JP2004517194A - 高シリカゼオライトを用いるナフサストリームからの硫黄の除去 - Google Patents
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Abstract
ナフサ沸点範囲のストリームから低沸点硫黄化合物を除去する方法が開示される。ナフサ沸点範囲のストリームを、低沸点硫黄化合物が高沸点硫黄化合物に転化されるのに有効な条件で、高シリカゼオライトと接触させる。次いでナフサストリームを、硫黄化合物のレベルが実質的に低減された低沸点ストリームと、前記高沸点硫黄化合物を含む高沸点範囲留分に分留する。
Description
【0001】
発明の分野
本発明は、低沸点硫黄化合物をナフサ沸点範囲のストリームから除去する方法に関する。ナフサ沸点範囲のストリームを、低沸点硫黄化合物がより高沸点の硫黄化合物に転化されるのに有効な条件で、高シリカゼオライトと接触させる。次いでナフサストリームを、硫黄化合物レベルが実質的に低減された低沸点のストリームと、より高沸点の硫黄化合物を含む高沸点範囲の留分に分留する。
【0002】
発明の背景
石油原料ストリームに硫黄化合物が存在することは、それらが腐食および環境の問題をもたらすため極めて望ましくない。これらの化合物はまた、これらの燃料油を用いるエンジンの性能低減の原因でもある。精製された炭化水素流体を、以前に石油原油等のサワーな炭化水素流体の輸送に用いられたパイプラインで輸送することは、過去には望ましくないことと考えられていた。主な理由は、ガソリンやディーゼル燃料油等の精製された炭化水素流体が、元素状硫黄等の汚染物質を拾い上げることである。パイプライン輸送された場合、ガソリンは約10〜80mg/Lの元素状硫黄を拾い上げ、ディーゼル燃料油は約1〜20mg/Lの元素硫黄を拾い上げる。硫黄は、真鍮バルブ、ゲージ、2サイクルエンジンの銀ベアリングケージおよびインタンク燃料ポンプの銅製整流子等の装置に対して、特に腐食効果を有する。
【0003】
更に、米国において、ガソリン中の許容可能な最高の硫黄レベルは350wppmである。2004年までには、モーターガソリン中の硫黄レベルは30wppm未満に規制される。自動車による環境への排出物は、最大の大気汚染物質源である。エンジン設計をかなり変更することにより全排出物は低減されたが、硫黄排出物はそれらの変更では変化しなかった。
【0004】
製油所には、より低硫黄のガソリンを製造するための多くの選択肢がある。例えば、精製する原油をより低硫黄のものとすることができる。また、製油所ストリームを水素化して、汚染物質を除去したり、吸着や吸収等の処理を含む方法を用いることができる。
【0005】
水素化脱硫は、硫黄化合物を炭化水素ストリームから除去するための従来の水素化方法である。典型的な水素化脱硫方法においては、硫黄成分の一部を適切な触媒の存在下に水素ガスと反応させて硫化水素を形成することによって、硫黄成分の一部を炭化水素原料ストリームから除去する。得られた生成物は冷却されてガスと液相に分離され、硫化水素を含むオフガスは、クラウスプラントに排出されて更に処理される。FCCガソリン(米国の精油所ガソリンにおける主要硫黄源)を処理する水素化脱硫方法は、望ましくない高い水素消費速度(オレフィン飽和による)と、相当なオクタン低下の両方の特徴がある。またこれらの方法は、約3000psig未満の圧力と共に約425℃未満の高温、等のような過酷な条件を必要とする。
【0006】
Gonzalesらの「Can You Make Low−Sulfur Fuel and Remain Competitive」(HartのFuel Technology and Manegement、11月/12月、1996年)には、キャット原料の脱硫により、分解ナフサ中の硫黄レベルを500wppmまで低減しうることが示される。しかしこれは、特に精油所がより高いガソリンへの転化を利用出来ない場合、キャット原料を脱硫する結果として高価な選択肢となる。200wppmより低い硫黄レベルは、軽質分解ナフサの水素化脱硫により達成可能である。しかしこれは、オレフィンの水素添加による高い水素消費とオクタンロスのため、キャット原料の脱硫にも増して高価である。従って、水素化された分解ナフサは、異性化工程を経ていくらかのオクタンを取り戻す必要がある。
【0007】
Merox法等のアルカリ抽出法は、炭化水素原料ストリームからメルカプタン化合物の形態にある硫黄を抽出することが可能である。Merox方法は1959年に工業界に報告された。The Oil & Gas J.(第57巻、第44号、第73〜8頁、1959年)には、Merox法についての考察が含まれ、またいくつかの先行技術の方法についても含まれる。Merox法では、アルカリに可溶な触媒または担体に担持された触媒を用いて、酸素およびアルカリの存在下にメルカプタンを二硫化物に酸化する。メルカプタンは腐食性の化合物であり、工業標準銅片試験を満足するためには、これを抽出または転化しなければならない。アルカリ溶液に可溶のナトリウムメルカプタンが形成される。メルカプタン化合物を含むアルカリ溶液は加温され、次いで混合塔で触媒の存在下に空気酸化され、メルカプタン化合物は対応する二硫化物に転化される。アルカリ溶液に不溶な二硫化物は、分離して、メルカプタン抽出のためにリサイクルすることができる。処理された炭化水素ストリームは通常、水洗に送られて、ナトリウム含有量が低減される。
