JP2004518752A - 強化された細胞内輸送のためのポリヌクレオチド配合物 - Google Patents
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Abstract
本発明は、ポリヌクレオチドと、少なくとも2%(重量/容積)、好ましくは2〜10%の式(I) OH(CH2CH2O)a(CH(CH3)CH2O)b(CH2CH2O)cH[式中、a、bおよびcは、ポリオキシプロピレン部分の分子量が1450〜2050であり、ポリオキシエチレン部分がコポリマーの75〜85%(重量:重量)を構成するような値である]の非イオン性コポリマーとを含む医薬組成物に関する。当該組成物は、好ましくはカチオン脂質またはリン酸ナトリウムを含まない。当該コポリマーは、真核細胞への前記ポリヌクレオチドの輸送、または、真核細胞における前記ポリヌクレオチドの発現を改善することが意図されている。式(I)に相当するコポリマーの代表的な例はF68である。本発明に係る組成物は、特に、遺伝子治療、ワクチン接種および免疫療法分野で有用である。
Description
【0001】
本発明は、ポリヌクレオチドを真核細胞に輸送する方法、および、免疫化などの様々な治療分野におけるその使用に関する。
【0002】
1980年代の終わりまでに、インビボでの遺伝情報の輸送は、遺伝物質がリポソームにカプセル化されているか、または、ウイルスベクターに統合されているかのいずれかの場合にのみ検出可能であることが一般的に認識されていた。その後、検出手段が改善されるにつれ、「裸のDNA」の発現が実際に起こり得ることが示された。これは、等張水溶液中のDNAを用いて、単なる注射器を用いて筋肉内または皮内に注射することによって示された(Wolff et al., Science(1990)247:1465)。しかしながら、この発見は、大量のDNAが必要であるというそれ自体の制限を有していることがすぐに明らかにもなった。これは、例えば遺伝子治療または免疫化の分野における、いわゆる「DNA技術」の開発を妨げ得る実際に深刻な欠点であった。そこで、逆戻りして、細胞および/または核へのトランスフェクションの効率を高めることを目的として、DNAを様々な化学薬品と配合する試みが提案された。
【0003】
先の10年で、全領域の生産物がこの効果に関して試験された。最もよく知られた化合物としては、PLGA微粒子、カチオン脂質、例えばDOTMA(N−[1−2,2−(ジオレイルオキシ)プロピル]−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド)、リポポリアミンおよびポリリシンタイプのカチオン性ポリマーが挙げられる。これらの化合物は、ポリヌクレオチドに結合することができ、それらのトランスフェクションを促進すると考えられるが、それらのうちいずれも、完全に満足のいく結果は長期で得られなかった。実際に、配合ポリヌクレオチドの有効性は、全体的に、非配合ポリヌクレオチドの有効性とせいぜい同程度であった。
【0004】
またあいにく、これら複合体のいくつかは、安定性を欠いていることもある。それゆえに、カチオン性のトランスフェクト剤(transfecting agent)/ポリヌクレオチド複合体を安定化する非イオン界面活性剤のような第二の化合物を加えることが提案されている(WO98/34648)。この界面活性剤は、特に、ポリオキシアルキレン、例えばBASF社販売のPluronics(R)F68が挙げられ、これはまたLutrolの名前でも知られている。
【0005】
現在、F68のような化合物はまた、安定化目的に必要とされる量よりわずかに多い十分な量で加えられる場合、いかなるカチオン性分子が存在しなくてもトランスフェクションレベルに直接作用させることができる、ということが見出されている。
【0006】
この理由のために、本発明は、ポリヌクレオチドと、少なくとも2%(重量/容積)の式(I)OH(CH2CH2O)a(CH(CH3)CH2O)b(CH2CH2O)cH[式中、a、bおよびcは、ポリオキシプロピレン部分の分子量が1450〜2050であり、ポリオキシエチレン部分がコポリマーの75〜85%(重量:重量)を構成するような値である]の非イオン性コポリマーとを含む医薬組成物に関する。
【0007】
他の実施形態において、本発明はまた、活性な治療物質としてポリヌクレオチドを含む薬剤を製造するための、式(I)OH(CH2CH2O)a(CH(CH3)CH2O)b(CH2CH2O)cH[式中、a、bおよびcは、ポリオキシプロピレン部分の分子量が1450〜2050であり、ポリオキシエチレン部分がコポリマーの75〜85%(重量:重量)を構成するような値である]の非イオン性コポリマーの使用に関し、当該使用は、前記薬剤を必要とする個体の細胞への前記ポリヌクレオチドの輸送、および/または、前記薬剤を必要とする個体の細胞における前記ポリヌクレオチドの発現を改善するためであり、前記コポリマーは、少なくとも2%(重量:容積)の濃度で前記ポリヌクレオチドに加えられる。
【0008】
また、本発明は、ポリヌクレオチドを真核細胞に輸送する方法に関し、当該方法は、細胞と、少なくとも2%(重量:容積)の式(I)OH(CH2CH2O)a(CH(CH3)CH2O)b(CH2CH2O)cH[式中、a、bおよびcは、ポリオキシプロピレン部分の分子量が1450〜2050であり、ポリオキシエチレン部分がコポリマーの75〜85%(重量:重量)を構成するような値である]の非イオン性コポリマーを配合したポリヌクレオチドとを接触させることを含む。
【0009】
典型的には、本発明は、(i) 本発明に係る組成物を哺乳動物またはその他いかなる動物に投与することを含む、インビボでポリヌクレオチドを輸送する方法;または、(ii) 哺乳動物細胞(またはその他いかなる動物に由来する細胞)と、本発明に係る組成物とを接触させることを含む、インビトロまたはエクスビボでポリヌクレオチドを輸送する方法で有り得る。エクスビボでの輸送方法に関して、哺乳動物細胞を予め生物から採取し、それらがポリヌクレオチドを取り込んだら、該生物中にさらに再移植することができる。
【0010】
有利には、本発明に係る組成物は、カチオン脂質およびリン酸ナトリウムを含まない。必要に応じて、本発明に係る組成物はまた、塩化ナトリウム、塩化カリウムおよび塩化マグネシウムからなる群より選択される化合物を、好ましくは等張または高張な量で含み得る。
【0011】
本発明の使用に関して、上記の記載に相当する非イオン性コポリマーは、典型的には、BASF社販売のPluronic(R)F68である。その平均分子量は8400と推定され、親水性ポリオキシエチレン成分は、総重量の約80%を示す。この製品は20℃で固形である。室温で、水溶液中、式(I)のコポリマーは、かなり広い濃度範囲(例えば1〜15%)で球形のミセルを形成する。室温では、例えば1〜15%の式(I)のコポリマーを含む水溶液は、液状である。より高い温度では、液状の溶液はゲルに変化し、続いてペーストになる。より詳細な情報は、Alexandridis P., Current Opinion in Colloid & Interface Science(1997)2:478で見出すことができ、これは、参照により本発明に組み込まれる。
【0012】
有利には、本発明に係る医薬組成物は、2〜15%、好ましくは2〜10%、最も好ましくは約5%の式(I)のコポリマーを含む。
【0013】
本発明における使用に関して、上記ポリヌクレオチドは、ポリデオキシリボヌクレオチドまたはポリリボヌクレオチドのいずれでもよい。それらの起源は問題ではなく、天然または人工;ゲノムDNAまたは相補DNA;トランスファーRNAまたはリボゾームRNAが挙げられる。それらは、特に、動物、ヒト、植物、細菌またはウイルス起源であり得る。
【0014】
治療薬としてのそれらの機能は、特に、宿主細胞における遺伝子発現またはmRNA転写を制御することによりアンチセンス分子として作用することであり得る。また、それは、所定のポリペプチド、例えばタンパク質を真核細胞で発現させることができるポリヌクレオチドであり得る。
【0015】
特定の実施形態によれば、上記ポリヌクレオチドは、宿主細胞による発現に関し、治療的に重要なタンパク質、ポリペプチドまたはペプチドを動作可能なようにコードし、これは受容生物の機能障害を克服するのに有用である。それゆえに、本発明に係る組成物はインビボまたはエクスビボの遺伝子治療に有用である。
【0016】
また、上記ポリヌクレオチドは、ヒトまたは動物においてそれに対する免疫反応を生じさせることが可能なポリペプチドを動作可能なようにコードすることができ、特に該ポリペプチドは、病原体(感染因子)または腫瘍状態(腫瘍関連抗原)に特異的である。
【0017】
それゆえに、この特定の実施形態によれば、本発明は、特に、感染症、例えばウイルスまたは細菌の感染症、もしくはガンを治療または予防するための、ワクチンの調製、または、ヒトまたは動物に適用される免疫療法治療をもたらす。
【0018】
この後者の実施形態における使用に関して、上記ポリヌクレオチドはDNAが有利であり、好ましくはベクターの形態、すなわちプラスミドベクターの形態である。安全性の理由で、このようなベクターは非感染性であり、宿主生物中で複製されない。加えてこのようなベクターは、宿主生物のゲノムに統合する能力を実質的に欠いている。治療的ポリペプチドまたは抗原性ポリペプチドをコードするDNA配列は、宿主生物中でのその発現に必要な要素の制御下に置かれる。この目的のために、サイトメガロウイルス(CMV)初期プロモーターを用いることが一般的な方法である。
【0019】
上述したように、本発明に係る医薬組成物は、インビボまたはエクスビボの遺伝子治療目的に用いることができる。この理由に関して、その他の観点に従い、本発明はまた、遺伝子の欠乏または欠失により誘導された疾患を治療する方法に関し、当該方法は:
疾患を治すことが可能な遺伝子を含むポリヌクレオチドと、少なくとも2%(重量/容積)の式(I)の非イオン性コポリマーとを含む組成物を、このような治療を必要とする患者に投与すること;または、
このような治療を必要とする患者から適切な細胞を収集すること、これらの細胞と、(a)疾患を治すことが可能な遺伝子をコードするポリヌクレオチドと、(b)少なくとも2%(重量/容積)の式(I)の非イオン性コポリマーとを含む組成物とを、細胞がトランスフェクトされるように接触させること、および、トランスフェクトされた細胞を患者に再移植することを含む。
【0020】
遺伝子治療に有用な組成物は、治療的な遺伝子、すなわち治療効果を示すポリペプチドをコードする遺伝子を含むポリヌクレオチドを含む。このタンパク質産物は、標的細胞に関して同種(すなわち、標的細胞が病的な状態を示さない場合、標的細胞で通常発現される産物)であり得る。この場合、本発明に係る組成物の投与の後に続くポリペプチドの発現は、例えば、不十分な発現、または、不活性もしくは弱い活性のタンパク質の発現を克服することを可能にする。また、治療的な遺伝子は、高められた安定性、改変された活性等を有する細胞性ポリペプチドの変異型をコードしてもよい。また、該ポリペプチドは、標的細胞に関して異種でもよく、例えば、不十分な活性または異常な活性を補足したり、導入したり、または、改変したりできる。
