JP2004521088A - 修飾ヘモグロビン溶液の合成方法 - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
本発明は、化学修飾ヘモグロビン溶液を作製する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ヘモグロビンに基づく代用血液の開発は、近年大きく前進してきた。このような輸血液は、酸素キャリア、血漿増量剤、放射線および化学療法の増強剤、並びに一酸化窒素スカベンジャーとして使用するための全血または血液分画の代替製剤として役立つ。ヘモグロビンに基づく代用血液は、様々な分子間または分子内反応を使用する超精製もしくはストロマ非含有ヘモグロビンの修飾によって製造される。これらの様々な修飾は、タンパク質を安定化し、酸素結合特性を許容される生理的レベルに調節し、さらに腎毒性を低下させるように設計されている。ヘムおよび鉄部分が存在するため、ヘモグロビン分子は、フリーラジカル相互作用およびヘモグロビン媒介性血管収縮に続くヘモグロビンの急速な自動酸化の結果として生じる潜在的毒性を有する。さらに、ヘモグロビンは例えば過酸化水素のような細胞酸化物質と反応する可能性があり、メトヘモグロビン(Fe3+)、およびタンパク質を架橋して脂質を過酸化すると報告されている強力な酸化物質であるフェリルヘモグロビン(Fe4+)の両方の産生を生じさせる。
【0003】
赤血球内の抗酸化物質系は、これらのフリーラジカル反応を制御し、ヘモグロビンの機能および構造的完全性を保護する。例えば、赤血球中では、例えばスーパーオキシドジスムターゼ(SOD)やカタラーゼ(CAT)のような内因性抗酸化酵素がスーパーオキシド(超酸化物)および過酸化水素(H2O2)の破壊を触媒するので、ヘモグロビンの機能的および構造的完全性を維持するのに役立つ。従って、重合ヘモグロビン溶液の酸素送達能力は、これらの抗酸化酵素の結合を通して増強させることができる。
【0004】
最近のある実験アプローチにより、フリーラジカル反応性が限定されている第二世代ヘモグロビンに基づく酸素キャリアが設計された。この設計は、精製SODおよびカタラーゼによる精製ヘモグロビンへのグルタルアルデヒド媒介性架橋を基礎としている。例えば、D’Agnilloら(1998),Nature Biotechnol.16:667−671および米国特許第5,606,025号明細書を参照。この文献は参照することにより本明細書に組み込まれるものとする。この修飾は、H2O2媒介性フェリルヘモグロビン生成を防止し(D’Agnilloら(1998),Free Rad.Bio.Med.24:906−912)、さらに虚血再潅流傷害のラット後肢モデルでのインビトロ(D’Agnilloら(1998),Artif.Cells Blood Substit.Immobil.Biotechnol.25:181−192)および腸虚血再潅流傷害のラットモデルでのインビボ(Razackら(1997),Artif.Cells Blood Substit.Immobil.Biotechnol.25:163−180)の両方において、ヒドロキシルラジカル生成を減少させると報告されている。これらの試験は、抗酸化活性を備えた修飾ヘモグロビンが、ヘモグロビンの酸素輸送性鉄の形状を維持し、潜在的に有害なヘムタンパク質関連フリーラジカル種の発生または周囲組織にとって有害な可能性があるヘモグロビン変性産物の遊離を減少させることによって、一定の用途におけるヘモグロビンに基づく酸素キャリアの潜在的毒性を低下させるのではないかという提案をもたらした。
【0005】
ヘモグロビン、SODおよびカタラーゼを含む架橋ポリペプチド複合体にはインビボでの潜在的利点があると示唆されてきたが、修飾ヘモグロビン生成物を調製するための米国特許第5,606,025号明細書によって教示された方法は、架橋結合反応において精製ヘモグロビンをウシ精製カタラーゼおよびスーパーオキシドジスムターゼと結合させるステップを含む。精製ヘモグロビンに酵素を添加し戻すことには、幾つかの実際的な欠点がある。第1に、ウシもしくはいずれかの非ヒト由来酵素の添加は、ヒトへの投与中の酵素に関連する免疫原性に基づく潜在的な問題となる。第2に、ヒト血液から採取した酵素の精製は費用がかかり、製剤を製造することが経済的に妨げられる。
【0006】
ピリドキサル化ヘモグロビンポリオキシエチレン(PHP)結合体は、化学修飾ヒト由来ヘモグロビンである。PHP分子は、内因性抗酸化酵素活性を含む表面修飾ヘモグロビンである(すべてが参照してここに組み込まれるPrivalleら(1998),Free Rad.Bio.Med.25:(Suppl.1)S65,概要;Privalleら(2000),Acta Physiol.Scand.167:(Suppl.645)P200,概要;Privalleら(1999),Free Rad.Bio.Med.28:1507−1517;およびTalaricoら(2000),Biochim.Biophys.Acta,1476:53−65を参照)。数例のインビトロモデルにおけるPHPは、未修飾ヘモグロビンまたはαα架橋ヘモグロビンと比較したときに、過酸化水素媒介性酸化に向かう反応性低下を表示することが証明されている。従ってヘモグロビン調製物の酸化還元反応性は操作することができ、内因性抗酸化物質の存在はヘモグロビンの酸化促進能力を低下させることができる。このためPHPは、内因性赤血球抗酸化物質の存在によって、無傷赤血球の抗酸化能力を備えた無細胞ヘモグロビンとして機能することができ、従ってヘモグロビンの酸化促進能力を防止もしくは低下させることができる。
【0007】
動物またはヒト由来ヘモグロビンに基づく代用血液に結び付いた重大な問題は、修飾ヘモグロビン溶液中にウイルス汚染物質が含まれる可能性に基づく。ウイルス除去および不活化は、一般にクロマトグラフィーまたは熱不活化のいずれかを使用して実施される。しかし、これらの方法を使用したヘモグロビン溶液の処理は、ヘモグロビン分子に関連する抗酸化物質の有益な活性を除去または無効にする。
【0008】
例えば、従来方法は化学修飾ヘモグロビン生成物を合成するために濾過手段を使用するが、この手段はウイルス粒子の通過だけではなく内因性抗酸化酵素の通過も防止した。代替方法は、医用ヘモグロビンの調製方法を開示している米国特許第5,741,894号明細書に提供されている。米国特許第5,464,814号明細書は、四量体非含有、ストロマ非含有、架橋重合ピリドキシル化ヘモグロビンを作製するための工程を開示している。どちらの方法もヘモグロビン、内因性抗酸化酵素およびウイルス粒子の通過を許容する濾過ステップを使用する。ウイルス粒子は、引き続いてウイルス粒子および抗酸化酵素の両方の活性を無効にする熱処理ステップにおいて不活化される。他の方法では、ウイルス粒子はクロマトグラフィーによって抗酸化酵素と一緒に除去される。例えば、米国特許第5,264,565号明細書および第5,988,361号明細書を参照。
【0009】
あるいはまた米国特許第5,194,590号明細書は、ヘモグロビンおよび赤血球の酵素成分が0.1μmフィルターを使用したフィルターを通過することを許容するマイクロポーラス濾過工程による赤血球の溶解および赤血球ストロマの除去を含む修飾ヘモグロビンを作製する方法を開示している。化学修飾に引き続いて、3ステップ精製工程が実施され、これによって未修飾四量体が除去され、さらにウイルス汚染が減少する。0.1μmフィルターを通過したヘモグロビン溶液からウイルス汚染物質を除去するためには追加のクロマトグラフィーステップが必須である。
【0010】
抗酸化酵素は修飾ヘモグロビンに有益な特性を提供するので、ウイルス非含有でありながら抗酸化活性を保持している精製ヘモグロビンを作製するための方法が必要とされる。
【発明の開示】
【0011】
(発明の概要)
本発明は、赤血球ストロマからヘモグロビン分子および内因性抗酸化酵素を分離するための方法および組成物を提供する。本分離方法はさらに、実質的にウイルスを含まないヘモグロビン/抗酸化物質溶液が産生するように、潜在的外来物質の濃度を減少させる。詳細には、本発明は、赤血球の内因性抗酸化酵素を含む修飾ヘモグロビン溶液を作製する方法を提供する。本方法は、ウイルス粒子を留めるが、ヘモグロビンおよび内因性抗酸化酵素を含む濾液を通過させる少なくとも1つの濾過手段にストロマ非含有ヘモグロビン溶液を接触させるステップと、薬剤を用いて濾液を化学修飾するステップと、修飾ヘモグロビンおよび抗酸化酵素を分離するステップとを含む。ある実施態様では、本発明の方法は、ピリドキサル化ヘモグロビンポリオキシエチレン結合体(PHP)を合成するために使用される。
【0012】
本発明は、さらにまた化学修飾ヘモグロビンを作製する方法も提供する。本方法は、ストロマ非含有ヘモグロビン溶液を少なくとも1つの濾過手段に接触させるステップであって、第1の濾過手段がウイルス粒子を留めるが、ヘモグロビンおよび内因性抗酸化酵素を含む濾液を通過させ、その濾液が実質的にウイルス汚染を含んでいないステップと、薬剤を用いて濾液を化学修飾するステップと、修飾ヘモグロビンおよび抗酸化酵素を分離するステップとから構成される。
【0013】
本発明は、さらにまた修飾ヘモグロビン溶液を含む組成物を提供する。修飾ヘモグロビン溶液は、化学修飾ヘモグロビン分子および少なくとも一の内因性抗酸化酵素を含み、化学修飾は二官能性活性化ポリオキシエチレン(POE)と架橋結合させるステップを含む。溶液中に存在する内因性抗酸化物質は、酵素活性を保持していて、この溶液には実質的にウイルス汚染が含まれていない。
