JP2004524448A - ステンレス鋼等級のための過酸化水素酸洗計画 - Google Patents

Abstract

本発明は、連続的様式における熱間圧延と熱間圧延及び焼きなましと冷間圧延及び焼きなましとをしたステンレス鋼帯の酸洗方法に関する。その方法は、一連の前酸洗槽と酸洗槽とを含み、任意的にスクラバーブラシ槽と、スマット除去槽と、濾過ユニットと、熱交換器とを含む。その方法は、ＨＦ／Ｈ₂ＳＯ₄前酸洗と、ＨＦ／Ｈ₂ＳＯ₄／Ｈ₂Ｏ₂酸洗工程とを含む。

Description

【技術分野】
【０００１】
本出願は、２００１年４月９日出願のVijay N. Madi、Jerald W. Leeker及びClayton A.Van Scoyによる米国仮特許出願第６０／２８２，５６５に基づき、且つ優先権を主張する。
【０００２】
本発明は、鉄合金鋼（ステンレス鋼）の酸洗方法に関する。より詳細には、本発明は、過酸化水素を含有する酸洗溶液を使用する熱間圧延及び焼きなましをしたステンレス鋼帯（strip）の酸洗方法に関する。
【背景技術】
【０００３】
ステンレス鋼帯の焼きなましは、結果として鋼の表面において酸化物を形成し得る。鉄、クロム、ニッケル及び他の関連した金属酸化物を含んだこれらの酸化物は、鋼を利用する前に除去されなければならない。しかしながら、ステンレス鋼の酸化物は、普通の酸処理のほとんどに対して耐性である。これらの酸化物は母体金属にしっかりと付着するので、酸洗よりも前にこれら酸化物をゆるめ且つ表面を多孔にするために、ショットブラスチング、鋼帯のロールベンディング又はレベリング、或いは電解質及び／又は溶融塩浴処理のような機械的スケールのクラッキングを要求する。伝統的に、ステンレス鋼の表面における酸化物は、フッ化水素酸と協力して硝酸を使用することによって、除去又は「酸洗浄(pickle off)」されてきた。
硝酸の使用を排除するステンレス鋼の酸洗方法が望まれている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【０００４】
［発明の概要］
本発明は、連続的様式で熱間圧延と熱間圧延及び焼きなましと冷間圧延及び焼きなましとをしたステンレス鋼帯の酸洗方法に関する。その方法は、硫酸及びフッ化水素酸の溶液を含む前酸洗槽において、ステンレス鋼帯を浸漬することを含む。その帯は、次いで、硫酸、フッ化水素酸及び過酸化水素の溶液を含む酸洗槽において浸漬される。一つの実施形態において、前酸洗槽（図１の槽１）は、約９０ｇ／ｌ〜約２００ｇ／ｌの硫酸と、約１０ｇ／ｌ〜６０ｇ／ｌのフッ化水素酸とを含む。前酸洗槽における溶液は、約５４℃〜約７７℃の温度に維持される。酸洗槽（図１の槽３）には、安定化過酸化水素、硫酸及びフッ化水素酸の混合物が含まれる。特定の実施形態において、酸洗槽（図１の槽３）には、約５ｇ／ｌ〜約５０ｇ／ｌの濃度の安定化過酸化水素と、約２０ｇ／ｌ〜約６０ｇ／ｌの濃度の硫酸と、約２ｇ／ｌ〜約５０ｇ／ｌの濃度のフッ化水素酸との混合物が含まれる。他の実施形態において、安定化過酸化水素の濃度は、約２０ｇ／Ｌ〜約４０ｇ／Ｌである。好ましい実施形態において、安定化過酸化水素の濃度は、約２５ｇ／Ｌ〜約３５ｇ／Ｌである。他の実施形態において、過酸化水素の濃度は、約５ｇ／Ｌから１０ｇ／Ｌ未満である。酸洗槽における溶液は、約２０℃〜約６０℃の温度、好ましくは約３５℃〜約５０℃の温度に維持される。
【０００５】
酸洗槽においてステンレス鋼を浸漬するよりも前に、帯は、好ましくはスクラバーブラシ機(scrubber-brush machine)を使用することによって、こすり洗いされてもよい。加えて、こすり洗いされる直前に、帯はスマット除去槽において浸漬されてもよい。スマット除去槽は、過酸化水素、硫酸及びフッ化水素酸を含有する溶液を含み、それは、スマット除去槽の中に戻るような酸洗槽からのオーバーフロー酸洗溶液である。
【０００６】
