JP2004528048A - Cyp2d6の多型の同定方法 - Google Patents
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Abstract
本発明は、生体異物を代謝する酵素CYP2D6をコードする遺伝子中の多型を検出する方法に関する。開示された方法論は強力であり、遺伝子重複や遺伝子変換の事象の存在下で野生型配列や多型配列の存在を検出することができる。
Description
【0001】
(発明の分野)
本発明は、ゲノム構成に変化が存在する場合における、代謝酵素シトクロムP−450の多型の正確な検出に関する分野に属する。
【0002】
(発明の背景)
シトクロムP−450 CYP2D6酵素は、三環系抗うつ薬、抗不整脈薬、神経弛緩薬、モルヒネ誘導体を含む多くの薬剤の酸化を触媒する。第22染色体上のCYP2D6遺伝子クラスターは、2つないし3つの、同族で機能を持たない偽遺伝子CYP2D8P、CYP2D7AP、CYP2D7BPと、その後ろに活性のある遺伝子CYP2D6とを含んでいる。68のCYP2D6多型対立遺伝子がP450命名委員会によって認められており、30をこえる対立遺伝子は、プローブ薬デブリソキン(debrisoquine)、スパルテイン(sparteine)、あるいはデキストロメトルファン(dextromethorphan)のインビトロもしくはインビボでの代謝における変化と関連がある。CYP2D6酵素の活性に影響を及ぼす遺伝子的な変化は、超高速の(UM)、高度の(EM)、中間の(IM)、ほとんど代謝能のない(PM)表現型を生じる。機能を持たない、あるいは部分的に欠陥のあるCYP2D6対立遺伝子がホモ接合あるいはヘテロ接合である個体が上記の薬剤をより低い速度で代謝する一方、野生型の対立遺伝子(CYP2D6*1)や、その他CYP2D6*35のような活性のある対立遺伝子、またはわずかに機能の低下したCYP2D6*2対立遺伝子に重複を有する個体は、より速い速度で薬物を代謝する。CYP2D6遺伝子座には、遺伝子が重複して13コピーにまで達している例がある。
【0003】
CYP2D6酵素活性についての個体間の多様性に加え、多型性な代謝の出現率は異なる集団間で様々である。特に、白色人種とアジア人種の違いはCYP2D6対立遺伝子の不均一な内訳によって説明される。白色人種の7%にみられるPM表現型のうち85%の原因となっている、欠陥対立遺伝子CYP2D6*3とCYP2D6*4は、中国人集団で見出されるのは1%に満たず、この集団でのPMの頻度の低さの説明となっている。さらに、これら2つの人種は、CYP2D6の代謝率(MR)が正常範囲内にある場合のデブリソキン加水分解活性の平均値についても異なっている。中国人集団では、MR分布の平均はより高い値へ移行し、中間的代謝能(IM)の表現型が優位であることを示している。このIM表現型は、部分的に欠陥のある対立遺伝子CYP2D6*10AやCYP2D6*10Bと関連がある。これらは中国人集団において最も共通に見られる対立遺伝子(対立遺伝子出現頻度61.5%)であり、CYP2D6酵素の34番目のコドンでプロリンからセリンへのアミノ酸置換を起こす、188位におけるCからTへのトランジション変異を含んでおり、その結果より低い代謝活性を有する不安定な酵素の生成をもたらしている。このC188T変異は、中国人集団の非喫煙者の間で肺がんのリスクが3ないし4倍低くなることや、日本人集団においてベンラファキシン(venlafaxine)の薬物動態が変動することと関連があることがわかっている。
【0004】
CYP2D6*10はCYP2D6遺伝子座に散在する4つの一塩基多型(SNP)で構成されるハプロタイプである(第1エクソンのC188T、第2エクソンのC1127T、第3エクソンのG1749C、第9エクソンのG4268C)。このようなハプロタイプの検出が、薬物治療や生体異物に対する個体の反応についての重要な情報を提供するにもかかわらず、誤ったゲノタイプ判定を導きうる遺伝子座のゲノム構成の変化によって、ゲノタイプ分析は困難となることがある。従って、しばしば発生することが知られているCYP2D6遺伝子座のゲノム変化を有する個体について、CYP2D6のゲノタイプを決定する正確な方法が求められている。
【0005】
(発明の要約)
本発明は、個体からゲノムDNAを取得し、そのゲノムDNAの第1の部分を一対のプライマーの存在下で増幅条件に置くことにより、その個体のシトクロムP−450 2D6のゲノタイプを決定する方法を対象とする。プライマーのうち1つは、CYP2D6第1エクソンのC188T多型を有するゲノムDNAにハイブリダイズし、かつCYP2D6第1エクソンの188位の野生型配列にはハイブリダイズしない。従って、この反応から増幅産物が生産されることは、CYP2D6*10ゲノタイプを示している。
【0006】
本発明の別の実施形態は、CYP2D6の第1エクソンのC188T多型を有するシトクロムP−450 2D6遺伝子の断片にプライマーがハイブリダイズし、該断片の増幅を準備するが、188位に野生型の配列を含むシトクロムP−450 2D6遺伝子の増幅は準備しない、対立遺伝子特異的な増幅プライマーを対象とする。
【0007】
本発明の別の実施形態は、CYP2D6の第1エクソンのC188T多型を有し、長さが10ヌクレオチドと50ヌクレオチドの間の、シトクロムP−450 2D6遺伝子の断片を含んだ核酸分子である。
【0008】
本発明の別の実施形態は、ヌクレオチド68とヌクレオチド1212の間の、CYP2D6遺伝子の断片を含む増幅産物を対象とする。本発明の別の実施形態は、個体からゲノムDNAを取得し、そのゲノムDNAの少なくとも一部を、増幅産物を生産するために、プライマーのうちの1つがCYP2D6第1エクソンのC188T多型を有するゲノムDNAにハイブリダイズし、かつCYP2D6第1エクソンの188位の野生型配列にはハイブリダイズしない、一対のプライマーの存在下で増幅条件に置くことにより生産された、増幅産物を対象とする。同様に、本発明の別の実施形態は、個体からゲノムDNAを取得し、そのゲノムDNAの少なくとも一部を、増幅産物を生産するために、プライマーのうちの1つがCYP2D6第1エクソンの188位の野生型配列を有するゲノムDNAにハイブリダイズし、かつCYP2D6第1エクソンのC188T多型にはハイブリダイズしない、一対のプライマーの存在下で増幅条件に置くことにより生産された、増幅産物を対象とする。
【0009】
本発明の別の実施形態は、個体からゲノムDNAを取得し、そのゲノムDNAの第1の部分を、プライマーのうちの1つがCYP2D6第1エクソンのC188T多型を有するゲノムDNAにハイブリダイズし、かつCYP2D6第1エクソンの188位の野生型配列にはハイブリダイズしない、一対のプライマーの存在下で、増幅条件に置くことによる、個体に医薬組成物を処方する方法を対象とする。従って、増幅の結果が被験個体のゲノタイプを示すので、医薬組成物はその結果に基づいてその個体に処方される。このようなゲノタイプ決定法や、その決定法の結果に基づいた処方変更の能力は、CYP2D6遺伝子の多型が頻出するアジアの人々に特に適している。
【0010】
(発明の詳細な説明)
明確にするため、本特許出願におけるCYP2D6遺伝子内の部位についての全ての引用は、キムラ(Kimura)らにより発表された転写開始部位の最初のヌクレオチドに関連して行われる(Am. J. Hum. Genet. 45:889−904, 1989 )(Gen Bank Accession No.M33388)。従って、この付番方式を使用すると、開始のメチオニンをコードするコドンは89−91位に現れる。
【0011】
1つの対立遺伝子は、ポリペプチド鎖として発現されるのに必要な全ての情報を備えたデオキシリボ核酸(DNA)の一部分で構成されている。従って、ヌクレオチド配列に違いのある対立遺伝子は、異なるポリペプチド鎖を生じたり、タンパク質を生産できないことがある。しかしながら、ヌクレオチド配列の違いが翻訳のレベルで「サイレント(silent)」であれば、異なる対立遺伝子から同一のポリペプチド鎖が生成されることもある。さらに、対立遺伝子間のヌクレオチド配列の違いが、イントロンやあるいはエクソンの非翻訳部分に起こる場合、その違いはポリペプチド鎖の配列に影響しない。
【0012】
よって、DNAレベルで認識される対立遺伝子は、タンパク質レベルでは対立遺伝子としては現れず、同じ遺伝子の産物として現れることもある。対立遺伝子は、似てはいるが互いに異なっており、しかしゲノム上あるいは少なくとも染色体上の同一の位置を占めている。ヒトゲノムを含む哺乳類ゲノムの、二倍体という性質によって、1個体は2つの任意の染色体上の遺伝子座に2つの対立遺伝子を発現できるだけである。しかしながら、集団全体ではその遺伝子座に非常に多くの対立遺伝子を発現していることもある。2つの同一の対立遺伝子はホモ接合のゲノタイプとなり、2つの異なる対立遺伝子はヘテロ接合の遺伝情報担体となる。
【0013】
CYP2D6*10対立遺伝子を有するアジア人のサンプルの配列分析中、多くのヘテロ接合体において、188位のCおよびTのピークの高さが、一様に均等ではないことが観察された。パルスフィールドゲル分析および定量的クローニングを用いた、この偏差についての調査から、77のアジア人サンプル中、*10対立遺伝子が47%の頻度で出現していることが明らかとなった。さらに、*10対立遺伝子を有するヘテロ接合体のサンプルの72%がCYP2D6遺伝子座に複数のコピーを有していた。増幅したCYP2D6*10対立遺伝子は、CYP2D6*10対立遺伝子についてヘテロ接合またはホモ接合の個体において、低下したCYP2D6酵素活性の表現型を補償できる、多数の対立遺伝子のコピーを有し得ることが見出された。このような遺伝子重複の存在下では、あらかじめ両方の対立遺伝子を同時に増幅する必要のあるいかなるゲノタイプ分析も、CYP2D6*10対立遺伝子の重複の存在下では、しばしば188位の野生型の配列を隠してしまう。従って、CYP2D6遺伝子内の単純なSNPのゲノタイプ分析は、その遺伝子座のゲノム構成の変化によって困難となるだろう。このことは、多くの医薬品がCYP2D6酵素によって代謝されるため、CYP2D6ゲノタイプについて特に重要である。医薬品の効果をより良く予測するため、そしてこのような代謝の個体差に基づく医薬品副作用を潜在的に防止するため、医薬品を処方される個体のCYP2D6ゲノタイプを、CYP2D6ゲノタイプを判断するために検査するとよい。そして処方する医薬品の選択や、処方する医薬品の量を、その個体のCYP2D6ゲノタイプに基づいて変更するとよい。このことは、CYP2D6*10ゲノタイプが頻出するが、CYP2D6*10の表現型を部分的に補償し、CYP2D6酵素によって代謝される医薬品に対する個別の反応を予測するのを困難にする、ゲノムの重複という事象が起こり得るアジアの人々にとって、特に重要である。CYP2D6酵素の変異は、がんに対する感受性の増大とも相関があることがわかっている。この感受性は、CYP2D6酵素によって代謝される生体異物への環境暴露に伴って上昇するとみられている。実際、CYP2D6*10ゲノタイプは肺がんリスクの増大と関連があることがわかっている。ある環境条件への暴露に基づいた、がんに対する個別の感受性を確かめるため、特定の個々人のCYP2D6の多型について検査することが望ましいかもしれない。従って、本発明の1つの実施形態は、対立遺伝子特異的なCYP2D6遺伝子重複の存在下でCYP2D6ゲノタイプを正確に同定する、CYP2D6の多型について個体のゲノタイプ分析をする方法である。
【0014】
当初はCYP2D6*10Cと呼ばれ、後にCYP2D6*36と改名された、CYP2D6*10対立遺伝子のサブバリアントの1つは、第9エクソンにおけるCYP2D7Pとの遺伝子変換を除いてCYP2D6*10対立遺伝子と同一である。ヘテロ接合体サンプル中のこの遺伝子変換の存在は、CYP2D6特異的な順方向プライマーと、第9エクソンに位置するCYP2D7P特異的な逆方向プライマーとからなる、一対のプライマーをデザインすることでテストされた。これらのPCRプライマーセットを用いたヘテロ接合体サンプルのテストにより、CYP2D6*36の存在が確認された。さらに、テストしたアジア人サンプル群の約40%が、別の部分的なCYP2D7Pとの遺伝子変換によるであろう、関係のない多型領域を第1イントロンに有していることが、配列分析により明白に示された(図3)。この30塩基対の長さの領域は、CYP2D6野生型配列との7塩基対の違いを有している。これらの違いのため、標準的なPCR−RFLPプライマー対は、第1イントロンに多型領域を有するいかなる対立遺伝子も増幅することができないだろう。第1イントロンのこの多型領域周辺に特異的なプライマー対をデザインすることにより、CYP2D6遺伝子とCYP2D7P遺伝子間の遺伝子変換の存在下でCYP2D6*10ゲノタイプを正確に同定する、CYP2D6多型について個体のゲノタイプ分析をする方法の開発が可能であった。