【0014】
(発明の詳細な説明)
本発明の方法は、ヘモグロビンおよび数種の内因性抗酸化酵素を赤血球ストロマおよび潜在的外来物質から分離することを提供する。精製ヘモグロビン/抗酸化物質組成物は、その後化学修飾工程を受ける。結果として生じる修飾ヘモグロビン/抗酸化組成物は、その後未修飾ヘモグロビン類および残留反応物質を除去するために分画され、電界質液中で調製され、無菌処理される。結果として生じる修飾ヘモグロビン生成物は、実質的にウイルス汚染を含んでおらず、抗酸化活性を保持している少なくとも一の内因性抗酸化酵素を含有している。
【0015】
本発明の方法は、少なくとも1種の内因性抗酸化酵素の活性を保持するが、実質的にウイルス汚染物質を含んでいない化学修飾ヘモグロビン溶液を作製する新規手段を提供する。詳細には、ヘモグロビン精製工程中に修飾ヘモグロビン溶液のウイルス汚染を実質的に減少させて、内因性抗酸化酵素を保持するための手段を提供する独創的な濾過ステップを使用する。
【0016】
本発明の濾過手段は、化学修飾ヘモグロビンを作製する新規方法を提供する。本方法は、(a)ストロマ非含有ヘモグロビン溶液を少なくとも1つの濾過手段に接触させるステップであって、第1の濾過手段がウイルス粒子を留めるが、ヘモグロビンおよび内因性抗酸化酵素を含む実質的にウイルスを含まない濾液を通過させるステップと、(b)薬剤を用いて濾液を化学修飾するステップと、(c)修飾ヘモグロビンおよび内因性抗酸化酵素を含む組成物を分離するステップとであって、少なくとも一の内因性抗酸化酵素が酵素活性を保持しているステップとを含む。
【0017】
さらに本発明の濾過手段は、(a)ストロマ非含有ヘモグロビン溶液を少なくとも1つの濾過手段に接触させるステップであって、第1の濾過手段がウイルス粒子を留めるが、ヘモグロビンおよび内因性抗酸化酵素を含む濾液を通過させ、その濾液が実質的にウイルス汚染を含んでいないステップと、(b)薬剤を用いて濾液を化学修飾するステップと、(c)修飾ヘモグロビンおよび内因性抗酸化酵素を含む組成物を分離するステップとから構成される化学修飾ヘモグロビンを作製する方法を提供する。
【0018】
本明細書で使用されるように、本発明の方法で使用する「第1の濾過手段」は、実質的にウイルス汚染を含まないヘモグロビン分子および少なくとも一の内因性抗酸化酵素を含む限外濾液を分離させる限外濾過ステップを含む。「実質的にウイルス汚染を含まない」とは、1感染性単位/mL未満のウイルス力価を有する溶液を意味している。
【0019】
本発明の第1の濾過手段は、結果として生じる濾液中のウイルス汚染のレベルを低下させる。本発明の方法では、ウイルス汚染の低下はウイルス粒子の総合的レベルの減少および/またはウイルス粒子の活性の減少を含む。本発明の限外濾過手段は、例えば120〜200nm(例、単純ヘルペスウイルスIおよびII型、ヘルペスウイルス6および7、エプスタインバーウイルスおよびサイトメガロウイルス)、80〜100nm(例、HIV、HTLV−IおよびII)、50〜70nm(例、G型肝炎、C型肝炎、HCVおよびDHBV)、および25〜30nm(例、A型肝炎のような非エンベロープウイルス)のサイズ範囲内のウイルス粒子エンベロープウイルスおよび/または非エンベロープウイルスのレベルを低下させる。
【0020】
本明細書で定義するように、活性ウイルス粒子のレベルの減少は、プラーク形成単位(PFU)を計数することによって測定される、3、4、5、6、7、8、9、10log単位以上である第1の濾過手段後のウイルス除去クリアランス係数を含む。ウイルス力価の減少は、当分野で知られている標準プラーク形成アッセイによって出発材料、工程中間物、および最終生成物をアッセイすることによって決定できる。例えば、Bechtelら(1988),Biomat.Art.Cells Art Org.16:123−128を参照。この文献は、参照することによって本明細書に組み込まれる。あるいはまた、活性ウイルス粒子における減少は、TCID50値によって測定されるようなウイルス力価の減少を含む。TCID50は、本明細書では50%の細胞の死を生じさせる組織培養感染用量であると定義されている。
【0021】
結果として生じる濾液が実質的にウイルスを含まないかどうか(即ち、ウイルス粒子が減少されているかどうか)を決定するためのその他のアッセイは、当分野においてよく知られている。例えば、ウイルスDNAが存在していないことは、B型肝炎ウイルス、サイトメガロウイルス、単純ヘルペスウイルスおよびエプスタインバーウイルスに対するウイルス特異的プローブを使用するDNAハイブリダイゼーション法によって検出できる。DNAを濾液から抽出し、サザン分析を行い、そのウイルスに特異的な32P標識またはビオチン標識DNAを用いて調査することが可能である。ウイルス粒子汚染は、例えばコアタンパク質のような特異的ウイルス抗原を検出するために知られているELISA法によっても検出できる。
【0022】
さらに、本発明の第1の濾過手段後に生成した実質的にウイルスを含まない溶液は、被検対象(即ち、哺乳動物、好ましくはマウス、ウシ、ブタ、サル、ヒト等)へのインビボ投与後に、ウイルス感染に特徴的な病理生理学的作用を誘発しないことを特徴とする。例えば、非A型および非B型肝炎についての生理的症状には、4、10、14、または24週間に渡るアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ活性、アラニンアミノトランスフェラーゼ活性、および肝生理機能(光線または電子顕微鏡によってアッセイされる)を監視することが含まれる。他のウイルス粒子の感染の結果として生じる病理生理学的作用は、当分野でよく知られている。従って、本明細書で使用されるように、実質的にウイルスを含まない溶液は非感染性であるので、それに暴露したいずれの被検対象も傷つけたり感染させたりすることなく、この溶液を輸血または操作することができる。
【0023】
本発明の方法で使用する第1の濾過手段により、さらに、ヘモグロビン分子および少なくとも1種の内因性赤血球酵素を含む濾液の分離が可能になる。特に重要なのは、内因性抗酸化酵素である。「内因性」抗酸化酵素もしくはポリペプチドは、赤血球ストロマ分離法中に赤血球から遊離されるあらゆる抗酸化ポリペプチドを意味する。本明細書で使用される「内因性」抗酸化酵素は、溶解ステップ後の修飾工程中にヘモグロビン溶液に添加される、ヒトまたは動物赤血球から精製された抗酸化酵素、または組換え技術により発現した抗酸化酵素を含まない。特に重要な内因性抗酸化酵素には、スーパーオキシドジスムターゼ、カタラーゼ、およびグルタチオンペルオキシダーゼが含まれる。
【0024】
赤血球の抗酸化物質は、傷害を受けると身体内で生成される、例えば過酸化水素およびスーパーオキシドのような活性化酸素種を排除する際に有用である。さらに、ヘモグロビンの各サブユニットは、ヘモグロビンが酸素を輸送するためには鉄状態で存在しなければならない鉄ヘム基を含有している。抗酸化物質はヘモグロビンを鉄状態で維持する際に効率的に補助し、潜在的に有害なヘムタンパク質関連フリーラジカル種の発生またはヘモグロビン変性生成物の遊離を防止する。従って、本発明の分離および修飾方法を通して酵素的に活性な抗酸化物質の存在は、最終修飾生成物中および被検対象における製剤循環中のメトヘモグロビン生成のレベルを低下させるのに役立つであろう。
【0025】
本発明の第1の濾過手段は、抗酸化活性(即ち、カタラーゼ、グルタチオンペルオキシダーゼ、またはスーパーオキシドジスムターゼ)を含む濾液を生じる。個々の抗酸化物質の活性は、一般に使用される方法によって測定できる。例えば、カタラーゼは70,000〜80,000U/mgの比活性を備えた240,000〜250,000分子量のタンパク質である。カタラーゼ活性の1単位はpH7.0および25℃で1分間当たり1μmolのH2O2を分解する酵素の量に相当する。カタラーゼ活性を測定する方法は当分野で知られており、Beers and Sizer(1952),J.Biol.Chem.195:133−140に記載されている。簡潔に述べれば、カタラーゼ含有溶液が50mMリン酸ナトリウム緩衝液中に過酸化水素を含有するキューレットに添加される。過酸化水素の消失速度が30秒間に渡って分光学的に測定される。例えば、米国特許第5,606,025号明細書およびD’Agnilloら(1998),Nature Biotechnology 16:667−671を参照。これらは全て、参照することにより、本明細書に組み込まれる。本発明の方法では、濾液は約5,000単位/mL;6,000単位/mL;7,000単位/mL;9,000単位/mL;12,000単位/mL;14,000単位/mL;16,000単位/mL;20,000単位/mL;24,000単位/mL;28,000単位/mL以上のカタラーゼ活性を保持できる。あるいはまた、カタラーゼ活性は約5,000〜30,000単位/mL、7,000〜25,000単位/mLまたは7,800〜23,000単位/mLの範囲内であり得る。
【0026】
スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)は、4,000U/mgの比活性を備えた32,000分子量の抗酸化酵素である。SOD活性の1単位は、チトクロムc還元の初期速度を50%まで阻害する酵素の量であると定義されている。活性を測定するアッセイは、Crapoら(1978),Methods of Enzymology 52:382−387に記載されている。手短には、キサンチンおよびチトクロムcから構成される試薬溶液をSOD含有溶液に添加できる。ヘモグロビン−過酸化水素相互作用の結果として生じるあらゆる緩衝を防止するために、遊離カタラーゼもまた反応溶液に添加される。チトクロムc還元の速度は、550nmで分光学的に監視できる。チトクロムc還元アッセイは、米国特許第5,606,025号明細書およびD’Agnilloら(1998),Nature Biotechnology 16:667−671に詳細に記載されている。これらの文献は、参照することによって本明細書に組み込まれる。SOD活性のレベルを測定するために使用されるその他のアッセイには、例えばニトロブルーテトラゾリウム還元の阻害法(参照してここに含まれるBeyerら(1987),Anal.Biochem.161:559−566)が含まれる。
【0027】
カルボニックアンヒドラーゼ(炭酸脱水酵素)は、700U/mgを越える比活性を備えた84,000分子量のタンパク質である。カルボニックアンヒドラーゼ活性の1単位は、20mMトリス緩衝液のpHが0℃で1分間当たり8.3から6.3へ低下することを惹起する酵素の量であると定義されている。カルボニックアンヒドラーゼのレベルを測定するためのアッセイは、例えば、Wilberら(1948),J.Biol.Chem.250:3523に記載されている。この文献は、参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0028】
グルタチオンペルオキシダーゼは、3,000U/mgを越える比活性を備えた29,000分子量のタンパク質である。1単位のグルタチオンペルオキシダーゼ活性は、pH7.0および25℃で1分間当たり1μmolの還元グルタチオンから酸化グルタチオンへのH2O2による酸化を触媒する。グルタチオンペルオキシダーゼのレベルを測定するためのアッセイには、例えばどちらも参照してここに組み込まれるMannervikら(1985),Methods in Enzymol 113:490およびMeisterら(1983),Ann.Review Biochem.52:711に記載されているアッセイが含まれる。
【0029】
内因性抗酸化活性の総合レベルは、酸化誘発後にヘモグロビン分子の吸光度スペクトルを監視することによってアッセイできる。例えば、過酸化水素を濾液に添加でき、過酸化水素または結果として生じる酸素フリーラジカルと分離されたヘモグロビン溶液中のヘモグロビン成分との反応を監視するために吸光度スペクトル(450nm〜700nm)を経時的に記録できる。抗酸化酵素の存在は、ヘム部分変性のレベルを減少させ、スペクトル分析において反映される。同様の酸化誘発は、キサンチン/キサンチンオキシダーゼスーパーオキシド/H2O2生成系を使用して実施できる。
【0030】
例えばH2O2誘発後のメトヘモグロビン生成は、ヘモグロビン溶液(20μMヘム)に200μMのH2O2を添加することによってアッセイできる。メトヘモグロビン生成は、541nmおよび577nmでの吸光度減少に反映されるであろう。第1の濾過手段後の濾液中の抗酸化酵素のレベルは、精製された抗酸化物質非含有のヘモグロビン溶液と比較して約50%、40%、30%、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、および1%未満のヘモグロビンがメトヘモグロビンに転換することを防止するようなレベルであろう。あるいはまた、第1の濾過手段後の濾液中の抗酸化酵素のレベルは、精製された抗酸化物質非含有のヘモグロビン溶液と比較して約50%〜約5%、約20%〜約1%、約10%〜約1%または約5%〜約1%未満のヘモグロビンがメトヘモグロビンに転換することを防止するようなレベルであろう。
【0031】
同様に、本発明の濾液のH2O2処理後のフェリルヘモグロビン生成の存在は、引き続いてスルフヘモグロビンの生成を生じさせるNa2Sの添加後に分光学的に検出できる。620nmでの明確なピークは、このヘモグロビン種を特徴付ける。第1の濾過手段後の濾液中の抗酸化酵素のレベルは、精製された抗酸化物質非含有のヘモグロビン溶液と比較して約50%、40%、30%、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、および1%未満のヘモグロビンがスルフヘモグロビンに転換することを防止するようなレベルであろう。あるいはまた、第1の濾過手段後の濾液中の抗酸化酵素のレベルは、精製された抗酸化物質非含有のヘモグロビン溶液と比較して約50%〜約5%、約20%〜約1%、約10%〜約1%または約5%〜約1%未満のヘモグロビンがスルフヘモグロビンへ転換することを防止するようなレベルであろう。抗酸化酵素活性のレベルをアッセイするためのこのような方法は、Privalleら(2000),Free Rad.Biol.Med.,28:1507−1517に詳細に記載されている。この文献は、参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0032】
I.工程
上記のように、本発明は、(a)ストロマ非含有ヘモグロビン溶液を少なくとも1つの濾過手段に接触させるステップであって、このとき第1の濾過手段がウイルス粒子を留めるが、ヘモグロビンおよび内因性抗酸化酵素を含み実質的にウイルス汚染を含まない濾液を通過させ、その濾液が実質的にウイルス汚染を含んでいないステップと、(b)薬剤を用いて濾液を化学修飾するステップと、(c)修飾ヘモグロビンおよび内因性抗酸化酵素を含む組成物を分離するステップであって、少なくとも一の内因性抗酸化酵素が酵素活性を保持しているステップとを含む、化学修飾ヘモグロビンを作成する方法を提供する。
【0033】
A.ストロマ非含有ヘモグロビンの分離
本発明の工程において好ましい出発材料は、使用期限が切れたヒト血液である。しかし本発明のすべての方法は、当業者にはよく知られているほんのわずかな修正を加えて他の哺乳動物(即ち、ウシ、ブタ、ヒツジ)血液を使用できる。好ましくは、本発明の方法で使用する血液は、バッグに記載された使用期限から8週間以内でなければならない。濃縮赤血球は血漿成分を除去するために洗浄する。洗浄した赤血球は、引き続いて低張溶液と接触させる。するとヘモグロビンおよび内因性抗酸化酵素の放出が生じる。例えば、米国特許第4,412,989号明細書および第5,264,555号明細書を参照。これらの文献は、参照することにより、本明細書に組み込まれる。ストロマ非含有ヘモグロビン溶液を分離するための他の方法には、機械的変性を通しての赤血球の破壊が含まれる。例えば米国特許第5,296,465号を参照。
【0034】
ストロマ非含有ヘモグロビンは、溶解赤血球から調製する。ここで定義した「ストロマ非含有ヘモグロビン」は、例えばDNA、リン脂質、残留血液型抗原、および血清タンパク質を含むストロマ汚染物質のレベルが減少した、ヘモグロビンおよび抗酸化酵素の溶液である。ストロマ非含有ヘモグロビン中の赤血球を汚染させるストロマ汚染物質のレベルは、少なくとも約40%、50%、60%、70%、80%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上まで減少される。
【0035】
本発明の方法では、ヘモグロビンからストロマ成分を除去するが、抗酸化タンパク質を除去しない、または抗酸化酵素活性を枯渇させないあらゆる方法を使用できる。例えば、溶解赤血球溶液は、例えばザルトリウス(Sartorious)社が製造しているような0.1μmもしくは0.2μm酢酸セルロースフィルター装置に通過させることによって除去できる。あるいはまた、赤血球が自由に流れることのできるオープンチャネルを備えた接線流れ(TFF)0.45μm、0.2μm、または0.1μm平板膜(例、ポール・フィルトロン(Pall Filtron)製のスーポア(Supor)バイプレナーチャネル膜またはザルトリウス製のオープンチャネル膜)または0.45μL〜0.1μ中空糸膜またはTFFを使用できる。例えばポール社、ミリポア(Millipore)社およびザルトリウス社によって製造されたフィルターを含むPVDFまたはポリエーテルスルホンから製造されたこれらの孔径の他のフィルターもまた使用できる。あるいはまた、洗浄は0.65μm、0.45μm、または0.2μm膜(中空糸またはTFF)上で実施でき、ヘモグロビン精製は0.1μm膜で実施される。
【0036】
B.ストロマ非含有ヘモグロビンの精製
ストロマ非含有ヘモグロビン溶液は、次に「第1の濾過手段」と接触される。上記で考察したように、第1の濾過手段はウイルス粒子を留めて、ヘモグロビンおよび内因性抗酸化酵素を含む限外濾液の通過を許容する限外濾過膜である。限外濾液は、少なくとも1種の内因性抗酸化酵素の活性を保持してウイルス量の重大な減少を有することを特徴とする。
【0037】
ウイルスおよびタンパク質の保持力が製造業者別の膜毎に相違することは認識されている。そこで本発明の方法では、実質的にウイルス汚染を含んでおらず酵素的に活性な内因性抗酸化ポリペプチドを含有するあらゆる限外濾過手段を使用できる。例えば、ストロマ非含有ヘモグロビンは、内腔径1mmを有する500,000分子量カットオフ・ポリスルホン膜(AGテクノロジー(AG−Technology)製)に通過させることができる。この膜の内腔径は、本発明の方法において変動してよい。
【0038】
