JP2004518612A - インドール誘導体を用いて眼圧を下降させる方法 - Google Patents
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Abstract
本発明は、インドール誘導体を含む医薬組成物を投与することによって眼圧を下降させる方法を提供する。本発明において有効な医薬組成物は、一般式I〜IVのインドール誘導体とメラトニン類似体を含んでいる。好ましい一実施態様は、メラトニンと比べて作用時間がより長く、眼圧下降効果がより優れた5−(メトキシカルボニルアミノ)−N−アセチルトリプタミン(5−MCA−NAT)(GR135531としても知られる)を用いて眼圧を下降させる方法である。本発明はさらに、高眼圧症に伴う疾患の治療法と、さまざまな形態の緑内障の治療法も提供する。この方法は、インドール誘導体を含む医薬組成物の有効量を、このような疾患の治療に用いられる薬剤とともに、あるいはそのような薬剤なしで投与する操作を含んでいる。
Description
【0001】
発明が属する技術分野
本発明は、インドール類似体およびインドール医薬組成物を投与することによって眼圧を下降させ、高眼圧症(ocular hypertension)と緑内障(glaucoma)を治療する方法に関する。
【0002】
発明の背景
緑内障は、眼圧(IOP)の慢性的上昇に伴って徐々に失明に向かう病気である。十分に高い眼圧が継続すると視神経と網膜の接続部にある視神経乳頭が損傷し、その結果として網膜神経節細胞が変性し、緑内障による失明につながると考えられている。しかしIOPの上昇(高眼圧症としても知られる)によって緑内障になるメカニズムはよくわかっていない。しかも、緑内障に伴って視野が失われるという典型的な症状を抱える患者の一部では、IOPの異常な上昇が見られない(低眼圧緑内障(low−tension glaucoma)または正常眼圧緑内障(normal−tension glaucoma)として知られる)。
【0003】
緑内障は、大まかには、開放隅角緑内障(open−angle glaucoma)、閉塞隅角緑内障(closed−angle glaucoma)、先天性緑内障(congenital glaucoma)に分類され、さらに原発緑内障(primary glaucoma)と続発性緑内障(secondary glaucoma)に分類される。緑内障は、さまざまな薬物とさまざまな外科的方法で治療される。高眼圧症を伴う緑内障の場合には、薬物療法に用いられる薬物として、アドレナリン作動性アゴニスト(エピネフリン、ジペベフリン、アプラクロニジン)、コリン作動性アゴニスト(ピロカルピン)、β遮断薬(ベタキソロール、レボブノロール、チモロール)、カルボニックアンヒドラーゼ阻害薬(アセタゾラミド)などがあり、最近は、プロスタグランジン類似体(ラタノプロスト、ルーミガン(登録商標))やαアドレナリン作動性アゴニスト(ブリモニジン)もある。
【0004】
これらの薬物を用いると、毛様体による房水の産生が抑制されるため、あるいは線維柱またはぶどう膜強膜からの房水流出が容易になるため、IOPが正常圧の状態に回復する。抗コリンエステラーゼ剤は、房水の流出抵抗を小さくして原発緑内障における眼圧を下降させる。抗コリンエステラーゼ剤は、原発緑内障とある種の続発性緑内障(例えば混濁部分摘出後の無水晶体緑内障)に用いられてきた。先天性緑内障は薬物療法にほとんど反応しないため、外科的手術による治療のほうが一般的である。
【0005】
狭隅角緑内障では、薬物によって虹彩の括約筋が収縮する結果、シュレム管の位置にある線維柱空間への房水流入が虹彩によって阻止されていた状態が解消されるため、房水の流出が増加する(Taylor、123−125ページ『治療法の薬理学的基礎』、第7版、A.G.ギルマン、L.S.グッドマン、T.W.ロール、F.ムラ、マクミラン出版社、ニューヨーク、1985年)。
【0006】
広隅角緑内障または慢性単純緑内障では、線維柱への房水流入が物理的に阻止されることはないが、線維柱(直径の小さな多数の孔からなるメッシュ)の開通性が失われる。虹彩の括約筋と毛様体筋が収縮すると線維柱帯網は緊張状態が高まってきれいに並び、房水の再吸収とこの帯網からシュレム管への流出が改善される(Watson, Br.、J. Ophthalmol.、第56巻、145−318ページ、1972年;Schwartz、N. Engl. J. Med.、第290巻、182−186ページ、1978年;Kaufman他、『実験薬理学ハンドブック』、第69巻、149−192ページ、1984年)。
【0007】
急性鬱血性(狭隅角)緑内障はほとんど常に緊急事態であり、この急性の発症を制御するのに薬物が重要となるが、長期間にわたる制御は、通常は圧倒的に外科的手術(周辺虹彩切除または虹彩全体切除)による。これとは対照的に、慢性単純(広隅角)緑内障は、知らない間に徐々に進行するため、外科的手術によって改善することは一般になく、眼圧の制御は継続的治療法により行なう。
【0008】
急性鬱血性緑内障(acute congestive glaucoma)は、年齢が40歳を超える患者が散瞳薬を適切に使用しないことによって、あるいは瞳孔の拡大や眼内血管の鬱血を引き起こす可能性のあるさまざまな因子によって、急に発生する可能性がある。徴候および症状としては、眼のひどい炎症、半拡大状態の瞳孔、激痛、吐き気などがある。治療の目的は、病状が続いている間に眼圧を正常レベルに下げることである。抗コリンエステラーゼ剤は、効果を最大にするため、副交感神経作用薬と組み合わせて結膜嚢に点滴する。
【0009】
一般的な組み合わせは、0.5%サリチル酸フィゾスチグミン溶液に4%硝酸ピロカルピンを加えたものである。補助的治療法としては、アセタゾラミドなどのカルボニックアンヒドラーゼ阻害薬を静脈内投与して房水の分泌を減らす方法や、マンニトールやグリセリンなどの浸透圧剤を静脈内投与して眼内脱水を誘導する方法などがある。長期にわたって作用する有機リン化合物は、狭隅角緑内障には用いられない。というのも、血管が鬱血したり、隅角の閉塞が増えたりするからである。
【0010】
慢性単純緑内障および続発性緑内障の治療薬としては、(1)副交感神経作用薬(例えば硝酸ピロカルピンを0.5〜0.6%);(2)短時間作用性抗コリンエステラーゼ剤(例えばサリチル酸フィゾスチグミンを0.25〜0.5%)または長時間作用性抗コリンエステラーゼ剤(例えば臭化デメカリウム0.125〜0.25%;ヨウ化エコチオフェート0.03〜0.25%;イソフルロフェート0.025%);(3)マレイン酸チモロールなどのβアドレナリン作動性アンタゴニスト(作用時間が長く12時間ごとに投与する薬剤であり、瞳孔の開き具合には直接作用しないが、房水の産生を減少させ(Boger他、Am. J. Ophthalmol.、第86巻、8−18ページ、1978年;Lotti他、『実験薬理学ハンドブック』、第69巻、249−278ページ、1984年)、水晶体の調節が部分的に妨げられることと、長時間作用性抗コリンエステラーゼ剤の好ましからぬ効果を回避する);逆説的な(4)交感神経作用薬(例えばエピネフリン0.25〜2%、フェニルエフリン10%)(抗コリンエステラーゼ剤またはコリン作動性アゴニストと組み合わせて使用すると非常に効果的である)などが挙げられる。これら薬剤は、房水の分泌を少なくすることによって眼圧を下降させ、微小血管の鬱血を阻止する。
【0011】
コリン作動性アゴニストと抗コリンエステラーゼ剤は水晶体の調節を妨げるため、短期間に比較的多い量を投与した場合には、一般に遠方が一時的にぼやけて見える。コリン作動性アゴニストと抗コリンエステラーゼ剤を長期間にわたって投与すると、アセチルコリン受容体の数が減るために応答が少なくなる。
【0012】
長期作用性抗コリンエステラーゼ剤は投与頻度が少ないために便利でしかも効果が大きいとはいえ、水晶体が混濁し、望ましからぬ自律神経効果が生じる危険性が大きい。有機リン剤であるDFPは、作用時間が最長であり、局所投与すると極めて強力である。ピーナツ油またはゴマ油に溶かした溶液を1日に1回から1週間に1回の割合で点眼する必要があるが、他の薬剤では対処できない難しい場合に眼圧を制御できる可能性がある。油性賦形剤はたいていの患者にとって不快であるため、DFPの代わりにエコチオフェートが用いられてきた。
【0013】
強力で作用時間が長い抗コリンエステラーゼ剤(デメカリウム、エコチオフェート、イソフルロフェートなど)を用いて6ヶ月以上の期間にわたって緑内障の治療を行なうと、白内障が進行する危険性が大きくなる(Axelsson他、Acta Ophthalmol. (Kbh.)、第44巻、421−429ページ、1966年;de Roetth、J.A.M.A.、第195巻、664−666ページ、1966年;Schaffer他、Am. J. Ophthalmol.、第62巻、613−618ページ、1966年)。
【0014】
白内障の進行は治療を行なっていない同年齢のグループにおいて一般的であるとはいえ、このような状況下で50%の場合に水晶体の混濁が発生することがあり、しかも危険性は、溶液の濃度、点眼頻度、治療期間、患者の年齢に比例して大きくなる(Laties、Am. J. Ophthalmol.、第68巻、848−857ページ、1969年;Kaufman他、『実験薬理学ハンドブック』(M.L.シアーズ編、シュプリンガー・フェアラーク社、ベルリン、1984年)、第69巻の「目の薬理学」の中の149−192ページ、)。
【0015】
長期作用性抗コリンエステラーゼ剤を勧められないのは、緑内障がチモロール、副交感神経作用薬、フィゾスチグミンなどの薬剤で制御できる場合である。しかし緑内障が十分制御できない場合には失明して元に戻らない可能性があるため、長期作用性抗コリンエステラーゼ剤は、他の薬剤が不十分な場合には治療上やはり重要な薬剤である。
【0016】
1日に1〜5回、ピロカルピン(4%)を単独で、またはフィゾスチグミン(0.2%)と組み合わせて用いて治療を行なうと、水晶体の混濁が進行する頻度は、治療を行なっていない同年齢のグループにおいて自然発生する水晶体の混濁が進行する頻度よりも大きくならないことが見いだされた(Axelsson他、Acta Ophthalmol. (Kbh.)、補102巻、1−37ページ、1969年)。したがって、ピロカルピンなどの短期作用性縮瞳剤を用いて眼圧を制御することができる。たとえ効果が不十分でも、白内障の進行による危険は眼圧が大きくなることによる危険と釣り合うはずであり、短期作用性縮瞳剤を試した後に強力な長期作用性抗コリンエステラーゼ剤に頼るべきである。しかし患者は、6ヶ月以下の期間ごとに水晶体に混濁が現われたかどうかを調べる必要がある。
【0017】
他の新しい薬剤も緑内障の治療に効果があるかどうか調べられた。調べられたのは、例えば、アデノシン受容体のA3サブユニットのアンタゴニスト、カルモジュリンのアンタゴニスト、抗エストロゲン(WO 00/03741);リン酸塩、糖、塩基のいずれかが置換または修飾されていてよい眼圧下降用オリゴヌクレオチド(アメリカ合衆国特許第5,545,626号);非芳香族アザビシクロ環によって置換され、場合によってはさらに2個までの置換基で置換された、ピラジン、ピリミジン、ピリダジンの誘導体(アメリカ合衆国特許第5,219,849号);プロスタシクリン類似体であるラタノプロスト(Higginbotham、Arch. Ophthalmol.、第114巻、998−999ページ、1996年)である。緑内障を長期にわたって臨床的に制御できる可能性のある4種類の化合物として、局所活性をもたらすカルボニックアンヒドラーゼ阻害薬、選択的α2アドレナリン作動性アゴニスト、プロスタグランジン、エタクリン酸が挙げられる(Serle、Drugs Aging、第5巻、156−170ページ、1994年)。
【0018】
抗コリンエステラーゼ剤の投与によって起こる可能性のある目のさまざまな副作用としては、頭痛、前頭部の痛み、視野のぼやけ、水晶体振せん、角膜周辺部の充血、虹彩の鬱血、さまざまなアレルギー反応のほか、稀に網膜剥離がある。抗コリンエステラーゼ剤を結膜内に頻繁に点滴すると、十分に吸収されて、コリンエステラーゼとブチリル−コリンエステラーゼの抑制に起因するさまざまな全身効果が発生する。したがって、コリン作動性自律神経機能が増進され、エステル結合による局所的麻痺作用の時間が長くなり、スクシニルコリンによって誘導される神経筋の阻害が増進されて長期間になる可能性がある。迷走神経緊張症やアレルギーを有する人が特に危険である。
【0019】
ラタナプロスト(キサラタン(登録商標))はプロスタノイド・アゴニストであり、ぶどう膜強膜からの房水流出を増加させることによってIOPを下降させると考えられている。ラタナプロストは、イソプロピルエステル・プロドラッグであり、角膜においてエステラーゼによって加水分解されて生物学的に活性な酸になる。キサラタン(登録商標)は1日に1回投与されるが、0.5%チモロールを1日に2回投与するのと同等な効果をもたらすことがわかっている。キサラタン(登録商標)は、虹彩にある茶色色素の量を増加させて目の色を徐々に変える可能性がある。虹彩に対する長期的影響がどのようなものかはわかっていない。
【0020】
キサラタン(登録商標)を使用するとまぶたの皮膚が黒ずむことも報告されている。さらに、キサラタン(登録商標)は、徐々にまつげを長く、太く、色濃くするとともに、まつげの数を増やす可能性がある。キサラタン(登録商標)による治療中に黄斑浮腫(嚢腫黄斑浮腫も含む)が起こったことも報告されている。これらの報告は、水晶体のない患者、後水晶体被膜が摩耗して偽水晶体を入れた患者、黄斑浮腫に関して知られているリスク因子を持つ患者について主になされている(Ophthalmic PDR、315−316ページ、2001年)。
【0021】
要するに、緑内障の患者は、IOPを下降させるのにさまざまな薬物療法を利用できるとはいえ、これらの治療法は効果の点でも副作用の点でも限界がある。
【0022】
メラトニンは主に松果体から分泌される神経ホルモンであるが、網膜からも少量分泌される。メラトニンの産生はサーカディアン・リズムに従い、夜間にレベルが上昇する。メラトニンは、周期的情報の処理を始めとしてサーカディアン・リズムの多くの側面を調節していることが知られている。その作用メカニズムとしては、メラトニン膜受容体(以前はmel1aとして知られていたMT1、以前はmel1bまたはML1として知られていたMT2、以前はML2として知られていたMT3の3つのタイプに分類される)の活性化と、ラジカル捕獲剤の活性を通じた抗酸化による酸化損傷に対する保護などがある。
【0023】
MT1受容体とMT2受容体は、ムスカリン性受容体およびプリン作動性受容体と同様、7回膜貫通型でGタンパク質に共役していると推定される受容体のスーパー・ファミリーに属している。MT1受容体とMT2受容体の両方ともクローニングされている。これら受容体は、百日咳毒素感受性Gタンパク質により、アデニル酸シクラーゼとの共役が抑制される。MT3受容体はクローニングされていないが、ホスホリパーゼCと共役するようである(Mullins他、Cell Signal、第9巻、169−173ページ、1997年)。
【0024】
さまざまな研究により、MT1受容体は、ラットの尾動脈の血管収縮と、催眠性効果に関係する神経発火の抑制とに関係するのに対し、MT2受容体は、ラットの尾動脈の血管拡張とサーカディアン・リズムの位相の進行に関係することがわかっている(Marco他、Current Medicinal Chemistry、第6巻、501−518ページ、1999年)。MT3受容体は、高アフィニティ・リガンドである5−(メトキシカルボニルアミノ)−N−アセチルトリプタミン(5−MCA−NAT)(GR135531としても知られる)を用いてキャラクテリゼーションがなされているが(Molinari他、European J. Pharmacol.、第301巻、159−168ページ、1996年)、生理学的活性については報告されていない。
【0025】
眼圧(IOP)の制御にメラトニンが関与するかどうかははっきりしていない。これまでの研究によると、メラトニンは、どの生物種であるかと、サーカディアン・リズムのどの時期にIOPを測定したかによって、IOPを上昇させる場合と下降させる場合のあることがわかっている(ChiouとMcLaughlin、Ophthalmic Res.、第16巻、302−306ページ、1984年;Rohde他、J. Ocul. Pharmacol.、第1巻、235−243ページ、1985年;Chiou他、Ophthalmic Res.、第17巻、373−378ページ、1985年;Rohde他、Ophthalmic Res.、第25巻、10−15ページ、1993年;Meyer−Bothling他、Invest. Ophthalmol. Vis. Sci.、第34巻、3035−3042ページ、1993年;Osborne、Acta Neurobiol. Exp. (Warsz)、第54巻補、57−64ページ、1994年;Aimoto他、J. Ocul. Pharmacol.、第1巻、149−160ページ、1985年;Wildsoet他、Ophthalmic Physiol. Opt.、第13巻、357−365ページ、1993年;Dkhissi他、J. Neuroendocrinol.、第10巻、863−869ページ、1998年;Ritch、Curr. Opin. Ophthalmol.、第11巻、78−84ページ、2000年;Kiuchi他、Curr. Eye Res.、第12巻、181−190ページ、1993年;Dubocovich他、FASEB J.、第12巻、1211−1220ページ、1998年)。
【0026】
大部分の研究は、メラトニンがIOPを上昇させることを示している。しかしアメリカ合衆国特許第4,654,361号には、有効な量のメラトニンを投与することによって眼圧を下降させる方法が開示されている。この明細書で引用するこの特許ならびにその他のアメリカ合衆国特許は、その全体がこの明細書に組み込まれている。
【0027】
アメリカ合衆国特許第4,803,218号には、[3−(アミノアルキル)−1H−インドール−5−イル]尿素化合物と、薬理学的に受容可能な基剤とを含む医薬組成物を投与することによって動物の高血圧を治療する方法が開示されている。この特許にはまた、N−[3−(2−アミノエチル)−1H−インドール−5−イル]尿素とその類似体を製造する方法も記載されている。
【0028】
