JP2004512066A - 呼吸器の状態の音響検出 - Google Patents
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Abstract
患者の呼吸器系の状態を検出するための診断方法を提供する。この方法では、患者の胸部・肺での音の発生やその伝播の特徴を、基準音の特徴及び/又は所定のしきい値と比較分析した上で、患者に異常な呼吸器の状態が存在するかどうかを決定する。本方法では、患者内の呼吸器の状態と相互に作用し、胸壁にぶつかる音波や振動を処理する。その音波や振動は、患者(12)の口及び気管内に音波を放射するスピーカー(20)によって生成されても、また、固有の音であってもよい。その代わりには、患者(12)の胸壁を叩いて音波・振動を生成する方法も採用される。上記音波の処理(38)においては、この診断方法は、高及び低周波数帯域内のエネルギー値,信号の時間遅延及び又は優位周波数を用いてエネルギー比を算出し、その算出値を所定の基準しきい値と比較して、患者内の特定の呼吸器の状態をあらわす出力を生成する。
Description
【0001】
本発明は、概して、人間及び動物の身体内の状況を非侵襲的に診断することに関し、より詳しくは、本発明は、呼吸器の状態を検出するために、身体内における音響的特徴を利用した診断方法に関する。
【0002】
特に問題のある呼吸器の状態の一つとして気胸がある。一般的に言えば、気胸は、1つ又は両方の肺と胸壁との間に、気腔が形成されてなるものとされている。よく知られるように、その原因には、小肺胞又はブレブ(bleb)の自然破裂から、肺の炎症性疾患の進行によるもの、診断又は治療的処置に伴う合併症,ナイフ・弾丸等による穿通外傷、及び、主に交通外傷等に起因する非開放性胸部損傷など、多くのものが知られている。気胸の原因としては外傷が主体であるが、深刻な胸壁の損傷は、しばしば、患者の身体の外見から見つかりにくく、結果として、気胸の診断が看過されることがある。
【0003】
また、人工呼吸器により機械的に酸素を供給される患者ではその5−15%に気胸の併発がみられること、そして、最近増加中の医原性要素として、臨床の場で行われる胸部への侵襲的処置、すなわち緊急時の外傷患者などのモニタや輸液に用いられる中心静脈確保のための注射針挿入、及び、経皮的で経胸腔的な肺生検が、その原因として挙げられる。このような侵襲的処置に関して、気胸発生の頻度は、各々5%および20%にのぼる。米国では毎年5万件以上の気胸発生が見込まれており、その罹患および致死率減少のためにも、より効果的な診断方法が望まれる由縁である。
【0004】
従来の気胸の診断方法は、患者の病歴,理学的所見,胸部X線,コンピュータ制御の断層写真(CT)および超音波検査が採用されている。そのうち最も頻用されるのが問診による病歴,理学的所見及びX線検査である。あいにく、病歴及び理学的所見は、気胸に伴う症状が、例えば虚血性心疾患,肺炎,肺梗塞,食道痙攣・逆流および筋骨格系挫傷等の多くの無関係の病態にあるため、気胸を診断するには信頼性に乏しいものである。そのため、患者の病歴及び/又は理学的所見に基づいた気胸の診断は非常に難しく、多くの場合には、現実的に不可能である。例えば、ある研究結果からは、理学的所見による誤診率は、穿通性胸部外傷による気胸状態を有する患者の42%にのぼることが報告されている。
【0005】
打診は、種々の胸部疾患を診断するために、医師に用いられる一般的な理学的所見である。打診のほとんどの観察が、打診の実行から患者の胸部へ生ずる胸部の音をあらわすために、“濁音”や“共鳴音”等の定性的な内容に頼るものである。正常な胸部の打診音の波形は、典型的には20ミリ秒(20ms)長であって、周波数70−200ヘルツ域にスペクトルピークをもつ衰退波に継続される最初のスパイク波を含むことが報告されている。打診を用いる場合、熟練した医師は、気胸患者の場合によく聴かれる音の現象として、“過共鳴音”に注目する。更に、大きな気胸がある場合に、胸骨での聴診を行いつつ、両方の鎖骨を交互に打診すると、音響上左右非対称となることが報告されている。打診は広くその有用性が認められているもの、その診断能力には絶えず不確実性が伴う。その理由は、この技術が本来検者の技量に依存するものであり、また、患者の胸部の応答による音の性質は個人の感覚に左右されるためである。
【0006】
胸部X線やCTを用いた場合にも、肺又は胸膜腔内にある大きな水疱や嚢胞、患者の衣服、体に挿入された各種の管、皮膚のたるみ及び胸壁上のアーチファクトによって、気胸を誤診することがある。その上、胸部X線を用いた場合には、患者が有害な放射線量に晒される。気胸という病気は、放置すれば生命に関わる病気であること、そして急速に緊張性気胸にまで進展する可能性のあること、さらに発見により容易に治癒可能な病気であることから、医師はこの病気を見逃すことを極端に嫌がる傾向がある。そのため、胸部X線がしばしば不必要に行われ、それに伴う放射線の問題も増えている。結果として、胸部X線が用心のための手段としての性格を帯び、実際には気胸でない患者にも不必要な検査の指示が増加している。更に、気胸患者では、その改善の度合いのチェックのために継時的な撮影が行われるため、患者一人あたりの撮影件数が増えており、実際、米国では年間その検査数が何十万と予測される。
【0007】
胸部X線やCTの診断上の限界を克服するために、患者は、直立姿勢や側臥位をとらされたり、代わりに、呼気終末の照射が用いられたりする。あいにく、重症患者に対しては、通常、この種の体位変換は困難であり、また、それ以外にも、胸部X線やCTには、撮影室まで移送する困難や危険性が伴ったり、その設備や人手の調達が必ずしも可能ではなかったりする、という欠点がある。特に、これらの限界は夜間のケースや離れた場所(戦場、事故現場、ベッドサイドなど)で直面する。さらに、胸部X線,CT及び他の画像診断方法には、通常、検査からその結果までに時間が要され、この種の遅れは、重症な場合や生命の危険のある状況等では許容されづらい。超音波による診断方法については、周知のようにその固有の限界により、高い偽陽性率(high false positive rate)に悩まされているのが現状である。
【0008】
一部の研究者は、気胸以外の肺疾患を非侵襲的に診断を行うために、体外から低周波を照射するゼロ放射線技術を使用している。Wodicka等[Wodicka GR,Aguirre A,DeFrain PD、及び、Shannon DC,気管から胸壁への肺性音響伝播の位相遅延,IEEE Transactions on Biomedical Engineering 1992; 39:1053‐1059]と、Kraman等[Kraman SS,Hohandana AB,口内へ導入された音の胸部への伝播,J Applied Physiology,1989;66:278‐281]とは、口内で低周波音を発生させたのち胸壁で音波を測定する方法により、その音波の気管から胸壁への伝播様式の特徴を研究した。Wodicka等は、その研究の中で、肺の内面では異なる波長の音波を当てると共鳴(coupling)する部分が異なる事実をつかみ、肺内で幾何学的な変化が起こると音波の伝播時間がその周波数に依存することを発見した。Kraman等も、肺容積又は残留気体組成を変化させても測定シグナルのうち最大周波数をもつ音波のピーク間振幅は常に変化しないことを突き止めた。一方、Donnerberg等[Donnerberg RL,Druzgalski CK,Hamlin RL,Davis GL,Cambell RM,Rice DA,胸部の疾患,British J 1980;74:23‐31]は、Wodicka等と同様の方法を使い、犬の健常肺及びうっ血肺に関して音の伝達関数を比較検討し、肺の湿乾重量比の増大に伴い伝播音が一定の割合で増加することを認めた。
【0009】
救急車内や手術室で発生するもう1つの異常な呼吸器の状態は、患者の気管内における気管内(ET)チューブの位置異常である。一般的に知られるように、ETチューブは、気道を確保し麻酔薬を導入するために、また/あるいは、機械的な空気の流通をもたらすために患者に対して位置決めされるものである。典型的には、ETチューブの位置が不適切であると、それが2つの気管支(すなわち左右)の一方に深く侵入し、他方の気管支を部分的に若しくは完全に閉塞して、妨害された気管支につながった肺への空気の流通が制限される若しくは阻害される。不適切なETチューブの位置は、また、最初に正常な位置に固定されていた場合にも起こり得る。その例として、患者の動きや呼吸器側のETチューブ装着部の移動により、ETチューブの位置が自然に動く場合である。加えて、ETチューブは、患者の食道に誤まって取り付けられたり、抜管の結果として誤まって取り付けられることもある。
