JP2004532612A - 本質的な黄色ブドウ球菌遺伝子およびそのエンコードされるタンパク質staau_r4を伴う組成物および方法。 - Google Patents

本質的な黄色ブドウ球菌遺伝子およびそのエンコードされるタンパク質staau_r4を伴う組成物および方法。 Download PDF

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Abstract

本発明は、脂肪酸/リン脂質生合成の工程に関与する細菌遺伝子およびタンパク質に、並びに、脂肪酸/リン脂質生合成に関与する細菌タンパク質と相互作用するバクテリオファージ遺伝子およびそれらのタンパク質産物にも、関連する。より具体的には、本発明は、本質的な黄色ブドウ球菌遺伝子およびそのエンコードされるタンパク質STAAU_R4を伴う組成物および方法に関連する。さらに、本発明は、STAAU_R4のレベルおよび/または活性を調節する化合物を同定するスクリーニングアッセイ、およびそのような化合物に関連する。

Description

【技術分野】
【0001】
本発明は、脂肪酸/リン脂質生合成の工程に関与する細菌遺伝子およびタンパク質に、並びに、脂肪酸/リン脂質生合成に関与する細菌タンパク質と相互作用するバクテリオファージ遺伝子およびそれらのタンパク質産物にも、関連する。より具体的には、本発明は、本質的な黄色ブドウ球菌遺伝子およびそのエンコードされるタンパク質STAAU_R4を伴う組成物および方法に関連する。さらに、本発明は、STAAU_R4のレベルおよび/または活性を調節する化合物を同定するスクリーニングアッセイ、およびそのような化合物に関連する。
【背景技術】
【0002】
ブドウ球菌(Staphylococci)は、ヒトにおいていくつかの型の疾患の原因として知られる細菌の医学的に重要な属を構成する。黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureusまたはS.aureus)は、健康なヒト宿主の皮膚に見出されるグラム陽性生物であり、多くの菌血症の原因となる。
【0003】
黄色ブドウ球菌は、過去においてはペニシリン誘導のメチシリンによりうまく処置されてきたが、現在この抗生物質に対して次第に耐性となってきた(MRSA−メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)[Harbath et al.,(1998)Arch.Intern.Med.158:182−189]。例えば、黄色ブドウ球菌心内膜炎の死亡率は26−45%を占め、β−ラクタム/アミノグリコシドの組み合わせ治療は疾患の根絶において次第に効果がなくなってきたことが明らかとなっている[Roder et al.,(1999)Arch.Intern.Med.159:462−469]。
【0004】
ほとんどの標準的な抗菌剤に耐性である黄色ブドウ球菌株を単離することは、もはやまれなことではなく、したがってこの生物に対する新規な抗菌剤、ワクチン、薬のスクリーニング方法、および診断試験に対する、未解決の医学的必要性および要望がある。抗生物質は、細胞内の非常に少ない標的に対する活性により、広い分類に分けられる。一般的に、標的分子は、本質的な機能を提供する細胞タンパク質である。本質的なタンパク質の活性の阻害は、細菌細胞の死、またはその増殖不能のいずれかをもたらす。抗生物質がこれに対して現在用いる決定的な細胞機能には、細胞壁の合成、葉酸および脂肪酸の代謝、タンパク質の合成、および核酸の合成がある。本発明において特に関連するのは、脂肪酸/リン脂質の生合成である。
【0005】
新薬発見のための確立した手法には、細胞に基づく薬の発見から区別するために、標的に基づく薬の発見と呼ばれる、標的タンパク質を入手すること、およびタンパク質の生物学的機能を妨害するin vitroアッセイを開発すること、がある。
【0006】
新規の細菌の標的および新規の標的ドメイン、並びに、抗菌剤、より具体的には抗黄色ブドウ球菌剤をスクリーニングし、同定するために用いることができる黄色ブドウ球菌細菌標的、を同定することに対する必要性がある。新規の抗菌剤、ワクチン、薬のスクリーニング方法、診断および治療方法を同定することに対する必要性もある。
【0007】
本発明は、これらおよび他の必要性を解決することを追求する。
【0008】
本記載は、多数の文献を参照し、それらの内容は、引用することによりそれらの全体を本明細書に取り込むものとする。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0009】
(発明の概要)
本発明は、新規の抗菌剤、ワクチン、薬のスクリーニング方法、診断および治療方法に関連する。
【0010】
より具体的には、本発明は、STAAU_R4と相互作用する化合物、特に黄色ブドウ球菌STAAU_R4ポリペプチドと相互作用する細菌成長阻害性(または阻害因子)バクテリオファージ遺伝子産物に関連する。
【0011】
本発明はまた、相互作用するタンパク質、およびそれらの部分若しくはフラグメントのペアに関連する。より具体的には、本発明は、黄色ブドウ球菌STAAU_R4タンパク質の相互作用するドメインに、および同じものに相互作用し、STAAU_R4の生物学的活性を遮断若しくは阻害するタンパク質に、関連する。特定の態様として、本発明は、黄色ブドウ球菌バクテリオファージ3A ORF 33のような、STAAU_R4およびそれらと特異的に相互作用するバクテリオファージORFによってエンコードされたポリペプチドを含む、相互作用するドメインのペアに関連する。本発明の1つの特に好ましい態様として、これらのドメインの相互作用およびそれらの調節は、STAAU_R4の生物学的機能の調節因子を、より具体的には抗菌剤を、同定するためのスクリーニングアッセイの基礎を形成する。
【0012】
本発明はまた、サブユニットとしてSTAAU_R4およびそれらの変異体および部分を含む、脂肪酸/リン脂質の生合成複製に関与すると信じられている多重タンパク質複合体のポリヌクレオチドおよびポリペプチドに関連する。
【0013】
他の見地として、本発明は、中でも細菌による疾患の処置および診断を含む、このようなポリペプチド、ポリヌクレオチド、ペプチド疑似物等を使用する方法に関連する。
【0014】
さらなる見地として、本発明は、本発明により提供される物質を用いるアゴニストおよびアンタゴニストを同定する方法に関連する。関連する見地として、本発明は、細菌感染およびこのような感染に関係した症状を、同定されたアゴニストまたはアンタゴニストにより処置する方法に関連する。
【0015】
またさらなる見地として、本発明は、細菌感染およびこのような感染に関係した症状に関係した疾患を検出するための診断アッセイに関連する。1つの態様として、診断アッセイは、STAAU_R4の発現および/または活性を検出する。
【0016】
本発明の1つの特定の態様として、配列番号2のアミノ酸配列、またはそれらの生物学的に活性なフラグメント若しくは変異体を含むポリペプチドに対して活性のある化合物を同定する方法を提供し、ここで配列番号2またはそれらの生物学的に活性なフラグメント若しくは変異体は、配列番号4、それらの生物学に活性なフラグメント、およびそれらの変異体から選ばれる配列を含むポリペプチドと特異的に結合でき、フラグメントまたは変異体は、配列番号2、それらのフラグメント若しくは変異体に結合する能力を保持している。
【0017】
本発明の1つの好ましい態様として、STAAU_R4ポリペプチドに対して活性な化合物の同定は、以下を含む方法により提供される:
候補化合物の存在または不存在下で第1および第2のポリペプチドを接触させること、ここで第1のポリペプチドは、配列番号2、それらのフラグメントまたは変異体のうちの1つと特異的に結合できるバクテリオファージORF由来の第2のポリペプチドに特異的に結合する配列番号2のアミノ酸配列、それらのフラグメント若しくは変異体を含み、1つの特定の態様として、第2のポリペプチドは、ファージORF、それらのフラグメント若しくはそれらの変異体であり、ここでこの第2のポリペプチドは、その生物学的活性を維持している;
第1および/または第2のポリペプチドの生物学的活性を検出すること、ここで候補化合物の不存在下での生物学的活性に比べたそれらの存在下での生物学的活性の減少は、候補化合物が配列番号2のアミノ酸配列、それらのフラグメントまたは変異体を含むポリペプチドに対して活性のある化合物であると同定するものである。
【0018】
1つの特定の態様として、生物学的活性は第1および第2のポリペプチドがお互いに結合することであり、その方法は以下を含む:
a)配列番号2のアミノ酸配列、またはそれらの生物学的に活性なフラグメント若しくは変異体を含む第1のポリペプチド、およびb)配列番号4、それらのフラグメント、およびそれらの変異体からなる群より選ばれる第2のポリペプチド、を含むアッセイ混合物を接触させること; 候補化合物の不存在下での結合に比べたそれらの存在下での第1および第2のポリペプチドの結合を測定すること;STAAU_R4ポリペプチド、それらのフラグメントまたは変異体、と相互作用する候補化合物の能力を測定すること、ここで第1のポリペプチドと相互作用する候補化合物の不存在下での結合と比べた、それらの存在下での第1および第2のポリペプチドの結合の減少は、候補化合物がSTAAU_R4ポリペプチド、それらのフラグメントまたは変異体に対して活性のある化合物であると同定するものである。一方好ましい態様として、この方法は、STAAU_R4に対して活性な化合物を同定し、この方法は、STAAU_R4に特異的に相互作用するバクテリオファージORFに対して活性な化合物も同定できる。
【0019】
1つの態様として、検出する工程が、第1および第2のタンパク質の結合を測定する工程を含み、ここで第1または第2のタンパク質は直接的にまたは間接的に検出可能にラベル化されている。
【0020】
本発明はまた、試験化合物が黄色ブドウ球菌ポリペプチド、主として配列番号2で示されるSTAAU_R4またはそれらの部分に対して活性があるかどうかを測定することを含む、抗菌剤を同定する方法を範囲に含む。
【0021】
さらなる態様として、STAAU_R4ポリペプチドに対して活性のある化合物を同定することは、以下を含む方法により提供される:候補化合物を、配列番号2のアミノ酸配列、それらのフラグメントまたはそれらの変異体であって、フラグメントまたは変異体はその生物学的活性を保持しているもの、を含むポリペプチドに接触させること;それらに対する候補化合物の結合を検出すること、ここで結合の検出はその化合物がポリペプチドに対して活性があることを示すものである。
【0022】
異なる態様として、検出工程は候補化合物のポリペプチドへの結合を測定することを含み、ここで候補化合物は、限定されないが、時間分解蛍光共鳴エネルギー変換(TR−FRET)、蛍光偏光変化、表面プラスモン共鳴による測定、シンチレーション近接アッセイ、バイオセンサーアッセイ、およびファージディスプレイを含む方法により、直接的にまたは間接的に検出可能なようにラベル化される。
【0023】
1つの態様として、化合物ライブラリーが用いられる。候補化合物の非限定の例には、小分子、ペプチド疑似化合物、ペプチド、およびバクテリオファージ阻害因子タンパク質のフラグメントまたは誘導体が含まれる。
【0024】
1つの態様として、候補化合物は、発現系により合成され、精製され、または人工的に合成されたペプチドである。
【0025】
本発明は、候補化合物(またはそれらのライブラリー)を配列番号2で示されるアミノ酸配列を含むポリペプチドを発現している細胞と接触させること;細胞のSTAAU_R4活性を検出すること、ここで候補化合物と接触していない細胞のSTAAU_R4活性と比べた活性の減少が、STAAU_R4活性阻害の指標となる;の工程を含む、STAAU_R4ポリペプチド、それらのフラグメントまたは変異体に対して活性のある化合物を同定する方法を、さらに範囲に含む。本発明はまた、配列番号2のフラグメントまたは変異体を用いない、このような方法も範囲に含む。
【0026】
もちろん、本発明は、STAAU_R4ポリペプチドの活性を調節する化合物を同定する方法をさらに範囲に含み、ここで候補化合物と接触しない細胞のSTAAU_R4活性に比べた活性を増加させる化合物は、STAAU_R4活性の刺激因子である化合物として選択される。
【0027】
本発明は、候補化合物(またはそれらのライブラリー)を細胞を必要としないアッセイにおいて、起源として自然発生したものおよび組み換えによるものいずれかのSTAAU_R4タンパク質またはそれらの生物学的に活性な部分と接触させる工程;STAAU_R4活性を検出する工程、ここで候補化合物と接触しない細胞を必要としないアッセイにおけるSTAAU_R4活性と比べた活性の減少が、STAAU_R4活性阻害の指標となる;を含む、STAAU_R4ポリペプチド、それらのフラグメントまたは変異体に対して活性のある化合物を同定する方法を、さらに範囲に含む。
【0028】
本発明は、STAAU_R4ポリペプチドまたはそのポリペプチドをエンコードする核酸若しくは遺伝子、の活性のアゴニストまたはアンタゴニストを、さらに範囲に含む。
【0029】
ここで記載されるアッセイは、さらなる開発のための有望なリード化合物を検出するための初期のまたは第1のスクリーニングとして使用してもよい。同じアッセイは、候補化合物のSTAAU_R4ポリペプチドに対する活性を測定する第2のスクリーニングアッセイにも用いてもよい。しばしば、リード化合物は、追加の異なるスクリーニングによりさらに評価されることとなる。この発明は、黄色ブドウ球菌株または他の適当な細菌を利用する生物学的アッセイを伴う第2のSTAAU_R4スクリーニングをも含む。
【0030】
第3のスクリーニングは、動物における薬剤の効果の研究を伴うであろう。したがって、適切な動物モデルとしてここに記載されたように同定された薬剤をさらに使用することは、この発明の範囲に含まれる。例えば、ここで記載されたように同定された試験化合物(例えば、STAAU_R4阻害剤、アンチセンスSTAAU_R4核酸分子、STAAU_R4特異的抗体、またはSTAAU_R4結合パートナー)を動物モデルで使用して、このような薬剤による処置の効果、毒性、または副作用を測定することができる。あるいは、ここで記載されたように同定された薬剤を動物モデルで使用して、このような薬剤の作用機序を決定することができる。さらに、この発明は、ここに記載されたように、(例えば細菌感染の)処置のための上述のスクリーニングアッセイにより同定された新規の薬剤の使用に関連する。
【0031】
本発明は、以下の工程を含む抗菌化合物の製造方法をさらに範囲に含む:a)候補化合物が配列番号2のアミノ酸配列、それらのフラグメント若しくは変異体、を含むポリペプチド、またはそれらのポリペプチドをエンコードする遺伝子、に対して活性であるかどうかを測定すること、およびb)配列番号2のアミノ酸配列、それらのフラグメント若しくは変異体を含むポリペプチドを自然に産生する細菌に感染した生物に投与されたときに、治療効果を提供するのに充分な量の候補化合物を合成または精製すること。
【0032】
本発明は、配列番号2のアミノ酸配列、それらのフラグメント若しくは変異体、を含むポリペプチド、またはそれらのポリペプチドをエンコードする核酸、に対して活性のある化合物を、細菌に接触させることを含む、細菌を阻害する方法をさらに範囲に含む。
【0033】
1つの態様として、接触させる工程は、in vitroで行われる。
【0034】
他の態様として、接触させる工程は、動物のin vivoで行われる。
【0035】
他の態様として、細菌は、既存の抗菌剤との併用で活性化合物と接触させられる。したがって、本発明は、既存の抗菌剤と併用して本発明の化合物を含む抗菌組成物にも関連する。もちろん、1以上の本発明の活性化合物を既存の抗菌剤と組み合わせても、または組み合わせなくてもよい。
【0036】
本発明は、配列番号2のアミノ酸配列、それらの変異体若しくはフラグメントを含むポリペプチド、またはそれらをエンコードする核酸配列、に対して活性のある化合物の治療的または予防的に有効量を投与することを含む、感染を患うまたは患いやすい動物における細菌感染を処置または予防する方法を、さらに範囲に含む。動物は、好ましくは、必須ではないが哺乳動物であり、より好ましくはヒトである。1つの態様として、活性化合物は、既存の抗菌剤と併用して動物に投与される。したがって、本発明は、既存の抗菌剤と併用して本発明の化合物を含む抗菌組成物にも関連する。
【0037】
本発明は、哺乳動物に移植する前に、内在装置を配列番号2のアミノ酸配列、それらの変異体若しくはフラグメントを含むポリペプチドに対して活性のある化合物と接触させることを含む細菌感染を予防するための予防的処置方法をさらに範囲に含み、そのような接触は移植部位において黄色ブドウ球菌の感染を予防するのに充分なようになされる。
【0038】
本発明は、配列番号2のアミノ酸配列、それらの変異体若しくはフラグメントを含むポリペプチド、またはそれらのポリペプチドをエンコードする遺伝子、に対して活性のある化合物の予防的に有効量で、動物の感染を予防するのに充分な量を動物に投与することを含む、細菌による動物の感染を予防するための予防的処置方法をさらに範囲に含む。特定の態様として、予防的に有効量は、細菌の哺乳動物の組織表面への吸着を低下させる。
【0039】
本発明は、配列番号2のアミノ酸配列、それらの部分、それらの変異体、それらのフラグメント、それらのエピトープを含むポリペプチド、またはこれらをエンコードする核酸の動物中における存在を測定すること、を含む黄色ブドウ球菌に感染した動物の診断方法をさらに範囲に含む。好ましくはポリペプチドは、3A ORF 33と特異的に相互作用できるものである。好ましくは、動物はヒトである。
【0040】
1つの態様として、測定する工程は、動物または個体の生物学的サンプルを、配列番号2のアミノ酸配列、それらの変異体若しくはフラグメントを含むポリペプチドに存在するエピトープに対して特異的な抗体と接触させることを含む。
【0041】
本発明は、配列番号2のアミノ酸配列、それらの変異体若しくはフラグメントを含むポリペプチドをエンコードする核酸の動物または個体中における存在を測定することを含む、黄色ブドウ球菌に感染した動物または個体の診断方法をさらに範囲に含み、ここでポリペプチドは、3A ORF 33と特異的に相互作用できるものである。
【0042】
1つの態様として、測定する工程は、動物または個体の核酸サンプルを、配列番号1の配列またはそれらの相補鎖とストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズする少なくとも15ヌクレオチド長の、単離され、精製され、または濃縮された核酸プローブと接触させることを含む。
【0043】
本発明は、ポリペプチドをエンコードするヌクレオチド配列を含む、単離され、精製され、または濃縮されたポリヌクレオチドをさらに範囲に含み、そのポリペプチドは細菌の成長阻害性(または阻害因子)バクテリオファージ3A ORF 33遺伝子産物またはそれらの部分と相互作用できる。
【0044】
1つの特定の態様として、単離され、精製され、または濃縮されたポリヌクレオチドは、配列番号2に対応するポリペプチドをエンコードするヌクレオチド配列またはその相補鎖を含む。
【0045】
本発明の他の特定の態様として、単離され、精製され、または濃縮されたポリヌクレオチドは、配列番号1の配列またはその相補鎖と、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、そしてより好ましくは少なくとも90%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む。
【0046】
本発明は、配列番号2のアミノ酸配列、それらの変異体若しくはフラグメントを含む、単離され、精製され、または濃縮されたポリペプチドをさらに範囲に含む。
【0047】
本発明は、配列番号2のアミノ酸配列、それらの変異体若しくはフラグメントを含むかまたはこれらに存在する、単離され、精製され、または濃縮されたポリペプチドをさらに範囲に含む。
【0048】
1つの特定の態様として、単離され、精製され、または濃縮されたポリペプチドは、配列番号2のアミノ酸配列と、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも70%、そしてより好ましくは少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むかまたはこれらから構成される。
【0049】
1つの特定の態様として、単離され、精製され、または濃縮された本発明のポリペプチドは、配列番号2のアミノ酸配列と、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、そしてより好ましくは少なくとも95%または少なくとも99%の類似性を有するアミノ酸配列を含むかまたはこれらから構成される。
【0050】
1つの特定の態様として、配列番号2の配列、またはそれらのフラグメント若しくは変異体は、キメラタンパク質の部分である。
【0051】
本発明は、配列番号2で示されるアミノ酸配列によりエンコードされるエピトープに特異的な、単離され、精製され、または濃縮された抗体をさらに範囲に含む。
【0052】
本発明は、配列番号2またはその変異体若しくはフラグメントに対応するバクテリオファージによりエンコードされるポリペプチドおよび黄色ブドウ球菌STAAU_R4ポリペプチドの、2つのポリペプチドを含む組成物をさらに範囲に含む。他の態様として、本発明は、バクテリオファージによりエンコードされるポリペプチドおよび黄色ブドウ球菌STAAU_R4ポリペプチド由来の2つの相互作用するポリペプチドを含む組成物をさらに範囲に含む。したがって、本発明は、これらの直接的に相互作用するポリペプチドをエンコードする2つの核酸配列を含む組成物を範囲に含む。
【0053】
他の態様として、本発明は、特異的に相互作用するドメインのペアを含む組成物を範囲に含み、そのペアは、STAAU_R4ポリペプチドおよびSTAAU_R4ポリペプチドと特異的に相互作用するバクテリオファージORFによりエンコードされるポリペプチドを含む。
【0054】
さらに、本発明は、a)配列番号2のアミノ酸配列、生物学的に活性なそれらのフラグメント、またはそれらの変異体を含むSTAAU_R4ポリペプチドに対して活性のある化合物を同定することを目的とした本発明のスクリーニングアッセイを行うこと;およびb)a)で同定された化合物を適当な医薬キャリアと混合すること;を含む医薬組成物の製造方法を範囲に含む。
【0055】
特定の態様として、医薬組成物を製造する方法は、a)バクテリオファージORF由来の第2のポリペプチドに特異的に結合する配列番号2のアミノ酸配列、生物学的に活性なそれらのフラグメント、またはそれらの変異体を含む、STAAU_R4ポリペプチドに対して活性のある化合物を同定すること;およびb)a)で同定された化合物を適当な医薬キャリアと混合すること;を含む。
【0056】
医薬組成物を製造するこの方法のさらなる態様として、この方法は、STAAU_R4ポリペプチドに対して活性のある同定された化合物を単離するための調製のスケールアップをさらに含む。医薬組成物を製造する方法のさらに他の態様として、調製された医薬組成物は、a)で同定された化合物の誘導体またはホモログを含む。
【0057】
また、本発明は、配列番号2のアミノ酸配列、生物学的に活性なそれらのフラグメントまたはそれらの変異体を含むポリペプチドに対して活性のある化合物を同定するための;a)配列番号2のアミノ酸配列、生物学的に活性なそれらのフラグメントまたはそれらの変異体を含むSTAAU_R4ポリペプチド;b)STAAU_R4のポリペプチド、生物学的に活性なそれらのフラグメントまたはそれらの変異体と、STAAU_R4に特異的に相互作用するバクテリオファージORFによりエンコードされるポリペプチドとを含む、特異的に相互作用するドメインのペアを含む組成物;またはc)配列番号2のアミノ酸配列、生物学的に活性なそれらのフラグメントまたはそれらの変異体を含む第1のポリペプチド、およびお互いに特異的に相互作用するバクテリオファージORFによりエンコードされる第2のポリペプチド、を含むアッセイ混合物、のうちの1つの使用を範囲に含む。
【0058】
本発明のさらに他の態様として、エンコードされたバクテリオファージORF相互作用ドメインのバクテリオファージORFへの特異的結合を可能にするバクテリオファージORF相互作用ドメイン、を含む単離されたポリペプチドまたはポリヌクレオチド配列が提供され、その配列は非バクテリオファージORF相互作用ドメインに突然変異させたものである。
【0059】
本発明のさらなる特徴および有利な点は、態様に関する以下の記載、それらの図面、および特許請求の範囲からより完全に明らかとなるであろう。
【0060】
本発明の他の目的、有利な点および特徴は、例示であり本発明の範囲を制限するように解釈してはならない添付の図面を参照しながら、以下の好ましい態様の非限定の記載を読むことにより、より明らかとなるであろう。
【0061】
(好ましい態様の記載)
本発明は、例えば、スクリーニング、診断、および治療に有用な、黄色ブドウ球菌およびそれらの部分の本質的な遺伝子およびそのエンコードされたポリペプチドの発見に関連する。より具体的には、本発明は、以下により詳しく記載するように黄色ブドウ球菌STAAU_R4ポリペプチドおよびポリヌクレオチドにも関連し、また相互作用するポリペプチドのペアをエンコードするポリヌクレオチドのペア、ポリペプチドのペアそのもの、またはそれらの相互作用するドメインにも関連する。特定の態様として、そのペアは、黄色ブドウ球菌STAAU_R4ポリペプチド若しくはそれらの相互作用するドメインおよび3A ORF 33若しくはそれらの相互作用するドメインを含む。1つの態様として、本発明は、配列番号1または配列番号2でそれぞれ示されるヌクレオチドまたはアミノ酸配列を有するSTAAU_R4に関連する。当業者は、このような配列が一般的にリボポリヌクレオチド等のポリヌクレオチドにも有用に適用できることを認識するので、配列番号1および2で示される配列は、本発明の例を示すものである。
【0062】
2つの以前の発明の方法論(1998年12月3日に出願された米国仮特許出願60/110,992、および1999年12月3日に出願されたPCT国際出願WO1999/IB99/02040)を用いて、黄色ブドウ球菌からの本質的なポリヌクレオチドおよびポリペプチド配列を同定し特徴づけた。
【0063】
したがって、本発明の特定の態様として、抗菌活性を有する化合物を同定するための薬のスクリーニングアッセイに用いることのできる、黄色ブドウ球菌から単離されたポリヌクレオチドおよびポリペプチド配列が提供される。ポリヌクレオチドおよびポリペプチド配列は、ここに記載されたものと同様の方法、または他の方法を用いて単離することができる。さらに、このようなポリヌクレオチドおよびポリペプチド配列は、化学的に合成できる。バクテリオファージに対する標的としての黄色ブドウ球菌STAAU_R4配列の同定は、細菌の標的を同定するための本発明の手法を検証し、抗菌薬開発およびそれらに基づく診断および処置方法に対する鍵となる標的としてのSTAAU_R4をも検証することとなる。
【0064】