TFFモードにおける他の製造業者の膜もまた本発明の方法における第1の濾過手段として使用できよう。あるいはまた、ポール・フィルトロン製150,000分子量カットオフ膜のような孔径が中間である膜または例えばザルトリウス製100,000分子量カットオフ膜のような他の製造業者製の膜さえ、本発明の限外濾過ステップにおいて使用できよう。現在では濾過手段を使用すると、抗酸化活性を保持し、実質的にウイルスを含まない修飾ヘモグロビン溶液を作製できることを本発明が証明しており、ヘモグロビンおよび抗酸化酵素の通過を最適化してウイルス汚染を重大に減少させる他の限外濾過手段および操作条件を同定することは当分野の技術の範囲内である。抗酸化物質およびウイルス活性のためのアッセイの例は、本明細書に記載されている。
【0039】
さらにまた、「第2の濾過手段」は本発明の方法において使用できることは認識されている。この第2の濾過ステップは、活性ウイルス粒子のレベルを一層減少させ、ヘモグロビンおよび抗酸化酵素を通過し続ける全量濾過(dead−end filtration)を含む。第2の濾過手段を使用した場合の活性ウイルス粒子のレベルの減少は、PFUまたはTCID50によって測定した3、4、5、6、7、8、9、10log単位以上の減少を含む。本発明の方法における第2の濾過ステップでは、あらゆる全量濾過手段を使用できる。例えば、精製ストロマ非含有ヘモグロビン溶液は、ポールDV−50またはDV−20のようなカートリッジフィルターに通過させることができる。この補助的濾過ステップのために重要な他の膜にはミリポア製バイアソルブ(Viresolve)NFRフィルターが含まれる。
【0040】
第1または第2の濾過手段のいずれかから分離された濾液は、所望のヘモグロビン濃度を達成するために濃縮される。このステップでは、ポール・フィルトロン製10,000分子量カットオフT−スクリーン・オメガシリーズ膜を使用できる。しかし、ヘモグロビンおよび例えばスーパーオキシドジスムターゼのような抗酸化酵素の通過を防止するために孔径が十分小さい限り、他の膜もまた使用できよう。その例は、ミリポア製5,000または10,000バイオマックス(Biomax)TFF膜;ザルトリウス製TFF10,000膜;およびAGテクノロジー製5,000中空糸膜である。この溶液は、ヘモグロビンおよび酵素の通過を最小限に抑えながら小分子量汚染物質を除去するために緩衝液を用いて洗浄される。濃縮溶液は緩衝液を用いて希釈され、0.2μMフィルターにより濾過される。こうして化学修飾のための準備が整った精製ストロマ非含有ヘモグロビンが入手される。
【0041】
C.限外濾液の化学修飾
ヘモグロビンは、2個のαサブユニットおよび2個のβサブユニットを含む四量体である。精製された未修飾ヘモグロビンが体内に注入されると、四量体(α1β1α2β2)は毒性二量体(α1β1およびα2β2)に分解され、これらは腎臓で急速に濾過されて腎細管内へ送られるが、そこで高濃度であれば毒性となる。このため、ヘモグロビンの天然「未修飾」形は代用血液として使用するには余りに毒性であるので、そこでヘモグロビン分子を修飾してその毒性を低下させる方法が開発されてきた。ヘモグロビン分子は反応性アミノ基を含有する。これらの反応性アミノ基の化学修飾は、化学修飾ヘモグロビンを生じさせる。従って、上記の方法によって製造されたヘモグロビンおよび抗酸化酵素を含む実質的にウイルスを含有していない溶液を実質的に修飾すると、修飾ヘモグロビン溶液を製造することができる。
【0042】
明細書で使用するような限外濾液を「化学修飾すること」は、ポリペプチドの形状、サイズ、機能または何らかの物理的特徴を変化させるヘモグロビンおよび抗酸化分子へのあらゆる構造的修飾を含む。本発明の方法において有用な化学修飾には、例えば当分野で知られている何らかの物質および方法を使用した架橋または結合が含まれる。
【0043】
結合(conjugation)は、ヘモグロビンおよび抗酸化酵素の両方への可溶性ポリマー類の付加を意味している。本発明で使用する結合剤は単官能性または二官能性であってよく、例えばデキストラン、イヌリン、ポリオキシエチレンおよびポリエチレングリコール(PEG)のような可溶性ポリマー類が含まれる。
【0044】
架橋は、分子間または分子内結合のいずれかを形成する二官能性物質の使用を意味する。従って、架橋修飾は内因性抗酸化酵素とヘモグロビンサブユニットとの間の分子間結合を生じさせる可能性がある。架橋はさらに、ヘモグロビン二量体間の分子内結合の確立を含んでいてよい。分子内架橋は、ヘモグロビン四量体または抗酸化酵素の分子サイズを変化させないが、分子間架橋事象はポリペプチドの重合または拘束(tethering)および大きな分子量を生じさせる。
【0045】
従って、本発明の「修飾ヘモグロビン」を含む溶液は、次の修飾複合体の任意の組み合わせを含むことができる。
(a) 下記を含む分子間架橋生成物
抗酸化物質:抗酸化物質
ヘモグロビン:ヘモグロビン
抗酸化物質:ヘモグロビン
(b) 下記を含む分子内架橋生成物
ヘモグロビンα1β1:ヘモグロビンα2β2
(c) 下記を含む結合生成物
ヘモグロビン:可溶性ポリマー
抗酸化物質:可溶性ポリマー
ヘモグロビン:抗酸化物質:可溶性ポリマー
【0046】
上記の修飾された複合体のいずれかまたはそれらの組み合わせを含む溶液を生成するための物質および方法は、当分野で知られている。例えば、ヘモグロビンの反応性アミノ基および抗酸化酵素を架橋させるために非特異的二官能性物質を使用すると、化学修飾重合化ヘモグロビンおよび抗酸化酵素の複合体を含む溶液を製造することができる。このような複合体を調製する際には、2種のポリペプチド間の分子間架橋を確立するために以前に報告されたあらゆる物質を使用できる。そのような非特異的二官能性物質には、塩化セバシル(Changら(1964),Science 146:524−525およびChangら(1972),Artificial Cells)、グルタルアルデヒド(Changら(1971),Biochem.Biophys.Res.Commun.44:1531−1533;米国特許第5,194,590号明細書)、ジアスプリン(diasprin)誘導体類(米国特許第4,529,719号明細書)、ポリアルデヒド類および二官能ポリマー類が含まれる。
【0047】
本発明のある実施形態では、二官能架橋/結合剤はα−カルボキシメチルω−カルボキシメトキシポリオキシエチレン(POE)のN−ヒドロキシスクシンイミドジエステルである。この特定架橋剤の使用は、実験の部およびIwashitaら(1995),Artificial Red Blood Cells,John Wiley & Sons;および米国特許第4,301,144号明細書;第4,412,989号明細書;第4,670,417号明細書に極めて詳細に考察されている。これらの文献は、すべて参照することにより本明細書に組み込まれる。その他の二官能性試薬類には、例えば他のPEG誘導体類、イヌリンまたはデキストランのような活性化ポリマー類が含まれる。さらに、二官能PEG誘導体類および単官能PEG誘導体類の組み合わせを使用すると修飾ヘモグロビンの所望の分子量分布を達成することができる。
【0048】
あるいはまた、ゼロリンク(zero−link)テクノロジーを使用すると架橋複合体を形成することができる。ゼロリンクテクノロジーは、ポリペプチドの表面上でのCOOH基の活性化、その後の隣接ヘモグロビンまたは抗酸化分子の表面上で利用できるNH2基との反応を含む。例えば、米国特許第5,998,361号明細書を参照。
【0049】
当分野では、化学修飾プロトコルの特定パラメーターを変化させると化学修飾のレベルを制御できると理解されている。所望の化学修飾の程度は、未修飾ヘモグロビン溶液の静脈内投与に関係する病理生理学的作用(即ち、血管収縮、腎毒性、ヘモグロビン尿症)を産生しない修飾ヘモグロビン溶液を製造できるような程度であろう。さらに、化学修飾のレベルは、修飾ヘモグロビンおよび抗酸化ポリペプチド類の半減期およびヘモグロビンP50値を最適化するであろう。「半減期」は、ポリペプチドの濃度が初期レベルの半分へ低下するまでの投与後の経過時間を意味する。用語のP50は、当分野では酸素とヘモグロビンの相互作用を説明すると認識されており、ヘモグロビンの50%飽和状態でのO2の部分圧を表している。この相互作用は、しばしばmmHgまたはtorr(トル)に対してヘモグロビンの飽和度(%)がプロットされるO2解離曲線として表される。
【0050】
上記で考察したいずれのインビトロ法を使用しても、最終化学修飾ヘモグロビン溶液中の抗酸化活性のレベルを測定することができよう。さらに、本発明の最終修飾生成物中の抗酸化活性の存在は、インビボにおいてもアッセイできよう。例えば、インビボ腸虚血再潅流のラットモデルを使用できる。腸虚血事象後に本発明のヘモグロビン/抗酸化製剤を含むヘモグロビン溶液は再循環させずに潅流させることができる。門脈静脈流出サンプルを収集して、4−ヒドロキシベンゾエートから4,3−ジヒドロキシベンゾエート(3,4DHBA)へのヒドロキシル化によって発生できるようなフリーラジカルの生成は、電気化学的検出法を使用してHPLCによって測定できる(D’Agnilloら(1998),Nature Biotechnology 16:667−671)。
【0051】
