JP2004520300A - 混合アンドロゲン−黄体ホルモン活性プロフィールを有する14(15)−不飽和15−および/または16−置換アンドロゲン - Google Patents
混合アンドロゲン−黄体ホルモン活性プロフィールを有する14(15)−不飽和15−および/または16−置換アンドロゲン Download PDFInfo
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Abstract
Δ14二重結合を有するとともに、炭素原子番号15と16のいずれかまたは両方に置換基を有するアンドロゲン関連ステロイドを開示する。本ステロイドは、アンドロゲン活性とプロゲスタゲン活性の混合プロフィールを有することを特徴とする。そのため、本化合物は、男性または女性ホルモン置換療法ならびに雄性避妊に適する。
Description
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンドロゲン活性およびプロゲスタゲン活性の混合プロフィールを有する合成ホルモンの分野に存する。
【背景技術】
【0002】
男性および女性におけるホルモン置換療法(HRT)に対する今日の要求ならびに雄性避妊の今後の問題点に起因して、アンドロゲンについての新たな関心が存在する。それに関する焦点は、経口活性、高い効能またはそれらの両方の改善に集中している。例えば、国際公開公報第WO99/67271号、同第00/53619号、同第00/59920号、および欧州特許第2000−3572(未公開特許出願PCT/EP00/06544)を参照のこと。
【0003】
既知の効力のあるアンドロゲンは、いわゆる「セガロフステロイド」であり、これは、7α−メチル基を有する19−ノルテストステロン誘導体であり、炭素原子14と15の間に二重結合(Δ14)を有する。このステロイドは、既知の最も効力がある経口アンドロゲンとして長い間認識されたきた。とりわけ、Averyら,Steroids,55,59(1990)を参照のこと。この化合物は、その7α−H類似体とともに、英国特許第1,341,601号からも知られている。PCT/EP00/06544に開示されている化合物は、セガロフと比較して、臨床使用によりよく適する点、特に、充分な経口活性および代謝安定性を有する点で大きな改善を示す。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、完全に異なるタイプのアンドロゲン、すなわち、アンドロゲン活性とプロゲスタゲン活性の混合プロフィールを有するもの(すなわち、一つの分子内に本質的に兼ね備えられ、好ましくは、よくバランスのとれた両方の活性を有する化合物)に焦点を当てている。こうしたプロフィールを有する化合物は、プロゲスタゲンの別投与を必要としないという利点を有するため、HRTならびに雄性避妊に望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
驚くべきことに、こうした混合アンドロゲン−プロゲスタゲンステロイド(A/Pステロイド)が、Δ14ステロイド群の中で見出された。本発明のこれらの化合物は、以下に与える一般構造式Iを満たすことを特徴とする。
【0006】
【化1】
式中、
R1は、O、(H,H)、(H,OR)、NOR(Rは、水素である)、(C1〜6)アルキル、または(C1〜6)アシルであり;
R2は、水素、(C1〜4)アルキル、または(C2〜4)アルケニルであり;
R3は、水素、(C1〜4)アルキル、または(C2〜4)アルケニルであり、水素またはβ−メチルが好ましく;
R4は、(C1〜2)アルキルであり;
R5は、水素、(C1〜4)アルキル、または(C2〜4)アルケニルであり;
R6およびR7は、独自に、水素、(C1〜4)アルキル、または(C2〜4)アルケニルであり;
R8は、水素、または(C1〜15)アシルであり;および
点線は、任意の結合を示し;および
この場合、R5、R6およびR7のうちの少なくとも一つは、水素ではない。
【0007】
R3が、水素またはβ−メチルである化合物において、R4にメチルを選択することは、特に好ましい。一般に、本発明の好ましい化合物は、R1がオキソであり、R3が水素であり、R4がメチルであり、点線が、Δ4二重結合を示す化合物であり、この群の中で、R5またはR6は、メチルであることが好ましく、R6がメチルであることは、さらに好ましい。後の群(R6がメチルである)については、R2にメチル、エチルまたはビニルを選択することが推奨される。R2が、メチル、エチルおよびエテニルから成る群より選択され、R5とR6のいずれかまたは両方が、メチルであり、R7が水素である化合物は、さらにいっそう好ましい。本発明の特に好ましい化合物は、(7α,7β)−17−ヒドロキシ−7,15−ジメチルエストラ−4,14−ジエン−3−オンおよび(7α,16α,17β)−17−ヒドロキシ−7,16−ジメチルエストラ−4,14−ジエン−3−オンである。
【0008】
式Iの定義において用いられている用語(C1〜6)アルキルは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチルおよびヘキシルのような、1個から6個の炭素原子を有する分枝鎖または非分枝鎖アルキル基を意味する。同様に、用語(C1〜4)アルキルは、1個から4個の炭素原子を有する分枝鎖または非分枝鎖アルキル基を意味し、用語(C1〜2)アルキルは、1個から2個の炭素原子を有するアルキル基を意味する。
【0009】
用語(C2〜4)アルケニルは、少なくとも一つの二重結合および2個から4個の炭素原子を有する分枝鎖または非分枝鎖アルケニル基を意味する。ビニルおよびプロペニルなどの2個から3個の炭素原子を有するアルケニル基が好ましい。
【0010】
用語(C2〜4)アルキニルは、少なくとも一つの三重結合および2個から4個の炭素原子を有する分枝鎖または非分枝鎖アルキニル基を意味する。エチニルおよびプロピニルなどの2個から3個の炭素原子を有するアルキニル基が好ましい。
【0011】
用語(C1〜4)アルキリデンは、1個から4個の炭素原子を有する分枝鎖または非分枝鎖アルキリデン基を意味する。好ましいアルキリデン基は、1個から2個の炭素原子を有し、メチレンが、最も好ましい。
【0012】
用語(C2〜4)アルケニリデンは、2個から4個の炭素原子を有する分枝鎖または非分枝鎖アルケニリデン基を意味する。好ましいアルケニリデン基は、エテニリデンなどの2個から3個の炭素原子を有するものである。
【0013】
用語(C3〜6)シクロアルキルまたは(C3〜6)シクロアルカン環は、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタンおよびシクロヘキセンのような3個から6個の炭素原子を有するシクロアルカン環を意味する。
【0014】
用語(C5〜6)シクロアルケニルまたは(C5〜6)シクロアルケン環は、少なくとも一つの二重結合および5個または6個の炭素原子を有するシクロアルケン環を意味する。
【0015】
用語(C1〜6)アシルは、ホルミル、アセチル、プロパノイル、ブチリル、2−メチルプロパノイル、ペンタノイル、ピバロイルおよびヘキサノイルのような、1個から6個の炭素原子を有するカルボン酸から誘導されるアシル基を意味する。同様に、用語(C1〜15)アシルは、1個から15個の炭素原子を有するカルボン酸から誘導されるアシル基を意味する。ヘミ−マロイル、ヘミ−スクシノイル、ヘミ−グルタロイルなどのような、ジカルボン酸から誘導されるアシル基も、(C1〜6)アシルまたは(C1〜15)アシルの定義内に包含される。
【0016】
用語ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素を意味する。ハロゲンが、アルキル基における置換基である時には、ClおよびFが好ましく、Fが最も好ましい。
【0017】
本発明の15−置換および/または16−置換Δ14−ナンドロロン誘導体が、自然配置5α、8β、9α、10β、13βおよび17βを有することは了解される。
【0018】
本発明の15−置換および/または16−置換Δ14−ナンドロロン誘導体は、自然配置5α、8β、9α、10β、13βおよび17βを有し、一つ以上の追加のキラル炭素原子を有することもできる。従って、これらの化合物は、純粋なジアステレオマーとして、またはジアステレオマーの混合物として得ることができる。純粋なジアステレオマーを得るための方法、例えば、結晶化またはクロマトグラフィーは、当技術分野においてよく知られている。
【0019】
15−置換基および/または16−置換基の存在により、前述の既知「セガロフステロイド」およびPCT/EP00/06544に記載されているものとは区別される本発明の化合物は、混合アンドロゲン/黄体ホルモンプロフィールを有する。
【0020】
一般に上記したような本発明の化合物は、アンドロゲン−プロゲスタゲン活性という予期せぬ組合せを有する。アンドロゲン活性は、様々な方法で測定することができる。例えば、アンドロゲンの効力は、ヒト乳房腫瘍細胞(MCF−7細胞系)からの細胞質アンドロゲン受容体を用いて、インビトロで判定することができる。Bergink,E.W.ら、「インビトロおよびインビボ条件下でのナンドロロンとテストステロンの受容体結合特性の比較(Comparison of the receptor binding properties of nandrolone and testosterone under in vitro and in vivo conditions)」、J.Steroid Biochem.22.831−836(1985)を参照のこと。ヒトアンドロゲン受容体でトランスフェクトされた(インキュベーション時間16時間、温度4℃)チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞を用いることもでき、[Bergink,E.W.ら(J.Steroid Biochem.19,1563−1570(1983))によって記載された手順に従って]5α−ジヒドロテストステロンの親和性と比較される。本発明の化合物の相互活性化アンドロゲン活性は、例えば、マウス乳腺癌ウイスル(MMTV)と組合せたヒトアンドロゲン受容体(hAR)、およびルシフェラーゼ受容体遺伝子でトランスフェクトされた(インキュベーション時間16時間、温度37℃)チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)において測定し、[Schoonen,W.G.E.J.ら(Analyt.Biochem.261,222−224(1998))によって記載された手順に従って]5α−ジヒドロテストステロンの活性と比較することができる。アンドロゲンのインビボでの効力の判定には、古典的なハーシュベルガー(Hershberger)試験を用いることができる。この試験では、未成熟去勢ラットにおいて、化合物のアンドロゲン活性(前立腺の重量増加)および同化活性[肛門挙筋(MLA)の増加]が、7日間毎日投与した後に試験される。Hershberger,L.G.ら、「改良肛門挙筋法により判定された19−ノルテストステロンおよび他のステロイドの筋栄養活性(Myotrophic activity of 19−Nortestosterone and other steroids determined by modified levator ani muscle method)」、Proceedings of society for experimental biology and medicine 81,175−180(1953)を参照のこと。さらに、アンドロゲン化合物のLH抑制に対する効果は、Kumar,Nら、「7−α−メチル−19−ノルテストステロンの生物学的活性は、テストステロンのもののように男性生殖管において増幅されない(The biological activity of 7alpha−methyl−19−nortestosterone is not amplified in male reproductive tract as is that of testosteron)」、Endocrinology 130,3677−3683(1992)に従って、成熟去勢ラットにおいて試験することができる。
【0021】
本発明の化合物の相互活性化プロゲスタゲン活性は、例えば、マウス乳腺癌ウイルス(MMTV)と組合せたヒト黄体ホルモン受容体(hPRB)、およびルシフェラーゼ受容体遺伝子でトランスフェクトされた(インキュベーション時間16時間、温度37℃)チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)において測定し、[Schoonen,W.G.E.J.ら(Analyt.Biochem.261,222−224(1998))によって記載された手順に従って](16α)−16−エチル−21−ヒドロキシ−19−ノルプレグン−4−エン−3,20−ジオンの活性と比較することができる。
【0022】
