JP2004530410A - 特異的ヌクレオチド配列の検出 - Google Patents
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Abstract
1以上の同定ヌクレオチド配列の存在を検出するために、エネルギー供与体とエネルギー受容体とを含む分子エネルギー転移ペアでそれぞれが標識されたオリゴヌクレオチドプライマーを使用する。核酸鋳型を含有するポリメラーゼ連鎖反応混合物中で、2つの配列特異的オリゴヌクレオチドプライマー(一方は第1同定配列に特異的であり、もう一方は第2同定配列に特異的である)をリバースプライマーと共に使用する。その相補的同定配列のみを鋳型として使用して、各配列特異的プライマーが増幅を導く。第1および第2同定配列を表す得られたPCR産物は、2つのMET標識プライマー(それぞれ、第1または第2のいずれかの同定配列を表すPCR産物に特異的である)を、両方の同定配列を表すPCR産物に相補的な別のプライマーと共に使用するPCR増幅により検出される。
Description
【0001】
本出願は、2000年10月24日付け出願の米国仮特許出願第60/242,672号に基づく優先権の利益を主張する。
【0002】
発明の分野
本発明は、広義には、特異的ヌクレオチド配列の検出方法に関する。より詳しくは、本発明は、エネルギー供与体とエネルギー受容体とを含む分子エネルギー転移(MET)ペアで標識されたオリゴヌクレオチドからのシグナルの検出がサンプル中の特異的ヌクレオチド配列の存在を示す方法に関する。この方法は、他のヌクレオチドの環境中の単一ヌクレオチドを識別するのに十分な感度を有する。したがって、本発明はまた、一塩基(単一ヌクレオチド)多型(SNP)のような核酸多型の検出に関する。
【0003】
発明の背景
遺伝子中の或る同定ヌクレオチド配列は、疾患の存在、疾患に対する感受性または表現型を示唆する。これらの同定配列は個体の特定の遺伝子中の自発的変化(例えば、突然変異)を表したり、あるいは集団中に維持される遺伝子(例えば、対立遺伝子)の形態間の相違を表しうる。かかる変化または相違は遺伝子中のいくつかのヌクレオチドにおいて生じたり、あるいは単一ヌクレオチドにおいて生じうる。単一ヌクレオチドの変化または相違は、検出系に対する、より大きな挑戦に相当する。
【0004】
遺伝子の対立遺伝子間を識別する同定配列は、関心のある相違が1つのヌクレオチド位置に存在する場合には、「一塩基多型」、すなわちSNPを特徴づけると言われている。単一ヌクレオチドの変化は種々の遺伝病を引き起こすことが示されている。例えば、鎌状赤血球貧血は、ヒトβグロビン遺伝子の第6コドン中のアデニン残基からチミン残基へのトランスバージョン(塩基転換)により引き起こされる。このトランスバージョンは、ヘモグロビンのβグロビンサブユニット中のグルタミン酸残基からバリン残基への置換を引き起こして、デオキシヘモグロビン分子の溶解性を低下させ、そして、罹患赤血球の「鎌状化」をもたらす。鎌状赤血球は微小循環系中に捕捉され、多くの臓器を損傷させる。
【0005】
Kanら,Lancet 2:910−12(1978)は、HpaI制限断片長多型に対する鎌状細胞対立遺伝子の連鎖に基づき、罹患個体からのDNAを調べることにより鎌状赤血球を診断した最初の記載であった。その後、Geeverら,Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 78:5081−85(1982)およびChangら,New England J.Med.307:30−32(1982)は、問題の突然変異がDdeIおよびMstIIの両方の切断部位に影響を及ぼし、したがって制限酵素分解により直接的に検出されうることを示した。Connerら,Proc.Nat’l.Acad.Sci.USA 80:278−82(1983)は、配列特異的オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーションを用いることによる単一ヌクレオチド変異の直接的検出のための、より一般的なアプローチを記載している。この方法においては、短い合成オリゴヌクレオチドプローブが、適当な条件下、1つの対立遺伝子のみにハイブリダイズする。
【0006】
これらのアプローチのすべては、遅々たるもので、技術的には挑戦的であり、相応に大量のDNAを必要とする。
【0007】
Saikiら,Science 230:1350−54(1985)により開発されたポリメラーゼ連鎖反応(PCR)は、少量の標的DNAの迅速な増幅を可能にした。PCRは、関心のある配列にまたがる位置でDNAの反対鎖にアニールする2つのオリゴヌクレオチドプライマーを使用する。該DNA配列の鋳型依存的合成の連続的ラウンドのために、大腸菌(E.coli)DNAポリメラーゼIのクレノウフラグメント(Saikiら(1985),前掲)またはテルムス・アクアティカス(Thermus aquaticus)DNAポリメラーゼ(Saikiら,Science 239:487−91(1988))のようなDNAポリメラーゼを使用する。それぞれの新ラウンドの開始前に、DNAを変性させ、大腸菌(E.coli)酵素の場合には新鮮な酵素を加える。このようにして、標的配列の指数関数的増幅が達成される。
【0008】
ついで、得られた増幅DNAを、配列特異的オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーション(Saikiら,Nature 324:163−66(1986))、制限酵素切断(Saikiら(1985),前掲;Chehabら,Nature 329:293−94(1987))、オリゴヌクレオチドペアの連結(Landegrenら,Science 241:1077−80(1988))または連結増幅により、鎌状細胞突然変異のようなDNA配列変異の存在に関して容易に分析することができる。PCRは分析速度を迅速化させ、必要となるDNAの量を減少させたが、それはDNA配列変異の分析方法を変化させるものではなかった。
【0009】
その後、Wallaceらの米国特許第5,639,611号は、鎌状細胞貧血を引き起こす対立遺伝子の検出に適していると言われている対立遺伝子特異的ポリメラーゼ連鎖反応を開示している。Wallaceらは、PCRプライマーの1つの3’ヌクレオチドが鋳型とミスマッチ塩基対を形成する場合、低い効率で増幅が進行することを見出した。したがって、Wallaceの方法では、特異的プライマーは特異的対立遺伝子のみの増幅を導く。複数ラウンドの増幅後の増幅断片の形成は、試験サンプル中の対立遺伝子の存在を示す。
【0010】
Wallaceの方法は制限消化および放射能標識ハイブリダイゼーションに対する改良に相当するが、該アプローチは依然として労力および時間を要するものである。この方法は、ゲル電気泳動を必要とすることに加えて、複数の増幅反応とサンプルの遺伝子型を同定するための検出反応とを行う必要がある。したがって、一塩基多型を含む同定配列を検出するための、より迅速で、あまり労力を要しない方法が必要とされている。
【0011】
発明の概要
したがって、ゲノムサンプル中の同定配列の存在を検出する改良方法を提供することが、本発明の1つの目的である。
【0012】
ゲノムサンプル中の同定配列の存在を検出するためのキットを提供することが、本発明のもう1つの目的である。
【0013】
本発明のこれら及び他の目的を達成するために、本発明の1つの態様では、DNAサンプル中の第1同定配列または第2同定配列または両方の存在を判定するための方法が提供される。この方法は、
(A)下記のヌクレオチド配列:
(i)第1同定配列には特異的にハイブリダイズできるが第2同定配列とは特異的にハイブリダイズできない第1ヌクレオチド配列、および
(ii)第1ヌクレオチド配列の5’末端における第2ヌクレオチド配列、
を含む第1オリゴヌクレオチドを準備すること、
(B)下記のヌクレオチド配列:
(i)第2同定配列には特異的にハイブリダイズできるが第1同定配列には特異的にハイブリダイズできない第3ヌクレオチド配列、および
(ii)第1ヌクレオチド配列の5’末端における第4ヌクレオチド配列、
を含む第2オリゴヌクレオチドを準備すること、
(C)第3オリゴヌクレオチドを準備すること、
(D)下記のヌクレオチド配列:
(i)第5ヌクレオチド配列、
(ii)第5ヌクレオチド配列の5’末端における第6ヌクレオチド配列、
(iii)第6ヌクレオチド配列の5’末端における第7ヌクレオチド配列、および
(iv)第7ヌクレオチド配列の5’末端における第8ヌクレオチド配列、
を含む第4オリゴヌクレオチドを準備すること、ここで、第5ヌクレオチド配列は第2ヌクレオチド配列と同一であり、第4オリゴヌクレオチドは、第6および第8ヌクレオチド配列のヌクレオチドを含有する第1ヘアピンを形成することが可能であり、第4オリゴヌクレオチドは、第1ヘアピンが形成されなければ第1検出シグナルを放出すること、
(E)下記のヌクレオチド配列:
(i)第9ヌクレオチド配列、
(ii)第9ヌクレオチド配列の5’末端における第10ヌクレオチド配列、
(iii)第10ヌクレオチド配列の5’末端における第11ヌクレオチド配列、および
(iv)第11ヌクレオチド配列の5’末端における第12ヌクレオチド配列、
を含む第5オリゴヌクレオチドを準備すること、ここで、第9ヌクレオチド配列は第4ヌクレオチド配列と同一であり、第5オリゴヌクレオチドは、第10および第12ヌクレオチド配列のヌクレオチドを含有する第2ヘアピンを形成することが可能であり、第4オリゴヌクレオチドは、第2ヘアピンが形成されなければ第2検出シグナルを放出すること、
(F)DNAサンプル中に第1同定配列が存在する場合には、
(i)第1オリゴヌクレオチドを第1同定配列にアニールさせること、
(ii)鋳型として第1同定配列を使用して第1オリゴヌクレオチドの3’末端を伸長させて、伸長第1鎖を形成させること、ここで、第1同定配列は伸長第1鎖にアニールすること、
(iii)伸長第1鎖から第1同定配列を分離すること、
(iv)第3オリゴヌクレオチドを伸長第1鎖にアニールさせること、
(v)鋳型として伸長第1鎖を使用して第3オリゴヌクレオチドの3’末端を伸長させて、伸長第2鎖を形成させること、ここで、伸長第1鎖は伸長第2鎖にアニールすること、
(vi)伸長第2鎖から伸長第1鎖を分離すること、
(vii)第4オリゴヌクレオチドを伸長第2鎖にアニールさせること、
(viii)鋳型として伸長第2鎖を使用して第4オリゴヌクレオチドの3’末端を伸長させて、二重伸長第1鎖を形成させること、ここで、二重伸長第1鎖は伸長第2鎖にアニールすること、
(ix)伸長第2鎖から二重伸長第1鎖を分離すること、
(x)第3オリゴヌクレオチドを二重伸長第1鎖にアニールさせること、
(xi)鋳型として二重伸長第1鎖を使用して第3オリゴヌクレオチドの3’末端を伸長させて、二重伸長第2鎖を形成させること、
(xii)場合により、二重伸長第1および第2鎖を増幅すること、
(xiii)第1検出シグナルを検出すること、および
(xiv)DNAサンプル中に第1同定配列が存在すると判定すること、
(G)DNAサンプル中に第2同定配列が存在する場合には、
(i)第2オリゴヌクレオチドを第2同定配列にアニールさせること、
(ii)鋳型として第2同定配列を使用して第2オリゴヌクレオチドの3’末端を伸長させて、伸長第3鎖を形成させること、ここで、第2同定配列は伸長第3鎖にアニールすること、
(iii)伸長第3鎖から第2同定配列を分離すること、
(iv)第3オリゴヌクレオチドを伸長第3鎖にアニールさせること、
(v)鋳型として伸長第3鎖を使用して第3オリゴヌクレオチドの3’末端を伸長させて、伸長第4鎖を形成させること、ここで、伸長第3鎖は伸長第4鎖にアニールすること、
(vi)伸長第4鎖から伸長第3鎖を分離すること、
(vii)第5オリゴヌクレオチドを伸長第4鎖にアニールさせること、
(viii)鋳型として伸長第4鎖を使用して第5オリゴヌクレオチドの3’末端を伸長させて、二重伸長第3鎖を形成させること、ここで、二重伸長第3鎖は伸長第4鎖にアニールすること、
(ix)伸長第4鎖から二重伸長第3鎖を分離すること、
(x)第3オリゴヌクレオチドを二重伸長第3鎖にアニールさせること、
(xi)鋳型として二重伸長第3鎖を使用して第3オリゴヌクレオチドの3’末端を伸長させて、二重伸長第4鎖を形成させること、
(xii)場合により、二重伸長第3および第4鎖を増幅すること、
(xiii)第2検出シグナルを検出すること、
(xiv)DNAサンプル中に第2同定配列が存在すると判定すること、を含んでなる。好ましい実施形態においては、該増幅反応はPCRであり、第1および第2供与成分のそれぞれは発蛍光団であり、一方、第1および第2受容成分のそれぞれは、発蛍光団により放出される光のクエンチャー(消光物質)である。
【0014】
もう1つの実施形態においては、DNAサンプル中の第1同定配列または第2同定配列または両方の存在を判定するための方法であって、
(A)サンプルを第1および第2オリゴヌクレオチドと接触させること、ここで、第1オリゴヌクレオチドは、
(i)第1ヌクレオチド配列、
(ii)第1ヌクレオチド配列の5’末端における第2ヌクレオチド配列、
(iii)第2ヌクレオチド配列の5’末端における第3ヌクレオチド配列、および
(iv)第3ヌクレオチド配列の5’末端における第4ヌクレオチド配列を含み、その際、第1オリゴヌクレオチドは、第2および第4ヌクレオチド配列のヌクレオチドを含有する第1ヘアピンを形成することが可能であり、そして、第1オリゴヌクレオチドは、第1ヘアピンが形成されなければ第1検出シグナルを放出すること、
第2オリゴヌクレオチドは、
(i)第5ヌクレオチド配列、
(ii)第5ヌクレオチド配列の5’末端における第6ヌクレオチド配列、
(iii)第6ヌクレオチド配列の5’末端における第7ヌクレオチド配列、および
(iv)第7ヌクレオチド配列の5’末端における第8ヌクレオチド配列を含み、その際、第2オリゴヌクレオチドは、第6および第8ヌクレオチド配列のヌクレオチドを含有する第2ヘアピンを形成することが可能であり、そして、第2オリゴヌクレオチドは、第2ヘアピンが形成されなければ第2検出シグナルを放出すること、
(B)(i)サンプル中に第1同定配列が存在する場合には、ポリメラーゼを使用して第1オリゴヌクレオチドを二本鎖核酸中に取り込ませ、それにより、第1ヘアピンの形成を妨げること、
(ii)サンプル中に第2同定配列が存在する場合には、ポリメラーゼを使用して第2オリゴヌクレオチドを二本鎖核酸中に取り込ませ、それにより、第2ヘアピンの形成を妨げること、または
(iii)サンプル中に第1および第2同定配列の両方が存在する場合には、ポリメラーゼを使用して第1および第2オリゴヌクレオチドのそれぞれを二本鎖核酸中に取り込ませ、それにより、第1および第2ヘアピンのそれぞれの形成を妨げること、
(C)場合により、増幅反応を行い、それにより、
(i)サンプル中に第1同定配列が存在する場合には、第1オリゴヌクレオチドを第1増幅産物中に取り込ませること、
(ii)サンプル中に第2同定配列が存在する場合には、第2オリゴヌクレオチドを第2増幅産物中に取り込ませること、または
(iii)サンプル中に第1同定配列が存在する場合には、第1オリゴヌクレオチドを第1増幅産物中に取り込ませ、かつ、サンプル中に第2同定配列が存在する場合には、第2オリゴヌクレオチドを第2増幅産物中に取り込ませること、
(D)(i)第1シグナルが検出された場合には、サンプル中に第1同定配列が存在すると判定すること、
(ii)第2シグナルが検出された場合には、サンプル中に第2同定配列が存在すると判定すること、または
(iii)第1および第2シグナルが検出された場合には、サンプル中に第1および第2同定配列が存在すると判定すること、
を含んでなる方法を提供する。
【0015】
本発明はまた、単一の核酸サンプル中の1以上の核酸多型を直接的に同定する方法を提供する。この改良された技術は2つの主要件を満足する。まず第1に、それは、取り込まれていないオリゴヌクレオチドを予め分離することなく核酸多型を検出することを可能にする。第2に、それは、標識オリゴヌクレオチドを増幅核酸サンプル中に取り込ませることにより、サンプル中の1以上の核酸多型の直接的な検出を可能にする。本発明はまた、単一のサンプル中の1以上の核酸多型の同定のためのキットに関する。そのようなキットは、核酸多型の存在が疾患または障害の存在または不存在と相互に関連づけられる診断キットでありうる。
【0016】
本発明の他の目的、特徴および利点は以下の詳細な説明から明らかとなるであろう。詳細な説明および実施例は、好ましい実施形態を示すものであり、例示のために記載されているにすぎず、本発明の精神および範囲内の種々の変更および修飾がこの詳細な説明から当業者に明らかとなるであろう。さらに、実施例は本発明の原理を示すものであり、当業者に明らかに有用であると思われるすべての例への本発明の応用を具体的に例示することを予期したものではない。
【0017】
図面の説明
図1は、本発明のオリゴヌクレオチドプライマーの一般的模式図を示す。
【0018】
第1オリゴヌクレオチド(O1)は、第1ヌクレオチド配列(1)、および該第1ヌクレオチド配列の5’末端における第2ヌクレオチド配列(2)(陰影付き)を含む。
【0019】
第2オリゴヌクレオチド(O2)は、第3ヌクレオチド配列(3)、および該第3ヌクレオチド配列の5’末端における第4ヌクレオチド配列(4)(黒塗り)を含む。
【0020】
第3オリゴヌクレオチド(O3)はリバースプライマーを含む。
【0021】
第4オリゴヌクレオチド(O4)は、第5ヌクレオチド配列(5)(陰影付き)、該第5ヌクレオチド配列の5’末端における第6ヌクレオチド(6)配列、該第6ヌクレオチド配列の5’末端における第7ヌクレオチド(7)配列、および第7ヌクレオチド配列の5’末端における第8ヌクレオチド配列(8)を含む。第5ヌクレオチド配列は第2ヌクレオチド配列と同一である。O4は、ヌクレオチド配列6および8を含有する第1ヘアピンを形成しうる。該ヘアピンが形成されなければ、O4はシグナルを放出する。
【0022】
第5オリゴヌクレオチド(O5)は、第9ヌクレオチド配列(9)(黒塗り)、該第9ヌクレオチド配列の5’末端における第10ヌクレオチド配列(10)、該第10ヌクレオチド配列の5’末端における第11ヌクレオチド配列(11)、および第11ヌクレオチド配列の5’末端における第12ヌクレオチド配列(12)を含む。第9ヌクレオチド配列は第4ヌクレオチド配列と同一である。O5は、ヌクレオチド配列10および12のヌクレオチドを含有するヘアピンを形成しうる。該ヘアピンが形成されなければ、O5はシグナルを放出する。
【0023】
図2は、本発明の方法の好ましい実施形態の1つを示す模式図である。それは、該ヘアピン形成オリゴヌクレオチドから離れた配列特異的プライマーを使用する。DNAサンプルが標的配列を含有する場合には、配列特異的フォワードプライマー(O1)は、ポリメラーゼ連鎖反応の1回目のサイクル中にアニールし伸長して、伸長第1鎖を形成する。後続サイクルにおいて、ヘアピン形成オリゴヌクレオチド(O4)が、取り込まれた配列特異的プライマーの5’尾部にアニールし(サイクル3のとおり)、二重伸長第1鎖の形成におけるプライマーとして作用する。さらに後のサイクル中に、ポリメラーゼが該二重伸長第1鎖を複製するにつれて、それは、取り込まれたオリゴヌクレオチドをそのヘアピン形成から排除し、伸長した発光性コンホメーションに導く(サイクル4のとおり)。この場合もまた、反復サイクルにより、放出シグナルの強度が増大するだろう。
【0024】
図3は、(A)ヘアピンコンホメーションおよび(B)伸長コンホメーションをとったオリゴヌクレオチドの構造の模式的例示である。要素(a)は、標的配列に特異的にハイブリダイズするヌクレオチド配列を示し、(b)および(d)は、互いにハイブリダイズしてヘアピンを形成するヌクレオチド配列を示し、(c)は、(b)を(d)と連結し該ヘアピンのループを形成する配列を示す。(b)および(d)上の白丸および黒丸は、分子エネルギー転移分子のペアを示す。
【0025】
図4は、ポリメラーゼ連鎖反応を用いる本発明の方法のもう1つの実施形態を示す。ヘアピン形成オリゴヌクレオチド(a)は、各同定配列に特異的なプライマー配列を含有する。DNAサンプルが標的配列を含有する場合には、ポリメラーゼ連鎖反応の1回目のサイクル中に、該特異的プライマーがアニールし伸長する(伸長第1鎖を形成する)。2回目のサイクルにおいて、ポリメラーゼが該伸長第1鎖を複製するにつれて、それは、取り込まれたオリゴヌクレオチドをそのヘアピン形成から排除し、伸長した発光性コンホメーションに導く。反復(n)サイクルにより、放出シグナルの強度が増大するだろう。
【0026】
図5Aは、A型対立遺伝子およびG型対立遺伝子に関するCYP17遺伝子の遺伝子型決定の結果を示す。両プライマーは、それらの3’末端ヌクレオチドにおいて相違する。第2列はFAMに関する蛍光測定値を示し、第3列はSRに関する蛍光測定値を示す。第1列は、試験したCYP17 DNAの遺伝子型を示す。
【0027】
図5Bは、一重(シングルプレックス)PCR反応に対する多重(マルチプレックス)PCR反応の利点を例示する。この図は、A型およびG型対立遺伝子に関するCYP17遺伝子の遺伝子型決定の結果を示す。A特異的プライマーはFAMで、G特異的プライマーはSRで標識されている。第1列:A型対立遺伝子を含有するCYP17 DNAサンプルを、A特異的プライマーを使用する一重PCR反応によりスクリーニングした。第2列:G型対立遺伝子を含有するCYP17 DNAサンプルを、A特異的プライマーを使用する一重PCR反応によりスクリーニングした。第3列:A型対立遺伝子を含有するCYP17 DNAサンプルを、G特異的プライマーを使用する一重PCR反応によりスクリーニングした。第4列:G型対立遺伝子を含有するCYP17 DNAサンプルを、G特異的プライマーを使用する一重PCR反応によりスクリーニングした。第5列:A型およびG型の両方の対立遺伝子を含有するCYP17 DNAサンプルを、A特異的およびG特異的の両方のプライマーを使用する多重PCR反応によりスクリーニングした。第6列:A型およびG型の両方の対立遺伝子を含有するCYP17 DNAサンプルを、A特異的およびG特異的の両方のプライマーを使用する多重PCR反応によりスクリーニングした。第1列と第2列との比較:FAMシグナルは、A特異的プライマーを使用してA型およびG型DNAサンプルの両方において検出される。この結果は、一重PCR反応においてA特異的プライマーを使用した場合に達成される低い対立遺伝子識別を示している。第3列と第4列との比較:SRシグナルは、G特異的プライマーを使用してA型およびG型DNAサンプルの両方において検出される。この結果は、一重PCR反応においてG特異的プライマーのみを使用した場合の低い対立遺伝子識別を示している。第5列と第6列との比較は、多重PCR反応においてA特異的およびG特異的プライマーを使用した場合の高い対立遺伝子識別を示している。なぜなら、反対の対立遺伝子のシグナルが生成されなかったからである。
【0028】
