JP2004528027A - 診断検査 - Google Patents
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Abstract
ポリメラーゼ連鎖反応を用いた、胎児における染色体の異数性の診断法を提供する。本発明の方法は、染色体特異的な複数のショートタンデムリピート(short tandem repeat)マーカーを含む多重PCRアッセイ法を用いる。本発明の方法は、それぞれダウン症およびターナー症候群などの状態の原因となる胎児のトリソミーおよびモノソミーの診断に使用することができる。本発明の方法を用いて、嚢胞性線維症などの他の遺伝性疾患の存在を判定することもできる。
Description
【技術分野】
【0001】
本発明は、発育中の胎児、および/もしくは新生児個体、または続く成人成長期における染色体異常を検出する診断検査に関する。本発明の方法は、胎児DNAを定量するためのポリメラーゼ連鎖反応を用いた試料の解析に基づく。
【背景技術】
【0002】
染色体異常は、生児および流産児の両方において極めて高い頻度で認められる遺伝性疾患である。染色体異常の最大群はトリソミーであり、これは全胎児死亡の17%に及ぶと報告されている(Hook, E.B. Pranatal Diagnosis and Screening、Brockら編、Churchill Livingstone(1992))。トリソミー21(ダウン症候群)の罹患率は極めて高く、出生児700人〜800人にほぼ1人が罹患する(Hook, E. B.、Obstet. Gynecol. 58 282-285(1981))。
【0003】
これまで、培養羊膜細胞を対象とした従来の核型分析は、さまざまな染色体異常に対して、信頼性が高く、経済的で、かつ正確な出生前遺伝子診断手段であることが証明されていた。しかし、この一般的検査法には、分析前に細胞を長時間培養しなければならないという短所がある。蛍光インサイチューハイブリダイゼーションに基づく代替的な方法(FISH)は、より迅速な出生前診断法として有望であるが、羊水試料を処理する費用が実質的に追加される(Jalalら、Mayo Clin Proc 73 132-137(1998);Thilaganathanら、Br J Obstet Gynaecol. 107 262-266(2000))。最近の研究では、少数の標本を対象にポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法の使用が検討されており、トリソミー21の検出に有効であることが示されている(Adinolfiら、Prenat Diagn 17 1299-311(1997);Tothら、Prenat Diagn 18 669-74(1998);Findlayら、J Assist Rep Genet 15 266-75(1998);Vermaら、Lancet 352 9-12(1998))。
【0004】
さらに最近になって、ヒトゲノム上に存在する多型性の高い種類の反復DNAの増幅および検出に基づく診断アッセイ法および法医学的アッセイ法が開発されている(例えばBoerwinkleら、Proc. Nat'l Acad. Sci. USA 86 212-216(1989))。同解析は、反復配列を含むDNAセグメントのポリメラーゼ連鎖反応(PCR)による増幅を含む。得られるDNA断片を次にSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)、またはキャピラリ電気泳動により大きさに基づく分画(size fractionation)を行う。DNAの、いわゆる「ショートタンデムリピート(short tandem repeat)」、またはSTR配列の解析が望ましい理由は、このようなDNAの反復単位が通常2個〜6個のヌクレオチドであるという、配列の長さおよびゲノム分布にある。STR配列全体の長さは数十個〜数百個のヌクレオチドでありうる。出生前診断の分野におけるこのような方法の例は、米国特許第5,994,057号に記載されている。
【0005】
PCR法を適用することで、以下のように、染色体異常が検出可能となる。多型STRに隣接するプライマーを用いて異数性を検出する場合、正常個体は、量比が1:1の2本のSTR対立遺伝子産物を有するか、または同じ長さの2本の対立遺伝子を有するホモ接合性であるかのいずれかである。トリソミー患者の試料は、量比が1:1:1の3本の異なる対立遺伝子(トリソミーの3対立遺伝子)、または比が2:1の2種類のPCR産物(トリソミーの2対立遺伝子)のいずれかを示す(Mansfield, E.S. Hum. Mol. Genet. 2 43-50(1993);Pertlら、Lancet 343 1197-1198(1994))。しかしトリソミー試料は、同等の長さの3本のSTR対立遺伝子を有することができ、このために、ホモ接合性の正常個体と区別不可能な1つのPCR産物となりうる。このような状況では診断は不可能となる場合がある。この問題を回避する試みにいは、非多型マーカーを対照として使用すること、または各染色体に対して複数のSTRマーカーを使用することが含まれる(Pertlら、Hum. Genet 98 55-59(1996);Pertlら、Am. J. Obs. Gyn. 177 899-906(1997))。
【0006】
しかし現行の方法には、信頼性および全体的な正確性の点で問題がある。例えば、PCR手順における試料の汚染により誤差が入り込む恐れがある。おそらく、最も重要な誤差要因は、対立遺伝子ドロップアウト(allele drop-out; ADO)、すなわち一方の対立遺伝子の優先的な増幅である(Rayら、J. Assist. Reprod. Genet. 13(2) 104-106(1996))。この現象は、得られるPCR産物の比の歪曲をもたらしうる。出生前診断の異数性陽性の結果として下される医学的判断は極めて大きな意味をもつので、可能な限り信頼性が高く正確な診断法が求められている。
【0007】
信頼性および正確性のこのような改善が、本発明の方法によって達成可能であることが現在わかっており、ここでSTRマーカーのアッセイ法は、少なくとも3回の同時増幅アッセイ法に基づく同時増幅法を用いて行われる。
【発明の開示】
【0008】
本発明の第1の局面では、以下の段階を含む、染色体の異数性の検出法を提供するが、ここで段階(d)の前に段階(a)〜(c)によって少なくとも3回の同時アッセイ法を行う:
(a)染色体特異的な複数のショートタンデムリピート(STR)マーカーを同時に増幅して、1種類または複数のSTRマーカーのコピーを含む増幅産物混合物を形成させる段階;
(b)増幅された染色体特異的STRマーカーを、大きさにしたがって、増幅産物混合物から分離する段階;
(c)1種類または複数の染色体特異的STRマーカーに対応する増幅産物の相対濃度を決定する段階;および
(d)分析されるべき染色体の少なくとも2種類のマーカーから一致した結果が得られたら、増幅された各STRの相対濃度を、染色体の異数性の有無に相関させる段階。
【0009】
異数性の状態とは、通常の1倍体染色体数の整数倍を上回るまたは整数倍未満の数を有する細胞核の状態を意味する。この用語は、染色体対の1本の染色体が失われているモノソミー、および追加的なコピーが存在するトリソミーの状態を含む。まれな場合には、個体が2本またはそれ以上の過剰な染色体を有することもある。ヒトの正常な2倍体の染色体の数は46本である。正常な半数体数(23本)の倍数ではない染色体数を有する個体は異数性であると呼ばれる。胎児は、半数体の染色体数よりも倍数が多く、69本(3倍)または92本(4倍)の染色体をもつ場合がある。このような3倍体または4倍体の胎児は通常、妊娠初期に流産する。
【0010】
本発明の方法は一般に、任意の動物種における異数性の診断に適用可能である。しかし一般に、ヒトを対象とする医学に関して、このような方法が極めて大きな適用可能性をもつことが期待される。しかし本発明はこの点に限定されず、本発明は、任意の動物種、特に哺乳類種、例えば霊長類(類人猿およびサルを含む)および有蹄類(ウシ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、イヌ、ネコ、およびウマ種を含む)に由来する試料に対して行われるこのような方法まで拡張される。本発明の方法を、トランスジェニック動物またはクローニングされた動物、特にトランスジェニック動物またはクローニングされた非ヒト動物、好ましくは非ヒト哺乳類に由来する細胞材料の解析に用いることができることは言うまでもない。
【0011】
上述したように本発明の方法は、胎児の異数性の診断に関して特に重要である。しかし本発明の方法が、任意の細胞(すなわち個体における全ての体細胞および生殖細胞)の染色体補完の判定に適用可能であることに留意されたい。発育中の胎児の場合、本発明の方法を、任意の細胞において、すなわち単細胞の接合糸期から、さまざまな胚形成期を介して胎児の発生まで実施することができる。また本発明の方法を、新生児個体から、その後の成長および発生までの任意の細胞を対象に実施することもできる。さらに、母体血漿中に胎児DNAの供給源が存在する。このような試料ではDNAは細胞を含まない。
【0012】
異数性を原因とするヒト疾患状態の例には、ダウン症候群(トリソミー21)(すなわち第21染色体が3コピー存在する)、エドワード症候群(トリソミー18)、パトー症候群(トリソミー13)、ターナー症候群(モノソミーX)(すなわちX染色体が1本しか存在しない女性)、男性のクラインフェルター症候群(XXY)、3倍性X(Triple X)症候群(XXX)、およびXYYなどのその他の状態などがあるが、これらに限定されるわけではない。
【0013】
本発明の方法により分析されるSTRマーカー(STR領域)の数は、複数のSTRマーカー、好ましくは少なくとも2種類、3種類、もしくは4種類、または少なくとも5種類もしくは6種類、または少なくとも6種類もしくは7種類のSTRマーカーを含む。個々のSTRマーカーは、少なくとも3回のアッセイ法のそれぞれにおいて独立に増幅される。別のSTRマーカーを検討しかつ独立して含めることができるので、この数は、各アッセイ毎に独立して、合計6種類、7種類、8種類、9種類、もしくは10種類、またはそれ以上となる場合がある。したがって各アッセイ法は、さまざまな数のマーカーを含む場合がある。
【0014】
一般に、解析されるべきSTRマーカーDNAは、現在の分子生物学研究において標準的な技術であるポリメラーゼ連鎖反応(PCR)で増幅される(例えば米国特許第4683195号;米国特許第4800159号;米国特許第4965188号;米国特許第4683202号;米国特許第4889818号;およびInnisら編、PCR Protocols(Academic Press、New York、1990)を参照)。同時共増幅は、多重PCRアッセイ法と呼ばれる場合もある。
【0015】
