JP2004532483A5 - - Google Patents
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Description
本発明は、連立微分方程式(System von DifferentialgleichungenSystem of defferential equations)における不一致性(矛盾、Inkonsistenzen)に関する誤り情報(Fehlerinformationen)の提供方法に関するものである。
従来技術から、連立微分方程式によって技術システムを描写することが知られている。特定のスタート条件または境界条件用に、連立微分方程式の解を計算する(演算する、berechnet)ことによって、コンピューターシステムまたはアナログ式計算機による数値法を用いて、連立微分方程式をシミュレーションすることができる。例えば、技術システムの描写および典型的なシミュレーション方法については、各専門分野の基礎的な学術書(Standardwerken)から読みとることができる。これに関して、詳細な手引は、例えば、G. Schmidt『自動制御技術の基礎(Grundlagen der Regelungstechnik)』(第2版、シュプリンガー出版、ベルリン、1987年)、Unbehausen『自動制御技術I(Regelungstechnik I)』(第6版、Friedr. Viehweg & Sohn出版、ブラウンシュヴァイク/ヴィスバーデン、1989年)、Unbehausen『自動制御技術II(Regelungstechnik II)』(第5版、Friedr. Viehweg & Sohn出版、ブラウンシュヴァイク/ヴィスバーデン、1989年)、Unbehausen『自動制御技術III(Regelungstechnik III)』(第2版、Friedr. Viehweg & Sohn出版、ブラウンシュヴァイク/ヴィスバーデン、1986年)、E. Pfeiffer『動態論入門(Einfuehrung in die Dynamik)』(B.G.Teubner出版、シュトゥットガルト、1989年)、E. Ziegler編『トイブナーの、ポケット版数学の本(Teubner-Taschenbuch der Mathematik)』(B.G.Teubner出版、シュトゥットガルト、1996年)に提示されている。シミュレーションを行う際、連立微分方程式の数値解法が中断する、という問題が頻繁に生じる。なぜなら、微分方程式の基本関数が特異だからである。同じ理由から、アナログ式計算機がシステム性能(システム評価、Systemverhalten)を予測できないということが生じてしまう。加えて、連立微分方程式を解くと、解が不明瞭になることが多い。
このような場合、従来技術から、微分方程式を解くためにプログラマーまたはプログラムの利用者に誤りを探索してもらうことが知られている。広範な経験(viel Erfahrung)によって、特異点の原因を発見でき、場合によっては技術システムをモデル化する際に誤りを低減できる。この方法を行うには、常に、時間およびコストが多大にかかってしまう。Chowdhry S.他「大規模な連立微分代数の自動的構造分析(Automatic structure analysis of large scale differential algebraic systems)」(『第18回IEEE計測および測定技術会議IMTC2001議事録、ブタペスト、ハンガリー、2001年5月21日―23日』、IEEE計測および測定技術会議(IMTC):ニューヨーク、NY:IEEE、アメリカ、第18回会議1〜3号、2001年5月21日、798−803ページ)には、非常に大きな連立微分代数方程式の自動的構造分析方法が開示されている。この方法は、数値情報および記号情報の両方を考慮し、線形項(linearen Termen)の効果を数学的システムに含め、連立微分代数方程式の構造の非常に正確な写しを提供している。学術論文Unger J.他「連立微分代数方程式の構造分析−理論および応用(Structual analysis of differential-algebraic equation systems − theory and applications)」(Comt Chem Eng; Computers & Chemical Engineering Aug 1995 Pergamon Press Inc, Tarrytown, NY, USA, 19巻8号、1995年8月、867−882ページ)には、連立微分代数方程式の構造上の特性を考慮した、構造アルゴリズムが開示されている。