JP2004512103A - 乾燥粉体吸入器 - Google Patents
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Abstract
吸入による粉体状の薬剤の分配のための装置であって、エアゾール化するまで空気流を安定化するため低い圧力低下と低乱流を有する入口通路、エアゾール化を遅らせる減速空気流速領域にある投与カップ、高流速流れを生成する高い圧力降下のスロート部、高乱流を有する空気の自由噴流を生成する急激に拡張する拡がり通路および自由噴流の分散速度を制御するための広い断面積の出口通路を備える。本装置は、簡単でありまた患者の多様な吸気プロファイルに対して均一で効率的な粉体のエアゾール化および分解を一貫して提供することが可能である。
Description
【0001】
[技術分野]
本発明は、吸入によって粉体状の物質を投与するための装置に関する。とくに、本発明は、吸入による肺への配送(pulmonary delivery)のための、粉体状の薬剤の投与をエアゾール化するための吸入装置に関する。
【0002】
[発明の背景]
吸入は、喘息の治療における投与の主要な手順(route)となってきた。これは、肺に直接的にアクセスすることに加えて、気道を経由して配送される薬剤が、急速かつ予測可能な作用の開始を与え、経口の手順に比較してより低い投与量で充分であるためである。
【0003】
加圧され計量される投薬吸入器(pMDI)は、現在もっとも一般的に使用される吸入装置である。そのような装置は、プロペラントガス(propellant gas)に微細な薬剤粒子の浮遊物を含んだキャニスター(canister)を備えている。作動時には、前記のエアゾール状の内容物が計量バルブを経由して放出され、計量された投与物は患者の肺へと進む。pMDIを継続使用するもっとも大きい脅威は、pMDIがプロペラント、すなわちオゾン層の枯渇に関係していると考えられているクロロフルオロカーボンに依存していることである。
【0004】
数タイプの乾式粉体吸入器(DPI)が開発されており、DPIにおいては患者の吸入する空気が薬剤粒子を浮遊分散させるのに用いられる。DPIは、作動と吸気のあいだの連携が必要でないので、使い勝手がよい。粉体状の薬剤は、たとえばブリスターパック(blister pack)、カートリッジまたは引き剥がし型ストリップ(peelable strip)のような単位投与容器として準備され、装置の開口部で開封される。またはこれに代えて、単位投与が、投与カップのような計量部材によって粉体の容器(reservoir)から計量される。
【0005】
粉体状の薬剤の流動性および投与精度を向上させるため、典型的には、呼吸に適するサイズの微細薬剤粒子がより粒度の粗いキャリア粒子と混合されて、微細な薬剤粒子がより大きいキャリア粒子に付着したオーダー化された混合物(ordered mixture)を形成する。この技術は粉体のエアゾール化工程を複雑にし、とくに、個々の大きい粒子および凝集した大小の粒子が堆積しがちな患者の口や喉に入る前に薬剤/キャリアの凝集体の細分化を必要とする。効果的な粉体のエアゾール化および分散化は、予想されるあらゆる吸入プロファイルのもとで粒子に及ぼされる力が克服されることを要求する(力は装置の露出表面上、薬剤とキャリア粒子のあいだ、または薬剤と薬剤粒子のあいだに存在する)。
【0006】
吸入装置の目的は、吸入に適したサイズ範囲にある粒子の高度の微細粒子の投与物(FPD)を生成することである。しかしながら、薬剤粒子を呼吸に適した粒子サイズまでエアゾール化および分散化する装置の能力は、現在入手可能なほとんどのDPIについては患者の吸気の技能に依存している。理想的な乾式粉体吸入器であれば、最終的分散において、呼吸に適した粒子の不変な投与を生み出すように、広い吸入プロファイル範囲にわたって均一な粉体のエアゾール化および分散化を提供するであろう。
【0007】
吸入時に薬剤粉体のエアゾール化および分散化を行なうため、多様な技術がDPIに用いられてきた。この技術には、タービンおよびインペラ(たとえば米国特許第4,524,769号明細書、米国特許第3,831,606号明細書および米国特許第5,327,883号明細書)または他の機械的手段(国際公開第98/26828号パンフレット)、圧縮気体(米国特許第5,113,855号明細書、米国特許第5,349,947号明細書および米国特許第5,875,776号明細書)、サイクロン(たとえば、米国特許第5,301,666号明細書および国際公開第99/07426号パンフレット)、静電分散およびピエゾ振動(たとえば、米国特許第3,948,264号明細書、国際公開第97/26934号パンフレット)、ベンチュリー(米国特許第4,200,099号明細書、米国特許第4,240,418号明細書および国際公開第92/00771号パンフレット)およびインパクタ(米国特許第5,724,959号明細書)が含まれる。いくつかの特許は、放出と吸入の動作を連係されるように気流への薬剤粒子の放出をトリガするために、気流または装置を貫く圧力降下を検知する電気的または他の手段(たとえば、国際公開第93/03782号パンフレットおよび国際公開第97/20589号パンフレット、米国特許第5,388,572号明細書)、あるいは患者の吸入速度を機械的に制御する手段(米国特許第5,727,546号明細書および米国特許第5,161,524号明細書)を使用している。概してこれらのDPIはより複雑かつ高価なものになってきている。
【0008】
DPIにおける流れの挙動は、エアゾール化や粒子分散プロセスにおいて重要であり、もし装置が受動的、すなわちいかなる機械的または電気的な増幅またはトリガ機構をもたないものである場合、とくに重要である。微細粒子破片(FPF)を最大にして、広範囲の患者の吸入プロファイルにわたって不変な投与量を提供するために、薬剤−キャリアの分散が起こりそうな重要領域の乱流の程度には特別な注意を向けるべきである。したがって、われわれはさまざまな吸入器について、装置の定常流の挙動を特徴づけるために、コンピュータ流体動力学(CFD)計算を実施した。複数の乾式粉体吸入器において、取り込み空気は投与カップまたは計量投与保持部に集中され(たとえば、国際公開第99/07426号パンフレット、国際公開第92/00771号パンフレットおよび国際公開第92/09322号パンフレット)、吸入サイクルの丁度開始時に大部分の粉体がエアゾール化される。典型的には、吸入器の設計者は、肺深部への堆積が吸入サイクルの非常に早い時点でエアゾールを導入することに依存するとの確信のもとで、粉体の迅速なエアゾール化に重きを置いている。しかし、テストは、初期のエアゾール化は概して重要な問題でないと結論づけている。目標とする場所への肺深部での堆積は、正しいサイズ範囲にある粒子投与の配送に非常に強く依存している。大きすぎる粒子はその大きい慣性のため上気道の表面に衝突する傾向にあり、小さすぎる粒子はブラウン運動により表面に到達する傾向にある。実際には、たとえほとんどの粒子が直ちに効率よくエアゾール化されても、粒子は非常に遅い流速条件、したがって低い乱流レベルの傾向にある。こうして、粒子が装置を出るとき、粒子の分散のための乱流の剪断エネルギーはほとんど利用できず、依然として大きいキャリア粒子に付着しているかまたは大きい凝集体として存在するので、投与された大部分は上気道に堆積する。
【0009】
CFD計算にもとづいて、周知の受動的吸入器における数多くの欠陥が特定された。これらの欠陥は以下のものを含む。
【0010】
流れ制御不足 一般に、ピーク速度は入口のわずか下流で起こり、噴流は投与カップの付近に集中する。粒子がエアゾール化される前に、大半の圧力降下およびもっとも高いレベルの乱流は投与カップの上流で発生する。これは、本質的に、有効に薬剤/キャリア粒子を壊すために、より効果的に粒子分散の下流で使用することができるはずのエネルギーの消費である。加えて、典型的には、投与カップ内部および周囲に深刻なデッドゾーン(dead zone)が存在する。デッドゾーンは粒子エアゾール化を抑制し、粒子を分散させるのに必要なエネルギーを増やす。投与機構の下流の大きい再循環ゾーンは粒子の再堆積の潜在的場所を提供する。
【0011】
制御されない乱流 現在のDPIにおいて、出口の自由噴流における乱流は制御されず、患者の吸入技能および口腔の幾何学的特徴によって実質的に影響を受ける。結局これによって、同一の流れ条件下で同じ装置を用いても患者によって微細粒子破片において著しい変動が生じ得る。
【0012】
不適切な放出タイミング 実験データは、現在のDPIにおいて、吸入サイクルの初期、流れが成長して流速および乱流がピーク値に達するよりずっと前に粒子のエアゾール化が生じることを示している。乱流による粒子の崩壊を最大にするため、吸入サイクルの後期、乱流が大きく流れがより成長したところで粒子をエアゾール化することが望ましい。これは、定常流れ条件においてエアゾール化された粉体は再循環ゾーンで再堆積しにくいという追加の利点を有する。
【0013】
現在の受動的な装置は、流速または装置を横切る圧力降下(エアゾールが経験する乱流の変化に変わる)の変化が、患者の肺におけるエアゾール分配に非常に著しい変化をもたらすような領域で動作する。エアゾールの性質が吸入速度によって大きく影響されないような領域で動作するのがより望ましい。これは、再び、エアゾール化が、低い流速(圧力降下)ピークに対し最大乱流条件の近傍で起こるべきであることを示唆している。そのような低い流速(圧力降下)ピークは、高齢または若年の患者において起こるであろう。健康な成人に起こるような高い流速は、結果として生じるエアゾールの性質を著しく変化させるべきではない。このようにして、すでに低い流速条件にある薬剤およびキャリア粒子を分解するために充分な乱流が達成されるべきである。