PCR増幅に用いるプライマーを、標準的な手法、例えばホスホラミダイト化学法による固相合成で容易に合成することができる(米国特許第4458066号;米国特許第4415732号;Beaucageら、Tetrahedron、48、2223-2311(1992))。
【0016】
染色体特異的STRマーカーは、隣接する特有の配列領域とハイブリダイズする合成用プライマーを選ぶことにより選択できる。特有の配列領域の存在により、所望の染色体に特異的STRのみが確実に増幅されると考えられる。適切なSTRを、GeneBank(商標)などの公的に利用可能なDNA配列データベースから同定することができるほか、エドワーズ(Edwards)ら、Am. Hum. Genet 49 746-756(1991)に記載された方法を用いて、染色体特異的なDNAライブラリーから同定することができる。STRマーカーをゲノムデータベース(www.gdb.org)から得ることができ、または、ヒトゲノムに関する報告(Science 291 1304-1351(2001);Nature 409 813-958(2001))を参照することができる。STRマーカーは、必要なヘテロ接合性を有する、染色体上の任意の所望の遺伝子座から選択することができる。第13染色体、第18染色体、第21染色体、X染色体、またはY染色体のうち1つと関連することが知られている疾患状態の場合、STRマーカーは、染色体上の遺伝子座から適切に選択されうる。
【0017】
増幅用プライマーの選択には複数の要素が影響を及ぼす場合がある。例えば、標的DNAと結合する際のプライマーの相対安定性などであり、これは、相対的GC含量、標的DNA中の二次構造の有無、プライマーの相対長に大きく依存する(Rychlikら、Nucleic Acids Research、17 8543-8551(1989);Loweら、Nucleic Acids Research、18 1757-1761(1990);Hillierら、PCR Methods and Applications、1 124-128(1991))。PCR装置を使用する場合は、STRを20サイクル〜35サイクルのPCR(適切には25サイクル〜30サイクルのPCR)で増幅することができる。
【0018】
本明細書で用いる「PCRプライマー」という用語は、増幅されるべきSTRに隣接する配列に相補的なプライマーを意味する。PCR用プライマーは、適切には15ヌクレオチド長〜35ヌクレオチド長の範囲内であり、または10ヌクレオチド長〜50ヌクレオチド長の範囲内であり、最長で、増幅対象となるSTRの約100ヌクレオチド〜400ヌクレオチドである。
【0019】
本発明の方法では、増幅産物(すなわち増幅段階で作製されるSTR DNAのコピー)が、分離後の定量を容易にするように標識されていることが好ましい。本発明の使用には多種多様な標識法が適しており、これには、放射標識、蛍光標識、高電子密度標識の直接的または間接的な結合などが含まれる。標識の付加を可能にする反応性官能基でオリゴヌクレオチドを誘導体化するのに利用可能な複数の手段が存在する。例えば、蛍光標識、酵素標識、または高電子密度標識をアビジンを介して結合することができるように、PCR用プライマーをビオチン化するのに利用可能な複数の方法があり(Brokenら、Nucleic Acids Research 5 363-384(1978))、またはアミノアルキルホスホラミドリンカーアームを介したオリゴヌクレオチドの5'端をビオチン化する(Cholletら、Nucleic Acids Research 13 1529-1541(1985))ことにより結合可能である。蛍光で容易に標識される、合成用アミノ誘導体化オリゴヌクレオチド、または、イソチオシアネート、N-ヒドロキシスクシニミドなどのアミノ反応基で誘導体化された他のタイプの化合物を合成する方法もいくつか利用可能である(Connolly、Nucleic Acids Research 15.3131-3139(1987);Gibsonら、Nucleic Acids Research.15 6455-6467(1987);米国特許第4605735号)。チオール特異的標識と反応できるスルフヒドリル誘導体化オリゴヌクレオチドを合成する方法も利用可能である(米国特許第4757141号;Connolly、Nucleic Acids Research 13.4485-4502(1985);Spoatら、Nucleic Acids Research、15 4837-4848 10(1987))。DNA断片の標識法に関する包括的な総説が、マシュー(Matthews)ら、Anal. Biochem.、169 1-25(1988)により提供されている。
【0020】
増幅されたSTR DNAを、1個または複数のプライマーに蛍光分子を結合させることで蛍光標識することができる(米国特許第4757141号;米国特許第4855225号)。好ましくは、異なるSTRのコピーを異なる蛍光標識で標識して定量を容易にする(Smithら、Methods in Enzymology 155 260-301(1987);Kargerら、Nucleic Acids Research 19 4955-4962(1991);Haugland、Handbook of Fluorescent Probes and Research Chemicals(Molecular Probes, Inc.、Eugene、1989))。好ましい蛍光標識には、フルオレセインおよびこれらの誘導体(米国特許第4318846号;Leeら、Cytometry 10 151-164(1989))、テトラメチルローダミン、ローダミンX、テキサスレッド(Texas Red)、および他の関連化合物などが含まれる。最も好ましくは、複数の蛍光色素を使用する場合には、ファン(Fung)ら(前述)に記載されているようにスペクトル的に分離可能である。簡単に説明すると、本明細書で用いる「スペクトル的に分離可能な」蛍光色素とは、それにより標識された電気泳動的に分離されるポリヌクレオチドを、分離されたポリヌクレオチドの濃度バンドの実質的な重複にかかわらず容易に標識可能にする、容易に検出を可能にするような、量子収率、発光帯域幅、および発光極大を有する蛍光色素である。
【0021】
また、本発明のPCR用プライマーを、標準的なプロトコルを用いてリン-32で放射性標識することもできる(例えばManiatisら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual(Cold Spring Harbor Laboratory、New York、(1982));Current Protocols in Molecular Biology、Unit 6.4(John Wiley & Sons、New York、(1987));またはMaxim and Gilbert、Meth. Enzymol.、65 499-560(1980))。
【0022】
大きさに基づく分画による試料からの増幅STRの分離は、濾過、高速液体クロマトグラフィー、電気泳動、親和性コレクションを含むさまざまな方法で達成することができる(Syvanenら、Nucleic Acids Research、16 11327-11338(1988))。増幅されたSTRを、ゲル電気泳動またはキャピラリ電気泳動により増幅産物混合物から分離することができる。または増幅STRを蛍光標識して、ゲル電気泳動またはキャピラリ電気泳動により分離することができる(Mayrandら、Clinical Chemistry 36 2063-2071(1990);Mayrandら、Annales de Biologie Clinique 91 224-230;Mayrandら、Appl. and Theoret. Electrophoresis 3 1-11(1992))。
【0023】
異数性に関する検討対象となる個体の染色体DNAは、その個体由来の細胞試料、または母体血漿などの無細胞供給源から得られる(Prenatal Diagnosis 20 795-798(2000))。細胞試料は、個体の年齢および状態に応じて、さまざまな組織から得られる。試料(細胞または無細胞)は、標準的な手法で末梢血から得られうる。胎児検査の場合は、試料が羊水穿刺、絨毛生検(chorionic villi sampling)により、または母体血漿の試料から得られることが好ましい。好ましくは、DNAは、標準的な手順、例えばマニアティス(Maniatis)ら、Molecular Cloning(Cold Spring Harbor、N.Y.、(1982))に記載されたフェノール:クロロホルム抽出法で試料から抽出する。胎児検査用の細胞試料は、蛍光活性化細胞選別法を用いて母体末梢血からも得られる(Iversonら、Prenatal Diagizosis、9.31-48(1981))。
【0024】
個々の増幅STRマーカーの相対濃度と、異数性の有無との相関を、任意の一般かつ簡便な方法で分析することができる。このような方法で得られる増幅STRマーカー産物の比を解析することで、試料中の染色体の状態の診断が下される。分析される染色体の少なくとも2種類のマーカーに由来する結果の一致(対立する結果がないこと)が、本発明の方法による正確な診断に必要である。
【0025】
実際には、対立遺伝子間の長さの差がより小さくなるようなマーカーが慎重に選択されて、優先的な増幅は回避されるが、高い(70%以上)ヘテロ接合性が維持される場合にのみ、診断は正確である。本発明の好ましい態様は、STRマーカーが少なくとも70%、最大75%、80%、85%、90%、95%、または100%という高いヘテロ接合性を有する上述の方法を含む。
【0026】
状況によっては、追加的な増幅アッセイ法が実施されるよう定めることが便利な場合がある。例えば、マーカーの特定の選択のために明瞭な結果が得られず、かつ1種類のSTRマーカーのみがヘテロ接合性を意味する2本のピークを示す場合、追加的なSTRマーカーを用いる別のアッセイ法によって診断を確認することができる。例えば最大3種類、またはそれ以上のこのような追加的なマーカーを組み合わせて使用することで、追加的なデータが得られる。
【0027】
本発明の方法に使用可能なSTRマーカーには以下が含まれるが、これらに限定されるわけではない:
D13S257、DXS981、D13S631、D21S1414、DXS6785、D18S536、D13S258、D18S535、D21S1411、D18S548、21-32S(非公式な名称)、D21S11、DXS7423、HPRT(またはXHPRT)、D21S1446、D18S391、X-61(非公式な名称)、D18S978、D13S317、D13S627、D13S800、D18S1002。
【0028】
そのような多重PCR法においては、異数性同時検出用のその他のSTRマーカー、およびその他の遺伝子欠損用マーカー(例えば嚢胞性線維症のΔF508変異であるCF508の有無を示すマーカーなど)を使用することができる。他のマーカーには、鎌状赤血球貧血用のHbS、およびβ-サラセミア用のIVS1-110(Sherlockら、Ann. Hum. Genet. 62 9-23(1998))、およびRh式の体質用のRHO(Zhongら、Br. J. Obstet. Gynaecol. 107 766-767(2000))などが含まれるが、これらに限定されるわけではない。
