JP2004529091A - 免疫療法剤と共に使用するためのペリレンキノン - Google Patents
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Abstract
本発明は、少なくとも1つのペリレンキノンを含み、活性化されたペリレンキノンが免疫反応を調節する組成物および方法である。本発明の組成物および方法は、他の投与免疫療法剤と組み合わせて使用することもできる。たとえば本発明は、抗体、抗原、サイトカイン、および/または免疫アジュバント系の免疫療法剤と共に使用することができる。本発明のこの実施形態では、組成物および方法は、免疫療法剤そのものの機能または活性を調節する。
Description
【技術分野】
【0001】
本発明は、光増感剤および音増感剤である化合物を投与し、疾患を治療するために使用する任意の免疫療法剤を増強することによって、疾患などを治療するための組成物および方法に関する。本発明の組成物および方法は、ヒトおよび動物の癌を治療するのに、および免疫療法剤の機能を調節するのに非常に適している。
【背景技術】
【0002】
免疫療法は、免疫系を誘導または活性化させて腫瘍細胞などの望ましくない細胞を認識し排除するという原理に基づくものである。任意の免疫療法における重要な要素は、宿主の免疫系を誘導または誘発して、最初に分子を望ましくない標的として認識し、次いで系を誘導してその分子に対する応答を開始させることである。健康な宿主では免疫系は、宿主の正常の成分ではない(すなわち、宿主とって「外来性」である)分子の表面の特徴を認識する。ひとたび認識機能が起こると、次いで宿主は、その個々の外来性分子に対する応答を指示しなければならない。
【0003】
免疫系の認識および応答要素の両方は、生物学的反応の非常に複雑なカスケードに関する。大部分の免疫学系の障害では、認識期の少なくとも1つのステップ、または応答期の少なくとも1つのステップが害される。これらの複雑な経路のいずれかのほぼすべての妨害が、低下した応答または任意の応答の欠如をもたらす。免疫系が増殖する腫瘍を破壊することができないことは、複数の要因の中でも特に、免疫寛容および/または免疫抑制を誘導する腫瘍関連抗原(TAA)が存在することに起因している。たとえば数種類の癌では、癌そのものが、宿主に外来性の癌細胞を正常の成分として誤って認めさせ、したがって免疫系の認識期が害される。癌治療のための免疫学的手法は、宿主−腫瘍の関係を変えて、その結果免疫系が誘導されるか、あるいは免疫系がTAAに対するその応答を増幅させることによるものである。成功する場合は、免疫系の誘導または増幅によって腫瘍の退化、腫瘍の拒絶がもたらされ、ひいては腫瘍治癒の可能性がもたらされる。
【0004】
免疫応答を上方または下方制御するための能力、および潜在的に自己反応性の免疫適格細胞を調節するための能力は、正常の免疫機能および生存に関して重要である。制御機構には、クローンのアネルギーの誘導(不適切な抗原提示細胞による)、末梢のクローンの欠失/アポトーシス、サイトカイン(たとえば、形質転換増殖因子−β(TGF−β)またはIL−10)誘導型の非応答性、「拒絶(veto)」細胞、自己反応性の細胞溶解性T細胞、および非特異的および抗原特異的抑制性T細胞がある。少なくとも理論上は、それぞれのこれらの制御システムによって、治療を実施するための機構の基盤が与えられる。
【0005】
理想的な癌治療の療法は、腫瘍の退化および根絶を引き起こすだけでなく、転移性腫瘍の調節および長期の腫瘍耐性に必要不可欠である、全身性の抗腫瘍免疫性も誘導すべきものである。この点において、光力学療法(PDT)および音響化学療法(SDT)は、癌を治療するための有望な新しい手法である。これらの療法は、増感剤を全身または局所に投与し、次に特定の波長の光によってそれを活性化すること(PDT)、または特定の周波数の音によってそれを活性化すること(SDT)によるものである。増感剤の活性化は、生化学反応のカスケードを開始させる活性化酸素およびラジカル種の生成をもたらし、その結果直接的な細胞の破壊、腫瘍の脈管構造および免疫炎症応答に対する損傷がもたらされる。炎症応答の誘導および腫瘍特異的な免疫性の発生は、長期の腫瘍調節を行う際に決定的な役割を果たすことが示唆された[1,2]。この概念は、前臨床および臨床研究によって支持される。たとえばPDTの治療効果が、野生型マウスと比較して免疫無防備状態のマウス(ヌードおよびSCID)において大幅に低下し、T細胞または骨髄細胞を免疫無防備状態のマウスに養子移入することは、PDT治療した腫瘍の再発を遅らせるのに有効であることが示されてきている[2,3]。さらにAbdel−Hady他(2001)によって、外陰部の上皮腫瘍を有する患者において、ALA系PDTに対する臨床応答が、浸透する免疫細胞の数およびHLAクラスIの発現と相関関係がある可能性があることが近年実証されている[4]。
【0006】
炎症反応は、PDT治療した腫瘍の抗原の認識をもたらし、長期の持続的な腫瘍の免疫応答を次いで生じさせる事象を編成する、重要な最初の進行であると考えられている[5〜9]。PDT誘導型の光酸化による損傷によって、癌細胞膜、血管内皮および腫瘍間質要素から遊離する多量の前炎症性仲介物質が放出され、その後好中球および他の骨髄エフェクター細胞によって腫瘍部位が侵襲される。いくつかのサイトカインが、PDT治療後に腫瘍内で生成される。活性化された免疫細胞およびサイトカインの遊離によって、標的病巣への急性炎症反応が扇動および増幅される。PDTによって放出される腫瘍細胞残骸、サイトカインおよびTリンパ球に対する腫瘍抗原を取り込み、提示することができる侵潤性免疫細胞は、細胞仲介の免疫および長期の持続的な免疫応答の誘導を助長するための、特有の環境を作り出すことができると思われる。
【0007】
好中球、マクロファージおよびCTLの活性は、PDTの治療の成果に貢献していることが見出された[3,6,10〜12]。好中球およびマクロファージは、PDT治療の早くも5分後に腫瘍領域に蓄積する。これらの細胞は、その直接的な細胞溶解活性によって直接的に、あるいは癌特異的な免疫の発生においてリンパ細胞および粒子と協力することによって間接的に、腫瘍細胞を殺傷することができる[2,5]。腫瘍を有するマウス中の好中球の枯渇、および組織中でのこれらの白血球の漸増に携わる細胞接着分子の阻害によって、PDT仲介の抗腫瘍効果が低下することが見出された[8,13]。同様に、シリカ処理によるマクロファージの不活性化も、PDT治療した腫瘍の治癒を低下させる[14]。免疫適格マウスと免疫不全マウスとの間の骨髄移植および脾細胞/T細胞の養子移入、およびCD4+およびCD8+細胞の特異的枯渇の技法を使用して、リンパ細胞の活性にはPDT仲介の腫瘍の治癒が必要であることが実証されている[12,Korbelik,1996#15,14]。さらに、PDTによって、光治療後の遅延時間後でさえもリンパ節または脾臓などの遠方のリンパ部位から回収することができる、腫瘍特異的なTリンパ球が生じることも観察されている[2,3]。
【0008】
生物系での、ヒポクレリンなどの天然のペリレンキノノイド色素(PQP)の光増感性および治療的性質は、過去20年間の間に認識されてきている。Diwu他、J. Photochem.Photobiol.A:Chem.、64:273(1992);Zhang他、(1989);およびWan他、「Hypocrellin A,a new drug for photochemotherapy、「Kexue Tongbao」(英語版)26:1040(1981)」を参照のこと。これらの一般的な化学的性質に関しては、[Weiss他、Prog.Chem.Org.Nat.Prod.、52:1(1987)およびDiwu他、Photochem and Photobiol.、52:609〜616(1990)を参照のこと]。PQPの一般的な光物理的および光化学的性質は、Diwu他、Pharmac.Ther.、63:1(1994)中に概説されている。ヒポクレリンはペリレンキノノイド色素の一般的なクラスに属しており、ヒポクレリンA(HA)およびヒポクレリンB(HB)を含む。
【0009】
PQPは興味深いものである。なぜならPQPは、不活性(または無毒)状態で投与し、次いでその後活性化することができるからである。PQP、および特にヒポクレリン誘導体も興味深いものである。なぜならこれらは、異なる物理療法を使用して、たとえば光、音、またはこれらの組合せを使用して、活性化することができるからである。
【0010】
増感剤の音響化学的活性化は、有用であることが見出されている。なぜなら超音波は、エネルギーを妥当に小さな体積に集束させる能力を保ちながら、介在組織を貫通して所望の治療体積に達するための適切な組織減衰係数を有しているからである。診断用超音波は、先進国の世界で広く使用されている充分容認された非侵襲性の処置であり、胎児画像化に関してさえも安全であるとみなされている。診断用超音波の周波数範囲は100kHzと12MHzの間にあるが、50kHzの音によって、ミクロ領域のキャビテーションによる細胞破壊を行うのに充分なエネルギーが与えられる。
【0011】
超音波に曝すことの生物学的効果は、その物理的および化学的効果の結果である。超音波治療の最も明らかな生物学的効果は、超音波が通過する媒体を加熱することに由来する。このような加熱は、傷ついた組織を癒すことを手助けするための物理療法中に利用され(Lehmann他、1967;Patrick、1966)、腫瘍を治療するための可能性のある物理療法として研究されてきている。このことは、組織の温度が42℃より高い状態である高体温に対する、多くの腫瘍の感受性によるものである(Doss and McCabe、1976;Marmor他、1979;Sculier and Klastersky、1981;Bleehen、1982;Hynynen and Lulu、1990)。超音波は、放射線治療単独と比べたin vivoの治療応答性を改善するために、放射線治療と組み合わせても使用されている(Clarke他、1970;Repacholi他、1971;Misumori他、1996)。治療目的での超音波の使用における主な危険は、わん曲半径が小さい骨領域の近くの領域の構造上の阻害および超音波エネルギーの優先的な吸収のために、「ホット・スポット」が形成されることである(Lehmann他、1967;Linke他、1973)。これらのホット・スポットは、近くの組織に重大な損傷を引き起こす可能性がある(Hill、1986;Bruno他、1998)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明に従って、光増感剤的性質と音増感剤的性質の両方を有するペリレンキノン色素(PQP)の誘導体を使用し、身体の既存の免疫系を調節すること、および/または疾患および他の病状を治療するために使用される任意の免疫療法によって、疾患および他の病状を治療する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
PDTの炎症/免疫性は、治療された腫瘍の治癒率を有効に改善することができるさまざまな形の免疫療法と組み合わせるのに非常に適したものとなる。さまざまな免疫療法治療は、PDTと共に有効であることが示された。これらは、免疫細胞の養子移入[3,15]、異なるサイトカインの使用[16,17]、免疫応答の非特異的なエンハンサーとして働くさまざまなワクチンを含む。後者に関しては、PDT仲介の抗腫瘍応答に対する有益な効果が、Bacillus Calmette−Guerin(BCG)ワクチン[18,19]、ミコバクテリアの細胞壁抽出物[20]、およびCorynebacterium parvumワクチン[21]を用いるアジュバント治療に関して報告された。
【0014】
BCGは、ヒト結核に対するワクチンとして使用するために開発された、Mycobacterium bovisの弱毒化させた菌株である。BCGは、細胞仲介の免疫、体液性免疫、およびマクロファージの機能を刺激することが知られており、これは理論上、腫瘍の破壊の増大をもたらす可能性がある。表在性の膀胱癌は、BCGを用いる非特異的な免疫療法が有効であることが分かっている、いくつかのヒト悪性癌の1つである。
【0015】
ヒポクレリンは、PDT用の潜在的な光増感剤として選択されてきており[22]、前臨床的な研究によって、抗癌剤としてのそれらの能力が実証されている[23]。本発明は、免疫療法剤、たとえばBCGと組み合わせて使用するときの、デメトキシヒポクレリンB(DMHB)などのアミノ置換ヒポクレリンの抗腫瘍活性の増強作用を含む。
【0016】
本発明は、有益あるいは治療上望ましい効果を生み出すような方式で、免疫原性を変えることに関する。本明細書で使用するように、有益あるいは望ましい免疫応答とは、治療上望ましい結果、たとえば動物またはヒト中の腫瘍増殖の制御を生じる応答である。有益な治療応答は、免疫系および/またはその成分の1つまたは2つ以上の活性化、免疫系および/またはその成分の1つまたは2つ以上の誘導、および/またはT細胞の免疫応答、および/または体液性免疫応答を典型的には包含する。たとえば、卵巣癌などの癌に関しては、有益あるいは望ましい免疫応答は、以前は免疫反応性がなかった卵巣癌抗原と免疫反応する抗体の生成を包含する。この例では、抗原に対する免疫応答が増大する。他の例では、炎症などの他の症状に関して、有益あるいは望ましい免疫応答は、以前に免疫反応性があった抗原と免疫反応し、その結果免疫反応性がなくなった抗体の生成を含む。この例では、免疫応答が低下する。移植では免疫系がMHC−異種ドナー組織を攻撃し、これが移植片拒絶をもたらし、自己免疫疾患では免疫系が正常組織を攻撃し、アレルギーでは免疫系は、他の状況では無害な環境抗原に対して過剰応答する。免疫抑制治療がこれらの疾患のそれぞれを治療するのに適している可能性があることが、現在認められている。免疫療法剤そのものの活性または機能を調節する、すなわち増大させるかあるいは低下させることによって、有益な結果を得ることもできる。
【0017】