アメリカ合衆国特許第5,633,276号、第6,040,451号、第5,948,804号、第6,159,998号には、置換された5−(2−イミダゾリン−2−イルアミノ)インドール化合物を用いることにより、眼圧を下降させ、老眼、偏頭痛、高血圧、アルコール禁断症状、薬物依存、関節リューマチ、虚血痛、痙攣、下痢、鼻の充血緩和、尿失禁を治療する方法が開示されている。アメリカ合衆国特許第6,004,991号、第6,140,372号、第5,998,461号、第6,071,946号には、メラトニン異常に伴う病気の治療法が開示されている。上記の特許に開示されている置換されたインドール誘導体は、参考としてこの明細書に組み込まれている。
【0029】
PCT国際出願WO 96/25397には、カンナビノイド受容体に対して活性のあるインドール誘導体と、そのインドール誘導体を用いることにより眼圧を下降させて緑内障を治療する方法が開示されている。PCT国際出願WO 96/11685には、緑内障その他の疾患を治療するためのインドール誘導体が開示されている。これら2つのPCT国際出願に開示されているインドール誘導体は、本発明のものとは異なっている。
【0030】
上記のように、緑内障の治療に一般的に用いられている薬剤は、白内障の進行などの好ましくない副作用を引き起こす可能性がある。緑内障を治療する上で安全かつ効果的な薬剤が必要とされている。
【0031】
発明の要約
この明細書に開示されているのは、コアとなるインドールまたはメラトニン・タイプの化学構造を有する一般式I、II、III、IVの化合物を投与することによって眼圧を下降させる新規な方法である。
【0032】
本発明は、このような化合物を利用して、メラトニンと比べてより長時間にわたって、および/またはより強力に眼圧を下降させる方法を提供する。好ましい化合物は、5−(メトキシカルボニルアミノ)−N−アセチルトリプタミン(MCA−NAT)であり、GR135531としても知られている(Molinari他、European J. Pharmacol.、第301巻、159−168ページ、1996年)。この化合物は、MT3受容体に対する特異性を有する高アフィニティのリガンドである。
【0033】
本発明は、眼圧を下降させ、高眼圧症や緑内障といった眼圧と関係した疾患を治療する方法を提供する。この方法は、この方法を必要としている治療対象に、眼圧を下降させるのに有効な量のインドール誘導体を投与するステップを含んでいる。一般式I、II、III、IVのインドール誘導体は、眼圧を長時間にわたって、および/または強力に下降させる。
【0034】
発明の詳細な説明
本発明は、眼圧の上昇に伴う疾患の治療法を提供する。この方法は、眼圧の上昇を治療または制御するのに通常用いられる治療薬およびアジュバントとともに、またはそのような治療薬およびアジュバントなしで、一般式I、II、III、IVのインドール誘導体の有効量を投与する操作を含んでいる。予想外のことだったが、出願人は、このような化合物を投与すると眼圧が有意にかつ持続して下降することを見いだした。有効な投与量は、このような化合物が眼圧の下降をもたらすのに必要な量となろう。
【0035】
本発明はさらに、高眼圧症に伴う眼圧を下降させる新規な方法を提供する。したがってこの方法は、高眼圧症の予防、制御、治療に有効である可能性がある。
本発明の方法は、原発緑内障の制御および/または治療に役立つ。なお原発緑内障は、以下の2つのタイプに分類される:狭隅角緑内障または急性鬱血性緑内障と、広隅角緑内障または慢性単純緑内障である。本発明の別の実施態様は、続発性緑内障の制御である。
【0036】
本発明の方法は、いろいろなタイプの緑内障を治療したり制御したりするのに用いられる治療薬やアジュバントの効果を増大させるのに役立つ。狭隅角緑内障または急性鬱血性緑内障の治療に用いられる治療薬としては、例えば、サリチル酸フィゾスチグミンや硝酸ピロカルピンなどが挙げられる。狭隅角緑内障の制御に用いられる補助的療法としては、例えば、アセタゾラミドなどのカルボニックアンヒドラーゼ阻害薬を静脈内投与して房水の分泌を減少させる方法、あるいはマンニトールやグリセリンなどの浸透圧剤を静脈内投与して眼内脱水を誘導する方法などが挙げられる。
【0037】
広隅角緑内障または慢性単純緑内障と続発性緑内障の制御に用いられる治療薬としては、例えば、硝酸ピロカルピンなどの副交感神経作用薬、短時間作用性抗コリンエステラーゼ剤(サリチル酸フィゾスチグミンなど)、長時間作用性抗コリンエステラーゼ剤(臭化デメカリウム、ヨウ化エコチオフェート、イソフルロフェートなど)、βアドレナリン作動性アンタゴニスト(マレイン酸チモロールなど)、交感神経作用薬(エピネフリン、フェニルエフリンなど)が挙げられる。より新しいところでは、プロスタグランジン類似体(ラタノプロスト(キサラタン)、ルーミガン(登録商標))、αアドレナリン作動性アゴニスト(ブリモニジン)、レスキュラ(未知のメカニズムによって眼圧を下降させる)が、高眼圧症を伴う緑内障の制御に用いられている。
【0038】
治療薬の中には、目的とする応答を達成するのに大量に投与せねばならないものが存在している。しかし投与量が増えるほど好ましくない効果が現われる頻度が多くなることがしばしばある。したがって、本発明の化合物を、緑内障の治療に通常用いられている薬剤と組み合わせると、そのような薬剤が比較的少ない投与量で済み、そのような薬剤を長期にわたって投与することに伴う好ましくない副作用が発生する頻度が少なくなる。したがって、本発明の化合物は、緑内障の治療に用いられる薬剤の副作用を減らすこと、例えば、長時間作用性抗コリンエステラーゼ剤(例えばデメカリウム、エコチオフェート、イソフルロフェート)の使用による白内障の進行を阻止することにも適用される。
【0039】
本発明は、一般式I、II、III、IVのインドール誘導体を利用して、長時間にわたって、および/または強力に眼圧を下降させる方法を提供する。
【0040】
化合物についての説明
本発明は、以下の一般式I〜IVで表わされるインドール誘導体:
【化5】
【0041】
の利用法を提供する。これら一般式において、
nは、0、1、2、3、4、5のいずれかであり;
mは、0または1であり;
R1及びR2は、それぞれ独立で、H;置換されたまたは置換されていない直線状、分枝状または環状のアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、アラルケニル、アラルキニル;R6(CO)−;F;OR5のいずれかであり;R1とR2のいずれか一方はR6R7N(CO)−となることが可能であり;
【0042】
場合によってはR1とR2が一緒になって、オキソとなるか;あるいは、置換されたまたは置換されていない4員、5員、6員または7員いずれかの炭素環または複素環となることができ;
R3及びR4は、それぞれ独立で、H;置換されたまたは置換されていない直線状、分枝状または環状のアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、アラルケニル、アラルキニル;R6(CO)−のいずれかであり;
【0043】
場合によってはR3とR4が一緒になって、オキソとなるか;あるいは、置換されたまたは置換されていない4員、5員、6員または7員いずれかの炭素環または複素環となることができ;
場合によってはR2とR4が一緒になって、置換されたまたは置換されていない4員、5員、6員または7員いずれかの炭素環または複素環となることができ;
【0044】
R5は、H;置換されたまたは置換されていない直線状、分枝状または環状のアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、アラルケニル、アラルキニル;R6R7N(CO)−;R6(CO)−;R8O(CO)−;R8S(O)8−;R8S(O)−;R8OS(O)2−;R8OS(O)−;R6R7NP(O)(OR9)−;R8P(O)(OR9)−;(R8O)P(O)(OR9)−;CF3−のいずれかであり;
R6及びR7は、それぞれ独立で、H;置換されたまたは置換されていない直線状、分枝状または環状のアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、アラルケニル、アラルキニル;複素環のいずれかであり;
【0045】
R6とR7が一緒になった場合には、NR6R7が、置換されたまたは置換されていない3員、4員、5員、6員または7員いずれかの環となることができ;
R8は、置換されたまたは置換されていない直線状、分枝状または環状のアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、アラルケニル、アラルキニル;複素環;CF3−のいずれかであり;
R9は、H;置換されたまたは置換されていない直線状、分枝状または環状のアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、アラルケニル、アラルキニルのいずれかであり;
【0046】
場合によってはR6とR9が一緒になって5員、6員または7員いずれかの環となることができ;
R10及びR10’は、それぞれ独立で、H;置換されたまたは置換されていない直線状、分枝状または環状のアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、アラルケニル、アラルキニル;複素環;R6R7N(CO)−;R6(CO)−;R8O(CO)−;R8S(O)2−;R8OS(O)2−;R6R7NS(O)2−;CF3−のいずれかであり;
R11は、R6R7N(CO)−;R6(CO)−;R8O(CO)−;R8S(O)2−;R8OS(O)2−;R6R7NS(O)2−のいずれかであり;
【0047】
X1は、O;S;NR9;−CF2−;−CH2−;−CH2CH2−;または−CH2CH2CH2−のいずれか;あるいは存在しておらず;
Z1は、OR5;またはNR10R11であり;
Z2及びZ3は、それぞれ独立で、R6R7N(CO)−;R6(CO)−;R8O(CO)−;R8S(O)2−;R8OS(O)2−;R6R7NS(O)2−のいずれかであり;
Aは、ハロゲン;NO2;CN;R5−X1−のいずれかであり;
Bは、ハロゲン;NO2;CN;R5−X1−のいずれかであり;
Bがハロゲン、NO2、CN、Hのいずれでもなくてインドールの4位に位置する場合には、Bは、R1、R3、Z1のいずれかと一緒になって、置換されたまたは置換されていない5員、6員または7員いずれかの炭素環または複素環となることができ;
【0048】
D1は、ハロゲン;NO2;CN;R5−X1−のいずれかであり;
D2は、H;置換されたまたは置換されていない直線状、分枝状または環状のアルキル;ハロゲン;置換されたまたは置換されていないアリール;置換されたまたは置換されていないアラルキルのいずれかであり;
Eは、H;置換されたまたは置換されていない直線状、分枝状または環状のアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、アラルケニル、アラルキニル;R8O(CO)−;R8S(O)2−;OR6のいずれかであり;
Z1=NR10R11かつR10=Hの場合には、EはR6(CO)−であり;
Z1がOR5で、R5がH、アルキル、アリール、アラルキルのいずれでもない場合には、EはR6(CO)−であり;
【0049】
Z1=NR10R11かつR10=Hの場合には、EはR6R7N(CO)−であり;
Z1がOR5で、R5がH、アルキル、アリール、アラルキルのいずれでもない場合には、EはR6R7N(CO)−であり;
D1がR5−X1−のときには、D1とEが一緒になって、置換されたまたは置換されていない4員、5員、6員または7員いずれかの複素環となることができ;
D1がR5−X1−のときには、D1とR1が一緒になって、置換されたまたは置換されていない5員、6員または7員いずれかの炭素環または複素環となることができ;
D1がR5−X1−のときには、D1とR3が一緒になって、置換されたまたは置換されていない5員、6員または7員いずれかの炭素環または複素環となることができ;
【0050】
D1がR5−X1−のときには、D1とZ1が一緒になって、置換されたまたは置換されていない5員、6員または7員いずれかの複素環となることができ;
場合によっては、Z1とR1が一緒になって、置換されたまたは置換されていない4員、5員、6員、7員いずれかの複素環となることができ;
n=1、m=0、R5=CH3、X1=O、B=D1=E=R3=R4=Hの場合には、Zは−NHAcではなく;
D2=HかつR5=CH3の場合には、R6はCH3ではない。
鏡像異性体、ジアステレオマー、シス/トランス異性体、薬理学的に有効な塩、これらの混合物、が本発明に含まれる。
本発明に役立つ好ましい化合物は5−(メトキシカルボニルアミノ)−N−アセチルトリプタミン(MCA−NAT)であり、GR135531としても知られている。
【0051】
本発明の好ましい一実施態様は、以下の一般式II:
【化6】
【0052】
の化合物と関係している。ただし、一般式IIにおいて、
Z2とZ3は、それぞれ独立で、NR6R7(CO)−;R6(CO)−;R8O(CO)−;R8S(O)2−;R8OS(O)2−;NR6R7S(O)2−のいずれかであり;
場合によっては、Z2−N−R10、Z3−N−R10それぞれのユニットが、互いに独立に4員〜7員の環となることができ;
一般式IのD1はここではHである。
【0053】
本発明の別の好ましい実施態様は、以下の一般式III:
【化7】
【0054】
の化合物と関係している。ただし、一般式IIIにおいて、
D1は、適用範囲の広い上記実施態様に定義されたものであるが、場合によってはD1はR6と一緒になって環を形成し、さらに別のオプションでは、D1とR6は存在しておらず、環内に存在するカルボニルがこれら2つの位置を接続しており;他のあらゆる要素は、上に定義した通りである。
本発明のさらに好ましい実施態様は、一般式IIIにおいて、
B、D1、EがHであり、
他のあらゆる要素が上に定義した通りである化合物に関係している。
【0055】
本発明の別の好ましい実施態様は、以下の一般式IV:
【化8】
【0056】
の化合物に関係している。ただし、一般式IVにおいて、
D2は、H;置換されたまたは置換されていない直線状、分枝状または環状のアルキル;ハロゲン;置換されたまたは置換されていないアリール;置換されたまたは置換されていないアラルキルのいずれかであり;
R5=R6=CH3の場合には、D2はHではない。
本発明の別の好ましい実施態様は、一般式IVにおいて、
R5は、C1−C4のアルキル、アセチル、ホルミル、CF3のいずれかであり;
R6は、H、C1−C4のアルキル、CF3のいずれかであり;
R5=CH3かつD2=Hの場合には、R6がCH3にはなれない、という化合物に関係している。
【0057】
定義:アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、アラルケニル、アラルキニルに関係する置換されたまたは置換されていないという表現は、これらの基が、これらの基の中から選択したラジカル、またはハロゲン、窒素、酸素、リン、イオウの中から選択したラジカルで置換されている、あるいは置換されていない可能性があることを意味する。アルキル、アルケニル、アルキニルという用語は、炭素原子を1〜9個含むラジカルを意味する。
【0058】
アラルキル、アラルケニル、アラルキニルという用語は、両方のラジカルに関する元の定義に従う基を有する基を意味する。環状という用語は、さらに特定するのでなければ、置換されたまたは置換されていない3員〜7員の環を意味する。複素環という用語は、炭素原子以外の原子を1つ以上含んでおり、飽和に関しては任意の状態になっている環を意味する。例えばアラルケニルという用語は、アルケニル・ラジカルに結合したアリール基を表わす。
【0059】
本発明の化合物の具体例と、その製造方法を示す。本発明は、一般式I〜IVのインドール誘導体(例えばメラトニン類似体)と、薬理学的に受容可能な基剤とを含む医薬組成物製剤を用いて眼圧を下降させ、そのことによって緑内障を治療する方法を提供する。本発明の化合物には、その化合物の塩のうち、毒性のない薬理学的に受容可能な塩も含まれる。例えば塩化物、硫酸塩、酢酸塩、ナトリウム塩、アンモニウム塩、ピリジニウム塩などが挙げられるが、これだけに限定されるわけではない。薬理学的に受容可能な塩は、元の化合物が有する望む生物活性を保持していて、しかも望ましからぬ毒性効果を示さない塩である。本発明には、この明細書に開示した化合物のプロドラッグも含まれる。当業者であれば、これら化合物の塩のうちで毒性のない薬理学的に受容可能な塩や、これら化合物のプロドラッグを合成するさまざまな方法を思いつくであろう。
【0060】
本発明の化合物は主にヒトの治療に関係しているとはいえ、獣医学において他の哺乳類(イヌやネコなど)の治療に用いることもできる。
【0061】
本発明の化合物が薬理学的に有効であることは、ゾウメド社(ジャクソンヴィル、フロリダ州、アメリカ合衆国)のTONOPEN接触眼圧計を用いて測定したIOPの変化によってわかる。これら化合物の有効性は、メラトニン受容体を活性化させて目的とする応答を起こさせる能力に反映される。目的とする応答は、緑内障に伴う眼圧を下降させることである。有効な投与量は、個々人の特性、使用する具体的な化合物の活性、投与方法、病気または疾患の特性に応じて異なるが、当業者であれば決定することができる。
投与量および/または濃度レベルは、約10−12M〜約10−3Mのオーダーであり、好ましいのは、約10−11M〜約10−4Mの範囲、さらに好ましいのは約10−10M〜約10−5Mである。
【0062】
新規な化合物の投与
本発明の化合物は、眼病の治療に関して当業者に知られている任意の手段で投与することができる。インドール誘導体は、活性化合物またはその活性化合物の薬理学的に受容可能な塩と、薬理学的に受容可能な賦形剤または基剤とを含む無菌調製物として投与する。
【0063】
この明細書に開示した活性化合物は、適切な任意の手段で患者の目に投与できるが、液体またはゲル懸濁液となった活性化合物を、液滴、洗浄液、スプレー、軟膏、ゲルの形態にして投与することが好ましい。別の方法として、この活性化合物は、リポソーム、または他の基剤(シクロデキストリンなど)を用いて目に投与することもできる。さらに、この活性化合物は、ポンプ−カテーテル・システムを用いて涙液膜に注入することもできる。本発明の別の実施態様は、連続的放出装置または選択的放出装置に収容した活性化合物に関する。そのような装置として、例えばオキュサート(登録商標)システム(アルザ社、パロアルト、カリフォルニア州)で用いられている膜が挙げられるが、これだけに限定されるわけではない。
【0064】
別の実施態様として、活性化合物は、目と接するコンタクトレンズの中に含まれるようにすること、コンタクトレンズに運ばせること、コンタクトレンズに付着させることが可能である。本発明の別の実施態様は、目の表面に当てることのできるスワブまたはスポンジに含まれた活性化合物に関する。本発明の別の実施態様は、目の表面に当てることのできる液体スプレーに含まれた活性化合物に関する。本発明の別の実施態様は、活性化合物を、涙分泌組織の中、目の表面、硝子体内のいずれかに直接注入することに関する。