(定義)
本記載に用いられる用語の明確且つ一致した理解を提供するために、多くの定義を以下に提供する。
【0065】
「活性のある」の用語は、特定の遺伝子の産物のような特定の細胞標的に関連して用いられる場合、標的が、その標的および細胞経路で作用する薬剤または化合物を含むその経路の重要な部分であることを意味する。したがって、いくつかの場合では、薬剤または化合物は、その経路の調節因子またはその経路の成分等の、定まった標的の上流または下流の成分に(即ち標的に間接的に)作用してもよい。一般的に、抗菌剤は、本質的な細胞機能、しばしば本質的な遺伝子産物に対し(即ち標的に直接的に)活性がある。
【0066】
「活性のある」の用語は、(化合物の不存在下での標的の活性と比較した場合に)活性のある標的への測定可能な化合物の効果をも指す。それらに対して示される活性は、本発明のポリペプチドの1つの生物学的活性のいずれでもよい。
【0067】
ここで用いられる場合、「阻害する」、「阻害」、「阻害性」、および「阻害因子」の語はすべて、生物学的活性または機能を低下させる機能を指す。活性または機能のこのような低下は、例えば、細胞成分(例えば酵素)と関係し、細胞工程(例えば特定のタンパク質の合成)と関係し、または細胞の全体の工程(例えば細胞の成長)と関係しうる。細胞の成長と関連して、阻害性効果は、殺菌性(細菌細胞を殺す)または静菌性(即ち細菌細胞の成長を止めるか少なくとも遅くさせる)でもよい。後者は、所定の時間にわたり阻害されない細胞と比べて株のより少ない細胞しか産生しないようにして細胞の成長を遅くさせるかまたは妨げる。分子の観点からは、このような阻害は、転写および/または翻訳および/または特異的細菌標的の安定性、のレベルを低下させることまたは削除すること、および/または特定の標的生体分子の活性の低下もしくは削除、に等しい。
【0068】
ここで用いられる場合、「STAAU_R4ポリペプチド」、「plsXポリペプチド」等の用語は、黄色ブドウ球菌STAAU_R4(配列番号2)、それらの変異体若しくは黄色ブドウ球菌STAAU_R4の活性ドメインを含むポリペプチドを指す。ここで用いられる場合、「黄色ブドウ球菌STAAU_R4の活性ドメイン」、「STAAU_R4の生物学的に活性なポリペプチド」等の語は、黄色ブドウ球菌STAAU_R4の活性を保持する黄色ブドウ球菌STAAU_R4のポリペプチドのフラグメント若しくは部分を指す。「STAAU_R4ポリペプチド」の語は、黄色ブドウ球菌STAAU_R4または他の非STAAU_R4ポリペプチド配列に融合する黄色ブドウ球菌STAAU_R4の活性ドメインを含むことを意味する。
【0069】
本発明のSTAAU_R4または他のポリペプチドの「STAAU_R4活性」、「配列番号2のアミノ酸配列を含むポリペプチドの活性」、「plsXポリペプチド活性」、または「生物学的に活性」は、本発明の遺伝子、核酸配列、タンパク質またはポリペプチドの検出可能な生物学的活性として定義される。これには、本発明のSTAAU_R4、またはファージORFの特異的な生物学的活性に起因するいずれの生理的機能も含まれる。生物学的活性の非限定の例は、直接的または間接的になされる。STAAU_R4の生物学的活性には、例えば、限定されないが、脂肪酸/リン脂質生合成の機能がある。生物学的活性には、化合物、基質、およびもちろん相互作用するタンパク質等の他の因子(ポリペプチドまたはその他)への単純な結合を含んでもよい。したがって、STAAU_R4について、生物学的活性には、この分野で知られた技術により測定できるコンホメーション変化、リン酸化状態またはタンパク質の他の特徴のようなSTAAU_R4の標準的ないずれの生化学的測定値が含まれる。STAAU_R4生物学的活性にはまた、STAAU_R4遺伝子転写若しくは翻訳、またはこのような転写若しくは翻訳産物のいずれもの生物学的活性にも関連する活性が含まれる。本発明は、本発明の阻害性ポリペプチドとのSTAAU_R4の相互作用にも関連し、STAAU_R4およびそれらのフラグメントの生物学的活性には、結合をモニターするアッセイおよびこれらのポリペプチドの他の生化学的測定値も含まれる。さらに、「生物学的活性」の用語は、確かに、本発明の相互作用タンパク質のドメインの相互作用に基づく測定値も含まれる(例えばSTAAU_R4のファージORF相互作用ドメイン、またはそれらのファージORFドメインのSTAAU_R4相互作用ドメイン)。「生物学的活性」の非限定の例には、以下の1またはそれ以上が含まれる:
【0070】
i)3A ORF 33ポリペプチドまたはそれらの部分を含むバクテリオファージ由来の細菌成長阻害性ORFへの結合。
本発明のポリペプチド間の結合の測定は、以下の記載または直接結合を測定するためのこの分野に知られた方法の1つにより行うことができる。本発明のある態様として、自動で、より具体的にはハイスループットで分析できる結合アッセイを提供することは有益であろうが、本発明はそのように限定されない。ここで提供される配列番号2のアミノ酸配列、若しくはそれらのフラグメントを含むポリペプチド、およびバクテリオファージタンパク質3A ORF 33若しくはそれらの部分の間の結合若しくは物理的相互作用は、結合に必要な配列から本質的に構成された単離されたポリペプチド間でおこり、または、その代わりに、それぞれのポリペプチド配列が大きなポリペプチド内に含まれうる。
【0071】
配列番号2のアミノ酸配列若しくはそれらのフラグメントを含むポリペプチドへのバクテリオファージ3A ORF 33の結合を測定するための、本発明に有用な多数の非限定の方法を以下に示す。結合は、1つの分子を、膜、ミクロタイタープレートウェル、またはミクロアレイチップのような表面若しくは担体に結合させ、限定されないが光学分光計、蛍光計、および放射性ラベル検出等の種々の手段により第2の分子の結合をモニターすることにより、測定できる。
【0072】
例えば、時間分解蛍光共鳴エネルギー転移(TR−FRET)は、2つのフルオロフォアに極接近するものであり、トリプトファンのような天然に蛍光のアミノ酸残基の場合のように固有のものであるか、または別個の分子に共有結合的若しくは非共有結合的に結合したいずれかの場合であるかによって、1つのフルオロフォアのスペクトルが第2のものの励起スペクトルに重なるような放射が起こり、そしてたった1つのフルオロフォアの励起に続く2つの蛍光は、結合の指標となる。本発明に有用なさらなるアッセイとしては蛍光偏光があり、これは所定の蛍光タグ化分子の定量可能な偏光値が第2の分子への結合により変化するものである。表面プラスモン共鳴アッセイは、水相からセンサーに固定化された第2のものへの1つのタンパク質の結合により生じた固定化されたセンサー近くの質量変化により、2つの分子間の結合を測定する定量的方法として用いることができる。シンチレーション近接アッセイを用いて、シンチラント近接でのそれらの結合が放射性粒子をシンチレーションカウンタや他の検出器により検出される光子シグナルに変換する、配列番号2のアミノ酸配列、およびそれらのフラグメント、並びにバクテリオファージORF若しくはそれらのフラグメントを含むポリペプチドの結合を測定することもできる。さらに、結合は、バイオセンサーアッセイによって評価でき、これは結合に続くイオンチャネルの調節により引き起こされるアドミッタンスの変化を記録するセンサーの能力に基づいている。ファージディスプレイも、色測定ELISA(酵素結合イムノソルベントアッセイ)を用いるタンパク質:タンパク質相互作用を測定するための強力な定量的アッセイである。
【0073】
ii)グリセロール−3−リン酸要求性の補完
本発明に有用な方法は、plsB26およびplsX50変異を有するE.coli株のグリセロール−3−リン酸要求性を取り除くSTAAU_R4ポリペプチドの能力を測定するものである。2つの異なる座、plsBおよびplsXに変異を有するE.coliの株は、その成長のために培地中のグリセロール−3−リン酸の存在に依存する。野生型PlsXをエンコードするポリヌクレオチド配列のこの株への導入は、グリセロール−3−リン酸成長要求を回避する。株は、グリセロール−3−リン酸を含む最小培地と含まないもので同時に培養ことにより、それらの要求性を取り除くことについて評価される。グリセロール−3−リン酸を欠いたプレート上での成長は、要求性表現型の補完を示す。
【0074】
このアッセイは、グラム陰性菌Salmonella typhimurium並びにグラム陽性菌Clostridium butyricumおよびBacillus subtili等の、他の細菌種からのE.coli plsXのホモログが、E.coli中のPlsXに機能的に置き換わることができるかどうかを評価するのに有用であることがわかった。同様のアッセイが、黄色ブドウ球菌からのPlsXの活性を試験するため、およびこのような活性の阻害因子をスクリーニングするために開発できる。
【0075】
ここで用いられる場合、「ポリペプチドをエンコードするポリヌクレオチド」の語またはそれと等価な言葉は、本発明のポリペプチド、特に細菌のポリペプチド、より具体的には図1に示す配列番号2のアミノ酸配列を有する黄色ブドウ球菌STAAU_R4タンパク質のポリペプチドをエンコードする配列を含むポリヌクレオチドを範囲に含む。この語は、コードおよび/または非コード配列も含みうるさらなる領域とともに、ポリペプチドをエンコードする単一の連続領域若しくは不連続領域(例えば、統合されたファージ、統合された挿入配列、統合されたベクター配列、統合されたトランスポゾン配列、またはRNA編集若しくはゲノムDNAの組み換えにより変化した他のものにより割り込まれたポリヌクレオチド)を含む、ポリヌクレオチドも範囲に含む。
【0076】
ここで用いられる場合、「STAAU_R4遺伝子」「PlsX遺伝子」の語は、黄色ブドウ球菌STAAU_R4ポリペプチドをエンコードするポリヌクレオチドを範囲に含むことを意味する。黄色ブドウ球菌STAAU_R4ポリペプチドをエンコードするRNAの直接の転写に必要なさらなるヌクレオチド配列は、細胞中またはin vitroのいずれかにおいて、「調節配列」と呼ばれ、これは、限定されないが転写プロモーターおよびエンハンサー、並びに転写ターミネーターを含む。
【0077】
ここで用いられる場合、「ORF 33」、「ファージ3A ORF 33」または「3A ORF 33」の語は、図2(配列番号3)に提供される配列を含むかまたかこれからなるポリヌクレオチドを範囲に含み、これは3A ORF 33遺伝子産物として知られる遺伝子産物をエンコードする。
【0078】
ここで用いられる場合、「ポリヌクレオチド」の語は、一般的にいずれものポリリボヌクレオチドまたはポリデオキシリボヌクレオチドを指し、これは未修飾のRNA若しくはDNAまたは修飾されたRNAもしくはDNAでもよい。「ポリヌクレオチド」には、限定されないが、1本鎖および2本鎖DNA;1本鎖および2本鎖領域、または1本鎖、2本鎖、および3本鎖領域の混合物であるDNA;1本鎖および2本鎖RNA;1本鎖および2本鎖領域の混合物であるRNA;1本鎖またはより典型的には2本鎖若しくは3本鎖領域または1本鎖および2本鎖領域の混合物でもよいDNAおよびRNAを含むハイブリッド分子、が含まれる。さらに、ここで用いられる場合、「ポリヌクレオチド」は、RNAもしくはDNA、またはRNAとDNAの両方を含む3本鎖領域を指す。このような領域の鎖は、同じ分子からでも、または異なる分子からでもよい。この領域は、その分子の1またはそれ以上のすべてを含んでもよいが、より典型的にはいくつかのその分子の領域のみを伴う。3重らせん領域の分子の1つは、しばしばオリゴヌクレオチドである。ここで用いられる場合、「ポリヌクレオチド」の語には、1またはそれ以上の修飾された塩基を含む上述したDNAまたはRNAも含まれる。したがって、安定性や他の理由により修飾された骨格を有するDNAまたはRNAは、その語がここで意図されるような「ポリヌクレオチド」である。さらに、イノシンのような一般的でない塩基やトリチル化塩基のような修飾された塩基を含むDNAまたはRNAは、ちょうど2つの例として指名するが、ここでその語が用いられるようにポリヌクレオチドである。当業者に知られた多くの有用な目的を提供するDNAまたはRNAに対してなされる多数の修飾が、認識されるであろう。ここで利用される「ポリヌクレオチド」の語は、ポリヌクレオチドのこのような化学的、酵素的、または代謝的に修飾された形態を、また同様に例えば単純および複合細胞等のウイルスおよび細胞のDNAおよびRNAの特徴の化学的形態を、包含する。「ポリヌクレオチド」は、しばしばオリゴヌクレオチドと呼ばれる短いポリヌクレオチドも包含する。ポリヌクレオチドは、DNAおよびRNAのキメラであってもよい。
【0079】
ここで用いられる場合、「ポリペプチド」の語は、ペプチド結合または修飾されたペプチド結合によりお互い結合した2またはそれ以上のアミノ酸を含むいずれものペプチドまたはタンパク質を指す。「ポリペプチド」は、一般的にペプチド、オリゴペプチド、およびオリゴマーと呼ばれる短鎖のもの、並びに一般的にタンパク質と呼ばれる長鎖のものの両方を指す。ポリペプチドは、20の、遺伝子によりエンコードされたアミノ酸以外のアミノ酸を含んでもよい。「ポリペプチド」は、プロセシングや他の翻訳後修飾のような自然の工程だけでなく、化学的修飾技術によって修飾されたものも含む。このような修飾は、基本的な教科書およびより詳細な論文、さらに多数の研究論文によく記載されており、これらは当業者によく知られている。修飾のいくつかの型が所定のポリペプチドのいくつかの部位で同様にまたは異なる度合いで存在しうることが認識されることとなる。また、所定のポリペプチドは、多くの型の修飾を含んでもよい。修飾は、ペプチド骨格、アミノ酸側鎖、およびアミノまたはカルボキシル末端等のポリペプチドのいずれの場所でも起こりうる。修飾には、例えば、アセチル化、アシル化、ADPリボシル化、アミド化、フラビンの共有結合、ヘム部位の共有結合、ヌクレオチドまたはヌクレオチド誘導体の共有結合、脂質または脂質誘導体の共有結合、ホスホチジルイノシトールの共有結合、架橋、環化、ジスルフィド結合形成、脱メチル化、システインの形成、ピログルタミン酸の形成、ホルミル化、ガンマカルボキシル化、GPIアンカー形成、ヒドロキシル化、ヨウ素化、メチル化、ミリストイル化、酸化、タンパク質分解工程、リン酸化、プレニル化、ラセミ化、グリコシル化、脂質結合、硫酸化、グルタミン酸残基のガンマカルボキシル化、ヒドロキシル化、セレノイル化、アルギニル化のような硫酸化およびトランスファーRNA媒介のタンパク質へのアミノ酸の付加、およびユビキチン化が含まれる。例えば、Proteins−Structure and Molecular Properties,第2版, T.E.Creighton,W.H.Freeman and Company,New York(1993);Wold,F.,Posttranslational Protein Modifications:Perspectives and Prospects,pgs.1−12 in Posttranslational Covalent Modification of Proteins,B.C.Johnson,Ed.,Academic Press,New York(1983);Seifter et al.,Meth.Enzymol.182:626−646(1990);およびRattan et al.,Protein Synthesis:Posttranslational Modifications and Aging, Ann.N.Y.Acad.Sci.663:48−62(1992)を参照のこと。ポリペプチドは、枝分かれしていても環状でもよく、側鎖を有していてもいなくてもよい。環状、枝分かれした、および枝分かれして環状のポリペプチドは、翻訳後の自然の工程の結果であっても、同様に、全合成方法によって作成されてもよい。
【0080】
ここで用いられる場合、「変異体」の語は、参照ポリヌクレオチドまたはポリペプチドとは異なるそれぞれポリヌクレオチドまたはポリペプチドであるが、本発明の最初の(例えば非変異体の)ポリヌクレオチドまたはポリペプチド(例えば、STAAU_R4)の1またはそれ以上の生物学的活性を保持しているもの、を指す。ポリヌクレオチドの典型的な変異体は、一方の参照ポリヌクレオチドとヌクレオチド配列において異なる。変異体のヌクレオチド配列の変化は、参照ポリヌクレオチドによりエンコードされるポリペプチドのアミノ酸配列を変えても変えなくてもよい。ヌクレオチドの変化は、参照配列によりエンコードされるポリペプチドまたは後述する融合タンパク質の形態におけるアミノ酸の置換、付加、欠失、およびトランケーションをもたらしうる。ポリペプチドの典型的な変異体は、一方の参照ポリペプチドとアミノ酸配列において異なる。一般的に、その相違は、参照ポリペプチドと変異体の配列が全体として極似ており、多くの領域において同一であるように限定される。変異体と参照ポリペプチドは、1またはそれ以上の置換、付加、欠失のいずれもの組み合わせでアミノ酸配列において異なっていてもよい。置換されたまたは挿入されたアミノ酸残基は、遺伝子コードによりエンコードされた1つであってもそうでなくてもよい。本発明はまた、本発明のポリペプチドのそれぞれの変異体を含み、それは残基が同様の特徴を有する他のものに置き換わる保存的アミノ酸置換により参照体から変化するポリペプチドである。典型的には、このような置換は、Val、LeuおよびIleの間;SerおよびThrの間;酸性残基のAspおよびGluの間;塩基性残基のLysおよびArgの間;芳香族残基のPheおよびTyrの間で起こる。特に好ましくは、1〜10、1〜5、1〜3、2〜3、または1つのアミノ酸について置換、欠失、または付加が、いずれもの組み合わせでも起こる変異体である。ポリヌクレオチドまたはポリペプチドの変異体は、対立遺伝子変異体のように自然発生するものでもよく、または自然発生すると知られていない変異体でもよい。ポリヌクレオチドおよびポリペプチドの自然発生しない変異体は、変異誘発技術、直接合成、および当業者に知られた他の組み換え方法を用いて作成できる。ここで用いられる場合、「フラグメント」の語は、ポリペプチドと関連して用いられるときは、それが「由来する」本発明によるポリペプチドのアミノ酸配列と部分的には完全に同じであるが、全部は同じでないアミノ酸配列を有するポリペプチドである。黄色ブドウ球菌STAAU_R4ポリペプチドのように、フラグメントは、「自立している」(「それから構成されている」)、または最も好ましくは単一の長いポリペプチドの単一の連続領域として、部分または領域、を形成する大きなポリペプチドに含まれてもよい。
【0081】
「単離された」の語は、核酸と関連して用いられるときは、自然発生する配列が、その通常細胞の(例えば染色体の)環境から取り出されたこと、または自然でない環境で合成された(例えば人工的に合成された)ことを意味する。したがって、配列は、細胞を含まない溶液中にあるか、または異なる細胞の環境に置かれてもよい。この語は、配列にヌクレオチド鎖のみが存在することを意味するのではなく、それに自然に関係する非ヌクレオチド物質を本質的に含まないことであり(少なくとも約90〜95%純粋)、したがって単離された染色体からは区別される。
【0082】
「濃縮された」の語は、ポリヌクレオチドと関連して用いられるときは、特定のDNAまたはRNA配列が、正常若しくは疾患細胞中またはその配列をもともと採取した細胞中と比べ、目的とする細胞または溶液中に存在する全DNAまたはRNAの顕著に高い画分(2〜5倍)を構成することを意味する。これは、人為的に、存在する他のDNAまたはRNAの量を優先的に低下させることにより、または特定のDNAまたはRNA配列の量を優先的に増やすことにより、またはその2つの組み合わせにより、起こされてもよい。しかし、濃縮されたということが他のDNAまたはRNA配列が存在しないことを意味せず、目的とする配列の相対量が顕著に増加したということに注意すべきである。
【0083】
ここで用いられる場合、「顕著に高い画分」の語は、濃縮物のレベルがこのような濃縮物を作成する人に有用であることを示し、他の核酸に比べて少なくとも約2倍、若しくは5から10倍またはそれ以上に濃縮物が増加することを示す。この語はまた、他の供給源からのDNAまたはRNAがないことを意味するものではない。DNAの他の供給源には、例えば、酵母若しくは細菌のゲノム、またはpUC19のようなクローニングベクターが含まれる。この語は、ウイルス感染、または腫瘍型の成長のような自然発生するものから区別され、ここでは1つのmRNAのレベルは、他の種のmRNAと比べて自然に増加しうる。つまり、この語は、所望の核酸の比率を上昇させようと人が介在した状況のみを包含することを意味する。
【0084】
ここで用いられる場合、核酸と関連して用いられる「精製された」の語は、(均一な調製物のような)絶対的な純粋性を必要としない。その代わり、これは、配列が自然環境にあるものよりも(自然のレベルと比べ、このレベルは、例えば、mg/mLの意味で、少なくとも2〜5倍大きい必要があり)、相対的により純粋であることの指標であることを示す。ゲノムまたはcDNAライブラリーから単離された個々のクローンは、電気泳動的均質性にまで精製されうる。これらのクローンから得られた要求されたDNA分子は、全DNAまたは全RNAから直接得ることができる。cDNAクローンは自然発生せず、好ましくは部分的に精製された自然発生した物質(メッセンジャーRNA)の操作を介して得られる。mRNAからのcDNAライブラリーの構築は、合成物質(cDNA)の作成を伴い、純粋な個々のcDNAクローンは、cDNAライブラリーを有する細胞のクローン選択により合成ライブラリーから単離できる。したがって、mRNAからのcDNAライブラリーの構築および別個のcDNAクローンの単離を含む工程により、自然発生する細胞における比率に対して自然のメッセージの約106倍の精製を生じることとなる。したがって、少なくとも1桁の大きさ、好ましくは2若しくは3桁の、そしてより好ましくは4若しくは5桁の大きさの精製を、明らかに企図する。ゲノムライブラリーは、同じやり方で用いることができ、同じおおよその精製レベルを生ずる。
【0085】
上記の核酸に関係して用いられる「単離された」、「濃縮された」、および「精製された」の語は、ポリペプチドの相対純度およびアバンダンスを示すのにも同様に用いられる。これらは、また、この分野でよく知られた生化学技術を用いて、保存され、成長させられ、スクリーニングされ、およびライブラリーから選択されてもよい。このようなポリペプチドは、天然、合成またはキメラでもよく、また抗体免疫沈降、他の「タグ化」技術、通常のクロマトグラフィーおよび/または電気泳動方法のような種々の方法のいずれかを用いて抽出してもよい。
【0086】
ここで用いられる場合、「相補鎖」の語は、所定のポリヌクレオチド配列と関連して用いられるとき、ヌクレオチドの配列中のすべてのヌクレオチドが、所定のポリヌクレオチド配列を有するヘテロ2本鎖においてこれに対向するヌクレオチドと水素結合により塩基対を形成する2本鎖のヘテロ2本鎖を形成できるヌクレオチドの配列を指す。この語は、もう一方のRNAまたはDNA配列の相補鎖であるDNAまたはRNA配列を指してもよい。ここで用いられる場合、「ハイブリダイズ」の語は、2つの核酸分子間で水素結合したヘテロ2本鎖の形成を指す。一般的に、所定の核酸分子はその相補鎖とハイブリダイズし、または2つの分子間で水素結合したヘテロ2本鎖の形成を許容するように所定の分子に対して充分に相補的である分子とハイブリダイズすることとなる。
【0087】
ここで用いられる場合、「プローブ」の語は、少なくとも長さが15ヌクレオチド(nt)、20nt、30nt、40nt、50nt、75nt、100nt、200nt、500nt、1000ntおよび5000から10,000ntのポリヌクレオチドを指す。
【0088】
ここで用いられまたこの分野で知られた「同一性」および「類似性」は、2若しくはそれ以上のポリペプチド配列間の、または2若しくはそれ以上のポリヌクレオチド配列間の関係であり、配列同士を比較することにより決定される場合でもよい。
【0089】
アミノ酸または核酸配列の「同一性」および「類似性」は、比較される2つの配列間の最適全体アライメントから決定される。最適全体アライメントの非限定の例は、Needleman−Wunschのアルゴリズムを用いて実行できる[NeedlemanおよびWunsch,1970,J.Mol.Biol.48:443−453]。「同一性」は、第1のポリペプチドまたはポリヌクレオチドの特定の位置におけるアミノ酸またはヌクレオチドが、第1のポリペプチドまたはポリヌクレオチドと最適全体アライメントにある第2のポリペプチドまたはポリヌクレオチドの対応するアミノ酸またはヌクレオチドと同一であることを意味する。同一性とは対照的に、「類似性」は、保存的置換であるアミノ酸を範囲に含む。
【0090】
「保存的」置換の語は、この分野でよく知られており、置換されたアミノ酸の化学物理的性質が大きくは変わらない置換を広く指す。例えば、「保存的」置換は、blosum62置換マトリックスにおいて正のスコアを有するいずれかの置換である[HentikoffおよびHentikoff,1992,Proc.Natl.Acad.Sci.USA89:10915−10919]。「配列Aは、配列Bにn%類似する」の言い方は、配列AおよびBの間の最適全体アライメントの位置のn%が保存的置換からなることを意味する。「配列Aは、配列Bとn%同一である」の言い方は、配列AおよびBの間の最適全体アライメントの位置のn%が同一の残基またはヌクレオチドからなることを意味する。この開示における最適全体アライメントは、Needleman−Wunschアライメントアルゴリズムにおいて以下のパラメータを用いた:
ポリペプチドには:
置換マトリックス:blosum62
ギャップスコアリング関数:−A−B*LG、ここでA=11(ギャップペナルティー)、B=1(ギャップ長さペナルティー)およびLGはギャップの長さである。
ヌクレオチド配列には:
置換マトリックス:適合に10、不適合に0
ギャップスコアリング関数:−A−B*LG、ここでA=50(ギャップペナルティー)、B=3(ギャップ長さペナルティー)およびLGはギャップの長さである。
【0091】
配列間の「同一性」および「類似性」の語は、それらのフラグメントに拡張できる。配列AおよびBの最適局所アライメントは、AおよびBのフラグメントの最高のスコアリングアライメントである。「配列AはBに局所的にn%類似する」の言い方は、配列AおよびBの間の最適局所アライメントの位置のn%が保存的置換からなることを意味する。「配列Aは、Bと局所的にn%同一である」の言い方は、配列AおよびBの間の最適局所アライメントの位置のn%が同一の残基またはヌクレオチドからなることを意味する。最適局所アライメントの非限定の例は、Smith−Watermanのアルゴリズムを用いて実行できる[Smith,T.FおよびWaterman,M.S.1981.Identification of common molecular subsequences. J.Mol.Biol.147:195−197]。
【0092】
もちろん、上記のパラメータは、アライメントアルゴリズムパラメータの1つの特定の例にすぎない。多数のアルゴリズムおよびパラメータが利用可能であり、当業者に知られている。
【0093】
