JP2002519055A - Ftsz多量体蛋白およびその使用 - Google Patents

Ftsz多量体蛋白およびその使用

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JP2002519055A JP2000558191A JP2000558191A JP2002519055A JP 2002519055 A JP2002519055 A JP 2002519055A JP 2000558191 A JP2000558191 A JP 2000558191A JP 2000558191 A JP2000558191 A JP 2000558191A JP 2002519055 A JP2002519055 A JP 2002519055A
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、多量体FtsZポリペプチドおよび多量体FtsZポリペプチドをコードするポリヌクレオチドならびに組換え技法によるかかるポリペプチドの産生方法を提供する。抗菌化合物についてスクリーニングするための多量体FtsZポリペプチドの使用方法も提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (関連出願) この出願は、1998年7月2日に出願した米国仮特許出願番号60/091,680の利益を
主張する。
【0002】 (発明の分野) 本発明は、新しく定義されたFtsZポリペプチドの高次構造物、例えば、二
量体、三量体、四量体および大きな凝集体、ならびに、それらの製造および使用
、およびそれらの変種、それらのアゴニストおよびアンタゴニスト、およびそれ
らの使用に関する。詳しくは、本発明は、FtsZサブユニットを含む多量体ポ
リペプチドおよび抗菌化合物についてのスクリーニングにおけるそれらの使用に
関する。
【0003】 (発明の背景) 原核細胞周期において、FtsZ(フィラメンテーション(filamentation)
温度感受性)蛋白は、セプテーション(septation)工程の初期に機能する。F
tsZは、動的環構造で重合し、分裂細胞の中間点に位置する。この高分子構造
は、他の重要な細胞分裂蛋白の足場として作用すると考えられる。FtsZは、
その構造的役割に加えて、GTPaseでもある。本明細書にて提供される出願
人の研究結果の前に、FtsZのGTPase活性と重合−解重合サイクルとの
間の正確な関係は、十分には理解されていない。
【0004】 FtsZは、細胞分裂に必須である。イー・コリ(E. coli)における変異は
、分裂隔壁およびフィラメントを形成しない(Lutkenhaus, J. and A. Mukherje
e. Cell Division in Escherichia coli and Salmonella, Cellular and Molecu
lar Biology, F.C. Neidhardt ed. Washington D.C., ASM Press, 1996, pp.161
5-1626)。 明らかに、抗生物活性について化合物をスクリーニングするのに有用であると
いう本利点を有する本発明の化合物などの因子が必要とされている。かかる因子
は、また、感染、機能不全および疾患の病因におけるそれらの役割を決定するの
にも有用である。さらに、かかる感染、機能不全および疾患の予防、改善または
矯正において役割を果たすことができるかかる因子ならびにそれらのアンタゴニ
ストおよびアゴニストの同定および特徴付けが必要とされている。
【0005】 (発明の概要) 本発明は、FtsZ多量体およびFtsZの高次形態(特に、とりわけ、スト
レプトコッカス・ニューモニエ(Streptococcu pneumoniae)およびスタフィロ
コッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)由来のFtsZ)に関する。
m41zの態様において、本発明は、とりわけ、微生物性疾患の治療を包含する
かかるポリペプチドの使用方法に関する。さらなる態様において、本発明は、本
発明により提供される物質を用いるアゴニストおよびアンタゴニストの同定方法
、ならびに同定された化合物を用いる微生物感染およびかかる感染に伴う症状の
治療方法に関する。さらなる態様において、本発明は、微生物感染に伴う疾患お
よびかかる感染に伴う症状を検出するための診断アッセイ、例えば、多量体Ft
sZポリペプチドの存在または活性の検出用アッセイに関する。
【0006】 (発明の詳細な記載) 出願人は、分析用超遠心分離および酵素アッセイの両方を用いて、FtsZに
量体、三量体および/または四量体がGTP加水分解活性の発現に必要であるこ
とを示すことにより、FtsZ GTPase活性とオリゴマー状態のFtsZ
蛋白との重要な関係を示した。この知見に関して、本明細書に記載した他のアッ
セイのうち、リン酸放出アッセイ、例えば、マラカイトグリーンまたはMEG結
合酵素アッセイを用いてFtsZ自己認識を妨げる化合物、特に、GTP加水分
解を防止するこれらの化合物が同定されるであろう。FtsZは、すべての既知
の細菌種に存在する必須細菌細胞分裂蛋白であることが知られているので、かか
る化合物は、出願人により広域スペクトル抗菌剤であると考えられる。
【0007】 本発明は、以下により詳細に記載する多量体FtsZポリペプチドに関する。
詳しくは、本発明は、多量体FtsZの、特に、ストレプトコッカス・ニューモ
ニエのFtsZのポリペプチドに関しており、その各単量体サブユニットは、ラ
クトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)FtsZ U74322ポリ
ペプチドに対するアミノ酸配列相同性により関係付けられる。本発明は、特に、
各ユニットが表1または表2において配列番号2または4として記載されている
アミノ酸配列を含む多量体FtsZに関する。
【0008】
【表1】
【0009】
【表2】
【0010】 寄託材料 ストレプトコッカス・ニューモニエ0100993株を含む寄託株を、199
6年4月11日に、スコットランド国エービー2・1アールワイ、アバディーン
、セント・マチャー・ドライブ23番のナショナル・コレクションズ・オブ・イ
ンダストリアル・アンド・マリーン・バクテリア・リミテッド(本明細書にて「
NCIMB」という)に寄託し、受託番号40794が付与された。その寄託株
は、寄託の際にストレプトコッカス・ニューモニエ0100993と命名された
。1996年4月17日に同様にイー・コリにおけるストレプトコッカス・ニュ
ーモニエ0100993DNAライブラリーがNCIMBに寄託され、受託番号
40800が付与された。該ストレプトコッカス・ニューモニ寄託株を、本明細
書では「寄託株」または「寄託株のDNA」と称する。
【0011】 寄託株は、全長のFtsZ遺伝子を含んでいる。寄託株に含まれるポリヌクレ
オチドの配列、およびそれによりコードされるいずれものポリペプチドのアミノ
酸配列は、万一本明細書における配列の記載に矛盾する場合には支配的である。 寄託株の寄託は、特許手続上の微生物の寄託の国際的承認に関するブタペスト
条約の条件下で行われた。該株は、特許が発行されると、取り消しできずに何ら
の制限または条件もなく公衆に分譲される。寄託株は、当業者の便宜のためにの
み提供され、寄託が35U.S.C.112条の下に要求されるような実施可能要
件であることを承認するものではない。 寄託株およびそれに由来の化合物を製造、使用または販売するには、ライセン
スが必要であるが、そのようなライセンスがこれにより与えられるのではない。
【0012】 本発明の一の態様は、寄託株に含まれるストレプトコッカス・ニューモニエ0
100993株により発現可能な成熟ポリペプチドをコードする単離核酸分子を
提供する。さらに、本発明は、寄託株中のFtsZポリヌクレオチド配列(例え
ば、DNAおよびRNAなど)およびそれによりコードされるアミノ酸配列を提
供する。また、本発明は、寄託株から単離されたFtsZポリペプチド配列およ
びかかる配列をコードするポリヌクレオチドを含む多量体FtsZポリペプチド
を提供する。
【0013】 ポリペプチド 本発明の多量体FtsZポリペプチドは、実質的に、系統発生上、他のFts
Zファミリーの蛋白に関連している。 本発明の一の態様において、ポリペプチド、特に、ストレプトコッカス・ニュ
ーモニエ多量体FtsZポリペプチドのポリペプチド、ならびに生物学上、診断
上、予防上、臨床上または治療上有用なその変種、ならびにそれを含む組成物が
提供される。
【0014】 本発明のとりわけ好ましい実施態様は、サブユニットがFtsZ遺伝子の自然
発生対立遺伝子によりコードされる多量体FtsZポリペプチドの変種である。
【0015】 さらに、本発明は、 (a)各サブユニットが配列番号2または4の全長にわたって各々配列番号2
または4のアミノ酸配列に対して少なくとも75%の同一性、好ましくは、少な
くとも80%の同一性、より好ましくは、少なくとも90%の同一性、さらによ
り好ましくは、少なくとも95%の同一性、最も好ましくは、少なくとも97〜
99%の同一性を有するか、または全く同一であるアミノ酸配列である多量体F
tsZポリペプチドを含むかまたはそれからなる単離ポリペプチド; (b)各サブユニットが、配列番号2または4の全長にわたって各々配列番号
2または4に対して少なくとも75%の同一性、好ましくは、少なくとも80%
の同一性、より好ましくは、少なくとも90%の同一性、さらにより好ましくは
、少なくとも95%の同一性、さらに好ましくは、少なくとも97〜99%の同
一性を有するか、または全く同一であるポリヌクレオチド配列を含むかまたはそ
れからなる単離ポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチドである多量体
FtsZポリペプチド; (c)カクサブユニットが、配列番号2または4の全長にわたって各々配列番
号2または4のアミノ酸配列に対して少なくとも75%の同一性、好ましくは、
少なくとも80%の同一性、より好ましくは、少なくとも90%の同一性、さら
により好ましくは、少なくとも95%の同一性、さらに好ましくは、少なくとも
97〜99%の同一性を有するか、または全く同一であるポリペプチドをコード
しているポリヌクレオチド配列を含むかまたはそれからなる単離ポリヌクレオチ
ドによりコードされるポリペプチドである多量体FtsZポリペプチド を提供する。
【0016】 多量体FtsZポリペプチドは、サブユニットが、表1または表2[配列番号
2または4]のポリペプチド(とりわけ、成熟ポリペプチド)ならびにポリペプ
チドおよびフラグメント、詳細には、FtsZの生物活性を有するポリペプチド
であって多量体FtsZの生物活性を有する多量体FtsZを構成するポリペプ
チド、およびまた、表1または表2[配列番号2または4]のポリペプチドまた
はその重要部分に対して少なくとも75%の同一性、好ましくは、表1または表
2[配列番号2または4]のポリペプチドに対して少なくとも80%の同一性、
より好ましくは、表1または表2[配列番号2または4]のポリペプチドに対し
て少なくとも90%の同一性、さらにより好ましくは、表1または表2[配列番
号2または4]のポリペプチドに対して少なくとも95%の同一性を有するポリ
ペプチドである多量体を包含し、さらに、かかるポリペプチドの一部が、一般に
、少なくとも30個のアミノ酸、より好ましくは、少なくとも50個のアミノ酸
を含む部分であるかかるポリペプチドの部分を包含する。
【0017】 本発明は、また、各サブユニットが式: X−(R1)m−(R2)−(R3)n−Y [式中、アミノ末端のXは、水素、金属または修飾ポリペプチドについて本明細
書に記載したいずれもの他の部分であり、カルボキシル末端のYは、水素、金属
または修飾ポリペプチドについて本明細書に記載したいずれもの他の部分であり
、R1およびR3は、いずれかのアミノ酸残基または修飾アミノ酸残基であり、m
は、1〜1000の整数または0であり、nは、1〜1000の整数または0で
あり、R2は、本発明のアミノ酸配列、特に、表1および表2から選択されるア
ミノ酸配列またはその修飾形を意味する] で示されるポリペプチドを含むかまたはそれからなる多量体FtsZポリペプチ
ドを包含する。上記式において、R2は、その左側でそのアミノ末端アミノ酸残
基がR1に共有結合し、その右側でそのカルボキシル末端アミノ酸残基がR3に共
有結合するように方向付けられる。mおよび/またはnが1より大きい場合、R 1 またはR3のいずれかにより示される核酸残基の鎖は、ヘテロポリマーまたはホ
モポリマーのいずれであってもよく、好ましくは、ヘテロポリマーである。本発
明の他の好ましい実施態様は、mが1〜50、100または500の整数であり
、nが1〜50、100または500の整数である。
【0018】 本発明のポリペプチドがストレプトコッカス・ニューモニエ由来のものである
のが最も好ましいが、分類学上同じ属の他の生物から得られるものであっても好
ましい。また本発明のポリペプチドは、例えば、分類学上同じ科または目の生物
から得られるものであってもよい。
【0019】 フラグメントは、本発明のポリペプチドのアミノ酸配列の全部ではないが一部
と全く同じであるアミノ酸配列を有する変種ポリペプチドである。
【0020】 多量体FtsZを含む好ましいフラグメントは、例えば、表1または表2[配
列番号2または4]のアミノ酸配列の一部または該アミノ酸配列の変種の一部(
例えば、アミノ末端および/またはカルボキシル末端アミノ酸配列を含む連続し
た一連の残基)を有する末端切断ポリペプチドを包含する。また、宿主細胞(特