【0029】
主に第2減数分裂における不分離現象に起因する異常を検出するために、AMEL AやAMEL Bなどの定量用マーカーを多重アッセイ法に含めることもできる。このマーカーを、一括して「AMEL A+B」と呼ぶことができる。
【0030】
解析されるべきDNAは、任意の一般に適切な細胞、体液、または組織供給源から得られうる。出生前診断では、細胞を、組織生検により発育中の胎児から直接的に、または羊水の試料から、または絨毛生検によって得られる場合がある。新生児、小児、または成人の場合、試料は、例えば血液または口内スワブを含む任意の簡便な組織供給源から得られうる。
【0031】
増幅法の結果を、DNAシーケンサーで解析することができる。例えばDNAシーケンサー装置はApplied Biosystems社から供給される。増幅産物の相対量は、使用する標識(例えば蛍光色素または放射標識)によって定量可能である。結果を図式的に示す場合、配列アナライザーから出力されたピーク下面積を用いて、各DNAマーカーについて存在する増幅産物量を定量することができる。
【0032】
トリソミーの診断を行う際は、各増幅産物について得られたピークの比を比較する。本発明の方法により、特定のSTRマーカーに関するピーク比が1:1〜1.4:1である正常な染色体補完の診断が可能となる。2対立遺伝子トリソミー(2接合性(diplozygous)トリソミー)の診断は、ピーク比が1.6:1を上回る場合に下されうる。このような比の値の同定は、偽陰性の結果を避けるために重要である。
【0033】
本発明の好ましい態様では、本発明の第1の局面により記載された方法が提供され、ここで少なくとも3回の同時アッセイ法(または多重混合物)のそれぞれが独立して少なくとも6種類の異なるSTRマーカー(分析されるべき各染色体に関して少なくとも2種類のマーカー)を含み、かつSTRマーカーの増幅産物のピーク値の比1:1〜1.4:1が正常な染色体補完の診断となり、1.6:1またはそれを上回るピーク値の比が2対立遺伝子トリソミーの診断となる。
【0034】
本発明の第2の局面では、上述した本発明の方法を実施するための標識プライマーの少なくとも3種類のマルチプレックス(multiplex)を含むパーツのキットを提供する。このような適切なキットは、増幅されるSTRマーカー用の少なくとも3組の標識プライマー、DNAポリメラーゼの存在下においてDNAポリメラーゼによるプライマーの伸長を可能にするポリメラーゼ緩衝液、およびデオキシヌクレオシド三リン酸を含むことができる。標識プライマーは蛍光標識を含みうり、かつDNAポリメラーゼはTaq DNAポリメラーゼでありうる。蛍光標識には、フルオレセイン、ローダミン、およびこれらの誘導体(カルボキシフルオレセイン、4,7-ジクロロフルオレセイン、テトラメチルローダミン、ローダミンX、またはこれらの誘導体など)を含むが、これらに限定されるわけではない。
【0035】
本発明の第3の局面では、染色体の異数性の診断用マーカーとしてのSTRマーカーである21-32S(非公式な名称)の使用を提供する。本方法は、本発明の第1の局面に関連して上述された通りでもよく、または本方法は、一般に適切な任意の診断検査であってもよい。例えば本方法は、米国特許第5994057号、Pertlら、Am. J. Obstet. Gynecol. 177(4) 899-906(1997)、またはVermaら、Lancet 352 9-12(1998)に記載されている。
【0036】
本発明の第4の局面では、個体の性別判定用マーカーとしてのマーカーであるY-40S(非公式な名称)の使用を提供する。この方法は、本発明の第1の局面に関して上述された通りでもよく、またはこの方法は、任意の一般に適切な診断検査であってもよい。例えば同方法は、米国特許第5994057号、Pertlら、Am. J. Obstet. Gynecol. 177(4) 899-906(1997)、またはVermaら、Lancet 352 9-12(1998)に記載されている。多くの場合、このような方法は、誕生前の胎児の性別を判定する際に極めて有用である。
【0037】
本発明の第5の局面では、個体のDNAに極めて頻繁にみられる嚢胞性線維症変異の診断用マーカーとしてのマーカーCF508(非公式な名称)の使用を提供する。この方法は、本発明の第1の局面に関して上述された通りでもよく、または、任意の一般に適切な診断検査であってもよい。例えば同方法は、米国特許第5994057号、Pertlら、Am. J. Obstet. Gynecol. 177(4) 899-906(1997)、またはVermaら、Lancet 352 9-12(1998)に記載されている。
【0038】
FISHとは異なり、本発明の方法は、後に培養細胞の必要条件を全く損なうことのない極めて少量の羊水(0.3 ml〜1 ml)において実行可能である。PCR法は細胞由来のDNAを増幅するため、細胞が生存しているか、または無傷であるかに依拠しない。このことにより、試料が十分な生細胞を含まない場合に、妊娠初期(第12週)および後期(第34週)において得られた試料両方に対して、信頼性に影響を及ぼすことなくこの手法を使用することが可能となる。amnio-PCRは、大量の試料(1台の3700 ABI DNAシーケンサーにつき24時間当たり240種の試料)に対応させるために容易にスケールアップされうる。
【0039】
本発明の方法を、例えば双子の接合性を判定するための比較DNA研究、および父子鑑定を目的としたamnio-PCR解析にも使用することができる。
【0040】
細胞培養物における母体混入に関する問題は、口内洗浄液試料から得られた母体DNAのDNAプロファイルを、羊水DNAのプロファイルと比較することで単純に解決される。
【0041】
本発明の好ましい態様において、以下の段階を含む、染色体の異数性の検出法を提供する:
(1)解析用の羊水試料を調製する段階;
(2)少なくとも3回の同時多重反応に使用するために適切な染色体特異的なショートタンデムリピート(STR)マーカーを選択する段階;
(a)鋳型DNAを含まない陰性対照の調製を含む;
(3)適切な標識(例えば蛍光色素、放射標識)と共に使用する各マーカー対に由来するフォワードまたはリバースのプライマーを標識する段階;
(4)ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)用の試料混合物を調製する段階;
(5)PCRを用いた試料中のDNA配列の増幅;
(6)例えば電気泳動による、増幅DNA試料の分離;
(7)3回の同時多重反応で使用された特異的マーカー用に増幅された各対立遺伝子を示すDNAの定量;
(8)増幅された各対立遺伝子に関するピーク面積比の解析、および胎児の染色体状態の決定。
【0042】
解析用の試料は凍結されてもよく、または、さらに一般的な培養を行う場合は、試料を室温とする。
【0043】
細胞からのDNAの抽出は、任意の簡便な方法で実施されうる。細胞を再懸濁して1.0 mlのアリコートを遠心管中で遠心することができる。細胞のペレットを次に、リン酸緩衝食塩水などの適切な溶媒中に再懸濁して細胞を洗浄することができる。ペレットを次にChelex(商標)樹脂に再懸濁して、少なくとも50℃、好ましくは56℃、かつ60℃以下の適切な温度でインキュベートすることができる。得られたDNAは100℃における加熱により変性させてから遠心する。
【0044】
多重PCRを以下のように実施することができる。各試料または対照について、所望のプローブ/プライマーセットの3種類の異なる多重混合物のうち1種類をそれぞれ含む、3組の試験管を準備する。細胞試料に由来するDNAを含む上清を、次に、対照を含む各組の試験管にピペット操作で移す。このように調製した試料チューブを、簡便な装置を用いたPCRに供する。
【0045】
PCRの終了時に、一般的蛍光DNAアナライザーを用いたゲル電気泳動またはキャピラリ電気泳動で試料を分離する。DNA産物の同定および定量は、任意の簡便な方法、例えばABI GeneScan(商標)で実施することができる。次に、DNA断片の大きさ、染色体の起源、および定量を、任意の一般に簡便な方法、例えばABI Genotyper(商標)を用いて決定することができる。各染色体対に対するマーカーを同定し、既知試料について得られた結果との比較により分類する。
【0046】
このような方法では、おおよそのピーク面積比が1:1:1(すなわち1.4未満)である3本のピークを生じるマーカーを、トリソミーに一致したとみなす。DNA比が1.4未満である2本のピークを生じるヘテロ接合性マーカーは正倍数性に一致するとみなされ、かつ1.6を上回る比はトリソミーに一致するとみなされる。1.4〜1.6の間の任意の比は不確定とみなす。不確定な比を生じるPCR反応を、結果を明瞭にするために繰り返してもよい。1本の染色体に由来する1種類のマーカーだけがヘテロ接合性であることが明らかとなった場合は、1本の染色体あたり少なくとも2種類の異なるDNAマーカーからなる追加の多重システムを用いることができる。各染色体に対して少なくとも2種類の解明されたマーカーに由来する陽性の結果、および一致した結果が、結論を導くために必要である。
【0047】
本発明の第2の局面およびその後の局面に好ましい特徴は、必要な変更を加えた第1の局面と同様である。
【0048】
本明細書において、いくつかの添付の図面を参照する。
【0049】
説明目的のために含まれ、かつ本発明を制限することが意図されていない、以下の実施例を参照して、さらに本発明を説明する。
【0050】
実施例 1 :トリソミー 21 、 18 、および 13 、ならびに性染色体異常の検出
amnio-PCRとは、PCR法を用いた非培養羊膜細胞由来の特定のゲノムDNA領域の増幅および定量である。以下の実施例は、遺伝子異常、具体的にはトリソミー21、18、13、および性染色体異常の迅速な出生前診断を目的としたamnio-PCRの高い信頼性および正確性を示す。
【0051】
方法
本方法は、1999年3月〜2000年3月の間に前向き(prospective)研究として実施された。数か所の出生前の診断を専門とする部門の女性5097人を対象に羊水穿刺が行われた。手順は、母親が高齢であること、ダウン症候群に関する生化学的スクリーニングの結果が陽性であること、超音波検査で胎児に異常が検出されたこと、母体ウイルス力価が陽性であること、または母親が不安を訴えていることを含むいくつかの指標について妊娠12週〜34週の間に行われた。
【0052】
検査室で羊水試料を得たら、3つのアリコートに分けた。1 mlの羊水をamnio-PCRに使用し、残りを中期染色体の従来の細胞遺伝学的解析を対象とした2つの同時培養物の確立に使用した。血液混入が巨視的に認められた羊水標本はすべて調査対象から除外した。これらの試料は臨床手順の約2%(n=97)を占めていた。DNAを、ReadyAmp DNA抽出キット(Promega UK Ltd)を用いて非培養羊膜細胞試料から抽出した。