【0021】
この観点において、本発明はまた、遺伝的障害を治療するための薬剤の製造における、遺伝子欠失を修正することが可能なポリペプチドをコードするポリヌクレオチドと、非イオン性コポリマー(特に式(I)または(II)のコポリマー)との、上述の組み合わせ使用に関する。
【0022】
インビボでの治療上の処置において、本発明に係る組成物は、いかなる特定の除外なしに、治療に最も適切な経路で投与することができ、一般的に、局所、皮膚、経口的、直腸、膣、非経口的、鼻腔内、筋肉内、皮下、眼内、皮内等に投与することができる。
【0023】
また、本発明に係る組成物は、免疫化(例えばワクチン接種)および免疫療法の分野においても有用であり得る。この場合、当該組成物は、抗原性産物をコードする配列を含むポリヌクレオチドを含み、当該抗原性産物は、本質的にはタンパク質(タンパク質、ポリペプチド、ペプチド等;包括的にポリペプチドと称される)であり、例えば、いかなる病原体もしくは感染因子(例えば病原性ウイルスまたは細菌)により自然状態下で発現されるポリペプチド、または、腫瘍状態または腫瘍条件で特徴的に異常発現する哺乳動物のポリペプチド(腫瘍関連抗原)であり得る。従ってこれは、感染因子特異的ポリペプチドまたはガン特異的ポリペプチドと称される。
【0024】
ヒトを免疫にするための本発明に係る組成物の使用は、式(I)の非イオン性コポリマーが、非配合ポリヌクレオチドで観察された抗原に対する抗体反応に比べて、該反応を顕著に高めることができるため、特に有利である。実際に、裸のDNAまたは既知のDNA配合物を用いた免疫化は、一般的に細胞性免疫反応を高めるが、その一方で体液性反応はわずかしか誘導されない。驚くべきことに、本発明の組成物は、良好な抗体反応を誘導するのに有用であることが見出された。
【0025】
適切なレベルでの抗体反応の誘導を促進することは、式(I)のコポリマーの特別な特性ではない。様々なタイプの非イオン性コポリマー(非イオン性ポリオールまたは誘導体)も、同じ効果を生じさせることができる。この目的のために、ポリマー内のポリオキシアルキレンは、特にアルキレン基を有するポリオキシアルキレンが可能であり、当該アルキレン基の長さまたはコンフォメーションは異なっていても同一でもよく、特に、ポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレンのブロックコポリマー、例えばPaschalis P.(上記)で説明されたブロックコポリマー、例えばポロキサマー(poloxamer)およびポロキサミン(poloxamine)が挙げられ、特に、式(II) OH(CH2CH2O)a(CH(CH3)CH2O)b(CH2CH2O)cH[式中、a、bおよびcは、ポリオキシプロピレン部分の分子量が1000〜4000であり、ポリオキシエチレン部分がコポリマーの10〜85%(重量:重量)を構成するような値である]に相当するブロックコポリマーが挙げられる。
【0026】
この観点において、本発明はまた、感染症またはガンを治療または予防するための薬剤の製造における、病原菌またはガンに特異的なポリペプチドをコードするポリヌクレオチドと、非イオン性コポリマー、特に式(I)または(II)の非イオン性コポリマーとの、上述の組み合わせ使用に関する。この医薬組成物または免疫化組成物は、特に、感染症またはガンを治療または予防することを目的とした免疫反応、特に体液性免疫反応を誘導するのに必要とされる。
【0027】
免疫化および免疫療法の分野で有用な本発明の組成物は、これらの分野で一般的に用いられるいかなる経路、特に、粘膜経路、例えば経口的経路、胃内経路および鼻腔内経路、または、非経口的経路、例えば筋肉内経路、皮内経路、表皮内経路および皮下経路で投与され得る。有利には、ガンを治療するのに有用な組成物は、腫瘍部位または組織のできる限り近くに投与される。当該組成物が充実性腫瘍を治療することを目的とする場合、その投与は、腫瘍のまさにその部位に、特に直接注射により実行することができる。
【0028】
一般的に、投与されるポリヌクレオチドの量は、例えば治療または予防される疾患、ポリヌクレオチドそのものの特徴、例えばアンチセンスRNA/DNAまたはプラスミドDNA、プラスミドベクターのプロモーターの強度、遺伝子により発現された産物の生物活性のような多数の要素、本組成物が対象とする個体または動物(すなわち哺乳動物)の身体的な状態(体重、年齢等)、投与方法、および、配合物のタイプに依存する。一般的に、治療または予防的観点において成人に投与され得る有効な用量は、約10μg〜約5mg、好ましくは約100μg〜約5mg、最も特に好ましくは約250μg〜約3mgである。投与は、1回の用量で行ってもよいし、または、間を置いて繰り返し行ってもよい。
【0029】
本発明の組成物は、遺伝子治療、ワクチンまたは免疫療法分野での使用における規制に従って、従来どおりに製造することができる。特に、組成物は薬学的に受容されるビヒクルを含み、固体(例えば凍結乾燥形態)でも、または液状でもよい。必要に応じて、当該固形は投与用の液体媒体中で再構成されてもよい。
次の図を参照して本発明を以下で説明する。
【0030】
実験
材料および方法
動物
メスのBalb/CマウスをCharles River Laboratories(Les Oncins, France)から購入し、スイス、C57B1/6およびウィスターラットをJanvier Elevage(Le Genest St Isle, France)から購入した。マウスをよびラットを8週齢、400〜450gでそれぞれ用いて、French National Institutes of Health for animal experimentationのガイドラインに従って収容し、世話をした。
【0031】
プラスミド
プラスミドpCMV−luc(Ferrari et al, Gene Ther.(1997)4: 1100)、pCMVβ−gal(クロンテック社製)pCMV−GFP(クロンテック社製)およびpM−1068は、それぞれルシフェラーゼ、β−ガラクトシダーゼ、緑色蛍光タンパク質、および、HIV Gag/Pol/Nef融合タンパク質をコードする合成遺伝子を含み、それらはそれぞれヒトサイトメガロウイルス前初期遺伝子(CMV IE1)プロモーターの制御下である。HIVキメラは、ヒトにおけるT細胞エピトープ免疫優性(immunodominant)であることが知られているPolおよびNefタンパク質のペプチドに融合した全長コドン最適化gag遺伝子で構成される(Deml et al, J. Virol.(2001)75(22):10991)。同PolおよびNefエピトープは、ALVAC−HIV vCP1456により発現される(Jin et al, J. Virol.(2002)76(5):2206)。
プラスミドpCMV−SeAP(またはVR−SeAPとも称される)およびpCMV−HA(VR−HA)を、基幹をVical由来とするVR1012を用いて構築した(Hartikka et al, Hum. Gene Ther.(1996)7(10):1205)。それらは、それぞれ、CMV IE1プロモーターとウシ成長ホルモンポリAシグナルとの制御下に、分泌されたアルカリホスファターゼ(SeAP)とインフルエンザウイルスヘマグルチニン(HA)遺伝子とを含む。
プラスミドは、EndoFreeプラスミド精製カラム(キアゲン社、Courtaboeuf, France)を用いて組換え大腸菌から精製された。0.8%アガロースゲル電気泳動実験によれば、プラスミドが本質的にスーパーコイルであるであることが示された。
【0032】
Lutrolを用いたプラスミドDNAの調製
Lutrol(またはF68とも称される)、ポリ(エチレンオキシド)75−ポリ(プロピレンオキシド)30−ポリ(エチレンオキシド)75ブロックコポリマーは、BASF社からの贈与品である。ストック溶液を水中20%(w/v)で調製し、4℃で保存した。Lutrol/プラスミドDNA配合物は、等量の10%Lutrol(2×F68)と、300mMのNaCl(1.8%NaCl)、50mMのHepes緩衝液中の2×プラスミドDNA溶液とを混合することによって調製され、50μl溶液(150mMのNaCl(0.9%)中に5%(w/v)Lutrolを含む)当たり必要な最終濃度のDNAが得られた。150mMのNaCl中の裸のDNA溶液もコントロールとして用いた。
【0033】
筋肉注射
400μlのエトミデート(Hypnomidate 2mg/ml、Janssen−Cilag, Issy−les−Moulineaux, France)、または、ケタミン(Imalgen500、Merial, Lyon, France)とキシラジン(Rompun2%、Bayer Puteaux, France)との混合物を腹膜内注射することにより、マウスを麻酔した。前脛骨筋(tibial cranial muscle)の上の皮膚の毛を剃り、動物に50μlの裸のDNAまたは配合DNAを注射した。DNA免疫化のために、Balb/Cマウスの筋肉内に3週の間隔で2回注射した。Zoletil ND(Virbac, Carros, France)を30mg/kg腹膜内注射することにより、ラットを麻酔した。500μgの裸のDNAまたは配合DNAを含む500μlをラットの前脛骨筋に注射した。
【0034】
アルカリホスファターゼ活性の測定
SeAPは、クロンテック社製のキット(Great Escape K−2041−1)を用いて分析された。簡単に言えば、15μlの血清を96−ウェルプレートのウェルごとに分配し、45μlの1×希釈緩衝液を加える。内因性のアルカリホスファターゼを不活性化するためにプレートを65℃で30分間インキュベートし、続いて4℃に冷却し、室温で放置する。続いてウェル当たり60μlの試験緩衝液を加え、プレートを室温で5分間インキュベートする。ウェル内容物を黒い96−ウェルプレート(Microfluor, Dynatech)に移送する。続いて、20倍に希釈したCSPD(3−(4−メトキシ−スピロ(l,2−ジオキセタン−3,2’−(5’−クロロ)トリシクロ[3,3.1.13.7]デカン)−4−イル)フェニルリン酸二ナトリウム)を60μl加え、次に室温で20分間インキュベートする。Victor−1420ルミノメーター(Wallac)を用いて、アルカリホスファターゼ活性を反映した化学発光シグナルを測定する。
上記キットに添付の組換えSeAP(0.1mg/ml)を用いた標準範囲(10−7〜10−1の希釈、すなわち0.01〜10,000pg/μl)のSeAPが含まれる。この標準範囲の回帰線により、光量単位(RLU)を用いてSeAP発現をpg/mlに変換することができる。