図6Aは、A型対立遺伝子およびG型対立遺伝子に関するHER2遺伝子の遺伝子型決定の結果を示す。両プライマーは、それらの3’末端ヌクレオチドにおいて相違する。無DNA対照はNDCとして示されている。第1列はFAMに関する蛍光測定値を示し、第2列はSRに関する蛍光測定値を示す。第3列は、試験したHER2 DNAの遺伝子型を示す。
【0029】
図6Bは、図5Aの蛍光結果のグラフ表示を示す。該結果は、A特異的およびG特異的の両方のプライマーを使用する多重PCR反応の対立遺伝子識別を示している。
【0030】
図7Aは、C型対立遺伝子およびT型対立遺伝子に関するCYP2C8遺伝子の遺伝子型決定の結果を示す。C特異的プライマーの3’末端ヌクレオチドは、該多型を検出するためのミスマッチを含有していた。T特異的プライマーの末端から2番目のヌクレオチドは、該多型を検出するためのミスマッチヌクレオチドを含有していた。無DNA対照はNDCとして示されている。第1列はFAMに関する蛍光測定値を示し、第2列はSRに関する蛍光測定値を示す。第3列は、試験したCYP2C8 DNAの遺伝子型を示す。
【0031】
図7Bは、図6Aの蛍光結果のグラフ表示を示す。該結果は、C特異的およびT特異的の両方のプライマーを使用する多重PCR反応の良好な対立遺伝子識別を示している。
【0032】
図8Aは、C型対立遺伝子およびG型対立遺伝子に関するHTR2C遺伝子の遺伝子型決定の結果を示す。C特異的およびG特異的プライマーの末端から3番目のヌクレオチドは、該多型を検出するためのミスマッチヌクレオチドを含有していた。無DNA対照はNDCとして示されている。第1列はFAMに関する蛍光測定値を示し、第2列はSRに関する蛍光測定値を示す。第3列は、試験したHTR2C DNAの遺伝子型を示す。
【0033】
図8Bは、図7Aの蛍光結果のグラフ表示を示す。該結果は、C特異的およびG特異的の両方のプライマーを使用する多重PCR反応の対立遺伝子識別を示している。
【0034】
図9Aは、野生型遺伝子および欠失突然変異体に関するCCR5遺伝子の遺伝子型決定の結果を示す。無DNA対照はNDCとして示されている。第1列はFAMに関する蛍光測定値を示し、第2列はSRに関する蛍光測定値を示す。第3列は、試験したCCR5 DNAの遺伝子型を示す。
【0035】
図9Bは、図8Aの蛍光結果のグラフ表示を示す。該結果は、野生型および欠失突然変異体の両方のプライマーを使用する多重PCR反応の良好な対立遺伝子識別を示している。
【0036】
発明の開示
PCRに基づく方法は、特異的ヌクレオチド配列(同定配列)を検出するために見出されたものであり、従来の技術の欠点を伴わない。本発明は、標的配列中の遺伝的多型(例えば、SNP)、挿入および欠失の迅速な検出を可能にする。多型の解明は、1以上の同定配列の存在を、配列特異的オリゴヌクレオチドプライマーへのそれらのハイブリダイゼーションにより判別することにより達成される。蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)で標識したオリゴヌクレオチドの本発明者らの創造的使用は、これらのハイブリダイゼーションの迅速な特徴づけを可能にする。
【0037】
本明細書で記載する「同定配列」(identifying sequence)は、対立遺伝子のような集団中に維持される遺伝子の変異、または突然変異のような個体の特定の核酸配列中の自発的変化を表し得る特定のヌクレオチド酸を意味する。野生型からの相違または変化は、単一ヌクレオチドまたは数個のヌクレオチドを含む可能性があり、典型的には、特定の表現型、疾患または疾患感受性を示す。
【0038】
個体からのゲノムサンプルは、該個体が或る遺伝子に関してホモ接合性であるか又はヘテロ接合性であるかに応じて、特定の遺伝子の2個の対立遺伝子を含みうる。したがって、ゲノムサンプルは、第1同定配列、第2同定配列、第1および第2の両方の同定配列を含有するか、またはいずれをも含有しない可能性がある。1つの実施形態においては、本発明は、第1同定配列、第2同定配列または両方の存在を同時に検出することにより、DNAサンプル中の遺伝的多型を同定する。この目的には、該サンプルを、工程(A)において、第1および第2オリゴヌクレオチドと接触させる。該第1および第2オリゴヌクレオチドは、それらの末端3’ヌクレオチドにおいてのみ、それぞれから異なっている。もう1つの好ましい実施形態においては、それらのオリゴヌクレオチドは、3’末端以外の1個以上のヌクレオチドにおいて異なっている。例えば、各プライマーの3’末端から離れた第2、第3、第4または第5ヌクレオチドは、個々に又は組み合わせて、異なっていてもよい。
【0039】
もう1つの実施形態においては、本発明は、種々の同定配列の存在を同時に判定するために使用することができる。例えば、特定の遺伝子が5つの可能な対立遺伝子を有する場合には、対応する同定配列に特異的な5つのオリゴヌクレオチドを同時に使用することができる。このようにして、該サンプルの遺伝子型を直ちに決定することができる。
【0040】
本発明の好ましい実施形態においては、2つの配列特異的オリゴヌクレオチドプライマー(一方は第1同定配列に特異的であり、もう一方は第2同定配列に特異的である)を、もう1つのプライマー(例えば、リバースプライマー)と共に、ゲノムDNA鋳型を含有するPCR混合物中で使用する。主として、プライマーの3’末端近くのヌクレオチドが特異性を決定する。したがって、配列特異的プライマーは、それらの末端3’ヌクレオチドのみにおいて、それぞれとは異なりうる。また、該プライマーは、3’末端ヌクレオチド以外の1個以上のヌクレオチドにおいて異なりうる。例えば、各プライマーの3’末端から離れた第2、第3、第4または第5ヌクレオチドは、個々に又は組み合わせて、異なりうる。3’末端ヌクレオチド以外のヌクレオチドが異なる場合には、該プライマー配列は多型をまたぐ(bridge)であろう。ミスマッチの位置には無関係に、適当なアニーリング温度およびPCR条件下では、各配列特異的プライマーは、その相補的配列を鋳型として使用する増幅を導くに過ぎない。ついで、得られたPCR産物(標的配列に相当する)は、該PCR産物にそれぞれが特異的である2つのFRET標識プライマーを、該PCR産物に相補的なもう1つのプライマーと共に使用するPCR増幅を行うことにより検出される。
【0041】
本発明のこの態様においては、上記方法は、以下の工程を含む:
【0042】
工程(A)においては、第1オリゴヌクレオチドを準備する。これは、(i)第1同定配列には特異的にハイブリダイズしうるが、1以上のヌクレオチドのミスマッチのために第2同定配列には特異的にハイブリダイズし得ない第1ヌクレオチド配列、および(ii)第1ヌクレオチド配列の5’末端における第2ヌクレオチド配列を含む。
【0043】
工程(B)においては、第2オリゴヌクレオチドを準備する。これは、(i)第2同定配列には特異的にハイブリダイズしうるが、1以上のヌクレオチドのミスマッチのために第1同定配列には特異的にハイブリダイズし得ない第3ヌクレオチド配列、および(ii)第3ヌクレオチド配列の5’末端における第4ヌクレオチド配列を含む。
【0044】
工程(C)においては、第3オリゴヌクレオチドを準備する。
【0045】
工程(D)においては、第4オリゴヌクレオチドを準備する。これは、(i)第5ヌクレオチド配列、(ii)第5ヌクレオチド配列の5’末端における第6ヌクレオチド配列、(iii)第6ヌクレオチド配列の5’末端における第7ヌクレオチド配列、および(iv)第7ヌクレオチド配列の5’末端における第8ヌクレオチド配列を含む。第5ヌクレオチド配列は第2ヌクレオチド配列と同一であり、第4オリゴヌクレオチドは、第6および第8ヌクレオチド配列のヌクレオチドを含有する第1ヘアピンを形成することが可能であり、第4オリゴヌクレオチドは、第1ヘアピンが形成されなければ第1検出シグナルを放出する。
【0046】
工程(E)においては、第5オリゴヌクレオチドを準備する。これは、(i)第9ヌクレオチド配列、(ii)第9ヌクレオチド配列の5’末端における第10ヌクレオチド配列、(iii)第10ヌクレオチド配列の5’末端における第11ヌクレオチド配列、および(iv)第11ヌクレオチド配列の5’末端における第12ヌクレオチド配列を含む。第9ヌクレオチド配列は第4ヌクレオチド配列と同一であり、第5オリゴヌクレオチドは、第10および第12ヌクレオチド配列のヌクレオチドを含有する第2ヘアピンを形成することが可能であり、第4オリゴヌクレオチドは、第2ヘアピンが形成されなければ第2検出シグナルを放出する。
【0047】
工程(F)においては、DNAサンプル中に第1同定配列が存在する場合には、(i)第1オリゴヌクレオチドを第1同定配列にアニールさせ、(ii)鋳型として第1同定配列を使用して第1オリゴヌクレオチドの3’末端を伸長させて、伸長第1鎖を形成させ(ここで、第1同定配列は伸長鎖にアニールする)、(iii)伸長鎖から第1同定配列を分離し、(iv)第3オリゴヌクレオチドを伸長第1鎖にアニールさせ、(v)鋳型として伸長第1鎖を使用して第3オリゴヌクレオチドの3’末端を伸長させて、伸長第2鎖を形成させ(ここで、伸長第1鎖は伸長第2鎖にアニールする)、(vi)伸長第2鎖から伸長第1鎖を分離し、(vii)第4オリゴヌクレオチドを伸長第2鎖にアニールさせ、(viii)鋳型として伸長第2鎖を使用して第4オリゴヌクレオチドの3’末端を伸長させて、二重伸長第1鎖を形成させ(ここで、二重伸長第1鎖は伸長第2鎖にアニールする)、(ix)伸長第2鎖から二重伸長第1鎖を分離し、(x)第3オリゴヌクレオチドを二重伸長第1鎖にアニールさせ、(xi)鋳型として二重伸長第1鎖を使用して第3オリゴヌクレオチドの3’末端を伸長させて、二重伸長第2鎖を形成させ、(xii)場合により、二重伸長第1および第2鎖を増幅し、(xiii)第1検出シグナルを検出し、(xiv)DNAサンプル中に第1同定配列が存在すると判定する。図2は、工程(F)の本質的部分を模式的に示したものである。
【0048】
工程(G)においては、DNAサンプル中に第2同定配列が存在する場合には、(i)第2オリゴヌクレオチドを第2同定配列にアニールさせ、(ii)鋳型として第2同定配列を使用して第2オリゴヌクレオチドの3’末端を伸長させて、伸長第3鎖を形成させ(ここで、第2同定配列は伸長第3鎖にアニールする)、(iii)伸長第3鎖から第2同定配列を分離し、(iv)第3オリゴヌクレオチドを伸長第3鎖にアニールさせ、(v)鋳型として伸長第3鎖を使用して第3オリゴヌクレオチドの3’末端を伸長させて、伸長第4鎖を形成させ(ここで、伸長第3鎖は伸長第4鎖にアニールする)、(vi)伸長第4鎖から伸長第3鎖を分離し、(vii)第5オリゴヌクレオチドを伸長第4鎖にアニールさせ、(viii)鋳型として伸長第4鎖を使用して第5オリゴヌクレオチドの3’末端を伸長させて、二重伸長第3鎖を形成させ(ここで、二重伸長第3鎖は伸長第4鎖にアニールする)、(ix)伸長第4鎖から二重伸長第3鎖を分離し、(x)第3オリゴヌクレオチドを二重伸長第3鎖にアニールさせ、(xi)鋳型として二重伸長第3鎖を使用して第3オリゴヌクレオチドの3’末端を伸長させて、二重伸長第4鎖を形成させる。ついで、(xii)場合により、二重伸長第3および第4鎖を増幅し、(xiii)第2検出シグナルを検出し、そして(xiv)DNAサンプル中に第2同定配列が存在すると判定する。
【0049】
好ましくは、第4オリゴヌクレオチドは、第1ヘアピンが形成されない場合に限り第1検出シグナルを放出し、第5オリゴヌクレオチドは、第2ヘアピンが形成されない場合に限り第2検出シグナルを放出する。第1ヘアピンが形成されない場合に第4オリゴヌクレオチドにより放出される第1検出シグナルは、好ましくは、第1ヘアピンが形成された場合に第4オリゴヌクレオチドにより放出されるシグナルより強力であり、また、第2ヘアピンが形成されない場合に第5オリゴヌクレオチドにより放出される第2検出シグナルは、第2ヘアピンが形成された場合に第5オリゴヌクレオチドにより放出されるシグナルより強力である。第4オリゴヌクレオチドは、理想的には、第1ヘアピンが形成されない場合に限り第1検出シグナルを放出し、第5オリゴヌクレオチドは、第2ヘアピンが形成されない場合に限り第2検出シグナルを放出する。
【0050】
好ましい実施形態においては、第4オリゴヌクレオチドは、第1エネルギーを放出しうる第1エネルギー供与成分と放出第1エネルギー量を吸収しうる第1エネルギー受容成分とを含む第1分子エネルギー転移ペアを含有する。第1供与成分は第6ヌクレオチド配列のヌクレオチドに結合しており、かつ第1受容成分は第8ヌクレオチド配列のヌクレオチドに結合しているか、または、第1受容成分は第6ヌクレオチド配列のヌクレオチドに結合しており、かつ第1供与成分は第8ヌクレオチド配列のヌクレオチドに結合しており、そして、第1受容成分は、第1ヘアピンが形成された場合に限り放出第1エネルギー量を吸収する。また、第5オリゴヌクレオチドは更に、第2エネルギーを放出しうる第2エネルギー供与成分と放出第2エネルギー量を吸収しうる第2エネルギー受容成分とを含む第2分子エネルギー転移ペアを含有する。第2供与成分は第10ヌクレオチド配列のヌクレオチドに結合しており、かつ第2受容成分は第12ヌクレオチド配列のヌクレオチドに結合しているか、または、第2受容成分は第10ヌクレオチド配列のヌクレオチドに結合しており、かつ第2供与成分は第12ヌクレオチド配列のヌクレオチドに結合しており、そして、第2受容成分は、第2ヘアピンが形成された場合に限り放出第2エネルギー量を吸収する。
【0051】
第1および第2供与成分のそれぞれは発蛍光団でありうる。第1および第2受容成分のそれぞれは、発蛍光団から放出される光のクエンチャー(消光物質)である。好ましい第1および第2受容成分はDABSYLであり、一方、好ましい第1供与成分はフルオレセインであり、好ましい第2受容成分はスルファローダミン(sulfarhodamine)であり、あるいはその逆であってもよい。
【0052】
理想的には、増幅反応は、ポリメラーゼ連鎖反応、例えば三重増幅(triamplification)、核酸配列に基づく増幅、鎖置換増幅、カスケードローリングサークル増幅、または増幅不応性突然変異系である。増幅反応をin situで行うことが可能である。
【0053】
工程(F)(xii)は、理想的には、(a)二重伸長第2鎖から二重伸長第1鎖を分離し、(b)第3オリゴヌクレオチドを二重伸長第1鎖にアニールさせ、第4オリゴヌクレオチドを二重伸長第2鎖にアニールさせ、(c)鋳型として二重伸長第1鎖を使用して第3オリゴヌクレオチドの3’末端を伸長させて、もう1つの二重伸長第2鎖を形成させ(ここで、二重伸長第1鎖はもう一方の二重伸長第2鎖にアニールする)、鋳型として二重伸長第2鎖を使用して第4オリゴヌクレオチドの3’末端を伸長させて、もう1つの二重伸長第1鎖を形成させ(ここで、二重伸長第2鎖はもう一方の二重伸長第1鎖にアニールする)、(d)上記(a)、(b)および(c)を有限回数反復させる(この場合、(a)においては、二重伸長第1および第2鎖は、それぞれ、(c)の二重伸長第1鎖およびもう一方の二重伸長第2鎖であるか、または、それぞれ、(c)のもう一方の二重伸長第1鎖および二重伸長第2鎖である)ことを含む。
【0054】
工程(G)(xii)は、理想的には、二重伸長第4鎖から二重伸長第3鎖を分離し、(b)第3オリゴヌクレオチドを二重伸長第3鎖にアニールさせ、第5オリゴヌクレオチドを二重伸長第4鎖にアニールさせ、(c)鋳型として二重伸長第3鎖を使用して第3オリゴヌクレオチドの3’末端を伸長させて、もう1つの二重伸長第4鎖を形成させ(ここで、二重伸長第3鎖はもう一方の二重伸長第4鎖にアニールする)、鋳型として二重伸長第4鎖を使用して第5オリゴヌクレオチドの3’末端を伸長させて、もう1つの二重伸長第3鎖を形成させ(ここで、二重伸長第4鎖はもう一方の二重伸長第3鎖にアニールする)、(d)上記(a)、(b)および(c)を有限回数反復させる(この場合、(a)においては、二重伸長第3および第4鎖は、それぞれ、(c)の二重伸長第3鎖およびもう一方の二重伸長第4鎖であるか、または、それぞれ、(c)のもう一方の二重伸長第3鎖および二重伸長第4鎖である)ことを含む。
【0055】
分子エネルギー転移(MET)現象は、供与分子と受容分子との間でエネルギーが通過する過程である。蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)は、少なくとも1つの発蛍光団が関与しており、METの一形態である。発蛍光団は、ある波長において光を吸収し、別の異なる波長において光を放出する化合物である。蛍光分光光度計を使用して、同時に、発蛍光団を励起する光を放出させ、発蛍光団から放出された光を検出する。FRETにおいては、発蛍光団は、光子を吸収した後このエネルギーを受容分子に転移する供与分子である。METまたはFRETに関与する供与分子および受容分子は、それぞれ「METペア」および「FRETペア」と称される。Forster,Z.Naturforsch A4:321−27(1994);Clegg,Methods In Enzymology 211:353−88(1992)。
【0056】
2つの発蛍光団が接近しており、第1発蛍光団の発光スペクトルが第2発蛍光団の励起スペクトルとオーバーラップする場合には、第1発蛍光団の励起が、第2発蛍光団により吸収される光を第1発蛍光団に放出させ、続いて第2発蛍光団に光を放出させる。その結果、第1発蛍光団の蛍光は消光され、一方、第2発蛍光団の蛍光が増強される。しかし、第1発蛍光団のエネルギーが、発蛍光団ではない化合物に転移されると、非発蛍光団による後続の発光を伴うことなく、第1発蛍光団の蛍光は消光される。
【0057】
FRET現象は、核酸を検出するために利用されている。これらの方法の1つは、米国特許第5,866,366号(その全体の内容を参照により本明細書に組み入れることとする)に開示されている。該’366特許は、標的核酸配列を検出するためにポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法においてプローブとして使用されるFRET標識ヘアピンオリゴヌクレオチドに関するものである。このオリゴヌクレオチドは、FRETペアを構成するエネルギー供与体およびエネルギー受容体を含有する。該供与体および受容体は、それぞれ、該オリゴヌクレオチドの第1および第2ヌクレオチド配列上に位置する。これらの2つのヌクレオチド配列は互いに相補的であり、したがって該オリゴヌクレオチド中でヘアピンを形成しうる。
【0058】
第1および第2ヌクレオチド配列が互いにアニールすると、供与体および受容体は接近する。この空間的配置においては、受容体は供与体からの発光を吸収し、それにより供与体からのシグナルを消光する。しかし、それらのヌクレオチド配列が互いにアニールしなければ、供与体および受容体は離れており、受容体は、もはや供与体からの発光を吸収することができず、供与体からのシグナルは消光されない。
【0059】
したがって、該オリゴヌクレオチドがPCR中に増幅産物内に取り込まれると、ヘアピンがほどけて、受容体からの供与体の分離およびそれに続く観察されうるシグナルの放出が生じる。しかし、該オリゴヌクレオチドがPCR産物内に取り込まれない場合には、ヘアピンはそのまま維持され、供与体からの発光は受容体により消光される。したがって、PCR後のシグナルの検出は標的の存在を示すこととなる。
【0060】
好ましい実施形態においては、(F)(i)を行う反応混合物中の第1オリゴヌクレオチドの濃度は、50nM未満、25nM未満または5nM未満、あるいは5〜50nM、あるいは20〜30nM、あるいは約25nMである。(F)(vii)を行う反応混合物中の第4オリゴヌクレオチドの濃度は、好ましくは、500nM未満、250nM未満または50nM未満、あるいは50〜500nM、あるいは200〜300nM、あるいは約250nMである。好ましくは、(F)(vii)を行う反応混合物中の第4オリゴヌクレオチドの濃度は、(F)(i)を行う反応混合物中の第1オリゴヌクレオチドの濃度の少なくとも5倍、10倍、20倍、30倍、5〜30倍、10〜20倍、または約10倍である。好ましくは、(F)(i)を行う反応混合物中の第2オリゴヌクレオチドの濃度は、50nM未満、25nM未満または5nM未満、あるいは5〜50nM、あるいは20〜30nM、あるいは約25nMである。好ましくは、(F)(vii)を行う反応混合物中の第5オリゴヌクレオチドの濃度は、500nM未満、250nM未満または50nM未満、あるいは50〜500nM、あるいは200〜300nM、あるいは約250nMである。好ましくは、(F)(vii)を行う反応混合物中の第5オリゴヌクレオチドの濃度は、(F)(i)を行う反応混合物中の第2オリゴヌクレオチドの濃度の少なくとも5倍、10倍、20倍、30倍、5〜30倍、10〜20倍、または約10倍である。
【0061】
もう1つの実施形態においては、本発明は、核酸多型を直接同定するための方法を提供する。この場合、検出は反応チューブを開放することなく行うことができる。この実施形態(「閉チューブ」形式)は、多数の用途でのPCRの使用を妨げている増幅産物によるキャリーオーバー(持ち込み)汚染の可能性を著しく減少させる。閉チューブ法はまた、サンプルのハイスループットをもたらし、完全自動化が可能である。
【0062】
サンプル中の核酸は精製されていても、未精製のものであってもよい。特定の実施形態においては、本発明のオリゴヌクレオチドは、新鮮な又は保存された組織または細胞のサンプル上で行うin situ増幅反応において使用される。in situ反応においては、増幅工程後に直接、標的の高精度かつ高感度な検出を可能にする方法を用いることが有利である。これとは対照的に、通常のin situ PCR法では、パラフィン包埋組織において、ハイブリダイゼーション工程による検出を行う必要がある。なぜなら、例えばCNS、リンパ節および脾臓からの組織サンプル中に不変的に存在するDNA修復機構が、PCR工程中のレポーターヌクレオチドの直接的取り込みによる検出を妨げるからである。典型的には、ビオチンまたはジゴキシゲニン成分で標識された通常の直鎖状プライマーをin situ PCRにおいて使用する場合には、アニーリングおよび伸長工程を含む増幅反応中に、検出可能な標識がほとんど又は全く取り込まれない。さらに、そのような成分で標識されたヌクレオチドの取り込みを増強するように増幅反応条件を改変すると、許容し得ないほどに高いバックグラウンドおよび偽陽性の結果が得られる。これは、サンプル中のニックDNA中に標識ヌクレオチドを組み込む内因性DNA修復酵素の活性のせいであると考えられる。他の研究者らは、別のタイプの単一標識PCRプライマーを使用することを試みているが(Nuovo,1997,PCR In Situ Hybridization:Protocols and Applications,Third Edition,Lippincott−Raven Press,New York)、十分な感度を達成することはできておらず、偽陰性の結果を招くことが多い。ハイブリダイゼーション工程およびそれに続く洗浄工程を必要とすることは、通常のin situ PCRプロトコールに更なる時間と経費を追加する。したがって、増幅工程後に直接的に標的の高精度かつ高感度の検出を可能にする方法を用いることが有利である。そのような方法が本発明により提供される。
【0063】