【0010】
典型的には、ETチューブの位置は、X線又は炭酸ガス測定法を用いて確認される。しかしながら、特にETチューブの位置のマルチプルの若しくはオンラインのモニタリングが求められる場合、炭酸ガス法に基づく検出術については、その精度に限界があり、また、X線法については、時間,費用及び放射線の照射によって、X線によるETチューブの位置異常検出の有用性が制限される。
【0011】
発明の概要
ここでは、患者の身体内における呼吸器の状態を検出するための診断術を提示する。一般的には、ここでいう診断術は、患者の肺・胸部の音響的特性を利用して呼吸器の状態を知るものである。より詳しくは、ここに説明する診断術は、患者の肺・胸部の音の生成及び伝播の特徴を、基準となる音の特徴及び/又は所定のしきい値と比較し、それにより、患者内に異常な呼吸器の状態があるかを判定する。特に、ここに説明する診断術は、気胸状態の症状を呈する、一方又は両方の肺と胸壁との間の気体控の存在を検出するために利用可能である。別の状況では、ここに説明する診断術は、例えばETチューブが気管支の一方を閉塞していることをあらわす、患者の気管から左右の気管支への音の伝播の特徴における違いを検出することが可能である。
【0012】
本発明の1つの態様によれば、身体内の呼吸器の状態を検出するためのシステム及び方法は、音波を体の第1の部位に発生させ、その音波を第1の電気信号に変換する。上記システム及び方法は、上記呼吸器の状態に干渉し体の第2の部位に到達する音波から生ずる振動を受信し、また、受信した振動を第2の電気信号に変換し、更に、第1及び第2の電気信号を用いて、上記呼吸器の状態をあらわす数値を算出する。
【0013】
その上、上記システム及び方法は、第1の電気信号を用いて、第1の周波数データの組を生成し、また、第2の電気信号を用いて、第2の周波数データの組を生成し得る。上記システム及び方法は、上記第1及び第2の周波数データの組を用いて、伝達関数データを算出し、該伝達関数データを用いて、呼吸器の状態をあらわすエネルギー比を算出する。
【0014】
いくつかの実施形態では、上記システム及び方法は、第1の周波数帯域内の第1のエネルギー及び第2の周波数帯域内の第2のエネルギーに基づき、呼吸器の状態をあらわすエネルギー比を算出することができる。更に、上記システム及び方法は、上記第1の周波数帯域を、上記第2の周波数帯域よりも高い周波数成分を含むものと規定する。
【0015】
本発明の別の態様によれば、身体内の呼吸器の状態を検出するためのシステム及び方法は、最初の時点で身体の第1の部位に近接した呼吸器の固有音を受信し、最初に受信した固有音を第1の電気信号に変換する。加えて、上記システム及び方法は、上記第1の電気信号を用いて、第1の周波数データの組を生成し、肺の状態をあらわすエネルギー比を算出する。
【0016】
更に、上記システム及び方法は、第1の周波数帯域内の第1のエネルギーおよび第2の周波数帯域内の第2のエネルギーに基づき、呼吸器の状態をあらわすエネルギー比を算出することが可能である。幾つかの実施態様では、上記システム及び方法は、第1の周波数帯域を第2の周波数帯域よりも高い周波数成分を含むものと規定する。
【0017】
本発明の更にもう1つの態様によれば、身体内の呼吸器の状態を検出するためのシステム及び方法が、身体の一部に外部衝撃を与え、呼吸器の状態と干渉する衝撃および身体の衝撃を加えられた部分から生ずる振動を受信する。更に、上記システム及び方法は、受信した振動を電気信号に変換し、その電気信号を用いて呼吸器の状態をあらわす数値を算出する。
【0018】
幾つかの態様では、上記システム及び方法は、電気信号の包絡線を算出し、その包絡線を用いてその電気信号の包絡線の特徴を算出する。上記システム及び方法は、上記電気信号の包絡線の最大振幅に関連した時間的な位置を割り出し、上記電気信号の包絡線の最大振幅に関連した時間的な位置の周囲にある上記電気信号の包絡線の一部分を割り出し、割り出した電気信号の包絡線の一部分を用いて、上記電気信号の包絡線の特徴を算出する。
【0019】
好適な実施形態の詳細な説明
気胸状態は、肺組織と胸壁とを分離する胸膜膣内に気孔を生ずる。10キロヘルツ(kHz)以下の周波数で、音の波長は相当に肺胞のサイズを超え、音の通過に際しては、肺組織は、空気と軟組織の混合物できた泡状物質のように振舞う。10kHz以下の周波数では、圧縮波の伝播が優位となり、そして、肺の混合密度が組織成分により占められるため、肺組織を通過する音の速度は結果として遅くなり(例えば25−70メートル/秒(m/s))、しかも、この速度は自由大気および軟組織中を進む速度(すなわちそれぞれ330m/s,1500m/s)よりもはるかに遅い。この音速と(組織と比較される空気の)質量密度との間の大きな差は、肺の組織と気孔との間に、音のインピーダンスに比較的大きな不均衡を生ずる。その結果、患者の口内に入った音波が気道及び肺組織を通過して胸壁に至る過程で、このインピーダンスの不均衡により、胸壁で受信される音波の振幅に大きな減少(すなわち減衰)がもたらされる(典型的には20−30dB)。
【0020】
図1は、気管内に挿管された患者(12)の口から胸壁までの音響反応特性を測定するシステム(10)のブロック図である。図1に示されるように、気管内(ET)チューブ(14)は、通常、患者(12)の口から気管に挿入される。T型チューブ(16)(以下、T−チューブと称す)は、人工呼吸器の給気管(18)から患者(12)に空気を供給可能とするように、ETチューブ(14)に対して軸方向に位置決めされ、また、それに連結される。スピーカー(20)又は他の適当な音発生器が、T−チューブ(16)に連結され、可聴音域から非可聴音域(すなわち20Hz−20kHz)までの音波を生成するように動作させられる。その音波は、T−チューブ(16)とETチューブ(14)を介して患者(12)の口及び気管へ導かれる。更に、マイクロフォン(22)又は音の振動の検出に適したセンサーが、T−チューブ(16)と連結され、これにより、スピーカー(20)により生成された音がモニターされ、また/若しくは、必要に応じて、患者(12)の気管から放たれた音が検出されることとなる。
【0021】
体表センサー(24,26)は患者(12)の胸部に近接するか、望ましくは接触させられ、患者(12)の胸壁にぶつかる音波を検出し測定するよう構成されている。この体表センサー(24,26)は、電子聴診器,空気連動性マイクロフォン,加速度計,接着性マイクロフォン,容量性の又は光学的な振動センサー、若しくは、振動又は音波を電気信号に変換する他の変換器でも代用できる。
【0022】
体表センサー(24,26),マイクロフォン(22)およびスピーカー(20)はともに、増幅器(30)及び出力ドライバー(32)を含む信号調整ユニット(28)に電気的に連結される。増幅器(30)は、マイクロフォン(22)及び1つ又はそれ以上の体表センサー(24,26)からの低レベル信号を受信し、これらの低レベル信号を高レベル信号に変換する。それらは処理ユニット(34)に送られる。出力ドライバー(32)は処理ユニット(34)からの低出力信号を受信し、これをスピーカー(20)の作動に適した信号に変換する。この出力ドライバーは、典型的には、誘導負荷の性質を備えた低インピーダンスデバイスである。
【0023】
処理ユニット(34)は、メモリー(34)、プロセッサー(38)、アナログ/デジタル変換器(A/D)(40)、及び、メモリー(34)に保存され、ここに記載された診断方法を行うように、プロセッサー(38)によって実行される複数のソフトウエアルーチン(42)を有する。処理ユニット(34)は、パーソナルコンピューターやワークステーションなどの、種々の市販のプラットフォームに基づくもの、あるいは、ここに記載される診断方法を行うように、特定用途向け集積回路(ASIC)や他のカスタムの回路構成を用いるカスタムプラットフォームに基づくものである。更に、処理ユニット(34)は、ユーザーとシステム10とのインターフェースを実現する1つ又はそれ以上の出入力デバイス(I/O)に連結される。単なる例として、処理ユニット(34)は、キーボード(44)又は他のデータ入力デバイスを介してユーザーの入力を受信し、例えば従来のビデオモニターのようなディスプレイユニット(46)によってユーザーにグラフィック表示を提供する。
【0024】
動作に際して、図1に示されるシステム(10)は、ユーザーの入力に応答するよう処理ユニット(34)によって制御されており、たとえば、処理ユニット(34)が1つ以上のソフトウエアルーチン(42)の実行の開始を指示されると、ユーザーは患者(12)の呼吸器の状態を聴覚的に検出することが可能となる。単なる例として、処理ユニット(34)は、信号調整ユニット(28)内の出力ドライバー(32)に信号を供給するソフトウエアルーチン(42)の1つを実行する。それにより、スピーカー(20)が作動し音波を生成する。これらの音波は、例えば、20Hzから1600Hzまでの一定の振幅の周波数成分を含み得る。しかし、本発明の要旨および精神を逸脱しない限りで、他の周波数域や異なる振幅特性をもつ音波が用いられてもよい。
