JP2004526064A - 織物の繊維の周りにセルロース被覆を作製する方法、およびそれによって作製された織物 - Google Patents
織物の繊維の周りにセルロース被覆を作製する方法、およびそれによって作製された織物 Download PDFInfo
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Abstract
Description
【0001】
(発明の背景)
消費者による合成織物およびブレンドの使用は、近年減少しており、綿100%の布地(これは、好ましい外観および快適さを与える)が、特に衣服において選ばれている。しかし、綿100%の糸および布地の使用は、縮んだり、しわができたりする傾向を含む、不利な点を有する。上着類について、綿の収縮およびしわを制御するための最も一般的な方法は、綿繊維をホルムアルデヒドベースの樹脂と架橋させることである。しかし、ホルムアルデヒドは、危険な化学物質であると考えられ、そして処理の間の取り扱いが危険である。ホルムアルデヒドはまた、身体と接触する布地において危険であると考えられる。なぜなら、ホルムアルデヒドは、公知の発癌物質であるからである。さらに、ホルムアルデヒドベースの樹脂は、綿または綿ブレンド布地の収縮およびしわを制御するために使用される場合、その布地の磨耗抵抗および強度特性を低下させ、そしてこれらの布地を、より磨耗しやすく、摩滅しやすく、布地の穴を形成しやすく、そして傷みやすくする。非ホルムアルデヒド(例えば、ポリカルボン酸)樹脂が発明されたが、これらはさほど効果的ではなく、より高価であり、そして同様に、布地の強度を損なわせやすい。
【0002】
収縮を制御するために、織物の製造所において布地を予め洗浄することもまた、満足ではない。なぜなら、これはエネルギーを浪費し、そして新たな衣服に着られた外観を与えるからである。綿布の収縮を制御するために、機械的な圧縮が使用されている。しかし、このプロセスは、高い仕事の損失に起因して高価であり、そして圧縮された衣服は、その圧縮前の寸法に戻る傾向があるので、永久的な解決法ではない。また、これらの方法のいずれも、綿のしわができる傾向に取り組まない。これらの理由により、樹脂によって綿を処理することは、綿布の収縮およびしわを制御するための現在好ましい方法である。
【0003】
疎水性の合成織物繊維(例えば、ポリエステル、ポリアクリルアミド、ポリオレフィン、ポリアクリレート、ナイロンなど)の出現によって、連続的なフィラメント糸が入手可能になり、これらは、ステープル繊維より大きな強度およびさらなる耐久性を有し、そしてしわまたは収縮の問題がより少ない。これらの繊維から作製された布地の収縮は、合成繊維ポリマーの熱アニーリング点を超えた糸を使用することによって、制御され得る。合成糸から作製された製品は、洗濯、ドライクリーニング、および光への曝露に対する、優れた強度特性、寸法安定性および良好な色の定着を有する。ポリエステル100%の編地および織地の使用は、1960年代後半から1970年代の間に、非常に人気が出てきた。より最近は、連続フィラメントのポリエステル繊維がまた、ステープルに混ぜ込まれ、次いでこれが、ステープル100%の糸に紡績され得るか、または綿もしくは他の天然繊維とブレンドされ得る。しかし、合成糸およびこれらの糸から作製される布地は、多くの望ましくない特性(光沢のある、合成されたような外観、つるつるした、人工的な感触の「手触り」、制限された水分移送能力、および静電気を蓄積する傾向を含む)を有する。さらに、ポリエステル繊維は、ステープル形態では毛玉を作りやすく、そして連続フィラメント形態では刺さりやすい。
【0004】
綿繊維と合成繊維との両方の、有益な性質のみを組み合わせた布地を製造するための、いくつかの試みがなされてきた。このような試みは、ブレンド、被覆/コア糸の紡績、および被覆/コア繊維の複合(グラフト)を含んだ。これらの方法は、繊維の改変を必要とし、そして布地に対しては満足に実施され得ない。
【0005】
綿と合成物とを一緒にブレンドする従来の方法は、完全には成功していない。なぜなら、ポリエステルと綿との機械的かつ緊密なブレンドは、毛玉になり、刺さり、そして縮む傾向があり、静電気の蓄積に供され得、そして着心地が悪くあり得るからである。ポリエステルおよびポリエステルブレンド布の、消費者の使用は、近年低下しており、綿100%の布地(これは、好ましい外観および快適さを与える)が選ばれている。
【0006】
異なる天然繊維の被覆/合成繊維コアの構成を有する糸が、長年にわたって製造されている(米国特許第4,711,079号;同第5,497,608号;同第5,568,719号;および同第5,618,479号)。均質な糸および複合糸の両方を紡績する周知の方法は、リング精紡であり、これは、高品質の強い糸を生じ、1回の精紡あたりの資本投資は低い。しかし、リング精紡は、比較的遅いプロセスであり、1分間あたり約10から25メートルの糸しか生産せず、これは、最終製品の費用を大きく増加させる。さらに、天然繊維の配置に対する制御が乏しい;得られる糸は、コアの上の不均一な被覆繊維の分布を有し、被覆含有量が全くないセクションを含む。さらに、以前に公知の他のプロセスはいずれも、リング精紡糸の強度および手触りを生じ得ないので、このプロセスは、糸の強度および手触りに対する要求がその高い費用を正当化する場合に使用される。
【0007】
グラフトまたは共有押し出しによって被覆/コア繊維複合材を製造することの概念は、この問題を解決するための比較的新しい試みである(米国特許第3,824,146号;同第5,009,954号;同第5,272,005号;同第5,387,383号)。このプロセスにおいて、合成コア繊維は、繊維コーティングダイに通され、ここで、このコアは、粘性のレーヨンに接触する。レーヨンコーティングは、処理された繊維を硫酸浴に通すことによって作製される。得られる複合繊維は、コア繊維の機械的特性およびレーヨンの表面特性を有する。代表的に、レーヨンスキンは、特にコアが平滑な表面を有する場合、コアに十分に接着しない。様々な量で成功して、多くの接着促進剤が提唱されているが、酸の硬化のために必要とされる長い反応時間が、この方法を高価でかつ遅いものにしている。
【0008】
従って、綿と合成物との両方の有益な特性を有し、一方でこれらの成果のない性質を排除する繊維を製造することの必要性が、当該分野において存在する。そのプロセスが速く、経済的であり、そして現在の織物製造の実施(例えば、サンディング、織ること、および染色)に対して明白であることは、さらに望ましい。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0009】
(発明の要旨)
本発明は、合成繊維で作製された布地、衣服、織布製品または不織布製品(本明細書中において、用語「基材」および「繊維性基材」に包含される)、あるいは個々の合成繊維または糸を処理して、基材の各合成繊維の周りに永久的に付着された炭水化物被覆を作製するための方法に関する。炭水化物は、綿(これは、1つの型の炭水化物である)の望ましい特性を有する。このような処理は、天然の炭水化物被覆の最も望ましい特徴と組み合わせられた、合成コア繊維の最も望ましい特徴を示す基材を与える。例えば、それは、合成コアの機械的特性および綿様の表面特性を示す。所望の場合、この技術を、織る前、編む前、縫い付ける前、または織布もしくは不織布の基材形成の他の方法の前に、個々の合成繊維または糸に適用することもまた可能である。
【0010】
