JP2004513866A - 硝酸グアニル尿素の金属錯体によるガス発生 - Google Patents

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Abstract

反応して窒素ガスを産生するガス発生組成物であって、硝酸グアニル尿素と、原子番号21〜30および39〜50を有する少なくとも1つの金属元素との少なくとも1つの錯体と、ガス発生組成物の燃焼反応開始により、ある量の窒素ガスを含む反応生成物が産生されるように充分な酸化剤とを含む、ガス発生組成物が提供される。また、ガス発生組成物を作成する関連方法、およびガス発生の関連方法が提供される。

Description

【0001】
発明の背景
本発明は、一般には自動車用膨張式拘束エアバッグクッションの膨張に関与するようなガス発生に関し、さらに詳しくは、硝酸グアニル尿素の金属錯体を含有するガス発生物質に関する。
【0002】
衝突のように、乗り物が突然減速した時、ガスで膨張または拡大されるクッションまたはバッグ、例えば「エアバッグクッション」を使用して、乗り物乗員を保護することは良く知られている。そのようなシステムにおいて、エアバッグクッションは、スペースの必要性を最小にするために、通常膨張していないかまたは畳まれた状態で収納されている。そのようなシステムはまた、一般に、乗り物の突然の減速を検出し、システムの作動を電子的に開始させるために、乗り物のフレームまたはボディに取り付けられた1つ以上の衝突センサーを含む。システムが作動されると、一般に「インフレーター」と呼ぶ装置により発生または供給されるガスにより、数ミリ秒以内でクッションの膨張が開始される。
【0003】
自動車用膨張式拘束エアバッグクッションの膨張に一般的に使用されるガス発生組成物は、従来は、最も一般的にはアジ化ナトリウムを使用したかまたはこれに基づくものであった。そのようなアジ化ナトリウムベースの組成物は、開始されると通常窒素ガスを産生または生成する。アジ化ナトリウムおよび他のアジ化物ベースのガス発生物質の使用は、現在の業界の規格、ガイドライン、および基準を満足するが、その使用は、そのようなガス発生物質の、安全で有効な取り扱い、供給および廃棄などに関して問題があるか、または問題が発生する可能性がある。
【0004】
これらを考慮して、自動車のエアバッグインフレータにおけるアジ化ナトリウムの使用を少なくするかまたは避けるための多大な努力がなされている。そのような努力により、ガス発生組成物で使用するための、非アジ化物燃料と酸化剤との種々の組合せが提唱されている。これらの非アジ化物燃料は一般的に、アジ化ナトリウムと比較して、製造と使用の毒性が低いことが好ましく、従って、廃棄がより簡単であり、少なくとも一部は、一般大衆に受け入れられやすいことがわかった。さらに、炭素、水素、窒素および酸素原子からなる非アジ化物燃料は一般に、燃焼によりすべてがガスである生成物を生じる。当業者には明らかなように、窒素と水素含量が高く炭素含量が低い燃料は一般に、その比較的高いガス産生量(例えば、ガス発生物質100グラム当たり産生されるガスのモル数として測定)のために、そのような膨張性拘束用途での使用に適している。
【0005】
低毒性と高ガス発生量以外に、ガス発生物質で使用される燃料成分は、好ましくは比較的安価であり、熱的に安定(すなわち、好ましくは、約160℃より高い温度でのみ分解する)であり、水分に対して低い親和性を有する。
【0006】