に、ストレプトコッカス・ニューモニエ)により産生されたかまたはその中で産
生された本発明のポリペプチドの分解型も好ましい。さらに、アルファヘリック
スおよびアルファヘリックス形成領域、ベータシートおよびベータシート形成領
域、ターンおよびターン形成領域、コイルおよびコイル形成領域、親水性領域、
疎水性領域、アルファ両親媒性領域、ベータ両親媒性領域、フレキシブル領域、
表面形成領域、基質結合領域、および高抗原性指数領域を含むフラグメントのよ
うな、構造的または機能的属性によって特徴付けられるフラグメントもまた好ま
しい。
【0021】 さらに好ましいフラグメントとしては、配列番号2または4のアミノ酸配列か
らの少なくとも15、20、30、40、50または100個の連続したアミノ
酸を有するアミノ酸配列を含む単離ポリペプチド、または配列番号2または4の
アミノ酸配列からトランケートまたは欠失された少なくとも15、20、30、
40、50または100個の連続したアミノ酸を有するアミノ酸配列を含む単離
ポリペプチドを包含する。
【0022】 また、活性が類似しているかもしくは活性が改良されたフラグメント、または
望ましくない活性が減少したフラグメントを包含する、多量体形で結合した後に
多量体FtsZの活性を媒介するフラグメントである生物学的に活性なフラグメ
ントも好ましい。また、動物において、特に、ヒトにおいて抗原性または免疫原
性であるこれらフラグメントもまた含まれる。ストレプトコッカス・ニューモニ
エの生存に必須の機能、または個体、特に、ヒトにおいて原因疾患を開始もしく
は維持する能力を与える酵素の受容体またはドメインを含むフラグメントが特に
好ましい。
【0023】 本発明のポリペプチドのフラグメントは、ペプチド合成法による対応する全長
ポリペプチドの製造に使用することができる;したがって、これらの変種は、本
発明の全長ポリペプチドの製造の中間体として使用できる。
【0024】 ベクター、宿主細胞、発現系 本発明は、また、本発明の1つまたは複数のポリヌクレオチドを含むベクター
、本発明のベクターを用いて遺伝子操作される宿主細胞、および組換え技法によ
る本発明のポリペプチドの製造にも関する。また、無細胞翻訳系を用い、本発明
のDNA構築物由来のRNAを用いてかかる蛋白を製造することができる。
【0025】 本発明の組み換えポリペプチドは、発現系を含む遺伝子操作された宿主細胞か
ら、当業者によく知られた方法により製造してもよい。したがって、さらなる態
様において、本発明は、本発明の1つまたは複数のポリヌクレオチドを含む発現
系、かかる発現系を用いて遺伝子操作された宿主細胞、および組換え技法による
本発明のポリペプチドの製造に関する。
【0026】 本発明のポリペプチドの組換え体産生のために、宿主細胞を遺伝子操作して、
発現系もしくはそれらの一部または本発明のポリヌクレオチドを取り込むことが
できる。ポリヌクレオチドの宿主細胞への導入は、Davis et al., BASIC METHOD
S IN MOLECULAR BIOLOGY(1986)および Sambrook et al., MOLECULAR CLONING:
A LABORATORY MANUAL,2nd Ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold
Spring Harbor, N.Y.(1989)などの多くの標準的な実験マニュアルに開示され
ている方法、例えば、リン酸カルシウムトランスフェクション、DEAE−デキ
ストラン媒介トランスフェクション、トランスベクション、マイクロインジェク
ション、陽イオン脂質媒介トランスフェクション、エレクトロポレーション、ト
ランスダクション、スクレープローディング(scrape loading)、バリスティッ
ク(ballistic)導入および感染により行うことができる。
【0027】 適当な宿主の代表例としては、細菌細胞、例えば、ストレプトコッカス、スタ
フィロコッカス、エンテロコッカス(enterococci)、イー・コリ、ストレプト
マイセス(Streptomyces)、シアノバクテリア(cyanpobacteria)、バシラス・
サチリス(Bacillus subtilis)およびストレプトコッカス・ニューモニエの細
胞;真菌細胞、例えば、酵母、クルベロミセス(Kluveromyces)、サッカロミセ
ス(Saccharomyces)、担子菌、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)
およびアスペルギルス(Aspergillus)の細胞;昆虫細胞、例えば、ドロソフィ
ラ(Drosophila)S2およびスポドプテラ(Spodoptera)Sf9の細胞;動物細
胞、例えば、CHO、COS、HeLa、C127、3T3、BHK、293、
CV−1およびボーウェス(Bowes)黒色腫細胞;ならびに植物細胞、例えば、
裸子植物または被子植物の細胞が挙げられる。
【0028】 本発明のポリペプチドを製造するために非常に多様な発現系を使用することが
できる。かかるベクターとしては、とりわけ、染色体由来、エピソーム由来およ
びウイルス由来の系、例えば、細菌プラスミド由来、バクテリオファージ由来、
トランスポゾン由来、酵母エピソーム由来、挿入エレメント由来、酵母染色体エ
レメント由来、バキュロウイルス、パポバウイルス(例えば、SV40)、ワク
シニアウイルス、アデノウイルス、鶏痘ウイルス、仮性狂犬病ウイルスおよびレ
トロウイルスなどのウイルス由来のベクター、ならびにそれらを組み合わせたも
のに由来するベクター、例えば、コスミドおよびファージミドなどのプラスミド
およびバクテリオファージ遺伝的エレメント由来のベクターが挙げられる。発現
系構築物は、発現を制御したり引き起こしたりする調節領域を有していてもよい
。この点に関して、一般に、宿主においてポリヌクレオチドを保持、増幅または
発現するのに適した、および/またはポリペプチドを発現するのに適した任意の
系またはベクターを発現に使用してもよい。種々のよく知られている慣用的な技
術のいずれか、例えば、Sambrook et al., MOLECULAR CLONING, A LABORATORY M
ANUAL(上掲)に開示されている技術などにより、適当なDNA配列を発現系に
挿入してもよい。
【0029】 真核細胞の組換え発現系において、翻訳蛋白を小胞体内腔、周辺腔または細胞
外環境に分泌させるために、適当な分泌シグナルを発現されたポリペプチドに組
込むことができる。これらのシグナルは、ポリペプチドに固有のシグナルであっ
てもよく、または異種シグナルであってもよい。
【0030】 本発明のポリペプチドは、硫酸アンモニウムまたはエタノール沈澱、酸抽出、
陰イオンまたは陽イオン交換クロマトグラフィー、ホスホセルロースクロマトグ
ラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフ
ィー、およびレクチンクロマトグラフィーを包含するよく知られている方法によ
り組換え細胞培養物から回収および精製できる。最も好ましくは、高速液体クロ
マトグラフィーを精製に用いる。ポリペプチドが単離および/または精製の間に
変性した場合、蛋白再生のためのよく知られている方法を用いて活性なコンホー
メーションを再生することができる。
【0031】 診断、予後、血清型分類および変異アッセイ 本発明は、また、診断試薬として用いるための本発明の多量体FtsZポリペ
プチドの使用にも関する。真核生物、とりわけ、哺乳動物、特に、ヒトにおける
多量体FtsZポリペプチドの検出は、疾患の診断、疾患の段階の決定、または
薬剤に対する感染生物の応答に関する診断方法を提供するであろう。真核生物、
とりわけ、哺乳動物、特に、ヒト、特に、多量体FtsZ蛋白を含む生物に感染
したかまたは感染していると思われるこれらは、種々のよく知られている方法、
例えば、非変性蛋白ゲル法、および本明細書記載の方法により検出できる。
【0032】 予後、診断または他の分析用のポリペプチドは、感染していると思われる個体
および/または感染した個体の身体材料から得られる。
【0033】 もう1つの実施態様において、多量体FtsZに対する抗体の一群を構築して
、例えば、遺伝的変異、血清型、分類学的分類または同定の効果的なスクリーニ
ングを行うことができる。
【0034】 かくして、もう1つの態様において、本発明は、(a)本発明の多量体FtsZ
ポリペプチド、好ましくは、配列番号2または4の少なくとも1つのポリペプチ
ドまたはそのフラグメントを含む多量体FtsZポリペプチド;または(b)本
発明の多量体FtsZポリペプチドに対する、好ましくは、配列番号2または4
の少なくとも1つのポリペプチドを含む多量体FtsZポリペプチドに対する抗
体を含む診断キットに関する。
【0035】 かかるキットにおいて、(a)または(b)が実質的な成分を含んでいてもよ
いことが理解されよう。かかるキットは、とりわけ、疾患または疾患に対する感
受性を診断するのに有用である。
【0036】 また、本発明の多量体FtsZポリペプチド中に変異または多型性(対立遺伝
子変異)を担持する生物由来の細胞を種々の技法によりポリペプチドレベルで検
出できる。例えば、正常対照組織試料と比較して多量体FtsZポリペプチドの
過剰発現を検出するための本発明の診断アッセイを用いて、とりわけ、感染の存
在を検出することができる。宿主由来の試料、例えば、身体材料中の多量体Ft
sZポリペプチドのレベルを決定するために用いることができるアッセイ技法は
、当業者によく知られている。かかるアッセイ法としては、ラジオイムノアッセ
イ、競合結合アッセイ、ウェスタンブロット分析、抗体サンドイッチアッセイ、
抗体検出およびELISAアッセイが挙げられる。
【0037】 アンタゴニストおよびアゴニスト−アッセイおよび分子 また、本発明の多量体FtsZポリペプチドを用いて、例えば、細胞、無細胞
調製物、化学ライブラリー、および天然産物混合物中の小型分子基質およびリガ
ンドの結合を評価することもできる。これらの基質およびリガンドは、天然の基
質およびリガンドであってもよく、または、構造上もしくは機能上の模倣物であ
ってもよい。例えば、Coligan et al., Current Protocols in Immunology 1(2)
: Chapter 5 (1991) を参照のこと。
【0038】 本発明の多量体FtsZポリペプチドは、細菌細胞分裂および細菌細胞生存な
どの多くの生物学的機能を引き起こすかまたは該機能に関係している。かかる多
量体FtsZポリペプチドが重要な細菌の生物学的機能機能を担持するというこ
とを考慮して、それらは、多くの病態、特に、上記した疾患の維持に起因してい
る。したがって、多量体FtsZポリペプチドの機能を刺激または阻害して、細
菌増殖を遅延または停止するかまたは細菌を殺す化合物を同定するためのスクリ
ーニング法を工夫することが望ましい。したがって、さらなる態様において、本
発明は、本発明の多量体FtsZポリペプチドならびに関連ポリペプチドの機能
を刺激または阻害する化合物を同定するための、化合物のスクリーニング方法を
提供する。一般に、アゴニストまたはアンタゴニストは、上記した疾患の治療お
よび予防のために用いられる。化合物は、種々の供給源、例えば、細胞、無細胞
調製物、化学ライブラリーおよび天然産物混合物から同定できる。そのようにし
て同定されたかかるアゴニスト、アンタゴニストまたは阻害剤は、場合によって
は、FtsZポリペプチドの、天然または修飾基質、リガンド、受容体、酵素な
どであってもよく、またはそれらの構造上もしくは機能上の模倣物であってもよ
い(Coligan et al., Current Protocols in Immunology 1(2): Chapter 5 (199
1) を参照のこと)。
【0039】 スクリーニング法は、単に、候補化合物の多量体FtsZポリペプチドもしく
はポリヌクレオチドへの結合、または候補化合物のかかるポリペプチド、または
該ポリペプチド含む融合蛋白への結合を、直接または間接的に該候補化合物に会
合した標識により測定するものであってもよい。別法として、スクリーニング法
は、標識競争物質との競争を要するものであってもよい。さらに、これらのスク
リーニング法は、多量体FtsZポリペプチドを含む細胞に適した検出系を用い
て、候補化合物が該多量体FtsZポリペプチドの活性化または阻害により発生
するシグナルを生じさせるかどうかを試験するものであってもよい。一般に、活
性化の阻害剤を既知のアゴニスト存在下でアッセイし、次いで、候補化合物の存
在による、アゴニストによる活性化に対する作用を観察する。候補化合物が多量
体FtsZポリペプチドの活性化の阻害を引き起こすか否かを試験することによ
り、構成的に活性のある多量体FtsZポリペプチドおよび/または構成的に発
現されるポリペプチドをアゴニストまたは阻害剤の不在下で逆アゴニストまたは
逆阻害剤についてのスクリーニング法にて用いてもよい。さらに、スクリーニン
グ法は、単に、候補化合物を本発明の多量体FtsZポリペプチドを含有する溶
液と混合して混合物を調製し、該混合物にて多量体FtsZポリペプチド活性を
測定し、次いで、該混合物の多量体FtsZポリペプチド活性を標準と比較する
工程を含んでもよい。上記したようにFc部分および多量体FtsZポリペプチ
ドから調製されるような融合蛋白を高処理量スクリーニングアッセイ用に用いて
、本発明のポリペプチドならびに系統発生学的および/または機能的に関連した
ポリペプチドのアンタゴニストを同定することもできる(D. Bennett et al., J
. Mol. Recognition, 8:52-58 (1955);および K. Johanson et al., J. Biol.