より具体的には、本発明のプロセスにおいて、合成繊維を含む物品または基材が、水溶性炭水化物のポリマーまたはモノマーを含有する水溶液と接触される。次いで、この炭水化物のモノマー/ポリマーは、適切な架橋剤を使用して架橋され、耐久性のある炭水化物被覆またはカプセル化層を、合成繊維の周りに形成する。得られた処理された基材は、綿と類似の感触特性を有し、そして繰り返しの洗濯の後にさえも、新水性特性を示す。対照的に、処理されていない合成繊維からなる基材は、代表的に、疎水性である。先行技術の方法より優れたこの方法の1つの利点は、パッド/乾燥/硬化プロセスを直接実施することによって、染色され、そして仕上げられた合成布地に適用される能力である。また、このプロセスは経済的であり、そして現在使用されている織物仕上げ設備を用いて、容易に達成される。
【0011】
本発明は、さらに、天然繊維から作製された布地、衣服、織布製品、または不織布製品(「基材」または「繊維性基材」)、あるいは個々の天然繊維または糸を処理して、基材の繊維の周りに永久的に付着した、炭水化物被覆またはカプセル化層を作製するための方法に関する。これは、綿様の表面の所望の特性を与え、一方でコアの天然繊維の機能的特性のいくらかを維持する。
【0012】
本発明によれば、他の成分を、カプセル化層に組み込んで、合成または天然の繊維または布地に耐久性の性質を与えることが可能である。この様式で、炭水化物層は、基材繊維のみでなく、外側の層に組み込まれる化合物をもまた収容する、バインダーとして働く。
【0013】
(発明の詳細な説明)
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される場合、「a」、および「an」は、「1つ以上」を意味する。
【0014】
(被覆層の適用)
本発明の好ましい実施形態において、布地形態の、合成、人工、または天然のコア材料が、水溶性炭水化物および架橋剤、ならびに必要であれば適切な架橋触媒の水溶液を含有する浴に通される。この浴は、本明細書中で、「炭水化物ポリマー被覆処方物」または「被覆形成処方物」と称される。この布地は、パッドを当てられて過剰の液体を除かれ、乾燥するまで加熱され、次いで、架橋剤と炭水化物との間の反応を引き起こすために十分な温度で硬化される。架橋が、これらの化合物の間に形成されて、コアの表面上に、炭水化物の薄いフィルムを形成する。この層は、本明細書中において、「炭水化物カプセル化層」、「炭水化物被覆」、「被覆形成層」または「被覆」と称される。同じ一般的な方法はまた、個々の繊維、リボン、および成形材料に適用され得る。適用はまた、スプレー、発泡、または基材を処理溶液でコーティングするための、当該分野において公知の他の任意の手段によって、達成され得る。
【0015】
水溶性炭水化物ポリマーの非限定的な例としては、化学的に改変された綿、デキストラン、ジエチルアミノエチルデキストラン、硫酸デキストラン、デンプン、キチン、キトサン、カルボキシメチルセルロース(遊離酸または塩)、ジエチルアミノエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、コンドロイチン−4−硫酸、グアラン(guaran)(ガーゴム)、ヒドロキシプロピルガー、コンニャク、バッタマメゴム、キサンタン、アルギニン酸(遊離酸または塩)、カラゲーナン、およびアクリロニトリルグラフトデンプンが挙げられる。
【0016】
2つ以上の求核試薬(例えば、ヒドロキシル、アミン、チオールなど)に結合し得る任意の化合物が、炭水化物被覆上のヒドロキシル基を、コア繊維および/またはその周りに結合させるための架橋剤として使用され得る。当業者は、多くの可能な架橋化学(ポリカルボン酸、アミノプラスト(N−メチロール)、イソシアネート、エピクロロヒドリン、および架橋可能なシロキサンポリマー)が使用され得ることを、認識する。現在好ましい架橋剤は、ポリカルボン酸およびN−メチロール化合物である。ポリカルボン酸架橋剤としては、ブタンテトラカルボン酸、ポリマレイン酸、ポリアクリル酸、クエン酸などが挙げられる。ポリカルボン酸と共に使用するための触媒は、当該分野において公知であり、そして次亜リン酸ナトリウムが挙げられる。ポリカルボン酸の分子量が大きい(例えば、10kより大きいMWを有するポリカルボン酸)場合、触媒は必要ではない。N−メチロール架橋剤としては、ジメチロールジヒドロキシエチレンウレア(DMDHEU)、トリアゾン、ウロン(uron)、ジメチロールメチルカルバメート、トリメチロールトリアジン、ジメチロールエチレンウレア、およびジメチロールウレアのような、永久プレス仕上げにおいて使用されるもの、ならびにN−メチロールアクリルアミドおよびN−メチロールメタクリルアミドのような、アミノプラストモノマーを組み込むポリマーが挙げられる。これらのアミノプラスト種は、ルイス酸触媒(例えば、塩化マグネシウムまたはアルミニウム塩)の存在下で、求核性基と反応する。
【0017】
本発明は、さらに、本発明の親水性繊維仕上げ剤で処理された合成糸、繊維、布地、仕上げられた製品、または他の織物(本明細書中において、用語「織物」、「繊維性基材」および「基材」に包含される)に関する。これらの織物または繊維性基材は、伝統的な合成織物およびいくらかの人工織物と比較して、改善されたぬれ性および水分透過性を示す。さらに、繊維の他の特性(例えば、繊維の光沢、繊維の感触または「手触り」、静電気散逸能力、および繊維−繊維摩擦音特性)が、処理によって改変され得る。
【0018】
本発明は、さらに、天然基材または人工基材(例えば、羊毛および他のケラチン性(keratinaceous)繊維、リネン、ナイロンなど)を処理するためのプロセスに関する。炭水化物被覆を提供することにより、綿様の表面の所望の特性が与えられ、一方でコアの天然繊維の機能的特性のいくらかが維持される。例えば、羊毛の布地は、湿潤時の熱保持、良好な乾燥特性、弾性、伸長性、ドレープ形成性および耐しわ性のような、有利な特性を有する。しかし、羊毛は、人口の一部に対してアレルギー性であり、洗濯の際に収縮およびフェルト化し、そして皮膚の隣に着用する場合に、引っ掻きの感触を有する。本発明によるセルロース性の外側層を用いると、羊毛は、耐収縮性、非アレルギー性、美的に満足であり、そして心地よくされ得、一方でその有利な特性を維持する。
【0019】
一実施形態において、このプロセスは、ケラチン繊維を、高分子電解質炭水化物ポリマーの組み合わせを含む仕上げ剤(finish)と接触させる工程を包含する。従って、ウール繊維、織物または繊維基材は、正に荷電したポリサッカリド(例えば、アミンを含むキトサン)でコーティングされ、次いで、負に荷電したポリサッカリド(例えば、カルボキシル基を含むアルギニン酸)でコーティングされる。この正に荷電したポリマーは、ウール繊維上に複合体被覆を形成し、このウール繊維のアレルギー性を小さくする。この形成された複合体は、商業的なドライクリーニングにおいて一般に使用される有機溶媒(例えば、テトラクロロエチレン)中に不溶性であり、従って、このコーティングを永久的にする。
【0020】
炭水化物被覆またはカプセル化層により与えられる特性は、繊維のマクロ特性を妨害しない;すなわち、この被覆は、繊維の直径を有意には増加せず、かつ繊維の間の空間を満たすことも、この織物を被覆材料の大きな断片で塞ぐこともない。さらに、この処理された繊維は、触ると、ポリエステルのようではなく、綿のように感じられ、そして改善された湿潤性を示す。
【0021】
本発明に従って調製された合成および天然の織物は、以下を含むが、それらに限定されない種々の様式で使用され得る:衣類、室内装飾品または他の家庭用備品、病院の使用または他の医療的使用、自動車の適用など;および工業的使用(例えば、Adanur,S.,Wellington Sears Handbook of Industrial Textiles,8−11頁(Technomic Publishing Co.,Lancaster,PA,1995)に列挙される使用)。
【0022】
