JP2004517061A - 皮膚の障壁機能を向上させるための炭水化物の使用 - Google Patents

皮膚の障壁機能を向上させるための炭水化物の使用 Download PDF

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Abstract

本発明は、皮膚の障壁機能を向上させるための組成物における炭水化物誘導体の使用に関する。また、皮膚に炭水化物誘導体を含有する組成物を適用することによる、皮膚の障壁機能を向上させるための美容処理方法に関する。

Description

【発明の開示】
【0001】
本発明は、皮膚の障壁機能を改善するための組成物における炭水化物誘導体の使用に関する。本発明は、また、皮膚に炭水化物誘導体を含有する組成物を適用することによる、皮膚の障壁機能を改善するための美容処理方法に関する。
【0002】
ヒトの皮膚は2つの区画、すなわち深層区画である真皮と、表層区画である表皮により構成されている。
表皮は外部環境に接触している。表皮は生物体を脱水から、また外部の化学的、機械的又は感染性の攻撃から保護するものである。
表皮を構成している細胞は、細胞間脂質構造により画成されている。分化中、表皮の生存層に細胞膜の流動構造をつくりだすリン脂質が、主として脂肪酸、コレステロール及びスフィンゴ脂質からなる混合物に、徐々に置き換わっていく。これらの脂質は、その完全性が、存在するフラクションの質ばかりでなくその各々の割合にも依存する特定のラメラ構造に組織化されている。そのラメラ状の脂質構造により皮膚は柔軟である。脂質の中でも、スフィンゴ脂質(セラミド類)が、角質細胞間脂質のマルチラメラ構造の維持に必須である。それらは、水分交換及び表皮の「障壁」機能にとっても必須である。
【0003】
角質細胞間脂質は変性を受ける。この成熟は適切な障壁機能の確立にとって必要なものである。グリコシルセラミド等の脂質前駆体のセラミドへの脱グリコシル化は、特定の内在性グリコシダーゼ(グルコシダーゼ)の作用により調節される。その結果、脱グリコシル化は、皮膚の障壁機能の発達における重要な工程となっている。
皮膚、特に表皮の脂質は、遺伝的要因、年齢、食事、環境要因、攻撃及び/又はある種の病気(例えば、壊血病又はペラグラ)により影響を受ける。これらの要因により、皮膚の脂質の組成が改変するか変性し、又はその量が低減し、乾燥肌になってしまう。
【0004】
本発明は、皮膚に対する炭水化物誘導体の効果のインビトロ及びインビボ研究から生じたものである。
皮膚の落屑を促進させるために上記炭水化物誘導体を使用することは、ロレアルの国際特許出願「皮膚の落屑を促進させるための炭水化物の使用」(国際公開第97/12597号)に既に記載されている。
【0005】
しかして、我々は、驚くべきことに、ある種のβ―グルコシダーゼを特異的に刺激することによって得られ、炭水化物誘導体を特に局所的に適用した場合に、皮膚の障壁機能及び/又は粘膜の障壁機能が改善されることに現れる、炭水化物誘導体の新規な効果を見出した。
換言すれば、本発明は、皮膚の障壁機能を改善するために使用される組成物に関するもので;該機能はβ―グルコシダーゼ活性に相関しており、障壁機能の改善はβ―グルコシダーゼ活性の刺激によりなされる。
糖脂質の異化作用に関与する特定のβ―グルコシダーゼは、グルコシルセラミド類である。β―グルコシダーゼ活性が特異的に増大すると、皮膚脂質中のセラミド量が増加し、よって皮膚の障壁機能が改善される。
特に、O―オクタノイル―6´―マルトースは、角質層において、ある種のグリコシダーゼ、特にβ―D―グルコシダーゼの活性を刺激する効果を有していることが分かった。さらにインビボにおいて、その効果は、皮膚の障壁機能の大幅な増大に相関している。
【0006】
よって、本発明は、皮膚の障壁機能を改善するための組成物における、次の一般式(I):
R―X―A (I)
[上式中、
Aは、好ましくはアセタール架橋を介して、互いに結合した3〜6の炭素原子をそれぞれ有する1〜20の炭水化物単位又は炭化水素誘導体からなる鎖を表し、該単位のそれぞれは、例えばハロゲン、アミン官能基、酸官能基、エステル官能基、チオール、アルコキシ官能基、チオ―エーテル官能基、チオ―エステル官能基、アミド官能基、カルバマート官能基又は尿素官能基で置換可能であり;