Chem., 270(16):9549-9471 (1955) を参照のこと)。本明細書で用いる場合、「
活性」とは、例えば、とりわけ、酵素活性(例えば、GTPase活性)、リガ
ンドの結合、基質(例えば、GTP)またはサブユニット(例えば、FtsZポ
リペプチド)、多量体の形成、多量体の解離、細胞分裂、細胞増殖輪形成および
細胞壁陥入を包含する、FtsZポリペプチドまたは多量体FtsZポリペプチ
ドの機能的属性を意味する。
【0040】 また、本発明の多量体FtsZポリペプチドと結合および/または相互作用す
るかかるポリペプチドおよび抗体を用いて、細胞における多量体FtsZポリペ
プチドの産生に対する添加化合物の影響を検出するためのスクリーニング方法を
設計してもよい。例えば、当該技術分野において知られている標準的な方法によ
りモノクローナル抗体およびポリクローナル抗体を用いてポリペプチドの分泌レ
ベルまたは細胞会合レベルを測定するためのELISAアッセイを構築してもよ
い。これを用いて、適当に操作された細胞または組織からのポリペプチドの産生
を阻害または増強しうる薬剤(それぞれ、アンタゴニストまたはアゴニストとい
う)を見いだすことができる。
【0041】 本発明は、また、多量体FtsZポリペプチドの作用を増強する化合物(アゴ
ニスト)または遮断する化合物(アンタゴニスト)、特に、静菌性および/また
は殺菌性のあるこれらの化合物を同定するための、化合物のスクリーニング方法
を提供する。スクリーニング方法は、高処理量技術を要してもよい。例えば、ア
ゴニストまたはアンタゴニストをスクリーニングするために、多量体FtsZポ
リペプチドおよびかかるポリペプチドの標識基質またはリガンドを含む、合成反
応混合物、膜、細胞エンベロープもしくは細胞壁などの細胞コンパートメント、
またはそれらのいずれかの調製物を多量体FtsZアゴニストまたはアンタゴニ
ストであるかもしれない候補分子の不在下または存在下でインキュベートする。
候補分子の多量体FtsZポリペプチドをアゴナイズするかまたはアンタゴナイ
ズする能力は、標識リガンドの結合の減少またはかかる基質からの産生物の産生
の減少に反映される。結合しても影響を及ぼさない分子、すなわち、多量体Ft
sZポリペプチドの効果を誘起しない分子は、おそらく良好なアンタゴニストで
ある。よく結合し、場合によっては、基質からの産生物の産生速度を高めるか、
シグナルトランスダクションを増加させるか、または化学チャンネル活性を増大
させる分子は、アゴニストである。場合によっては、基質からの産生物の産生速
度もしくは産生レベル、シグナルトランスダクション、または化学チャンネル活
性の検出は、リポーター系を用いることにより増強できる。この点に関して有用
なリポーター系としては、生成物に転換される比色標識基質、多量体FtsZポ
リペプチド活性の変化に応答するリポーター遺伝子、および当該技術分野におい
て知られている結合アッセイを包含するが、これらに限定されるものではない。
【0042】 本発明の多量体FtsZポリペプチドを用いて、当該分野において知られてい
る標準的な受容体結合法により、かかるポリペプチドに対する膜結合性または可
溶性受容体を同定してもよい。これらの方法としては、ポリペプチドを放射性同
位体(例えば、125I)で標識するか、化学的に修飾(例えば、ビオチニル化)
するか、または検出もしくは精製に適したペプチド配列と融合させて、推定の受
容体の供給源(例えば、細胞、細胞膜、細胞上清、組織抽出物、身体材料)と共
にインキュベートするリガンド結合および架橋結合アッセイが挙げられるが、こ
れらに限定されるものではない。他の方法としては、表面プラスモン共鳴および
分光分析法などの生物物理的技法が挙げられる。これらのスクリーニング方法を
用いて、ポリペプチドのその受容体への結合と競争するポリペプチドのアゴニス
トおよびアンタゴニストを同定してもよい。かかるアッセイを行うための標準的
方法は、当該技術分野においてよく知られている。
【0043】 多量体FtsZポリペプチドを用いる抗菌化合物についてスクリーニングする
好ましいアッセイは、多量体FtsZに試験化合物を添加し、試験化合物の添加
後にわたって多量体FtsZの量を測定することにより、FtsZ:FtsZ相
互作用をアンタゴナイズする化合物を決定することである。FtsZ:FtsZ
相互作用をアンタゴナイズする化合物は、FtsZ GTPase活性の作動を
遮断すると考えられる。さらにまた、FtsZ:FtsZ相互作用に影響を及ぼ
すかまたは該相互作用を阻害する化合物は、GTP加水分解の速度に影響を及ぼ
すと考えられる。
【0044】 GTPase活性を得るためおよび/または多量体FtsZ FtsZ単量体
または低いオーダーの形態の形成の好ましいアッセイ条件は、50mM Hep
es、50mM KCl、5mM MgCl、pH7.4である。
【0045】 多くのアッセイを用いて、FtsZ自己会合を遮断する化合物および/または
FtsZ自己会合を促進する化合物を特徴付けることができる。FtsZ単量体
間の相互作用は、分析用超遠心分離、蛍光偏光(fluorecence polarization)、
蛍光エネルギー転移、表面プラスモン共鳴、シンチレーション・プロキシミティ
・アッセイなどの物理的技法、および、他のよく知られている検出技法のうち、
イオンチャネルスイッチ(ICS)バイオセンサーの使用を用いてモニターする
ことができる。
【0046】 分析用超遠心分離は、溶液中の分子量を測定するための実践的かつ粗野な方法
である。FtsZが、FtsZ活性部位リガンドまたはFtsZと結合または相
互作用する化合物の不在下で単量体−二量体−四量体またはアッセンブリープロ
セスを受けることを示すために用いることができる。理論的なモデルに限定され
ることを望まないが、本出願人は、両方のアッセンブリープロセスの中間点が約
10マイクロモルのFtsZであると考えており、そこで、該技法は、理想的に
は、小型分子阻害剤の添加の結果として生じる会合の変化を定量的にモニターす
るのに適している。干渉光学の使用は、好ましく、これらの実験を阻害剤の吸光
特性または蛍光特性と関係なく行うことが可能である。
【0047】 蛍光標識分子についての蛍光偏光値は、回転相関時間またはタンブル速度に依
存する。蛍光標識分子を含むように標識された、多量体FtsZのような大きな
蛋白複合体は、蛍光標識単量体蛋白よりも高い偏光値を有するであろう。この方
法は、FtsZオリゴマーを分解する小型分子を特徴付けるために用いられるの
が好ましい。
【0048】 蛍光エネルギー転移は、FtsZ二量体、三量体、四量体または高次構造の形
成を妨害する小型分子を特徴付けるために用いられる。FtsZは、ドナー・フ
ルオロフォアおよびアクセプター・フルオロフォアの両方で標識することができ
る。2種類の標識をした種を混合し、ドナー・フルオロフォアを励起した後、ア
クセプターの蛍光を観察することにより蛍光エネルギー転移を検出することがで
きる。二量化を遮断する化合物は、蛍光エネルギー転移を阻害するであろう。
【0049】 表面プラスモン共鳴は、自己会合によるFtsZ形態に対する小型分子の影響
をモニターするために用いることができる。FtsZを、共有結合分子が単量体
であるように低い部位密度でセンサーチップとカップリングさせることができる
。次いで、溶液蛋白をFtsZ被覆表面に通し、局部屈折率の変化により生じる
共鳴角の変化をモニターリングすることにより、同時に特異的部位を検出するこ
とができる。この技法は、自己会合によるFtsZ形態の速度および平衡結合定
数に対する小型分子の影響を特徴付けるために用いることができる。
【0050】 シンチレーション・プロキシミティー・アッセイは、FtsZ単量体間の相互
作用を特徴付けるために用いることができる。FtsZは、シンチレーション充
填ビーズとカップリングすることができる。放射性標識FsZの添加により、放
射能供給源分子がシンチレーション液に密接に近い場合に結合を生じる。かくし
て、FtZ結合後にシグナルが発せられ、FsZ自己会合を防止する化合物は、
シグナルを減ずる。
【0051】 ICSバイオセンサーは、AMBRI(オーストラリアン・メンブレイン・バ
イオテクノロジー・リサーチ・インスティチュート(Australian Membrane Biot
echnology Research Institute))により開示されている。それらは、巨大分子
の自己会合を、懸濁した膜二層においてグラマシジンにより促進されるイオンチ
ャネルのクロージングに結び付け、したがって、バイオセンサーのアドミタンス
(インピーダンスと同様)の測定可能な変化に結び付ける。この研究法は、60
のアドミタンス変化に関して一次的であり、理想的には、大規模な小型分子組合
せライブラリーの高処理量スクリーニングに適している。
【0052】 本発明の他の実施態様において、本発明の多量体FtsZポリペプチドと結合
するかまたは他の相互作用をして、その活性または発現を阻害または活性化する
化合物を同定する方法であって、化合物および該ポリペプチドの間の結合または
他の相互作用を可能にする条件下で本発明のポリペプチドをスクリーンすべき化
合物と接触させて、化合物との結合または他の相互作用(ここで、かかる結合ま
たは相互作用は、好ましくは、ポリペプチドと化合物との結合または相互作用に
応答して検出可能なシグナルを提供する能力を有する第2の成分と関連している
)を評価し、次いで、該ポリペプチドと化合物との結合または相互作用により生
じるシグナルの存在または不在を検出することにより化合物がポリペプチドおよ
び/またはポリヌクレオチドと結合するかまたは他の相互作用して、その活性ま
たは発現を活性化または阻害するか否かを決定することからなる方法を提供する
【0053】 好ましいアッセイの実施態様は、生物を試験化合物と接触させ、本発明の抗体
を用いてFtsZが隔壁輪(septal ring)を形成するかを検出する工程を含む
。かかる輪の解離に関連する化合物は、抗菌化合物として好ましい。
【0054】 多量体FtsZアゴニストのアッセイのもう1つの例は、競争阻害アッセイに
適した条件下で、多量体FtsZおよび潜在的アゴニストを、多量体FtsZ結
合分子、組換え多量体FtsZ結合分子、天然基質もしくはリガンド、または基
質もしくはリガンド模倣物と混合する競合アッセイである。例えば、放射活性ま
たは比色用化合物により、多量体FtsZ分子を標識し、結合分子に結合したか
または生成物に転換された多量体FtsZ分子の数を正確に測定して、潜在的ア
ンタゴニストの効果を評価できる。
【0055】 レイリー(Rayleigh)光散乱は、水溶液中での巨大分子の分子量の確実な測定
方法である。外部化合物の添加により生じる光散乱の変化は、重量平均分子量の
変化を、従って、アッセンブリ状態、すなわち、一量体、二量体、四量体および
高次アッセンブリの相対的な量の変化をもたらす。この技法は、重量平均分子量
を減少させ、一量体に対する分子分布をシフトし、従って、FtsZの阻害剤と
して作用する化合物を同定するのに用いることができる。
【0056】 潜在的なアンタゴニストとしては、とりわけ、本発明のポリペプチドと結合し
、それによりその活性または発現を阻害または消滅させる小型有機分子、ペプチ