混合アンドロゲン/プロゲスタゲンホルモンとしての本発明のΔ14ステロイドは、とりわけ、雄性避妊および男性HRT(ホルモン置換療法)において用いることができる。従って、例えば、雄性避妊は、プロゲスタゲンが、避妊作用の達成に役立ち、アンドロゲンが、結果として上昇したテストステロンレベルの抑制に役立つホルモンの投与計画を含むように、多くの場合、説明される。本化合物は、プロゲスタゲンまたはアンドロゲンのいずれかとして用いることがき、他の活性を有するさらに別の化合物を追加することができるが、本発明のΔ14ステロイドのA/Pの性質は、一方の単独化合物を基にプロゲスタゲン−アンドロゲン系による雄性避妊を達成する可能性を開く。
【0023】
本発明のA/P化合物は、アンドロゲンを一部欠損した老人男性におけるアンドロゲンの補充に用いることもできる。プロゲスタゲン活性は、内在性テストステロンの生産が抑制される点で本発明の化合物の利点を導く。これは、生じた欠損を、テストステロンより安全である選択された外在性アンドロゲンの投与によって補充する可能性を開く。テストステロンは、5α−レダクターゼによって、より効力のある5α−ジヒドロ−テストステロンに転化される。比較的高濃度の5α−レダクターゼが存在する部位に対するよく知られている有害作用は、前立腺の問題、アクネ、脱毛症である。さらに、5α−レダクターゼに関係なく、外在性テストステロンは、内在性テストステロンより、前立腺に低濃度で存在するため、前立腺に対して本質的に安全である。それ故、本発明のA/P化合物によって、内在性テストステロンの固有有害作用を有意に減弱させることができ、5αが還元可能であるMENTなどのアンドロゲン、または、国際公開公報第WO99/67271号、同第00/53619号、同第00/59920号、および欧州特許第2000−3572に開示されているアンドロゲンを投与することができる。
【0024】
男性における使用に次いで、本発明の化合物は、例えば、閉経後の女性におけるアンドロゲン/プロゲスタゲン置換療法のように、女性において使用することもできる。この場合、本発明のステロイドは、子宮内膜に対して陽性効果(エストロゲン誘発増殖の抑制)を有するプロゲスタゲン成分の利点を有する。
【0025】
本発明は、標準的な参考書、Gennaroら,Remmington’s Pharmaceutical Sciences(第18版,Mack Publishing Company,1990。特に、Part 8:Pharmaceutical Preparations and Their Manufactureを参照のこと)に記載されているものなどの医薬適合性助剤と混合された本発明のステロイド化合物を含む医薬組成物にも関する。本発明のステロイド化合物と医薬適合性助剤の混合物は、ピル、錠剤などの固形投薬単位に圧縮することができ、またはカプセルもしくは坐薬に加工することもできる。医薬適合性の液体によって、本化合物は、溶液、懸濁液、エマルジョンの形態の注射調製物として、またはスプレー、例えば鼻用スプレーとして適用することもできる。投薬単位、例えば錠剤を製造するために、充填剤、着色剤、高分子結合剤などの通常の添加剤の使用が考えられる。一般に、活性化合物の機能に干渉しないあらゆる医薬適合性添加剤を用いることができる。本発明のステロイド化合物は、移植、子宮リング、パッチ、ゲル、および持続放出に適する他のあらゆる調製物も包含することができる。
【0026】
組成物を投与することができる適する担体には、ラクトース、デンプン、セルロース誘導体およびこれらに類するもの、または適量で用いられるそれらの混合物が挙げられる。
【0027】
さらに、本発明は、男性または女性HRT(ホルモン置換療法)などの、アンドロゲン欠損症、プロゲスタゲン欠損症、および特に、アンドロゲン/プロゲスタゲン欠損症の治療における医薬品を製造するための本発明のステロイド化合物の使用に関する。従って、本発明は、上述の欠損症のいずれかにかかった男性または女性患者に上記したような化合物を(適する医薬剤形で)投与することを含む、男性または女性HRTの分野における治療方法も包含する。上で明らかにしたように、男性HRTにおいても本アンドロゲンのプロゲスタゲン成分を有利に用いることができる。
【0028】
さらに、本発明は、避妊活性を有する医薬品(これについて、当技術分野では、用語「避妊薬」も用いられる)を製造するための本発明のステロイド化合物の使用に関する。従って、本発明は、避妊の医学的誘導、すなわち、男性、好ましくはヒトの男性である患者に、上記したような化合物を(適する医薬剤形で)好ましくは単一の作用薬として投与することを含む避妊方法にも関する。
【0029】
本発明のA/P化合物は、雄性避妊用のキットにおいて用いることもできる。このキットは、本発明のΔ14A/Pステロイドを投与するための手段に加えて、アンドロゲンを投与するための手段および/またはプロゲスタゲンを投与するための手段を含むことができるが、本発明のΔ14A/Pステロイドを単一の作用薬として投与するために役立つことが好ましい。言及した一切の化合物を投与するための手段は、関連化合物および医薬適合性担体を含む医薬製剤である。
【0030】
本発明は、アンドロゲンの補充、プロゲスタゲンの補充または(特に)アンドロゲン−プロゲスタゲンの補充が必要な(特にヒトの)男性または女性に、治療有効量の上記したような15−置換、16−置換または15および16置換Δ14ステロイドを投与することを含む治療方法にも関する。これは、アンドロゲン補充の必要性が、別のプロゲスタゲンなどの追加の不妊物質の投与を含む雄性避妊の結果として生じたか否かに関わらない。
【0031】
さらに、本発明は、上記したような15−置換、16−置換、または15および16置換Δ14ステロイドを、前記化合物がそれ自体で避妊に有効であるために充分であると同時にこの避妊法を受ける男性に充分なアンドロゲンレベルが維持されることに役立つ投薬量および投薬計画で、生殖能のある男性、特にヒトに投与することを含む避妊法に関する。あるいは、本発明によって提供される避妊法は、プロゲスタゲンなどの不妊物質と上記したようなΔ14ステロイドとの避妊に有効な組合せを、生殖能のある男性、特にヒトに投与することを含む。第二の別法として、本避妊法は、(プロゲスタゲン)不妊物質としての本発明の化合物の投与を含み、この場合、前記充分なアンドロゲンレベルの維持は、本発明のΔ14ステロイドのアンドロゲン成分の活性によって一部処理され、追加のアンドロゲンによって補充される。
【0032】
本発明の化合物は、一般には有機化学の分野において、特にステロイド化学の分野において知られている様々な方法によって製造することができる(例えば、Fried,J.ら、Organic Reactions in Steroid Chemistry,Volumes I and II,Van Nostrand Reinhold Company,New York,1972を参照のこと)。
【0033】
R1がオキソであり、R2、R4、R5、R6およびR7が、前に与えた意味を有し、R3が、水素または(C1〜4)アルキルであり、R8が、水素であり、点線が、Δ4二重結合を示す式Iの15−置換および/または16−置換化合物を製造するために便利な出発原料は、例えば、下記一般式IIの3−メトキシゴナ−1,3,5(10),15−テトラエン−17−オン誘導体および下記一般式IIIの3−メトキシゴナ−1,3,5(10),14−テトラエン−17−オン誘導体:
【0034】
【化2】
(式中、R2およびR4は、前に与えた意味を有し、R3は、水素または(C1〜4)アルキルである)
であり、これらの合成は、文献でわかり、すなわち、標準的な方法を用いて調製することができる(例えば、国際公開公報第WO00/53619号参照)。
【0035】
本発明の15−置換化合物についての可能な合成経路は、以下のとおりである。R5が、前に与えた意味を有し、MがLi、MgX、ZnX、CeX2、SiR3またはSnR4である式R5Mの(有機金属)化合物を式IIの化合物に対合付加させることによって、15β−置換3−メトキシゴナ−1,3,5(10)−トリエン−17−オン誘導体を生じる。例えば、エノールシリルエーテルに転化させることによってΔ15二重結合を導入し、Pd(II)塩と反応させ[Bull,J.Rら,J.Chem.Soc.,Perkin Tr.I,1269(1996)]、酸触媒で異性化する[Ponsold,K.ら,J.Prakt.Chem.323,819(1981)]ことによって、15−置換3−メトキシゴナ−1,3,5(10),14−テトラエン−17−オン誘導体を生成する。後者を還元して、対応する17β−ヒドロキシ化合物にし、その後、芳香族環をバーチ還元し[Org.Reactions 23,1ページ,Wiley,ニューヨーク(New York),1976におけるCaine,D]、得られた15−置換(17β)−3−メトキシゴナ−2,5(10),14−トリエン−17−オールを加水分解して、本発明の15−置換(17β)−17−ヒドロキシゴナ−4,14−ジエン−3−オン誘導体を生じる。
【0036】
本発明の16置換化合物についての可能な合成経路は、以下のとおりである。式IIIの化合物をアルキル化して、16α−置換および/または16β−置換3−メトキシゴナ−1,3,5(10),14−テトラエン−17−オン誘導体を生じる。場合によっては、これらの化合物を第二アルキル化反応での出発原料として用いて、16,16−ジアルキル化3−メトキシゴナ−1,3,5(10),14−テトラエン−17−オン誘導体を生じることができる。C−17におけるカルボニル基を還元し、バーチ還元して、加水分解することによって、本発明の16−置換または16,16−二置換(17β)−17−ヒドロキシゴナ−4,14−ジエン−3−オン化合物を生じる。
【0037】
C−15およびC−16で置換されている本発明の化合物は、上記したような15−置換3−メトキシゴナ−1,3,5(10),14−テトラエン−17−オン誘導体のC−16でのアルキル化によって得られる。
【0038】
R1が、(H,H)、(H,OR)、NOR(Rは、水素である)、(C1〜6)アルキル、(C1〜6)アシルである本発明の化合物は、R1がオキソである式Iの化合物から、当技術分野において知られている方法を用いることにより得られる。
【0039】
置換基R3が、水素または(C1〜4)アルキル以外である化合物は、例えば、(11β)−11−(ヒドロキシメチル)−3−メトキシエストラ−1,3,5(10)−トリエン−17−オン−サイクリック1,2−エタンジイルアセタール[van den Broek,A.J.ら,Steroids 30,481(1977)]、3−メトキシエストラ−1,3,5(10)−トリエン−11,17−ジオン−サイクリック17−(1,2−エタンジイルアセタール)[van den Broek,A.J.ら,Recl.Trav.Chim.Pays−Bas 94,35(1975)]、または(7α)−7−メチルエストル−4−エン−3,11,17−トリオン−サイクリック3−(1,2−エタンジイルジチオアセタール)(国際公開公報第WO94/18224号)から得ることができる。
【0040】
R4が、例えばエチルである化合物は、例えば、13−エチルゴン−4−エン−3,17−ジオン[Brito,M.ら,Synth.Comm.26,623(1996)]または(7α,17β)−13−エチル−3−メトキシ−7−メチルゴナ−1,3,5(10)−トリエン−17−オール[FRAD 87961(1996)]から製造することができる。
【0041】
R8が、(C1〜15)アシルである本発明の化合物は、R8が、水素である式Iの化合物から得られる。
【0042】
点線が、Δ5(10)二重結合を示す本発明の化合物は、バーチ還元後に得られたΔ2,5(10)ジエンから生成される。あるいは、異性化によってΔ4誘導体から製造することができる。
【0043】
本発明の5α−還元化合物は、Δ4誘導体から生成される。
【0044】
Δ11二重結合を有する化合物は、例えば、エストラ−4,11−ジエン−3,17−ジオンから製造することができる[Broess,A.I.A.ら,Steroids 57,514(1992)]。
【0045】
ここからは、以下の実施例を参照しながら本発明をさらに説明することとする。
【実施例1】
【0046】
(7α,17β)−17−ヒドロキシ−7,15−ジメチルエストラ−4,14−ジエン−3−オン
i)− 酢酸銅(II)(3.38g)を含有する、乾燥テトラヒドロフラン(493.2mL)中の(7α)−3−メトキシ−7−メチルエストラ−1,3,5(10),15−テトラエン−17−オン[Rasmusson,G.H.ら,Steroids 22,107(1973);10.0g]の溶液を−20℃に冷却した。塩化メチルマグネシウム(テトラヒドロフラン中3Mの溶液、83.1mL)を一滴ずつ添加し、その反応混合物を1時間攪拌した。その後、それを塩化アンモニウム飽和水溶液に注入し、生成物を酢酸エチルに抽出した。併用有機相を塩化アンモニウム飽和水溶液およびブラインで洗浄して、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮して、(7α,15β)−3−メトキシ−7,15−ジメチルエストラ−1,3,5(10)−トリエン−17−オン(10.77g)を得た。その生成物をさらに精製せずに次の段階で用いた。