Rは、ヒドロキシル官能基、カルボン酸官能基、アミン官能基、エステル官能基、アシルオキシ官能基、アミド官能基、エーテル官能基、カルバマート官能基又は尿素官能基を担持していてもよい、エーテル架橋を間に挿入し得、1〜24、好ましくは4〜24の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状のアルキル鎖又はアルケニル鎖を表し;
Xは、アミン、エーテル、アミド、エステル、尿素、カルバマート、チオエステル、チオエーテル又はスルホンアミド官能基等の、RとAを結合させる官能基を表す]
の少なくとも一の炭水化物又は炭水化物誘導体を提供することにある。
好ましくは、Rは、ヒドロキシル官能基を担持していてもよい、4〜24の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状のアルキル鎖又はアルケニル鎖を表す。
それぞれの炭水化物成分A単位は糖又は糖誘導体であってよい。例えば、それぞれの成分A単位は、還元糖、アミノ糖又はカルボン酸官能基を担持する糖であってよい。
【0007】
挙げることのできるAの部分を形成可能な糖類又は糖誘導体の例は、おそらくはその塩の形態である、次の市販品:N―アセチル―D―ガラクトサミン、N―アセチル―D―グルコサミン、N―アセチル―ノイラミン酸、アドニトール、β―D―アロース、β―D―アルトロース、6―アミノ―6―デオキシ―D―グルコース、1,6―アンヒドログルコース、アラビン酸(arabinicacid)、アラビノガラクタン、D―アラビノース、L―アラビノース、D,L―アラビノース、D―アラビトール、D―セロビオース、D―グルコサミン、D―ガラクトサミン、2―デオキシ―D―グルコース、6―デオキシ―D―ガラクトース、6―デオキシ―L―ガラクトース、ガラクティトール、メソエリトリトール、D―エリトロース、D―フルクトース、D―フコース、L―フコース、D―ガラクタル酸、ガラクティトール、ガラクトマンナン、D―ガラクトノ―1,4―ラクトン、L―ガラクトノ―1,4―ラクトン、D―ガラクトサミン、D―ガラクトース、L―ガラクトース、D―ガラクツロン酸、β―ゲントビオース(gentobiose)、グルカミン、D―グルカル酸、D―グルコノ―1,5―ラクトン、L―グルコノ―1,5―ラクトン、D―グルコサミン、D―グルコサミン酸、D―グルコロン酸(glucoronicacid)、L―グルコース、D―グルコース、イソマルチトール、イソマルトトリオース(isomaltotriose)、イソマルトース、ラクトビオン酸、ラクツロース、D―リキソース、L―リキソース、リキソサミン、マルチトール、D―マルトース、マルトテトラオース(maltotetraose)、マルトトリイトール(maltotriitol)、マルトトリオース、D―マンノサミン、D―マンノース、L―マンノース、D―メレジトース、D―メリビオース、D―ラフィノース、D―ラフィノースウンデカ―アセタート、L―ラムノース、D―リボース、L―リボース、D―リブロース、ルチノース、D―サッカロース、α―ソフォロース(sophorose)、ソルビトール、D―タガトース、D―タロース、D―トレオース、ツラノース、D―キシリトール、D―キシロース、L―キシロース、D,L―キシロースである。
【0008】
好ましくは、Aは次の炭化水素鎖から選択される:
D―グルコサミン又は2―アミノ―2―デオキシ―D―グルコース、D―グルカミン又は1―アミノ―1―デオキシ―D―グルシトール、N―メチルグルカミン、D―グルコース、D―マルトース、ソルビトール、マルチトール。
好ましくは、Rは、n―ブチル、n―オクチル、2―エチルヘキシル又はn―ドデシル基等のように、4〜16の炭素原子を有する。
本発明において、好ましい組成物は:N―ブタノイル―D―グルコサミン、N―オクタノイル―D―グルコサミン、N―オクチルオキシカルボニル―N―メチル―D―グルカミン、N―2―エチルヘキシルオキシカルボニル―N―メチル―D―グルカミン、6´―O―オクタノイル―D―マルトース、6´―O―ドデカノイル―D―マルトースから選択される少なくとも一の生成物を含有する。
【0009】