【0015】
本発明の実施形態の1つは、中間的な増幅産物の必要なく、ゲノムDNA中の野生型配列およびCYP2D6*10対立遺伝子を別々に検出する、対立遺伝子特異的検定法(ASA)である。順方向プライマーはCYP2D6*1またはCYP2D6*10のどちらかに特異的であり、共通の逆方向プライマーはCYP2D6を選択するがCYP2D7AP、CYP2D7BP、CYP2D8Pは選択しない。好ましい実施形態としては、検査法は、検査の性能の対照とするために、チオプリンメチルトランスフェラーゼ(TPMT)遺伝子の増幅を含む。かかる検査法は、CYP2D7遺伝子との間に第9エクソンの遺伝子変換の事象が起きているにもかかわらず、少なくとも25倍過剰なT188のコピーの存在下で、野生型のC188配列を検出することができる、強力な検査法である。
【0016】
対立遺伝子特異的検査法の最初のステップには、CYP2D6遺伝子の少なくとも一部を増幅することが含まれる。増幅とはある核酸配列のさらなるコピーを生産することとして定義され、当技術分野で良く知られているポリメラーゼ連鎖反応技術(Dieffenbach CW and GS Dveksler(1995)PCRプライマー、実験手引き書(PCR Primer, a Laboratory Manual )、コールドスプリングハーバー出版(Cold Spring Harbor Press)、ニューヨーク州プレインビュー)を用いて一般的に実施される。本明細書では、「ポリメラーゼ連鎖反応」(「PCR」)という語は、クローニングや精製を伴わずにゲノムDNA混合物中の標的配列の一部分の濃度を増大させる方法について述べた、引用により本明細書に組み込まれるK.B.Mullisの米国特許第4,683,195号および第4,683,202号の方法を指している。増幅される所望の標的配列の一部分の長さは、2つのオリゴヌクレオチドプライマーの互いに対する相対位置によって決まり、従ってこの長さは調節可能なパラメータである。その工程の反復の様子から、この方法は「ポリメラーゼ連鎖反応」(以後「PCR」)と呼ばれる。所望の増幅された標的配列の一部分は混合物中で(濃度の面で)優位な配列となるので、「PCR増幅された」と言われている。
【0017】
対立遺伝子特異的であるとは、この検査法がどのCYP2D6対立遺伝子についても独立に、CYP2D6*10遺伝子の有無を検出することができることを意味する。問題の核酸は、どの標準的な増幅技術を用いても核酸サンプルから増幅されうる。例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術をゲノムDNAやゲノムライブラリーから直接CYP2D6遺伝子の配列を増幅するのに用いることができる。PCRや他のインビトロの増幅方法は、例えば発現されるタンパク質をコードする核酸配列をクローニングしたり、サンプル中の所望のmRNAやDNAの存在の検出、核酸の配列決定、その他の目的でプローブとして用いる核酸を作製する場合にも、有用であろう。PCRの総括についてはPCRプロトコール:方法と応用の手引き(PCR Protocols: A Guide to Methods and Applications. )(Innis, M, Gelfand, D., Sninsky, J. and White, T., eds.), Academic Press、サンディエゴ(San Diego) (1990)を参照のこと。
【0018】
テンプレートのCYP2D6遺伝子、あるいはその一部は、被検個体から単離されるが、精製の必要はない。PCR増幅の手順は、個体由来の精製ゲノムDNA、個体のゲノムDNAを含む細胞破砕物、あるいはその他の純粋でないゲノムDNA供給源を用いて実施することができる。個々の被検者のゲノムDNAは、白血球や上皮細胞などをはじめとした有核細胞を含む組織からのフェノール/クロロホルム抽出のような、当技術分野でよく知られた方法を用いて単離される。ゲノムDNA供給源は、テストサンプル中に存在する、バックグラウンドの非特異的なDNA以上に、CYP2D6遺伝子の増幅を可能にするのに十分なだけ、純粋であればよい。
【0019】
本明細書では、「プライマー」という語は、精製された制限酵素消化物の中に自然に生じるかもしくは合成により生産され、ある核酸の鎖に相補的なプライマー伸長産物の合成が誘導される条件(すなわち、ヌクレオチドと、DNAポリメラーゼのような誘導物質が存在し、かつ適切な温度とpHである)下に置かれると、合成の開始点として作用することができるオリゴヌクレオチドを指す。プライマーは、最大の増幅効率のためには一本鎖であることが好ましいが、替わりに二本鎖でもよい。二本鎖の場合には、プライマーは伸長産物の調製に用いる前にまずその二本の鎖を分離するべく処理される。プライマーは、オリゴデオキシリボヌクレオチドであることが好ましい。プライマーは、誘導物質の存在下で伸長産物の合成を準備するのに十分な長さでなければならない。プライマーの厳密な長さは、温度、プライマーの供給源、方法の用途を含む多くの要因に依存して決まる。
【0020】
CYP2D6遺伝子の問題の領域を増幅するためには、2組の異なるプライマーセットが使用される。第1のセットでは、CYP2D6*1に特異的な順方向プライマーが、CYP2D6を選択するがCYP2D7AP、CYP2D7BP、CYP2D8Pは選択しない逆方向プライマーと組み合わせて用いられる。第2のセットでは、CYP2D6*10に特異的な順方向プライマーが、CYP2D6を選択するがCYP2D7AP、CYP2D7BP、CYP2D8Pは選択しない逆方向プライマーと組み合わせて用いられる。CYP2D6を選択するがCYP2D7AP、CYP2D7BP、CYP2D8Pは選択しない逆方向プライマーは、両方の増幅反応において同じプライマーであることが好ましい。当技術分野において既知の対立遺伝子特異的プライマーを作製するいかなる手法も、この検査法に使用することができる。例えば、対立遺伝子特異的プライマーは、プライマーの3’末端に多型的な188位に対するミスマッチがあることを除き、CYP2D6の配列を有するプライマーをデザインすることにより作製することができる。対立遺伝子特異的プライマーを作製する別の手段は、3’末端から2番目の位置にCYP2D6へのミスマッチを有することである。よって、プライマーは最も3’側の位置にCまたはTのヌクレオチドを有し、3’末端から2番目の位置にミスマッチを有するCYP2D6遺伝子の配列を有する。対立遺伝子特異的プライマーを作製するさらに別の手段は、プライマー全体、特にプライマーの最も3’側の4〜5塩基に、プライマーがその部位に存在し得る2つの対立遺伝子配列のうち1つだけにハイブリダイズするように、修飾塩基を用いることである。CYP2D6*1やCYP2D6*10遺伝子のどちらかに特異的なプライマーを作製するさらに別の手段は、プライマーの3’ヌクレオチドとして4つのCYP2D6*10 SNPsのいずれか1つの部位を含む、個別のプライマーをデザインすることである。例えば、C188T多型を、野生型CYP2D6*1やCYP2D6*10対立遺伝子のいずれかに特異的なプライマーをデザインするのに用いてもよい。これは、プライマー配列がC188T多型のすぐ直前のCYP2D6配列に相当するような順方向または逆方向プライマーをデザインすることで実施される。プライマーの3’ヌクレオチドはCYP2D6遺伝子の188位に相当するようにデザインされる。3’ヌクレオチドは、プライマーの3’部位がCYP2D6遺伝子にハイブリダイズしなければ(すなわちプライマーの3’部位にミスマッチが生じれば)プライマーがCYP2D6増幅産物へと伸長されないように、CあるいはTヌクレオチドとなっている。この例を用いると、順方向のCYP2D6*1特異的プライマーは、3’が188位の野生型配列に相当するCヌクレオチドで終わる、188位のすぐ直前のCYP2D6配列(・・・5’GCACGCTAC3’)を含むであろう。逆に、順方向のCYP2D6*10特異的プライマーは、3’が188位の多型の存在に相当するTヌクレオチドで終わる、188位のすぐ直前のCYP2D6配列(・・・5’GCACGCTAC3’)を含むであろう。同様に、逆方向のCYP2D6*1特異的プライマーは、3’が188位の野生型配列に相当するGヌクレオチドで終わる、188位のすぐ直前のCYP2D6配列(・・・5’GGCCTGGTG3’)を含み、CYP2D6*10特異的プライマーは、3’が188位の多型の存在に相当するAヌクレオチドで終わる、188位のすぐ直前のCYP2D6配列(・・・5’GGCCTGGTG3’)を含むであろう。対立遺伝子特異的プライマーを作製するいかなる手法も本発明の検査方法に適用可能であり、そのプライマーおよびそのプライマーを用いて個体のCYP2D6ゲノタイプを決定する方法は、ここに含まれるものである。
【0021】
CYP2D6*1やCYP2D6*10に特異的なプライマーは、それぞれCYP2D6*1遺伝子やCYP2D6*10遺伝子の存在の検出に用いることができる。従って、本発明の実施形態の1つは、CYP2D6*10遺伝子の存在を検出するために対立遺伝子特異的プライマーをハイブリダイゼーションすることを用いた、個体のCYP2D6*10ゲノタイプを決定する方法である。プライマーおよび/またはプローブは、10と500の間のいずれの整数の長さも含む10から500ヌクレオチドの範囲にあるCYP2D6遺伝子に特異的にハイブリダイズするのに十分な、どんな長さでもよい。プライマーおよび/またはプローブは、少なくとも長さ10ヌクレオチドか、少なくとも長さ15ヌクレオチドか、少なくとも長さ20ヌクレオチドか、少なくとも長さ25ヌクレオチドか、少なくとも長さ30ヌクレオチドか、少なくとも長さ35ヌクレオチドか、少なくとも長さ40ヌクレオチドか、少なくとも長さ45ヌクレオチドか、少なくとも長さ50ヌクレオチドか、少なくとも長さ55ヌクレオチドか、または少なくとも長さ60ヌクレオチドであることが望ましい。
【0022】
本発明の好ましい実施形態では、各プライマーセットから準備されたCYP2D6対立遺伝子増幅産物が、各個体のCYP2D6*10ゲノタイプを決定するために比較される。CYP2D6遺伝子の産物が、CYP2D6*1特異的プライマーを含む第1のプライマーセットによってのみ生産されれば、テストしたDNAサンプルのゲノタイプは野生型である。このような用途に関しては、野生型という表示は、CYP2D6*10ではないCYP2D6遺伝子座を定義するのに用いられる。従って、CYP2D6*1特異的プライマーを含む第1のプライマーセットによってのみ生産されるPCR産物は、検出された遺伝子座がCYP2D6*10ハプロタイプを定義する変異以外の突然変異を含みうるにもかかわらず、本方法を用いたテストにおいては野生型の結果を示す。例えば、PCR産物がCYP2D6*1特異的なプライマーセットによって生産され、かつCYP2D6*10特異的なプライマーセットによってPCR産物が全く生産されなければ、被験個体は、CYP2D6*1、CYP2D6*35、CYP2D6*2、CYP2D6*3、CYP2D6*4のような他のCYP2D6ゲノタイプを有しているかもしれないという事実にも関わらず、本発明の方法による結果に関しては野生型であると同定される。従って、試験の結果報告に用いられる際の野生型は、単に被験個体にCYP2D6*10ゲノタイプが存在しないことを示している。CYP2D6遺伝子の産物が、CYP2D6*10特異的プライマーを含む第2のプライマーセットによってのみ生産されれば、テストしたDNAサンプルのゲノタイプはCYP2D6*10ゲノタイプについてホモ接合である。CYP2D6遺伝子の産物が、CYP2D6*1特異的プライマーを含む第1のプライマーセットと、CYP2D6*10特異的プライマーを含む第2のプライマーセットの両方によって生産されれば、テストしたDNAサンプルのゲノタイプはCYP2D6*10ゲノタイプについてヘテロ接合である。
【0023】
本発明の別個の複数の実施形態では、CYP2D6遺伝子の増幅方法を、同じ反応において同時に、あるいは独立の反応において別々に実施してよい。さらに増幅産物は、被験個体のCYP2D6ゲノタイプを決定するために視覚化することもできる。増幅産物が同じ反応で生成される場合、CYP2D6*10の重複が起きていればCYP2D6*10特異的な産物が優先的に増幅される。従って、本発明の方法論では、各対立遺伝子の増幅が同じ反応で実施され、かつCYP2D6*10遺伝子が重複している場合には、野生型の対立遺伝子の存在は検出しないかもしれない。通常、野生型とCYP2D6*10の増幅が同じ反応において実施される検査では、CYP2D6*10遺伝子が4あるいはそれ以下の重複を起こしている場合には被験個体のCYP2D6*10ゲノタイプが正確に同定される。CYP2D6*10遺伝子が4をこえる重複を起こしている例では、同じ反応において対立遺伝子を増幅させると、ヘテロ接合の個体の場合に野生型の存在を隠してしまう。従って、本発明の試験の方法論の好ましい実施形態は、CYP2D6*10遺伝子に重複がある場合にヘテロ接合の個体の正確な同定を確実にするため、別々の反応でCYP2D6*1とCYP2D6*10の増幅を実施することを含んでいる。