【0053】
ゲノムデータベース(www.gdb.org)から得た24種類のテトラヌクレオチド反復マーカーを、3種類のマルチプレックスにおいてPCRにより増幅した。第18常染色体および第13常染色体それぞれに対して6種類のDNAマーカーを、ならびに、第21染色体およびX染色体それぞれに対して5種類のマーカー、Y染色体に対して2種類のマーカーを用いた。鋳型DNAを含まない陰性対照を、各処理における個々のマルチプレックスに含めた。
【0054】
いずれの場合も、各対由来のフォワードプライマーを蛍光色素で標識した。同等量のPCR産物が確実に得られるように、プライマーをさまざまな濃度で含めた。1回の反応あたりの最終多重混合物は、関連するプライマーセット、1.5 mM MgCl2含有1×Amplitaq Gold buffer(Applied Biosystems、USA)、0.2 mM dNTP(Promega、USA)、および0.25ユニットのAmplitaq Gold DNAポリメラーゼ(Applied Biosystems、USA)からなる。反応は、抽出DNAを1 μl含む、最終容量10 μlになるようにして行う。3種類すべてのマルチプレックスを以下のPCR条件で増幅する:94℃で15分(1サイクル)、93℃で48秒、60℃で48秒、および72℃で1分(35サイクル)。最終伸長は72℃で5分とする。使用した3種類のマルチプレックスは以下の通りであった。
マルチプレックス1
マルチプレックス2
マルチプレックス3
【0055】
新規プライマーである21-32S、Y-40S、X-61、およびCF508の配列は以下の通りである。
プライマー32S:
リバース
フォワード
プライマー40S:
リバース
フォワード
プライマーX-61:
リバース
フォワード
プライマーCF508:
リバース
フォワード
【0056】
増幅されたDNA試料を、ABI 377 DNAシーケンサー(Applied Biosystems、Forster City、US)を用いて電気泳動で分離し、特定のマーカーに対する各対立遺伝子を示すDNAを、Genotyper 2.5ソフトウェア(Applied Biosystems)を用いてピーク面積により定量した。各対立遺伝子間のピーク面積比を計算した。ピーク面積比がほぼ1:1:1(すなわち1.4未満)の3本のピークを生じるマーカーを、図1に示すように、トリソミーに一致するとみなした。DNA比が1.4未満の2本のピークを生じるヘテロ接合性マーカーを、図2に示すように正倍数性に一致するとみなし、かつ、1.6を上回る比は図3に示すようにトリソミーに一致するとみなした。1.4〜1.6の間の任意の比は不確定であるとみなされた。不確定の比を生じるPCR反応を繰り返して、結果を明確にした。1本の染色体に由来する1種類のマーカーだけがヘテロ接合性であることが明らかとなったまれな場合は、1本の染色体あたり2種類の異なるDNAマーカーを含む追加の多重システムを用いた。各染色体に対して少なくとも2種類の解明されたマーカーに由来する陽性の結果、および一致した結果が、結論を導くために必要であった。
【0057】
結果
amnio-PCRの結果は、標本を受け取ってから平均2日以内に得られた。試料の失敗率は0.1%であり、5つの試料で、どの染色体についても明瞭な結果が得られなかった。1つは全体的な真菌感染が原因であり、4つは母体の固形組織の過度の混入によるものであった。母体混入試料は2本を上回るピークを示し、遺伝子座の大部分でピーク面積は異なっていた。これらの場合は、3本のピークを示す遺伝子座のピーク面積比が本研究の特定のパラメータ内において1:2:1であることから、3倍体またはトリソミーの場合と区別することができた。他の遺伝子座は、胎児DNAを示す大きなピークおよび、母体DNAを示す、かなり小さなピークを示した。後者は、母体の口内洗浄液試料に由来するDNAを、羊水試料に由来するDNAと比較することで確認された。これらのピーク間の比は、混入する母体DNAの程度に応じて変化した。
【0058】
処理に成功した4,995個の試料のうち、表1に示すように、89箇所の常染色体異常がamnio-PCRにより同定され、いずれもその後に従来の核型分析で確認された。評価対象の常染色体の遺伝子座の中で、偽陽性または偽陰性の結果は認められなかった。表1に示すように16箇所の性染色体異常も検出され、その後の染色体解析によりこれらの診断が確認され、かつ追加的な4箇所の性染色体異常が同定された(47、XYYが1箇所、および47、XXYが3箇所)。これらの場合におけるPCRの失敗は、標識された性染色体領域においてマーカーのヘテロ接合性が存在しないことに起因していた。性染色体異常に関する初期スクリーニングは、第1減数分裂における不分離現象が関与する場合には正確であることが見出されたが、一方で、特定の定量用マーカー(ここでは「AMEL A+B」としてマルチプレックスに含まれる)は、主に第2減数分裂における不分離現象によって生じるこのような異常を検出するために必要であった(Sullivanら、BioTechniques 15 636-41(1993);Ciriglianoら、Prenat Diagn 19 1099-103(1999))。
【0059】
(表1)従来の細胞遺伝学的解析およびamnio-PCR解析によって検出された染色体異常の数
【0060】
症例の2%(n=94)においては、amnio-PCR解析では、マークされた染色体のうちの1つだけについては、別のマーカーを用いた後でさえも不確定なままであった。このようなアッセイ法は、1本の特定の染色体に対する8種類のマーカーのうち7種類がホモ接合性のピークを示し(残りのマーカーはいずれの場合でも正常であった)、かつ他のアッセイ法は、反復後でさえも一貫して1.4〜1.6の間の比を示した。このような場合には、報告は、確定した結果を示した染色体について行われ、また続く培養物の解析により、残りの染色体に関する結果が明らかにされた。
【0061】
すべての染色体異常の検出に対するamnio-PCRの感度は68.2%(105/154)であった。偽陰性率は3.7%(4/109)であり、偽陽性率は0%(0/154)であった。トリソミー21、18、13、および3倍性の検出率は、表2に示すように100%(89/89)であった。
【0062】
(表2)従来の核型分析と比較したamnio-PCRの検出能
【0063】
考察
本研究の知見から、amnio-PCRが、大部分の主要な染色体異常に対する迅速かつ信頼性の高い診断法であることが示された。amnio-PCRは、出産前に日常的にスクリーニングされる極めて一般的な異常である常染色体トリソミーの診断用であるので、この手法は、培養結果を待つ間にしばしば感じられる、親のストレスおよび不安を緩和する可能性が高い。
【0064】
amnio-PCRは、従来の細胞遺伝学的解析で診断された全染色体異常の68%を前向きに同定したが、(amnio-PCRで検出されなかった)平衡構造染色体異常の約85%は正常な出生転帰を示した。したがって、異常妊娠転帰をもたらす核型異常のみを考慮すると、検出率は表2に示すように75%に上昇する。モザイク、転座、および欠失/重複の症候群は、上述のamnio-PCR法で検出される可能性が高くない。これは、現行の状態のamnio-PCRが、従来の細胞遺伝学的解析に完全に取って代わるための制限となると考えられる。
【0065】
amnio-PCRは、主要な染色体異常(トリソミー21、18、および13、ならびに性染色体異常)を対象とした正確かつ信頼性の高い出生前診断法である。本明細書中で、常染色体トリソミーについて特に信頼性が高いことが示され、本研究における検出率は100%であった。この方法は迅速に行われうるため、診断検査の結果を待つ親が不安を抱く期間の短縮に役立つと考えられる。amnio-PCRは、従来の細胞遺伝学的解析に対する不可欠な補助的方法となる可能性が高い。
【0066】
実施例 2 :トリソミー 21 、 18 、および 13 、ならびに性染色体異常の検出
実施例1に記載されたPCRマルチプレックスの変種を、上述された手順で実施した。使用した3種類のマルチプレックスは以下の通りである。
マルチプレックス1
マルチプレックス2
マルチプレックス3
新規プライマー21-32S、Y-40S、X-61、およびCF508の配列については既に述べた。
【0067】
これらの多重マーカーを用いた3種類の各試料に対する3種類の個別の多重PCR解析の結果を以下に示すが、これらは胎児の染色体および性別の評価を示す。
【0068】
マルチプレックス 1
試料1
試料2
試料3
マルチプレックス 2
試料1
試料2
試料3
マルチプレックス 3
試料1
試料2
試料3
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】3対立遺伝子トリソミーに一致する試料由来のamnio-PCRの結果を示す。記号「21-41」はマーカーD21S1414を示す。
【図2】正常対立遺伝子に一致する試料由来のamnio-PCRの結果を示す。記号「21-41」はマーカーD21S1414を示す。
【図3】2対立遺伝子トリソミーに一致するamnio-PCRの結果を示す。記号「21-41」はマーカーD21S1414を示す。
【0001】
本発明は、発育中の胎児、および/もしくは新生児個体、または続く成人成長期における染色体異常を検出する診断検査に関する。本発明の方法は、胎児DNAを定量するためのポリメラーゼ連鎖反応を用いた試料の解析に基づく。
【背景技術】
【0002】
染色体異常は、生児および流産児の両方において極めて高い頻度で認められる遺伝性疾患である。染色体異常の最大群はトリソミーであり、これは全胎児死亡の17%に及ぶと報告されている(Hook, E.B. Pranatal Diagnosis and Screening、Brockら編、Churchill Livingstone(1992))。トリソミー21(ダウン症候群)の罹患率は極めて高く、出生児700人〜800人にほぼ1人が罹患する(Hook, E. B.、Obstet. Gynecol. 58 282-285(1981))。
【0003】
これまで、培養羊膜細胞を対象とした従来の核型分析は、さまざまな染色体異常に対して、信頼性が高く、経済的で、かつ正確な出生前遺伝子診断手段であることが証明されていた。しかし、この一般的検査法には、分析前に細胞を長時間培養しなければならないという短所がある。蛍光インサイチューハイブリダイゼーションに基づく代替的な方法(FISH)は、より迅速な出生前診断法として有望であるが、羊水試料を処理する費用が実質的に追加される(Jalalら、Mayo Clin Proc 73 132-137(1998);Thilaganathanら、Br J Obstet Gynaecol. 107 262-266(2000))。最近の研究では、少数の標本を対象にポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法の使用が検討されており、トリソミー21の検出に有効であることが示されている(Adinolfiら、Prenat Diagn 17 1299-311(1997);Tothら、Prenat Diagn 18 669-74(1998);Findlayら、J Assist Rep Genet 15 266-75(1998);Vermaら、Lancet 352 9-12(1998))。