【0047】
ii)− 乾燥テトラヒドロフラン(37mL)中のジイソプロピルアミン(6.27mL)の溶液を−30℃に冷却した。n−BuLi(ヘキサン中1.6Mの溶液、25.3mL)を一滴ずつ添加し、攪拌を10分間、−10℃で継続した。その反応混合物を−75℃に冷却し、乾燥テトラヒドロフラン(58mL)中の前段階で得られた生成物(3.85g)の溶液を一滴ずつ添加した。攪拌を1時間継続した。クロロトリメチルシラン(4.7mL)を添加し、温度を室温に上昇させた。その混合物を20分間攪拌し、0℃に再び冷却して、塩化アンモニウム飽和水溶液(123mL)で反応を停止させた。生成物を酢酸エチルに抽出し、併用有機相をブラインで洗浄して、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮して、(7α,15β)−3−メトキシ−7,15−ジメチル−17−[(トリメチルシリル)オキシ]エストラ−1,3,5(10)、16−テトラエン(5.45g)を得た。その生成物をさらに精製せずに次の段階で用いた。
【0048】
iii)− 酢酸パラジウム(II)(3.0g)を含有する、アセトニトリル(128mL)中の前段階で得られた生成物(5.11g)の溶液を還流下で15分間加熱した。その反応混合物を冷却して、濾過し、減圧下で濃縮して、(7α)−3−メトキシ−7,15−ジメチルエストラ−1,3,5(10),15−テトラエン−17−オン(5.56g)を得た。その生成物をさらに精製せずに次の段階で用いた。
【0049】
iv)− p−トルエンスルホン酸ピリジニウム(2.1g)を含有する、乾燥トルエン(143mL)中の前段階で得られた生成物(3.74g)の溶液を還流下で15分間加熱した。冷却後、その反応混合物を炭酸水素ナトリウム飽和水溶液に注入し、生成物を酢酸エチルに抽出した。併用有機相をブラインで洗浄して、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。カラムクロマトグラフィーによって、(7α)−3−メトキシ−7,15−ジメチルエストラ−1,3,5(10),14−テトラエン−17−オン(1.80g)を生じた。その生成物をさらに精製せずに次の段階で用いた。
【0050】
v)− 乾燥テトラヒドロフラン(17mL)中の前段階で得られた生成物(0.60g)の溶液を、0℃に冷却したテトラヒドロフラン(17mL)中の水素化アルミニウムリチウム(0.291g)の懸濁液に一滴ずつ添加した。その混合物を1時間攪拌した後、硫酸ナトリウム飽和水溶液の添加によって反応を停止させた。ジカライトを用いてその反応混合物を濾過し、濾液を減圧下で濃縮して、(7α,17β)−3−メトキシ−7,15−ジメチルエストラ−1,3,5(10),14−テトラエン−17−オール(0.61g)を得た。その生成物をさらに精製せずに次の段階で用いた。
【0051】
vi)− 乾燥テトラヒドロフラン(22mL)中の前段階で得られたアルコール(0.61g)を、アンモニア水(155mL)中のリチウム(1.4g)の還流溶液に添加した。2時間攪拌した後、t−ブタノール(12mL)を添加し、攪拌を30分間継続した。エタノールを添加し、アンモニアを蒸発させた。水を添加し、生成物を酢酸エチルで抽出した。併用有機相を水およびブラインで洗浄して、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮して、(7α,17β)−3−メトキシ−7,15−ジメチルエストラ−2,5(10),14−トリエン−17−オール(0.73g)を得た。その生成物をさらに精製せずに次の段階で用いた。
【0052】
vii)− アセトン(41mL)中の前段階で得られた生成物(0.73g)の溶液を塩酸(12M、2.07mL)で処理した。室温で1時間攪拌した後、その反応混合物を水に注入し、生成物を酢酸エチルに抽出した。併用有機相を炭酸水素ナトリウム飽和水溶液およびブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させて、減圧下で濃縮した。カラムクロマトグラフィーによって、(7α,17β)−17−ヒドロキシ−7,15−ジメチルエストラ−4,14−ジエン−3−オン(0.32g)を生じた。融点164〜167℃。1H NMR(CDCl3)δ5.85(bs,1H)、3.86(m,1H)、1.73(bs,3H)、0.97(s,3H)、0.87(d,3H,J=7.1Hz)。
【実施例2】
【0053】
(7α,17β)−15−エチル−17−ヒドロキシ−7−メチルエストラ−4,14−ジエン−3−オン
表題化合物は、実施例1に記載したものに類似した手順に従って、(7α)−3−メトキシ−7−メチルエストラ−1,3,5(10),15−テトラエン−17−オン[Rasmusson,G.H.ら,Steroids 22,107(1973)]から調製した。1H NMR(CDCl3)δ5.85(bs,1H)、3.85(m,1H)、2.67(m,1H)、0.98(t,3H,J=7.5Hz)、0.97(s,3H)、0.85(d,3H,J=7.5Hz)。
【実施例3】
【0054】
(7α,17β)−7−エチル−17−ヒドロキシ−15−メチルエストラ−4,14−ジエン−3−オン
i)− クロロメチルシラン(422.4mL)を、0℃に冷却したジクロロメタン(1600mL)とピリジン(555.2mL)の混合物中の(17α)−17−ヒドロキシ−19−ノルプレグナ−4,6−ジエン−20−イン−3−オン[Syntex S.A.,ドイツ特許第935116号(1958);400g]の懸濁液に15分間で添加した。0℃で2時間攪拌した後、その反応混合物を塩化アンモニウム飽和水溶液に注入した。生成物をジクロロメタンに抽出し、併用有機相を水およびブラインで洗浄して、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮して、(17α)−17−[(トリメチルシリル)オキシ]−19−ノルプレグナ−4,6−ジエン−20−イン−3−オン(492g)を生じた。その生成物をさらに精製せずに次の段階で用いた。
【0055】
ii)− リチウム(18.9g)と乾燥ジエチルエーテル(1175mL)の混合物を−30℃に冷却した。乾燥ジエチルエーテル(200mL)中のブロモエタン(101.7mL)の溶液を1時間で添加し(T<−20℃)、その反応混合物を−25℃で1時間攪拌した。第二のフラスコ内で、乾燥テトラヒドロフラン(1763mL)中のヨウ化銅(I)(115.5g)の懸濁液を−40℃に冷却した。乾燥臭化リチウム(160.7g)を添加し、その混合物を5分間攪拌した。エチルリチウムの溶液を1時間で、一滴ずつ添加し(−40<T<−30℃)、得られたキュープレイト溶液を30分間、−30℃で攪拌した。乾燥テトラヒドロフラン(1763mL)中の前段階で得られた生成物(114.8g)の溶液を一滴ずつ添加した(−30<T<25℃)。その温度で1時間攪拌した後、クロロトリメチルシラン(113mL)を添加し(T<−10℃)、攪拌をもう30分継続した。その反応混合物を塩化アンモニウム飽和水溶液に注入し、生成物を酢酸エチルに抽出した。併用有機相を塩化アンモニウム飽和水溶液およびブラインで洗浄して、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮して、(7α,17α)−7−エチル−3,17−ビス[(トリメチルシリル)オキシ]−19−ノルプレグナ−3,5−ジエン−20−イン(158.6g)を得た。その生成物をさらに精製せずに次の段階で用いた。
【0056】
iii)− アセトン(2414mL)中の前段階で得られた生成物(158.6g)の溶液を塩酸(7M、120mL)で処理した。室温で2時間攪拌した後、その反応混合物を炭酸水素ナトリウムの飽和水溶液(965mL)で中和した。アセトンを減圧下で除去し、水を添加して、生成物を酢酸エチルに抽出した。併用有機相を塩化アンモニウム飽和水溶液およびブラインで洗浄して、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮して、(7α,17α)−7−エチル−17−ヒドロキシ−19−ノルプレグン−4−エン−20−イン−3−オン(107.6g)を得た。その生成物をさらに精製せずに次の段階で用いた。
【0057】
iv)− 塩酸(6M、240mL)をメタノール(1200mL)中のジカライト(240g)の懸濁液に一滴ずつ添加した。室温で20分攪拌した後、濾過によってジカライトを回収し、中性になるまで水で洗浄した。その後、それを水(960mL)に懸濁させた。激しく攪拌しながら、硝酸銅(II)・三水和物(145g)を添加し、続いて水(360mL)中の炭酸ナトリウム(72.2g)の溶液を注意深く添加した。30分攪拌した後、濾過によって生成物を回収し、中性になるまで水で洗浄した。その生成物を減圧下、80℃で乾燥させて、炭酸銅(II)/ジカライト(310g)を得た。トルエン(4470mL)中のiiiのもとで得られた生成物(251.7g)と炭酸銅(II)/ジカライト(827g)の混合物を、ディーン−シュタルクトラップを使用して水を除去しながら還流温度で14時間加熱した。その反応混合物を濾過して、残留物を酢酸エチル(4.5L)で充分に洗浄し、濾液を減圧下で濃縮して、(7α)−7−エチルエストル−4−エン−3,17−ジオン(254.4g)を得た。その生成物をさらに精製せずに次の段階で用いた。
【0058】
v)− 前段階で得られた生成物(254.4g)、オルトギ酸トリメチル(276.1mL)、臭化銅(II)(241.2g)およびメタノール(5406mL)の混合物を還流下で7時間加熱した。冷却後、その反応混合物を濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、残留物を酢酸エチルに溶解した。得られた溶液を塩化アンモニウム飽和水溶液、炭酸水素ナトリウム飽和水溶液およびブラインで洗浄して、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮して、(7α)−7−エチル−3−メトキシエストラ−1,3,5(10)−トリエン−17−オン(208g)を得た。その生成物をさらに精製せずに次の段階で用いた。
【0059】
iv)− p−トルエンスルホン酸(9.4g)を、エチレングリコール(317mL)とオルトギ酸トリエチル(553mL)の混合物中の前段階で得られた生成物(208g)の溶液に添加した。その反応混合物を室温で一晩攪拌した。その後、それを氷水(7885mL)に注入し、攪拌を2時間継続した。ピリジン(80mL)を添加し、その混合物を一晩攪拌した。生じた沈殿を濾過によって回収し、ジクロロメタンに溶解した。得られた溶液をブラインで洗浄して、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮して、(7α)−7−エチル−3−メトキシエストラ−1,3,5(10)−トリエン−17−オン−サイクリック1,2−エタンジイルアセタール(224.2g)を得た。その生成物をさらに精製せずに次の段階で用いた。
【0060】
vii)− 乾燥ジメトキシエタン(3229mL)中のエチレングリコール(380mL)中の前段階で得られた生成物(224.2g)の溶液を三臭化ピリジニウム(241.0g)で処理した。4時間攪拌した後、水(2510mL)中のチオ硫酸ナトリウム(423.3g)の溶液を添加し、生成物を酢酸エチルに抽出した。併用有機相をブラインで洗浄して、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮して、(7α,16α)−16−ブロモ−7−エチル−3−メトキシエストラ−1,3,5(10)−トリエン−17−オン−サイクリック1,2−エタンジイルアセタール(303.7g)を得た。その生成物をさらに精製せずに次の段階で用いた。
【0061】
viii)− 乾燥ジメチルスルホキシド(2773mL)中の前段階で得られた生成物(303.7g)の溶液を同溶媒(938mL)中のカリウムt−ブトキシド(343.5g)の溶液に添加し、その反応混合物を室温で2.5時間攪拌した。水(1.5L)を添加し、生成物を酢酸エチルに抽出した。併用有機相をブラインで洗浄して、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮して、(7α)−7−エチル−3−メトキシエストラ−1,3,5(10),15−テトラエン−17−オン−サイクリック1,2−エタンジイルアセタール(195.5g)を得た。その生成物をさらに精製せずに次の段階で用いた。
【0062】
ix)− アセトン(412mL)と水(35mL)の混合物中の前段階で得られた生成物(25.0g)の溶液をp−トルエンスルホン酸(1.18g)で処理し、その反応混合物を室温で1.5時間攪拌した。炭酸水素ナトリウム飽和水溶液を添加し、生成物を酢酸エチルに抽出した。併用有機相をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させて、減圧下で濃縮した。カラムクロマトグラフィーによって、(7α)−7−エチル−3−メトキシエストラ−1,3,5(10),15−テトラエン−17−オン(13.0g)を生じた。
