JP2004515287A - 勾配コイルキャリアの堅固でない懸架素子にピエゾアクチュエータを有するmri装置 - Google Patents

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Abstract

医用MRI装置(18)の勾配コイルキャリアの振動は抑制されるべきである。そのような振動は、迷惑な騒音及び画質を劣化させる巨視的運動をもたらすからである。本発明によれば、勾配コイルシステムは、ピエゾアクチュエータ(21)と連続して接続される弱い弾性の懸架素子(22)を用いて懸架される。非常に弾性の強い懸架素子による低周波振動(10Hzのオーダー)の巨視的運動が抑制され、更に内部ローレンツ力に起因する高周波振動(700Hzのオーダー)が装置のフレームにほとんど伝達されないようなやり方でアクチュエータが制御される。

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気共鳴画像を形成するための装置であって、勾配コイルが配された勾配コイルキャリア(担体、支持体)を有する勾配コイルシステムを備え、前記勾配コイルキャリアが、懸架素子を通して前記装置のフレームに取り付けられ、前記懸架素子の各々が弾性素子を備える、装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種類の装置は、米国特許第5,793,210号から既に知られている。この明細書に記載されるMRI装置は、ガス圧力が雰囲気圧力よりも低い筐体内に置かれている勾配コイルを有する勾配コイルシステムを備える。この種類のコイルは、勾配コイルキャリア上に配置されることができ、この勾配コイルキャリア自体は、MRI装置の他の部分に取り付けられる。勾配コイルキャリアは、特に懸架素子を通してMRI装置のフレームに取り付けられる。
【0003】
検査される患者にとって非常に煩わしい騒音を動作中の勾配コイルがもたらすことは一般に知られた事実である。従って、技術的な狙いは、この騒音を可能な限り低減させることである。このために、既知のMRI装置における勾配コイルは、残留圧力のある真空雰囲気中に置かれ、これにより勾配コイルに生じる振動が前記残留雰囲気を通して周囲に音響的に伝達することが大幅に低減される。前記真空空間は、雰囲気を通した残存伝達を更に低減するために騒音を吸収するファイバガラス材料で満たされうる。懸架素子を通した振動の伝達を抑制するため、懸架素子は、勾配コイルシステムによって生成される振動の伝達を緩和するように構成される。勾配コイルシステムは、特に、懸架素子の一部を形成し所望の音響特性をもつ材料、例えばゴム、プラスチック又はエポキシ材料により、又は特にこの目的のために設けられる支持体又はフランジのような剛構造素子上によりかかる上述の材料のような弾性素子により支持される。
【0004】
振動素子からその周囲への振動の伝達が、比較的低い剛性(スチフネス)をもつばねを通して前記素子を支持することにより抑制されうることはそれ自体知られている。そのようなばねの剛性が低いほど、振動素子(例えば勾配コイルキャリア)から周囲(例えばMRI装置のフレーム)への振動の伝達が少なくなる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、単純に弾性素子を通して勾配コイルキャリアを支持することにはいくつかの欠点がある。特に、勾配コイルキャリアの振動が迷惑な影響を及ぼす周波数範囲が依然としてある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、勾配コイルキャリアの悪影響が一層抑制される前述した種類のMRI装置を提供することである。これを達成するために、本発明によるMRI装置は、懸架素子の各々が、弾性素子と連続的に接続される能動的な駆動可能素子を備えることを特徴とする。本発明は、勾配コイルキャリアの振動の悪影響の適切な低減が、受動素子(すなわち素子の機械的挙動がその上に及ぼされる静的又は動的負荷にのみ応答する該素子)のみによっては達成されえないという認識に基づく。能動的駆動可能素子が懸架素子に挿入されるとき、勾配コイルキャリアの懸架素子における駆動可能素子は、振動の挙動に関してMRI装置の設計に課されうる特別な要求と一致して電気的な制御回路を介して駆動されることが可能である。
