JP2004526401A - 肺癌の治療および診断のための組成物および方法 - Google Patents
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Abstract
本発明において、癌(特に肺癌)の治療および診断のための組成物および方法が、開示される。本発明の例示的な組成物は、1つ以上の肺腫瘍ポリペプチド、それらの免疫原性部分、このようなポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、このようなポリペプチドを発現する抗原提示細胞、およびこのようなポリペプチドを発現する細胞に特異的なT細胞を含む。この開示された組成物は、例えば、疾患(特に肺癌)の診断、予防および/または処置に有用である。
Description
【0001】
(発明の技術分野)
本発明は、一般に、癌(例えば、肺癌)の治療および診断に関する。本発明は、より具体的には、肺腫瘍タンパク質の少なくとも1部を含むポリペプチド、およびこのようなポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに関する。このようなポリペプチドおよびポリヌクレオチドは、肺癌の診断および処置のための薬学的組成物(例えば、ワクチン)および他の組成物において有用である。
【0002】
(発明の背景)
肺癌は、米国における男性および女性の両方の間における癌での死亡の主な原因であり、1994年には概算172,000件の新しい症例が報告された。全ての肺癌患者の間における5年間の生存率は、診断時における疾患の病期に関わらず、たった13%である。これは、検出される症例の間における46%の5年間生存率と対照的であるが、この疾患は、なお局在される。しかし、肺癌の16%のみしか、この疾患が広がる前に発見されない。
【0003】
早期発見は難しい。なぜなら、臨床症状は、この疾患が進行した病期に達するまでしばしばみられないからである。現在のところ、診断は、胸部X線、痰に含まれる細胞型の分析および気管支道の光ファイバー試験の使用により補助される。処置の養生法は、癌の型および病期により決定され、そして手術、放射線治療および/または化学療法を含む。これらの疾患のための治療へのかなりの研究にも関わらず、肺癌は、処置することが困難なままである。
【0004】
従って、当該分野において、肺癌のための改善されたワクチン、処置方法および診断技術の必要性が残っている。
【0005】
(発明の要旨)
1つの局面において、本発明は、以下からなる群より選択される配列を含むポリヌクレオチド組成物を提供する:
(a)配列番号217〜390、392、394、396、398〜420、422〜424、428〜433および440〜583に提供される配列、
(b)配列番号217〜390、392、394、396、398〜420、422〜424、428〜433および440〜583に提供される配列の相補体、
(c)配列番号217〜390、392、394、396、398〜420、422〜424、428〜433および440〜583に提供される配列の少なくとも20個連続する残基からなる配列、
(d)中程度にストリンジェントな条件下で、配列番号217〜390、392、394、396、398〜420、422〜424、428〜433および440〜583に提供される配列にハイブリダイズする配列、
(e)配列番号217〜390、392、394、396、398〜420、422〜424、428〜433および440〜583の配列に対して少なくとも75%の同一性を有する配列、
(f)配列番号217〜390、392、394、396、398〜420、422〜424、428〜433および440〜583の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列、
(g)配列番号217〜390、392、394、396、398〜420、422〜424、428〜433および440〜583に提供される配列の縮重改変体。
【0006】
1つの好ましい実施形態において、本発明のポリヌクレオチド組成物は、正常組織のレベルよりも、少なくとも約2倍、好ましくは少なくとも約5倍、そして最も好ましくは少なくとも約10倍高いレベルで、試験した肺腫瘍サンプルの少なくとも約20%、より好ましくは少なくとも約30%、そして最も好ましくは少なくとも約50%に発現される。
【0007】
別の局面において、本発明は、上記のポリヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列を含むポリペプチド組成物を提供する。
【0008】
特定の実施形態において、本発明は、配列番号391、393、395、397、421、425〜427、434〜439、および584〜587に示される配列からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチド組成物を提供する。
【0009】
特定の好ましい実施形態において、本発明のポリペプチドおよび/またはポリヌクレオチドは、免疫原性であり、すなわち、これらは、本明細書中にさらに記載されるように、免疫応答(特に、体液性免疫応答および/または細胞性免疫応答)を誘発し得る。
【0010】
本発明はさらに、開示されるポリペプチド配列および/またはポリヌクレオチド配列のフラグメント、改変体および/または誘導体を提供し、ここで、このフラグメント、改変体および/または誘導体は、好ましくは、配列番号391、393、395、397、421、425〜427、434〜439、および584〜587に示されるポリペプチド配列または配列番号217〜390、392、394、396、398〜420、422〜424、428〜433および440〜583に示されるポリヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチド配列の免疫原性活性のレベルの、少なくとも約50%、好ましくは少なくとも約70%、およびより好ましくは少なくとも約90%の免疫原性活性のレベルを有する。
【0011】
本発明はさらに、上記のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、このようなポリヌクレオチドを含む発現ベクターおよびこのような発現ベクターで形質転換もしくはトランスフェクトされた宿主細胞を提供する。
【0012】
他の局面において、本発明は、上記のポリペプチドまたはポリヌクレオチドならびに生理学的に受容可能なキャリアを含む薬学的組成物を提供する。
【0013】
本発明の関連する局面において、予防適用または治療適用のための薬学的組成物(例えば、ワクチン組成物)が提供される。このような組成物は、一般的に、本発明の免疫原性ポリペプチドまたは免疫原性ポリヌクレオチドならびに免疫促進剤(例えば、アジュバント)を含む。
【0014】
本発明はさらに、以下を含む薬学的組成物を提供する:(a)本発明のポリペプチドまたはそのフラグメントに特異的に結合する抗体またはその抗原結合フラグメント、ならびに(b)生理学的に受容可能なキャリア。
【0015】
さらなる局面において、本発明は、以下を含む薬学的組成物を提供する:(a)上記のようなポリペプチドを発現する抗原提示細胞、ならびに(b)薬学的に受容可能なキャリアまたは賦形剤。例示的な抗原提示細胞としては、樹状細胞、マクロファージ、単球、線維芽細胞およびB細胞が挙げられる。
【0016】
関連する局面において、(a)上記のようなポリペプチドを発現する抗原提示細胞、および(b)免疫促進剤を含む薬学的組成物が提供される。
【0017】
他の局面において、本発明はさらに、上記のような少なくとも1つのポリペプチドを含む融合タンパク質、ならびにそのような融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドを、代表的に薬学的組成物(例えば、ワクチン組成物)(生理学的に受容可能なキャリアおよび/または免疫促進剤を含む)の形態で提供する。融合タンパク質は、本明細書中に記載されるような複数の免疫原性ポリペプチドまたはその一部/改変体を含み得、そしてさらに、ポリペプチドの発現、精製および/または免疫原性を促進する1つ以上のポリペプチドセグメントを含み得る。
【0018】
さらなる局面において、本発明は、患者における免疫応答(好ましくはヒト患者におけるT細胞応答)を刺激するための方法を提供し、この方法は、本明細書中に記載の薬学的組成物を投与する工程を包含する。患者が、肺癌に冒され得る場合、この方法は、この疾患のための処置を提供するか、またはこのような疾患の危険性があると考えられる患者は、予防的に処置され得る。
【0019】
さらなる局面において、本発明は、患者における癌の発生を阻害するための方法を提供し、この方法は、上に列挙された薬学的組成物を患者に投与する工程を包含する。患者が肺癌に冒され得る場合、この方法は、この疾患を処置するために提供され得るか、またはこのような疾患の危険があると考えられる患者は、予防的に処置され得る。
【0020】
他の局面において、本発明はさらに、生物学的サンプルから腫瘍細胞を除去する方法を提供し、その方法は、生物学的サンプルを、本発明のポリペプチドと特異的に反応するT細胞と接触させる工程を包含する。ここで接触させる工程は、サンプルから、このタンパク質を発現する細胞の除去を可能にするための十分な条件および時間で行われる。
【0021】
関連する局面において、患者における癌の発生を阻害する方法が提供され、この方法は、上記のように処置された生物学的サンプルを、患者に投与する工程を包含する。
【0022】
他の局面において、本発明のポリペプチドに特異的なT細胞を刺激および/または拡大するための方法がさらに提供され、この方法は、T細胞の刺激および/または拡大することを可能にするのに十分な条件および時間の下で、T細胞を、以下の1つ以上と接触させる工程を包含する:(i)上記のポリペプチド;(ii)このようなポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;および/または(iii)このようなポリペプチドを発現する抗原提示細胞。上記のように調製されたT細胞を含む単離されたT細胞集団もまた、提供される。
【0023】
さらなる局面において、本発明は、患者における癌の発生を阻害するための方法を提供し、この方法は、上記のようなT細胞集団の有効量を、患者に投与する工程を包含する。
【0024】
本発明は、さらに、患者における癌の発生を阻害するための方法を提供し、この方法は以下の工程を包含する:(a)患者から単離されたCD4+および/またはCD8+T細胞を、以下の1以上とともにインキュベートする工程:(i)本明細書中に開示されたポリペプチドの少なくとも免疫原性部分を含むポリペプチド;(ii)このようなポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;および(iii)このようなポリヌクレオチドを発現する抗原提示細胞;ならびに(b)有効量の増殖したT細胞を患者に投与し、そしてそれによって患者における癌の発生を阻害する工程。増殖した細胞は、患者への投与の前にクローン化され得るが、それは必要ではない。
【0025】
さらなる局面において、本発明は、患者における癌(特に、肺癌)の存在または非存在を決定するための方法を提供し、この方法は、以下の工程を包含する:(a)患者から得られた生物学的サンプルを、上に列挙されたポリペプチドに結合する結合因子と接触させる工程;(b)この結合因子に結合するポリペプチドのサンプル中の量を検出する工程;および(c)ポリペプチドの量を、予め決定されたカットオフ値と比較し、それから患者における癌の存在または非存在を決定する工程。好ましい実施形態において、結合因子は、抗体、より好ましくはモノクローナル抗体である。
【0026】
他の局面において、本発明はまた、患者における癌の進行をモニタリングするための方法を提供する。このような方法は、以下の工程を包含する:(a)第1の時点で、患者より得た生物学的サンプルを、上に列挙されたポリペプチドに結合する結合因子と接触させる工程;(b)この結合因子に結合するポリペプチドのサンプル中の量を検出する工程;(c)続く時点で、患者より得た生物学的サンプルを使用して、工程(a)および(b)を反復する工程;ならびに(d)工程(c)で検出されたポリペプチドの量を、工程(b)で検出された量と比較し、そしてそれから、患者における癌の進行をモニタリングする工程。
【0027】
他の局面において、本発明は、患者における癌の存在または非存在を決定するための方法をさらに提供し、その方法は、以下の工程を包含する:(a)患者から得られた生物学的サンプルを、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドにハイブリダイズするオリゴヌクレオチドと接触させる工程;(b)オリゴヌクレオチドにハイブリダイズするポリヌクレオチド、好ましくはmRNA、のサンプル中のレベルを検出する工程;および(c)オリゴヌクレオチドにハイブリダイズするポリヌクレオチドのレベルを、予め決められたカットオフ値と比較し、それから患者における癌の存在または非存在を決定する工程。特定の実施形態において、mRNAの量は、例えば、少なくとも1つのオリゴヌクレオチドプライマー(上に列挙されたポリペプチドをコードするポリヌクレオチドまたはこのようなポリヌクレオチドの相補体にハイブリダイズする)を使用するポリメラーゼ連鎖反応を通じて検出される。他の実施形態において、mRNAの量は、上記のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドまたはそのようなポリヌクレオチドの相補体にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプローブを使用するハイブリダイゼーション技術を使用して検出される。
【0028】
関連する局面において、患者における癌の進行をモニタリングするための方法を提供し、この方法は以下の工程を包含する:(a)患者から得られた生物学的サンプルを、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドにハイブリダイズするオリゴヌクレオチドと接触させる工程;(b)オリゴヌクレオチドにハイブリダイズするポリヌクレオチドのサンプル中の量を検出する工程;(c)続く時点で、患者より得られた生物学的サンプルを使用して、工程(a)および(b)を反復する工程;ならびに(d)工程(c)で検出されたポリヌクレオチドの量を、工程(b)で検出された量と比較し、それから患者における癌の進行をモニタリングする工程。
【0029】
さらなる局面において、本発明は、上記のようにポリペプチドに結合するモノクローナル抗体のような抗体、ならびにそのような抗体を備える診断キットを提供する。上記のような1以上のオリゴヌクレオチドプローブまたはプライマーを供える診断キットもまた、提供される。
【0030】
本発明のこれらの局面および他の局面は、以下の詳細な説明を参照すれば明確になる。本明細書中に開示されるすべての参考文献は、各々が個別に援用されるように、そのすべてが本明細書中で参考として援用される。
【0031】
(配列識別子(SEQUENCE IDENTIFIERS))
配列番号1は、L363C1.consに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号2は、L263C2.consに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号3は、L263C2cに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号4は、L263C1.consに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号5は、L263C1bに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号6は、L164C2.consに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号7は、L164C1.consに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号8は、L366C1aに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号9は、L260C1.consに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号10は、L163C1cに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号11は、L163C1bに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号12は、L255C1.consに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号13は、L255C1bに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号14は、L355C1.consに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号15は、L366C1.consに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号16は、L163C1aに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号17は、LT86−1に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号18は、LT86−2に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号19は、LT86−3に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号20は、LT86−4に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号21は、LT86−5に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号22は、LT86−6に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号23は、LT86−7に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号24は、LT86−8に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号25は、LT86−9に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号26は、LT86−10に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号27は、LT86−11に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号28は、LT86−12に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号29は、LT86−13に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号30は、LT86−14に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号31は、LT86−15に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号32は、LT86−1に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号33は、LT86−2に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号34は、LT86−3に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号35は、LT86−4に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号36は、LT86−5に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号37は、LT86−6に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号38は、LT86−7に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号39は、LT86−8に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号40は、LT86−9に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号41は、LT86−10に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号42は、LT86−11に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号43は、LT86−12に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号44は、LT86−13に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号45は、LT86−14に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号46は、LT86−15に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号47は、(dT)12AGプライマーである。
配列番号48は、プライマーである。
配列番号49は、L86S−3に対して決定された5’cDNA配列である。
配列番号50は、L86S−12に対して決定された5’cDNA配列である。
配列番号51は、L86S−16に対して決定された5’cDNA配列である。
配列番号52は、L86S−25に対して決定された5’cDNA配列である。
配列番号53は、L86S−36に対して決定された5’cDNA配列である。
配列番号54は、L86S−40に対して決定された5’cDNA配列である。
配列番号55は、L86S−46に対して決定された5’cDNA配列である。
配列番号56は、L86S−3に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号57は、L86S−12に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号58は、L86S−16に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号59は、L86S−25に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号60は、L86S−36に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号61は、L86S−40に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号62は、L86S−46に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号63は、L86S−30に対して決定された5’cDNA配列である。
配列番号64は、L86S−41に対して決定された5’cDNA配列である。
配列番号65は、LT86−9の5’末端由来の推定アミノ酸配列である。
配列番号66は、LT86−4に対して決定された伸長cDNA配列である。
配列番号67は、LT86−4に対する推定伸長アミノ酸配列である。
配列番号68は、LT86−20に対して決定された5’cDNA配列である。
配列番号69は、LT86−21に対して決定された3’cDNA配列である。
配列番号70は、LT86−22に対して決定された5’cDNA配列である。
配列番号71は、LT86−26に対して決定された5’cDNA配列である。
配列番号72は、LT86−27に対して決定された5’cDNA配列である。
配列番号73は、LT86−20に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号74は、LT86−21に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号75は、LT86−22に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号76は、LT86−26に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号77は、LT86−27に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号78は、L86S−12に対して決定された伸長cDNA配列である。
配列番号79は、L86S−36に対して決定された伸長cDNA配列である。
配列番号80は、L86S−46に対して決定された伸長cDNA配列である。
配列番号81は、L86S−12に対する推定伸長アミノ酸配列である。
配列番号82は、L86S−36に対する推定伸長アミノ酸配列である。
配列番号83は、L86S−46に対する推定伸長アミノ酸配列である。
配列番号84は、L86S−6に対して決定された5’cDNA配列である。
配列番号85は、L86S−11に対して決定された5’cDNA配列である。
配列番号86は、L86S−14に対して決定された5’cDNA配列である。
配列番号87は、L86S−29に対して決定された5’cDNA配列である。
配列番号88は、L86S−34に対して決定された5’cDNA配列である。
配列番号89は、L86S−39に対して決定された5’cDNA配列である。
配列番号90は、L86S−47に対して決定された5’cDNA配列である。
配列番号91は、L86S−49に対して決定された5’cDNA配列である。
配列番号92は、L86S−51に対して決定された5’cDNA配列である。
配列番号93は、L86S−6に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号94は、L86S−11に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号95は、L86S−14に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号96は、L86S−29に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号97は、L86S−34に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号98は、L86S−39に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号99は、L86S−47に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号100は、L86S−49に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号101は、L86S−51に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号102は、SLT−T1に対して決定されたDNA配列である。
配列番号103は、SLT−T2に対して決定された5’DNA配列である。
配列番号104は、SLT−T3に対して決定された5’DNA配列である。
配列番号105は、SLT−T5に対して決定された5’DNA配列である。
配列番号106は、SLT−T7に対して決定された5’DNA配列である。
配列番号107は、SLT−T9に対して決定された5’DNA配列である。
配列番号108は、SLT−T10に対して決定された5’DNA配列である。
配列番号109は、SLT−T11に対して決定された5’DNA配列である。
配列番号110は、SLT−T12に対して決定された5’DNA配列である。
配列番号111は、SLT−T1に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号112は、SLT−T2に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号113は、SLT−T3に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号114は、SLT−T10に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号115は、SLT−T12に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号116は、SALT−T3に対して決定された5’cDNA配列である。
配列番号117は、SALT−T4に対して決定された5’cDNA配列である。
配列番号118は、SALT−T7に対して決定された5’cDNA配列である。
配列番号119は、SALT−T8に対して決定された5’cDNA配列である。
配列番号120は、SALT−T9に対して決定された5’cDNA配列である。
配列番号121は、SALT−T3に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号122は、SALT−T4に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号123は、SALT−T7に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号124は、SALT−T8に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号125は、SALT−T9に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号126は、PSLT−1に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号127は、PSLT−2に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号128は、PSLT−7に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号129は、PSLT−13に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号130は、PSLT−27に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号131は、PSLT−28に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号132は、PSLT−30に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号133は、PSLT−40に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号134は、PSLT−69に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号135は、PSLT−71に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号136は、PSLT−73に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号137は、PSLT−79に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号138は、PSLT−03に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号139は、PSLT−09に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号140は、PSLT−011に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号141は、PSLT−041に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号142は、PSLT−62に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号143は、PSLT−6に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号144は、PSLT−37に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号145は、PSLT−74に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号146は、PSLT−010に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号147は、PSLT−012に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号148は、PSLT−037に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号149は、SAL−3に対して決定された5’cDNA配列である。
配列番号150は、SAL−24に対して決定された5’cDNA配列である。
配列番号151は、SAL−25に対して決定された5’cDNA配列である。
配列番号152は、SAL−33に対して決定された5’cDNA配列である。
配列番号153は、SAL−50に対して決定された5’cDNA配列である。
配列番号154は、SAL−57に対して決定された5’cDNA配列である。
配列番号155は、SAL−66に対して決定された5’cDNA配列である。
配列番号156は、SAL−82に対して決定された5’cDNA配列である。
配列番号157は、SAL−99に対して決定された5’cDNA配列である。
配列番号158は、SAL−104に対して決定された5’cDNA配列である。
配列番号159は、SAL−109に対して決定された5’cDNA配列である。
配列番号160は、SAL−5に対して決定された5’cDNA配列である。
配列番号161は、SAL−8に対して決定された5’cDNA配列である。
配列番号162は、SAL−12に対して決定された5’cDNA配列である。
配列番号163は、SAL−14に対して決定された5’cDNA配列である。
配列番号164は、SAL−16に対して決定された5’cDNA配列である。
配列番号165は、SAL−23に対して決定された5’cDNA配列である。
配列番号166は、SAL−26に対して決定された5’cDNA配列である。
配列番号167は、SAL−29に対して決定された5’cDNA配列である。
配列番号168は、SAL−32に対して決定された5’cDNA配列である。
配列番号169は、SAL−39に対して決定された5’cDNA配列である。
配列番号170は、SAL−42に対して決定された5’cDNA配列である。
配列番号171は、SAL−43に対して決定された5’cDNA配列である。
配列番号172は、SAL−44に対して決定された5’cDNA配列である。
配列番号173は、SAL−48に対して決定された5’cDNA配列である。
配列番号174は、SAL−68に対して決定された5’cDNA配列である。
配列番号175は、SAL−72に対して決定された5’cDNA配列である。
配列番号176は、SAL−77に対して決定された5’cDNA配列である。
配列番号177は、SAL−86に対して決定された5’cDNA配列である。
配列番号178は、SAL−88に対して決定された5’cDNA配列である。
配列番号179は、SAL−93に対して決定された5’cDNA配列である。
配列番号180は、SAL−100に対して決定された5’cDNA配列である。
配列番号181は、SAL−105に対して決定された5’cDNA配列である。
配列番号182は、SAL−3に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号183は、SAL−24に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号184は、SAL−25に対する第1の推定アミノ酸配列である。
配列番号185は、SAL−25に対する第2の推定アミノ酸配列である。
配列番号186は、SAL−33に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号187は、SAL−50に対する第1の推定アミノ酸配列である。
配列番号188は、SAL−57に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号189は、SAL−66に対する第1の推定アミノ酸配列である。
配列番号190は、SAL−66に対する第2の推定アミノ酸配列である。
配列番号191は、SAL−82に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号192は、SAL−99に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号193は、SAL−104に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号194は、SAL−5に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号195は、SAL−8に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号196は、SAL−12に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号197は、SAL−14に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号198は、SAL−16に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号199は、SAL−23に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号200は、SAL−26に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号201は、SAL−29に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号202は、SAL−32に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号203は、SAL−39に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号204は、SAL−42に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号205は、SAL−43に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号206は、SAL−44に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号207は、SAL−48に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号208は、SAL−68に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号209は、SAL−72に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号210は、SAL−77に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号211は、SAL−86に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号212は、SAL−88に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号213は、SAL−93に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号214は、SAL−100に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号215は、SAL−105に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号216は、SAL−50に対する第2の推定アミノ酸配列である。
配列番号217は、SSLT−4に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号218は、SSLT−9に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号219は、SSLT−10に対して決定されたcDNA配列である
配列番号220は、SSLT−12に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号221は、SSLT−19に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号222は、SSLT−31に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号223は、SSLT−38に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号224は、LT4690−2に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号225は、LT4690−3に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号226は、LT4690−22に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号227は、LT4690−24に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号228は、LT4690−37に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号229は、LT4690−39に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号230は、LT4690−40に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号231は、LT4690−41に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号232は、LT4690−49に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号233は、LT4690−55に対して決定された3’cDNA配列である。
配列番号234は、LT4690−55に対して決定された5’cDNA配列である。
配列番号235は、LT4690−59に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号236は、LT4690−63に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号237は、LT4690−71に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号238は、2LT−3に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号239は、2LT−6に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号240は、2LT−22に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号241は、2LT−25に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号242は、2LT−26に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号243は、2LT−31に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号244は、2LT−36に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号245は、2LT−42に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号246は、2LT−44に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号247は、2LT−54に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号248は、2LT−55に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号249は、2LT−57に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号250は、2LT−58に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号251は、2LT−59に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号252は、2LT−62に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号253は、2LT−63に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号254は、2LT−65に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号255は、2LT−66に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号256は、2LT−70に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号257は、2LT−73に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号258は、2LT−74に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号259は、2LT−76に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号260は、2LT−77に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号261は、2LT−78に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号262は、2LT−80に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号263は、2LT−85に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号264は、2LT−87に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号265は、2LT−89に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号266は、2LT−94に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号267は、2LT−95に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号268は、2LT−98に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号269は、2LT−100に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号270は、2LT−103に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号271は、2LT−105に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号272は、2LT−107に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号273は、2LT−108に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号274は、2LT−109に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号275は、2LT−118に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号276は、2LT−120に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号277は、2LT−121に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号278は、2LT−122に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号279は、2LT−124に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号280は、2LT−126に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号281は、2LT−127に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号282は、2LT−128に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号283は、2LT−129に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号284は、2LT−133に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号285は、2LT−137に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号286は、LT4690−71に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号287は、LT4690−82に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号288は、SSLT−74に対して決定された全長cDNA配列である。
配列番号289は、SSLT−78に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号290は、SCC1−8に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号291は、SCC1−12に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号292は、SCC1−336に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号293は、SCC1−344に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号294は、SCC1−345に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号295は、SCC1−346に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号296は、SCC1−348に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号297は、SCC1−350に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号298は、SCC1−352に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号299は、SCC1−354に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号300は、SCC1−355に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号301は、SCC1−356に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号302は、SCC1−357に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号303は、SCC1−501に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号304は、SCC1−503に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号305は、SCC1−513に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号306は、SCC1−516に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号307は、SCC1−518に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号308は、SCC1−519に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号309は、SCC1−522に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号310は、SCC1−523に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号311は、SCC1−525に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号312は、SCC1−527に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号313は、SCC1−529に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号314は、SCC1−530に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号315は、SCC1−531に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号316は、SCC1−532に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号317は、SCC1−533に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号318は、SCC1−536に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号319は、SCC1−538に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号320は、SCC1−539に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号321は、SCC1−541に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号322は、SCC1−542に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号323は、SCC1−546に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号324は、SCC1−549に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号325は、SCC1−551に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号326は、SCC1−552に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号327は、SCC1−554に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号328は、SCC1−558に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号329は、SCC1−559に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号330は、SCC1−561に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号331は、SCC1−562に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号332は、SCC1−564に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号333は、SCC1−565に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号334は、SCC1−566に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号335は、SCCI−567に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号336は、SCCI−568に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号337は、SCC1−570に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号338は、SCC1−572に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号339は、SCC1−575に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号340は、SCC1−576に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号341は、SCC1−577に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号342は、SCC1−578に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号343は、SCC1−582に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号344は、SCC1−583に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号345は、SCC1−586に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号346は、SCC1−588に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号347は、SCC1−590に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号348は、SCCl−591に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号349は、SCC1−592に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号350は、SCC1−593に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号351は、SCC1−594に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号352は、SCCI−595に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号353は、SCC1−596に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号354は、SCC1−598に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号355は、SCC1−599に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号356は、SCCI−602に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号357は、SCC1−604に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号358は、SCC1−605に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号359は、SCC1−606に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号360は、SCC1−607に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号361は、SCC1−608に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号362は、SCC1−610に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号363は、クローンDMS79T1に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号364は、クローンDMS79T2に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号365は、クローンDMS79T3に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号366は、クローンDMS79T5に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号367は、クローンDMS79T6に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号368は、クローンDMS79T7に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号369は、クローンDMS79T9に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号370は、クローンDMS79T10に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号371は、クローンDMS79T11に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号372は、クローン128T1に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号373は、クローン128T2に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号374は、クローン128T3に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号375は、クローン128T4に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号376は、クローン128T5に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号377は、クローン128T7に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号378は、クローン128T9に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号379は、クローン128T10に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号380は、クローン128T11に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号381は、クローン128T12に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号382は、クローンNCIH69T3に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号383は、クローンNCIH69T5に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号384は、クローンNCIH69T6に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号385は、クローンNCIH69T7に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号386は、クローンNCIH69T9に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号387は、クローンNCIH69T10に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号388は、クローンNCIH69T11に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号389は、クローンNCIH69T12に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号390は、128T1に対する全長cDNA配列である。
配列番号391は、128T1に対するアミノ酸配列である。
配列番号392は、2LT−128に対する全長cDNA配列である。
配列番号393は、2LT−128に対するアミノ酸配列である。
配列番号394は、クローンSCC1−542に対する伸長cDNA配列である。
配列番号395は、配列番号394に対応するアミノ酸配列である。
配列番号396は、クローンSCC1−593に対する伸長cDNA配列である。
配列番号397は、配列番号396に対応するアミノ酸配列である。
配列番号398は、55508.1に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号399は、55509.1に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号400は、54243.1に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号401は、54251.1に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号402は、54252.1に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号403は、54253.1に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号404は、55518.1に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号405は、54258.1に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号406は、54575.1に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号407は、54577.1に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号408は、54584.1に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号409は、55521.1に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号410は、54589.1に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号411は、54592.1に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号412は、55134.1に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号413は、55137.1に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号414は、55140.1に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号415は、55531.1に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号416は、55532.1に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号417は、54621.1に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号418は、55548.1に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号419は、54623.1に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号420は、L39に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号421は、L39に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号422は、SCC2−29に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号423は、SCC2−36に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号424は、SCC2−60に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号425は、SCC2−29に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号426は、SCC2−36に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号427は、SCC2−60に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号428は、クローン20129に対する伸長cDNA配列であり、配列番号238に示される2LT−3とも呼ばれる。
配列番号429は、クローン20347に対する伸長cDNA配列であり、配列番号242に示される2LT−26とも呼ばれる。
配列番号430は、クローン21282に対する伸長cDNA配列であり、配列番号249に示される2LT−57とも呼ばれる。
配列番号431は、クローン21283に対する伸長cDNA配列であり、配列番号250に示される2LT−58とも呼ばれる。
配列番号432は、クローン21484に対する伸長cDNA配列であり、配列番号268に示される2LT−98とも呼ばれる。
配列番号433は、クローン21871に対する伸長cDNA配列であり、配列番号279に示される2LT−124とも呼ばれる。
配列番号434は、配列番号428によってコードされるアミノ酸配列である。
配列番号435は、配列番号429によってコードされるアミノ酸配列である。
配列番号436は、配列番号430によってコードされるアミノ酸配列である。
配列番号437は、配列番号431によってコードされるアミノ酸配列である。
配列番号438は、配列番号432によってコードされるアミノ酸配列である。
配列番号439は、配列番号433によってコードされるアミノ酸配列である。
配列番号440は、クローン19A4に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号441は、クローン14F10に対して決定された全長cDNA配列である。
配列番号442は、クローン20E10に対して決定された5’cDNA配列である。
配列番号443は、クローン55153に対する第1の決定されたcDNA配列である。
配列番号444は、クローン55153に対する第2の決定されたcDNA配列である。
配列番号445は、クローン55154に対する第1の決定されたcDNA配列である。
配列番号446は、クローン55154に対する第2の決定されたcDNA配列である。
配列番号447は、クローン55155に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号448は、クローン55156に対する第1の決定されたcDNA配列である。
配列番号449は、クローン55156に対する第2の決定されたcDNA配列である。
配列番号450は、クローン55157に対する第1の決定されたcDNA配列である。
配列番号451は、クローン55157に対する第2の決定されたcDNA配列である。
配列番号452は、クローン55158に対して決定されたcDNA配列である。
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配列番号549は、クローン57258に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号550は、クローン57259に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号551は、クローン57261に対して決定されたcDNA配列である。
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配列番号555は、クローン57265に対して決定されたcDNA配列である。
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配列番号558は、クローン57268に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号559は、クローン57269に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号560は、クローン57270に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号561は、クローン57271に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号562は、クローン57272に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号563は、クローン57274に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号564は、クローン57275に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号565は、クローン57277に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号566は、クローン57280に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号567は、クローン57281に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号568は、クローン57282に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号569は、クローン57283に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号570は、クローン57285に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号571は、クローン57287に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号572は、クローン57288に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号573は、クローン57289に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号574は、クローン57290に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号575は、クローン57292に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号576は、クローン57295に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号577は、クローン57296に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号578は、クローン57297に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号579は、クローン57299に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号580は、クローン57301に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号581は、クローン57302に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号582は、肺腫瘍特異的T細胞レセプターのβ鎖に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号583は、肺腫瘍特異的T細胞レセプターのα鎖に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号584は、配列番号583によってコードされるアミノ酸配列である。
配列番号585は、配列番号582によってコードされるアミノ酸配列である。
配列番号586は、14F10の5’末端によってコードされるアミノ酸配列である。
配列番号587は、配列番号586に含まれるT細胞エピトープのアミノ酸配列である。
【0032】
(発明の詳細な説明)
本発明は、一般的に、組成物ならびに癌(特に、肺癌)の治療および診断におけるその使用に関する。以下にさらに記載するように、本発明の例示的な組成物としては、ポリペプチド(特に、免疫原性ポリペプチド)、このようなポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、抗体および他の抗原結合因子、抗原提示細胞(APC)および免疫系細胞(例えば、T細胞)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0033】
本発明の実施には、特に逆に示さない限り、当業者の範囲内のウイルス学、免疫学、微生物学、分子生物学、および組み換えDNA技術の従来の方法を使用する。その多くが例示の目的で以下に記載されている。このような技術は、これらの文献中に完全に説明されている。例えば、Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual(第2版,1989);Maniatisら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual(1982);DNA Cloning:A Practical Approach,第I巻およびII巻(D.Glover、編);Oligonucleotide Synthesis(N.Gait編,1984);Nucleic Acid Hybridization(B.HamesおよびS.Higgins編、1985);Transcription and Translation(B.HamesおよびS.Higgins編,1984);Animal Cell Culture(R.Freshney、編、1986);Perbal,A Practical Guide to Molecular Cloning(1984)を参照のこと。
【0034】
本願に引用した全ての刊行物、特許および特許出願は、前出であっても後出であっても、その全体が参考として本明細書に援用される。
【0035】
本明細書および添付の特許請求の範囲で用いる場合、単数形「1つの(a)、(an)」および「この、その(the)」は、文脈が明白に他を示さない限り、複数の言及を含む。
【0036】
(ポリペプチド組成物)
本明細書中において使用される場合、用語「ポリペプチド」は、その従来の意味で(すなわち、アミノ酸の配列として)使用される。ポリペプチドは、生成物の特定の長さに限定されず;従って、ペプチド、オリゴペプチド、およびタンパク質が、ポリペプチドの定義内に含まれ、そしてこのような用語は、他に特に示されない限り、本明細書中において交換可能に使用され得る。この用語はまた、ポリペプチドの発現後修飾(例えば、グリコシル化、アセチル化、リン酸化など、ならびに当該分野で公知の他の修飾(天然に存在するものおよび天然に存在しないものの両方))を言及も、排除もしない。ポリペプチドは、タンパク質全体であっても、またはその部分配列であってもよい。本発明の状況における目的の特定のポリペプチドは、エピトープ(すなわち、ポリペプチドの免疫原性特性を実質的に担い、かつ、免疫応答を誘起し得る抗原性決定基)を含むアミノ酸の部分配列である。
【0037】
詳細には、本発明の例示的なポリペプチドは、配列番号217〜390、392、394、396、398〜420、422〜424、428〜433および440〜583のいずれか1つに示されるポリヌクレオチド配列、あるいは中程度にストリンジェントな条件下かまたは高度にストリンジェントな条件下で配列番号217〜390、392、394、396、398〜420、422〜424、428〜433および440〜583のいずれか1つに示されるポリヌクレオチド配列にハイブリダイズする配列によってコードされるポリペプチドを含む。本発明の特定の他の例示的なポリペプチドは、配列番号391、393、395、397、421、425〜427、434〜439、および584〜587のいずれか1つに示されるアミノ酸配列を含む。
【0038】
本発明のポリペプチドは、ときどき本明細書中において、その同定が肺腫瘍サンプルにおけるそれらの増加した発現レベルに少なくとも一部基づく指標として、肺腫瘍タンパク質または肺腫瘍ポリペプチドといわれる。従って、「肺腫瘍ポリペプチド」または「肺腫瘍タンパク質」は、一般的に、本明細書中に提供される代表的なアッセイを用いて決定された場合に、正常組織における発現レベルよりも、少なくとも2倍、そして好ましくは少なくとも5倍高いレベルで、肺腫瘍サンプルの実質的な割合(例えば、試験した肺腫瘍サンプルの好ましくは約20%より多く、より好ましくは約30%より多く、そして最も好ましくは約50%以上)に発現される、本発明のポリペプチド配列またはこのようなポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列をいう。腫瘍細胞における増加した発現レベルに基づく本発明の肺腫瘍ポリペプチド配列は、以下にさらに記載されるように、診断マーカーならびに治療標的の両方としての特定の有用性を有する。
【0039】
特定の好ましい実施形態において、本発明のポリペプチドは、免疫原性であり、すなわち、本発明のポリペプチドは、免疫アッセイ(例えば、ELISAまたはT細胞刺激アッセイ)において肺癌を有する患者由来の抗血清および/またはT細胞と検出可能に反応する。免疫原性活性についてのスクリーニングは、当業者に周知の技術を用いて実行され得る。例えば、このようなスクリーニングは、HarlowおよびLane,Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,1988に記載のような方法を使用して行われ得る。1つの例示的な例において、ポリペプチドを固体支持体に固定し、そして患者の血清と接触させて、その血清中の抗体をその固定されたポリペプチドに結合させ得る。次いで、結合されなかった血清を除去し、結合された抗体を、例えば、125I標識化プロテインAを使用して検出し得る。
【0040】
