JP2004528337A5 - - Google Patents

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JP2004528337A5
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Description

ニトロソ化およびニトロシル化ネビボロール、ならびにその代謝産物、組成物、および使用方法
関連出願
本出願は2001年5月2日に出願された米国仮出願第60/287,725号について優先権を主張する。
発明の分野
本発明は新規のニトロソ化および/またはニトロシル化ネビボロール、新規ニトロソ化および/またはニトロシル化ネビボロール代謝産物、および少なくとも1つのニトロソ化および/またはニトロシル化ネビボロールおよび/または少なくとも1つのニトロソ化および/またはニトロシル化ネビボロール代謝産物、ならびに任意に、少なくとも1つの酸化窒素供与体および/または少なくとも1つの酸化防止剤または薬学的に許容されるその塩、および/または心血管疾患を治療するために使用される少なくとも1つの化合物または薬学的に許容されるその塩、および/または心血管疾患を治療するために使用される少なくとも1つのニトロソ化化合物を含む新規組成物について記述する。本発明はまた、ネビボロールおよび/または少なくとも1つのネビボロール代謝産物および少なくとも1つの酸化窒素供与体、ならびに任意に、少なくとも1つの酸化防止剤または薬学的に許容されるその塩、および/または心血管疾患を治療するために使用される少なくとも1つの化合物または薬学的に許容されるその塩、および/または心血管疾患を治療するために使用される少なくとも1つのニトロソ化化合物を含む新規組成物を提供する。本発明の化合物および組成物はまた、マトリクスに結合させることができる。酸化窒素供与体は酸化窒素を供与、移動または放出し、内皮由来弛緩因子の内在レベルを上昇させ、酸化窒素の内因性合成を刺激し、または酸化窒素シンターゼのための基質である化合物であり、または、好ましくはイソソルビドジニトレートおよび/またはイソソルビドモノニトレートとしてもよい。抗酸化剤は好ましくはヒドラジン化合物または薬学的に許容されるその塩としてもよい。本発明はまた、酸化窒素不足により特徴づけられる血管疾患を治療および/または予防するための方法;レイノー症候群を治療および/または予防するための方法;および心血管疾患または障害を治療および/または予防するための方法を提供する。
発明の背景
過去30年にわたる合衆国での心血管罹患率および致死率の減少は、心血管疾患機序および治療戦略に関する研究が著しく進んだためである。心筋梗塞の発病率および罹患率、および心筋梗塞による死亡、ならびに脳血管発作による死亡は主にこれらの非常に一般的な疾患の予防、早期診断および治療の進歩のため、この期間にわたり著しく減少している。
しかしながら、結果を人種により解析するとかなり異なる絵が描かれる:平均余命および心血管罹患率については、白人に比べ黒人では改善度がずっと低い。入手可能なデータにより心血管疾患による死亡の可能性は黒人の米国人においての方が白人の米国人における場合よりずっと大きい。この10年で、黒人男性に対する心血管疾患による死亡率は人口100,000あたり353人であり、白人男性に対する死亡率は100,000あたり244人であった;黒人女性に対する死亡率は100,000あたり226人であり、一方白人女性に対する死亡率は100,000あたり135人であった。白人に比べ黒人において、心血管疾患に対する重要な危険因子、例えば高血圧、喫煙、真性糖尿病、肥満および左心室肥大のいくつかの罹患率がより高いという所見はこの重要な人口統計パラメータと一致する。さらに、心血管事象の結果は白人よりも黒人においての方が悪かった。心筋梗塞をたどると、黒人は白人に比べ一年の致死率が50%高く、5年の生存は70%にすぎない。このように、一般人口における心血管健康の全体の改善を担う心血管医療の多くの進歩は匹敵する人種の恩恵に置き換えることができなかった。
当技術分野では、血管疾患を治療するための新規、およびより効果的な組成物および方法が必要である。本発明はこれらの重要な目的、および他の重要な目的に関する。
発明の概要
本発明は新規ニトロソ化および/またはニトロシル化ネビボロール、新規ニトロソ化および/またはニトロシル化ネビボロール代謝産物、ならびに、血管疾患により影響を受けた標的部位に治療上有効な量の酸化窒素を放出することができる少なくとも1つのニトロソ化および/またはニトロシル化ネビボロールおよび/または少なくとも1つのニトロソ化および/またはニトロシル化ネビボロール代謝産物を投与することにより酸化窒素不足により特徴づけられる血管疾患、およびレイノー症候群を治療および/または予防する方法を記述する。
本発明の1つの態様は新規ニトロソ化および/またはニトロシル化ネビボロール、および/または新規ニトロソ化および/またはニトロシル化ネビボロール代謝産物を提供する。ネビボロールおよび/またはその代謝産物は酸素(ヒドロキシル縮合)、硫黄(スルフヒドリル縮合)および/または窒素などの1つまたは複数の部位を介してニトロソ化および/またはニトロシル化することができる。本発明はまた、薬学的に許容される担体に溶解した治療上有効な量のそのような化合物を含む組成物を提供する。
本発明の他の態様は、少なくとも1つのNOおよび/またはNO2基で任意に置換された(すなわちニトロシル化および/またはニトロソ化された)治療上有効な量のネビボロール、および/または少なくとも1つのNOおよび/またはNO2基で任意に置換された(すなわちニトロシル化および/またはニトロソ化された)少なくとも1つのネビボロール代謝産物、ならびに荷電種、すなわちニトロソニウム(NO+)またはニトロキシル(NO-)、または中性種、酸化窒素(NO・)として一酸化窒素を供与、移動または放出し、および/または酸化窒素またはEDRFのインビボでの内因性産生を刺激し、および/または酸化窒素シンターゼのための基質である少なくとも1つの化合物を含む組成物を提供する。酸化窒素供与体は好ましくはイソソルビドジニトレートおよび/またはイソソルビドモノニトレートとしてもよい。本発明はまた、薬学的に許容される担体に溶解したそのような組成物を提供する。
本発明のさらに他の態様は、少なくとも1つのNOおよび/またはNO2基で任意に置換された(すなわちニトロシル化および/またはニトロソ化された)治療上有効な量のネビボロール、および/または少なくとも1つのNOおよび/またはNO2基で任意に置換された(すなわちニトロシル化および/またはニトロソ化された)少なくとも1つのネビボロール代謝産物、ならびに少なくとも1つの抗酸化剤、および任意に、荷電種、すなわちニトロソニウム(NO+)またはニトロキシル(NO-)、または中性種、酸化窒素(NO・)として一酸化窒素を供与、移動または放出し、および/または酸化窒素またはEDRFのインビボでの内因性産生を刺激し、および/または酸化窒素シンターゼのための基質である少なくとも1つの化合物を含む組成物を提供する。抗酸化剤は好ましくはヒドララジン化合物または薬学的に許容されるその塩としてもよい。酸化窒素供与体は好ましくはイソソルビドジニトレートおよび/またはイソソルビドモノニトレートとしてもよい。本発明はまた、薬学的に許容される担体に溶解したそのような組成物を提供する。
本発明の他の態様は、少なくとも1つのNOおよび/またはNO2基で任意に置換された(すなわちニトロシル化および/またはニトロソ化された)治療上有効な量のネビボロール、および/または少なくとも1つのNOおよび/またはNO2基で任意に置換された(すなわちニトロシル化および/またはニトロソ化された)少なくとも1つのネビボロール代謝産物、ならびに、任意に少なくとも1つの抗酸化剤、および/または、荷電種、すなわちニトロソニウム(NO+)またはニトロキシル(NO-)、または中性種、酸化窒素(NO・)として一酸化窒素を供与、移動または放出し、および/または酸化窒素またはEDRFのインビボでの内因性産生を刺激し、および/または酸化窒素シンターゼのための基質である少なくとも1つの化合物、および/または少なくとも1つのNO2基で任意に置換された(すなわち、ニトロソ化された)心血管疾患を治療するために使用される少なくとも1つの化合物を含む組成物を提供する。抗酸化剤は好ましくはヒドララジン化合物または薬学的に許容されるその塩としてもよい。酸化窒素供与体は好ましくはイソソルビドジニトレートおよび/またはイソソルビドモノニトレートとしてもよい。本発明はまた、薬学的に許容される担体に溶解したそのような組成物を提供する。
本発明は、少なくとも1つのNOおよび/またはNO2基で任意に置換された(すなわちニトロシル化および/またはニトロソ化された)治療上有効な量のネビボロール、および/または少なくとも1つのNOおよび/またはNO2基で任意に置換された(すなわちニトロシル化および/またはニトロソ化された)少なくとも1つのネビボロール代謝産物、ならびに、任意に、酸化窒素を供与、移動または放出し、内皮由来弛緩因子の内在レベルを上昇させ、酸化窒素の内因性合成を刺激し、または酸化窒素シンターゼの基質である少なくとも1つの化合物、および/または少なくとも1つの抗酸化剤または薬学的に許容されるその塩、および/または任意に少なくとも1つのNO2基で置換された(すなわち、ニトロソ化された)、心血管疾患を治療するために使用される少なくとも1つの化合物または薬学的に許容されるその塩を患者に投与することにより、酸化窒素不足により特徴づけられる血管疾患を治療および/または予防するための方法を提供する。酸化窒供与体は好ましくはイソソルビドジニトレートおよび/またはイソソルビドモノニトレートとしてもよい。抗酸化剤は好ましくはヒドララジン化合物または薬学的に許容されるその塩としてもよい。ネビボロールおよび/またはネビボロール代謝産物ならびに選択的な酸化窒素供与体化合物、抗酸化物および/または心血管疾患を治療するために使用される化合物は別個に、または1つまたは複数の薬学的に許容される担体に溶解された同じ組成物の複数の成分として投与することができる。
他の態様では、本発明は治療上有効な量の少なくとも1つのNOおよび/またはNO2基で任意に置換された(すなわちニトロシル化および/またはニトロソ化された)ネビボロール、および/または少なくとも1つのNOおよび/またはNO2基で任意に置換された(すなわちニトロシル化および/またはニトロソ化された)少なくとも1つのネビボロール代謝産物、および任意に、酸化窒素を供与、移動または放出し、内皮由来弛緩因子の内在レベルを上昇させ、酸化窒素の内因性合成を刺激し、または酸化窒素シンターゼの基質である少なくとも1つの化合物、および/または少なくとも1つの抗酸化剤または薬学的に許容されるその塩、および/または任意に少なくとも1つのNO2基で置換された(すなわち、ニトロソ化された)心血管疾患を治療するために使用される少なくとも1つの化合物を患者に投与することによりレイノー症候群を治療および/または予防するための方法を提供する。酸化窒供与体は好ましくはイソソルビドジニトレートおよび/またはイソソルビドモノニトレートとしてもよい。抗酸化剤は好ましくはヒドララジン化合物または薬学的に許容されるその塩としてもよい。ネビボロールおよび/またはネビボロール代謝産物および選択的な酸化窒素化合物、抗酸化物および/または心血管疾患を治療するために使用される化合物は別個に、または1つまたは複数の薬学的に許容される担体に溶解された同じ組成物の複数の成分として投与することができる。
本発明の他の態様は、少なくとも1つのNOおよび/またはNO2基で任意に置換された(すなわちニトロシル化および/またはニトロソ化された)ネビボロール、および/または少なくとも1つのNOおよび/またはNO2基で任意に置換された(すなわちニトロシル化および/またはニトロソ化された)少なくとも1つのネビボロール代謝産物、ならびに任意に、酸化窒素を供与、移動または放出し、および/またはインビボで酸化窒素またはEDRFの内因性産生を刺激し、および/または酸化窒素シンターゼの基質である少なくとも1つの化合物を含む、特異的に対象の生物学的部位に適用することができる天然または合成マトリクスに結合された組成物およびその製造方法について記述する。例えば、ニトロソ化および/またはニトロシル化ネビボロールを含むマトリクスを使用して、血液(血液成分、血液製剤などを含む)または血管組織と接触する医療装置または医療器具の表面をコートすることができる。
本発明の他の態様はまた、心血管疾患または障害を治療および/または予防するために、投与が必要な患者に、治療上有効な量のネビボロールおよび/または少なくとも1つのネビボロール代謝産物ならびに荷電種、すなわちニトロソニウム(NO+)またはニトロキシル(NO-)、または中性種、酸化窒素(NO・)として一酸化窒素を供与、移動または放出し、および/または酸化窒素またはEDRFのインビボでの内因性産生を刺激し、および/または酸化窒素シンターゼのための基質である少なくとも1つの化合物を投与するための方法を提供する。本方法は治療上有効な量の少なくとも1つの治療薬を投与する段階をさらに含む。または、心血管疾患または障害を治療および/または予防するための方法は、治療上有効な量のネビボロールおよび/または少なくとも1つのネビボロール代謝産物、少なくとも1つの治療薬、ならびに任意に、荷電種、すなわちニトロソニウム(NO+)またはニトロキシル(NO-)、または中性種、酸化窒素(NO・)として一酸化窒素を供与、移動または放出し、および/または酸化窒素またはEDRFのインビボでの内因性産生を刺激し、および/または酸化窒素シンターゼのための基質である少なくとも1つの化合物を投与する段階を含むことができる。ネビボロール、ネビボロール代謝産物、酸化窒素供与体、および治療薬は別個に、または1つまたは複数の薬学的に許容される担体に溶解した同じ組成物の複数の成分として投与することができる。
本発明のさらに他の態様は、血液(血液成分および血液製剤を含む)または血管組織と接触する医療装置の一部内におよび/または一部上で、治療上有効な量の酸化窒素を放出することができる少なくとも1つのニトロソ化および/またはニトロシル化ネビボロールおよび/または少なくとも1つのネビボロール代謝産物を組み込むことにより、血液が医療装置または医療器具に曝露されることにより引き起こされる血小板凝集および血小板粘着を予防するための方法を記述する。方法は、一酸化窒素を供与、移動または放出し、および/または酸化窒素またはEDRFのインビボでの内因性産生を刺激し、および/または酸化窒素シンターゼのための基質である少なくとも1つの化合物、ならびに任意に少なくとも1つの治療薬を血液または血管組織と接触する医療装置の一部内に、および/または一部上に組み込む段階をさらに含むことができる。
本発明の他の態様は、損傷を受けた血管などの損傷組織を治療するための、少なくとも1つのNOおよび/またはNO2基で任意に置換されたネビボロール、および/または少なくとも1つのNOおよび/またはNO2基で任意に置換された少なくとも1つのネビボロール代謝産物、ならびに任意に、少なくとも1つの治療薬および/または少なくとも1つの酸化窒素供与体の局所投与に関する。
本発明のこれらの局面および他の局面は本明細書で詳細に記述されている。以下の図面は本発明の態様の例示であり、特許請求の範囲により規定される本発明の範囲を限定するものではない。
本発明の詳細な説明
本明細書全体で使用されているように、以下の用語は、特に記載がなければ、以下の意味を有するものと理解すべきである。
「患者」は動物を、好ましくは哺乳類、最も好ましくはヒトを表し、雄および雌を含む。
「治療上有効な量」は所期の目的を達成するのに効果的な化合物および/または組成物の量を示す。
「ヒドラジノ」はH2N-N(H)-を示す。
「ヒドララジン化合物」は化学式(VI)を有する化合物を示す:
Figure 2004528337
(式中、a、b、およびcは独立して、単結合または二重結合であり;R7およびR8はそれぞれ水素、アルキル、エステルまたは複素環であり;R9およびR10はそれぞれ、R7、R8、R9およびR10の少なくとも1つが水素でないという条件で、孤立電子対または水素である。例示的なヒドララジン化合物としては、ブドララジン、カドララジン、ジヒドララジン、エンドララジン、ヒドララジン、ピルドララジン、トドララジンなどが挙げられる。
「心血管疾患を治療するために使用される化合物」は、任意の心血管疾患を治療するために使用される任意の治療用化合物、または薬学的に許容されるその塩を示す。
「酸化窒素不足により特徴づけられる血管疾患」としては、心血管疾患;酸化ストレスによる疾患;高血圧(例えば、低レニン高血圧;塩感受性高血圧;低レニン、塩感受性高血圧;原発性肺高血圧症;血栓閉塞肺高血圧;妊娠による高血圧;腎血管高血圧、高血圧依存性末期腎疾患)、心不全(例えば、微小血管心臓虚血)、および不均化微小血管新生(すなわち、不適合血管分布)または拡張期機能不全を伴う左心室肥大が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
「心血管疾患」は当技術分野において周知の任意の心血管疾患または障害であり、例えば、うっ血生心不全、高血圧、肺高血圧、心筋梗塞および脳梗塞、アテローム性動脈硬化、アテローム発生、血栓症、虚血性心疾患、血管形成後再狭窄、冠状動脈疾患、腎不全、安定狭心症、不安定狭心症、および異型(プリンズメタル型)狭心症、心臓水腫、腎機能不全、ネフローゼ水腫、肝水腫、脳卒中、一過性虚血性発作、脳血管発作、再狭窄、高血圧における血圧制御(とりわけ心血管外科処置に関連する高血圧)、血小板粘着、血小板凝集、平滑筋細胞増殖、急性心筋梗塞に関連する肺水腫、医療装置の使用に関連する血管合併症、医療装置の使用に関連する創傷、肺血栓塞栓症、脳血栓塞栓症、血栓静脈炎、血小板減少症、出血性疾患、などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。医療装置の使用に関連する合併症は血小板沈着、血小板の活性化、血栓形成または消費、および凝固蛋白質の増加の結果、起こるかもしれない。そのような合併症は「心血管疾患または障害」の定義内に入り、例えば心筋梗塞、肺血栓塞栓症、脳血栓塞栓症、血栓静脈炎、血小板減少症、出血性疾患および/または前記疾患の結果、直接的または間接的のいずれかで起こる任意の他の合併症が挙げられる。
「再狭窄」は、例えば、血管形成、バルーン拡張、アテレクトミー、レーザアブレーション治療またはステント挿入などの損傷により引き起こされる動脈への外傷後の抹消動脈または冠状動脈の閉鎖を表す心血管疾患または障害である。これらの血管形成処置では、再狭窄は血管の位置、病変長および多くの他の変数に依存するが約30〜60%の率で生じる。再狭窄はまた、例えば、移植手術、静脈移植、冠動脈バイパス手術、動脈内膜切除、心臓移植、バルーン血管形成、アテレクトミー、レーザアブレーション、血管内ステント術などの多くの侵襲性外科技術後にも起こることがある。
「アテローム硬化」は血流を調節する血管緊張を通常制御する、動脈壁内の正常な血管平滑筋細胞のいくらかの性質が変わり「癌様」挙動を示す慢性血管損傷の一形態である。これらの血管平滑筋細胞は異常に増殖し、内側の血管内張内に侵入し広がることができる成長因子、組織分解酵素および他の蛋白質などの物質を分泌し、血流を遮断し、その血管が異常に局所的な血液凝固により完全に遮断され易くなり、その結果その動脈により供給を受けていた組織が死亡する。
「酸化ストレスによる疾患」は、例えば、アテローム発生、アテローム変性、動脈硬化、アテローム硬化、高血圧に関連する血管肥大、高リポ蛋白血症、加齢による正常血管の変性、傍甲状腺反応性過形成、慢性腎疾患、新生物疾患、炎症性疾患、神経性および急性気管支肺疾患、腫瘍形成、虚血-再灌流症候群、関節炎、敗血症などのフリーラジカルまたはラジカル化合物の発生が関係する任意の疾患を示す。
「治療薬」は、血管平滑筋細胞の細胞活性、例えば、増殖、移動、細胞容積の増加、細胞外基質合成の増加(例えば、コラーゲン、プロテオグリカンなど)、または細胞による細胞外基質物質の分泌、生物学的な血管の伸長を阻害し、および/または血管リモデリングを減少または阻害し、および/または処置による血管外傷後の血管平滑筋増殖を阻害または減少させることができる任意の治療薬を含む。酸化窒素供与体は治療活性を有するが、「治療薬」という用語は本明細書で記述されている酸化窒素供与体を含まない。酸化窒素供与体については別個に規定されているからである。
「人工表面」は血液、血管系または他の組織と接触する装置または器具に含まれる任意の天然または合成物質を示す。
「血液」は血液製剤、血液成分などを含む。
「血小板粘着」は、医療装置または器具などの任意の人工表面、ならびにコラーゲンなどの損傷した血管表面を含む他の表面との血小板の接触を示す。血小板粘着では血小板の活性化を必要としない。活性化されていない循環血小板は、循環するフォン・ブレブランド因子と血小板表面糖蛋白質Ib/IX間での結合相互作用により損傷した血管表面または人工表面に付着する。
「血小板凝集」は1つまたは複数の血小板の互いの結合を示す。血小板凝集は、医療処置中の身体損傷の結果障害を受けた脈管構造上での血小板粘着に関してはなく、全身性アテローム硬化という状況で一般に言及される。血小板凝集では血小板の活性化が必要であり、これはリガンドと特定の血小板表面受容体との間の相互作用に依存する。
「血小板活性化」は細胞の構造(形状)変化、細胞表面蛋白質の発現(例えば、IIb/IIIa受容体複合体、GPIb表面蛋白質の損失)、および血小板由来因子(例えば、セレトニン、成長因子)の分泌のいずれかを示す。
「不動態化」は表面のコーティングを示し、これにより表面が不活性となる。
「医療装置」は任意の血管内または血管外医療装置、医療器具、異質体などを示す。血管内医療装置および器具の例としては、挿入用に適合されたバルーンまたはカテーテル尖端、補綴心臓弁、縫合糸、合成血管移植片、ステント(例えば、Palmaz-Schatzステント)、薬剤ポンプ、動静脈シャント、人工心臓弁、人工インプラント、手術により血管内または血管部位に導入される異質体、リード(lead)、ペースメーカー、移植可能なパルス発生器、移植可能な心臓除細動器、電気除細動器、除細動器、脊髄刺激装置、脳刺激装置、仙椎神経刺激装置、化学センサなどが挙げられる。血管外医療装置および器具の例としては患者の血流と表面が接触するプラスチックチューブ、透析バッグまたは膜が挙げられる。
「経皮」は皮膚を介して、血流内に通過させることにより化合物を送達することを示す。
「経粘膜」は粘膜組織を介して、血流内に化合物を通過させることにより化合物を送達することを示す。
「浸透増強」または「透過増強」は、皮膚または粘膜組織の選択された薬学的に活性な化合物に対する透過性が増大し、化合物が皮膚または粘膜組織を介して透過する速度が増大することを示す。
「担体」または「ビヒクル」は化合物投与に適した担体物質を示し、例えば、毒性が無く、組成物の任意の成分と有害な様式で相互作用しない任意の液体、ゲル、溶媒、希釈液、可溶化剤などの当技術分野において周知の任意のそのような物質を含む。
「持続放出」は、治療上活性な化合物の血液レベルが長期間にわたり所望の治療範囲内に維持されるような治療上活性な化合物および/または組成物の放出を示す。持続放出性製剤は、所望の放出特性を得るように当業者に周知の任意の従来法を用いて調製することができる。
「酸化窒素付加物」または「NO付加物」は、一酸化窒素種の生物活性が所期の作用部位で発現されるように、生理的条件下で、3つの酸化還元形態の一酸化窒素(NO 、NO - 、NO・)のうちのいずれかを供与、放出、および/または直接または間接的に移動させることができる化合物および官能基を示す。
「酸化窒素放出」または「酸化窒素供与」は、一酸化窒素種の生物活性が所期の作用部位で発現されるように、3つの酸化還元形態の一酸化窒素(NO 、NO - 、NO・)のうちのいずれかを供与、放出、および/または直接または間接的に移動させる方法を示す。