別の実施形態において、濾過装置及び熱交換器は、酸洗槽の外部にあり且つ酸洗槽に連結されている。濾過システム及び熱交換器は、酸洗槽からの溶液の一部が、いつでも濾過システム及び熱交換器を通して送られるように、再循環環状管(re-circulating loop)に配置されている。結果として生じた溶液は、酸洗槽の内部に配置された少なくとも一つのノズルを通して酸洗槽の中に戻る。
【０００７】
［発明の開示］
本発明は、連続的様式で熱間圧延と熱間圧延及び焼きなましと冷間圧延及び焼きなましとをしたステンレス鋼帯の酸洗方法に関する。その方法は、少なくとも一つの前酸洗槽と、少なくとも一つの酸洗槽とを含み、任意に、スクラバーブラシ槽とスマット除去槽と濾過ユニットと熱交換器とを含む。基本的な模式図（図１）では、鋼帯は、まず少なくとも一つの前酸洗槽（図１の槽１）中に浸漬される。前酸洗槽（図１の槽１）に含まれる溶液は、硫酸及びフッ化水素酸の混合物で構成されている。一つの実施形態において、硫酸は約９０ｇ／ｌ〜約２００ｇ／ｌの濃度、及びフッ化水素酸は約１０ｇ／ｌ〜６０ｇ／ｌの濃度である。この溶液は、約５４℃〜約７７℃の高温で維持される。酸洗槽（図１の槽３）には、安定化過酸化水素、硫酸及びフッ化水素酸の混合物が含まれる。特定の実施形態において、酸洗槽（図１の槽３）には、約５ｇ／ｌ〜約５０ｇ／ｌの濃度の安定化過酸化水素と、約２０ｇ／ｌ〜約６０ｇ／ｌの濃度の硫酸と、約２ｇ／ｌ〜約５０ｇ／ｌの濃度のフッ化水素酸との混合物が含まれる。他の実施形態において、安定化過酸化水素の濃度は、約２０ｇ／Ｌ〜約４０ｇ／Ｌである。好ましい実施形態において、安定化過酸化水素の濃度は、約２５ｇ／Ｌ〜約３５ｇ／Ｌである。他の実施形態において、過酸化水素の濃度は、約５ｇ／Ｌ〜１０ｇ／Ｌ未満である。この酸洗槽は、約２０℃〜約６０℃の温度、好ましくは約３５℃〜約５０℃の温度範囲に維持される。
【０００８】
図１における基本的な酸洗方法に関して示された実施形態に加えて、さらなる任意の工程が本酸洗方法に追加されてもよい。一つの実施形態は、酸洗方法へのスクラバーブラシ槽及びスマット除去槽の追加を含む。スクラバーブラシ槽は、ステンレス鋼帯から少なくとも一部分の酸化物（スケール）を機械的に除去する役割を果たす。スマット除去槽（図２の槽２）は、槽３からの酸洗溶液オーバーフローを受け取る。スマット除去槽では、槽１から受け取った鋼帯上の酸化物は、過酸化水素含有酸洗溶液と反応し始め得る。その後のスクラバーブラシ工程（図２のスクラバーブラシ−１）は、帯表面から酸化物を機械的に除去する。これらの追加工程は、多量の酸化物が槽３に入り込むことを防止する。
【０００９】
基本的な酸洗方法のさらなる実施形態は、図３に示されている。槽３における酸洗方法は、発熱反応である。酸洗方法により生じた熱は、槽においてゆるんだ酸化物粒子と酸洗溶液との反応に一部よるものかもしれない。従って、槽３における温度の上昇及び過酸化水素の劣化を最小限にするために、ゆるんだ酸化物粒子を酸洗槽の外側に保持し、槽温度を５４℃未満、好ましくは４３℃未満に制御することが望ましい。
【００１０】
これは、槽３に連結された濾過装置と熱交換器との使用により達成される。濾過システム及び熱交換器は、いつでも槽３からの酸洗溶液の一部が、濾過システム及び熱交換器を通して送られ、結果として生じた酸洗溶液は、少なくとも一つのノズル（図３のエダクター（eductor）として示される）を通して酸洗槽（槽３）の中に分配して戻るように、再循環環状管に配置されている。
【実施例】
【００１１】
（実施例１）
以下の熱間圧延ステンレス鋼は、連続焼きなまし酸洗ラインにおいて処理された。下記の条件ごとの酸洗の前に、鋼は合金に依存する適切な温度で焼きなましされ、その後、鋼ショットブラスチング装置を使うことによって機械的にスケール除去された。鋼帯表面は、また槽１の後にスクラビングにもかけられた。この方法は、硝酸を使用する酸洗システムに匹敵する生産率で、良質な鋼を生産した。
【００１２】
【表１】