光および/または音によって活性化される本発明の方法および組成物は、赤の波長領域または超音波の治療用周波数での著しい吸収を示し、高収率で一重項酸素を生成し、純粋なモノマー形で生成させることができ、誘導体化して赤色光線吸収、超音波活性化、組織の生物学的分布、および毒性の各性質を最適化することができ、皮膚の残余光過敏性を低下させ、かつ即座に排出される。本発明の組成物は、ステープル・レクソトロピン(stapled lexotropins)などのDNA副溝結合剤への共有結合によって核標的化を可能にして、光毒性を高める。これらは遺伝毒性ではない。この特性は、治療関連の二次的悪性の状況では重要である。
【0018】
本発明の光増感剤および音増感剤化合物および方法は、全身に投与すると、身体全体中に分布する。数時間から数日間の範囲の短期間で、化合物は正常な組織から排除されるが、急速に増殖する細胞(たとえば癌細胞または乾癬病巣)によって数日間まで選択的に保持される。本発明のPQPは、活性化されるまで、たとえば特定の波長範囲の光、特定の周波数範囲の音、またはその組合せに曝されるまでは、不活性かつ無毒である。
【0019】
2つの異なる活性化プロトコルを使用して活性化することができる化合物を使用することは、治療上有益であり得る。約5mm〜約7mmの表面の深さに浸透することができる光は、光源のある程度の距離内の表面病巣またはこれらの標的細胞を治療するための、化合物を活性化することができる。他方で超音波は身体内深くに浸透して、光源が到達しにくい腫瘍体などの深在性細胞を治療することができる。
【0020】
本発明の化合物は、その二重選択性のために治療上有益でもある。本発明の化合物は、癌細胞などの所定の標的の部位に薬剤を優先的に局在化させるその能力において選択的であり、特定の領域に制限することができる光および/または音の正確な送達において選択的である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明は、光力学的作用剤および音力学的作用剤としてのペリレンキノン(PQP)誘導体の使用、および免疫系調節剤としての本発明の誘導体の治療的使用を包含する。本発明において使用するための好ましい化合物は、HBBA−R2、HBEA−R1、HBDP−R1、およびDMHBからなる群から選択される、アミノ置換ヒポクレリン誘導体である。
【0022】
本発明は組成物、および所定の疾患または症状を治療するための方法であって、ペリレンキノン誘導体を含む組成物を投与すること、ペリレンキノン誘導体を身体の一部分、好ましくは身体中に分布させること、およびペリレンキノン誘導体を活性化することを含む方法を含む。
【0023】
本発明の好ましい実施形態では、ペリレンキノン誘導体はアミノ置換ヒポクレリンである。本発明の最も好ましい実施形態では、ペリレンキノン誘導体は、R1、R2、R3、R4がOCH3またはNHCH2Ar(Arはフェニルまたはピリジル基である)、NHCH(CH2)n(−CH(CH2)nは脂環式基であり、nは3、4、5、6である)である、脱メトキシル化ヒポクレリン(図2参照)である。2−BA−2−DMHBは、R1、R2、R3がOCH3であり、R4がNH(CH2)3CH3である。あるいは、R1、R2、R3、R4はOCH3またはNHCH2(CH2)nArであってよく、Arはフェニル、ナフチル、多環式芳香族または複素環部分であり、nは0〜12である。
【0024】
本発明は、宿主生物の免疫原状態を変えるための方法および組成物も含む。免疫原状態を変える際には、本発明の組成物および方法によって、宿主の免疫原状態を増大、低下、あるいは維持し、かつ/あるいは免疫療法剤の機能を増大、低下、あるいは維持する。免疫原性を増大させることによる治療利点の誘導の一例は、癌または肝炎などのいくつかの感染症の治療を含むが、これだけには限られない。免疫原性を低下させることの一例は、慢性関節リウマチの治療を含むが、これだけには限られない。免疫原性を維持することの一例は、初期応答後に抗原抵抗性の状態にある患者の補足治療を含むが、これだけには限られない。本発明の最も好ましい実施形態では、方法および組成物が、治療組成物中の活性成分の抗原性を低下させることはない。
【0025】
本発明の組成物および方法は、他の投与される免疫療法剤と組み合わせて使用することもできる。たとえば本発明は、抗体、抗原、サイトカイン、および/または免疫アジュバント系の免疫療法剤と共に使用することができる。本発明のこの実施形態では、組成物および方法は、免疫療法剤そのものの機能または活性を調節する。例示的な免疫療法剤または免疫調節剤は、Mandell、Principles and Practice of Infectious Diseases、第5版中に記載されている。例示的な免疫調節剤には、BCG、顆粒球コロニー刺激因子(フィルグラスチム)、顆粒球マクロファージ・コロニー刺激因子(サルグラモスチン)、インターフェロンα、インターフェロンα−2a、インターフェロンα−2b、インターフェロン・アルファコン−1、インターフェロンα−n3、静脈内注射用免疫グロブリン、およびイミクイミドがあるが、これらだけには限られない。
【0026】
本発明は、疾患または病状に対する全体的な宿主応答を増大させるための、方法および組成物も含む。これらの方法および組成物によって、レシピエントに関する治療利点が生じる。
【0027】
本発明は、特に当業者が抗原特異的な免疫応答、たとえば腫瘍関連抗原(「自己」)抗原の発見を期待できないと思われる場合、有益な免疫応答の誘導をもたらす組成物および方法も含む。
【0028】
本発明は、抗体、抗体受容体、またはその断片などの標的成分に結合したPQPに関する方法および組成物、免疫系を増強するための結合体の使用、および光および/または音を使用する結合体の活性化も含む。
【0029】
本明細書で使用するように、免疫系を増強するとは、癌関連抗原に対する免疫系の応答を調節(誘導、増幅および/または不活性化)することによって、宿主−腫瘍の関係を調節することである。本発明によると、このような免疫系の増強は、腫瘍の退化、拒絶、およびおそらく治癒をもたらす。免疫系を増強するとは、抗体、抗原、サイトカイン、免疫アジュバントなどだけには限られないがこれらを含めた、さまざまな免疫系成分の活性を調節することでもある。免疫系を増強することは、腫瘍部位におけるマクロファージの蓄積、および遠方への転移をもたらすと考えられる。
【0030】
本発明は、有益あるいは治療上望ましい効果を生み出すような方式で、免疫系を増強することに関する。本明細書で使用するように、有益あるいは望ましい免疫応答とは、治療上望ましい結果を生み出す応答である。有益な治療応答は、免疫系および/または1つまたは複数のその成分の調節、たとえば既存の免疫応答の活性化または不活性化を典型的には含むであろう。調節は、免疫系および/または1つまたは複数のその成分および/またはT細胞の免疫応答、および/または体液性免疫応答の誘導を含んでよい。抗原に対する免疫応答は、どの応答が有益な結果を与えるかに応じて、増大または低下させることができる。
【0031】
本明細書で使用するように、治療利点を与えるための広範囲の手法は、以下の1つまたは2つ以上、またはすべてに関するものである:細胞性免疫およびその生成と関連がある分子、体液性免疫およびその生成と関連がある分子、ADCC免疫およびその生成と関連がある分子、CDC免疫およびその生成と関連がある分子、ナチュラル・キラー細胞、およびサイトカインおよびケモカイン、およびそれらの生成と関連がある分子および細胞。当業者は、有益な免疫応答(それによって免疫寛容が克服される)を、多くの手段によって決定することができることを理解しているであろう。免疫系の多数の部門の活性化は、たとえば処理前後の抗原に特異的な免疫応答を測定することよって、決定することができる。有益な免疫応答の誘導を具体的に実証するには、以下のものの1つまたは2つ以上があると思われる:
1)投与される免疫原に対する体液性応答で、抗体の証拠を含むこと;
2)抗原に対する体液性応答で、結合剤のエピトープと同じかつ/あるいは異なる抗原上のエピトープに対する抗原特異的な抗体が出現した証拠を含むこと;
3)抗体依存性の細胞毒性で、血清を末梢血液単核細胞および腫瘍細胞標的と共に培養すると、注射前の基準血清と比べて、注射後の血清および抗原特異的な抗体の力価が腫瘍の殺傷を仲介する証拠を含むこと;
4)補体依存性細胞毒性で、補体を含む血漿と組み合わせた注射後の血清が、注射前の基準血清と比べて、腫瘍細胞標的を殺傷する証拠を含むこと;
5)ナチュラル・キラー細胞の活性で、予備処理した末梢血液単核細胞と比べて、腫瘍関連抗原(TAA)に対する測定可能な抗体の応答が出現する前に採取した注射後の血液サンプル中で、末梢血液単核細胞(NK細胞含む)によって多くの腫瘍細胞が殺傷されることを含むこと;
6)抗原によって増大する細胞毒性で、投与前のレベルと比べて、末梢血液単核細胞によって(TAA陽性腫瘍細胞の存在下で)多くの腫瘍細胞標的が殺傷されることを含むこと;および
7)細胞免疫性で、注射前と比べた、注射後のT細胞増殖または腫瘍細胞の溶解という証拠を含むこと。
【0032】
本明細書で使用するように、「ペリレンキノン誘導体」または「誘導体」とは、元のあるいは天然のペリレンキノン(PQP)から誘導され、所定の波長の光によって、かつ/あるいは所定の周波数の音によって、活性化することができる、すべての化合物のことである。本発明の好ましい実施形態では、誘導体は、天然に存在するキノン化合物から誘導される化合物である。本発明の誘導体は、化学療法剤またはアルキル化剤だけには限られないがこれらを含めた、他の活性試薬と複合体形成させることができるか、あるいはこれらを含むこともできる。例示的なPQPは、ヒポクレリン、セルコスポリン、フレイクロム、クラドクロム、エルシノクロム、エリスロアフィン、およびカルホスチンだけには限られないが、これらを含む。好ましいPQPはヒポクレリンB、およびヒポクレリンB誘導体であり、アミノ置換ヒポクレリンがより好ましい。本発明の最も好ましい化合物は、図2に示す構造のものだけには限られないが、これらを含めた脱メトキシル化ヒポクレリンである。
【0033】
本明細書で使用するように、「ペリレンキノン誘導体」または「誘導体」とは、元のあるいは天然のペリレンキノンから誘導され、所定の波長の光および/または所定の周波数の音によって活性化することができる、すべての化合物のことである。本発明の好ましい実施形態では、誘導体は、天然に存在するヒポクレリンAまたはヒポクレリンB、およびヒポクレリン様化合物から誘導される化合物である。本発明の誘導体は、化学療法剤またはアルキル化剤だけには限られないがこれらを含めた、他の活性試薬と複合体形成させることができるか、あるいはこれらを含むこともできる。以下でより詳細に記載するように、PQP活性剤を含む組成物は、たとえば1種または複数種の気体、気体状前駆物質、液体、油、安定化物質、診断剤、光活性剤、生物活性剤および/または標的リガンドを含めた、非常にさまざまな追加的成分を含むことができる。
【0034】
本発明の好ましい実施形態では、PQP誘導体はヒポクレリンBのアミノ酸誘導体である。現在、最も好ましい免疫複合体はヒポクレリンBを使用し、これは酸、酸臭化物、ヒドラジン、チオール、または第一級アミン抗体結合部位をもつように官能基を賦与されている。
【0035】
本発明のヒポクレリン誘導体は、2−ブチルアミノ−2−デメトキシ−ヒポクレリンB(2−BA−2−DMHB)も含む。2−BA−2−DMHBは、赤色スペクトル領域で強い吸収を示す。その親化合物HBと比較すると、その吸収帯は長い波長に広がっている。583nmでの吸光係数は、548nmでのHBので2.5倍であり、621nmでは580nmでのHBの3.8倍を超えた。この特性によって、DMHBがより好ましい組織浸透性を示し、したがって臨床的に非常に重要である可能性があることを意味する。
【0036】
本発明の化合物は、精製されているかあるいは実質的に精製された化合物、または光力学的作用剤または音力学的作用剤として有用である化合物をもたらす、任意の方法によって製造することができる。本発明の化合物は、化合物のカクテル、すなわち2つ以上の化合物を含む組成物を形成することもできる。これらの方法は当分野、たとえばLiu他、「Synthetic studies in novel hypocrellin B derivatives、」Tetrahedron、49:10785(1993)、Diwu他、Anti−Cancer Drug Design、8:129〜143(1993)でよく知られている。ヒポクレリン誘導体は、親化合物、ヒポクレリンB(HB)、真菌Hypocrella bambuase sacc.(竹の植物病原体)の天然産物から容易に合成することができる。HB誘導体、HBBA−R2(ブチルアミノ化HB)、HBDP−R1(2−(N,N−ジメチルアミノ)−プロピルアミン−HB)、およびHBEA−R1(エタノールアミノ化HB)は、親化合物のフェノールヒドロキシル基のアミノ化によって調製された。
【0037】
多くのPQPの性質は、Diwu他、J.Photochem.Photobiol.A:Chem.、64:273(1992)中に要約されている。いくつかのペリレンキノンは、いくつかのウイルス、特にヒト免疫不全ウイルス(HIV)の強力な阻害剤でもあり、酵素プロテインキナーゼC(PKC)でもある。いくつかのPQPの抗HIVおよび抗PKC活性の両方は光依存性であり、癌の光力学的療法に関する現象である[Diwu他、Biochem.Pharmacol.47:373〜389(1994)]。Diwu他の論文は、HBのタンパク質への首尾良い結合も開示している。
【0038】
本発明に従って、PQP誘導体に官能基を賦与することができる、たとえば酸、ヒドロキシル、酸ハロゲン化物(好ましくは臭化物)、ヒドラジン、チオール、または第一級アミンだけには限られないがこれらを含めた、反応基を含ませることができる。結合試薬は、システイン、リシン、アスパラギン酸、グルタミン酸などのアミノ酸、他のジカルボン酸アミノ酸、および他の三官能性または多官能性アミノ酸誘導体だけには限られないがこれらを含めた、反応基を含むことができる。