【0014】
[発明の要旨]
本発明の目的は、乾式粉体吸入器を構築することであり、この吸入器は単純であるが、均一かつ効率的に粉体のエアゾール化および分散を患者の広範囲な吸入プロファイルにわたって提供でき、もって呼吸に適する粒子の不変の投与量を生成することである。従来の乾式粉体吸入器と異なり、本装置は、流れの特別な領域で、吸入気流プロファイルにおける最適な時刻に剪断力を生成するために、特定の流体力学の詳細な考察を利用している。
【0015】
本装置の重要な側面は、粉体が一旦効率よくエアゾール化されたあと、粒子エアゾール化プロセスのあいだも、分散化プロセスのあいだも投与粒子にまたは投与粒子間に働く剪断力の受動的制御である。これら剪断力の制御の鍵は、装置の全体にわたってキャリアガスの流速および乱流の程度を制御する能力である。本発明の装置は、粒子を分散させるおよび/または吸入と薬剤配送とを連携させる複雑な機械的、電気的または他の手段の必要性を避けている。このようにして、本装置は製造するのに簡単で、操作が首尾一貫していて、機械的故障に影響されにくい。
【0016】
本発明の吸入器は遅延動作エアゾール化および分散装置と呼ばれる。本発明の吸入器は、流速がより速く乱流がより発達している、吸入サイクルにおける後半部で主気流に粒子を放出する。粉体をエアゾール化し分散化するために装置内で使用される高速の空気は、吸入力のみによって達成される。さらに、よい位置での流れの収斂を利用することによって、高速およびとくに高いレベルの乱流が、それまでの低い吸入速度でも達成できる。最も高い圧力降下、および最も激しい乱流は、患者の口腔によってあまり影響を受けず、壁から離れた制御領域におけるエアゾール化領域の下流で生じるので、乱流減衰および最堆積を減少させる。さらに薬剤粒子が吸入装置を出るときの薬剤粒子の低い速度によって、使用者の上気道に堆積するのは、比較的少量の薬剤であろう。従来のDPIに比べ、本発明の装置は分散化剪断力と、これにより粒子サイズ分布および微細粒子投与(FPD)のよりよい制御を提供する。さらに、FPDが最小吸入速度にのみ依存し、患者のいかなる連携された動作、または複雑な操作または放出の機構には依存しないのでFPDが確実となる。引き出される投与は、従来の装置におけるより不変であり吸気流れプロファイルに依存しない。
【0017】
本発明の装置は、本質的に受動的である。粒子をエアゾール化しまたは分散化するための追加の機械的、電気的または他のトリガまたは増幅手段なくして、粉体状の薬剤の投与は、装置を通る吸入により達成される気流の作用によってエアゾール化および分散化され得る。もっとも好ましくは、装置をとおって吸入される空気の空気力学以外いかなる手段も粉体状の薬剤の投与のエアゾール化および分散化に関与しない。
【0018】
したがって、本発明は吸入によって粉体状の薬剤を投与するための装置を提供し、当該装置は
空気入口通路と、
該空気入口通路に接続された中間通路(transition passage)と、
該中間通路に接続され、端部にスロート部(throat)を形成した先細通路(converging passage)と、
該スロート部に接続された拡がり部(diverging section)と、
該拡がり部に接続された出口通路
を備え、
該中間通路は粉体状の薬剤の投与のための保持部と、減速される空気流速の領域をつくる手段とを備え
該スロート部の断面積は、空気入口通路、中間通路および出口通路の最小断面積より小さく、
粉体状の薬剤の投与量は吸入によって生成される空気流により保持部からエアゾール化される
装置である。
【0019】
空気入口通路は、低い圧力降下および低い乱流を与えるように寸法化される。好ましくは、空気入口通路の流れレイノルズ値は5000未満、より好ましくは4000未満で、断面積は基本的に一定である。空気入口通路の長さは、もっとも短い寸法の3倍より大きいことが好ましい。
【0020】
中間通路は、粉体状の薬剤の投与のための保持部とともに減速された空気流速の領域を生成するための手段を備える。当該保持部は、中間通路内、好ましくは減速された空気流速の領域内に配置される。減速される空気流速は、エアゾール化を遅延させ、および/または流れが充分成長するまで投与カップからのエアゾール化の速度を抑制する。このようにして、乱流の剪断力は、下流で最高レベルに近づいて効果的な分散化を結果する。
【0021】
中間通路における減速された空気流速の領域は、好ましくは1または数回転、拡張部、またはこれらの組み合せにより生成される。空気入口通路は、好ましくは中間通路となめらかに結合される。中間通路は、好ましくは先細通路となめらかに結合される。
【0022】
粉体状の薬剤の投与のための保持部の形状は、中間通路の壁になめらかに結合されるのが好ましい。そのような保持部は、たとえば装置の薬剤容器(reservoir)から粉体状の薬剤の投与量を計量するような計量部材である投与カップなどである。
【0023】
スロート部の断面積は、空気入口通路、中間通路および出口通路の最小断面積の、好ましくは50%未満、より好ましくは35%未満である。
【0024】
好ましくは出口通路の断面積は空気入口通路の断面積より大きく、また好ましくはスロート部の断面積の3倍より大きい。本装置は、出口通路に位置する衝突板(impactor plate)を追加的に備えてもよい。
【0025】
本発明の装置は、好ましくは容器タイプの多数回投与乾燥粉体吸入器である。しかしながら、本発明の原理は他のタイプの乾燥粉体吸入器、たとえば、粉体状の薬剤が、ブリスターパック、カートリッジまたははぎ取り型ストリップ(peelable strip)のような単位投与量容器として準備される吸入器にも使用可能である。
【0026】
[発明の詳細な説明]
本発明は、吸入による粉体状の薬剤を分配するための装置に関する。本発明の装置は、空気入口通路、空気入口通路に接続された中間通路、中間通路に接続され、端部にスロート部が形成される先細通路、スロート部に接続される拡がり部、および拡がり部に接続される空気出口通路を備え、
中間通路は、粉体状の薬剤の投与のための保持部および減速される空気流速の領域を生成するための手段を備え、
スロート部の断面積は空気入口通路、中間通路および出口通路の最小断面積より小さく、粉体状の薬剤の投与量が、吸入によって生成される空気流の手段により前記保持部からエアゾール化される装置である。
【0027】
空気入口通路は、低い圧力降下および低い乱流を与えるべきである。空気入口通路は、装置に予測される最大流速において、入口通路の端部における流れが最大でも低い乱流のレベルにあるよう寸法化される。最小の入口通路寸法にもとづき、空気入口通路の断面積は、ピーク流れ条件における流れに対するレイノルズ数(Re)が5000以下、好ましくは4000以下であるように規定される。ここに、入口通路(6)のレイノルズ数は
Re=ρVL/μ
で定義され、ここでρおよびμは周囲条件における空気の密度および粘度、Vは入口通路における気体の平均速度、Lは入口通路の最小寸法である。入口通路は、好ましくは本質的に一定の断面積を有し、粉体の保持部に流れが達する以前に乱流のレベルを緩和するように、好ましくは本質的に矩形状を有する。空気入口通路は、好ましくは直線状で、空気入口通路の長さは、空気入口通路の最も短い寸法の3倍より大であることが好ましい。
【0028】
空気入口通路は、減速される空気流速領域を生成する手段を有する中間通路に続く。粉体状の薬剤の投与のための保持部は、好ましくはこの減速される空気流速領域に配置される。「減速される空気流速領域」との語句は、空気の流速が、空気流れの流路に沿った周囲の領域における空気の流速より本質的に小さい通路領域を指す。
【0029】
中間通路において減速される空気流速領域を生成する方法にいくつかの選択肢がある。
【0030】
本発明の1つの好ましい実施の形態において、中間通路は旋回を形成し、中間通路は旋回通路の形状である。旋回は、旋回部の外周壁の近くに減速される空気流速領域を生成する。旋回角度(空気入口通路の軸と先細通路の軸とのあいだの角度)は、典型的には10〜170゜であり、好ましくは45〜135゜、さらに好ましくは70〜110゜、最も好ましくは約90゜である。好ましい実施の形態においては、旋回角がある臨界の値より大であって旋回通路の内周側の壁の曲率半径の寸法が決定され、その結果吸入プロセスのあいだ流れが旋回部の内周側に(再循環なしに)接触し続ける。計算により、内周側の壁の領域における再循環を排除するためには旋回通路の内周側の壁の曲率半径が空気入口通路の断面の最短の寸法の20%より大、好ましくは概ね2分の1であるべきことが示された。旋回通路の断面はいかなる形状のものでもよいが、基本的に矩形状であるのが好ましい。
【0031】
前記に規定されたように、旋回通路は、外周側の面に1または2以上の粉体状の薬剤の投与のための保持部、たとえば投与カップを備える。投与カップは、カップにおける小規模の再循環を抑制するように、旋回通路の外周側の面になめらかに一体化されるのが好ましい。投与カップの断面はもし断面が旋回通路の外周側の壁になめらかに一体化されるのであれば、任意の形状でよい。投与カップの断面積は、最も好適には半円型である。投与カップの壁と旋回通路の外周側の壁との角度は、90゜より小、好ましくは45゜以下であるべきである。このようにして投与カップはエアゾール化および放出機構の不可欠の部分となる。旋回通路の断面積は、入口通路の断面積に等しいか、または好ましくはより大きい。好ましい実施の形態において、迅速な旋回およびたとえば投与カップによる断面積の増加の組み合わせが、充分規定された再循環領域を旋回通路の外周側の壁で発達させる。これは、流れが充分成長し、乱流剪断力が下流で最大レベルに近づくまで、エアゾール化を遅延させ、および/または投与カップからのエアゾール化の速度を抑制させるように、投与カップにおける流体の速度を減少させる効果を有する。入口通路および旋回通路は好ましくは連続であって、空気入口通路は旋回通路となめらかに一体化されるのが好ましい。