【0065】
活性化合物を含む局所溶液は、眼科の当業者が従来の基準で選択可能な生理学的適合性のある賦形剤も含むことができる。賦形剤は、既知の眼科用賦形剤の中から選択することができる。例えば、生理的食塩水、電解質水溶液、水溶性ポリエーテル(ポリエチレングリコールなど)、ポリビニル(ポリビニルアルコール、ポビドンなど)、セルロース誘導体(メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなど)、石油誘導体(鉱物油、白ペトロラクタムなど)、動物性油脂(ラノリンなど)、アクリル酸のポリマー(カルボキシポリメチレンゲルなど)、植物性油脂(ピーナツ油など)、多糖(デキストランなど)、グリコサミノグリカン(ヒアルロン酸ナトリウムなど)、塩(塩化ナトリウム、塩化カリウムなど)などが挙げられるが、これだけに限定されるわけではない。
【0066】
上記の局所的投与法に加え、本発明の活性化合物を全身投与することにより、この活性化合物が全身で吸収されて循環系を通じて目に到達するようにするさまざまな方法がある。そのような方法の1つは、活性化合物からなる吸入可能な粒子をエーロゾル懸濁液にしてそれを患者が吸入する操作を含んでいる。活性化合物は、肺を通じて血流に吸収され、あるいは鼻涙管を通じて目の組織と接触し、続いて眼内細胞に薬理学的に有効な量が接触することになろう。吸入可能な粒子は液体または固体にすることが可能であり、粒径は、吸入に際して口や喉頭を通過できるよう十分小さくする。一般に、約1〜10ミクロンの粒子が吸入可能であると考えられるが、より好ましいのは1〜5ミクロンである。
【0067】
活性化合物を患者に全身投与して目に到達させる別の手段は、液体製剤を目への液滴、目の洗浄液、鼻への液滴の形態にした液体/懸濁液を投与する操作、または吸入可能な粒子からなる鼻用スプレーを患者が吸入する操作を含むことになろう。鼻用スプレーや目または鼻への液滴を製造するための、活性化合物を含む液体医薬組成物は、当業者に知られている方法で活性化合物を適切な賦形剤(例えば発熱物質を含まない殺菌水、無菌生理的食塩水など)と組み合わせることによって調製できる。
【0068】
活性化合物を全身投与する他の方法としては経口投与がある。この場合、一般式I、II、III、IVの化合物を含む医薬組成物は、錠剤、薬用ドロップ、水性または油性の懸濁液、分散可能な粉末または粒子、エマルション、硬いカプセル、柔らかいカプセル、シロップ、エリキシル剤の形態にする。経口投与用の組成物は、医薬組成物の製造法として知られている任意方法に従って調製することができる。このような組成物は、薬理学的に洗練されていて美味な調製物を提供するため、甘味剤、風味剤、着色剤、保存剤からなるグループの中から選択した1つ以上の薬剤を含むことができる。
【0069】
錠剤は、錠剤の製造に適していて毒性がなく薬理学的に受容可能な添加剤と混合した状態の活性成分を含んでいる。添加剤としては、例えば、不活性な希釈剤(炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウム、リン酸ナトリウムなど)、造粒剤および分解剤(コーンスターチ、アルギニン酸など)、結合剤(デンプン、ゼラチン、アラビアゴムなど)、光沢剤(ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、タルクなど)などが可能である。錠剤は、コーティングしなくてもよい。また錠剤は、胃腸管における分解や吸収を遅らせて作用を長期にわたって持続させるため、既知の方法でコーティングすることもできる。
【0070】
例えばモノステアリン酸グリセリルやジステアリン酸グリセリルなどの遅延材料を用いることができる。経口投与用の製剤も硬いゼラチン・カプセルまたは柔らかいゼラチン・カプセルの形態にすることができる。硬いゼラチン・カプセルの場合には、活性成分を不活性な固体希釈剤(炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、カオリンなど)と混合し、柔らかいゼラチン・カプセルの場合には、活性成分を水性または油性の媒体(ピーナツ油、液体パラフィン、オリーブ油など)と混合する。
【0071】
活性化合物を全身投与して患者の目に到達させる別の手段としては、活性化合物を座薬の形態にし、治療上有効な量の化合物が全身で吸収されて循環系を通じて目に到達するようにすることが挙げられよう。
【0072】
活性化合物を全身投与するさらに別の手段としては、ゲル、クリーム、粉末、泡、結晶、リポソーム、スプレー、懸濁液のいずれかの形態にした化合物を手術中に直接点滴し、治療上有効な量の活性化合物が全身で吸収されて循環系を通じて患者の目の組織と接触するようにすることが挙げられよう。本発明を以下の実施例に従ってさらに説明するが、本発明がこれら実施例の中に記述した具体的な方法に限定されると考えてはならない。
【0073】
実施例 1.5− ニトロ − トリプタミン
ここでの方法は、マコールら(Synth. Comm.、第23巻、65−72ページ、1993年)による同様の方法を改変したものである。
5−ニトロインドール(6.2ミリモル)とフタルイミド(0.4g)をエーテル(30ml)に入れた懸濁液の中に塩化オキサリル(19.2ミリモル)を一滴ずつ添加し、この混合物を24℃で48時間にわたって撹拌する。次に、反応容器にデュワー凝縮器を取り付け、0℃まで冷却し、無水アンモニアをこの混合物の中に1.5時間にわたって吹き込む。ガスと溶媒を真空中で除去する。得られた黄色の固形物を水を用いて微粉化し、濾過し、残留物をトルエンで洗浄する。
【0074】
この固形物を乾燥させると2−アミノ−1−(5−ニトロ−1H−インドール−3−イル)−エタン−1,2−ジオンが得られる。この化合物の一部(0.59ミリモル)を採取してTHF(15ml)に入れ、28℃で16時間にわたってボラン−THF(1M溶液を2.4ml)で処理する。反応物を炭酸水素ナトリウムで中和し、酢酸エチルで抽出する。酢酸エチル抽出物を真空中で乾燥させ、再びエタノール(10ml)に溶かし、フッ化セシウム(360mg)と炭酸ナトリウム(312mg)の存在下で還流させる。この混合物をセライトで濾過し、蒸発させ、クロロホルム−メタノール−アンモニア(8:2:0.2)を溶離液として用い、残留物をシリカゲル上でクロマトグラフィにかけると、表題の化合物が得られる(20mg)。
【0075】
実施例 2.N−[2−(5− ニトロ −1H− インドール −3− イル )− エチル ]− アセトアミド
5−ニトロ−トリプタミン(6ミリモル)をピリジン(15ml)に溶かし、27℃で20分間にわたって無水酢酸(7ミリモル)で処理した。溶媒を真空中で除去し、残留物を少量のメタノールに入れ、5%メタノール−クロロホルム溶離液とともに短いシリカ栓の中を通過させる。生成物を含む分画をプールし、蒸発させ、0.1mmHg未満の真空下で完全に乾燥させる。
【0076】
実施例 3.N−[2−(5− アミノ −1H− インドール −3− イル )− エチル ]− アセトアミド
実施例2の生成物(0.05ミリモル)をエタノール(3ml)に入れ、H2の圧力を3気圧にし、触媒として機能する量の10%Pd/C上で6時間にわたって水素化する。セライトによる濾過で触媒を除去し、溶媒を真空中で除去すると、表題の化合物が得られる。この生成物は空気に対する感受性がいくらかあるため、直ちに次の反応で使用する。
【0077】
実施例 4.{3−[2−(2− ヒドロキシ − ベンジルアミノ )− エチル ]−1H− インドール −5− イル }− カルバミン酸メチルエステル
水酸化カリウム(0.15g)を緩衝剤として入れたエタノール(35ml)に5−ニトロ−トリプタミン(6ミリモル)とサリチルアルデヒド(7ミリモル)を溶かし、24℃で8時間にわたってホウ水素化ナトリウム(18ミリモル)で処理する。エタノールを真空中で除去し、残留物をエーテルと水に分離し、エーテル相を乾燥させ、蒸発させ、酢酸エチル−ヘキサンを用いて油をシリカゲル上でクロマトグラフィにかけると、2−{[2−(5−ニトロ−1H−インドール−3−イル)−エチルアミノ]−メチル}−フェノールが得られる。
【0078】
10%Pd/C上で上記のようにして水素化した後、残留物をピリジン(12ml)に溶かし、クロロギ酸メチル(9ミリモル)で処理する。クロロギ酸メチルを添加すると、直ちに茶色の沈殿物が形成されるが、20分経過するうちに溶解する。しばらくした後、シリカゲルTLC(5%メタノール−クロロホルム溶離液)を行ない、反応が完了したかどうかを判断する。混合物を蒸発させて乾燥させ、0.1mmHg未満の真空下で少なくとも2時間そのままの状態にする。次に、この混合物を少量のメタノールに溶かし、水からメタノールへという勾配を用いた逆相HPLCによって精製する。
【0079】
実施例 5.[3−(2− プロピオニルアミノ − エチル )−1H− インドール −5− イル ]− カルバミン酸メチルエステル
5−ニトロ−トリプタミン(6ミリモル)をピリジン(15ml)に溶かし、27℃で20分間にわたってプロピオン酸無水物(7ミリモル)で処理する。溶媒を真空中で除去し、残留物を0.1mmHg未満の真空下で完全に乾燥させる。次に、前の実施例と同様にして残留物を水素化し、カルバミン酸メチルエステルに変換する。5%メタノール−クロロホルムを溶離液として用い、短いシリカゲル栓を通過させて濾過することにより、表題の化合物が精製される。
【0080】
実施例 6.N−[2−(5− ジメチルアミノ −1H− インドール −3− イル )− エチル ]− アセトアミド
N−[2−(5−ニトロ−1H−インドール−3−イル)−エチル]−アセトアミド(0.6ミリモル)をアセトニトリル(1ml)に入れ、触媒として機能する量のDMAPならびにジ炭酸ジ−t−ブチル(0.7ミリモル)とともに1時間にわたって撹拌する。溶媒を真空中で除去し、溶離液として酢酸エチル−ヘキサンを用い、残留した油をクロマトグラフィにかける。生成物をエタノール(10ml)に溶かし、上記のようにして水素化する。残留物をDMF(2ml)に溶かし、ジイソプロピルエチルアミン(1.4ミリモル)を添加し、続いてヨウ化メチル(1.4ミリモル)を添加する。
【0081】
この混合物を25℃で3時間にわたって撹拌し、次いで濾過し、蒸発させて乾燥させ、エタノールに溶かし、活性炭を用いて脱色する。1当量のチオフェノールを用いて残留物をトリフルオロ酢酸に溶かし、20℃で1時間にわたって撹拌する。溶媒を除去し、化合物をイソプロパノール−水(5:1)に溶かし、水酸化物の形態になった2当量(w/w)のDowex AG1−X8イオン交換樹脂で処理する。溶媒を蒸発させた後に結晶化させると、表題の化合物が得られる。
【0082】
実施例 7.[3−(2− アセチルアミノ − エチル )−2− フェニル −1H− インドール −5− イル ]− カルバミン酸メチルエステル
2−[2−(5−ニトロ−1H−インドール−3−イル)−エチル]−イソインドール−1,3−ジオン(1ミリモル)をTHF/クロロホルム(1:1)に溶かし、0℃にて90分間にわたってピリジンヒドロブロミドペルブロミドで処理した後、クロロホルム−メタノールを用いてシリカ・カラムから溶離させる。生成物をトルエン−エタノール(1:1)に溶かし、フェニルボロン酸(1.5当量)、炭酸ナトリウム(2.5当量)、塩化リチウム(3当量)、パラジウムテトラキス(トリフェニルホスフィン)(5モル%)で処理する。
【0083】
この混合物を4時間にわたって還流させ、真空中で濃縮し、得られた油を溶離液として酢酸エチル−ヘキサンを用いてシリカ上でクロマトグラフィにかけると、2−[2−(5−ニトロ−2−フェニル−1H−インドール−3−イル)−エチル]−イソインドール−1,3−ジオンが得られる。この化合物をエタノール(6ml)に溶かし、エチレンジアミン(3当量)を用いて18時間にわたって還流させる。溶媒を真空中で除去し、得られた材料をピリジン−無水酢酸(1:1、6ml)を用いてアセチル化する。溶媒を真空中で除去し、溶離液として酢酸エチル−ヘキサンを用いて残留物をシリカ上でクロマトグラフィにかける。上記の実施例のようにしてこの生成物を水素化し、カルバミン酸メチルエステルに変換する。精製した生成物を逆相HPLCによって単離する。
【0084】
実施例 8.[3−(2− アセチルアミノ − エチル )−2− メチル −1H− インドール −5− イル ]− カルバミン酸メチルエステル
2−メチル−5−ニトロインドール(1.4ミリモル)とフタルイミド(0.1g)をエーテル(10ml)に入れた懸濁液の中に塩化オキサリル(4.4ミリモル)を一滴ずつ添加し、この混合物を24℃で48時間にわたって撹拌する。次に、反応容器にデュワー凝縮器を取り付け、0℃まで冷却し、無水アンモニアをこの混合物の中に1.5時間にわたって吹き込む。ガスと溶媒を真空中で除去する。得られた褐色の固形物を水を用いて微粉化し、濾過し、残留物をトルエンで洗浄する。この固形物を乾燥させると(2−アミノ)−1−(5−ニトロ−1H−インドール−3−イル)−エタン−1,2−ジオンが得られる。
【0085】
この化合物の一部(0.59ミリモル)を採取してTHF(15ml)に入れ、28℃で16時間にわたってボラン−THF(1M溶液を2.4ml)で処理する。反応物を炭酸水素ナトリウムで中和し、酢酸エチルで抽出する。酢酸エチル抽出物を真空中で乾燥させ、再びエタノール(10ml)に溶かし、フッ化セシウム(360mg)と炭酸ナトリウム(312mg)の存在下で還流させる。この混合物をセライトで濾過し、蒸発させ、クロロホルム−メタノール−アンモニア(8:2:0.2)を溶離液として用いて残留物をシリカゲル上でクロマトグラフィにかけると、2−(2−メチル−5−ニトロ−1H−インドール−3−イル)−エチルアミンが得られる。この化合物を上記のようにしてアセチル化し、水素化し、カルバミン酸メチルエステルに変換する。
【0086】
実施例 9.[3−(3− アセチルアミノ − プロップ −1− イル )−1H− インドール −5− イル ]− カルバミン酸メチルエステル
0℃にしたTHF−HMPA(9:3、11ml)中のホスホン酸ジエチルシアノメタン(7ミリモル)を、10分間にわたって水素化ナトリウム(7ミリモル)で処理する。次に、1−アセチル−5−ニトロインドール−3−カルボキシアルデヒド(6ミリモル)を添加し、この溶液を室温で3時間にわたって撹拌する。この混合物を氷水の中に注ぎ、pHを5に調節する。
【0087】
溶媒を蒸発させ、残留物をメタノールを用いて微粉化すると、3−(1−アセチル−5−ニトロ−1H−インドール−3−イル)−プロペニトリルが固形物として得られる。これをアンモニアで飽和したエタノール(75ml)に入れ、H2の圧力を3気圧にし、16時間にわたってラネー・ニッケル上で水素化する。触媒を除去した後、上記のようにしてアセチル化を行なうと、N−[3−(5−ニトロ−1H−インドール−3−イル)−プロップ−1−イル]−アセトアミドが生成する。これを上記のようにして水素化し、カルバモイル化し、逆相HPLCにより精製する。
【0088】
実施例 10.[3−(3− ベンゼンスルホニルアミノ − エチル )−1H− インドール −5− イル ]− カルバミン酸メチルエステル
5−ニトロトリプタミン(6ミリモル)をピリジン(15ml)に溶かし、25℃で4時間にわたって塩化ベンゼンスルホニルで処理する。この混合物を氷水の中に注ぎ、エーテルを用いて抽出する(3×50ml)。エーテル抽出物を1MのHClで洗浄し(2×50ml)、次いで炭酸水素ナトリウム(2×50ml)で飽和させ、硫酸マグネシウムを用いて乾燥させ、減圧下で蒸発させる。得られた固形物を上記の実施例のようにして水素化し、カルバミン酸メチルエステルに変換する。
【0089】
実施例 11.N−[2−(5− ウレイド −1H− インドール −3− イル )− エチル ]− アセトアミド
実施例3の生成物を酢酸−水(1:2、3ml)に溶かし、クエン酸ナトリウム(2ミリモル)を添加する。これを撹拌し、茶色のゴム状のものを沈殿させる。この混合物をクロロホルムで抽出し(3×30ml)、有機抽出物を飽和炭酸水素ナトリウムで洗浄し、硫酸マグネシウムを用いて乾燥させ、溶媒を真空中で蒸発させる。得られた生成物を上記のように逆相HPLCによって精製する。
【0090】
実施例 12.N−[2−(5− メトキシカルボニルアミノ −1H− インドール −3− イル )− エチル ]− スクシンアミド酸
ジクロロメタン(25ml)に5−ニトロトリプタミン(6ミリモル)を溶かした溶液に、トリエチルアミン(12ミリモル)、DMAP(0.6ミリモル)、無水コハク酸(9ミリモル)を添加する。この混合物を4時間にわたって撹拌し、溶媒を真空中で除去し、1%酢酸を含む10%メタノール−クロロホルムを溶離液として用いて残留物をシリカゲル上でクロマトグラフィにかける。次に生成物を上記の実施例のようにして水素化し、カルバミン酸メチルエステルに変換する。精製された生成物は、上記のような逆相HPLCによって得られる。
【0091】
実施例 13.[3−(2− アセチルアミノ − エチル )−1H− インドール −5− イル ]− カルバミン酸アリルエステル
実施例3の生成物(5ml)を上記のようにしてクロロギ酸アリルで処理し、溶離液として5%メタノールを含むクロロホルムを用い、シリカゲル上で精製する。
【0092】
実施例 14.[3−(2− アセチルアミノ − エチル )−1H− インドール −5− イル ]− カルバミン酸 3− ヒドロキシ − プロップ −1− イルエステル
[3−(2−アセチルアミノ−エチル)−1H−インドール−5−イル]−カルバミン酸アリルエステル(1ミリモル)をTHF(27ml)に溶かし、ボラン−THF(2ミリモル)を一滴ずつ添加する。2時間後、水酸化ナトリウム(3Mのもの4ml)と過酸化水素(30%のもの4ml)を添加し、この溶液をさらに1時間撹拌する。この溶液を半分の体積に濃縮し、水10mlを添加し、酢酸エチルで抽出する(4×25ml)。合わせた抽出物をブラインで洗浄し、乾燥させ、溶媒を真空中で除去し、溶離液として5%メタノールを含むクロロホルムを用いて生成物をシリカゲル上でクロマトグラフィにかける。
【0093】
実施例 15.[3−(2− アセチルアミノ − エチル )−1H− インドール −5− イル ]− カルバミン酸 2,3− ジヒドロキシ − アリルエステル
[3−(2−アセチルアミノ−エチル)−1H−インドール−5−イル]−カルバミン酸アリルエステル(1ミリモル)をピリジン(7ml)に溶かし、25℃で四酸化オスミウム(0.01ミリモル)とH2O2(30%水溶液を1ml)を用いて15時間にわたって処理する。溶媒を真空中で除去し、溶離液として5%メタノールを含むクロロホルムを用いて生成物をシリカゲル上でクロマトグラフィにかける。