「酸化窒素供与体」または「NO供与体」は一酸化窒素種を供与、放出、および/または直接または間接的に移動させ、および/またはインビボで酸化窒素または内皮由来弛緩因子(EDRF)の内因性産生を刺激し、および/またはインビボでの酸化窒素またはEDRFの内在レベルを上昇させる化合物を示す。「NO供与体」はまた、酸化窒素シンターゼに対する基質である化合物を含む。
「タキサン(Taxane)」は化学式Aで表される炭素コアフレームワークを含む任意の化合物を示す:
Figure 2004528337
「アルキル」は本明細書で規定されているように、低級アルキル基、ハロアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、架橋シクロアルキル基、シクロアルキルまたは複素環を示す。アルキル基は、例えばシクロアルキルアルキル基または複素環式アルキル基などの1または複数のラジカル種を含んでもよい。
「低級アルキル」は1から約10の炭素原子(好ましくは1から約8の炭素原子、より好ましくは1から約6の炭素原子)を含む分枝または直鎖非環式アルキル基を示す。例示的な低級アルキル基としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、t-ブチル、ペンチル、ネオペンチル、イソ-アミル、ヘキシル、オクチルなどが挙げられる。
「置換低級アルキル」は本明細書で規定されるように、1または複数の水素原子が1または複数のR100基により置換された低級アルキル基を示し、式中、本明細書で規定されるように、各R100独立して、ヒドロキシ、オキソ、カルボキシル、カルボキサミド、ハロ、シアノまたはアミノ基である。
「ハロアルキル」は本明細書で示されるように、1または複数のハロゲンが本明細書で示すように付加された低級アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、架橋シクロアルキル基、シクロアルキル基または複素環を示す。例示的なハロアルキル基としてはトリフルオロメチル、クロロメチル、2-ブロモブチル、1-ブロモ-2-クロロ-ペンチルなどが挙げられる。
「アルケニル」は1または複数の炭素-炭素二重結合を含むことができる分枝または直鎖C2〜C10炭化水素(好ましくは、C2〜C8炭化水素、より好ましくはC2〜C6炭化水素)を示す。例示的なアルケニル基としては、プロピレニル、ブテン-1-イル、イソブテニル、ペンテン-1-イル、2,2-メチルブテン-1-イル、3-メチルブテン-1-イル、ヘキサン-1-イル、ヘプテン-1-イル、オクテン-1-イルなどが挙げられる。
「低級アルケニル」は1または2の炭素-炭素二重結合を含むことができる分枝または直鎖C2〜C4炭化水素を示す。
「置換アルケニル」は1または複数の水素原子が1または複数のR100基により置換された、1または複数の炭素-炭素二重結合を含むことができる分枝または直鎖C2〜C10炭化水素(好ましくは、C2〜C8炭化水素、より好ましくはC2〜C6炭化水素)を示し、式中、本明細書で規定されるように、各R100独立して、ヒドロキシ、オキソ、カルボキシル、カルボキサミド、ハロ、シアノまたはアミノ基である。
「アルキニル」は1または複数の炭素-炭素三重結合を含むことができる不飽和非環式C2〜C10炭化水素(好ましくは、C2〜C8炭化水素、より好ましくはC2〜C6炭化水素)を示す。例示的なアルキニル基としては、エチニル、プロピニル、ブチン-1-イル、ブチン-2-イル、ペンチル-1-イル、ペンチル-2-イル、3-メチルブチン-1-イル、ヘキシル-1-イル、ヘキシル-2-イル、ヘキシル-3-イル、3,3-ジメチル-ブチン-1-イルなどが挙げられる。
「架橋シクロアルキル」は2またはそれ以上の飽和もしくは不飽和シクロアルキル基、飽和もしくは不飽和複素環基、または隣接するもしくは隣接しない原子を介して融合されたそれらの結合を示す。架橋シクロアルキル基は非置換とすることができ、またはそれぞれ独立してアルキル、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヒドロキシ、ハロ、カルボキシル、アルキルカルボン酸、アリール、アミジル、エステル、アルキルカルボン酸エステル、カルボキサミド、アルキルカルボキサミド、オキソおよびニトロから選択される1、2もしくは3つの置換基により置換することができる。例示的な架橋シクロアルキル基としては、アダマンチル、デカヒドロナプチル、キヌクリジル、2,6-ジオキサビシクロ(3.3.0)オクタン、7-オキサビシクロ(2.2.1)ヘプチル、8-アザビシクロ(3.2.1)オクト-2-エニルなどが挙げられる。
「シクロアルキル」は約3から約10の炭素原子を含む飽和または不飽和環状炭化水素を示す。シクロアルキル基は非置換とすることができ、またはそれぞれ独立してアルキル、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、アルキルアリールアミノ、アリール、アミジル、エステル、ヒドロキシ、ハロ、カルボキシル、アルキルカルボン酸、アルキルカルボン酸エステル、カルボキサミド、アルキルカルボキサミド、オキソ、アルキルスルフィニルおよびニトロから選択される1、2もしくは3つの置換基により置換することができる。例示的なシクロアルキル基としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘプタ-1,3-ジエニルなどが挙げられる。
「複素環または複素環基」は、約2から約10の炭素原子(好ましくは約4から約6の炭素原子)を有し、1〜約4の炭素原子が1または複数の窒素、酸素および/または硫黄原子により置換された飽和または不飽和環状炭化水素官能基を示す。硫黄はチオ、スルフィニルまたはスルフォニル酸化状態であってもよい。複素環または複素環基は芳香族炭化水素基に融合させることができる。複素環は非置換とすることができ、またはそれぞれ独立してアルキル、アルコキシ、アミノ、アルキルチオ、アリールオキシ、アリールチオ、アリールアルキル、ヒドロキシ、オキソ、チアール、ハロ、カルボキシル、カルボン酸エステル、アルキルカルボン酸、アルキルカルボン酸エステル、アリール、アリールカルボン酸、アリールカルボン酸エステル、アミジル、エステル、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルキルスルフィニル、カルボキサミド、アルキルカルボキサミド、アリールカルボキサミド、スルホン酸、スルホン酸エステル、スルホンアミドおよびニトロから選択される1、2もしくは3つの置換基により置換することができる。複素環基の例としては、ピロロリル、フリル、チエニル、3-ピロリニル、4,5,6-トリヒドロ-2H-ピラニル、ピリジニル、1,4-ジヒドロピリジニル、ピラゾリル、チアゾリル、ピリミジニル、ピリダジニル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、インドリル、チオフェニル、フラニル、テトラヒドロフラニル、テトラゾリル、ピロリニル、ピロリンジニル、オキサゾリンジニル、1,3-ジオキサラニル、イミダゾリニル、イミダゾリンジニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、1,2,3-オキサジアゾリル、1,2,3-トリアゾリル、1,3,4-チアジアゾリル、2H-ピラニル、4H-ピラニル、ピペリジニル、1,4-ジオキサニル、モルホリニル、1,4-ジチアニル、チオモロホリニル、ピラジニル、ピペラジニル、1,3,5-トリアジニル、1,3,5-トリチアニル、ベンゾ(b)チオフェニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチアゾリニル、キノリニルなどが挙げられる。
「複素環式化合物」は少なくとも1つのアリールまたは複素環を含む単環式および多環式化合物を示す。
「アリール」は1つまたは2つの芳香族環を含む単環式、二環式、炭素環式または複素環式の環系を示す。例示的なアリール基としては、フェニル、ピリジル、ナフチル、キノイル、テトラヒドロナフチル、フラニル、インダニル、インデニル、インドイルなどが挙げられる。アリール基(二環式アリール基を含む)は非置換とすることができ、またはそれぞれ独立してアルキル、アルコキシ、アルキルチオ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、アルキルアリールアミノ、ハロ、シアノ、アルキルスルフィニル、ヒドロキシ、カルボキシル、カルボン酸エステル、アルキルカルボン酸、アルキルカルボン酸エステル、アリール、アリールカルボン酸、アリールカルボン酸エステル、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アミジル、エステル、カルボキサミド、アルキルカルボキサミド、カルボミル、スルホン酸、スルホン酸エステル、スルホンアミドおよびニトロから選択される1、2もしくは3つの置換基により置換することができる。例示的な置換アリール基としてはテトラフルオロフェニル、ペンタフルオロフェニル、スルホンアミド、アルキルスルホニル、アリールスルホニルなどが挙げられる。
「シクロアルケニル」は1または複数の炭素-炭素三重結合を含むことができる不飽和環状C2〜C10炭化水素(好ましくはC2〜C8炭化水素、より好ましくはC2〜C6炭化水素)を示す。
「アリールアルキル」は本明細書で規定されるアルキルラジカルに結合された、本明細書で規定されるアリールラジカルを示す。例示的なアリールアルキルとしては、ベンジル、フェニルエチル、4-ヒドロキシベンジル、3-フルオロベンジル、2-フルオロフェニルエチルなどが挙げられる。
「アルキルアリール」は本明細書で規定されるアリール基が付加された本明細書で規定されるアルキル基を示す。例示的なアルキルアリール基としてはベンジル、フェニルエチル、ヒドロキシベンジル、フルオロベンジル、フルオロフェニルエチルなどが挙げられる。
「アリールアルケニル」は本明細書で規定されるアルケニルラジカルに結合される本明細書で規定されるアリールラジカルを示す。例示的なアリールアルケニル基としては、スチリル、プロペニルフェニルなどが挙げられる。
「シクロアルキルアルキル」は本明細書で規定されるアルキルラジカルに結合された本明細書で規定されるシクロアルキルラジカルを示す。
「シクロアルキルアルコキシ」は本明細書で規定されるアルコキシラジカルに結合された本明細書で規定されるシクロアルキルラジカルを示す。
「シクロアルキルアルキルチオ」は本明細書で規定されるアルキルチオラジカルに結合された本明細書で規定されるシクロアルキルラジカルを示す。
「複素環式アルキル」は本明細書で規定されるアルキルラジカルに結合された本明細書で規定される複素環ラジカルを示す。
「アリール複素環」は本明細書で規定される複素環にアリール環の2つの隣接する炭素原子を介して付加される、本明細書で規定されるアリール環からなる二環式または三環式環を示す。例示的なアリール複素環としてはジヒドロインドール、1,2,3,4-テトラ-ヒドロキノリンなどが挙げられる。
「アルコキシ」はR50O-を示し、ここでR50は本明細書で規定されるようにアルキル基である(好ましくは、本明細書で規定されるように低級アルキル基またはハロアルキル基である)。例示的なアルコキシ基としてはメトキシ、エトキシ、t-ブトキシ、シクロペンチルオキシ、トリフルオロメトキシなどが挙げられる。
「低級アルコキシ」は酸素原子に付加された、本明細書で規定される低級アルキル基を示す。
「アリールオキシ」はR55O-を示し、ここでR55は本明細書で規定されるようにアリール基である。例示的なアリールオキシ基としてはナフチルオキシ、キノリルオキシ、イソキノリジニルオキシなどが挙げられる。
「アルキルチオ」はR50S-を示し、ここでR50は本明細書で規定されるようにアルキル基である。
「低級アルキルチオ」は本明細書で規定されるチオ基に付加された、本明細書で規定される低級アルキル基を示す。
「アリールアルコキシ」または「アルコキシアリール」は、本明細書で規定されるアリール基が付加された、本明細書で規定されるアルコキシ基を示す。例示的なアリールアルコキシ基としては、ベンジルオキシ、フェニルエトキシ、クロロフェニルエトキシなどが挙げられる。
「アルコキシアルキル」は本明細書で規定されるアルキル基に付加された、本明細書で規定されるアルコキシ基を示す。例示的なアルコキシアルキル基としては、メトキシメチル、メトキシエチル、イソプロポキシメチルなどが挙げられる。
「アルコキシハロアルキル」は、本明細書で規定されるハロアルキル基に付加された、本明細書で規定されるアルコキシ基を示す。例示的なアルコキシハロアルキル基としては4-メトキシ-2-クロロブチルなどが挙げられる。
「シクロアルコキシ」はR54O-を示し、ここでR54は本明細書で規定されるようにシクロアルキル基または架橋シクロアルキル基である。例示的なシクロアルコキシ基としては、シクロプロピルオキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシなどが挙げられる。
「シクロアルキルチオ」はR54S-を示し、ここでR54は本明細書で規定されるようにシクロアルキル基または架橋シクロアルキル基である。例示的なシクロアルキルチオ基としては、シクロプロピルチオ、シクロペンチルチオ、シクロヘキシルチオなどが挙げられる。
「ハロアルコキシ」はアルコキシ基上の1または複数の水素原子が、本明細書で規定されるようにハロゲンで置換された、本明細書で規定されるアルコキシ基を示す。例示的なハロアルコキシ基としては1,1,1-トリクロロエトキシ、2-ブロモブトキシなどが挙げられる。
「ヒドロキシ」は-OHを示す。
「オキソ」は=Oを示す。
「オキシ」は-O-R77 +(式中、R77は有機または無機陽イオンである)。
「有機陽イオン」は正に荷電された有機イオンを示す。例示的な有機陽イオンとしてはアルキル置換アンモニウム陽イオンなどが挙げられる。
「無機陽イオン」は正に荷電された金属イオンを示す。例示的な無機陽イオンは、ナトリウム、カリウムなどのI属金属陽イオンを含む。
「ヒドロキシアルキル」は、本明細書で規定されるアルキル基に付加された、本明細書で規定されるヒドロキシ基を示す。
「ニトレート」は-O-NO2を示す。
「ニトライト」は-O-NOを示す。
「チオニトレート」は-S-NO2を示す。
「チオニトライト」および「ニトロソチオール」は-S-NOを示す。
「ニトロ」は-NO2を示し、「ニトロソ化」はニトロで置換されている化合物を示す。
「ニトロソ」は-NOを示し、「ニトロシル化」はニトロソ基で置換されている化合物を示す。
「ニトリル」および「シアノ」は-CNを示す。
「ハロゲン」または「ハロ」はヨウ素(I)、臭素(Br)、塩素(Cl)および/またはフッ素(F)を示す。
「アミノ」は本明細書で規定されるように、-NH2、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基、ジアリールアミノ基、アルキルアリールアミノ基または複素環を示す。
「アルキルアミノ」はR50NH-を示し、ここでR50は本明細書で規定されるようにアルキル基である。例示的なアルキルアミノ基としてはメチルアミノ、エチルアミノ、ブチルアミノ、シクロヘキシルアミノなどが挙げられる。
「アリールアミノ」はR55NH-を示し、ここでR55は本明細書で規定されるようにアリール基である。
「ジアルキルアミノ」はR52R53N-を示し、ここでR52およびR53は本明細書で規定されるようにそれぞれ独立してアルキル基である。例示的なジアルキルアミノ基としてはジメチルアミノ、ジエチルアミノ、メチルプロパギルアミノなどが挙げられる。
「ジアリールアミノ」はR55R60N-を示し、ここでR55およびR60は本明細書で規定されるようにそれぞれ独立してアリール基である。
「アルキルアリールアミノまたはアリールアルキルアミノ」はR52R55N-を示し、ここでR52は本明細書で規定されるようにアルキル基であり、R55は本明細書で規定されるようにアリール基である。
「アルキルアリールアルキルアミノ」はR52R79N-を示し、ここでR52は本明細書で規定されるようにアルキル基であり、R79は本明細書で規定されるようにアリールアルキル基である。
「アルキルシクロアルキルアミノ」はR52R80N-を示し、ここでR52は本明細書で規定されるようにアルキル基であり、R80は本明細書で規定されるようにシクロアルキル基である。
「アミノアルキル」は本明細書で規定されるアルキル基が付加された、本明細書で規定されるアミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基、ジアリールアミノ基、アルキルアリールアミノ基または複素環を示す。例示的なアミノアルキル基としてはジメチルアミノプロピル、ジフェニルアミノシクロペンチル、メチルアミノメチルなどが挙げられる。
「アミノアリール」はアルキルアミノ基、アリールアミノ基またはアリールアルキルアルキルアミノ基が付加されたアリール基である。例示的なアミノアリール基としては、アニリノ、N-メチルアニリノ、N-ベンジルアニリノなどが挙げられる。
「チオ」は-S-を示す。
「スルフィニル」は-S(O)-を示す。
「メタンチアール」は-C(S)-を示す。
「チアール」は=Sを示す。
「スルホニル」は-S(O)2 -を示す。
「スルホン酸」は-S(O)2OR76を示し、ここでR76は本明細書で規定されるように水素、有機陽イオンまたは無機陽イオンである。
「アルキルスルホン酸」は本明細書で規定されるアルキル基に付加された、本明細書で規定されるスルホン酸基を示す。
「アリールスルホン酸」は本明細書で規定されるアリール基に付加された、本明細書で規定されるスルホン酸基を示す。
「スルホン酸エステル」は-S(O)2OR58を示し、ここでR58は本明細書で規定されるようにアルキル基、アリール基、またはアリール複素環である。
「スルホンアミド」は-S(O)2-N(R51)(R57)を示し、ここでR51およびR57は本明細書で規定されるようにそれぞれ独立して水素原子、アルキル基、アリール基もしくはアリール複素環であり、またはR51およびR57は本明細書で規定されるように、それらが結合している窒素と一緒になり、複素環または架橋シクロアルキル基となる。
「アルキルスルホンアミド」は本明細書で規定されるアルキル基に付加された、本明細書で規定されるスルホンアミド基を示す。
「アリールスルホンアミド」は本明細書で規定されるアリール基に付加された、本明細書で規定されるスルホンアミド基を示す。
「アルキルチオ」はR50S-を示し、ここでR50は本明細書で規定されるようにアルキル基である(好ましくは、本明細書で規定されるように低級アルキル基である)。
「アリールチオ」はR55S-を示し、ここでR55は本明細書で規定されるようにアリール基である。
「アリールアルキルチオ」は本明細書で規定されるアルキルチオ基に付加された、本明細書で規定されるアリール基を示す。
「アルキルスルフィニル」はR50-S-(O)-を示し、ここでR50は本明細書で規定されるようにアルキル基である。
「アルキルスルホニル」はR50-S-(O)2-を示し、ここでR50は本明細書で規定されるようにアルキル基である。
「アルキルスルホニルオキシ」はR50-S-(O)2-O-を示し、ここでR50は本明細書で規定されるようにアルキル基である。
「アリールスルフィニル」はR55-S-(O)-を示し、ここでR55は本明細書で規定されるようにアリール基である。
「アリールスルホニル」はR55-S-(O)2-を示し、ここでR55は本明細書で規定されるようにアリール基である。
「アリールスルホニルオキシ」はR55-S-(O)2-O-を示し、ここでR55は本明細書で規定されるようにアリール基である。
「アミジル」はR51C(O)N(R57)-であり、ここでR51およびR57は本明細書で規定されるようにそれぞれ独立して水素原子、アルキル基、アリール基またはアリール複素環である。
「エステル」はR51C(O)O-であり、ここでR51は本明細書で規定されるように水素原子、アルキル基、アリール基またはアリール複素環である。
「カルバモイル」は-O-C(O)N(R51)(R57)を示し、ここでR51およびR57は本明細書で規定されるようにそれぞれ独立して水素原子、アルキル基、アリール基もしくはアリール複素環であり、またはR51およびR57は本明細書で規定されるように、それらが結合している窒素と一緒になり、複素環または架橋シクロアルキル基となる。
「カルボキシル」は-C(O)OR76を示し、ここでR76は本明細書で規定されるように水素、有機陽イオン、または無機陽イオンである。
「カルボニル」は-C(O)-を示す。
「アルキルカルボニル」はR52-C(O)-を示し、ここでR52は本明細書で規定されるようにアルキル基である。
「アリールカルボニル」はR55-C(O)-を示し、ここでR55は本明細書で規定されるようにアリール基である。
「アリールアルキルカルボニル」はR55-R52-C(O)-であり、ここでR55は本明細書で規定されるようにアリール基であり、R52は本明細書で規定されるようにアルキル基である。
「アルキルアリールカルボニル」はR52-R55-C(O)-であり、ここでR55は本明細書で規定されるようにアリール基であり、R52は本明細書で規定されるようにアルキル基である。
「複素環式アルキルカルボニル」はR78C(O)-を示し、ここでR78は本明細書で規定されるように複素環式アルキル基である。
「カルボン酸エステル」は-C(O)OR58を示し、ここでR58は本明細書で規定されるようにアルキル基、アリール基またはアリール複素環である。
「アルキルカルボン酸」および「アルキルカルボキシル」は本明細書で規定されるカルボキシル基に結合された、本明細書で規定されるアルキル基を示す。
「アルキルカルボン酸エステル」は本明細書で規定されるカルボン酸エステル基に結合された、本明細書で規定されるアルキル基を示す。
「アリールカルボン酸」は本明細書で規定されるカルボキシル基に結合された、本明細書で規定されるアリール基を示す。
「アリールカルボン酸エステル」および「アリールカルボキシル」は、本明細書で規定されるカルボン酸エステル基に結合された、本明細書で規定されるアリール基を示す。
カルボキサミド」は-C(O)N(R51)(R57)を示し、ここでR51およびR57は本明細書で規定されるようにそれぞれ独立して水素原子、アルキル基、アリール基もしくはアリール複素環であり、またはR51およびR57は本明細書で規定されるように、それらが結合している窒素と一緒になり、複素環または架橋シクロアルキル基となる。
「アルキルカルボキサミド」は本明細書で規定されるカルボキサミド基に結合された、本明細書で規定されるアルキル基を示す。
「アリールカルボキサミド」は本明細書で規定されるカルボキサミド基に結合された、本明細書で規定されるアリール基を示す。
「オキシム」は-C(=N-OR81)を示し、ここでR81は水素、アルキル基、アリール基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、カルボン酸エステル、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、カルボキサミド基、アルコキシアルキル基またはアルコキシアリール基である。
「尿素」は-N(R59)-C(O)N(R51)(R57)を示し、ここでR51、R57およびR59 本明細書で規定されるようにそれぞれ独立して水素原子、アルキル基、アリール基もしくはアリール複素環であり、またはR51およびR57は本明細書で規定されるように、それらが結合している窒素と一緒になり、複素環または架橋シクロアルキル基となる。
「ホスホリル」は-P(R70)(R71)(R72)を示し、ここでR70は孤立電子対、硫黄または酸素であり、ならびにR71およびR72はそれぞれ独立して、本明細書で規定されるように、共有結合、水素、低級アルキル、アルコキシ、アルキルアミノ、ヒドロキシまたはアリールである。
「シリル」は-Si(R 73 )(R 74 )(R 75 )を示し、ここでR73、R74およびR75はそれぞれ独立して、本明細書で規定されるように、共有結合、低級アルキル、アルコキシ、アリールまたはアリールアルコキシである。