【0024】
増幅されたDNA産物の個々の部分について、問題の個々の多型の存在を検査することもできる。この検査法は、増幅産物の中の遺伝子の領域内に多型が存在することを検出する、いかなる既知の方法も含むことができる。例えば、1つあるいはそれ以上の多型の存在は、制限酵素断片長多型の分析、その領域のダイレクトシーケンス(direct sequencing)分析、ディファレンシャルハイブリダイゼーション(differential hybridization)、一本鎖立体構造多型の分析などの方法を用いて検出することができる。例えば、CYP2D6遺伝子の第1エクソンの増幅部分は、C188T多型の存在について、増幅産物のシーケンシングや制限酵素断片長多型(RFLP)分析によってさらに分析することができる。
【0025】
本発明の実施形態は、さらにゲノタイプ決定検査の結果に基づいて医薬組成物を処方するステップを含む。医薬組成物は、その代謝がCYP2D6*10変異体によって影響を受ける、いかなる組成物であってもよい。例えば、そのような医薬品には、脂溶性ベータ遮断薬、抗不整脈剤、抗うつ薬、神経弛緩薬、リスペリドン(risperidone)、デブリソキン、ベンラファキシンが含まれてもよい。CYP2D6*10の表現型は、通常、CYP2D6酵素により代謝される医薬品の代謝低下となる。従って、CYP2D6*10対立遺伝子の存在を示すゲノタイプ決定検査結果から、通常、より低用量の該医薬品を処方するか、または似た性質を有し、CYP2D6表現型の変化の影響を受けない別の医薬品を処方するということになる。処方される医薬品のより低い用量とは、従来処方されてきたであろう用量よりも低い用量である。CYP2D6酵素により代謝される医薬品の従来の用量は良く知られている。例えば、医師用卓上参考書(Physician’s Desk Reference)(第56版(2002年1月15日)メディカルエコノミクス(Medical Economics)出版)にある用量ガイドラインを参照のこと。CYP2D6ゲノタイプ決定検査の結果に基づき医薬組成物を処方するこの方法は、特にアジアの人々にとって好ましいものである。
以下の実施例は、本発明の実施形態を説明するために提供されるものであり、請求項に述べた発明の範囲を限定するとみなされるべきものではない。
【0026】
(実施例)
(実施例1)CYP2D6*10遺伝子重複の同定
A.DNAサンプルの採取
インフォームドコンセントを得たのち、シンガポール出身の77人の健康で非血縁のボランティアから血液検体が採取された。守秘義務を保つため、全てのサンプルから個人を特定できる情報を取り除いた。ジェントラピュアジーンキット(Gentra PureGene kit)K−50(ジェントラ(Gentra)社、米国ミネソタ州ミネアポリス)を用いて全血からゲノムDNAを抽出した。ゲノムDNAの濃度は、ピコグリーンを使用し、既知濃度のヒト胎盤DNAの標準曲線に基づいて、サイトフルオロ(CytoFluor)II 蛍光光度計(パーセプティブバイオシステムズ社(PerSeptive Biosystems)、米国マサチューセッツ州フレーミングハム(Framingham))を用いて測定した。
【0027】
B.ゲノムDNA配列のポリメラーゼ連鎖反応増幅
全てのポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅は、パーキンエルマージーンアンプPCRキット(Perkin Elmer GeneAmp PCR kit)(パーキンエルマーシータス社(Perkin Elmer Cetus)、 米国コロラド州ノーウォーク)を用い、製品取扱説明書に従って、Taq Gold DNAポリメラーゼと100ngのゲノムDNAをテンプレートとして含む50μlの反応液中で実施した。各PCRのマグネシウム濃度は、実験により最適化した。以下のプライマーを、PCR−RFLP検査に用いた:FWD=順方向。REV=逆方向。
【0028】
FWD 5’CCATTTGGTAGTGAGGCAGGTATG3’(配列番号1)、
REV 5’CACCATCCATGTTTGCTTCTGGT3’(配列番号2)。
【0029】
各反応において、マグネシウム濃度は1.5mMとした。次にPCR産物をHphIで消化し、2%アガロースゲルで泳動した。対立遺伝子特異的増幅(ASA)検査法には、マスターミックスバッファー(Master Mix Buffer)E(エピセンターテクノロジー社(Epicentre Technologies)、米国ウィスコンシン州マディソン)を以下のプライマーとともに用いた:
【0030】
FWD(野生型) 5’GGGCTGCACGCTACC3’(配列番号3)または
FWD(*10) 5’TGGGCTGCACGCTACT3’(配列番号4)
REV 5’AGCTCGGACTACGGTCATC3’(配列番号5)。
【0031】
内部対照遺伝子のプライマーは:
FWD 5’CTCATCTCCTGAAAGTCCCTGATA3’(配列番号6)
REV 5’CCCAGGTCTCTGTAGTCAAATCC3’(配列番号7)。
【0032】
CYP2D6の第1、第2、第3および第9エクソンをシーケンシングするためのPCRテンプレートは、1mMマグネシウムと以下のプライマーを用いて取得した:
【0033】
第1エクソン、プライマー対A:
FWD 5’AGGTATGGGGCTAGAAGCACTG3 ’(配列番号8)
REV 5’AGGACGTCCCCCAAACC3’(配列番号9)
第1エクソン、プライマー対B:
FWD 5’CCTGCCTGGTCCTCTGTGC3’(配列番号10)
REV 5’CGTGGGTCACCAGCGC3’(配列番号11)
第2エクソン
FWD 5’ACCCACGGCGAGGACA3’(配列番号12)
REV 5’CTAGTGCAGGTGGTTTCTTGGC3 ’(配列番号13)
第3エクソン
FWD 5’CTAATGCCTTCATGGCCAC3’(配列番号14)
REV 5’GGAGTGGTTGGCGAAGG3’(配列番号15)
第9エクソン
FWD 5’AGCTTCTCGGTGCCCACT3’(配列番号16)
REV 5’ACGTACCCCTGTCTCAAATGC3’(配列番号17)。
【0034】
CYP2D6*36特異的PCR増幅は、1mMマグネシウムで以下のプライマーを用いて実施した:
FWD 5’GGCAAGAAGGATTGTCAGG3’(配列番号18)
REV 5’GGCGTCCACGGAGAAGC3’(配列番号19)。
【0035】
熱サイクルは、PCR装置ジーンアンプ(GeneAmp)PCRシステム9700(パーキンエルマー社)を用い、95℃で10分間の初期変性ステップ、次に95℃で30秒間の変性、60℃で45秒間のプライマーアニーリング、72℃で2分間のプライマー伸長を35サイクル、次に72℃で5分間の最終伸長として実施したが、以下を例外とした:RFLP用のPCRテンプレートは、65℃で30サイクルで増幅した;第3エクソンのアニーリング温度には62℃を用いた;ASA PCRは64℃で30サイクルとした;CYP2D6*36特異的産物を増幅するためには58℃と40サイクルを用いた。
【0036】
C.DNAシーケンシング
PCR産物は、マイクロコン100(Microcon−100)カラム(ミリポア社、米国マサチューセッツ州ベッドフォード)を用いたスピンカラム精製によりシーケンシング用に調製した。サイクルシーケンス(Cycle Sequencing)は、ABIプリズムジクロロローダミンターミネーターサイクルシーケンシングレディリアクションキット(ABI Prism dRhodamine Terminator Cycle Sequencing Ready Reaction kit)(アプライドバイオシステムズ社、米国カリフォルニア州フォスターシティ)を用い、製品取扱説明書に従って、PCR装置ジーンアンプPCRシステム9600(パーキンエルマー社)で実施した。シーケンシング反応は、96℃で20秒間、50℃で20秒間、60℃で4分間の30サイクルで実施し、その後エタノール沈殿した。サンプルは50℃で約15分間蒸発乾固し、2μlのローディングバッファー(5:1 脱イオン化ホルムアミド:50mM EDTA pH8.0)に再懸濁し、65℃まで5分間加熱し、配列決定のため、製品取扱説明書に従ってABI377型核酸分析装置を用いて4%ポリアクリルアミド/6M尿素ゲルで電気泳動した。
【0037】
少なくとも1つのCYP2D6*10対立遺伝子について、中国人集団の対照サンプルの配列を照合したところ、CYP2D6第1エクソン188位のヘテロ接合体の間で、ピーク比の高さが均一でないことが明らかとなった。蛍光に基づく配列検出で得られたエレクトロフェログラムは、ヘテロ接合体のピーク比と同じように再現性が高い(+/−10%)。この分析結果から明らかなように、ヘテロ接合体のサンプルはピーク比に基づきT=C、T> C、T>>C、T>>> Cのように分類することができる(図1A参照)。プライマー結合部位の1つに位置する多型を原因とした、対立遺伝子増幅の差異の可能性をなくすため、2つの異なるプライマー対(AとB)を用いて第1エクソンを増幅した。188位の不均一なピーク比がいずれの増幅でも認められた。さらに、CYP2D6*10がCYP2D6遺伝子座に散在する4つのSNPs(第1エクソンのC188T、第2エクソンのC1127T、第3エクソンのG1749C、第9エクソンのG4268C)からなるハプロタイプであるため、すべてのサンプルの第2、第3および第9エクソンをシーケンスし、そして図1Bに示すように、188位に認められるピーク比の均一性の同様の欠如が1127位、1749位、4268位にも存在することが発見された。しかしながら、4268位については多少の不整合が認められ、より具体的には、188位においてCのピークより大きいTのピークを示すヘテロ接合体のうちの一部は4268位においてはG=Cであった。ヘテロ接合体のうち72%はCのピークより大きいTのピークを有すると見積もられた。
【0038】
D.シーケンシング上の相違の確認
1つのT>>C(861)ヘテロ接合体と1つのT=C(870)ヘテロ接合体からPCR産物をクローニングし、各対立遺伝子の型から生成されたTクローンの数とCクローンの数を確認することにより、この不均一なピーク比が何らかのシーケンシング上の人為的な結果によるものではないことが確認された。各クローン化サンプルあたり64コロニーを拾った。サンプル870由来のコロニーのうち52%について188位にCを有することが見出され、サンプル861由来のコロニーのうち30%だけが同じ部位にCを有していた。不均一なシーケンシングのピーク比は、一部の個体により多くの遺伝子コピー数をもたらす、多型的な遺伝子の重複の結果であることもありうる。
【0039】
E.クローニング
CYP2D6第1エクソンの188位に多型部位を有する領域を含むDNA断片を、すでに述べたプライマーおよびPCR条件を用いて、サンプル860および871から単離したゲノムDNA100ngよりPCR増幅した。次にPCR産物を、製品取扱説明書に従い、TAベクターpCR2.1(インビトロジェン社、 カリフォルニア州カールズバッド)へのサブクローニングに直接用いた。CYP2D6挿入配列を有するこれらのベクターは、PCR産物のシーケンシングやプローブの作製に用いることができた。
【0040】
(実施例2)増加した遺伝子コピー数の検証
A.ゲノムDNAの消化
2つの野生型サンプル(*1/*1)、T>>Cピーク比を有する2つのヘテロ接合体*1/*10、1つの*10/*10ホモ接合体をXbaIで消化した。それぞれについて、10マイクログラムのゲノムDNAを、XbaIを用いて37℃で一晩消化した。
【0041】
B.ブロッティングとハイブリダイゼーション