【0025】
スピーカー(20)から生成される音波は、いかなる場合にも、T−チューブ(16)やETチューブ(14)を通過し、患者の口と気管へ導かれる。その代わりに、挿管されない患者の場合には、スピーカー(20)から生成される音波は、ETチューブ(14)の代わりにマスク及び/又はマウスピースを用いて、患者の口内に導かれる。患者の口内へ音波を導くためにマスク及び/又はマウスピースが用いられる場合には、口腔気道の開存を促すために、鼻クリップが使用されてもよい。しかし、患者に意識のない場合には、口腔気道が用いられる。いずれにせよ、音波は気管及び肺を通過して患者(12)の胸壁に到達する。マイクロフォン(22)は、スピーカー(20)により生成された入力音波に応答し、それらの音波をあらわす電気信号を生成する。この電気信号は増幅器(30)に送られる。同様に、体表センサー(24,26)は、患者(12)の胸壁に到達した音波による振動に応答し、胸壁の振動をあらわす電気信号を生成する。この電気信号は増幅器(30)に送られる。入力音波および胸壁振動をあらわす電気信号は、増幅器(30)によって増幅され、これら増幅された信号は処理ユニット(34)に送られる。詳しくは後述するが、処理ユニット(34)は、ユーザーが患者(12)内の呼吸器の状態を検出できるように、増幅信号を処理する。
【0026】
入力音波及び胸壁振動に関係した増幅信号は、それぞれアナログ/デジタル変換機(40)によりデジタルデータストリームに変換され、これらのデジタルデータストリームはプロセッサー(38)によって周波数領域表現因子(スペクトル)に変換される。この変換に際しては、高速フーリエ変換(FFT)若しくはデジタル化された時間領域波形からスペクトルデータを生成する他のデータ処理技術が使用される。入力音波に関係したスペクトル及び胸壁振動に関係したスペクトルは、その後、患者の口,気管,肺及び胸壁の伝達関数を決定するために利用されてもよい。この伝達関数は、後述するように、患者(12)内における異常な呼吸器の状態の指標を含むことになる。更に、入力音波及び胸壁振動に関係した時間領域波形が、入力音波と胸部の振動との間の干渉性と時間遅延を測定するために、互いに比較検討されてもよい。この波形もまた異常な呼吸器の状態の指標を含む。図1のシステム(10)には2つの体表センサーが示されているが、ここに記載される診断方法を遂行するには、代わりに、本発明の要旨および精神を逸脱しない限りで、1つ又は他の数の体表センサーが使用されてもよい。
【0027】
図2a2fは、図1に示されるシステムにより口から胸壁まで測定された測定された6名の被験者の音の反応特性(すなわち伝達関数)をあらわすグラフ表示の例である。グラフにおける実線は、各被験者における正常な呼吸器の状態についての音の反応特性を表わし、また、破線は、各被験者における気胸の状態についての音の反応特性を表わしている。これらのグラフに示されるように、気胸の状態は、300Hz以上の周波数をもつ音波の実質的な減衰により特徴付けられる。また、一方、約0Hzから250Hzまでの周波数をもつ音波は、気胸の状態により比較的影響を受けないことがわかる。
【0028】
図3は、6名の被験者における口から胸壁へ伝播する音波の高周波数帯域及び低周波数帯域の音のエネルギー間における比を示すグラフである。図3に示される測定値に関して、高周波帯は550−780Hzとして規定され、低周波帯は8−224Hzとして規定された。図2に示されるテスト結果によれば、エネルギー比(すなわち高周波数帯域に関係したエネルギー/低周波数帯域に関係したエネルギー)は、気胸状態が存在する場合に、実質的に減少する。図3は、正常な呼吸器の状態について算出されたエネルギー比(横軸上の“C”で表示)と、気胸状態について算出されたエネルギー比(横軸上の“P”で表示)とを示している。図3から分かるように、エネルギー比は、全ての場合において、正常な呼吸器の状態については、0.10を超え、気胸による異常な呼吸器の状態については、0.06以下に下がる。その結果、しきい値0.08が異常な気胸な状態から正常な呼吸器の状態を完全に分離し、その結果、システム(10)により0.08以下のエネルギー比が算出された場合には、システム(10)は、ユーザー(医師)に気胸状態の存在の可能性を指摘することができる。
【0029】
図4は、図1に示されるシステムを用いて、患者の肺及び胸部の音の反応特性を分析するための1つの方法(50)をあらわすフロー図である。最初のブロック55では、処理ユニット(34)が、入力信号を信号調整ユニット(28)へ送る。その入力信号は、出力ドライバー(32)により増幅され、スピーカー(20)に送られる。必ずしも必要ではないが、これらの増幅された入力信号は、スピーカー(20)に、広域ノイズ特性を持った音波を生成させることが望ましい。例えば、スピーカー(20)は、周波数域20−1600Hz上で比較的一定の振幅をもつ音波を生成することができる。もちろん、他の周波数域又は振幅特性が、本発明の要旨から逸脱しない限りで使用可能である。例えば、広域ノイズ信号の代わりに、クリック信号やチャープ信号(chirp signal)、掃引周波数信号、若しくは、単一周波数又は選択した周波数帯域を含む信号が使用されてもよい。
【0030】
ブロック60では、処理ユニット(34)が、マイクロフォン(22)および1つ又は複数の体表センサー(24,26)から受信された入力に関係したデジタル化時間領域波形を取得する。詳細については後述するが、ユーザーがその検出を望む特定の呼吸器の状態次第で、1つ又は複数の体表センサー(24,26)からの信号が、処理ユニット(34)により取得される。加えて、患者(12)の胸部上の体表センサー(24,26)の正確な位置は、特定の呼吸器の状態を最もよく検出できるように変更可能である。例えば、気胸状態を検出するために、体表センサー(24,26)は、患者(12)の左右の第3肋骨のレベル付近で鎖骨線上に位置決めされる。更に、ブロック60では、処理ユニット(34)は、その後の処理のために、デジタル波形をメモリー(36)に保存する。
【0031】
ブロック65では、処理ユニット(34)は、マイクロフォン(22)に関係して取得された時間領域信号を、体表センサー(24,26)に関係して取得された時間領域信号と比較することにより、入力信号の伝播に関わる時間遅延を算出する。この伝播時間遅延は、音波が患者(12)の口から胸壁上の体表センサー(24,26)に近接した位置まで到達する時間量をあらわしている。
【0032】
ブロック70では、処理ユニット(34)は、取得された時間領域信号から周波数領域データを生成する。言い換えると、処理ユニット(34)は、入力音波及び胸壁振動をあらわすスペクトルを生成する。ブロック75では、処理ユニット(34)は、入力音波及び胸壁振動のクロススペクトルと、入力音波のパワースペクトルとの商(quotient)としての、患者の口から胸壁までの伝達関数を算出するために、ブロック70で生成されたスペクトルデータを用いる。
【0033】
ブロック80では、処理ユニット(34)は、例えば550−780Hzである高周波数帯域におけるトータルの音のエネルギー、及び、例えば8−224Hzである低周波数帯域におけるトータルの音のエネルギーを決定し、前者を後者で割ることによって、エネルギー比(両方の体表センサー(24,26)からの信号が用いられる場合には、複数の比)を算出する。これらの総エネルギーは、例えば、各周波数帯域に含まれる周波数瓶(すなわちFFTの結果に関係した個別の周波数)のすべてに関した伝達関数値を加算することで得られる。更に、上下の周波数帯域に関係したスペクトル域は、特定の呼吸器の状態の検出を可能にするように最善化され得る。
【0034】
ブロック85では、処理ユニット(34)は、ブロック80で算出された時間遅延と所定の時間遅延のしきい値とを比較し、また、ブロック80で算出されたエネルギー比を、例えば前述した0.08であるエネルギー比のしきい値と比較する。ブロック90では、処理ユニット(34)は、ブロック65で得られた時間遅延値やブロック80で得られたエネルギー比のニューラルネットワーク分析を実行する。周知のように、ニューラルネットワークは、本質的に、1つ又はそれ以上のソフトウエアルーチンであり、これらのルーチンは、訓練データの組に基づく入力パラメータに応答し、ネットワークの振舞いを調整する、例えば、既知の呼吸器の状態に関連したエネルギー比及び時間遅延値を含む訓練データの組が、ニューラルネットワークルーチンを訓練させるために用いられてもよい。ニューラルネットワークルーチンは、例えば0から1までの範囲をなしまた可能性のある診断をあらわす診断指標値を生成することができる。数値“1”は健常者をあらわし、0が特定の異常な呼吸器の状態をあらわし、0から1までの間の値が、正常と異常の間の程度をあらわす。オペレーションの中では、訓練したニューラルネットワークルーチンは、計算された時間遅延値及びエネルギー比の値を受信し、これらの値を用いて、0から1までの診断上の指標値を生成する。
