JP2007533668A - 心筋の病気を治療するための方法および組成物 - Google Patents

心筋の病気を治療するための方法および組成物 Download PDF

Info

Publication number
JP2007533668A
JP2007533668A JP2007508679A JP2007508679A JP2007533668A JP 2007533668 A JP2007533668 A JP 2007533668A JP 2007508679 A JP2007508679 A JP 2007508679A JP 2007508679 A JP2007508679 A JP 2007508679A JP 2007533668 A JP2007533668 A JP 2007533668A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
adrenergic receptor
heart failure
brl
individual
adrenergic
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2007508679A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2007533668A5 (ja
Inventor
ラスムッセン,ヘルゲ,エイチ.
バンドガード,へニング
Original Assignee
ノーザン シドニー アンド セントラル コースト エリア ヘルス サービス
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Priority claimed from AU2004902179A external-priority patent/AU2004902179A0/en
Application filed by ノーザン シドニー アンド セントラル コースト エリア ヘルス サービス filed Critical ノーザン シドニー アンド セントラル コースト エリア ヘルス サービス
Publication of JP2007533668A publication Critical patent/JP2007533668A/ja
Publication of JP2007533668A5 publication Critical patent/JP2007533668A5/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K31/00Medicinal preparations containing organic active ingredients
    • A61K31/13Amines
    • A61K31/135Amines having aromatic rings, e.g. ketamine, nortriptyline
    • A61K31/137Arylalkylamines, e.g. amphetamine, epinephrine, salbutamol, ephedrine or methadone
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K31/00Medicinal preparations containing organic active ingredients
    • A61K31/13Amines
    • A61K31/135Amines having aromatic rings, e.g. ketamine, nortriptyline
    • A61K31/138Aryloxyalkylamines, e.g. propranolol, tamoxifen, phenoxybenzamine
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K31/00Medicinal preparations containing organic active ingredients
    • A61K31/185Acids; Anhydrides, halides or salts thereof, e.g. sulfur acids, imidic, hydrazonic or hydroximic acids
    • A61K31/19Carboxylic acids, e.g. valproic acid
    • A61K31/195Carboxylic acids, e.g. valproic acid having an amino group
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P43/00Drugs for specific purposes, not provided for in groups A61P1/00-A61P41/00
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P9/00Drugs for disorders of the cardiovascular system
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P9/00Drugs for disorders of the cardiovascular system
    • A61P9/04Inotropic agents, i.e. stimulants of cardiac contraction; Drugs for heart failure

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Pharmacology & Pharmacy (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Epidemiology (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Cardiology (AREA)
  • Heart & Thoracic Surgery (AREA)
  • Emergency Medicine (AREA)
  • Hospice & Palliative Care (AREA)
  • Acyclic And Carbocyclic Compounds In Medicinal Compositions (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)

Abstract

【解決課題】 本発明は、心筋細胞における例えばNa+、K+、およびCa2+イオンのようなイオンのレベルが異常なことに特徴のある病気を治療するための方法に関する。
【解決手段】 心不全および心筋肥大症を治療する組成物、心筋細胞における例えばNa+、K+、およびCa2+イオンのようなイオンのレベルが異常なことに特徴のある病気、例えば心不全および心筋肥大症を患う哺乳動物、特に人間を治療する際に役立つβ3アドレナリン作用性受容体作動薬のような化合物および組成物を提供する。
【選択図】図1