当業者に認識されるように、本明細書中に開示されるポリペプチドの免疫原性部分がまた、本発明によって含まれる。本明細書中に使用される場合、「免疫原性部分」は、本発明の免疫原性ポリペプチドのフラグメントであり、このフラグメントは、それ自体がこのポリペプチドを認識するB細胞および/またはT細胞表面抗原レセプターと免疫学的に反応性である(すなわち、特異的に結合する)。免疫原性部分は、一般的にPaul,Fundamental Immunology,第3版、243−247(Raven Press,1993)およびそこに引用される参考文献に要約されるような周知技術を使用して、同定され得る。このような技術は、抗原特異的な抗体、抗血清および/あるいはT細胞株またはT細胞クローンと反応する能力についてポリペプチドをスクリーニングする工程を包含する。本明細書中で使用される場合、抗血清および抗体は、それらが抗原に特異的に結合する(すなわち、これらが、ELISAまたは他の免疫アッセイにおいてそのタンパク質と反応し、無関係なタンパク質とは検出可能に反応しない)場合、「抗原特異的」である。このような抗血清および抗体は、本明細書中に記載されるように、そして周知技術を使用して調製され得る。
【0041】
1つの好ましい実施形態において、本発明のポリペプチドの免疫原性部分は、全長ポリペプチドの反応性よりも実質的に小さくないレベルで抗血清および/またはT細胞と反応する部分である(例えば、ELISAおよび/またはT細胞反応性アッセイにおいて)。好ましくは、免疫原性部分の免疫原性活性のレベルは、全長ポリペプチドについての免疫原性の、少なくとも約50%、好ましくは少なくとも約70%、そして最も好ましくは約90%よりも大きい免疫原性のレベルである。いくつかの例において、対応する全長ポリペプチドの免疫原性活性のレベルよりも大きい免疫原性活性のレベルを有する好ましい免疫原性部分(例えば、約100%より上または150%以上の免疫原性活性を有する)が、同定される。
【0042】
特定の他の実施形態において、例示的な免疫原性部分は、N末端リーダー配列および/または膜貫通ドメインが欠失されたペプチドを含み得る。他の例示的な免疫原性部分は、成熟タンパク質に対して、小さいN末端欠失および/またはC末端欠失(例えば、1〜30アミノ酸、好ましくは5〜15アミノ酸)を含む。
【0043】
別の実施形態において、本発明のポリペプチド組成物はまた、本発明のポリペプチド(特に、本明細書中に開示されるアミノ酸配列を有するポリペプチド)に対して作製されたT細胞および/または抗体と免疫学的に反応性である1つ以上のポリペプチド、あるいはその免疫原性フラグメントまたは改変体を含み得る。
【0044】
本発明の別の実施形態において、本明細書中に記載される1つ以上のポリペプチド、または本明細書中に開示されるポリヌクレオチド配列に含まれる連続する核酸配列(またはその免疫原性フラグメントまたは改変体)もしくは中程度から高いストリンジェンシーの条件下でこれらの配列の1つ以上にハイブリダイズする1つ以上の核酸配列によってコードされる1つ以上のポリペプチドと、免疫学的に反応性であるT細胞および/もしくは抗体を誘発し得る1つ以上のポリペプチドを含むポリペプチドが提供される。
【0045】
別の局面において、本発明は、本明細書中に示されるポリペプチド組成物(例えば、配列番号391、393、395、397、421、425〜427、434〜439、および584〜587に示されるようなもの、または配列番号217〜390、392、394、396、398〜420、422〜424、428〜433および440〜583の配列に示されるポリヌクレオチド配列によってコードされるようなもの)の、少なくとも約5、10、15、20、25、50、もしくは100個またはそれより多く連続するアミノ酸(全ての中間の長さを含む)を含むポリペプチドフラグメントを提供する。
【0046】
別の局面において、本発明は、本明細書中に記載されるポリペプチド組成物の改変体を提供する。本発明によって一般的に含まれるポリペプチド改変体は、代表的に、本明細書中に示されるポリペプチド配列に対して、その長さに沿って、少なくとも約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、もしくは約99%またはそれより高い同一性(下記のように決定した)を示す。
【0047】
1つの好ましい実施形態において、本発明によって提供されるポリペプチドフラグメントおよび改変体は、本明細書中に詳細に示される全長ポリペプチドと反応性である抗体および/またはT細胞と免疫学的に反応性である。
【0048】
別の好ましい実施形態において、本発明によって提供されるポリペプチドフラグメントおよび改変体は、本明細書中に詳細に示される全長ポリペプチド配列によって示される免疫学的活性のレベルの、少なくとも約50%、好ましくは少なくとも約70%、および最も好ましくは少なくとも約90%またはそれより高い免疫学的活性のレベルを示す。
【0049】
本明細書中に使用される用語としてのポリペプチド「改変体」は、1つ以上の置換、欠失、付加および/または挿入によって、本明細書中に詳細に開示されるポリペプチドとは典型的に異なるポリペプチドである。このような改変体は、天然に存在してもよいし、例えば、本発明の上記のポリペプチド配列の1つ以上を改変し、そして本明細書中に記載されるようにそれらの免疫原性活性を評価することによって、および/または当該分野で周知の多数の技術の内のいずれかを使用して、合成的に作製されてもよい。
【0050】
例えば、本発明のポリペプチドの特定の例示的な改変体は、1つ以上の部分(例えば、N末端リーダー配列または膜貫通ドメイン)が除去されている改変体を含む。他の例示的な改変体としては、小さい部分(例えば、1〜30アミノ酸、好ましくは5〜15アミノ酸)が、成熟タンパク質のN末端および/またはC末端から除去されている改変体を含む。
【0051】
多くの例において、改変体は、保存的置換を含む。「保存的置換」は、アミノ酸が、類似の特性を有する別のアミノ酸で置換されている置換であり、その結果、ペプチド化学の当業者は、実質的に変化していないポリペプチドの二次構造およびヒドロパシー性質を予測する。上記のように、改変は、本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドの構造においてなされ得、そしてなお、所望の特徴を有する(例えば、免疫原性特徴を有する)、改変体または誘導体ポリペプチドをコードする機能的分子を獲得し得る。本発明のポリペプチドの等価物または改善された免疫原性改変体または部分を作製するために、ポリペプチドのアミノ酸配列を変更することが所望の場合、当業者は代表的に、表1に従ってコードDNA配列の1つ以上のコドンを変化させる。
【0052】
例えば、特定のアミノ酸は、例えば、抗体の抗原結合領域または基質分子上の結合部位のような構造を有するタンパク質構造中の他のアミノ酸に、容易に感知できる程度の相互作用的な結合能の損失なしで、置換され得る。タンパク質の相互作用的な能力および性質がタンパク質の生物学的機能的活性を規定するので、特定のアミノ酸配列置換は、タンパク質配列、および当然ながら、その根底にあるDNAコード配列においてなされ得、そしてそれにも関わらず、同様の特性を有するタンパク質が入手される。従って、種々の変化が、ペプチドの生物学的有用性または活性の感知できる程度の損失なしで、開示された組成物のペプチド配列またはそのペプチドをコードする対応するDNA配列においてなされ得ることが意図される。
【0053】
【表1】
このような変化を作製する際に、アミノ酸のヒドロパシー指標が考慮され得る。タンパク質に相互作用的な生物学的機能を付与する際のヒドロパシーアミノ酸指標の重要性は、一般的に当該分野において理解されている(KyteおよびDoolittle、1982、本明細書中に参考として援用される)。アミノ酸の相対的な疎水性親水性的性質は、得られるタンパク質の二次構造に寄与し、これは次には、そのタンパク質の他の分子(例えば、酵素、基質、レセプター、DNA、抗体、抗原など)との相互作用を規定することが受け入れられている。各アミノ酸は、その疎水性および電荷特性に基づいて疎水性親水性指標を割り当てられている(KyteおよびDoolittle、1982)。これらの値は以下である:イソロイシン(+4.5);バリン(+4.2);ロイシン(+3.8);フェニルアラニン(+2.8);システイン/シスチン(+2.5);メチオニン(+1.9);アラニン(+1.8);グリシン(−0.4);スレオニン(−0.7);セリン(−0.8);トリプトファン(−0.9);チロシン(−1.3);プロリン(−1.6);ヒスチジン(−3.2);グルタミン酸(−3.5);グルタミン(−3.5);アスパラギン酸(−3.5);アスパラギン(−3.5);リジン(−3.9);およびアルギニン(−4.5)。
【0054】
特定のアミノ酸が同様の疎水性親水性指標またはスコアを有する他のアミノ酸によって置換され得、そしてなお同様の生物学的活性を有するタンパク質を生じる(すなわち、生物学的に機能的に等価なタンパク質をなお入手する)ことが、当該分野において公知である。このような変化を作製する際に、その疎水性親水性指標が±2以内であるアミノ酸の置換が好ましく、その疎水性親水性指標が±1以内であるアミノ酸の置換が特に好ましく、そしてその疎水性親水性指標が±0.5以内であるアミノ酸の置換がなおより特に好ましい。同様なアミノ酸の置換が、親水性に基づいて有効になされ得ることもまた、当該分野で理解されている。米国特許第4,554,101号(その全体が本明細書中に参考として具体的に援用される)は、タンパク質の生物学的特性と相関するその隣接するアミノ酸の親水性によって支配される、そのタンパク質の最大局所的平均親水性に言及する。
【0055】
米国特許第4,554,101号に詳述されるように、以下の親水性値がアミノ酸残基に割り当てられた:アルギニン(+3.0);リジン(+3.0);アスパラギン酸(+3.0±1);グルタミン酸(+3.0±1);セリン(+0.3);アスパラギン(+0.2);グルタミン(+0.2);グリシン(0);スレオニン(−0.4);プロリン(−0.5±1);アラニン(−0.5);ヒスチジン(−0.5);システイン(−1.0);メチオニン(−1.3);バリン(−1.5);ロイシン(−1.8);イソロイシン(−1.8);チロシン(−2.3);フェニルアラニン(−2.5);トリプトファン(−3.4)。アミノ酸は、同様の親水性値を有する別のアミノ酸に置換され得、そしてなお、生物学的に等価なタンパク質(特に、免疫学的に等価なタンパク質)を得ることが理解される。このような変化において、その親水性値が±2以内であるアミノ酸の置換が好ましく、その親水性値が±1以内であるアミノ酸の置換が特に好ましく、そしてその親水性値が±0.5以内であるアミノ酸の置換がなおより特に好ましい。
【0056】
上記に概説したように、従って、アミノ酸置換は、一般的にアミノ酸側鎖置換基の相対的な類似性(例えば、その疎水性、親水性、電荷、サイズなど)に基づく。前述の種々の特徴を考慮する例示的な置換は当業者に周知であり、そして以下を含む:アルギニンおよびリジン;グルタミン酸およびアスパラギン酸;セリンおよびスレオニン;グルタミンおよびアスパラギン;ならびにバリン、ロイシン、およびイソロイシン。
【0057】
さらに、任意のポリヌクレオチドが、インビボでの安定性を増加させるためにさらに修飾され得る。可能な修飾には以下が挙げられるがこれらに限定されない:5’末端および/または3’末端での隣接配列の付加;バックボーンにおいて、ホスホジエステル(phosphodiesterase)結合よりはむしろホスホロチオエートまたは2’O−メチルの使用;ならびに/あるいは従来とは異なる塩基(例えば、イノシン、キューオシン、およびワイブトシン、ならびにアデニン、シチジン、グアニン、チミン、およびウリジンのアセチル、メチル、チオ、および他の修飾形態)の含有。
【0058】
アミノ酸置換はさらに、残基の極性、電荷、溶解性、疎水性、親水性および/または両親媒性性質の類似性に基づいて作製され得る。例えば、負に荷電したアミノ酸としては、アスパラギン酸およびグルタミン酸;正に荷電したアミノ酸としては、リジンおよびアルギニン;ならびに類似の親水性値を有する非荷電の極性頭部基を有するアミノ酸としては、ロイシン、イソロイシンおよびバリン;グリシンおよびアラニン;アスパラギンおよびグルタミン;ならびにセリン、トレオニン、フェニルアラニンおよびチロシンが挙げられる。保存的変化を示し得るアミノ酸の他のグループとしては、(1)ala、pro、gly、glu、asp、gln、asn、ser、thr;(2)cys、ser、tyr、thr;(3)val、ile、leu、met、ala、phe;(4)lys、arg、his;および(5)phe、tyr、trp、hisが挙げられる。改変体はまた、またはあるいは、非保存的変化を含み得る。好ましい実施形態において、改変体ポリペプチドは、5以下のアミノ酸の置換、欠失または付加によって、ネイティブの配列とは異なる。改変体はまた(またはあるいは)、例えば、ポリペプチドの免疫原性、二次構造および疎水性親水性性質に最小限の影響しか有さないアミノ酸の欠失または付加によって、改変され得る。
【0059】
上記のように、ポリペプチドは、タンパク質のN末端にシグナル(または、リーダー)配列を含み得、これは、翻訳と同時に、または翻訳後に、そのタンパク質の転移を指向する。このポリペプチドはまた、このポリペプチドの合成、精製または同定を容易にするために、またはこのポリペプチドの固体支持体への結合を増強するために、リンカー配列または他の配列(例えば、ポリHis)に結合体化され得る。例えば、ポリペプチドは、免疫グロブリンFc領域に結合体化され得る。
【0060】
ポリペプチド配列を比較する場合、2つの配列におけるアミノ酸の配列が、以下に記載されるように最大一致について整列される場合に同じであるときに、2つの配列が「同一」であるといわれる。2つの配列の間の比較は、代表的には、配列類似性の局所領域を同定および比較するために、比較ウインドウ(comparison window)にわたって配列を比較することによって行われる。本明細書中で使用される場合、「比較ウインドウ」は、少なくとも約20、通常は30〜約75、40〜約50の連続した位置のセグメントをいい、ここで、2つの配列が最適に整列された後に、配列が、連続した位置の同じ数の参照配列と比較され得る。
【0061】
比較のための配列の最適な整列は、生命情報科学ソフトウェアのLasergeneスイート(suite)におけるMegalignプログラム(DNASTAR,Inc.,Madison,WI)を使用して、デフォルトパラメーターで行われ得る。このプログラムは、以下の参考文献に記載のいくつかの整列スキームを統合する:Dayhoff,M.O.(編)Atlas of Protein Sequence and Structure,National Biomedical Research Foundation,Washington DC Vol.5,Suppl.3,pp.345−358におけるDayhoff,M.O.(1978)A model of evolutionary change in proteins−Matrices for detecting distant relationships.;Hein J.(1990)Unified Approach to Alignment and Phylogenes pp.626−645 Methods in Enzymology vol.183,Academic Press,Inc.,San Diego,CA;Higgins,D.G.およびSharp,P.M.(1989)CABIOS 5:151−153;Myers,E.W.およびMuller W.(1988)CABIOS 4:11−17;Robinson,E.D.(1971)Comb.Theor 11:105;Santou,N.Nes,M.(1987)Mol.Biol.Evol.4:406−425;Sneath,P.H.A.およびSokal,R.R.(1973)Numerical Taxonomy−the Principles and Practice of Numerical Taxonomy,Freeman Press,San Francisco,CA;Wilbur,W.J.およびLipman,D.J.(1983)Proc.Natl.Acad.,Sci.USA 80:726−730。
【0062】
あるいは、比較のための配列の最適な整列は、SmithおよびWaterman(1981)Add.APL.Math 2:482の局所同定アルゴリズムによって、NeedlemanおよびWunsch(1970)J.Mol.Biol.48:443の同定整列アルゴリズムによって、PearsonおよびLipman(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:2444の類似性検索方法によって、これらのアルゴリズムのコンピュータ化した実行(Wisconsin Genetics Software Package,Genetics Computer Group(GCG),575 Science Dr.,Madison,WIにおけるGAP、BESTFIT、BLAST、FASTA、およびTFASTA)によって、または検査によって行われ得る。
【0063】
配列同一性および配列類似性の割合を決定するために適切なアルゴリズムの1つの好ましい例は、BLASTおよびBLAST2.0アルゴリズムであり、これはそれぞれAltschul et al.(1977)Nucl.Acids Res.25:3389−3402およびAltschul et al.(1990)J.Mol.Biol.215:403−410に記載される。BLASTおよびBLAST2.0は、本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドについての配列同一性の割合を決定するために、例えば、本明細書中に記載のパラメーターを使用して使用され得る。BLAST分析を行うためのソフトウェアは、Natinal Center for Biotechnology Informationを通して公に利用可能である。アミノ酸配列について、スコアリングマトリクスは、累積スコアを算出するために使用され得る。各指示におけるワードヒットの拡大は、以下の場合に停止する:累積整列スコアが、その最大到達値から量Xだけ低下した場合;累積スコアが、1以上の負のスコアの残基整列の累積に起因してゼロ以下になった場合;またはいずれかの配列の末端に到達した場合。このBLASTアルゴリズムパラメーターW、TおよびXは、整列の感度および速度を決定する。
【0064】
1つの好ましいアプローチにおいて、「配列同一性のパーセンテージ」は、少なくとも20位置の比較ウインドウにわたる2つの最適に整列した配列を比較することによって決定され、ここで比較ウインドウ中のポリペプチド配列の部分は、参照配列(これは、付加または欠失を含まない)と比較して、2つの配列の最適な整列について20パーセント以下、通常は5〜15パーセント、または10〜12パーセントの付加または欠失(すなわち、ギャップ)を含み得る。このパーセンテージは、両方の配列で同一のアミノ酸残基が生じる位置の数を決定して一致する位置の数を得、この一致する位置の数を参照配列における位置の総数(すなわち、ウインドウサイズ)で除算し、そしてこの結果に100を掛けて配列同一性のパーセンテージを得ることによって算出される。
【0065】
他の例示的な実施形態において、ポリペプチドは、本明細書中に記載の複数のポリペプチドを含むか、または本明細書に記載の少なくとも1つのポリペプチドおよび関連しない配列(例えば、公知の腫瘍タンパク質)を含む融合ポリペプチドであり得る。例えば、融合パートナーは、Tヘルパーエピトープ(免疫学的融合パートナー)、好ましくはヒトによって認識されるTヘルパーエピトープを提供する際に補助し得るか、またはネイティブの組換えタンパク質より高い収量でタンパク質(発現エンハンサー)を発現する際に補助し得る。特定の好ましい融合パートナーは、免疫学的融合パートナーおよび発現増強融合パートナーの両方である。他の融合パートナーは、ポリペプチドの溶解性を増加するように、またはポリペプチドが所望の細胞内コンパートメントに標的化されることを可能にするように選択され得る。なおさらなる融合パートナーには、親和性タグ(これは、ポリペプチドの精製を容易にする)が挙げられる。
【0066】
融合ポリペプチドは、一般に、標準的な技術(化学的結合体化を含む)を使用して調製され得る。好ましくは、融合ポリペプチドは、発現系において、組換えポリペプチドとして発現され、非融合ポリペプチドと比較して、増加したレベルの産生を可能にする。手短に言うと、このポリペプチド成分をコードするDNA配列を、別々にアセンブルし得、そして適切な発現ベクターに連結し得る。1つのポリペプチド成分をコードするDNA配列の3’末端は、ペプチドリンカーを用いてまたは用いずに、第2のポリペプチド成分をコードするDNA配列の5’末端に、これらの配列のリーディングフレームが同じ相にあるように連結される。このことが、両方の成分ポリペプチドの生物学的活性を保持する単一の融合ポリペプチドへの翻訳を可能にする。
【0067】
ペプチドリンカー配列は、各ポリペプチドがその二次構造および三次構造へと折り畳まれるのを保証するために十分な距離で第一および第二のポリペプチド成分を隔てるために用いられ得る。このようなペプチドリンカー配列は、当該分野で周知の標準的な技術を用いて融合ポリペプチド中に組み込まれる。適切なペプチドリンカー配列は、以下の因子に基づいて選択され得る:(1)フレキシブルな伸長したコンホメーションを採る能力;(2)第一および第二のポリペプチド上の機能的なエピトープと相互作用し得る二次構造を採ることができないこと;および(3)ポリペプチドの機能的なエピトープと反応し得る疎水性または荷電した残基の無いこと。好ましいペプチドリンカー配列は、Gly、AsnおよびSer残基を含む。ThrおよびAlaのような中性に近い他のアミノ酸もまた、リンカー配列に用いられ得る。リンカーとして有用に用いられ得るアミノ酸配列は、Marateaら、Gene 40:39−46、1985;Murphyら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 83:8258−8262、1986;米国特許第4,935,233号および米国特許第4,751,180号に開示されるアミノ酸配列を含む。リンカー配列は、一般的に1から約50アミノ酸長であり得る。リンカー配列は、第一および第二のポリペプチドが、機能的ドメインを分離するため、および立体的な干渉を防ぐために用いられ得る非必須N末端アミノ酸領域を有する場合、必要とされない。
【0068】
連結されたDNA配列は、適切な転写または翻訳調節エレメントに作動可能に連結される。DNAの発現を担う調節エレメントは、第一のポリペプチドをコードするDNA配列の5’側にのみ位置する。同様に、翻訳および転写終結シグナルを終了するために必要とされる終止コドンは、第二のポリペプチドをコードするDNA配列の3’側にのみ存在する。
【0069】
融合ポリペプチドは、関連しない免疫原性タンパク質と共に、本明細書中に記載されるようなポリペプチド(例えば、免疫原性タンパク質は、リコール(recall)応答を惹起し得る)を含むこのようなタンパク質の例としては、破傷風タンパク質、結核タンパク質および肝炎タンパク質が挙げられる(例えば、Stouteら、New Engl.J.Med.、336:86−91(1997)を参照のこと)。
【0070】
1つの好ましい実施形態において、免疫学的融合パートナーは、Mycobacterium sp.(例えば、Mycobacterium tuberculosis由来Ra12フラグメント)に由来する。Ra12組成物および異種ポリヌクレオチド/ポリペプチド配列の発現および/または免疫原性を強化する際の使用のための方法が、米国特許出願60/158,585(この開示は、その全体が本明細書において参考として援用されている)において記載されている。手短にいうと、Ra12は、Mycobacterium tuberculosis MTB32A核酸のサブ配列であるポリヌクレオチド領域をいう。MTB32Aは、病原性および非病原性株のM.tuberculosis中の遺伝子によってコードされる32KD分子量のセリンプロテアーゼである。MTB32Aのヌクレオチド配列およびアミノ酸配列が記載されている(例えば、米国特許出願60/158,585;Skeikyら、Infection and Immun.(1999)67:3998−4007もまた参照のこと(本明細書中に参考として援用される))。MTB32Aコード配列のC末端フラグメントは、高いレベルで発現し、そして精製プロセスの間中、可溶性ポリペプチドとして残ったままであった。さらに、Ra12は、それが融合される異種免疫原性ポリペプチドの免疫原性を強化し得る。1つの好ましいRa12融合ポリペプチドは、MTB32Aのアミノ酸残基192〜323に対応する14KDのC末端フラグメントを含む。他の好ましいRa12ポリヌクレオチドは一般に、Ra12ポリペプチドの一部をコードする、少なくとも約15連続するヌクレオチド、少なくとも約30ヌクレオチド、少なくとも約60ヌクレオチド、少なくとも約100ヌクレオチド、少なくとも約200ヌクレオチド、または少なくとも約300ヌクレオチドを含む。Ra12ポリヌクレオチドは、ネイティブ配列(すなわち、Ra12ポリペプチドまたはその一部をコードする内因性配列)を含み得るか、またはこのような配列の改変体を含み得る。Ra12ポリヌクレオチド改変体は、コードされた融合ポリペプチドの生物学的活性が、ネイティブなRa12ポリペプチドを含む融合ポリペプチドと比較して、実質的に減少しないように、1つ以上の置換、付加、欠失および/または挿入を含み得る。改変体は、好ましくは、ネイティブなRa12ポリペプチドまたはその一部をコードするポリヌクレオチド配列に少なくとも約70%の同一性、より好ましくは少なくとも約80%の同一性、そして最も好ましくは、少なくとも約90%の同一性を示す。
【0071】
他の好ましい実施形態において、免疫学的融合パートナーは、グラム陰性細菌Haemophilus influenza Bの表面タンパク質である、プロテインD(WO 91/18926)に由来する。好ましくは、プロテインD誘導体は、ほぼ3分の1のタンパク質(例えば、最初のN末端100〜110アミノ酸)を含み、そしてプロテインD誘導体は、脂質化(lipidated)され得る。特定の好ましい実施形態において、リポプロテインD融合パートナーの最初の109残基は、さらなる外因性T細胞エピトープを有するポリペプチドを提供するように、そしてE.coli中の発現レベルを増加する(従って、発現エンハンサーとして機能する)ように、N末端に含まれる。脂質テールは、抗原提示細胞への抗原の最適な提示を保証する。他の融合パートナーは、インフルエンザウイルス由来の非構造タンパク質、NS1(血球凝集素)を含む。代表的に、N末端の81アミノ酸が用いられるが、Tヘルパーエピトープを含む異なるフラグメントが用いられてもよい。
【0072】
別の実施形態において、免疫学的融合パートナーは、LYTAとして公知のタンパク質、またはその一部(好ましくはC末端部分)である。LYTAは、アミダーゼLYTA(LytA遺伝子によりコードされる;Gene 43:265〜292,1986)として公知のN−アセチル−L−アラニンアミダーゼを合成するStreptococcus pneumoniae由来である。LYTAは、ペプチドグリカン骨格中の特定の結合を特異的に分解する自己溶解素である。LYTAタンパク質のC末端ドメインは、コリンまたはいくつかのコリンアナログ(例えば、DEAE)への親和性を担う。この性質は、融合タンパク質の発現のために有用なE.coli C−LYTA発現プラスミドの開発のために開発された。アミノ末端でC−LYTAフラグメントを含むハイブリッドタンパク質の精製が、記載されている(Biotechnology 10:795〜798,1992を参照のこと)。好ましい実施形態において、LYTAの反復部分は、融合ポリペプチドに組み込まれ得る。反復部分は、残基178で開始するC末端領域中に見出される。特に好ましい反復部分は、残基188〜305を組み込む。
【0073】
なお別の例示的な実施形態は、融合ポリペプチドおよびそれらをコードするポリヌクレオチドを含み、ここで、融合パートナーは、米国特許第5,633,234号において記載されるような、ポリペプチドをエンドソーム/リソソーム区画に指向し得る標的化シグナルを含む。本発明の免疫原性ポリペプチドは、この標的化シグナルと融合される場合、MHCクラスII分子とより効率的に結合し、それにより、ポリペプチドに特異的なCD4+T細胞の強化されたインビボ刺激を提供する。
【0074】
本発明のポリペプチドは、種々の周知の合成技術および/または組換え技術(後者は以下にさらに記載される)のいずれかを使用して調製される。一般に、約150アミノ酸未満のポリペプチド、部分および他の改変体は、当業者に周知の技術を使用して、合成手段によって生成され得る。1つの例示的な実施例において、このようなポリペプチドは、任意の市販の固相技術(例えば、Merrifield固相合成法(ここでは、アミノ酸が連続的に付加されて、アミノ酸鎖を成長させる))を使用して、合成される。Merrifield,J.Am.Chem.Soc.85:2149−2146,1963を参照のこと。ポリペプチドの自動合成のための装置は、Perkin Elmer/Applied BioSystems Division(Foster City,CA)のような供給者から市販され、そして製造業者の説明書に従って操作され得る。
【0075】
一般に、本発明のポリペプチド組成物(融合ポリペプチドを含む)が単離される。「単離された」ポリペプチドは、その元来の環境から取り出されたものである。例えば、天然に存在するタンパク質またはポリペプチドは、それが天然の系中で共存する物質のいくつかまたは全てから分離されている場合、単離されている。好ましくは、このようなポリペプチドはまた精製され、例えば、少なくとも約90%純粋、より好ましくは少なくとも約95%純粋、そして最も好ましくは少なくとも約99%純粋である。
【0076】
(ポリヌクレオチド組成物)
他の局面において、本発明は、ポリヌクレオチド組成物を提供する。用語「DNA」および「ポリヌクレオチド」は、本明細書中で実質的に交換可能に用いられ、特定の種の全ゲノムDNAを含まない単離されたDNA分子をいう。本明細書中で使用される場合、「単離された」は、ポリヌクレオチドが、実質的に他のコード配列から離れており、そしてDNA分子が無関係のコードDNA(例えば、大きな染色体フラグメントまたは他の機能的遺伝子あるいはポリペプチドコード領域)の大部分を含まないことを意味する。当然のことながら、これは、最初に単離され、そして人の手によってセグメントに加えられた後に後で遺伝子またはコード領域を除外しないDNA分子をいう。
【0077】
当業者に理解されるように、本発明のポリヌクレオチド組成物は、タンパク質、ポリペプチド、ペプチドなどを発現するか、または発現するように適応され得るゲノム配列、ゲノム外配列およびプラスミドにコードされる配列、ならびにより小さな操作された遺伝子セグメントを含み得る。このようなセグメントは、自然に単離され得るか、または人の手によって合成的に改変され得る。
【0078】
また当業者に認識されるように、本発明のポリヌクレオチドは、一本鎖(コードもしくはアンチセンス)または二本鎖であり得、そしてDNA分子(ゲノム、cDNAもしくは合成)またはRNA分子であり得る。RNA分子は、HnRNA分子(イントロンを含み、そしてDNA分子に1対1の様式で対応する)、およびmRNA分子(イントロンを含まない)を含む。さらなるコード配列または非コード配列は、本発明のポリヌクレオチド内に存在し得るがその必要はなく、そしてポリヌクレオチドは、他の分子および/または支持材料に連結され得るがその必要はない。
【0079】
ポリヌクレオチドは、ネイティブの配列(すなわち、本発明のポリペプチド/タンパク質をコードする内因性配列またはその部分)を含み得るか、あるいはこのような配列の改変体または誘導体、好ましくは抗原性の改変体または誘導体をコードする配列を含み得る。
【0080】
従って、本発明の別の局面に従い、配列番号217〜319、392、394、396、398〜420、422〜424、428〜433、および440〜583のいずれか1つに示されるポリヌクレオチド配列、配列番号217−390、392、394、396、398〜420、422〜424、428〜433、および440〜583のいずれか1つに示されるポリヌクレオチド配列のいずれか1つに示されるポリヌクレオチド配列の相補体、および配列番号217〜390、392、394、396、398〜420、422〜424、428〜433、および440〜583のいずれか1つに示されるポリヌクレオチド配列の縮重改変体のいくつかまたは全てを含むポリヌクレオチド組成物が提供される。特定の好ましい実施形態において、本明細書中に示されるポリヌクレオチド配列は、上述のような免疫原性ポリペプチドをコードする。
【0081】
他の関連する実施形態において、本発明は、本明細書中で配列番号217〜390、392、394、396、398〜420、422〜424、428〜433、および440〜583において開示される配列に実質的な同一性を有するポリヌクレオチド改変体(例えば、少なくとも70%の配列同一性、好ましくは少なくとも75%、80%、85%、90%、95%。96%、97%、98%、もしくは99%、またはそれ以上の配列同一性を含むポリヌクレオチド改変体)を提供する。配列同一性は、本明細書中に記載される方法(例えば、以下に記載されるような標準的なパラメーターを用いるBLAST分析)を用いて本発明のポリヌクレオチドに対して比較される。当業者は、これらの値が、コドンの縮重を考慮することにより2つのヌクレオチド配列によってコードされるタンパク質の対応する同一性、アミノ酸の類似性、リーディングフレームの位置決めなどを決定するために適切に調節されることを理解する。
【0082】
代表的に、ポリヌクレオチド改変体は、特に本明細書中に示されるポリヌクレオチド配列によりコードされるポリペプチドと比較して、好ましくは、この改変体ポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチドの免疫原性が実質的に減少しないように、1つ以上の置換、付加、欠失、および/または挿入を含む。用語「改変体」はまた、異種間の起源の相同な遺伝子を含むことが理解される。
【0083】
さらなる実施形態において、本発明は、本明細書中に記載の開示された1つ以上に同一であるかまたは相補的な配列の種々の長さの連続したストレッチを含むポリヌクレオチドフラグメントを提供する。例えば、本明細書中に開示される配列の1つ以上のポリヌクレオチド(少なくとも約10、15、20、30、40、50、75、100、150、200、300、400、500または1000以上、ならびにその間の全ての中間の長さの連続したヌクレオチドを含む)が、本発明によって提供される。この状況において、「中間の長さ」が、示される値の間の任意の長さ(例えば、16、17、18、19など;21、22、23など;30、31、32など;50、51、52、53など;100、101、102、103など;150、151、152、153など;200〜500;500〜1,000などの間の全ての整数を含む)を意味することが容易に理解される。
【0084】
本発明の別の実施形態において、本明細書中に提供されるポリヌクレオチド配列、またはそのフラグメント、もしくはその相補配列に中程度から高度にストリンジェントな条件下でハイブリダイズし得るポリヌクレオチド組成物が提供される。ハイブリダイゼーション技術は、分子生物学の分野において周知である。例示の目的で、本発明のポリヌクレオチドの、他のポリヌクレオチドとのハイブリダイゼーションを試験するために適切な中程度にストリンジェントな条件は、5×SSC、0.5% SDS、1.0mM EDTA(pH8.0)の溶液中での予洗;50℃〜60℃、5×SSCで一晩のハイブリダイゼーション;続く0.1% SDSを含む2×、0.5×、および0.2×SSCで各20分、65℃で2回の洗浄を含む。当業者は、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーが、容易に操作され得る(例えば、ハイブリダイゼーション溶液の塩濃度および/またはハイブリダイゼーションが実施される温度を変更することにより)ことを理解する。例えば、別の実施形態において、適切な高度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件として、ハイブリダイゼーションの温度が上昇している(例えば、60〜65℃、または65〜70℃に)ことを除いて、上述されるようなハイブリダイゼーション条件が挙げられる。
【0085】
特定の好ましい実施形態において、ポリペプチド配列に対して免疫学的に交差反応性である上記のポリヌクレオチド(例えば、ポリヌクレオチド改変体、フラグメント、およびハイブリダイズする配列、コードされるポリペプチド)が、本明細書中に詳細に示される。他の好ましい実施形態において、ポリヌクレオチド配列に対する免疫原活性の少なくとも約50%、好ましくは少なくとも約70%、より好ましくは少なくとも約90%の免疫原性活性のレベルを有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドが、本明細書中に詳細に示される。
【0086】
本発明のポリヌクレオチド、またはそのフラグメントは、そのコード配列の長さに関わらず、他のDNA配列(例えば、プロモーター、ポリアデニル化シグナル、さらなる制限酵素部位、マルチクローニング部位、他のコードセグメントなど)と組合わされ得、その結果、その全体の長さは、相当変化し得る。従って、ほとんど任意の長さの核酸フラグメントが使用され得ることが意図され、その全長は、好ましくは意図した組換えDNAプロトコルにおける調製および使用の容易さによって制限される。例えば、約10,000、約5000、約3000、約2,000、約1,000、約500、約200、約100、約50の塩基対長など(全ての中間の長さを含む)の全長を有する例示的なDNAセグメントが、本発明の多くの実行において有用であることが意図される。
【0087】
ポリヌクレオチド配列を比較する場合、2つの配列におけるヌクレオチドの配列が、以下に記載されるように最大一致について整列されるときに同一である場合、2つの配列が「同一」であるといわれる。2つの配列の間の比較は、代表的には、配列類似性の局部領域を同定および比較するために、比較ウインドウ(comparison window)にわたって配列を比較することによって行われる。本明細書中で使用される場合、「比較ウインドウ」は、少なくとも約20、通常は30〜約75、40〜約50の連続した位置のセグメントをいい、ここで、2つの配列が最適に整列された後に、配列が連続した位置の同じ数の参照配列と比較され得る。
【0088】
比較のための配列の最適な整列は、生命情報科学ソフトウェアのLasergene suiteのMegalignプログラム(DNASTAR,Inc.,Madison,WI)を使用して、デフォルトパラメーターを用いて行われ得る。このプログラムは、以下の参考文献に記載のいくつかの整列スキームを統合する:Dayhoff,M.O.(編)Atlas of Protein Sequence and Structure,National Biomedical Research Foundation,Washington DC Vol.5,Suppl.3,pp.345−358におけるDayhoff,M.O.(1978)A model of evolutionary change in proteins−Matrices for detecting distant relationships.;Hein J.(1990)Unified Approach to Alignment and Phylogenes pp.626−645 Methods in Enzymology vol.183,Academic Press,Inc.,San Diego,CA;Higgins,D.G.およびSharp,P.M.(1989)CABIOS 5:151−153;Myers,E.W.およびMuller W.(1988)CABIOS 4:11−17;Robinson,E.D.(1971)Comb.Theor 11:105;Santou,N.Nes,M.(1987)Mol.Biol.Evol.4:406−425;Sneath,P.H.A.およびSokal,R.R.(1973)Numerical Taxonomy−the Principles and Practice of Numerical Taxonomy,Freeman Press,San Francisco,CA;Wilbur,W.J.およびLipman,D.J.(1983)Proc.Natl.Acad.,Sci.USA 80:726−730。
【0089】
あるいは、比較のための配列の最適な整列は、SmithおよびWaterman(1981)Add.APL.Math 2:482の局所同定アルゴリズムによって、NeedlemanおよびWunsch(1970)J.Mol.Biol.48:443の同定整列アルゴリズムによって、PearsonおよびLipman(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:2444の類似性検索方法によって、これらのアルゴリズムのコンピュータ化した実行(Wisconsin Genetics Software Package,Genetics Computer Group(GCG),575 Science Dr.,Madison,WIにおけるGAP、BESTFIT、BLAST、FASTA、およびTFASTA)によって、または検査によって行われ得る。
【0090】
配列同一性および配列類似性の割合を決定するために適切なアルゴリズムの1つの好ましい例は、BLASTおよびBLAST2.0アルゴリズムであり、これはそれぞれAltschul et al.(1977)Nucl.Acids Res.25:3389−3402およびAltschul et al.(1990)J.Mol.Biol.215:403−410に記載される。BLASTおよびBLAST2.0は、本発明のポリヌクレオチドについての配列同一性の割合を決定するために、例えば、本明細書中に記載のパラメーターを用いて使用され得る。BLAST分析を行うためのソフトウェアは、National Center for Biotechnology Informationを通して公に利用可能である。1つの例示的な例において、累積スコアは、ヌクレオチド配列について、パラメーターM(一致する残基の対についての報酬スコア(reward scored);常に>0)およびN(ミスマッチ残基についてのペナルティスコア;常に<0)を使用して算出され得る。各指示におけるワードヒットの拡大は、以下の場合に停止する:累積整列スコアが、その最大到達値から量Xまで低下した場合;累積スコアが、1以上の負のスコアの残基整列の累積に起因してゼロ以下になった場合;またはいずれかの配列の末端に到達した場合。このBLASTアルゴリズムパラメーターW、TおよびXは、整列の感度および速度を決定する。BLASTNプログラム(ヌクレオチド配列について)は、ワード長さ(W)11、および期待値(E)10をデフォルトとして使用し、そしてBLOSUM62スコアリング行列(HenikoffおよびHenikoff(1989)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:10915を参照のこと)は、(B)50、期待値(E)10、M=5、N=−4、および両方の鎖の比較を整列する。
【0091】
好ましくは、「配列同一性のパーセンテージ」は、少なくとも20の位置の比較ウインドウにわたる2つの最適に整列した配列を比較することによって決定され、ここで比較ウインドウ中のポリヌクレオチド配列の部分は、参照配列(これは、付加または欠失を含まない)と比較して、2つの配列の最適な整列について20パーセント以下、通常は5〜15パーセント、もしくは10〜12パーセントの付加または欠失(すなわち、ギャップ)を含み得る。このパーセンテージは、両方の配列で同一の核酸塩基が生じる位置の数を決定して一致する位置の数を得、この一致する位置の数を参照配列における位置の総数(すなわち、ウインドウサイズ)で除算し、そしてこの結果に100を掛けて配列同一性のパーセンテージを得ることによって算出される。
【0092】
遺伝コードの縮重の結果として、本明細書中に記載されるようなポリペプチドをコードする多くのヌクレオチド配列が存在することが、当業者に理解される。これらのポリヌクレオチドのうちいくつかは、任意のネイティブな遺伝子のヌクレオチド配列に対して最小の相同性を有する。それにもかかわらず、コドンの使用における差異に起因して変化するポリヌクレオチドが、本発明によって詳細に意図される。さらに、本明細書中で提供されるポリヌクレオチド配列を含む遺伝子の対立遺伝子は、本発明の範囲内である。対立遺伝子は、1以上の変異(例えば、ヌクレオチドの欠失、付加および/または置換)の結果として変化する内因性遺伝子である。得られたmRNAおよびタンパク質は、変化した構造または機能を有し得るが、その必要はない。対立遺伝子は、標準的な技術(例えば、ハイブリダイゼーション、増幅および/またはデータベース配列比較)を用いて、同定され得る。
【0093】
従って、本発明の別の実施形態において、変異誘発のアプローチ(例えば、部位特異的変異誘発)が、本明細書中に記載される免疫原性改変体および/またはそのポリペプチドの誘導体の調製のために用いられる。このアプローチにより、ポリペプチド配列中の特定の改変が、それらをコードする内在するポリヌクレオチドの変異誘発を介して作製され得る。これらの技術は配列改変体(例えば、1つ以上のヌクレオチド配列の変化をそのポリヌクレオチドに導入することにより、前述の考慮の1つ以上を組み込んだ配列)を調製および試験するための直接的なアプローチを提供する。
【0094】
部位特異的変異誘発は、所望の変異のDNA配列をコードする特定のオリゴヌクレオチド配列ならびに十分な数の隣接ヌクレオチドの使用を介して変異体の産生を可能にし、横断される欠失結合部の両側に安定な二重鎖を形成するために、十分なサイズのプライマー配列および配列複雑性を提供する。変異は、ポリヌクレオチド自体の特性を改善するか、変更するか、減少させるか、改変するか、さもなくば変化させるため、そして/またはコードされたポリペプチドの特性、活性、組成物、安定性もしくは一次配列を変更するために、選択されたポリヌクレオチド配列において使用され得る。
【0095】
本発明の特定の実施形態において、本発明者らは、コードされたポリペプチドの1つ以上の特性(例えば、ポリペプチドワクチンの抗原性)を変更するような開示されたポリヌクレオチド配列の変異誘発を意図する。部位特異的変異誘発の技術は、当該分野に周知であり、ポリペプチドおよびポリヌクレオチドの両方の改変体を作製するために広範に使用される。例えば、部位特異的変異誘発は、しばしば、DNA分子の特定部分を変更するために使用される。そのような実施形態において、代表的におよそ14ヌクレオチド〜およそ25ヌクレオチドくらいの長さから成るプライマーが使用され、配列の両側の結合部にある、およそ5残基〜およそ10残基が変更される。
【0096】
当業者によって理解されるように、部位特異的変異誘発技術は、しばしば、一本鎖形態および二本鎖形態の両方で存在するファージベクターを使用してきた。部位特異的変異誘発において有用である代表的なベクターとしては、例えば、M13ファージのようなベクターが挙げられる。これらのファージは、容易に商業的に入手可能であり、そしてそれらの使用は、一般的に当業者に周知である。二本鎖プラスミドもまた、目的の遺伝子をプラスミドからファージに伝達する工程を排除する部位指向性変異誘発において慣用的に使用される。
【0097】
一般的に、本発明に従う部位特異的変異誘発は、所望のペプチドをコードするDNA配列をその配列中に含む、一本鎖ベクターを最初に入手する工程またはその配列を含む二本鎖ベクターの2本の鎖を融解して分ける工程によって実施される。所望の変異配列を保有するオリゴヌクレオチドプライマーは、一般的に、合成的に調製される。次いで、このプライマーは、一本鎖ベクターとともにアニーリングされ、そして変異を保有する鎖の合成を完了するために、DNA重合酵素(例えば、E.coliポリメラーゼI クレノウフラグメント)に供される。このようにヘテロ二重鎖が形成され、ここで一方の鎖が変異を有さない本来の鎖をコードし、そして第2の鎖は所望の変異を保有する。次いで、このヘテロ二重鎖ベクターは、適切な細胞(例えば、E.coli細胞)を形質転換するために使用され、そして、変異配列の配置を保有する組換えベクターを含むクローンが選択される。
【0098】
部位特異的変異誘発を使用する、選択されたペプチドコードDNAセグメントの配列改変体の調製は、潜在的に有用な種を生成する手段を提供し、そしてこれは、ペプチドの配列改変体およびそれらをコードするDNA配列が入手され得る他の方法が存在する場合、限定を意味するものではない。例えば、所望のペプチド配列をコードする組換えベクターは、変異誘発剤(例えば、ヒドロキシルアミン)で処理されて、配列改変体を入手し得る。これらの方法およびプロトコルに関する具体的な詳細は、Maloyら、1994;Segal、1976;ProkopおよびBajpai、1991;Kuby、1994;ならびにManiatisら、1982(各々がその目的のために本明細書中に参考として援用される)の教示において見出され得る。
【0099】
本明細書中で使用される場合、用語「オリゴヌクレオチド特異的変異誘発手順」とは、鋳型依存的プロセスおよびベクター媒介増殖をいい、これは、その初期の濃度と比較して、特定の核酸分子の濃度の増加を生じるか、または検出可能なシグナルの濃度の増加(例えば、増幅)を生じる。本明細書中で使用される場合、用語「オリゴヌクレオチド特異的変異誘発手順」は、プライマー分子の鋳型依存的な伸長を含むプロセスをいうことが意図される。用語、鋳型依存的プロセスとは、RNA分子またはDNA分子の核酸合成をいい、ここで新規に合成された核酸の鎖の配列は、相補的塩基対形成(pairing)の周知の法則によって決定され得る(例えば、Watson、1987を参照のこと)。代表的には、ベクター媒介方法論は、DNAベクターまたはRNAベクターへの核酸フラグメントの導入、ベクターのクローン増幅、および増幅した核酸フラグメントの回収を包含する。このような方法論の例は、具体的にその全体が参考として本明細書中に援用される、米国特許第4,237,224号によって提供される。
【0100】
本発明のポリペプチド改変体の生成のための別のアプローチにおいて、米国特許第5,837,458号に記載されるような、再帰的配列組換え(recursive sequence recombination)が、用いられ得る。このアプローチにおいて、組換えおよびスクリーニングまたは選択の繰り返しサイクルが、例えば、増強された免疫原性活性を有する本発明の個々のポリヌクレオチド改変体を「進化」させるために用いられる。
【0101】
本発明の他の実施形態において、本明細書中で提供されるポリヌクレオチド配列は、核酸のハイブリダイゼーションのためのプローブまたはプライマーとして、有利に使用され得る。そのようなものとして、本明細書中で開示される15ヌクレオチド長の連続した配列と同じ配列か、またはこの連続した配列に相補的な配列を有する、少なくとも約15ヌクレオチド長の連続した配列の配列領域を含む核酸セグメントが、特定の有用性を見出すことが意図される。より長い連続した同一または相補的な配列(例えば、約20、30、40、50、100、200、500、1000(全ての中間長さを含む)およびさらに全長配列までの配列)はまた、特定の実施形態において使用される。
【0102】
このような核酸プローブの、目的の配列に特異的にハイブリダイズする能力は、所定のサンプルにおける相補配列の存在の検出におけるそれらの使用を可能にする。しかし、他の用途(例えば、変異体種プライマーの調製のための配列情報の使用、または他の遺伝的構築物の調製における使用のためのプライマーの使用)もまた想定される。
【0103】
10〜14、15〜20、30、50、またはさらに100〜200ヌクレオチド程度(同様に中間長さを含む)の連続したヌクレオチドストレッチを含む配列領域を有し、本明細書中に開示されるポリヌクレオチド配列に同一または相補的なポリヌクレオチド分子は、例えばサザンブロッティングまたはノーザンブロッティングにおける使用のためのハイブリダイゼーションプローブとして特に意図される。これは、遺伝子産物またはそのフラグメントの、多様な細胞型およびまた種々の細菌細胞の両方における分析を可能とする。フラグメントの全サイズ、ならびに相補的ストレッチのサイズは、究極的には、特定の核酸セグメントの意図される用途または適用に依存する。同様のフラグメントは、一般にハイブリダイゼーション実施形態における用途を見出し、ここで連続した相補領域の長さが変化され得る(例えば、約15ヌクレオチドと約100ヌクレオチドとの間)が、検出を望む相補配列の長さに従って、より長い連続した相補ストレッチが使用され得る。
【0104】
約15〜25ヌクレオチド長のハイブリダイゼーションプローブの使用は、安定および選択的の両方の二重鎖分子の形成を可能にする。しかし、15塩基長より長いストレッチにわたって連続した相補配列を有する分子は、ハイブリッドの安定性および選択性を増加するために一般に好ましく、それによって、得られる特異的ハイブリッド分子の質および程度が改善する。15〜25の連続したヌクレオチド、または望まれる場合にはより長い遺伝子相補的ストレッチを有する核酸分子を設計するのが一般には好ましい。
【0105】
ハイブリダイゼーションプローブは、本明細書中に記載される配列のいずれかの、任意の部分から選択され得る。本明細書中に示される配列、あるいはプローブまたはプライマーとしての利用を望む約15〜25ヌクレオチド長まで、および全長配列を含む配列の任意の連続した部分を再検討することが、必要とされる全てである。プローブおよびプライマー配列の選択は、種々の要因によって支配され得る。例えば、全配列の終端に向かってプライマーを使用することが望まれ得る。
【0106】
小さなポリヌクレオチドセグメントまたはフラグメントは、通常は自動オリゴヌクレオチド合成機を使用して行われるので、例えば化学的手段によってフラグメントを直接合成することによって、容易に調製され得る。また、フラグメントは、核酸複製技術(例えば、米国特許第4,683,202号(本明細書中に参考として援用される)のPCRTM技術)の適用によって、組換え産物のために選択配列を組換えベクターに導入することによって、および一般に分子生物学の分野の当業者に公知の他の組換えDNA技術によって、獲得され得る。
【0107】
本発明のヌクレオチド配列は、目的の完全遺伝子または遺伝子フラグメントのいずれかの相補的ストレッチと、二重鎖分子を選択的に形成するその能力のために使用され得る。想定される適用に依存して、代表的には、標的配列に対するプローブの選択性の種々の程度に達するために、ハイブリダイゼーションの種々の条件を使用することが望ましい。高い選択性を必要とする適用について、代表的には、ハイブリッドを形成するための比較的ストリンジェントな条件(例えば、比較的低い塩、および/または高温の条件(例えば、約50℃〜約70℃で、約0.02M〜約0.15Mの塩の塩濃度によって提供されるような)が選択される)を使用することが望ましい。このような選択条件は、存在する場合、プローブとテンプレートまたは標的鎖との間のミスマッチにわずかに許容性であり、そして関連する配列の単離のために特に適切である。
【0108】
当然のことながら、いくつかの適用(例えば、潜在的なテンプレートにハイブリダイズする変異体プライマー鎖を使用する、変異体の調製が望ましい場合)について、より低いストリンジェント(減少したストリンジェンシー)のハイブリダイゼーション条件は、ヘテロ二重鎖の形成を可能にするために代表的に必要とされる。これらの状況において、約20℃〜約55℃の温度範囲で約0.15M〜約0.9Mの塩のような塩条件を使用することが望ましくあり得る。これによって、交差ハイブリダイズ種は、コントロールハイブリダイゼーションに関して、陽性ハイブリダイズシグナルとして容易に同定され得る。任意の場合において、ホルムアミド(これは、増加した温度と同じ様式で、ハイブリッド二重鎖を不安定化するように作用する)の増加した量の添加によって、条件がよりストリンジェントになり得ることが一般に理解される。従って、ハイブリダイゼーション条件は、容易に操作され得、そして一般に、所望の結果に依存する最良の方法である。
【0109】
本発明の他の実施形態に従って、アンチセンスオリゴヌクレオチドを含むポリヌクレオチドが提供される。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、効果的かつ標的化されたタンパク質合成のインヒビターであることが示され、結果的に、疾患に寄与するタンパク質合成を阻害することによってこの疾患を処置し得るような、治療アプローチを提供する。タンパク質合成阻害のためのアンチセンスオリゴヌクレオチドの効力はよく確証されている。例えば、ポリガラクツロナーゼの合成およびムスカリン2型アセチルコリンレセプターの合成は、これらのそれぞれのmRNA配列に対するアンチセンスオリゴヌクレオチドによって阻害される(米国特許第5,739,119号および米国特許第5,759,829号)。さらに、アンチセンス阻害の例が、核タンパク質サイクリン、多剤耐性遺伝子(MDG1)、ICAM−1、E−セレクチン、STK−1、線条体GABAAレセプターおよびヒトEGFを用いて示されている(Jaskulskiら、Scinece.1988 Jun 10;240(4858):1544〜6;VasanthakumarおよびAhmed、Canscer Commun.1989;1(4):225〜32;Perisら、Brain Res Mol Brain Res.1998 Jun 15;57(2):310〜20;米国特許第5,801,154号;同第5,789,573号;同第5,718,709号および同第5,610,288号)。種々の異常な細胞増殖(例えば、癌)を阻害しそして処置するために使用され得る、アンチセンス構築物もまた、記載されている(米国特許第5,747,470号;同第5,591,317号および同第5,783,683号)。
【0110】
従って、特定の実施形態において、本発明は、本明細書中に記載されるポリヌクレオチド配列に特異的に結合し得る任意の配列もしくはその相補体のすべてまたは一部を含む、オリゴヌクレオチド配列を提供する。1つの実施形態において、そのアンチセンスオリゴヌクレオチドは、DNAまたはその誘導体を含む。別の実施形態において、そのオリゴヌクレオチドは、RNAまたはこの誘導体を含む。第3の実施形態において、そのオリゴヌクレオチドは、ホスホロチオエート改変骨格を含む、改変DNAである。第4の実施形態において、そのオリゴヌクレオチド配列は、ペプチド核酸またはその誘導体を含む。各場合において、好ましい組成物は、本明細書中に開示されるポリヌクレオチドのうちの1つ以上の部分に相補的な、そしてより好ましくは実質的に相補的な、そしてさらにより好ましくは完全に相補的な、配列領域を含む。所定の遺伝子配列に特異的なアンチセンス組成物の選択は、選択された標的配列の分析ならびに二次構造、Tm、結合エネルギー、相対的安定性の決定に基づく。アンチセンス組成物は、二量体、ヘアピン、または宿主細胞において標的mRNAへの特異的結合を減少または妨げる他の二次構造をそれらが相対的に形成できないことに基づいて選択された。mRNAの非常に好ましい標的領域は、AUG翻訳開始コドンの領域またはその付近の領域、およびmRNAの5’領域と実質的に相補的な配列である。これらの二次構造分析および標的部位選択の考慮は、OLIGOプライマー分析ソフトウェアのバージョン4および/またはBLASTN 2.0.5アルゴリズムソフトウェア(Altschulら、Nucleic Acids Res.1997、25(17):3389〜402)を使用して実施され得る。
【0111】
短いペプチドベクター(MPG(27残基)と称する)を使用するアンチセンス送達法の使用もまた意図される。このMPGペプチドは、HIV gp41の融合配列由来の疎水性ドメインと、SV40 T抗原の核局在化配列由来の親水性ドメインとを含む(Morrisら、Nucleic Acids Res.1997 Jul 15;25(14):2730〜6)。このMPGペプチドのいくつかの分子がアンチセンスオリゴヌクレオチドをコートし、そして比較的高効率(90%)で1時間未満で培養哺乳動物細胞へと送達され得ることが示された。さらに、MPGとの相互作用は、ヌクレアーゼに対するそのオリゴヌクレオチドの安定性および形質膜を横切る能力の両方を強力に増加させる。
【0112】
本発明の別の実施形態に従って、本明細書において記載されるポリヌクレオチド組成物は、腫瘍細胞中の本発明の腫瘍ポリペプチドおよびタンパク質の発現阻害のためのリボザイム分子の設計および調製において使用される。リボザイムは、部位特異的な様式で核酸を切断するRNAタンパク質複合体である。リボザイムは、エンドヌクレアーゼ活性を保有する特異的触媒ドメインを有する(KimおよびCech、Proc.Natl.Acad.Sci.USA.1987 Des;84(24):8788〜92;ForsterおよびSymsons、Cell;1987 Apr 24;49(2):211−20)。例えば、多数のリボザイムが、高い程度の特異性でホスホエステル転移反応を促進し、しばしば、オリゴヌクレオチド基質中の数個のホスホエステルのうちの1つだけを切断する(Cechら、Cell.1981 Des;27(3Pt2):487〜96;MichelおよびWesthof、J Mol Biol.1990 Des 5;216(3):585〜610;Reinhold−HurekおよびShub、Nature.1992 May 14;357(6374):173〜6)。この特異性は、この基質が、化学反応の前にリボザイムの内部ガイド配列(「IGS」)との特異的塩基対形成相互作用を介して結合するという要件に帰せられている。
【0113】
天然に存在する酵素的RNAの6つの基本的種類が、現在公知である。各々が、生理学的条件下で、トランスで、RNAホスホジエステル結合の加水分解を触媒し得(従って、他のRNA分子を切断し得る)。一般に、酵素的核酸は、まず、標的RNAへの結合によって作用する。このような結合は、標的RNAを切断するように作用する分子の酵素的部分に近接して保持される、酵素的核酸の標的結合部分を介して生じる。従って、その酵素的核酸はまず、標的RNAを認識し、次いで相補的塩基対形成を介してその標的RNAに結合し、そして一旦正確な部位に結合すると、その標的RNAを酵素的に切断するように作用する。このような標的RNAの戦略的切断は、コードされるタンパク質を直接合成する能力を破壊する。酵素的核酸がそのRNA標的に結合しそして切断した後、その酵素的核酸は、別の標的を探索するためにそのRNAから離れ、そして繰り返し、新しい標的に結合しそして切断し得る。
【0114】
リボザイムの酵素的特性は、多くの技術(例えば、アンチセンス技術(ここで、核酸分子は容易に核酸標的に結合して、その翻訳をブロックする))よりも有益である。これは、治療的処置に影響を及ぼすのに有効なリボザイムの濃度が、アンチセンスオリグヌクレオチドの濃度よりも低いからである。この利点は、リボザイムが酵素的に作用する能力を反映する。従って、単一のリボザイム分子は、標的RNAの多くの分子を切断し得る。さらに、このリボザイムは、標的RNAに結合する塩基対化機構だけではなく、標的RNA切断の機構にも依存する阻害に特異性を有する高特異性のインヒビターである。切断の部位に近い単一のミスマッチ、すなわち塩基置換は、完全にリボザイムの触媒活性を除去し得る。アンチセンス分子における同様のミスマッチは、その作用を妨げない(Woolfら、Proc Natl Acad Sci USA.1992 Aug 15;89(16)7305−9)。従って、リボザイムの作用の特異性は、同じRNA部位を結合するアンチセンスオリグヌクレオチドの特異性よりも大きい。
【0115】
この酵素的核酸分子は、ハンマーヘッド(hammerhead)モチーフ、ヘアピンモチーフ、δ型肝炎ウイルスモチーフ、I群イントロンモチーフまたはRNaseP RNAモチーフ(RNA誘導配列に関連する)あるいはNeurospora VS RNAモチーフにおいて形成され得る。ハンマーヘッドモチーフの例は、Rossiら、Nucreic Acid Res.1992 Sep 11;20(17):4559〜65に記載される。ヘアピンモチーフの例は、Hampelら(欧州特許出願公開番号EP 0360257)、HampelおよびTritz、Biochemistry 1989 Jun 13;28(12):4929〜33;Hampelら、Nucreic Acid Res.1990 Jan 25;18(2):299〜304および米国特許第5,631,359号に記載される。δ型肝炎ウイルスモチーフの例は、PerrottaおよびBeen、Biochemistry、1992 Dec 1;31(47):11843〜52に記載される;RNasePモチーフの例は、Guerrier−Takadaら、Cell.1983 Dec;35(3Pt2):849〜57に記載される;Neurospora VS RNAリボザイムモチーフは、Collins(SavilleおよびCollins,Cell.1990 May 18;61(4):685〜96;SavilleおよびCollins,Proc.Natl.Acad.Sci.USA.1991 Oct 1;88(19):8826〜30;CollinsおよびOlive,Biochemistry.1993 Mar 23;32(11):2795〜9)に記載される。そしてI群イントロンの例は、米国特許第4,987,071号に記載される。本発明の酵素的核酸分子において重要であることは、1以上の標的遺伝子RNA領域に相補的である特定の基質結合部位を有すること、およびこの分子にRNA切断活性を付与する基質結合部位内にヌクレオチド配列を有することまたはこの基質結合部位を取り囲むヌクレオチド配列を有することだけである。従って、リボザイム構築物は、本明細書中に記載される特定のモチーフに限定する必要はない。
【0116】
リボザイムは、国際特許出願公開番号WO 93/23569および国際特許出願公開番号WO 94/02595(各々は、本明細書中で参考として援用される)に記載されるように設計され得、そして記載されるようにインビトロおよびインビボにおいて試験されるように合成され得る。このようなリボザイムはまた、送達するために最適化され得る。特定の例が提供されるが、当業者は、他の種において等価なRNA標的が、必要な場合に利用され得ることを理解する。
【0117】
リボザイムの活性は、リボザイムの結合アームの長さを変更することにより、または血清リボヌクレアーゼによる分解を防ぐ改変(例えば、国際特許出願番号WO 92/07065;国際特許公開番号WO 93/15187;国際特許出願公開番号WO 91/0362;欧州特許出願公開番号92110298;米国特許第5,334,711号、および国際特許出願公開番号WO 94/13688(これには、酵素的RNA分子の糖部分に対して成され得る、種々の化学的修飾が記載される)を参照のこと)、細胞中でのリボザイムの有効性を増強する改変、ならびにRNAの合成時間を短縮および化学的必要性を低下させるための幹(stem)II塩基を除去して、リボザイムを化学的に合成することによって最適化され得る。
【0118】
Sullivanら(国際特許出願公開番号WO 94/02595)は、酵素学的RNA分子の送達のための一般的な方法を記載する。リボザイムは、当業者に公知の種々の方法によって細胞に投与され得、これらには、リポソームへのカプセル化、イオン泳動法、あるいは、例えば、ヒドロゲル、シクロデキストリン、生分解性ナノカプセルおよび生体接着性ミクロスフィアのような他のビヒクルへの取り込みによる、が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの指針のために、リボザイムは、エキソビボで細胞または組織に、上記のビヒクルを使用してか、または使用せずに直接送達され得る。あるいは、RNA/ビヒクルの組合せは、直接的な吸入、直接的な注射、またはカテーテル、注入ポンプまたはステントの使用により、局所的に送達され得る。他の送達経路としては、血管内注射、筋内注射、皮下注射または関節注射、エアロゾル吸入、経口送達(錠剤形態またはピル形態)、局所送達、全身送達、眼送達、腹腔内送達および/またはくも膜下腔内送達が挙げられるが、これらに限定されない。リボザイム送達および投与のより詳細な記載は、国際特許公開番号WO 94/02595および国際特許出願公開番号WO 93/23569(各々は、本明細書中で参考として詳細に援用される)に提供される。
【0119】
高濃度のリボザイムを細胞内に蓄積する別の手段は、リボザイムコード配列をDNA発現ベクターに組み込むことである。リボザイム配列の転写は、真核生物RNAポリメラーゼI(pol I)、RNAポリメラーゼII(pol II)、またはRNAポリメラーゼIII(pol III)のためのプロモーターにより駆動される。pol IIプロモーターまたはpol IIIプロモーターからの転写物は、全ての細胞内で高レベルで発現される;所定の細胞型における所定のpol IIプロモーターのレベルは、近くに存在する遺伝子調節配列(エンハンサー、サイレンサーなど)の性質に依存する。原核生物のRNAポリメラーゼプロモーターもまた使用され得るが、但し、原核生物RNAポリメラーゼ酵素は、適切な細胞において発現される。このようなプロモーターから発現されるリボザイムは、哺乳動物細胞において機能することが示されている。このような転写ユニットは、哺乳動物細胞内への導入のための種々のベクター(プラスミドDNAベクター、ウイルスDNAベクター(例えば、アデノウイルスベクターまたはアデノ随伴ベクター)、またはウイルスRNAベクター(例えば、レトロウイルス、セムリキ森林ウイルス、シンドビスウイルスベクター)が挙げられるがこれらに限定されない)に組み込まれ得る。
【0120】
本発明の別の実施形態において、ペプチド核酸(PNA)組成物が提供される。PNAは、DNA模倣物であり、核酸塩基は、偽ペプチド骨格に結合される(GoodおよびNielsen、Antisense Nucleic Acid Drug Dev.1997 7(4) 431〜37)。PNAは、RNAまたはDNAを伝統的に使用した複数の方法において利用され得る。時々、PNA配列は、対応するRNAまたはDNA配列よりも技術的により良く機能し、そしてRNAにもDNAにも固有でない有用性を有していた。産生方法、使用の特徴付け、および使用方法を含むPNAの総説は、Corey(Trends Biotechnol 1997 Jun;15(6):224〜9)によって提供される。このように、特定の実施形態において、ACE mRNA配列の1以上の部分に相補的であるPNA配列を調製し得、そしてこのようなPNA組成物は、ACE−特異的mRNAの翻訳を調節、変更、減少、または低下させるために使用され得、これにより、このようなPNA組成物が投与される宿主細胞におけるACE活性のレベルを変更する。
【0121】
PNAは、正常なDNAのホスホジエステル骨格を置換する2−アミノエチル−グリシン連結を有する(Nielsenら、Science 1991 Dec 6;254(5037)1497〜500;Hanveyら、Science.1992 Nov 27;258(5087)1481〜5;HyrupおよびNielsen,Bioorg Med Chem.1996 Jan;4(1):5〜23)。この化学は、3つの重要な結果を有する。第1に、DNAまたはホスホロチオエートオリゴヌクレオチドと比較して、PNAは、中性の分子であり;第2に、PNAは、アキラル(立体選択的な合成を開発する必要がない)であり;そして第3に、PNA合成は、標準的なBocプロトコルまたはFmocプロトコルを、固相ペプチド合成に使用する。一方、改変型Merrifield法を含む他の方法が使用される。
【0122】
PNAモノマーまたは既製のオリゴマーは、PerSeptive Biosystems(Framingham,MA)から市販されている。BocプロトコルまたはFmocプロトコルのいずれかによるPNAの合成は、手動プロトコルまたは自動プロトコルを使用して簡単に実施される(Nortonら、Bioorg Med Chem.1995 Apr;3(4):437〜45)。このマニュアルプロトコールは、化学的に修飾されたPNAの産生または密接に関係するPNAのファミリーの同時合成を導く。
【0123】
ペプチドの合成に関して、特定のPNA合成の成功は、選択した配列の特性に依存する。例えば、理論上、PNAは、ヌクレオチド塩基の任意の組合せを取り込み得るが、隣接するプリンの存在は、産生の際に、1以上の残基の欠失を導き得る。この困難性の見込みにおいて、隣接するプリンを有するPNAを産生する際に、非効率的に加えられているようである残基の連結を繰り返すべきであることを提案する。この後、ペプチド合成の間に観測されるのと類似する産物の収率および純度を提供する逆相高圧液体クロマトグラフィーによってPNAを精製するべきである。
【0124】
所定の適用のためのPNAの修飾が、固相合成の間にアミノ酸を連結することによって、または露出されたN末端アミンにカルボン酸基を含む化合物を付加することによって達成され得る。あるいは、PNAは、導入されたリジンまたはシステインに連結することによって合成した後に修飾され得る。PNAが修飾され得る簡便さにより、より良い溶解度または特定の機能的必要性の最適化を容易にする。一旦合成されると、PNAおよびそれらの誘導体の同定は、質量分析法によって確認され得る。いくつかの研究が、PNAの修飾物を産生および利用した
【0125】
【化1】
。米国特許第5,700,922号は、PNA−DNA−PNAキメラ分子および診断におけるその分子の使用、生体中でタンパク質を調節すること、ならびに治療に対して影響を受け易い状態の処置について議論する。
【0126】
PNAのアンチセンス結合特性を特徴づける方法は、Rose(Anal Chem.1993 Dec 15;65(24):3545〜9)およびJensenら(Biochemistry.1997 Apr 22;36(16):5072〜7)において議論される。Roseは、キャピラリーゲル電気泳動を使用して、PNAのこれらの相補的オリゴヌクレオチドへの結合を決定し、相対的な結合速度および化学量論を測定する。同様の型の手段は、Jensenらによって、BIAcoreTM技術を用いて作られた。
【0127】
記載され、当業者に明らかであるPNAの他の適用は、DNA鎖侵襲、アンチセンス阻害、変異分析、転写のエンハンサー、核酸精製、転写活性遺伝子の単離、転写因子結合のブロッキング、ゲノム切断、バイオセンサー、インサイチュハイブリダイゼーションなどにおける使用を含む。
【0128】
(ポリヌクレオチドの同定、特徴づけ、および発現)
本発明のポリヌクレオチド組成物は、種々の十分に確立された技術(一般的には、Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratories、Cold Spring Harbor、NY、1989などを参照のこと)のいずれかを用いて同定、調製、および/または操作され得る。例えば、以下に詳細に記載されるように、cDNAのマイクロアレイを腫瘍に関連した発現(すなわち、本明細書において提供される例示的アッセイを用いて決定されるように、腫瘍において、正常組織の少なくとも2倍を超える発現)についてスクリーニングすることによって、ポリヌクレオチドは、同定され得る。例えば、Affimetrix、Inc.(Santa Clara、CA)のマイクロアレイ技術を、製造者の指示に従って用いることによって、および、本質的には、Schenaら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93:10614〜10619、1996ならびにHellerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 94:2150〜2155、1997に記載されるように、このようなスクリーニングは、実施され得る。あるいは、ポリヌクレオチドは、本明細書に記載されるタンパク質を発現する細胞(例えば、腫瘍細胞)から調製されるcDNAから増幅され得る。
【0129】
多数の鋳型依存性プロセスが、サンプル中に存在する目的の標的配列を増幅するために利用可能である。最もよく知られた増幅方法の1つは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCRTM)であり、これは、米国特許第4,683,195号、同第4,683,202号、および同第4,800,159号に詳細に記載され、これらの各々はその全体が本明細書中に参考として援用される。手短に言えば、PCRTMにおいては、標的配列の向かい合った相補鎖上の領域に対して相補的な2つのプライマー配列が調製される。過剰のデオキシヌクレオシド三リン酸を、DNAポリメラーゼ(例えば、Taqポリメラーゼ)とともに反応混合液に添加する。標的配列がサンプル中に存在する場合、プライマーはその標的に結合し、そしてポリメラーゼが、ヌクレオチドを付加することによって標的配列に沿ってプライマーを伸長させる。反応混合液の温度を上昇および下降させることによって、伸長したプライマーは、標的から解離して反応生成物を形成し、過剰のプライマーは標的および反応生成物に結合し、そしてこのプロセスが反復される。好ましくは、逆転写およびPCRTM増幅手順が、増幅されたmRNAの量を定量するために実行され得る。ポリメラーゼ連鎖反応方法論は、当該分野で周知である。
【0130】
多数の他のテンプレート依存性プロセス(これらの多くは、PCRTM増幅技術のバリエーションである)のいずれかは、当該分野において、容易に知られ、利用可能である。例示されるように、いくつかのこのような方法は、以下を含む:例えば、欧州特許出願公開番号320,308および米国特許第4,883,750号に記載されるリガーゼ連鎖反応(LCRとして示される)を含み;PCT国際特許出願公開番号PCT/US87/00880に記載されるQbeta Replicase;Strand Displacement Amplication(SDA)およびRepair Chain Reaction(RCR)。英国特許出願番号2 202 328号およびPCT国際特許出願公開番号PCT/US89/01025に記載されるなお他の増幅方法は、本発明に従って使用され得る。他の核酸増幅手順には、転写に基づく増幅系(TAS)(PCT国際特許出願公開番号WO 88/10315)が挙げられ、これには、核酸配列に基づく増幅(NASBA)および3SRが含まれる。欧州特許出願公開番号329,822は、一本鎖RNA(ssRNA)、ssDNAおよび二本鎖DNA(dsDNA)をサイクル的に合成する工程を包含する核酸増幅プロセスを開示する。PCT国際特許出願公開番号WO 89/06700(その全体が本明細書中で参考として援用される)は、プロモーター/プライマー配列の多くのRNAコピーの転写の前の、プロモーター/プライマー配列の標的一本鎖DNA(「ssDNA」)へのハイブリダイゼーションに基づく核酸配列増幅スキームを開示する。「RACE」(Frohman、1990)および「片側(one−sided)PCR(Ohara、1989)」のような他の増幅方法がまた、当業者に周知である。
【0131】
本発明のポリヌクレオチドの増幅した部分を使用して、適切なライブラリー(例えば、腫瘍cDNAライブラリー)から周知の技術を使用して全長遺伝子を単離し得る。このような技術において、増幅に適した1以上のポリヌクレオチドプローブまたはプライマーを使用して、ライブラリー(cDNAライブラリーまたはゲノムライブラリー)をスクリーニングする。好ましくは、ライブラリーはより大きな分子を含むようにサイズが選択される。無作為に刺激されたライブラリー(random primed library)もまた、遺伝子の5’領域および上流領域の同定ために好ましい。ゲノムライブラリーは、イントロンを入手することおよび5’配列を伸長させることについて好ましい。
【0132】
ハイブリダイゼーション技術に関して、部分配列は、周知の技術を使用して標識(例えば、ニックトランスレーションまたは32Pでの末端標識)され得る。次いで、細菌ライブラリーまたはバクテリオファージライブラリーは、一般に、標識プローブと、変性した細菌コロニー(またはファージプラークを含む菌叢)を含むフィルターとをハイブリダイズすることによってスクリーニングされる(Sambrookら,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratories,Cold Spring Harbor,NY,1989を参照のこと)。ハイブリダイズするコロニーまたはプラークを選択し、そして拡大する。そしてそのDNAをさらなる分析のために単離する。cDNAクローンを、付加配列の量を決定するために、例えば、部分配列由来のプライマーおよびそのベクター由来のプライマーを使用するPCRによって分析し得る。制限地図および部分配列を作成して、1以上の重複クローンを同定し得る。次いで、標準的な技術(これは、一連の欠失クローンを作製することを包含し得る)を使用して完全配列を決定し得る。次いで、得られた重複配列を1つの連続配列中にアセンブルし得る。周知の技術を使用して、適切なフラグメントに連結することにより全長cDNA分子を生成し得る。
【0133】
あるいは、上記のような増幅技術は、部分的cDNA配列から、全長をコードする配列を得るのに有用であり得る。このような増幅技術の1つは、インバースPCRである(Trigliaら,Nucl.Acids Res.16:8186,1988を参照のこと)。この技術は、制限酵素を使用して、その遺伝子の既知の領域内のフラグメントを生成する。次いで、このフラグメントを分子内連結により環状化し、そして既知の領域に由来する多岐したプライマーを用いたPCRのための鋳型として使用する。代替のアプローチにおいて、部分配列に隣接した配列を、リンカー配列に対するプライマーおよび既知の領域に特異的なプライマーを使用する増幅により取り出し得る。この増幅した配列を、代表的に、同じリンカープライマーおよび既知の領域に特異的な第2のプライマーを使用する2回目の増幅に供する。既知の配列から反対方向に伸長を開始する2つのプライマーを使用するこの手順についての改変は、WO 96/38591に記載される。このような別の技術は、「迅速なcDNA末端の増幅」またはRACEとして公知である。この技術は、公知配列の5’および3’である配列を同定するために、内側プライマーおよび外側プライマー(これらは、ポリA領域またはベクター配列にハイブリダイズする)の使用を含む。さらなる技術としては、キャプチャーPCR(Langerstromら,PCR Methods Applic.1:111−19,1991)およびウォーキングPCR(Parkerら、Nucl.Acids.Res.19:3055−60,1991)が挙げられる。増幅を利用する他の方法もまた使用して、全長cDNA配列を入手し得る。
【0134】
特定の場合において、発現配列タグ(EST)データベース(例えば、GenBankより入手可能のもの)に提供される配列の分析により、全長cDNA配列を入手することが可能である。重複ESTの検索は、一般に、周知のプログラム(例えば、NCBI BLAST検索)を使用して行われ得、そしてこのようなESTを使用して連続した全長配列を生成し得る。全長DNA配列はまた、ゲノムフラグメントの分析により入手され得る。
【0135】
本発明の他の実施形態において、本発明のポリペプチドまたはその融合タンパク質もしくは機能的等価物をコードするポリヌクレオチド配列またはそのフラグメントは、適切な宿主細胞におけるポリペプチドの発現を指向するように組換えDNA分子において使用され得る。遺伝コードの先天的な縮重に起因して、実質的に同じか、または機能的に等価なアミノ酸配列をコードする他のDNA配列が産生され得、そしてこれらの配列を使用して所定のポリペプチドをクローン化し、そして発現させ得る。
【0136】
当業者によって理解されるように、いくつかの場合において、天然に存在しないコドンを所有するヌクレオチド配列をコードするポリペプチドを作製することが有利であり得る。例えば、特定の原核生物宿主または真核生物宿主に好まれるコドンは、タンパク質発現の速度を増加させるためか、または所望の特性(例えば、天然に存在する配列から生成される転写物の半減期よりも長い半減期)を有する組換えRNA転写物を産生するように選択され得る。
【0137】
さらに、本発明のポリペプチド配列は、種々の理由(遺伝子産物のクローニング、プロセシング、および/または発現を変更する改変が挙げられるが、それらに限定されない)のためにポリペプチドコード配列を変更するために、当該分野において一般的に公知の方法を使用して操作され得る。例えば、無作為フラグメント化によるDNAシャッフリングならびに遺伝子フラグメントおよび合成オリゴヌクレオチドのPCR再アセンブリを使用して、ヌクレオチド配列を操作し得る。さらに、部位特異的変異誘発(site−directed mutagenesis)を使用して、新たな制限部位を挿入し得るか、グリコシル化パターンを改変し得るか、コドン優先(preference)を変化させ得るか、スプライス改変体を作製し得るか、または変異を導入したりなどし得る。
【0138】
本発明の別の実施形態において、天然の核酸配列、改変された核酸配列、または組換え核酸配列は、融合タンパク質をコードする異種配列に連結され得る。例えば、ポリペプチド活性のインヒビターについてペプチドライブラリーをスクリーニングするために、市販の抗体により認識され得るキメラタンパク質をコードすることが有用であり得る。融合タンパク質はまた、ポリペプチドコード配列と異種タンパク質配列との間に位置する切断部位を含むように操作され得、その結果そのポリペプチドは、切断されて、そして異種部分から精製され得る。
【0139】
所望のポリペプチドをコードする配列が、当該分野において周知の化学的方法を使用して、全体または部分的に合成され得る(Caruthers,M.H.ら、(1980)Nucl.Acids Res.Symp.Ser.215〜223、Horh,Tら、(1980)Nucl.Acids Res.Symp.Ser.225〜232を参照のこと)。あるいは、タンパク質自体が、ポリペプチドまたはその一部のアミノ酸配列を合成するための化学的方法を使用して産生され得る。例えば、ペプチド合成は、種々の固相技術を使用して実施され得(Roberg,J.Yら、(1995)Science 269:202〜204)、そして自動化合成は、例えば、ABI 431A Peptide Synthesizer(Perkin Elmer,Palo Alto,CA)を使用して達成され得る。
【0140】
新たに合成されたペプチドは、分離高速液体クロマトグラフィー(例えば、Creighton,T.(1983)Proteins,Structures and Molcular Principles,WH Freeman and Co.,New York,N.Y.)または当該分野において利用可能な他の同等技術により実質的に精製され得る。合成ペプチドの組成は、アミノ酸分析または配列決定(例えば、エドマン分解手順)により確認され得る。さらに、ポリペプチドまたはその任意の部分のアミノ酸配列は、直接合成の間に改変されて、そして/または化学的方法を使用して、他のタンパク質もしくはその任意の部分に由来する配列と組み合わせられて、改変体ポリペプチドを産生し得る。