当該分野で公知でありかつそのようなガス発生組成物で一般に使用されている酸化剤は、金属酸化物または酸素含有陰イオンの塩(例えば、硝酸塩、過塩素酸塩など)である。しかし、そのような酸化剤の金属成分は一般に、燃焼中、固体として終わる。すなわち、そのようなガス発生物質に含まれる酸化剤の量は、ガス発生物質の燃焼により発生するガスの量に大きな影響を与えることがある。これらを考慮して、そのようなガス発生配合剤に必要な酸化剤の量を減少させるかまたは最小にするための努力がなされている。酸化剤の必要量を減少させるかまたは最小にする少なくともある程度成功して使用されている1つのアプローチは、ガス発生組成物の燃料成分への、より多量の相対量の酸素の取り込みである。すなわち、そのようなガス発生組成物での使用で所望の燃料は、好ましくは比較的高含量の酸素を含む。
【0007】
さらに複雑にしているのは、少なくともある遷移金属含有化合物または物質(例えば、一般に使用されている遷移金属含有酸化剤)は、他の組成物物質と好ましくない反応をして、爆発性の高い金属誘導体を形成することがあるという事実であり、従ってそのような安全システムで使用される自動車用膨張式拘束システムまたはガス発生装置のような種々の一般的用途に適していない。すなわち、そのような配合剤中に遷移金属含有化合物または物質を含める時、その配合剤が、好ましくない反応をしてそのような爆発性の金属誘導体を形成する物質を含有しないように注意する必要がある。
【0008】
米国特許第6,024,812号は、主成分としてニトロアミノグアニジン、2次燃料、または硝酸ジシアンジアミジン(「硝酸グアニル尿素」としても知られている)のような爆発性成分、および酸化剤を含む噴射配合剤を開示している。この特許は、噴射配合剤に有用な酸化剤は、アルカリおよびアルカリ土類元素の硝酸塩、アルカリおよびアルカリ土類元素の過塩素酸塩、硝酸アンモニウム、過塩素酸アンモニウム、またはこれらの化合物の混合物を含むことを開示している。
【0009】
当業者は、ニトロアミノグアニジンは、酸の性質を有する形で存在し、爆発性の高い金属誘導体を形成することができることを理解するであろう。すなわち、遷移金属を含有する化合物または物質は、公知の自動車用膨張式拘束システムのガス発生用途のニトロアミノグアニジンとは相容れない。
【0010】
上記で特定される好ましい性質と特性以外に、自動車用膨張式拘束用途で使用されるガス発生物質は、その反応が正しく開始された時、生じるガス産生または発生反応が、充分に迅速に起きて、対応する膨張可能なエアバッグクッションが正しく膨張されて、関連する乗員に衝撃からの保護を与えるように、充分に反応性でなければならない。一般に、ガス発生組成物の燃焼速度は、以下の式(1)で示される:
Rb=Bp        (1)
ここで、
Rb=燃焼速度(線形)
B=定数
P=圧力
n=圧力のべき指数、ここで圧力のべき指数は、y軸に沿った燃焼速度のlogに対する、x軸に沿った圧力のlogのプロットの傾きである。
【0011】
硝酸グアニジン(CH)は、上記の所望の燃料性または特性の多くを有する非アジ化物燃料である。例えば、硝酸グアニジンは市販されており、比較的安価で、非毒性であり、窒素、水素および酸素含量が高く、炭素含量が低いため、優れたガス発生量を与え、噴霧乾燥処理を可能にする充分な熱安定性を有する。その結果、硝酸グアニジンは、自動車エアバッグ業界で広く使用されている。
【0012】
残念ながら、硝酸グアニジンは、所望の燃焼速度より遅いという欠点がある。さらに、硝酸グアニジンは、ある他の一般的なガス発生配合剤成分と組合せると、好ましくない共融混合物を形成することがある。そのような共融混合物に関連する低融点は、ガス発生配合剤の耐老化特性または性質に関する懸念を悪化させる。
【0013】
従って、上記の1つ以上の問題または欠点をより有効に克服するアジ化物の無いガス発生物質に対するニーズおよび需要がある。特に、上記の1つ以上の問題または欠点をより有効に克服するのに有効であるが、好ましくない共融混合物の形成を避けながら、特定の用途に必要なまたは所望の好ましく速い燃焼速度も与えるガス発生物質に対するニーズおよび需要がある。
