JP2004517983A - 改善された結晶化特性を有する生分解性ポリヒドロキシアルカノエートコポリマー - Google Patents

改善された結晶化特性を有する生分解性ポリヒドロキシアルカノエートコポリマー Download PDF

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Abstract

改善された結晶化特性と物理特性を有し、(a)少なくとも二つのランダムに繰り返すモノマーユニット(RRMU)のコポリマー、又はそれらのブレンドからなる第一の生分解性ポリヒドロキシアルカノエートの連続相であって、第一のRRMUが下記構造(I):
【化1】
Figure 2004517983

(式中、Rは、H、又はC1アルキルもしくはC2アルキルであり、及びnは1又は2である。)を有し、及び
第二のRRMUは、第一のRRMUとは異なり、及び下記構造(II)及び(III):
【化2】
Figure 2004517983

(式中、RはC3〜C19アルキル又はC3〜C19アルケニルである。)及び
【化3】
Figure 2004517983

(式中、mは2から約16である。)から成る群から選択される少なくとも一種類のモノマーを含み、さらにコポリマーが融点Tm1を有する連続相と、
並びに(b)下記構造(IV):
【化4】
Figure 2004517983

(式中、R はH、又はC1アルキルもしくはC2アルキルであり、及びPは1又は2である。)を有する少なくとも一つのランダムに繰り返すモノマーユニットを含む第二の結晶化可能な生分解性ポリヒドロキシアルカノエートホモポリマー又はコポリマーであって、及び更に融点Tm2を有し、Tm2はTm1より少なくとも約20℃高い第二の生分解性ポリヒドロキシアルカノエートとを含むことを特徴とする組成物である。組成物は構成成分(a)及び(b)の溶液または溶解混合によって形成され、形成物品となり得る。

Description

【0001】
(発明の技術分野)
本発明は、改善された結晶化特性を有する生分解性の半結晶性ポリヒドロキシアルカノエートコポリマー及びこうしたコポリマーを含有するブレンド、こうした半結晶性コポリマーの結晶化速度及び物理特性を改善する方法、こうしたコポリマーから造形品を形成する方法、及びこうした方法により形成される造形品を対象とする。
【0002】
こうしたコポリマーにより形成される造形品には、これに限るものではないが、フィルム、繊維、不織布、シート、膜、コーティング、結合剤、発泡体、および包装用の成形製品が挙げられる。製品は高度な結晶化速度、延性、及び柔軟性の望ましい組み合わせと、及び重要なことには生分解性を示す。そのようなブレンドの他の利益について、本発明で説明する。この製品は、おむつ用トップシート、おむつ用バックシート、使い捨て可能な拭取り用品、買い物袋及び芝/落葉用袋、農業用フィルム、庭ゴミ用ネット、漁網、種まき用テンプレート、植木鉢、使い捨て可能な衣料品、医療用使い捨て可能製品、紙コーティング、生分解性包装、セルロース繊維又は合成繊維用の結合剤など、様々な生分解性品に有用である。
【0003】
(発明の背景)
本発明は、毎年埋立地に廃棄される物においてより重要な体積分率を占める過剰なプラスチックゴミの、増大する環境問題を解決するための必要性に関する。生分解性ポリマー及び生分解性ポリマーから形成される製品は、消費者が毎年生成する固体廃棄物量の減少を望むという観点から、益々重要になってきている。本発明は、さらに、生分解性、堆肥化性、又は生体適合性が、用途の主な望ましい特徴である、こうした用途に用い得る、新しいプラスチック材料を開発する必要性に関する。そのような例には、例えば農業用フィルム、及びそのようなフィルムがその目的を果たした後で収集される必要がない時に農業従事者に提供する利便性が含まれる。植木鉢又は種まき用テンプレートは、基材の一時的な性質が、ユーザの利便性に転換される他の例である。同様に、衛生用衣料品、例えば顔面用拭き取り用品、衛生ナプキン、パンティライナ、又はおむつでさえ、下水内で分解する物質の使用によりその廃棄手段もまた有利に広がる可能性がある。こうした品は、使用後に、現在の基幹施設(浄化槽又は公共下水)に影響することなしに、直接下水に容易に廃棄することができ、及び消費者により多くの廃棄の選択肢を与えることができるであろう。こうした衛生用衣料品を製造するのに典型的に用いられる現在のプラスチックは、望ましくない物質の蓄積なしに廃棄することはできない。上記の例に用いられる新しい材料は、理想的には従来のポリオレフィンの物理的性質の多くを示すことが必要であろう。それらは非透水性であり、丈夫で、強く、しかし柔らかく、柔軟性があり、ガタ音がなく、できる限り安価でなければならず、及び手ごろな価格であるためには、標準的ポリマー処理装置上で製造できなければならない。
【0004】
堆肥化可能な熱可塑性材料の直接的な利益を示す別の用途は、落葉/芝用袋である。コンポスタおよび袋除去のさらなる負担を必要とせず、および堆肥汚染の危険のない、今日の唯一の堆肥化可能袋とは、紙袋である。しかし、紙袋は、プラスチックフィルムの柔軟性、強靭性、及び耐湿性を提供せず、保管に嵩張る。落葉/芝用袋を作製するために使用される堆肥化可能プラスチックフィルムであれば、紙袋のように廃棄できる袋であり、更にプラスチック袋の利便性を与える袋を提供するであろう。
【0005】
これらの例から見れば、生分解性、溶融加工可能性、及び最終用途性能の組み合わせが、ポリマーの新分類開発にとって特別な関心事であることが明らかになる。溶融加工可能性は、従来の加工方法によって材料をフィルム、コーティング、不織布、又は成形物に変換させる際に重要になる。これらの方法には、単層構造のキャストフィルム及びブローンフィルム押出成形、多層構造のキャスト又はブローンフィルム共押出成形が含まれる。その他の適したフィルム加工方法には、その他のフィルム、不織布、紙ウェブなど、堆肥化可能基材の片側又は両側上への一つの材料の押出コーティングが含まれる。その他の加工方法としては、繊維又は不織布を作製する従来の手段(メルトブローン、スパンボンド、フラッシュスピニング)、及び瓶又は鉢の射出又はブロー成形が挙げられる。ポリマー特性は、最終用途時の最適な製品性能(柔軟性、強度、延性、強靭性、熱軟化点、及び耐湿性)を確実にする際だけでなく、連続動作を確実にするために、実際の製品作製段階でも不可欠である。処理されたポリマー溶融生成物の、冷却による迅速な結晶化は、経済的な理由だけでなく、処理されたウェブ(繊維、フィルム)が変換の間に十分な構造的完全性を作り上げるために、多くの変換操作を成功させるのに必要な、明らかに本質的な特徴であり、例えば工業用フィルム及び繊維のライン上での結晶化時間は、典型的には約3秒未満である。
【0006】
これまで、様々なPHAの生分解性及び物理的特性が、研究され、報告されてきた。ポリヒドロキシアルカノエートは、合成的な方法によって、又は細菌や藻類のような様々な微生物によって製造することのできる、一般的に半結晶性の熱可塑性ポリエステル化合物である。後者は、典型的には、光学的に純粋物質を製造する。典型的には既知の細菌性PHAには、アイソタクチックポリ(3−ヒドロキシブチレート)又はi−PHB、高溶融、高結晶化度、非常に壊れやすく/脆性の、ヒドロキシ酪酸のホモポリマー、及びポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−バレレート)又はi−PHBV、ややより低結晶化度及びより低溶融のコポリマーであるが、それにも関わらず高結晶化度、及び壊れやすく/脆性の同じ欠点を有するコポリマーが挙げられる。PHBVコポリマーは、ホームズ(Holmes)らの米国特許第4,393,167号、及び第4,880,59号に記載されており、最近までインペリアル・ケミカル・インダストリーズ(Imperial Chemical Industries)から商品名バイオポール(BIOPOL)として市販されていた。微生物の存在下で容易に生分解する能力は、数多くの事例で実証されてきた。これらの二種類のPHAは、しかしながら機械的圧力下で容易に脆性の割れ目及び/又は裂け目を示す傾向のある、壊れやすいポリマーであることが知られている。また、その融点が高いために、溶融時の大規模な熱分解を導く加工温度が必要とされるので、加工可能性にもかなりの問題がある。最後にその結晶化速度が伝統的な工業用ポリマーより顕著に遅いため、処理加工が不可能であるか、又は既存の変換装置上では非常に高価格になっている。
【0007】
その他の既知のPHA類は、いわゆる、長側鎖PHA類、又はアイソタクチックPHO(ポリ(ヒドロキシオクタノエート))類である。これらは、i−PHBまたはPHBVとは異なり、循環ペンチルと、主鎖に沿って規則的に間隔をあけられた高級アルキル側鎖とのため、事実上、非晶性である。しかし、それらの結晶性分画が存在する場合、非常に低い融点並びに極めて遅い結晶化速度を有しており、この二つの主要な欠点は、発明の分野で述べた用途のタイプに有用な熱可塑性樹脂としての可能性を大きく制限する。
【0008】
