JP2004529324A6 - 生体分子相互作用の検出のためのラベル化不用ハイスループット光学技術 - Google Patents

生体分子相互作用の検出のためのラベル化不用ハイスループット光学技術 Download PDF

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生体分子の相互作用を検出するための方法および構成物を提供する。ラベルの使用を必要とせず、本方法は、ハイスループット方式にて実行することができる。本発明はまた、狭周波数帯フィルタとして有用な光学装置を提供する。

Description

【0001】
(発明の技術分野)
本発明は、生体分子の相互作用を検出するための構成物および方法に関連する。検出は、ラベルを使用することなく起こり、ハイスループット方式により行われる。本発明は、また光学装置にも関連する。
【0002】
(発明の背景)
ヒトゲノムの配列決定の完了に伴い、分子生物学の次の大きな課題の一つは、DNAによりエンコードされる多くのタンパク質標的物が、他のタンパク質、小分子薬候補物質、並びに酵素および阻害因子の大きな宿主、とどのように相互作用するかを理解することになるであろう。例えば、Pandey & Mann,「遺伝子およびゲノム研究のためのプロテオミクス」 Nature, 405, p. 837−846, 2000; Leigh Anderson et al., 「プレテオミクス:基礎および応用生物学における応用」 Current Opinion in Biotechnology, 11, p. 408−412, 2000; Patterson, 「プレテオミクス:タンパク質化学の工業化」 Current Opinion in Biotechnology, 11, p. 413−418, 2000; MacBeath & Schreiber, 「ハイスループット機能決定のためのミクロアレイとしてのタンパク質のプリント」Science, 289, p. 1760−1763, 2000; De Wildt et al., 「抗体−抗原相互作用のハイスループットスクリーニングのための抗体アレイ」 Nature Biotechnology, 18, p. 989−994, 2000を参照のこと。この目的のため、多くの異なる生体分子の相互作用を高感度で同時に定量する能力を有する手段の、医薬の発見、プロテオミクス、および診断への応用が見出されるであろう。さらに、これらの手段として広範囲な使用を見出すためには、これらは簡単に使用でき、所有して操作するのに高価でなく、例えばポリヌクレオチド、ペプチド、小タンパク質、抗体、および細胞全体でさえ含みうる広範囲の分析物に適用できなければならない。
【0003】
オリゴヌクレオチド、抗体−抗原相互作用、ホルモン−レセプター相互作用、および酵素−基質相互作用を含む種々の生体分子複合体を検出するために、バイオセンサーが開発されてきた。一般的に、バイオセンサーは、2つの部品:高特異的認識素子および分子認識事象を定量可能なシグナルに変換する変換器、からなる。シグナル変換は、蛍光、干渉分光法((Jenison et al., 「光学被膜シリコン上での核酸標的の干渉に基づく検出」 Nature Biotechnology, 19, p. 62−65; Lin et al., 「多孔性シリコン基材光学干渉計バイオセンサー」 Science, 278, p. 840−843, 1997)、および重力測定法(A. Cunningham, Bioanalytical Sensors, John Wiley & Sons (1998))を含む、多くの方法によりなされてきた。
【0004】
光学に基づく変換方法として、蛍光化合物による分析物のラベル化を必要としない直接方法は、容易にラベル化されない小分子やタンパク質の相互作用を研究するために相対的なアッセイの簡便性と能力のために注目される。直接光学方法には、表面プラスモン共鳴(SPR)(Jordan & Corn, 「化学的に修飾された金表面への静電生体高分子の吸着の表面プラスモン共鳴イメージング測定」 Anal. Chem., 69:1449−1456 (1997)、 格子カプラー(Morhard et al.,「光学回折による細胞検出のためのミクロパターンにおける抗体の固定化」 Sensors and Actuators B, 70, p. 232−242, 2000)、偏光解析法(Jin et al., 「生体分子相互作用の視覚化のためのイメージング偏光解析法に基づくバイオセンサーの概念」 Analytical Biochemistry, 232, p. 69−72, 1995)、エバネッセント波装置(Huber et al., 「直接光学免疫検出(感度と選択性)」Sensors and Actuators B, 6, p. 122−126, 1992)、および反射計(Brecht & Gauglitz, 「光学プローブおよび変換器」 Biosensors and Bioelectronics, 10, p. 923−936, 1995)が含まれる。これらの検出方法の理論的に予測される検出限界は、診断的に同等な濃度範囲に低下させて可能となることが、決定され、実験的に確認されてきた。しかし、現在のところ、これらの方法は、ハイスループット生体分子相互作用分析に最もしばしば用いられるミクロタイタープレートに基づく、またはミクロアレイに基づく基盤に容易に適合できる形態で、いずれの型のラベルをも用いずに高感度アッセイを実行できる市販のハイスループット装置を依然得る必要がある。従って、この分野では、これらの目的を達成できる構成物および方法に対する要求がある。
【0005】
(発明の概要)
本発明の目的は、1またはそれ以上の特異的結合物質のそれぞれの結合パートナーへの結合を検出するための構成物および方法を提供することである。これおよび本発明の他の目的は、1またはそれ以上の以下に記載される態様により提供される。
【0006】
本発明の1つの態様は、以下を含むバイオセンサーを提供する:高屈折率を有する材料を含む2次元格子、2次元格子を支持する基板層、および基板層の反対側の2次元回折格子の表面に固定化された1またはそれ以上の特異的結合物質である。バイオセンサーが照らされるときに共鳴格子効果が反射した放射スペクトル上で発生する。2次元格子の深さおよび周期は、共鳴回折効果の波長より短い。
【0007】
本発明の他の態様は、高屈折率を有する材料および2次元格子を支持する基板層を含む2次元格子を含む光学装置を提供する。光学装置が照らされるときに共鳴格子効果が反射した放射スペクトル上で発生する。2次元格子の深さおよび周期は、共鳴格子効果の波長より短い。
【0008】
バイオセンサーが光学波長の広周波数帯により照らされるときに、光学波長の狭周波数帯がバイオセンサーまたは光学装置から反射されうる。基板は、ガラス、プラスチックまたはエポキシを含むことができる。2次元格子は、硫化亜鉛、2酸化チタン、酸化タンタル、および窒化ケイ素から成る群より選ばれる材料を含むことができる。
【0009】
基板および2次元格子は、任意に単一ユニットを含むことができる。2次元格子を含む単一ユニットの表面は、高屈折率を有する材料により被膜され、1またはそれ以上の特異的結合物質は単一ユニットの反対側の高屈折率を有する材料表面に固定化される。単一ユニットは、ガラス、プラスチック、およびエポキシから成る群より選ばれる材料を含むことができる。
【0010】
バイオセンサーまたは光学装置は、任意に基板層の反対側の2次元格子表面上に被覆層を含むことができる。1またはそれ以上の特異的結合物質は、2次元格子の反対側の被覆層表面に固定化される。被覆層は、2次元格子の高屈折率材料よりも低い屈折率を有する材料を含むことができる。例えば、被覆層は、ガラス、エポキシ、およびプラスチックを含むことができる。
【0011】
2次元格子は、線形、正方形、円形、楕円形、三角形、台形、シヌソイド波形、長円形、長方形、および六角形から成る群より選ばれる形状の繰り返しパターンを含むことができる。形状の繰り返しパターンは、線形格子、即ち、平行線の格子、長方形格子、または六角形格子に配置できる。2次元格子は、約0.01ミクロンから約1ミクロンの周期および約0.01ミクロンから約1ミクロンの深さを有してもよい。
【0012】
1またはそれ以上の特異的結合物質は、別個の位置のアレイとして配置でき、物理吸着または化学結合により2次元格子上に固定化できる。別個の位置は、直径約50−500または150−200ミクロンのミクロアレイスポットを規定することができる。1またはそれ以上の特異的結合物質は、それらの結合パートナーに結合することができる。1またはそれ以上の特異的結合物質は、核酸、ポリペプチド、抗原、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、単鎖抗体(scFv)、F(ab)フラグメント、F(ab’)フラグメント、Fvフラグメント、小有機分子、細胞、ウイルス、バクテリア、および生物学的サンプルから成る群より選ぶことができる。生物学的サンプルは、血液、血漿、血清、胃腸分泌物、組織または腫瘍のホモジネート、滑液、便、唾液、痰、嚢胞液、羊水、脳脊椎液、腹膜液、肺洗浄液、精液、リンパ液、涙、および前立腺液から成る群より選ぶことができる。結合パートナーは、核酸、ポリペプチド、抗原、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、単鎖抗体(scFv)、F(ab)フラグメント、F(ab’)フラグメント、Fvフラグメント、小有機分子、細胞、ウイルス、バクテリア、および生物学的サンプルから成る群より選ぶことができる。バイオセンサーは、2次元格子状の反対側の基板表面上に非反射誘電被膜をさらに含んでもよい。バイオセンサーは、蛾目構造のような、2次元格子の反対側の基板表面にエンボス加工された非反射性の物理構造を含むことができる。バイオセンサーは、液体収容可能容器の内部表面を含むことができる。容器は、ミクロタイタープレート、試験管、ペトリ皿およびミクロ液体チャネルから成る群より選ばれる。バイオセンサーは、付着結合、超音波溶接およびレーザー溶接から成る群より選ばれる方法により底部なしミクロタイタープレートに結合できる。
【0013】
本発明の他の態様は、本発明のバイオセンサーまたは光学装置、バイオセンサーまたは光学装置に光を導く光源、およびバイオセンサーから反射した光を検出する検出器、を含む検出システムを提供する。検出システムは、第1の末端で光源に接続する1またはそれ以上の照射光学ファイバー、および第1の末端で検出器に接続する1またはそれ以上の集光光学ファイバー、を含むファイバープローブを含むことができ、照射および集光ファイバーの第2の末端は、バイオセンサーまたは光学装置に光を集中させる平行レンズと並んで配置される。照射ファイバーと集光ファイバーは、同じファイバーでもよい。光源は、その上面またはその底面からバイオセンサーを照らすことができる。
【0014】
本発明のさらに他の態様は、1またはそれ以上の特異的結合物質のそれぞれの結合パートナーへの結合を検出する方法を提供する。この方法は、1またはそれ以上の結合パートナーを本発明のバイオセンサーに適用すること、バイオセンサーを光で照らすこと、およびバイオセンサーから反射した光の波長の最大値、または透過した光の波長の最小値を検出すること、を含む。1またはそれ以上の特異的結合物質がそれぞれの結合パートナーに結合した場合に、反射した光の波長が変位する。
【0015】
また本発明の他の態様は、1またはそれ以上の特異的結合物質のそれぞれの結合パートナーへの結合を検出する方法を提供する。この方法は、1またはそれ以上の結合パートナーを本発明のバイオセンサーに適用することを含み、ここでバイオセンサーは、1またはそれ以上の特異的結合物質を含む別個の位置のアレイで被膜された2次元格子を含む。バイオセンサーの各々の別個の位置は、光で照らされ、反射した光の最大波長または透過した光の最小波長は、バイオセンサーの各々の別個の位置から検出される。1またはそれ以上の特異的結合物質が別個の位置でそれぞれの結合パートナーに結合した場合に、反射した光の波長が変位する。
【0016】
本発明のさらなる他の態様は、酵素の活性を検出する方法を提供する。この方法は、1またはそれ以上の酵素を本発明のバイオセンサーに適用すること、バイオセンサーを洗浄すること、バイオセンサーを光で照らすこと、およびバイオセンサーから反射した光の波長を検出すること、を含む。1またはそれ以上の酵素が酵素活性によりバイオセンサーの1またはそれ以上の特異的結合物質を変化させた場合に、反射した光の波長が変位する。
【0017】
本発明の他の態様は、第1および第2の表面を有するシート材料であり、第1の表面がレリーフボリューム回折構造を規定するシート材料、シート材料の第1の表面上に被膜された反射材料、および反射材料に固定化された1またはそれ以上の特異的結合物質、を含むバイオセンサーを提供する。また本発明の他の態様は、第1および第2の表面を有するシート材料であり、第1の表面がレリーフボリューム回折構造を規定するシート材料、およびシート材料の第1の表面上に被膜された反射材料、を含む光学装置を提供する。バイオセンサーまたは光学装置は、光学波長の広周波数帯により照らされたときに第1の単一光学波長で優先的に光を反射する。バイオセンサーは、1またはそれ以上の特異的結合物質が反射表面上に固定化されるときに、第2の単一の光学波長で光を反射する。第1および第2の光学波長における反射が、光学干渉によりもたらされる。1またはそれ以上の特異的結合物質がそれぞれの結合パートナーに結合するときに、バイオセンサーは第3の単一の光学波長で光を反射できる。第3の光学波長における反射は、光学干渉によりもたらされる。レリーフボリューム回折構造の深さおよび周期は、バイオセンサーから反射された光の共鳴波長より短くてもよい。レリーフボリューム回折構造の深さは、約0.01ミクロンから約1ミクロンでもよい。レリーフボリューム回折構造の周期は、約0.01ミクロンから約1ミクロンでもよい。レリーフボリューム回折構造は、直径約0.5ミクロンから約5ミクロンでもよい。
【0018】
本発明のさらなる他の態様は、電気を伝導する光学的に透明な材料を含む第1および第2の表面を有する2次元格子を含むバイオセンサーを提供する。格子の第1の表面は電気絶縁体により被膜され、格子の第2の表面は基板上に堆積される。バイオセンサーが照らされるときに、共鳴格子効果が反射した放射スペクトル上で発生する。格子の深さおよび周期は、共鳴格子効果の波長よりも短い。2またはそれ以上の個別の格子領域は、同じ基板上に存在してもよい。基板の各々の個別の格子領域に電気伝導性トレースが、存在してもよい。伝導性トレースは、電源に接続してもよい。1またはそれ以上の特異的結合物質は、基板の各々の個別の格子領域に結合してもよい。
【0019】
本発明のさらに他の態様は、試験サンプル中の結合パートナーの量を測定する方法を提供する。1またはそれ以上の結合パートナーは、上記のバイオセンサーに固定化される。電荷が、電気伝導性トレースに適用される。バイオセンサーは光で照らされ、反射した光の波長がバイオセンサーから検出される。1またはそれ以上の特異的結合物質がそれぞれの結合パートナーに結合するところで、反射した光の波長が変位する。反対の電荷が、バイオセンサーを光で照らす前に電気伝導トレースに適用されてもよい。
【0020】
本発明のまた他の態様は、1またはそれ以上の特異的結合物質のそれぞれの結合パートナーへの結合を検出する方法を提供する。その方法は、本発明のバイオセンサーを光で照らすこと、バイオセンサーから反射した光の波長を検出すること、1またはそれ以上の結合パートナーを含む試験サンプルをバイオセンサーに適用すること、バイオセンサーを光で照らすこと、バイオセンサーから反射した光の波長を検出すること、を含む。光の波長の違いは、試験サンプル中の1またはそれ以上の結合パートナーの量の測定値である。
【0021】
本発明の他の態様は、本発明のバイオセンサー、バイオセンサーに光を導く光源、およびバイオセンサーから反射した光を検出する検出器、を含む検出システムを提供する。2つの末端を有する第1の照射ファイバープローブは、その第1の末端で検出器に接続する。2つの末端を有する第2の集光ファイバープローブは、その第1の末端で光源に接続する。第1および第2のファイバープローブは、それらの第2の末端で第3のファイバープローブに接続し、そしてこれは、照射および集光ファイバープローブとして作用するものである。第3のファイバープローブは、垂直の入射角でバイオセンサーに向けられて照射および反射する光学シグナルの対向伝搬を支持する。
【0022】
本発明のさらなる他の態様は、本発明のバイオセンサー、バイオセンサーに光を導く光源、およびバイオセンサーから反射した光を検出する検出器、を含む検出システムを提供する。照射ファイバープローブは、光源に接続し、集光ファイバープローブに対して90度の角度で向けられる。集光ファイバープローブは、検出器に接続し、ここでバイオセンサーに光を導くビームスプリッタに照射ファイバープローブを通じて光が導かれる。集光ファイバーに光を導くビームスプリッタに反射した光が導かれる。
【0023】
本発明のまた他の態様は、本発明のバイオセンサー上に1またはそれ以上の特異的結合物質を固定化する方法を含む。その方法は、アミンでバイオセンサーを活性化すること、リンカー基をアミン活性化バイオセンサーに結合すること、および1またはそれ以上の特異的結合物質をリンカー基に結合すること、を含む。バイオセンサーは、バイオセンサーをピラニア溶液に浸漬すること、バイオセンサーを洗浄すること、バイオセンサーを乾燥アセトン中3%3−アミノプロピルトリエトキシシラン溶液に浸漬すること、バイオセンサーを乾燥アセトンで洗浄すること、およびバイオセンサーを水で洗浄すること、を含む方法によりアミンにより活性化できる。リンカーは、アミン、アルデヒド、N,N’−ジサクシニミジルカーボネート、およびニッケルから成る群より選ぶことができる。
【0024】
本発明のさらに他の態様は、1またはそれ以上の特異的結合物質のそれぞれの結合パートナーへの結合を検出する方法を提供する。その方法は、1またはそれ以上のタグを含む1またはそれ以上の結合パートナーを本発明のバイオセンサーに適用すること、バイオセンサーを光で照らすこと、およびバイオセンサーから反射した光の波長を検出すること、を含む。1またはそれ以上の特異的結合物質がそれぞれの結合パートナーに結合した場合、反射した光の波長が変位する。1またはそれ以上のタグは、ビオチン、SMPT、DMP、MNDC、およびヒスチジンから成る群より選ぶことができる。1またはそれ以上のタグは、バイオセンサーを光で照らす工程の前に、ストレプトアビジン、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、およびストロレプトアビジン被膜ナノ粒子から成る群より選ばれる構成物と反応させてもよい。
【0025】
本発明の他の態様は、バイオセンサーが保持具と結合する、2またはそれ以上の本発明のバイオセンサーを含むバイオセンサー構成物を提供する。バイオセンサー構成物は、約96、約384、または約50から約1,000個の個々のバイオセンサーを含んでもよい。2またはそれ以上のバイオセンサーは、各々約25から約1,000個の別個の位置を含んでもよい。各々のバイオセンサーは、約1mmから約5mm、または約3mmであってもよい。保持具は、各々のバイオセンサーがミクロタイタープレートの個別のウェル中に配置できるように各々のバイオセンサーを保持してもよい。
【0026】
本発明のさらなる他の態様は、多重ファイバー光学プローブの先端に1またはそれ以上の本発明のバイオセンサーを含む、バイオセンサー構成物を提供する。1またはそれ以上のバイオセンサーは、プローブの先端に加工されるか、またはプローブの先端に結合してもよい。
【0027】
本発明のまた他の態様は、1またはそれ以上の特異的結合物質のそれぞれの結合パートナーへの結合をin vivoで検出する方法を提供する。この方法は、上記のファイバー光学プローブの先端をヒトまたは動物の身体に挿入すること、バイオセンサーを光で照らすこと、およびバイオセンサーから反射した光の波長を検出すること、を含む。1またはそれ以上の特異的結合物質がそれぞれの結合パートナーに結合した場合に、反射した光の波長が変位する。
【0028】
本発明のまた他の態様は、本発明のバイオセンサー、レーザービームを走査ミラー装置に導くレーザー源であって、走査ミラー装置がレーザービームの入射角を変化させるために使用されるレーザー源、入射レーザービームのコルミネーションを維持するための光学システム、および光検出器、を含む検出システムを提供する。走査ミラー装置は、線形ガルバノメータでもよい。線形ガルバノメータは、約2Hzから約120Hzの周波数および約10度から約20度の機械的走査角で作動してもよい。レーザーは、780nm、785nm,810nm、および830nmから成る群より選ばれる波長のダイオードレーザーであってもよい。
【0029】
本発明の他の態様は、色測定共鳴バイオセンサーによる共鳴反射率スペクトル中の結合パートナーの共鳴ピーク位置を測定する方法を提供する。この方法は、複数の色測定共鳴バイオセンサーの別個の位置の1組の共鳴反射率データを選択することを含む。1組の共鳴反射率データは、色測定共鳴回折格子表面を光源で照らしてあらかじめ決められた入射角において反射した光を測定することにより採取される。色測定共鳴回折格子表面は、1またはそれ以上の特異的結合物質の表面結合プラットフォームとして使用され、結合パートナーは、分子ラベルの使用なしに検出できる。1組の共鳴反射率データは2つの測定値の複数の組を含み、ここで、第1の測定値は色測定共鳴回折格子表面に結合する1またはそれ以上の特異的結合物質の第1の反射率スペクトルを含み、第2の測定値は1またはそれ以上の特異的結合物質を含む色測定共鳴回折格子表面に1またはそれ以上の結合パートナーを適用した後の1またはそれ以上の特異的結合物質の第2の反射率スペクトルを含む。第1と第2の測定値の間のピーク波長の違いは、1またはそれ以上の特異的結合物質に結合する結合パートナーの量の測定値である。複数の結合パートナーの1組の共鳴反射率データからの2つの測定値の複数の組から第2の測定値の最大値が決定され、ここで、最大値は、共鳴反射率データに含まれる固有のノイズを含む。最大値があらかじめ決められた閾値より大きいかどうかを決定し、もし大きいならば、決定された最大値の周囲に曲線適合領域が決定されて、曲線適合領域の周囲で曲線を適合させるために曲線適合処理が行われ、ここで、曲線適合処理は、共鳴反射率データに含まれる固有のノイズのあらかじめ決められた量を取り除く。適合させた曲線上で最大共鳴ピークの位置が決定される。
最大共鳴ピークの値が決定され、ここで、最大共鳴ピークの値は、1またはそれ以上の特異的結合物質の1またはそれ以上の結合パートナーへの生体分子の結合量を同定するために用いられる。
【0030】