この論文によると、体系的に異なる構造上の2つのアプローチが、コンピューターシステムに実行され、このことによって、連立微分代数方程式が構造的に分析される。このコンピュータープログラムは、インデックスをわずかに有するシミュレーションモデルの開発(Entwicklung)を指示するための別々のプログラムとして、および、シミュレーション環境DIVAの構成要素としても用いられる。このことによって、適切な数値アルゴリズムを選択でき、初期条件を矛盾なく計算できる。学術刊行物Reissig Gunter他「インデックス1の微分代数方程式は代数の高い構造インデックスを有することができる(may)」(Siam J. SCI. Comput.; Siam Journal of Scientific Computing 2000 SOC for Industrial & Applied Mathematics Publ, Philadelphia, PA, USA, 21巻6号、2000年、1987−1990年)には、一定の係数およびインデックス1を有する、線形微分代数方程式の構造インデックスを、任意に大きくでき、その限りでは、この文献に以前開示された結果と矛盾している。この刊行物から、さらに、インデックス1を有する微分代数方程式が用いられる場合、パンテリドアルゴリズム(Pantelides algorithm)が、任意の大きい数の反復および導関数を実行することが分かる。
したがって、本発明の目的は、連立微分方程式における不一致性に関する誤り情報の提供方法を提示することにある。
この目的を、独立請求項の内容(Gegenstand)によって解決する。有効な新形態(Weiterbildungen)については、各従属請求項に記載する。
本発明の基本理念は、あらかじめシミュレーション前に、つまり、数値計算工程を行う前、または、アナログ計算機の組み立て前に、組み合わせ論の方法を用いて連立微分方程式の不一致性を調査するというものである。このような不一致性に関する情報がある場合、後のシミュレーション工程において、望ましくない中断の原因となったり、システムをまったくシミュレートしないようになったりという、技術システムをモデル化する際に生じる誤り、または、技術システム自体の誤りを低減できる。これにより、中断するまで時間をかけてシミュレーションを実行したり、シミュレーションを試行したりする必要はなくなる。このため、技術システムのモデルの補正、または技術システム自体の補正は、不一致性に関する情報が存在することによって、明らかに行いやすくなる。
本発明の方法の第1のステップでは、従属行列(Abhaengigkeitsmatrix)Aの設定を提示する。この従属行列Aの列は、連立微分方程式の解ベクトルxの次元(Dimension)と同じように(wie)多い。また、この従属行列Aの行は、所定の連立微分方程式における微分方程式の数と同じように多い。
本発明は、同次多項式(1)(Form)
で表される連立微分方程式に限定されるものではない。このことを、技術システムをシミュレートするための微分方程式が、例えば同次多項式(7)
を有している特殊な場合にも使用できる。このような場合、連立微分方程式について言及しているのではなく、通常、非線形連立方程式について言及しているのである。
さらに、不一致性に関して、シミュレートするために備えられた連立微分方程式自体を調査する必要はない。むしろ、同一の技術システムまたは同一の技術プロセスを記載する他の連立微分方程式を、不一致性に関して調査する場合がある。このことは、直近に指定された連立微分方程式の構造が、後にシミュレートされる構造よりも簡単である場合に有効であるといえる。例えば、電気網をシミュレートする場合、通常、数値シミュレーションの変更された(modifizierten)結節点電圧分析は、いわゆる枝電圧枝電流方程式(Zweigspannungs-Zweigstrom-Gleichungen)の構成が非常に簡単であるにもかかわらず、数値シミュレーションの基礎である。簡単な構成の連立微分方程式を調査することによって、不一致性をより多く検出できる場合があり、または不一致性を強く限定できる場合がある。
従属行列Aは、その要素A(i、j)が、「0」または「0以外」の値に設定される行列である。従属行列Aの要素の絶対値については考慮しない。fの第i行が、xのj番目の要素の関数であるか、または、xのj番目の要素の導関数の何れかの関数である場合、要素A(i、j)が0以外の値に設定される。それ以外の全ての場合、要素A(i、j)は0に設定される。