Description

本発明は、Na+、K+、またはCa2+イオンのような心筋細胞のイオンのレベルが異常なことに特徴のある病気を治療するための方法に関する。本発明はまた、心不全および心筋肥大症を治療する方法にも関連する。本発明はまた、心筋細胞における例えばNa+、K+、およびCa2+イオンのようなイオンのレベルが異常なことに特徴のある病気、例えば心不全および心筋肥大症を患う哺乳動物、特に人間を治療する際に役立つ化合物および組成物にも関連する。
Na+、K+、またはCa2+イオンのような心筋細胞のイオンのレベルが異常なことに特徴のある、人間および他の動物が罹患する数多くの病気がある。このような病気には、心不全、心筋肥大症および肥厚性心筋症が含まれる。
西洋における症候性心不全の罹患率は約2%である。アメリカ合衆国では〜5百万人がその治療を受けており、そして5千万人から6千万人ものアメリカ人(〜20%)が心不全を発生するリスクを持っている(Gheorghiadeら、2003)。このグループには、心疾患を発生させる誘因、即ち冠状動脈疾患、糖尿病、高血圧または弁膜性心疾患を、一つまたはそれ以上患っている人々が含まれる。
心不全(HF)、即ち鬱血性心不全は、左心室の機能と神経ホルモンの調節の異常に特徴がある複合型臨床症状を示す。曖昧に言うとそれは心臓のポンプ容量が減少することに特徴のある症状であって、それは通常最初は持続的に働いている状態の身体の灌流を損ない、そして静止状態でもHFを悪化させる。ポンプ容量の減少は、心臓の筋肉、即ち心筋の収縮力が減少すること(心収縮不全)による可能性があるし、あるいは心臓の再−流入を損なう、即ち心筋の弛緩力を損なうこと(心拡張不全)による可能性もある。HFは、広範囲の病因学的、また病態生理学的な因子に起因して発生し、臨床上の症状はかなり異なっている。
HFで一般に見られる症候は、労作時呼吸困難、胸部不快感、起座呼吸、運動能力の減少、水分貯留による体重増加、食欲不振および吐き気、倦怠感および虚弱、さらに進行した段階における中枢神経系の症状、悪液質およびスタミナの減少である。しかしながら重篤なほどにポンプ機能が減少してしまうと何ら症状を示さないか、ほとんど症状を示さない。
HFの特徴である神経ホルモンの異常としては、血清中および組織中におけるアンジオテンシンII、カテコールアミン類、特にノルエピネフリン(ノルアドレナリン)、アルドステロン、エンドテリンおよびナトリウム利尿ペプチドのレベルの上昇が挙げられる。これらの異常に取り組むことが、薬理学的治療の臨床試験にとって基礎となっている。アンジオテンシンIIの作用に拮抗したり、その合成を阻害したりする薬物(受容体遮断薬)、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、アルドステロン拮抗薬およびβ−アドレナリン作用性受容体遮断薬は、HFの罹患率や死亡率を有意に減少させる。エンドテリン受容体遮断薬、およびナトリウム利尿ペプチドのレベルを上昇できるように設計された薬物の試験では恩恵が得られなかった。
心筋肥大症では心室の容積増加が、筋細胞の肥大化、即ち心臓細胞の大きさの増大と並行して起こる。臨床的には心筋肥大症は心電図記録法によって、または心室壁の厚みの増加を示す心臓エコー検査法によって診断されることが多い。しかしながら心臓が拡張している場合、肥大症が正常な、即ち薄いままの心室壁を伴って存在している可能性がある。肥大症は、例えば心臓弁疾患または動脈型高血圧によるような負荷の増大に対処できるように心臓を助ける代償的な機構として発生することが最も多い。心筋肥大症はまた、筋細胞にある収縮性タンパク質をエンコードする遺伝子の異常が原因で発生する可能性もある(Bundgaadら、1999)。この疾患の存在には、かなりの罹患率と高い死亡率が関連している。
心筋肥大症の予後の影響について行われている最近の予後−分析でVakiliら(2001)は、心筋肥大症が、調べた共変量とは関係なく、即ち人種、高血圧もしくは冠状動脈疾患を持っているか否かに関連して明確な違いがなく、または臨床上と医生態学上のサンプル間に明確な違いがなく、死亡率と同様に罹患率に対しても高いリスクがあると一貫して予測できると報告した。これらの結果は、心室拡張と有害な結果との間に強い相関関係があることを明らかにしており、そしてその検出が臨床的に重要であることを明確にしている。この条件での医学的治療技術の成果の変化−分析によれば、抗高血圧薬治療を行う際に起こる左心室拡張を緩和することが、引き続いて起こる心臓血管疾患のリスクを目立って減少させることに関与すると推断される(Verdecchiaら、2003)。
心臓における興奮−収縮カップリング
心臓の活動電位に応答してCa2+イオンが外側から細胞に入り、また筋小胞体(SR)からのCa2+の放出を「刺激する」。そのCa2+は細胞の収縮性タンパク質と相互作用し、心臓の収縮を開始させる。
心臓の弛緩はCa2+の除去に左右される。これは、Ca2+がSRに再取り込みされることによって、また細胞膜を横切って押し出されることによって起こる。細胞膜を横切るCa2+の押し出しは、移動して入るNa+と交換してCa2+が外に出て移動する交換メカニズムを経て主に起こる。
興奮−収縮カップリングの際に起こるCa2+に対する細胞の処理の異常がHFおよび心筋肥大症の病因に関連している。HFおよび心筋肥大症においてはNa+の細胞内レベルが上昇することが、Na+と交換してCa2+を押し出す電気化学的推進力の減少と関連している。Na+レベルが高いことはまた、収縮異常の原因となる可能性もある。
電気化学的勾配に反して細胞の外にあるCa2+イオンを「高い方へ」輸送することは、Na+に対する反対方向の電気化学的勾配に保存されたエネルギーに依存している。一方、透過性膜のNa+勾配は、Na+については効果的に出るルートしかないNa+−K+ポンプによって維持されている。このポンプは、細胞内に入るように輸送される2K+イオンと交換して3Na+イオンを細胞の外に輸送する。
HFの死亡率は極めて高く、年齢や共存症により高くなる。HFで初めて入院した38,000人の患者についての研究では、一年の死亡率は33.3%であった(Jong Pら、2002)。HFと診断が確立された後のすべての患者に対する5年間の全死亡率は〜50%である。HFの薬理学的治療技術に顕著な進歩があるにもかかわらず、5-年間死亡率は1950−1969年の期間における60−70%から1990−1999年の期間における50−60%へとわずかに低下していた(Levy D、2002)。このように心不全では、効果が証明されている現在入手可能な薬物を投与したにもかかわらず、罹患率も死亡率も未だなお非常に高い。
心不全の状況と同様に、細胞イオンレベルの異常に特徴のある他の病気に有効な治療法があるものの、その有効な治療法は一つまたはそれ以上の欠点に苦しんでおり、改良された治療方法の有用性から恩恵を受けるだろう。
したがって、心筋細胞イオンレベルの異常に特徴のある病気、特定すると細胞のNa+、K+、またはCa2+イオンの異常に特徴のある病気を治療するための改善された方法を求める要望がある。特定の観点ではHFおよび心筋肥大症を治療するための改善された方法を求める声があるし、またHFおよび心筋肥大症のための改良された薬剤および治療管理法を求める要望もある。
本発明は、心筋細胞のイオンレベルが異常なこと、特定すると細胞のNa+、K+、またはCa2+のイオンレベルが異常なことに特徴のある病気を治療するため、また、そのような病気に対する最近の治療法の欠点を実質的になくそうとするための改善された方法を提供することを目的とする。特定の実施態様では本発明は、心不全および心筋肥大症を治療するため、また最近の治療法の欠点を実質的になくそうとするための改善された方法を提供することを目的とする。
本発明は、心筋細胞表面受容体であるβ3アドレナリン作用性受容体が膜のNa+−K+ポンプを活性化して、心筋細胞からのNa+の排出に関連しているという、本発明者らによる驚くべき発見に基づく。
したがって本発明の一番目の態様では、心筋細胞のNa+、K+、またはCa2+の異常なイオンレベルに特徴のある病気を抱えた個体を治療するための方法が提供されており、その方法には、前記個体に一種またはそれ以上のβ3アドレナリン作用性受容体作動薬の治療上有効量を投与する行程が含まれる。
特定の観点ではその病気は、心不全および/または心筋肥大症からなるグループより選択される。
本発明の二番目の態様によれば、心不全もしくは心筋肥大に罹患しているかまたは罹患する可能性のある個体を治療するための方法を提供されており、その方法には、前記個体に一種またはそれ以上のβ3アドレナリン作用性受容体作動薬の治療上有効量を投与する行程が含まれる。
本発明の特定の観点では、個体は心不全もしくは心筋肥大症が関する一つまたはそれ以上の臨床症状に苦しんでいる個体である。
本発明の特定の観点においてβ3アドレナリン作用性受容体作動薬は、アリールエタノールアミン類、アリールオキシプロパノールアミン類、トリメトキノール類からなるβ3アドレナリン作用性受容体作動薬グループより選択される。
本発明の特定の観点ではβ3アドレナリン作用性受容体作動薬は、BRL 37344、BRL 35135、BRL 26830、BRL 26830A、BRL 35113、ZD 7114、ZD 2076、CGP 12177、CGP 12177A、CGP-20712A、CL 316243、ICI 07114、ICI D 7114、ICI 215001、ICI 201651、BRL 35135A、BRL28140、N-5984、(R)-N-[4-[2-[[2-ヒドロキシ-2-(ピリジン-3-イル)エチル]アミノ]エチル]フェニル]-4-[4-(4-トリフロロ-メチルフェニル)チアゾール-2-イル]ベンゼンスルホンアミド(L-796568)、(R)-N-[4-[2-[[2-ヒドロキシ-2-(3-ピリジニル)-エチル]アミノ]エチル]フェニル]-1-(4-オクチルチアゾール-2-イル)-5-インドリンスルホンアミド(L-755507)、L-770,644、L-766,892、L-757,793、L-796568、LY-377604、Ro 40-2148、Ro16-8714、SB-220646、SB-226552、SB-251023、SB-262552、SR 58306、SR 58375、SR 58339、SR 58611、SR 58611A、SR 59119A、GR-265261-X、AD-9677、および一連の2-(3-インドリル)アルキルアミノ-1-1(3-クロロフェニル)エタノール類のベータ3作動薬からなるグループより選択するとよい。
本発明の特定の観点ではβ3アドレナリン作用性受容体作動薬はさらに、β1拮抗作用を有している。
本発明の特定の観点ではβ3アドレナリン作用性受容体作動薬はさらに、β2拮抗作用を有している。
本発明の特定の観点ではこの方法は、前記個体に一つまたはそれ以上のβ遮断薬を投与する行程をさらに含んでいる。
本発明の特定の観点では、β遮断薬はβ1アドレナリン作用性受容体拮抗薬である。
本発明の特定の観点では、一種もしくはそれ以上のβ3アドレナリン作用性受容体作動薬を投与する前、同時、または後に前記個体に投与することができる。
本発明の特定の観点ではこの方法は、β3アドレナリン作用性受容体作動薬を投与する前に前記個体を少なくとも部分的に安定化する行程を含んでいる。
本発明の特定の観点ではこの方法は、その治療における最初の薬理学的アプローチとしてβ3アドレナリン作用性受容体作動薬の開始を含んでいる。
本発明の特定の観点では前記安定化行程は、ACE−阻害薬、アルドステロン拮抗薬、およびβアドレナリン作用性受容体拮抗薬からなるグループより選択される一種またはそれ以上の化合物を用いる治療を含んでいる。
本発明の三番目の態様によると、心筋細胞のNa+イオンレベルが異常に高いことに特徴のある病気を治療するための方法が提供されており、その方法には前記病気を患う個体に一種またはそれ以上のβ3アドレナリン作用性受容体作動薬の治療上有効量を投与する行程が含まれる。
本発明のこの三番目の態様の特定の観点では、細胞のNa+が異常に高いことに特徴のある病気は心筋肥大症である。
本発明のこの三番目の態様の特定の観点において細胞のNa+が異常に高いことに特徴のある病気は心不全である。
本発明の四番目の態様によると、心筋細胞のNa+、K+、またはCa2+のイオンレベルが異常なことに特徴のある病気を抱えた個体を治療する医薬品を製造するための一種またはそれ以上のβ3アドレナリン作用性受容体作動薬の利用方法が提供されている。
本発明の五番目の態様によると、心筋細胞のNa+、K+、またはCa2+のイオンレベルの異常に特徴のある病気を抱えた個体を治療する際に利用できる一種またはそれ以上のβ3アドレナリン作用性受容体作動薬が提供される。
本発明の六番目の態様によると、心不全または心筋肥大症に罹患しているか罹患する可能性のある個体を治療する医薬品を製造する際の、一種またはそれ以上のβ3アドレナリン作用性受容体作動薬の利用方法が提供される。
本発明の七番目の態様によると、心不全または心筋肥大症に罹患しているか罹患する可能性のある個体を治療する際に利用できる一種またはそれ以上のβ3アドレナリン作用性受容体作動薬が提供される。
本発明の八番目の態様によると、心筋細胞のNa+、K+、またはCa2+のイオンレベルが異常なことに特徴のある病気を抱えた個体を治療する際に利用できる薬学的組成物が提供されており、その組成物には、一種またはそれ以上のβ3アドレナリン作用性受容体作動薬が、一種またはそれ以上の薬学的に許容されるアジュバント、賦形剤、および/または担体とともに含まれている。
本発明の九番目の態様によると、心不全または心筋肥大症に罹患しているか罹患する可能性のある個体を治療する際に利用できる薬学的組成物が提供されており、その組成物には、一種またはそれ以上のβ3アドレナリン作用性受容体作動薬が、一種またはそれ以上の薬学的に許容されるアジュバント、賦形剤、および/または担体とともに含まれている。
本発明の十番目の態様によると、一種またはそれ以上のβ3アドレナリン作動薬と、一種もしくはそれ以上のβ1および/またはβ2アドレナリン作用性受容体拮抗薬とが、一種もしくはそれ以上の薬学的に許容されるアジュバント、賦形剤、および/または担体とともに含まれている薬学的組成物が提供されている。
本発明の十一番目の態様によると、心筋の一個またはそれ以上の細胞からNa+を放出させるための方法が提供されており、その方法には、前記細胞を、一種またはそれ以上のβ3アドレナリン作用性受容体作動薬と接触させる行程が含まれている。この方法には、Na−Kポンプの活性化が含まれていてもよい。特定の観点においてこの方法は、インビトロでの方法であってもよいし、あるいはインビボでの方法であってもよい。
定義
ここで用いられている用語、「治療上有効量」には、本発明で用いられる化合物または組成物の望ましい治療効果を得るために、非−毒性であるが満足のゆくほどの量を意味する。必要とされる正確な量は、治療される人種、患者の年齢および全身状態、共存症、治療する病気の重症度、投与される特定の薬剤および投与形態などのような因子に依存して患者ごとに異なるであろう。このように正確な「有効量」を特定することはできない。しかしながらある所定のケースでは適切な「有効量」は、当業者がほんの機械的な操作を行うことで決定されうる。
この明細書の文章には、「ベータ(β)アドレナリン作用性受容体」として知られている一般的なクラスの受容体が関連している。この文章において「ベータアドレナリン作用性受容体」、即ち「βアドレナリン作用性受容体」は、この技術分野における標準的な意味を持っており、それは一般的に規定されているとおりであって、カテコールアミン類(アドレナリンおよびノルアドレナリン、並びにそれらの誘導体)を循環させるための受容体であるβ1アドレナリン作用性受容体、β2アドレナリン作用性受容体、β3アドレナリン作用性受容体が含まれると解釈される。
同様に「β3アドレナリン作用性受容体」という用語は、この技術分野で一般的に規定されている通常の意味を持っており、それは異型のβアドレナリン作用性受容体、β3アドレナリン作用性受容体、β3アドレナリン受容体、およびβ3アドレナリン受容体といった別の専門用語で知られている受容体が含まれると解釈される。
この明細書の文脈において作動薬とは、天然に発生するか、内因性の調節物質によって通常は刺激することの可能な細胞受容体の生理活性を刺激する何らかの物質、薬剤または薬物である。この明細書の文脈において「作動薬」という用語には、物質、薬剤または薬物が内因性調節物質と、ほんの部分的にではあるが同様の効果を有している一部分の作動薬が含まれると理解すべきである。この明細書の文脈において「作動薬」という用語には、受容体に直接的に作用する物質、薬剤または薬物であって、受容体に対して親和性を持つものや、受容体の活性を刺激するように一個またはそれ以上の中間物質または経路を通るなどして、受容体に非直接的に作用できる何らかの物質、薬剤、または薬物が含まれる。
この明細書の文脈において「β3アドレナリン作動薬」および「β3アドレナリン作用性受容体作動薬」といった用語には、その範囲内に、β3アドレナリン作用性受容体を活性化する能力のある何らかの薬剤が、特定するとヒトβ3アドレナリン作用性受容体を活性化する能力のある何らかの薬剤が含まれる。
この明細書の文脈において、βアドレナリン作用性受容体作動薬またはβアドレナリン作用性受容体拮抗薬に関連して用いられる場合の「選択的な」という用語は、作動薬または拮抗薬が、一個またはそれ以上のβ1、β2またはβ3アドレナリン作用性受容体に向かう優先的な作用、即ち唯一である必要はないものの、優先的な作用を持っていることを意味する。例えばβ3アドレナリン作用性受容体に選択的な作動薬は、β3アドレナリン作用性受容体に向かう選択的な刺激作用を有している。例えばβ1アドレナリン作用性受容体に選択的な拮抗薬は、β1アドレナリン作用性受容体に向かう選択的な阻害作用を有している。