色測定共鳴バイオセンサーの感度は、1組の共鳴反射率データの2つの測定値の複数の組の共鳴ピークの位置の変位により決定できる。1組の共鳴反射率データを選択する工程は、1組の共鳴反射率データ:
i=1、2、3、...n、に対して、xおよびy
を選択することを含んでもよく、ここで、xは、色測定共鳴回折格子表面に結合した1またはそれ以上の特異的結合物質の第1の反射率スペクトルを含む第1の測定値であり、yは、複数の結合パートナーが1またはそれ以上の特異的結合物質を含む色測定共鳴回折格子表面に適用された後の1またはそれ以上の特異的結合物質の第2の反射率スペクトルを含む第2の測定値であり、nは、採取された測定値の全数量である。第2の測定値の最大値を決定する工程は、
すべてのi≠kに対して、(y>=y
となるように最大値yを決定することを含んでもよい。
【0031】
最大値があらかじめ決められた閾値より大きいかどうかを決定する工程は、1組の共鳴反射率データの平均値を計算すること、1組の共鳴反射率データの標準偏差を計算すること、および(y−平均値)/標準偏差)があらかじめ決められた閾値より大きいかどうか決定すること、を含んでもよい。決定した最大値の周囲で曲線適合領域を規定する工程は、(2w+1)ビンの曲線適合領域を規定すること、ここでwはあらかじめ決められた正確な値であり、(x,k−w<=i<=k+w)を抽出すること、および(y,k−w<=i<=k+w)を抽出すること、を含んでもよい。曲線適合処理を行う工程は、g=lnyを計算すること、2次多項式適合をgに行い、(x,k−w<=i<=k+w)で規定されるg’を得ること、2次多項式適合から、(ax+bx+c)の係数a,bおよびcを決定すること、およびy’=eg’iを計算すること、を含んでもよい。適合した曲線上の最大共鳴ピークの位置を決定する工程は、最大共鳴ピークの位置(x=(−b)/2a)を決定することを含んでもよい。最大共鳴ピークの値を決定する工程は、y’におけるxの値を決定することを含んでもよい。
【0032】
本発明のさらなる他の態様は、上記の色測定共鳴バイオセンサーにより共鳴反射率スペクトル中の結合パートナーの共鳴ピークの位置を決定する方法をプロセッサーに実行させるための指示をその中に保持するコンピューター読みとり可能媒体を含む。
【0033】
本発明の他の態様は、同心輪のパターンに配置された2次元格子を含む共鳴反射構造を提供する。各々の同心輪の内側の直径と外側の直径との違いは、格子周期の約半分に等しく、ここで、各々の連続する輪が前の輪の内側の直径よりも格子周期約1つ分大きい内側の直径を有する。構造が照射光ビームで照らされるときに、照射光ビームの照射偏光角に独立した反射した放射スペクトルが発生する。共鳴格子効果は、反射した放射スペクトル上で発生してもよく、ここで2次元格子の深さと周期は共鳴格子効果の波長より短く、構造が光学波長の広周波数帯で照らされるときに光学波長の狭周波数帯が構造から反射する。1またはそれ以上の特異的結合物質は、2次元格子上に固定されてもよい。2次元格子は、約0.01ミクロンから約1ミクロンの周期および約0.1ミクロンから約1ミクロンの深さを有してもよい。
【0034】
本発明のさらに他の態様は、同心輪パターンに配置された2次元格子を含む透過フィルタ構造を提供する。各々の同心輪の内側の直径と外側の直径との違いは、格子周期の約半分に等しく、ここで、各々の連続する輪が前の輪の内側の直径よりも格子周期約1つ分大きい内側の直径を有する。構造が照射光ビームで照らされるときに、照射光ビームの照射偏光角に独立した透過した放射スペクトルが発生する。構造は、共鳴格子効果が反射した放射スペクトル上で発生するように照らされてもよく、ここで2次元格子の深さと周期は共鳴格子効果の波長より短く、構造が光学波長の広周波数帯で照らされるときに光学波長の狭周波数帯が構造から反射する。1またはそれ以上の特異的結合物質は、2次元格子上に固定化されてもよい。2次元格子は、約0.01ミクロンから約1ミクロンの周期および約0.01ミクロンから約1ミクロンの深さを有してもよい。
【0035】
本発明のまた他の態様は、穴または突起物が六角形の角および中心に位置するように配置された穴または突起物のアレイを含む共鳴反射構造を提供し、ここで、六角形は細密充填されたアレイに配置される。構造が照射光ビームで照らされるときに、照射光ビームの照射偏光角に独立した反射した放射スペクトルが発生する。構造が照らされるときに共鳴格子効果が反射した放射スペクトル上で発生してもよく、ここで穴または突起物の深さまたは高さおよび周期が共鳴格子効果の波長より短く、構造が光学波長の広周波数帯で照らされるときに光学波長の狭周波数帯が構造から反射する。バイオセンサーに共鳴反射構造を取り込むことができ、ここでは1またはそれ以上の特異的結合物質が穴または突起物のアレイに固定化される穴または突起物は、約0.01ミクロンから約1ミクロンの周期および約0.01ミクロンから約1ミクロンの深さまたは高さを有することができる。
【0036】
本発明のまた他の態様は、穴または突起物が六角形の角および中心に位置するように配置された穴または突起物のアレイを含む透過フィルタ構造を提供し、ここで、六角形は細密充填されたアレイに配置される。構造が照射光ビームで照らされるときに、照射光ビームの照射偏光角に独立した透過した放射スペクトルが発生する。構造が照らされるときに共鳴格子効果が反射した放射スペクトル上で発生し、ここで穴または突起物の深さまたは高さおよび周期が共鳴格子効果の波長より短く、構造が光学波長の広周波数帯で照らされるときに光学波長の狭周波数帯が構造から反射する。バイオセンサーに透過フィルタ構造を取り込むことができ、ここでは1またはそれ以上の特異的結合物質が穴または突起物のアレイに固定化される。穴または突起物は、約0.01ミクロンから約1ミクロンの周期および約0.01ミクロンから約1ミクロンの深さまたは高さを有することができる。
【0037】
本発明の他の態様は、高屈折率材料を含み、上面および底面を有する第1の2次元格子;高屈折率材料を含み、上面および底面を有する第2の2次元格子、を含むバイオセンサーまたは光学装置を提供し、ここで、第2の2次元格子の上面が第1の2次元格子の底面に結合する。バイオセンサーまたは光学装置が照らされるときに2つの共鳴格子効果が反射した放射スペクトル上で発生し、両方の2次元格子の深さおよび周期は共鳴格子効果の波長より短い。基板層は、第2の2次元格子の底面を支持することができる。バイオセンサーは、1またはそれ以上の特異的結合物質または第1の2次元格子の上面に固定化された結合パートナーに結合した1またはそれ以上の特異的結合物質をさらに含むことができる。バイオセンサーまたは光学装置は、第1の2次元格子の上面に被覆層をさらに含むことができ、ここでは、1またはそれ以上の特異的結合物質が2次元格子の反対側の被覆層の表面に固定化される。第1の2次元格子の上面は、試験サンプルと物理的に接触することができ、第2の2次元格子は、試験サンプルと物理的に接触しなくてもよい。ピーク共鳴反射波長は、第1および第2の2次元格子により測定することができ、2つの測定値の違いは、第1の2次元格子表面上に堆積した1またはそれ以上の特異的結合物質、結合パートナー、またはその両方の量を示す。
【0038】
本発明のさらに他の態様は、高屈折率材料を含み上面および底面を有する第1の2次元格子;高屈折率材料を含み上面および底面を有する基板層であって、基板の上面が第1の2次元格子の底面を支持する基板層;上面および底面を含む第2の2次元格子であって、第2の2次元格子の底面が基板の底面に結合する2次元格子;を含む、バイオセンサーまたは光学装置を提供する。バイオセンサーまたは光学装置が照らされるときに2つの共鳴格子効果が反射した放射スペクトル上で発生し、両方の2次元格子の深さおよび周期は共鳴格子効果の波長より短い。バイオセンサーは、1またはそれ以上の特異的結合物質、または第1の2次元格子の上面に固定化された結合パートナーに結合した1またはそれ以上の特異的結合物質を含むことができる。バイオセンサーまたは光学装置は、第1の2次元格子の上面の被覆層をさらに含むことができ、ここでは1またはそれ以上の特異的結合物質が2次元格子の反対側の被覆層の表面に固定化される。第1の2次元格子の上面は試験サンプルと物理的に接触することができ、第2の2次元格子は試験サンプルと物理的に接触しなくてもよい。ピーク共鳴反射波長が第1および第2の2次元格子により測定されるとき、2つの測定値の違いは、第1の2次元格子表面上に堆積した1またはそれ以上の特異的結合物質、結合パートナー、またはその両方の量を示すことができる。
【0039】
本発明のさらなる他の態様は、第1の分子の第2の試験分子との相互作用を検出する方法を提供する。この方法は、第1および第2の分子の混合物をバイオセンサーの別個の位置に適用することであり、バイオセンサーは2次元格子、および2次元格子を支持する基板層を含み、バイオセンサーが照らされるときに共鳴格子効果が反射した放射スペクトル上で発生し、2次元格子の深さおよび周期が共鳴格子効果の波長よりも短く;第1の分子と第3の対照分子との混合物をバイオセンサーまたは同様のバイオセンサーの別個の位置に適用することであり、第3の対照分子は第1の分子と相互作用せず、第3の対照分子は第1の分子とほぼ同じ大きさであり;および別個の位置から反射した光の波長の変位を検出すること、を含む。ここで、第1の分子と第2の試験分子との混合物に適用された別個の位置からの反射した光の波長の変位が、第1の分子と第3の対照分子との混合物に適用された別個の位置からの反射した波長の変位よりも大きい場合に、第1の分子と第2の試験分子が相互作用する。第1の分子は、核酸、ポリペプチド、抗原、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、単鎖抗体(scFv)、F(ab)フラグメント、F(ab’)フラグメント、Fvフラグメント、小有機分子、細胞、ウイルス、およびバクテリアから成る群より選ぶことができる。第2の試験分子は、核酸、ポリペプチド、抗原、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、単鎖抗体(scFv)、F(ab)フラグメント、F(ab’)フラグメント、Fvフラグメント、小有機分子、細胞、ウイルス、およびバクテリアから成る群より選ぶことができる。
【0040】
従って、表面プラスモン共鳴、共鳴ミラー、および導波管バイオセンサーとは異なり、記載された構成物および方法は、バイオセンサー表面で同時に起こる数千の個々の結合反応を可能にする。この技術は、多数の生体分子相互作用を並行して測定する応用に有用であり、特に分子ラベルが試験中に分子の機能を変化させたり阻害する場合に有用である。タンパク質標的の医薬化合物ライブラリーのハイスループットスクリーニング、およびプロテオミクスのためのタンパク質−タンパク質相互作用のミクロアレイスクリーニングは、この方法により提供される感度と処理量を必要とされる応用の例となる。本発明のバイオセンサーは、例えば、プラスチックのエンボス加工を用いて大面積に作成することができ、従って、ミクロタイタープレートやミクロアレイスライドのような一般的な使い捨ての実験室アッセイのプラットフォームに安価に取り込むことができる。
【0041】
(発明の詳細な記載)
サブ波長構造化表面(SWS)バイオセンサー
本発明の1つの態様として、サブ波長構造化表面(SWS)を用いて、特異的結合物質、結合パートナー、またはその両方のような、生体材料の相互作用を高感度で追跡できる特定の波長において、敏感な光学共鳴反射を作成した。色測定共鳴回折格子表面は、特異的結合物質の表面結合のプラットフォームとして作用する。
【0042】
サブ波長構造化表面は、薄膜被膜効果を疑似できる新しい型の回折光学機器である(Peng & Morris,「2次元格子からの共鳴消散」 J. Opt. Soc. Am. A, Vol. 13, No. 5, p. 993, May; Magnusson, & Wang,「光学フィルタのための新しい原理」 Appl. Phys. Lett., 61, No. 9, p. 1022, August, 1992; Peng & Morris,「2次元格子からの回折の共鳴異常の実験的証明」Optics Letters, Vol. 21, No. 8, p. 549, April, 1996)。SWS構造は、表面レリーフ、反射したおよび透過した0次オーダー以外の回折オーダーが伝播しないように入射光の波長と比べて格子周期が小さい2次元格子、を含む。SWS表面狭周波数帯フィルタは、基板層および格子溝を満たす被覆層に挟まれた2次元格子を含むことができる。任意に、被覆層は使用されなくてもよい。格子領域の効果的反射率が基板または被覆層よりも大きい場合、導波管が作られる。フィルタが適切に設計される場合、入射光は導波管領域に進み、漏洩モードとして伝播する。2次元格子構造は、波長の狭周波数帯で導波管に選択的に光を結合する。光は、ほんの短い距離しか(10−100マイクロメーターのオーダーで)伝播せず、消散を受け、前進−および後退−伝播ゼロ次の光に結合する。この高感度の結合条件は、反射した放射スペクトル上で共鳴格子効果を発生させることができ、反射したまたは透過した波長の狭周波数帯をもたらす。2次元格子の深さおよび周期は、共鳴格子効果の波長よりも短い。
【0043】
この構造の反射したまたは透過した色は、特異的結合物質や結合パートナー、またはその両方のような分子の、被覆層上面または2次元格子表面への添加により調節できる。添加した分子は、構造を通じた入射した放射の光学経路を増加し、これにより最大の反射または透過が起こる波長に変更する。
【0044】
1つの態様として、白色光で照らされるとき、バイオセンサーは、単一波長のみを反射するように設計される。特異的結合物質がバイオセンサーの表面に結合すると、格子に結合する光の光学経路の変化のために、反射した波長(色)が変位する。特異的結合物質をバイオセンサー表面に連結することにより、相補的結合パートナー分子がいずれの種類の蛍光プローブや粒子ラベルを用いることなく検出できる。この検出技術は、例えば、〜0.1nm厚のタンパク質結合の変化を解像する能力があり、バイオセンサー表面が液体で浸漬しているか乾燥しているかのいずれでも実施できる。
【0045】
検出システムは、例えば、ファイバー光学プローブ等を通じて垂直の入射角でバイオセンサーの小さいスポットを照らす光源、および第2のファイバー光学プローブ等を通じて垂直の入射角で反射した光を集める分光計からなる。励起/検出システムとバイオセンサー表面との間で物理的接触が起こらないので、特別な結合プリズムを必要とせず、バイオセンサーは、例えば、ミクロタイタープレートおよびミクロアレイスライド等の通常使用されるいずれのアッセイプラットフォームにも容易に適合できる。一回の分光計の読みとりは、数ミリ秒で実行でき、そのためバイオセンサー表面で並行して起こる非常に多くの分子間相互作用を迅速に測定でき、リアルタイムで反応動態をモニターできる。
【0046】
この技術は、非常に多数の生体分子間相互作用が並行して測定される応用において有用であり、特に分子ラベルが試験中に分子の機能を変化させまたは阻害する場合に有用である。タンパク質標的の医薬化合物ライブラリーのハイスループットスクリーニング、およびプロテオミクスのためのタンパク質−タンパク質相互作用のミクロアレイスクリーニングは、本発明の構成物および方法により提供される感度と処理量を必要とする応用の例である。
【0047】
SWS構造の例の模式図を、図1に示す。図1中、n基板は、基板材料を示す。nは、任意の被覆層の屈折率を示す。nは、2次元格子の屈折率を示す。nbioは、1またはそれ以上の特異的結合物質の屈折率を示す。tは、2次元格子構造上方の被覆層の厚さを示す。tは、格子の厚さを示す。tbioは、1またはそれ以上の特異的結合物質の層の厚さを示す。1つの態様として、n<nである(図1参照)。層の厚さ(即ち、被覆層、1またはそれ以上の特異的結合物質、または2次元格子)は、上面に添加された分子に対する共鳴波長の感度の良さを達成するように選択される。格子周期は、望む波長で共鳴を達成するように選択される。
【0048】
本発明の1つの態様は、SWSバイオセンサーを提供する。SWSバイオセンサーは、2次元格子、2次元格子を支持する基板層、および基板層の反対側の2次元格子表面に固定化された1またはそれ以上の特異的結合物質を含む。
【0049】
2次元格子は、例えば、硫化亜鉛、2酸化チタン、酸化タンタル、および窒化ケイ素等の材料を含むことができる。2次元格子の断面の特徴は、例えば、「正方波」等のいずれの周期的繰り返し関数を含むことができる。2次元格子は、線形、正方形、円形、楕円形、三角形、台形、シヌソイド波形、長円形、長方形、および六角形から成る群より選ばれる形状の繰り返しパターンを含むことができる。シヌソイドの断面特徴は、プラスチックのような柔らかい材料に格子形状をエンボス加工する必要のある製造の応用に好ましい。本発明の1つの態様として、格子の深さは、約0.01ミクロンから約1ミクロンであり、格子の周期は、約0.01ミクロンから約1ミクロンである。
【0050】
線形格子は、照射される光の偏光が格子周期に対して垂直に配向する共鳴特徴を有する。しかし、穴の六角形格子は、穴の長方形格子よりもよい偏光対称性を有する。従って、本発明の色測定共鳴反射バイオセンサーは、例えば、穴の六角形アレイ(図3B参照)または平行線の格子(図3A参照)、を含むことができる。線形格子は、六角形アレイ格子と同一の、ピッチ(即ち、高および低屈折率領域間の距離)、周期、層の厚さ、および材料特性、を有する。しかし、光は、光学構造に共鳴して結合するために格子線に対して垂直に偏光されなければならない。従って、線形格子に対して垂直な偏光軸で配向した偏光フィルタは、照射源とバイオセンサー表面の間に挿入されなければならない。照射する光源のわずかに小さい部分しか正しく偏光されないので、共鳴して反射した光と同等の量を集めるためには、六角形格子に比べて長い積算時間を必要とする。
【0051】
線形格子は、六角形格子に比べ高強度の照射源または長い測定積算時間を必要としうるが、線形構造の加工に必要とされるものは、簡単である。六角形格子パターンは、3つの相互干渉レーザービームへのフォトレジストのホログラフィーの暴露により製造される。3つのビームは、3方向に対称である格子パターンを製造するために、精密に配列される。線形格子パターンは、フォトレジストのホログラフィー暴露を生成するためにわずか2つのレーザービームの配列しか必要とせず、従って少ない配列しか必要とされない。線形格子パターンは、例えば、電子線ビームによるフォトレジストへの直接の書き込みによっても製造できる。また、プラスチックに格子構造をエンボス加工する線形格子「マスター」型を製造するために、いくつかの市販の供給源がある。線形格子構造の模式図を図2に示す。
【0052】
長方形格子パターンは、電子線ビーム直接描画暴露システムを用いてフォトレジスト中に製造することができる。単一ウエハは、暴露の間90度回転した部分により2つの連続暴露で線形格子として照射することができる。
【0053】
2次元格子は、例えば、「階段状」の特徴も含むことができ、その単一で固定された高さの高屈折率領域は、低屈折率被覆層に埋め込まれる。高または低屈折率の二者択一領域は、バイオセンサーの上面に平行な光学導波管を提供する。図5を参照。
【0054】
製造のために、階段状構造は、ガラスやプラスチックのような基板材料中にエッチングされるかエンボス加工される。図5を参照。窒化ケイ素や硫化亜鉛のような高屈折率材料の均一な薄膜が、この構造上に堆積される。堆積した層は、基板にエンボス加工されたまたはエッチングされた構造の形の輪郭に従い、堆積した材料はもとのエンボス加工されたまたはエッチングされた特徴と同一の表面レリーフ特徴を有するようになる。構造は、高屈折率材料より低い屈折率を有し、実質的に平坦な上面を有する材料を含む任意の被覆層の適用により完成することができる。被覆材料は、例えば、ガラス、エポキシ、またはプラスチックを用いることができる。
【0055】
この構造は、大量生産できるので、低コストバイオセンサーの製造を可能にする。「マスター」格子は、例えば、3ビームレーザーホログラフィーパターン工程を用いてガラス、プラスチック、または金属中に製造することができる。例えば、Cowan、多重ビーム干渉計を用いた交差ホログラフィー格子アレイの記録と大規模生産、Proc. Soc. Photo−optical Instum. Eng. 503:120 (1984)、を参照。マスター格子は、繰り返し使用して、プラスチック基板をエンボス加工することができる。エンボス加工された基板は、その後高屈折率材料および任意に被覆層により被膜される。
【0056】
階段状構造は製造するのが簡単である一方で、高屈折率材料が階段状でないが、横の位置にしたがって変化する共鳴バイオセンサーを作成することもできる。図4に、nの2次元格子の高屈折率材料が高さ方向にシヌソイドで変化する特徴を示す。特定の波長で共鳴反射が発生するように、シヌソイドの周期は、同等の階段状構造の周期と同一である。シヌソイドに変化する構造の共鳴操作およびバイオセンサーとしてのその機能性は、GSOLVER(グレーティングソルバーカンパニー、米国テキサス州アレン)コンピュータモデルを用いて実証されてきた。
【0057】
2次元格子を作成する技術は、Wang, J. Opt. Soc. Am No. 8, August 1990, pp. 1529−44に開示されている。本発明のバイオセンサーは、例えば、半導体ミクロ加工設備で作ることができる。バイオセンサーは、連続エンボス加工および光学被膜加工を用いてプラスチック基板上に作成することもできる。この型の製造工程としては、「マスター」構造がガラスやシリコンのような堅牢な材料中に作られ、これを用いていくつかの型の複製工程の1つを用いてエポキシやプラスチックに「母」構造を生じさせる。「母」構造は、次に伝導材料の薄膜で被膜され、ニッケルの厚い膜の電気メッキの型として用いられる。ニッケルの「娘」は、プラスチックの「母」構造から解放される。最後に、ニッケルの「娘」は、筒状ドラムに結合し、これを用いて、プラスチック膜に表面レリーフ構造が連続的にエンボス加工される。エンボス加工されたプラスチック基板を用いる装置の構造を、図5に示す。エンボス加工の後、プラスチック構造は、高屈折率材料の薄膜でさらに被膜され、任意に平面化された被覆層ポリマーで被膜され、そして適当な大きさに切断される。
【0058】
SWSバイオセンサーのための基板は、例えば、ガラス、プラスチックまたはエポキシを含むことができる。任意に、基板および2次元格子は、単一ユニットを含むことができる。これは、2次元格子および基板が、例えば、ガラス、プラスチック、またはエポキシと同じ材料から形成されるものである。2次元格子を含む単一ユニットの表面は、例えば、硫化亜鉛、2酸化チタン、酸化タンタル、および窒化ケイ素のような高屈折率を有する材料で被膜される。1またはそれ以上の特異的結合物質は、高屈折率を有する材料表面または任意の被覆層上に固定化することができる。