本発明の方法に関して、従属行列Aを実際に明示的に設定するかどうかは、重要ではない。より詳細には、fのi行がxのi要素の関数であるか、または、その導関数のうちの1つに応じて変化するかという情報が次の方法工程において用いられるということが重要である。
本発明の方法の第2のステップでは、行階数からなる集合が決定される。各行階数は、従属行列Aの互いに従属な行の番号、あるいは、連立微分方程式の互いに従属な行の番号を含む。さらに、従属行列Aの列階数からなる集合が決定される。各列階数は、従属行列Aの互いに従属な列の番号、あるいは、xまたはその導関数の互いに従属な成分の番号を含む。
「行階数」とは、ここでは、以下のことである。すなわち、1≦i≦nである自然数iからなる集合Czがn行およびm列を有する行列の行階数であるとは、集合Czが以下の条件を満たすことである。
(i)行添字の集合がCzを含むような、行列Aの横断線Tは存在しない。
(ii)Czの任意の要素cに対し、行添字の集合がCz\{c}を完全に含むような、行列Aの横断線Tが存在する。
ここで、Cz\{c}は、集合CZから要素cを取り除いた集合を示している。
行列Aの横断線Tとは、以下のことである。つまり、n行およびm列を有する行列Aの横断線とは、0でない行列要素A(i、j)の位置(i、j)からなる集合のひとつであって、同一行または同一列に対応する2つ以上の要素を有しない集合である。すなわち、対(i,j)(1≦i≦n、1≦j≦m)からなる集合Tが行列Aの横断線であるとは、Tが以下の条件(i)(ii)を満たしていることである。
(i)A(i,j)は、Tの全ての要素(i,j)に対してゼロではない。
(ii)(i,j)と(i’,j’)とがTの2つの異なる要素であれば、すなわち、i≠i’またはj≠j’であれば、i≠i’かつj≠j’が成立する。
この場合、本発明では、従属行列Aの可能な横断線のうちの1つを計算しても、あまり意味がない。ここではむしろ、概念「行階数」および「列階数」について詳述するために、概念「横断線」の定義が必要である。
「横断線Tの行添字」とは、以下のことである。「横断線Tの行添字」からなる集合Zは、要素として、Tの要素の行添字を有している。言い換えると、集合Zは、丁度、あるjが存在して、(i、j)がTの要素となるような、番号iからなる集合である。
また、n行およびm列を有する行列Aの列階数とは、1≦i≦mである自然数iからなる集合Csであって、以下の条件を満たす集合Csのことである。
(i)列添字の集合がCsを含むような、行列Aの横断線Tは存在しない。
(ii)Csの任意の要素cに対し、列添字の集合がCs\{c}を完全に含むような、行列Aの横断線Tが存在する。
この「横断線Tの列添字の集合」とは、要素として、行列Aの横断線Tの要素の列添字を含んだ集合Zのことである。言い換えると、集合Zは、丁度、あるiが存在して、(i、j)が行列Aの横断線Tの要素となるような、番号jの集合である。
本発明の第2のステップを実行した後、それぞれ、従属行列Aの互いに従属な行の番号、あるいは、連立微分方程式の互いに従属な行の番号を含む行階数の集合が得られる。さらに、それぞれ、従属行列Aの互いに従属な列の番号、あるいは、xまたはその導関数の互いに従属な成分の番号を含む従属行列Aの列階数の集合が得られる。
この情報によって、出発点として存在している連立微分方程式の構造誤りを特に簡単に推論できる。本来の連立微分方程式におけるこのような構造誤りまたは不一致性は、連立微分方程式の解を計算する際に、誤りを度々引き起こす。
本発明の方法を実行する際の基本的な工程とは、行階数および列階数を発見するという工程である。行階数および列階数の発見方法は、公知である。文献中のキーワードである「方程式の構造上最小に(minimally)特異的な部分集合」(参照:C.C. Pantelides「連立微分代数の矛盾のない初期化(the consistent initialization of differential-algebraic systems)」(SIAM J. Sci. Statist. Comput., 9(2):213-231, 1988年3月))から、「行階数」の計算方法が分かる。「列階数」を決定する行列から転置行列を決定する場合、「列階数」を決定するために、「行階数」の決定方法を使用できる。行列の列階数を決定するために、それに相当する転置行列の行階数を決定する。