100% 綿から構成される衣服は、一般に、「棚(shelf)」または消費者に対する審美的アピールを改善するために、衣服形態後処理される。いくつかの特性(柔らかい手触り、縮みの制御、デュラブルプレス、および独特かつ固有の外観を含む)は、使用されるプロセスに基づいて、衣服形態で処理することによって、織物物品に与えられる。例えば、デニムのジーンズは、しばしば、柔らかさおよび縮制御を改善するために、販売前に湿式処理され、そしてソフナーが、最終リンスにおいて、しばしば使用される。溶岩石、軽石、漂白剤、および/またはセルラーゼ酵素が、磨耗を促進視、衣服に古着の外観を与えるために、使用され得る。これらおよび類似の後処理プロセスは、最終的な衣服の審美的アピールを改善するために、本発明に用いられ得る。合成、人工または天然の繊維をカプセル化する炭水化物被覆により、綿で使用される同じ後処理技術の多くが、処理された合成、人工または天然の本発明の織物に適用され得る。
【0023】
(被覆形成層内への補助成分の組込み)
本発明に従う織物への炭水化物カプセル化層の適用は、織物に永続的に結合する本質的な能力を有さない補助成分を用いて織物を同時に仕上げる機会を与える。このように、この炭水化物被覆は、被覆仕上げ剤と共に適用される非実質的な補助成分に耐久性を与えるバインダーとして働く。あるいは、この補助剤は、炭水化物仕上げに対する直接染色性を有し得、そして炭水化物カプセル化層の適用後に、処理において適用され得る。いずれの方法においても、基本の織物は、カプセル化層を使用せずに達成され得ない多数の特性が与えられる。
【0024】
このような補助成分のいくつかの例として、赤外線吸収成分(これは夜間視力装置による検出を最小にするために、織物に永久的に組み込まれ得る)が挙げられる。赤外線吸収材料は、カーボンブラック、キチン樹脂、または一般的には、1000〜1200nmの波長の電磁線を吸収する成分である。赤外線吸収材料を含有するカプセル化層で処理され織物は、赤外線吸収能力、ならびにこのカプセル化層に属する他の有益な特性を生じ、このような織物は、軍事的用途において特に関心がもたれ得る。
【0025】
同様に、紫外光ブロック成分が、その衣服の着用者または織物材料自体のいずれかを紫外線から保護するために、組み込まれ得る。有色顔料または色素は、織物を着色するために、外側層に組み込まれ得る。磁気コロイドが、織物にデータ記憶能力を提供するために、被覆中に埋めこまれ得る。生体活性剤(例えば、防虫剤、抗菌剤、および医薬)、ならびに難燃剤および静電気防止剤もまた、組み込まれ得る。臭い吸収成分および中和剤(例えば、活性炭またはシクロデキストリン)、あるいは、例えば、加水分解可能リンカーを使用することによって延長した様式で放出することが望まれる材料もまた、本発明に従って塗布され得る。
【0026】
一実施形態において、コロイド(一般に、10nmと500nmとの間の平均直径を有する粒子として記載される)が、カプセル化被覆配合物中に組み込まれ、そして処理された織物に結合される。コロイド粒子は、小さすぎて、従来の顕微鏡では見えず、従って、個々の粒子は、織物上で目立たない。しかし、特定の金属コロイド(例えば、金または銀)は、その光吸収(従って、着色)特性に起因して、特に興味が持たれる。金属コロイドは、金属のタイプおよび粒子サイズに関連する最大吸収波長で、光を吸収する。これらは、生物学的アッセイおよび毒物学的アッセイに関連する本発明において、広範な用途を見出した。
【0027】
Hunterらに対して発行された米国特許第5,851,777号は、特定の生物学的部分または毒物学的部分に特異的に結合するリガンドに結合されたコロイド粒子の使用を開示する。有色金属コロイドは、本発明の1つの局面として、特に主張される。特定の生物学的部分または毒物学的部分が、リガンド結合金属コロイド粒子を含有する溶液に添加される場合、この部分への連結は、粒子の凝集および最大吸収波長の移動(すなわち、溶液の色)の移動を生じる。Hunterらはまた、リガンド結合コロイド粒子を使用する多数の関連の特許を開示する。これらの発明の重要な局面は、中間ポリマーを介する粒子表面へリガンドを結合する能力である。この中間ポリマーは、粒子内で物理的に(部分的に)同調されているか、または粒子表面に永続的に吸着されているかのいずれかである。この中間ポリマーは、本来、リガンドに結合し得る反応性基を含む。米国特許第5,851,777号の開示およびこの中で引用される開示は、本明細書中に参考として援用される。
【0028】
Toddに対して発行された米国特許第6,136,044号は、基材(例えば、繊維、ヤーンおよび織物)を着色するための金属コロイドの使用を開示する。着色される基材は、第1に、還元剤(好ましくは、この基材に対するいくらかの直接染色性を有する薬剤)を含む浴に入れられる。この還元剤が吸着するのに充分な時間の後、この基材は、この浴から取り出され、必要に応じて乾燥され、次いで、目的の金属コロイドに対応する溶解された金属塩を含む第2の浴に入れられる。吸着された還元剤は、この塩をコロイドに還元し、そして粒子の成長のための核形成部位として働く。得られた粒子は、この基材に吸着されるか、または必要に応じて、この基材と絡められる。それにより、この基材は、金属のタイプ、粒子サイズ、およびこの基材上の金属の量のパラメーターに対応するシェードで着色される。これらのパラメーターは制御され得るので、種々のシェードが利用され得る。基材の得られる色は、洗濯による色落ちがなく光による色落ちがない。この方法は、耐色性を提供するために、ポリマーバインダーの使用も他の薬剤の使用も必要としない。
【0029】
特定の金属コロイド懸濁液、詳細には、銀および銅、より詳細には、銀は、広範囲の細菌種に対する殺菌活性を示した。Merck Index(第10版)は、銀が、「細菌および各種の下等生物に対する毒性に起因して、飲料水の精製のために使用されていた」ことを主張する。
【0030】
本発明のこの局面の一実施形態において、金属コロイドは、被覆配合物で処理された繊維基材に着色を提供するために、この被覆配合物中に組み込まれる。本発明の局面の別の実施形態において、抗菌活性を有する金属コロイド、好ましくは、銀および銅、最も好ましくは、銀が、被覆配合物中に込み込まれる。この配合物で処理された繊維基材は、抗菌活性を与えられる。本発明のこの局面の別の実施形態において、金属コロイドは、処理された基材の表面上の電気伝導度を増大するのに充分な量で、被覆配合物中に組み込まれ、一方、未処理の基材は、電気伝導特性をほとんどかまたは全く有さない。これにより、この処理された繊維基材は、静電気防止特性を受ける。
【0031】
金属コロイドは、種々の方法によって、被覆配合物中に組み込まれ得る。1つの方法において、この金属コロイドが調製され、次いで、被覆配合物に加えられる。この金属コロイドは、当業者に公知である化学的プロセス、電気化学的プロセスまたは照射プロセスによる金属塩の還元によって、調製され得る。例えば、銀塩は、水素化ホウ素ナトリウム(化学的)、電位(電気化学的)または可視光(照射)を用いて、金属銀に還元され得る。いわゆる「不動態化剤」は、金属コロイドの形成において用いられ得;これらの薬剤は、粒子成長のための核形成剤として働き得、そしてまた、粒子表面をコーティングして、粒子凝集を最小限にする。一般的な不動態化剤としては、ウシ血清アルブミン、カゼインおよび牛乳タンパク質(例えば、粉ミルク)が挙げられる。好ましくは、この不動態化剤は、被覆配合物の成分と反応する官能基を含む。より好ましくは、この不動態化剤は、コロイド粒子と物理的に同調されて、コロイド粒子の被覆層内の捕捉を容易にする。
【0032】
金属コロイドはまた、被覆配合物溶液内で直接的にか、または1つ以上の成分を用いてかのいずれかで、調製され得る。目的のコロイドの可溶性金属塩は、被覆配合物の1つと全ての成分との間で混合され、ついで、コロイド形成を引き起こす還元的条件に暴露される。このアプローチは、被覆配合物の成分の1つと全てとの間の粘性溶液が、初期のコロイド粒子の凝集を防止し得るという点で、潜在的な利点を提供する。さらに、被覆配合物の1つ以上の成分は、コロイド粒子のための不動態化剤として機能し得る。
【0033】
(着色剤の組込み)