【0141】
所望のポリペプチドを発現させるために、ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列または機能的等価物は、適切な発現ベクター(すなわち、挿入されたコード配列の転写および翻訳のために必要なエレメントを含むベクター)内に挿入され得る。当業者に周知である方法を使用して、目的のポリペプチドをコードする配列および適切な転写制御エレメントおよび翻訳制御エレメントを含む発現ベクターを構築し得る。これらの方法としては、インビトロ組換えDNA技術、合成技術、およびインビボ遺伝子組換えが挙げられる。そのような技術は、例えば、Sambrook,Jら、(1989)Molecular Cloning,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Press,Plainview,N.Y.,およびAusubel,F.M.ら、(1989)Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley&Sons,New York.N.Y.に記載される。
【0142】
種々の発現ベクター/宿主系が、ポリヌクレオチド配列を含み、そして発現させるように利用され得る。これらとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:微生物(例えば、組換えバクテリオファージ、プラスミド、またはコスミドDNA発現ベクターで形質転換した細菌);酵母発現ベクターで形質転換した酵母;ウイルス発現ベクター(例えば、バキュロウイルス)で感染させた昆虫細胞系;ウイルス発現ベクター(例えば、カリフラワーモザイクウイルス、CaMV;タバコモザイクウイルス、TMV)または細菌発現ベクター(例えば、TiもしくはpBR322プラスミド)で形質転換した植物細胞系;または動物細胞系。
【0143】
発現ベクター内に存在する「制御エレメント」または「調節配列」は、転写および翻訳を実行するように宿主細胞タンパク質と相互作用する、それらのベクターの非翻訳領域(エンハンサー、プロモーター、5’および3’非翻訳領域)である。そのようなエレメントは、その長さおよび特異性を変更し得る。利用されるベクター系および宿主に依存して、多数の適切な転写エレメントおよび翻訳エレメント(構成的プロモーターおよび誘導性プロモーターを含む)が使用され得る。例えば、細菌系においてクローニングする場合、誘導性プロモーター(例えば、PBLUESCRIPTファージミド(Stratagene,La Jolla,Calif.)またはPSPORT1プラスミド(Gibco BRL,Gaithersburg,MD)などのハイブリッドlacZプロモーターが使用され得る。哺乳動物細胞系において、哺乳動物遺伝子または哺乳動物ウイルスに由来するプロモーターが、一般的に好ましい。ポリペプチドをコードする配列の複数のコピーを含む細胞株を生成することが必要とされる場合、SV40またはEBVベースのベクターが、適切な選択マーカーと共に都合良く使用され得る。
【0144】
細菌系において、多数の発現ベクターが、発現されるポリペプチドに対して意図される使用に依存して選択され得る。例えば、大量に必要とされる場合(例えば、抗体の誘導のために)、容易に精製される融合タンパク質の高レベルの発現を方向づけるベクターが使用され得る。そのようなベクターとしては、以下が挙げられるがそれらに限定されない:多機能性E.coliクローニングベクターおよび発現ベクター(例えば、BLUESCRIPT(Stratagene)、ここでは目的のポリペプチドをコードする配列が、β−ガラクトシダーゼのアミノ末端Metおよびそれに引続く7残基についての配列とインフレームでベクター内に連結され得、その結果、ハイブリッドタンパク質が産生される);pINベクター(Van Heeke,G.およびS.M.Schuster(1989)J.Biol.Chem.264:5503−5509)など。pGEXベクター(Promega,Madison,Wis.)はまた、グルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)との融合タンパク質として外来ポリペプチドを発現させるために使用され得る。一般的に、そのような融合タンパク質は、可溶性であり、そしてグルタチオン−アガロースビーズに吸着させ、次に遊離のグルタチオンの存在下において溶出させることによって、溶解した細胞から容易に精製され得る。そのような系において作製されたタンパク質は、ヘパリン、トロンビン、または第XA因子プロテアーゼ切断部位を含むように設計され得、その結果、クローン化された目的のポリペプチドが、随意にGST部分から放出され得る。
【0145】
酵母(Saccharomyces cerevisiae)において、構成的プロモーターまたは誘導性プロモーター(例えば、α因子、アルコールオキシダーゼおよびPGH)を含む多数のベクターが使用され得る。概説については、Ausubelら、(前出)およびGrantら、(1987)Methods Enzymol.153:516−544を参照のこと。
【0146】
植物発現ベクターを使用する場合において、ポリペプチドをコードする配列の発現は、任意の多数のプロモーターにより駆動され得る。例えば、ウイルスプロモーター(例えば、CaMVの35Sプロモーターおよび19Sプロモーター)を、単独でか、またはTMVに由来するωリーダー配列と組み合わせて使用され得る(Takamatsu,N.(1987)EMBO J.6:307−311)。あるいは、植物プロモーター(例えば、RUBISCOの小サブユニットまたは熱ショックプロモーター)を使用し得る(Coruzzi,G.ら、(1984)EMBO J.3:1671−1680;Broglie,R.ら、(1984)Science224:838−843;およびWinter,Jら、(1991)Results Probl.Cell Differ.17:85−105)。これらの構築物は、直接的DNA形質転換または病原体媒介性トランスフェクションによって植物細胞内に導入され得る。そのような技術は、多数の一般的に入手可能な概説に記載されている(例えば、Hobbs,S.またはMurry,L.E.,McGraw Hill Yearbook of Science and Technology(1992)McGraw Hill,New York,N.Y.;191−196頁を参照のこと)。
【0147】
昆虫系はまた、目的のポリペプチドを発現させるために使用され得る。例えば、そのような1つの系において、オートグラファカリフォルニア核発汗病ウイルス(Autographa californica nuclear polyhedrosis virus)(AcNPV)は、Spodoptera frugiperda細胞またはTrichoplusia larvaeにおける外来遺伝子を発現させるベクターとして使用される。ポリペプチドをコードする配列は、ウイルスの非必須領域内(例えば、ポリへドリン(polyhedrin)遺伝子)にクローン化され得、ポリへドリンプロモーターの制御下に置かれ得る。ポリペプチドコード配列の首尾良い挿入は、ポリへドリン遺伝子を不活性化し、そして外殻タンパク質を欠損している組換えウイルスを産生する。次いで、この組換えウイルスを使用して、例えば、目的のポリペプチドが発現され得る、S.frugiperda細胞またはTrichoplusia larvaeに感染させ得る(Engelhard,E.K.ら、(1994)Proc.Natl.Acad.Sci.91:3224−3227)。
【0148】
哺乳動物宿主細胞において、多数のウイルスベースの発現系が一般的に利用可能である。例えば、アデノウイルスが、発現ベクターとして使用される場合において、目的のポリペプチドをコードする配列は、後期プロモーターおよび3部からなるリーダー配列から構成されるアデノウイルス転写/翻訳複合体内に連結され得る。ウイルスゲノムの非必須E1またはE3領域における挿入を使用して、感染した宿主細胞においてポリペプチドを発現し得る、生存可能ウイルスを入手し得る(Logan,J.およびShenk,T.(1984)Proc.Natl.Acad.Sci.81:3655−3659)。さらに、転写エンハンサー(例えば、ラウス肉腫ウイルス(RSV)エンハンサー)を使用して、哺乳動物宿主細胞における発現を増加させ得る。
【0149】
特定の開始シグナルはまた、目的のポリペプチドをコードする配列のより効率的な翻訳を達成するために使用され得る。そのようなシグナルとしては、ATG開始コドンおよび隣接配列が挙げられる。ポリペプチドをコードする配列、その開始コドンおよび上流配列が適切な発現ベクター内に挿入される場合において、さらなる転写制御シグナルまたは翻訳制御シグナルは必要とされなくとも良い。しかし、コード配列のみ、またはその一部のみが挿入される場合、ATG開始コドンを含む外因性翻訳制御シグナルが提供されるべきである。さらに、開始コドンは、インサート全体の翻訳を確実にするために正確なリーディングフレーム内にあるべきである。外因性翻訳エレメントおよび開始コドンは、種々の起源(天然および合成の両方)に由来し得る。発現の効率は、使用される特定の細胞系に適切なエンハンサー(例えば、文献(Scharf,D.ら、(1994)Results Probl.Cell Differ.20:125−162)に記載されるエンハンサー)の封入によって増大され得る。
【0150】
さらに、宿主細胞株は、挿入された配列の発現を調節するか、または所望の様式において発現されたタンパク質をプロセシングするその能力について選択され得る。そのようなポリペプチドの改変としては、アセチル化、カルボキシル化、グリコシル化、リン酸化、リピデーション(lipidation)およびアシル化が挙げられるが、これらに限定されない。タンパク質の「プレプロ」形態を切断する翻訳後プロセシングはまた、正確な挿入、折り畳みおよび/または機能を促進させるために使用され得る。異なる宿主細胞(例えば、CHO、COS、HeLa、MDCK、HEK293およびWI38)(これらは、そのような翻訳後活性についての特定の細胞機構(machinery)および特徴的機構(mechanisms)を有する)は、外来タンパク質の正確な改変およびプロセシングを確実にするように選択され得る。
【0151】
組換えタンパク質の長期間での高収率の産生のために、安定な発現が一般的に好ましい。例えば、目的のポリヌクレオチドを安定に発現する細胞株が、ウイルス複製起点および/または内因性発現エレメントならびに同じかもしくは別個のベクター上の選択マーカー遺伝子を含み得る、発現ベクターを使用して形質転換され得る。そのベクターの導入後、細胞は、それらが選択培地に切換えられる前に、富化(enriched)培地において1〜2日間、増殖され得る。選択マーカーの目的は、選択に対する耐性を与えることであり、そしてその存在は、導入された配列を首尾良く発現する細胞の増殖および回収を可能とする。安定に形質転換された細胞の耐性クローンは、その細胞型に適切な組織培養技術を使用して、増殖され得る。
【0152】
多数の選択系を使用して、形質転換細胞株を回収し得る。これらの選択系としては、それぞれ、tk.sup.−細胞またはaprt.sup−細胞において使用され得る、単純疱疹ウイルスチミジンキナーゼ(Wigler,M.ら、(1977)Cell 11:223−32)およびアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Lowy,I.ら、(1990)Cell 22:817−23)遺伝子が挙げられるが、これらに限定されない。また、代謝拮抗剤耐性、抗生物質耐性または除草剤耐性は、選択のための基礎として使用され得る;例えば、dhfr(これは、メトトレキセートに対する耐性を与える(Wigler,M.ら、(1980)Proc.Natl.Acad.Sci.77:3567−70));npt(これは、アミノグリコシド、ネオマイシンおよびG−418に対する耐性を与える(Colbere−Garapin,F.ら、(1981)J.Mol.Biol.150:1−14);ならびにalsまたはpat(これらは、それぞれ、クロルスルフロンおよびホスフィノスリシンアセチルトランスフェラーゼに対する耐性を与える(Murry、前出))。さらなる選択遺伝子が記載されている。例えば、trpB(これは、細胞がトリプトファンの代わりにインドールを利用することを可能にする)またはhisD(これは、細胞がヒスチジンの代わりにヒスチノールを利用することを可能にする)(Hartman,S.C.およびR.C.Mulligan(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.85:8047−51)。最近、アントシアニン、β−グルクロニダーゼおよびその基質のGUS、ならびにルシフェラーゼおよびその基質のルシフェリンのようなマーカーを用いる、可視マーカーの使用の人気が高くなっており、形質転換体を同定するためのみならず、特定のベクター系に起因し得る一過性のタンパク質発現または安定なタンパク質発現の量を定量するためにもまた広範に使用されている(Rhodes,C.A.ら、(1995)Methods Mol.Biol.55:121−131)。
【0153】
マーカー遺伝子発現の存在/非存在は、目的の遺伝子もまた存在するということを示唆しているが、その存在および発現は、確認されることを必要とし得る。例えば、ポリヌクレオチドをコードする配列が、マーカー遺伝子配列内に挿入される場合、配列を含む組換え細胞は、マーカー遺伝子機能の非存在により同定され得る。あるいは、マーカー遺伝子は、1つのプロモーターの制御下にポリペプチドコード配列と直列に配置され得る。誘導または選択に応じてマーカー遺伝子の発現は、通常、その直列遺伝子の発現も同様に示す。
【0154】
あるいは、所望のポリヌクレオチド配列を含み、かつ発現する宿主細胞は、当業者に公知の種々の手順によって同定され得る。これらの手順としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:例えば、核酸またはタンパク質の検出および/または定量化のための膜ベースの技術、溶液ベースの技術、またはチップベースの技術を含む、DNA−DNAもしくはDNA−RNAハイブリダイゼーション技術およびタンパク質バイオアッセイ技術またはイムノアッセイ技術。
【0155】
ポリヌクレオチドにコードされる産物に特異的なポリクローナル抗体もしくはモノクローナル抗体のいずれかを使用して、ポリヌクレオチドにコードされる産物の発現を検出および測定するための種々のプロトコルは、当該分野において公知である。例としては、酵素結合免疫測定法(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)および蛍光活性化セルソーティング(FACS)が挙げられる。所定のポリペプチド上の2つの非干渉性エピトープに対して反応性であるモノクローナル抗体を利用する2つの部位の、モノクローナルベースのイムノアッセイが、いくつかの適用のために好まれ得るが、競合的結合アッセイもまた、利用され得る。これらのアッセイおよび他のアッセイが他の場所に記載される(Hampton,R.ら、(1990;Serological Methods,a Laboratory Manual,APS Press,St Paul.Minn.)およびMaddox,D.E.ら、(1983;J.Exp.Med.158:1211−1216))。
【0156】
広範な種々の標識技術および結合技術は、当業者に公知であり、そして種々の核酸アッセイおよびアミノ酸アッセイにおいて使用され得る。ポリヌクレオチドに関連する配列を検出するための標識されたハイブリダイゼーションまたはPCRプローブを作製するための手段としては、オリゴ標識(oligolabeling)、ニックトランスレーション、末端標識または標識されたヌクレオチドを使用するPCR増幅が挙げられる。あるいは、mRNAプローブの作製のために、配列またはその任意の部分が、ベクター内にクローン化され得る。そのようなベクターは、当該分野において公知であり、市販されており、そして適切なRNAポリメラーゼ(例えば、T7、T3、またはSP6)および標識されたヌクレオチドを添加することにより、RNAプローブをインビトロで合成するために使用され得る。これらの手順は、種々の市販キットを使用して実施され得る。使用され得る適切なレポーター分子または標識としては、放射性核種、酵素、蛍光、化学発光、または色素形成剤ならびに基質、コファクター、インヒビター、磁気粒子などが挙げられる。
【0157】
目的のポリヌクレオチド配列で形質転換された宿主細胞は、発現および細胞培養からタンパク質を回収するのに適した条件下において培養され得る。組換え細胞により産生されたタンパク質は、使用された配列および/またはベクターに依存して、細胞内に分泌または含まれ得る。当業者によって理解されるように、本発明のポリヌクレオチドを含む発現ベクターは、原核細胞膜または真核細胞膜を介して、コードされたポリペプチドの分泌を方向付けるシグナル配列を含むように設計され得る。他の組換え構築物を使用して、目的のポリペプチドをコードする配列を、可溶性タンパク質の精製を促進するポリペプチドドメインをコードするヌクレオチド配列に結合させ得る。そのような精製促進ドメインとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:固定された金属上での精製を可能にする金属キレート化ペプチド(例えば、ヒスチジン−トリプトファンモジュール)、固定された免疫グロブリン上での精製を可能にするプロテインAドメイン、およびFLAGS伸長/アフィニティー精製システム(Immunex Corp.,Seattle,Wash.)において利用されるドメイン。精製ドメインとコードされるポリペプチドとの間に切断可能なリンカー配列(例えば、第XA因子またはエンテロキナーゼに対して特異的な配列(Invitrogen.San Diego,Calif.))の封入体を使用して、精製を促進させ得る。そのような発現ベクターの1つは、目的のポリペプチドを含む融合タンパク質およびチオレドキシンまたはエンテロキナーゼ切断部位の前に6つのヒスチジン残基をコードする核酸の発現を提供する。ヒスチジン残基は、Porath,Jら、(1992、Prot.Exp.Purif.3:263−281)に記載されるように、IMIAC(固定化金属イオンアフィニティークロマトグラフィー)上での精製を促進する一方で、エンテロキナーゼ切断部位は、融合タンパク質から所望のポリペプチドを精製するための手段を提供する。融合タンパク質を含むベクターの考察は、Kroll,D.J.ら、(1993;DNA Cell Boil,12:441−453)において提供される。
【0158】
組換え産生方法に加えて、本発明のポリペプチドおよびそのフラグメントは、固相技術(Merrifield J.(1963)J.Am.Chem.Soc.85:2149−2154)を使用する、直接的ペプチド合成によって産生され得る。タンパク質合成は、手動技術を使用してか、または自動化によって実施され得る。自動化合成は、例えば、Applied Biosystems 431Aペプチド合成装置(Perkin Elmer)を使用して、達成され得る。あるいは、種々のフラグメントは、別々に化学的に合成されて、そして全長分子を産生するために化学的方法を使用して組み合わせられ得る。
【0159】
(抗体組成物、そのフラグメントおよび他の結合因子)
別の局面に従って、本発明はさらに、本明細書に開示される腫瘍ポリペプチド、またはその一部、改変体もしくは誘導体に対して免疫学的結合を示す、結合因子(例えば、抗体およびその抗原結合フラグメント)を提供する。抗体またはその抗原結合フラグメントは、本発明のポリペプチドに対して「特異的に結合する」、「免疫学的に結合する」といわれ、そして/または、抗体またはその抗原結合フラグメントが検出可能レベルでこのポリペプチドと(例えば、ELISAアッセイにおいて)反応し、そして類似の条件で関連しないポリペプチドと検出可能に反応しない場合、本発明のポリペプチドに対して「免疫学的に反応性」である。
【0160】
免疫学的結合とは、この文脈において用いる場合、一般に免疫グロブリン分子とこの免疫グロブリンが特異的である抗原との間に生じる非共有的相互作用の型をいう。免疫グロブリン結合相互作用の強度または親和性は、相互作用の解離定数(Kd)として表され得る。ここでKdが小さいほど、大きい親和性を示す。選択されたポリペプチドの免疫学的結合特性は、当該分野で周知の方法を用いて定量され得る。このような方法の1つは、抗原結合部位/抗原複合体の形成および解離の速度を測定することを伴う。ここでこれらの速度は、複合パートナーの濃度、相互作用の親和性、および幾何学的パラメーター(両方向きで速度に等しく影響する)に依存する。従って、「オン速度定数」(Kon)および「オフ速度定数」(Koff)の両方が、濃度ならびに会合および解離の実質速度の計算によって決定され得る。Koff/Konの率によって、親和性に関係しない全てのパラメーターの削除が可能になり、従ってこれは、解離定数Kdに等しい。一般的にはDavisら(1990)Annual Rev.Biochem.59:439〜473を参照のこと。
【0161】
抗体の「抗原結合部位」または「結合部分」とは、抗原結合に関与する免疫グロブリン分子の部分をいう。抗原結合部位は、重鎖(「H」)および軽鎖(「L」)のN末端可変領域(「V」)のアミノ酸残基によって形成される。重鎖および軽鎖のV領域内の3つの高度に相違するストレッチを、「超可変領域」とよぶ。この超可変領域は、「フレームワーク領域」すなわち「FR」として公知の、さらに保存された隣接するストレッチの間に差し挟まれている。従って、用語「FR」は、免疫グロブリンの超可変領域の間にそして隣接して天然に見出されるアミノ酸配列をいう。抗体分子においては、軽鎖の3つの超可変領域および重鎖の3つの超可変領域が、3次元空間においてお互いに対して配置され、抗原結合表面を形成する。抗原結合表面は、結合した抗原の3次元表面に相補的であり、そして各重鎖および軽鎖の3つの超可変領域は、「相補性決定領域」または「CDR」と呼ばれる。
【0162】
結合因子は、本明細書に提供される代表的アッセイを用いて、肺癌のような癌の存在する患者と存在しない患者との間をさらに識別し得る。たとえば、腫瘍タンパク質に結合する抗体または他の結合因子は、好ましくはこの疾患を有する患者の少なくとも20%において、より好ましくは患者の少なくとも約30%において、癌の存在を示すシグナルを生じる。あるいは、またはさらに、この抗体は、この癌の無い個体の少なくとも約90%においてこの疾患が存在しないことを示す陰性のシグナルを生成する。結合因子がこの要件を満たすか否かを決定するために、癌を有する患者および有さない患者(標準的臨床試験を用いて決定した)由来の生物学的サンプル(例えば、血液、血清、喀痰、尿、および/または腫瘍生検)を、この結合因子に結合するポリペプチドの存在について、本明細書に記載されるようにアッセイし得る。好ましくは、この疾患を有するサンプルおよび有さないサンプルの統計学的に有意な数をアッセイする。各結合因子は、上記の基準をみたすべきである;しかし、結合因子が感度を改善するために組み合わせて用いられ得ることを当業者は認識する。
【0163】
上記の要件を満足する任意の因子が結合因子であり得る。例えば、結合因子は、リボソーム(ペプチド成分を含むか、または含まない)、RNA分子、またはポリペプチドであり得る。好ましい実施形態において、結合因子は、抗体またはその抗原結合フラグメントである。抗体は、当業者に公知の任意の種々の技術によって調製され得る。例えば、HarlowおよびLane、Antibodies:A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory、1988を参照のこと。一般に、抗体は、組み換え抗体の産生を可能にするために、本明細書に記載のようなモノクローナル抗体の生成を含む、細胞培養技術によって、または適切な細菌宿主もしくは哺乳動物細胞宿主への抗体遺伝子のトランスフェクションを介して、生成され得る。1つの技術において、このポリペプチドを含む免疫原を、任意の広範な種々の哺乳動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、ヒツジおよびヤギ)に最初に注射する。この工程において、本発明のポリペプチドは、改変することなく、免疫原として供給され得る。あるいは、特に比較的短いポリペプチドに関しては、このポリペプチドがキャリアタンパク質(例えば、ウシ血清アルブミンまたはキーホールリンペットヘモシアニン)に連結される場合に、優れた免疫応答が誘導され得る。好ましくは、1つ以上のブースター免疫化を組み込む予め決定された計画に従って、この免疫原を動物の宿主内に注射し、そしてこの動物を定期的に採血する。次いで、このポリペプチドに特異的なポリクローナル抗体を、例えば、適切な固体支持体に結合されたポリペプチドを使用するアフィニティークロマトグラフィーによって、このような抗血清から精製し得る。
【0164】
目的の抗原性ポリペプチドについて特異的なモノクローナル抗体は、例えば、KohlerおよびMilstein、Eur.J.Immunol.6:511−519、1976の技術、ならびにその改良型を使用して調製され得る。手短に言うと、これらの方法は、所望の特異性(すなわち、目的のポリペプチドとの反応性)を有する抗体を産生し得る不死化細胞株の調製を包含する。このような細胞株は、例えば、上記のように、免疫された動物から得られた脾臓細胞から産生され得る。次いで、脾臓細胞は、例えば、ミエローマ細胞融合パートナー(好ましくは、免疫された動物と同系のもの)との融合によって不死化される。種々の融合技術が使用され得る。例えば、脾臓細胞およびミエローマ細胞は、非イオン性界面活性剤と数分間合わせられ得、次いで、ハイブリッド細胞の増殖を支持するが、ミエローマ細胞の増殖を支持しない選択培地上に低密度でプレートされる。好ましい選択技術は、HAT(ヒポキサンチン、アミノプテリン、チミジン)選択を使用する。十分な時間(通常約1〜2週間)後、ハイブリッドのコロニーが観察される。単一コロニーが選択され、そしてそれらの培養上清が、ポリペプチドに対する結合活性について試験される。高い反応性および特異性を有するハイブリドーマが好ましい。
【0165】
モノクローナル抗体を、増殖しているハイブリドーマコロニーの上清から単離し得る。さらに、種々の技術(例えば、適切な脊椎動物宿主(例えば、マウス)の腹膜腔へのハイブリドーマ細胞株の注入)が、収量を増大させるために利用され得る。次いで、モノクローナル抗体を、腹水または血液から収集し得る。夾雑物を、従来の技術(例えば、クロマトグラフィー、ゲル濾過、沈殿、および抽出)によって抗体から除去し得る。本発明のポリペプチドを、例えば、アフィニティークロマトグラフィー工程における精製工程において使用し得る。
【0166】
多数の治療的に有用な分子が、当該分野で公知であり、これらの分子は、抗体分子の免疫学的結合特性を示し得る抗原結合部位を含む。タンパク質分解酵素であるパパインは、IgG分子を優先的に切断し、いくつかのフラグメントを生じ、これら(「F(ab)」フラグメント)のうち2つは、それぞれインタクトな抗原結合部位を含む共有結合したヘテロ二量体を含む。酵素ペプシンは、IgG分子を切断し得、いくつかのフラグメントを提供する。これらのフラグメントは、両方の抗原結合部位を含む「F(ab’)2」フラグメントを含む。「Fv」フラグメントは、IgM免疫グロブリン分子の優先的なタンパク質切断(IgGまたはIgA免疫グロブリン分子については、まれにしか起こらない)によって生成され得る。しかし、より一般的には、Fvフラグメントは、当該分野で公知の組換え技術を使用して誘導される。Fvフラグメントとしては、非共有結合VH::VLヘテロ二量体(多くの抗原認識およびネイティブな抗体分子の結合能力を保持する抗原結合部位を含む)が挙げられる。Inbarら(1972)Proc.Nat.Acad.Sci.USA 69:2659〜2662;Hochmanら(1976)Biochem 15:2706〜2710;およびEhrlichら(1980)Biochem 19:4019〜4096。
【0167】
一本鎖Fv(「sFv」)ポリペプチドは、共有結合したVH::VLヘテロ二量体であり、これはペプチドをコードするリンカーによって連結されたVHコード遺伝子およびVLコード遺伝子を含む遺伝子の融合物から発現される。Hustonら(1988)Proc.Nat.Acad.Sci.USA 85(16):5879〜5883。天然に凝集しているが、化学的に別個の、抗体のV領域由来の軽鎖ポリペプチドおよび重鎖ポリペプチドの、sFv分子(これは、抗原結合部位の構造に実質的に類似の三次元構造に折り畳まれている)への変換について、化学的構造を識別するための多数の方法が、記載されている。例えば、米国特許第5,091,513号、および同第5,132,405号(Hustonらに対して);および米国特許第4,946,778号(Ladnerらに対して)を参照のこと。
【0168】
上記分子はそれぞれ、重鎖CDRセットおよび軽鎖CDRセットを含み、それぞれ重鎖FRセットと軽鎖FRセット(これらは、CDRSに対して補助を提供し、そして相互に関連してCDRの空間的な関係を規定する)との間に挿入される。本明細書中で使用される場合、用語「CDRセット」は、重鎖V領域または軽鎖V領域の3つの超可変領域を言う。重鎖または軽鎖のN末端から生じるこれらの領域は、それぞれ「CDR1」、「CDR2」、および「CDR3」として示される。従って、抗原結合部位は、各々重鎖V領域および軽鎖V領域由来のCDRセットを含む6つのCDRを含む。1つのCDR(例えば、CDR1、CDR2、またはCDR3)を含むポリペプチドは、本明細書中では、「分子認識ユニット」と呼ばれる。多数の抗原−抗体複合体の結晶構造解析によって、CDRのアミノ酸残基が、結合抗原と広範な接触を形成し、ここで最も広範な抗原接触は、重鎖CDR3との接触であることが、実証された。従って、分子認識ユニットは、主に抗原結合部位の特異性に寄与する。
【0169】
本明細書中で使用される場合、用語「FRセット」は、重鎖V領域または軽鎖V領域のCDRセットのCDRを形成する4つの隣接するアミノ酸配列を言う。いくつかのFR残基は、結合抗原と接触し得るが、FRは、主にV領域が、抗原結合部位、特にCDRSに直接隣接するFR残基に折り畳まれていることに寄与する。FR内において、特定のアミノ残基および特定の構造的特徴は、非常に高度に保存されている。この観点において、全てのV領域の配列は、約90のアミノ酸残基の内部ジスルフィドループを含んでいる。V領域が結合部位へ折り畳まれる場合、CDRは、抗原結合表面を形成する突出したループモチーフとして示される。特定の「標準的な(canonical)」構造(正確なCDRアミノ酸配列に関係なく)に折り畳まれた形態のCDRループに影響するFRの保存された構造領域が存在することが一般的に理解されている。さらに、特定のFR残基は、抗体の重鎖および軽鎖の相互作用を安定化する非共有結合ドメイン間接触に関係することが公知である。
【0170】
非ヒト免疫グロブリン由来の抗原結合部位を含む多数の「ヒト化(humanized)」抗体分子が記載されており、これらとしては、以下が挙げられる:げっ歯類V領域およびこれらに関連するヒト定常ドメインに融合されたCDRを有するキメラ抗体(Winterら(1991) Nature 349:293〜299;Lobuglioら(1989) Proc.Nat.Acad.Sci.USA 86:4220〜4224;Shawら(1987) J Immunol.138:4534〜4538;およびBrownら(1987) Cancer Res.47:3577〜3583)、適切なヒト抗体定常ドメインと融合される前にヒト補助FRにグラフト化されたげっ歯類CDR(Riechmannら(1988) Nature 332:323〜327;Verhoeyenら(1988) Science 239:1534〜1536;およびJanesら(1986) Nature 321:522〜525)、および組換えでベニア化されたげっ歯類FRによって補助されるげっ歯類CDR(欧州特許公開第519,596号(1992年12月23日公開))。これらの「ヒト化」分子は、げっ歯類抗ヒト抗体分子に対する所望されない免疫学的応答(これは、ヒトレシピエントにおけるこれらの部分の治療的な適用の持続時間および有効性を制限する)を最小にするように設計される。
【0171】
本明細書中で使用される場合、用語「ベニア化されたFR」および「組換えでベニア化されたFR」は、例えば、げっ歯類重鎖V領域またはげっ歯類軽鎖V領域由来のFR残基の、ヒトFR残基での選択的な置換(これは、実質的に全てのネイティブなFRポリペプチド折り畳み構造を保持する抗原結合部位を含む異種間分子を提供するためである)を言う。ベニアリング(veneering)技術は、抗原結合部位のリガンド結合特性が、主に抗原結合表面での重鎖および軽鎖CDRセットの構造ならびに相対的な配置によって決定されるという理解に基づいている。Daviesら(1990)Ann.Rev.Biochem.59:439〜473。従って、抗原結合特異性は、ヒト化抗体においてのみ保存され得、ここで、CDR構造、これらの相互の相互作用、および残りのV領域ドメインとのこれらの相互作用は、慎重に維持される。ベニアリング技術を使用することによって、外側の(例えば、溶媒に接近可能な)FR残基(これは、免疫系によって容易に攻撃される(encountered))は、ヒト残基で選択的に置き換えられて、弱い免疫原性のベニア化された表面または実質的に免疫原性のないベニア化された表面のいずれかを含むハイブリッド分子を提供する。
【0172】
ベニアリング工程は、Kabatら(Sequences of Proteins of Immunological Interest、第4版(U.S.Dept.of Health and Human Services、U.S.Government Printing Office、1987))によって集められたヒト抗体可変ドメインについての利用可能な配列のデータを利用して、Kabatのデータベース、ならびにアクセス可能な米国のデータベースおよび外国のデータベース(両方とも核酸およびタンパク質)を最新のものとする。V領域のアミノ酸の溶媒への接近性(accessibility)は、ヒト抗体フラグメントおよびマウス抗体フラグメントについての公知の三次元構造から予測され得る。マウス抗原結合部位をベニアリングする工程には、一般的な2つの工程がある。最初は、目的の抗体分子の可変ドメインのFRを、上で同定された供給源から得られたヒト可変ドメインの対応するFR配列と比較する。次いで、最も相同なヒトV領域を、対応するマウスアミノ酸に対する残基によって残基を比較する。ヒトの対応物(counterpart)とは異なるマウスFRの残基を、当該分野で周知の組換え技術を使用してヒトの部分に存在する残基によって置き換える。残基の置き換えは、少なくとも部分的に曝露された(溶媒に接近可能な)部分でのみ実施可能であり、アミノ酸残基(例えば、プロリン、グリシン、および荷電したアミノ酸は、V領域ドメインの三次元構造に有意な影響を有し得る)の置き換えは、慎重に実施される。
【0173】
この様式において生じた「ベニア化された」マウス抗原結合部位は、従って、マウスCDR残基を保持するように設計され、この残基は実質的にCDRに隣接し、この残基は、この残基は埋まっている(bury)か、またはほとんど埋まっている(溶媒に接近し得ない)として同定され、この残基は、重鎖ドメインと軽鎖ドメインとの間の非共有結合的な(例えば、静電気的および疎水的)接触と関係すると考えられ、そしてこの残基はCDRループの「標準的な」三次元構造に影響すると考えられているFRの保存された構造領域由来である。次いで、これらの設計基準を使用して、組換えヌクレオチド配列を調製する。この組換えヌクレオチド配列は、マウス抗原結合部位の重鎖および軽鎖の両方のCDRを、ヒト様(human−appearing)FR(これは、マウス抗体分子の抗原特異性を示す組換えヒト抗体の発現のための哺乳動物細胞をトランスフェクトするために使用され得る)に組み合せる。
【0174】
本発明の別の実施形態において、本発明のモノクローナル抗体は、1つ以上の治療薬剤に結合され得る。この点において適切な薬剤は、放射性核種、分化誘導剤、薬物、毒素、およびその誘導体を含む。好ましい放射性核種には、90Y、123I、125I、131I、186Re、188Re、211At、および212Biが含まれる。好ましい薬物には、メトトレキセート、ならびにピリミジンアナログおよびプリンアナログが含まれる。好ましい分化誘導剤には、ホルボールエステルおよび酪酸が含まれる。好ましい毒素には、リシン、アブリン、ジフテリア毒素、コレラ毒素、ゲロニン(gelonin)、Pseudomonas菌体外毒素、Shigella毒素、およびアメリカヤマゴボウ抗ウイルスタンパク質が含まれる。
【0175】
治療剤は、直接的にかまたは間接的(例えば、リンカー基を介して)にかのいずれかで適切なモノクローナル抗体に結合(例えば、共有結合によって)され得る。薬剤と抗体との間の直接的な反応は、各々が互いに反応し得る置換基を有する場合に可能である。例えば、一方の求核基(例えば、アミノ基またはスルフヒドリル基)は、他方のカルボニル含有基(例えば、無水物もしくは酸ハロゲン化物)または良好な遊離基(例えば、ハロゲン化物)を含むアルキル基などと反応し得る。
【0176】
あるいは、リンカー基を介して治療剤と抗体とを結合させることが所望され得る。リンカー基は、結合の可能性を妨げることを回避するために、抗体を薬剤から隔てるためのスペーサーとして機能し得る。リンカー基はまた、薬剤または抗体上の置換基の化学的反応性を増加させるために働き得、従って結合効率を増大させる。化学的反応性の増大はまた、薬剤または薬剤上の官能基の使用を容易にし得、そうでない場合には、化学的反応性の増大は可能ではない。
【0177】
種々の二官能性または多官能性試薬、ホモ官能性とヘテロ官能性との両方(例えば、Pierce Chemical Co.,Rockford,ILのカタログ中に記載されるもの)が、リンカー基として使用され得ることが当業者には明らかである。結合は、例えば、アミノ基、カルボキシル基、スルフヒドリル基、または酸化された炭水化物残基を介してもたらされ得る。このような方法論を記載する多数の参考文献(例えば、Rodwellらに対する米国特許第4,671,958号)が存在する。
【0178】
本発明の免疫結合体の抗体部分がない場合に治療剤がより強力である場合、細胞中への内部移行の間に、またはその際に切断可能なリンカー基を使用することが望ましくあり得る。多数の異なる切断可能なリンカー基が記載されてきた。これらのリンカー基からの薬剤の細胞内放出についての機構は、ジスルフィド結合の還元(例えば、Spitlerへの米国特許第4,489,710号)、感光性結合の照射(例えば、Senterらへの米国特許第4,625,014号)、誘導体化されたアミノ酸側鎖の加水分解(例えば、Kohnらへの米国特許第4,638,045号)、血清補体媒介性加水分解(例えば、Rodwellらへの米国特許第4,671,958号)、および酸触媒加水分解(例えば、Blattlerらへの米国特許第4,569,789号)による切断を含む。
【0179】
1つより多い薬剤を抗体に結合させることが望ましくあり得る。1つの実施形態において、複数の薬剤の分子が1つの抗体分子に結合される。別の実施形態において、1つより多い型の薬剤が1つの抗体に結合され得る。特定の実施形態に関わらず、1つより多い薬剤を有する免疫結合体は、種々の方法で調製され得る。例えば、1つより多い薬剤が、抗体分子に直接的に結合され得るか、または付着のための複数の部位を提供するリンカーが使用され得る。あるいは、キャリアが使用され得る。
【0180】
キャリアは、種々の方法(直接的にかまたはリンカー基を介するかのいずれかの共有結合を含む)で薬剤を保有し得る。適切なキャリアには、アルブミンのようなタンパク質(例えば、Katoらへの米国特許第4,507,234号)、ペプチド、およびアミノデキストランのような多糖類(例えば、Shihらへの米国特許第4,699,784号)を含む。キャリアはまた、例えばリポソームベシクル内に、非共有結合によってかまたはカプセル化によって、薬剤を保有し得る(例えば、米国特許第4,429,008号および同第4,873、088号)。放射性核種薬剤に特異的なキャリアは、放射性ハロゲン化低分子およびキレート化合物を含む。例えば、米国特許第4,735,792号は、代表的な放射性ハロゲン化低分子およびそれらの合成を開示する。放射性核種キレートは、金属、または金属酸化物、放射性核種を結合するためのドナー原子として窒素原子および硫黄原子を含むキレート化合物から形成され得る。例えば、Davisonらへの米国特許第4,673,562号は、代表的なキレート化合物およびそれらの合成を開示する。
【0181】
(T細胞組成物)
別の局面において、本発明は、本明細書中に開示の腫瘍ポリペプチド、またはその改変体もしくはその誘導体に特異的なT細胞を提供する。このような細胞は、一般的に標準的手順を使用して、インビトロまたはエキソビボで調製され得る。例えば、T細胞は、市販の細胞分離システム(例えば、IsolexTMシステム(Nexell Therapeutics,Inc.(Irvine,CA;米国特許第5,240,856号;米国特許第5,215,926号;WO89/06280;WO91/16116およびWO92/07243もまた参照のこと)から入手可能)を使用して、患者の骨髄、末梢血あるいは骨髄または末梢血の画分中から単離され得る。あるいは、T細胞は、関連するか、または関連のないヒト、非ヒト哺乳動物の細胞株または培養物から誘導され得る。
【0182】
T細胞は、ポリペプチド、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、および/またはこのようなポリペプチドを発現する抗原提示細胞(APC)で刺激され得る。このような刺激は、目的のポリペプチドに特異的なT細胞の生成を可能にするために十分な条件下で十分な時間、行われる。好ましくは、本発明の腫瘍ポリペプチドまたはポリヌクレオチドは、送達ビヒクル(例えば、ミクロスフェア)中に存在して、特異的T細胞の生成を容易にする。
【0183】
T細胞は、このT細胞が、特異的に増殖するか、サイトカインを分泌するか、またはポリペプチドで被覆されるかもしくはこのポリペプチドをコードする遺伝子を発現する標的細胞を殺傷する場合に、本発明のポリペプチドに特異的であるとみなされる。T細胞特異性は、種々の標準的技術のいずれかを使用して評価され得る。例えば、クロム放出アッセイまたは増殖アッセイにおいて、ネガティブコントロールと比較して、溶解および/または増殖における2倍を超える増加の刺激指標は、T細胞特異性を示す。このようなアッセイは、例えば、Chenら、Cancer Res.54:1065−1070,1994に記載されるように、実行され得る。あるいは、T細胞の増殖の検出は、種々の公知の技術によって達成され得る。例えば、T細胞増殖は、DNA合成の速度の増加を測定することによって検出され得る(例えば、トリチウム化チミジンでT細胞の培養物をパルス標識し、そしてDNAに組み込まれたトリチウム化チミジンの量を測定することによって)。3〜7日間の肺腫瘍ポリペプチド(100ng/ml〜100μg/ml、好ましくは、200ng/ml〜25μg/ml)との接触は、代表的には、T細胞の増殖において少なくとも2倍の増加を生じる。2〜3時間の上記のような接触は、標準的なサイトカインアッセイを使用して測定されるように、T細胞の活性化を生じるはずであり、ここで、サイトカイン(例えば、TNFまたはIFN−γ)放出のレベルの2倍の増加が、T細胞の活性化を示す(Coliganら、Current Protocols in Immunology,第1巻、Wiley Interscience(Greene 1998)を参照のこと)。腫瘍ポリペプチド、ポリヌクレオチドまたはポリペプチド発現APCに応答して活性化されたT細胞は、CD4+および/またはCD8+であり得る。腫瘍ポリペプチド特異的T細胞は、標準的な技術を使用して増殖され得る。好ましい実施形態において、T細胞は、患者、関連するドナーまたは関連のないドナーに由来し、そして刺激および増殖後にその患者に投与される。
【0184】
治療目的で、腫瘍ポリペプチド、ポリヌクレオチドまたはAPCに応答して増殖するCD4+T細胞またはCD8+T細胞は、インビトロまたはインビボのいずれかで大量に増殖され得る。このようなT細胞のインビトロでの増殖は、種々の方法で達成され得る。例えば、T細胞は、T細胞増殖因子(例えば、インターロイキン−2)の添加を伴うか、または伴わずに、腫瘍ポリペプチド、またはこのようなポリペプチドの免疫原性部分に対応する短いペプチド、および/または肺腫瘍ポリペプチドを合成する刺激細胞に対して再度曝露され得る。あるいは、腫瘍ポリペプチドの存在下で増殖する1つ以上のT細胞は、クローニングによって数の上で拡大され得る。細胞をクローニングするための方法は、当該分野で周知であり、そしてこれらとしては、限界希釈が挙げられる。
【0185】
(薬学的組成物)
さらなる実施形態において、本発明は、細胞または動物に、単独でか、または1つ以上の他の治療部分と組み合わせでかのいずれかで投与するための、1つ以上の薬学的に受容可能な溶液中に本明細書中に開示されるポリヌクレオチド、ポリペプチド、T細胞および/または抗体組成物の処方物に関する。
【0186】
所望である場合、本明細書中で開示される組成物は、他の薬剤(例えば、他のタンパク質もしくはポリペプチドまたは種々の薬学的に活性な薬剤)とも組み合わせて投与され得る。事実、含まれ得る他の成分にもまた制限はない、但し、さらなる薬剤が標的細胞または宿主組織との接触に有意に有害な効果を生じない。従って、これらの組成物は、特定の場合に必要とされる種々の他の薬剤とともに送達され得る。このような組成物は、宿主細胞または他の生物学的供給源から精製され得るか、あるいは本明細書中に記載されるように化学的に合成され得る。同様に、このような組成物は、置換されたか、または誘導体化されたRNAまたはDNA組成物をさらに含み得る。
【0187】
従って、本発明の別の局面において、薬学的組成物が提供され、これは1以上のポリヌクレオチド、ポリペプチド、抗体、および/またはT細胞組成物(本明細書中では、生理学的に受容可能なキャリアとの組合せで記載される)を含む。特定の好ましい実施形態において、本発明の薬学的組成物は、予防的なワクチン適用および治療的なワクチン適用における使用のための本発明の免疫原性ポリヌクレオチド組成物および/またはポリペプチド組成物を含む。ワクチン調製は、一般的に、例えば、M.F.PowellおよびM.J.Newman(編)「Vaccine Design(the subunit and adjuvant approach)」、Plenum Press(NY、1995)に記載される。一般的に、このような組成物は、本発明の1以上のポリヌクレオチド組成物および/またはポリペプチド組成物を、1以上の免疫刺激物質との組み合せで含む。
【0188】
本明細書中に記載される薬学的組成物のいずれかが、本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドの薬学的に受容可能な塩を含み得ることが明らかである。このような塩は、例えば、有機塩基(例えば、第一級アミンの塩、第二級アミンの塩および第三級アミンの塩、ならびに塩基性アミノ酸の塩)および無機塩基(例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウムおよびマグネシウム塩)を含む薬学的に受容可能な無毒の塩基から調製され得る。
【0189】
別の実施形態において、例示的な本発明の免疫原性組成物(例えば、ワクチン組成物)は、インサイチュでこのポリペプチドが生成されるように上記のような1以上のポリペプチドをコードするDNAを含む。上記のように、このポリヌクレオチドは、当業者に公知の種々の多様な系のいずれかにおいて投与され得る。実際に、多数の遺伝子送達技術が、当該分野で公知であり、例えば、Rolland、Crit.Rev.Therap.Drug Carrier Systems 15:143〜198、1998、およびそこに列挙されている参考文献に記載の技術がある。当然のことながら、適切なポリヌクレオチド発現系は、患者での発現のために必要な調節DNAの調節配列(例えば、適切なプロモーターおよび終結シグナル)を含む。あるいは、細菌送達系は、細菌(例えば、Bacillus−Calmette−Guerrin)細胞表面のポリペプチドの免疫原性部分を発現するか、またはそのようなエピトープを分泌する細菌の投与を含み得る。
【0190】
従って、特定の実施形態において、本明細書中に記載の免疫原性ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、多数の公知のウイルスに基づく系のいずれかを使用して、発現のための適切な哺乳動物宿主細胞中に導入される。1つの例示的な実施形態において、レトロウイルスは、遺伝子送達系について簡便かつ有効なプラットホーム(platform)を提供する。本発明のポリペプチドをコードする選択されたヌクレオチド配列は、当該分野で公知の技術を使用して、ベクター中に挿入され得、そしてレトロウイルス粒子中にパッケージングされ得る。次いで、組換えウイルスが単離され得、そして被験体に送達され得る。多数の例示的なレトロウイルス系が、記載されている(例えば、米国特許第5,219,740号;MillerおよびRosman(1989)Bio Techniques 7:980〜990;Miller,A.D.(1990)Human Gene Thrapy 1:5〜14;Scarpaら(1991)Virology 180:849〜852;Burnsら(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:8033〜8037;ならびにBoris−LawrieおよびTemin(1993)Cur.Opin.Genet.Develop.3:102〜109)。
【0191】
さらに、多数の例示的なアデノウイルスに基づく系がまた記載されている。宿主ゲノム中に組込まれるレトロウイルスとは異なり、アデノウイルスは染色体外に保持され、従って挿入性の変異誘発に関連する危険性を最小限にする(Haj−AhmadおよびGraham(1986)J.Virol.57:267〜274;Bettら(1993)J.Virol.67:5911〜5921;Mitterederら(1994)Human Gene Therapy 5:717〜729;Sethら(1994)J.Virol.68:933〜940;Barrら(1994)Gene Therapy 1:51〜58;Berkner,K.L.(1988)Bio Techniques 6:616〜629;ならびにRichら(1993)Human Gene Therapy 4:461〜476)。
【0192】
種々のアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター系がまた、ポリヌクレオチド送達のために開発されている。AAVベクターは、当該分野で周知の技術を使用して容易に構築され得る。例えば、米国特許第5,173,414号および同第5,139,941号;国際公開番号WO 92/01070および同WO 93/03769;Lebkowskiら(1988)Molec.Cell.Biol.8:3988〜3996;Vincentら(1990)Vaccines 90(Cold Spring Harbor Laboratory Press);Carter,B.J.(1992)Current Opinion in Biothechnology 3:533〜539;Muzyczka,N.(1992)Current Topics in Microbiol and Immunol.158:97〜129;Kotin,R.M.(1994)Human Gene Therapy 5:793〜801;ShellingおよびSmith(1994)Gene Therapy 1:165〜169;ならびにZhouら(1994)J.Exp.Med.179:1867〜1875を参照のこと。
【0193】
本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを遺伝子転移によって送達するために有用なさらなるウイルスベクターとしては、ウイルスのポックスファミリー(例えば、ワクシニアウイルスおよびアビポックスウイルス)に由来するウイルスベクターが挙げられる。例としては、新規な分子を発現するワクシニアウイルス組替え体は、以下のように構築され得る。ポリペプチドをコードするDNAは、最初に適切なベクター中に、このDNAがワクシニアプロモーターに隣接し、そしてワクシニアDNA配列(例えば、チミジンキナーゼ(TK)をコードする配列)に隣接するように挿入される。次いで、このベクターを使用して、細胞にトランスフェクトし、これは同時にワクシニアに感染される。相同組替えは、ワクシニアプロモーターおよび目的のポリペプチドをコードする遺伝子をウイルスゲノム中に挿入するように働く。得られたTK.sup.(−)組替え体は、5−ブロモデオキシウリジンの存在下で細胞を培養し、そしてそれに耐性であるウイルスプラークを選ぶことによって選択され得る。
【0194】
ワクシニアベースの感染/トランスフェクション系は、都合よく使用されて、生物体の宿主細胞において、本明細書中に記載される1つ以上のポリペプチドの誘導性で一過性の、発現または同時発現を提供する。この特定の系において、細胞は、最初にインビトロでワクシニアウイルス組替え体(これはバクテリオファージT7 RNAポリメラーゼをコードする)で感染される。このポリメラーゼは、このポリメラーゼがT7プロモーターを保有するテンプレートのみを転写するという精巧な特異性を示す。感染後、細胞はT7プロモーターで駆動されて目的のポリヌクレオチドまたはポリペプチドでトランスフェクトされる。ワクシニアウイルス組替え体由来の原形質中で発現されるポリメラーゼは、トランスフェクトしたDNAをRNA中に転写し、これは次いで、宿主の翻訳機構によってポリペプチドに翻訳される。この方法は、高レベルで一過性の、大量のRNAの原形質産物およびその翻訳産物を提供する。例えば、Elroy−SteinおよびMoss、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1990)87:6743〜6747;Fuerstら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1986)83:8122〜8126を参照のこと。
【0195】
あるいは、アビポックスウイルス(例えば、家禽ポックスウイルスおよびカナリアポックスウイルス)はまた、目的のコード配列を送達するために使用され得る。組替えアビポックスウイルス(哺乳動物病原体から免疫原を発現する)は、非トリ種に投与する場合、保護的免疫を与えることが公知である。アビポックスベクターの使用は、ヒトおよび他の哺乳動物種において特に望ましい。なぜなら、アビポックス属は、感受性のトリ種においてのみ生産的に複製され得、従って哺乳動物細胞において感染的ではないからである。組替えアビポックスウイルスを産生する方法は、当該分野で公知であり、そしてワクシニアウイルスの産生に関して上述のように、遺伝的組替えを使用する。例えば、WO91/12882;WO89/03429;およびWO92/03545を参照のこと。
【0196】
多くのアルファウイルスベクターのいずれかはまた、本発明のポリヌクレオチド組成物の送達のために使用され得、例えば、これらのベクターは、米国特許第5,843,723号;同第6,015,686号;同第6,008,035号および同第6,015,694号に記載される。ベネズエラウマ脳脊髄炎(VEE)に基づく特定のベクターもまた使用され得、これらの例示的な例は米国特許第5,505,947号および同第5,643,576号において見出され得る。
【0197】
さらに、分子結合体ベクター(例えば、アデノウイルスキメラベクター(Michaelら、J.Biol.Chem(1993)268:6866〜6869およびWagnerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1992)89:6099〜6103に記載される)など)はまた、本発明下で遺伝子送達のために使用され得る。
【0198】
これらおよび他の公知のウイルスベースの送達系についてのさらなる例示的な情報は、例えば、以下において見出され得る:Fisher−Hochら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:317〜321、1989;Flexnerら、Ann.N.Y.Acad.Sci.569:86〜103、1989;Flexnerら、Vaccine 8:17〜21、1990;米国特許第4,603,112号、同第4,769,330号および同第5,017,487号;WO89/01973;米国特許第4,777,127号;GB 2,200,651:EP 0,345,242号;WO 91/02805;Berkner、Biotechniques 6:616〜627、1988;Rosenfeldら、Science 252:431〜434、1991;Kollsら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:215〜219、1994;Kass−Eislerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:11498〜11502、1993;Guzmanら、Circulation 88:2838〜2848、1993;ならびにGuzmanら、Cir.Res.73:1202〜1207、1993。
【0199】
特定の実施形態において、ポリヌクレオチドは、標的細胞のゲノム中に組み込まれ得る。この組み込みは、相同組替え(遺伝子置換)を介する特異的な配置および配向であっても良いし、またはランダムな非特異的な配置(遺伝子増強)で組み込まれても良い。なおさらなる実施形態において、このポリヌクレオチドは、細胞中に、DNAの別々のエピソームセグメントとして安定に維持され得る。このようなポリヌクレオチドセグメントすなわち「エピソーム」は、宿主細胞周期と独立してか、または宿主細胞周期と同調した維持および複製を可能にするのに十分な配列をコードする。発現構築物が細胞に送達され、そしてこの細胞において、ポリヌクレオチドが残存する様式は、使用される発現構築物の型に依存する。
【0200】
本発明の別の実施形態において、ポリヌクレオチドは、例えば、Ulmerら、Science 259:1745〜1749、1993に記載されそしてCohen、Science 259:1691〜1692、1993により概説されるような「裸」のDNAとして投与/送達される。裸のDNAの取り込みは、生分解性ビーズ(これは、細胞に効率的に輸送される)上にそのDNAをコーティングすることによって増加され得る。
【0201】
さらに別の実施形態において、本発明の組成物は、微粒子銃アプローチを介して送達され得、この微粒子銃の多くが記載されている。1つの例示的な例において、ガス駆動粒子加速は、Powderject Pharmaceuticals PLC(Oxford,UK)およびPowderject Vaccinenes Inc.(Madison,WI)によって製造されているようなデバイスを使用して達成され得、これらのいくつかの例は、米国特許第5,846,796号、同第6,010,478号;同第5,865,796号;同第5,584,807号;および欧州特許第0500799号に記載される。このアプローチは、針無し送達アプローチを提供し、ここで、微視的な粒子の乾燥粉末処方物(例えば、ポリヌクレオチドまたはポリペプチド粒子)は、手持ち型デバイスによって生成されるヘリウムガスジェット中で、高速に加速されこの粒子を目的の標的組織へと推進する。
【0202】
関連する実施形態において、本発明の組成物のガス駆動針無し注入に有用であり得る他のデバイスおよび方法は、Bioject,Inc.(Portland,OR)によって提供されるようなものを含み、これらのいくつかの例は、米国特許第4,790,824号;同第5,064,413号;同第5,312,335号;同第5,383,851号;5,399,163号;同第5,520,639号および同第5,993,412号に記載される。
【0203】
別の実施例に従って、本明細書中に記載される薬学的組成物は、本発明の免疫原性ポリヌクレオチド、ポリペプチド、抗体、T細胞および/またはAPC組成物に加えて、1つ以上の免疫刺激因子を含む。免疫刺激因子は、外因性抗原に対する(抗体および/もしくは細胞介在)免疫応答を亢進(enhance)または増強(potentiate)する、基本的に任意の物質をいう。免疫刺激因子の1つの好ましい例は、アジュバントを含む。多くののアジュバントは、抗原を迅速な異化から防御するように設計された物質(例えば、水酸化アルミニウムまたは鉱油)および免疫応答の刺激因子(例えば、リピドA(脂質A)、Bortedella pertussisまたはMycobacterium tuberculosis由来のタンパク質)を含む。特定のアジュバントは、例えば、フロイント不完全アジュバントおよびフロイント完全アジュバント(Difco Laboratories,Detroit,MI);Merck Adjuvant 65(Merck and Company,Inc.,Rahway,NJ);AS−2(SmithKline Beecham,Philadelphia,PA);アルミニウム塩(例えば、水酸化アルミニウムゲル(ミョウバン)またはリン酸アルミニウム);カルシウム、鉄、または亜鉛の塩;アシル化したチロシンの不溶性懸濁液;アシル化した糖;カチオン性かまたはアニオン性に誘導される多糖類;ポリフォスファーゼン;生分解性ミクロスフェア、モノホスホリルリピドAおよびquil Aとして市販されている。サイトカイン(例えば、GM−CSFまたはインターロイキン−2、インターロイキン−7もしくはインターロイキン−12および他の増殖因子様のもの)もまた、アジュバントとして使用され得る。
【0204】
本発明の特定の実施形態において、そのアジュバント組成物は、好ましくは、優勢にTh1型の免疫応答を誘導するアジュバント組成物である。高レベルのTh1型サイトカイン(例えば、IFN−γ、TNFα、IL−2およびIL−12)は、投与される抗原に対する細胞媒介性免疫応答の誘導を支持する傾向がある。対照的に、高レベルのTh2型サイトカイン(例えば、IL−4、IL−5、IL−6およびIL−10)は、体液性免疫応答の誘導を支持する傾向がある。本明細書中に提供されるようなワクチンの適用の後、患者は、Th1型応答およびTh2型応答を含む免疫応答を支持する。応答が優勢にTh1型である好ましい実施形態において、Th1型サイトカインのレベルは、Th2型サイトカインのレベルより高い程度まで増加する。これらのサイトカインのレベルは、標準的アッセイを使用して容易に評価され得る。サイトカインのファミリーの概説については、MosmannおよびCoffman、Ann.Rev.Immunol.7:145〜173、1989を参照のこと。
【0205】
優勢なTh1型応答を惹起するための特定の好ましいアジュバントとしては、例えば、モノホスホリルリピドA(好ましくは3−de−O−アシル化モノホスホリルリピドA)とアルミニウム塩との組み合わせが挙げられる。MPL(登録商標)アジュバントは、Corixa Corporation(Seattle、WA;例えば、米国特許第4,436,727号;同第4,877,611号;同第4,866,034号および同第4,912,094号を参照のこと)から入手可能である。CpG含有オリゴヌクレオチド(そのCpGジヌクレオチドはメチル化されていない)もまた、優勢にTh1応答を誘導する。このようなオリゴヌクレオチドは周知であり、例えば、WO 96/02555、WO 99/33488ならびに米国特許第6,008,200号および同第5,856,462号に記載されている。免疫刺激性DNA配列もまた、例えば、Satoら、Science 273:352、1996により記載されている。別の好ましいアジュバントは、サポニン(例えば、Quil Aもしくはその誘導体(QS21およびQS7(Aquila Biopharmaceuticals Inc.、Framingham、MA)を含む));エスチン(Escin);ジギトニン(Digitonin);またはGypsophilaもしくはChenopodium quinoaサポニンを含む。他の好ましい処方物としては、本発明のアジュバントの組合わせにおいて1つよりも多くのサポニン(例えば、以下を含む群:QS21、QS7、Quil A、β−エスチンまたはジギトニンのうち少なくとも2つの組み合わせを含む)。
【0206】
あるいは、このサポニン処方物は、ワクチンビヒクルと組合わされ得、このワクチンビヒクルは、キトサンもしくは他のポリカチオン性ポリマー、ポリラクチドおよびポリラクチド−co−グリコリド粒子、ポリ−N−アセチルグルコサミンベースのポリマーマトリクス、多糖類もしくは化学的に改変された多糖類からなる粒子、リポソームおよび脂質ベースの粒子、グリセロールモノエステルからなる粒子などからなる。このサポニンはまた、コレステロールの存在下で処方されてリポソームまたはISCOMのような粒子構造を形成し得る。さらに、このサポニンは、非粒子性溶液もしくは非粒子性懸濁液のいずれかにおいてか、または少層状(paucilamelar)リポソームまたはISCOMのような粒子構造において、ポリオキシエチレンのエーテルもしくはエステルと共に処方され得る。このサポニンはまた、Carbopol(登録商標)のような賦形剤と共に処方されて粘度を増加させても良いし、またはラクトースのような粉末の賦形剤を用いて乾燥粉末の形態で処方されても良い。
【0207】
1つの好ましい実施形態において、このアジュバント系は、モノホスホリルリピドAとサポニン誘導体との組み合わせ(例えば、WO 94/00153に記載されるような、QS21と3D−MPL(登録商標)との組み合わせ)またはWO 96/33739に記載されるような、QS21がコレステロールでクエンチされている反応生成が低い(less reactogenic)組成物を含む。他の好ましい処方物は、水中油エマルジョンおよびトコフェロールを含む。水中油エマルジョン中のQS21、3D−MPL(登録商標)アジュバントおよびトコフェロールを利用する、特に好ましい別のアジュバント処方物が、WO 95/17210に記載されている。
【0208】
別の増強されたアジュバント系は、CpG含有オリゴヌクレオチドとサポニン誘導体との組合わせを含み、特にCpGとQS21との組合わせは、WO00/09159において記載されている。好ましくは、この処方物はさらに、水中油エマルジョンおよびトコフェロールを含む。
【0209】
本発明の薬学的組成物において使用するためのさらなる例示的なアジュバントとしては、Montanide ISA 720(Seppic,France)、SAF(Chiron、California、United States)、ISCOMS(CSL)、MF−59(Chiron)、アジュバントのSBASシリーズ(例えば、SBAS−2またはSBAS−4、SmithKline Beecham,Rixensart,Belguimから入手可能)、Detox(Enhanzyn(登録商標)(Corixa,Hamilton,MT)、RC−529(Corixa,Hamilton,MT)、および他のアミノアルキルグルコサミニド4−リン酸(AGP)(例えば、係属中の米国特許出願番号08/853,826および09/074,720(これらの開示は、その全体において本明細書中で参考として援用される)、ならびにポリオキシエチレンエステルアジュバント(例えば、WO99/52549A1に記載される)が挙げられる。
【0210】
他の好ましいアジュバントとしては、以下の一般式のアジュバント分子を含み:
(I): HO(CH2CH2O)n−A−R
ここで、nは、1〜50であり、Aは、単結合または−C(O)−であり、Rは、C1〜50アルキルまたはフェニルC1〜50アルキルである。
【0211】
本発明の1つの実施形態は、一般式(I)のポリオキシエチレンエーテルを含むワクチン処方物からなり、ここで、nは1と50との間であり、好ましくは4〜24、最も好ましくは9であり;R成分は、C1〜50アルキル、好ましくはC4〜C20アルキルであり、最も好ましくはC12アルキルであり、そしてAは、単結合である。ポリオキシエチレンエーテルの濃度は、0.1〜20%の範囲であり、好ましくは0.1〜10%の範囲であり、そして最も好ましくは0.1〜1%の範囲であるべきである。好ましいポリオキシエチレンエーテルは、以下の群から選択される:ポリオキシエチレン−9−ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン−9−ステオリル(steoryl)エーテル、ポリオキシエチレン−8−ステオリルエーテル、ポリオキシエチレン−4−ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン−35−ラウリルエーテル、およびポリオキシエチレン−23−ラウリルエーテル。ポリオキシエチレンエーテル(例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル)は、Merckインデックス(第12版:エントリー7717)に記載されている。これらのアジュバント分子は、WO99/52549に記載されている。
【0212】
上記の一般式(I)に従うポリオキシエチレンエーテルは、所望される場合、別のアジュバントと組合わされ得る。例えば、好ましいアジュバントの組み合わせは、好ましくは、係属中のUK特許出願GB9820956.2に記載されるようなCpGとの組み合わせである。
【0213】
本発明の別の実施形態に従って、本明細書中に記載される免疫原性組成物は、抗原提示細胞(APC)(例えば、樹状細胞、マクロファージ、B細胞、単球、および有効なAPCであるように操作され得る他の細胞)を介して宿主に送達される。このような細胞は、抗原を提示する能力を増大するように、T細胞応答の活性化および/または維持を改良するように、それ自体で抗腫瘍効果を有するように、そして/あるいは受け手(すなわち、一致するHLAハプロタイプ)と免疫学的に適合性であるように遺伝学的に改変され得るが、改変される必要はない。APCは、一般に、種々の生物学的な流体および器官(腫瘍および腫瘍周辺組織を含む)のいずれかから単離され得、そして自己細胞、同種異系細胞、同系細胞、または異種細胞であり得る。
【0214】
本発明の特定の好ましい実施形態は、抗原提示細胞として、樹状細胞またはその前駆細胞を使用する。樹状細胞は、高度に強力なAPCであり(BanchereauおよびSteinman、Nature 392:245−251、1998)、そして予防的または治療的な抗腫瘍免疫性を誘発するための生理学的アジュバンドとして有効であることが示されてきた(TimmermanおよびLevy、Ann.Rev.Med.50:507−529、1999を参照のこと)。一般に、樹状細胞は、それらの代表的な形状(インサイチュでは星状、インビトロでは目に見える顕著な細胞質プロセス(樹枝状結晶)を有する)、高い効率で抗原を取り込み、処理し、そして提示するそれらの能力、および未処置の(naive)T細胞応答を活性化するそれらの能力に基づいて同定され得る。もちろん樹状細胞は、インビボまたはエキソビボで樹状細胞上に通常見出されない特定の細胞表面レセプターまたはリガンドを発現するように操作され得、このような改変樹状細胞は本発明によって意図される。樹状細胞の代替として、分泌小胞抗原装荷樹状細胞(secreted vesicles antigen−loaded dendritic cells)(エキソソーム(exosome)と呼ばれる)がワクチン内で使用され得る(Zitvogelら、Nature Med.4:594−600,1998を参照のこと)。
【0215】
樹状細胞および前駆細胞は、末梢血、骨髄、腫瘍浸潤細胞、腫瘍周辺組織浸潤細胞、リンパ節、脾臓、皮膚、臍帯血、または任意の他の適切な組織もしくは流体から得られ得る。例えば、樹状細胞は、末梢血から収集された単球の培養物に、GM−CSF、IL−4、IL−13および/またはTNFαのようなサイトカインの組み合わせを添加することによってエキソビボで分化され得る。あるいは、末梢血、臍帯血または骨髄から収集されたCD34陽性細胞は、培養培地にGM−CSF、IL−3、TNFα、CD40リガンド、LPS、flt3リガンドならびに/または樹状細胞の分化、成熟、および増殖を誘導する他の化合物の組合わせによって、樹状細胞に分化され得る。
【0216】
樹状細胞は、「未熟」細胞および「成熟」細胞として都合良く分類され、このことは、2つの十分に特徴付けられた表現型の間を区別する単純な方法を与える。しかしこの命名法は、全ての可能な分化の中間段階を排除するように解釈されるべきではない。未熟な樹状細胞は、抗原の取り込みおよびプロセシングの高い能力を有するAPCとして特徴付けられ、この能力は、Fcγレセプターおよびマンノースレセプターの高度な発現と相関する。成熟表現型は、代表的に、クラスIおよびクラスII MHC、接着分子(例えば、CD54およびCD11)ならびに同時刺激性分子(例えば、CD40、CD80、CD86および4−1BB)のようなT細胞活性化の原因である細胞表面分子の高度な発現ではなく、これらのマーカーのより低い発現によって特徴付けられる。
【0217】
APCは、一般に、本発明のポリヌクレオチド(またはその部分もしくは他の改変体)を用いてトランスフェクトされ得、その結果、コードされたポリペプチドまたはその免疫原性部分が細胞表面上に発現される。このようなトランスフェクションはエキソビボで生じ得、次いでこのようなトランスフェクトされた細胞を含む薬学的組成物は、本明細書中に記載されるように、治療目的のために使用され得る。あるいは、樹状細胞または他の抗原提示細胞を標的とする遺伝子送達ビヒクルが、患者に投与され得、インビボで起こるトランスフェクションを生じる。樹状細胞のインビボおよびエキソビボでのトランスフェクションは、例えば、WO97/24447に記載される方法、またはMahviら、Immunology and cell Biology 75:456−460、1997によって記載される遺伝子銃アプローチのような当該分野で公知の任意の方法を使用して一般に実施され得る。樹状細胞の抗原装荷は、樹状細胞または前駆細胞を、腫瘍ポリペプチド、DNA(裸のもしくはプラスミドベクター中の)またはRNA;あるいは抗原発現性組換え細菌またはウイルス(例えば、牛痘、鶏痘、アデノウイルスまたはレンチウイルスのベクター)とインキュベートすることによって達成され得る。装荷の前に、ポリペプチドは、T細胞補助(例えば、キャリア分子)を提供する免疫学的パートナーに共有結合され得る。あるいは、樹状細胞は、別々にかまたはポリペプチドの存在下で、結合体化していない免疫学的パートナーと同調(pulse)され得る。
【0218】
当業者に公知である任意の適切なキャリアが本発明の薬学的組成物において使用されているが、キャリアの型は代表的に投与の様式に依存して変化する。本発明の組成物は、投与の任意の適切な様式で処方され得、これには、例えば局所投与、経口投与、経鼻投与、粘膜投与、静脈投与、頭蓋内投与、腹腔内投与、皮下投与および筋肉内投与が挙げられる。
【0219】
このような薬学的組成物内での使用のためのキャリアは、生体適合性であり、そしてまた、生分解性であり得る。特定の実施形態において好ましくはその処方物は、比較的一定なレベルの活性成分放出を提供する。しかし他の実施形態において、投与の際すぐのより速い放出の速度が所望され得る。このような組成物の処方は、公知の技術を使用した当業者のレベル内である。この点において有用である例示的なキャリアとしては、ポリ(ラクチド−co−グリコリド)、ポリアクリレート、ラテックス、デンプン、セルロース、デキストランなどの微粒子が挙げられる。他の例示的な遅延性放出キャリアとしては、超分子バイオベクター(supramolecular biovector)が挙げられ、これは、非水性親水性コア(例えば、架橋した多糖またはオリゴ糖)と、必要に応じて両親媒性化合物(例えば、リン脂質)を含む外層とを含む(例えば、米国特許第5,151,254号およびPCT出願WO94/20078、WO/94/23701およびWO 96/06638を参照のこと)。徐放性処方物中に含まれる活性化合物の量は、移植部位、放出の速度および予想持続期間、ならびに処置または予防されるべき状態の性質に依存する。
【0220】
別の例示的な実施形態において、生分解性ミクロスフェア(例えば、ポリ乳酸、ポリグリコール酸)は、本発明の組成物のためのキャリアとして使用される。適切な生分解性ミクロスフェアは、例えば、米国特許第4,897,268号;同第5,075,109号;同第5,928,647号;同第5,811,128号;同第5,820,883号;同第5,853,763号;同第5,814,344号、同第5,407,609号および同第5,942,252号に開示される。改変されたB型肝炎コアタンパク質系(例えば、WO/99 40934およびそこで引用される文献に記載されるような)もまた、多くの応用について有用である。別の例示的なキャリア/送達系は、米国特許第5,928,647号に記載される微粒子−タンパク質複合体を含むキャリアを使用し、このようなキャリアは、宿主においてクラスI拘束細胞傷害性Tリンパ球応答を誘導し得る。
【0221】
本発明の組成物は、しばしば1つ以上の緩衝剤(例えば、中性の緩衝化生理食塩水またはリン酸緩衝化生理食塩水);糖質(例えば、グルコース、マンノース、スクロースまたはデキストラン);マンニトール;タンパク質;ポリペプチドまたはアミノ酸(例えば、グリシン);抗酸化剤;静菌剤;キレート剤(例えば、EDTAまたはグルタチオン);アジュバント(例えば、水酸化アルミニウム);処方物をレシピエントの血液に対して等張性、低張性またはわずかに高張性にする溶質;懸濁剤;濃化剤および/または保存剤をさらに含む。あるいは、本発明の組成物は、凍結乾燥物として処方され得る。
【0222】
本明細書中に記載される薬学的組成物は、単容量または複容量容器(例えば、密封アンプルもしくはバイアル)中で処方され得る。このような容器は、代表的に使用まで処方物の滅菌性および安定性を保つような方法で密封される。一般に、処方物は油性ビヒクルかまたは水性ビヒクル中で、懸濁液、溶液またはエマルジョンとして貯蔵される。あるいは、薬学的組成物は、フリーズドライ状態で貯蔵され得、これは使用の直前に滅菌水性キャリアの添加を必要とするだけである。
【0223】
種々の治療レジメン(例えば、経口、非経口、静脈内、鼻腔内および筋肉内投与が挙げられる)ならびに処方における、本明細書中で記載される特定の組成物を使用するための適切な用量レジメンおよび治療レジメンの開発は、当該分野で周知であり、そのうちのいくつかは一般的な例示の目的のために以下で簡単に議論される。
【0224】
特定の適用において、本明細書に開示される薬学的組成物は、経口投与を介して動物に送達され得る。このように、これらの組成物は、不活性な希釈剤とともに処方され得るか、もしくは吸収可能な食用キャリアとともに処方され得るか、または、それらは、硬質殻または軟質殻のゼラチンカプセルに封入され得るか、またはそれらは、錠剤に圧縮され得るか、またはそれらは、治療食の食物と、直接混合され得る。
【0225】
活性な化合物は、賦形剤となお混合され得、そして経口摂取可能な錠剤、バッカル錠、トローチ、カプセル、エリキシル、懸濁液、シロップ、カシェ剤などの形態で使用され得る(例えば、Mathiowitzら、Nature 1997年3月27日;386(6623)410〜4;Hwangら、Crit Rev Ther Drug Carrier Syst 1998;15(3):243〜84;米国特許第5,641,515号;米国特許第5,580,579号および米国特許第5,792,451号を参照のこと)。錠剤、トローチ、丸剤、カプセルなどはまた、例えば、以下の種々の対か成分のいずれかを含み得る:バインダー(例えば、カラヤゴム、アラビアゴム、コーンスターチ、またはゼラチン);賦形剤(例えば、リン酸二カルシウム);崩壊剤(例えば、コーンスターチ、ジャガイモデンプン、アルギン酸など);潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム);および甘味料(例えば、添加され得るスクロース、ラクトースまたはサッカリン)または矯味矯臭剤(例えば、ペパーミント、冬緑油、またはチェリー香料)。投薬単位形態が、カプセルである場合、それは、上記の型の材料に加えて、液体キャリアを含み得る。種々の他の材料は、コーティングとして存在し得るか、または投薬単位の物理的形態を改変するために存在し得る。例えば、錠剤、丸剤、またはカプセルは、シェラック、糖、または両方でコーティングされ得る。もちろん、任意の投与単位形態を調製する際に使用される任意の材料は、薬学的に純粋であるべきであり、そして使用される量で実質的に無毒性であるべきである。さらに、活性化合物は、徐放性調製物および処方物に組み込まれ得る。
【0226】
代表的に、これらの処方物は、少なくとも約0.1%またはそれよりも多い活性化合物を含むが、活性成分の割合は、もちろん、変化し得、そして好都合に、全処方物の重量または体積の約1または2%と、約60%または70%以上のとの間であり得る。当然、治療的に有用な組成物の各々の中の活性化合物の量は、適切な投薬量が、化合物の任意の所定の単位用量において得られるような様式で、調製され得る。溶解度、バイオアベイラビリティー、生物学的半減期、投与の経路、製品の有効期限のような要因、および他の薬理学的考慮が、このような薬学的処方物を調製する分野の当業者によって意図され、そしてそのように、種々の投薬量および処置レジメンが、所望され得る。
【0227】
あるいは、経口投与について、本発明の組成物は、うがい薬、歯みがき剤、バッカル錠、経口スプレー、または舌下経口投与処方物の形態で、1つ以上の賦形剤と混合され得る。あるいは、活性成分は、経口溶液(例えば、ホウ酸ナトリウム、グリセリンおよび炭酸水素カリウムを含む溶液)に組み込まれ得るか、または歯みがき剤に分散され得るか、または治療的有効量で、水、バインダー、研磨剤、香料、発泡剤、および湿潤剤を含み得る組成物に添加され得る。あるいは、これらの組成物は、舌下に置かれ得るか、そうでなければ口の中で溶解され得る錠剤形態または溶液形態に成形され得る。
【0228】
特定の状況において、本明細書に開示される薬学的組成物を、非経口的に、静脈内に、筋肉内に、または腹腔内にでさえ、送達することが所望される。このようなアプローチは、当業者に周知であり、アプローチの幾つかは、例えば、米国特許第5,543,158号;米国特許第5,641,515号および米国特許第5,399,363号にさらに記載される。特定の実施形態において、遊離塩基または薬理学的受容可能な塩としての活性化合物の溶液は、水中で界面活性剤(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース)と適切に混合されて、調製され得る。分散物はまた、グリセロール、液体ポリエチレングリコール、およびそれらの混合物中で、そしてオイル中で調製され得る。保存および使用の通常の条件下で、これらの調製物は、一般的に、微生物の増殖を防止するために、防腐剤を含む。
【0229】
注入用途のために適切な例証となる薬学的形態は、滅菌水溶液または分散物および滅菌注射用溶液または分散物の即時調製のための滅菌散剤を含む(例えば、米国特許第5,466,468号を参照のこと)。全ての場合において、その形態は、滅菌でなければならず、そして容易な注射能力(syringability)が存在する程度に、流動性でなければならない。それは、製造および保存の条件下で安定でなければならず、そして微生物(例えば、細菌および真菌)の汚染作用に対して保存されなければならない。キャリアは、溶媒または、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコールなど)、それらの適切な混合物、および/もしくは植物油を含む分散媒体であり得る。適切な流動性は、例えば、コーティング(例えば、レシチン)の使用によって、分散物の場合には必要とされる粒子サイズの維持によって、そしてまたは、界面活性剤に使用によって、維持され得る。微生物の作用の防止は、種々の抗菌剤および抗真菌剤(例えば、パラベン(paraben)、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールなど)によって促進され得る。多くの場合いおいて、等張剤(例えば、糖または塩化ナトリウム)を含むことが、望ましい。注射可能な組成物の長期にわたる吸収は、吸収を遅延させる薬剤の組成物(例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチン)の使用によって、もたらされ得る。
【0230】
1つの実施形態において、水溶液中での非経口投与のために、必要ならばその溶液は、適切に緩衝化されるべきであり、そして液体希釈剤が、最初に、十分な生理食塩水またはグルコースで等張にされる。これらの特定の水溶液は、特に、静脈内投与、筋内投与、皮下投与、および腹腔内投与に適切である。これに関連して、使用され得る滅菌水性媒体は、本開示を考慮して、当業者に公知である。例えば、一投与量は、1mlの等張のNaCl溶液に溶解され得、そして1000mlの皮下注入流体に添加され得るか、または注入予定部位で注入され得るかのいずれかである(例えば、「Remington’s Pharmaceutical Science」、第15版、1035〜1038頁および1570〜1580頁を参照のこと)。投薬量におけるいくらかの変化が、処置される被験体の状態に依存して、必ず生じる。さらに、ヒト投与に対して、調製物は、当然好ましくは、FDA Office of Biologics standardsによって要求されるような、無菌性、発熱性、および一般的な安全性標準および純度標準を満たさなくてはならない。
【0231】
本発明の別の実施形態において、本明細書中に開示される組成物は、中性形態または塩形態として処方され得る。例証される薬学的に受容可能な塩は、酸付加塩(タンパク質の遊離アミノ基とともに形成される)を含み、そしてこれらの塩は、無機酸(例えば、塩酸、リン酸など)、または酢酸、シュウ酸、酒石酸、マンデル酸などの有機酸とともに形成される。遊離カルボキシル基とともに形成された塩もまた、無機塩基(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カルシウム、または水酸化鉄(III))、およびイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ヒスチジン、プロカインなどの有機塩基から誘導され得る。処方の際に、溶液は、投薬処方と適合する様式でかつ治療的に有効な量で投与される。