2つの広いクラスの心血管疾患または障害は、白人よりも黒人においてより顕著であり、調査努力が必要とされる領域である。高血圧および左心室肥大は、2つの関連する冠動脈性心疾患に対する独立した危険因子であり、白人よりも黒人においてかなり顕著である。黒人では、白人に比べ、冠状動脈アテローム性硬化症に対する危険因子の罹患率がより高く、冠動脈性心疾患の罹患率および致死率がより高いにもかかわらず血管造影では、正常な冠動脈の率がより高い。これらの逆説的な所見から、幾人かの研究者は、黒人は灌流を制限し、それぞれ高血圧および左心室肥大に至る血管平滑筋細胞および心筋細胞肥大に対する刺激として作用する微小血管系の素因を有すると仮定している。この血管素因に対する基礎は、これらの個人において、内皮;もしくは血管収縮薬および増殖因子に対する増大した感受性を表す血管平滑筋細胞;またはその両方が関係するかもしれない。内皮は血管拡張薬および抗増殖性因子を産生する限定能力を有し、または血管収縮薬および増殖性因子を産生する増大能力を有する。
黒人の血管素因において重要な役割を果たすであろう正常な血管の主産物は内皮由来酸化窒素(NO)である。内皮細胞により産生される酸化窒素は血管平滑筋細胞の弛緩を誘発し、主に血管緊張を休止させることに寄与する。さらに、NOは血管平滑筋細胞の増殖を阻害し、平滑筋細胞においてアポトーシスを誘発し、これにより塩基性線維芽細胞成長因子および血管内皮細胞成長因子が放出され、内皮細胞増殖が支持される。この細胞応答の順序が低酸素または虚血状態で血管形成を維持すると考えられる。
黒人の血管素因における酸化窒素の役割は、酸化窒素に対する脈管構造の通常の応答における酸化窒素不足の結果により説明される。酸化窒素不足は傍糸球体細胞からのレニン放出を抑制し、塩化ナトリウム/容積感受性血圧増加を誘発する。さらに、酸化窒素不足が起こると、血管抵抗の増大を増幅させるアンジオテンシンIIおよびカテコールアミンなどの血管収縮薬に対する血管平滑筋細胞の感受性の増大に至る。
酸化窒素不足は血管損傷後の血管平滑筋細胞増殖を促進し、カテコールアミンおよびアンジオテンシンIIに応答して平滑筋細胞および心筋細胞肥大が維持される。さらに、酸化窒素が不十分だと、細胞外基質の産生が増大し、その結果心筋線維症が起こる。
脈管構造における不十分なNOのため生じるこれらの多くの心血管応答は黒人群における臨床的相関を明らかにした。同様の心血管疾患または障害を有する白人から区別される黒人の臨床的な血管表現型は塩感受性低レニン高血圧;負荷後に不相応で、不十分な血管形成応答を伴う左心室肥大;および有意の心外膜冠動脈疾患の無い微小血管虚血の1つである。これらの効果の正味の病態生理学結果は、動脈高血圧が付随する末梢血管抵抗の増加、および拡張機能不全および微小血管虚血を伴う左心室量における血管形成が不十分な線維症増加である。
酸化窒素不足状態は、酸化窒素の合成の減少、酸化窒素の不活性化の増強、またはそれらの両方の結果であることがある。可能な候補機構としては、正常な遺伝子産物の発現の減少またはより活性の低い遺伝子産物の適当な発現に導く内皮酸化窒素シンターゼまたは誘導性微小血管および心筋細胞酸化窒素シンターゼをコードする遺伝子の変更;不十分な補助因子濃度による酸化窒素シンターゼの酵素活性の減少;またはオキシダントストレスによる酸化窒素の不活性化の増強が挙げられる。
培養細胞、動物モデルおよびヒト患者において発明者らが得たデータにより、オキシダントストレスの増大がアフリカ系アメリカ人の血管素因および彼らに共通の結果である心血管疾患または障害の中心であることが示唆される。オキシダントストレスの可能な候補機構としては、反応性酸素種(ROS)の産生の増強、抗酸化防御の減少、またはその両方が挙げられる。本発明者らはオキシダントストレスと黒人の血管表現型との間の時間的なまたは原因となる関係についての演繹的な仮定を立てていない:オキシダントストレスは血管素因の発達を進行させると共にいったん確立された進行を促進するかもしれない。最近データでは、ROS産生が増強されると本態性高血圧、アテローム硬化、血栓症および真性糖尿病が同時に起こり、ROS産生の増強は各症例において、その実際の発生ではない場合、確立された疾患の進行において重要であることが少なくとも示唆される。
Furchgottら、Nature、299:373-376(1980)により最初に記述された内皮由来弛緩因子(EDRF)は血管機能の重要な媒介物である。この内皮産物は血管平滑筋細胞および血小板中のグアニリルシクラーゼを活性化し、それぞれ血管緊張低下および血小板阻害に至る(Loscalzoら、Prog Cardiovasc Dis、38:87〜104)(1995))。EDRFの化学的性質は様々な薬理学技術および分析技術を用いて研究されており、NOである(Ignarroら、Circ Res.61:866-879(1987);Palmerら、Nature、327:524-526(1987))。
酸化窒素はいくつかのイソ型のNOシンターゼ(NOS)酵素ファミリーのうちの1つにより合成される。それらの酵素のうちの2つ、内皮NOS(eNOS)および誘導性NOS(iNOS)は脈管構造内で見出される。eNOSは内皮細胞により合成され、iNOSは様々な種類の細胞、例えば血管平滑筋細胞、線維芽細胞、および(主に微小血管)内皮細胞により合成される(Balligandら、Am J Physiol、268:H1293-1303(1995))。これらの酵素は、L-アルギニンからL-シトルリンへの5電子酸化の結果、NOを産生し;必要な補助因子としては、カルシウム-カルモジュリン、O2、FAD、FMN、テトラヒドロビオプテリンチオール、ヘム、およびNADPHが挙げられる(Moncadaら、N EngI J Med、329:2002-2012(1993))。
心血管系におけるNOの役割は過去15年にわたり次第に明らかになってきた(Loscalzoら、Prog Cardiovasc Dis、38:87-104(1995))。重要なことに酸化窒素はコンダクタンスの静止緊張ならびに抵抗動脈に寄与し(Ouyyumiら、J Clin Invest、95:1747-1755(1995))末梢血管抵抗の維持および動脈圧応答において重要な役割を果たす。NOS活性の阻害は、ノルエピネフリンおよびアンジオテンシンIIなどの血管収縮剤に対する増強した血管感受性に関連し(Conradら、Am J Physiol、262:R1137-R1144(1992))、この効果は部分的に、増大したカルシウム感受性により媒介されると考えられる(Bankら、Hypertension、24:322-328(1994))。脳内の心血管調節中心からの酸化窒素放出はまた、血圧の中心調節にも関わり、血管緊張の調節におけるニューロンNOSに対する役割が示唆される(Cabreraら、Biochem Biophys Res Comm、206:77-81(1995);Mattsonら、Hypertension、28:297-303(1996))。
酸化窒素は腎臓におけるレニン遺伝子発現を活性化し、レニン遺伝子発現の圧受容器に媒介される調節に関係する(Schrickerら、Pflug Arch、428:261-268(1994))。塩摂取に対する血圧依存性はNOに依存すると考えられ、NO不足状態は塩感受性と関係する(Tolinsら、Kidney Internat、46:230-236(1994))。Dah1 R ラットのiNOSの選択的阻害により、Dah1 Sラットと同様の塩感受性および塩依存高血圧の発症に至ることが示されている(Ruddら、Am J Physiol、277:H732-H739(1999))。さらに、iNOS不足マウス(標的崩壊によりiNOS遺伝子を排除)は塩摂食に応じて高血圧を発症するかもしれない(Ruddら、Circulation、98:1A(1998))。
酸化窒素はまた心筋収縮性に影響し、心拍数のムスカリン性-コリン作用性除脈化およびβ-アドレナリン刺激に対する収縮性応答の両方を媒介することによりそのように影響する(Balligandら、Proc Nat’l Acad Sci USA、90:347-351(1993))。この後者の影響は迷走神経を介してインビボで媒介されると考えられる(Hareら、J Clin Invest、95:360-366(1995))。
血管平滑筋細胞および心筋細胞の両方において、NOは細胞増殖を阻害し、成長促進物質に対する増殖性応答を制限する(Gargら、J Cin Invest、83:1774-1777(1986))。左心室肥大は毛細血管増殖が不十分な成人の心臓において起こる傾向がある。これは肥大患者において見られる微小血管虚血の原因となることがある。毛細血管増殖は一般に正常な成人哺乳類心臓ではまれな事象であると考えられる。しかしながら、左心室肥大が一般に生じている高血圧ラットモデルからの最近データでは、高血圧および左心室肥大を阻止するには不十分は低用量のアンジオテンシン-変換酵素阻害剤による治療により毛細血管新生が誘起されることが示されている。未治療対照標準と比べ、アンジオテンシン変換酵素阻害剤を用いた治療では心筋の毛細血管増殖が増大し(Ungerら、Hypertension、20:478482(1992))、この効果はブラジキニンの分解を阻害し、その作用を増強した結果であると考えられた。ブラジキニンは微小血管内皮細胞からのNOの放出を誘発することにより心筋血流を増大させ、増大した血流は毛細血管増殖の強力な刺激となる(Mallら、Bas Res Cardiol、85:531-540(1990))。
血管細胞における正常な代謝過程は酸化的損傷および細胞機能不全を制限するために中和されるべき反応性酸素中間体の発生と関連する。通常の心血管疾患または障害の状況、またはアテローム血栓症性疾患に対する通常の危険因子の存在下では、反応性酸素種(ROS)は十分に発生し、その合成速度および流量は内因性抗酸化機構の能力を典型的には超える。高コレステロール血症、高血糖(Keaneyら、Circulation、99:189-191(1999))、喫煙、高ホモシステイン血症、高血圧および明らかなアテローム硬化はすべて血漿および組織ROS発生の増大を伴う。スーパーオキシドアニオン、過酸化水素、ヒドロキシルラジカル、ペルオキシニトライト、および脂質過酸化物は全てこれらの条件において増大する。わかっていないのは、これらの疾患でのROSの増加が基礎となる過程の一次事象、または二次的な結果、またはそれらの両方であるのかどうかということである。
ROSの中和(すなわち、還元)に対し重要な内因性抗酸化剤は2つの群に分類することができる:小分子抗酸化剤および抗酸化剤酵素。前者の群はGSH、NADPH、α-トコフェロール、ビタミンC、およびユビキノール-10などの分子を含み、後者の群はスーパーオキシドジスムターゼ、カタラーゼ、およびグルタチオンペルオキシダーゼを含む。これらの分子種のいくつかが不足すると、ROSの定常状態レベルの増加および血管機能不全、例えば、血小板活性化の増加、動脈血栓症(Freedmanら、J Clin Invest、97:979-987(1996);Freedmanら、Circulation、98:1481-1486(1998))、および、血小板血栓症の拡大を制限するのに重要な(Freedman、Circ Res、84:1416-142(1999))血小板由来NOの産生の減少(Kenetら、Arterio Thromb Vasc Biol、19(8):2017-2023(1999))に至ることが示されている。
アテローム血栓症および高血圧血管疾患の幾つかのモデルと関連する血管機能不全にはROS発生が伴う。高ホモシステイン血症マウス(すなわち、シスタチオニンβ-シンターゼノックアウトマウス)(Eberhardtら、Circulation、98:144(1998))、細胞グルタチオンペルオキシダーゼ欠乏マウス(すなわち、細胞グルタチオンペルオキシダーゼノックアウトマウス)、および塩誘発高血圧ラット(すなわち、塩摂食Dahl Sラット)(Trollietら、Circulation、98:1-725(1998))はすべて血管ROSの増加を証明し、このROSの増加は酸化的不活性化によりNOの生物活性の減少を伴う。内皮機能およびNO有用性はシステイン前駆物質により抗酸化剤の状態を改善することにより改善できる(Vitaら、J Cin Invest、101:1408-1414(1998))。さらに、α-トコフェロールは、アテローム血栓性恩恵の1つの機構として(Stephensら、Lancet、347:781-786(1996))血小板阻害(Freedmanら、Circulation、94:2434-2440(1996))に至る。塩負荷塩感受性個体(Dahl S ラット)では血漿F2-イソプロスタン(8-エピ-プロスタグランジンF2)が約5倍増加し、この増加は顕症期の高血圧の発症より先に起こる。これらのデータはすべて、特にアフリカ系アメリカ人に関し、血管機能不全および疾患の発生または展開におけるオキシダントストレスの役割、およびこの病理生物学を防ぐ際における抗酸化機構の重要性を支持する。
上記機構を支持するものとして、最小前腕血管抵抗は白人よりも正常血圧の黒人においてかなり高い(Bassettら、Am J Hypertension、5:781-786(1992))、およびイソプロテレノールに対する前腕血流応答は正常血圧の黒人において著しく減衰し、これはこれらの個人においてβ2-血管拡張薬応答が鈍ったことを示唆する(Langら、N EngI J Med、333:155-160(1995))。黒人は任意の一定レベルの血圧では、白人よりも左心室質量が大きい傾向がある(Korenら、Am J Hypertension、6:815-823(1993);Chaturvediら、J Am Coll Cardiol、24:1499-1505(1994))。いずれの剖検においても定量化されていないが、この応答は不十分な毛細血管新生を伴い易く、これが黒人において観察された拡張期機能不全および微小血管虚血の原因かもしれない。興味深いことに、高分子量キニノーゲンからのブラジキニンの生成の責任を担う酵素である、黒人の尿カリクレインレベルは低いことが観察されている(Zinnerら、Am J Epidemiol、104:124-132(1976);Levyら、J Clin Invest、60:129-138(1977))。このように冠状脈管構造においてブラジキニンおよびブラジキニンにより媒介されるNO産生で同様の異常が存在し、減衰した血流応答は毛細血管新生応答を制限し、局所的に誘起されたNOの内皮増殖効果を阻害する結果となる。
本明細書で見出され記述されているように、アフリカ系アメリカ人は臨床上重要な心血管症候群に対する基礎として作用することができる独特な血管素因を有する。例えば、左心室機能不全の結果の違いは、微小血管内皮機能不全および不十分に血管新生した肥大左心室につながるオキシダントストレスの増強(おそらく塩依存性)増加によるものであるかもしれない。この型の病態生理学的異常により、左心室機能不全にかかった黒人および白人との間で重要な結果の違いに対する基礎が提供されると考えられる(Dreisら、N EngI J Med、340:609-616(1999))。さらに、これらの観察およびその臨床的な結果から、内皮機能が異常であり酸化窒素不足状態である黒人は、内皮機能を改善することにより、外因性酸化窒素供与体を提供することにより、またはその両方により、脈管構造中の酸化窒素を増強させることから直接的な、およびおそらくは不相応な臨床的な恩恵を誘導することが示唆される。
本発明は酸化窒素不足により特徴付けられる血管疾患の治療および/または予防に関し;少なくとも1つのNOおよび/またはNO2基で任意に置換されたネビボロール、および/または少なくとも1つのNOおよび/またはNO2基で任意に置換された(すなわちニトロシル化および/またはニトロソ化された)少なくとも1つのネビボロール代謝産物を投与することによりレイノー症候群を治療および/または予防するため、ならびに心血管疾患または障害を治療および/または予防するためのものである。好ましくは、ニトロソ化および/またはニトロシル化ネビボロール、および/またはそのニトロシル化および/またはニトロソ化代謝産物は、薬学的に許容される担体または希釈剤をさらに含む薬学的組成物として投与される。本発明の新規化合物および新規組成物については本明細書でより詳細に記述する。
ネビボロール((±)-(RSSS)-αα’-(イミノビス(メチレン)ビス-(6-フルオロ-3,4-ジヒドロ-2H-1-ベンゾピラン-2-メタノール)は穏やかな血管拡張特性を有する長期持続性心臓選択的β-遮断薬である。ネビボロールは商品名NEBILET(登録商標)、NEBILOX(登録商標)またはLOBIVON(登録商標)の、等量の2つの鏡像異性体(SRRRおよびRSSS)の混合物として塩酸塩として投与される。アステリスクで示された4つの立体中心を有するネビボロールの構造を以下に示す:
Figure 2004528337
ネビボロールの吸収は迅速で、広範に代謝され、一部活性代謝産物となる。本発明において使用するために企図された化合物はネビボロールおよび当技術分野において周知のすべてのその代謝産物を含み、ならびに例えば、ネビボロールのヒドロキシ誘導体、ネビボロールのN-アルキル化代謝産物などの本明細書で記述したものを含む。ネビボロールおよびその代謝産物は、例えば、米国特許第4,654,362号、同5,759,580号、同6,075,046号および欧州特許第0 145 067号、同0 334 429号、ならびに国際公開公報第95/22325号および同96/19987号;Van Lommenら、J. Pharm. Belg.、45(6):355-360(1990);Chandrasekhar、S.ら、Tetrahedron、56(34):6339-6344(2000);およびFendrickxら、J.Chromatogr.A.、729:341-354(1996)において開示されている。これらの各々の開示内容は参照により全体として本明細書に組み込まれる。
1つの態様では、本発明は化学式(I)のニトロソ化および/またはニトロシル化ネビボロール、その異性体、および薬学的に許容されるその塩について記述する;
Figure 2004528337
(式中、
化学式(I)の化合物が少なくとも1つの亜硝酸基、硝酸基、チオ亜硝酸基またはチオ硝酸基を含まなければならないという条件で、
Dは水素、Q、KまたはR5であり;
D1は水素またはR5であり;
R5
Figure 2004528337
であり;
D2は水素、QまたはKであり;
Qは-NOまたは-NO2であり;
Kは-Wa-Eb-(C(Re)(Rf))p-Ec-(C(Re)(Rf))x-Wd-(C(Re)(Rf))y-Wi-Ej-Wg-(C(Re)(Rf))z-T-Qであり;
a、b、c、d、g、iおよびjはそれぞれ独立して0〜3の整数であり;
p、x、yおよびzはそれぞれ独立して0〜10の整数であり;
各事象のWは独立して、-C(O)-、-C(S)-、-T-、-(C(Re)(Rf))h-、アルキル基、アリール基、複素環、アリール複素環、または-(CH2CH2O)q-であり;
各事象のEは独立して、-T-、アルキル基、アリール基、-(C(Re)(Rf))h-、複素環、アリール複素環、または-(CH2CH2O)q-であり;
hは1〜10の整数であり;
qは1〜5の整数であり;
ReおよびRfはそれぞれ独立して、水素、アルキル、シクロアルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アリール複素環、アルキルアリール、アルキルシクロアルキル、アルキル複素環、シクロアルキルアルキル、シクロアルキルチオ、シクロアルケニル、複素環式アルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、アルキルアリールアミノ、アルコキシハロアルキル、ハロアルコキシ、スルホン酸、スルホン酸エステル、アルキルスルホン酸、アリールスルホン酸、アリールアルコキシ、アルキルチオ、アリールチオ、シアノ、アミノアルキル、アミノアリール、アリール、アリールアルキル、アルキルアリール、カルボキサミド、アルキルカルボキサミド、アリールカルボキサミド、アミジル、カルボキシル、カルバモイル、アルキルカルボン酸、アリールカルボン酸、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、エステル、カルボン酸エステル、アルキルカルボン酸エステル、アリールカルボン酸エステル、ハロアルコキシ、スルホンアミド、アルキルスルホンアミド、アリールスルホンアミド、アルキルスルホニル、アルキルスルホニルオキシ、アリールスルホニル、アリールスルホニルオキシ、スルホン酸エステル、尿素、ホスホリル、ニトロ、Wh、-T-Q、もしくは-(C(Re)(Rf))k-T-Qであり、またはReおよびRfはそれらが結合している炭素と一緒になりカルボニル、メタンチアール、複素環、シクロアルキル基、アリール基、オキシムまたは架橋シクロアルキル基を形成し;
kは1〜3の整数であり;
各事象のTは独立して、共有結合、カルボニル、酸素、-S(O)o-または-N(Ra)Ri-であり;
oは0〜2の整数であり;
Raは孤立電子対、水素またはアルキル基であり;
Riは水素、アルキル、アリール、アルキルカルボン酸、アリールカルボン酸、アルキルカルボン酸エステル、アリールカルボン酸エステル、アルキルカルボキサミド、アリールカルボキサミド、アルキルアリール、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルスルホニルオキシ、アリールスルフィニル、アリールスルホニル、アリールスルホニルオキシ、スルホンアミド、カルボキサミド、カルボン酸エステル、アミノアルキル、アミノアリール、-CH2-C(T-Q)(Re)(Rf)、隣接する原子への二重結合を形成するその原子への結合、-(N2O2-)-・M(式中、Mは有機陽イオンまたは無機陽イオンである))。
ReおよびRfが複素環である場合、またはReおよびRfがそれらが結合しているヘテロ原子と一緒になり複素環となる場合、Riはラジカル内に含まれる任意の二基置換窒素上の置換基とすることができ、Riは本明細書で規定される。
次々と存する複数の変数の指定が「共有結合」として選択され、選択された整数が0である場合、その意図は1つのラジカルを別のラジカルに結合させる共有単結合を示す。例えば、E0は共有結合を示すが、E2は(E-E)を示し、および(C(Re)(Rf))2は-C(Re)(Rf)-C(Re)(Rf)-を示し、ここで、各事象のReおよびRfはそれぞれ本明細書で規定される部分から独立して選択される。
本発明の他の態様は、化学式(II)、化学式(III)、化学式(IV)または化学式(V)のネビボロールのニトロソ化および/またはニトロシル化代謝産物、その異性体、および薬学的に許容されるその塩を記述する;
ここで化学式(II)、化学式(III)、化学式(IV)および化学式(V)の化合物は以下の通りである:
Figure 2004528337
Figure 2004528337
Figure 2004528337
Figure 2004528337
(式中、
化学式(II)、化学式(III)、化学式(IV)および化学式(V)の化合物は少なくとも1つの亜硝酸基、硝酸基、チオ亜硝酸基またはチオ硝酸基を含まなければならないという条件で、
各事象のR6独立して、水素、ヒドロキシまたは-ODであり;
DおよびD1は本明細書で規定される)。
1つまたは複数の不斉炭素原子を有する本発明の化合物は、光学的に純粋な鏡像異性体、純粋なジアステレオマー、鏡像異性体混合物、ジアステレオマー混合物、鏡像異性体のラセミ混合物、ジアステレオラセミ化合物またはジアステレオラセミ化合物の混合物として存在することができる。本発明はそのような異性体およびそれらの混合物全てをその範囲内にあると予想しかつこれを含むと考えられる。