【0094】
実施例 16.N−[3−(2− アセチルアミノ − エチル )−1H− インドール −5− イル ]− アセトアミド
実施例1の生成物(0.05ミリモル)をエタノール(3ml)に入れ、H2の圧力を3気圧にし、触媒として機能する量の10%Pd/C上で一晩かけて水素化する。セライトによる濾過で触媒を除去し、溶媒を真空中で除去する。上記のようにピリジン/無水酢酸を用いてアセチル化すると、表題の化合物が得られる。
【0095】
実施例 17.[3−(2− アセチルアミノ − エチル )−2− ブロモ −1H− インドール −5− イル ]− カルバミン酸メチルエステル
酢酸(0.5ml)に5−メトキシカルボニルアミノ−N−アセチルトリプタミン(0.05ミリモル)を溶かした溶液を、25℃でN−ブロモスクシンイミド(0.05ミリモル)を用いて3.5時間にわたって処理する。次にこの溶液を50%水酸化ナトリウム溶液を用いて中和し、酢酸エチルを用いて抽出する。有機抽出物を蒸発させ、溶離液として2%メタノール−クロロホルムを用いて生成物をシリカゲル上でクロマトグラフィにかけると、精製された生成物が得られる。
【0096】
実施例 18.[3−(2− アセチルアミノ − エチル )−1− ベンジル −1H− インドール −5− イル ]− カルバミン酸メチルエステル
DMF(0.7ml)の中に入れた実施例2の生成物(0.04ミリモル)に水素化ナトリウム(0.1ミリモル)を添加する。この混合物は、すぐに黄色から赤に変化する。20分間にわたって撹拌した後、臭化ベンジル(0.1ミリモル)を添加し、この混合物をさらに2時間撹拌する。次に反応物を水と酢酸エチルに分けると層が分離し、酢酸エチル相を真空中で除去し、生成物を高真空中で乾燥させる。次に残留物を少量のメタノールに溶かし、水からメタノールへという勾配を用いた逆相HPLCによって生成物を単離する。この生成物を上記の実施例のようにして水素化し、カルバミン酸メチルエステルに変換することにより、表題の化合物に変換する。
【0097】
実施例 19.(1− オキソ −2,3,4,9− テトラヒドロ −1H− β − カルボリン −6− イル )− カルバミン酸メチルエステル
6−ニトロ−2,3,4,9−テトラヒドロ−β−カルボリン−1−オン(0.05ミリモル)のサンプルを上記の実施例のようにして水素化し、カルバミン酸メチルエステルに変換することにより、表題の化合物に変換する。
【0098】
実施例 20.[3−(2− アセチルアミノ − エチル )−1− メチル −1H− インドール −5− イル ]− メチル − カルバミン酸メチルエステル
DMF(0.7ml)に5−(メトキシカルボニルアミノ)−N−アセチルトリプタミン(0.03ミリモル)を溶かした溶液に水素化ナトリウム(0.1ミリモル)を添加し、この混合物を室温で20分間にわたって撹拌する。次にインドメタン(0.1ミリモル)を添加し、この混合物をさらに2時間撹拌する。反応混合物を水と酢酸エチルに分け、酢酸エチル相を真空中で除去し、生成物を高真空中で乾燥させる。次に残留物を少量のメタノールに溶かし、水からメタノールへという勾配を用いた逆相HPLCによって生成物を単離する。この生成物を、上記の実施例のようにして水素化し、カルバミン酸メチルエステルに変換することにより、表題の化合物に変換する。
【0099】
実施例 21.[3−(2− アセチルアミノ − エチル )−4−(1− メトキシ − エチル )−1− メチル −1H− インドール −5− イル ]− カルバミン酸メチルエステル
DMF(0.7ml)の中に入れた1−(1H−インドール−4−イル)−エタノール(4ミリモル)に水素化ナトリウム(10ミリモル)を添加する。20分間にわたって撹拌した後、インドメタン(10ミリモル)を添加し、この混合物をさらに2時間撹拌する。次に反応混合物を水と酢酸エチルに分け、酢酸エチル相を真空中で除去し、生成物を高真空中で乾燥させる。次に残留物を少量のアルコールに溶かし、溶離液としてクロロホルム−メタノールを用いてシリカゲル上でクロマトグラフィを行なうことにより、4−(1−メトキシ−エチル)−1−メチル−1H−インドールを単離する。
【0100】
この生成物(2ミリモル)をエーテル(40ml)に溶かし、塩化オキサリル(8ミリモル)を一滴ずつ添加し、この混合物を24℃で8時間にわたって撹拌する。次に、反応容器にデュワー凝縮器を取り付け、0℃まで冷却し、無水アンモニアをこの混合物の中に1.5時間にわたって吹き込む。ガスと溶媒を真空中で除去する。得られた固形物を酢酸エチルに溶かし、ブラインを用いて抽出し、酢酸エチル相を硫酸マグネシウムを用いて乾燥させ、蒸発させる。この材料をTHF(15ml)に溶かし、25℃でボラン−THF(1Mの溶液3ml)を用いて16時間にわたって処理する。反応物を炭酸水素ナトリウムを用いて中和し、酢酸エチルを用いて抽出する。
【0101】
次に、酢酸エチル抽出物を真空中で乾燥させ、再びエタノール(10ml)に溶かし、フッ化セシウム(380mg)と炭酸ナトリウム(350mg)の存在下で還流させる。この混合物をセライトを通じて濾過し、蒸発させ、溶離液としてクロロホルム−メタノール−アンモニア(9:1:0.1)を用いて残留物をシリカゲル上でクロマトグラフィにかけることにより、2−[4−(1−メトキシ−エチル)−1−メチル−1H−インドール−3−イル]−エチルアミンが得られる。この材料をピリジン(6ml)に溶かし、無水酢酸(3ml)で処理すると、N−{2−[4−(1−メトキシ−エチル)−1−メチル−1H−インドール−3−イル]−エチル}−アセトアミドが得られる。0.1mmHg未満の圧力下で乾燥させた後、この化合物(1ミリモル)をジクロロメタン(2ml)の中に入れる。
【0102】
硝酸アンモニウム(1.7ミリモル)を添加した後、無水トリフルオロ酢酸(3ミリモル)を添加する。この混合物を一晩にわたって撹拌した後、飽和した冷たい炭酸水素ナトリウムとクロロホルムに分ける。有機相を水で洗浄し、硫酸マグネシウムを用いて乾燥させ、蒸発させて乾燥させる。溶離液として酢酸エチル−ヘキサンを用いてシリカゲル上でクロマトグラフィを行なうことにより、N−{2−[4−(1−メトキシ−エチル)−1−メチル−5−ニトロ−1H−インドール−3−イル]−エチル}−アセトアミドが単離され、上記の実施例のようにして水素化してカルバミン酸メチルを形成することにより、最終的に表題の化合物に変換される。
【0103】
実施例 22.メラトニンと 5− メトキシカルボニルアミノ −N− アセチルトリプタミン( 5−MCA−NAT )がウサギの眼圧に及ぼす効果
メラトニンと5−メトキシカルボニルアミノ−N−アセチルトリプタミン(5−MCA−NAT)(GR135531としても知られる)が眼圧(IOP)に及ぼす効果をニュージーランド白ウサギを使って評価した。
【0104】
眼圧の測定:
ゾウメド社(ジャクソンヴィル、フロリダ州、アメリカ合衆国)のTONOPEN接触眼圧計を用いてIOPを測定した。上記薬剤10μlを一方の角膜に対して局所的に投与し、反対側の目には同じ体積の生理学的食塩水を投与した。両方の角膜を麻酔し、眼圧計の使用に伴う不快感がまったくないようにした。薬剤を投与する前に測定を2回行なった。
【0105】
薬理学的研究:
10〜100倍高い濃度のメラトニン(シグマ社、セントルイス)と5−MCA−NAT(トクリス社、ブリストル、イギリス)をDMSO中に調製し、生理的食塩水で希釈した。投与量は10pg/10μl〜1mg/10μlにし(メラトニンについては43フェムトモル〜43マイクロモルに等しく、5−MCA−NATについては34フェムトモル〜34マイクロモルに等しい)、投与してから0.5、1、2、3、4、5、6時間後に眼圧を測定した。1匹に1回投与してその結果を1日で調べた。メラトニンまたは5−MCA−NATのいずれかを100μg/10μlまたは342nM投与する30分前に、メラトニンの非特異的アンタゴニストであるルジンドールを添加した。
【0106】
メラトニンと5−MCA−NATがウサギのIOPに及ぼす効果:
メラトニン(10pg/10μl〜1mg/10μl)の投与量によってIOPが下降する程度が異なっていた。IOPは10μg/10μlのときに下降が最大となり、下降率は24±4.4%(n=8)であった。最大の効果は1時間後に現われ、3時間にわたって効果が持続した(図1)。5−MCA−NAT(10pg/10μl〜1mg/10μl)の場合も投与量によってIOPが下降する程度が異なっていた。IOPは100μg/10μlのときに下降が最大となり、下降率は43.1±3.65%(n=8)であった。
【0107】
最大の効果は2時間後に現われ、10時間にわたって効果が持続した(図2)。5−MCA−NATに対する最大の応答は、メラトニンに対する応答よりも統計的に有意に大きかった。メラトニンと5−MCA−NATに対するIC50値は、それぞれ363±23.0ng/10μL、423±30 ng/μLであった。これは、投与量にして、それぞれ1.6±0.4ナノモル、1.8±0.1ナノモルに等しい(図3)。これらの値の間に有意差はない。
【0108】
メラトニン受容体の非特異的アンタゴニストであるルジンドール(100μg/10μl)で前処理を行なうとメラトニンと5−MCA−NATの両方で効果が消えた(図4)が、ルジンドールを単独で投与した場合には6時間までの範囲で効果はなかった。
【0109】
これらの結果は、メラトニンと、MT3受容体の選択的アゴニストである5−MCA−NATが、投与量に依存したIOPの下降をもたらすことを示している。しかも5−MCA−NATの最大応答は、メラトニンの最大応答のほぼ2倍になる。これらの結果は、メラトニン受容体が一種類だけ存在していると仮定すると、メラトニンは部分的アゴニストとして作用するらしいのに対し、5−MCA−NATは全体的アゴニストとして作用することを示唆している。メラトニン受容体の非特異的アンタゴニストであるルジンドールがメラトニンと5−MCA−NATの効果を消す能力を有するという結果は、メラトニンと5−MCA−NATがメラトニン受容体を媒介として作用することを示唆している。
【0110】
当業者であれば誰でも本発明を実施したり利用したりできるようにするため、本発明を、本発明を実施したり利用したりする態様や方法も含め、上記のように十分、明瞭、簡潔、正確に説明した。上記の内容は本発明の好ましい実施態様の説明であり、請求の範囲に記載されている本発明の範囲からはずれることなく変更を施すことが可能である。本発明に関する主題を特に指摘して明確に主張するため、請求の範囲を記載してこの明細書を締めくくる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
図1は、メラトニンがニュージーランド白ウサギのIOPに及ぼす効果を6時間にわたって調べた結果を示している。
【図2】
図2は、等価な量の5−MCA−NATが及ぼす効果を10時間にわたって調べた結果を示している。
【図3】
図3は、5−MCA−NATとメラトニンでIOP下降効果が投与量に応じてどのように変わるかを比較した図である。
【図4】
図4は、メラトニン受容体のアンタゴニストであるルジンドールによって5−MCA−NATとメラトニンのIOP下降効果が打ち消される様子を示している。
発明が属する技術分野
本発明は、インドール類似体およびインドール医薬組成物を投与することによって眼圧を下降させ、高眼圧症(ocular hypertension)と緑内障(glaucoma)を治療する方法に関する。
【0002】
発明の背景
緑内障は、眼圧(IOP)の慢性的上昇に伴って徐々に失明に向かう病気である。十分に高い眼圧が継続すると視神経と網膜の接続部にある視神経乳頭が損傷し、その結果として網膜神経節細胞が変性し、緑内障による失明につながると考えられている。しかしIOPの上昇(高眼圧症としても知られる)によって緑内障になるメカニズムはよくわかっていない。しかも、緑内障に伴って視野が失われるという典型的な症状を抱える患者の一部では、IOPの異常な上昇が見られない(低眼圧緑内障(low−tension glaucoma)または正常眼圧緑内障(normal−tension glaucoma)として知られる)。
【0003】
緑内障は、大まかには、開放隅角緑内障(open−angle glaucoma)、閉塞隅角緑内障(closed−angle glaucoma)、先天性緑内障(congenital glaucoma)に分類され、さらに原発緑内障(primary glaucoma)と続発性緑内障(secondary glaucoma)に分類される。緑内障は、さまざまな薬物とさまざまな外科的方法で治療される。高眼圧症を伴う緑内障の場合には、薬物療法に用いられる薬物として、アドレナリン作動性アゴニスト(エピネフリン、ジペベフリン、アプラクロニジン)、コリン作動性アゴニスト(ピロカルピン)、β遮断薬(ベタキソロール、レボブノロール、チモロール)、カルボニックアンヒドラーゼ阻害薬(アセタゾラミド)などがあり、最近は、プロスタグランジン類似体(ラタノプロスト、ルーミガン(登録商標))やαアドレナリン作動性アゴニスト(ブリモニジン)もある。
【0004】
これらの薬物を用いると、毛様体による房水の産生が抑制されるため、あるいは線維柱またはぶどう膜強膜からの房水流出が容易になるため、IOPが正常圧の状態に回復する。抗コリンエステラーゼ剤は、房水の流出抵抗を小さくして原発緑内障における眼圧を下降させる。抗コリンエステラーゼ剤は、原発緑内障とある種の続発性緑内障(例えば混濁部分摘出後の無水晶体緑内障)に用いられてきた。先天性緑内障は薬物療法にほとんど反応しないため、外科的手術による治療のほうが一般的である。
【0005】
狭隅角緑内障では、薬物によって虹彩の括約筋が収縮する結果、シュレム管の位置にある線維柱空間への房水流入が虹彩によって阻止されていた状態が解消されるため、房水の流出が増加する(Taylor、123−125ページ『治療法の薬理学的基礎』、第7版、A.G.ギルマン、L.S.グッドマン、T.W.ロール、F.ムラ、マクミラン出版社、ニューヨーク、1985年)。
【0006】
広隅角緑内障または慢性単純緑内障では、線維柱への房水流入が物理的に阻止されることはないが、線維柱(直径の小さな多数の孔からなるメッシュ)の開通性が失われる。虹彩の括約筋と毛様体筋が収縮すると線維柱帯網は緊張状態が高まってきれいに並び、房水の再吸収とこの帯網からシュレム管への流出が改善される(Watson, Br.、J. Ophthalmol.、第56巻、145−318ページ、1972年;Schwartz、N. Engl. J. Med.、第290巻、182−186ページ、1978年;Kaufman他、『実験薬理学ハンドブック』、第69巻、149−192ページ、1984年)。
【0007】
急性鬱血性(狭隅角)緑内障はほとんど常に緊急事態であり、この急性の発症を制御するのに薬物が重要となるが、長期間にわたる制御は、通常は圧倒的に外科的手術(周辺虹彩切除または虹彩全体切除)による。これとは対照的に、慢性単純(広隅角)緑内障は、知らない間に徐々に進行するため、外科的手術によって改善することは一般になく、眼圧の制御は継続的治療法により行なう。
【0008】
急性鬱血性緑内障(acute congestive glaucoma)は、年齢が40歳を超える患者が散瞳薬を適切に使用しないことによって、あるいは瞳孔の拡大や眼内血管の鬱血を引き起こす可能性のあるさまざまな因子によって、急に発生する可能性がある。徴候および症状としては、眼のひどい炎症、半拡大状態の瞳孔、激痛、吐き気などがある。治療の目的は、病状が続いている間に眼圧を正常レベルに下げることである。抗コリンエステラーゼ剤は、効果を最大にするため、副交感神経作用薬と組み合わせて結膜嚢に点滴する。
【0009】
一般的な組み合わせは、0.5%サリチル酸フィゾスチグミン溶液に4%硝酸ピロカルピンを加えたものである。補助的治療法としては、アセタゾラミドなどのカルボニックアンヒドラーゼ阻害薬を静脈内投与して房水の分泌を減らす方法や、マンニトールやグリセリンなどの浸透圧剤を静脈内投与して眼内脱水を誘導する方法などがある。長期にわたって作用する有機リン化合物は、狭隅角緑内障には用いられない。というのも、血管が鬱血したり、隅角の閉塞が増えたりするからである。
【0010】
慢性単純緑内障および続発性緑内障の治療薬としては、(1)副交感神経作用薬(例えば硝酸ピロカルピンを0.5〜0.6%);(2)短時間作用性抗コリンエステラーゼ剤(例えばサリチル酸フィゾスチグミンを0.25〜0.5%)または長時間作用性抗コリンエステラーゼ剤(例えば臭化デメカリウム0.125〜0.25%;ヨウ化エコチオフェート0.03〜0.25%;イソフルロフェート0.025%);(3)マレイン酸チモロールなどのβアドレナリン作動性アンタゴニスト(作用時間が長く12時間ごとに投与する薬剤であり、瞳孔の開き具合には直接作用しないが、房水の産生を減少させ(Boger他、Am. J. Ophthalmol.、第86巻、8−18ページ、1978年;Lotti他、『実験薬理学ハンドブック』、第69巻、249−278ページ、1984年)、水晶体の調節が部分的に妨げられることと、長時間作用性抗コリンエステラーゼ剤の好ましからぬ効果を回避する);逆説的な(4)交感神経作用薬(例えばエピネフリン0.25〜2%、フェニルエフリン10%)(抗コリンエステラーゼ剤またはコリン作動性アゴニストと組み合わせて使用すると非常に効果的である)などが挙げられる。これら薬剤は、房水の分泌を少なくすることによって眼圧を下降させ、微小血管の鬱血を阻止する。
【0011】
コリン作動性アゴニストと抗コリンエステラーゼ剤は水晶体の調節を妨げるため、短期間に比較的多い量を投与した場合には、一般に遠方が一時的にぼやけて見える。コリン作動性アゴニストと抗コリンエステラーゼ剤を長期間にわたって投与すると、アセチルコリン受容体の数が減るために応答が少なくなる。
【0012】
長期作用性抗コリンエステラーゼ剤は投与頻度が少ないために便利でしかも効果が大きいとはいえ、水晶体が混濁し、望ましからぬ自律神経効果が生じる危険性が大きい。有機リン剤であるDFPは、作用時間が最長であり、局所投与すると極めて強力である。ピーナツ油またはゴマ油に溶かした溶液を1日に1回から1週間に1回の割合で点眼する必要があるが、他の薬剤では対処できない難しい場合に眼圧を制御できる可能性がある。油性賦形剤はたいていの患者にとって不快であるため、DFPの代わりにエコチオフェートが用いられてきた。
【0013】