【0232】
キャリアは、さらに、任意および全ての溶媒、分散媒体、ビヒクル、コーティング、希釈剤、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収を遅延させる薬剤、緩衝液、キャリア溶液、懸濁液、コロイドなどを含み得る。薬学的活性物質のためのこのような媒体および薬剤の使用は、当該分野で周知である。任意の従来の媒体または薬剤が、活性成分と不適合である限りを除いては、治療組成物におけるその使用が、企図される。補助的活性成分もまた、これらの組成物に組み込まれ得る。句「薬学的に受容可能な」とは、ヒトに投与される場合に、アレルギー反応または類似の厄介な反応を生成しない分子実体および組成物をいう。
【0233】
特定の実施形態において、薬学的組成物は、鼻腔内スプレー、吸入、および/または他のエアロゾル送達ビヒクルによって送達され得る。遺伝子、核酸およびペプチド組成物を、経鼻エアロゾルスプレーを介して肺に直接送達するための方法は、例えば、米国特許第5,756,353号および米国特許第5,804,212号に記載されている。同様に、鼻腔内微粒子樹脂(Takenagaら、J Controlled Release 1998 Mar 2;52(1−2):81−7)およびリゾホスファチジル−グリセロール化合物(米国特許第5,725,871号を使用する薬物の送達はまた、薬学分野で周知である。同様に、ポリテトラフルオロエチレン支持マトリックスの形態での例示的な経粘膜薬物送達は、米国特許第5,780,045号に記載される。
【0234】
特定の実施形態において、小胞は、リポソーム、ナノカプセル、微粒子、脂質粒子小胞などは、本発明の組成物の適切な宿主細胞/宿主生物体への導入のために、使用される。特に、本発明の組成物は、脂質粒子小胞、リポソーム、小胞、ナノスフィア、またはナノ粒子などのいずれかにカプセル化されて、送達のために処方され得る。あるいは、本発明の組成物は、このようなキャリアビヒクルの表面に結合(共有結合的にかまたは非共有結合的にかのいずれかで)され得る。
【0235】
潜在的な薬物キャリアとしての、リポソームおよびリポソーム様調製物の形成および使用は、一般に、当業者に公知である(例えば、Lasic,Trends Biotechnol 1998 Jul;16(7):307−21;Takakura,Nippon Rinsho 1998 Mar;56(3)691−5;Chandranら,Indian J Exp Biol.1997 Aug;35(8)801−9;Margalit,Crit Rev Ther Drug Carrier Syst.1995;12(2−3):233−61;米国特許5,567,434号;米国特許第5,552,157号;米国特許5,565,213号;米国特許5,738,868号および米国特許第5,795,587号を参照のこと(各々、その全体が、参考として本明細書中で特に援用される))。
【0236】
リポソームは、T細胞懸濁液、初代肝細胞培養物およびPC12細胞を含む他の手順によるトランスフェトすることが通常難しい多くの細胞型とともに、首尾よく使用されている(Renneisenら、J Biol Chem.1990 Sep 25;265(27):16337−42;Mullerら、DNA Cell Biol.1990 Apr;9(3):221−9)。さらに、リポソームは、ウイルスベースの送達システムを代表するDNA長制限がない。リポソームは、遺伝子、種々の薬物、放射線治療剤、酵素、ウイルス、転写因子およびアロステリックエフェクターなどを、種々の培養された細胞株および動物に導入するために効果的に使用されている。さらに、リポソームの使用は、全身送達後の、自己免疫応答または受容可能ではない毒性と関連しないようである。
【0237】
特定の実施形態において、リポソームは、水性媒体中に分散したリン脂質から形成され、そして多層の同心性二重層小胞(多層小胞(MLV)とも呼ばれる)を自発的に形成する。
【0238】
あるいは、他の実施形態において、本発明は、本発明の組成物の薬学的に受容可能なナノカプセル処方物を提供する。ナノカプセルは、安定かつ再現可能な様式で、一般的に化合物を捕捉し得る(例えば、Quintanar−Guerreroら、Drug Dev Ind Pham.1988 Dec;24(12)1113−28を参照のこと)。過剰な細胞内ポリマー負荷に起因する副作用を回避するために、このような超微細粒子(約0.1μmの大きさ)が、インビボで分解され得るポリマーを使用して設計され得る。このような粒子は、記載されるように(例えば、Couvreurら、Crit Rev Ther Drug Carrier Syst.1988;5(1):1−20;zur Muhlenら、Eur J Pharm Biopharm.1998 Mar;45(2):149−55;Zambauxら、J Comtrolled Release.1998 Jan 2;50(1−3):31−40;および米国特許第5,145,684号)、作製され得る。
【0239】
(癌治療方法)
本発明のさらなる局面において、本明細書中に記載される薬学的組成物は、癌の治療、特に肺癌の免疫治療に使用され得る。このような方法において、本明細書中に記載される薬学的組成物は、患者(代表的には、温血動物(好ましくはヒト))に投与される。患者は、癌に冒されていてもよいしまたはそうでなくてもよい。従って、上記薬学的組成物は、癌の発症を予防するため、または癌に罹患した患者を処置するために、使用され得る。薬学的組成物およびワクチンは、原発性腫瘍の外科的除去および/もしくは処置(例えば、放射性治療もしくは従来の化学療法薬物の投与)の前あるいは後のいずれかに投与され得る。上で議論されるように、薬学的組成の投与は、適切な任意の方法(静脈内経路、腹腔内経路、筋内経路、皮下経路、鼻内経路、皮内経路、肛門経路、膣経路、局所経路および経口経路による投与を含む)によってであり得る。
【0240】
特定の実施形態において、免疫療法は、能動免疫療法であり得、この能動免疫療法において、処置は、免疫応答改変剤(例えば、本明細書中に提供されるようなポリペプチドおよびポリヌクレオチド)の投与による、腫瘍に対して反応する内因性宿主免疫系のインビボ刺激に依存する。
【0241】
他の実施形態において、免疫療法は受動免疫療法であり得、この受動免疫療法において、処置は、抗腫瘍効果を直接または間接に媒介し得そしてインタクトな宿主免疫系に必ずしも依存しない腫瘍免疫反応性が確立された因子(例えば、エフェクター細胞または抗体)の送達を含む。エフェクター細胞の例としては、上記のようなT細胞、Tリンパ球(例えば、CD8+細胞傷害性Tリンパ球およびCD4+Tヘルパー腫瘍浸潤リンパ球)、キラー細胞(例えば、ナチュラルキラー細胞およびリンホカイン活性化キラー細胞)、B細胞および本明細書中に提供されるポリペプチドを発現する抗原提示細胞(例えば、樹状細胞およびマクロファージ)が挙げられる。本明細書中に列挙されるポリペプチドに特異的なT細胞レセプターおよび抗体レセプターは、クローニングされ得、発現され得、そして養子免疫療法のために他のベクターもしくはエフェクター細胞に移入され得る。本明細書中に提供されるポリペプチドをまた、受動免疫療法のために使用して、抗体または抗イディオタイプ抗体(上記および米国特許第4,918,164号に記載されるような)を生成し得る。
【0242】
エフェクター細胞は、一般的には、本明細書中に記載されるように、インビトロでの増殖による養子免疫療法に十分な量で得られ得る。インビボで抗原認識を保持しつつ、単一の抗原特異的エフェクター細胞から数十億個へと数が増殖するための培養条件は、当該分野で周知である。このようなインビトロ培養条件は、代表的には、しばしばサイトカイン(例えば、IL−2)および分裂中でないフィーダー細胞の存在下で、抗原による間欠性刺激を使用する。上記のように、本明細書中に提供されるような免疫反応性ポリペプチドは、免疫療法のために十分な数の細胞を生成するために、抗原特異的T細胞培養物を迅速に増殖するために使用され得る。詳細には、抗原提示細胞(例えば、樹状細胞、マクロファージ、単球、線維芽細胞および/またはB細胞)が、当該分野で周知の標準的技術を使用して、免疫反応性ポリペプチドでパルスされ得るか、または1つ以上のポリヌクレオチドでトランスフェクトされ得る。例えば、抗原提示細胞が、組換えウイルスまたは他の発現系における発現を増加するために適切なプロモーターを有するポリヌクレオチドでトランスフェクトされ得る。治療における使用のための培養エフェクター細胞は、インビボで増殖し得、そして広範に分布し得、そして長期に生存し得なければならない。研究により、培養エフェクター細胞が、インビボで増殖するように、そしてかなりの数で長期間生存するように、IL−2を補充した抗原による反復刺激によって誘導され得ることが示された(例えば、Cheeverら、Immunological Reviews 157:177、1997を参照のこと)。
【0243】
あるいは、本明細書中に列挙されるポリペプチドを発現するベクターは、患者から採取された抗原提示細胞に導入され得、そして同じ患者に移植し戻すためにエキソビボでクローン増殖され得る。トランスフェクトされた細胞は、当該分野で公知の任意の手段を使用して、好ましくは滅菌形態で、静脈投与、腔内投与、腹腔内投与または腫瘍内投与によって、その患者に再導入され得る。
【0244】
本明細書中に記載される治療組成物の投与の経路および頻度、ならびに投与量は、個体間で変化し、そして標準的技術を使用して容易に確立され得る。一般的には、その薬学的組成物およびワクチンは、注射投与(例えば、皮内注射、筋肉内注射、静脈内注射または皮下注射)、鼻内投与(例えば、吸引)または経口投与により投与され得る。好ましくは、1用量と10用量との間が、52週間にわたって投与され得る。好ましくは、6用量が、1ヶ月間隔で投与され、そしてブースターワクチン接種が、その後定期的に与えられ得る。代替プロトコルが、個々の患者に適切であり得る。適切な用量は、上記のように投与される場合、抗腫瘍免疫応答を促進し得、かつ基礎(すなわち、未処置)レベルを少なくとも10〜50%超える、化合物の量である。このような応答は、患者における抗腫瘍抗体を測定することによってか、またはその患者の腫瘍細胞をインビトロで殺傷し得る細胞溶解性エフェクター細胞のワクチン依存性生成によって、モニターされ得る。このようなワクチンはまた、ワクチン接種されていない患者と比較した場合、ワクチン接種された患者において改善した臨床成果(例えば、より頻繁な完全または部分的な寛解、あるいは疾患を伴わないより長期の生存)をもたらす免疫応答を生じ得る。一般的に、1つ以上のポリペプチドを含む薬学的組成物およびベクターについて、1用量中に存在する各ポリペプチドの量は、宿主1kgあたり約25μg〜5mgの範囲である。適切な用量の大きさは、患者のサイズとともに変化するが、代表的には、約0.1mL〜約5mLの範囲である。
【0245】
一般的に、適切な投薬量および処置レジメンは、治療的利益および/または予防的利益を提供するために十分な量で活性化合物を提供する。このような応答は、未処置の患者と比較した場合に、処置された患者において、改善された臨床成果(例えば、より頻出する完全または部分的な寛解、あるいは疾患を伴わないより長い生存)を確立することによってモニターされ得る。腫瘍タンパク質に対する既存の免疫応答の増加は、一般的に、改善された臨床的成果に相関する。このような免疫応答は、一般的に、標準的な増殖アッセイ、細胞傷害性アッセイまたはサイトカインアッセイを用いて評価され得、これらのアッセイは、処置の前および後に患者から得たサンプルを用いて実行され得る。
【0246】
(癌の検出ならびに診断組成物、診断方法および診断キット)
一般的に、癌は、患者から得た生物学的サンプル(例えば、血液、血清、痰尿および/または腫瘍生検材料)中の1以上の肺腫瘍タンパク質および/または、このようなタンパク質をコードするポリヌクレオチドの存在に基づいてその患者において検出され得る。言いかえると、このようなタンパク質は、肺癌のような癌の存在または不在を示すマーカーとして使用され得る。さらに、このようなタンパク質は、他の癌の検出のために有用であり得る。本明細書中で提供される結合因子は、一般的に、この生物学的サンプルにおいてこの因子に結合する抗原のレベルの検出を可能にする。ポリヌクレオチドプライマーおよびプローブは、腫瘍タンパク質をコードするmRNAのレベルを検出するために使用され得、これはまた、癌の存在または不在を示す。一般的に、肺腫瘍配列は、正常組織においてよりも少なくとも3倍高いレベルで腫瘍組織において存在するべきである。
【0247】
サンプルにおいてポリペプチドマーカーを検出するために結合因子を使用する、当業者に公知の種々のアッセイ形式が存在する。例えば、HarlowおよびLane、Antibodies:A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory、1988を参照のこと。一般的に、患者における癌の存在または不在は、(a)患者から得た生物学的サンプルを結合因子と接触させる工程;(b)この結合因子に結合するポリペプチドのレベルをサンプルにおいて検出する工程;および(c)ポリペプチドのレベルを予め決定してカットオフ値と比較する工程、によって決定され得る。
【0248】
好ましい実施形態において、アッセイは、サンプルの残り由来のポリペプチドに結合してそれを除去するために、固体支持体に固定化された結合因子の使用を含む。次いで、結合ポリペプチドは、レポーター基を含みかつ結合因子/ポリペプチド複合体に特異的に結合する検出試薬を使用して検出され得る。このような検出試薬は、例えば、ポリペプチドまたは抗体に特異的に結合する結合因子あるいはこの結合因子に特異的に結合する他の因子(例えば、抗免疫グロブリン、プロテインG、プロテインAまたはレクチン)を含み得る。あるいは、競合アッセイが、利用され得、このアッセイにおいて、ポリペプチドは、レポーター基で標識され、そしてサンプルとの結合因子のインキュベーション後に、固定化された結合因子に結合することを可能にする。サンプルの成分が、結合因子への標識されたポリペプチドの結合を阻害する程度は、固定化された結合因子とのそのサンプルの反応性を示す。このようなアッセイにおける使用に適切なポリペプチドとしては、上記のような、全長肺腫瘍タンパク質および結合因子に結合するそのポリペプチド部分が挙げられる。
【0249】
固体支持体は、腫瘍タンパク質が付着され得る、当業者に公知な任意の材料であり得る。例えば、固体支持体は、マイクロタイタープレート中の試験ウェルまたはニトロセルロース膜もしくは他の適切な膜であり得る。あるいは、この支持体は、ガラス、ファイバーガラス、ラテックスまたはプラスチック材料(例えば、ポリスチレンもしくはポリビニルクロリド)のようなビーズあるいはディスクであり得る。この支持体はまた、例えば、米国特許第5,359,681号に開示されるような、磁気粒子または光ファイバーセンサーであり得る。結合因子は、当業者に公知の種々の技術を使用して固体支持体上に固定化され得、これは、特許および科学文献において詳細に記載されている。本発明の文脈において、用語「固定化」は、吸着のような非共有結合的会合および共有結合的付着(これは、抗原と支持体上の官能基との間の直接的結合であり得るか、または架橋剤による結合であり得る)の両方をいう。マイクロタイタープレートにおけるウェルまたは膜に対する吸着による固定化が、好ましい。このような場合において、吸着は、適切な緩衝液中で、適切な長さの時間の間、結合因子と固体支持体とを接触することによって達成され得る。接触時間は、温度とともに変化するが、代表的には約1時間と約1日との間である。一般に、プラスチックマイクロタイタープレート(例えば、ポリスチレンまたはポリビニルクロリド)のウェルと約10ng〜約10μgの範囲、および好ましくは約100ng〜約1μgの範囲の量の結合因子とを接触させることは、結合因子の適切な量を固定化するために十分である。
【0250】
固体支持体に対する結合因子の共有結合的付着は、一般的に、この支持体および結合因子上の官能基(例えば、ヒドロキシル基またはアミノ基)の両方と反応する二官能性試薬を、この支持体とまず反応させることによって達成され得る。例えば、この結合因子を、ベンゾキノンを使用するか、または結合パートナーのアミンおよび活性な水素と支持体のアルデヒド基との縮合によって、適切なポリマーコーティングを有する支持体に対して共有結合的に付着し得る(例えば、Pierce Immunotechnology Catalog and Handbook、1991、A12〜A13を参照のこと)。
【0251】
特定の実施形態において、このアッセイは、2抗体サンドイッチアッセイである。本アッセイは、最初に、固体支持体(通常、マイクロタイタープレートのウェル)上で固定化されている抗体をサンプルと接触させて、サンプル内のポリペプチドを固定化抗体に結合させることによって実施され得る。次いで、非結合サンプルは固定化ポリペプチド−抗体複合体から除去され、そしてレポーター基を含む検出試薬(好ましくは、そのポリペプチド上の異なる部位に結合し得る第2の抗体)が添加される。次いで、固体支持体に結合したままである第2の抗体の量が、特定のレポーター基に関して適切な方法を用いて決定される。
【0252】
より詳細には、一旦抗体が上記のように支持体上に固定化されると、支持体上の残りのタンパク質結合部位は、典型的には、ブロックされる。任意の適切なブロック剤(例えば、ウシ血清アルブミンまたはTween20TM(Sigma Chemical Co.,St.Louis,MO))は、当業者に公知である。固定化抗体は次いで、サンプルとインキュベートされ、そしてポリペプチドをこの抗体に結合させる。インキュベーションの前に、このサンプルは適切な希釈液(例えば、リン酸緩衝化生理食塩水(PBS))で希釈され得る。概して、適切な接触時間(すなわち、インキュベーション時間)は、肺癌を有する個体から得られたサンプル内のポリペプチドの存在を検出するのに十分な時間である。好ましくは、この接触時間は、結合ポリペプチドと非結合ポリペプチドとの間の平衡が少なくとも約95%で達成される結合レベルを達成するのに十分な期間である。当業者は、ある期間にわたって起こる結合レベルをアッセイすることによって、平衡に達するまでに必要な時間が容易に決定され得ることを認識する。室温では、一般に、約30分間のインキュベーション時間で十分である。
【0253】
次いで、非結合サンプルが、適切な緩衝液(例えば、0.1%Tween20TMを含むPBS)を用いて固体支持体を洗浄することによって除去される。レポーター基を含む第2の抗体が次いで、固体支持体に添加され得る。好ましいレポーター基としては、上記で列挙された基が挙げられる。
【0254】
次いで、検出試薬が、結合されたポリペプチドを検出するのに十分な量の時間、固定化抗体−ポリペプチド複合体とインキュベートされる。適切な量の時間は、一般に、ある期間にわたって起こる結合のレベルをアッセイすることによって決定され得る。次いで、非結合の検出試薬は除去され、そして結合した検出試薬は、レポーター基を用いて検出される。レポーター基を検出するために使用される方法は、レポーター基の性質に依存する。放射性基について、一般的には、シンチレーション計数法またはオートラジオグラフィー法が適切である。分光法は、色素、発光基および蛍光基を検出するために使用され得る。ビチオンは、異なるレポーター基(一般に、放射性もしくは蛍光基または酵素)に結合されたアビジンを使用して検出され得る。酵素レポーター基は、一般に、基質の添加(一般には、特定の期間)、続いて反応産物の分光分析または他の分析により検出され得る。
【0255】
癌(例えば、肺癌)の存在または非存在を決定するために、固体支持体に結合したままのレポーター基から検出されるシグナルが、一般に、所定のカットオフ値と対応するシグナルと比較される。1つの好ましい実施形態において、癌の検出のためのこのカットオフ値は、固定化抗体を、癌を有さない患者由来のサンプルとインキュベートした際に得られた平均シグナルである。概して、所定のカットオフ値を3標準偏差上回るシグナルを生じるサンプルが、癌に対して陽性とみなされる。代替の好ましい実施形態において、このカットオフ値は、Sackettら、Clinical Epidemiology:A Basic Science for Clinical Medicine,Little Brown and Co.,1985,106〜7頁の方法に従って、レシーバーオペレーターカーブ(Receiver Operator Curve)を使用して決定される。簡単に言うと、本実施形態において、このカットオフ値は、診断試験結果について可能なカットオフ値の各々に対応する真の陽性割合(すなわち、感度)および偽陽性割合(100%−特異性)の対のプロットから決定され得る。プロット上の上方左手角に最も近いカットオフ値(すなわち、最大領域を囲む値)が、最も正確なカットオフ値であり、そして本方法によって決定されたカットオフ値より高いシグナルを生ずるサンプルが陽性と見なされ得る。あるいは、カットオフ値は、偽陽性割合を最小にするためにプロットに沿って左へシフトされ得るか、または偽陰性割合を最小にするために右へシフトされ得る。概して、本方法によって決定されたカットオフ値より高いシグナルを生ずるサンプルが、癌に対して陽性と見なされる。
【0256】
関連の実施形態において、このアッセイは、フロースルー試験形式またはストリップ試験形式で実行される(ここで、結合因子は、ニトロセルロースのような膜上で固定化される)。フロースルー試験では、サンプル内のポリペプチドは、サンプルが膜を通過する際に固定化結合因子に結合する。次いで、第2の標識化された結合因子が、この第2の結合因子を含む溶液がその膜を介して流れる際に、結合因子−ポリペプチド複合体と結合する。次いで、結合した第2の結合因子の検出は、上記のように実行され得る。ストリップ試験形式では、結合因子が結合される膜の一端をサンプルを含む溶液中に浸す。このサンプルは、膜に沿って、第2の結合因子を含む領域を通って、そして固定化結合因子の領域まで移動する。固定化抗体の領域での第2の結合因子の濃度が、癌の存在を示す。代表的には、その部位での第2の結合因子の濃度は、視覚的に読みとられ得るパターン(例えば、線)を生成する。このようなパターンを示さないことは陰性の結果を示す。概して、この膜上に固定化される結合因子の量は、生物学的サンプルが、上記の形式において、2抗体サンドイッチアッセイにおいて陽性シグナルを生じるのに十分であるレベルのポリペプチドを含む場合、視覚的に識別可能なパターンを生じるように選択される。このようなアッセイにおいて使用するための好ましい結合因子は、抗体およびその抗原結合フラグメントである。好ましくは、膜上に固定化される抗体の量は、約25ng〜約1μgの範囲であり、そしてより好ましくは、約50ng〜約500ngの範囲である。このような試験は、代表的には、非常に少ない量の生物学的サンプルを用いて実行され得る。
【0257】
もちろん、本発明の腫瘍タンパク質または結合因子との使用に適する多数の他のアッセイプロトコルが存在する。上記の記載は、例示のみを意図する。例えば、上記のプロトコルは、生物学的サンプルにおいてこのようなポリペプチドに結合する抗体を検出するための腫瘍ポリペプチドを使用するように容易に改変され得ることが、当業者に明らかである。このような腫瘍タンパク質特異的抗体の検出は、癌の存在に相関し得る。
【0258】
癌はまた、あるいは癌は、生物学的サンプル中の腫瘍タンパク質と特異的に反応するT細胞の存在に基づいて検出され得る。特定の方法において、患者から単離されたCD4+T細胞および/またはCD8+T細胞を含む生物学的サンプルが、腫瘍ポリペプチド、このようなポリペプチドをコードするポリヌクレオチドおよび/またはこのようなポリペプチドの少なくとも免疫原性部分を発現するAPCとともにインキュベートされ、そしてそのT細胞の特異的活性化の存在または非存在が検出される。適切な生物学的サンプルとしては、単離されたT細胞が挙げられるが、これに限定されない。例えば、T細胞は、慣用的技術(例えば、末梢血リンパ球のFicoll/Hypaque密度勾配遠心分離)によって、患者から単離され得る。T細胞は、ポリペプチド(例えば、5〜25μg/ml)とともに、37℃で2〜9日間(代表的には4日間)、インビトロでインキュベートされ得る。T細胞サンプルの別のアリコートを、コントロールとして役立つように、腫瘍ポリペプチドの非存在下でインキュベーションすることが、所望され得る。CD4+T細胞について、活性化は、好ましくは、T細胞の増殖を評価することによって検出される。CD8+T細胞について、活性化は、細胞溶解活性を評価することによって、好ましくは検出される。疾患に罹患していない患者においてよりも少なくとも2倍高いレベルの増殖、および/または少なくとも20%高いレベルの細胞溶解活性は、その患者における癌の存在を示す。
【0259】
上記のように、癌はまた、あるいは癌は、生物学的サンプル中の腫瘍タンパク質をコードするmRNAのレベルに基づいて検出され得る。例えば、少なくとも2つのオリゴヌクレオチドプライマーが、生物学的サンプル由来の腫瘍cDNAの一部を増幅するために、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)に基づくアッセイにおいて使用され得、このオリゴヌクレオチドプライマーのうちの少なくとも1つは、腫瘍タンパク質をコードするポリヌクレオチドに特異的である(すなわち、ハイブリダイズする)。次いで、この増幅されたcDNAは、当該分野で周知の技術(例えば、ゲル電気泳動)を使用して、分離および検出される。同様に、腫瘍タンパク質をコードするポリヌクレオチドに特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプローブが、生物学的サンプル中のこの腫瘍タンパク質をコードするポリヌクレオチドの存在を検出するために、ハイブリダイゼーションアッセイにおいて使用され得る。
【0260】
アッセイ条件下でのハイブリダイゼーションを可能にするために、オリゴヌクレオチドプライマーおよびプローブは、少なくとも10ヌクレオチドの長さ、そして好ましくは少なくとも20ヌクレオチドの長さの本発明の腫瘍タンパク質をコードするポリヌクレオチドの一部に対して、少なくとも約60%、好ましくは少なくとも約75%そしてより好ましくは少なくとも約90%の同一性を有する、オリゴヌクレオチド配列を含むべきである。好ましくは、オリゴヌクレオチドプライマーおよび/またはプローブは、上記のように、中程度にストリンジェントな条件下で、本明細書中に記載されるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドにハイブリダイズする。本明細書中に記載される診断方法において有用に使用され得るオリゴヌクレオチドプライマーおよび/またはプローブは、好ましくは少なくとも10〜40ヌクレオチドの長さである。好ましい実施形態において、このオリゴヌクレオチドプライマーは、本明細書に記載される配列を有するDNA分子のうちの、少なくとも10個連続するヌクレオチド、より好ましくは少なくとも15個連続するヌクレオチドを含む。PCRに基づくアッセイおよびハイブリダイゼーションアッセイの両方についての技術は、当該分野で周知である(例えば、Mullisら、Cold Spring Harbor Symp.Quant.Biol.51:263、1987;Erlich編、PCR Technology、Stockton Press、NY、1989を参照のこと)。
【0261】
1つの好ましいアッセイは、RT−PCRを使用し、RT−PCRにおいては、PCRが、逆転写と組み合わせて適用される。代表的には、RNAが、生検組織のような生物学的サンプルから抽出され、そしてcDNA分子を生成するように逆転写される。少なくとも1つの特異的プライマーを使用するPCR増幅は、例えば、ゲル電気泳動を使用して分離および可視化され得る、cDNA分子を生じる。増幅は、試験患者および癌に罹患していない個体から採取された、生物学的サンプルに対して実施され得る。この増幅反応は、2桁の大きさに及ぶcDNAのいくつかの希釈物に対して実施され得る。非癌性サンプルの同じ希釈物と比較して、試験患者サンプルのいくつかの希釈物における2倍以上の発現の増加は、代表的に陽性とみなされる。
【0262】
別の実施形態において、本明細書中に記載される組成物は、癌の進行についてのマーカーとして使用され得る。この実施形態において、癌の診断のための上記のようなアッセイが、経時的に実施され得、そして反応性ポリペプチドまたはポリヌクレオチドのレベルの変化が評価され得る。例えば、このアッセイは、6ヶ月〜1年の期間に24〜72時間ごとに実施され得、その後も必要ならば実施され得る。一般的に、癌は、検出されるポリペプチドまたはポリヌクレオチドのレベルが経時的に増加する患者において進行している。対照的に、この癌は、反応性ポリペプチドまたはポリヌクレオチドのレベルが一定のままであるかまたは時間とともに減少するかのいずれかである場合には、進行していない。
【0263】
特定のインビボ診断アッセイは、腫瘍に対して直接実施され得る。1つのこのようなアッセイは、腫瘍細胞を結合因子と接触させる工程を包含する。次いで、結合された結合因子が、レポーター基を介して直接的または間接的に検出され得る。このような結合因子はまた、組織学的適用において使用され得る。あるいは、ポリヌクレオチドプローブが、このような適用において使用され得る。
【0264】
上記のように、感度を改善するために、複数の腫瘍タンパク質マーカーが、所定のサンプルにおいてアッセイされ得る。本明細書中に提供される異なるタンパク質に特異的な結合因子が、単一のアッセイ中で組み合わされ得ることは、明らかである。さらに、複数のプライマーまたはプローブが、同時に使用され得る。腫瘍タンパク質マーカーの選択は、最適な感度を生じる組み合わせを決定するための慣用的実験に基づき得る。さらに、またはあるいは、本明細書中に提供される腫瘍タンパク質についてのアッセイが、他の公知の腫瘍抗原についてのアッセイと組み合わせられ得る。
【0265】
本発明は、上記の診断方法のうちのいずれかにおける使用のためのキットをさらに提供する。このようなキットは、代表的には、診断アッセイを実施するために必要な2つ以上の成分を含む。成分は、化合物、試薬、容器および/または装置であり得る。例えば、キット中の1つの容器が、腫瘍タンパク質に特異的に結合する、モノクローナル抗体またはそのフラグメントを含み得る。このような抗体またはフラグメントは、上記のように、支持体材料に結合して提供され得る。1つ以上のさらなる容器が、このアッセイにおいて使用される要素(例えば、試薬または緩衝液)を含み得る。このようなキットはまた、またはあるいは、抗体結合の直接検出または間接検出に適切な、レポーター基を含む上記のような検出試薬を含み得る。
【0266】
あるいは、生物学的サンプル中の腫瘍タンパク質をコードするmRNAレベルを検出するための、キットが設計され得る。このようなキットは、一般的に、上記のような、腫瘍タンパク質をコードするポリヌクレオチドにハイブリダイズする、少なくとも1つのオリゴヌクレオチドプローブまたはプライマーを含む。このようなオリゴヌクレオチドは、例えば、PCRまたはハイブリダイゼーションアッセイにおいて使用され得る。このようなキット中に存在し得るさらなる成分としては、腫瘍タンパク質をコードするポリヌクレオチドの検出を容易にするための、第2のオリゴヌクレオチドおよび/または診断試薬もしくは診断容器が挙げられる。
【0267】
以下の実施例は、例示として提供され、限定としては提供されない。
【0268】
(実施例1)
(ディファレンシャルディスプレイRT−PCRを使用する、肺腫瘍特異的cDNA配列の調製)
本実施例は、ディファレンシャルディスプレイスクリーニングを使用する、肺腫瘍特異的ポリペプチドをコードするcDNA分子の調製を例示する。
【0269】
組織サンプルを、患者からサンプルを取り出した後に病理学によって確認された肺癌を患う患者の肺腫瘍および正常組織から調製した。正常なRNAおよび腫瘍RNAを、このサンプルから抽出して、そしてmRNAを単離して、そして(dT)12AG(配列番号47)アンカー3’プライマーを使用して、cDNAに変換した。次いで、ディファレンシャルディスプレイPCRを、無作為に選択されたプライマー(配列番号48)を使用して行った。増幅条件は、1.5mM MgCl2、20pmolのプライマー、500pmol dNTPおよび1ユニットのTaq DNAポリメラーゼ(Perkin−Elmer、Branchburg,NJ)を含む標準的な緩衝液であった。40サイクルの増幅を、94℃で30秒間の変性、42℃で1分間のアニーリングおよび72℃で30秒間の伸長を使用して行った。腫瘍のRNAフィンガープリントパターンに特異的であることが繰り返し観察されたバンドを、銀染色ゲルから切り出して、pGEM−Tベクター(Promega,Madison,WI)にサブクローニングして、そして配列決定した。単離された3’配列を、配列番号1〜16に提供する。
【0270】
BLASTNプログラムを使用する、公的なデータベースの配列に対するこれらの配列の比較は、配列番号1〜11に提供されている配列に対して有意な相同性を示さなかった。本発明者らの知識が及ぶ限り、単離されたDNA配列のいずれもが、正常な肺組織よりもヒト肺腫瘍組織において、より高いレベルで発現されることが以前に示されていなかった。
【0271】
(実施例2)
(肺腫瘍抗原をコードするDNA配列を同定するための患者血清の使用)
本実施例は、自系の患者血清を用いる肺腫瘍サンプルの発現スクリーニングによる、肺腫瘍抗原をコードするcDNA配列の単離を例示する。
【0272】
ヒト肺腫瘍指向性cDNA発現ライブラリーを、Lambda ZAP Express発現系(Stratagene,La Jolla,CA)を用いて構築した。このライブラリーの総RNAを、ヒト扁平上皮肺癌腫を継代した後期(late)SCIDマウスから採取して、そしてポリA+RNAを、Message Makerキット(Gibco BRL、Gaithersburg,MD)を使用して単離した。得られたライブラリーを、Sambrookら(Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratories,Cold Spring Harbor,NY、1989)に記載されるように、E.coli吸着自系患者血清を使用してスクリーニングした(ここで2次抗体は、NBT/BCIP(Gibco BRL)で発色する、アルカリホスファターゼに結合体化したヤギ抗ヒトIgG−A−M(H+L)である)。免疫反応性抗原を発現している陽性プラークを、精製した。プラークからのファージミドをレスキューして、そしてこのクローンのヌクレオチド配列を、決定した。
【0273】
15個のクローン(本明細書中以降、LT86−1〜LT86−15という)を単離した。LT86−1〜LT86−8およびLT86−10〜LT86−15の単離されたcDNA配列を、それぞれ、配列番号17〜24および26〜31に提供し、ここで対応する推定アミノ酸配列を、それぞれ、配列番号32〜39および41〜46に提供する。LT86−9の決定されたcDNA配列を、配列番号25に提供し、ここで3’端および5’端の対応する推定アミノ酸配列を、それぞれ、配列番号40および65に提供する。これらの配列を、上記の遺伝子バンクにおける配列と比較した。クローンLT86−3、LT86−6〜LT86−9、LT86−11〜LT86−13およびLT86−15(それぞれ、配列番号19、22〜25、27〜29および31)は、以前に同定された発現配列タグ(EST)にいくらかの相同性を示すことが見出され、ここでクローンLT86−6、LT86−8、LT86−11、LT86−12およびLT86−15は、互いに同様または同一であるようであった。クローンLT86−3は、ヒト転写リプレッサーといくらかの相同性を示すことが見出された。クローンLT86−6、8、9、11、12および15は、酵母RNA Pol II転写調節メディエーターにいくらかの相同性を示すことが見出された。クローンLT86−13は、C.elegansロイシンアミノペプチダーゼといくらかの相同性を示すことが見出された。クローンLT86−9は、2つのインサートを含むようであり、ここで5’配列は、以前に同定された、インターフェロンαにより誘導されるP27のアンチセンス配列に対する相同性を示し、そして3’配列は、LT86−6に類似である。クローンLT86−14(配列番号30)は、トリトラックス(trithorax)遺伝子に対していくらかの相同性を示すことが見出され、そして「RGD」細胞接着配列、およびペニシリンの加水分解において機能するβ−ラクタマーゼA部位を有する。クローンLT86−1、LT86−2、LT86−4、LT86−5およびLT86−10(それぞれ、配列番号17、18、20、21および26)は、以前に同定された遺伝子といくらかの相同性を示すことが見出された。LT86−4についてその後に決定された伸長cDNA配列を、配列番号66に提供し、ここで対応する推定アミノ酸配列を、配列番号67に提供する。
【0274】
その後の研究は、5個のさらなるクローン(LT86−20、LT86−21、LT86−22、LT86−26およびLT86−27といわれる)の単離をもたらした。LT86−20、LT86−22、LT86−26およびLT86−27について決定された5’cDNA配列を、それぞれ、配列番号68および70〜72に提供し、ここでLT86−21について決定された3’cDNA配列を、配列番号69に提供する。LT86−20、LT86−21、LT86−22、LT86−26およびLT86−27についての対応する推定アミノ酸配列を、それぞれ、配列番号73〜77に提供する。LT86−22およびLT86−27は、互いに高度に類似することが見出された。上記のような、遺伝子バンクにおける配列に対するこれらの配列の比較は、LT86−22およびLT86−27に対する有意な相同性を示さなかった。LT86−20、LT86−21およびLT86−26は、以前に同定された遺伝子に対する相同性を示すことが見出された。
【0275】
さらなる研究において、cDNA発現ライブラリーを、lambda ZAP Express発現ベクター(Stratagene)において、肺小細胞癌腫細胞株由来のmRNAを使用して調製して、そして2つの肺小細胞癌腫の患者の血清のプールを用いて、上記のようにスクリーニングした。この血清プールを、E.coli溶解物を用いて吸着させ、そしてヒトPBMC溶解物を、血清に添加して、正常組織に見出されるタンパク質に対する抗体をブロックした。73個のクローンを単離した。これらのクローンの決定されたcDNA配列を、配列番号290〜362に提供する。配列番号289〜292、294、296〜297、300、302、303、305、307〜315、317〜320、322〜325、327〜332、334、335、338〜341、343〜352、354〜358、360および362の配列は、以前に単離された遺伝子といくらかの相同性を示すことが見出された。配列番号293、295、298、299、301、304、306、316、321、326、333、336、337、342、353、359および361の配列は、以前に同定されたESTに対していくらかの相同性を示すことが見出された。
【0276】
(実施例3)
(肺腫瘍抗原をコードするDNA配列を同定するためのマウス抗血清の使用)
本実施例は、マウス抗腫瘍血清を用いて肺腫瘍cDNAライブラリーをスクリーニングすることによる、肺腫瘍抗原をコードするcDNA配列の単離を例示する。
【0277】
指向性cDNA肺腫瘍発現ライブラリーを、上記の実施例2に記載されるように調製した。血清を、後期継代ヒト扁平上皮細胞および腺癌腫瘍を含むSCIDマウスから得た。これらの血清をプールして、そして正常マウスに注射して、抗肺腫瘍血清を生成した。およそ200,000PFUを、この抗血清を使用して、未増幅ライブラリーからスクリーニングした。ヤギ抗マウスIgG−A−M(H+L)アルカリホスファターゼ2次抗体の使用により、NBT/BCIP(BRL Labs.)で発色させ、約40個の陽性プラークを、同定した。ファージを精製して、そして原核生物または真核生物の細胞での発現のために、ファージミドを、pBK−CMVベクター中にインサートを有する9つのクローンについて切り出した。
【0278】
単離されたクローンのうち7つ(本明細書中以降、L86S−3、L86S−12、L86S−16、L86S−25、L86S−36、L86S−40およびL86S−46といわれる)について決定されたcDNA配列を、配列番号49〜55に提供し、ここで対応する推定アミノ酸配列を、それぞれ、配列番号56〜62に提供する。残りの2つのクローン(本明細書中以降、L86S−30およびL86S−41といわれる)についての5’cDNA配列を、配列番号63および64に提供する。L86S−36およびL86S−46は、同じ遺伝子を示すことがその後に決定された。上記のような、公的データベースにおける配列に対するこれらの配列の比較は、クローンL86S−30、L86S−36およびL86S−46(それぞれ、配列番号63、53および55)に対して有意な相同性を示さなかった。L86S−16(配列番号51)は、胎児肺および生殖細胞腫瘍において以前に同定されたESTに対していくらかの相同性を示すことが見出された。残りのクローンは、以前に同定されたヒト遺伝子に対して、少なくともいくらかの程度の相同性を示すことが見出された。L86S−12、L86S−36およびL86S−46についてその後に決定された伸長cDNA配列を、それぞれ、配列番号78〜80に提供し、ここで対応する推定アミノ酸配列を、配列番号81〜83に提供する。
【0279】
その後の研究により、さらなる9つのクローン(L86S−6、L86S−11、L86S−14、L86S−29、L86S−34、L86S−39、L86S−47、L86S−49およびL86S−51といわれる)についての5’cDNA配列(それぞれ、配列番号84〜92)の決定がもたらされた。対応する推定アミノ酸配列を、それぞれ、配列番号93〜101に提供する。L86S−30、L86S−39およびL86S−47は、互いに類似することが見出された。上記のような、遺伝子バンクにおける配列とのこれらの配列の比較は、L86S−14に対して有意な相同性を示さなかった。L86S−29は、以前に同定されたESTに対していくらかの相同性を示すことが見出された。L86S−6、L86S−11、L86S−34、L86S−39、L86S−47、L86S−49およびL86S−51は、以前に同定された遺伝子に対していくらかの相同性を示すことが見出された。
【0280】
さらなる研究において、指向性cDNAライブラリーを、StratageneキットをLambda Zap Expressベクターとともに使用して構築した。このライブラリーについての総RNAを、2つの初代扁平上皮肺腫瘍から単離して、そしてポリA+RNAを、オリゴdTカラムを使用して単離した。抗血清を、ヒト扁平上皮肺癌腫を移植した3匹のSCIDマウス由来の血清のプールを使用して、正常マウスにおいて発達させた。およそ700,000PFUを、E.coli吸着マウス抗SCID腫瘍血清を用いて、未増幅ライブラリーからスクリーニングした。陽性クローンを、上記のように同定した。ファージを精製して、そして原核生物および真核生物の細胞における発現のために、ファージミドを、pBK−CMVベクター中にインサートを有する180個のクローンについて切り出した。
【0281】
単離されたクローンのうち23個について決定されたcDNA配列を、配列番号126〜148に提供する。上記のような、公的データベースにおける配列とのこれらの配列の比較は、配列番号139および143〜148の配列に対して有意な相同性を示さなかった。配列番号126〜138および140〜142の配列は、以前に同定されたヒトポリヌクレオチド配列に対して相同性を示すことが見出された。
【0282】
(実施例4)
(SCIDマウスから調製した肺腫瘍ライブラリーをスクリーニングするためのマウス抗血清の使用)
本実施例は、マウス抗腫瘍血清を用いて、SCIDマウスから調製された肺腫瘍cDNAライブラリーをスクリーニングすることによる、肺腫瘍抗原をコードするcDNA配列の単離を例示する。
【0283】
指向性cDNA肺腫瘍発現ライブラリーを、StratageneキットをLambda Zap Expressベクターとともに使用して調製した。このライブラリーについての総RNAを、SCIDマウスにおいて増殖した後期継代肺腺癌から採取した。ポリA+RNAを、Message Maker Kit(Gibco,BRL)を使用して単離した。血清を、肺腺癌を移植した2匹のSCIDマウスから得た。これらの血清をプールして、そして正常マウスに注射して、抗肺腫瘍血清を生成した。およそ700,000PFUを、E.coli吸着マウス抗SCID腫瘍血清を用いて、未増幅ライブラリーからスクリーニングした。陽性プラークを、NBT/BCIP(Gibco BRL)で発色する、ヤギ抗マウスIgG−A−M(H+L)アルカリホスファターゼ2次抗体を用いて同定した。ファージを精製して、そして原核生物および真核生物の細胞における発現のために、ファージミドを、pBK−CMVベクター中にインサートを有する100個のクローンについて切り出した。
【0284】
単離したクローンの33個について決定した5’cDNA配列を、配列番号149〜181に提供する。配列番号149、150、152〜154、156〜158および160〜181についての対応する推定アミノ酸配列を、配列番号182、183、186、188〜193および194〜215にそれぞれ提供する。配列番号151のクローン(SAL−25と呼ぶ)が、2つのオープンリーディングフレーム(ORF)を含むことを見出した。これらのORFによってコードされる推定アミノ酸配列を、配列番号184および185に提供する。配列番号153のクローン(SAL−50と呼ぶ)が、配列番号187および216の推定アミノ酸配列をコードする2つのオープンリーディングフレームを含むことを見出した。同様に、配列番号155のクローン(SAL−66と呼ぶ)が、配列番号189および190の推定アミノ酸配列をコードする2つのオープンリーディングフレームを含むことを見出した。単離した配列と公開データベースにおける配列との比較は、配列番号151、153および154の配列に対する有意な相同性がないことを明らかにした。配列番号149、152、156、157および158の配列が、以前に単離された発現配列タグ(EST)に対するある程度の相同性を示すことを見出した。配列番号150、155および159〜181の配列が、ヒトにおいて以前に同定した配列に対して相同性を示すことを見出した。
【0285】
上記の手順を使用して、2つの指向性(directional)cDNAライブラリー(LT46−90およびLT86−21と呼ぶ)を、SCIDマウス中で増殖した2つの後期継代肺扁平上皮癌腫から調製し、そしてヒト扁平上皮肺癌腫を移植したSCIDマウスから得た血清でスクリーニングした。単離したクローンについて決定したcDNA配列を、配列番号217〜237および286〜289に提供する。配列番号286が、LT4690−71(配列番号237)のより長い配列であることを見出した。これらの配列と公開データベースの配列との比較は、配列番号219、220、225、226、287および288の配列に対する既知の相同性がないことを明らかにした。配列番号218、221、222および224の配列が、未知の機能を有する以前に同定された配列に対するある程度の相同性を示すことを見出した。配列番号236の配列が、既知のマウスmRNA配列に対して相同性を示すことを見出した。配列番号217、223、227〜237、286および289の配列は、既知のヒトDNAおよび/またはRNAの配列に対するある程度の相同性を示した。
【0286】
上記の技術を使用するさらなる研究において、上記のcDNAライブラリーの1つ(LT86−21)を、E.coli吸収マウス抗SCID腫瘍血清を用いてスクリーニングした。この血清を、ヒト扁平上皮肺癌腫を移植したSCIDマウスから採取した3つの血清のプールで免疫した正常なマウスから得た。単離したクローンについて決定したcDNA配列を、配列番号238〜285に提供する。これらの配列と公開データベースの配列との比較は、配列番号253、260、277および285の配列に対する有意な相同性がないことを明らかにした。配列番号249、250、256、266、276および282の配列が、以前に単離された発現配列タグ(EST)に対するある程度の相同性を示すことを見出した。配列番号238〜248、251、252、254、255、257〜259、261〜263、265、267〜275、278〜281、283および284の配列が、以前に同定されたDNAまたはRNAの配列に対するある程度の相同性を示すことを見出した。
【0287】
正常な組織における発現レベルと比較した、肺腫瘍組織において単離した特定の抗原の発現レベルを、マイクロアレイ技術によって決定した。これらの研究の結果を、これらの配列についてのデータバンク分析と共に、以下の表2に示す。
【0288】
(表2)
【0289】
【表2】
LT+F/N=肺腫瘍および正常組織を超える胎児組織
SC+M/N=肺スモール細胞癌および正常組織を超える転移性組織
Squa/N=正常組織を超える扁平上皮肺腫瘍
Aden/N=正常組織を超える腺癌。
【0290】
抗原2LT−128(配列番号282)についての全長配列決定研究は、配列番号392に提供される全長cDNA配列の単離を生じた。この全長cDNA配列によってコードされるこのアミノ酸配列を、配列番号393に提供する。この抗原は、扁平上皮癌における20倍の過剰発現、および肺腺癌における2.5倍の過剰発現を示した。この遺伝子は、潜在的なras癌遺伝子として記載されている(Fenwickら、Science,287:869−873,2000)。
【0291】
拡張した配列情報を、クローン2LT−3(配列番号238)、2LT−26(配列番号242)、2LT−57(配列番号249)、2LT−58(配列番号250)、2LT−98(配列番号268)および2LT−124(配列番号279)について得た。これらのクローンについてのこの拡張したcDNA配列を、それぞれ、配列番号428〜433に示し、これらは、それぞれ、配列番号434〜439に示されるポリペプチド配列をコードする。
【0292】
(実施例5)
(肺腫瘍ポリペプチドの組織特異性の決定)
遺伝子特異的プライマーを使用して、代表的な肺腫瘍ポリペプチドについてのmRNA発現レベルを、RT−PCRを使用して、種々の正常組織および腫瘍組織において試験した。
【0293】
手短かに言うと、総RNAを、Trizol試薬を使用して、種々の正常組織および腫瘍組織から抽出した。第1鎖合成を、SuperScriptII逆転写酵素(BRL Life Technologies)とともに2μgの総RNAを42℃で1時間使用して、実行した。次いで、そのcDNAを、遺伝子特異的プライマーを用いてPCRにより増幅した。RT−PCRの半定量的性質を確実にするために、β−アクチンを、試験した組織の各々についての内部コントロールとして使用した。cDNAの1:30希釈物1μlを使用して、β−アクチンテンプレートの線形範囲増幅を可能にした。そしてこのcDNAの1:30希釈物は、最初のコピー数で差異を反映するに十分感度が良かった。これらの条件を使用して、このβ−アクチンレベルを、各組織からの各逆転写反応について決定した。DNA夾雑物を、DNase処理により、そして逆転写酵素を添加することなく調製した第1鎖cDNAを使用する場合には、ネガティブなPCRの結果を確実にすることによって、最小にした。
【0294】
mRNA発現レベルを、5つの異なる型の腫瘍組織(3人の患者由来の肺扁平上皮腫瘍、肺腺癌、前立腺腫瘍、結腸腫瘍および肺腫瘍)において、ならびに異なる正常組織(4人のドナー由来の肺、前立腺、脳、腎臓、肝臓、卵巣、骨格筋、皮膚、小腸、心筋層、網膜および精巣を含む)において試験した。L86S−46が、肺扁平上皮腫瘍、結腸腫瘍および前立腺腫瘍において高レベルで発現され、そしてこれらは、試験された他の組織において検出不可能であることを見出した。L86S−5が、肺腫瘍サンプル中で発現され、そして4つの正常肺サンプルのうち2つにおいて発現されるが、試験した他の正常組織または腫瘍組織においては発現されないことを見出した。L86S−16が、正常な肝臓および正常な胃を除いて、全ての組織において発現することを見出した。リアルタイムPCRを使用して、L86S−46が、肺扁平上皮組織および正常な扁桃において過剰発現され、そして試験した他の全ての組織において、発現は低いかまたは検出不可能であることを見出した。
【0295】
(実施例6)
(肺腫瘍抗原をコードするDNA配列の単離)
扁平上皮細胞肺腫瘍の形成に潜在的に関与する抗原をコードするDNA配列を、以下のように単離した。
【0296】
肺腫瘍指向性cDNA発現ライブラリーを、λZAP Express発現系(Stratagene,La Jolla,CA)を用いて構築した。このライブラリーのための総RNAを、2つのヒト扁平上皮肺癌腫のプールから採取し、そしてポリA+RNAを、オリゴ−dTセルロース(Gibco BRL,Gaithersburg,MD)を使用して単離した。ファージミドをランダムにレスキューし、そして単離したクローンのcDNA配列を決定した。
【0297】
クローンSLT−T1について決定したcDNA配列を、配列番号102に提供し、そしてクローンSLT−T2、SLT−T3、SLT−T5、SLT−T7、SLT−T9、SLT−T10、SLT−T11およびSLT−T12について決定した5’cDNA配列を、それぞれ配列番号103〜110に提供する。SLT−T1、SLT−T2、SLT−T3、SLT−T10およびSLT−T12についての対応する推定アミノ酸配列を、それぞれ、配列番号111〜115に提供する。SLT−T2、SLT−T3、SLT−T5、SLT−T7、SLT−T9およびSLT−Tl1の配列と、上記のような公開データベースの配列との比較は、有意な相同性がないことを明らかにした。SLT−T10およびSLT−T12についての配列が、ヒトにおいて以前に同定された配列に対するある程度の相同性を示すことを見出した。
【0298】
SLT−T1の配列が、未知タンパク質機能を有するPACクローンに対するある程度の相同性を示すことを決定した。SLT−T1のcDNA配列(配列番号102)が、突然変異誘発因子(MUTT)ドメインを含むことを見出した。このようなドメインは、損傷したグアニンのDNAからの除去において機能し、AからGへの塩基転換を生じ得ることが公知である(例えば、el−Deiry,W.S.、1997 Curr.Opin.Oncol.9:79−87;Okamoto,K.ら 1996 Int.J.Cancer 65:437−41;Wu,C.ら 1995 Biochem.Biophys.Res.Commun.214:1239−45;Porter,D.W.ら 1996 Chem.Res.Toxicol.9:1375−81を参照のこと)。従って、SLT−T1は、DNA修復における崩壊によって生じるかまたはこの崩壊に関連する肺癌の、遺伝子治療による処置において使用され得る。
【0299】
さらなる研究において、腺癌肺腫瘍形成に潜在的に関与する抗原をコードするDNA配列を、以下のように単離した。ヒト肺腫瘍指向性cDNA発現ライブラリーを、λZAP Express発現系(Stratagene,La Jolla,CA)を用いて構築した。このライブラリーのための総RNAを、ヒト腺癌継代後期SCIDマウスから採取し、そしてポリA+RNAを、Message Maker kit(Gibco BRL,Gaithersburg,MD)を使用して単離した。ファージミドを、ランダムにレスキューし、そして単離したクローンのcDNA配列を決定した。
【0300】
5つの単離したクローン(SALT−T3、SALT−T4、SALT−T7、SALT−T8、およびSALT−T9と呼ぶ)について決定した5’cDNA配列を、配列番号116〜120に提供し、そして対応する推定アミノ酸配列を、配列番号121〜125において提供する。SALT−T3が、以前に同定されたヒトトランスデューシン様エンハンサータンパク質TLE2に対して98%の同一性を示すことを見出した。SALT−T4は、マウスHβ58遺伝子のヒトホモログであるようである。SALT−T7が、ヒト3−メルカプトピルベート硫黄転移酵素に対して97%の同一性を有していることを見出し、そしてSALT−T8が、ヒトインターフェロン誘導性タンパク質1−8Uに対して相同性を示すことを見出した。SALT−T9は、ヒトムチンMUC 5Bに対して約90%の同一性を示した。
【0301】
スモール細胞肺癌の発達に潜在的に関与する抗原をコードするcDNA配列を、以下のように単離した。cDNA発現ライブラリーを、スモール細胞肺癌細胞株NCIH69、NCIH128およびDMS79(American Type Culture Collection,Manassas,VAから全て入手可能)由来のmRNAから、λZAP Express発現系(Stratagene,La Jolla,CA)を用いて構築した。ファージミドをランダムにレスキューし、そして27個の単離されたクローンのcDNA配列を決定した。この決定したcDNA配列の比較は、配列番号372および373の配列に対する有意な相同性がないことを明らかにした。配列番号364、369、377、379および386の配列は、以前に単離されたESTに対するある程度の相同性を示した。残りの20クローンの配列は、以前に同定された遺伝子に対するある程度の相同性を示した。これらのクローンのcDNA配列を、配列番号363、365〜368、370、371、374〜376、378、380〜385および387〜389に提供し、ここで、配列番号363、366〜368、370、375、376、378、380〜382、384および385は、全長配列である。
【0302】
配列番号372のcDNA配列の比較は、このクローン(128TIと呼ぶ)が、推定7回膜貫通タンパク質のファミリーの新規なメンバーであることを示す。詳細には、コンピュータアルゴリズムPSORTを使用して、このタンパク質が、IIIA型原形質膜7回膜貫通タンパク質であると推定される。ゲノムクローンを、Genbankデータベースにおいて同定し、これは、配列番号372によってコードされるアミノ酸配列から不足している推定N末端の58アミノ酸を含んだ。128TIクローンについて決定した全長cDNA配列を、配列番号390に提供し、そして対応するアミノ酸配列を、配列番号391に提供する。
【0303】
正常な組織における発現レベルと比較した、肺腫瘍組織において単離した特定の抗原の発現レベルを、マイクロアレイ技術によって決定した。これらの研究の結果を、これらの配列についてのデータバンク分析と共に、以下の表3に示す。
【0304】
(表3)
【0305】
【表3】
LT+F/N=肺腫瘍および正常組織を超える胎児組織
SC+M/N=肺スモール細胞癌および正常組織を超える転移性組織
Squa/N=正常組織を超える扁平上皮肺腫瘍
Aden/N=正常組織を超える腺癌
(実施例7)
(ポリペプチドの合成)
ポリペプチドを、HPTU(O−ベンゾトリアゾール−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート)活性化を伴うFMOC化学反応を使用して、Perkin Elmer/Applied Biosystems Division 430Aペプチドシンセサイザー上で合成し得る。Gly−Cys−Gly配列は、結合体化、固定された表面への結合、またはペプチドの標識化の方法を提供するためにそのペプチドのアミノ末端に結合され得る。固体支持体からのそのペプチドの切断は、以下の切断混合物を使用して実施され得る:トリフルオロ酢酸:エタンジチオール:チオアニソール:水:フェノール(40:1:2:2:3)。2時間の切断の後、そのペプチドを、冷却メチル−t−ブチル−エーテル中で沈殿させ得る。次いで、そのペプチドペレットを、水含有0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)中に溶解し得、そしてC18逆相HPLCによる精製の前に凍結乾燥し得る。水(0.1%TFAを含む)中0%〜60%のアセトニトリル(0.1%TFAを含む)の勾配を使用して、ペプチドを溶出し得る。純粋な画分の凍結乾燥後、そのペプチドを、エレクトロスプレーまたは他の型の質量分析法を使用し、そしてアミノ酸分析によって特徴付け得る。
【0306】
(実施例8)
(T細胞発現クローニングによる、肺腫瘍抗原をコードするDNA配列の単離および特徴付け)
肺腫瘍抗原はまた、T細胞発現クローニングによって同定され得る。腫瘍特異的T細胞の1つの供給源は、ヒト患者から外科的に切り出された腫瘍からである。
【0307】
非スモール細胞肺癌をミンスして、そして数時間、酵素により消化して、腫瘍細胞および浸潤性リンパ球(腫瘍浸潤性T細胞、すなわちTIL)を放出させた。この細胞を、HBSS緩衝液中で洗浄して、そしてFicoll(100%/75%/HBSS)不連続勾配に通して、非生存細胞から腫瘍細胞およびリンパ球を分離した。2つのバンドをこの界面から回収した(75%/HBSS界面の上側のバンドは、主に腫瘍細胞を含み、一方、100%/75%/HBSS界面の下側のバンドは、リンパ球の大部分を含んだ)。TILを、10ng/ml IL−7および100U/ml IL−2を補充した培養培地を含む24ウェルプレート、あるいは抗CD3モノクローナル抗体OKT3で予めコーティングした24ウェルプレートのいずれかで、培養において増殖させた。得られたTIL培養物を、FACS分析によって分析して、CD8+T細胞が高い割合を占め(ゲートした(gated)集団の90%を超える)、CD4+細胞は、低い割合のみを占めたことを確認した。
【0308】
さらに、非スモール細胞肺癌腫細胞を、腫瘍細胞株(LT391−06と呼ぶ)を樹立する標準的な技術を使用して、培養において増殖させた。これは、免疫組織化学分析によって肺癌腫細胞株であることが後に確認された。この腫瘍細胞株を、ヒトCD80を発現するレトロウイルスベクターで形質導入して、そしてFACS分析によって特徴付けして、CD80、クラスI MHCおよびクラスII MHC分子の高発現レベルを確認した。
【0309】
TIL株が自己肺腫瘍を特異的に認識する能力を、サイトカイン放出アッセイ(IFN−γおよびTNF−α)ならびに51Cr放出アッセイによって実証した。手短に言うと、21日目の培養物由来のTIL細胞を、自己または同種異系腫瘍細胞、EBV不死化LCLまたはコントロール細胞株DaudiおよびK562のいずれかとともに同時培養して、そしてこの培養上清を、サイトカンの存在について、ELISAによってモニターした。TILは、自己腫瘍を特異的に認識したが、同種異系腫瘍を特異的に認識しなかった。さらに、EBV不死化LCLまたはコントロール細胞株については認識しなかった。このことは、TIL株が、腫瘍特異的であり、そして自己MHC分子により提示される腫瘍抗原を潜在的に認識していることを示す。
【0310】
この特徴付けられた腫瘍特異的TIL株を、20U/mlのIL−2の存在下で、照射したEBV形質転換LCLおよびPBLフィーダー細胞を含む培養物において、可溶性抗CD3抗体を使用するT細胞発現クローニングに適切な数まで増殖させた。増殖したTIL株由来のクローンを、標準的な限界希釈技術によって生成した。詳細には、TIL細胞を、96ウェルU字底プレート中に0.5細胞/ウェルにて播種して、そして50U/ml IL−2の存在下で、CD80形質導入自己腫瘍細胞、EBV形質転換LCL、およびPBLフィーダー細胞で刺激した。これらのクローンを、51Cr微量細胞毒性(microcytotoxicity)およびIFN−γバイオアッセイによって自己腫瘍特異性について確認した。
【0311】
これらのCTLクローンは、抗体ブロック実験によって制限されるHLA−B/Cであることを実証した。代表的なCTLクローンを、同種肺癌腫のパネル上で試験し、そしてこれは自己腫瘍および肺扁平上皮細胞癌(936T)の両方を認識する。これらの腫瘍の間で共有される唯一のクラスI MHC分子がHLA−Cw1203であるため、このことは、HLA−Cw1203がCTLによって使用される制限エレメントであることを示す。この知見を、CTLによって、HLA−Cwl203をコードするレトロウイルスベクターで形質導入された多くの同種肺癌腫の認識によって確認した。
【0312】
ポリA mRNAを、LT391−06と呼ばれる肺腫瘍細胞株からMessage Maker(Life Technologies;Rockville,MD)を使用して調製した。cDNA合成を含む引き続く工程を、Life Technologiesのクローニングマニュアル(cDNA合成およびプラスミドクローニングのためのSuperScriptプラスミド系)に従って行った。このプロトコルに対する改変を、以下のように行った。アダプター付加工程において、EcoRI−XmnIアダプター(New England Biolabs;Beverly,MA)を置換した。サイズ画分したcDNAを、発現ベクター系HisMax A,B,C(Invitrogen;Carlsbad,CA)に連結して、3つ全てのコードフレームにおけるタンパク質発現について最適化した。次いで、ライブラリープラスミドを、約100CFU/ウェルで96ウェルブロックにアリコートし、一晩液体増幅した。これらの培養物から、グリセロールストックを作製しそしてプールしたプラスミドを、自動化ロボット(Qiagen;Valencia,CA)によって調製した。このライブラリープレートの各ウェル中のプラスミドDNAの濃度を、約150ng/ulと決定した。このcDNA発現ライブラリーの最初の特徴付けを、24の一次形質転換体のランダム配列決定、および得られた配列を利用可能なデータベースに対してBLAST検索に供することによって行った。決定したcDNA配列を、配列番号443〜480に提供し、そしてBLAST検索の結果を、表4に提供する。
【0313】
(表4)
【0314】
【表4】
T細胞スクリーニングについて、約80ngのライブラリープラスミドDNAおよび80ngのHLA−Cw1203プラスミドDNAを、製造業者の指示に従って脂質Fugeneと混合し、そしてCOS−7細胞へ2連でトランスフェクトした。37℃で48時間インキュベーション後、トランスフェクション混合物を除去し、そして10000のLT391−06 CTLをヒト血清を含む新鮮培地中の各ウェルへ添加した。
【0315】
ライブラリー中の抗原を認識するT細胞の能力を、6時間後(TNF−α、WEHIバイオアッセイ)または24時間後(IFN−γ、ELISA)にサイトカイン放出によって評価した。約2.0×105のクローン(100のプラスミドプール中)をCOS−7細胞におけるこの系を使用してスクリーニングした。LT391−06 CTLによって認識される3つのプラスミドプールを、同定した(14F10、19A4、および20E10と呼ばれる)。COS−7細胞へのこれらのプラスミドプールのトランスフェクションは、バックグランドより有意に上のレベルでLT391−06CTLからIFN−γおよびTNF−α両方の生成を導いた。プール14F10、19A4および20E10を数百の個々のプラスミドDNAへ「分解し」、そして再試験した。プール14F10から単離された24個の新規のクローンの配列は、配列番号481〜511に提供される。
【0316】
プール14F10由来の1つのプラスミド(3D9)、プール20E10由来の1つのプラスミドおよびプール19A4由来の5つのプラスミド(2A6、2E11、2F12、3F4、3H8)は、T細胞認識を再構成し得た。これらのプラスミドの配列決定は、7.8kBのcDNA挿入物(クローン14F10と呼ばれる)、2.2kBのcDNA挿入物(クローン19A4と呼ばれる、配列番号440)、および20E10と呼ばれるクローンの同定を導いた。14F10についての全長cDNA配列を、配列番号441に提供する。クローン14F10は、19A4の5’末端に見出される最初の2つの「G」ヌクレオチドを含まず、そして19A4の3’近位24bpが14F10の対応する領域(ヌクレオチド2145〜2165)とは異なる。さらに、3837bpの3’付加配列を、クローン14F10について単離した。クローン20E10の5’末端cDNA配列(337bp)を、配列番号442に提供する。20E10は、5’最末端でさらに3つのヌクレオチドを含む(19A4と比較して)。クローン20E10の5’末端由来の付加配列は、「ATG」を含み、従って新規なオープンリーディングフレームの翻訳開始部位を含むようである。GenBankデータベースに対するBLAST探索分析は、短縮されたヒトシスチン/グルタミン酸トランスポーター遺伝子と有意な相同性を有するようなこれらの配列を同定した。しかし、公開された配列とは異なり、クローン14F10および19A4は、181ヌクレオチドからなる独特な5’末端を含む。この新規な配列は、公開された5’領域で置き換わり、そして報告された開始メチオニン(開始コドン)およびこの報告されたトランスポータータンパク質のさらなる2つのアミノ酸の除去を生じる。従って、クローン14F10および19A4の翻訳産物は、シスチン/グルタミン酸トランスポータータンパク質とは異なる。さらに、他の肺腫瘍のT細胞認識は、この抗原が他の腫瘍細胞によって同様に発現されることを示す。
【0317】
抗LT391−06細胞のT細胞認識を再構成するクローン19A4および14F10内にコードされるエピトープならびにアミノ酸配列を、以下のようにマッピングした。Cos−7細胞を、80ng/ウェルのHLA−Cw1203でクローン19A4、19A4の独特な5’末端に位置される潜在的なオープンリーディングフレーム、またはシスチン/グルタミン酸(Cys−Glu)トランスポーター遺伝子由来のオープンリーディングフレームをコードするcDNA(真核生物発現ベクターへクローニングする)の滴定量と共にトランスフェクトし、そしてTNFアッセイにおける抗LT391−06 T細胞の刺激について試験した。陽性コントロールとして、Cos−7細胞を、HLA−Cw1203および上記の陽性プラスミドクローン19A4で同時トランスフェクトした。このCys−Gluトランスポーター発現構築物を、テンプレートとして19A4を用い、トランスポーターの公知のORFに特異的な5’プライマーおよび3’プライマーを使用してPCRによって単離した。さらに、各5’プライマーは、ポリペプチドの翻訳を駆動するためにKozak翻訳開始部位および開始メチオニンを含んでいた。LT391−06に対するCTLは、Cys−Gluトランスポーター構築物を発現するトランスフェクタントを認識しなかったが、19A4および19A4由来の5’ORFを発現するトランスフェクタントを認識した。
【0318】
引き続く発現において、Cos−7細胞を、転位変異体それぞれF10およびC12のDNAの滴定量と共に80ng/ウェル HLA−Cw1203で同時トランスフェクトし、そしてTNFアッセイにおける抗LT391−06 T細胞の刺激について試験した。陽性コントロールトして、Cos−7細胞を、HLA−Cw1203および19A4の5’ORFのクローンで同時トランスフェクトした。転位変異体F10およびC12を、14F10クローンのトランスポゾン媒介変異および配列分析による挿入部位についてのスクリーニングによって得た。変異体F10のトランスポゾンに、14F10 cDNAの5’EcoRIクローニング部位由来の約304bpを挿入した。この変異は、T細胞エピトープの翻訳を中断させなかった。対照的に、14F10 cDNAの5’EcoRIクローニング部位由来の約116bpを挿入した変異体C12のトランスポゾンが、T細胞エピトープの翻訳を妨げることを見出した。従って、14F10におけるエピトープは、これら2つのトランスポゾン挿入部位間にマッピングされる。C12およびF10トランスポゾン挿入部位間の領域のアミノ酸配列を、配列番号586に提供する。
【0319】
配列番号586に示される領域に対する一連の11個の重複16マーおよび15マーペプチドを調製し、そして抗LT391−06細胞の刺激(TNFおよびIFN−γアッセイにおけるサイトカイン放出によって決定される)について試験した。配列番号587に提供するペプチド(配列番号586の残基5〜20に対応する)のみが、サイトカイン放出を刺激した。これらの研究は、LT391−06抗原のHLA−Cw1203拘束エピトープが配列番号587に含まれることを示す。
【0320】
(実施例9)
(PCR減算による肺腫瘍抗原をコードするDNA配列の単離および特徴づけ)
本実施例は、上記のヒト肺腫瘍細胞株LT391−06から調製されるPCR減算発現ライブラリーからのcDNAクローンの単離および特徴づけを記載する。
【0321】
テスターポリA mRNAを、上記の細胞株LT391−06から調製した。駆動ポリA mRNAを、非肺細胞由来であり、かつLT391−06反応性T細胞によって認識されないヒト急性T細胞白血病/Tリンパ球細胞株(Jurkat)から単離した。この減算を、以下を変更してClontech(Palo Alto,CA)の方法に従って実行した:1)cDNAの第2の制限消化反応を酵素(MscI、PvuII、StuIおよびDraI)のプールを使用して終えた。このことを、Clontech推薦のRsaIを用いる単一の制限酵素消化に加えて、この消化とは別に行った。各制限消化セットを、別個のライブラリーとして処理して、確実に最終混合ライブラリーが重複フラグメントを含むようにした。従って、T細胞によって認識されるエピトープは、ライブラリー中のフラグメント上に示されるべきであり、そしてその中の単一の制限部位の存在によって破壊されるべきではない。2)駆動対テスターcDNAの比をハイブリダイゼーション工程において増加し、減算ストリンジェンシーを増加した。この減算の有効性を解析するために、アクチンを、減算ならびに非減算PCRサンプルの希釈液からPCR増幅した。この第2の増幅工程は、通常使用されるプライマーから改変したプライマーを利用した。3つの入れ子PCRプライマーを操作して、3つのフレームのうちの1つに切断可能なEcoRI部位(クローニングの間は利用されない)を含ませた。従って、これらのプライマーを用いる二次増幅は、真核生物の発現プラスミドpcDNA4His/Max−Topo(Invitrogen)へ直接連結され得る産物を生じた。このことは、ライブラリー内のどこかにインフレームで示されるPCR減算および増幅フラグメントを生じた。この減算の力学に起因して、50%のフラグメントのみが、正しい方向付けにある。ライブラリーの複雑さおよび重複を、最終的にプールされるPCR減算発現ライブラリー(LT391−06PCRと呼ぶ)からランダムに選び取られた96個のクローンを配列決定することによって特徴づけした。これらの配列(配列番号512〜581)を、公に利用可能なデータベースにおける配列と比較することによって分析した(表5)。
【0322】
【表5】
(実施例10)
(肺腫瘍抗原に特異的なT細胞クローン由来のT細胞レセプターの単離および特徴づけ)
本実施例は、肺腫瘍細胞株LT391−06によって発現される抗原に特異的なCD8T細胞クローン由来のT細胞レセプター(TCR)αおよびβ鎖クローニングおよび配列決定を記載する。T細胞は、限られた寿命を有する。TCR鎖のクローニングおよび引き続く転移は、本質的にT細胞特異性の無限伝播を可能にする。腫瘍抗原TCR鎖のクローニングは、TCR MHC拘束対立遺伝子を共有する患者から単離したT細胞への特異性の転移を可能にする。次いで、このようなT細胞を、拡張して、そして養子転移技術で使用して、抗原を発現する腫瘍を保有する患者へ腫瘍抗原特異性を導入し得る(例えば、Clayら、J.Immunol.163:507(1999)を参照のこと)。
【0323】
肺腫瘍細胞株LT391−06に特異的な細胞障害性のTリンパ球(CTL)クローンを産生した。このような15個のクローン由来の2×106細胞由来の総mRNAを、Trizol試薬を使用して単離し、そしてcDNAを、Ready−to−Goキット(Pharmacia)を使用して合成した。これらのクローンにおけるVaおよびVb配列を決定するために、VaおよびVbサブタイプ特異的プライマーのパネルを合成し、そして各クローンから産生したcDNAを用いてRT−PCR反応に使用した。RT−PCR反応は、各クローンがVb13サブファミリーに対応する共通Vb配列を発現することを示した。1つのクローンから産生したcDNA(1105と呼ぶ)を使用して、発現されるVa配列をVa22と決定した。クローン1105から全TCRαおよびβ鎖をクローニングするために、TCRヌクレオチドをコードするイニシエーターおよびターミネーターにわたるプライマーを、設計した。標準的な35サイクルのRT−PCR反応を、CTLクローンおよびプライマーから合成されるcDNAを使用して熱安定なポリメラーゼとしてPWO(BMB)を用いて達成した。生じる特異的バンド(α鎖については約850bpおよびβ鎖については約950bp)を、PCR平滑ベクター(blunt vector)(Invitrogen)へ連結し、そしてE.coliへ形質転換した。全長αおよびβ鎖を含むプラスミドで形質転換したE.coliを、同定し、そして対応するプラスミドのラージスケールの調製物を産生した。全長TCRαおよびβ鎖を含むプラスミドを配列決定した。決定した、αおよびβ鎖のcDNA配列を、それぞれ配列番号583および582に提供し、その対応するアミノ酸配列を、それぞれ配列番号54および585に提供する。
【0324】
前述から、本発明の特定の実施形態は、例示目的のために本明細書中に記載され、種々の改変は、本発明の精神および範囲から逸脱せずになされ得ることが理解される。従って、本発明は、添付の特許請求の範囲を除いて限定されない。
(発明の技術分野)
本発明は、一般に、癌(例えば、肺癌)の治療および診断に関する。本発明は、より具体的には、肺腫瘍タンパク質の少なくとも1部を含むポリペプチド、およびこのようなポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに関する。このようなポリペプチドおよびポリヌクレオチドは、肺癌の診断および処置のための薬学的組成物(例えば、ワクチン)および他の組成物において有用である。
【0002】
(発明の背景)
肺癌は、米国における男性および女性の両方の間における癌での死亡の主な原因であり、1994年には概算172,000件の新しい症例が報告された。全ての肺癌患者の間における5年間の生存率は、診断時における疾患の病期に関わらず、たった13%である。これは、検出される症例の間における46%の5年間生存率と対照的であるが、この疾患は、なお局在される。しかし、肺癌の16%のみしか、この疾患が広がる前に発見されない。
【0003】
早期発見は難しい。なぜなら、臨床症状は、この疾患が進行した病期に達するまでしばしばみられないからである。現在のところ、診断は、胸部X線、痰に含まれる細胞型の分析および気管支道の光ファイバー試験の使用により補助される。処置の養生法は、癌の型および病期により決定され、そして手術、放射線治療および/または化学療法を含む。これらの疾患のための治療へのかなりの研究にも関わらず、肺癌は、処置することが困難なままである。
【0004】
従って、当該分野において、肺癌のための改善されたワクチン、処置方法および診断技術の必要性が残っている。
【0005】
(発明の要旨)
1つの局面において、本発明は、以下からなる群より選択される配列を含むポリヌクレオチド組成物を提供する:
(a)配列番号217〜390、392、394、396、398〜420、422〜424、428〜433および440〜583に提供される配列、
(b)配列番号217〜390、392、394、396、398〜420、422〜424、428〜433および440〜583に提供される配列の相補体、
(c)配列番号217〜390、392、394、396、398〜420、422〜424、428〜433および440〜583に提供される配列の少なくとも20個連続する残基からなる配列、
(d)中程度にストリンジェントな条件下で、配列番号217〜390、392、394、396、398〜420、422〜424、428〜433および440〜583に提供される配列にハイブリダイズする配列、
(e)配列番号217〜390、392、394、396、398〜420、422〜424、428〜433および440〜583の配列に対して少なくとも75%の同一性を有する配列、
(f)配列番号217〜390、392、394、396、398〜420、422〜424、428〜433および440〜583の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列、
(g)配列番号217〜390、392、394、396、398〜420、422〜424、428〜433および440〜583に提供される配列の縮重改変体。
【0006】
1つの好ましい実施形態において、本発明のポリヌクレオチド組成物は、正常組織のレベルよりも、少なくとも約2倍、好ましくは少なくとも約5倍、そして最も好ましくは少なくとも約10倍高いレベルで、試験した肺腫瘍サンプルの少なくとも約20%、より好ましくは少なくとも約30%、そして最も好ましくは少なくとも約50%に発現される。
【0007】
別の局面において、本発明は、上記のポリヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列を含むポリペプチド組成物を提供する。
【0008】
特定の実施形態において、本発明は、配列番号391、393、395、397、421、425〜427、434〜439、および584〜587に示される配列からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチド組成物を提供する。
【0009】
特定の好ましい実施形態において、本発明のポリペプチドおよび/またはポリヌクレオチドは、免疫原性であり、すなわち、これらは、本明細書中にさらに記載されるように、免疫応答(特に、体液性免疫応答および/または細胞性免疫応答)を誘発し得る。
【0010】
本発明はさらに、開示されるポリペプチド配列および/またはポリヌクレオチド配列のフラグメント、改変体および/または誘導体を提供し、ここで、このフラグメント、改変体および/または誘導体は、好ましくは、配列番号391、393、395、397、421、425〜427、434〜439、および584〜587に示されるポリペプチド配列または配列番号217〜390、392、394、396、398〜420、422〜424、428〜433および440〜583に示されるポリヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチド配列の免疫原性活性のレベルの、少なくとも約50%、好ましくは少なくとも約70%、およびより好ましくは少なくとも約90%の免疫原性活性のレベルを有する。
【0011】
本発明はさらに、上記のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、このようなポリヌクレオチドを含む発現ベクターおよびこのような発現ベクターで形質転換もしくはトランスフェクトされた宿主細胞を提供する。
【0012】
他の局面において、本発明は、上記のポリペプチドまたはポリヌクレオチドならびに生理学的に受容可能なキャリアを含む薬学的組成物を提供する。
【0013】
本発明の関連する局面において、予防適用または治療適用のための薬学的組成物(例えば、ワクチン組成物)が提供される。このような組成物は、一般的に、本発明の免疫原性ポリペプチドまたは免疫原性ポリヌクレオチドならびに免疫促進剤(例えば、アジュバント)を含む。
【0014】
本発明はさらに、以下を含む薬学的組成物を提供する:(a)本発明のポリペプチドまたはそのフラグメントに特異的に結合する抗体またはその抗原結合フラグメント、ならびに(b)生理学的に受容可能なキャリア。
【0015】
さらなる局面において、本発明は、以下を含む薬学的組成物を提供する:(a)上記のようなポリペプチドを発現する抗原提示細胞、ならびに(b)薬学的に受容可能なキャリアまたは賦形剤。例示的な抗原提示細胞としては、樹状細胞、マクロファージ、単球、線維芽細胞およびB細胞が挙げられる。
【0016】
関連する局面において、(a)上記のようなポリペプチドを発現する抗原提示細胞、および(b)免疫促進剤を含む薬学的組成物が提供される。
【0017】
他の局面において、本発明はさらに、上記のような少なくとも1つのポリペプチドを含む融合タンパク質、ならびにそのような融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドを、代表的に薬学的組成物(例えば、ワクチン組成物)(生理学的に受容可能なキャリアおよび/または免疫促進剤を含む)の形態で提供する。融合タンパク質は、本明細書中に記載されるような複数の免疫原性ポリペプチドまたはその一部/改変体を含み得、そしてさらに、ポリペプチドの発現、精製および/または免疫原性を促進する1つ以上のポリペプチドセグメントを含み得る。
【0018】
さらなる局面において、本発明は、患者における免疫応答(好ましくはヒト患者におけるT細胞応答)を刺激するための方法を提供し、この方法は、本明細書中に記載の薬学的組成物を投与する工程を包含する。患者が、肺癌に冒され得る場合、この方法は、この疾患のための処置を提供するか、またはこのような疾患の危険性があると考えられる患者は、予防的に処置され得る。
【0019】
さらなる局面において、本発明は、患者における癌の発生を阻害するための方法を提供し、この方法は、上に列挙された薬学的組成物を患者に投与する工程を包含する。患者が肺癌に冒され得る場合、この方法は、この疾患を処置するために提供され得るか、またはこのような疾患の危険があると考えられる患者は、予防的に処置され得る。
【0020】
他の局面において、本発明はさらに、生物学的サンプルから腫瘍細胞を除去する方法を提供し、その方法は、生物学的サンプルを、本発明のポリペプチドと特異的に反応するT細胞と接触させる工程を包含する。ここで接触させる工程は、サンプルから、このタンパク質を発現する細胞の除去を可能にするための十分な条件および時間で行われる。
【0021】
関連する局面において、患者における癌の発生を阻害する方法が提供され、この方法は、上記のように処置された生物学的サンプルを、患者に投与する工程を包含する。
【0022】
他の局面において、本発明のポリペプチドに特異的なT細胞を刺激および/または拡大するための方法がさらに提供され、この方法は、T細胞の刺激および/または拡大することを可能にするのに十分な条件および時間の下で、T細胞を、以下の1つ以上と接触させる工程を包含する:(i)上記のポリペプチド;(ii)このようなポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;および/または(iii)このようなポリペプチドを発現する抗原提示細胞。上記のように調製されたT細胞を含む単離されたT細胞集団もまた、提供される。
【0023】
さらなる局面において、本発明は、患者における癌の発生を阻害するための方法を提供し、この方法は、上記のようなT細胞集団の有効量を、患者に投与する工程を包含する。