ド、ポリペプチドおよび抗体が挙げられる。潜在的アンタゴニストは、また、結
合分子の同一部位に結合するが、多量体FtsZにより誘導される活性を誘導せ
ず、それにより多量体FtsZポリペプチドを結合から排除することにより多量
体FtsZポリペプチドの作用または発現を妨げる、密接に関連した蛋白または
抗体のような小型有機分子、ペプチド、ポリペプチドであってもよい。
【0057】 潜在的アンタゴニストとしては、ポリペプチドの結合部位と結合してその部位
を占領し、それにより細胞性結合分子との結合を妨害して、正常な生物学的活性
を妨害する小型分子が挙げられる。小型分子の例としては、小型有機分子、ペプ
チドまたはペプチド様分子が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
他の潜在的アンタゴニストとしては、アンチセンス分子が挙げられる(これらの
分子についての記載に関しては、Okano, J. Neurochem. 56: 560 (1991);OLIGO
DEOXYNUCLEOTIDES AS ANTISENSE INHIBTORS OF GENE EXPRESSION, CRC Press, B
oca Raton, FL (1988) を参照のこと)。好ましい潜在的アンタゴニストとして
は、多量体FtsZに関連する化合物および多量体FtsZの変種が挙げられる
。他の潜在的アンタゴニストの例としては、抗体、または、ある場合には、該ポ
リペプチドのリガンド、基質、受容体、酵素などと密接に関連したオリゴヌクレ
オチドまたは蛋白、例えば、該リガンド、基質、受容体、酵素などのフラグメン
ト;または本発明のポリペプチドに結合するが応答を誘起せず、その結果、ポリ
ペプチドの活性を妨げることとなる小型分子が挙げられる。
【0058】 本発明の特定のポリペプチドは、天然の多量体FtsZポリペプチドの生物学
的模倣物、機能的模倣物である。これらの機能的模倣物は、とりわけ、多量体F
tsZポリペプチドの活性をアンタゴナイズするのに、または、本明細書の他の
箇所に記載した意味で抗原または免疫原として用いることができる。本発明のポ
リペプチドの機能的模倣物としては、末端切断ポリペプチドが挙げられるが、こ
れらに限定されるものではない。例えば、好ましい機能的模倣物としては、各サ
ブユニットが20、30、40、50、60、70または80アミノ末端または
カルボキシ末端アミノ酸残基を欠いている配列番号2または4に記載したポリペ
プチド配列セットを含むポリペプチドを含む多量体FtsZが挙げられ、1つま
たはそれ以上のこれらの末端切断配列を含む融合蛋白を包含する。これらの機能
的模倣物の各々をコードするポリヌクレオチドは、発現カセットとして用いて各
模倣ポリペプチドを発現することができる。これらのカセットは、便宜的な手段
を所望により該カセットと一緒にライゲートさせることを可能にするために5'
および3'制限部位を含むのが好ましい。さらに、これらのカセットは、当該技
術分野において知られているかまたは本明細書の他の箇所に記載される遺伝子発
現シグナルを含むことが好ましい。
【0059】 かくして、もう1つの態様において、本発明は、本発明のポリペプチドおよび
/またはポリヌクレオチドに関するアゴニスト、アンタゴニスト、リガンド、受
容体、基質、酵素など;またはかかるポリペプチドおよび/またはポリヌクレオ
チドの産生を減少または増強する化合物を同定するためのスクリーニングキット
であって、 (a)本発明の多量体FtsZポリペプチド; (b)本発明の多量体FtsZポリペプチドを発現する組換え細胞; (c)本発明の多量体FtsZポリペプチドを発現する細胞膜;または (d)本発明の多量体FtsZポリペプチドに対する抗体 を含むものであり、該ポリペプチドが好ましくは配列番号2または4のものであ
るスクリーニングキットである。
【0060】 かかるキットにおいて、(a)、(b)、(c)または(d)は、実質的な成
分を含有していてもよいことが理解されよう。
【0061】 本発明のポリペプチドは、 (a)最初にポリペプチド、またはそれらの複合体の3次元構造を決定し、 (b)アゴニスト、アンタゴニストまたは阻害剤の有望な反応部位、結合部位
またはモチーフの3次元構造を推定し、 (c)推定された結合部位、反応部位および/またはモチーフと結合または反
応すると予想される候補化合物を合成し、次いで (d)候補化合物が実際にアゴニスト、アンタゴニストまたは阻害剤であるか
否かを試験すること による多量体FtsZポリペプチドのアゴニスト、アンタゴニストまたは阻害剤
の構造に基づく設計方法に用いてもよいことが、当業者に容易に理解されよう。
さらに、これは、通常、反復プロセスであり、この反復プロセスは、自動および
コンピューター制御工程を用いて行われてもよいことが理解されよう。
【0062】 さらなる態様において、本発明は、例えば、多量体FtsZポリペプチドの過
剰な量、過少発現、活性の上昇、または活性の低下に関連した疾患のごとき異常
な状態の治療方法を提供する。
【0063】 ポリペプチドの発現および/または活性が過剰な場合、いくつかの方法を用い
ることができる。一の方法は、例えば、リガンド、基質、受容体、酵素などの結
合を遮断することにより、または2次的シグナルを阻害することにより、ポリペ
プチドの機能および/または発現を阻害するに有効な量の上記阻害化合物(アン
タゴニスト)を、所望により医薬上許容される担体とともに、必要とする個体に
投与し、それにより異常な症状を改善することを含む。もう1つの方法において
は、内在性ポリペプチドと競争してもなお、リガンド、基質、酵素、受容体など
に結合する能力を有する可溶性形態のポリペプチドを投与してもよい。かかる競
争物質の典型例としては、多量体FtsZポリペプチドのフラグメントが挙げら
れる。
【0064】 さらなる態様において、本発明は、本発明のポリペプチドまたはそのフラグメ
ント、および種々のサブクラスの免疫グロブリン(IgG、IgM、IgA、I
gE)の重鎖もしくは軽鎖の定常部の種々の部分を含む、遺伝子工学処理された
可溶性融合蛋白に関する。ヒトIgG(特に、IgG1)の重鎖の不変部分が免
疫グロブリンとして好ましく、この場合、融合はヒンジ部で起こる。特定の実施
態様において、Fc部分は、血液凝固因子Xaを用いて切断することができる切
断配列を取込むことにより簡単に除去することができる。さらにまた、本発明は
、遺伝子工学処理することによりこれらの融合蛋白を調製する方法、ならびに薬
剤スクリーニング、診断および治療におけるそれらの使用に関する。本発明のさ
らなる態様は、また、かかる融合蛋白をコードしているポリヌクレオチドに関す
る。融合蛋白技法の例は、国際特許出願公開WO94/29458およびWO94/22914におい
て見いだすことができる。
【0065】 さらにもう1つのアプローチにおいて、発現ブロッキング法を用いて内生の多
量体FtsZポリペプチドをコードしている遺伝子の発現を阻害することができ
る。このブロッキングは、遺伝子発現におけるいずれの工程を標的としてもよい
が、好ましくは、転写および/または翻訳を標的とする。この種の既知方法の例
は、内在的に生じるかまたは別個に投与されるアンチセンス配列の使用を伴う(
例えば、O'Connor, J. Neurochem (1991) 56:560 in Oligodeoxynucleotides as
Antisense Inhibitors of Gene Expression, CRC Press, Boca Raton, FL (198
8) を参照のこと)。別法として、該遺伝子とともに三重らせんを形成するオリ
ゴヌクレオチドを供給することができる(例えば、Lee et al., Nucleic Acids
Res (1979) 6:3073;Cooney et al., Science (1988) 241:456;Dervan et al.,
Science (1991) 251:1360 を参照のこと)。これらのオリゴマーは、単独で投
与することができるか、またはリリーバントなオリゴマーをインビボで発現させ
ることができる。
【0066】 本発明のさらに別の態様によれば、多量体FtsZポリペプチドのアゴニスト
およびアンタゴニスト、好ましくは、静菌性または殺菌性アゴニストおよびアン
タゴニストが提供される。 本発明のアンタゴニストおよびアゴニストを用いて、例えば、疾患を、予防、
阻害、および/または治療することができる。
【0067】 ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)(本明細書中、「エッチ・
ピロリ」ともいう)菌は、世界中の胃癌、潰瘍、胃炎を発病している人口の3分
の1以上の胃に感染している(国際癌研究機関(International Agency for Res
earch on Cancer)(1994)Schistosomes,Liver Flukes and Helicobacter Pyl
ori(International Agency for Research on Cancer,Lyon,France;http://w
ww.uicc.ch/ecp/ecp2904.htm))。さらに、この国際癌研究機関は、最近、エッ
チ・ピロリと胃腺癌との間の因果関係を認識し、この細菌をI群(限定的)発癌
物質に分類した。本発明により提供されるスクリーニング法または当該技術分野
で知られているスクリーニング法を用いて見出される本発明の好ましい抗菌化合
物(多量体FtsZポリペプチドおよび/またはポリヌクレオチドのアゴニスト
およびアンタゴニスト)、特に、狭いスペクトルの抗生物質は、エッチ・ピロリ
感染の治療に有用である。かかる治療は、胃腸癌などのエッチ・ピロリ誘発性癌
の出現を減少させる。かかる治療は、また、胃潰瘍および胃炎を予防、阻害およ
び/または治療する。
【0068】 ワクチン 本発明により、多量体FtsZ発現を評価し、疾患を治療し、遺伝学的変異を
アッセイし、および多量体FtsZポリペプチドおよび/またはポリヌクレオチ
ドを生物に投与して細菌、特に、ストレプトコッカス・ニューモニエ細菌に対す
る免疫応答を生起させるための、生成物、組成物および方法が提供される。
【0069】 本発明の別の態様は、個体、特に、哺乳動物における免疫応答を誘発する方法
であって、抗体および/またはT細胞免疫応答を生成するのに適した多量体Ft
sZポリペプチド、またはそのフラグメントもしくは変種を個体に接種して、該
個体を感染、特に、細菌感染、最も好ましくは、ストレプトコッカス・ニューモ
ニエ感染から防御することを含む方法に関する。また、かかる免疫応答により細
菌複製を遅らせる方法も提供する。本発明のさらにもう一つ別の態様は、個体に
おける免疫応答を誘発する方法であって、インビボで多量体FtsZポリペプチ
ドまたはそのフラグメントもしくは変種を発現するために該多量体FtsZポリ
ペプチドまたはそのフラグメントもしくは変種の発現を指向する核酸ベクター、
配列またはリボザイムをかかる個体にデリバリーして、例えば、サイトカイン産
生性T細胞または細胞毒性T細胞を包含する抗体および/またはT細胞免疫応答
を生じさせるなどの免疫応答を誘発して、該個体にて疾患が既に確立されている