【0063】
x)− 実施例1のiからviのもとで記載したものに類似した手順に従って、前段階で得られた生成物を(7α,17β)−7−エチル−3−メトキシ−15−メチルエストラ−2,5(10),14−トリエン−17−オールに転化させた。
【0064】
xi)− 実施例1のviiのもとで記載したものに類似した手順に従って、前段階で得られた生成物(0.55g)を(7α,17β)−7−エチル−17−ヒドロキシ−15−メチルエストラ−4,14−ジエン−3−オン(0.35g)に転化させた。1H NMR(CDCl3)δ5.85(bs,1H)、3.86(m,1H)、1.69(bs,3H)、0.97(s,3H)、0.90(t,3H,J=7.9Hz)。
【実施例4】
【0065】
(7α,17β)−7,15−ジエチル−17−ヒドロキシエストラ−4,14−ジエン−3−オン
表題化合物は、実施例1に記載したものに類似した手順に従って、(7α)−7−エチル−3−メトキシエストラ−1,3,5(10),15−テトラエン−17−オン(実施例3、段階ix)から調製した。1H NMR(CDCl3)δ5.84(bs,1H)、3.84(m,1H)、0.97(t,3H,J=7.5Hz)、0.96(s,3H)、0.88(t,3H,J=7.9Hz)。
【実施例5】
【0066】
(7α,17β)−13−エチル−17−ヒドロキシ−7,15−ジメチルゴナ−4,14−ジエン−3−オン
i)− 過ルテニウム酸テトラプロピルアンモニウム(1.3g)を、アセトン(513mL)中の(7α,17β)−13−エチル−3−メトキシ−7−メチルゴナ−1,3,5(10)−トリエン−17−オール[FRAD 87961(1966);19.5g]および4−メチルモルホリンN−オキシド(21.5g)の溶液に添加した。室温で30分攪拌した後、ジカライトおよびシリカを用いて反応混合物を濾過した。濾液を減圧下で濃縮した。その粗生成物をカラムクロマトグラフィーに付すことによって、(7α)−13−エチル−3−メトキシ−7−メチルゴナ−1,3,5(10)−トリエン−17−オン(11.0g)を得た。
【0067】
ii)− 実施例1のiiのもとで記載したものに類似した手順に従って、前段階で得られた生成物(2.9g)を(7α)−13−エチル−3−メトキシ−7−メチル−17−[(トリメチルシリル)オキシ]ゴナ−1,3,5(10),16−テトラエン(3.7g)に転化させた。
【0068】
iii)− 実施例1のiiiのもとで記載したものに類似した手順に従って、前段階で得られた生成物(3.7g)を(7α)−13−エチル−3−メトキシ−7−メチルゴナ−1,3,5(10),15−テトラエン−17−オン(2.5g)に転化させた。
【0069】
iv)− 実施例1のiからviiのもとで記載したものに類似した手順に従って、前段階で得られた生成物を(7α,17β)−13−エチル−17−ヒドロキシ−7,15−ジメチルゴナ−4,14−ジエン−3−オンに転化させた。1H NMR(CDCl3)δ5.85(bs,1H)、3.96(m,1H)、2.75(m,1H)、1.77(bs,3H)、0.89(t,3H,J=7.6Hz)。
【実施例6】
【0070】
(16α,17β)−17−ヒドロキシ−16−メチルエストラ−4,14−ジエン−3−オン(a)および(16β,17β)−17−ヒドロキシ−16−メチルエストラ−4,14−ジエン−3−オン(b)
i)− リチウムビス(トリメチルシリル)アミド(テトラヒドロフラン中1Mの溶液、7.80mL)を、−70℃に冷却した乾燥テトラヒドロフラン(9.2mL)とヨードメタン(4.4mL)の混合物中の3−メトキシエストラ−1,3,5(10),14−テトラエン−17−オン[Jonson,W.S.ら,J.Am.Chem.Soc.79,2005(1957);2.0g]の溶液に一滴ずつ添加した。その反応混合物を2時間攪拌し、その後、別のリチウムビス(トリメチルシリル)アミド(テトラヒドロフラン中1Mの溶液、1.0mL)で処理した。30分攪拌した後、その混合物を塩化アンモニウム飽和水溶液に注入し、生成物を酢酸エチルに抽出した。併用有機相をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させて、減圧下で濃縮した。カラムクロマトグラフィーによって、(16α)−3−メトキシ−16−メチルエストラ−1,3,5(10),14−テトラエン−17−オンと(16β)−3−メトキシ−16−メチルエストラ−1,3,5(10),14−テトラエン−17−オンの混合物(0.985g;比率1:1)を生じ、これをさらに精製せずに次の段階で用いた。
【0071】
ii)− 実施例1のvのもとで記載したものに類似した手順に従って、前段階で得られた混合物(0.84g)を水素化アルミニウムリチウムで処理して、クロマトグラフィーに付した後、(16α,17β)−3−メトキシ−16−メチルエストラ−1,3,5(10),14−テトラエン−17−オール(0.082g)および(16β,17β)−3−メトキシ−16−メチルエストラ−1,3,5(10),14−テトラエン−17−オール(0.13g)を得た。
【0072】
iiia)− 実施例1のviのもとで記載したもに類似した手順に従って、(16α,17β)−3−メトキシ−16−メチルエストラ−1,3,5(10),14−テトラエン−17−オール(0.067g)を(16α,17β)−3−メトキシ−16−メチルエストラ−2,5(10),14−トリエン−17−オール(0.076g)に転化させた。
【0073】
iiib)− 実施例1のviのもとで記載したものに類似した手順に従って、(16β,17β)−3−メトキシ−16−メチルエストラ−1,3,5(10),14−テトラエン−17−オール(0.093g)を(16β,17β)−3−メトキシ−16−メチルエストラ−2,5(10),14−トリエン−17−オール(0.110g)に転化させた。
【0074】
iva)− 実施例1のviiのもとで記載したものに類似した手順に従って、iiiaのもとで得られた生成物(0.076g)を(16α,17β)−17−ヒドロキシ−16−メチルエストラ−4,14−ジエン−3−オン(0.041g)に転化させた。1H NMR(CDCl3)δ5.85(t,1H,J=1.6Hz)、5.01(t,1H,J=1.6Hz)、3.41(d,1H,J=7.5Hz)、1.13(d,3H,J=7.1Hz)、1.04(s,3H)。
【0075】
ivb)− 実施例1のviiのもとで記載したものに類似した手順に従って、iiibのもとで得られた生成物(0.11g)を(16β,17β)−17−ヒドロキシ−16−メチルエストラ−4,14−ジエン−3−オン(0.039g)に転化させた。1H NMR(CDCl3)δ5.86(bs,1H)、5.23(t,1H,J=2.8Hz)、4.02(t,1H,J=7.9Hz)、1.10(s,3H)、1.00(d,3H,J=7.1Hz)。
【実施例7】
【0076】
実施例2に記載した手順に類似した方法で、以下の生成物を調製した:
a)− (7α,16α,17β)−17−ヒドロキシ−7,16−ジメチルエストラ−4,14−ジエン−3−オンを(7α)−3−メトキシ−7−メチルエストラ−1,3,5(10),14−テトラエン−17−オン[Segaloff,A.ら,Steroids 22,99(1973)]から調製した。1H NMR(CDCl3)δ5.86(s,1H)、5.00(s,1H)、3.38(t,1H,J=7.9Hz)、1.15(d,3H,J=7.1Hz)、1.03(s,3H)、0.84(d,3H,J=7.1Hz)。
【0077】
b)− (7α,16α,17β)−17−ヒドロキシ−7−エチル−16−エチルエストラ−4,14−ジエン−3−オンを(7α)−3−メトキシ−7−エチルエストラ−1,3,5(10),14−テトラエン−17−オン(国際公開公報第WO01/05806号)から調製した。1H NMR(CDCl3)δ5.87(bs,1H)、4.93(t,1H,J=2.0Hz)、3.38(dd,1H,J=8.3および7.1Hz)、1.15(d,3H,J=7.1Hz)、1.03(s,3H)、0.90(m,3H)。
【0078】
c)− (7α,16α,17β)−17−ヒドロキシ−16−メチル−7−ビニルエストラ−4,14−ジエン−3−オンを(7α)−3−メトキシ−7−ビニルエストラ−1,3,5(10),14−テトラエン−17−オン(国際公開公報第WO01/05806号)から調製した。1H NMR(CDCl3)δ5.85(s,1H)、5.78(m,1H)、5.14−5.05(m,3H)、3.38(d,1H,J=8.3Hz)、2.93(bs,1H)、1.13(d,3H,J=7.1Hz)、1.03(s,3H)。
【実施例8】
【0079】
(7α,17β)−7−エチル−17−ヒドロキシ−15−メチルエストラ−5(10),14−ジエン−3−オン(a)、
(3α,7α,17β)−7−エチル−15−メチルエストラ−5(10),14−ジエン−3,17−ジオール(b)、および
(3β,7α,17β)−7−エチル−15−メチルエストラ−5(10),14−ジエン−3,17−ジオール(c)
i)− メタノール(0.92mL)とテトラヒドロフラン(0.65mL)の混合物中の(7α,17β)−7−エチル−3−メトキシ−15−メチルエストラ−2,5(10),14−トリエン−17−オール(実施例3、段階x;0.10g)の溶液を、水(0.54mL)中のシュウ酸(0.32g)の溶液で処理した。室温で1時間攪拌した後、その反応混合物を水に注入し、生成物を酢酸エチルに抽出した。併用有機相を炭酸水素ナトリウム飽和水溶液、水およびブラインで洗浄して、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮して、(7α,17β)−7−エチル−17−ヒドロキシ−15−メチルエストラ−5(10),14−ジエン−3−オン(0.090g)を得た。1H NMR(CDCl3)δ3.89(m,1H)、2.76(bs,2H)、1.71(bs,3H)、0.95(t,3H,J=7.5Hz)、0.94(s,3H)。
【0080】
ii)− 水素化ホウ素ナトリウム(0.009g)を、テトラヒドロフラン(1.45mL)とメタノール(1.45mL)の混合物中の前段階で得られた生成物の溶液に添加した。その反応混合物を3.5時間攪拌し、その後、アセトンで反応を停止させた。その混合物を水に注入し、生成物を酢酸エチルに抽出した。併用有機相を水およびブラインで洗浄して、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。カラムクロマトグラフィーによって、(3α,7α,17β)−7−エチル−15−メチルエストラ−5(10),14−ジエン−3,17−ジオール(0.035g)、1H NMR(CDCl3)δ3.88(dd,1H,J=9.1および8.3Hz)、3.82(m,1H)、1.70(s,3H)、1.25(s,3H)、0.92(t,3H,J=7.1Hz);および(3β,7α,17β)−7−エチル−15−メチルエストラ−5(10),14−ジエン−3,17−ジオール(0.016g)、1H NMR(CDCl3)δ4.11(m,1H)、3.88(dd,1H,J=8.3および7.9Hz)、1.70(s,3H)、1.25(s,3H)、0.92(t,3H,J=7.9Hz)を生じた。
【実施例9】
【0081】
生物学的成果
本発明の化合物をアンドロゲン活性および黄体ホルモン活性について試験し(これについての手順は、上記した)、以下の大要に従って評価した:
(−) 非常に弱い活性が見出された;
(+) 活性が見出された;
(++)高活性;
(+++)卓越した活性。
【0082】
【表1】
【0001】
本発明は、アンドロゲン活性およびプロゲスタゲン活性の混合プロフィールを有する合成ホルモンの分野に存する。
【背景技術】
【0002】
男性および女性におけるホルモン置換療法(HRT)に対する今日の要求ならびに雄性避妊の今後の問題点に起因して、アンドロゲンについての新たな関心が存在する。それに関する焦点は、経口活性、高い効能またはそれらの両方の改善に集中している。例えば、国際公開公報第WO99/67271号、同第00/53619号、同第00/59920号、および欧州特許第2000−3572(未公開特許出願PCT/EP00/06544)を参照のこと。
【0003】