【0014】
発明の要約
本発明の一般的な目的は、改良されたガス発生を提供することであり、さらに詳しくは、改良されたガス発生組成物および関連するガス発生組成物含有装置、およびガス発生法を提供することである。
【0015】
本発明のより具体的な目的は、上記の1つ以上の問題を克服することである。
本発明の1つの好適な例において、本発明の一般的な目的は、少なくとも部分的には、硝酸グアニル尿素と、原子番号21〜30および39〜50を有する少なくとも1つの金属元素との錯体を含むガス発生組成物により達成される。ガス発生組成物はまた、ガス発生組成物の燃焼反応開始により、ある量の窒素ガスを含む反応生成物が産生されるために充分な酸化剤を含む。
【0016】
先行技術は一般に、アジ化物またはアジ化物ベースの物質を含めたりこれに頼ることを避けながら、製造と性能に関するような選択された基準を適切に満足するガス発生物質を提供できていない。特に、先行技術のガス発生物質および自動車用膨張式拘束システムで使用されるガス発生装置で使用されるものは、例えば、一般に、好ましくない共融混合物形成を避け、かつ種々の製造および性能基準を所望のように有効に満足させながら、好ましく高い燃焼速度を提供または与えることができていない。例えば、本明細書に詳細に記載されるように、そのような製造と性能基準は、以下を含む:
a)アジ化物またはアジ化物ベースの物質を含めたりこれに頼ることを避ける;
b)コスト;
c)安全性;
d)ガス発生量;
e)熱安定性;
f)排出物毒性;および
g)水性処理による製造または生産の容易さ。
【0017】
本発明はさらに、ガス発生組成物の作成方法を含む。本発明のこの態様の好適例において、そのような方法は、ある量の硝酸グアニル尿素と、少なくとも1つの金属元素を含有する硝酸グアニル尿素の錯体を形成させるのに充分な、原子番号21〜30および39〜50を有する少なくとも1つの金属元素を含有するある量の錯体形成剤とを接触させることを含む。
【0018】
後にさらに詳細に説明されるように、および本発明のこの態様の好適な実施によると、そのような接触は、例えば高温で水スラリー中で行なわれるのが好ましい。さらに好ましくは、酸化剤、共燃料、添加物、またはこれらの組合せのような追加のガス発生組成物物質または成分を、そのようなスラリー混合物に加えることにより、そのようなガス発生組成物中に含めることができる。
【0019】
本発明の別の例によると、本発明はさらに、ガス発生方法であって、ガス発生組成物の燃焼反応開始により、ある量の窒素ガスを含む反応生成物が産生されるように、硝酸グアニル尿素と、原子番号21〜30および39〜50を有する少なくとも1つの金属元素との錯体と、充分な酸化剤とを含有するガス発生組成物を反応させる方法を包含する。
【0020】
本明細書において、「燃料」としての具体的な組成物、成分または物質への言及は、完全に燃焼してCO 、HO およびN になるのに充分な酸素は一般的に無い化学物質を意味すると理解されたい。
【0021】
従って、「酸化剤」としての具体的な組成物、成分または物質への言及は、完全に燃焼してCO 、HO およびN になるのに充分な酸素を有する化学物質を意味すると理解されたい。
【0022】
硝酸グアニル尿素(NHC(NH)NHC(O)NH・HNO)はまた、一般にジシアンジアミジンおよびアミジノ尿素としても知られている。
【0023】
他の目的および利点は、以下の説明と特許請求の範囲および図面から、当業者には明らかであろう。
【0024】
発明の詳細な説明
本発明は、乗り物乗員拘束エアバッグクッションのような膨張式装置の膨張に使用できるようなガス発生物質を提供する。そのようなガス発生物質は一般に、ガス発生組成物の燃焼反応開始により、ある量の窒素ガスを含む反応生成物が産生されるように、硝酸グアニル尿素と原子番号21〜30および39〜50を有する少なくとも1つの金属元素との少なくとも1つの錯体と、充分な酸化剤とを含む。