従って本発明の方法で使用される濾過手段は、赤血球中で所見されるヘモグロビン1単位当たり約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、110%、120%、130%、150%、160%、170%、180%、190%、200%、250%以上の内因性抗酸化活性における増加を含有する化学修飾ヘモグロビンを生じさせる。あるいはまた、化学修飾ヘモグロビン溶液は、赤血球中で所見されるヘモグロビン1単位当たり約10%〜40%、40%〜80%、80%〜120%、120%〜160%、160%〜200%、200%〜250%、または50%〜200%の抗酸化活性における増加を含むことができる。抗酸化活性におけるこの増加は、単一抗酸化酵素(即ち、SOD、カタラーゼ、グルタチオンペルオキシダーゼ等)の活性増加を反映している可能性がある、あるいはまたこの増加は抗酸化活性における全体的上昇を反映していることがある。
【0052】
最終修飾ヘモグロビン生成物中の抗酸化活性のレベルは、抗酸化酵素を含まない修飾ヘモグロビン溶液と比較してヘモグロビンのフェリルヘモグロビンおよび/またはメトヘモグロビンへの転換を約50%、40%、30%、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%および1%未満防止するようなレベルであろう。あるいはまた、最終修飾ヘモグロビン生成物中の抗酸化活性のレベルは、抗酸化酵素を含まない修飾ヘモグロビン溶液と比較してヘモグロビンのフェリルヘモグロビンおよび/またはメトヘモグロビンへの転換を約50%〜約5%、約20%〜約1%、約10%〜約1%、または約5%〜1%未満防止するようなレベルであろう。
【0053】
さらにまた第2修飾剤を使用すると、例えばビス−(N−マレイミド−メチル)エーテルおよびビス−(3,5−ジブロモサリチル)フマレートのようなヘモグロビン四量体中で分子間架橋を確立できることは認識されている。例えば、Bunnら(1969),J.Exp.Med.129:909−924およびWalderら(1979),Biochemistry 18:4265−4270を参照。
【0054】
赤血球起源に依存して、上記の化学修飾方法の前にピリドキサル−5’−ホスフェート(PLP)を用いてヘモグロビン分子のβ切片において誘導体化することが望ましいことがある。ピリドキシル化方法は、複合体のP50を増加させ、当業者に一般に知られている。例えば米国特許第5,194,590号明細書を参照。β切片修飾は、さらにまたジアルデヒドo−ラフィノースを使用して達成することもできる。例えば米国特許第4,857,636号明細書およびAdamsonら(1998),Blood Substitutes:Principles,Methods,Products,and Clinical Trials Vol II(代用血液:原理、方法、生成物、および臨床試験、第II巻),62−79)を参照。
【0055】
さらに、上記で考察した化学修飾およびβ切片誘導体化が脱酸素化条件下で実施できることは認識されている。脱酸素化の1つの方法は、修飾反応中のN2ガスの持続的気泡化を含む。当分野でヘモグロビン溶液を脱酸素化および再酸化するために利用できるその他の数種の技術には、例えばヘキスト・セラニーズ(Hoechst Celanese)製のリキセル(Liqui−cell)のような膜交換法および対向流ガス交換のための薄層法が含まれる。
【0056】
本発明の方法によって製造された化学修飾ヘモグロビンは、人工細胞内に封入することができる。例えば人工膜、脂質膜リポソームを使用して調製される小さな脂質膜人工赤血球、および生体分解性ポリマーヘモグロビンナノカプセルを用いる人工赤血球内への封入法(即ち、ポリ乳酸封入法)のような方法は当分野において知られている。例えば、Changら(1988),Biomater,Artif.Cells Artif.Organs.16:1−9;Changら(1968),Nature,218:242−245;Rudolphら(1998),Blood Substitutes:Principles,Methods,Products,and Clinical Trials Vol II(代用血液:原理、方法、生成物、および臨床試験、第II巻),197−205;およびTsuchidaら(1995),Artificial Red Cells,John Wiley & Sons.を参照。
【0057】
D.修飾ヘモグロビン/抗酸化物質複合体の分離および調製
化学修飾工程に続いて、ヘモグロビン/抗酸化物質溶液は、抗酸化活性の活性が破壊されない限り、当分野でよく知られているあらゆる方法で分離できる。このような方法には、例えばクロマトグラフィーまたは濾過が含まれる。例えば、縫合ヘモグロビン溶液は、ポール・フィルトロン製TFF100,000分子量カットオフTスクリーン・オメガシリーズ膜を使用したダイアフィルトレーション(diafiltration)によって分離できる。この分離ステップでは、他の製造業者の100,000分子量膜も使用できる。洗浄工程を変更すれば、例えばポール・フィルトロン製85,000または70,000分子量カットオフ膜のようなもっと孔径の小さい膜を使用できる。その後、溶液は引き続いて精製水または適切な緩衝液を用いて洗浄されて、残留反応物質を除去して未修飾ヘモグロビン含量を減少させる。
【0058】
洗浄された修飾ヘモグロビン溶液は膜から除去され、水またはプラズマ−ライト(Plasma−Lyte)A中で調製される。この溶液を血液に比較して等浸透圧性にするために電解質液が添加される。あるいはまた、この溶液を最終調製緩衝液に対してダイアフィルトレーションすることによって作製することもできる。この結果、結合ヘモグロビン:抗酸化物質複合体を含む実質的にウイルスを含まない修飾ヘモグロビン溶液が生じる。
【0059】
修飾されたヘモグロビンは、さらにまた薬剤として使用するための調製物を生成するために凍結乾燥されてもよい。修飾複合体中に存在する抗酸化酵素はおそらく安定化剤として機能してメトヘモグロビンおよび不溶性物質の産生を阻害するであろうが、当分野で一般的に使用される他の物質を添加することもできる。このような化合物には亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウムおよび硫酸鉄(II)、および例えばEDTAやその塩類のようなアミノ化合物が含まれる。例えばD−ガラクトースおよびD−グルコースのような単糖類;スクロース、マルトースおよびラクトースのような二糖類;およびアミノ酸もまた効果的な安定化剤として使用される。修飾ヘモグロビン溶液の凍結乾燥作製方法は、例えば参照してここに組み込まれる米国特許第4,670,417号明細書に見出すことができる。
【0060】
ある実施形態では、本発明の方法はPHPを合成するために使用される。上記に記載した方法によって合成されたPHPは、実質的にウイルスを含んでおらず、内因性の酵素的に活性な抗酸化酵素へ共有的に架橋したヘモグロビンを含む。これらの方法によって合成されたPHPは、無傷赤血球に類似する抗酸化プロフィールを含有している。PHPは、典型的にはRBC中で所見されるヘモグロビン1単位当たり90%以上のカタラーゼおよびSOD活性を含有している。PHP中の修飾ヘモグロビンに関連して保持されている内因性抗酸化物質は、修飾ヘモグロビンの酸化還元活性を弱め、酸化促進能力を低下させ、さらに一酸化窒素捕捉特性を改善する可能性がある。従って、修飾PHPは、一定の疾患状態の治療において有益な作用を有している可能性がある。
【0061】
PHP合成方法および特徴付けは、実験の部に提供されている。合成および特徴付け工程について記載した詳細は、例えば全部が参照してここに組み込まれる米国特許第4,301,144号明細書;第4,421,989号明細書;第4,670,417号明細書;Iwashitaら(1995),Artificial Red Blood Cells,John Wiley & Sons;Talaricoら(2000),Biochimica,1476:53−65;およびPrivalleら(2000),Free Rad.Biol.Med.28:1507−1517を参照。
【0062】
II.使用方法
本発明は、さらにまた医学的治療のために当該治療を必要とする哺乳動物へ非毒性の医薬上許容される担体と結び付けて治療有効量の修飾ヘモグロビンを静脈内投与することによって本発明の修飾ヘモグロビンを使用する方法を含む。医薬上有効な量は、特定疾患のために所望の療法または治療される医学的状態に関連して変動することは認識されている。さらにまた、典型的投与パラメーターは例えば患者の体重に依存して変動することも認識されている。当業者には、所定の状態における投与量を選択する方法は明白であろう。修飾ヘモグロビンを含有する組成物を投与するための方法および調製物は、一般にはRemington’s Pharmaceutical Sciences,Meade Publishing Col.,イーストン、Pa.、最新版に見出すことができる。これらの文献は、参照することにより本明細書に組み込まれる
【0063】