この明細書の文脈において「β遮断薬」という用語は、β1アドレナリン作用性受容体および/またはβ2アドレナリン作用性受容体に向かう拮抗性、即ち阻害性の作用を有する何らかの物質、薬剤、または薬物を意味する。
この明細書の文脈において、「心不全(HF)」という用語には、慢性および急性の両方の心不全が含まれる。したがって例えば本発明の方法は、慢性心不全の治療のため、および急性心不全の治療ためのどちらに対しても好適であると予測される。またこの明細書の文脈では「心不全」という用語には、症候性心不全と無症候性心不全が含まれること、さらに進めると、急性または慢性の心不全への罹病性も含まれるということが理解できるであろう。また、この明細書の文脈において「心不全」という用語には、心収縮性心不全も心拡張性心不全も含まれることが理解できるであろう。
この明細書の文脈において「患者」という用語には、人間や、限定するわけではないが、ヒツジ、ウシ、ウマ、ブタ、ネコ、イヌ、霊長類、齧歯類といった種類の一メンバーを含む社会的、経済的、または研究上重要な何らかの種からなる個体が含まれる。
この明細書の文脈において、治療プログラムに関連して用いられる場合の「組み合わせて」という用語や、類似の「結合して」というような用語は、作動薬および拮抗薬といったそれぞれの薬物と他の治療薬とが個体を治療する際に用いられること、また、「組み合わせ」治療プログラムにおいてそれぞれの薬物と他の治療薬とが、治療プログラムで一種またはそれ以上の他の薬物と同時に個体に投与されてもよいし、あるいは治療プログラムで一種またはそれ以上の他の薬物とは異なる時間に個体に投与されてもよいことを意味している。すなわち、治療プログラムに関連して用いられる場合の「組み合わせて」という用語、および類似の「結合して」というような用語は、一種またはそれ以上の薬物と他の治療薬とを患者に投与する前に物理的に組み合わせてもよいことを意味しており、またその用語は、医者が組み合わせる前には一種またはそれ以上の薬物と他の治療薬とが別個の薬剤として投与されることも含むと解釈できる。
この明細書の文脈では「含むこと(comprising)」という用語は、「単独である必要はないが、主として包含すること(including)」を意味している。さらに例えば「含む(comprise)」および「含む(comprises)」などの「含むこと(comprising)」という用語の変形は、対応して変化させた意味を持っている。
ここに引用された全ての参照文献は、その全文が参照として組み入れられる。
略語
この明細書の文脈において、「HF」は心不全の略語である。
この明細書の文脈において、「SR」は筋小胞体の略語である。
この明細書の文脈において、「CHF」は鬱血性心不全の略語である。
この明細書の文脈において、「LV」は左心室の略語である。
この明細書において「Ip」は、パッチクランプ法を用いた実験条件でNa,K-ポンプによって発生する測定可能な細胞膜通過電流の略語である。
この明細書の文脈において「NMG.CI」は、N-メチル-D-グルカミンの略語である。
この明細書の文脈において「ESPVR」は、左心室の最終収縮圧−容積の関係についての略語である。
この明細書の文略において「PKA」は、cAMP−活性化プロテインキナーゼの略語である。
この明細書の文略において「H-89」は、(N-[2[(p-ブロモシンナミルアミノ)エチル]-5-イソキノリンスルホンアミド ジヒドロクロライドの略語である。
本発明はここでより詳細に説明されており、以下の実施例に関しては例示としてのみの意味がある。
本発明は、心筋細胞のイオンレベルが異常であること、特定すると細胞のNa+、K+、またはCa2+イオンが異常であることに特徴のある病気にかかっている患者、特に人の患者を治療する技術に対する完全に新規な薬理学的アプローチである。特定の態様においては本発明は、心不全(HF)または心筋肥大症に罹患している患者の治療技術に対する完全に新規な薬理学的アプローチを提供する。
本発明は、心筋細胞表面の受容体であるβ3アドレナリン作用性受容体が膜のNa+−K+ポンプを活性化することによって、細胞からNa+が排出されるという発明者らの驚くべき発見に基づいている。心臓の筋肉細胞のNa+は心不全の病理論に関連しているため、その発見によってβ3アドレナリン作用性受容体活性化剤(β3作動薬)を用いることでHFを治療できる新規な薬理学的アプローチの理論的設計が可能になる。
心臓筋肉細胞を含む全ての細胞は、細胞膜によって分離される細胞の内側と外側の間で電位に差があることに特徴がある。心臓筋肉細胞にある細胞膜は、筋繊維鞘と言われる。心臓周期を経る間に膜電位は、休止状態の負の電位から正の電位へと過渡的に変化しながら内側で周期的に変化している。膜電位のこの変化は心臓の活動電位と言われる。心臓の活動電位で起こるイベントは筋肉細胞が収縮するため、それにより心臓がポンプ機能するために重要である。心臓の活動電位と収縮の間の相関関係は、「興奮−収縮カップリング」と言われることがよくある。
心臓の活動電位が起きている間の膜電位の変化が膜にある特定のチャンネルを活性化することによって、Ca2+イオンが一過性に透過可能になる。このイオンは、外側の高い濃度の領域から内側の低い濃度の領域へと細胞内に入る。入り込んだCa2+は、筋小胞体(SR)と言われる細胞内構造に蓄えられているCa2+を放出させる「きっかけ」として機能する。チャンネルを経て入ったCa2+またはSRから放出されたCa2+は、細胞の収縮性タンパク質と相互作用して結合し、心臓の収縮を開始させる。
心臓の弛緩は収縮と同じくらいまさに重要である。弛緩はCa2+の除去に依存している。これは、Ca2+がSRにエネルギー−依存的に再−取り込みされることによって、また、細胞膜を通って細胞の内側から外側を取り囲む環境へとそれが放出されることによって起こる。細胞膜を横切るCa2+の放出は、エネルギー依存性のCa2+ポンプによって、また内側に輸送されるNa+と交換してCa2+が外側に輸送されるNa+−Ca2+交換メカニズムによって起こる。人間を含むほとんどの哺乳動物種では、Na+−Ca2+交換はCa2+を排出するための定量的に最も重要な経路である。
興奮−収縮カップリングが起きている際に細胞が行うCa2+の取り扱いの異常が、HFの病因論において重要である。通常、収縮を開始させるCa2+の一過性の増加が起きた後で細胞内のCa2+の減衰が遅れて起こる。Ca2+のSRへの再取り込みを仲介したり、筋繊維鞘膜を通過するNa+と交換したりする膜タンパク質の機能および/または含有量の異常といった多くのメカニズムが提案されている。
Na+の細胞内レベルが増加すること(したがってNa+と交換してCa2+を排出する電気化学的推進力が減少すること)が、HFの中心的な異常性であると最近証明された。このことは、実験的に誘導されたHFにかかった動物と、臨床症状を伴う人間のどちらにも適用できる。Na+−Ca2+交換を経るCa2+の細胞排出においては膜内外のNa+傾斜が役割を果たすために、細胞内でNa+レベルが増加すると、細胞のCa2+の異常な取り扱いが大きく引き起こされる可能性がある。
したがってNa+が高レベルであると収縮の異常性として反応する可能性があり、そしてそれは人生の早期に存在する遺伝子プログラミングを活性化するおそれがあり、心臓の筋肉細胞の異常増殖や心臓の有害なリモデリングに関わってくる可能性がある。HFおよび心筋肥大症では細胞内に高レベルのNa+が存在することが現在では広く受け入れられているが、その増加のメカニズムは不明である。Na+の流出が減少するのと同時に、Na+の流入が高まるのでは、と提案されている。
HFにおける心筋のNa+とNa+,K+−ポンプの役割
上記に記載されたように、電気化学的傾斜に逆らって細胞の外にCa2+イオンが「上り坂(uphill)」輸送されることは、Na+に対して反対方向に指向する電気化学的傾斜(外側が高濃度で、内側が低濃度)に保存されたエネルギーに依存している。また、膜内外のNa+傾斜は、Na+−K+−ポンプによってNa+の排出ルートのみが効果的に維持されている。このポンプは、輸送されて中に入る2K+イオンと交換して3Na+イオンを細胞の外へ輸送する。機能する際にATPの加水分解に依存するエネルギー−依存性プロセスがあり、したがってそれはしばしば、Na+−K+−ATPアーゼと言われる。
興奮−収縮カップリングにおけるNa+−K+−ポンプの役割は、約45年間もの間認識されてきた。それが関与する最も良く知られた例は、心臓配糖体である例えばジゴキシンの影響が関連する。このグループの薬物は、Na+−K+−ポンプの非常に特異的な阻害剤である。心臓配糖体に正常な心臓組織が接触すると、細胞内Na+の増加、およびCa2+の増加が起こり、したがって収縮性が高められる。この機構によって、HFの治療で心臓配糖体を利用できる基礎が構成された。しかしながら、細胞内Na+が適当量だけ配糖体−誘導性で増加すると収縮が強められ、そして細胞内Na+が「正常な」レベルを数mM超えて増加すると収縮に悪い影響が起こり始める。上述したように、細胞内Na+はHFですでに多くなっており、さらに多くなると良いことはなくなるらしい。このことと一致して、心臓配糖体を用いた治療では一過性の症状改善の恩恵はあるかもしれないが、HFでの生存性が改善されることはなく、あるグループの患者では死亡率に悪い影響が与えられることさえある。
本発明は、HFおよび他の病気においてNa+−K+−ポンプの刺激を引き起こす潜在性を利用した方法に向けられる。本発明以前には、β3−アドレナリン作用性受容体作動薬が、潜在的なNa+−K+−ポンプの活性化剤として説明されていることはなかった。
β3アドレナリン作用性受容体
β3アドレナリン作用性受容体は心臓などの多くの組織表面に存在しており、人間を含む数多くの種に存在している。本発明以前には、β3アドレナリン作用性受容体についての主な臨床的、薬理学的な興味は、肥満やII型の糖尿病を治療する際のβ3アドレナリン作用性受容体作動薬(「活性化薬」)の潜在的な役割に関するものであって、それはβ3アドレナリン作用性受容体作動薬が代謝速度の増加、脂質分解作用、およびインシュリン感受性の増加を誘導するという齧歯類における発見に基づいていた。
ヒトから得られる組織などの単離された心臓組織に対する研究によって、β3アドレナリン作用性受容体作動薬が筋変力作用陰性の効果、即ち収縮性の減少を仲介することが確立された。このことは、筋変力作用陽性、即ち収縮性の増加を仲介するβ1およびβ2受容体作動薬とはっきりとした対照をなしている。β3−アドレナリン作用性受容体の筋変力作用陰性の効果に対するメカニズムはしっかりとは確立されていないが、カルシウムチャンネルの遮断によって仲介されるのであろうと推測されている。
β3アドレナリン作用性受容体は、HFの発生に伴って活性化調節される。β3アドレナリン作用性受容体がHFの進行に悪い影響を与えることが示唆された。こうしてGauthierら(1998)は、カテコールアミン−活性化β3アドレナリン作用性受容体−仲介経路が心筋の機能不全を導くらしいことを示唆した。また、β3アドレナリン作用性受容体によって仲介される筋変力作用陰性の効果は都合が悪く、とりわけ重篤なHFを伴う収縮機能不全を悪化させる(Moniotteら、2001)。Chengら(2001)は、β3アドレナリン作用性受容体がHFの心臓機能不全の進行に関わることを示唆している。Morimotoら(2004)は、心不全が起きている心筋細胞の機能不全のモデルにおいてβ3アドレナリン作用性受容体を遮断することで、左心室(LV)の収縮と弛緩が改善されること、またHFでは高レベルのカテコールアミン類によってβ3アドレナリン作用性受容体を刺激することが欠陥のあるLVの収縮と弛緩に影響を与えることを報告した。Morimotoらは、自分たちの結果を臨床的に関係づけた場合、β3アドレナリン作用性受容体を遮断することで心不全に対する筋変力作用のサポートを行う薬理学的方法が提供できること、また長期にわたってβ3アドレナリン作用性受容体を遮断することによってHFで好都合な効果がもたらされることなどが挙げられると提案している。
心臓収縮の際のNa+−K+−ポンプの役割(ポンプの阻害は筋変力作用陽性の効果を持つと予測し、ポンプの刺激は筋変力作用陰性の効果を持つと予測した。)に焦点をあてて本発明者らは、β3アドレナリン作用性受容体がNa+−K+−ポンプの活性化と関連するという仮定をテストした。驚くべきことであるが本発明者らは、単離した心臓筋肉細胞に存在する筋繊維鞘のNa+−K+−ポンプの活性を、β3アドレナリン作用性受容体が仲介して高めることができるとこの明細書において記載している。このことが、心筋のNa+−K+−ポンプ活性の調節に対するβ3アドレナリン作用性受容体の作用についての第1の確証である。
Na−Kポンプのβ3アドレナリン作用性受容体−仲介刺激がNa+の細胞外流出を増加させるのであろう。心臓筋肉細胞のNa+レベルが高まることが心不全や新規肥大症の顕著な特徴であるため、Na+流出をこうして促進させることが有益となる可能性がある。この提案を支持して、ACE−阻害剤およびアルドステロン拮抗薬を用いて有効性が充分に証明されている治療法は、心筋細胞のNa−Kポンプの刺激と関連している(Hool, LCら、Am J Physiol 271: C172-180, 1996、Mohailidou ASら、Cirg Res 86; 37-42, 2000)。これらのグループの薬物の作用は、天然に存在し、Na−Kポンプに対するホルモンであるアンジオテンシンIIやアルドステロンの阻害作用と相反する共通の性質を持っている。本発明者らは、阻害作用を抑制することが滅多になく、むしろポンプを直接的に刺激する新規な受容体−仲介による方法を記載している。初めに細胞内のNa+レベルが減少すると心筋の収縮性がいくらか低下する可能性がある。しかしながら幾分かの起こりうる最初の低下が起きた後は、細胞内のNa+濃度が徐々に低下して平衡になって改善する。こうしてβ3アドレナリン作用性受容体作動薬によって心筋のNa+−K+−ポンプが刺激されるという発見により、β3アドレナリン作用性受容体活性化薬(β3アドレナリン作用性受容体作動薬)を用いて心不全、または心筋肥大症にかかっている患者を治療する計画に、全く新規な薬理学的アプローチが提供される。
したがって本発明は、HFまたは心筋肥大症を治療する際の、一種またはそれ以上のβ3アドレナリン作用性受容体作動薬の利用を提供する。
β3アドレナリン作用性受容体作動薬
β3アドレナリン作用性受容体作動薬はこの技術分野では既知であり、それには限定するわけではないが、アリールエタノールアミン類、アリールオキシプロパノールアミン類、トリメトキノール類からなるβ3アドレナリン作用性受容体作動薬グループを含み、また限定するわけでないが、BRL 37344、BRL 35135、BRL 26830、BRL 26830A、BRL 35113、ZD 7114、ZD 2076、CGP 12177、CGP 12177A、CGP-20712A、CL 316243、ICI 07114、ICI D 7114、ICI 215001、ICI 201651、BRL 35135A、BRL28140、N-5984、(R)-N-[4-[2-[[2-ヒドロキシ-2-(ピリジン-3-イル)エチル]アミノ]エチル]フェニル]-4-[4-(4-トリフロロ-メチルフェニル)チアゾール-2-イル]ベンゼンスルホンアミド(L-796568)、(R)-N-[4-[2-[[2-ヒドロキシ-2-(3-ピリジニル)-エチル]アミノ]エチル]フェニル]-1-(4-オクチルチアゾール-2-イル)-5-インドリンスルホンアミド(L-755507)、L-770,644、L-766,892、L-757,793、L-796568、LY-377604、Ro 40-2148、Ro16-8714、SB-220646、SB-226552、SB-251023、SB-262552、SR 58306、SR 58375、SR 58339、SR 58611、SR 58611A、SR 59119A、GR-265261-X、AD-9677、6-[2-(R)-[[2-(R)-(3-クロロフェニル)-2-ヒドロキシエチル]アミノ]プロピル]-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジオキシン-2-(R)-カルボキシル酸(Yanagisawaら、2000)、サルブタモール、イソプロテレノール、FellerおよびMillerによる「β3アドレナリン作用性受容体作動薬として用いられるテトラヒドロイソキノリン化合物」という名称の米国特許明細書第6,596,734号に記載されたテトラヒドロイソキノリン化合物、さらにこの技術分野で既知の他のβ3アドレナリン作用性受容体作動薬である、例えばDayおよびLafontaineによる「β3アドレナリン作用性受容体作動薬およびその利用方法」という名称の米国特許明細書第6,566,377号、Bahlによる「典型的ではないβアドレナリン作用性受容体作動薬についての医学的利用」という名称の米国特許明細書第6,696,486号、FellerおよびMillerによる「ベータ3−アドレナリン作用性受容体作動薬、作動薬組成物、それを作成しかつ使用するための方法」という名称の米国特許明細書第6,593,341号、国際公開公報WO 01/42217として公開された「ベータ−3アドレナリン作用性受容体作動薬」という名称の国際特許出願PCT/US00/33222号に記載されているようなβ3アドレナリン作用性受容体作動薬、並びに「置換型3-インドリルアルキルアミン類を含む、新規で強力なヒトおよびラットのベータ3−アドレナリン作用性受容体作動薬」との名称を持つHaradaら(Bioorg. Med. Chem. Lett. 2003, 13(7): 1301-1305)に記載された作動薬であって、例えばAJ 9677のような一連の2-(3-インドリル)アルキルアミノ-1-(3-クロロフェニル)エタノール類からなる作動薬、さらにThe Merk Index.(第13版, Merk & Co., Whitehouse Station, N. J., USA)に記載されている作動薬が挙げられる。また、Weyer, C.ら(Diabets Metab. 1999, 25:11)、Souza, J.,ら(Curr. Pharm. Des. 2001, 7: 1433)、Weber, A. (Annu. Rep. Med. Chem. 1998, 33: 193)、Cantello, B.およびSmith, S. (Drugs Future 1991, 16: 797)、Bloom, J.およびClaus, T. (Drugs Future 1994, 19: 23)、Cecchi, R.ら(Eur. J. Med. Chem. 1994, 29: 259)に記載されたβ3作動薬も、この発明において考慮される。
