請求項7記載の方法。
- 前記第1の核酸が、MCP1、MCP3、MCP4、又はMCP8のヌクレオチド配列を有する請求項7記載の方法。
- 請求項1〜9に記載の抗体重鎖及び軽鎖を産生させること並びにこれらの鎖を結合させることを含む、完全な抗体又はそのフラグメントを産生させる方法。
- 前記重鎖及び軽鎖が、同じ宿主細胞中で別々の発現カセットから産生される請求項10記載の方法。
- それぞれの発現カセットが、単一プロモーター/オペレーターの制御下にある請求項11記載の方法。
- それぞれのシグナルペプチドが、平衡した重鎖及び軽鎖の発現が得られるように選択される請求項11又は12に記載の方法。
- a)任意選択で、抗体、抗体フラグメント、抗体鎖又は抗原結合フラグメントを蓄積させること、及びb)抗体、抗体フラグメント、抗体鎖又は抗原結合フラグメントを単離することをさらに含む請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
- 原核宿主細胞の細胞質からの抗体鎖又はその抗原結合フラグメントの分泌を指令するのに使用される、バクテリオファージM13主要コートタンパク質のシグナルペプチド又はその変異体をコードする核酸。
- バクテリオファージM13主要コートタンパク質のシグナルペプチドとの同一性が70%より高いシグナルペプチドをコードする請求項15記載の核酸。
- バクテリオファージM13主要コートタンパク質のシグナルペプチドとの同一性が75%より高いシグナルペプチドをコードする請求項15記載の核酸。
- バクテリオファージM13主要コートタンパク質のシグナルペプチドとの同一性が80%より高いシグナルペプチドをコードする請求項15記載の核酸。
- バクテリオファージM13主要コートタンパク質のシグナルペプチドとの同一性が90%より高いシグナルペプチドをコードする請求項15記載の核酸。
- ヌクレオチド配列が野生型核酸配列と異なるが、アミノ酸配列は異ならない、バクテリオファージM13主要コートタンパク質のシグナルペプチドをコードする核酸。
- 前記ヌクレオチド配列が、MCP1、MCP3、MCP4、MCP5、MCP6、MCP7、MCP8、又はMCP9から選択される請求項20記載の核酸。
- M13主要コートタンパク質シグナルペプチドの前記ヌクレオチド配列が、MCP1、MCP3、MCP4、又はMCP8から選択される請求項21記載の核酸。
- 抗体鎖又はその抗原結合フラグメントをコードする第2の核酸と作動的にかつ読み枠を合わせて連結された、請求項15〜22のいずれか一項に記載の第1の核酸を含む発現カセット。
- 請求項15〜22のいずれか一項に記載の核酸を含むベクター又は請求項23記載の1又は2個の発現カセット。
- 請求項23記載の発現カセット又は請求項24記載のベクターを含む宿主細胞。
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