別の実施形態において、着色剤が、バインダーとして、本発明を使用して、繊維に固着され得る。本明細書中および添付の特許請求の範囲において使用される得場合、用語「着色剤」とは、顔料(水不溶性)または色素(水溶性)のいずれかをいう。
【0034】
炭水化物カプセル化仕上げ剤の主な目的の1つは、合成繊維に「天然の繊維」(例えば、綿)の感触を与えることであるが、処理された繊維は、綿繊維とは全く異なる化学的特性および物理的特性を有する。以下の少なくとも3つの重要な違いがある:
第1に、仕上げ剤を含む材料は、綿繊維と、化学的に類似しているにもかかわらず、綿繊維と同一ではない。この化学的な違いは、種々の色素のクラスの有効性に対する重要な効果を有する。
【0035】
第2に、被覆層は、高度に架橋されており、従って、親繊維の周りを密に包んでいる。この被覆層は、水中で膨潤する有意な能力を有し得ず、この場合、この被覆層は、洗濯に対して耐久性ではない。従来の染色は、繊維内における色素の吸着を可能にする繊維の膨潤にかなり頼り、このことは、固定およびシェードの深さの両方を最大にする。繊維の膨潤に頼る従来の技術を用いる被覆で包まれた織物の染色は、効果的ではあり得ない。
【0036】
第3に、被覆層は、繊維の厚さと比較して非常に薄い。コア繊維の同時染色を伴わない被覆全体にわたる均一な染色は、繊維全体についてリングダイド効果のみを生成する。多くのコア繊維は、限られたクラスの色素のみに対して直接染色性を有し、従って、被覆層が、コア繊維に対する直接染色性を有さない色素を用いて染色される場合に、このリングダイド効果は、通常観察され得る。
【0037】
着色剤は、コア繊維の色と一致して、より深いシェードを与えるように選択され得るか、あるいは、この着色剤は、「ツートン」効果を与える様に、異なるシェードとして選択され得る。必ずしも必要ではないが、最も好ましくは、着色剤は、より明るい色のコア繊維に上部に配置される暗いシェードとして選択される。この効果は、「リング」ダイド繊維である。このリングダイド効果は、例えば、バット繊維およびデニムのためのインジゴを使用して、100%綿繊維に共通である。このタイプの染色は、合成繊維では容易に実施されず、本明細書中に記載される本発明によって、容易にされる。本発明の一実施形態において、顔料が、カプセル化被覆中に分散され、そしてこのカプセル化被覆と同時適用される。「ツートン」の本発明の別の実施形態は、織物の処理における別個の染色工程を有することである。コア繊維(染色されているかまたは染色されていない)は、炭水化物外側層で処理され、次いでこの繊維は、「綿」色素で染色される。この色素は、内側のコアではなく外側表面と反応するかまたはこれと接着するように選択されるか、またはその逆である。例えば、炭水化物被覆で処理されたポリエステル織物は、内側コアの色(または白色についてはなし)のためのポリエステル特異的色素、および外側層を染色する炭化水素に特定の色素で選択的に染色される。外側層のためのいくつかの一般的な色素としては、以下(a)〜(c)のいずれかである色素が挙げられる:(a)炭水化物表面を物理的に吸収する(直接色素)、(b)炭水化物表面に機械的に保持される(バット色素および硫化色素)、または(c)炭水化物表面と化学的に反応する(反応性色素)。この技術は、多数の効果および色を生み出す方法を提供する。つや消し効果(より暗い色の上のより明るい色)、ツートン効果(2つの異なる色)、および「使い古した(distressed)」効果(外側層が、使い古した外観を得るために選択的に磨耗されるかまたは加水分解される)は、全て、本発明によって可能である。
【0038】
(着色方法)
本明細書中で使用する場合、用語「一工程方法」および「多工程方法」とは、着色被覆層を受ける織物または繊維基材を処理するために必要な工程の数をいう。「一工程」方法は、基材の関与の前に数工程を必要とし得るが、着色剤および被覆は、繊維に同時に適用される。多工程方法において着色剤および被覆は、別個の工程で適用される。
【0039】
(一工程方法)最も容易なプロセスは、織物に仕上げ剤を提供する前に、着色剤を基礎の炭水化物被覆配合物中に組み込むことである。着色された配合物は、次いで、従来の方法(例えば、浸漬、噴霧またはパディング(後者の方法が好ましい))に従って、適用される。着色剤は、物理的な絡めおよびカプセル化、静電的配位または被覆材料への化学的結合の様な手段によって、被覆内に保持され得る。処理の単純さの他に、別の利点は、この方法が達成可能なシェード深さを提供することである。被覆層は、これがカプセル化する織物繊維よりもほぼ10倍厚みが小さく、そしておそらくより小さい。被覆層全体にわたる均一な着色剤の分布は、適用される着色剤の量を最大にする。均一な分布はまた、着色剤が「耐色性」であるか、または洗濯または他の磨耗状態により容易に除去されないことを保証するのを助け得る。潜在的な欠点としては、仕上げプロセスの間に着色剤を適用する織物ミル内の機器および/またはリラクタンスの損失、パディングプロセスにおけるシェードの均一な適用および深さを達成する際の困難性、ならびに着色被覆仕上げ剤についてのクリーンアップおよび処分の問題が挙げられ得る。
【0040】
(多工程の方法):この方法において、この着色剤は、ベース炭水化物被覆配合物で既に仕上げた布に塗布される。この塗布された配合物は、必要に応じて、この着色剤に対して特定の親和性を有する成分を含み得る。あるいは、この仕上げられた布は、必要に応じて、この着色剤に曝される前に、この被覆層と着色剤の両方に親和性を有する成分で処理され得る。この方法の潜在的な利点は、この被覆の安定性または耐久性を変えることなく、被覆配合物に混合され得ない着色剤を使用することである。別の利点は、一工程の方法と比較して、異なる審美的効果に到達し得ることである。不利な点としては、有効な着色剤の型の制限、および起こり得る着色剤の表面蓄積(乏しいシェードの深さ(shade depth)、色落ち耐性(crockfastness)、および染色堅牢度(colorfastness)の結果の問題を有する)が挙げられる。この被覆層は強固に架橋し、これにより着色剤が、任意の有意な深さまで層に侵入することを防止し得る。
【0041】
公知の染料のクラスを含む着色剤に関するアプローチのいくつかの具体的な記載は、本明細書の以後に記載される。上記の方法の一方または両方は、これらのアプローチにおいて適用され得る。
【0042】
(媒染剤の固定):媒染剤と呼ばれる特定の金属種は、化学的反応性基(例えば、カルボキシレート官能基およびフェノール官能基)への強力な結合を形成し;得られた媒染剤複合体は水中で解離せず、そしてしばしば水に不溶性である。媒染剤反応性化学基は、多くの型の染料において見出され、特に、布地がまた、媒染剤金属と複合体化する場合、媒染剤複合体化は、布地上または布地内に不溶性染料を付着する手段を提供する。媒染剤の金属としては、クロム、コバルト、ニッケル、アルミニウム、およびジルコニウムが挙げられる。
【0043】
一工程の実施形態において、この媒染剤および媒染剤反応性染料は、ベース炭水化物被覆配合物に混合される。この媒染剤および媒染剤反応性染料は、得られる着色配合物の所望の特性を促進する、量、順序および様式で配合物中に混合される。好ましくは、得られる配合物は、安定であり、例えば、この媒染剤複合体は、沈殿しない。安定性は、ベース被覆配合物の水溶性ポリマー上の反応性基への媒染剤の配位によって促進される。しかし、ベース被覆配合物が十分粘性である場合、この媒染剤複合体は、配合物内で適切に懸濁され得、そして水溶性は、必要とされないかもしれない。この媒染剤は、ベース被覆配合物内での凝集により不安定性が生じるレベルまで、任意の所望の量で添加されるべきである。この染料が、所望される場合、添加される量の媒染剤の結合能力を完全に利用する量まで添加される。次いで、着色された被覆配合物が繊維基材に塗布され、そしてこの処理された基材は、被覆層を付着するために適所で硬化される。この染料は、媒染剤複合体化および物理的カプセル化によって被覆層内で耐久的に結合される。