本発明の方法が、何らかの好適なβ3アドレナリン作用性受容体作動薬の利用法についても構想していること、また特定のグループおよび化合物が例示として、かつ限定されるわけではなくこの明細書において言及されていることを正しく認識するとよい。
薬物に関しては、全ての塩(酸塩または塩基塩)および水和物、多形などといった、それらの薬物の形態を含むことを認識するべきである。
β3アドレナリン作用性受容体作動薬は、限定するわけではないが、BRL 37344、CGP 12177、CL 316243を含んで選択されるとよいし、また、「選択的β3アドレナリン作用性受容体作動薬」と題されたCrowellらによる米国特許明細書第6,686,372号に開示された化合物が選択されてもよい。
β3アドレナリン作用性受容体作動作用と、β1および/またはβ2アドレナリン作用性受容体拮抗作用を持つ化合物がこの技術分野で既知であり、それには限定するわけではないが、CGP 12177が含まれる。本発明は、HFまたは心筋肥大症を治療する際のそのような化合物の利用法を構想している。
HFにおいてβ−アドレナリン作用性受容体阻害を利用すること(β1および/またはβ2アドレナリン作用性受容体の拮抗薬を利用することによる)は、HFの効果的治療法としてすでにしっかりと確立されている。ここに記載されているように本発明は、HFまたは心筋肥大症の治療においてβ3アドレナリン作用性受容体作動薬の利用法を提供する。β3アドレナリン作用性受容体作動薬を、一種またはそれ以上のβ1および/またはβ2−アドレナリン作用性受容体拮抗薬と組み合わせて利用する方法からなる組み合わせ治療法が、改善された治療効果をもたらすのではないかと期待される。
したがって本発明はまた、一種またはそれ以上のβ3アドレナリン作用性受容体作動薬が、一種またはそれ以上のβ1−および/またはβ2−アドレナリン作用性受容体拮抗薬と組み合わせて個体に投与される、HFまたは心筋肥大症を治療するための方法も提供する。本発明のこの観点におけるβ−アドレナリン作用性受容体拮抗薬は、HFの治療法で役割が確立されている拮抗薬であるとよい。
β1−および/またはβ2−アドレナリン作用性受容体拮抗薬
β1−および/またはβ2−アドレナリン作用性受容体拮抗作用を持つ化合物および薬物がこの技術分野で知られているが、それには限定するわけでないが、アルプレノロール、アモスラロール、アテノロール、ベタキソロール、ベタニジン、ベバントロール、ビソプロロール、ボピンドロール、ブフラロール、ブニトロロール、ブプラノロール、ブタフィロロール、カラゾロール、カルテオロール、カルベジロール、セリプロロール、セタモロール、ジレバロール、エパノロール、インデノロール、ラベタロール、メピンドロール、メチプラノロール、メトプロロール、モプロロール、ナドロール、ネビボロール、ニプラジロール、オキシプレノロール、ペンブトロール、ピンドロール、プロネサロール、プロプラノロール、ソタロール、スルフィナロール、タリノロール、テルタトロール、チリソロール、チモロール、トリプロロール、および類似のものが含まれる。β−アドレナリン作用性受容体拮抗薬も、「ピリダジノン誘導体を用いてβ−アドレナリン作用性受容体拮抗作用を持つ薬学的組成物」と題されたRoeらによる米国特許明細書第4,678,786号に記載されている。β−アドレナリン作用性受容体拮抗薬は、例えばGoodmanおよびGilmanの治療法の薬理学的基礎(The Pharmacological Basis of Therapeutics)(第9版)、McGraw-Hill、およびThe Merk Index(第13版)、Merck & Co., Whitehouse Station, N.J., USA, 2004のような文献により詳しく記載されている。
β1−および/またはβ2−アドレナリン作用性受容体拮抗薬は、限定するわけではないが、アルプレノロール、オキシプレノロール、ソタロール、およびチモロールといった、比較的非−選択性のβ−アドレナリン作用性受容体拮抗薬であってもよい。β1−および/またはβ2−アドレナリン作用性受容体拮抗薬は、ネビボロール、アテノロール、ビソプロノール、ベタキソロール、メトプロロール、およびCGP 20712Aといった、選択性のβ1−アドレナリン作用性受容体拮抗薬であることができるが、限定するわけではない。β−アドレナリン作用性受容体拮抗薬は、限定するわけではないが、ICI118551を含むβ2−アドレナリン作用性受容体拮抗薬であってもよい。
β1−および/またはβ2−アドレナリン作用性受容体拮抗薬は、治療で用いられる用量ではβ3−アドレナリン作用性受容体に対しての親和性はかなり低いか全くなく、そのためβ3−アドレナリン作用性受容体は相対的に遮断されないままである。このような拮抗薬にはメトプロロールが含まれるが、限定するわけではない。
本発明の方法がβ1−および/またはβ2−アドレナリン作用性受容体拮抗作用を持つある種の適当な薬物の利用を構想していること、また特定のグループおよび化合物が例示として、かつ限定しない様式でこの明細書において言及されていることを正しく認識するとよい。
その薬物に関しては、全ての塩(酸塩または塩基塩)および水和物、多形などといった、それらの薬物の形態を含むことを認識するべきである。
中枢に作用する交感神経遮断薬
HFを治療する際に中枢に作用する交感神経遮断薬を利用することもこの技術分野では知られている。β3アドレナリン作用性受容体作動薬を中枢に作用する交感神経遮断薬とともに組み合わせて使用すると、HFを治療する場合、治療効果の改善が見られる可能性があると予測される。
したがって本発明は、一種またはそれ以上のβ3アドレナリン作用性受容体作動薬が、一種またはそれ以上の中枢に作用する交感神経遮断薬とともに投与される組み合わせ治療法で個体に投与される、HFまたは心筋肥大症の治療方法も提供する。中枢に−作用する交感神経遮断薬はこの技術分野では既知であり、それにはThe Merk Index, (第13 版)、Merck & Co. Whitehouse Station, N. J., USA, 2004に列挙されている薬物が含まれるが、それらに限定するわけではない。
治療プログラム
ある特定の患者に対する最も適切な治療プログラムは治療を行う医者によって決められるのであろうが、さまざまなファクター、即ち治療すべき異常およびその異常の重症度、用いた化合物または薬物の活性、用いた組成物、患者の年齢、体重、健康状態、性別および食事療法、投与時間、投与ルート、その薬物または化合物の消滅速度、治療期間、治療で組み合わせたり同時に用いられる薬物などのファクターが、医療分野で周知の他の関連するファクターとともに依存して決められるであろう。
理論的な予測に基づいて本発明者らは、β3アドレナリン作用性受容体作動薬がHFを患う患者に投与された場合に、臨床的に重要な負のエントロピー効果が生じる可能性があると考えている。そのような場合患者の状態は、例えばHFでβ−アドレナリン作用性受容体遮断薬およびACEの阻害剤を用いて治療を開始した場合、患者の状態が改善する前に一過性に悪化する可能性がある。
この明細書で例示した心不全の実験動物(実施例6参照)では、そのような開始時の悪化は観察されなかった。
したがって本発明の方法では、実際に起こっているか、または予期されている患者の状態の一過性の悪化を減じることが望まれる場合、限定するわけではないが、カプトプリル、エナラプリルおよびリソノプリルなどのACE−阻害剤、アルドステロン拮抗薬、並びにβ1−および/またはβ2−アドレナリン作用性受容体作動薬などを用いるような従来の治療法ですでに安定している患者に、一種またはそれ以上のβ3アドレナリン作用性受容体作動薬を用いるとよい。さらにまた、拮抗剤治療法の「低く初めてゆっくりと進行させる」という臨床上の慣行を、β3アドレナリン作用性受容体作動薬による治療法に続いて行ってもよい。
低く初めてゆっくりと進行させることの原理は、悪影響を極力抑え、ただし−一方の−意味のある有効な効果のどちらも期待されないほどの低い用量で開始することを意味する。数日から数週間になるかもしれないが、ある期間が経過した後で悪い効果が全く、あるいはほんのわずかしか観察されなかった場合に、最小量の用量処方の増加が行われる。このスキームは、例えばベータ−遮断薬投与を増加したことで起立性低血圧が起きたりする悪い影響が見られたり、または推奨される目的用量に到達したりするまで続けられる。目的用量に到達するまでは、開始から数週間から数ヶ月かかるであろう。
ACE−阻害剤、ベータ−遮断薬、およびスピロノラクトンやエプレレノンなどのアルドステロン拮抗薬は、HFにかかっている患者の症状を抑制し、生存率を改善させることが証明されている三つのクラスの薬物である。別例の治療プログラムとしてHFに対する現在の薬理学的管理法には、「追加」原理が含まれている。そのようなプログラムでは、患者はあるレベルにまで注入増加できるACE阻害剤を用いて治療を始めるとよい。その後でベータ−遮断薬を用いた治療を開始して(追加法)、あるレベルにまで注入を増加されればよく、引き続きスピロノラクトンを用いて治療を開始する。「追加」原理を組み入れた治療法に関連した条件は、一種またはそれ以上のベータ3アドレナリン作用性受容体作動薬を用いる治療プログラムにも取り入れられる。
このように本発明の一観点では、ACE−阻害剤、ベータ−遮断薬、およびアルドステロン拮抗薬の三つのクラスのそれぞれに由来する薬物を用いて患者が治療される場合に、一種またはそれ以上のβ3アドレナリン作用性受容体作動薬の投与が「追加法」で行われるとよく、そして治療の前、途中または後で一種またはそれ以上のβ3アドレナリン作用性受容体作動薬を用いた治療は、好ましくは低く開始し、ゆっくりと進行させる原理を用いて開始させるとよい。したがってこの文脈において「追加」という用語は、追加の独立した治療(β3アドレナリン作用性受容体作動薬)のことを意味し、β3アドレナリン作用性受容体作動薬が最後の薬物として添加されなければならないという意味ではないことを認識すべきである。組み合わせ治療法における特定の薬物および薬物のクラスの順番、および組成はこれに精通した人によって決定されればよく、例えば治療プログラムに四つの薬物クラスの投与が関与している場合にはβ3アドレナリン作用性受容体作動薬は、1番目か、2番目か、3番目か、4番目に投与される薬物である。
本発明の方法の治療プログラムの別の例として、一種またはそれ以上のβ3アドレナリン作用性受容体作動薬を投与する前に患者の状態が少なくとも部分的に安定化されているとよい。さらに患者の状態は、本発明の方法の開始より以前に少なくとも部分的に安定化されるとよい。そのような治療プログラムのいずれもまず患者を安定化させると言うことができる。
例えば患者の心臓機能が、よくあるのは血圧の低下や心臓出力の低下といった重篤な危険にさらされている場合にはACE−阻害剤およびベータ−遮断薬を用いる治療はHFにおいて開始されず、その際にはまず患者の安定化が図られる。治療を延期するための理由は、これらの薬物が血圧や心臓の出力をさらに減少させてしまうことによって、状態を最初は悪化させる可能性があるからである。これに基づいて、患者の状態は、「当初の最小限の悪化」が耐えられると期待される前の数日の間に、例えば血管内の液量を最適化する(正常水分量)ことによってまず安定化させる。
患者をまず安定化させた後でβ3アドレナリン作用性受容体作動薬を用いた治療を開始させることに関する条件は、ACE−阻害剤およびベータ−遮断薬治療の際の状況と同様であればよい。
治療プログラムの別の例として、β3アドレナリン作用性受容体作動薬は何らかの先立つ医薬品投与または安定化を行うことなく心不全の治療で投与される最初の薬物であってもよい。例えば、拡張性心不全のみ、もしくは拡張性心不全を主として発症している患者や、収縮機能が有意に減少していない心筋肥大症にかかっている患者では、β3アドレナリン作用性受容体作動薬を開始しても最初の副作用を誘導しないと予測される。
本発明に対して提案された化合物および薬物は、治療用または予防用のいずれかのための組成物として投与できる。治療用としての適用では、組成物は例えば心不全にすでにかかっている患者に、症候があろうとなかろうとその患者を効果的に治療するのに充分な量で投与される。予防的な適用では、組成物は例えば心筋肥大症にかかっている患者に、疾患の進行を少なくともゆっくりさせたり阻止させたりしてその患者を効果的に治療するのに充分な量で投与される。このように組成物は、患者を効果的にうまく治療できる量の化合物または薬物を用いるべきである。
ある特定の患者に対して治療的に有効な用量はさまざまなファクター、即ち治療される疾患およびその疾患の重症度、使用した化合物または薬物の活性、用いた組成物、患者の年齢、体重、健康状態、性別および摂食状況、投与時間、投与ルート、その薬物または化合物の消滅速度、治療期間、治療で組み合わせたり同時に用いられる薬物などのファクターが、医療分野で周知の他の関連するファクターとともに依存して決められるであろう。
当業者は、日常的な経験によりβ3−アドレナリン作用性受容体作動薬の有効で非−毒性の量や、その病気を治療するのに必要とされる適切な他の薬物を決めることができるであろう。
一般に有効な投与量は、24時間量で体重1 kgあたり約0.00001 mgから約1000 mgの範囲、通常は24時間量で体重1 kgあたり約0.0001 mgから約1000 mgの範囲、通常は24時間量で体重1 kgあたり約0.001 mgから約750 mg、24時間量で体重1 kgあたり約0.01 mgから約500 mg、24時間量で体重1 kgあたり約0.1 mgから約500 mg、24時間量で体重1 kgあたり約0.1 mgから約250 mg、24時間量で体重1 kgあたり約1.0 mgから約250 mgの範囲であると予測される。より一般的には有効な用量範囲は、24時間量で体重1 kgあたり約1.0 mgから約200 mg、24時間量で体重1 kgあたり約1.0 mgから約100 mg、24時間量で体重1 kgあたり約1.0 mgから約50 mg、24時間量で体重1 kgあたり約1.0 mgから約25 mg、24時間量で体重1 kgあたり約5.0 mgから約50 mgの範囲、24時間量で体重1 kgあたり約5.0 mgから約20 mg、24時間量で体重1 kgあたり約5.0 mgから約15 mgの範囲であると予測される。
また効果的な投与量は500 mg/m2までであろう。一般に有効用量は、約25から約500 mg/m2の範囲内、好ましくは約25から約350 mg/m2、より好ましくは約25から約300 mg/m2、さらにより好ましくは約25から約250 mg/m2、同等により好ましくは約50から約250 mg/m2、およびさらに同等により好ましくは約75から約150 mg/m2 の範囲内であると予測される。
通常の治療的な適用では、治療は疾患状態が持続する間は行われるであろう。 さらに、個々の投薬の最適量と間隔、および組み合わせ治療法が採用された場合の組み合わせ治療法の種々の薬物を投与する最適量と間隔は、治療すべき疾患状態の特徴と広がりや、投与の形態、ルートおよび部位や、治療される特定の個体の性質によって決められることは当業者にとっては明らかであろう。またそのような最適の条件は汎用技術によって決定できる。
決められた日数の間、一日に投薬される一組成物または複数の組成物の投薬回数などの治療の最適コースは、治療法決定テストの汎用コースを用いて当業者により突き止めが可能であることも当業者には明らかであろう。
薬学的組成物
一般に、適切な組成物は当業者に既知の方法で調製でき、したがって薬学的に許容される担体、希釈剤、賦形剤、および/またはアジュバントが含まれていてもよい。
これらの組成物は標準のルートで投与できる。一般的に組成物は、非経口(例えば、静脈内、脊椎内、皮下、または筋肉内)、経口、または局所ルートによって投与すればよい。好ましくは投与は、非経口または経口ルートである。より好ましくは投与は経口ルートで行われる。
担体、希釈剤、賦形剤、およびアジュバントは、組成物の他の成分と融和性であることを表現して「許容される」必要があって、それを受け入れた者に悪影響を及ぼさない。