典型的な保存的置換は、Met、Val、LeuおよびIle間;SerおよびThr間;Asp、GluおよびAsn残基間;Gln、LysおよびArg残基間;またはPheおよびTyr芳香族残基間で起こる。2つのポリペプチド配列間の類似性の度合い(最もしばしば割合として)を計算する場合、同一性または類似性が2つのポリペプチド配列の対応するアミノ酸残基間で観察される位置の数を、比較される2つの分子の全長との関係で考慮する。
【0094】
ここで用いられる場合、「抗体」の語は、抗体のような結合(可変)領域を用いる構造体、および他の抗体の修飾を範囲に含むことを意味する。したがって、本発明に有用な抗体は、抗体全体、抗体フラグメント、多機能抗体集合体、または一般的に抗体からの1またはそれ以上の特異的結合部位を含む物質を含んでもよい。抗体フラグメントは、Fv、Fab若しくはF(ab’)2フラグメントまたはそれらの誘導体のようなフラグメント、単鎖Fvフラグメントのようなフラグメントでもよい。抗体または抗体フラグメントは、非組み換え、組み換え、またはヒト化されたものでもよい。抗体は、例えば、IgG、IgM等の免疫グロブリンアイソタイプのものでもよい。さらに、免疫グロブリン若しくはそれらのフラグメントの集合体、高分子、誘導体およびコンジュゲートも適宜用いることができる。中和抗体は、本発明による診断、治療および薬のスクリーニングおよび薬の設計方法に特に有用である。
【0095】
ここで用いられる場合、「黄色ブドウ球菌STAAU_R4ポリペプチドに存在するエピトープに特異的」の語は、抗体と関連して用いられるとき、抗体が本発明による黄色ブドウ球菌STAAU_R4ポリペプチドまたはそれらのフラグメントに存在する抗原決定基を認識して結合することを意味する。
【0096】
ここで用いられる場合、「抗原的に等価な誘導体」の語は、本発明によるタンパク質、ポリペプチドまたはポリヌクレオチドについて用いられるときに、病原体と哺乳動物宿主との即座の物理的相互作用を妨害する特定の抗体により特異的に認識されるポリペプチド、ポリヌクレオチド、またはそれらの等価物を範囲に含む。
【0097】
ここで用いられる場合、「本質的な」の語は、遺伝子または遺伝子産物との関連で用いられるとき、宿主がそれなしでは生き残れず、または機能的産物の不存在若しくは涸渇により、顕著に欠陥を生じた成長となることを意味する。「本質的な遺伝子」は、したがって、問題となっている特定の遺伝子に対応する野生型対立遺伝子を有する株の成長に適した培地中でのin vitroの細胞の成長のために有益な、または好ましくは必要な産物をエンコードするものである。したがって、本質的な遺伝子が不活性化若しくは阻害されると、その細胞は野生型株に比べ顕著に遅く成長するか、または全く成長しないこととなりうる。好ましくは、このような遺伝子が不活性化された株の成長は、増殖培地中で、野生型の成長速度の20%以下、より好ましくは10%以下、最も好ましくは5%以下となり、またはその速度は、0となりうる。好ましくは、遺伝子産物により提供される活性の不存在下では、少なくとも正常のin vivoの成長条件に似た培地条件下では、細胞は全く成長しないか、または生育不能となりうる。例えば、細菌の細胞壁合成に関与するある酵素の生物学的活性の不存在は、たとえプロトプロストが制御された浸透圧条件下で維持可能であっても、正常浸透圧条件下で細胞の溶解をもたらすこととなる。好ましくは、しかし必要ではないが、例えば、抗菌剤やファージ産物によりこのような遺伝子が阻害されると、阻害された細菌の成長速度は、阻害されていない細菌の成長速度の50%以下、より好ましくは30%以下、さらにより好ましくは20%以下、最も好ましくは10%以下となりうる。当業者に認識されるように、成長阻害の度合いは、一般的に阻害剤の濃度に依存する。本発明との関係において、本質的な遺伝子は、一般的に抗菌剤の好ましい標的となる。本質的な遺伝子は、「標的」分子を直接エンコードできるか、または標的分子の産生、修飾、若しくは維持に関与する産物をエンコードできる。
【0098】
ここで用いられる場合、「標的」は、外因性の薬剤若しくは化合物により作用されることができ、それにより細菌細胞の成長若しくは生存力を調節し、好ましくは阻害する、生体分子若しくは生体分子の複合体を指す。標的は、核酸配列若しくは核酸分子、またはポリペプチド若しくはポリペプチドの一領域でもよい。
【0099】
ここで用いられる場合、「配列番号2のアミノ酸配列若しくはそれらのフラグメントを含む黄色ブドウ球菌ポリペプチドの、3A ORF 33若しくはそれらのフラグメントとの相互作用により発生するシグナル」等の語は、結合アッセイによるポリペプチドの相互作用の測定可能な指標を指し、ここで相互作用するポリペプチドは、配列番号2のアミノ酸配列それらのフラグメント若しくはそれらの変異体、および3A ORF 33それらのフラグメント若しくはそれらの変異体を含む。ここで用いられる場合、「配列番号2のアミノ酸配列若しくはそれらのフラグメントを含む黄色ブドウ球菌ポリペプチドの活性化若しくは阻害により発生するシグナル」の語は、STAAU_R4活性のアッセイによる、配列番号2のアミノ酸配列それらのフラグメント若しくは変異体を含むポリペプチドの測定可能な指標を指す。例えば、そのシグナルには、限定されないが、(i)蛍光シグナル(時間分解蛍光共鳴エネルギー変換アッセイ;蛍光偏光アッセイ)、色測定シグナルの分光光度計吸収測定(ファージディスプレイELISA)、質量変化測定(表面プラスモン共鳴分析)、または選択培地による生存可能性測定(酵母2−ハイブリッド分析)等の、3A ORF 33のSTAAU_R4ポリペプチドへの結合からもたらされるシグナルが含まれうる。
【0100】
ここで用いられる場合、「標準」の語は、ポリペプチド活性と関連して用いられ、候補化合物の不存在下で行われる所定のアッセイで(直接的にまたは間接的に)観察または検出される活性の量を意味する。「標準」は、候補化合物のポリペプチド活性に対する正または負の効果を測定するための参照として機能する。
【0101】
ここで用いられる場合、「活性の増加」の語は、候補化合物の不存在下の測定可能な活性レベルと比べた、候補化合物の存在下の所定のアッセイにおけるポリペプチドの測定可能な活性の増強されたレベルを指す。活性は、候補化合物の不存在下より少なくとも10%大きく、20%大きく、50%大きく、75%大きく、100%またはそれ以上大きく、2倍、5倍、10倍、20倍、50倍、100倍またはそれ以上までの場合、本発明により増加したと見なされる。
【0102】
ここで用いられる場合、「活性の減少」の語は、候補化合物の不存在下の測定可能な活性レベルと比べた、候補化合物の存在下の所定のアッセイにおけるポリペプチドの測定可能な活性の低下したレベルを指す。活性は、候補化合物の不存在下で観察されるより少なくとも10%少なく、好ましくは15%少なく、20%少なく、50%少なく、75%少なく、または100%少ない(即ち活性がない)場合、本発明により減少したと見なされる。
【0103】
ここで用いられる場合、「それらの相互作用ができる条件」の語は、配列番号2のアミノ酸配列若しくはそれらのフラグメントを含む黄色ブドウ球菌ポリペプチド、および候補化合物に関連して用いられるとき、2つの独立物がともに溶液中にあるか、または一方が何らかの方法で固定化若しくは制限されており他方が溶液中にあるかのいずれかにより、一緒に置かれていることを意味し、ここで溶液のパラメータ(例えば、塩、界面活性剤、タンパク質または候補化合物濃度、温度、および酸化還元電位、その他)は、配列番号2のアミノ酸配列若しくはそれらのフラグメントを含む黄色ブドウ球菌ポリペプチド、および候補化合物が物理的に結合できるようなものである。タンパク質:候補化合物相互作用ができる条件には、例えば、TR−FRET、蛍光偏光、表面プラスモン共鳴およびファージディスプレイアッセイについてここで記載した条件が含まれる。
【0104】
ここで用いられる場合、「STAAU_R4の測定可能なパラメータの検出可能な変化」の語は、黄色ブドウ球菌STAAU_R4ポリペプチドの定量可能な特徴の変化を指す。
【0105】
ここで用いられる場合、「アゴニスト」の語は、黄色ブドウ球菌STAAU_R4ポリペプチドまたはポリヌクレオチドの活性を増強または増加させる薬剤または化合物を指す。アゴニストは、黄色ブドウ球菌STAAU_R4ポリペプチドまたはポリヌクレオチドに直接的に活性があっても、または黄色ブドウ球菌STAAU_R4ポリペプチドまたはポリヌクレオチドの増強したまたは増加した活性を導く経路の1またはそれ以上の構成要素に対して活性があってもよい。
【0106】
ここで用いられる場合、「アンタゴニスト」の語は、黄色ブドウ球菌STAAU_R4ポリペプチドまたはポリヌクレオチドの活性を低下または減少させる薬剤または化合物を指す。アンタゴニストは、黄色ブドウ球菌STAAU_R4ポリペプチドまたはポリヌクレオチドに直接的に活性があっても、または黄色ブドウ球菌STAAU_R4ポリペプチドまたはポリヌクレオチドの低下したまたは減少した活性を導く経路の1またはそれ以上の構成要素に対して活性があってもよい。
【0107】
ここで用いられる場合、「抗菌剤」または「抗菌化合物」の語は、1またはそれ以上の細菌株に殺菌または静菌効果を有する薬剤または化合物を指し、好ましくはこのような薬剤または化合物は、少なくとも黄色ブドウ球菌に対し殺菌性または静菌性である。
【0108】
ここで用いられる場合、「合成の」の語は、化合物を化学的に合成する工程を指す。
【0109】
細菌感染を処置することの文脈で用いられる場合、「治療的に有効量」、「医薬的に有効量」または「治療的効果を提供するのに充分な量」は、治療的効果を有する抗菌剤の量を示す。これは一般的に、持続した細菌感染に必要な細菌細胞の正常な細胞機能をある程度まで阻害することを指す。さらに、ここで用いられる場合、治療的に有効量は、例えば臨床試験結果および/または動物モデルにより判定されるような望ましい治療効果をもたらす抗菌剤の量を意味する。この量は、当業者が普通に決定でき、関与する特定の細菌株および用いる特定の抗菌剤のような、いくつかの要因に依存して変化しうる。同じ文脈において、組織または組織表面への細菌の「吸着を低下させるのに充分な量」は、所定の組織または組織表面の細菌感染の程度を予防的に妨げることまたは低下させることに対して効果的な抗菌剤の量を示す。同じ原理が、「予防的に有効量」の用語に適用できる。
【0110】
細菌感染を処置することの文脈で用いられる場合、「既存の抗菌剤との組み合わせで」抗菌剤を接触させることまたは投与することは、活性化合物または抗生物質の個々の殺菌効果または成長阻害効果を超えて、殺菌効果または成長阻害効果を提供するために、活性化合物を抗生物質とともに同時に接触させることまたは投与することを指す。既存の抗生物質は、例えば、ペニシリン、セファロスポリン、イミペネム、モノバクタム、アミノグリコシド、テトラサイクリン、スルホンアミド、トリメトプリム/スルホンアミド、フルオロキノロン、マクロライド、バンコマイシン、ポリミキシン、クロラムフェニコールおよびリンコサミドからなる群を指す。
【0111】
ここで用いられる場合、「組織」は、生物において1またはそれ以上の特定の機能を一緒になって実行する1またはそれ以上の細胞型の細胞集合体を指す。ここで用いられる場合、「組織表面」は、所定の組織と他の組織または組織の周囲との境界を形成する組織の部分を指す。組織表面は、例えば皮膚や角膜などの動物外表面を指してもよく、または、その代わりに、この語は、例えば腸の内面などの内側である表面を指してもよく、または傷害や手術工程の結果としてのみ動物の外側周囲に暴露される表面を指してもよい。
【0112】
ここで用いられる場合、「候補化合物の結合を測定すること」の語は、黄色ブドウ球菌STAAU_R4ポリペプチド、それらのフラグメントまたは変異体と物理的に関係する候補化合物量の定量が好ましくできるアッセイの使用を指す。
【0113】
ここで用いられる場合の「候補化合物」は、黄色ブドウ球菌STAAU_R4ポリペプチドの発現または活性を調節する能力を有するいずれもの化合物をさす。
【0114】
ここで用いられる場合、「直接的にまたは間接的に検出可能にラベル化された」の語は、候補化合物を、直接的に検出可能(例えば、放射性同位体またはフルオロフォア)または間接的に検出可能(例えば、適切な基質の存在下で検出できる酵素活性、または特異的な抗原若しくは抗体や他の特異的な指標の添加により検出可能となる他のマーカー)のいずれかにする部分の、候補化合物への結合を指す。
【0115】
「スクリーニング方法」は、1つや2、3の化合物だけではなく、多数の化合物の関連する活性や性質を評価するための方法を指す。例えば、スクリーニング方法を用いて、便利に、少なくとも100、より好ましくは少なくとも1000、さらにより好ましくは少なくとも10,000、そして最も好ましくは100,000、またはさらに多くの異なる化合物を試験することができる。特定の態様として、この方法は、自動化しやすく、リード物質開発のための化合物ライブラリーの費用効果のあるハイスループットスクリーニングである。
【0116】
関連する見地としてまたは好ましい態様として、本発明は、複数の化合物の、好ましくは複数の小分子のいずれのものがSTAAU_R4に対して活性があるのかを測定することにより可能性のある抗菌剤のスクリーニング方法を提供する。好ましい態様には、1またはそれ以上の試験化合物が細菌標的に結合するかまたはその活性レベルを低下させるかどうかを測定することを伴う態様、および上述した複数の異なる標的を利用する態様等の、上述した見地について記載したものを含む。
【0117】
ここで用いられる場合、「同時に」の語は、本発明のアッセイに関係して用いられるとき、特定された成分または作用が少なくとも1時期重複することを指し、したがって開始および終了時点が同一であるということに限定されない。確かに、STAAU_R4ポリペプチドの候補化合物およびバクテリオファージポリペプチドへの同時接触は、例えば、接触期間の重複があり、これはそうすることができるが、しかし後者2つがまさに同時にアッセイ混合物に導入されることを表す必要はない。
【0118】
「化合物」の語には、好ましくは、限定されないが、例えば阻害性ORF遺伝子産物やそれらの標的であり、それによりその活性若しくは発現を阻害し、消滅させまたは増強するような、本発明のポリヌクレオチドおよび/またはポリペプチドに結合する、小有機分子、ペプチド、ポリペプチドおよび抗体が含まれる。可能性のある化合物は、バクテリオファージ遺伝子産物であり、それによりバクテリオファージ遺伝子産物がSTAAU_R4ポリペプチドに結合することを妨げるような、結合する分子と同じ部位に結合する非常に関連するタンパク質や抗体のような、小分子、ペプチド、ポリペプチドでもよい。
【0119】
「化合物」の語はまた、ポリペプチドの結合部位に結合しこれを占拠し、それにより細胞結合分子への結合を妨げ、正常な生物学的活性が妨げられるようになる小分子を含むことを意味する。小分子の例としては、限定されないが、小有機分子、ペプチドまたはペプチド様分子が含まれる。好ましい可能性のある化合物には、バクテリオファージによりエンコードされる阻害性ORF、STAAU_R4、およびそれらのいずれかのホモログおよび/またはペプチド疑似物および/またはフラグメント、に関連する化合物およびそれらの変異体が含まれる。可能性のあるポリペプチドアンタゴニストの他の例には、リガンド、基質、レセプター、酵素等に非常に関連する抗体、またはある場合には、オリゴヌクレオチドまたはタンパク質が含まれ、例えばリガンド、基質、レセプター、酵素等のフラグメントなどのポリペプチドの場合があり、または反応を顕在化させていないが本発明のポリペプチドに結合する小分子の場合があり、ポリペプチドの活性が妨げられるようになる。他の可能性のある化合物には、アンチセンス分子が含まれる(これらの分子の記載については、Okano,1991 J.Neurochem.56,560を参照のこと;また “Oligodeoxynucleotides as Antisense Inhibitors of Gene Expression”,CRC Press,Boca Raton,FL(1988)を参照のこと)。
【0120】
ここで用いられる場合、「ライブラリー」の語は、100化合物の、好ましくは1000の、さらに好ましくは5000、さらにより好ましくは10,000またはそれ以上、そして最も好ましくは50,000またはそれ以上の化合物の収集を指す。
【0121】
ここで用いられる場合、「小分子」の語は、3000ドルトン以下の、好ましくは2000または1500以下の、さらにより好ましくは1000以下の、そして最も好ましくは600ドルトン以下の分子量を有する化合物を指す。好ましくは、しかし必須ではないが、小分子は、オリゴペプチドではない。
【0122】
ここで用いられる場合、「疑似物」の語は、天然の、合成の、またはキメラのものでよく、参照化合物に構造的および機能的に関連する化合物を指す。本発明の観点から、「ペプチド疑似物」は、例えば、ペプチド若しくはポリペプチドの3次元構造の活性に関連した見地を真似た非ペプチド化合物、例えば、ファージや細菌ORFがエンコードするポリペプチドのペプチドや活性部分の構造を真似た化合物である。
【0123】
ここで用いられる場合、「バクテリオファージ阻害因子タンパク質」の語は、バクテリオファージ核酸配列によりエンコードされるタンパク質を指し、これは宿主細菌中で細菌の機能を阻害する。したがって、これは、細菌阻害ファージ産物である。「バクテリオファージ阻害因子タンパク質」の語は、バクテリオファージ阻害因子タンパク質のフラグメント、誘導体、または活性部位を範囲に含む。
【0124】
本発明の上記アッセイ方法の1以上の態様として、タンパク質若しくはポリペプチドの一方若しくは両方の複合化されていない形態から複合化されたものの分離を容易にし、またアッセイの自動化をなすために、STAAU_R4、またはその標的分子若しくはリガンドのいずれかを固定化することが望ましい。候補化合物の存在下および不存在下での、STAAU_R4タンパク質(またはそれらのフラグメント若しくは変異体)への試験化合物の結合、またはSTAAU_R4タンパク質の標的分子若しくはリガンドとの相互作用は、反応物質を含むのに適したいずれの容器内においても達成できる。
【0125】
このような容器の例には、ミクロタイタープレート、試験管およびミクロ遠心管が含まれる。
【0126】
1つの態様として、タンパク質の一方または両方がマトリックスに結合できるドメインを付加する融合タンパク質を提供できる。例えば、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)/STAAU_R4融合タンパク質またはGST/標的融合タンパク質(例えば、GST/3A ORF 33)は、グルタチオンセファロースビーズ(シグマケミカル社、セントルイス、ミズーリ州)またはグルタチオン誘導化ミクロタイタープレートに吸着でき、そしてこれは、試験化合物、または試験化合物および非吸着標的タンパク質若しくはSTAAU_R4タンパク質のいずれかと組み合わされ、そしてその混合物は複合体形成を誘導する条件下で(例えば、塩およびpHについて生理的条件で)インキュベートされる。インキュベーションの後、ビーズまたはミクロタイタープレートウェルを洗浄して結合していないすべての成分を除去し、ビーズの入れ物に固定化されたマトリックス、複合体が例えば上述したように、直接的にまたは間接的に測定される。あるいは、複合体は、マトリックスから分離され、STAAU_R4結合のレベルまたは活性が標準的な技術を用いて測定される。
【0127】
マトリックスにタンパク質を固定化する他の技術(およびこの分野でよく知られたもの)を本発明のスクリーニングアッセイに用いることもできる。例えば、STAAU_R4タンパク質またはSTAAU_R4標的分子若しくはリガンドのいずれも、ビオチンおよびストレプトアビジンのコンジュゲーションを利用することにより固定化できる。ビオチン化STAAU_R4タンパク質または標的分子若しくはリガンドは、この分野で知られた技術(例えば、ビオチン化キット、ピアスケミカルズ社、ロックフォード、イリノイ州)を用いてビオチン−NHS(N−ヒドロキシ−サクシンイミド)から調製でき、そしてストレプトアビジンで被覆した96ウェルプレートのウェルに固定化できる(ピアスケミカルズ社)。あるいは、標的分子若しくはリガンドと反応するがSTAAU_R4タンパク質(若しくはそれらの部分)のその標的分子若しくはリガンドへの結合を妨害しない抗体を、プレートのウェルに誘導し、抗体コンジュゲーションによりウェルにトラップされた標的またはSTAAU_R4タンパク質をはずすことができる。GST−固定化複合体についての上述のものに加えて、そのような複合体を検出する方法には、STAAU_R4タンパク質または標的分子に反応する抗体を用いた複合体の免疫検出、およびSTAAU_R4タンパク質に関係した酵素活性を検出することによる酵素結合アッセイが含まれる。
【0128】
ここで用いられる場合、「活性部位」の語は、バクテリオファージ由来配列に関連するとき、細菌の標的阻害をもたらし、またはその重要な要因となるバクテリオファージ阻害因子タンパク質のエピトープ、触媒若しくは制御ドメイン、またはフラグメントに関連する。活性部位は好ましくは、その連続する配列から取り除かれ、単離されても、未だ阻害効果を有しうる。
【0129】
ここで用いられる場合、「細菌感染を処置すること」の語は、それにより、宿主、好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒトにおける細菌の成長および/または代謝活性または細菌の数が、阻害されまたは除去される工程を指す。同様に、「細菌感染を予防すること」の語は、それにより、宿主、好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒトにおける細菌の成長および/または代謝活性または細菌の数が、感染する危険性において阻害されまたは除去される工程を指す。
【0130】
ここで用いられる場合、「細菌」の語は、単一の細菌株を指し、明確に反対のことを示さない限り単一の細胞およびその株の複数または集団を含む。細菌またはバクテリオファージと関連して、「株」の語は、特定の遺伝子内容を有する細菌またはファージを指す。遺伝子内容には、ゲノム内容および組み換えベクターを含む。したがって、例えば、2つの他の同一の細菌細胞は、それぞれベクター、例えばプラスミド、を異なる挿入物に含む場合は、異なる株を示すこととなる。
【0131】
ここで用いられる場合、「診断すること」の語は、細菌感染をもたらす生物または生物の株の同定を指す。
【0132】
ここで用いられる場合、「黄色ブドウ球菌による感染」の語は、哺乳動物、好ましくはヒトのような動物内、またはその表面で黄色ブドウ球菌株細胞の存在、成長、または増殖を指す。
【0133】
ここで用いられる場合、「バクテリオファージ3A ORF 33がエンコードするポリペプチド」の語は、配列番号3によりエンコードされるポリペプチド、または配列番号4に開示される配列のバクテリオファージ3A ORF 33がエンコードするポリペプチドの活性部分を範囲に含むそれらのフラグメント若しくは誘導体を指す。
【0134】
ここで用いられる場合、「ポリペプチド複合体」の語は、お互いに物理的に関係する2またはそれ以上のポリペプチドの組み合わせを指す。このような物理的関係が、このようなポリペプチド複合体において1またはそれ以上のポリペプチドの活性のいくつかの見地に対して必要とされるのは、好ましい。
【0135】
ここで用いられる場合、「物理的関係」の語は、2つの部位の接触を伴う2つの部位の相互作用を指す。
【0136】
ここで用いられる場合、「身体物質」の語は、限定されないが、骨、血液、血清、脳脊髄液、精液、唾液、筋肉、軟骨、器官組織、皮膚、尿、便または解剖物質のような細胞、組織および排泄物等の、個体由来のまたは個体に感染し、はびこり、または宿る生物由来のすべての物質を意味する。
【0137】
ここで用いられる場合、「疾患」の語は、例えば、中耳炎、結膜炎、肺炎、菌血症、髄膜炎、副鼻腔炎、胸膜膿症および心内膜炎、そして最も具体的には、例えば脳脊髄液の感染のような髄膜炎等の、細菌による感染により引き起こされるまたは関連するすべての疾患を意味する。
【0138】
ここで用いられる場合、「融合タンパク質」の語は、タンパク質が別個のタンパク質からの融合したアミノ酸配列を含むようにフレーム単位で融合した2またはそれ以上の別個のタンパク質からのアミノ酸コード配列を含む遺伝子によりエンコードされたタンパク質を指す。
【0139】
ここで用いられる場合、「宿主細胞」の語は、形質転換された若しくは形質導入された細胞であり、または外因性ポリヌクレオチド配列により形質転換もしくは形質導入できるものである。
【0140】
ここで用いられる場合、「免疫学的に等価な誘導体」の語は、脊椎動物で抗体を発生させるために適当な形態で用いられたときに、病原体と哺乳動物宿主との即座の物理的相互作用を妨害するように作用する抗体をもたらす、ポリペプチド、ポリヌクレオチドまたはいずれかの等価物をも範囲に含む。
【0141】
ここで用いられる場合、「免疫特異的」の語は、抗体の特徴を意味し、ここでその抗体は、他の関連するポリペプチドまたはポリヌクレオチド、特に先行技術のポリペプチドまたはポリヌクレオチド、に対するアフィニティーよりも、それぞれ本発明のポリペプチドまたは本発明のポリヌクレオチドに対して、実質的に大きなアフィニティーを有する。
【0142】
ここで用いられる場合、「個体」の語は、限定されないが、後生動物、哺乳動物、ヒツジ(ovid)、ウシ、サル、霊長類、およびヒト等の多細胞真核生物を意味する。
【0143】