強力で作用時間が長い抗コリンエステラーゼ剤(デメカリウム、エコチオフェート、イソフルロフェートなど)を用いて6ヶ月以上の期間にわたって緑内障の治療を行なうと、白内障が進行する危険性が大きくなる(Axelsson他、Acta Ophthalmol. (Kbh.)、第44巻、421−429ページ、1966年;de Roetth、J.A.M.A.、第195巻、664−666ページ、1966年;Schaffer他、Am. J. Ophthalmol.、第62巻、613−618ページ、1966年)。
【0014】
白内障の進行は治療を行なっていない同年齢のグループにおいて一般的であるとはいえ、このような状況下で50%の場合に水晶体の混濁が発生することがあり、しかも危険性は、溶液の濃度、点眼頻度、治療期間、患者の年齢に比例して大きくなる(Laties、Am. J. Ophthalmol.、第68巻、848−857ページ、1969年;Kaufman他、『実験薬理学ハンドブック』(M.L.シアーズ編、シュプリンガー・フェアラーク社、ベルリン、1984年)、第69巻の「目の薬理学」の中の149−192ページ、)。
【0015】
長期作用性抗コリンエステラーゼ剤を勧められないのは、緑内障がチモロール、副交感神経作用薬、フィゾスチグミンなどの薬剤で制御できる場合である。しかし緑内障が十分制御できない場合には失明して元に戻らない可能性があるため、長期作用性抗コリンエステラーゼ剤は、他の薬剤が不十分な場合には治療上やはり重要な薬剤である。
【0016】
1日に1〜5回、ピロカルピン(4%)を単独で、またはフィゾスチグミン(0.2%)と組み合わせて用いて治療を行なうと、水晶体の混濁が進行する頻度は、治療を行なっていない同年齢のグループにおいて自然発生する水晶体の混濁が進行する頻度よりも大きくならないことが見いだされた(Axelsson他、Acta Ophthalmol. (Kbh.)、補102巻、1−37ページ、1969年)。したがって、ピロカルピンなどの短期作用性縮瞳剤を用いて眼圧を制御することができる。たとえ効果が不十分でも、白内障の進行による危険は眼圧が大きくなることによる危険と釣り合うはずであり、短期作用性縮瞳剤を試した後に強力な長期作用性抗コリンエステラーゼ剤に頼るべきである。しかし患者は、6ヶ月以下の期間ごとに水晶体に混濁が現われたかどうかを調べる必要がある。
【0017】
他の新しい薬剤も緑内障の治療に効果があるかどうか調べられた。調べられたのは、例えば、アデノシン受容体のA3サブユニットのアンタゴニスト、カルモジュリンのアンタゴニスト、抗エストロゲン(WO 00/03741);リン酸塩、糖、塩基のいずれかが置換または修飾されていてよい眼圧下降用オリゴヌクレオチド(アメリカ合衆国特許第5,545,626号);非芳香族アザビシクロ環によって置換され、場合によってはさらに2個までの置換基で置換された、ピラジン、ピリミジン、ピリダジンの誘導体(アメリカ合衆国特許第5,219,849号);プロスタシクリン類似体であるラタノプロスト(Higginbotham、Arch. Ophthalmol.、第114巻、998−999ページ、1996年)である。緑内障を長期にわたって臨床的に制御できる可能性のある4種類の化合物として、局所活性をもたらすカルボニックアンヒドラーゼ阻害薬、選択的α2アドレナリン作動性アゴニスト、プロスタグランジン、エタクリン酸が挙げられる(Serle、Drugs Aging、第5巻、156−170ページ、1994年)。
【0018】
抗コリンエステラーゼ剤の投与によって起こる可能性のある目のさまざまな副作用としては、頭痛、前頭部の痛み、視野のぼやけ、水晶体振せん、角膜周辺部の充血、虹彩の鬱血、さまざまなアレルギー反応のほか、稀に網膜剥離がある。抗コリンエステラーゼ剤を結膜内に頻繁に点滴すると、十分に吸収されて、コリンエステラーゼとブチリル−コリンエステラーゼの抑制に起因するさまざまな全身効果が発生する。したがって、コリン作動性自律神経機能が増進され、エステル結合による局所的麻痺作用の時間が長くなり、スクシニルコリンによって誘導される神経筋の阻害が増進されて長期間になる可能性がある。迷走神経緊張症やアレルギーを有する人が特に危険である。
【0019】
ラタナプロスト(キサラタン(登録商標))はプロスタノイド・アゴニストであり、ぶどう膜強膜からの房水流出を増加させることによってIOPを下降させると考えられている。ラタナプロストは、イソプロピルエステル・プロドラッグであり、角膜においてエステラーゼによって加水分解されて生物学的に活性な酸になる。キサラタン(登録商標)は1日に1回投与されるが、0.5%チモロールを1日に2回投与するのと同等な効果をもたらすことがわかっている。キサラタン(登録商標)は、虹彩にある茶色色素の量を増加させて目の色を徐々に変える可能性がある。虹彩に対する長期的影響がどのようなものかはわかっていない。
【0020】
キサラタン(登録商標)を使用するとまぶたの皮膚が黒ずむことも報告されている。さらに、キサラタン(登録商標)は、徐々にまつげを長く、太く、色濃くするとともに、まつげの数を増やす可能性がある。キサラタン(登録商標)による治療中に黄斑浮腫(嚢腫黄斑浮腫も含む)が起こったことも報告されている。これらの報告は、水晶体のない患者、後水晶体被膜が摩耗して偽水晶体を入れた患者、黄斑浮腫に関して知られているリスク因子を持つ患者について主になされている(Ophthalmic PDR、315−316ページ、2001年)。
【0021】
要するに、緑内障の患者は、IOPを下降させるのにさまざまな薬物療法を利用できるとはいえ、これらの治療法は効果の点でも副作用の点でも限界がある。
【0022】
メラトニンは主に松果体から分泌される神経ホルモンであるが、網膜からも少量分泌される。メラトニンの産生はサーカディアン・リズムに従い、夜間にレベルが上昇する。メラトニンは、周期的情報の処理を始めとしてサーカディアン・リズムの多くの側面を調節していることが知られている。その作用メカニズムとしては、メラトニン膜受容体(以前はmel1aとして知られていたMT1、以前はmel1bまたはML1として知られていたMT2、以前はML2として知られていたMT3の3つのタイプに分類される)の活性化と、ラジカル捕獲剤の活性を通じた抗酸化による酸化損傷に対する保護などがある。
【0023】
MT1受容体とMT2受容体は、ムスカリン性受容体およびプリン作動性受容体と同様、7回膜貫通型でGタンパク質に共役していると推定される受容体のスーパー・ファミリーに属している。MT1受容体とMT2受容体の両方ともクローニングされている。これら受容体は、百日咳毒素感受性Gタンパク質により、アデニル酸シクラーゼとの共役が抑制される。MT3受容体はクローニングされていないが、ホスホリパーゼCと共役するようである(Mullins他、Cell Signal、第9巻、169−173ページ、1997年)。
【0024】
さまざまな研究により、MT1受容体は、ラットの尾動脈の血管収縮と、催眠性効果に関係する神経発火の抑制とに関係するのに対し、MT2受容体は、ラットの尾動脈の血管拡張とサーカディアン・リズムの位相の進行に関係することがわかっている(Marco他、Current Medicinal Chemistry、第6巻、501−518ページ、1999年)。MT3受容体は、高アフィニティ・リガンドである5−(メトキシカルボニルアミノ)−N−アセチルトリプタミン(5−MCA−NAT)(GR135531としても知られる)を用いてキャラクテリゼーションがなされているが(Molinari他、European J. Pharmacol.、第301巻、159−168ページ、1996年)、生理学的活性については報告されていない。
【0025】
眼圧(IOP)の制御にメラトニンが関与するかどうかははっきりしていない。これまでの研究によると、メラトニンは、どの生物種であるかと、サーカディアン・リズムのどの時期にIOPを測定したかによって、IOPを上昇させる場合と下降させる場合のあることがわかっている(ChiouとMcLaughlin、Ophthalmic Res.、第16巻、302−306ページ、1984年;Rohde他、J. Ocul. Pharmacol.、第1巻、235−243ページ、1985年;Chiou他、Ophthalmic Res.、第17巻、373−378ページ、1985年;Rohde他、Ophthalmic Res.、第25巻、10−15ページ、1993年;Meyer−Bothling他、Invest. Ophthalmol. Vis. Sci.、第34巻、3035−3042ページ、1993年;Osborne、Acta Neurobiol. Exp. (Warsz)、第54巻補、57−64ページ、1994年;Aimoto他、J. Ocul. Pharmacol.、第1巻、149−160ページ、1985年;Wildsoet他、Ophthalmic Physiol. Opt.、第13巻、357−365ページ、1993年;Dkhissi他、J. Neuroendocrinol.、第10巻、863−869ページ、1998年;Ritch、Curr. Opin. Ophthalmol.、第11巻、78−84ページ、2000年;Kiuchi他、Curr. Eye Res.、第12巻、181−190ページ、1993年;Dubocovich他、FASEB J.、第12巻、1211−1220ページ、1998年)。
【0026】
大部分の研究は、メラトニンがIOPを上昇させることを示している。しかしアメリカ合衆国特許第4,654,361号には、有効な量のメラトニンを投与することによって眼圧を下降させる方法が開示されている。この明細書で引用するこの特許ならびにその他のアメリカ合衆国特許は、その全体がこの明細書に組み込まれている。
【0027】
アメリカ合衆国特許第4,803,218号には、[3−(アミノアルキル)−1H−インドール−5−イル]尿素化合物と、薬理学的に受容可能な基剤とを含む医薬組成物を投与することによって動物の高血圧を治療する方法が開示されている。この特許にはまた、N−[3−(2−アミノエチル)−1H−インドール−5−イル]尿素とその類似体を製造する方法も記載されている。
【0028】
アメリカ合衆国特許第5,633,276号、第6,040,451号、第5,948,804号、第6,159,998号には、置換された5−(2−イミダゾリン−2−イルアミノ)インドール化合物を用いることにより、眼圧を下降させ、老眼、偏頭痛、高血圧、アルコール禁断症状、薬物依存、関節リューマチ、虚血痛、痙攣、下痢、鼻の充血緩和、尿失禁を治療する方法が開示されている。アメリカ合衆国特許第6,004,991号、第6,140,372号、第5,998,461号、第6,071,946号には、メラトニン異常に伴う病気の治療法が開示されている。上記の特許に開示されている置換されたインドール誘導体は、参考としてこの明細書に組み込まれている。
【0029】
PCT国際出願WO 96/25397には、カンナビノイド受容体に対して活性のあるインドール誘導体と、そのインドール誘導体を用いることにより眼圧を下降させて緑内障を治療する方法が開示されている。PCT国際出願WO 96/11685には、緑内障その他の疾患を治療するためのインドール誘導体が開示されている。これら2つのPCT国際出願に開示されているインドール誘導体は、本発明のものとは異なっている。
【0030】
上記のように、緑内障の治療に一般的に用いられている薬剤は、白内障の進行などの好ましくない副作用を引き起こす可能性がある。緑内障を治療する上で安全かつ効果的な薬剤が必要とされている。
【0031】
発明の要約
この明細書に開示されているのは、コアとなるインドールまたはメラトニン・タイプの化学構造を有する一般式I、II、III、IVの化合物を投与することによって眼圧を下降させる新規な方法である。
【0032】
本発明は、このような化合物を利用して、メラトニンと比べてより長時間にわたって、および/またはより強力に眼圧を下降させる方法を提供する。好ましい化合物は、5−(メトキシカルボニルアミノ)−N−アセチルトリプタミン(MCA−NAT)であり、GR135531としても知られている(Molinari他、European J. Pharmacol.、第301巻、159−168ページ、1996年)。この化合物は、MT3受容体に対する特異性を有する高アフィニティのリガンドである。
【0033】
本発明は、眼圧を下降させ、高眼圧症や緑内障といった眼圧と関係した疾患を治療する方法を提供する。この方法は、この方法を必要としている治療対象に、眼圧を下降させるのに有効な量のインドール誘導体を投与するステップを含んでいる。一般式I、II、III、IVのインドール誘導体は、眼圧を長時間にわたって、および/または強力に下降させる。
【0034】
発明の詳細な説明
本発明は、眼圧の上昇に伴う疾患の治療法を提供する。この方法は、眼圧の上昇を治療または制御するのに通常用いられる治療薬およびアジュバントとともに、またはそのような治療薬およびアジュバントなしで、一般式I、II、III、IVのインドール誘導体の有効量を投与する操作を含んでいる。予想外のことだったが、出願人は、このような化合物を投与すると眼圧が有意にかつ持続して下降することを見いだした。有効な投与量は、このような化合物が眼圧の下降をもたらすのに必要な量となろう。
【0035】
本発明はさらに、高眼圧症に伴う眼圧を下降させる新規な方法を提供する。したがってこの方法は、高眼圧症の予防、制御、治療に有効である可能性がある。
本発明の方法は、原発緑内障の制御および/または治療に役立つ。なお原発緑内障は、以下の2つのタイプに分類される:狭隅角緑内障または急性鬱血性緑内障と、広隅角緑内障または慢性単純緑内障である。本発明の別の実施態様は、続発性緑内障の制御である。
【0036】
本発明の方法は、いろいろなタイプの緑内障を治療したり制御したりするのに用いられる治療薬やアジュバントの効果を増大させるのに役立つ。狭隅角緑内障または急性鬱血性緑内障の治療に用いられる治療薬としては、例えば、サリチル酸フィゾスチグミンや硝酸ピロカルピンなどが挙げられる。狭隅角緑内障の制御に用いられる補助的療法としては、例えば、アセタゾラミドなどのカルボニックアンヒドラーゼ阻害薬を静脈内投与して房水の分泌を減少させる方法、あるいはマンニトールやグリセリンなどの浸透圧剤を静脈内投与して眼内脱水を誘導する方法などが挙げられる。
【0037】
広隅角緑内障または慢性単純緑内障と続発性緑内障の制御に用いられる治療薬としては、例えば、硝酸ピロカルピンなどの副交感神経作用薬、短時間作用性抗コリンエステラーゼ剤(サリチル酸フィゾスチグミンなど)、長時間作用性抗コリンエステラーゼ剤(臭化デメカリウム、ヨウ化エコチオフェート、イソフルロフェートなど)、βアドレナリン作動性アンタゴニスト(マレイン酸チモロールなど)、交感神経作用薬(エピネフリン、フェニルエフリンなど)が挙げられる。より新しいところでは、プロスタグランジン類似体(ラタノプロスト(キサラタン)、ルーミガン(登録商標))、αアドレナリン作動性アゴニスト(ブリモニジン)、レスキュラ(未知のメカニズムによって眼圧を下降させる)が、高眼圧症を伴う緑内障の制御に用いられている。
【0038】
治療薬の中には、目的とする応答を達成するのに大量に投与せねばならないものが存在している。しかし投与量が増えるほど好ましくない効果が現われる頻度が多くなることがしばしばある。したがって、本発明の化合物を、緑内障の治療に通常用いられている薬剤と組み合わせると、そのような薬剤が比較的少ない投与量で済み、そのような薬剤を長期にわたって投与することに伴う好ましくない副作用が発生する頻度が少なくなる。したがって、本発明の化合物は、緑内障の治療に用いられる薬剤の副作用を減らすこと、例えば、長時間作用性抗コリンエステラーゼ剤(例えばデメカリウム、エコチオフェート、イソフルロフェート)の使用による白内障の進行を阻止することにも適用される。
【0039】
本発明は、一般式I、II、III、IVのインドール誘導体を利用して、長時間にわたって、および/または強力に眼圧を下降させる方法を提供する。
【0040】
化合物についての説明
本発明は、以下の一般式I〜IVで表わされるインドール誘導体:
【化5】
【0041】
の利用法を提供する。これら一般式において、
nは、0、1、2、3、4、5のいずれかであり;
mは、0または1であり;
R1及びR2は、それぞれ独立で、H;置換されたまたは置換されていない直線状、分枝状または環状のアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、アラルケニル、アラルキニル;R6(CO)−;F;OR5のいずれかであり;R1とR2のいずれか一方はR6R7N(CO)−となることが可能であり;
【0042】
場合によってはR1とR2が一緒になって、オキソとなるか;あるいは、置換されたまたは置換されていない4員、5員、6員または7員いずれかの炭素環または複素環となることができ;
R3及びR4は、それぞれ独立で、H;置換されたまたは置換されていない直線状、分枝状または環状のアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、アラルケニル、アラルキニル;R6(CO)−のいずれかであり;
【0043】
場合によってはR3とR4が一緒になって、オキソとなるか;あるいは、置換されたまたは置換されていない4員、5員、6員または7員いずれかの炭素環または複素環となることができ;
場合によってはR2とR4が一緒になって、置換されたまたは置換されていない4員、5員、6員または7員いずれかの炭素環または複素環となることができ;
【0044】
R5は、H;置換されたまたは置換されていない直線状、分枝状または環状のアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、アラルケニル、アラルキニル;R6R7N(CO)−;R6(CO)−;R8O(CO)−;R8S(O)8−;R8S(O)−;R8OS(O)2−;R8OS(O)−;R6R7NP(O)(OR9)−;R8P(O)(OR9)−;(R8O)P(O)(OR9)−;CF3−のいずれかであり;
R6及びR7は、それぞれ独立で、H;置換されたまたは置換されていない直線状、分枝状または環状のアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、アラルケニル、アラルキニル;複素環のいずれかであり;
【0045】
R6とR7が一緒になった場合には、NR6R7が、置換されたまたは置換されていない3員、4員、5員、6員または7員いずれかの環となることができ;
R8は、置換されたまたは置換されていない直線状、分枝状または環状のアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、アラルケニル、アラルキニル;複素環;CF3−のいずれかであり;