【0035】
ブロック95では、処理ユニット(34)は、可能性のある診断をユーザーに示すために、時間遅延及びエネルギー比のそれらのしきい値に対する比較を用いても、また/あるいは、ニューラルネットワーク分析の出力(すなわち診断指標値)又は他の診断に適した出力分類の一覧表(output classification scheme)を用いてもよい。例えば、もし、ブロック80でのエネルギー比に関する基準しきい値に対するエネルギー比の比較の結果が、エネルギー比がエネルギー比に関する基準しきい値を越えるということであれば、また/あるいは、もし、時間遅延がその許容範囲外にあれば、処理ユニット(34)は、ブロック95で、気胸などの異常な呼吸器の状態が存在することを(ディスプレイ(46)内の文章及び/又はグラフィック表示で)あらわす。その代わりに又は加えて、もし、ブロック90におけるニューラルネットワーク分析が、0に十分に近い診断上の指標値(あるいは少なくとも正常な健康状態に関係したいくつかのしきい値以下である値)を生成すれば、処理ユニット(34)は、ブロック95にて、気胸などの異常な呼吸器の状態が存在することを指摘する。更に、ブロック95で決定された診断は、ブロック85での複数の比較とブロック90のニューラルネットワーク分析の組合せの結果であってもよい。実際には、いくつかの適用に際し、ブロック95での診断にてより高い信頼性を実現するには、これらの比較及び/又はニューラルネットワーク分析の複数の使用を要求することが望ましい。
【0036】
図5は、図1のシステムを用いて、患者の胸部及び肺の音の反応特性を測定するための別の方法100をあらわすフロー図である。詳細については後述するが、方法100は、ETチューブが患者の気管内に適切に入っているかどうかを判定するために用いられる。より詳しくは、この方法100は、患者の気管支の一方を部分的に若しくは完全に閉塞し、異常な呼吸器の状態を招来するような、ETチューブの位置異常が生じているか否かを、ユーザー(例えば医師)がリアルタイムで識別可能とするものである。典型的には、ETチューブの位置を検出するには、体表センサー(24,26)が、それらの一方が患者の胸部の左側寄りに、また、他方が患者の胸部の右側寄りに位置するように配置される。
【0037】
ブロック105では、処理ユニット(34)(図1)は、入力信号を信号調整ユニット(28)に送り、その入力信号がスピーカー(20)に広域ノイズ特性をもつ音波を生成させる。そして、ブロック110では、処理ユニット(34)が、1つ又は複数の体表センサー(24,26)から受信される入力に関係した時間領域波形のデジタル情報を取得する。患者の気管支内のETチューブの位置異常などの異常な呼吸器の状態を検知するには、ブロック110で取得された時間領域波形が、何度も測定されてもよい。例えば、基本となる音の特性を確立するために、ETチューブが患者(12)に挿入される前に、時間領域波形が取得されてもよい。そして、付加的な時間領域波形が、ETチューブ(14)が挿入されるにつれ、繰り返し取得されてもよい。また、詳しくは後述するように、これらの付加的な時間領域波形から導かれた音の特性が互いにまた最初の基本となる特性と比較されて、チューブの挿入位置が適切か否かが決定される。
【0038】
ブロック115では、処理ユニット(34)が、ブロック110で取得された時間領域波形の各々から周波数領域データ(すなわちスペクトルデータ)を生成し、この周波数データをメモリー(36)に保存する。ブロック120では、処理ユニット(34)が、患者(12)の左側と右側との間のエネルギー比を、体表センサー(24,26)の一方に関係した周波数領域データの周波数帯域内の総エネルギーを、体表センサー(24,26)の他方に関係した周波数領域データの周波数帯域内の総エネルギーで割ることによって算出する。その結果、ブロック120では、処理ユニット(34)が、特定の周波数帯域内で体表センサー(24,26)により受信された振動又は音波の強度の間の相対比較をあらわす数値を算出する。図5の方法100は、単一の周波数帯域を用いて複数のエネルギー比を算出する例として記載されているが、本発明の要旨を逸脱しない限りで、付加的な周波数帯域が、1つ又はそれ以上のエネルギー比を算出するために用いられてもよい。
【0039】
ブロック125では、処理ユニット(34)が、1つ(あるいは複数)の特定の周波数帯域内のエネルギーを、ETチューブ(14)挿入前に確立された周波数帯域内の基準となる各エネルギーで割ることによって、エネルギー比を算出する。ブロック130では、処理ユニット(34)は、ブロック120及び125で算出されたエネルギー比を、各基準しきい値の組と比較し、また、ブロック135では、処理ユニット(34)は、ブロック130での比較結果を用いて、ETチューブが患者の気管内の適切な位置にあるかどうかを示す。ETチューブの位置異常が生じた場合、典型的には、ETチューブが主気管支の一方に深く入り過ぎ、結果として、閉塞された気管支に関連した側で、患者(12)の他方の側(すなわち閉塞されていない側)と比べ、音波がより大きく減衰することとなる。また、閉塞側で測定された音波又は振動は、その側の基準測定値に関しても減衰することとなる。ブロック135では、処理ユニット(34)が、左右両側間でのエネルギー比が所定のしきい値を越えた場合に、ETチューブの位置に異常がある(すなわち一方の主気管支に入り過ぎている)と指摘する。なお、所定のしきい値は、システム(10)の感度を調節するために、ユーザにより調節可能である。その代わりに若しくは加えて、処理ユニット(34)は、左右両側の測定値およびそれぞれ基準となる左右両側の基準測定値に基づくエネルギー比の比較結果を用いて、ETチューブの位置異常の有無を決定することも可能である。
【0040】
図1に示されるシステム(10)は、患者の口および気管への音波の入力を用いることなく、呼吸器の状態を検出するために用いられ得る。その代わりに、1つ又はそれ以上の体表センサー(24,26)が、患者12内の呼吸器の状態にアクセスすべく、呼吸器の固有音を分析するために用いられてもよい。
【0041】
呼吸器の音は、呼吸機能の臨床評価のために日常的に使われており、正常なまた異常な呼吸器音の特徴は幅広く研究されてきている。正常な呼吸器音のスペクトルは、そのピークが100Hz以下として知られ、その信号は筋肉と心血管系の音が混合したものである。100Hz以上では、信号振幅が急激に小さくなるが、1000Hz位までは測定可能である[Pasterkamp等 96]。対象が小さくなるほどより高い周波数が顕著にみられるが、それは、通常、より小さな肺及び薄い胸壁のために伝播に伴う減衰が小さくなるためである。音の振幅は、気流の二乗に比例することが知られており、肺の基底部後方に向かって増大し、その基底部前方に向かって減少する。これらの音は、肺内の気流が周期的に変化することから、呼吸周期のタイミングに依存する。更に、呼息中よりも吸息中における気流方向の反転が、乱流から派生する肺内の異なる各所における音の発生を変化させる。
【0042】
周知のように、理学的所見において、気胸は、呼吸音の減少としてあらわれる。微弱な肺音を引き起こす他の条件は、主気管支から中小の肺葉気管支までの狭窄を含むのに対し(なお、この狭窄は影響を受けた気道につながる肺の一部において検出可能である)、発声は、これらの位置では変化しない傾向にある。ある研究によると、300Hz以下の周波数では、通気の乏しさと肺呼吸音の減少とが相関する。この所見は、気胸の音の特性と部分的に一致する。
【0043】
図6a−6bは、6名の被験者における正常および気胸状態についての呼吸器の固有音のスペクトルをあらわすグラフである。図6a−6fに示された各スペクトルは、各被験者についての12回以上の呼吸周期を含むものである。呼吸音のスペクトルの内容は、FTTを用いて、ハニング窓(Hanning window)で窓付けしたのち(after windowing)、各1024点分のデータセグメントに関して算出された。その結果、8Hzの周波数分解能が得られた。データセグメントは50%重複し、また、平均スペクトル値は、すべてのセグメントから出た結果を平均することにより決定された。分離式センサー又は前述したような接触式センサーを用いた呼吸周期の観察は、その呼吸周期内の異なる時点における呼吸音の分析を可能とする。この種のゲート分析は、システム(10)の機能を最善化する上で有用である。