ここで用いられる場合、「生物」の語は、(i)限定されないが、Streptococcus,Staphylococcus,Bordetella,Corynebacterium,Mycobacterium,Neisseria,Haemophilus,Actinomycetes,Streptomycetes,Nocardia, Enterobacter,Yersinia,Fancisella,Pasturella,Moraxella,Acinetobacter,Erysipelothrix,Branhamella,Actinobacillus,Streptobacillus,Listeria,Calymmatobacterium,Brucella,Bacillus,Clostridium,Treponema,Escherichia,Salmonella,Kleibsiella,Vibrio,Proteus,Erwinia,Borrelia,Leptospira,Spirillum,Campylobacter,Shigella,Legionella,Pseudomonas,Aeromonas,Rickettsia,Chlamydia,BorreliaおよびMycoplasma属の一員等、さらに限定されないが、Group A Streptococcus,Group B Streptococcus, Group C Streptococcus,Group D Streptococcus, Group G Streptococcus,Streptococcus pneumoniae,Streptococcus pyogenes,Streptococcus agalactiae,Streptococcus faecalis,Streptococcus faecium,Streptococcus durans,Neisseria gonorrheae,Neisseria meningitidis,Staphylococcus aureus,Staphylococcus epidermidis,Corynebacterium diptheriae,Gardnerella vaginalis,Mycobacterium tuberculosis,Mycobacterium bovis,Mycobacterium ulcerans,Mycobacterium leprae,Actinomyctes israelii,Listeria monocytogenes,Bordetella pertusis,Bordatella parapertusis,Bordetella bronchiseptica,Escherichia coli,Shigella dysenteriae,Haemophilus influenzae,Haemophilus aegyptius,Haemophilus parainfluenzae,Haemophilus ducreyi,Bordetella,Salmonella typhi,Citrobacter freundii,Proteus mirabilis,Proteus vulgaris,Yersinia pestis,Kleibsiella pneumoniae,Serratia marcessens,Serratia liquefaciens,Vibrio cholera,Shigella dysenterii,Shigella flexneri,Pseudomonas aeruginosa,Franscisella tularensis,Brucella abortis,Bacillus anthracis,Bacillus cereus,Clostridium perfringens,Clostridium tetani,Clostridium botulinum,Treponema pallidum,Rickettsia rickettsiiおよびChlamydia trachomitisの種または族の一員等の、原核生物を、(ii)限定されないが、Archaebacter等の原始生物を、(iii)限定されないが、原生動物、真菌、Saccharomyces,Kluveromyces,またはCandida属の一員、およびSaccharomyces ceriviseae,Kluveromyces lactis,またはCandida albicans種の一員等の、単細胞または線状真核生物、を意味する。
【0144】
ここで用いられる場合、「組み換え発現系」の語は、本発明のポリペプチド若しくはそれらの部分をエンコードする配列または本発明のポリヌクレオチドを含むベクターが、本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドの産生のために宿主細胞または宿主細胞溶解物に導入されまたは形質転換される系を指す。
【0145】
ここで用いられる場合、「人工的に合成された」の語は、ペプチド、ポリペプチドまたはポリヌクレオチドと関連して用いられるとき、アミノ酸またはヌクレオチドサブユニットがin vitroで細胞や重合化酵素を用いることなく化学的に結合されたことを意味する。ポリヌクレオチドおよびペプチド合成の化学的作用は、この分野でよく知られている。
【0146】
アミノ酸を表す標準的な1文字および3文字表記に加え、「X」または「Xaa」の語も、本発明の特定のポリペプチドを記述するのに用いられる。「X」および「Xaa」は、20の自然に発生するアミノ酸のいずれもが、ポリペプチド配列のそのような指定された位置に存在してもよいことを意味する。
【0147】
ここで用いられる場合、2つのポリペプチドの相互作用の文脈において「特異的に結合する」の語は、2つのポリペプチドがポリペプチドの別個の領域またはドメインを介して物理的に相互作用することを意味し、ここでその相互作用は、相互作用するドメインのアミノ酸配列に依存する。一般的に、他のものに特異的に結合するポリペプチドの平衡結合濃度は、約1mMまたはそれ以下か、より好ましくは1μMまたはそれ以下か、好ましくは100nMまたはそれ以下か、10nMまたはそれ以下か、1nMまたはそれ以下か、100pMまたはそれ以下か、さらに10pMまたはそれ以下の範囲である。
【0148】
ここで用いられる場合、「結合の減少」の語は、他の組の参照条件下でのシグナルと比べて、1つの組の条件下での2つのポリペプチドの物理的関係により発生するシグナルの低下を指す。参照条件下のレベルよりも少なくとも10%低い場合、好ましくは20%、40%、50%、75%、90%、95%、さらに100%低い(即ち、検出可能な相互作用がない)場合、シグナルは減少することとなる。
【0149】
ここで用いられる場合、「検出可能なマーカー」の語は、酵母2−ハイブリッドアッセイの文脈で用いられるとき、その発現したポリペプチドの存在または量についてシグナルを発生するそのポリペプチドを発現している細胞の形質を付与するポリペプチドを指す。検出可能なマーカーは、エピソームに存在できまたは宿主細胞のゲノムに統合されうるプラスミド上にエンコードされる。検出可能なマーカーには、限定されないが、色測定または蛍光検出を可能にする酵素をエンコードするポリペプチド(例えば、E.coli LacZであり、これは基質アナログX−galを変換し、青色を発生する)、抗生物質耐性を付与する酵素をエンコードするポリペプチド、および所定の成分を欠いた培地中で成長する酵母株の能力を付与する酵素をエンコードするポリペプチド(即ち、栄養要求性の除去に不可欠なもの)が含まれる。
【0150】
ここで用いられる場合、「検出可能なマーカーの発現をもたらす」の語は、検出可能なマーカー(例えば、2−ハイブリッド転写促進ドメインおよびDNA結合ドメイン融合タンパク質)の発現をするのに必要な因子の相互作用が、検出可能なマーカーの検出可能なレベルの転写促進および翻訳を引き起こすことを意味する。「検出可能なレベル」は、マーカー発現に必要な1またはそれ以上の因子または条件が実質的に不存在の場合に起こるバックグラウンドの発現から識別できる発現レベルである。検出可能なレベルは、検出可能なマーカーの性質に依存して変化しうるが、一般的に所定のマーカーのバックグラウンドレベルより、少なくとも約10%またはそれ以上の大きいレベルからなるであろう。
【0151】
ここで用いられる場合、「発現の減少」の語は、他の組の参照条件下での発現と比べて、1つの組条件下での検出可能なマーカーの発現の低下を指す。参照条件下のレベルよりも少なくとも10%低い場合、好ましくは20%、40%、50%、75%、90%、95%、さらに100%低い(即ち、発現しない)場合、検出可能なマーカーの発現は減少することとなる。
【0152】
黄色ブドウ球菌STAAU_R4配列の同定
STAAU_R4ポリペプチドを同定するために用いられる方法論は、1998年12月3日出願された米国仮特許出願60/110、992、および1999年12月3日に出願されたPCT国際出願WO1999/IB99/02040に詳細に記載されている。要約すると、このPCT出願は、選択された細菌に感染できるバクテリオファージに関する。ファージの遺伝子情報の配列決定および特徴付けにより、それらの宿主を阻害するのに本質的または助けになるもの等の、ファージによりエンコードされるすべてのオープンリーディングフレーム(ORF)の同定ができる。各々のORFは、コンピュータソフトウエアを用いて同定され、宿主中で個々に発現される。そして、宿主の生存力に対するこの発現の効果が測定される。宿主細菌を阻害するファージゲノムからのORFの同定は、それ自体細菌阻害因子化合物として使用できる化合物(またはさらなる阻害因子を得るために誘導体化または修飾される)、およびファージがエンコードする阻害因子により影響される細菌標的の同定のための道具として使用できる化合物、の両方を提供する。
【0153】
実施例1および2に詳細に記載された方法論を用いて、細菌成長阻害性3AファージORF33タンパク質に特異的に結合する黄色ブドウ球菌ポリペプチドが単離された。要約すると、3A ORF 33タンパク質は、黄色ブドウ球菌タンパク質抽出物によるアフィニティークロマトグラフィー結合工程のリガンドとして用いられた。選択された黄色ブドウ球菌相互作用ポリペプチドは精製され、トリプシン消化およびMALDI−ToF技術を用いた質量分析計によりさらに分析された[Qin,J.,et al.(1997) Anal.Chem.69:3995−4001]。得られた質量スペクトルのコンピュータ解析により(http://prowl.rockfeller.edu/cgi−bin/ProFound)、http://www.genome.ou.edu/staph.htmlにおけるオクラホマ大学黄色ブドウ球菌ゲノムデータベース中の黄色ブドウ球菌ヌクレオチド配列の相当するORFを同定した。3A ORF 33と候補標的タンパク質、ここではSTAAU_R4と呼ぶ、との相互作用も、アフィニティーブロッティングアッセイにより確認した。黄色ブドウ球菌ファージ3A ORF 33結合研究において同定されたものと同様のトリプシン消化性ペプチドをエンコードする黄色ブドウ球菌コンティーグのORFと、公衆データベースのすべての他の配列との比較により、STAAU_R4は、脂肪酸/リン脂質合成に関与するタンパク質、PlsXと関連することがわかった(図8)。図9Aに示すように、同定されたB.subtilis ORFのSTAAU_R4タンパク質に対する関連度は、全配列にわたるアミノ酸レベルで53%の同一性、73%の類似性である。
【0154】
PlsX(STAAU_R4)の機能
脂肪酸生合成は、多くの種類の脂質分子を生じ、そのいくつかは膜の重要な構造成分であり、他のものはシグナル伝達およびエネルギー保存に重要な役割を有しているので、すべての細胞の生存に本質的なものである。リン脂質の重要性は、例えばヒトにおけるこれらの脂質代謝の遺伝的欠損により強調される。細菌において、脂質代謝は、細胞に対する不可欠な重要性と同様である。E.coliでは、8つの酵素により触媒された反応により、アセチル−補酵素Aが脂肪酸に変換する。3つのこれに続く反応がグリセロール−3−リン酸にアシル鎖を付加してCDPジアシルグリセロールを生じさせ、これはフォスファチジルセリン、フォスファチジルエタノールアミン、フォスファチジルグリセロール、およびカルジオリピン等の重要な細胞リン脂質の生合成の重要な分岐点分子となる。
【0155】
E.coliにおけるリン脂質生合成の最初の反応は、plsB遺伝子産物である、グリセロール−3−リン酸アシルトランスフェラーゼにより触媒される。この酵素は、グリセロール−3−リン酸の最初のアシル化に、飽和脂肪酸アシル誘導体(パルミトイル補酵素Aまたはパルミトイル−アシルキャリアタンパク質)を優先的に利用する。興味深いことに、もともとBellにより記載されたE.coliのグリセロール−3−リン酸要求性変異体[Bell,R.M.(1974)J.Bacteriol.117:1065−1076]は、2つの座において変異を含み、成長のためのグリセロール−3−リン酸への株の依存を観察するために両方の変異が必要であることが、わかった[Larson, T.J.,Ludtke,D.N.,およびBell,R.M.(1984)J.Bacteriol.160:711−717]。ファージP1の同時形質導入により媒介される、野生型細胞からの独立したトランスポゾンの挿入が、変異株の栄養要求性の修正のために探索された。予期されたように、トランスポゾン挿入部分は、plsB領域のマーカーを同時形質導入できた。しかし、残りのものは、染色体の別個の領域のplsXと称する座に、マッピングされた。実際、plsB26とplsX50変異体は、グリセロール−3−リン酸要求性の付与に必要且つ充分である。
【0156】
野生型PlsXは、その基質に対して変異体PlsBが機能できるように、グリセロール−3−リン酸の細胞内レベルを上昇させるか、またはPlsB26によりエンコードされる、欠損したグリセロール−3−リン酸アシルトランスフェラーゼのアフィニティーを増加させるか、のいずれかに機能できる[Larson,T.J.,Ludtke,D.N.,およびBell,R.M.(1984)J.Bacteriol.160:711−717]。VmaxとplsB26変異体によりもたらされる明らかなKmの欠損が野生型PlsXの存在に独立なので、PlsXはin vitroにおけるグリセロール−3−リン酸アシルトランスフェラーゼの活性に明らかに影響を与えない。しかし、plsB26 plsX50変異を有するE.coli株へのPlsXの野生型コピーの回復、および1−アシルグリセロール−3−リン酸アシルトランスフェラーゼをエンコードする、PlsCの温度感受変異は、非許容性温度におけるin vivoでのリゾホスファチジン酸合成を回復させるのには充分でなかった[Heath,R.J.,Goldfine,H.,およびRock,C.O.(1997)J.Bacteriol.179:7257−7263]。したがって、PlsXは、in vivoにおいてグリセロール−3−リン酸活性を回復できない。
【0157】
E.coli plsXに対する機能的ホモログが、Salmonella typhimurium[Zhang,Y.,およびCronan Jr.,J.E.(1998)J.Bacteriol.180:3295−3303]およびグラム陽性菌Clostridium butyricum[Heath,R.J.,Goldfine,H.,および Rock,C.O.(1997) J.Bacteriol.179:7257−7263]およびBacillus subtilis[Morbidoni,H.,de Mendoza,D.,およびCronan,Jr.,J.E.(1996)J.Bacteriol.178:4794−4800]等の、いくつかの細菌種において存在する。現在まで、黄色ブドウ球菌PlsXのホモログは、記載されまたは単離されていない。グラム陽性菌において、PlsXの機能を決定することが残されているが、plsXは、その遺伝子を破壊するための度重なる試みが不成功であったという表れに基づいて、本質的な遺伝子でありそうである[Morbidoni,H.,de Mendoza,D.,およびCronan,Jr.,J.E.(1996)J.Bacteriol.178:4794−4800]。
【0158】
バクテリオファージが特定の細胞成分または標的に作用することにより宿主細菌を阻害することに適応したという確証は、その成分が、例えば治療処置における抗菌剤の開発および使用のための適切な標的であることの強い指標を提供する。本発明は、細菌の本質的な遺伝子の単なる同定に加えさらなる方向性を提供するものであり、本発明はまた、標的の阻害因子への接近可能性の指標、およびその標的に作用するファージが発育し持続できる時間にわたりその標的が充分に安定である(例えば、速い速度の変異とはならない)という指標、を提供するものである。したがって、本発明は、特に抗菌剤開発のための適切な標的を当てそうなSTAAU_R4を同定する。
【0159】
STAAU_R4の相互作用表面の同定
この発明は、部分的には、黄色ブドウ球菌バクテリオファージゲノムによりエンコードされる成長阻害性タンパク質と本質的な黄色ブドウ球菌タンパク質との特異的相互作用に関連する。1つの態様として、この相互作用は、薬のスクリーニングアッセイの基礎を形成する。より具体的には、本発明は、黄色ブドウ球菌STAAU_R4によりエンコードされるタンパク質および黄色ブドウ球菌バクテリオファージ3A ORF 33タンパク質の相互作用ドメインと関連し、スクリーニングアッセイの基礎を形成する。本発明は、3A ORF 33の同定方法、より好ましくは、STAAU_R4と3A ORF 33との相互作用に関与するSTAAU_R4ポリペプチドフラグメントの同定方法を提供する。
【0160】
当業者に知られたいくつかの手法および技術を用いて、STAAU_R4および3A ORF 33の相互作用フラグメントを同定し、特徴づけることができる。これらのフラグメントは、例えば、アミノ末端−および/またはカルボキシル末端のアミノ酸配列を含む連続した一連の残基のような、2つのタンパク質若しくはそれらの変異体のいずれものアミノ酸配列の部分を有するトランケーションポリペプチドを含んでもよい。
【0161】
STAAU_R4および3A ORF 33のフラグメントは、遺伝子組み換え技術によりクローニングでき、以下で例証するように酵母2−ハイブリッドアッセイを用いて相互作用について試験できる。
【0162】
溶液中でのタンパク質の部分的な分解は、多重ドメインタンパク質におけるドメイン境界を線引きするための1つの方法である。タンパク質を限定して消化することにより、最も接近可能な切断部位が優先的に加水分解される。これらの切断部位は、高次構造ドメイン間の結合アミノ酸に典型的なループや高移行可能範囲を含む構造化が少ない領域に優先的に存在する。精製されたSTAAU_R4および3A ORF 33タンパク質は、部分的なタンパク質分解を行うことができる。タンパク質分解は、溶液中で低い濃度のプロテアーゼ(トリプシン、キモトリプシン、エンドプロテイナーゼGlu−C、およびAsp−N)によりSTAAU_R4または3A ORF 33について実行され、SDS−PAGEにより観察されるように規定されたタンパク質分解産物の生成をもたらすことができる。許容可能な濃度および反応時間は、完全長タンパク質の安定なタンパク質分解産物へのほぼ完全な転換により規定される。タンパク質分解産物は、適切な相互作用のパートナー(3A ORF 33またはSTAAU_R4精製タンパク質)を含むアフィニティークロマトグラフィーにかけられ、相互作用できるタンパク質サブ領域が決定される。相互作用ドメインは、無傷のフラグメントの質量とトリプシンにより(インゲル消化により)完全に消化されたものの両方を測定するために質量分析計により同定され、部分的にタンパク質分解されたフラグメントに含まれるアミノ酸残基がよりよく測定される。両方の組のデータを用いて、部分的にタンパク質分解されたフラグメントのアミノ酸配列が、正確に決定できる。
【0163】
他の手法は、3A ORF 33またはSTAAU_R4の異なる部分を用いたペプチドスクリーニングに基づいており、2つタンパク質間の相互作用を妨害できる各々のポリペプチドからの最小ペプチドを同定するものである。STAAU_R4と3A ORF 33との相互作用を妨げることができるフラグメントは2つの相互作用タンパク質いずれかに位置する相互作用ドメインに相当すると仮定される。異なるペプチドフラグメントは、以下に記載されるようなタンパク質:タンパク質結合アッセイの相互作用の競争因子としてスクリーニングできる。タンパク質内の相互作用部位の正確なマッピングは、タンパク質の全アミノ酸配列にわたる小さい重複するフラグメント若しくはペプチドの広範囲なスクリーニングにより実行できる。
【0164】
両タンパク質の完全配列についての、適当なSTAAU_R4および3A ORF 33誘導アミノ酸フラグメントの代表例は、化学合成物である。例えば、複数ピン手法において、ペプチドは、グリコール酸と4−(ヒロドキシメチル)安息香酸に基づくエステルリンカーにより誘導体化されたプラスチックピン上の少量のペプチド(約50nmol)の組立により同時に合成される[Maeji 1991 PeptRes,4:142−6]。
【0165】
黄色ブドウ球菌STAAU_R4ポリペプチド
本発明の1つの見地として、ここで「STAAU_R4」および「STAAU_R4ポリペプチド」と呼ばれる黄色ブドウ球菌のポリペプチド、並びに生物学的に、診断に、予防に、臨床にまたは治療に有用なそれらの変異体、およびそれらを含む組成物が提供される。
【0166】
本発明の特に好ましい態様には、STAAU_R4遺伝子の自然発生する対立遺伝子によりエンコードされる黄色ブドウ球菌STAAU_R4ポリペプチドの変異体がある。本発明は、(a)配列番号2の全長について、少なくとも50%の同一性、好ましくは少なくとも55%の同一性、好ましくは少なくとも60%の同一性、好ましくは少なくとも70%の同一性、好ましくは少なくとも80%の同一性、より好ましくは少なくとも90%、さらにより好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは少なくとも97〜99%、または完全な同一性を有するアミノ酸配列、または(b)配列番号2の全長について、少なくとも70%の類似性、少なくとも75%の類似性、少なくもと80%の類似性、少なくとも90%の類似性、少なくとも95%の類似性、少なくもと97〜99%の類似性、若しくはさらに100%の類似性を有するアミノ酸配列、を含むまたはこれらからなる単離されたポリペプチドを提供する。
【0167】
本発明のポリペプチドには、図1(配列番号2)(特に成熟ポリペプチド)のポリペプチド、また特にSTAAU_R4の生物学的活性を有するポリペプチドおよびフラグメント、また配列番号2のポリペプチド若しくは関連する部分に対して50またはそれ以上のアミノ酸の少なくとも50%の同一性を有するもの、好ましくは配列番号2のポリペプチドに対して50またはそれ以上のアミノ酸の少なくとも55%、60%、70%、または80%の同一性を、より好ましくは配列番号2のポリペプチドに対して50またはそれ以上のアミノ酸の少なくとも90%の同一性、さらにより好ましくは配列番号2のポリペプチドに対して50またはそれ以上のアミノ酸の少なくとも95%の同一性、またさらにより好ましくは配列番号2のポリペプチドに対して50またはそれ以上のアミノ酸の少なくとも99%の同一性若しくは完全な同一性を有するものが含まれる。
【0168】
本発明のポリペプチドはまた、配列番号2のポリペプチドに対して50またはそれ以上のアミノ酸の少なくとも70%、75%、80%または90%の類似性、95%の類似性若しくはさらに97〜99%の類似性を有するポリペプチド若しくはタンパク質フラグメントを含む。
【0169】
本発明のポリペプチドが黄色ブドウ球菌由来であることが最も好ましいが、同じ分類属の他の生物から得てもよい。本発明のポリペプチドはまた、例えば、同じ分類科または目の生物から得てもよい。
【0170】
STAAU_R4のフラグメントも、本発明に含まれる。これらのフラグメントは、例えば、アミノ末端および/またはカルボキシル末端のアミノ酸配列を含む連続する一連の残基のような、図1(配列番号2)のアミノ酸配列それらのフラグメント若しくは変異体の部分を有するトランケーションポリペプチドを含んでもよい。宿主細胞、特に黄色ブドウ球菌、によりまたはその中で産生された本発明のポリペプチドの分解した形態のものも、また好ましい。さらに好ましくは、アルファ−ヘリックスおよびアルファ−ヘリックス形成領域、ベータ−シートおよびベータ−シート形成領域、ターンおよびターン形成領域、コイルおよびコイル形成領域、親水性領域、疎水性領域、アルファ両親媒性領域、ベータ両親媒性領域、可変領域、表面形成領域、基質結合領域、および高抗原性指標領域を含むフラグメントのような、構造的もしくは機能的帰属により特徴づけられるフラグメントである。STAAU_R4のフラグメントは、他のタンパク質若しくはタンパク質フラグメントとの融合タンパク質として発現してもよい。
【0171】
好ましいフラグメントにはまた、配列番号2のアミノ酸配列からの少なくとも10、15、20、30、39、50、100、200、250、300またはそれ以上の連続するアミノ酸を有するアミノ酸配列を含む単離されたポリペプチドが含まれる。
【0172】
また好ましくは、類似の活性、改善した活性、または減少した望ましくない活性を有するもの等の、黄色ブドウ球菌STAAU_R4の活性を媒介するフラグメントである生物学的に「活性のある」フラグメントである。また、動物、特にヒトにおいて抗原性または免疫原性であるフラグメントが含まれる。特に好ましくは、黄色ブドウ球菌の生存力に本質的な機能を付与するドメインを含むフラグメントである。
【0173】
本発明のポリペプチドのフラグメントは、ペプチド合成により対応する完全長ポリペプチドを製造するために利用してもよく、したがって、これらの変異体は、本発明の完全長ポリペプチドを製造するための中間体として利用してもよい。
【0174】
黄色ブドウ球菌ポリヌクレオチド
STAAU_R4ポリペプチドをエンコードするポリヌクレオチド、特にここで指定される黄色ブドウ球菌STAAU_R4のポリペプチドをエンコードするポリヌクレオチドを提供することは、本発明の1つの目的である。
【0175】
本発明の1つの見地として、黄色ブドウ球菌STAAU_R4ポリペプチドをエンコードする領域を含むポリヌクレオチドを提供し、そのポリヌクレオチドは、配列番号1で表される配列を含む。このようなポリヌクレオチドは、完全長STAAU_R4遺伝子、それらのフラグメント若しくは変異体をエンコードする。この完全長遺伝子が、黄色ブドウ球菌のように、これを有する生物の成長および/または生存に本質的であることが予期される。
【0176】
本発明のさらなる見地として、完全長STAAU_R4ポリペプチド、特に黄色ブドウ球菌STAAU_R4ポリペプチド、それらのフラグメント若しくは変異体をエンコードおよび/または発現する単離された核酸分子が提供される。本発明のさらなる態様には、生物学的に、診断に、予防に、臨床および治療に有用なポリヌクレオチド、ポリペプチド、それらの変異体、およびそれらを含む組成物が含まれる。
【0177】
本発明のポリヌクレオチドは、出発物質として黄色ブドウ球菌細胞、配列番号1に開示されたヌクレオチド情報、および細菌から染色体DNAフラグメントのクローニングおよび配列決定するような、標準的なクローニングおよびスクリーニング方法を用いて得られる。例えば、配列番号1に開示されたポリヌクレオチド配列のような、本発明のポリヌクレオチド配列を得るためには、E.coli中または他の適当な宿主中の黄色ブドウ球菌の染色体DNAのクローンライブラリーを、放射線ラベル化オリゴヌクレオチド、好ましくは17量体またはそれ以上長いものであり、部分的配列由来のものにより、プローブされる。プローブのDNAと同一のものを有するクローンは、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件を用いて区別できる。ここで用いられる場合、「ストリンジェントな条件」および「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」の語は、配列間で少なくとも95%および好ましくは少なくとも97%の同一性がある場合にのみハイブリダイゼーションが起こることを意味する。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の特定の例は、1×106cpm/mlのラベル化プローブ、50%ホルムアミド、5×SSC(150mMのNaCl、15mMのクエン酸三ナトリウム)、50mMのリン酸ナトリウム(pH7.6)、5×デンハーズ溶液、10%硫酸デキストラン、および20マイクログラム/mlの変性され剪断されたサケ精液DNA、を含む溶液中で42℃でハイブリダイゼーション担体(例えば、ナイロンまたはニトロセルロースメンブレン)の一晩のインキュベーションに続き、65℃で0.1×SSC中でハイブリダイゼーション担体を洗浄することである。ハイブリダイゼーションおよび洗浄条件は、当業者によく知られており、Sambrook,et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual,Second Edition,Cold Spring Harbor,N.Y.,(1989)の特に11章に例示されている。溶液ハイブリダイゼーションも、本発明により提供されるポリヌクレオチド配列に用いることができる。ハイブリダイゼーションにより同定された個々のクローンを配列決定することにより、クローンの同一性を確認することができる。