【0039】
本発明のペリレンキノン誘導体は、治療用途に非常に適している。なぜならこれらは、光線療法域(約560nm〜約700nm)で吸収性および光毒性活性を示し、約1MHz〜約3MHzの周波数範囲で優れた音響化学的活性を示し、分子量が小さく(典型的には約550ダルトン〜約880ダルトン)、純粋なモノマー形で入手可能であり、急速な血清および皮膚浄化を示し、in vitroおよびin vivoにおいて無視できる程度の細胞毒性を有しており、優れた光増強作用(たとえば2倍)を有しており、したがって使用における安全域が優れており、光毒性が従来型のII型反応およびI型反応によって仲介され(低酸素腫瘍細胞に関する有用性が示される)、プロテインキナーゼの強力な阻害剤であり、in vitroおよびin vivoにおいてアポトーシスによる細胞死をもたらし、遺伝毒性を示さず、優れた腫瘍制御を示し、標的送達用に分子的に形を合わせることができ、不明確な領域を標的化して音/光毒性をさらに増大させることができ、親ヒポクレリンは部位特異的な改変を受けやすく、したがって多くの誘導体、さまざまな度合いの光感受性および/または音感受性特性を有する誘導体が形成される可能性があるからである。
【0040】
PQP活性剤を含む組成物は、たとえば1種または2種以上の気体、気体状前駆物質、液体、油、安定化物質、診断剤、光活性剤、生物活性剤および/または標的リガンドを含めた、非常にさまざまな追加的成分を含むことができる。
【0041】
本明細書で使用するように、「疾患」とは、光力学的療法および/または音響化学療法によって治療することができる任意の哺乳動物(ヒトを含む)の疾患、障害、疾病、または病状の、管理、診断、および/または一時的緩和のことである。「疾患」は、癌およびその転移、皮膚癌、増殖体または腫瘍、およびそれらの転移など、腫瘍および腫瘍細胞、固形腫瘍、血液系腫瘍を含めた肉腫および癌腫など、および鼻腔通路、膀胱、食道、または気管支を含めた肺中に見られる腫瘍、レトロ・ウイルスを含めたウイルス、細菌性疾患、真菌性疾患、皮膚の症状または障害、たとえば、外陰の病巣、ケロイド、白斑、乾癬、良性腫瘍、子宮内膜症、バレット食道炎、頭部白癬および苔癬アミロイドーシスなどを含むが、これらだけには限られない。
【0042】
本明細書で使用するように、「投与」とは、1つまたは2つ以上のPQP誘導体を所定の細胞、細胞群、または組織、典型的には哺乳動物に曝すあるいは接触させる、任意の行為のことである。本明細書で使用するように、投与は、in vivo、in vitro、またはex vivoで行うことができる。たとえば組成物は、注射によって、あるいは内視鏡を介して投与することができる。投与は、細胞に本発明の組成物を直接施すことも含む。たとえば、手術の行程中に、腫瘍細胞を露出させることができる。本発明の好ましい実施形態に従って、これらの露出させた細胞(または腫瘍)を、たとえば手術部位および/または細胞を洗浄または灌注することによって、本発明の組成物に直接曝すことができる。
【0043】
本明細書で使用するように、活性化、活性化する、または類似の語は、光および/または音の周波数を使用して、化合物または化合物の一部分をより化学的に反応性にすることを指す。光源および/または音源をペリレンキノン誘導体に施すための任意の方法、たとえば、二、三挙げてみると、直接的な施用、超音波機器、集束超音波、高密度集束超音波、および内視鏡の照明などを、本発明に従って使用することができる。
【0044】
適切な光または音を施すことによって、増感剤を化学的に(たとえば酸化、還元などによって)、毒性がある、かつ/または免疫応答を調節する形に変えることができる。たとえば、光増感剤または音増感剤を長期の励起三重項状態に励起させた後、反応性が高い一重項酸素種によって(II型機構)、かつ/あるいは量子エネルギーの移動によって生じるフリーラジカル産物によって(I型機構)、標的腫瘍を破壊する。一重項酸素種および/またはフリーラジカル産物の主な生物学的標的分子には、核酸、酵素および細胞膜がある。本発明の方法の二次的な治療効果には、プロスタグランジン、トロンボキサンおよびロイコトリエンなどの病態生理学的産物の、活性化した光増感剤の影響を受けた組織による放出がある。
【0045】
本発明の実施態様に従って、光を使用する増感剤の活性化、および音を使用する増感剤の活性化を、一緒に使用することができる。なぜなら、それぞれの個々の手順が相補的だからである。すなわち、ペリレンキノン誘導体を活性化するのに適した赤い可視光線は約5mm〜約7mmの組織中あるいは身体中に浸透することができ、ペリレンキノン誘導体を活性化するのに適した音は、組織中あるいは身体中に完全に浸透することができる。
【0046】
本明細書で使用するように、「光増強作用の要因」とは、化合物がその固有の不活性状態の毒性を超える光または音仲介の毒性を発揮する性質のことである。本発明の好ましい実施形態では、活性化なしで処理した細胞のLD50と活性化化合物で処理した細胞のLD50の比(活性化薬剤のLD50で割った薬剤のLD50)として、活性化の要因を計算することができる。「LD50」という語を前述のように使用する場合、「IC50」という語を代用して、致死の終点、繁殖能力の損失、またはクローン形成細胞の死ではなく、代謝活性に関するバイオ・アッセイに取り組むことができる。化合物の相対的な光活性化効率も、当業者によく知られているアッセイであるクローン形成アッセイを使用して決定することができる。
【0047】
本発明に従うと、望ましいPQP誘導体は、活性化されていない、すなわち光なし(「暗所」とも呼ばれる)、かつ/あるいは音なしで、高い薬剤濃度において無毒であり(あるいは毒性が低い)、適切な波長の光、または適切な周波数の音を施すときは、低濃度で毒性である誘導体である。当業者によって理解されるように、最も望ましい化合物は、不活性状態で広範囲の無毒用量を与える化合物である。なぜならこの特性によって、患者に関する増大した安全要因がもたらされるからである。
【0048】
本明細書で使用するように、生理学的に許容される流体とは、PQP誘導体を含む組成物と組み合わせるのに適した、任意の流体または添加剤のことである。典型的にはこれらの流体は、希釈剤または担体として使用される。例示的な生理学的に許容される流体には、保存溶液、生理食塩溶液、等張(約0.9%)生理食塩水溶液、または約5%アルブミン溶液または懸濁液があるが、これらだけには限られない。使用する製薬上許容される流体のタイプによって、本発明が制限されないことが企図される。組成物は、製薬上許容される担体も含むことができる。製薬上許容される担体には、生理食塩水、滅菌水、リン酸緩衝生理食塩水などがあるが、これらだけには限られない。患者に送達するのに適した他の緩衝剤、分散剤、および不活性である無毒物質が、本発明の組成物中に含まれてよい。組成物は投与するのに適した溶液、懸濁液、または任意の適切な製剤であってよく、典型的には滅菌されており、望ましくない粒子状物質は含まない。組成物は、従来の滅菌技法によって滅菌することができる。
【0049】
本発明の方法に従うと、増感剤は任意の生物学的に適切な経路によって患者に投与することができる。たとえば増感剤は、静脈内、皮下、腹膜内、クモ膜下、膀胱内、皮内、筋肉内、またはリンパ内経路によって、患者に導入することができる。組成物は溶液、錠剤、エアロゾル、または多相製剤であってよい。リポソーム、長期循環性リポソーム、イムノリポソーム、生分解性ミクロスフェア、ミセルなども、担体、媒体、または送達系として使用することができる。さらに、当分野で知られているex vivoの手順を使用して、患者からの血液または血清を患者から除去することができ、場合によっては、患者の血液中の抗原を精製することが望ましい可能性があり、次いで血液または血清を、本発明の増感剤を含む組成物と混合させることができ、処理した血液または血清を患者に戻す。臨床医は、投与の最も有効な経路を決定する際に、これらの異なる経路と関連がある抗イディオタイプ応答と抗イソタイプ応答を比較することができる。本発明は、増感剤を患者に導入する任意の個々の方法に制限されるべきではない。
【0050】
細胞内の取り込みは急速(たとえば約2時間以内)であってよく、あるいは取り込みは、さらに時間を必要とする可能性がある(たとえば約20時間以上)。ある程度の選択的な腫瘍の取り込みは、増感剤のpKaの改変によって達成されると思われる。なぜなら、いくつかの腫瘍の内部環境は、正常な組織のそれよりも酸性であるからである。本発明は、比較クローン形成アッセイによる化合物の毒性が正常細胞に関してよりも癌細胞に関して高い場合に、化合物を同定するための方法を含む。
【0051】
アジュバントまたは免疫アジュバントは、抗原に対する免疫応答を誘発または増大させるために使用される、構造上異質である化合物の群として定義される。理論上は、最終的により良い免疫学的応答をもたらす免疫学的事象の、カスケードの個々の状況を促進または増幅させることができるそれぞれの分子または物質を、アジュバントとして定義することができる[schijns 2000]。古典的に認められている例には、油エマルジョン、サポニン、アルミニウムまたはカルシウム塩、非イオン性ブロックポリマー界面活性剤、リポ多糖類(LPS)の誘導体、マイコバクテリアおよびその他多数がある。アジュバントは、抗原の局在化を増大させること(アルミニウム化合物、リポソーム、水および油エマルジョン、[フロイント不完全アジュバント])、抗原提示を増大させることによって(インターフェロンγ、インターフェロン誘導物質、ベリリウム、ムラミールジペプチド、フロイント完全アジュバント)、およびリンパ球を活性化することによって(インターロイキン−1および−2)、免疫応答を増強することができる。[Lise LD,Audibert F.Immunoadjuvants and analogs of immunomodulatory bacterial structures.Curr Opin Immunol 1989;2:269〜274]。
【0052】
本発明のPQP誘導体は、いくつかの他の化合物、シグナル剤、エンハンサー、および/または標的剤と共に使用することもでき、これらに結合させることもできる。たとえば、本発明のヒポクレリン誘導体は、抗体、好ましくはモノクローナル抗体またはトランスフェリンなどの化合物に結合させることができる。本発明に従うと、結合剤は、好ましくは細胞核によって毒性を高めるために、レクソトロピンまたはネトロプシンなどの任意のDNA副溝標的化剤を含む。適切なエンハンサーには、pKa調節剤、低酸素細胞放射線増感剤、および生体内還元によって活性化される抗腫瘍剤、マイトマイシンC(低酸素細胞または微生物中の化合物の毒性に、影響を与えるかあるいはそれを増強することが好ましい)があるが、これらだけには限られない。適切なシグナル剤には、アポトーシス細胞死またはネクローシス細胞死のマーカー、または細胞周期の制御または遅延に対する内生的な制御分子があるが、これらだけには限られず、これらはアポトーシス細胞死またはネクローシス細胞死を誘導することによって、あるいは任意の形の致死または潜在性致死損傷(PLD)の修復を阻害することによって、化合物の光毒性または音毒性を増強することが好ましい。
【0053】
前述のように、本発明の一実施形態は、結合剤−PQP結合体(または免疫複合体)、およびこれらの結合体の治療的使用を含む。本発明に従って、結合剤とPQPを連結させる任意の方法を使用することができる。たとえば、抗体または抗体断片を光増感剤に連結させる方法はよく知られている。たとえば、Goff他、British Journal of Cancer、74:1194〜1198(1996)は、大部分の卵巣癌と関連があるCA125抗原に特異的に結合する抗体であるモノクローナル抗体OC125と共に、光増感剤を培養することによる、免疫複合体の生成を開示している。この例示的な免疫複合体では、ポリグルタミン酸がモノエチレンジアミンモノアミド誘導体に結合することができ、次いでこれが、抗原結合部位から離れたモノクローナル抗体のヒンジ領域で炭水化物部分に共有結合する。他の例示的な連結は、いずれも参照により本明細書に組み込まれている、米国特許第4,722,906号および3,959,078号中に開示されている。簡単に言えばこれらの特許は、選択基、または特異的な結合対の他のメンバーである潜在性反応基、たとえば抗体に共有結合する反応基を有する、光増感剤を提供することを開示している。
【0054】
当業者によって理解されるように、誘導体または誘導体を含む結合体の有効量は、疾患の重度および患者の免疫系の状態に、部分的には依存するであろう。当業者は、さまざまな用量を使用することができ、それらがさまざまなよく知られている要因に依存することを理解するであろう。一般に組成物は、身体重量1キログラム当たり約0.1μg〜約2mg以上の結合剤、より一般的には身体重量1キログラム当たり約200μgの用量を含むであろう。濃度は通常は、少なくとも約0.5%であろう。選択した投与の形式に従い、主に体液量、粘度、抗原性などに基づいて、任意の量を選択することができる。
【0055】
結合体または誘導体の投与は2回以上であってよく、好ましくは長期にわたって3回であってよい。本発明の組成物は重度、すなわち生命を脅かすかあるいは生命を脅かす可能性がある病状の患者に使用することができるので、望むならば、過剰な結合剤を投与することができる。本発明の組成物を注射するための希釈技法を含めた、医薬組成物を投与するための実際の方法およびプロトコルはよく知られており、すなわち当業者には明らかであろう。これらの方法およびプロトコルのいくつかは、RemingtonのPharmaceutical Science、Mack Publishing Co.(1982)中に記載されている。
【0056】
本発明の他の実施形態に従って、本発明の組成物を単独で、あるいは他の免疫療法剤組成物と組み合わせて(逐次またはバッチで)投与することができる。これらの特徴により、一連の増感剤の投与(光線療法に従う)によって光力学的および/または音響化学的治療係数が増大する可能性が与えられる。これらの条件下では、遠方の転移を標的化することができる。