生成物(I)の調製法は当業者にはよく知られている。この点に関しては、例えば次の仏国及び欧州特許:仏国特許出願公開第2703993号、仏国特許出願公開第2715933号、欧州特許出願公開第0577506号、欧州特許出願公開第0566438号及び欧州特許出願公開第0485251号を参照すべきである。
より好ましくは、式(I)の炭水化物誘導体はO―オクタノイル―6´―マルトースである。
本発明の組成物において、炭水化物(I)又は炭水化物(I)の混合物は、組成物の全重量に対して0.05重量%〜20重量%の量、特に組成物の全重量に対して0.2重量%〜10重量%、好ましくは0.5重量%〜5重量%の量で使用することができる。
炭水化物(I)は、実験欄(1.1部)に記載されているインビトロテストにより選択することができる。
【0010】
その結果、本発明は上述した組成物の使用に関し、ここで炭水化物誘導体は、β―D―グルコシダーゼ活性に対する該誘導体の刺激効果を定量可能なインビトロテストを使用して選択され、該テストは、次の工程を含む:
a)炭水化物誘導体、β―D―グルコシダーゼ、該β―D―グルコシダーゼのための色原体基質、及び適切なバッファー溶液により構成される混合物を作製し;
b)特に、色原体基質の開裂により放出される発色団の量をアッセイすることにより、β―グルコシダーゼの酵素反応速度を定量し;そして
c)誘導体を含有しない対照溶液で測定された反応速度と比較して、その反応速度が改善されている炭水化物誘導体を選択する。
【0011】
本発明に従って、炭水化物誘導体は、化粧品的又は皮膚科学的に許容可能な媒体、すなわち皮膚、爪及び粘膜、組織及び皮膚と適合性のある媒体を含有する組成物中に使用される。本発明の好ましい実施態様では、組成物のpHは皮膚のpHに近く、4〜7の範囲である。一又は複数の炭水化物誘導体を含有する組成物は、局所的に適用される場合、皮膚、首、毛髪、粘膜及び爪、又は任意の他の体の皮膚領域に適用することができる。
【0012】
組成物は、局所適用による投与に適した形態であることが好ましい。それは、通常、水性アルコール又は油性溶液、ローション又はセラム型の分散液、無水又は油性ゲル、ミルクタイプで、水相に油相を分散させて得られる(O/W)又は逆(W/O)の液体又は半液体状のコンシステンシーのエマルション、クリーム、ゲル又はマイクロエマルションタイプで、ソフトな、半固体状又は固体状のコンシステンシーのエマルション又は懸濁液、又はマイクロカプセル、微小粒子、もしくはイオン性及び/又は非イオン性の小胞分散液の形態である。これらの組成物は常法を使用して調製される。
本発明の組成物は、アルコール又は水性アルコール性溶液の形態、又はクリーム、ゲル、エマルション又はフォームの形態で毛髪に使用することもできる。
本発明で使用される組成物の種々の成分の量は、当該分野において常套的に使用されている量である。
【0013】
前記組成物は、顔、手又は体を保護、トリートメント又は手入れするためのクリーム、体を保護又は手入れするためのミルク、皮膚及び粘膜を手入れするための、もしくは皮膚をクレンジングするためのローション、ゲル又はフォームを構成する。
また、組成物は、石鹸又はクレンジングバーを構成する固体状の調製物からなるものであってもよい。
【0014】
また、知られている方法で、本発明の組成物は、化粧品及び皮膚科学の分野で通常使用されているアジュバント、例えば、親水性又は親油性のゲル化剤、親水性又は親油性の活性成分、防腐剤、酸化防止剤、溶媒、香料、フィラー及び着色料をさらに含有してもよい。これらのアジュバントの量は、当該分野において従来より使用されている量、例えば、組成物の全重量に対して0.01%〜20%である。当業者であれば、本発明の組成物に固有の有利な特性が、考えられたアジュバントにより変化しないか、又は実質的に変化しないように留意して、任意の添加剤及び/又はそれらの量を選択するであろう。
【0015】
本発明において使用可能な油としては、鉱物性油(ワセリン油)、植物性油(シア油、スイートアルモンド油)、動物性油、合成油、シリコーン油(シクロメチコーン)及びフッ化油(ペルフルオロポリエーテル)を挙げることができる。また油性物質としては、脂肪アルコール、脂肪酸(ステアリン酸)又はロウ(パラフィン、カルナウバ、ミツロウ)を使用することもできる。