薬学的に許容される担体または希釈剤の例は、蒸留水、塩溶液、例えばピーナッツオイル、サフラワーオイル、オリーブオイル、綿実油、トウモロコシ油、ゴマ油、アラキスオイル、またはココナツオイルのような植物ベースのオイル、例えばメチルポリシロキサン、フェニルシロキサン、およびメチルフェニルポリソルポキサンのようなポリシロキサン類を含むシリコンオイル、揮発性シリコン類、例えば液状パラフィン、ソフトパラフィンまたはスクアランのようなミネラルオイル、例えばメチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、またはヒドロキシプロピルメチルセルロースのようなセルロース誘導体、例えばエタノールまたはイソ−プロパノールのような低級アルカノール類、低級アラルカノール類、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコールまたはグリセリンのような低級ポリアルキレングリコール類または低級アルキレングリコール類、例えばイソプロピルパルミテート、イソプロピルミリステートまたはエチルオレエートのような脂肪酸エステル類、ポリビニルピリドン、寒天、カラギーナン、トラガントガム、またはアカシアガム、並びにペトロレウムゼリーである。通常、一担体または複数の担体は組成物の重量に対して10%から99.9%を構成するであろう。
組成物は、活性な一化合物もしくは複数の化合物の生物学的利用可能性を高めたり、または治療持続時間を延長させたりする薬物を含むとよい。
本発明の組成物は、注入によって投与するのに適した剤形に、経口摂取に適した配合剤の形態(例えば、カプセル剤、錠剤、キャプレット剤、エリキシル剤など)に、局所投与に適した軟膏、クリームもしくはローションの剤形に、点眼として供給するのに適した剤形に、例えば鼻腔内吸入もしくは口腔内吸入によるような吸入投与に適した噴霧状の剤形に、非経口投与、即ち皮下注入、筋肉内注入もしくは静脈内注入に適した剤形にすることができる。
注入可能な溶液または懸濁液として投与するには、非−毒性の非経口的に許容できる希釈剤または担体として、リンゲル液、生理食塩水、リン酸緩衝塩、エタノール、および1,2プロピレングリコールを含むことができる。
経口的な使用に適した担体、希釈剤、賦形剤およびアジュバントのいくつかの例としては、ピーナッツオイル、液状パラフィン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、アカシアガム、トラガカントガム、デキシトロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、ゼラチン、およびレシチンが挙げられる。これらの他に経口用配合剤は、適した風味剤および着色剤を含んでいてもよい。カプセルの形態で用いる場合には、そのカプセルは、崩壊を遅らせるグリセリルモノステアレートまたはグリセリルジステアレートのような化合物で被覆するとよい。
アジュバントとしては一般に、緩和剤、乳化剤、濃化剤、保存料、殺菌剤、および緩衝剤が含まれる。
経口投与用の固形剤は、人および獣医の製薬上の経験から許容できる結着剤、甘味料、崩壊剤、希釈剤、風味剤、被覆剤、保存料、潤滑剤および/または遅延剤を含む。適した結着剤としては、アカシアガム、ゼラチン、コーンスターチ、トラガカントガム、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、またはポリエチレングリコールが挙げられる。適した甘味料としては、ショ糖、乳糖、ブドウ糖、アスパルテーム、またはサッカリンが挙げられる。適した崩壊剤としては、コーンスターチ、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、グアーガム、キサンタンガム、ベントナイト、アルギン酸、または寒天が含まれる。適した希釈剤には、乳糖、ソルビトール、マンニトール、デキストロース、カオリン、セルロース、カルシウムカルボネート、カルシウムシリケート、またはジカルシウムホスフェートが含まれる。適した風味剤には、ペパーミントオイル、ヒメコウジのオイル、チェリー、オレンジ、またはラズベリーの風味料が含まれる。適した被覆剤には、アクリル酸および/もしくはメタクリル酸、並びに/またはそれらのエステル類のポリマー類またはコポリマー類、ワックス類、脂肪アルコール類、ゼイン、セラック、またはグルテンが含まれる。好適な保存料としては、安息香酸ナトリウム、ビタミンE、アルファ−トコフェロール、アスコルビン酸、メチルパラベン、プロピルパラベン、または亜硫酸水素ナトリウムが挙げられる。好適な潤滑剤としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、オレイン酸ナトリウム、塩化ナトリウム、またはタルクが挙げられる。好適な遅延剤には、グリセリルモノステアレートまたはグリセリルジステアレートが含まれる。
経口投与のための液剤は、上記の薬物に加えて液状担体を含んでいるとよい。好適な液状担体としては、水、オリーブオイル、ピーナッツオイル、セサミオイル、ワンフラワーオイル、サフラワーオイル、アラキスオイル、ココナッツオイルのようなオイル、液状パラフィン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、グリセロール、脂肪アルコール類、トリグリセライド類、またはそれらの混合物が挙げられる。
経口投与のための懸濁剤はさらに、分散剤および/または懸濁化剤を含むであろう。適した懸濁化剤としては、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチル−セルロース、ポリ−ビニル−ピロリドン、アルギン酸ナトリウム、またはアセチルアルコールが挙げられる。適した分散剤には、レシチン、ステアリン酸のような脂肪酸のポリオキシエチレンエステル類、ポリオキシエチレンソルビトールのモノ−もしくはジ−オレエート、−ステアレートまたは−ラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンのモノ−もしくはジ−オレエート、−ステアレートまたは−ラウレートなどが含まれる。
経口投与のための乳濁剤はさらに、一種またはそれ以上の乳化剤をさらに含むであろう。適した乳化剤としては、上記に例証したような分散剤、またはグアーガム、アカシアガム、もしくはトラガカントガムのような天然のガムが挙げられる。
非経口投与可能な組成物を調製するための方法は当業者には明らかであり、それは例えば、ここに参照文献として組み入れられる、Remington's Pharmaceutical Science, 15th ed. Mack Publishing Company, Easton, Paにより詳細に記載されている。
本発明の局所配合剤は、一種またはそれ以上の許容される担体と、任意ではあるが、何らかの他の治療成分とともに活性成分を含んでいる。局所投与に適した配合剤には、リニメント剤、ローション剤、クリーム剤、軟膏、またはペースト剤のような治療が必要な部位に皮膚を通して浸透させるのに適した液状、または半−液状の製剤、および目、耳または鼻に投与するのに適した滴剤が含まれる。局所投与に適した配合剤は、経皮用貼着剤として適用してもよい。
本発明にかかる滴剤は、滅菌性で水性もしくは油性の溶液または懸濁液を含むことができる。これらは、抗細菌薬および/もしくは抗真菌薬、並びに/または何らかの他の適当な保存料と、任意で表面活性剤を含む水性溶液に活性成分を溶解することによって調製できる。続いて得られた溶液を濾過し、適当な容器に移してから滅菌することによって不純物が除去される。滅菌は、オートクレーブで処理するか90−100℃で30分間維持することによって、または濾過することによって行うことができ、その後無菌法によって容器に移される。滴剤に入れるのに適した抗細菌薬および抗真菌薬の例は、硝酸フェニル水銀または酢酸フェニル水銀(0.002%)、塩酸ベンザルコニウム(0.01%)、および酢酸クロルヘキシジン(0.01%)である。油性溶液からなる製剤に好適な溶媒には、グリセロール、希釈アルコール、およびプロピレングリコールが含まれる。
本発明によるローション剤は、皮膚または目に適用するのに適したものを含む。目のローション剤は、抗細菌剤を任意で含む滅菌性の水性溶液からなるとよく、そして滴剤の調製に関して上記に記載された方法と同様の方法によって調整することができる。皮膚に適用するためのローション剤またはリニメント剤は、例えばアルコールもしくはアセトンのような乾燥を促進したり、皮膚を冷却したりする薬剤、および/または例えばグリセロールのような保湿剤、またはキャスターオイルもしくはアラキスオイルのようなオイルも含むことができる。
本発明によるクリーム剤、軟膏剤またはペースト剤は、外用剤のための活性成分の半−固形状配合剤である。それらは活性成分を微細に粉砕するか粉末状にして、単独か、水性もしくは非−水性の液体に入れた溶液または懸濁液にして油状の基剤、あるいは非−油状の基剤と混合することによって作られる。基剤は、固め、柔らかめ、もしくは液状のパラフィン、グリセロール、ビーズワックス、金属石けんのような炭化水素類や、粘漿剤や、アーモンドオイル、トウモロコシオイル、アラキスオイル、キャスターオイルもしくはオリーブオイルのような天然起源のオイルや、羊毛脂もしくはその誘導体や、またはステアリン酸もしくはオレイン酸のような脂肪酸を、ポリエチレングリコールもしくはマクロゴールのようなアルコールとともに含むことができる。
この組成物は、例えばアニオン性、カチオン性、または非−イオン性の表面活性剤、即ち例えばソルビタンエステル類もしくはそれらのポリオキシエチレン誘導体類などの適した表面活性剤を組み入れてもよい。例えば天然ガム、セルロース誘導体、または珪質シリカなどの無機材料のような懸濁化剤、またラノリンのような他の成分が含まれていてもよい。
この組成物はまた、リポソームの形態にして投与することもできる。リポソームは通常、リン脂質または他の脂質の基剤から誘導され、そして水性媒体に分散させた単層、または多層の水和された液状クリスタルによって形成される。リポソームを形成可能であって、非−毒性で生理学的に受け入れられ、かつ新陳代謝可能な脂質を用いることができる。リポソーム形に入っている組成物には、安定化剤、保存剤、賦形剤などが含まれているとよい。好ましい脂質は、リン脂質、およびホスファチジルコリン(レシチン)であり、天然および合成のどちらかである。リポソームを形成する方法は当業者に知られており、特定の参照文献、即ち、その内容がこの明細書に参照文献として組み入れられるPrescott, Ed., Methods in Cell Biology, Volume XIV, Academic Press, New York, N. Y. (1976), pp. 33および次の頁により作成される。
この実施例は、本発明を例示するために用いられることを意図し、この明細書を通して説明されている開示の全体的な特徴を限定するものとして構成されているのではない。
下記の図1、2および3には、β3アドレナリン作用性受容体−選択性作動薬であるBRL 37344が、単離されたウサギの心臓筋肉細胞に存在する膜のNa+−K+−ポンプを刺激するかどうかを明らかにしている実験がまとめられている。この実験は、高濃度の薬物が利用された場合にはポンプの刺激が減少すること、そしてポンプの刺激作用のこの逆転は、高濃度のBRL 37344でβ1および/またはβ2アドレナリン作用性受容体が活性化されたことによるものであるらしいことを示唆している。この実験は、ポンプ作用がBRL 37344−誘導により増加することは、膜を通過するNa+の流入がBRL 37344−誘導により増加して、細胞内のNa+濃度が結果的に増加することによってポンプが刺激されて二次的に起こるのではなく、Na+−K+−ポンプの刺激に直接向かうことによるものであると証明している。
全−細胞のパッチクランプ法(Hamillら、1981;Buhagierら、2004;Hansenら、2002)は、単離された心臓筋肉細胞のNa+−K+−ポンプに対するβ3アドレナリン作用性受容体の刺激の影響を調べるために用いられた。
ホール−セル(holl-cell)パッチクランプ法を用いて心筋細胞を、逆相顕微鏡のステージに載せた組織バスに懸濁させる。微細なガラスピペットを細胞膜に取り付け、ガラスピペットの先端の下で直接的に膜状のパッチを破断できるようにゆっくりと吸引する。これにより、筋肉細胞の細胞内区画がパッチピペットに保持されている溶液で満たされるようになる。細胞内区画への薬物および化合物の到達も可能になる。組織バスにおいて、細胞外溶液の組成物の調節が達成できる。この手法はまた、膜電位のコントロール、および全膜電流の測定を可能にする。
Na+−K+−ポンプの3Na+:2K+交換比率は電流(Ip)を発生させ、それは100μMのウワバインを用いてポンプを遮断することによって誘導されるパッチ−クランプした筋肉細胞の保持電流のシフトとして測定できる。
全−細胞の形態では、バスはNaCl 140;KCl 5.6;CaCl2 2.16;MgCl2 1;NaH2PO4 0.44;グルコース 10およびNa-グルタメート 9;N-2-ヒドロキシエチルピペラジン-N'-2-エテン-スルホン酸(HEPES) 10(mmol/Lで)を含む修飾チロッド(Tyrod's)溶液で満たされた。その溶液を、NaOHを用いて35℃にて滴定し、pH 7.40 +/−0.01にした。
Ipを測定するためにこのシステムを、名目上はCa2+−フリーで0.2 mmol/LのCdCl2と2 mmol/LのBaCl2を含むこと以外は修飾チロッド溶液に通常は同一のスーパーフセート(superfusate)に切り替えた。
広口−先端のパッチピペット(4−5μm)を、(mmol/Lで)HEPES 5;MgATP 2;エチレングリコール−ビス(β−アミノエチルエーテル)-N,N,N',N'−テトラ酢酸(EGTA) 5;KCl 70 mmol/Lを含む溶液で満たした。浸透性のバランスを、80 mmol/Lのテトラメチルアンモニウムクロライド(TMA-Cl)を用いて維持した。その溶液を、1 mmol/L のTMA-OHを用いて35℃にて滴定し、pH 7.05 +/−0.01にした。Ipは、全−細胞の形態が確立された後、10-15分間で100μmol/Lのウワバインを用いてNa+−K+−ポンプを遮断することによって誘導された保持電流のシフトとして、40mVの保持電位で同定した。Ipは膜のキャパシタンスとして、したがって細胞サイズとして正規化して報告される。パッチピペットの特徴の詳細、並びにIpを決めるための装置および基準は以前に報告されている(Buhagiaeら、1999)。
Na+−K+−ポンプの電流(Ip)に対する異なる濃度のBRL 37344(Sigma Aldrich)による効果を測定した。ピペット溶液中のNa濃度は10mMであり、即ちほとんど生理学的なレベルであった。図1は、正常の対照と比較して、BRL 37344は三つ全ての濃度レベルでNa,K−ポンプを有意に刺激することを示している。最も高いレベル(100nMのBRL 37344)では、10nMを用いて観察された活性と比較して明らかな低い活性が観察された。このことは、BRL 37344がより高い濃度でβ1および/またはβ2アドレナリン作用性受容体に非特異的に結合することによるらしい。β1およびβ2アドレナリン作用性受容体作動薬は、心筋のNa,K−ポンプを阻害することが期待される。平均値、SEMおよび実験数(n)の値が示されている。
実施例1に記載されたホール−セル(whole-cell)パッチクランプ法の説明を参照するとよい。この実験は、10nMのBRL 37344を用いて見られる刺激に比較して100nMのBRL 37344にさらされることによるNa+−K+−ポンプの刺激の方が明らかに減少していることは、より高い濃度のBRL 37344がβ1および/またはβ2アドレナリン作用性受容体を刺激するために起こっているのであろう。
組み合わせたβ1およびβ2アドレナリン作用性受容体遮断薬のナドロールがスーパーフセートに存在していない場合と存在している場合において、100nMのBRL 37344の効果を筋肉細胞で測定した。
図2は、100nMのBRL 37344の存在下でナノドールを用いてβ1およびβ2アドレナリン作用性受容体を遮断すると、100nMのBRL 37344を単独で用いて見られる刺激に比較してNa,K−ポンプの活性が、全く有意とは言えないが高まったことを示している。
このことは、高濃度のBRL 37344を用いてNa,K−ポンプの刺激が弱められること(図1参照)は、β1および/またはβ2アドレナリン作用性受容体をBRL 37344が刺激した結果であったことを示唆している。またこれらの結果は、1nMおよび10nMといった低濃度でβ3アドレナリン作用性受容体作動薬に応答して観察されたポンプの刺激が、β1および/またはβ2アドレナリン作用性受容体よりもβ3によって仲介されたことを確認するものであって、またβ1および/またはβ2アドレナリン作用性受容体を活性化するとNa,K−ポンプの活性を減少させることができることを示唆している。平均値、SEMおよび実験数(n)の値が示されている。
この実験の目的は、β3アドレナリン作用性受容体作動薬、BRL 37344が誘導するNa,K−ポンプの刺激が細胞へのNa+の流入を増加させることによって引き起こされるのかどうか、またはその流入の増加に次いで引き起こされるのかどうかを研究することにある。増加した細胞内のNa+がNa+−K+−ポンプを刺激する。β3アドレナリン作用性受容体の効果が一時的なNa+−K+−ポンプの刺激ではなく、Na+の流入の増加に次いで二次的に生じたのであれば、その場合β3アドレナリン作用性受容体作動薬は心臓疾患に有害であると予測できる。
