JP2004517625A - 新規な核酸、並びにジベレリン産生のモジュレーションのための方法及び形態変化された細胞 - Google Patents
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Abstract
本発明は、核酸、核酸を含むベクター、形質転換細胞、ジベレリン生合成の調節方法及びジベレリン生合成の調節を同定する方法を提供する。
Description
【0001】
(発明の分野)
本発明は、一般的には、新規な核酸および組換えDNA技術、ジベレリン生合成の調節、ならびに生合成酵素の阻害剤の同定を使用する形質転換細胞からのジベレリン製造の分野に関する。
【0002】
(発明の背景)
ジベレリン(GA)はイソプレノイド植物ホルモンの大きいファミリーであり、そのいくつかは、種子発芽、茎伸長および開花を制御する生物活性な成長調節因子である。イネ病原体であるジベレラ・フジクロイ(イネ馬鹿苗病菌)(接合性集団C)は、多量の様々なGAを産生することができ、特に、生物活性な化合物であるジベレリン酸(GA3)ならびにその前駆体のジベレリンA4(GA4)およびジベレリンA7(GA7)を産生することができる(Tudzynski,B.1999、「ジベレラ・フジクロイにおけるジベレリン生合成:生分子的局面」、Appl.Microbiol.Biotechnol.52(3):298〜310)。ジベレリンの病原性作用の1つは、ジベレラ・フジクロイのジベレリン産生がイネの超伸長(馬鹿苗)病を誘導するということである。
【0003】
子嚢菌系菌類のジベレラ・フジクロイにおけるGA3のジベレリン生合成経路には、GA3が主生成物として最終的に生じる前に、前駆体のジベレリンA14(GA14)が中間体のGA4に変換され、次いでGA7に変換されることが含まれる。GA4のジベレリンA1(GA1)への別の変換に由来する二次的な副生成物もまた同時に生じる。
【0004】
3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル−CoAレダクターゼ(HMGR)はイソプレノイド経路の最初の特異的な酵素であり、必須ステロールおよびキノンの生合成ならびにジベレリンなどの二次代謝産物に必要な前駆体であるメバロン酸の産生に関与している。HMG−CoAレダクターゼの構造遺伝子がジベレラ・フジクロイから単離され、特徴づけられた(Woitek,S.他、1997、「ジベレラ・フジクロイの3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル−CoAレダクターゼ遺伝子:単離および特徴づけ」、Curr.Genetics、31(1):38〜47)。
【0005】
ジベレリンは、イソプレノイド生合成経路によって合成されるジテルペノイド化合物である。ゲラニルゲラニル二リン酸シンターゼ(GGDS)はイソプレノイド生合成における重要な酵素である。GGDS酵素により、ゲラニルゲラニル二リン酸(GGDP)が生じる。ジベレラ・フジクロイのGGDS遺伝子が単離され、ファルネシル二リン酸シンターゼ遺伝子に連鎖しない単一コピー遺伝子として特徴づけられた(Mende,K.他、1997、「ジベレラ・フジクロイのゲラニルゲラニル二リン酸シンターゼ遺伝子:単離および発現」、Mol.Gen.Genet.255(1):96〜105)。
【0006】
ジベレリン経路の最初の遺伝子は、ジベレリン経路がゲラニルゲラニル二リン酸(GGDP)において一般的なイソプレノイド生合成経路から分岐するので、ジベレリン経路の最初の特異的な段階を触媒するテルペンシクラーゼであるコパリル二リン酸シンターゼ(CPDS)遺伝子である。この遺伝子はジベレラ・フジクロイから単離され、他の知られている植物CPSとの比較によって特徴づけられた。ジベレラ・フジクロイのCPDSは、最適化されたジベレリン生合成の条件下では非常に高められるが、多量のアンモニアが培地に存在するときには低下する(Tudzynski,B.、1998、「ジベレラ・フジクロイにおけるジベレリン生合成:コパリル二リン酸シンターゼ遺伝子のクローニングおよび特徴づけ」、Curr.Genetics、34(3):234〜240)。
【0007】
ジベレラ・フジクロイcDNAライブラリーのディファレンシャルスクリーニングを使用して、チトクロームP450モノオキシゲナーゼの保存されたヘム結合モチーフを有する遺伝子がクローン化され、同定された。相同的なプローブを用いたゲノムライブラリーのその後のスクリーニングにより、別の遺伝子が最初の遺伝子に密接に連鎖することが明らかにされた。さらなる染色体ウォーキングにより、仮想的なGGDS遺伝子、CPDS遺伝子、そして3番目のP450遺伝子が突き止められた。ジベレラ・フジクロイのP450−1およびP450−2およびP450−3の遺伝子産物、13−ヒドロキラーゼは、すべてがジベレリン酸生合成経路に関係した(Tudzynski,B.、Holter,K.、1998、「ジベレラ・フジクロイにおけるジベレリン生合成経路:遺伝子クラスターの証拠」、Fungal Genet.Biol.25(3):157〜70)。
【0008】
現在、ジベレリンを得る最も一般的な方法では、ジベレラ・フジクロイに主に由来する細胞培養物から精製することによる単離が用いられている。培養培地、反応条件またはジベレリン収量における改善が、ジベレリンを大量に経済的かつ商業的に製造するためには望ましく、かつ有用である。
【0009】
この目的のために、アンモニウムおよび硝酸塩が、ジベレリン製造に対する阻害剤として同定されている(Tudzynski,B.他、1999、「ジベレラ・フジクロイのareA窒素調節遺伝子の単離、特徴づけおよび破壊」;Sanchez−Fernandez,R.他、1997、「ジベレラ・フジクロイにおける硝酸塩によるジベレリン生合成の阻害」、FEBS Letters、413(1):35〜9)。通気を大きくすることは増殖を増大させ、そしてビカベリンおよびジベレリンの産生を増大させることが報告された(Giordano,W.、Domenech,CE.、1999、「通気はジベレラ・フジクロイにおける酢酸塩の行き先を変化させる」、FEMS Microbiol.Lett.180(1):111〜6)。流動床バイオリアクターの使用は、液中発酵装置および固体発酵装置について報告されているよりも3倍大きいジベレリン酸産生をもたらすことが報告されていた。pHおよび温度の影響もまた、炭素対窒素比と同様に研究された(Escamilla,EM.他、2000、「流動床バイオリアクターにおける固定化ジベレラ・フジクロイ菌糸によるジベレリン酸製造の最適化」、J.Biotechnol.76(2−3):147〜55)。
【0010】
新しく有用な方法、構築物、細胞、生成合成経路の新しい酵素成分の同定、および組換え核酸を利用する生合成経路の遺伝学的操作が、本発明によって教示される。
【0011】
(発明の要約)
本発明は、ジベレリン生合成経路に関与する酵素をエンコードする本明細書中ではorf3と呼ばれる新しい遺伝子を提供する。このorf3遺伝子の産物は、二重結合をGA4の炭素原子1と炭素原子2との間に導入することによってGA4をGA7に変換する酵素(図1)であり、本明細書中ではGA4デサチュラーゼ(GA4D)と呼ばれる。「GA4デサチュラーゼ」および「ジベレリンA4デサチュラーゼ」は以降、均等な用語として見なされることを理解しなければならない。
【0012】
本発明は、配列番号1として示される核酸配列(図2)に対応するヌクレオチド配列を有する単離された核酸を提供する。従って、本発明には、配列番号1として図2に示される核酸配列のタンパク質コードドメインセグメント(CDS)に対応するヌクレオチド配列を含む単離された核酸が包含される。具体的には、本発明は、図2に核酸残基1〜1026として示される核酸配列(配列番号1に示される核酸配列の核酸残基984〜2009(2009を含む))に対応するヌクレオチド配列を有する単離された核酸を提供する。従って、本発明には、配列番号1として示されるヌクレオチド配列の残基984〜2009として示されるヌクレオチド配列を有する核酸が包含される。
【0013】
本発明はまたGA4Dタンパク質を提供する。好ましい実施形態において、GA4Dタンパク質は本発明の核酸によってエンコードされる。従って、本発明には、配列番号2として示されるアミノ酸残基配列(図2)に対応するアミノ酸残基配列を含むタンパク質が包含される。具体的には、本発明には、配列番号2として示されるアミノ酸残基配列(図2)に対応するアミノ酸配列を有する342アミノ酸長のタンパク質が包含される。本発明のGA4Dには、配列番号2として示される完全なアミノ酸配列よりも短いが、完全なタンパク質のGA4デサチュラーゼ酵素活性の少なくとも一部を依然として保持する、GA4Dタンパク質の生物学的に活性なフラグメントが包含されることもまた考えられる。
【0014】
本発明には、本発明のGA4Dタンパク質を1つ以上の他のポリペプチドまたはタンパク質と組み合わせる融合タンパク質が包含される。他のポリペプチドまたはタンパク質には、βガラクトシダーゼ、緑色蛍光タンパク質などの、融合タンパク質産物を可視化するための様々なマーカータンパク質(これらに限定されない)を挙げることができる。他のポリペプチドまたはタンパク質にはまた、融合タンパク質産物の単離に有用なポリペプチドまたはタンパク質(これらに限定されない)を挙げることができ、例えば、ビオチン/アビジン、プロテインAまたは他の免疫結合体、ラミニン結合ドメインなど(これらに限定されない)を挙げることができる。
【0015】
本発明はまた、本発明の核酸の少なくとも一部を含む核酸ベクターまたは構築物を提供する。
具体的には、本発明は、本発明の無傷の発現可能な核酸を調節核酸配列と機能的に連結する核酸ベクターを提供する。
【0016】
本発明にはまた、破壊されたorf3遺伝子を含む核酸ベクターも包含される。
あるいは、本発明の核酸ベクターは、得られるタンパク質の酵素活性に負の影響を及ぼすコード配列内の変異を含有するorf3遺伝子、または得られるタンパク質の発現に負の影響を及ぼすコード配列内の変異を含有するorf3遺伝子などを含むことができる。
【0017】
従って、本発明は、阻害されたGA4Dタンパク質を発現する核酸ベクター、またはGA4Dタンパク質の阻害された発現を示す核酸ベクターを包含する。