本発明において使用可能な乳化剤としては、スパン(Span)60及びトゥイーン(Tween)60の各商品名でICI社から販売されているステアリン酸ソルビタン、及びポリソルベイト60を挙げることができる。例えばエムコール(Emcol)249―3Kとしてウィトコ社(Witco)から販売されているPPG―3ミリスチルエーテル等の共乳化剤を加えることもできる。
本発明で使用可能な溶媒としては、低級アルコール、特にエタノール及びイソプロパノール、及びプロピレングリコールを挙げることができる。
【0016】
挙げることができる親水性ゲル化剤は、カルボキシビニルポリマー類(カーボマー:carbomers)、アクリルコポリマー類、例えばアクリラート/アクリル酸アルキルのコポリマー類、ポリアクリルアミド類、多糖類、例えばヒドロキシプロピルセルロース、天然ガム類(キサンタン)及びクレー類であり;また、挙げることができる親油性のゲル化剤は、変性クレー類、例えばベントーン類、脂肪酸の金属ゾル、例えばステアリン酸アルミニウム、疎水性シリカ、ポリエチレン類及びエチルセルロースである。
使用可能な親水性活性成分には、タンパク質又はタンパク質の加水分解物、アミノ酸、ポリオール、尿素、アラントイン、糖類と糖類誘導体、水溶性ビタミン類、デンプン、又は細菌又は植物からの抽出物、特にアロエ・ベラが含まれる。
使用可能な親油性の活性成分には、トコフェロール(ビタミンE)とその誘導体、必須脂肪酸、セラミド類及び精油が含まれる。
【0017】
光加齢に効果的に抗するために、UVA及び/又はUVBに活性があり、スルホン官能基を含んでいてもよく、親水性又は疎水性であってもよい一又は複数の補足的なサンスクリーン剤を、本発明の組成物に添加することができる。サンスクリーン剤は有機及び/又は無機サンスクリーン剤から好ましく選択される。
有機サンスクリーン剤としては、ケイ皮酸誘導体、サリチル酸誘導体、ショウノウ誘導体、トリアジン誘導体、ベンゾフェノン誘導体、ジベンゾイルメタン誘導体、β,β―ジフェニルアクリラート誘導体、p―アミノ安息香酸誘導体、国際公開第93/04665号に記載されている重合性サンスクリーン剤及びシリコーンサンスクリーン剤、又は欧州特許出願公開第0487404号に記載されている有機サンスクリーン剤を挙げることができる。
【0018】
挙げることのできる無機サンスクリーン剤は、特に、被覆又は非被覆金属酸化物の顔料、又は好ましくはナノ顔料(一次粒子の平均粒径:一般的に5nm〜100nm、好ましくは10nm〜50nm)、例えばUV線を物理的にブロック(反射及び/又は散乱)することにより作用する、全てよく知られている光保護剤である、酸化チタン(アモルファス、又はルチル及び/又はアナターゼ型の結晶)、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム又は酸化セリウムのナノ顔料類である。また、アルミナ及び/又はステアリン酸アルミニウムは従来からのコーティング剤である。このような被覆又は非被覆金属酸化物のナノ顔料は、特に、欧州特許出願公開第0518772号及び欧州特許出願公開第0518773号に記載されている。
【0019】
挙げることのできるUV―A及び/又はUV―B領域に活性のある補足的なサンスクリーン剤の例は:
・p―アミノ安息香酸;
・オキシエチレン化(25モル)されたp―アミノベンゾアート;
・2―エチルヘキシル―p―ジメチルアミノベンゾアート;
・N―オキシプロピレン化されたp―アミノ安息香酸エチル;
・グリセロール―p―アミノベンゾアート;
・ホモメンチルサリチラート;
・サリチル酸2―エチルヘキシル;
・トリエタノールアミンサリチラート;
・4―イソプロピルベンジルサリチラート;
・4―tert―ブチル―4´―メトキシ―ジベンゾイルメタン(ジボーダン・ルール社(GIVAUDANROURE)のパルソール(PARSOL)1789);
・p―メトキシケイ皮酸2―エチルヘキシル(ジボーダン・ルール社のパルソールMCX);
・4―イソプロピル―ジベンゾイルメタン(メルク社(MERCK)のユーソレックス(EUSOLEX)8020);
・アントラニル酸メンチル、
・2―エチルヘキシル―2―シアノ―3,3´―ジフェニルアクリラート(BASF社のユビヌル(UVINUL)N539);
・2―シアノ―3,3´―ジフェニルアクリル酸エチル;
・2―フェニルベンゾイミダゾール―5―スルホン酸とその塩;
・3―(4´―トリメチルアンモニウム)ベンジリデン―ボルナン―2―オン―メチルスルファート;