【0057】
本発明のこの実施形態では、方法は、好ましくは緩慢な取り込み率を有する第1の活性剤を投与すること、好ましくは第1の活性剤のそれよりも急速な取り込み率を有する第2の活性剤を投与することを含む。次いで第1および第2の活性剤の両方を、前に記載したように、患者および/または物質を適切な波長の光、および/または適切な周波数の音に曝すことによって活性化することができる。
【0058】
pHが相当に変化する場合に起こる可能性がある化学的分解に対して、処方物を安定化させるために、緩衝剤が主に使用される。使用される緩衝系は通常、注射したときに身体の緩衝系を著しく害さないために、可能な限り小さな緩衝容量を有している。緩衝範囲および緩衝剤の活性に対する影響を、評価しなければならない。標的悪性組織または病巣領域へのpH依存性の分配に関する最適条件を与えるために、適切な調整は有用である。このような緩衝系の例には以下の酸:酢酸、アジピン酸、アスコルビン酸、安息香酸、クエン酸、グリシン、乳酸、酒石酸、塩酸、リン酸、硫酸、炭酸および重炭酸;およびカリウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウムおよびジエタノールアミン塩などのこれらに対応する塩がある。
【実施例1】
【0059】
ヒポクレリンBの直接的アミノ化
HB(50mg)をアミン(1mL)を含むエタノール(5mL)中に溶かし、生成した溶液を使用した個々のアミンに応じて6〜18時間還流させた。この混合物を氷水中に注ぎ、10%塩酸を用いて中和し、クロロホルムを用いて抽出した。クロロホルム層を水で洗浄し、無水Na2SO4を用いて乾燥させ、蒸発させて青い固体を得た。最初に固体に、溶出剤としてジクロロメタン−メタノール(勾配比)を含む1%KH2PO4−シリカゲル・カラム上でクロマトグラフィーを施して、いくつかの成分を得た。それぞれの成分に2回、展開剤として6:1:1 石油エーテル−酢酸エチル−エタノールを使用し、1%クエン酸−シリカゲル・プレート上で再びクロマトグラフィーを施して、個々の誘導体を得た。
【実施例2】
【0060】
エタノールアミンを用いたヒポクレリンBのアミノ化
前述の手順に従ったHBとエタノールアミンの反応によって5つの生成物を得る。HBEA−R2およびHBEA−R1(Diwu他、1993)を、以下のように同定し、特定した:
HBEA−R2(20%):R:3270,1717および1612cm-1;1H−NMR(DMSO−d6中):11.46(s,<1H,D2Oと交換可能,フェノール性OH)、1.38(s,<1H,D2Oと交換可能,フェノール性OH)、6.83(s,1H,ArH)、6.78(s,1H,ArH)、4.09(s,3H,OCH3)、3H,OCH3)、3.94(s,3H,OCH3)、3.92(s,3H,OCH3)、3.85〜3.50(m,4H,2NHCH3)、3.40〜2.92(m,4H,CH2OH)。2.11(s,3H,COCH3)および1.72ppm(s,3H,CH3)。MS(FAB):615(M+H)。C34H34N2O9の計算値:614.2264;実測値,614.2270。
【0061】
HBEA−R1(異性体B)](12%):IR:3260,1720および1613cm-1;1H−NMR(DMSO−d6中):12.11(s,<1H,D2Oと交換可能,フェノール性OH)、11.99(s,<1H,D2Oと交換可能,フェノール性OH)、6.47(s,1H,ArH)、6.35(s,1H,ArH)、4.03(s,3H,OCH3),3.95(s,6H,2×OCH3)、3.93(s,3H,OCH3)、3.88〜3.62(m,4H,2NHCH3)、3.20〜2.95(m,2CH2OH),2.15(s,3H,COCH3)および1.90ppm(s,3H,CH3)。MS(FAB):615(M+H)。C34H34N2O9の計算値:614.2264;実測値;614.2268。
【実施例3】
【0062】
ブチルアミンを用いたヒポクレリンBのアミノ化
HBBA−R2(異性体A)および3−アセチル−4,6,8,9,11,13−ヘキサメトキシ−2−メチル−1H−シクロヘプタ[ghi]ペリレン−5,12−ジオン(Diwu他、1993)の合成。HBとブチルアミンの反応によって、すなわち前述の手順に従って、5つの生成物を得た。これらのうち2つの化合物を、以下のように同定した:
HBBA−R2(21%):IR:3280,1702および1616cm-1,1H−NMR:15.65(s,1H,D2Oと交換可能,フェノール性OH)、14.94(s,1H,D2Oと交換可能,フェノール性OH)、6.41(s,1H,ArH)、6.40(s,1H,ArH)、4.07(s,3H,OCH3)、4.00(s,3H,OCH3)、3.96(s,3H,OCH3)、3.93(d,3H,OCH3)、3.24(m,4H,2NHCH2)、1.98(s,3H,COCH3)。1.26(s,3H,CH3)および1.70〜0.85ppm(m,14H,2CH2CH2CH3)。MS(FAB):639(M+H)。C38H42N2O7の計算値:638.2992;実測値;638.2998。
【0063】
HBBA−R1(11%):IR:3300,1715および1616cm-1、1H−NMR:15.40(s,1H,D2Oと交換可能,フェノール性OH)、15.18(s,1H,D2Oと交換可能,フェノール性OH)、6.48(s,1H,ArH),6.33(s,1H,ArH)、4.01(s,6H,2×OCH3)、3.97(d,1H,CH)、3.96(s,6H)、2×OCH3)、3.54(m,4H,2NHCH2)、3.14(d,1H,CH)、2.16(s,3H,COCH3)、1.69(s,3H,CH3)および1.60〜0.85ppm(m,14H,2CH2CH2CH2)。MS(FAB):639(M+H)。C38H42N2O7の計算値:639.2998;実測値;638.2992。
【実施例4】
【0064】
腫瘍モデル:乳房肉腫EMT6腫瘍細胞を同系のBALB/cマウスで継代し、解離した腫瘍から単離した腫瘍細胞を液体窒素中に凍結させた。実験用細胞に関しては、解凍し、ほぼ密集化する(subconfluent)までWaymouthの培地中で培養した。105個の腫瘍細胞をPBS中に懸濁させた懸濁液を、マウスの脇腹中に皮下接種した。腫瘍体積が70mm3までの大きさに達したとき、接種8日後に腫瘍を処置した。マウスをそれぞれ5匹のマウスの2つの群に分けた。
【0065】
PDT治療:この実験では、全てのマウス(10匹)にPDT治療を与えた。腫瘍の上を覆っている皮膚をそり落とし、鉱油に新たに再懸濁させた一定量のDMHBを腹腔内に投与した(50μM体内総量、200μL/マウス)。24時間後に、メトファンを用いてマウスに麻酔をかけ、Biolitecレーザーからの光ファイバーによって送達される635nmの光を腫瘍に施した。照射したスポット(2cm)での強度は、150mWであった。100ジュールの線量を、それぞれの腫瘍に与えた。
【0066】
BCG治療:BCG治療をマウスの1つの群(PDT−BCG群)にのみ与えた。Bacillus Calmette−Guerin(BCG)ワクチン(OncoTICE、Organon、Canada Ltd.)を、皮下の腫瘍を持ち上げ、107cfuを滅菌した注射用生理食塩水に溶かしたもの(50μL容量)を病巣下にゆっくりと注射することによって、単一腫瘍下投与として使用した。BCG注射は、PDT治療の直後に行った。
【0067】
腫瘍応答の評価:治療に対する腫瘍応答を、2日毎に腫瘍増殖の徴候に関してマウスを調べることによって評価した。腫瘍体積の変化を、カリパスを用いて病巣の3つの直交径を測定することによって決定した。腫瘍体積は以下の式から計算した。
【0068】
V=π/6×d1×d2×d3
上式でV=体積(mm3)およびd1-3は3つの直交径(mm)である。
【0069】
結果
本実施例では、ヒポクレリンDMHBとBCGの組合せが、DMHBの治療能力を改善することができるかどうかを決定した。50μMの光増感剤線量および光線治療に関する条件は、DMHB誘導体HBEA−R1について行った、以前のin vivoの研究に基づいて選択した[23]。BCGによるPDT活性の増強は他の光増感剤に関して以前に記載しており[19]、同じBCG治療を我々のプロトコルに適合させた。
【0070】
EMT6腫瘍を有するマウスを、それぞれ5匹のマウスの2つの群にランダムに分けた。第1群のマウスにはDMHBのみを与え(PDT群)、一方で第2群のマウスにはBCGと組み合わせてDMHBを与えた(PDT−BCG)。光線治療によるDMHBの活性化は、2つの群で同一であった。マウスを光に曝す前の日に(第0日、DMHBが活性化されておらず、BCGも注射していなかったために、この時点では治療効果を観察することはできなかった)、PDT−BCG群の平均腫瘍体積がPDT群(30.37±4mm3)と比較して大きい(52.73±8mm3)ことが認められた。最も正確な方法で結果を表すために、これらの結果を、直接的な腫瘍体積ではなく腫瘍増加率の%として表した。実際、大きな腫瘍は小さな腫瘍と比較してはるかに速く増殖し、したがってPDT−BCG群における有益な治療効果は、劇的に顕著でなければ、この効果によって容易に遮蔽される。他方で腫瘍増加率%は、腫瘍の増殖速度をより良く表し、2群間で得られる違いを表すより正確な方法であると考えられる。腫瘍体積は以下の式から計算した:
増加率の%=100×[測定日の腫瘍体積÷第0日の腫瘍体積]
EMT6腫瘍の調節における、DMHB単独、およびBCGと組み合わせた効果を、図3にそれぞれ個々のマウスに関して表す。PDT単独と比較して、PDTをBCGと組み合わせて使用したときに、腫瘍増殖の相当な遅れを観察した。
【0071】
図3中では、得られた値は、PDT治療にごく部分的に応答する動物における、PDT単独と比較した組合せ型PDT−BCG治療の有益な効果を表す。図3AおよびBに表した結果は、PDT治療にごく部分的に応答する動物では、PDT単独と比較して、PDTをBCGと組み合わせて使用したときに、腫瘍増殖の約50%の低下が得られることを示す。
【0072】
この実施例によって、BCGと組み合わせたPDT治療を用いたこの最初の実験において、非常に有望な結果が得られたことが示され、PDT治療と比較して有益な抗腫瘍効果が示される。
【実施例5】
【0073】
ヒポクレリンB(HB)を、水酸化カリウムの定量、ヒポクレリンA(HA)の脱水、次にHAに関する中和、クロロホルム抽出、およびベンゼン−石油エーテルを用いた再結晶化によって調製し、2−ブチルアミノ−2−デメトキシ−ヒポクレリンB(2−BA−2−DMHB)を、n−ブチルアミンをピリジン中に溶かしたものとの還流、中和、およびHBのクロロホルム抽出によって調製した。溶離剤として石油エーテル/酢酸エチル/エタノール(95%)の6:1:1混合物を使用し、1%クエン酸−シリカゲル薄層クロマトグラフィー(TLC)を生成物に施し、3つの化合物を得た。これらは標的化合物(移動比(Rr)=0.64)および2つの副産物(それぞれRr=0.74と0:40)であり、十分なNMR、質量スペクトルおよび元素分析によって、これらを同定した。標的化合物をTLCによってさらに精製し、所望の生成物、2−BA−2−DMHBを54%の収率で得た。HBおよび2−BA−2−DMHBの純度を高速液体クロマトグラフィーによって評価し、それが95%より高いことを見出した。
【実施例6】
【0074】
【表1】
【0075】
参考文献
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【0076】
例示および実施例によって、ある程度詳細に本発明を記載してきたが、本発明はさまざまな変更形態および代替形態が可能であり、言及した特定の実施形態に制限されないことを理解すべきである。これらの特定の実施形態は本発明を制限することを意図するものではなく、反対に本発明は、本発明の精神および範囲内のあらゆる変更形態、均等物、および代替形態を網羅することを理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】天然に存在するヒポクレリン(a)、および例示的な合成誘導体、HBBA−R2(b)、HBEA−R1(c)、およびHBDP−R1(d)に関する構造を示す図である。
【図2】本発明の脱メトキシル化HB化合物のいくつかの構造を示す図である。式中R1、R2、R3、R4はOCH3またはNHCH2Ar(Arはフェニルまたはピリジル基である)、NHCH(CH2)n(−CH(CH2)nは脂環式基であり、nは3、4、5、6である)である。2−BA−2−DMHBは、R1、R2、R3がOCH3であり、R4がNH(CH2)3CH3である。あるいは、R1、R2、R3、R4はOCH3またはNHCH2(CH2)nArであってよく、Arはフェニル、ナフチル、多環式芳香族または複素環部分であり、nは0〜12である。
【図3】PDT治療に対してごく部分的に応答する動物に関する、PDT単独およびBCGと組み合わせたPDTに関する、腫瘍体積の増加率のパーセントを示す図である。AはX−Yプロットとして結果を示す図であり、Bは棒グラフとして結果を示す図である。
【0001】
本発明は、光増感剤および音増感剤である化合物を投与し、疾患を治療するために使用する任意の免疫療法剤を増強することによって、疾患などを治療するための組成物および方法に関する。本発明の組成物および方法は、ヒトおよび動物の癌を治療するのに、および免疫療法剤の機能を調節するのに非常に適している。
【背景技術】
【0002】
免疫療法は、免疫系を誘導または活性化させて腫瘍細胞などの望ましくない細胞を認識し排除するという原理に基づくものである。任意の免疫療法における重要な要素は、宿主の免疫系を誘導または誘発して、最初に分子を望ましくない標的として認識し、次いで系を誘導してその分子に対する応答を開始させることである。健康な宿主では免疫系は、宿主の正常の成分ではない(すなわち、宿主とって「外来性」である)分子の表面の特徴を認識する。ひとたび認識機能が起こると、次いで宿主は、その個々の外来性分子に対する応答を指示しなければならない。