【0004】
さらに最近になって、ヒトゲノム上に存在する多型性の高い種類の反復DNAの増幅および検出に基づく診断アッセイ法および法医学的アッセイ法が開発されている(例えばBoerwinkleら、Proc. Nat'l Acad. Sci. USA 86 212-216(1989))。同解析は、反復配列を含むDNAセグメントのポリメラーゼ連鎖反応(PCR)による増幅を含む。得られるDNA断片を次にSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)、またはキャピラリ電気泳動により大きさに基づく分画(size fractionation)を行う。DNAの、いわゆる「ショートタンデムリピート(short tandem repeat)」、またはSTR配列の解析が望ましい理由は、このようなDNAの反復単位が通常2個〜6個のヌクレオチドであるという、配列の長さおよびゲノム分布にある。STR配列全体の長さは数十個〜数百個のヌクレオチドでありうる。出生前診断の分野におけるこのような方法の例は、米国特許第5,994,057号に記載されている。
【0005】
PCR法を適用することで、以下のように、染色体異常が検出可能となる。多型STRに隣接するプライマーを用いて異数性を検出する場合、正常個体は、量比が1:1の2本のSTR対立遺伝子産物を有するか、または同じ長さの2本の対立遺伝子を有するホモ接合性であるかのいずれかである。トリソミー患者の試料は、量比が1:1:1の3本の異なる対立遺伝子(トリソミーの3対立遺伝子)、または比が2:1の2種類のPCR産物(トリソミーの2対立遺伝子)のいずれかを示す(Mansfield, E.S. Hum. Mol. Genet. 2 43-50(1993);Pertlら、Lancet 343 1197-1198(1994))。しかしトリソミー試料は、同等の長さの3本のSTR対立遺伝子を有することができ、このために、ホモ接合性の正常個体と区別不可能な1つのPCR産物となりうる。このような状況では診断は不可能となる場合がある。この問題を回避する試みにいは、非多型マーカーを対照として使用すること、または各染色体に対して複数のSTRマーカーを使用することが含まれる(Pertlら、Hum. Genet 98 55-59(1996);Pertlら、Am. J. Obs. Gyn. 177 899-906(1997))。
【0006】
しかし現行の方法には、信頼性および全体的な正確性の点で問題がある。例えば、PCR手順における試料の汚染により誤差が入り込む恐れがある。おそらく、最も重要な誤差要因は、対立遺伝子ドロップアウト(allele drop-out; ADO)、すなわち一方の対立遺伝子の優先的な増幅である(Rayら、J. Assist. Reprod. Genet. 13(2) 104-106(1996))。この現象は、得られるPCR産物の比の歪曲をもたらしうる。出生前診断の異数性陽性の結果として下される医学的判断は極めて大きな意味をもつので、可能な限り信頼性が高く正確な診断法が求められている。
【0007】
信頼性および正確性のこのような改善が、本発明の方法によって達成可能であることが現在わかっており、ここでSTRマーカーのアッセイ法は、少なくとも3回の同時増幅アッセイ法に基づく同時増幅法を用いて行われる。
【発明の開示】
【0008】
本発明の第1の局面では、以下の段階を含む、染色体の異数性の検出法を提供するが、ここで段階(d)の前に段階(a)〜(c)によって少なくとも3回の同時アッセイ法を行う:
(a)染色体特異的な複数のショートタンデムリピート(STR)マーカーを同時に増幅して、1種類または複数のSTRマーカーのコピーを含む増幅産物混合物を形成させる段階;
(b)増幅された染色体特異的STRマーカーを、大きさにしたがって、増幅産物混合物から分離する段階;
(c)1種類または複数の染色体特異的STRマーカーに対応する増幅産物の相対濃度を決定する段階;および
(d)分析されるべき染色体の少なくとも2種類のマーカーから一致した結果が得られたら、増幅された各STRの相対濃度を、染色体の異数性の有無に相関させる段階。
【0009】
異数性の状態とは、通常の1倍体染色体数の整数倍を上回るまたは整数倍未満の数を有する細胞核の状態を意味する。この用語は、染色体対の1本の染色体が失われているモノソミー、および追加的なコピーが存在するトリソミーの状態を含む。まれな場合には、個体が2本またはそれ以上の過剰な染色体を有することもある。ヒトの正常な2倍体の染色体の数は46本である。正常な半数体数(23本)の倍数ではない染色体数を有する個体は異数性であると呼ばれる。胎児は、半数体の染色体数よりも倍数が多く、69本(3倍)または92本(4倍)の染色体をもつ場合がある。このような3倍体または4倍体の胎児は通常、妊娠初期に流産する。
【0010】
本発明の方法は一般に、任意の動物種における異数性の診断に適用可能である。しかし一般に、ヒトを対象とする医学に関して、このような方法が極めて大きな適用可能性をもつことが期待される。しかし本発明はこの点に限定されず、本発明は、任意の動物種、特に哺乳類種、例えば霊長類(類人猿およびサルを含む)および有蹄類(ウシ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、イヌ、ネコ、およびウマ種を含む)に由来する試料に対して行われるこのような方法まで拡張される。本発明の方法を、トランスジェニック動物またはクローニングされた動物、特にトランスジェニック動物またはクローニングされた非ヒト動物、好ましくは非ヒト哺乳類に由来する細胞材料の解析に用いることができることは言うまでもない。
【0011】
上述したように本発明の方法は、胎児の異数性の診断に関して特に重要である。しかし本発明の方法が、任意の細胞(すなわち個体における全ての体細胞および生殖細胞)の染色体補完の判定に適用可能であることに留意されたい。発育中の胎児の場合、本発明の方法を、任意の細胞において、すなわち単細胞の接合糸期から、さまざまな胚形成期を介して胎児の発生まで実施することができる。また本発明の方法を、新生児個体から、その後の成長および発生までの任意の細胞を対象に実施することもできる。さらに、母体血漿中に胎児DNAの供給源が存在する。このような試料ではDNAは細胞を含まない。
【0012】
異数性を原因とするヒト疾患状態の例には、ダウン症候群(トリソミー21)(すなわち第21染色体が3コピー存在する)、エドワード症候群(トリソミー18)、パトー症候群(トリソミー13)、ターナー症候群(モノソミーX)(すなわちX染色体が1本しか存在しない女性)、男性のクラインフェルター症候群(XXY)、3倍性X(Triple X)症候群(XXX)、およびXYYなどのその他の状態などがあるが、これらに限定されるわけではない。
【0013】
本発明の方法により分析されるSTRマーカー(STR領域)の数は、複数のSTRマーカー、好ましくは少なくとも2種類、3種類、もしくは4種類、または少なくとも5種類もしくは6種類、または少なくとも6種類もしくは7種類のSTRマーカーを含む。個々のSTRマーカーは、少なくとも3回のアッセイ法のそれぞれにおいて独立に増幅される。別のSTRマーカーを検討しかつ独立して含めることができるので、この数は、各アッセイ毎に独立して、合計6種類、7種類、8種類、9種類、もしくは10種類、またはそれ以上となる場合がある。したがって各アッセイ法は、さまざまな数のマーカーを含む場合がある。
【0014】
一般に、解析されるべきSTRマーカーDNAは、現在の分子生物学研究において標準的な技術であるポリメラーゼ連鎖反応(PCR)で増幅される(例えば米国特許第4683195号;米国特許第4800159号;米国特許第4965188号;米国特許第4683202号;米国特許第4889818号;およびInnisら編、PCR Protocols(Academic Press、New York、1990)を参照)。同時共増幅は、多重PCRアッセイ法と呼ばれる場合もある。
【0015】
PCR増幅に用いるプライマーを、標準的な手法、例えばホスホラミダイト化学法による固相合成で容易に合成することができる(米国特許第4458066号;米国特許第4415732号;Beaucageら、Tetrahedron、48、2223-2311(1992))。
【0016】
染色体特異的STRマーカーは、隣接する特有の配列領域とハイブリダイズする合成用プライマーを選ぶことにより選択できる。特有の配列領域の存在により、所望の染色体に特異的STRのみが確実に増幅されると考えられる。適切なSTRを、GeneBank(商標)などの公的に利用可能なDNA配列データベースから同定することができるほか、エドワーズ(Edwards)ら、Am. Hum. Genet 49 746-756(1991)に記載された方法を用いて、染色体特異的なDNAライブラリーから同定することができる。STRマーカーをゲノムデータベース(www.gdb.org)から得ることができ、または、ヒトゲノムに関する報告(Science 291 1304-1351(2001);Nature 409 813-958(2001))を参照することができる。STRマーカーは、必要なヘテロ接合性を有する、染色体上の任意の所望の遺伝子座から選択することができる。第13染色体、第18染色体、第21染色体、X染色体、またはY染色体のうち1つと関連することが知られている疾患状態の場合、STRマーカーは、染色体上の遺伝子座から適切に選択されうる。
【0017】
増幅用プライマーの選択には複数の要素が影響を及ぼす場合がある。例えば、標的DNAと結合する際のプライマーの相対安定性などであり、これは、相対的GC含量、標的DNA中の二次構造の有無、プライマーの相対長に大きく依存する(Rychlikら、Nucleic Acids Research、17 8543-8551(1989);Loweら、Nucleic Acids Research、18 1757-1761(1990);Hillierら、PCR Methods and Applications、1 124-128(1991))。PCR装置を使用する場合は、STRを20サイクル〜35サイクルのPCR(適切には25サイクル〜30サイクルのPCR)で増幅することができる。
【0018】
本明細書で用いる「PCRプライマー」という用語は、増幅されるべきSTRに隣接する配列に相補的なプライマーを意味する。PCR用プライマーは、適切には15ヌクレオチド長〜35ヌクレオチド長の範囲内であり、または10ヌクレオチド長〜50ヌクレオチド長の範囲内であり、最長で、増幅対象となるSTRの約100ヌクレオチド〜400ヌクレオチドである。