このような本発明の方法に関する行階数および列階数の決定は、限定的に理解されるべきものではない。より正確には、行階数および列階数が存在するための残りの条件を満たしている限り、行階数および列階数の他の決定方法を用いることもできる。
本発明の方法の最後のステップでは、ステップ2にしたがって決定された各行階数および各列階数に対し、その行階数および列階数に含まれている番号を出力する(ausgegeben)。これらの数は、行階数に関しては、構造上の問題がある場合のある、連立微分方程式における方程式の連続番号(laufenden Nummern)を示している。列階数の場合、そこに含まれ、誤り情報として出力された数は、構造上の問題がある場合のある、解ベクトルxの成分の番号を示している。
本発明の方法によって、数値計算工程の実行前またはアナログ計算機の組み立て前に、システムの一致性に関して、計算される連立微分方程式の構造を検査できる。本発明の方法によって、連立微分方程式の不一致性が認識された場合、連立微分方程式の構造上起こりうる誤りを大部分確認できる。これによって、誤り探索を促進し、さらに、時間のかかるシミュレーションテストを回避できる。
本発明の方法を、連立微分方程式の数値解法および連立微分方程式の解法によるどのシミュレーションシステムの場合にも、アナログ計算機を用いることによって使用できる。
本発明の特に有効な一形態では、本発明の方法のステップ1を実行する前に、長さnの方程式有意表(Gleichungs-Bedeutungsliste)を作成する。この表では、連立方程式の各方程式に、方程式番号および/または方程式テキスト情報が割り当てられている。同様に、本発明の方法のステップ1を実行する前に、長さmの成分有意表(Komponenten-Bedeutungsliste)を作成する。このリストでは、解ベクトルxの各成分に、成分番号および/または成分テキスト情報が割り当てられている。この場合、有意表にそれぞれ作成された方程式テキスト情報または成分テキスト情報を、シミュレートされる技術システムとの関連で有効なように選択する。これによって、シミュレートされた技術システムの構成要素およびシミュレートされる技術システムの部分構造(Teilstrukturen)を、連立微分方程式の方程式および解ベクトルxの成分に割り当てることができる。なお、この成分は、本発明の方法によって出力された誤り情報の解釈を簡易化するものである。
また、本発明の方法のステップ3では、そのために、各行階数に含まれる番号を出力する代わりに、方程式有意表に応じて、方程式番号および/または方程式テキスト情報を出力する。行階数に整数iが含まれている場合に、番号iを出力せずに、むしろ、方程式有意表のi番目の成分の内容(Inhalt)を出力する。同様に、本発明の方法のステップ3では、各列階数に含まれる番号を出力する代わりに、成分重要度リストに応じた成文番号および/または成分テキスト情報を出力する。列階数に番号jが番号として存在している場合に、番号jを出力するのではなく、むしろ、成分重要度リストのj番目の成分の内容を出力する。
本発明の方法のこの形態によって、誤り情報として、シミュレートされる技術システムと直接的に関連のある重要度内容物(Bedeutungsgehalte)を出力する。この誤り情報によって、技術システムの構造中のシステムエラーを、特に簡単に説明できる。この結果、誤り探索はさらに促進される。
また、本発明の方法では、少なくとも1つの記憶素子、演算装置、入力装置、および、出力装置を備えたデジタル計算機を使用することが好ましい。
また、本発明を、連立方程式における不一致性に関する誤り情報を提供するためのコンピュータープログラム中でも実現できる。このコンピュータープログラムを、システム特性、スタート条件または境界条件、および、システムへの従属の入力後に、本発明の方法を前述の請求項のうちの1つにしたがって実施できるように設計すると、シミュレーション、解ベクトル、または、異なる時点での解ベクトルの結果を出力できる。さらに、コンピュータープログラムが、主として前述の請求項のうちの1つにしたがって不一致性に関する情報を提供することもできる。
本発明のコンピュータープログラムによって、公知のシミュレーションプログラムおよびシミュレーション方法と比べて、ランタイムが著しく改善される。なぜなら、多数の誤りのあるプログラム実行またはシミュレーションテストを回避できるからである。
さらに、本発明は、そのようなコンピュータープログラムを有するデータキャリア(Datentraeger)に関するものである。また、本発明は、そのようなコンピュータープログラムの、電子データ網(例えばインターネット)から、データ網に接続されたコンピューターへのダウンロード方法に関するものである。