親ネビボロール化合物およびその代謝産物は、例えば、米国特許第4,654,362号、同5,759,580号、同6,075,046号、および欧州特許第0 145 067号、同0 334 429号、ならびに国際公開公報第95/22325号および同96/19987号;Van Lommenら、J.Pharm.Belg.、45(6):355-360(1990);Chandrasekhar、Sら、Tetrahedron、56(34):6339-6344(2000);およびFendrickxら、J.Chromatogr.A.、729:341-354(1996)において記述されている方法に従い当業者により合成できる。これらのそれぞれの開示内容は参照により全体を明細書に組み込むものとする。親ネビボロール化合物およびその代謝産物は酸素(ヒドロキシル縮合)、硫黄(スルフヒドリル縮合)、および/または窒素などの1またはそれ以上の部位を介してニトロソ化および/またはニトロシル化することができる。本発明のニトロソ化およびニトロシル化化合物は当業者に周知の従来を使用して調製することができる。例えば、化合物をニトロシル化するための周知の方法は米国特許第5,380,758号および同5,703,073号;国際公開公報第97/27749号;国際公開公報第98/19672号;およびOaeら、Org.Prep.Proc.Int.、15(3):165-198(1983)において記述されている。これらのそれぞれの開示内容は参照により全体として本明細書に組み込まれる。
本発明の化合物は本明細書で記述した方法に従い合成することができる。反応は試薬に適した溶媒中で実施され、使用した材料は変換を実施するのに適している。有機合成の当業者であれば、分子中に存在する官能基は提案した化学変換と一致しなければならいことを理解する。時として、合成段階の順序、必要な保護基、および脱保護条件についてルーチナーが判断する必要がある。開始材料上の置換基は、記述した方法のいくつかにおいて必要とされる反応条件のいくつかと適合しないこともあるが、反応条件と適合する他の方法および置換基は当業者には容易に明らかになる。合成手順中の望ましくない反応に対しチオールおよびアルコール基を保護するために硫黄および酸素保護基を使用することは当技術分野で周知であり、多くのそのような保護基が周知である。例えば、T.H.GreeneおよびP.G.M.Wuts、Protective Groups in Organic Synthesis、John Wiley&Sons、ニューヨーク(1999)。これについては全体として明細書に組み込むものとする。
本発明の化合物は図1〜16において示されるように合成することができる。化学式(I) (式中、Re、Rfおよびpは本明細書で規定され、D1は水素であり、P1はアセチルまたはトリフルオロアセチルエステル、および水素であり、O-ニトロシル化エステルは本明細書で規定されるD基を代表する)のニトロソ化合物は図1で概説されるように調製してもよい。化学式1のアミンは保護されて化学式2の化合物が得られる。ここでP3は本明細書で規定される通りである。アミンのための好ましい保護基はカルバミン酸ベンジルまたはカルバミン酸tert-ブチルなどのカルバミン酸エステル、またはトリフルオロアセトアミドなどのアミドとして存在する。化学式2のアルコール基は、活性化アシル化剤(P1は本明細書で規定される)を含む適当な保護アルコールとの反応により、化学式3(ここで、p、ReおよびRfは本明細書で規定される)のエステルに転化される。エステル形成のための好ましい方法はアルコールを、酸を含む保護アルコールの予め形成された酸塩化物または対称無水物と反応させる、またはアルコールと酸を含む保護アルコールとを、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)または1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDAC・HCl)などの脱水剤の存在下、4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)または1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)などの触媒を用いて、または触媒無しで、縮合させるものである。アルコール部分に対する好ましい保護基は、トリメチルシリルエーテルまたはtert-ブチルジメチルシリルエーテルなどのシリルエーテルである。アセチルまたはトリフルオロアセチルエステルなどのエステルとしての残存第二アルコールの保護、続いてシリル化ヒドロキシル部分の脱保護(フッ化物はシリルエーテル保護基を除去するための好ましい方法である)およびその後のピリジンまたはトリエチルアミンなどの塩基性アミンを用いた、または用いないジクロロメタン、THF、DMFまたはアセトニトリルなどの適した無水溶媒中での塩化チオニル亜硝酸塩、チオニルジニトライト、またはテトラフルオロホウ酸ニトロソニウムなどの適したニトロシル化剤との反応により、化学式4の化合物が得られる。化学式4の化合物はその後、アミンおよび残存ヒドロキシル基を脱保護することにより化学式IAの化合物に転化される。パラジウムまたは白金などの遷移金属触媒の存在下の水素が、ベンジルエーテルおよびカルバミン酸ベンジル保護基を除去するのに好ましい方法であり、メタノール、ジオキサンまたは酢酸エチル中のトリフルオロ酢酸または塩酸などの無水強酸はカルバミン酸t-ブチル保護基を除去するのに好ましく、メタノール中の炭酸ナトリウム水溶液もしくは炭酸カリウム水溶液またはアンモニアなどの弱塩基はトリフルオロアセトアミド、トリフルオロアセチルエステルまたはアセチルエステル保護基を除去するのに好ましい方法である。
化学式(I)(式中、P3、Re、Rfおよびpは本明細書で規定され、D1は水素であり、S-ニトロシル化エステルは本明細書で規定されるD基を代表する)のニトロソ化合物は図2で概説されるように調製してもよい。カルバミン酸t-ブチルなどのカルバミン酸エステルであるアミンのための好ましい保護基を有する化学式2(式中、P3は本明細書で規定される)の化合物は、活性化アシル化剤を含む適当な保護チオール(式中、P2は本明細書で規定される)との反応により、化学式5(式中、p、Re、およびRfは本明細書で規定される)のエステルに転化される。エステル形成のための好ましい方法は、アルコールを、酸を含む保護チオールの予め形成された酸塩化物または対称無水物と反応させる、またはアルコールと、酸を含む保護チオールとを、DCCまたはEDAC・HClなどの脱水剤の存在下、DMAPまたはHOBtなどの触媒を用いて、または触媒無しで、縮合させるものである。チオール部分のための好ましい保護基は、チオ酢酸またはチオ安息香酸などのチオエステル、ジスルフィド、チオカルバミン酸N-メトキシメチルなどのチオカルバミン酸エステル、またはパラメトキシベンジルチオエーテル、テトラヒドロピラニルチオエーテルもしくは2,4,6-トリメトキシベンジルチオエーテルなどのチオエーテルとして存在する。チオール部分の脱保護により化学式6の化合物が得られる(希釈酸水溶液中の亜鉛、水中のトリフェニルホスフィンおよびホウ化水素ナトリウムがジスルフィド基を還元するのに好ましい方法であり、塩基水溶液がチオエステルを加水分解するのに典型的には使用され、およびチオカルバミン酸N-メトキシメチルおよびトリフルオロ酢酸水銀、または硝酸銀がパラメトキシベンジルチオエーテル、テトラヒドロピラニルチオエーテルまたは2,4,6-トリメトキシベンジルチオエーテル基を除去するには好ましい方法である)。化学式6の化合物を、チオールを基本とした等モル当量の適したニトロシル化剤、例えば、塩化チオニル亜硝酸塩、チオニルジニトライト、亜硝酸tert-ブチルなどの亜硝酸低級アルキル、またはテトラフルオロホウ酸ニトロソニウムなどと、塩化メチレン、THF、DMFまたはアセトニトリルなどの適した無水溶媒中で、ピリジンまたはトリエチルアミンなどのアミン塩基を用いて、または用いずに反応させると化学式7の化合物が得られる。また、化合物6を、酸性水溶液またはアルコール水溶液中で化学量論量の亜硝酸ナトリウムで処理すると、化学式7の化合物が得られる。その後、化学式7の化合物はアミンの脱保護により化学式IBの化合物に転化される(カルバミン酸t-ブチルを除去するためにジオキサン中のHClまたはトリフルオロ酢酸などの強酸が使用される)。
化学式(I)(式中、Re、Rf、kおよびpは本明細書で規定され、D1は水素であり、O-ニトロソ化エステルは本明細書で規定されるD基を代表する)のニトロ化合物は図3で概説されるように調製してもよい。カルバミン酸t-ブチルなどのカルバミン酸エステルであるアミンのための好ましい保護基を有する化学式2(式中、P3は本明細書で規定される)の化合物は、活性化アシル化剤を含む適当なニトレートとの反応により、化学式8(式中、p、ReおよびRfは本明細書で規定される)のエステルに転化される。エステル形成のための好ましい方法は、アルコールを、酸を含むニトレートの予め形成された酸塩化物または対称無水物と反応させる、またはアルコールと、酸を含むニトレートとを、DCCまたはEDAC・HClなどの脱水剤の存在下、DMAPまたはHOBtなどの触媒を用いて、または触媒無しで、縮合させるものである。アミンの脱保護により化学式ICの化合物が得られる。((カルバミン酸t-ブチルを除去するためにジオキサン中のHClまたはトリフルオロ酢酸などの強酸が使用される)。
化学式(I)(式中、Re、Rf、Riおよびpは本明細書で規定され、D1は水素であり、水素および2-ヒドロキシ-2-ニトロヒドラジンエステルは本明細書で規定されるD基を代表する)の2-ヒドロキシ-2-ニトロソヒドラジン化合物は図4で概説されるように調製してもよい。トリフルオロアセトアミドなどのアミドであるアミンのための好ましい保護基を有する化学式2(式中、P3は本明細書で規定される)の化合物は、活性化アシル化剤を含む適当な保護アミン(式中P3’はアミン保護基である)との反応により、化学式9(式中、p、ReR f 、およびR i は本明細書で規定される)のエステルに転化される。アミンに対する好ましいP3’保護基はカルバミン酸ベンジルまたはカルバミン酸tert-ブチルなどのカルバミン酸エステルとして存在する。エステル形成のための好ましい方法は、アルコールを、酸を含む保護アミンの予め形成された酸塩化物または対称無水物と反応させる、またはアルコールと、酸を含む保護アミンとを、DCCまたはEDAC・HClなどの脱水剤の存在下、DMAPまたはHOBtなどの触媒を用いて、または触媒無しで、縮合させるものである。P3’アミン保護基の除去(パラジウムまたは白金などの遷移金属触媒の存在下の水素が、カルバミン酸ベンジル保護基を除去するのに好ましい方法であり、メタノール、ジオキサンまたは酢酸エチル中のトリフルオロ酢酸または塩酸などの無水強酸はカルバミン酸t-ブチル保護基を除去するのに好ましい)後、アミンをエーテルまたはテトラヒドロフランなどの無水不活性溶剤中で酸化窒素(1〜5気圧)処理すると、化学式10(M+は本明細書で規定される)の化合物が得られる。その後、化学式10の化合物は残存アミン保護基を除去することにより化学式IDの化合物に転化される(炭酸ナトリウム水溶液もしくは炭酸カリウム水溶液またはメタノール中のアンモニアなどの弱塩基はトリフルオロアセトアミド保護基を除去するのに好ましい方法である)。
化学式(II)(式中、Re、Rfおよびpは本明細書で規定され、P 1’ はアセチルエステルもしくはトリフルオロアセチルエステルまたはベンジルエーテルであり、水素およびO-ニトロシル化エステルは本明細書で規定されるD基を代表する)のニトロソ化合物は図5で概説されるように調製してもよい。化学式11のアルコール基は、活性化アシル化剤(式中、P1は本明細書で規定される)を含む適当な保護アルコールとの反応により、化学式12(p、ReおよびRfは本明細書で規定される)のエステルに転化される。エステル形成のための好ましい方法は、アルコールを、酸を含む保護アルコールの予め形成された酸塩化物または対称無水物と反応させる、またはアルコールと、酸を含む保護アルコールとを、DCCまたはEDAC・HClなどの脱水剤の存在下、DMAPまたはHOBtなどの触媒を用いて、または触媒無しで、縮合させるものである。アルコール部分に対する好ましい保護基はシリルエーテル、例えばトリメチルシリルエーテルまたはtert-ブチルジメチルシリルエーテルである。残りの第二アルコールをアセチルエステルまたはトリフルオロアセチルエステルなどのエステルとして保護した後、シリル化ヒドロキシル部分の脱保護を実施し(フッ化物イオンはシリルエーテル保護基を除去するための好ましい方法である)、その後ジクロロメタン、THF、DMFまたはアセトニトリルなどの適した無水溶媒中で、ピリジンまたはトリエチルアミンなどのアミン塩基を用いて、または用いないで、塩化チオニル亜硝酸塩、チオニルジニトライト、またはテトラフルオロホウ酸ニトロソニウムなどの適したニトロシル化剤と反応せると、化学式13の化合物が得られる。その後、化学式13の化合物は残りのヒドロキシル基を脱保護することにより化学式IIAの化合物に転化される。パラジウムまたは白金などの遷移金属触媒の存在下での水素はベンジルエーテル保護基を除去するのに好ましい方法であり、炭酸ナトリウム水溶液もしくは炭酸カリウム水溶液またはメタノール中のアンモニアなどの弱塩基はトリフルオロアセチルエステルまたはアセチルエステル保護基を除去するのに好ましい方法である。
化学式(II)(式中、Re、Rfおよびpは本明細書で規定され、ならびに水素およびS-ニトロシル化エステルは本明細書で規定されるD基を代表する)のニトロソ化合物は図6で概説されるように調製してもよい。化学式11の化合物は、活性化アシル化剤を含む適当な保護チオール(式中、P2は本明細書で規定される)との反応により、化学式14(式中、p、Re、およびRfは本明細書で規定される)のエステルに転化される。エステル形成のための好ましい方法は、アルコールを、酸を含む保護チオールの予め形成された酸塩化物または対称無水物と反応させる、またはアルコールと、酸を含む保護チオールとを、DCCまたはEDAC・HClなどの脱水剤の存在下、DMAPまたはHOBtなどの触媒を用いて、または触媒無しで、縮合させるものである。チオール部分のための好ましい保護基は、チオ酢酸エステルまたはチオ安息香酸エステルなどのチオエステル、ジスルフィド、チオカルバミン酸N-メトキシメチルなどのチオカルバミン酸、またはパラメトキシベンジルチオエーテル、テトラヒドロピラニルチオエーテルもしくは2,4,6-トリメトキシベンジルチオエーテルなどのチオエーテルとして存在する。チオール部分の脱保護により化学式15の化合物が得られる(希釈酸水溶液中の亜鉛、水中のトリフェニルホスフィンおよびホウ化水素ナトリウムがジスルフィド基を還元するのに好ましい方法であり、塩基水溶液がチオエステルおよびチオカルバミン酸N-メトキシメチルを加水分解するのに典型的には使用され、およびトリフルオロ酢酸水銀、硝酸銀、またはトリフルオロ酢酸もしくは塩酸などの強酸および熱がパラメトキシベンジルチオエーテル、テトラヒドロピラニルチオエーテルまたは2,4,6-トリメトキシベンジルチオエーテル基を除去するのに使用される)。化学式15の化合物を、(チオールを基本とした)等モル当量の適したニトロシル化剤、例えば、塩化チオニル亜硝酸塩、チオニルジニトライト、亜硝酸tert-ブチルなどの亜硝酸低級アルキル、またはテトラフルオロホウ酸ニトロソニウムなどと、塩化メチレン、THF、DMFまたはアセトニトリルなどの適した無水溶媒中で、ピリジンまたはトリエチルアミンなどのアミン塩基を用いて、または用いずに反応させると化学式IIBの化合物が得られる。また、化合物15を、酸性水溶液またはアルコール水溶液中で化学量論量の亜硝酸ナトリウムで処理すると、化学式IIBの化合物が得られる。
化学式(II)(式中、Re、Rf、kおよびpは本明細書で規定され、水素およびO-ニトロソ化エステルは本明細書で規定されるD基を代表する)のニトロ化合物は図7で概説されるように調製してもよい。化学式11の化合物は、活性化アシル化剤を含む適当なニトレートとの反応により、化学式IIC(式中、p、k、ReおよびRfは本明細書で規定される)のエステルに転化される。エステル形成のための好ましい方法は、アルコールを、酸を含むニトレートの予め形成された酸塩化物または対称無水物と反応させる、またはアルコールと、酸を含むニトレートとを、DCCまたはEDAC・HClなどの脱水剤の存在下、DMAPまたはHOBtなどの触媒を用いて、または触媒無しで、縮合させるものである。
化学式(II)(式中、Re、Rf、Riおよびpは本明細書で規定され、水素および2-ヒドロキシ-2-ニトロヒドラジンエステルは本明細書で規定されるD基を代表する)の2-ヒドロキシ-2-ニトロソヒドラジン化合物は図8で概説されるように調製してもよい。化学式11の化合物は、活性化アシル化剤を含む適当な保護アミン(式中P3はアミン保護基である)との反応により、化学式16(式中、p、Ri、ReおよびRfは本明細書で規定される)のエステルに転化される。アミンに対する好ましい保護基はカルバミン酸ベンジルまたはカルバミン酸tert-ブチルなどのカルバミン酸エステルとして存在する。エステル形成のための好ましい方法は、アルコールを、酸を含む保護アミンの予め形成された酸塩化物または対称無水物と反応させる、またはアルコールと、酸を含む保護アミンとを、DCCまたはEDAC・HClなどの脱水剤の存在下、DMAPまたはHOBtなどの触媒を用いて、または触媒無しで、縮合させるものである。P3アミン保護基の除去(パラジウムまたは白金などの遷移金属触媒の存在下の水素が、カルバミン酸ベンジル保護基を除去するのに好ましい方法であり、メタノール、ジオキサンまたは酢酸エチル中のトリフルオロ酢酸または塩酸などの無水強酸はカルバミン酸t-ブチル保護基を除去するのに好ましい)後、アミンをエーテルまたはテトラヒドロフランなどの無水不活性溶剤中で酸化窒素(1〜5気圧)処理すると、化学式IID(M+は本明細書で規定される)の化合物が得られる。
化学式(III)(式中、Re、Rfおよびpは本明細書で規定され、P 1’ はアセチルエステルもしくは炭酸ベンジルであり、ならびに水素およびO-ニトロシル化エステルは本明細書で規定されるD基を代表する)のニトロソ化合物は図9で概説されるように調製してもよい。化学式17のアルコールおよび酸性基は、保護されて化学式18の化合物が得られる。アルコールに対する好ましい保護基は炭酸ベンジルなどの炭酸エステルまたはアセチルエステルなどのエステルであり、酸に対する好ましい保護基はt-ブチルエステルなどのエステルである。ヒドロキシル部分の脱保護(触媒水素化が炭酸ベンジルを開裂させるための好ましい方法であり、弱塩基水溶液はアセチルエステル基を除去する)後、活性化アシル化剤を含む適当な保護アルコール(式中、Re、RfおよびpならびにP1は本明細書で規定される)とアルコール基とを反応させると、化学式19の化合物が得られる。エステル形成のための好ましい方法は、アルコールを、酸を含む保護アルコールの予め形成された酸塩化物または対称無水物と反応させる、またはアルコールと、酸を含む保護アルコールとを、DCCまたはEDAC・HClなどの脱水剤の存在下、DMAPまたはHOBtなどの触媒を用いて、または触媒無しで、縮合させるものである。アルコール部分に対する好ましい保護基は、tert-ブチルジメチルシリルエーテルなどのシリルエーテルである。酸およびヒドロキシル部分の脱保護(ジオキサン中のHClまたはトリフルオロ酢酸などの強酸はt-ブチルエステルを開裂させ、フッ化物イオンはシリルエーテル保護基を除去するのに好ましい方法である)後、ジクロロメタン、THF、DMFまたはアセトニトリルなどの適した無水溶媒中で、ピリジンまたはトリエチルアミンなどのアミン塩基を用いて、または用いないで、塩化チオニル亜硝酸塩、チオニルジニトライト、またはテトラフルオロホウ酸ニトロソニウムなどの適したニトロシル化剤と反応せると、化学式IIIAの化合物が得られる。
化学式(III)(式中、Re、Rfおよびpは本明細書で規定され、P 1’ はアセチルエステルもしくは炭酸ベンジルであり、ならびに水素およびO-ニトロシル化エステルは本明細書で規定されるD基を代表する)のニトロソ化合物は図10で概説されるように調製してもよい。化学式18(式中、アルコールに対する好ましい保護基は炭酸ベンジルなどの炭酸塩またはアセチルエステルなどのエステルであり、酸に対する好ましい保護基はt-ブチルエステルなどのエステルである)の化合物はt−ブチルエステル部分の除去(ジオキサン中のHClまたはトリフルオロ酢酸などの強酸はt-ブチルエステルを開裂させる)により化学式20の化合物に転化される。化学式20の化合物は酸性基をアルコールを含む適当な保護アルコール(式中、Re、Rf、pおよびP1は本明細書で規定される)と反応させると、化学式21のエステルに転化される。エステル形成のための好ましい方法は、アルコールを、酸を含む保護アルコールの予め形成された酸塩化物または対称無水物と反応させる、またはアルコールと、酸を含む保護アルコールとを、DCCまたはEDAC・HClなどの脱水剤の存在下、DMAPまたはHOBtなどの触媒を用いて、または触媒無しで、縮合させるものである。アルコールを含む保護アルコール上のアルコール部分に対する好ましい保護基は、tert-ブチルジメチルシリルエーテルなどのシリルエーテルである。シリルヒドロキシル部分の脱保護(フッ化物イオンはシリルエーテル保護基の除去には好ましい方法である)後、ジクロロメタン、THF、DMFまたはアセトニトリルなどの適した無水溶媒中で、ピリジンまたはトリエチルアミンなどのアミン塩基を用いて、または用いないで、塩化チオニル亜硝酸塩、チオニルジニトライト、またはテトラフルオロホウ酸ニトロソニウムなどの適したニトロシル化剤と反応せると、化学式22の化合物が得られる。残りのヒドロキシル保護基を除去する(触媒水素化は炭酸ベンジルを開裂するのに好ましい方法であり、弱塩基水溶液はアセチルエステル基を除去する)と化学式IIIBの化合物が得られる。
化学式(III)(式中、Re、Rfおよびpは本明細書で規定され、ならびに水素およびS-ニトロシル化エステルは本明細書で規定されるD基を代表する)のニトロソ化合物は図11で概説されるように調製してもよい。化学式18の化合物(アルコールに対する好ましい保護基は炭酸ベンジルなどの炭酸エステルまたはアセチルエステルなどのエステルとして存在し、酸に対する好ましい保護基はt-ブチルエステルなどのエステルとして存在する)は、ヒドロキシル部分の脱保護により(触媒水素化は炭酸ベンジルを開裂するのに好ましい方法であり、弱塩基水溶液はアセチルエステル基を除去する)化学式23の化合物に転化される。アルコール基を活性化アシル化剤を含む適当な保護チオール(式中、Re、RfおよびpならびにP2は本明細書で規定される)と反応させると、化学式24の化合物が得られる。エステル形成のための好ましい方法は、アルコールを、酸を含む保護チオールの予め形成された酸塩化物または対称無水物と反応させる、またはアルコールと、酸を含む保護チオールとを、DCCまたはEDAC・HClなどの脱水剤の存在下、DMAPまたはHOBtなどの触媒を用いて、または触媒無しで、縮合させるものである。チオール部分のための好ましい保護基は、チオ酢酸エステルまたはチオ安息香酸エステルなどのチオエステル、ジスルフィド、チオカルバミン酸N-メトキシメチルなどのチオカルバミン酸エステル、またはパラメトキシベンジルチオエーテル、テトラヒドロピラニルチオエーテルもしくは2,4,6-トリメトキシベンジルチオエーテルなどのチオエーテルとして存在する。チオールおよび酸部分の脱保護(希釈酸水溶液中の亜鉛、水中のトリフェニルホスフィンおよびホウ化水素ナトリウムがジスルフィド基を還元するのに好ましい方法であり、塩基水溶液がチオエステルおよびチオカルバミン酸N-メトキシメチルを加水分解するのに典型的には使用され、およびトリフルオロ酢酸水銀、硝酸銀、またはトリフルオロ酢酸もしくは塩酸などの強酸および熱がパラメトキシベンジルチオエーテル、テトラヒドロピラニルチオエーテルまたは2,4,6-トリメトキシベンジルチオエーテル基ならびにt-ブチルエステルを除去するのに使用される)後、適したニトロシル化剤、例えば、塩化チオニル亜硝酸塩、チオニルジニトライト、亜硝酸tert-ブチルなどの亜硝酸低級アルキル、またはテトラフルオロホウ酸ニトロソニウムなどと、塩化メチレン、THF、DMFまたはアセトニトリルなどの適した無水溶媒中で、ピリジンまたはトリエチルアミンなどのアミン塩基を用いて、または用いずに反応させると化学式IIICの化合物が得られる。また、脱保護化合物を、酸性水溶液またはアルコール水溶液中で化学量論量の亜硝酸ナトリウムで処理すると、化学式IIICの化合物が得られる。