か否かにかかわらず、該個体、好ましくは、ヒトを疾患から保護することを含む
方法に関する。遺伝子投与の一例は、粒子または他のものの上のコーティングと
して所望の細胞への遺伝子投与を促進することによるものである。かかる核酸ベ
クターは、DNA、RNA、リボザイム、修飾核酸、DNA/RNAハイブリッ
ド、DNA−蛋白複合体またはRNA−蛋白複合体を含んでいてもよい。
【0070】 本発明のさらなる態様は、免疫応答を誘発しやすい個体、好ましくは、ヒトに
導入されると、かかる個体において多量体FtsZポリペプチドに対する免疫応
答を誘発する免疫学的組成物であって、組換え多量体FtsZポリペプチドを含
む組成物に関する。該免疫応答は、治療的または予防的に使用でき、抗体免疫お
よび/またはCTLもしくはCD4+ T細胞から生ずる細胞性免疫などの細胞
性免疫の形を取ってもよい。
【0071】 多量体FtsZポリペプチドまたはそのフラグメントを、単独で抗体を産生し
てもしなくてもよいが、第1の蛋白を安定化する能力ならびに抗原性および/ま
たは免疫原性および好ましくは保護特性を有するであろう融合蛋白または修飾蛋
白を産生する能力を有する補蛋白(co−Protein)または化学的部分と融合させ
ることができる。このような融合組換え蛋白は、好ましくは、さらに、ヘモフィ
ルス・インフルエンゼ(Hemophilus influenzae)由来のリポ蛋白D、グルタチ
オン−S−トランスフェラーゼ(GST)もしくはベータガラクトシダーゼのよ
うな抗原性補蛋白、または、該蛋白を可溶化してその産生および精製を容易にす
るいずれもの他の比較的大きい補蛋白を含む。さらにまた、補蛋白は、該蛋白を
投与する生物の免疫系の全身的な刺激を与えるという意味でアジュバントとして
作用してもよい。補蛋白は、第1の蛋白のアミノ末端またはカルボキシ末端のい
ずれに結合してもよい。
【0072】 本発明は、本発明のポリペプチドおよび Sato,Y. et al., Science,273: 35
2 (1996) に記載されるような免疫刺激DNA配列を含む組成物、特に、ワクチ
ン組成物、および方法を提供する。
【0073】 また、本発明は、動物のストレプトコッカス・ニューモニエ感染モデルにおけ
るかかる遺伝的免疫化実験において用いられるポリヌクレオチド構築物中で、細
菌細胞表面蛋白の非可変部をコードすることが明らかにされた上記ポリヌクレオ
チドまたはその特定のフラグメントを使用する方法を提供する。かかる実験は、
特に、予防的または治療的免疫応答を引き起こすことができる蛋白エピトープの
同定に有用である。この方法は、次に、哺乳動物、特に、ヒトにおける細菌感染
、特に、ストレプトコッカス・ニューモニエ感染の予防薬または治療的処置の開
発のために、成功裏に感染に抵抗したかまたは感染を一掃した動物の必須器官由
来の特に有用なモノクローナル抗体を産生させることができると考えられる。
【0074】 本発明のポリペプチドは、宿主のワクチン注射用抗原として用いて、損傷組織
への細菌付着を遮断することなどにより細菌の侵入を防御する特異的抗体を生じ
させることができる。組織損傷の例としては、例えば、機械的、化学的、熱的ま
たは放射線損傷によるか、または留置装置の移植により引き起こされる皮膚や結
合組織の傷、または口、咽喉、乳腺、子宮または膣などの粘膜における傷が挙げ
られる。
【0075】 本発明は、また、本発明の免疫原性組換えポリペプチドおよび/またはポリヌ
クレオチドを医薬上許容される担体のような適当な担体と一緒に含むワクチン製
剤も包含する。ポリペプチドおよびポリヌクレオチドは、胃で分解されるので、
それぞれ、例えば、皮下投与、筋肉内投与、静脈内投与または皮内投与を包含す
る非経口投与が好ましい。非経口投与に適した製剤としては、抗酸化剤、緩衝剤
、静菌剤、および該製剤を個体の体液、好ましくは、血液と等張にする溶質を含
有してもよい水性および非水性滅菌注射溶液;ならびに懸濁化剤または増粘剤を
含有してもよい水性および非水性滅菌懸濁剤が挙げられる。該製剤は、単位投与
または複数投与用容器、例えば、密封されたアンプルおよびバイアルにて提供さ
れてもよく、使用直前に滅菌液体担体を添加するだけの凍結乾燥状態で貯蔵して
もよい。ワクチン製剤は、また、水中油系のような製剤の免疫原性を高めるアジ
ュバント系および当該技術分野において知られている他の系を含んでもよい。投
与量は、ワクチンの比活性に依存するであろうし、慣用的実験によって容易に決
定できる。
【0076】 本発明は、ある種の多量体FtsZポリペプチドに言及して記載されているが
、本発明は、天然のポリペプチド、ならびに組換えポリペプチドまたはポリヌク
レオチドの免疫原性に実質的に影響を及ぼさない付加、欠失または置換を有する
類似のポリペプチドおよびポリヌクレオチドも包含することが理解されるであろ
う。
【0077】 組成物、キットおよび投与 本発明のさらなる態様において、細胞または多細胞生物への投与用の、多量体
FtsZポリペプチドを含む組成物が提供される。
【0078】 本発明は、また、本発明のポリヌクレオチドおよび/またはポリペプチドまた
はそれらのアゴニストもしくはアンタゴニストを含む組成物に関する。本発明の
ポリペプチドおよびポリヌクレオチドは、個体への投与に適した医薬担体のよう
な、細胞、組織または生物用の非滅菌または滅菌担体と組み合わせて用いること
ができる。かかる組成物は、例えば、メディア添加(media additive)量または
治療上有効量の本発明のポリペプチドおよび/またはポリヌクレオチドおよび医
薬上許容される担体または賦形剤を含む。かかる担体としては、生理食塩水、緩
衝生理食塩水、デキストロース、水、グリセロール、エタノールおよびそれらを
組み合わせたものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。該製剤は
、投与方法に適していなければならない。本発明は、さらには、本発明の上記組
成物の1種またはそれ以上の成分を充填した1個またはそれ以上の容器を含む診
断用および医薬用パックおよびキットに関する。
【0079】 本発明のポリペプチド、ポリヌクレオチドおよび他の化合物は、単独で、また
は、治療用化合物などの他の化合物と組み合わせて用いてもよい。 該医薬組成物は、例えば、とりわけ、局所経路、経口経路、肛門経路、膣経路
、静脈内経路、腹腔内経路、筋肉内経路、皮下経路、鼻腔内経路または経皮経路
による投与を含むいずれかの有効な便宜的な方法で投与できる。 治療において、または予防薬として、活性薬剤は、注射用組成物として、例え
ば、滅菌水性分散液として、好ましくは、等張性の注射用組成物として個体に投
与される。
【0080】 別法として、該組成物は、例えば、軟膏剤、クリーム剤、ローション剤、眼軟
膏剤、点眼剤、点耳剤、マウスウォッシュ剤、含浸包帯剤および縫合糸ならびに
エアゾール剤の形態で局所用に製剤化することができ、例えば、保存剤、薬剤浸
透補助溶媒、ならびに軟膏剤およびクリーム剤における皮膚軟化剤を包含する適
当な慣用の添加剤を含んでもよい。かかる局所用製剤は、また、適合する慣用の
担体、例えば、クリーム基剤または軟膏基剤、ローション用のエタノールまたは
オレイルアルコールを含んでもよい。かかる担体は、製剤の約1〜約98重量%
を構成してもよく、より一般的には、製剤の約80重量%までを構成する。
【0081】 さらなる態様において、本発明は、治療上有効量の、可溶性形態の本発明のポ
リペプチドおよび/またはポリヌクレオチドなどのポリペプチドおよび/または
ポリヌクレオチド、アゴニストもしくはアンタゴニストペプチドまたは小型分子
化合物を医薬上許容される担体または賦形剤と混合して含む組成物が提供される
。かかる担体としては、生理食塩水、緩衝生理食塩水、デキストロース、水、グ
リセロール、エタノール、およびそれらを組み合わせたものが挙げられるが、こ
れらに限定されるものではない。さらに、本発明は、本発明の上記組成物の1種
またはそれ以上の成分を充填した1個またはそれ以上の容器を含む医薬パックお
よびキットに関する。本発明のポリペプチド、ポリヌクレオチドおよび他の化合
物は、単独で、または治療用化合物のような他の化合物と組み合わせて使用して
もよい。
【0082】 組成物は、投与経路、例えば、全身経路または経口経路による投与経路に適合
させる。好ましい全身投与の剤形としては、注射、典型的には静脈注射による注
射が挙げられる。皮下、筋肉内または腹腔内などの他の注射経路を用いることも
できる。別の全身投与手段としては、胆汁酸塩またはフシジン酸などの浸透剤ま
たは他の洗浄剤を用いる経粘膜または経皮投与が挙げられる。さらに、本発明の
ポリペプチドまたは他の化合物を腸溶性製剤またはカプセル製剤に製剤化するこ
とができるならば、経口投与も可能である。これらの化合物の投与は、軟膏剤(
salve)、パスタ剤、ゲル剤などの剤形で、局所的であるか、および/または局
在化されてもよい。
【0083】 哺乳動物、特に、ヒトへの投与について、活性薬剤の日用量は、0.01mg
/kg〜10mg/kg、典型的には約1mg/kgであると考えられる。少な
くとも医者が、個体に最も適しており、個々の個体の年齢、体重および応答によ
り変化する実際の用量を決定する。上記の用量は、平均的なケースの例示である
。もちろん、高い用量範囲または低い用量範囲が相応な個体の場合もあり得、そ
れらも本発明の範囲内である。 留置装置としては、外科移植片、人工補綴装置およびカテーテル、すなわち、
個体の体に導入されてその位置に長期間留まる装置が挙げられる。かかる装置と
しては、例えば、人工関節、心臓弁、ペースメーカー、代用血管、血管カテーテ
ル、脳脊髄液シャント、尿道カテーテル、持続的外来腹膜透析(CAPD)カテ
ーテルが挙げられる。
【0084】 本発明の組成物は、留置装置の挿入の直前に注射により投与して関連細菌に対
する全身的効果を達成してもよい。処置は、術後、装置が体内にある間継続でき
る。さらに、該組成物を用いて、細菌性傷感染、特に、ストレプトコッカス・ニ
ューモニエ傷感染を予防するためのいずれの手術法に関する術前保護をも広げる
ことが使用できる。
【0085】 多くの整形外科医は、人工関節を有するヒトには菌血症を生じ得る歯科治療前
に抗生物質による予防を考慮するべきであると考えている。遅発性深部感染(la
te deep infection)は、人工関節を喪失することもある重篤な合併症であり、
著しい罹病率および死亡率を伴う。したがって、この状況における予防的抗生物
質の代替品として該活性薬剤の使用を拡張することができる。
【0086】 上記治療に加えて、本発明の組成物は、一般に、傷組織にて露出したマトリッ
クス蛋白への細菌付着を予防するための傷治療剤として、および抗生物質予防の
代替としてまたは抗生物質予防と併用して歯科治療における予防用途に使用でき
る。
【0087】 別法として、本発明の組成物は、留置装置を挿入直前に浸すのに使用できる。
該活性薬剤は、好ましくは、傷または留置装置を浸すためには1μg/ml〜1
0mg/mlの濃度で存在する。
【0088】 ワクチン組成物は、便宜的には、注射剤の剤形である。慣用のアジュバントを
用いて免疫応答を高めてもよい。ワクチン注射に適した単位投与量は、抗原0.