阻害されたGA4Dタンパク質によって、GA4Dタンパク質が、類似する培養条件のもとで比較されたとき、野生型タンパク質の活性の約50%未満を有することが意味される。
【0018】
GA4Dタンパク質の阻害された発現によって、GA4Dタンパク質が、類似する培養条件のもとで比較されたとき、阻害されていないGA4Dを発現する細胞において見出される量の約50%未満の量で発現することが意味される。
【0019】
本発明は、細胞のジベレリン生合成経路を選択的に改変する方法で、内因性orf3遺伝子の発現を調節することを含む方法を提供する。そのような調節のために使用される方法および核酸構築物は、所望する効果によって決定される。
【0020】
第1の事例では、本発明は、所望する調節が、GA4Dタンパク質のより大きい産生をもたらし、従って増大したGA7産生をもたらすorf3遺伝子発現の増大である方法を提供する。そのような調節は、無傷のGA4Dタンパク質を発現し得る本発明の核酸ベクターで標的細胞をトランスフェクションすることによって達成することができる。増大したorf3遺伝子発現は、多数コピーの遺伝子を標的細胞にこのような様式で導入することによって達成することができる。遺伝子発現のさらなる増大は、より高活性なプロモーターまたは他のそのような調節エレメントを使用することによって達成することができる。
【0021】
別の事例では、本発明は、所望する調節が、GA4Dタンパク質の少ない産生または非産生をもたらし、従って低下したGA7産生および増大したGA4D蓄積をもたらすorf3遺伝子発現の低下である方法を提供する。そのような調節は、相同的組換えによってorf3遺伝子を破壊し得る本発明の核酸ベクターで標的細胞をトランスフェクションすることによって達成することができる。この方法では、標的細胞の内因性の無傷の遺伝子は、そのすべてではないが、そのほとんどが、トランスフェクションされた核酸ベクターに由来する破棄されたorf3遺伝子で置換される。
【0022】
本発明はまた、所望する調節が、標的の形質転換細胞における低下したGA4Dタンパク質活性をもたらし、従って低下したGA7産生および増大したGA4蓄積をもたらす阻害されたGA4Dタンパク質の発現である方法を提供する。そのような調節は、阻害されたGA4Dタンパク質をエンコードするorf3遺伝子を含む本発明の核酸ベクターで標的細胞を相同的組換えによりトランスフェクションすることによって達成することができる。この方法では、標的細胞の内因性の無傷の遺伝子は、そのすべてではないが、そのほとんどが、トランスフェクションされた核酸ベクターに由来するorf3遺伝子で置換される。
【0023】
好ましい実施形態において、本発明は、前駆体分子のその後の生成物への酵素的変換を低下させるために、またはそのような酵素的変換を阻止するためにジベレリン生合成経路を操作することによって、ジベレリンの産生および特にGA4またはGA7またはGA3の量を調節する方法を提供する。具体的には、本発明には、ジベレリン産生細胞におけるorf3遺伝子の破壊または欠失を含む調節方法が包含される。最も好ましい実施形態において、本発明には、ジベレリン産生細胞における、外因性の破壊されたorf3遺伝子との置換による内因性orf3遺伝子の破壊または欠失を含む調節方法が包含される。
【0024】
さらなる好ましい実施形態において、本発明には、破壊または阻害されたP450−3遺伝子を有するジベレリン産生細胞におけるorf3遺伝子の破壊または欠失を含む調節方法が包含される。P450−3遺伝子の発現を破壊したとき、GA4からGA1への13−ヒドロキシル化およびGA7からGA3への13−ヒドロキシル化に対する破壊が生じ、GA7の増大した産生がもたらされた。orf3遺伝子における変異を変異させたP450−3遺伝子と組み合わせることにより、GA4産生が増大した。
【0025】
最も好ましい実施形態においては、本発明には、破壊または阻害されたP450−3遺伝子を有するジベレリン産生細胞における、外因性の破壊されたorf3遺伝子との置換による内因性orf3遺伝子の破壊または欠失を含む調節方法が包含される。
【0026】
ある局面では、破壊または阻害されたP450−3遺伝子は、13−ヒドロキシラーゼをエンコードする遺伝子が、類似する条件のもとでの野生型ジベレリン産生細胞の場合よりも低いレベルで発現する場合の遺伝子である。さらに、破壊または阻害されたP450−3遺伝子は、その遺伝子が、類似する条件のもとで野生型P450−3酵素の場合よりも低い酵素活性を有する改変されたP450−3タンパク質を発現する場合の遺伝子であり得る。orf3に関して議論されたように、破壊されたP450−3遺伝子は、機能的なP450−3タンパク質の発現性または得られるタンパク質の酵素活性を変化させる単一点変異、多数の点変異、挿入または欠失のような核酸コード配列の変異を含むことができる。
【0027】
本発明は、破壊されたGA4Dタンパク質の発現を細胞が有するように、内因性のorf3遺伝子を破壊することによってGA4の産生を増大させるために改変された形質転換細胞を提供する。
【0028】
本発明はまた、少なくとも1つのさらなる発現可能なorf3遺伝子でのトランスフェクションによりGA7の増大した産生のために改変された形質転換細胞を提供する。本発明のこのような方法において使用される好適な細胞は、内因性ジベレリンを産生する細胞であるか、またはジベレリンを産生させるために不可欠なタンパク質をエンコードする別の遺伝子で形質転換された細胞である。好適な細胞は細菌または菌類または哺乳動物性であり得る。ジベレリン産生細胞は菌類細胞であることが好ましい。ある好ましい実施形態においては、ジベレリン産生細胞はジベレラ・フジコリ(Gibberella fujikori)由来の細胞である。好ましい実施形態において、細胞は、S1(IMI58289)、6314、6314Δorf3−T1、6314Δorf3−T2、6314Δorf3−T8、S1Δorf3−T23、S1Δorf3−T33またはS1Δorf3−T55として特定される細胞菌株に由来する。
【0029】
同様に、本発明はまた、より多くのGA4Dタンパク質が発現されるように、より高活性な調節核酸配列によって調節されるorf3遺伝子でのトランスフェクションによりGA7の増大した産生のために改変された形質転換細胞を提供する。本発明はまた、内因性orf3遺伝子が、より多くのGA4Dタンパク質が発現されるように、より高活性な調節核酸配列での調節によるGA4Dの増大した産生のために改変されたorf3遺伝子によって全体または一部が置換されている形質転換細胞を提供する。この場合、そのような置換は、トランスフェクションされたベクターとの相同的組換えによるものであり、そのためより多くのGA4Dタンパク質が発現する。
【0030】
最も好ましい実施形態において、本発明は、細胞の内因性のorf3遺伝子を破壊することによりGA4Dの増大した産生のために改変された形質転換細胞を提供する。好ましい方法のある実施形態では、内因性遺伝子の破壊は、トランスフェクションベクターの外因性の破壊された遺伝子による内因性遺伝子の置換がもたらされる、破壊されたorf3遺伝子を有するトランスフェクションベクターとの相同的組換えによって達成される。
【0031】
最も好ましい実施形態において、本発明は、破壊されたorf3遺伝子および破壊されたP450−3遺伝子を含むジベレリン産生細胞を提供する。
本発明の構築物および形質転換細胞により、ジベレリン生合成の調節因子に関する検出方法、特徴づける方法およびスクリーニング方法が、インシトゥー、インビトロおよびインンビボで可能になる。
【0032】
本発明は、GA4Dタンパク質活性の化学的阻害剤を検出するための単離されたGA4Dタンパク質の使用を提供する。化学的阻害剤は、小さい化学分子、複合体化合物、タンパク質、抗体などであり得る。
【0033】
GA4Dタンパク質を使用して、GA4D酵素活性の阻害について候補物質をスクリーニングする様々な方法を、インビボ細胞アッセイとして、あるいはリポソームもしくは赤血球ゴーストなどの脂質二重層反応容器、および/または拡大・縮小した反応チャンバーなどを利用するインビトロ無細胞アッセイとして行うことができる。そのような方法により、GA4D酵素活性の阻害剤の同定が可能になる。
【0034】
本発明の形質転換細胞は、orf3遺伝子活性の存在下または非存在下でのジベレリン生合成の調節因子に関するスクリーニングを可能にする。
本発明の方法は、GA4Dの生物学的活性(すなわち、ジベレリンGA4デサチュラーゼ酵素の生物学的活性)を調節する能力について候補物質のスクリーニングを可能にする。
【0035】
従って、GA4D酵素活性の阻害剤として同定された化学物質を特徴づけることができ、そして選択することができる。そのような方法は、化合物のコンビナトリアル化学ライブラリーのスクリーニングのために、そして化学物質の好適なGA4D阻害プールを同定するためのこれらの化合物の混合物の繰り返される連続限界スクリーニングのために容易に適合化することができる。従って、本発明はまた、そのようなスクリーニング方法により同定される化学物質、またはそのようなスクリーニング方法により同定され得る化学物質、またはそのようなスクリーニング方法により同定される化学物質に対応する化学物質を提供する。
【0036】
本発明のさらなる局面には、請求項に記載される発明の細胞によって産生される特定のジベレリン、または請求項に記載される発明の形質転換方法によって作製される細胞によって産生される特定のジベレリンが包含される。具体的には、本発明には、本発明の細胞から単離されるか、またはジベレリン産生を調節するために本発明の方法によって形質転換された細胞によるジベレリンA1、ジベレリンA4およびジベレリンA7が包含される。ジベレリンタンパク質は、この分野で知られている方法を使用してジベレリン産生細胞から単離および精製することができる。
【0037】
本発明はまた、ジベレラ・フジコリの培地においてジベレリンを製造するための最適化されたジベレリン製造用培養培地を提供する。この場合、前記培地は、15g/Lのコーンスチープ固体、1.5g/Lの(NH4)2SO4、60g/Lのヒマワリ油および1g/LのKH2PO4を含有する植物油培地を含む。
(発明の詳細な説明)
本発明およびその実施形態は、図面を参照してさらによく理解される。
【0038】
本発明は、ジベレリンを通常的に産生する細胞におけるジベレリンの産生を、細胞内のジベレリン生合成経路を操作することによって調節するための核酸および方法を提供する。関連する実施形態において、本発明は、核酸ベクター、およびジベレリン産生の調節のためにそのようなベクターによって形質転換された宿主細胞を提供する。