【0008】
しかし、このようなアルカリ抽出法は、軽質メルカプタン化合物(例えばC1〜C4メルカプタン)の形態にある硫黄(これは典型的には、FCCガソリンに存在する硫黄の約10%未満を占めているにすぎない)しか抽出できない。アルカリ抽出は、より軽質低沸点のメルカプタンしか除去できず、硫化物およびチオフェン等の他の硫黄成分は、処理された生成物ストリーム中に残る。また、同じくFCCガソリン中に見出される酸素化合物(例えばフェノール、カルボン酸、過酸化物)および窒素化合物(例えばアミンまたはニトリル)は、Merox方法によっては認めうるほどに影響されない。
【0009】
吸着は、低レベルの汚染物質の除去において費用効率のよい方法であることがしばしばある。Salem,A.B.らは、直留ナフサと分解ナフサの50/50混合物について、80℃で活性炭を用いて硫黄レベルを65%(500wppmから175wppmに)低減したことと、80℃でゼオライト13Xを用いて硫黄レベルを30%低減したことを報告している(「Removal of Sulfur Compounds from Naphtha Solutions Using Solid Adsorbents」 Chemical Engineering and Technology、6月20日、1997年)。また、米国特許第5,807,475号には、NiまたはMo交換されたゼオライトXおよびYを、硫黄化合物を炭化水素ストリームから除去するのに用いうることが教示されている。典型的な吸着方法は、汚染物質が原料から吸着される吸着サイクル、およびこれに続く汚染物質が吸着剤から除去される脱着サイクルを有する。
【0010】
限界があるとはいえ、上記の方法により、製油所の炭化水素輸送燃料油の原料中に存在する汚染物質のレベルを、殆どの場合、以前には許容されていたレベルにまで低減するための十分な手段が提供される。しかしこれらの処理は、輸送燃料油のヘテロ原子汚染物質を、実質的により低いレベル(政府規制により現在必要とされている、または間もなく必要とされる)にまで経済的に低減するのに適切なものではない。従って、これらのより厳しい規制を満足しうる方法に対する技術的な必要性がある。
【0011】
発明の概要
本発明によれば、低沸点硫黄化合物を含むナフサ沸点範囲のストリーム中の硫黄レベルを低減する方法であって、
(a)前記ナフサ沸点範囲のストリームを、前記低沸点硫黄化合物の少なくとも一部がより高沸点の硫黄化合物に転化されるのに有効な条件で、高シリカゼオライトと接触させる工程;および
(b)前記接触されたナフサストリームを、低沸点範囲の留分および高沸点範囲の留分に分留する工程であって、前記低沸点範囲の留分は、150℃未満で沸騰し、前記高沸点範囲の留分は、前記より高沸点の硫黄化合物を含む工程
を含むことを特徴とする硫黄レベルを低減する方法が提供される。
【0012】
本発明の好ましい実施形態においては、前記高シリカゼオライトのシリカ/アルミナ比は、ベースゼオライトより少なくとも10%大きい。
【0013】
本発明の更に他の好ましい実施形態においては、ベースゼオライトは、単位胞サイズが直径で6Åより大きい。
【0014】
本発明の更に他の好ましい実施形態においては、ベースゼオライトは、フォージャサイトである。
【0015】
本発明の他の好ましい実施形態においては、処理されるナフサストリームの沸点範囲は、35〜220℃である。
【0016】
発明の詳細な説明
ナフサ沸点範囲ストリームは、ほぼ常圧で約10〜約230℃で沸騰するいかなる精製ストリームをも、一種以上含んでいてよい。ナフ沸点範囲サストリームには一般に、分解ナフサが含まれ、これには典型的には、流動接触分解装置ナフサ(FCC接触ナフサまたは接触分解ナフサ)、コーカーナフサ、水素化分解装置ナフサ、残油水素化装置ナフサ、脱ブタン化天然ガソリン(DNG)およびナフサ沸点範囲ストリームの製造に用いることができる他の素材から得たガソリン混合成分が含まれる。FCC接触ナフサやコーカーナフサは、接触および/または熱分解反応の生成物であるため、通常よりオレフィン性の高いナフサであり、本発明に従って処理されるより好ましいストリームである。接触分解ナフサストリームの硫黄含有量は、原料の総重量を基準として通常0.05〜約0.7重量%未満、より典型的には0.07〜約0.5重量%である。これらのナフサ原料ストリームには通常、その腐食性および常により厳しくなる環境規制のため除去する必要のある硫黄化合物が含まれる。このような原料に含まれる硫黄化合物の例には、元素硫黄や、脂肪族性、ナフテン性および芳香族性メルカプタン、硫化物、二硫化物、多硫化物、並びにチオフェンおよびそのより高級な同族体および類縁体が含まれるが、これらに限定されない。