近年、新しいポリ(3−ヒドロキシアルカノエート)コポリマー組成物が、カネカ(Kaneka)(米国特許第5,292,860号)、昭和電工(Showa Denko)(EP440165A2、EP466050A1)、三菱(Mitsubishi)(米国特許第4,876,331号)、及びプロクターアンドギャンブル(Procter & Gamble)(米国特許第5,498,692号、5,536,564号、5,602,227号、5,685,756号)により開示された。これらすべては、主鎖に沿って、結晶化プロセスを部分的に妨げる制御された量の「不備」をランダムに組み込むことによって、PHAの結晶化度および融点を、高結晶化度のi−PHB又はPHBVでの値よりも低い、いかなる望ましい値にも調整する、様々な手法を記載している。そのような「不備」は、様々なタイプの分岐鎖(3−ヒドロキシヘキサノエート以上)と、短い(3HP、3−ヒドロキシプロピオネート)又は長い(4HB、4−ヒドロキシブチレート)直鎖脂肪族柔軟性スペーサのいずれか、又は組み合わせである。その成果は、80℃〜150℃の範囲の典型的な使用で溶融するように調整され得る、及び処理加工の間に熱分解をより受けにくい、半結晶性コポリマー構造である。加えて、これらの新しいコポリマーの生分解速度は、典型的には、そのより低い結晶化度、及び微生物の影響をより受けやすい結果として増加している。しかし、こうしたコポリマーの機械的特性及び溶融処理条件は、一般的にi−PHB又はPHBVより改善しているのに対して、その結晶化速度は、結晶化不能な不備を主鎖に沿ってランダムに組み込んだ結果として、特質上遅く、多くの場合i−PHB及びPHBVより遅い。このようにこれらのコポリマーは、溶融から冷却された後、十分な結晶化が始まるまでそのまま放置された後に、十分な構造的完全性が欠けているため、又はそれらが実質的にべとつくため、又はその両方であるために、従来の溶融方法によりこれらのコポリマーを様々な形態に変換するには、少なからぬ課題が残っている。粘着が残っていると、典型的には材料がそれ自身と、又は処理装置と、又はその両方とくっつく結果となり、そのためポリマー製品が製造される速度を制限するか、又は適した品質形態で製品が収集されるのを妨げる可能性がある。従って、これらのより望ましいコポリマーが、費用効率の高い条件で、フィルム、シート、繊維、発泡体、成形物品、不織布の布地などに変換されるには、結晶化速度を顕著に改善することが必要である。PHBVの遅い結晶化速度の問題は、よく認識されている問題であり、以前から公開文書において、又はその結晶化速度を高める助けとなり得る様々な選択肢を開示する特許出願において扱われてきた。
【0009】
例えば、ヘリング(Herring)らの米国特許第5,061,743号は、PHBのようなPHA類の結晶化速度を改善するための、核生成剤としての有機ホスホン酸又はエステル化合物と、金属酸化物、水酸化物、又はカルボン酸塩の組み合わせの使用を開示している。それは、結晶性直鎖ポリエステル類についての、ビンスベルゲン(Binsbergen)による初期の英国組成物特許(GB1,139,528)を構築している。同様に、オーガン(Organ)らは米国特許第5,281,649号において、PHA類、例えばPHBの結晶化速度を改善するための、塩化アンモニウムの核生成剤としての使用を開示している。核生成剤が小さな大きさであることは、そうでなければ粒子状物質により直面する透明性及び凝塊形成の問題を最小にする。結晶化速度を改善するPHAと共にブレンドされる添加物の更なる例を見出すことができる。例えば、松本(Matsumoto)への米国特許第5,516,565号は、芳香族アミノ酸、例えばチロシン及びフェニルアラニンのような結晶化剤の使用を提案しており、それらは動物の体内で、又は環境において分解又は代謝されることができ、従って医療装置内での核生成されたPHAの使用が可能になる。1984年に、P.J.バーハム(P.J.Barham)は、「ポリ−3−ヒドロキシブチレートの核生成挙動(Nucleation behavior of poly−3−hydroxybutyrate)」(材料科学誌(J.Mater.Sci.)、19、3826ページ(1984年))と題する論文の中で、様々な種類の核生成剤の総説を書いている。彼は、タルクのような不純物の核生成効果は、部分的に吸着された分子のエントロピーを減少させる能力から生じるのに対して、サッカリンのような添加物はエピタキシャルな結晶学的適合により作用することを、述べている。彼はまた、半結晶性ポリマーの核生成密度の増加を生み出す現象である、セルフシーディングについても記述しているが、ポリマーがポリマーの融点のピークの僅か数度以内に保たれなければならないため、実用的影響はほとんど限られたものである。別の論文では、オーガン(Organ)らはまた、塩化アンモニウム結晶からのPHBのエピタキシャル成長についても説明しており、また核生成剤としての窒化ホウ素、サッカリン、及び尿素の過酸化水素塩についての肯定的結果(材料科学誌(J.Mater. Sci., )、27、3239ページ(1992年))について明らかにしている。最後にホッブス(Hobbs)らは、ポリ(ヒドロキシブチレート)の薄いフィルムの結晶成長速度への水の有益な効果について、公開された論文(ポリマー(Polymer)、38、3879ページ(1997年))に報告している。
【0010】
PHA類を含有するブレンドはまた、それらの結晶化速度への潜在的利益について開示されており、及びこうしたブレンドの特性を示すことを目的とした幾つかの科学的研究がなされてきた。例えば、三菱レーヨン(Mitsubishi Rayon)に譲渡された日本の特許(JP63172762)は、PETの結晶化速度を改善するための、PETへの添加物としてのi−PHBの使用について報告している。クラインク(Kleinke)らは、米国特許第5,231,148号において、より良好な機械的特性を所有し、及び純粋なPHAより高い温度で結晶化する、ポリヒドロキシアルカノエートと、反応性の酸及びアルコール基のある化合物を含有する混合物について教示している。ハモンド(Hammond)は、PHA類、ポリラクチド、ポリカプロラクトン、及びそれらのコポリマーの群から選択される、PHAポリマー及びオリゴマーを含有するポリマー組成物を開示している(米国特許第5550173号)。PCT国際特許出願番号96/09402において、コックス(Cox)らは、異なる組成物のランダムでないブロックを含むヒドロキシカルボン酸コポリエステルであって、全体の物質の結晶化時間を減少するために寄与する、より高い溶融の構成成分について記述している。ポリマー(Polymer)、34、459ページ(1993年)に公開された彼らの科学論文において、オーガン(Organ)らは、i−PHBとPHBV(18.4%バレレート)の溶融ブレンドの相挙動及び結晶化反応速度論について、その組成物の全範囲を、10%の組成変化の増分ごとに調べている。彼らのデータは、PHBVコポリマーの大部分を含有するブレンドの場合には、個々の溶融と二つの結晶相を示唆している。著者らは、しかしながら、これらのブレンド構造が結晶化速度に対して有しうる肯定的結果を認識及び確証できていない。 マクロム・ケム(Makrom.Chem.)、マクロム・シンプ(Makrom.Symp.)、19、235ページ(1988年)に公開された科学的研究の中で、マーチェソールト(Marchessault)らは、i−PHBとPHBVのクロロホルム中での溶液混合、それに続くジエチルエーテル中でのそれらの共沈殿の処理について記述している。(ホロウィッツ(Horowitz)らは、i−PHBとPHOから製造される人工的顆粒を調製するための生体外の手順(超音波遠心分離を用いる)について記述しており、これは、その非晶性のゴム弾性状態を保持する単一の、均一な顆粒集団を生成する(ポリマー(Polymer)、35、5079ページ(1994年))。
【0011】
本発明に、より直ちに関連するものでは、リガット(Liggat)が、米国特許第5,693,389号において、PHBVのような低い溶融のPHAの核生成剤として働く、粉末形態のPHBのような高い溶融のPHAの乾式混合を開示している。この考えは結晶化速度に肯定的影響をもつが、結晶化速度の利益は、PHB粉末の比較的大きい大きさと低い分散性により制限される。加えて、分散したPHB粉末の大きさは、こうしたブレンドの、フィルム、コーティング、又は繊維のような薄い製品への処理加工を一般的に妨げ(金型の目詰まりによる)、及びまたそれらがあまり美しくないこと、及び機械的特性が弱いこと(例えば、最終物品の応力集中位置、不透明性など)の原因である可能性がある。その上、i−PHBとPHBVの融点が極めて接近していることは、核生成するi−PHB粒子が活性のままである処理加工温度のウィンドウが限られた大きさになる原因になる。非常に最近では、ウィゼイ(Withey)及びヘイ(Hay)が、種入れ現象と、i−PHB及びPHBVブレンドの結晶化速度へのそれらの影響を再調査した。彼らの手法は、しかしながら、i−PHBを窒化ホウ素を超える核生成剤として使用することについては、より良好な結果を生み出すことができなかった。
【0012】
従って、PHAポリマー及びコポリマーの結晶化速度を改善するための、すべてこれまでに報告された試みは、工業用の処理加工としては結晶化速度が遅すぎるままであるという点で不充分なものであり、及び核生成剤は、例えばポリマー又はコポリマーを不透明にする、又は応力集中の位置を導入するなど、ポリマー又はコポリマーの一以上の特性に不利に影響する可能性があり、従ってポリマーの物理的及び機械的又は生分解性の特性を妥協する可能性がある。
【0013】