【0039】
本明細書中および上記において使用されるように、用語「調節核酸配列」は、発現可能な核酸の発現を調節する核酸配列を包含することが意味される。そのような調節核酸配列には、エンハンサー、プロモーター、プロモーター結合配列など(これらに限定されない)が含まれる。この場合、調節は誘導的または構成的のいずれかであり得る。
【0040】
「機能的に連結する」により、核酸の発現が調節核酸配列の作動によって制御されるように、発現可能な核酸の読み枠が調節核酸配列の機能と対応していることが意味される。
【0041】
「無傷の発現可能な」により、本発明の核酸が発現し、機能的なGA4Dタンパク質またはそのフラグメントをもたらし得ることが意味される。
「破壊された」遺伝子は、コードドメインセグメントのオープンリーディングフレームが変化している本発明の核酸を含む。例えば、そしてそれにより限定されないが、破壊された遺伝子は、核酸残基の欠失を含有し、かつ/または核酸残基の挿入、もしくは発現したタンパク質の酵素活性に負の影響を及ぼす点変異を含有するように変化している。従って、破壊された遺伝子は、発現可能なタンパク質を生じさせることができず、あるいは阻害された酵素または不活性な酵素またはそれらのフラグメントの発現を生じさせることができる。
【0042】
一般に、組換えDNA技術を使用する核酸の操作およびベクター製造のために本明細書中で使用されているような技術はこの分野では十分に知られている。記載された基本的な分子生物学的操作を行うための方法および材料の多くはこの分野では知られており、Sambrook他、Molecular Cloning、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989);Berger他、Guide to Molecular Cloning Techniques、Methods in Enzymology、第152巻、Academic Press,Inc.(1987);Davis他、Basic Methods in Molecular Biology、Elsevier Science Publishing Co.,Inc.(1986);Ausubel他、Short Protocols in Molecular Biology、第2版、John Wiley&Sons(1992);Goeddel、Gene Expression Technology、Methods in Enzymology、第185巻、Academic Press,Inc.(1991);Guthrie他、Guide to Yeast Genetics and Molecular Biology、Methods in Enzymology、第194巻、Academic Press,Inc.(1991);McPherson他、PCR 第1巻、Oxford University Press(1991);McPherson他、PCR 第2巻、Oxford University Press(1995);Richardson,C.D.他、Baculovirus Expression Protocols、Methods in Molecular Biology、第39巻、Humana Press,Inc.(1995)のような参考文献に見出すことができる。
【0043】
本出願において使用されている分類学的または命名法的な用語「ジベレラ・フジコリ」には、この分野のどこかで使用され得るようなすべての変化体または等価な命名法的用語が包含されることを理解しなければならない。代替的な命名法的用語を含むジベレラ・フジコリ種群の総説は、O’Donnel他、1998、「ジベレラ・フジクロイ種群の分子分類学および系統地理学」、Mycologia、90(3)、465〜493に見出される(この総説は、その全体が参考として本明細書中に組み込まれる)。
【0044】
ジベレリン産生の調節
図1に示されるジベレリン生合成経路を参照すると、orf3遺伝子の単離および特徴づけにより、GA4またはGA7などの特定のジベレリン中間体の操作および選択的な増大した産生が、通常の主要な最終生成物GA3の産生を犠牲にして可能になる。
【0045】
図1から理解され得るように、GA4とGA1(マイナーな最終生成物)との間の酵素的段階はP450−3遺伝子産物の活性により調節される。GA7と主要な最終生成物GA3との間の酵素的段階もまた、GA7およびGA4の両方の13−ヒドロキシル化を触媒するP450−3遺伝子産物の活性により調節される。
【0046】
orf3調節段階における生合成経路の遮断、すなわち、GA4D活性の破壊は、GA4およびマイナーな最終生成物GA1の蓄積をもたらす。P450−3により調節されるGA4からGA1への変換の遮断と一緒になったorf3調節段階の遮断は、GA1の産生を犠牲にして、GA4の収量をさらに増大させる。
【0047】
P450−3により調節される細胞内の変換の遮断は、orf3の遮断が存在しないときには、GA1およびGA3の両方の産生が阻害されるので、GA7の蓄積をもたらす。
【0048】
野生型細胞におけるorf3で調節されるジベレリン生合成段階の遮断
GA3を産生する野生型のジベレラ・フジクロイのS1株(アクセション番号IMI58289、IMI、Egham、Surrey、英国)を入手して、orf3遺伝子を破壊されたorf3で置換した。形質転換体から、さらなる特徴づけのために、3つの菌株を選択し、単離して、20%ICI培地で10日間培養した。S1Δorf3−T23、S1Δorf3−T33およびS1Δorf3−T55。
【0049】
下記の表1には、単離されたorf3破壊S1株のジベレリン産生に対する分析結果が記載される。データは、特定のジベレリン生成物のmg/Lとして報告される。
【0050】
【表1】
【0051】
従って、orf3調節段階の遮断は形質転換細胞におけるGA1およびGA4の蓄積をもたらす。
【0052】
P450−3点変異細胞におけるorf3調節されるジベレリン生合成段階の遮断
GA3を産生する野生型のジベレラ・フジクロイのm567株(Fungal Culture Collection Weimar、ドイツ)を入手し、これにUV照射を行った。処理された細胞を、欠損したP450−3活性についてスクリーニングし、選択した。単離菌株6314は、発現酵素に低い酵素活性をもたらす点変異をP450−3遺伝子に有する。従って、菌株6314の細胞は、P450−3により調節されるジベレリン生合成段階が阻害されるために多量のGA7を産生する(約1000mg/LまでのGA7および約5%〜10%にすぎないGA3)。
【0053】
菌株6314の細胞を用いて、内因性のorf3遺伝子を、S1細胞の場合のように、置換ベクターを使用して破壊されたorf3で置換した。形質転換体から、さらなる特徴づけのために、3つの菌株を選択し、単離して、20%ICI培地で10日間培養した。6314Δorf3−T1、6314Δorf3−T2および6314Δorf3−T8。
【0054】
下記の表2には、単離されたorf3破壊菌株6314のジベレリン産生に対する分析結果が記載される。データは、特定のジベレリン生成物のmg/Lとして報告される。
【0055】
【表2】
【0056】
従って、P450−3調節段階の阻害と一緒になったorf3調節段階の遮断は、選択された形質転換細胞におけるGA1およびGA4、また主としてGA4、の蓄積をもたらす。
【0057】
形質転換細胞からのGA4産生の最適化
培養培地の改変を、ジベレリンの産生を最適化するために試みた。15g/Lのコーンスチープ固体、1.5g/Lの(NH4)2SO4、60g/Lのヒマワリ油および1g/LのKH2PO4を含有する植物油培地が最も良い結果をもたらすことが見出された。
従って、適切なジベレリン産生条件下での本発明の形質転換細胞の培養は、培養培地をさらに操作することによって最適化することができる。
【0058】
下記の表3には、mg/L単位でのジベレリン収量に関して、最適化培地を使用した結果がまとめられている。データは、比較的純粋な単離されたジベレリンGA4が、破壊されたorf3遺伝子で形質転換され、かつ低い活性のP450−3を有する細胞から、最適化された培養条件のもとで製造および単離され得ることを示している。
【0059】
【表3】
【0060】
置換ベクターの構築
ジベレリンデサチュラーゼ(GA4D)をエンコードするorf3遺伝子を破壊するために、遺伝子置換ベクターを構築した。
【0061】
図3に図示されるように、orf3とP450−3の一部(これはorf3の右側に位置する)とをエンコードする核酸セグメントをベクターpUC19(New England Biolabs;Yanisch−Perron,C.、Vieira,J.およびMessing,J.、1985、Gene、33:103〜119)にクローン化した。この新しいベクターはpORF3−GRと呼ばれる。内部のBamHI/XbaIフラグメントを、ベクターpGPC1(Desjardins AE他、1992、「ジベレラ・プリカリス(Gibberella pulicaris[フザリウム・サムブシナム(Fusarium sambucinum)])によるセスキテルペンフィトアレキシンの解毒およびジャガイモ塊茎における毒性に対するその重要性」、J.Indust.Microbiol.9:201〜211)に由来するヒグロマイシン耐性カセットによって置換した。この抗生物質耐性カーカーの挿入により、orf3遺伝子のオープンリーディングフレームの破壊が生じ、同時に、成功した形質転換体に対するスクリーニング用の選択マーカーが提供される。
【0062】
変異したorf3遺伝子(pORF3−GR由来)を有するSalIフラグメントをジベレラ属の菌株S1および菌株6314に形質転換した。この制限酵素切断フラグメントは、破壊されたorf3遺伝子および挿入された抗生物質耐性マーカーを含む。他の様々な好適な菌類用選択マーカー(例えば、フレオマイシン、ベノミル、ヌルセオトリシンおよびBASTA(グルホシナート)など)がこの分野では知られており、これらは、本明細書中の実施例により例示される具体的なヒグロマイシン抗生物質耐性カセットの代わりに使用することができる。
【0063】