【0044】
図6a−6fに示されるように、30Hz以下の周波数では、各被験者内の呼吸器音の振幅は、体表センサー24及び26に使用された電子聴診器の固有のハイパスカットオフ(20Hz)によって、周波数の減少を伴い減少する。正常な呼吸器の状態及び異常な気胸の状態の信号の振幅は、100−200Hz以下とさほど大きな差をもたなかった。実際には、振幅は、正常な呼吸器の状態及び異常な呼吸器の状態の両状態もとで、30−200Hzの範囲における周波数の増加を伴い、21.8+−2.9dB/オクターブ(平均+−標準偏差)で減衰した。この振幅の降下は、音の伝播抵抗の増加及び音生成の減少によるものと考えられる。
【0045】
気胸の結果としての振幅変化は、300−500Hzの周波数領域でもっとも顕著にあらわれた。この変化は、肺が胸壁内面から引き離され空気の隙間ないし気孔を形成する場合に生ずる大きなインピーダンスの不一致から生じ、また、気流及び乱流の減少の結果としての呼吸器系での音生成の減少から生じるものと考えられる。
【0046】
図6a−6fに示されるスペクトルグラフにより示唆されるように、いかなる場合にも、図4に示される方法50が、異常な呼吸器の状態を検出すべく、固有の呼吸器の音を分析するために使用される。しかし、図4の方法50を使用する場合、スピーカー(20)を作動させて音波を生成し患者の口に導入する、ブロック55の工程は省略され、また、信号の時間遅延の算出やその時間遅延値の利用も同様に省略される。更に、固有の呼吸器音の分析において図4の方法50を適応させる場合、ブロック95での診断用出力の信頼性を最大にするために、エネルギー比の算出に用いられる周波数帯域が最善化されてもよい。
【0047】
呼吸器の音はもともと気流によって誘発される乱流が原因で発生するものであることから、図5に示される方法100(ブロック105は除く)は、位置異常の気管内チューブ等の異常な呼吸器の状態を検出するために、固有の呼吸器音を分析するように用いられてもよい。気管内チューブの位置に異常がある場合、通気が肺の一方にて減少し、その結果、妨害された肺に近接して胸部表面で検出される呼吸器音の強度が減少する。さらに、妨害されていない側の肺への気流が増加するため、その妨害されていない側の肺に近接して、胸部表面での呼吸器音の強度は一層強くなる。このことは、位置異常のETチューブに対するシステム(10)の感度がより亢進することを意味している。
【0048】
さらに、呼吸器系の内部の音波の減衰がその周波数とともに大きくなることから(高い周波数ほど低下し易い)、固有の呼吸器音の周波成分が高いほど、それらの発生場所に近くで一層容易に検出される。それゆえ、気管内チューブが位置異常にあり、その先端が主気管支の一方に入り込んでいる場合には、通気をなさない側(すなわち妨害された側)で生成される呼吸器の固有音の高周波成分の強度は、減少するであろう。
【0049】
図7aは、典型的な被験者における正常な呼吸器の状態についての固有の呼吸器音のスペクトル示すグラフ表示である。図7bは、ETチューブが図7aの被験者の右側の気管支内に入り込んだ場合の、固有の呼吸音のスペクトルを示すグラフ表示である。図7a及び7bから分かるように、50−1500Hzの周波数領域では周波数の増大とともに減衰が大きくなる一般的な傾向が認められる。しかしながら、図7bに見られるように、ETチューブを右側気管支へ入れ過ぎることにより、200−1200Hzの周波数領域で左側肺内の固有の呼吸音の強度が大きく減衰する。左側肺では、約15−20dBの固有の呼吸音の最大の減衰が、400Hz付近で観察された。
【0050】
更に、ETチューブが食道内に誤入された場合には、通風デバイスの空気が強制的に胃に入り、比較的大きな上腹部の音を生ずる。呼吸器系と上部胃腸管との実質的な解剖学上の違いにより、食道通気から生じる音は、正常な状態の呼吸器音とは実質的に異なるスペクトルおよび時間的特徴を有する。例えば、上部消化管の通気は、少なくとも空気が充分貯まって相当な逆圧になるまで、最小の呼息のフェーズをあらわす。
【0051】
更にまた、抜管から生じる音の変化は、基本的には、新たなETチューブの位置によるものである。典型的には、ETチューブが咽頭の位置にある場合には、胸壁へ伝播する音エネルギーが発生する。しかし、この場合にも、左右の呼吸音のより高い周波数及び振幅の減衰が生じる。
【0052】
図8は、打診入力を用いて気管内に挿管された患者の胸部及び肺の音の反応特性を測定するための、また別のシステム(150)のブロック図を示す。図1に示されるシステム10のそれと同様かまったく同じであるシステム(150)の要素は、同じ参照符号を用いて同定される。
【0053】
別のシステム150は、患者の胸部に打診入力を加えるために、インパクトハンマー(152)を用いる。インパクトハンマー(152)は、患者(12)の胸部に振動を伝えるのに適した作動装置である。更に、このハンマー(152)は、ユーザー(例えば医師,専門家等)が手動で動かすことも可能であり、また、ハンマー(152)が電動式にされる場合、例えばソレノイドで作動させる場合など、自動的に作動することが可能である。このハンマー(152)は、患者(12)の胸部に直接に接触するか、若しくは、代わりに、胸部の表面とハンマー(152)との間に介在する金敷きに衝撃を加えるものであってもよい。
【0054】
空気伝達性マイクロフォン(154)が、ハンマー(152)による打診入力に続く、患者の胸部から発する音に反応し、これらの音をあらわす電気信号を信号調整ユニット(28)に送る。信号調整ユニット(28)は、これらの信号を増幅し、その増幅した信号を更なる処理のために処理ユニット(34)に送る増幅器(30)を使用する。
【0055】
図9は、正常な呼吸器の状態(実線)と気胸状態(破線)における、打診入力に対する胸部の典型的な音響反応をあらわすグラフ表示である。図9に示されるグラフの作成には、打診が、右鎖骨中線にて、第3の肋間スペースにおける肋骨に平行に胸壁に対して保持されたステンレス性円形棒を打つように、インパクトハンマー(152)を作動させることにより、7匹の犬に与えられた。打診テストは、正常と気胸状態の両者に対し実行された。各テストの間には、15回の打診入力が実行され、皮膚からわずかに離れた場所に置かれた空気伝達性マイクロフォン(154)を用いて、胸部音響反応が測定された。各入力に際しては、振幅,優位周波数および減衰率が算出された。
【0056】
図9に示されるように、正常及び気胸の状態をあらわす各信号は、約20−30ミリ秒の持続時間を有し、狭帯域スペクトルの内容を伴う減衰する振動信号により継続される初期スパイクを示している。このことは弱めた振動システムでは典型的である。しかし、この打診テストの結果から明らかなことは、気胸状態に関連した弱い振動反応は、正常な呼吸器の状態のそれより遅い減衰率および高い周波数をもつことである。
【0057】
気胸の状態に関連した遅い減衰率および高周波数は、打診入力に応じて胸壁が自然な周波数で振動しようとする傾向、および、また、胸壁及び肺における機械的振動エネルギーの粘性消失(viscous dissipation)に起因して、振動がそのうち減衰するという事実の結果である。特に、気胸が存在する場合には、肺が胸壁から引き離され、振動の消失が少なくなるため、減衰が遅くなる結果となる。更に、基本をなす組織が空気に置き換わると、呼吸器系の振動質量が低下し、そのため、系の共鳴振動数が増加する。これらの効果は、熟練した医師が理学的所見の間に“過共鳴音(hyperresonance)”として注意されるものと一致する。
【0058】
上記の打診信号の定量分析は、その減衰率と優位周波数を測定するために実行された。減衰率を算出するために、先ず、信号の包絡線が、信号の瞬間的な振幅として測定され、次に、回帰分析を用いて、包絡線の減衰部分の最も適合した部分が求められる。その適合した曲線の勾配は、減衰率をもたらす。その際、線形および指数関数的に、減衰算出が試された。優位周波数は、ゼロ交差およびFTT演算法の両者から推定された。ゼロ交差は、より詳細な周波数分解能(80−200Hz周波数領域中の1−5Hz)を示し、他方、FTT推定は、信号の持続期間が短かいことから40Hzに制限された。ウエーブレット変換および最大エントロピー法を含む自己回帰分析も行われた。
【0059】
データにより提示される各被験者間の変動性のため、正確な診断を下すには、制御状態のパラメータ値(例えば反対側又は同じ側での最初の基準値からの)が必要となる。被験者間の大きな変動は、肺疾患の診断法としての手で行う打診の感度や特異性(specificity)に関して対立する報告が出てくる由縁である。