消化したサンプルを、パルスフィールドゲル装置(バイオラッドラボラトリーズ社、カリフォルニア州ハーキュリーズ)を用い製品取扱説明書に従って12時間、0.5× TBE緩衝液中で1%シーケム(SeaKem)LEアガロースゲル(FMCバイオプロダクツ社、米国メイン州ロックランド)で電気泳動し、0.4M NaOH/1M NaClのトランスファー緩衝液中でハイボンドNプラス(Hybond−N Plus)メンブレン(アマシャムファルマシアバイオテク社、米国ニュージャージー州ピスカータウェイ(Piscataway))に移し取り、UV架橋および真空オーブンでの加熱乾燥により固定した。ブロットを7%SDS、1mM EDTA、10g/L ウシ血清アルブミンを含む500mMリン酸ナトリウム緩衝液中で65℃で1時間プレハイブリダイズし、次に、ゲル精製し、放射標識した、500bpのPCRで作られたCYP2D6プローブでハイブリダイズした。標識後、プローブはG−50セファデックススピンカラム(アマシャムファルマシアバイオテク社)で精製し、プレハイブリダイズしたブロットに添加し、65℃で一晩ハイブリダイズさせた。ブロットは3mM NaClと0.1%SDSを含む30mMクエン酸ナトリウム緩衝液で65℃で15分間、1回洗浄し、次に1.5mM NaClと0.1%SDSを含む15mMクエン酸ナトリウム緩衝液で65℃で15分間洗浄し、最後に0.75mM NaClと0.1%SDSを含む7.5mMクエン酸ナトリウム緩衝液で65℃で15分間洗浄した。ハイブリダイゼーションのバンドはオートラジオグラフィーにより示された。
【0042】
XbaIは、CYP2D6およびその偽遺伝子CYP2D7Pを含む29Kbの制限酵素断片と、偽遺伝子CYP2D8Pを含む3.5Kbの断片とを生じることが知られている。CYP2D6と2つの偽遺伝子に高い相同性があることと(>80%)、使用したハイブリダイゼーション条件からすると、プローブはこの3つの遺伝子座に等しくハイブリダイズするはずである。2つのハイブリダイゼーションのバンド(29および3.5Kb)がホモ接合体から認められた一方、ヘテロ接合体と*10ホモ接合体はその他に約44Kbのバンド(図2)を示し、そのサイズは1つまたは2つの余分なCYP2D6遺伝子のコピーが存在するということと一致する。
【0043】
(実施例3)CYP2D6*10に関連した遺伝子重複の構造
188位(第1エクソン)、1127位(第2エクソン)、1749位(第3エクソン)において他のピークより大きな1つのピークを示すヘテロ接合体のほとんどは、第9エクソンの4268位については同様の不均一なピーク比を示さない。考えられる解釈の1つは、この場合、重複が1749位と4268位の間で終わっているということである。別の可能性は、これらのヘテロ接合体では、第9エクソンのPCR産物が、第9エクソンの多数のコピーのうち2つだけを増幅して生成されているということである。このようなことは、遺伝子重複を有するサンプル中で、1あるいはそれ以上のコピー数のCYP2D6*10対立遺伝子について、CYP2D6とCYP2D7Pの間で第9エクソンに遺伝子変換の事象が起きていれば、生じうることである。このような遺伝子変換の事象が起きていたとすれば、第9エクソンの4268位を含むPCR産物は、CYP2D6特異的プライマーを用いた時には増幅されなかっただろう。当初はCYP2D6*10Cと呼ばれ後にCYP2D6*36と改名された、CYP2D6*10対立遺伝子のサブバリアントの1つは、第9エクソンにおけるCYP2D7Pとの遺伝子変換を除いてCYP2D6*10対立遺伝子と完全に同一であることが知られている。これらのヘテロ接合体のサンプルにこのような遺伝子変換が存在することが、CYP2D6特異的な順方向プライマーと、第9エクソンに位置するCYP2D7P特異的な逆方向プライマーからなるプライマー対をデザインすることにより検証された。表1は、ホモ接合体*1/*1(857)、Cのピークより大きなTのピークを有するヘテロ接合体(861)、2つのホモ接合体*10/*10(866および873)から得た結果を示している。ホモ接合体*1/*1はこの混成プライマー対で増幅しなかったが、その他の4サンプルは増幅し、CYP2D6*36対立遺伝子の存在が確認された。
【0044】
【表1】
【0045】
(実施例4)CYP2D6*10ゲノタイプ決定検査法の開発
A.標準検査法のバリデーション
各々その全体が引用により本明細書に組み込まれているWangら(Molecular basis of genetic variation in debrisoquin hydroxylation in Chinese subjects: polymorphism in RFLP and DNA sequence of CYP2D6. Clin. Pharmacol. Ther. 53:410−18, 1993)やGao&Zhang(Gao Y, Zhang Q. Polymorphisms of the GSTM1 and CYP2D6 genes associated with susceptibility to lung cancer in Chinese. Mutat. Res. 444:441−49, 1999)によって発表された標準的な方法に基づきPCR−RFLP検査法を開発し、検証する過程において、一部のゲノタイプは、シーケンシング結果と比較すると、PCR−RFLP検査法により誤って同定されることが発見された。より具体的には、一部のヘテロ接合体がホモ接合体(*10/*10)であると報告される一方、ホモ接合体の野生型サンプルの一部が全く増幅できなかった。PCR−RFLP検査法で用いたのとは異なるプライマー対を使用したシーケンシング検証試験により、アジア人の被験サンプルの約40%が第1イントロンに多型領域を有していることがはっきりと示された(図3)。この多型領域はCYP2D7Pへの部分的な遺伝子変換によるものかもしれない。この30bp長の領域は、7塩基対のCYP2D6野生型配列との差異を含んでおり、これらの差異はPCR−RFLP検査法用のCYP2D6特異的プライマーをデザインするのに用いられた。従って、そのPCR−RFLPプライマー対は第1イントロンに多型領域を含むどんな対立遺伝子も増幅しないであろう。さらに、同時に両方の対立遺伝子をあらかじめ増幅する必要のあるいかなる検査法も、CYP2D6*10対立遺伝子の重複の存在下では188位の野生型の配列を隠してしまう可能性がある。検証済みのPCR−RFLPは、重複の数が4あるいはそれ以下のときには正しく機能することが確認されている。しかしながら、重複の数が4をこえるときには、このテストでは野生型の配列を検出しないだろう。
【0046】
B.発明の方法のバリデーション
中間PCR産物の必要なしにゲノムDNA中の野生型配列とCYP2D6*10対立遺伝子を独立に検出する、対立遺伝子特異的検査法(ASA)がテストされた(図4)。順方向プライマーはCYP2D6*1またはCYP2D6*10に特異的であり、共通の逆方向プライマーはCYP2D6を選択し、CYP2D7AP、CYP2D7BP、CYP2D8Pは選択しなかった。検査法の性能を調整するため、この検査にはチオプリンメチルトランスフェラーゼ(TPMT)遺伝子の増幅も含まれている。図5は、様々な重複の程度をシミュレートするために、CYP2D6*1とCYP2D6*10のDNAサンプルを様々な比率で混合した実験の結果を示している。図5に示されるように、CYP2D6*1のCYP2D6*10対立遺伝子に対する比が低い場合でも、野生型のCYP2D6*1対立遺伝子の存在は本発明のゲノタイプ決定検査法により検出された。これらの結果は、このCYP2D6*10対立遺伝子特異的検査法が、少なくとも25倍過剰なコピー数のT188配列の存在下でも野生型のC188配列を検出できる、強力な検定法であることを示している。
【0047】
「1つの」存在という語は1つあるいはそれ以上の存在を指すものであり、2つあるいはそれ以上の存在の混合物である存在を含んでいる、ということに注意すべきである。従って、「1つの」、「1つまたはそれ以上の」、「少なくとも1つの」という語はここでは互換的に用いられている。「備えている(comprising)」「含んでいる(including)」「有している(having)」という語が互換的に用いられていることについても、注意すべきである。
【0048】
本発明の種々の実施形態が詳細に説明されてきたが、それらの実施形態の変更形態や適合形態について当業者が思いつくであろうことは明らかである。しかしながら、そのような変更形態や適合形態は、請求項に述べたような本発明の精神や範囲に含まれていると理解されるべきものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】異なるピーク比を示すエレクトロフェログラムの比較。A)CYP2D6第1エクソンの188位のピーク比。B)第2、第3、第9エクソンのそれぞれ1127位、1749位、4268位のピーク比。
【図2】CYP2D6第1イントロンにおける、正常な(野生型の)ヌクレオチド配列と共通な変異型のヌクレオチド配列との比較。
【図3】パルスフィールドゲル電気泳動分析によるCYP2D6*10遺伝子重複の確認。2つのホモ接合体*1/*1(レーン1および2)、2つのヘテロ接合体*1/*10(レーン3および4)、1つのホモ接合体*10/*10(レーン5)由来の、XbaIで消化したゲノムDNAサンプルを、非特異的CYP2Dプローブでハイブリダイズした。29Kbと44KbのバンドはCYP2D6とCYP2D7Pを、3.5Kbのバンドは偽遺伝子CYP2D8Pを含んでいる。
【図4】*10/*10、*1/*1、*1/*10サンプルの対立遺伝子特異的増幅(ASA)。レーン1、3、5は*1特異的な順方向プライマーを用いたASA検査の結果を示す。レーン2、4、6は*10特異的な順方向プライマーを用いたときの結果を示す。対照(control)遺伝子はTPMTである。
【図5】CYP2D6*10 ASAを用いた混合実験。レーン1および10:分子量マーカー。レーン2:等量の*1/*1および*10/*10のゲノムDNAをPCRテンプレートとして用いた。レーン3−9:様々なDNA比の*1/*1および*10/*10のゲノムDNAを用いた。比率(ratio)は下部に示した。
【図6】CYP2D6*10関連の遺伝子重複の考えられる原因:ホモ接合体*10/*10においてCYP2D7PとCYP2D6*10の間に不等交差が起き、CYP2D7P−CYP2D6*36−CYP2D6*10遺伝子座(左下)と、CYP2D7Pの第8または第9エクソンからCYP2D6の第7または第8エクソンにわたる欠失を有する遺伝子座(右下)を生じる。
(発明の分野)
本発明は、ゲノム構成に変化が存在する場合における、代謝酵素シトクロムP−450の多型の正確な検出に関する分野に属する。
【0002】
(発明の背景)
シトクロムP−450 CYP2D6酵素は、三環系抗うつ薬、抗不整脈薬、神経弛緩薬、モルヒネ誘導体を含む多くの薬剤の酸化を触媒する。第22染色体上のCYP2D6遺伝子クラスターは、2つないし3つの、同族で機能を持たない偽遺伝子CYP2D8P、CYP2D7AP、CYP2D7BPと、その後ろに活性のある遺伝子CYP2D6とを含んでいる。68のCYP2D6多型対立遺伝子がP450命名委員会によって認められており、30をこえる対立遺伝子は、プローブ薬デブリソキン(debrisoquine)、スパルテイン(sparteine)、あるいはデキストロメトルファン(dextromethorphan)のインビトロもしくはインビボでの代謝における変化と関連がある。CYP2D6酵素の活性に影響を及ぼす遺伝子的な変化は、超高速の(UM)、高度の(EM)、中間の(IM)、ほとんど代謝能のない(PM)表現型を生じる。機能を持たない、あるいは部分的に欠陥のあるCYP2D6対立遺伝子がホモ接合あるいはヘテロ接合である個体が上記の薬剤をより低い速度で代謝する一方、野生型の対立遺伝子(CYP2D6*1)や、その他CYP2D6*35のような活性のある対立遺伝子、またはわずかに機能の低下したCYP2D6*2対立遺伝子に重複を有する個体は、より速い速度で薬物を代謝する。CYP2D6遺伝子座には、遺伝子が重複して13コピーにまで達している例がある。
【0003】
CYP2D6酵素活性についての個体間の多様性に加え、多型性な代謝の出現率は異なる集団間で様々である。特に、白色人種とアジア人種の違いはCYP2D6対立遺伝子の不均一な内訳によって説明される。白色人種の7%にみられるPM表現型のうち85%の原因となっている、欠陥対立遺伝子CYP2D6*3とCYP2D6*4は、中国人集団で見出されるのは1%に満たず、この集団でのPMの頻度の低さの説明となっている。さらに、これら2つの人種は、CYP2D6の代謝率(MR)が正常範囲内にある場合のデブリソキン加水分解活性の平均値についても異なっている。中国人集団では、MR分布の平均はより高い値へ移行し、中間的代謝能(IM)の表現型が優位であることを示している。このIM表現型は、部分的に欠陥のある対立遺伝子CYP2D6*10AやCYP2D6*10Bと関連がある。これらは中国人集団において最も共通に見られる対立遺伝子(対立遺伝子出現頻度61.5%)であり、CYP2D6酵素の34番目のコドンでプロリンからセリンへのアミノ酸置換を起こす、188位におけるCからTへのトランジション変異を含んでおり、その結果より低い代謝活性を有する不安定な酵素の生成をもたらしている。このC188T変異は、中国人集団の非喫煙者の間で肺がんのリスクが3ないし4倍低くなることや、日本人集団においてベンラファキシン(venlafaxine)の薬物動態が変動することと関連があることがわかっている。