【００１３】
（実施例２）
以下の冷間圧延ステンレス鋼は、連続焼きなまし酸洗ラインにおいて処理された。下記の条件ごとの酸洗の前に、下記の条件ごとの酸洗の前に、鋼は合金に依存する適切な温度で焼きなましされ、その後、その酸化物は、溶融塩浴において処理することによって調節された。帯は、槽−２において、中間スマット除去処理にもかけられた。帯表面は、またスマット除去工程の後に、ブラシでこすり洗いもされた。槽−３における酸洗溶液は、熱交換器により制御された温度及び濾過にもかけられた。その方法は、硝酸を使用する酸洗システムに匹敵する生産率で、商業的に許容可能な良質の鋼を生産した。
【００１４】
【表２】

【図面の簡単な説明】
【００１５】
【図１】模式図１：ステンレス鋼の過酸化水素酸洗に関する基本的な二槽模式図である。
【図２】模式図２：スクラバーブラシ機へと続くスマット除去槽の中間処理を用いたステンレス鋼の過酸化水素酸洗に関する模式図である。
【図３】模式図３：スクラバーブラシ機へと続くスマット除去槽の中間処理を用いたステンレス鋼の過酸化水素酸洗に関する模式図であり、ここで槽３には、濾過ユニットと熱交換器を備えられている。

Claims (24)