また、本発明のコンピューターシステムを、このシステム上で、連立方程式における不一致性に関する誤り情報の本発明の提供方法を実行できるように設計する。
最後に、本発明は、微分方程式における不一致性に関する誤り情報を提供するための本発明の方法および/またはコンピューターシステムの使用に関するものでもある。
本発明の方法では、初めにシステム(つまり、プロセスを記載した連立微分方程式)、または、微分方程式を有していない例えば非線形連立方程式のような他の形態を設定する。この場合、ここで必要な方法は当業者に知られている。これについては、本明細書の初めに言及した専門文献に詳述されている。他にも、関連のコンピュータープログラムがある。
本発明の第1実施例は、技術システム(図示せず)のシミュレーションに関するものである。この技術システムを、図1の関数f1、f2、および、f3およびパラメーターベクトルpを有する同次多項式(Form)
の連立方程式(1)の数値解によって記載できる。
システムの動作(「性質」、Verhaltens des Systems)を予測するために、連立方程式を数値によって解く。つまり、1つ以上の時点tでの未知のベクトルx(t)の値を求める。このために、公知の数値解法(説明は省略する)を用いる。この数値解法は、コンピューターシステム(図示せず)上でコンピュータープログラムとして実行するものである。
本発明にしたがって、連立方程式を実際に解く前に、連立方程式において不一致性に関する誤り情報の提供工程を実行する。
本発明の方法のステップ1では、図2に示した従属行列Aを決定する。図2における従属行列Aの0以外の全ての要素を、星(“*”)で示す。
本発明の方法のステップ2では、図2に示した従属行列Aの行階数および列階数を検出するために、初めに、図2に示した従属行列Aの横断線Tを決定する。(「最大基数2部整合(maximum cardinality bipartite matchings)」の)横断線の検出方法については、I. S. Duff「最大横断線を獲得するためのアルゴリズムについて(on algorithms for obtaining a maximum transversal)」(ACM Trans. Math. Software, 7(3)、315〜330ページ、1981年)、E. L. Lawler「組み合わせの最適化:ネットワークおよびマトロイド(Combinatorial Optimization: Networks and Matroids)」(Holt, Rinehart and Winston、1976年)、L. Lovasz,M. D. Plummer「マッチング理論(Matching Theory)」(North-Holland Mathematics Studies 121. Annals of Discrete Mathematics, 29. North-Holland, 1986)、または、C. C. Pantelides「微分代数システムの矛盾のない初期化(The consistent initialization of differential-algebraic Systems)」(SIAM J. Sci. Statist. Comput., 9(2)、213〜231ページ、1988年3月)に開示されている。
図2の横断線Tには3つの要素がある。n=m=3なので、図2の従属行列Aには、行階数も列階数も存在していない。C. C. Pantelides「微分代数システムの矛盾のない初期化(The consistent initialization of differential-algebraic Systems)」に示した行の位の計算方法(「方程式の構造上最小に特異的な部分集合」)は、このような従属行列Aの行階数を検出しない。そこで示された行階数の計算方法は、従属行列Aの転置行列(Transponierten)のこのような行階数も検出しない。したがって、従属階数Aの行階数は存在しない。また、ステップ2で決定された、従属行列Aの行階数は存在しない。ステップ2で決定された、従属行列Aの列階数も存在しない。それゆえ、本発明の方法のステップ3では、誤り情報は出力されない。
初めに提示した連立方程式を、誤りの発生なしに確率を高くすることによって解決できる。それにもかかわらず、シミュレーションが中断する場合、または、それが正しそうではない解を提供する場合、若しくは、それがまったく間違っている場合、技術システムの記載(Beschreibung)によって、あるいは高度の確立を有する技術システム自体において、構造上の誤りをなくすことができる。これによって、誤り探索が著しく簡単になる。