化学式(III)(式中、Re、Rfおよびpは本明細書で規定され、P1’はアセチルエステルまたはトリメチルシリルエーテルもしくはt-ブチルジメチルシリルエーテルなどのシリルエーテルであり、ならびに水素およびS-ニトロシル化エステルは本明細書で規定されるD基を代表する)のニトロソ化合物は図12で概説されるように調製してもよい。化学式20の化合物は酸性基をアルコールを含む適当な保護チオール(式中、Re、RfおよびpならびにP2は本明細書で規定される)と反応させることにより化学式25のエステルに転化される。エステル形成のための好ましい方法は、アルコールを、酸を含む保護アルコールの予め形成された酸塩化物または対称無水物と反応させる、またはアルコールと、酸を含む保護アルコールとを、DCCまたはEDAC・HClなどの脱水剤の存在下、DMAPまたはHOBtなどの触媒を用いて、または触媒無しで、縮合させるものである。チオール部分のための好ましい保護基は、チオ酢酸エステルまたはチオ安息香酸エステルなどのチオエステル、ジスルフィド、チオカルバミン酸N-メトキシメチルなどのチオカルバミン酸エステル、またはパラメトキシベンジルチオエーテル、テトラヒドロピラニルチオエーテルもしくは2,4,6-トリメトキシベンジルチオエーテルなどのチオエーテルとして存在する。チオールおよびアルコール部分の脱保護(希釈酸水溶液中の亜鉛、水中のトリフェニルホスフィンおよびホウ化水素ナトリウムがジスルフィド基を還元するのに好ましい方法であり、塩基水溶液がチオエステル、エステルおよびチオカルバミン酸N-メトキシメチルを加水分解するのに典型的には使用され、およびトリフルオロ酢酸水銀、硝酸銀、またはトリフルオロ酢酸もしくは塩酸などの強酸および熱がパラメトキシベンジルチオエーテル、テトラヒドロピラニルチオエーテルまたは2,4,6-トリメトキシベンジルチオエーテル基を除去するのに使用され、フッ化物はシリルエーテル保護基を除去するのに好ましい方法である)後、適したニトロシル化剤、例えば、塩化チオニル亜硝酸塩、チオニルジニトライト、亜硝酸tert-ブチルなどの亜硝酸低級アルキル、またはテトラフルオロホウ酸ニトロソニウムなどと、塩化メチレン、THF、DMFまたはアセトニトリルなどの適した無水溶媒中で、ピリジンまたはトリエチルアミンなどのアミン塩基を用いて、または用いずに反応させると化学式IIIDの化合物が得られる。また、脱保護化合物を、酸性水溶液またはアルコール水溶液中で化学量論量の亜硝酸ナトリウムで処理すると、化学式IIIDの化合物が得られる。
化学式(III)(式中、Re、Rf、kおよびpは本明細書で規定され、水素およびO-ニトロソ化エステルは本明細書で規定されるD基を代表する)のニトロ化合物は図13で概説されるように調製してもよい。化学式23の化合物は活性化アシル化剤を含む適当なニトレートと反応させることにより、化学式26のエステル(式中、p、k、ReおよびRfは本明細書で規定される)に転化される。エステル形成のための好ましい方法は、アルコールを、酸を含むニトレートの予め形成された酸塩化物または対称無水物と反応させる、またはアルコールと、酸を含むニトレートとを、DCCまたはEDAC・HClなどの脱水剤の存在下、DMAPまたはHOBtなどの触媒を用いて、または触媒無しで、縮合させるものである。酸の脱保護(ジオキサン中のHClまたはトリフルオロ酢酸などの強酸はt-ブチルエステルを開裂する)により化学式IIIEの化合物が得られる。
化学式(III)(式中、Re、Rfおよびpは本明細書で規定され、水素およびO-ニトロソ化エステルは本明細書で規定されるD基を代表する)のニトロ化合物は図14で概説されるように調製してもよい。好ましいアルコール保護基がアセチルエステルなどのエステルまたはトリメチルシリルエーテルもしくはtert-ブチルジメチルシリルエーテルなどのシリルエーテルである化学式20の化合物は、アルコールを含む適当なニトレートと反応させることにより、化学式27のエステル(式中、p、ReおよびRfは本明細書で規定される)に転化される。エステル形成のための好ましい方法は、アルコールを含むニトレートを、予め形成された酸塩化物または対称無水物と反応させる、またはアルコールを含むニトレートと酸とを、DCCまたはEDAC・HClなどの脱水剤の存在下、DMAPまたはHOBtなどの触媒を用いて、または触媒無しで、縮合させるものである。残りのヒドロキシル保護基の除去(弱塩基水溶液はアセチルエステル基を除去しフッ化物イオンはシリルエーテル保護基を除去するのに好ましい方法である)により化学式IIIFの化合物が得られる。
化学式(III)(式中、Re、Rf、Riおよびpは本明細書で規定され、水素および2-ヒドロキシ-2-ニトロソヒドラジンエステルは本明細書で規定されるD基を代表する)の2-ヒドロキシ-2-ニトロソヒドラジン化合物は図15で概説されるように調製してもよい。化学式25のアルコール基は、活性化アシル化剤を含む適当な保護アミンとの反応により、化学式28(式中、p、Re、Rf、RiおよびP3は本明細書で規定される)のエステルに転化される。エステル形成のための好ましい方法は、アルコールを、酸を含む保護アミノの予め形成された酸塩化物または対称無水物と反応させる、またはアルコールと、酸を含む保護アミンとを、DCCまたはEDAC・HClなどの脱水剤の存在下、DMAPまたはHOBtなどの触媒を用いて、または触媒無しで、縮合させるものである。アミンに対する好ましい保護基はカルバミン酸t-ブチルもしくはカルバミン酸9-フルオレニルメチルなどのカルバミン酸エステル、またはトリフルオロアセトアミドなどのアミドとして存在する。アミノおよびt-ブチルエステル部分の脱保護(ジオキサン中のHClまたはトリフルオロ酢酸などの強酸を使用してカルバミン酸t-ブチルならびにt-ブチルエステル基を除去し、ピペリジンを使用してカルバミン酸9-フルオレニルメチルを除去し、弱塩基水溶液またはアルコール塩基を用いてトリフルオロアセトアミド基を開裂してもよい)後、エーテルまたはテトラヒドロフランなどの無水不活性溶媒中で酸化窒素(1〜5気圧)でアミンを処理すると、化学式IIIGの化合物(M+は本明細書で規定される)が得られる。
化学式(III)(式中、Re、Rf、Riおよびpは本明細書で規定され、P1は好ましくはアセチルエステルまたはトリメチルシリルエーテルもしくはt-ブチルジメチルシリルエーテルなどのシリル保護基であり、水素および2-ヒドロキシ-2-ニトロソヒドラジンエステルは本明細書で規定されるD基を代表する)の2-ヒドロキシ-2-ニトロソヒドラジン化合物は図16で概説されるように調製してもよい。化学式20の酸性基は、アルコールを含む適当な保護アミンとの反応により、化学式29(式中、p、Re、Rf、RiおよびP3は本明細書で規定される)のエステルに転化される。エステル形成のための好ましい方法は、アルコールを含む保護アミンを、酸の予め形成された酸塩化物または対称無水物と反応させる、またはアルコールを含む保護アミンと、酸とを、DCCまたはEDAC・HClなどの脱水剤の存在下、DMAPまたはHOBtなどの触媒を用いて、または触媒無しで、縮合させるものである。アミンに対する好ましい保護基はカルバミン酸t-ブチルもしくはカルバミン酸9-フルオレニルメチルなどのカルバミン酸、またはトリフルオロアセトアミドなどのアミドとして存在する。アミノおよびアルコール部分の脱保護(ジオキサン中のHClまたはトリフルオロ酢酸などの強酸を使用してカルバミン酸t-ブチルを除去し、ピペリジンを使用してカルバミン酸9-フルオレニルメチルを除去し、弱塩基水溶液またはアルコール塩基を用いてアセチルエステル基を開裂させてもよく、フッ化物を使用してシリルエーテルを除去する)後、エーテルまたはテトラヒドロフランなどの無水不活性溶媒中で酸化窒素(1〜5気圧)でアミンを処理すると、化学式IIIHの化合物(M+は本明細書で規定される)が得られる。
本発明のニトロソ化および/またはニトロシル化ネビボロールならびにニトロソ化および/またはニトロシル化ネビボロール代謝産物は、生物学的に活性な型の一酸化窒素(酸化窒素)を供与、移動または放出する。一酸化窒素は3つの形態で存在することができる:NO-(ニトロキシル)、NO・(酸化窒素)およびNO+(ニトロソニウム)。NO・は潜在的に細胞に毒性のある高反応性短命種である。NOの薬学的効力は送達される形態に依存するのでこれは重要である。酸化窒素ラジカル(NO・)とは対照的に、ニトロソニウム(NO+)はO2またはO2-種とは反応せず、NO+およびNO-を移動および/または放出できる機能性はまた多くの酸化還元金属の存在下での分解に抵抗する。その結果、荷電NO等価物(正および/または負)投与しても毒性副産物の生成または活性NO部分の除去ということにはならない。
本発明で使用するために企図された化合物(例えば、ネビボロール、および/またはニトロソ化および/またはニトロシル化ネビボロール、および/またはネビボロール代謝産物および/またはニトロソ化および/またはニトロシル化ネビボロール代謝産物)は任意に、酸化窒素、および酸化窒素を放出する、またはそうでなければ直接もしくは間接的に酸化窒素をインビボ細胞膜上などの活性部位に送達もしくは移動させる化合物と組み合わせて使用される。
「酸化窒素」という用語は非荷電酸化窒素(NO・)および荷電一酸化窒素種、好ましくは荷電一酸化窒素種、例えばニトロソニウムイオン(NO+)およびニトロキシルイオン(NO-)を含む。酸化窒素の反応型はガス状酸化窒素により提供することができる。一酸化窒素放出、送達または移動化合物はF-NO構造(式中、Fは一酸化窒素放出、送達または移動部分である)を有し、所期の目的のために活性な形態で意図する作用部位に一酸化窒素を提供するそのような化合物のいずれかおよびすべてを含む。「NO付加物」という用語は、任意の一酸化窒素放出、送達、または移動化合物を含み、例えば、S-ニトロソチオール、ニトライト、ニトレート、S-ニトロチオール、シドノニミン、2-ヒドロキシ-2-ニトロソヒドラジン、(NONOate)、(E)-アルキル-2-((E)-ヒドロキシイミノ)-5-ニトロ-3-ヘキセンアミド(FK-409)、(E)-アルキル-2-((E)-ヒドロキシイミノ)-5-ニトロ-3-ヘキセンアミン、N-((2Z,3E)-4-エチル-2-(ヒドロキシイミノ)-6-メチル-5-ニトロ-3-ヘプテニル)-3-ピリジンカルボキサミド(FR146801)、ニトロソアミン、フロキサンならびに酸化窒素を合成する内因性酵素のための基質が挙げられる。NONOateとしては、(Z)-1-(N-メチル-N-(6-(N-メチル-アンモニオヘキシル)アミノ))ジアゼン-1-イウム-1,2-ジオラート(「MAHMA/NO」)、(Z)-1-(N-(3-アンモニオプロピル)-N-(n-プロピル)アミノ)ジアゼン-1-イウム-1,2-ジオラート(「PAPA/NO」)、(Z)-1-(N-(3-アミノプロピル)-N-(4-(3-アミノプロピルアンモニオ)ブチル)-アミノ)ジアゼン-1-イウム-1,2-ジオラート(スペルミンNONOateまたは「SPER/NO」)およびナトリウム(Z)-1-(N,N-ジエチルアミノ)ジアゼニウム-1,2-ジオラート(ジエチルアミンNONOateまたは「DEA/NO」)、およびそれらの誘導体が挙げられるが、これらに限定されるものではない。NONOateはまた米国特許第6,232,336号、同5,910,316号および同5,650,447号において記述されている。これらの開示内容は参照により全体として明細書に組み込まれる。「NO付加物」は、一酸化窒素の生物学的に活性な形態に対し様々な自然に可能なまたは人工的に提供される結合部位でモノニトロシル化、ポリニトロシル化、モノニトロソ化および/またはポリニトロソ化されている。
NO付加物の1つの群は、少なくとも1つの-S-NO基を含む化合物であるS-ニトロソチオールである。これらの化合物はS-ニトロソ-ポリペプチド(「ポリペプチド」という用語は確認された生物学的機能を有しない蛋白質およびポリアミノ酸、ならびにそれらの誘導体を含む);S-ニトロシル化アミノ酸(天然および合成アミノ酸およびそれらの立体異性体、ならびにラセミ混合物およびそれらの誘導体を含む);S-ニトロシル化糖;S-ニトロシル化した修飾および未修飾オリゴヌクレオチド(好ましくは少なくとも5、より好ましくは5〜200ヌクレオチド);直鎖または分枝、飽和または不飽和、脂肪族または芳香族、置換もしくは非置換S-ニトロシル化炭化水素;およびS-ニトロソ複素環式化合物を含む。S-ニトロソチオールおよびそれらの調製方法は米国特許第5,380,758号および同5,703,073号;国際公開公報第97/27749号;同98/19672号ならびにOaeら、Org.Prep.Proc.Int.、15(3):165-198(1983)において記述されている。これらの各々の開示内容は参照により全体として本明細書に組み込まれる。
本発明の他の態様は、ニトロソ基が硫黄含有アミノ酸またはそれらの誘導体の硫黄基に結合されたS-ニトロソアミノ酸である。そのような化合物としては、例えば、S-ニトロソ-N-アセチルシステイン、S-ニトロソ-カプトプリル、S-ニトロソ-N-アセチルペニシラミン、S-ニトロソ-ホモシステイン、S-ニトロソ-システイン、S-ニトロソ-グルタチオン、S-ニトロソ-システイニル-グリシンなどが挙げられる。
適したS-ニトロシル化蛋白質は、様々な機能クラス由来のチオール含有蛋白質(ここで、NO基はアミノ酸またはそのアミノ酸誘導体上の1または複数の硫黄基に結合されている)を含み、例えば、組織型プラスミノーゲン活性化因子(TPA)およびカテプシンBなどの酵素;リポ蛋白質などの輸送蛋白質;ヘモグロビンおよび血清アルブミンなどのヘム蛋白質;および免疫グロブリン、抗体およびサイトカインなどの生物学的保護蛋白質が挙げられる。そのようなニトロシル化蛋白質は国際公開公報第93/09806号において記述されている。その開示内容は参照により全体として本明細書に組み込まれる。例としてポリニトロシル化アルブミンが挙げられる。ここで、蛋白質の1または複数のチオールまたは他の求核中心は修飾されている。
適したS-ニトロソチオールの他の例としては、以下のものが含まれる:
(i)HS(C(Re)(Rf))mSNO;
(ii)ONS(C(Re)(Rf))mRe;および
(iii)H2N-CH(CO2H)-(CH2)m-C(O)NH-CH(CH2SNO)-C(O)NH-CH2-CO2H
(式中、
Riが-CH2-C(T-Q)(Re)(Rf)または-(N2O2-)-・M+である場合、「T-Q」は水素、アルキル基、アルコキシアルキル基、アミノアルキル基、ヒドロキシ基またはアリールであるという条件で、
mは2〜20の整数であり;
ReおよびRfはそれぞれ、水素、アルキル、シクロアルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アリール複素環、アルキルアリール、アルキルシクロアルキル、アルキル複素環、シクロアルキルアルキル、シクロアルキルチオ、シクロアルケニル、複素環式アルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、アルキルアリールアミノ、アルコキシハロアルキル、ハロアルコキシ、スルホン酸、スルホン酸エステル、アルキルスルホン酸、アリールスルホン酸、アリールアルコキシ、アルキルチオ、アリールチオ、シアノ、アミノアルキル、アミノアリール、アリール、アリールアルキル、アルキルアリール、カルボキサミド、アルキルカルボキサミド、アリールカルボキサミド、アミジル、カルボキシル、カルバモイル、アルキルカルボン酸、アリールカルボン酸、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、エステル、カルボン酸エステル、アルキルカルボン酸エステル、アリールカルボン酸エステル、ハロアルコキシ、スルホンアミド、アルキルスルホンアミド、アリールスルホンアミド、アルキルスルホニル、アルキルスルホニルオキシ、アリールスルホニル、アリールスホニルオキシ、スルホン酸エステル、尿素、ホスホリル、ニトロ、Wh、-T-Q、もしくは-(C(Re)(Rf))k-T-Q、またはReおよびRfは共にそれらが結合している炭素と一緒になりカルボニル、メタンチアール、複素環、シクロアルキル基、アリール基、オキシムもしくは架橋シクロアルキル基を形成し;
Qは-NOまたは-NO2であり;および
Tはそれぞれ共有結合、カルボニル、酸素、-S(O)o-または-N(Ra)Ri-であり、ここでoは0〜2の整数であり、Raは孤立電子対、水素またはアルキル基であり;
Riは水素、アルキル、アリール、アルキルカルボン酸、アリールカルボン酸、アルキルカルボン酸エステル、アリールカルボン酸エステル、アルキルカルボキサミド、アリールカルボキサミド、アルキルアリール、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルスルホニルオキシ、アリールスルフィニル、アリールスルホニル、アリールスルホニルオキシ、スルホンアミド、カルボキサミド、カルボン酸エステル、アミノアルキル、アミノアリール、-CH2-C(T-Q)(Re)(Rf)、隣接する原子への二重結合を形成するためのその原子への結合、-(N2O2-)-・M+であり、M+は有機または無機陽イオンである)。
ReおよびRfが複素環である、またはReおよびRfがそれらが結合しているヘテロ原子と一緒により複素環を形成する場合、Riはラジカル内に含まれる任意の二置換性窒素上の置換基とすることができ、ここでRiは本明細書で規定される。
ニトロソチオールは様々な合成法により調製することができる。一般に、チオール前駆物質が最初に調製され、そのチオール基を酸性条件下で(pHは約2.5である)NaNO2によりニトロソ化することによりS-ニトロソチオール誘導体に変換され、S-ニトロソ誘導体が得られる。この目的のために使用することができる酸としては、硫酸、酢酸および塩酸水溶液が挙げられる。チオール前駆物質はまた、亜硝酸tert-ブチル、などの有機ニトライト、またはテトラフルオロホウ酸ニトロソニウムなどのニトロソニウム塩を用いて不活性溶媒中で反応させることによりニトロシル化することができる。
本発明において使用するためのNO付加物(ここで、NO付加物は酸化窒素を供与し、移動しまたは放出する化合物である)の他の群としては、少なくとも1つのON-O-、ON-N-またはON-C-基を含む化合物が挙げられる。少なくとも1つのON-O-、ON-N-またはON-C-基を含む化合物は好ましくはON-O-、ON-N-またはON-C-ポリペプチド(「ポリペプチド」という用語は確認された生物学的機能を有さない蛋白質およびポリアミノ酸、ならびにそれらの誘導体を含む);ON-O-、ON-N-またはON-C-アミノ酸(天然アミノ酸および合成アミノ酸ならびにそれらの立体異性体およびラセミ混合物を含む);ON-O-、ON-N-またはON-C-糖;ON-O-、ON-N-またはON-C-修飾または未修飾オリゴヌクレオチド(少なくとも5ヌクレオチド、好ましくは5〜200ヌクレオチドを有する);ON-O-、ON-N-またはON-C-直鎖または分枝、飽和または不飽和、脂肪族または芳香族、置換もしくは非置換炭化水素;およびON-O-、ON-N-またはON-C-複素環式化合物である。
本発明において使用するためのNO付加物の他の群としては、少なくとも1つのO2N-O-、O2N-N-、O2N-S-またはO2N-C-基を有する化合物などの、酸化窒素を供与、移動または放出するニトレートが挙げられる。これらの化合物のなかでは、O2N-O-、O2N-N-、O2N-S-またはO2N-C-ポリペプチド(「ポリペプチド」という用語は確認された生物学的機能を有さない蛋白質およびポリアミノ酸、ならびにそれらの誘導体を含む);O2N-O-、O2N-N-、O2N-S-またはO2N-C-アミノ酸(天然アミノ酸および合成アミノ酸ならびにそれらの立体異性体およびラセミ混合物を含む);O2N-O-、O2N-N-、O2N-S-またはO2N-C-糖;O2N-O-、O2N-N-、O2N-S-またはO2N-C-修飾および未修飾オリゴヌクレオチド(少なくとも5ヌクレオチド、好ましくは5〜200ヌクレオチドを有する);O2N-O-、O2N-N-、O2N-S-またはO2N-C-直鎖または分枝、飽和または不飽和、脂肪族または芳香族、置換もしくは非置換炭化水素;およびO2N-O-、O2N-N-、O2N-S-またはO2N-C-複素環式化合物が好ましい。少なくとも1つのO2N-O-、O2N-N-、O2N-S-またはO2N-C-基を含む化合物の好ましい例としては、イソソルビドジニトレート、イソソルビドモノニトレート、クロニトレート、エリトリチルテトラニトレート、マンニトールヘキサニトレート、ニトログリセリン、ペンタエリトリトールテトラニトレート、ペントリニトロール、プロパチルニトレートおよびスルフヒドリル含有アミノ酸を有する有機ニトレートが挙げられる。例えばSPM3672、SPM5185、SPM5186、および米国特許第5,284,872号、同5,428,061号、同5,661,129号、同5,807,847号および同5,833,122号ならびに米国仮出願第60/311,175号、ならびに国際公開公報第97/46521号および同00/54756号において開示されているものである。これらのそれぞれの開示内容は参照により全体として本明細書に組み入れられる。
NO付加物の他の群は酸化窒素を供与、移動または放出するN-オキソ-N-ニトロソアミンであり、以下の化学式で表される:
R1R2N-N(O-M+)-NO
(式中、
R1およびR2はそれぞれ、ポリペプチド、アミノ酸、糖、修飾または未修飾オリゴヌクレオチド、直鎖または分枝、飽和または不飽和、脂肪族または芳香族、置換もしくは非置換炭化水素、または複素環であり、
M+は例えば、アルキル置換アンモニウム陽イオンまたはI属金属陽イオンなどの有機または無機陽イオンである)。
NO付加物の他の群は酸化窒素を供与、移動または放出するチオニトレートであり、以下の化学式で表される:R1-(S)-NO2
(式中、
R1はポリペプチド、アミノ酸、糖、修飾または未修飾オリゴヌクレオチド、直鎖または分枝、飽和または不飽和、脂肪族または芳香族、置換もしくは非置換炭化水素、または複素環である)。R1がポリペプチドまたは炭化水素であり、構造的に十分近接、すなわち隣接する一対または複数の対のチオールを有し、そのチオール対が還元されてジスルフィドとなる化合物が好ましい。ジスルフィド種を形成する化合物はニトロキシルイオン(NO-)および非荷電酸化窒素(NO・)を放出する。
本発明はまた、内因性NOを刺激し、もしくはインビボ内皮由来弛緩因子(EDRF)のレベルを上昇させる化合物、または酵素、酸化窒素シンターゼに対する基質である化合物に関する。そのような化合物としては例えば、L-アルギニン、L-ホモアルギニン、およびN-ヒドロキシ-L-アルギニン、例えばそれらのニトロソ化およびニトロシル化類似体(例えば、ニトロソ化L-アルギニン、ニトロシル化L-アルギニン、ニトロソ化N-ヒドロキシ-L-アルギニン、ニトロシル化N-ヒドロキシ-L-アルギニン、ニトロソ化L-ホモアルギニンおよびニトロシル化L-ホモアルギニン)、L-アルギニンの前駆物質および/または生理学的に許容されるそれらの塩、例えば、シトルリン、オルニチン、グルタミン、リシン、これらのアミノ酸の少なくとも1つを含むポリペプチド、酵素アルギナーゼの阻害物質(例えば、N-ヒドロキシ-L-アルギニンおよび2(S)-アミノ-6-ボロノヘキサン酸)ならびに酸化窒素シンターゼのための基質、サイトカイン、アデノシン、ブラジキニン、カルレチクリン、ビサコジル、およびフェノールフタレインが挙げられる。EDRFは内皮により分泌される血管弛緩因子であり、酸化窒素(NO)またはその密接に関連する誘導体として同定されている(Palmerら、Nature、327:524-526(1987);Ignarroら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、84:9265-9269(1987))。