【0044】
多工程実施形態において、この媒染剤は、得られる媒染剤改変配合物の所望の特性を促進する量および様式で、ベース炭化水素被覆配合物中に混合される。好ましくは、この媒染剤は、この被覆材料に対する結合を形成するが、任意の場合において、得られた配合物は、安定であり、例えば、媒染剤複合体は、沈殿しない。安定性は、ベース被覆配合物の水溶性ポリマー上の反応性基への媒染剤の配位によって促進される。しかし、ベース被覆配合物が十分粘性である場合、この媒染剤複合体は、配合物内で適切に懸濁され得、そして水溶性は、必要とされないかもしれない。この媒染剤は、ベース被覆配合物内での凝集により不安定性が生じるレベルまで、任意の所望の量で添加されるべきである。次いで、この媒染剤改変配合物が、繊維基材に塗布され、そしてこの処理された基材は、被覆層を付着するために適所で硬化される。次いで、この被覆物で覆われた繊維基材は、当業者に公知の技術によって媒染剤反応性染料に曝露される。好ましい方法において、この繊維基材は、染料上の反応性基が、被覆物に結合した媒染剤金属と複合体化するのを容易にする温度および期間で、染料含有溶液に曝露される。次いで、この着色された繊維基材が、乾燥される。この染料は、媒染剤複合体化によって被覆層内で耐久的に結合されるが、この染料は、被覆物内の強固な架橋に起因して、被覆層の外側層にのみ結合する染料であると考えられる。
【0045】
別の多工程の実施形態において、この被覆物で覆われた繊維基材は、媒染剤金属溶液に曝露される。この媒染剤金属は、被覆物質の露出した反応性基との複合体化によって、この基材上で使い果たされる。次いで、この媒染剤で処理された繊維基材は、この溶液から取り出され、必要に応じて乾燥し、次いで媒染剤反応性染料を含有する溶液に曝露される。この染料は、被覆表面上での媒染剤との複合体化を介して、この被覆層上で使い果たされる。
【0046】
この染色方法の他の実施形態は、容易に認識され、記載していないが、このような実施形態の全ては、本発明の範囲内であるとみなされる。
【0047】
(顔料、バット染料、および硫黄染料):バット染料および硫黄染料は、染料と顔料との間の混成物であり;これらは、綿および他のセルロースベース繊維を染色するために使用される。これらの化学的還元型(「ロイコ(leuco)」)形態において、これらの染料は、水溶性染料であるが、酸化された場合、これらの染料は、不溶性顔料となる。従来の繊維の染色において、この繊維は、還元型形態の染料に曝露され、これにより、染料の繊維への浸透を促進する。次いで、この繊維は、酸化状態に曝露され、これにより、繊維内で吸着された不溶性粒子の形成を誘導する。この混成物の挙動は、これらの染料が被覆配合物中で着色剤として使用され得る、種々の方法を提供する。
【0048】
一工程の方法において、顔料または酸化型バット染料もしくは硫黄染料は、炭水化物被覆配合物中に分散される。必要に応じて、界面活性剤が、分散を助けるために含まれ得る。粘性のベース被覆配合物がまた、沈殿の速度を遅くすることによって分散物の寿命を助けるのに役立つ。この着色剤は、固体粉末または水性分散物として添加され得る。両方の場合、特に水性分散物の場合において、着色剤の添加は、繊維基材に塗布された場合に、被覆物が耐久性を失うか、またはその特性を有効に提供しない範囲まで、被覆配合物を希釈しないことが所望される。顔料の水性分散物は、商標名HiFastTMの下でBASFから市販されている。次いで、着色された被覆配合物は、基材に塗布され、そして適所で硬化される。この着色剤は、被覆層全体にわたって分散され、そして物理的なカプセル化によって適所で保持される。
【0049】
別の一工程の方法において、ロイコバット染料または硫黄染料の溶液が、被覆配合物に添加され、次いで合わされた配合物は酸化されて、被覆配合物内で着色剤の分散物を形成する。必要に応じて、着色された被覆配合物のpHは、ベース被覆配合物に必要な仕様内で調整される必要があり得る。この方法は、酸化型粒子内での被覆ポリマー材料の部分的なカプセル化を提供する。上述のように、粘性ベース被覆配合物は、粒子の沈殿速度を遅くすることで、分散物の寿命を助けるのに役立つ。次いで、得られた分散物は、繊維基材に塗布され、次いで、これを、被覆層を付着するために硬化させる。このカプセル化された着色剤は、物理的なもつれによって固く保持される。
【0050】
別の一工程の方法では、1種以上の被膜材料成分が、ロイコ染料、バット染料または硫黄染料の溶液に添加される。好ましくは、この成分は、ベース被覆配合物中に、それらの重量%と等量で添加される。より好ましくは、この成分の添加により、この溶液の粘性を有意に増加する。次いで、ロイコ染料は、粒子の分散物を形成するため、好ましくは、被膜材料成分を部分的にカプセル化するために酸化される。必要とされる場合、このベース被覆配合物の残りの成分が添加され、そしてpHが、架橋のために必要とされる詳細まで調整される。次いで、この着色された配合物が、繊維基材に塗布されて、そしてこの基材を被覆層に付着するために硬化させる。このカプセル化した着色剤は、物理的なもつれによって固く保持される。
【0051】
この染色方法の他の実施形態は、容易に認識され、記載していないが、このような実施形態の全ては、本発明の範囲内であるとみなされる。
【0052】
(改変された反応性染色):市販の反応性染料は、代表的に、綿およびセルロース誘導体化繊維を染色するために使用される。これらは、高いアルカリ性pHおよび高温条件下で求核性部位と反応する官能基を含む。これらは、染料が繊維に共有結合する場合、極端に染色堅牢性である。本発明において、この被覆物質は、適切な反応性部位を含まなくても、高いアルカリ性pHで塗布されなくてもよく;いずれの場合も、市販の反応性染料との反応を防止する。反応性染料の使用における、別の挑戦は、反応性部位の加水分解であり;加水分解は、染料の反応性について、セルロースのヒドロキシル基と競合し、非効率な染料の使用に導く。
【0053】
種々のアプローチを使用して、上記の困難性を回避し得る。1つのアプローチにおいて、この染色は、最初に、二官能性の試薬と反応することによって改変され;この試薬の一方の官能基は、染料と反応し、そして他方は、被覆材料に結合する。次いで、この改変された染料は、一工程の方法で繊維基材に塗布され得るベース炭水化物被覆配合物に添加される。別のアプローチにおいて、二官能性試薬は、ベース被覆配合物に添加され得る。この二官能性試薬は、反応性染料と優先的に反応する一方の官能基、および被覆材料に結合する他方の官能基を有する。この改変された被覆配合物は、この基材に塗布され、そしてこの被覆層に付着し、そしてこの試薬と結合するために硬化され得る。次いで、この処理された基材は、多工程の方法において反応性染料で染色され、ここで、この反応性染料は、試薬の残りの官能基と優先的に反応する。なお別のアプローチにおいて、被覆配合物は、1つの二官能性試薬を取り込み、そしてこの反応性染料は、第2の二官能性試薬で改変される。この2つの試薬は、それぞれ、他の試薬の官能基と優先的に反応する、少なくとも1つの官能基を含む。一工程または多工程の適用は、この場合において想定され得る。同様の考えが、LewisおよびVigo(Lewis,D.M.,Lei,X.,;AATCC International Conference and Exhibition Book of Papers,1992年11月4〜7日、259〜265頁;Vigo,T.L.,Blanchard,E.J.;AATCC International Conference and Exhibition Book of Papers,1996年、203〜208頁;Vigo,T.L.,Blanchard,E.J.;Textile Chemist and Colorist,第19巻、第6号(1987);米国特許第4,678,473号)によって示されているが、これらの場合において、セルロース繊維は、被覆層以外で改変されている。