PHAの化学修飾又はブレンドについての上記の方法に加えて、結晶化速度を増加させるため、並びにそれらの物理的特性を改善するために寄与すると言われる、PHAの熱処理及び特別な取り扱いについての説明もまた以前に存在した。例えば、米国特許第4,537,738号において、ホームズ(Holmes)は、部分的に結晶化したPHBの押し出し形態を、延伸段階を受ける前に予め形成し、引き伸ばした状態で結晶化を完了させる方法を記述している。ワディントン(Waddington)は、米国特許第5,578,382号において、より迅速な結晶化、より小さいスフェルライト、及び改善した障壁特性を達成するために、PHAフィルムの温度を結晶成長に最適な温度まで戻し上げる前に、PHAフィルムをTg(4℃〜20℃)のすぐ上の温度に冷却することにより、高密度の核生成位置を達成することを提案している。デ・コウニング(De Koning)ら(ポリマー(Polymer)、34、4089ページ(1993年)、及びポリマー(Polymer)、35、4599ページ(1994年))、並びにビドルストーン(Biddlestone)ら(ポリマー・ インターナショナル(Polym.Int.)、39、221ページ(1966年))は、i−PHB又はPHBVの物理的老化及び脆化現象について研究し、及びそれを経時的な第二の結晶化の発生の結果であると考えた。この現象は熱焼きなましにより、形態学の変化及び全体の非晶性−結晶性境界面の減少により、部分的に妨げられる、又は逆転させられる可能性がある。デ・コウニング(De Koning)(PCT国際公開特許WO94/17121)及びリガット(Liggat)ら(PCT国際公開特許WO94/28047、及びPCT国際公開特許WO94/28049)は、時間の経過による物質の脆化の原因となる物理的老化により影響された、i−PHB又はPHBVの機械的特性を少なくとも部分的に回復するために、変換後の加熱処理の使用を提案している。リガット(Liggat)ら(PCT国際公開特許WO94/28048)により、こうした物質への可塑剤の存在下での同じ手法が提案されている。
【0014】
しかしながら、i−PHB又はPHBVに適用されている、これらの処理条件の多くは、一般的に壊れやすい傾向にある物質には、満足な物理的及び機械的特性を付与していない。それ故に、改善した結晶化速度を有するだけでなく、また広範囲の用途において有用な造形品の形成及び使用を可能にする、物理的/機械的特性の有利な組み合わせを示すPHA類を得ることは有利であろう。
【0015】
(発明の目的)
それ故に、先行技術の不利な点又は制限を克服する、半結晶性ポリヒドロキシアルカノエート含有組成物、及びこうした組成物を調製する方法を提供することが本発明の目的である。改善された結晶化速度を有する生分解性コポリマーを含む、半結晶性ポリヒドロキシアルカノエート組成物、及びこうした組成物から製造される造形品を提供する加工方法を提供することが、本発明の関連目的である。半結晶性ポリヒドロキシアルカノエートの結晶化速度を改善する方法を提供し、その結果、従来の変換方法、例えば、メルトスピニング又は溶媒スピニング、フラッシュスピニング、メルトブロー、キャストフィルム押出成形又はブローンフィルム押出成形、押出ブロー成形、射出成形、又は溶媒コーティングを用いて、半結晶性ポリヒドロキシアルカノエートの造形品への変換が可能になるか、又は改善されることが本発明の更なる目的である。生分解性ポリヒドロキシアルカノエートの核生成密度を高め、及びその結果として全体の結晶化速度を高める生分解性の方法を提供することは、本発明の更なる目的である。
【0016】
本発明の組成物から製造された、丈夫で強くしかし柔軟性のある生分解性の衛生用及び医療用衣料品、堆肥化可能なプラスチック袋および農業用フィルム、射出成形ポット、庭ゴミ用ネット、堆肥化可能発泡品、生分解性のパルプ、紙コーティング、結合剤などを提供することは、本発明の追加の目的である。
改善された物理的及び機械的特性を有する半結晶性のポリヒドロキシアルカノエートを含む成形製品を形成する方法を提供することは、本発明のなお更なる目的である。半結晶性のポリヒドロキシアルカノエートの、経時的な物理的老化及び脆化を最小にすることは、本発明の更なる目的である。
【0017】
(発明の概要)
これらの及び追加の目的及び利益は、本発明の組成物、方法、及び造形品により提供される。一つの実施形態では、本発明は下記の少なくとも二つのポリマー構成成分を含む組成物を対象とする。
【0018】
(a)第一の構成成分であって、これは組成物のバルクを作り上げ、結晶化可能な生分解性ポリヒドロキシアルカノエートコポリマー又はそのブレンドであって、少なくとも二つのランダムに繰り返すモノマーユニット(RRMU)を含み、第一のランダムに繰り返すモノマーユニットは、全ポリヒドロキシアルカノエートモノマーユニットの少なくとも50%を構成し、構造(I):
【0019】
【化10】
Figure 2004517983
(式中、Rは、H、又はC1アルキルもしくはC2アルキルであり、及びnは1又は2である。)を有し、並びにポリヒドロキシアルカノエートコポリマーに包含される第二のランダムに繰り返すモノマーユニットは、第一のランダムに繰り返すモノマーユニットとは異なり、及び下記構造(II)及び(III):
【0020】
【化11】
Figure 2004517983
(式中、RはC3〜C19アルキル又はC3〜C19アルケニルである。)及び
【0021】
【化12】
Figure 2004517983
(式中、mは2〜約16である。)
から成る群から選択される少なくとも1種類のモノマーを含み、ポリヒドロキシアルカノエートコポリマーは約100,000g/モルより大きい数平均分子量を有し、及び更には第一の生分解性ポリヒドロキシアルカノエートは融点Tm1を有し、並びに、
(b)下記構造(IV):
【0022】
【化13】
Figure 2004517983
(式中、RはH、又はC1アルキルもしくはC2アルキルであり、及びpは1又は2である。)を有する少なくとも一つのランダムに繰り返すモノマーユニットを含む第二の結晶化可能な生分解性ポリヒドロキシアルカノエートホモポリマーもしくはコポリマー、又はそのブレンドであって、これは第一の生分解性ポリヒドロキシアルカノエートコポリマーのバルク内に細かく分散しており、任意選択的に第二の生分解性ポリヒドロキシアルカノエートポリマーは更に、下記構造(V)及び(VI):
【0023】
【化14】
Figure 2004517983
(式中、RはC2〜C19アルキル又はC2〜C19アルケニルである。)及び
【0024】
【化15】
Figure 2004517983
(式中、qは2〜約16である。)から成る群から選択される、二つ以上の追加的なランダムに繰り返すモノマ−ユニットを含むことができる。追加的ランダムに繰り返すモノマーユニットは全モノマーユニットの25%までに相当し、第二の生分解性ポリヒドロキシアルカノエートポリマーは、適した値として約50,000g/モルを超える数平均分子量を有し、及び更には第二の生分解性ポリヒドロキシアルカノエートは融点Tm2を有する。第二のPHAの融点Tm2は第一のPHAのTm1より少なくとも約20℃高く、即ちTm2≧(Tm1+20℃)である。
【0025】
第一のポリヒドロキシアルカノエートコポリマー(a)のバルク内の、第二の生分解性ポリヒドロキシアルカノエートポリマー(b)の密度の高い分散は、これらの二つの構成成分を溶液中で、又は溶融生成物中で、可能性のある追加的構成要素の存在の下でブレンドすることにより達成される。これは結果として、より高い結晶化速度を有するブレンド構造組成物をもたらすだけでなく、こうした組成物を標準的な繊維及びフィルム変換装置上で処理できるようにする。
【0026】
別の実施形態において、本発明は、少なくとも二つのランダムに繰り返すモノマーユニットを含む、第一の生分解性ポリヒドロキシアルカノエートコポリマー又はそのブレンドの結晶化速度を高めるための方法を対象とし、第一のランダムに繰り返すモノマーユニットは構造(I):
【0027】
【化16】
Figure 2004517983
(式中、Rは、H、又はC1アルキルもしくはC2アルキルであり、及びnは1又は2である。)を有し、第二のランダムに繰り返すモノマーユニットは、第一のランダムに繰り返すモノマーユニットとは異なり、及び下記構造(II)及び(III):
【0028】
【化17】
Figure 2004517983
(式中、RはC3〜C19アルキル又はC3〜C19アルケニルである。)及び
【0029】
【化18】
Figure 2004517983
(式中、mは2〜約16である。)から成る群から選択される少なくとも一種類のモノマーを含み、及びコポリマーの少なくとも約50モル%は、第一のランダムに繰り返すモノマーユニットの構造(I)を有する、ランダムに繰り返すモノマーユニットで構成され、及び更にコポリマーは融点Tm1を有する。この方法は、第一の生分解性ポリヒドロキシアルカノエート構成成分の中に、構造(IV):
【0030】
【化19】
Figure 2004517983
(式中、RはH、又はC1アルキルもしくはC2アルキルであり、及びpは1又は2である。)を有する少なくとも一つのランダムに繰り返すモノマーユニットを含む第二の生分解性ポリヒドロキシアルカノエートホモポリマーもしくはコポリマー、又はそのブレンドを、分子レベルで分散する工程を含み、
任意選択的に第二の生分解性ポリマーは更に、下記構造(V)及び(VI):
【0031】
【化20】
Figure 2004517983
(式中、RはC2〜C19アルキル又はC2〜C19アルケニルである。)及び
【0032】
【化21】
Figure 2004517983
(式中、qは2〜約16である。)から成る群から選択される、二つ以上のランダムに繰り返すモノマ−ユニットを含む。追加的ランダムに繰り返すモノマーユニットは全モノマーユニットの25%までに相当し、第二の生分解性ポリヒドロキシアルカノエートポリマーは、適した値として約50,000g/モルを超える数平均分子量を有し、及び更には第二の生分解性ポリヒドロキシアルカノエートは融点Tm2を有する。第二のPHAの融点Tm2は第一のPHAのTm1より少なくとも約20℃高く、即ちTm2≧(Tm1+20℃)である。細かい分散は二つの構成成分を、例えば加熱した押出成形機内で各々の融点より高い温度において、溶融生成物中で、又は溶液中、共通溶媒中でブレンドすることにより達成される。