【0178】
あるいは、ポリヌクレオチドを単離するために、増幅工程を利用できる。この手法では、配列番号1として開示された配列は、2つのオリゴヌクレオチドにより標的とされ、一方はATG開始コドン若しくはその上流のコードDNA鎖の配列と同一であり、他方は終止コドン若しくはその下流の対向する鎖にアニールする。ポリメラーゼ連鎖反応におけるこれらのオリゴヌクレオチドからのプライミングにより、完全長遺伝子コード配列が生じる。このような適当な技術は、Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,第2版,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.(1989)に記載されている。
【0179】
さらなる見地として、本発明は、(a)配列番号1のポリヌクレオチド配列に対して、少なくもと60%の同一性、好ましくは少なくとも70%の同一性、より好ましくは少なくとも80%の同一性、より好ましくは少なくとも90%の同一性、さらにより好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは少なくとも97〜99%若しくは完全な同一性を有するポリヌクレオチド配列;(b)配列番号2の全長に対して、配列番号2と少なくとも50%の同一性、好ましくは少なくとも55%の同一性、好ましくは少なくとも60%の同一性、より好ましくは少なくとも70%の同一性、より好ましくは少なくとも80%の同一性、より好ましくは少なくとも90%、さらにより好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは少なくとも97〜99%若しくは完全な同一性を有するポリペプチドをエンコードするポリヌクレオチド配列;または上記(a)若しくは(b)の配列の相補鎖、を含むまたはこれらからなる単離されたポリヌクレオチドを提供する。
【0180】
本発明は、配列番号1のコード配列に対してその全長にわたり同一なポリヌクレオチド配列を提供する。また、本発明は、それ自身成熟したポリペプチドまたはそれらのフラグメントについてのコード配列、およびリーダー配列もしくは分泌配列、プレ−、プロ−、またはプレプロ−タンパク質配列をエンコードする配列のような、他のコード配列を有するリーディングフレームの成熟ポリペプチド若しくはフラグメントについてのコード配列を提供する。本発明のポリヌクレオチドはまた、例えば、限定されないが、転写されたが翻訳されていない配列、(ロー依存およびロー独立ターミネーションシグナルのような)ターミネーションシグナル、リボソーム結合部位、コザック配列、mRNAを安定化するかまたは不安定化する配列、イントロン、およびポリアデニル化シグナルのような、少なくとも1つの非コード5’および3’配列等の、少なくとも1つの非コード配列を含んでもよい。ポリヌクレオチド配列はまた、さらなるアミノ酸をエンコードするさらなるコード配列を含んでもよい。例えば、融合したポリペプチドの精製を容易にするマーカー配列をエンコードすることができる。本発明の特定の態様として、マーカー配列は、pQEベクターとして提供され(キアゲン社)、Gentz et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.86:821−824(1989)に記載されたヘキサヒスチジンペプチド、またはHAペプチドタグ[Wilson et al.,Cell 37:767(1984)]であり、その両方がそれらに融合したポリペプチド配列を精製するのに有用である。本発明のポリヌクレオチドはまた、限定されないが、構造遺伝子および遺伝子発現を制御するそれに自然に関係する配列を含むポリヌクレオチドを含んでもよい。
【0181】
本発明のポリヌクレオチドが黄色ブドウ球菌由来であることが最も好ましいが、同じ分類の属の他の生物から得てもよい。本発明のポリヌクレオチドは、例えば、同じ分類の科または目の生物から得てもよい。
【0182】
さらに好ましい態様は、配列番号2の黄色ブドウ球菌STAAU_R4ポリペプチドのアミノ酸配列を有する黄色ブドウ球菌STAAU_R4変異体をエンコードするポリヌクレオチドであり、この配列のいくつかの、少しの、10〜50、5〜10、1〜5、1〜3、2、1または0のアミノ酸残基がいずれもの組み合わせにより置換され、修飾され、削除および/または付加されている。これらのポリヌクレオチドで特に好ましくは、それらがエンコードする黄色ブドウ球菌STAAU_R4ポリペプチドのコード配列や活性を変化させないサイレントなヌクレオチド変異をエンコードするものである。
【0183】
好ましい態様は、配列番号1のDNAによりエンコードされる成熟ポリペプチドと実質的に同じ生物学的機能若しくは活性を保持したポリペプチドをエンコードするポリヌクレオチドである。
【0184】
この発明の特定の好ましい態様に従い、図1のポリヌクレオチドのような、特にストリンジェント条件で、黄色ブドウ球菌STAAU_R4ポリヌクレオチド配列にハイブリダイズするポリヌクレオチドが提供される。
【0185】
本発明のポリヌクレオチドは、STAAU_R4遺伝子と高い度合いで配列同一性を有する遺伝子をエンコードする完全長cDNAおよびゲノムクローンを単離するための、RNA、cDNAおよびゲノムDNAに対するハイブリダイゼーションプローブとして有用である。このようなプローブは、一般的に少なくとも15から約100残基または塩基対を含むが、このようなプローブは、好ましくは約20から50のヌクレオチド残基または塩基対を有する。特に好ましいプローブは、長さ約20から約30のヌクレオチド残基または塩基対である。
【0186】
黄色ブドウ球菌以外の細菌種からの関連するSTAAU_R4遺伝子のコード領域を、配列番号1に提供されるDNA配列を用いたライブラリーのスクリーニングにより、オリゴヌクレオチドプローブを合成するために単離してもよい。本発明の遺伝子と相補的な配列を有するラベル化されたオリゴヌクレオチドを用いてcDNA、ゲノムDNAまたはmRNAのライブラリーがスクリーニングされ、ライブラリーのどの構成員にプローブがハイブリダイズするかが測定される。
【0187】
例えば、cDNA末端の迅速増幅法(RACE)に基づくもの[例えば、Frohman,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA85:8998−9002,1988を参照のこと]等、完全長DNAを得るため、または短いDNAを伸ばすための利用可能で当業者によく知られたいくつかの方法がある。この技術の最近の改良では、例えばMARATHON技術(クロンテックラボラトリーズ社)により例示されるように、長いcDNAついての顕著に単純化された探索がある。MARATHON技術では、cDNAは、選択された細胞から抽出されたmRNAから調製され、「アダプター」配列がそれぞれの末端にリゲートされる。そして、遺伝子特異的およびアダプター特異的オリゴヌクレオチドプライマーの組み合わせを用いてDNAの「失われた」5’末端を増幅するために、PCRによる核酸の増幅が行われる。「巣に入った」プライマーを用いて、これは増幅産物内でアニールするように設計されたプライマーであり(典型的には、アダプター配列中のさらなる3’にアニールするアダプター特異的プライマーおよび選択された遺伝子配列中のさらなる5’にアニールする遺伝子特異的プライマーである)、PCR反応が繰り返される。この反応生成物は、DNA配列決定により分析でき、完全配列を得るために生成物を既存のDNAに直接結合すること、または5’プライマーの設計のために新たな配列情報を用いて別個の完全長PCRを実行すること、のいずれかにより完全長DNAを構築できる。
【0188】
本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドは、例えば、ポリヌクレオチドアッセイに関連して本明細書でさらに議論するように、疾患、特にヒトの疾患の処置および診断の発見のための研究試薬および物質として、利用してもよい。
【0189】
配列番号1の配列由来のオリゴヌクレオチドである本発明のポリヌクレオチドは、ここで全体もしくは部分的に同定されたポリヌクレオチドが感染した組織の細菌中で転写されるかどうかを測定するための反応におけるPCRプライマーの設計に有用である。即ち、本発明のポリヌクレオチドは、これらの配列を有する細菌株による感染の診断に有用である。このような配列は病原体が成した感染の段階および感染の型の診断にも有用であることが認識される。
【0190】
本発明はまた、成熟タンパク質に加えさらなるアミノ若しくはカルボキシル末端アミノ酸、または成熟ポリペプチド内にあるアミノ酸であるポリペプチドをエンコードするポリヌクレオチドを提供する。このような配列は、とりわけ、前駆体から成熟形態へのタンパク質のプロセシングに役割を果たし、タンパク質を輸送できるようにし、タンパク質の半減期を長くし若しくは短くし、またはアッセイや作製のためのタンパク質の操作を容易にしうる。in vivoの場合は一般的に、さらなるアミノ酸は、細胞酵素により成熟タンパク質からプロセッシングにより除かれうる。
【0191】
前駆体タンパク質は、1またはそれ以上のプロ配列に融合したポリペプチドの成熟形態を有しており、ポリペプチドの不活性形態でもよい。プロ配列が除去されると、そのような不活性前駆体は、一般的に活性化される。プロ配列のいくつか若しくは全部は、活性化の前に除去されてもよい。一般的に、このような前駆体は、プロタンパク質と呼ばれる。
【0192】
したがって、本発明のポリヌクレオチドは、成熟タンパク質、成熟タンパク質に加えてリーダー配列(プレタンパク質と呼ばれうる)、プレタンパク質のリーダー配列ではない1またはそれ以上のプロ配列を有する成熟タンパク質の前駆体、またはプレプロタンパク質をエンコードし、ここでプレプロタンパク質は、プロタンパク質の前駆体であり、リーダー配列および1またはそれ以上のプロ配列を有し、一般的にポリペプチドの活性かつ成熟形態を生じるプロセシング工程の間に除去される。
【0193】
ヌクレオチドの標準的なA、G、C、T/Uの表示に加え、「N」の語は、本発明の特定のポリヌクレオチドを記載するのにも用いられる。「N」は、4つのDNAまたはRNAのいずれもがDNAまたはRNA配列のそのように指定された位置にあってもよいが、Nは、正しいリーディングフレームで読まれる隣接するヌクレオチド位置との組み合わせをとったときに、このようなリーディングフレームで時期尚早の終止コドンを発生する効果を有することとなるヌクレオチドでないことが好ましい。
【0194】
本発明の各々のおよびすべてのポリヌクレオチドについて、これに相補的なポリヌクレオチドも提供される。
【0195】
ベクター、宿主および発現系
本発明は、本発明のポリペプチドまたはポリヌクレオチドを含むベクター、本発明のベクターにより遺伝子工学により作られた宿主細胞、および組み換え技術による本発明のポリペプチドの産生にも関連する。細胞を含まない翻訳系を利用して、本発明のDNA構築物由来のRNAを用いてこのようなタンパク質を製造することもできる。
【0196】
本発明の組み換えSTAAU_R4およびバクテリオファージポリペプチドは、当業者によく知られた工程により、発現系を含む遺伝子工学により作られた宿主細胞から調製してもよい。よって、さらなる見地として、本発明は、STAAU_R4若しくはバクテリオファージポリヌクレオチド若しくは本発明のポリヌクレオチドを含む発現系に、このような発現系により遺伝子工学により作られた宿主細胞に、および組み換え技術による本発明のポリペプチドの製造に、関連する。
【0197】
本発明のSTAAU_R4ポリペプチドの組み換え産生について、宿主細胞は、遺伝子工学により作って、発現系若しくはそれらの部分または本発明のポリヌクレオチドを取り込むことができる。適切な宿主の代表的な例には、細菌細胞(グラム陽性およびグラム陰性)、真菌細胞、昆虫細胞、動物細胞および植物細胞が含まれる。ポリヌクレオチドは、塩化カルシウム処理によるDNAを取り込む能力の誘発のような(Sambrook et al.,前掲)、標準的な化学的処理プロトコルにより細菌に導入される。真菌(例えば酵母)へのポリヌクレオチドの導入は、所望により、酢酸リチウム媒介形質転換のような標準的な化学的方法により、行われる。
【0198】
多数の発現系が、本発明のポリペプチドを製造するために有用である。このようなベクターには、なかでも染色体誘導の、エピソーム誘導のおよびウイルス誘導のベクターが含まれる。例えば、細菌プラスミド由来の、バクテリオファージ由来の、トランスポゾン由来の、酵母エピソーム由来の、挿入因子由来の、酵母染色体因子由来の、ウイルス由来の、およびそれらの組み合わせ由来の、ベクターが、本発明に有用である。
【0199】
本発明のポリペプチドは、硫酸アンモニウム若しくはエタノール沈殿、酸若しくは尿素抽出、アニオン若しくはカチオン交換クロマトグラフィー、リン酸セルロースクロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、およびレクチンクロマトグラフィー等のよく知られた方法により組み換え細胞培地から回収および精製される。ポリペプチドが単離および/または精製の間で変性された場合、活性コンホメーションを回復するために再折りたたみのよく知られた技術が利用される。
【0200】
診断の、予後の、抗原型決定の、および変異のアッセイ
この発明はまた、診断試薬として用いるための本発明のSTAAU_R4ポリヌクレオチドおよびポリペプチドの使用に関連する。真核生物、特に哺乳動物、とりわけヒトにおける黄色ブドウ球菌STAAU_R4ポリヌクレオチドおよび/またはポリペプチドの検出は、疾患の診断、疾患の段階付け、または感染生物の薬への反応の診断方法を提供することとなる。真核生物、特に哺乳動物、とりわけヒトで、特に黄色ブドウ球菌STAAU_R4遺伝子若しくはタンパク質を含む生物に感染した若しくは感染の疑いのあるものは、種々のよく知られた技術およびここで提供される技術により核酸若しくはアミノ酸レベルで検出してもよい。
【0201】
予後、診断または他の分析のためのポリペプチドおよびポリヌクレオチドは、推定的に感染したおよび/または感染した個体の身体物質から得てもよい。これらの供給源、特にDNAまたはRNAからのポリヌクレオチドは、検出に直接用いられるか、または分析に先立ち、PCRや他のいずれかの増幅技術を用いて酵素的に増幅してもよい。RNA、特にmRNA、cDNAおよびゲノムDNAを、同様に用いてもよい。増幅を用いて、個体に存在する感染性若しくは抵抗性生物の種および株の特徴付けを、生物の選択されたポリヌクレオチドの遺伝子型の分析により行ってもよい。欠失および挿入は、関連する生物、好ましくは同じ属の異なる種若しくは同じ種の異なる株から選択された参照配列の遺伝子型と比較した、増幅された産物の大きさの変化により検出することができる。
【0202】
点突然変異は、増幅したDNAをラベル化したSTAAU_R4ポリヌクレオチド配列にハイブリダイズさせることにより同定できる。完全に若しくは顕著にマッチした配列は、DNA若しくはRNAに対してそれぞれDNase若しくはRNaseの消化により、または融解温度若しくは再生動態の違いを検出することにより、不完全に若しくはより顕著にミスマッチした2本鎖から識別できる。ポリヌクレオチド配列の相違は、参照配列と比較したゲル中でのポリヌクレオチドフラグメントの電気泳動の移動度の変化によっても検出できる。これは、変成剤の使用または使用なしに行ってもよい。ポリヌクレオチドの相違は、DNAまたはRNAの直接の配列決定により検出してもよい。例えば、Myers et al,(1985)Science 230,1242を参照のこと。特定の位置での配列の変化は、RNase、V1およびS1保護アッセイまたは化学的切断方法のようなヌクレアーゼ保護アッセイにより明らかにしてもよい。例えば、Cotton et al.,(1985)Proc.Natl.Acad.Sci.,USA85,4397−4401を参照のこと。
【0203】
他の態様として、STAAU_R4ヌクレオチド配列若しくはそれらのフラグメントを含むオリゴヌクレオチドプローブのアレイが、例えば、遺伝的変異、抗原型、分類学的分類または同定などの効果的なスクリーニングを行うために構築できる。アレイ技術の方法はよく知られており、一般的な実用性があり、遺伝子発現、遺伝的結合、および遺伝的変異性等の分子遺伝学における種々の疑問に対峙するために用いることができる(例えば、Chee et al.,(1996)Science 274,610を参照のこと)。
【0204】
したがって、他の見地として、本発明は、(a)本発明のポリヌクレオチド、好ましくは配列番号1のヌクレオチド配列若しくはそれらのフラグメント;(b)(a)のものに相補的なヌクレオチド配列;(c)本発明のポリペプチド、好ましくは配列番号2のポリペプチド若しくはそれらのフラグメント;または(d)本発明のポリペプチドに、好ましくは配列番号2のポリペプチド若しくはそれらのフラグメントに対する抗体、を含む診断キットに関連する。
【0205】
このようないずれものキットにおいて、(a)、(b)、(c)または(d)は、実質的な成分を含んでもよいことが認識できる。このようなキットは、特に疾患または疾患の罹病性の診断に用いられる。
【0206】
この発明はまた、診断試薬としての本発明のSTAAU_R4ポリヌクレオチドの使用に関連する。本発明のポリヌクレオチドの、好ましくは配列番号1の変異形態の検出は、疾患または病原性に関連するものであり、疾患の診断、疾患の経過の予後、疾患の段階の決定、または疾患の罹病性の診断の一助となるかまたこれらを定義する診断ツールを提供することとなり、これらはポリヌクレオチドの発現不足、発現過剰または変化した発現によりもたらされるものである。このようなポリヌクレオチド中に変異を有する生物、特に感染性の生物は、本明細書の他の部分に記載されているような、種々の技術によりポリヌクレオチドレベルで検出してもよい。
【0207】
本発明のSTAAU_R4ポリヌクレオチド配列はまた、生物染色体の同定にも有用である。この配列は、生物の染色体、特に黄色ブドウ球菌染色体の特定の位置を特異的に標的とし、結合することができる。本発明による染色体に関連する配列のマッピングは、これらの配列を病原性の潜在性および/または生物の生態学的地位および/または生物の薬への耐性、およびその生物に対する遺伝子の本質性と関連づける重要な工程となりうる。配列が正確な染色体の位置についてマッピングされると、染色体上での配列の物理的位置が、遺伝的マップデータと関連づけることができる。このようなデータは、配列データベースにおいてオンラインで見つけてもよい。同じ染色体領域でマッピングされた遺伝子と疾患との関連性は、例えば、コンジュゲーションによるような、リンケージ分析(物理的に隣接する遺伝子の共同遺伝)若しくは交配実験等の、知られた遺伝子的方法を通じて同定される。
【0208】
第1の表現型を有する生物と、異なった第2の表現型を有する生物とのポリヌクレオチドおよび/またはポリペプチド配列の違いも、測定することができる。第1の表現型を有するいくつかのまたはすべての生物において変異が観察されるが、第2の表現型を有するいずれの生物においても変異が観察されない場合、変異は第1の表現型の原因物質によりそうである。
【0209】
予後、診断または他の分析のためのポリペプチドおよびポリヌクレオチドは、推定的に感染したおよび/または感染した個体の身体物質から得てもよい。これらの供給源のいずれかからの、特にDNAまたはポリヌクレオチドは、検出に直接用いてもよく、または黄色ブドウ球菌STAAU_R4のポリヌクレオチド配列由来のオリゴヌクレオチド増幅プライマーによるPCRや他の増幅技術を用いて酵素的に増幅してもよい。RNA、特にmRNA、またはcDNAに逆転写したRNAは、診断にも有用である。サンプルからの黄色ブドウ球菌STAAU_R4関連ポリヌクレオチドの増幅に続き、感染性若しくは耐性生物の種および株の特徴付けが、1またはそれ以上の参照ポリヌクレオチドと比べた増幅されたポリヌクレオチド、または関連する生物(即ち黄色ブドウ球菌の知られた株)からの標準と比べた配列の分析により、行われる。
【0210】
本発明は、黄色ブドウ球菌により引き起こされるような細菌感染を診断する工程をさらに提供し、その工程は、身体物質のような個体由来のサンプルから、疾患を有しない個体から得られたサンプルと比べた配列番号1に開示された配列を有するポリヌクレオチドの増加した発現レベルを測定することを含む。STAAU_R4ポリヌクレオチドの増加したまたは減少した発現は、例えば、PCR、RT−PCR、RNase保護、ノーザンブロッティングおよび他のハイブリダイゼーション方法、並びに分光光度計のような、ポリヌクレオチドの定量としてこの分野でよく知られた方法のいずれをも用いて測定することができる。
【0211】
さらに、正常な対照組織サンプルと比較したSTAAU_R4ポリペプチドの過剰発現を検出するための本発明にしたがった診断アッセイは、例えば感染の存在を検出するために用いてもよい。身体物質のような宿主由来のサンプル中の黄色ブドウ球菌STAAU_R4ポリペプチドのレベルを測定するために用いることができるアッセイ技術は、当業者によく知られている。このようなアッセイ方法には、ラジオイムノアッセイ、競争結合アッセイ、ウエスタンブロット分析、抗体サンドウィッチ分析、抗体検出およびELISAアッセイが含まれる。
【0212】
黄色ブドウ球菌ゲノム配列のグリッディングおよびポリヌクレオチド除去
本発明のSTAAU_R4ポリヌクレオチドは、ポリヌクレオチドアレイ、好ましくは高密度アレイ若しくはグリッドの成分として用いてもよい。これらの高密度アレイは、診断および予後目的に特に有用である。例えば、異なる遺伝子をそれぞれ含み、本発明のポリペプチド若しくはポリヌクレオチドをそれぞれさらに含む1組のスポットは、身体サンプルから得た若しくはそれ由来のプローブを用いて、個体中の特定のポリヌクレオチド配列若しくは関連する配列の存在を測定するために、ハイブリダイゼーションや核酸増幅のように、プローブするために用いてもよい。
【0213】
黄色ブドウ球菌ペプチドまたはポリペプチドに特異的な抗体
本発明のSTAAU_R4ポリペプチドおよびポリヌクレオチド若しくはそれらの変異体、またはそれらを発現する細胞は、このようなポリペプチド若しくはポリヌクレオチドそれぞれに免疫特異的な抗体を製造するための免疫原として有用である。
【0214】
本発明のある好ましい態様として、黄色ブドウ球菌STAAU_R4ポリペプチドまたはそれらをエンコードするポリヌクレオチドに対する抗体が提供される。STAAU_R4ポリペプチドまたはSTAAU_R4ポリヌクレオチドに対する抗体は、感染、特に細菌感染の処置に有用である。
【0215】
本発明のポリペプチドまたはポリヌクレオチドに対して生産された抗体は、本発明のポリペプチドおよび/またはポリヌクレオチド、それらのいずれかまたは両方のエピトープ保持フラグメント、それらのいずれかまたは両方のアナログ、それらのいずれかまたは両方を発現する細胞、を通常のプロトコルを用いて動物、好ましくは非ヒトに投与することにより得られる。モノクローナル抗体の調製には、連続細胞系培地により産生される抗体を提供するこの分野で知られたいずれの技術も有用である。例としては、Kohler,G. およびMilstein,C.,Nature 256:495−497(1975); Kozbor et al.,Immunology Today 4:72(1983); およびCole et al.,pg.96−96、Monoclonal Anbitodies and Cancer Therapy, Alan R. Liss, Inc.(1985)にあるような、種々の技術が含まれる。
【0216】
単鎖抗体製造のための技術(米国特許番号:4,946,968)は、この発明のポリペプチドまたはポリヌクレオチドに対する単鎖抗体を製造するために適用できる。また、トランスジェニックマウス、または他の哺乳動物も、本発明のポリペプチドまたはポリヌクレオチドに免疫特異的なヒト化抗体を発現させるのに有用である。
【0217】
抗体が治療的に投与されると、抗体若しくはそれらの変異体は、個体中で免疫原性が少なくなるように好ましくは修飾される。例えば、個体がヒトの場合、抗体は最も好ましくは「ヒト化」されており、ここでは相補鎖決定領域またはハイブリドーマ誘導抗体の領域は、ヒトモノクローナル抗体に移植される。これは、例えばJones et al.(1986),Nature 321,522−525またはTempest et al.,(1991)Biotechnology 9,266−273に記載されいる。
【0218】
あるいは、ファージディスプレイ技術は、本発明のSTAAU_R4ポリペプチドに対する結合活性により抗体遺伝子を選択するために有用である。1つの可能性のあるスキームとして、黄色ブドウ球菌STAAU_R4に特異的な抗体フラグメントは、線状ファージのコートタンパク質との融合体として発現した抗体遺伝子の免疫ライブラリーから選択される。あるいは、ナイーブライブラリーが、STAAU_R4に特化された抗体またはナイーブライブラリーからの抗体をエンコードする遺伝子を同定するためにファージディスプレイ技術により、スクリーニングされる[McCafferty,et al.,(1990),Nature 348,552−554;Marks,et al.,(1992)Biotechnology 10,969−783;最近の参考文献は、de Haard et al. (1999) J. Biol. Chem. 274: 18218−18230]。種々の標的について、ナノモル以下でのアフィニティーによる抗体を回収する能力は、免疫性を与える必要をなくす。これらの抗体のアフィニティーはまた、例えば、チェーンシャッフリング[Clackson et al.,1991)Nature 352:628]により改善できる。
【0219】
上述の抗体は、本発明のポリペプチドまたはポリヌクレオチドを発現するクローンを単離するまたは同定するために用いてもよく、例えば、イムノアフィニティークロマトグラフィーによりポリペプチドまたはポリヌクレオチドを精製してもよい。
【0220】
ポリペプチドの抗原的に若しくは免疫学的に等価な誘導体または融合タンパク質のような、本発明の変異体ポリペプチドもしくはポリヌクレオチドはまた、マウス、またはラット若しくはニワトリのような他の動物を免疫するための免疫原として有用である。融合タンパク質は、キャリアとして作用するポリペプチドに対して安定性を提供し、若しくはアジュバントして、またはその両方として作用する。あるいは、抗原は、例えばコンジュゲーションにより、ウシ血清アルブミン、キーホールリンペットヘモシニアンまたは破傷風類毒素のような、免疫原性キャリアタンパク質に関係する。あるいは、抗体が治療的に投与されるとき、あるいはポリペプチドまたはそれらの抗原的に若しくは免疫学的に等価なポリペプチドの多重コピーを含む多重抗原性ポリペプチドは、キャリアの使用を不用にするように免疫原性を改善するのに充分に抗原性でもよい。