【0004】
CYP2D6*10はCYP2D6遺伝子座に散在する4つの一塩基多型(SNP)で構成されるハプロタイプである(第1エクソンのC188T、第2エクソンのC1127T、第3エクソンのG1749C、第9エクソンのG4268C)。このようなハプロタイプの検出が、薬物治療や生体異物に対する個体の反応についての重要な情報を提供するにもかかわらず、誤ったゲノタイプ判定を導きうる遺伝子座のゲノム構成の変化によって、ゲノタイプ分析は困難となることがある。従って、しばしば発生することが知られているCYP2D6遺伝子座のゲノム変化を有する個体について、CYP2D6のゲノタイプを決定する正確な方法が求められている。
【0005】
(発明の要約)
本発明は、個体からゲノムDNAを取得し、そのゲノムDNAの第1の部分を一対のプライマーの存在下で増幅条件に置くことにより、その個体のシトクロムP−450 2D6のゲノタイプを決定する方法を対象とする。プライマーのうち1つは、CYP2D6第1エクソンのC188T多型を有するゲノムDNAにハイブリダイズし、かつCYP2D6第1エクソンの188位の野生型配列にはハイブリダイズしない。従って、この反応から増幅産物が生産されることは、CYP2D6*10ゲノタイプを示している。
【0006】
本発明の別の実施形態は、CYP2D6の第1エクソンのC188T多型を有するシトクロムP−450 2D6遺伝子の断片にプライマーがハイブリダイズし、該断片の増幅を準備するが、188位に野生型の配列を含むシトクロムP−450 2D6遺伝子の増幅は準備しない、対立遺伝子特異的な増幅プライマーを対象とする。
【0007】
本発明の別の実施形態は、CYP2D6の第1エクソンのC188T多型を有し、長さが10ヌクレオチドと50ヌクレオチドの間の、シトクロムP−450 2D6遺伝子の断片を含んだ核酸分子である。
【0008】
本発明の別の実施形態は、ヌクレオチド68とヌクレオチド1212の間の、CYP2D6遺伝子の断片を含む増幅産物を対象とする。本発明の別の実施形態は、個体からゲノムDNAを取得し、そのゲノムDNAの少なくとも一部を、増幅産物を生産するために、プライマーのうちの1つがCYP2D6第1エクソンのC188T多型を有するゲノムDNAにハイブリダイズし、かつCYP2D6第1エクソンの188位の野生型配列にはハイブリダイズしない、一対のプライマーの存在下で増幅条件に置くことにより生産された、増幅産物を対象とする。同様に、本発明の別の実施形態は、個体からゲノムDNAを取得し、そのゲノムDNAの少なくとも一部を、増幅産物を生産するために、プライマーのうちの1つがCYP2D6第1エクソンの188位の野生型配列を有するゲノムDNAにハイブリダイズし、かつCYP2D6第1エクソンのC188T多型にはハイブリダイズしない、一対のプライマーの存在下で増幅条件に置くことにより生産された、増幅産物を対象とする。
【0009】
本発明の別の実施形態は、個体からゲノムDNAを取得し、そのゲノムDNAの第1の部分を、プライマーのうちの1つがCYP2D6第1エクソンのC188T多型を有するゲノムDNAにハイブリダイズし、かつCYP2D6第1エクソンの188位の野生型配列にはハイブリダイズしない、一対のプライマーの存在下で、増幅条件に置くことによる、個体に医薬組成物を処方する方法を対象とする。従って、増幅の結果が被験個体のゲノタイプを示すので、医薬組成物はその結果に基づいてその個体に処方される。このようなゲノタイプ決定法や、その決定法の結果に基づいた処方変更の能力は、CYP2D6遺伝子の多型が頻出するアジアの人々に特に適している。
【0010】
(発明の詳細な説明)
明確にするため、本特許出願におけるCYP2D6遺伝子内の部位についての全ての引用は、キムラ(Kimura)らにより発表された転写開始部位の最初のヌクレオチドに関連して行われる(Am. J. Hum. Genet. 45:889−904, 1989 )(Gen Bank Accession No.M33388)。従って、この付番方式を使用すると、開始のメチオニンをコードするコドンは89−91位に現れる。
【0011】
1つの対立遺伝子は、ポリペプチド鎖として発現されるのに必要な全ての情報を備えたデオキシリボ核酸(DNA)の一部分で構成されている。従って、ヌクレオチド配列に違いのある対立遺伝子は、異なるポリペプチド鎖を生じたり、タンパク質を生産できないことがある。しかしながら、ヌクレオチド配列の違いが翻訳のレベルで「サイレント(silent)」であれば、異なる対立遺伝子から同一のポリペプチド鎖が生成されることもある。さらに、対立遺伝子間のヌクレオチド配列の違いが、イントロンやあるいはエクソンの非翻訳部分に起こる場合、その違いはポリペプチド鎖の配列に影響しない。
【0012】
よって、DNAレベルで認識される対立遺伝子は、タンパク質レベルでは対立遺伝子としては現れず、同じ遺伝子の産物として現れることもある。対立遺伝子は、似てはいるが互いに異なっており、しかしゲノム上あるいは少なくとも染色体上の同一の位置を占めている。ヒトゲノムを含む哺乳類ゲノムの、二倍体という性質によって、1個体は2つの任意の染色体上の遺伝子座に2つの対立遺伝子を発現できるだけである。しかしながら、集団全体ではその遺伝子座に非常に多くの対立遺伝子を発現していることもある。2つの同一の対立遺伝子はホモ接合のゲノタイプとなり、2つの異なる対立遺伝子はヘテロ接合の遺伝情報担体となる。
【0013】
CYP2D6*10対立遺伝子を有するアジア人のサンプルの配列分析中、多くのヘテロ接合体において、188位のCおよびTのピークの高さが、一様に均等ではないことが観察された。パルスフィールドゲル分析および定量的クローニングを用いた、この偏差についての調査から、77のアジア人サンプル中、*10対立遺伝子が47%の頻度で出現していることが明らかとなった。さらに、*10対立遺伝子を有するヘテロ接合体のサンプルの72%がCYP2D6遺伝子座に複数のコピーを有していた。増幅したCYP2D6*10対立遺伝子は、CYP2D6*10対立遺伝子についてヘテロ接合またはホモ接合の個体において、低下したCYP2D6酵素活性の表現型を補償できる、多数の対立遺伝子のコピーを有し得ることが見出された。このような遺伝子重複の存在下では、あらかじめ両方の対立遺伝子を同時に増幅する必要のあるいかなるゲノタイプ分析も、CYP2D6*10対立遺伝子の重複の存在下では、しばしば188位の野生型の配列を隠してしまう。従って、CYP2D6遺伝子内の単純なSNPのゲノタイプ分析は、その遺伝子座のゲノム構成の変化によって困難となるだろう。このことは、多くの医薬品がCYP2D6酵素によって代謝されるため、CYP2D6ゲノタイプについて特に重要である。医薬品の効果をより良く予測するため、そしてこのような代謝の個体差に基づく医薬品副作用を潜在的に防止するため、医薬品を処方される個体のCYP2D6ゲノタイプを、CYP2D6ゲノタイプを判断するために検査するとよい。そして処方する医薬品の選択や、処方する医薬品の量を、その個体のCYP2D6ゲノタイプに基づいて変更するとよい。このことは、CYP2D6*10ゲノタイプが頻出するが、CYP2D6*10の表現型を部分的に補償し、CYP2D6酵素によって代謝される医薬品に対する個別の反応を予測するのを困難にする、ゲノムの重複という事象が起こり得るアジアの人々にとって、特に重要である。CYP2D6酵素の変異は、がんに対する感受性の増大とも相関があることがわかっている。この感受性は、CYP2D6酵素によって代謝される生体異物への環境暴露に伴って上昇するとみられている。実際、CYP2D6*10ゲノタイプは肺がんリスクの増大と関連があることがわかっている。ある環境条件への暴露に基づいた、がんに対する個別の感受性を確かめるため、特定の個々人のCYP2D6の多型について検査することが望ましいかもしれない。従って、本発明の1つの実施形態は、対立遺伝子特異的なCYP2D6遺伝子重複の存在下でCYP2D6ゲノタイプを正確に同定する、CYP2D6の多型について個体のゲノタイプ分析をする方法である。
【0014】
当初はCYP2D6*10Cと呼ばれ、後にCYP2D6*36と改名された、CYP2D6*10対立遺伝子のサブバリアントの1つは、第9エクソンにおけるCYP2D7Pとの遺伝子変換を除いてCYP2D6*10対立遺伝子と同一である。ヘテロ接合体サンプル中のこの遺伝子変換の存在は、CYP2D6特異的な順方向プライマーと、第9エクソンに位置するCYP2D7P特異的な逆方向プライマーとからなる、一対のプライマーをデザインすることでテストされた。これらのPCRプライマーセットを用いたヘテロ接合体サンプルのテストにより、CYP2D6*36の存在が確認された。さらに、テストしたアジア人サンプル群の約40%が、別の部分的なCYP2D7Pとの遺伝子変換によるであろう、関係のない多型領域を第1イントロンに有していることが、配列分析により明白に示された(図3)。この30塩基対の長さの領域は、CYP2D6野生型配列との7塩基対の違いを有している。これらの違いのため、標準的なPCR−RFLPプライマー対は、第1イントロンに多型領域を有するいかなる対立遺伝子も増幅することができないだろう。第1イントロンのこの多型領域周辺に特異的なプライマー対をデザインすることにより、CYP2D6遺伝子とCYP2D7P遺伝子間の遺伝子変換の存在下でCYP2D6*10ゲノタイプを正確に同定する、CYP2D6多型について個体のゲノタイプ分析をする方法の開発が可能であった。
【0015】
本発明の実施形態の1つは、中間的な増幅産物の必要なく、ゲノムDNA中の野生型配列およびCYP2D6*10対立遺伝子を別々に検出する、対立遺伝子特異的検定法(ASA)である。順方向プライマーはCYP2D6*1またはCYP2D6*10のどちらかに特異的であり、共通の逆方向プライマーはCYP2D6を選択するがCYP2D7AP、CYP2D7BP、CYP2D8Pは選択しない。好ましい実施形態としては、検査法は、検査の性能の対照とするために、チオプリンメチルトランスフェラーゼ(TPMT)遺伝子の増幅を含む。かかる検査法は、CYP2D7遺伝子との間に第9エクソンの遺伝子変換の事象が起きているにもかかわらず、少なくとも25倍過剰なT188のコピーの存在下で、野生型のC188配列を検出することができる、強力な検査法である。
【0016】
対立遺伝子特異的検査法の最初のステップには、CYP2D6遺伝子の少なくとも一部を増幅することが含まれる。増幅とはある核酸配列のさらなるコピーを生産することとして定義され、当技術分野で良く知られているポリメラーゼ連鎖反応技術(Dieffenbach CW and GS Dveksler(1995)PCRプライマー、実験手引き書(PCR Primer, a Laboratory Manual )、コールドスプリングハーバー出版(Cold Spring Harbor Press)、ニューヨーク州プレインビュー)を用いて一般的に実施される。本明細書では、「ポリメラーゼ連鎖反応」(「PCR」)という語は、クローニングや精製を伴わずにゲノムDNA混合物中の標的配列の一部分の濃度を増大させる方法について述べた、引用により本明細書に組み込まれるK.B.Mullisの米国特許第4,683,195号および第4,683,202号の方法を指している。増幅される所望の標的配列の一部分の長さは、2つのオリゴヌクレオチドプライマーの互いに対する相対位置によって決まり、従ってこの長さは調節可能なパラメータである。その工程の反復の様子から、この方法は「ポリメラーゼ連鎖反応」(以後「PCR」)と呼ばれる。所望の増幅された標的配列の一部分は混合物中で(濃度の面で)優位な配列となるので、「PCR増幅された」と言われている。
【0017】
対立遺伝子特異的であるとは、この検査法がどのCYP2D6対立遺伝子についても独立に、CYP2D6*10遺伝子の有無を検出することができることを意味する。問題の核酸は、どの標準的な増幅技術を用いても核酸サンプルから増幅されうる。例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術をゲノムDNAやゲノムライブラリーから直接CYP2D6遺伝子の配列を増幅するのに用いることができる。PCRや他のインビトロの増幅方法は、例えば発現されるタンパク質をコードする核酸配列をクローニングしたり、サンプル中の所望のmRNAやDNAの存在の検出、核酸の配列決定、その他の目的でプローブとして用いる核酸を作製する場合にも、有用であろう。PCRの総括についてはPCRプロトコール:方法と応用の手引き(PCR Protocols: A Guide to Methods and Applications. )(Innis, M, Gelfand, D., Sninsky, J. and White, T., eds.), Academic Press、サンディエゴ(San Diego) (1990)を参照のこと。