【0024】
本発明は、さらに、患者における癌の発生を阻害するための方法を提供し、この方法は以下の工程を包含する:(a)患者から単離されたCD4+および/またはCD8+T細胞を、以下の1以上とともにインキュベートする工程:(i)本明細書中に開示されたポリペプチドの少なくとも免疫原性部分を含むポリペプチド;(ii)このようなポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;および(iii)このようなポリヌクレオチドを発現する抗原提示細胞;ならびに(b)有効量の増殖したT細胞を患者に投与し、そしてそれによって患者における癌の発生を阻害する工程。増殖した細胞は、患者への投与の前にクローン化され得るが、それは必要ではない。
【0025】
さらなる局面において、本発明は、患者における癌(特に、肺癌)の存在または非存在を決定するための方法を提供し、この方法は、以下の工程を包含する:(a)患者から得られた生物学的サンプルを、上に列挙されたポリペプチドに結合する結合因子と接触させる工程;(b)この結合因子に結合するポリペプチドのサンプル中の量を検出する工程;および(c)ポリペプチドの量を、予め決定されたカットオフ値と比較し、それから患者における癌の存在または非存在を決定する工程。好ましい実施形態において、結合因子は、抗体、より好ましくはモノクローナル抗体である。
【0026】
他の局面において、本発明はまた、患者における癌の進行をモニタリングするための方法を提供する。このような方法は、以下の工程を包含する:(a)第1の時点で、患者より得た生物学的サンプルを、上に列挙されたポリペプチドに結合する結合因子と接触させる工程;(b)この結合因子に結合するポリペプチドのサンプル中の量を検出する工程;(c)続く時点で、患者より得た生物学的サンプルを使用して、工程(a)および(b)を反復する工程;ならびに(d)工程(c)で検出されたポリペプチドの量を、工程(b)で検出された量と比較し、そしてそれから、患者における癌の進行をモニタリングする工程。
【0027】
他の局面において、本発明は、患者における癌の存在または非存在を決定するための方法をさらに提供し、その方法は、以下の工程を包含する:(a)患者から得られた生物学的サンプルを、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドにハイブリダイズするオリゴヌクレオチドと接触させる工程;(b)オリゴヌクレオチドにハイブリダイズするポリヌクレオチド、好ましくはmRNA、のサンプル中のレベルを検出する工程;および(c)オリゴヌクレオチドにハイブリダイズするポリヌクレオチドのレベルを、予め決められたカットオフ値と比較し、それから患者における癌の存在または非存在を決定する工程。特定の実施形態において、mRNAの量は、例えば、少なくとも1つのオリゴヌクレオチドプライマー(上に列挙されたポリペプチドをコードするポリヌクレオチドまたはこのようなポリヌクレオチドの相補体にハイブリダイズする)を使用するポリメラーゼ連鎖反応を通じて検出される。他の実施形態において、mRNAの量は、上記のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドまたはそのようなポリヌクレオチドの相補体にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプローブを使用するハイブリダイゼーション技術を使用して検出される。
【0028】
関連する局面において、患者における癌の進行をモニタリングするための方法を提供し、この方法は以下の工程を包含する:(a)患者から得られた生物学的サンプルを、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドにハイブリダイズするオリゴヌクレオチドと接触させる工程;(b)オリゴヌクレオチドにハイブリダイズするポリヌクレオチドのサンプル中の量を検出する工程;(c)続く時点で、患者より得られた生物学的サンプルを使用して、工程(a)および(b)を反復する工程;ならびに(d)工程(c)で検出されたポリヌクレオチドの量を、工程(b)で検出された量と比較し、それから患者における癌の進行をモニタリングする工程。
【0029】
さらなる局面において、本発明は、上記のようにポリペプチドに結合するモノクローナル抗体のような抗体、ならびにそのような抗体を備える診断キットを提供する。上記のような1以上のオリゴヌクレオチドプローブまたはプライマーを供える診断キットもまた、提供される。
【0030】
本発明のこれらの局面および他の局面は、以下の詳細な説明を参照すれば明確になる。本明細書中に開示されるすべての参考文献は、各々が個別に援用されるように、そのすべてが本明細書中で参考として援用される。
【0031】
(配列識別子(SEQUENCE IDENTIFIERS))
配列番号1は、L363C1.consに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号2は、L263C2.consに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号3は、L263C2cに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号4は、L263C1.consに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号5は、L263C1bに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号6は、L164C2.consに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号7は、L164C1.consに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号8は、L366C1aに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号9は、L260C1.consに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号10は、L163C1cに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号11は、L163C1bに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号12は、L255C1.consに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号13は、L255C1bに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号14は、L355C1.consに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号15は、L366C1.consに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号16は、L163C1aに対して決定されたcDNA配列である。
配列番号17は、LT86−1に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号18は、LT86−2に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号19は、LT86−3に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号20は、LT86−4に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号21は、LT86−5に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号22は、LT86−6に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号23は、LT86−7に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号24は、LT86−8に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号25は、LT86−9に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号26は、LT86−10に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号27は、LT86−11に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号28は、LT86−12に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号29は、LT86−13に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号30は、LT86−14に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号31は、LT86−15に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号32は、LT86−1に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号33は、LT86−2に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号34は、LT86−3に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号35は、LT86−4に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号36は、LT86−5に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号37は、LT86−6に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号38は、LT86−7に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号39は、LT86−8に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号40は、LT86−9に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号41は、LT86−10に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号42は、LT86−11に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号43は、LT86−12に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号44は、LT86−13に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号45は、LT86−14に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号46は、LT86−15に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号47は、(dT)12AGプライマーである。
配列番号48は、プライマーである。
配列番号49は、L86S−3に対して決定された5’cDNA配列である。
配列番号50は、L86S−12に対して決定された5’cDNA配列である。
配列番号51は、L86S−16に対して決定された5’cDNA配列である。
配列番号52は、L86S−25に対して決定された5’cDNA配列である。
配列番号53は、L86S−36に対して決定された5’cDNA配列である。
配列番号54は、L86S−40に対して決定された5’cDNA配列である。
配列番号55は、L86S−46に対して決定された5’cDNA配列である。
配列番号56は、L86S−3に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号57は、L86S−12に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号58は、L86S−16に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号59は、L86S−25に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号60は、L86S−36に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号61は、L86S−40に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号62は、L86S−46に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号63は、L86S−30に対して決定された5’cDNA配列である。
配列番号64は、L86S−41に対して決定された5’cDNA配列である。
配列番号65は、LT86−9の5’末端由来の推定アミノ酸配列である。
配列番号66は、LT86−4に対して決定された伸長cDNA配列である。
配列番号67は、LT86−4に対する推定伸長アミノ酸配列である。
配列番号68は、LT86−20に対して決定された5’cDNA配列である。
配列番号69は、LT86−21に対して決定された3’cDNA配列である。
配列番号70は、LT86−22に対して決定された5’cDNA配列である。
配列番号71は、LT86−26に対して決定された5’cDNA配列である。
配列番号72は、LT86−27に対して決定された5’cDNA配列である。
配列番号73は、LT86−20に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号74は、LT86−21に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号75は、LT86−22に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号76は、LT86−26に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号77は、LT86−27に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号78は、L86S−12に対して決定された伸長cDNA配列である。
配列番号79は、L86S−36に対して決定された伸長cDNA配列である。
配列番号80は、L86S−46に対して決定された伸長cDNA配列である。
配列番号81は、L86S−12に対する推定伸長アミノ酸配列である。
配列番号82は、L86S−36に対する推定伸長アミノ酸配列である。
配列番号83は、L86S−46に対する推定伸長アミノ酸配列である。
配列番号84は、L86S−6に対して決定された5’cDNA配列である。
配列番号85は、L86S−11に対して決定された5’cDNA配列である。
配列番号86は、L86S−14に対して決定された5’cDNA配列である。
配列番号87は、L86S−29に対して決定された5’cDNA配列である。
配列番号88は、L86S−34に対して決定された5’cDNA配列である。
配列番号89は、L86S−39に対して決定された5’cDNA配列である。
配列番号90は、L86S−47に対して決定された5’cDNA配列である。
配列番号91は、L86S−49に対して決定された5’cDNA配列である。
配列番号92は、L86S−51に対して決定された5’cDNA配列である。
配列番号93は、L86S−6に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号94は、L86S−11に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号95は、L86S−14に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号96は、L86S−29に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号97は、L86S−34に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号98は、L86S−39に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号99は、L86S−47に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号100は、L86S−49に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号101は、L86S−51に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号102は、SLT−T1に対して決定されたDNA配列である。
配列番号103は、SLT−T2に対して決定された5’DNA配列である。
配列番号104は、SLT−T3に対して決定された5’DNA配列である。
配列番号105は、SLT−T5に対して決定された5’DNA配列である。
配列番号106は、SLT−T7に対して決定された5’DNA配列である。
配列番号107は、SLT−T9に対して決定された5’DNA配列である。
配列番号108は、SLT−T10に対して決定された5’DNA配列である。
配列番号109は、SLT−T11に対して決定された5’DNA配列である。
配列番号110は、SLT−T12に対して決定された5’DNA配列である。
配列番号111は、SLT−T1に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号112は、SLT−T2に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号113は、SLT−T3に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号114は、SLT−T10に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号115は、SLT−T12に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号116は、SALT−T3に対して決定された5’cDNA配列である。
配列番号117は、SALT−T4に対して決定された5’cDNA配列である。
配列番号118は、SALT−T7に対して決定された5’cDNA配列である。
配列番号119は、SALT−T8に対して決定された5’cDNA配列である。
配列番号120は、SALT−T9に対して決定された5’cDNA配列である。
配列番号121は、SALT−T3に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号122は、SALT−T4に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号123は、SALT−T7に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号124は、SALT−T8に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号125は、SALT−T9に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号126は、PSLT−1に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号127は、PSLT−2に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号128は、PSLT−7に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号129は、PSLT−13に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号130は、PSLT−27に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号131は、PSLT−28に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号132は、PSLT−30に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号133は、PSLT−40に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号134は、PSLT−69に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号135は、PSLT−71に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号136は、PSLT−73に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号137は、PSLT−79に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号138は、PSLT−03に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号139は、PSLT−09に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号140は、PSLT−011に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号141は、PSLT−041に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号142は、PSLT−62に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号143は、PSLT−6に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号144は、PSLT−37に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号145は、PSLT−74に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号146は、PSLT−010に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号147は、PSLT−012に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号148は、PSLT−037に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号149は、SAL−3に対して決定された5’cDNA配列である。
配列番号150は、SAL−24に対して決定された5’cDNA配列である。
配列番号151は、SAL−25に対して決定された5’cDNA配列である。
配列番号152は、SAL−33に対して決定された5’cDNA配列である。
配列番号153は、SAL−50に対して決定された5’cDNA配列である。
配列番号154は、SAL−57に対して決定された5’cDNA配列である。
配列番号155は、SAL−66に対して決定された5’cDNA配列である。
配列番号156は、SAL−82に対して決定された5’cDNA配列である。
配列番号157は、SAL−99に対して決定された5’cDNA配列である。
配列番号158は、SAL−104に対して決定された5’cDNA配列である。
配列番号159は、SAL−109に対して決定された5’cDNA配列である。
配列番号160は、SAL−5に対して決定された5’cDNA配列である。
配列番号161は、SAL−8に対して決定された5’cDNA配列である。
配列番号162は、SAL−12に対して決定された5’cDNA配列である。
配列番号163は、SAL−14に対して決定された5’cDNA配列である。
配列番号164は、SAL−16に対して決定された5’cDNA配列である。
配列番号165は、SAL−23に対して決定された5’cDNA配列である。
配列番号166は、SAL−26に対して決定された5’cDNA配列である。
配列番号167は、SAL−29に対して決定された5’cDNA配列である。
配列番号168は、SAL−32に対して決定された5’cDNA配列である。
配列番号169は、SAL−39に対して決定された5’cDNA配列である。
配列番号170は、SAL−42に対して決定された5’cDNA配列である。
配列番号171は、SAL−43に対して決定された5’cDNA配列である。
配列番号172は、SAL−44に対して決定された5’cDNA配列である。
配列番号173は、SAL−48に対して決定された5’cDNA配列である。
配列番号174は、SAL−68に対して決定された5’cDNA配列である。
配列番号175は、SAL−72に対して決定された5’cDNA配列である。
配列番号176は、SAL−77に対して決定された5’cDNA配列である。
配列番号177は、SAL−86に対して決定された5’cDNA配列である。
配列番号178は、SAL−88に対して決定された5’cDNA配列である。
配列番号179は、SAL−93に対して決定された5’cDNA配列である。
配列番号180は、SAL−100に対して決定された5’cDNA配列である。
配列番号181は、SAL−105に対して決定された5’cDNA配列である。
配列番号182は、SAL−3に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号183は、SAL−24に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号184は、SAL−25に対する第1の推定アミノ酸配列である。
配列番号185は、SAL−25に対する第2の推定アミノ酸配列である。
配列番号186は、SAL−33に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号187は、SAL−50に対する第1の推定アミノ酸配列である。
配列番号188は、SAL−57に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号189は、SAL−66に対する第1の推定アミノ酸配列である。
配列番号190は、SAL−66に対する第2の推定アミノ酸配列である。
配列番号191は、SAL−82に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号192は、SAL−99に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号193は、SAL−104に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号194は、SAL−5に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号195は、SAL−8に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号196は、SAL−12に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号197は、SAL−14に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号198は、SAL−16に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号199は、SAL−23に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号200は、SAL−26に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号201は、SAL−29に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号202は、SAL−32に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号203は、SAL−39に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号204は、SAL−42に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号205は、SAL−43に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号206は、SAL−44に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号207は、SAL−48に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号208は、SAL−68に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号209は、SAL−72に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号210は、SAL−77に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号211は、SAL−86に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号212は、SAL−88に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号213は、SAL−93に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号214は、SAL−100に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号215は、SAL−105に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号216は、SAL−50に対する第2の推定アミノ酸配列である。
配列番号217は、SSLT−4に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号218は、SSLT−9に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号219は、SSLT−10に対して決定されたcDNA配列である
配列番号220は、SSLT−12に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号221は、SSLT−19に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号222は、SSLT−31に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号223は、SSLT−38に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号224は、LT4690−2に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号225は、LT4690−3に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号226は、LT4690−22に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号227は、LT4690−24に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号228は、LT4690−37に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号229は、LT4690−39に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号230は、LT4690−40に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号231は、LT4690−41に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号232は、LT4690−49に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号233は、LT4690−55に対して決定された3’cDNA配列である。
配列番号234は、LT4690−55に対して決定された5’cDNA配列である。
配列番号235は、LT4690−59に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号236は、LT4690−63に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号237は、LT4690−71に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号238は、2LT−3に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号239は、2LT−6に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号240は、2LT−22に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号241は、2LT−25に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号242は、2LT−26に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号243は、2LT−31に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号244は、2LT−36に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号245は、2LT−42に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号246は、2LT−44に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号247は、2LT−54に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号248は、2LT−55に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号249は、2LT−57に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号250は、2LT−58に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号251は、2LT−59に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号252は、2LT−62に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号253は、2LT−63に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号254は、2LT−65に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号255は、2LT−66に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号256は、2LT−70に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号257は、2LT−73に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号258は、2LT−74に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号259は、2LT−76に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号260は、2LT−77に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号261は、2LT−78に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号262は、2LT−80に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号263は、2LT−85に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号264は、2LT−87に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号265は、2LT−89に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号266は、2LT−94に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号267は、2LT−95に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号268は、2LT−98に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号269は、2LT−100に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号270は、2LT−103に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号271は、2LT−105に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号272は、2LT−107に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号273は、2LT−108に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号274は、2LT−109に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号275は、2LT−118に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号276は、2LT−120に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号277は、2LT−121に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号278は、2LT−122に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号279は、2LT−124に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号280は、2LT−126に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号281は、2LT−127に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号282は、2LT−128に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号283は、2LT−129に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号284は、2LT−133に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号285は、2LT−137に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号286は、LT4690−71に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号287は、LT4690−82に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号288は、SSLT−74に対して決定された全長cDNA配列である。
配列番号289は、SSLT−78に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号290は、SCC1−8に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号291は、SCC1−12に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号292は、SCC1−336に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号293は、SCC1−344に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号294は、SCC1−345に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号295は、SCC1−346に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号296は、SCC1−348に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号297は、SCC1−350に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号298は、SCC1−352に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号299は、SCC1−354に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号300は、SCC1−355に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号301は、SCC1−356に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号302は、SCC1−357に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号303は、SCC1−501に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号304は、SCC1−503に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号305は、SCC1−513に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号306は、SCC1−516に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号307は、SCC1−518に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号308は、SCC1−519に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号309は、SCC1−522に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号310は、SCC1−523に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号311は、SCC1−525に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号312は、SCC1−527に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号313は、SCC1−529に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号314は、SCC1−530に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号315は、SCC1−531に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号316は、SCC1−532に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号317は、SCC1−533に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号318は、SCC1−536に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号319は、SCC1−538に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号320は、SCC1−539に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号321は、SCC1−541に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号322は、SCC1−542に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号323は、SCC1−546に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号324は、SCC1−549に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号325は、SCC1−551に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号326は、SCC1−552に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号327は、SCC1−554に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号328は、SCC1−558に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号329は、SCC1−559に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号330は、SCC1−561に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号331は、SCC1−562に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号332は、SCC1−564に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号333は、SCC1−565に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号334は、SCC1−566に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号335は、SCCI−567に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号336は、SCCI−568に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号337は、SCC1−570に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号338は、SCC1−572に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号339は、SCC1−575に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号340は、SCC1−576に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号341は、SCC1−577に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号342は、SCC1−578に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号343は、SCC1−582に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号344は、SCC1−583に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号345は、SCC1−586に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号346は、SCC1−588に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号347は、SCC1−590に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号348は、SCCl−591に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号349は、SCC1−592に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号350は、SCC1−593に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号351は、SCC1−594に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号352は、SCCI−595に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号353は、SCC1−596に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号354は、SCC1−598に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号355は、SCC1−599に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号356は、SCCI−602に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号357は、SCC1−604に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号358は、SCC1−605に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号359は、SCC1−606に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号360は、SCC1−607に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号361は、SCC1−608に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号362は、SCC1−610に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号363は、クローンDMS79T1に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号364は、クローンDMS79T2に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号365は、クローンDMS79T3に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号366は、クローンDMS79T5に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号367は、クローンDMS79T6に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号368は、クローンDMS79T7に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号369は、クローンDMS79T9に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号370は、クローンDMS79T10に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号371は、クローンDMS79T11に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号372は、クローン128T1に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号373は、クローン128T2に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号374は、クローン128T3に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号375は、クローン128T4に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号376は、クローン128T5に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号377は、クローン128T7に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号378は、クローン128T9に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号379は、クローン128T10に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号380は、クローン128T11に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号381は、クローン128T12に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号382は、クローンNCIH69T3に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号383は、クローンNCIH69T5に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号384は、クローンNCIH69T6に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号385は、クローンNCIH69T7に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号386は、クローンNCIH69T9に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号387は、クローンNCIH69T10に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号388は、クローンNCIH69T11に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号389は、クローンNCIH69T12に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号390は、128T1に対する全長cDNA配列である。
配列番号391は、128T1に対するアミノ酸配列である。
配列番号392は、2LT−128に対する全長cDNA配列である。
配列番号393は、2LT−128に対するアミノ酸配列である。
配列番号394は、クローンSCC1−542に対する伸長cDNA配列である。
配列番号395は、配列番号394に対応するアミノ酸配列である。
配列番号396は、クローンSCC1−593に対する伸長cDNA配列である。
配列番号397は、配列番号396に対応するアミノ酸配列である。
配列番号398は、55508.1に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号399は、55509.1に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号400は、54243.1に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号401は、54251.1に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号402は、54252.1に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号403は、54253.1に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号404は、55518.1に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号405は、54258.1に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号406は、54575.1に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号407は、54577.1に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号408は、54584.1に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号409は、55521.1に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号410は、54589.1に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号411は、54592.1に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号412は、55134.1に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号413は、55137.1に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号414は、55140.1に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号415は、55531.1に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号416は、55532.1に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号417は、54621.1に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号418は、55548.1に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号419は、54623.1に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号420は、L39に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号421は、L39に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号422は、SCC2−29に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号423は、SCC2−36に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号424は、SCC2−60に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号425は、SCC2−29に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号426は、SCC2−36に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号427は、SCC2−60に対する推定アミノ酸配列である。
配列番号428は、クローン20129に対する伸長cDNA配列であり、配列番号238に示される2LT−3とも呼ばれる。
配列番号429は、クローン20347に対する伸長cDNA配列であり、配列番号242に示される2LT−26とも呼ばれる。
配列番号430は、クローン21282に対する伸長cDNA配列であり、配列番号249に示される2LT−57とも呼ばれる。
配列番号431は、クローン21283に対する伸長cDNA配列であり、配列番号250に示される2LT−58とも呼ばれる。
配列番号432は、クローン21484に対する伸長cDNA配列であり、配列番号268に示される2LT−98とも呼ばれる。
配列番号433は、クローン21871に対する伸長cDNA配列であり、配列番号279に示される2LT−124とも呼ばれる。
配列番号434は、配列番号428によってコードされるアミノ酸配列である。
配列番号435は、配列番号429によってコードされるアミノ酸配列である。
配列番号436は、配列番号430によってコードされるアミノ酸配列である。
配列番号437は、配列番号431によってコードされるアミノ酸配列である。
配列番号438は、配列番号432によってコードされるアミノ酸配列である。
配列番号439は、配列番号433によってコードされるアミノ酸配列である。
配列番号440は、クローン19A4に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号441は、クローン14F10に対して決定された全長cDNA配列である。
配列番号442は、クローン20E10に対して決定された5’cDNA配列である。
配列番号443は、クローン55153に対する第1の決定されたcDNA配列である。
配列番号444は、クローン55153に対する第2の決定されたcDNA配列である。
配列番号445は、クローン55154に対する第1の決定されたcDNA配列である。
配列番号446は、クローン55154に対する第2の決定されたcDNA配列である。
配列番号447は、クローン55155に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号448は、クローン55156に対する第1の決定されたcDNA配列である。
配列番号449は、クローン55156に対する第2の決定されたcDNA配列である。
配列番号450は、クローン55157に対する第1の決定されたcDNA配列である。
配列番号451は、クローン55157に対する第2の決定されたcDNA配列である。
配列番号452は、クローン55158に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号453は、クローン55159に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号454は、クローン55161に対する第1の決定されたcDNA配列である。
配列番号455は、クローン55161に対する第2の決定されたcDNA配列である。
配列番号456は、クローン55162に対する第1の決定されたcDNA配列である。
配列番号457は、クローン55162に対する第2の決定されたcDNA配列である。
配列番号458は、クローン55163に対する第1の決定されたcDNA配列である。
配列番号459は、クローン55163に対する第2の決定されたcDNA配列である。
配列番号460は、クローン55164に対する第1の決定されたcDNA配列である。
配列番号461は、クローン55164に対する第2の決定されたcDNA配列である。
配列番号462は、クローン55165に対する第1の決定されたcDNA配列である。
配列番号463は、クローン55165に対する第2の決定されたcDNA配列である。
配列番号464は、クローン55166に対する第1の決定されたcDNA配列である。
配列番号465は、クローン55166に対する第2の決定されたcDNA配列である。
配列番号466は、クローン55167に対する第1の決定されたcDNA配列である。
配列番号467は、クローン55167に対する第2の決定されたcDNA配列である。
配列番号468は、クローン55168に対する第1の決定されたcDNA配列である。
配列番号469は、クローン55168に対する第2の決定されたcDNA配列である。
配列番号470は、クローン55169に対する第1の決定されたcDNA配列である。
配列番号471は、クローン55169に対する第2の決定されたcDNA配列である。
配列番号472は、クローン55170に対する第1の決定されたcDNA配列である。
配列番号473は、クローン55170に対する第2の決定されたcDNA配列である。
配列番号474は、クローン55171に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号475は、クローン55172に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号476は、クローン55173に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号477は、クローン55174に対する第1の決定されたcDNA配列である。
配列番号478は、クローン55174に対する第2の決定されたcDNA配列である。
配列番号479は、クローン55175に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号480は、クローン55176に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号481は、コンティグ525に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号482は、コンティグ526に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号483は、コンティグ527に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号484は、コンティグ528に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号485は、コンティグ529に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号486は、コンティグ530に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号487は、コンティグ531に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号488は、コンティグ532に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号489は、コンティグ533に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号490は、コンティグ534に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号491は、コンティグ535に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号492は、コンティグ536に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号493は、コンティグ537に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号494は、コンティグ538に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号495は、コンティグ539に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号496は、コンティグ540に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号497は、コンティグ541に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号498は、コンティグ542に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号499は、コンティグ543に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号500は、コンティグ544に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号501は、コンティグ545に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号502は、コンティグ546に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号503は、コンティグ547に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号504は、コンティグ548に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号505は、コンティグ549に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号506は、コンティグ550に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号507は、コンティグ551に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号508は、コンティグ552に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号509は、コンティグ553に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号510は、コンティグ554に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号511は、コンティグ555に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号512は、クローン57207に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号513は、クローン57209に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号514は、クローン57210に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号515は、クローン57211に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号516は、クローン57212に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号517は、クローン57213に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号518は、クローン57215に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号519は、クローン57219に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号520は、クローン57221に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号521は、クローン57222に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号522は、クローン57223に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号523は、クローン57225に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号524は、クローン57227に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号525は、クローン57228に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号526は、クローン57229に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号527は、クローン57230に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号528は、クローン57231に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号529は、クローン57232に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号530は、クローン57233に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号531は、クローン57234に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号532は、クローン57235に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号533は、クローン57236に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号534は、クローン57237に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号535は、クローン57238に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号536は、クローン57239に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号537は、クローン57240に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号538は、クローン57242に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号539は、クローン57243に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号540は、クローン57245に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号541は、クローン57248に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号542は、クローン57249に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号543は、クローン57250に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号544は、クローン57251に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号545は、クローン57253に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号546は、クローン57254に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号547は、クローン57255に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号548は、クローン57257に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号549は、クローン57258に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号550は、クローン57259に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号551は、クローン57261に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号552は、クローン57262に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号553は、クローン57263に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号554は、クローン57264に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号555は、クローン57265に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号556は、クローン57266に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号557は、クローン57267に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号558は、クローン57268に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号559は、クローン57269に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号560は、クローン57270に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号561は、クローン57271に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号562は、クローン57272に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号563は、クローン57274に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号564は、クローン57275に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号565は、クローン57277に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号566は、クローン57280に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号567は、クローン57281に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号568は、クローン57282に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号569は、クローン57283に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号570は、クローン57285に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号571は、クローン57287に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号572は、クローン57288に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号573は、クローン57289に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号574は、クローン57290に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号575は、クローン57292に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号576は、クローン57295に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号577は、クローン57296に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号578は、クローン57297に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号579は、クローン57299に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号580は、クローン57301に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号581は、クローン57302に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号582は、肺腫瘍特異的T細胞レセプターのβ鎖に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号583は、肺腫瘍特異的T細胞レセプターのα鎖に対して決定されたcDNA配列である。
配列番号584は、配列番号583によってコードされるアミノ酸配列である。
配列番号585は、配列番号582によってコードされるアミノ酸配列である。
配列番号586は、14F10の5’末端によってコードされるアミノ酸配列である。
配列番号587は、配列番号586に含まれるT細胞エピトープのアミノ酸配列である。
【0032】
(発明の詳細な説明)
本発明は、一般的に、組成物ならびに癌(特に、肺癌)の治療および診断におけるその使用に関する。以下にさらに記載するように、本発明の例示的な組成物としては、ポリペプチド(特に、免疫原性ポリペプチド)、このようなポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、抗体および他の抗原結合因子、抗原提示細胞(APC)および免疫系細胞(例えば、T細胞)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0033】
本発明の実施には、特に逆に示さない限り、当業者の範囲内のウイルス学、免疫学、微生物学、分子生物学、および組み換えDNA技術の従来の方法を使用する。その多くが例示の目的で以下に記載されている。このような技術は、これらの文献中に完全に説明されている。例えば、Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual(第2版,1989);Maniatisら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual(1982);DNA Cloning:A Practical Approach,第I巻およびII巻(D.Glover、編);Oligonucleotide Synthesis(N.Gait編,1984);Nucleic Acid Hybridization(B.HamesおよびS.Higgins編、1985);Transcription and Translation(B.HamesおよびS.Higgins編,1984);Animal Cell Culture(R.Freshney、編、1986);Perbal,A Practical Guide to Molecular Cloning(1984)を参照のこと。
【0034】
本願に引用した全ての刊行物、特許および特許出願は、前出であっても後出であっても、その全体が参考として本明細書に援用される。
【0035】
本明細書および添付の特許請求の範囲で用いる場合、単数形「1つの(a)、(an)」および「この、その(the)」は、文脈が明白に他を示さない限り、複数の言及を含む。
【0036】
(ポリペプチド組成物)
本明細書中において使用される場合、用語「ポリペプチド」は、その従来の意味で(すなわち、アミノ酸の配列として)使用される。ポリペプチドは、生成物の特定の長さに限定されず;従って、ペプチド、オリゴペプチド、およびタンパク質が、ポリペプチドの定義内に含まれ、そしてこのような用語は、他に特に示されない限り、本明細書中において交換可能に使用され得る。この用語はまた、ポリペプチドの発現後修飾(例えば、グリコシル化、アセチル化、リン酸化など、ならびに当該分野で公知の他の修飾(天然に存在するものおよび天然に存在しないものの両方))を言及も、排除もしない。ポリペプチドは、タンパク質全体であっても、またはその部分配列であってもよい。本発明の状況における目的の特定のポリペプチドは、エピトープ(すなわち、ポリペプチドの免疫原性特性を実質的に担い、かつ、免疫応答を誘起し得る抗原性決定基)を含むアミノ酸の部分配列である。