特定の実施形態においては、本発明の増幅反応を行った後に検出され測定される、供与成分により(例えば、クエンチャーが受容成分である場合)または受容成分により(例えば、発蛍光団または発色団が受容成分である場合)放出されるエネルギーは、サンプル中に元々存在する所定の標的配列の量と相関し、それにより、元のサンプル中に存在する所定の標的配列の量の測定を可能にする。したがって、本発明の方法は、所定の標的配列を含有する核酸多型の存在、染色体の数、またはDNAもしくはRNAの量を測定するために定量的に使用することができる。
【0064】
本発明のもう1つの実施形態においては、第1オリゴヌクレオチドは、(i)第1ヌクレオチド配列、(ii)第1ヌクレオチド配列の5’末端における第2ヌクレオチド配列、(iii)第2ヌクレオチド配列の5’末端における第3ヌクレオチド配列、および(iv)第3ヌクレオチド配列の5’末端における第4ヌクレオチド配列を含有する。ハイブリダイゼーション条件下、第1オリゴヌクレオチドは、第2および第4ヌクレオチド配列のヌクレオチドを含有する第1ヘアピンを形成するであろう(図3A)。逆に、第1オリゴヌクレオチドは、第1ヘアピンが形成されない場合には第1検出シグナルを放出する(図3B)。
【0065】
第2オリゴヌクレオチドは、(i)第5ヌクレオチド配列、(ii)第5ヌクレオチド配列の5’末端における第6ヌクレオチド配列、(iii)第6ヌクレオチド配列の5’末端における第7ヌクレオチド配列、および(iv)第7ヌクレオチド配列の5’末端における第8ヌクレオチド配列を含有する。この場合も、第2オリゴヌクレオチドは、第6および第8ヌクレオチド配列のヌクレオチドを含有する第2ヘアピンを形成することが可能であり、そして第2オリゴヌクレオチドは、第2ヘアピンが形成されない場合には第2検出シグナルを放出する。
【0066】
工程(B)においては、サンプル中に第1同定配列が存在する場合には、第1オリゴヌクレオチドはポリメラーゼにより二本鎖核酸中に取り込まれ、それにより第1ヘアピンの形成を妨げる(図4、2サイクルを通して)。あるいは、ポリメラーゼは、サンプル中に第2同定配列が存在する場合、二本鎖核酸中への第2オリゴヌクレオチドの組み込みを引き起こし、それにより第2ヘアピンの形成を妨げる。サンプル中に第1および第2同定配列の両方が存在する場合には、第1および第2オリゴヌクレオチドのそれぞれが二本鎖核酸中に取り込まれて、それぞれ第1および第2ヘアピンの形成を妨げる。
【0067】
任意の工程である工程(C)においては、増幅反応を行う(図4、nサイクルを通して)。その結果は、(i)サンプル中に第1同定配列が存在する場合の、第1増幅産物中への第1オリゴヌクレオチドの取り込み、(ii)サンプル中に第2同定配列が存在する場合の、第2増幅産物中への第2オリゴヌクレオチドの取り込み、または(iii)サンプル中に両方の同定配列が存在する場合の、第1増幅産物中への第1オリゴヌクレオチドの及び第2増幅産物中への第2オリゴヌクレオチドの取り込みである。工程(D)においては、サンプル中に第1同定配列が存在するか否か(すなわち、第1シグナルが検出されるか否か)、第2同定配列が存在するか否か(すなわち、第2シグナルが検出されるか否か)、またはサンプル中に両方の同定配列が存在するか否か(両方のシグナルが検出されるか否か)に関する判定を行う。
【0068】
好ましくは、第1オリゴヌクレオチドは、第1ヘアピンが形成されない場合に限り第1検出シグナルを放出し、第2オリゴヌクレオチドは、第2ヘアピンが形成されない場合に限り第2検出シグナルを放出する。第1ヘアピンが形成されない場合に第1オリゴヌクレオチドにより放出される第1検出シグナルは、好ましくは、第1ヘアピンが形成された場合に第1オリゴヌクレオチドにより放出されるシグナルより強力であり、また、第2ヘアピンが形成されない場合に第2オリゴヌクレオチドにより放出される第2検出シグナルは、第2ヘアピンが形成された場合に第2オリゴヌクレオチドにより放出されるシグナルより強力である。
【0069】
もう1つの実施形態においては、第1オリゴヌクレオチドは更に、第1エネルギーを放出しうる第1エネルギー供与成分と放出第1エネルギー量を吸収しうる第1エネルギー受容成分とを含む第1分子エネルギー転移ペアを含有する。第1供与成分は第2ヌクレオチド配列のヌクレオチドに結合しており、かつ第1受容成分は第4ヌクレオチド配列のヌクレオチドに結合しているか、または第1受容成分は第2ヌクレオチド配列のヌクレオチドに結合しており、かつ第1供与成分は第4ヌクレオチド配列のヌクレオチドに結合しており、そして、第1受容成分は、第1ヘアピンが形成された場合に限り放出第1エネルギー量を吸収する。また、第2オリゴヌクレオチドは更に、第2エネルギーを放出しうる第2エネルギー供与成分と放出第2エネルギー量を吸収しうる第2エネルギー受容成分とを含む第2分子エネルギー転移ペアを含有する。第2供与成分は第6ヌクレオチド配列のヌクレオチドに結合しており、かつ第2受容成分は第8ヌクレオチド配列のヌクレオチドに結合しているか、または第2受容成分は第6ヌクレオチド配列のヌクレオチドに結合しており、かつ第2供与成分は第8ヌクレオチド配列のヌクレオチドに結合しており、そして、第2受容成分は、第2ヘアピンが形成された場合に限り放出第2エネルギー量を吸収する。
【0070】
第1および第2供与成分のそれぞれは発蛍光団であること、ならびに第1および第2受容成分のそれぞれは、発蛍光団から放出される光のクエンチャー(消光物質)であることが好ましい。第1および第2受容成分の具体例としてはDABSYLが挙げられ、一方、第1供与成分はフルオレセインであり、第2受容成分はスルファローダミンでありうる。あるいは、第1供与成分はスルファローダミンであり、第2受容成分はフルオレセインである。
【0071】
増幅反応は、理想的には、ポリメラーゼ連鎖反応、例えば三重増幅(triamplification)、核酸配列に基づく増幅、鎖置換増幅、カスケードローリングサークル増幅、または増幅不応性突然変異系である。増幅反応はin situで行うことが可能である。
【0072】
本発明においては、「相補的」である核酸は、相補性から生じる所望の特性(例えば、ハイブリダイズする能力)が失われない限り、完全に又は不完全に相補的でありうる。
【0073】
本発明の更なる態様は、第1同定配列または第2同定配列または両方の存在を判定するためのキットに関する。特定の実施形態においては、該キットは、1以上の容器中に第1〜第5オリゴヌクレオチドを含む。該キットは更に、本発明の増幅反応を行うための追加の成分を含みうる。増幅すべき標的核酸配列が、疾患または障害に関与しているものである場合には、該キットは、診断または予後判定のために使用することができる。特定の実施形態においては、核酸多型の検出および増幅を行うための本発明のフォワードおよびリバースプライマーと、所望により、エキソヌクレアーゼ活性をもつ及びもたないそれぞれ1種または2種のDNAポリメラーゼとを、1以上の容器中に含むキットを提供する。三重増幅のためのキットは更に、ブロッキングオリゴヌクレオチドと、場合により、DNAリガーゼとを、1以上の容器中に含みうる。
【0074】
容器中のオリゴヌクレオチドは、任意の形態、例えば、凍結乾燥形態または溶解状態(例えば、蒸留水または緩衝溶液)などでありうる。同一の増幅反応においてすぐに使用する複数のオリゴヌクレオチドは単一の容器中に組み合わせても、別々の容器中に入れてもよい。また、2以上の増幅(フォワードおよびリバース)プライマー対を含有する多重キットも提供され、その場合、各増幅産物から検出されるシグナルは異なる波長のものである(例えば、各プライマー対の供与成分が異なる波長において蛍光を発する)。そのような多重キットは少なくとも2つのそのようなプライマー対を含有する。
【0075】
特定の実施形態においては、キットは、増幅を開始させることができるプライマー(好ましくは、10〜100または10〜80ヌクレオチドの範囲、より好ましくは、20〜40ヌクレオチドの範囲のもの)の対を、1以上の容器中に含む。そのようなプライマーは、PCR(例えば、Innisら,1990,PCR Protocols,Academic Press,Inc.,San Diego,Calif.を参照されたい)、競合的PCR、競合的逆転写PCR(Clementiら,1994,Genet.Anal.Tech.Appl.11(1):1−6;Siebertら,1992,Nature 359:557−558)、三重増幅、NASBAおよび鎖置換を含むがこれらに限らない種々の増幅反応において増幅を開始させることが可能である。
【0076】
PCRまたは鎖置換による増幅に使用するためのフォワードプライマーとリバースプライマーからなるプライマー対は、2つの相補的核酸鎖の異なる鎖にそれぞれ相補的であるプライマーよりなり、一方のプライマーの、他方のプライマーの方向への伸長産物が核酸ポリメラーゼにより産生された場合には、その伸長産物は他方のプライマーの伸長産物の合成のための鋳型として働く。三重増幅に使用するための、フォワードプライマーとリバースプライマーからなるプライマー対は、2つの相補的核酸鎖の異なる鎖にそれぞれ相補的であるプライマーよりなり、一方のプライマーの、他方のプライマーの方向への伸長連結産物が核酸ポリメラーゼおよび核酸リガーゼにより産生された場合には、その伸長連結産物は他方のプライマーの伸長連結産物の合成のための鋳型として働きうる。これらの場合の増幅産物は、プライマー配列間(プライマーを含む)のサンプル中の核酸の内容物である。
【0077】
もう1つの実施形態においては、第1同定配列または第2同定配列または両方の存在を判定するためのキットは、1以上の容器中に、(a)オリゴヌクレオチドプライマー(その一方または両方は、METを引き起こしうる消光成分および蛍光成分で標識されたヘアピンプライマーである)を含み、場合により、(b)対照DNA標的配列、(c)増幅用の最適化バッファー、(d)意図される増幅法のための適切な酵素、例えば、PCR、三重増幅またはSDAにはDNAポリメラーゼ、あるいはNASBAには逆転写酵素、および(e)増幅反応を実施するための1組の説明書を含みうる。そのような説明書には、例えば、該反応を行うための最適な条件、例えば温度、増幅のサイクル数、pH、塩などが記載されている。所望により、該キットは、(f)蛍光発光を刺激し検出するための手段、例えば、該分析を行うための蛍光プレートリーダーまたは複合サーモサイクラー−プレートリーダーを備えていてもよい。
【0078】
さらにもう1つの実施形態においては、三重増幅のためのキットを提供する。該キットは、フォワードおよびリバース伸長プライマーならびにブロッキングオリゴヌクレオチドを含む。フォワードまたはリバースプライマーのいずれかをMET成分のペアの一方の成分で標識し、ブロッキングオリゴヌクレオチドを該ペアの他方のMET成分で標識する。そのようなキットの1つの実施形態は、1以上の容器中に、(a)第1オリゴヌクレオチド、(b)第2オリゴヌクレオチド(第1および第2オリゴヌクレオチドは三重増幅反応に使用するための直鎖状プライマーである)、(c)第1オリゴヌクレオチドの配列に相補的であってハイブリダイズ可能な配列を含むブロッキングオリゴヌクレオチドである第3オリゴヌクレオチド(第1および第3オリゴヌクレオチドは、それぞれ、供与成分と受容成分とよりなる分子エネルギー転移ペアのメンバーである第1および第2成分で標識されており、その結果、第1および第3オリゴヌクレオチドが互いにハイブリダイズし、供与成分が励起されてエネルギーを放出すると、受容成分は供与成分により放出されたエネルギーを吸収する)を含み、そして(d)別の容器中に核酸リガーゼを含む。
【0079】
キットのもう1つの実施形態は、容器中に普遍的ヘアピンを含み、また、所望により、臭化シアンまたは核酸リガーゼ(例えば、T4 DNAリガーゼなどのDNAリガーゼ)を含有する第2容器を含む。
【0080】
図2に示すような反応を行うためのキットは、1以上の容器中に、(a)第1および第2オリゴヌクレオチド、(b)第3オリゴヌクレオチド(ここで、第1および第2オリゴヌクレオチドはフォワードプライマーであり、第3オリゴヌクレオチドは、核酸多型を同定するための増幅反応におけるDNA合成用のリバースプライマーであり、第1および第2オリゴヌクレオチドは、(i)該核酸配列中の所定の標的配列に相補的でない5’配列、および(ii)所定の標的配列に相補的である3’配列を含み、1以上のミスマッチヌクレオチドを含みうる)、および(c)第4オリゴヌクレオチド[これは、5’から3’の順序で、(i)6〜30ヌクレオチドの第1ヌクレオチド配列(ここで、第1ヌクレオチド配列中のヌクレオチドは、分子エネルギー転移ペアの供与成分および受容成分よりなる群から選ばれる第1成分で標識されており、供与成分は励起されると1以上の特定の波長のエネルギーを放出し、受容成分は供与成分により放出された1以上の特定の波長におけるエネルギーを吸収する)、(ii)3〜20ヌクレオチドの一本鎖の第2ヌクレオチド配列、(iii)6〜30ヌクレオチドの第3ヌクレオチド配列(ここで、第3ヌクレオチド配列中のヌクレオチドは、供与成分および受容成分よりなる群から選ばれる第2成分で標識されており、第2成分は、第1ヌクレオチド配列を標識していない上記群のメンバーであり、第3ヌクレオチド配列は、第1ヌクレオチド配列と第3ヌクレオチド配列との間で二本鎖を形成するのに十分な程度に逆の順序で第1ヌクレオチド配列に相補的であり、そのため、第1成分と第2成分とは十分に接近していて、供与成分が励起されてエネルギーを放出すると、受容成分は供与成分により放出されたエネルギーを吸収する)、(iv)第3オリゴヌクレオチドプライマーの3’末端における、10〜25ヌクレオチドの第4ヌクレオチド配列(これは、第1オリゴヌクレオチドプライマーの5’配列と同一である配列をその3’末端に含む)を含む]を含む。そのようなキットを三重増幅に使用する場合には、ブロッキングオリゴヌクレオチドも提供されうる。
【0081】
本発明のもう1つのキットは、1以上の容器中に、(a)第1オリゴヌクレオチド、(b)第2オリゴヌクレオチド(第1および第2オリゴヌクレオチドは互いにハイブリダイズ可能であり、第1オリゴヌクレオチドは供与成分で標識されており、第2オリゴヌクレオチドは受容成分で標識されており、供与および受容成分は分子エネルギー転移ペアであり、ここで、供与成分は励起されると1以上の特定の波長のエネルギーを放出し、受容成分は供与成分により放出された1以上の特定の波長におけるエネルギーを吸収する)を含み、そして(c)別の容器中に核酸リガーゼを含む。
【0082】
本発明のアプローチは、とりわけ、遺伝病の診断、キャリア(保因者)のスクリーニング、HLAタイピング、ヒト遺伝子マッピング、法科学および親子鑑定のための有効な手段を与える。本発明は、以下の実施例を参考にして更に詳しく説明されるが、これらの実施例は例示として記載されているに過ぎない。以下の実施例中のいかなる点も、本発明の全体的な精神および範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0083】
実施例
実施例1:普遍的FRETプライマーによる一般的な増幅反応
1.プライマーの設計
本発明のオリゴヌクレオチドプライマーの概要を図1に示す。
【0084】
以下の実施例の目的においては、本発明のオリゴヌクレオチドプライマーは、以下に記載するプライマーとして表示される。
【0085】
O1は、本発明においては、「フォワードプライマー」と称される。これは、1以上の多型の検出のための1以上のミスマッチヌクレオチドを含有する配列特異的プライマーであり、FAM普遍的プライマーに結合しうる。
【0086】
O2は、本発明においては、「フォワードプライマー」と称される。これは、1以上の多型の検出のための1以上のミスマッチヌクレオチドを含有する第2配列特異的プライマーである。このプライマーは、SR普遍的プライマーに結合しうる。
【0087】
O3は、本発明においては、「リバースプライマー」と称される。
【0088】
O4は、本発明においては、「FAM普遍的プライマー」と称される。
【0089】
O5は、本発明においては、「SR普遍的プライマー」と称される。
【0090】
フォワードおよびリバースプライマーの具体例は、表1および表2に記載されている。表1は、フォワードおよびリバースの両プライマーの代表的具体例を例示する。表1中の配列特異的フォワードプライマー対は、それらの末端3’ヌクレオチドにおいて異なる。表2は、フォワードおよびリバースの両プライマーの代表的具体例、ならびに多型を含有する遺伝子標的配列を例示する。
【0091】
以下の実施例において使用する普遍的FRETプライマーは、以下の配列を含む:
緑(FAM)プライマー:
(配列番号1)
赤(スルホローダミン(SR))プライマー:
(配列番号2)。
【0092】
ヘアピンを形成しうる配列は両方の普遍的プライマーにおいて下線で示されており、斜体文字のTは、DABSYLクエンチャーが塩基に結合している部位を示す。
【0093】
【表1】
【0094】
【表2】
【0095】
1.増幅:
増幅反応は、Victor II蛍光プレートリーダー(Wallac)上で直接的に読み取ることが可能な、標準96ウェルポリプロピレンPCRプレート反応においてアセンブルした。あるいは反応をチューブ中で行い、ついで、蛍光測定用のプレートに移すことができる。PCR増幅反応混合物を以下に示す。
【0096】
2.反応混合物:最終容積は20μlとした。
* 代替酵素として、Platinum Taq(BRL)が、同じバッファーと共に成功裏に使用された。
【0097】
3.PCR反応:
UltraPlateをサイクルシーラー(Robbins Scientific)で密封し、サーモサイクラーブロック(Perkin−Elmer 9700)上に配置し、予め94℃に加熱した。94℃で5分間加熱した後、35サイクルの増幅反応(94℃で10秒、55℃で20秒、72℃で40秒)を行った。
【0098】
4.蛍光測定
反応後、相互干渉(クロストーク)を防止するために該プレートを黒色支持体中に配置し、蛍光強度を緑色および赤色フィルターで測定した。いくつかの装置(2つの蛍光プレートリーダーおよび2つのデジタルカメラ)がサンプルの蛍光測定に適していることが判明した。
【0099】
測定は、Victor II 蛍光プレートリーダー(Wallac)を使用して行った。SRチャンネル用の追加の発光および励起フィルターが製造業者によりインストールされた。
【0100】
実施例2:CYP17遺伝子中のSNPを検出するための多重対立遺伝子特異的PCR
1.増幅反応:
ヒトゲノムDNAのサンプルを、CYP17遺伝子中の*2対立遺伝子の存在に関して分析した。特に、A型またはG型対立遺伝子の存在に関してDNAサンプルを分析した。
【0101】
PCR増幅反応プライマー
A型対立遺伝子に特異的な未標識フォワードプライマーは、配列5’−gaaggtgaccaagttcatgctGCCACAGCTCTTCTACTCCACT(配列番号12)(ここで、FAM標識プライマーの3’部分と同一の配列は小文字で示されている)を含んでいた。G型対立遺伝子に特異的な未標識フォワードプライマーは、配列5’−gaaggtcggagtcaacggattGCCACAGCTCTTCTACTCCACC(ここで、SR標識プライマーの3’部分と同一の配列は小文字で示されている)を含んでいた。多型の同定に導いたヌクレオチドには下線が引いてある。該反応で使用したリバースプライマーは、配列GGCACCAGGCCACCTTCTCTT(配列番号14)を含んでいた。使用した普遍的FRETプライマーは、実施例1に記載のものと同一であった。
【0102】
2.増幅反応
多重PCR反応が高レベルの対立遺伝子識別を達成しうるか否かを判定するために、3組の増幅反応を準備した。
【0103】
反応1(一重):
ヒトゲノムDNAを使用する増幅反応混合物は、実施例1に記載のものと同じであったが、次のような相違を含んでいた。この反応では、A型対立遺伝子特異的プライマー、FAM標識ヘアピンプライマーおよびリバースプライマーのみを使用した。
【0104】
反応2(一重):
ヒトゲノムDNAを使用する増幅反応混合物は、実施例1に記載のものと同じであったが、次のような相違を含んでいた。この反応では、G型対立遺伝子特異的プライマー、SR標識ヘアピンプライマーおよびリバースプライマーのみを使用した。
【0105】
反応3(多重):
ヒトゲノムDNAを使用する増幅反応混合物は、実施例1に記載のものと同じであった。この反応では、両方のフォワードプライマー、すなわち、G型対立遺伝子特異的プライマーおよびA型対立遺伝子特異的プライマー、SR標識ヘアピンプライマー、FAM標識ヘアピンプライマーならびにリバースプライマーを使用した。両方の対立遺伝子特異的プライマーが同じ反応中に存在しているため、この反応は多重PCR増幅の典型例である。
【0106】
3.PCR反応
それらの3組の反応はそれぞれ、3つの「無DNA対照」(NDC)を含んでいた。混合物を予め94℃で3分間加熱した後、94℃で10秒、55℃で20秒および72℃で40秒の熱サイクル(サーモサイクリング)(PCR)を35サイクル行った。
【0107】
4.蛍光測定
PCR後、FAMについては585nmおよびSRについては620nmの発光フィルターを使用して、プレートリーダーで相対蛍光を測定した。無DNA対照における平均蛍光シグナルを、各サンプル反応の対応シグナルから引き算した。補正蛍光シグナルをプロットで示す(図5B)。
【0108】
5.結果
結果を図5Aおよび5Bに示す。図5Aおよび5Bは、A型特異的プライマーがA型およびG型の両方のDNA上でFAMシグナルを生成し(1および2)、G特異的プライマーがA型およびG型の両方のDNAでSRシグナルを生成したこと(3および4)を示している。したがって、これらのプライマーを別々に選択した場合には、対立遺伝子識別は低く、DNA型を識別するのに十分ではなかった。しかしながら、A特異的およびG特異的の両方のプライマーが同時に存在する場合(反応3、多重PCR)(5および6)。
【0109】
実施例3:HER2遺伝子中のSNPを検出するための多重対立遺伝子特異的PCR
1.増幅反応:
ゲノムDNAのサンプルを、HER2遺伝子中のSNPの存在に関して分析した。特に、A型またはG型対立遺伝子の存在に関してDNAサンプルを分析した。
【0110】
PCR増幅反応プライマー
プライマーおよび標的配列を表2(A)に要約する。A型対立遺伝子に特異的な未標識フォワードプライマーは、配列5’−gaaggtgaccaagttcatgctGCCAACCACCGCAGAGAT(配列番号XX)(ここで、FAM標識プライマーの3’部分と同一の配列は小文字で示されており、多型の同定に導いたヌクレオチドには下線が引いてある)を含んでいた。G型対立遺伝子に特異的な未標識フォワードプライマーは、配列5’−gaaggtcggagtcaacggattGCCAACCACCGCAGAGAC(配列番号XX)(ここで、SR標識プライマーの3’部分と同一の配列は小文字で示されており、多型の同定に導いたヌクレオチドには下線が引いてある)を含んでいた。該反応で使用したリバースプライマーは、配列TCAATCCCTGACCCTGGCTT(配列番号XX)を含んでいた。使用した普遍的FRETプライマーは、実施例1に記載のものと同一であった。