・2―ヒドロキシ―4―メトキシベンゾフェノン(BASF社のユビヌルMS40);
・2―ヒドロキシ―4―メトキシベンゾフェノン―5―スルホナート(BASF社のユビヌルMS40);
・2,4―ジヒドロキシベンゾフェノン(BASF社のユビヌル400);
・2,2´,4,4´―テトラヒドロキシベンゾフェノン(BASF社のユビヌルD50);
・2,2´―ジヒドロキシ―4,4´―ジメトキシベンゾフェノン(ノーケー社(NORQUAY)のヘロソーブ(HELOSORB)II);
・2―ヒドロキシ―4―n―オクトキシベンゾフェノン;
・2―ヒドロキシ―4―メトキシ―4´―メチルベンゾフェノン;
・α―(2―オキソボルン―3―イリジエン)―トリル―4―スルホン酸とその塩;
・3―(4´―スルホ)ベンジリデン―ボルナン―2―オンとその塩;
・3―(4´―メチルベンジリデン)―d,l―ショウノウ;
・3―ベンジリデン―d,l―ショウノウ;
・ベンゼン―1,4―ジ(3―メチリデン―10―ショウノウスルホン酸)とその塩(シメックス社(CHIMEX)のメギゾリル(MEXORYL)SX);
・ウロカニン酸;
・2,4,6―トリス[p―(2´―エチルヘキシル―1´―オキシカルボニル)アニリノ]―1,3,5―トリアジン;
・2―[(p―(ターチオブチルアミド)アニリノ]―4,6―ビス[(p―(2´―エチルヘキシル―1´―オキシカルボニル)アニリノ]―1,3,5―トリアジン;
・2,4―ビス{[4―2―エチルヘキシルオキシ]―2―ヒドロキシフェニル}―6―(4―メトキシフェニル)―1,3,5―トリアジン;
・N―(2及び4)―[2―オキソボルン―3―イリデン)メチル)ベンジル]アクリルアミドのポリマー;
・4,4―ビス―ベンゾイミダゾリル―フェニレン―3,3´,5,5´―テトラスルホン酸とその塩;
・2,2´―メチレン―ビス[6―(2H―ベンゾトリアゾール―2―イル)―4―(1,1,3,3―テトラメチルブチル)フェノール];
・マロナート官能基を有するポリオルガノシロキサン類;
である。
【0020】
また本発明は、上述した組成物を、該組成物を使用するための通常の技術を用いて、適用することにより、実施される美容処理方法に関し;該美容処理方法により皮膚の障壁機能が改善される。例は、クリーム、ゲル、セラム、軟膏、ローション、ミルクの皮膚、頭皮、爪及び/又は粘膜への適用である。
実験欄には、少なくとも一の炭水化物誘導体の例の効果に関する、インビトロ及びインビボ研究から得られた結果を示す。皮膚の障壁機能を改善するために本発明において使用される組成物の非限定的な実施例をまた以下に記載する。
【実施例】
【0021】
1 グリコシダーゼ活性の刺激に対する炭水化物誘導体O―オクタノイル―6´―マルトース[α―D―グルコピラノシル―1―4―D―グルコピラノース]の研究
1.1 角質層中のグリコシダーゼの活性に対するO―オクタノイル―6´―マルトースの効果
本発明の炭水化物誘導体の障壁機能の性質と重要性を決定するために、グリコシダーゼ活性に対するO―オクタノイル―6´―マルトースの効力を、次の酵素テストを使用して研究した:
アッセイは96ウェルプレートで実施した。以下のものを含有する混合物を作製した:
・パラ―ニトロフェノール(PNP)と結合させた特異的な色原体基質の10mM溶液を75μl;
・700mMのクエン酸バッファー/200mMのリン酸ナトリウム、pH4.5を10μl;
・O―オクタノイル―6´―マルトース[α―D―グルコピラノシル―1―4―D―グルコピラノース]の0.5M溶液を55μl;
・角質層からの可溶性グリコシダーゼの溶液を40μl。この溶液は、単に、1%のトゥイーン20を含有する70mMのクエン酸ナトリウムバッファー、pH4.5中で前腕を引っ掻き、0.45及び0.22μmの孔径を有する膜を通して順次濾過して細胞屑を取り除くことにより得られた。
37℃で1時間30分から48時間の範囲の時間、インキュベートした後に、黄色の着色を定量することにより、測定を実施した。
【0022】
図1に示した結果には、テストしたグリコシダーゼの中で、β―グルコシダーゼのみがO―オクタノイル―6´―マルトースにより影響を受けた速度を持っていたことが示されている。他のグリコシダーゼは、O―オクタノイル―6´―マルトースの存在に無関係か、非常にわずか阻害されただけである。β―D―グルコシダーゼ(リソソーム)は、糖脂質の異化作用、特にグルコシル―セラミドのセラミドへの異化作用に関与している。よって、それらは障壁機能に特異的に関与している。