ホール−セルパッチクランプ法は、細胞膜を横切って起こりうるNa+の流入を除くことができるように、細胞外Na+が減少したこと(NaClをN-メチル-D-グルカミン(NMG.Cl)に置き換えた)以外は上述したのと同じである。
図3は、Na,K−ポンプのBRL 37344−誘導性の刺激は、細胞外のNa+がない状態に持続させることを示している。この結果は、BRL 37344−誘導性の筋繊維鞘を通るNa+の流入によってではなく、Na+−K+−ポンプ機能の内因性の変化によって起きた刺激と一致しており、そのため二次的な効果ではなくNa+−K+−ポンプの直接的な刺激と一致している。
実施例1、2、および3では、合成の選択性β3アドレナリン作用性作動薬であるBRL 37344の、筋繊維鞘のNa+−K+−ポンプに対する影響が調べられた。この実施例では、天然に発生するカテコールアミンであるノルアドレナリン(NA)の効果が調べられた。ホール−セルパッチクランプ法は実施例1に記載されたとおりに用いられた。
単離された心臓筋肉細胞を10nMのNAに接触させ、Ipを測定した。図4に示されているようにNAはIpの増加を誘導した。β1−およびβ2アドレナリン作用性受容体をナドロールを用いて遮断した場合の、Ipに対するNAの効果を調べた。筋肉細胞を10nMのNAと、1μMのナドロールに接触させた。図4は、IpのNA-誘導性増加が、ナドロールの存在下で維持されたことを証明している。このことは、その増加がβ1/β2アドレナリン作用性受容体によって仲介されないことを強く示唆している。
この推断についてさらに支持を得るために、β1/β2アドレナリン作用性受容体によって標準的に活性化される細胞内の伝達物質経路を遮断する効果を調べた。β1/β2アドレナリン作用性受容体が活性化されると、結果的にcAMPの細胞内合成と、続くcAMP−活性化プロテインキナーゼ(a.k.a. PKA)の活性化を生じさせる。筋肉細胞は、0.5μMのH-89(N-[2-(p-ブロモシンナミルアミノ)エチル]-5-イソキノリンスルホンアミドジヒドロクロライド(Calbiochem)、即ちPKAの阻害剤を含むパッチピペット溶液を用いてパッチクランプした。この濃度でH-89はPKA-仲介による Na+−K+−ポンプの阻害を破壊する(Williamら、2003)。図4に示されたようにNA−誘導性のIpの増加は、PKAの遮断を持続させた。
この実験の別のセットでは、選択的に活性化するβ1/β2アドレナリン作用性受容体−結合による細胞内伝達物質経路の影響が研究された。β1/β2アドレナリン作用性の膜受容体を細胞外の化合物を用いて経験的に選択的活性化することは困難であるため、私たちは受容体によって活性化されることがわかっている細胞内経路、即ちcAMP−活性化プロテインキナーゼ(PKA)を直接的に活性化させることを選択した。
100μMの6-Bnz-cAMPを、細胞内区画を満たしたパッチピペット溶液中に入れた。その筋肉細胞をNA-フリーのコントロールのスーパーフセートに接触させた。図5に示したように、ピペット溶液に入れたアナログ6-ベンズ-cAMPはIpの有意な減少を誘導した。6-ベンズ-cAPM−誘導性のIpの減少がPKAによって仲介されることを確かめるために、私たちはまた、H-89と同様に6-ベンズ-cAMPを含むピペット溶液を用いてIpを測定した。後者は、6-ベンズ-cAMP活性化PKAを阻害すると予測された。結果が図5に示されており、H-89(0.5μM)が6-ベンズ-cAMP−誘導によるIpの減少を反転させることを明らかにしている。
合わせるとここに表示された結果は、β3アドレナリン作用性受容体がNa+−K+−ポンプの刺激を生じさせるのに対して、β1/β2アドレナリン作用性受容体の活性化は Na+−K+−ポンプの阻害を生じさせることを示した。このことは、人の心不全でβ1/β2アドレナリン作用性受容体遮断薬のすでに確立した効力であるとして説明されており、それで全く新規な薬物のターゲットとしてβ3アドレナリン作用性受容体を同定している。受容体を刺激すると、心不全のNa+−過負荷細胞からNa+の排出を促進することが期待され、それによって有効な治療効果が得られる。
β3アドレナリン作用性受容体の役割は、ポンプの刺激を遮断するためにナドロールを用いてβ1/β2の遮断を不能にすることによって、β1/β2受容体により正統に活性化される細胞内伝達物質経路が遮断された場合、刺激を継続することによって、およびIpの刺激を誘導する選択的なβ3アドレナリン作用性−選択性作動薬、BRL 37344の効果によって支持されている。
ヒツジ心不全モデルの心臓挙動性に対するBRL 37344の効果
β3−受容体を急激に活性化する効果を調べるために、私たちはヒツジの冠動脈に微小塞栓を繰り返し起こすことによって誘導した重篤な心不全にかかっている虚血性心筋症のモデルを用いた(Huang, Yら、Am J Physiol 286: H2141-50, 2004)。このモデルは安定していて、人の病気をうまく反映している(Huangら、2004)。
BRL 37344を、最初はプロトコールの最低用量で始めて8分間かけて静脈に注入することによって投与した。さらに5分間たった後、圧力−容積関係を記載(Huangら、2004)にあるように測定した。この手法は次に、より用量を増やしたBRL 37344を用いて同じ様式で繰り返した。左心室の最終収縮期圧−容積関係(ESPVR)を心臓の挙動性の指標として用いた。ESPVRは、前−および後−負荷や、心臓速度のような混合したファクターにかなり依存していて、左心室の機能の良い指標として広く受け入れられている。
心不全が誘導される前と、誘導された後の両方での結果が図6に示されている。横座標の独立変数は、ヒツジ1 kgあたりのBRL 37344でミクログラムで表した用量を示している。用量が対数的に増加していることに注目するとよい。重症の心不全が誘導される前と後に3匹の別々のヒツジで測定したESPVRの平均が、縦座標に示されている。ESPVRに対するBRL 37344用量の対数変換の線形回帰分析では、正常のヒツジは負の傾きになる傾向を示しており、それは左心室の機能における用量−依存性の悪化傾向と一致する。対照的に心不全がヒツジに誘導された後では傾きは有意に正であって、それはBRL 37344の投与を行って左心室の機能が用量−依存性で改善されたことを示している。β3アドレナリン作用性受容体を活性化すると心不全に明敏な有利な効果が与えられるが、それは、Na+−K+−ポンプのインビトロでの刺激に対するここに示された結果に基づいた発明者らの予想と一致している。
まとめ
細胞内のNa+の濃度変化は一般に、正常の生理学的な状態と心不全の状態とでは反対の効果を示す。正常の心臓では細胞内のNa+濃度の増加は細胞内のCa2+の濃度の増加を引き起こし、したがって収縮性が高められる。しかしながら細胞内のNa+がほんのわずかだけ増加すると心臓の挙動性が改善され、そして「正常」を数mM超えて増加すると悪い影響を与える。心不全では細胞内のNa+がすでに増加しており、更なる増加は挙動性を損なう。本発明者らは、細胞からNa+を排出する細胞膜のポンプを直接的に活性化する方法を、この明細書に初めて記載している。この明細書の実施例によって支持されているように、これによってNa+が過剰負荷している細胞が正常に向かうようにNa+が減少すると期待でき、そのため心臓の挙動性が高まる。細胞からNa+の排出を活性化させる方法には、一種またはそれ以上のβ3アドレナリン作用性受容体作動薬の利用が関与している。
この明細書の従来技術の報告書の記載、すなわちこれらの報告書から誘導したり基づいたりしたこの明細書の記載が、その報告書または誘導した記載がオーストラリアや他の地域において関連技術の共通の一般的な知識の部分であると容認されているわけではない。
本発明は上述したとおりの方式および細部で記述されてはいるものの、形態や細部においてさまざまな削減、置換、および/もしくは変更などの数多くの変形並びに/または修飾を、広く記載されている本発明の精神または範囲から逸脱することなく特定の態様に示されている通りの本発明に加えることができることに、当業者はその価値を認めることができるであろう。ここでの態様はしたがって、全て例示として関係していると考えられ、制限的ではない。
(参照文献のリスト)
各国権利化のための見積もり表
Bloom, J. およびClaus, T. Drugs Future 1994, 19: 23。
Buhagiar KA, Hansen PS, Gray DF, Mihailidou AS およびRasmussen HH. アンジオテンシンは、細胞内のNa+のためにNa+−K+−ポンプの選択性を調節する。Am J Physiol 277: C461- C468, 1999。
Buhagiar KA, Hansen PS, Kong BY, Clarke RJ, Fernandes CおよびRasmussen HH. 食事中のコレステロールは、心臓の筋肉細胞において細胞内Na+/K+−ポンプ部位でのNa+/K+選択性を変化させる。Am J Physiol Cell Physiol 286: C398- C405, 2004。
Bundgaard H, Havndrup O, Andersen PS, Larsen LA, Brandt NJ, Vuust J, Kjeldsen K, Christiansen M. 心臓のベータ−ミオシン重鎖のATP−結合性領域に影響を与える新規なミスセンス突然変異と関連した家族性の肥大性心筋症。J Mol Cell Cardiol. 1999, 31 (4) : 745-50。
Cantello, B. およびSmith, S., Drugs Future 1991, 16 : 797。
Cecchi, R.,ら、Eur. J. Med. Chem. 1994, 29: 259。
Cheng HJ, Zhang ZS, Onishi K, Ukai T, Sane DC およびCheng CP. イヌの心筋不全における機能的ベータ(3)−アドレナリン作用性受容体の活性化調節。Circ Res 89: 599-606, 2001。
Gauthier C, Leblais V, Kobzik L, Trochu JN, Khandoudi N, Bril A, Balligand JL およびLe Marec H. ベータ3−アドレナリン作用性受容体を刺激した筋変力作用陰性の効果は、人間の消化器にある一酸化窒素の活性化によって仲介される。J Clin Invest 102: 1377-1384, 1998。
Gheorghiade, Mら、2003, Braunwauld, Heart Diseases, 第6 版。
GoodmanおよびGliman, 治療の薬理学的基礎(The Pharmacological Basis of Therapeutics)(第9版), McGraw-Hill, 1995。
Hamill OP, Marty A, Neher E, Sakmann B およびSigworth FJ. 細胞からの電流の記録を高分解能で行うための改良されたパッチ−クランプ法、および細胞−フリーの膜パッチ。Pflugers Arch 391: 85- 100, 1981。
Hansen PS, Buhagiar KA, Kong BY, Clarke RJ, Gray DF およびRasmussen HH. ウサギの心臓筋肉細胞における細胞内のNa+、K+、およびCs+に対するNa+−K+ポンプの電流−電圧関係の依存性。Am J Physiol Cell Physiol 283: C1511- C1521, 2002。
Harada, Hら、置換型3-インドリルアルキルアミン類を含む、新規で強力なヒトおよびラットのβ3−アドレナリン作用性受容体作動薬。Bioorganic & Medisinal Chemistry Letters 13 (2003) : 1301-1305。
Hool, LCら、Am J Physiol 271: C172-180, 1996。
Huang, Y.ら、冠状動脈の微細塞栓症後のヒツジ心臓の慢性で重篤な虚血性不全の再建:機能的な反応、エネルギー性の反応、構造的な反応、および細胞の反応。Am J Physiol Heart Circ Physiol 286: H2141-50, 2004。
Jong P, Vowinckel E, Liu PP, Gong Y およびTu JV. 心不全のために新たに病院加療を施された患者における予後、および生存性の確定: 人口−ベースの研究。Arch Intern Med 162: 1689-1694, 2002。
Levy D, Kenchaiah S, Larson MG, Benjamin EJ, Kupka MJ, Ho KK, Murabito JM およびVasan RS. 心不全の発病率および生存性における長期的傾向。N Engl J Med 347: 1397-1402, 2002。
Mihailidou AS ら、Circ Res 86: 37-42, 2000。
Moniotte S, Kobzik L, Feron O, Trouchu JN, Gauthier C およびBalligand JL. ベータ(3)−アドレナリン作用性受容体の活性化調節と、人間の心筋層の不全における筋肉の収縮を支配するアミン類に応答する収縮性の変化。Circulation 103: 1649-1655, 2001。
Morimoto A, Hasegawa H, Cheng HJ, Little WC およびCheng CP. 左心室に働く内因性{ベータ}3-アドレナリン作用性受容体の活性化と、心不全における心筋の機能不全。Am J Physiol Heart Circ Physiol.: 2004。
Prescott, Ed. Methods in Cell Biology, Volume XIV, Academic Press, New York, N. Y. (1976)。
Remington's Pharmaceutical Science, 第15版、Mack Publishing Company, Easton, Pa。
Souza, J.ら、Curr. Pharm. Des. 2001, 7: 1433。
The Merk Index, (第13版)、Merck & Co., Whitehouse Station, N. J., USA, 2004。
Vakili BA, Okin PM, Devereux RB. 左心室肥大症の予後の結果。Am Heart J. 2001 Mar; 141 (3): 334-41。
Verdecchia P, Angeli F, Borgioni C, Gattobigio R, de Simone G, Devereux RB, Porcellati, C. 高血圧で左心室の質量を減少させることによる心臓血管のリスクの変化:メタ−分析2003。 Am J Hypertens. 2003 Nov; 16 (11 Pt 1): 859-9。
Weber, A. Annu. Rep. Med. Chem. 1998, 33: 193。
Weber, C.,ら、Diabetes Metab. 1999, 25:11。
William, M., Vein, J., およびRasmussen, H. 筋繊維鞘のナトリウムポンプに対する心房性ナトリウム尿排泄亢進の二相性効果。Biophys. J. Suppl 84-2, 191a. 2003。
Yanagisawa T, Sato T, Yamada H, Sukegawa J, Nunoki K. チャイニーズハムスターの卵巣細胞において発現するクローニングされたヒトのベータ−アドレナリン作用性受容体の三つのサブタイプに対する作動薬の選択性および効力。Tohoku J Exp Med. 2000 Nov; 192 (3): 181-93。
図1は、心筋のNa、K−ポンプ−仲介電流に対するβ3アドレナリン作用性受容体作動薬BRL 37344の、濃度が1nM、10nM、および100nMにおける効果を示している。 図2は、β1/β2遮断薬であるナノドール、1μMが存在しない場合と存在する場合において、心筋のNa、K−ポンプ−仲介電流に対するβ3アドレナリン作用性受容体作動薬BRL 37344の、濃度が100nMにおける効果を示している。 図3は、細胞外Na+が存在しない場合(NaClがNMG.CIで置換されている)において、心筋のNa、K−ポンプ−仲介電流に対するβ3アドレナリン作用性受容体作動薬BRL 37344の、濃度が10nMにおける効果を示している。 図4は、ナノドール(1μM;β1/β2遮断薬)が存在しない場合と存在する場合、およびH-89(0.5、μM;PKAの阻害剤)が存在しない場合と存在する場合において、心筋のNa、K−ポンプ−仲介電流に対する天然に発生するカテコールアミンであるノルアドレナリン(NA)の、濃度が10nMにおける効果を示している。 図5は、H-89(0.5、μM)が存在しない場合と存在する場合において、cAMPアナログである6-Bnz-cAMP(100μM)を用いてβ1/β2アドレナリン作動性−結合型細胞内伝達経路、PKAの選択的活性化の効果を示している。 図6は、ヒツジの心不全モデル(Huangら、2004)において、心不全を誘導する前と後でBRL 37344を投与した効果を、心臓機能の指標としての左心室の最終収縮圧−容積の関係(ESPVR)を用いて示している。