【0003】
免疫系の認識および応答要素の両方は、生物学的反応の非常に複雑なカスケードに関する。大部分の免疫学系の障害では、認識期の少なくとも1つのステップ、または応答期の少なくとも1つのステップが害される。これらの複雑な経路のいずれかのほぼすべての妨害が、低下した応答または任意の応答の欠如をもたらす。免疫系が増殖する腫瘍を破壊することができないことは、複数の要因の中でも特に、免疫寛容および/または免疫抑制を誘導する腫瘍関連抗原(TAA)が存在することに起因している。たとえば数種類の癌では、癌そのものが、宿主に外来性の癌細胞を正常の成分として誤って認めさせ、したがって免疫系の認識期が害される。癌治療のための免疫学的手法は、宿主−腫瘍の関係を変えて、その結果免疫系が誘導されるか、あるいは免疫系がTAAに対するその応答を増幅させることによるものである。成功する場合は、免疫系の誘導または増幅によって腫瘍の退化、腫瘍の拒絶がもたらされ、ひいては腫瘍治癒の可能性がもたらされる。
【0004】
免疫応答を上方または下方制御するための能力、および潜在的に自己反応性の免疫適格細胞を調節するための能力は、正常の免疫機能および生存に関して重要である。制御機構には、クローンのアネルギーの誘導(不適切な抗原提示細胞による)、末梢のクローンの欠失/アポトーシス、サイトカイン(たとえば、形質転換増殖因子−β(TGF−β)またはIL−10)誘導型の非応答性、「拒絶(veto)」細胞、自己反応性の細胞溶解性T細胞、および非特異的および抗原特異的抑制性T細胞がある。少なくとも理論上は、それぞれのこれらの制御システムによって、治療を実施するための機構の基盤が与えられる。
【0005】
理想的な癌治療の療法は、腫瘍の退化および根絶を引き起こすだけでなく、転移性腫瘍の調節および長期の腫瘍耐性に必要不可欠である、全身性の抗腫瘍免疫性も誘導すべきものである。この点において、光力学療法(PDT)および音響化学療法(SDT)は、癌を治療するための有望な新しい手法である。これらの療法は、増感剤を全身または局所に投与し、次に特定の波長の光によってそれを活性化すること(PDT)、または特定の周波数の音によってそれを活性化すること(SDT)によるものである。増感剤の活性化は、生化学反応のカスケードを開始させる活性化酸素およびラジカル種の生成をもたらし、その結果直接的な細胞の破壊、腫瘍の脈管構造および免疫炎症応答に対する損傷がもたらされる。炎症応答の誘導および腫瘍特異的な免疫性の発生は、長期の腫瘍調節を行う際に決定的な役割を果たすことが示唆された[1,2]。この概念は、前臨床および臨床研究によって支持される。たとえばPDTの治療効果が、野生型マウスと比較して免疫無防備状態のマウス(ヌードおよびSCID)において大幅に低下し、T細胞または骨髄細胞を免疫無防備状態のマウスに養子移入することは、PDT治療した腫瘍の再発を遅らせるのに有効であることが示されてきている[2,3]。さらにAbdel−Hady他(2001)によって、外陰部の上皮腫瘍を有する患者において、ALA系PDTに対する臨床応答が、浸透する免疫細胞の数およびHLAクラスIの発現と相関関係がある可能性があることが近年実証されている[4]。
【0006】
炎症反応は、PDT治療した腫瘍の抗原の認識をもたらし、長期の持続的な腫瘍の免疫応答を次いで生じさせる事象を編成する、重要な最初の進行であると考えられている[5〜9]。PDT誘導型の光酸化による損傷によって、癌細胞膜、血管内皮および腫瘍間質要素から遊離する多量の前炎症性仲介物質が放出され、その後好中球および他の骨髄エフェクター細胞によって腫瘍部位が侵襲される。いくつかのサイトカインが、PDT治療後に腫瘍内で生成される。活性化された免疫細胞およびサイトカインの遊離によって、標的病巣への急性炎症反応が扇動および増幅される。PDTによって放出される腫瘍細胞残骸、サイトカインおよびTリンパ球に対する腫瘍抗原を取り込み、提示することができる侵潤性免疫細胞は、細胞仲介の免疫および長期の持続的な免疫応答の誘導を助長するための、特有の環境を作り出すことができると思われる。
【0007】
好中球、マクロファージおよびCTLの活性は、PDTの治療の成果に貢献していることが見出された[3,6,10〜12]。好中球およびマクロファージは、PDT治療の早くも5分後に腫瘍領域に蓄積する。これらの細胞は、その直接的な細胞溶解活性によって直接的に、あるいは癌特異的な免疫の発生においてリンパ細胞および粒子と協力することによって間接的に、腫瘍細胞を殺傷することができる[2,5]。腫瘍を有するマウス中の好中球の枯渇、および組織中でのこれらの白血球の漸増に携わる細胞接着分子の阻害によって、PDT仲介の抗腫瘍効果が低下することが見出された[8,13]。同様に、シリカ処理によるマクロファージの不活性化も、PDT治療した腫瘍の治癒を低下させる[14]。免疫適格マウスと免疫不全マウスとの間の骨髄移植および脾細胞/T細胞の養子移入、およびCD4+およびCD8+細胞の特異的枯渇の技法を使用して、リンパ細胞の活性にはPDT仲介の腫瘍の治癒が必要であることが実証されている[12,Korbelik,1996#15,14]。さらに、PDTによって、光治療後の遅延時間後でさえもリンパ節または脾臓などの遠方のリンパ部位から回収することができる、腫瘍特異的なTリンパ球が生じることも観察されている[2,3]。
【0008】
生物系での、ヒポクレリンなどの天然のペリレンキノノイド色素(PQP)の光増感性および治療的性質は、過去20年間の間に認識されてきている。Diwu他、J. Photochem.Photobiol.A:Chem.、64:273(1992);Zhang他、(1989);およびWan他、「Hypocrellin A,a new drug for photochemotherapy、「Kexue Tongbao」(英語版)26:1040(1981)」を参照のこと。これらの一般的な化学的性質に関しては、[Weiss他、Prog.Chem.Org.Nat.Prod.、52:1(1987)およびDiwu他、Photochem and Photobiol.、52:609〜616(1990)を参照のこと]。PQPの一般的な光物理的および光化学的性質は、Diwu他、Pharmac.Ther.、63:1(1994)中に概説されている。ヒポクレリンはペリレンキノノイド色素の一般的なクラスに属しており、ヒポクレリンA(HA)およびヒポクレリンB(HB)を含む。
【0009】
PQPは興味深いものである。なぜならPQPは、不活性(または無毒)状態で投与し、次いでその後活性化することができるからである。PQP、および特にヒポクレリン誘導体も興味深いものである。なぜならこれらは、異なる物理療法を使用して、たとえば光、音、またはこれらの組合せを使用して、活性化することができるからである。
【0010】
増感剤の音響化学的活性化は、有用であることが見出されている。なぜなら超音波は、エネルギーを妥当に小さな体積に集束させる能力を保ちながら、介在組織を貫通して所望の治療体積に達するための適切な組織減衰係数を有しているからである。診断用超音波は、先進国の世界で広く使用されている充分容認された非侵襲性の処置であり、胎児画像化に関してさえも安全であるとみなされている。診断用超音波の周波数範囲は100kHzと12MHzの間にあるが、50kHzの音によって、ミクロ領域のキャビテーションによる細胞破壊を行うのに充分なエネルギーが与えられる。
【0011】
超音波に曝すことの生物学的効果は、その物理的および化学的効果の結果である。超音波治療の最も明らかな生物学的効果は、超音波が通過する媒体を加熱することに由来する。このような加熱は、傷ついた組織を癒すことを手助けするための物理療法中に利用され(Lehmann他、1967;Patrick、1966)、腫瘍を治療するための可能性のある物理療法として研究されてきている。このことは、組織の温度が42℃より高い状態である高体温に対する、多くの腫瘍の感受性によるものである(Doss and McCabe、1976;Marmor他、1979;Sculier and Klastersky、1981;Bleehen、1982;Hynynen and Lulu、1990)。超音波は、放射線治療単独と比べたin vivoの治療応答性を改善するために、放射線治療と組み合わせても使用されている(Clarke他、1970;Repacholi他、1971;Misumori他、1996)。治療目的での超音波の使用における主な危険は、わん曲半径が小さい骨領域の近くの領域の構造上の阻害および超音波エネルギーの優先的な吸収のために、「ホット・スポット」が形成されることである(Lehmann他、1967;Linke他、1973)。これらのホット・スポットは、近くの組織に重大な損傷を引き起こす可能性がある(Hill、1986;Bruno他、1998)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明に従って、光増感剤的性質と音増感剤的性質の両方を有するペリレンキノン色素(PQP)の誘導体を使用し、身体の既存の免疫系を調節すること、および/または疾患および他の病状を治療するために使用される任意の免疫療法によって、疾患および他の病状を治療する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
PDTの炎症/免疫性は、治療された腫瘍の治癒率を有効に改善することができるさまざまな形の免疫療法と組み合わせるのに非常に適したものとなる。さまざまな免疫療法治療は、PDTと共に有効であることが示された。これらは、免疫細胞の養子移入[3,15]、異なるサイトカインの使用[16,17]、免疫応答の非特異的なエンハンサーとして働くさまざまなワクチンを含む。後者に関しては、PDT仲介の抗腫瘍応答に対する有益な効果が、Bacillus Calmette−Guerin(BCG)ワクチン[18,19]、ミコバクテリアの細胞壁抽出物[20]、およびCorynebacterium parvumワクチン[21]を用いるアジュバント治療に関して報告された。
【0014】
BCGは、ヒト結核に対するワクチンとして使用するために開発された、Mycobacterium bovisの弱毒化させた菌株である。BCGは、細胞仲介の免疫、体液性免疫、およびマクロファージの機能を刺激することが知られており、これは理論上、腫瘍の破壊の増大をもたらす可能性がある。表在性の膀胱癌は、BCGを用いる非特異的な免疫療法が有効であることが分かっている、いくつかのヒト悪性癌の1つである。
【0015】
ヒポクレリンは、PDT用の潜在的な光増感剤として選択されてきており[22]、前臨床的な研究によって、抗癌剤としてのそれらの能力が実証されている[23]。本発明は、免疫療法剤、たとえばBCGと組み合わせて使用するときの、デメトキシヒポクレリンB(DMHB)などのアミノ置換ヒポクレリンの抗腫瘍活性の増強作用を含む。
【0016】
本発明は、有益あるいは治療上望ましい効果を生み出すような方式で、免疫原性を変えることに関する。本明細書で使用するように、有益あるいは望ましい免疫応答とは、治療上望ましい結果、たとえば動物またはヒト中の腫瘍増殖の制御を生じる応答である。有益な治療応答は、免疫系および/またはその成分の1つまたは2つ以上の活性化、免疫系および/またはその成分の1つまたは2つ以上の誘導、および/またはT細胞の免疫応答、および/または体液性免疫応答を典型的には包含する。たとえば、卵巣癌などの癌に関しては、有益あるいは望ましい免疫応答は、以前は免疫反応性がなかった卵巣癌抗原と免疫反応する抗体の生成を包含する。この例では、抗原に対する免疫応答が増大する。他の例では、炎症などの他の症状に関して、有益あるいは望ましい免疫応答は、以前に免疫反応性があった抗原と免疫反応し、その結果免疫反応性がなくなった抗体の生成を含む。この例では、免疫応答が低下する。移植では免疫系がMHC−異種ドナー組織を攻撃し、これが移植片拒絶をもたらし、自己免疫疾患では免疫系が正常組織を攻撃し、アレルギーでは免疫系は、他の状況では無害な環境抗原に対して過剰応答する。免疫抑制治療がこれらの疾患のそれぞれを治療するのに適している可能性があることが、現在認められている。免疫療法剤そのものの活性または機能を調節する、すなわち増大させるかあるいは低下させることによって、有益な結果を得ることもできる。
【0017】
光および/または音によって活性化される本発明の方法および組成物は、赤の波長領域または超音波の治療用周波数での著しい吸収を示し、高収率で一重項酸素を生成し、純粋なモノマー形で生成させることができ、誘導体化して赤色光線吸収、超音波活性化、組織の生物学的分布、および毒性の各性質を最適化することができ、皮膚の残余光過敏性を低下させ、かつ即座に排出される。本発明の組成物は、ステープル・レクソトロピン(stapled lexotropins)などのDNA副溝結合剤への共有結合によって核標的化を可能にして、光毒性を高める。これらは遺伝毒性ではない。この特性は、治療関連の二次的悪性の状況では重要である。
【0018】
本発明の光増感剤および音増感剤化合物および方法は、全身に投与すると、身体全体中に分布する。数時間から数日間の範囲の短期間で、化合物は正常な組織から排除されるが、急速に増殖する細胞(たとえば癌細胞または乾癬病巣)によって数日間まで選択的に保持される。本発明のPQPは、活性化されるまで、たとえば特定の波長範囲の光、特定の周波数範囲の音、またはその組合せに曝されるまでは、不活性かつ無毒である。
【0019】
2つの異なる活性化プロトコルを使用して活性化することができる化合物を使用することは、治療上有益であり得る。約5mm〜約7mmの表面の深さに浸透することができる光は、光源のある程度の距離内の表面病巣またはこれらの標的細胞を治療するための、化合物を活性化することができる。他方で超音波は身体内深くに浸透して、光源が到達しにくい腫瘍体などの深在性細胞を治療することができる。
【0020】