【0017】
本明細書で用いるのに適切なゼオライトは、シリカ/アルミナ比が比較的高く、単位胞サイズが直径で約6Å超のものである。比較的高いシリカ/アルミナ比とは、シリカ/アルミナ比が、ベースゼオライトより少なくとも約10%、好ましくは少なくとも約50%大きいことを意味する。例えば、ベースゼオライト「フォージャサイトY」は、典型的には、シリカ/アルミナ比2を有するが、その高シリカ型は、少なくとも約4のシリカ/アルミナ比を有する。ベースとなる中性ゼオライトの例には、グメリナイト、チャバザイト、ダチアルダイト、クリノプチロライト、フォージャサイト、ホイランダイト、レヴィナイト、エリオナイト、カンクリナイト、スコレサイト、オフレタイト、モルデナイトおよびフェリエライトが含まれるが、これらに限定されない。合成ゼオライトには、ゼオライトX、Y、L、ZK−4、ZK−5、E、H、J、M、Q、T、Z、アルファおよびベータ、ZSMタイプおよびオメガが含まれる。好ましくはフォージャサイト、特にゼオライトYおよびゼオライトXである。より好ましくは、単位胞サイズが直径で約6Å超のものである。例えば、ゼオライトYおよびXの単位胞サイズは約13Åである。これは、硫黄含有分子が進入し、転化されたより大きな硫黄含有分子となって出てゆくのに十分な大きさである。
【0018】
本発明は一般に、硫黄含有ナフサストリームを、有効量の高シリカゼオライトと有効な時間をかけて接触させることにより実施される。有効量の高シリカゼオライトとは、低沸点硫黄化合物の少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも約75重量%、より好ましくは約90重量%超を、より高沸点の硫黄化合物に反応条件下で転化する量、またはそれ以上の量のゼオライトを意味する。反応条件には約−30〜約300℃、好ましくは約0〜約100℃の温度およびほぼ大気圧〜約500psig、好ましくはほぼ大気圧〜約200psigの圧力が含まれる。低沸点の留分とは、約150℃未満、好ましくは約100℃未満で沸騰する留分を意味する。接触が完了し、所定の量の低沸点の硫黄化合物が高沸点の硫黄化合物に転化された後、処理したナフサ原料ストリームを低沸点の留分と高沸点の留分に分留する。高沸点の留分には、低沸点の硫黄化合物から転化された高沸点の硫黄化合物が含まれる。低沸点の留分には、実質的により低レベルの硫黄化合物が含まれる。得られた低沸点の留分は、モーガスプール中に混合するのに適切であり、また水素を消費し、オレフィンを飽和し、オクタンレベルを低減する高価な水素化を必要としない。高沸点の留分は、十分に硫黄を除去してモーガスプールの混合材としても用いうるようにするためには、水素化脱硫などの水素化を必要とする。低沸点のナフサ留分とは異なり、高沸点のナフサ留分は、多くのオレフィンを含まず、従って水素化中にオクタンを失わない。
【0019】
高沸点の留分を従来の水素化脱硫に付して、少なくとも一つの硫黄留分を除去してもよい。水素化脱硫は、硫黄化合物を効果的に除去するための従来の方法である。典型的な水素化脱硫方法においては、硫黄成分を適切な触媒の存在下に水素ガスと反応させて硫化水素を形成することによって、硫黄成分の一部を炭化水素原料ストリームから除去する。適切な触媒は、典型的には、少なくとも一種の第VIII族金属(ニッケル、コバルトなど)および少なくとも一種の第VI族金属(モリブデン、タングステンなど)を、耐火性担体に担持してなるものである。第VIII族および第VI族は元素周期律表による。洗浄溶剤(アミンなど)を用いて硫化水素を生成物ガスストリームから除去し、続いてクラウスプラントで硫化水素を元素硫黄に転化することができる。
【0020】
低沸点の硫黄化合物を高沸点の硫黄化合物に転化することと、二つの留分を分留することを別個の槽で行うことは、本発明の範囲内である。例えば、硫黄化合物の転化を反応槽で行い、全ストリームを分留槽に送り、そこで沸点に基づいて少なくとも二つのストリームを製造してもよい。また、転化工程および分留工程を単一槽内で行うることも、本発明の範囲内である。例えば、槽を蒸留槽として、その中で全カットナフサを蒸留カラムに送り、低沸点の留分および高沸点の留分を製造してもよい。低沸点の留分は高シリカゼオライトの床を通って上昇し、そこで低沸点硫黄化合物が高沸点の化合物に転化され、これは最後には高沸点の留分に入る。前記したように、比較的高レベルの硫黄化合物を含むより高沸点の留分は、モーガスプールの混合材として用いられる前に、水素化脱硫方法の装置に送られる。
【0021】
以下の実施例は本発明を例証するために示されるものであり、いかなる意味においても本発明を限定するものとして解釈されることはないものとする。
【0022】
実施例