【0018】
テンプレートのCYP2D6遺伝子、あるいはその一部は、被検個体から単離されるが、精製の必要はない。PCR増幅の手順は、個体由来の精製ゲノムDNA、個体のゲノムDNAを含む細胞破砕物、あるいはその他の純粋でないゲノムDNA供給源を用いて実施することができる。個々の被検者のゲノムDNAは、白血球や上皮細胞などをはじめとした有核細胞を含む組織からのフェノール/クロロホルム抽出のような、当技術分野でよく知られた方法を用いて単離される。ゲノムDNA供給源は、テストサンプル中に存在する、バックグラウンドの非特異的なDNA以上に、CYP2D6遺伝子の増幅を可能にするのに十分なだけ、純粋であればよい。
【0019】
本明細書では、「プライマー」という語は、精製された制限酵素消化物の中に自然に生じるかもしくは合成により生産され、ある核酸の鎖に相補的なプライマー伸長産物の合成が誘導される条件(すなわち、ヌクレオチドと、DNAポリメラーゼのような誘導物質が存在し、かつ適切な温度とpHである)下に置かれると、合成の開始点として作用することができるオリゴヌクレオチドを指す。プライマーは、最大の増幅効率のためには一本鎖であることが好ましいが、替わりに二本鎖でもよい。二本鎖の場合には、プライマーは伸長産物の調製に用いる前にまずその二本の鎖を分離するべく処理される。プライマーは、オリゴデオキシリボヌクレオチドであることが好ましい。プライマーは、誘導物質の存在下で伸長産物の合成を準備するのに十分な長さでなければならない。プライマーの厳密な長さは、温度、プライマーの供給源、方法の用途を含む多くの要因に依存して決まる。
【0020】
CYP2D6遺伝子の問題の領域を増幅するためには、2組の異なるプライマーセットが使用される。第1のセットでは、CYP2D6*1に特異的な順方向プライマーが、CYP2D6を選択するがCYP2D7AP、CYP2D7BP、CYP2D8Pは選択しない逆方向プライマーと組み合わせて用いられる。第2のセットでは、CYP2D6*10に特異的な順方向プライマーが、CYP2D6を選択するがCYP2D7AP、CYP2D7BP、CYP2D8Pは選択しない逆方向プライマーと組み合わせて用いられる。CYP2D6を選択するがCYP2D7AP、CYP2D7BP、CYP2D8Pは選択しない逆方向プライマーは、両方の増幅反応において同じプライマーであることが好ましい。当技術分野において既知の対立遺伝子特異的プライマーを作製するいかなる手法も、この検査法に使用することができる。例えば、対立遺伝子特異的プライマーは、プライマーの3’末端に多型的な188位に対するミスマッチがあることを除き、CYP2D6の配列を有するプライマーをデザインすることにより作製することができる。対立遺伝子特異的プライマーを作製する別の手段は、3’末端から2番目の位置にCYP2D6へのミスマッチを有することである。よって、プライマーは最も3’側の位置にCまたはTのヌクレオチドを有し、3’末端から2番目の位置にミスマッチを有するCYP2D6遺伝子の配列を有する。対立遺伝子特異的プライマーを作製するさらに別の手段は、プライマー全体、特にプライマーの最も3’側の4〜5塩基に、プライマーがその部位に存在し得る2つの対立遺伝子配列のうち1つだけにハイブリダイズするように、修飾塩基を用いることである。CYP2D6*1やCYP2D6*10遺伝子のどちらかに特異的なプライマーを作製するさらに別の手段は、プライマーの3’ヌクレオチドとして4つのCYP2D6*10 SNPsのいずれか1つの部位を含む、個別のプライマーをデザインすることである。例えば、C188T多型を、野生型CYP2D6*1やCYP2D6*10対立遺伝子のいずれかに特異的なプライマーをデザインするのに用いてもよい。これは、プライマー配列がC188T多型のすぐ直前のCYP2D6配列に相当するような順方向または逆方向プライマーをデザインすることで実施される。プライマーの3’ヌクレオチドはCYP2D6遺伝子の188位に相当するようにデザインされる。3’ヌクレオチドは、プライマーの3’部位がCYP2D6遺伝子にハイブリダイズしなければ(すなわちプライマーの3’部位にミスマッチが生じれば)プライマーがCYP2D6増幅産物へと伸長されないように、CあるいはTヌクレオチドとなっている。この例を用いると、順方向のCYP2D6*1特異的プライマーは、3’が188位の野生型配列に相当するCヌクレオチドで終わる、188位のすぐ直前のCYP2D6配列(・・・5’GCACGCTAC3’)を含むであろう。逆に、順方向のCYP2D6*10特異的プライマーは、3’が188位の多型の存在に相当するTヌクレオチドで終わる、188位のすぐ直前のCYP2D6配列(・・・5’GCACGCTAC3’)を含むであろう。同様に、逆方向のCYP2D6*1特異的プライマーは、3’が188位の野生型配列に相当するGヌクレオチドで終わる、188位のすぐ直前のCYP2D6配列(・・・5’GGCCTGGTG3’)を含み、CYP2D6*10特異的プライマーは、3’が188位の多型の存在に相当するAヌクレオチドで終わる、188位のすぐ直前のCYP2D6配列(・・・5’GGCCTGGTG3’)を含むであろう。対立遺伝子特異的プライマーを作製するいかなる手法も本発明の検査方法に適用可能であり、そのプライマーおよびそのプライマーを用いて個体のCYP2D6ゲノタイプを決定する方法は、ここに含まれるものである。
【0021】
CYP2D6*1やCYP2D6*10に特異的なプライマーは、それぞれCYP2D6*1遺伝子やCYP2D6*10遺伝子の存在の検出に用いることができる。従って、本発明の実施形態の1つは、CYP2D6*10遺伝子の存在を検出するために対立遺伝子特異的プライマーをハイブリダイゼーションすることを用いた、個体のCYP2D6*10ゲノタイプを決定する方法である。プライマーおよび/またはプローブは、10と500の間のいずれの整数の長さも含む10から500ヌクレオチドの範囲にあるCYP2D6遺伝子に特異的にハイブリダイズするのに十分な、どんな長さでもよい。プライマーおよび/またはプローブは、少なくとも長さ10ヌクレオチドか、少なくとも長さ15ヌクレオチドか、少なくとも長さ20ヌクレオチドか、少なくとも長さ25ヌクレオチドか、少なくとも長さ30ヌクレオチドか、少なくとも長さ35ヌクレオチドか、少なくとも長さ40ヌクレオチドか、少なくとも長さ45ヌクレオチドか、少なくとも長さ50ヌクレオチドか、少なくとも長さ55ヌクレオチドか、または少なくとも長さ60ヌクレオチドであることが望ましい。
【0022】
本発明の好ましい実施形態では、各プライマーセットから準備されたCYP2D6対立遺伝子増幅産物が、各個体のCYP2D6*10ゲノタイプを決定するために比較される。CYP2D6遺伝子の産物が、CYP2D6*1特異的プライマーを含む第1のプライマーセットによってのみ生産されれば、テストしたDNAサンプルのゲノタイプは野生型である。このような用途に関しては、野生型という表示は、CYP2D6*10ではないCYP2D6遺伝子座を定義するのに用いられる。従って、CYP2D6*1特異的プライマーを含む第1のプライマーセットによってのみ生産されるPCR産物は、検出された遺伝子座がCYP2D6*10ハプロタイプを定義する変異以外の突然変異を含みうるにもかかわらず、本方法を用いたテストにおいては野生型の結果を示す。例えば、PCR産物がCYP2D6*1特異的なプライマーセットによって生産され、かつCYP2D6*10特異的なプライマーセットによってPCR産物が全く生産されなければ、被験個体は、CYP2D6*1、CYP2D6*35、CYP2D6*2、CYP2D6*3、CYP2D6*4のような他のCYP2D6ゲノタイプを有しているかもしれないという事実にも関わらず、本発明の方法による結果に関しては野生型であると同定される。従って、試験の結果報告に用いられる際の野生型は、単に被験個体にCYP2D6*10ゲノタイプが存在しないことを示している。CYP2D6遺伝子の産物が、CYP2D6*10特異的プライマーを含む第2のプライマーセットによってのみ生産されれば、テストしたDNAサンプルのゲノタイプはCYP2D6*10ゲノタイプについてホモ接合である。CYP2D6遺伝子の産物が、CYP2D6*1特異的プライマーを含む第1のプライマーセットと、CYP2D6*10特異的プライマーを含む第2のプライマーセットの両方によって生産されれば、テストしたDNAサンプルのゲノタイプはCYP2D6*10ゲノタイプについてヘテロ接合である。
【0023】
本発明の別個の複数の実施形態では、CYP2D6遺伝子の増幅方法を、同じ反応において同時に、あるいは独立の反応において別々に実施してよい。さらに増幅産物は、被験個体のCYP2D6ゲノタイプを決定するために視覚化することもできる。増幅産物が同じ反応で生成される場合、CYP2D6*10の重複が起きていればCYP2D6*10特異的な産物が優先的に増幅される。従って、本発明の方法論では、各対立遺伝子の増幅が同じ反応で実施され、かつCYP2D6*10遺伝子が重複している場合には、野生型の対立遺伝子の存在は検出しないかもしれない。通常、野生型とCYP2D6*10の増幅が同じ反応において実施される検査では、CYP2D6*10遺伝子が4あるいはそれ以下の重複を起こしている場合には被験個体のCYP2D6*10ゲノタイプが正確に同定される。CYP2D6*10遺伝子が4をこえる重複を起こしている例では、同じ反応において対立遺伝子を増幅させると、ヘテロ接合の個体の場合に野生型の存在を隠してしまう。従って、本発明の試験の方法論の好ましい実施形態は、CYP2D6*10遺伝子に重複がある場合にヘテロ接合の個体の正確な同定を確実にするため、別々の反応でCYP2D6*1とCYP2D6*10の増幅を実施することを含んでいる。
【0024】
増幅されたDNA産物の個々の部分について、問題の個々の多型の存在を検査することもできる。この検査法は、増幅産物の中の遺伝子の領域内に多型が存在することを検出する、いかなる既知の方法も含むことができる。例えば、1つあるいはそれ以上の多型の存在は、制限酵素断片長多型の分析、その領域のダイレクトシーケンス(direct sequencing)分析、ディファレンシャルハイブリダイゼーション(differential hybridization)、一本鎖立体構造多型の分析などの方法を用いて検出することができる。例えば、CYP2D6遺伝子の第1エクソンの増幅部分は、C188T多型の存在について、増幅産物のシーケンシングや制限酵素断片長多型(RFLP)分析によってさらに分析することができる。
【0025】
本発明の実施形態は、さらにゲノタイプ決定検査の結果に基づいて医薬組成物を処方するステップを含む。医薬組成物は、その代謝がCYP2D6*10変異体によって影響を受ける、いかなる組成物であってもよい。例えば、そのような医薬品には、脂溶性ベータ遮断薬、抗不整脈剤、抗うつ薬、神経弛緩薬、リスペリドン(risperidone)、デブリソキン、ベンラファキシンが含まれてもよい。CYP2D6*10の表現型は、通常、CYP2D6酵素により代謝される医薬品の代謝低下となる。従って、CYP2D6*10対立遺伝子の存在を示すゲノタイプ決定検査結果から、通常、より低用量の該医薬品を処方するか、または似た性質を有し、CYP2D6表現型の変化の影響を受けない別の医薬品を処方するということになる。処方される医薬品のより低い用量とは、従来処方されてきたであろう用量よりも低い用量である。CYP2D6酵素により代謝される医薬品の従来の用量は良く知られている。例えば、医師用卓上参考書(Physician’s Desk Reference)(第56版(2002年1月15日)メディカルエコノミクス(Medical Economics)出版)にある用量ガイドラインを参照のこと。CYP2D6ゲノタイプ決定検査の結果に基づき医薬組成物を処方するこの方法は、特にアジアの人々にとって好ましいものである。
以下の実施例は、本発明の実施形態を説明するために提供されるものであり、請求項に述べた発明の範囲を限定するとみなされるべきものではない。
【0026】
(実施例)
(実施例1)CYP2D6*10遺伝子重複の同定
A.DNAサンプルの採取
インフォームドコンセントを得たのち、シンガポール出身の77人の健康で非血縁のボランティアから血液検体が採取された。守秘義務を保つため、全てのサンプルから個人を特定できる情報を取り除いた。ジェントラピュアジーンキット(Gentra PureGene kit)K−50(ジェントラ(Gentra)社、米国ミネソタ州ミネアポリス)を用いて全血からゲノムDNAを抽出した。ゲノムDNAの濃度は、ピコグリーンを使用し、既知濃度のヒト胎盤DNAの標準曲線に基づいて、サイトフルオロ(CytoFluor)II 蛍光光度計(パーセプティブバイオシステムズ社(PerSeptive Biosystems)、米国マサチューセッツ州フレーミングハム(Framingham))を用いて測定した。