抗生物質支配下での拡大培養および選択の後、100個のヒグロマイシン耐性形質転換体を単離して、破壊されたorf3遺伝子の相同的組み込みについてサザンブロット分析によって分析した。選択された形質転換体は、TLCおよびHPLCによってorf3活性の喪失について選択された。
【0064】
図4には、ジベレリン産生菌類からのタンパク質産生の典型的なサザンブロット分析の結果が図示される。野生型S1(IMI58289)、orf3が破壊された形質転換S1のS1−T23株およびS1−T55株、P450−3阻害株6314、orf3が破壊された形質転換6314の6314−T2株および6314−T8株が示される。orf3が破壊された遺伝子のすべてにおいて、orf3遺伝子の野生型コピーに対応する約7kbのバンドが失われている。
【0065】
すべての菌株が、単一胞子単離およびジベレリン産生培地(20%ICI)での培養によって純化された。ジベレリンの様々な化学種の産生を、タンパク質生成物のGAスペクトルについてHPLC−クロマトグラフィーによってモニターすることができる。図5には、野生型m567(上段)、変異体6314(中段)および形質転換された6314のorf3破壊株(下段)を示す代表的なHPLC−クロマトグラムが示される。ピークは、示された矢印により同定される
ジベレラ・フジクロイの形質転換
プロトプラストの調製
0.8%NaCl溶液において安定化剤として下記の酵素を添加した:1%カタツムリ酵素(Sigma Aldrich Chemical、St.Louis、MO)、0.5%ノボザイム234(Novo Nordisk)、0.1%ドリセラーゼ(Sigma)および0.1%リチカーゼ(Sigma)。この酵素液を遠心分離し、上清をろ過滅菌した。
【0066】
菌類をCM培地において16時間〜18時間、一晩成長させ、そしてろ過し、0.8%NaClで洗浄した菌糸の約0.5gを、10mlの酵素液で、30℃において攪拌器(100rpm)で2時間〜3時間インキュベーションした。プロトプラストを、ガラスフィルター(G2)でのろ過によって菌糸から分離して、0.8%NaClで洗浄し、その後、0.5ml〜1.0mlのSTC緩衝液(1.3Mソルビトール、10mM Tris−HCl(pH7.5)、10mM CaCl2)に再懸濁した。菌類の約107個のプロトプラスト(50μl)が約10μgの調製された形質転換ベクターで形質転換された。
【0067】
形質転換
50μlのプロトプラストを約5x108個/mlの濃度でSTC緩衝液に含有する混合物に、10μgのDNA形質転換ベクター(変異orf3およびヒグロマイシン耐性選択マーカーカセットを含有する2.7kbのSalIフラグメント)および50μlのポリエチレングリコール溶液(PEG溶液、25%PEG6000/STC)を加えた。この形質転換混合物を氷上で25分間インキュベーションし、その後、さらに2mlのPEG溶液を加えた。混合物を混合して、室温で10分間保ち、その後、4mlのSTC緩衝液を加えた。その後、この形質転換混合物を、125μg/mlのヒグロマイシンB(Calbiochem、Bad Soden、ドイツ)を含有する100mlの液化再生培地(0.05%酵母抽出物(Difco、Detroit、MI)、0.7Mスクロースおよび2%寒天)に加えた。
【0068】
個々の形質転換体が28℃での約3日間〜4日間のインキュベーションの後に現れた。選択された形質転換体を、125μg/mlのヒグロマイシンBが補充されたCM寒天に移した。さらなる純化および単離のために、単一ミクロ分生子コロニーを単離して、再びヒグロマイシン耐性について試験した。
【0069】
ブダペスト条約に基づく生物学的寄託
下記の具体的な菌株は、ブダペスト条約に基づき、国際寄託局のカナダ保健省微生物学局(BMHC)(Federal Laboratories for Health Canada、Room H5190、1015 Arlington Street、Winnipeg、Manitoba、カナダ R3E 3R2)に寄託されている。
【0070】
【表4】
【0071】
本発明は、ジベレリン生合成を調節するための核酸、核酸含有ベクター、形質転換細胞、方法、そして形質転換細胞の培養物からの制御されたジベレリン製造のために新規かつ有用であるジベレリン生合成の調節因子を同定するための方法を提供する。
【0072】
本発明は、その局面の多くにおいて十分に記載され、かつ本明細書中に特許請求されているが、本明細書中の教示に従って当業者によって、過度な実験を行うことなく行うことができ、かつ達成することができる。本発明の組成物および方法が上記に例として記載されているが、多くの変化および改変が、本発明の概念および精神および範囲から逸脱することなく、本明細書中に記載される組成物および方法に対して適用され得ることは当業者には明かである。
【図面の簡単な説明】
【図1】ジベレリン生合成経路の略図である。
【図2】orf3遺伝子をエンコードする核酸の核酸配列(配列番号1)、および示された核酸のタンパク質コードドメインセグメント(CDS)によってエンコードされる翻訳GA4Dタンパク質(配列番号2)を示す。
【図3】ジベレラ・フジクロイのGA4デサチュラーゼをエンコードする遺伝子orf3の物理的地図および遺伝子置換ベクターの構築を示す概略図である。
【図4】ジベレリン産生菌類からのタンパク質産生の典型的なサザンブロット分析の結果を図示する。野生型S1(IMI58289)、orf3が破壊された形質転換S1のS1−T23株およびS1−T55株、P450−3阻害株6314、orf3が破壊された形質転換6314の6314−T2株および6314−T8株が示される。
【図5】野生型(S1)、GA7産生変異体6314およびorf3ノックアウト変異体6134Δorf3−T1のHPLCクロマトグラム分析(GAスペクトル)を示す。ピークは、示された矢印により同定される(GA1、GA3、GA4およびGA7)。
(発明の分野)
本発明は、一般的には、新規な核酸および組換えDNA技術、ジベレリン生合成の調節、ならびに生合成酵素の阻害剤の同定を使用する形質転換細胞からのジベレリン製造の分野に関する。
【0002】
(発明の背景)
ジベレリン(GA)はイソプレノイド植物ホルモンの大きいファミリーであり、そのいくつかは、種子発芽、茎伸長および開花を制御する生物活性な成長調節因子である。イネ病原体であるジベレラ・フジクロイ(イネ馬鹿苗病菌)(接合性集団C)は、多量の様々なGAを産生することができ、特に、生物活性な化合物であるジベレリン酸(GA3)ならびにその前駆体のジベレリンA4(GA4)およびジベレリンA7(GA7)を産生することができる(Tudzynski,B.1999、「ジベレラ・フジクロイにおけるジベレリン生合成:生分子的局面」、Appl.Microbiol.Biotechnol.52(3):298〜310)。ジベレリンの病原性作用の1つは、ジベレラ・フジクロイのジベレリン産生がイネの超伸長(馬鹿苗)病を誘導するということである。
【0003】
子嚢菌系菌類のジベレラ・フジクロイにおけるGA3のジベレリン生合成経路には、GA3が主生成物として最終的に生じる前に、前駆体のジベレリンA14(GA14)が中間体のGA4に変換され、次いでGA7に変換されることが含まれる。GA4のジベレリンA1(GA1)への別の変換に由来する二次的な副生成物もまた同時に生じる。
【0004】
3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル−CoAレダクターゼ(HMGR)はイソプレノイド経路の最初の特異的な酵素であり、必須ステロールおよびキノンの生合成ならびにジベレリンなどの二次代謝産物に必要な前駆体であるメバロン酸の産生に関与している。HMG−CoAレダクターゼの構造遺伝子がジベレラ・フジクロイから単離され、特徴づけられた(Woitek,S.他、1997、「ジベレラ・フジクロイの3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル−CoAレダクターゼ遺伝子:単離および特徴づけ」、Curr.Genetics、31(1):38〜47)。
【0005】
ジベレリンは、イソプレノイド生合成経路によって合成されるジテルペノイド化合物である。ゲラニルゲラニル二リン酸シンターゼ(GGDS)はイソプレノイド生合成における重要な酵素である。GGDS酵素により、ゲラニルゲラニル二リン酸(GGDP)が生じる。ジベレラ・フジクロイのGGDS遺伝子が単離され、ファルネシル二リン酸シンターゼ遺伝子に連鎖しない単一コピー遺伝子として特徴づけられた(Mende,K.他、1997、「ジベレラ・フジクロイのゲラニルゲラニル二リン酸シンターゼ遺伝子:単離および発現」、Mol.Gen.Genet.255(1):96〜105)。
【0006】
ジベレリン経路の最初の遺伝子は、ジベレリン経路がゲラニルゲラニル二リン酸(GGDP)において一般的なイソプレノイド生合成経路から分岐するので、ジベレリン経路の最初の特異的な段階を触媒するテルペンシクラーゼであるコパリル二リン酸シンターゼ(CPDS)遺伝子である。この遺伝子はジベレラ・フジクロイから単離され、他の知られている植物CPSとの比較によって特徴づけられた。ジベレラ・フジクロイのCPDSは、最適化されたジベレリン生合成の条件下では非常に高められるが、多量のアンモニアが培地に存在するときには低下する(Tudzynski,B.、1998、「ジベレラ・フジクロイにおけるジベレリン生合成:コパリル二リン酸シンターゼ遺伝子のクローニングおよび特徴づけ」、Curr.Genetics、34(3):234〜240)。
【0007】
ジベレラ・フジクロイcDNAライブラリーのディファレンシャルスクリーニングを使用して、チトクロームP450モノオキシゲナーゼの保存されたヘム結合モチーフを有する遺伝子がクローン化され、同定された。相同的なプローブを用いたゲノムライブラリーのその後のスクリーニングにより、別の遺伝子が最初の遺伝子に密接に連鎖することが明らかにされた。さらなる染色体ウォーキングにより、仮想的なGGDS遺伝子、CPDS遺伝子、そして3番目のP450遺伝子が突き止められた。ジベレラ・フジクロイのP450−1およびP450−2およびP450−3の遺伝子産物、13−ヒドロキラーゼは、すべてがジベレリン酸生合成経路に関係した(Tudzynski,B.、Holter,K.、1998、「ジベレラ・フジクロイにおけるジベレリン生合成経路:遺伝子クラスターの証拠」、Fungal Genet.Biol.25(3):157〜70)。