【0035】
ルシフェラーゼ活性の測定
特に指定のない限り、前脛骨筋へのDNA注射の7日後にマウスを屠殺した。それぞれの注射された筋肉を取り除き、液体窒素中で冷凍し、プロテアーゼ阻害剤カクテル(Complete, Roche Diagnostics, Mannheim, Germany)を添加した1mlのレポーターリシス緩衝液(プロメガ社、Charbonnieres, France)中でホモジナイズした。1000rpmで4分間の遠心分離の後、10μlの上清のルシフェラーゼ活性をVictor2(パーキンエルマー社、Les Ullis, France)で測定した。100μlのルシフェラーゼ基質(プロメガ社、Charbonnieres, France)を添加後5秒間、光の放射を測定した。精製ルシフェラーゼ(シグマ社)を用いて注射されていないマウスの前脛骨筋で調製された標準曲線が、各マイクロプレートに対して含まれる。結果を筋肉当たりのルシフェラーゼ(pg)+/−SEMで示した。
【0036】
組織学的分析
pCMV−βgalプラスミドDNA/Lutrol複合体を筋肉注射した後7日目に、前脛骨筋を4%の新しいパラホルムアルデヒド中で20分間固定し、PBS(2mMのMgCl2、0.01%デオキシコール酸ナトリウム、0.4%NP40を含む、pH7.4)で30分間3回洗浄した。続いて、1mg/mlの5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトピラノシド(Euromedex, France)を含むX−gal溶液(PBS中、2mMのMgCl2、0.01%デオキシコール酸ナトリウム、0.4%NP40、5mMフェリシアン化カリウム、5mMフェロシアン化カリウム、pH7.4)中で、筋肉を37℃で一晩インキュベートした。最後に組織をパラフィンに埋め込み、4μm切片にカットした。200μmごとに1つの切片をマウントし、Kernechtrot溶液で対比染色した。
【0037】
抗体反応の測定
体液性反応は、Haensler et al, Vaccine(1998)17(7−8):628で説明されたELISA分析により研究され、ここで不活性化インフルエンザウイルスA/PR/8/34または組換えHIV P24(Gagタンパク質)がコーティング抗原として用いられる。
免疫化前と、2回目のDNA配合物注射の14日後とに、血清サンプルを麻酔したマウスから回収した。インフルエンザウイルスとP24とに特異的な抗体(トータルIgGおよび/またはIgGサブクラス)をELISAで測定した。全体の不活性化インフルエンザウイルス(A/PR/8/34)および組換えP24を用いて、ウェルを被覆した。血清サンプルを1/100〜1/204800に希釈した。ペルオキシダーゼ標識ヤギ抗マウスIgG(Jackson ImmunoResearch Laboratories, Interchim, Montlucon, France)を1/30000に希釈した。プレートを分光光度計(Vmax Plate reader, Molecular Devices, BioTime, St−Gregoire, France)を490〜650nmで用いて読み取った。実験データからブランクの平均値を引いた。抗インフルエンザウイルスおよび抗P24のタイターは、各ELISAプレートに含まれる標準A/PR/8/34およびP24−特異的マウス血清の4−パラメーターの回帰曲線からそれぞれ計算された。標準のタイターは、10の独立した実験から式:OD(490〜650nm)×10/1/希釈に従って予め決定されていた。免疫化後のその特異的なタイターが免疫前のタイターの平均より少なくとも0.5log10高い場合に、抗血清が陽性であるとみなした。
【0038】
ELISPOT
ニトロセルロースで裏張りされたマイクロタイタープレート(96−ウェルマルチスクリーンMAプレート、Millipore St Quentin Fallavier, France)を、一次抗γ−IFN抗体(#18181D Pharmingen, Pont de Claix, France)(リン酸緩衝食塩水(PBS)中で10μg/ml)で室温で1時間被覆した。プレートをRPMI培地(Gibco BRL, Life Technologies, Cergy Pontoise, France)で1時間ブロックし、PBSで洗浄した。2回目の免疫化後12日目に回収された脾細胞を、10%ウシ胎児血清(FCS)および抗生物質を含むRPMI培地中に再懸濁した(HA DNA免疫化マウスからの脾細胞は2×106個の細胞/mlの濃度で、または、HIV DNA免疫化マウスからの脾細胞は4×106個の細胞/mlの濃度で)。マウスIL−2(ベーリンガー社製)を加え、最終濃度を20U/mlにした。100μlの細胞懸濁液を抗サイトカイン被覆プレートに3連で分配した。H−2Kd分子で制限されたA/PR/8/34HA2細胞障害性Tリンパ球(CTL)エピトープ(IYSTVASSLVL)、または、A/PR/8/34核タンパク質CTLエピトープ(TYQRTRALVTG、ネガティブコントロール)に相当するペプチドを、最終容積200μl中、最終濃度20μg/mlで、HA DNA免疫化マウスからの脾細胞に加えた。H−2Kd分子で制限されたgag細胞障害性Tリンパ球(CTL)エピトープ(AMQMLKETI)、または、A/PR/8/34核タンパク質CTLエピトープ(TYQRTRALVTG、ネガティブコントロール)に相当するペプチドを、最終容積200μl中、最終濃度20μg/mlで、HIV DNA免疫化マウスからの脾細胞に加えた。プレートを、37℃の加湿した5%CO2インキュベーターで18時間インキュベートした。続いて、プレートを0.05%Tween20を含むPBSで洗浄し、ビオチン化抗γ−IFN抗体(#18112D Pharmingen, France)1μg/mlで、室温で2時間被覆した。続いて、プレートをPBS Tweenで洗浄し、ペルオキシダーゼ標識ストレプトアビジン(#7100−05 Southern Biotechnology, Clinisciences, Montrouge, France)で処理した。プレートを室温で1時間インキュベートし、充分に洗浄した。最後の洗浄の後、3−アミノ−9−エチルカルバゾールペルオキシド基質の溶液を加えることにより、γ−IFN分泌細胞を可視化した。スポットをイメージアナライザー(Microvision Instruments, Evry, France)で計数し、値を手動計数により確認した。3連ウェルのスポット数を平均することにより、γ−IFN生産細胞の頻度を計算した。非抗原ウェル(γ−IFNスポットが10個未満)からのスポット平均値を引いた。
【0039】
結果
Lutrol/DNA配合物のトランスフェクション活性
5%F68の存在または非存在下でのインビボでのトランスフェクションの後、SeAPまたはルシフェラーゼをコードする遺伝子の発現レベルを研究した。
図1に示されるように、血清サンプルで測定されたSeAP活性は、5%F68の存在によりSeAP発現レベルが約11倍に高められたことを示す。
図2に示されるように、トランスフェクトされたマウス前脛骨筋で測定されたルシフェラーゼ活性は、裸のDNAよりLutrol/DNA配合物のほうが、ルシフェラーゼ発現を高めることにおいてより活性であることを示す。ルシフェラーゼ発現の時間経過は(図2A)、ルシフェラーゼが、DNAまたはLutrol/DNA配合物の筋肉注射後6時間にすでに合成されたことを示す。ルシフェラーゼ発現は次第に増加し、3日目でプラトーに達する。7日目で、ルシフェラーゼ活性のわずかな減少が検出される。これらの4つの時点で、ルシフェラーゼ活性は、裸のDNAよりLutrol/DNA配合物を用いたほうが大きい(6時間で2.5倍〜7日目で11倍)。ルシフェラーゼ発現は、マウス前脛骨筋に注射されたプラスミドDNA量の作用により直線的に増加し、例えば50μgの裸のDNAは、5μgの裸のDNA活性より9倍大きいルシフェラーゼ活性を発生させる(図2B)。その反対に、前脛骨筋に注入されたLutrol/DNA配合物では、注射したプラスミド量に直接比例したルシフェラーゼ発現は生じず、なぜなら50μgの5%Lutrol配合DNAは、5μgの配合したDNAより60倍大きいルシフェラーゼ発現を生じさせるためである。裸のDNAまたは5%Lutrol配合DNAをBalb/C、スイスおよびC57B1/6マウスの前脛骨筋に注入することによるルシフェラーゼ発現の研究により(図2C)、マウス系に関係なく、5%Lutrolの存在により遺伝子発現が改善されることが示される。
【0040】
レポーター遺伝子発現のインビボでの生体内分布
裸のDNA(図3A)またはLutrol/DNA配合物(図3B、CおよびD)を筋肉注射した後7日目のマウス前脛骨筋の、β−ガラクトシダーゼレポーター遺伝子を用いた組織学的分析によれば、Lutrol/DNAの関係が、β−ガラクトシダーゼ酵素を発現する筋線維の数を増加させることを示す。β−ガラクトシダーゼ発現筋原線維の数は、裸のDNAまたは2および5%Lutrol配合DNAを注射された各マウス組織断面で計数された。陽性の線維の数は、裸のDNAを筋肉注射されたもので得られた数より、2および5%Lutrol配合DNAの方が、それぞれ4および10倍高い(図3F)。組織断面の検査によれば、輸送遺伝子発現のレベルは筋原線維と他で可変的であり、Lutrol/DNA配合物でトランスフェクトされた筋原線維は、平均して、裸のDNAでトランスフェクトされた筋原線維より高いレベルでβ−ガラクトシダーゼを発現することが示される。前脛骨に近い筋肉におけるβ−ガラクトシダーゼ活性の分析によれば、導入遺伝子発現は注射された筋肉に限られることが示される。Lutrolが導入遺伝子を発現する筋原線維の数を強化するという観測結果を補強するために、β−ガラクトシダーゼの代わりに緑色蛍光タンパク質を用いてこの方法を繰り返した。組織断面によれば、プラスミドDNAを混合した5%Lutrolが、GFPを発現する筋原線維の数の増加をもたらすことが再度示される(図3FおよびG)。
【0041】
他の動物種における我々の遺伝子デリバリーシステムを確認するために、ラットの前脛骨筋に、裸のpCMVβ−galプラスミドDNAまたはLutrol/DNA配合物を注射した。Lutrol/DNA配合物を注射されたラットからの前脛骨筋の顕微鏡検査によれば(図4B)、裸のDNAを受容した筋肉(図4A)と比べて、トランスフェクトされた線維のパーセンテージの顕著な増加が示される。代表的なラットの前脛骨筋断面の光学顕微鏡写真において、可変的な青色の強度が観察され、β−ガラクトシダーゼ発現レベルが筋原線維と他で異なることが示される。より高い倍率のこれらの組織断面によれば、筋内膜および毛細血管における細胞の近辺でβ−ガラクトシダーゼ酵素も見出されたことが示される(図4D)。