【0007】
現在の最先端技術に一致した勾配コイルキャリアの非常に弱い懸架素子は、特に、動作中このような懸架素子が勾配コイルキャリアの位置の巨視的な変化を生じさせることがあるという欠点をもつ。言い換えると、勾配コイルキャリアが堅固な部材と同じように動かされることがある。勾配コイルキャリアの懸架の方法に依存して、この変位は、例えば勾配コイルキャリアの巨視的な回転として、又は勾配コイルキャリアがよりかかる懸架素子上の揺動として現れることがある。この欠点は、特に、最大の振動絶縁を達成する目的で可能な限り弱い懸架素子を実現しようとする設計の場合に生じる。巨視的な位置の変化は、MRI画像の取得中、像形成されるべき物体に対して勾配磁場がシフトされることを意味する。明らかに、このようなシフトは、画質に悪影響を及ぼす。勾配コイルキャリアの巨視的な変位を抑制するために、本発明によるMRI装置の実施例は、能動的駆動可能素子が勾配コイルキャリア上に作用する正味の力を中和し又は相殺する(neutralize)ようなやり方で能動的駆動可能素子を駆動するように構成される駆動回路を備える。本発明のこの見地は以下の見識に基づく。勾配コイルキャリアの振動は、MRI装置の定常磁場(いわゆる主磁場)における勾配電流によって引き起こされる。主磁場が、勾配コイルキャリアの近傍の至る所で同じ強度及び同じ方向をもつときには、勾配コイルキャリアは正味のローレンツ力を受けない。しかしながら、主磁場は、実際の状況においては決して均一でないので、巨視的な振動及び関連する変位をもたらす正味のローレンツ力が常にある。このような振動は、一般に10Hzのオーダーの周波数をもつ。能動的駆動可能素子が、それらが前記正味の力に等しく且つ逆向きの力を及ぼすやり方で駆動されるとき、結局、正味の力はもはや勾配コイルキャリア上に働かず、巨視的な変位がもはや生じることはない。こうして、巨視的変位の除去の効果を達成するために力の補償が適用される。
【0008】
本発明によるMRI装置の他の実施例は、能動的駆動可能素子の各々が関連する懸架素子の取り付けポイントの領域で勾配コイルキャリアにより行われる振動変位を補償するようなやり方でこれら能動的駆動可能素子を駆動するように構成される駆動回路を備える。本発明のこの見地は以下の見識に基づく。勾配コイルキャリアは、少なくとも1つの内部共振周波数をもつ。これらの共振周波数(最も重要なものは一般に700Hzのオーダーの周波数をもつ)について、弱い懸架は、周囲からの不適当な振動絶縁をもたらす。これは、勾配コイルキャリアによりもたらされる振動の周囲(MRI装置のフレーム)への伝達が不十分に低減され、これにより煩わしい騒音がフレームを通して他の環境へと伝えられることを意味する。この伝達は、次のやり方で能動的駆動可能素子が駆動されうるという点で抑制される。すなわち、関連する振動により引き起こされる勾配コイルキャリアに対する懸架素子の取り付けポイントの変位が、駆動によって引き起こされる駆動可能素子の長さの変化に起因する能動的駆動可能素子の反対方向の伸張/短縮によって補償される。その結果、懸架素子は、(複数の)駆動周波数について、特に上述した700Hzという一般的な値について事実上弱められる。このような事実上の弱まりは、勾配コイルキャリアによってMRI装置のフレーム上に及ぼされる動的な力の伝達を低減する。こうして、勾配コイルからフレームへの力の伝達の除去の効果を達成するために変位補償が適用される。
【0009】
所望の特性をもつ(電子的)制御、すなわち低周波に関する力の中和(巨視的な変位が除去されるという結果を伴う)及び/又は高周波に関する変位補償(力の伝達が妨げられるという結果を伴う)を実現するために、本発明によるMRI装置の実施例は、勾配信号を生成するための勾配制御回路を備え、上述した装置における駆動回路が、勾配制御回路と能動的駆動可能素子との間に接続されるフィードフォワード回路を備える。この実施例は、勾配コイルキャリアの振動の状態に関する演繹的な知識を有利に利用する。この知識は、低周波に関する所望の力の中和及び/又はより高い周波数に関する所望の変位補償が達成されるように能動的駆動可能素子のための駆動信号が生成されるというやり方で、勾配電流(用の制御信号)から導き出される。