【0033】
なお更なる実施形態において、本発明は、ポリマーの処理加工分野に既知の標準的処理加工装置を用いて、本発明の組成物を成功裏に及び効率的に造形品、例えばフィルム、繊維、不織布、コーティング、射出成形、ブロー成形などに変換する方法を対象とする。この方法はTm1とTm2の間で選択される温度で組成物を処理加工することを包含し、これは上記のTm1とTm2の間の関係により20℃を超える温度範囲におよぶ。また、この方法は最適な結晶化温度の25℃以内、即ち約30℃〜90℃の範囲であって、本発明の組成物により提供される極めて高密度の核生成を利用する一方で、結晶の成長速度が最大化される範囲において選択された高温で、造形品を形成すること及び結晶化することを包含する。得られた半結晶性構造は、さもなければ時間が経つにつれて機械的特性に否定的に影響する物理的老化及び脆化に対して改善された抵抗力を示す。それは製品の焼きなましの必要を排除し、従って造形品の全体の製造処理を簡単にする。本発明はまた、本発明のポリヒドロキシアルカノエート組成物を用いたこうした処理加工方法により形成された、様々な有用な造形品及び最終製品を包含する。これには、丈夫で強くしかも柔軟性のある生分解性の衛生用及び医療用衣料品、堆肥化可能なプラスチック袋および農業用フィルム、射出成形ポット、庭ゴミ用ネット、堆肥化可能発泡品、生分解性のパルプ、紙コーティング、結合剤などが挙げられる。
【0034】
本発明の組成物及び方法は、卓越した結晶化速度を有するポリヒドロキシアルカノエートコポリマー組成物を提供し、その結果、それからの物品の製造においてポリヒドロキシアルカノエートコポリマーの使用を促進する。最後の実施形態では、ポリヒドロキシアルカノエート組成物はPHA類以外の適合性のあるポリマーとブレンドされてもよく、そして処理可能性、結晶化速度、及び最終的な物理的/機械的特性を改善してもよい。その他のブレンド構成成分は、生分解性ポリマーの中から選択されなければならず、ブレンド組成物中で生分解性のままで存在しなければならない。
本発明のこれらの及び追加の目的及び利益は、以下の詳細な説明により、更に十分に理解されるであろう。
【0035】
(発明の詳細な説明)
本発明による組成物は少なくとも第一及び第二の生分解性ポリヒドロキシアルカノエート構成成分を含む。第一の生分解性ポリヒドロキシアルカノエートは少なくとも二つのRRMUを含むコポリマー又はそのブレンドを含む。第一のRRMUは下記の構造(I):
【0036】
【化22】
Figure 2004517983
(式中、RはH、又はC1アルキルもしくはC2のアルキルであり、nは1又は2である。)を有する。好ましい実施形態では、Rは、メチル基(CH)であり、それにより第一のRRMUは下記の構造:
【0037】
【化23】
Figure 2004517983
(式中、nは1又は2である。)を有する。第一のRRMUの更に好ましい実施形態では、Rがメチルで、nが1であり、よってポリヒドロキシアルカノエートコポリマーが、3−ヒドロキシブチレートユニットを含む。
【0038】
第一の生分解性ポリヒドロキシアルカノエートコポリマーに包含される第二のRRMUは、下記の構造(II)および(III):
【0039】
【化24】
Figure 2004517983
(式中、RはC3〜C19アルキル又はC3〜C19アルケニルである。)及び
【0040】
【化25】
Figure 2004517983
(式中、mは2〜約16である。)から成る群から選択される少なくとも一種類のモノマーを含む。
一般に、式(II)のRRMUでは、Rの長さは、ある程度までは、コポリマーの全体的な結晶化度の低減に影響を及ぼす。好ましい実施形態では、RがC3〜C10アルキル基又はアルケニル基である。更に好ましい実施形態では、RはC3〜C6アルキル基であり、及び更に好ましい実施形態では、RはC3アルキル基である。代替的な好ましい実施形態では、RがC10〜C19アルキル又はアルケニル基である。構造(III)のモノマーを含む第二のRRMUに関して、好ましい実施形態では、mが2〜約10であり、及びより好ましくは約4〜約8である。更に好ましい実施形態では、mは約5である。更なる実施形態では、生分解性ポリヒドロキシアルカノエートコポリマーは、構造(I)の第一のRRMU、及び構造(II)と構造(III)の両方の第二のRRMUを含む。
【0041】
ポリヒドロキシアルカノエートコポリマーの物理的特性と生分解性との有利な組み合わせを得るために、コポリマーの少なくとも約50モル%が、式(I)の第一のRRMUの構造を有するRRMUを含む。コポリマー中の第一のRRMUと第二のRRMUのモル比は、約50:50〜約99:1の範囲にあるのが適している。より好ましくは、モル比は、約75:25〜約95:5の範囲にあり、及び更により好ましいのは約80:20〜約95:5の範囲にある。なお更に好ましい実施形態では、第一のRRMUと第二のRRMUのモル比は、約85:15〜約95:5の範囲にある。加えて、ポリヒドロキシアルカノエートコポリマーは、約100,000g/モルより大きい数平均分子量を有し、及び更には第一の生分解性ポリヒドロキシアルカノエートは融点Tm1を有するのが適している。理論により縛られることを意図しないが、第二のRRMUの主鎖および/または分枝の長さと、指示されたモル量との組み合わせが、第一のRRMUの結晶化度を十分に低減させ、望ましい物理的特性のコポリマーを形成すると考えられている。
【0042】
組成物中で使用されるポリヒドロキシアルカノエートコポリマーの更なる実施形態では、1以上の追加的RRMUが包含されてもよい。追加的RRMUは、下記の構造(VII):
【0043】
【化26】
Figure 2004517983
(式中、Rは、H、又はC1アルキル〜C19アルキルもしくはアルケニル基であり、及びsは1又は2であり、追加的RRMUは第一又は第二のRRMUと同一ではないことを条件とする。)を有しているのが適している。
組成物は、下記構造(IV):
【0044】
【化27】
Figure 2004517983
(式中、RはH、又はC1アルキルもしくはC2アルキルであり、及びpは1又は2である。)を有する少なくとも一つのランダムに繰り返すモノマーユニットを含む第二の生分解性ポリヒドロキシアルカノエートホモポリマーもしくはコポリマー、又はそのブレンドを更に含む。好ましい実施形態では、Rは、メチル基(CH)であり、それにより第二の生分解性ポリヒドロキシアルカノエートのRRMUは下記の構造:
【0045】
【化28】
Figure 2004517983
(式中、pは1又は2である。)を有する。更に好ましい実施形態では、Rはメチルであり、及びpが1であり、それにより第二のポリヒドロキシアルカノエートポリマーは、3−ヒドロキシブチレートユニットを含む。更に好ましい実施形態では、第二の生分解性ポリマーはポリヒドロキシブチレートホモポリマーである。任意選択的に、第二の生分解ポリマーは、下記構造(V)及び(VI):
【0046】
【化29】
Figure 2004517983
(式中、RはC2〜C19アルキル又はC2〜C19アルケニルである。)及び
【0047】
【化30】
Figure 2004517983
(式中、qは2〜約16である。)から成る群から選択される、二以上の追加的ランダムに繰り返すモノマ−ユニットを含む。構造(VI)のモノマーを含む第二のRRMUに関して、好ましい実施形態では、qが2〜約10であり、及びより好ましくは約4〜約8である。更に好ましい実施形態では、qは約5である。追加的ランダムに繰り返すモノマーユニットが存在する場合、全モノマーユニットの25%以下に、好ましくは15%未満に相当し、第二のポリヒドロキシアルカノエートホモポリマー又はコポリマーは、約50,000g/モルを超える数平均分子量を有し、及び更には第二の生分解性ポリヒドロキシアルカノエートは融点Tm2を有するのが適している。第二の生分解性ポリヒドロキシアルカノエートは融点Tm2を有し、Tm2は第一の生分解性ポリヒドロキシアルカノエートの融点Tm1より少なくとも20℃高く、その結果等式Tm2≧Tm1+20℃が満たされる。融点の値は一般にDSC(示差走査熱量計)により測定され、例えばASTM D 3418に概説された方法を用いて、DSCの加熱走査において観察される、最高の吸熱ピーク温度として解釈される。理論により縛られることを意図しないが、適切なブレンド組成物、構造、及び高レベルの分散が達成されれば、第二の生分解性ポリヒドロキシアルカノエートは第一の生分解性ポリヒドロキシアルカノエートの核生成剤として働くことができ、及びそれにより第一の生分解性ポリヒドロキシアルカノエートの結晶化速度を改善することができると考えられている。より具体的な実施形態では、第二のPHAの融点Tm2は、第一のPHAの融点Tm1より少なくとも約25℃高い。なお更なる実施形態では、第二のPHAの融点Tm2は、第一のPHAの融点Tm1より少なくとも約30℃高く、又は第二のPHAの融点Tm2は、第一のPHAの融点Tm1より少なくとも約30℃高いが、約60℃を超えるほど高くはない。
【0048】
本発明の重要な態様によると、本発明による新規の組成物は、第一及び第二の生分解性ポリヒドロキシアルカノエートの溶液混合又は溶融混合により形成される。第一及び第二の生分解性ポリヒドロキシアルカノエートの溶液混合又は溶融混合のいずれかが、第二の生分解性ポリヒドロキシアルカノエートが第一の生分解性ポリヒドロキシアルカノエートの結晶化速度を顕著に改善するための、第一の生分解性ポリヒドロキシアルカノエート内の第二の生分解性ポリヒドロキシアルカノエートの十分な分散を提供することが発見された。以下の実施例に詳細に述べるように、結晶化速度の改善は、所与の溶融温度からの組成物の冷却における、示差走査熱量計(DSC)の走査上の、結晶化の発熱の出現に要する時間の減少により証明される。