【0060】
図10は、図8に示されるシステム(150)を用いて、患者の胸部及び肺の音の反応特性を分析するための1つの方法200をあらわすフロー図である。ブロック205では、処理ユニット(34)が、患者(12)の胸部に衝撃を加えるためのインパクトハンマー(152)を作動させる。そして、ブロック210では、処理ユニット(34)が、マイクロフォン(154)及び増幅器(30)を介して電気信号を受信する。この信号は、ハンマーの衝撃により患者の胸部に生ずる振動をあらわすものである。ブロック215では、処理ユニット(34)が、取得した時間領域波形をモニターし、その後の処理のために、その波形の所定のしきい値を超えた部分を割り出す。所定のしきい値以下の波形部分は、それ以上処理されず、擬似及び/又はノイズに関連するものとみなされる。
【0061】
ブロック220では、処理ユニット(34)は、ブロック215で認識された時間領域波形のしきい値以上の部分についての包絡線を算出する。単なる例として、この時間依存波形の包絡線算出には、ヒルバート変換(Hilbert transform)又は他の包絡線算出方法が使用される。ブロック225では、処理ユニット(34)が、包絡線の最大振幅についての時間的位置および強度を測定し、ブロック230では、最大振幅の所定比より大きい振幅をもつ方絡線の部分(最大振幅の位置を囲む)を認識する。例えば、所定比は20%に設定されてもよく、この場合には、ブロック230で割り出された包絡線の部分が、最大の振幅値のどちらか一方へ、包絡線の振幅が最大の包絡線振幅の20%である位置まで、時間的に拡張される。
【0062】
ブロック235では、処理ユニット(34)は、包絡線の立ち上がり部分及び減衰部分の時間的長さを算出する。立ち上がり部分は、最大の包絡線の値の時間的位置に先行する割り出し部分であり、減衰部分は、最大の包絡線の値の時間的位置に続く割り出し部分に対応している。ブロック240では、処理ユニット(34)は、回帰分析にて包絡線の該当する立ち上がりおよび減衰部分を線形ないし指数関数曲線に適合させ(すなわち曲線適合)、それにより、立ち上がりおよび減衰率(すなわち適合曲線の勾配)が算出される。
【0063】
ブロック245では、処理ユニット(34)は、ゼロ交差,フーリエ解析及び自己回帰モデル法を用いて、優位周波数を決定する。これらの方法はすべて時間領域信号の周波数を測定する方法としてよく知られている。ブロック250では、処理ユニット(34)は、立ち上がりおよび減衰時間と各比率を、所定の各しきい値と比較する。例えば、優位周波数が、気胸のような異常な呼吸器の状態に関連した優位周波数のしきい値より大きいことが分かった場合には、処理ユニット(34)は、ディスプレイ(46)を介してユーザーに気胸状態の存在の可能性を示す。同様に、遅延時間及び比率を、1つ又はそれ以上の異なる呼吸器の状態に関連した所定のしきい値と比較することにより、ユーザに対する可能性のある診断が示される。更に、ユーザーに提示する診断の信頼性を高めるために、優位周波数とともに包絡線の立ち上がりおよび減衰率が、ニューラルネットワーク分析(図4に関連して上述したものと同様のもの)を介して伝送されてもよい。
【0064】
ソフトウエアで実行される場合には、ここで述べた機能ブロックやルーチンは磁気的な、光学的な、若しくは、他の記録媒体に、また、コンピューターやコントローラー、現場の機器等のRAMやROMなどの、コンピュータ読取り可能なメモリーに保存可能である。同様に、このソフトウエアは、キャリア上で調整され、例えば電話回線やインターネットなどの通信チャンネルを含む既知のあるいは望ましい伝達手段を介して、ユーザー又は装置に伝送されてもよい。
【0065】
本発明に関しては具体的な例を挙げ記載してきたが、その例はただ本発明を説明するためのものでありそれに制約される必要はない。当業者には、本発明の要旨や精神を逸脱しない限りで、ここに開示されたものに、変更,追加若しくは削除が加えられてもよいことは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【図1】気管内に挿管された患者の口から胸壁への音の伝播特性を測定するためのシステムの一例をあらわすブロック図である。
【図2】(a−f)口から胸壁まで測定された6名の被験者の音の反応特性を示すグラフ表示である。
【図3】図1に示されるシステムを用いて、6名の各被験者の口から胸壁へ伝播した音波の高周波帯および低周波数帯域の音のエネルギーの間の比を示すグラフ表示である。
【図4】図1に示されるシステムを用いて、患者の肺及び胸部の音響反応特性を分析するための1つの方法をあらわすフロー図である。
【図5】図1に示されるシステムを用いて、患者の肺及び胸部の音響反応特性を分析するための、別の方法をあらわすフロー図である。
【図6】(a−f)6名の被験者の正常状態及び気胸状態についての呼吸器の固有音のスペクトルをあらわすグラフ表示である。
【図7】(a)典型的な被験者の正常な呼吸器の状態についての呼吸器の固有音のスペクトルをあらわすグラフ表示である。
(b)ETチューブが図7aの被験者の右側の気管支内に挿入させられた場合の、異常な呼吸器の状態についての呼吸器の固有音のスペクトルをあらわすグラフ表示である。
【図8】気管内に挿管された患者の胸部及び肺内の音の伝播反応の特徴を測定するために打診入力を用いるまた別のシステムの一例をあらわすブロック図である。
【図9】正常な呼吸器の状態及び気胸の状態に関した打診入力に対する典型的な胸部音響反応をあらわすグラフ表示である。
【図10】図8に示されるシステムを用いて、患者の胸部及び肺の音響反応特性を分析するための、1つの方法をあらわすフロー図である。
本発明は、概して、人間及び動物の身体内の状況を非侵襲的に診断することに関し、より詳しくは、本発明は、呼吸器の状態を検出するために、身体内における音響的特徴を利用した診断方法に関する。
【0002】
特に問題のある呼吸器の状態の一つとして気胸がある。一般的に言えば、気胸は、1つ又は両方の肺と胸壁との間に、気腔が形成されてなるものとされている。よく知られるように、その原因には、小肺胞又はブレブ(bleb)の自然破裂から、肺の炎症性疾患の進行によるもの、診断又は治療的処置に伴う合併症,ナイフ・弾丸等による穿通外傷、及び、主に交通外傷等に起因する非開放性胸部損傷など、多くのものが知られている。気胸の原因としては外傷が主体であるが、深刻な胸壁の損傷は、しばしば、患者の身体の外見から見つかりにくく、結果として、気胸の診断が看過されることがある。
【0003】
また、人工呼吸器により機械的に酸素を供給される患者ではその5−15%に気胸の併発がみられること、そして、最近増加中の医原性要素として、臨床の場で行われる胸部への侵襲的処置、すなわち緊急時の外傷患者などのモニタや輸液に用いられる中心静脈確保のための注射針挿入、及び、経皮的で経胸腔的な肺生検が、その原因として挙げられる。このような侵襲的処置に関して、気胸発生の頻度は、各々5%および20%にのぼる。米国では毎年5万件以上の気胸発生が見込まれており、その罹患および致死率減少のためにも、より効果的な診断方法が望まれる由縁である。
【0004】
従来の気胸の診断方法は、患者の病歴,理学的所見,胸部X線,コンピュータ制御の断層写真(CT)および超音波検査が採用されている。そのうち最も頻用されるのが問診による病歴,理学的所見及びX線検査である。あいにく、病歴及び理学的所見は、気胸に伴う症状が、例えば虚血性心疾患,肺炎,肺梗塞,食道痙攣・逆流および筋骨格系挫傷等の多くの無関係の病態にあるため、気胸を診断するには信頼性に乏しいものである。そのため、患者の病歴及び/又は理学的所見に基づいた気胸の診断は非常に難しく、多くの場合には、現実的に不可能である。例えば、ある研究結果からは、理学的所見による誤診率は、穿通性胸部外傷による気胸状態を有する患者の42%にのぼることが報告されている。
【0005】
打診は、種々の胸部疾患を診断するために、医師に用いられる一般的な理学的所見である。打診のほとんどの観察が、打診の実行から患者の胸部へ生ずる胸部の音をあらわすために、“濁音”や“共鳴音”等の定性的な内容に頼るものである。正常な胸部の打診音の波形は、典型的には20ミリ秒(20ms)長であって、周波数70−200ヘルツ域にスペクトルピークをもつ衰退波に継続される最初のスパイク波を含むことが報告されている。打診を用いる場合、熟練した医師は、気胸患者の場合によく聴かれる音の現象として、“過共鳴音”に注目する。更に、大きな気胸がある場合に、胸骨での聴診を行いつつ、両方の鎖骨を交互に打診すると、音響上左右非対称となることが報告されている。打診は広くその有用性が認められているもの、その診断能力には絶えず不確実性が伴う。その理由は、この技術が本来検者の技量に依存するものであり、また、患者の胸部の応答による音の性質は個人の感覚に左右されるためである。