【0008】
現在、ジベレリンを得る最も一般的な方法では、ジベレラ・フジクロイに主に由来する細胞培養物から精製することによる単離が用いられている。培養培地、反応条件またはジベレリン収量における改善が、ジベレリンを大量に経済的かつ商業的に製造するためには望ましく、かつ有用である。
【0009】
この目的のために、アンモニウムおよび硝酸塩が、ジベレリン製造に対する阻害剤として同定されている(Tudzynski,B.他、1999、「ジベレラ・フジクロイのareA窒素調節遺伝子の単離、特徴づけおよび破壊」;Sanchez−Fernandez,R.他、1997、「ジベレラ・フジクロイにおける硝酸塩によるジベレリン生合成の阻害」、FEBS Letters、413(1):35〜9)。通気を大きくすることは増殖を増大させ、そしてビカベリンおよびジベレリンの産生を増大させることが報告された(Giordano,W.、Domenech,CE.、1999、「通気はジベレラ・フジクロイにおける酢酸塩の行き先を変化させる」、FEMS Microbiol.Lett.180(1):111〜6)。流動床バイオリアクターの使用は、液中発酵装置および固体発酵装置について報告されているよりも3倍大きいジベレリン酸産生をもたらすことが報告されていた。pHおよび温度の影響もまた、炭素対窒素比と同様に研究された(Escamilla,EM.他、2000、「流動床バイオリアクターにおける固定化ジベレラ・フジクロイ菌糸によるジベレリン酸製造の最適化」、J.Biotechnol.76(2−3):147〜55)。
【0010】
新しく有用な方法、構築物、細胞、生成合成経路の新しい酵素成分の同定、および組換え核酸を利用する生合成経路の遺伝学的操作が、本発明によって教示される。
【0011】
(発明の要約)
本発明は、ジベレリン生合成経路に関与する酵素をエンコードする本明細書中ではorf3と呼ばれる新しい遺伝子を提供する。このorf3遺伝子の産物は、二重結合をGA4の炭素原子1と炭素原子2との間に導入することによってGA4をGA7に変換する酵素(図1)であり、本明細書中ではGA4デサチュラーゼ(GA4D)と呼ばれる。「GA4デサチュラーゼ」および「ジベレリンA4デサチュラーゼ」は以降、均等な用語として見なされることを理解しなければならない。
【0012】
本発明は、配列番号1として示される核酸配列(図2)に対応するヌクレオチド配列を有する単離された核酸を提供する。従って、本発明には、配列番号1として図2に示される核酸配列のタンパク質コードドメインセグメント(CDS)に対応するヌクレオチド配列を含む単離された核酸が包含される。具体的には、本発明は、図2に核酸残基1〜1026として示される核酸配列(配列番号1に示される核酸配列の核酸残基984〜2009(2009を含む))に対応するヌクレオチド配列を有する単離された核酸を提供する。従って、本発明には、配列番号1として示されるヌクレオチド配列の残基984〜2009として示されるヌクレオチド配列を有する核酸が包含される。
【0013】
本発明はまたGA4Dタンパク質を提供する。好ましい実施形態において、GA4Dタンパク質は本発明の核酸によってエンコードされる。従って、本発明には、配列番号2として示されるアミノ酸残基配列(図2)に対応するアミノ酸残基配列を含むタンパク質が包含される。具体的には、本発明には、配列番号2として示されるアミノ酸残基配列(図2)に対応するアミノ酸配列を有する342アミノ酸長のタンパク質が包含される。本発明のGA4Dには、配列番号2として示される完全なアミノ酸配列よりも短いが、完全なタンパク質のGA4デサチュラーゼ酵素活性の少なくとも一部を依然として保持する、GA4Dタンパク質の生物学的に活性なフラグメントが包含されることもまた考えられる。
【0014】
本発明には、本発明のGA4Dタンパク質を1つ以上の他のポリペプチドまたはタンパク質と組み合わせる融合タンパク質が包含される。他のポリペプチドまたはタンパク質には、βガラクトシダーゼ、緑色蛍光タンパク質などの、融合タンパク質産物を可視化するための様々なマーカータンパク質(これらに限定されない)を挙げることができる。他のポリペプチドまたはタンパク質にはまた、融合タンパク質産物の単離に有用なポリペプチドまたはタンパク質(これらに限定されない)を挙げることができ、例えば、ビオチン/アビジン、プロテインAまたは他の免疫結合体、ラミニン結合ドメインなど(これらに限定されない)を挙げることができる。
【0015】
本発明はまた、本発明の核酸の少なくとも一部を含む核酸ベクターまたは構築物を提供する。
具体的には、本発明は、本発明の無傷の発現可能な核酸を調節核酸配列と機能的に連結する核酸ベクターを提供する。
【0016】
本発明にはまた、破壊されたorf3遺伝子を含む核酸ベクターも包含される。
あるいは、本発明の核酸ベクターは、得られるタンパク質の酵素活性に負の影響を及ぼすコード配列内の変異を含有するorf3遺伝子、または得られるタンパク質の発現に負の影響を及ぼすコード配列内の変異を含有するorf3遺伝子などを含むことができる。
【0017】
従って、本発明は、阻害されたGA4Dタンパク質を発現する核酸ベクター、またはGA4Dタンパク質の阻害された発現を示す核酸ベクターを包含する。
阻害されたGA4Dタンパク質によって、GA4Dタンパク質が、類似する培養条件のもとで比較されたとき、野生型タンパク質の活性の約50%未満を有することが意味される。
【0018】
GA4Dタンパク質の阻害された発現によって、GA4Dタンパク質が、類似する培養条件のもとで比較されたとき、阻害されていないGA4Dを発現する細胞において見出される量の約50%未満の量で発現することが意味される。
【0019】
本発明は、細胞のジベレリン生合成経路を選択的に改変する方法で、内因性orf3遺伝子の発現を調節することを含む方法を提供する。そのような調節のために使用される方法および核酸構築物は、所望する効果によって決定される。
【0020】
第1の事例では、本発明は、所望する調節が、GA4Dタンパク質のより大きい産生をもたらし、従って増大したGA7産生をもたらすorf3遺伝子発現の増大である方法を提供する。そのような調節は、無傷のGA4Dタンパク質を発現し得る本発明の核酸ベクターで標的細胞をトランスフェクションすることによって達成することができる。増大したorf3遺伝子発現は、多数コピーの遺伝子を標的細胞にこのような様式で導入することによって達成することができる。遺伝子発現のさらなる増大は、より高活性なプロモーターまたは他のそのような調節エレメントを使用することによって達成することができる。
【0021】
別の事例では、本発明は、所望する調節が、GA4Dタンパク質の少ない産生または非産生をもたらし、従って低下したGA7産生および増大したGA4D蓄積をもたらすorf3遺伝子発現の低下である方法を提供する。そのような調節は、相同的組換えによってorf3遺伝子を破壊し得る本発明の核酸ベクターで標的細胞をトランスフェクションすることによって達成することができる。この方法では、標的細胞の内因性の無傷の遺伝子は、そのすべてではないが、そのほとんどが、トランスフェクションされた核酸ベクターに由来する破棄されたorf3遺伝子で置換される。
【0022】
本発明はまた、所望する調節が、標的の形質転換細胞における低下したGA4Dタンパク質活性をもたらし、従って低下したGA7産生および増大したGA4蓄積をもたらす阻害されたGA4Dタンパク質の発現である方法を提供する。そのような調節は、阻害されたGA4Dタンパク質をエンコードするorf3遺伝子を含む本発明の核酸ベクターで標的細胞を相同的組換えによりトランスフェクションすることによって達成することができる。この方法では、標的細胞の内因性の無傷の遺伝子は、そのすべてではないが、そのほとんどが、トランスフェクションされた核酸ベクターに由来するorf3遺伝子で置換される。
【0023】
好ましい実施形態において、本発明は、前駆体分子のその後の生成物への酵素的変換を低下させるために、またはそのような酵素的変換を阻止するためにジベレリン生合成経路を操作することによって、ジベレリンの産生および特にGA4またはGA7またはGA3の量を調節する方法を提供する。具体的には、本発明には、ジベレリン産生細胞におけるorf3遺伝子の破壊または欠失を含む調節方法が包含される。最も好ましい実施形態において、本発明には、ジベレリン産生細胞における、外因性の破壊されたorf3遺伝子との置換による内因性orf3遺伝子の破壊または欠失を含む調節方法が包含される。
【0024】
さらなる好ましい実施形態において、本発明には、破壊または阻害されたP450−3遺伝子を有するジベレリン産生細胞におけるorf3遺伝子の破壊または欠失を含む調節方法が包含される。P450−3遺伝子の発現を破壊したとき、GA4からGA1への13−ヒドロキシル化およびGA7からGA3への13−ヒドロキシル化に対する破壊が生じ、GA7の増大した産生がもたらされた。orf3遺伝子における変異を変異させたP450−3遺伝子と組み合わせることにより、GA4産生が増大した。
【0025】
最も好ましい実施形態においては、本発明には、破壊または阻害されたP450−3遺伝子を有するジベレリン産生細胞における、外因性の破壊されたorf3遺伝子との置換による内因性orf3遺伝子の破壊または欠失を含む調節方法が包含される。
【0026】
ある局面では、破壊または阻害されたP450−3遺伝子は、13−ヒドロキシラーゼをエンコードする遺伝子が、類似する条件のもとでの野生型ジベレリン産生細胞の場合よりも低いレベルで発現する場合の遺伝子である。さらに、破壊または阻害されたP450−3遺伝子は、その遺伝子が、類似する条件のもとで野生型P450−3酵素の場合よりも低い酵素活性を有する改変されたP450−3タンパク質を発現する場合の遺伝子であり得る。orf3に関して議論されたように、破壊されたP450−3遺伝子は、機能的なP450−3タンパク質の発現性または得られるタンパク質の酵素活性を変化させる単一点変異、多数の点変異、挿入または欠失のような核酸コード配列の変異を含むことができる。
【0027】
本発明は、破壊されたGA4Dタンパク質の発現を細胞が有するように、内因性のorf3遺伝子を破壊することによってGA4の産生を増大させるために改変された形質転換細胞を提供する。
【0028】