【0111】
2.多重増幅反応:
ゲノムDNAを使用する増幅反応混合物は、実施例1に記載のものと同じであった。この反応では、両方のフォワードプライマー、すなわち、G型対立遺伝子特異的プライマーおよびA型対立遺伝子特異的プライマー、SR標識ヘアピンプライマー、FAM標識ヘアピンプライマーならびにリバースプライマーを使用した。
【0112】
3.PCR反応
PCR反応はそれぞれ、4つの「無DNA対照」(NDC)を含んでいた。混合物を予め94℃で3分間加熱した後、94℃で10秒、55℃で20秒および72℃で40秒の熱サイクル(サーモサイクリング)(PCR)を35サイクル行った。
【0113】
4.蛍光測定
PCR後、FAMについては585nmおよびSRについては620nmの発光フィルターを使用して、プレートリーダーで相対蛍光を測定した。無DNA対照における平均蛍光シグナルを、各サンプル反応の対応シグナルから引き算した。補正蛍光シグナルをプロットで示す(図6Aおよび6B)。
【0114】
5.結果
結果を図6Aおよび6Bに示す。この図は、A特異的およびG特異的の両方のプライマーが同時に存在する場合の良好な対立遺伝子識別を示している。
【0115】
実施例4:多型をまたぐことによりCYP2C8遺伝子中のSNPを検出するための多重対立遺伝子特異的PCR
1.増幅反応:
ゲノムDNAのサンプルを、CYP2C8遺伝子中のSNPの存在に関して分析した。特に、C型またはT型対立遺伝子の存在に関してDNAサンプルを分析した。この反応で使用したプライマーは互いに相違する。T型対立遺伝子に特異的なプライマーは、その3’末端ヌクレオチド以外のヌクレオチドが異なるため、多型をまたいでいる(bridge)。
【0116】
PCR増幅反応プライマー
プライマーおよび標的配列を表2(B)に要約する。C型対立遺伝子に特異的な未標識フォワードプライマーは、配列5’−gaaggtgaccaagttcatgctGTTGCAGGTGATAGCAGATCG(配列番号XX)(ここで、FAM標識プライマーの3’部分と同一の配列は小文字で示されており、多型の同定に導いたヌクレオチドには下線が引いてある)を含んでいた。T型対立遺伝子に特異的な未標識フォワードプライマーは、配列5’−gaaggtcggagtcaacggattGTTGCAGGTGATAGCAGATAG(配列番号XX)(ここで、SR標識プライマーの3’部分と同一の配列は小文字で示されており、多型の同定に導いたヌクレオチドには下線が引いてある)を含んでいた。このプライマーの場合、3’末端ヌクレオチドではなく、該プライマーの3’末端から2番目のヌクレオチドが異なる。該反応で使用したリバースプライマーは、配列TGCTTCATCCCTGTCTGAAGAAT(配列番号XX)を含んでいた。使用した普遍的FRETプライマーは、実施例1に記載のものと同一であった。
【0117】
2.多重増幅反応:
ゲノムDNAを使用する増幅反応混合物は、実施例1に記載のものと同じであった。この反応では、両方のフォワードプライマー、すなわち、C型対立遺伝子特異的プライマーおよびT型対立遺伝子特異的プライマー、SR標識ヘアピンプライマー、FAM標識ヘアピンプライマーならびにリバースプライマーを使用した。
【0118】
3.PCR反応
PCR反応はそれぞれ、4つの「無DNA対照」(NDC)を含んでいた。混合物を予め94℃で3分間加熱した後、94℃で10秒、55℃で20秒および72℃で40秒の熱サイクル(サーモサイクリング)(PCR)を35サイクル行った。
【0119】
4.蛍光測定
PCR後、FAMについては585nmおよびSRについては620nmの発光フィルターを使用して、プレートリーダーで相対蛍光を測定した。無DNA対照における平均蛍光シグナルを、各サンプル反応の対応シグナルから引き算した。補正蛍光シグナルをプロットで示す(図7Aおよび7B)。
【0120】
5.結果
結果を図7Aおよび7Bに示す。この図は、C特異的およびT特異的の両方のプライマーが同時に存在する場合の良好な対立遺伝子識別を示している。
【0121】
実施例5:多型をまたぐことによりHTR2C遺伝子中のSNPを検出するための多重対立遺伝子特異的PCR
1.増幅反応:
ゲノムDNAのサンプルを、HTR2C遺伝子中のSNPの存在に関して分析した。特に、C型またはG型対立遺伝子の存在に関してDNAサンプルを分析した。この反応で使用したプライマーは、3’末端ヌクレオチドから3番目のヌクレオチドが異なるため、多型をまたいでいる。
【0122】
PCR増幅反応プライマー
プライマーおよび標的配列を表2(C)に要約する。C型対立遺伝子に特異的な未標識フォワードプライマーは、配列5’−gaaggtgaccaagttcatgctGGGCTCACAGAAATATCAGAT(配列番号XX)(ここで、FAM標識プライマーの3’部分と同一の配列は小文字で示されており、多型の同定に導いたヌクレオチドには下線が引いてある)を含んでいた。T型対立遺伝子に特異的な未標識フォワードプライマーは、配列5’−gaaggtcggagtcaacggattGGGCTCACAGAAATATCACAT(配列番号XX)(ここで、SR標識プライマーの3’部分と同一の配列は小文字で示されており、多型の同定に導いたヌクレオチドには下線が引いてある)を含んでいた。このプライマーの場合、3’末端ヌクレオチドではなく、該プライマーの3’末端から2番目のヌクレオチドが異なる。該反応で使用したリバースプライマーは、配列TGCACCTAATTGGCCTATTGGTTT(配列番号XX)を含んでいた。使用した普遍的FRETプライマーは、実施例1に記載のものと同一であった。
【0123】
2.多重増幅反応:
ゲノムDNAを使用する増幅反応混合物は、実施例1に記載のものと同じであった。この反応では、両方のフォワードプライマー、すなわち、G型対立遺伝子特異的プライマーおよびC型対立遺伝子特異的プライマー、SR標識ヘアピンプライマー、FAM標識ヘアピンプライマーならびにリバースプライマーを使用した。
【0124】
3.PCR反応
PCR反応はそれぞれ、4つの「無DNA対照」(NDC)を含んでいた。混合物を予め94℃で3分間加熱した後、94℃で10秒、55℃で20秒および72℃で40秒の熱サイクル(サーモサイクリング)(PCR)を35サイクル行った。
【0125】
4.蛍光測定
PCR後、FAMについては585nmおよびSRについては620nmの発光フィルターを使用して、プレートリーダーで相対蛍光を測定した。無DNA対照における平均蛍光シグナルを、各サンプル反応の対応シグナルから引き算した。補正蛍光シグナルをプロットで示す(図8Aおよび8B)。
【0126】
5.結果
結果を図8Aおよび8Bに示す。この図は、C特異的およびG特異的の両方のプライマーが同時に存在する場合の良好な対立遺伝子識別を示している。
【0127】
実施例6:CCR5遺伝子中の欠失を検出するための多重対立遺伝子特異的PCR
1.増幅反応:
ゲノムDNAのサンプルを、CCR5遺伝子中の欠失の存在に関して分析した。特に、該遺伝子欠失の存在または不存在に関してDNAサンプルを分析した。
【0128】
PCR増幅反応プライマー
プライマーおよび標的配列を表2(D)に要約する。野生型対立遺伝子に特異的な未標識フォワードプライマーは、配列5’−gaaggtgaccaagttcatgctCTCATTTTCCATACAGTCA(配列番号XX)(ここで、FAM標識プライマーの3’部分と同一の配列は小文字で示されており、野生型対立遺伝子の同定に導いたヌクレオチドには下線が引いてある)を含んでいた。突然変異対立遺伝子に特異的な未標識フォワードプライマーは、配列5’−gaaggtcggagtcaacggattgcagctctcattttccatacatta(配列番号XX)(ここで、SR標識プライマーの3’部分と同一の配列は小文字で示されている)を含んでいた。該反応で使用したリバースプライマーは、配列ACCAGCCCCAAGATGACTATCTT(配列番号XX)を含んでいた。使用した普遍的FRETプライマーは、実施例1に記載のものと同一であった。
【0129】
2.多重増幅反応
ゲノムDNAを使用する増幅反応混合物は、実施例1に記載のものと同じであった。この反応では、両方のフォワードプライマー、すなわち、野生型対立遺伝子特異的プライマーおよび突然変異対立遺伝子特異的プライマー、SR標識ヘアピンプライマー、FAM標識ヘアピンプライマーならびにリバースプライマーを使用した。
【0130】
3.PCR反応
PCR反応はそれぞれ、4つの「無DNA対照」(NDC)を含んでいた。混合物を予め94℃で3分間加熱した後、94℃で10秒、55℃で20秒および72℃で40秒の熱サイクル(サーモサイクリング)(PCR)を35サイクル行った。
【0131】
4.蛍光測定
PCR後、FAMについては585nmおよびSRについては620nmの発光フィルターを使用して、プレートリーダーで相対蛍光を測定した。無DNA対照における平均蛍光シグナルを、各サンプル反応の対応シグナルから引き算した。補正蛍光シグナルをプロットで示す(図9Aおよび9B)。
【0132】
5.結果
結果を図9Aおよび9Bに示す。この図は、野生型特異的および突然変異特異的の両方のプライマーが同時に存在する場合の良好な対立遺伝子識別を示している。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明のオリゴヌクレオチドプライマーの一般的模式図を示す。
【図2】
本発明の方法の好ましい実施形態の1つを示す模式図である。
【図3】
(A)ヘアピンコンホメーションおよび(B)伸長コンホメーションをとったオリゴヌクレオチドの構造の模式図である。
【図4】
ポリメラーゼ連鎖反応を用いる本発明の方法のもう1つの実施形態を示す。
【図5】
図5Aは、A型対立遺伝子およびG型対立遺伝子に関するCYP17遺伝子の遺伝子型決定の結果を示す。図5Bは、一重(シングルプレックス)PCR反応に対する多重(マルチプレックス)PCR反応の利点を示す。
【図6】
図6Aは、A型対立遺伝子およびG型対立遺伝子に関するHER2遺伝子の遺伝子型決定の結果を示す。図6Bは、図5Aの蛍光結果のグラフ表示を示す。
【図7】
図7Aは、C型対立遺伝子およびT型対立遺伝子に関するCYP2C8遺伝子の遺伝子型決定の結果を示す。図7Bは、図6Aの蛍光結果のグラフ表示を示す。
【図8】
図8Aは、C型対立遺伝子およびG型対立遺伝子に関するHTR2C遺伝子の遺伝子型決定の結果を示す。図8Bは、図7Aの蛍光結果のグラフ表示を示す。
【図9】
図9Aは、野生型遺伝子および欠失突然変異体に関するCCR5遺伝子の遺伝子型決定の結果を示す。図9Bは、図8Aの蛍光結果のグラフ表示を示す。
本出願は、2000年10月24日付け出願の米国仮特許出願第60/242,672号に基づく優先権の利益を主張する。
【0002】
発明の分野
本発明は、広義には、特異的ヌクレオチド配列の検出方法に関する。より詳しくは、本発明は、エネルギー供与体とエネルギー受容体とを含む分子エネルギー転移(MET)ペアで標識されたオリゴヌクレオチドからのシグナルの検出がサンプル中の特異的ヌクレオチド配列の存在を示す方法に関する。この方法は、他のヌクレオチドの環境中の単一ヌクレオチドを識別するのに十分な感度を有する。したがって、本発明はまた、一塩基(単一ヌクレオチド)多型(SNP)のような核酸多型の検出に関する。
【0003】
発明の背景
遺伝子中の或る同定ヌクレオチド配列は、疾患の存在、疾患に対する感受性または表現型を示唆する。これらの同定配列は個体の特定の遺伝子中の自発的変化(例えば、突然変異)を表したり、あるいは集団中に維持される遺伝子(例えば、対立遺伝子)の形態間の相違を表しうる。かかる変化または相違は遺伝子中のいくつかのヌクレオチドにおいて生じたり、あるいは単一ヌクレオチドにおいて生じうる。単一ヌクレオチドの変化または相違は、検出系に対する、より大きな挑戦に相当する。
【0004】
遺伝子の対立遺伝子間を識別する同定配列は、関心のある相違が1つのヌクレオチド位置に存在する場合には、「一塩基多型」、すなわちSNPを特徴づけると言われている。単一ヌクレオチドの変化は種々の遺伝病を引き起こすことが示されている。例えば、鎌状赤血球貧血は、ヒトβグロビン遺伝子の第6コドン中のアデニン残基からチミン残基へのトランスバージョン(塩基転換)により引き起こされる。このトランスバージョンは、ヘモグロビンのβグロビンサブユニット中のグルタミン酸残基からバリン残基への置換を引き起こして、デオキシヘモグロビン分子の溶解性を低下させ、そして、罹患赤血球の「鎌状化」をもたらす。鎌状赤血球は微小循環系中に捕捉され、多くの臓器を損傷させる。
【0005】
Kanら,Lancet 2:910−12(1978)は、HpaI制限断片長多型に対する鎌状細胞対立遺伝子の連鎖に基づき、罹患個体からのDNAを調べることにより鎌状赤血球を診断した最初の記載であった。その後、Geeverら,Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 78:5081−85(1982)およびChangら,New England J.Med.307:30−32(1982)は、問題の突然変異がDdeIおよびMstIIの両方の切断部位に影響を及ぼし、したがって制限酵素分解により直接的に検出されうることを示した。Connerら,Proc.Nat’l.Acad.Sci.USA 80:278−82(1983)は、配列特異的オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーションを用いることによる単一ヌクレオチド変異の直接的検出のための、より一般的なアプローチを記載している。この方法においては、短い合成オリゴヌクレオチドプローブが、適当な条件下、1つの対立遺伝子のみにハイブリダイズする。
【0006】
これらのアプローチのすべては、遅々たるもので、技術的には挑戦的であり、相応に大量のDNAを必要とする。
【0007】
Saikiら,Science 230:1350−54(1985)により開発されたポリメラーゼ連鎖反応(PCR)は、少量の標的DNAの迅速な増幅を可能にした。PCRは、関心のある配列にまたがる位置でDNAの反対鎖にアニールする2つのオリゴヌクレオチドプライマーを使用する。該DNA配列の鋳型依存的合成の連続的ラウンドのために、大腸菌(E.coli)DNAポリメラーゼIのクレノウフラグメント(Saikiら(1985),前掲)またはテルムス・アクアティカス(Thermus aquaticus)DNAポリメラーゼ(Saikiら,Science 239:487−91(1988))のようなDNAポリメラーゼを使用する。それぞれの新ラウンドの開始前に、DNAを変性させ、大腸菌(E.coli)酵素の場合には新鮮な酵素を加える。このようにして、標的配列の指数関数的増幅が達成される。
【0008】
ついで、得られた増幅DNAを、配列特異的オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーション(Saikiら,Nature 324:163−66(1986))、制限酵素切断(Saikiら(1985),前掲;Chehabら,Nature 329:293−94(1987))、オリゴヌクレオチドペアの連結(Landegrenら,Science 241:1077−80(1988))または連結増幅により、鎌状細胞突然変異のようなDNA配列変異の存在に関して容易に分析することができる。PCRは分析速度を迅速化させ、必要となるDNAの量を減少させたが、それはDNA配列変異の分析方法を変化させるものではなかった。
【0009】
その後、Wallaceらの米国特許第5,639,611号は、鎌状細胞貧血を引き起こす対立遺伝子の検出に適していると言われている対立遺伝子特異的ポリメラーゼ連鎖反応を開示している。Wallaceらは、PCRプライマーの1つの3’ヌクレオチドが鋳型とミスマッチ塩基対を形成する場合、低い効率で増幅が進行することを見出した。したがって、Wallaceの方法では、特異的プライマーは特異的対立遺伝子のみの増幅を導く。複数ラウンドの増幅後の増幅断片の形成は、試験サンプル中の対立遺伝子の存在を示す。
【0010】
Wallaceの方法は制限消化および放射能標識ハイブリダイゼーションに対する改良に相当するが、該アプローチは依然として労力および時間を要するものである。この方法は、ゲル電気泳動を必要とすることに加えて、複数の増幅反応とサンプルの遺伝子型を同定するための検出反応とを行う必要がある。したがって、一塩基多型を含む同定配列を検出するための、より迅速で、あまり労力を要しない方法が必要とされている。
【0011】
発明の概要
したがって、ゲノムサンプル中の同定配列の存在を検出する改良方法を提供することが、本発明の1つの目的である。
【0012】
ゲノムサンプル中の同定配列の存在を検出するためのキットを提供することが、本発明のもう1つの目的である。
【0013】
本発明のこれら及び他の目的を達成するために、本発明の1つの態様では、DNAサンプル中の第1同定配列または第2同定配列または両方の存在を判定するための方法が提供される。この方法は、
(A)下記のヌクレオチド配列:
(i)第1同定配列には特異的にハイブリダイズできるが第2同定配列とは特異的にハイブリダイズできない第1ヌクレオチド配列、および
(ii)第1ヌクレオチド配列の5’末端における第2ヌクレオチド配列、
を含む第1オリゴヌクレオチドを準備すること、
(B)下記のヌクレオチド配列:
(i)第2同定配列には特異的にハイブリダイズできるが第1同定配列には特異的にハイブリダイズできない第3ヌクレオチド配列、および
(ii)第1ヌクレオチド配列の5’末端における第4ヌクレオチド配列、
を含む第2オリゴヌクレオチドを準備すること、
(C)第3オリゴヌクレオチドを準備すること、
(D)下記のヌクレオチド配列:
(i)第5ヌクレオチド配列、
(ii)第5ヌクレオチド配列の5’末端における第6ヌクレオチド配列、
(iii)第6ヌクレオチド配列の5’末端における第7ヌクレオチド配列、および
(iv)第7ヌクレオチド配列の5’末端における第8ヌクレオチド配列、
を含む第4オリゴヌクレオチドを準備すること、ここで、第5ヌクレオチド配列は第2ヌクレオチド配列と同一であり、第4オリゴヌクレオチドは、第6および第8ヌクレオチド配列のヌクレオチドを含有する第1ヘアピンを形成することが可能であり、第4オリゴヌクレオチドは、第1ヘアピンが形成されなければ第1検出シグナルを放出すること、
(E)下記のヌクレオチド配列:
(i)第9ヌクレオチド配列、
(ii)第9ヌクレオチド配列の5’末端における第10ヌクレオチド配列、
(iii)第10ヌクレオチド配列の5’末端における第11ヌクレオチド配列、および
(iv)第11ヌクレオチド配列の5’末端における第12ヌクレオチド配列、
を含む第5オリゴヌクレオチドを準備すること、ここで、第9ヌクレオチド配列は第4ヌクレオチド配列と同一であり、第5オリゴヌクレオチドは、第10および第12ヌクレオチド配列のヌクレオチドを含有する第2ヘアピンを形成することが可能であり、第4オリゴヌクレオチドは、第2ヘアピンが形成されなければ第2検出シグナルを放出すること、
(F)DNAサンプル中に第1同定配列が存在する場合には、
(i)第1オリゴヌクレオチドを第1同定配列にアニールさせること、
(ii)鋳型として第1同定配列を使用して第1オリゴヌクレオチドの3’末端を伸長させて、伸長第1鎖を形成させること、ここで、第1同定配列は伸長第1鎖にアニールすること、
(iii)伸長第1鎖から第1同定配列を分離すること、
(iv)第3オリゴヌクレオチドを伸長第1鎖にアニールさせること、
(v)鋳型として伸長第1鎖を使用して第3オリゴヌクレオチドの3’末端を伸長させて、伸長第2鎖を形成させること、ここで、伸長第1鎖は伸長第2鎖にアニールすること、
(vi)伸長第2鎖から伸長第1鎖を分離すること、
(vii)第4オリゴヌクレオチドを伸長第2鎖にアニールさせること、
(viii)鋳型として伸長第2鎖を使用して第4オリゴヌクレオチドの3’末端を伸長させて、二重伸長第1鎖を形成させること、ここで、二重伸長第1鎖は伸長第2鎖にアニールすること、
(ix)伸長第2鎖から二重伸長第1鎖を分離すること、
(x)第3オリゴヌクレオチドを二重伸長第1鎖にアニールさせること、
(xi)鋳型として二重伸長第1鎖を使用して第3オリゴヌクレオチドの3’末端を伸長させて、二重伸長第2鎖を形成させること、
(xii)場合により、二重伸長第1および第2鎖を増幅すること、
(xiii)第1検出シグナルを検出すること、および
(xiv)DNAサンプル中に第1同定配列が存在すると判定すること、
(G)DNAサンプル中に第2同定配列が存在する場合には、
(i)第2オリゴヌクレオチドを第2同定配列にアニールさせること、
(ii)鋳型として第2同定配列を使用して第2オリゴヌクレオチドの3’末端を伸長させて、伸長第3鎖を形成させること、ここで、第2同定配列は伸長第3鎖にアニールすること、
(iii)伸長第3鎖から第2同定配列を分離すること、
(iv)第3オリゴヌクレオチドを伸長第3鎖にアニールさせること、
(v)鋳型として伸長第3鎖を使用して第3オリゴヌクレオチドの3’末端を伸長させて、伸長第4鎖を形成させること、ここで、伸長第3鎖は伸長第4鎖にアニールすること、
(vi)伸長第4鎖から伸長第3鎖を分離すること、
(vii)第5オリゴヌクレオチドを伸長第4鎖にアニールさせること、
(viii)鋳型として伸長第4鎖を使用して第5オリゴヌクレオチドの3’末端を伸長させて、二重伸長第3鎖を形成させること、ここで、二重伸長第3鎖は伸長第4鎖にアニールすること、
(ix)伸長第4鎖から二重伸長第3鎖を分離すること、
(x)第3オリゴヌクレオチドを二重伸長第3鎖にアニールさせること、
(xi)鋳型として二重伸長第3鎖を使用して第3オリゴヌクレオチドの3’末端を伸長させて、二重伸長第4鎖を形成させること、
(xii)場合により、二重伸長第3および第4鎖を増幅すること、
(xiii)第2検出シグナルを検出すること、
(xiv)DNAサンプル中に第2同定配列が存在すると判定すること、を含んでなる。好ましい実施形態においては、該増幅反応はPCRであり、第1および第2供与成分のそれぞれは発蛍光団であり、一方、第1および第2受容成分のそれぞれは、発蛍光団により放出される光のクエンチャー(消光物質)である。
【0014】
もう1つの実施形態においては、DNAサンプル中の第1同定配列または第2同定配列または両方の存在を判定するための方法であって、
(A)サンプルを第1および第2オリゴヌクレオチドと接触させること、ここで、第1オリゴヌクレオチドは、
(i)第1ヌクレオチド配列、
(ii)第1ヌクレオチド配列の5’末端における第2ヌクレオチド配列、
(iii)第2ヌクレオチド配列の5’末端における第3ヌクレオチド配列、および
(iv)第3ヌクレオチド配列の5’末端における第4ヌクレオチド配列を含み、その際、第1オリゴヌクレオチドは、第2および第4ヌクレオチド配列のヌクレオチドを含有する第1ヘアピンを形成することが可能であり、そして、第1オリゴヌクレオチドは、第1ヘアピンが形成されなければ第1検出シグナルを放出すること、
第2オリゴヌクレオチドは、