実施例1
ガラスカラムにシリカ/アルミナ比4/1の高シリカゼオライト(UOP HISIV−1000)60グラムを充填し、次いでカナダ国Dartmouth産軽質分解ナフサ(DLCN)80ccを注いだ。DLCNは約C5〜250°Fの沸点範囲を有した。カラムを室温(22℃)で3時間保持し、次いで処理したDLCNをカラムから排出した。未処理および処理後のDLCN中の全硫黄組成を、硫黄特異的ガスクロマトグラフィを用いて測定した。
【0023】
硫黄特異的分析によるクロマトグラムを図1に示す。硫黄化合物のカラムからの溶出は沸点の関数となっており、より低沸点の化合物は最初に溶出する。示されるように、未処理のDLCN中の硫黄化合物は、主として、メチルメルカプタンとベンゾチオフェンの中間の沸点を有する化合物である。一方、処理後のDLCN中の硫黄化合物は、2−メチル−4−エチルチオフェンより高い沸点を有する。これらのクロマトグラムは明らかに、軽質硫黄化合物から重質硫黄化合物への転化を示すものである。DLCN中の全硫黄レベルは750wppmであるのに対し、処理後のDLCNにはベンゾチオフェンより低沸点の硫黄化合物が合計37wppmしか含まれていない。これは、軽質硫黄化合物が95%低減したことを示す。
【0024】
実施例2
ガラスカラムにシリカ/アルミナ比4/1の高シリカゼオライト(UOP HISIV−1000)60グラムを充填し、次いでカナダ国Sarnia産分解ナフサ(SCN)(全沸点範囲)80ccを注いだ。SCNは、約C5〜450°Fの沸点範囲を有した。カラムをほぼ室温で3時間保持し、次いで処理したSCNをカラムから排出した。未処理および処理後のSCN中の硫黄組成を、硫黄特異的ガスクロマトグラフィを用いて測定した。
【0025】
硫黄特異的分析によるクロマトグラムを図2に示す。示されるように、未処理のSCN中の硫黄化合物は、主として、メチルメルカプタンとジメチルベンゾチオフェンの中間の沸点を有する化合物である。一方、処理後のSCN中の硫黄化合物は、ベンゾチオフェンより高い沸点を有する。これらのクロマトグラムは明らかに、低沸点硫黄化合物から高沸点硫黄化合物への転化を示すものである。SCN中の全硫黄レベルは2000wppmであるのに対し、処理後のSCNにはベンゾチオフェンより低沸点の硫黄化合物が合計60wppmしか含まれていない。これは、軽質硫黄化合物が97%低減したことを示す。
【0026】
実施例3
ガラスカラムにシリカ/アルミナ比約1の標準Na13Xを100グラム充填した。次いでNa13Xに、Dartmouth産軽質分解ナフサ(DLCN)100ccを注いだ。DLCNは約C5〜250°Fの沸点範囲を有した。カラムを室温で3時間保持し、次いで処理したDLCNをカラムから排出した。未処理および処理後のDLCN中の全硫黄組成を、硫黄特異的ガスクロマトグラフィを用いて測定した。
【0027】
硫黄特異的分析によるクロマトグラムを図3に示す。硫黄化合物のカラムからの溶出は沸点の関数となっており、より低沸点の化合物は最初に溶出する。示されるように、処理後の生成物中の全硫黄レベルは原料中のそれより低い(81:760wppm)が、処理後のDLCN中の硫黄化合物は、原料中に見出されるものと同じである。このことは、硫黄化合物の転化が全く生じなかったことを示す。代わりに、いくらかの硫黄化合物がNa13X上に吸着されただけで、高シリカ−アルミナフォージャサイトとは異なって、これらがより高分子量の化合物に転化されることはなかった。
【図面の簡単な説明】
【図1】
図1Aは、実施例1の未処理のDartmouth産軽質接触分解ナフサについての、硫黄特異的分析のクロマトグラムである。
図1Bは、実施例1の処理後のDartmouth産軽質接触分解ナフサについての、硫黄特異的分析のクロマトグラムである。
【図2】
図2Aは、実施例2の未処理のSarnia産接触分解ナフサについての、硫黄特異的分析のクロマトグラムである。
図2Bは、実施例2の処理後のSarnia産接触分解ナフサについての、硫黄特異的分析のクロマトグラムである。
【図3】
実施例3による処理後のDartmouth産軽質接触分解ナフサについての、硫黄特異的分析のクロマトグラムである。
発明の分野
本発明は、低沸点硫黄化合物をナフサ沸点範囲のストリームから除去する方法に関する。ナフサ沸点範囲のストリームを、低沸点硫黄化合物がより高沸点の硫黄化合物に転化されるのに有効な条件で、高シリカゼオライトと接触させる。次いでナフサストリームを、硫黄化合物レベルが実質的に低減された低沸点のストリームと、より高沸点の硫黄化合物を含む高沸点範囲の留分に分留する。
【0002】
発明の背景