【0059】
本発明のバイオセンサーは、基板層の反対側の2次元格子表面上に被覆層をさらに含むことができる。被覆層が存在するところでは、1またはそれ以上の特異的結合物質は2次元格子の反対側の被覆層表面上に固定化される。好ましくは、被覆層は、2次元格子を含む材料より低い屈折率を有する材料を含む。被覆層は、例えば、ガラス(スピンオンガラス(SOG)を含む)、エポキシ、またはプラスチックを含むことができる。
【0060】
例えば、バイオセンサーに必要とされる屈折率に適合する種々のポリマーは、被覆層として用いることができる。SOGは、その好ましい屈折率、取り扱いやすさ、および豊富なガラス表面活性化技術を用いて特異的結合物質により容易に活性化されることにより、用いることができる。バイオセンサー表面の平坦さが特定のシステムの設定で問題とならない場合、SiN/ガラス格子構造は検出表面として直接使用することができ、その活性化はガラス表面に対するものと同様の方法を用いて行うことができる。
【0061】
共鳴反射は、2次元格子上の平面化被覆層を用いずに得ることもできる。例えば、バイオセンサーは、高屈折率材料の構造化された薄膜層により被膜された基板のみを含むことができる。平面化被覆層を用いることなしに、(空気や水のような)周囲の媒質は、格子を満たす。従って、特異的結合物質は、上面のみではなく、特異的結合物質に暴露された2次元格子の全表面のバイオセンサーに固定化される。
【0062】
一般的に、本発明のバイオセンサーは、すべての偏光角の光を含むであろう白色光により照らされるであろう。バイオセンサー格子の繰り返し特徴に関する偏光角の配向は、共鳴波長を決定するであろう。例えば、繰り返しの直線と空間の1組からなる「線形格子」バイオセンサー構造は、個別の共鳴反射を発生する2つの光学偏光を有するであろう。直線に対して垂直に偏光する光は、「s−偏光」とよばれ、一方、直線に並行に偏光する光は、「p−偏光」と呼ばれる。入射光のsおよびp成分の両方は、フィルタを透過していない照射ビーム中に同時に存在し、各々は、個別の共鳴シグナルを発生する。バイオセンサー構造は、一般的にただ1つの偏光(s−偏光)の特性を最適化するように設計され、最適化されない偏光は、偏光フィルタにより容易に除去される。
【0063】
偏光依存性を除去するために、すべての偏光角が同じ共鳴反射スペクトルを発生させるように1組の同心輪からなる代替のバイオセンサー構造が用いられる。この構造では、各々の同心輪の内側の直径と外側の直径との違いは、格子周期の約半分に等しい。各々の連続する輪は、前の輪の内側の直径より格子周期約1つ分大きい内側の直径を有する。同心輪パターンは、ミクロアレイスポットまたはミクロタイタープレートウェルのような単一のセンサー位置を被覆するように伸びる。各々の個別のミクロアレイスポットまたはミクロタイタープレートウェルは、その中に中心をおく個別の同心輪パターンを有する。例えば、図49。このような構造のすべての偏光方向は、同じ断面の特徴を有する。同心輪構造は、偏光の独立性を保持するために中心に正確に照らされなければならない。同心輪構造の格子周期は、共鳴して反射した光の波長よりも短い。格子周期は、約0.01ミクロンから約1ミクロンである。格子深さは、約0.01ミクロンから約1ミクロンである。
【0064】
他の態様として、穴または突起物のアレイが、格子のどの特定の位置を中心におく照射ビームも必要とせずに上記の同心円構造の極近傍に配置される。図50を参照。このようなアレイパターンは、同一角度の3方向から表面上への3つのレーザービームの入射の光学干渉により自動的に発生する。このパターンでは、穴(または突起物)は、図50に示したように細密充填した六角形のアレイの角に位置する。穴または突起物はまた、各々の六角形の中心にも存在する。このような穴または突起物の六角形格子は、同じ断面の特徴に「見える」3つの偏光方向を有する。六角形格子構造は、それ故、いずれの偏光角の光を用いても同等な共鳴反射スペクトルを提供する。従って、欲しない反射シグナル成分を除去するために、偏光フィルタを必要としない。穴または突起物の周期は、約0.01ミクロンから約1ミクロンとでき、深さまたは高さは、約0.01ミクロンから約1ミクロンとすることができる。
【0065】
本発明は、同心円格子および穴または突起物の六角形格子を含む共鳴反射構造および透過フィルタ構造を提供する。共鳴反射構造としては、光の出力は、照射光ビームと同じ構造面で測定される。透過フィルタ構造としては、光の出力は、照射光ビームと反対側の構造面で測定される。反射したおよび透過したシグナルは、相補的である。これは、波長が強く反射した場合、弱く透過することを意味する。構造そのものではエネルギーが吸収されないと仮定すると、所定のどの波長においても反射した+透過したエネルギーは、一定である。共鳴反射構造および透過フィルタは、特定の波長で高い効率の反射を与えるように設計される。従って、反射フィルタは、入射光からの狭周波数帯の波長を「通過させる」が、透過フィルタは、狭周波数帯の波長を「遮断する」。
【0066】
共鳴反射構造または透過フィルタ構造は、同心円パターンに配置された2次元格子を含むことができる。共鳴反射構造または透過フィルタ構造は、穴または突起物の六角形格子を含むこともできる。これらの構造が照射光ビームで照らされるときに、照らされる光ビームの照射偏光角に独立した反射した放射スペクトルが発生する。これらの構造が照らされるときに、共鳴格子効果が反射した放射スペクトル上で発生し、ここでは2次元格子または穴若しくは突起物の六角形格子の深さおよび周期は、共鳴格子効果の波長よりも短い。これらの構造は、構造が広周波数帯の光で照らされるときに、狭周波数帯の光を反射する。
【0067】
本発明の共鳴反射構造および透過フィルタ構造は、バイオセンサーとして使用できる。例えば、1またはそれ以上の特異的結合物質は、穴若しくは突起物の六角形格子上または同心円に配置された2次元格子上に固定化できる。
【0068】
本発明の1つの態様として、参照共鳴シグナルが、ピーク共鳴波長変位のより正確な測定のために提供される。参照共鳴シグナルは、例えば温度を含む環境の効果を相殺できる。参照シグナルは、2つの個別の共鳴波長を発生する共鳴反射上部構造を用いることにより提供できる。透明共鳴反射上部構造は、2つの下部構造を含むことができる。第1の下部構造は、上面および底面を有する第1の2次元格子を含む。2次元格子の上面は、格子表面を含む。第1の2次元格子は、その上面に固定化された1またはそれ以上の特異的結合物質を含むことができる。第1の2次元格子の上面は、試験サンプルと接触する。任意の基板層が、第1の2次元格子の底面を支持するために存在してもよい。基板層は、上面および底面を含む。基板の上面は、第1の2次元格子の底面に接触し、これを支持する。
【0069】
第2の下部構造は、上面および底面を有する第2の2次元格子を含む。第2の2次元格子は、試験サンプルと接触しない。第2の2次元格子は、第1の2次元格子を支持する基板の底面上に加工することができる。第2の2次元格子が第1の2次元格子を支持する基板上に加工される場合には、第2の2次元格子の底面は基板の底面上に加工できる。従って、第2の2次元格子の上面は、第1の2次元格子の上面と反対方向に向くこととなる。
【0070】
第2の2次元格子の上面は、第1の下部構造の底面に直接接触することもできる。この態様では、第2の2次元格子の上面は、第1の2次元格子の上面と同じ方向に向くであろう。この態様では、基板は第2の2次元格子の底面を支持できる。
【0071】
第2の下部構造は試験サンプルに物理的に接触しないので、そのピーク共鳴波長は、試験媒体の光学密度、または第1の2次元格子表面の特異的結合物質の堆積若しくは結合パートナーの堆積、の変化を受けない。従って、このような上部構造は、2つの共鳴シグナルを発生させる。第2の下部構造のピーク共鳴波長の位置は固定されているので、2つの下部構造間のピーク波長の違いは、試験サンプルに暴露される第1の構造の上面に堆積した、特異的結合物質、結合パートナーまたはその両方の量を決定するための相対的な手段を提供する。
【0072】
バイオセンサーの上部構造は、その上面若しくはその底面から、または両方の表面から照らされることができる。第1の構造のピーク共鳴反射波長は、上部構造表面と接触する材料の光学密度に依存するが、第2の構造のピーク共鳴反射波長は、上部構造表面と接触する材料の光学密度に依存しない。
【0073】
本発明の1つの態様として、バイオセンサーは、バイオセンサーの底面から照らされる。約50%の入射光は、バイオセンサーの活性な(上)面に到達することなくバイオセンサーの底面で反射される。薄膜または物理構造は、共鳴波長で反射したエネルギーを最小化する一方でバイオセンサー上面に透過した光の量を最大化する能力のあるバイオセンサー構成物に含めることができる。抗反射薄膜またはバイオセンサー底面の物理構造は、例えば、単一の誘電薄膜、多重誘電薄膜の積重ね、またはバイオセンサー底面にエンボス加工された「蛾目」構造を含むことができる。蛾目構造の例は、Hobbs, et al. 「サブミクロン特徴サイズパターンの発生のための自動化干渉リソグラフィーシステム」 Proc. 1999 Micromachine Technology for Diffracting and Holographic Optics, Society of Photo−Optical Instrumentation Engineers, p. 124−135, (1999)、に開示されている。
【0074】
本発明の1つの態様として、光学装置が提供される。光学装置は、本発明のいずれのバイオセンサーにも似た構造を含むが、光学装置は、2次元格子に固定化された1またはそれ以上の結合物質を含まない。光学装置は、狭周波数帯光学フィルタとして用いることができる。
【0075】
本発明の1つの態様として、第1の分子の第2の試験分子との相互作用を検出することができる。上述したSWSバイオセンサーが用いられるが、その表面に固定化された特異的結合物質はない。従って、バイオセンサーは、2次元格子、2次元格子を支持する基板層、および任意に被覆層を含む。上述したように、バイオセンサーが照らされるときに共鳴格子効果が反射した放射スペクトル上で発生し、2次元格子の深さおよび周期は、共鳴格子効果の波長より短い。
【0076】
第1の分子の第2の試験分子との相互作用を検出するために、第1と第2の分子の混合物がバイオセンサーの別個の位置が適用される。別個の位置は、バイオセンサーの1つのスポット若しくはウェルでもよく、またはバイオセンサーの大きな範囲でもよい。第1の分子と第3の対照分子の混合物も、バイオセンサーの別個の位置に適用される。バイオセンサーは、上述したバイオセンサーと同じでもよく、または第2のバイオセンサーでもよい。バイオセンサーが同じバイオセンサーの場合、第2の別個の位置は、第1の分子および第3の対照分子の混合物のために用いることができる。その代わりに、同じ別個のバイオセンサーの位置は、第1および第2の分子がバイオセンサーから洗浄された後に用いることもできる。第3の対照分子は、第1の分子と相互作用せず、第1の分子とほぼ同じ大きさである。バイオセンサーの別個の位置から反射した光の波長の変位が、測定される。第1の分子および第2の試験分子を有する別個の位置から反射した光の波長の変位が、第1の分子および第3の対照分子を有する別個の位置から反射した波長の変位より大きい場合、第1の分子および第2の試験分子は、相互作用する。相互作用は、例えば、核酸分子のハブリダイゼーション、抗体または抗体フラグメントの抗原への特異的結合、およびポリペプチド間の結合でもよい。第1の分子、第2の試験分子、または第3の対照分子は、例えば、核酸、ポリペプチド、抗原、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、単鎖抗体(scFv)、F(ab)フラグメント、F(ab’)フラグメント、Fvフラグメント、小有機分子、細胞、ウイルス、バクテリアでもよい。
【0077】
特異的結合物質および結合パートナー
1またはそれ以上の特異的結合物質は、例えば、物理的吸着または化学結合により、2次元格子または存在する場合には被覆層に固定化される。特異的結合物質は、例えば、核酸、ポリペプチド、抗原、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、単鎖抗体(scFv)、F(ab)フラグメント、F(ab’)フラグメント、Fvフラグメント、小有機分子、細胞、ウイルス、バクテリア、または生物学的サンプルでもよい。生物学的サンプルは、例えば、血液、血漿、血清、胃腸分泌物、組織または腫瘍のホモジネート、滑液、便、唾液、痰、嚢胞液、羊水、脳脊椎液、腹膜液、肺洗浄液、精液、リンパ液、涙、または前立腺液でもよい。
【0078】
好ましくは、1またはそれ以上の特異的結合物質は、バイオセンサーの別個の位置のミクロアレイに配置される。特異的結合物質のミクロアレイは、表面に各々異なる特異的結合物質または異なる量の特異的結合物質を有する多くの別個の位置を含むように、本発明のバイオセンサーの表面に1またはそれ以上の特異的結合物質を含む。例えば、アレイは、1、10、100、1,000、10,000または100,000の別個の位置を含むことができる。1またはそれ以上の特異的結合物質がx−y座標の規則的な格子パターンで典型的に配置されるので、このようなバイオセンサー表面は、ミクロアレイと呼ばれる。しかし、本発明のミクロアレイは、規則的または不規則のパターンのいずれの型でも配置された1またはそれ以上の特異的結合物質を含むことができる。例えば、別個の位置は、1またはそれ以上の特異的結合物質のスポットのミクロアレイを規定することができる。ミクロアレイスポットは、直径約50から約500ミクロンでもよい。ミクロアレイスポットは、直径約150から約200ミクロンでもよい。1またはそれ以上の特異的結合物質は、その特異的結合パートナーに結合できる。
【0079】
本発明のバイオセンサーのミクロアレイは、1またはそれ以上の特異的結合物質の微小滴を、例えば、2次元格子または被覆層表面の位置のx−y格子に置くことにより作成することができる。バイオセンサーが1またはそれ以上の結合パートナーを含む試験サンプルに暴露されると、結合パートナーは、結合パートナーに高い親和性を有する特異的結合物質を含むミクロアレイの別個の位置に優先的に引きつけられることとなる。別個の位置のいくつかは、その表面に結合パートナーを集めるが、他の位置は集めないこととなる。
【0080】
特異的結合物質は、本発明のバイオセンサー表面に添加された結合パートナーに特異的に結合する。特異的結合物質は、その結合パートナーに特異的に結合するが、バイオセンサー表面に添加された他の結合パートナーには実質的に結合しない。例えば、特異的結合物質が抗体であり、その結合パートナーが特定の抗原である場合、抗体は、特定の抗原に特異的に結合するが、他の抗原には実質的に結合しない。結合パートナーは、例えば、核酸、ポリペプチド、抗原、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、単鎖抗体(scFv)、F(ab)フラグメント、F(ab’)フラグメント、Fvフラグメント、小有機分子、細胞、ウイルス、バクテリア、および生物学的サンプルでもよい。生物学的サンプルは、例えば、血液、血漿、血清、胃腸分泌物、組織または腫瘍のホモジネート、滑液、便、唾液、痰、嚢胞液、羊水、脳脊椎液、腹膜液、肺洗浄液、精液、リンパ液、涙、および前立腺液でもよい。
【0081】
本発明のミクロアレイの1つの例は、核酸ミクロアレイであり、このアレイ中の各々の別個の位置は異なる核酸分子を含む。この態様では、核酸ミクロアレイのスポットは、試験サンプル中の対向する核酸鎖と相補的な化学結合を検出する。
【0082】
ミクロタイタープレートは生化学アッセイに用いられる最も一般的な形式であるが、ミクロアレイは、高価な試薬の容積を最小にする一方で同時測定できる生化学相互作用の数を最大化する方法として、だんだん見られるようになってきた。本発明のバイオセンサー上へのミクロアレイスポッターによる特異的結合物質の適用により、10,000の特異的結合物質/inの特異的結合物質密度を得ることができる。単一のミクロアレイ位置に送るために照射ビームを集中させることにより、バイオセンサーは、ラベル不用のミクロアレイ読みとりシステムとして用いることができる。
【0083】
固定化または1またはそれ以上の特異的結合物質
特異的結合物質がすすぎ工程により洗い流されないように、そして試験サンプル中の結合パートナーへの結合がバイオセンサー表面により妨げられないように、バイオセンサーへの1またはそれ以上の結合物質の固定化が行われる。種々の型のミクロアレイおよびバイオセンサーに用いるためのガラス等への特異的結合物質の共有結合のために、いくつかの異なる型の表面化学方策が実行されてきた。これらの同じ方法は、本発明のバイオセンサーに容易に適用することができる。1またはそれ以上の特異的結合物質の結合のための正しい官能基を含むようにするバイオセンサーの表面調製は、バイオセンサー製造工程の不可欠な部分である。
【0084】
1またはそれ以上の特異的結合物質は、物理吸着(即ち、化学的リンカーを用いない)または化学結合(即ち、化学的リンカーを用いる)によりバイオセンサーに結合することができる。化学結合は、バイオセンサー表面への特異的結合物質の強い結合を発生させ、表面結合分子の規定された配向とコンフォメーションを提供することができる。
【0085】
本発明のバイオセンサーへの特異的結合物質の化学結合のいくつかの例を、以下の実施例8に示す。他の型の化学結合には、例えば、アミン活性化、アルデヒド活性化、およびニッケル活性化が含まれる。これらの表面は、図6に示すように、バイオセンサー表面にいくつかの異なる型の化学リンカーを結合させるために用いることができる。アミン表面はいくつかの型のリンカー分子を結合するために用いることができる一方、アルデヒド表面は追加のリンカーを用いることなくタンパク質を直接結合するために用いることができる。ニッケル表面は、取り込まれたヒスチジン(「his」)タグを有する分子を結合するために用いることができる。ニッケル活性化表面による「his−タグ」化分子の検出は、この分野でよく知られている(Whitesides, Anal. Chem. 68, 490, (1996))。
【0086】
プラスチック、エポキシ、または高屈折率材料への特異的結合物質の固定化は、本質的にガラスへの固定化のために記載されたものと同様に行うことができる。しかし、酸洗浄工程のような処置は特異的結合物質が固定化した材料を損傷しうるので、このような工程は排除することができる。
【0087】
約〜0.1ng/ml未満の濃度における結合パートナーの検出には、バイオセンサーに結合した結合パートナーをバイオセンサー表面のさらなる層に増幅して変換することが好ましい。バイオセンサーに堆積した増加した質量は、増加した光学経路の結果として容易に検出することができる。大きな質量をバイオセンサー表面に取り込むことにより、表面の結合パートナーの光学密度も増加し、従って、添加した質量なしに起こるのに比べて大きな共鳴波長変位が起こるようになる。質量の添加は、例えば、「サンドウィッチ」アッセイを通じて酵素的に、または種々の大きさや組成の適切にコンジュゲートしたビーズや高分子の形態でバイオセンサー表面に質量を直接適用することにより、達成することができる。この原理は、他の型の光学バイオセンサーに利用されて、質量の増幅なしに達成された感度の限界を1500倍以上超える感度の増加を示した。Jenison et al., 「干渉に基づく、光学的に被膜されたシリコン上での核酸標的の検出」 Nature Biotechnology, 19: 62−65, 2001を参照のこと。
【0088】
例として、図7Aは、NH−活性化バイオセンサー表面が表面に固定化された単鎖DNA捕捉プローブを含む特異的結合物質を有することができることを示す。捕捉プローブは、その相補的標的結合パートナーと選択的に相互作用する。そして、結合パートナーは、「検出」分子と結合する配列またはタグを含むように設計することができる。図7Aに示すように、検出分子は、例えば、ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)に対するリンカーを含むことができ、これは、正しい酵素に暴露されたときに、検出分子が存在する場所のみのバイオセンサー上にさらなる材料を選択的に堆積するものである。このような工程は、例えば、300オングストロームの検出可能な生体材料を数分の内にバイオセンサーに添加することができる。
【0089】
「サンドウィッチ」手法は、検出感度を増強するために用いることもできる。この手法では、高分子量分子が低分子量分子の存在を増幅するために用いることができる。例えば、約0.1kDaから約20kDa等の分子量を有する結合パートナーは、サクシニミジル−6−[a−メチル−a−(2−ピリジル−ジチオ)トルアミド]ヘキサノエート(SMPT)、またはジメチルピメリミデート(DMP)、ヒスチジン、または図7Bに示すようなビオチン分子等でタグ化することができる。タグがビオチンの場合、ビオチン分子は、ストレプトアビジンに強く結合し、これは60kDaの分子量を有するものである。ビオチン/ストレプトアビジン相互作用はとても特異的なので、ストレプトアビジンは、小さい結合パートナーによるだけで発生するシグナルを60倍増幅する。
【0090】
検出感度は、化学的に誘導された小粒子の使用を通じてさらに増強することができる。金コロイドから作られる「ナノ粒子」、種々のプラスチック、または直径約3−300nmのガラスは、結合パートナーに選択的に共有結合できるようにする分子種で被膜することができる。例えば、図7Cに示すように、ストレプトアビジンにより共有結合的に被膜されているナノ粒子は、バイオセンサー表面のビオチンタグ化した結合パートナーの視認性を増強するために用いることができる。ストレプトアビジン分子はそれ自身60kDaの分子量を有しているが、誘導されたビーズは、例えば、60kDaを含むいずれの大きさの分子量をも有することができる。大きなビーズの結合は、バイオセンサー表面の光学密度の大きな変化をもたらし、容易に測定できるシグナルとなるであろう。この方法は、感度の解像度において約1000倍の増強をもたらすことができる。
【0091】
表面−レリーフボリューム回折バイオセンサー
本発明の他の態様は、表面−レリーフボリューム回折構造を含むバイオセンサー(SRVDバイオセンサー)である。SRVDバイオセンサーは、光学波長の広周波数帯で照らされたときに光学波長の特定の狭周波数帯で優先的に反射する表面を有する。特異的結合物質および/または結合パートナーがSRVDバイオセンサー上で固定化される場合、反射した光の波長が変位する。薄膜干渉フィルタおよびブラッグ反射体のような1次元表面は、広周波数帯励起源からの狭い範囲の反射したまたは透過した波長を選択できるが、その上面への特異的結合物質および/または結合パートナーのようなさらなる材料の堆積は、共鳴波長よりもむしろ共鳴線幅の変化をもたらすのみである。対照的に、SRVDバイオセンサーは、表面への特異的結合物質および/または結合パートナーのような材料の添加により反射した波長を変化させる能力を有する。