【0049】
組成物の大部分は、好ましくは第一の生分解性ポリヒドロキシアルカノエートを含み、それにより第二の生分解性ポリヒドロキシアルカノエートは、第一の構成成分の連続相又はマトリックス全体に細かく分散し、及び第一の構成成分の結晶化速度を改善するのに十分な量で包含される。一つの実施形態では、組成物は、約0.01〜約10重量パーセントの第二のPHA構成成分(b)を含む。より具体的な実施形態では、組成物は、約0.1〜約5重量パーセントの第二のPHA構成成分(b)を含む。更により具体的な実施形態では、組成物は、約0.1〜約3重量パーセントの第二のPHA構成成分(b)を含む。
【0050】
本発明の組成物に包含される、生分解性ポリヒドロキシアルカノエート構成成分は、例えばノダ(Noda)による米国特許第Re36,548号に開示されているように、合成化学又は生物学に基づく方法により合成することができ、この特許は参考として本明細書に組み入れられる。
【0051】
上記のように、第一及び第二のPHA構成成分を含む、本発明による組成物は、溶液混合又は溶融混合により調製される。溶液混合処理では、両方の構成成分が共通溶媒、他の溶媒も当業者には明らかであるだろうが、例えばクロロホルム、又はアセトンに少なくとも部分的には溶解する。第二のPHA構成成分は、共通溶媒に部分的に可溶化するだけかもしれないし、又は共通溶媒に完全に可溶化するかもしれないこと、及びこれらの記述された実施形態の両方とも本発明の溶液混合方法の範囲内にあることは理解されるであろう。第二の、より高い結晶化度及びより高い溶融の構成成分は、その溶解度を改善するために可溶化される前に、非晶性状態であることを選択してもよいことも、また理解されるであろう。これはポリマーを溶融生成物から急冷することにより、容易に達成される。他の方法は、ホロウィッツ(Horowitz)ら(ポリマー(Polymer)、35、5079ページ(1994年))により記述されたようにポリマーの非晶性状態を保持する人工的顆粒の調製のための、ポリマーの超音波乳化を包含する。構成成分(b)が部分的に可溶化するだけの場合には、不溶性画分を濾過することが好ましい。その結果として生じるブレンド組成物は、溶液の冷却、非溶媒中でのブレンドされたポリマー構成成分の沈殿、又は共通溶媒の蒸発が挙げられるが、これらに限定されない、当該技術分野において既知のいかなる技術により共に結晶化することが可能である。更に、所望であれば、二つ以上のこれらの結晶化技術を組み合わせても良い。
【0052】
本発明による溶液混合方法はまた、構成成分の製造のための、溶媒主体のいずれかの処理の不可欠な部分として達成されてもよく、これには第一のPHA構成成分の回収のために用いられるバイオマス分離処理、ポリマー抽出などが挙げられるが、これらに限定されない。例としては、アセトンに可溶化した分岐状コポリマーを含む第一のPHA構成成分は、部分的にアセトンに可溶化したまだ結晶化していない非晶性の第二のPHA構成成分と、熱い又は好ましくは冷たいアセトン中で混合される。更なる実施形態では、第一のPHA構成成分に相当する細菌性製造の又は遺伝子導入植物製造のPHAコポリマーは、溶融から急冷された形態の第二のPHA構成成分と、その非晶質の状態などを保持するために界面活性剤又はリン脂質によりコーティングされた結晶化可能な粒子の形態で、溶液中で混合されてもよい。
【0053】
あるいは、本発明による組成物は、第一及び第二のPHA構成成分の溶融混合により調製されてもよい。溶融生成物の温度は、第二のより高い溶融のPHA構成成分の融点より高いことが必要であり、及び第一のPHA構成成分のマトリックス内に第二のPHA構成成分が、確かに十分に分散するように、十分な剪断攪拌を適用することが必要である。十分な剪断攪拌は、単一もしくはツインスクリュー押出成形機内での連続撹拌、又はバンバリーミキサー(Banbury mixer)内でのバッチ撹拌が挙げられるが、これらに限定されない、当該技術分野において既知の多くの技術により得ることができる。溶融及び撹拌後、ブレンドされた組成物は、溶融下のその溶融温度を水浴中で又は空気冷却により急冷することが挙げられるが、これに限定されない、当該技術分野において既知のいずれかの技術により、結晶化させられる。加えて、結晶化工程は、剪断力もしくは外延的流れ、又は流れの分野のいかなる組み合わせの存在下もしくは非存在下において実行されることができる。好ましい実施形態では、第二のより高い溶融のPHA構成成分は、より高い溶融の純粋なPHAの融点未満のブレンド温度で十分な分散を達成するために、混和性構成成分と可塑化されても、又は混合されても、又は両方であってもよく、その結果ブレンドの間の、PHA構成成分の熱分解及び/又は分子量の有害な損失の危険が減少する。好適な可塑剤又は他の混和性構成成分には、当業者には明らかであろうが、グリセロール化合物、例えばグリセロールトリアセテート、ポリアルキレンオキシド、例えばポリエチレンオキシド、セルロースエステル、例えばセルロースアセテートプロピオネート及びセルロースアセテートブチレート、チタン、キトサンなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0054】
理論により縛られないが、より高い溶融PHA構成成分と可塑剤、又は混和性構成成分、又は両方をブレンドすることは、溶融温度を減少させ得るか、又は純粋なPHAの溶融温度のピーク(Tm2)未満の温度で溶融する結晶相の割合を増加させ得るか、又は両方であると考えられている。どちらの場合にも、Tm2未満の溶融ブレンド温度で、変性されたより高い溶融構成成分は、純粋なより高い溶融のPHAの同量と比較して、第一の又はより低い溶融PHA構成成分のマトリックス内に十分に分散することができる。更に、実施例により縛られないが、スカンドラ(Scandola)ら(高分子(Macromolecules)1992年、25、6441)、及びブキャナン(Buchanan)ら(高分子(Macromolecules)1992年、25、7373)は、PHB及びPHBVの結晶化度が、約50重量パーセントを超えるセルロースアセテートプロピオネート又はセルロースアセテートブチレートとブレンドされた場合には、完全に低下することを示している。即ち、PHB及びPHBVの両方ともこの状態では完全に非晶性であり、その結果、純粋なPHB又は純粋なPHBVの溶融温度未満のブレンド温度において、より低い溶融PHAのマトリックス内で、更により十分な分散をしやすい。本明細書に記述したように、第一及び第二のPHA構成成分の溶液混合又は溶融混合の結果として、より高い温度に到達する独特のより広い溶融吸熱を有するブレンド組成物が生じる。理論により縛られないが、溶融吸熱がより広いことは、結晶種がより広く分布していることを示唆し、これはDSCで調べた場合、顕著により低い溶融の第一のPHA本来の溶融範囲を包含するだけでなく、それを優に上回り、より高い溶融の第二のPHA構成成分により線引きされる温度範囲にまで広がっている。例えば、第一及び第二のPHA構成成分の溶液混合、それに続く非溶媒中の沈殿は、単一の広く拡大した溶融吸熱を示す組成物を生成するが、その高温の結末は、第一及び第二のPHA構成成分の溶融の間に分布する溶融特性を有する、多数の中間体の溶融結晶体を表すものである。別の実施形態では、第一及び第二のPHA構成成分の溶液混合は、次に溶媒の蒸発による沈殿を伴うが、広がった溶融範囲により、本来の構成成分の融点により定義される温度範囲を超えて、ブレンドの溶融吸熱における追加的最高値が観察される可能性がある。一方中間体の溶融結晶種は、構成成分が乾式混合により混合される場合には典型的には得られないが、これは分散性がはるかにより粗いためと核生成の効率性が失われている結果である。
【0055】
本発明のブレンド組成物において達成される溶融吸熱の広い拡張は、その後の変換及び冷却の間に結晶化を開始できる、残りの多数の中間体溶融種の存在により、こうしたブレンドの溶融処理加工について広い温度枠を提供する。理論により縛られないが、より低い溶融の第一のPHA構成成分の結晶相内での、より高い溶融の第二のPHA構成成分の高度な分散性は、本発明により得られる結晶化速度の顕著な改善をもたらすと考えられている。
【0056】
一つの実施形態では、ブレンドされた第一のPHAコポリマーの第二のPHAポリマーへの重量比は、約99.9:1〜約9:1の範囲であり、より好ましい重量比は99:1〜約19:1重量パーセントの範囲であり、及び更により好ましいのは99:1〜約32:1の範囲である。
【0057】
組成物は好ましくは、約50重量パーセントより多くの第一のポリヒドロキシアルカノエートコポリマーを含む。一つの実施形態では、組成物は第一及び第二のポリヒドロキシアルカノエートポリマーを唯一のポリマー構成成分として含んでもよく、一方なお他の実施形態では、一つ以上の追加的ポリマー又はコポリマーを、第一及び第二のポリヒドロキシアルカノエートポリマーとの組み合わせにおいて包含してもよい。例えば、組成物は追加的生分解性ポリヒドロキシアルカノエートポリマー又はコポリマー、及び/又は追加的ポリマー構成成分、例えば追加的ポリエステル構成成分などを包含してもよい。こうした実施形態では、生分解性第一及び第二のポリヒドロキシアルカノエート構成成分は、好ましくは少なくとも約50重量パーセント、より好ましくは少なくとも約60重量パーセント、及び更により好ましくは少なくとも約75重量パーセントの、組成物のポリマー構成成分を構成する。