本発明はまた、少なくとも1つのさらなる発現可能なorf3遺伝子でのトランスフェクションによりGA7の増大した産生のために改変された形質転換細胞を提供する。本発明のこのような方法において使用される好適な細胞は、内因性ジベレリンを産生する細胞であるか、またはジベレリンを産生させるために不可欠なタンパク質をエンコードする別の遺伝子で形質転換された細胞である。好適な細胞は細菌または菌類または哺乳動物性であり得る。ジベレリン産生細胞は菌類細胞であることが好ましい。ある好ましい実施形態においては、ジベレリン産生細胞はジベレラ・フジコリ(Gibberella fujikori)由来の細胞である。好ましい実施形態において、細胞は、S1(IMI58289)、6314、6314Δorf3−T1、6314Δorf3−T2、6314Δorf3−T8、S1Δorf3−T23、S1Δorf3−T33またはS1Δorf3−T55として特定される細胞菌株に由来する。
【0029】
同様に、本発明はまた、より多くのGA4Dタンパク質が発現されるように、より高活性な調節核酸配列によって調節されるorf3遺伝子でのトランスフェクションによりGA7の増大した産生のために改変された形質転換細胞を提供する。本発明はまた、内因性orf3遺伝子が、より多くのGA4Dタンパク質が発現されるように、より高活性な調節核酸配列での調節によるGA4Dの増大した産生のために改変されたorf3遺伝子によって全体または一部が置換されている形質転換細胞を提供する。この場合、そのような置換は、トランスフェクションされたベクターとの相同的組換えによるものであり、そのためより多くのGA4Dタンパク質が発現する。
【0030】
最も好ましい実施形態において、本発明は、細胞の内因性のorf3遺伝子を破壊することによりGA4Dの増大した産生のために改変された形質転換細胞を提供する。好ましい方法のある実施形態では、内因性遺伝子の破壊は、トランスフェクションベクターの外因性の破壊された遺伝子による内因性遺伝子の置換がもたらされる、破壊されたorf3遺伝子を有するトランスフェクションベクターとの相同的組換えによって達成される。
【0031】
最も好ましい実施形態において、本発明は、破壊されたorf3遺伝子および破壊されたP450−3遺伝子を含むジベレリン産生細胞を提供する。
本発明の構築物および形質転換細胞により、ジベレリン生合成の調節因子に関する検出方法、特徴づける方法およびスクリーニング方法が、インシトゥー、インビトロおよびインンビボで可能になる。
【0032】
本発明は、GA4Dタンパク質活性の化学的阻害剤を検出するための単離されたGA4Dタンパク質の使用を提供する。化学的阻害剤は、小さい化学分子、複合体化合物、タンパク質、抗体などであり得る。
【0033】
GA4Dタンパク質を使用して、GA4D酵素活性の阻害について候補物質をスクリーニングする様々な方法を、インビボ細胞アッセイとして、あるいはリポソームもしくは赤血球ゴーストなどの脂質二重層反応容器、および/または拡大・縮小した反応チャンバーなどを利用するインビトロ無細胞アッセイとして行うことができる。そのような方法により、GA4D酵素活性の阻害剤の同定が可能になる。
【0034】
本発明の形質転換細胞は、orf3遺伝子活性の存在下または非存在下でのジベレリン生合成の調節因子に関するスクリーニングを可能にする。
本発明の方法は、GA4Dの生物学的活性(すなわち、ジベレリンGA4デサチュラーゼ酵素の生物学的活性)を調節する能力について候補物質のスクリーニングを可能にする。
【0035】
従って、GA4D酵素活性の阻害剤として同定された化学物質を特徴づけることができ、そして選択することができる。そのような方法は、化合物のコンビナトリアル化学ライブラリーのスクリーニングのために、そして化学物質の好適なGA4D阻害プールを同定するためのこれらの化合物の混合物の繰り返される連続限界スクリーニングのために容易に適合化することができる。従って、本発明はまた、そのようなスクリーニング方法により同定される化学物質、またはそのようなスクリーニング方法により同定され得る化学物質、またはそのようなスクリーニング方法により同定される化学物質に対応する化学物質を提供する。
【0036】
本発明のさらなる局面には、請求項に記載される発明の細胞によって産生される特定のジベレリン、または請求項に記載される発明の形質転換方法によって作製される細胞によって産生される特定のジベレリンが包含される。具体的には、本発明には、本発明の細胞から単離されるか、またはジベレリン産生を調節するために本発明の方法によって形質転換された細胞によるジベレリンA1、ジベレリンA4およびジベレリンA7が包含される。ジベレリンタンパク質は、この分野で知られている方法を使用してジベレリン産生細胞から単離および精製することができる。
【0037】
本発明はまた、ジベレラ・フジコリの培地においてジベレリンを製造するための最適化されたジベレリン製造用培養培地を提供する。この場合、前記培地は、15g/Lのコーンスチープ固体、1.5g/Lの(NH4)2SO4、60g/Lのヒマワリ油および1g/LのKH2PO4を含有する植物油培地を含む。
(発明の詳細な説明)
本発明およびその実施形態は、図面を参照してさらによく理解される。
【0038】
本発明は、ジベレリンを通常的に産生する細胞におけるジベレリンの産生を、細胞内のジベレリン生合成経路を操作することによって調節するための核酸および方法を提供する。関連する実施形態において、本発明は、核酸ベクター、およびジベレリン産生の調節のためにそのようなベクターによって形質転換された宿主細胞を提供する。
【0039】
本明細書中および上記において使用されるように、用語「調節核酸配列」は、発現可能な核酸の発現を調節する核酸配列を包含することが意味される。そのような調節核酸配列には、エンハンサー、プロモーター、プロモーター結合配列など(これらに限定されない)が含まれる。この場合、調節は誘導的または構成的のいずれかであり得る。
【0040】
「機能的に連結する」により、核酸の発現が調節核酸配列の作動によって制御されるように、発現可能な核酸の読み枠が調節核酸配列の機能と対応していることが意味される。
【0041】
「無傷の発現可能な」により、本発明の核酸が発現し、機能的なGA4Dタンパク質またはそのフラグメントをもたらし得ることが意味される。
「破壊された」遺伝子は、コードドメインセグメントのオープンリーディングフレームが変化している本発明の核酸を含む。例えば、そしてそれにより限定されないが、破壊された遺伝子は、核酸残基の欠失を含有し、かつ/または核酸残基の挿入、もしくは発現したタンパク質の酵素活性に負の影響を及ぼす点変異を含有するように変化している。従って、破壊された遺伝子は、発現可能なタンパク質を生じさせることができず、あるいは阻害された酵素または不活性な酵素またはそれらのフラグメントの発現を生じさせることができる。
【0042】
一般に、組換えDNA技術を使用する核酸の操作およびベクター製造のために本明細書中で使用されているような技術はこの分野では十分に知られている。記載された基本的な分子生物学的操作を行うための方法および材料の多くはこの分野では知られており、Sambrook他、Molecular Cloning、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989);Berger他、Guide to Molecular Cloning Techniques、Methods in Enzymology、第152巻、Academic Press,Inc.(1987);Davis他、Basic Methods in Molecular Biology、Elsevier Science Publishing Co.,Inc.(1986);Ausubel他、Short Protocols in Molecular Biology、第2版、John Wiley&Sons(1992);Goeddel、Gene Expression Technology、Methods in Enzymology、第185巻、Academic Press,Inc.(1991);Guthrie他、Guide to Yeast Genetics and Molecular Biology、Methods in Enzymology、第194巻、Academic Press,Inc.(1991);McPherson他、PCR 第1巻、Oxford University Press(1991);McPherson他、PCR 第2巻、Oxford University Press(1995);Richardson,C.D.他、Baculovirus Expression Protocols、Methods in Molecular Biology、第39巻、Humana Press,Inc.(1995)のような参考文献に見出すことができる。
【0043】
本出願において使用されている分類学的または命名法的な用語「ジベレラ・フジコリ」には、この分野のどこかで使用され得るようなすべての変化体または等価な命名法的用語が包含されることを理解しなければならない。代替的な命名法的用語を含むジベレラ・フジコリ種群の総説は、O’Donnel他、1998、「ジベレラ・フジクロイ種群の分子分類学および系統地理学」、Mycologia、90(3)、465〜493に見出される(この総説は、その全体が参考として本明細書中に組み込まれる)。
【0044】
ジベレリン産生の調節
図1に示されるジベレリン生合成経路を参照すると、orf3遺伝子の単離および特徴づけにより、GA4またはGA7などの特定のジベレリン中間体の操作および選択的な増大した産生が、通常の主要な最終生成物GA3の産生を犠牲にして可能になる。
【0045】
図1から理解され得るように、GA4とGA1(マイナーな最終生成物)との間の酵素的段階はP450−3遺伝子産物の活性により調節される。GA7と主要な最終生成物GA3との間の酵素的段階もまた、GA7およびGA4の両方の13−ヒドロキシル化を触媒するP450−3遺伝子産物の活性により調節される。
【0046】
orf3調節段階における生合成経路の遮断、すなわち、GA4D活性の破壊は、GA4およびマイナーな最終生成物GA1の蓄積をもたらす。P450−3により調節されるGA4からGA1への変換の遮断と一緒になったorf3調節段階の遮断は、GA1の産生を犠牲にして、GA4の収量をさらに増大させる。
【0047】