【0092】
SRVDバイオセンサーは、第1および第2の表面を有するシート材料を含む。シート材料の第1の表面は、レリーフボリューム回折構造を規定する。シート材料は、例えば、プラスチック、ガラス、半導体ウエハ、または金属膜を含むことができる。
【0093】
レリーフボリューム回折構造は、例えば、上述した2次元格子、または3次元表面レリーフボリューム回折格子でもよい。レリーフボリューム回折構造の深さおよび周期は、バイオセンサーから反射した光の共鳴波長より短い。
【0094】
3次元表面レリーフボリューム回折格子は、例えば、その溝のパターンが階段状ピラミッドに似た3次元相−量子化段状表面レリーフパターンでもよい。このような格子が広周波数帯放射のビームにより照らされるとき、光は、周囲の媒体の屈折率と段間隔の2倍を掛けることにより与えられる波長において、等間隔に空けられた段から干渉光を発して反射することとなる。与えられた波長の光は、半波長離れた段から、段の数に反比例する周波数帯幅で、共鳴して回折しまたは反射する。反射したまたは回折した色は、新しい波長が被膜の屈折率に依存して選択されるように、誘電層の堆積により制御できる。
【0095】
階段相構造は、前述したような3つのレーザービームに薄いフォトレジスト膜を干渉光で暴露することよりフォトレジスト中に最初に作成できる。例えば、Cowen, 「多重ビーム干渉計を用いた交差ホログラフ格子アレイの記録と大規模複製」、周期構造、回折格子、およびモアレ現象IIの応用、理論、および加工に関する国際会議、Lerner, ed., Proc. Soc. Photo−Opt. Instrum. Eng., 503, 120−129, 1984; Cowen, 「ホログラフハニカムマイクロレンズ」 Opt. Eng. 24, 796−802 (1985); Cowen & Slafer, 「フィルムシステムにおける写真乳化粒子の秩序化のためのホログラフミクロパターンの記録および複製」 J. Imaging Sci. 31, 100−107, 1987を参照のこと。フォトレジストの非線形エッチングの特徴は、3次元レリーフパターンを作成するために暴露した膜を現像するために用いられる。そして、フォトレジスト構造は、標準的なエンボス加工工程を用いて複製される。例えば、薄い銀の膜は、フォトレジスト構造に堆積し、ニッケルの厚い膜を電気メッキできる伝導層を形成する。ニッケルの「マスター」面は、ビニルのようなプラスチック膜中に直接エンボス加工するために用いられ、これは、熱や溶媒により柔らかくされる。
【0096】
階段状ピラミッドに似た3次元相−量子化段状表面レリーフパターンの設計および加工を記述する理論は、Cowen, 「アステカの表面レリーフボリューム回折構造」 J. Opt. Soc. Am. A, 7:1529 (1990)に、記載されている。
【0097】
3次元相−量子化段状表面レリーフパターンの例は、階段状ピラミッドに似たパターンである。各々の逆さのピラミッドは、直径約1ミクロンで、好ましくは、各々の逆さのピラミッドは、直径約0.5から5ミクロン、例えば約1ミクロン、でもよい。ピラミッド構造は、直径150−200ミクロンの典型的なミクロアレイスポットが数百段のピラミッド構造を取り込むことができるように細密充填されていてもよい。レリーフボリューム回折構造は、約0.1から約1ミクロンの周期および約0.1から約1ミクロンの深さを有する。図8は、特異的結合物質または結合パートナーが表面に吸着するかどうかを決定するために、(1つのミクロアレイスポットとして単一のピラミッドにより示された数百のピラミッドを含む全ミクロアレイの)個々のミクロアレイの位置が、如何に光学的に測定できるかを、示す。構造が白色光で照らされるとき、意義のある結合材料を有しない構造は、構造の階段の高さにより決定される波長を反射するであろう。結合パートナーや特異的結合物質のような高屈折率材料が反射金属表面に取り込まれたとき、反射した波長は、長い波長に向かって変位するように修正される。段状の階段構造から反射した色は、SRVDバイオセンサーのシート材料の第1の表面に被膜された反射材料の屈折率を階段高さの2倍と掛けたものとして、理論的には与えられる。反射材料は、例えば、銀、アルミニウム、または金でもよい。
【0098】
1またはそれ以上の特異的結合物質は、上述したように、SRVDバイオセンサーの反射材料に固定化される。1またはそれ以上の特異的結合物質は、上述したように、反射材料の別個の位置のミクロアレイに配置されていてもよい。図9は、9素子のミクロアレイバイオセンサーの例を提供する。小さな円で示される多くの個々の格子構造は、各々のミクロアレイスポットの中にある。大きな円で示されるミクロアレイスポットは、その表面の材料の屈折率により決定される波長で空気中で白色光を反射するであろう。さらなる吸着材料を有するミクロアレイの位置は、大きな円で示される長い波長に向かって変位する反射した波長を有するであろう。
【0099】
SRVDバイオセンサーから反射した光の波長は、狭い周波数幅に捕らわれているので、表面の光学特徴の非常に小さな変化は、反射した波長スペクトルの容易に観察される変化としてそれ自身拡大される。狭い反射周波数幅は、平面表面上の反射分光測定に比べ、表面吸着感度の優位性を提供する。
【0100】
光学波長の広周波数帯で照らされたとき、SRVDバイオセンサーは、第1の単一光学波長で優先的に光を反射し、1またはそれ以上の特異的結合物質が反射表面に固定化されているとき、第2の単一光学波長で光を反射する。第2の光学波長での反射は、光学干渉によりもたらされる。1またはそれ以上の特異的結合物質がそれぞれの結合パートナーに結合するとき、SRVDバイオセンサーはまた、光学干渉により第3の単一光学波長で光を反射する。
【0101】
反射した色の読みとりは、個々のミクロアレイスポットに顕微鏡の対物レンズの焦点を合わせて反射したスペクトルを読むこと、または、例えば、ミクロアレイの反射した画像を高解像度カラーCCDカメラに投影することと並行して、連続的に行うことができる。
【0102】
SRVDバイオセンサーは、例えば、金属マスター板を作成すること、およびレリーフボリューム回折構造をビニルのようなプラスチック材料等に打ち出すことにより製造することができる。打ち出しの後、表面は、例えば、金、銀、またはアルミニウムのような薄い金属膜の全体的な堆積により反射性にする。フォトリソグラフ、エッチング、およびウエハ結合工程に依存するMEMSに基づくバイオセンサーと比較して、SRVDバイオセンサーの製造は、非常に安い。
【0103】
液体収容可能容器
本発明のSWSまたはSRVDバイオセンサーは、例えば、液体収容可能容器の底面の内側表面を含むことができる。液体収容可能容器は、例えば、ミクロタイタープレートウェル、試験管、ペトリ皿、またはミクロ流体チャネルでもよい。この発明の1つの態様は、いずれの型のミクロタイタープレートにも取り込まれるSWSまたはSRVDバイオセンサーである。例えば、SWSバイオセンサーまたはSRVDバイオセンサーは、図10に示すように、共鳴反射表面上に反応容器の壁を組み立てることによりミクロタイタープレートの底面に取り込むことができ、各々の反応「スポット」は別個の試験サンプルに暴露できる。従って、各々の個々のミクロタイタープレートウェルは、個別の反応容器として作用することができる。個別の化学反応は、それ故、反応液と混ざり合うことなく近接のウェルの内側で起こることができ、化学的に別個の試験溶液が個々のウェルに適用できる。
【0104】
本発明のバイオセンサーを底なしミクロタイタープレートの底面に結合させるいくつかの方法として、例えば、接着結合、超音波溶接、およびレーザー溶接等を用いることができる。
【0105】
医薬のハイスループットスクリーニングの研究室、分子生物学の研究室、および診断アッセイの研究室において最も一般的なアッセイ形式は、ミクロタイタープレートである。プレートは、格子に配置された96、384、または1536の個々の反応容器を含みうる標準化された大きさのプラスチックカートリッジである。これらのプレートの標準的な機械的配置のために、液体の分配、自動プレート操作、および検出システムは、この共通の形式で機能するように設計されている。本発明のバイオセンサーは、標準的なミクロタイタープレートの底面に取り込むことができる。例えば、図10を参照のこと。バイオセンサー表面は大きな領域で加工でき、読みとりシステムはバイオセンサー表面と物理的接触をしないので、個々のバイオセンサー領域の任意の数が、バイオセンサー表面にわたる照射/検出プローブを走査する照射光学装置およびx−yステージの焦点解像度によってのみ限定されて、規定できる。
【0106】
保持具
例えば、約1mmから約5mmの、好ましくは約3×3mm以下の、いずれの数のバイオセンサーも、96、384、または1536ウェルミクロタイタープレート等のミクロタイタープレートのウェルのような個別の液体収容可能容器にバイオセンサーを同時に浸漬することができる保持具に、配置することができる。例えば、図11を参照のこと。バイオセンサーの各々は、複数の別個の位置を含むことができる。保持具は、保持具に結合した1またはそれ以上のバイオセンサーを有し、各々の個々のバイオセンサーを個別の液体収容可能容器に入れることができるようになる。保持具は、プラスチック、エポキシまたは金属を含むことができる。例えば、50、96、384、または1,000、または1,536個のバイオセンサーが保持具に配置でき、ここでは各々のバイオセンサーは、25、100、500、または1,000の別個の位置を有する。例として、96個のバイオセンサーが保持具に結合し、各々のバイオセンサーが100個の別個の位置を含むところでは、9600個の生化学的アッセイが同時に実行できる。
【0107】
SWSおよびSRVDバイオセンサーの使用方法
本発明のSWSおよびSRVDバイオセンサーは、1または多数の特異的結合物質/結合パートナー相互作用を並行して調べるために用いることができる。1またはそれ以上の特異的結合物質のそれぞれの結合パートナーへの結合は、ラベルを用いることなく、表面に固定化された1またはそれ以上の特異的結合物質を有するSWSまたはSRVDバイオセンサーに、1またはそれ以上の結合パートナーを適用することにより、検出することができる。SWSバイオセンサーは、光で照らされ、反射した光の波長の最大値、または透過した光の波長の最小値がバイオセンサーから検出される。1またはそれ以上の特異的結合物質がそれぞれの結合パートナーに結合した場合、反射した光の波長は、1またはそれ以上の特異的結合物質がそれぞれの結合パートナーに結合しなかった場合の状態と比較して、変位する。SWSバイオセンサーが1またはそれ以上の特異的結合物質を含む別個の位置のアレイで被膜されている場合、反射した光の波長の最大値または透過した光の波長の最小値がバイオセンサーの各々の別個の位置から検出される。
【0108】
SRVDバイオセンサーは、結合パートナーが添加された後に光で照らされ、反射した光の波長がバイオセンサーから検出される。1またはそれ以上の特異的結合物質がそれぞれの結合パートナーに結合した場合、反射した光の波長は変位する。
【0109】
本発明の1つの態様では、例えば、抗体等の種々の特異的結合物質は、本発明のバイオセンサーにアレイ形式で固定化できる。そして、バイオセンサーは、タンパク質のような結合パートナーを含む目的とする試験サンプルと接触する。バイオセンサーに固定化された抗体と特異的に結合するタンパク質だけが、バイオセンサーに結合して残る。このような手法は、本質的に酵素結合イムノソルベントアッセイの大規模のものであるが、酵素または蛍光ラベルの使用は必要ではない。
【0110】
酵素活性は、1またはそれ以上の特異的結合物質が固定化されたSWSまたはSRVDバイオセンサーに1またはそれ以上の酵素を適用することにより検出することができる。バイオセンサーは、洗浄され、光で照らされる。反射した光の波長は、バイオセンサーから検出される。1またはそれ以上の酵素が酵素活性によりバイオセンサーの1またはそれ以上の特異的結合物質を変化させた場合、反射した光の波長は変位する。
【0111】
さらに、例えば、結合パートナーを含む細胞溶解物のような試験サンプルを、本発明のバイオセンサーに適用することができ、その後結合しなかった材料を取り除くために洗浄される。バイオセンサーに結合する結合パートナーは、バイオセンサーから溶出することができ、例えば、質量分析計により同定することができる。任意に、ファージDNAディスプレイライブラリーを、本発明のバイオセンサーに適用することができ、その後結合しなかった材料を取り除くために洗浄される。バイオセンサーに結合した個々のファージ粒子は、単離することができ、これらのファージ粒子の挿入物は、結合パートナーの同一性を測定するために配列決定することができる。
【0112】
上記の応用、特にプロテオミクスへの応用では、本発明のバイオセンサーの試験サンプルからの結合パートナーのような材料に選択的に結合する能力は、その後のさらなる分析のためにバイオセンサーの別個の位置から結合した材料を選択的に取り除く能力として、有利である。本発明のバイオセンサーは、反射した光の波長の変位を測定することにより、バイオセンサーアレイの別個の位置に結合するサンプルからの結合パートナーの量を検出し定量することもできる。例えば、1つの別個のバイオセンサー位置における波長の変位は、他の別個のバイオセンサー位置における陽性または陰性対照と比較して、バイオセンサーアレイの別個の位置に結合する結合パートナーの量を測定することができる。
【0113】
SWSおよび電気伝導材料
任意のバイオセンサー構造は、バイオセンサーアレイを、バイオセンサーの個々の別個の位置からの結合パートナーを選択的に引きつけ、またははねつけることがさらにできるようにする。この分野でよく知られているように、起電力は、電場におかれている核酸およびアミノ酸のような生物学的分子に適用することができる。これらの分子は電気的に陰性であるので、これらは正に荷電した電極に引きつけられ、負に荷電した電極により反発を受ける。
【0114】
共鳴光学バイオセンサーの格子構造は、電気絶縁材料よりむしろ電気伝導材料を用いて作ることができる。電場は、バイオセンサー表面近くで適用することができる。格子が共鳴反射バイオセンサーおよび電極双方として作動する場合、格子は、共鳴波長近くでは光学的に透明であり、かつ低い抵抗性を有する材料を含む。本発明の1つの態様では、材料は、インジウムスズ酸化物、InSn1−x (ITO)である。ITOは、平板光学ディスプレイのための透明電極を作成するために一般的に用いられ、それ故大きなガラスシートに低価格で容易に利用可能である。ITOの屈折率は、材料に存在するSn部分のxを制御することにより調整することができる。液体試験サンプル溶液は移動するイオンを有するであろうから(それゆえ電気伝導体であろうから)、ITO電極は絶縁材料で被膜することが必要である。共鳴光学バイオセンサーとしては、格子層は、低屈折率材料の層で被膜される。硬化したフォトレジスト(n=1.65)、硬化した光学エポキシ(n=1.5)、およびガラス(n=1.4−1.5)のような材料は、ITO(n=2.0−2.65)より低い屈折率も有する強い電気絶縁体である。ITO格子を組み込むバイオセンサーの断面図を図48に示す。nは、電気絶縁体の屈折率を示す。nは、2次元格子の屈折率を示す。tは、電気絶縁体の厚さを示す。tは、2次元格子の厚さを示す。nbioは、1またはそれ以上の特異的結合物質の屈折率を示し、tbioは、1またはそれ以上の特異的結合物質の厚さを示す。
【0115】
格子は、規則的に間を空けた穴のアレイを含むITOの連続シートでもよい。穴は、硬化したフォトレジストのような電気絶縁材料で満たされる。電気絶縁層は、構造の上面が電気絶縁体で完全に被覆されるように、そして上面が実質的に平面となるように、ITO格子に上塗りされる。バイオセンサーが光で照らされるとき、共鳴格子効果が反射した放射スペクトル上で発生する。格子の深さおよび周期は、共鳴格子効果の波長より短い。
【0116】
図12および図13に示すように、1つの電極は、多くの格子周期を含む領域を含むことができる。同じ基板表面の2またはそれ以上の個別の格子領域を作成することにより、バイオセンサー電極のアレイを作ることができる。各々のバイオセンサー電極への電気的接触は、バイオセンサー電極内の伝導体として同じ材料から作られる電気伝導トレースを用いて提供される。伝導トレースは、電位を電極に適用できる電源に接続する。電極表面近くで分子を引きつけるかまたははねつけることができるバイオセンサーに電位を適用するために、バイオセンサー上面は、図14に示されるような液体サンプルに浸漬することができる。「共通」電極は、サンプル液の中に配置でき、電圧は1つの選択されたバイオセンサー電極領域と共通電極との間に適用することができる。この方法では、1つの、いくつかの、またはすべての電極は、所定の時間荷電することまたは荷電しないことができる。図15は、正電圧が電極に適用されるときの電気的に陰性の分子のバイオセンサー表面への引きつけを示す一方、図16は、負の電極電圧を用いた、反対電荷のような反発力の電気的に陰性な分子への適用を示す。
【0117】
検出システム
検出システムは、本発明のバイオセンサー、光をバイオセンサーに導く光源、およびバイオセンサーから反射した光を検出する検出器を含むことができる。1つの態様として、決められた閾値を超える正の結果のみが検出の引き金となるようにフィルタの適用により読みとり装置を単純化できる。
【0118】
光源は、その上面、即ち、1またはそれ以上の特異的結合物質が固定化されている表面から、またはその底面から、バイオセンサーを照らすことができる。本発明のバイオセンサーの各々の別個の位置における共鳴波長の変位を測定することにより、どの別個の位置がそれらに結合する結合パートナーを有するかを決定することができる。変位の範囲は、試験サンプル中の結合パートナーの量、および1またはそれ以上の特異的結合物質と試験サンプルの結合パートナーとの化学的親和性、を決定するために用いることができる。
【0119】
本発明のバイオセンサーは、2度照らされてもよい。第1の測定で、バイオセンサーに固定化された1またはそれ以上の特異的結合物質によるバイオセンサーアレイの1またはそれ以上の別個の位置の反射率スペクトルを決定する。第2の測定で、1またはそれ以上の結合パートナーがバイオセンサーに適用された後の反射率スペクトルを決定する。これら2つの測定値のピーク波長の違いは、バイオセンサーまたはバイオセンサーの1またはそれ以上の別個の位置、に特異的に結合した結合パートナーの量の測定値である。この照射方法は、ピーク共鳴波長のわずかな変動を有する領域によりもたらされるバイオセンサー表面のわずかな不均一性を制御することができる。この方法はまた、バイオセンサーに固定化された特異的結合物質の濃度または分子量の変化を制御することもできる。
【0120】
コンピュータシミュレーションを用いて、ピーク共鳴波長と照射の入射角との予測される依存性を決定することができる。図1に示すバイオセンサー構造は、例示のためのものである。選ばれた基材は、ガラスである(n基板=1.50)。格子は、510nmの周期および56.2%の充填率(即ち、表面の56.2%が窒化ケイ素四辺で被覆されている一方、残りは四辺の間の領域である)の窒化ケイ素四辺(t=180nm、n=2.01(n=屈折率)、κ=0.001(κ=吸着係数))の2次元パターンである。窒化ケイ素四辺間の領域は、低屈折率材料で満たされている。同じ材料がまた四辺を被覆し、均一な平面の上面を提供する。このシミュレーションでは、t=100nmで窒化ケイ素四辺を被覆するガラス層が選択された(n=1.40)。
【0121】
波長の関数としての反射した強度は、GSOLVERソフトウエアを用いてモデル化され、これはハイブリッドした厳格に組み合わされた波形解析およびモード解析を用いた完全3次元ベクトル符号を利用するものである。GSOLVERは、任意に複合化した格子構造の平面波照射から、回折した場および回折効率を計算する。照射は、いずれの入射角、またいずれの偏光からでもよい。
【0122】
図19は、入射照射角に対するピーク共鳴波長の依存性をプロットする。シミュレーションは、入射光の角度と測定されるピーク波長との間に強い相関があることを示す。結果は、照射ビームの平行、および照射ビームと反射ビームとの配置が、測定される共鳴ピーク線幅に直接影響しうることを意味する。照射ビームの平行性が悪いと、様々な照射角でバイオセンサー表面に入射し、精密に平行化した光が入射する場合より、広い共鳴ピークが測定されうる。
【0123】
バイオセンサーの低い感度限界がピーク最大値を決定する能力に関連するので、狭い共鳴ピークを測定することが重要である。従って、バイオセンサーの平行化照射システムの使用は、最も高い潜在的な感度を提供する。
【0124】
バイオセンサー表面を照らすためおよび反射した光を集めるための検出システムの1つの型は、例えば、光源に接続した6つの照射光学ファイバー、および分光計に接続した1つの集光光学ファイバーを含むプローブである。ファイバーの数は決定的ではなく、いずれの数の照射または集光ファイバーも可能である。ファイバーは、集光ファイバーが束の中心にあり、6つの照射ファイバーに囲まれるように束に配置される。ファイバー束の先端は、バイオセンサー表面に照射の焦点を合わせる平行レンズに接続する。
【0125】
このプローブ配置では、照射および集光ファイバーは、並んでいる。従って、平行レンズがバイオセンサー表面に正しく光の焦点を合わせるように調整される場合、6つの明確に規定された照射の円領域、および中央の暗い領域が観察される。バイオセンサーは光を散乱せず、むしろ平行化したビームを反射するので、光は集光ファイバーに入射せず、共鳴シグナルは観察されない。6つの照射領域が中心領域に重なるまで平行レンズの焦点をずらすことのみにより、集光ファイバーに光が反射することとなる。焦点がずらされ、わずかに平行でなくなった光のみがシグナルを発生させるので、バイオセンサーは単一の入射角ではなく、様々な入射角で照らされる。様々な入射角は、図19に示す依存性により共鳴波長の混合をもたらす。それ故、広い共鳴ピークが、他に可能でない限り測定される。
【0126】
従って、照射および集光ファイバープローブが同じ光学経路を空間的に共有することが望ましい。いくつかの方法を用いて、照射および集光光学経路を共通にすることができる。例えば、単一の照射ファイバーを、バイオセンサーに光を導く光源にその第1の末端で接続し、単一の集光ファイバーを、バイオセンサーから反射した光を導く検出器にその第1の末端で接続し、各々をそれらの第2の末端で、照射器および集光器の両方として作用する第3のファイバープローブに接続することができる。第3のファイバープローブは、バイオセンサーに垂直の入射角で配向し、対向伝搬照射および反射光学シグナルを支持する。このような検出システムの例を、図18に示す。