【0058】
組成物は更に、様々な非ポリマー構成成分を包含してもよく、中でも抗ブロック剤、静電気防止剤、スリップ剤、加熱促進安定剤、酸化防止剤、酸化促進又は酸化防止添加物、顔料、充填剤などが挙げられる。更に一つ以上の可塑剤を従来の量で組成物中に使用してもよい。可塑剤を添加する方法は、例えばより高い溶融のPHA構成成分(b)を、その融点を下げるため、又はブレンド温度で溶融する結晶相の割合を増加させるため、又は両方のため、可塑化されないPHA構成成分(a)とそれを溶融混合する前に、可塑剤と混合することを含んでもよい。可塑剤はその後、最終ブレンド組成物のための可塑剤となる。
【0059】
本発明の組成物は、造形品を形成するのに適しており、さらに組成物の改善された結晶化速度により、工業用処理加工用途に使用するのに特に有利である。当業者は、本発明の組成物が、繊維、不織布、フィルム、コーティング、又は成形品のような造形品の調製に使用するのに適していること、及び紡糸、フィルムキャスティング、フィルムブロー、ブロー成形、及び射出成形を包含する成形処理に使用するのに適していることを理解するであろう。これらの処理加工技術は当該技術分野において周知であり、当業者がこのような方法で本発明の組成物を使用できるために、本明細書で更に詳細に述べる必要はない。当業者は、本発明の組成物の改善された結晶化速度の利益を得るために、Tm1より高い温度で及びTm2未満の温度で、成形処理が有利に行われることを理解するであろう。好ましい実施形態では、成形処理はTm1より約10℃〜約30℃高い温度で行われる。その上、造形品が形成される後続加工における最適な結晶化温度Tcの選択は、結果としてより短い凝固時間をもたらし、及び老化即ち硬化及び/又は脆化に対して、それほど敏感でなくなったポリマー形態をもたらすことは理解されるであろう。好ましくは結晶化温度Tcは、約20℃〜90℃の範囲にあり、より好ましくは約30℃〜80℃の範囲にあり、それにより結果として生じる半結晶性構造及び形態は、物理的老化及び/又は第二の結晶化に対して驚くほど良好な抵抗力を示す。理論により縛られないが、本発明の組成物及び物品はまた、より細かいスフェルライト的形態を示し、並びに増加した核生成密度、及び最適なより熱力学的に好ましい層状結晶の成長条件との組み合わせの結果として、より厚い層状結晶を示すと考えられており、及びこの得られた形態は、延性及び強靭性を特に強調した改善された機械的特性を組成物に提供すると考えられている。更に、従来の核生成剤を含有する多くのこれまでの組成物とは異なり、本発明による組成物から形成された造形品は、実質的に第一のPHA構成成分単独の透明度と匹敵する、良好な透明度を示す。
上記で言及した全ての刊行物は、参考としてその全てが本明細書に組み入れられる。
【0060】
本発明の組成物及び方法は、以下の実施例において更に実証される。実施例において及び本明細書全体を通して、割合及び百分率は、特に指定しない限り、重量に対してである。
【0061】
示差走査熱量計(DSC)測定は、ASTM D 3418により実行されるが、その場合DSCサンプルは、PHA組成物の、約140℃、テフロン(登録商標)シート間での、0.08mm(0.003インチ)前後の薄いフィルムへの第一の圧縮成形により調製される。フィルムは、一晩、真空引き付き真空オーブン内で、約65℃の温度で焼きなましされる。サンプルは、その結果生じるフィルムから6ミリメートル直径の皮膚生検用穴開け器を用いて穴を開けて得られる。サンプルは、およそ5〜10ミリグラムのひと塊にされ、小さなアルミニウムの蓋付き容器(パーキンエルマー(Perkin Elmer)#0219−0041)の中に入れられ、及びパーキンエルマー標準サンプル容器捲縮機プレス(Perkin Elmer Standard Sample Pan Crimper Press)を用いて捲縮される。熱試験及びその後の分析は、パーキンエルマー熱分析ソフトウェア、バージョン4.00(Perkin Elmer Thermal Analyses Software version 4.00)を装備したパーキンエルマー(Perkin Elmer)DSC7を用いて実行される。
【0062】
PHA組成物の溶融温度は、DSCサンプルを、約25℃〜180℃に1分間当たり20℃の速度で1回目の加熱をし、サンプルを180℃で3分間保持することにより測定される。サンプルを次に−60℃に、1分間当たり300℃の速度で急冷し、−60℃で3分間保持し、その後1分間当たり20℃の速度で180℃に加熱する。溶融温度は二回目の加熱の最高ピーク温度として採用される。二回目の加熱では溶融ピークが存在しないが、一回目の加熱にピークがある場合には(これは非常にゆっくりと結晶化するPHA組成物の場合に起こり得る)、サンプル容器をDSCから取り除き、25℃前後で24時間放置し、DSC中で約25℃から180℃まで1分間当たり20℃の速度で再加熱し、その後、この3回目の加熱の最高ピーク温度を溶融温度として採用する。
【0063】
所与の結晶化温度におけるPHA組成物の結晶化速度は、初回の加熱でDSCサンプルを望ましい設定温度(これはより低い溶融PHAの溶融温度より高い)にして、サンプルをこの設定温度に2分間保持し、その後サンプルを所望の結晶化温度に急冷(1分間に約300℃)することにより測定される。温度が結晶化温度で一定に保たれる場合には、結晶化の過程はDSC等温走査で結晶化の発熱が時間の関数として現れることにより証明される。結晶化速度の単一点での特徴づけは、発熱の最小が発生する時間の報告から成る。多くの場合当業者は、後者をしばしば物質の結晶化の半減時間(t1/2)の妥当な指標であると考えている。
【0064】
(実施例)
実施例1
本実施例では、本発明の溶液混合された組成物及び方法を実証する。組成物は第一及び第二のPHA構成成分を含む。第一のPHA構成成分は、3−ヒドロキシブチレート(式(I)のRRMU、式中、RはCHであり、及びn=1)、及び約6.1モルパーセントの3−ヒドロキシヘキサノエート(式(II)のRRMU、式中、RはC3である)のコポリマーであり、PHBHxコポリマーと略記される。第二のPHA構成成分は、アイソタクチックポリヒドロキシブチレート(i−PHB)である。組成物1A〜1Eは以下のように調製される。(1A)熱い(50℃)クロロホルム中でPHBHxコポリマーと約2.0重量パーセントのi−PHBを溶液混合し、その後溶媒を蒸発させる、(1B)熱いクロロホルム中でPHBHxコポリマーと約2.0重量パーセントのi−PHBを溶液混合し、その後冷却したメタノールにより溶液からポリマーを沈殿させる、(1C)PHBHxコポリマーと約2.0重量パーセントのi−PHBを、ドライアイスの存在下で粉末を撹拌/粉砕することにより乾式混合する、(1D)約15重量パーセントのi−PHBを含有する溶液混合されたPHBHxコポリマー(熱いクロロホルム中で調製)のマスターバッチを、次に純粋なPHBHxと乾式混合する、及び(1E)PHBHxコポリマーと、従来の核生成剤である窒化ホウ素1重量パーセントを溶液混合する。比較の目的のため、純粋なPHBHxコポリマー(組成物1F)のサンプルもまた調製される。組成物1Aと1Bは本発明によるものであり、組成物1C〜1Fは比較目的のためのものである。より具体的には1Cは、リガット(Liggat)により米国特許第5,693,389号に開示された方法により、本発明のPHAコポリマーを用いて調製されるが、これは二つの別々の手法の間の比較点として働き、本発明の利益を明らかにする。
【0065】
結晶化速度を評価するために、上記の示差走査熱量計(DSC)技術を用いて表Iに記載されたデータは、所与の最適な結晶化温度(56.3℃)における組成物1A〜1Fの結晶化速度を、冷却前の選択した設定温度の範囲について表している。 半減時間とは、完全な結晶化度の約1/2に達するのにかかる、熱量測定により測定された時間であり、及び設定温度はコポリマー組成物が結晶化温度に急冷される前に平衡に達した温度である。
【0066】
【表1】
Figure 2004517983
表Iにより証明されるように、PHBHxコポリマーの本来の溶融温度(Tm〜127℃)から設定温度が上昇する場合に、比較組成物1C〜1Fのt1/2において、乾式混合組成物1C及び従来のように核生成された組成物1Eにおいてさえ、急速な、一貫した増加がある。一方、本発明による組成物1A及び1Bは、約150℃を超える、即ち本来のPHBHxコポリマーの融点より20℃を超えるまでは、非常に着実に低いt1/2の値を示している。従って、これらの二つのシステムについて、PHBHxコポリマーの本来の溶融温度(Tm1)より20℃を超えて高い、処理加工温度枠があり、そこでは結晶化の半減時間は非常に短い、即ちDSC方法の測定可能限界未満〜5秒に留まる。より高い溶融温度において及びi−PHBの本来の溶融温度(Tm2)までにおいて、溶液混合されたi−PHBを含有する組成物1A及び1Bは、t1/2の値が次第に増加するのが見られるものの、その他のブレンドより性能が優れている。
【0067】
本発明の溶液混合された組成物と、比較の乾式混合組成物との間の違いを更に示すために、組成物1Aと1Cの第一の走査加熱等温線が25℃〜190℃について記録され、その結果が図1に示される。乾式混合の組成物1C場合には、二つの非常に際立った及び別々の溶融吸熱が観察されるが、これはブレンドの二つの別々の構成成分の特徴である。一方、溶液混合の場合、組成物1Aの場合には、PHBHxの溶融吸熱の広がりが、PHBHxの高温側の拡大した尾の形態にある中間体溶融種の出現と組み合わさって観察され、これはブレンドにおける構造変化を示唆するものである。組成物1Aの吸熱による高温の尾により定義される温度範囲は、好ましい処理加工枠を定義し、それ全体について高い核生成の利益が観察される。