【0025】
コスト、入手しやすさ、および低毒性などに関する理由により、本発明の実施で使用される好適な金属元素は、マンガン、亜鉛、および特に銅を含む。
【0026】
本発明のガス発生組成物において、硝酸グアニル尿素の金属錯体は、一般にまたは主に、燃料物質として作用する。実際、本発明の好適なガス発生組成物は、約20〜約70組成物重量%の範囲の燃料成分を含む。本発明のガス発生組成物は、さらに1つ以上の追加の非アジ化物燃料物質を含有してもよい。例えば、本発明のある好適な例において、ガス発生組成物は、上記したように、硝酸グアニル尿素の1つ以上の金属錯体以外に、硝酸グアニジンを含有する。すなわち、本発明の一般的な実施において、燃料物質成分の約10〜100パーセントが、硝酸グアニル尿素の1つ以上のそのような金属錯体を構成する。当業者および本明細書に記載の開示を参照するものは、所望の相対的燃焼速度とガス発生量のような因子に依存して、特定のガス発生組成物中に含めるための、硝酸グアニル尿素の金属錯体の適切な相対量を決定することができるであろう。特に、硝酸グアニル尿素のそのような金属錯体のより多い相対量を含めることにより、より大きい相対的燃焼速度を示す組成物が実現されうる。しかし一方、硝酸グアニル尿素のそのような金属錯体の含量が増加したガス発生組成物は、少なくともやや低下したガス発生量を示すことがある。
【0027】
種々の酸化剤(例えば、当該分野で公知のもの、および単独または種々の組合せで)を、本発明の実施に使用することができる。例えば、本発明のより広い実施形態を特に限定するものではないが、アルカリ金属硝酸塩、塩素酸塩、過塩素酸塩;アルカリ土類金属硝酸塩、塩素酸塩、過塩素酸塩;遷移金属酸化物、塩基性硝酸塩、アンミン硝酸塩(ammine nitrates)、塩素酸塩、過塩素酸塩錯体;アンモニウム硝酸塩(相安定剤有りまたは無し)よりなる群から選択されるような酸化剤;および、そのような同じまたは異なる群からの、そのような酸化剤の2つ以上の混合物または組合せを、使用してもよい。
【0028】
本発明のいくつかの好適な例によると、対象のガス発生組成物約30〜約80重量%は、一般的にそのような酸化剤成分を構成する。
【0029】
本発明のガス発生組成物はまた、当該分野で公知の1つ以上の添加剤を含有することが好ましい。そのような添加剤は一般に、1つ以上の以下の条件を満たすように機能する:ガス発生組成物の燃焼速度の上昇;ガス発生物質の燃焼または反応後に残存するスラグの取り扱い性または他の物質特性の改良;反応により形成された生成物を冷却する機能、およびガス発生物質を取り扱うかまたは処理する能力のいずれかまたは両方の改良。例えば、本発明のガス発生組成物は、シリカやアルミナのような1つ以上の添加剤を、約0〜約10重量%、好ましくは約2〜約5重量%の相対量で含有し、ここで重量パーセントは、総ガス発生物質組成物を基準とする。
【0030】
本発明のより広い実施は必ずしも、硝酸グアニル尿素のそのような金属錯体または関連ガス発生組成物が調製または形成される様式又は技術に限定されないが、本発明の好適な例によると、硝酸グアニル尿素の対象金属錯体は、硝酸グアニル尿素と、原子番号21〜30および39〜50を有する少なくとも1つの金属元素を含有する適切な錯体形成剤(例えば、遷移金属炭酸塩、または塩基性金属炭酸塩、例えば、塩基性炭酸銅)とを、高温(例えば、T>50℃)の水性スラリー中で反応させることにより、生成することができる。そのような反応は、以下の反応(2)で示されるものと信じられる:
【0031】
Cu(OH)CuCO + 4(C) ⇔ 2Cu(CO)(NO + 2HO + CO (2)