【0042】
Lutrol存在下でのDNA免疫化
DNA免疫原性に対するLutrolの影響を評価するために、CMVプロモーターの制御下でインフルエンザウイルスA/PR/8/34(H1N1)のHAタンパク質をコードするプラスミドを、マウス前脛骨筋に注射し、5週間後に血清のタイターをELISAで測定した(図5A)。
1μgの裸のHAプラスミドの注射では、試験された6匹のマウスにおいて低い特異的なIgG抗体のタイターしか得られず、セロコンバージョンは観察されない。それに対して、10μgのDNAを含むLutrol/DNA配合物を筋肉注射することにより、6匹の動物中4匹においてセロコンバージョンを伴い、抗HAタイターの規模が110倍増加する。10μg用量に関して、Lutrol/DNA配合物は、陽性の抗血清の幾何平均タイターが9倍(4.52〜3.58log10)に増加し、全てのマウスがセロコンバージョンを起こす。Lutrol配合プラスミドDNA(50μg)での免疫化では、抗体タイターまたはセロコンバージョンを起こしたマウスの数のいずれも改善されない。以前の実験では、50μgのプラスミドDNAの筋肉注射により、特異的な抗IGgタイターがプラトーレベルに達し、セロコンバージョンのパーセンテージが100%に達することが示された(データ示さず)。
【0043】
プラスミドDNA免疫化のその他のモデルを用いて、Lutrol/DNA配合物が実際に免疫反応を強化できるかどうかを決定することを確かめた。HIVgag、polおよびnefタンパク質をコードするプラスミドDNAを用いた(pM−1068)。食塩水中のプラスミドDNAまたは5%Lutrol配合のプラスミドDNAの様々な濃度を筋肉注射することによりBalb/Cマウスを免疫化し、抗p24抗体タイター測定のために5週間後に血清を回収した。図5Bによれば、食塩水中のプラスミドDNAまたは5%Lutrol配合プラスミドDNAいずれかを1および3μgを注射したマウスでは、特異的なIgG抗体は非常に低いことが示される。10、30および100μgの裸のプラスミドDNAを用いれば、それぞれ6匹マウスのうち3匹、6匹マウスのうち6匹、および6匹マウスのうち6匹において、セロコンバージョンを伴い、より高い反応が得られる。10、30および100μgのプラスミドDNAを含むLutrol/DNA配合物の筋肉注射により、それぞれ、裸のDNAに対して100、10および4倍の平均抗体タイターの増加が生じる。10μg用量に関しては、5%Lutrolの存在により、セロコンバージョンを起こした動物の数が、6匹のうち3匹から、6匹のうち6匹に増加する。
要するに、これら2種の免疫化モデルを用いた結果により、Lutrolが、DNA免疫化により誘導される体液性反応を顕著に強化するのに有用であることが確認できる。
【0044】
Lutrol/DNA配合物の筋肉注射後の細胞性応答
プラスミドpCMV−HAおよびpM−1068の追加免疫注射の後それぞれ2および3週間目に、DNA免疫化で誘導された細胞性応答に関するLutrolの効果を研究し、脾臓細胞を回収し、CTLエピトープを含むペプチドでの刺激でγ−IFNを生産するHAまたはp24に特異的なT細胞存在に関して、ELISPOTで試験した。図6AおよびBによれば、前脛骨へ注射されたDNAの量が、明らかにスポット数に依存していることが示された。平均の応答は、5%Lutrolの存在下でより高いが、その差は統計的に有意ではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】
裸のプラスミドVR−SeAP(1)または5%Lutrol配合プラスミドVR−SeAP(2)のいずれか(10μg)を筋肉注射したBalb/Cマウスで生産された分泌アルカリホスファターゼ(SeAP)の発現を示す。6匹のマウスからなる2つの群を構成した。容量100μl未満の10μgのプラスミドを、各マウスの各前脛骨筋へ続けて2回(各50μl)注射することにより投与した。7日後、血液サンプルを回収し、血清をSeAP活性に関して試験した。
【図2】
図2Aは、裸のプラスミドpCMV−luc(黒四角)または5%Lutrol配合プラスミドpCMV−luc(白丸)のいずれかを筋肉注射することによって生じたルシフェラーゼ発現の時間経過を示す。各群において6個の前脛骨筋が含まれる。スイスマウスの各前脛骨筋に裸のDNA(コントロール群)または配合DNAいずれかを15μg含む食塩水(50μl)を注射した。6時間〜7日後、ルシフェラーゼ活性を測定するために、筋肉を回収し、リシス緩衝液の存在下でホモジナイズした。その結果を、合成されたルシフェラーゼ量の平均として筋肉当たりのルシフェラーゼ(pg)で示す。SEMは、標準誤差である。
図2Bは、ルシフェラーゼ発現が注射されたDNAの量に依存することを示す。6個の前脛骨筋からなる2つの群を構成した。スイスマウスの各前脛骨筋に、裸のpCMV−luc(コントロール群)または5%Lutrol配合pCMV−lucのいずれかを5、25または50μg含む配合物(50μl)を注射した。7日後にルシフェラーゼ活性を測定した。その結果を、筋肉当たりのルシフェラーゼの量(pg)として示す。
図2Cは、容積50μl未満の裸のプラスミドpCMV−luc(白バー)または5%Lutrol配合プラスミドpCMV−luc(黒バー)のいずれか15μgの筋肉注射により生じたルシフェラーゼ発現に関するマウス系の影響を示す。様々な系、すなわちBalb/C、スイスおよびC57B1/6からの6個の前脛骨筋の群を構成した。7日後、ルシフェラーゼ活性を測定した。その結果を、筋肉当たりの生産されたルシフェラーゼ(pg)の平均として示す。
【図3】
図3A〜Dは、容積50μl未満の裸のpCMVβ−gal(3A)または5%Lutrol配合pCMVβ−gal(3B、CおよびD)のいずれか50μgをスイスマウスの前脛骨筋に注射した後7日で可視化した、β−ガラクトシダーゼ発現の生体内分布を示す。
図3Eは、容積50μl未満の裸のpCMVβ−gal(白バー)または2もしくは5%Lutrol配合pCMVβ−gal(黒バー)のいずれか50μgを注射した後に得られた青色の筋原線維平均数を示す。最も高いトランスフェクションレベルを示した組織断面を用いて青色の細胞数を数えた。データは、各群における平均+/−SEM(n=6)として示される。
図3Fおよび3Gは、裸のプラスミドDNA pCMV−GFP(3F)または5%Lutrol配合プラスミドDNA pCMV−GFP(3G)のいずれかを注射した後7日後の、前脛骨筋の組織断面を表す。
【図4】
図4A〜Dは、容積500μl未満の裸のpCMVβ−gal(4Aおよび4C)または5%Lutrol配合pCMVβ−gal(4Bおよび4D)のいずれか500μgを筋肉注射した後の、ラットの前脛骨筋におけるβ−ガラクトシダーゼ活性の組織学的分析を示す。図4Cおよび4Dは、それぞれ4A〜4Bの拡大像を表す。
【図5】
図5Aおよび5Bは、裸の(白バー)または5%Lutrolと配合された(黒バー)いずれかの様々な量のプラスミドpCMV−HA(1、10および50μg、容積50μl未満)およびpM−1068(1、3、10、30および100μg、容積50μl未満)をBalb/Cマウスの筋肉内に注射することにより生じた、A/PR/8/34インフルエンザ系(5A)またはHIVp24(5B)に対するIgG抗体反応をそれぞれ示す。6匹のマウス群を構成した。0日目および21日目にマウスに用量を投与した。2回目の注射から2週間後に血清サンプルを回収し、抗A/PR/8/34(5A)および抗p24(5B)トータルIgGに関してELISAでアッセイした。結果を平均の抗体タイターとしてプロットし、ここでエラーバーはSEMを示す。
【図6】
図6Aおよび6Bは、裸の(白バー)または5%Lutrolと配合された(黒バー)いずれかの、様々な量のプラスミドpCMV−HA(1、10および50μg、容積50μl未満)およびpM−1068(1、3、10、30および100μg、容積50μl未満)をBalb/Cマウスの筋肉内に注射することにより生じた、A/PR/8/34インフルエンザ株(6A)またはHIV p24(6B)に対するγ−IFN生産細胞の免疫をそれぞれ示す。6匹のマウス群を構成した。0日目および21日目にマウスに用量を投与した。2回目の(追加免疫)注射から12日後に脾臓細胞を回収し、ELISPOTによりγ−IFN生産細胞をアッセイした。各バーは、106個の細胞当たりのγ−IFNを分泌する細胞の数の平均+/−SEMを示す。
本発明は、ポリヌクレオチドを真核細胞に輸送する方法、および、免疫化などの様々な治療分野におけるその使用に関する。
【0002】
1980年代の終わりまでに、インビボでの遺伝情報の輸送は、遺伝物質がリポソームにカプセル化されているか、または、ウイルスベクターに統合されているかのいずれかの場合にのみ検出可能であることが一般的に認識されていた。その後、検出手段が改善されるにつれ、「裸のDNA」の発現が実際に起こり得ることが示された。これは、等張水溶液中のDNAを用いて、単なる注射器を用いて筋肉内または皮内に注射することによって示された(Wolff et al., Science(1990)247:1465)。しかしながら、この発見は、大量のDNAが必要であるというそれ自体の制限を有していることがすぐに明らかにもなった。これは、例えば遺伝子治療または免疫化の分野における、いわゆる「DNA技術」の開発を妨げ得る実際に深刻な欠点であった。そこで、逆戻りして、細胞および/または核へのトランスフェクションの効率を高めることを目的として、DNAを様々な化学薬品と配合する試みが提案された。
【0003】
先の10年で、全領域の生産物がこの効果に関して試験された。最もよく知られた化合物としては、PLGA微粒子、カチオン脂質、例えばDOTMA(N−[1−2,2−(ジオレイルオキシ)プロピル]−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド)、リポポリアミンおよびポリリシンタイプのカチオン性ポリマーが挙げられる。これらの化合物は、ポリヌクレオチドに結合することができ、それらのトランスフェクションを促進すると考えられるが、それらのうちいずれも、完全に満足のいく結果は長期で得られなかった。実際に、配合ポリヌクレオチドの有効性は、全体的に、非配合ポリヌクレオチドの有効性とせいぜい同程度であった。
【0004】
またあいにく、これら複合体のいくつかは、安定性を欠いていることもある。それゆえに、カチオン性のトランスフェクト剤(transfecting agent)/ポリヌクレオチド複合体を安定化する非イオン界面活性剤のような第二の化合物を加えることが提案されている(WO98/34648)。この界面活性剤は、特に、ポリオキシアルキレン、例えばBASF社販売のPluronics(R)F68が挙げられ、これはまたLutrolの名前でも知られている。
【0005】