本発明はまた、本明細書で記述した化合物および組成物を治療上有効な量投与すると酸化窒素(NO)不足により特徴付けられる血管疾患を治療および/または予防するのに効果的であるという発見に基づく。例えば、本発明の少なくとも1つのニトロソ化および/またはニトロシル化ネビボロールを治療上有効量、患者に投与することができる。他の態様では、少なくとも1つのニトロソ化および/またはニトロシル化ネビボロール代謝産物を治療上有効量、患者に投与することができる。さらに他の態様では、任意に少なくとも1つのNOおよび/またはNO2基で置換されたネビボロール、および/または任意に少なくとも1つのNOおよび/またはNO2基で置換された少なくとも1つのネビボロール代謝産物、および酸化窒素を荷電種として供与、移動または放出し、もしくは内因性EDRFまたは酸化窒素のレベルを上昇させ、または酸化窒素シンターゼに対する基質である少なくとも1つの化合物を治療上有効量、患者に投与することができる。他の態様では、任意に少なくとも1つのNOおよび/またはNO2基で置換されたネビボロール、および/または任意に少なくとも1つのNOおよび/またはNO2基で置換された少なくとも1つのネビボロール代謝産物、および任意に、酸化窒素を荷電種として供与、移動または放出し、もしくは内因性EDRFまたは酸化窒素のレベルを上昇させ、または酸化窒素シンターゼに対する基質である少なくとも1つの化合物、および/または少なくとも1つの抗酸化剤または薬学的に許容されるその塩、および/または心血管疾患を治療するのに使用される少なくとも1つの化合物または薬学的に許容されるその塩を治療上有効量、患者に投与することができる。心血管疾患を治療するのに使用される化合物は任意に少なくとも1つのNO2基で置換することができる(すなわち、ニトロソ化される)。化合物は別個に、または1つの組成物として投与することができる。
本発明では、荷電種として酸化窒素を供与、移動または放出し、もしくは内因性EDRFまたは酸化窒素のレベルを上昇させ、または酸化窒素シンターゼに対する基質である化合物はイソソルビドジニトレートおよび/またはイソソルビドモノニトレート、より好ましくはイソソルビドジニトレートとしてもよい。希釈したイソソルビドジニトレート(1,4,3,6-ジアンヒドロ-D-グルシトール-2,5-ジニトレート)、USPは白色〜オフホワイトの粉末であり、融点70℃、光学回転+135°(3mg/mL、エタノール)である。エタノール、エーテルおよびクロロホルムなどの有機溶媒に大量に溶解するが、水への溶解性は乏しい。イソソルビドジニトレートは、例えば商品名DILATRATE(登録商標)-SR(Schwarz Pharma、ウィスコンシン州ミルウォーキー);ISORDIL(登録商標)およびISORDILR TITRADOSE(登録商標) (Wyeth Laboratories Inc.,ペンシルバニア州フィラデルフィア);およびSORBITRATE(登録商標)(Zeneca Pharmaceuticals、デラウェア州ウイルミントン)で市販されている。イソソルビドモノニトレートは例えば商品名IMDUR(登録商標)(A.B.Astra、スウェーデン);MONOKET(登録商標)(Schwarz Pharma、ウィスコンシン州ミルウォーキー);およびISMO(登録商標)(Wyeth-Ayerst company、ペンシルバニア州フィラデルフィア)で市販されている。
本発明では、抗酸化剤には小分子抗酸化剤および抗酸化剤酵素が含まれる。抗酸化剤はフリーラジカルと反応しラジカルを消滅させることができる任意の化合物のことをいい、それらの化合物を含む。適した小分子抗酸化剤としては、ヒドラジン化合物、グルタチオン、ビタミンC、ビタミンE、システイン、N-アセチル-システイン、β-カロテン、ユビキノン、ユビキノール-10、トコフェロール、コエンザイムQ、などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。適した抗酸化剤酵素としては、スーパーオキシドジスムターゼ、カタラーゼ、グルタチオンペルオキシダーゼ、などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。適した抗酸化剤については、GoodmanおよびGilman、The Pharmacological Basis of Therapeutics(第9版)、McGraw-Hill、1995;およびMerck Index on CD-ROM、第12版、Version12:1、1996;およびSTN Express、file phar and file reg.などの文献においてより詳細に記述されている。好ましい抗酸化剤は好ましくは薬学的に許容される塩として投与することができるヒドララジン化合物;より好ましくはヒドラジン塩酸塩である。ヒドラジン塩酸塩は例えばLederle Standard Products(ニューヨーク州パールリバー)およびPar Pharmaceuticals Inc.(ニューヨーク州スプリングバレイ)から市販されている。
心血管疾患を治療するために使用される化合物、または薬学的に許容されるその塩としては、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、β-アドレナリン遮断薬、コレステロール低下薬、カルシウムチャネル遮断薬、アンジオテンシンII受容体アンタゴニスト、エンドセリンアンタゴニスト、レニン阻害剤など、およびそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
適したアンジオテンシン-変換酵素阻害剤としては、アラセプリル、ベナゼプリル、カプトプリル、セロナプリル、シラザプリル、デラプリル、デュイナプリル、エナラプリル、エナラプリラト、フォシノプリル、イミダプリル、リシノプリル、ロサルタン、モベルチプリル、ナフトピジル、ペントプリル、ペリンドプリル、キナプリル、ラミプリル、レンチプリル、スピラプリル、テモカプリル、トランドラプリル、ウラピジル、ゾフェノプリルなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。適したアンジオテンシン変換酵素阻害剤については、GoodmanおよびGilman、The Pharmacological Basis of Therapeutics(第9版)、McGraw-Hill、1995;およびMerck Index on CD-ROM、第12版、Version12:1、1996;およびSTN Express、file phar and file registryなどの文献においてより詳細に記述されている。
適したβ-アドレナリン遮断薬としては、アセブトロール、アルプレノロール、アモスラロール、アロチノロール、アテノロール、ブタクソロール、ベタニジン、ベバントロール、ビソプロロール、ボピンドロール、ブクモロール、ブフェトロール、ブフラロール、ブニトロロール、ブプラノロール、ブタフィロロール、カラゾロール、カルテオロール、カルベジロール、セリプロロール、セタモロール、ジレバロール、エパノロール、エスモロール、インデノロール、ラベタロール、メピンドロール、メチプラノロール、メトプロロール、モプロロール、ナドロール、ナドキソロール、ニフェナロール、ニプラジロール、オキシプレノロール、ペンブトロール、ピンドロール、プラクトロール、プロネタロール、プロプラノロール、ソタロール、スルフィナロール、タリノロール、テルタトロール、チリソロール、チモロール、トリプロロール、キシベノロールなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。適したβ-アドレナリン遮断薬については、GoodmanおよびGilman、The Pharmacological Basis of Therapeutics(第9版)、McGraw-Hill、1995;およびMerck Index on CD-ROM、第12版、Version12:1、1996;およびSTN Express、file phar and file registryなどの文献においてより詳細に記述されている。
適したコレステロール低下薬としては、HMG-CoAレダクターゼ阻害剤、例えば、ロバスタチン(MEVACOR(登録商標))、シムバスタチン(ZOCOR(登録商標))、プラバスタチン(PRAVACHOL(登録商標))、フルバスタチン、セリバスタチン(BAYCOL(登録商標))、アトルバスタチン(LIPITOR(登録商標))、など;コレステロール抑制薬、例えばコレスチラミン、コレスチポル、架橋デキストランのシアルキルアミノアルキル誘導体など;コレステロール吸収阻害剤、例えば、β-シトステロール、アシルCoA-コレステロールアシルトランスフェラーゼ阻害剤、メリナミドなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。適したカルシウムチャネル遮断薬については、GoodmanおよびGilman、The Pharmacological Basis of Therapeutics(第9版)、McGraw-Hill、1995;およびMerck Index on CD-ROM、第12版、Version12:1、1996;およびSTN Express、file phar and file registryなどの文献においてより詳細に記述されている。
適したカルシウムチャネル遮断薬としては、アムロジピン、アラニジピン、バルニジピン、ベニジピン、シルニジピン、クレンチアゼム、ジルチアゼン、エフォニジピン、ファントファロン、フェロジピン、イスラジピン、ラシジピン、レルカニジピン、マニジピン、ミベフラジル、ニカルジピン、ニフェジピン、ニルバジピン、ニソルジピン、ニトレンジピン、セモチアジル、ベラパルミルなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。適したカルシウムチャネル遮断薬については、GoodmanおよびGilman、The Pharmacological Basis of Therapeutics(第9版)、McGraw-Hill、1995;およびMerck Index on CD-ROM、第12版、Version12:1、1996;およびSTN Express、file phar and file registryなどの文献においてより詳細に記述されている。
適したエンドセリンアンタゴニストとしては、バセンタン、スルホンアミドエンドセリンアンタゴニスト、BQ-123、SQ 28608などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。適したエンドセリンアンタゴニストについては、GoodmanおよびGilman、The Pharmacological Basis of Therapeutics(第9版)、McGraw-Hill、1995;およびMerck Index on CD-ROM、第12版、Version12:1、1996;およびSTN Express、file phar and file registryなどの文献においてより詳細に記述されている。
適したアンジオテンシンII受容体アンタゴニストとしては、シクロシドミン、エプロサルタン、フロセミド、イルベサルタン、ロサルタン、サララシン、バルサルタン、などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。適したアンジオテンシンII受容体アンタゴニストについては、GoodmanおよびGilman、The Pharmacological Basis of Therapeutics(第9版)、McGraw-Hill、1995;およびMerck Index on CD-ROM、第12版、Version12:1、1996;およびSTN Express、file phar and file registryなどの文献においてより詳細に記述されている。
適したレニン阻害剤としては、エナルクレイン、RO 42-5892、A65317、CP 80794、ES 1005、ES 8891、SQ 34017などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。適したレニン阻害剤については、GoodmanおよびGilman、The Pharmacological Basis of Therapeutics(第9版)、McGraw-Hill、1995;およびMerck Index on CD-ROM、第12版、Version12:1、1996;およびSTN Express、file phar and file registryなどの文献においてより詳細に記述されている。
心血管疾患を治療するために使用される化合物、または薬学的に許容される塩は酸素(ヒドロキシル縮合)、硫黄(スルフヒドリル縮合)および/または窒素などの1または複数の部位を介してニトロソ化することができる。本発明のニトロソ化アンジオテンシン-変換酵素阻害剤、ニトロソ化β-アドレナリン遮断薬、ニトロソ化コレステロール低下薬、ニトロソ化カルシウムチャネル遮断薬、ニトロソ化エンドセリンアンタゴニスト、ニトロソ化アンジオテンシンII受容体アンタゴニストおよびニトロソ化レニン阻害剤は、酸素(ヒドロキシル縮合)、硫黄(スルフヒドリル縮合)および/または窒素などの1または複数の部位を介してニトロソ化された任意の周知のアンジオテンシン-変換酵素阻害剤、β-アドレナリン遮断薬、コレステロール低下薬、カルシウムチャネル遮断薬、エンドセリンアンタゴニスト、アンジオテンシンII受容体アンタゴニストおよびレニン阻害剤を含む。本発明のニトロソ化化合物は当業者に周知の従来方法を使用して調製することができる。例えば、化合物をニトロソ化するための周知の方法は米国特許第5,380,758号および同5,703,073号;国際公開公報第97/27749号;国際公開公報98/19672号;ならびにOaeら、Org.Prep.Proc.Int.、15(3):165-198(1983)において記述されている。これらの各々の開示内容は参照により全体として本明細書に組み込まれる。国際公開公報第98/21193号ではニトロソ化ACE阻害剤およびニトロソ化β-アドレナリン遮断薬が開示されており、その開示内容は参照により全体として本明細書に組み込まれる。国際公開公報第99/00361号ではACE阻害剤の硝酸塩が開示されており、その開示内容は参照により全体として本明細書に組み込まれる。
任意に少なくとも1つのNOおよび/またはNO2基で置換されたネビボロール、および/または任意に少なくとも1つのNOおよび/またはNO2基で置換された少なくとも1つのネビボロール代謝産物、および荷電種として酸化窒素を供与、移動もしくは放出する、または内因性EDRFもしくは酸化窒素レベルを上昇させる、あるいは酸化窒素シンターゼに対する基質である少なくとも1つの化合物、および心血管疾患を治療するために使用される抗酸化剤および/または化合物を組み合わせたものを、酸化窒素不足により特徴付けられる血管疾患の治療のために投与する他に、患者はジゴキシンなどのジギタリスおよび/または利尿薬を摂取することができる。
ジゴキシンは好ましくは経口投与され、少なくとも0.7ng/ml〜約2.0ng/mlの定常状態血清濃度が達成されてもよい。利尿薬は好ましくは経口投与され、水腫を管理する。適した利尿薬としては、チアジド(例えば、クロロチアジド、ヒドロクロロチアジド);エタクリン酸、フロセミド、スピロナラクトン、トリアムテレン、またはそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。使用した利尿薬によっては、低カリウムアルカリ血症を回避しながら体液平衡を最適化するために、患者にカリウムを投与してもよい。カリウムの投与は塩化カリウムとして投与することができ、または例えばバナナ、オレンジジュースなどの高カリウム量の食物を毎日摂取することにより投与することができる。これらの化合物の投与方法は、米国特許第4,868,179号においてさらに詳細に記述されている。この特許の開示内容は参照により全体として本明細書に組み込まれる。
本発明はまた、任意に少なくとも1つのNOおよび/またはNO2基で置換された少なくとも1つのネビボロール、および/または任意に少なくとも1つのNOおよび/またはNO2基で置換された少なくとも1つのネビボロール代謝産物、ならびに任意に、荷電種として酸化窒素を供与、移動もしくは放出する、または内因性EDRFもしくは酸化窒素レベルを上昇させる、あるいは酸化窒素シンターゼに対する基質である少なくとも1つの化合物、および/または少なくとも1つの抗酸化剤または薬学的に許容されるその塩、および/または心血管疾患を治療するために使用される少なくとも1つのニトロソ化化合物、例えば、ニトロソ化アンジオテンシン-変換酵素阻害剤、ニトロソ化β-アドレナリン遮断薬、ニトロソ化コレステロール低下薬、ニトロソ化カルシウムチャネル遮断薬、ニトロソ化エンドセリンアンタゴニスト、ニトロソ化アンジオテンシンII受容体アンタゴニストおよび/またはニトロソ化レニン阻害剤を治療上有効な量投与することにより、レイノー症候群を予防および治療する方法を提供する。例えば、患者には本発明の少なくとも1つのニトロソ化および/またはニトロシル化ネビボロールを治療上有効な量投与することができる。他の態様では、患者には少なくとも1つのニトロソ化および/またはニトロシル化ネビボロール代謝産物を治療上有効な量投与することができる。さらに他の態様では、患者には、任意に少なくとも1つのNOおよび/またはNO2基で置換されたネビボロール、および/または任意に少なくとも1つのNOおよび/またはNO2基で置換された少なくとも1つのネビボロール代謝産物、ならびに、荷電種として酸化窒素を供与、移動もしくは放出する、または内因性EDRFもしくは酸化窒素レベルを上昇させる、あるいは酸化窒素シンターゼに対する基質である少なくとも1つの化合物を治療上有効な量投与することができる。他の態様では、患者には、任意に少なくとも1つのNOおよび/またはNO2基で置換されたネビボロール、および/または任意に少なくとも1つのNOおよび/またはNO2基で置換された少なくとも1つのネビボロール代謝産物、ならびに任意に、荷電種として酸化窒素を供与、移動もしくは放出する、または内因性EDRFもしくは酸化窒素レベルを上昇させる、あるいは酸化窒素シンターゼに対する基質である少なくとも1つの化合物、および/または少なくとも1つの抗酸化剤または薬学的に許容されるその塩、および/または心血管疾患を治療するために使用される少なくとも1つのニトロソ化化合物を治療上有効な量投与することができる。例えば、患者にはニトロソ化および/またはニトロシル化ネビボロール、酸化窒素供与体および抗酸化剤を投与することができ、もしくは患者にはニトロソ化および/またはニトロシル化ネビボロール代謝産物、酸化窒素供与体および抗酸化剤を投与することができ、または患者にはネビボロール、酸化窒素供与体および抗酸化剤を投与することができる。ネビボロール、酸化窒素供与体、抗酸化剤および心血管疾患を治療するために使用されるニトロソ化化合物は別個に、または同じ組成物の複数の成分として投与することができる。レイノー症候群は、指、足指、鼻および/または耳への血流不足を引き起こす状態である。影響を受けた領域は血行不足により白色となり、その後青色になり、冷たくなり、最終的に麻痺する。影響を受けた領域は赤くなることもあり、ズキズキし、ヒリヒリしまたは腫れることもある。
本発明の方法では、任意に少なくとも1つのNOおよび/またはNO2基で置換されたネビボロール、任意に少なくとも1つのNOおよび/またはNO2基で置換されたネビボロール代謝産物、および任意に、酸化窒素供与体、抗酸化剤、および/または、任意に少なくとも1つのNO2基で置換された心血管疾患を治療するために使用される化合物は別個の成分としてまたは同じ組成物の複数の成分として投与することができる。酸化窒素不足により特徴付けられる血管疾患またはレイノー症候群の治療のために、任意に少なくとも1つのNOおよび/またはNO2基で置換されたネビボロール、任意に少なくとも1つのNOおよび/またはNO2基で置換されたネビボロール代謝産物、および任意に、酸化窒素供与体、抗酸化剤、および/または少なくとも1つのNO2基で置換された心血管疾患を治療するために使用される化合物を別個の成分として投与する場合、好ましくは患者に大体同時に投与する。「大体同時」という用語は1つの化合物(例えば、ネビボロールもしくはネビボロール代謝産物または酸化窒素供与体もしくは抗酸化剤または心血管疾患を治療するために使用される化合物)を患者に投与した後、他の化合物(例えば、酸化窒素供与体もしくは抗酸化剤または心血管疾患を治療するために使用される化合物またはネビボロールもしくはネビボロール代謝産物)を患者に投与することを含む。「大体同時」という用語はまた、化合物が全体の治療摂生の一部として投与される限り、化合物の同時投与、または同じ日での同時、もしくは異なる時間での、または異なる日での化合物の投与を含む。
本発明の他の態様では、任意に少なくとも1つのNOおよび/またはNO2基で置換されたネビボロール、および/または任意にニトロソ化および/またはニトロシル化された少なくとも1つのネビボロール代謝産物、ならびに任意に、酸化窒素を供与、移動または放出し、および/またはインビボでNOまたはEDRFの体内産生を刺激し、および/または酸化窒素シンターゼに対する基質である少なくとも1つの化合物、および/または少なくとも1つの治療薬および/または少なくとも1つのニトロソ化および/またはニトロシル化治療薬を、マトリクスに結合させて含む組成物が提供される。
ニトロソ化および/またはニトロシル化ネビボロールおよび/またはニトロソ化および/またはニトロシル化ネビボロール代謝産物、ならびに任意に、NO供与体および/または治療薬および/またはニトロソ化および/またはニトロシル化治療薬を、対象の生物学的部位に特異的に適用することができる天然または合成マトリクス中に組み込むことができる。したがって、任意に置換されたネビボロールおよび/またはネビボロール代謝産物、ならびに任意にNO供与体は「マトリクスに結合される」。これは、ニトロソ化および/またはニトロシル化ネビボロールおよび/またはニトロソ化および/またはニトロシル化ネビボロール代謝産物、ならびに任意に、NO供与体および/または治療薬および/またはニトロソ化および/またはニトロシル化治療薬が物理的および/または化学的に、天然または合成マトリクスの一部に結合され、天然または合成マトリクスと混和され、付着され、またはそれらに含まれることを意味する。1つの態様では、物理的な会合または結合は、例えばニトロソ化および/またはニトロシル化ネビボロールおよび/またはニトロソ化および/またはニトロシル化ネビボロール代謝産物、ならびに任意に、NO供与体および/または治療薬および/またはニトロソ化および/またはニトロシル化治療薬をマトリクスと共に共沈させることにより達成することができる。他の態様では、化学的会合または結合は、例えば、ニトロソ化および/またはニトロシル化ネビボロールおよび/またはニトロソ化および/またはニトロシル化ネビボロール代謝産物、ならびに任意に、NO供与体および/または治療薬および/またはニトロソ化および/またはニトロシル化治療薬の求核部分のマトリクスへの共有結合により達成され、ネビボロールおよび/またはネビボロール代謝産物はマトリクス自体の一部となる。さらに他の形態では、ニトロソ化/およびまたはニトロシル化ネビボロールおよび/またはニトロソ化および/またはニトロシル化ネビボロール代謝産物、ならびに任意に、NO供与体および/または治療薬および/またはニトロソ化および/またはニトロシル化治療薬は、マトリクスの多孔質層内または天然もしくは合成マトリクスに含まれる細孔内に組み入れることができる。ニトロソ化および/またはニトロシル化ネビボロールおよび/またはニトロソ化および/またはニトロシル化ネビボロール代謝産物、ならびに任意に、NO供与体および/または治療薬および/またはニトロソ化および/またはニトロシル化治療薬をマトリクスの一部と会合させ、マトリクスに付着させ、マトリクスと混和させまたはその中に含有させる(すなわち、「結合させる」)様式は本発明に対しては取るに足らないことであり、会合、混和、付着および結合手段はすべて本発明に含まれる。ニトロソ化および/またはニトロシル化ネビボロールおよび/またはニトロソ化および/またはニトロシル化ネビボロール代謝産物、ならびに任意に、NO供与体および/または治療薬および/またはニトロソ化および/またはニトロシル化治療薬をマトリクスに混和すると、部位特異的適用となり、これにより放出された酸化窒素およびネビボロールおよび/またはネビボロール代謝産物に対する作用選択性が増強される。さらに、ニトロソ化および/またはニトロシル化ネビボロールおよび/またはニトロソ化および/またはニトロシル化ネビボロール代謝産物をマトリクス内に混和させると、酸化窒素およびネビボロールおよび/またはネビボロール代謝産物の放出速度が減少する。これにより、酸化窒素およびネビボロールおよび/またはネビボロール代謝産物の放出が延長され、所望の生物学的効果を達成するのに有効な投与が可能となり、投与頻度を減少させることができる。