【0054】
反応性染料と優先的に反応する官能基の例としては、アミンおよびチオールが挙げられ;これらの基は、水よりもかなり良好な求核試薬であり、そして無駄な加水分解を排除し得る。アミンが、より好ましい。炭水化物被覆層の成分と反応し得る官能基の例としては、ヒドロキシル、アミン、チオール、アミド−ホルムアルデヒド濃縮物、5員環および6員環の環状無水物、5員環および6員環の環状無水物を形成し得るジカルボキシレート、およびブロックイソシアネートが挙げられるが、これらに限定されない。二官能性試薬の非制限的な例としては、エチレンジアミン、エタノールアミン、およびアスパラギン酸が挙げられる。
【0055】
染料と、カルボン酸官能基または1,2−ジヒドロキシキノン構造のいずれかとを被覆配合物中に混合することにより、この配合物で処理された繊維基材に、洗濯により色落ちしにくい(washfast)色および色落ちしにくい色(crockfast)を与える、着色剤配合物が提供されることが見出されている。これらの官能基を含まない染料は、洗濯により色落ちしにくくも、色落ちしにくくもない。カルボン酸基を有する染料の例としては、メチルレッド、モルダントイエロー12およびモルダントオレンジ1が挙げられる。1,2−ジヒドロキシキノン構造を含む染料の例としては、アリザリンおよびプルプリンが挙げられる。理論に制限されないが、カルボン酸基は、被覆材料の求核性部分と反応し、そして1,2−ジヒドロキシキノンのヒドロキシルは、被覆材料の求電子性部分と反応すると考えられる。好ましい求電子性部分は、ヒドロキシル基であり、好ましい求電子性部分は、カルボン酸基である。この染料は、共有結合によって被覆物内に保持され、そしてこの染料は、「反応性」染料の分類に従って挙動する。
【0056】
この染色方法の他の実施形態は、容易に認識され、記載していないが、このような実施形態の全ては、本発明の範囲内であるとみなされる。
【0057】
(実施例)
(実験的な測定):
(湿潤時間):全ての湿潤時間は、6回の測定の平均である。与えられる全ての数は、サンプル上に配置された蒸留水の滴が、完全に吸収されるのに必要とされる時間である。120秒を越える全ての時間を、120秒として記録および平均化した。測定の間、全てのサンプルを持ち上げて、サンプルの上面も下面も、固体表面と接触しないようにした。
【0058】
(追加量の割合):洗浄後に繊維に追加される割合を、酸の消化の前および消化の後での重量の差により決定した。4インチ×4インチのサンプルを、以下の工程において使用した:
1.このサンプルを、既知の重量のアルミパン上で乾燥させた。乾燥のために、このサンプルを、100〜110℃に1時間保った。このサンプルを、デシケーター内で10分間冷却した。サンプルを含む各パンを、重量測定した
2.このサンプルを、70重量%のH2SO4溶液(200g)中に45分間配置した。このサンプルを、振盪インキュベーター中で70℃に保持した。
【0059】
3.このサンプルを、250〜300mLの温かい水道水で2回リンスし、そして室温の蒸留水で2回リンスした
4.サンプルを乾燥し、そして工程1と同様に重量測定した。
【0060】
「追加量の割合」は、工程1の測定値と工程4の測定値との間の測定値の重量差を、工程1の乾燥布の重量で割り、これに100を掛けた値である。未処理のコントロールのセルロースの割合は、全てのサンプルから除算して、未処理のコントロールを標準化した値である。2つのサンプルを、各処理のために測定し、そしてこの測定値を平均し、最終のセルロースの割合に達した。
【0061】
(実施例1)
(A.配合物):
水溶液は、以下から作製した:7重量%の非常に低い粘性のカルボキシメチルセルロースのNa塩(置換の度合0.7;Aldrich Chemical Co.,Milwaukee,WI)、25重量% Freerez NFR(BFGoodrich,Charlotte,NC)、5重量% Freecat 9(BFGoodrich)、および0.5重量% Ethox DA−9(Ethox Chemicals,Greenville,SC)。最終のpHは、3.47であった。
【0062】
(B.塗布)
やすりで磨いた黄褐色のBurlington Industries’(Greensboro,NC)スタイル2606ポリエステルを、上記の溶液中に浸漬させ、そして93%水吸収量になると引き上げ、5分間、250°Fで乾燥し、そして30秒間390°Fで硬化させた。次いで、処理したサンプルを、上記のように試験した。
【0063】
(C.結果):
【0064】
(実施例2)
(A.配合:)
7wt%の極低粘度カルボキシメチルセルロースNa塩(置換度0.7;Aldrich Chemical Co.)、6wt%のBTCA(1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、Aldrich Chemical Co.)、4wt%の次亜リン酸ナトリウム一水和物(Atlas Chemical,Inc.,San Diego,CA)、および0.5wt%のEthox DA−9(Ethox Chemicals)を使用して水溶液を調製した。最終pHは3.30であった。
【0065】
(B.塗布:)
砂入りの黄褐色Burlington Industriesスタイル2606ポリエステルを、上記の溶液に浸漬し、そして85%の水分吸収量(wet pick up)になるようにパディングし、5分間250°Fにて乾燥し、そして30秒間390°Fにて硬化した。次いで、処理されたサンプルを本明細書で上記したとおりに試験した。
【0066】
(C.結果:)
(実施例3)
(A.配合:)
7wt%の極低粘度カルボキシメチルセルロースNa塩(置換度0.7;Aldrich Chemical Co.)、4wt%の75,000MW ポリ(アクリル酸)(Aldrich Chemical Co.)、および0.5wt%のEthox DA−9(Ethox Chemicals)を使用して水溶液を調製した。最終pHは、3.31であった。
【0067】
(B.塗布:)
砂入りの紺色Burlington Industriesスタイル2606ポリエステルを、上記の溶液に浸漬し、そして85%の水分吸収量になるようにパディングし、5分間250°Fにて乾燥し、そして30秒間390°Fにて硬化した。次いで、処理したサンプルを本明細書で上記したとおりに試験した。
【0068】
(C.結果:)
(実施例4)
(A.配合:)
7wt%の極低粘度カルボキシメチルセルロースNa塩(置換度0.7;Aldrich Chemical Co.)、4wt%の75,000MW ポリ(アクリル酸)(Aldrich Chemical Co.)、および0.5wt%のEthox DA−9(Ethox Chemicals)を使用して水溶液を調製した。最終pHは、4.51であり、そして粘度は556cPであった。
【0069】
(B.塗布:)
砂入りの紺色Burlington Industriesスタイル2606ポリエステルを、上記の溶液に浸漬し、そして69%の水分吸収量になるようにパディングし、5分間250°Fにて乾燥し、そして30秒間390°Fにて硬化した。次いで、処理したサンプルを本明細書で上記したとおりに試験した。
【0070】
(C.結果:)
(実施例5)
4wt%の極低粘度カルボキシメチルセルロースNa塩(置換度0.7;Aldrich Chemical Co.)、5wt%のポリ(アクリル酸)(MW=100,000〜125,000;Aldrich Chemical Co.)、0.1wt%のWetAid NRW湿潤剤(BFGoodrich,Charlotte,NC)、および0.05wt%のKathon CG−ICP防腐剤(Rohm and Haas,LaPorte,TX)を使用して、水溶液を調製した。最終pHは、3.8であった。