本発明の修飾ヘモグロビン溶液は、例えば外傷、心筋梗塞、発作、急性貧血並びに例えば低酸素血症もしくは低酸素症のような肺が血液を十分に酸化できない機能的障害もしくは不全を原因とする酸素欠乏障害の治療において利用できる。例えば、米国特許第5,733,896号明細書および第6,090,779号明細書を参照。これらの文献は、どちらも参照することにより本明細書に組み込まれる。さらにその上、本発明の修飾ヘモグロビンは代用血液および血液増量剤として使用できる。従って、血液増量剤として、修飾ヘモグロビン溶液はアナフィラキシーショックおよびアレルギー性ショックを緩和したり、熱傷後に消失した血漿の代用、および血液量不足性ショックにおいて用途がある。本発明の修飾ヘモグロビン溶液は、さらに急性出血中、外科手術中に発生する失血を補う際、事故による失血後の蘇生手技において酸素を供給するため、さらに一般に関連状態において血液量を維持するためにも使用できる。例えば、参照してここに組み込まれる米国特許第5,905,141号を参照。さらに、本発明の代用血液は従来型酸素供給器内の人工酸素交換液として使用できる。
【0064】
ある実施形態では、本発明の修飾ヘモグロビン溶液は体内一酸化窒素産生によって惹起される全身性低血圧または敗血症性ショックの治療のために使用される。このような体内一酸化窒素産生は、例えば全身性低血圧の症例におけるようなサイトカインを有する動物の治療の結果として生じることがある。また、修飾ヘモグロビンは化学療法によって誘発された患者における全身性低血圧の治療のために使用され得る。敗血症性ショックでは、一酸化窒素の産生は細菌内毒素への動物の暴露の結果として生じる。ウイルス、真菌または腸毒素産生細菌もまた、直接的もしくは間接的に本発明の修飾ヘモグロビンの投与によって軽減できるNO過剰産生を誘発することが発見されることがある。ある実施形態では、ヘモグロビンは静脈内投与される。本発明の修飾ヘモグロビン溶液は、さらにまたSIRSショックおよび関節リウマチの治療のために使用することができる。投与される修飾ヘモグロビンの量、つまり治療有効量は存在する過剰な一酸化窒素に結合する、従って循環から遊離一酸化窒素を除去するために十分な量である。このような有効量は当業者であれば決定できよう。例えば、米国特許第5,674,836号明細書;第5,296,466号明細書;第5,612,310号明細書;およびBoneら(1998),J.Appl.Physiol.84:1991−1998;Kilbournら(1997),The Yearbook of Intensive Care and Emergency Medicine(集中治療および救急医学年鑑),ベルリン,Springer−Verlag,230−239;およびBoneら(1997),Crit.Care Med.25:1010−1018を参照。これらの文献は、全て参照することによって本明細書に組み込まれる。
【0065】
本発明で使用される修飾ヘモグロビンは、医薬上許容される担体と混合できる。医薬上の担体には、例えばハンクス(Hank’s)液またはリンゲル(Ringer’s)液のような生理的に適合する緩衝液類、生理的食塩液、食塩液およびグルコースから構成される混合液、ヘパリン添加クエン酸ナトリウム−クエン酸−デキストロース溶液等が含まれる。本発明の方法で使用されるヘモグロビンは、例えば線状多糖類(例、デキストラン)、ヒドロキシエチルスターチ、平衡化溶液ゼラチン、およびその他の血漿タンパク質のようなコロイド様代用血漿および血漿増量剤と混合することができる。さらに、修飾ヘモグロビンは水溶性かつ生理的に許容されるポリマー代用血漿、と混合することができるが、それらの例にはポリビニルアルコール、ポリ(エチレンオキシド)、ポリビニルピロリドン、およびエチレンオキシド−ポリプロピレングリコール凝縮液等が含まれる。
【0066】
本発明の最善の様式および好ましい実施形態を具体的に示すために下記の実施例を提示するが、これは他に特に規定していない限り特許された本発明を制限することは意図されていない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0067】
実験の部
実施例1 実質的にウイルスを含まないヘモグロビン/抗酸化物質溶液の分離
A.ストロマ非含有ヘモグロビンの分離
加工処理の前に、赤血球を無菌的に衛生的な加工処理容器内へプールし、pH、ヘモグロビン濃度およびメトヘモグロビン含量を分析するために採取する。その後の加工処理のために放出する前には、表1に規定された基準が満たされている。
【0068】
【表1】
【0069】
赤血球は、pH7.4の50mMリン酸ナトリウム緩衝液/150mM塩化ナトリウム緩衝液(緩衝液A)を用いて2倍に希釈する。希釈した赤血球は、膜上で7容積の同一緩衝液を用いてダイアフィルトレーションする。赤血球をそれらの元の容積の70%へ濃縮し、水を添加して溶液の浸透圧を低下させる。ヘモグロビンは、3容積の水を用いて細胞を洗浄すると赤血球から遊離する。ヘモグロビン溶液を0.1μ酢酸セルロースフィルター装置(ザルトリウス製)に通過させて清澄すると、ストロマ非含有ヘモグロビン(SFH)が生じる。
【0070】
B.ストロマ非含有ヘモグロビンの限外濾過
ストロマ非含有ヘモグロビンは、500,000分子量カットオフ膜(1mm内腔径を備えるAGテクノロジー製500,000分子量カットオフポリスルホン膜)に通過させて残留赤血球膜分画およびウイルス粒子を除去する(実施例4におけるウイルス除去および不活化試験を参照)。限外濾過ステップのための好ましいパラメーターは、1.4〜2.0L/min・ft2のクロスフロー流速および12〜16PSIGの不活性圧および6〜9PSIGのTMPを含む。
【0071】
この溶液を濃縮して開始容積の約25%の容積で洗浄する。洗浄は、緩衝液Aを用いて実施する。典型的には1〜3容積の緩衝液Aを使用する。使用する容積は、ストロマ非含有ヘモグロビンからのヘモグロビンおよび酵素の許容される回収を提供するように選択する。
【0072】
第2の濾過ステップは、補助的ウイルス除去ステップとして使用できる。限外濾液を、ヘモグロビンおよび酵素の通過を許容するために有効なポールDV−50またはDV−20カートリッジフィルターに通過させる。あるいはまた、ミリポア製バイアソルブNFRフィルターを使用することもできる。典型的には、この溶液は液に20〜50PSIGの圧力を適用することによって濾過される。濾液の流速は、使用される圧力およびフィルターに依存する。結果として生じる限外濾液は低いウイルス量を有している。
【0073】
精製ストロマ非含有ヘモグロビンは化学修飾のための出発材料であり、それ以後の加工処理のための至適パラメーターを保証するためにpH、導電性およびヘモグロビン濃度についての工程仕様を満たさなければならない。それは低内毒素含量および最小の微生物汚染を有していなければならない。その純度は、例えば残留血液型抗原、血清タンパク質およびリン脂質のような汚染物質の検出によって監視される。ヘモグロビンの完全性は、メトヘモグロビン含量およびP50を分析することによって評価する。これらの分析の各々についての仕様は表2に示した。
【0074】
精製ストロマ非含有ヘモグロビンは、濃縮して10,000ポリスルホン膜上でダイアフィルトレーションにかける。詳細には、100mg/mLのヘモグロビン濃度が達成されるまでポール・フィルトロン製10,000分子量カットオフTスクリーン・オメガシリーズ膜を使用する。溶液は、低分子量汚染物質を除去するために3容積の緩衝液Aを用いて洗浄する。ヘモグロビンおよび酵素の通過は、最小限に抑えられる。濃縮溶液は、緩衝液Aを用いて60mg/mLへ希釈し、0.2μLフィルターに通して濾過する。これで化学修飾のための準備が整った精製ストロマ非含有ヘモグロビンが入手される。
【0075】
【表2】
【0076】
実施例2 PHPの産生
PHP合成のためのすべての操作は、10℃で実施する。第1に、ヘモグロビンはピリドキサル−5−ホスフェートを用いてβ切片内で誘導体化し、ポリペプチドはポリオキシエチレンを用いて修飾する。精製ストロマ非含有ヘモグロビンは溶液に窒素を通して気泡化することによって脱酸素化する。この溶液に、消泡剤としてN−オクタノールを添加する(ヘモグロビン溶液1リットル当たり約0.3mL)。存在するヘモグロビン1kg当たりピリドキサル−5−ホスフェート16gmを添加して、30分間反応させる。ヘモグロビン1kg当たり11.8gの水素化ホウ素ナトリウムを添加し、30分間反応させる。ヘモグロビン1kg当たりグリシン11.6gを添加する。溶液のpHはリン酸を用いて8へ調整する。この溶液に約10×モル過剰(ヘモグロビンに比較して)のポリオキシエチレンを添加し、20分間反応させる。
【0077】
次に、1N水酸化ナトリウムを用いてこの溶液のpHを7.5へ調整し、この溶液をさらに20分間放置する。ヘモグロビン1kg当たり1.2gの水素化ホウ素ナトリウムを添加し、20分間反応させる。この溶液をその後、酸素を液に通して気泡化させることによって再酸化する。この溶液から、最後が0.2μMフィルターである一連のフィルターを通しての濾過によって粒子状物質を除去する。この工程中、エンベロープウイルスの化学的不活化が発生する。
【0078】
化学修飾ヘモグロビンは、ポール・フィルトロン製TFF100,000分子量カットオフTスクリーン・オメガシリーズ膜上で約100mg/mLのヘモグロビン濃度へ4倍に濃縮する。10容積の精製水を用いてこの溶液を洗浄して残留反応物質を除去し、未修飾ヘモグロビン含量を減少させる。洗浄した溶液を膜から除去し、ヘモグロビン濃度を80mg/mLへ希釈する。
【0079】
最終生成物の安全性および均一性を保証するために、ピリドキサル化ポリオキシエチレンヘモグロビン(PPHb)溶液は、バイオバーデン、内毒素、および遊離POEをアッセイすることによって測定して汚染物質を含んでいてはならない。製剤の物理的状態は、溶液のpHおよび導電性並びにヘモグロビン、メトヘモグロビン、およびスルフヘモグロビンの濃度をアッセイすることによって監視する。化学修飾工程の一貫性は、PPHbの分子量、P50、および多分散性(DCT)を分析することによって測定する。表3には、最終バルク非調製PHP溶液の仕様を列挙した。