現在、F68のような化合物はまた、安定化目的に必要とされる量よりわずかに多い十分な量で加えられる場合、いかなるカチオン性分子が存在しなくてもトランスフェクションレベルに直接作用させることができる、ということが見出されている。
【0006】
この理由のために、本発明は、ポリヌクレオチドと、少なくとも2%(重量/容積)の式(I)OH(CH2CH2O)a(CH(CH3)CH2O)b(CH2CH2O)cH[式中、a、bおよびcは、ポリオキシプロピレン部分の分子量が1450〜2050であり、ポリオキシエチレン部分がコポリマーの75〜85%(重量:重量)を構成するような値である]の非イオン性コポリマーとを含む医薬組成物に関する。
【0007】
他の実施形態において、本発明はまた、活性な治療物質としてポリヌクレオチドを含む薬剤を製造するための、式(I)OH(CH2CH2O)a(CH(CH3)CH2O)b(CH2CH2O)cH[式中、a、bおよびcは、ポリオキシプロピレン部分の分子量が1450〜2050であり、ポリオキシエチレン部分がコポリマーの75〜85%(重量:重量)を構成するような値である]の非イオン性コポリマーの使用に関し、当該使用は、前記薬剤を必要とする個体の細胞への前記ポリヌクレオチドの輸送、および/または、前記薬剤を必要とする個体の細胞における前記ポリヌクレオチドの発現を改善するためであり、前記コポリマーは、少なくとも2%(重量:容積)の濃度で前記ポリヌクレオチドに加えられる。
【0008】
また、本発明は、ポリヌクレオチドを真核細胞に輸送する方法に関し、当該方法は、細胞と、少なくとも2%(重量:容積)の式(I)OH(CH2CH2O)a(CH(CH3)CH2O)b(CH2CH2O)cH[式中、a、bおよびcは、ポリオキシプロピレン部分の分子量が1450〜2050であり、ポリオキシエチレン部分がコポリマーの75〜85%(重量:重量)を構成するような値である]の非イオン性コポリマーを配合したポリヌクレオチドとを接触させることを含む。
【0009】
典型的には、本発明は、(i) 本発明に係る組成物を哺乳動物またはその他いかなる動物に投与することを含む、インビボでポリヌクレオチドを輸送する方法;または、(ii) 哺乳動物細胞(またはその他いかなる動物に由来する細胞)と、本発明に係る組成物とを接触させることを含む、インビトロまたはエクスビボでポリヌクレオチドを輸送する方法で有り得る。エクスビボでの輸送方法に関して、哺乳動物細胞を予め生物から採取し、それらがポリヌクレオチドを取り込んだら、該生物中にさらに再移植することができる。
【0010】
有利には、本発明に係る組成物は、カチオン脂質およびリン酸ナトリウムを含まない。必要に応じて、本発明に係る組成物はまた、塩化ナトリウム、塩化カリウムおよび塩化マグネシウムからなる群より選択される化合物を、好ましくは等張または高張な量で含み得る。
【0011】
本発明の使用に関して、上記の記載に相当する非イオン性コポリマーは、典型的には、BASF社販売のPluronic(R)F68である。その平均分子量は8400と推定され、親水性ポリオキシエチレン成分は、総重量の約80%を示す。この製品は20℃で固形である。室温で、水溶液中、式(I)のコポリマーは、かなり広い濃度範囲(例えば1〜15%)で球形のミセルを形成する。室温では、例えば1〜15%の式(I)のコポリマーを含む水溶液は、液状である。より高い温度では、液状の溶液はゲルに変化し、続いてペーストになる。より詳細な情報は、Alexandridis P., Current Opinion in Colloid & Interface Science(1997)2:478で見出すことができ、これは、参照により本発明に組み込まれる。
【0012】
有利には、本発明に係る医薬組成物は、2〜15%、好ましくは2〜10%、最も好ましくは約5%の式(I)のコポリマーを含む。
【0013】
本発明における使用に関して、上記ポリヌクレオチドは、ポリデオキシリボヌクレオチドまたはポリリボヌクレオチドのいずれでもよい。それらの起源は問題ではなく、天然または人工;ゲノムDNAまたは相補DNA;トランスファーRNAまたはリボゾームRNAが挙げられる。それらは、特に、動物、ヒト、植物、細菌またはウイルス起源であり得る。
【0014】
治療薬としてのそれらの機能は、特に、宿主細胞における遺伝子発現またはmRNA転写を制御することによりアンチセンス分子として作用することであり得る。また、それは、所定のポリペプチド、例えばタンパク質を真核細胞で発現させることができるポリヌクレオチドであり得る。
【0015】
特定の実施形態によれば、上記ポリヌクレオチドは、宿主細胞による発現に関し、治療的に重要なタンパク質、ポリペプチドまたはペプチドを動作可能なようにコードし、これは受容生物の機能障害を克服するのに有用である。それゆえに、本発明に係る組成物はインビボまたはエクスビボの遺伝子治療に有用である。
【0016】
また、上記ポリヌクレオチドは、ヒトまたは動物においてそれに対する免疫反応を生じさせることが可能なポリペプチドを動作可能なようにコードすることができ、特に該ポリペプチドは、病原体(感染因子)または腫瘍状態(腫瘍関連抗原)に特異的である。
【0017】
それゆえに、この特定の実施形態によれば、本発明は、特に、感染症、例えばウイルスまたは細菌の感染症、もしくはガンを治療または予防するための、ワクチンの調製、または、ヒトまたは動物に適用される免疫療法治療をもたらす。
【0018】
この後者の実施形態における使用に関して、上記ポリヌクレオチドはDNAが有利であり、好ましくはベクターの形態、すなわちプラスミドベクターの形態である。安全性の理由で、このようなベクターは非感染性であり、宿主生物中で複製されない。加えてこのようなベクターは、宿主生物のゲノムに統合する能力を実質的に欠いている。治療的ポリペプチドまたは抗原性ポリペプチドをコードするDNA配列は、宿主生物中でのその発現に必要な要素の制御下に置かれる。この目的のために、サイトメガロウイルス(CMV)初期プロモーターを用いることが一般的な方法である。
【0019】
上述したように、本発明に係る医薬組成物は、インビボまたはエクスビボの遺伝子治療目的に用いることができる。この理由に関して、その他の観点に従い、本発明はまた、遺伝子の欠乏または欠失により誘導された疾患を治療する方法に関し、当該方法は:
疾患を治すことが可能な遺伝子を含むポリヌクレオチドと、少なくとも2%(重量/容積)の式(I)の非イオン性コポリマーとを含む組成物を、このような治療を必要とする患者に投与すること;または、
このような治療を必要とする患者から適切な細胞を収集すること、これらの細胞と、(a)疾患を治すことが可能な遺伝子をコードするポリヌクレオチドと、(b)少なくとも2%(重量/容積)の式(I)の非イオン性コポリマーとを含む組成物とを、細胞がトランスフェクトされるように接触させること、および、トランスフェクトされた細胞を患者に再移植することを含む。
【0020】
遺伝子治療に有用な組成物は、治療的な遺伝子、すなわち治療効果を示すポリペプチドをコードする遺伝子を含むポリヌクレオチドを含む。このタンパク質産物は、標的細胞に関して同種(すなわち、標的細胞が病的な状態を示さない場合、標的細胞で通常発現される産物)であり得る。この場合、本発明に係る組成物の投与の後に続くポリペプチドの発現は、例えば、不十分な発現、または、不活性もしくは弱い活性のタンパク質の発現を克服することを可能にする。また、治療的な遺伝子は、高められた安定性、改変された活性等を有する細胞性ポリペプチドの変異型をコードしてもよい。また、該ポリペプチドは、標的細胞に関して異種でもよく、例えば、不十分な活性または異常な活性を補足したり、導入したり、または、改変したりできる。
【0021】
この観点において、本発明はまた、遺伝的障害を治療するための薬剤の製造における、遺伝子欠失を修正することが可能なポリペプチドをコードするポリヌクレオチドと、非イオン性コポリマー(特に式(I)または(II)のコポリマー)との、上述の組み合わせ使用に関する。
【0022】
インビボでの治療上の処置において、本発明に係る組成物は、いかなる特定の除外なしに、治療に最も適切な経路で投与することができ、一般的に、局所、皮膚、経口的、直腸、膣、非経口的、鼻腔内、筋肉内、皮下、眼内、皮内等に投与することができる。
【0023】
また、本発明に係る組成物は、免疫化(例えばワクチン接種)および免疫療法の分野においても有用であり得る。この場合、当該組成物は、抗原性産物をコードする配列を含むポリヌクレオチドを含み、当該抗原性産物は、本質的にはタンパク質(タンパク質、ポリペプチド、ペプチド等;包括的にポリペプチドと称される)であり、例えば、いかなる病原体もしくは感染因子(例えば病原性ウイルスまたは細菌)により自然状態下で発現されるポリペプチド、または、腫瘍状態または腫瘍条件で特徴的に異常発現する哺乳動物のポリペプチド(腫瘍関連抗原)であり得る。従ってこれは、感染因子特異的ポリペプチドまたはガン特異的ポリペプチドと称される。
【0024】
ヒトを免疫にするための本発明に係る組成物の使用は、式(I)の非イオン性コポリマーが、非配合ポリヌクレオチドで観察された抗原に対する抗体反応に比べて、該反応を顕著に高めることができるため、特に有利である。実際に、裸のDNAまたは既知のDNA配合物を用いた免疫化は、一般的に細胞性免疫反応を高めるが、その一方で体液性反応はわずかしか誘導されない。驚くべきことに、本発明の組成物は、良好な抗体反応を誘導するのに有用であることが見出された。
【0025】
適切なレベルでの抗体反応の誘導を促進することは、式(I)のコポリマーの特別な特性ではない。様々なタイプの非イオン性コポリマー(非イオン性ポリオールまたは誘導体)も、同じ効果を生じさせることができる。この目的のために、ポリマー内のポリオキシアルキレンは、特にアルキレン基を有するポリオキシアルキレンが可能であり、当該アルキレン基の長さまたはコンフォメーションは異なっていても同一でもよく、特に、ポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレンのブロックコポリマー、例えばPaschalis P.(上記)で説明されたブロックコポリマー、例えばポロキサマー(poloxamer)およびポロキサミン(poloxamine)が挙げられ、特に、式(II) OH(CH2CH2O)a(CH(CH3)CH2O)b(CH2CH2O)cH[式中、a、bおよびcは、ポリオキシプロピレン部分の分子量が1000〜4000であり、ポリオキシエチレン部分がコポリマーの10〜85%(重量:重量)を構成するような値である]に相当するブロックコポリマーが挙げられる。
【0026】
この観点において、本発明はまた、感染症またはガンを治療または予防するための薬剤の製造における、病原菌またはガンに特異的なポリペプチドをコードするポリヌクレオチドと、非イオン性コポリマー、特に式(I)または(II)の非イオン性コポリマーとの、上述の組み合わせ使用に関する。この医薬組成物または免疫化組成物は、特に、感染症またはガンを治療または予防することを目的とした免疫反応、特に体液性免疫反応を誘導するのに必要とされる。