【0032】
本発明の、別の実施の形態においては、中間通路は拡張領域を備える。この場合、中間通路は旋回部を備える必要はない。ここで、投与カップの領域における低減された速度は、中間通路の断面積が増加することによって生成される。拡張部の断面積は、空気入口通路の断面積の好ましくは1.25〜10倍、より好ましくは2〜5倍大きい。拡張は、好ましくは急激であって、減速される空気流速領域の充分定義された領域が拡張領域の壁の近くに形成される。拡張部の開き角度は、好ましくは10〜135゜、好適には20〜90゜である。投与カップは、減速された流速領域に存在するように、拡張部の直後の下流に位置するのが好ましい。拡張部の断面形状は、好ましくは本質的には矩形状である。
【0033】
本発明の、さらに別の実施の形態においては、中間領域が複数旋回領域を備える。この場合、たとえ中間領域の断面が本質的に一定であっても、流れの複数旋回によって投与カップの領域において減速された流速が生成される。たとえば、複数旋回部は、連続した2回の旋回からなる。旋回どうしの距離は、好ましくは、中間通路の直径の0.5〜2倍、好適には概ね1倍である。各旋回の旋回角は、好ましくは10〜135゜、好適には20〜90゜である。複数旋回の断面形状は、本質的には矩形が好ましい。投与カップは、減速流速領域に存在するように複数旋回部のすぐ下流に位置されるのが好ましい。
【0034】
先細通路は、当該中間通路になめらかに接続され一体化されるのが好ましい。断面は任意の形状が可能であるが、好ましくは矩形状である。先細通路は充分長く、中間通路の外周側の壁で流れを完全に再び接触させることが可能であり、流れが中間通路の遠位の先細通路の端部に形成されるスロート部に入る前に流れがおもに下流方向に向かうようにする。くびれの変化率は、スロート部の上流領域で何らの追加的な再循環をひき起こすであろう変化率よりは小さくする必要がある。スロート部は先細通路となめらかに結合され、任意の形状であってよいが、好ましくは楕円である。楕円形状は、スロート部を出る高流速の気体と拡がり部における低流速の気体との相互作用領域を増加させるので好ましい。これは、分散速度の増加効果を有し、出る噴流の強度をより急速に減少させる。これは慣性衝突による患者の口腔および喉における粒子堆積を抑制するという点で有益である。スロート部の断面積は、装置に必要な圧力降下にもとづき特定される。大きい圧力降下の要求は、小さいスロート部面積を伴なう。スロート部の断面積が入口通路、旋回通路、先細通路および出口通路のうちの最小断面積より実質的に小さいかぎり、装置全体の圧力降下がスロート部によって効果的に支配される。スロート部の断面積は、好ましくは入口通路、旋回通路および出口通路のうちの最小断面積50%より小、より好ましくは35%より小である。装置のピーク圧力降下の範囲は、0.5〜20kPaが好ましく、装置をとおるピーク流量の範囲は、典型的に毎分1〜150リットルである。好ましい実施の形態において、毎分60リットルの最大流量に対し所望の圧力降下は概ね6.5kPaである。他の設計上の要求に対して、スロート部の断面積が、好ましくは、入口通路、移行通路および先細通路の最小断面積の50%より小であるかぎり、相当程度に調整され得る。
【0035】
スロート部は拡がり部と、好ましくは鋭角のダイバージェンス角度(divergence angle)で結合する。ダイバージェンス角度の要件は、スロート部から出た流れが急速な旋回を曲がりきれず分離し、このため拡がり部および出口通路で自由噴流を形成することである。ダイバージェンス角度は概ね10゜から180゜まで変化できるが、好ましい実施の形態においては概ね87゜である。スロートコーナー部の曲率半径は、流れが拡がり部の壁から直ちに剥離して、空気自由噴流を生み出すように充分小さくなければならない。スロートコーナー部の曲率半径は最小のスロート部寸法の0〜100%の範囲にあることができるが、好ましい実施の形態においては最小のスロート部の寸法の概ね1%である。自由噴流の目的は、高い剪断ストレス領域をつくり、近接する壁の減衰効果からはなれて高いレベルの乱流を生成することである。(投与カップから遅延した粉体の放出による)ピークの、またはピーク近くの流れ条件でスロート部直後下流における局在化した高いレベルの乱流の結果、凝集した粒子間の強い剪断力およびエアゾール化された粉体に対する高い分散効率が生じる。
【0036】
比較的大きい断面積を有する出口通路が拡がり部に接続されている。出口通路の断面積は、好ましくは空気入口通路の断面積より大であり、好ましくはスロート部断面積の3倍より大、さらに好ましくは20倍より大である。出口通路の断面は一定であるのが好ましい。出口通路の断面形状は、楕円であるのが好ましい。出口通路の端部は装置のマウスピースを形成する。出口通路の長さは、制御された自由噴流が患者の口腔に入らないうちに形成されるように選択される。こうして、乱流が使用者の口腔の幾何学的特徴に依存することが抑制される。多くの既知の吸入器において、噴流は舌部の非常に近くに収束し、粒子の著しい堆積を導く。加えて、吸気のあいだ口は幾分閉じられる。こうして、乱流は口腔表面に近いために最大化されず、口腔表面は乱流を減衰させる。本装置においては、噴流は口腔のずっと後部、舌部から離れて収束される。加えるに比較的大きい出口通路の断面積のために、口腔はより大きく広げられるよう強いられて、口腔表面の乱流の減衰効果は抑制される。
【0037】
正しくない使用によって装置へ呼気を行なった場合、粒子放出の制御を維持するために、装置は呼気による逆流を抑制する手段を追加的に備えてもよい。そのような手段は、デッドエンド(dead end)領域を形成するために拡がり部の延長部を備えて、ダイバージェンス角度を90゜より大、好ましくは120゜より大とする。流れ方向が逆のとき、デッドエンド部は、大きく乱れた、大きい圧力降下の流れを促進し、大きい再循環をともなう。これは使用者が装置に息を吐くとき装置を通る流れを著しく抑制し、薬剤およびキャリア粒子のエアゾール化を阻止する。
【0038】
装置は、出口通路に位置する衝突板(impaction plate)を追加的に備えてもよい。衝撃板は自由噴流の通路内に位置するが、充分下流にあって、乱流剪断力による粒子の分解を可能にする。これまで分解されなかった大きいキャリア粒子や薬剤−キャリア凝集体は板に衝突し、分解が促される。慣性の小さいすでに分解した薬剤粒子は、衝突なしに板を通り過ぎる。この特徴の第2の利点は、自由噴流が口腔に入る前に消失することである。
【0039】
本発明の装置はさらに図1〜15を参照しながら例示して説明される。
【0040】
装置の独自の特徴は、吸入器の空気流の動きと直接接触するような内側部分の幾何学的特徴に関係する。しかしながら、カップの充填および位置決めは本発明の本質的特徴ではないけれども、完全性のために投与カップの充填および位置決めのメカニズムをつぎに図1を参照して簡単に説明する。
【0041】
図1は、垂直対称面に沿う本発明の吸入器の断面を示す。装置は本体1および粉体状の薬剤4の確実な供給のための薬剤容器3を有する。容器3は矩形状の断面を有し、底部にオリフィスのある先細状端部を有する。薬剤の投与は計量化され、周縁に複数の投与カップ8が設けられた手動回転可能な計量ドラム2の手段によって装置の空気チャネルにもたらされる。計量ドラム2は、容器3の下部に固定され、計量ドラム2の1つの位置において投与カップ8が薬剤容器から落下する計量された粉体状の薬剤で充填され、計量ドラム2の別の位置において充填された投与カップ8が装置の空気流路に持ち込まれる。計量ドラム2のステップ状の一方向の回転は、たとえば国際公開第92/09322号パンフレットに記載されているようなラチェット機構に類似の計量ドラム2の歯に係合する押さえカバーの手段により達成され得る。しかしながら、周知の他の粉体状の薬剤の計量および空気流路への投与のための機構または構造が本発明の装置において使用されてもよい。
【0042】
装置の空気流路の主要部品は、空気入口通路6、中間通路7、先細通路11、拡がり部13および空気出口通路14であって、先細通路の端部はスロート部12を形成している。計量された粉体状の薬剤の投与量が計量ドラム2を回転することにより空気流路に持ち込まれるとき、投与物は投与カップから患者によってマウスピース20を介して吸い込まれる準備が整う。患者が装置を通して吸入するとき、周囲の空気が入口オリフィス5を経由して空気入口通路6に入る。入口通路6は、流れが投与カップに到達するまでは乱流レベルを緩和するように、図2〜4に示されるように一定の断面で本質的に矩形形状である。最小入口寸法21にもとづき空気入口通路6の断面は、ピーク流れ条件における流れのレイノルズ数(Re)が5000より小であるように画定される。
【0043】