【0023】
1.2 O―オクタノイル―6´―マルトースの至適濃度
β―D―グルコシダーゼ活性を最も高くするためのO―オクタノイル―6´―マルトースの至適濃度を、生成物の濃度を増加し、比較することにより探索した。図3に示した結果には、最大刺激が約40mM(1%)の濃度で観察されたことが示されている。この結果により、O―オクタノイル―6´―マルトースは、β―グルコシダーゼ活性を刺激し、よって障壁機能を改善するために、化粧品用組成物においては約1%の濃度で使用可能であり、前記濃度は化粧品的に許容可能な範囲である。マルトース単独であっても、グルコース単独であっても、β―D―グルコシダーゼ活性を刺激することはなかった。しかしながら、O―オクタノイル―6―D―グルコースは、僅かながら、ある種の刺激活性を示し、炭水化物―炭素鎖の組み合わせがグルコシダーゼ活性に作用する因子であることを示している。
【0024】
1.3 熱安定性組換えグリコシダーゼに対するO―オクタノイル―6―D―マルトースの効果
さらに、O―オクタノイル―6´―マルトースを、クローンザイム社(Clonezyme)から販売されているグリコシダーゼに対するその効果についてテストした。以下の表1には、各グリコシダーゼの基質特異性を示している。図3には、O―オクタノイル―6´―マルトースの濃度を増加させてテストした7種のグリコシダーゼの結果が示されている。
Figure 2004517061
図3に示されているデータには、テストした全てのグリコシダーゼが、O―オクタノイル―6´―マルトースの存在下で同様に刺激されるものではないことが示されている。第1のグループの酵素は非感受性であった。第2のグループの酵素は阻害された。第3のグループはそれらの基本活性の400%までの刺激を示した。
【0025】
結論として、この研究では次のことが示された:
1)炭水化物誘導体は、β―グルコシダーゼ、特に角質層に存在しているものを特異的に活性化すること;
2)この効果は、他のテスト用グリコシダーゼに対しては、弱いか又はないか、あるいは反対であり、これらの生成物における刺激効果はβ―グルコシダーゼに特異的であることを示唆している。
【0026】
2 皮膚の障壁機能の改善に対するO―オクタノイル―6´―マルトースのインビボ効果
β―D―グルコシダーゼ活性に対するO―オクタノイル―6´―マルトースの特異的な刺激性は、皮膚の障壁機能を改善する炭水化物誘導体の効果を示唆している。この仮説を検証するために、インビボでの研究を実施した。
この研究の目的は、障壁機能に対するO―オクタノイル―6´―マルトースの効果を、4週間かけて評価することであった。
【0027】
2.1 実験プロトコル
実験欄:この研究には、全員女性で年齢が18〜50歳、脚に乾燥肌(スコア>2)があり、g/m.hで測定した不感水分損失(IWL)が8を超える、70人の志願者が含まれている。
各個人は、一方の脚を処理し、もう一方の脚は処理せず(右又は左は無作為に選択)、2つの統計上のグループを作った(処理、未処理)。
平均IWLは10.79であった。また、平均乾燥スコアは2.68であった。
脚に1日2回適用する処理を、右/左の無作為化に従って行った。障壁効果をIWL(不感水分損失)とラグタイム(ニコチン酸メチルによる赤みの出現までの秒数)を使用して評価した。
不感水分喪失(IWL)を測定するために、製造者の使用説明書に従って、Courage/KhasakaTewameterを使用した。
ニコチン酸メチルを適用した後のラグタイムを測定するために、製造者の使用説明書に従って、DopplerPerimedレーザを使用した。
【0028】
次にデータの統計分析を実施した:
・0週(T0)と4週(T4)でのデータの平均を、マッチド・ペアに対するスチューデントのt―検定を使用して比較した。
・T4における処理領域と対照領域の平均を、マッチド・ペアに対するスチューデントのt―検定を使用して比較した。
・異なる処理については単一要素分散分析(生成物)を使用して比較した。Thukey検定により、T4(4週目)における(裸の皮膚に対して処理したもの)平均の倍数2x2の比較が可能となった。