本発明の化合物は、その二重選択性のために治療上有益でもある。本発明の化合物は、癌細胞などの所定の標的の部位に薬剤を優先的に局在化させるその能力において選択的であり、特定の領域に制限することができる光および/または音の正確な送達において選択的である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明は、光力学的作用剤および音力学的作用剤としてのペリレンキノン(PQP)誘導体の使用、および免疫系調節剤としての本発明の誘導体の治療的使用を包含する。本発明において使用するための好ましい化合物は、HBBA−R2、HBEA−R1、HBDP−R1、およびDMHBからなる群から選択される、アミノ置換ヒポクレリン誘導体である。
【0022】
本発明は組成物、および所定の疾患または症状を治療するための方法であって、ペリレンキノン誘導体を含む組成物を投与すること、ペリレンキノン誘導体を身体の一部分、好ましくは身体中に分布させること、およびペリレンキノン誘導体を活性化することを含む方法を含む。
【0023】
本発明の好ましい実施形態では、ペリレンキノン誘導体はアミノ置換ヒポクレリンである。本発明の最も好ましい実施形態では、ペリレンキノン誘導体は、R1、R2、R3、R4がOCH3またはNHCH2Ar(Arはフェニルまたはピリジル基である)、NHCH(CH2)n(−CH(CH2)nは脂環式基であり、nは3、4、5、6である)である、脱メトキシル化ヒポクレリン(図2参照)である。2−BA−2−DMHBは、R1、R2、R3がOCH3であり、R4がNH(CH2)3CH3である。あるいは、R1、R2、R3、R4はOCH3またはNHCH2(CH2)nArであってよく、Arはフェニル、ナフチル、多環式芳香族または複素環部分であり、nは0〜12である。
【0024】
本発明は、宿主生物の免疫原状態を変えるための方法および組成物も含む。免疫原状態を変える際には、本発明の組成物および方法によって、宿主の免疫原状態を増大、低下、あるいは維持し、かつ/あるいは免疫療法剤の機能を増大、低下、あるいは維持する。免疫原性を増大させることによる治療利点の誘導の一例は、癌または肝炎などのいくつかの感染症の治療を含むが、これだけには限られない。免疫原性を低下させることの一例は、慢性関節リウマチの治療を含むが、これだけには限られない。免疫原性を維持することの一例は、初期応答後に抗原抵抗性の状態にある患者の補足治療を含むが、これだけには限られない。本発明の最も好ましい実施形態では、方法および組成物が、治療組成物中の活性成分の抗原性を低下させることはない。
【0025】
本発明の組成物および方法は、他の投与される免疫療法剤と組み合わせて使用することもできる。たとえば本発明は、抗体、抗原、サイトカイン、および/または免疫アジュバント系の免疫療法剤と共に使用することができる。本発明のこの実施形態では、組成物および方法は、免疫療法剤そのものの機能または活性を調節する。例示的な免疫療法剤または免疫調節剤は、Mandell、Principles and Practice of Infectious Diseases、第5版中に記載されている。例示的な免疫調節剤には、BCG、顆粒球コロニー刺激因子(フィルグラスチム)、顆粒球マクロファージ・コロニー刺激因子(サルグラモスチン)、インターフェロンα、インターフェロンα−2a、インターフェロンα−2b、インターフェロン・アルファコン−1、インターフェロンα−n3、静脈内注射用免疫グロブリン、およびイミクイミドがあるが、これらだけには限られない。
【0026】
本発明は、疾患または病状に対する全体的な宿主応答を増大させるための、方法および組成物も含む。これらの方法および組成物によって、レシピエントに関する治療利点が生じる。
【0027】
本発明は、特に当業者が抗原特異的な免疫応答、たとえば腫瘍関連抗原(「自己」)抗原の発見を期待できないと思われる場合、有益な免疫応答の誘導をもたらす組成物および方法も含む。
【0028】
本発明は、抗体、抗体受容体、またはその断片などの標的成分に結合したPQPに関する方法および組成物、免疫系を増強するための結合体の使用、および光および/または音を使用する結合体の活性化も含む。
【0029】
本明細書で使用するように、免疫系を増強するとは、癌関連抗原に対する免疫系の応答を調節(誘導、増幅および/または不活性化)することによって、宿主−腫瘍の関係を調節することである。本発明によると、このような免疫系の増強は、腫瘍の退化、拒絶、およびおそらく治癒をもたらす。免疫系を増強するとは、抗体、抗原、サイトカイン、免疫アジュバントなどだけには限られないがこれらを含めた、さまざまな免疫系成分の活性を調節することでもある。免疫系を増強することは、腫瘍部位におけるマクロファージの蓄積、および遠方への転移をもたらすと考えられる。
【0030】
本発明は、有益あるいは治療上望ましい効果を生み出すような方式で、免疫系を増強することに関する。本明細書で使用するように、有益あるいは望ましい免疫応答とは、治療上望ましい結果を生み出す応答である。有益な治療応答は、免疫系および/または1つまたは複数のその成分の調節、たとえば既存の免疫応答の活性化または不活性化を典型的には含むであろう。調節は、免疫系および/または1つまたは複数のその成分および/またはT細胞の免疫応答、および/または体液性免疫応答の誘導を含んでよい。抗原に対する免疫応答は、どの応答が有益な結果を与えるかに応じて、増大または低下させることができる。
【0031】
本明細書で使用するように、治療利点を与えるための広範囲の手法は、以下の1つまたは2つ以上、またはすべてに関するものである:細胞性免疫およびその生成と関連がある分子、体液性免疫およびその生成と関連がある分子、ADCC免疫およびその生成と関連がある分子、CDC免疫およびその生成と関連がある分子、ナチュラル・キラー細胞、およびサイトカインおよびケモカイン、およびそれらの生成と関連がある分子および細胞。当業者は、有益な免疫応答(それによって免疫寛容が克服される)を、多くの手段によって決定することができることを理解しているであろう。免疫系の多数の部門の活性化は、たとえば処理前後の抗原に特異的な免疫応答を測定することよって、決定することができる。有益な免疫応答の誘導を具体的に実証するには、以下のものの1つまたは2つ以上があると思われる:
1)投与される免疫原に対する体液性応答で、抗体の証拠を含むこと;
2)抗原に対する体液性応答で、結合剤のエピトープと同じかつ/あるいは異なる抗原上のエピトープに対する抗原特異的な抗体が出現した証拠を含むこと;
3)抗体依存性の細胞毒性で、血清を末梢血液単核細胞および腫瘍細胞標的と共に培養すると、注射前の基準血清と比べて、注射後の血清および抗原特異的な抗体の力価が腫瘍の殺傷を仲介する証拠を含むこと;
4)補体依存性細胞毒性で、補体を含む血漿と組み合わせた注射後の血清が、注射前の基準血清と比べて、腫瘍細胞標的を殺傷する証拠を含むこと;
5)ナチュラル・キラー細胞の活性で、予備処理した末梢血液単核細胞と比べて、腫瘍関連抗原(TAA)に対する測定可能な抗体の応答が出現する前に採取した注射後の血液サンプル中で、末梢血液単核細胞(NK細胞含む)によって多くの腫瘍細胞が殺傷されることを含むこと;
6)抗原によって増大する細胞毒性で、投与前のレベルと比べて、末梢血液単核細胞によって(TAA陽性腫瘍細胞の存在下で)多くの腫瘍細胞標的が殺傷されることを含むこと;および
7)細胞免疫性で、注射前と比べた、注射後のT細胞増殖または腫瘍細胞の溶解という証拠を含むこと。
【0032】
本明細書で使用するように、「ペリレンキノン誘導体」または「誘導体」とは、元のあるいは天然のペリレンキノン(PQP)から誘導され、所定の波長の光によって、かつ/あるいは所定の周波数の音によって、活性化することができる、すべての化合物のことである。本発明の好ましい実施形態では、誘導体は、天然に存在するキノン化合物から誘導される化合物である。本発明の誘導体は、化学療法剤またはアルキル化剤だけには限られないがこれらを含めた、他の活性試薬と複合体形成させることができるか、あるいはこれらを含むこともできる。例示的なPQPは、ヒポクレリン、セルコスポリン、フレイクロム、クラドクロム、エルシノクロム、エリスロアフィン、およびカルホスチンだけには限られないが、これらを含む。好ましいPQPはヒポクレリンB、およびヒポクレリンB誘導体であり、アミノ置換ヒポクレリンがより好ましい。本発明の最も好ましい化合物は、図2に示す構造のものだけには限られないが、これらを含めた脱メトキシル化ヒポクレリンである。
【0033】
本明細書で使用するように、「ペリレンキノン誘導体」または「誘導体」とは、元のあるいは天然のペリレンキノンから誘導され、所定の波長の光および/または所定の周波数の音によって活性化することができる、すべての化合物のことである。本発明の好ましい実施形態では、誘導体は、天然に存在するヒポクレリンAまたはヒポクレリンB、およびヒポクレリン様化合物から誘導される化合物である。本発明の誘導体は、化学療法剤またはアルキル化剤だけには限られないがこれらを含めた、他の活性試薬と複合体形成させることができるか、あるいはこれらを含むこともできる。以下でより詳細に記載するように、PQP活性剤を含む組成物は、たとえば1種または複数種の気体、気体状前駆物質、液体、油、安定化物質、診断剤、光活性剤、生物活性剤および/または標的リガンドを含めた、非常にさまざまな追加的成分を含むことができる。
【0034】
本発明の好ましい実施形態では、PQP誘導体はヒポクレリンBのアミノ酸誘導体である。現在、最も好ましい免疫複合体はヒポクレリンBを使用し、これは酸、酸臭化物、ヒドラジン、チオール、または第一級アミン抗体結合部位をもつように官能基を賦与されている。
【0035】
本発明のヒポクレリン誘導体は、2−ブチルアミノ−2−デメトキシ−ヒポクレリンB(2−BA−2−DMHB)も含む。2−BA−2−DMHBは、赤色スペクトル領域で強い吸収を示す。その親化合物HBと比較すると、その吸収帯は長い波長に広がっている。583nmでの吸光係数は、548nmでのHBので2.5倍であり、621nmでは580nmでのHBの3.8倍を超えた。この特性によって、DMHBがより好ましい組織浸透性を示し、したがって臨床的に非常に重要である可能性があることを意味する。
【0036】
本発明の化合物は、精製されているかあるいは実質的に精製された化合物、または光力学的作用剤または音力学的作用剤として有用である化合物をもたらす、任意の方法によって製造することができる。本発明の化合物は、化合物のカクテル、すなわち2つ以上の化合物を含む組成物を形成することもできる。これらの方法は当分野、たとえばLiu他、「Synthetic studies in novel hypocrellin B derivatives、」Tetrahedron、49:10785(1993)、Diwu他、Anti−Cancer Drug Design、8:129〜143(1993)でよく知られている。ヒポクレリン誘導体は、親化合物、ヒポクレリンB(HB)、真菌Hypocrella bambuase sacc.(竹の植物病原体)の天然産物から容易に合成することができる。HB誘導体、HBBA−R2(ブチルアミノ化HB)、HBDP−R1(2−(N,N−ジメチルアミノ)−プロピルアミン−HB)、およびHBEA−R1(エタノールアミノ化HB)は、親化合物のフェノールヒドロキシル基のアミノ化によって調製された。
【0037】
多くのPQPの性質は、Diwu他、J.Photochem.Photobiol.A:Chem.、64:273(1992)中に要約されている。いくつかのペリレンキノンは、いくつかのウイルス、特にヒト免疫不全ウイルス(HIV)の強力な阻害剤でもあり、酵素プロテインキナーゼC(PKC)でもある。いくつかのPQPの抗HIVおよび抗PKC活性の両方は光依存性であり、癌の光力学的療法に関する現象である[Diwu他、Biochem.Pharmacol.47:373〜389(1994)]。Diwu他の論文は、HBのタンパク質への首尾良い結合も開示している。
【0038】
本発明に従って、PQP誘導体に官能基を賦与することができる、たとえば酸、ヒドロキシル、酸ハロゲン化物(好ましくは臭化物)、ヒドラジン、チオール、または第一級アミンだけには限られないがこれらを含めた、反応基を含ませることができる。結合試薬は、システイン、リシン、アスパラギン酸、グルタミン酸などのアミノ酸、他のジカルボン酸アミノ酸、および他の三官能性または多官能性アミノ酸誘導体だけには限られないがこれらを含めた、反応基を含むことができる。
【0039】
本発明のペリレンキノン誘導体は、治療用途に非常に適している。なぜならこれらは、光線療法域(約560nm〜約700nm)で吸収性および光毒性活性を示し、約1MHz〜約3MHzの周波数範囲で優れた音響化学的活性を示し、分子量が小さく(典型的には約550ダルトン〜約880ダルトン)、純粋なモノマー形で入手可能であり、急速な血清および皮膚浄化を示し、in vitroおよびin vivoにおいて無視できる程度の細胞毒性を有しており、優れた光増強作用(たとえば2倍)を有しており、したがって使用における安全域が優れており、光毒性が従来型のII型反応およびI型反応によって仲介され(低酸素腫瘍細胞に関する有用性が示される)、プロテインキナーゼの強力な阻害剤であり、in vitroおよびin vivoにおいてアポトーシスによる細胞死をもたらし、遺伝毒性を示さず、優れた腫瘍制御を示し、標的送達用に分子的に形を合わせることができ、不明確な領域を標的化して音/光毒性をさらに増大させることができ、親ヒポクレリンは部位特異的な改変を受けやすく、したがって多くの誘導体、さまざまな度合いの光感受性および/または音感受性特性を有する誘導体が形成される可能性があるからである。
【0040】
PQP活性剤を含む組成物は、たとえば1種または2種以上の気体、気体状前駆物質、液体、油、安定化物質、診断剤、光活性剤、生物活性剤および/または標的リガンドを含めた、非常にさまざまな追加的成分を含むことができる。
【0041】