(i)第5ヌクレオチド配列、
(ii)第5ヌクレオチド配列の5’末端における第6ヌクレオチド配列、
(iii)第6ヌクレオチド配列の5’末端における第7ヌクレオチド配列、および
(iv)第7ヌクレオチド配列の5’末端における第8ヌクレオチド配列を含み、その際、第2オリゴヌクレオチドは、第6および第8ヌクレオチド配列のヌクレオチドを含有する第2ヘアピンを形成することが可能であり、そして、第2オリゴヌクレオチドは、第2ヘアピンが形成されなければ第2検出シグナルを放出すること、
(B)(i)サンプル中に第1同定配列が存在する場合には、ポリメラーゼを使用して第1オリゴヌクレオチドを二本鎖核酸中に取り込ませ、それにより、第1ヘアピンの形成を妨げること、
(ii)サンプル中に第2同定配列が存在する場合には、ポリメラーゼを使用して第2オリゴヌクレオチドを二本鎖核酸中に取り込ませ、それにより、第2ヘアピンの形成を妨げること、または
(iii)サンプル中に第1および第2同定配列の両方が存在する場合には、ポリメラーゼを使用して第1および第2オリゴヌクレオチドのそれぞれを二本鎖核酸中に取り込ませ、それにより、第1および第2ヘアピンのそれぞれの形成を妨げること、
(C)場合により、増幅反応を行い、それにより、
(i)サンプル中に第1同定配列が存在する場合には、第1オリゴヌクレオチドを第1増幅産物中に取り込ませること、
(ii)サンプル中に第2同定配列が存在する場合には、第2オリゴヌクレオチドを第2増幅産物中に取り込ませること、または
(iii)サンプル中に第1同定配列が存在する場合には、第1オリゴヌクレオチドを第1増幅産物中に取り込ませ、かつ、サンプル中に第2同定配列が存在する場合には、第2オリゴヌクレオチドを第2増幅産物中に取り込ませること、
(D)(i)第1シグナルが検出された場合には、サンプル中に第1同定配列が存在すると判定すること、
(ii)第2シグナルが検出された場合には、サンプル中に第2同定配列が存在すると判定すること、または
(iii)第1および第2シグナルが検出された場合には、サンプル中に第1および第2同定配列が存在すると判定すること、
を含んでなる方法を提供する。
【0015】
本発明はまた、単一の核酸サンプル中の1以上の核酸多型を直接的に同定する方法を提供する。この改良された技術は2つの主要件を満足する。まず第1に、それは、取り込まれていないオリゴヌクレオチドを予め分離することなく核酸多型を検出することを可能にする。第2に、それは、標識オリゴヌクレオチドを増幅核酸サンプル中に取り込ませることにより、サンプル中の1以上の核酸多型の直接的な検出を可能にする。本発明はまた、単一のサンプル中の1以上の核酸多型の同定のためのキットに関する。そのようなキットは、核酸多型の存在が疾患または障害の存在または不存在と相互に関連づけられる診断キットでありうる。
【0016】
本発明の他の目的、特徴および利点は以下の詳細な説明から明らかとなるであろう。詳細な説明および実施例は、好ましい実施形態を示すものであり、例示のために記載されているにすぎず、本発明の精神および範囲内の種々の変更および修飾がこの詳細な説明から当業者に明らかとなるであろう。さらに、実施例は本発明の原理を示すものであり、当業者に明らかに有用であると思われるすべての例への本発明の応用を具体的に例示することを予期したものではない。
【0017】
図面の説明
図1は、本発明のオリゴヌクレオチドプライマーの一般的模式図を示す。
【0018】
第1オリゴヌクレオチド(O1)は、第1ヌクレオチド配列(1)、および該第1ヌクレオチド配列の5’末端における第2ヌクレオチド配列(2)(陰影付き)を含む。
【0019】
第2オリゴヌクレオチド(O2)は、第3ヌクレオチド配列(3)、および該第3ヌクレオチド配列の5’末端における第4ヌクレオチド配列(4)(黒塗り)を含む。
【0020】
第3オリゴヌクレオチド(O3)はリバースプライマーを含む。
【0021】
第4オリゴヌクレオチド(O4)は、第5ヌクレオチド配列(5)(陰影付き)、該第5ヌクレオチド配列の5’末端における第6ヌクレオチド(6)配列、該第6ヌクレオチド配列の5’末端における第7ヌクレオチド(7)配列、および第7ヌクレオチド配列の5’末端における第8ヌクレオチド配列(8)を含む。第5ヌクレオチド配列は第2ヌクレオチド配列と同一である。O4は、ヌクレオチド配列6および8を含有する第1ヘアピンを形成しうる。該ヘアピンが形成されなければ、O4はシグナルを放出する。
【0022】
第5オリゴヌクレオチド(O5)は、第9ヌクレオチド配列(9)(黒塗り)、該第9ヌクレオチド配列の5’末端における第10ヌクレオチド配列(10)、該第10ヌクレオチド配列の5’末端における第11ヌクレオチド配列(11)、および第11ヌクレオチド配列の5’末端における第12ヌクレオチド配列(12)を含む。第9ヌクレオチド配列は第4ヌクレオチド配列と同一である。O5は、ヌクレオチド配列10および12のヌクレオチドを含有するヘアピンを形成しうる。該ヘアピンが形成されなければ、O5はシグナルを放出する。
【0023】
図2は、本発明の方法の好ましい実施形態の1つを示す模式図である。それは、該ヘアピン形成オリゴヌクレオチドから離れた配列特異的プライマーを使用する。DNAサンプルが標的配列を含有する場合には、配列特異的フォワードプライマー(O1)は、ポリメラーゼ連鎖反応の1回目のサイクル中にアニールし伸長して、伸長第1鎖を形成する。後続サイクルにおいて、ヘアピン形成オリゴヌクレオチド(O4)が、取り込まれた配列特異的プライマーの5’尾部にアニールし(サイクル3のとおり)、二重伸長第1鎖の形成におけるプライマーとして作用する。さらに後のサイクル中に、ポリメラーゼが該二重伸長第1鎖を複製するにつれて、それは、取り込まれたオリゴヌクレオチドをそのヘアピン形成から排除し、伸長した発光性コンホメーションに導く(サイクル4のとおり)。この場合もまた、反復サイクルにより、放出シグナルの強度が増大するだろう。
【0024】
図3は、(A)ヘアピンコンホメーションおよび(B)伸長コンホメーションをとったオリゴヌクレオチドの構造の模式的例示である。要素(a)は、標的配列に特異的にハイブリダイズするヌクレオチド配列を示し、(b)および(d)は、互いにハイブリダイズしてヘアピンを形成するヌクレオチド配列を示し、(c)は、(b)を(d)と連結し該ヘアピンのループを形成する配列を示す。(b)および(d)上の白丸および黒丸は、分子エネルギー転移分子のペアを示す。
【0025】
図4は、ポリメラーゼ連鎖反応を用いる本発明の方法のもう1つの実施形態を示す。ヘアピン形成オリゴヌクレオチド(a)は、各同定配列に特異的なプライマー配列を含有する。DNAサンプルが標的配列を含有する場合には、ポリメラーゼ連鎖反応の1回目のサイクル中に、該特異的プライマーがアニールし伸長する(伸長第1鎖を形成する)。2回目のサイクルにおいて、ポリメラーゼが該伸長第1鎖を複製するにつれて、それは、取り込まれたオリゴヌクレオチドをそのヘアピン形成から排除し、伸長した発光性コンホメーションに導く。反復(n)サイクルにより、放出シグナルの強度が増大するだろう。
【0026】
図5Aは、A型対立遺伝子およびG型対立遺伝子に関するCYP17遺伝子の遺伝子型決定の結果を示す。両プライマーは、それらの3’末端ヌクレオチドにおいて相違する。第2列はFAMに関する蛍光測定値を示し、第3列はSRに関する蛍光測定値を示す。第1列は、試験したCYP17 DNAの遺伝子型を示す。
【0027】
図5Bは、一重(シングルプレックス)PCR反応に対する多重(マルチプレックス)PCR反応の利点を例示する。この図は、A型およびG型対立遺伝子に関するCYP17遺伝子の遺伝子型決定の結果を示す。A特異的プライマーはFAMで、G特異的プライマーはSRで標識されている。第1列:A型対立遺伝子を含有するCYP17 DNAサンプルを、A特異的プライマーを使用する一重PCR反応によりスクリーニングした。第2列:G型対立遺伝子を含有するCYP17 DNAサンプルを、A特異的プライマーを使用する一重PCR反応によりスクリーニングした。第3列:A型対立遺伝子を含有するCYP17 DNAサンプルを、G特異的プライマーを使用する一重PCR反応によりスクリーニングした。第4列:G型対立遺伝子を含有するCYP17 DNAサンプルを、G特異的プライマーを使用する一重PCR反応によりスクリーニングした。第5列:A型およびG型の両方の対立遺伝子を含有するCYP17 DNAサンプルを、A特異的およびG特異的の両方のプライマーを使用する多重PCR反応によりスクリーニングした。第6列:A型およびG型の両方の対立遺伝子を含有するCYP17 DNAサンプルを、A特異的およびG特異的の両方のプライマーを使用する多重PCR反応によりスクリーニングした。第1列と第2列との比較:FAMシグナルは、A特異的プライマーを使用してA型およびG型DNAサンプルの両方において検出される。この結果は、一重PCR反応においてA特異的プライマーを使用した場合に達成される低い対立遺伝子識別を示している。第3列と第4列との比較:SRシグナルは、G特異的プライマーを使用してA型およびG型DNAサンプルの両方において検出される。この結果は、一重PCR反応においてG特異的プライマーのみを使用した場合の低い対立遺伝子識別を示している。第5列と第6列との比較は、多重PCR反応においてA特異的およびG特異的プライマーを使用した場合の高い対立遺伝子識別を示している。なぜなら、反対の対立遺伝子のシグナルが生成されなかったからである。
【0028】
図6Aは、A型対立遺伝子およびG型対立遺伝子に関するHER2遺伝子の遺伝子型決定の結果を示す。両プライマーは、それらの3’末端ヌクレオチドにおいて相違する。無DNA対照はNDCとして示されている。第1列はFAMに関する蛍光測定値を示し、第2列はSRに関する蛍光測定値を示す。第3列は、試験したHER2 DNAの遺伝子型を示す。
【0029】
図6Bは、図5Aの蛍光結果のグラフ表示を示す。該結果は、A特異的およびG特異的の両方のプライマーを使用する多重PCR反応の対立遺伝子識別を示している。
【0030】
図7Aは、C型対立遺伝子およびT型対立遺伝子に関するCYP2C8遺伝子の遺伝子型決定の結果を示す。C特異的プライマーの3’末端ヌクレオチドは、該多型を検出するためのミスマッチを含有していた。T特異的プライマーの末端から2番目のヌクレオチドは、該多型を検出するためのミスマッチヌクレオチドを含有していた。無DNA対照はNDCとして示されている。第1列はFAMに関する蛍光測定値を示し、第2列はSRに関する蛍光測定値を示す。第3列は、試験したCYP2C8 DNAの遺伝子型を示す。
【0031】
図7Bは、図6Aの蛍光結果のグラフ表示を示す。該結果は、C特異的およびT特異的の両方のプライマーを使用する多重PCR反応の良好な対立遺伝子識別を示している。
【0032】
図8Aは、C型対立遺伝子およびG型対立遺伝子に関するHTR2C遺伝子の遺伝子型決定の結果を示す。C特異的およびG特異的プライマーの末端から3番目のヌクレオチドは、該多型を検出するためのミスマッチヌクレオチドを含有していた。無DNA対照はNDCとして示されている。第1列はFAMに関する蛍光測定値を示し、第2列はSRに関する蛍光測定値を示す。第3列は、試験したHTR2C DNAの遺伝子型を示す。
【0033】
図8Bは、図7Aの蛍光結果のグラフ表示を示す。該結果は、C特異的およびG特異的の両方のプライマーを使用する多重PCR反応の対立遺伝子識別を示している。
【0034】
図9Aは、野生型遺伝子および欠失突然変異体に関するCCR5遺伝子の遺伝子型決定の結果を示す。無DNA対照はNDCとして示されている。第1列はFAMに関する蛍光測定値を示し、第2列はSRに関する蛍光測定値を示す。第3列は、試験したCCR5 DNAの遺伝子型を示す。
【0035】
図9Bは、図8Aの蛍光結果のグラフ表示を示す。該結果は、野生型および欠失突然変異体の両方のプライマーを使用する多重PCR反応の良好な対立遺伝子識別を示している。
【0036】
発明の開示
PCRに基づく方法は、特異的ヌクレオチド配列(同定配列)を検出するために見出されたものであり、従来の技術の欠点を伴わない。本発明は、標的配列中の遺伝的多型(例えば、SNP)、挿入および欠失の迅速な検出を可能にする。多型の解明は、1以上の同定配列の存在を、配列特異的オリゴヌクレオチドプライマーへのそれらのハイブリダイゼーションにより判別することにより達成される。蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)で標識したオリゴヌクレオチドの本発明者らの創造的使用は、これらのハイブリダイゼーションの迅速な特徴づけを可能にする。
【0037】
本明細書で記載する「同定配列」(identifying sequence)は、対立遺伝子のような集団中に維持される遺伝子の変異、または突然変異のような個体の特定の核酸配列中の自発的変化を表し得る特定のヌクレオチド酸を意味する。野生型からの相違または変化は、単一ヌクレオチドまたは数個のヌクレオチドを含む可能性があり、典型的には、特定の表現型、疾患または疾患感受性を示す。
【0038】
個体からのゲノムサンプルは、該個体が或る遺伝子に関してホモ接合性であるか又はヘテロ接合性であるかに応じて、特定の遺伝子の2個の対立遺伝子を含みうる。したがって、ゲノムサンプルは、第1同定配列、第2同定配列、第1および第2の両方の同定配列を含有するか、またはいずれをも含有しない可能性がある。1つの実施形態においては、本発明は、第1同定配列、第2同定配列または両方の存在を同時に検出することにより、DNAサンプル中の遺伝的多型を同定する。この目的には、該サンプルを、工程(A)において、第1および第2オリゴヌクレオチドと接触させる。該第1および第2オリゴヌクレオチドは、それらの末端3’ヌクレオチドにおいてのみ、それぞれから異なっている。もう1つの好ましい実施形態においては、それらのオリゴヌクレオチドは、3’末端以外の1個以上のヌクレオチドにおいて異なっている。例えば、各プライマーの3’末端から離れた第2、第3、第4または第5ヌクレオチドは、個々に又は組み合わせて、異なっていてもよい。
【0039】
もう1つの実施形態においては、本発明は、種々の同定配列の存在を同時に判定するために使用することができる。例えば、特定の遺伝子が5つの可能な対立遺伝子を有する場合には、対応する同定配列に特異的な5つのオリゴヌクレオチドを同時に使用することができる。このようにして、該サンプルの遺伝子型を直ちに決定することができる。
【0040】
本発明の好ましい実施形態においては、2つの配列特異的オリゴヌクレオチドプライマー(一方は第1同定配列に特異的であり、もう一方は第2同定配列に特異的である)を、もう1つのプライマー(例えば、リバースプライマー)と共に、ゲノムDNA鋳型を含有するPCR混合物中で使用する。主として、プライマーの3’末端近くのヌクレオチドが特異性を決定する。したがって、配列特異的プライマーは、それらの末端3’ヌクレオチドのみにおいて、それぞれとは異なりうる。また、該プライマーは、3’末端ヌクレオチド以外の1個以上のヌクレオチドにおいて異なりうる。例えば、各プライマーの3’末端から離れた第2、第3、第4または第5ヌクレオチドは、個々に又は組み合わせて、異なりうる。3’末端ヌクレオチド以外のヌクレオチドが異なる場合には、該プライマー配列は多型をまたぐ(bridge)であろう。ミスマッチの位置には無関係に、適当なアニーリング温度およびPCR条件下では、各配列特異的プライマーは、その相補的配列を鋳型として使用する増幅を導くに過ぎない。ついで、得られたPCR産物(標的配列に相当する)は、該PCR産物にそれぞれが特異的である2つのFRET標識プライマーを、該PCR産物に相補的なもう1つのプライマーと共に使用するPCR増幅を行うことにより検出される。
【0041】
本発明のこの態様においては、上記方法は、以下の工程を含む:
【0042】
工程(A)においては、第1オリゴヌクレオチドを準備する。これは、(i)第1同定配列には特異的にハイブリダイズしうるが、1以上のヌクレオチドのミスマッチのために第2同定配列には特異的にハイブリダイズし得ない第1ヌクレオチド配列、および(ii)第1ヌクレオチド配列の5’末端における第2ヌクレオチド配列を含む。
【0043】
工程(B)においては、第2オリゴヌクレオチドを準備する。これは、(i)第2同定配列には特異的にハイブリダイズしうるが、1以上のヌクレオチドのミスマッチのために第1同定配列には特異的にハイブリダイズし得ない第3ヌクレオチド配列、および(ii)第3ヌクレオチド配列の5’末端における第4ヌクレオチド配列を含む。
【0044】
工程(C)においては、第3オリゴヌクレオチドを準備する。
【0045】
工程(D)においては、第4オリゴヌクレオチドを準備する。これは、(i)第5ヌクレオチド配列、(ii)第5ヌクレオチド配列の5’末端における第6ヌクレオチド配列、(iii)第6ヌクレオチド配列の5’末端における第7ヌクレオチド配列、および(iv)第7ヌクレオチド配列の5’末端における第8ヌクレオチド配列を含む。第5ヌクレオチド配列は第2ヌクレオチド配列と同一であり、第4オリゴヌクレオチドは、第6および第8ヌクレオチド配列のヌクレオチドを含有する第1ヘアピンを形成することが可能であり、第4オリゴヌクレオチドは、第1ヘアピンが形成されなければ第1検出シグナルを放出する。
【0046】
工程(E)においては、第5オリゴヌクレオチドを準備する。これは、(i)第9ヌクレオチド配列、(ii)第9ヌクレオチド配列の5’末端における第10ヌクレオチド配列、(iii)第10ヌクレオチド配列の5’末端における第11ヌクレオチド配列、および(iv)第11ヌクレオチド配列の5’末端における第12ヌクレオチド配列を含む。第9ヌクレオチド配列は第4ヌクレオチド配列と同一であり、第5オリゴヌクレオチドは、第10および第12ヌクレオチド配列のヌクレオチドを含有する第2ヘアピンを形成することが可能であり、第4オリゴヌクレオチドは、第2ヘアピンが形成されなければ第2検出シグナルを放出する。
【0047】
工程(F)においては、DNAサンプル中に第1同定配列が存在する場合には、(i)第1オリゴヌクレオチドを第1同定配列にアニールさせ、(ii)鋳型として第1同定配列を使用して第1オリゴヌクレオチドの3’末端を伸長させて、伸長第1鎖を形成させ(ここで、第1同定配列は伸長鎖にアニールする)、(iii)伸長鎖から第1同定配列を分離し、(iv)第3オリゴヌクレオチドを伸長第1鎖にアニールさせ、(v)鋳型として伸長第1鎖を使用して第3オリゴヌクレオチドの3’末端を伸長させて、伸長第2鎖を形成させ(ここで、伸長第1鎖は伸長第2鎖にアニールする)、(vi)伸長第2鎖から伸長第1鎖を分離し、(vii)第4オリゴヌクレオチドを伸長第2鎖にアニールさせ、(viii)鋳型として伸長第2鎖を使用して第4オリゴヌクレオチドの3’末端を伸長させて、二重伸長第1鎖を形成させ(ここで、二重伸長第1鎖は伸長第2鎖にアニールする)、(ix)伸長第2鎖から二重伸長第1鎖を分離し、(x)第3オリゴヌクレオチドを二重伸長第1鎖にアニールさせ、(xi)鋳型として二重伸長第1鎖を使用して第3オリゴヌクレオチドの3’末端を伸長させて、二重伸長第2鎖を形成させ、(xii)場合により、二重伸長第1および第2鎖を増幅し、(xiii)第1検出シグナルを検出し、(xiv)DNAサンプル中に第1同定配列が存在すると判定する。図2は、工程(F)の本質的部分を模式的に示したものである。
【0048】
工程(G)においては、DNAサンプル中に第2同定配列が存在する場合には、(i)第2オリゴヌクレオチドを第2同定配列にアニールさせ、(ii)鋳型として第2同定配列を使用して第2オリゴヌクレオチドの3’末端を伸長させて、伸長第3鎖を形成させ(ここで、第2同定配列は伸長第3鎖にアニールする)、(iii)伸長第3鎖から第2同定配列を分離し、(iv)第3オリゴヌクレオチドを伸長第3鎖にアニールさせ、(v)鋳型として伸長第3鎖を使用して第3オリゴヌクレオチドの3’末端を伸長させて、伸長第4鎖を形成させ(ここで、伸長第3鎖は伸長第4鎖にアニールする)、(vi)伸長第4鎖から伸長第3鎖を分離し、(vii)第5オリゴヌクレオチドを伸長第4鎖にアニールさせ、(viii)鋳型として伸長第4鎖を使用して第5オリゴヌクレオチドの3’末端を伸長させて、二重伸長第3鎖を形成させ(ここで、二重伸長第3鎖は伸長第4鎖にアニールする)、(ix)伸長第4鎖から二重伸長第3鎖を分離し、(x)第3オリゴヌクレオチドを二重伸長第3鎖にアニールさせ、(xi)鋳型として二重伸長第3鎖を使用して第3オリゴヌクレオチドの3’末端を伸長させて、二重伸長第4鎖を形成させる。ついで、(xii)場合により、二重伸長第3および第4鎖を増幅し、(xiii)第2検出シグナルを検出し、そして(xiv)DNAサンプル中に第2同定配列が存在すると判定する。
【0049】
好ましくは、第4オリゴヌクレオチドは、第1ヘアピンが形成されない場合に限り第1検出シグナルを放出し、第5オリゴヌクレオチドは、第2ヘアピンが形成されない場合に限り第2検出シグナルを放出する。第1ヘアピンが形成されない場合に第4オリゴヌクレオチドにより放出される第1検出シグナルは、好ましくは、第1ヘアピンが形成された場合に第4オリゴヌクレオチドにより放出されるシグナルより強力であり、また、第2ヘアピンが形成されない場合に第5オリゴヌクレオチドにより放出される第2検出シグナルは、第2ヘアピンが形成された場合に第5オリゴヌクレオチドにより放出されるシグナルより強力である。第4オリゴヌクレオチドは、理想的には、第1ヘアピンが形成されない場合に限り第1検出シグナルを放出し、第5オリゴヌクレオチドは、第2ヘアピンが形成されない場合に限り第2検出シグナルを放出する。
【0050】
好ましい実施形態においては、第4オリゴヌクレオチドは、第1エネルギーを放出しうる第1エネルギー供与成分と放出第1エネルギー量を吸収しうる第1エネルギー受容成分とを含む第1分子エネルギー転移ペアを含有する。第1供与成分は第6ヌクレオチド配列のヌクレオチドに結合しており、かつ第1受容成分は第8ヌクレオチド配列のヌクレオチドに結合しているか、または、第1受容成分は第6ヌクレオチド配列のヌクレオチドに結合しており、かつ第1供与成分は第8ヌクレオチド配列のヌクレオチドに結合しており、そして、第1受容成分は、第1ヘアピンが形成された場合に限り放出第1エネルギー量を吸収する。また、第5オリゴヌクレオチドは更に、第2エネルギーを放出しうる第2エネルギー供与成分と放出第2エネルギー量を吸収しうる第2エネルギー受容成分とを含む第2分子エネルギー転移ペアを含有する。第2供与成分は第10ヌクレオチド配列のヌクレオチドに結合しており、かつ第2受容成分は第12ヌクレオチド配列のヌクレオチドに結合しているか、または、第2受容成分は第10ヌクレオチド配列のヌクレオチドに結合しており、かつ第2供与成分は第12ヌクレオチド配列のヌクレオチドに結合しており、そして、第2受容成分は、第2ヘアピンが形成された場合に限り放出第2エネルギー量を吸収する。
【0051】
第1および第2供与成分のそれぞれは発蛍光団でありうる。第1および第2受容成分のそれぞれは、発蛍光団から放出される光のクエンチャー(消光物質)である。好ましい第1および第2受容成分はDABSYLであり、一方、好ましい第1供与成分はフルオレセインであり、好ましい第2受容成分はスルファローダミン(sulfarhodamine)であり、あるいはその逆であってもよい。