【0080】
【表3】
【0081】
電解質液を上記のPPHb溶液へ添加し、ヘモグロビン濃度を8%に調整して、PHPの最終投与形態を達成する。調製済み溶液を0.1μmフィルターに通して濾過することで無菌にし、製剤容器に充填する。
最終生成物の品質は、無菌性、一般安全性、発熱物質含量、およびホスファチジルエタノールアミン含量を評価することによって監視する。ヘモグロビンの完全性は、PHPのP50、ヘモグロビン濃度、メトヘモグロビン濃度、分子量およびDCTを測定することによって評価する。製剤の物理的状態は、最終生成物のpHおよび浸透圧を測定することによって評価する。最終PHP製剤の様々な化学的および物理的特性は表4および5に示した。
【0082】
電解質液を添加してこの溶液を血液に比較して等浸透圧にする。すると、ピリドキサル化ヘモグロビンポリオキシエチレン(PHP)を含む、実質的にウイルスを含まない溶液が生じる。PHPの物理的特性および構造的特徴は、米国特許第4,301,144号明細書;第4,412,989号明細書;第4,670,417号明細書;Iwashitaら(1995),Artificial Red Blood Cell,John Wiley & Sons;Talaricoら(2000),Biochim.Biophys.Acta.1476:53−65に詳細に記載されている。これらの文献は、全て参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0083】
【表4】
【0084】
【表5】
【0085】
実施例4 ウイルス活性の低下
A.最終生成物中のウイルスDNAについてのアッセイ
製造工程を、典型的製造規模の4分の1の規模でHIVの除去についてのバリデーションを実施した。例えばヘモグロビンおよびメトヘモグロビン含量、pH、内毒素含量、P50、分子量等のパラメーターを規模を縮小した工程について監視し、この製造規模での工程パラメーターが本格的規模の工程に匹敵しているかどうかを確認した。HIV培養のスパイクを出発工程流れ内に入れた。出発材料、工程中間物および製剤については感染性ウイルスについてはプラークアッセイによって、およびHIVコアタンパク質についてはELISA法によって各々アッセイした。プラークアッセイは、MT−4細胞系を用いて2回ずつ実施した。
【0086】
上記のPHP製造工程のためのHIVの除去係数は、プラーク形成単位(PFU)を計数することで測定して≧12.85logsであることが証明された。
【0087】
7ロットのPHP中の最終生成物中にウイルスDNAが存在するかどうかを測定するために試験を実施した。ウイルスDNAが存在しないことは、B型肝炎ウイルス、サイトメガロウイルス、単純ヘルペスウイルスおよびエプスタインバーウイルスのためのウイルス特異的プローブを使用するDNAハイブリダイゼーション法によって確認した。DNAは、フェノール抽出法を使用してPHPサンプルから抽出した。抽出したDNAは、ウイルスに特異的な32P標識もしくはビオチン標識DNAを用いてブロッティングおよび調査した。7ロットのPHPからのシグナルを同一ブロット上に含まれるDNA(100−0.3pg DNA)の標準物質と比較し、シグナル強度に基づいてスコア付けした。全7ロットのPHPが、B型肝炎ウイルス、サイトメガロウイルス、単純ヘルペスウイルスおよびエプスタインバーウイルスからのDNAの存在の検出限界より下であることが見出された。
【0088】
上記に要約したウイルス安全性試験に加えて、PHP製造工程についての詳細なウイルスバリデーション試験を実施した。これらの試験のために選択したウイルスには、血液製剤によって感染することが分かっているA型肝炎ウイルス(HAV)およびC型肝炎ウイルス(HCV)のためのモデルであるウシウイルス性下痢(BVD)ウイルスを含めた(表6参照)。
【0089】
ウイルスバリデーション試験は、物理的操作条件、製品中間物および最終生成物に関して正確に製造規模操作を表している規模縮小単位操作を使用して実施した。ウイルス培養および定量は、GLPに従って実施した。ウイルス定量のバリデーションは、分析前に実施した。減少レベルは、堅実な統計的手法を使用して引き出され、95%信頼水準を表している。
【0090】
【表6】
【0091】
最終PHP製剤中のウシウイルス性下痢(BVD)ウイルスの不活化
PHPを製造するためのヘモグロビンの化学修飾には、強力な還元剤、アルコール、ビタミン類およびアミノ酸の使用が必要とされる。強力な還元剤および/またはアルコールは、エンベロープウイルスを不活化すると予想された。この不活化をバリデーションするために、本格的規模の反応の100分の1で化学修飾反応を再現するための試験を設計した。小さな反応路を製造し、攪拌機構、ガス分布マニホールド、温度調節システムおよびpH計を装備した。ヘモグロビン溶液は、製造規模で使用する条件と等価の条件下で脱酸素化し、反応させ、再酸化した。修飾の効率はHPLCによって測定し、製剤の物理的パラメーターは工程中間物を評価するための品質管理によって使用されるアッセイによって測定した。全分析は、この反応の生成物が完全規模工程生成物と等価であることを確証した。
【0092】
出発材料を脱酸素化前に全出発容積の10%の濃度へBVDウイルスを用いてスパイクした。反応は製造プロトコルに従って実施し、単位作業についての最終生成物をサンプリングした。不活化工程は、BVDウイルスの≧5.11±0.18logsを排除した。
【0093】
B.「第1の濾過手段」によるウイルス活性の減少についてのアッセイ
限外濾過によるA型肝炎ウイルス(HAV)の除去
赤血球からのヘモグロビンの精製は、一連の濾過ステップを通して遂行する。ここで定義した「第1の濾過手段」は、ウイルス除去に有効な限外濾過ステップである。これをバリデーションするために、本格的規模工程フィルターと同一の繊維長を有する規模縮小(典型的製造規模の100分の1)中空糸膜装置を小規模単位作業で利用した。バリデーション試験のための出発材料は、本格的規模の製造工程流れから入手し、PHPの製造において使用される典型的材料を表していた。小規模限外濾過装置の作業のための全工程パラメーターは、PHP製造バッチ記録に文書化した。クロスフロー、操作圧、温度、緩衝液および操作時間は本格的規模の製造工程を表していた。ウイルスバリデーションのために変更した唯一のパラメーターは、膜表面積であった。生きているウイルスを用いてバリデーション試験を実施する前に、濃縮水および透過水の流れが本格的規模工程から入手されたものに等価であることを保証するために、数回の小規模濾過ランを実施した。
【0094】
流入流れはHAVを用いて1%にスパイクし、単位操作は製造方法に従って実施した。試験サンプル中のHAVの力価はアカゲザル胎児肺(FrhL−4)細胞を用いるTCID50アッセイを実施することによって測定した。限外濾過工程は≧5.60±0.28logsのHAVを排除した。
【0095】
限外濾過によるウシウイルス性下痢(BVD)ウイルスの除去
BVDウイルスの除去もまた、HAVのバリデーションのために使用した同一限外濾過膜装置を使用してバリデーションした。使用した工程は、HAVバリデーションについて上記で記載した工程と同一であった。流入流れはBVDウイルスを用いて1%にスパイクし、単位操作は製造方法に従って実施した。試験サンプル中のBVDウイルスの力価はウシ胎児気管(EBTr)細胞を用いるプラークアッセイを実施することによって測定した。限外濾過工程は≧6.02±0.06logsのBVDウイルスを排除した。
【0096】
C.「第2の濾過手段」によるウイルス活性の減少についてのアッセイ
バクテリオファージPP7(25nm)の除去
精製ストロマ非含有ヘモグロビン(20mg/mL)60mLを、ファージストック(力価=1×1012PFU/mL)0.5mLを用いてスパイクした。スパイクされたヘモグロビン溶液は、47mm DV−20フィルター(ポール製)を含有するステンレススチール製圧力容器内に入れた。この溶液を30PSIGの圧力下でDV−20フィルターに濾過させた。濾液を収集し、緑膿菌を使用するプラークアッセイによってPP7の存在についてアッセイした。この濾過工程は、5logsのPP7を排除した。ヘモグロビン溶液のカタラーゼ活性は、ヘモグロビンと一緒にフィルターを通過した。
【0097】
バクテリオファージPR772(50nm)の除去
精製ストロマ非含有ヘモグロビン(20mg/mL)100mLを、バクテリオファージPR772(50nm)(力価=4.5×1010PFU/mL)1mLを用いてスパイクした。スパイクされたヘモグロビン溶液は、容器の出口に47nmバイアソルブNFRフィルター(ミリポア製)を含有するステンレススチール製圧力容器内に入れた。この溶液を30PSIGの圧力下で濾過した。濾液を収集し、大腸菌を使用するプラークアッセイによってファージの存在についてアッセイした。この濾過工程は、≧8logsのPR772を排除した。カタラーゼ活性は、ヘモグロビンと一緒にフィルターを通過した。
【0098】
実施例5 内因性抗酸化活性のアッセイ