石油原料ストリームに硫黄化合物が存在することは、それらが腐食および環境の問題をもたらすため極めて望ましくない。これらの化合物はまた、これらの燃料油を用いるエンジンの性能低減の原因でもある。精製された炭化水素流体を、以前に石油原油等のサワーな炭化水素流体の輸送に用いられたパイプラインで輸送することは、過去には望ましくないことと考えられていた。主な理由は、ガソリンやディーゼル燃料油等の精製された炭化水素流体が、元素状硫黄等の汚染物質を拾い上げることである。パイプライン輸送された場合、ガソリンは約10〜80mg/Lの元素状硫黄を拾い上げ、ディーゼル燃料油は約1〜20mg/Lの元素硫黄を拾い上げる。硫黄は、真鍮バルブ、ゲージ、2サイクルエンジンの銀ベアリングケージおよびインタンク燃料ポンプの銅製整流子等の装置に対して、特に腐食効果を有する。
【0003】
更に、米国において、ガソリン中の許容可能な最高の硫黄レベルは350wppmである。2004年までには、モーターガソリン中の硫黄レベルは30wppm未満に規制される。自動車による環境への排出物は、最大の大気汚染物質源である。エンジン設計をかなり変更することにより全排出物は低減されたが、硫黄排出物はそれらの変更では変化しなかった。
【0004】
製油所には、より低硫黄のガソリンを製造するための多くの選択肢がある。例えば、精製する原油をより低硫黄のものとすることができる。また、製油所ストリームを水素化して、汚染物質を除去したり、吸着や吸収等の処理を含む方法を用いることができる。
【0005】
水素化脱硫は、硫黄化合物を炭化水素ストリームから除去するための従来の水素化方法である。典型的な水素化脱硫方法においては、硫黄成分の一部を適切な触媒の存在下に水素ガスと反応させて硫化水素を形成することによって、硫黄成分の一部を炭化水素原料ストリームから除去する。得られた生成物は冷却されてガスと液相に分離され、硫化水素を含むオフガスは、クラウスプラントに排出されて更に処理される。FCCガソリン(米国の精油所ガソリンにおける主要硫黄源)を処理する水素化脱硫方法は、望ましくない高い水素消費速度(オレフィン飽和による)と、相当なオクタン低下の両方の特徴がある。またこれらの方法は、約3000psig未満の圧力と共に約425℃未満の高温、等のような過酷な条件を必要とする。
【0006】
Gonzalesらの「Can You Make Low−Sulfur Fuel and Remain Competitive」(HartのFuel Technology and Manegement、11月/12月、1996年)には、キャット原料の脱硫により、分解ナフサ中の硫黄レベルを500wppmまで低減しうることが示される。しかしこれは、特に精油所がより高いガソリンへの転化を利用出来ない場合、キャット原料を脱硫する結果として高価な選択肢となる。200wppmより低い硫黄レベルは、軽質分解ナフサの水素化脱硫により達成可能である。しかしこれは、オレフィンの水素添加による高い水素消費とオクタンロスのため、キャット原料の脱硫にも増して高価である。従って、水素化された分解ナフサは、異性化工程を経ていくらかのオクタンを取り戻す必要がある。
【0007】
Merox法等のアルカリ抽出法は、炭化水素原料ストリームからメルカプタン化合物の形態にある硫黄を抽出することが可能である。Merox方法は1959年に工業界に報告された。The Oil & Gas J.(第57巻、第44号、第73〜8頁、1959年)には、Merox法についての考察が含まれ、またいくつかの先行技術の方法についても含まれる。Merox法では、アルカリに可溶な触媒または担体に担持された触媒を用いて、酸素およびアルカリの存在下にメルカプタンを二硫化物に酸化する。メルカプタンは腐食性の化合物であり、工業標準銅片試験を満足するためには、これを抽出または転化しなければならない。アルカリ溶液に可溶のナトリウムメルカプタンが形成される。メルカプタン化合物を含むアルカリ溶液は加温され、次いで混合塔で触媒の存在下に空気酸化され、メルカプタン化合物は対応する二硫化物に転化される。アルカリ溶液に不溶な二硫化物は、分離して、メルカプタン抽出のためにリサイクルすることができる。処理された炭化水素ストリームは通常、水洗に送られて、ナトリウム含有量が低減される。
【0008】
しかし、このようなアルカリ抽出法は、軽質メルカプタン化合物(例えばC1〜C4メルカプタン)の形態にある硫黄(これは典型的には、FCCガソリンに存在する硫黄の約10%未満を占めているにすぎない)しか抽出できない。アルカリ抽出は、より軽質低沸点のメルカプタンしか除去できず、硫化物およびチオフェン等の他の硫黄成分は、処理された生成物ストリーム中に残る。また、同じくFCCガソリン中に見出される酸素化合物(例えばフェノール、カルボン酸、過酸化物)および窒素化合物(例えばアミンまたはニトリル)は、Merox方法によっては認めうるほどに影響されない。
【0009】