5〜5μg/kgであり、かかる用量を、好ましくは、1〜3週間の間隔で1〜
3回投与する。指示された用量範囲では、本発明の化合物についてその化合物の
適当な個体への投与を妨げる毒物学的な副作用は全く観察されない。
【0089】 本明細書において引用した、全ての刊行物および参照文献(特許および特許出
願を包含するが、これらに限定されるものではない)は、個々の刊行物または参
照文献が完全に記載されているものとして出典明示により本明細書の一部とする
ことが詳細かつ個々に示されているかのように出典明示により全体として本明細
書の一部とする。本願が優先権を主張するいずれの特許出願もまた出典明示によ
り全体として本明細書の一部とする。
【0090】 用語 本明細書中で頻繁に使用される特定の用語を理解し易くするために以下に定義
する。
【0091】 「活性」とは、例えば、酵素活性(例えば、GTPase活性)、リガンドの
結合、基質(例えば、GTP)またはサブユニット(例えば、FtsZポリペプ
チド)、多量体の形成、多量体の解離、細胞分裂、細胞増殖輪形成および細胞壁
陥入を包含する、FtsZポリペプチドまたは多量体FtsZポリペプチドの機
能的属性を意味する。
【0092】 「抗体(複数でも可)」は、本明細書で用いる場合、ポリクローナル抗体およ
びモノクローナル抗体、キメラ抗体、1本鎖抗体、およびヒト化抗体、ならびに
Fabフラグメントを包含し、さらにFabまたは他の免疫グロブリン発現ライ
ブラリーの産物を包含する。
【0093】 「抗原的に等価な誘導体(複数でも可)」は、本明細書で用いる場合、本発明
の蛋白、ポリペプチドまたはポリヌクレオチドに対して生じた場合に病原体と哺
乳動物宿主との間の直接の物理的相互作用を妨害する特定の抗体により特異的に
認識されるポリペプチド、ポリヌクレオチド、またはいずれかの等価物を包含す
る。
【0094】 「二特異的抗体(複数でも可)」とは、各々が異なるエピトープに指向される
少なくとも2つの抗原結合ドメインを含む抗体を意味する。
【0095】 「身体材料(複数でも可)」とは、骨、血液、血清、脳脊髄液、精液、唾液、
筋肉、軟骨、器官組織、皮膚、尿、糞便または剖検材料のごとき細胞、組織およ
び排泄物を包含するがこれらに限定されるものではない個体由来または個体に感
染、外寄生、または生息する生物由来の材料を意味する。
【0096】 「疾患(複数でも可)」は、例えば、中耳炎、結膜炎、肺炎、菌血症、髄膜炎
、副鼻腔炎、胸膜蓄膿症および心内膜炎を包含する細菌により引き起こされる疾
患または細菌による感染に関連した疾患、特に、髄膜炎、例えば、脳脊髄液の感
染を意味する。
【0097】 「FtsZ」は、場合によっては、例えば、本明細書で定義した生物由来のも
のを包含するFtsZポリペプチド、FtsZポリヌクレオチドを意味する。
【0098】 「融合蛋白(複数でも可)」は、2種の、しばしば、関係のない融合遺伝子ま
たはそのフラグメントによりコードされた蛋白をいう。一例において、EP-A-046
4には、別のヒト蛋白またはその一部と一緒になった免疫グロブリン分子の定常
部の種々の部分を含む融合蛋白が開示されている。多くの場合、免疫グロブリン
Fc部を融合蛋白の一部分として用いることは、治療および診断における使用に
有利であり、例えば、改善された薬物動態学的特性が得られる(例えば、EP-A 0
232262を参照のこと)。他方、いくつかの用途について、融合蛋白を発現、検出
および精製した後、Fc部分を欠失できることが望ましいであろう。
【0099】 「宿主細胞(複数でも可)」は、外来性ポリヌクレオチド配列による形質転換
もしくはトランスフェクションが行われたか、または該形質転換もしくはトラン
スフェクションの能力を有する細胞である。
【0100】 「同一性」は、当該技術分野で知られているように、場合によっては、配列の
比較により決定される2もしくはそれ以上のポリペプチド配列または2またはそ
れ以上のポリヌクレオチド配列の間の関係である。また、当該技術分野では、「
同一性」は、場合によっては、配列の鎖間の対合によって決定されるような、ポ
リペプチドまたはポリヌクレオチド配列間の配列関連性の度合を意味する。「同
一性」は、Computational Molecular Biology, Lesk,A.M., ed., Oxford Unive
rsity Press, New York, 1988;Biocomputing: Informatics and Genome Projec
ts, Smith, D.W., ed., Academic Press, New York, 1993;Computer Analysis
of Sequence Data, Part I, Griffin, A.M. and Griffin, H.G., eds., Humana
Press, New Jersey, 1994;Sequence Analysis in Molecular Biology, von Hei
nje, G., Academic Press, 1987;および Sequence Analysis Primer, Gribskov
, M. and Devereux, J., eds., M Stockton Press, New York, 1991;および Ca
rllio, H and Lipman, D., SIAM J. Applied Math., 48: 1073 (1988) に記載さ
れている方法が挙げられるがこれらに限定されるものではない公知方法により容
易に算出することができる。同一性を決定する方法は、テストする配列間に最大
の対合を与えるように設計される。さらにまた、同一性を測定する方法は、公に
入手できるコンピュータープログラムに集成されている。2つの配列の間の同一
性を測定する好ましいコンピュータ・プログラム方法としては、GCGプログラ
ムパッケージ(Devereux, J. et al., Nucleic Acids Research 12(1): 387 (19
84))、BLASTP、BLASTNおよびFASTA(Atschul, S.F. et al.,
J. Molec. Biol. 215: 403−410 (1990))が挙げられるが、これらに限定され
るものではない。BLAST Xプログラムは、NCBIおよび他の供給源(BLA
ST Manual, Altshul, S. et al., NCBI NLM NIH Bethesda,MD 20894;Altschul
, S. et al., J. Mol. Biol., 215: 403−410 (1990))から公に入手できる。ま
た、よく知られているスミス・ウォーターマン(Smith Waterman)アルゴリズム
を用いて同一性を決定することもできる。
【0101】 ポリペプチド配列比較用のパラメーターは、以下のものを包含する: 1)アルゴリズム:Needleman and Wunsch, J. Mol. Biol. 48: 443-453 (1970)
比較マトリックス:Hentikoff and Hentikoff, Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 8
9:10915-10919 (1992) からのBLOSSUM62 ギャップペナルティー:12 ギャップ長ペナルティー:4 これらのパラメーターに関して有用なプログラムは、ウィスコンシン州マディソ
ンのジェネティクス・コンピューター・グループ(Genetics Computer Group)
からの「ギャップ」プログラムとして公に利用できる。上記パラメーターは、ペ
プチド比較用のデフォルト・パラメーターである(エンドギャップのペナルティ
ーは伴わない)。
【0102】 ポリヌクレオチド比較用のパラメーターは、以下のものを包含する: 1)アルゴリズム:Needleman and Wunsch, J. Mol. Biol. 48: 443-453 (1970)
比較マトリックス:マッチ=+10、ミスマッチ=0 ギャップペナルティー:50 ギャップ長ペナルティー:3 利用可能:ウィスコンシン州マディソンのジェネティクス・コンピューター・グ
ループから「ギャップ」プログラム。これらは、核酸比較用のデフォルト・パラ
メーターである。
【0103】 ポリヌクレオチドおよびポリペプチドについての「同一性」に関する好ましい
意味は、場合によっては、下記(1)および(2)に示される。 (1)ポリヌクレオチドの具体例は、さらに、配列番号1または3の対照配列
に対して少なくとも50、60、70、80、85、90、95、97または1
00%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む単離ポリヌクレオチド配列
を包含し、ここで、該ポリヌクレオチド配列は、配列番号1または3の対照配列
と同一であるか、または対照配列と比較してある程度の整数個までのヌクレオチ
ドの変化を有していてもよく、ここで、該変化は、少なくとも1個のヌクレオチ
ドの欠失、置換(トランジションおよびトランスバージョンを包含する)または
挿入からなる群から選択され、また、該変化は、対照ヌクレオチド配列の5'末
端もしくは3'末端の位置で、またはこれら末端位置の間のいずれもの位置であ
って対照配列中のヌクレオチドにおいて個々にもしくは対照配列中の1以上の連
続した群で散在した位置で生じてもよく、ここで、ヌクレオチド変化の数は、配
列番号1または3におけるヌクレオチドの総数に同一性パーセントを定義する整
数を100で割った値をかけ、次いで、その積を配列番号1または3におけるヌ
クレオチドの総数から差し引くことにより決定されるか、または、下式により決
定される: nn≦xn−(xn・y) [式中、nnは、ヌクレオチド変化の数であり、xnは、配列番号1または3にお
けるヌクレオチドの総数であり、yは、50%については0.50、60%につ
いては0.60、70%については0.70、80%については0.80、85%
については0.85、90%については0.90、95%については0.95、9
7%については0.97、または100%については1.00であり、・は、乗法
の演算子の記号であり、ここで、xnとyとの整数でない積は、切り捨てにより
最も近い整数とした後、xnから差し引く]。配列番号2または4のポリペプチ
ドをコードするポリヌクレオチド配列の変化は、このコード配列におけるナンセ
ンス、ミスセンスまたはフレームシフト変異を生じ、これにより、かかる変化に
従ってポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチドを変化させる。
【0104】 (2)ポリペプチドの具体例は、さらに、配列番号2または4の対照配列に対
して少なくとも50、60、70、80、85、90、95、97または100
%の同一性を有するポリペプチドを含む単離ポリペプチドを包含し、ここで、該
ポリペプチド配列は、配列番号2または4の対照配列と同一であるか、または対
照配列と比較してある程度の整数個までのアミノ酸の変化を有していてもよく、
ここで、該変化は、少なくとも1個のアミノ酸の欠失、置換(保存的置換および
非保存的置換を包含する)または挿入からなる群から選択され、また、該変化は
、対照ポリペプチド配列のアミノ末端もしくはカルボキシ末端の位置で、または
これら末端位置の間のいずれもの位置であって対照配列中のアミノ酸において個
々にもしくは対照配列中の1以上の連続した群で散在した位置で生じてもよく、
ここで、アミノ酸変化の数は、配列番号2または4におけるアミノ酸の総数に同
一性パーセントを定義する整数を100で割った値をかけ、次いで、その積を配
列番号2または4におけるヌクレオチドの総数から差し引くことにより決定され
るか、または、下式により決定される: na≦xb−(xa・y) [式中、naは、アミノ酸変化の数であり、xaは、配列番号2または4における
アミノ酸の総数であり、yは、50%については0.50、60%については0.