本発明の第2実施例は、他の技術システム(図示せず)のシミュレーションに関するものである。このシステムの動作を、図3の関数f1、f2、および、f3およびパラメーターベクトルpを有する下記同次多項式(13)
の連立方程式(1)の数値解によって記載できる。
システムの動作を予測するために、連立方程式を数値によって解く。つまり、1つ以上の時点tでの未知のベクトルx(t)の値を求める。このために、公知の数値解法(説明は省略する)を用いる。この数値解法は、コンピューターシステム(図示せず)上でコンピュータープログラムとして実行するものである。
本発明にしたがって、連立方程式を実際に解く前に、連立方程式において不一致性に関する誤り情報の提供工程を実行する。
本発明の方法のステップ1では、図4に示した従属行列Aを決定する。図4における従属行列Aの0以外の全ての要素を、星(“*”)で示す。
例示的に選び出された要素A(1,1)を、ほぼ任意の0以外の値“*”にする。なぜなら、fの第1要素(つまり上記数式(11))が、xの第1要素(つまりx1(t))の関数だからである。同じことが、成分A(1,2),A(1,3),A(2,3)、および、A(3,3)にも言える。
また、例示的に選び出された要素A(3,1)を、値“0”にする。なぜなら、fの第3要素(つまり上記数式(12))が、xの第1要素(つまりx1(t))、および、x(x1(s)(t))の第1要素の導関数に依存していないからである。同じことが、成分A(2,1),A(3,2),および、A(2,2)にも言える。
本発明の方法の工程2では、図4に示した従属行列Aの行の位および列の位を検出するために、初めに、図4に示した従属行列Aの横断線Tを決定する。
C. C. Pantelides「連立微分代数の矛盾のない初期化(The consistent initialization of differential-algebraic Systems)」に示した行階数の計算方法(「方程式の構造上最小に特異的な部分集合」)は、従属行列Aの行階数{2,3}を検出する。また、ステップ2で検出された、従属行列Aの行階数を、図4に提示する。
C. C. Pantelides「連立微分代数の矛盾のない初期化(The consistent initialization of differential-algebraic Systems)」に示した、従属行列Aの転置行列に用いられる、行階数の計算方法(「方程式の構造上最小に特異的な部分集合」)によって、従属行列Aの転置行列の行階数{1,2}を検出する。本発明にしたがって、従属行列Aの転置行列の、この行階数を、従属行列Aの列階数とする。また、ステップ2で検出された、従属行列Aの列階数の量Sを提示する。ステップ3では、図5に提示した誤り情報を出力する。
本発明にしたがって、数値手段を有する基本システムの動作の予測を初めはテストしない。なぜなら、全体的にシミュレーションが可能な場合に誤りが生じるからである。むしろ、システムのモデル化およびシステム自体を、もう一度検算する必要がある。これにより、コンピューターシステム(図示せず)上の重要な演算時間を節約する。この誤り探索を、図3に提示した誤り情報を認識することによって、著しく簡単にする。
本発明の第3実施例は、図6に示した技術システムに関するものである。この技術システムの動作を、図3の関数f1、f2、および、f3およびパラメーターベクトルpを有する同次多項式(13)の連立方程式(1)の数値解によって記載できる。
システムの動作を予測するために、連立方程式を数値によって解く。つまり、1つ以上の時点tでの未知のベクトルx(t)の値を求める。このために、公知の数値解法(説明は省略する)を用いる。この数値解法は、コンピューターシステム(図示せず)上でコンピュータープログラムとして実行するものである。
本発明にしたがって、連立方程式を実際に解く前に、連立方程式中の不一致性に関する誤り情報を次のように提供する。
前述の連立方程式の解は、図6に提示した電気ネットワークの、静止状態、または、「動作基点」または「DC解」である。なお、このネットワークは、
−ネットワークの結節点1と2との間の抵抗値Rを有する線形抵抗、
−ネットワークの結節点1と0との間の容量値C1を有する線形容量、および、
−ネットワークの結節点2と0との間の容量値C2を有する線形容量
からなる。
−ネットワークの結節点1と2との間の抵抗値Rを有する線形抵抗、