吸着は、低レベルの汚染物質の除去において費用効率のよい方法であることがしばしばある。Salem,A.B.らは、直留ナフサと分解ナフサの50/50混合物について、80℃で活性炭を用いて硫黄レベルを65%(500wppmから175wppmに)低減したことと、80℃でゼオライト13Xを用いて硫黄レベルを30%低減したことを報告している(「Removal of Sulfur Compounds from Naphtha Solutions Using Solid Adsorbents」 Chemical Engineering and Technology、6月20日、1997年)。また、米国特許第5,807,475号には、NiまたはMo交換されたゼオライトXおよびYを、硫黄化合物を炭化水素ストリームから除去するのに用いうることが教示されている。典型的な吸着方法は、汚染物質が原料から吸着される吸着サイクル、およびこれに続く汚染物質が吸着剤から除去される脱着サイクルを有する。
【0010】
限界があるとはいえ、上記の方法により、製油所の炭化水素輸送燃料油の原料中に存在する汚染物質のレベルを、殆どの場合、以前には許容されていたレベルにまで低減するための十分な手段が提供される。しかしこれらの処理は、輸送燃料油のヘテロ原子汚染物質を、実質的により低いレベル(政府規制により現在必要とされている、または間もなく必要とされる)にまで経済的に低減するのに適切なものではない。従って、これらのより厳しい規制を満足しうる方法に対する技術的な必要性がある。
【0011】
発明の概要
本発明によれば、低沸点硫黄化合物を含むナフサ沸点範囲のストリーム中の硫黄レベルを低減する方法であって、
(a)前記ナフサ沸点範囲のストリームを、前記低沸点硫黄化合物の少なくとも一部がより高沸点の硫黄化合物に転化されるのに有効な条件で、高シリカゼオライトと接触させる工程;および
(b)前記接触されたナフサストリームを、低沸点範囲の留分および高沸点範囲の留分に分留する工程であって、前記低沸点範囲の留分は、150℃未満で沸騰し、前記高沸点範囲の留分は、前記より高沸点の硫黄化合物を含む工程
を含むことを特徴とする硫黄レベルを低減する方法が提供される。
【0012】
本発明の好ましい実施形態においては、前記高シリカゼオライトのシリカ/アルミナ比は、ベースゼオライトより少なくとも10%大きい。
【0013】
本発明の更に他の好ましい実施形態においては、ベースゼオライトは、単位胞サイズが直径で6Åより大きい。
【0014】
本発明の更に他の好ましい実施形態においては、ベースゼオライトは、フォージャサイトである。
【0015】
本発明の他の好ましい実施形態においては、処理されるナフサストリームの沸点範囲は、35〜220℃である。
【0016】
発明の詳細な説明
ナフサ沸点範囲ストリームは、ほぼ常圧で約10〜約230℃で沸騰するいかなる精製ストリームをも、一種以上含んでいてよい。ナフ沸点範囲サストリームには一般に、分解ナフサが含まれ、これには典型的には、流動接触分解装置ナフサ(FCC接触ナフサまたは接触分解ナフサ)、コーカーナフサ、水素化分解装置ナフサ、残油水素化装置ナフサ、脱ブタン化天然ガソリン(DNG)およびナフサ沸点範囲ストリームの製造に用いることができる他の素材から得たガソリン混合成分が含まれる。FCC接触ナフサやコーカーナフサは、接触および/または熱分解反応の生成物であるため、通常よりオレフィン性の高いナフサであり、本発明に従って処理されるより好ましいストリームである。接触分解ナフサストリームの硫黄含有量は、原料の総重量を基準として通常0.05〜約0.7重量%未満、より典型的には0.07〜約0.5重量%である。これらのナフサ原料ストリームには通常、その腐食性および常により厳しくなる環境規制のため除去する必要のある硫黄化合物が含まれる。このような原料に含まれる硫黄化合物の例には、元素硫黄や、脂肪族性、ナフテン性および芳香族性メルカプタン、硫化物、二硫化物、多硫化物、並びにチオフェンおよびそのより高級な同族体および類縁体が含まれるが、これらに限定されない。
【0017】
本明細書で用いるのに適切なゼオライトは、シリカ/アルミナ比が比較的高く、単位胞サイズが直径で約6Å超のものである。比較的高いシリカ/アルミナ比とは、シリカ/アルミナ比が、ベースゼオライトより少なくとも約10%、好ましくは少なくとも約50%大きいことを意味する。例えば、ベースゼオライト「フォージャサイトY」は、典型的には、シリカ/アルミナ比2を有するが、その高シリカ型は、少なくとも約4のシリカ/アルミナ比を有する。ベースとなる中性ゼオライトの例には、グメリナイト、チャバザイト、ダチアルダイト、クリノプチロライト、フォージャサイト、ホイランダイト、レヴィナイト、エリオナイト、カンクリナイト、スコレサイト、オフレタイト、モルデナイトおよびフェリエライトが含まれるが、これらに限定されない。合成ゼオライトには、ゼオライトX、Y、L、ZK−4、ZK−5、E、H、J、M、Q、T、Z、アルファおよびベータ、ZSMタイプおよびオメガが含まれる。好ましくはフォージャサイト、特にゼオライトYおよびゼオライトXである。より好ましくは、単位胞サイズが直径で約6Å超のものである。例えば、ゼオライトYおよびXの単位胞サイズは約13Åである。これは、硫黄含有分子が進入し、転化されたより大きな硫黄含有分子となって出てゆくのに十分な大きさである。