既知の効力のあるアンドロゲンは、いわゆる「セガロフステロイド」であり、これは、7α−メチル基を有する19−ノルテストステロン誘導体であり、炭素原子14と15の間に二重結合(Δ14)を有する。このステロイドは、既知の最も効力がある経口アンドロゲンとして長い間認識されたきた。とりわけ、Averyら,Steroids,55,59(1990)を参照のこと。この化合物は、その7α−H類似体とともに、英国特許第1,341,601号からも知られている。PCT/EP00/06544に開示されている化合物は、セガロフと比較して、臨床使用によりよく適する点、特に、充分な経口活性および代謝安定性を有する点で大きな改善を示す。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、完全に異なるタイプのアンドロゲン、すなわち、アンドロゲン活性とプロゲスタゲン活性の混合プロフィールを有するもの(すなわち、一つの分子内に本質的に兼ね備えられ、好ましくは、よくバランスのとれた両方の活性を有する化合物)に焦点を当てている。こうしたプロフィールを有する化合物は、プロゲスタゲンの別投与を必要としないという利点を有するため、HRTならびに雄性避妊に望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
驚くべきことに、こうした混合アンドロゲン−プロゲスタゲンステロイド(A/Pステロイド)が、Δ14ステロイド群の中で見出された。本発明のこれらの化合物は、以下に与える一般構造式Iを満たすことを特徴とする。
【0006】
【化1】
式中、
R1は、O、(H,H)、(H,OR)、NOR(Rは、水素である)、(C1〜6)アルキル、または(C1〜6)アシルであり;
R2は、水素、(C1〜4)アルキル、または(C2〜4)アルケニルであり;
R3は、水素、(C1〜4)アルキル、または(C2〜4)アルケニルであり、水素またはβ−メチルが好ましく;
R4は、(C1〜2)アルキルであり;
R5は、水素、(C1〜4)アルキル、または(C2〜4)アルケニルであり;
R6およびR7は、独自に、水素、(C1〜4)アルキル、または(C2〜4)アルケニルであり;
R8は、水素、または(C1〜15)アシルであり;および
点線は、任意の結合を示し;および
この場合、R5、R6およびR7のうちの少なくとも一つは、水素ではない。
【0007】
R3が、水素またはβ−メチルである化合物において、R4にメチルを選択することは、特に好ましい。一般に、本発明の好ましい化合物は、R1がオキソであり、R3が水素であり、R4がメチルであり、点線が、Δ4二重結合を示す化合物であり、この群の中で、R5またはR6は、メチルであることが好ましく、R6がメチルであることは、さらに好ましい。後の群(R6がメチルである)については、R2にメチル、エチルまたはビニルを選択することが推奨される。R2が、メチル、エチルおよびエテニルから成る群より選択され、R5とR6のいずれかまたは両方が、メチルであり、R7が水素である化合物は、さらにいっそう好ましい。本発明の特に好ましい化合物は、(7α,7β)−17−ヒドロキシ−7,15−ジメチルエストラ−4,14−ジエン−3−オンおよび(7α,16α,17β)−17−ヒドロキシ−7,16−ジメチルエストラ−4,14−ジエン−3−オンである。
【0008】
式Iの定義において用いられている用語(C1〜6)アルキルは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチルおよびヘキシルのような、1個から6個の炭素原子を有する分枝鎖または非分枝鎖アルキル基を意味する。同様に、用語(C1〜4)アルキルは、1個から4個の炭素原子を有する分枝鎖または非分枝鎖アルキル基を意味し、用語(C1〜2)アルキルは、1個から2個の炭素原子を有するアルキル基を意味する。
【0009】
用語(C2〜4)アルケニルは、少なくとも一つの二重結合および2個から4個の炭素原子を有する分枝鎖または非分枝鎖アルケニル基を意味する。ビニルおよびプロペニルなどの2個から3個の炭素原子を有するアルケニル基が好ましい。
【0010】
用語(C2〜4)アルキニルは、少なくとも一つの三重結合および2個から4個の炭素原子を有する分枝鎖または非分枝鎖アルキニル基を意味する。エチニルおよびプロピニルなどの2個から3個の炭素原子を有するアルキニル基が好ましい。
【0011】
用語(C1〜4)アルキリデンは、1個から4個の炭素原子を有する分枝鎖または非分枝鎖アルキリデン基を意味する。好ましいアルキリデン基は、1個から2個の炭素原子を有し、メチレンが、最も好ましい。
【0012】
用語(C2〜4)アルケニリデンは、2個から4個の炭素原子を有する分枝鎖または非分枝鎖アルケニリデン基を意味する。好ましいアルケニリデン基は、エテニリデンなどの2個から3個の炭素原子を有するものである。
【0013】
用語(C3〜6)シクロアルキルまたは(C3〜6)シクロアルカン環は、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタンおよびシクロヘキセンのような3個から6個の炭素原子を有するシクロアルカン環を意味する。
【0014】
用語(C5〜6)シクロアルケニルまたは(C5〜6)シクロアルケン環は、少なくとも一つの二重結合および5個または6個の炭素原子を有するシクロアルケン環を意味する。
【0015】
用語(C1〜6)アシルは、ホルミル、アセチル、プロパノイル、ブチリル、2−メチルプロパノイル、ペンタノイル、ピバロイルおよびヘキサノイルのような、1個から6個の炭素原子を有するカルボン酸から誘導されるアシル基を意味する。同様に、用語(C1〜15)アシルは、1個から15個の炭素原子を有するカルボン酸から誘導されるアシル基を意味する。ヘミ−マロイル、ヘミ−スクシノイル、ヘミ−グルタロイルなどのような、ジカルボン酸から誘導されるアシル基も、(C1〜6)アシルまたは(C1〜15)アシルの定義内に包含される。
【0016】
用語ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素を意味する。ハロゲンが、アルキル基における置換基である時には、ClおよびFが好ましく、Fが最も好ましい。
【0017】
本発明の15−置換および/または16−置換Δ14−ナンドロロン誘導体が、自然配置5α、8β、9α、10β、13βおよび17βを有することは了解される。
【0018】
本発明の15−置換および/または16−置換Δ14−ナンドロロン誘導体は、自然配置5α、8β、9α、10β、13βおよび17βを有し、一つ以上の追加のキラル炭素原子を有することもできる。従って、これらの化合物は、純粋なジアステレオマーとして、またはジアステレオマーの混合物として得ることができる。純粋なジアステレオマーを得るための方法、例えば、結晶化またはクロマトグラフィーは、当技術分野においてよく知られている。
【0019】
15−置換基および/または16−置換基の存在により、前述の既知「セガロフステロイド」およびPCT/EP00/06544に記載されているものとは区別される本発明の化合物は、混合アンドロゲン/黄体ホルモンプロフィールを有する。
【0020】
一般に上記したような本発明の化合物は、アンドロゲン−プロゲスタゲン活性という予期せぬ組合せを有する。アンドロゲン活性は、様々な方法で測定することができる。例えば、アンドロゲンの効力は、ヒト乳房腫瘍細胞(MCF−7細胞系)からの細胞質アンドロゲン受容体を用いて、インビトロで判定することができる。Bergink,E.W.ら、「インビトロおよびインビボ条件下でのナンドロロンとテストステロンの受容体結合特性の比較(Comparison of the receptor binding properties of nandrolone and testosterone under in vitro and in vivo conditions)」、J.Steroid Biochem.22.831−836(1985)を参照のこと。ヒトアンドロゲン受容体でトランスフェクトされた(インキュベーション時間16時間、温度4℃)チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞を用いることもでき、[Bergink,E.W.ら(J.Steroid Biochem.19,1563−1570(1983))によって記載された手順に従って]5α−ジヒドロテストステロンの親和性と比較される。本発明の化合物の相互活性化アンドロゲン活性は、例えば、マウス乳腺癌ウイスル(MMTV)と組合せたヒトアンドロゲン受容体(hAR)、およびルシフェラーゼ受容体遺伝子でトランスフェクトされた(インキュベーション時間16時間、温度37℃)チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)において測定し、[Schoonen,W.G.E.J.ら(Analyt.Biochem.261,222−224(1998))によって記載された手順に従って]5α−ジヒドロテストステロンの活性と比較することができる。アンドロゲンのインビボでの効力の判定には、古典的なハーシュベルガー(Hershberger)試験を用いることができる。この試験では、未成熟去勢ラットにおいて、化合物のアンドロゲン活性(前立腺の重量増加)および同化活性[肛門挙筋(MLA)の増加]が、7日間毎日投与した後に試験される。Hershberger,L.G.ら、「改良肛門挙筋法により判定された19−ノルテストステロンおよび他のステロイドの筋栄養活性(Myotrophic activity of 19−Nortestosterone and other steroids determined by modified levator ani muscle method)」、Proceedings of society for experimental biology and medicine 81,175−180(1953)を参照のこと。さらに、アンドロゲン化合物のLH抑制に対する効果は、Kumar,Nら、「7−α−メチル−19−ノルテストステロンの生物学的活性は、テストステロンのもののように男性生殖管において増幅されない(The biological activity of 7alpha−methyl−19−nortestosterone is not amplified in male reproductive tract as is that of testosteron)」、Endocrinology 130,3677−3683(1992)に従って、成熟去勢ラットにおいて試験することができる。
【0021】
本発明の化合物の相互活性化プロゲスタゲン活性は、例えば、マウス乳腺癌ウイルス(MMTV)と組合せたヒト黄体ホルモン受容体(hPRB)、およびルシフェラーゼ受容体遺伝子でトランスフェクトされた(インキュベーション時間16時間、温度37℃)チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)において測定し、[Schoonen,W.G.E.J.ら(Analyt.Biochem.261,222−224(1998))によって記載された手順に従って](16α)−16−エチル−21−ヒドロキシ−19−ノルプレグン−4−エン−3,20−ジオンの活性と比較することができる。
【0022】
混合アンドロゲン/プロゲスタゲンホルモンとしての本発明のΔ14ステロイドは、とりわけ、雄性避妊および男性HRT(ホルモン置換療法)において用いることができる。従って、例えば、雄性避妊は、プロゲスタゲンが、避妊作用の達成に役立ち、アンドロゲンが、結果として上昇したテストステロンレベルの抑制に役立つホルモンの投与計画を含むように、多くの場合、説明される。本化合物は、プロゲスタゲンまたはアンドロゲンのいずれかとして用いることがき、他の活性を有するさらに別の化合物を追加することができるが、本発明のΔ14ステロイドのA/Pの性質は、一方の単独化合物を基にプロゲスタゲン−アンドロゲン系による雄性避妊を達成する可能性を開く。
【0023】
本発明のA/P化合物は、アンドロゲンを一部欠損した老人男性におけるアンドロゲンの補充に用いることもできる。プロゲスタゲン活性は、内在性テストステロンの生産が抑制される点で本発明の化合物の利点を導く。これは、生じた欠損を、テストステロンより安全である選択された外在性アンドロゲンの投与によって補充する可能性を開く。テストステロンは、5α−レダクターゼによって、より効力のある5α−ジヒドロ−テストステロンに転化される。比較的高濃度の5α−レダクターゼが存在する部位に対するよく知られている有害作用は、前立腺の問題、アクネ、脱毛症である。さらに、5α−レダクターゼに関係なく、外在性テストステロンは、内在性テストステロンより、前立腺に低濃度で存在するため、前立腺に対して本質的に安全である。それ故、本発明のA/P化合物によって、内在性テストステロンの固有有害作用を有意に減弱させることができ、5αが還元可能であるMENTなどのアンドロゲン、または、国際公開公報第WO99/67271号、同第00/53619号、同第00/59920号、および欧州特許第2000−3572に開示されているアンドロゲンを投与することができる。
【0024】
男性における使用に次いで、本発明の化合物は、例えば、閉経後の女性におけるアンドロゲン/プロゲスタゲン置換療法のように、女性において使用することもできる。この場合、本発明のステロイドは、子宮内膜に対して陽性効果(エストロゲン誘発増殖の抑制)を有するプロゲスタゲン成分の利点を有する。
【0025】