【0037】
詳細には、本発明の例示的なポリペプチドは、配列番号217〜390、392、394、396、398〜420、422〜424、428〜433および440〜583のいずれか1つに示されるポリヌクレオチド配列、あるいは中程度にストリンジェントな条件下かまたは高度にストリンジェントな条件下で配列番号217〜390、392、394、396、398〜420、422〜424、428〜433および440〜583のいずれか1つに示されるポリヌクレオチド配列にハイブリダイズする配列によってコードされるポリペプチドを含む。本発明の特定の他の例示的なポリペプチドは、配列番号391、393、395、397、421、425〜427、434〜439、および584〜587のいずれか1つに示されるアミノ酸配列を含む。
【0038】
本発明のポリペプチドは、ときどき本明細書中において、その同定が肺腫瘍サンプルにおけるそれらの増加した発現レベルに少なくとも一部基づく指標として、肺腫瘍タンパク質または肺腫瘍ポリペプチドといわれる。従って、「肺腫瘍ポリペプチド」または「肺腫瘍タンパク質」は、一般的に、本明細書中に提供される代表的なアッセイを用いて決定された場合に、正常組織における発現レベルよりも、少なくとも2倍、そして好ましくは少なくとも5倍高いレベルで、肺腫瘍サンプルの実質的な割合(例えば、試験した肺腫瘍サンプルの好ましくは約20%より多く、より好ましくは約30%より多く、そして最も好ましくは約50%以上)に発現される、本発明のポリペプチド配列またはこのようなポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列をいう。腫瘍細胞における増加した発現レベルに基づく本発明の肺腫瘍ポリペプチド配列は、以下にさらに記載されるように、診断マーカーならびに治療標的の両方としての特定の有用性を有する。
【0039】
特定の好ましい実施形態において、本発明のポリペプチドは、免疫原性であり、すなわち、本発明のポリペプチドは、免疫アッセイ(例えば、ELISAまたはT細胞刺激アッセイ)において肺癌を有する患者由来の抗血清および/またはT細胞と検出可能に反応する。免疫原性活性についてのスクリーニングは、当業者に周知の技術を用いて実行され得る。例えば、このようなスクリーニングは、HarlowおよびLane,Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,1988に記載のような方法を使用して行われ得る。1つの例示的な例において、ポリペプチドを固体支持体に固定し、そして患者の血清と接触させて、その血清中の抗体をその固定されたポリペプチドに結合させ得る。次いで、結合されなかった血清を除去し、結合された抗体を、例えば、125I標識化プロテインAを使用して検出し得る。
【0040】
当業者に認識されるように、本明細書中に開示されるポリペプチドの免疫原性部分がまた、本発明によって含まれる。本明細書中に使用される場合、「免疫原性部分」は、本発明の免疫原性ポリペプチドのフラグメントであり、このフラグメントは、それ自体がこのポリペプチドを認識するB細胞および/またはT細胞表面抗原レセプターと免疫学的に反応性である(すなわち、特異的に結合する)。免疫原性部分は、一般的にPaul,Fundamental Immunology,第3版、243−247(Raven Press,1993)およびそこに引用される参考文献に要約されるような周知技術を使用して、同定され得る。このような技術は、抗原特異的な抗体、抗血清および/あるいはT細胞株またはT細胞クローンと反応する能力についてポリペプチドをスクリーニングする工程を包含する。本明細書中で使用される場合、抗血清および抗体は、それらが抗原に特異的に結合する(すなわち、これらが、ELISAまたは他の免疫アッセイにおいてそのタンパク質と反応し、無関係なタンパク質とは検出可能に反応しない)場合、「抗原特異的」である。このような抗血清および抗体は、本明細書中に記載されるように、そして周知技術を使用して調製され得る。
【0041】
1つの好ましい実施形態において、本発明のポリペプチドの免疫原性部分は、全長ポリペプチドの反応性よりも実質的に小さくないレベルで抗血清および/またはT細胞と反応する部分である(例えば、ELISAおよび/またはT細胞反応性アッセイにおいて)。好ましくは、免疫原性部分の免疫原性活性のレベルは、全長ポリペプチドについての免疫原性の、少なくとも約50%、好ましくは少なくとも約70%、そして最も好ましくは約90%よりも大きい免疫原性のレベルである。いくつかの例において、対応する全長ポリペプチドの免疫原性活性のレベルよりも大きい免疫原性活性のレベルを有する好ましい免疫原性部分(例えば、約100%より上または150%以上の免疫原性活性を有する)が、同定される。
【0042】
特定の他の実施形態において、例示的な免疫原性部分は、N末端リーダー配列および/または膜貫通ドメインが欠失されたペプチドを含み得る。他の例示的な免疫原性部分は、成熟タンパク質に対して、小さいN末端欠失および/またはC末端欠失(例えば、1〜30アミノ酸、好ましくは5〜15アミノ酸)を含む。
【0043】
別の実施形態において、本発明のポリペプチド組成物はまた、本発明のポリペプチド(特に、本明細書中に開示されるアミノ酸配列を有するポリペプチド)に対して作製されたT細胞および/または抗体と免疫学的に反応性である1つ以上のポリペプチド、あるいはその免疫原性フラグメントまたは改変体を含み得る。
【0044】
本発明の別の実施形態において、本明細書中に記載される1つ以上のポリペプチド、または本明細書中に開示されるポリヌクレオチド配列に含まれる連続する核酸配列(またはその免疫原性フラグメントまたは改変体)もしくは中程度から高いストリンジェンシーの条件下でこれらの配列の1つ以上にハイブリダイズする1つ以上の核酸配列によってコードされる1つ以上のポリペプチドと、免疫学的に反応性であるT細胞および/もしくは抗体を誘発し得る1つ以上のポリペプチドを含むポリペプチドが提供される。
【0045】
別の局面において、本発明は、本明細書中に示されるポリペプチド組成物(例えば、配列番号391、393、395、397、421、425〜427、434〜439、および584〜587に示されるようなもの、または配列番号217〜390、392、394、396、398〜420、422〜424、428〜433および440〜583の配列に示されるポリヌクレオチド配列によってコードされるようなもの)の、少なくとも約5、10、15、20、25、50、もしくは100個またはそれより多く連続するアミノ酸(全ての中間の長さを含む)を含むポリペプチドフラグメントを提供する。
【0046】
別の局面において、本発明は、本明細書中に記載されるポリペプチド組成物の改変体を提供する。本発明によって一般的に含まれるポリペプチド改変体は、代表的に、本明細書中に示されるポリペプチド配列に対して、その長さに沿って、少なくとも約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、もしくは約99%またはそれより高い同一性(下記のように決定した)を示す。
【0047】
1つの好ましい実施形態において、本発明によって提供されるポリペプチドフラグメントおよび改変体は、本明細書中に詳細に示される全長ポリペプチドと反応性である抗体および/またはT細胞と免疫学的に反応性である。
【0048】
別の好ましい実施形態において、本発明によって提供されるポリペプチドフラグメントおよび改変体は、本明細書中に詳細に示される全長ポリペプチド配列によって示される免疫学的活性のレベルの、少なくとも約50%、好ましくは少なくとも約70%、および最も好ましくは少なくとも約90%またはそれより高い免疫学的活性のレベルを示す。
【0049】
本明細書中に使用される用語としてのポリペプチド「改変体」は、1つ以上の置換、欠失、付加および/または挿入によって、本明細書中に詳細に開示されるポリペプチドとは典型的に異なるポリペプチドである。このような改変体は、天然に存在してもよいし、例えば、本発明の上記のポリペプチド配列の1つ以上を改変し、そして本明細書中に記載されるようにそれらの免疫原性活性を評価することによって、および/または当該分野で周知の多数の技術の内のいずれかを使用して、合成的に作製されてもよい。
【0050】
例えば、本発明のポリペプチドの特定の例示的な改変体は、1つ以上の部分(例えば、N末端リーダー配列または膜貫通ドメイン)が除去されている改変体を含む。他の例示的な改変体としては、小さい部分(例えば、1〜30アミノ酸、好ましくは5〜15アミノ酸)が、成熟タンパク質のN末端および/またはC末端から除去されている改変体を含む。
【0051】
多くの例において、改変体は、保存的置換を含む。「保存的置換」は、アミノ酸が、類似の特性を有する別のアミノ酸で置換されている置換であり、その結果、ペプチド化学の当業者は、実質的に変化していないポリペプチドの二次構造およびヒドロパシー性質を予測する。上記のように、改変は、本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドの構造においてなされ得、そしてなお、所望の特徴を有する(例えば、免疫原性特徴を有する)、改変体または誘導体ポリペプチドをコードする機能的分子を獲得し得る。本発明のポリペプチドの等価物または改善された免疫原性改変体または部分を作製するために、ポリペプチドのアミノ酸配列を変更することが所望の場合、当業者は代表的に、表1に従ってコードDNA配列の1つ以上のコドンを変化させる。
【0052】
例えば、特定のアミノ酸は、例えば、抗体の抗原結合領域または基質分子上の結合部位のような構造を有するタンパク質構造中の他のアミノ酸に、容易に感知できる程度の相互作用的な結合能の損失なしで、置換され得る。タンパク質の相互作用的な能力および性質がタンパク質の生物学的機能的活性を規定するので、特定のアミノ酸配列置換は、タンパク質配列、および当然ながら、その根底にあるDNAコード配列においてなされ得、そしてそれにも関わらず、同様の特性を有するタンパク質が入手される。従って、種々の変化が、ペプチドの生物学的有用性または活性の感知できる程度の損失なしで、開示された組成物のペプチド配列またはそのペプチドをコードする対応するDNA配列においてなされ得ることが意図される。
【0053】
【表1】
このような変化を作製する際に、アミノ酸のヒドロパシー指標が考慮され得る。タンパク質に相互作用的な生物学的機能を付与する際のヒドロパシーアミノ酸指標の重要性は、一般的に当該分野において理解されている(KyteおよびDoolittle、1982、本明細書中に参考として援用される)。アミノ酸の相対的な疎水性親水性的性質は、得られるタンパク質の二次構造に寄与し、これは次には、そのタンパク質の他の分子(例えば、酵素、基質、レセプター、DNA、抗体、抗原など)との相互作用を規定することが受け入れられている。各アミノ酸は、その疎水性および電荷特性に基づいて疎水性親水性指標を割り当てられている(KyteおよびDoolittle、1982)。これらの値は以下である:イソロイシン(+4.5);バリン(+4.2);ロイシン(+3.8);フェニルアラニン(+2.8);システイン/シスチン(+2.5);メチオニン(+1.9);アラニン(+1.8);グリシン(−0.4);スレオニン(−0.7);セリン(−0.8);トリプトファン(−0.9);チロシン(−1.3);プロリン(−1.6);ヒスチジン(−3.2);グルタミン酸(−3.5);グルタミン(−3.5);アスパラギン酸(−3.5);アスパラギン(−3.5);リジン(−3.9);およびアルギニン(−4.5)。
【0054】
特定のアミノ酸が同様の疎水性親水性指標またはスコアを有する他のアミノ酸によって置換され得、そしてなお同様の生物学的活性を有するタンパク質を生じる(すなわち、生物学的に機能的に等価なタンパク質をなお入手する)ことが、当該分野において公知である。このような変化を作製する際に、その疎水性親水性指標が±2以内であるアミノ酸の置換が好ましく、その疎水性親水性指標が±1以内であるアミノ酸の置換が特に好ましく、そしてその疎水性親水性指標が±0.5以内であるアミノ酸の置換がなおより特に好ましい。同様なアミノ酸の置換が、親水性に基づいて有効になされ得ることもまた、当該分野で理解されている。米国特許第4,554,101号(その全体が本明細書中に参考として具体的に援用される)は、タンパク質の生物学的特性と相関するその隣接するアミノ酸の親水性によって支配される、そのタンパク質の最大局所的平均親水性に言及する。
【0055】
米国特許第4,554,101号に詳述されるように、以下の親水性値がアミノ酸残基に割り当てられた:アルギニン(+3.0);リジン(+3.0);アスパラギン酸(+3.0±1);グルタミン酸(+3.0±1);セリン(+0.3);アスパラギン(+0.2);グルタミン(+0.2);グリシン(0);スレオニン(−0.4);プロリン(−0.5±1);アラニン(−0.5);ヒスチジン(−0.5);システイン(−1.0);メチオニン(−1.3);バリン(−1.5);ロイシン(−1.8);イソロイシン(−1.8);チロシン(−2.3);フェニルアラニン(−2.5);トリプトファン(−3.4)。アミノ酸は、同様の親水性値を有する別のアミノ酸に置換され得、そしてなお、生物学的に等価なタンパク質(特に、免疫学的に等価なタンパク質)を得ることが理解される。このような変化において、その親水性値が±2以内であるアミノ酸の置換が好ましく、その親水性値が±1以内であるアミノ酸の置換が特に好ましく、そしてその親水性値が±0.5以内であるアミノ酸の置換がなおより特に好ましい。
【0056】
上記に概説したように、従って、アミノ酸置換は、一般的にアミノ酸側鎖置換基の相対的な類似性(例えば、その疎水性、親水性、電荷、サイズなど)に基づく。前述の種々の特徴を考慮する例示的な置換は当業者に周知であり、そして以下を含む:アルギニンおよびリジン;グルタミン酸およびアスパラギン酸;セリンおよびスレオニン;グルタミンおよびアスパラギン;ならびにバリン、ロイシン、およびイソロイシン。
【0057】
さらに、任意のポリヌクレオチドが、インビボでの安定性を増加させるためにさらに修飾され得る。可能な修飾には以下が挙げられるがこれらに限定されない:5’末端および/または3’末端での隣接配列の付加;バックボーンにおいて、ホスホジエステル(phosphodiesterase)結合よりはむしろホスホロチオエートまたは2’O−メチルの使用;ならびに/あるいは従来とは異なる塩基(例えば、イノシン、キューオシン、およびワイブトシン、ならびにアデニン、シチジン、グアニン、チミン、およびウリジンのアセチル、メチル、チオ、および他の修飾形態)の含有。
【0058】
アミノ酸置換はさらに、残基の極性、電荷、溶解性、疎水性、親水性および/または両親媒性性質の類似性に基づいて作製され得る。例えば、負に荷電したアミノ酸としては、アスパラギン酸およびグルタミン酸;正に荷電したアミノ酸としては、リジンおよびアルギニン;ならびに類似の親水性値を有する非荷電の極性頭部基を有するアミノ酸としては、ロイシン、イソロイシンおよびバリン;グリシンおよびアラニン;アスパラギンおよびグルタミン;ならびにセリン、トレオニン、フェニルアラニンおよびチロシンが挙げられる。保存的変化を示し得るアミノ酸の他のグループとしては、(1)ala、pro、gly、glu、asp、gln、asn、ser、thr;(2)cys、ser、tyr、thr;(3)val、ile、leu、met、ala、phe;(4)lys、arg、his;および(5)phe、tyr、trp、hisが挙げられる。改変体はまた、またはあるいは、非保存的変化を含み得る。好ましい実施形態において、改変体ポリペプチドは、5以下のアミノ酸の置換、欠失または付加によって、ネイティブの配列とは異なる。改変体はまた(またはあるいは)、例えば、ポリペプチドの免疫原性、二次構造および疎水性親水性性質に最小限の影響しか有さないアミノ酸の欠失または付加によって、改変され得る。
【0059】
上記のように、ポリペプチドは、タンパク質のN末端にシグナル(または、リーダー)配列を含み得、これは、翻訳と同時に、または翻訳後に、そのタンパク質の転移を指向する。このポリペプチドはまた、このポリペプチドの合成、精製または同定を容易にするために、またはこのポリペプチドの固体支持体への結合を増強するために、リンカー配列または他の配列(例えば、ポリHis)に結合体化され得る。例えば、ポリペプチドは、免疫グロブリンFc領域に結合体化され得る。
【0060】
ポリペプチド配列を比較する場合、2つの配列におけるアミノ酸の配列が、以下に記載されるように最大一致について整列される場合に同じであるときに、2つの配列が「同一」であるといわれる。2つの配列の間の比較は、代表的には、配列類似性の局所領域を同定および比較するために、比較ウインドウ(comparison window)にわたって配列を比較することによって行われる。本明細書中で使用される場合、「比較ウインドウ」は、少なくとも約20、通常は30〜約75、40〜約50の連続した位置のセグメントをいい、ここで、2つの配列が最適に整列された後に、配列が、連続した位置の同じ数の参照配列と比較され得る。
【0061】
比較のための配列の最適な整列は、生命情報科学ソフトウェアのLasergeneスイート(suite)におけるMegalignプログラム(DNASTAR,Inc.,Madison,WI)を使用して、デフォルトパラメーターで行われ得る。このプログラムは、以下の参考文献に記載のいくつかの整列スキームを統合する:Dayhoff,M.O.(編)Atlas of Protein Sequence and Structure,National Biomedical Research Foundation,Washington DC Vol.5,Suppl.3,pp.345−358におけるDayhoff,M.O.(1978)A model of evolutionary change in proteins−Matrices for detecting distant relationships.;Hein J.(1990)Unified Approach to Alignment and Phylogenes pp.626−645 Methods in Enzymology vol.183,Academic Press,Inc.,San Diego,CA;Higgins,D.G.およびSharp,P.M.(1989)CABIOS 5:151−153;Myers,E.W.およびMuller W.(1988)CABIOS 4:11−17;Robinson,E.D.(1971)Comb.Theor 11:105;Santou,N.Nes,M.(1987)Mol.Biol.Evol.4:406−425;Sneath,P.H.A.およびSokal,R.R.(1973)Numerical Taxonomy−the Principles and Practice of Numerical Taxonomy,Freeman Press,San Francisco,CA;Wilbur,W.J.およびLipman,D.J.(1983)Proc.Natl.Acad.,Sci.USA 80:726−730。
【0062】
あるいは、比較のための配列の最適な整列は、SmithおよびWaterman(1981)Add.APL.Math 2:482の局所同定アルゴリズムによって、NeedlemanおよびWunsch(1970)J.Mol.Biol.48:443の同定整列アルゴリズムによって、PearsonおよびLipman(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:2444の類似性検索方法によって、これらのアルゴリズムのコンピュータ化した実行(Wisconsin Genetics Software Package,Genetics Computer Group(GCG),575 Science Dr.,Madison,WIにおけるGAP、BESTFIT、BLAST、FASTA、およびTFASTA)によって、または検査によって行われ得る。
【0063】
配列同一性および配列類似性の割合を決定するために適切なアルゴリズムの1つの好ましい例は、BLASTおよびBLAST2.0アルゴリズムであり、これはそれぞれAltschul et al.(1977)Nucl.Acids Res.25:3389−3402およびAltschul et al.(1990)J.Mol.Biol.215:403−410に記載される。BLASTおよびBLAST2.0は、本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドについての配列同一性の割合を決定するために、例えば、本明細書中に記載のパラメーターを使用して使用され得る。BLAST分析を行うためのソフトウェアは、Natinal Center for Biotechnology Informationを通して公に利用可能である。アミノ酸配列について、スコアリングマトリクスは、累積スコアを算出するために使用され得る。各指示におけるワードヒットの拡大は、以下の場合に停止する:累積整列スコアが、その最大到達値から量Xだけ低下した場合;累積スコアが、1以上の負のスコアの残基整列の累積に起因してゼロ以下になった場合;またはいずれかの配列の末端に到達した場合。このBLASTアルゴリズムパラメーターW、TおよびXは、整列の感度および速度を決定する。
【0064】
1つの好ましいアプローチにおいて、「配列同一性のパーセンテージ」は、少なくとも20位置の比較ウインドウにわたる2つの最適に整列した配列を比較することによって決定され、ここで比較ウインドウ中のポリペプチド配列の部分は、参照配列(これは、付加または欠失を含まない)と比較して、2つの配列の最適な整列について20パーセント以下、通常は5〜15パーセント、または10〜12パーセントの付加または欠失(すなわち、ギャップ)を含み得る。このパーセンテージは、両方の配列で同一のアミノ酸残基が生じる位置の数を決定して一致する位置の数を得、この一致する位置の数を参照配列における位置の総数(すなわち、ウインドウサイズ)で除算し、そしてこの結果に100を掛けて配列同一性のパーセンテージを得ることによって算出される。
【0065】
他の例示的な実施形態において、ポリペプチドは、本明細書中に記載の複数のポリペプチドを含むか、または本明細書に記載の少なくとも1つのポリペプチドおよび関連しない配列(例えば、公知の腫瘍タンパク質)を含む融合ポリペプチドであり得る。例えば、融合パートナーは、Tヘルパーエピトープ(免疫学的融合パートナー)、好ましくはヒトによって認識されるTヘルパーエピトープを提供する際に補助し得るか、またはネイティブの組換えタンパク質より高い収量でタンパク質(発現エンハンサー)を発現する際に補助し得る。特定の好ましい融合パートナーは、免疫学的融合パートナーおよび発現増強融合パートナーの両方である。他の融合パートナーは、ポリペプチドの溶解性を増加するように、またはポリペプチドが所望の細胞内コンパートメントに標的化されることを可能にするように選択され得る。なおさらなる融合パートナーには、親和性タグ(これは、ポリペプチドの精製を容易にする)が挙げられる。
【0066】
融合ポリペプチドは、一般に、標準的な技術(化学的結合体化を含む)を使用して調製され得る。好ましくは、融合ポリペプチドは、発現系において、組換えポリペプチドとして発現され、非融合ポリペプチドと比較して、増加したレベルの産生を可能にする。手短に言うと、このポリペプチド成分をコードするDNA配列を、別々にアセンブルし得、そして適切な発現ベクターに連結し得る。1つのポリペプチド成分をコードするDNA配列の3’末端は、ペプチドリンカーを用いてまたは用いずに、第2のポリペプチド成分をコードするDNA配列の5’末端に、これらの配列のリーディングフレームが同じ相にあるように連結される。このことが、両方の成分ポリペプチドの生物学的活性を保持する単一の融合ポリペプチドへの翻訳を可能にする。
【0067】
ペプチドリンカー配列は、各ポリペプチドがその二次構造および三次構造へと折り畳まれるのを保証するために十分な距離で第一および第二のポリペプチド成分を隔てるために用いられ得る。このようなペプチドリンカー配列は、当該分野で周知の標準的な技術を用いて融合ポリペプチド中に組み込まれる。適切なペプチドリンカー配列は、以下の因子に基づいて選択され得る:(1)フレキシブルな伸長したコンホメーションを採る能力;(2)第一および第二のポリペプチド上の機能的なエピトープと相互作用し得る二次構造を採ることができないこと;および(3)ポリペプチドの機能的なエピトープと反応し得る疎水性または荷電した残基の無いこと。好ましいペプチドリンカー配列は、Gly、AsnおよびSer残基を含む。ThrおよびAlaのような中性に近い他のアミノ酸もまた、リンカー配列に用いられ得る。リンカーとして有用に用いられ得るアミノ酸配列は、Marateaら、Gene 40:39−46、1985;Murphyら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 83:8258−8262、1986;米国特許第4,935,233号および米国特許第4,751,180号に開示されるアミノ酸配列を含む。リンカー配列は、一般的に1から約50アミノ酸長であり得る。リンカー配列は、第一および第二のポリペプチドが、機能的ドメインを分離するため、および立体的な干渉を防ぐために用いられ得る非必須N末端アミノ酸領域を有する場合、必要とされない。
【0068】
連結されたDNA配列は、適切な転写または翻訳調節エレメントに作動可能に連結される。DNAの発現を担う調節エレメントは、第一のポリペプチドをコードするDNA配列の5’側にのみ位置する。同様に、翻訳および転写終結シグナルを終了するために必要とされる終止コドンは、第二のポリペプチドをコードするDNA配列の3’側にのみ存在する。
【0069】
融合ポリペプチドは、関連しない免疫原性タンパク質と共に、本明細書中に記載されるようなポリペプチド(例えば、免疫原性タンパク質は、リコール(recall)応答を惹起し得る)を含むこのようなタンパク質の例としては、破傷風タンパク質、結核タンパク質および肝炎タンパク質が挙げられる(例えば、Stouteら、New Engl.J.Med.、336:86−91(1997)を参照のこと)。
【0070】
1つの好ましい実施形態において、免疫学的融合パートナーは、Mycobacterium sp.(例えば、Mycobacterium tuberculosis由来Ra12フラグメント)に由来する。Ra12組成物および異種ポリヌクレオチド/ポリペプチド配列の発現および/または免疫原性を強化する際の使用のための方法が、米国特許出願60/158,585(この開示は、その全体が本明細書において参考として援用されている)において記載されている。手短にいうと、Ra12は、Mycobacterium tuberculosis MTB32A核酸のサブ配列であるポリヌクレオチド領域をいう。MTB32Aは、病原性および非病原性株のM.tuberculosis中の遺伝子によってコードされる32KD分子量のセリンプロテアーゼである。MTB32Aのヌクレオチド配列およびアミノ酸配列が記載されている(例えば、米国特許出願60/158,585;Skeikyら、Infection and Immun.(1999)67:3998−4007もまた参照のこと(本明細書中に参考として援用される))。MTB32Aコード配列のC末端フラグメントは、高いレベルで発現し、そして精製プロセスの間中、可溶性ポリペプチドとして残ったままであった。さらに、Ra12は、それが融合される異種免疫原性ポリペプチドの免疫原性を強化し得る。1つの好ましいRa12融合ポリペプチドは、MTB32Aのアミノ酸残基192〜323に対応する14KDのC末端フラグメントを含む。他の好ましいRa12ポリヌクレオチドは一般に、Ra12ポリペプチドの一部をコードする、少なくとも約15連続するヌクレオチド、少なくとも約30ヌクレオチド、少なくとも約60ヌクレオチド、少なくとも約100ヌクレオチド、少なくとも約200ヌクレオチド、または少なくとも約300ヌクレオチドを含む。Ra12ポリヌクレオチドは、ネイティブ配列(すなわち、Ra12ポリペプチドまたはその一部をコードする内因性配列)を含み得るか、またはこのような配列の改変体を含み得る。Ra12ポリヌクレオチド改変体は、コードされた融合ポリペプチドの生物学的活性が、ネイティブなRa12ポリペプチドを含む融合ポリペプチドと比較して、実質的に減少しないように、1つ以上の置換、付加、欠失および/または挿入を含み得る。改変体は、好ましくは、ネイティブなRa12ポリペプチドまたはその一部をコードするポリヌクレオチド配列に少なくとも約70%の同一性、より好ましくは少なくとも約80%の同一性、そして最も好ましくは、少なくとも約90%の同一性を示す。
【0071】
他の好ましい実施形態において、免疫学的融合パートナーは、グラム陰性細菌Haemophilus influenza Bの表面タンパク質である、プロテインD(WO 91/18926)に由来する。好ましくは、プロテインD誘導体は、ほぼ3分の1のタンパク質(例えば、最初のN末端100〜110アミノ酸)を含み、そしてプロテインD誘導体は、脂質化(lipidated)され得る。特定の好ましい実施形態において、リポプロテインD融合パートナーの最初の109残基は、さらなる外因性T細胞エピトープを有するポリペプチドを提供するように、そしてE.coli中の発現レベルを増加する(従って、発現エンハンサーとして機能する)ように、N末端に含まれる。脂質テールは、抗原提示細胞への抗原の最適な提示を保証する。他の融合パートナーは、インフルエンザウイルス由来の非構造タンパク質、NS1(血球凝集素)を含む。代表的に、N末端の81アミノ酸が用いられるが、Tヘルパーエピトープを含む異なるフラグメントが用いられてもよい。
【0072】
別の実施形態において、免疫学的融合パートナーは、LYTAとして公知のタンパク質、またはその一部(好ましくはC末端部分)である。LYTAは、アミダーゼLYTA(LytA遺伝子によりコードされる;Gene 43:265〜292,1986)として公知のN−アセチル−L−アラニンアミダーゼを合成するStreptococcus pneumoniae由来である。LYTAは、ペプチドグリカン骨格中の特定の結合を特異的に分解する自己溶解素である。LYTAタンパク質のC末端ドメインは、コリンまたはいくつかのコリンアナログ(例えば、DEAE)への親和性を担う。この性質は、融合タンパク質の発現のために有用なE.coli C−LYTA発現プラスミドの開発のために開発された。アミノ末端でC−LYTAフラグメントを含むハイブリッドタンパク質の精製が、記載されている(Biotechnology 10:795〜798,1992を参照のこと)。好ましい実施形態において、LYTAの反復部分は、融合ポリペプチドに組み込まれ得る。反復部分は、残基178で開始するC末端領域中に見出される。特に好ましい反復部分は、残基188〜305を組み込む。
【0073】
なお別の例示的な実施形態は、融合ポリペプチドおよびそれらをコードするポリヌクレオチドを含み、ここで、融合パートナーは、米国特許第5,633,234号において記載されるような、ポリペプチドをエンドソーム/リソソーム区画に指向し得る標的化シグナルを含む。本発明の免疫原性ポリペプチドは、この標的化シグナルと融合される場合、MHCクラスII分子とより効率的に結合し、それにより、ポリペプチドに特異的なCD4+T細胞の強化されたインビボ刺激を提供する。
【0074】
本発明のポリペプチドは、種々の周知の合成技術および/または組換え技術(後者は以下にさらに記載される)のいずれかを使用して調製される。一般に、約150アミノ酸未満のポリペプチド、部分および他の改変体は、当業者に周知の技術を使用して、合成手段によって生成され得る。1つの例示的な実施例において、このようなポリペプチドは、任意の市販の固相技術(例えば、Merrifield固相合成法(ここでは、アミノ酸が連続的に付加されて、アミノ酸鎖を成長させる))を使用して、合成される。Merrifield,J.Am.Chem.Soc.85:2149−2146,1963を参照のこと。ポリペプチドの自動合成のための装置は、Perkin Elmer/Applied BioSystems Division(Foster City,CA)のような供給者から市販され、そして製造業者の説明書に従って操作され得る。
【0075】
一般に、本発明のポリペプチド組成物(融合ポリペプチドを含む)が単離される。「単離された」ポリペプチドは、その元来の環境から取り出されたものである。例えば、天然に存在するタンパク質またはポリペプチドは、それが天然の系中で共存する物質のいくつかまたは全てから分離されている場合、単離されている。好ましくは、このようなポリペプチドはまた精製され、例えば、少なくとも約90%純粋、より好ましくは少なくとも約95%純粋、そして最も好ましくは少なくとも約99%純粋である。
【0076】
(ポリヌクレオチド組成物)
他の局面において、本発明は、ポリヌクレオチド組成物を提供する。用語「DNA」および「ポリヌクレオチド」は、本明細書中で実質的に交換可能に用いられ、特定の種の全ゲノムDNAを含まない単離されたDNA分子をいう。本明細書中で使用される場合、「単離された」は、ポリヌクレオチドが、実質的に他のコード配列から離れており、そしてDNA分子が無関係のコードDNA(例えば、大きな染色体フラグメントまたは他の機能的遺伝子あるいはポリペプチドコード領域)の大部分を含まないことを意味する。当然のことながら、これは、最初に単離され、そして人の手によってセグメントに加えられた後に後で遺伝子またはコード領域を除外しないDNA分子をいう。
【0077】
当業者に理解されるように、本発明のポリヌクレオチド組成物は、タンパク質、ポリペプチド、ペプチドなどを発現するか、または発現するように適応され得るゲノム配列、ゲノム外配列およびプラスミドにコードされる配列、ならびにより小さな操作された遺伝子セグメントを含み得る。このようなセグメントは、自然に単離され得るか、または人の手によって合成的に改変され得る。
【0078】
また当業者に認識されるように、本発明のポリヌクレオチドは、一本鎖(コードもしくはアンチセンス)または二本鎖であり得、そしてDNA分子(ゲノム、cDNAもしくは合成)またはRNA分子であり得る。RNA分子は、HnRNA分子(イントロンを含み、そしてDNA分子に1対1の様式で対応する)、およびmRNA分子(イントロンを含まない)を含む。さらなるコード配列または非コード配列は、本発明のポリヌクレオチド内に存在し得るがその必要はなく、そしてポリヌクレオチドは、他の分子および/または支持材料に連結され得るがその必要はない。
【0079】
ポリヌクレオチドは、ネイティブの配列(すなわち、本発明のポリペプチド/タンパク質をコードする内因性配列またはその部分)を含み得るか、あるいはこのような配列の改変体または誘導体、好ましくは抗原性の改変体または誘導体をコードする配列を含み得る。
【0080】
従って、本発明の別の局面に従い、配列番号217〜319、392、394、396、398〜420、422〜424、428〜433、および440〜583のいずれか1つに示されるポリヌクレオチド配列、配列番号217−390、392、394、396、398〜420、422〜424、428〜433、および440〜583のいずれか1つに示されるポリヌクレオチド配列のいずれか1つに示されるポリヌクレオチド配列の相補体、および配列番号217〜390、392、394、396、398〜420、422〜424、428〜433、および440〜583のいずれか1つに示されるポリヌクレオチド配列の縮重改変体のいくつかまたは全てを含むポリヌクレオチド組成物が提供される。特定の好ましい実施形態において、本明細書中に示されるポリヌクレオチド配列は、上述のような免疫原性ポリペプチドをコードする。
【0081】
他の関連する実施形態において、本発明は、本明細書中で配列番号217〜390、392、394、396、398〜420、422〜424、428〜433、および440〜583において開示される配列に実質的な同一性を有するポリヌクレオチド改変体(例えば、少なくとも70%の配列同一性、好ましくは少なくとも75%、80%、85%、90%、95%。96%、97%、98%、もしくは99%、またはそれ以上の配列同一性を含むポリヌクレオチド改変体)を提供する。配列同一性は、本明細書中に記載される方法(例えば、以下に記載されるような標準的なパラメーターを用いるBLAST分析)を用いて本発明のポリヌクレオチドに対して比較される。当業者は、これらの値が、コドンの縮重を考慮することにより2つのヌクレオチド配列によってコードされるタンパク質の対応する同一性、アミノ酸の類似性、リーディングフレームの位置決めなどを決定するために適切に調節されることを理解する。
【0082】
代表的に、ポリヌクレオチド改変体は、特に本明細書中に示されるポリヌクレオチド配列によりコードされるポリペプチドと比較して、好ましくは、この改変体ポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチドの免疫原性が実質的に減少しないように、1つ以上の置換、付加、欠失、および/または挿入を含む。用語「改変体」はまた、異種間の起源の相同な遺伝子を含むことが理解される。
【0083】
さらなる実施形態において、本発明は、本明細書中に記載の開示された1つ以上に同一であるかまたは相補的な配列の種々の長さの連続したストレッチを含むポリヌクレオチドフラグメントを提供する。例えば、本明細書中に開示される配列の1つ以上のポリヌクレオチド(少なくとも約10、15、20、30、40、50、75、100、150、200、300、400、500または1000以上、ならびにその間の全ての中間の長さの連続したヌクレオチドを含む)が、本発明によって提供される。この状況において、「中間の長さ」が、示される値の間の任意の長さ(例えば、16、17、18、19など;21、22、23など;30、31、32など;50、51、52、53など;100、101、102、103など;150、151、152、153など;200〜500;500〜1,000などの間の全ての整数を含む)を意味することが容易に理解される。
【0084】
本発明の別の実施形態において、本明細書中に提供されるポリヌクレオチド配列、またはそのフラグメント、もしくはその相補配列に中程度から高度にストリンジェントな条件下でハイブリダイズし得るポリヌクレオチド組成物が提供される。ハイブリダイゼーション技術は、分子生物学の分野において周知である。例示の目的で、本発明のポリヌクレオチドの、他のポリヌクレオチドとのハイブリダイゼーションを試験するために適切な中程度にストリンジェントな条件は、5×SSC、0.5% SDS、1.0mM EDTA(pH8.0)の溶液中での予洗;50℃〜60℃、5×SSCで一晩のハイブリダイゼーション;続く0.1% SDSを含む2×、0.5×、および0.2×SSCで各20分、65℃で2回の洗浄を含む。当業者は、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーが、容易に操作され得る(例えば、ハイブリダイゼーション溶液の塩濃度および/またはハイブリダイゼーションが実施される温度を変更することにより)ことを理解する。例えば、別の実施形態において、適切な高度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件として、ハイブリダイゼーションの温度が上昇している(例えば、60〜65℃、または65〜70℃に)ことを除いて、上述されるようなハイブリダイゼーション条件が挙げられる。
【0085】
特定の好ましい実施形態において、ポリペプチド配列に対して免疫学的に交差反応性である上記のポリヌクレオチド(例えば、ポリヌクレオチド改変体、フラグメント、およびハイブリダイズする配列、コードされるポリペプチド)が、本明細書中に詳細に示される。他の好ましい実施形態において、ポリヌクレオチド配列に対する免疫原活性の少なくとも約50%、好ましくは少なくとも約70%、より好ましくは少なくとも約90%の免疫原性活性のレベルを有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドが、本明細書中に詳細に示される。
【0086】
本発明のポリヌクレオチド、またはそのフラグメントは、そのコード配列の長さに関わらず、他のDNA配列(例えば、プロモーター、ポリアデニル化シグナル、さらなる制限酵素部位、マルチクローニング部位、他のコードセグメントなど)と組合わされ得、その結果、その全体の長さは、相当変化し得る。従って、ほとんど任意の長さの核酸フラグメントが使用され得ることが意図され、その全長は、好ましくは意図した組換えDNAプロトコルにおける調製および使用の容易さによって制限される。例えば、約10,000、約5000、約3000、約2,000、約1,000、約500、約200、約100、約50の塩基対長など(全ての中間の長さを含む)の全長を有する例示的なDNAセグメントが、本発明の多くの実行において有用であることが意図される。
【0087】
ポリヌクレオチド配列を比較する場合、2つの配列におけるヌクレオチドの配列が、以下に記載されるように最大一致について整列されるときに同一である場合、2つの配列が「同一」であるといわれる。2つの配列の間の比較は、代表的には、配列類似性の局部領域を同定および比較するために、比較ウインドウ(comparison window)にわたって配列を比較することによって行われる。本明細書中で使用される場合、「比較ウインドウ」は、少なくとも約20、通常は30〜約75、40〜約50の連続した位置のセグメントをいい、ここで、2つの配列が最適に整列された後に、配列が連続した位置の同じ数の参照配列と比較され得る。
【0088】
比較のための配列の最適な整列は、生命情報科学ソフトウェアのLasergene suiteのMegalignプログラム(DNASTAR,Inc.,Madison,WI)を使用して、デフォルトパラメーターを用いて行われ得る。このプログラムは、以下の参考文献に記載のいくつかの整列スキームを統合する:Dayhoff,M.O.(編)Atlas of Protein Sequence and Structure,National Biomedical Research Foundation,Washington DC Vol.5,Suppl.3,pp.345−358におけるDayhoff,M.O.(1978)A model of evolutionary change in proteins−Matrices for detecting distant relationships.;Hein J.(1990)Unified Approach to Alignment and Phylogenes pp.626−645 Methods in Enzymology vol.183,Academic Press,Inc.,San Diego,CA;Higgins,D.G.およびSharp,P.M.(1989)CABIOS 5:151−153;Myers,E.W.およびMuller W.(1988)CABIOS 4:11−17;Robinson,E.D.(1971)Comb.Theor 11:105;Santou,N.Nes,M.(1987)Mol.Biol.Evol.4:406−425;Sneath,P.H.A.およびSokal,R.R.(1973)Numerical Taxonomy−the Principles and Practice of Numerical Taxonomy,Freeman Press,San Francisco,CA;Wilbur,W.J.およびLipman,D.J.(1983)Proc.Natl.Acad.,Sci.USA 80:726−730。
【0089】
あるいは、比較のための配列の最適な整列は、SmithおよびWaterman(1981)Add.APL.Math 2:482の局所同定アルゴリズムによって、NeedlemanおよびWunsch(1970)J.Mol.Biol.48:443の同定整列アルゴリズムによって、PearsonおよびLipman(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:2444の類似性検索方法によって、これらのアルゴリズムのコンピュータ化した実行(Wisconsin Genetics Software Package,Genetics Computer Group(GCG),575 Science Dr.,Madison,WIにおけるGAP、BESTFIT、BLAST、FASTA、およびTFASTA)によって、または検査によって行われ得る。
【0090】
配列同一性および配列類似性の割合を決定するために適切なアルゴリズムの1つの好ましい例は、BLASTおよびBLAST2.0アルゴリズムであり、これはそれぞれAltschul et al.(1977)Nucl.Acids Res.25:3389−3402およびAltschul et al.(1990)J.Mol.Biol.215:403−410に記載される。BLASTおよびBLAST2.0は、本発明のポリヌクレオチドについての配列同一性の割合を決定するために、例えば、本明細書中に記載のパラメーターを用いて使用され得る。BLAST分析を行うためのソフトウェアは、National Center for Biotechnology Informationを通して公に利用可能である。1つの例示的な例において、累積スコアは、ヌクレオチド配列について、パラメーターM(一致する残基の対についての報酬スコア(reward scored);常に>0)およびN(ミスマッチ残基についてのペナルティスコア;常に<0)を使用して算出され得る。各指示におけるワードヒットの拡大は、以下の場合に停止する:累積整列スコアが、その最大到達値から量Xまで低下した場合;累積スコアが、1以上の負のスコアの残基整列の累積に起因してゼロ以下になった場合;またはいずれかの配列の末端に到達した場合。このBLASTアルゴリズムパラメーターW、TおよびXは、整列の感度および速度を決定する。BLASTNプログラム(ヌクレオチド配列について)は、ワード長さ(W)11、および期待値(E)10をデフォルトとして使用し、そしてBLOSUM62スコアリング行列(HenikoffおよびHenikoff(1989)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:10915を参照のこと)は、(B)50、期待値(E)10、M=5、N=−4、および両方の鎖の比較を整列する。
【0091】
好ましくは、「配列同一性のパーセンテージ」は、少なくとも20の位置の比較ウインドウにわたる2つの最適に整列した配列を比較することによって決定され、ここで比較ウインドウ中のポリヌクレオチド配列の部分は、参照配列(これは、付加または欠失を含まない)と比較して、2つの配列の最適な整列について20パーセント以下、通常は5〜15パーセント、もしくは10〜12パーセントの付加または欠失(すなわち、ギャップ)を含み得る。このパーセンテージは、両方の配列で同一の核酸塩基が生じる位置の数を決定して一致する位置の数を得、この一致する位置の数を参照配列における位置の総数(すなわち、ウインドウサイズ)で除算し、そしてこの結果に100を掛けて配列同一性のパーセンテージを得ることによって算出される。
【0092】
遺伝コードの縮重の結果として、本明細書中に記載されるようなポリペプチドをコードする多くのヌクレオチド配列が存在することが、当業者に理解される。これらのポリヌクレオチドのうちいくつかは、任意のネイティブな遺伝子のヌクレオチド配列に対して最小の相同性を有する。それにもかかわらず、コドンの使用における差異に起因して変化するポリヌクレオチドが、本発明によって詳細に意図される。さらに、本明細書中で提供されるポリヌクレオチド配列を含む遺伝子の対立遺伝子は、本発明の範囲内である。対立遺伝子は、1以上の変異(例えば、ヌクレオチドの欠失、付加および/または置換)の結果として変化する内因性遺伝子である。得られたmRNAおよびタンパク質は、変化した構造または機能を有し得るが、その必要はない。対立遺伝子は、標準的な技術(例えば、ハイブリダイゼーション、増幅および/またはデータベース配列比較)を用いて、同定され得る。
【0093】
従って、本発明の別の実施形態において、変異誘発のアプローチ(例えば、部位特異的変異誘発)が、本明細書中に記載される免疫原性改変体および/またはそのポリペプチドの誘導体の調製のために用いられる。このアプローチにより、ポリペプチド配列中の特定の改変が、それらをコードする内在するポリヌクレオチドの変異誘発を介して作製され得る。これらの技術は配列改変体(例えば、1つ以上のヌクレオチド配列の変化をそのポリヌクレオチドに導入することにより、前述の考慮の1つ以上を組み込んだ配列)を調製および試験するための直接的なアプローチを提供する。
【0094】
部位特異的変異誘発は、所望の変異のDNA配列をコードする特定のオリゴヌクレオチド配列ならびに十分な数の隣接ヌクレオチドの使用を介して変異体の産生を可能にし、横断される欠失結合部の両側に安定な二重鎖を形成するために、十分なサイズのプライマー配列および配列複雑性を提供する。変異は、ポリヌクレオチド自体の特性を改善するか、変更するか、減少させるか、改変するか、さもなくば変化させるため、そして/またはコードされたポリペプチドの特性、活性、組成物、安定性もしくは一次配列を変更するために、選択されたポリヌクレオチド配列において使用され得る。
【0095】
本発明の特定の実施形態において、本発明者らは、コードされたポリペプチドの1つ以上の特性(例えば、ポリペプチドワクチンの抗原性)を変更するような開示されたポリヌクレオチド配列の変異誘発を意図する。部位特異的変異誘発の技術は、当該分野に周知であり、ポリペプチドおよびポリヌクレオチドの両方の改変体を作製するために広範に使用される。例えば、部位特異的変異誘発は、しばしば、DNA分子の特定部分を変更するために使用される。そのような実施形態において、代表的におよそ14ヌクレオチド〜およそ25ヌクレオチドくらいの長さから成るプライマーが使用され、配列の両側の結合部にある、およそ5残基〜およそ10残基が変更される。
【0096】
当業者によって理解されるように、部位特異的変異誘発技術は、しばしば、一本鎖形態および二本鎖形態の両方で存在するファージベクターを使用してきた。部位特異的変異誘発において有用である代表的なベクターとしては、例えば、M13ファージのようなベクターが挙げられる。これらのファージは、容易に商業的に入手可能であり、そしてそれらの使用は、一般的に当業者に周知である。二本鎖プラスミドもまた、目的の遺伝子をプラスミドからファージに伝達する工程を排除する部位指向性変異誘発において慣用的に使用される。
【0097】
一般的に、本発明に従う部位特異的変異誘発は、所望のペプチドをコードするDNA配列をその配列中に含む、一本鎖ベクターを最初に入手する工程またはその配列を含む二本鎖ベクターの2本の鎖を融解して分ける工程によって実施される。所望の変異配列を保有するオリゴヌクレオチドプライマーは、一般的に、合成的に調製される。次いで、このプライマーは、一本鎖ベクターとともにアニーリングされ、そして変異を保有する鎖の合成を完了するために、DNA重合酵素(例えば、E.coliポリメラーゼI クレノウフラグメント)に供される。このようにヘテロ二重鎖が形成され、ここで一方の鎖が変異を有さない本来の鎖をコードし、そして第2の鎖は所望の変異を保有する。次いで、このヘテロ二重鎖ベクターは、適切な細胞(例えば、E.coli細胞)を形質転換するために使用され、そして、変異配列の配置を保有する組換えベクターを含むクローンが選択される。
【0098】
部位特異的変異誘発を使用する、選択されたペプチドコードDNAセグメントの配列改変体の調製は、潜在的に有用な種を生成する手段を提供し、そしてこれは、ペプチドの配列改変体およびそれらをコードするDNA配列が入手され得る他の方法が存在する場合、限定を意味するものではない。例えば、所望のペプチド配列をコードする組換えベクターは、変異誘発剤(例えば、ヒドロキシルアミン)で処理されて、配列改変体を入手し得る。これらの方法およびプロトコルに関する具体的な詳細は、Maloyら、1994;Segal、1976;ProkopおよびBajpai、1991;Kuby、1994;ならびにManiatisら、1982(各々がその目的のために本明細書中に参考として援用される)の教示において見出され得る。
【0099】
本明細書中で使用される場合、用語「オリゴヌクレオチド特異的変異誘発手順」とは、鋳型依存的プロセスおよびベクター媒介増殖をいい、これは、その初期の濃度と比較して、特定の核酸分子の濃度の増加を生じるか、または検出可能なシグナルの濃度の増加(例えば、増幅)を生じる。本明細書中で使用される場合、用語「オリゴヌクレオチド特異的変異誘発手順」は、プライマー分子の鋳型依存的な伸長を含むプロセスをいうことが意図される。用語、鋳型依存的プロセスとは、RNA分子またはDNA分子の核酸合成をいい、ここで新規に合成された核酸の鎖の配列は、相補的塩基対形成(pairing)の周知の法則によって決定され得る(例えば、Watson、1987を参照のこと)。代表的には、ベクター媒介方法論は、DNAベクターまたはRNAベクターへの核酸フラグメントの導入、ベクターのクローン増幅、および増幅した核酸フラグメントの回収を包含する。このような方法論の例は、具体的にその全体が参考として本明細書中に援用される、米国特許第4,237,224号によって提供される。
【0100】
本発明のポリペプチド改変体の生成のための別のアプローチにおいて、米国特許第5,837,458号に記載されるような、再帰的配列組換え(recursive sequence recombination)が、用いられ得る。このアプローチにおいて、組換えおよびスクリーニングまたは選択の繰り返しサイクルが、例えば、増強された免疫原性活性を有する本発明の個々のポリヌクレオチド改変体を「進化」させるために用いられる。
【0101】
本発明の他の実施形態において、本明細書中で提供されるポリヌクレオチド配列は、核酸のハイブリダイゼーションのためのプローブまたはプライマーとして、有利に使用され得る。そのようなものとして、本明細書中で開示される15ヌクレオチド長の連続した配列と同じ配列か、またはこの連続した配列に相補的な配列を有する、少なくとも約15ヌクレオチド長の連続した配列の配列領域を含む核酸セグメントが、特定の有用性を見出すことが意図される。より長い連続した同一または相補的な配列(例えば、約20、30、40、50、100、200、500、1000(全ての中間長さを含む)およびさらに全長配列までの配列)はまた、特定の実施形態において使用される。
【0102】
このような核酸プローブの、目的の配列に特異的にハイブリダイズする能力は、所定のサンプルにおける相補配列の存在の検出におけるそれらの使用を可能にする。しかし、他の用途(例えば、変異体種プライマーの調製のための配列情報の使用、または他の遺伝的構築物の調製における使用のためのプライマーの使用)もまた想定される。
【0103】
10〜14、15〜20、30、50、またはさらに100〜200ヌクレオチド程度(同様に中間長さを含む)の連続したヌクレオチドストレッチを含む配列領域を有し、本明細書中に開示されるポリヌクレオチド配列に同一または相補的なポリヌクレオチド分子は、例えばサザンブロッティングまたはノーザンブロッティングにおける使用のためのハイブリダイゼーションプローブとして特に意図される。これは、遺伝子産物またはそのフラグメントの、多様な細胞型およびまた種々の細菌細胞の両方における分析を可能とする。フラグメントの全サイズ、ならびに相補的ストレッチのサイズは、究極的には、特定の核酸セグメントの意図される用途または適用に依存する。同様のフラグメントは、一般にハイブリダイゼーション実施形態における用途を見出し、ここで連続した相補領域の長さが変化され得る(例えば、約15ヌクレオチドと約100ヌクレオチドとの間)が、検出を望む相補配列の長さに従って、より長い連続した相補ストレッチが使用され得る。
【0104】
約15〜25ヌクレオチド長のハイブリダイゼーションプローブの使用は、安定および選択的の両方の二重鎖分子の形成を可能にする。しかし、15塩基長より長いストレッチにわたって連続した相補配列を有する分子は、ハイブリッドの安定性および選択性を増加するために一般に好ましく、それによって、得られる特異的ハイブリッド分子の質および程度が改善する。15〜25の連続したヌクレオチド、または望まれる場合にはより長い遺伝子相補的ストレッチを有する核酸分子を設計するのが一般には好ましい。
【0105】
ハイブリダイゼーションプローブは、本明細書中に記載される配列のいずれかの、任意の部分から選択され得る。本明細書中に示される配列、あるいはプローブまたはプライマーとしての利用を望む約15〜25ヌクレオチド長まで、および全長配列を含む配列の任意の連続した部分を再検討することが、必要とされる全てである。プローブおよびプライマー配列の選択は、種々の要因によって支配され得る。例えば、全配列の終端に向かってプライマーを使用することが望まれ得る。
【0106】
小さなポリヌクレオチドセグメントまたはフラグメントは、通常は自動オリゴヌクレオチド合成機を使用して行われるので、例えば化学的手段によってフラグメントを直接合成することによって、容易に調製され得る。また、フラグメントは、核酸複製技術(例えば、米国特許第4,683,202号(本明細書中に参考として援用される)のPCRTM技術)の適用によって、組換え産物のために選択配列を組換えベクターに導入することによって、および一般に分子生物学の分野の当業者に公知の他の組換えDNA技術によって、獲得され得る。
【0107】
本発明のヌクレオチド配列は、目的の完全遺伝子または遺伝子フラグメントのいずれかの相補的ストレッチと、二重鎖分子を選択的に形成するその能力のために使用され得る。想定される適用に依存して、代表的には、標的配列に対するプローブの選択性の種々の程度に達するために、ハイブリダイゼーションの種々の条件を使用することが望ましい。高い選択性を必要とする適用について、代表的には、ハイブリッドを形成するための比較的ストリンジェントな条件(例えば、比較的低い塩、および/または高温の条件(例えば、約50℃〜約70℃で、約0.02M〜約0.15Mの塩の塩濃度によって提供されるような)が選択される)を使用することが望ましい。このような選択条件は、存在する場合、プローブとテンプレートまたは標的鎖との間のミスマッチにわずかに許容性であり、そして関連する配列の単離のために特に適切である。
【0108】
当然のことながら、いくつかの適用(例えば、潜在的なテンプレートにハイブリダイズする変異体プライマー鎖を使用する、変異体の調製が望ましい場合)について、より低いストリンジェント(減少したストリンジェンシー)のハイブリダイゼーション条件は、ヘテロ二重鎖の形成を可能にするために代表的に必要とされる。これらの状況において、約20℃〜約55℃の温度範囲で約0.15M〜約0.9Mの塩のような塩条件を使用することが望ましくあり得る。これによって、交差ハイブリダイズ種は、コントロールハイブリダイゼーションに関して、陽性ハイブリダイズシグナルとして容易に同定され得る。任意の場合において、ホルムアミド(これは、増加した温度と同じ様式で、ハイブリッド二重鎖を不安定化するように作用する)の増加した量の添加によって、条件がよりストリンジェントになり得ることが一般に理解される。従って、ハイブリダイゼーション条件は、容易に操作され得、そして一般に、所望の結果に依存する最良の方法である。
【0109】
本発明の他の実施形態に従って、アンチセンスオリゴヌクレオチドを含むポリヌクレオチドが提供される。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、効果的かつ標的化されたタンパク質合成のインヒビターであることが示され、結果的に、疾患に寄与するタンパク質合成を阻害することによってこの疾患を処置し得るような、治療アプローチを提供する。タンパク質合成阻害のためのアンチセンスオリゴヌクレオチドの効力はよく確証されている。例えば、ポリガラクツロナーゼの合成およびムスカリン2型アセチルコリンレセプターの合成は、これらのそれぞれのmRNA配列に対するアンチセンスオリゴヌクレオチドによって阻害される(米国特許第5,739,119号および米国特許第5,759,829号)。さらに、アンチセンス阻害の例が、核タンパク質サイクリン、多剤耐性遺伝子(MDG1)、ICAM−1、E−セレクチン、STK−1、線条体GABAAレセプターおよびヒトEGFを用いて示されている(Jaskulskiら、Scinece.1988 Jun 10;240(4858):1544〜6;VasanthakumarおよびAhmed、Canscer Commun.1989;1(4):225〜32;Perisら、Brain Res Mol Brain Res.1998 Jun 15;57(2):310〜20;米国特許第5,801,154号;同第5,789,573号;同第5,718,709号および同第5,610,288号)。種々の異常な細胞増殖(例えば、癌)を阻害しそして処置するために使用され得る、アンチセンス構築物もまた、記載されている(米国特許第5,747,470号;同第5,591,317号および同第5,783,683号)。
【0110】
従って、特定の実施形態において、本発明は、本明細書中に記載されるポリヌクレオチド配列に特異的に結合し得る任意の配列もしくはその相補体のすべてまたは一部を含む、オリゴヌクレオチド配列を提供する。1つの実施形態において、そのアンチセンスオリゴヌクレオチドは、DNAまたはその誘導体を含む。別の実施形態において、そのオリゴヌクレオチドは、RNAまたはこの誘導体を含む。第3の実施形態において、そのオリゴヌクレオチドは、ホスホロチオエート改変骨格を含む、改変DNAである。第4の実施形態において、そのオリゴヌクレオチド配列は、ペプチド核酸またはその誘導体を含む。各場合において、好ましい組成物は、本明細書中に開示されるポリヌクレオチドのうちの1つ以上の部分に相補的な、そしてより好ましくは実質的に相補的な、そしてさらにより好ましくは完全に相補的な、配列領域を含む。所定の遺伝子配列に特異的なアンチセンス組成物の選択は、選択された標的配列の分析ならびに二次構造、Tm、結合エネルギー、相対的安定性の決定に基づく。アンチセンス組成物は、二量体、ヘアピン、または宿主細胞において標的mRNAへの特異的結合を減少または妨げる他の二次構造をそれらが相対的に形成できないことに基づいて選択された。mRNAの非常に好ましい標的領域は、AUG翻訳開始コドンの領域またはその付近の領域、およびmRNAの5’領域と実質的に相補的な配列である。これらの二次構造分析および標的部位選択の考慮は、OLIGOプライマー分析ソフトウェアのバージョン4および/またはBLASTN 2.0.5アルゴリズムソフトウェア(Altschulら、Nucleic Acids Res.1997、25(17):3389〜402)を使用して実施され得る。
【0111】
短いペプチドベクター(MPG(27残基)と称する)を使用するアンチセンス送達法の使用もまた意図される。このMPGペプチドは、HIV gp41の融合配列由来の疎水性ドメインと、SV40 T抗原の核局在化配列由来の親水性ドメインとを含む(Morrisら、Nucleic Acids Res.1997 Jul 15;25(14):2730〜6)。このMPGペプチドのいくつかの分子がアンチセンスオリゴヌクレオチドをコートし、そして比較的高効率(90%)で1時間未満で培養哺乳動物細胞へと送達され得ることが示された。さらに、MPGとの相互作用は、ヌクレアーゼに対するそのオリゴヌクレオチドの安定性および形質膜を横切る能力の両方を強力に増加させる。
【0112】
本発明の別の実施形態に従って、本明細書において記載されるポリヌクレオチド組成物は、腫瘍細胞中の本発明の腫瘍ポリペプチドおよびタンパク質の発現阻害のためのリボザイム分子の設計および調製において使用される。リボザイムは、部位特異的な様式で核酸を切断するRNAタンパク質複合体である。リボザイムは、エンドヌクレアーゼ活性を保有する特異的触媒ドメインを有する(KimおよびCech、Proc.Natl.Acad.Sci.USA.1987 Des;84(24):8788〜92;ForsterおよびSymsons、Cell;1987 Apr 24;49(2):211−20)。例えば、多数のリボザイムが、高い程度の特異性でホスホエステル転移反応を促進し、しばしば、オリゴヌクレオチド基質中の数個のホスホエステルのうちの1つだけを切断する(Cechら、Cell.1981 Des;27(3Pt2):487〜96;MichelおよびWesthof、J Mol Biol.1990 Des 5;216(3):585〜610;Reinhold−HurekおよびShub、Nature.1992 May 14;357(6374):173〜6)。この特異性は、この基質が、化学反応の前にリボザイムの内部ガイド配列(「IGS」)との特異的塩基対形成相互作用を介して結合するという要件に帰せられている。
【0113】
天然に存在する酵素的RNAの6つの基本的種類が、現在公知である。各々が、生理学的条件下で、トランスで、RNAホスホジエステル結合の加水分解を触媒し得(従って、他のRNA分子を切断し得る)。一般に、酵素的核酸は、まず、標的RNAへの結合によって作用する。このような結合は、標的RNAを切断するように作用する分子の酵素的部分に近接して保持される、酵素的核酸の標的結合部分を介して生じる。従って、その酵素的核酸はまず、標的RNAを認識し、次いで相補的塩基対形成を介してその標的RNAに結合し、そして一旦正確な部位に結合すると、その標的RNAを酵素的に切断するように作用する。このような標的RNAの戦略的切断は、コードされるタンパク質を直接合成する能力を破壊する。酵素的核酸がそのRNA標的に結合しそして切断した後、その酵素的核酸は、別の標的を探索するためにそのRNAから離れ、そして繰り返し、新しい標的に結合しそして切断し得る。
【0114】
リボザイムの酵素的特性は、多くの技術(例えば、アンチセンス技術(ここで、核酸分子は容易に核酸標的に結合して、その翻訳をブロックする))よりも有益である。これは、治療的処置に影響を及ぼすのに有効なリボザイムの濃度が、アンチセンスオリグヌクレオチドの濃度よりも低いからである。この利点は、リボザイムが酵素的に作用する能力を反映する。従って、単一のリボザイム分子は、標的RNAの多くの分子を切断し得る。さらに、このリボザイムは、標的RNAに結合する塩基対化機構だけではなく、標的RNA切断の機構にも依存する阻害に特異性を有する高特異性のインヒビターである。切断の部位に近い単一のミスマッチ、すなわち塩基置換は、完全にリボザイムの触媒活性を除去し得る。アンチセンス分子における同様のミスマッチは、その作用を妨げない(Woolfら、Proc Natl Acad Sci USA.1992 Aug 15;89(16)7305−9)。従って、リボザイムの作用の特異性は、同じRNA部位を結合するアンチセンスオリグヌクレオチドの特異性よりも大きい。
【0115】
この酵素的核酸分子は、ハンマーヘッド(hammerhead)モチーフ、ヘアピンモチーフ、δ型肝炎ウイルスモチーフ、I群イントロンモチーフまたはRNaseP RNAモチーフ(RNA誘導配列に関連する)あるいはNeurospora VS RNAモチーフにおいて形成され得る。ハンマーヘッドモチーフの例は、Rossiら、Nucreic Acid Res.1992 Sep 11;20(17):4559〜65に記載される。ヘアピンモチーフの例は、Hampelら(欧州特許出願公開番号EP 0360257)、HampelおよびTritz、Biochemistry 1989 Jun 13;28(12):4929〜33;Hampelら、Nucreic Acid Res.1990 Jan 25;18(2):299〜304および米国特許第5,631,359号に記載される。δ型肝炎ウイルスモチーフの例は、PerrottaおよびBeen、Biochemistry、1992 Dec 1;31(47):11843〜52に記載される;RNasePモチーフの例は、Guerrier−Takadaら、Cell.1983 Dec;35(3Pt2):849〜57に記載される;Neurospora VS RNAリボザイムモチーフは、Collins(SavilleおよびCollins,Cell.1990 May 18;61(4):685〜96;SavilleおよびCollins,Proc.Natl.Acad.Sci.USA.1991 Oct 1;88(19):8826〜30;CollinsおよびOlive,Biochemistry.1993 Mar 23;32(11):2795〜9)に記載される。そしてI群イントロンの例は、米国特許第4,987,071号に記載される。本発明の酵素的核酸分子において重要であることは、1以上の標的遺伝子RNA領域に相補的である特定の基質結合部位を有すること、およびこの分子にRNA切断活性を付与する基質結合部位内にヌクレオチド配列を有することまたはこの基質結合部位を取り囲むヌクレオチド配列を有することだけである。従って、リボザイム構築物は、本明細書中に記載される特定のモチーフに限定する必要はない。
【0116】
リボザイムは、国際特許出願公開番号WO 93/23569および国際特許出願公開番号WO 94/02595(各々は、本明細書中で参考として援用される)に記載されるように設計され得、そして記載されるようにインビトロおよびインビボにおいて試験されるように合成され得る。このようなリボザイムはまた、送達するために最適化され得る。特定の例が提供されるが、当業者は、他の種において等価なRNA標的が、必要な場合に利用され得ることを理解する。
【0117】
リボザイムの活性は、リボザイムの結合アームの長さを変更することにより、または血清リボヌクレアーゼによる分解を防ぐ改変(例えば、国際特許出願番号WO 92/07065;国際特許公開番号WO 93/15187;国際特許出願公開番号WO 91/0362;欧州特許出願公開番号92110298;米国特許第5,334,711号、および国際特許出願公開番号WO 94/13688(これには、酵素的RNA分子の糖部分に対して成され得る、種々の化学的修飾が記載される)を参照のこと)、細胞中でのリボザイムの有効性を増強する改変、ならびにRNAの合成時間を短縮および化学的必要性を低下させるための幹(stem)II塩基を除去して、リボザイムを化学的に合成することによって最適化され得る。
【0118】
Sullivanら(国際特許出願公開番号WO 94/02595)は、酵素学的RNA分子の送達のための一般的な方法を記載する。リボザイムは、当業者に公知の種々の方法によって細胞に投与され得、これらには、リポソームへのカプセル化、イオン泳動法、あるいは、例えば、ヒドロゲル、シクロデキストリン、生分解性ナノカプセルおよび生体接着性ミクロスフィアのような他のビヒクルへの取り込みによる、が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの指針のために、リボザイムは、エキソビボで細胞または組織に、上記のビヒクルを使用してか、または使用せずに直接送達され得る。あるいは、RNA/ビヒクルの組合せは、直接的な吸入、直接的な注射、またはカテーテル、注入ポンプまたはステントの使用により、局所的に送達され得る。他の送達経路としては、血管内注射、筋内注射、皮下注射または関節注射、エアロゾル吸入、経口送達(錠剤形態またはピル形態)、局所送達、全身送達、眼送達、腹腔内送達および/またはくも膜下腔内送達が挙げられるが、これらに限定されない。リボザイム送達および投与のより詳細な記載は、国際特許公開番号WO 94/02595および国際特許出願公開番号WO 93/23569(各々は、本明細書中で参考として詳細に援用される)に提供される。
【0119】
高濃度のリボザイムを細胞内に蓄積する別の手段は、リボザイムコード配列をDNA発現ベクターに組み込むことである。リボザイム配列の転写は、真核生物RNAポリメラーゼI(pol I)、RNAポリメラーゼII(pol II)、またはRNAポリメラーゼIII(pol III)のためのプロモーターにより駆動される。pol IIプロモーターまたはpol IIIプロモーターからの転写物は、全ての細胞内で高レベルで発現される;所定の細胞型における所定のpol IIプロモーターのレベルは、近くに存在する遺伝子調節配列(エンハンサー、サイレンサーなど)の性質に依存する。原核生物のRNAポリメラーゼプロモーターもまた使用され得るが、但し、原核生物RNAポリメラーゼ酵素は、適切な細胞において発現される。このようなプロモーターから発現されるリボザイムは、哺乳動物細胞において機能することが示されている。このような転写ユニットは、哺乳動物細胞内への導入のための種々のベクター(プラスミドDNAベクター、ウイルスDNAベクター(例えば、アデノウイルスベクターまたはアデノ随伴ベクター)、またはウイルスRNAベクター(例えば、レトロウイルス、セムリキ森林ウイルス、シンドビスウイルスベクター)が挙げられるがこれらに限定されない)に組み込まれ得る。
【0120】
本発明の別の実施形態において、ペプチド核酸(PNA)組成物が提供される。PNAは、DNA模倣物であり、核酸塩基は、偽ペプチド骨格に結合される(GoodおよびNielsen、Antisense Nucleic Acid Drug Dev.1997 7(4) 431〜37)。PNAは、RNAまたはDNAを伝統的に使用した複数の方法において利用され得る。時々、PNA配列は、対応するRNAまたはDNA配列よりも技術的により良く機能し、そしてRNAにもDNAにも固有でない有用性を有していた。産生方法、使用の特徴付け、および使用方法を含むPNAの総説は、Corey(Trends Biotechnol 1997 Jun;15(6):224〜9)によって提供される。このように、特定の実施形態において、ACE mRNA配列の1以上の部分に相補的であるPNA配列を調製し得、そしてこのようなPNA組成物は、ACE−特異的mRNAの翻訳を調節、変更、減少、または低下させるために使用され得、これにより、このようなPNA組成物が投与される宿主細胞におけるACE活性のレベルを変更する。
【0121】
PNAは、正常なDNAのホスホジエステル骨格を置換する2−アミノエチル−グリシン連結を有する(Nielsenら、Science 1991 Dec 6;254(5037)1497〜500;Hanveyら、Science.1992 Nov 27;258(5087)1481〜5;HyrupおよびNielsen,Bioorg Med Chem.1996 Jan;4(1):5〜23)。この化学は、3つの重要な結果を有する。第1に、DNAまたはホスホロチオエートオリゴヌクレオチドと比較して、PNAは、中性の分子であり;第2に、PNAは、アキラル(立体選択的な合成を開発する必要がない)であり;そして第3に、PNA合成は、標準的なBocプロトコルまたはFmocプロトコルを、固相ペプチド合成に使用する。一方、改変型Merrifield法を含む他の方法が使用される。
【0122】
PNAモノマーまたは既製のオリゴマーは、PerSeptive Biosystems(Framingham,MA)から市販されている。BocプロトコルまたはFmocプロトコルのいずれかによるPNAの合成は、手動プロトコルまたは自動プロトコルを使用して簡単に実施される(Nortonら、Bioorg Med Chem.1995 Apr;3(4):437〜45)。このマニュアルプロトコールは、化学的に修飾されたPNAの産生または密接に関係するPNAのファミリーの同時合成を導く。
【0123】
ペプチドの合成に関して、特定のPNA合成の成功は、選択した配列の特性に依存する。例えば、理論上、PNAは、ヌクレオチド塩基の任意の組合せを取り込み得るが、隣接するプリンの存在は、産生の際に、1以上の残基の欠失を導き得る。この困難性の見込みにおいて、隣接するプリンを有するPNAを産生する際に、非効率的に加えられているようである残基の連結を繰り返すべきであることを提案する。この後、ペプチド合成の間に観測されるのと類似する産物の収率および純度を提供する逆相高圧液体クロマトグラフィーによってPNAを精製するべきである。
【0124】
所定の適用のためのPNAの修飾が、固相合成の間にアミノ酸を連結することによって、または露出されたN末端アミンにカルボン酸基を含む化合物を付加することによって達成され得る。あるいは、PNAは、導入されたリジンまたはシステインに連結することによって合成した後に修飾され得る。PNAが修飾され得る簡便さにより、より良い溶解度または特定の機能的必要性の最適化を容易にする。一旦合成されると、PNAおよびそれらの誘導体の同定は、質量分析法によって確認され得る。いくつかの研究が、PNAの修飾物を産生および利用した
【0125】
【化1】
。米国特許第5,700,922号は、PNA−DNA−PNAキメラ分子および診断におけるその分子の使用、生体中でタンパク質を調節すること、ならびに治療に対して影響を受け易い状態の処置について議論する。
【0126】
PNAのアンチセンス結合特性を特徴づける方法は、Rose(Anal Chem.1993 Dec 15;65(24):3545〜9)およびJensenら(Biochemistry.1997 Apr 22;36(16):5072〜7)において議論される。Roseは、キャピラリーゲル電気泳動を使用して、PNAのこれらの相補的オリゴヌクレオチドへの結合を決定し、相対的な結合速度および化学量論を測定する。同様の型の手段は、Jensenらによって、BIAcoreTM技術を用いて作られた。
【0127】
記載され、当業者に明らかであるPNAの他の適用は、DNA鎖侵襲、アンチセンス阻害、変異分析、転写のエンハンサー、核酸精製、転写活性遺伝子の単離、転写因子結合のブロッキング、ゲノム切断、バイオセンサー、インサイチュハイブリダイゼーションなどにおける使用を含む。
【0128】
(ポリヌクレオチドの同定、特徴づけ、および発現)
本発明のポリヌクレオチド組成物は、種々の十分に確立された技術(一般的には、Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratories、Cold Spring Harbor、NY、1989などを参照のこと)のいずれかを用いて同定、調製、および/または操作され得る。例えば、以下に詳細に記載されるように、cDNAのマイクロアレイを腫瘍に関連した発現(すなわち、本明細書において提供される例示的アッセイを用いて決定されるように、腫瘍において、正常組織の少なくとも2倍を超える発現)についてスクリーニングすることによって、ポリヌクレオチドは、同定され得る。例えば、Affimetrix、Inc.(Santa Clara、CA)のマイクロアレイ技術を、製造者の指示に従って用いることによって、および、本質的には、Schenaら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93:10614〜10619、1996ならびにHellerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 94:2150〜2155、1997に記載されるように、このようなスクリーニングは、実施され得る。あるいは、ポリヌクレオチドは、本明細書に記載されるタンパク質を発現する細胞(例えば、腫瘍細胞)から調製されるcDNAから増幅され得る。
【0129】
多数の鋳型依存性プロセスが、サンプル中に存在する目的の標的配列を増幅するために利用可能である。最もよく知られた増幅方法の1つは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCRTM)であり、これは、米国特許第4,683,195号、同第4,683,202号、および同第4,800,159号に詳細に記載され、これらの各々はその全体が本明細書中に参考として援用される。手短に言えば、PCRTMにおいては、標的配列の向かい合った相補鎖上の領域に対して相補的な2つのプライマー配列が調製される。過剰のデオキシヌクレオシド三リン酸を、DNAポリメラーゼ(例えば、Taqポリメラーゼ)とともに反応混合液に添加する。標的配列がサンプル中に存在する場合、プライマーはその標的に結合し、そしてポリメラーゼが、ヌクレオチドを付加することによって標的配列に沿ってプライマーを伸長させる。反応混合液の温度を上昇および下降させることによって、伸長したプライマーは、標的から解離して反応生成物を形成し、過剰のプライマーは標的および反応生成物に結合し、そしてこのプロセスが反復される。好ましくは、逆転写およびPCRTM増幅手順が、増幅されたmRNAの量を定量するために実行され得る。ポリメラーゼ連鎖反応方法論は、当該分野で周知である。
【0130】
多数の他のテンプレート依存性プロセス(これらの多くは、PCRTM増幅技術のバリエーションである)のいずれかは、当該分野において、容易に知られ、利用可能である。例示されるように、いくつかのこのような方法は、以下を含む:例えば、欧州特許出願公開番号320,308および米国特許第4,883,750号に記載されるリガーゼ連鎖反応(LCRとして示される)を含み;PCT国際特許出願公開番号PCT/US87/00880に記載されるQbeta Replicase;Strand Displacement Amplication(SDA)およびRepair Chain Reaction(RCR)。英国特許出願番号2 202 328号およびPCT国際特許出願公開番号PCT/US89/01025に記載されるなお他の増幅方法は、本発明に従って使用され得る。他の核酸増幅手順には、転写に基づく増幅系(TAS)(PCT国際特許出願公開番号WO 88/10315)が挙げられ、これには、核酸配列に基づく増幅(NASBA)および3SRが含まれる。欧州特許出願公開番号329,822は、一本鎖RNA(ssRNA)、ssDNAおよび二本鎖DNA(dsDNA)をサイクル的に合成する工程を包含する核酸増幅プロセスを開示する。PCT国際特許出願公開番号WO 89/06700(その全体が本明細書中で参考として援用される)は、プロモーター/プライマー配列の多くのRNAコピーの転写の前の、プロモーター/プライマー配列の標的一本鎖DNA(「ssDNA」)へのハイブリダイゼーションに基づく核酸配列増幅スキームを開示する。「RACE」(Frohman、1990)および「片側(one−sided)PCR(Ohara、1989)」のような他の増幅方法がまた、当業者に周知である。
【0131】
本発明のポリヌクレオチドの増幅した部分を使用して、適切なライブラリー(例えば、腫瘍cDNAライブラリー)から周知の技術を使用して全長遺伝子を単離し得る。このような技術において、増幅に適した1以上のポリヌクレオチドプローブまたはプライマーを使用して、ライブラリー(cDNAライブラリーまたはゲノムライブラリー)をスクリーニングする。好ましくは、ライブラリーはより大きな分子を含むようにサイズが選択される。無作為に刺激されたライブラリー(random primed library)もまた、遺伝子の5’領域および上流領域の同定ために好ましい。ゲノムライブラリーは、イントロンを入手することおよび5’配列を伸長させることについて好ましい。
【0132】
ハイブリダイゼーション技術に関して、部分配列は、周知の技術を使用して標識(例えば、ニックトランスレーションまたは32Pでの末端標識)され得る。次いで、細菌ライブラリーまたはバクテリオファージライブラリーは、一般に、標識プローブと、変性した細菌コロニー(またはファージプラークを含む菌叢)を含むフィルターとをハイブリダイズすることによってスクリーニングされる(Sambrookら,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratories,Cold Spring Harbor,NY,1989を参照のこと)。ハイブリダイズするコロニーまたはプラークを選択し、そして拡大する。そしてそのDNAをさらなる分析のために単離する。cDNAクローンを、付加配列の量を決定するために、例えば、部分配列由来のプライマーおよびそのベクター由来のプライマーを使用するPCRによって分析し得る。制限地図および部分配列を作成して、1以上の重複クローンを同定し得る。次いで、標準的な技術(これは、一連の欠失クローンを作製することを包含し得る)を使用して完全配列を決定し得る。次いで、得られた重複配列を1つの連続配列中にアセンブルし得る。周知の技術を使用して、適切なフラグメントに連結することにより全長cDNA分子を生成し得る。
【0133】
あるいは、上記のような増幅技術は、部分的cDNA配列から、全長をコードする配列を得るのに有用であり得る。このような増幅技術の1つは、インバースPCRである(Trigliaら,Nucl.Acids Res.16:8186,1988を参照のこと)。この技術は、制限酵素を使用して、その遺伝子の既知の領域内のフラグメントを生成する。次いで、このフラグメントを分子内連結により環状化し、そして既知の領域に由来する多岐したプライマーを用いたPCRのための鋳型として使用する。代替のアプローチにおいて、部分配列に隣接した配列を、リンカー配列に対するプライマーおよび既知の領域に特異的なプライマーを使用する増幅により取り出し得る。この増幅した配列を、代表的に、同じリンカープライマーおよび既知の領域に特異的な第2のプライマーを使用する2回目の増幅に供する。既知の配列から反対方向に伸長を開始する2つのプライマーを使用するこの手順についての改変は、WO 96/38591に記載される。このような別の技術は、「迅速なcDNA末端の増幅」またはRACEとして公知である。この技術は、公知配列の5’および3’である配列を同定するために、内側プライマーおよび外側プライマー(これらは、ポリA領域またはベクター配列にハイブリダイズする)の使用を含む。さらなる技術としては、キャプチャーPCR(Langerstromら,PCR Methods Applic.1:111−19,1991)およびウォーキングPCR(Parkerら、Nucl.Acids.Res.19:3055−60,1991)が挙げられる。増幅を利用する他の方法もまた使用して、全長cDNA配列を入手し得る。
【0134】
特定の場合において、発現配列タグ(EST)データベース(例えば、GenBankより入手可能のもの)に提供される配列の分析により、全長cDNA配列を入手することが可能である。重複ESTの検索は、一般に、周知のプログラム(例えば、NCBI BLAST検索)を使用して行われ得、そしてこのようなESTを使用して連続した全長配列を生成し得る。全長DNA配列はまた、ゲノムフラグメントの分析により入手され得る。
【0135】