空気入口通路6は、本実施の形態では旋回通路7の形状である中間通路につながる。旋回通路7は図5により詳細が示される。旋回通路7の内周側の壁9の曲率半径19は、内周側の壁9近傍の領域における再循環を避けるため、入口通路6の最短の寸法21の概ね2分の1である。旋回通路7の外周側の壁10はスロット様の開口をもち、その開口に計量ドラム2の周辺が適合されて、投与カップ8が旋回通路7の内部の外周側の壁10になめらかに結合する。投与カップ8の断面は半円形状である。投与カップ8と旋回通路7の外周側の壁10のあいだの角度16および17は、図5によく見られるが、概ね35゜である。装置の種々の通路の断面を描いた図4に示されるように、旋回通路7の断面積は、わずかに先細の底部をもつ基本的に矩形であり、入口通路6の断面積より大きくなっている。これは旋回とともに、投与カップ8における流体速度を抑制する効果を有し、流れが十分成長するまでエアゾール化を遅らせる。図4において示されるように、投与カップ8の幅は旋回通路7の矩形の底部の幅にほぼ等しい。
【0044】
旋回通路7は先細通路11になめらかにつながる。図3および4に見られるように、先細通路11の断面は矩形で均一に収束する。先細通路の端部は、ノズルとして作用する楕円形のスロート部12を形成する。図4に示されるように、スロート部12の断面積は、空気入口通路6,旋回7および先細通路11の断面積より著しく小さい。このようにして、スロート部は装置全体の圧力降下を支配する。空気入口通路6の長手方向の軸と先細通路11の長手方向の軸のあいだの旋回角は、概ね90゜である。
【0045】
図1、3および6に示されるように、スロート部12は約87゜の角度15で楕円断面13をもつ拡がり部で急に開口している。拡がり部13は、比較的小さい角度で拡張する中間部、および最終的に一定の楕円形の断面を有し、比較的大きな断面積を有する出口通路14につながる。出口通路14の端部は、装置のマウスピース20を形成する。スロート部コーナー18の曲率半径は小さく、流れは直ちに拡がり部13の壁から離れて、近くの壁の減衰効果から離れた、高いレベルの乱流を生み出す自由噴流を生成する。出口通路14の長さは、使用者の口腔に入る前に制御された自由噴流が形成されるように選択される。スロート部12と出口通路14の端部とのあいだの距離は、典型的に出口通路14の最小寸法24より長い。
【0046】
図7は、出口通路14に設けられた衝撃板22を備える本発明の別の実施の形態を概略図示する。衝撃板22は、自由噴流の通路内であるが、乱流剪断による粒子の分解を可能にするように充分離れた下流に置かれる。大きいキャリア粒子は板に衝突し、分解を促す。同時に、自由噴流は口腔に入る前に消失する。その前に分解した低い慣性の薬剤粒子は、板22に衝突することなく通り過ぎる。衝撃板22は、当業者に自明の多くの方法において出口通路14に固定され得る。
【0047】
図7の実施の形態は、流れの乱流および圧力降下を最大にするようにされるデッドエンド領域23を含み、これにより使用者が誤用により装置に呼気を吐いたときの逆流を抑制する。拡がり部13のダイバージェンス角15は、その実施の形態において大きく、典型的に120゜以上である。
【0048】
圧力降下および乱流レベルを決定する装置の重要な領域は、装置ごとの一貫性を保持するために単一の成型されたピースからなるのが好ましい。
【0049】
コンピュータ流体力学(CFD)にもとづく計算は、本発明の装置の流体の挙動を特徴付けるため実行された。図8〜10は、図1の装置の60リットル/分より低い流速の定常状態条件下での算出された速度、圧力および乱流速度を示す。ピーク速度および圧力降下はノズルの下流側で、装置の噴流領域内部で起こることを見ることができる。ピーク乱流は装置スロート部およびマウス領域の下流で生じる。この設計における圧力降下は、概ね6.5kPaである。最大の乱流はスロート部近くにあり、乱流の粘性は概ね1×10−2kg/m/sである。計算は、このレベルの乱流は大多数のエアゾール化された粉体を分解するのに充分であることを示している。投与カップにおける流れは均一でピーク流速に比べて低い流速である。図11は、この領域における流れを示している。小スケールのデッドゾーンは存在せず、カップにおける流れはピーク流れ条件で2.5m/sのオーダーである。これは、大多数の薬剤粒子をエアゾール化するのに充分である。流れ遷移(flow transition)は、流れが常に投与チャンバ中の旋回の内部表面に付着し続けており、ピーク流速は常に旋回部の内側表面近くで生じている。したがって、投与カップ内の速度は常に吸入サイクルのピーク時よりも小さく、粒子のエアゾール化は、複雑な放出の機構を使用することなしに効果的に遅らせられる。
【0050】
図12は、中間通路の他の好ましい実施の形態を示す。この場合、矩形の断面を有する中間通路は空気入口通路6に本質的に平行に走って、そこへなめらかに接合されている。旋回の代わりに、中間通路は通路の底部方向における矩形断面の急激な拡張部27を備える。拡張部27の開き角度25は、概ね30゜であり、最大断面積は、矩形状の空気入口通路6の断面積の概ね2倍ほど大きい。投入カップ8は拡張部27の直後の下流に位置される。この実施の形態の流れ計算は図14に示され、曲線は軸方向空気流速(m/s)を示している。減速された空気流速の領域が拡張部27直後の下流に生成され、投与カップ8がその減速された吸気流速の領域に存在する。
【0051】
図13は、中間通路のさらに別の好ましい実施の形態を示す。この場合、中間通路は一定の矩形状断面積を有し、概ね45゜の旋回角26で2つの連続した平面上の旋回の形状の複数旋回28からなる。旋回部のあいだの距離は概ね矩形中間通路の高さに等しい。この実施の形態の流れ計算は図15に示され、曲線は軸方向空気流速値(m/s)を表す。減速された空気流速の領域が複数旋回28直後の下流に生成され、投与カップ8がその減速された空気流速領域に位置する。以下の請求項に定義される発明の主題から逸脱することなく、開示された実施の形態に対して修正や変形がなされ得る。本発明の装置に対するそのような修正は当業者にとって決まりきったものであると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
図1は、本発明の装置の1つの実施の形態の、垂直対称面における断面を示す。
【図2】
図2は、図1の装置の空気入口通路の、水平面における対称面における断面を示す。
【図3】
図3は、図1の装置の先細通路の中心での水平面における断面を示す。
【図4】
図4は、図1の装置の空気入口通路、中間通路、先細通路、スロート部および出口通路のうち最大面積の断面を示す。
【図5】
図5は、図1の装置の中間通路および先細通路の、垂直対称面における拡大断面を示す。
【図6】
図6は、本発明の装置の内表面の等尺図である。
【図7】
図7は、本発明の装置におけるインパクタ板およびデッドエンド領域を示す概略図である。
【図8】
図8は、本発明の装置における等空気流速線を示す。
【図9】
図9は、本発明の装置における空気等静圧線を示す。
【図10】
図10は、本発明の装置における空気の等乱流速度線を示す。
【図11】
図11は、本発明の装置における投与カップの内部および周囲の速度ベクトルを示す。
【図12】
図12は、拡張部を備えた中間通路の1の実施の形態の概略図である。
【図13】
図13は、多数回転を備える中間通路の1の実施の形態の概略図である。
【図14】
図14は、図12による中間通路における軸方向速度曲線を示す。
【図15】
図15は、図13による中間通路における軸方向速度曲線を示す。
[技術分野]
本発明は、吸入によって粉体状の物質を投与するための装置に関する。とくに、本発明は、吸入による肺への配送(pulmonary delivery)のための、粉体状の薬剤の投与をエアゾール化するための吸入装置に関する。
【0002】
[発明の背景]
吸入は、喘息の治療における投与の主要な手順(route)となってきた。これは、肺に直接的にアクセスすることに加えて、気道を経由して配送される薬剤が、急速かつ予測可能な作用の開始を与え、経口の手順に比較してより低い投与量で充分であるためである。
【0003】
加圧され計量される投薬吸入器(pMDI)は、現在もっとも一般的に使用される吸入装置である。そのような装置は、プロペラントガス(propellant gas)に微細な薬剤粒子の浮遊物を含んだキャニスター(canister)を備えている。作動時には、前記のエアゾール状の内容物が計量バルブを経由して放出され、計量された投与物は患者の肺へと進む。pMDIを継続使用するもっとも大きい脅威は、pMDIがプロペラント、すなわちオゾン層の枯渇に関係していると考えられているクロロフルオロカーボンに依存していることである。
【0004】
数タイプの乾式粉体吸入器(DPI)が開発されており、DPIにおいては患者の吸入する空気が薬剤粒子を浮遊分散させるのに用いられる。DPIは、作動と吸気のあいだの連携が必要でないので、使い勝手がよい。粉体状の薬剤は、たとえばブリスターパック(blister pack)、カートリッジまたは引き剥がし型ストリップ(peelable strip)のような単位投与容器として準備され、装置の開口部で開封される。またはこれに代えて、単位投与が、投与カップのような計量部材によって粉体の容器(reservoir)から計量される。
【0005】
粉体状の薬剤の流動性および投与精度を向上させるため、典型的には、呼吸に適するサイズの微細薬剤粒子がより粒度の粗いキャリア粒子と混合されて、微細な薬剤粒子がより大きいキャリア粒子に付着したオーダー化された混合物(ordered mixture)を形成する。この技術は粉体のエアゾール化工程を複雑にし、とくに、個々の大きい粒子および凝集した大小の粒子が堆積しがちな患者の口や喉に入る前に薬剤/キャリアの凝集体の細分化を必要とする。効果的な粉体のエアゾール化および分散化は、予想されるあらゆる吸入プロファイルのもとで粒子に及ぼされる力が克服されることを要求する(力は装置の露出表面上、薬剤とキャリア粒子のあいだ、または薬剤と薬剤粒子のあいだに存在する)。