【0019】
本発明の方法では、増幅産物(すなわち増幅段階で作製されるSTR DNAのコピー)が、分離後の定量を容易にするように標識されていることが好ましい。本発明の使用には多種多様な標識法が適しており、これには、放射標識、蛍光標識、高電子密度標識の直接的または間接的な結合などが含まれる。標識の付加を可能にする反応性官能基でオリゴヌクレオチドを誘導体化するのに利用可能な複数の手段が存在する。例えば、蛍光標識、酵素標識、または高電子密度標識をアビジンを介して結合することができるように、PCR用プライマーをビオチン化するのに利用可能な複数の方法があり(Brokenら、Nucleic Acids Research 5 363-384(1978))、またはアミノアルキルホスホラミドリンカーアームを介したオリゴヌクレオチドの5'端をビオチン化する(Cholletら、Nucleic Acids Research 13 1529-1541(1985))ことにより結合可能である。蛍光で容易に標識される、合成用アミノ誘導体化オリゴヌクレオチド、または、イソチオシアネート、N-ヒドロキシスクシニミドなどのアミノ反応基で誘導体化された他のタイプの化合物を合成する方法もいくつか利用可能である(Connolly、Nucleic Acids Research 15.3131-3139(1987);Gibsonら、Nucleic Acids Research.15 6455-6467(1987);米国特許第4605735号)。チオール特異的標識と反応できるスルフヒドリル誘導体化オリゴヌクレオチドを合成する方法も利用可能である(米国特許第4757141号;Connolly、Nucleic Acids Research 13.4485-4502(1985);Spoatら、Nucleic Acids Research、15 4837-4848 10(1987))。DNA断片の標識法に関する包括的な総説が、マシュー(Matthews)ら、Anal. Biochem.、169 1-25(1988)により提供されている。
【0020】
増幅されたSTR DNAを、1個または複数のプライマーに蛍光分子を結合させることで蛍光標識することができる(米国特許第4757141号;米国特許第4855225号)。好ましくは、異なるSTRのコピーを異なる蛍光標識で標識して定量を容易にする(Smithら、Methods in Enzymology 155 260-301(1987);Kargerら、Nucleic Acids Research 19 4955-4962(1991);Haugland、Handbook of Fluorescent Probes and Research Chemicals(Molecular Probes, Inc.、Eugene、1989))。好ましい蛍光標識には、フルオレセインおよびこれらの誘導体(米国特許第4318846号;Leeら、Cytometry 10 151-164(1989))、テトラメチルローダミン、ローダミンX、テキサスレッド(Texas Red)、および他の関連化合物などが含まれる。最も好ましくは、複数の蛍光色素を使用する場合には、ファン(Fung)ら(前述)に記載されているようにスペクトル的に分離可能である。簡単に説明すると、本明細書で用いる「スペクトル的に分離可能な」蛍光色素とは、それにより標識された電気泳動的に分離されるポリヌクレオチドを、分離されたポリヌクレオチドの濃度バンドの実質的な重複にかかわらず容易に標識可能にする、容易に検出を可能にするような、量子収率、発光帯域幅、および発光極大を有する蛍光色素である。
【0021】
また、本発明のPCR用プライマーを、標準的なプロトコルを用いてリン-32で放射性標識することもできる(例えばManiatisら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual(Cold Spring Harbor Laboratory、New York、(1982));Current Protocols in Molecular Biology、Unit 6.4(John Wiley & Sons、New York、(1987));またはMaxim and Gilbert、Meth. Enzymol.、65 499-560(1980))。
【0022】
大きさに基づく分画による試料からの増幅STRの分離は、濾過、高速液体クロマトグラフィー、電気泳動、親和性コレクションを含むさまざまな方法で達成することができる(Syvanenら、Nucleic Acids Research、16 11327-11338(1988))。増幅されたSTRを、ゲル電気泳動またはキャピラリ電気泳動により増幅産物混合物から分離することができる。または増幅STRを蛍光標識して、ゲル電気泳動またはキャピラリ電気泳動により分離することができる(Mayrandら、Clinical Chemistry 36 2063-2071(1990);Mayrandら、Annales de Biologie Clinique 91 224-230;Mayrandら、Appl. and Theoret. Electrophoresis 3 1-11(1992))。
【0023】
異数性に関する検討対象となる個体の染色体DNAは、その個体由来の細胞試料、または母体血漿などの無細胞供給源から得られる(Prenatal Diagnosis 20 795-798(2000))。細胞試料は、個体の年齢および状態に応じて、さまざまな組織から得られる。試料(細胞または無細胞)は、標準的な手法で末梢血から得られうる。胎児検査の場合は、試料が羊水穿刺、絨毛生検(chorionic villi sampling)により、または母体血漿の試料から得られることが好ましい。好ましくは、DNAは、標準的な手順、例えばマニアティス(Maniatis)ら、Molecular Cloning(Cold Spring Harbor、N.Y.、(1982))に記載されたフェノール:クロロホルム抽出法で試料から抽出する。胎児検査用の細胞試料は、蛍光活性化細胞選別法を用いて母体末梢血からも得られる(Iversonら、Prenatal Diagizosis、9.31-48(1981))。
【0024】
個々の増幅STRマーカーの相対濃度と、異数性の有無との相関を、任意の一般かつ簡便な方法で分析することができる。このような方法で得られる増幅STRマーカー産物の比を解析することで、試料中の染色体の状態の診断が下される。分析される染色体の少なくとも2種類のマーカーに由来する結果の一致(対立する結果がないこと)が、本発明の方法による正確な診断に必要である。
【0025】
実際には、対立遺伝子間の長さの差がより小さくなるようなマーカーが慎重に選択されて、優先的な増幅は回避されるが、高い(70%以上)ヘテロ接合性が維持される場合にのみ、診断は正確である。本発明の好ましい態様は、STRマーカーが少なくとも70%、最大75%、80%、85%、90%、95%、または100%という高いヘテロ接合性を有する上述の方法を含む。
【0026】
状況によっては、追加的な増幅アッセイ法が実施されるよう定めることが便利な場合がある。例えば、マーカーの特定の選択のために明瞭な結果が得られず、かつ1種類のSTRマーカーのみがヘテロ接合性を意味する2本のピークを示す場合、追加的なSTRマーカーを用いる別のアッセイ法によって診断を確認することができる。例えば最大3種類、またはそれ以上のこのような追加的なマーカーを組み合わせて使用することで、追加的なデータが得られる。
【0027】
本発明の方法に使用可能なSTRマーカーには以下が含まれるが、これらに限定されるわけではない:
D13S257、DXS981、D13S631、D21S1414、DXS6785、D18S536、D13S258、D18S535、D21S1411、D18S548、21-32S(非公式な名称)、D21S11、DXS7423、HPRT(またはXHPRT)、D21S1446、D18S391、X-61(非公式な名称)、D18S978、D13S317、D13S627、D13S800、D18S1002。
【0028】
そのような多重PCR法においては、異数性同時検出用のその他のSTRマーカー、およびその他の遺伝子欠損用マーカー(例えば嚢胞性線維症のΔF508変異であるCF508の有無を示すマーカーなど)を使用することができる。他のマーカーには、鎌状赤血球貧血用のHbS、およびβ-サラセミア用のIVS1-110(Sherlockら、Ann. Hum. Genet. 62 9-23(1998))、およびRh式の体質用のRHO(Zhongら、Br. J. Obstet. Gynaecol. 107 766-767(2000))などが含まれるが、これらに限定されるわけではない。
【0029】
主に第2減数分裂における不分離現象に起因する異常を検出するために、AMEL AやAMEL Bなどの定量用マーカーを多重アッセイ法に含めることもできる。このマーカーを、一括して「AMEL A+B」と呼ぶことができる。
【0030】
解析されるべきDNAは、任意の一般に適切な細胞、体液、または組織供給源から得られうる。出生前診断では、細胞を、組織生検により発育中の胎児から直接的に、または羊水の試料から、または絨毛生検によって得られる場合がある。新生児、小児、または成人の場合、試料は、例えば血液または口内スワブを含む任意の簡便な組織供給源から得られうる。
【0031】
増幅法の結果を、DNAシーケンサーで解析することができる。例えばDNAシーケンサー装置はApplied Biosystems社から供給される。増幅産物の相対量は、使用する標識(例えば蛍光色素または放射標識)によって定量可能である。結果を図式的に示す場合、配列アナライザーから出力されたピーク下面積を用いて、各DNAマーカーについて存在する増幅産物量を定量することができる。
【0032】
トリソミーの診断を行う際は、各増幅産物について得られたピークの比を比較する。本発明の方法により、特定のSTRマーカーに関するピーク比が1:1〜1.4:1である正常な染色体補完の診断が可能となる。2対立遺伝子トリソミー(2接合性(diplozygous)トリソミー)の診断は、ピーク比が1.6:1を上回る場合に下されうる。このような比の値の同定は、偽陰性の結果を避けるために重要である。
【0033】
本発明の好ましい態様では、本発明の第1の局面により記載された方法が提供され、ここで少なくとも3回の同時アッセイ法(または多重混合物)のそれぞれが独立して少なくとも6種類の異なるSTRマーカー(分析されるべき各染色体に関して少なくとも2種類のマーカー)を含み、かつSTRマーカーの増幅産物のピーク値の比1:1〜1.4:1が正常な染色体補完の診断となり、1.6:1またはそれを上回るピーク値の比が2対立遺伝子トリソミーの診断となる。
【0034】