【0010】
本発明による装置の他の実施例における駆動回路は、勾配コイルキャリアの関連する取り付けポイントの領域に設けられる振動センサと、能動的駆動可能素子との間に配されるフィードバック回路を有する。理論上、所与の周波数の不所望の振動がフィードフォーワード制御によってゼロに調整されることができるとしても、実際の状況において結果が不適当なことがある。これは、例えば関連する成分の伝達が正確に知られていない、又はそれが時が経つにつれて変化するという理由による。このような場合に、不所望の振動は、フィードバック回路によってそれをゼロに調整するように試みるために、振動センサによって有利に測定されることができる。実際の状況において、この方法は、フィードフォーワード制御の結果に等しい又はより良い結果をもたらすことができる。この文脈において、振動センサは、例えば力センサ又は変位センサのような特徴的な振動量をとらえるセンサを意味することを理解されたい。
【0011】
以下、本発明について図面を参照して詳しく説明する。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1に概略的に示される磁気共鳴装置は、定常磁場Bを生成するための第1のマグネットシステム1と、勾配磁場を生成するための第2の磁気システム2(勾配コイルシステム)と、勾配コイルシステム2のための電力増幅器3と、第1のマグネットシステム1のための電源4と、を有する。RFコイル5は、RF交番磁界を生成する働きをする。このために、RFコイル5は、RFソース6を含むRF送信装置に接続される。RFコイル5は、RF送信磁場により検査されるべき物体(図示せず)に生成されるスピン共鳴信号の検出のために使用されてもよい。このために、RFコイルは、信号増幅器7を含むRF受信装置に接続される。信号増幅器7の出力部は、中央制御装置10に接続される検出回路9に接続される。中央制御装置10は更に、RFソース6用の変調器11、電力増幅器3、及び表示用モニタ12を制御する。RF発振器13は、測定信号を処理する検出器9及び変調器11を制御する。冷却ダクト15をもつ冷却装置14が、第1のマグネットシステム1のマグネットコイルを冷却するために設けられている。マグネットシステム1及び2内に置かれるRFコイル5は、測定空間16を囲む。この測定空間16は、医学的な診断測定のための装置の場合、検査される患者又は例えば頭部及び足のような検査される患者の一部を受け入れるに十分な大きさである。こうして、定常磁場B、物体のスライスを選択する勾配磁場及び空間的に一様なRF交番磁場が測定空間に生成されることができる。RFコイル5は、送信コイル及び測定コイルの機能を組み合わせることができる。その場合、分離回路8が、順方向の信号トラフィック及び戻りの信号トラフィックを切り離すために設けられる。他の例として、2つの機能について異なるコイルを使用することも可能である。例えば、表面コイルが、測定コイルとして使用されてもよい。望ましければ、コイル5は、RFフィールドをシールドするファラデーケージ17によって囲まれてもよい。
【0013】
図2は、能動的駆動可能素子を備える懸架素子により支持される勾配コイルシステムのためのキャリアの概略図である。勾配コイルキャリア18は、他の形状も実現可能であるが、通常はシリンダ形状をもつ。勾配コイルキャリア18は正面図で示されており、これはシリンダの対称軸が図の平面に対し垂直に延在することを示す。勾配コイルキャリア18は複数の懸架素子19により支持され、それらのうち2つが図示されている。懸架素子は、MRI装置のフレームに直接的又は間接的によりかかり、これは支え(rest)状態にあるとされる。クライオスタットを有する第1の超伝導マグネットシステム1を有するMRI装置の場合、懸架素子19は、クライオスタット筐体20によりかかる。
【0014】