本発明の他の実施形態において、本発明のポリペプチドまたはその融合タンパク質もしくは機能的等価物をコードするポリヌクレオチド配列またはそのフラグメントは、適切な宿主細胞におけるポリペプチドの発現を指向するように組換えDNA分子において使用され得る。遺伝コードの先天的な縮重に起因して、実質的に同じか、または機能的に等価なアミノ酸配列をコードする他のDNA配列が産生され得、そしてこれらの配列を使用して所定のポリペプチドをクローン化し、そして発現させ得る。
【0136】
当業者によって理解されるように、いくつかの場合において、天然に存在しないコドンを所有するヌクレオチド配列をコードするポリペプチドを作製することが有利であり得る。例えば、特定の原核生物宿主または真核生物宿主に好まれるコドンは、タンパク質発現の速度を増加させるためか、または所望の特性(例えば、天然に存在する配列から生成される転写物の半減期よりも長い半減期)を有する組換えRNA転写物を産生するように選択され得る。
【0137】
さらに、本発明のポリペプチド配列は、種々の理由(遺伝子産物のクローニング、プロセシング、および/または発現を変更する改変が挙げられるが、それらに限定されない)のためにポリペプチドコード配列を変更するために、当該分野において一般的に公知の方法を使用して操作され得る。例えば、無作為フラグメント化によるDNAシャッフリングならびに遺伝子フラグメントおよび合成オリゴヌクレオチドのPCR再アセンブリを使用して、ヌクレオチド配列を操作し得る。さらに、部位特異的変異誘発(site−directed mutagenesis)を使用して、新たな制限部位を挿入し得るか、グリコシル化パターンを改変し得るか、コドン優先(preference)を変化させ得るか、スプライス改変体を作製し得るか、または変異を導入したりなどし得る。
【0138】
本発明の別の実施形態において、天然の核酸配列、改変された核酸配列、または組換え核酸配列は、融合タンパク質をコードする異種配列に連結され得る。例えば、ポリペプチド活性のインヒビターについてペプチドライブラリーをスクリーニングするために、市販の抗体により認識され得るキメラタンパク質をコードすることが有用であり得る。融合タンパク質はまた、ポリペプチドコード配列と異種タンパク質配列との間に位置する切断部位を含むように操作され得、その結果そのポリペプチドは、切断されて、そして異種部分から精製され得る。
【0139】
所望のポリペプチドをコードする配列が、当該分野において周知の化学的方法を使用して、全体または部分的に合成され得る(Caruthers,M.H.ら、(1980)Nucl.Acids Res.Symp.Ser.215〜223、Horh,Tら、(1980)Nucl.Acids Res.Symp.Ser.225〜232を参照のこと)。あるいは、タンパク質自体が、ポリペプチドまたはその一部のアミノ酸配列を合成するための化学的方法を使用して産生され得る。例えば、ペプチド合成は、種々の固相技術を使用して実施され得(Roberg,J.Yら、(1995)Science 269:202〜204)、そして自動化合成は、例えば、ABI 431A Peptide Synthesizer(Perkin Elmer,Palo Alto,CA)を使用して達成され得る。
【0140】
新たに合成されたペプチドは、分離高速液体クロマトグラフィー(例えば、Creighton,T.(1983)Proteins,Structures and Molcular Principles,WH Freeman and Co.,New York,N.Y.)または当該分野において利用可能な他の同等技術により実質的に精製され得る。合成ペプチドの組成は、アミノ酸分析または配列決定(例えば、エドマン分解手順)により確認され得る。さらに、ポリペプチドまたはその任意の部分のアミノ酸配列は、直接合成の間に改変されて、そして/または化学的方法を使用して、他のタンパク質もしくはその任意の部分に由来する配列と組み合わせられて、改変体ポリペプチドを産生し得る。
【0141】
所望のポリペプチドを発現させるために、ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列または機能的等価物は、適切な発現ベクター(すなわち、挿入されたコード配列の転写および翻訳のために必要なエレメントを含むベクター)内に挿入され得る。当業者に周知である方法を使用して、目的のポリペプチドをコードする配列および適切な転写制御エレメントおよび翻訳制御エレメントを含む発現ベクターを構築し得る。これらの方法としては、インビトロ組換えDNA技術、合成技術、およびインビボ遺伝子組換えが挙げられる。そのような技術は、例えば、Sambrook,Jら、(1989)Molecular Cloning,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Press,Plainview,N.Y.,およびAusubel,F.M.ら、(1989)Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley&Sons,New York.N.Y.に記載される。
【0142】
種々の発現ベクター/宿主系が、ポリヌクレオチド配列を含み、そして発現させるように利用され得る。これらとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:微生物(例えば、組換えバクテリオファージ、プラスミド、またはコスミドDNA発現ベクターで形質転換した細菌);酵母発現ベクターで形質転換した酵母;ウイルス発現ベクター(例えば、バキュロウイルス)で感染させた昆虫細胞系;ウイルス発現ベクター(例えば、カリフラワーモザイクウイルス、CaMV;タバコモザイクウイルス、TMV)または細菌発現ベクター(例えば、TiもしくはpBR322プラスミド)で形質転換した植物細胞系;または動物細胞系。
【0143】
発現ベクター内に存在する「制御エレメント」または「調節配列」は、転写および翻訳を実行するように宿主細胞タンパク質と相互作用する、それらのベクターの非翻訳領域(エンハンサー、プロモーター、5’および3’非翻訳領域)である。そのようなエレメントは、その長さおよび特異性を変更し得る。利用されるベクター系および宿主に依存して、多数の適切な転写エレメントおよび翻訳エレメント(構成的プロモーターおよび誘導性プロモーターを含む)が使用され得る。例えば、細菌系においてクローニングする場合、誘導性プロモーター(例えば、PBLUESCRIPTファージミド(Stratagene,La Jolla,Calif.)またはPSPORT1プラスミド(Gibco BRL,Gaithersburg,MD)などのハイブリッドlacZプロモーターが使用され得る。哺乳動物細胞系において、哺乳動物遺伝子または哺乳動物ウイルスに由来するプロモーターが、一般的に好ましい。ポリペプチドをコードする配列の複数のコピーを含む細胞株を生成することが必要とされる場合、SV40またはEBVベースのベクターが、適切な選択マーカーと共に都合良く使用され得る。
【0144】
細菌系において、多数の発現ベクターが、発現されるポリペプチドに対して意図される使用に依存して選択され得る。例えば、大量に必要とされる場合(例えば、抗体の誘導のために)、容易に精製される融合タンパク質の高レベルの発現を方向づけるベクターが使用され得る。そのようなベクターとしては、以下が挙げられるがそれらに限定されない:多機能性E.coliクローニングベクターおよび発現ベクター(例えば、BLUESCRIPT(Stratagene)、ここでは目的のポリペプチドをコードする配列が、β−ガラクトシダーゼのアミノ末端Metおよびそれに引続く7残基についての配列とインフレームでベクター内に連結され得、その結果、ハイブリッドタンパク質が産生される);pINベクター(Van Heeke,G.およびS.M.Schuster(1989)J.Biol.Chem.264:5503−5509)など。pGEXベクター(Promega,Madison,Wis.)はまた、グルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)との融合タンパク質として外来ポリペプチドを発現させるために使用され得る。一般的に、そのような融合タンパク質は、可溶性であり、そしてグルタチオン−アガロースビーズに吸着させ、次に遊離のグルタチオンの存在下において溶出させることによって、溶解した細胞から容易に精製され得る。そのような系において作製されたタンパク質は、ヘパリン、トロンビン、または第XA因子プロテアーゼ切断部位を含むように設計され得、その結果、クローン化された目的のポリペプチドが、随意にGST部分から放出され得る。
【0145】
酵母(Saccharomyces cerevisiae)において、構成的プロモーターまたは誘導性プロモーター(例えば、α因子、アルコールオキシダーゼおよびPGH)を含む多数のベクターが使用され得る。概説については、Ausubelら、(前出)およびGrantら、(1987)Methods Enzymol.153:516−544を参照のこと。
【0146】
植物発現ベクターを使用する場合において、ポリペプチドをコードする配列の発現は、任意の多数のプロモーターにより駆動され得る。例えば、ウイルスプロモーター(例えば、CaMVの35Sプロモーターおよび19Sプロモーター)を、単独でか、またはTMVに由来するωリーダー配列と組み合わせて使用され得る(Takamatsu,N.(1987)EMBO J.6:307−311)。あるいは、植物プロモーター(例えば、RUBISCOの小サブユニットまたは熱ショックプロモーター)を使用し得る(Coruzzi,G.ら、(1984)EMBO J.3:1671−1680;Broglie,R.ら、(1984)Science224:838−843;およびWinter,Jら、(1991)Results Probl.Cell Differ.17:85−105)。これらの構築物は、直接的DNA形質転換または病原体媒介性トランスフェクションによって植物細胞内に導入され得る。そのような技術は、多数の一般的に入手可能な概説に記載されている(例えば、Hobbs,S.またはMurry,L.E.,McGraw Hill Yearbook of Science and Technology(1992)McGraw Hill,New York,N.Y.;191−196頁を参照のこと)。
【0147】
昆虫系はまた、目的のポリペプチドを発現させるために使用され得る。例えば、そのような1つの系において、オートグラファカリフォルニア核発汗病ウイルス(Autographa californica nuclear polyhedrosis virus)(AcNPV)は、Spodoptera frugiperda細胞またはTrichoplusia larvaeにおける外来遺伝子を発現させるベクターとして使用される。ポリペプチドをコードする配列は、ウイルスの非必須領域内(例えば、ポリへドリン(polyhedrin)遺伝子)にクローン化され得、ポリへドリンプロモーターの制御下に置かれ得る。ポリペプチドコード配列の首尾良い挿入は、ポリへドリン遺伝子を不活性化し、そして外殻タンパク質を欠損している組換えウイルスを産生する。次いで、この組換えウイルスを使用して、例えば、目的のポリペプチドが発現され得る、S.frugiperda細胞またはTrichoplusia larvaeに感染させ得る(Engelhard,E.K.ら、(1994)Proc.Natl.Acad.Sci.91:3224−3227)。
【0148】
哺乳動物宿主細胞において、多数のウイルスベースの発現系が一般的に利用可能である。例えば、アデノウイルスが、発現ベクターとして使用される場合において、目的のポリペプチドをコードする配列は、後期プロモーターおよび3部からなるリーダー配列から構成されるアデノウイルス転写/翻訳複合体内に連結され得る。ウイルスゲノムの非必須E1またはE3領域における挿入を使用して、感染した宿主細胞においてポリペプチドを発現し得る、生存可能ウイルスを入手し得る(Logan,J.およびShenk,T.(1984)Proc.Natl.Acad.Sci.81:3655−3659)。さらに、転写エンハンサー(例えば、ラウス肉腫ウイルス(RSV)エンハンサー)を使用して、哺乳動物宿主細胞における発現を増加させ得る。
【0149】
特定の開始シグナルはまた、目的のポリペプチドをコードする配列のより効率的な翻訳を達成するために使用され得る。そのようなシグナルとしては、ATG開始コドンおよび隣接配列が挙げられる。ポリペプチドをコードする配列、その開始コドンおよび上流配列が適切な発現ベクター内に挿入される場合において、さらなる転写制御シグナルまたは翻訳制御シグナルは必要とされなくとも良い。しかし、コード配列のみ、またはその一部のみが挿入される場合、ATG開始コドンを含む外因性翻訳制御シグナルが提供されるべきである。さらに、開始コドンは、インサート全体の翻訳を確実にするために正確なリーディングフレーム内にあるべきである。外因性翻訳エレメントおよび開始コドンは、種々の起源(天然および合成の両方)に由来し得る。発現の効率は、使用される特定の細胞系に適切なエンハンサー(例えば、文献(Scharf,D.ら、(1994)Results Probl.Cell Differ.20:125−162)に記載されるエンハンサー)の封入によって増大され得る。
【0150】
さらに、宿主細胞株は、挿入された配列の発現を調節するか、または所望の様式において発現されたタンパク質をプロセシングするその能力について選択され得る。そのようなポリペプチドの改変としては、アセチル化、カルボキシル化、グリコシル化、リン酸化、リピデーション(lipidation)およびアシル化が挙げられるが、これらに限定されない。タンパク質の「プレプロ」形態を切断する翻訳後プロセシングはまた、正確な挿入、折り畳みおよび/または機能を促進させるために使用され得る。異なる宿主細胞(例えば、CHO、COS、HeLa、MDCK、HEK293およびWI38)(これらは、そのような翻訳後活性についての特定の細胞機構(machinery)および特徴的機構(mechanisms)を有する)は、外来タンパク質の正確な改変およびプロセシングを確実にするように選択され得る。
【0151】
組換えタンパク質の長期間での高収率の産生のために、安定な発現が一般的に好ましい。例えば、目的のポリヌクレオチドを安定に発現する細胞株が、ウイルス複製起点および/または内因性発現エレメントならびに同じかもしくは別個のベクター上の選択マーカー遺伝子を含み得る、発現ベクターを使用して形質転換され得る。そのベクターの導入後、細胞は、それらが選択培地に切換えられる前に、富化(enriched)培地において1〜2日間、増殖され得る。選択マーカーの目的は、選択に対する耐性を与えることであり、そしてその存在は、導入された配列を首尾良く発現する細胞の増殖および回収を可能とする。安定に形質転換された細胞の耐性クローンは、その細胞型に適切な組織培養技術を使用して、増殖され得る。
【0152】
多数の選択系を使用して、形質転換細胞株を回収し得る。これらの選択系としては、それぞれ、tk.sup.−細胞またはaprt.sup−細胞において使用され得る、単純疱疹ウイルスチミジンキナーゼ(Wigler,M.ら、(1977)Cell 11:223−32)およびアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Lowy,I.ら、(1990)Cell 22:817−23)遺伝子が挙げられるが、これらに限定されない。また、代謝拮抗剤耐性、抗生物質耐性または除草剤耐性は、選択のための基礎として使用され得る;例えば、dhfr(これは、メトトレキセートに対する耐性を与える(Wigler,M.ら、(1980)Proc.Natl.Acad.Sci.77:3567−70));npt(これは、アミノグリコシド、ネオマイシンおよびG−418に対する耐性を与える(Colbere−Garapin,F.ら、(1981)J.Mol.Biol.150:1−14);ならびにalsまたはpat(これらは、それぞれ、クロルスルフロンおよびホスフィノスリシンアセチルトランスフェラーゼに対する耐性を与える(Murry、前出))。さらなる選択遺伝子が記載されている。例えば、trpB(これは、細胞がトリプトファンの代わりにインドールを利用することを可能にする)またはhisD(これは、細胞がヒスチジンの代わりにヒスチノールを利用することを可能にする)(Hartman,S.C.およびR.C.Mulligan(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.85:8047−51)。最近、アントシアニン、β−グルクロニダーゼおよびその基質のGUS、ならびにルシフェラーゼおよびその基質のルシフェリンのようなマーカーを用いる、可視マーカーの使用の人気が高くなっており、形質転換体を同定するためのみならず、特定のベクター系に起因し得る一過性のタンパク質発現または安定なタンパク質発現の量を定量するためにもまた広範に使用されている(Rhodes,C.A.ら、(1995)Methods Mol.Biol.55:121−131)。
【0153】
マーカー遺伝子発現の存在/非存在は、目的の遺伝子もまた存在するということを示唆しているが、その存在および発現は、確認されることを必要とし得る。例えば、ポリヌクレオチドをコードする配列が、マーカー遺伝子配列内に挿入される場合、配列を含む組換え細胞は、マーカー遺伝子機能の非存在により同定され得る。あるいは、マーカー遺伝子は、1つのプロモーターの制御下にポリペプチドコード配列と直列に配置され得る。誘導または選択に応じてマーカー遺伝子の発現は、通常、その直列遺伝子の発現も同様に示す。
【0154】
あるいは、所望のポリヌクレオチド配列を含み、かつ発現する宿主細胞は、当業者に公知の種々の手順によって同定され得る。これらの手順としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:例えば、核酸またはタンパク質の検出および/または定量化のための膜ベースの技術、溶液ベースの技術、またはチップベースの技術を含む、DNA−DNAもしくはDNA−RNAハイブリダイゼーション技術およびタンパク質バイオアッセイ技術またはイムノアッセイ技術。
【0155】
ポリヌクレオチドにコードされる産物に特異的なポリクローナル抗体もしくはモノクローナル抗体のいずれかを使用して、ポリヌクレオチドにコードされる産物の発現を検出および測定するための種々のプロトコルは、当該分野において公知である。例としては、酵素結合免疫測定法(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)および蛍光活性化セルソーティング(FACS)が挙げられる。所定のポリペプチド上の2つの非干渉性エピトープに対して反応性であるモノクローナル抗体を利用する2つの部位の、モノクローナルベースのイムノアッセイが、いくつかの適用のために好まれ得るが、競合的結合アッセイもまた、利用され得る。これらのアッセイおよび他のアッセイが他の場所に記載される(Hampton,R.ら、(1990;Serological Methods,a Laboratory Manual,APS Press,St Paul.Minn.)およびMaddox,D.E.ら、(1983;J.Exp.Med.158:1211−1216))。
【0156】
広範な種々の標識技術および結合技術は、当業者に公知であり、そして種々の核酸アッセイおよびアミノ酸アッセイにおいて使用され得る。ポリヌクレオチドに関連する配列を検出するための標識されたハイブリダイゼーションまたはPCRプローブを作製するための手段としては、オリゴ標識(oligolabeling)、ニックトランスレーション、末端標識または標識されたヌクレオチドを使用するPCR増幅が挙げられる。あるいは、mRNAプローブの作製のために、配列またはその任意の部分が、ベクター内にクローン化され得る。そのようなベクターは、当該分野において公知であり、市販されており、そして適切なRNAポリメラーゼ(例えば、T7、T3、またはSP6)および標識されたヌクレオチドを添加することにより、RNAプローブをインビトロで合成するために使用され得る。これらの手順は、種々の市販キットを使用して実施され得る。使用され得る適切なレポーター分子または標識としては、放射性核種、酵素、蛍光、化学発光、または色素形成剤ならびに基質、コファクター、インヒビター、磁気粒子などが挙げられる。
【0157】
目的のポリヌクレオチド配列で形質転換された宿主細胞は、発現および細胞培養からタンパク質を回収するのに適した条件下において培養され得る。組換え細胞により産生されたタンパク質は、使用された配列および/またはベクターに依存して、細胞内に分泌または含まれ得る。当業者によって理解されるように、本発明のポリヌクレオチドを含む発現ベクターは、原核細胞膜または真核細胞膜を介して、コードされたポリペプチドの分泌を方向付けるシグナル配列を含むように設計され得る。他の組換え構築物を使用して、目的のポリペプチドをコードする配列を、可溶性タンパク質の精製を促進するポリペプチドドメインをコードするヌクレオチド配列に結合させ得る。そのような精製促進ドメインとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:固定された金属上での精製を可能にする金属キレート化ペプチド(例えば、ヒスチジン−トリプトファンモジュール)、固定された免疫グロブリン上での精製を可能にするプロテインAドメイン、およびFLAGS伸長/アフィニティー精製システム(Immunex Corp.,Seattle,Wash.)において利用されるドメイン。精製ドメインとコードされるポリペプチドとの間に切断可能なリンカー配列(例えば、第XA因子またはエンテロキナーゼに対して特異的な配列(Invitrogen.San Diego,Calif.))の封入体を使用して、精製を促進させ得る。そのような発現ベクターの1つは、目的のポリペプチドを含む融合タンパク質およびチオレドキシンまたはエンテロキナーゼ切断部位の前に6つのヒスチジン残基をコードする核酸の発現を提供する。ヒスチジン残基は、Porath,Jら、(1992、Prot.Exp.Purif.3:263−281)に記載されるように、IMIAC(固定化金属イオンアフィニティークロマトグラフィー)上での精製を促進する一方で、エンテロキナーゼ切断部位は、融合タンパク質から所望のポリペプチドを精製するための手段を提供する。融合タンパク質を含むベクターの考察は、Kroll,D.J.ら、(1993;DNA Cell Boil,12:441−453)において提供される。
【0158】
組換え産生方法に加えて、本発明のポリペプチドおよびそのフラグメントは、固相技術(Merrifield J.(1963)J.Am.Chem.Soc.85:2149−2154)を使用する、直接的ペプチド合成によって産生され得る。タンパク質合成は、手動技術を使用してか、または自動化によって実施され得る。自動化合成は、例えば、Applied Biosystems 431Aペプチド合成装置(Perkin Elmer)を使用して、達成され得る。あるいは、種々のフラグメントは、別々に化学的に合成されて、そして全長分子を産生するために化学的方法を使用して組み合わせられ得る。
【0159】
(抗体組成物、そのフラグメントおよび他の結合因子)
別の局面に従って、本発明はさらに、本明細書に開示される腫瘍ポリペプチド、またはその一部、改変体もしくは誘導体に対して免疫学的結合を示す、結合因子(例えば、抗体およびその抗原結合フラグメント)を提供する。抗体またはその抗原結合フラグメントは、本発明のポリペプチドに対して「特異的に結合する」、「免疫学的に結合する」といわれ、そして/または、抗体またはその抗原結合フラグメントが検出可能レベルでこのポリペプチドと(例えば、ELISAアッセイにおいて)反応し、そして類似の条件で関連しないポリペプチドと検出可能に反応しない場合、本発明のポリペプチドに対して「免疫学的に反応性」である。
【0160】
免疫学的結合とは、この文脈において用いる場合、一般に免疫グロブリン分子とこの免疫グロブリンが特異的である抗原との間に生じる非共有的相互作用の型をいう。免疫グロブリン結合相互作用の強度または親和性は、相互作用の解離定数(Kd)として表され得る。ここでKdが小さいほど、大きい親和性を示す。選択されたポリペプチドの免疫学的結合特性は、当該分野で周知の方法を用いて定量され得る。このような方法の1つは、抗原結合部位/抗原複合体の形成および解離の速度を測定することを伴う。ここでこれらの速度は、複合パートナーの濃度、相互作用の親和性、および幾何学的パラメーター(両方向きで速度に等しく影響する)に依存する。従って、「オン速度定数」(Kon)および「オフ速度定数」(Koff)の両方が、濃度ならびに会合および解離の実質速度の計算によって決定され得る。Koff/Konの率によって、親和性に関係しない全てのパラメーターの削除が可能になり、従ってこれは、解離定数Kdに等しい。一般的にはDavisら(1990)Annual Rev.Biochem.59:439〜473を参照のこと。
【0161】
抗体の「抗原結合部位」または「結合部分」とは、抗原結合に関与する免疫グロブリン分子の部分をいう。抗原結合部位は、重鎖(「H」)および軽鎖(「L」)のN末端可変領域(「V」)のアミノ酸残基によって形成される。重鎖および軽鎖のV領域内の3つの高度に相違するストレッチを、「超可変領域」とよぶ。この超可変領域は、「フレームワーク領域」すなわち「FR」として公知の、さらに保存された隣接するストレッチの間に差し挟まれている。従って、用語「FR」は、免疫グロブリンの超可変領域の間にそして隣接して天然に見出されるアミノ酸配列をいう。抗体分子においては、軽鎖の3つの超可変領域および重鎖の3つの超可変領域が、3次元空間においてお互いに対して配置され、抗原結合表面を形成する。抗原結合表面は、結合した抗原の3次元表面に相補的であり、そして各重鎖および軽鎖の3つの超可変領域は、「相補性決定領域」または「CDR」と呼ばれる。
【0162】
結合因子は、本明細書に提供される代表的アッセイを用いて、肺癌のような癌の存在する患者と存在しない患者との間をさらに識別し得る。たとえば、腫瘍タンパク質に結合する抗体または他の結合因子は、好ましくはこの疾患を有する患者の少なくとも20%において、より好ましくは患者の少なくとも約30%において、癌の存在を示すシグナルを生じる。あるいは、またはさらに、この抗体は、この癌の無い個体の少なくとも約90%においてこの疾患が存在しないことを示す陰性のシグナルを生成する。結合因子がこの要件を満たすか否かを決定するために、癌を有する患者および有さない患者(標準的臨床試験を用いて決定した)由来の生物学的サンプル(例えば、血液、血清、喀痰、尿、および/または腫瘍生検)を、この結合因子に結合するポリペプチドの存在について、本明細書に記載されるようにアッセイし得る。好ましくは、この疾患を有するサンプルおよび有さないサンプルの統計学的に有意な数をアッセイする。各結合因子は、上記の基準をみたすべきである;しかし、結合因子が感度を改善するために組み合わせて用いられ得ることを当業者は認識する。
【0163】
上記の要件を満足する任意の因子が結合因子であり得る。例えば、結合因子は、リボソーム(ペプチド成分を含むか、または含まない)、RNA分子、またはポリペプチドであり得る。好ましい実施形態において、結合因子は、抗体またはその抗原結合フラグメントである。抗体は、当業者に公知の任意の種々の技術によって調製され得る。例えば、HarlowおよびLane、Antibodies:A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory、1988を参照のこと。一般に、抗体は、組み換え抗体の産生を可能にするために、本明細書に記載のようなモノクローナル抗体の生成を含む、細胞培養技術によって、または適切な細菌宿主もしくは哺乳動物細胞宿主への抗体遺伝子のトランスフェクションを介して、生成され得る。1つの技術において、このポリペプチドを含む免疫原を、任意の広範な種々の哺乳動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、ヒツジおよびヤギ)に最初に注射する。この工程において、本発明のポリペプチドは、改変することなく、免疫原として供給され得る。あるいは、特に比較的短いポリペプチドに関しては、このポリペプチドがキャリアタンパク質(例えば、ウシ血清アルブミンまたはキーホールリンペットヘモシアニン)に連結される場合に、優れた免疫応答が誘導され得る。好ましくは、1つ以上のブースター免疫化を組み込む予め決定された計画に従って、この免疫原を動物の宿主内に注射し、そしてこの動物を定期的に採血する。次いで、このポリペプチドに特異的なポリクローナル抗体を、例えば、適切な固体支持体に結合されたポリペプチドを使用するアフィニティークロマトグラフィーによって、このような抗血清から精製し得る。
【0164】
目的の抗原性ポリペプチドについて特異的なモノクローナル抗体は、例えば、KohlerおよびMilstein、Eur.J.Immunol.6:511−519、1976の技術、ならびにその改良型を使用して調製され得る。手短に言うと、これらの方法は、所望の特異性(すなわち、目的のポリペプチドとの反応性)を有する抗体を産生し得る不死化細胞株の調製を包含する。このような細胞株は、例えば、上記のように、免疫された動物から得られた脾臓細胞から産生され得る。次いで、脾臓細胞は、例えば、ミエローマ細胞融合パートナー(好ましくは、免疫された動物と同系のもの)との融合によって不死化される。種々の融合技術が使用され得る。例えば、脾臓細胞およびミエローマ細胞は、非イオン性界面活性剤と数分間合わせられ得、次いで、ハイブリッド細胞の増殖を支持するが、ミエローマ細胞の増殖を支持しない選択培地上に低密度でプレートされる。好ましい選択技術は、HAT(ヒポキサンチン、アミノプテリン、チミジン)選択を使用する。十分な時間(通常約1〜2週間)後、ハイブリッドのコロニーが観察される。単一コロニーが選択され、そしてそれらの培養上清が、ポリペプチドに対する結合活性について試験される。高い反応性および特異性を有するハイブリドーマが好ましい。
【0165】
モノクローナル抗体を、増殖しているハイブリドーマコロニーの上清から単離し得る。さらに、種々の技術(例えば、適切な脊椎動物宿主(例えば、マウス)の腹膜腔へのハイブリドーマ細胞株の注入)が、収量を増大させるために利用され得る。次いで、モノクローナル抗体を、腹水または血液から収集し得る。夾雑物を、従来の技術(例えば、クロマトグラフィー、ゲル濾過、沈殿、および抽出)によって抗体から除去し得る。本発明のポリペプチドを、例えば、アフィニティークロマトグラフィー工程における精製工程において使用し得る。
【0166】
多数の治療的に有用な分子が、当該分野で公知であり、これらの分子は、抗体分子の免疫学的結合特性を示し得る抗原結合部位を含む。タンパク質分解酵素であるパパインは、IgG分子を優先的に切断し、いくつかのフラグメントを生じ、これら(「F(ab)」フラグメント)のうち2つは、それぞれインタクトな抗原結合部位を含む共有結合したヘテロ二量体を含む。酵素ペプシンは、IgG分子を切断し得、いくつかのフラグメントを提供する。これらのフラグメントは、両方の抗原結合部位を含む「F(ab’)2」フラグメントを含む。「Fv」フラグメントは、IgM免疫グロブリン分子の優先的なタンパク質切断(IgGまたはIgA免疫グロブリン分子については、まれにしか起こらない)によって生成され得る。しかし、より一般的には、Fvフラグメントは、当該分野で公知の組換え技術を使用して誘導される。Fvフラグメントとしては、非共有結合VH::VLヘテロ二量体(多くの抗原認識およびネイティブな抗体分子の結合能力を保持する抗原結合部位を含む)が挙げられる。Inbarら(1972)Proc.Nat.Acad.Sci.USA 69:2659〜2662;Hochmanら(1976)Biochem 15:2706〜2710;およびEhrlichら(1980)Biochem 19:4019〜4096。
【0167】
一本鎖Fv(「sFv」)ポリペプチドは、共有結合したVH::VLヘテロ二量体であり、これはペプチドをコードするリンカーによって連結されたVHコード遺伝子およびVLコード遺伝子を含む遺伝子の融合物から発現される。Hustonら(1988)Proc.Nat.Acad.Sci.USA 85(16):5879〜5883。天然に凝集しているが、化学的に別個の、抗体のV領域由来の軽鎖ポリペプチドおよび重鎖ポリペプチドの、sFv分子(これは、抗原結合部位の構造に実質的に類似の三次元構造に折り畳まれている)への変換について、化学的構造を識別するための多数の方法が、記載されている。例えば、米国特許第5,091,513号、および同第5,132,405号(Hustonらに対して);および米国特許第4,946,778号(Ladnerらに対して)を参照のこと。
【0168】
上記分子はそれぞれ、重鎖CDRセットおよび軽鎖CDRセットを含み、それぞれ重鎖FRセットと軽鎖FRセット(これらは、CDRSに対して補助を提供し、そして相互に関連してCDRの空間的な関係を規定する)との間に挿入される。本明細書中で使用される場合、用語「CDRセット」は、重鎖V領域または軽鎖V領域の3つの超可変領域を言う。重鎖または軽鎖のN末端から生じるこれらの領域は、それぞれ「CDR1」、「CDR2」、および「CDR3」として示される。従って、抗原結合部位は、各々重鎖V領域および軽鎖V領域由来のCDRセットを含む6つのCDRを含む。1つのCDR(例えば、CDR1、CDR2、またはCDR3)を含むポリペプチドは、本明細書中では、「分子認識ユニット」と呼ばれる。多数の抗原−抗体複合体の結晶構造解析によって、CDRのアミノ酸残基が、結合抗原と広範な接触を形成し、ここで最も広範な抗原接触は、重鎖CDR3との接触であることが、実証された。従って、分子認識ユニットは、主に抗原結合部位の特異性に寄与する。
【0169】
本明細書中で使用される場合、用語「FRセット」は、重鎖V領域または軽鎖V領域のCDRセットのCDRを形成する4つの隣接するアミノ酸配列を言う。いくつかのFR残基は、結合抗原と接触し得るが、FRは、主にV領域が、抗原結合部位、特にCDRSに直接隣接するFR残基に折り畳まれていることに寄与する。FR内において、特定のアミノ残基および特定の構造的特徴は、非常に高度に保存されている。この観点において、全てのV領域の配列は、約90のアミノ酸残基の内部ジスルフィドループを含んでいる。V領域が結合部位へ折り畳まれる場合、CDRは、抗原結合表面を形成する突出したループモチーフとして示される。特定の「標準的な(canonical)」構造(正確なCDRアミノ酸配列に関係なく)に折り畳まれた形態のCDRループに影響するFRの保存された構造領域が存在することが一般的に理解されている。さらに、特定のFR残基は、抗体の重鎖および軽鎖の相互作用を安定化する非共有結合ドメイン間接触に関係することが公知である。
【0170】
非ヒト免疫グロブリン由来の抗原結合部位を含む多数の「ヒト化(humanized)」抗体分子が記載されており、これらとしては、以下が挙げられる:げっ歯類V領域およびこれらに関連するヒト定常ドメインに融合されたCDRを有するキメラ抗体(Winterら(1991) Nature 349:293〜299;Lobuglioら(1989) Proc.Nat.Acad.Sci.USA 86:4220〜4224;Shawら(1987) J Immunol.138:4534〜4538;およびBrownら(1987) Cancer Res.47:3577〜3583)、適切なヒト抗体定常ドメインと融合される前にヒト補助FRにグラフト化されたげっ歯類CDR(Riechmannら(1988) Nature 332:323〜327;Verhoeyenら(1988) Science 239:1534〜1536;およびJanesら(1986) Nature 321:522〜525)、および組換えでベニア化されたげっ歯類FRによって補助されるげっ歯類CDR(欧州特許公開第519,596号(1992年12月23日公開))。これらの「ヒト化」分子は、げっ歯類抗ヒト抗体分子に対する所望されない免疫学的応答(これは、ヒトレシピエントにおけるこれらの部分の治療的な適用の持続時間および有効性を制限する)を最小にするように設計される。
【0171】
本明細書中で使用される場合、用語「ベニア化されたFR」および「組換えでベニア化されたFR」は、例えば、げっ歯類重鎖V領域またはげっ歯類軽鎖V領域由来のFR残基の、ヒトFR残基での選択的な置換(これは、実質的に全てのネイティブなFRポリペプチド折り畳み構造を保持する抗原結合部位を含む異種間分子を提供するためである)を言う。ベニアリング(veneering)技術は、抗原結合部位のリガンド結合特性が、主に抗原結合表面での重鎖および軽鎖CDRセットの構造ならびに相対的な配置によって決定されるという理解に基づいている。Daviesら(1990)Ann.Rev.Biochem.59:439〜473。従って、抗原結合特異性は、ヒト化抗体においてのみ保存され得、ここで、CDR構造、これらの相互の相互作用、および残りのV領域ドメインとのこれらの相互作用は、慎重に維持される。ベニアリング技術を使用することによって、外側の(例えば、溶媒に接近可能な)FR残基(これは、免疫系によって容易に攻撃される(encountered))は、ヒト残基で選択的に置き換えられて、弱い免疫原性のベニア化された表面または実質的に免疫原性のないベニア化された表面のいずれかを含むハイブリッド分子を提供する。
【0172】
ベニアリング工程は、Kabatら(Sequences of Proteins of Immunological Interest、第4版(U.S.Dept.of Health and Human Services、U.S.Government Printing Office、1987))によって集められたヒト抗体可変ドメインについての利用可能な配列のデータを利用して、Kabatのデータベース、ならびにアクセス可能な米国のデータベースおよび外国のデータベース(両方とも核酸およびタンパク質)を最新のものとする。V領域のアミノ酸の溶媒への接近性(accessibility)は、ヒト抗体フラグメントおよびマウス抗体フラグメントについての公知の三次元構造から予測され得る。マウス抗原結合部位をベニアリングする工程には、一般的な2つの工程がある。最初は、目的の抗体分子の可変ドメインのFRを、上で同定された供給源から得られたヒト可変ドメインの対応するFR配列と比較する。次いで、最も相同なヒトV領域を、対応するマウスアミノ酸に対する残基によって残基を比較する。ヒトの対応物(counterpart)とは異なるマウスFRの残基を、当該分野で周知の組換え技術を使用してヒトの部分に存在する残基によって置き換える。残基の置き換えは、少なくとも部分的に曝露された(溶媒に接近可能な)部分でのみ実施可能であり、アミノ酸残基(例えば、プロリン、グリシン、および荷電したアミノ酸は、V領域ドメインの三次元構造に有意な影響を有し得る)の置き換えは、慎重に実施される。
【0173】
この様式において生じた「ベニア化された」マウス抗原結合部位は、従って、マウスCDR残基を保持するように設計され、この残基は実質的にCDRに隣接し、この残基は、この残基は埋まっている(bury)か、またはほとんど埋まっている(溶媒に接近し得ない)として同定され、この残基は、重鎖ドメインと軽鎖ドメインとの間の非共有結合的な(例えば、静電気的および疎水的)接触と関係すると考えられ、そしてこの残基はCDRループの「標準的な」三次元構造に影響すると考えられているFRの保存された構造領域由来である。次いで、これらの設計基準を使用して、組換えヌクレオチド配列を調製する。この組換えヌクレオチド配列は、マウス抗原結合部位の重鎖および軽鎖の両方のCDRを、ヒト様(human−appearing)FR(これは、マウス抗体分子の抗原特異性を示す組換えヒト抗体の発現のための哺乳動物細胞をトランスフェクトするために使用され得る)に組み合せる。
【0174】
本発明の別の実施形態において、本発明のモノクローナル抗体は、1つ以上の治療薬剤に結合され得る。この点において適切な薬剤は、放射性核種、分化誘導剤、薬物、毒素、およびその誘導体を含む。好ましい放射性核種には、90Y、123I、125I、131I、186Re、188Re、211At、および212Biが含まれる。好ましい薬物には、メトトレキセート、ならびにピリミジンアナログおよびプリンアナログが含まれる。好ましい分化誘導剤には、ホルボールエステルおよび酪酸が含まれる。好ましい毒素には、リシン、アブリン、ジフテリア毒素、コレラ毒素、ゲロニン(gelonin)、Pseudomonas菌体外毒素、Shigella毒素、およびアメリカヤマゴボウ抗ウイルスタンパク質が含まれる。
【0175】
治療剤は、直接的にかまたは間接的(例えば、リンカー基を介して)にかのいずれかで適切なモノクローナル抗体に結合(例えば、共有結合によって)され得る。薬剤と抗体との間の直接的な反応は、各々が互いに反応し得る置換基を有する場合に可能である。例えば、一方の求核基(例えば、アミノ基またはスルフヒドリル基)は、他方のカルボニル含有基(例えば、無水物もしくは酸ハロゲン化物)または良好な遊離基(例えば、ハロゲン化物)を含むアルキル基などと反応し得る。
【0176】
あるいは、リンカー基を介して治療剤と抗体とを結合させることが所望され得る。リンカー基は、結合の可能性を妨げることを回避するために、抗体を薬剤から隔てるためのスペーサーとして機能し得る。リンカー基はまた、薬剤または抗体上の置換基の化学的反応性を増加させるために働き得、従って結合効率を増大させる。化学的反応性の増大はまた、薬剤または薬剤上の官能基の使用を容易にし得、そうでない場合には、化学的反応性の増大は可能ではない。
【0177】
種々の二官能性または多官能性試薬、ホモ官能性とヘテロ官能性との両方(例えば、Pierce Chemical Co.,Rockford,ILのカタログ中に記載されるもの)が、リンカー基として使用され得ることが当業者には明らかである。結合は、例えば、アミノ基、カルボキシル基、スルフヒドリル基、または酸化された炭水化物残基を介してもたらされ得る。このような方法論を記載する多数の参考文献(例えば、Rodwellらに対する米国特許第4,671,958号)が存在する。
【0178】
本発明の免疫結合体の抗体部分がない場合に治療剤がより強力である場合、細胞中への内部移行の間に、またはその際に切断可能なリンカー基を使用することが望ましくあり得る。多数の異なる切断可能なリンカー基が記載されてきた。これらのリンカー基からの薬剤の細胞内放出についての機構は、ジスルフィド結合の還元(例えば、Spitlerへの米国特許第4,489,710号)、感光性結合の照射(例えば、Senterらへの米国特許第4,625,014号)、誘導体化されたアミノ酸側鎖の加水分解(例えば、Kohnらへの米国特許第4,638,045号)、血清補体媒介性加水分解(例えば、Rodwellらへの米国特許第4,671,958号)、および酸触媒加水分解(例えば、Blattlerらへの米国特許第4,569,789号)による切断を含む。
【0179】
1つより多い薬剤を抗体に結合させることが望ましくあり得る。1つの実施形態において、複数の薬剤の分子が1つの抗体分子に結合される。別の実施形態において、1つより多い型の薬剤が1つの抗体に結合され得る。特定の実施形態に関わらず、1つより多い薬剤を有する免疫結合体は、種々の方法で調製され得る。例えば、1つより多い薬剤が、抗体分子に直接的に結合され得るか、または付着のための複数の部位を提供するリンカーが使用され得る。あるいは、キャリアが使用され得る。
【0180】
キャリアは、種々の方法(直接的にかまたはリンカー基を介するかのいずれかの共有結合を含む)で薬剤を保有し得る。適切なキャリアには、アルブミンのようなタンパク質(例えば、Katoらへの米国特許第4,507,234号)、ペプチド、およびアミノデキストランのような多糖類(例えば、Shihらへの米国特許第4,699,784号)を含む。キャリアはまた、例えばリポソームベシクル内に、非共有結合によってかまたはカプセル化によって、薬剤を保有し得る(例えば、米国特許第4,429,008号および同第4,873、088号)。放射性核種薬剤に特異的なキャリアは、放射性ハロゲン化低分子およびキレート化合物を含む。例えば、米国特許第4,735,792号は、代表的な放射性ハロゲン化低分子およびそれらの合成を開示する。放射性核種キレートは、金属、または金属酸化物、放射性核種を結合するためのドナー原子として窒素原子および硫黄原子を含むキレート化合物から形成され得る。例えば、Davisonらへの米国特許第4,673,562号は、代表的なキレート化合物およびそれらの合成を開示する。
【0181】
(T細胞組成物)
別の局面において、本発明は、本明細書中に開示の腫瘍ポリペプチド、またはその改変体もしくはその誘導体に特異的なT細胞を提供する。このような細胞は、一般的に標準的手順を使用して、インビトロまたはエキソビボで調製され得る。例えば、T細胞は、市販の細胞分離システム(例えば、IsolexTMシステム(Nexell Therapeutics,Inc.(Irvine,CA;米国特許第5,240,856号;米国特許第5,215,926号;WO89/06280;WO91/16116およびWO92/07243もまた参照のこと)から入手可能)を使用して、患者の骨髄、末梢血あるいは骨髄または末梢血の画分中から単離され得る。あるいは、T細胞は、関連するか、または関連のないヒト、非ヒト哺乳動物の細胞株または培養物から誘導され得る。
【0182】
T細胞は、ポリペプチド、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、および/またはこのようなポリペプチドを発現する抗原提示細胞(APC)で刺激され得る。このような刺激は、目的のポリペプチドに特異的なT細胞の生成を可能にするために十分な条件下で十分な時間、行われる。好ましくは、本発明の腫瘍ポリペプチドまたはポリヌクレオチドは、送達ビヒクル(例えば、ミクロスフェア)中に存在して、特異的T細胞の生成を容易にする。
【0183】
T細胞は、このT細胞が、特異的に増殖するか、サイトカインを分泌するか、またはポリペプチドで被覆されるかもしくはこのポリペプチドをコードする遺伝子を発現する標的細胞を殺傷する場合に、本発明のポリペプチドに特異的であるとみなされる。T細胞特異性は、種々の標準的技術のいずれかを使用して評価され得る。例えば、クロム放出アッセイまたは増殖アッセイにおいて、ネガティブコントロールと比較して、溶解および/または増殖における2倍を超える増加の刺激指標は、T細胞特異性を示す。このようなアッセイは、例えば、Chenら、Cancer Res.54:1065−1070,1994に記載されるように、実行され得る。あるいは、T細胞の増殖の検出は、種々の公知の技術によって達成され得る。例えば、T細胞増殖は、DNA合成の速度の増加を測定することによって検出され得る(例えば、トリチウム化チミジンでT細胞の培養物をパルス標識し、そしてDNAに組み込まれたトリチウム化チミジンの量を測定することによって)。3〜7日間の肺腫瘍ポリペプチド(100ng/ml〜100μg/ml、好ましくは、200ng/ml〜25μg/ml)との接触は、代表的には、T細胞の増殖において少なくとも2倍の増加を生じる。2〜3時間の上記のような接触は、標準的なサイトカインアッセイを使用して測定されるように、T細胞の活性化を生じるはずであり、ここで、サイトカイン(例えば、TNFまたはIFN−γ)放出のレベルの2倍の増加が、T細胞の活性化を示す(Coliganら、Current Protocols in Immunology,第1巻、Wiley Interscience(Greene 1998)を参照のこと)。腫瘍ポリペプチド、ポリヌクレオチドまたはポリペプチド発現APCに応答して活性化されたT細胞は、CD4+および/またはCD8+であり得る。腫瘍ポリペプチド特異的T細胞は、標準的な技術を使用して増殖され得る。好ましい実施形態において、T細胞は、患者、関連するドナーまたは関連のないドナーに由来し、そして刺激および増殖後にその患者に投与される。
【0184】
治療目的で、腫瘍ポリペプチド、ポリヌクレオチドまたはAPCに応答して増殖するCD4+T細胞またはCD8+T細胞は、インビトロまたはインビボのいずれかで大量に増殖され得る。このようなT細胞のインビトロでの増殖は、種々の方法で達成され得る。例えば、T細胞は、T細胞増殖因子(例えば、インターロイキン−2)の添加を伴うか、または伴わずに、腫瘍ポリペプチド、またはこのようなポリペプチドの免疫原性部分に対応する短いペプチド、および/または肺腫瘍ポリペプチドを合成する刺激細胞に対して再度曝露され得る。あるいは、腫瘍ポリペプチドの存在下で増殖する1つ以上のT細胞は、クローニングによって数の上で拡大され得る。細胞をクローニングするための方法は、当該分野で周知であり、そしてこれらとしては、限界希釈が挙げられる。
【0185】
(薬学的組成物)
さらなる実施形態において、本発明は、細胞または動物に、単独でか、または1つ以上の他の治療部分と組み合わせでかのいずれかで投与するための、1つ以上の薬学的に受容可能な溶液中に本明細書中に開示されるポリヌクレオチド、ポリペプチド、T細胞および/または抗体組成物の処方物に関する。
【0186】
所望である場合、本明細書中で開示される組成物は、他の薬剤(例えば、他のタンパク質もしくはポリペプチドまたは種々の薬学的に活性な薬剤)とも組み合わせて投与され得る。事実、含まれ得る他の成分にもまた制限はない、但し、さらなる薬剤が標的細胞または宿主組織との接触に有意に有害な効果を生じない。従って、これらの組成物は、特定の場合に必要とされる種々の他の薬剤とともに送達され得る。このような組成物は、宿主細胞または他の生物学的供給源から精製され得るか、あるいは本明細書中に記載されるように化学的に合成され得る。同様に、このような組成物は、置換されたか、または誘導体化されたRNAまたはDNA組成物をさらに含み得る。
【0187】
従って、本発明の別の局面において、薬学的組成物が提供され、これは1以上のポリヌクレオチド、ポリペプチド、抗体、および/またはT細胞組成物(本明細書中では、生理学的に受容可能なキャリアとの組合せで記載される)を含む。特定の好ましい実施形態において、本発明の薬学的組成物は、予防的なワクチン適用および治療的なワクチン適用における使用のための本発明の免疫原性ポリヌクレオチド組成物および/またはポリペプチド組成物を含む。ワクチン調製は、一般的に、例えば、M.F.PowellおよびM.J.Newman(編)「Vaccine Design(the subunit and adjuvant approach)」、Plenum Press(NY、1995)に記載される。一般的に、このような組成物は、本発明の1以上のポリヌクレオチド組成物および/またはポリペプチド組成物を、1以上の免疫刺激物質との組み合せで含む。
【0188】
本明細書中に記載される薬学的組成物のいずれかが、本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドの薬学的に受容可能な塩を含み得ることが明らかである。このような塩は、例えば、有機塩基(例えば、第一級アミンの塩、第二級アミンの塩および第三級アミンの塩、ならびに塩基性アミノ酸の塩)および無機塩基(例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウムおよびマグネシウム塩)を含む薬学的に受容可能な無毒の塩基から調製され得る。
【0189】
別の実施形態において、例示的な本発明の免疫原性組成物(例えば、ワクチン組成物)は、インサイチュでこのポリペプチドが生成されるように上記のような1以上のポリペプチドをコードするDNAを含む。上記のように、このポリヌクレオチドは、当業者に公知の種々の多様な系のいずれかにおいて投与され得る。実際に、多数の遺伝子送達技術が、当該分野で公知であり、例えば、Rolland、Crit.Rev.Therap.Drug Carrier Systems 15:143〜198、1998、およびそこに列挙されている参考文献に記載の技術がある。当然のことながら、適切なポリヌクレオチド発現系は、患者での発現のために必要な調節DNAの調節配列(例えば、適切なプロモーターおよび終結シグナル)を含む。あるいは、細菌送達系は、細菌(例えば、Bacillus−Calmette−Guerrin)細胞表面のポリペプチドの免疫原性部分を発現するか、またはそのようなエピトープを分泌する細菌の投与を含み得る。
【0190】
従って、特定の実施形態において、本明細書中に記載の免疫原性ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、多数の公知のウイルスに基づく系のいずれかを使用して、発現のための適切な哺乳動物宿主細胞中に導入される。1つの例示的な実施形態において、レトロウイルスは、遺伝子送達系について簡便かつ有効なプラットホーム(platform)を提供する。本発明のポリペプチドをコードする選択されたヌクレオチド配列は、当該分野で公知の技術を使用して、ベクター中に挿入され得、そしてレトロウイルス粒子中にパッケージングされ得る。次いで、組換えウイルスが単離され得、そして被験体に送達され得る。多数の例示的なレトロウイルス系が、記載されている(例えば、米国特許第5,219,740号;MillerおよびRosman(1989)Bio Techniques 7:980〜990;Miller,A.D.(1990)Human Gene Thrapy 1:5〜14;Scarpaら(1991)Virology 180:849〜852;Burnsら(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:8033〜8037;ならびにBoris−LawrieおよびTemin(1993)Cur.Opin.Genet.Develop.3:102〜109)。
【0191】
さらに、多数の例示的なアデノウイルスに基づく系がまた記載されている。宿主ゲノム中に組込まれるレトロウイルスとは異なり、アデノウイルスは染色体外に保持され、従って挿入性の変異誘発に関連する危険性を最小限にする(Haj−AhmadおよびGraham(1986)J.Virol.57:267〜274;Bettら(1993)J.Virol.67:5911〜5921;Mitterederら(1994)Human Gene Therapy 5:717〜729;Sethら(1994)J.Virol.68:933〜940;Barrら(1994)Gene Therapy 1:51〜58;Berkner,K.L.(1988)Bio Techniques 6:616〜629;ならびにRichら(1993)Human Gene Therapy 4:461〜476)。
【0192】
種々のアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター系がまた、ポリヌクレオチド送達のために開発されている。AAVベクターは、当該分野で周知の技術を使用して容易に構築され得る。例えば、米国特許第5,173,414号および同第5,139,941号;国際公開番号WO 92/01070および同WO 93/03769;Lebkowskiら(1988)Molec.Cell.Biol.8:3988〜3996;Vincentら(1990)Vaccines 90(Cold Spring Harbor Laboratory Press);Carter,B.J.(1992)Current Opinion in Biothechnology 3:533〜539;Muzyczka,N.(1992)Current Topics in Microbiol and Immunol.158:97〜129;Kotin,R.M.(1994)Human Gene Therapy 5:793〜801;ShellingおよびSmith(1994)Gene Therapy 1:165〜169;ならびにZhouら(1994)J.Exp.Med.179:1867〜1875を参照のこと。
【0193】
本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを遺伝子転移によって送達するために有用なさらなるウイルスベクターとしては、ウイルスのポックスファミリー(例えば、ワクシニアウイルスおよびアビポックスウイルス)に由来するウイルスベクターが挙げられる。例としては、新規な分子を発現するワクシニアウイルス組替え体は、以下のように構築され得る。ポリペプチドをコードするDNAは、最初に適切なベクター中に、このDNAがワクシニアプロモーターに隣接し、そしてワクシニアDNA配列(例えば、チミジンキナーゼ(TK)をコードする配列)に隣接するように挿入される。次いで、このベクターを使用して、細胞にトランスフェクトし、これは同時にワクシニアに感染される。相同組替えは、ワクシニアプロモーターおよび目的のポリペプチドをコードする遺伝子をウイルスゲノム中に挿入するように働く。得られたTK.sup.(−)組替え体は、5−ブロモデオキシウリジンの存在下で細胞を培養し、そしてそれに耐性であるウイルスプラークを選ぶことによって選択され得る。
【0194】
ワクシニアベースの感染/トランスフェクション系は、都合よく使用されて、生物体の宿主細胞において、本明細書中に記載される1つ以上のポリペプチドの誘導性で一過性の、発現または同時発現を提供する。この特定の系において、細胞は、最初にインビトロでワクシニアウイルス組替え体(これはバクテリオファージT7 RNAポリメラーゼをコードする)で感染される。このポリメラーゼは、このポリメラーゼがT7プロモーターを保有するテンプレートのみを転写するという精巧な特異性を示す。感染後、細胞はT7プロモーターで駆動されて目的のポリヌクレオチドまたはポリペプチドでトランスフェクトされる。ワクシニアウイルス組替え体由来の原形質中で発現されるポリメラーゼは、トランスフェクトしたDNAをRNA中に転写し、これは次いで、宿主の翻訳機構によってポリペプチドに翻訳される。この方法は、高レベルで一過性の、大量のRNAの原形質産物およびその翻訳産物を提供する。例えば、Elroy−SteinおよびMoss、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1990)87:6743〜6747;Fuerstら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1986)83:8122〜8126を参照のこと。
【0195】
あるいは、アビポックスウイルス(例えば、家禽ポックスウイルスおよびカナリアポックスウイルス)はまた、目的のコード配列を送達するために使用され得る。組替えアビポックスウイルス(哺乳動物病原体から免疫原を発現する)は、非トリ種に投与する場合、保護的免疫を与えることが公知である。アビポックスベクターの使用は、ヒトおよび他の哺乳動物種において特に望ましい。なぜなら、アビポックス属は、感受性のトリ種においてのみ生産的に複製され得、従って哺乳動物細胞において感染的ではないからである。組替えアビポックスウイルスを産生する方法は、当該分野で公知であり、そしてワクシニアウイルスの産生に関して上述のように、遺伝的組替えを使用する。例えば、WO91/12882;WO89/03429;およびWO92/03545を参照のこと。
【0196】
多くのアルファウイルスベクターのいずれかはまた、本発明のポリヌクレオチド組成物の送達のために使用され得、例えば、これらのベクターは、米国特許第5,843,723号;同第6,015,686号;同第6,008,035号および同第6,015,694号に記載される。ベネズエラウマ脳脊髄炎(VEE)に基づく特定のベクターもまた使用され得、これらの例示的な例は米国特許第5,505,947号および同第5,643,576号において見出され得る。
【0197】
さらに、分子結合体ベクター(例えば、アデノウイルスキメラベクター(Michaelら、J.Biol.Chem(1993)268:6866〜6869およびWagnerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1992)89:6099〜6103に記載される)など)はまた、本発明下で遺伝子送達のために使用され得る。
【0198】
これらおよび他の公知のウイルスベースの送達系についてのさらなる例示的な情報は、例えば、以下において見出され得る:Fisher−Hochら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:317〜321、1989;Flexnerら、Ann.N.Y.Acad.Sci.569:86〜103、1989;Flexnerら、Vaccine 8:17〜21、1990;米国特許第4,603,112号、同第4,769,330号および同第5,017,487号;WO89/01973;米国特許第4,777,127号;GB 2,200,651:EP 0,345,242号;WO 91/02805;Berkner、Biotechniques 6:616〜627、1988;Rosenfeldら、Science 252:431〜434、1991;Kollsら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:215〜219、1994;Kass−Eislerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:11498〜11502、1993;Guzmanら、Circulation 88:2838〜2848、1993;ならびにGuzmanら、Cir.Res.73:1202〜1207、1993。
【0199】
特定の実施形態において、ポリヌクレオチドは、標的細胞のゲノム中に組み込まれ得る。この組み込みは、相同組替え(遺伝子置換)を介する特異的な配置および配向であっても良いし、またはランダムな非特異的な配置(遺伝子増強)で組み込まれても良い。なおさらなる実施形態において、このポリヌクレオチドは、細胞中に、DNAの別々のエピソームセグメントとして安定に維持され得る。このようなポリヌクレオチドセグメントすなわち「エピソーム」は、宿主細胞周期と独立してか、または宿主細胞周期と同調した維持および複製を可能にするのに十分な配列をコードする。発現構築物が細胞に送達され、そしてこの細胞において、ポリヌクレオチドが残存する様式は、使用される発現構築物の型に依存する。
【0200】
本発明の別の実施形態において、ポリヌクレオチドは、例えば、Ulmerら、Science 259:1745〜1749、1993に記載されそしてCohen、Science 259:1691〜1692、1993により概説されるような「裸」のDNAとして投与/送達される。裸のDNAの取り込みは、生分解性ビーズ(これは、細胞に効率的に輸送される)上にそのDNAをコーティングすることによって増加され得る。
【0201】
さらに別の実施形態において、本発明の組成物は、微粒子銃アプローチを介して送達され得、この微粒子銃の多くが記載されている。1つの例示的な例において、ガス駆動粒子加速は、Powderject Pharmaceuticals PLC(Oxford,UK)およびPowderject Vaccinenes Inc.(Madison,WI)によって製造されているようなデバイスを使用して達成され得、これらのいくつかの例は、米国特許第5,846,796号、同第6,010,478号;同第5,865,796号;同第5,584,807号;および欧州特許第0500799号に記載される。このアプローチは、針無し送達アプローチを提供し、ここで、微視的な粒子の乾燥粉末処方物(例えば、ポリヌクレオチドまたはポリペプチド粒子)は、手持ち型デバイスによって生成されるヘリウムガスジェット中で、高速に加速されこの粒子を目的の標的組織へと推進する。
【0202】
関連する実施形態において、本発明の組成物のガス駆動針無し注入に有用であり得る他のデバイスおよび方法は、Bioject,Inc.(Portland,OR)によって提供されるようなものを含み、これらのいくつかの例は、米国特許第4,790,824号;同第5,064,413号;同第5,312,335号;同第5,383,851号;5,399,163号;同第5,520,639号および同第5,993,412号に記載される。
【0203】
別の実施例に従って、本明細書中に記載される薬学的組成物は、本発明の免疫原性ポリヌクレオチド、ポリペプチド、抗体、T細胞および/またはAPC組成物に加えて、1つ以上の免疫刺激因子を含む。免疫刺激因子は、外因性抗原に対する(抗体および/もしくは細胞介在)免疫応答を亢進(enhance)または増強(potentiate)する、基本的に任意の物質をいう。免疫刺激因子の1つの好ましい例は、アジュバントを含む。多くののアジュバントは、抗原を迅速な異化から防御するように設計された物質(例えば、水酸化アルミニウムまたは鉱油)および免疫応答の刺激因子(例えば、リピドA(脂質A)、Bortedella pertussisまたはMycobacterium tuberculosis由来のタンパク質)を含む。特定のアジュバントは、例えば、フロイント不完全アジュバントおよびフロイント完全アジュバント(Difco Laboratories,Detroit,MI);Merck Adjuvant 65(Merck and Company,Inc.,Rahway,NJ);AS−2(SmithKline Beecham,Philadelphia,PA);アルミニウム塩(例えば、水酸化アルミニウムゲル(ミョウバン)またはリン酸アルミニウム);カルシウム、鉄、または亜鉛の塩;アシル化したチロシンの不溶性懸濁液;アシル化した糖;カチオン性かまたはアニオン性に誘導される多糖類;ポリフォスファーゼン;生分解性ミクロスフェア、モノホスホリルリピドAおよびquil Aとして市販されている。サイトカイン(例えば、GM−CSFまたはインターロイキン−2、インターロイキン−7もしくはインターロイキン−12および他の増殖因子様のもの)もまた、アジュバントとして使用され得る。
【0204】
本発明の特定の実施形態において、そのアジュバント組成物は、好ましくは、優勢にTh1型の免疫応答を誘導するアジュバント組成物である。高レベルのTh1型サイトカイン(例えば、IFN−γ、TNFα、IL−2およびIL−12)は、投与される抗原に対する細胞媒介性免疫応答の誘導を支持する傾向がある。対照的に、高レベルのTh2型サイトカイン(例えば、IL−4、IL−5、IL−6およびIL−10)は、体液性免疫応答の誘導を支持する傾向がある。本明細書中に提供されるようなワクチンの適用の後、患者は、Th1型応答およびTh2型応答を含む免疫応答を支持する。応答が優勢にTh1型である好ましい実施形態において、Th1型サイトカインのレベルは、Th2型サイトカインのレベルより高い程度まで増加する。これらのサイトカインのレベルは、標準的アッセイを使用して容易に評価され得る。サイトカインのファミリーの概説については、MosmannおよびCoffman、Ann.Rev.Immunol.7:145〜173、1989を参照のこと。
【0205】
優勢なTh1型応答を惹起するための特定の好ましいアジュバントとしては、例えば、モノホスホリルリピドA(好ましくは3−de−O−アシル化モノホスホリルリピドA)とアルミニウム塩との組み合わせが挙げられる。MPL(登録商標)アジュバントは、Corixa Corporation(Seattle、WA;例えば、米国特許第4,436,727号;同第4,877,611号;同第4,866,034号および同第4,912,094号を参照のこと)から入手可能である。CpG含有オリゴヌクレオチド(そのCpGジヌクレオチドはメチル化されていない)もまた、優勢にTh1応答を誘導する。このようなオリゴヌクレオチドは周知であり、例えば、WO 96/02555、WO 99/33488ならびに米国特許第6,008,200号および同第5,856,462号に記載されている。免疫刺激性DNA配列もまた、例えば、Satoら、Science 273:352、1996により記載されている。別の好ましいアジュバントは、サポニン(例えば、Quil Aもしくはその誘導体(QS21およびQS7(Aquila Biopharmaceuticals Inc.、Framingham、MA)を含む));エスチン(Escin);ジギトニン(Digitonin);またはGypsophilaもしくはChenopodium quinoaサポニンを含む。他の好ましい処方物としては、本発明のアジュバントの組合わせにおいて1つよりも多くのサポニン(例えば、以下を含む群:QS21、QS7、Quil A、β−エスチンまたはジギトニンのうち少なくとも2つの組み合わせを含む)。
【0206】
あるいは、このサポニン処方物は、ワクチンビヒクルと組合わされ得、このワクチンビヒクルは、キトサンもしくは他のポリカチオン性ポリマー、ポリラクチドおよびポリラクチド−co−グリコリド粒子、ポリ−N−アセチルグルコサミンベースのポリマーマトリクス、多糖類もしくは化学的に改変された多糖類からなる粒子、リポソームおよび脂質ベースの粒子、グリセロールモノエステルからなる粒子などからなる。このサポニンはまた、コレステロールの存在下で処方されてリポソームまたはISCOMのような粒子構造を形成し得る。さらに、このサポニンは、非粒子性溶液もしくは非粒子性懸濁液のいずれかにおいてか、または少層状(paucilamelar)リポソームまたはISCOMのような粒子構造において、ポリオキシエチレンのエーテルもしくはエステルと共に処方され得る。このサポニンはまた、Carbopol(登録商標)のような賦形剤と共に処方されて粘度を増加させても良いし、またはラクトースのような粉末の賦形剤を用いて乾燥粉末の形態で処方されても良い。
【0207】
1つの好ましい実施形態において、このアジュバント系は、モノホスホリルリピドAとサポニン誘導体との組み合わせ(例えば、WO 94/00153に記載されるような、QS21と3D−MPL(登録商標)との組み合わせ)またはWO 96/33739に記載されるような、QS21がコレステロールでクエンチされている反応生成が低い(less reactogenic)組成物を含む。他の好ましい処方物は、水中油エマルジョンおよびトコフェロールを含む。水中油エマルジョン中のQS21、3D−MPL(登録商標)アジュバントおよびトコフェロールを利用する、特に好ましい別のアジュバント処方物が、WO 95/17210に記載されている。
【0208】
別の増強されたアジュバント系は、CpG含有オリゴヌクレオチドとサポニン誘導体との組合わせを含み、特にCpGとQS21との組合わせは、WO00/09159において記載されている。好ましくは、この処方物はさらに、水中油エマルジョンおよびトコフェロールを含む。
【0209】
本発明の薬学的組成物において使用するためのさらなる例示的なアジュバントとしては、Montanide ISA 720(Seppic,France)、SAF(Chiron、California、United States)、ISCOMS(CSL)、MF−59(Chiron)、アジュバントのSBASシリーズ(例えば、SBAS−2またはSBAS−4、SmithKline Beecham,Rixensart,Belguimから入手可能)、Detox(Enhanzyn(登録商標)(Corixa,Hamilton,MT)、RC−529(Corixa,Hamilton,MT)、および他のアミノアルキルグルコサミニド4−リン酸(AGP)(例えば、係属中の米国特許出願番号08/853,826および09/074,720(これらの開示は、その全体において本明細書中で参考として援用される)、ならびにポリオキシエチレンエステルアジュバント(例えば、WO99/52549A1に記載される)が挙げられる。
【0210】
他の好ましいアジュバントとしては、以下の一般式のアジュバント分子を含み:
(I): HO(CH2CH2O)n−A−R
ここで、nは、1〜50であり、Aは、単結合または−C(O)−であり、Rは、C1〜50アルキルまたはフェニルC1〜50アルキルである。
【0211】
本発明の1つの実施形態は、一般式(I)のポリオキシエチレンエーテルを含むワクチン処方物からなり、ここで、nは1と50との間であり、好ましくは4〜24、最も好ましくは9であり;R成分は、C1〜50アルキル、好ましくはC4〜C20アルキルであり、最も好ましくはC12アルキルであり、そしてAは、単結合である。ポリオキシエチレンエーテルの濃度は、0.1〜20%の範囲であり、好ましくは0.1〜10%の範囲であり、そして最も好ましくは0.1〜1%の範囲であるべきである。好ましいポリオキシエチレンエーテルは、以下の群から選択される:ポリオキシエチレン−9−ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン−9−ステオリル(steoryl)エーテル、ポリオキシエチレン−8−ステオリルエーテル、ポリオキシエチレン−4−ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン−35−ラウリルエーテル、およびポリオキシエチレン−23−ラウリルエーテル。ポリオキシエチレンエーテル(例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル)は、Merckインデックス(第12版:エントリー7717)に記載されている。これらのアジュバント分子は、WO99/52549に記載されている。
【0212】
上記の一般式(I)に従うポリオキシエチレンエーテルは、所望される場合、別のアジュバントと組合わされ得る。例えば、好ましいアジュバントの組み合わせは、好ましくは、係属中のUK特許出願GB9820956.2に記載されるようなCpGとの組み合わせである。
【0213】
本発明の別の実施形態に従って、本明細書中に記載される免疫原性組成物は、抗原提示細胞(APC)(例えば、樹状細胞、マクロファージ、B細胞、単球、および有効なAPCであるように操作され得る他の細胞)を介して宿主に送達される。このような細胞は、抗原を提示する能力を増大するように、T細胞応答の活性化および/または維持を改良するように、それ自体で抗腫瘍効果を有するように、そして/あるいは受け手(すなわち、一致するHLAハプロタイプ)と免疫学的に適合性であるように遺伝学的に改変され得るが、改変される必要はない。APCは、一般に、種々の生物学的な流体および器官(腫瘍および腫瘍周辺組織を含む)のいずれかから単離され得、そして自己細胞、同種異系細胞、同系細胞、または異種細胞であり得る。
【0214】
本発明の特定の好ましい実施形態は、抗原提示細胞として、樹状細胞またはその前駆細胞を使用する。樹状細胞は、高度に強力なAPCであり(BanchereauおよびSteinman、Nature 392:245−251、1998)、そして予防的または治療的な抗腫瘍免疫性を誘発するための生理学的アジュバンドとして有効であることが示されてきた(TimmermanおよびLevy、Ann.Rev.Med.50:507−529、1999を参照のこと)。一般に、樹状細胞は、それらの代表的な形状(インサイチュでは星状、インビトロでは目に見える顕著な細胞質プロセス(樹枝状結晶)を有する)、高い効率で抗原を取り込み、処理し、そして提示するそれらの能力、および未処置の(naive)T細胞応答を活性化するそれらの能力に基づいて同定され得る。もちろん樹状細胞は、インビボまたはエキソビボで樹状細胞上に通常見出されない特定の細胞表面レセプターまたはリガンドを発現するように操作され得、このような改変樹状細胞は本発明によって意図される。樹状細胞の代替として、分泌小胞抗原装荷樹状細胞(secreted vesicles antigen−loaded dendritic cells)(エキソソーム(exosome)と呼ばれる)がワクチン内で使用され得る(Zitvogelら、Nature Med.4:594−600,1998を参照のこと)。
【0215】
樹状細胞および前駆細胞は、末梢血、骨髄、腫瘍浸潤細胞、腫瘍周辺組織浸潤細胞、リンパ節、脾臓、皮膚、臍帯血、または任意の他の適切な組織もしくは流体から得られ得る。例えば、樹状細胞は、末梢血から収集された単球の培養物に、GM−CSF、IL−4、IL−13および/またはTNFαのようなサイトカインの組み合わせを添加することによってエキソビボで分化され得る。あるいは、末梢血、臍帯血または骨髄から収集されたCD34陽性細胞は、培養培地にGM−CSF、IL−3、TNFα、CD40リガンド、LPS、flt3リガンドならびに/または樹状細胞の分化、成熟、および増殖を誘導する他の化合物の組合わせによって、樹状細胞に分化され得る。
【0216】
樹状細胞は、「未熟」細胞および「成熟」細胞として都合良く分類され、このことは、2つの十分に特徴付けられた表現型の間を区別する単純な方法を与える。しかしこの命名法は、全ての可能な分化の中間段階を排除するように解釈されるべきではない。未熟な樹状細胞は、抗原の取り込みおよびプロセシングの高い能力を有するAPCとして特徴付けられ、この能力は、Fcγレセプターおよびマンノースレセプターの高度な発現と相関する。成熟表現型は、代表的に、クラスIおよびクラスII MHC、接着分子(例えば、CD54およびCD11)ならびに同時刺激性分子(例えば、CD40、CD80、CD86および4−1BB)のようなT細胞活性化の原因である細胞表面分子の高度な発現ではなく、これらのマーカーのより低い発現によって特徴付けられる。
【0217】
APCは、一般に、本発明のポリヌクレオチド(またはその部分もしくは他の改変体)を用いてトランスフェクトされ得、その結果、コードされたポリペプチドまたはその免疫原性部分が細胞表面上に発現される。このようなトランスフェクションはエキソビボで生じ得、次いでこのようなトランスフェクトされた細胞を含む薬学的組成物は、本明細書中に記載されるように、治療目的のために使用され得る。あるいは、樹状細胞または他の抗原提示細胞を標的とする遺伝子送達ビヒクルが、患者に投与され得、インビボで起こるトランスフェクションを生じる。樹状細胞のインビボおよびエキソビボでのトランスフェクションは、例えば、WO97/24447に記載される方法、またはMahviら、Immunology and cell Biology 75:456−460、1997によって記載される遺伝子銃アプローチのような当該分野で公知の任意の方法を使用して一般に実施され得る。樹状細胞の抗原装荷は、樹状細胞または前駆細胞を、腫瘍ポリペプチド、DNA(裸のもしくはプラスミドベクター中の)またはRNA;あるいは抗原発現性組換え細菌またはウイルス(例えば、牛痘、鶏痘、アデノウイルスまたはレンチウイルスのベクター)とインキュベートすることによって達成され得る。装荷の前に、ポリペプチドは、T細胞補助(例えば、キャリア分子)を提供する免疫学的パートナーに共有結合され得る。あるいは、樹状細胞は、別々にかまたはポリペプチドの存在下で、結合体化していない免疫学的パートナーと同調(pulse)され得る。
【0218】
当業者に公知である任意の適切なキャリアが本発明の薬学的組成物において使用されているが、キャリアの型は代表的に投与の様式に依存して変化する。本発明の組成物は、投与の任意の適切な様式で処方され得、これには、例えば局所投与、経口投与、経鼻投与、粘膜投与、静脈投与、頭蓋内投与、腹腔内投与、皮下投与および筋肉内投与が挙げられる。
【0219】
このような薬学的組成物内での使用のためのキャリアは、生体適合性であり、そしてまた、生分解性であり得る。特定の実施形態において好ましくはその処方物は、比較的一定なレベルの活性成分放出を提供する。しかし他の実施形態において、投与の際すぐのより速い放出の速度が所望され得る。このような組成物の処方は、公知の技術を使用した当業者のレベル内である。この点において有用である例示的なキャリアとしては、ポリ(ラクチド−co−グリコリド)、ポリアクリレート、ラテックス、デンプン、セルロース、デキストランなどの微粒子が挙げられる。他の例示的な遅延性放出キャリアとしては、超分子バイオベクター(supramolecular biovector)が挙げられ、これは、非水性親水性コア(例えば、架橋した多糖またはオリゴ糖)と、必要に応じて両親媒性化合物(例えば、リン脂質)を含む外層とを含む(例えば、米国特許第5,151,254号およびPCT出願WO94/20078、WO/94/23701およびWO 96/06638を参照のこと)。徐放性処方物中に含まれる活性化合物の量は、移植部位、放出の速度および予想持続期間、ならびに処置または予防されるべき状態の性質に依存する。
【0220】
別の例示的な実施形態において、生分解性ミクロスフェア(例えば、ポリ乳酸、ポリグリコール酸)は、本発明の組成物のためのキャリアとして使用される。適切な生分解性ミクロスフェアは、例えば、米国特許第4,897,268号;同第5,075,109号;同第5,928,647号;同第5,811,128号;同第5,820,883号;同第5,853,763号;同第5,814,344号、同第5,407,609号および同第5,942,252号に開示される。改変されたB型肝炎コアタンパク質系(例えば、WO/99 40934およびそこで引用される文献に記載されるような)もまた、多くの応用について有用である。別の例示的なキャリア/送達系は、米国特許第5,928,647号に記載される微粒子−タンパク質複合体を含むキャリアを使用し、このようなキャリアは、宿主においてクラスI拘束細胞傷害性Tリンパ球応答を誘導し得る。
【0221】
本発明の組成物は、しばしば1つ以上の緩衝剤(例えば、中性の緩衝化生理食塩水またはリン酸緩衝化生理食塩水);糖質(例えば、グルコース、マンノース、スクロースまたはデキストラン);マンニトール;タンパク質;ポリペプチドまたはアミノ酸(例えば、グリシン);抗酸化剤;静菌剤;キレート剤(例えば、EDTAまたはグルタチオン);アジュバント(例えば、水酸化アルミニウム);処方物をレシピエントの血液に対して等張性、低張性またはわずかに高張性にする溶質;懸濁剤;濃化剤および/または保存剤をさらに含む。あるいは、本発明の組成物は、凍結乾燥物として処方され得る。
【0222】
本明細書中に記載される薬学的組成物は、単容量または複容量容器(例えば、密封アンプルもしくはバイアル)中で処方され得る。このような容器は、代表的に使用まで処方物の滅菌性および安定性を保つような方法で密封される。一般に、処方物は油性ビヒクルかまたは水性ビヒクル中で、懸濁液、溶液またはエマルジョンとして貯蔵される。あるいは、薬学的組成物は、フリーズドライ状態で貯蔵され得、これは使用の直前に滅菌水性キャリアの添加を必要とするだけである。
【0223】
種々の治療レジメン(例えば、経口、非経口、静脈内、鼻腔内および筋肉内投与が挙げられる)ならびに処方における、本明細書中で記載される特定の組成物を使用するための適切な用量レジメンおよび治療レジメンの開発は、当該分野で周知であり、そのうちのいくつかは一般的な例示の目的のために以下で簡単に議論される。
【0224】
特定の適用において、本明細書に開示される薬学的組成物は、経口投与を介して動物に送達され得る。このように、これらの組成物は、不活性な希釈剤とともに処方され得るか、もしくは吸収可能な食用キャリアとともに処方され得るか、または、それらは、硬質殻または軟質殻のゼラチンカプセルに封入され得るか、またはそれらは、錠剤に圧縮され得るか、またはそれらは、治療食の食物と、直接混合され得る。
【0225】
活性な化合物は、賦形剤となお混合され得、そして経口摂取可能な錠剤、バッカル錠、トローチ、カプセル、エリキシル、懸濁液、シロップ、カシェ剤などの形態で使用され得る(例えば、Mathiowitzら、Nature 1997年3月27日;386(6623)410〜4;Hwangら、Crit Rev Ther Drug Carrier Syst 1998;15(3):243〜84;米国特許第5,641,515号;米国特許第5,580,579号および米国特許第5,792,451号を参照のこと)。錠剤、トローチ、丸剤、カプセルなどはまた、例えば、以下の種々の対か成分のいずれかを含み得る:バインダー(例えば、カラヤゴム、アラビアゴム、コーンスターチ、またはゼラチン);賦形剤(例えば、リン酸二カルシウム);崩壊剤(例えば、コーンスターチ、ジャガイモデンプン、アルギン酸など);潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム);および甘味料(例えば、添加され得るスクロース、ラクトースまたはサッカリン)または矯味矯臭剤(例えば、ペパーミント、冬緑油、またはチェリー香料)。投薬単位形態が、カプセルである場合、それは、上記の型の材料に加えて、液体キャリアを含み得る。種々の他の材料は、コーティングとして存在し得るか、または投薬単位の物理的形態を改変するために存在し得る。例えば、錠剤、丸剤、またはカプセルは、シェラック、糖、または両方でコーティングされ得る。もちろん、任意の投与単位形態を調製する際に使用される任意の材料は、薬学的に純粋であるべきであり、そして使用される量で実質的に無毒性であるべきである。さらに、活性化合物は、徐放性調製物および処方物に組み込まれ得る。
【0226】
代表的に、これらの処方物は、少なくとも約0.1%またはそれよりも多い活性化合物を含むが、活性成分の割合は、もちろん、変化し得、そして好都合に、全処方物の重量または体積の約1または2%と、約60%または70%以上のとの間であり得る。当然、治療的に有用な組成物の各々の中の活性化合物の量は、適切な投薬量が、化合物の任意の所定の単位用量において得られるような様式で、調製され得る。溶解度、バイオアベイラビリティー、生物学的半減期、投与の経路、製品の有効期限のような要因、および他の薬理学的考慮が、このような薬学的処方物を調製する分野の当業者によって意図され、そしてそのように、種々の投薬量および処置レジメンが、所望され得る。
【0227】
あるいは、経口投与について、本発明の組成物は、うがい薬、歯みがき剤、バッカル錠、経口スプレー、または舌下経口投与処方物の形態で、1つ以上の賦形剤と混合され得る。あるいは、活性成分は、経口溶液(例えば、ホウ酸ナトリウム、グリセリンおよび炭酸水素カリウムを含む溶液)に組み込まれ得るか、または歯みがき剤に分散され得るか、または治療的有効量で、水、バインダー、研磨剤、香料、発泡剤、および湿潤剤を含み得る組成物に添加され得る。あるいは、これらの組成物は、舌下に置かれ得るか、そうでなければ口の中で溶解され得る錠剤形態または溶液形態に成形され得る。
【0228】
特定の状況において、本明細書に開示される薬学的組成物を、非経口的に、静脈内に、筋肉内に、または腹腔内にでさえ、送達することが所望される。このようなアプローチは、当業者に周知であり、アプローチの幾つかは、例えば、米国特許第5,543,158号;米国特許第5,641,515号および米国特許第5,399,363号にさらに記載される。特定の実施形態において、遊離塩基または薬理学的受容可能な塩としての活性化合物の溶液は、水中で界面活性剤(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース)と適切に混合されて、調製され得る。分散物はまた、グリセロール、液体ポリエチレングリコール、およびそれらの混合物中で、そしてオイル中で調製され得る。保存および使用の通常の条件下で、これらの調製物は、一般的に、微生物の増殖を防止するために、防腐剤を含む。