【0027】
免疫化および免疫療法の分野で有用な本発明の組成物は、これらの分野で一般的に用いられるいかなる経路、特に、粘膜経路、例えば経口的経路、胃内経路および鼻腔内経路、または、非経口的経路、例えば筋肉内経路、皮内経路、表皮内経路および皮下経路で投与され得る。有利には、ガンを治療するのに有用な組成物は、腫瘍部位または組織のできる限り近くに投与される。当該組成物が充実性腫瘍を治療することを目的とする場合、その投与は、腫瘍のまさにその部位に、特に直接注射により実行することができる。
【0028】
一般的に、投与されるポリヌクレオチドの量は、例えば治療または予防される疾患、ポリヌクレオチドそのものの特徴、例えばアンチセンスRNA/DNAまたはプラスミドDNA、プラスミドベクターのプロモーターの強度、遺伝子により発現された産物の生物活性のような多数の要素、本組成物が対象とする個体または動物(すなわち哺乳動物)の身体的な状態(体重、年齢等)、投与方法、および、配合物のタイプに依存する。一般的に、治療または予防的観点において成人に投与され得る有効な用量は、約10μg〜約5mg、好ましくは約100μg〜約5mg、最も特に好ましくは約250μg〜約3mgである。投与は、1回の用量で行ってもよいし、または、間を置いて繰り返し行ってもよい。
【0029】
本発明の組成物は、遺伝子治療、ワクチンまたは免疫療法分野での使用における規制に従って、従来どおりに製造することができる。特に、組成物は薬学的に受容されるビヒクルを含み、固体(例えば凍結乾燥形態)でも、または液状でもよい。必要に応じて、当該固形は投与用の液体媒体中で再構成されてもよい。
次の図を参照して本発明を以下で説明する。
【0030】
実験
材料および方法
動物
メスのBalb/CマウスをCharles River Laboratories(Les Oncins, France)から購入し、スイス、C57B1/6およびウィスターラットをJanvier Elevage(Le Genest St Isle, France)から購入した。マウスをよびラットを8週齢、400〜450gでそれぞれ用いて、French National Institutes of Health for animal experimentationのガイドラインに従って収容し、世話をした。
【0031】
プラスミド
プラスミドpCMV−luc(Ferrari et al, Gene Ther.(1997)4: 1100)、pCMVβ−gal(クロンテック社製)pCMV−GFP(クロンテック社製)およびpM−1068は、それぞれルシフェラーゼ、β−ガラクトシダーゼ、緑色蛍光タンパク質、および、HIV Gag/Pol/Nef融合タンパク質をコードする合成遺伝子を含み、それらはそれぞれヒトサイトメガロウイルス前初期遺伝子(CMV IE1)プロモーターの制御下である。HIVキメラは、ヒトにおけるT細胞エピトープ免疫優性(immunodominant)であることが知られているPolおよびNefタンパク質のペプチドに融合した全長コドン最適化gag遺伝子で構成される(Deml et al, J. Virol.(2001)75(22):10991)。同PolおよびNefエピトープは、ALVAC−HIV vCP1456により発現される(Jin et al, J. Virol.(2002)76(5):2206)。
プラスミドpCMV−SeAP(またはVR−SeAPとも称される)およびpCMV−HA(VR−HA)を、基幹をVical由来とするVR1012を用いて構築した(Hartikka et al, Hum. Gene Ther.(1996)7(10):1205)。それらは、それぞれ、CMV IE1プロモーターとウシ成長ホルモンポリAシグナルとの制御下に、分泌されたアルカリホスファターゼ(SeAP)とインフルエンザウイルスヘマグルチニン(HA)遺伝子とを含む。
プラスミドは、EndoFreeプラスミド精製カラム(キアゲン社、Courtaboeuf, France)を用いて組換え大腸菌から精製された。0.8%アガロースゲル電気泳動実験によれば、プラスミドが本質的にスーパーコイルであるであることが示された。
【0032】
Lutrolを用いたプラスミドDNAの調製
Lutrol(またはF68とも称される)、ポリ(エチレンオキシド)75−ポリ(プロピレンオキシド)30−ポリ(エチレンオキシド)75ブロックコポリマーは、BASF社からの贈与品である。ストック溶液を水中20%(w/v)で調製し、4℃で保存した。Lutrol/プラスミドDNA配合物は、等量の10%Lutrol(2×F68)と、300mMのNaCl(1.8%NaCl)、50mMのHepes緩衝液中の2×プラスミドDNA溶液とを混合することによって調製され、50μl溶液(150mMのNaCl(0.9%)中に5%(w/v)Lutrolを含む)当たり必要な最終濃度のDNAが得られた。150mMのNaCl中の裸のDNA溶液もコントロールとして用いた。
【0033】
筋肉注射
400μlのエトミデート(Hypnomidate 2mg/ml、Janssen−Cilag, Issy−les−Moulineaux, France)、または、ケタミン(Imalgen500、Merial, Lyon, France)とキシラジン(Rompun2%、Bayer Puteaux, France)との混合物を腹膜内注射することにより、マウスを麻酔した。前脛骨筋(tibial cranial muscle)の上の皮膚の毛を剃り、動物に50μlの裸のDNAまたは配合DNAを注射した。DNA免疫化のために、Balb/Cマウスの筋肉内に3週の間隔で2回注射した。Zoletil ND(Virbac, Carros, France)を30mg/kg腹膜内注射することにより、ラットを麻酔した。500μgの裸のDNAまたは配合DNAを含む500μlをラットの前脛骨筋に注射した。
【0034】
アルカリホスファターゼ活性の測定
SeAPは、クロンテック社製のキット(Great Escape K−2041−1)を用いて分析された。簡単に言えば、15μlの血清を96−ウェルプレートのウェルごとに分配し、45μlの1×希釈緩衝液を加える。内因性のアルカリホスファターゼを不活性化するためにプレートを65℃で30分間インキュベートし、続いて4℃に冷却し、室温で放置する。続いてウェル当たり60μlの試験緩衝液を加え、プレートを室温で5分間インキュベートする。ウェル内容物を黒い96−ウェルプレート(Microfluor, Dynatech)に移送する。続いて、20倍に希釈したCSPD(3−(4−メトキシ−スピロ(l,2−ジオキセタン−3,2’−(5’−クロロ)トリシクロ[3,3.1.13.7]デカン)−4−イル)フェニルリン酸二ナトリウム)を60μl加え、次に室温で20分間インキュベートする。Victor−1420ルミノメーター(Wallac)を用いて、アルカリホスファターゼ活性を反映した化学発光シグナルを測定する。
上記キットに添付の組換えSeAP(0.1mg/ml)を用いた標準範囲(10−7〜10−1の希釈、すなわち0.01〜10,000pg/μl)のSeAPが含まれる。この標準範囲の回帰線により、光量単位(RLU)を用いてSeAP発現をpg/mlに変換することができる。
【0035】
ルシフェラーゼ活性の測定
特に指定のない限り、前脛骨筋へのDNA注射の7日後にマウスを屠殺した。それぞれの注射された筋肉を取り除き、液体窒素中で冷凍し、プロテアーゼ阻害剤カクテル(Complete, Roche Diagnostics, Mannheim, Germany)を添加した1mlのレポーターリシス緩衝液(プロメガ社、Charbonnieres, France)中でホモジナイズした。1000rpmで4分間の遠心分離の後、10μlの上清のルシフェラーゼ活性をVictor2(パーキンエルマー社、Les Ullis, France)で測定した。100μlのルシフェラーゼ基質(プロメガ社、Charbonnieres, France)を添加後5秒間、光の放射を測定した。精製ルシフェラーゼ(シグマ社)を用いて注射されていないマウスの前脛骨筋で調製された標準曲線が、各マイクロプレートに対して含まれる。結果を筋肉当たりのルシフェラーゼ(pg)+/−SEMで示した。
【0036】
組織学的分析
pCMV−βgalプラスミドDNA/Lutrol複合体を筋肉注射した後7日目に、前脛骨筋を4%の新しいパラホルムアルデヒド中で20分間固定し、PBS(2mMのMgCl2、0.01%デオキシコール酸ナトリウム、0.4%NP40を含む、pH7.4)で30分間3回洗浄した。続いて、1mg/mlの5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトピラノシド(Euromedex, France)を含むX−gal溶液(PBS中、2mMのMgCl2、0.01%デオキシコール酸ナトリウム、0.4%NP40、5mMフェリシアン化カリウム、5mMフェロシアン化カリウム、pH7.4)中で、筋肉を37℃で一晩インキュベートした。最後に組織をパラフィンに埋め込み、4μm切片にカットした。200μmごとに1つの切片をマウントし、Kernechtrot溶液で対比染色した。
【0037】
抗体反応の測定
体液性反応は、Haensler et al, Vaccine(1998)17(7−8):628で説明されたELISA分析により研究され、ここで不活性化インフルエンザウイルスA/PR/8/34または組換えHIV P24(Gagタンパク質)がコーティング抗原として用いられる。
免疫化前と、2回目のDNA配合物注射の14日後とに、血清サンプルを麻酔したマウスから回収した。インフルエンザウイルスとP24とに特異的な抗体(トータルIgGおよび/またはIgGサブクラス)をELISAで測定した。全体の不活性化インフルエンザウイルス(A/PR/8/34)および組換えP24を用いて、ウェルを被覆した。血清サンプルを1/100〜1/204800に希釈した。ペルオキシダーゼ標識ヤギ抗マウスIgG(Jackson ImmunoResearch Laboratories, Interchim, Montlucon, France)を1/30000に希釈した。プレートを分光光度計(Vmax Plate reader, Molecular Devices, BioTime, St−Gregoire, France)を490〜650nmで用いて読み取った。実験データからブランクの平均値を引いた。抗インフルエンザウイルスおよび抗P24のタイターは、各ELISAプレートに含まれる標準A/PR/8/34およびP24−特異的マウス血清の4−パラメーターの回帰曲線からそれぞれ計算された。標準のタイターは、10の独立した実験から式:OD(490〜650nm)×10/1/希釈に従って予め決定されていた。免疫化後のその特異的なタイターが免疫前のタイターの平均より少なくとも0.5log10高い場合に、抗血清が陽性であるとみなした。