【0127】
検出の他の方法には、光源に接続する単一の照射ファイバーを、検出器に接続する集光ファイバーに90度の角度で配向することを可能にするビームスプリッタの使用が含まれる。光は、照射ファイバープローブを通じてビームスプリッタに導かれ、これはバイオセンサーに光を導く。反射した光は、ビームスプリッタに再び導かれ、これは光を集光ファイバープローブに導く。このような検出装置の例を、図20に示す。ビームスプリッタは、照射光および反射光がビームスプリッタとバイオセンサー間の共通の光学経路を共有することを可能にし、これにより完全に平行な光が焦点をずらすことなく使用することができる。
【0128】
角度の走査
本発明の検出システムは、バイオセンサー表面の平行化された白色光照射および反射したビームの共鳴ピークの光学的分光学測定に基づく。バイオセンサー表面の分子結合は、ピーク波長の値の変位により示される一方、波長の増加は、分子吸着の増加に対応する。
【0129】
理論的モデル化および実験データに示されるように、共鳴ピーク波長は、検出光ビームの入射角に強く依存する。図19は、本発明のバイオセンサーのモデルとしてこの依存性を示す。共鳴ピーク波長の角度依存性のために、入射白色光は、よく平行化されていることが必要である。光ビームの角度の分散は、共鳴ピークを広げ、バイオセンサーの検出感度を落とす。さらに、分光学測定からのシグナル品質は、光源の出力および検出器の感度に依存する。高いシグナル対ノイズ比を得るために、各々の検出位置に対して過剰に長い積算時間を必要とし、それ故バイオセンサー平面を読みとるために総時間を長くすることとなる。回転可能なレーザー源を格子共鳴の検出のために用いることができるが、高価である。
【0130】
本発明の1つの態様として、これらの不利益には、バイオセンサーの照射のためのレーザービーム、および反射したビーム出力の測定のための光検出器の使用により取り組んでいる。走査ミラー装置がレーザービームの入射角を変化させるために用いることができ、また光学システムが入射レーザービームの平行を維持するために用いられる。例えば、「光学走査」(Gerald F. Marchall ed., Marcel Dekker (1991))を参照のこと。いずれの型のレーザー走査も使用できる。例えば、1秒間に約2線から約1000線の速度で走査線を発生できる走査装置は、本発明に有用である。本発明の1つの態様として、走査装置は、1秒間に約50線から約300線を走査する。
【0131】
1つの態様として、反射光ビームは、レーザー走査光学システムの一部を通過し、単一の光検出器で測定される。レーザー源は、例えば、780nm,785nm、810nm、または830nmの波長を有すダイオードレーザーでもよい。これらのようなレーザーダイオードは、150mWまでの出力レベルで容易に利用可能であり、それらの波長はSiフォトダイオードの高い感度に相当する。従って検出器は、フォトダイオードバイオセンサーに基づくことができる。このような検出システムの例を、図52に示す。光源100は、走査装置200に光を供給し、これは光学システム300に光を導く。光学システム300は、バイオセンサー400に光を導く。光は、バイオセンサー400から光学システム300に反射し、そしてこれは光を光シグナル検出器500に導く。検出システムの1つの態様を図21に示し、これは、走査ミラーがその角度位置を変化させる一方、表面のレーザービームの入射角はミラー角変位の名目上2倍変化することを示す。走査ミラー装置は、線形ガルバノメータでもよく、約2Hzから約120Hzまでの周波数および約10度から約20度の機械走査角で操作される。この例では、単一の走査が、約10m秒以内に完了することができる。共鳴ガルバノメータまたは多角形走査器も、用いることができる。図21に示した例には、角度走査のための単純な光学システムが含まれる。これは、これらの間に共通の焦点を有する1組のレンズからなる。光学システムは、レーザーの平行化および反射光ビームの集光の最適化した性能を発揮するように設計することができる。
【0132】
角度解像度は、ガルバノメータの規格、および反射した光の採取周波数に依存する。ガルバノメータの解像度を機械的に30秒と仮定すると、バイオセンサー角度走査に対応する解像度は、60秒、即ち0.017度である。さらに、100kサンプル/秒のサンプリング速度、および10m秒以内に20度の走査が見込まれる。結果として、定量化工程は、1000サンプルに対し20度、即ち1サンプルあたり0.02度である。この例では、PengおよびMorrisに示されているように(2次元格子からの回折における共鳴異常性の実験的例証、Optics Lett., 21:549 (1996))、0.2度の共鳴ピーク幅は、10個のデータポイントにより覆われ、その各々は検出システムの解像度に相当するであろう。
【0133】
このような検出システムの有利な点には、レーザービームによる入射光の優れた平行性、レーザーダイオードの高いビーム出力による高いシグナル対ノイズ比、分光計の代わりの単一素子の光検出器による低いコスト、および角度走査による共鳴ピークの高い解像度、が含まれる。
【0134】
ファイバープローブバイオセンサー
本発明のバイオセンサーは、多重モードファイバー光学プローブの先端に存在することができる。このファイバー光学プローブは、例えば、心臓動脈疾患、癌、炎症、および敗血症のような疾患および症状のための生体マーカーのin vivoでの検出を可能にする。(例えば、数百の格子周期を含む)単一のバイオセンサー素子は、ファイバー光学プローブの先端に加工することができ、またはガラス基板から加工してファイバー光学プローブの先端に結合することができる。図17を参照のこと。単一のファイバーが、照射を提供し、反射したシグナルの共鳴を測定するために用いられる。
【0135】
例えば、図18に示したものと同様のファイバープローブ構造を用いて、照射ファイバーおよび検出ファイバーを、その先端に埋め込まれたまたは結合したバイオセンサーを有する単一の対向伝搬ファイバーに結合することができる。ファイバー光学プローブは、例えば、ヒトの身体等の、哺乳動物の身体に挿入される。照射と反射したシグナルの検出は、プローブが体内に挿入されている間にすることができる。
【0136】
数学的な共鳴ピークの決定
バイオセンサーの感度は、材料がバイオセンサー表面に結合するときの共鳴ピーク位置の変位により決定される。スペクトルのノイズの固有値のために、分析曲線のよく規定される転換点(即ちピーク)を決定する工程を用いることが好ましい。さらに、分析表現に対応するピークは、サブサンプリング間隔の精度より大きく決定されることが好ましく、より大きな感度を提供できる。
【0137】
本発明の1つの態様は、色測定共鳴バイオセンサーにより共鳴反射率スペクトルの結合パートナーに対する共鳴ピーク位置を決定する方法を提供する。その方法は、複数の色測定共鳴バイオセンサーまたは複数のバイオセンサーの別個の位置に対する1組の共鳴反射率データを選択することを含む。1組の共鳴反射率データは、光源により色測定共鳴回折格子表面を照らし、あらかじめ決められた入射角における反射した光を測定することにより採取される。色測定共鳴回折格子表面は、結合パートナーが分子ラベルを用いることなく検出できるように、1またはそれ以上の特異的結合物質に対する表面結合プラットフォームとして用いられる。
【0138】
1組の共鳴反射率データの選択の工程は、1組の共鳴反射率データ:
i=1、2、3、...n、に対して、xおよびy
を選択することを含むことができ、ここで、xは、色測定共鳴回折格子表面に結合した1またはそれ以上の特異的結合物質の第1の反射率スペクトルを含む第1の測定値であり、yは、複数の結合パートナーが1またはそれ以上の特異的結合物質を含む色測定共鳴回折格子表面に適用された後の1またはそれ以上の特異的結合物質の第2の反射率スペクトルを含む第2の測定値であり、nは、採取された測定値の全数量である。
【0139】
1組の共鳴反射率データは、2つの測定値の複数の組を含み、ここで第1の測定値は、色測定共鳴回折格子表面に結合する1またはそれ以上の特異的結合物質の第1の反射率スペクトルを含み、第2の測定値は、1またはそれ以上の結合パートナーが1またはそれ以上の特異的結合物質を含む色測定共鳴回折格子表面に適用された後の1またはそれ以上の特異的結合物質の第2の反射率スペクトルを含む。第1および第2の測定値間のピーク波長の違いは、1またはそれ以上の特異的結合物質に結合した結合パートナーの量の測定値である。色測定共鳴バイオセンサーの感度は、1組の共鳴反射率データにおける2つの測定値の複数の組の共鳴ピーク位置の変位により決定することができる。
【0140】
2つの測定値の複数の組からの第2の測定値の最大値は、複数の結合パートナーの1組の共鳴反射率データから決定され、ここで最大値には共鳴反射率データに含まれる固有のノイズが含まれる。第2の測定値の最大値は、
すべてのi≠kに対して、(y>=y
となるような最大値yを決定することを含むことができる。
【0141】
最大値があらかじめ決められた閾値より大きいかどうかが決定される。これは、例えば、1組の共鳴反射率データの平均値を計算すること;1組の共鳴反射率データの標準偏差を計算すること;および((y−平均値)/標準偏差)があらかじめ決められた閾値より大きいかどうか決定すること;により計算することができる。あらかじめ決められた閾値は、使用者により決定することができる。使用者はどの程度の感度が望まれるのかを決定し、それに従いあらかじめ決められた閾値を設定しうる。
【0142】
最大値があらかじめ決められた閾値より大きい場合、決定した最大値の周囲の曲線適合領域が規定される。決定した最大値の周囲の曲線適合領域を規定する工程は、例えば、
(2w+1)ビンの曲線適合領域を規定すること、ここでwは、あらかじめ決められた正確な値であり;
(x,k−w<=i<=k+w)を抽出すること;および
(y,k−w<=i<=k+w)を抽出すること;
を含むことができる。曲線適合処理は、曲線適合領域周囲の曲線を適合させることにより行われ、ここで曲線適合処理は、共鳴反射率データに含まれたあらかじめ決められた量の固有のノイズを除去する。曲線適合処理は、例えば、
=lnyを計算すること;
2次多項式適合をgに行い、(x,k−w<=i<=k+w)で規定されるg’を得ること;
2次多項式適合から、(ax+bx+c)の係数a,bおよびcを決定すること;および
y’=eg’iを計算すること;
を含むことができる。最大共鳴ピークの位置は、適合した曲線上で決定され、これには、例えば、最大共鳴ピークの位置(x=(−b)/2a)を決定することを含むことができる。最大共鳴ピークの値が決定され、ここで最大共鳴ピークの値は、1またはそれ以上の結合パートナーへの1またはそれ以上の特異的結合物質の生体分子の結合量を同定するために用いられる。最大共鳴ピークの値は、例えば、y’におけるxの値を決定することを含むことができる。
【0143】
本発明の1つの態様は、色測定共鳴バイオセンサーにより、共鳴反射率スペクトルの結合パートナーの共鳴ピーク位置を決定する方法をプロセッサーに実行させるための指示をその中に保持するコンピュータ読みとり可能媒体を含む。コンピュータ読みとり可能媒体は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、有機メモリー、およびプロセッサーにより読みとり可能な他のいずれの揮発性(例えば、ランダムアクセスメモリー(「RAM」)または不揮発性(例えば、リードオンリーメモリー(「ROM」)大量保持システムを含むことができる。コンピュータ読みとり可能媒体は、共同または相互接続されたコンピュータ読みとり可能媒体を含み、これはプロセッシングシステムに排他的に存在し、またはプロセシングシステムの一部分であるかまたはこれらか離れた多重相互接続プロセシングシステムに分配される。
【0144】
以下は、例証の目的のためのみに提供されるものであり、上記の広い用語として記載された本発明の範囲を限定するものではない。この開示に引用されたすべての参考文献は、参照するとにより本明細書に取り込まれる。
【0145】
【実施例】
実施例1: SWSバイオセンサーの加工
バイオセンサー加工の例は、プラズマ増強化学気相蒸着(PECVD)による窒化ケイ素の薄層(180nm)で被膜された平面ガラス基材から始まる。
【0146】
望む構造は、前述したように、薄いフォトレジスト膜を3つのレーザービームに干渉光により暴露することによりフォトレジストに最初に作成される(Cowen、「多重ビーム干渉計を用いた交差ホログラフ格子アレイの記録と大規模複製」、周期構造、回折格子、およびモアレ現象IIの応用、理論、および加工に関する国際会議、Lerner, ed., Proc. Soc. Photo−Opt. Instrum. Eng., 503, 120−129, 1984; Cowen, 「ホログラフハニカムマイクロレンズ」 Opt. Eng. 24, 796−802 (1985); Cowen & Slafer, 「フィルムシステムにおける写真乳化粒子の秩序化のためのホログラフミクロパターンの記録および複製」 J. Imaging Sci. 31, 100−107, 1987)。フォトレジストの非線形エッチングの特徴は、図22に示すように、六角形格子内の穴のパターンを作成するために暴露した膜を現像するのに用いられる。フォトレジストパターンは、反応性イオンエッチング(RIE)を用いて窒化ケイ素層に写される。フォトレジストは除去され、スピンオンガラス(SOG)の被覆層が窒化ケイ素格子の空いた領域を満たすように適用される(ハネウェルエレクトロニックマテリアルズ、サニーベール、カリフォルニア州)。完成したバイオセンサーの上面構造を、図23に示す。完成した部品の写真を図24に示す。
【0147】
実施例2
SRVDバイオセンサーは、ビニルに金属マスター板を打ち抜くことにより5つの円形分散格子ホログラムを作ることにより作成した。円形ホログラムは切り出され、ガラスのスライドにのり付けされた。スライドは、1000オングストロームのアルミニウムで被膜された。空気中での格子の共鳴波長は〜380nmであり、それ故、反射した色は見られない。格子が水で被覆される場合、薄い青い反射が観察される。格子が液体で被覆されている間、または特異的結合物質および/または結合パートナーが構造を被覆する場合、反射した波長変位が観察でき測定できる。
【0148】
タンパク質およびバクテリアの双方は、高濃度でSRVDバイオセンサーの表面に固定化され、波長変位が測定された。各々の材料には、20μlの滴がバイオセンサーの別個の位置に置かれ、空気中で乾燥された。1μg/mlのタンパク質濃度で、直径1cmの円を被覆するために20μlの滴を広げ、約2×10−8グラムの材料を堆積させた。表面密度は、25.6ng/mmである。
【0149】
高濃度のタンパク質の固定化には(バイオセンサー4)、40mlDI HO中0.8gウシ血清アルブミン(BSA)の10μl滴が、バイオセンサー表面の直径1cmの円を被覆するように広げられる。滴は、2.5e−6g/mmの密度で、0.0002gのBSAを堆積する。タンパク質の堆積の後、バイオセンサー4は、空気中で緑色の共鳴を有した。
【0150】
バクテリアの固定化には(バイオセンサー2)、NECKボレリアライム病バクテリア(1.8e8 cfu/ml)の20μl滴が、バイオセンサー表面に堆積された。バクテリアの堆積の後、バイオセンサーは、空気中で灰色に見える。
【0151】
低濃度のタンパク質の固定化には(バイオセンサー6)、DI HO中0.02%のBSA(40mlDI HO中0.8gBSA)の10μl滴が、直径1cmの円を被覆するように広げられる。滴は、2.5e−8g/mmの密度で、0.000002gのBSAを堆積する。タンパク質の堆積の後、バイオセンサー6は、空気中で灰色に見える。
【0152】
上記の処理によりもたらされる表面修飾の範囲で定量的データを得るために、バイオセンサーは、分光計を用いて測定された。
【0153】
緑色の共鳴シグナルは、高濃度のBSAが堆積したバイオセンサー(バイオセンサー4)ですくに視覚的に観察されたので、これは空気中で測定された。図25は、タンパク質が堆積する前は何も存在しなかったところに緑色の波長で540nmおよび550nmに2つのピークを示し、タンパク質薄膜の存在が表面レリーフ構造の共鳴波長の強い変位をもたらすのに充分であることを示している。
【0154】
視認できる共鳴波長が低濃度のタンパク質を適用したスライド(バイオセンサー6)について空気中で観察されなかったので、表面の蒸留水とともに測定し、タンパク質処理をしていないバイオセンサーと比較した。図26は、タンパク質を適用したスライドの共鳴波長が、処理されていない水で被膜されたスライドに比べ緑色に変位したことを示す。
【0155】
最後に、ライム病バクテリアBorrelia burgdorferを含む水滴が、格子構造に適用され、空気中で乾燥された(バイオセンサー2)。バクテリアの堆積後空気中では視覚的に観察される共鳴が起こらなかったので、バイオセンサーは、表面の蒸留水とともに測定され、他の処理を受けていない水で被膜されたバイオセンサーと比較した。図27に示すように、バクテリアの適用は、長い波長への共鳴周波数変位をもたらす。
【0156】
実施例3:バイオセンサーのコンピュータモデル
生体材料がその表面に吸着したときに引き起こされる反射した波長の変位を測定することにより、共鳴格子構造がバイオセンサーとして使用することができるという概念を論証するために、図1に示した構造がコンピュータによりモデル化された。論証の目的のために、選択された基材はガラスである(n基板=1.50)。格子は、510nmの周期、および56.2%の充填率(即ち、表面の56.2%が窒化ケイ素四辺で被覆される一方、残りは四辺の間の領域である)の窒化ケイ素四辺(t=180nm、n=2.01、κ=0.001)の2次元パターンである。窒化ケイ素四辺の間の領域は、低屈折率材料により満たされている。同じ材料がまた四辺を被覆し、均一な平面の上面を提供する。このシミュレーションでは、t=100nmで窒化ケイ素四辺を被覆するガラス層が選択された(n=1.40)。生体材料の堆積によるこの構造の反射した波長の効果を観察するために、種々の厚さのタンパク質(nbio=1.5)がガラス被膜層上に添加された。
【0157】
波長の関数としての反射した強度は、GSOLVERソフトウエアを用いてモデル化され、これはハイブリッドした厳格に組み合わされた波形解析およびモード解析を用いた完全3次元ベクトル符号を利用するものである。GSOLVERは、任意に複合化した格子構造の平面波照射から、回折した場および回折効率を計算する。照射は、いずれの入射角、またいずれの偏光からでもよい。
【0158】
コンピュータシミュレーションの結果を、図28および図29に示す。図28に示すように、タンパク質が表面に存在しない場合は、共鳴構造は、780nm近くの、単一波長のみを表面から反射することができる。半最大値におけるピーク幅が〜1.5nmなので、〜0.2nmの共鳴波長変位は、容易に解像されうる。図28はまた、より多くのタンパク質が構造表面に堆積すると共鳴波長が長波長に変位することを示す。2nmのタンパク質厚の変化は、容易に観察される。図29は、タンパク質被膜厚に対する共鳴波長の依存性をプロットする。タンパク質厚と共鳴波長の線形に近い相関が観察され、タンパク質吸着を測定するこの方法が定量データを提供できることを示している。シミュレートされた構造として、図29は、全堆積タンパク質層が〜250nmを超えると、波長変位反応が飽和になることを示す。この堆積した材料の検出上限は、いずれの型の生体分子アッセイに対しても充分なダイナミックレンジを提供する。
【0159】
実施例4:バイオセンサーのコンピュータモデル
本発明の他の態様として、図30に示されたバイオセンサー構造は、コンピュータによりモデル化された。例示の目的として、選択された基板は、窒化ケイ素、硫化亜鉛、酸化タンタル、または2酸化チタンのような高屈折率材料の層で被膜されたn基板=1.454のガラスであった。この場合、窒化ケイ素(t=90nm,n=2.02)を用いた。格子は、510nmの周期、および56.2%の充填率(即ち、表面の56.2%がフォトレジスト四辺で被覆されている一方、残りが四辺の間の領域である)のフォトレジスト四辺(t=90nm、n=1.625)の2次元パターンである。フォトレジスト四辺間の領域は、ガラス、プラスチック、またはエポキシのような低屈折率材料で満たされている。同じ材料がまた四辺の被覆し、均一な平面の上面を提供する。このシミュレーションでは、t=100nmでフォトレジスト四辺を被覆するガラス層が選択された。特異的結合物質の堆積によるこの構造の反射した波長への効果を観察するために、種々の厚さのタンパク質(nbio=1.5)が、ガラス被膜層上に添加された。
【0160】
波長の関数としての反射した強度は、GSOLVERソフトウエアを用いてモデル化され、これはハイブリッドした厳格に組み合わされた波形解析およびモード解析を用いた完全3次元ベクトル符号を利用するものである。GSOLVERは、任意に複合化した格子構造の平面波照射から、回折した場および回折効率を計算する。照射は、いずれの入射角、またいずれの偏光からでもよい。
【0161】
コンピュータシミュレーションの結果を図31および図32に示す。タンパク質が表面に存在しない場合、共鳴構造は、805nm近くの、単一波長のみを表面から反射することができる。半最大値におけるピーク幅が<0.25nmなので、1.0nmの共鳴波長変位は、容易に解像されうる。図31はまた、より多くのタンパク質が構造表面に堆積すると共鳴波長が長波長に変位することを示す。1nmのタンパク質厚の変化は、容易に観察される。図32は、タンパク質被膜厚に対する共鳴波長の依存性をプロットする。タンパク質厚と共鳴波長の線形に近い相関が観察され、タンパク質吸着を測定するこの方法が定量データを提供できることを示している。
【0162】
実施例5:センサー読みとり装置
反射した共鳴を検出するために、図33に示すように、直径400マイクロメーターのファイバー光学装置および平行レンズを通じてバイオセンサー表面の直径〜1mmの領域に、白色光源を照射することができる。より小さいかまたはより大きい範囲が、照射装置および異なるレンズの使用を通じて採取されうる。6つの検出ファイバの群が、分光計(オーシャンオプティクス、ダニーディン、フロリダ州)による分析のための反射した光を集めるために、照射ファイバーのまわりに束にされる。例えば、分光計は、サンプリングビン間の解像度が〜0.14nmで、800nmの波長で中心におくことができる。分光計は、各々の測定で25−75ミリ秒間反射したシグナルを積算する。バイオセンサーは、バイオセンサー表面の異なる領域が正方形に位置できるように、x−y作動ステージに設置される。
【0163】