懸架素子19の各々は、金属ばね又は空気ばねとして構成されうる弾性素子22を有する。弾性素子22の剛性は可能な限り低く選ばれ、これにより、勾配コイルキャリア及びラバーブロックにより形成されるシステムの固有振動数は、一般に700Hzのオーダーである絶縁されるべき振動の周波数より非常に低くなる。理解されるように、前記固有振動数より非常に高い周波数の振動は、減衰された形でのみフレームに伝達される。能動的駆動可能素子21は、弾性素子22と連続的に接続される。如何なる既知の構造も前記駆動可能素子21のために使用されることができ、例えば磁歪アクチュエータであってもよい。しかし、好適にはピエゾアクチュエータが用いられる。ピエゾアクチュエータは、単純且つコンパクトな構造をもつからである。更に、ピエゾアクチュエータが、MRI装置により勾配コイルキャリアに作られる磁界に実際に影響を及ぼすことはない。
【0015】
弾性素子22について低い剛性を選択する結果として、勾配コイルキャリア18は、MRI装置のイメージング品質に悪影響を及ぼす巨視的な変位を示すことがある。本発明は、勾配コイルキャリアに作用し巨視的な変位を生じさせる正味の力を補償することにより、すなわち、勾配コイルキャリア上に結果として得られる正味の力がゼロになり前記変位がもはや発生しないようなやり方でピエゾアクチュエータを駆動することにより、この問題の解決策を提供する。ピエゾアクチュエータは、それが連続して接続されるばねを伸縮させるいう点で、上記の効果が達成される。このような伸縮は、勾配コイルキャリアに元来作用する(ローレンツ)力を補償する力を勾配コイルキャリアに働かせる。
【0016】
図3a及び図3bは、勾配コイルキャリアの振動挙動を概略的に示している。図面は双方とも勾配コイルキャリア18の側面図を(二次元表現で)示しており、これは、円筒状の勾配コイルキャリアの対称軸21が図の平面内にあることを意味する。この二次元表現では、勾配コイルキャリア18は、2つの垂直に配された懸架素子19によりかかる。従って、懸架素子19は、シリンダ軸21に対し90度の角度をなす。
【0017】
図3aは、勾配コイルキャリア18の振動の低周波モードを示す。勾配コイルキャリアに作用する正味の力の影響下で、勾配コイルキャリアは、剛体として、すなわち変形が起こることなく振動を受けることがある。この例では、勾配コイルキャリアは、主に垂直方向に変位し、懸架素子19は、それらのベアリングポイント20に対し伸縮する。このモードの振動の周波数は一般に10Hzのオーダーであるので、このモードは低周波振動と呼ばれる。上述した低周波振動による変位は、図3aの破線18aにより示されている。MRI画像の取得中にこの種の変位が生じると、MRI装置のイメージング品質に悪影響を及ぼす。本発明はこの問題の解決策を提供する。このような低周波振動を抑制するようにピエゾアクチュエータを駆動するための制御図を図4に示す。
【0018】
図3bは、勾配コイルキャリア18の高周波モードの振動を示す。勾配コイルキャリアは、勾配コイルキャリア内に作用するローレンツ力の影響下で変形振動を受ける。これらの振動は、勾配コイルキャリアの巨視的な変位を生じさせないが変形を生じさせる。このような変形振動に関する主なモードの振動の周波数は、一般に700Hzのオーダーである。従って、このモードの振動は高周波振動と呼ばれる。このような高周波振動による変形は、図3bの破線18bにより示されている。その形状のため、このような振動のモードは「バナナモード」として知られている。更なるステップがとられない場合、この振動モードは、煩わしい騒音をもたらす振動をMRI装置のフレームに引き起こす。本発明は、ピエゾアクチュエータ21を用いて変位を実現することによりそのような振動の伝達を抑制する。これは、懸架素子19の取り付けポイントの変位が補償されるやり方で、すなわち、ピエゾアクチュエータの等しい大きさの伸縮により行われる。前述したような高周波振動を抑制するようにピエゾアクチュエータを駆動するための制御図が図5に示されている。
【0019】