【0006】
吸入装置の目的は、吸入に適したサイズ範囲にある粒子の高度の微細粒子の投与物(FPD)を生成することである。しかしながら、薬剤粒子を呼吸に適した粒子サイズまでエアゾール化および分散化する装置の能力は、現在入手可能なほとんどのDPIについては患者の吸気の技能に依存している。理想的な乾式粉体吸入器であれば、最終的分散において、呼吸に適した粒子の不変な投与を生み出すように、広い吸入プロファイル範囲にわたって均一な粉体のエアゾール化および分散化を提供するであろう。
【0007】
吸入時に薬剤粉体のエアゾール化および分散化を行なうため、多様な技術がDPIに用いられてきた。この技術には、タービンおよびインペラ(たとえば米国特許第4,524,769号明細書、米国特許第3,831,606号明細書および米国特許第5,327,883号明細書)または他の機械的手段(国際公開第98/26828号パンフレット)、圧縮気体(米国特許第5,113,855号明細書、米国特許第5,349,947号明細書および米国特許第5,875,776号明細書)、サイクロン(たとえば、米国特許第5,301,666号明細書および国際公開第99/07426号パンフレット)、静電分散およびピエゾ振動(たとえば、米国特許第3,948,264号明細書、国際公開第97/26934号パンフレット)、ベンチュリー(米国特許第4,200,099号明細書、米国特許第4,240,418号明細書および国際公開第92/00771号パンフレット)およびインパクタ(米国特許第5,724,959号明細書)が含まれる。いくつかの特許は、放出と吸入の動作を連係されるように気流への薬剤粒子の放出をトリガするために、気流または装置を貫く圧力降下を検知する電気的または他の手段(たとえば、国際公開第93/03782号パンフレットおよび国際公開第97/20589号パンフレット、米国特許第5,388,572号明細書)、あるいは患者の吸入速度を機械的に制御する手段(米国特許第5,727,546号明細書および米国特許第5,161,524号明細書)を使用している。概してこれらのDPIはより複雑かつ高価なものになってきている。
【0008】
DPIにおける流れの挙動は、エアゾール化や粒子分散プロセスにおいて重要であり、もし装置が受動的、すなわちいかなる機械的または電気的な増幅またはトリガ機構をもたないものである場合、とくに重要である。微細粒子破片(FPF)を最大にして、広範囲の患者の吸入プロファイルにわたって不変な投与量を提供するために、薬剤−キャリアの分散が起こりそうな重要領域の乱流の程度には特別な注意を向けるべきである。したがって、われわれはさまざまな吸入器について、装置の定常流の挙動を特徴づけるために、コンピュータ流体動力学(CFD)計算を実施した。複数の乾式粉体吸入器において、取り込み空気は投与カップまたは計量投与保持部に集中され(たとえば、国際公開第99/07426号パンフレット、国際公開第92/00771号パンフレットおよび国際公開第92/09322号パンフレット)、吸入サイクルの丁度開始時に大部分の粉体がエアゾール化される。典型的には、吸入器の設計者は、肺深部への堆積が吸入サイクルの非常に早い時点でエアゾールを導入することに依存するとの確信のもとで、粉体の迅速なエアゾール化に重きを置いている。しかし、テストは、初期のエアゾール化は概して重要な問題でないと結論づけている。目標とする場所への肺深部での堆積は、正しいサイズ範囲にある粒子投与の配送に非常に強く依存している。大きすぎる粒子はその大きい慣性のため上気道の表面に衝突する傾向にあり、小さすぎる粒子はブラウン運動により表面に到達する傾向にある。実際には、たとえほとんどの粒子が直ちに効率よくエアゾール化されても、粒子は非常に遅い流速条件、したがって低い乱流レベルの傾向にある。こうして、粒子が装置を出るとき、粒子の分散のための乱流の剪断エネルギーはほとんど利用できず、依然として大きいキャリア粒子に付着しているかまたは大きい凝集体として存在するので、投与された大部分は上気道に堆積する。
【0009】
CFD計算にもとづいて、周知の受動的吸入器における数多くの欠陥が特定された。これらの欠陥は以下のものを含む。
【0010】
流れ制御不足 一般に、ピーク速度は入口のわずか下流で起こり、噴流は投与カップの付近に集中する。粒子がエアゾール化される前に、大半の圧力降下およびもっとも高いレベルの乱流は投与カップの上流で発生する。これは、本質的に、有効に薬剤/キャリア粒子を壊すために、より効果的に粒子分散の下流で使用することができるはずのエネルギーの消費である。加えて、典型的には、投与カップ内部および周囲に深刻なデッドゾーン(dead zone)が存在する。デッドゾーンは粒子エアゾール化を抑制し、粒子を分散させるのに必要なエネルギーを増やす。投与機構の下流の大きい再循環ゾーンは粒子の再堆積の潜在的場所を提供する。
【0011】
制御されない乱流 現在のDPIにおいて、出口の自由噴流における乱流は制御されず、患者の吸入技能および口腔の幾何学的特徴によって実質的に影響を受ける。結局これによって、同一の流れ条件下で同じ装置を用いても患者によって微細粒子破片において著しい変動が生じ得る。
【0012】
不適切な放出タイミング 実験データは、現在のDPIにおいて、吸入サイクルの初期、流れが成長して流速および乱流がピーク値に達するよりずっと前に粒子のエアゾール化が生じることを示している。乱流による粒子の崩壊を最大にするため、吸入サイクルの後期、乱流が大きく流れがより成長したところで粒子をエアゾール化することが望ましい。これは、定常流れ条件においてエアゾール化された粉体は再循環ゾーンで再堆積しにくいという追加の利点を有する。
【0013】
現在の受動的な装置は、流速または装置を横切る圧力降下(エアゾールが経験する乱流の変化に変わる)の変化が、患者の肺におけるエアゾール分配に非常に著しい変化をもたらすような領域で動作する。エアゾールの性質が吸入速度によって大きく影響されないような領域で動作するのがより望ましい。これは、再び、エアゾール化が、低い流速(圧力降下)ピークに対し最大乱流条件の近傍で起こるべきであることを示唆している。そのような低い流速(圧力降下)ピークは、高齢または若年の患者において起こるであろう。健康な成人に起こるような高い流速は、結果として生じるエアゾールの性質を著しく変化させるべきではない。このようにして、すでに低い流速条件にある薬剤およびキャリア粒子を分解するために充分な乱流が達成されるべきである。
【0014】
[発明の要旨]
本発明の目的は、乾式粉体吸入器を構築することであり、この吸入器は単純であるが、均一かつ効率的に粉体のエアゾール化および分散を患者の広範囲な吸入プロファイルにわたって提供でき、もって呼吸に適する粒子の不変の投与量を生成することである。従来の乾式粉体吸入器と異なり、本装置は、流れの特別な領域で、吸入気流プロファイルにおける最適な時刻に剪断力を生成するために、特定の流体力学の詳細な考察を利用している。
【0015】
本装置の重要な側面は、粉体が一旦効率よくエアゾール化されたあと、粒子エアゾール化プロセスのあいだも、分散化プロセスのあいだも投与粒子にまたは投与粒子間に働く剪断力の受動的制御である。これら剪断力の制御の鍵は、装置の全体にわたってキャリアガスの流速および乱流の程度を制御する能力である。本発明の装置は、粒子を分散させるおよび/または吸入と薬剤配送とを連携させる複雑な機械的、電気的または他の手段の必要性を避けている。このようにして、本装置は製造するのに簡単で、操作が首尾一貫していて、機械的故障に影響されにくい。
【0016】
本発明の吸入器は遅延動作エアゾール化および分散装置と呼ばれる。本発明の吸入器は、流速がより速く乱流がより発達している、吸入サイクルにおける後半部で主気流に粒子を放出する。粉体をエアゾール化し分散化するために装置内で使用される高速の空気は、吸入力のみによって達成される。さらに、よい位置での流れの収斂を利用することによって、高速およびとくに高いレベルの乱流が、それまでの低い吸入速度でも達成できる。最も高い圧力降下、および最も激しい乱流は、患者の口腔によってあまり影響を受けず、壁から離れた制御領域におけるエアゾール化領域の下流で生じるので、乱流減衰および最堆積を減少させる。さらに薬剤粒子が吸入装置を出るときの薬剤粒子の低い速度によって、使用者の上気道に堆積するのは、比較的少量の薬剤であろう。従来のDPIに比べ、本発明の装置は分散化剪断力と、これにより粒子サイズ分布および微細粒子投与(FPD)のよりよい制御を提供する。さらに、FPDが最小吸入速度にのみ依存し、患者のいかなる連携された動作、または複雑な操作または放出の機構には依存しないのでFPDが確実となる。引き出される投与は、従来の装置におけるより不変であり吸気流れプロファイルに依存しない。
【0017】
本発明の装置は、本質的に受動的である。粒子をエアゾール化しまたは分散化するための追加の機械的、電気的または他のトリガまたは増幅手段なくして、粉体状の薬剤の投与は、装置を通る吸入により達成される気流の作用によってエアゾール化および分散化され得る。もっとも好ましくは、装置をとおって吸入される空気の空気力学以外いかなる手段も粉体状の薬剤の投与のエアゾール化および分散化に関与しない。
【0018】
したがって、本発明は吸入によって粉体状の薬剤を投与するための装置を提供し、当該装置は
空気入口通路と、
該空気入口通路に接続された中間通路(transition passage)と、
該中間通路に接続され、端部にスロート部(throat)を形成した先細通路(converging passage)と、
該スロート部に接続された拡がり部(diverging section)と、