・観察された効果を、対照領域の平均パーセントだけ減じた処理領域の平均パーセント変化により定量した。
【0029】
2.2 結果
ラグタイムとIWLパラメータの平均と標準偏差をT0及びT4において示し、ここでNSは負のテスト結果(有意でない)を表し、Sは正のテスト結果(有意)を表す。処理を第1欄に示す:
・ビヒクル、
油、12%
増粘剤(コロマー(Colomer))、0.3%;
非イオン性界面活性剤、5%(PEG―SQステアラート(ミリ(Myri))、2.5%及びステアリン酸グリセリル/PEG―100ステアラート(アルラセル(Arlacel))2.5%)
水、全体を100%にする量
の標準的な混合物から構成されたビヒクルだけを含有する組成物;
・裸の皮膚、未処理;
・炭水化物、2.17%のO―オクタノイル―6´―マルトース[α―D―グルコピラノシル―1―4―D―グルコピラノース]を含有する組成物。
【0030】
次の表1は、T0及びT4における異なる処理の効果を示し、処理前と処理後のラグタイム及びIWLを比較している。
Figure 2004517061
【0031】
次の表2は、未処理の対照(裸の皮膚)に対する各処理後のラグタイム及びIWLパラメータを比較している。
Figure 2004517061
【0032】
次の表3は、T4において、未処理の対照と比較した、各処理で観察された効果の値を示している。
Figure 2004517061
【0033】
表4は、未処理の対照と比較した、各処理のパラメータのパーセント変化を示している。
Figure 2004517061
【0034】
2.3 結果の検討
結果には、ビヒクル及び「炭水化物」処理により、裸の皮膚と比較して、IWLが有意に減少することが示されている(表2を参照)。
「炭水化物」処理により、IWLが有意に低減されている(−12%)ことが分かる(表4を参照)。
この結果は、特にIWLの有意な低減による、皮膚の障壁機能の改善に対するO―オクタノイル―6´―マルトースの「インビボ」効果を示している。
【0035】
3 処方物の実施例
組成物1:フェイスミルク
ワセリン油 7.0g
O―オクタノイル―6´―マルトース 1.0g
モノステアリン酸グリセリル、ポリエチレ
ングリコールステアラート(100OE) 3.0g
カルボキシビニルポリマー 0.4g
ステアリルアルコール 0.7g
大豆タンパク質 3.0g
NaOH 0.4g
防腐剤 適量
水 全体を100gにする量
この組成物は、良好な化粧品特性を有するフェイスミルクの形態をしており、マイルドで、快適な使用感を有するものであった。
組成物のpHは約5.5であった。
【0036】
組成物2:ローション
O―オクタノイル―6´―マルトース 0.5g
2―エチルヘキシルパルミタート 10.0g
シクロペンタジメチルシロキサン 20.0g
ブチレングリコール 5.0g
防腐剤 適量
水 全体を100gにする量
界面活性剤を含有していないこのローションは、皮膚の落屑を促進した。
【0037】
組成物3:ミルク
パルミチン酸オクチル 35.0g
グリセリン 2.0g
O―オクタノイル―6´―マルトース 0.8g
C10―C30アクリラート/アルキルア
クリラートの架橋ポリマー 0.1g
トリエタノールアミン 0.1g
小麦アミノ酸 1.0g
防腐剤 適量
水 全体を100gにする量
界面活性剤を含有していない得られたミルクは、良好な化粧品特性を有するものであった。
【0038】
組成物4:フェイスゲル
グルセリン 10.0g
O―オクタノイル―6´―マルトース 1.0g
ココアンホ二酢酸二ナトリウム 1.0g
防腐剤 適量
水 全体を100gにする量
得られたゲルは良好な化粧品特性を有するものであった。
【0039】
組成物5:水性クレンジング用ゲル
ブチレングリコール 7.0g
ラウロイルサルコシン酸ナトリウム 4.0g
O―オクタノイル―6´―マルトース 1.0g
トリエタノールアミン 0.8g
カーボマー 0.5g
防腐剤 適量
水 全体を100gにする量
得られたゲルは良好な化粧品特性を有するものであった。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】角質層のグリコシダーゼに対するO―オクタノイル―6´―マルトースの効果を示すグラフである。活性は、O―オクタノイル―6´―マルトースがない状態で測定された値に対しての活性パーセントとして表されている。