【0032】
放出されるCO の抜き取りが、反応の平衡を錯体生成物のさらなる形成に向けるため、硝酸グアニル尿素の銅錯体(さらに詳しくは銅IIビスグアニル尿素ジニトレートとして知られており、一般にCuGUNと称する)を、高収率で生成することができる。
【0033】
硝酸グアニル尿素のそのようなまたは類似の金属錯体を含有するガス発生組成物を作成または形成する好適な実施によると、1つ以上の酸化剤物質(例えば、上記したもの)を、そのようなスラリー混合物に加えることができる。さらに、所望であれば、1つ以上の追加の燃料物質(例えば、1つ以上の「共燃料」)および1つ以上の添加剤(例えば、上記したもの)のいずれかまたは両方も、そのようなスラリー混合物に加えて、具体的に所望の性能特性またはパラメータを有するガス発生組成物を形成することができる。
【0034】
当業者および本明細書に記載の開示を参照するものは、ガス発生組成物(酸化剤を含む)が水性処理により処理される能力は、種々の実際的および商業的利点を有することを理解するであろう。例えば、水性処理を使用することにより、組成物の変動が小さくなるように、組成物の成分を混合できるか、またはより均一性をもって処理することができる。しかし、本発明の硝酸グアニル尿素の1つ以上の金属錯体は、種々の所望のように形成されたかまたは産生されたガス発生組成物に含めることができ、従って、本発明のより広い実施形態は必ずしも、ガス発生物形成のそのような水性スラリー法に限定されない。
【0035】
本発明の好適な実施によると、ガス発生物質へ硝酸グアニル尿素のそのような金属錯体を含めることまたは使用することにより、アジ化ナトリウムまたは他の同様のアジ化物物質を含めることまたは使用することへの依存を避けることができ、一方、所望の充分に高いかまたは改良された燃焼速度を提供し、コスト、商業的入手容易性、低毒性、熱安定性、および水分に対する低親和性などに関する1つ以上の問題、欠点または限界を克服することができる。
【0036】
理解されるように、本発明のガス発生組成物は、多くの異なる構造、アセンブリーおよびシステムと一緒に、取り込まれ、利用されまたは実施されることができる。代表として、図は、内部12を有する乗り物10を例示し、この中に、一般に参照数字14で示される膨張式乗り物乗員安全拘束システムが位置する。理解されるように、例示と理解を容易にするために、本発明の理解に必要ではないいくつかの標準的要素は、図から省略または除去されている。
【0037】
乗り物乗員安全拘束システム14は、口の開いた反応キャニスター16を有し、これは、膨張式乗り物乗員拘束物20(例えば、膨張式エアバッグクッション)と、参照数字22で一般的に示される、関連する乗員拘束物の膨張のための膨張ガスを生成または供給するための装置とを収容するハウジングを形成する。上記したように、そのようなガス発生装置は一般的にインフレーターと呼ばれる。
【0038】
インフレーター22は、本発明のある量のガス発生組成物および上記したようなものを含有する。インフレーター22はまた、ガス発生組成物と点火連通しているガス発生組成物の燃焼を開始するための、当該分野で公知のようなイグナイタを含む。理解されるように、インフレーター装置の具体的な構成は、本発明の広い実施を制限するものではなく、そのようなインフレーター装置は、当該分野で公知のように種々の構成であってよい。
【0039】
実際、エアバッグクッション20は、展開されると、乗り物の前方(すなわち、図の右の方向)への乗員の動きを拘束することにより、乗り物乗員24の保護を提供する。
【0040】
本発明の実施に関与する種々の態様を例示またはシミュレートする以下の例により、本発明をさらに詳細に説明する。本発明の精神内のすべての変更は保護され、従って本発明は、これらの例により限定されるものではないことを、理解されたい。