本発明の状況ではマトリクスとして任意の様々な天然または合成ポリマーを使用することができる。必要なことはマトリクスが生物学的に許容されることのみである。本発明において使用するのに適した例示的なマトリクスは、例えば、ポリオレフィン(例えばポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ二フッ化ビニリデンおよびポリ塩化ビニル)、ポリエチレンイミンまたはその誘導体、ポリエステル(例えば、ポリエチレングリコール)、ポリエステル(例えばポリ-L-乳酸、ポリ-D,L-乳酸、ポリ-D-乳酸、ポリグリコール酸、ポリ-(ラクチド/グリコリド)、ポリ無水物、ポリヒドロキシブチレート、ポリアミド(例えばナイロン)、ポリウレタン、ポリウレタンコポリマー(例えばペレタンポリマー)、ポリアクリレート(例えばポリメタクリレート、ポリ(2-(メタクリロイルオキシエチル)-2’-(トリメチルアンモニウム)エチルリン酸内塩-co-n-ドデシルメタクリレート)、ポリマー混合物(例えば、ポリ乳酸/ポリリシンコポリマー、ポリウレタン/ポリエステルコポリマー、ポリウレタン/ポリエーテルコポリマー、ナイロン/ポリエーテルコポリマー、例えばベスタミド)、バイオポリマー(例えば、ペプチド、蛋白質、オリゴヌクレオチド、抗体、ペプチドホルモン、糖蛋白質、グリコーゲンおよび核酸)、スターバーストデンドリマー、天然繊維性マトリクス(例えば濾紙)、合成繊維性マトリクス材料(例えば、合成ポリマーおよびコポリマーの三次元格子)などを含むポリマーである。例示的なポリマーについては米国特許第5,705,583号、同5,770,645号および同5,994,444号ならびに出願第08/460,465号において記述されている。これらの開示内容は参照により全体として本明細書に組み込まれる。
本発明において使用するのに適したマトリクスの物理的および構造的特徴は重要ではないが、用途に依存する。当業者であれば、本発明のマトリクス-ネビボロールおよび/またはマトリクス-ネビボロール代謝産物組成物が局所的な、かなり短期間の投与または同様の投与のためのものである場合、生物分解性である必要はないことが理解されるであろう。いくつかの使用、例えば後血管形成、冠血管バイパス手術または血管グラフトインプラントなどと関連する内膜肥厚化では、マトリクスは徐々に生理学的環境に溶解する、または生物分解されるもしくは生物吸収されることが望ましい。
ニトロソ化および/またはニトロシル化ネビボロールおよび/またはニトロソ化および/またはニトロシル化ネビボロール代謝産物および/またはネビボロール、ならびに任意に、酸化窒素を供与、移動または放出し、および/またはインビボでのNOもしくはEDRFの体内産生を刺激し、および/または酸化窒素シンターゼに対する基質である化合物、および/または治療薬および/またはニトロソ化および/またはニトロシル化治療薬を、マトリクスに結合させ、様々な形態または送達手段で投与してもよい。いずれの送達手段も放出前に酸化窒素の完全性を十分に保護すべきであり、再狭窄を含む心血管疾患または障害の予防および/または治療のための効果的な手段として機能するように、速度、量、場所などについて酸化窒素の放出を制御すべきである。局所投与のための送達手段としては、例えば、縫合糸、血管インプラント、ステント、心臓弁、薬物ポンプ、薬物送達カテーテルなどが挙げられる。全身投与のための送達手段としては、例えば、溶液、懸濁液、エマルジョン、カプセル、粉末、サシェ、錠剤、発泡性錠剤、局所パッチ、トローチ剤、エアロゾル、リポソーム、微粒子、微小球、ビーズなどが挙げられる。マトリクス自体が送達手段として作用するのに構造的に十分なものであってもよい。
ニトロソ化および/またはニトロシル化ネビボロールおよび/またはニトロソ化および/またはニトロシル化ネビボロール代謝産物および/またはネビボロール、ならびに任意に、酸化窒素を供与、移動または放出し、および/またはインビボでのNOもしくはEDRFの体内産生を刺激し、および/または酸化窒素シンターゼに対する基質である化合物、および/または治療薬および/またはニトロソ化および/またはニトロシル化治療薬を、マトリクスに結合させ、血液(血液成分および血液製剤を含む)または血管組織と接触する医療装置または機器の表面をコートし表面を不動態化するのに使用することもできる。また、ニトロソ化および/またはニトロシル化ネビボロールおよび/またはニトロソ化および/またはニトロシル化ネビボロール代謝産物および/またはネビボロール、ならびに、酸化窒素を供与、移動または放出し、および/またはインビボでのNOもしくはEDRFの体内産生を刺激し、および/または酸化窒素シンターゼに対する基質である化合物、および/または治療薬および/またはニトロソ化および/またはニトロシル化治療薬を、マトリクスに結合させ、血液(血液成分および血液製剤を含む)または血管組織と接触する医療装置または機器の表面をコートし表面を不動態化するのに使用することもできる。米国特許第5,837,008号、同5,665,077号、同5,797,887号および同5,824,049号では、医療装置または機器の表面をコートするための方法が記述されている。これらの特許の各々の開示内容については参照により全体として本明細書に組み込まれる。このように、例えば、(i)医療装置の全体または一部をニトロソ化および/またはニトロシル化ネビボロール、ならびにNO供与体および/または治療薬および/またはニトロソ化および/またはニトロシル化治療薬でコートしてもよく、本明細書で記述されているようにコーティングはそれ自体で、またはマトリクに結合させてもよい;または(ii)医療装置の全体または一部をニトロソ化および/またはニトロシル化ネビボロール、ならびに任意に、NO供与体、治療薬およびニトロソ化および/またはニトロシル化治療薬を含む材料から、本明細書で記述されているようにそれ自体でまたはマトリクスに結合させて、製造してもよい。
人工表面は表面の性質により変化するようにも企図される。そのような特性としては、輪郭、結晶性、疎水性、親水性、水素結合能力、ならびに分子バックボーンおよびポリマーの可撓性が挙げられる。そのため、普通の方法を使用し、当業者は付加物量、処理期間、温度、希釈剤、および保存状態などのパラメータを調整することによりコーティング技術をカスタマイズし、それぞれ特別な型の表面の最適コーティングを提供することができる。
装置または人工材料を、ニトロソ化および/またはニトロシル化ネビボロール、および/またはニトロソ化および/またはニトロシル化ネビボロール代謝産物、ならびに任意に、NO供与体および/または治療薬および/またはニトロソ化および/またはニトロシル化治療薬で、またはネビボロール、および/またはネビボロール代謝産物、およびNO供与体、ならびに任意に治療薬および/またはニトロソ化および/またはニトロシル化治療薬でコートした後、例えば心臓弁としての移植、カテーテルとしての挿入、ステントとしての挿入を含む所期の用途に、または心肺酸素化もしくは血液透析に適すであろう。
本発明において有用な治療薬としては、生物学的に血管を広げ、および/または血管リモデリングを減少させもしくは阻害し、および/または処置による血管外傷に伴う血管平滑筋増殖を阻害しもしくは減少させる作用物質が挙げられるが、これらに限定されるものではない。本発明の「治療薬」には血管平滑筋細胞の細胞活性、例えば、増殖、遊走、細胞体積の増加、細胞外基質合成の増加(例えば、コラーゲン、プロテオグリカンなど)、または細胞による細胞外基質物質の分泌を阻害する作用物質が含まれる。適した「治療薬」としては、抗血栓薬(例えば、ヘパリン、共有結合ヘパリン、ヒルジン、ヒルログ、クマジン、プロタミン、アルガトロバン、D-フェニルアラニル-L-ポリ-L-アルギニルクロロメチルケトンなど);血栓溶解剤(例えば、ウロキナーゼ、ストレプトキナーゼ、組織プラスミノーゲン活性化因子など);線維素溶解剤;血管攣縮阻害剤;カリウムチャネル活性化剤(例えば、ニコランジル、ピナシジル、クロマカリム、ミノキシジル、アプリルカリム、ロプラゾラムなど);カルシウムチャネル遮断薬(例えば、ニフェジピン、ベラパルミル、ジルチアゼム、ガロパミル、ニルジピン、ニモジピン、ニカルジピンなど);血圧降下剤(例えば、HYTRIN(登録商標)など);抗菌薬または抗生物質(例えば、アドリアマイシンなど);抗血小板薬(例えば、アスピリン、チクロピジン、糖蛋白質IIb/IIIa阻害剤、表面糖蛋白質受容体など);抗有糸分裂薬、抗増殖薬または微小管阻害剤(例えば、タキサン、コルヒチン、メトトレキセート、アザチオプリン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、サイトカラシン、フルオロウラシル、アドリアマイシン、ムタマイシン、ツベルシジン、エポチロンAまたはB、ジコデルモリドなど);抗分泌薬(例えば、レチノイドなど);リモデリング阻害剤;アンチセンスヌクレオチド(例えば、デオキシリボ核酸など);抗癌剤(例えば、クエン酸タモキシフェン、アシビシン、ビゼレシン、ダウノルビシン、エピルビシン、ミトキサントロンなど);ステロイド(例えば、デキサメサゾン、リン酸ナトリウムデキサメサゾン、酢酸デキサメサゾンなど);非ステロイド性抗炎症剤(NSAID);COX-2阻害剤;免疫抑制剤(例えば、シクロスポリン、ラパマイシン、エベロリムス、アクチノマイシンDなど);成長因子アンタゴニストまたは抗体(例えば、トラピダル(PDGFアンタゴニスト)、アンジオペプチン(成長ホルモンアンタゴニスト)、アンジオゲニンなど);ドーパミンアゴニスト(例えば、アポモルヒネ、ブロモクリプチン、テストステロン、コカイン、ストリキニーネなど);放射線治療薬(例えば、60Co(5.3年半減期)、 192 Ir(73.8日)、32P(14.3日)、111In(68時間)、90Y(64時間)、99mTc(6時間)、など);放射線不透過剤として機能する重金属(例えば、ヨウ素含有化合物、バリウム含有化合物、金、タンタル、白金、タングステンなど);生物製剤(例えば、ペプチド、蛋白質、酵素、細胞外基質成分、細胞成分など);アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤;アンジオテンシンII受容体アンタゴニスト;レニン阻害剤;フリーラジカルスカベンジャー、鉄キレートまたは抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸、αトコフェロール、スーパーオキシドジスムターゼ、デフェロキサミン、21-アミノステロイドなど);性ホルモン(例えば、エストロゲンなど);アンチポリメラーゼ(例えば、AZTなど);抗ウイルス薬(例えば、アシクロビル、ファムシクロビル、リマンタジン塩酸塩、ガンシクロビルナトリウム、Norvir(登録商標)、Crixivan(登録商標)など):光力学的治療薬(例えば、5-アミノレブリン酸、メタ-テトラヒドロキシフェニルコリン、ヘキサデカフルオロ亜鉛フタロシアニン、テトラメチルヘマトポルフィリン、ローダミン123など);抗体標的治療薬(例えば、緑膿菌外毒素Aに対抗しA431類表皮癌細胞と反応するIgG2 Kappa抗体、サポリンに結合されたノルアドレナリン作動性酵素ドーパミンβ-ヒドロキシラーゼに対するモノクローナル抗体など);および遺伝子治療薬が挙げられるがこれらに限定されるものではない。好ましい治療薬としては、抗増殖剤、例えばタキサン;ステロイド、例えばデキサメサゾン、免疫抑制剤、例えばラパマイシン、エベロリムス、アクチノマイシンDなどが挙げられる。治療薬は任意に、酸素(ヒドロキシル縮合)、硫黄(スルフヒドリル縮合)、および/または窒素などの1または複数の部位を介して少なくとも1つのNOおよび/またはNO2基により置換することができる(すなわち、ニトロシル化および/またはニトロソ化)。本発明の化合物および組成物はまた、これらの疾患または障害を治療するために使用することができる他の薬剤と共に投与することができる。
適したタキサンとしては、例えばパクリタキセルおよびドセタキセル、パクリタキセルおよびドセタキセルの水溶性組成物、パクリタキセルおよびドセタキセルのプロドラッグ、ならびにタキサンの機能性類似体、等価物または誘導体などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。例えば、タキサンの誘導体および類似体としては、バカチンIII、10-デアセチルタキソール、7-キシロシル-10-デアセチルタキソール、セファロマニン、10-デアセチル-7-エピタキソール、7-エピタキソール、10-デアセチルバカチンIII、10-デアセチルセファオルマニンおよび類似体または誘導体などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。タキサンについては例えば、米国特許第4,960,790号、同5,157,049号、同5,284,864号、同5,399,726号、同5,550,261号、同5,616,608号、同5,629,433号、同5,646,176号、同5,688,977号、同5,703,117号、同5,760,072号、同5,808,113号、同5,912,263号、同5,919,815号、同5,965,739号、同5,977,163号、同5,981,564号、同5,998,656号、同6,017,935号、同6,017,948号、同6,028,205号、および国際公開公報第93/17121号、同94/15599号、同95/20582号、同96/00724号、同96/40091号、同97/10234号、同97/19938号、同97/32578号、同97/33552号、同98/00419号、同98/28288号、同98/37765号、同98/38862号、同99/14209号、同99/49901号、同99/57105号、同00/10988号、ならびに欧州特許第0 558 959 B1号、同0 624 377 A2号、同0 639 577 A1号において開示されている。これらの各々の開示内容は参照により全体として本明細書に組み込まれる。タキサンならびにそのニトロソ化および/またはニトロシル化誘導体についてはNitroMed Inc.に譲渡された米国出願第09/886,494号;国際公開公報第00/61537号、同00/61541号および同01/12584号においても開示されている。これらの各々の開示内容は参照により全体として本明細書に組み込まれる。
適した抗凝血薬としては、ヘパリン、クマリン、アスピリン、プロタミン、ワファリン、ジクマロール、フェンプロクモン、インダン-1,3-ジオン、アセノクマロール、アンシンジオンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。適した抗凝血薬についてはGoodmanおよびGilman、The Pharmacological Basis of Therapeutics(第9版)、McGraw-Hill、1995、Pgs.1341-1359; Merck Index on CD-ROM、第12版、Version12:1、1996;STN Express、file reg and file pharなどの文献においてより詳細に記述されている。
本発明の他の態様は、血液(血液成分または血液製剤を含む)が医療装置または機器に曝露されることにより引き起こされる血小板凝集および血小板粘着を、血液(血液成分または血液製剤を含む)または血管組織と接触する医療装置の一部内および/または一部上で治療上有効な量の酸化窒素を放出することができる、少なくとも1つのニトロソ化および/またはニトロシル化ネビボロール、および/またはニトロソ化および/またはニトロシル化ネビボロール代謝産物および/またはネビボロール、ならびに任意に、酸化窒素を供与、移動または放出し、および/またはインビボでNOまたはEDRFの体内産生を刺激し、および/または酸化窒素シンターゼに対する基質である少なくとも1つの化合物、および/または治療薬および/またはニトロソ化および/またはニトロシル化治療薬を組み入れることにより、防止するための方法を提供する。ニトロソ化および/またはニトロシル化ネビボロール、および/またはニトロソ化および/またはニトロシル化ネビボロール代謝産物および/またはネビボロール、ならびに任意に、NO供与体、治療薬および/またはニトロソ化および/またはニトロシル化治療薬は、NitroMedに譲渡された米国特許第6,087,479号および同6,174,539号に開示されているように、装置の全体または一部を形成する天然もしくは合成ポリマー材料に直接または間接的に結合させてもよい。これらの特許の各々の開示内容は参照により全体として明細書に組み込まれる。また、ニトロソ化および/またはニトロシル化ネビボロール、および/またはニトロソ化および/またはニトロシル化ネビボロール代謝産物および/またはネビボロール、ならびに任意に、NO供与体、治療薬および/またはニトロソ化および/またはニトロシル化治療薬は、本明細書で記述されているマトリクスを含む生物分解性または生物吸収性材料から形成された装置本体内に組み込んでも良い。このように、酸化窒素は装置の本体が再吸収または分解される持続期間にわたり放出される。
本発明の他の態様は、損害または損傷組織の治療のために損害または損傷組織の部位(例えば、損傷した血管)に、ニトロソ化および/またはニトロシル化ネビボロール、および/またはニトロソ化および/またはニトロシル化ネビボロール代謝産物および/またはネビボロール、ならびに任意に、酸化窒素を供与、移動または放出し、および/またはインビボでNOまたはEDRFの体内産生を刺激し、および/または酸化窒素シンターゼに対する基質である少なくとも1つの化合物、および/または少なくとも1つの治療薬および/または少なくとも1つのニトロソ化および/またはニトロシル化治療薬を局所投与することに関する。そのような損傷は侵襲性の処置における医療装置の使用によるものであることがある。このように、例えば、血管形成による閉塞した脈管構造の治療において、血管に損傷が生じることがある。そのような損傷は本明細書で記述した化合物および組成物を使用することにより治療してもよい。損傷組織の修復に加えて、そのような治療を使用して、再閉塞、例えば再狭窄を予防および/または緩和および/または遅延させることができる。化合物および組成物は当業者に周知の任意の方法を使用して局所的に送達することができ、そのような方法としては、薬物送達カテーテル、注入カテーテル、薬物送達ガイドワイヤ、移植可能な医療装置、などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。1つの態様では、損傷領域のすべてまたはほとんどが、本明細書で記述されるニトロソ化/ニトロシル化ネビボロールそれ自体で、または本明細書で記述されるマトリクスを含む、コーティングマトリクスとして機能する薬学的に許容される担体または賦形剤中に溶解させたものでコートされている。このコーティングマトリクスは液体、ゲル、または半固体濃度のものとすることができる。担体またはマトリクスは治療薬の計量放出または持続放出を提供する薬剤から作成することができ、またはそのような薬剤を含むことができる。
心血管疾患または障害を予防および/または治療する場合、ニトロソ化および/またはニトロシル化ネビボロール、および/またはニトロソ化および/またはニトロシル化ネビボロール代謝産物および/またはネビボロール、ならびに任意に、酸化窒素を供与、移動または放出し、および/またはインビボでNOまたはEDRFの体内産生を刺激し、および/または酸化窒素シンターゼに対する基質である少なくとも1つの化合物、および/または少なくとも1つの治療薬および/または少なくとも1つのニトロソ化および/またはニトロシル化治療薬を、所望の位置に化合物を送達するのに適した動脈内または静脈内カテーテルを使用することにより、静脈注射により直接損傷した血管表面に投与することができる。損傷した動脈表面の位置は、当業者が使用できる普通の、および周知の方法を用いて実施される従来の診断法、例えばX-線血管造影法により決定される。さらに、動脈内または静脈内カテーテルを用いる、ニトロソ化および/またはニトロシル化ネビボロール、および/またはニトロソ化および/またはニトロシル化ネビボロール代謝産物および/またはネビボロール、ならびに任意に、NO供与体、治療薬および/またはニトロソ化および/またはニトロシル化治療薬の投与は当業者に周知の普通の方法を用いて実施される。典型的には、化合物または組成物は、通常血管形成バルーン膨張時に頸動脈または冠動脈に導入される一次処置のために使用された同じカテーテルにより血管形成部位に送達される。ニトロソ化および/またはニトロシル化ネビボロール、および/またはニトロソ化および/またはニトロシル化ネビボロール代謝産物および/またはネビボロール、ならびに任意に、NO供与体、治療薬およびニトロソ化および/またはニトロシル化治療薬は体温で長期間にわたり徐々に分解し、例えば再狭窄を含む心血管疾患または障害を予防および/または治療するのに有効な速度で酸化窒素を放出する。
インビボで投与する場合、本発明の化合物および組成物は薬学的に許容される担体と組み合わせて、本明細書で記述した用量で投与することができる。本発明の化合物および組成物を、少なくとも1つのニトロソ化および/またはニトロシル化ネビボロールもしくは少なくとも1つのニトロソ化および/またはニトロシル化ネビボロール代謝産物、またはネビボロールもしくは少なくとも1つのネビボロール代謝産物、および少なくとも1つの酸化窒素供与体、または少なくとも1つの治療薬もしくは少なくとも1つのニトロソ化および/またはニトロシル化治療薬の混合物として投与する場合、治療の標的とされた特定の疾患状態に対し有効であることが知られている1または複数の他の治療薬と組み合わせても使用することができる。酸化窒素供与体および/または治療薬は、1または複数のNOおよび/またはNO2基で置換したもの、および/または他の追加の化合物を含むネビボロールの投与と同時に、それに続いて、またはその前に投与することができる。
本発明の化合物および組成物は任意の利用可能で効果的な送達システムにより投与することができる。そのような送達システムとしては、望み通り従来の薬学的に許容される非毒性担体、アジュバンドおよびビヒクルを含む用量単位調剤における経口、頬側、非経口、吸入噴霧、局所塗布、注射、経皮、または経直腸(例えば坐薬を使用して)によるものが挙げられるがこれらに限定されるものではない。非経口には皮下注射、静脈内、筋内、胸骨内注射、または注射技術が含まれる。