同等な測定が、装置の上面を照らすこと、または透明な基板の底面を通じて照らすことの何れかにより、行うことができる。バイオセンサー表面が液体で浸漬されている場合は、背面を通じた照射が好ましく、また、バイオセンサーが底面、例えばミクロウェルプレートに取り込まれる場合、背面を通じた照射は、バイオセンサーの測定に最も互換性がある。
【0164】
実施例6:共鳴反射の実証
図34に、実施例5に記載された装置を用いた図1に示すようなバイオセンサーから採取された共鳴反射率スペクトルを示す。共鳴の波長(λピーク=772.5nm)を、コンピュータモデルにより予測された共鳴波長(λピーク=781nm)と比較し、測定された反射率効率(51%)は、予測された効率(70%)に匹敵するものである。測定された特徴と予測された特徴との最も大きな不一致は、共鳴ピークの線幅である。共鳴の半最大値における測定された完全幅(FWHM)は6nmである一方、予測されたFWHMは1.5nmである。示されるように、測定された大きなFWHMの主な原因は、照射光学装置の平行化であり、これは容易に訂正することができる。
【0165】
その表面に接触する材料の屈折率の違いを検出する共鳴構造の能力の基本的な例証として、バイオセンサーは、よく特徴づけられた光学特性の一連の液体に暴露された。用いられた液体は、水、メタノール、イソプロピルアルコール、アセトン、およびDMFである。バイオセンサーは、各々の液体の小滴に向けて置かれ、共鳴波長がバイオセンサー背面に向けられたファイバー照射/検出プローブにより測定された。バイオセンサー表面が種々の屈折率の液体に暴露される場合につき、表1に、計算されたものおよび測定されたピーク共鳴波長を示し、測定されたものと理論的な検出感度との相関を示す。表1に示されるように、測定された共鳴ピーク位置および測定された共鳴波長変位は、予測された値とほぼ同一である。この例は、バイオセンサーの感度の基礎となるものを示し、表面に接触する材料の変化による波長の変位を予測するコンピュータモデルを検証するものである。
【0166】
【表1】
Figure 2004529324
【0167】
同様に、バイオセンサーは、種々のバッファー溶液間の屈折率の違いを測定することができる。例として、図35に、水中のウシ血清アルブミン(BSA)の濃度によるピーク波長の変化を示す。共鳴は、バッファーの滴に向けられて置かれたバイオセンサーにより測定され、各々の測定の間に水で洗い流された。
【0168】
実施例7:固定化されたタンパク質の検出
実施例6に示された検出実験が、液体溶液の屈折率のわずかな違いを測定するバイオセンサーの能力を示す一方、バイオセンサーは、バイオセンサー表面に化学的に結合する特異的結合物質および結合パートナーを測定することを意図する。その表面の生体分子を定量するバイオセンサーの能力を示すために、種々の濃度でPBSに溶解させたBSAの滴を、図1に示すようなバイオセンサーに適用した。3μlの滴が空気中で乾燥され、直径〜2mmの領域に分配された少量のBSAを置いた。各々のバイオセンサー位置のピーク共鳴波長は、滴の堆積の前後で測定され、ピーク波長変位が記録された。図37を参照のこと。
【0169】
実施例8:1またはそれ以上の特異的結合物質の固定化
以下のプロトコルを色測定共鳴反射バイオセンサーに用い、アミン官能基で表面を活性化した。アミン基は、いくつかの型のリンカー分子のこれに続く共有結合のための多目的表面として使用することができる。
【0170】
本発明のバイオセンサーは、ピラニアエッチング液(70/30%(v/v)濃硫酸/30%過酸化水素)中に12時間浸漬することにより、清浄される。バイオセンサーは、水で完全に洗浄された。バイオセンサーは、乾燥アセトン中3%の3−アミノプロピルトリエトキシシラン溶液に1分間漬けられ、乾燥アセトンで洗い流され、空気乾燥された。そして、バイオセンサーは、水で洗浄された。
【0171】
半定量的方法を用いて、バイオセンサー表面のアミノ基の存在が確認される。アミノ官能化バイオセンサーの各々のバッチからの1つのバイオセンサーは、pH8.5の50mM炭酸水素ナトリウム5mLで、短時間洗浄する。その後、バイオセンサーを、0.1mMスルホ−サクシニミジル−4−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−ブチレート(s−SDTB、ピアス、ロックフォード、イリノイ州)を含むpH8.5の50mM炭酸水素ナトリウム5mLに漬け、30分間激しく振とうする。s−SDTB溶液は、3.0mgのs−SDTBを1mLのDMFに溶解し、pH8.5の50mM炭酸水素ナトリウム50mLで希釈することにより調製される。30分のインキュベーションの後、バイオセンサーを、20mLのddHOで3回洗浄し、その後30%過塩素酸5mLで処理する。オレンジ色した溶液の発色は、バイオセンサーがアミンでうまく誘導化されたことを示し、未処理のガラスのバイオセンサーは、色の変化が観察されない。
【0172】
上記工程に続く過塩素酸処理後の溶液の495nmにおける吸光度は、表面のアミン基の量の指標として用いることができる。1組の実験では、吸光度は、シグマスライド、セルアソシエイトスライド、および自家製バイオセンサースライドに対して、それぞれ0.627、0.647、および0.728であった。これは、バイオセンサー表面のNH活性化のレベルが、活性化した市販のミクロアレイガラススライドに匹敵することを示す。
【0173】
アミンによりバイオセンサーを活性化する上記のプロトコルに続いて、リンカー分子をバイオセンサーに結合させることができる。架橋剤を選択する場合、反応性基の選択性、スペーサーアームの長さ、溶解度、および切断性のような問題を考慮すべきである。そして、リンカー分子は、結合パートナーの特異的認識のために用いられる特異的結合物質に結合する。例として、以下のプロトコルを用いて、ビオチンリンカー分子をアミン活性化バイオセンサーに結合させた。
【0174】
ビオチンによるアミン被膜バイオセンサーの活性化のプロトコル
アミン被膜バイオセンサーをPBS(pH8.0)で3回洗浄する。PBSバッファー(pH8)中、濃度0.5mg/mlで、スルホ−サクシニミジル−6−(ビオチンアミド)ヘキサノエート(スルホ−NHS−LC−ビオチン、ピアス、ロックフォード、イリノイ州)溶液を調製する。2mlのスルホ−NHS−LC−ビオチン溶液を、各々のアミン被膜バイオセンサーに添加し、室温で30分間インキュベートする。バイオセンサーをPBS(pH8.0)で3回洗浄する。スルホ−NHS−LC−ビオチンリンカーは、556.58の分子量および22.4Åの長さを有する。得られたバイオセンサーは、アビジンまたはストレプトアビジン分子を補足するために用いることができる。
【0175】
アルデヒドによるアミン被膜バイオセンサーの活性化のプロトコル
0.1Mリン酸ナトリウム、0.05%アジドナトリウム、0.1%シアノボロハイドレートナトリウム中2.5%グルタルアルデヒド溶液、pH7.0、を調製する。2mlのスルホ−NHS−LC−ビオチン溶液を、各々のアミン被膜バイオセンサーに添加し、室温で30分間インキュベートする。バイオセンサーをPBS(pH7.0)で3回洗浄する。グルタルアルデヒドリンカーは、100.11の分子量を有する。得られたバイオセンサーは、タンパク質および他のアミン含有分子を結合するために用いることができる。反応は、シッフ塩基の形成を通じて進行し、これに続く還元性アミノ化により安定な2級アミン結合が形成される。1つの実験では、本発明者らにより作成された被膜されたアルデヒドスライドを市販のアルデヒドスライド(セルアソシエイト)と比較した場合、本発明者らにより作成されたスライドでは、ストレプトアビジンおよび抗−ウサギIgGの10倍高い結合が観察された。
【0176】
NHSによるアミン被膜バイオセンサーの活性化のプロトコル
炭酸ナトリウムバッファー(pH8.5)中25mMのN,N’−ジサクシニミジルカーボネート(DSC、シグマケミカルカンパニー、セントルイス、ミズーリ州)を調製した。2mlのDSC溶液を各々のアミン被膜バイオセンサーに添加し、室温で2時間インキュベートした。バイオセンサーをPBS(pH8.5)で3回洗浄した。DSCリンカーは、256.17の分子量を有する。得られたバイオセンサーは、ヒドロキシル−またはアミン−含有分子を結合するために用いることができる。このリンカーは、入手可能な最も小さい均一2官能性NHSエステル架橋剤の1つである。
【0177】
上に規定したプロトコルに加えて、異なる型の生体分子に対するアッセイ能力を最適化する、多くのさらなる表面活性化および分子リンカー技術が報告されてきた。これらの最も一般的なものは、アミン表面、アルデヒド表面、およびニッケル表面である。そして、活性化された表面は、表2に示すように、いくつかの異なる型の化学リンカーをバイオセンサー表面に結合するために用いることができる。アミン表面がいくつかの型のリンカー分子を結合するために用いられる一方、アルデヒド表面はさらなるリンカーを必要とせずにタンパク質を直接結合するために用いられる。ニッケル表面は、取り込まれたヒスチジン([his])タグを有する分子を結合するために、排他的に用いられる。ニッケル活性化表面による「his−タグ化」分子の検出は、よく知られている(Sigal et al., Anal. Chem. 68, 490 (1996))。
【0178】
表2は、バイオセンサーを調製し、使用するために用いられる工程、および表面活性化成分、化学リンカー分子、特異的結合物質および結合パートナー分子に利用可能な種々の選択肢の配列例を示す。HRPまたはストレプトアビジンのような大きな分子による増幅、および分子結合に利用可能な表面積を増加するデキストランやTSPSのような高分子材料の使用、を通じて検出したシグナルを増強する機会も存在する。
【0179】
【表2】
Figure 2004529324
【0180】
実施例9:IgGアッセイ
生化学的結合の検出の最初の実証として、ビオチンリンカー分子の結合に続いて実施例8に記載されたアミノ表面成分での活性化により調製されたバイオセンサーでのアッセイを行った。ビオチンリンカーを用いて、PBS中濃度50μl/mlのストレプトアビジン溶液に室温で2−4時間暴露することによりストレプトアビジンレセプター分子を表面に共有結合させた。ストレプトアビジンレセプターは、いずれのビオチン化タンパク質をもバイオセンサー表面に結合させる能力がある。この例として、リン酸バッファー溶液(PBS)中3μl滴のビオチン化抗−ヒトIgGを、200μg/mlの濃度でバイオセンサー表面の4つの個別の位置に堆積させた。溶液は、PBSで完全に洗い流す前に60分間バイオセンサー上でインキュベートされた。4つの位置のピーク共鳴波長は、ビオチン活性化の後、ストレプトアビジンレセプターの適用後、およびah−IgG結合の後、測定された。図37は、ストレプトアビジンおよびah−IgG両方の添加が、共鳴波長の明確な測定可能な増加を生じることを示す。
【0181】
実施例10:ビオチン/ストレプトアビジンアッセイ
ビオチンレセプター層によるストレプトアビジンの結合を検出するために、一連のアッセイを行った。バイオセンサーは、前述したように、まずアミノ成分により活性化し、その後NHS−ビオチンリンカー層を結合した。次に、PBS中3μl滴のストレプトアビジンを種々の濃度でバイオセンサーに適用した。滴は、PBSで完全に洗浄し、DI水で洗い流す前に、30分間バイオセンサー表面でインキュベートされた。ピーク共鳴波長を、ストレプトアビジン結合の前後で測定し、図38に共鳴波長変位を示す。ピーク波長とストレプトアビジン濃度の間に直線関係が観察され、この場合測定された最低のストレプトアビジン濃度は、0.2μg/mlであった。この濃度は、3.3nMのモル濃度に相当する。
【0182】
実施例11:タンパク質−タンパク質結合アッセイ
タンパク質−タンパク質相互作用の検出を実証するためにアッセイを行った。前述したように、バイオセンサーはアミノ成分およびNHS−リンカー層で活性化した。室温で60分間PBS中濃度50μg/ml溶液にバイオセンサーを暴露することにより、ヤギ抗−ビオチン抗体レセプター層をビオチンリンカーに結合し、その後PBSで完全に洗浄し、DI水で洗い流した。非特異的タンパク質とバイオセンサー表面に結合していないビオチンとの相互作用を防ぐために、バイオセンサー表面を、PBS中1%ウシ血清アルブミン(BSA)溶液に30分間暴露した。この工程の目的は、望まないタンパク質をバイオセンサーと相互作用することから「遮蔽」することである。図39に示され、誘発されるピーク波長の増加により示されるように、相当量のBSAがレセプター層に取り込まれる。遮蔽に続き、3μl滴の種々の濃度の抗−ヤギIgGを、バイオセンサー表面の個別の位置に適用した。滴は、DI水で完全に洗い流される前に30分間インキュベートされた。バイオセンサーのピーク共鳴波長を、遮蔽前、遮蔽後、レセプター層の結合後、および抗−ヤギIgGの検出後に、各々のスポットについて測定した。図39は、10μg/mlの抗−ヤギIgG濃度が容易に測定可能な波長変位を生じさせることを示す。
【0183】
実施例12:ラベル化されないELISAアッセイ
バイオセンサーアレイプラットフォームの他の応用としては、酵素ラベル、およびその後の発色した色素発生のための酵素特異的基質の相互作用を必要としない、酵素結合イムノソルベントアッセイ(ELISA)を実行する能力にある。図40は、バイオセンサーがインターフェロン−γ(IFN−γ)抗体レセプター分子によりIFN−γを検出するために調製された実験結果を示す。レセプター分子は、SMPTリンカー分子(ピアスケミカルカンパニー、ロックフォード、イリノイ州)によりNH−活性化バイオセンサー表面に共有結合させた。NH、SMPT、および抗−ヒトIFN−αレセプター分子の適用によるピーク共鳴波長変位は、図40に示すように、バイオセンサー表面の2つの近接する位置で測定された。2つの位置は、PBS中100μg/mlの濃度の2つの異なるタンパク質溶液に暴露された。第1の位置は、IFN−γに暴露され、これはレセプター分子に結合すると予測される一方、第2のものは、神経成長因子(NGF)に暴露され、これはレセプターに結合しないと予測される。30分間のインキュベーションの後バイオセンサーは、底面から照らすことにより測定され、一方上面は液体に浸漬したままであった。IFN−γに暴露された位置は、0.29nmの波長変位を示す一方、NGFに暴露された位置は、わずか0.14nmの波長変位しか示さなかった。従って、いずれの型の酵素ラベルや発色酵素反応を用いることなしに、バイオセンサーは、異なる型のタンパク質を含む溶液同士を区別することができた。
【0184】
実施例13:プロテアーゼ阻害剤アッセイ(キャスパーゼ−3)
医薬化合物のスクリーニングと関連する実験的背景における小分子の存在と切断を測定するバイオセンサーの能力を実証するために、キャスパーゼ−3プロテアーゼ阻害剤アッセイを行った。
【0185】
キャスパーゼ(システイン要求性アスパラギン酸プロテアーゼ)は、細胞死を媒介し、アポトーシス工程に重要なプロテアーゼの一員である。キャスパーゼ3、エフェクターキャスパーゼは、最も知られたキャスパーゼ関連基質を特異的に切断できるので、ほ乳類のキャスパーゼのなかで最も研究されたものである。キャスパーゼ3アッセイは、キャスパーゼ3による4アミノ酸ペプチド基質NHS−Gly−Asp−Glu−Val−Asp p−ニトロアニリド(NHS−GDEVD−pNA)の加水分解に基づいており、これはpNA部分の放出をもたさらす。
【0186】
【化1】
Figure 2004529324
【0187】
GDEVDのN−末端に結合したNHS分子は、NHS−GDEVD−pNA複合体を、複合体のpNA部分を表面から外に向けて、バイオセンサーに共有結合できるようにする、反応性末端基を提供する。この方法の結合により、キャスパーゼ−3は、その基質切断部位に最適な接触ができるようになる。
【0188】
バイオセンサーは、3:1のHSO:H溶液で洗浄し(室温、1時間)、次にシラン化(乾燥アセトン中2%シラン、30秒間)およびポリ−phe−ジン(PPL)層の結合(0.5MNaClを含むpH6.0のPBS中100μg/mlPPL、10時間)により、調製した。NHS−GDEVD−pNA複合体は、バイオセンサーをPBS中10mM溶液に暴露することにより結合した(pH8.0、室温、1時間)。ミクロウェルチャンバーを、バイオセンサー表面上で密封し、pNAの切断を1×酵素バッファー中(100ng/ml、室温、90分間)で、100μlのキャスパーゼ−3の添加により行った。キャスパーゼ3溶液への暴露の後、バイオセンサーをPBSで洗浄した。分光光度計を用いた別の組の実験を行い、バイオセンサー表面への複合体の結合、および表面結合複合体からのpNA分子の除去に対するキャスパーゼ−3の機能活性を確認した。
【0189】
バイオセンサーのピーク共鳴周波数を、NHS−GDEVD−pNA複合体の結合前、複合体(分子量=860Da)の結合後、およびキャスパーゼ3によるpNA(分子量=136)の切断後、に測定した。図41に示すように、ペプチド分子の結合は、その後のpNAの除去として、明瞭に測定できる。Δλ=0.016nmのpNA除去シグナルは、0.003nmの最小検出可能ピーク波長変位より5.3倍高い。添加された分子量と差し引かれた分子量との比(860Da/136Da=6.32)は、添加された、および差し引かれた材料について観察されたピーク波長変位の比(0.082nm/0.016nm=5.14)によく一致する。
【0190】
この実験結果は、バイオセンサーがラベルを用いることなく小さいペプチド(この場合、5量体ペプチド)を測定し、さらに酵素の活性を通じて分子の130Da部分の除去さえ検出できることを確認するものである。
【0191】
実施例14:タンパク質−タンパク質結合アッセイの反応動態
本発明のバイオセンサーは、液体に浸漬されている間に時間の関数として連続的に問うことができるので、バイオセンサーは、エンドポイント検出実験を実行すること、および生化学反応の動的情報を得ることの両方に利用することができる。例として、単一のバイオセンサー位置が表面に種々の結合パートナーを連続的に添加する過程を通じて連続的に測定される実験結果を、図42に示す。実験を通じて、検出プローブがバイオセンサー基板の背面を通じてバイオセンサーを照らす一方、生化学反応が装置の上面で実行される。添加された試薬が閉じこめられるようにゴムのガスケットにより測定されるバイオセンサー位置のまわりを密封し、バイオセンサー上面がバッファー溶液に浸漬されている間にすべての測定が行われた。初期洗浄の後、バイオセンサーは、NHおよびNHS−ビオチンリンカー分子で活性化された。図42に示すように、いくつかの異なる濃度(1、10、100、1000μg/ml)のヤギα−ビオチン抗体をバイオセンサーに連続的に添加し、ピーク共鳴波長をモニターしながら30分間インキュベートした。最大濃度のα−ビオチンIgGの適用後、いくつかの濃度で(0.1、1、10、および100μg/ml)でのα−ヤギIgGの添加を通じて、タンパク質の第2層をバイオセンサー表面に結合させた。再び、各々の溶液を30分間バイオセンサー上でインキュベートしながら、共鳴ピークを連続的にモニターした。図42は、共鳴ピークが各々のインキュベーション期間の終了時点で大きな波長に如何に変位するかを示す。
【0192】
図43は、図42からの最終共鳴ピーク転移の動的結合曲線を示し、ここでは100μg/mlのα−ヤギIgGがバイオセンサーに添加される。曲線は、動的結合実験で典型的に観察される型の特徴を示し、ここで基底周波数からの急激な増加が最初に観察され、次に反応の緩やかな飽和となる。この型の反応特徴は、この実験で測定されたすべての転移について観察された。図44に、IgG結合の動的結合測定値を示す。
【0193】
酵素活性を通じたバイオセンサー表面からの材料の除去も、容易に観察される。(ヤギ抗−ビオチンIgGおよび抗−ヤギIgGの2つのタンパク質被膜による)上記実験からのバイオセンサーが1mg/mlの濃度でプロテアーゼペプシンに暴露される場合、酵素は、両方のIgG分子を分離し、バイオセンサー表面からそれらを除去する。図45に示すように、表面からの結合した分子の除去は、時間の関数として観察することができる。
【0194】
実施例15:プロテオミクスの応用
本発明のバイオセンサーは、プロテオミクスの応用に用いることができる。バイオセンサーアレイは、例えば、タンパク質またはファージディスプレイライブラリーを含む結合パートナーの混合物を含む試験サンプルに暴露することができ、そしてバイオセンサー表面はすべての結合しなかった材料を除去するために洗い流される。バイオセンサーは、バイオセンサー表面のどの別個の位置が最も大きな結合度合いを有するかを測定するために、また結合した材料の定量的測定を提供するために、光学的に探査される。次に、バイオセンサーは、少量(例えば、<50マイクロリットル)に固定した容積の液体をバイオセンサー表面に接触させる「フローセル」に置かれる。選択されたバイオセンサーアレイの別個の位置のみから結合した材料を溶出するように、1つの電極が荷電される。結合した材料は、フローセル液体内で希釈される。フローセル液体は、バイオセンサー表面からポンプにより除去され、ミクロタイタープレートや他の容器内に保存される。フローセル液体は新しい溶液と置き換えられ、新しいバイオセンサー電極がその結合した結合パートナーを溶出するために荷電される。この工程は、目的とするすべてのバイオセンサーの別個の位置が溶出され、個別の容器に集められるまで繰り返される。試験サンプル液体がタンパク質の混合物を含んでいた場合、個別の容器内のタンパク質内容物は、エレクトロスプレータンデム質量分析計のような技術を用いて分析することができる。サンプル液がファージディスプレイライブラリーを含んでいた場合、個別の容器内のファージクローンは宿主株バクテリアとのインキュベーション、濃縮増幅、および関連するライブラリーDNA配列の分析を通じて同定することができる。
【0195】
実施例16:数学的な共鳴ピークの決定
この例は、異なる型の曲線を観察されたデータに適合させて観察することから、得られたいくつかの発見を議論するためのものである。
検定された第1の分析曲線は、以下に与えられる2次多項式である。
【数1】
Figure 2004529324
この方程式の最小二乗法の解は、コスト関数により与えられる。
【数2】
Figure 2004529324
この最小化は、以下の制約が課せられる。
【数3】
Figure 2004529324
これらの制約を、a、b、およびcについて解くと、以下を得る。
【数4】
Figure 2004529324
このような適合の1つの結果を図46に示し、得られたデータは点で示し、2次元多項式曲線適合は、実線で示す。
【0196】
経験的に、適合させた曲線は、ピーク近くで充分な上昇および下降を有しないように思える。この点についてよい特徴を提供する分析曲線は、ガウス曲線のような指数関数である。ガウス曲線様の適合を実行する簡単な方法は、曲線の形態が以下により与えられると仮定することである。