【0027】
B.ゲノムDNA配列のポリメラーゼ連鎖反応増幅
全てのポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅は、パーキンエルマージーンアンプPCRキット(Perkin Elmer GeneAmp PCR kit)(パーキンエルマーシータス社(Perkin Elmer Cetus)、 米国コロラド州ノーウォーク)を用い、製品取扱説明書に従って、Taq Gold DNAポリメラーゼと100ngのゲノムDNAをテンプレートとして含む50μlの反応液中で実施した。各PCRのマグネシウム濃度は、実験により最適化した。以下のプライマーを、PCR−RFLP検査に用いた:FWD=順方向。REV=逆方向。
【0028】
FWD 5’CCATTTGGTAGTGAGGCAGGTATG3’(配列番号1)、
REV 5’CACCATCCATGTTTGCTTCTGGT3’(配列番号2)。
【0029】
各反応において、マグネシウム濃度は1.5mMとした。次にPCR産物をHphIで消化し、2%アガロースゲルで泳動した。対立遺伝子特異的増幅(ASA)検査法には、マスターミックスバッファー(Master Mix Buffer)E(エピセンターテクノロジー社(Epicentre Technologies)、米国ウィスコンシン州マディソン)を以下のプライマーとともに用いた:
【0030】
FWD(野生型) 5’GGGCTGCACGCTACC3’(配列番号3)または
FWD(*10) 5’TGGGCTGCACGCTACT3’(配列番号4)
REV 5’AGCTCGGACTACGGTCATC3’(配列番号5)。
【0031】
内部対照遺伝子のプライマーは:
FWD 5’CTCATCTCCTGAAAGTCCCTGATA3’(配列番号6)
REV 5’CCCAGGTCTCTGTAGTCAAATCC3’(配列番号7)。
【0032】
CYP2D6の第1、第2、第3および第9エクソンをシーケンシングするためのPCRテンプレートは、1mMマグネシウムと以下のプライマーを用いて取得した:
【0033】
第1エクソン、プライマー対A:
FWD 5’AGGTATGGGGCTAGAAGCACTG3 ’(配列番号8)
REV 5’AGGACGTCCCCCAAACC3’(配列番号9)
第1エクソン、プライマー対B:
FWD 5’CCTGCCTGGTCCTCTGTGC3’(配列番号10)
REV 5’CGTGGGTCACCAGCGC3’(配列番号11)
第2エクソン
FWD 5’ACCCACGGCGAGGACA3’(配列番号12)
REV 5’CTAGTGCAGGTGGTTTCTTGGC3 ’(配列番号13)
第3エクソン
FWD 5’CTAATGCCTTCATGGCCAC3’(配列番号14)
REV 5’GGAGTGGTTGGCGAAGG3’(配列番号15)
第9エクソン
FWD 5’AGCTTCTCGGTGCCCACT3’(配列番号16)
REV 5’ACGTACCCCTGTCTCAAATGC3’(配列番号17)。
【0034】
CYP2D6*36特異的PCR増幅は、1mMマグネシウムで以下のプライマーを用いて実施した:
FWD 5’GGCAAGAAGGATTGTCAGG3’(配列番号18)
REV 5’GGCGTCCACGGAGAAGC3’(配列番号19)。
【0035】
熱サイクルは、PCR装置ジーンアンプ(GeneAmp)PCRシステム9700(パーキンエルマー社)を用い、95℃で10分間の初期変性ステップ、次に95℃で30秒間の変性、60℃で45秒間のプライマーアニーリング、72℃で2分間のプライマー伸長を35サイクル、次に72℃で5分間の最終伸長として実施したが、以下を例外とした:RFLP用のPCRテンプレートは、65℃で30サイクルで増幅した;第3エクソンのアニーリング温度には62℃を用いた;ASA PCRは64℃で30サイクルとした;CYP2D6*36特異的産物を増幅するためには58℃と40サイクルを用いた。
【0036】
C.DNAシーケンシング
PCR産物は、マイクロコン100(Microcon−100)カラム(ミリポア社、米国マサチューセッツ州ベッドフォード)を用いたスピンカラム精製によりシーケンシング用に調製した。サイクルシーケンス(Cycle Sequencing)は、ABIプリズムジクロロローダミンターミネーターサイクルシーケンシングレディリアクションキット(ABI Prism dRhodamine Terminator Cycle Sequencing Ready Reaction kit)(アプライドバイオシステムズ社、米国カリフォルニア州フォスターシティ)を用い、製品取扱説明書に従って、PCR装置ジーンアンプPCRシステム9600(パーキンエルマー社)で実施した。シーケンシング反応は、96℃で20秒間、50℃で20秒間、60℃で4分間の30サイクルで実施し、その後エタノール沈殿した。サンプルは50℃で約15分間蒸発乾固し、2μlのローディングバッファー(5:1 脱イオン化ホルムアミド:50mM EDTA pH8.0)に再懸濁し、65℃まで5分間加熱し、配列決定のため、製品取扱説明書に従ってABI377型核酸分析装置を用いて4%ポリアクリルアミド/6M尿素ゲルで電気泳動した。
【0037】
少なくとも1つのCYP2D6*10対立遺伝子について、中国人集団の対照サンプルの配列を照合したところ、CYP2D6第1エクソン188位のヘテロ接合体の間で、ピーク比の高さが均一でないことが明らかとなった。蛍光に基づく配列検出で得られたエレクトロフェログラムは、ヘテロ接合体のピーク比と同じように再現性が高い(+/−10%)。この分析結果から明らかなように、ヘテロ接合体のサンプルはピーク比に基づきT=C、T> C、T>>C、T>>> Cのように分類することができる(図1A参照)。プライマー結合部位の1つに位置する多型を原因とした、対立遺伝子増幅の差異の可能性をなくすため、2つの異なるプライマー対(AとB)を用いて第1エクソンを増幅した。188位の不均一なピーク比がいずれの増幅でも認められた。さらに、CYP2D6*10がCYP2D6遺伝子座に散在する4つのSNPs(第1エクソンのC188T、第2エクソンのC1127T、第3エクソンのG1749C、第9エクソンのG4268C)からなるハプロタイプであるため、すべてのサンプルの第2、第3および第9エクソンをシーケンスし、そして図1Bに示すように、188位に認められるピーク比の均一性の同様の欠如が1127位、1749位、4268位にも存在することが発見された。しかしながら、4268位については多少の不整合が認められ、より具体的には、188位においてCのピークより大きいTのピークを示すヘテロ接合体のうちの一部は4268位においてはG=Cであった。ヘテロ接合体のうち72%はCのピークより大きいTのピークを有すると見積もられた。
【0038】
D.シーケンシング上の相違の確認
1つのT>>C(861)ヘテロ接合体と1つのT=C(870)ヘテロ接合体からPCR産物をクローニングし、各対立遺伝子の型から生成されたTクローンの数とCクローンの数を確認することにより、この不均一なピーク比が何らかのシーケンシング上の人為的な結果によるものではないことが確認された。各クローン化サンプルあたり64コロニーを拾った。サンプル870由来のコロニーのうち52%について188位にCを有することが見出され、サンプル861由来のコロニーのうち30%だけが同じ部位にCを有していた。不均一なシーケンシングのピーク比は、一部の個体により多くの遺伝子コピー数をもたらす、多型的な遺伝子の重複の結果であることもありうる。
【0039】
E.クローニング
CYP2D6第1エクソンの188位に多型部位を有する領域を含むDNA断片を、すでに述べたプライマーおよびPCR条件を用いて、サンプル860および871から単離したゲノムDNA100ngよりPCR増幅した。次にPCR産物を、製品取扱説明書に従い、TAベクターpCR2.1(インビトロジェン社、 カリフォルニア州カールズバッド)へのサブクローニングに直接用いた。CYP2D6挿入配列を有するこれらのベクターは、PCR産物のシーケンシングやプローブの作製に用いることができた。
【0040】
(実施例2)増加した遺伝子コピー数の検証
A.ゲノムDNAの消化
2つの野生型サンプル(*1/*1)、T>>Cピーク比を有する2つのヘテロ接合体*1/*10、1つの*10/*10ホモ接合体をXbaIで消化した。それぞれについて、10マイクログラムのゲノムDNAを、XbaIを用いて37℃で一晩消化した。
【0041】
B.ブロッティングとハイブリダイゼーション
消化したサンプルを、パルスフィールドゲル装置(バイオラッドラボラトリーズ社、カリフォルニア州ハーキュリーズ)を用い製品取扱説明書に従って12時間、0.5× TBE緩衝液中で1%シーケム(SeaKem)LEアガロースゲル(FMCバイオプロダクツ社、米国メイン州ロックランド)で電気泳動し、0.4M NaOH/1M NaClのトランスファー緩衝液中でハイボンドNプラス(Hybond−N Plus)メンブレン(アマシャムファルマシアバイオテク社、米国ニュージャージー州ピスカータウェイ(Piscataway))に移し取り、UV架橋および真空オーブンでの加熱乾燥により固定した。ブロットを7%SDS、1mM EDTA、10g/L ウシ血清アルブミンを含む500mMリン酸ナトリウム緩衝液中で65℃で1時間プレハイブリダイズし、次に、ゲル精製し、放射標識した、500bpのPCRで作られたCYP2D6プローブでハイブリダイズした。標識後、プローブはG−50セファデックススピンカラム(アマシャムファルマシアバイオテク社)で精製し、プレハイブリダイズしたブロットに添加し、65℃で一晩ハイブリダイズさせた。ブロットは3mM NaClと0.1%SDSを含む30mMクエン酸ナトリウム緩衝液で65℃で15分間、1回洗浄し、次に1.5mM NaClと0.1%SDSを含む15mMクエン酸ナトリウム緩衝液で65℃で15分間洗浄し、最後に0.75mM NaClと0.1%SDSを含む7.5mMクエン酸ナトリウム緩衝液で65℃で15分間洗浄した。ハイブリダイゼーションのバンドはオートラジオグラフィーにより示された。
【0042】
XbaIは、CYP2D6およびその偽遺伝子CYP2D7Pを含む29Kbの制限酵素断片と、偽遺伝子CYP2D8Pを含む3.5Kbの断片とを生じることが知られている。CYP2D6と2つの偽遺伝子に高い相同性があることと(>80%)、使用したハイブリダイゼーション条件からすると、プローブはこの3つの遺伝子座に等しくハイブリダイズするはずである。2つのハイブリダイゼーションのバンド(29および3.5Kb)がホモ接合体から認められた一方、ヘテロ接合体と*10ホモ接合体はその他に約44Kbのバンド(図2)を示し、そのサイズは1つまたは2つの余分なCYP2D6遺伝子のコピーが存在するということと一致する。
【0043】
(実施例3)CYP2D6*10に関連した遺伝子重複の構造
188位(第1エクソン)、1127位(第2エクソン)、1749位(第3エクソン)において他のピークより大きな1つのピークを示すヘテロ接合体のほとんどは、第9エクソンの4268位については同様の不均一なピーク比を示さない。考えられる解釈の1つは、この場合、重複が1749位と4268位の間で終わっているということである。別の可能性は、これらのヘテロ接合体では、第9エクソンのPCR産物が、第9エクソンの多数のコピーのうち2つだけを増幅して生成されているということである。このようなことは、遺伝子重複を有するサンプル中で、1あるいはそれ以上のコピー数のCYP2D6*10対立遺伝子について、CYP2D6とCYP2D7Pの間で第9エクソンに遺伝子変換の事象が起きていれば、生じうることである。このような遺伝子変換の事象が起きていたとすれば、第9エクソンの4268位を含むPCR産物は、CYP2D6特異的プライマーを用いた時には増幅されなかっただろう。当初はCYP2D6*10Cと呼ばれ後にCYP2D6*36と改名された、CYP2D6*10対立遺伝子のサブバリアントの1つは、第9エクソンにおけるCYP2D7Pとの遺伝子変換を除いてCYP2D6*10対立遺伝子と完全に同一であることが知られている。これらのヘテロ接合体のサンプルにこのような遺伝子変換が存在することが、CYP2D6特異的な順方向プライマーと、第9エクソンに位置するCYP2D7P特異的な逆方向プライマーからなるプライマー対をデザインすることにより検証された。表1は、ホモ接合体*1/*1(857)、Cのピークより大きなTのピークを有するヘテロ接合体(861)、2つのホモ接合体*10/*10(866および873)から得た結果を示している。ホモ接合体*1/*1はこの混成プライマー対で増幅しなかったが、その他の4サンプルは増幅し、CYP2D6*36対立遺伝子の存在が確認された。
【0044】
【表1】
【0045】