本発明の第2の局面では、上述した本発明の方法を実施するための標識プライマーの少なくとも3種類のマルチプレックス(multiplex)を含むパーツのキットを提供する。このような適切なキットは、増幅されるSTRマーカー用の少なくとも3組の標識プライマー、DNAポリメラーゼの存在下においてDNAポリメラーゼによるプライマーの伸長を可能にするポリメラーゼ緩衝液、およびデオキシヌクレオシド三リン酸を含むことができる。標識プライマーは蛍光標識を含みうり、かつDNAポリメラーゼはTaq DNAポリメラーゼでありうる。蛍光標識には、フルオレセイン、ローダミン、およびこれらの誘導体(カルボキシフルオレセイン、4,7-ジクロロフルオレセイン、テトラメチルローダミン、ローダミンX、またはこれらの誘導体など)を含むが、これらに限定されるわけではない。
【0035】
本発明の第3の局面では、染色体の異数性の診断用マーカーとしてのSTRマーカーである21-32S(非公式な名称)の使用を提供する。本方法は、本発明の第1の局面に関連して上述された通りでもよく、または本方法は、一般に適切な任意の診断検査であってもよい。例えば本方法は、米国特許第5994057号、Pertlら、Am. J. Obstet. Gynecol. 177(4) 899-906(1997)、またはVermaら、Lancet 352 9-12(1998)に記載されている。
【0036】
本発明の第4の局面では、個体の性別判定用マーカーとしてのマーカーであるY-40S(非公式な名称)の使用を提供する。この方法は、本発明の第1の局面に関して上述された通りでもよく、またはこの方法は、任意の一般に適切な診断検査であってもよい。例えば同方法は、米国特許第5994057号、Pertlら、Am. J. Obstet. Gynecol. 177(4) 899-906(1997)、またはVermaら、Lancet 352 9-12(1998)に記載されている。多くの場合、このような方法は、誕生前の胎児の性別を判定する際に極めて有用である。
【0037】
本発明の第5の局面では、個体のDNAに極めて頻繁にみられる嚢胞性線維症変異の診断用マーカーとしてのマーカーCF508(非公式な名称)の使用を提供する。この方法は、本発明の第1の局面に関して上述された通りでもよく、または、任意の一般に適切な診断検査であってもよい。例えば同方法は、米国特許第5994057号、Pertlら、Am. J. Obstet. Gynecol. 177(4) 899-906(1997)、またはVermaら、Lancet 352 9-12(1998)に記載されている。
【0038】
FISHとは異なり、本発明の方法は、後に培養細胞の必要条件を全く損なうことのない極めて少量の羊水(0.3 ml〜1 ml)において実行可能である。PCR法は細胞由来のDNAを増幅するため、細胞が生存しているか、または無傷であるかに依拠しない。このことにより、試料が十分な生細胞を含まない場合に、妊娠初期(第12週)および後期(第34週)において得られた試料両方に対して、信頼性に影響を及ぼすことなくこの手法を使用することが可能となる。amnio-PCRは、大量の試料(1台の3700 ABI DNAシーケンサーにつき24時間当たり240種の試料)に対応させるために容易にスケールアップされうる。
【0039】
本発明の方法を、例えば双子の接合性を判定するための比較DNA研究、および父子鑑定を目的としたamnio-PCR解析にも使用することができる。
【0040】
細胞培養物における母体混入に関する問題は、口内洗浄液試料から得られた母体DNAのDNAプロファイルを、羊水DNAのプロファイルと比較することで単純に解決される。
【0041】
本発明の好ましい態様において、以下の段階を含む、染色体の異数性の検出法を提供する:
(1)解析用の羊水試料を調製する段階;
(2)少なくとも3回の同時多重反応に使用するために適切な染色体特異的なショートタンデムリピート(STR)マーカーを選択する段階;
(a)鋳型DNAを含まない陰性対照の調製を含む;
(3)適切な標識(例えば蛍光色素、放射標識)と共に使用する各マーカー対に由来するフォワードまたはリバースのプライマーを標識する段階;
(4)ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)用の試料混合物を調製する段階;
(5)PCRを用いた試料中のDNA配列の増幅;
(6)例えば電気泳動による、増幅DNA試料の分離;
(7)3回の同時多重反応で使用された特異的マーカー用に増幅された各対立遺伝子を示すDNAの定量;
(8)増幅された各対立遺伝子に関するピーク面積比の解析、および胎児の染色体状態の決定。
【0042】
解析用の試料は凍結されてもよく、または、さらに一般的な培養を行う場合は、試料を室温とする。
【0043】
細胞からのDNAの抽出は、任意の簡便な方法で実施されうる。細胞を再懸濁して1.0 mlのアリコートを遠心管中で遠心することができる。細胞のペレットを次に、リン酸緩衝食塩水などの適切な溶媒中に再懸濁して細胞を洗浄することができる。ペレットを次にChelex(商標)樹脂に再懸濁して、少なくとも50℃、好ましくは56℃、かつ60℃以下の適切な温度でインキュベートすることができる。得られたDNAは100℃における加熱により変性させてから遠心する。
【0044】
多重PCRを以下のように実施することができる。各試料または対照について、所望のプローブ/プライマーセットの3種類の異なる多重混合物のうち1種類をそれぞれ含む、3組の試験管を準備する。細胞試料に由来するDNAを含む上清を、次に、対照を含む各組の試験管にピペット操作で移す。このように調製した試料チューブを、簡便な装置を用いたPCRに供する。
【0045】
PCRの終了時に、一般的蛍光DNAアナライザーを用いたゲル電気泳動またはキャピラリ電気泳動で試料を分離する。DNA産物の同定および定量は、任意の簡便な方法、例えばABI GeneScan(商標)で実施することができる。次に、DNA断片の大きさ、染色体の起源、および定量を、任意の一般に簡便な方法、例えばABI Genotyper(商標)を用いて決定することができる。各染色体対に対するマーカーを同定し、既知試料について得られた結果との比較により分類する。
【0046】
このような方法では、おおよそのピーク面積比が1:1:1(すなわち1.4未満)である3本のピークを生じるマーカーを、トリソミーに一致したとみなす。DNA比が1.4未満である2本のピークを生じるヘテロ接合性マーカーは正倍数性に一致するとみなされ、かつ1.6を上回る比はトリソミーに一致するとみなされる。1.4〜1.6の間の任意の比は不確定とみなす。不確定な比を生じるPCR反応を、結果を明瞭にするために繰り返してもよい。1本の染色体に由来する1種類のマーカーだけがヘテロ接合性であることが明らかとなった場合は、1本の染色体あたり少なくとも2種類の異なるDNAマーカーからなる追加の多重システムを用いることができる。各染色体に対して少なくとも2種類の解明されたマーカーに由来する陽性の結果、および一致した結果が、結論を導くために必要である。
【0047】
本発明の第2の局面およびその後の局面に好ましい特徴は、必要な変更を加えた第1の局面と同様である。
【0048】
本明細書において、いくつかの添付の図面を参照する。
【0049】
説明目的のために含まれ、かつ本発明を制限することが意図されていない、以下の実施例を参照して、さらに本発明を説明する。
【0050】
実施例 1 :トリソミー 21 、 18 、および 13 、ならびに性染色体異常の検出
amnio-PCRとは、PCR法を用いた非培養羊膜細胞由来の特定のゲノムDNA領域の増幅および定量である。以下の実施例は、遺伝子異常、具体的にはトリソミー21、18、13、および性染色体異常の迅速な出生前診断を目的としたamnio-PCRの高い信頼性および正確性を示す。
【0051】
方法
本方法は、1999年3月〜2000年3月の間に前向き(prospective)研究として実施された。数か所の出生前の診断を専門とする部門の女性5097人を対象に羊水穿刺が行われた。手順は、母親が高齢であること、ダウン症候群に関する生化学的スクリーニングの結果が陽性であること、超音波検査で胎児に異常が検出されたこと、母体ウイルス力価が陽性であること、または母親が不安を訴えていることを含むいくつかの指標について妊娠12週〜34週の間に行われた。
【0052】
検査室で羊水試料を得たら、3つのアリコートに分けた。1 mlの羊水をamnio-PCRに使用し、残りを中期染色体の従来の細胞遺伝学的解析を対象とした2つの同時培養物の確立に使用した。血液混入が巨視的に認められた羊水標本はすべて調査対象から除外した。これらの試料は臨床手順の約2%(n=97)を占めていた。DNAを、ReadyAmp DNA抽出キット(Promega UK Ltd)を用いて非培養羊膜細胞試料から抽出した。
【0053】
ゲノムデータベース(www.gdb.org)から得た24種類のテトラヌクレオチド反復マーカーを、3種類のマルチプレックスにおいてPCRにより増幅した。第18常染色体および第13常染色体それぞれに対して6種類のDNAマーカーを、ならびに、第21染色体およびX染色体それぞれに対して5種類のマーカー、Y染色体に対して2種類のマーカーを用いた。鋳型DNAを含まない陰性対照を、各処理における個々のマルチプレックスに含めた。
【0054】
いずれの場合も、各対由来のフォワードプライマーを蛍光色素で標識した。同等量のPCR産物が確実に得られるように、プライマーをさまざまな濃度で含めた。1回の反応あたりの最終多重混合物は、関連するプライマーセット、1.5 mM MgCl2含有1×Amplitaq Gold buffer(Applied Biosystems、USA)、0.2 mM dNTP(Promega、USA)、および0.25ユニットのAmplitaq Gold DNAポリメラーゼ(Applied Biosystems、USA)からなる。反応は、抽出DNAを1 μl含む、最終容量10 μlになるようにして行う。3種類すべてのマルチプレックスを以下のPCR条件で増幅する:94℃で15分(1サイクル)、93℃で48秒、60℃で48秒、および72℃で1分(35サイクル)。最終伸長は72℃で5分とする。使用した3種類のマルチプレックスは以下の通りであった。
マルチプレックス1
マルチプレックス2
マルチプレックス3
【0055】
新規プライマーである21-32S、Y-40S、X-61、およびCF508の配列は以下の通りである。
プライマー32S:
リバース
フォワード
プライマー40S:
リバース
フォワード
プライマーX-61:
リバース
フォワード
プライマーCF508:
リバース
フォワード
【0056】