【0071】
(実施例6)
4wt%のカルボキシメチルセルロース(Aqualon 7L2;Aqualon,Hercules Chemical Co.の子会社)、5wt%のポリ(アクリル酸)(MW=100,000〜125,000;Polyacryl)、0.1wt%のWetAid NRW湿潤剤(BFGoodrich,Charlotte,NC)、および0.05wt%のKathon CG−ICP防腐剤(Rohm and Haas,LaPorte,TX)を使用して、水溶液を調製した。最終pHは、3.8であった。
【0072】
この配合物を、99%の溶液および1%の顔料(wt/wtベース)の比率で、4つの異なる顔料と別々に混合した。この配合物を、この溶液に顔料を添加しながらホモジェナイズすることにより完全にブレンドした。使用した4つの顔料は、HiFast Golden Yellow、HiFast Red、およびS Black(BASF,Charlotte,NC)ならびにIndigoペースト42%液(Buffalo Color Corp.,Parsippany,NJ)であった。次いで、冷却した配合物を、砂入りの製織した未染色のマイクロファイバーポリエステル(Burlington Industries製(スタイル2606))の12’’×15’’の布片上にパディングした。比較として、着色剤を含まない溶液もまた、布片上にパディングした。これらの布片を、190°Fで5分間乾燥し、次いで30秒間322°Fと335°Fとの間の布の温度で硬化した。これらの布片は、それぞれ、黄色、赤色、チャーコールグレー、青色、および白色の中間シェードである。各布片を、6つの試験サンプルへと切断し、これらを、AATCC法143(通常/綿 頑丈(sturdy))にしたがって0回、1回、5回、10回、20回、または30回洗濯した。各サンプルに対する色の目視評価は、1回目の洗濯後のわずかなシェード変化または淡色化、および1回目の洗濯と5回目の洗濯との間のおそらくごくわずかなシェード変化があることを示す。5回の家庭用洗濯の後、シェードは、洗濯をしても同じままであるようである。着色サンプルの手触りは、着色していないサンプルの手触りと同一である。このことは、被覆層が顔料の有効なバインダーであるということを示す。
【0073】
(実施例7)
製織した砂入りのマイクロファイバーポリエステルを、実施例6の水溶液で処理し、次いで乾燥し、30秒間350°Fの布温度で硬化した。処理されたポリエステルを、次いで酢酸でpH5.5に調整された100°Fの浴中でジェット乾燥機に置いた。10分後、3%owfのSandene8425(ポリエチレンアミン色素固定剤、Clariant Corp.)を、この浴中に追加し、次いでこれを15分間にわたって160°Fに加熱した。50分かけてpHを9.5に上げるのに十分な炭酸ナトリウムを添加し、次いでこの浴をさらに15分間温度を維持した。次いでこの浴を100°Fに冷却し、そして基材を冷水で10分間リンスした。
【0074】
次いでこの浴を100°Fに加熱し、そして以下の成分を添加した:硫酸ナトリウムおよびSedgebuf N(1g/L,Omnova Chemical)、Sedgekil832(1mL/L、Omnova Chemical製消泡剤)、およびSolophenyl Navy BLE250%(CibaSC)。塩濃度およびpHを測定した;pHは、5.5〜6.0であるべきである。この浴を6°/分で180°Fに加熱し、次いで2°/分の勾配で250°Fまで昇温した。この浴を30分間温度維持し、次いで140°Fに冷却した。この浴を100°Fで水を滴下して補充し;5分後この浴を再度100°Fで滴下して補充した。硫酸ナトリウム(7.5%owf)、酢酸(0.3%owf)およびBurcofix195(4%owf、Burlington Chemical Company)をこの浴に添加した。次いで、この浴を140°Fに2°/分で加熱し、次いで15分間温度を維持した後、この布を取り外して乾燥した。得られた布は、暗紺色のシェードを有する。Sandene8425塗布プロセスを行わない基材の比較基材染色処理からは、淡青色のみの布が得られた;すなわち、染色された布は、色落ち耐性ではなかった。
【0075】
以下の直接染料もまた、上記の手順を使用してポリエステルに塗布したが、Solophenyl Navy BLEを、以下に置き換えた:Burco Rubine BL200%(Burlington Chemical)、Optisol Green BL、Indosol Yellow SF−2RL、Pyrazol Orange LUF、Lumicrease Grey 3LBN 200、Optisol Royal Blue 3RL、Pyrazol Turq FBL400%(全てClariant Corp.製)、およびIntrasil Black XTR(Yorkshire)。これらの色素の全てにより、この布は、対応する色の深いシェードまで染色された。最初にSandene8425を塗布しなかった基材の比較基材染色処理により、色落ち耐性のない染色布が得られた。
【0076】
(実施例8)
製織した砂入りのマイクロファイバーポリエステルを、実施例6の水溶液で処理し、次いで乾燥し、そして30秒間350°Fの布温度で硬化した。この処理されたポリエステルを、次いで酢酸でpH5.5に調整した浴中に入れた。3%owfのSandene8425(ポリエチレンアミン色素固定剤、Clariant Corp.)を、浴中に添加し、次いで70℃に15分間加熱した。pHを9.5に上げるのに十分な炭酸ナトリウムを添加し、そしてこの浴を70℃に15分間保持した。次いで、この浴を室温まで冷却し、そしてこの基材を冷水でリンスした。次いで、この基材を、低い塩濃度および中性のpHで、反応性色素を用いて染色した。その繊維基材は、深いシェードに染色され、これは、さらなる処理なしで洗濯耐性であった。最初にSandene8425を塗布をしなかった基材の比較基材染色処理により、色落ち耐性のない布が得られた。
【0077】
(実施例9)
5つの溶液を、実施例6の水溶液の100.0gずつを、以下の色素の各々の0.5gと混合することにより調製した:アリザリン、プルプリン、メチルレッド、モルダントオレンジ12、モルダントイエロー1。砂入りのミクロファイバーポリエステル(Burlington Industries製(スタイル2606、12’’×12’’))を、各配合でパディングし、次いで実施例6に記載されるとおりに乾燥し、そして硬化した。冷却したサンプルを、6’’×6’’の4つの布片にそれぞれ切断し、これらをAATTCC法124−1996 1(A)に従って、0回、1回、20回、または30回洗濯した。各色素の染色堅牢度を、視覚検査により定性的に評価した。これらの布片を、AATCC法8−1996により色落ち耐性(crockfastness)について評価した。湿潤時間を、上記のように観察した。結果を、以下の表に記録する。一般的に、シェードの非常に緩やかな色落ちが、0回と1回の洗濯の間で起こり、そしてその後はほとんど変化が生じない。0HLおよび1HLにおける色落ち耐性は、代表的に4.0以上である。
【0078】
【表1】
(実施例10)
本発明に従う、カルボキシメチルセルロースで処理されたポリエステル布(実施例6、着色剤の添加前の配合)からの個々の繊維を、走査電子顕微鏡(5000×)で見た。疎水性繊維の周りに形成されたセルロース被覆は、薄すぎて走査電子顕微鏡像では検出できなかった。従って、この被覆により付与される特性は、布の巨視的な特性を妨害しない;すなわち、この被覆は、繊維の直径を有意に増加せず、繊維間の空間を埋めたり、セルロースの大きなかけらで布を詰まらせたりするようなことはない。さらに、処理された布は、手触りがポリエステルよりも綿のようであり、そして改善された湿潤性を示す。
【0079】
(実施例11):被覆層への助剤の混合:UV保護