(実施例4)CYP2D6*10ゲノタイプ決定検査法の開発
A.標準検査法のバリデーション
各々その全体が引用により本明細書に組み込まれているWangら(Molecular basis of genetic variation in debrisoquin hydroxylation in Chinese subjects: polymorphism in RFLP and DNA sequence of CYP2D6. Clin. Pharmacol. Ther. 53:410−18, 1993)やGao&Zhang(Gao Y, Zhang Q. Polymorphisms of the GSTM1 and CYP2D6 genes associated with susceptibility to lung cancer in Chinese. Mutat. Res. 444:441−49, 1999)によって発表された標準的な方法に基づきPCR−RFLP検査法を開発し、検証する過程において、一部のゲノタイプは、シーケンシング結果と比較すると、PCR−RFLP検査法により誤って同定されることが発見された。より具体的には、一部のヘテロ接合体がホモ接合体(*10/*10)であると報告される一方、ホモ接合体の野生型サンプルの一部が全く増幅できなかった。PCR−RFLP検査法で用いたのとは異なるプライマー対を使用したシーケンシング検証試験により、アジア人の被験サンプルの約40%が第1イントロンに多型領域を有していることがはっきりと示された(図3)。この多型領域はCYP2D7Pへの部分的な遺伝子変換によるものかもしれない。この30bp長の領域は、7塩基対のCYP2D6野生型配列との差異を含んでおり、これらの差異はPCR−RFLP検査法用のCYP2D6特異的プライマーをデザインするのに用いられた。従って、そのPCR−RFLPプライマー対は第1イントロンに多型領域を含むどんな対立遺伝子も増幅しないであろう。さらに、同時に両方の対立遺伝子をあらかじめ増幅する必要のあるいかなる検査法も、CYP2D6*10対立遺伝子の重複の存在下では188位の野生型の配列を隠してしまう可能性がある。検証済みのPCR−RFLPは、重複の数が4あるいはそれ以下のときには正しく機能することが確認されている。しかしながら、重複の数が4をこえるときには、このテストでは野生型の配列を検出しないだろう。
【0046】
B.発明の方法のバリデーション
中間PCR産物の必要なしにゲノムDNA中の野生型配列とCYP2D6*10対立遺伝子を独立に検出する、対立遺伝子特異的検査法(ASA)がテストされた(図4)。順方向プライマーはCYP2D6*1またはCYP2D6*10に特異的であり、共通の逆方向プライマーはCYP2D6を選択し、CYP2D7AP、CYP2D7BP、CYP2D8Pは選択しなかった。検査法の性能を調整するため、この検査にはチオプリンメチルトランスフェラーゼ(TPMT)遺伝子の増幅も含まれている。図5は、様々な重複の程度をシミュレートするために、CYP2D6*1とCYP2D6*10のDNAサンプルを様々な比率で混合した実験の結果を示している。図5に示されるように、CYP2D6*1のCYP2D6*10対立遺伝子に対する比が低い場合でも、野生型のCYP2D6*1対立遺伝子の存在は本発明のゲノタイプ決定検査法により検出された。これらの結果は、このCYP2D6*10対立遺伝子特異的検査法が、少なくとも25倍過剰なコピー数のT188配列の存在下でも野生型のC188配列を検出できる、強力な検定法であることを示している。
【0047】
「1つの」存在という語は1つあるいはそれ以上の存在を指すものであり、2つあるいはそれ以上の存在の混合物である存在を含んでいる、ということに注意すべきである。従って、「1つの」、「1つまたはそれ以上の」、「少なくとも1つの」という語はここでは互換的に用いられている。「備えている(comprising)」「含んでいる(including)」「有している(having)」という語が互換的に用いられていることについても、注意すべきである。
【0048】
本発明の種々の実施形態が詳細に説明されてきたが、それらの実施形態の変更形態や適合形態について当業者が思いつくであろうことは明らかである。しかしながら、そのような変更形態や適合形態は、請求項に述べたような本発明の精神や範囲に含まれていると理解されるべきものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】異なるピーク比を示すエレクトロフェログラムの比較。A)CYP2D6第1エクソンの188位のピーク比。B)第2、第3、第9エクソンのそれぞれ1127位、1749位、4268位のピーク比。
【図2】CYP2D6第1イントロンにおける、正常な(野生型の)ヌクレオチド配列と共通な変異型のヌクレオチド配列との比較。
【図3】パルスフィールドゲル電気泳動分析によるCYP2D6*10遺伝子重複の確認。2つのホモ接合体*1/*1(レーン1および2)、2つのヘテロ接合体*1/*10(レーン3および4)、1つのホモ接合体*10/*10(レーン5)由来の、XbaIで消化したゲノムDNAサンプルを、非特異的CYP2Dプローブでハイブリダイズした。29Kbと44KbのバンドはCYP2D6とCYP2D7Pを、3.5Kbのバンドは偽遺伝子CYP2D8Pを含んでいる。
【図4】*10/*10、*1/*1、*1/*10サンプルの対立遺伝子特異的増幅(ASA)。レーン1、3、5は*1特異的な順方向プライマーを用いたASA検査の結果を示す。レーン2、4、6は*10特異的な順方向プライマーを用いたときの結果を示す。対照(control)遺伝子はTPMTである。
【図5】CYP2D6*10 ASAを用いた混合実験。レーン1および10:分子量マーカー。レーン2:等量の*1/*1および*10/*10のゲノムDNAをPCRテンプレートとして用いた。レーン3−9:様々なDNA比の*1/*1および*10/*10のゲノムDNAを用いた。比率(ratio)は下部に示した。
【図6】CYP2D6*10関連の遺伝子重複の考えられる原因:ホモ接合体*10/*10においてCYP2D7PとCYP2D6*10の間に不等交差が起き、CYP2D7P−CYP2D6*36−CYP2D6*10遺伝子座(左下)と、CYP2D7Pの第8または第9エクソンからCYP2D6の第7または第8エクソンにわたる欠失を有する遺伝子座(右下)を生じる。
Claims (25)
- 個体のシトクロムP−450 2D6ゲノタイプを決定する方法であって、
a)CYP2D6遺伝子を含むゲノムDNAを個体から得ること;
b)前記ゲノムDNAの第1の部分を、一対のプライマーの存在下で増幅条件に置くことであって、該プライマーのうち1つがCYP2D6第1エクソンのC188T多型を有するゲノムDNAにハイブリダイズし、かつCYP2D6第1エクソンの188位の野生型配列にはハイブリダイズせず、また増幅産物の生産がCYP2D6*10ゲノタイプを示すこと;から成る方法。 - 請求項1に記載の方法であって、CYP2D6第1エクソンのC188T多型を有するゲノムDNAにハイブリダイズし、かつCYP2D6第1エクソンの188位の野生型配列にはハイブリダイズしない前記プライマーが、配列番号4の配列を含んでいる方法。
- 請求項1に記載の方法であって、CYP2D6第1エクソンのC188T多型を有するゲノムDNAにハイブリダイズし、かつCYP2D6第1エクソンの188位の野生型配列にはハイブリダイズしない前記プライマーが、配列番号4の配列を有する方法。
- 請求項1に記載の方法であって、もう一方のプライマーが配列番号5の配列を有する方法。
- 請求項1に記載の方法であって、
ゲノムDNAの第2の部分を、一対のプライマーの存在下で増幅条件に置くことであって、該プライマーのうち1つがCYP2D6第1エクソンの188位の野生型配列を有するゲノムDNAにハイブリダイズし、かつCYP2D6第1エクソンのC188T多型にはハイブリダイズせず、また増幅産物の生産がCYP2D6野生型ゲノタイプを示すこと;からさらに成る方法。 - 請求項5に記載の方法であって、CYP2D6第1エクソンの188位の野生型配列を有するゲノムDNAにハイブリダイズし、かつCYP2D6第1エクソンのC188T多型にはハイブリダイズしない前記プライマーが、配列番号3の配列を含んでいる方法。
- 請求項5に記載の方法であって、CYP2D6第1エクソンの188位の野生型配列を有するゲノムDNAにハイブリダイズし、かつCYP2D6第1エクソンのC188T多型にはハイブリダイズしない前記プライマーが、配列番号3の配列を有する方法。
- 請求項5に記載の方法であって、もう一方のプライマーが配列番号5の配列を有する方法。
- 請求項5に記載の方法であって、ゲノムDNAの第1の部分およびゲノムDNAの第2の部分から増幅産物が生産されることが、前記個体がCYP2D6*10ゲノタイプとCYP2D6野生型ゲノタイプのヘテロ接合であることを示す方法。
- 請求項5に記載の方法であって、ゲノムDNAの第1の部分から増幅産物が生産され、ゲノムDNAの第2の部分からは増幅産物が生産されないことが、前記個体がCYP2D6*10ゲノタイプのホモ接合であることを示す方法。
- 請求項5に記載の方法であって、ゲノムDNAの第2の部分から増幅産物が生産され、ゲノムDNAの第1の部分からは増幅産物が生産されないことが、前記個体が野生型CYP2D6ゲノタイプのホモ接合であることを示す方法。
- 請求項1に記載の方法であって、前記個体がアジア人である方法。
- CYP2D6第1エクソンのC188T多型を有するシトクロムP−450 2D6遺伝子の断片にハイブリダイズし、該断片の増幅を準備するが、188位に野生型配列を有するシトクロムP−450 2D6遺伝子の増幅は準備しない、対立遺伝子特異的増幅プライマー。
- CYP2D6第1エクソンのC188T多型を有するシトクロムP−450 2D6遺伝子の断片であり、その長さが10ヌクレオチドと50ヌクレオチドの間である、核酸分子。
- 請求項14に記載の核酸分子であって、前記CYP2D6第1エクソンのC188T多型がその核酸分子の3’末端に位置する核酸分子。
- 配列番号4の配列を含む、請求項14に記載の核酸分子。
- 配列番号4の配列を有する、請求項14に記載の核酸分子。
- ヌクレオチド68とヌクレオチド1212の間のCYP2D6遺伝子断片を含む増幅産物。
- C188T変異を含む、請求項18に記載の増幅産物。
- a)CYP2D6遺伝子を含むゲノムDNAを個体から得ること;
b)前記ゲノムDNAの少なくとも一部分を、一対のプライマーの存在下で増幅条件に置くことであって、増幅産物を生産するために、プライマーのうち1つがCYP2D6第1エクソンのC188T多型を有するゲノムDNAにハイブリダイズし、かつCYP2D6第1エクソンの188位の野生型配列にはハイブリダイズしないこと;から成る方法によって生産された増幅産物。 - a)CYP2D6遺伝子を含むゲノムDNAを個体から得ること;
b)前記ゲノムDNAの少なくとも一部分を、一対のプライマーの存在下で増幅条件に置くことであって、増幅産物を生産するために、プライマーのうち1つがCYP2D6第1エクソンの188位の野生型配列を有するゲノムDNAにハイブリダイズし、かつCYP2D6第1エクソンのC188T多型にはハイブリダイズしないこと;から成る方法によって生産された増幅産物。 - a)CYP2D6遺伝子を含むゲノムDNAを個体から得ること;
b)前記ゲノムDNAの第1の部分を、一対のプライマーの存在下で増幅条件に置くことであって、該プライマーのうち1つがCYP2D6第1エクソンのC188T多型を有するゲノムDNAにハイブリダイズし、かつCYP2D6第1エクソンの188位の野生型配列にはハイブリダイズせず、また増幅産物の生産がCYP2D6*10ゲノタイプを示すこと;
c)前記ゲノムDNAの第2の部分を、一対のプライマーの存在下で増幅条件に置くことであって、該プライマーのうち1つがCYP2D6第1エクソンの188位の野生型配列を有するゲノムDNAにハイブリダイズし、かつCYP2D6第1エクソンのC188T多型にはハイブリダイズせず、また増幅産物の生産がCYP2D6野生型ゲノタイプを示すこと;
d)ステップ(b)および(c)の増幅の結果に基づいて前記個体に医薬組成物を処方すること;から成る、個体に医薬組成物を処方する方法。 - 前記医薬組成物が、三環系抗うつ薬、抗不整脈薬、神経弛緩薬、モルヒネ誘導体からなるグループより選択される、請求項22に記載の医薬組成物を処方する方法。
- 医薬組成物を処方するステップは、CYP2D6酵素で代謝される医薬組成物を従来の用量よりも少なく処方することを含む、請求項22に記載の医薬組成物を処方する方法。
- 前記個体がアジア人である、請求項22に記載の医薬組成物を処方する方法。
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