増幅されたDNA試料を、ABI 377 DNAシーケンサー(Applied Biosystems、Forster City、US)を用いて電気泳動で分離し、特定のマーカーに対する各対立遺伝子を示すDNAを、Genotyper 2.5ソフトウェア(Applied Biosystems)を用いてピーク面積により定量した。各対立遺伝子間のピーク面積比を計算した。ピーク面積比がほぼ1:1:1(すなわち1.4未満)の3本のピークを生じるマーカーを、図1に示すように、トリソミーに一致するとみなした。DNA比が1.4未満の2本のピークを生じるヘテロ接合性マーカーを、図2に示すように正倍数性に一致するとみなし、かつ、1.6を上回る比は図3に示すようにトリソミーに一致するとみなした。1.4〜1.6の間の任意の比は不確定であるとみなされた。不確定の比を生じるPCR反応を繰り返して、結果を明確にした。1本の染色体に由来する1種類のマーカーだけがヘテロ接合性であることが明らかとなったまれな場合は、1本の染色体あたり2種類の異なるDNAマーカーを含む追加の多重システムを用いた。各染色体に対して少なくとも2種類の解明されたマーカーに由来する陽性の結果、および一致した結果が、結論を導くために必要であった。
【0057】
結果
amnio-PCRの結果は、標本を受け取ってから平均2日以内に得られた。試料の失敗率は0.1%であり、5つの試料で、どの染色体についても明瞭な結果が得られなかった。1つは全体的な真菌感染が原因であり、4つは母体の固形組織の過度の混入によるものであった。母体混入試料は2本を上回るピークを示し、遺伝子座の大部分でピーク面積は異なっていた。これらの場合は、3本のピークを示す遺伝子座のピーク面積比が本研究の特定のパラメータ内において1:2:1であることから、3倍体またはトリソミーの場合と区別することができた。他の遺伝子座は、胎児DNAを示す大きなピークおよび、母体DNAを示す、かなり小さなピークを示した。後者は、母体の口内洗浄液試料に由来するDNAを、羊水試料に由来するDNAと比較することで確認された。これらのピーク間の比は、混入する母体DNAの程度に応じて変化した。
【0058】
処理に成功した4,995個の試料のうち、表1に示すように、89箇所の常染色体異常がamnio-PCRにより同定され、いずれもその後に従来の核型分析で確認された。評価対象の常染色体の遺伝子座の中で、偽陽性または偽陰性の結果は認められなかった。表1に示すように16箇所の性染色体異常も検出され、その後の染色体解析によりこれらの診断が確認され、かつ追加的な4箇所の性染色体異常が同定された(47、XYYが1箇所、および47、XXYが3箇所)。これらの場合におけるPCRの失敗は、標識された性染色体領域においてマーカーのヘテロ接合性が存在しないことに起因していた。性染色体異常に関する初期スクリーニングは、第1減数分裂における不分離現象が関与する場合には正確であることが見出されたが、一方で、特定の定量用マーカー(ここでは「AMEL A+B」としてマルチプレックスに含まれる)は、主に第2減数分裂における不分離現象によって生じるこのような異常を検出するために必要であった(Sullivanら、BioTechniques 15 636-41(1993);Ciriglianoら、Prenat Diagn 19 1099-103(1999))。
【0059】
(表1)従来の細胞遺伝学的解析およびamnio-PCR解析によって検出された染色体異常の数
【0060】
症例の2%(n=94)においては、amnio-PCR解析では、マークされた染色体のうちの1つだけについては、別のマーカーを用いた後でさえも不確定なままであった。このようなアッセイ法は、1本の特定の染色体に対する8種類のマーカーのうち7種類がホモ接合性のピークを示し(残りのマーカーはいずれの場合でも正常であった)、かつ他のアッセイ法は、反復後でさえも一貫して1.4〜1.6の間の比を示した。このような場合には、報告は、確定した結果を示した染色体について行われ、また続く培養物の解析により、残りの染色体に関する結果が明らかにされた。
【0061】
すべての染色体異常の検出に対するamnio-PCRの感度は68.2%(105/154)であった。偽陰性率は3.7%(4/109)であり、偽陽性率は0%(0/154)であった。トリソミー21、18、13、および3倍性の検出率は、表2に示すように100%(89/89)であった。
【0062】
(表2)従来の核型分析と比較したamnio-PCRの検出能
【0063】
考察
本研究の知見から、amnio-PCRが、大部分の主要な染色体異常に対する迅速かつ信頼性の高い診断法であることが示された。amnio-PCRは、出産前に日常的にスクリーニングされる極めて一般的な異常である常染色体トリソミーの診断用であるので、この手法は、培養結果を待つ間にしばしば感じられる、親のストレスおよび不安を緩和する可能性が高い。
【0064】
amnio-PCRは、従来の細胞遺伝学的解析で診断された全染色体異常の68%を前向きに同定したが、(amnio-PCRで検出されなかった)平衡構造染色体異常の約85%は正常な出生転帰を示した。したがって、異常妊娠転帰をもたらす核型異常のみを考慮すると、検出率は表2に示すように75%に上昇する。モザイク、転座、および欠失/重複の症候群は、上述のamnio-PCR法で検出される可能性が高くない。これは、現行の状態のamnio-PCRが、従来の細胞遺伝学的解析に完全に取って代わるための制限となると考えられる。
【0065】
amnio-PCRは、主要な染色体異常(トリソミー21、18、および13、ならびに性染色体異常)を対象とした正確かつ信頼性の高い出生前診断法である。本明細書中で、常染色体トリソミーについて特に信頼性が高いことが示され、本研究における検出率は100%であった。この方法は迅速に行われうるため、診断検査の結果を待つ親が不安を抱く期間の短縮に役立つと考えられる。amnio-PCRは、従来の細胞遺伝学的解析に対する不可欠な補助的方法となる可能性が高い。
【0066】
実施例 2 :トリソミー 21 、 18 、および 13 、ならびに性染色体異常の検出
実施例1に記載されたPCRマルチプレックスの変種を、上述された手順で実施した。使用した3種類のマルチプレックスは以下の通りである。
マルチプレックス1
マルチプレックス2
マルチプレックス3
新規プライマー21-32S、Y-40S、X-61、およびCF508の配列については既に述べた。
【0067】
これらの多重マーカーを用いた3種類の各試料に対する3種類の個別の多重PCR解析の結果を以下に示すが、これらは胎児の染色体および性別の評価を示す。
【0068】
マルチプレックス 1
試料1
試料2
試料3
マルチプレックス 2
試料1
試料2
試料3
マルチプレックス 3
試料1
試料2
試料3
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】3対立遺伝子トリソミーに一致する試料由来のamnio-PCRの結果を示す。記号「21-41」はマーカーD21S1414を示す。
【図2】正常対立遺伝子に一致する試料由来のamnio-PCRの結果を示す。記号「21-41」はマーカーD21S1414を示す。
【図3】2対立遺伝子トリソミーに一致するamnio-PCRの結果を示す。記号「21-41」はマーカーD21S1414を示す。
Claims (23)
- 段階(d)の前に段階(a)〜(c)にしたがって少なくとも3回の同時アッセイ法を行う、以下の段階を含む、染色体の異数性を検出する方法:
(a)染色体特異的な複数のショートタンデムリピート(STR)マーカーを同時に増幅して、1種類または複数のSTRマーカーのコピーを含む増幅産物混合物を形成させる段階;
(b)増幅された染色体特異的STRマーカーを、大きさにしたがって、増幅産物混合物から分離する段階;
(c)1種類または複数の染色体特異的STRマーカーに対応する増幅産物の相対濃度を決定する段階;および
(d)分析されるべき染色体の少なくとも2種類のマーカーから一致した結果が得られたら、増幅された各STRの相対濃度を、染色体の異数性の有無に相関させる段階。 - 異数性がトリソミーである、請求項1記載の方法。
- トリソミーがトリソミー21、トリソミー18、トリソミー13、またはトリソミーXである、請求項2記載の方法。
- 異数性がモノソミーである、請求項1記載の方法。
- モノソミーがターナー症候群である、請求項4記載の方法。
- STRマーカーの増幅産物のピーク値の比が1:1〜1.4:1であると染色体が正常に補完し合っていると診断され、かつピーク値の比が1.6:1またはそれを上回ると2対立遺伝子トリソミーと診断される、請求項1〜5のいずれか一項記載の方法。
- 少なくとも2種類のSTRマーカーを、少なくとも3回の同時増幅アッセイ法のそれぞれについて独立に分析する、請求項1〜5のいずれか一項記載の方法。
- STRマーカーの増幅をポリメラーゼ連鎖反応によって行う、請求項1〜7のいずれか一項記載の方法。
- 増幅反応の反応産物を蛍光標識で標識する、請求項1〜8のいずれか一項記載の方法。
- 分析されるべき染色体を胎児細胞材料の供給源から得る、請求項1〜9のいずれか一項記載の方法。
- 胎児の細胞材料の供給源が羊水である、請求項10記載の方法。
- 胎児の細胞材料の供給源が絨毛膜である、請求項11記載の方法。
- 分析されるべき染色体を、胎児血液の供給源から得る、請求項1〜9のいずれか一項記載の方法。
- 分析されるべき染色体を、母体血清または胎児組織から得られた胎児DNAの試料に関して解析する、請求項1〜9のいずれか一項記載の方法。
- 少なくとも3回の同時アッセイ法が、それぞれ独立に少なくとも6種類のSTRマーカーを含み、かつ、STRマーカーの増幅産物のピーク値の比が1:1〜1.4:1であると染色体が正常に補完し合っていると診断され、ピーク値の比が1.6:1またはそれを上回ると2対立遺伝子トリソミーと診断される、請求項1〜5のいずれか一項記載の方法。
- さらなる増幅アッセイ法を追加的な定量用マーカーを用いて行う、請求項1〜15のいずれか一項記載の方法。
- STRマーカーがD13S257、DXS981、D13S631、D21S1414、DXS6785、D18S536、D13S258、D18S535、D21S1411、D18S548、21-32S(非公式な名称)、D21S11、DXS7423、HPRT(またはXHPRT)、D21S1446、D18S391、X-61(非公式な名称)、D18S978、D13S317、D13S627、D13S800、またはD18S1002を含む、請求項1〜16のいずれか一項記載の方法。
- さらなるマーカーを分析して遺伝性疾患の有無を検出する、請求項1〜17のいずれか一項記載の方法。
- 遺伝性疾患が嚢胞性線維症である、請求項18記載の方法。
- 嚢胞性線維症の有無を分析するために使用するマーカーがCF508(非公式な名称)である、請求項19記載の方法。
- 請求項1記載の方法において増幅されるべきSTRマーカーに対する標識プライマーの少なくとも3種類のマルチプレックスを含むパーツのキット。
- 染色体の異数性の診断用マーカーとしてのSTRマーカー21-32S(非公式な名称)の使用。
- 個体の性別判定用マーカーとしてのSTRマーカーY-40S(非公式な名称)の使用。
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