図4は、低周波、すなわち10Hzのオーダーの周波数の場合の能動的駆動可能素子の駆動の制御挙動を示すブロック図である。このような駆動は、フィードフォワード制御及びフィードバック制御を利用する。このケースでは、フィードフォーワード制御は、勾配コイルキャリアに作用する正味の力の合計がゼロになるやり方で勾配コイルキャリアの振動挙動が予測される駆動形態を意味すると理解されたい。このような予測は、勾配コイルを駆動し、それゆえ勾配コイルの振動を引き起こす信号が前もって知られているので可能である。このケースにおいて、フィードバック制御とは、勾配コイルキャリアの振動挙動が勾配コイルキャリアの取り付けポイントの領域に配置される振動センサによって測定され、こうして測定された振動が実際にゼロであるように制御される駆動形態を意味することを理解されたい。
【0020】
図4に示されるブロック図は、フィードフォーワード制御及びフィードバック制御の組み合わせの効果を表すコントローラブロック25と、制御量が影響を与えるプロセスを表すプロセッサブロック29とを含む。コントローラブロック25は、フィードフォワードコントローラ26及びフィードバックコントローラ27を有する。2つのコントローラ26及び27の出力信号は加算器28において加算され、その結果は、プロセッサブロック29の入力部に供給される。
【0021】
プロセッサブロック29は、2つのブロック30及び31を有し、ブロック30は、勾配信号に対する勾配コイルキャリア18の応答を表し、ブロック31は、印加される電圧に対するピエゾアクチュエータ21の応答を表す。2つのコントローラ30及び31の出力信号は、加算器32において加算され、その結果は、フィードバックコントローラ27の入力部にフィードバックされる。フィードバックコントローラ27の内容は、コントローラが動作するプロセス、すなわちコントローラが使用されるMRI装置の実際の様相に高く依存する。しかしながら、当業者であれば、MRI装置の仕様に基づくそのようなコントローラの設計に過度の努力を必要としないであろう。プロセスブロック30及び31の寄与は、結果的な振動を形成するように足し合わせられるものとされ、かかる振動は、プロセッサ27にその出力信号が供給される振動センサ(図示せず)によって測定される。
【0022】
勾配電流Igを表す信号は、フィードフォワードコントローラ26の入力部に供給され、ブロック30の入力部にも供給される。ブロック30の出力は、入力信号Igの影響下で勾配コイルキャリアの関連するポイントの変位を表す。フィードフォワードコントローラ26は、入力信号Igに基づいてこの変位(の負の値)を予測し、それを電圧Ufに変えて、ピエゾアクチュエータに前述の変位を起こさせる。この予測は、実際の状況において完全には正しくないことがある。勾配コイルキャリア上で測定される巨視的な変位dgは、フィードバックコントローラ27の入力部にフィードバックされ、フィードバックコントローラ27は、この変位の誤差を、ピエゾアクチュエータ用の適当な制御電圧Ubに変換する。信号Uf及びUbは、信号Upを形成するために加算器28で加算され、この合計は、ブロック31により表されるようなアクチュエータに供給される。ブロック31の出力部において表されるピエゾアクチュエータ21による変位dp、及びブロック30の出力部において表される非制御の勾配コイルキャリア18の変位dggは、加算器32において加算され、理想的な状況の場合はゼロであるように制御される勾配コイルキャリアの最終の低周波の変位dgを形成する。
【0023】
図5は、高周波、すなわち700Hzのオーダーの周波数に関する能動的駆動可能素子の駆動の制御挙動を示すブロック図を示している。図5に示されるブロック図の構成は、図4に示されるブロック図の構成と同様である。その機能は、ブロック30に対応するブロック40では勾配信号Igが力Fggに変換され、ブロック31に対応するブロック41ではピエゾアクチュエータ21用の制御電圧Upが力Fpに変換される点で、図4に示される機能と異なる。図5において、図4のブロック30及び31の出力部での変位が、力Fgg及びFpと置き換えられており、勾配コイルキャリアによってフレーム20上に及ぼされる残存力Fgの大きさである信号がフィードバックコントローラ27の入力部にフィードバックされるとしても、図5に示されるブロック図の機能は図4の機能にかなり対応しており、従って図5の動作については詳述しない。勾配コイルキャリア上に及ぼされる最終の正味の高周波の力Fgが、加算器42の出力部に現れる。これは、理想的な状況の場合にゼロになるように制御される力である。