本明細書で使用するように、「疾患」とは、光力学的療法および/または音響化学療法によって治療することができる任意の哺乳動物(ヒトを含む)の疾患、障害、疾病、または病状の、管理、診断、および/または一時的緩和のことである。「疾患」は、癌およびその転移、皮膚癌、増殖体または腫瘍、およびそれらの転移など、腫瘍および腫瘍細胞、固形腫瘍、血液系腫瘍を含めた肉腫および癌腫など、および鼻腔通路、膀胱、食道、または気管支を含めた肺中に見られる腫瘍、レトロ・ウイルスを含めたウイルス、細菌性疾患、真菌性疾患、皮膚の症状または障害、たとえば、外陰の病巣、ケロイド、白斑、乾癬、良性腫瘍、子宮内膜症、バレット食道炎、頭部白癬および苔癬アミロイドーシスなどを含むが、これらだけには限られない。
【0042】
本明細書で使用するように、「投与」とは、1つまたは2つ以上のPQP誘導体を所定の細胞、細胞群、または組織、典型的には哺乳動物に曝すあるいは接触させる、任意の行為のことである。本明細書で使用するように、投与は、in vivo、in vitro、またはex vivoで行うことができる。たとえば組成物は、注射によって、あるいは内視鏡を介して投与することができる。投与は、細胞に本発明の組成物を直接施すことも含む。たとえば、手術の行程中に、腫瘍細胞を露出させることができる。本発明の好ましい実施形態に従って、これらの露出させた細胞(または腫瘍)を、たとえば手術部位および/または細胞を洗浄または灌注することによって、本発明の組成物に直接曝すことができる。
【0043】
本明細書で使用するように、活性化、活性化する、または類似の語は、光および/または音の周波数を使用して、化合物または化合物の一部分をより化学的に反応性にすることを指す。光源および/または音源をペリレンキノン誘導体に施すための任意の方法、たとえば、二、三挙げてみると、直接的な施用、超音波機器、集束超音波、高密度集束超音波、および内視鏡の照明などを、本発明に従って使用することができる。
【0044】
適切な光または音を施すことによって、増感剤を化学的に(たとえば酸化、還元などによって)、毒性がある、かつ/または免疫応答を調節する形に変えることができる。たとえば、光増感剤または音増感剤を長期の励起三重項状態に励起させた後、反応性が高い一重項酸素種によって(II型機構)、かつ/あるいは量子エネルギーの移動によって生じるフリーラジカル産物によって(I型機構)、標的腫瘍を破壊する。一重項酸素種および/またはフリーラジカル産物の主な生物学的標的分子には、核酸、酵素および細胞膜がある。本発明の方法の二次的な治療効果には、プロスタグランジン、トロンボキサンおよびロイコトリエンなどの病態生理学的産物の、活性化した光増感剤の影響を受けた組織による放出がある。
【0045】
本発明の実施態様に従って、光を使用する増感剤の活性化、および音を使用する増感剤の活性化を、一緒に使用することができる。なぜなら、それぞれの個々の手順が相補的だからである。すなわち、ペリレンキノン誘導体を活性化するのに適した赤い可視光線は約5mm〜約7mmの組織中あるいは身体中に浸透することができ、ペリレンキノン誘導体を活性化するのに適した音は、組織中あるいは身体中に完全に浸透することができる。
【0046】
本明細書で使用するように、「光増強作用の要因」とは、化合物がその固有の不活性状態の毒性を超える光または音仲介の毒性を発揮する性質のことである。本発明の好ましい実施形態では、活性化なしで処理した細胞のLD50と活性化化合物で処理した細胞のLD50の比(活性化薬剤のLD50で割った薬剤のLD50)として、活性化の要因を計算することができる。「LD50」という語を前述のように使用する場合、「IC50」という語を代用して、致死の終点、繁殖能力の損失、またはクローン形成細胞の死ではなく、代謝活性に関するバイオ・アッセイに取り組むことができる。化合物の相対的な光活性化効率も、当業者によく知られているアッセイであるクローン形成アッセイを使用して決定することができる。
【0047】
本発明に従うと、望ましいPQP誘導体は、活性化されていない、すなわち光なし(「暗所」とも呼ばれる)、かつ/あるいは音なしで、高い薬剤濃度において無毒であり(あるいは毒性が低い)、適切な波長の光、または適切な周波数の音を施すときは、低濃度で毒性である誘導体である。当業者によって理解されるように、最も望ましい化合物は、不活性状態で広範囲の無毒用量を与える化合物である。なぜならこの特性によって、患者に関する増大した安全要因がもたらされるからである。
【0048】
本明細書で使用するように、生理学的に許容される流体とは、PQP誘導体を含む組成物と組み合わせるのに適した、任意の流体または添加剤のことである。典型的にはこれらの流体は、希釈剤または担体として使用される。例示的な生理学的に許容される流体には、保存溶液、生理食塩溶液、等張(約0.9%)生理食塩水溶液、または約5%アルブミン溶液または懸濁液があるが、これらだけには限られない。使用する製薬上許容される流体のタイプによって、本発明が制限されないことが企図される。組成物は、製薬上許容される担体も含むことができる。製薬上許容される担体には、生理食塩水、滅菌水、リン酸緩衝生理食塩水などがあるが、これらだけには限られない。患者に送達するのに適した他の緩衝剤、分散剤、および不活性である無毒物質が、本発明の組成物中に含まれてよい。組成物は投与するのに適した溶液、懸濁液、または任意の適切な製剤であってよく、典型的には滅菌されており、望ましくない粒子状物質は含まない。組成物は、従来の滅菌技法によって滅菌することができる。
【0049】
本発明の方法に従うと、増感剤は任意の生物学的に適切な経路によって患者に投与することができる。たとえば増感剤は、静脈内、皮下、腹膜内、クモ膜下、膀胱内、皮内、筋肉内、またはリンパ内経路によって、患者に導入することができる。組成物は溶液、錠剤、エアロゾル、または多相製剤であってよい。リポソーム、長期循環性リポソーム、イムノリポソーム、生分解性ミクロスフェア、ミセルなども、担体、媒体、または送達系として使用することができる。さらに、当分野で知られているex vivoの手順を使用して、患者からの血液または血清を患者から除去することができ、場合によっては、患者の血液中の抗原を精製することが望ましい可能性があり、次いで血液または血清を、本発明の増感剤を含む組成物と混合させることができ、処理した血液または血清を患者に戻す。臨床医は、投与の最も有効な経路を決定する際に、これらの異なる経路と関連がある抗イディオタイプ応答と抗イソタイプ応答を比較することができる。本発明は、増感剤を患者に導入する任意の個々の方法に制限されるべきではない。
【0050】
細胞内の取り込みは急速(たとえば約2時間以内)であってよく、あるいは取り込みは、さらに時間を必要とする可能性がある(たとえば約20時間以上)。ある程度の選択的な腫瘍の取り込みは、増感剤のpKaの改変によって達成されると思われる。なぜなら、いくつかの腫瘍の内部環境は、正常な組織のそれよりも酸性であるからである。本発明は、比較クローン形成アッセイによる化合物の毒性が正常細胞に関してよりも癌細胞に関して高い場合に、化合物を同定するための方法を含む。
【0051】
アジュバントまたは免疫アジュバントは、抗原に対する免疫応答を誘発または増大させるために使用される、構造上異質である化合物の群として定義される。理論上は、最終的により良い免疫学的応答をもたらす免疫学的事象の、カスケードの個々の状況を促進または増幅させることができるそれぞれの分子または物質を、アジュバントとして定義することができる[schijns 2000]。古典的に認められている例には、油エマルジョン、サポニン、アルミニウムまたはカルシウム塩、非イオン性ブロックポリマー界面活性剤、リポ多糖類(LPS)の誘導体、マイコバクテリアおよびその他多数がある。アジュバントは、抗原の局在化を増大させること(アルミニウム化合物、リポソーム、水および油エマルジョン、[フロイント不完全アジュバント])、抗原提示を増大させることによって(インターフェロンγ、インターフェロン誘導物質、ベリリウム、ムラミールジペプチド、フロイント完全アジュバント)、およびリンパ球を活性化することによって(インターロイキン−1および−2)、免疫応答を増強することができる。[Lise LD,Audibert F.Immunoadjuvants and analogs of immunomodulatory bacterial structures.Curr Opin Immunol 1989;2:269〜274]。
【0052】
本発明のPQP誘導体は、いくつかの他の化合物、シグナル剤、エンハンサー、および/または標的剤と共に使用することもでき、これらに結合させることもできる。たとえば、本発明のヒポクレリン誘導体は、抗体、好ましくはモノクローナル抗体またはトランスフェリンなどの化合物に結合させることができる。本発明に従うと、結合剤は、好ましくは細胞核によって毒性を高めるために、レクソトロピンまたはネトロプシンなどの任意のDNA副溝標的化剤を含む。適切なエンハンサーには、pKa調節剤、低酸素細胞放射線増感剤、および生体内還元によって活性化される抗腫瘍剤、マイトマイシンC(低酸素細胞または微生物中の化合物の毒性に、影響を与えるかあるいはそれを増強することが好ましい)があるが、これらだけには限られない。適切なシグナル剤には、アポトーシス細胞死またはネクローシス細胞死のマーカー、または細胞周期の制御または遅延に対する内生的な制御分子があるが、これらだけには限られず、これらはアポトーシス細胞死またはネクローシス細胞死を誘導することによって、あるいは任意の形の致死または潜在性致死損傷(PLD)の修復を阻害することによって、化合物の光毒性または音毒性を増強することが好ましい。
【0053】
前述のように、本発明の一実施形態は、結合剤−PQP結合体(または免疫複合体)、およびこれらの結合体の治療的使用を含む。本発明に従って、結合剤とPQPを連結させる任意の方法を使用することができる。たとえば、抗体または抗体断片を光増感剤に連結させる方法はよく知られている。たとえば、Goff他、British Journal of Cancer、74:1194〜1198(1996)は、大部分の卵巣癌と関連があるCA125抗原に特異的に結合する抗体であるモノクローナル抗体OC125と共に、光増感剤を培養することによる、免疫複合体の生成を開示している。この例示的な免疫複合体では、ポリグルタミン酸がモノエチレンジアミンモノアミド誘導体に結合することができ、次いでこれが、抗原結合部位から離れたモノクローナル抗体のヒンジ領域で炭水化物部分に共有結合する。他の例示的な連結は、いずれも参照により本明細書に組み込まれている、米国特許第4,722,906号および3,959,078号中に開示されている。簡単に言えばこれらの特許は、選択基、または特異的な結合対の他のメンバーである潜在性反応基、たとえば抗体に共有結合する反応基を有する、光増感剤を提供することを開示している。
【0054】
当業者によって理解されるように、誘導体または誘導体を含む結合体の有効量は、疾患の重度および患者の免疫系の状態に、部分的には依存するであろう。当業者は、さまざまな用量を使用することができ、それらがさまざまなよく知られている要因に依存することを理解するであろう。一般に組成物は、身体重量1キログラム当たり約0.1μg〜約2mg以上の結合剤、より一般的には身体重量1キログラム当たり約200μgの用量を含むであろう。濃度は通常は、少なくとも約0.5%であろう。選択した投与の形式に従い、主に体液量、粘度、抗原性などに基づいて、任意の量を選択することができる。
【0055】
結合体または誘導体の投与は2回以上であってよく、好ましくは長期にわたって3回であってよい。本発明の組成物は重度、すなわち生命を脅かすかあるいは生命を脅かす可能性がある病状の患者に使用することができるので、望むならば、過剰な結合剤を投与することができる。本発明の組成物を注射するための希釈技法を含めた、医薬組成物を投与するための実際の方法およびプロトコルはよく知られており、すなわち当業者には明らかであろう。これらの方法およびプロトコルのいくつかは、RemingtonのPharmaceutical Science、Mack Publishing Co.(1982)中に記載されている。
【0056】
本発明の他の実施形態に従って、本発明の組成物を単独で、あるいは他の免疫療法剤組成物と組み合わせて(逐次またはバッチで)投与することができる。これらの特徴により、一連の増感剤の投与(光線療法に従う)によって光力学的および/または音響化学的治療係数が増大する可能性が与えられる。これらの条件下では、遠方の転移を標的化することができる。
【0057】
本発明のこの実施形態では、方法は、好ましくは緩慢な取り込み率を有する第1の活性剤を投与すること、好ましくは第1の活性剤のそれよりも急速な取り込み率を有する第2の活性剤を投与することを含む。次いで第1および第2の活性剤の両方を、前に記載したように、患者および/または物質を適切な波長の光、および/または適切な周波数の音に曝すことによって活性化することができる。
【0058】
pHが相当に変化する場合に起こる可能性がある化学的分解に対して、処方物を安定化させるために、緩衝剤が主に使用される。使用される緩衝系は通常、注射したときに身体の緩衝系を著しく害さないために、可能な限り小さな緩衝容量を有している。緩衝範囲および緩衝剤の活性に対する影響を、評価しなければならない。標的悪性組織または病巣領域へのpH依存性の分配に関する最適条件を与えるために、適切な調整は有用である。このような緩衝系の例には以下の酸:酢酸、アジピン酸、アスコルビン酸、安息香酸、クエン酸、グリシン、乳酸、酒石酸、塩酸、リン酸、硫酸、炭酸および重炭酸;およびカリウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウムおよびジエタノールアミン塩などのこれらに対応する塩がある。
【実施例1】
【0059】
ヒポクレリンBの直接的アミノ化