【0221】
本発明の見地にしたがって、治療的若しくは予防的目的、特に遺伝的免疫化のために本発明のSTAAU_R4ポリヌクレオチドの使用が提供される。遺伝的免疫化における本発明のSTAAU_R4ポリヌクレオチドの使用は、筋肉へのプラスミドDNAの直接注入のような適当な運搬方法[Wolff et al., Hum Mol Genet (1992)1:363,Manthorpe et al.,Hum.Gene Ther.(1983)4:419]、特異的タンパク質キャリアによるDNA複合体の運搬[Wu et al.,J.Biol Chem.(1989)264:16985]、リン酸カルシウムによるDNAの共沈[BenvenistyおよびReshef,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,(1986)83:9551]、種々の形態のリポソームへのDNAの包含[Kaneda et al.,Science(1989)243:375]、パーティクル砲撃[Tang et al.,Nature(1992)356:152,Eisenbraun et al.,DNA Cell Biol(1993)12:791]、またはクローニングしたレトロウイルスベクターを用いたin vivo感染[Seeger et al.,Proc.Natl,Acad.Sci.USA(1984)81:5849]、が好ましくは利用される。
【0222】
アンタゴニストおよびアゴニスト:アッセイおよび分子
本発明は、STAAU_R4がバクテリオファージ3A ORF 33阻害性因子の標的であるという発見に一部基づいている。出願人は、抗菌剤開発におけるその相互作用の利用を認識した。特に、本発明者らは、1)STAAU_R4が、細菌の阻害の決定的な標的となること;2)3A ORF 33またはそれらの誘導体若しくは機能的疑似物が、細菌の成長を阻害するのに有用であること;および3)黄色ブドウ球菌のSTAAU_R4若しくはそれらのフラグメントと3A ORF 33との相互作用が、薬若しくは抗菌剤のスクリーニングおよび合理的な設計の標的として有用であること、を認識した。STAAU_R4活性を直接阻害する方法に加えて、STAAU_R4の発現を阻害する方法も、抗菌活性にとって興味深い。
【0223】
本発明のいくつかの態様として、結合しまたは相互作用して、本発明のポリペプチドおよび/またはポリヌクレオチドの活性若しくは発現を阻害若しくは活性化する化合物を同定する方法を提供し、その方法は、本発明のポリペプチドおよび/またはポリヌクレオチドを、結合するかまたは化合物と他の相互作用を評価するために、結合できるかまたは化合物とポリペプチドおよび/またはポリヌクレオチドとの他の相互作用ができる条件下で、スクリーニングされる化合物に接触させること、ここでこのような結合または相互作用は好ましくは結合またはポリペプチドおよび/またはポリヌクレオチドとの化合物の相互作用に応じた検出可能なシグナルを提供できる第2の成分に関連しており;および化合物が結合しまたは相互作用して、ポリペプチドおよび/またはポリヌクレオチドの活性若しくは発現を活性化若しくは阻害するかどうかを、結合またはポリペプチドおよび/またはポリヌクレオチドとの化合物の相互作用から生じるシグナルの存在または不存在を検出することにより、測定すること、を含む。
【0224】
可能性のあるアンタゴニストには、とりわけ、本発明のポリヌクレオチドおよび/またはポリペプチドに結合し、それによりその活性または発現を阻害しまたは無力化する小有機分子、ペプチド、ポリペプチドおよび抗体が含まれる。可能性のあるアンタゴニストはまた、STAAU_R4に誘導される活性を誘導せず、それにより黄色ブドウ球菌STAAU_R4ポリペプチドおよび/またはポリヌクレオチドを結合から排除して黄色ブドウ球菌STAAU_R4ポリペプチドおよび/またはポリヌクレオチドの作用若しくは発現を妨げる結合分子のような結合分子の同じ部位に結合する非常に関連したタンパク質若しくは抗体のような、小有機分子、ペプチド、ポリペプチドでもよい。
【0225】
可能性のあるアンタゴニストにはまた、ポリペプチドの結合部位に結合して占拠し、それにより細胞結合分子への結合を妨げ、正常な生物学的活性が妨げされるようにする、小分子が含まれる。小分子の例には、限定されないが、小有機分子、ペプチドまたはペプチド様分子が含まれる。他の可能性のあるアンタゴニストには、アンチセンス分子が含まれる[Okano,(1991)J.Neurochem.56,560を参照のこと;またこれらの分子の説明は、Oligodeoxynucleotides As Antisense Inhibitors of Gene Expression,CRC Press,Boca Raton,FL(1988)を参照のこと]。好ましい可能性のあるアンタゴニストには、3A ORF 33およびSTAAU_R4に関連する化合物およびそれらの変異体が含まれる。可能性のあるポリペプチドアンタゴニストの他の例には、抗体またはいくつかの場合には、場合によってはポリペプチドのリガンド、基質、レセプター、酵素等に非常に関連するオリゴヌクレオチド若しくはタンパク質が含まれ、例えば、リガンド、基質、レセプター、酵素等のフラグメント、または本発明のポリペプチドに結合するが反応を誘発せず、ポリペプチドの活性が妨げられる小分子が含まれる。
【0226】
化合物は、例えば、細胞、細胞を含まない調製物、化学ライブラリー、および天然物混合物などの種々の供給源から同定してもよい。これらの基質およびリガンドは、天然の基質およびリガンドであっても、または構造的若しくは機能的疑似物であってもよい。例えば、Coligan et al.,Current Protocols in Immunology 1(2):第5章(1991)を参照のこと。ペプチド調節因子はまた、特定の長さのすべての可能なペプチドの大規模ランダムライブラリーをスクリーニングすることより選択できる。
【0227】
3A ORF 33のポリペプチド配列由来の化合物は、これらのORFの全アミノ酸配列にわたり小さい重複ペプチドを示すフラグメントを示しうる。3A ORF 33のフラグメントは、上述したように製造できる。
【0228】
本発明の特定のポリペプチドは、天然黄色ブドウ球菌STAAU_R4ポリペプチドの生体疑似物、機能的疑似物である。これらの機能的疑似物は、とりわけ、黄色ブドウ球菌STAAU_R4ポリペプチドの活性に拮抗するために、または上述した方法による抗原若しくは免疫原として有用である。本発明のポリペプチドの機能的疑似物には、限定されないが、トランケートされたポリペプチドが含まれる。これらの機能性疑似物の各々をエンコードするポリヌクレオチドは、各々の疑似ポリペプチドを発現するための発現カセットとして用いてもよい。これらのカセットは、所望によりカセット同士をリゲートする便利な手段として5’および3’制限部位を含むことが好ましい。これらのカセットがこの分野で知られたまたは本明細書のいずれかに記載された遺伝子発現シグナルを含むことがさらに好ましい。
【0229】
本発明によるスクリーニングアッセイ
本発明のSTAAU_R4ポリペプチド若しくはポリヌクレオチドの機能を刺激するまたは阻害する化合物を同定するためのスクリーニング方法を考案するのは、望ましいことである。したがって、本発明は、本発明のポリペプチド若しくはポリヌクレオチドの機能を調節する化合物を同定するための化合物のスクリーニング方法を提供する。一般的に、アンタゴニストを、治療および予防目的で利用してもよい。STAAU_R4のアゴニストが、例えば診断若しくは他の目的のために培養されたサンプル中の細菌の成長速度を増加するために、有用であることが企図される。
【0230】
STAAU_R4がバクテリオファージ3A ORF 33産物の標的であり、これが阻害性因子として作用することが確定された。出願人は、抗菌剤の開発においてその相互作用の利用を認識した。STAAU_R4のようなポリペプチドおよび/またはポリヌクレオチド標的は、細菌阻害のための決定的な標的である。例えば、黄色ブドウ球菌のSTAAU_R4および3A ORF 33が薬若しくは抗菌剤のスクリーニングおよび合理的な設計に用いられるように、黄色ブドウ球菌バクテリオファージ3A ORF 33またはそれらの誘導体若しくは機能的疑似物は、細菌成長の阻害、並びにポリペプチド間で起こる相互作用、結合、阻害および/または活性化に有用である。STAAU_R4活性のような標的を直接阻害する方法に加えて、STAAU_R4発現のような標的を阻害する方法も、抗菌活性にとって興味深い。
【0231】
好ましい態様として、この方法は、阻害性ORF産物若しくはそれらのフラグメントの、ORF産物若しくはフラグメントとの相互作用を維持する対応する細菌の標的若しくはそれらのフラグメントとの相互作用を伴う。成分間の相互作用による妨害はモニターでき、そしてそのような妨害は、標的分子の活性を阻害し、活性化し、または増強する化合物でありうることの表示である。
【0232】
a.結合アッセイ
STAAU_R4および配列番号2のアミノ酸配列若しくはそれらのフラグメントを含むポリペプチドのようなタンパク質標的への候補化合物の結合を検査する多数の方法がある。候補化合物の、STAAU_R4ポリペプチド若しくはポリヌクレオチドへの、またはポリペプチドを有する細胞若しくは担体またはポリペプチドを含む融合タンパク質への結合を、候補化合物に直接若しくは間接に関係するラベルを用いて測定するスクリーニング方法は、本発明に有用である。
【0233】
スクリーニング方法は、STAAU_R4若しくはそれらのフラグメントに結合するための成分である3A ORF 33若しくはフラグメントのようなラベル化された競争因子の結合の競争を伴ってもよい。
【0234】
本発明にしたがったスクリーニングアッセイの非限定の例には、以下のものが含まれる[また、Sittampalam et al.1997 Curr.Opin.Chem.Biol.3:384−91にも総説されている。]。
【0235】
i)時間分解蛍光共鳴エネルギー転移(TR−FRET)
蛍光共鳴エネルギー転移を用いた2つのタンパク質の結合阻害を測定する方法[FRET;de Angelis,1999,Physiological Genomics]であるFRETは、蛍光ドナー(D)の放射スペクトルが蛍光アクセプター(A)の励起スペクトルに重なるときの、極近接した(通常<100Aの隔たり)DとAとの間で起こる量子力学現象である。クラゲのAequorea victoriaからのグリーン蛍光タンパク質(GFP)の変異体は、ポリペプチドまたはタンパク質に融合し、タンパク質−タンパク質相互作用を測定するためのFRET理論におけるD−A対として機能する。シアン(CFP:D)およびイエロー(YFP:A)蛍光タンパク質は、STAAU_R4ポリペプチド若しくはそれらのフラグメント、および3A ORF 33ポリペプチドにそれぞれ結合する。最適の近接において、STAAU_R4ポリペプチドと3A ORF 33ポリペプチドとの相互作用は、YFP蛍光の増加を伴うCFP蛍光強度減少の原因となる。
【0236】
適切にラベル化されたSTAAU_R4および3A ORF 33ポリペプチドの混合物への候補調整因子の添加は、例えば、候補阻害因子を用いないサンプルと比べた3A ORF 33の所定濃度におけるYFP蛍光の減少により明示される、エネルギー変換の阻害をもたらすこととなる。
【0237】
時間分解FRET(TR−FRETまたはHTRF[均一時間分解エネルギー転移])と称するFRET技術の拡張は、ハイスループットスクリーニングとの関連で、タンパク質−タンパク質相互作用の同定をそれ自身特によく付与する。要約すると、TR−FRETは、ユーロピウム(Eu)のような稀土クリプタートの長命の蛍光およびアロフィコシアニン(APC)のような適当なアクセプターへの非放射性エネルギー転移による増幅に基づいた均一アッセイ方法を構成する。TR−FRETの原理は、時間的および空間的選択性を通じた放出されたシグナルの2重識別を可能にする。APC(アクセプター)からの蛍光放射の寿命には、非放射性エネルギー転移の存在におけるEu(ドナー)の寿命に等しい寄与が含まれるので、長命のAPCアクセプターシグナルは、エネルギー転移の不存在においてその自然の即座の蛍光から分解できる。EuおよびAPCは、ポリペプチドのような相互作用分子のペアを介して近接に至る。STAAU_R4ポリペプチド若しくはそれらのフラグメントと3A ORF 33ポリペプチドとの相互作用を証明するために、それ自身EuもしくはAPCのいずれかにコンジュゲートする結合分子により認識されるN末端若しくはC末端タグを含むように、組み換えDNA手法を用いてそれぞれのポリペプチドがラベル化される。(エピトープに対して誘導された)抗体または(ビオチンに対して誘導された)ストレプトアビジン等の、種々の結合分子が利用できる。あるいは、相互作用するタンパク質の一方または両方が、EuまたはAPCのいずれかに直接コンジュゲートする。
【0238】
いくつかの可能なアッセイ形態の1つとして、STAAU_R4若しくはそれらのフラグメントは、ポリヒスチジンタグとの融合体として発現し、抗ポリヒスチジンEu抗体コンジュゲートにより認識され;3A ORF 33は、GSTとの融合体として発現し、抗GST APC抗体コンジュゲートにより検出される。最良の近接下並びに抗ポリヒスチジンおよび抗GST抗体コンジュゲートの存在下において、STAAU_R4若しくはそれらのフラグメントと3A ORF 33ポリペプチドとの相互作用は、最適には665nmで検出される、EuからAPCへの非放射性の時間分解エネルギー変換を誘導する。
【0239】
適切にラベル化されたSTAAU_R4と3A ORF 33ポリペプチドとの混合物への候補調節因子の添加は、例えば、候補阻害因子を用いないサンプルと比べた3A ORF 33の所定濃度におけるAPC蛍光の減少により明示される、エネルギー変換の阻害をもたらすこととなる。
【0240】
ii)蛍光偏光
蛍光偏光測定は、タンパク質−タンパク質結合を定量するための他の有用な方法である。蛍光的にタグ化した分子の蛍光偏光値は、回転相関時間または回転速度に依存する。蛍光的にラベル化されたポリペプチド(例えば、3A ORF 33またはそれらの結合フラグメント)に関係する黄色ブドウ球菌STAAU_R4ポリペプチド若しくはそれらのフラグメントにより形成されるようなタンパク質複合体は、蛍光的にラベル化されたポリペプチドよりも高い偏光値を有する。候補阻害因子がSTAAU_R4とそのポリペプチド結合パートナーとの相互作用を妨害または阻害する場合、STAAU_R4相互作用の候補阻害因子の包含は、候補阻害因子を有しない混合物に比べた蛍光偏光の減少をもたらす。この方法は、ポリペプチドまたはタンパク質複合体の形成を妨害する小分子を特徴づけるために用いることが好ましい。
【0241】
iii)表面プラスモン共鳴
タンパク質:タンパク質相互作用の阻害因子をスクリーニングするための他の強力なアッセイは、表面プラスモン共鳴である。表面プラスモン共鳴は、水溶液相(検体)からセンサー(リガンド)上に固定化された第2のタンパク質若しくは生体分子への1つのタンパク質若しくは他の生体分子の結合により引き起こされるセンサー表面近くの質量の変化により2つ(またはそれ以上)の分子間の結合を測定する、定量的な方法である。この質量の変化は、第2のタンパク質若しくは生体分子(検体)の注入若しくは除去後の時間に対する共鳴単位として測定され、およびビアコアバイオセンサー(ビアコア社)若しくは同様の装置を用いて測定される。STAAU_R4若しくはSTAAU_R4のフラグメントを含むポリペプチドは、共有結合方法を用いて(例えば、10mM酢酸ナトリウム(pH4.5)中でのアミンカップリング)、センサーチップ(例えば、研究グレードCM5、ビアコア社)上にリガンドとして固定化できる。空の表面は、タンパク質の固定化をせずにセンサーチップを活性化および不活性化することにより調製される。あるいは、リガンド表面は、ペプチドアフィニティータグ、抗体、若しくはビオチン化によるセンサーチップ表面上のリガンドの非共有結合の捕捉により調製できる。3A ORF 33のSTAAU_R4若しくはそれらのフラグメントへの結合は、リガンドチップ表面上の精製した3A ORF 33を注入することにより測定される。測定は、4℃と37℃の間のいずれの所望の温度でも実行できる。アッセイ(即ち、結合をおこなうもの)に用いられる条件は、以下のとおりである:25mMのヘペス−KOH(pH7.6)、150mMの塩化ナトリウム、15%のグリセリン、1mMのジチオトレイトール、および0.001%のTween20、10μl/minの流速。候補阻害因子によるセンサーチップのプレインキュベーションは、予想どおり3A ORF 33とSTAAU_R4との相互作用を減少させることとなる。3A ORF 33結合の減少は、センサーグラム上の低下した反応として検出され、また共鳴単位で測定され、候補化合物による競争結合の表示となる。
【0242】
iV)シンチレーション近接アッセイ
シンチレーション近接アッセイ(SPA)は、例えば配列番号2のアミノ酸配列を含む黄色ブドウ球菌STAAU_R4ポリペプチド若しくはそれらのフラグメントと、他のポリペプチドとの相互作用を特徴づけるために用いてもよい。SPAは、ビーズやミクロタイタープレートのプラスチックのような固相基質に頼っており、ここでシンチラントが取り込まれる。アッセイのために、例えば黄色ブドウ球菌STAAU_R4ポリペプチドなどの標的タンパク質が、ビーズやプレート表面に結合しており、活性化した表面化学物質を通じて共有結合的に、またはペプチドアフィニティータグ、抗体、若しくはビオチン化を通じて非共有結合的のいずれかで結合している。例えば、[32P]−放射線ラベル化3A ORF 33などの放射線ラベル化された結合ポリペプチドの添加は、放射性供給分子のシンチラントへの近い近接をもたらす。結果として、放射性の崩壊がビーズ内またはプレートのプラスチック内に含まれるシンチラントを励起し、検出可能な光を放射する。固定化された黄色ブドウ球菌STAAU_R4ポリペプチドと放射線ラベル化された3A ORF 33との関連を妨げる化合物は、シンチレーションシグナルを減少させることとなる。したがって、SPAはハイスループットの自動化形態に容易に適用するので、またマイクロモルからナノモルの範囲においてKD値によりタンパク質−タンパク質相互作用の検出のためのその感度の良さにより、SPAは、STAAU_R4−3A ORF 33相互作用の阻害因子のスクリーニングのための理想的な技術の例を示す。
【0243】
v)バイオセンサーアッセイ
ICSバイオセンサーは、AMBRI(オーストラリアメンブレンバイオテクノロジー研究所;http//www.ambri.com.au/)により記載されている。この技術において、STAAU_R4若しくはそれらのフラグメント、およびバクテリオファージ3A ORF 33若しくはそれらのフラグメントのような、巨大分子の自己会合は、分散した膜2分子相中のグラマシジン−促進イオンチャネルを閉じること、およびそれによりバイオセンサーのアドミッタンス(インピーダンスに似たもの)の測定可能な変化を結びつける。この手法は、アドミッタンス変化の大きさの6桁以上で直線性があり、小分子コンビナトリアルライブラリーの大規模ハイスループットスクリーニングに理想的に適合する。
【0244】
vi)ファージディスプレイ
ファージディスプレイは、タンパク質:タンパク質相互作用を測定するための強力なアッセイである。このスキームにおいて、タンパク質またはペプチドは、線状バクテリオファージのコートタンパク質またはテールタンパク質との融合体として発現する。この主題についての包括的な論文は、Kay et al.により編集された、Phage Display of Peptides and Proteins. A Laboratory Manual(1996)Academic Pressである。M13およびfdを含むFfファミリーのファージとして、遺伝子IIIタンパク質および遺伝子VIIIタンパク質は、外来のタンパク質またはペプチドとの融合のための最も一般的に用いられるパートナーである。ファージミドは、プラスミドおよびバクテリオファージの両方の複製起点を含むベクターである。遺伝子IIIまたは遺伝子VIIIに対する融合体をエンコードするファージミドは、ヘルパーファージによりそれらの細菌宿主から回収でき、組み換えファージの被覆または先端で外来配列のディスプレイをもたらす。
【0245】
単純なアッセイの1つの例として、精製された組み換えSTAAU_R4若しくはそれらのフラグメントは、ミクロタイタープレートのウェル中に固定化でき、遺伝子IIIタンパク質との融合体の3A ORF 33配列をディスプレイするファージによりインキュベートできる。結合していないファージを除去するために洗浄工程を行い、結合したファージは、ファージコートタンパク質(遺伝子VIIIタンパク質)に対して誘導されたモノクローナル抗体により検出される。酵素結合第2抗体により、蛍光、化学発光、または色測定変換により結合した融合タンパク質の定量的検出ができる。阻害因子のスクリーニングは、ファージの添加前に固定化された標的による化合物のインキュベーションにより実行される。阻害因子の存在は、阻害因子を含まない対照と比べて容量依存型でシグナルを特異的に低下させることとなる。
【0246】
タンパク質−タンパク質相互作用のアッセイにおいて、相互作用の調節因子は物理的に相互作用するタンパク質のドメインと直接相互作用する必要が必ずしもないことに注意をすることが重要である。調節因子は、タンパク質−タンパク質相互作用の部位から除去された位置で相互作用して、例えば、STAAU_R4ポリペプチドのコンホメーションの変化を引き起こすことも可能である。この様式で作用する調節因子(阻害因子またはアゴニスト)は、アロステリックエフェクターと称し、それらが誘導する変化がSTAAU_R4ポリペプチドの活性を修飾しうるので、興味深い。
【0247】
阻害因子の試験は、反応混合物による化合物のインキュベーションにより実行される。阻害因子の存在は、阻害因子を含まない対照と比べて容量依存型によりシグナルを特異的に低下させることとなる。STAAU_R4−3A ORF 33間の相互作用を阻害するそれらの能力により選択された化合物は、第2のスクリーニングアッセイによりさらに試験される。
【0248】
b.細菌の成長阻害
STAAU_R4ポリペプチドと3A ORF 33との相互作用を阻害するか、またはSTAAU_R4活性を阻害する能力について選択された化合物は、細菌成長の機能的アッセイにおいてさらに試験されうる。黄色ブドウ球菌の培地は、直接培地に添加するか、細胞中に化合物を運ぶのに適した媒体を用いて添加された変化させた濃度の候補化合物の存在下で成長する。ポリペプチドに対応する化合物については、前記ポリペプチドをエンコードするヌクレオチド配列は、誘導性プロモーターを含む黄色ブドウ球菌発現ベクター中にクローニングできる。ポリペプチドの発現は、細胞のトランスフェクションに続いて誘導できる。例えば、ポリペプチドには、限定されないが、異なる3A ORF 33誘導フラグメントが含まれる。
【0249】
発現の誘導または化合物の添加に続いて、培地は、さらに37℃で4時間インキュベートされる。その時間の間、細菌細胞成長に対する阻害因子の効果は、例えば、OD565および培地中のコロニー形成単位(CFU)の数を測定することにより、40分間隔でモニターしてもよい。CFUの数は、以下のようにして評価される:培地は連続的に希釈され、異なる培地からの部分標本が寒天板上で培養される。37℃での一晩のインキュベーションに続いて、コロニーに数が数えられる。黄色ブドウ球菌の処理していない培地が陰性対照として含められる。
【0250】
他の見地として、本発明は、本発明のポリペプチドおよび/またはポリヌクレオチドに対するアゴニスト、アンタゴニスト、リガンド、レセプター、基質、酵素等;またはこのようなポリペプチドおよび/またはポリヌクレオチドの産生を減少若しくは増強させる化合物、を同定するためのスクリーニングキットに関連し、これは、(a)本発明のポリペプチドおよび/またはポリヌクレオチド;(b)本発明のポリペプチドおよび/またはポリヌクレオチドを発現する組み換え細胞;(c)本発明のポリペプチドおよび/またはポリヌクレオチドに関係する細胞膜;または(d)本発明のポリペプチドおよび/またはポリヌクレオチドに対する抗体を含み、そのポリペプチドは、好ましくは配列番号2のものであり、そのポリヌクレオチドは、好ましくは配列番号1のものである。
【0251】
このようないずれかのキットにおいて、(a)、(b)、(c)または(d)は、実質的な成分を含んでもよいことが、認識されることとなる。
【0252】
(a)第1段階としてポリペプチドおよび/またはポリヌクレオチド若しくはそれらの複合体の3次元構造を測定すること;(b)アゴニスト、アンタゴニストまたは阻害因子の可能性のある反応部位、結合部位またはモチーフについての3次元構造を推定すること;(c)推定した結合部位、反応部位、および/またはモチーフに結合しまたはこれと反応すると予測される候補化合物を合成すること;および(d)候補化合物が実際にアゴニスト、アンタゴニストまたは阻害因子であるかどうか試験すること、により、本発明のポリペプチドおよび/またはポリヌクレオチドを、ポリペプチドおよび/またはポリヌクレオチドのアゴニスト、アンタゴニストまたは阻害因子の構造に基づく設計のための方法に用いてもよいことは、当業者に容易に認識されることとなる。これが通常は反復工程となること、そしてこの反復工程が自動化およびコンピュータ制御の手段を用いて実行できることを、さらに認識することとなる。
【0253】
ここで提供されるポリヌクレオチド配列の各々は、抗菌化合物の発見および開発に用いてもよい。発現により、エンコードされたタンパク質は、抗菌薬のスクリーニングのための標的として使用できる。さらに、それぞれのmRNAの翻訳を促進する、エンコードされたタンパク質のアミノ末端領域をエンコードするポリヌクレオチド配列またはシャイン−ダルガーノ若しくは他の配列は、目的とするコード配列の発現を制御するためのアンチセンス配列を構築するのに用いることができる。
【0254】
本発明はまた、感染の後遺症の原因となる、病原体と真核生物、好ましくは哺乳動物の宿主との最初の物理的な相互作用を妨害するために、本発明のポリペプチド、ポリヌクレオチド、アゴニストまたはアンタゴニストの使用を提供する。特に、本発明の分子は、細菌、特にグラム陽性および/またはグラム陰性菌の、真核生物、好ましくは哺乳動物の細胞外マトリックスタンパク質への内在装置上での吸着、または傷における細胞外マトリックスタンパク質への吸着を妨げることに;真核生物、好ましくは哺乳動物の細胞外マトリックスタンパク質と組織損傷を媒介する細菌STAAU_R4タンパク質との細菌の吸着を遮蔽すること;および/または、内在装置の移植若しくは他の外科技術による以外で開始した感染における病原の正常な進行を遮蔽すること;に用いてもよい。本発明のさらに他の見地によれば、STAAU_R4アンタゴニスト、好ましくは静菌性もしくは殺菌性アンタゴニストが提供される。
【0255】