60、70%については0.70、80%については0.80、85%については
0.85、90%については0.90、95%については0.95、97%につい
ては0.97、または100%については1.00であり、・は、乗法の演算子の
記号であり、ここで、xaとyとの整数でない積は、切り捨てにより最も近い整
数とした後、xaから差し引く]。
【0105】 「免疫学的に等価な誘導体」とは、本明細書で用いる場合、ポリペプチド、ポ
リヌクレオチド、または脊椎動物において抗体を高める適当な製剤で用いた場合
に該抗体が病原体と哺乳動物宿主との間の直接の物理的相互作用を妨害するよう
に作用するいずれかの等価物を包含する。
【0106】 「免疫特異的」とは、本発明のポリペプチドまたは本発明のポリヌクレオチド
に対する方が、それぞれ他の関連ポリペプチドまたはポリヌクレオチド、特に、
先行技術のポリペプチドまたはポリヌクレオチドに対するよりも実質的に大きな
親和性を有する抗体の特性を意味する。
【0107】 「個体(複数でも可)」は、後生動物、哺乳動物、ヤギ類(ovid)、ウシ科、
類人猿、霊長類およびヒトを包含するがこれらに限定されるものではない多細胞
真核生物を意味する。
【0108】 「単離」とは、「人間の手によって」天然の状態から変化させられたこと、す
なわち、天然物の場合、その本来の環境から変化させるかまたは取り出すか、ま
たはその両方が行われたことを意味する。例えば、生存生物に天然に存在するポ
リヌクレオチドまたはポリペプチドは、「単離」されていないが、その天然状態
で共存する物質から分離された同ポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、本明
細書にて用いる用語としての「単離」がなされている。さらにまた、形質転換、
遺伝子操作により、またはいずれもの他の組換え方法により生物に導入されるポ
リヌクレオチドまたはポリペプチドは、生物が生きていても死んでいてもその生
物内にまだ存在する場合でさえ、「単離された」ものである。
【0109】 「多量体FtsZ」は、FtsZ蛋白サブユニットからなる二量体蛋白、三量
体蛋白、四量体蛋白または高次構造蛋白を意味する。多量体FtsZは、本発明
により提供され、本明細書に記載した異なる種またはアミノ酸配列のFtsZ蛋
白からなっていても良い。
【0110】 「生物(複数でも可)」は、(i)ストレプトコッカス(Streptococcus)、
スタフィロコッカス(Staphylococcus)、ボルデテラ(Bordetella)、コリネバ
クテリウム(Corynebacterium)、マイコバクテリウム(Mycobacterium)、ナイ
セリア(Neisseria)、ヘモフィルス(Haemophilus)、アクチノマイセス(Acti
nomyces)、ストレプトマイセス(Streptomyces)、ノカルジア(Nocardia)、
エンテロバクター(Enterobacter)、エルシニア(Yersinia)、フランシセラ(
Francisella)、パスツレラ(Pasturella)、モラクセラ(Moraxella)、アシネ
トバクター(Acinetobacter)、エリジペロスリックス(Erysipelothrix)、ブ
ランハメラ(Branhamella)、アクチノバシラス(Actinobacillus)、ストレプ
トバシラス(Streptobacillus)、リステリア(Listeria)、カリマトバクテリ
ウム(Calymmatobacterium)、ブルセラ(Brucella)、バシラス(Bacillus)、
クロストリジウム(Clostridium)、トレポネーマ(Treponema)、エシェリヒア
(Escherichia)、サルモネラ(Salmonella)、クレブシエラ(Klebsiella)、
ビブリオ(Vibrio)、プロテウス(Proteus)、エルウィニア(Erwinia)、ボレ
リア(Borrelia)、レプトスピラ(Leptospira)、スピリルム(Spirillum)、
カンピロバクター(Campylobacter)、シゲラ(Shigella)、レジオネラ(Legio
nella)、シュードモナス(Pseudomonas)、エアロモナス(Aeromonas)、リケ
ッチア(Rickettsia)、クラミジア(Chlamydia)、ボレリア(Borrelia)およ
びマイコプラズマ(Mycoplasma)属のメンバーを包含するがこれらに限定される
ものではなく、さらに、ストレプトコッカスA群、ストレプトコッカスB群、ス
トレプトコッカスC群、ストレプトコッカスD群、ストレプトコッカスG群、ス
トレプトコッカス・ニューモニエ(Streptococcus pneumoniae)、ストレプトコ
ッカス・ピオゲネス(Streptococcus pyogenes)、ストレプトコッカス・アガラ
クティエ(Streptococcus agalactiae)、ストレプトコッカス・フェカーリス(
Streptococcus faecalis)、ストレプトコッカス・フェシウム(Streptococcus
faecium)、ストレプトコッカス・デュランス(Streptococcus durans)、ナイ
セリア・ゴノレエ(Neisseria gonorrheae)、ナイセリア・メニンジティディス
(Neisseria meningitidis)、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococc
us aureus)、スタフィロコッカス・エピデルミディス(Staphylococcus epider
midis)、コリネバクテリウム・ジフセリエ(Corynebacterium diptheriae)、
ガードネレラ・バジナリス(Gardnerella vaginalis)、マイコバクテリウム・
ツベルクローシス(Mycobacterium tuberculosis)、マイコバクテリウム・ボビ
ス(Mycobacterium bovis)、マイコバクテリウム・ウルセランス(Mycobacteri
um ulcerans)、マイコバクテリウム・レプレ(Mycobacterium leprae)、アク
チノマイセス・イスラエリイ(Actinomyces israelii)、リステリア・モノサイ
トゲネス(Listeria monocytogenes)、ボルデテラ・ペルツッシス(Bordetella
pertussis)、ボルデテラ・パラペルツッシス(Bordetella parapertussis)、
ボルデテラ・ブロンキセプチカ(Bordetella bronchiseptica)、エシェリヒア
・コリ(Escherichia coli)、シゲラ・ディセンテリエ(Shigella dysenteriae
)、ヘモフィルス・インフルエンゼ(Haemophilus influenzae)、ヘモフィルス
・エジプチウス(Haemophilus aegyptius)、ヘモフィルス・パラインフルエン
ゼ(Haemophilus parainfluenzae)、ヘモフィルス・デュクレイイ(Haemophilu
s ducreyi)、ボルデテラ(Bordetella)、サルモネラ・ティフィ(Salmonella
typhi)、シトロバクター・フロインディイ(Citrobacter freundii)、プロテ
ウス・ミラビリス(Proteus mirabilis)、プロテウス・ブルガリス(Proteus v
ulgaris)、エルシニア・ペスティス(Yersinia pestis)、クレブシエラ・ニュ
ーモニエ(Klebsiella pneumoniae)、セラチア・マルセッセンス(Serratia ma
rcessens)、セラチア・リクファシエンス(Serratia liquefaciens)、ビブリ
オ・コレレ(Vibrio cholerae)、シゲラ・ディセンテリエ(Shigella dysenter
iae)、シゲラ・フレクスネリ(Shigella flexneri)、シュードモナス・エルジ
ノーサ(Pseudomonas aeruginosa)、フランシセラ・ツラレンシス(Franscisel
la tularensis)、ブルセラ・アボルタス(Brucella abortus)、バシラス・ア
ンスラシス(Bacillus anthracis)、バシラス・セレウス(Bacillus cereus)
、クロストリジウム・パーフリンジェンス(Clostridium perfringens)、クロ
ストリジウム・テタニ(Clostridium tetani)、クロストリジウム・ボツリナム
(Clostridium botulinum)、トレポネーマ・パリダム(Treponema pallidum)
、リケッチア・リケッチイ(Rickettsia rickettsii)およびクラミジア・トラ
コマチス(Chlamydia trachomatis)である種または群のメンバーを包含するが
これらに限定されるものではない原核生物、(ii)アーケバクター(Archaeba
cter)を包含するがこれに限定されるものではない古細菌、ならびに(iii)
原生動物、真菌類、サッカロミセス(Saccharomyces)、クルベロミセス(Kluve
romyces)またはカンジダ(Candida)属のメンバー、およびサッカロミセス・セ
レビシエ(Saccharomyces ceriviseae)、クルベロミセス・ラクティス(Kluver
omyces lactis)またはカンジダ・アルビカンス(Candida albicans)である種
のメンバーを包含するがこれらに限定されるものではない単細胞真核生物または
線状真核生物を意味する。
【0111】 「ポリヌクレオチド(複数でも可)」は、一般に、ポリリボヌクレオチドまた
はポリデオキシリボヌクレオチドのいずれをも表し、それらは、非修飾RNAも
しくはDNAまたは修飾RNAもしくはDNAであってもよい。「ポリヌクレオ
チド(複数でも可)」としては、一本鎖および二本鎖DNA、一本鎖および二本
鎖領域または一本鎖、二本鎖および三本鎖領域の混合物であるDNA、一本鎖お
よび二本鎖RNA、および一本鎖および二本鎖領域の混合物であるRNA、一本
鎖またはより典型的には二本鎖または三本鎖領域または一本鎖および二本鎖領域
の混合物であってもよいDNAおよびRNAを含むハイブリッド分子が挙げられ
るがこれらに限定されるものではない。さらに、「ポリヌクレオチド」は、本明
細書において用いる場合、RNAもしくはDNAまたはRNAおよびDNAの両
方からなる三本鎖領域を表す。かかる領域の鎖は、同一分子からのものでも異な
る分子からのものでもよい。該領域は、該分子の1個またはそれ以上の全てを含
んでもよいが、より典型的には、該分子のいくつかからなる一領域のみを含む。
三本鎖螺旋領域の分子のうちの一つは、しばしば、オリゴヌクレオチドである。
本明細書において用いる場合、「ポリヌクレオチド(複数でも可)」なる用語は
、また、1個またはそれ以上の修飾塩基を含有する上記DNAまたはRNAを包
含する。かくして、安定性または他の理由で修飾された骨格を有するDNAまた
はRNAは、本明細書で意図するところの「ポリヌクレオチド(複数でも可)」
である。さらにまた、イノシンなどの通常でない塩基、またはトリチル化塩基な
どの修飾塩基(2つの例だけを示す)を含むDNAまたはRNAは、本明細書で
用いる場合のポリヌクレオチドである。多種の修飾が当業者に知られている多く
の有用な目的に使用されているDNAおよびRNAになされたことが理解されよ
う。本明細書で用いる「ポリヌクレオチド(複数でも可)」なる語は、ポリヌク
レオチドのかかる化学的、酵素的または代謝的に修飾された形態、ならびにウイ
ルスおよび、例えば、単純型細胞および複雑型細胞を包含する細胞に特徴的なD
NAおよびRNAの化学的形態を包含する。「ポリヌクレオチド(複数でも可)
」は、また、しばしばオリゴヌクレオチド(複数でも可)と称される短いポリヌ
クレオチドも包含する。
【0112】 「ポリペプチド(複数でも可)」は、ペプチド結合または修飾ペプチド結合に
より互いに結合した2個またはそれ以上のアミノ酸を含むいずれのペプチドまた
は蛋白をもいう。「ポリペプチド(複数でも可)」は、通常、ペプチド、オリゴ
ペプチドおよびオリゴマーと称される短い鎖、および一般に蛋白と称される長い
鎖の両方をいう。ポリペプチドは、遺伝子によりコードされている20個のアミ
ノ酸以外のアミノ酸を含有してもよい。「ポリペプチド(複数でも可)」は、プ
ロセシングおよび他の翻訳後の修飾などの自然の工程、または化学修飾技法のい
ずれかによって修飾されたものを包含する。かかる修飾は、基本書にて、および
より詳細な研究論文にて、ならびに膨大な研究文献にて十分に記載されており、
それらは当業者によく知られている。同じタイプの修飾が、所定のポリペプチド
中のいくつかの部位で同程度または異なる程度に存在してもよいことは明らかで
あろう。また、所定のポリペプチドは、多くのタイプの修飾を含んでもよい。修
飾は、ペプチド骨格、アミノ酸側鎖、およびアミノまたはカルボキシル末端を包
含するポリペプチドのいずれの箇所でも起こりうる。修飾としては、例えば、ア
セチル化、アシル化、ADP−リボシル化、アミド化、フラビンの共有結合、ヘ
ム部分の共有結合、ヌクレオチドまたはヌクレオチド誘導体の共有結合、脂質ま
たは脂質誘導体の共有結合、ホスファチジルイノシトールの共有結合、架橋結合
、環化、ジスルフィド結合形成、脱メチル化、共有架橋結合形成、システイン形
成、ピログルタミン酸塩形成、ホルミル化、ガンマ−カルボキシル化、糖鎖形成
、GPIアンカー形成、ヒドロキシル化、ヨウ素化、メチル化、ミリストイル化
、酸化、蛋白分解プロセシング、リン酸化、プレニル化、ラセミ化、糖鎖形成、
脂質付加、硫酸化、グルタミン酸残基のガンマ−カルボキシル化、ヒドロキシル
化およびADP−リボシル化、セレノイル化、硫酸化、アルギニル化のような蛋
白への転移RNA媒介性アミノ酸付加、およびユビキチネーションが挙げられる
。例えば、PROTEINS-STRUCTURE AND MOLECULAR PROPERTIES, 2nd Ed., T. E. Cr
eighton, W. H. Freeman and Company, New York (1993) および Wold, F.,Po
sttranslational Protein Modifications: Perspectives and Prospects, pgs.