−ネットワークの結節点1と0との間の容量値C1を有する線形容量、および、
−ネットワークの結節点2と0との間の容量値C2を有する線形容量
からなる。
このことから、図3に提示したパラメーターベクトルpの成分が、値C1、1/R、C2にしたがって生じる。
x(t)の成分x1(t)、x2(t)、および、x3(t)は、図6に示したネットワークの以下の大きさに相当する。
−x1(t)は、結節点1と0との間の電圧に相当する。
−x2(t)は、結節点2と0との間の電圧に相当する。
−x3(t)は、結節点1と2との間の電圧に相当する。
−x1(t)は、結節点1と0との間の電圧に相当する。
−x2(t)は、結節点2と0との間の電圧に相当する。
−x3(t)は、結節点1と2との間の電圧に相当する。
連立方程式の第1方程式、つまり方程式
f1(x1(t),x2(t),x3(t),p1,p2,p3)=0
は、図6のネットワークの、全ての3つのネットワーク成分からなる位用のキルヒホッフの電圧方程式である。
f1(x1(t),x2(t),x3(t),p1,p2,p3)=0
は、図6のネットワークの、全ての3つのネットワーク成分からなる位用のキルヒホッフの電圧方程式である。
連立方程式の第2方程式、つまり方程式
f2(x1(t),x2(t),x3(t),p1,p2,p3)=0
は、図6のネットワークの結節点1用のキルヒホッフの電流方程式である。
f2(x1(t),x2(t),x3(t),p1,p2,p3)=0
は、図6のネットワークの結節点1用のキルヒホッフの電流方程式である。
連立方程式の第3方程式、つまり方程式
f3(x1(t),x2(t),x3(t),p1,p2,p3)=0
は、図6のネットワークの結節点2用のキルヒホッフの電流方程式である。
f3(x1(t),x2(t),x3(t),p1,p2,p3)=0
は、図6のネットワークの結節点2用のキルヒホッフの電流方程式である。
本発明にしたがって、図7に示した方程式有意表Gおよび図7に示した成分有意表Kを設計する。
前述の実施例にあるように、図4に示した、検出された行階数の量Z、および、図4に示す検出された列階数の量Sとを決定する。
本発明の他の方法のステップ3では、図7の方程式有意表Gおよび成分有意表Kを用いることによって、図8に示した誤り情報を出力する。
図8に示した誤り情報から認識できることは、キルヒホッフの電流方程式が、図6のネットワークの結節点1および2に互いに線形に従属しあうことと、このネットワークの静止状態用の、図6のネットワークの結節点1と0との間および結節点2と0との間の両方の電圧とを、はっきりと決定できないということである。
本発明では、数値手段を有する基本システムの動作の予測を行わない。なぜなら、全体的にシミュレーションが可能な場合に誤りが生じるからである。正確に言えば、システムのモデル化およびシステム自体をもう一度検算する必要がある。その結果、コンピューターシステム(図示せず)上の重要な演算時間が節約される。この誤り探索は、図3に提示した誤り情報を認識することによって、著しく簡単になる。
Claims (15)
- 所定のネットワーク特性、境界条件、および/または、ネットワークへの所定の影響を発端とする、電気ネットワークの動作の予測方法であって、上記予測方法は、
上記コンピュータシステムが、上記電気ネットワークを記述しており、かつ下記数式(1)、
x(t)およびその導関数(3)、
上記コンピューターシステムが、上記連立方程式の不一致性に関する誤り情報を提供するためのテスト方法を実行する工程とを含み、
上記テスト方法は、上記コンピュータシステムが実行する、以下のステップ1〜ステップ3を有している予測方法。
ステップ1:
m列およびn行を有する従属行列Aを設定するステップであって、fのi番目の行、すなわち下記式(4)
a)xのj番目の要素(つまりxj(t))、または
b)xのj番目の要素の導関数のうちの1つ(つまりxj (s) (t))、
の関数である場合、上記従属行列Aの要素A(i,j)を、
そうでない場合、上記従属行列Aの要素A(i,j)を、
ステップ2:
従属行列Aの互いに従属な行の番号を含む行階数の集合を決定するとともに、従属行列Aの互いに従属な列の番号を含む列階数の集合を決定するステップ。
ステップ3:
ステップ2にて決定した各列階数に対する、および、ステップ2にて決定した各行階数に対する誤り情報、特に、そこに含まれる番号を出力するステップ。 - 上記コンピュータシステムは、
上記ステップ1を実行する前に、連立方程式における各方程式に、方程式番号および/または方程式テキスト情報が割り当てられている、長さnの方程式有意表を作成し、