【数5】
Figure 2004529324
この場合、上記の2次方程式は、y’を形成することにより利用可能であり、ここで、y’=lnyである。図46に、このような適合の結果を示す。図46の視覚的外観は、指数関数がより適合し、2次関数の適合のものに対して20%の改善を提供することを、示す。
【0197】
指数関数曲線が好ましいデータ適合方法であると仮定すると、曲線適合の強固さは、2つの方法:波長の変位に関するもの、およびシグナル振幅の誤差に関するもの、で検定される。
【0198】
分析的ピーク位置の感度を検定するために、曲線適合が実行される窓を真の最大値の左または右に10サンプリング間隔降下するように変化させる。得られた数学的に決定されたピーク位置の変位を、表3に示す。導かれる結論は、ピーク位置が、特定の選ばれた窓に関して適度に強固であり、〜1.5nmの変位で、わずか<0.06nm、または100分の4の感度で変化した対応するピーク位置であることである。
【0199】
データ中のノイズに関してピーク位置の感度を検定するためには、ノイズなしのシグナルを規定する必要があり、ノイズの増加量をシグナルに加え、ピーク位置へのこのノイズの影響が検定される。この実験の目的に対し理想的なシグナルは、平均10の共鳴スペクトル補足である。
【0200】
度合いが変化するガウス関数ノイズは、理想シグナルに重ねられる。このような作り出したノイズのあるシグナル各々に対し、2次指数関数曲線適合を用いてピーク位置が見積もられる。これは25回繰り返され、平均、最大、および最小ピーク位置が表に記入されるようになる。これは、広範囲のノイズ変動について−0の変動から750の変動まで−繰り返される。結果を図47に示す。
【0201】
【表3】
Figure 2004529324
【0202】
この実験の結論は、ピーク位置の見積もりの決まった手順が、ノイズのあるシグナルに対し非常に強固であるということである。図47のピーク位置の全範囲は、750もの任意のノイズ変動が重ねられても、わずか1.5nmであり、ノイズの量はこれよりも実質的に大きく、従ってバイオセンサーで観察されたものもさらに大きい。ノイズのレベルにもかかわらず、平均ピーク位置は、理想位置の0.1nm以内である。
【0203】
これらの結果に基づいて、色測定共鳴バイオセンサーのピーク位置を数学的に決定するための基本的なアルゴリズムは、以下の通りとなる。
【0204】
【表4】
Figure 2004529324
【0205】
要約すると、強固なピーク決定の決まった手順が実証され、統計的結果は、シグナル中のノイズ、および使用される窓決定工程に、ほとんど影響を受けないことを示す。これらの結果は、妥当なノイズの統計で、ピーク位置が1nmの一部分、おそらく0.1から0.05nmの小ささで、ほとんどの場合矛盾なく決定することができることを、導く。
【0206】
実施例17:均一アッセイの実証
SWSバイオセンサーは、その表面に接触する均一な液体の光学密度を検出し、Δn=4×10−5のわずかしか違わない屈折率により液体を区別することができる。2つの遊離の相互作用しないタンパク質を含む溶液は、2つの結合した相互作用するタンパク質を含む溶液とは異なる屈折率を有するので、タンパク質−タンパク質相互作用がいずれの種類の粒子タグや化学ラベルも用いない溶液中で起こる場合、SWSバイオセンサーにより測定できることとなる。
【0207】
3つの試験溶液を、比較のために調製した。
1.リン酸バッファー溶液(PBS)中アビジン、(10μg/ml)
2.PBS中アビジン(10μg/ml)+ウシ血清アルブミン(BSA)(10μg/ml)
3.PBS中アビジン(10μg/ml)+ビオチン化BSA(b−BSA)(10μg/ml)
【0208】
単一のSWSセンサーが、センサー間の偏りのいずれの可能性をも排除するためにすべての測定に用いられた。各々の試験溶液の200μlのサンプルがバイオセンサーに適用され、SWSバイオセンサーピーク共鳴波長値の測定の前に10分間平衡化された。サンプルごとに、バイオセンサーはPBSで完全に洗浄された。
【0209】
試験溶液のピーク共鳴波長値を、図51にプロットする。アビジン溶液が、アビジン+BSAおよびアビジン+b−BSA溶液の比較のためにベースライン参照として採取された。2つのタンパク質が相互作用しないと予測されるように、アビジンへのBSAの添加は、わずかな小さい共鳴波長の増加しかもたらさなかった。しかし、ビオチンとアビジンは強く結合するので(Kd=10−15M)、アビジン+b−BSA溶液は、大きな結合したタンパク質複合体を含むこととなる。従って、アビジン+b−BSA溶液のピーク共鳴波長値は、アビジン+BSAと比べて大きな変位を提供する。
【0210】
BSA(分子量=66kDa)およびb−BSA(分子量=68kDa)の分子量の違いは、非常に小さい。従って、相互作用しないタンパク質(アビジン+BSA)および相互作用するタンパク質(アビジン+b−BSA)を含む溶液間で測定された違いは、2つの分子間の結合相互作用の違いのみに起因する。結合した分子複合体は、結合した複合体を有しない溶液とは異なる光学屈折率の溶液をもたらす。光学屈折率の変化は、SWSバイオセンサーにより測定される。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1A−Bは、色測定共鳴反射率バイオセンサーに用いられる光学格子構造の1態様の模式図である。n基板は、基板材料を示す。nは、被覆層の屈折率を示す。nは、2次元格子の屈折率を示す。nbioは、1またはそれ以上の特異的結合物質の屈折率を示す。tは、被覆層の厚さを示す。tは、格子の厚さを示す。tbioは、1またはそれ以上の特異的結合物質の層の厚さを示す。図1Aは、バイオセンサーの断面図を示す。図1Bは、バイオセンサーの図を示す。
【図2】図2は、線形格子構造の模式図を示す。
【図3】図3A−Bは、正方形(図3A)または穴(図3B)の長方形格子を含む格子を示す。
【図4】図4は、シヌソイド的に変化する格子特徴を利用するバイオセンサーの断面図を示す。
【図5】図5は、エンボス加工された基板がZnSやSiNのような高屈折率材料で被膜されたバイオセンサーの断面図を示す。例えば、エポキシやSOGの被覆層は、高屈折率材料の上面で層化され、1またはそれ以上の特異的結合物質は、被覆層に固定化される。
【図6】図6は、種々の型の生体分子レセプターをバイオセンサーに共有結合するために用いることができる対応する化学リンカー分子を有する、3つの型の表面活性化化学物質(アミン、アルデヒド、およびニッケル)を示す。
【図7】図7A−Cは、バイオセンサーの表面で検出されたDNAや、検出されたタンパク質のような結合パートナーの質量を増幅するために用いることができる方法を示す。
【図8】図8は、タンパク質単層のような吸着した材料が、SRVDバイオセンサーの反射した波長を如何に増加するかの図画描写を示す。
【図9】図9は、ミクロアレイとして用いられるバイオセンサーの例を示す。
【図10】図10A−Bは、色測定共鳴反射率バイオセンサーを取り込むことができる2つのバイオセンサーの形式を示す。図10Aは、ミクロタイタープレートに取り込まれたバイオセンサーを示す。図10Bは、ミクロアレイスライド形式のバイオセンサーを示す。
【図11】図11は、高い密度および処理量でアッセイを実行するためにバイオセンサープラットフォームを用いるアレイ概念のアレイを示す。
【図12】図12は、バイオセンサー電極のアレイの図を示す。単一の電極は、多くの格子周期を含む領域を含むことができ、いくつかの個別の格子領域は、同じ基板表面に存在することができる。
【図13】図13は、バイオセンサー電極のアレイの個別の格子領域を示すSEM写真を示す。
【図14】図14は、液体サンプルに浸漬されたバイオセンサー上面を示す。電極表面近くの生体分子を引きつけるかまたははねつけることができる電位を、バイオセンサーに適用することができる。
【図15】図15は、液体サンプルに浸漬されたバイオセンサー上面を示す。正電圧が電極に適用され、負電荷の生体分子がバイオセンサー表面に引きつけられる。
【図16】図16は、液体サンプルに浸漬されたバイオセンサー上面を示す。負電圧が電極に適用され、負電荷の生体分子が陰電極電圧を用いてバイオセンサー表面からはねつけられる。
【図17】図17は、in vivoでの生化学物質の検出のためのファイバープローブの先端に存在するバイオセンサーの例を示す。
【図18】図18は、光を照射してバイオセンサーから反射した光を集めるための2つの組み合わされたファイバーの使用例を示す。
【図19】図19は、検出ビームの入射角の関数としてのバイオセンサーの共鳴波長を示す。
【図20】図20は、照射する光および反射した光を、バイオセンサーへの共通の平行化した光学経路を共有できるようにするビームスプリッタの使用例を示す。
【図21】図21は、バイオセンサーの角度走査のシステムの例を示す。
【図22】図22は、フォトレジスト格子構造のSEM写真の平面図(中央および右上)と断面図(右下)を示す。
【図23】図23は、スピンオンガラスを窒化ケイ素格子に適用した後の格子構造のSEM断面写真を示す。
【図24】図24は、バイオセンサーチップの例を示す(1.5×1.5インチ)。円形の領域は、共鳴構造が規定された領域である。
【図25】図25は、空気中で測定された、高濃度でBSAが堆積したバイオセンサーの波長の関数としての応答を示す。タンパク質の堆積前は、バイオセンサーの共鳴波長は380nmであり、この実験に用いた装置では観測されない。
【図26】図26は、BSAが堆積したバイオセンサーと未処理ものとを比較した波長の関数としての応答を示す。両方の測定値は、バイオセンサー表面に水を用いて採取した。
【図27】図27は、水中で測定された、ボレリアバクテリアが高濃度で堆積したバイオセンサーの波長の関数としての応答を示す。
【図28】図28は、生体分子が表面に堆積した場合に長波長への共鳴の変位を示すバイオセンサーのコンピュータシミュレーションを示す。
【図29】図29は、タンパク質被膜厚に対する反射した波長のピークの依存性を示すコンピュータシミュレーションを示す。この特定のバイオセンサーは、応答が飽和し始める前に、250nmの堆積した生体材料のダイナミックレンジを有する。
【図30】図30は、バイオセンサーの1態様を示す。n基板は、基板の屈折率を示す。nは、光学被覆層の屈折率を示す。nは、2次元格子の屈折率を示す。nは、窒化ケイ素のような高屈折率材料の屈折率を示す。nbioは、1またはそれ以上の特異的結合物質の屈折率を示す。tは、被覆層の厚さを示す。tは、2次元格子の厚さを示す。tは、高屈折率材料の厚さを示す。tbioは、特異的結合物質の層の厚さを示す。
【図31】図31は、種々の厚さのタンパク質が上面に取り込まれる場合の共鳴格子構造に対する波長の関数としての反射した強度を示す。
【図32】図32は、図30に示されたバイオセンサーについて、反射した波長とタンパク質被膜厚との直線関係を示す。
【図33】図33は、バイオセンサーの出力を読みとるために使用できる装置を示す。平行化した光源は、光学ファイバーを通じて垂直の入射角でバイオセンサー表面で検出される一方、第2の平行ファイバーが垂直の入射角で反射した光を集める。分光計は、波長の関数として反射率を記録する。
【図34】図34は、測定されたバイオセンサーの反射率スペクトルを示す。
【図35】図35は、水に溶解したタンパク質BSAの濃度に対する、液体中で測定されたピーク共鳴波長値の依存性を示す。
【図36】図36は、PBSに溶解したBSAの濃度に対するピーク共鳴波長値の依存性を示し、BSAはバイオセンサー表面で乾燥された。
【図37】図37Aは、ストレプトアビジンレセプター層の結合により生じたピーク共鳴波長変位の測定、およびそれに続くビオチン化IgGの検出を示す。図37Bは、バイオセンサーに結合した分子の模式図を示す。
【図38】図38Aは、ビオチンレセプター分子に連結したNH表面化学物質により活性化されたバイオセンサーについて、種々の濃度でのストレプトアビジンの検出結果を示す。図38Bは、バイオセンサーに結合した分子の模式図を示す。
【図39】図39Aは、ヤギ抗体レセプター分子を用いた抗−ヤギIgGの検出のアッセイを示す。検出表面のBSA遮蔽は、バイオセンサーに取り込まれたBSAの質量のために、明瞭に測定可能なバックグラウンドシグナルを生じる。66nM濃度の抗−ヤギIgGは、バックグラウンドシグナル上で容易に測定される。図39Bは、バイオセンサーに結合した分子の模式図を示す。
【図40】図40Aは、抗−ヒトIgG インターフェロン−ガンマレセプター分子、および神経成長因子(NGF)陰性対照を用いたインターフェロン−ガンマ(INF−ガンマ)のラベル化しないELISAアッセイを示す。図40Bは、バイオセンサーに結合した分子の模式図を示す。
【図41】図41Aは、酵素キャスパーゼ−3を用いた5アミノ酸ペプチド(分子量=860)およびこれに続くpNAラベル(分子量=130)の切断を示す。図41Bは、バイオセンサーに結合した分子の模式図を示す。
【図42】図42Aは、3つの個別のタンパク質層の結合の連続的モニターの間の液体中での共鳴ピークを示す。図42Bは、バイオセンサーに結合した分子の模式図を示す。
【図43】図43Aは、図42に示されたデータから数学的に決定されたエンドポイントの共鳴周波数を示す。図43Bは、バイオセンサーに結合した分子の模式図を示す。
【図44】図44Aは、IgG結合の動的結合測定値を示す。図44Bは、バイオセンサーに結合した分子の模式図を示す。
【図45】図45Aは、バイオセンサー表面から、結合したタンパク質を切断するプロテアーゼの動的測定値を示す。図45Bは、バイオセンサーに結合した分子の模式図を示す。
【図46】図46は、共鳴ピークからの分光計データに対する放物線および指数関数の数学的適合の比較を示す。指数関数曲線適合が、ピーク共鳴波長を数学的に決定するために使用される。
【図47】図47は、測定されたスペクトルに人工的に加えたノイズに対する数学的に決定されたピーク共鳴波長の感度を示す。
【図48】図48は、電気伝導材料を取り込む共鳴光学バイオセンサーを示す。
【図49】図49は、1組の同心輪からなる表面反射または透過フィルター構造を示す。
【図50】図50は、格子のいずれの特定の位置に置く照射ビームも必要としない、図49の同心円構造に極近い穴の六角形格子(または突起物の六角形格子)を含む共鳴反射または透過フィルタ構造を示す。
【図51】図51は、試験溶液のピーク共鳴波長値のプロットを示す。アビジン溶液が、アビジン+BSAおよびアビジン+b−BSA溶液に対する比較の基底参照として採取された。2つのタンパク質が相互作用しないと予測されるので、アビジンへのBSAの添加は、わずかに小さい共鳴波長の増加しかもたらさない。しかし、ビオチンとアビジンは強く結合するので(Kd=10−15M)、アビジン+b−BSA溶液は、大きな結合したタンパク質複合体を含むこととなる。従って、アビジン+b−BSA溶液のピーク共鳴波長値は、アビジン+BSAに比べて大きな変位を提供する。
【図52】図52は、検出システムの模式図を示す。

Claims (104)

  1. (a)高屈折率を有する材料を含む2次元格子;
    (b)2次元格子を支持する基板層;および
    (c)基板層の反対側の2次元格子の表面に固定化された1またはそれ以上の特異的結合物質;
    を含むバイオセンサーであって、
    バイオセンサーが照らされるときに共鳴格子効果が反射した放射スペクトル上で発生し、2次元格子の深さおよび周期が共鳴格子効果の波長より短い、バイオセンサー。
  2. バイオセンサーが光学波長の広周波数帯により照らされるときに光学波長の狭周波数帯がバイオセンサーから反射される、請求項1に記載のバイオセンサー。
  3. 基板がガラス、プラスチックまたはエポキシを含む、請求項1に記載のバイオセンサー。
  4. 2次元格子が硫化亜鉛、2酸化チタン、酸化タンタル、および窒化ケイ素から成る群より選ばれる物質を含む、請求項1に記載のバイオセンサー。
  5. 基板層の反対側の2次元格子の表面に被覆層をさらに含み、1またはそれ以上の特異的結合物質が2次元格子の反対側の被覆層表面に固定化される、請求項1に記載のバイオセンサー。
  6. 被覆層が硫化亜鉛、2酸化チタン、酸化タンタル、および窒化ケイ素よりも低い屈折率を有する材料を含む、請求項5に記載のバイオセンサー。
  7. 被覆層がガラス、エポキシ、およびプラスチックから成る群より選ばれる材料を含む、請求項6に記載のバイオセンサー。
  8. 2次元格子が約0.01ミクロンから約1ミクロンの周期および約0.01ミクロンから約1ミクロンの深さを有する、請求項1に記載のバイオセンサー。
  9. 1またはそれ以上の特異的結合物質が別個の位置のアレイとして配置される、請求項1に記載のバイオセンサー。
  10. 1またはそれ以上の特異的結合物質が物理吸着または化学結合により2次元格子に固定化される、請求項1に記載のバイオセンサー。
  11. 別個の位置が直径約50−500ミクロンのミクロアレイスポットを規定する、請求項9に記載のバイオセンサー。
  12. 1またはそれ以上の特異的結合物質がその結合パートナーに結合する、請求項1に記載のバイオセンサー。
  13. 1またはそれ以上の特異的結合物質が、核酸、ポリペプチド、抗原、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、単鎖抗体(scFv)、F(ab)フラグメント、F(ab’)フラグメント、Fvフラグメント、小有機分子、細胞、ウイルス、バクテリア、および生物学的サンプルから成る群より選ばれる、請求項1に記載のバイオセンサー。
  14. 生物学的サンプルが、血液、血漿、血清、胃腸分泌物、組織または腫瘍のホモジネート、滑液、便、唾液、痰、嚢胞液、羊水、脳脊椎液、腹膜液、肺洗浄液、精液、リンパ液、涙、および前立腺液から成る群より選ばれる、請求項13に記載のバイオセンサー。
  15. 結合パートナーが核酸、ポリペプチド、抗原、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、単鎖抗体(scFv)、F(ab)フラグメント、F(ab’)フラグメント、Fvフラグメント、小有機分子、細胞、ウイルス、バクテリア、および生物学的サンプルから成る群より選ばれる、請求項12に記載のバイオセンサー。
  16. 生物学的サンプルが、血液、血漿、血清、胃腸分泌物、組織または腫瘍のホモジネート、滑液、便、唾液、痰、嚢胞液、羊水、脳脊椎液、腹膜液、肺洗浄液、精液、リンパ液、涙、および前立腺液から成る群より選ばれる、請求項15に記載のバイオセンサー。
  17. 内側表面として請求項1に記載のバイオセンサーを含む、液体収容可能容器。
  18. 容器がミクロタイタープレート、試験管、ペトリ皿およびミクロ流体チャネルから成る群より選ばれる、請求項17に記載の液体収容可能容器。
  19. 請求項1に記載のバイオセンサー、バイオセンサーに光を導く光源、およびバイオセンサーから反射した光を検出する検出器を含む検出システムであって、偏光フィルタが光源とバイオセンサーとの間に存在する検出システム。
  20. (a)1またはそれ以上の結合パートナーを請求項1に記載のバイオセンサーに適用すること;
    (b)バイオセンサーを光で照らすこと;および
    (c)バイオセンサーから反射した光の波長の最大値、または透過した光の波長の最小値を検出すること;
    を含む、1またはそれ以上の特異的結合物質のそれぞれの結合パートナーへの結合を検出する方法であって、
    1またはそれ以上の特異的結合物質がそれぞれの結合パートナーに結合した場合に、反射した光の波長が変位する方法。
  21. (a)1またはそれ以上の結合パートナーを請求項1に記載のバイオセンサーに適用すること、ここで2次元格子が1またはそれ以上の特異的結合物質を含む別個の位置のアレイで被膜されており、
    (b)バイオセンサーの各々の別個の位置を光で照らすこと;および
    (c)バイオセンサーの各々の別個の位置から反射した光の最大波長または透過した光の最小波長を検出すること;
    を含む、1またはそれ以上の特異的結合物質のそれぞれの結合パートナーへの結合を検出する方法であって、
    1またはそれ以上の特異的結合物質が別個の位置でそれぞれの結合パートナーに結合した場合に、反射した光の波長が変位する方法。
  22. (a)1またはそれ以上の酵素を請求項1に記載のバイオセンサーに適用すること;
    (b)バイオセンサーを洗浄すること;
    (c)バイオセンサーを光で照らすこと;および
    (d)バイオセンサーから反射した光の波長を検出すること;
    を含む、酵素の活性を検出する方法であって、
    1またはそれ以上の酵素が酵素活性によりバイオセンサーの1またはそれ以上の特異的結合物質を変化させた場合に、反射した光の波長が変位する方法。
  23. (a)第1および第2の表面を有するシート材料であり、第1の表面がレリーフボリューム回折構造を規定するシート材料、
    (b)シート材料の第1の表面上に被膜された反射材料;および
    (c)反射材料に固定化された1またはそれ以上の特異的結合物質;
    を含む、バイオセンサーであって、
    光学波長の広周波数帯により照らされるときにバイオセンサーが第1の単一の光学波長において優先的に光を反射し、1またはそれ以上の特異的結合物質が反射表面上に固定化されるときにバイオセンサーが第2の単一の光学波長において光を反射し、光の第2の光学波長における反射が光学干渉によりもたらされる、バイオセンサー。
  24. 1またはそれ以上の特異的結合物質がそれぞれの結合パートナーに結合するときにバイオセンサーが第3の単一の光学波長において光を反射し、第3の光学波長における反射が光学干渉によりもたらされる、請求項23に記載のバイオセンサー。
  25. レリーフボリューム回折構造の深さおよび周期が、バイオセンサーから反射された光の共鳴波長よりも短い、請求項23に記載のバイオセンサー。
  26. レリーフボリューム回折構造が約0.01ミクロンから約1ミクロンの周期および約0.01ミクロンから約1ミクロンの深さを有する、請求項23に記載のバイオセンサー。
  27. 1またはそれ以上の特異的結合物質がそれぞれの結合パートナーに結合する、請求項23に記載のバイオセンサー。
  28. 内側表面として請求項23に記載のバイオセンサーを含む液体収容可能容器。
  29. 容器がミクロタイタープレート、試験管、ペトリ皿およびミクロ流体チャネルから成る群より選ばれる、請求項28に記載の液体収容可能容器。
  30. 1またはそれ以上の特異的結合物質が反射材料の別個の位置のアレイとして配置される、請求項23に記載のバイオセンサー。
  31. 別個の位置が直径約50−500ミクロンのミクロアレイスポットを規定する、請求項30に記載のバイオセンサー。
  32. 1またはそれ以上の特異的結合物質が物理吸着または化学結合により反射材料に固定化される、請求項23に記載のバイオセンサー。