【0038】
ELISPOT
ニトロセルロースで裏張りされたマイクロタイタープレート(96−ウェルマルチスクリーンMAプレート、Millipore St Quentin Fallavier, France)を、一次抗γ−IFN抗体(#18181D Pharmingen, Pont de Claix, France)(リン酸緩衝食塩水(PBS)中で10μg/ml)で室温で1時間被覆した。プレートをRPMI培地(Gibco BRL, Life Technologies, Cergy Pontoise, France)で1時間ブロックし、PBSで洗浄した。2回目の免疫化後12日目に回収された脾細胞を、10%ウシ胎児血清(FCS)および抗生物質を含むRPMI培地中に再懸濁した(HA DNA免疫化マウスからの脾細胞は2×106個の細胞/mlの濃度で、または、HIV DNA免疫化マウスからの脾細胞は4×106個の細胞/mlの濃度で)。マウスIL−2(ベーリンガー社製)を加え、最終濃度を20U/mlにした。100μlの細胞懸濁液を抗サイトカイン被覆プレートに3連で分配した。H−2Kd分子で制限されたA/PR/8/34HA2細胞障害性Tリンパ球(CTL)エピトープ(IYSTVASSLVL)、または、A/PR/8/34核タンパク質CTLエピトープ(TYQRTRALVTG、ネガティブコントロール)に相当するペプチドを、最終容積200μl中、最終濃度20μg/mlで、HA DNA免疫化マウスからの脾細胞に加えた。H−2Kd分子で制限されたgag細胞障害性Tリンパ球(CTL)エピトープ(AMQMLKETI)、または、A/PR/8/34核タンパク質CTLエピトープ(TYQRTRALVTG、ネガティブコントロール)に相当するペプチドを、最終容積200μl中、最終濃度20μg/mlで、HIV DNA免疫化マウスからの脾細胞に加えた。プレートを、37℃の加湿した5%CO2インキュベーターで18時間インキュベートした。続いて、プレートを0.05%Tween20を含むPBSで洗浄し、ビオチン化抗γ−IFN抗体(#18112D Pharmingen, France)1μg/mlで、室温で2時間被覆した。続いて、プレートをPBS Tweenで洗浄し、ペルオキシダーゼ標識ストレプトアビジン(#7100−05 Southern Biotechnology, Clinisciences, Montrouge, France)で処理した。プレートを室温で1時間インキュベートし、充分に洗浄した。最後の洗浄の後、3−アミノ−9−エチルカルバゾールペルオキシド基質の溶液を加えることにより、γ−IFN分泌細胞を可視化した。スポットをイメージアナライザー(Microvision Instruments, Evry, France)で計数し、値を手動計数により確認した。3連ウェルのスポット数を平均することにより、γ−IFN生産細胞の頻度を計算した。非抗原ウェル(γ−IFNスポットが10個未満)からのスポット平均値を引いた。
【0039】
結果
Lutrol/DNA配合物のトランスフェクション活性
5%F68の存在または非存在下でのインビボでのトランスフェクションの後、SeAPまたはルシフェラーゼをコードする遺伝子の発現レベルを研究した。
図1に示されるように、血清サンプルで測定されたSeAP活性は、5%F68の存在によりSeAP発現レベルが約11倍に高められたことを示す。
図2に示されるように、トランスフェクトされたマウス前脛骨筋で測定されたルシフェラーゼ活性は、裸のDNAよりLutrol/DNA配合物のほうが、ルシフェラーゼ発現を高めることにおいてより活性であることを示す。ルシフェラーゼ発現の時間経過は(図2A)、ルシフェラーゼが、DNAまたはLutrol/DNA配合物の筋肉注射後6時間にすでに合成されたことを示す。ルシフェラーゼ発現は次第に増加し、3日目でプラトーに達する。7日目で、ルシフェラーゼ活性のわずかな減少が検出される。これらの4つの時点で、ルシフェラーゼ活性は、裸のDNAよりLutrol/DNA配合物を用いたほうが大きい(6時間で2.5倍〜7日目で11倍)。ルシフェラーゼ発現は、マウス前脛骨筋に注射されたプラスミドDNA量の作用により直線的に増加し、例えば50μgの裸のDNAは、5μgの裸のDNA活性より9倍大きいルシフェラーゼ活性を発生させる(図2B)。その反対に、前脛骨筋に注入されたLutrol/DNA配合物では、注射したプラスミド量に直接比例したルシフェラーゼ発現は生じず、なぜなら50μgの5%Lutrol配合DNAは、5μgの配合したDNAより60倍大きいルシフェラーゼ発現を生じさせるためである。裸のDNAまたは5%Lutrol配合DNAをBalb/C、スイスおよびC57B1/6マウスの前脛骨筋に注入することによるルシフェラーゼ発現の研究により(図2C)、マウス系に関係なく、5%Lutrolの存在により遺伝子発現が改善されることが示される。
【0040】
レポーター遺伝子発現のインビボでの生体内分布
裸のDNA(図3A)またはLutrol/DNA配合物(図3B、CおよびD)を筋肉注射した後7日目のマウス前脛骨筋の、β−ガラクトシダーゼレポーター遺伝子を用いた組織学的分析によれば、Lutrol/DNAの関係が、β−ガラクトシダーゼ酵素を発現する筋線維の数を増加させることを示す。β−ガラクトシダーゼ発現筋原線維の数は、裸のDNAまたは2および5%Lutrol配合DNAを注射された各マウス組織断面で計数された。陽性の線維の数は、裸のDNAを筋肉注射されたもので得られた数より、2および5%Lutrol配合DNAの方が、それぞれ4および10倍高い(図3F)。組織断面の検査によれば、輸送遺伝子発現のレベルは筋原線維と他で可変的であり、Lutrol/DNA配合物でトランスフェクトされた筋原線維は、平均して、裸のDNAでトランスフェクトされた筋原線維より高いレベルでβ−ガラクトシダーゼを発現することが示される。前脛骨に近い筋肉におけるβ−ガラクトシダーゼ活性の分析によれば、導入遺伝子発現は注射された筋肉に限られることが示される。Lutrolが導入遺伝子を発現する筋原線維の数を強化するという観測結果を補強するために、β−ガラクトシダーゼの代わりに緑色蛍光タンパク質を用いてこの方法を繰り返した。組織断面によれば、プラスミドDNAを混合した5%Lutrolが、GFPを発現する筋原線維の数の増加をもたらすことが再度示される(図3FおよびG)。
【0041】
他の動物種における我々の遺伝子デリバリーシステムを確認するために、ラットの前脛骨筋に、裸のpCMVβ−galプラスミドDNAまたはLutrol/DNA配合物を注射した。Lutrol/DNA配合物を注射されたラットからの前脛骨筋の顕微鏡検査によれば(図4B)、裸のDNAを受容した筋肉(図4A)と比べて、トランスフェクトされた線維のパーセンテージの顕著な増加が示される。代表的なラットの前脛骨筋断面の光学顕微鏡写真において、可変的な青色の強度が観察され、β−ガラクトシダーゼ発現レベルが筋原線維と他で異なることが示される。より高い倍率のこれらの組織断面によれば、筋内膜および毛細血管における細胞の近辺でβ−ガラクトシダーゼ酵素も見出されたことが示される(図4D)。
【0042】
Lutrol存在下でのDNA免疫化
DNA免疫原性に対するLutrolの影響を評価するために、CMVプロモーターの制御下でインフルエンザウイルスA/PR/8/34(H1N1)のHAタンパク質をコードするプラスミドを、マウス前脛骨筋に注射し、5週間後に血清のタイターをELISAで測定した(図5A)。
1μgの裸のHAプラスミドの注射では、試験された6匹のマウスにおいて低い特異的なIgG抗体のタイターしか得られず、セロコンバージョンは観察されない。それに対して、10μgのDNAを含むLutrol/DNA配合物を筋肉注射することにより、6匹の動物中4匹においてセロコンバージョンを伴い、抗HAタイターの規模が110倍増加する。10μg用量に関して、Lutrol/DNA配合物は、陽性の抗血清の幾何平均タイターが9倍(4.52〜3.58log10)に増加し、全てのマウスがセロコンバージョンを起こす。Lutrol配合プラスミドDNA(50μg)での免疫化では、抗体タイターまたはセロコンバージョンを起こしたマウスの数のいずれも改善されない。以前の実験では、50μgのプラスミドDNAの筋肉注射により、特異的な抗IGgタイターがプラトーレベルに達し、セロコンバージョンのパーセンテージが100%に達することが示された(データ示さず)。
【0043】
プラスミドDNA免疫化のその他のモデルを用いて、Lutrol/DNA配合物が実際に免疫反応を強化できるかどうかを決定することを確かめた。HIVgag、polおよびnefタンパク質をコードするプラスミドDNAを用いた(pM−1068)。食塩水中のプラスミドDNAまたは5%Lutrol配合のプラスミドDNAの様々な濃度を筋肉注射することによりBalb/Cマウスを免疫化し、抗p24抗体タイター測定のために5週間後に血清を回収した。図5Bによれば、食塩水中のプラスミドDNAまたは5%Lutrol配合プラスミドDNAいずれかを1および3μgを注射したマウスでは、特異的なIgG抗体は非常に低いことが示される。10、30および100μgの裸のプラスミドDNAを用いれば、それぞれ6匹マウスのうち3匹、6匹マウスのうち6匹、および6匹マウスのうち6匹において、セロコンバージョンを伴い、より高い反応が得られる。10、30および100μgのプラスミドDNAを含むLutrol/DNA配合物の筋肉注射により、それぞれ、裸のDNAに対して100、10および4倍の平均抗体タイターの増加が生じる。10μg用量に関しては、5%Lutrolの存在により、セロコンバージョンを起こした動物の数が、6匹のうち3匹から、6匹のうち6匹に増加する。
要するに、これら2種の免疫化モデルを用いた結果により、Lutrolが、DNA免疫化により誘導される体液性反応を顕著に強化するのに有用であることが確認できる。
【0044】
Lutrol/DNA配合物の筋肉注射後の細胞性応答
プラスミドpCMV−HAおよびpM−1068の追加免疫注射の後それぞれ2および3週間目に、DNA免疫化で誘導された細胞性応答に関するLutrolの効果を研究し、脾臓細胞を回収し、CTLエピトープを含むペプチドでの刺激でγ−IFNを生産するHAまたはp24に特異的なT細胞存在に関して、ELISPOTで試験した。図6AおよびBによれば、前脛骨へ注射されたDNAの量が、明らかにスポット数に依存していることが示された。平均の応答は、5%Lutrolの存在下でより高いが、その差は統計的に有意ではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】