R9は、H;置換されたまたは置換されていない直線状、分枝状または環状のアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、アラルケニル、アラルキニルのいずれかであり;
【0046】
場合によってはR6とR9が一緒になって5員、6員または7員いずれかの環となることができ;
R10及びR10’は、それぞれ独立で、H;置換されたまたは置換されていない直線状、分枝状または環状のアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、アラルケニル、アラルキニル;複素環;R6R7N(CO)−;R6(CO)−;R8O(CO)−;R8S(O)2−;R8OS(O)2−;R6R7NS(O)2−;CF3−のいずれかであり;
R11は、R6R7N(CO)−;R6(CO)−;R8O(CO)−;R8S(O)2−;R8OS(O)2−;R6R7NS(O)2−のいずれかであり;
【0047】
X1は、O;S;NR9;−CF2−;−CH2−;−CH2CH2−;または−CH2CH2CH2−のいずれか;あるいは存在しておらず;
Z1は、OR5;またはNR10R11であり;
Z2及びZ3は、それぞれ独立で、R6R7N(CO)−;R6(CO)−;R8O(CO)−;R8S(O)2−;R8OS(O)2−;R6R7NS(O)2−のいずれかであり;
Aは、ハロゲン;NO2;CN;R5−X1−のいずれかであり;
Bは、ハロゲン;NO2;CN;R5−X1−のいずれかであり;
Bがハロゲン、NO2、CN、Hのいずれでもなくてインドールの4位に位置する場合には、Bは、R1、R3、Z1のいずれかと一緒になって、置換されたまたは置換されていない5員、6員または7員いずれかの炭素環または複素環となることができ;
【0048】
D1は、ハロゲン;NO2;CN;R5−X1−のいずれかであり;
D2は、H;置換されたまたは置換されていない直線状、分枝状または環状のアルキル;ハロゲン;置換されたまたは置換されていないアリール;置換されたまたは置換されていないアラルキルのいずれかであり;
Eは、H;置換されたまたは置換されていない直線状、分枝状または環状のアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、アラルケニル、アラルキニル;R8O(CO)−;R8S(O)2−;OR6のいずれかであり;
Z1=NR10R11かつR10=Hの場合には、EはR6(CO)−であり;
Z1がOR5で、R5がH、アルキル、アリール、アラルキルのいずれでもない場合には、EはR6(CO)−であり;
【0049】
Z1=NR10R11かつR10=Hの場合には、EはR6R7N(CO)−であり;
Z1がOR5で、R5がH、アルキル、アリール、アラルキルのいずれでもない場合には、EはR6R7N(CO)−であり;
D1がR5−X1−のときには、D1とEが一緒になって、置換されたまたは置換されていない4員、5員、6員または7員いずれかの複素環となることができ;
D1がR5−X1−のときには、D1とR1が一緒になって、置換されたまたは置換されていない5員、6員または7員いずれかの炭素環または複素環となることができ;
D1がR5−X1−のときには、D1とR3が一緒になって、置換されたまたは置換されていない5員、6員または7員いずれかの炭素環または複素環となることができ;
【0050】
D1がR5−X1−のときには、D1とZ1が一緒になって、置換されたまたは置換されていない5員、6員または7員いずれかの複素環となることができ;
場合によっては、Z1とR1が一緒になって、置換されたまたは置換されていない4員、5員、6員、7員いずれかの複素環となることができ;
n=1、m=0、R5=CH3、X1=O、B=D1=E=R3=R4=Hの場合には、Zは−NHAcではなく;
D2=HかつR5=CH3の場合には、R6はCH3ではない。
鏡像異性体、ジアステレオマー、シス/トランス異性体、薬理学的に有効な塩、これらの混合物、が本発明に含まれる。
本発明に役立つ好ましい化合物は5−(メトキシカルボニルアミノ)−N−アセチルトリプタミン(MCA−NAT)であり、GR135531としても知られている。
【0051】
本発明の好ましい一実施態様は、以下の一般式II:
【化6】
【0052】
の化合物と関係している。ただし、一般式IIにおいて、
Z2とZ3は、それぞれ独立で、NR6R7(CO)−;R6(CO)−;R8O(CO)−;R8S(O)2−;R8OS(O)2−;NR6R7S(O)2−のいずれかであり;
場合によっては、Z2−N−R10、Z3−N−R10それぞれのユニットが、互いに独立に4員〜7員の環となることができ;
一般式IのD1はここではHである。
【0053】
本発明の別の好ましい実施態様は、以下の一般式III:
【化7】
【0054】
の化合物と関係している。ただし、一般式IIIにおいて、
D1は、適用範囲の広い上記実施態様に定義されたものであるが、場合によってはD1はR6と一緒になって環を形成し、さらに別のオプションでは、D1とR6は存在しておらず、環内に存在するカルボニルがこれら2つの位置を接続しており;他のあらゆる要素は、上に定義した通りである。
本発明のさらに好ましい実施態様は、一般式IIIにおいて、
B、D1、EがHであり、
他のあらゆる要素が上に定義した通りである化合物に関係している。
【0055】
本発明の別の好ましい実施態様は、以下の一般式IV:
【化8】
【0056】
の化合物に関係している。ただし、一般式IVにおいて、
D2は、H;置換されたまたは置換されていない直線状、分枝状または環状のアルキル;ハロゲン;置換されたまたは置換されていないアリール;置換されたまたは置換されていないアラルキルのいずれかであり;
R5=R6=CH3の場合には、D2はHではない。
本発明の別の好ましい実施態様は、一般式IVにおいて、
R5は、C1−C4のアルキル、アセチル、ホルミル、CF3のいずれかであり;
R6は、H、C1−C4のアルキル、CF3のいずれかであり;
R5=CH3かつD2=Hの場合には、R6がCH3にはなれない、という化合物に関係している。
【0057】
定義:アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、アラルケニル、アラルキニルに関係する置換されたまたは置換されていないという表現は、これらの基が、これらの基の中から選択したラジカル、またはハロゲン、窒素、酸素、リン、イオウの中から選択したラジカルで置換されている、あるいは置換されていない可能性があることを意味する。アルキル、アルケニル、アルキニルという用語は、炭素原子を1〜9個含むラジカルを意味する。
【0058】
アラルキル、アラルケニル、アラルキニルという用語は、両方のラジカルに関する元の定義に従う基を有する基を意味する。環状という用語は、さらに特定するのでなければ、置換されたまたは置換されていない3員〜7員の環を意味する。複素環という用語は、炭素原子以外の原子を1つ以上含んでおり、飽和に関しては任意の状態になっている環を意味する。例えばアラルケニルという用語は、アルケニル・ラジカルに結合したアリール基を表わす。
【0059】
本発明の化合物の具体例と、その製造方法を示す。本発明は、一般式I〜IVのインドール誘導体(例えばメラトニン類似体)と、薬理学的に受容可能な基剤とを含む医薬組成物製剤を用いて眼圧を下降させ、そのことによって緑内障を治療する方法を提供する。本発明の化合物には、その化合物の塩のうち、毒性のない薬理学的に受容可能な塩も含まれる。例えば塩化物、硫酸塩、酢酸塩、ナトリウム塩、アンモニウム塩、ピリジニウム塩などが挙げられるが、これだけに限定されるわけではない。薬理学的に受容可能な塩は、元の化合物が有する望む生物活性を保持していて、しかも望ましからぬ毒性効果を示さない塩である。本発明には、この明細書に開示した化合物のプロドラッグも含まれる。当業者であれば、これら化合物の塩のうちで毒性のない薬理学的に受容可能な塩や、これら化合物のプロドラッグを合成するさまざまな方法を思いつくであろう。
【0060】
本発明の化合物は主にヒトの治療に関係しているとはいえ、獣医学において他の哺乳類(イヌやネコなど)の治療に用いることもできる。
【0061】
本発明の化合物が薬理学的に有効であることは、ゾウメド社(ジャクソンヴィル、フロリダ州、アメリカ合衆国)のTONOPEN接触眼圧計を用いて測定したIOPの変化によってわかる。これら化合物の有効性は、メラトニン受容体を活性化させて目的とする応答を起こさせる能力に反映される。目的とする応答は、緑内障に伴う眼圧を下降させることである。有効な投与量は、個々人の特性、使用する具体的な化合物の活性、投与方法、病気または疾患の特性に応じて異なるが、当業者であれば決定することができる。
投与量および/または濃度レベルは、約10−12M〜約10−3Mのオーダーであり、好ましいのは、約10−11M〜約10−4Mの範囲、さらに好ましいのは約10−10M〜約10−5Mである。
【0062】
新規な化合物の投与
本発明の化合物は、眼病の治療に関して当業者に知られている任意の手段で投与することができる。インドール誘導体は、活性化合物またはその活性化合物の薬理学的に受容可能な塩と、薬理学的に受容可能な賦形剤または基剤とを含む無菌調製物として投与する。
【0063】
この明細書に開示した活性化合物は、適切な任意の手段で患者の目に投与できるが、液体またはゲル懸濁液となった活性化合物を、液滴、洗浄液、スプレー、軟膏、ゲルの形態にして投与することが好ましい。別の方法として、この活性化合物は、リポソーム、または他の基剤(シクロデキストリンなど)を用いて目に投与することもできる。さらに、この活性化合物は、ポンプ−カテーテル・システムを用いて涙液膜に注入することもできる。本発明の別の実施態様は、連続的放出装置または選択的放出装置に収容した活性化合物に関する。そのような装置として、例えばオキュサート(登録商標)システム(アルザ社、パロアルト、カリフォルニア州)で用いられている膜が挙げられるが、これだけに限定されるわけではない。
【0064】
別の実施態様として、活性化合物は、目と接するコンタクトレンズの中に含まれるようにすること、コンタクトレンズに運ばせること、コンタクトレンズに付着させることが可能である。本発明の別の実施態様は、目の表面に当てることのできるスワブまたはスポンジに含まれた活性化合物に関する。本発明の別の実施態様は、目の表面に当てることのできる液体スプレーに含まれた活性化合物に関する。本発明の別の実施態様は、活性化合物を、涙分泌組織の中、目の表面、硝子体内のいずれかに直接注入することに関する。
【0065】
活性化合物を含む局所溶液は、眼科の当業者が従来の基準で選択可能な生理学的適合性のある賦形剤も含むことができる。賦形剤は、既知の眼科用賦形剤の中から選択することができる。例えば、生理的食塩水、電解質水溶液、水溶性ポリエーテル(ポリエチレングリコールなど)、ポリビニル(ポリビニルアルコール、ポビドンなど)、セルロース誘導体(メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなど)、石油誘導体(鉱物油、白ペトロラクタムなど)、動物性油脂(ラノリンなど)、アクリル酸のポリマー(カルボキシポリメチレンゲルなど)、植物性油脂(ピーナツ油など)、多糖(デキストランなど)、グリコサミノグリカン(ヒアルロン酸ナトリウムなど)、塩(塩化ナトリウム、塩化カリウムなど)などが挙げられるが、これだけに限定されるわけではない。
【0066】
上記の局所的投与法に加え、本発明の活性化合物を全身投与することにより、この活性化合物が全身で吸収されて循環系を通じて目に到達するようにするさまざまな方法がある。そのような方法の1つは、活性化合物からなる吸入可能な粒子をエーロゾル懸濁液にしてそれを患者が吸入する操作を含んでいる。活性化合物は、肺を通じて血流に吸収され、あるいは鼻涙管を通じて目の組織と接触し、続いて眼内細胞に薬理学的に有効な量が接触することになろう。吸入可能な粒子は液体または固体にすることが可能であり、粒径は、吸入に際して口や喉頭を通過できるよう十分小さくする。一般に、約1〜10ミクロンの粒子が吸入可能であると考えられるが、より好ましいのは1〜5ミクロンである。
【0067】
活性化合物を患者に全身投与して目に到達させる別の手段は、液体製剤を目への液滴、目の洗浄液、鼻への液滴の形態にした液体/懸濁液を投与する操作、または吸入可能な粒子からなる鼻用スプレーを患者が吸入する操作を含むことになろう。鼻用スプレーや目または鼻への液滴を製造するための、活性化合物を含む液体医薬組成物は、当業者に知られている方法で活性化合物を適切な賦形剤(例えば発熱物質を含まない殺菌水、無菌生理的食塩水など)と組み合わせることによって調製できる。
【0068】
活性化合物を全身投与する他の方法としては経口投与がある。この場合、一般式I、II、III、IVの化合物を含む医薬組成物は、錠剤、薬用ドロップ、水性または油性の懸濁液、分散可能な粉末または粒子、エマルション、硬いカプセル、柔らかいカプセル、シロップ、エリキシル剤の形態にする。経口投与用の組成物は、医薬組成物の製造法として知られている任意方法に従って調製することができる。このような組成物は、薬理学的に洗練されていて美味な調製物を提供するため、甘味剤、風味剤、着色剤、保存剤からなるグループの中から選択した1つ以上の薬剤を含むことができる。
【0069】
錠剤は、錠剤の製造に適していて毒性がなく薬理学的に受容可能な添加剤と混合した状態の活性成分を含んでいる。添加剤としては、例えば、不活性な希釈剤(炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウム、リン酸ナトリウムなど)、造粒剤および分解剤(コーンスターチ、アルギニン酸など)、結合剤(デンプン、ゼラチン、アラビアゴムなど)、光沢剤(ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、タルクなど)などが可能である。錠剤は、コーティングしなくてもよい。また錠剤は、胃腸管における分解や吸収を遅らせて作用を長期にわたって持続させるため、既知の方法でコーティングすることもできる。
【0070】
例えばモノステアリン酸グリセリルやジステアリン酸グリセリルなどの遅延材料を用いることができる。経口投与用の製剤も硬いゼラチン・カプセルまたは柔らかいゼラチン・カプセルの形態にすることができる。硬いゼラチン・カプセルの場合には、活性成分を不活性な固体希釈剤(炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、カオリンなど)と混合し、柔らかいゼラチン・カプセルの場合には、活性成分を水性または油性の媒体(ピーナツ油、液体パラフィン、オリーブ油など)と混合する。
【0071】
活性化合物を全身投与して患者の目に到達させる別の手段としては、活性化合物を座薬の形態にし、治療上有効な量の化合物が全身で吸収されて循環系を通じて目に到達するようにすることが挙げられよう。
【0072】
活性化合物を全身投与するさらに別の手段としては、ゲル、クリーム、粉末、泡、結晶、リポソーム、スプレー、懸濁液のいずれかの形態にした化合物を手術中に直接点滴し、治療上有効な量の活性化合物が全身で吸収されて循環系を通じて患者の目の組織と接触するようにすることが挙げられよう。本発明を以下の実施例に従ってさらに説明するが、本発明がこれら実施例の中に記述した具体的な方法に限定されると考えてはならない。
【0073】
実施例 1.5− ニトロ − トリプタミン
ここでの方法は、マコールら(Synth. Comm.、第23巻、65−72ページ、1993年)による同様の方法を改変したものである。
5−ニトロインドール(6.2ミリモル)とフタルイミド(0.4g)をエーテル(30ml)に入れた懸濁液の中に塩化オキサリル(19.2ミリモル)を一滴ずつ添加し、この混合物を24℃で48時間にわたって撹拌する。次に、反応容器にデュワー凝縮器を取り付け、0℃まで冷却し、無水アンモニアをこの混合物の中に1.5時間にわたって吹き込む。ガスと溶媒を真空中で除去する。得られた黄色の固形物を水を用いて微粉化し、濾過し、残留物をトルエンで洗浄する。
【0074】
この固形物を乾燥させると2−アミノ−1−(5−ニトロ−1H−インドール−3−イル)−エタン−1,2−ジオンが得られる。この化合物の一部(0.59ミリモル)を採取してTHF(15ml)に入れ、28℃で16時間にわたってボラン−THF(1M溶液を2.4ml)で処理する。反応物を炭酸水素ナトリウムで中和し、酢酸エチルで抽出する。酢酸エチル抽出物を真空中で乾燥させ、再びエタノール(10ml)に溶かし、フッ化セシウム(360mg)と炭酸ナトリウム(312mg)の存在下で還流させる。この混合物をセライトで濾過し、蒸発させ、クロロホルム−メタノール−アンモニア(8:2:0.2)を溶離液として用い、残留物をシリカゲル上でクロマトグラフィにかけると、表題の化合物が得られる(20mg)。
【0075】
実施例 2.N−[2−(5− ニトロ −1H− インドール −3− イル )− エチル ]− アセトアミド
5−ニトロ−トリプタミン(6ミリモル)をピリジン(15ml)に溶かし、27℃で20分間にわたって無水酢酸(7ミリモル)で処理した。溶媒を真空中で除去し、残留物を少量のメタノールに入れ、5%メタノール−クロロホルム溶離液とともに短いシリカ栓の中を通過させる。生成物を含む分画をプールし、蒸発させ、0.1mmHg未満の真空下で完全に乾燥させる。
【0076】
実施例 3.N−[2−(5− アミノ −1H− インドール −3− イル )− エチル ]− アセトアミド
実施例2の生成物(0.05ミリモル)をエタノール(3ml)に入れ、H2の圧力を3気圧にし、触媒として機能する量の10%Pd/C上で6時間にわたって水素化する。セライトによる濾過で触媒を除去し、溶媒を真空中で除去すると、表題の化合物が得られる。この生成物は空気に対する感受性がいくらかあるため、直ちに次の反応で使用する。
【0077】
実施例 4.{3−[2−(2− ヒドロキシ − ベンジルアミノ )− エチル ]−1H− インドール −5− イル }− カルバミン酸メチルエステル
水酸化カリウム(0.15g)を緩衝剤として入れたエタノール(35ml)に5−ニトロ−トリプタミン(6ミリモル)とサリチルアルデヒド(7ミリモル)を溶かし、24℃で8時間にわたってホウ水素化ナトリウム(18ミリモル)で処理する。エタノールを真空中で除去し、残留物をエーテルと水に分離し、エーテル相を乾燥させ、蒸発させ、酢酸エチル−ヘキサンを用いて油をシリカゲル上でクロマトグラフィにかけると、2−{[2−(5−ニトロ−1H−インドール−3−イル)−エチルアミノ]−メチル}−フェノールが得られる。
【0078】