【0024】
図6は、本発明を使用した場合及び使用しない場合の、勾配コイルキャリアの低周波の振動挙動のグラフである。低周波振動の伝達は垂直軸(すなわち勾配コイルキャリア上に及ぼされる正味の力の単位の勾配コイルキャリアの加速度a)でプロットされており、振動周波数は水平軸にプロットされている。グラフは、曲線50、52、54及び56の4つの曲線を示している。
【0025】
曲線50は、本発明による制御がない場合の前記伝達を表している(図4及び図5において、これはブロック30及び40のみがそれぞれ存在することを意味する)が、勾配コイルキャリアは、非常に弱い弾性素子を通してMRI装置のフレームから懸架されている。この図は、明らかに約13Hzの強い(低周波)伝達を示している。
【0026】
曲線52は、本発明によるフィードフォーワード制御がないがフィードバック制御が存在する場合の上述の伝達を表している。この図は、約13Hzの強い低周波の伝達が実際に完全に消えているが、他の周波数の伝達が大幅には改善されていないことを示す。
【0027】
曲線54は、本発明によるフィードバック制御がないがフィードフォーワード制御が存在する場合の上述の伝達を示している。この図は、振動伝達が0乃至100Hzの間の周波数範囲全体で大きく低減されており(約4分の1の低減)、約13Hzの強い低周波伝達が低減されたことを示している。約13Hzのこの低周波伝達の更なる低減がなお望ましい。
【0028】
曲線56は、本発明によるフィードフォーワード制御及びフィードバック制御が存在する場合の上述の伝達を示している。この図は、振動伝達が0乃至100Hzの間の周波数範囲全体でなお一層低減されており(約1.5分の1の低減)、更に約13Hzの強い低周波伝達が完全に消えたことを示している。曲線56は、本発明により提案されるステップの効果を明らかに示している。
【図面の簡単な説明】
【図1】既知の磁気共鳴装置の一般的構造を示す概略図。
【図2】能動的駆動可能素子をもつ懸架素子により支持される勾配コイルシステム用のキャリアを示す概略図。
【図3a】勾配コイルキャリアの振動挙動を示す図。
【図3b】勾配コイルキャリアの振動挙動を示す図。
【図4】低周波に関する能動的駆動可能素子の駆動の制御挙動を示すブロック図。
【図5】高周波に関する能動的駆動可能素子の駆動の制御挙動を示すブロック図。
【図6】本発明を利用する及び利用しない勾配コイルキャリアの低周波の振動挙動のグラフ。

Claims (6)

  1. 磁気共鳴画像を形成するための装置であって、勾配コイルが置かれた勾配コイルキャリアを有する勾配コイルシステムを備え、前記勾配コイルキャリアが懸架素子を通して該装置のフレームに取り付けられ、前記懸架素子の各々が弾性素子を備える、装置であって、
    前記懸架素子の各々が、前記弾性素子と連続的に接続される能動的駆動可能素子を備えることを特徴とする、装置。
  2. 前記能動的駆動可能素子が前記勾配コイルキャリアに作用する正味の力を中和するように該能動的駆動可能素子を駆動するように構成された駆動回路を備える、請求項1に記載の装置。
  3. 前記能動的駆動可能素子の各々が関連する前記懸架素子の取り付けポイントの領域で前記勾配コイルキャリアにより行われる振動変位を補償するように該能動的駆動可能素子を駆動するように構成された駆動回路を備える、請求項1に記載の装置。
  4. 前記装置が、勾配信号を生成するための勾配制御回路を備え、前記駆動回路が、前記勾配制御回路と前記能動的駆動可能素子との間に接続されるフィードフォワード回路を備える、請求項2又は3に記載の装置。
  5. 前記駆動回路が、前記勾配コイルキャリアの関連する取り付けポイントの領域に設けられた振動センサと前記能動的駆動可能素子との間に配されたフィードバック回路を有する、請求項2、3又は4に記載の装置。
  6. 前記能動的駆動可能素子がピエゾアクチュエータにより形成される、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の装置。
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