【0041】
実施例
比較例1と実施例1〜3
これらの各試験において、表1に示す具体的な組成を有するガス発生物質粉末を調製したが、ここで、数値は重量%を意味する。具体的な各組成物の試料は、直径0.5インチの中実の円筒形を有するスラグへと、12,000lbsの力で加圧成形された。次に、これらのガス発生物質スラグを、燃焼速度ならびに燃焼速度の傾きと定数について評価した。このような評価の結果を以下の表2に示す。表2はまた、Martin Mariettaが編集した市販のソフトウェア「PEP1」(噴射評価プログラム)を使用して、各ケースで計算した密度データと熱化学データ(例えば、発生物質100g当たりのガスのモル収率、発生物質1立方センチ当たりのガスのモル収率、および炎のケルビン温度(Tc))を示す。
【0042】
【表1】
Figure 2004513866
【0043】
【表2】
Figure 2004513866
【0044】
結果の考察
表2のデータが示すように、本発明の、ガス発生物質を含めることと硝酸グアニル尿素の銅錯体(CuGUN)を使用することは、燃焼速度が上昇した組成物を与えた。さらに、配合剤を含めることと硝酸グアニル尿素のそのような金属錯体を使用することは、炎温度が低下するというさらなる利点を有する配合剤を与えた。その結果、そのような配合剤は、改善された排出物(例えば、NO 含量が低下した排出物)を与えると予測される。さらに、本発明の、硝酸グアニル尿素の銅錯体(CuGUN)を含有する組成物のより高い密度の結果として、そのような硝酸グアニル尿素金属錯体含有組成物は、類似の容量ガス発生量を与えることがわかった。
【0045】
すなわち本発明は、自動車用膨張式拘束システムで使用されるようなガス発生装置で使用されるようなガス発生組成物を提供し、このガス発生物質は、アジ化物またはアジ化物ベースの物質を含めたりこれに頼ることを避けながら、コスト、安全性、ガス発生量、熱安定性、排出物毒性、および水性処理による製造または生産の容易さなどに関する製造と性能基準を有効に満足し、また、所望の高い燃焼速度を提供する。
【0046】
本明細書に開示した本発明は、本明細書に具体的に開示されていない要素、部分、工程、部分、または成分の非存在下で、適切に実施することができる。
【0047】
前記の詳細な説明で本発明を、いくつかの好適な例について説明し、例示のために多くの詳細を記載したが、本発明には追加の例が可能であり、本明細書に記載のいくつかの詳細は、本発明の基本的原理を逸脱することなく、大きく変化させることが可能であることは当業者には明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【図1】
図は、本発明の1つの例に従う、乗り物内部のエアバッグモジュールアセンブリーからの、エアバッグクッションの展開を示す略図を、部分分解略図である。

Claims (31)

  1. 以下を含むガス発生組成物:
    硝酸グアニル尿素と、原子番号21〜30および39〜50を有する少なくとも1つの金属元素との少なくとも1つの錯体、および
    ガス発生組成物の燃焼反応開始により、ある量の窒素ガスを含む反応生成物が産生されるために充分な酸化剤。
  2. 硝酸グアニル尿素の少なくとも1つの錯体は銅を含む、請求項1のガス発生組成物。
  3. 硝酸グアニル尿素の少なくとも1つの錯体は銅IIビスグアニル尿素ジニトレートを含む、請求項2のガス発生組成物。
  4. 硝酸グアニル尿素の少なくとも1つの錯体は亜鉛を含む、請求項1のガス発生組成物。
  5. 硝酸グアニル尿素の少なくとも1つの錯体はマンガンを含む、請求項1のガス発生組成物。