該拡がり部に接続された出口通路
を備え、
該中間通路は粉体状の薬剤の投与のための保持部と、減速される空気流速の領域をつくる手段とを備え
該スロート部の断面積は、空気入口通路、中間通路および出口通路の最小断面積より小さく、
粉体状の薬剤の投与量は吸入によって生成される空気流により保持部からエアゾール化される
装置である。
【0019】
空気入口通路は、低い圧力降下および低い乱流を与えるように寸法化される。好ましくは、空気入口通路の流れレイノルズ値は5000未満、より好ましくは4000未満で、断面積は基本的に一定である。空気入口通路の長さは、もっとも短い寸法の3倍より大きいことが好ましい。
【0020】
中間通路は、粉体状の薬剤の投与のための保持部とともに減速された空気流速の領域を生成するための手段を備える。当該保持部は、中間通路内、好ましくは減速された空気流速の領域内に配置される。減速される空気流速は、エアゾール化を遅延させ、および/または流れが充分成長するまで投与カップからのエアゾール化の速度を抑制する。このようにして、乱流の剪断力は、下流で最高レベルに近づいて効果的な分散化を結果する。
【0021】
中間通路における減速された空気流速の領域は、好ましくは1または数回転、拡張部、またはこれらの組み合せにより生成される。空気入口通路は、好ましくは中間通路となめらかに結合される。中間通路は、好ましくは先細通路となめらかに結合される。
【0022】
粉体状の薬剤の投与のための保持部の形状は、中間通路の壁になめらかに結合されるのが好ましい。そのような保持部は、たとえば装置の薬剤容器(reservoir)から粉体状の薬剤の投与量を計量するような計量部材である投与カップなどである。
【0023】
スロート部の断面積は、空気入口通路、中間通路および出口通路の最小断面積の、好ましくは50%未満、より好ましくは35%未満である。
【0024】
好ましくは出口通路の断面積は空気入口通路の断面積より大きく、また好ましくはスロート部の断面積の3倍より大きい。本装置は、出口通路に位置する衝突板(impactor plate)を追加的に備えてもよい。
【0025】
本発明の装置は、好ましくは容器タイプの多数回投与乾燥粉体吸入器である。しかしながら、本発明の原理は他のタイプの乾燥粉体吸入器、たとえば、粉体状の薬剤が、ブリスターパック、カートリッジまたははぎ取り型ストリップ(peelable strip)のような単位投与量容器として準備される吸入器にも使用可能である。
【0026】
[発明の詳細な説明]
本発明は、吸入による粉体状の薬剤を分配するための装置に関する。本発明の装置は、空気入口通路、空気入口通路に接続された中間通路、中間通路に接続され、端部にスロート部が形成される先細通路、スロート部に接続される拡がり部、および拡がり部に接続される空気出口通路を備え、
中間通路は、粉体状の薬剤の投与のための保持部および減速される空気流速の領域を生成するための手段を備え、
スロート部の断面積は空気入口通路、中間通路および出口通路の最小断面積より小さく、粉体状の薬剤の投与量が、吸入によって生成される空気流の手段により前記保持部からエアゾール化される装置である。
【0027】
空気入口通路は、低い圧力降下および低い乱流を与えるべきである。空気入口通路は、装置に予測される最大流速において、入口通路の端部における流れが最大でも低い乱流のレベルにあるよう寸法化される。最小の入口通路寸法にもとづき、空気入口通路の断面積は、ピーク流れ条件における流れに対するレイノルズ数(Re)が5000以下、好ましくは4000以下であるように規定される。ここに、入口通路(6)のレイノルズ数は
Re=ρVL/μ
で定義され、ここでρおよびμは周囲条件における空気の密度および粘度、Vは入口通路における気体の平均速度、Lは入口通路の最小寸法である。入口通路は、好ましくは本質的に一定の断面積を有し、粉体の保持部に流れが達する以前に乱流のレベルを緩和するように、好ましくは本質的に矩形状を有する。空気入口通路は、好ましくは直線状で、空気入口通路の長さは、空気入口通路の最も短い寸法の3倍より大であることが好ましい。
【0028】
空気入口通路は、減速される空気流速領域を生成する手段を有する中間通路に続く。粉体状の薬剤の投与のための保持部は、好ましくはこの減速される空気流速領域に配置される。「減速される空気流速領域」との語句は、空気の流速が、空気流れの流路に沿った周囲の領域における空気の流速より本質的に小さい通路領域を指す。
【0029】
中間通路において減速される空気流速領域を生成する方法にいくつかの選択肢がある。
【0030】
本発明の1つの好ましい実施の形態において、中間通路は旋回を形成し、中間通路は旋回通路の形状である。旋回は、旋回部の外周壁の近くに減速される空気流速領域を生成する。旋回角度(空気入口通路の軸と先細通路の軸とのあいだの角度)は、典型的には10〜170゜であり、好ましくは45〜135゜、さらに好ましくは70〜110゜、最も好ましくは約90゜である。好ましい実施の形態においては、旋回角がある臨界の値より大であって旋回通路の内周側の壁の曲率半径の寸法が決定され、その結果吸入プロセスのあいだ流れが旋回部の内周側に(再循環なしに)接触し続ける。計算により、内周側の壁の領域における再循環を排除するためには旋回通路の内周側の壁の曲率半径が空気入口通路の断面の最短の寸法の20%より大、好ましくは概ね2分の1であるべきことが示された。旋回通路の断面はいかなる形状のものでもよいが、基本的に矩形状であるのが好ましい。
【0031】
前記に規定されたように、旋回通路は、外周側の面に1または2以上の粉体状の薬剤の投与のための保持部、たとえば投与カップを備える。投与カップは、カップにおける小規模の再循環を抑制するように、旋回通路の外周側の面になめらかに一体化されるのが好ましい。投与カップの断面はもし断面が旋回通路の外周側の壁になめらかに一体化されるのであれば、任意の形状でよい。投与カップの断面積は、最も好適には半円型である。投与カップの壁と旋回通路の外周側の壁との角度は、90゜より小、好ましくは45゜以下であるべきである。このようにして投与カップはエアゾール化および放出機構の不可欠の部分となる。旋回通路の断面積は、入口通路の断面積に等しいか、または好ましくはより大きい。好ましい実施の形態において、迅速な旋回およびたとえば投与カップによる断面積の増加の組み合わせが、充分規定された再循環領域を旋回通路の外周側の壁で発達させる。これは、流れが充分成長し、乱流剪断力が下流で最大レベルに近づくまで、エアゾール化を遅延させ、および/または投与カップからのエアゾール化の速度を抑制させるように、投与カップにおける流体の速度を減少させる効果を有する。入口通路および旋回通路は好ましくは連続であって、空気入口通路は旋回通路となめらかに一体化されるのが好ましい。
【0032】
本発明の、別の実施の形態においては、中間通路は拡張領域を備える。この場合、中間通路は旋回部を備える必要はない。ここで、投与カップの領域における低減された速度は、中間通路の断面積が増加することによって生成される。拡張部の断面積は、空気入口通路の断面積の好ましくは1.25〜10倍、より好ましくは2〜5倍大きい。拡張は、好ましくは急激であって、減速される空気流速領域の充分定義された領域が拡張領域の壁の近くに形成される。拡張部の開き角度は、好ましくは10〜135゜、好適には20〜90゜である。投与カップは、減速された流速領域に存在するように、拡張部の直後の下流に位置するのが好ましい。拡張部の断面形状は、好ましくは本質的には矩形状である。
【0033】
本発明の、さらに別の実施の形態においては、中間領域が複数旋回領域を備える。この場合、たとえ中間領域の断面が本質的に一定であっても、流れの複数旋回によって投与カップの領域において減速された流速が生成される。たとえば、複数旋回部は、連続した2回の旋回からなる。旋回どうしの距離は、好ましくは、中間通路の直径の0.5〜2倍、好適には概ね1倍である。各旋回の旋回角は、好ましくは10〜135゜、好適には20〜90゜である。複数旋回の断面形状は、本質的には矩形が好ましい。投与カップは、減速流速領域に存在するように複数旋回部のすぐ下流に位置されるのが好ましい。
【0034】
先細通路は、当該中間通路になめらかに接続され一体化されるのが好ましい。断面は任意の形状が可能であるが、好ましくは矩形状である。先細通路は充分長く、中間通路の外周側の壁で流れを完全に再び接触させることが可能であり、流れが中間通路の遠位の先細通路の端部に形成されるスロート部に入る前に流れがおもに下流方向に向かうようにする。くびれの変化率は、スロート部の上流領域で何らの追加的な再循環をひき起こすであろう変化率よりは小さくする必要がある。スロート部は先細通路となめらかに結合され、任意の形状であってよいが、好ましくは楕円である。楕円形状は、スロート部を出る高流速の気体と拡がり部における低流速の気体との相互作用領域を増加させるので好ましい。これは、分散速度の増加効果を有し、出る噴流の強度をより急速に減少させる。これは慣性衝突による患者の口腔および喉における粒子堆積を抑制するという点で有益である。スロート部の断面積は、装置に必要な圧力降下にもとづき特定される。大きい圧力降下の要求は、小さいスロート部面積を伴なう。スロート部の断面積が入口通路、旋回通路、先細通路および出口通路のうちの最小断面積より実質的に小さいかぎり、装置全体の圧力降下がスロート部によって効果的に支配される。スロート部の断面積は、好ましくは入口通路、旋回通路および出口通路のうちの最小断面積50%より小、より好ましくは35%より小である。装置のピーク圧力降下の範囲は、0.5〜20kPaが好ましく、装置をとおるピーク流量の範囲は、典型的に毎分1〜150リットルである。好ましい実施の形態において、毎分60リットルの最大流量に対し所望の圧力降下は概ね6.5kPaである。他の設計上の要求に対して、スロート部の断面積が、好ましくは、入口通路、移行通路および先細通路の最小断面積の50%より小であるかぎり、相当程度に調整され得る。