本発明のアンタゴニストは、例えば、疾患を予防し、阻害し、および/または処置することに利用してもよい。
【0256】
組成物、キットおよび投与
本発明のさらなる見地として、細胞若しくは多細胞生物に投与するためのSTAAU_R4ポリヌクレオチドおよび/または黄色ブドウ球菌STAAU_R4ポリペプチドを含む組成物が提供される。
【0257】
本発明は、本発明のポリペプチドおよび/またはポリヌクレオチドの溶解形態のような、治療的に有効量のポリペプチドおよび/またはポリヌクレオチド、アンタゴニストペプチド若しくは小分子化合物を、医薬的に許容可能なキャリア若しくは賦形剤と組み合わせて含む、医薬組成物を提供する。このようなキャリアには、限定されないが、塩水、緩衝塩水、ブドウ糖、水、グリセリン、エタノール、およびそれらの組み合わせが含まれる。医薬組成物は、例えば、局所、経口、肛門、膣、静脈内、腹腔内、筋肉内、皮下、鼻腔内または皮内の経路その他による投与等の、効果的で便利ないずれの方法で投与してもよい。
【0258】
治療または予防として、活性剤は、例えば無菌水溶性懸濁液、好ましくは等張液等の、注射可能な組成物として個体に投与してもよい。
【0259】
あるいは、組成物は、例えば、軟膏、クリーム、ローション、眼軟膏、点眼剤、点耳剤、口腔洗浄剤、含浸包帯剤、縫合剤、およびエアロゾルの形態で局所適用のために処方されてもよく、また例えば、防腐剤、薬の浸透を助ける溶媒、軟膏およびクリームの軟化薬等の適切な通常の添加剤を含んでもよい。このような局所処方はまた、例えば、クリーム若しくは軟膏基剤、およびローションのエタノール若しくはオレイルアルコール等の相溶性の通常のキャリアを含んでもよい。このようなキャリアは、処方重量の約1%から約98%から構成されていてもよく、通常は処方重量の約80%まで構成されうる。全身投与の代替手段には、胆汁酸塩、フシジン酸または他の界面活性剤のような浸透剤を用いた経粘膜または経皮投与が含まれる。さらに、本発明のポリペプチドまたは他の化合物が腸溶性またはカプセル化された形態で処方できる場合は、経口投与も可能である。これらの化合物の投与は、軟膏、ペースト、ゲル等の形態で、局所的および/または局在的にされてもよい。
【0260】
哺乳動物、特にヒトへの投与としては、活性剤の毎日の投与レベルは、0.01mg/kgから10mg/kg、典型的には約1mg/kgとなることが予期される。いずれの場合でも医師が、個体に最も適した、年齢、体重、および特定の個体の反応に応じて変化する実際の投与量を決定することとなる。上記の投与量は、平均的な場合の例示である。もちろん、高い若しくは低い投与量範囲が有利な個体の例もあり、このようなものも、この発明の範囲に含まれる。
【0261】
ここで用いられる場合、「内在装置」の語は、外科的移植物、人工器官装置およびカテーテル、即ち個体の身体に導入され、長い時間所定の位置にとどまる装置を指す。このような装置には、限定されないが、人工関節、心臓弁、ペースメーカー、血管移植片、脳脊髄液シャント、尿カテーテル、連続携行式腹膜灌流(CAPD)カテーテルが含まれる。
【0262】
本発明の組成物は、内在装置の挿入の直前に、関連する細菌に対して全身的な効果を達成するために注射により投与してもよい。処置は、手術後装置が体内にある時間続けてもよい。さらに、この組成物はまた、細菌創傷感染、特に黄色ブドウ球菌創傷感染を予防するためのいずれもの外科技術に対する手術時の保護を広げるために用いることもできる。
【0263】
多くの整形外科医は、人工関節を有する人は、菌血症を起こしうる歯科処置の前に抗生物質による予防を考慮すべきであるということを、考慮する。深層での感染は、重篤な合併症であり、時には人工関節の喪失をもたらし、相当な罹患率と死亡率を伴う。したがって、この状況において、予防的抗生物質の代わりとしてこの活性剤の使用を広げることができる。
【0264】
上述した治療に加え、この発明の組成物は、創傷組織において露出したマトリックスタンパク質への細菌の付着を予防するための創傷処置剤として一般的に用いてもよく、また抗生物質による予防の代わりに、若しくはそれとともに歯科処置における予防に用いてもよい。
【0265】
あるいは、本発明の組成物は、挿入直前に内在装置を浸すために用いてもよい。活性剤は、創傷若しくは内在装置を浸すためには、1mg/mlから10mg/mlの濃度であることが好ましい。
【0266】
ワクチン組成物は、注射可能な形態として便利である。通常のアジュバントを、免疫反応を増強するために用いてもよい。ワクチン接種のための適当な単位投与量は、0.5〜5マイクログラムの抗原/kgであり、このような投与量が、好ましくは1〜3回、1〜3週間の間隔をおいて投与される。示された投与量範囲では、適当な個体へのそれらの投与を排除するような本発明の化合物による不利な毒性作用は、観察されないであろう。
【0267】
配列データベース、有形の媒体中の配列、およびアルゴリズム
ポリヌクレオチドおよびポリペプチド配列は、その2次元および3次元構造を測定し、またさらなる相同性の配列を同定するための有用な情報源をなす。これらの手法は、配列をコンピュータ読みとり可能媒体に保存し、その保存されたデータを既知の巨大分子構造プログラムで使用することにより、またはGCCのようなよく知られた検索ツールを用いて配列データベースを検索することを、最も容易に促進する。
【0268】
本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチド配列は、検索分析のために有用なデータベースの要素として、および配列分析アルゴリズムの要素として特に有用である。「配列データベース、有形の媒体中の配列、およびアルゴリズム」と題するこの節で用いられる場合、「本発明のポリヌクレオチド」および「本発明のポリヌクレオチド配列」の語は、有形の媒体、好ましくはコンピュータ読みとり可能形態、に圧縮若しくは保存されるもしくはできる、本発明のポリヌクレオチドのすべての検出可能な化学的若しくは物理的特徴を意味する。例えば、クロマトグラフィーの走査データ若しくはピークデータ、写真のデータ若しくはそれらからの走査データ、基線と呼ばれるもの、および質量分析データがある。データベースおよびアルゴリズムと題するこの節で用いられる場合、「本発明のポリペプチド」および「本発明のポリペプチド配列」の語は、有形の媒体、好ましくはコンピュータ読みとり可能形態、に圧縮若しくは保存されるもしくはできる、本発明のポリペプチドのすべての検出可能な化学的若しくは物理的特徴を意味する。例えば、クロマトグラフィーの走査データ若しくはピークデータ、写真のデータ若しくはそれらからの走査データ、および質量分析データがある。
【0269】
本発明は、本発明のポリペプチド配列および/または本発明のポリヌクレオチド配列をそれらに保存して有するコンピュータ読みとり可能媒体を提供する。コンピュータ読みとり可能媒体は、例えば、市販のフロッピーディスク、テープ、チップ、ハードドライブ、コンパクトディスク、およびビデオディスク等の情報若しくはデータを保存するために用いられるすべての組成物を用いることができる。
【0270】
本発明の好ましい態様として、配列番号1の配列を含むポリヌクレオチド;配列番号2の配列を含むポリペプチド;少なくとも1つの配列が配列番号1の配列を含む1組のポリヌクレオチド配列;少なくとも1つの配列が配列番号2のポリペプチドを含む1組のポリペプチド配列;配列番号1の配列を含むポリヌクレオチド配列を示すデータセット;配列番号2の配列を含むポリペプチド配列をエンコードするポリヌクレオチド配列を示すデータセット;配列番号1の配列を含むポリヌクレオチド;配列番号2の配列を含むポリペプチド;少なくとも1つの配列が配列番号1の配列を含む1組のポリヌクレオチド配列;少なくとも1つの配列が配列番号2の配列を含む1組のポリペプチド配列;配列番号1の配列を含むポリヌクレオチド配列を示すデータセット;配列番号2の配列を含むポリペプチド配列をエンコードするポリヌクレオチド配列を示すデータセット;からなる群より選ばれる構成員をそれらに保存して有するコンピュータ読みとり可能媒体を提供する。
【0271】
限定されないが、特許および特許出願、この明細書で引用したもの等のすべての刊行物および参考文献は、各々の個々の刊行物若しくは参考文献が参照することにより、そこで完全に述べられているままに本明細書に取り込まれると明確かつ個別に示されているかのように、参照することによりそれらのすべてを本明細書に取り込むものとする。この出願が優先権を主張するすべての特許出願もまた、刊行物および参考文献について上述した様式により、参照することによりそのすべてを本明細書に取り込むものとする。
【0272】
本発明は、以下の非限定の実施例によりさらに詳細に例示される。
【実施例1】
【0273】
黄色ブドウ球菌バクテリオファージ3Aからの阻害性ORFの同定
黄色ブドウ球菌増殖株3A(オンタリオ州オタワのカナダ疾患制御健康研究センター(CDC)から得たPS3A)を、ファージ3A(同様にCDCから得た)を増殖するための宿主として用いた。ファージは、SwanstormおよびAdamsにより記載された寒天層方法を用いて増殖した[Swanstrom et al.(1951)Proc.Soc.Exptl.Biol.& Med.78:372−375]。ファージDNAは、Sambrook et al. (1989)Molecular Cloning: A Laboratory Manual,第2版,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NYに記載されたように精製したファージから調製した。
【0274】
3A ORF 33(図2;配列番号4)を、それらのそれぞれのファージゲノムDNAからポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により増幅した。PCR産物は、ゲル精製しBamHI−HindIIIにより消化した。消化したPCR産物を、カナマイシン耐性選択マーカーを含む黄色ブドウ球菌ベクター(図3A)である、BamHI−HindIII−消化pTMベクターにリゲートし、黄色ブドウ球菌株RN4220[Kreiswirth et al.(1983)Nature 305:709−712]を形質転換するために用いた。得られたベクター、pTM3AORF33(図3A)において、ファージORFの発現は、亜砒酸塩誘導性プロモーターの制御下にある。組み換えクローンの選択は、カナマイシン30μg/mlを含むLuria−Bertani(LB)寒天板上で実行した。
【0275】
亜砒酸ナトリウム(NaAsO2)を用いて、arsプロモーター/オペレオーターからの遺伝子発現を誘導した。細菌の細胞成長に対するファージORF発現の影響を、固体培地および液体培地における機能性アッセイにより評価した。図3Bに示すように、5μMの亜砒酸ナトリウムを含む半固体培地へ3つの独立した形質転換株(クローン1から3)を培養することによる、ファージ3A ORF 33の発現の誘導は、誘導剤の不存在での培養または対照の非阻害性ORF(ファージ44AHJDORF114)形質転換株の培養と比較して固体培地上での細菌成長の阻害をもたらす。図3CおよびDに示すように、コロニー形成単位(CFU)により評価される、3A ORF 33を含む黄色ブドウ球菌クローンについての液体培地の密度は、非誘導条件下では時間の経過により増加した。同様の成長速度が、誘導および非誘導の両方の条件下で、(グラフ上で「非キラー」を付した)非阻害性ORFを含む形質転換株によっても観察された。両方のグラフの各々の時点は、黄色ブドウ球菌の3つの独立した形質転換株から得た平均を示す。
【0276】
3A ORF 33の発現は、誘導された培地に対して時間に伴うCFUの低下により観察されるように、細菌の成長を阻害する。誘導後4時間で、3A ORF 33の発現は、同じ培地に最初に存在したCFU数と比較したCFU数の2.5対数の阻害低下をもたらす細胞殺傷性となる(図3C)。コロニー培養が、3A ORF 33をエンコードするプラスミドについての選択圧を維持するのに必要な抗生物質であるカナマイシンの不存在下で行われた場合、成長阻害の程度が低下し、1対数の細胞殺傷効果をもたらす(図3D)。
【実施例2】
【0277】
バクテリオファージ3A ORF 33により標的化された黄色ブドウ球菌タンパク質の同定
黄色ブドウ球菌バクテリオファージ3Aの阻害性ORFと相互作用する黄色ブドウ球菌タンパク質を同定するために、3A ORF 33のGST融合体またはポリヒスチジン融合体を作製した。組み換えタンパク質を精製して利用し、GST/3A ORF 33アフィニティーカラムを作製した。黄色ブドウ球菌細胞から調製した細胞抽出物をアフィニティーマトリックスによりインキュベートし、マトリックスを増加する濃度の塩および異なる界面活性剤を含むバッファーで洗浄した。タンパク質の溶出プロフィールを、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)により評価した。PT40として同定された分子量〜40kDaのタンパク質を、アフィニティーマトリックスから特異的に溶出したが(図4および5)、GST陰性対照カラムからの溶出物中には検出されなかった(図6)。溶出したタンパク質をさらに特徴付けし、以下の詳述するように、相互作用タンパク質の同一性を測定し、タンパク質と3A ORF 33との相互作用を確認した。
【0278】
A.融合3A ORF 33組み換えタンパク質の製造
バクテリオファージ3AからのORF33を、GSTとのフレーム単位での翻訳による融合のための発現ベクターであるpGEX4T−1(ファルマシア)中に、およびポリヒスチジン(ヒスタグ)とのフレーム単位での発現ベクターであるpET15bMCS2中にサブクローニングした。プラスミドpTM3AORF33(図3A)をキアゲンカラムで精製し、HindIIIで消化し、E.coliDNAポリメラーゼのクレノウフラグメントで処理し、そしてBamHIで消化した。3A ORF 33を含むDNA制限産物を、キアクイックスピンカラム(キアゲン)でゲル精製し、(SalIでの消化、E.coliDNAポリメラーゼのクレノウフラグメントでの処理、そしてBamHIでの消化、その後のキアクイックスピンカラムによるゲル精製により調製した)pGXT4T−1およびpET15bMCD2発現ベクターにリゲートした。組み換え発現ベクターを、プラスミドミニプレップの制限酵素分析により同定した。大規模DNA調製をキアゲンカラムにより実行し、得られたプラスミドを配列決定した。発現プラスミドを含むE.coli細胞(BL21(DE3)Gold)中での試験発現を行い、最適なタンパク質発現条件を確認した。発現構築物を含むE.coli細胞を、2LのLuria−Bertani培養液中37℃でOD600が0.4から0.6(1cm経路長)となるまで成長させ、1mMのIPTGで最適時間および最適温度(30℃で3時間)で誘導した。
【0279】
B.GST/3A ORF 33およびMCS2/3A ORF 33融合体のタンパク質精製
GST/3A ORF 33融合タンパク質を含む細胞を、10mlGST溶解バッファー/リットルの細胞培地(GST溶解バッファー:20mMのヘペス pH7.2、500mMのNaCl、10%のグリセリン、1mMのDTT、1mMのEDTA、1mMのベンズアミジン、および1PMSF)に懸濁させ、フレンチプレッシャーにより細胞を溶解した後、4℃での超音波による20秒間の3回バーストした。溶解物をソーヴァルSS34ローターにより10000rpmで4℃で30分間遠心分離した。上清を溶解バッファーによりあらかじめ平衡化した4mlのグルタチオンセファロースカラムに投入し、重力により流した。カラムを10カラム容積の溶解バッファーで洗浄し、GST溶出バッファー(20mMのヘペス pH8.0、500mMのNaCl、10%のグリセリン、1mMのDTT、0.1mMのEDTA、および25mMの還元型グルタチオン)により4mlの画分として溶出させた。画分を15%SDS−PAGE(ラーミリ)により分析し、クマシーブリリアントブルーR−250染料により染色することにより視覚化し、溶出したGST/3A ORF 33タンパク質の量を評価した。
【0280】
MCS2/3A ORF 33(ヒスタグ)融合タンパク質を含む細胞を、ヒスタグ溶解バッファー(20mMのヘペス pH7.5、500mMのNaCl、10%のグリセリン、1mMのベンズアミジン、および1mMのPMSF)とともに、10ml溶解バッファー/リットルの細胞培地に懸濁させ、フレンチプレッシャーを通すことにより細胞を溶解した後、4℃での超音波による20秒間の3回バーストした。溶解物をソーヴァルSS34ローターにより10000rpmで4℃で30分間遠心分離した。上清をNi2+によりあらかじめ平衡化した4mlの金属キレートセファロースカラムに投入し、ヒスタグ溶解バッファーにより洗浄し、重力により流した。カラムを5mMのイミダゾールを含む10カラム容積のヒスタグ溶解バッファー、50mMのイミダゾールを含む6カラム容積のヒスタグ溶解バッファーで洗浄し、ヒスタグ溶出バッファー(20mMのヘペス pH7.5、500mMのNaCl、500mMのイミダゾール、10%のグリセリン)により4mlの画分として溶出させた。画分を15%SDS−PAGE(ラーミリ)により分析し、クマシーブリリアントブルーR−250染料により染色することにより視覚化した。
【0281】
C.黄色ブドウ球菌抽出物の調製
黄色ブドウ球菌抽出物を、超音波照射およびヌクレアーゼ消化に続くリソスタフィン消化を用いて細胞ペレットから調製した。細胞ペレット(2.9g)を、20mMのヘペスpH7.5、150mMのNaCl、10%のグリセリン、10mMのMgSO4、10mMのCaCl2、1mMのDTT、1mMのPMSF、1mMのベンズアミジン、1000単位のリソスタフィン、0.5mgのRNaseA、750単位のミクロコッカルヌクレアーゼ、375単位のDNase1の、8mlに懸濁させた。細胞懸濁液を、37℃で30分間インキュベートし、4℃に冷却し、1mMのEDTAおよび500mMのNaClの最終濃度とした。溶解物を、それぞれ20秒間の3回のバーストを用いて氷上で超音波照射した。溶解物を、Ti70固定角度ベックマンローターにより20000rpmで1時間遠心分離した。上清を採取し、100mMのNaCl、1mMのベンズアミジン、および1mMのPMSFを含むアフィニティークロマトグラフィーバッファー(ACB:20mMのヘペスpH7.5、10%のグリセリン、1mMのDTT、および1mMのEDTA)に対して、10000Mr透析膜により一晩透析した。透析されたタンパク質抽出物を透析管から採取し、1mlの部分標本として−70℃で凍結させた。
【0282】
D.アフィニティーカラムの調製
GST、GST/3A ORF 33、およびMCS2/3A ORF 33を、1MのNaClを含むACBに対して一晩透析した。タンパク質濃度をバイオラッドタンパク質アッセイにより測定し、タンパク質を0、0.1、0.5、1.0、および2.0mg/mlのタンパク質/樹脂濃度でアフィゲル10樹脂(バイオラッド)に架橋させた。架橋した樹脂を、カラム充填および100mMのNaClを含むACBにより平衡化する前に、エタノールアミンおよびウシ血清アルブミン(BSA)の存在下で連続的にインキュベートした。黄色ブドウ球菌抽出物を、4℃でマイクロ遠心分離により15分間遠心分離し、100mMのNaClを含むACBで5mg/mlに希釈した。400μlの抽出物を、0、0.1、0.5、1.0、および2.0mg/mlのリガンドを含む40μlのカラムに投入し、そして100mMのNaClを含むACB(400μl)を2.0mg/mlのリガンドを含むさらなるカラムに投入した。カラムを100mMのNaClを含むACB(400μl)により洗浄し、0.1%のTriton X−100および100mMのNaClを含むACB(100μl)、1MのNaClを含むACB(160μl)、および1%のSDS(160μl)により連続的に溶出させた。各々の溶出物80μlを16cm14%SDS−PAGEにより分解し[Laemmli,U.K.(1970)Nature 227:680−685]、タンパク質を銀染色により視覚化した。
【0283】
E.アフィニティークロマトグラフィー
40kDaの相互作用タンパク質の1つの候補(PT40)は、GST/3A ORF 33クロマトグラフィー実験の1MのNaCl溶出物中で観察された(図4)。PT40タンパク質はまた、MCS2/3A ORF 33実験の1MのNaCl溶出物中でも観察された(図5)。この候補タンパク質は、GST対照アフィニティークロマトグラフィー実験では観察されなかった。黄色ブドウ球菌抽出物中のPT40タンパク質の相対アバンダンスの見積もりは、候補相互作用タンパク質のほぼ定量的回収がアフィニティークロマトグラフィーの間に起こるとの仮定に頼っている。リガンドMCS2/3A ORF 33およびGST/3A ORF 33を用いた5mg/mlの抽出物によるアフィニティークロマトグラフィー実験では、2.0mg/mlカラムの1MのNaCl溶出物において約25ngのPT40というPT40の同様の量が得られた。リガンドMCS2/3A ORF 33およびGST/3A ORF 33を用いた10mg/mlの抽出物によるアフィニティークロマトグラフィー実験では、2.0mg/mlカラムの1MのNaCl溶出物において約70ngのPT40というPT40の同様の量が得られた。銀染色のSDS−PAGEゲルからのタンパク質定量は近似にすぎないが、見積もられた抽出物中のPT40のアバンダンスは、約0.005%である。
【0284】
F.3A ORF 33相互作用タンパク質としての黄色ブドウ球菌STAAU_R4の同定
候補タンパク質PT40を、SDS−PAGEゲルから切除し、MALDI−ToF質量分析計によるトリプシン消化ペプチド質量分析のために調製した[Qin,J.,et al.(1997)Anal.Chem.69,3995−4001]。図7に例示されるように、高品位のマススペクトルが得られた。2つのアフィニティークロマトグラフィー実験で観察されたPT40タンパク質(図4および5に示された溶出物)は、トリプシン消化ペプチドの質量により測定されるように、同一であった。PT40のバンドは、オクラホマ大学ゲノム配列決定プロジェクトデータベース(http://www.genome.ou.edu/staph.html)のContig782に見出されたオープンリーディングフレームと同一であった(ここでは「STAAU_R4」と呼ぶ)。
【0285】
G.STAAU_R4のバイオインフォマティック分析
配列相同性(BLAST)および隠れマルコフモデル(HMM)解析を、両プログラムの実行により行った。配列分析に用いたダウンロードした公開データベースは、以下の通りである。
i) non−redundant GenBank (nr)(www.ncbi. nlm.nih.gov)
ii) pdbaa database(www.ncbi.nlm.nih.gov )
iii) PRODOM (http://protein.toulouse.inra.fr/protein.html)
iv) Swissprot and TREMBL(www.expasy.ch)
v) Block plus and Block prints(http://b locks.fhcrc.org)
vi) Pfam (http://pfam.wustl.edu)
vii) Prosite (www.expasy.ch)
【0286】
図8に示すように、STAAU_R4について行ったBLAST解析の結果から、B.subtilis等の種々の細菌からの脂肪酸/リン脂質合成PlsXタンパク質に似ていることが明らかとなった。特に、図9Aに示される、全体最適アライメントの結果から、STAAU_R4のアミノ酸配列とB.subtilis PlsX(gi|6686325|sp|P71018|PLSX_BACSU:FATTY ACID/PHOSPHOLIPID SYNTHESIS PROTEIN PLSX)との間に、53%の同一性、71%の類似性があることが明らかとなった。
【0287】
ソフトウエアプログラムを開発して黄色ブドウ球菌配列に用いて、候補ORFの開始コドンを同定した。ソフトウエアは、適切な開始コドンのための最初のヌクレオチド配列を走査した。開始コドンの性質を規定する2つの可能性のある選択、a)ATGの選択、またはb)ATG若しくはGTGの選択、がなされる。この分析は、開始コドンの上流に位置する25ヌクレオチド長のシャイン−ダルガーノ配列「aaaggaggt」の最適のギャップのないアライメントの発見と一致する、リボソーム結合部位(RBS)配列の同定をも伴う。位置依存スコアは、以下の通りである。
【0288】
a a a g g a g g t
2 3 3 6 6 4 6 5 2
【0289】
図9Bに示すように、STAAU_R4を含む黄色ブドウ球菌の終止コドンから終止コドンまでのDNA領域の分析により、70%の完全一致のスコアを有する予測されるRBS配列に関係する2つの可能性のあるATG開始コドンの存在が明らかとなった。他のPlsXポリペプチドとのSTAAU_R4の配列アライメントに基づき、図9AのB. subtilis PlsXに例示されるように、STAAU_R4の開始コドンは、図9Bの太字で示されるRBS配列の下流の最初のメチオニンに対応すると予測される。
【実施例3】
【0290】
STAAU_R4と3A ORF 33との相互作用のアフィニティーブロッティング
細菌のSTAAU_R4および3A ORF 33の相互作用も、アフィニティーブロッティングアッセイにより確認した。プローブを、心筋キナーゼ(HMK)−タグ化STAAU_R4 GST−融合体の[32P]−ATPおよびHMKによるインキュベーションにより、STAAU_R4タンパク質から作製した。ラベル化したプローブを、固定化阻害性ファージORFを有する遮蔽された膜によりインキュベートし、完全な洗浄の後に残ったシグナルを、X線フィルムに暴露することにより検出する。
【0291】
A.アフィニティーブロッティングアッセイのためのGST/3A ORF 33およびGST/STAAU_R4組み換えポリペプチドの作製
プレシジョンプロテアーゼ切断部位を融合したGSTを含むpGEX−6P1を、ファルマシアアマシャムバイテックから購入した。心筋キナーゼ(HMK)リン酸化部位(配列番号5:5’−GATCTCGTCGTGCATCTGTTGGATCCCCGGAATTCCCGGG−3’および配列番号6:5’−TCGACCCGGGAATTCCGGGGATCCAACAGAT−GCACGACGA−3’)に対応する合成によりアニールしたオリゴヌクレオチドを、固有のBamHI−SalIにクローニングすることにより、pGEX−6PKを得た[Kaelin et al.(1992)Cell 70:351−364]。結果として、HMK部位は、GSTと融合してクローニングされ、固有のBamHI、EcoRIおよびSalIクローニング部位に続く。2本鎖の挿入を、DNA配列分析により確認し、そのプラスミドをpGEX−6PKと呼ぶ(図10C)。
【0292】