  6. 請求項1のガス発生組成物であって、約20〜約70組成物重量%の相対量の少なくとも1つの硝酸グアニル尿素金属錯体と、約30〜約80組成物重量%の相対量の酸化剤とを含む燃料成分を有する、ガス発生組成物。
  7. 燃料成分は、少なくとも1つの追加の非アジ化物燃料物質をさらに含む、請求項6のガス発生組成物。
  8. 少なくとも1つの追加の非アジ化物燃料物質は硝酸グアニジンである、請求項7のガス発生組成物。
  9. 硝酸グアニル尿素の少なくとも1つの金属錯体は、約10〜100重量%の燃料成分を含む、請求項6のガス発生組成物。
  10. 硝酸グアニル尿素の少なくとも1つの金属錯体は、銅IIビスグアニル尿素ジニトレートを含む、請求項9のガス発生組成物。
  11. ガス発生組成物の燃焼開始のためのイグナイタと点火連通している、請求項1のガス発生組成物を含有するガス発生装置。
  12. つぶれた膨張式エアバッグクッションと連結しており、それを膨張させる、請求項11のガス発生装置を含む、自動車用膨張式拘束システム。
  13. ある量の硝酸グアニル尿素と、少なくとも1つの金属元素を含有する硝酸グアニル尿素の錯体を形成させるのに充分な、原子番号21〜30および39〜50を有する少なくとも1つの金属元素を含有するある量の錯体形成剤とを接触させることを含んでなる、ガス発生組成物の作成方法。
  14. 錯体形成剤は、原子番号21〜30および39〜50を有する少なくとも1つの金属元素の酸化物、水酸化物、炭酸塩、および塩基性炭酸塩よりなる群から選択される少なくとも1つのメンバーを含む、請求項13の方法。
  15. 少なくとも1つの金属元素は銅である、請求項13の方法。
  16. 少なくとも1つの金属元素は亜鉛である、請求項13の方法。
  17. 少なくとも1つの金属元素はマンガンである、請求項13の方法。
  18. 硝酸グアニル尿素の錯体と酸化剤との反応の開始により、ガス様生成物が生成するように、硝酸グアニル尿素の錯体に充分量の酸化剤を加えることをさらに含む、請求項13の方法。
  19. 加えられる酸化剤は、少なくとも1つの塩基性金属炭酸塩を含む、請求項18の方法。
  20. 加えられる酸化剤は、塩基性銅炭酸塩を含む、請求項19の方法。
  21. 少なくとも1つの追加の非アジ化物燃料物質の選択された量を、硝酸グアニル尿素の錯体に加えることをさらに含む、請求項18の方法。
  22. 加えられる非アジ化物燃料物質は、硝酸グアニジンである、請求項21の方法。
  23. 硝酸グアニル尿素と、原子番号21〜30および39〜50を有する少なくとも1つの金属元素との錯体と、充分な酸化剤を含むガス発生組成物を反応させて、ある量の窒素ガスを含む反応生成物を産生させることを含む、ガス発生方法。
  24. 硝酸グアニル尿素の少なくとも1つの錯体は銅を含む、請求項23の方法。
  25. 硝酸グアニル尿素の少なくとも1つの錯体は銅IIビスグアニル尿素ジニトレートを含む、請求項24の方法。
  26. 硝酸グアニル尿素の少なくとも1つの錯体は亜鉛を含む、請求項23の方法。
  27. 硝酸グアニル尿素の少なくとも1つの錯体はマンガンを含む、請求項23の方法。
  28. ガス発生組成物は、約20〜約70組成物重量%の相対量の少なくとも1つの硝酸グアニル尿素金属錯体と、約30〜約80組成物重量%の相対量の酸化剤とを含む燃料成分を有する、請求項23の方法。
  29. 燃料成分は、少なくとも1つの追加の非アジ化物燃料物質をさらに含む、請求項28の方法。
  30. 少なくとも1つの追加の非アジ化物燃料物質は硝酸グアニジンである、請求項29の方法。
  31. 硝酸グアニル尿素の少なくとも1つの金属錯体は、約10〜100重量%の燃料成分を含む、請求項28の方法。
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