【0006】
胸部X線やCTを用いた場合にも、肺又は胸膜腔内にある大きな水疱や嚢胞、患者の衣服、体に挿入された各種の管、皮膚のたるみ及び胸壁上のアーチファクトによって、気胸を誤診することがある。その上、胸部X線を用いた場合には、患者が有害な放射線量に晒される。気胸という病気は、放置すれば生命に関わる病気であること、そして急速に緊張性気胸にまで進展する可能性のあること、さらに発見により容易に治癒可能な病気であることから、医師はこの病気を見逃すことを極端に嫌がる傾向がある。そのため、胸部X線がしばしば不必要に行われ、それに伴う放射線の問題も増えている。結果として、胸部X線が用心のための手段としての性格を帯び、実際には気胸でない患者にも不必要な検査の指示が増加している。更に、気胸患者では、その改善の度合いのチェックのために継時的な撮影が行われるため、患者一人あたりの撮影件数が増えており、実際、米国では年間その検査数が何十万と予測される。
【0007】
胸部X線やCTの診断上の限界を克服するために、患者は、直立姿勢や側臥位をとらされたり、代わりに、呼気終末の照射が用いられたりする。あいにく、重症患者に対しては、通常、この種の体位変換は困難であり、また、それ以外にも、胸部X線やCTには、撮影室まで移送する困難や危険性が伴ったり、その設備や人手の調達が必ずしも可能ではなかったりする、という欠点がある。特に、これらの限界は夜間のケースや離れた場所(戦場、事故現場、ベッドサイドなど)で直面する。さらに、胸部X線,CT及び他の画像診断方法には、通常、検査からその結果までに時間が要され、この種の遅れは、重症な場合や生命の危険のある状況等では許容されづらい。超音波による診断方法については、周知のようにその固有の限界により、高い偽陽性率(high false positive rate)に悩まされているのが現状である。
【0008】
一部の研究者は、気胸以外の肺疾患を非侵襲的に診断を行うために、体外から低周波を照射するゼロ放射線技術を使用している。Wodicka等[Wodicka GR,Aguirre A,DeFrain PD、及び、Shannon DC,気管から胸壁への肺性音響伝播の位相遅延,IEEE Transactions on Biomedical Engineering 1992; 39:1053‐1059]と、Kraman等[Kraman SS,Hohandana AB,口内へ導入された音の胸部への伝播,J Applied Physiology,1989;66:278‐281]とは、口内で低周波音を発生させたのち胸壁で音波を測定する方法により、その音波の気管から胸壁への伝播様式の特徴を研究した。Wodicka等は、その研究の中で、肺の内面では異なる波長の音波を当てると共鳴(coupling)する部分が異なる事実をつかみ、肺内で幾何学的な変化が起こると音波の伝播時間がその周波数に依存することを発見した。Kraman等も、肺容積又は残留気体組成を変化させても測定シグナルのうち最大周波数をもつ音波のピーク間振幅は常に変化しないことを突き止めた。一方、Donnerberg等[Donnerberg RL,Druzgalski CK,Hamlin RL,Davis GL,Cambell RM,Rice DA,胸部の疾患,British J 1980;74:23‐31]は、Wodicka等と同様の方法を使い、犬の健常肺及びうっ血肺に関して音の伝達関数を比較検討し、肺の湿乾重量比の増大に伴い伝播音が一定の割合で増加することを認めた。
【0009】
救急車内や手術室で発生するもう1つの異常な呼吸器の状態は、患者の気管内における気管内(ET)チューブの位置異常である。一般的に知られるように、ETチューブは、気道を確保し麻酔薬を導入するために、また/あるいは、機械的な空気の流通をもたらすために患者に対して位置決めされるものである。典型的には、ETチューブの位置が不適切であると、それが2つの気管支(すなわち左右)の一方に深く侵入し、他方の気管支を部分的に若しくは完全に閉塞して、妨害された気管支につながった肺への空気の流通が制限される若しくは阻害される。不適切なETチューブの位置は、また、最初に正常な位置に固定されていた場合にも起こり得る。その例として、患者の動きや呼吸器側のETチューブ装着部の移動により、ETチューブの位置が自然に動く場合である。加えて、ETチューブは、患者の食道に誤まって取り付けられたり、抜管の結果として誤まって取り付けられることもある。
【0010】
典型的には、ETチューブの位置は、X線又は炭酸ガス測定法を用いて確認される。しかしながら、特にETチューブの位置のマルチプルの若しくはオンラインのモニタリングが求められる場合、炭酸ガス法に基づく検出術については、その精度に限界があり、また、X線法については、時間,費用及び放射線の照射によって、X線によるETチューブの位置異常検出の有用性が制限される。
【0011】
発明の概要
ここでは、患者の身体内における呼吸器の状態を検出するための診断術を提示する。一般的には、ここでいう診断術は、患者の肺・胸部の音響的特性を利用して呼吸器の状態を知るものである。より詳しくは、ここに説明する診断術は、患者の肺・胸部の音の生成及び伝播の特徴を、基準となる音の特徴及び/又は所定のしきい値と比較し、それにより、患者内に異常な呼吸器の状態があるかを判定する。特に、ここに説明する診断術は、気胸状態の症状を呈する、一方又は両方の肺と胸壁との間の気体控の存在を検出するために利用可能である。別の状況では、ここに説明する診断術は、例えばETチューブが気管支の一方を閉塞していることをあらわす、患者の気管から左右の気管支への音の伝播の特徴における違いを検出することが可能である。
【0012】
本発明の1つの態様によれば、身体内の呼吸器の状態を検出するためのシステム及び方法は、音波を体の第1の部位に発生させ、その音波を第1の電気信号に変換する。上記システム及び方法は、上記呼吸器の状態に干渉し体の第2の部位に到達する音波から生ずる振動を受信し、また、受信した振動を第2の電気信号に変換し、更に、第1及び第2の電気信号を用いて、上記呼吸器の状態をあらわす数値を算出する。
【0013】
その上、上記システム及び方法は、第1の電気信号を用いて、第1の周波数データの組を生成し、また、第2の電気信号を用いて、第2の周波数データの組を生成し得る。上記システム及び方法は、上記第1及び第2の周波数データの組を用いて、伝達関数データを算出し、該伝達関数データを用いて、呼吸器の状態をあらわすエネルギー比を算出する。
【0014】
いくつかの実施形態では、上記システム及び方法は、第1の周波数帯域内の第1のエネルギー及び第2の周波数帯域内の第2のエネルギーに基づき、呼吸器の状態をあらわすエネルギー比を算出することができる。更に、上記システム及び方法は、上記第1の周波数帯域を、上記第2の周波数帯域よりも高い周波数成分を含むものと規定する。
【0015】
本発明の別の態様によれば、身体内の呼吸器の状態を検出するためのシステム及び方法は、最初の時点で身体の第1の部位に近接した呼吸器の固有音を受信し、最初に受信した固有音を第1の電気信号に変換する。加えて、上記システム及び方法は、上記第1の電気信号を用いて、第1の周波数データの組を生成し、肺の状態をあらわすエネルギー比を算出する。
【0016】
更に、上記システム及び方法は、第1の周波数帯域内の第1のエネルギーおよび第2の周波数帯域内の第2のエネルギーに基づき、呼吸器の状態をあらわすエネルギー比を算出することが可能である。幾つかの実施態様では、上記システム及び方法は、第1の周波数帯域を第2の周波数帯域よりも高い周波数成分を含むものと規定する。
【0017】
本発明の更にもう1つの態様によれば、身体内の呼吸器の状態を検出するためのシステム及び方法が、身体の一部に外部衝撃を与え、呼吸器の状態と干渉する衝撃および身体の衝撃を加えられた部分から生ずる振動を受信する。更に、上記システム及び方法は、受信した振動を電気信号に変換し、その電気信号を用いて呼吸器の状態をあらわす数値を算出する。
【0018】
幾つかの態様では、上記システム及び方法は、電気信号の包絡線を算出し、その包絡線を用いてその電気信号の包絡線の特徴を算出する。上記システム及び方法は、上記電気信号の包絡線の最大振幅に関連した時間的な位置を割り出し、上記電気信号の包絡線の最大振幅に関連した時間的な位置の周囲にある上記電気信号の包絡線の一部分を割り出し、割り出した電気信号の包絡線の一部分を用いて、上記電気信号の包絡線の特徴を算出する。
【0019】
好適な実施形態の詳細な説明