【0018】
本発明は一般に、硫黄含有ナフサストリームを、有効量の高シリカゼオライトと有効な時間をかけて接触させることにより実施される。有効量の高シリカゼオライトとは、低沸点硫黄化合物の少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも約75重量%、より好ましくは約90重量%超を、より高沸点の硫黄化合物に反応条件下で転化する量、またはそれ以上の量のゼオライトを意味する。反応条件には約−30〜約300℃、好ましくは約0〜約100℃の温度およびほぼ大気圧〜約500psig、好ましくはほぼ大気圧〜約200psigの圧力が含まれる。低沸点の留分とは、約150℃未満、好ましくは約100℃未満で沸騰する留分を意味する。接触が完了し、所定の量の低沸点の硫黄化合物が高沸点の硫黄化合物に転化された後、処理したナフサ原料ストリームを低沸点の留分と高沸点の留分に分留する。高沸点の留分には、低沸点の硫黄化合物から転化された高沸点の硫黄化合物が含まれる。低沸点の留分には、実質的により低レベルの硫黄化合物が含まれる。得られた低沸点の留分は、モーガスプール中に混合するのに適切であり、また水素を消費し、オレフィンを飽和し、オクタンレベルを低減する高価な水素化を必要としない。高沸点の留分は、十分に硫黄を除去してモーガスプールの混合材としても用いうるようにするためには、水素化脱硫などの水素化を必要とする。低沸点のナフサ留分とは異なり、高沸点のナフサ留分は、多くのオレフィンを含まず、従って水素化中にオクタンを失わない。
【0019】
高沸点の留分を従来の水素化脱硫に付して、少なくとも一つの硫黄留分を除去してもよい。水素化脱硫は、硫黄化合物を効果的に除去するための従来の方法である。典型的な水素化脱硫方法においては、硫黄成分を適切な触媒の存在下に水素ガスと反応させて硫化水素を形成することによって、硫黄成分の一部を炭化水素原料ストリームから除去する。適切な触媒は、典型的には、少なくとも一種の第VIII族金属(ニッケル、コバルトなど)および少なくとも一種の第VI族金属(モリブデン、タングステンなど)を、耐火性担体に担持してなるものである。第VIII族および第VI族は元素周期律表による。洗浄溶剤(アミンなど)を用いて硫化水素を生成物ガスストリームから除去し、続いてクラウスプラントで硫化水素を元素硫黄に転化することができる。
【0020】
低沸点の硫黄化合物を高沸点の硫黄化合物に転化することと、二つの留分を分留することを別個の槽で行うことは、本発明の範囲内である。例えば、硫黄化合物の転化を反応槽で行い、全ストリームを分留槽に送り、そこで沸点に基づいて少なくとも二つのストリームを製造してもよい。また、転化工程および分留工程を単一槽内で行うることも、本発明の範囲内である。例えば、槽を蒸留槽として、その中で全カットナフサを蒸留カラムに送り、低沸点の留分および高沸点の留分を製造してもよい。低沸点の留分は高シリカゼオライトの床を通って上昇し、そこで低沸点硫黄化合物が高沸点の化合物に転化され、これは最後には高沸点の留分に入る。前記したように、比較的高レベルの硫黄化合物を含むより高沸点の留分は、モーガスプールの混合材として用いられる前に、水素化脱硫方法の装置に送られる。
【0021】
以下の実施例は本発明を例証するために示されるものであり、いかなる意味においても本発明を限定するものとして解釈されることはないものとする。
【0022】
実施例
実施例1
ガラスカラムにシリカ/アルミナ比4/1の高シリカゼオライト(UOP HISIV−1000)60グラムを充填し、次いでカナダ国Dartmouth産軽質分解ナフサ(DLCN)80ccを注いだ。DLCNは約C5〜250°Fの沸点範囲を有した。カラムを室温(22℃)で3時間保持し、次いで処理したDLCNをカラムから排出した。未処理および処理後のDLCN中の全硫黄組成を、硫黄特異的ガスクロマトグラフィを用いて測定した。
【0023】
硫黄特異的分析によるクロマトグラムを図1に示す。硫黄化合物のカラムからの溶出は沸点の関数となっており、より低沸点の化合物は最初に溶出する。示されるように、未処理のDLCN中の硫黄化合物は、主として、メチルメルカプタンとベンゾチオフェンの中間の沸点を有する化合物である。一方、処理後のDLCN中の硫黄化合物は、2−メチル−4−エチルチオフェンより高い沸点を有する。これらのクロマトグラムは明らかに、軽質硫黄化合物から重質硫黄化合物への転化を示すものである。DLCN中の全硫黄レベルは750wppmであるのに対し、処理後のDLCNにはベンゾチオフェンより低沸点の硫黄化合物が合計37wppmしか含まれていない。これは、軽質硫黄化合物が95%低減したことを示す。
【0024】
実施例2