本発明は、標準的な参考書、Gennaroら,Remmington’s Pharmaceutical Sciences(第18版,Mack Publishing Company,1990。特に、Part 8:Pharmaceutical Preparations and Their Manufactureを参照のこと)に記載されているものなどの医薬適合性助剤と混合された本発明のステロイド化合物を含む医薬組成物にも関する。本発明のステロイド化合物と医薬適合性助剤の混合物は、ピル、錠剤などの固形投薬単位に圧縮することができ、またはカプセルもしくは坐薬に加工することもできる。医薬適合性の液体によって、本化合物は、溶液、懸濁液、エマルジョンの形態の注射調製物として、またはスプレー、例えば鼻用スプレーとして適用することもできる。投薬単位、例えば錠剤を製造するために、充填剤、着色剤、高分子結合剤などの通常の添加剤の使用が考えられる。一般に、活性化合物の機能に干渉しないあらゆる医薬適合性添加剤を用いることができる。本発明のステロイド化合物は、移植、子宮リング、パッチ、ゲル、および持続放出に適する他のあらゆる調製物も包含することができる。
【0026】
組成物を投与することができる適する担体には、ラクトース、デンプン、セルロース誘導体およびこれらに類するもの、または適量で用いられるそれらの混合物が挙げられる。
【0027】
さらに、本発明は、男性または女性HRT(ホルモン置換療法)などの、アンドロゲン欠損症、プロゲスタゲン欠損症、および特に、アンドロゲン/プロゲスタゲン欠損症の治療における医薬品を製造するための本発明のステロイド化合物の使用に関する。従って、本発明は、上述の欠損症のいずれかにかかった男性または女性患者に上記したような化合物を(適する医薬剤形で)投与することを含む、男性または女性HRTの分野における治療方法も包含する。上で明らかにしたように、男性HRTにおいても本アンドロゲンのプロゲスタゲン成分を有利に用いることができる。
【0028】
さらに、本発明は、避妊活性を有する医薬品(これについて、当技術分野では、用語「避妊薬」も用いられる)を製造するための本発明のステロイド化合物の使用に関する。従って、本発明は、避妊の医学的誘導、すなわち、男性、好ましくはヒトの男性である患者に、上記したような化合物を(適する医薬剤形で)好ましくは単一の作用薬として投与することを含む避妊方法にも関する。
【0029】
本発明のA/P化合物は、雄性避妊用のキットにおいて用いることもできる。このキットは、本発明のΔ14A/Pステロイドを投与するための手段に加えて、アンドロゲンを投与するための手段および/またはプロゲスタゲンを投与するための手段を含むことができるが、本発明のΔ14A/Pステロイドを単一の作用薬として投与するために役立つことが好ましい。言及した一切の化合物を投与するための手段は、関連化合物および医薬適合性担体を含む医薬製剤である。
【0030】
本発明は、アンドロゲンの補充、プロゲスタゲンの補充または(特に)アンドロゲン−プロゲスタゲンの補充が必要な(特にヒトの)男性または女性に、治療有効量の上記したような15−置換、16−置換または15および16置換Δ14ステロイドを投与することを含む治療方法にも関する。これは、アンドロゲン補充の必要性が、別のプロゲスタゲンなどの追加の不妊物質の投与を含む雄性避妊の結果として生じたか否かに関わらない。
【0031】
さらに、本発明は、上記したような15−置換、16−置換、または15および16置換Δ14ステロイドを、前記化合物がそれ自体で避妊に有効であるために充分であると同時にこの避妊法を受ける男性に充分なアンドロゲンレベルが維持されることに役立つ投薬量および投薬計画で、生殖能のある男性、特にヒトに投与することを含む避妊法に関する。あるいは、本発明によって提供される避妊法は、プロゲスタゲンなどの不妊物質と上記したようなΔ14ステロイドとの避妊に有効な組合せを、生殖能のある男性、特にヒトに投与することを含む。第二の別法として、本避妊法は、(プロゲスタゲン)不妊物質としての本発明の化合物の投与を含み、この場合、前記充分なアンドロゲンレベルの維持は、本発明のΔ14ステロイドのアンドロゲン成分の活性によって一部処理され、追加のアンドロゲンによって補充される。
【0032】
本発明の化合物は、一般には有機化学の分野において、特にステロイド化学の分野において知られている様々な方法によって製造することができる(例えば、Fried,J.ら、Organic Reactions in Steroid Chemistry,Volumes I and II,Van Nostrand Reinhold Company,New York,1972を参照のこと)。
【0033】
R1がオキソであり、R2、R4、R5、R6およびR7が、前に与えた意味を有し、R3が、水素または(C1〜4)アルキルであり、R8が、水素であり、点線が、Δ4二重結合を示す式Iの15−置換および/または16−置換化合物を製造するために便利な出発原料は、例えば、下記一般式IIの3−メトキシゴナ−1,3,5(10),15−テトラエン−17−オン誘導体および下記一般式IIIの3−メトキシゴナ−1,3,5(10),14−テトラエン−17−オン誘導体:
【0034】
【化2】
(式中、R2およびR4は、前に与えた意味を有し、R3は、水素または(C1〜4)アルキルである)
であり、これらの合成は、文献でわかり、すなわち、標準的な方法を用いて調製することができる(例えば、国際公開公報第WO00/53619号参照)。
【0035】
本発明の15−置換化合物についての可能な合成経路は、以下のとおりである。R5が、前に与えた意味を有し、MがLi、MgX、ZnX、CeX2、SiR3またはSnR4である式R5Mの(有機金属)化合物を式IIの化合物に対合付加させることによって、15β−置換3−メトキシゴナ−1,3,5(10)−トリエン−17−オン誘導体を生じる。例えば、エノールシリルエーテルに転化させることによってΔ15二重結合を導入し、Pd(II)塩と反応させ[Bull,J.Rら,J.Chem.Soc.,Perkin Tr.I,1269(1996)]、酸触媒で異性化する[Ponsold,K.ら,J.Prakt.Chem.323,819(1981)]ことによって、15−置換3−メトキシゴナ−1,3,5(10),14−テトラエン−17−オン誘導体を生成する。後者を還元して、対応する17β−ヒドロキシ化合物にし、その後、芳香族環をバーチ還元し[Org.Reactions 23,1ページ,Wiley,ニューヨーク(New York),1976におけるCaine,D]、得られた15−置換(17β)−3−メトキシゴナ−2,5(10),14−トリエン−17−オールを加水分解して、本発明の15−置換(17β)−17−ヒドロキシゴナ−4,14−ジエン−3−オン誘導体を生じる。
【0036】
本発明の16置換化合物についての可能な合成経路は、以下のとおりである。式IIIの化合物をアルキル化して、16α−置換および/または16β−置換3−メトキシゴナ−1,3,5(10),14−テトラエン−17−オン誘導体を生じる。場合によっては、これらの化合物を第二アルキル化反応での出発原料として用いて、16,16−ジアルキル化3−メトキシゴナ−1,3,5(10),14−テトラエン−17−オン誘導体を生じることができる。C−17におけるカルボニル基を還元し、バーチ還元して、加水分解することによって、本発明の16−置換または16,16−二置換(17β)−17−ヒドロキシゴナ−4,14−ジエン−3−オン化合物を生じる。
【0037】
C−15およびC−16で置換されている本発明の化合物は、上記したような15−置換3−メトキシゴナ−1,3,5(10),14−テトラエン−17−オン誘導体のC−16でのアルキル化によって得られる。
【0038】
R1が、(H,H)、(H,OR)、NOR(Rは、水素である)、(C1〜6)アルキル、(C1〜6)アシルである本発明の化合物は、R1がオキソである式Iの化合物から、当技術分野において知られている方法を用いることにより得られる。
【0039】
置換基R3が、水素または(C1〜4)アルキル以外である化合物は、例えば、(11β)−11−(ヒドロキシメチル)−3−メトキシエストラ−1,3,5(10)−トリエン−17−オン−サイクリック1,2−エタンジイルアセタール[van den Broek,A.J.ら,Steroids 30,481(1977)]、3−メトキシエストラ−1,3,5(10)−トリエン−11,17−ジオン−サイクリック17−(1,2−エタンジイルアセタール)[van den Broek,A.J.ら,Recl.Trav.Chim.Pays−Bas 94,35(1975)]、または(7α)−7−メチルエストル−4−エン−3,11,17−トリオン−サイクリック3−(1,2−エタンジイルジチオアセタール)(国際公開公報第WO94/18224号)から得ることができる。
【0040】
R4が、例えばエチルである化合物は、例えば、13−エチルゴン−4−エン−3,17−ジオン[Brito,M.ら,Synth.Comm.26,623(1996)]または(7α,17β)−13−エチル−3−メトキシ−7−メチルゴナ−1,3,5(10)−トリエン−17−オール[FRAD 87961(1996)]から製造することができる。
【0041】
R8が、(C1〜15)アシルである本発明の化合物は、R8が、水素である式Iの化合物から得られる。
【0042】
点線が、Δ5(10)二重結合を示す本発明の化合物は、バーチ還元後に得られたΔ2,5(10)ジエンから生成される。あるいは、異性化によってΔ4誘導体から製造することができる。
【0043】
本発明の5α−還元化合物は、Δ4誘導体から生成される。
【0044】
Δ11二重結合を有する化合物は、例えば、エストラ−4,11−ジエン−3,17−ジオンから製造することができる[Broess,A.I.A.ら,Steroids 57,514(1992)]。
【0045】
ここからは、以下の実施例を参照しながら本発明をさらに説明することとする。
【実施例1】
【0046】
(7α,17β)−17−ヒドロキシ−7,15−ジメチルエストラ−4,14−ジエン−3−オン
i)− 酢酸銅(II)(3.38g)を含有する、乾燥テトラヒドロフラン(493.2mL)中の(7α)−3−メトキシ−7−メチルエストラ−1,3,5(10),15−テトラエン−17−オン[Rasmusson,G.H.ら,Steroids 22,107(1973);10.0g]の溶液を−20℃に冷却した。塩化メチルマグネシウム(テトラヒドロフラン中3Mの溶液、83.1mL)を一滴ずつ添加し、その反応混合物を1時間攪拌した。その後、それを塩化アンモニウム飽和水溶液に注入し、生成物を酢酸エチルに抽出した。併用有機相を塩化アンモニウム飽和水溶液およびブラインで洗浄して、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮して、(7α,15β)−3−メトキシ−7,15−ジメチルエストラ−1,3,5(10)−トリエン−17−オン(10.77g)を得た。その生成物をさらに精製せずに次の段階で用いた。
【0047】
ii)− 乾燥テトラヒドロフラン(37mL)中のジイソプロピルアミン(6.27mL)の溶液を−30℃に冷却した。n−BuLi(ヘキサン中1.6Mの溶液、25.3mL)を一滴ずつ添加し、攪拌を10分間、−10℃で継続した。その反応混合物を−75℃に冷却し、乾燥テトラヒドロフラン(58mL)中の前段階で得られた生成物(3.85g)の溶液を一滴ずつ添加した。攪拌を1時間継続した。クロロトリメチルシラン(4.7mL)を添加し、温度を室温に上昇させた。その混合物を20分間攪拌し、0℃に再び冷却して、塩化アンモニウム飽和水溶液(123mL)で反応を停止させた。生成物を酢酸エチルに抽出し、併用有機相をブラインで洗浄して、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮して、(7α,15β)−3−メトキシ−7,15−ジメチル−17−[(トリメチルシリル)オキシ]エストラ−1,3,5(10)、16−テトラエン(5.45g)を得た。その生成物をさらに精製せずに次の段階で用いた。
【0048】
iii)− 酢酸パラジウム(II)(3.0g)を含有する、アセトニトリル(128mL)中の前段階で得られた生成物(5.11g)の溶液を還流下で15分間加熱した。その反応混合物を冷却して、濾過し、減圧下で濃縮して、(7α)−3−メトキシ−7,15−ジメチルエストラ−1,3,5(10),15−テトラエン−17−オン(5.56g)を得た。その生成物をさらに精製せずに次の段階で用いた。
【0049】
iv)− p−トルエンスルホン酸ピリジニウム(2.1g)を含有する、乾燥トルエン(143mL)中の前段階で得られた生成物(3.74g)の溶液を還流下で15分間加熱した。冷却後、その反応混合物を炭酸水素ナトリウム飽和水溶液に注入し、生成物を酢酸エチルに抽出した。併用有機相をブラインで洗浄して、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。カラムクロマトグラフィーによって、(7α)−3−メトキシ−7,15−ジメチルエストラ−1,3,5(10),14−テトラエン−17−オン(1.80g)を生じた。その生成物をさらに精製せずに次の段階で用いた。