1. 連続的様式におけるステンレス鋼帯の酸洗方法であって、
   ａ．前記帯を、硫酸及びフッ化水素酸を含有する酸洗溶液を含む前酸洗槽において浸漬する工程と、
   ｂ．前記帯を、硫酸、フッ化水素酸及び安定化過酸化水素の酸洗溶液を含む酸洗槽において浸漬する工程と、
   ｃ．酸洗溶液から熱を除去する工程と
   を含む該方法。
2. 前記熱交換器が前記酸洗槽の外部にあり且つこれに連結されており、いつでも、前記酸洗槽からの溶液の一部が、熱交換器を通して送られ、結果として生じた酸洗溶液が、前記酸洗槽の内側に位置した少なくとも一つの入口を通して前記酸洗槽の中に戻るように、該熱交換器が再循環環状管に配置されている請求項１に記載の方法。
3. 前記酸洗槽における安定化過酸化水素の濃度が、約５ｇ／Ｌ〜約５０ｇ／Ｌである請求項１に記載の方法。
4. 前記酸洗槽における安定化過酸化水素の濃度が、約５ｇ／Ｌ〜約１０ｇ／Ｌである請求項１に記載の方法。
5. 前記帯が、前記酸洗槽における浸漬の前に、こすり洗いされる請求項１に記載の方法。
6. 前記帯が、こすり洗いされる直前に、過酸化水素、硫酸及びフッ化水素酸を含む溶液を含むスマット除去槽において浸漬される請求項５に記載の方法。
7. 前記前酸洗槽における溶液が、約９０ｇ／ｌ〜約２００ｇ／ｌの硫酸と、約１０ｇ／ｌ〜約６０ｇ／ｌのフッ化水素酸とを含有する請求項６に記載の方法。
8. 前記前酸洗槽における溶液が、約５４℃〜約７７℃の温度に維持される請求項７に記載の方法。
9. 前記酸洗槽における溶液が、約２０ｇ／ｌ〜約６０ｇ／ｌの硫酸と、約２ｇ／ｌ〜約５０ｇ／ｌのフッ化水素酸とを、さらに含む請求項８に記載の方法。
10. 前記酸洗槽における溶液が、約２０℃〜約６０℃の温度に維持される請求項９に記載の方法。
11. 前記酸洗槽における溶液が、約３５℃〜約５０℃の温度に維持される請求項１０に記載の方法。
12. 前記酸洗槽からのオーバーフロー溶液が、スマット除去槽中に導かれる請求項６に記載の方法。
13. 前記熱交換器及び濾過装置が酸洗槽の外部にあり且つこれに連結される請求項２に記載の方法。
14. 連続的様式における熱間圧延及び焼きなまししたステンレス鋼帯の酸洗方法であって、
    ａ．前記帯を、硫酸及びフッ化水素酸を含有する溶液を含む前酸洗槽に浸漬する工程と、
    ｂ．前記帯を、硫酸、フッ化水素酸及び約５ｇ／ｌから１０ｇ／ｌ未満の過酸化水素の溶液を含む酸洗槽において浸漬する工程と
    を含む該方法。
15. 前記帯が、前記酸洗槽における浸漬の前に、こすり洗いされる請求項１４に記載の方法。
16. 前記帯が、こすり洗いされる直前に、過酸化水素、硫酸及びフッ化水素酸を含む溶液を含有するスマット除去槽において浸漬される請求項１５に記載の方法。
17. 前記前酸洗槽における溶液が、約９０ｇ／ｌ〜約２００ｇ／ｌの硫酸と、約１０ｇ／ｌ〜約６０ｇ／ｌのフッ化水素酸とを含有する請求項１６に記載の方法。
18. 前酸洗槽における溶液が、約５４℃〜約７７℃の温度に維持される請求項１７に記載の方法。
19. 前記酸洗槽における溶液が、約２０ｇ／ｌ〜約６０ｇ／ｌの硫酸と、約２ｇ／ｌ〜約５０ｇ／ｌのフッ化水素酸とを、さらに含む請求項１８に記載の方法。
20. 前記酸洗槽における溶液が、約２０℃〜約６０℃の温度に維持される請求項１９に記載の方法。
21. 前記酸洗槽における溶液が、約３５℃〜約５０℃の温度に維持される請求項２０に記載の方法。
22. 前記酸洗槽からのオーバーフロー溶液が、スマット除去槽中に導かれる請求項２１に記載の方法。
23. 熱が、酸洗溶液から実質的に連続的に除去される請求項２２に記載の方法。
24. 濾過装置及び熱交換器が前記酸洗槽の外部にあり且つこれに連結されており、いつでも前記酸洗槽からの溶液の一部が、濾過システム及び熱交換器を通して送られ、結果として生じた溶液が、前記酸洗槽の内側に位置した少なくとも一つの入口を通して前記酸洗槽の中に戻るように、濾過システム及び熱交換器が、再循環環状管に配置されている請求項２３に記載の方法。

Images