【図2】β―グリコシダーゼ活性に対する、異なる濃度でのO―オクタノイル―6´―マルトース、O―オクタノイル―6´―グルコース、マルトース及びグルコースの効果を示す。
【図3】各テスト用組換えグルコシダーゼ(CloneEnzyme)に対するO―オクタノイル―6´―マルトースの効果を示す。

Claims (12)

  1. 皮膚の障壁機能を改善するための組成物における、次の一般式(I):
    R―X―A (I)
    [上式中、
    Aは、好ましくはアセタール架橋を介して、互いに結合した3〜6の炭素原子をそれぞれ有する1〜20の炭水化物単位又は炭化水素誘導体からなる鎖を表し、該単位はそれぞれ、ハロゲン、アミン官能基、酸官能基、エステル官能基、チオール、アルコキシ官能基、チオ―エーテル官能基、チオ―エステル官能基、アミド官能基、カルバマート官能基又は尿素官能基等で置換可能であり;
    Rは、ヒドロキシル官能基、カルボン酸官能基、アミン官能基、エステル官能基、アシルオキシ官能基、アミド官能基、エーテル官能基、カルバマート官能基又は尿素官能基を担持していてもよい、エーテル架橋を間に挿入可能な、1〜24、好ましくは4〜24の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状のアルキル鎖又はアルケニル鎖を表し;
    Xは、RとAを結合させる官能基を表す]
    の少なくとも一の炭水化物又は炭水化物誘導体の使用。
  2. Xが、アミン、エーテル、アミド、エステル、尿素、カルバマート、チオエステル、チオエーテル又はスルホンアミド官能基であることを特徴とする請求項1に記載の使用。
  3. 炭水化物誘導体が、β―D―グルコシダーゼ活性に対する該誘導体の刺激効果を定量可能なインビトロテストを使用して選択され、該テストが、次の工程:
    a)炭水化物誘導体、β―D―グルコシダーゼ、該β―D―グルコシダーゼのための色原体基質、及び適切なバッファー溶液により構成される混合物を作製し;
    b)特に、色原体基質の切断により放出される発色団の量をアッセイすることにより、β―グルコシダーゼの酵素反応速度を定量し;
    c)誘導体を含有しない対照溶液で測定された反応速度と比較して、その反応速度が改善されている炭水化物誘導体を選択する;
    ことを含む、請求項1又は2に記載の使用。
  4. 炭水化物誘導体がO―オクタノイル―6´―マルトースであることを特徴とする請求項1に記載の使用。
  5. 炭水化物(I)又は炭水化物(I)の混合物が、組成物の全重量に対して0.05重量%〜20重量%の量で使用されることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の使用。
  6. 炭水化物(I)又は炭水化物(I)の混合物が、組成物の全重量に対して0.2重量%〜10重量%、好ましくは0.5重量%〜5重量%の量で存在していることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の使用。
  7. 組成物が、UVA及び/又はUVB領域に活性があり、スルホン官能基を含んでいてもよい、少なくとも一の補足的な親水性又は親油性のサンスクリーン剤をさらに含有していることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の使用。
  8. 組成物が局所適用に適していることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の使用。
  9. 少なくとも一の炭水化物(I)を含有する、皮膚の障壁機能を改善するための組成物。
  10. 炭水化物(I)がO―オクタノイル―6´―マルトースである請求項9に記載の組成物。
  11. 組成物が局所適用に適していることを特徴とする請求項9又は10に記載の組成物。
  12. 少なくとも一の炭水化物(I)を含有する組成物を皮膚に適用することからなる、障壁機能を改善するための皮膚の美容処理方法。
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