【0050】
v)− 乾燥テトラヒドロフラン(17mL)中の前段階で得られた生成物(0.60g)の溶液を、0℃に冷却したテトラヒドロフラン(17mL)中の水素化アルミニウムリチウム(0.291g)の懸濁液に一滴ずつ添加した。その混合物を1時間攪拌した後、硫酸ナトリウム飽和水溶液の添加によって反応を停止させた。ジカライトを用いてその反応混合物を濾過し、濾液を減圧下で濃縮して、(7α,17β)−3−メトキシ−7,15−ジメチルエストラ−1,3,5(10),14−テトラエン−17−オール(0.61g)を得た。その生成物をさらに精製せずに次の段階で用いた。
【0051】
vi)− 乾燥テトラヒドロフラン(22mL)中の前段階で得られたアルコール(0.61g)を、アンモニア水(155mL)中のリチウム(1.4g)の還流溶液に添加した。2時間攪拌した後、t−ブタノール(12mL)を添加し、攪拌を30分間継続した。エタノールを添加し、アンモニアを蒸発させた。水を添加し、生成物を酢酸エチルで抽出した。併用有機相を水およびブラインで洗浄して、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮して、(7α,17β)−3−メトキシ−7,15−ジメチルエストラ−2,5(10),14−トリエン−17−オール(0.73g)を得た。その生成物をさらに精製せずに次の段階で用いた。
【0052】
vii)− アセトン(41mL)中の前段階で得られた生成物(0.73g)の溶液を塩酸(12M、2.07mL)で処理した。室温で1時間攪拌した後、その反応混合物を水に注入し、生成物を酢酸エチルに抽出した。併用有機相を炭酸水素ナトリウム飽和水溶液およびブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させて、減圧下で濃縮した。カラムクロマトグラフィーによって、(7α,17β)−17−ヒドロキシ−7,15−ジメチルエストラ−4,14−ジエン−3−オン(0.32g)を生じた。融点164〜167℃。1H NMR(CDCl3)δ5.85(bs,1H)、3.86(m,1H)、1.73(bs,3H)、0.97(s,3H)、0.87(d,3H,J=7.1Hz)。
【実施例2】
【0053】
(7α,17β)−15−エチル−17−ヒドロキシ−7−メチルエストラ−4,14−ジエン−3−オン
表題化合物は、実施例1に記載したものに類似した手順に従って、(7α)−3−メトキシ−7−メチルエストラ−1,3,5(10),15−テトラエン−17−オン[Rasmusson,G.H.ら,Steroids 22,107(1973)]から調製した。1H NMR(CDCl3)δ5.85(bs,1H)、3.85(m,1H)、2.67(m,1H)、0.98(t,3H,J=7.5Hz)、0.97(s,3H)、0.85(d,3H,J=7.5Hz)。
【実施例3】
【0054】
(7α,17β)−7−エチル−17−ヒドロキシ−15−メチルエストラ−4,14−ジエン−3−オン
i)− クロロメチルシラン(422.4mL)を、0℃に冷却したジクロロメタン(1600mL)とピリジン(555.2mL)の混合物中の(17α)−17−ヒドロキシ−19−ノルプレグナ−4,6−ジエン−20−イン−3−オン[Syntex S.A.,ドイツ特許第935116号(1958);400g]の懸濁液に15分間で添加した。0℃で2時間攪拌した後、その反応混合物を塩化アンモニウム飽和水溶液に注入した。生成物をジクロロメタンに抽出し、併用有機相を水およびブラインで洗浄して、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮して、(17α)−17−[(トリメチルシリル)オキシ]−19−ノルプレグナ−4,6−ジエン−20−イン−3−オン(492g)を生じた。その生成物をさらに精製せずに次の段階で用いた。
【0055】
ii)− リチウム(18.9g)と乾燥ジエチルエーテル(1175mL)の混合物を−30℃に冷却した。乾燥ジエチルエーテル(200mL)中のブロモエタン(101.7mL)の溶液を1時間で添加し(T<−20℃)、その反応混合物を−25℃で1時間攪拌した。第二のフラスコ内で、乾燥テトラヒドロフラン(1763mL)中のヨウ化銅(I)(115.5g)の懸濁液を−40℃に冷却した。乾燥臭化リチウム(160.7g)を添加し、その混合物を5分間攪拌した。エチルリチウムの溶液を1時間で、一滴ずつ添加し(−40<T<−30℃)、得られたキュープレイト溶液を30分間、−30℃で攪拌した。乾燥テトラヒドロフラン(1763mL)中の前段階で得られた生成物(114.8g)の溶液を一滴ずつ添加した(−30<T<25℃)。その温度で1時間攪拌した後、クロロトリメチルシラン(113mL)を添加し(T<−10℃)、攪拌をもう30分継続した。その反応混合物を塩化アンモニウム飽和水溶液に注入し、生成物を酢酸エチルに抽出した。併用有機相を塩化アンモニウム飽和水溶液およびブラインで洗浄して、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮して、(7α,17α)−7−エチル−3,17−ビス[(トリメチルシリル)オキシ]−19−ノルプレグナ−3,5−ジエン−20−イン(158.6g)を得た。その生成物をさらに精製せずに次の段階で用いた。
【0056】
iii)− アセトン(2414mL)中の前段階で得られた生成物(158.6g)の溶液を塩酸(7M、120mL)で処理した。室温で2時間攪拌した後、その反応混合物を炭酸水素ナトリウムの飽和水溶液(965mL)で中和した。アセトンを減圧下で除去し、水を添加して、生成物を酢酸エチルに抽出した。併用有機相を塩化アンモニウム飽和水溶液およびブラインで洗浄して、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮して、(7α,17α)−7−エチル−17−ヒドロキシ−19−ノルプレグン−4−エン−20−イン−3−オン(107.6g)を得た。その生成物をさらに精製せずに次の段階で用いた。
【0057】
iv)− 塩酸(6M、240mL)をメタノール(1200mL)中のジカライト(240g)の懸濁液に一滴ずつ添加した。室温で20分攪拌した後、濾過によってジカライトを回収し、中性になるまで水で洗浄した。その後、それを水(960mL)に懸濁させた。激しく攪拌しながら、硝酸銅(II)・三水和物(145g)を添加し、続いて水(360mL)中の炭酸ナトリウム(72.2g)の溶液を注意深く添加した。30分攪拌した後、濾過によって生成物を回収し、中性になるまで水で洗浄した。その生成物を減圧下、80℃で乾燥させて、炭酸銅(II)/ジカライト(310g)を得た。トルエン(4470mL)中のiiiのもとで得られた生成物(251.7g)と炭酸銅(II)/ジカライト(827g)の混合物を、ディーン−シュタルクトラップを使用して水を除去しながら還流温度で14時間加熱した。その反応混合物を濾過して、残留物を酢酸エチル(4.5L)で充分に洗浄し、濾液を減圧下で濃縮して、(7α)−7−エチルエストル−4−エン−3,17−ジオン(254.4g)を得た。その生成物をさらに精製せずに次の段階で用いた。
【0058】
v)− 前段階で得られた生成物(254.4g)、オルトギ酸トリメチル(276.1mL)、臭化銅(II)(241.2g)およびメタノール(5406mL)の混合物を還流下で7時間加熱した。冷却後、その反応混合物を濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、残留物を酢酸エチルに溶解した。得られた溶液を塩化アンモニウム飽和水溶液、炭酸水素ナトリウム飽和水溶液およびブラインで洗浄して、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮して、(7α)−7−エチル−3−メトキシエストラ−1,3,5(10)−トリエン−17−オン(208g)を得た。その生成物をさらに精製せずに次の段階で用いた。
【0059】
iv)− p−トルエンスルホン酸(9.4g)を、エチレングリコール(317mL)とオルトギ酸トリエチル(553mL)の混合物中の前段階で得られた生成物(208g)の溶液に添加した。その反応混合物を室温で一晩攪拌した。その後、それを氷水(7885mL)に注入し、攪拌を2時間継続した。ピリジン(80mL)を添加し、その混合物を一晩攪拌した。生じた沈殿を濾過によって回収し、ジクロロメタンに溶解した。得られた溶液をブラインで洗浄して、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮して、(7α)−7−エチル−3−メトキシエストラ−1,3,5(10)−トリエン−17−オン−サイクリック1,2−エタンジイルアセタール(224.2g)を得た。その生成物をさらに精製せずに次の段階で用いた。
【0060】
vii)− 乾燥ジメトキシエタン(3229mL)中のエチレングリコール(380mL)中の前段階で得られた生成物(224.2g)の溶液を三臭化ピリジニウム(241.0g)で処理した。4時間攪拌した後、水(2510mL)中のチオ硫酸ナトリウム(423.3g)の溶液を添加し、生成物を酢酸エチルに抽出した。併用有機相をブラインで洗浄して、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮して、(7α,16α)−16−ブロモ−7−エチル−3−メトキシエストラ−1,3,5(10)−トリエン−17−オン−サイクリック1,2−エタンジイルアセタール(303.7g)を得た。その生成物をさらに精製せずに次の段階で用いた。
【0061】
viii)− 乾燥ジメチルスルホキシド(2773mL)中の前段階で得られた生成物(303.7g)の溶液を同溶媒(938mL)中のカリウムt−ブトキシド(343.5g)の溶液に添加し、その反応混合物を室温で2.5時間攪拌した。水(1.5L)を添加し、生成物を酢酸エチルに抽出した。併用有機相をブラインで洗浄して、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮して、(7α)−7−エチル−3−メトキシエストラ−1,3,5(10),15−テトラエン−17−オン−サイクリック1,2−エタンジイルアセタール(195.5g)を得た。その生成物をさらに精製せずに次の段階で用いた。
【0062】
ix)− アセトン(412mL)と水(35mL)の混合物中の前段階で得られた生成物(25.0g)の溶液をp−トルエンスルホン酸(1.18g)で処理し、その反応混合物を室温で1.5時間攪拌した。炭酸水素ナトリウム飽和水溶液を添加し、生成物を酢酸エチルに抽出した。併用有機相をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させて、減圧下で濃縮した。カラムクロマトグラフィーによって、(7α)−7−エチル−3−メトキシエストラ−1,3,5(10),15−テトラエン−17−オン(13.0g)を生じた。
【0063】
x)− 実施例1のiからviのもとで記載したものに類似した手順に従って、前段階で得られた生成物を(7α,17β)−7−エチル−3−メトキシ−15−メチルエストラ−2,5(10),14−トリエン−17−オールに転化させた。
【0064】
xi)− 実施例1のviiのもとで記載したものに類似した手順に従って、前段階で得られた生成物(0.55g)を(7α,17β)−7−エチル−17−ヒドロキシ−15−メチルエストラ−4,14−ジエン−3−オン(0.35g)に転化させた。1H NMR(CDCl3)δ5.85(bs,1H)、3.86(m,1H)、1.69(bs,3H)、0.97(s,3H)、0.90(t,3H,J=7.9Hz)。
【実施例4】
【0065】
(7α,17β)−7,15−ジエチル−17−ヒドロキシエストラ−4,14−ジエン−3−オン
表題化合物は、実施例1に記載したものに類似した手順に従って、(7α)−7−エチル−3−メトキシエストラ−1,3,5(10),15−テトラエン−17−オン(実施例3、段階ix)から調製した。1H NMR(CDCl3)δ5.84(bs,1H)、3.84(m,1H)、0.97(t,3H,J=7.5Hz)、0.96(s,3H)、0.88(t,3H,J=7.9Hz)。
【実施例5】
【0066】
(7α,17β)−13−エチル−17−ヒドロキシ−7,15−ジメチルゴナ−4,14−ジエン−3−オン
i)− 過ルテニウム酸テトラプロピルアンモニウム(1.3g)を、アセトン(513mL)中の(7α,17β)−13−エチル−3−メトキシ−7−メチルゴナ−1,3,5(10)−トリエン−17−オール[FRAD 87961(1966);19.5g]および4−メチルモルホリンN−オキシド(21.5g)の溶液に添加した。室温で30分攪拌した後、ジカライトおよびシリカを用いて反応混合物を濾過した。濾液を減圧下で濃縮した。その粗生成物をカラムクロマトグラフィーに付すことによって、(7α)−13−エチル−3−メトキシ−7−メチルゴナ−1,3,5(10)−トリエン−17−オン(11.0g)を得た。