裸のプラスミドVR−SeAP(1)または5%Lutrol配合プラスミドVR−SeAP(2)のいずれか(10μg)を筋肉注射したBalb/Cマウスで生産された分泌アルカリホスファターゼ(SeAP)の発現を示す。6匹のマウスからなる2つの群を構成した。容量100μl未満の10μgのプラスミドを、各マウスの各前脛骨筋へ続けて2回(各50μl)注射することにより投与した。7日後、血液サンプルを回収し、血清をSeAP活性に関して試験した。
【図2】
図2Aは、裸のプラスミドpCMV−luc(黒四角)または5%Lutrol配合プラスミドpCMV−luc(白丸)のいずれかを筋肉注射することによって生じたルシフェラーゼ発現の時間経過を示す。各群において6個の前脛骨筋が含まれる。スイスマウスの各前脛骨筋に裸のDNA(コントロール群)または配合DNAいずれかを15μg含む食塩水(50μl)を注射した。6時間〜7日後、ルシフェラーゼ活性を測定するために、筋肉を回収し、リシス緩衝液の存在下でホモジナイズした。その結果を、合成されたルシフェラーゼ量の平均として筋肉当たりのルシフェラーゼ(pg)で示す。SEMは、標準誤差である。
図2Bは、ルシフェラーゼ発現が注射されたDNAの量に依存することを示す。6個の前脛骨筋からなる2つの群を構成した。スイスマウスの各前脛骨筋に、裸のpCMV−luc(コントロール群)または5%Lutrol配合pCMV−lucのいずれかを5、25または50μg含む配合物(50μl)を注射した。7日後にルシフェラーゼ活性を測定した。その結果を、筋肉当たりのルシフェラーゼの量(pg)として示す。
図2Cは、容積50μl未満の裸のプラスミドpCMV−luc(白バー)または5%Lutrol配合プラスミドpCMV−luc(黒バー)のいずれか15μgの筋肉注射により生じたルシフェラーゼ発現に関するマウス系の影響を示す。様々な系、すなわちBalb/C、スイスおよびC57B1/6からの6個の前脛骨筋の群を構成した。7日後、ルシフェラーゼ活性を測定した。その結果を、筋肉当たりの生産されたルシフェラーゼ(pg)の平均として示す。
【図3】
図3A〜Dは、容積50μl未満の裸のpCMVβ−gal(3A)または5%Lutrol配合pCMVβ−gal(3B、CおよびD)のいずれか50μgをスイスマウスの前脛骨筋に注射した後7日で可視化した、β−ガラクトシダーゼ発現の生体内分布を示す。
図3Eは、容積50μl未満の裸のpCMVβ−gal(白バー)または2もしくは5%Lutrol配合pCMVβ−gal(黒バー)のいずれか50μgを注射した後に得られた青色の筋原線維平均数を示す。最も高いトランスフェクションレベルを示した組織断面を用いて青色の細胞数を数えた。データは、各群における平均+/−SEM(n=6)として示される。
図3Fおよび3Gは、裸のプラスミドDNA pCMV−GFP(3F)または5%Lutrol配合プラスミドDNA pCMV−GFP(3G)のいずれかを注射した後7日後の、前脛骨筋の組織断面を表す。
【図4】
図4A〜Dは、容積500μl未満の裸のpCMVβ−gal(4Aおよび4C)または5%Lutrol配合pCMVβ−gal(4Bおよび4D)のいずれか500μgを筋肉注射した後の、ラットの前脛骨筋におけるβ−ガラクトシダーゼ活性の組織学的分析を示す。図4Cおよび4Dは、それぞれ4A〜4Bの拡大像を表す。
【図5】
図5Aおよび5Bは、裸の(白バー)または5%Lutrolと配合された(黒バー)いずれかの様々な量のプラスミドpCMV−HA(1、10および50μg、容積50μl未満)およびpM−1068(1、3、10、30および100μg、容積50μl未満)をBalb/Cマウスの筋肉内に注射することにより生じた、A/PR/8/34インフルエンザ系(5A)またはHIVp24(5B)に対するIgG抗体反応をそれぞれ示す。6匹のマウス群を構成した。0日目および21日目にマウスに用量を投与した。2回目の注射から2週間後に血清サンプルを回収し、抗A/PR/8/34(5A)および抗p24(5B)トータルIgGに関してELISAでアッセイした。結果を平均の抗体タイターとしてプロットし、ここでエラーバーはSEMを示す。
【図6】
図6Aおよび6Bは、裸の(白バー)または5%Lutrolと配合された(黒バー)いずれかの、様々な量のプラスミドpCMV−HA(1、10および50μg、容積50μl未満)およびpM−1068(1、3、10、30および100μg、容積50μl未満)をBalb/Cマウスの筋肉内に注射することにより生じた、A/PR/8/34インフルエンザ株(6A)またはHIV p24(6B)に対するγ−IFN生産細胞の免疫をそれぞれ示す。6匹のマウス群を構成した。0日目および21日目にマウスに用量を投与した。2回目の(追加免疫)注射から12日後に脾臓細胞を回収し、ELISPOTによりγ−IFN生産細胞をアッセイした。各バーは、106個の細胞当たりのγ−IFNを分泌する細胞の数の平均+/−SEMを示す。
Claims (28)
- ポリヌクレオチドと、少なくとも2%(重量/容積)の式(I)OH(CH2CH2O)a(CH(CH3)CH2O)b(CH2CH2O)cH[式中、a、bおよびcは、ポリオキシプロピレン部分の分子量が1450〜2050であり、ポリオキシエチレン部分がコポリマーの75〜85%(重量:重量)を構成するような値である]の非イオン性コポリマーとを含む医薬組成物。
- カチオン脂質を含まない、請求項1に記載の組成物。
- リン酸ナトリウムを含まない、請求項1または2に記載の組成物。
- ポリヌクレオチドと、2〜10%(重量/容積)の式(I)の非イオン性コポリマーとを含む、請求項3に記載の組成物。
- ポリヌクレオチドと、約5%(重量/容積)の式(I)の非イオン性コポリマーとを含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
- 塩化ナトリウム、塩化カリウムおよび塩化マグネシウムからなる群より選択される化合物を、等張または高張な量でさらに含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の組成物。
- 非イオン性コポリマーがPluronics(R)F68である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の組成物。
- ポリヌクレオチドがアンチセンスポリヌクレオチドである、請求項1〜7のいずれか一項に記載の組成物。
- ポリヌクレオチドは、所定のポリペプチドを真核細胞で発現することができる、請求項1〜7のいずれか一項に記載の組成物。
- ポリヌクレオチドは、病原体または腫瘍状態に特異的なポリペプチドを発現することができる、請求項9に記載の組成物。
- ポリヌクレオチドは遺伝子欠失を修正することができる、請求項9に記載の組成物。
- ポリヌクレオチドはDNAである、請求項8〜11のいずれか一項に記載の組成物。
- 活性な治療薬としてポリヌクレオチドを含む薬剤の製造における、式(I)OH(CH2CH2O)a(CH(CH3)CH2O)b(CH2CH2O)cH[式中、a、bおよびcは、ポリオキシプロピレン部分の分子量が1450〜2050であり、ポリオキシエチレン部分がコポリマーの75〜85%(重量:重量)を構成するような値である]の非イオン性コポリマーの使用であって、このような薬剤を必要とする患者の細胞への上記ポリヌクレオチドの輸送、および/または、このような薬剤を必要とする患者の細胞での上記ポリヌクレオチドの発現を改善するために、上記コポリマーは、少なくとも2%(重量:容積)の濃度で上記ポリヌクレオチドに加えられる、上記の使用。
- コポリマーは、2〜10%の濃度でヌクレオチドに加えられる、請求項13に記載の使用。
- コポリマーは、約5%の濃度で前記ヌクレオチドに加えられる、請求項14に記載の使用。
- 薬剤は、カチオン脂質またはリン酸ナトリウムを含まない、請求項13〜15のいずれか一項に記載の使用。
- 薬剤は、塩化ナトリウム、塩化カリウムおよび塩化マグネシウムからなる群より選択される化合物を、等張または高張な量でさらに含む、請求項13〜16のいずれか一項に記載の使用。
- コポリマーがPluronics(R)F68である、請求項13〜17のいずれか一項に記載の使用。
- ポリヌクレオチドが請求項8〜12のいずれか一項で定義された、請求項13〜18のいずれか一項に記載の使用。
- 活性な治療薬として、病原体または腫瘍状態に対する免疫反応を誘導するために病原体または腫瘍状態に特異的なポリペプチドを真核細胞で発現することが可能なポリヌクレオチドを含む薬剤の製造における、式(I)OH(CH2CH2O)a(CH(CH3)CH2O)b(CH2CH2O)cH[式中、a、bおよびcは、ポリオキシプロピレン部分の分子量が1450〜2050であり、ポリオキシエチレン部分がコポリマーの75〜85%(重量:重量)を構成するような値である]の非イオン性コポリマーの使用であって、上記コポリマーは、少なくとも2%(重量:容積)の濃度で上記ポリヌクレオチドに加えられる、上記の使用。
- 免疫反応が特に体液性である、請求項20に記載の使用。
- 免疫反応は、病原体により誘発される腫瘍状態または感染症を防ぐ、請求項20または21に記載の使用。
- 免疫反応は、病原体により誘発される腫瘍状態または感染症に対して治療作用を有する、請求項20または21に記載の使用。
- 活性な治療薬として、遺伝的障害を治療するために遺伝子欠失を修正することができるポリペプチドを真核細胞において動作可能なようにコードするポリヌクレオチドを含む薬剤の製造における、式(I)OH(CH2CH2O)a(CH(CH3)CH2O)b(CH2CH2O)cH[式中、a、bおよびcは、ポリオキシプロピレン部分の分子量が1450〜2050であり、ポリオキシエチレン部分がコポリマーの75〜85%(重量:重量)を構成するような値である]の非イオン性コポリマーの使用であって、上記コポリマーは、少なくとも2%(重量:容積)の濃度で上記ポリヌクレオチドに加えられる、上記の使用。
- ポリヌクレオチドを真核細胞に輸送する方法であって、上記細胞と上記ポリヌクレオチドとを接触させることを含み、上記ポリヌクレオチドは、少なくとも2%(重量:容積)の式(I)OH(CH2CH2O)a(CH(CH3)CH2O)b(CH2CH2O)cH[式中、a、bおよびcは、ポリオキシプロピレン部分の分子量が1450〜2050であり、ポリオキシエチレン部分がコポリマーの75〜85%(重量:重量)を構成するような値である]の非イオン性コポリマーと共に配合される、上記の方法。
- ポリヌクレオチドが請求項2〜6のいずれか一項で定義されたように配合される、請求項25に記載の方法。
- コポリマーがPluronics(R)F68である、請求項25または26に記載の方法。
- ポリヌクレオチドが請求項8〜12のいずれか一項で定義された、請求項25、26または27に記載の方法。
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