10%Pd/C上で上記のようにして水素化した後、残留物をピリジン(12ml)に溶かし、クロロギ酸メチル(9ミリモル)で処理する。クロロギ酸メチルを添加すると、直ちに茶色の沈殿物が形成されるが、20分経過するうちに溶解する。しばらくした後、シリカゲルTLC(5%メタノール−クロロホルム溶離液)を行ない、反応が完了したかどうかを判断する。混合物を蒸発させて乾燥させ、0.1mmHg未満の真空下で少なくとも2時間そのままの状態にする。次に、この混合物を少量のメタノールに溶かし、水からメタノールへという勾配を用いた逆相HPLCによって精製する。
【0079】
実施例 5.[3−(2− プロピオニルアミノ − エチル )−1H− インドール −5− イル ]− カルバミン酸メチルエステル
5−ニトロ−トリプタミン(6ミリモル)をピリジン(15ml)に溶かし、27℃で20分間にわたってプロピオン酸無水物(7ミリモル)で処理する。溶媒を真空中で除去し、残留物を0.1mmHg未満の真空下で完全に乾燥させる。次に、前の実施例と同様にして残留物を水素化し、カルバミン酸メチルエステルに変換する。5%メタノール−クロロホルムを溶離液として用い、短いシリカゲル栓を通過させて濾過することにより、表題の化合物が精製される。
【0080】
実施例 6.N−[2−(5− ジメチルアミノ −1H− インドール −3− イル )− エチル ]− アセトアミド
N−[2−(5−ニトロ−1H−インドール−3−イル)−エチル]−アセトアミド(0.6ミリモル)をアセトニトリル(1ml)に入れ、触媒として機能する量のDMAPならびにジ炭酸ジ−t−ブチル(0.7ミリモル)とともに1時間にわたって撹拌する。溶媒を真空中で除去し、溶離液として酢酸エチル−ヘキサンを用い、残留した油をクロマトグラフィにかける。生成物をエタノール(10ml)に溶かし、上記のようにして水素化する。残留物をDMF(2ml)に溶かし、ジイソプロピルエチルアミン(1.4ミリモル)を添加し、続いてヨウ化メチル(1.4ミリモル)を添加する。
【0081】
この混合物を25℃で3時間にわたって撹拌し、次いで濾過し、蒸発させて乾燥させ、エタノールに溶かし、活性炭を用いて脱色する。1当量のチオフェノールを用いて残留物をトリフルオロ酢酸に溶かし、20℃で1時間にわたって撹拌する。溶媒を除去し、化合物をイソプロパノール−水(5:1)に溶かし、水酸化物の形態になった2当量(w/w)のDowex AG1−X8イオン交換樹脂で処理する。溶媒を蒸発させた後に結晶化させると、表題の化合物が得られる。
【0082】
実施例 7.[3−(2− アセチルアミノ − エチル )−2− フェニル −1H− インドール −5− イル ]− カルバミン酸メチルエステル
2−[2−(5−ニトロ−1H−インドール−3−イル)−エチル]−イソインドール−1,3−ジオン(1ミリモル)をTHF/クロロホルム(1:1)に溶かし、0℃にて90分間にわたってピリジンヒドロブロミドペルブロミドで処理した後、クロロホルム−メタノールを用いてシリカ・カラムから溶離させる。生成物をトルエン−エタノール(1:1)に溶かし、フェニルボロン酸(1.5当量)、炭酸ナトリウム(2.5当量)、塩化リチウム(3当量)、パラジウムテトラキス(トリフェニルホスフィン)(5モル%)で処理する。
【0083】
この混合物を4時間にわたって還流させ、真空中で濃縮し、得られた油を溶離液として酢酸エチル−ヘキサンを用いてシリカ上でクロマトグラフィにかけると、2−[2−(5−ニトロ−2−フェニル−1H−インドール−3−イル)−エチル]−イソインドール−1,3−ジオンが得られる。この化合物をエタノール(6ml)に溶かし、エチレンジアミン(3当量)を用いて18時間にわたって還流させる。溶媒を真空中で除去し、得られた材料をピリジン−無水酢酸(1:1、6ml)を用いてアセチル化する。溶媒を真空中で除去し、溶離液として酢酸エチル−ヘキサンを用いて残留物をシリカ上でクロマトグラフィにかける。上記の実施例のようにしてこの生成物を水素化し、カルバミン酸メチルエステルに変換する。精製した生成物を逆相HPLCによって単離する。
【0084】
実施例 8.[3−(2− アセチルアミノ − エチル )−2− メチル −1H− インドール −5− イル ]− カルバミン酸メチルエステル
2−メチル−5−ニトロインドール(1.4ミリモル)とフタルイミド(0.1g)をエーテル(10ml)に入れた懸濁液の中に塩化オキサリル(4.4ミリモル)を一滴ずつ添加し、この混合物を24℃で48時間にわたって撹拌する。次に、反応容器にデュワー凝縮器を取り付け、0℃まで冷却し、無水アンモニアをこの混合物の中に1.5時間にわたって吹き込む。ガスと溶媒を真空中で除去する。得られた褐色の固形物を水を用いて微粉化し、濾過し、残留物をトルエンで洗浄する。この固形物を乾燥させると(2−アミノ)−1−(5−ニトロ−1H−インドール−3−イル)−エタン−1,2−ジオンが得られる。
【0085】
この化合物の一部(0.59ミリモル)を採取してTHF(15ml)に入れ、28℃で16時間にわたってボラン−THF(1M溶液を2.4ml)で処理する。反応物を炭酸水素ナトリウムで中和し、酢酸エチルで抽出する。酢酸エチル抽出物を真空中で乾燥させ、再びエタノール(10ml)に溶かし、フッ化セシウム(360mg)と炭酸ナトリウム(312mg)の存在下で還流させる。この混合物をセライトで濾過し、蒸発させ、クロロホルム−メタノール−アンモニア(8:2:0.2)を溶離液として用いて残留物をシリカゲル上でクロマトグラフィにかけると、2−(2−メチル−5−ニトロ−1H−インドール−3−イル)−エチルアミンが得られる。この化合物を上記のようにしてアセチル化し、水素化し、カルバミン酸メチルエステルに変換する。
【0086】
実施例 9.[3−(3− アセチルアミノ − プロップ −1− イル )−1H− インドール −5− イル ]− カルバミン酸メチルエステル
0℃にしたTHF−HMPA(9:3、11ml)中のホスホン酸ジエチルシアノメタン(7ミリモル)を、10分間にわたって水素化ナトリウム(7ミリモル)で処理する。次に、1−アセチル−5−ニトロインドール−3−カルボキシアルデヒド(6ミリモル)を添加し、この溶液を室温で3時間にわたって撹拌する。この混合物を氷水の中に注ぎ、pHを5に調節する。
【0087】
溶媒を蒸発させ、残留物をメタノールを用いて微粉化すると、3−(1−アセチル−5−ニトロ−1H−インドール−3−イル)−プロペニトリルが固形物として得られる。これをアンモニアで飽和したエタノール(75ml)に入れ、H2の圧力を3気圧にし、16時間にわたってラネー・ニッケル上で水素化する。触媒を除去した後、上記のようにしてアセチル化を行なうと、N−[3−(5−ニトロ−1H−インドール−3−イル)−プロップ−1−イル]−アセトアミドが生成する。これを上記のようにして水素化し、カルバモイル化し、逆相HPLCにより精製する。
【0088】
実施例 10.[3−(3− ベンゼンスルホニルアミノ − エチル )−1H− インドール −5− イル ]− カルバミン酸メチルエステル
5−ニトロトリプタミン(6ミリモル)をピリジン(15ml)に溶かし、25℃で4時間にわたって塩化ベンゼンスルホニルで処理する。この混合物を氷水の中に注ぎ、エーテルを用いて抽出する(3×50ml)。エーテル抽出物を1MのHClで洗浄し(2×50ml)、次いで炭酸水素ナトリウム(2×50ml)で飽和させ、硫酸マグネシウムを用いて乾燥させ、減圧下で蒸発させる。得られた固形物を上記の実施例のようにして水素化し、カルバミン酸メチルエステルに変換する。
【0089】
実施例 11.N−[2−(5− ウレイド −1H− インドール −3− イル )− エチル ]− アセトアミド
実施例3の生成物を酢酸−水(1:2、3ml)に溶かし、クエン酸ナトリウム(2ミリモル)を添加する。これを撹拌し、茶色のゴム状のものを沈殿させる。この混合物をクロロホルムで抽出し(3×30ml)、有機抽出物を飽和炭酸水素ナトリウムで洗浄し、硫酸マグネシウムを用いて乾燥させ、溶媒を真空中で蒸発させる。得られた生成物を上記のように逆相HPLCによって精製する。
【0090】
実施例 12.N−[2−(5− メトキシカルボニルアミノ −1H− インドール −3− イル )− エチル ]− スクシンアミド酸
ジクロロメタン(25ml)に5−ニトロトリプタミン(6ミリモル)を溶かした溶液に、トリエチルアミン(12ミリモル)、DMAP(0.6ミリモル)、無水コハク酸(9ミリモル)を添加する。この混合物を4時間にわたって撹拌し、溶媒を真空中で除去し、1%酢酸を含む10%メタノール−クロロホルムを溶離液として用いて残留物をシリカゲル上でクロマトグラフィにかける。次に生成物を上記の実施例のようにして水素化し、カルバミン酸メチルエステルに変換する。精製された生成物は、上記のような逆相HPLCによって得られる。
【0091】
実施例 13.[3−(2− アセチルアミノ − エチル )−1H− インドール −5− イル ]− カルバミン酸アリルエステル
実施例3の生成物(5ml)を上記のようにしてクロロギ酸アリルで処理し、溶離液として5%メタノールを含むクロロホルムを用い、シリカゲル上で精製する。
【0092】
実施例 14.[3−(2− アセチルアミノ − エチル )−1H− インドール −5− イル ]− カルバミン酸 3− ヒドロキシ − プロップ −1− イルエステル
[3−(2−アセチルアミノ−エチル)−1H−インドール−5−イル]−カルバミン酸アリルエステル(1ミリモル)をTHF(27ml)に溶かし、ボラン−THF(2ミリモル)を一滴ずつ添加する。2時間後、水酸化ナトリウム(3Mのもの4ml)と過酸化水素(30%のもの4ml)を添加し、この溶液をさらに1時間撹拌する。この溶液を半分の体積に濃縮し、水10mlを添加し、酢酸エチルで抽出する(4×25ml)。合わせた抽出物をブラインで洗浄し、乾燥させ、溶媒を真空中で除去し、溶離液として5%メタノールを含むクロロホルムを用いて生成物をシリカゲル上でクロマトグラフィにかける。
【0093】
実施例 15.[3−(2− アセチルアミノ − エチル )−1H− インドール −5− イル ]− カルバミン酸 2,3− ジヒドロキシ − アリルエステル
[3−(2−アセチルアミノ−エチル)−1H−インドール−5−イル]−カルバミン酸アリルエステル(1ミリモル)をピリジン(7ml)に溶かし、25℃で四酸化オスミウム(0.01ミリモル)とH2O2(30%水溶液を1ml)を用いて15時間にわたって処理する。溶媒を真空中で除去し、溶離液として5%メタノールを含むクロロホルムを用いて生成物をシリカゲル上でクロマトグラフィにかける。
【0094】
実施例 16.N−[3−(2− アセチルアミノ − エチル )−1H− インドール −5− イル ]− アセトアミド
実施例1の生成物(0.05ミリモル)をエタノール(3ml)に入れ、H2の圧力を3気圧にし、触媒として機能する量の10%Pd/C上で一晩かけて水素化する。セライトによる濾過で触媒を除去し、溶媒を真空中で除去する。上記のようにピリジン/無水酢酸を用いてアセチル化すると、表題の化合物が得られる。
【0095】
実施例 17.[3−(2− アセチルアミノ − エチル )−2− ブロモ −1H− インドール −5− イル ]− カルバミン酸メチルエステル
酢酸(0.5ml)に5−メトキシカルボニルアミノ−N−アセチルトリプタミン(0.05ミリモル)を溶かした溶液を、25℃でN−ブロモスクシンイミド(0.05ミリモル)を用いて3.5時間にわたって処理する。次にこの溶液を50%水酸化ナトリウム溶液を用いて中和し、酢酸エチルを用いて抽出する。有機抽出物を蒸発させ、溶離液として2%メタノール−クロロホルムを用いて生成物をシリカゲル上でクロマトグラフィにかけると、精製された生成物が得られる。
【0096】
実施例 18.[3−(2− アセチルアミノ − エチル )−1− ベンジル −1H− インドール −5− イル ]− カルバミン酸メチルエステル
DMF(0.7ml)の中に入れた実施例2の生成物(0.04ミリモル)に水素化ナトリウム(0.1ミリモル)を添加する。この混合物は、すぐに黄色から赤に変化する。20分間にわたって撹拌した後、臭化ベンジル(0.1ミリモル)を添加し、この混合物をさらに2時間撹拌する。次に反応物を水と酢酸エチルに分けると層が分離し、酢酸エチル相を真空中で除去し、生成物を高真空中で乾燥させる。次に残留物を少量のメタノールに溶かし、水からメタノールへという勾配を用いた逆相HPLCによって生成物を単離する。この生成物を上記の実施例のようにして水素化し、カルバミン酸メチルエステルに変換することにより、表題の化合物に変換する。
【0097】
実施例 19.(1− オキソ −2,3,4,9− テトラヒドロ −1H− β − カルボリン −6− イル )− カルバミン酸メチルエステル
6−ニトロ−2,3,4,9−テトラヒドロ−β−カルボリン−1−オン(0.05ミリモル)のサンプルを上記の実施例のようにして水素化し、カルバミン酸メチルエステルに変換することにより、表題の化合物に変換する。
【0098】
実施例 20.[3−(2− アセチルアミノ − エチル )−1− メチル −1H− インドール −5− イル ]− メチル − カルバミン酸メチルエステル
DMF(0.7ml)に5−(メトキシカルボニルアミノ)−N−アセチルトリプタミン(0.03ミリモル)を溶かした溶液に水素化ナトリウム(0.1ミリモル)を添加し、この混合物を室温で20分間にわたって撹拌する。次にインドメタン(0.1ミリモル)を添加し、この混合物をさらに2時間撹拌する。反応混合物を水と酢酸エチルに分け、酢酸エチル相を真空中で除去し、生成物を高真空中で乾燥させる。次に残留物を少量のメタノールに溶かし、水からメタノールへという勾配を用いた逆相HPLCによって生成物を単離する。この生成物を、上記の実施例のようにして水素化し、カルバミン酸メチルエステルに変換することにより、表題の化合物に変換する。
【0099】
実施例 21.[3−(2− アセチルアミノ − エチル )−4−(1− メトキシ − エチル )−1− メチル −1H− インドール −5− イル ]− カルバミン酸メチルエステル
DMF(0.7ml)の中に入れた1−(1H−インドール−4−イル)−エタノール(4ミリモル)に水素化ナトリウム(10ミリモル)を添加する。20分間にわたって撹拌した後、インドメタン(10ミリモル)を添加し、この混合物をさらに2時間撹拌する。次に反応混合物を水と酢酸エチルに分け、酢酸エチル相を真空中で除去し、生成物を高真空中で乾燥させる。次に残留物を少量のアルコールに溶かし、溶離液としてクロロホルム−メタノールを用いてシリカゲル上でクロマトグラフィを行なうことにより、4−(1−メトキシ−エチル)−1−メチル−1H−インドールを単離する。
【0100】
この生成物(2ミリモル)をエーテル(40ml)に溶かし、塩化オキサリル(8ミリモル)を一滴ずつ添加し、この混合物を24℃で8時間にわたって撹拌する。次に、反応容器にデュワー凝縮器を取り付け、0℃まで冷却し、無水アンモニアをこの混合物の中に1.5時間にわたって吹き込む。ガスと溶媒を真空中で除去する。得られた固形物を酢酸エチルに溶かし、ブラインを用いて抽出し、酢酸エチル相を硫酸マグネシウムを用いて乾燥させ、蒸発させる。この材料をTHF(15ml)に溶かし、25℃でボラン−THF(1Mの溶液3ml)を用いて16時間にわたって処理する。反応物を炭酸水素ナトリウムを用いて中和し、酢酸エチルを用いて抽出する。
【0101】
次に、酢酸エチル抽出物を真空中で乾燥させ、再びエタノール(10ml)に溶かし、フッ化セシウム(380mg)と炭酸ナトリウム(350mg)の存在下で還流させる。この混合物をセライトを通じて濾過し、蒸発させ、溶離液としてクロロホルム−メタノール−アンモニア(9:1:0.1)を用いて残留物をシリカゲル上でクロマトグラフィにかけることにより、2−[4−(1−メトキシ−エチル)−1−メチル−1H−インドール−3−イル]−エチルアミンが得られる。この材料をピリジン(6ml)に溶かし、無水酢酸(3ml)で処理すると、N−{2−[4−(1−メトキシ−エチル)−1−メチル−1H−インドール−3−イル]−エチル}−アセトアミドが得られる。0.1mmHg未満の圧力下で乾燥させた後、この化合物(1ミリモル)をジクロロメタン(2ml)の中に入れる。
【0102】
硝酸アンモニウム(1.7ミリモル)を添加した後、無水トリフルオロ酢酸(3ミリモル)を添加する。この混合物を一晩にわたって撹拌した後、飽和した冷たい炭酸水素ナトリウムとクロロホルムに分ける。有機相を水で洗浄し、硫酸マグネシウムを用いて乾燥させ、蒸発させて乾燥させる。溶離液として酢酸エチル−ヘキサンを用いてシリカゲル上でクロマトグラフィを行なうことにより、N−{2−[4−(1−メトキシ−エチル)−1−メチル−5−ニトロ−1H−インドール−3−イル]−エチル}−アセトアミドが単離され、上記の実施例のようにして水素化してカルバミン酸メチルを形成することにより、最終的に表題の化合物に変換される。
【0103】
実施例 22.メラトニンと 5− メトキシカルボニルアミノ −N− アセチルトリプタミン( 5−MCA−NAT )がウサギの眼圧に及ぼす効果
メラトニンと5−メトキシカルボニルアミノ−N−アセチルトリプタミン(5−MCA−NAT)(GR135531としても知られる)が眼圧(IOP)に及ぼす効果をニュージーランド白ウサギを使って評価した。
【0104】
眼圧の測定:
ゾウメド社(ジャクソンヴィル、フロリダ州、アメリカ合衆国)のTONOPEN接触眼圧計を用いてIOPを測定した。上記薬剤10μlを一方の角膜に対して局所的に投与し、反対側の目には同じ体積の生理学的食塩水を投与した。両方の角膜を麻酔し、眼圧計の使用に伴う不快感がまったくないようにした。薬剤を投与する前に測定を2回行なった。
【0105】
薬理学的研究:
10〜100倍高い濃度のメラトニン(シグマ社、セントルイス)と5−MCA−NAT(トクリス社、ブリストル、イギリス)をDMSO中に調製し、生理的食塩水で希釈した。投与量は10pg/10μl〜1mg/10μlにし(メラトニンについては43フェムトモル〜43マイクロモルに等しく、5−MCA−NATについては34フェムトモル〜34マイクロモルに等しい)、投与してから0.5、1、2、3、4、5、6時間後に眼圧を測定した。1匹に1回投与してその結果を1日で調べた。メラトニンまたは5−MCA−NATのいずれかを100μg/10μlまたは342nM投与する30分前に、メラトニンの非特異的アンタゴニストであるルジンドールを添加した。
【0106】
メラトニンと5−MCA−NATがウサギのIOPに及ぼす効果:
メラトニン(10pg/10μl〜1mg/10μl)の投与量によってIOPが下降する程度が異なっていた。IOPは10μg/10μlのときに下降が最大となり、下降率は24±4.4%(n=8)であった。最大の効果は1時間後に現われ、3時間にわたって効果が持続した(図1)。5−MCA−NAT(10pg/10μl〜1mg/10μl)の場合も投与量によってIOPが下降する程度が異なっていた。IOPは100μg/10μlのときに下降が最大となり、下降率は43.1±3.65%(n=8)であった。