【0067】
ii)− 実施例1のiiのもとで記載したものに類似した手順に従って、前段階で得られた生成物(2.9g)を(7α)−13−エチル−3−メトキシ−7−メチル−17−[(トリメチルシリル)オキシ]ゴナ−1,3,5(10),16−テトラエン(3.7g)に転化させた。
【0068】
iii)− 実施例1のiiiのもとで記載したものに類似した手順に従って、前段階で得られた生成物(3.7g)を(7α)−13−エチル−3−メトキシ−7−メチルゴナ−1,3,5(10),15−テトラエン−17−オン(2.5g)に転化させた。
【0069】
iv)− 実施例1のiからviiのもとで記載したものに類似した手順に従って、前段階で得られた生成物を(7α,17β)−13−エチル−17−ヒドロキシ−7,15−ジメチルゴナ−4,14−ジエン−3−オンに転化させた。1H NMR(CDCl3)δ5.85(bs,1H)、3.96(m,1H)、2.75(m,1H)、1.77(bs,3H)、0.89(t,3H,J=7.6Hz)。
【実施例6】
【0070】
(16α,17β)−17−ヒドロキシ−16−メチルエストラ−4,14−ジエン−3−オン(a)および(16β,17β)−17−ヒドロキシ−16−メチルエストラ−4,14−ジエン−3−オン(b)
i)− リチウムビス(トリメチルシリル)アミド(テトラヒドロフラン中1Mの溶液、7.80mL)を、−70℃に冷却した乾燥テトラヒドロフラン(9.2mL)とヨードメタン(4.4mL)の混合物中の3−メトキシエストラ−1,3,5(10),14−テトラエン−17−オン[Jonson,W.S.ら,J.Am.Chem.Soc.79,2005(1957);2.0g]の溶液に一滴ずつ添加した。その反応混合物を2時間攪拌し、その後、別のリチウムビス(トリメチルシリル)アミド(テトラヒドロフラン中1Mの溶液、1.0mL)で処理した。30分攪拌した後、その混合物を塩化アンモニウム飽和水溶液に注入し、生成物を酢酸エチルに抽出した。併用有機相をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させて、減圧下で濃縮した。カラムクロマトグラフィーによって、(16α)−3−メトキシ−16−メチルエストラ−1,3,5(10),14−テトラエン−17−オンと(16β)−3−メトキシ−16−メチルエストラ−1,3,5(10),14−テトラエン−17−オンの混合物(0.985g;比率1:1)を生じ、これをさらに精製せずに次の段階で用いた。
【0071】
ii)− 実施例1のvのもとで記載したものに類似した手順に従って、前段階で得られた混合物(0.84g)を水素化アルミニウムリチウムで処理して、クロマトグラフィーに付した後、(16α,17β)−3−メトキシ−16−メチルエストラ−1,3,5(10),14−テトラエン−17−オール(0.082g)および(16β,17β)−3−メトキシ−16−メチルエストラ−1,3,5(10),14−テトラエン−17−オール(0.13g)を得た。
【0072】
iiia)− 実施例1のviのもとで記載したもに類似した手順に従って、(16α,17β)−3−メトキシ−16−メチルエストラ−1,3,5(10),14−テトラエン−17−オール(0.067g)を(16α,17β)−3−メトキシ−16−メチルエストラ−2,5(10),14−トリエン−17−オール(0.076g)に転化させた。
【0073】
iiib)− 実施例1のviのもとで記載したものに類似した手順に従って、(16β,17β)−3−メトキシ−16−メチルエストラ−1,3,5(10),14−テトラエン−17−オール(0.093g)を(16β,17β)−3−メトキシ−16−メチルエストラ−2,5(10),14−トリエン−17−オール(0.110g)に転化させた。
【0074】
iva)− 実施例1のviiのもとで記載したものに類似した手順に従って、iiiaのもとで得られた生成物(0.076g)を(16α,17β)−17−ヒドロキシ−16−メチルエストラ−4,14−ジエン−3−オン(0.041g)に転化させた。1H NMR(CDCl3)δ5.85(t,1H,J=1.6Hz)、5.01(t,1H,J=1.6Hz)、3.41(d,1H,J=7.5Hz)、1.13(d,3H,J=7.1Hz)、1.04(s,3H)。
【0075】
ivb)− 実施例1のviiのもとで記載したものに類似した手順に従って、iiibのもとで得られた生成物(0.11g)を(16β,17β)−17−ヒドロキシ−16−メチルエストラ−4,14−ジエン−3−オン(0.039g)に転化させた。1H NMR(CDCl3)δ5.86(bs,1H)、5.23(t,1H,J=2.8Hz)、4.02(t,1H,J=7.9Hz)、1.10(s,3H)、1.00(d,3H,J=7.1Hz)。
【実施例7】
【0076】
実施例2に記載した手順に類似した方法で、以下の生成物を調製した:
a)− (7α,16α,17β)−17−ヒドロキシ−7,16−ジメチルエストラ−4,14−ジエン−3−オンを(7α)−3−メトキシ−7−メチルエストラ−1,3,5(10),14−テトラエン−17−オン[Segaloff,A.ら,Steroids 22,99(1973)]から調製した。1H NMR(CDCl3)δ5.86(s,1H)、5.00(s,1H)、3.38(t,1H,J=7.9Hz)、1.15(d,3H,J=7.1Hz)、1.03(s,3H)、0.84(d,3H,J=7.1Hz)。
【0077】
b)− (7α,16α,17β)−17−ヒドロキシ−7−エチル−16−エチルエストラ−4,14−ジエン−3−オンを(7α)−3−メトキシ−7−エチルエストラ−1,3,5(10),14−テトラエン−17−オン(国際公開公報第WO01/05806号)から調製した。1H NMR(CDCl3)δ5.87(bs,1H)、4.93(t,1H,J=2.0Hz)、3.38(dd,1H,J=8.3および7.1Hz)、1.15(d,3H,J=7.1Hz)、1.03(s,3H)、0.90(m,3H)。
【0078】
c)− (7α,16α,17β)−17−ヒドロキシ−16−メチル−7−ビニルエストラ−4,14−ジエン−3−オンを(7α)−3−メトキシ−7−ビニルエストラ−1,3,5(10),14−テトラエン−17−オン(国際公開公報第WO01/05806号)から調製した。1H NMR(CDCl3)δ5.85(s,1H)、5.78(m,1H)、5.14−5.05(m,3H)、3.38(d,1H,J=8.3Hz)、2.93(bs,1H)、1.13(d,3H,J=7.1Hz)、1.03(s,3H)。
【実施例8】
【0079】
(7α,17β)−7−エチル−17−ヒドロキシ−15−メチルエストラ−5(10),14−ジエン−3−オン(a)、
(3α,7α,17β)−7−エチル−15−メチルエストラ−5(10),14−ジエン−3,17−ジオール(b)、および
(3β,7α,17β)−7−エチル−15−メチルエストラ−5(10),14−ジエン−3,17−ジオール(c)
i)− メタノール(0.92mL)とテトラヒドロフラン(0.65mL)の混合物中の(7α,17β)−7−エチル−3−メトキシ−15−メチルエストラ−2,5(10),14−トリエン−17−オール(実施例3、段階x;0.10g)の溶液を、水(0.54mL)中のシュウ酸(0.32g)の溶液で処理した。室温で1時間攪拌した後、その反応混合物を水に注入し、生成物を酢酸エチルに抽出した。併用有機相を炭酸水素ナトリウム飽和水溶液、水およびブラインで洗浄して、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮して、(7α,17β)−7−エチル−17−ヒドロキシ−15−メチルエストラ−5(10),14−ジエン−3−オン(0.090g)を得た。1H NMR(CDCl3)δ3.89(m,1H)、2.76(bs,2H)、1.71(bs,3H)、0.95(t,3H,J=7.5Hz)、0.94(s,3H)。
【0080】
ii)− 水素化ホウ素ナトリウム(0.009g)を、テトラヒドロフラン(1.45mL)とメタノール(1.45mL)の混合物中の前段階で得られた生成物の溶液に添加した。その反応混合物を3.5時間攪拌し、その後、アセトンで反応を停止させた。その混合物を水に注入し、生成物を酢酸エチルに抽出した。併用有機相を水およびブラインで洗浄して、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。カラムクロマトグラフィーによって、(3α,7α,17β)−7−エチル−15−メチルエストラ−5(10),14−ジエン−3,17−ジオール(0.035g)、1H NMR(CDCl3)δ3.88(dd,1H,J=9.1および8.3Hz)、3.82(m,1H)、1.70(s,3H)、1.25(s,3H)、0.92(t,3H,J=7.1Hz);および(3β,7α,17β)−7−エチル−15−メチルエストラ−5(10),14−ジエン−3,17−ジオール(0.016g)、1H NMR(CDCl3)δ4.11(m,1H)、3.88(dd,1H,J=8.3および7.9Hz)、1.70(s,3H)、1.25(s,3H)、0.92(t,3H,J=7.9Hz)を生じた。
【実施例9】
【0081】
生物学的成果
本発明の化合物をアンドロゲン活性および黄体ホルモン活性について試験し(これについての手順は、上記した)、以下の大要に従って評価した:
(−) 非常に弱い活性が見出された;
(+) 活性が見出された;
(++)高活性;
(+++)卓越した活性。
【0082】
【表1】
Claims (17)
- 以下に与える一般式I:
R1は、O、(H,H)、(H,OR)、NOR(Rは、水素である)、(C1〜6)アルキル、または(C1〜6)アシルであり;
R2は、水素、(C1〜4)アルキル、または(C2〜4)アルケニルであり;
R3は、水素、(C1〜4)アルキル、または(C2〜4)アルケニルであり;
R4は、(C1〜2)アルキルであり;
R5は、水素、(C1〜4)アルキル、または(C2〜4)アルケニルであり;
R6およびR7は、独自に、水素、(C1〜4)アルキル、または(C2〜4)アルケニルであり;
R8は、水素、または(C1〜15)アシルであり;および
点線は、任意の結合を示し;および
この場合、R5、R6およびR7のうちの少なくとも一つは、水素ではない)
を満たす化合物。 - R3が、水素またはβ−メチルであることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
- R4が、メチルであることを特徴とする、請求項2に記載の化合物。
- R1がオキソであり、R3が水素であり、R4がメチルまたはエチルであり、点線が、Δ4二重結合を示すことを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物。
- R2が、メチル、エチルおよびエテニルから成る群より選択され、R5とR6のいずれかまたは両方が、メチルであり、R7が水素であることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物。
- R5またはR6が、メチルであることを特徴とする、請求項4または5に記載の化合物。
- R6が、メチルであることを特徴とする、請求項6に記載の化合物。
- R2が、メチル、エチルまたはビニルであることを特徴とする、請求項7に記載の化合物。
- 化合物(7α,7β)−17−ヒドロキシ−7,15−ジメチルエストラ−4,14−ジエン−3−オンまたは(7α,16α,17β)−17−ヒドロキシ−7,16−ジメチルエストラ−4,14−ジエン−3−オン。
- 医薬品として使用するための、先行請求項のいずれか一項に記載の化合物。
- 医薬適合性担体を含むとともに、医薬作用薬として、本明細書中に記載の一般式Iを満たすステロイド化合物を含む医薬組成物。
- アンドロゲン機能不全、プロゲスタゲン機能不全、およびアンドロゲン−プロゲスタゲン機能不全から成る群より選択される機能不全の治療における医薬品を製造するための、請求項1から9のいずれか一項に記載の化合物の使用。
- 治療が、請求項1から9のいずれか一項に記載の化合物と、7α−メチルナンドロロンなどの5αが還元可能でないアンドロゲンとの併用投与を含むことを特徴とする、請求項12に記載の使用。
- 医薬適合性担体を含むとともに、医薬作用薬として、請求項1から9のいずれか一項に記載の化合物を含む医薬組成物。
- プロゲスタゲンを投与するための手段およびアンドロゲンを投与するための手段を含むキットであって、前記手段のいずれかまたは両方が、請求項11に記載の医薬組成物であることを特徴とする、雄性避妊用キット。
- 請求項1から9のいずれか一項に記載の化合物をアンドロゲンと組み合わせて投与するための手段を含むことを特徴とする、請求項15に記載のキット。
- 請求項1から9のいずれか一項に記載の化合物をプロゲスタゲンと組み合わせて投与するための手段を含むことを特徴とする、請求項15に記載のキット。
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