Claims (25)

  1. 心筋細胞のNa+、K+、またはCa2+のイオンレベルが異常なことに特徴のある病気を抱えた個体を治療するための方法であって、前記個体に一種またはそれ以上のβ3アドレナリン作用性受容体作動薬の治療上有効量を投与する行程を含むことを特徴とする方法。
  2. 前記病気が、心不全、および心筋肥大からなるグループより選択される請求項1に記載の方法。
  3. 個体に一種またはそれ以上のβ3アドレナリン作用性受容体作動薬の治療上有効量を投与する行程を含む、心不全もしくは心筋肥大に罹患しているかまたは罹患する可能性のある個体を治療するための方法。
  4. 前記個体が、心不全または心臓肥大からなる一つまたはそれ以上の臨床症状を抱えた個体である、請求項3に記載の方法。
  5. 前記β3アドレナリン作用性受容体作動薬が、アリールエタノールアミン類、アリールオキシプロパノールアミン類、トリメトキノール類からなるグループより選択される、請求項3に記載の方法。
  6. 前記β3アドレナリン作用性受容体作動薬が、BRL 37344、BRL 35135、BRL 26830、BRL 26830A、BRL 35113、ZD 7114、CGP 12177、CGP 12177A、CGP-20712A、CL 316243、ICI 07114、ICI 215001、ICI 201651、BRL 35135A、BRL28140、N-5984、(R)-N-[4-[2-[[2-ヒドロキシ-2-(ピリジン-3-イル)エチル]アミノ]エチル]フェニル]-4-[4-(4-トリフロロ-メチルフェニル)チアゾール-2-イル]ベンゼンスルホンアミド(L-796568)、(R)-N-[4-[2-[[2-ヒドロキシ-2-(3-ピリジニル)-エチル]アミノ]エチル]フェニル]-1-(4-オクチルチアゾール-2-イル)-5-インドリンスルホンアミド(L-755507)、L-770,644、L-766,892、L-757,793、L-796568、LY-377604、Ro 40-2148、SB-220646、SB-226552、SB-251023、SB-262552、SR 58306、SR 58375、SR 58339、SR 58611、SR 58611A、SR 59119A、GR-265261-X、AD-9677、および一連の2-(3-インドリル)アルキルアミノ-1-(3-クロロフェニル)エタノール類の作動薬からなるグループより選択される、請求項3に記載の方法。
  7. 前記β3アドレナリン作用性受容体作動薬がBRL 37344である、請求項3に記載の方法。
  8. 前記β3アドレナリン作用性受容体作動薬は、さらにβ1拮抗作用を持ち、および/またはさらにβ2拮抗作用を持っている、請求項3に記載の方法。
  9. 一種またはそれ以上のβ遮断薬を前記個体に投与する行程をさらに含む、請求項3に記載の方法。
  10. 前記β遮断薬がナドロールである、請求項9に記載の方法。
  11. 前記β遮断薬がβ1および/またはβ2アドレナリン作用性受容体拮抗薬である、請求項9に記載の方法。
  12. 前記β遮断薬は、一種もしくはそれ以上のβ3アドレナリン作用性受容体作動薬を投与する前、同時、または後に前記個体に投与される請求項9に記載の方法。
  13. 前記β3アドレナリン作用性受容体作動薬を投与する前に前記個体を少なくとも部分的に安定化する行程をさらに含む、請求項3に記載の方法。
  14. 前記安定化行程が、ACE−阻害薬、アルドステロン拮抗薬、およびβアドレナリン作用性受容体拮抗薬からなるグループより選択される一種またはそれ以上の化合物を用いる治療を含む、請求項13に記載の方法。
  15. 心筋細胞のNa+イオンレベルが異常に高いことに特徴のある病気を治療するための方法であって、前記病気を患う個体に一種またはそれ以上のβ3アドレナリン作用性受容体作動薬の治療上有効量を投与する行程を含むことを特徴とする方法。
  16. 心筋細胞のNa+イオンレベルが異常に高いことに特徴のある前記病気が、心不全、心筋肥大症、および糖尿病性心筋症からなるグループより選択される、請求項15に記載の方法。
  17. 心筋細胞のNa+、K+、またはCa2+のイオンレベルが異常なことに特徴のある病気を抱えた個体を治療する医薬品を製造するための一種またはそれ以上のβ3アドレナリン作用性受容体作動薬の利用。
  18. 心筋細胞のNa+、K+、またはCa2+のイオンレベルの異常に特徴のある病気を抱えた個体を治療する際に利用できる一種またはそれ以上のβ3アドレナリン作用性受容体作動薬。
  19. 心不全または心筋肥大症に罹患しているか罹患する可能性のある個体を治療する医薬品を製造するための一種またはそれ以上のβ3アドレナリン作用性受容体作動薬の利用。
  20. 心不全または心筋肥大症に罹患しているか罹患する可能性のある個体を治療する際に利用できる一種またはそれ以上のβ3アドレナリン作用性受容体作動薬。
  21. 心筋細胞のNa+、K+、またはCa2+のイオンレベルが異常なことに特徴のある病気を抱えた個体を治療する際に利用できる薬学的組成物であって、一種またはそれ以上のβ3アドレナリン作用性受容体作動薬を、一種またはそれ以上の薬学的に許容されるアジュバント、賦形剤、および/または担体とともに含むことを特徴とする薬学的組成物。
  22. 心不全または心筋肥大症に罹患しているか罹患する可能性のある個体を治療する際に利用できる薬学的組成物であって、一種またはそれ以上のβ3アドレナリン作用性受容体作動薬を、一種またはそれ以上の薬学的に許容されるアジュバント、賦形剤、および/または担体とともに含むことを特徴とする薬学的組成物。
  23. 一種またはそれ以上のβ3アドレナリン作動薬と、一種もしくはそれ以上のβ1および/またはβ2アドレナリン作用性受容体拮抗薬とを、一種もしくはそれ以上の薬学的に許容されるアジュバント、賦形剤、および/または担体とともに含むことを特徴とする薬学的組成物。
  24. 心筋の一個またはそれ以上の細胞からNa+を放出させるための方法であって、前記細胞を、一種またはそれ以上のβ3アドレナリン作用性受容体作動薬と接触させる行程を含むことを特徴とする方法。
  25. 前記方法がNa−Kポンプの活性化を含む、請求項24に記載の方法。
JP2007508679A 2004-04-23 2005-04-26 心筋の病気を治療するための方法および組成物 Pending JP2007533668A (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
AU2004902179A AU2004902179A0 (en) 2004-04-23 Methods and Compositions for the Treatment of Myocardial Conditions
PCT/AU2005/000590 WO2005102304A1 (en) 2004-04-23 2005-04-26 Methods and compositions for the treatment of myocardial conditions