1-12 in POSTTRANSLATIONAL COVALENT MODIFICATION OF PROTEINS, B. C. Johns
on, Ed., Academic Press, New York (1983);Seifter et al., Meth. Enzymol.
182:626-646 (1990) および Rattan et al., Protein Synthesis: Posttransla
tional Modifications and Aging, Ann N.Y. Acad. Sci. 663: 48-62 (1992) を
参照のこと。ポリペプチドは、枝分れしてもよく、または分枝を伴ったもしくは
伴わない環状であってもよい。環状、分枝状および枝分れした環状のポリペプチ
ドは、翻訳後の天然のプロセスにより生じたものでもよく、同様に全く合成的な
方法により生成されるものでもよい。
【0113】 「組み換え発現系(複数でも可)」は、本発明のポリヌクレオチドおよびポリ
ペプチドの製造のために宿主細胞または宿主細胞溶解物中に導入または形質転換
された発現系もしくはその一部または本発明のポリヌクレオチドをいう。
【0114】 「消去セット」(subtraction set)は、少なくとも1つの本発明のポリヌク
レオチドを含む、1個またはそれ以上であるが、好ましくは、100個未満のポ
リヌクレオチドである。
【0115】 本明細書中で用いられる「変種(複数でも可)」なる語は、対照ポリヌクレオ
チドまたはポリペプチドとは各々異なるが、本質的な特性を保持しているポリヌ
クレオチドまたはポリペプチドである。典型的なポリヌクレオチドの変種は、別
の対照ポリヌクレオチドとはヌクレオチド配列が異なる。変種のヌクレオチド配
列の変化は、対照ポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチドのアミノ酸
配列を変化させるものであっても変化させないものであってもよい。以下に記載
するように、ヌクレオチドの変化は、対照配列によりコードされるポリペプチド
におけるアミノ酸置換、付加、欠失、融合蛋白およびトランケーションを引き起
こす。典型的なポリペプチドの変種は、別の対照ポリペプチドとはアミノ酸配列
が異なる。一般的には、差異は、対照ポリペプチドおよび変種の配列が、全体的
に極めて類似しており、多くの領域で同一であるように制限される。変種および
対照ポリペプチドは、1個またはそれ以上の置換、付加、欠失がいずれもの組み
合わせで起こることによりアミノ酸配列が異なってもよい。置換または挿入され
たアミノ酸残基は、遺伝暗号によってコードされたものであってもなくてもよい
。本発明は、本発明のポリペプチドの各々の変種、すなわち、残基が同様の特性
を有する別の残基により置換される保存的アミノ酸置換により対照とは異なるポ
リペプチドを包含する。典型的なかかる置換は、Ala、Val、Leuの間;Serお
よびThrの間;酸性残基AspおよびGluの間;AsnおよびGlnの間;塩基性残基
LysおよびArgの間;または芳香族残基PheおよびTyrの間での置換である。数
個、5〜10個、1〜5個、1〜3個、1〜2個または1個のアミノ酸がいずれ
もの組合せで置換、欠失または付加された変種が特に好ましい。ポリヌクレオチ
ドまたはポリペプチドの変種は、対立遺伝子変種のような自然に発生するもので
もよく、または自然に発生することが知られていない変種でもよい。ポリヌクレ
オチドおよびポリペプチドの自然に発生しない変種は、突然変異誘発技術、直接
合成法、または当業者に知られている他の組換え法によって作られてもよい。
【0116】 (実施例) 以下の実施例は、詳細に特記した場合を除いて、当業者によく知られており、
かつ、慣用的である標準的な技法を用いて行う。実施例は、例示であって、本発
明を限定するものではない。
【0117】 実施例1 株の選択、ライブラリーの製造および配列決定 表1[配列番号1または3]に示すDNA配列を有するポリヌクレオチドは、
イー・コリ中のストレプトコッカス・ニューモニエの染色体DNAのクローンラ
イブラリーから得た。重複するストレプトコッカス・ニューモニエDNAを含有
する2個またはそれ以上のクローンからの配列決定データを用いて、配列番号1
または3における連続したDNA配列を構築した。ライブラリーは、慣用方法、
例えば、以下の方法1および2により製造してもよい。 標準的な方法に従ってストレプトコッカス・ニューモニエ0100993から
全細胞DNAを単離し、以下に示す2つの方法のいずれかによりサイズ分画する
【0118】 方法1 標準的な方法に従ってサイズ分画するために、全細胞DNAをニードル(need
le)に通して機械的に剪断する。11kbpまでの大きさのDNAフラグメント
をエキソヌクレアーゼおよびDNAポリメラーゼで処理することによって末端切
断し、EcoRIリンカーを付加する。フラグメントを、EcoRIで切断した
ラムダZapIIベクターに連結し、標準的な方法によりライブラリーをパッケ
ージングし、次いで、パッケージングしたライブラリーでイー・コリを感染させ
る。該ライブラリーを標準的な方法により増幅する。
【0119】 方法2 全細胞DNAをライブラリーベクターにクローニングするための一連のフラグ
メントを得るのに適した1つの制限酵素(例えば、RsaI、PalI、Alu
I、Bshl235I)またはその組み合わせで部分加水分解し、かかるフラグ
メントを標準的な方法に従ってサイズ分画する。EcoRIリンカーをDNAに
連結し、次いでそのフラグメントを、EcoRIで切断したラムダZapIIベ
クターに連結し、標準的な方法によりライブラリーをパッケージングし、パッケ
ージングしたライブラリーでイー・コリを感染させる。該ライブラリーを標準的
な方法により増幅する。
【0120】 実施例2 FtsZの機能的オリゴマー化状態 即時リン酸放出アッセイを用いて、イー・コリFtsZのGTPase活性に
ついて200μMのKMおよび0.155秒-1のkcatを測定した。この活性と重
合状態のFtsZとの相互関係を示すために、いくつかの生物物理的研究を行っ
た。分析用超遠心分離は、FtsZがK1,2=1.5±0.96μMおよびK2,4
10.0±0.28μMを有するヌクレオチドの不在下で単量体、二量体、または
三量体として存在することができることを示した。ヌクレオチドおよび阻害剤の
存在下でのFtsZのオリゴマー状態を試験した。さらに、円二色性を用いて、
構造変化がFtsZのオリゴマー状態およびヌクレオチド結合状態に関連してい
るかを評価する。図1〜6を参照のこと。
【0121】
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】 FtsZによるGTPの加水分解を示すマラカイトグリーン・ア
ッセイからのデータを示す図。
【図2】 FtsZ二量体および四量体の存在を示す遠心分離実験からのデ
ータを示す図。
【図3】 FtsZ二量体および四量体会合における温度依存性の関係を示
すデータを示す図。
【図4】 FtsZ自己会合濃度依存性を示すデータを示す図。
【図5】 GDPの存在下でのFtsZ自己会合を示すデータを示す図。
【図6】 gS−GTPの存在下でのFtsZ自己会合を示すデータを示す
図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 9/16 C12N 15/00 ZNAA C12Q 1/02 5/00 A (72)発明者 ケネス・エイチ・ピアス アメリカ合衆国19426ペンシルベニア州フ ェニックスビル、アンダーソン・ドライブ 7番 (72)発明者 トーマス・エム・ソッソン アメリカ合衆国19468ペンシルベニア州ロ イヤーズフォード、ブルック・ドライブ 506番 Fターム(参考) 4B024 AA11 AA13 BA11 CA04 CA07 DA06 EA04 FA10 GA11 HA11 HA15 4B050 CC03 DD02 LL03 4B063 QA01 QA19 QA20 QQ06 QQ13 QX02 4B065 AA26X AA49Y AA53Y AB01 BA02 CA31 CA46

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (i)配列番号2または4の全長にわたって各々配列番号2
    または4のアミノ酸配列に対して少なくとも (a)75%の同一性; (b)80%の同一性; (c)90%の同一性;または (d)95%の同一性 を有する群から選択されるアミノ酸配列を含む単離ポリペプチドを含む多量体F
    tsZポリペプチド; (ii)配列番号2または4のアミノ酸配列を含む単離ポリペプチドを含む多
    量体FtsZポリペプチド、または (iii)配列番号2または4のアミノ酸配列である単離ポリペプチドを含む
    多量体FtsZポリペプチド からなる群から選択される単離多量体FtsZポリペプチド。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のポリペプチドに対して免疫特異的な抗体。
  3. 【請求項3】 請求項1記載のポリペプチドの機能を活性化または阻害する
    化合物を同定するためのスクリーニング方法であって、 (a)候補化合物に直接または間接的に会合した標識を用いて該ポリペプチド
    (または該ポリペプチドを有する細胞もしくは膜)またはその融合蛋白への候補
    化合物の結合を測定すること; (b)標識競争物質の存在下で該ポリペプチド(または該ポリペプチドを有す
    る細胞もしくは膜)またはその融合蛋白への候補化合物の結合を測定すること; (c)該ポリペプチドを有する細胞もしくは細胞膜に適した検出系を用いて、
    候補化合物が該ポリペプチドの活性化または阻害により発生するシグナルを生じ
    させるかどうかを試験すること; (d)候補化合物と、請求項1記載のポリペプチドを含有する溶液とを混合し
    て混合物を調製し、混合物中の該ポリペプチドの活性を測定し、次いで、混合物
    の活性を標準と比較すること; (e)例えばELISAアッセイを用いて細胞中で該ポリペプチドをコードし
    ているmRNAおよび該ポリペプチドの産生に対する候補化合物の作用を検出す
    ること、または (f)(1)化合物の相互作用を評価するために、該化合物と該ポリペプチド
    との間の相互作用を可能にする条件下で該ポリペプチドを含む組成物をスクリー
    ニングすべき化合物と接触させ(かかる相互作用は、該化合物と該ポリペプチド
    との相互作用に応答して検出可能シグナルを提供することのできる第2の成分に
    関連したものである);次いで (2)該化合物と該ポリペプチドとの相互作用から生じるシグナルの存在ま
    たは不在を検出することにより、該化合物が該ポリペプチドと相互作用して、そ
    の活性を活性化または阻害するかどうかを決定すること からなる群から選択される方法を含む方法。
  4. 【請求項4】 発現系が適合する宿主細胞中に存在する場合に請求項1記載
    のポリペプチドを産生する能力を有するポリヌクレオチドを含む発現系。
  5. 【請求項5】 多量体FtsZポリペプチドを発現する、請求項4記載の発
    現系を含む宿主細胞またはその膜。
  6. 【請求項6】 多量体FtsZポリペプチドの製造方法であって、該ポリペ
    プチドの産生に十分な条件下で請求項8記載の宿主細胞を培養する工程を含む方
    法。
  7. 【請求項7】 多量体FtsZポリペプチドを含む宿主細胞の製造方法であ
    って、請求項8記載の発現系で細胞を形質転換またはトランスフェクトして、適
    当な培養条件下で宿主細胞が多量体FtsZポリペプチドを産生するようにする
    工程を含む方法。
  8. 【請求項8】 ポリペプチドを含む多量体FtsZポリペプチドを発現する
    、請求項7記載の方法により製造される宿主細胞またはその膜。
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