また、上記ステップ1を実行する前に、解ベクトルxの各成分に、成分番号および/または成分テキスト情報が割り当てられている、長さmの成分有意表を作成し、
上記ステップ3では、各行階数に含まれる番号を出力する代わりに、方程式有意表に応じて、方程式番号および/または方程式テキスト情報を出力し、
また、上記ステップ3では、各列階数に含まれる番号の出力に代えて、成分有意表に応じて、成分番号および/または成分テキスト情報を出力することを特徴とする請求項1に記載の方法。 - 請求項1または請求項2に記載された、電気ネットワークの数値シミュレーション方法を、上記コンピュータシステムに実行させるためのプログラム命令を有するコンピュータープログラム。
- コンピューター記憶素子に格納されている請求項3に記載のコンピュータープログラム。
- 読出し専用記憶素子に格納されている請求項3に記載のコンピュータープログラム。
- 請求項3に記載のコンピュータープログラムを格納する格納手段、および/または、上記コンピュータプログラムを実行する実行手段を備えたコンピューターシステム。
- 請求項3に記載のコンピュータープログラムを、例えばインターネットのような電子データ網に接続されたコンピュータが、該電子データ網からダウンロードする方法。
- 請求項1または請求項2に記載された、電子ネットワークの数値シミュレーション方法を、上記コンピュータシステムに実行させるためのプログラム命令を含む、コンピュータープログラムが格納されている、キャリア媒体(Traegermedium)、特にデータキャリア。
- コンピューター上で実行されるコンピュータープログラムまたはアナログ計算機を用いて解かれる連立方程式の不一致性に関する誤り情報を提供するためのコンピュータープログラムであって、
上記コンピュータープログラムは、コンピュータ上で実行されるコンピュータープログラムまたはアナログ計算機を用いて解かれる、下記数式(1)、
x(t)およびその導関数(3)、
上記方法は、上記コンピュータシステムにより実行される、以下のステップを有する、コンピュータープログラム。
ステップ1:
m列およびn行を有する従属行列Aを設定するステップであって、fのi番目の行、すなわち下記式(4)
a)xのj番目の要素(つまりx j (t))、または
b)xのj番目の要素の導関数のうちの1つ(つまりx j (s) (t))、
の関数である場合、要素(下記式(5))
そうでない場合は、要素(下記数式(6))
ステップ2:
従属行列Aの互いに従属な行の番号を含む行階数の集合を決定するとともに、従属行列Aの互いに従属な列の番号を含む列階数の集合を決定するステップ。
ステップ3:
ステップ2にて決定した各列階数に対する、および、ステップ2にて決定した各行階数に対する誤り情報、特に、そこに含まれる番号を出力するステップ。 - 請求項9に記載のコンピュータープログラムにおいて、
不一致性に関する誤り情報の提供方法に関して、上記コンピュータシステムに、
上記ステップ1を実行する前に、連立方程式における各方程式に、方程式番号および/または方程式テキスト情報が割り当てられている、長さnの方程式有意表を作成させ、
また、上記ステップ1を実行する前に、解ベクトルxの各成分に、成分番号および/または成分テキスト情報が割り当てられている、長さmの成分有意表を作成させ、
上記ステップ3では、各行階数に含まれる番号の出力に代えて、方程式有意表に応じて、方程式番号および/または方程式テキスト情報を出力させ、
また、上記ステップ3では、各列階数に含まれる番号の出力に代えて、成分有意表に応じて、成分番号および/または成分テキスト情報を出力させるように形成されていることを特徴とする、コンピュータープログラム。 - 請求項9または請求項10に記載のコンピュータープログラムを備えたデータキャリア。
- コンピューター記憶素子に格納されている、請求項9または請求項10に記載のコンピュータープログラム。
- 読み出し専用記憶素子に格納されている、請求項9または請求項10に記載のコンピュータープログラム。
- 請求項9または請求項10に記載のコンピュータープログラムを記憶する記憶手段、および/または、上記コンピュータプログラムを実行する実行手段を備えたコンピューターシステム。
- 請求項9または請求項10に記載のコンピュータープログラムを、例えばインターネットのような電子データ網に接続されたコンピュータが、該電子データ網からダウンロードする方法。
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