【0068】
実施例2
本実施例では、マイクロ押出成形機のブローンフィルムが、2%の溶液混合されたi−PHBにより核生成されたPHBHxコポリマーを含む組成物を用いて調製される。より具体的には、マイクロ押出成形機のブローンフィルム設定が、押出成形されたポリマーが短時間規模で結晶化する能力を評価するために用いられる。実施例1に記載された組成物1Aの100gバッチが用いられる(核生成剤として2%の溶液混合されたi−PHBを含有するPHBHxコポリマー)。より高い結晶化温度Tcに到達するために、フィルムブロー金型の上に位置する空間に熱い空気を吹き込み、及び結晶化速度及び物理的特性の両方に最も好ましい条件の下でフィルムを冷却する。実験の進捗を記録するためにビデオカメラが使用される。試験の間に、押し出されたポリマーは、時には更に限られた安定性の泡に膨張し得る、チューブを形成する能力があることが見られる。160℃以上の溶融押出温度で、押し出された溶融ポリマーは、主として非晶性で及びべたっとしたままである。しかしながら、溶融生成物の温度を約150℃〜155℃まで低下させると、金型の数インチ上に「霜の線」が出現し、これはポリマーが出てきた数秒後には、結晶化がもう既に進行中であることを示唆している。べたつきはほとんど抑えられ、及びポリマーのチューブの形状は安定している。このように、研究室規模では、マイクロ押し出しされたブローンフィルムは、溶液混合された組成物の迅速な核生成速度を更に証明する。
【0069】
実施例3
本実施例は、PHA抽出のために好ましいグリーン溶媒であるアセトン中の、非晶性i−PHBの部分的可溶化を利用する、溶液混合方法により調製された組成物により示される、強化された結晶化を実証する。
より具体的には、PHBOコポリマーと略記される、3−ヒドロキシブチレート(3−HB)及び約8.4モルパーセントの3−ヒドロキシオクタノエート(3−HO)のコポリマーを、熱いアセトン中で(ポリマー濃度3%で)最初に可溶化する。溶融急冷非晶性i−PHBフィルムのサンプルを次に溶液に添加する。溶液は氷冷却するか(組成物3B)又は沸騰させる(組成物3A)。PHBフィルムは完全には消失しないが、粉々に壊れ、その部分的溶解度を示す。結晶化速度が改善したことを判断するために、溶液からサンプルが取られ、乾燥させ、及び等温結晶化走査が実施例1で記述したようにDSCにより実行される。i−PHB又は他の核生成剤のないPHBOコポリマーのサンプル、組成物3Cもまた試験される。結果は表IIに示される。表IIに示されたデータは、i−PHBを包含する組成物3A及び3Bの結晶化速度における大きな改善(t1/2の値の顕著な低下)を実証している。
【0070】
【表2】
Figure 2004517983
実施例4
本実施例は溶融混合により調製された組成物の高められた結晶化速度を実証する。より具体的には、組成物4A〜4Cは3−ヒドロキシブチレートと、約6.7モルパーセントの3−ヒドロキシヘキサノエートのコポリマー(PHBHxコポリマー)、及び1.0重量パーセントのi−PHBを含む組成物から、3つの異なるブレンド方法を用いて調製される。(4A)クロロホルム中でPHBHxコポリマーとi−PHBを溶液混合し、その後溶媒を蒸発させる、(4B)二つの物質の500mgをミニ・マックス・モールダー(Mini Max Molder)(カスタム・サイエンティフィック・インスツルメンツ(Custom Scientific Instruments)モデルCS−183−078、ニュージャージー州、ホイッパニー)内で、5分間、160℃(i−PHBの溶融温度未満の混合温度)で溶融混合し、その後サンプルを取り出し冷却する、及び(4C)(3B)と同じ手順であるが180℃の混合温度(i−PHBの溶融温度より高い混合温度)を用いる。更なる比較のために、PHBHxコポリマーのみを含む組成物4Dが、i−PHB又は他の核生成剤なしで調製される。
【0071】
実施例1のように、結晶化の半減時間を測定するためにその結果生じるブレンドの示差走査分析が行われるが、この場合、半減時間とは、完全な結晶化度の約1/2に達するのにかかる、熱量測定により測定された時間であり(発熱の最小により測定される)、及び設定温度は65℃の結晶化温度Tc(この系の最適な結晶化温度又はその付近の温度)に急冷される前に、ポリマーブレンドが採用されDSC内に保持された温度である。
結果は表IIIに示される。
【0072】
【表3】
Figure 2004517983
i−PHB融点より高い溶液混合及び溶融混合の、組成物4A及び4Cは各々結晶化速度に影響し、この結晶化速度は設定温度140℃でDSCが到達可能な最短の限界より速く、これは対照組成物4Dより顕著に改善されている。i−PHB溶融温度未満の溶融混合(組成物4B)は、リガット(Liggat)の特許により宣言された方法に記述されるように、対照組成物4Dと比較して、僅かな減少のみという結果であり、再び本発明の利益を明らかにする。加えて、より高い設定温度の180℃で、組成物4A及び4Cは同様に、対照組成物を超える大幅な改善を示す。
【0073】
実施例5
本実施例は、PHBOコポリマーと可塑化されたi−PHBとの溶融混合により調製された組成物の高められた結晶化速度を実証する。より具体的には、グリセロールトリアセテート(GTA)により可塑化されたi−PHBのマスターバッチは、クロロホルム中でi−PHB:GTAの重量比が約60:40において、二つの構成成分を最初に溶液混合し、その後蒸発によりこのブレンドを乾燥させることにより調製される。3−ヒドロキシブチレートと、約7.8モルパーセントの3−ヒドロキシオクタノエートのコポリマー(PHBOコポリマー)を約1.7重量パーセントのi−PHB/GTAマスターバッチ(全体で約1.0重量パーセントi−PHBを生成する)と、ミニ・マックス・モールダー(Mini Max Molder)(カスタム・サイエンティフィック・インスツルメンツ(Custom Scientific Instruments)モデルCS−183−078、ニュージャージー州、ホイッパニー)内で、溶融混合するが、この場合、合計500mgのPHBO及びi−PHB/GTAが混合室に添加される。温度は160℃に一定に保たれ、これはi−PHB/GTAマスターバッチの場合にはその融点より高く、PHBOコポリマー内でのマスターバッチの完全な分散を可能にする。実際に別の一連の実験では、50%のグリセロールトリアセテートをブレンドした場合、i−PHBの融点を35℃低下させること、又はブレンドが90%の可塑剤を含有する場合には55℃低下させることが可能であることが示された。5分間の混合時間の後、サンプルの組成物5Aは、取り出され、及び冷却される。二つの追加的組成物5B及び5Cがまた調製される。(5B)PHBOを1.0重量パーセントの純粋なi−PHBと共に、5分間、160℃で溶融混合する−この場合i−PHBは溶融せず、この方法はリガット(Liggat)により開示されたものを暗示する、及び(5C)PHBOを5分間、160℃で溶融撹拌する(第二のPHA又は他の核生成剤は添加しない)−これらの実験の対照物質とする。
その結果生じるブレンドの示差走査熱量計による分析が、実施例4に記述されたように、結晶化半減時間を測定するために実行される。結果は表IVに示される。
【0074】
【表4】
Figure 2004517983
両方の設定温度において、しかし好ましくはより低い設定温度の値において、可塑化されたi−PHB(組成物5A)を用いた結晶化速度と、純粋なi−PHB(組成物5B)とを比較した場合に明確な改善がある。後者の方法(リガット(Liggat)の組成物及び方法)は純粋なコポリマーに対して僅かな改善のみを生じる。
【0075】
実施例6
本実施例は、PHBOコポリマーを、i−PHBとPEOの混和性のブレンドと溶融混合することにより、調製された組成物の高められた結晶化速度を実証する。より具体的には、i−PHB及びポリ(エチレンオキシド)(PEO、平均分子量約200)のマスターバッチは、クロロホルム中でi−PHB:PEOの重量比が約60:40において、二つの構成成分を最初に溶液混合し、その後蒸発によりこのブレンドを乾燥させることにより調製される。実施例5からのPHBOコポリマーは、約1.7重量パーセントのi−PHB/PEOマスターバッチ(全体で約1.0重量パーセントのi−PHBを生成する)と、実施例5に記述したように溶融混合され、組成物6Aを提供する。二つの追加的組成物6B及び6Cもまた調製される。(6B)PHBOを約1.0重量パーセントの純粋なi−PHBと、5分間、160℃で溶融混合する、及び(6C)PHBOを5分間、160℃で溶融撹拌する(i−PHB又は他の核生成剤は添加しない)。
その結果生じるブレンドの示差走査分析が、実施例4に記述されたように、結晶化半減時間を測定するために実行される。結果は表Vに示される。
【0076】
【表5】
Figure 2004517983
両方の設定温度において、i−PHB及びPEOの混和性ブレンド(組成物6A)を用いた結晶化速度と、純粋なi−PHB(組成物6B)とを比較した場合に、及びi−PHB含有組成物(6A及び6B)を用いた結晶化速度と、PHBO組成物単独(6C)とを比較した場合に、明確な改善がある。
【0077】
実施例7