P450−3により調節される細胞内の変換の遮断は、orf3の遮断が存在しないときには、GA1およびGA3の両方の産生が阻害されるので、GA7の蓄積をもたらす。
【0048】
野生型細胞におけるorf3で調節されるジベレリン生合成段階の遮断
GA3を産生する野生型のジベレラ・フジクロイのS1株(アクセション番号IMI58289、IMI、Egham、Surrey、英国)を入手して、orf3遺伝子を破壊されたorf3で置換した。形質転換体から、さらなる特徴づけのために、3つの菌株を選択し、単離して、20%ICI培地で10日間培養した。S1Δorf3−T23、S1Δorf3−T33およびS1Δorf3−T55。
【0049】
下記の表1には、単離されたorf3破壊S1株のジベレリン産生に対する分析結果が記載される。データは、特定のジベレリン生成物のmg/Lとして報告される。
【0050】
【表1】
【0051】
従って、orf3調節段階の遮断は形質転換細胞におけるGA1およびGA4の蓄積をもたらす。
【0052】
P450−3点変異細胞におけるorf3調節されるジベレリン生合成段階の遮断
GA3を産生する野生型のジベレラ・フジクロイのm567株(Fungal Culture Collection Weimar、ドイツ)を入手し、これにUV照射を行った。処理された細胞を、欠損したP450−3活性についてスクリーニングし、選択した。単離菌株6314は、発現酵素に低い酵素活性をもたらす点変異をP450−3遺伝子に有する。従って、菌株6314の細胞は、P450−3により調節されるジベレリン生合成段階が阻害されるために多量のGA7を産生する(約1000mg/LまでのGA7および約5%〜10%にすぎないGA3)。
【0053】
菌株6314の細胞を用いて、内因性のorf3遺伝子を、S1細胞の場合のように、置換ベクターを使用して破壊されたorf3で置換した。形質転換体から、さらなる特徴づけのために、3つの菌株を選択し、単離して、20%ICI培地で10日間培養した。6314Δorf3−T1、6314Δorf3−T2および6314Δorf3−T8。
【0054】
下記の表2には、単離されたorf3破壊菌株6314のジベレリン産生に対する分析結果が記載される。データは、特定のジベレリン生成物のmg/Lとして報告される。
【0055】
【表2】
【0056】
従って、P450−3調節段階の阻害と一緒になったorf3調節段階の遮断は、選択された形質転換細胞におけるGA1およびGA4、また主としてGA4、の蓄積をもたらす。
【0057】
形質転換細胞からのGA4産生の最適化
培養培地の改変を、ジベレリンの産生を最適化するために試みた。15g/Lのコーンスチープ固体、1.5g/Lの(NH4)2SO4、60g/Lのヒマワリ油および1g/LのKH2PO4を含有する植物油培地が最も良い結果をもたらすことが見出された。
従って、適切なジベレリン産生条件下での本発明の形質転換細胞の培養は、培養培地をさらに操作することによって最適化することができる。
【0058】
下記の表3には、mg/L単位でのジベレリン収量に関して、最適化培地を使用した結果がまとめられている。データは、比較的純粋な単離されたジベレリンGA4が、破壊されたorf3遺伝子で形質転換され、かつ低い活性のP450−3を有する細胞から、最適化された培養条件のもとで製造および単離され得ることを示している。
【0059】
【表3】
【0060】
置換ベクターの構築
ジベレリンデサチュラーゼ(GA4D)をエンコードするorf3遺伝子を破壊するために、遺伝子置換ベクターを構築した。
【0061】
図3に図示されるように、orf3とP450−3の一部(これはorf3の右側に位置する)とをエンコードする核酸セグメントをベクターpUC19(New England Biolabs;Yanisch−Perron,C.、Vieira,J.およびMessing,J.、1985、Gene、33:103〜119)にクローン化した。この新しいベクターはpORF3−GRと呼ばれる。内部のBamHI/XbaIフラグメントを、ベクターpGPC1(Desjardins AE他、1992、「ジベレラ・プリカリス(Gibberella pulicaris[フザリウム・サムブシナム(Fusarium sambucinum)])によるセスキテルペンフィトアレキシンの解毒およびジャガイモ塊茎における毒性に対するその重要性」、J.Indust.Microbiol.9:201〜211)に由来するヒグロマイシン耐性カセットによって置換した。この抗生物質耐性カーカーの挿入により、orf3遺伝子のオープンリーディングフレームの破壊が生じ、同時に、成功した形質転換体に対するスクリーニング用の選択マーカーが提供される。
【0062】
変異したorf3遺伝子(pORF3−GR由来)を有するSalIフラグメントをジベレラ属の菌株S1および菌株6314に形質転換した。この制限酵素切断フラグメントは、破壊されたorf3遺伝子および挿入された抗生物質耐性マーカーを含む。他の様々な好適な菌類用選択マーカー(例えば、フレオマイシン、ベノミル、ヌルセオトリシンおよびBASTA(グルホシナート)など)がこの分野では知られており、これらは、本明細書中の実施例により例示される具体的なヒグロマイシン抗生物質耐性カセットの代わりに使用することができる。
【0063】
抗生物質支配下での拡大培養および選択の後、100個のヒグロマイシン耐性形質転換体を単離して、破壊されたorf3遺伝子の相同的組み込みについてサザンブロット分析によって分析した。選択された形質転換体は、TLCおよびHPLCによってorf3活性の喪失について選択された。
【0064】
図4には、ジベレリン産生菌類からのタンパク質産生の典型的なサザンブロット分析の結果が図示される。野生型S1(IMI58289)、orf3が破壊された形質転換S1のS1−T23株およびS1−T55株、P450−3阻害株6314、orf3が破壊された形質転換6314の6314−T2株および6314−T8株が示される。orf3が破壊された遺伝子のすべてにおいて、orf3遺伝子の野生型コピーに対応する約7kbのバンドが失われている。
【0065】
すべての菌株が、単一胞子単離およびジベレリン産生培地(20%ICI)での培養によって純化された。ジベレリンの様々な化学種の産生を、タンパク質生成物のGAスペクトルについてHPLC−クロマトグラフィーによってモニターすることができる。図5には、野生型m567(上段)、変異体6314(中段)および形質転換された6314のorf3破壊株(下段)を示す代表的なHPLC−クロマトグラムが示される。ピークは、示された矢印により同定される
ジベレラ・フジクロイの形質転換
プロトプラストの調製
0.8%NaCl溶液において安定化剤として下記の酵素を添加した:1%カタツムリ酵素(Sigma Aldrich Chemical、St.Louis、MO)、0.5%ノボザイム234(Novo Nordisk)、0.1%ドリセラーゼ(Sigma)および0.1%リチカーゼ(Sigma)。この酵素液を遠心分離し、上清をろ過滅菌した。
【0066】
菌類をCM培地において16時間〜18時間、一晩成長させ、そしてろ過し、0.8%NaClで洗浄した菌糸の約0.5gを、10mlの酵素液で、30℃において攪拌器(100rpm)で2時間〜3時間インキュベーションした。プロトプラストを、ガラスフィルター(G2)でのろ過によって菌糸から分離して、0.8%NaClで洗浄し、その後、0.5ml〜1.0mlのSTC緩衝液(1.3Mソルビトール、10mM Tris−HCl(pH7.5)、10mM CaCl2)に再懸濁した。菌類の約107個のプロトプラスト(50μl)が約10μgの調製された形質転換ベクターで形質転換された。
【0067】
形質転換
50μlのプロトプラストを約5x108個/mlの濃度でSTC緩衝液に含有する混合物に、10μgのDNA形質転換ベクター(変異orf3およびヒグロマイシン耐性選択マーカーカセットを含有する2.7kbのSalIフラグメント)および50μlのポリエチレングリコール溶液(PEG溶液、25%PEG6000/STC)を加えた。この形質転換混合物を氷上で25分間インキュベーションし、その後、さらに2mlのPEG溶液を加えた。混合物を混合して、室温で10分間保ち、その後、4mlのSTC緩衝液を加えた。その後、この形質転換混合物を、125μg/mlのヒグロマイシンB(Calbiochem、Bad Soden、ドイツ)を含有する100mlの液化再生培地(0.05%酵母抽出物(Difco、Detroit、MI)、0.7Mスクロースおよび2%寒天)に加えた。
【0068】
個々の形質転換体が28℃での約3日間〜4日間のインキュベーションの後に現れた。選択された形質転換体を、125μg/mlのヒグロマイシンBが補充されたCM寒天に移した。さらなる純化および単離のために、単一ミクロ分生子コロニーを単離して、再びヒグロマイシン耐性について試験した。
【0069】
ブダペスト条約に基づく生物学的寄託
下記の具体的な菌株は、ブダペスト条約に基づき、国際寄託局のカナダ保健省微生物学局(BMHC)(Federal Laboratories for Health Canada、Room H5190、1015 Arlington Street、Winnipeg、Manitoba、カナダ R3E 3R2)に寄託されている。
【0070】
【表4】
【0071】
本発明は、ジベレリン生合成を調節するための核酸、核酸含有ベクター、形質転換細胞、方法、そして形質転換細胞の培養物からの制御されたジベレリン製造のために新規かつ有用であるジベレリン生合成の調節因子を同定するための方法を提供する。
【0072】
本発明は、その局面の多くにおいて十分に記載され、かつ本明細書中に特許請求されているが、本明細書中の教示に従って当業者によって、過度な実験を行うことなく行うことができ、かつ達成することができる。本発明の組成物および方法が上記に例として記載されているが、多くの変化および改変が、本発明の概念および精神および範囲から逸脱することなく、本明細書中に記載される組成物および方法に対して適用され得ることは当業者には明かである。
【図面の簡単な説明】
【図1】ジベレリン生合成経路の略図である。
【図2】orf3遺伝子をエンコードする核酸の核酸配列(配列番号1)、および示された核酸のタンパク質コードドメインセグメント(CDS)によってエンコードされる翻訳GA4Dタンパク質(配列番号2)を示す。