【0052】
理想的には、増幅反応は、ポリメラーゼ連鎖反応、例えば三重増幅(triamplification)、核酸配列に基づく増幅、鎖置換増幅、カスケードローリングサークル増幅、または増幅不応性突然変異系である。増幅反応をin situで行うことが可能である。
【0053】
工程(F)(xii)は、理想的には、(a)二重伸長第2鎖から二重伸長第1鎖を分離し、(b)第3オリゴヌクレオチドを二重伸長第1鎖にアニールさせ、第4オリゴヌクレオチドを二重伸長第2鎖にアニールさせ、(c)鋳型として二重伸長第1鎖を使用して第3オリゴヌクレオチドの3’末端を伸長させて、もう1つの二重伸長第2鎖を形成させ(ここで、二重伸長第1鎖はもう一方の二重伸長第2鎖にアニールする)、鋳型として二重伸長第2鎖を使用して第4オリゴヌクレオチドの3’末端を伸長させて、もう1つの二重伸長第1鎖を形成させ(ここで、二重伸長第2鎖はもう一方の二重伸長第1鎖にアニールする)、(d)上記(a)、(b)および(c)を有限回数反復させる(この場合、(a)においては、二重伸長第1および第2鎖は、それぞれ、(c)の二重伸長第1鎖およびもう一方の二重伸長第2鎖であるか、または、それぞれ、(c)のもう一方の二重伸長第1鎖および二重伸長第2鎖である)ことを含む。
【0054】
工程(G)(xii)は、理想的には、二重伸長第4鎖から二重伸長第3鎖を分離し、(b)第3オリゴヌクレオチドを二重伸長第3鎖にアニールさせ、第5オリゴヌクレオチドを二重伸長第4鎖にアニールさせ、(c)鋳型として二重伸長第3鎖を使用して第3オリゴヌクレオチドの3’末端を伸長させて、もう1つの二重伸長第4鎖を形成させ(ここで、二重伸長第3鎖はもう一方の二重伸長第4鎖にアニールする)、鋳型として二重伸長第4鎖を使用して第5オリゴヌクレオチドの3’末端を伸長させて、もう1つの二重伸長第3鎖を形成させ(ここで、二重伸長第4鎖はもう一方の二重伸長第3鎖にアニールする)、(d)上記(a)、(b)および(c)を有限回数反復させる(この場合、(a)においては、二重伸長第3および第4鎖は、それぞれ、(c)の二重伸長第3鎖およびもう一方の二重伸長第4鎖であるか、または、それぞれ、(c)のもう一方の二重伸長第3鎖および二重伸長第4鎖である)ことを含む。
【0055】
分子エネルギー転移(MET)現象は、供与分子と受容分子との間でエネルギーが通過する過程である。蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)は、少なくとも1つの発蛍光団が関与しており、METの一形態である。発蛍光団は、ある波長において光を吸収し、別の異なる波長において光を放出する化合物である。蛍光分光光度計を使用して、同時に、発蛍光団を励起する光を放出させ、発蛍光団から放出された光を検出する。FRETにおいては、発蛍光団は、光子を吸収した後このエネルギーを受容分子に転移する供与分子である。METまたはFRETに関与する供与分子および受容分子は、それぞれ「METペア」および「FRETペア」と称される。Forster,Z.Naturforsch A4:321−27(1994);Clegg,Methods In Enzymology 211:353−88(1992)。
【0056】
2つの発蛍光団が接近しており、第1発蛍光団の発光スペクトルが第2発蛍光団の励起スペクトルとオーバーラップする場合には、第1発蛍光団の励起が、第2発蛍光団により吸収される光を第1発蛍光団に放出させ、続いて第2発蛍光団に光を放出させる。その結果、第1発蛍光団の蛍光は消光され、一方、第2発蛍光団の蛍光が増強される。しかし、第1発蛍光団のエネルギーが、発蛍光団ではない化合物に転移されると、非発蛍光団による後続の発光を伴うことなく、第1発蛍光団の蛍光は消光される。
【0057】
FRET現象は、核酸を検出するために利用されている。これらの方法の1つは、米国特許第5,866,366号(その全体の内容を参照により本明細書に組み入れることとする)に開示されている。該’366特許は、標的核酸配列を検出するためにポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法においてプローブとして使用されるFRET標識ヘアピンオリゴヌクレオチドに関するものである。このオリゴヌクレオチドは、FRETペアを構成するエネルギー供与体およびエネルギー受容体を含有する。該供与体および受容体は、それぞれ、該オリゴヌクレオチドの第1および第2ヌクレオチド配列上に位置する。これらの2つのヌクレオチド配列は互いに相補的であり、したがって該オリゴヌクレオチド中でヘアピンを形成しうる。
【0058】
第1および第2ヌクレオチド配列が互いにアニールすると、供与体および受容体は接近する。この空間的配置においては、受容体は供与体からの発光を吸収し、それにより供与体からのシグナルを消光する。しかし、それらのヌクレオチド配列が互いにアニールしなければ、供与体および受容体は離れており、受容体は、もはや供与体からの発光を吸収することができず、供与体からのシグナルは消光されない。
【0059】
したがって、該オリゴヌクレオチドがPCR中に増幅産物内に取り込まれると、ヘアピンがほどけて、受容体からの供与体の分離およびそれに続く観察されうるシグナルの放出が生じる。しかし、該オリゴヌクレオチドがPCR産物内に取り込まれない場合には、ヘアピンはそのまま維持され、供与体からの発光は受容体により消光される。したがって、PCR後のシグナルの検出は標的の存在を示すこととなる。
【0060】
好ましい実施形態においては、(F)(i)を行う反応混合物中の第1オリゴヌクレオチドの濃度は、50nM未満、25nM未満または5nM未満、あるいは5〜50nM、あるいは20〜30nM、あるいは約25nMである。(F)(vii)を行う反応混合物中の第4オリゴヌクレオチドの濃度は、好ましくは、500nM未満、250nM未満または50nM未満、あるいは50〜500nM、あるいは200〜300nM、あるいは約250nMである。好ましくは、(F)(vii)を行う反応混合物中の第4オリゴヌクレオチドの濃度は、(F)(i)を行う反応混合物中の第1オリゴヌクレオチドの濃度の少なくとも5倍、10倍、20倍、30倍、5〜30倍、10〜20倍、または約10倍である。好ましくは、(F)(i)を行う反応混合物中の第2オリゴヌクレオチドの濃度は、50nM未満、25nM未満または5nM未満、あるいは5〜50nM、あるいは20〜30nM、あるいは約25nMである。好ましくは、(F)(vii)を行う反応混合物中の第5オリゴヌクレオチドの濃度は、500nM未満、250nM未満または50nM未満、あるいは50〜500nM、あるいは200〜300nM、あるいは約250nMである。好ましくは、(F)(vii)を行う反応混合物中の第5オリゴヌクレオチドの濃度は、(F)(i)を行う反応混合物中の第2オリゴヌクレオチドの濃度の少なくとも5倍、10倍、20倍、30倍、5〜30倍、10〜20倍、または約10倍である。
【0061】
もう1つの実施形態においては、本発明は、核酸多型を直接同定するための方法を提供する。この場合、検出は反応チューブを開放することなく行うことができる。この実施形態(「閉チューブ」形式)は、多数の用途でのPCRの使用を妨げている増幅産物によるキャリーオーバー(持ち込み)汚染の可能性を著しく減少させる。閉チューブ法はまた、サンプルのハイスループットをもたらし、完全自動化が可能である。
【0062】
サンプル中の核酸は精製されていても、未精製のものであってもよい。特定の実施形態においては、本発明のオリゴヌクレオチドは、新鮮な又は保存された組織または細胞のサンプル上で行うin situ増幅反応において使用される。in situ反応においては、増幅工程後に直接、標的の高精度かつ高感度な検出を可能にする方法を用いることが有利である。これとは対照的に、通常のin situ PCR法では、パラフィン包埋組織において、ハイブリダイゼーション工程による検出を行う必要がある。なぜなら、例えばCNS、リンパ節および脾臓からの組織サンプル中に不変的に存在するDNA修復機構が、PCR工程中のレポーターヌクレオチドの直接的取り込みによる検出を妨げるからである。典型的には、ビオチンまたはジゴキシゲニン成分で標識された通常の直鎖状プライマーをin situ PCRにおいて使用する場合には、アニーリングおよび伸長工程を含む増幅反応中に、検出可能な標識がほとんど又は全く取り込まれない。さらに、そのような成分で標識されたヌクレオチドの取り込みを増強するように増幅反応条件を改変すると、許容し得ないほどに高いバックグラウンドおよび偽陽性の結果が得られる。これは、サンプル中のニックDNA中に標識ヌクレオチドを組み込む内因性DNA修復酵素の活性のせいであると考えられる。他の研究者らは、別のタイプの単一標識PCRプライマーを使用することを試みているが(Nuovo,1997,PCR In Situ Hybridization:Protocols and Applications,Third Edition,Lippincott−Raven Press,New York)、十分な感度を達成することはできておらず、偽陰性の結果を招くことが多い。ハイブリダイゼーション工程およびそれに続く洗浄工程を必要とすることは、通常のin situ PCRプロトコールに更なる時間と経費を追加する。したがって、増幅工程後に直接的に標的の高精度かつ高感度の検出を可能にする方法を用いることが有利である。そのような方法が本発明により提供される。
【0063】
特定の実施形態においては、本発明の増幅反応を行った後に検出され測定される、供与成分により(例えば、クエンチャーが受容成分である場合)または受容成分により(例えば、発蛍光団または発色団が受容成分である場合)放出されるエネルギーは、サンプル中に元々存在する所定の標的配列の量と相関し、それにより、元のサンプル中に存在する所定の標的配列の量の測定を可能にする。したがって、本発明の方法は、所定の標的配列を含有する核酸多型の存在、染色体の数、またはDNAもしくはRNAの量を測定するために定量的に使用することができる。
【0064】
本発明のもう1つの実施形態においては、第1オリゴヌクレオチドは、(i)第1ヌクレオチド配列、(ii)第1ヌクレオチド配列の5’末端における第2ヌクレオチド配列、(iii)第2ヌクレオチド配列の5’末端における第3ヌクレオチド配列、および(iv)第3ヌクレオチド配列の5’末端における第4ヌクレオチド配列を含有する。ハイブリダイゼーション条件下、第1オリゴヌクレオチドは、第2および第4ヌクレオチド配列のヌクレオチドを含有する第1ヘアピンを形成するであろう(図3A)。逆に、第1オリゴヌクレオチドは、第1ヘアピンが形成されない場合には第1検出シグナルを放出する(図3B)。
【0065】
第2オリゴヌクレオチドは、(i)第5ヌクレオチド配列、(ii)第5ヌクレオチド配列の5’末端における第6ヌクレオチド配列、(iii)第6ヌクレオチド配列の5’末端における第7ヌクレオチド配列、および(iv)第7ヌクレオチド配列の5’末端における第8ヌクレオチド配列を含有する。この場合も、第2オリゴヌクレオチドは、第6および第8ヌクレオチド配列のヌクレオチドを含有する第2ヘアピンを形成することが可能であり、そして第2オリゴヌクレオチドは、第2ヘアピンが形成されない場合には第2検出シグナルを放出する。
【0066】
工程(B)においては、サンプル中に第1同定配列が存在する場合には、第1オリゴヌクレオチドはポリメラーゼにより二本鎖核酸中に取り込まれ、それにより第1ヘアピンの形成を妨げる(図4、2サイクルを通して)。あるいは、ポリメラーゼは、サンプル中に第2同定配列が存在する場合、二本鎖核酸中への第2オリゴヌクレオチドの組み込みを引き起こし、それにより第2ヘアピンの形成を妨げる。サンプル中に第1および第2同定配列の両方が存在する場合には、第1および第2オリゴヌクレオチドのそれぞれが二本鎖核酸中に取り込まれて、それぞれ第1および第2ヘアピンの形成を妨げる。
【0067】
任意の工程である工程(C)においては、増幅反応を行う(図4、nサイクルを通して)。その結果は、(i)サンプル中に第1同定配列が存在する場合の、第1増幅産物中への第1オリゴヌクレオチドの取り込み、(ii)サンプル中に第2同定配列が存在する場合の、第2増幅産物中への第2オリゴヌクレオチドの取り込み、または(iii)サンプル中に両方の同定配列が存在する場合の、第1増幅産物中への第1オリゴヌクレオチドの及び第2増幅産物中への第2オリゴヌクレオチドの取り込みである。工程(D)においては、サンプル中に第1同定配列が存在するか否か(すなわち、第1シグナルが検出されるか否か)、第2同定配列が存在するか否か(すなわち、第2シグナルが検出されるか否か)、またはサンプル中に両方の同定配列が存在するか否か(両方のシグナルが検出されるか否か)に関する判定を行う。
【0068】
好ましくは、第1オリゴヌクレオチドは、第1ヘアピンが形成されない場合に限り第1検出シグナルを放出し、第2オリゴヌクレオチドは、第2ヘアピンが形成されない場合に限り第2検出シグナルを放出する。第1ヘアピンが形成されない場合に第1オリゴヌクレオチドにより放出される第1検出シグナルは、好ましくは、第1ヘアピンが形成された場合に第1オリゴヌクレオチドにより放出されるシグナルより強力であり、また、第2ヘアピンが形成されない場合に第2オリゴヌクレオチドにより放出される第2検出シグナルは、第2ヘアピンが形成された場合に第2オリゴヌクレオチドにより放出されるシグナルより強力である。
【0069】
もう1つの実施形態においては、第1オリゴヌクレオチドは更に、第1エネルギーを放出しうる第1エネルギー供与成分と放出第1エネルギー量を吸収しうる第1エネルギー受容成分とを含む第1分子エネルギー転移ペアを含有する。第1供与成分は第2ヌクレオチド配列のヌクレオチドに結合しており、かつ第1受容成分は第4ヌクレオチド配列のヌクレオチドに結合しているか、または第1受容成分は第2ヌクレオチド配列のヌクレオチドに結合しており、かつ第1供与成分は第4ヌクレオチド配列のヌクレオチドに結合しており、そして、第1受容成分は、第1ヘアピンが形成された場合に限り放出第1エネルギー量を吸収する。また、第2オリゴヌクレオチドは更に、第2エネルギーを放出しうる第2エネルギー供与成分と放出第2エネルギー量を吸収しうる第2エネルギー受容成分とを含む第2分子エネルギー転移ペアを含有する。第2供与成分は第6ヌクレオチド配列のヌクレオチドに結合しており、かつ第2受容成分は第8ヌクレオチド配列のヌクレオチドに結合しているか、または第2受容成分は第6ヌクレオチド配列のヌクレオチドに結合しており、かつ第2供与成分は第8ヌクレオチド配列のヌクレオチドに結合しており、そして、第2受容成分は、第2ヘアピンが形成された場合に限り放出第2エネルギー量を吸収する。
【0070】
第1および第2供与成分のそれぞれは発蛍光団であること、ならびに第1および第2受容成分のそれぞれは、発蛍光団から放出される光のクエンチャー(消光物質)であることが好ましい。第1および第2受容成分の具体例としてはDABSYLが挙げられ、一方、第1供与成分はフルオレセインであり、第2受容成分はスルファローダミンでありうる。あるいは、第1供与成分はスルファローダミンであり、第2受容成分はフルオレセインである。
【0071】
増幅反応は、理想的には、ポリメラーゼ連鎖反応、例えば三重増幅(triamplification)、核酸配列に基づく増幅、鎖置換増幅、カスケードローリングサークル増幅、または増幅不応性突然変異系である。増幅反応はin situで行うことが可能である。
【0072】
本発明においては、「相補的」である核酸は、相補性から生じる所望の特性(例えば、ハイブリダイズする能力)が失われない限り、完全に又は不完全に相補的でありうる。
【0073】
本発明の更なる態様は、第1同定配列または第2同定配列または両方の存在を判定するためのキットに関する。特定の実施形態においては、該キットは、1以上の容器中に第1〜第5オリゴヌクレオチドを含む。該キットは更に、本発明の増幅反応を行うための追加の成分を含みうる。増幅すべき標的核酸配列が、疾患または障害に関与しているものである場合には、該キットは、診断または予後判定のために使用することができる。特定の実施形態においては、核酸多型の検出および増幅を行うための本発明のフォワードおよびリバースプライマーと、所望により、エキソヌクレアーゼ活性をもつ及びもたないそれぞれ1種または2種のDNAポリメラーゼとを、1以上の容器中に含むキットを提供する。三重増幅のためのキットは更に、ブロッキングオリゴヌクレオチドと、場合により、DNAリガーゼとを、1以上の容器中に含みうる。
【0074】
容器中のオリゴヌクレオチドは、任意の形態、例えば、凍結乾燥形態または溶解状態(例えば、蒸留水または緩衝溶液)などでありうる。同一の増幅反応においてすぐに使用する複数のオリゴヌクレオチドは単一の容器中に組み合わせても、別々の容器中に入れてもよい。また、2以上の増幅(フォワードおよびリバース)プライマー対を含有する多重キットも提供され、その場合、各増幅産物から検出されるシグナルは異なる波長のものである(例えば、各プライマー対の供与成分が異なる波長において蛍光を発する)。そのような多重キットは少なくとも2つのそのようなプライマー対を含有する。
【0075】
特定の実施形態においては、キットは、増幅を開始させることができるプライマー(好ましくは、10〜100または10〜80ヌクレオチドの範囲、より好ましくは、20〜40ヌクレオチドの範囲のもの)の対を、1以上の容器中に含む。そのようなプライマーは、PCR(例えば、Innisら,1990,PCR Protocols,Academic Press,Inc.,San Diego,Calif.を参照されたい)、競合的PCR、競合的逆転写PCR(Clementiら,1994,Genet.Anal.Tech.Appl.11(1):1−6;Siebertら,1992,Nature 359:557−558)、三重増幅、NASBAおよび鎖置換を含むがこれらに限らない種々の増幅反応において増幅を開始させることが可能である。
【0076】
PCRまたは鎖置換による増幅に使用するためのフォワードプライマーとリバースプライマーからなるプライマー対は、2つの相補的核酸鎖の異なる鎖にそれぞれ相補的であるプライマーよりなり、一方のプライマーの、他方のプライマーの方向への伸長産物が核酸ポリメラーゼにより産生された場合には、その伸長産物は他方のプライマーの伸長産物の合成のための鋳型として働く。三重増幅に使用するための、フォワードプライマーとリバースプライマーからなるプライマー対は、2つの相補的核酸鎖の異なる鎖にそれぞれ相補的であるプライマーよりなり、一方のプライマーの、他方のプライマーの方向への伸長連結産物が核酸ポリメラーゼおよび核酸リガーゼにより産生された場合には、その伸長連結産物は他方のプライマーの伸長連結産物の合成のための鋳型として働きうる。これらの場合の増幅産物は、プライマー配列間(プライマーを含む)のサンプル中の核酸の内容物である。
【0077】
もう1つの実施形態においては、第1同定配列または第2同定配列または両方の存在を判定するためのキットは、1以上の容器中に、(a)オリゴヌクレオチドプライマー(その一方または両方は、METを引き起こしうる消光成分および蛍光成分で標識されたヘアピンプライマーである)を含み、場合により、(b)対照DNA標的配列、(c)増幅用の最適化バッファー、(d)意図される増幅法のための適切な酵素、例えば、PCR、三重増幅またはSDAにはDNAポリメラーゼ、あるいはNASBAには逆転写酵素、および(e)増幅反応を実施するための1組の説明書を含みうる。そのような説明書には、例えば、該反応を行うための最適な条件、例えば温度、増幅のサイクル数、pH、塩などが記載されている。所望により、該キットは、(f)蛍光発光を刺激し検出するための手段、例えば、該分析を行うための蛍光プレートリーダーまたは複合サーモサイクラー−プレートリーダーを備えていてもよい。
【0078】
さらにもう1つの実施形態においては、三重増幅のためのキットを提供する。該キットは、フォワードおよびリバース伸長プライマーならびにブロッキングオリゴヌクレオチドを含む。フォワードまたはリバースプライマーのいずれかをMET成分のペアの一方の成分で標識し、ブロッキングオリゴヌクレオチドを該ペアの他方のMET成分で標識する。そのようなキットの1つの実施形態は、1以上の容器中に、(a)第1オリゴヌクレオチド、(b)第2オリゴヌクレオチド(第1および第2オリゴヌクレオチドは三重増幅反応に使用するための直鎖状プライマーである)、(c)第1オリゴヌクレオチドの配列に相補的であってハイブリダイズ可能な配列を含むブロッキングオリゴヌクレオチドである第3オリゴヌクレオチド(第1および第3オリゴヌクレオチドは、それぞれ、供与成分と受容成分とよりなる分子エネルギー転移ペアのメンバーである第1および第2成分で標識されており、その結果、第1および第3オリゴヌクレオチドが互いにハイブリダイズし、供与成分が励起されてエネルギーを放出すると、受容成分は供与成分により放出されたエネルギーを吸収する)を含み、そして(d)別の容器中に核酸リガーゼを含む。
【0079】
キットのもう1つの実施形態は、容器中に普遍的ヘアピンを含み、また、所望により、臭化シアンまたは核酸リガーゼ(例えば、T4 DNAリガーゼなどのDNAリガーゼ)を含有する第2容器を含む。
【0080】
図2に示すような反応を行うためのキットは、1以上の容器中に、(a)第1および第2オリゴヌクレオチド、(b)第3オリゴヌクレオチド(ここで、第1および第2オリゴヌクレオチドはフォワードプライマーであり、第3オリゴヌクレオチドは、核酸多型を同定するための増幅反応におけるDNA合成用のリバースプライマーであり、第1および第2オリゴヌクレオチドは、(i)該核酸配列中の所定の標的配列に相補的でない5’配列、および(ii)所定の標的配列に相補的である3’配列を含み、1以上のミスマッチヌクレオチドを含みうる)、および(c)第4オリゴヌクレオチド[これは、5’から3’の順序で、(i)6〜30ヌクレオチドの第1ヌクレオチド配列(ここで、第1ヌクレオチド配列中のヌクレオチドは、分子エネルギー転移ペアの供与成分および受容成分よりなる群から選ばれる第1成分で標識されており、供与成分は励起されると1以上の特定の波長のエネルギーを放出し、受容成分は供与成分により放出された1以上の特定の波長におけるエネルギーを吸収する)、(ii)3〜20ヌクレオチドの一本鎖の第2ヌクレオチド配列、(iii)6〜30ヌクレオチドの第3ヌクレオチド配列(ここで、第3ヌクレオチド配列中のヌクレオチドは、供与成分および受容成分よりなる群から選ばれる第2成分で標識されており、第2成分は、第1ヌクレオチド配列を標識していない上記群のメンバーであり、第3ヌクレオチド配列は、第1ヌクレオチド配列と第3ヌクレオチド配列との間で二本鎖を形成するのに十分な程度に逆の順序で第1ヌクレオチド配列に相補的であり、そのため、第1成分と第2成分とは十分に接近していて、供与成分が励起されてエネルギーを放出すると、受容成分は供与成分により放出されたエネルギーを吸収する)、(iv)第3オリゴヌクレオチドプライマーの3’末端における、10〜25ヌクレオチドの第4ヌクレオチド配列(これは、第1オリゴヌクレオチドプライマーの5’配列と同一である配列をその3’末端に含む)を含む]を含む。そのようなキットを三重増幅に使用する場合には、ブロッキングオリゴヌクレオチドも提供されうる。