HB(50mg)をアミン(1mL)を含むエタノール(5mL)中に溶かし、生成した溶液を使用した個々のアミンに応じて6〜18時間還流させた。この混合物を氷水中に注ぎ、10%塩酸を用いて中和し、クロロホルムを用いて抽出した。クロロホルム層を水で洗浄し、無水Na2SO4を用いて乾燥させ、蒸発させて青い固体を得た。最初に固体に、溶出剤としてジクロロメタン−メタノール(勾配比)を含む1%KH2PO4−シリカゲル・カラム上でクロマトグラフィーを施して、いくつかの成分を得た。それぞれの成分に2回、展開剤として6:1:1 石油エーテル−酢酸エチル−エタノールを使用し、1%クエン酸−シリカゲル・プレート上で再びクロマトグラフィーを施して、個々の誘導体を得た。
【実施例2】
【0060】
エタノールアミンを用いたヒポクレリンBのアミノ化
前述の手順に従ったHBとエタノールアミンの反応によって5つの生成物を得る。HBEA−R2およびHBEA−R1(Diwu他、1993)を、以下のように同定し、特定した:
HBEA−R2(20%):R:3270,1717および1612cm-1;1H−NMR(DMSO−d6中):11.46(s,<1H,D2Oと交換可能,フェノール性OH)、1.38(s,<1H,D2Oと交換可能,フェノール性OH)、6.83(s,1H,ArH)、6.78(s,1H,ArH)、4.09(s,3H,OCH3)、3H,OCH3)、3.94(s,3H,OCH3)、3.92(s,3H,OCH3)、3.85〜3.50(m,4H,2NHCH3)、3.40〜2.92(m,4H,CH2OH)。2.11(s,3H,COCH3)および1.72ppm(s,3H,CH3)。MS(FAB):615(M+H)。C34H34N2O9の計算値:614.2264;実測値,614.2270。
【0061】
HBEA−R1(異性体B)](12%):IR:3260,1720および1613cm-1;1H−NMR(DMSO−d6中):12.11(s,<1H,D2Oと交換可能,フェノール性OH)、11.99(s,<1H,D2Oと交換可能,フェノール性OH)、6.47(s,1H,ArH)、6.35(s,1H,ArH)、4.03(s,3H,OCH3),3.95(s,6H,2×OCH3)、3.93(s,3H,OCH3)、3.88〜3.62(m,4H,2NHCH3)、3.20〜2.95(m,2CH2OH),2.15(s,3H,COCH3)および1.90ppm(s,3H,CH3)。MS(FAB):615(M+H)。C34H34N2O9の計算値:614.2264;実測値;614.2268。
【実施例3】
【0062】
ブチルアミンを用いたヒポクレリンBのアミノ化
HBBA−R2(異性体A)および3−アセチル−4,6,8,9,11,13−ヘキサメトキシ−2−メチル−1H−シクロヘプタ[ghi]ペリレン−5,12−ジオン(Diwu他、1993)の合成。HBとブチルアミンの反応によって、すなわち前述の手順に従って、5つの生成物を得た。これらのうち2つの化合物を、以下のように同定した:
HBBA−R2(21%):IR:3280,1702および1616cm-1,1H−NMR:15.65(s,1H,D2Oと交換可能,フェノール性OH)、14.94(s,1H,D2Oと交換可能,フェノール性OH)、6.41(s,1H,ArH)、6.40(s,1H,ArH)、4.07(s,3H,OCH3)、4.00(s,3H,OCH3)、3.96(s,3H,OCH3)、3.93(d,3H,OCH3)、3.24(m,4H,2NHCH2)、1.98(s,3H,COCH3)。1.26(s,3H,CH3)および1.70〜0.85ppm(m,14H,2CH2CH2CH3)。MS(FAB):639(M+H)。C38H42N2O7の計算値:638.2992;実測値;638.2998。
【0063】
HBBA−R1(11%):IR:3300,1715および1616cm-1、1H−NMR:15.40(s,1H,D2Oと交換可能,フェノール性OH)、15.18(s,1H,D2Oと交換可能,フェノール性OH)、6.48(s,1H,ArH),6.33(s,1H,ArH)、4.01(s,6H,2×OCH3)、3.97(d,1H,CH)、3.96(s,6H)、2×OCH3)、3.54(m,4H,2NHCH2)、3.14(d,1H,CH)、2.16(s,3H,COCH3)、1.69(s,3H,CH3)および1.60〜0.85ppm(m,14H,2CH2CH2CH2)。MS(FAB):639(M+H)。C38H42N2O7の計算値:639.2998;実測値;638.2992。
【実施例4】
【0064】
腫瘍モデル:乳房肉腫EMT6腫瘍細胞を同系のBALB/cマウスで継代し、解離した腫瘍から単離した腫瘍細胞を液体窒素中に凍結させた。実験用細胞に関しては、解凍し、ほぼ密集化する(subconfluent)までWaymouthの培地中で培養した。105個の腫瘍細胞をPBS中に懸濁させた懸濁液を、マウスの脇腹中に皮下接種した。腫瘍体積が70mm3までの大きさに達したとき、接種8日後に腫瘍を処置した。マウスをそれぞれ5匹のマウスの2つの群に分けた。
【0065】
PDT治療:この実験では、全てのマウス(10匹)にPDT治療を与えた。腫瘍の上を覆っている皮膚をそり落とし、鉱油に新たに再懸濁させた一定量のDMHBを腹腔内に投与した(50μM体内総量、200μL/マウス)。24時間後に、メトファンを用いてマウスに麻酔をかけ、Biolitecレーザーからの光ファイバーによって送達される635nmの光を腫瘍に施した。照射したスポット(2cm)での強度は、150mWであった。100ジュールの線量を、それぞれの腫瘍に与えた。
【0066】
BCG治療:BCG治療をマウスの1つの群(PDT−BCG群)にのみ与えた。Bacillus Calmette−Guerin(BCG)ワクチン(OncoTICE、Organon、Canada Ltd.)を、皮下の腫瘍を持ち上げ、107cfuを滅菌した注射用生理食塩水に溶かしたもの(50μL容量)を病巣下にゆっくりと注射することによって、単一腫瘍下投与として使用した。BCG注射は、PDT治療の直後に行った。
【0067】
腫瘍応答の評価:治療に対する腫瘍応答を、2日毎に腫瘍増殖の徴候に関してマウスを調べることによって評価した。腫瘍体積の変化を、カリパスを用いて病巣の3つの直交径を測定することによって決定した。腫瘍体積は以下の式から計算した。
【0068】
V=π/6×d1×d2×d3
上式でV=体積(mm3)およびd1-3は3つの直交径(mm)である。
【0069】
結果
本実施例では、ヒポクレリンDMHBとBCGの組合せが、DMHBの治療能力を改善することができるかどうかを決定した。50μMの光増感剤線量および光線治療に関する条件は、DMHB誘導体HBEA−R1について行った、以前のin vivoの研究に基づいて選択した[23]。BCGによるPDT活性の増強は他の光増感剤に関して以前に記載しており[19]、同じBCG治療を我々のプロトコルに適合させた。
【0070】
EMT6腫瘍を有するマウスを、それぞれ5匹のマウスの2つの群にランダムに分けた。第1群のマウスにはDMHBのみを与え(PDT群)、一方で第2群のマウスにはBCGと組み合わせてDMHBを与えた(PDT−BCG)。光線治療によるDMHBの活性化は、2つの群で同一であった。マウスを光に曝す前の日に(第0日、DMHBが活性化されておらず、BCGも注射していなかったために、この時点では治療効果を観察することはできなかった)、PDT−BCG群の平均腫瘍体積がPDT群(30.37±4mm3)と比較して大きい(52.73±8mm3)ことが認められた。最も正確な方法で結果を表すために、これらの結果を、直接的な腫瘍体積ではなく腫瘍増加率の%として表した。実際、大きな腫瘍は小さな腫瘍と比較してはるかに速く増殖し、したがってPDT−BCG群における有益な治療効果は、劇的に顕著でなければ、この効果によって容易に遮蔽される。他方で腫瘍増加率%は、腫瘍の増殖速度をより良く表し、2群間で得られる違いを表すより正確な方法であると考えられる。腫瘍体積は以下の式から計算した:
増加率の%=100×[測定日の腫瘍体積÷第0日の腫瘍体積]
EMT6腫瘍の調節における、DMHB単独、およびBCGと組み合わせた効果を、図3にそれぞれ個々のマウスに関して表す。PDT単独と比較して、PDTをBCGと組み合わせて使用したときに、腫瘍増殖の相当な遅れを観察した。
【0071】
図3中では、得られた値は、PDT治療にごく部分的に応答する動物における、PDT単独と比較した組合せ型PDT−BCG治療の有益な効果を表す。図3AおよびBに表した結果は、PDT治療にごく部分的に応答する動物では、PDT単独と比較して、PDTをBCGと組み合わせて使用したときに、腫瘍増殖の約50%の低下が得られることを示す。
【0072】
この実施例によって、BCGと組み合わせたPDT治療を用いたこの最初の実験において、非常に有望な結果が得られたことが示され、PDT治療と比較して有益な抗腫瘍効果が示される。
【実施例5】
【0073】
ヒポクレリンB(HB)を、水酸化カリウムの定量、ヒポクレリンA(HA)の脱水、次にHAに関する中和、クロロホルム抽出、およびベンゼン−石油エーテルを用いた再結晶化によって調製し、2−ブチルアミノ−2−デメトキシ−ヒポクレリンB(2−BA−2−DMHB)を、n−ブチルアミンをピリジン中に溶かしたものとの還流、中和、およびHBのクロロホルム抽出によって調製した。溶離剤として石油エーテル/酢酸エチル/エタノール(95%)の6:1:1混合物を使用し、1%クエン酸−シリカゲル薄層クロマトグラフィー(TLC)を生成物に施し、3つの化合物を得た。これらは標的化合物(移動比(Rr)=0.64)および2つの副産物(それぞれRr=0.74と0:40)であり、十分なNMR、質量スペクトルおよび元素分析によって、これらを同定した。標的化合物をTLCによってさらに精製し、所望の生成物、2−BA−2−DMHBを54%の収率で得た。HBおよび2−BA−2−DMHBの純度を高速液体クロマトグラフィーによって評価し、それが95%より高いことを見出した。
【実施例6】
【0074】
【表1】
【0075】
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【0076】
例示および実施例によって、ある程度詳細に本発明を記載してきたが、本発明はさまざまな変更形態および代替形態が可能であり、言及した特定の実施形態に制限されないことを理解すべきである。これらの特定の実施形態は本発明を制限することを意図するものではなく、反対に本発明は、本発明の精神および範囲内のあらゆる変更形態、均等物、および代替形態を網羅することを理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】天然に存在するヒポクレリン(a)、および例示的な合成誘導体、HBBA−R2(b)、HBEA−R1(c)、およびHBDP−R1(d)に関する構造を示す図である。
【図2】本発明の脱メトキシル化HB化合物のいくつかの構造を示す図である。式中R1、R2、R3、R4はOCH3またはNHCH2Ar(Arはフェニルまたはピリジル基である)、NHCH(CH2)n(−CH(CH2)nは脂環式基であり、nは3、4、5、6である)である。2−BA−2−DMHBは、R1、R2、R3がOCH3であり、R4がNH(CH2)3CH3である。あるいは、R1、R2、R3、R4はOCH3またはNHCH2(CH2)nArであってよく、Arはフェニル、ナフチル、多環式芳香族または複素環部分であり、nは0〜12である。
【図3】PDT治療に対してごく部分的に応答する動物に関する、PDT単独およびBCGと組み合わせたPDTに関する、腫瘍体積の増加率のパーセントを示す図である。AはX−Yプロットとして結果を示す図であり、Bは棒グラフとして結果を示す図である。
Claims (11)
- 音増感剤および/または光増感剤であるアミノ置換ヒポクレリンを含む組成物を投与し、ヒポクレリンを活性化し、そしてこの活性化ヒポクレリンで免疫療法剤の潜在能力を調節することを含む治療法。
- 所定の周波数の音を使用してヒポクレリンを活性化することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
- 所定の波長の光を使用してヒポクレリンを活性化することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
- 免疫療法剤が抗体、抗原、サイトカインまたは免疫アジュバントからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
- ヒポクレリンが、不活性状態では高濃度で無毒であり、活性状態では低濃度で有毒である、請求項1に記載の方法。
- ヒポクレリン誘導体がブチルアミノ化ヒポクレリンB、2−(N,N−ジメチルアミノ)−プロピルアミン−ヒポクレリンB、エタノールアミン化ヒポクレリンB、および1,12−ビス[2−(アセチルオキシ)プロピル]−2,4,6,7,9,11−ヘキサメトキシ−3,10−ペリレンジオンからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
- ヒポクレリンが、R1、R2、R3、R4がOCH3またはNHCH2Ar(Arはフェニルまたはピリジル基である)、NHCH(CH2)n(−CH(CH2)nは脂環式基であり、nは3、4、5、6である)である図2の化合物から選択される、請求項1に記載の方法。
- R1、R2、R3がOCH3であり、R4がNH(CH2)3CH3である、請求項7に記載の方法。
- R1、R2、R3、R4がOCH3またはNHCH2(CH2)nArであり、式中Arがフェニル、ナフチル、多環式芳香族または複素環基であり、nが0〜12である、請求項8に記載の方法。
- 逐次またはバッチで免疫療法剤と共に、ヒポクレリンを投与することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
- 治療法が、皮膚症状、癌、ウイルス性疾患、レトロ・ウイルス性疾患、細菌性疾患、自己免疫疾患および真菌性疾患を治療することを含む、請求項1に記載の方法。
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