配合:4wt%カルボキシメチルセルロース(Aqualon 7L2;Aqualon,Hercules Chemical Co.の子会社)、5wt%のポリ(アクリル酸)(MW=100,000〜125,000;Polacryl)、0.1wt%のWetAid NRW湿潤剤(BFGoodrich,Charlotte,NC)、0.05wt%Kathon CG−ICP防腐剤(Rohm and Haas,LaPorte,TX)、および6wt%の二酸化チタン粒子を使用して水溶液を調製した。異なる粒径を有する4種の二酸化チタン粒子を評価に使用した。Tronox CR−826(平均粒径200nm)、TronoxCR−800(平均粒径190nm)(両方ともKerr−McGee Chemical,LLC.(Oklahoma City,Oaklahoma)製)、ならびにUV−Titan L530およびL181(それぞれ粒径30nmおよび17nm)(Kemira Chemicals Canada Inc.,Maitland,Ontario製)。
【0080】
製織した黒色の100%ポリエステル布を、各溶液に浸漬し、パディングし、そして195Fで5分間乾燥し、そして335Fで30秒間硬化した。少なくとも25回の家庭用洗濯サイクル(試験限界)に対する耐久性を、白色に染色した粒子を目視観察することによりTronoxサンプルについて決定した。UV−Titanサンプルについての洗濯耐久性を、前に記載したように湿潤時間により決定した。このUV−Titan粒子は、ポリアルコールでコーティングされており、UV−Titan粒子で処理された布に、UV−Titan粒子なしで同じ処理と比較して、強化された親水性特性を与える(以下の表中の湿潤時間を参照のこと):
実施例11についての表:湿潤時間
【0081】
【表2】
(実施例12):被覆層への助剤の混合:活性炭。
【0082】
実施例10と同様の配合を、二酸化チタンの代わりに活性炭粉末(8重量%)を用いて調製した。この活性炭は、Fluka Chemical(Milwaukee,WI)から購入し、約40μmの粒径であった。製織した白色の100%ポリエステル布を、実施例10のとおりにこの溶液で処理し、そして乾燥し、硬化した。25回の家庭用洗濯での目視観測は、炭(黒色)が布に付着していることを示していた。
【0083】
(実施例13):被覆層への助剤の混合:静電防止成分
4wt%カルボキシメチルセルロース(Aqualon 7L2;Aqualon,Hercules Chemical Co.の子会社)、5wt%のポリ(アクリル酸)(MW=100,000〜125,000;Polacryl)、0.1wt%のWetAid NRW湿潤剤(BFGoodrich,Charlotte,NC)、0.05wt%Kathon CG−ICP防腐剤(Rohm and Haas,LaPorte,TX)、および静電防止成分を使用して水溶液を調製した。使用した静電防止成分は、以下である:ジ(ポリオキシエチレン)ヒドロキシメチルホスホネート(Akzo Nobel Chemicals Inc.(Dobbs Ferry,NY)から購入され、そしてVictastabTMHMPとして販売されている)、および(3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド(Aldrich Chemical(St.Louis,MO)から購入)。これらの添加剤を、別々に5重量%含有させた。未染色の100%ポリエステル織物を、上記の溶液に浸漬し、パディングして約70%の水分吸収量にし、乾燥し、そして335°Fで30秒間硬化した。静電荷生成に対する耐性を、家庭用洗濯を繰り返した後、AATCC(American Association of Textile Chemists and Colorists)試験法115−2000「布の静電付着(clinging):布対金属試験」を使用して測定した。これらのサンプルを、未処理のポリエステル布片および未処理の100%綿織物の布片と比較した(以下の表を参照のこと)。この試験方法において、布標本と金属プレートとの間の静電引力が減少して、その布が重力によってプレートから離れて落下するレベルまで、この布標本上の電荷が減衰する時間を測定した。サンプルを、35%相対湿度および70°Fで試験した。
【0084】
実施例13についての表:布が金属シートから離れる時間(分)。
【0085】
【表3】
Claims (17)
- コア繊維および個々のコア該繊維の周りに接着される炭水化物被覆を含む複合繊維基材であって、ここで該炭水化物被覆は、共有結合によってそれ自身と結合する、複合繊維基材。
- 前記炭水化物被覆が、少なくとも1つの補助成分をさらに含む、請求項1に記載の複合繊維基材。
- コア繊維および個々の該コア繊維の周りに接着された炭水化物被覆を含む複合繊維基材であって、ここで該繊維基材は、以下:
コア繊維を含む繊維基材と水溶性炭水化物および架橋剤および、必要に応じて適切な架橋触媒の水溶液とを接触させ;
該繊維基材を加熱して乾燥し;そして
該架橋剤と該炭水化物との間の反応を引き起こすのに十分な温度で硬化させる
プロセスによって調製される、複合繊維基材。 - 前記水溶液が、少なくとも1つの補助成分をさらに含む、請求項3に記載の複合繊維基材。
- 前記プロセスが、前記炭水化物被覆と少なくとも1つの補助成分を反応させ、該炭水化物被覆上または炭水化物被覆内に該補助成分を結合させる工程をさらに含む、請求項3に記載の複合繊維基材。
- 前記補助成分が、着色料、金属コロイド、磁性コロイド、赤外吸収化合物、紫外線ブロッキング化合物、生理活性剤、難燃性化学物質、帯電防止剤、臭気吸収化合物、中和剤、および加水分解性リンカーからなる群から選択される、請求項2、4または5に記載の複合繊維基材。
- 前記コア繊維が合成繊維である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の複合繊維基材。
- 前記コア繊維が人工繊維である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の複合繊維基材。
- 前記コア繊維が天然繊維である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の複合繊維基材。
- 複合繊維基材を調製する方法であって、該方法は以下:
コア繊維を含む繊維基材を、水溶性炭水化物および架橋剤および、必要に応じて適切な架橋触媒の水溶液と接触させる工程;
該繊維基材を加熱して乾燥する工程;ならびに
該架橋剤と該炭水化物との間の反応を引き起こすのに十分な温度で硬化させる工程
工程を包含し、基材の個々の繊維の周りに接着される炭水化物被覆を含む複合繊維基材を得、そしてここで該炭水化物被覆は、共有結合によってそれ自身に結合される、方法。 - 前記水溶液が、少なくとも1つの補助成分をさらに含む、請求項10に記載の方法。
- 前記方法が、前記炭水化物被覆と少なくとも1つの補助成分を反応させ、該炭水化物被覆上または炭水化物内に該補助成分を結合させる工程をさらに包含する、請求項10に記載の方法。
- 前記補助成分が、着色料、金属コロイド、磁性コロイド、赤外吸収化合物、紫外線ブロッキング化合物、生理活性剤、難燃性化学物質、帯電防止剤、臭気吸収化合物、中和剤、および加水分解性リンカーからなる群から選択される、請求項11または12に記載の方法。
- 前記複合繊維基材を、通常綿に対して使用される加工後処理で処理する工程をさらに包含する、請求項10〜13のいずれか1項に記載の方法。
- 前記コア繊維が合成繊維である、請求項10〜14のいずれか1項に記載の方法。
- 前記コア繊維が人工繊維である、請求項10〜14のいずれか1項に記載の方法。
- 前記コア繊維が天然繊維である、請求項10〜14のいずれか1項にに記載の方法。
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