図10Bに示すように、バクテリオファージ3A ORF 33を、3A ORF 33配列を含むpGADT7ベクター(クロンテックラボラトリーズ)のEcoRIおよびXhoI消化によりpGEX−6PK中にサブクローニングした。3A ORF 33を含むDNAフラグメントを、キアゲンカラムによりゲル精製し、HMKラベル化部位の3’末端でフレーム単位で(事前にEcoRIおよびSalIで消化しておいた)pGEX−6PKにリゲートし、pGEX−6PK3A ORF 33を作製した。組み換え発現ベクターを、プラスミドミニプレップの制限酵素分析により同定し、大規模DNA調製を、キアゲンカラムにより行った。
【0293】
図10Aに示すように、完全長STAAU_R4を、BamHI制限部位に先行する開始コドンを標的とするセンス鎖プライマー(5’−cgggatccATGGTTAAATTAGCAATTGAT−3’)(配列番号7)およびXhoI制限部位に先行する終止コドンを標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチド(5’−ccgctcgagTTACTCATTTGATTCACCTAC−3’)(配列番号8)を用いたPCRにより、黄色ブドウ球菌ゲノムDNAから増幅した。増幅したSTAAU_R4(配列番号1)に用いた開始コドンは、図9AのB.subtilis PlsXに例示されるように、他のPlsXポリペプチドとのSTAAU_R4の配列アライメントに基づいた予測された開始コドン(図9B)に対応する。消化されたPCT産物を、キアゲンPCR精製キットを用いて精製し、HMKラベル化部位の3’末端でフレーム単位で、BamHIおよびSalIで消化されたpGEX−6PKベクターにリゲートし、E.coli株BL21(アマシャム−ファルマシア)を形質転換するために用いた。GSTに融合したSTAAU_R4ポリペプチドの配列の完全性を、DNA配列決定により直接確認した。
【0294】
B.GST融合タンパク質の精製と放射線ラベル化
プラスミドpGEX−6PからのGST/3A ORF 33およびGST/STAAU_R4組み換えタンパク質の発現を、OD600〜0.5において培地に1mMのイソプロピル−1−チオ−β−D−ガラクトシダーゼ(IPTG)の添加により誘導した。タンパク質を37℃で3時間発現させ、細胞をJA−10ローター(ベックマン)により4℃で15分間5000rpmで遠心分離することにより採取した。細菌ペレットを、100mlの氷冷リン酸バッファー塩水(PBS)中に再懸濁させ、4つの部分標本に分けて上記のように遠心分離した。各々の部分標本を、7mlのSTE(10mMのTris pH 8.0、1mMのEDTA、150mMのNaClおよび0.1mg/mlのリゾチーム)に再懸濁した。15分間のインキュベーションの後、10mMのジチオトレイトール(ギブコBRL)および1.4%のサルコシル(シグマ)を加え、溶解した細胞に氷上で20秒間の超音波のバーストを3回行った。
【0295】
細胞溶解物をJA−20ローター(ベックマン)により4℃で20分間16,000rpmで遠心分離し、上清を全容積20mlの2%のTriton X−100(シグマ)により、室温で30分間、倒置回転させて処理した。溶解物をJA−20ローターにより4℃で20分間16,000rpmで遠心分離し、上清を1mlのグルタチオンセファロース−4Bビーズ(アマシャム−ファルマシア)により4℃で60分間インキュベートした。ビーズをPBSで完全に洗浄し、エッペンドルフチューブに移し、純粋なタンパク質を、50mMのTris pH7.0、150mMのNaCl、1mMのEDTAおよび1mMのDTTの500μl中の40単位のプレシジョンプロテアーゼ(ファルマシア−アマシャム)による消化により、GST部分から切断した。倒置回転による4℃での5時間のインキュベーションの後、サンプルをミクロ遠心で5分間13,000gで遠心分離し、上清を採取した。タンパク質濃度を、使用説明書(バイオラッド)にしたがってバイオラッド試薬を用いて測定し、タンパク質を使用するまで−80℃で保存した。タンパク質を、12%SDS−PAGEを用いて分析し、クマシーブリリアントブルーR−250染色により視覚化した。
【0296】
32P]−ATPによる放射性ラベル化のため、4μgのGST切断STAAU_R4ポリペプチドを、cAMP依存タンパク質キナーゼ「心筋キナーゼ」(シグマ)の50単位の触媒サブユニットにより、200mMのTris pH7.5、1MのNaCl、120mMのMgCl2、10mMのDTTおよび50μCiの[γ32P]−ATP(3000ci/mmol)(NEN/マンデル)を含む全容積100μl中で、室温で30分間インキュベートした。結合していないヌクレオチドを除去するために、タンパク質をセファデックス−G50NICKカラム(アマシャム−ファルマシア)に投入し、Z−バッファー(25mMのヘペス pH7.7、12.5mMのMgCl2、20%のグリセリン、100mMのKClおよび1mMのDTT)により溶出させ、γ32P−ATPの取り込みを、液体シンチレーションカウンターでカウントすることにより測定した。
【0297】
C.アフィニティーブロッティングアッセイ
増加する量(0.125、0.250、0.5および1.0μg、それぞれ図10Dのレーン1、2、3および4)のGST切断3A ORF 33を、ドデシル硫酸ナトリウム−10%ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)ゲルで分解し、ニトロセルロース膜(ミリポア)上にブロッティングした。膜をHBBバッファー(25mMのヘペス−KOH pH7.7、25mMのNaCl、5mMのMgCl2、1mMのDTT)中の6Mの尿素で4℃で20分間インキュベートすることにより、固定化タンパク質を変性させた。タンパク質を、HBBバッファー中の尿素の連続的希釈によりその位置で再生した。膜を少なくとも1時間4℃で0.05%のNP−40を補給したHBB中5%の乳で遮蔽し、また少なくとも45分間0.05%のNP−40を補給したHBB中1%の乳で遮蔽した。プローブとして250,000cpm/mlの[32P]−ATPラベル化STAAU_R4ポリペプチドを含むハイブリダイゼーションバッファー(20mMのヘペス−KOH pH7.7、75mMのKCl、0.1mMのEDTA、2.5mMのMgCl2、0.05%のNp−40、および1%の乳)中で、ハイブリダイゼーションを4℃で一晩行った。膜をハイブリダイゼーションバッファーで10分間3回洗浄し、x線フィルムに暴露した(図10D)。[32P]−ATPラベル化STAAU_R4ポリペプチドに対応するバンドを、3A ORF 33(18kDa)に対応するブロット上の位置で検出した。
【0298】
結論
阻害性バクテリオファージ3A ORF 33とSTAAU_R4との相互作用によって、STAAU_R4遺伝子およびその遺伝子産物は、抗菌剤の、より具体的には抗黄色ブドウ球菌剤のスクリーニングおよび同定のための、新規な細菌標的として同定された。本発明はまた、STAAU_R4および/またはバクテリオファージ3A ORF 33および/または本発明により同定される化合物に基づいた新規な診断、予後、および治療方法を提供する。
【0299】
本発明は、それらの好ましい態様の方式により上記に記載されたが、添付の特許請求の範囲に規定された主題の発明の精神および性質から離れることなく修飾することができる。
【図面の簡単な説明】
【0300】
一般的に記載された発明として、それらの好ましい態様を例示する目的で示される、以下の図面が参照されることとなる。
【図1】図1は、黄色ブドウ球菌STAAU_R4のヌクレオチド(配列番号1)およびアミノ酸(配列番号2)配列を示す。
【図2】図2は、黄色ブドウ球菌バクテリオファージ3A ORF 33のヌクレオチド(配列番号3)およびアミノ酸(配列番号4)配列を示す。
【図3】図3は、バクテリオファージ3A ORF 33の細菌阻害性ポテンシャルおよび黄色ブドウ球菌中でその発現を誘導するのに使用される発現ベクターを示す。A)黄色ブドウ球菌細胞中の発現を誘導するのに使用される発現ベクターpTM/ORFの模式図;B)半固体担体培地上で成長した黄色ブドウ球菌中で発現させたときの3A ORF 33の阻害性ポテンシャルを評価するためのスクリーニングの結果;C)、D)プラスミドに対する選択圧を維持するのに必要な抗生物質を含む(C)または含まない(D)いずれかの半固体培地上で培養した後に液体培地中で成長させた黄色ブドウ球菌中で発現させたときの、3A ORF 33の阻害性ポテンシャルのアッセイ結果。
【図4】図4は、GST/3A ORF 33リガンドを用いた、10.0mg/mlの黄色ブドウ球菌抽出物についてのアフィニティークロマトグラフィーを示す。樹脂中に0、0.1、0.5、1.0、および2.0mg/mlでリガンドを含むアフィニティーカラムからの溶出液を14%SDS−PAGEにて分解し、ゲルを硝酸銀で染色した。0.1%のTriton X−100(SDS−PAGEは示していない)、1MのNaCl ACB、および1%のSDSを含む100mMのACBにより、ミクロカラムを連続的に溶出した。それぞれの分子量マーカーは、約200ngである。ACBが付されたレーンは、100mMのNaClを含むACBバッファーのみを流した2.0mg/mlのリガンドのカラムからの溶出液を示す。PT40で示された矢印は、タンパク質同定のために切断されたバンド位置を示す。
【図5】図5は、リガンドとしてポリヒスチジン配列(MSC2/3A ORF 33)に融合した3A ORF 33を用いた、10.0mg/mlの黄色ブドウ球菌抽出物についてのアフィニティークロマトグラフィーを示す。樹脂中に0、0.1、0.5、1.0、および2.0mg/mlでリガンドを含むアフィニティーカラムからの溶出液を14%SDS−PAGEにて分解し、ゲルを硝酸銀で染色した。0.1%のTriton X−100(SDS−PAGEは示していない)、1MのNaCl ACB、および1%のSDSを含む100mMのACBにより、ミクロカラムを連続的に溶出した。それぞれの分子量マーカーは、約200ngである。ACBが付されたレーンは、100mMのNaClを含むACBバッファーのみを流した2.0mg/mlのリガンドのカラムからの溶出液を示す。PT40で示された矢印は、タンパク質同定のために切断されたバンド位置を示す。
【図6】図6は、リガンドとして対照GSTを用いた、10.0mg/mlの黄色ブドウ球菌抽出物についてのアフィニティークロマトグラフィーを示す。樹脂中に0、0.1、0.5、1.0、および2.0mg/mlでリガンドを含むアフィニティーカラムからの溶出液を14%SDS−PAGEにて分解し、ゲルを硝酸銀で染色した。0.1%のTriton X−100(SDS−PAGEは示していない)、1MのNaCl ACB、および1%のSDSを含む100mMのACBにより、ミクロカラムを連続的に溶出した。それぞれの分子量マーカーは、約200ngである。ACBが付されたレーンは、100mMのNaClを含むACBバッファーのみを流した2.0mg/mlのリガンドのカラムからの溶出液を示す。
【図7】図7は、アフィニティークロマトグラフィーにおいて3A ORF 33と相互作用するPT40タンパク質のトリプシン消化によるペプチドの質量分析を示す。PT40のバンドは、オープンリーディングフレームとして同定され、ここではSTAAU_R4と呼ばれ、オクラホマ大学のゲノム配列決定プロジェクトデータベース(http://www.genome.ou.edu/staph.html)のContig782中に見出された。
【図8】図8は、NCBI(nr)を含む公衆に利用可能なBLAST検索解析の結果を示す。STAAU_R4は、B.subtilis (gi|6686325|sp|P71018|PLSX_BACSU:FATTY ACID/PHOSPHOLIPID SYNTHESIS PROTEIN(脂肪酸/リン脂質合成タンパク質) PLSX)を含む、種々の細菌からのPlsXタンパク質に極めて似ている。
【図9】図9は、STAAU_R4およびB.subtilis PlsXのアミノ酸配列の全体最適アライメント、並びに黄色ブドウ球菌遺伝子の開始コドンの同定を示す。A)全体最適アライメントの結果から、STAAU_R4とB.subtilisのPlsXとの間に53%の同一性があることがわかる。B)STAAU_R4を含む黄色ブドウ球菌の終止コドンから終止コドンまでのDNA領域の解析結果から、予測されたリボソーム結合部位(RBS)配列(ヌクレオチド配列の強調文字)に関係したATG開始コドンの存在が明らかとなる。
【図10】図10は、A)黄色ブドウ球菌STAAU_R4のクローニングの概略;B)pGEX−6PKベクター中でのファージ3A ORF 33のクローニングの概略;C)BamHI、EcoRIおよびSalIクローニング部位の後に、プレシジョンプロテアーゼ切断部位および心筋キナーゼ(HMK)リン酸化部位に融合したGSTを含むベクターpGEX−6PK;およびD)精製した3A ORF 33と[32P]−ATP−放射性ラベル化STAAU_R4ポリペプチドとの相互作用を試験するために設計されたファーウエスタンアフィニティーブロッティング分析の結果;を示す。レーン1から4は、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動により分解し、ニトロセルロース膜にブロットした増加させた量の(0.125、0.250、0.5および1.0μg)の3A ORF 33を示す。

Claims (54)

  1. 配列番号2のアミノ酸配列からなる、単離され、精製され、若しくは濃縮されたポリペプチド。
  2. 請求項1のアミノ酸配列と少なくとも55%の同一性を有する、単離され、精製され、若しくは濃縮されたポリペプチド。
  3. 請求項1のアミノ酸配列と少なくとも60%の同一性を有する、単離され、精製され、若しくは濃縮されたポリペプチド。
  4. 請求項1のアミノ酸配列と少なくとも75%の同一性を有する、単離され、精製され、若しくは濃縮されたポリペプチド。
  5. 配列番号2のアミノ酸配列を含む単離されたポリペプチド、またはそれらの生物学的に活性なフラグメント若しくは変異体。
  6. 請求項5のアミノ酸配列と少なくとも55%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、単離され、精製され、若しくは濃縮されたポリペプチド。
  7. 請求項5のアミノ酸配列と少なくとも60%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、単離され、精製され、若しくは濃縮されたポリペプチド。
  8. 配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも55%の同一性を有する、単離され、精製され、若しくは濃縮された、少なくとも50アミノ酸長のポリペプチド。
  9. 配列番号1で表されるヌクレオチド配列からなる、単離され、精製され、若しくは濃縮されたポリヌクレオチド、または前記ポリヌクレオチド配列の相補鎖。
  10. 請求項5のポリペプチドをエンコードする、単離され、精製され、若しくは濃縮されたポリヌクレオチド配列、または前記ポリヌクレオチド配列の相補鎖。
  11. 配列番号1を含む、単離され、精製され、若しくは濃縮されたポリヌクレオチド、またはそれらの相補鎖。
  12. 配列番号1で表される配列と少なくとも65%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む、単離され、精製され、若しくは濃縮されたポリヌクレオチド、または前記ポリヌクレオチドの相補鎖。
  13. 請求項1ないし8のポリペプチドのいずれか1つをエンコードするヌクレオチド配列を含む、単離され、精製され、若しくは濃縮されたポリヌクレオチド。
  14. 配列番号2のアミノ酸配列を含む生物学的に活性なSTAAU_R4ポリペプチドに対して活性な化合物、およびそれらの生物学的に活性な変異体を同定する方法であって、前記方法は、
    前記STAAU_R4ポリペプチドを候補化合物と接触させること、および
    前記化合物の前記STAAU_R4ポリペプチドへの結合;およびそれらの生物学的活性;の1つを検出することを含み、
    ここで、化合物の前記STAAU_R4ポリペプチドへの前記結合、または前記候補物質が存在しない場合に比べた存在する場合の前記それらの生物学的活性の減少が、前記候補化合物がSTAAU_R4ポリペプチドに対して活性のある化合物であることを示す、
    方法。
  15. 前記STAAU_R4ポリペプチドが前記バクテリオファージポリペプチド配列に同時に接触する、請求項14に記載の方法。
  16. 前記結合、または生物学的活性の前記減少、が前記候補化合物の存在および不存在下で実行される、請求項14または15に記載の方法。
  17. 前記バクテリオファージポリペプチド配列が以下からなる群より選ばれる、請求項14ないし16のいずれかに記載の方法:
    a)配列番号4;および
    b)配列番号2に特異的に結合するa)のフラグメントまたは変異体。
  18. 前記検出が、候補化合物の前記STAAU_R4ポリペプチドへの結合を測定することを含み、その化合物が直接的にまたは間接的に検出可能にラベル化されている、請求項14ないし17のいずれかに記載の方法。
  19. 同じものと特異的に相互作用するSTAAU_R4ポリペプチドおよびバクテリオファージポリペプチドのうちの1つに対して活性のある化合物を同定する以下を含む方法:
    配列番号2のアミノ酸配列を含む前記STAAU_R4ポリペプチドまたはそれらの変異体を、候補化合物に接触させること;ここで、前記バクテリオファージポリペプチドが、
    a)配列番号4;および
    b)a)のフラグメントまたは変異体がその生物学的活性を維持する、a)のフラグメントまたは変異体、
    からなる群より選ばれ;そして
    前記STAAU_R4ポリペプチドおよび/または前記バクテリオファージポリペプチドの生物学的活性を検出すること;ここで、候補化合物の存在下におけるそれらの生物学的活性の減少が、前記候補化合物が前記STAAU_R4および/またはバクテリオファージポリペプチドのうちの1つに対して活性のある化合物であることを示す、
    方法。
  20. STAAU_R4に対して活性のある化合物を同定する、請求項19に記載の方法。
  21. 前記検出が、前記STAAU_R4ポリペプチドの前記バクテリオファージポリペプチドへの結合を測定する動作を含み、ここで前記STAAU_R4ポリペプチドまたは前記バクテリオファージポリペプチドが直接的にまたは間接的に検出可能にラベル化されている、請求項19または20に記載の方法。
  22. 生物学的に活性なSTAAU_R4ポリペプチドに対して活性のある化合物を同定する方法であって、前記方法は、
    候補化合物を配列番号2のアミノ酸を含む前記STAAU_R4ポリペプチド、または生物学的に活性なフラグメント、を発現している細胞に接触させること、および
    前記細胞中でSTAAU_R4活性を測定すること、を含み、
    ここで、前記候補化合物の存在下における前記細胞中の前記活性の減少が、前記化合物によるSTAAU_R4活性の阻害を示す、
    方法。
  23. 請求項14ないし22の方法のいずれか1つにより同定される、STAAU_R4ポリペプチド若しくはそれらのフラグメント、または前記ポリペプチド若しくはそれらのフラグメントをエンコードする核酸、の活性のアゴニスト若しくはアンタゴニスト。
  24. 前記検出が、時間分解蛍光共鳴エネルギー転移(TR−FRET)による測定を含む、請求項14ないし21のいずれかに記載の方法。
  25. 前記検出が、蛍光偏光変化の測定を含む、請求項14ないし21のいずれかに記載の方法。
  26. 前記検出が、表面プラスモン共鳴による測定を含む、請求項14ないし21のいずれかに記載の方法。
  27. 前記検出が、シンチレーション近接アッセイを含む、請求項14ないし21のいずれかに記載の方法。
  28. 前記検出が、バイオセンサーアッセイを含む、請求項14ないし21のいずれかに記載の方法。
  29. 前記検出が、ファージディスプレイによる測定を含む、請求項14ないし21のいずれかに記載の方法。
  30. a)配列番号2、
    b)生物学的に活性なa)のフラグメントまたは変異体、
    c)a)およびb)の前記ポリペプチドのいずれかをエンコードする核酸、
    から選ばれるアミノ酸配列を含むポリペプチドに対して活性のある化合物を同定すること、
    前記ポリペプチドまたは同じものをエンコードする核酸を自然に産生する細菌により感染された、または感染の危険のある生物に投与したときに、治療効果を提供するのに充分な量の前記活性化合物を合成または精製すること、
    を含む、抗菌化合物の製造方法。
  31. 細菌を、a)配列番号2のアミノ酸配列を含む黄色ブドウ球菌ポリペプチドまたはそれらのフラグメント若しくは変異体、b)a)のポリペプチドをエンコードする核酸、のうちの1つに対して活性のある化合物に接触させることを含む、細菌を阻害する方法。
  32. 感染を患っているまたはそれらを患う危険性のある動物において細菌感染を処置または予防する方法であって、a)配列番号2またはそれらのフラグメント若しくは変異体、b)a)の前記アミノ酸配列をエンコードする核酸、のうちの1つのアミノ酸配列を含む黄色ブドウ球菌ポリペプチドに対して活性のある、治療的に有効量のまたは予防的に有効量の化合物を前記動物に投与することを含む、方法。
  33. 哺乳動物への移植前に、内在装置を配列番号2のアミノ酸配列を含む黄色ブドウ球菌ポリペプチドに対して活性のある化合物と接触させることを含む、細菌感染を予防するための予防処置方法であって、このような接触が移植部位における黄色ブドウ球菌の感染を予防するのに充分である方法。
  34. 配列番号2のアミノ酸配列、それらのフラグメント若しくは変異体、または前記ポリペプチドをエンコードする遺伝子、の1つを含む黄色ブドウ球菌ポリペプチドに対して活性のある化合物を、哺乳動物組織の組織表面への細菌の吸着を低下させるのに充分な量を、動物に投与することを含む、細菌による動物の感染を予防するための予防処置方法。
  35. 前記活性化合物が、小分子、ペプチド疑似化合物、およびバクテリオファージ阻害タンパク質のフラグメント若しくは誘導体から成る群より選ばれる、請求項14ないし22、または24ないし34のいずれかに記載の方法。
  36. 前記活性化合物が、発現系により合成され精製されたペプチド、または人工的に合成されたものである、請求項14ないし22、または24ないし34のいずれかに記載の方法。
  37. 前記化合物が、
    a)配列番号4、および
    b)a)のフラグメントまたは変異体であって、前記それらのフラグメントまたは変異体が、配列番号2、それらのフラグメント若しくは変異体、の1つと相互作用する特異的結合能力を維持するフラグメントまたは変異体、
    からなる群より選ばれる、請求項36に記載の方法。
  38. 前記接触が、in vitroで行われる、請求項31、33、35、36または37のいずれかに記載の方法。
  39. 前記接触が、動物のin vivoで行われる、請求項31、32、34ないし36、または37のいずれかに記載の方法。
  40. 前記接触が、既存の抗菌剤と組み合わせて行われる、請求項31ないし38のいずれかに記載の方法。
  41. 前記STAAU_R4ポリペプチドが、配列番号2で示されるアミノ酸配列、またはそれらの生物学的に活性なフラグメント若しくは変異体を含む、請求項14ないし22、23、24ないし29、または35ないし37のいずれかに記載の方法。
  42. 単離され、精製され、または濃縮された、バクテリオファージ3A ORF 33にエンコードされるポリペプチド;および配列番号2で示されるアミノ酸配列またはそれらのフラグメント若しくは変異体を含む黄色ブドウ球菌STAAU_R4ポリペプチド、を含む組成物。
  43. 特異的に相互作用するドメインのペアを含む組成物であって、前記ペアが、STAAU_R4ポリペプチド、および前記STAAU_R4ポリペプチドと特異的に相互作用するバクテリオファージORFによってエンコードされたポリペプチド、を含む組成物。
  44. 前記STAAU_R4ポリペプチドが配列番号2で示されるアミノ酸配列を含み、前記バクテリオファージORFが配列番号4で示されるアミノ酸配列を含む、請求項43に記載の組成物。
  45. 前記STAAU_R4ポリペプチドが、配列番号2で示されるアミノ酸配列、またはそれらの生物学的に活性なフラグメント若しくは変異体を含む、請求項43または44に記載の組成物。
  46. a)配列番号2のアミノ酸配列、またはそれらの生物学的に活性なフラグメント若しくは変異体を含むポリペプチドに対して活性な化合物についてのスクリーニングアッセイを実行することにより、STAAU_R4ポリペプチドに対して活性な化合物を同定すること、および
    b)a)で同定された化合物を適当な医薬キャリアと混合すること、
    を含む、医薬組成物の製造方法。
  47. 前記バクテリオファージORFが、配列番号4で示されるアミノ酸配列を含む、請求項46に記載の製造方法。
  48. 前記STAAU_R4ポリペプチドが、配列番号2で示されるアミノ酸配列、またはそれらの生物学的に活性なフラグメント若しくは変異体を含む、請求項46または47に記載の製造方法。
  49. STAAU_R4ポリペプチドに対して活性のある化合物の同定のための、
    a)配列番号2のアミノ酸配列、またはそれらの生物学的に活性なフラグメント若しくは変異体を含むSTAAU_R4ポリペプチド;
    b)STAAU_R4ポリペプチド、またはそれらの生物学的に活性なフラグメント若しくはそれらの変異体、およびSTAAU_R4と特異的に相互作用するバクテリオファージORFによってエンコードされるポリペプチド、を含む特異的に相互作用するドメインのペアを含む組成物;
    c)i)配列番号2のアミノ酸配列、またはii)i)の生物学的に活性なフラグメント若しくは変異体、のうちの1つを含む第1のポリペプチド、およびi)またはii)のうちの1つと特異的に相互作用するバクテリオファージORFによってエンコードされる第2のポリペプチド、を含むアッセイ混合物;
    のうちの1つの使用。
  50. 個体における黄色ブドウ球菌による感染を診断する方法であって、
    前記個体における黄色ブドウ球菌STAAU_R4ポリペプチドの存在を測定すること、
    を含む方法。
  51. 前記測定する工程が、前記個体の生物学的サンプルを黄色ブドウ球菌STAAU_R4ポリペプチドに存在するエピトープに対して特異的な抗体と接触させることを含む、請求項50に記載の方法。
  52. 個体における黄色ブドウ球菌による感染を診断する方法であって、
    前記個体における黄色ブドウ球菌STAAU_R4ポリペプチドをエンコードする核酸配列の存在を測定すること、
    を含む方法。
  53. 前記測定する工程が、前記個体の核酸サンプルを、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で配列番号1の配列、またはプローブの相補鎖、にハイブリダイズする少なくとも15ヌクレオチド長のプローブと接触させることを含む、請求項52に記載の方法。
  54. 単離され、精製され、または濃縮された、配列番号2由来のポリペプチドに対して特異的な抗体。
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