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2007533668A true JP2007533668A (ja) 2007-11-22
JP2007533668A5 JP2007533668A5 (ja) 2008-06-19

Family

ID=35196717

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007508679A Pending JP2007533668A (ja) 2004-04-23 2005-04-26 心筋の病気を治療するための方法および組成物

Country Status (7)

Country Link
US (1) US20080249176A1 (ja)
EP (1) EP1755581B1 (ja)
JP (1) JP2007533668A (ja)
CN (1) CN1946389A (ja)
CA (1) CA2561390A1 (ja)
ES (1) ES2543836T3 (ja)
WO (1) WO2005102304A1 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1781331A1 (en) * 2004-08-09 2007-05-09 Université Catholique de Louvain Use of agonists and antagonists of beta-adrenoceptors for treating arterial diseases
CN102764438A (zh) * 2012-01-30 2012-11-07 林曙光 β3肾上腺素受体激动剂的新用途
US9974759B2 (en) 2013-05-31 2018-05-22 Indiana University Research And Technology Corporation Beta 2 adrenoceptor antagonists for treating orthostatic hypotension
WO2023028602A1 (en) * 2021-08-27 2023-03-02 The Board Of Regents Of The University Of Texas System Beta adrenergic receptor compositions and methods of use thereof
WO2023056029A1 (en) * 2021-10-01 2023-04-06 The Board Of Trustees Of The Leland Stanford Junior University Beta3-adrenergic agonists for treatment of disorders of hair growth

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
FR2758723B1 (fr) * 1997-01-28 1999-04-23 Sanofi Sa Utilisation des antagonistes des recepteurs aux cannabinoides centraux pour la preparation de medicaments
WO2000018389A2 (en) * 1998-09-30 2000-04-06 The United States Of America, Represented By The Secretary, Department Of Health And Human Services USE OF A β2 ADRENERGIC RECEPTOR AGONIST IN THE TREATMENT OF CARDIOVASCULAR DISEASE
AU6049500A (en) * 1999-07-22 2001-02-13 Eli Lilly And Company Treatment of cardiac abnormalities with aryloxy propanolamines
TR200401145T4 (tr) * 2000-04-13 2004-07-21 Pfizer Products Inc. Gliburit ve milrinonun sinerjistik etkisi.
EP1406608B1 (en) * 2001-05-02 2009-07-29 Nitromed, Inc. Nitrosated and nitrosylated nebivolol and its metabolites, compositions and methods of use
WO2002094820A1 (en) * 2001-05-23 2002-11-28 Eli Lilly And Company Crystalline salts of 2-(4-{2-[2-hydroxy-3-(2-thiophen-2-yl-phenoxy)-propylamino]-2-methyl-propyl}-phenoxy)-nicotinonitrile
US6627602B2 (en) * 2001-11-13 2003-09-30 Duke University Preventing desensitization of receptors

Also Published As

Publication number Publication date
ES2543836T3 (es) 2015-08-24
EP1755581B1 (en) 2015-07-15
US20080249176A1 (en) 2008-10-09
CN1946389A (zh) 2007-04-11
EP1755581A1 (en) 2007-02-28
WO2005102304A1 (en) 2005-11-03
EP1755581A4 (en) 2008-01-02
CA2561390A1 (en) 2005-11-03

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5707489B2 (ja) 1型糖尿病の処置
JP6387010B2 (ja) 血中グルコースレベルを制御することによる糖尿病及び関連容態の処置のための組成物、方法及び使用
US11690812B2 (en) Methods and compositions for the treatment of steatosis-associated disorders
ES2386786T3 (es) Método para tratar rubor cutáneo usando agonistas selectivos de receptores alpha-2-adrenérgicos.
US10517839B2 (en) Mast cell inhibition in diseases of the retina and vitreous
BR112014027983B1 (pt) Uso de inibidores de aquaporina seletivos
JP2007533668A (ja) 心筋の病気を治療するための方法および組成物
US20210379040A1 (en) Combination treatment of liver disorders
KR20100135814A (ko) 혈중 칼륨 수준의 조절을 위한 약제의 제조에 있어서의 드로네다론 또는 그의 제약상 허용가능한 염의 용도
JP2017537165A (ja) 下部尿路系症状を対象とした徐放性ソラベグロンの組成物及び使用方法
EP2881119A1 (en) Composition including c-peptide for preventing or treating diabetic angiogenic disorders
US20090088482A1 (en) Compositions and Methods For Treating Heart Failure
US20210128596A1 (en) Compositions and methods for treating septic cardiomyopathy
CN114514021A (zh) 用于治疗非酒精性脂肪性肝病、免疫缺陷、男性不育症和血管疾病的swell1调节剂
US20020147206A1 (en) Combination treatment of multiple sclerosis (MS), other demyelinating conditions and peripheral neuropathy, especially painful neuropathies and diabetic neuropathy
RU2653478C2 (ru) Способ улучшения функции печени
US9468669B2 (en) Methods to treat dysregulated blood glucose disorders
TW200951117A (en) Combination of dronedarone with at least one diuretic, therapeutic application thereof
AU2005235441A1 (en) Methods and compositions for the treatment of myocardial conditions
US6214849B1 (en) Use of nicorandil in treatment of sexual dysfunction or for enhancement of sexual function in mammals including humans
US20170362237A1 (en) Water soluble salts of aldose reductase inhibitors for treatment of diabetic complications
CN110604735B (zh) 一种治疗肝纤维化、硬皮病的化合物及其应用
US10576151B2 (en) Ciclopirox for use in modulation of glucose homeostasis
WO2015046857A1 (ko) 자가면역성 갑상선 질환의 예방 또는 치료용 조성물
KR20150109773A (ko) 디테르페노이드 화합물을 이용하여 당뇨병을 치료하기 위한 치료 방법 및 조성물

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080428

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080428

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080523

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110606

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20110902

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20110909

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20111003

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20111011

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20111102

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20111110

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20111205

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20120508