【0081】
本発明のもう1つのキットは、1以上の容器中に、(a)第1オリゴヌクレオチド、(b)第2オリゴヌクレオチド(第1および第2オリゴヌクレオチドは互いにハイブリダイズ可能であり、第1オリゴヌクレオチドは供与成分で標識されており、第2オリゴヌクレオチドは受容成分で標識されており、供与および受容成分は分子エネルギー転移ペアであり、ここで、供与成分は励起されると1以上の特定の波長のエネルギーを放出し、受容成分は供与成分により放出された1以上の特定の波長におけるエネルギーを吸収する)を含み、そして(c)別の容器中に核酸リガーゼを含む。
【0082】
本発明のアプローチは、とりわけ、遺伝病の診断、キャリア(保因者)のスクリーニング、HLAタイピング、ヒト遺伝子マッピング、法科学および親子鑑定のための有効な手段を与える。本発明は、以下の実施例を参考にして更に詳しく説明されるが、これらの実施例は例示として記載されているに過ぎない。以下の実施例中のいかなる点も、本発明の全体的な精神および範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0083】
実施例
実施例1:普遍的FRETプライマーによる一般的な増幅反応
1.プライマーの設計
本発明のオリゴヌクレオチドプライマーの概要を図1に示す。
【0084】
以下の実施例の目的においては、本発明のオリゴヌクレオチドプライマーは、以下に記載するプライマーとして表示される。
【0085】
O1は、本発明においては、「フォワードプライマー」と称される。これは、1以上の多型の検出のための1以上のミスマッチヌクレオチドを含有する配列特異的プライマーであり、FAM普遍的プライマーに結合しうる。
【0086】
O2は、本発明においては、「フォワードプライマー」と称される。これは、1以上の多型の検出のための1以上のミスマッチヌクレオチドを含有する第2配列特異的プライマーである。このプライマーは、SR普遍的プライマーに結合しうる。
【0087】
O3は、本発明においては、「リバースプライマー」と称される。
【0088】
O4は、本発明においては、「FAM普遍的プライマー」と称される。
【0089】
O5は、本発明においては、「SR普遍的プライマー」と称される。
【0090】
フォワードおよびリバースプライマーの具体例は、表1および表2に記載されている。表1は、フォワードおよびリバースの両プライマーの代表的具体例を例示する。表1中の配列特異的フォワードプライマー対は、それらの末端3’ヌクレオチドにおいて異なる。表2は、フォワードおよびリバースの両プライマーの代表的具体例、ならびに多型を含有する遺伝子標的配列を例示する。
【0091】
以下の実施例において使用する普遍的FRETプライマーは、以下の配列を含む:
緑(FAM)プライマー:
(配列番号1)
赤(スルホローダミン(SR))プライマー:
(配列番号2)。
【0092】
ヘアピンを形成しうる配列は両方の普遍的プライマーにおいて下線で示されており、斜体文字のTは、DABSYLクエンチャーが塩基に結合している部位を示す。
【0093】
【表1】
【0094】
【表2】
【0095】
1.増幅:
増幅反応は、Victor II蛍光プレートリーダー(Wallac)上で直接的に読み取ることが可能な、標準96ウェルポリプロピレンPCRプレート反応においてアセンブルした。あるいは反応をチューブ中で行い、ついで、蛍光測定用のプレートに移すことができる。PCR増幅反応混合物を以下に示す。
【0096】
2.反応混合物:最終容積は20μlとした。
* 代替酵素として、Platinum Taq(BRL)が、同じバッファーと共に成功裏に使用された。
【0097】
3.PCR反応:
UltraPlateをサイクルシーラー(Robbins Scientific)で密封し、サーモサイクラーブロック(Perkin−Elmer 9700)上に配置し、予め94℃に加熱した。94℃で5分間加熱した後、35サイクルの増幅反応(94℃で10秒、55℃で20秒、72℃で40秒)を行った。
【0098】
4.蛍光測定
反応後、相互干渉(クロストーク)を防止するために該プレートを黒色支持体中に配置し、蛍光強度を緑色および赤色フィルターで測定した。いくつかの装置(2つの蛍光プレートリーダーおよび2つのデジタルカメラ)がサンプルの蛍光測定に適していることが判明した。
【0099】
測定は、Victor II 蛍光プレートリーダー(Wallac)を使用して行った。SRチャンネル用の追加の発光および励起フィルターが製造業者によりインストールされた。
【0100】
実施例2:CYP17遺伝子中のSNPを検出するための多重対立遺伝子特異的PCR
1.増幅反応:
ヒトゲノムDNAのサンプルを、CYP17遺伝子中の*2対立遺伝子の存在に関して分析した。特に、A型またはG型対立遺伝子の存在に関してDNAサンプルを分析した。
【0101】
PCR増幅反応プライマー
A型対立遺伝子に特異的な未標識フォワードプライマーは、配列5’−gaaggtgaccaagttcatgctGCCACAGCTCTTCTACTCCACT(配列番号12)(ここで、FAM標識プライマーの3’部分と同一の配列は小文字で示されている)を含んでいた。G型対立遺伝子に特異的な未標識フォワードプライマーは、配列5’−gaaggtcggagtcaacggattGCCACAGCTCTTCTACTCCACC(ここで、SR標識プライマーの3’部分と同一の配列は小文字で示されている)を含んでいた。多型の同定に導いたヌクレオチドには下線が引いてある。該反応で使用したリバースプライマーは、配列GGCACCAGGCCACCTTCTCTT(配列番号14)を含んでいた。使用した普遍的FRETプライマーは、実施例1に記載のものと同一であった。
【0102】
2.増幅反応
多重PCR反応が高レベルの対立遺伝子識別を達成しうるか否かを判定するために、3組の増幅反応を準備した。
【0103】
反応1(一重):
ヒトゲノムDNAを使用する増幅反応混合物は、実施例1に記載のものと同じであったが、次のような相違を含んでいた。この反応では、A型対立遺伝子特異的プライマー、FAM標識ヘアピンプライマーおよびリバースプライマーのみを使用した。
【0104】
反応2(一重):
ヒトゲノムDNAを使用する増幅反応混合物は、実施例1に記載のものと同じであったが、次のような相違を含んでいた。この反応では、G型対立遺伝子特異的プライマー、SR標識ヘアピンプライマーおよびリバースプライマーのみを使用した。
【0105】
反応3(多重):
ヒトゲノムDNAを使用する増幅反応混合物は、実施例1に記載のものと同じであった。この反応では、両方のフォワードプライマー、すなわち、G型対立遺伝子特異的プライマーおよびA型対立遺伝子特異的プライマー、SR標識ヘアピンプライマー、FAM標識ヘアピンプライマーならびにリバースプライマーを使用した。両方の対立遺伝子特異的プライマーが同じ反応中に存在しているため、この反応は多重PCR増幅の典型例である。
【0106】
3.PCR反応
それらの3組の反応はそれぞれ、3つの「無DNA対照」(NDC)を含んでいた。混合物を予め94℃で3分間加熱した後、94℃で10秒、55℃で20秒および72℃で40秒の熱サイクル(サーモサイクリング)(PCR)を35サイクル行った。
【0107】
4.蛍光測定
PCR後、FAMについては585nmおよびSRについては620nmの発光フィルターを使用して、プレートリーダーで相対蛍光を測定した。無DNA対照における平均蛍光シグナルを、各サンプル反応の対応シグナルから引き算した。補正蛍光シグナルをプロットで示す(図5B)。
【0108】
5.結果
結果を図5Aおよび5Bに示す。図5Aおよび5Bは、A型特異的プライマーがA型およびG型の両方のDNA上でFAMシグナルを生成し(1および2)、G特異的プライマーがA型およびG型の両方のDNAでSRシグナルを生成したこと(3および4)を示している。したがって、これらのプライマーを別々に選択した場合には、対立遺伝子識別は低く、DNA型を識別するのに十分ではなかった。しかしながら、A特異的およびG特異的の両方のプライマーが同時に存在する場合(反応3、多重PCR)(5および6)。
【0109】
実施例3:HER2遺伝子中のSNPを検出するための多重対立遺伝子特異的PCR
1.増幅反応:
ゲノムDNAのサンプルを、HER2遺伝子中のSNPの存在に関して分析した。特に、A型またはG型対立遺伝子の存在に関してDNAサンプルを分析した。
【0110】
PCR増幅反応プライマー
プライマーおよび標的配列を表2(A)に要約する。A型対立遺伝子に特異的な未標識フォワードプライマーは、配列5’−gaaggtgaccaagttcatgctGCCAACCACCGCAGAGAT(配列番号XX)(ここで、FAM標識プライマーの3’部分と同一の配列は小文字で示されており、多型の同定に導いたヌクレオチドには下線が引いてある)を含んでいた。G型対立遺伝子に特異的な未標識フォワードプライマーは、配列5’−gaaggtcggagtcaacggattGCCAACCACCGCAGAGAC(配列番号XX)(ここで、SR標識プライマーの3’部分と同一の配列は小文字で示されており、多型の同定に導いたヌクレオチドには下線が引いてある)を含んでいた。該反応で使用したリバースプライマーは、配列TCAATCCCTGACCCTGGCTT(配列番号XX)を含んでいた。使用した普遍的FRETプライマーは、実施例1に記載のものと同一であった。
【0111】
2.多重増幅反応:
ゲノムDNAを使用する増幅反応混合物は、実施例1に記載のものと同じであった。この反応では、両方のフォワードプライマー、すなわち、G型対立遺伝子特異的プライマーおよびA型対立遺伝子特異的プライマー、SR標識ヘアピンプライマー、FAM標識ヘアピンプライマーならびにリバースプライマーを使用した。
【0112】
3.PCR反応
PCR反応はそれぞれ、4つの「無DNA対照」(NDC)を含んでいた。混合物を予め94℃で3分間加熱した後、94℃で10秒、55℃で20秒および72℃で40秒の熱サイクル(サーモサイクリング)(PCR)を35サイクル行った。
【0113】
4.蛍光測定
PCR後、FAMについては585nmおよびSRについては620nmの発光フィルターを使用して、プレートリーダーで相対蛍光を測定した。無DNA対照における平均蛍光シグナルを、各サンプル反応の対応シグナルから引き算した。補正蛍光シグナルをプロットで示す(図6Aおよび6B)。
【0114】
5.結果
結果を図6Aおよび6Bに示す。この図は、A特異的およびG特異的の両方のプライマーが同時に存在する場合の良好な対立遺伝子識別を示している。
【0115】
実施例4:多型をまたぐことによりCYP2C8遺伝子中のSNPを検出するための多重対立遺伝子特異的PCR
1.増幅反応:
ゲノムDNAのサンプルを、CYP2C8遺伝子中のSNPの存在に関して分析した。特に、C型またはT型対立遺伝子の存在に関してDNAサンプルを分析した。この反応で使用したプライマーは互いに相違する。T型対立遺伝子に特異的なプライマーは、その3’末端ヌクレオチド以外のヌクレオチドが異なるため、多型をまたいでいる(bridge)。
【0116】
PCR増幅反応プライマー
プライマーおよび標的配列を表2(B)に要約する。C型対立遺伝子に特異的な未標識フォワードプライマーは、配列5’−gaaggtgaccaagttcatgctGTTGCAGGTGATAGCAGATCG(配列番号XX)(ここで、FAM標識プライマーの3’部分と同一の配列は小文字で示されており、多型の同定に導いたヌクレオチドには下線が引いてある)を含んでいた。T型対立遺伝子に特異的な未標識フォワードプライマーは、配列5’−gaaggtcggagtcaacggattGTTGCAGGTGATAGCAGATAG(配列番号XX)(ここで、SR標識プライマーの3’部分と同一の配列は小文字で示されており、多型の同定に導いたヌクレオチドには下線が引いてある)を含んでいた。このプライマーの場合、3’末端ヌクレオチドではなく、該プライマーの3’末端から2番目のヌクレオチドが異なる。該反応で使用したリバースプライマーは、配列TGCTTCATCCCTGTCTGAAGAAT(配列番号XX)を含んでいた。使用した普遍的FRETプライマーは、実施例1に記載のものと同一であった。
【0117】
2.多重増幅反応:
ゲノムDNAを使用する増幅反応混合物は、実施例1に記載のものと同じであった。この反応では、両方のフォワードプライマー、すなわち、C型対立遺伝子特異的プライマーおよびT型対立遺伝子特異的プライマー、SR標識ヘアピンプライマー、FAM標識ヘアピンプライマーならびにリバースプライマーを使用した。
【0118】
3.PCR反応
PCR反応はそれぞれ、4つの「無DNA対照」(NDC)を含んでいた。混合物を予め94℃で3分間加熱した後、94℃で10秒、55℃で20秒および72℃で40秒の熱サイクル(サーモサイクリング)(PCR)を35サイクル行った。
【0119】
4.蛍光測定
PCR後、FAMについては585nmおよびSRについては620nmの発光フィルターを使用して、プレートリーダーで相対蛍光を測定した。無DNA対照における平均蛍光シグナルを、各サンプル反応の対応シグナルから引き算した。補正蛍光シグナルをプロットで示す(図7Aおよび7B)。
【0120】
5.結果
結果を図7Aおよび7Bに示す。この図は、C特異的およびT特異的の両方のプライマーが同時に存在する場合の良好な対立遺伝子識別を示している。
【0121】
実施例5:多型をまたぐことによりHTR2C遺伝子中のSNPを検出するための多重対立遺伝子特異的PCR
1.増幅反応:
ゲノムDNAのサンプルを、HTR2C遺伝子中のSNPの存在に関して分析した。特に、C型またはG型対立遺伝子の存在に関してDNAサンプルを分析した。この反応で使用したプライマーは、3’末端ヌクレオチドから3番目のヌクレオチドが異なるため、多型をまたいでいる。
【0122】
PCR増幅反応プライマー
プライマーおよび標的配列を表2(C)に要約する。C型対立遺伝子に特異的な未標識フォワードプライマーは、配列5’−gaaggtgaccaagttcatgctGGGCTCACAGAAATATCAGAT(配列番号XX)(ここで、FAM標識プライマーの3’部分と同一の配列は小文字で示されており、多型の同定に導いたヌクレオチドには下線が引いてある)を含んでいた。T型対立遺伝子に特異的な未標識フォワードプライマーは、配列5’−gaaggtcggagtcaacggattGGGCTCACAGAAATATCACAT(配列番号XX)(ここで、SR標識プライマーの3’部分と同一の配列は小文字で示されており、多型の同定に導いたヌクレオチドには下線が引いてある)を含んでいた。このプライマーの場合、3’末端ヌクレオチドではなく、該プライマーの3’末端から2番目のヌクレオチドが異なる。該反応で使用したリバースプライマーは、配列TGCACCTAATTGGCCTATTGGTTT(配列番号XX)を含んでいた。使用した普遍的FRETプライマーは、実施例1に記載のものと同一であった。
【0123】
2.多重増幅反応:
ゲノムDNAを使用する増幅反応混合物は、実施例1に記載のものと同じであった。この反応では、両方のフォワードプライマー、すなわち、G型対立遺伝子特異的プライマーおよびC型対立遺伝子特異的プライマー、SR標識ヘアピンプライマー、FAM標識ヘアピンプライマーならびにリバースプライマーを使用した。
【0124】
3.PCR反応
PCR反応はそれぞれ、4つの「無DNA対照」(NDC)を含んでいた。混合物を予め94℃で3分間加熱した後、94℃で10秒、55℃で20秒および72℃で40秒の熱サイクル(サーモサイクリング)(PCR)を35サイクル行った。
【0125】
4.蛍光測定
PCR後、FAMについては585nmおよびSRについては620nmの発光フィルターを使用して、プレートリーダーで相対蛍光を測定した。無DNA対照における平均蛍光シグナルを、各サンプル反応の対応シグナルから引き算した。補正蛍光シグナルをプロットで示す(図8Aおよび8B)。
【0126】
5.結果
結果を図8Aおよび8Bに示す。この図は、C特異的およびG特異的の両方のプライマーが同時に存在する場合の良好な対立遺伝子識別を示している。
【0127】
実施例6:CCR5遺伝子中の欠失を検出するための多重対立遺伝子特異的PCR
1.増幅反応:
ゲノムDNAのサンプルを、CCR5遺伝子中の欠失の存在に関して分析した。特に、該遺伝子欠失の存在または不存在に関してDNAサンプルを分析した。
【0128】
PCR増幅反応プライマー
プライマーおよび標的配列を表2(D)に要約する。野生型対立遺伝子に特異的な未標識フォワードプライマーは、配列5’−gaaggtgaccaagttcatgctCTCATTTTCCATACAGTCA(配列番号XX)(ここで、FAM標識プライマーの3’部分と同一の配列は小文字で示されており、野生型対立遺伝子の同定に導いたヌクレオチドには下線が引いてある)を含んでいた。突然変異対立遺伝子に特異的な未標識フォワードプライマーは、配列5’−gaaggtcggagtcaacggattgcagctctcattttccatacatta(配列番号XX)(ここで、SR標識プライマーの3’部分と同一の配列は小文字で示されている)を含んでいた。該反応で使用したリバースプライマーは、配列ACCAGCCCCAAGATGACTATCTT(配列番号XX)を含んでいた。使用した普遍的FRETプライマーは、実施例1に記載のものと同一であった。
【0129】
2.多重増幅反応
ゲノムDNAを使用する増幅反応混合物は、実施例1に記載のものと同じであった。この反応では、両方のフォワードプライマー、すなわち、野生型対立遺伝子特異的プライマーおよび突然変異対立遺伝子特異的プライマー、SR標識ヘアピンプライマー、FAM標識ヘアピンプライマーならびにリバースプライマーを使用した。
【0130】
3.PCR反応
PCR反応はそれぞれ、4つの「無DNA対照」(NDC)を含んでいた。混合物を予め94℃で3分間加熱した後、94℃で10秒、55℃で20秒および72℃で40秒の熱サイクル(サーモサイクリング)(PCR)を35サイクル行った。
【0131】
4.蛍光測定
PCR後、FAMについては585nmおよびSRについては620nmの発光フィルターを使用して、プレートリーダーで相対蛍光を測定した。無DNA対照における平均蛍光シグナルを、各サンプル反応の対応シグナルから引き算した。補正蛍光シグナルをプロットで示す(図9Aおよび9B)。
【0132】
5.結果
結果を図9Aおよび9Bに示す。この図は、野生型特異的および突然変異特異的の両方のプライマーが同時に存在する場合の良好な対立遺伝子識別を示している。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明のオリゴヌクレオチドプライマーの一般的模式図を示す。
【図2】
本発明の方法の好ましい実施形態の1つを示す模式図である。
【図3】
(A)ヘアピンコンホメーションおよび(B)伸長コンホメーションをとったオリゴヌクレオチドの構造の模式図である。
【図4】
ポリメラーゼ連鎖反応を用いる本発明の方法のもう1つの実施形態を示す。
【図5】
図5Aは、A型対立遺伝子およびG型対立遺伝子に関するCYP17遺伝子の遺伝子型決定の結果を示す。図5Bは、一重(シングルプレックス)PCR反応に対する多重(マルチプレックス)PCR反応の利点を示す。
【図6】
図6Aは、A型対立遺伝子およびG型対立遺伝子に関するHER2遺伝子の遺伝子型決定の結果を示す。図6Bは、図5Aの蛍光結果のグラフ表示を示す。
【図7】
図7Aは、C型対立遺伝子およびT型対立遺伝子に関するCYP2C8遺伝子の遺伝子型決定の結果を示す。図7Bは、図6Aの蛍光結果のグラフ表示を示す。
【図8】
図8Aは、C型対立遺伝子およびG型対立遺伝子に関するHTR2C遺伝子の遺伝子型決定の結果を示す。図8Bは、図7Aの蛍光結果のグラフ表示を示す。
【図9】
図9Aは、野生型遺伝子および欠失突然変異体に関するCCR5遺伝子の遺伝子型決定の結果を示す。図9Bは、図8Aの蛍光結果のグラフ表示を示す。
Claims (65)
- サンプル中の第1同定配列または第2同定配列または両方の存在を判定するための方法であって、
(A)下記のヌクレオチド配列:
(i)第1同定配列に特異的にハイブリダイズできるが、第2同定配列には特異的にハイブリダイズできない第1ヌクレオチド配列、および
(ii)第1ヌクレオチド配列の5’末端における第2ヌクレオチド配列、
を含む第1オリゴヌクレオチドを準備すること、
(B)下記のヌクレオチド配列:
(i)第2同定配列に特異的にハイブリダイズできるが、第1同定配列には特異的にハイブリダイズできない第3ヌクレオチド配列、および
(ii)第1ヌクレオチド配列の5’末端における第4ヌクレオチド配列、
を含む第2オリゴヌクレオチドを準備すること、
(C)第3オリゴヌクレオチドを準備すること、
(D)下記のヌクレオチド配列:
(i)第5ヌクレオチド配列、
(ii)第5ヌクレオチド配列の5’末端における第6ヌクレオチド配列、
(iii)第6ヌクレオチド配列の5’末端における第7ヌクレオチド配列、および
(iv)第7ヌクレオチド配列の5’末端における第8ヌクレオチド配列、
を含む第4オリゴヌクレオチドを準備すること、ここで、第5ヌクレオチド配列は第2ヌクレオチド配列と同一であり、第4オリゴヌクレオチドは、第6および第8ヌクレオチド配列のヌクレオチドを含有する第1ヘアピンを形成することが可能であり、第4オリゴヌクレオチドは、第1ヘアピンが形成されなければ第1検出シグナルを放出すること、
(E)下記のヌクレオチド配列:
(i)第9ヌクレオチド配列、
(ii)第9ヌクレオチド配列の5’末端における第10ヌクレオチド配列、
(iii)第10ヌクレオチド配列の5’末端における第11ヌクレオチド配列、および
(iv)第11ヌクレオチド配列の5’末端における第12ヌクレオチド配列、
を含む第5オリゴヌクレオチドを準備すること、ここで、第9ヌクレオチド配列は第4ヌクレオチド配列と同一であり、第5オリゴヌクレオチドは、第10および第12ヌクレオチド配列のヌクレオチドを含有する第2ヘアピンを形成することが可能であり、第4オリゴヌクレオチドは、第2ヘアピンが形成されなければ第2検出シグナルを放出すること、
(F)サンプル中に第1同定配列が存在する場合には、
(i)第1オリゴヌクレオチドを第1同定配列にアニールさせること、
(ii)鋳型として第1同定配列を使用して第1オリゴヌクレオチドの3’末端を伸長させて、伸長第1鎖を形成させること、ここで、第1同定配列は伸長第1鎖にアニールすること、
(iii)伸長第1鎖から第1同定配列を分離すること、
(iv)第3オリゴヌクレオチドを伸長第1鎖にアニールさせること、
(v)鋳型として伸長第1鎖を使用して第3オリゴヌクレオチドの3’末端を伸長させて、伸長第2鎖を形成させること、ここで、伸長第1鎖は伸長第2鎖にアニールすること、
(vi)伸長第2鎖から伸長第1鎖を分離すること、
(vii)第4オリゴヌクレオチドを伸長第2鎖にアニールさせること、