【0107】
最大の効果は2時間後に現われ、10時間にわたって効果が持続した(図2)。5−MCA−NATに対する最大の応答は、メラトニンに対する応答よりも統計的に有意に大きかった。メラトニンと5−MCA−NATに対するIC50値は、それぞれ363±23.0ng/10μL、423±30 ng/μLであった。これは、投与量にして、それぞれ1.6±0.4ナノモル、1.8±0.1ナノモルに等しい(図3)。これらの値の間に有意差はない。
【0108】
メラトニン受容体の非特異的アンタゴニストであるルジンドール(100μg/10μl)で前処理を行なうとメラトニンと5−MCA−NATの両方で効果が消えた(図4)が、ルジンドールを単独で投与した場合には6時間までの範囲で効果はなかった。
【0109】
これらの結果は、メラトニンと、MT3受容体の選択的アゴニストである5−MCA−NATが、投与量に依存したIOPの下降をもたらすことを示している。しかも5−MCA−NATの最大応答は、メラトニンの最大応答のほぼ2倍になる。これらの結果は、メラトニン受容体が一種類だけ存在していると仮定すると、メラトニンは部分的アゴニストとして作用するらしいのに対し、5−MCA−NATは全体的アゴニストとして作用することを示唆している。メラトニン受容体の非特異的アンタゴニストであるルジンドールがメラトニンと5−MCA−NATの効果を消す能力を有するという結果は、メラトニンと5−MCA−NATがメラトニン受容体を媒介として作用することを示唆している。
【0110】
当業者であれば誰でも本発明を実施したり利用したりできるようにするため、本発明を、本発明を実施したり利用したりする態様や方法も含め、上記のように十分、明瞭、簡潔、正確に説明した。上記の内容は本発明の好ましい実施態様の説明であり、請求の範囲に記載されている本発明の範囲からはずれることなく変更を施すことが可能である。本発明に関する主題を特に指摘して明確に主張するため、請求の範囲を記載してこの明細書を締めくくる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
図1は、メラトニンがニュージーランド白ウサギのIOPに及ぼす効果を6時間にわたって調べた結果を示している。
【図2】
図2は、等価な量の5−MCA−NATが及ぼす効果を10時間にわたって調べた結果を示している。
【図3】
図3は、5−MCA−NATとメラトニンでIOP下降効果が投与量に応じてどのように変わるかを比較した図である。
【図4】
図4は、メラトニン受容体のアンタゴニストであるルジンドールによって5−MCA−NATとメラトニンのIOP下降効果が打ち消される様子を示している。
Claims (24)
- 眼圧を下降させる必要のある治療対象の眼圧を下降させる方法であって、
この方法は、眼圧を下降させるのに有効な量のインドール誘導体をこの治療対象に投与する操作を含んでおり、このインドール誘導体は、以下の一般式I:
nは、0、1、2、3、4、5のいずれかであり;
mは、0または1であり;
R1及びR2は、それぞれ独立で、H;置換されたまたは置換されていない直線状、分枝状または環状のアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、アラルケニル、アラルキニル;R6(CO)−;F;OR5のいずれかであり;あるいは、R1とR2のいずれか一方がR6R7N(CO)−であり;あるいは、R1とR2が一緒になって、オキソとなるか;あるいは、置換されたまたは置換されていない4員、5員、6員、7員いずれかの炭素環または複素環となり;
R3及びR4は、それぞれ独立で、H;置換されたまたは置換されていない直線状、分枝状または環状のアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、アラルケニル、アラルキニル;R6(CO)−のいずれかであり;
あるいは、R3とR4が一緒になって、オキソとなるか;あるいは、置換されたまたは置換されていない4員、5員、6員、7員いずれかの炭素環または複素環となり;
あるいは、R2とR4が一緒になって、置換されたまたは置換されていない4員、5員、6員、7員いずれかの炭素環または複素環となり;
Aは、ハロゲン;NO2;CN;R5−X1−のいずれかであり;
Bは、ハロゲン;NO2;CN;R5−X1−のいずれかであり;
Bがインドールの4位に位置していて、ハロゲン、NO2、CN、Hのいずれでもない場合には、Bは、R1、R3、Z1のいずれかと一緒になって、置換されたまたは置換されていない5員、6員又は7員いずれかの炭素環または複素環となり;
Bがハロゲン、NO2、CN、Hのいずれでもなく、インドールの7位に位置している場合には、BがEと一緒になって、置換されたまたは置換されていない5員、6員、7員いずれかの複素環となることもあり;
X1は、O;S;NR9;−CF2−;−CH2−;−CH2CH2−;−CH2CH2CH2−のいずれか;あるいは存在しておらず;
R5は、H;置換されたまたは置換されていない直線状、分枝状または環状のアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、アラルケニル、アラルキニル;R6R7N(CO)−;R6(CO)−;R8O(CO)−;R8S(O)2−;R8S(O)−;R8OS(O)2−;R8OS(O)−;R6R7NS(O)2−;R6R7NP(O)(OR9);R8P(O)(OR9)−;(R8O)P(O)(OR9)−;CF3−のいずれかであり;
R6及びR7は、それぞれ独立で、H;置換されたまたは置換されていない直線状、分枝状または環状のアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、アラルケニル、アラルキニル;複素環のいずれかであり;R6とR7が合わさった場合には、NR6R7が、置換されたまたは置換されていない3員、4員、5員、6員、7員いずれかの環となり;
R8は、置換されたまたは置換されていない直線状、分枝状または環状のアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、アラルケニル、アラルキニル;複素環;CF3−のいずれかであり;
R9は、H;置換されたまたは置換されていない直線状、分枝状または環状のアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、アラルケニル、アラルキニルのいずれかであり;
R6とR9が一緒になった場合には、5員、6員または7員いずれかの環となり;
Eは、H;置換されたまたは置換されていない直線状、分枝状または環状のアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、アラルケニル、アラルキニル;R8O(CO)−;R8S(O)2−;またはOR6のいずれかであり;
あるいは、Z1=NR10R11かつR10=Hの場合には、EはR6(CO)−であり;
あるいは、Z1がOR5で、R5がH、アルキル、アリールまたはアラルキルのいずれでもない場合には、EはR6(CO)−であり;
あるいは、Z1=NR10R11かつR10=Hの場合には、EはR6R7N(CO)−であり;
あるいは、Z1がOR5であり、そしてR5がH、アルキル、アリールまたはアラルキルのいずれでもない場合には、EはR6R7N(CO)−であり;
D1は、ハロゲン;NO2;CN;R5−X1−のいずれかであり;
D1がR5−X1−のときには、D1とEが一緒になって、置換されたまたは置換されていない4員、5員、6員または7員いずれかの複素環となり;
D1がR5−X1−のときには、D1とR1が一緒になって、置換されたまたは置換されていない5員、6員または7員いずれかの炭素環または複素環となり;
D1がR5−X1−のときには、D1とR3が一緒になって、置換されたまたは置換されていない5員、6員または7員いずれかの炭素環または複素環となり;
D1がR5−X1−のときには、D1とZ1が一緒になって、置換されたまたは置換されていない5員、6員または7員いずれかの複素環となり;
Z1は、OR5;またはNR10R11であり;
Z1とR1が一緒になった場合には、置換されたまたは置換されていない4員、5員、6員または7員いずれかの複素環となり;R10は、H;置換されたまたは置換されていない直線状、分枝状または環状のアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、アラルケニル、アラルキニル;複素環;R6R7N(CO)−;R6 (CO)−;R8O(CO)−;R8S(O)2−;R8OS(O)2−;R6R7NS(O)2−;CF3−のいずれかであり;
R11は、R6R7N(CO)−;R6(CO)−;R8O(CO)−;R8S(O)2−;R8OS(O)2−;R6R7NS(O)2−のいずれかであり;n=1、m=0、R5=CH3、X1=O、B=D1=E=R3=R4=Hの場合には、Zは−NHAcではない)で表わされる方法。 - 上記インドールが、以下の一般式II:
R10及びR10’は、それぞれ独立で、H;置換されたまたは置換されていない直線状、分枝状または環状のアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、アラルケニル、アラルキニル;複素環;R6R7N(CO)−;R6(CO)−;R8O(CO)−;R8S(O)2−;R8OS(O)2−;R6R7NS(O)2−;CF3−のいずれかであり;
Z2およびZ3は、それぞれ独立で、R6R7N(CO)−;R6(CO)−;R8O(CO)−;R8S(O)2−;R8OS(O)2−;R6R7NS(O)2−のいずれかであり;
あるいは、Z2−N−R10、Z3−N−R10それぞれのユニットが、互いに独立に4員〜7員の環となる)で表わされる化合物である、請求項1に記載の方法。 - B=D1=E=Hである、請求項3に記載の方法。
- R5は、C1−C4アルキル、アセチル、ホルミルまたはCF3のいずれかであり;R6は、H、C1−C4アルキル、またはCF3のいずれかであり;R5=CH3の場合には、R6がCH3ではない、請求項5に記載の方法。
- 上記化合物の有効量を投与して、治療対象の目の表面におけるこの化合物の濃度を約10−12M〜約10−3Mにする、請求項1に記載の方法。
- 上記化合物が、5−メトキシカルボニルアミノ−N−アセチルトリプタミンである、請求項1に記載の方法。
- 上記インドールを、N−[2−(5−ジメチルアミノ−1H−インドール−3−イル)−エチル]−アセトアミド、{3−[2−(2−ヒドロキシ−ベンジルアミノ)−エチル]−1H−インドール−5−イル}−カルバミン酸メチルエステル、[3−(2−アセチルアミノ−エチル)−2−フェニル−1H−インドール−5−イル]−カルバミン酸メチルエステル、[3−(2−アセチルアミノ−エチル)−1−メチル−1H−インドール−5−イル]−カルバミン酸メチルエステル、[3−(3−アセチルアミノ−プロピル)−1H−インドール−5−イル]−カルバミン酸メチルエステル、[3−(3−ベンゼンスルホニルアミノ−プロピル)−1H−インドール−5−イル]−カルバミン酸メチルエステル、N−[2−(5−ウレイド−1H−インドール−3−イル)−エチル]−アセトアミド、[3−(2−プロピオニルアミノ−エチル)−1H−インドール−5−イル]−カルバミン酸メチルエステル、N−[2−(5−メトキシカルボニルアミノ−1H−インドール−3−イル)−エチル]−スクシンアミド酸、[3−(2−アセチルアミノ−エチル)−1H−インドール−5−イル]−カルバミン酸アリルエステル、[3−(2−アセチルアミノ−エチル)−1H−インドール−5−イル]−カルバミン酸 3−ヒドロキシ−プロピルエステル、[3−(2−アセチルアミノ−エチル)−1H−インドール−5−イル]−カルバミン酸 2,3−ジヒドロキシ−アリルエステル、N−[3−(2−アセチルアミノ−エチル)−1H−インドール−5−イル]−アセトアミド、[3−(2−アセチルアミノ−エチル)−2−ブロモ−1H−インドール−5−イル]−カルバミン酸メチルエステル、[3−(2−アセチルアミノ−エチル)−2−メチル−1H−インドール−5−イル]−カルバミン酸メチルエステル、[3−(2−アセチルアミノ−エチル)−1−ベンジル−1H−インドール−5−イル]−カルバミン酸メチルエステル、(1−オキソ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン−6−イル)−カルバミン酸メチルエステル、および[3−(2−アセチルアミノ−エチル)−4−(1−メトキシ−エチル)−1−メチル−1H−インドール−5−イル]−カルバミン酸メチルエステルからなる化合物のグループの中から選択する、請求項1に記載の方法。
- 高眼圧症と緑内障からなる群から選択した疾患の治療を必要としている治療対象に、一般式Iの上記インドール誘導体を、この疾患の治療に有効な量投与して治療する、請求項1に記載の方法。
- 上記緑内障が原発緑内障である、請求項10に記載の方法。
- 上記原発緑内障を、狭隅角急性鬱血性緑内障;広隅角慢性単純緑内障;続発性緑内障からなる群から選択する、請求項11に記載の方法。
- 上記インドール誘導体を、狭隅角急性鬱血性緑内障を制御するのに用いられる治療薬およびアジュバントと同時に投与し、この治療薬およびアジュバントは、抗コリンエステラーゼ剤、カルボニックアンヒドラーゼ阻害薬、プロスタグランジン類似体、浸透圧剤からなる群から選択する、請求項12に記載の方法。
- 抗コリンエステラーゼ剤がサリチル酸塩または硝酸ピロカルピンであり;カルボニックアンヒドラーゼ阻害薬がアセタゾラミドであり;プロスタグランジン類似体がキサラタンまたはルーミガンであり;浸透圧剤がマンニトールまたはグリセリンである、請求項13に記載の方法。
- 上記インドール誘導体を、広隅角慢性単純緑内障を制御するのに用いられる治療薬と同時に投与し、この治療薬は、副交感神経作用薬、短時間作用性抗コリンエステラーゼ剤、長時間作用性抗コリンエステラーゼ剤、αアドレナリン作動性アゴニスト、βアドレナリン作動性アンタゴニスト、交感神経作用薬、プロスタグランジン類似体からなる群から選択する、請求項12に記載の方法。
- 副交感神経作用薬が硝酸ピロカルピンであり;短時間作用性抗コリンエステラーゼ剤がサリチル酸フィゾスチグミンであり;長時間作用性抗コリンエステラーゼ剤が臭化デメカリウム、ヨウ化エコチオフェート、イソフルロフェートのいずれかであり;βアドレナリン作動性アンタゴニストがマレイン酸チモロールであり;交感神経作用薬がエピネフリンまたはフェニルエフリンであり;プロスタグランジン類似体がラタノプロストまたはルーミガンである、請求項15に記載の方法。
- 上記インドール誘導体を、続発性緑内障を制御するのに用いられる治療薬と同時に投与し、この治療薬は、副交感神経作用薬、短時間作用性抗コリンエステラーゼ剤、長時間作用性抗コリンエステラーゼ剤、βアドレナリン作動性アンタゴニスト、交感神経作用薬、プロスタグランジン類似体からなる群から選択する、請求項12に記載の方法。
- 副交感神経作用薬が硝酸ピロカルピンであり;短時間作用性抗コリンエステラーゼ剤がサリチル酸フィゾスチグミンであり;長時間作用性抗コリンエステラーゼ剤が臭化デメカリウム、ヨウ化エコチオフェート、イソフルロフェートのいずれかであり;βアドレナリン作動性アンタゴニストがマレイン酸チモロールであり;交感神経作用薬がエピネフリンまたはフェニルエフリンであり;プロスタグランジン類似体がラタノプロストまたはルーミガンである、請求項17に記載の方法。
- 上記インドール誘導体を、上記化合物またはこの化合物の薬理学的に受容可能な塩と、薬理学的に受容可能な賦形剤または基剤とを含む無菌調製物として投与する、請求項1に記載の方法。
- 薬理学的に受容可能な上記基剤が、電解質水溶液、ポリエーテル、ポリビニル、アクリル酸のポリマー、ラノリン、グリコサミノグリカンからなる群から選択した生理学的に適合性のある賦形剤であり、そのことによってこの基剤が目からの房水流出を促進して眼圧を下降させる、請求項19に記載の方法。
- 上記化合物の投与方法を、a)液滴または液体、洗浄液、ゲル、軟膏、スプレー、リポソームからなるグループの中から選択した担体を通じた局所的投与;b)ポンプ−カテーテル・システム、連続的放出装置、選択的放出装置、コンタクトレンズからなるグループの中から選択した装置を通じた目の表面への注入;c)全身投与からなる群から選択する、請求項1に記載の方法。
- 上記インドールの全身投与を、ゲル、クリーム、粉末、泡、結晶、リポソーム、スプレー、懸濁液のいずれかの形態にした上記化合物を手術中に直接点滴することによって実現し、治療上有効な量の上記化合物が全身で吸収されて循環系を通じて治療対象の目の組織と接触するようにする、請求項21に記載の方法。
- 緑内障治療に用いる薬剤の好ましからぬ副作用を上記インドール誘導体を用いて減らすため、このインドール誘導体を、デメカリウム、エコチオフェート、イソフルロフェートからなる群から選択した薬剤とともに投与する操作を含む、請求項1に記載の方法。
- [3−(2−アセチルアミノ−エチル)−2−メチル−1H−インドール−5−イル]−カルバミン酸メチルエステル、[3−(2−アセチルアミノ−エチル)−2−フェニル−1H−インドール−5−イル]−カルバミン酸メチルエステル、[3−(3−アセチルアミノ−プロップ−1−イル)−1H−インドール−5−イル]−カルバミン酸メチルエステル、N−[2−(5−メトキシカルボニルアミノ−1H−インドール−3−イル)−エチル]−スクシンアミド酸、[3−(2−アセチルアミノ−エチル)−1H−インドール−5−イル]−カルバミン酸アリルエステル、[3−(2−アセチルアミノ−エチル)−1H−インドール−5−イル]−カルバミン酸 3−ヒドロキシ−プロップ−1−イルエステル、[3−(2−アセチルアミノ−エチル)−1H−インドール−5−イル]−カルバミン酸 2,3−ジヒドロキシ−アリルエステル、[3−(2−アセチルアミノ−エチル)−4−(1−メトキシ−エチル)−1−メチル−1H−インドール−5−イル]−カルバミン酸メチルエステル、N−[3−(2−アセチルアミノ−エチル)−1H−インドール−5−イル]−アセトアミド、[3−(2−アセチルアミノ−エチル)−1−ベンジル−1H−インドール−5−イル]−カルバミン酸メチルエステル、および(1−オキソ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン−6−イル)−カルバミン酸メチルエステルからなる化合物の群から選択される組成物。
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