当業者に周知の局所化合物投与は、化合物の経皮経路を介する薬学的化合物の患者の体循環への送達を含む。局所投与はまた、経皮パッチまたはイオン浸透装置などの経皮投与の使用を含む。加えて他の成分を経皮パッチに組み入れることが可能である。例えば、組成物および/または経皮パッチはヒドロキシ安息香酸メチル、ヒドロキシ安息香酸プロピル、クロロクレゾール、ベンズアルコニウムクロリドなどを含む(これらに限定されるものではない)1または複数の保存剤または静菌剤と共に製剤化することができる。化合物および組成物の局所投与のための投与形態としては、クリーム、ペースト、スプレー、ローション、ゲル、軟膏、目薬、点鼻薬、点耳薬などが挙げられる。そのような投与形態では、本発明の組成物を例えば、保存薬としてのベンジルアルコール1%または2%(wt/wt)、乳化ろう、グリセリン、パルミチン酸イソプロピル、乳酸、精製水およびソルビトール溶液と混合して、白色で、均質、均一な、不透明クリームまたはローションを形成させることができる。さらに、組成物はポリエチレングリコール400を含むことができる。組成物を、例えば、保存薬としてのベンジルアルコール2%(wt/wt)、白色鉱油、乳化ろう、およびテノックスII(ブチルヒドロキシアニソール、没食子酸プロピル、クエン酸、プロピレングリコール)と混合して軟膏を形成することができる。包帯材料、例えばガーゼの織パッドまたはロールを溶液、ローション、クリーム、軟膏または局所塗布のために使用することができる他のそのような形態の組成物で含浸させることができる。組成物はまた経皮システム、例えば、樹脂架橋剤が組成物で含浸され、不浸透性裏当てに積層されたアクリル系ポリマー接着剤を用いて局所的に塗布することができる。
経口投与のための固体投与形態としては、カプセル、錠剤、発泡錠剤、持続放出性錠、持続放出性カプセル、咀嚼可能な錠剤、ピル、粉末、サシェ、顆粒およびゲルが挙げられる。そのような固体投与形態では、活性化合物はショ糖、乳糖またはデンプンなどの少なくとも1つの不活性希釈剤と混合することができる。そのような投与形態はまた、通常の慣習のように、不活性希釈剤以外の添加物質、例えばステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤を含むことができる。カプセル、錠剤、発泡錠剤およびピルの場合、投与形態はまた、緩衝剤を含むことができる。ソフトゼラチンカプセルは本発明の活性化合物または組成物および植物油の混合物を含むように調製することができる。ハードゼラチンカプセルは活性化合物の顆粒を、乳糖、ショ糖、ソルビトール、マンニトール、ジャガイモデンプン、トウモロコシデンプン、アミロペクチン、ゼラチンのセルロース誘導体などの固体微粉担体と組み合わせて含むことができる。錠剤およびピルは腸溶性コーティングを用いて調製することができる。
経口投与のための液体投与形態は、当技術分野で普通に使用される不活性希釈剤、例えば水を含有する薬学的に許容されるエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップ、およびエリキシルを含むことができる。そのような組成物はまたアジュバント、例えば湿潤剤、乳化および懸濁剤、ならびに甘味剤、香味剤および芳香剤を含むことができる。
本発明の化合物および組成物の経膣または経直腸投与のための坐薬は、化合物または組成物を、室温では固体であるが体温では液体となり、融解して薬物を放出するココアバターおよびポリエチレングリコールなどの適した非刺激性賦形剤と混合することにより調製することができる。
注射可能な調製物、例えば殺菌した注射可能な水溶液または油性懸濁液は適した分散剤、湿潤剤および/または懸濁剤を使用する周知の技術に従い製剤化することができる。殺菌した注射可能な調製物はまた、非毒性非経口で許容される希釈剤または溶媒中の殺菌された注射可能な溶液または懸濁液、例えば1,3-ブタンジオール中の溶液とすることができる。使用することができる許容されるビヒクルおよび溶媒の中には、水、リンガー液および等張塩化ナトリウム溶液がある。殺菌した固定油はまた従来、溶媒または懸濁媒質として使用される。
本発明の組成物はさらに、従来の賦形剤、すなわち、活性化合物と有害反応を起こさない、非経口適用に適した薬学的に許容される有機または無機担体物質を含むことができる。適した薬学的に許容される担体としては、例えば、水、塩溶液、アルコール、植物油、ポリエチレングリコール、ゼラチン、乳糖、アミロース、ステアリン酸マグネシウム、タルク、界面活性剤、珪酸、粘性パラフィン、香油、脂肪酸モノグリセリドおよびジグリセリド、ペトロエスラル(petroethral)脂肪酸エステル、ヒドロキシメチル-セルロース、ポリビニルピロリドンなどが挙げられる。薬学的調製物は殺菌することができ、所望であれば活性化合物と有害反応を起こさない助剤、例えば潤滑剤、保存剤、安定化剤、湿潤剤、乳化剤、浸透圧に影響する塩、緩衝剤、着色剤、香味剤および/または芳香族物質などと混合することができる。非経口投与では、特に適したビヒクルは溶液、好ましくは油性または水性溶液、ならびに懸濁液、エマルジョン、またはインプラントから構成される。水性懸濁液は懸濁液粘度を増大させる物質を含んでもよく、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトールおよび/またはデキストランを含んでもよい。任意に、懸濁液はまた安定化剤を含んでもよい。
本発明の実施に有用な溶媒としては、薬学的に許容される、水と混和可能な非水性溶媒が挙げられる。本発明では、これらの溶媒は、薬学的使用に対し一般に許容され、実質的に水と混和可能で、実質的には非水性である溶媒を含むと考えるべきである。好ましくは、これらの溶媒は非フタラート可塑剤浸出溶媒であり、そのため医療装置内で使用した場合、それらの溶媒は実質的には、医療装置内に存在することがあるフタラート可塑剤を浸出させることはない。より好ましくは、本発明の実施において使用可能な薬学的に許容される、水と混和可能な非水性溶媒としては、N-メチルピロリドン(NMP);プロピレングリコール;酢酸エチル;ジメチルスルホキシド;ジメチルアセトアミド;ベンジルアルコール;2-ピロリドン;安息香酸ベンジル;C2-6アルカノール;2-エトキシエタノール;酢酸2-エトキシエチル、酢酸メチル、酢酸エチル、エチレングリコールジエチルエーテル、またはエチレングリコールジメチルエーテルなどのアルキルエステル;(S)-(-)-乳酸エチル;アセトン;グリセロール;メチルエチルケトンまたはジメチルスルホンなどのアルキルケトン;テトラヒドロフラン;カプロラクタムなどの環状アルキルアミド;デシルメチルスルホキシド;オレイン酸;N,N-ジエチル-m-トルアミドなどの芳香族アミン;または1-ドデシルアザシクロヘプタン-2-オンが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
最も好ましい薬学的に許容される、水と混和可能な非水性溶媒は、N-メチルピロリドン(NMP)、プロピレングリコール、酢酸エチル、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、ベンジルアルコール、2-ピロリドン、または安息香酸ベンジルである。エタノールもまた、安定性に対し負の影響を与えるにも関わらず、本発明による薬学的に許容される、水と混和可能な非水性溶媒として使用してもよい。さらに、トリアセチンもまた、薬学的に許容される、水と混和可能な非水性溶媒として使用してもよく、所定の環境において可溶化剤として機能する。NMPはInternational Specialty Products(ニュージャージー州ウェイン)のPHARMASOLVE(登録商標)として入手可能である。ベンジルアルコールはJ.T.Baker,Inc.から入手可能である。エタノールはSpectrum,Inc.から入手可能である。トリアセチンはMallinkrodt,Inc.から入手可能である。
本発明の組成物は可溶化剤をさらに含むことができる。可溶化は溶液の形成を可能とする現象である。両親媒性化合物、すなわち溶液中で極性および非極性の両方の二重特性を有し、通常不溶性のまたはほとんど溶解しない物質の分散媒質中での溶解度を増加させることができる分子の存在と関連する。可溶化剤はしばしば界面活性剤特性を有する。その機能は溶媒として作用するよりはむしろ、溶液中の溶質の溶解度を増強させるものであるであるが、例外的な環境では、単一の化合物が可溶化特性および溶媒特性の両方を有してもよい。本発明の実施において有効な可溶化剤としては、トリアセチン、ポリエチレングリコール(例えば、PEG300、PEG400、またはそれらと3350とのブレンド、など)、ポリソルバート(例えば、Polysorbate20、Polysorabate40、Polysorbate60、Polysorbate65、Polysorbate80、など)、ポロキサマー(例えば、Poloxamer124、Poloxamer188、Poloxamer237、Poloxamer338、Poloxamer407など)、ポリオキシエチレンエーテル(例えば、Polyoxyl 2セチルエーテル、Polyoxyl 10セチルエーテル、およびPolyoxyl 20セチルエーテル、Polyoxyl 4ラウリルエーテル、Polyoxyl 23ラウリルエーテル、Polyoxyl 2オレイルエーテル、Polyoxyl 10オレイルエーテル、Polyoxyl 20オレイルエーテル、Polyoxyl 2ステアリルエーテル、Polyoxyl 10ステアリルエーテル、Polyoxyl 20ステアリルエーテル、Polyoxyl 100ステアリルエーテル、など)、ポリオキシステアラート(例えば、Polyoxyl 30ステアラート、Polyoxyl 40ステアラート、Polyoxyl 50ステアラート、Polyoxyl 100ステアラート、など)、ポリエトキシル化ステアラート(例えば、ポリエトキシル化12-ヒドロキシステアラートなど)、およびトリブチリン(Tributyrin)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明の組成物に添加してもよい他の物質としては、シクロデキストリン、ならびにシクロデキストリン類似体および誘導体、ならびに本発明の組成物の安定性を増強し、生成物を溶液中で維持し、または本発明の組成物の投与と関連する副作用を阻止することができる他の可溶性賦形剤が挙げられる。シクロデキストリンはJanssen PharmaceuticalからENCAPSIN(登録商標)として入手可能である。
必要に応じて、組成物はまた、少量の湿潤剤、乳化剤および/またはpH緩衝剤を含むことができる。組成物は液体溶液、懸濁液、エマルジョン、錠剤、ピル、カプセル、持続放出性製剤、または粉末とすることができる。組成物は、従来の結合材およびトリグリセリドなどの担体を用いて坐薬として製剤化することができる。経口製剤は薬学グレードのマンニトール、乳糖、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウムなどの標準担体を含むことができる。
例えば、リポソームカプセル化、微小泡、エマルジョン、微粒子、微小カプセル、ナノ粒子などを含む様々な送達システムが周知であり、本発明の化合物または組成物を投与するために使用することができる。必要とされる用量を1度の単位として、または持続性放出形態で投与することができる。
組成物の生物学的利用能は、適した賦形剤またはリン脂質もしくは界面活性剤などの作用物質の存在下で、グラインディング、ミリング、噴霧乾燥などの従来技術を用いて製剤を微小化することにより増強させることができる。
本発明の持続放出性投与形態は、治療薬を分散させた微粒子および/またはナノ粒子を含んでもよく、または純粋な、好ましくは結晶、固体形態で治療薬を含んでもよい。持続放出性投与では、微粒子投与形態は、純粋な、好ましくは結晶治療薬を含むことが好ましい。本発明のこの局面の治療投与形態は持続放出に適した任意の構造を有してもよい。好ましい持続放出性治療投与形態は1または複数の以下の特性を示す:微粒子(例えば、直径が約0.5μm〜約100μm、好ましくは約0.5μm〜約2μm;または直径が約0.01μm〜約200μm、好ましくは約0.5μm〜約50μm、およびより好ましくは約2μm〜約15μm)またはナノ粒子(例えば、直径が約1.0nm〜約1000nm、好ましくは約50nm〜約250nm;または直径が約0.01nm〜約1000nm、好ましくは約50nm〜約200nm)、遊離流動粉末構造;約0.5〜約180日、好ましくは約1〜3〜約150日、より好ましくは約3〜約180日、および最も好ましくは約10〜約21日の間の期間にわたり生物分解するように設計された生物分解性構造;または約0.5〜約180日、より好ましくは約30〜約120日;または約3〜約180日、より好ましくは約10〜約21日の間の期間にわたり治療薬拡散が可能な非生物分解性構造;標的組織および投与形態が投与される局所的な生理学的環境との生体適合性、生体適合性生物分解産物を得ることを含む;内部での治療薬の安定な再現性のある分散を促進し、好ましくは治療薬-ポリマーマトリクスを形成し、活性治療薬放出は以下のうちの1つまたは両方の経路により起こる;(1)投与形態を介する治療薬の拡散(治療薬が投与形態の寸法を決定する成形ポリマーまたはポリマー混合物に可溶な場合);または(2)生物分解可能な投与形態としての治療薬の放出;および/または標的投与形態に対し、投与形態結合に対し好ましくは約1〜約10,000結合蛋白質/ペプチド、およびより好ましくは150(オングストローム)2の粒子表面積あたり、投与形態結合に対し最大約1結合蛋白質を有することができる。投与形態結合に対する結合蛋白質/ペプチドの総数は使用する粒子サイズに依存する。結合蛋白質またはペプチドは、本明細書で示したように、共有結合リガンドサンドイッチまたは非共有結合様式で、治療投与形態の粒子にカップリングすることができる。
ナノ粒子持続放出性治療投与形態は好ましくは生物分解性であり、および任意に血管平滑筋細胞に結合し、主にエンドサイトーシスによりそれらの細胞中に入る。ナノ粒子の生物分解はプレリソソーム小胞およびリソソーム中で徐々に(例えば、30〜120日;または10〜21日)起こる。本発明の好ましいより大きな微粒子治療投与形態はその後の標的細胞摂取のために治療薬を放出し、ほんの数個のより小さな微粒子が食作用により細胞に入る。当業者は標的細胞が本発明の投与形態を吸収し代謝する正確な機序はそれらの細胞の形態、生理学および代謝過程に依存することを認識する。粒子持続放出性治療投与形態のサイズは細胞吸収の様式に関しても重要である。例えば、より小さなナノ粒子は細胞間の間質液と共に流れ、注入組織に浸透することができる。より大きな微粒子は注入一次組織中でより容易に間質吸収され、このように抗増殖性治療薬を送達させるのに有益である。
本発明の好ましい持続放出性投与形態は生物分解性微粒子またなナノ粒子を含む。より好ましくは、生物分解性微粒子またはナノ粒子は、ランダムな非酵素的加水分解分裂により生物分解し、治療薬が放出され、粒子構造内で細孔が形成されるポリマー含有マトリクスから形成される。
本発明の化合物および組成物は薬学的に許容される塩として製剤化することができる。薬学的に許容される塩としては、例えばアルカリ金属塩および遊離酸または遊離塩基の付加塩が挙げられる。塩が薬学的に許容されるという条件で、その塩の特性は重要ではない。適した薬学的に許容される酸付加塩は無機酸または有機酸から調製してもよい。そのような無機酸の例としては、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、亜硝酸(亜硝酸塩)、硝酸(硝酸塩)、炭酸、硫酸、リン酸などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。適当な有機酸としては、脂肪族、脂環式、芳香族、複素環式、カルボキシルおよびスルホンクラスの有機酸、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、グルクロン酸、マレイン酸、フマル酸、ピルビン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、安息香酸、アントラニル酸、メシル酸、サリチル酸、p-ヒドロキシ安息香酸、フェニル酢酸、マンデル酸、エンボン酸(パモ酸)、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、パントテン酸、トルエンスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、スルファニル酸、ステアリン酸、アルゲン酸、β-ヒドロキシブチル酸、シクロヘキシルアミノスルホン酸、ガラクタル酸およびガラクツロン酸などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。適した薬学的に許容される塩基付加塩としては、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、亜鉛から形成される金属塩、または第一、第二および第三アミン、環状アミン、N,N’-ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン(N-メチルグルカミン)およびプロカインなどから形成される有機塩などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。これらの塩はすべて、対応する化合物から、例えば適当な酸または塩基を化合物と反応させることにより従来の手段により調製してもよい。
個人の要求は様々であるが、化合物および/または組成物の有効量に対する最適範囲の決定は当技術分野の技術の範囲内である。一般に、当業者により調節することができる有効量の化合物および組成物を提供するために必要とされる用量は、年齢、健康、身体状態、性別、食事、体重、レシピエントの機能不全の程度、治療頻度および機能不全または疾患の特性および範囲、患者の医学的状態、投与経路、使用した特別な化合物の活性、効力、薬物動力学的および毒物学的プロファイルなどの薬学的事項、薬物送達システムを使用するか、化合物は薬物複合物の一部として投与されるかにより変動する。
酸化窒素不足により特徴付けられる血管疾患の治療および/または予防;およびレイノー症候群の治療および/または予防を実施するためのネビボロール(ニトロソ化および/またはニトロシル化ネビボロール、ニトロソ化および/またはニトロシル化ネビボロール代謝産物、およびネビボロール代謝産物を含む)の通常の用量は1日あたり約0.1mg〜約10mg、好ましくは1日あたり約5mgで、1日に1度1回の用量として;1日数度複数の用量で;または持続放出性製剤または経皮パッチで投与される。
薬学的組成物中の酸化窒素供与体の用量は特定の酸化窒素供与化合物および投与様式に依存する。例えば、イソソルビドジニトレートが経口投与される酸化窒素供与体である場合、約5mg/日〜約200mg/日の量で投与することができる。より特別な態様では、イソソルビドジニトレートは約20mg/日〜約160mg/日の量で投与することができる。さらにより特別な態様では、イソソルビドジニトレートは1日当たり1〜4回、約40mgの量で投与することができる。イソソルビドモノニトレートが経口投与される酸化窒素供与体である場合、約5mg/日〜約200mg/日の量で投与することができる。より特別な態様では、イソソルビドモノニトレートは約15mg/日〜約100mg/日の量で投与することができる。さらにより特別な態様では、イソソルビドモノニトレートは1日当たり1〜4回、約20mgの量で投与することができる。特別な量のイソソルビドジニトレートおよび/またはイソソルビドモノニトレートは1日につき1度1回の用量として;または1日数度、複数の用量で;または持続放出性経口製剤として;または経皮持続放出性パッチとして投与することができる。
組成物中の酸化窒素供与体の用量は特定の酸化窒素供与体化合物および投与様式に依存する。例えば、L-アルギニンが経口投与される酸化窒素供与体である場合、約3g〜約15gの量で投与し約0.2mM〜約30mMの範囲の血漿レベルを提供することができる。
薬学的組成物中の抗酸化剤の用量は特定の抗酸化剤化合物および投与様式に依存する。例えば、ヒドララジンが投与される抗酸化剤である場合、約30mg/日〜約400mg/日の量で投与することができる。より特別な態様では、塩酸ヒドララジンは約50mg/日〜約300mg/日の量で投与することができる。さらにより特別な態様では、塩酸ヒドララジンは1日あたり1〜4回、約75mgの量で投与することができる。ヒドララジンの特別な量は、1日につき1度1回の用量として;または1日数度、複数の用量で;または持続放出性経口製剤として;または経皮持続放出性パッチとして投与することができる。
本発明のニトロソ化および/またはニトロシル化ネビボロールおよび/またはニトロソ化および/またはニトロシル化ネビボロール代謝産物は用量範囲で用量投薬計画の過程で使用され、非ニトロソ化および/またはニトロシル化対応物と同じまたは実質的に等価なビヒクル/担体中に溶解して同じまたは実質的に等価なように投与される。本発明のニトロソ化および/またはニトロシル化化合物はまた、より低い用量で、およびより範囲の狭い治療投薬計画において使用することができる。担体材料と結合して1回の投与形態を形成する活性成分の量は、治療されるホストおよび投与の特別な様式に依存して変化し、当技術分野の技術の範囲内である。
本発明はまた、任意に少なくとも1つのNOおよび/またはNO2基で置換したネビボロール、任意に1または複数のNOおよび/またはNO2基で置換した1または複数のネビボロール代謝産物、ならびに1または複数のNO供与体、および1または複数の本明細書で記述された抗酸化剤を含む本発明の薬学的化合物および/または組成物の1または複数の成分で満たされた1または複数の容器を含む薬学的キットを提供する。そのようなキットはまた、例えば、他の化合物および/または組成物(例えば、利尿薬、ジゴキシン、心血管疾患を治療するために使用される化合物、治療薬、浸透増強剤、潤滑剤など)、化合物および/または組成物を投与するための装置、薬剤または生物学的製品の製造、使用または販売を管理する政府機関により規定された形式の書面による指示を含むことができる。この指示はまたヒトへの投与のための、製造、使用または販売機関による承認を反映することもできる。
明細書で引用されたまたは記述された各特許、特許出願および発行物の開示内容は参照により全体として本明細書に組み込まれる。
本発明について詳細に記述してきたが、当業者であれば、本発明の精神および範囲から逸脱せずに、多くの変更および改変が可能であることは理解される。
化学式(I)の化合物を含むニトライトを調製するための合成スキームである。 化学式(I)の化合物を含むニトロソチオールを調製するための合成スキームである。 化学式(I)の化合物を含むニトレートを調製するための合成スキームである。 化学式(I)の化合物を含む2-ヒドロキシ-2-ニトロソヒドラジンを調製するための合成スキームである。 化学式(II)の化合物を含むニトライトを調製するための合成スキームである。 化学式(II)の化合物を含むニトロソチオールを調製するための合成スキームである。 化学式(II)の化合物を含むニトレートを調製するための合成スキームである。 化学式(II)の化合物を含む2-ヒドロキシ-2-ニトロソヒドラジンを調製するための合成スキームである。 化学式(III)の化合物を含むニトライトを調製するための合成スキームである。 化学式(III)の化合物を含むニトライトを調製するための合成スキームである。 化学式(III)の化合物を含むニトロソチオールを調製するための合成スキームである。 化学式(III)の化合物を含むニトロソチオールを調製するための合成スキームである。 化学式(III)の化合物を含むニトレートを調製するための合成スキームである。 化学式(III)の化合物を含むニトレートを調製するための合成スキームである。 化学式(III)の化合物を含む2-ヒドロキシ-2-ニトロソヒドラジンを調製するための合成スキームである。 化学式(III)の化合物を含む2-ヒドロキシ-2-ニトロソヒドラジンを調製するための合成スキームである。
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