  33. レリーフボリューム回折構造が直径約0.5ミクロンから約5ミクロンである、請求項32に記載のバイオセンサー。
  34. (a)1またはそれ以上の結合パートナーを請求項23に記載のバイオセンサーに適用すること;
    (b)バイオセンサーを光で照らすこと;および
    (c)バイオセンサーから反射した光の波長を検出すること;
    を含む、1またはそれ以上の特異的結合物質のそれぞれの結合パートナーへの結合を検出する方法であって、
    1またはそれ以上の特異的結合物質がそれぞれの結合パートナーに結合した場合に、反射した光の波長が変位する方法。
  35. (a)1またはそれ以上の結合パートナーを請求項23に記載のバイオセンサーに適用すること、ここで1またはそれ以上の特異的結合物質が反射材料の別個の位置のアレイとして配置されており、
    (b)バイオセンサーの各々の別個の位置を光で照らすこと;および
    (c)バイオセンサーの各々の別個の位置から反射した光の波長を検出すること;
    を含む、1またはそれ以上の特異的結合物質のそれぞれの結合パートナーへの結合を検出する方法であって、
    1またはそれ以上の特異的結合物質が別個の位置でそれぞれの結合パートナーに結合した場合に、反射した光の波長が変位する方法。
  36. (a)1またはそれ以上の酵素を請求項23に記載のバイオセンサーに適用すること;
    (b)バイオセンサーを洗浄すること;
    (c)バイオセンサーを光で照らすこと;および
    (d)バイオセンサーから反射した光の波長を検出すること;
    を含む、酵素の活性を検出する方法であって、
    1またはそれ以上の酵素が酵素活性によりバイオセンサーの1またはそれ以上の特異的結合物質を変化させた場合に、反射した光の波長が変位する方法。
  37. 電気を伝導する光学的に透明な材料を含む第1および第2の表面を有する2次元格子を含むバイオセンサーであって、2次元格子の第1の表面が電気絶縁体により被膜され、2次元格子の第2の表面が基板上に堆積され、バイオセンサーが照らされるときに共鳴格子効果が反射した放射スペクトル上で発生し、2次元格子の深さおよび周期が共鳴格子効果の波長よりも短い、バイオセンサー。
  38. 2次元格子が、正方形、円形、楕円形、三角形、長円形、台形、シヌソイド波形、長方形、および六角形から成る群より選ばれる形状の繰り返しパターンを含む、請求項37に記載のバイオセンサー。
  39. 形状の繰り返しパターンが長方形格子または六角形格子に配置される、請求項37に記載のバイオセンサー。
  40. 2次元格子が約0.01ミクロンから約1ミクロンの周期および約0.01ミクロンから約1ミクロンの深さを有する、請求項37に記載のバイオセンサー。
  41. 2またはそれ以上の個別の格子領域が同じ基板上に存在する、請求項37に記載のバイオセンサー。
  42. 基板の各々の個別の格子領域に電気伝導性トレースをさらに含む、請求項41に記載のバイオセンサー。
  43. 伝導性トレースが電源に接続する、請求項42に記載のバイオセンサー。
  44. 1またはそれ以上の特異的結合物質が基板の各々の個別の格子領域に結合する、請求項41に記載のバイオセンサー。
  45. 1またはそれ以上の特異的結合物質がそれぞれの結合パートナーに結合する、請求項44に記載のバイオセンサー。
  46. 内側表面として請求項37に記載のバイオセンサーを含む液体収容可能容器。
  47. 容器がミクロタイタープレート、試験管、ペトリ皿およびミクロ流体チャネルから成る群より選ばれる、請求項46に記載の液体収容可能容器。
  48. (a)1またはそれ以上の結合パートナーを請求項37に記載のバイオセンサーに適用すること;
    (b)電気伝導トレースに電荷を適当すること;
    (c)バイオセンサーを光で照らすこと;および
    (d)バイオセンサーから反射した光の波長を検出すること;
    を含む、1またはそれ以上の特異的結合物質のそれぞれの結合パートナーへの結合を検出する方法であって、
    1またはそれ以上の特異的結合物質がそれぞれの結合パートナーに結合した場合に、反射した光の波長が変位する方法。
  49. バイオセンサーを光で照らす前に反対の電荷を電気伝導トレースに適用する工程をさらに含む、請求項48に記載の方法。
  50. (a)請求項1、23、または37に記載のバイオセンサーを光で照らすこと;
    (b)バイオセンサーから反射した光の波長を検出すること;
    (d)1またはそれ以上の結合パートナーを含む試験サンプルをバイオセンサーに適用すること;
    (e)バイオセンサーを光で照らすこと;および
    (f)バイオセンサーから反射した光の波長を検出すること;
    を含む、試験サンプル中の1またはそれ以上の結合パートナーの量を測定する方法であって、
    工程(b)および工程(f)の光の波長の違いが試験サンプル中の1またはそれ以上の結合パートナーの量の測定値である方法。
  51. 請求項1、23、または37に記載のバイオセンサー、バイオセンサーに光を導く光源、およびバイオセンサーから反射した光を検出する検出器、を含む検出システムであって、
    2つの末端を有する第1の照射ファイバープローブがその第1の末端で検出器に接続し、2つの末端を有する第2の集光ファイバープローブがその第1の末端で光源に接続し、第1および第2のファイバープローブがそれらの第2の末端で第3のファイバープローブに接続し、第3のファイバープローブが照射および集光ファイバープローブとして作用し、第3のファイバープローブが垂直の入射角でバイオセンサーに向けられて照射および反射する光学シグナルの対向伝搬を支持する、検出システム。
  52. 請求項1、23、または37に記載のバイオセンサー、バイオセンサーに光を導く光源、およびバイオセンサーから反射した光を検出する検出器、を含む検出システムであって、
    照射ファイバープローブが光源に接続して集光ファイバープローブに対して90度の角度で向けられており、集光ファイバープローブが検出器に接続し、バイオセンサーに光を導くビームスプリッタに照射ファイバープローブを通じて光が導かれ、集光ファイバーに光を導くビームスプリッタに反射光が導かれる、検出システム。
  53. アミンでバイオセンサーを活性化すること、リンカー基をアミン活性化バイオセンサーに結合すること、および1またはそれ以上の特異的結合物質をリンカー基に結合すること、を含む、請求項1、23、または37に記載のバイオセンサー上に1またはそれ以上の特異的結合物質を固定化する方法。
  54. (a)バイオセンサーをピラニア溶液に浸漬すること;
    (b)バイオセンサーを洗浄すること;
    (c)バイオセンサーを乾燥アセトン中3%3−アミノプロピルトリエトキシシラン溶液に浸漬すること;
    (d)バイオセンサーを乾燥アセトンで洗浄すること;および
    (e)バイオセンサーを水で洗浄すること;
    を含む方法によりバイオセンサーがアミンで活性化される、請求項53に記載の方法。
  55. リンカーが、アミン、アルデヒド、N,N’−ジサクシニミジルカーボネート、およびニッケルから成る群より選ばれる、請求項53に記載の方法。
  56. (a)1またはそれ以上のタグを含む1またはそれ以上の結合パートナーを請求項1、23、または37に記載のバイオセンサーに適用すること;
    (b)バイオセンサーを光で照らすこと;および
    (c)バイオセンサーから反射した光の波長を検出すること;
    を含む、1またはそれ以上の特異的結合物質のそれぞれの結合パートナーへの結合を検出する方法であって、
    1またはそれ以上の特異的結合物質がそれぞれの結合パートナーに結合した場合に、反射した光の波長が変位する方法。
  57. 1またはそれ以上のタグが、ビオチン、サクシニミジル−6−[a−メチル−a−(2−ピリジル−ジチオ)トルアミド]ヘキサノエート(SMPT)、ジメチルピメリミデート(DMP)、およびヒスチジンから成る群より選ばれる、請求項56に記載の方法。
  58. 1またはそれ以上のタグが、バイオセンサーを光で照らす工程の前に、ストレプトアビジン、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、およびストレプトアビジン被膜ナノ粒子から成る群より選ばれる構成物と反応する、請求項56に記載の方法。
  59. バイオセンサーが保持具と結合する、請求項9、30、または44に記載のバイオセンサーの2またはそれ以上を含むバイオセンサー構成物。
  60. 構成物が約50から約1,000個の個々のバイオセンサーを含む、請求項59に記載のバイオセンサー構成物。
  61. 構成物が約96個のバイオセンサーを含む、請求項59に記載のバイオセンサー構成物。
  62. 構成物が約384個のバイオセンサーを含む、請求項59に記載のバイオセンサー構成物。
  63. バイオセンサーの2またはそれ以上が各々約25から約1,000個の別個の位置を含む、請求項59に記載のバイオセンサー構成物。
  64. 各々のバイオセンサーが約1mmから約5mmである、請求項59に記載のバイオセンサー構成物。
  65. 各々のバイオセンサーが約3mmである、請求項59に記載のバイオセンサー構成物。
  66. 各々のバイオセンサーがミクロタイタープレートの個別のウェル中に配置できるように保持具が各々のバイオセンサーを保持する、請求項59に記載のバイオセンサー構成物。
  67. 多重ファイバー光学プローブの先端に請求項1、23、または37に記載の1またはそれ以上のバイオセンサーを含む、バイオセンサー構成物。
  68. 1またはそれ以上のバイオセンサーがプローブの先端に加工される、請求項67に記載のバイオセンサー構成物。
  69. 1またはそれ以上のバイオセンサーがプローブの先端に結合する、請求項67に記載のバイオセンサー構成物。
  70. (a)請求項67に記載のファイバー光学プローブの先端をヒトまたは動物の身体に挿入すること;
    (b)バイオセンサーを光で照らすこと;および
    (c)バイオセンサーから反射した光の波長を検出すること;
    を含む、1またはそれ以上の特異的結合物質のそれぞれの結合パートナーへの結合をin vivoで検出する方法であって、
    1またはそれ以上の特異的結合物質がそれぞれの結合パートナーに結合した場合に、反射した光の波長が変位する方法。
  71. (a)請求項1に記載のバイオセンサー;
    (b)レーザービームを走査ミラー装置に導くレーザー源であって、走査ミラー装置がレーザービームの入射角を変化させるために使用されるレーザー源;
    (c)入射レーザービームのコルミネーションを維持するための光学システム;
    (d)および光検出器;
    を含む、検出システム。
  72. 走査ミラー装置が線形ガルバノメータである、請求項71に記載の検出システム。
  73. 線形ガルバノメータが約2Hzから約120Hzの周波数および約10度から約20度の機械的走査角で作動する、請求項72に記載の検出システム。
  74. レーザーが780nm、785nm、810nm、および830nmから成る群より選ばれる波長のダイオードレーザーである、請求項71に記載の検出システム。
  75. 色測定共鳴バイオセンサーによる共鳴反射率スペクトル中の結合パートナーの共鳴ピーク位置を測定する、以下を含む方法:
    複数の色測定共鳴バイオセンサーの別個の位置の1組の共鳴反射率データを選択すること、
    ここで、1組の共鳴反射率データは、色測定共鳴回折格子表面を光源で照らして、あらかじめ決められた入射角において反射した光を測定することにより採取され、
    色測定共鳴回折格子表面は、1またはそれ以上の特異的結合物質の表面結合プラットフォームとして使用され、
    結合パートナーは、分子ラベルの使用なしに検出でき、
    1組の共鳴反射率データは2つの測定値の複数の組を含み、ここで、第1の測定値は色測定共鳴回折格子表面に結合する1またはそれ以上の特異的結合物質の第1の反射率スペクトルを含み、第2の測定値は1またはそれ以上の特異的結合物質を含む色測定共鳴回折格子表面に1またはそれ以上の結合パートナーを適用した後の、1またはそれ以上の特異的結合物質の第2の反射率スペクトルを含み、および
    第1と第2の測定値の間のピーク波長の違いは、1またはそれ以上の特異的結合物質に結合する結合パートナーの量の測定値であり;
    複数の結合パートナーの1組の共鳴反射率データからの2つの測定値の複数の組から第2の測定値の最大値を決定すること、
    ここで、最大値は、共鳴反射率データに含まれる固有のノイズを含み;
    最大値があらかじめ決められた閾値より大きいかどうかを決定し、もし大きいならば、
    決定された最大値の周囲に曲線適合領域を規定すること、
    曲線適合領域の周囲で曲線を適合させるために曲線適合処理を行うこと、ここで、曲線適合処理は、共鳴反射率データに含まれる固有のノイズのあらかじめ決められた量を取り除き;
    適合させた曲線上で最大共鳴ピークの位置を決定すること;および
    最大共鳴ピークの値を決定すること、ここで、最大共鳴ピークの値は1またはそれ以上の特異的結合物質の1またはそれ以上の結合パートナーへの生体分子の結合量を同定するために用いられる;
    方法。
  76. プロセッサーに請求項75に記載の方法を実行させるための指示をその中に保持するコンピューター読みとり可能媒体。
  77. 色測定共鳴バイオセンサーの感度が1組の共鳴反射率データの2つの測定値の複数の組の共鳴ピークの位置の変位により決定される、請求項75に記載の方法。
  78. 1組の共鳴反射率データを選択する工程が、1組の共鳴反射率データ:
    i=1、2、3、...n、に対して、xおよびy
    を選択することを含み、
    ここで、xは、色測定共鳴回折格子表面に結合した1またはそれ以上の特異的結合物質の第1の反射率スペクトルを含む第1の測定値であり、yは、複数の結合パートナーが1またはそれ以上の特異的結合物質を含む色測定共鳴回折格子表面に適用された後の1またはそれ以上の特異的結合物質の第2の反射率スペクトルを含む第2の測定値であり、nは、採取された測定値の全数量である、請求項75に記載の方法。
  79. 第2の測定値の最大値を決定する工程が、
    すべてのi≠kに対して、(y>=y
    となるように最大値yを決定することを含む、請求項75に記載の方法。
  80. 最大値があらかじめ決められた閾値より大きいかどうかを決定する工程が、
    1組の共鳴反射率データの平均を計算すること;
    1組の共鳴反射率データの標準偏差を計算すること;および
    ((y−平均値)/標準偏差)があらかじめ決められた閾値より大きいかどうか決定すること;
    を含む、請求項75に記載の方法。
  81. 決定した最大値の周囲の曲線適合領域を規定する工程が、
    (2w+1)ビンの曲線適合領域を規定すること、ここでwは、あらかじめ決められた正確な値であり;
    (x,k−w<=i<=k+w)を抽出すること;および
    (y,k−w<=i<=k+w)を抽出すること;
    を含む、請求項75に記載の方法。
  82. 曲線適合処理を行う工程が、
    =lnyを計算すること;
    2次多項式適合をgに行い、(x,k−w<=i<=k+w)で規定されるg’を得ること;
    2次多項式適合から、(ax+bx+c)の係数a,bおよびcを決定すること;および
    y’=eg’iを計算すること;
    を含む、請求項75に記載の方法。
  83. 適合した曲線上の最大共鳴ピークの位置を決定する工程が、
    最大共鳴ピークの位置(x=(−b)/2a)を決定すること
    を含む、請求項75に記載の方法。
  84. 最大共鳴ピークの値を決定する工程が、y’におけるxの値を決定することを含む、請求項75に記載の方法。
  85. 同心輪のパターンを有する2次元格子を含むバイオセンサーであって、各々の同心輪の内側の直径と外側の直径との違いが格子周期の約半分に等しく、各々の連続する輪が前の輪の内側の直径よりも格子周期約1つ分大きい内側の直径を有し、構造が照射光ビームで照らされるときに反射した放射スペクトルが照射光ビームの照射偏光角に独立して発生し、また1またはそれ以上の特異的結合物質が2次元格子上に固定される、バイオセンサー。
  86. 構造が照らされるときに共鳴格子効果が反射した放射スペクトル上で発生し、2次元格子の深さと周期が共鳴格子効果の波長より短く、構造が光学波長の広周波数帯で照らされるときに光学波長の狭周波数帯が構造から反射する、請求項85に記載のバイオセンサー。
  87. 2次元格子が約0.01ミクロンから約1ミクロンの周期および約0.01ミクロンから約1ミクロンの深さを有する、請求項85に記載のバイオセンサー。
  88. 穴または突起物が六角形の角および中心に位置するように配置された穴または突起物のアレイを含むバイオセンサーであって、六角形が細密充填されたアレイに配置され、構造が照射光ビームで照らされるときに、反射した放射スペクトルが照射光ビームの照射偏光角に独立して発生し、また1またはそれ以上の特異的結合物質が穴または突起物のアレイに固定化される、バイオセンサー。
  89. 構造が照らされるときに共鳴格子効果が反射した放射スペクトル上で発生し、穴または突起物の深さまたは高さおよび周期が共鳴格子効果の波長より短く、構造が光学波長の広周波数帯で照らされるときに光学波長の狭周波数帯が構造から反射する、請求項88に記載のバイオセンサー。
  90. 穴または突起物のアレイが約0.01ミクロンから約1ミクロンの周期および約0.01ミクロンから約1ミクロンの深さまたは高さを有する、請求項88に記載の構造。
  91. (a)高屈折率材料を含み、上面および底面を有する第1の2次元格子;
    (b)高屈折率材料を含み、上面および底面を有する第2の2次元格子であって、第2の2次元格子の上面が第1の2次元格子の底面に結合する第2の2次元格子;
    (c)1またはそれ以上の特異的結合物質または第1の2次元格子の上面に固定化された結合パートナーに結合した1またはそれ以上の特異的結合物質;
    を含むバイオセンサーであって、
    バイオセンサーが照らされるときに2つの共鳴格子効果が反射した放射スペクトル上で発生し、両方の2次元格子の深さおよび周期が共鳴格子効果の波長より短い、バイオセンサー。
  92. 基板層が第2の2次元格子の底面を支持する、請求項91に記載のバイオセンサー。
  93. 1またはそれ以上の特異的結合物質が2次元格子の反対側の被覆層の表面に固定化される、第1の2次元格子の上面に被覆層をさらに含む、請求項91に記載のバイオセンサー。
  94. 第1の2次元格子の上面が試験サンプルと物理的に接触し、第2の2次元格子が試験サンプルと物理的に接触しない、請求項91に記載のバイオセンサー。
  95. ピーク共鳴反射波長が第1および第2の2次元格子により測定され、2つの測定値の違いが、第1の2次元格子表面上に堆積した1またはそれ以上の特異的結合物質、結合パートナー、またはその両方の量を示す、請求項91に記載のバイオセンサー。
  96. (a)高屈折率材料を含み、上面および底面を有する第1の2次元格子;
    (b)上面および底面を含む基板層であって、基板の上面が第1の2次元格子の底面を支持する基板層;
    (c)高屈折率材料を含み、上面および底面を有する第2の2次元格子であって、第2の2次元格子の底面が基板の底面に結合する2次元格子;および
    (d)1またはそれ以上の特異的結合物質または第1の2次元格子の上面に固定化されたその結合パートナーに結合した1またはそれ以上の特異的結合物質;
    を含むバイオセンサーであって、
    バイオセンサーが照らされるときに2つの共鳴格子効果が反射した放射スペクトル上で発生し、両方の2次元格子の深さおよび周期が共鳴格子効果の波長より短い、バイオセンサー。
  97. 1またはそれ以上の特異的結合物質が2次元格子の反対側の被覆層の表面に固定化される、第1の2次元格子の上面に被覆層をさらに含む、請求項96に記載のバイオセンサー。
  98. 第1の2次元格子の上面が試験サンプルと物理的に接触し、第2の2次元格子が試験サンプルと物理的に接触しない、請求項96に記載のバイオセンサー。
  99. ピーク共鳴反射波長が第1および第2の2次元格子により測定され、2つの測定値の違いが、第1の2次元格子表面上に堆積した1またはそれ以上の特異的結合物質、結合パートナー、またはその両方の量を示す、請求項98に記載のバイオセンサー。
  100. 2次元格子の反対側の基板表面上に非反射誘電被膜をさらに含む、請求項1に記載のバイオセンサー。
  101. バイオセンサーが、付着結合、超音波溶接およびレーザー溶接から成る群より選ばれる方法により底部なしミクロタイタープレートに結合する、請求項1に記載のバイオセンサー。
  102. (a)第1および第2の分子の混合物をバイオセンサーの別個の位置に適用すること、ここでバイオセンサーは高屈折率材料を含む2次元格子、および2次元格子を支持する基板層を含み;バイオセンサーが照らされるときに共鳴格子効果が反射した放射スペクトル上で発生し、2次元格子の深さおよび周期が共鳴格子効果の波長よりも短く;
    (b)第1の分子と第3の対照分子との混合物を(a)のバイオセンサーまたは同様のバイオセンサーの別個の位置に適用すること、ここで第3の対照分子は第1の分子と相互作用せず、第3の対照分子は第1の分子とほぼ同じ大きさであり;および
    (c)工程(a)および工程(b)の別個の位置から反射した光の波長の変位を検出すること;
    を含む、第1の分子の第2の試験分子との相互作用を検出する方法であって、
    工程(a)の別個の位置からの反射した光の波長の変位が工程(b)の反射した波長の変位よりも大きい場合に、第1の分子と第2の試験分子が相互作用する、
    方法。
  103. 第1の分子が核酸、ポリペプチド、抗原、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、単鎖抗体(scFv)、F(ab)フラグメント、F(ab’)フラグメント、Fvフラグメント、小有機分子、細胞、ウイルス、およびバクテリアから成る群より選ばれる、請求項102に記載の方法。
  104. 第2の試験分子が核酸、ポリペプチド、抗原、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、単鎖抗体(scFv)、F(ab)フラグメント、F(ab’)フラグメント、Fvフラグメント、小有機分子、細胞、ウイルス、およびバクテリアから成る群より選ばれる、請求項102に記載の方法。
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