【0229】
注入用途のために適切な例証となる薬学的形態は、滅菌水溶液または分散物および滅菌注射用溶液または分散物の即時調製のための滅菌散剤を含む(例えば、米国特許第5,466,468号を参照のこと)。全ての場合において、その形態は、滅菌でなければならず、そして容易な注射能力(syringability)が存在する程度に、流動性でなければならない。それは、製造および保存の条件下で安定でなければならず、そして微生物(例えば、細菌および真菌)の汚染作用に対して保存されなければならない。キャリアは、溶媒または、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコールなど)、それらの適切な混合物、および/もしくは植物油を含む分散媒体であり得る。適切な流動性は、例えば、コーティング(例えば、レシチン)の使用によって、分散物の場合には必要とされる粒子サイズの維持によって、そしてまたは、界面活性剤に使用によって、維持され得る。微生物の作用の防止は、種々の抗菌剤および抗真菌剤(例えば、パラベン(paraben)、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールなど)によって促進され得る。多くの場合いおいて、等張剤(例えば、糖または塩化ナトリウム)を含むことが、望ましい。注射可能な組成物の長期にわたる吸収は、吸収を遅延させる薬剤の組成物(例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチン)の使用によって、もたらされ得る。
【0230】
1つの実施形態において、水溶液中での非経口投与のために、必要ならばその溶液は、適切に緩衝化されるべきであり、そして液体希釈剤が、最初に、十分な生理食塩水またはグルコースで等張にされる。これらの特定の水溶液は、特に、静脈内投与、筋内投与、皮下投与、および腹腔内投与に適切である。これに関連して、使用され得る滅菌水性媒体は、本開示を考慮して、当業者に公知である。例えば、一投与量は、1mlの等張のNaCl溶液に溶解され得、そして1000mlの皮下注入流体に添加され得るか、または注入予定部位で注入され得るかのいずれかである(例えば、「Remington’s Pharmaceutical Science」、第15版、1035〜1038頁および1570〜1580頁を参照のこと)。投薬量におけるいくらかの変化が、処置される被験体の状態に依存して、必ず生じる。さらに、ヒト投与に対して、調製物は、当然好ましくは、FDA Office of Biologics standardsによって要求されるような、無菌性、発熱性、および一般的な安全性標準および純度標準を満たさなくてはならない。
【0231】
本発明の別の実施形態において、本明細書中に開示される組成物は、中性形態または塩形態として処方され得る。例証される薬学的に受容可能な塩は、酸付加塩(タンパク質の遊離アミノ基とともに形成される)を含み、そしてこれらの塩は、無機酸(例えば、塩酸、リン酸など)、または酢酸、シュウ酸、酒石酸、マンデル酸などの有機酸とともに形成される。遊離カルボキシル基とともに形成された塩もまた、無機塩基(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カルシウム、または水酸化鉄(III))、およびイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ヒスチジン、プロカインなどの有機塩基から誘導され得る。処方の際に、溶液は、投薬処方と適合する様式でかつ治療的に有効な量で投与される。
【0232】
キャリアは、さらに、任意および全ての溶媒、分散媒体、ビヒクル、コーティング、希釈剤、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収を遅延させる薬剤、緩衝液、キャリア溶液、懸濁液、コロイドなどを含み得る。薬学的活性物質のためのこのような媒体および薬剤の使用は、当該分野で周知である。任意の従来の媒体または薬剤が、活性成分と不適合である限りを除いては、治療組成物におけるその使用が、企図される。補助的活性成分もまた、これらの組成物に組み込まれ得る。句「薬学的に受容可能な」とは、ヒトに投与される場合に、アレルギー反応または類似の厄介な反応を生成しない分子実体および組成物をいう。
【0233】
特定の実施形態において、薬学的組成物は、鼻腔内スプレー、吸入、および/または他のエアロゾル送達ビヒクルによって送達され得る。遺伝子、核酸およびペプチド組成物を、経鼻エアロゾルスプレーを介して肺に直接送達するための方法は、例えば、米国特許第5,756,353号および米国特許第5,804,212号に記載されている。同様に、鼻腔内微粒子樹脂(Takenagaら、J Controlled Release 1998 Mar 2;52(1−2):81−7)およびリゾホスファチジル−グリセロール化合物(米国特許第5,725,871号を使用する薬物の送達はまた、薬学分野で周知である。同様に、ポリテトラフルオロエチレン支持マトリックスの形態での例示的な経粘膜薬物送達は、米国特許第5,780,045号に記載される。
【0234】
特定の実施形態において、小胞は、リポソーム、ナノカプセル、微粒子、脂質粒子小胞などは、本発明の組成物の適切な宿主細胞/宿主生物体への導入のために、使用される。特に、本発明の組成物は、脂質粒子小胞、リポソーム、小胞、ナノスフィア、またはナノ粒子などのいずれかにカプセル化されて、送達のために処方され得る。あるいは、本発明の組成物は、このようなキャリアビヒクルの表面に結合(共有結合的にかまたは非共有結合的にかのいずれかで)され得る。
【0235】
潜在的な薬物キャリアとしての、リポソームおよびリポソーム様調製物の形成および使用は、一般に、当業者に公知である(例えば、Lasic,Trends Biotechnol 1998 Jul;16(7):307−21;Takakura,Nippon Rinsho 1998 Mar;56(3)691−5;Chandranら,Indian J Exp Biol.1997 Aug;35(8)801−9;Margalit,Crit Rev Ther Drug Carrier Syst.1995;12(2−3):233−61;米国特許5,567,434号;米国特許第5,552,157号;米国特許5,565,213号;米国特許5,738,868号および米国特許第5,795,587号を参照のこと(各々、その全体が、参考として本明細書中で特に援用される))。
【0236】
リポソームは、T細胞懸濁液、初代肝細胞培養物およびPC12細胞を含む他の手順によるトランスフェトすることが通常難しい多くの細胞型とともに、首尾よく使用されている(Renneisenら、J Biol Chem.1990 Sep 25;265(27):16337−42;Mullerら、DNA Cell Biol.1990 Apr;9(3):221−9)。さらに、リポソームは、ウイルスベースの送達システムを代表するDNA長制限がない。リポソームは、遺伝子、種々の薬物、放射線治療剤、酵素、ウイルス、転写因子およびアロステリックエフェクターなどを、種々の培養された細胞株および動物に導入するために効果的に使用されている。さらに、リポソームの使用は、全身送達後の、自己免疫応答または受容可能ではない毒性と関連しないようである。
【0237】
特定の実施形態において、リポソームは、水性媒体中に分散したリン脂質から形成され、そして多層の同心性二重層小胞(多層小胞(MLV)とも呼ばれる)を自発的に形成する。
【0238】
あるいは、他の実施形態において、本発明は、本発明の組成物の薬学的に受容可能なナノカプセル処方物を提供する。ナノカプセルは、安定かつ再現可能な様式で、一般的に化合物を捕捉し得る(例えば、Quintanar−Guerreroら、Drug Dev Ind Pham.1988 Dec;24(12)1113−28を参照のこと)。過剰な細胞内ポリマー負荷に起因する副作用を回避するために、このような超微細粒子(約0.1μmの大きさ)が、インビボで分解され得るポリマーを使用して設計され得る。このような粒子は、記載されるように(例えば、Couvreurら、Crit Rev Ther Drug Carrier Syst.1988;5(1):1−20;zur Muhlenら、Eur J Pharm Biopharm.1998 Mar;45(2):149−55;Zambauxら、J Comtrolled Release.1998 Jan 2;50(1−3):31−40;および米国特許第5,145,684号)、作製され得る。
【0239】
(癌治療方法)
本発明のさらなる局面において、本明細書中に記載される薬学的組成物は、癌の治療、特に肺癌の免疫治療に使用され得る。このような方法において、本明細書中に記載される薬学的組成物は、患者(代表的には、温血動物(好ましくはヒト))に投与される。患者は、癌に冒されていてもよいしまたはそうでなくてもよい。従って、上記薬学的組成物は、癌の発症を予防するため、または癌に罹患した患者を処置するために、使用され得る。薬学的組成物およびワクチンは、原発性腫瘍の外科的除去および/もしくは処置(例えば、放射性治療もしくは従来の化学療法薬物の投与)の前あるいは後のいずれかに投与され得る。上で議論されるように、薬学的組成の投与は、適切な任意の方法(静脈内経路、腹腔内経路、筋内経路、皮下経路、鼻内経路、皮内経路、肛門経路、膣経路、局所経路および経口経路による投与を含む)によってであり得る。
【0240】
特定の実施形態において、免疫療法は、能動免疫療法であり得、この能動免疫療法において、処置は、免疫応答改変剤(例えば、本明細書中に提供されるようなポリペプチドおよびポリヌクレオチド)の投与による、腫瘍に対して反応する内因性宿主免疫系のインビボ刺激に依存する。
【0241】
他の実施形態において、免疫療法は受動免疫療法であり得、この受動免疫療法において、処置は、抗腫瘍効果を直接または間接に媒介し得そしてインタクトな宿主免疫系に必ずしも依存しない腫瘍免疫反応性が確立された因子(例えば、エフェクター細胞または抗体)の送達を含む。エフェクター細胞の例としては、上記のようなT細胞、Tリンパ球(例えば、CD8+細胞傷害性Tリンパ球およびCD4+Tヘルパー腫瘍浸潤リンパ球)、キラー細胞(例えば、ナチュラルキラー細胞およびリンホカイン活性化キラー細胞)、B細胞および本明細書中に提供されるポリペプチドを発現する抗原提示細胞(例えば、樹状細胞およびマクロファージ)が挙げられる。本明細書中に列挙されるポリペプチドに特異的なT細胞レセプターおよび抗体レセプターは、クローニングされ得、発現され得、そして養子免疫療法のために他のベクターもしくはエフェクター細胞に移入され得る。本明細書中に提供されるポリペプチドをまた、受動免疫療法のために使用して、抗体または抗イディオタイプ抗体(上記および米国特許第4,918,164号に記載されるような)を生成し得る。
【0242】
エフェクター細胞は、一般的には、本明細書中に記載されるように、インビトロでの増殖による養子免疫療法に十分な量で得られ得る。インビボで抗原認識を保持しつつ、単一の抗原特異的エフェクター細胞から数十億個へと数が増殖するための培養条件は、当該分野で周知である。このようなインビトロ培養条件は、代表的には、しばしばサイトカイン(例えば、IL−2)および分裂中でないフィーダー細胞の存在下で、抗原による間欠性刺激を使用する。上記のように、本明細書中に提供されるような免疫反応性ポリペプチドは、免疫療法のために十分な数の細胞を生成するために、抗原特異的T細胞培養物を迅速に増殖するために使用され得る。詳細には、抗原提示細胞(例えば、樹状細胞、マクロファージ、単球、線維芽細胞および/またはB細胞)が、当該分野で周知の標準的技術を使用して、免疫反応性ポリペプチドでパルスされ得るか、または1つ以上のポリヌクレオチドでトランスフェクトされ得る。例えば、抗原提示細胞が、組換えウイルスまたは他の発現系における発現を増加するために適切なプロモーターを有するポリヌクレオチドでトランスフェクトされ得る。治療における使用のための培養エフェクター細胞は、インビボで増殖し得、そして広範に分布し得、そして長期に生存し得なければならない。研究により、培養エフェクター細胞が、インビボで増殖するように、そしてかなりの数で長期間生存するように、IL−2を補充した抗原による反復刺激によって誘導され得ることが示された(例えば、Cheeverら、Immunological Reviews 157:177、1997を参照のこと)。
【0243】
あるいは、本明細書中に列挙されるポリペプチドを発現するベクターは、患者から採取された抗原提示細胞に導入され得、そして同じ患者に移植し戻すためにエキソビボでクローン増殖され得る。トランスフェクトされた細胞は、当該分野で公知の任意の手段を使用して、好ましくは滅菌形態で、静脈投与、腔内投与、腹腔内投与または腫瘍内投与によって、その患者に再導入され得る。
【0244】
本明細書中に記載される治療組成物の投与の経路および頻度、ならびに投与量は、個体間で変化し、そして標準的技術を使用して容易に確立され得る。一般的には、その薬学的組成物およびワクチンは、注射投与(例えば、皮内注射、筋肉内注射、静脈内注射または皮下注射)、鼻内投与(例えば、吸引)または経口投与により投与され得る。好ましくは、1用量と10用量との間が、52週間にわたって投与され得る。好ましくは、6用量が、1ヶ月間隔で投与され、そしてブースターワクチン接種が、その後定期的に与えられ得る。代替プロトコルが、個々の患者に適切であり得る。適切な用量は、上記のように投与される場合、抗腫瘍免疫応答を促進し得、かつ基礎(すなわち、未処置)レベルを少なくとも10〜50%超える、化合物の量である。このような応答は、患者における抗腫瘍抗体を測定することによってか、またはその患者の腫瘍細胞をインビトロで殺傷し得る細胞溶解性エフェクター細胞のワクチン依存性生成によって、モニターされ得る。このようなワクチンはまた、ワクチン接種されていない患者と比較した場合、ワクチン接種された患者において改善した臨床成果(例えば、より頻繁な完全または部分的な寛解、あるいは疾患を伴わないより長期の生存)をもたらす免疫応答を生じ得る。一般的に、1つ以上のポリペプチドを含む薬学的組成物およびベクターについて、1用量中に存在する各ポリペプチドの量は、宿主1kgあたり約25μg〜5mgの範囲である。適切な用量の大きさは、患者のサイズとともに変化するが、代表的には、約0.1mL〜約5mLの範囲である。
【0245】
一般的に、適切な投薬量および処置レジメンは、治療的利益および/または予防的利益を提供するために十分な量で活性化合物を提供する。このような応答は、未処置の患者と比較した場合に、処置された患者において、改善された臨床成果(例えば、より頻出する完全または部分的な寛解、あるいは疾患を伴わないより長い生存)を確立することによってモニターされ得る。腫瘍タンパク質に対する既存の免疫応答の増加は、一般的に、改善された臨床的成果に相関する。このような免疫応答は、一般的に、標準的な増殖アッセイ、細胞傷害性アッセイまたはサイトカインアッセイを用いて評価され得、これらのアッセイは、処置の前および後に患者から得たサンプルを用いて実行され得る。
【0246】
(癌の検出ならびに診断組成物、診断方法および診断キット)
一般的に、癌は、患者から得た生物学的サンプル(例えば、血液、血清、痰尿および/または腫瘍生検材料)中の1以上の肺腫瘍タンパク質および/または、このようなタンパク質をコードするポリヌクレオチドの存在に基づいてその患者において検出され得る。言いかえると、このようなタンパク質は、肺癌のような癌の存在または不在を示すマーカーとして使用され得る。さらに、このようなタンパク質は、他の癌の検出のために有用であり得る。本明細書中で提供される結合因子は、一般的に、この生物学的サンプルにおいてこの因子に結合する抗原のレベルの検出を可能にする。ポリヌクレオチドプライマーおよびプローブは、腫瘍タンパク質をコードするmRNAのレベルを検出するために使用され得、これはまた、癌の存在または不在を示す。一般的に、肺腫瘍配列は、正常組織においてよりも少なくとも3倍高いレベルで腫瘍組織において存在するべきである。
【0247】
サンプルにおいてポリペプチドマーカーを検出するために結合因子を使用する、当業者に公知の種々のアッセイ形式が存在する。例えば、HarlowおよびLane、Antibodies:A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory、1988を参照のこと。一般的に、患者における癌の存在または不在は、(a)患者から得た生物学的サンプルを結合因子と接触させる工程;(b)この結合因子に結合するポリペプチドのレベルをサンプルにおいて検出する工程;および(c)ポリペプチドのレベルを予め決定してカットオフ値と比較する工程、によって決定され得る。
【0248】
好ましい実施形態において、アッセイは、サンプルの残り由来のポリペプチドに結合してそれを除去するために、固体支持体に固定化された結合因子の使用を含む。次いで、結合ポリペプチドは、レポーター基を含みかつ結合因子/ポリペプチド複合体に特異的に結合する検出試薬を使用して検出され得る。このような検出試薬は、例えば、ポリペプチドまたは抗体に特異的に結合する結合因子あるいはこの結合因子に特異的に結合する他の因子(例えば、抗免疫グロブリン、プロテインG、プロテインAまたはレクチン)を含み得る。あるいは、競合アッセイが、利用され得、このアッセイにおいて、ポリペプチドは、レポーター基で標識され、そしてサンプルとの結合因子のインキュベーション後に、固定化された結合因子に結合することを可能にする。サンプルの成分が、結合因子への標識されたポリペプチドの結合を阻害する程度は、固定化された結合因子とのそのサンプルの反応性を示す。このようなアッセイにおける使用に適切なポリペプチドとしては、上記のような、全長肺腫瘍タンパク質および結合因子に結合するそのポリペプチド部分が挙げられる。
【0249】
固体支持体は、腫瘍タンパク質が付着され得る、当業者に公知な任意の材料であり得る。例えば、固体支持体は、マイクロタイタープレート中の試験ウェルまたはニトロセルロース膜もしくは他の適切な膜であり得る。あるいは、この支持体は、ガラス、ファイバーガラス、ラテックスまたはプラスチック材料(例えば、ポリスチレンもしくはポリビニルクロリド)のようなビーズあるいはディスクであり得る。この支持体はまた、例えば、米国特許第5,359,681号に開示されるような、磁気粒子または光ファイバーセンサーであり得る。結合因子は、当業者に公知の種々の技術を使用して固体支持体上に固定化され得、これは、特許および科学文献において詳細に記載されている。本発明の文脈において、用語「固定化」は、吸着のような非共有結合的会合および共有結合的付着(これは、抗原と支持体上の官能基との間の直接的結合であり得るか、または架橋剤による結合であり得る)の両方をいう。マイクロタイタープレートにおけるウェルまたは膜に対する吸着による固定化が、好ましい。このような場合において、吸着は、適切な緩衝液中で、適切な長さの時間の間、結合因子と固体支持体とを接触することによって達成され得る。接触時間は、温度とともに変化するが、代表的には約1時間と約1日との間である。一般に、プラスチックマイクロタイタープレート(例えば、ポリスチレンまたはポリビニルクロリド)のウェルと約10ng〜約10μgの範囲、および好ましくは約100ng〜約1μgの範囲の量の結合因子とを接触させることは、結合因子の適切な量を固定化するために十分である。
【0250】
固体支持体に対する結合因子の共有結合的付着は、一般的に、この支持体および結合因子上の官能基(例えば、ヒドロキシル基またはアミノ基)の両方と反応する二官能性試薬を、この支持体とまず反応させることによって達成され得る。例えば、この結合因子を、ベンゾキノンを使用するか、または結合パートナーのアミンおよび活性な水素と支持体のアルデヒド基との縮合によって、適切なポリマーコーティングを有する支持体に対して共有結合的に付着し得る(例えば、Pierce Immunotechnology Catalog and Handbook、1991、A12〜A13を参照のこと)。
【0251】
特定の実施形態において、このアッセイは、2抗体サンドイッチアッセイである。本アッセイは、最初に、固体支持体(通常、マイクロタイタープレートのウェル)上で固定化されている抗体をサンプルと接触させて、サンプル内のポリペプチドを固定化抗体に結合させることによって実施され得る。次いで、非結合サンプルは固定化ポリペプチド−抗体複合体から除去され、そしてレポーター基を含む検出試薬(好ましくは、そのポリペプチド上の異なる部位に結合し得る第2の抗体)が添加される。次いで、固体支持体に結合したままである第2の抗体の量が、特定のレポーター基に関して適切な方法を用いて決定される。
【0252】
より詳細には、一旦抗体が上記のように支持体上に固定化されると、支持体上の残りのタンパク質結合部位は、典型的には、ブロックされる。任意の適切なブロック剤(例えば、ウシ血清アルブミンまたはTween20TM(Sigma Chemical Co.,St.Louis,MO))は、当業者に公知である。固定化抗体は次いで、サンプルとインキュベートされ、そしてポリペプチドをこの抗体に結合させる。インキュベーションの前に、このサンプルは適切な希釈液(例えば、リン酸緩衝化生理食塩水(PBS))で希釈され得る。概して、適切な接触時間(すなわち、インキュベーション時間)は、肺癌を有する個体から得られたサンプル内のポリペプチドの存在を検出するのに十分な時間である。好ましくは、この接触時間は、結合ポリペプチドと非結合ポリペプチドとの間の平衡が少なくとも約95%で達成される結合レベルを達成するのに十分な期間である。当業者は、ある期間にわたって起こる結合レベルをアッセイすることによって、平衡に達するまでに必要な時間が容易に決定され得ることを認識する。室温では、一般に、約30分間のインキュベーション時間で十分である。
【0253】
次いで、非結合サンプルが、適切な緩衝液(例えば、0.1%Tween20TMを含むPBS)を用いて固体支持体を洗浄することによって除去される。レポーター基を含む第2の抗体が次いで、固体支持体に添加され得る。好ましいレポーター基としては、上記で列挙された基が挙げられる。
【0254】
次いで、検出試薬が、結合されたポリペプチドを検出するのに十分な量の時間、固定化抗体−ポリペプチド複合体とインキュベートされる。適切な量の時間は、一般に、ある期間にわたって起こる結合のレベルをアッセイすることによって決定され得る。次いで、非結合の検出試薬は除去され、そして結合した検出試薬は、レポーター基を用いて検出される。レポーター基を検出するために使用される方法は、レポーター基の性質に依存する。放射性基について、一般的には、シンチレーション計数法またはオートラジオグラフィー法が適切である。分光法は、色素、発光基および蛍光基を検出するために使用され得る。ビチオンは、異なるレポーター基(一般に、放射性もしくは蛍光基または酵素)に結合されたアビジンを使用して検出され得る。酵素レポーター基は、一般に、基質の添加(一般には、特定の期間)、続いて反応産物の分光分析または他の分析により検出され得る。
【0255】
癌(例えば、肺癌)の存在または非存在を決定するために、固体支持体に結合したままのレポーター基から検出されるシグナルが、一般に、所定のカットオフ値と対応するシグナルと比較される。1つの好ましい実施形態において、癌の検出のためのこのカットオフ値は、固定化抗体を、癌を有さない患者由来のサンプルとインキュベートした際に得られた平均シグナルである。概して、所定のカットオフ値を3標準偏差上回るシグナルを生じるサンプルが、癌に対して陽性とみなされる。代替の好ましい実施形態において、このカットオフ値は、Sackettら、Clinical Epidemiology:A Basic Science for Clinical Medicine,Little Brown and Co.,1985,106〜7頁の方法に従って、レシーバーオペレーターカーブ(Receiver Operator Curve)を使用して決定される。簡単に言うと、本実施形態において、このカットオフ値は、診断試験結果について可能なカットオフ値の各々に対応する真の陽性割合(すなわち、感度)および偽陽性割合(100%−特異性)の対のプロットから決定され得る。プロット上の上方左手角に最も近いカットオフ値(すなわち、最大領域を囲む値)が、最も正確なカットオフ値であり、そして本方法によって決定されたカットオフ値より高いシグナルを生ずるサンプルが陽性と見なされ得る。あるいは、カットオフ値は、偽陽性割合を最小にするためにプロットに沿って左へシフトされ得るか、または偽陰性割合を最小にするために右へシフトされ得る。概して、本方法によって決定されたカットオフ値より高いシグナルを生ずるサンプルが、癌に対して陽性と見なされる。
【0256】
関連の実施形態において、このアッセイは、フロースルー試験形式またはストリップ試験形式で実行される(ここで、結合因子は、ニトロセルロースのような膜上で固定化される)。フロースルー試験では、サンプル内のポリペプチドは、サンプルが膜を通過する際に固定化結合因子に結合する。次いで、第2の標識化された結合因子が、この第2の結合因子を含む溶液がその膜を介して流れる際に、結合因子−ポリペプチド複合体と結合する。次いで、結合した第2の結合因子の検出は、上記のように実行され得る。ストリップ試験形式では、結合因子が結合される膜の一端をサンプルを含む溶液中に浸す。このサンプルは、膜に沿って、第2の結合因子を含む領域を通って、そして固定化結合因子の領域まで移動する。固定化抗体の領域での第2の結合因子の濃度が、癌の存在を示す。代表的には、その部位での第2の結合因子の濃度は、視覚的に読みとられ得るパターン(例えば、線)を生成する。このようなパターンを示さないことは陰性の結果を示す。概して、この膜上に固定化される結合因子の量は、生物学的サンプルが、上記の形式において、2抗体サンドイッチアッセイにおいて陽性シグナルを生じるのに十分であるレベルのポリペプチドを含む場合、視覚的に識別可能なパターンを生じるように選択される。このようなアッセイにおいて使用するための好ましい結合因子は、抗体およびその抗原結合フラグメントである。好ましくは、膜上に固定化される抗体の量は、約25ng〜約1μgの範囲であり、そしてより好ましくは、約50ng〜約500ngの範囲である。このような試験は、代表的には、非常に少ない量の生物学的サンプルを用いて実行され得る。
【0257】
もちろん、本発明の腫瘍タンパク質または結合因子との使用に適する多数の他のアッセイプロトコルが存在する。上記の記載は、例示のみを意図する。例えば、上記のプロトコルは、生物学的サンプルにおいてこのようなポリペプチドに結合する抗体を検出するための腫瘍ポリペプチドを使用するように容易に改変され得ることが、当業者に明らかである。このような腫瘍タンパク質特異的抗体の検出は、癌の存在に相関し得る。
【0258】
癌はまた、あるいは癌は、生物学的サンプル中の腫瘍タンパク質と特異的に反応するT細胞の存在に基づいて検出され得る。特定の方法において、患者から単離されたCD4+T細胞および/またはCD8+T細胞を含む生物学的サンプルが、腫瘍ポリペプチド、このようなポリペプチドをコードするポリヌクレオチドおよび/またはこのようなポリペプチドの少なくとも免疫原性部分を発現するAPCとともにインキュベートされ、そしてそのT細胞の特異的活性化の存在または非存在が検出される。適切な生物学的サンプルとしては、単離されたT細胞が挙げられるが、これに限定されない。例えば、T細胞は、慣用的技術(例えば、末梢血リンパ球のFicoll/Hypaque密度勾配遠心分離)によって、患者から単離され得る。T細胞は、ポリペプチド(例えば、5〜25μg/ml)とともに、37℃で2〜9日間(代表的には4日間)、インビトロでインキュベートされ得る。T細胞サンプルの別のアリコートを、コントロールとして役立つように、腫瘍ポリペプチドの非存在下でインキュベーションすることが、所望され得る。CD4+T細胞について、活性化は、好ましくは、T細胞の増殖を評価することによって検出される。CD8+T細胞について、活性化は、細胞溶解活性を評価することによって、好ましくは検出される。疾患に罹患していない患者においてよりも少なくとも2倍高いレベルの増殖、および/または少なくとも20%高いレベルの細胞溶解活性は、その患者における癌の存在を示す。
【0259】
上記のように、癌はまた、あるいは癌は、生物学的サンプル中の腫瘍タンパク質をコードするmRNAのレベルに基づいて検出され得る。例えば、少なくとも2つのオリゴヌクレオチドプライマーが、生物学的サンプル由来の腫瘍cDNAの一部を増幅するために、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)に基づくアッセイにおいて使用され得、このオリゴヌクレオチドプライマーのうちの少なくとも1つは、腫瘍タンパク質をコードするポリヌクレオチドに特異的である(すなわち、ハイブリダイズする)。次いで、この増幅されたcDNAは、当該分野で周知の技術(例えば、ゲル電気泳動)を使用して、分離および検出される。同様に、腫瘍タンパク質をコードするポリヌクレオチドに特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプローブが、生物学的サンプル中のこの腫瘍タンパク質をコードするポリヌクレオチドの存在を検出するために、ハイブリダイゼーションアッセイにおいて使用され得る。
【0260】
アッセイ条件下でのハイブリダイゼーションを可能にするために、オリゴヌクレオチドプライマーおよびプローブは、少なくとも10ヌクレオチドの長さ、そして好ましくは少なくとも20ヌクレオチドの長さの本発明の腫瘍タンパク質をコードするポリヌクレオチドの一部に対して、少なくとも約60%、好ましくは少なくとも約75%そしてより好ましくは少なくとも約90%の同一性を有する、オリゴヌクレオチド配列を含むべきである。好ましくは、オリゴヌクレオチドプライマーおよび/またはプローブは、上記のように、中程度にストリンジェントな条件下で、本明細書中に記載されるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドにハイブリダイズする。本明細書中に記載される診断方法において有用に使用され得るオリゴヌクレオチドプライマーおよび/またはプローブは、好ましくは少なくとも10〜40ヌクレオチドの長さである。好ましい実施形態において、このオリゴヌクレオチドプライマーは、本明細書に記載される配列を有するDNA分子のうちの、少なくとも10個連続するヌクレオチド、より好ましくは少なくとも15個連続するヌクレオチドを含む。PCRに基づくアッセイおよびハイブリダイゼーションアッセイの両方についての技術は、当該分野で周知である(例えば、Mullisら、Cold Spring Harbor Symp.Quant.Biol.51:263、1987;Erlich編、PCR Technology、Stockton Press、NY、1989を参照のこと)。
【0261】
1つの好ましいアッセイは、RT−PCRを使用し、RT−PCRにおいては、PCRが、逆転写と組み合わせて適用される。代表的には、RNAが、生検組織のような生物学的サンプルから抽出され、そしてcDNA分子を生成するように逆転写される。少なくとも1つの特異的プライマーを使用するPCR増幅は、例えば、ゲル電気泳動を使用して分離および可視化され得る、cDNA分子を生じる。増幅は、試験患者および癌に罹患していない個体から採取された、生物学的サンプルに対して実施され得る。この増幅反応は、2桁の大きさに及ぶcDNAのいくつかの希釈物に対して実施され得る。非癌性サンプルの同じ希釈物と比較して、試験患者サンプルのいくつかの希釈物における2倍以上の発現の増加は、代表的に陽性とみなされる。
【0262】
別の実施形態において、本明細書中に記載される組成物は、癌の進行についてのマーカーとして使用され得る。この実施形態において、癌の診断のための上記のようなアッセイが、経時的に実施され得、そして反応性ポリペプチドまたはポリヌクレオチドのレベルの変化が評価され得る。例えば、このアッセイは、6ヶ月〜1年の期間に24〜72時間ごとに実施され得、その後も必要ならば実施され得る。一般的に、癌は、検出されるポリペプチドまたはポリヌクレオチドのレベルが経時的に増加する患者において進行している。対照的に、この癌は、反応性ポリペプチドまたはポリヌクレオチドのレベルが一定のままであるかまたは時間とともに減少するかのいずれかである場合には、進行していない。
【0263】
特定のインビボ診断アッセイは、腫瘍に対して直接実施され得る。1つのこのようなアッセイは、腫瘍細胞を結合因子と接触させる工程を包含する。次いで、結合された結合因子が、レポーター基を介して直接的または間接的に検出され得る。このような結合因子はまた、組織学的適用において使用され得る。あるいは、ポリヌクレオチドプローブが、このような適用において使用され得る。
【0264】
上記のように、感度を改善するために、複数の腫瘍タンパク質マーカーが、所定のサンプルにおいてアッセイされ得る。本明細書中に提供される異なるタンパク質に特異的な結合因子が、単一のアッセイ中で組み合わされ得ることは、明らかである。さらに、複数のプライマーまたはプローブが、同時に使用され得る。腫瘍タンパク質マーカーの選択は、最適な感度を生じる組み合わせを決定するための慣用的実験に基づき得る。さらに、またはあるいは、本明細書中に提供される腫瘍タンパク質についてのアッセイが、他の公知の腫瘍抗原についてのアッセイと組み合わせられ得る。
【0265】
本発明は、上記の診断方法のうちのいずれかにおける使用のためのキットをさらに提供する。このようなキットは、代表的には、診断アッセイを実施するために必要な2つ以上の成分を含む。成分は、化合物、試薬、容器および/または装置であり得る。例えば、キット中の1つの容器が、腫瘍タンパク質に特異的に結合する、モノクローナル抗体またはそのフラグメントを含み得る。このような抗体またはフラグメントは、上記のように、支持体材料に結合して提供され得る。1つ以上のさらなる容器が、このアッセイにおいて使用される要素(例えば、試薬または緩衝液)を含み得る。このようなキットはまた、またはあるいは、抗体結合の直接検出または間接検出に適切な、レポーター基を含む上記のような検出試薬を含み得る。
【0266】
あるいは、生物学的サンプル中の腫瘍タンパク質をコードするmRNAレベルを検出するための、キットが設計され得る。このようなキットは、一般的に、上記のような、腫瘍タンパク質をコードするポリヌクレオチドにハイブリダイズする、少なくとも1つのオリゴヌクレオチドプローブまたはプライマーを含む。このようなオリゴヌクレオチドは、例えば、PCRまたはハイブリダイゼーションアッセイにおいて使用され得る。このようなキット中に存在し得るさらなる成分としては、腫瘍タンパク質をコードするポリヌクレオチドの検出を容易にするための、第2のオリゴヌクレオチドおよび/または診断試薬もしくは診断容器が挙げられる。
【0267】
以下の実施例は、例示として提供され、限定としては提供されない。
【0268】
(実施例1)
(ディファレンシャルディスプレイRT−PCRを使用する、肺腫瘍特異的cDNA配列の調製)
本実施例は、ディファレンシャルディスプレイスクリーニングを使用する、肺腫瘍特異的ポリペプチドをコードするcDNA分子の調製を例示する。
【0269】
組織サンプルを、患者からサンプルを取り出した後に病理学によって確認された肺癌を患う患者の肺腫瘍および正常組織から調製した。正常なRNAおよび腫瘍RNAを、このサンプルから抽出して、そしてmRNAを単離して、そして(dT)12AG(配列番号47)アンカー3’プライマーを使用して、cDNAに変換した。次いで、ディファレンシャルディスプレイPCRを、無作為に選択されたプライマー(配列番号48)を使用して行った。増幅条件は、1.5mM MgCl2、20pmolのプライマー、500pmol dNTPおよび1ユニットのTaq DNAポリメラーゼ(Perkin−Elmer、Branchburg,NJ)を含む標準的な緩衝液であった。40サイクルの増幅を、94℃で30秒間の変性、42℃で1分間のアニーリングおよび72℃で30秒間の伸長を使用して行った。腫瘍のRNAフィンガープリントパターンに特異的であることが繰り返し観察されたバンドを、銀染色ゲルから切り出して、pGEM−Tベクター(Promega,Madison,WI)にサブクローニングして、そして配列決定した。単離された3’配列を、配列番号1〜16に提供する。
【0270】
BLASTNプログラムを使用する、公的なデータベースの配列に対するこれらの配列の比較は、配列番号1〜11に提供されている配列に対して有意な相同性を示さなかった。本発明者らの知識が及ぶ限り、単離されたDNA配列のいずれもが、正常な肺組織よりもヒト肺腫瘍組織において、より高いレベルで発現されることが以前に示されていなかった。
【0271】
(実施例2)
(肺腫瘍抗原をコードするDNA配列を同定するための患者血清の使用)
本実施例は、自系の患者血清を用いる肺腫瘍サンプルの発現スクリーニングによる、肺腫瘍抗原をコードするcDNA配列の単離を例示する。
【0272】
ヒト肺腫瘍指向性cDNA発現ライブラリーを、Lambda ZAP Express発現系(Stratagene,La Jolla,CA)を用いて構築した。このライブラリーの総RNAを、ヒト扁平上皮肺癌腫を継代した後期(late)SCIDマウスから採取して、そしてポリA+RNAを、Message Makerキット(Gibco BRL、Gaithersburg,MD)を使用して単離した。得られたライブラリーを、Sambrookら(Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratories,Cold Spring Harbor,NY、1989)に記載されるように、E.coli吸着自系患者血清を使用してスクリーニングした(ここで2次抗体は、NBT/BCIP(Gibco BRL)で発色する、アルカリホスファターゼに結合体化したヤギ抗ヒトIgG−A−M(H+L)である)。免疫反応性抗原を発現している陽性プラークを、精製した。プラークからのファージミドをレスキューして、そしてこのクローンのヌクレオチド配列を、決定した。
【0273】
15個のクローン(本明細書中以降、LT86−1〜LT86−15という)を単離した。LT86−1〜LT86−8およびLT86−10〜LT86−15の単離されたcDNA配列を、それぞれ、配列番号17〜24および26〜31に提供し、ここで対応する推定アミノ酸配列を、それぞれ、配列番号32〜39および41〜46に提供する。LT86−9の決定されたcDNA配列を、配列番号25に提供し、ここで3’端および5’端の対応する推定アミノ酸配列を、それぞれ、配列番号40および65に提供する。これらの配列を、上記の遺伝子バンクにおける配列と比較した。クローンLT86−3、LT86−6〜LT86−9、LT86−11〜LT86−13およびLT86−15(それぞれ、配列番号19、22〜25、27〜29および31)は、以前に同定された発現配列タグ(EST)にいくらかの相同性を示すことが見出され、ここでクローンLT86−6、LT86−8、LT86−11、LT86−12およびLT86−15は、互いに同様または同一であるようであった。クローンLT86−3は、ヒト転写リプレッサーといくらかの相同性を示すことが見出された。クローンLT86−6、8、9、11、12および15は、酵母RNA Pol II転写調節メディエーターにいくらかの相同性を示すことが見出された。クローンLT86−13は、C.elegansロイシンアミノペプチダーゼといくらかの相同性を示すことが見出された。クローンLT86−9は、2つのインサートを含むようであり、ここで5’配列は、以前に同定された、インターフェロンαにより誘導されるP27のアンチセンス配列に対する相同性を示し、そして3’配列は、LT86−6に類似である。クローンLT86−14(配列番号30)は、トリトラックス(trithorax)遺伝子に対していくらかの相同性を示すことが見出され、そして「RGD」細胞接着配列、およびペニシリンの加水分解において機能するβ−ラクタマーゼA部位を有する。クローンLT86−1、LT86−2、LT86−4、LT86−5およびLT86−10(それぞれ、配列番号17、18、20、21および26)は、以前に同定された遺伝子といくらかの相同性を示すことが見出された。LT86−4についてその後に決定された伸長cDNA配列を、配列番号66に提供し、ここで対応する推定アミノ酸配列を、配列番号67に提供する。
【0274】
その後の研究は、5個のさらなるクローン(LT86−20、LT86−21、LT86−22、LT86−26およびLT86−27といわれる)の単離をもたらした。LT86−20、LT86−22、LT86−26およびLT86−27について決定された5’cDNA配列を、それぞれ、配列番号68および70〜72に提供し、ここでLT86−21について決定された3’cDNA配列を、配列番号69に提供する。LT86−20、LT86−21、LT86−22、LT86−26およびLT86−27についての対応する推定アミノ酸配列を、それぞれ、配列番号73〜77に提供する。LT86−22およびLT86−27は、互いに高度に類似することが見出された。上記のような、遺伝子バンクにおける配列に対するこれらの配列の比較は、LT86−22およびLT86−27に対する有意な相同性を示さなかった。LT86−20、LT86−21およびLT86−26は、以前に同定された遺伝子に対する相同性を示すことが見出された。
【0275】
さらなる研究において、cDNA発現ライブラリーを、lambda ZAP Express発現ベクター(Stratagene)において、肺小細胞癌腫細胞株由来のmRNAを使用して調製して、そして2つの肺小細胞癌腫の患者の血清のプールを用いて、上記のようにスクリーニングした。この血清プールを、E.coli溶解物を用いて吸着させ、そしてヒトPBMC溶解物を、血清に添加して、正常組織に見出されるタンパク質に対する抗体をブロックした。73個のクローンを単離した。これらのクローンの決定されたcDNA配列を、配列番号290〜362に提供する。配列番号289〜292、294、296〜297、300、302、303、305、307〜315、317〜320、322〜325、327〜332、334、335、338〜341、343〜352、354〜358、360および362の配列は、以前に単離された遺伝子といくらかの相同性を示すことが見出された。配列番号293、295、298、299、301、304、306、316、321、326、333、336、337、342、353、359および361の配列は、以前に同定されたESTに対していくらかの相同性を示すことが見出された。
【0276】
(実施例3)
(肺腫瘍抗原をコードするDNA配列を同定するためのマウス抗血清の使用)
本実施例は、マウス抗腫瘍血清を用いて肺腫瘍cDNAライブラリーをスクリーニングすることによる、肺腫瘍抗原をコードするcDNA配列の単離を例示する。
【0277】
指向性cDNA肺腫瘍発現ライブラリーを、上記の実施例2に記載されるように調製した。血清を、後期継代ヒト扁平上皮細胞および腺癌腫瘍を含むSCIDマウスから得た。これらの血清をプールして、そして正常マウスに注射して、抗肺腫瘍血清を生成した。およそ200,000PFUを、この抗血清を使用して、未増幅ライブラリーからスクリーニングした。ヤギ抗マウスIgG−A−M(H+L)アルカリホスファターゼ2次抗体の使用により、NBT/BCIP(BRL Labs.)で発色させ、約40個の陽性プラークを、同定した。ファージを精製して、そして原核生物または真核生物の細胞での発現のために、ファージミドを、pBK−CMVベクター中にインサートを有する9つのクローンについて切り出した。
【0278】
単離されたクローンのうち7つ(本明細書中以降、L86S−3、L86S−12、L86S−16、L86S−25、L86S−36、L86S−40およびL86S−46といわれる)について決定されたcDNA配列を、配列番号49〜55に提供し、ここで対応する推定アミノ酸配列を、それぞれ、配列番号56〜62に提供する。残りの2つのクローン(本明細書中以降、L86S−30およびL86S−41といわれる)についての5’cDNA配列を、配列番号63および64に提供する。L86S−36およびL86S−46は、同じ遺伝子を示すことがその後に決定された。上記のような、公的データベースにおける配列に対するこれらの配列の比較は、クローンL86S−30、L86S−36およびL86S−46(それぞれ、配列番号63、53および55)に対して有意な相同性を示さなかった。L86S−16(配列番号51)は、胎児肺および生殖細胞腫瘍において以前に同定されたESTに対していくらかの相同性を示すことが見出された。残りのクローンは、以前に同定されたヒト遺伝子に対して、少なくともいくらかの程度の相同性を示すことが見出された。L86S−12、L86S−36およびL86S−46についてその後に決定された伸長cDNA配列を、それぞれ、配列番号78〜80に提供し、ここで対応する推定アミノ酸配列を、配列番号81〜83に提供する。
【0279】
その後の研究により、さらなる9つのクローン(L86S−6、L86S−11、L86S−14、L86S−29、L86S−34、L86S−39、L86S−47、L86S−49およびL86S−51といわれる)についての5’cDNA配列(それぞれ、配列番号84〜92)の決定がもたらされた。対応する推定アミノ酸配列を、それぞれ、配列番号93〜101に提供する。L86S−30、L86S−39およびL86S−47は、互いに類似することが見出された。上記のような、遺伝子バンクにおける配列とのこれらの配列の比較は、L86S−14に対して有意な相同性を示さなかった。L86S−29は、以前に同定されたESTに対していくらかの相同性を示すことが見出された。L86S−6、L86S−11、L86S−34、L86S−39、L86S−47、L86S−49およびL86S−51は、以前に同定された遺伝子に対していくらかの相同性を示すことが見出された。
【0280】
さらなる研究において、指向性cDNAライブラリーを、StratageneキットをLambda Zap Expressベクターとともに使用して構築した。このライブラリーについての総RNAを、2つの初代扁平上皮肺腫瘍から単離して、そしてポリA+RNAを、オリゴdTカラムを使用して単離した。抗血清を、ヒト扁平上皮肺癌腫を移植した3匹のSCIDマウス由来の血清のプールを使用して、正常マウスにおいて発達させた。およそ700,000PFUを、E.coli吸着マウス抗SCID腫瘍血清を用いて、未増幅ライブラリーからスクリーニングした。陽性クローンを、上記のように同定した。ファージを精製して、そして原核生物および真核生物の細胞における発現のために、ファージミドを、pBK−CMVベクター中にインサートを有する180個のクローンについて切り出した。
【0281】
単離されたクローンのうち23個について決定されたcDNA配列を、配列番号126〜148に提供する。上記のような、公的データベースにおける配列とのこれらの配列の比較は、配列番号139および143〜148の配列に対して有意な相同性を示さなかった。配列番号126〜138および140〜142の配列は、以前に同定されたヒトポリヌクレオチド配列に対して相同性を示すことが見出された。
【0282】
(実施例4)
(SCIDマウスから調製した肺腫瘍ライブラリーをスクリーニングするためのマウス抗血清の使用)
本実施例は、マウス抗腫瘍血清を用いて、SCIDマウスから調製された肺腫瘍cDNAライブラリーをスクリーニングすることによる、肺腫瘍抗原をコードするcDNA配列の単離を例示する。
【0283】
指向性cDNA肺腫瘍発現ライブラリーを、StratageneキットをLambda Zap Expressベクターとともに使用して調製した。このライブラリーについての総RNAを、SCIDマウスにおいて増殖した後期継代肺腺癌から採取した。ポリA+RNAを、Message Maker Kit(Gibco,BRL)を使用して単離した。血清を、肺腺癌を移植した2匹のSCIDマウスから得た。これらの血清をプールして、そして正常マウスに注射して、抗肺腫瘍血清を生成した。およそ700,000PFUを、E.coli吸着マウス抗SCID腫瘍血清を用いて、未増幅ライブラリーからスクリーニングした。陽性プラークを、NBT/BCIP(Gibco BRL)で発色する、ヤギ抗マウスIgG−A−M(H+L)アルカリホスファターゼ2次抗体を用いて同定した。ファージを精製して、そして原核生物および真核生物の細胞における発現のために、ファージミドを、pBK−CMVベクター中にインサートを有する100個のクローンについて切り出した。
【0284】
単離したクローンの33個について決定した5’cDNA配列を、配列番号149〜181に提供する。配列番号149、150、152〜154、156〜158および160〜181についての対応する推定アミノ酸配列を、配列番号182、183、186、188〜193および194〜215にそれぞれ提供する。配列番号151のクローン(SAL−25と呼ぶ)が、2つのオープンリーディングフレーム(ORF)を含むことを見出した。これらのORFによってコードされる推定アミノ酸配列を、配列番号184および185に提供する。配列番号153のクローン(SAL−50と呼ぶ)が、配列番号187および216の推定アミノ酸配列をコードする2つのオープンリーディングフレームを含むことを見出した。同様に、配列番号155のクローン(SAL−66と呼ぶ)が、配列番号189および190の推定アミノ酸配列をコードする2つのオープンリーディングフレームを含むことを見出した。単離した配列と公開データベースにおける配列との比較は、配列番号151、153および154の配列に対する有意な相同性がないことを明らかにした。配列番号149、152、156、157および158の配列が、以前に単離された発現配列タグ(EST)に対するある程度の相同性を示すことを見出した。配列番号150、155および159〜181の配列が、ヒトにおいて以前に同定した配列に対して相同性を示すことを見出した。
【0285】
上記の手順を使用して、2つの指向性(directional)cDNAライブラリー(LT46−90およびLT86−21と呼ぶ)を、SCIDマウス中で増殖した2つの後期継代肺扁平上皮癌腫から調製し、そしてヒト扁平上皮肺癌腫を移植したSCIDマウスから得た血清でスクリーニングした。単離したクローンについて決定したcDNA配列を、配列番号217〜237および286〜289に提供する。配列番号286が、LT4690−71(配列番号237)のより長い配列であることを見出した。これらの配列と公開データベースの配列との比較は、配列番号219、220、225、226、287および288の配列に対する既知の相同性がないことを明らかにした。配列番号218、221、222および224の配列が、未知の機能を有する以前に同定された配列に対するある程度の相同性を示すことを見出した。配列番号236の配列が、既知のマウスmRNA配列に対して相同性を示すことを見出した。配列番号217、223、227〜237、286および289の配列は、既知のヒトDNAおよび/またはRNAの配列に対するある程度の相同性を示した。
【0286】
上記の技術を使用するさらなる研究において、上記のcDNAライブラリーの1つ(LT86−21)を、E.coli吸収マウス抗SCID腫瘍血清を用いてスクリーニングした。この血清を、ヒト扁平上皮肺癌腫を移植したSCIDマウスから採取した3つの血清のプールで免疫した正常なマウスから得た。単離したクローンについて決定したcDNA配列を、配列番号238〜285に提供する。これらの配列と公開データベースの配列との比較は、配列番号253、260、277および285の配列に対する有意な相同性がないことを明らかにした。配列番号249、250、256、266、276および282の配列が、以前に単離された発現配列タグ(EST)に対するある程度の相同性を示すことを見出した。配列番号238〜248、251、252、254、255、257〜259、261〜263、265、267〜275、278〜281、283および284の配列が、以前に同定されたDNAまたはRNAの配列に対するある程度の相同性を示すことを見出した。
【0287】
正常な組織における発現レベルと比較した、肺腫瘍組織において単離した特定の抗原の発現レベルを、マイクロアレイ技術によって決定した。これらの研究の結果を、これらの配列についてのデータバンク分析と共に、以下の表2に示す。
【0288】
(表2)
【0289】
【表2】
LT+F/N=肺腫瘍および正常組織を超える胎児組織
SC+M/N=肺スモール細胞癌および正常組織を超える転移性組織
Squa/N=正常組織を超える扁平上皮肺腫瘍
Aden/N=正常組織を超える腺癌。
【0290】
抗原2LT−128(配列番号282)についての全長配列決定研究は、配列番号392に提供される全長cDNA配列の単離を生じた。この全長cDNA配列によってコードされるこのアミノ酸配列を、配列番号393に提供する。この抗原は、扁平上皮癌における20倍の過剰発現、および肺腺癌における2.5倍の過剰発現を示した。この遺伝子は、潜在的なras癌遺伝子として記載されている(Fenwickら、Science,287:869−873,2000)。
【0291】
拡張した配列情報を、クローン2LT−3(配列番号238)、2LT−26(配列番号242)、2LT−57(配列番号249)、2LT−58(配列番号250)、2LT−98(配列番号268)および2LT−124(配列番号279)について得た。これらのクローンについてのこの拡張したcDNA配列を、それぞれ、配列番号428〜433に示し、これらは、それぞれ、配列番号434〜439に示されるポリペプチド配列をコードする。
【0292】
(実施例5)
(肺腫瘍ポリペプチドの組織特異性の決定)
遺伝子特異的プライマーを使用して、代表的な肺腫瘍ポリペプチドについてのmRNA発現レベルを、RT−PCRを使用して、種々の正常組織および腫瘍組織において試験した。
【0293】
手短かに言うと、総RNAを、Trizol試薬を使用して、種々の正常組織および腫瘍組織から抽出した。第1鎖合成を、SuperScriptII逆転写酵素(BRL Life Technologies)とともに2μgの総RNAを42℃で1時間使用して、実行した。次いで、そのcDNAを、遺伝子特異的プライマーを用いてPCRにより増幅した。RT−PCRの半定量的性質を確実にするために、β−アクチンを、試験した組織の各々についての内部コントロールとして使用した。cDNAの1:30希釈物1μlを使用して、β−アクチンテンプレートの線形範囲増幅を可能にした。そしてこのcDNAの1:30希釈物は、最初のコピー数で差異を反映するに十分感度が良かった。これらの条件を使用して、このβ−アクチンレベルを、各組織からの各逆転写反応について決定した。DNA夾雑物を、DNase処理により、そして逆転写酵素を添加することなく調製した第1鎖cDNAを使用する場合には、ネガティブなPCRの結果を確実にすることによって、最小にした。
【0294】
mRNA発現レベルを、5つの異なる型の腫瘍組織(3人の患者由来の肺扁平上皮腫瘍、肺腺癌、前立腺腫瘍、結腸腫瘍および肺腫瘍)において、ならびに異なる正常組織(4人のドナー由来の肺、前立腺、脳、腎臓、肝臓、卵巣、骨格筋、皮膚、小腸、心筋層、網膜および精巣を含む)において試験した。L86S−46が、肺扁平上皮腫瘍、結腸腫瘍および前立腺腫瘍において高レベルで発現され、そしてこれらは、試験された他の組織において検出不可能であることを見出した。L86S−5が、肺腫瘍サンプル中で発現され、そして4つの正常肺サンプルのうち2つにおいて発現されるが、試験した他の正常組織または腫瘍組織においては発現されないことを見出した。L86S−16が、正常な肝臓および正常な胃を除いて、全ての組織において発現することを見出した。リアルタイムPCRを使用して、L86S−46が、肺扁平上皮組織および正常な扁桃において過剰発現され、そして試験した他の全ての組織において、発現は低いかまたは検出不可能であることを見出した。
【0295】
(実施例6)
(肺腫瘍抗原をコードするDNA配列の単離)
扁平上皮細胞肺腫瘍の形成に潜在的に関与する抗原をコードするDNA配列を、以下のように単離した。
【0296】
肺腫瘍指向性cDNA発現ライブラリーを、λZAP Express発現系(Stratagene,La Jolla,CA)を用いて構築した。このライブラリーのための総RNAを、2つのヒト扁平上皮肺癌腫のプールから採取し、そしてポリA+RNAを、オリゴ−dTセルロース(Gibco BRL,Gaithersburg,MD)を使用して単離した。ファージミドをランダムにレスキューし、そして単離したクローンのcDNA配列を決定した。
【0297】
クローンSLT−T1について決定したcDNA配列を、配列番号102に提供し、そしてクローンSLT−T2、SLT−T3、SLT−T5、SLT−T7、SLT−T9、SLT−T10、SLT−T11およびSLT−T12について決定した5’cDNA配列を、それぞれ配列番号103〜110に提供する。SLT−T1、SLT−T2、SLT−T3、SLT−T10およびSLT−T12についての対応する推定アミノ酸配列を、それぞれ、配列番号111〜115に提供する。SLT−T2、SLT−T3、SLT−T5、SLT−T7、SLT−T9およびSLT−Tl1の配列と、上記のような公開データベースの配列との比較は、有意な相同性がないことを明らかにした。SLT−T10およびSLT−T12についての配列が、ヒトにおいて以前に同定された配列に対するある程度の相同性を示すことを見出した。
【0298】
SLT−T1の配列が、未知タンパク質機能を有するPACクローンに対するある程度の相同性を示すことを決定した。SLT−T1のcDNA配列(配列番号102)が、突然変異誘発因子(MUTT)ドメインを含むことを見出した。このようなドメインは、損傷したグアニンのDNAからの除去において機能し、AからGへの塩基転換を生じ得ることが公知である(例えば、el−Deiry,W.S.、1997 Curr.Opin.Oncol.9:79−87;Okamoto,K.ら 1996 Int.J.Cancer 65:437−41;Wu,C.ら 1995 Biochem.Biophys.Res.Commun.214:1239−45;Porter,D.W.ら 1996 Chem.Res.Toxicol.9:1375−81を参照のこと)。従って、SLT−T1は、DNA修復における崩壊によって生じるかまたはこの崩壊に関連する肺癌の、遺伝子治療による処置において使用され得る。
【0299】
さらなる研究において、腺癌肺腫瘍形成に潜在的に関与する抗原をコードするDNA配列を、以下のように単離した。ヒト肺腫瘍指向性cDNA発現ライブラリーを、λZAP Express発現系(Stratagene,La Jolla,CA)を用いて構築した。このライブラリーのための総RNAを、ヒト腺癌継代後期SCIDマウスから採取し、そしてポリA+RNAを、Message Maker kit(Gibco BRL,Gaithersburg,MD)を使用して単離した。ファージミドを、ランダムにレスキューし、そして単離したクローンのcDNA配列を決定した。
【0300】
5つの単離したクローン(SALT−T3、SALT−T4、SALT−T7、SALT−T8、およびSALT−T9と呼ぶ)について決定した5’cDNA配列を、配列番号116〜120に提供し、そして対応する推定アミノ酸配列を、配列番号121〜125において提供する。SALT−T3が、以前に同定されたヒトトランスデューシン様エンハンサータンパク質TLE2に対して98%の同一性を示すことを見出した。SALT−T4は、マウスHβ58遺伝子のヒトホモログであるようである。SALT−T7が、ヒト3−メルカプトピルベート硫黄転移酵素に対して97%の同一性を有していることを見出し、そしてSALT−T8が、ヒトインターフェロン誘導性タンパク質1−8Uに対して相同性を示すことを見出した。SALT−T9は、ヒトムチンMUC 5Bに対して約90%の同一性を示した。
【0301】
スモール細胞肺癌の発達に潜在的に関与する抗原をコードするcDNA配列を、以下のように単離した。cDNA発現ライブラリーを、スモール細胞肺癌細胞株NCIH69、NCIH128およびDMS79(American Type Culture Collection,Manassas,VAから全て入手可能)由来のmRNAから、λZAP Express発現系(Stratagene,La Jolla,CA)を用いて構築した。ファージミドをランダムにレスキューし、そして27個の単離されたクローンのcDNA配列を決定した。この決定したcDNA配列の比較は、配列番号372および373の配列に対する有意な相同性がないことを明らかにした。配列番号364、369、377、379および386の配列は、以前に単離されたESTに対するある程度の相同性を示した。残りの20クローンの配列は、以前に同定された遺伝子に対するある程度の相同性を示した。これらのクローンのcDNA配列を、配列番号363、365〜368、370、371、374〜376、378、380〜385および387〜389に提供し、ここで、配列番号363、366〜368、370、375、376、378、380〜382、384および385は、全長配列である。
【0302】
配列番号372のcDNA配列の比較は、このクローン(128TIと呼ぶ)が、推定7回膜貫通タンパク質のファミリーの新規なメンバーであることを示す。詳細には、コンピュータアルゴリズムPSORTを使用して、このタンパク質が、IIIA型原形質膜7回膜貫通タンパク質であると推定される。ゲノムクローンを、Genbankデータベースにおいて同定し、これは、配列番号372によってコードされるアミノ酸配列から不足している推定N末端の58アミノ酸を含んだ。128TIクローンについて決定した全長cDNA配列を、配列番号390に提供し、そして対応するアミノ酸配列を、配列番号391に提供する。
【0303】
正常な組織における発現レベルと比較した、肺腫瘍組織において単離した特定の抗原の発現レベルを、マイクロアレイ技術によって決定した。これらの研究の結果を、これらの配列についてのデータバンク分析と共に、以下の表3に示す。
【0304】
(表3)
【0305】
【表3】
LT+F/N=肺腫瘍および正常組織を超える胎児組織
SC+M/N=肺スモール細胞癌および正常組織を超える転移性組織
Squa/N=正常組織を超える扁平上皮肺腫瘍
Aden/N=正常組織を超える腺癌
(実施例7)
(ポリペプチドの合成)
ポリペプチドを、HPTU(O−ベンゾトリアゾール−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート)活性化を伴うFMOC化学反応を使用して、Perkin Elmer/Applied Biosystems Division 430Aペプチドシンセサイザー上で合成し得る。Gly−Cys−Gly配列は、結合体化、固定された表面への結合、またはペプチドの標識化の方法を提供するためにそのペプチドのアミノ末端に結合され得る。固体支持体からのそのペプチドの切断は、以下の切断混合物を使用して実施され得る:トリフルオロ酢酸:エタンジチオール:チオアニソール:水:フェノール(40:1:2:2:3)。2時間の切断の後、そのペプチドを、冷却メチル−t−ブチル−エーテル中で沈殿させ得る。次いで、そのペプチドペレットを、水含有0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)中に溶解し得、そしてC18逆相HPLCによる精製の前に凍結乾燥し得る。水(0.1%TFAを含む)中0%〜60%のアセトニトリル(0.1%TFAを含む)の勾配を使用して、ペプチドを溶出し得る。純粋な画分の凍結乾燥後、そのペプチドを、エレクトロスプレーまたは他の型の質量分析法を使用し、そしてアミノ酸分析によって特徴付け得る。
【0306】
(実施例8)
(T細胞発現クローニングによる、肺腫瘍抗原をコードするDNA配列の単離および特徴付け)
肺腫瘍抗原はまた、T細胞発現クローニングによって同定され得る。腫瘍特異的T細胞の1つの供給源は、ヒト患者から外科的に切り出された腫瘍からである。
【0307】
非スモール細胞肺癌をミンスして、そして数時間、酵素により消化して、腫瘍細胞および浸潤性リンパ球(腫瘍浸潤性T細胞、すなわちTIL)を放出させた。この細胞を、HBSS緩衝液中で洗浄して、そしてFicoll(100%/75%/HBSS)不連続勾配に通して、非生存細胞から腫瘍細胞およびリンパ球を分離した。2つのバンドをこの界面から回収した(75%/HBSS界面の上側のバンドは、主に腫瘍細胞を含み、一方、100%/75%/HBSS界面の下側のバンドは、リンパ球の大部分を含んだ)。TILを、10ng/ml IL−7および100U/ml IL−2を補充した培養培地を含む24ウェルプレート、あるいは抗CD3モノクローナル抗体OKT3で予めコーティングした24ウェルプレートのいずれかで、培養において増殖させた。得られたTIL培養物を、FACS分析によって分析して、CD8+T細胞が高い割合を占め(ゲートした(gated)集団の90%を超える)、CD4+細胞は、低い割合のみを占めたことを確認した。
【0308】
さらに、非スモール細胞肺癌腫細胞を、腫瘍細胞株(LT391−06と呼ぶ)を樹立する標準的な技術を使用して、培養において増殖させた。これは、免疫組織化学分析によって肺癌腫細胞株であることが後に確認された。この腫瘍細胞株を、ヒトCD80を発現するレトロウイルスベクターで形質導入して、そしてFACS分析によって特徴付けして、CD80、クラスI MHCおよびクラスII MHC分子の高発現レベルを確認した。
【0309】
TIL株が自己肺腫瘍を特異的に認識する能力を、サイトカイン放出アッセイ(IFN−γおよびTNF−α)ならびに51Cr放出アッセイによって実証した。手短に言うと、21日目の培養物由来のTIL細胞を、自己または同種異系腫瘍細胞、EBV不死化LCLまたはコントロール細胞株DaudiおよびK562のいずれかとともに同時培養して、そしてこの培養上清を、サイトカンの存在について、ELISAによってモニターした。TILは、自己腫瘍を特異的に認識したが、同種異系腫瘍を特異的に認識しなかった。さらに、EBV不死化LCLまたはコントロール細胞株については認識しなかった。このことは、TIL株が、腫瘍特異的であり、そして自己MHC分子により提示される腫瘍抗原を潜在的に認識していることを示す。
【0310】
この特徴付けられた腫瘍特異的TIL株を、20U/mlのIL−2の存在下で、照射したEBV形質転換LCLおよびPBLフィーダー細胞を含む培養物において、可溶性抗CD3抗体を使用するT細胞発現クローニングに適切な数まで増殖させた。増殖したTIL株由来のクローンを、標準的な限界希釈技術によって生成した。詳細には、TIL細胞を、96ウェルU字底プレート中に0.5細胞/ウェルにて播種して、そして50U/ml IL−2の存在下で、CD80形質導入自己腫瘍細胞、EBV形質転換LCL、およびPBLフィーダー細胞で刺激した。これらのクローンを、51Cr微量細胞毒性(microcytotoxicity)およびIFN−γバイオアッセイによって自己腫瘍特異性について確認した。
【0311】
これらのCTLクローンは、抗体ブロック実験によって制限されるHLA−B/Cであることを実証した。代表的なCTLクローンを、同種肺癌腫のパネル上で試験し、そしてこれは自己腫瘍および肺扁平上皮細胞癌(936T)の両方を認識する。これらの腫瘍の間で共有される唯一のクラスI MHC分子がHLA−Cw1203であるため、このことは、HLA−Cw1203がCTLによって使用される制限エレメントであることを示す。この知見を、CTLによって、HLA−Cwl203をコードするレトロウイルスベクターで形質導入された多くの同種肺癌腫の認識によって確認した。
【0312】
ポリA mRNAを、LT391−06と呼ばれる肺腫瘍細胞株からMessage Maker(Life Technologies;Rockville,MD)を使用して調製した。cDNA合成を含む引き続く工程を、Life Technologiesのクローニングマニュアル(cDNA合成およびプラスミドクローニングのためのSuperScriptプラスミド系)に従って行った。このプロトコルに対する改変を、以下のように行った。アダプター付加工程において、EcoRI−XmnIアダプター(New England Biolabs;Beverly,MA)を置換した。サイズ画分したcDNAを、発現ベクター系HisMax A,B,C(Invitrogen;Carlsbad,CA)に連結して、3つ全てのコードフレームにおけるタンパク質発現について最適化した。次いで、ライブラリープラスミドを、約100CFU/ウェルで96ウェルブロックにアリコートし、一晩液体増幅した。これらの培養物から、グリセロールストックを作製しそしてプールしたプラスミドを、自動化ロボット(Qiagen;Valencia,CA)によって調製した。このライブラリープレートの各ウェル中のプラスミドDNAの濃度を、約150ng/ulと決定した。このcDNA発現ライブラリーの最初の特徴付けを、24の一次形質転換体のランダム配列決定、および得られた配列を利用可能なデータベースに対してBLAST検索に供することによって行った。決定したcDNA配列を、配列番号443〜480に提供し、そしてBLAST検索の結果を、表4に提供する。
【0313】
(表4)
【0314】
【表4】
T細胞スクリーニングについて、約80ngのライブラリープラスミドDNAおよび80ngのHLA−Cw1203プラスミドDNAを、製造業者の指示に従って脂質Fugeneと混合し、そしてCOS−7細胞へ2連でトランスフェクトした。37℃で48時間インキュベーション後、トランスフェクション混合物を除去し、そして10000のLT391−06 CTLをヒト血清を含む新鮮培地中の各ウェルへ添加した。
【0315】
ライブラリー中の抗原を認識するT細胞の能力を、6時間後(TNF−α、WEHIバイオアッセイ)または24時間後(IFN−γ、ELISA)にサイトカイン放出によって評価した。約2.0×105のクローン(100のプラスミドプール中)をCOS−7細胞におけるこの系を使用してスクリーニングした。LT391−06 CTLによって認識される3つのプラスミドプールを、同定した(14F10、19A4、および20E10と呼ばれる)。COS−7細胞へのこれらのプラスミドプールのトランスフェクションは、バックグランドより有意に上のレベルでLT391−06CTLからIFN−γおよびTNF−α両方の生成を導いた。プール14F10、19A4および20E10を数百の個々のプラスミドDNAへ「分解し」、そして再試験した。プール14F10から単離された24個の新規のクローンの配列は、配列番号481〜511に提供される。
【0316】
プール14F10由来の1つのプラスミド(3D9)、プール20E10由来の1つのプラスミドおよびプール19A4由来の5つのプラスミド(2A6、2E11、2F12、3F4、3H8)は、T細胞認識を再構成し得た。これらのプラスミドの配列決定は、7.8kBのcDNA挿入物(クローン14F10と呼ばれる)、2.2kBのcDNA挿入物(クローン19A4と呼ばれる、配列番号440)、および20E10と呼ばれるクローンの同定を導いた。14F10についての全長cDNA配列を、配列番号441に提供する。クローン14F10は、19A4の5’末端に見出される最初の2つの「G」ヌクレオチドを含まず、そして19A4の3’近位24bpが14F10の対応する領域(ヌクレオチド2145〜2165)とは異なる。さらに、3837bpの3’付加配列を、クローン14F10について単離した。クローン20E10の5’末端cDNA配列(337bp)を、配列番号442に提供する。20E10は、5’最末端でさらに3つのヌクレオチドを含む(19A4と比較して)。クローン20E10の5’末端由来の付加配列は、「ATG」を含み、従って新規なオープンリーディングフレームの翻訳開始部位を含むようである。GenBankデータベースに対するBLAST探索分析は、短縮されたヒトシスチン/グルタミン酸トランスポーター遺伝子と有意な相同性を有するようなこれらの配列を同定した。しかし、公開された配列とは異なり、クローン14F10および19A4は、181ヌクレオチドからなる独特な5’末端を含む。この新規な配列は、公開された5’領域で置き換わり、そして報告された開始メチオニン(開始コドン)およびこの報告されたトランスポータータンパク質のさらなる2つのアミノ酸の除去を生じる。従って、クローン14F10および19A4の翻訳産物は、シスチン/グルタミン酸トランスポータータンパク質とは異なる。さらに、他の肺腫瘍のT細胞認識は、この抗原が他の腫瘍細胞によって同様に発現されることを示す。
【0317】
抗LT391−06細胞のT細胞認識を再構成するクローン19A4および14F10内にコードされるエピトープならびにアミノ酸配列を、以下のようにマッピングした。Cos−7細胞を、80ng/ウェルのHLA−Cw1203でクローン19A4、19A4の独特な5’末端に位置される潜在的なオープンリーディングフレーム、またはシスチン/グルタミン酸(Cys−Glu)トランスポーター遺伝子由来のオープンリーディングフレームをコードするcDNA(真核生物発現ベクターへクローニングする)の滴定量と共にトランスフェクトし、そしてTNFアッセイにおける抗LT391−06 T細胞の刺激について試験した。陽性コントロールとして、Cos−7細胞を、HLA−Cw1203および上記の陽性プラスミドクローン19A4で同時トランスフェクトした。このCys−Gluトランスポーター発現構築物を、テンプレートとして19A4を用い、トランスポーターの公知のORFに特異的な5’プライマーおよび3’プライマーを使用してPCRによって単離した。さらに、各5’プライマーは、ポリペプチドの翻訳を駆動するためにKozak翻訳開始部位および開始メチオニンを含んでいた。LT391−06に対するCTLは、Cys−Gluトランスポーター構築物を発現するトランスフェクタントを認識しなかったが、19A4および19A4由来の5’ORFを発現するトランスフェクタントを認識した。
【0318】
引き続く発現において、Cos−7細胞を、転位変異体それぞれF10およびC12のDNAの滴定量と共に80ng/ウェル HLA−Cw1203で同時トランスフェクトし、そしてTNFアッセイにおける抗LT391−06 T細胞の刺激について試験した。陽性コントロールトして、Cos−7細胞を、HLA−Cw1203および19A4の5’ORFのクローンで同時トランスフェクトした。転位変異体F10およびC12を、14F10クローンのトランスポゾン媒介変異および配列分析による挿入部位についてのスクリーニングによって得た。変異体F10のトランスポゾンに、14F10 cDNAの5’EcoRIクローニング部位由来の約304bpを挿入した。この変異は、T細胞エピトープの翻訳を中断させなかった。対照的に、14F10 cDNAの5’EcoRIクローニング部位由来の約116bpを挿入した変異体C12のトランスポゾンが、T細胞エピトープの翻訳を妨げることを見出した。従って、14F10におけるエピトープは、これら2つのトランスポゾン挿入部位間にマッピングされる。C12およびF10トランスポゾン挿入部位間の領域のアミノ酸配列を、配列番号586に提供する。
【0319】
配列番号586に示される領域に対する一連の11個の重複16マーおよび15マーペプチドを調製し、そして抗LT391−06細胞の刺激(TNFおよびIFN−γアッセイにおけるサイトカイン放出によって決定される)について試験した。配列番号587に提供するペプチド(配列番号586の残基5〜20に対応する)のみが、サイトカイン放出を刺激した。これらの研究は、LT391−06抗原のHLA−Cw1203拘束エピトープが配列番号587に含まれることを示す。
【0320】
(実施例9)
(PCR減算による肺腫瘍抗原をコードするDNA配列の単離および特徴づけ)
本実施例は、上記のヒト肺腫瘍細胞株LT391−06から調製されるPCR減算発現ライブラリーからのcDNAクローンの単離および特徴づけを記載する。
【0321】
テスターポリA mRNAを、上記の細胞株LT391−06から調製した。駆動ポリA mRNAを、非肺細胞由来であり、かつLT391−06反応性T細胞によって認識されないヒト急性T細胞白血病/Tリンパ球細胞株(Jurkat)から単離した。この減算を、以下を変更してClontech(Palo Alto,CA)の方法に従って実行した:1)cDNAの第2の制限消化反応を酵素(MscI、PvuII、StuIおよびDraI)のプールを使用して終えた。このことを、Clontech推薦のRsaIを用いる単一の制限酵素消化に加えて、この消化とは別に行った。各制限消化セットを、別個のライブラリーとして処理して、確実に最終混合ライブラリーが重複フラグメントを含むようにした。従って、T細胞によって認識されるエピトープは、ライブラリー中のフラグメント上に示されるべきであり、そしてその中の単一の制限部位の存在によって破壊されるべきではない。2)駆動対テスターcDNAの比をハイブリダイゼーション工程において増加し、減算ストリンジェンシーを増加した。この減算の有効性を解析するために、アクチンを、減算ならびに非減算PCRサンプルの希釈液からPCR増幅した。この第2の増幅工程は、通常使用されるプライマーから改変したプライマーを利用した。3つの入れ子PCRプライマーを操作して、3つのフレームのうちの1つに切断可能なEcoRI部位(クローニングの間は利用されない)を含ませた。従って、これらのプライマーを用いる二次増幅は、真核生物の発現プラスミドpcDNA4His/Max−Topo(Invitrogen)へ直接連結され得る産物を生じた。このことは、ライブラリー内のどこかにインフレームで示されるPCR減算および増幅フラグメントを生じた。この減算の力学に起因して、50%のフラグメントのみが、正しい方向付けにある。ライブラリーの複雑さおよび重複を、最終的にプールされるPCR減算発現ライブラリー(LT391−06PCRと呼ぶ)からランダムに選び取られた96個のクローンを配列決定することによって特徴づけした。これらの配列(配列番号512〜581)を、公に利用可能なデータベースにおける配列と比較することによって分析した(表5)。
【0322】
【表5】
(実施例10)
(肺腫瘍抗原に特異的なT細胞クローン由来のT細胞レセプターの単離および特徴づけ)
本実施例は、肺腫瘍細胞株LT391−06によって発現される抗原に特異的なCD8T細胞クローン由来のT細胞レセプター(TCR)αおよびβ鎖クローニングおよび配列決定を記載する。T細胞は、限られた寿命を有する。TCR鎖のクローニングおよび引き続く転移は、本質的にT細胞特異性の無限伝播を可能にする。腫瘍抗原TCR鎖のクローニングは、TCR MHC拘束対立遺伝子を共有する患者から単離したT細胞への特異性の転移を可能にする。次いで、このようなT細胞を、拡張して、そして養子転移技術で使用して、抗原を発現する腫瘍を保有する患者へ腫瘍抗原特異性を導入し得る(例えば、Clayら、J.Immunol.163:507(1999)を参照のこと)。
【0323】
肺腫瘍細胞株LT391−06に特異的な細胞障害性のTリンパ球(CTL)クローンを産生した。このような15個のクローン由来の2×106細胞由来の総mRNAを、Trizol試薬を使用して単離し、そしてcDNAを、Ready−to−Goキット(Pharmacia)を使用して合成した。これらのクローンにおけるVaおよびVb配列を決定するために、VaおよびVbサブタイプ特異的プライマーのパネルを合成し、そして各クローンから産生したcDNAを用いてRT−PCR反応に使用した。RT−PCR反応は、各クローンがVb13サブファミリーに対応する共通Vb配列を発現することを示した。1つのクローンから産生したcDNA(1105と呼ぶ)を使用して、発現されるVa配列をVa22と決定した。クローン1105から全TCRαおよびβ鎖をクローニングするために、TCRヌクレオチドをコードするイニシエーターおよびターミネーターにわたるプライマーを、設計した。標準的な35サイクルのRT−PCR反応を、CTLクローンおよびプライマーから合成されるcDNAを使用して熱安定なポリメラーゼとしてPWO(BMB)を用いて達成した。生じる特異的バンド(α鎖については約850bpおよびβ鎖については約950bp)を、PCR平滑ベクター(blunt vector)(Invitrogen)へ連結し、そしてE.coliへ形質転換した。全長αおよびβ鎖を含むプラスミドで形質転換したE.coliを、同定し、そして対応するプラスミドのラージスケールの調製物を産生した。全長TCRαおよびβ鎖を含むプラスミドを配列決定した。決定した、αおよびβ鎖のcDNA配列を、それぞれ配列番号583および582に提供し、その対応するアミノ酸配列を、それぞれ配列番号54および585に提供する。
【0324】
前述から、本発明の特定の実施形態は、例示目的のために本明細書中に記載され、種々の改変は、本発明の精神および範囲から逸脱せずになされ得ることが理解される。従って、本発明は、添付の特許請求の範囲を除いて限定されない。
Claims (17)
- 単離されたポリヌクレオチドであって、以下:
(a)配列番号390、392、394、396、398〜420、422〜424、428〜433および440〜583に提供される配列;
(b)配列番号390、392、394、396、398〜420、422〜424、428〜433および440〜583に提供される該配列の相補体;
(c)配列番号390、392、394、396、398〜420、422〜424、428〜433および440〜583に提供される配列の少なくとも20個の連続する残基からなる配列;
(d)中程度にストリンジェントな条件下で配列番号390、392、394、396、398〜420、422〜424、428〜433および440〜583に提供される配列にハイブリダイズする配列;
(e)配列番号390、392、394、396、398〜420、422〜424、428〜433および440〜583の配列に少なくとも75%同一性を有する配列;
(f)配列番号390、392、394、396、398〜420、422〜424、428〜433および440〜583の配列に少なくとも90%同一性を有する配列;ならびに
(g)配列番号390、392、394、396、398〜420、422〜424、428〜433および440〜583に提供される配列の縮重改変体、からなる群より選択される配列を含む、ポリヌクレオチド - 単離されたポリペプチドであって、以下:
(a)配列番号584〜587;
(b)請求項1に記載されるポリヌクレオチドによってコードされる配列;および
(c)請求項1に記載されるポリヌクレオチドによってコードされる配列に少なくとも70%同一性を有する配列;および
(d)請求項1に記載されるポリヌクレオチドによってコードされる配列に少なくとも90%同一性を有する配列、
からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、ポリペプチド。 - 発現制御配列に作動可能に連結された、請求項1に記載されるポリヌクレオチドを含む発現ベクター。
- 請求項3に記載される発現ベクターで形質転換またはトランスフェクトされた、宿主細胞。
- 請求項2に記載されるポリペプチドに特異的に結合する、単離された抗体、またはその抗原結合フラグメント。
- 患者において癌の存在を検出する方法であって、該方法は、以下:
(a)該患者から生物学的サンプルを得る工程;
(b)請求項2に記載されるポリペプチドに結合する結合因子と該生物学的サンプルを接触させる工程;
(c)該結合因子に結合するポリペプチドの量を該サンプルにおいて検出する工程;および
(d)予め決定されたカットオフ値と該ポリペプチドの量を比較して、そしてそこから該患者における癌の存在を決定する工程、
を包含する、方法。 - 請求項2に記載される少なくとも1つのポリペプチドを含む、融合タンパク質。
- 中程度にストリンジェントな条件下で配列番号390、392、394、396、398〜420、422〜424、428〜433および440〜583に示される配列にハイブリダイズする、オリゴヌクレオチド。
- 腫瘍タンパク質に対して特異的なT細胞を刺激ならびに/または拡張する方法であって、該方法は、T細胞の該刺激ならびに/または拡張を可能にするのに十分な条件下および時間で以下:
(a)請求項2に記載されるポリペプチド;
(b)請求項1に記載されるポリヌクレオチド;および
(c)請求項1に記載されるポリペプチドを発現する抗原提示細胞、
からなる群より選択される少なくとも1つの成分とT細胞を接触させる工程を包含する、方法。 - 請求項9に記載される方法に従って調製されるT細胞を含む、単離されたT細胞集団。
- 生理学的に受容可能なキャリアおよび免疫刺激剤からなる群より選択される第1の成分、ならびに以下:
(a)請求項2に記載されるポリペプチド;
(b)請求項1に記載されるポリヌクレオチド;
(c)請求項5に記載される抗体;
(d)請求項7に記載される融合タンパク質;
(e)請求項10に記載されるT細胞集団;および
(f)請求項2に記載されるポリペプチドを発現する抗原提示細胞、
からなる群より選択される第2の成分を含む、組成物。 - 患者において免疫応答を刺激する方法であって、該方法は、請求項11に記載される組成物を該患者に投与する工程を包含する、方法。
- 患者における癌の処置の方法であって、該方法は、請求項11に記載される組成物を該患者に投与する工程を包含する、方法。
- 患者における癌の存在を検出する方法であって、以下:
(a)該患者から生物学的サンプルを得る工程;
(b)請求項8に記載されるオリグヌクレオチドと該生物学的サンプルを接触させる工程;
(c)該オリグヌクレオチドにハイブリダイズするポリヌクレオチドの量を該サンプルにおいて検出する工程;および
(d)予め決定されたカットオフ値と該オリグヌクレオチドにハイブリダイズする該ポリヌクレオチドの量を比較して、そしてそこから該患者における該癌の存在を決定する工程、
を包含する、方法。 - 請求項8に記載される少なくとも1つのオリゴヌクレオチドを含む、診断キット。
- 請求項5に記載される少なくとも1つの抗体および検出試薬を含む、診断キットであって、ここで、該検出試薬がレポーター基を含む、キット。
- 患者における癌の発達を阻害する方法であって、以下:
(a)(i)請求項2に記載されるポリペプチド;(ii)請求項1に記載されるポリヌクレオチド;および(iii)請求項2に記載されるポリペプチドを発現する抗原提示細胞、からなる群より選択される少なくとも1つの成分と患者から単離されたCD4+および/またはCD8+T細胞をインキュベートし、その結果、T細胞が増殖する工程;
(b)該増殖T細胞の有効量を該患者に投与し、そしてそれにより該患者における癌の発達を阻害する工程、
を包含する、方法。
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