ガラスカラムにシリカ/アルミナ比4/1の高シリカゼオライト(UOP HISIV−1000)60グラムを充填し、次いでカナダ国Sarnia産分解ナフサ(SCN)(全沸点範囲)80ccを注いだ。SCNは、約C5〜450°Fの沸点範囲を有した。カラムをほぼ室温で3時間保持し、次いで処理したSCNをカラムから排出した。未処理および処理後のSCN中の硫黄組成を、硫黄特異的ガスクロマトグラフィを用いて測定した。
【0025】
硫黄特異的分析によるクロマトグラムを図2に示す。示されるように、未処理のSCN中の硫黄化合物は、主として、メチルメルカプタンとジメチルベンゾチオフェンの中間の沸点を有する化合物である。一方、処理後のSCN中の硫黄化合物は、ベンゾチオフェンより高い沸点を有する。これらのクロマトグラムは明らかに、低沸点硫黄化合物から高沸点硫黄化合物への転化を示すものである。SCN中の全硫黄レベルは2000wppmであるのに対し、処理後のSCNにはベンゾチオフェンより低沸点の硫黄化合物が合計60wppmしか含まれていない。これは、軽質硫黄化合物が97%低減したことを示す。
【0026】
実施例3
ガラスカラムにシリカ/アルミナ比約1の標準Na13Xを100グラム充填した。次いでNa13Xに、Dartmouth産軽質分解ナフサ(DLCN)100ccを注いだ。DLCNは約C5〜250°Fの沸点範囲を有した。カラムを室温で3時間保持し、次いで処理したDLCNをカラムから排出した。未処理および処理後のDLCN中の全硫黄組成を、硫黄特異的ガスクロマトグラフィを用いて測定した。
【0027】
硫黄特異的分析によるクロマトグラムを図3に示す。硫黄化合物のカラムからの溶出は沸点の関数となっており、より低沸点の化合物は最初に溶出する。示されるように、処理後の生成物中の全硫黄レベルは原料中のそれより低い(81:760wppm)が、処理後のDLCN中の硫黄化合物は、原料中に見出されるものと同じである。このことは、硫黄化合物の転化が全く生じなかったことを示す。代わりに、いくらかの硫黄化合物がNa13X上に吸着されただけで、高シリカ−アルミナフォージャサイトとは異なって、これらがより高分子量の化合物に転化されることはなかった。
【図面の簡単な説明】
【図1】
図1Aは、実施例1の未処理のDartmouth産軽質接触分解ナフサについての、硫黄特異的分析のクロマトグラムである。
図1Bは、実施例1の処理後のDartmouth産軽質接触分解ナフサについての、硫黄特異的分析のクロマトグラムである。
【図2】
図2Aは、実施例2の未処理のSarnia産接触分解ナフサについての、硫黄特異的分析のクロマトグラムである。
図2Bは、実施例2の処理後のSarnia産接触分解ナフサについての、硫黄特異的分析のクロマトグラムである。
【図3】
実施例3による処理後のDartmouth産軽質接触分解ナフサについての、硫黄特異的分析のクロマトグラムである。
Claims (10)
- 低沸点硫黄化合物を含むナフサ沸点範囲のストリーム中の硫黄レベルを低減する方法であって、
(a)前記ナフサ沸点範囲のストリームを、前記低沸点硫黄化合物の少なくとも一部がより高沸点の硫黄化合物に転化されるのに有効な条件で、高シリカゼオライトと接触させる工程;および
(b)前記接触されたナフサストリームを、低沸点範囲の留分および高沸点範囲の留分に分留する工程であって、前記低沸点範囲の留分は、150℃未満で沸騰し、前記高沸点範囲の留分は、前記より高沸点の硫黄化合物を含む工程
を含むことを特徴とする硫黄レベルを低減する方法。 - 前記高シリカゼオライトのシリカ/アルミナ比は、ベースゼオライトより少なくとも10%大きいことを特徴とする請求項1に記載の硫黄レベルを低減する方法。
- 前記ベースゼオライトは、グメリナイト、チャバザイト、ダチアルダイト、クリノプチロライト、フォージャサイト、ホイランダイト、レヴィナイト、エリオナイト、カンクリナイト、スコレサイト、オフレタイト、モルデナイトおよびフェリエライトからなる群から選択されることを特徴とする請求項2に記載の硫黄レベルを低減する方法。
- 前記ベースゼオライトは、単位胞サイズが直径で6Åより大きく、前記ベースゼオライトは、フォージャサイトであることを特徴とする請求項3に記載の硫黄レベルを低減する方法。
- 処理される前記ナフサストリームは、10〜230℃の沸点範囲を有することを特徴とする請求項1に記載の硫黄レベルを低減する方法。
- 前記ナフサストリームは、接触分解ナフサであることを特徴とする請求項5に記載の硫黄レベルを低減する方法。
- 前記シリカ/アルミナ比は、前記ベースゼオライトのそれより少なくとも50%大きいことを特徴とする請求項2に記載の硫黄レベルを低減する方法。
- 前記低沸点範囲の留分は、100℃未満で沸騰することを特徴とする請求項1に記載の硫黄レベルを低減する方法。
- 前記ナフサは、接触分解ナフサであることを特徴とする請求項3に記載の硫黄レベルを低減する方法。
- 工程(a)および(b)の両方は、単一の槽内で行われることを特徴とする請求項1に記載の硫黄レベルを低減する方法。
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