【図3】ジベレラ・フジクロイのGA4デサチュラーゼをエンコードする遺伝子orf3の物理的地図および遺伝子置換ベクターの構築を示す概略図である。
【図4】ジベレリン産生菌類からのタンパク質産生の典型的なサザンブロット分析の結果を図示する。野生型S1(IMI58289)、orf3が破壊された形質転換S1のS1−T23株およびS1−T55株、P450−3阻害株6314、orf3が破壊された形質転換6314の6314−T2株および6314−T8株が示される。
【図5】野生型(S1)、GA7産生変異体6314およびorf3ノックアウト変異体6134Δorf3−T1のHPLCクロマトグラム分析(GAスペクトル)を示す。ピークは、示された矢印により同定される(GA1、GA3、GA4およびGA7)。
Claims (91)
- 配列番号2として示されるアミノ酸残基配列に対応するアミノ酸残基配列を有するジベレリンA4デサチュラーゼ酵素をエンコードする遺伝子を含む単離された核酸。
- ジベレラ属の種から単離される請求項1に記載の核酸。
- 前記ジベレラ属の種がジベレラ・フジコリである、請求項2に記載の核酸。
- 配列番号1として示されるヌクレオチド配列に対応するヌクレオチド配列を有する請求項1に記載の核酸。
- 配列番号1として示されるヌクレオチド配列の残基984〜2009に対応するヌクレオチド配列を有する請求項4に記載の核酸。
- 配列番号2として示されるアミノ酸残基配列に対応するアミノ酸残基配列を有する単離されたジベレリンA4デサチュラーゼ酵素タンパク質。
- ジベレラ属の種から単離される請求項6に記載のタンパク質。
- 前記ジベレラ属の種がジベレラ・フジコリである、請求項7に記載のタンパク質。
- 形質転換された宿主細胞において組換えDNA技術によって製造される、請求項6に記載のタンパク質。
- 前記宿主細胞が菌類である、請求項9に記載のタンパク質。
- 前記宿主細胞が細菌である、請求項9に記載のタンパク質。
- 前記宿主細胞が哺乳動物細胞である、請求項9に記載のタンパク質。
- 融合タンパク質として発現される請求項6に記載のタンパク質。
- 請求項6に記載のタンパク質の生物学的に活性なフラグメントであって、前記生物学的活性がジベレリンA4デサチュラーゼ活性であるフラグメント。
- 請求項6に記載のタンパク質の免疫原性フラグメント。
- 融合タンパク質として発現される請求項14に記載のタンパク質。
- 融合タンパク質として発現される請求項15に記載のタンパク質。
- 請求項6に記載のタンパク質に対して特異的な抗体。
- ジベレリンA4デサチュラーゼをエンコードする核酸配列で、配列番号1として示される核酸の残基984〜2009に対応する核酸配列を有する核酸を含む核酸ベクター。
- 核酸調節エレメントをさらに含む、請求項19に記載の核酸ベクター。
- 前記調節エレメントがプロモーターである、請求項20に記載の核酸ベクター。
- 形質転換された宿主細胞において複製し得る、請求項19に記載の核酸ベクター。
- 前記宿主細胞が細菌である、請求項22に記載の核酸ベクター。
- 前記宿主細胞が菌類である、請求項23に記載の核酸ベクター。
- 前記宿主細胞が哺乳動物性である、請求項24に記載の核酸ベクター。
- 選択マーカーをさらに含む、請求項19に記載の核酸ベクター。
- 前記ベクターは形質選択宿主細胞のゲノム核酸との相同的組換えを行うことができ、その結果、前記ベクターに由来する外因性の核酸セグメントと、前記形質転換宿主細胞のゲノム核酸に由来する内因性の核酸セグメントとの交換が行われる、請求項19に記載の核酸ベクター。
- 交換された核酸セグメントに選択マーカーをさらに含む、請求項27に記載の核酸ベクター。
- より大きい核酸の制限酵素切断フラグメントである、請求項28に記載の核酸ベクター。
- ベクターpORF3−GRのSalIフラグメントである、請求項29に記載の核酸ベクター。
- 前記ジベレリンGA4デサチュラーゼをエンコードする核酸が破壊されている、請求項19に記載の核酸ベクター。
- 前記破壊が点変異によるものである、請求項31に記載の核酸ベクター。
- 前記破壊が、前記ジベレリンGA4デサチュラーゼをエンコードする核酸のオープンリーディングフレームを変化させることによるものである、請求項31に記載の核酸ベクター。
- 前記破壊が外因性核酸の挿入によるものである、請求項33に記載の核酸ベクター。
- 前記外因性核酸が選択マーカーをエンコードする、請求項34に記載の核酸ベクター。
- 前記選択マーカーが抗生物質耐性遺伝子である、請求項35に記載の核酸ベクター。
- pORF3−GRとして特定される、請求項36に記載の核酸ベクター。
- 前記破壊が核酸の一部分の欠失によるものである、請求項33に記載の核酸ベクター。
- 前記破壊が、阻害性調節エレメントを取り込むことによるものである、請求項34に記載の核酸ベクター。
- 請求項19に記載の核酸ベクターで形質転換された宿主細胞。
- S1Δorf3−T23として特定される、請求項40に記載の細胞。
- S1Δorf3−T33として特定される、請求項40に記載の細胞。
- S1Δorf3−T55として特定される、請求項40に記載の細胞。
- 破壊されたP450−3をエンコードする遺伝子をさらに含む、請求項40に記載の細胞。
- 前記破壊が、同様な条件のもとで野生型P450−3酵素と比較したとき、低下した酵素活性を有するP450−3酵素をもたらす、請求項44に記載の細胞。
- 細菌細胞である、請求項40に記載の細胞。
- 菌類細胞である、請求項40に記載の細胞。
- 6314Δorf3−T1として特定される、請求項47に記載の細胞。
- 6314Δorf3−T2として特定される、請求項47に記載の細胞。
- 6314Δorf3−T8として特定される、請求項47に記載の細胞。
- 哺乳動物細胞である、請求項40に記載の宿主細胞。
- ジベレリン産生細胞におけるジベレリン生合成を調節するための方法であって、請求項19に記載の核酸ベクターで前記細胞を形質転換すること、および前記形質転換細胞をジベレリン産生条件のもとで培養することを含む方法。
- 前記細胞がS1(アクセション番号IMI58289)として特定される、請求項52に記載の方法。
- 前記ジベレリン産生細胞が、破壊されたP450−3をエンコードする遺伝子をさらに含む、請求項52に記載の方法。
- 前記破壊が、同様な条件のもとで野生型P450−3酵素よりも低い活性を有するP450−3酵素の発現をもたらす点変異を含む、請求項54に記載の方法。
- 前記細胞が6314として特定される、請求項55に記載の方法。
- 単離されたGA4Dタンパク質の酵素活性の阻害剤を同定するための方法であって、GA4Dタンパク質の酵素活性に好適な条件のもとでGA4Dタンパク質を候補阻害剤と接触させること、および前記酵素活性の何らかの低下を検出することを含む方法。
- 前記候補阻害剤が、小さい化学分子、複合体化合物、タンパク質および抗体からなる群から選択される、請求項57に記載の方法。
- インビトロで行われる請求項57に記載の方法。
- 細胞内で行われる請求項57に記載の方法。
- リポソーム内または赤血球ゴースト内で行われる請求項57に記載の方法。
- 請求項57に記載の方法によって同定される候補阻害剤。
- 化合物のコンビナトリアル化学ライブラリーをスクリーニングすることによって同定される、請求項62に記載の候補阻害剤。
- 請求項62に記載の候補阻害剤に対応する阻害剤。
- 請求項57に記載の方法によって同定される阻害剤。
- 請求項40に記載の宿主細胞によって産生され得るジベレリンA1。
- 請求項41に記載の宿主細胞によって産生されるジベレリンA1。
- 請求項42に記載の宿主細胞によって産生されるジベレリンA1。
- 請求項43に記載の宿主細胞によって産生されるジベレリンA1。
- 請求項40に記載の宿主細胞によって産生されるジベレリンA4。
- 請求項41に記載の宿主細胞によって産生されるジベレリンA4。
- 請求項42に記載の宿主細胞によって産生されるジベレリンA4。
- 請求項43に記載の宿主細胞によって産生されるジベレリンA4。
- 請求項48に記載の宿主細胞によって産生されるジベレリンA4。
- 細胞が最適化培地において培養された、請求項74に記載のジベレリンA4。
- 前記培地が、15g/Lのコーンスチープ固体、1.5g/Lの(NH4)2SO4、60g/Lのヒマワリ油および1g/LのKH2PO4を含有する植物油培地を含む、請求項75に記載のジベレリンA4。
- 請求項49に記載の宿主細胞によって産生されるジベレリンA4。
- 細胞が最適化培地において培養された、請求項77に記載のジベレリンA4。
- 前記培地が、15g/Lのコーンスチープ固体、1.5g/Lの(NH4)2SO4、60g/Lのヒマワリ油および1g/LのKH2PO4を含有する植物油培地を含む、請求項78に記載のジベレリンA4。
- 請求項50に記載の宿主細胞によって産生されるジベレリンA4。
- 細胞が最適化培地において培養された、請求項80に記載のジベレリンA4。
- 前記培地が、15g/Lのコーンスチープ固体、1.5g/Lの(NH4)2SO4、60g/Lのヒマワリ油および1g/LのKH2PO4を含有する植物油培地を含む、請求項81に記載のジベレリンA4。
- 請求項52に記載の方法により作製される宿主細胞によって産生される単離されたジベレリンA1。
- 請求項55に記載の方法により作製される宿主細胞によって産生される単離されたジベレリンA1。
- 請求項56に記載の方法により作製される宿主細胞によって産生される単離されたジベレリンA1。
- 請求項52に記載の方法により作製される宿主細胞によって産生される単離されたジベレリンA4。
- 請求項55に記載の方法により作製される宿主細胞によって産生される単離されたジベレリンA4。
- 請求項56に記載の方法により作製される宿主細胞によって産生される単離されたジベレリンA4。
- 細胞が最適化培地において培養された、請求項88に記載のジベレリンA4。
- 前記培地が、15g/Lのコーンスチープ固体、1.5g/Lの(NH4)2SO4、60g/Lのヒマワリ油および1g/LのKH2PO4を含有する植物油培地を含む、請求項89に記載のジベレリンA4。
- 15g/Lのコーンスチープ固体、1.5g/Lの(NH4)2SO4、60g/Lのヒマワリ油および1g/LのKH2PO4を含有する植物油培地を含む培養培地。
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