本サンプルは、本発明のPHA組成物を用いて物品を形成するときに、より高い結晶化温度が選択される場合に付随して起こる物理的特性の改善を実証する。ここでの焦点は、試験されるフィルムの堅牢性を示唆する、強靭性の測定である。いわゆる「二軸引裂試験」が、実験フィルムの剛性及び強靭性の両方の特性を評価するために用いられる。試験は、7.6cm(3インチ)幅で1.3cm(0.5インチ)長さのフィルムのストリップに、鋭いかみそりの刃を用いて2.5cm長さ(1インチ長さ)のプレカットを標本の中央に施した後、標本の長い方の端に沿って、インストロン(Instron(登録商標))万能試験機を用いて、引っ張り荷重をかけることから成る。 破砕現象の精通者にとって、事前のカットの先端に適用される荷重様式は、モデルIとして既知の開裂様式、又は開口部引っ張り様式である。引っ張りによりフィルムにかかる荷重は、物質特有の荷重転移曲線を作図するためにロードセルにより記録される。 上記の実験曲線から、選択した試験条件におけるフィルムの剛性及び強靭性の両方の測定を得ることが可能である。
いかなる開始又は伸びの不足に先立って、荷重の最初の直線の立ち上がりは、標本のひもの弾性特性の大きさを提供する。応力−ひずみ曲線上で測定される、最大の傾きは、弾性率の定量的値を提供する。
【0078】
【数1】
Figure 2004517983
標本に吸収される、又は分散される機械的エネルギーは、その部分により標準化されるが、物質の強靭性を定義し、及び曲線の下の領域を積分することにより実験的に提供される。3つの部分エネルギーの値が以下の点において記録される。記録された荷重転移曲線の最大荷重(Σmax.)において、2/3Σmax.はひもの機械的完全性の1/3が失われた点を表し、及び最後に1/3Σmax.において、この点でひもはその機械的完全性の2/3を失っている。ベンチマーキングの取り組みの簡便性及び実用性のために、機械的完全性の1/3の損失までの標準化された部分エネルギーが、物質の強靭性の単一点での特徴付けとして選択された。
【0079】
【数2】
Figure 2004517983
最初に、3−ヒドロキシヘキサン酸(3HX)を異なるコモノマーレベルにもつ(即ちC分岐鎖)二つのランダムなコポリマーが試験された。高分子量(〜685K)の合成ポリ(3HB−コ−3HX(6.8%))コポリマーのフィルムが、165℃で、カーヴァー・プレス(Carver Press)と、溶融プレスフィルムの良好な品質を保証するのに必要な3工程の手順を用いて、溶融プレスされた。これらは二つの異なる温度(23℃及び95℃)で結晶化された後に試験された。 室温で結晶化された標本は低い強靭性を示すことが見出され、及び実質的に脆性であり、一方95℃で結晶化された標本は、疑似延性挙動を示し、及び比較できる剛性において2又は3倍強靭であった。
同様に、ポリ(3HB−コ−3HX(10.8%))から製造されたフィルムは、155℃でプレスされ、及び室温又は78℃で結晶化されたが、僅かにより堅くなく(〜330MPa)、及び40%を超えて強靭であることが見られた。
【0080】
PHAコポリマーに関する別の重要な考察は、物理的老化のその機械的特性への有害な影響が、高温度の結晶化により最小にされ得るかどうかということであり、高温度の結晶化は、次には連続処理におけるより速い結晶化により促進される。その目的のため、ポリ(3HB−コ−8.4%3HO)から製造された一連のフィルム標本が、プレスされた後2,3日で、又は試験される前に室温で120日間まで老化させられた後でのいずれかにおいて試験された。プレス温度は室温から50℃、及び80℃まで変化させた。表VIに記入された結果のデータは、標本の強靭性の顕著な損失(〜20KJ/m)と並んで、一般的に僅かな硬化(モジュラス〜370MPa)を表し、こうした物質の長期間の物理的完全性について潜在的な懸念を提起する。その上、室温で結晶化されたフィルムは、老化の結果として、実際にその脆化をもたらした、強靭性のより大きな損失と並んで、最大程度の硬化(>400MPa)を受けたようである。データは、PHAの物理的老化の程度を減少させることは、ポリマーを高温度で結晶化する手段により達成される可能性があり、高温度での結晶化は、次には実際の処理において、より速い結晶化を促進する核生成剤の添加により促進され得るというこれらの発見を明らかに支持している。
【0081】
【表6】
Figure 2004517983
上記の具体的な実施形態及び実施例は、説明を目的とするためのみに提供され、請求項の範囲の制限を意図とするものではない。本発明の追加的な実施形態及びそれによって提供される利益は、当業者にとって明らかであろうが、請求項の範囲内のものである。
【図面の簡単な説明】
以下の詳細な説明及び実施例は、その中の図面に照らし合わせると、より十分に理解されるであろう。
【図1】実施例1に記述される様々な組成物の、温度の関数としての熱流量曲線を示している。

Claims (10)

  1. (a)少なくとも二つのランダムに繰り返すモノマーユニットのコポリマーを含む、第一の生分解性ポリヒドロキシアルカノエートの連続相であって、第一のランダムに繰り返すモノマーユニットは下記構造(I):
    Figure 2004517983
    (式中、Rは、H、又はC1アルキル若しくはC2アルキルであり、及びnは1又は2である。)
    を有し、及び
    第二のランダムに繰り返すモノマーユニットは、第一のランダムに繰り返すモノマーユニットとは異なり、及び下記構造(II)及び(III):
    Figure 2004517983
    (式中、RはC3〜C19アルキル又はC3〜C19アルケニルである。)
    及び
    Figure 2004517983
    (式中、mは2〜16である。)
    から成る群から選択される少なくとも一種類のモノマーを含み、及び、コポリマーの少なくとも50モル%は、第一のランダムに繰り返すモノマーユニットの構造(I)を有する、ランダムに繰り返すモノマーユニットで構成され、第一の生分解性ポリヒドロキシアルカノエートは融点Tm1を有する連続相と、
    (b)下記構造(IV):
    Figure 2004517983
    (式中、RはH、またはC1アルキル若しくはC2アルキルであり、及びpは1又は2である。)
    を有するランダムに繰り返すモノマーユニットを含む第二の結晶化可能な生分解性ポリヒドロキシアルカノエートであって、
    融点Tm2を有し、Tm2はTm1より少なくとも20℃高い第二の生分解性ポリヒドロキシアルカノエートと
    を含む組成物であって、
    第二の生分解性ポリヒドロキシアルカノエートポリマー(b)は、第一の生分解性ポリヒドロキシアルカノエート(a)のバルク内に細かく分散されて、向上された結晶化特性および物理的特性を有する組成物を形成する
    ことを特徴とする組成物。
  2. 前記構成成分(a)及び(b)の溶液混合によって形成される、請求項1に記載の組成物。
  3. 前記構成成分(a)及び(b)の溶融混合によって形成される、請求項1に記載の組成物。
  4. 0.01〜10重量%の構成成分(b)、好ましくは0.1〜5重量%の構成成分(b)、さらに好ましくは0.1〜3重量%の構成成分(b)を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
  5. Tm2はTm1より少なくとも25℃高く、好ましくは、Tm2はTm1より少なくとも30℃高く、およびTm1より60℃を超えない、請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物。
  6. 構成成分(a)の第一のランダムに繰り返すモノマーユニットが下記の構造:
    Figure 2004517983
    (式中、nは1又は2であり、好ましくはnは1である。)
    を有し、及び
    構成成分(a)の第二のランダムに繰り返すモノマーユニットが下記の構造:
    Figure 2004517983
    (式中、RはC3〜C19アルキルであり、好ましくはRはC3アルキルである。)
    を有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物。
  7. 構成成分(a)の第一のランダムに繰り返すモノマーユニットが下記の構造:
    Figure 2004517983
    (式中、nは1又は2であり、好ましくはnは1である。)
    を有し、及び
    構成成分(a)の第二のランダムに繰り返すモノマーユニットが下記の構造:
    Figure 2004517983
    (式中、mは2〜16であり、好ましくはmは5である。)
    を有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物。
  8. 構成成分(a)中の第一のランダムに繰り返すモノマーユニットと第二のランダムに繰り返すモノマーユニットのモル比が50:50から99:1の範囲であり、好ましくは75:25から95:5の範囲である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の組成物。
  9. 構成成分(a)が100,000g/モルより大きい数平均分子量を有し、構成成分(b)が50,000g/モルより大きい数平均分子量を有する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の組成物。
  10. 構成成分(b)が下記の構造:
    Figure 2004517983
    (式中、pは1又は2である。)
    を有する繰り返すモノマーユニットを含む請求項1〜9に記載の組成物。
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