【0035】
スロート部は拡がり部と、好ましくは鋭角のダイバージェンス角度(divergence angle)で結合する。ダイバージェンス角度の要件は、スロート部から出た流れが急速な旋回を曲がりきれず分離し、このため拡がり部および出口通路で自由噴流を形成することである。ダイバージェンス角度は概ね10゜から180゜まで変化できるが、好ましい実施の形態においては概ね87゜である。スロートコーナー部の曲率半径は、流れが拡がり部の壁から直ちに剥離して、空気自由噴流を生み出すように充分小さくなければならない。スロートコーナー部の曲率半径は最小のスロート部寸法の0〜100%の範囲にあることができるが、好ましい実施の形態においては最小のスロート部の寸法の概ね1%である。自由噴流の目的は、高い剪断ストレス領域をつくり、近接する壁の減衰効果からはなれて高いレベルの乱流を生成することである。(投与カップから遅延した粉体の放出による)ピークの、またはピーク近くの流れ条件でスロート部直後下流における局在化した高いレベルの乱流の結果、凝集した粒子間の強い剪断力およびエアゾール化された粉体に対する高い分散効率が生じる。
【0036】
比較的大きい断面積を有する出口通路が拡がり部に接続されている。出口通路の断面積は、好ましくは空気入口通路の断面積より大であり、好ましくはスロート部断面積の3倍より大、さらに好ましくは20倍より大である。出口通路の断面は一定であるのが好ましい。出口通路の断面形状は、楕円であるのが好ましい。出口通路の端部は装置のマウスピースを形成する。出口通路の長さは、制御された自由噴流が患者の口腔に入らないうちに形成されるように選択される。こうして、乱流が使用者の口腔の幾何学的特徴に依存することが抑制される。多くの既知の吸入器において、噴流は舌部の非常に近くに収束し、粒子の著しい堆積を導く。加えて、吸気のあいだ口は幾分閉じられる。こうして、乱流は口腔表面に近いために最大化されず、口腔表面は乱流を減衰させる。本装置においては、噴流は口腔のずっと後部、舌部から離れて収束される。加えるに比較的大きい出口通路の断面積のために、口腔はより大きく広げられるよう強いられて、口腔表面の乱流の減衰効果は抑制される。
【0037】
正しくない使用によって装置へ呼気を行なった場合、粒子放出の制御を維持するために、装置は呼気による逆流を抑制する手段を追加的に備えてもよい。そのような手段は、デッドエンド(dead end)領域を形成するために拡がり部の延長部を備えて、ダイバージェンス角度を90゜より大、好ましくは120゜より大とする。流れ方向が逆のとき、デッドエンド部は、大きく乱れた、大きい圧力降下の流れを促進し、大きい再循環をともなう。これは使用者が装置に息を吐くとき装置を通る流れを著しく抑制し、薬剤およびキャリア粒子のエアゾール化を阻止する。
【0038】
装置は、出口通路に位置する衝突板(impaction plate)を追加的に備えてもよい。衝撃板は自由噴流の通路内に位置するが、充分下流にあって、乱流剪断力による粒子の分解を可能にする。これまで分解されなかった大きいキャリア粒子や薬剤−キャリア凝集体は板に衝突し、分解が促される。慣性の小さいすでに分解した薬剤粒子は、衝突なしに板を通り過ぎる。この特徴の第2の利点は、自由噴流が口腔に入る前に消失することである。
【0039】
本発明の装置はさらに図1〜15を参照しながら例示して説明される。
【0040】
装置の独自の特徴は、吸入器の空気流の動きと直接接触するような内側部分の幾何学的特徴に関係する。しかしながら、カップの充填および位置決めは本発明の本質的特徴ではないけれども、完全性のために投与カップの充填および位置決めのメカニズムをつぎに図1を参照して簡単に説明する。
【0041】
図1は、垂直対称面に沿う本発明の吸入器の断面を示す。装置は本体1および粉体状の薬剤4の確実な供給のための薬剤容器3を有する。容器3は矩形状の断面を有し、底部にオリフィスのある先細状端部を有する。薬剤の投与は計量化され、周縁に複数の投与カップ8が設けられた手動回転可能な計量ドラム2の手段によって装置の空気チャネルにもたらされる。計量ドラム2は、容器3の下部に固定され、計量ドラム2の1つの位置において投与カップ8が薬剤容器から落下する計量された粉体状の薬剤で充填され、計量ドラム2の別の位置において充填された投与カップ8が装置の空気流路に持ち込まれる。計量ドラム2のステップ状の一方向の回転は、たとえば国際公開第92/09322号パンフレットに記載されているようなラチェット機構に類似の計量ドラム2の歯に係合する押さえカバーの手段により達成され得る。しかしながら、周知の他の粉体状の薬剤の計量および空気流路への投与のための機構または構造が本発明の装置において使用されてもよい。
【0042】
装置の空気流路の主要部品は、空気入口通路6、中間通路7、先細通路11、拡がり部13および空気出口通路14であって、先細通路の端部はスロート部12を形成している。計量された粉体状の薬剤の投与量が計量ドラム2を回転することにより空気流路に持ち込まれるとき、投与物は投与カップから患者によってマウスピース20を介して吸い込まれる準備が整う。患者が装置を通して吸入するとき、周囲の空気が入口オリフィス5を経由して空気入口通路6に入る。入口通路6は、流れが投与カップに到達するまでは乱流レベルを緩和するように、図2〜4に示されるように一定の断面で本質的に矩形形状である。最小入口寸法21にもとづき空気入口通路6の断面は、ピーク流れ条件における流れのレイノルズ数(Re)が5000より小であるように画定される。
【0043】
空気入口通路6は、本実施の形態では旋回通路7の形状である中間通路につながる。旋回通路7は図5により詳細が示される。旋回通路7の内周側の壁9の曲率半径19は、内周側の壁9近傍の領域における再循環を避けるため、入口通路6の最短の寸法21の概ね2分の1である。旋回通路7の外周側の壁10はスロット様の開口をもち、その開口に計量ドラム2の周辺が適合されて、投与カップ8が旋回通路7の内部の外周側の壁10になめらかに結合する。投与カップ8の断面は半円形状である。投与カップ8と旋回通路7の外周側の壁10のあいだの角度16および17は、図5によく見られるが、概ね35゜である。装置の種々の通路の断面を描いた図4に示されるように、旋回通路7の断面積は、わずかに先細の底部をもつ基本的に矩形であり、入口通路6の断面積より大きくなっている。これは旋回とともに、投与カップ8における流体速度を抑制する効果を有し、流れが十分成長するまでエアゾール化を遅らせる。図4において示されるように、投与カップ8の幅は旋回通路7の矩形の底部の幅にほぼ等しい。
【0044】
旋回通路7は先細通路11になめらかにつながる。図3および4に見られるように、先細通路11の断面は矩形で均一に収束する。先細通路の端部は、ノズルとして作用する楕円形のスロート部12を形成する。図4に示されるように、スロート部12の断面積は、空気入口通路6,旋回7および先細通路11の断面積より著しく小さい。このようにして、スロート部は装置全体の圧力降下を支配する。空気入口通路6の長手方向の軸と先細通路11の長手方向の軸のあいだの旋回角は、概ね90゜である。
【0045】
図1、3および6に示されるように、スロート部12は約87゜の角度15で楕円断面13をもつ拡がり部で急に開口している。拡がり部13は、比較的小さい角度で拡張する中間部、および最終的に一定の楕円形の断面を有し、比較的大きな断面積を有する出口通路14につながる。出口通路14の端部は、装置のマウスピース20を形成する。スロート部コーナー18の曲率半径は小さく、流れは直ちに拡がり部13の壁から離れて、近くの壁の減衰効果から離れた、高いレベルの乱流を生み出す自由噴流を生成する。出口通路14の長さは、使用者の口腔に入る前に制御された自由噴流が形成されるように選択される。スロート部12と出口通路14の端部とのあいだの距離は、典型的に出口通路14の最小寸法24より長い。
【0046】
図7は、出口通路14に設けられた衝撃板22を備える本発明の別の実施の形態を概略図示する。衝撃板22は、自由噴流の通路内であるが、乱流剪断による粒子の分解を可能にするように充分離れた下流に置かれる。大きいキャリア粒子は板に衝突し、分解を促す。同時に、自由噴流は口腔に入る前に消失する。その前に分解した低い慣性の薬剤粒子は、板22に衝突することなく通り過ぎる。衝撃板22は、当業者に自明の多くの方法において出口通路14に固定され得る。
【0047】
図7の実施の形態は、流れの乱流および圧力降下を最大にするようにされるデッドエンド領域23を含み、これにより使用者が誤用により装置に呼気を吐いたときの逆流を抑制する。拡がり部13のダイバージェンス角15は、その実施の形態において大きく、典型的に120゜以上である。
【0048】
圧力降下および乱流レベルを決定する装置の重要な領域は、装置ごとの一貫性を保持するために単一の成型されたピースからなるのが好ましい。
【0049】