(viii)鋳型として伸長第2鎖を使用して第4オリゴヌクレオチドの3’末端を伸長させて、二重伸長第1鎖を形成させること、ここで、二重伸長第1鎖は伸長第2鎖にアニールすること、
(ix)伸長第2鎖から二重伸長第1鎖を分離すること、
(x)第3オリゴヌクレオチドを二重伸長第1鎖にアニールさせること、
(xi)鋳型として二重伸長第1鎖を使用して第3オリゴヌクレオチドの3’末端を伸長させて、二重伸長第2鎖を形成させること、
(xii)場合により、二重伸長第1および第2鎖を増幅すること、
(xiii)第1検出シグナルを検出すること、および
(xiv)サンプル中に第1同定配列が存在すると判定すること、
(G)サンプル中に第2同定配列が存在する場合には、
(i)第2オリゴヌクレオチドを第2同定配列にアニールさせること、
(ii)鋳型として第2同定配列を使用して第2オリゴヌクレオチドの3’末端を伸長させて、伸長第3鎖を形成させること、ここで、第2同定配列は伸長第3鎖にアニールすること、
(iii)伸長第3鎖から第2同定配列を分離すること、
(iv)第3オリゴヌクレオチドを伸長第3鎖にアニールさせること、
(v)鋳型として伸長第3鎖を使用して第3オリゴヌクレオチドの3’末端を伸長させて、伸長第4鎖を形成させること、ここで、伸長第3鎖は伸長第4鎖にアニールすること、
(vi)伸長第4鎖から伸長第3鎖を分離すること、
(vii)第5オリゴヌクレオチドを伸長第4鎖にアニールさせること、
(viii)鋳型として伸長第4鎖を使用して第5オリゴヌクレオチドの3’末端を伸長させて、二重伸長第3鎖を形成させること、ここで、二重伸長第3鎖は伸長第4鎖にアニールすること、
(ix)伸長第4鎖から二重伸長第3鎖を分離すること、
(x)第3オリゴヌクレオチドを二重伸長第3鎖にアニールさせること、
(xi)鋳型として二重伸長第3鎖を使用して第3オリゴヌクレオチドの3’末端を伸長させて、二重伸長第4鎖を形成させること、
(xii)場合により、二重伸長第3および第4鎖を増幅すること、
(xiii)第2検出シグナルを検出すること、
(xiv)サンプル中に第2同定配列が存在すると判定すること、
を含んでなる上記方法。 - サンプルがゲノムDNAサンプルである、請求項1記載の方法。
- 第4オリゴヌクレオチドが、第1ヘアピンが形成されない場合に限り第1検出シグナルを放出し、第5オリゴヌクレオチドが、第2ヘアピンが形成されない場合に限り第2検出シグナルを放出する、請求項1記載の方法。
- 第1ヘアピンが形成されない場合に第4オリゴヌクレオチドにより放出される第1検出シグナルは、第1ヘアピンが形成された場合に第4オリゴヌクレオチドにより放出されるシグナルより強力であり、そして、第2ヘアピンが形成されない場合に第5オリゴヌクレオチドにより放出される第2検出シグナルは、第2ヘアピンが形成された場合に第5オリゴヌクレオチドにより放出されるシグナルより強力である、請求項1記載の方法。
- 第4オリゴヌクレオチドは、第1ヘアピンが形成されない場合に限り第1検出シグナルを放出し、そして、第5オリゴヌクレオチドは、第2ヘアピンが形成されない場合に限り第2検出シグナルを放出する、請求項1記載の方法。
- 第4オリゴヌクレオチドが更に、第1エネルギーを放出できる第1エネルギー供与成分と放出第1エネルギーの量を吸収できる第1エネルギー受容成分とを含む第1分子エネルギー転移ペアを含有し、
第1供与成分が第2ヌクレオチド配列のヌクレオチドに結合しており、かつ第1受容成分が第4ヌクレオチド配列のヌクレオチドに結合しているか、または、第1受容成分が第2ヌクレオチド配列のヌクレオチドに結合しており、かつ第1供与成分が第4ヌクレオチド配列のヌクレオチドに結合しており、そして、第1受容成分は、第1ヘアピンが形成された場合に限り放出第1エネルギーの量を吸収し、
第5オリゴヌクレオチドが更に、第2エネルギーを放出できる第2エネルギー供与成分と放出第2エネルギーの量を吸収できる第2エネルギー受容成分とを含む第2分子エネルギー転移ペアを含有し、
第2供与成分が第6ヌクレオチド配列のヌクレオチドに結合しており、かつ第2受容成分が第8ヌクレオチド配列のヌクレオチドに結合しているか、または、第2受容成分が第6ヌクレオチド配列のヌクレオチドに結合しており、かつ第2供与成分が第8ヌクレオチド配列のヌクレオチドに結合しており、そして、第2受容成分は、第2ヘアピンが形成された場合に限り放出第2エネルギーの量を吸収する、請求項1記載の方法。 - 第1および第2供与成分のそれぞれが発蛍光団であり、第1および第2受容成分のそれぞれが、発蛍光団から放出される光のクエンチャーである、請求項1記載の方法。
- 第1および第2受容成分がDABSYLであり、ここで、第1供与成分がフルオレセインで、第2受容成分がスルファローダミンであるか、または、第1供与成分がスルファローダミンで、第2受容成分がフルオレセインである、請求項8記載の方法。
- 増幅反応がポリメラーゼ連鎖反応である、請求項1記載の方法。
- 増幅反応が三重増幅、核酸配列に基づく増幅、鎖置換増幅、カスケードローリングサークル増幅、または増幅不応性突然変異系である、請求項1記載の方法。
- 増幅反応をin situで行う、請求項1記載の方法。
- (F)(xii)が、
(a)二重伸長第2鎖から二重伸長第1鎖を分離すること、
(b)第3オリゴヌクレオチドを二重伸長第1鎖にアニールさせ、第4オリゴヌクレオチドを二重伸長第2鎖にアニールさせること、
(c)鋳型として二重伸長第1鎖を使用して第3オリゴヌクレオチドの3’末端を伸長させて、もう1つの二重伸長第2鎖を形成させること、ここで、二重伸長第1鎖はもう一方の二重伸長第2鎖にアニールすること、鋳型として二重伸長第2鎖を使用して第4オリゴヌクレオチドの3’末端を伸長させて、もう1つの二重伸長第1鎖を形成させること、ここで、二重伸長第2鎖はもう一方の二重伸長第1鎖にアニールすること、および
(d)上記(a)、(b)および(c)を有限回数反復すること、
を含み、ここで、(a)においては、二重伸長第1および第2鎖が、それぞれ、(c)の二重伸長第1鎖およびもう一方の二重伸長第2鎖であるか、または、それぞれ、(c)のもう一方の二重伸長第1鎖および二重伸長第2鎖である、請求項1記載の方法。 - (G)(xii)が、
(a)二重伸長第4鎖から二重伸長第3鎖を分離すること、
(b)第3オリゴヌクレオチドを二重伸長第3鎖にアニールさせ、第5オリゴヌクレオチドを二重伸長第4鎖にアニールさせること、
(c)鋳型として二重伸長第3鎖を使用して第3オリゴヌクレオチドの3’末端を伸長させて、もう1つの二重伸長第4鎖を形成させること、ここで、二重伸長第3鎖はもう一方の二重伸長第4鎖にアニールすること、鋳型として二重伸長第4鎖を使用して第5オリゴヌクレオチドの3’末端を伸長させて、もう1つの二重伸長第3鎖を形成させること、ここで、二重伸長第4鎖はもう一方の二重伸長第3鎖にアニールすること、
(d)上記(a)、(b)および(c)を有限回数反復させること、
を含み、ここで、(a)においては、二重伸長第3および第4鎖が、それぞれ、(c)の二重伸長第3鎖およびもう一方の二重伸長第4鎖であるか、または、それぞれ、(c)のもう一方の二重伸長第3鎖および二重伸長第4鎖である、請求項1記載の方法。 - (F)(i)を行う反応混合物中の第1オリゴヌクレオチドの濃度が50nM未満である、請求項1記載の方法。
- (F)(i)を行う反応混合物中の第1オリゴヌクレオチドの濃度が25nM未満である、請求項1記載の方法。
- (F)(i)を行う反応混合物中の第1オリゴヌクレオチドの濃度が5nM未満である、請求項1記載の方法。
- (F)(i)を行う反応混合物中の第1オリゴヌクレオチドの濃度が5〜50nMである、請求項1記載の方法。
- (F)(i)を行う反応混合物中の第1オリゴヌクレオチドの濃度が20〜30nMである、請求項1記載の方法。
- (F)(i)を行う反応混合物中の第1オリゴヌクレオチドの濃度が約25nMである、請求項1記載の方法。
- (F)(vii)を行う反応混合物中の第4オリゴヌクレオチドの濃度が500nM未満である、請求項1記載の方法。
- (F)(vii)を行う反応混合物中の第4オリゴヌクレオチドの濃度が250nM未満である、請求項1記載の方法。
- (F)(vii)を行う反応混合物中の第4オリゴヌクレオチドの濃度が50nM未満である、請求項1記載の方法。
- (F)(vii)を行う反応混合物中の第4オリゴヌクレオチドの濃度が50〜500nMである、請求項1記載の方法。
- (F)(vii)を行う反応混合物中の第4オリゴヌクレオチドの濃度が200〜300nMである、請求項1記載の方法。
- (F)(vii)を行う反応混合物中の第4オリゴヌクレオチドの濃度が約250nMである、請求項1記載の方法。
- (F)(vii)を行う反応混合物中の第4オリゴヌクレオチドの濃度が、(F)(i)を行う反応混合物中の第1オリゴヌクレオチドの濃度の少なくとも5倍である、請求項1記載の方法。
- (F)(vii)を行う反応混合物中の第4オリゴヌクレオチドの濃度が、(F)(i)を行う反応混合物中の第1オリゴヌクレオチドの濃度の少なくとも10倍である、請求項1記載の方法。
- (F)(vii)を行う反応混合物中の第4オリゴヌクレオチドの濃度が、(F)(i)を行う反応混合物中の第1オリゴヌクレオチドの濃度の少なくとも20倍である、請求項1記載の方法。
- (F)(vii)を行う反応混合物中の第4オリゴヌクレオチドの濃度が、(F)(i)を行う反応混合物中の第1オリゴヌクレオチドの濃度の少なくとも30倍である、請求項1記載の方法。
- (F)(vii)を行う反応混合物中の第4オリゴヌクレオチドの濃度が、(F)(i)を行う反応混合物中の第1オリゴヌクレオチドの濃度の5〜30倍である、請求項1記載の方法。
- (F)(vii)を行う反応混合物中の第4オリゴヌクレオチドの濃度が、(F)(i)を行う反応混合物中の第1オリゴヌクレオチドの濃度の10〜20倍である、請求項1記載の方法。
- (F)(vii)を行う反応混合物中の第4オリゴヌクレオチドの濃度が、(F)(i)を行う反応混合物中の第1オリゴヌクレオチドの濃度の約10倍である、請求項1記載の方法。
- (F)(i)を行う反応混合物中の第2オリゴヌクレオチドの濃度が50nM未満である、請求項1記載の方法。
- (F)(i)を行う反応混合物中の第2オリゴヌクレオチドの濃度が25nM未満である、請求項1記載の方法。
- (F)(i)を行う反応混合物中の第2オリゴヌクレオチドの濃度が5nM未満である、請求項1記載の方法。
- (F)(i)を行う反応混合物中の第2オリゴヌクレオチドの濃度が5〜50nMである、請求項1記載の方法。
- (F)(i)を行う反応混合物中の第2オリゴヌクレオチドの濃度が20〜30nMである、請求項1記載の方法。
- (F)(i)を行う反応混合物中の第2オリゴヌクレオチドの濃度が約25nMである、請求項1記載の方法。
- (F)(vii)を行う反応混合物中の第5オリゴヌクレオチドの濃度が500nM未満である、請求項1記載の方法。
- (F)(vii)を行う反応混合物中の第5オリゴヌクレオチドの濃度が250nM未満である、請求項1記載の方法。
- (F)(vii)を行う反応混合物中の第5オリゴヌクレオチドの濃度が50nM未満である、請求項1記載の方法。
- (F)(vii)を行う反応混合物中の第5オリゴヌクレオチドの濃度が50〜500nMである、請求項1記載の方法。
- (F)(vii)を行う反応混合物中の第5オリゴヌクレオチドの濃度が200〜300nMである、請求項1記載の方法。
- (F)(vii)を行う反応混合物中の第5オリゴヌクレオチドの濃度が約250nMである、請求項1記載の方法。
- (F)(vii)を行う反応混合物中の第5オリゴヌクレオチドの濃度が、(F)(i)を行う反応混合物中の第2オリゴヌクレオチドの濃度の少なくとも5倍である、請求項1記載の方法。
- (F)(vii)を行う反応混合物中の第5オリゴヌクレオチドの濃度が、(F)(i)を行う反応混合物中の第2オリゴヌクレオチドの濃度の少なくとも10倍である、請求項1記載の方法。
- (F)(vii)を行う反応混合物中の第5オリゴヌクレオチドの濃度が、(F)(i)を行う反応混合物中の第2オリゴヌクレオチドの濃度の少なくとも20倍である、請求項1記載の方法。
- (F)(vii)を行う反応混合物中の第5オリゴヌクレオチドの濃度が、(F)(i)を行う反応混合物中の第2オリゴヌクレオチドの濃度の少なくとも30倍である、請求項1記載の方法。
- (F)(vii)を行う反応混合物中の第5オリゴヌクレオチドの濃度が、(F)(i)を行う反応混合物中の第2オリゴヌクレオチドの濃度の5〜30倍である、請求項1記載の方法。
- (F)(vii)を行う反応混合物中の第5オリゴヌクレオチドの濃度が、(F)(i)を行う反応混合物中の第2オリゴヌクレオチドの濃度の10〜20倍である、請求項1記載の方法。
- (F)(vii)を行う反応混合物中の第5オリゴヌクレオチドの濃度が、(F)(i)を行う反応混合物中の第2オリゴヌクレオチドの濃度の約10倍である、請求項1記載の方法。
- サンプル中の第1同定配列または第2同定配列または両方の存在を判定するための方法であって、
(A)サンプルを第1および第2オリゴヌクレオチドと接触させること、ここで、第1オリゴヌクレオチドは、
(i)第1ヌクレオチド配列、
(ii)第1ヌクレオチド配列の5’末端における第2ヌクレオチド配列、
(iii)第2ヌクレオチド配列の5’末端における第3ヌクレオチド配列、および
(iv)第3ヌクレオチド配列の5’末端における第4ヌクレオチド配列を含み、その際、第1オリゴヌクレオチドは、第2および第4ヌクレオチド配列のヌクレオチドを含有する第1ヘアピンを形成することが可能であり、そして、第1オリゴヌクレオチドは、第1ヘアピンが形成されなければ第1検出シグナルを放出すること、
第2オリゴヌクレオチドは、
(i)第5ヌクレオチド配列、
(ii)第5ヌクレオチド配列の5’末端における第6ヌクレオチド配列、
(iii)第6ヌクレオチド配列の5’末端における第7ヌクレオチド配列、および
(iv)第7ヌクレオチド配列の5’末端における第8ヌクレオチド配列を含み、その際、第2オリゴヌクレオチドは、第6および第8ヌクレオチド配列のヌクレオチドを含有する第2ヘアピンを形成することが可能であり、そして、第2オリゴヌクレオチドは、第2ヘアピンが形成されなければ第2検出シグナルを放出すること、
(B)(i)サンプル中に第1同定配列が存在する場合には、ポリメラーゼを使用して第1オリゴヌクレオチドを二本鎖核酸中に取り込ませ、それにより、第1ヘアピンの形成を妨げること、
(ii)サンプル中に第2同定配列が存在する場合には、ポリメラーゼを使用して第2オリゴヌクレオチドを二本鎖核酸中に取り込ませ、それにより、第2ヘアピンの形成を妨げること、または
(iii)サンプル中に第1および第2同定配列の両方が存在する場合には、ポリメラーゼを使用して第1および第2オリゴヌクレオチドのそれぞれを二本鎖核酸中に取り込ませ、それにより、第1および第2ヘアピンのそれぞれの形成を妨げること、
(C)場合により、増幅反応を行い、それにより、
(i)サンプル中に第1同定配列が存在する場合には、第1オリゴヌクレオチドを第1増幅産物中に取り込ませること、
(ii)サンプル中に第2同定配列が存在する場合には、第2オリゴヌクレオチドを第2増幅産物中に取り込ませること、または
(iii)サンプル中に第1同定配列が存在する場合には、第1オリゴヌクレオチドを第1増幅産物中に取り込ませ、かつ、サンプル中に第2同定配列が存在する場合には、第2オリゴヌクレオチドを第2増幅産物中に取り込ませること、
(D)(i)第1シグナルが検出された場合には、サンプル中に第1同定配列が存在すると判定すること、
(ii)第2シグナルが検出された場合には、サンプル中に第2同定配列が存在すると判定すること、または
(iii)第1および第2シグナルが検出された場合には、サンプル中に第1および第2同定配列が存在すると判定すること、
を含んでなる上記方法。 - サンプルがゲノムDNAサンプルである、請求項1記載の方法。
- 第1オリゴヌクレオチドは、第1ヘアピンが形成されない場合に限り第1検出シグナルを放出し、そして、第2オリゴヌクレオチドは、第2ヘアピンが形成されない場合に限り第2検出シグナルを放出する、請求項1記載の方法。
- 第1ヘアピンが形成されない場合に第1オリゴヌクレオチドにより放出される第1検出シグナルは、第1ヘアピンが形成された場合に第1オリゴヌクレオチドにより放出されるシグナルより強力であり、そして、第2ヘアピンが形成されない場合に第2オリゴヌクレオチドにより放出される第2検出シグナルは、第2ヘアピンが形成された場合に第2オリゴヌクレオチドにより放出されるシグナルより強力である、請求項1記載の方法。
- 第1オリゴヌクレオチドは、第1ヘアピンが形成されない場合に限り第1検出シグナルを放出し、そして、第2オリゴヌクレオチドは、第2ヘアピンが形成されない場合に限り第2検出シグナルを放出する、請求項1記載の方法。
- 第1オリゴヌクレオチドが更に、第1エネルギーを放出できる第1エネルギー供与成分と放出第1エネルギーの量を吸収できる第1エネルギー受容成分とを含む第1分子エネルギー転移ペアを含有し、
第1供与成分が第2ヌクレオチド配列のヌクレオチドに結合しており、かつ第1受容成分が第4ヌクレオチド配列のヌクレオチドに結合しているか、または第1受容成分が第2ヌクレオチド配列のヌクレオチドに結合しており、かつ第1供与成分が第4ヌクレオチド配列のヌクレオチドに結合しており、そして、第1受容成分は、第1ヘアピンが形成された場合に限り放出第1エネルギーの量を吸収し、
第2オリゴヌクレオチドが更に、第2エネルギーを放出できる第2エネルギー供与成分と放出第2エネルギーの量を吸収できる第2エネルギー受容成分とを含む第2分子エネルギー転移ペアを含有し、
第2供与成分が第6ヌクレオチド配列のヌクレオチドに結合しており、かつ第2受容成分が第8ヌクレオチド配列のヌクレオチドに結合しているか、または第2受容成分が第6ヌクレオチド配列のヌクレオチドに結合しており、かつ第2供与成分が第8ヌクレオチド配列のヌクレオチドに結合しており、そして、第2受容成分は、第2ヘアピンが形成された場合に限り放出第2エネルギーの量を吸収する、請求項1記載の方法。 - 第1および第2供与成分のそれぞれが発蛍光団であり、第1および第2受容成分のそれぞれが、発蛍光団から放出される光のクエンチャーである、請求項6記載の方法。
- 第1および第2受容成分がDABSYLであり、ここで、第1供与成分がフルオレセインで、第2受容成分がスルファローダミンであるか、または第1供与成分がスルファローダミンで、第2受容成分がフルオレセインである、請求項7記載の方法。
- 増幅反応がポリメラーゼ連鎖反応である、請求項1記載の方法。
- 増幅反応が三重増幅、核酸配列に基づく増幅、鎖置換増幅、カスケードローリングサークル増幅、または増幅不応性突然変異系である、請求項1記載の方法。
- 増幅反応をin situで行う、請求項1記載の方法。
- サンプル中の第1同定配列または第2同定配列または両方の存在を判定するためのキットであって、1以上の容器中に、
(a)第1および第2オリゴヌクレオチド、
(b)第3オリゴヌクレオチド、ここで、第1および第2オリゴヌクレオチドは核酸多型を同定するための増幅反応におけるDNA合成用のフォワードプライマーであり、第3オリゴヌクレオチドはリバースプライマーであり、そして、第1および第2オリゴヌクレオチドは、(i)該核酸配列中の予め選択された標的配列に相補的でない5’配列と、(ii)前記の予め選択された標的配列に相補的である3’配列とを含み、1個以上のミスマッチヌクレオチドを含みうること、および
(c)第4オリゴヌクレオチド、ただし、これは、5’から3’の順序で、
(i)6〜30ヌクレオチドの第1ヌクレオチド配列、ここで、第1ヌクレオチド配列中のヌクレオチドは、分子エネルギー転移ペアの供与成分および受容成分よりなる群から選ばれる第1成分で標識されており、供与成分は、励起されると1以上の特定の波長のエネルギーを放出し、受容成分は、供与成分により放出された1以上の特定の波長のエネルギーを吸収すること、
(ii)3〜20ヌクレオチドの一本鎖第2ヌクレオチド配列、
(iii)6〜30ヌクレオチドの第3ヌクレオチド配列、ここで、第3ヌクレオチド配列中のヌクレオチドは、供与成分および受容成分よりなる群から選ばれる第2成分で標識されており、第2成分は、第1ヌクレオチド配列を標識していない上記群のメンバーであり、第3ヌクレオチド配列は、第1ヌクレオチド配列と第3ヌクレオチド配列との間で二本鎖を形成するのに十分な程度に逆の順序で第1ヌクレオチド配列に相補的であり、そのため、第1成分と第2成分とは十分に接近していて、供与成分が励起されてエネルギーを放出すると、受容成分は供与成分により放出されたエネルギーを吸収すること、
(iv)第3オリゴヌクレオチドプライマーの3’末端における、10〜25ヌクレオチドの第4ヌクレオチド配列、ただし、これは、第1オリゴヌクレオチドプライマーの5’配列と同一である配列をその3’末端に含むこと、
を含むこと、
を含んでなる上記キット。 - 更に第5オリゴヌクレオチドを含んでなり、これは、5’から3’の順序で、
(i)6〜30ヌクレオチドの第1ヌクレオチド配列、ここで、第1ヌクレオチド配列中のヌクレオチドは、分子エネルギー転移ペアの供与成分および受容成分よりなる群から選ばれる第1成分で標識されており、供与成分は、励起されると1以上の特定の波長のエネルギーを放出し、受容成分は供与成分により放出された1以上の特定の波長のエネルギーを吸収すること、
(ii)3〜20ヌクレオチドの一本鎖第2ヌクレオチド配列、
(iii)6〜30ヌクレオチドの第3ヌクレオチド配列、ここで、第3ヌクレオチド配列中のヌクレオチドは、供与成分および受容成分よりなる群から選ばれる第2成分で標識されており、第2成分は、第1ヌクレオチド配列を標識していない上記群のメンバーであり、第3ヌクレオチド配列は、第1ヌクレオチド配列と第3ヌクレオチド配列との間で二本鎖を形成するのに十分な程度に逆の順序で第1ヌクレオチド配列に相補的であり、そのため、第1成分と第2成分とは十分に接近していて、供与成分が励起されてエネルギーを放出すると、受容成分は供与成分により放出されたエネルギーを吸収すること、
(iv)第3オリゴヌクレオチドプライマーの3’末端における、10〜25ヌクレオチドの第4ヌクレオチド配列、ただし、これは、第2オリゴヌクレオチドプライマーの5’配列と同一である配列をその3’末端に含むこと、
を含むものである、請求項63記載のキット。 - 第1同定配列または第2同定配列または両方の存在を判定するためのキットであって、1以上の容器中に、(a)オリゴヌクレオチドプライマー、ただし、そのうちの1以上は、METを引き起こしうる消光成分および蛍光成分で標識されたヘアピンプライマーであること、および、場合により、(b)対照DNA標的配列、(c)増幅用の最適化バッファー、(d)意図される増幅方法のための適当な酵素、例えば、PCRまたは三重増幅またはSDAにはDNAポリメラーゼ、あるいはNASBAには逆転写酵素、および(e)増幅反応を実施するための1組の説明書、を含んでなるキット。
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