A.ヘモグロビン分子およびPOE−HbA分子(クロマトグラフィーによって精製したヘモグロビンを使用してPHP分子を調製した)に対する上記に記載した方法によって合成したPHP分子をH2O2誘発後のメトヘモグロビンおよびフェリルヘモグロビン生成に関して試験した(参照してここに組み込まれるPrivalleら(1999),The Biology of Nitric Oxide,part 7.ロンドン:Portland Pressを参照)。
【0099】
反応混合物は、50μMリン酸ナトリウム(pH7.4)中に指示されたヘモグロビン20μM(ヘム)を含有していた。H2O2(200μM)を添加し、室温での5分間のインキュベーション後にスペクトルを入手した。HbAへの200μM H2O2の添加は、A541およびA577における減少を生じさせた。ヘモグロビン酸化状態の定量によって、オキシHbAの約50%がこれらの条件下でメトHbAへ転換されたことが明らかになった。これとは対照的に、PHPはこの処理に対して比較的に安定性であり、メトヘモグロビン形へ転換されたのはヘモグロビンの5%未満であった。図2を参照。
【0100】
H2O2処理後のフェリルヘモグロビン生成の存在は、図3に示した。フェリルヘモグロビンは、引き続いてのスルフヘモグロビンの生成を生じさせるNa2Sの添加後に分光学的に容易に検出できる。このヘモグロビン種は、620nmでの明確なピークを特徴とする。指示されたヘモグロビン(50μMヘム)のスペクトルはT=0で入手した。その後5倍モル過剰のH2O2(250μM)を添加し、この反応混合液を5分間インキュベートした。過剰のH2O2を分解するためにカタラーゼ(500単位)を添加した。その後Na2S(2mM)を添加し、1分間後にスペクトルを入手した。HbA、PHP,およびPOE−HbAに対する最終スペクトルを示した。H2O2暴露後、フェリルヘモグロビン生成はPHP中におけるよりHbA中における方がはるかに大きかった。
【0101】
B.単位/mgのヘモグロビン中の抗酸化活性のレベルを最終PHP生成物中で測定した。抗酸化活性を測定するためのアッセイは、次の通りに実施した。表7は、PHPの典型的な抗酸化物質の組成を提供している。
【0102】
【表7】
【0103】
赤血球(RBC)、精製ストロマ非含有ヘモグロビン(PSFHb)、およびPHPからのヘモグロビンをベースとする平均カタラーゼ活性は表8に提供した。活性は5PHPロットで所見された平均カタラーゼ活性である。
【0104】
【表8】
【0105】
本明細書において言及した全出版物および特許出願明細書は、本発明が関係する分野の当業者の水準の指標である。全出版物および特許出願明細書は、各個々の出版物および特許出願明細書が詳細かつ個別に参照して組み込まれると指示されているのと同様の程度にこれにより参照してここに組み込まれる。
上記では本発明を明確に理解してもらう目的で例示および実施例によって詳細に記載してきたが、添付のクレームの範囲内で一定の変化および修飾を実施できることは明白であろう。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】図1はピリドキサル化ヘモグロビンポリオキシエチレン(PHP)合成の略全体図である。
【図2】図2はH2O2による酸化後の、PHPおよびHbAのヘモグロビン分子のスペクトル変化を示した図である。
【図3】図3はフェリルヘモグロビンの尺度としての、H2O2媒介性酸化後のスルフヘモグロビン生成(A620)を示した図である。HbA、PHPおよびPOE−HbAについての最終スペクトルが示されている。
Claims (35)
- 化学修飾ヘモグロビン溶液を作製する方法であって、
(a)ストロマ非含有ヘモグロビン溶液を少なくとも1つの濾過手段に接触させるステップであって、第1の濾過手段がウイルス粒子を留めるが、ヘモグロビンおよび内因性抗酸化酵素を含む濾液を通過させ、濾液には実質的にウイルス汚染が含まれないステップと、
(b)薬剤を用いて濾液を化学修飾するステップと、
(c)化学修飾ヘモグロビンおよび内因性抗酸化酵素を含む組成物を分離するステップであって、このとき少なくとも一の内因性抗酸化ポリペプチドが酵素活性を保持しているステップと
を含む方法。 - 酵素活性を保持している少なくとも一の内因性抗酸化酵素が、スーパーオキシドジスムターゼ、カタラーゼ、およびグルタチオンペルオキシダーゼからなる群から選択される請求項1に記載の方法。
- 前記第1の濾過手段が、少なくとも50%の内因性抗酸化酵素を通過させる請求項1に記載の方法。
- 濾過手段が、AGテクノロジー製500,000分子量カットオフフィルターを含む請求項1に記載の方法。
- 前記第1の濾過手段が、200〜25nmの大きさであるウイルス粒子の通過を減少させる請求項1に記載の方法。
- 前記第1の濾過手段が、80〜100nmの大きさであるウイルス粒子の通過を減少させる請求項5に記載の方法。
- 前記第1の濾過手段が、80〜50nmの大きさをもつウイルス粒子の通過を減少させる請求項5に記載の方法。
- 前記第1の濾過手段が、50〜25nmの大きさであるウイルス粒子の通過を減少させる請求項5に記載の方法。
- 前記第1の濾過手段が、前記ウイルス粒子の通過を3〜10ログ(log)単位まで減少させる請求項1に記載の方法。
- 前記第1の濾過手段が、少なくとも3log単位のウイルス量減少を有する濾液を生じさせる請求項1に記載の方法。
- 濾液を少なくとも1つの第2の濾過手段に接触させるステップをさらに含み、前記第2の濾過手段はヘモグロビンおよび内因性抗酸化酵素を通過させるが、ウイルス粒子を留める請求項1に記載の方法。
- 第2の濾過手段が、ポールDV−50フィルター、ポールDV−20フィルター、およびミリポア製バイアソルブNFRからなる群から選択されるフィルターを含む請求項11に記載の方法。
- 修飾剤が、官能性修飾剤である請求項1に記載の方法。
- 前記修飾剤が、塩化セバシル、グルタルアルデヒド、ジアスプリン誘導体類、ポリアルデヒド類、ポリオキシエチレン、デキストラン類およびイヌリンからなる群から選択される請求項13に記載の方法。
- 修飾剤が、二官能性ポリオキシエチレンである請求項13に記載の方法。
- 修飾剤が、二官能性および単官能性ポリオキシエチレンの混合物である請求項1に記載の方法。
- 修飾ヘモグロビン溶液が、PHPである請求項15に記載の方法。
- 化学修飾が、ヘモグロビンの脱酸素化およびピリドキサル化をさらに含む請求項1に記載の方法。
- 前記分離された修飾ヘモグロビン溶液のウイルス汚染が、1TCID50単位/mL未満のウイルス力価を含む請求項1に記載の方法。
- 化学修飾ヘモグロビン溶液が、赤血球中で所見されるヘモグロビン1単位当たり50%〜200%の内因性赤血球抗酸化活性における増加を含む請求項1に記載の方法。
- 化学修飾ヘモグロビンを作製する方法であって、
(a)ストロマ非含有ヘモグロビン溶液を少なくとも1つの濾過手段に接触させるステップであって、第1の濾過手段がウイルス粒子を留めるが、ヘモグロビンおよび内因性抗酸化酵素を含む濾液を通過させ、濾液が実質的にウイルス汚染を含んでいないステップと、
(b)薬剤を用いて濾液を化学修飾するステップと、
(c)修飾ヘモグロビンおよび内因性抗酸化酵素を含む組成物を分離するステップと
を含む方法。 - 化学修飾ヘモグロビンおよび少なくとも一の内因性抗酸化酵素を含むヘモグロビン溶液であって、前記修飾がPOE連結の付着を含み、前記内因性抗酸化物質が酵素活性を保持しており、さらに前記溶液が実質的にウイルス汚染を含んでいないヘモグロビン溶液。
- 前記修飾ヘモグロビンが、PHPである請求項22に記載の修飾ヘモグロビン溶液。
- 前記溶液のウイルス汚染が、1TCID50単位/mL未満のウイルス力価を含む請求項22に記載の修飾ヘモグロビン溶液。
- 25〜30nmの大きさである前記粒子のウイルス力価が、1TCID50単位/mL未満である請求項24に記載の修飾ヘモグロビン溶液。
- 前記ウイルス粒子が、A型肝炎である請求項25に記載の修飾ヘモグロビン溶液。
- サイズが70nm未満のウイルス粒子のウイルス力価が、1TCID50単位/mL未満である請求項24に記載の修飾ヘモグロビン溶液。
- ウイルス粒子が、A型肝炎またはC型肝炎である請求項27に記載の修飾ヘモグロビン溶液。
- 前記内因性抗酸化酵素が、スーパーオキシドジスムターゼ、カタラーゼ、ヘモグロビンペルオキシダーゼおよびグルタチオンペルオキシダーゼからなる群から選択される請求項22に記載の修飾ヘモグロビン溶液。
- 前記溶液が赤血球中で所見されるヘモグロビン1単位当たり50%〜200%の抗酸化活性における増加を含む請求項22に記載の修飾ヘモグロビン溶液。
- 前記溶液が化学修飾ヘモグロビンおよび少なくともスーパーオキシドジスムターゼ、カタラーゼおよび少なくとも一の追加の内因性抗酸化酵素を含む請求項22に記載の修飾ヘモグロビン溶液。
- 哺乳動物の循環中に存在する一酸化窒素のレベルを低下させる方法であって、医薬上許容される担体中に含まれる治療有効量の請求項22に記載の修飾ヘモグロビン溶液を、一酸化窒素のレベルを低下させることが必要な哺乳動物に投与するステップを含む方法。
- 前記修飾ヘモグロビンが、全身性低血圧を有する哺乳動物に投与される請求項32に記載の方法。
- 前記修飾ヘモグロビンが、敗血症性ショックを有する哺乳動物に投与される請求項32に記載の方法。
- 赤血球損失を治療する方法であって、前記治療が治療有効量の請求項22に記載の修飾ヘモグロビンを治療が必要な哺乳動物に投与するステップを含む方法。
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