コンピュータ流体力学(CFD)にもとづく計算は、本発明の装置の流体の挙動を特徴付けるため実行された。図8〜10は、図1の装置の60リットル/分より低い流速の定常状態条件下での算出された速度、圧力および乱流速度を示す。ピーク速度および圧力降下はノズルの下流側で、装置の噴流領域内部で起こることを見ることができる。ピーク乱流は装置スロート部およびマウス領域の下流で生じる。この設計における圧力降下は、概ね6.5kPaである。最大の乱流はスロート部近くにあり、乱流の粘性は概ね1×10−2kg/m/sである。計算は、このレベルの乱流は大多数のエアゾール化された粉体を分解するのに充分であることを示している。投与カップにおける流れは均一でピーク流速に比べて低い流速である。図11は、この領域における流れを示している。小スケールのデッドゾーンは存在せず、カップにおける流れはピーク流れ条件で2.5m/sのオーダーである。これは、大多数の薬剤粒子をエアゾール化するのに充分である。流れ遷移(flow transition)は、流れが常に投与チャンバ中の旋回の内部表面に付着し続けており、ピーク流速は常に旋回部の内側表面近くで生じている。したがって、投与カップ内の速度は常に吸入サイクルのピーク時よりも小さく、粒子のエアゾール化は、複雑な放出の機構を使用することなしに効果的に遅らせられる。
【0050】
図12は、中間通路の他の好ましい実施の形態を示す。この場合、矩形の断面を有する中間通路は空気入口通路6に本質的に平行に走って、そこへなめらかに接合されている。旋回の代わりに、中間通路は通路の底部方向における矩形断面の急激な拡張部27を備える。拡張部27の開き角度25は、概ね30゜であり、最大断面積は、矩形状の空気入口通路6の断面積の概ね2倍ほど大きい。投入カップ8は拡張部27の直後の下流に位置される。この実施の形態の流れ計算は図14に示され、曲線は軸方向空気流速(m/s)を示している。減速された空気流速の領域が拡張部27直後の下流に生成され、投与カップ8がその減速された吸気流速の領域に存在する。
【0051】
図13は、中間通路のさらに別の好ましい実施の形態を示す。この場合、中間通路は一定の矩形状断面積を有し、概ね45゜の旋回角26で2つの連続した平面上の旋回の形状の複数旋回28からなる。旋回部のあいだの距離は概ね矩形中間通路の高さに等しい。この実施の形態の流れ計算は図15に示され、曲線は軸方向空気流速値(m/s)を表す。減速された空気流速の領域が複数旋回28直後の下流に生成され、投与カップ8がその減速された空気流速領域に位置する。以下の請求項に定義される発明の主題から逸脱することなく、開示された実施の形態に対して修正や変形がなされ得る。本発明の装置に対するそのような修正は当業者にとって決まりきったものであると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
図1は、本発明の装置の1つの実施の形態の、垂直対称面における断面を示す。
【図2】
図2は、図1の装置の空気入口通路の、水平面における対称面における断面を示す。
【図3】
図3は、図1の装置の先細通路の中心での水平面における断面を示す。
【図4】
図4は、図1の装置の空気入口通路、中間通路、先細通路、スロート部および出口通路のうち最大面積の断面を示す。
【図5】
図5は、図1の装置の中間通路および先細通路の、垂直対称面における拡大断面を示す。
【図6】
図6は、本発明の装置の内表面の等尺図である。
【図7】
図7は、本発明の装置におけるインパクタ板およびデッドエンド領域を示す概略図である。
【図8】
図8は、本発明の装置における等空気流速線を示す。
【図9】
図9は、本発明の装置における空気等静圧線を示す。
【図10】
図10は、本発明の装置における空気の等乱流速度線を示す。
【図11】
図11は、本発明の装置における投与カップの内部および周囲の速度ベクトルを示す。
【図12】
図12は、拡張部を備えた中間通路の1の実施の形態の概略図である。
【図13】
図13は、多数回転を備える中間通路の1の実施の形態の概略図である。
【図14】
図14は、図12による中間通路における軸方向速度曲線を示す。
【図15】
図15は、図13による中間通路における軸方向速度曲線を示す。
Claims (24)
- 吸入により粉体状の薬剤を投与するための装置であって、
空気入口通路(6)、
該空気入口通路(6)に接続される中間通路(7)、
該中間通路(7)に接続された先細通路であって、該先細通路の端部にスロート部(12)が形成される先細通路(11)、
該スロート部(12)に接続される拡がり部(13)、および
該拡がり部(13)に接続される空気出口通路(14)
を備え、
前記中間通路が、粉体状の薬剤の投与のための保持部(8)および減速された空気流速領域を生成する手段を備え、
前記スロート部(12)の断面積が前記空気入口通路(6)、中間通路(7)および出口通路(14)の最小の断面積より小であり、
粉体状の薬剤の投与量が、吸入によって生成される空気流により前保持部(8)からエアゾール化される装置。 - 前記スロート部(12)の断面積が、前記空気入口通路(6)、中間通路(7)および出口通路(14)の最小の断面積の50%より小であり、好ましくは35%より小である請求項1記載の装置。
- 前記出口通路(14)の断面積が、空気入口通路(6)の断面積より大である請求項1または2記載の装置。
- 前記出口通路(14)の断面積が、前記スロート部(12)の断面積の3倍より大、好ましくは20倍より大である請求項1、2または3記載の装置。
- 前記空気入口通路(6)の流れのレイノルズ数が5000より小、好ましくは4000より小である請求項1、2、3または4記載の装置。
- 前記空気入口通路(6)の断面積が、本質的に一定である請求項1、2、3、4または5記載の装置。
- 前記拡がり部(13)が、概ね10゜より大であるダイバージェンス角度を有する請求項1、2、3、4、5または6記載の装置。
- 前記スロート部(12)の断面が楕円形状である請求項1、2、3、4、5、6または7記載の装置。
- 前記空気入口通路(6)の長さが、該空気入口通路(6)の最も短い寸法(21)の3倍より大である請求項1、2、3、4、5、6、7または8記載の装置。
- 前記出口通路(14)の断面が楕円形状である請求項1、2、3、4、5、6、7、8または9記載の装置。
- 前記中間通路(7)が旋回部を備える請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9または10記載の装置。
- 前記中間通路(7)が、10゜〜170゜のあいだ、好ましくは45゜〜135゜のあいだ、最も好ましくは約90゜である旋回を形成する請求項11記載の装置。
- 粉体状の薬剤の投与のための前記保持部(8)の形状が、前記中間通路(7)の旋回の外周側表面(10)になめらかに結合されるようにされる請求項11または12記載の装置。
- 前記中間通路(7)の旋回部の内周側表面(9)の曲率半径が前記空気入口通路(6)の最も短い寸法(21)の20%より大、好ましくは50%より大である請求項11,12または13記載の装置。
- 前記中間通路(7)の断面積が前記空気入口通路(6)の断面積より大きい請求項11,12,13または14記載の装置。
- 前記中間通路(7)が拡張部(27)を備える請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9または10記載の装置。
- 前記中間通路(7)が複数旋回部(28)を備える請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9または10記載の装置。
- 前記空気入口通路(6)が、前記中間通路(7)になめらかに結合される請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16または17記載の装置。
- 粉体状の薬剤の投与のための前記保持部(8)が、装置の薬剤容器(4)からの粉体状の薬剤の投与量を計測するようにされた計量部材(2)の投与カップである請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17または18記載の装置。
- 前記中間通路(7)が前記先細通路(11)になめらかに結合される請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18または19記載の装置。
- 前記拡がり部(13)が逆流を最小にするデッドエンド領域(23)を形成する請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20記載の装置。
- 前記出口通路(14)に位置する衝突板を追加的に備える請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20または21記載の装置。
- 空気入口通路(6)、中間通路(7)および/または先細通路(11)の断面は基本的に矩形形状である請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22記載の装置。
- 吸入によって粉体状の薬剤を投与するための装置であって、
空気入口通路(6)、
該空気入口通路(6)に接続された旋回通路の形状の中間通路(7)、
該中間通路(7)の旋回部の外周側の壁(10)の、粉体状の薬剤の投与のための保持部(8)、
該中間通路(7)に接続された先細通路であって、該先細通路の端部にスロート部(12)が形成された先細通路(11)、
該スロート部(12)に接続される拡がり部(13)、および
該拡がり部(13)に接続される出口通路(14)
を備え、
前記スロート部(12)の断面積が、前記空気入口通路(6)、前記中間通路(7)および前記出口通路(14)の最小の断面積より小であり、
粉体状の薬剤の投与が、吸入によって生成される空気流の手段によって前記保持部(8)からエアゾール化される装置。
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