気胸状態は、肺組織と胸壁とを分離する胸膜膣内に気孔を生ずる。10キロヘルツ(kHz)以下の周波数で、音の波長は相当に肺胞のサイズを超え、音の通過に際しては、肺組織は、空気と軟組織の混合物できた泡状物質のように振舞う。10kHz以下の周波数では、圧縮波の伝播が優位となり、そして、肺の混合密度が組織成分により占められるため、肺組織を通過する音の速度は結果として遅くなり(例えば25−70メートル/秒(m/s))、しかも、この速度は自由大気および軟組織中を進む速度(すなわちそれぞれ330m/s,1500m/s)よりもはるかに遅い。この音速と(組織と比較される空気の)質量密度との間の大きな差は、肺の組織と気孔との間に、音のインピーダンスに比較的大きな不均衡を生ずる。その結果、患者の口内に入った音波が気道及び肺組織を通過して胸壁に至る過程で、このインピーダンスの不均衡により、胸壁で受信される音波の振幅に大きな減少(すなわち減衰)がもたらされる(典型的には20−30dB)。
【0020】
図1は、気管内に挿管された患者(12)の口から胸壁までの音響反応特性を測定するシステム(10)のブロック図である。図1に示されるように、気管内(ET)チューブ(14)は、通常、患者(12)の口から気管に挿入される。T型チューブ(16)(以下、T−チューブと称す)は、人工呼吸器の給気管(18)から患者(12)に空気を供給可能とするように、ETチューブ(14)に対して軸方向に位置決めされ、また、それに連結される。スピーカー(20)又は他の適当な音発生器が、T−チューブ(16)に連結され、可聴音域から非可聴音域(すなわち20Hz−20kHz)までの音波を生成するように動作させられる。その音波は、T−チューブ(16)とETチューブ(14)を介して患者(12)の口及び気管へ導かれる。更に、マイクロフォン(22)又は音の振動の検出に適したセンサーが、T−チューブ(16)と連結され、これにより、スピーカー(20)により生成された音がモニターされ、また/若しくは、必要に応じて、患者(12)の気管から放たれた音が検出されることとなる。
【0021】
体表センサー(24,26)は患者(12)の胸部に近接するか、望ましくは接触させられ、患者(12)の胸壁にぶつかる音波を検出し測定するよう構成されている。この体表センサー(24,26)は、電子聴診器,空気連動性マイクロフォン,加速度計,接着性マイクロフォン,容量性の又は光学的な振動センサー、若しくは、振動又は音波を電気信号に変換する他の変換器でも代用できる。
【0022】
体表センサー(24,26),マイクロフォン(22)およびスピーカー(20)はともに、増幅器(30)及び出力ドライバー(32)を含む信号調整ユニット(28)に電気的に連結される。増幅器(30)は、マイクロフォン(22)及び1つ又はそれ以上の体表センサー(24,26)からの低レベル信号を受信し、これらの低レベル信号を高レベル信号に変換する。それらは処理ユニット(34)に送られる。出力ドライバー(32)は処理ユニット(34)からの低出力信号を受信し、これをスピーカー(20)の作動に適した信号に変換する。この出力ドライバーは、典型的には、誘導負荷の性質を備えた低インピーダンスデバイスである。
【0023】
処理ユニット(34)は、メモリー(34)、プロセッサー(38)、アナログ/デジタル変換器(A/D)(40)、及び、メモリー(34)に保存され、ここに記載された診断方法を行うように、プロセッサー(38)によって実行される複数のソフトウエアルーチン(42)を有する。処理ユニット(34)は、パーソナルコンピューターやワークステーションなどの、種々の市販のプラットフォームに基づくもの、あるいは、ここに記載される診断方法を行うように、特定用途向け集積回路(ASIC)や他のカスタムの回路構成を用いるカスタムプラットフォームに基づくものである。更に、処理ユニット(34)は、ユーザーとシステム10とのインターフェースを実現する1つ又はそれ以上の出入力デバイス(I/O)に連結される。単なる例として、処理ユニット(34)は、キーボード(44)又は他のデータ入力デバイスを介してユーザーの入力を受信し、例えば従来のビデオモニターのようなディスプレイユニット(46)によってユーザーにグラフィック表示を提供する。
【0024】
動作に際して、図1に示されるシステム(10)は、ユーザーの入力に応答するよう処理ユニット(34)によって制御されており、たとえば、処理ユニット(34)が1つ以上のソフトウエアルーチン(42)の実行の開始を指示されると、ユーザーは患者(12)の呼吸器の状態を聴覚的に検出することが可能となる。単なる例として、処理ユニット(34)は、信号調整ユニット(28)内の出力ドライバー(32)に信号を供給するソフトウエアルーチン(42)の1つを実行する。それにより、スピーカー(20)が作動し音波を生成する。これらの音波は、例えば、20Hzから1600Hzまでの一定の振幅の周波数成分を含み得る。しかし、本発明の要旨および精神を逸脱しない限りで、他の周波数域や異なる振幅特性をもつ音波が用いられてもよい。
【0025】
スピーカー(20)から生成される音波は、いかなる場合にも、T−チューブ(16)やETチューブ(14)を通過し、患者の口と気管へ導かれる。その代わりに、挿管されない患者の場合には、スピーカー(20)から生成される音波は、ETチューブ(14)の代わりにマスク及び/又はマウスピースを用いて、患者の口内に導かれる。患者の口内へ音波を導くためにマスク及び/又はマウスピースが用いられる場合には、口腔気道の開存を促すために、鼻クリップが使用されてもよい。しかし、患者に意識のない場合には、口腔気道が用いられる。いずれにせよ、音波は気管及び肺を通過して患者(12)の胸壁に到達する。マイクロフォン(22)は、スピーカー(20)により生成された入力音波に応答し、それらの音波をあらわす電気信号を生成する。この電気信号は増幅器(30)に送られる。同様に、体表センサー(24,26)は、患者(12)の胸壁に到達した音波による振動に応答し、胸壁の振動をあらわす電気信号を生成する。この電気信号は増幅器(30)に送られる。入力音波および胸壁振動をあらわす電気信号は、増幅器(30)によって増幅され、これら増幅された信号は処理ユニット(34)に送られる。詳しくは後述するが、処理ユニット(34)は、ユーザーが患者(12)内の呼吸器の状態を検出できるように、増幅信号を処理する。
【0026】
入力音波及び胸壁振動に関係した増幅信号は、それぞれアナログ/デジタル変換機(40)によりデジタルデータストリームに変換され、これらのデジタルデータストリームはプロセッサー(38)によって周波数領域表現因子(スペクトル)に変換される。この変換に際しては、高速フーリエ変換(FFT)若しくはデジタル化された時間領域波形からスペクトルデータを生成する他のデータ処理技術が使用される。入力音波に関係したスペクトル及び胸壁振動に関係したスペクトルは、その後、患者の口,気管,肺及び胸壁の伝達関数を決定するために利用されてもよい。この伝達関数は、後述するように、患者(12)内における異常な呼吸器の状態の指標を含むことになる。更に、入力音波及び胸壁振動に関係した時間領域波形が、入力音波と胸部の振動との間の干渉性と時間遅延を測定するために、互いに比較検討されてもよい。この波形もまた異常な呼吸器の状態の指標を含む。図1のシステム(10)には2つの体表センサーが示されているが、ここに記載される診断方法を遂行するには、代わりに、本発明の要旨および精神を逸脱しない限りで、1つ又は他の数の体表センサーが使用されてもよい。
【0027】
図2a2fは、図1に示されるシステムにより口から胸壁まで測定された測定された6名の被験者の音の反応特性(すなわち伝達関数)をあらわすグラフ表示の例である。グラフにおける実線は、各被験者における正常な呼吸器の状態についての音の反応特性を表わし、また、破線は、各被験者における気胸の状態についての音の反応特性を表わしている。これらのグラフに示されるように、気胸の状態は、300Hz以上の周波数をもつ音波の実質的な減衰により特徴付けられる。また、一方、約0Hzから250Hzまでの周波数をもつ音波は、気胸の状態により比較的影響を受けないことがわかる。
【0028】
図3は、6名の被験者における口から胸壁へ伝播する音波の高周波数帯域及び低周波数帯域の音のエネルギー間における比を示すグラフである。図3に示される測定値に関して、高周波帯は550−780Hzとして規定され、低周波帯は8−224Hzとして規定された。図2に示されるテスト結果によれば、エネルギー比(すなわち高周波数帯域に関係したエネルギー/低周波数帯域に関係したエネルギー)は、気胸状態が存在する場合に、実質的に減少する。図3は、正常な呼吸器の状態について算出されたエネルギー比(横軸上の“C”で表示)と、気胸状態について算出されたエネルギー比(横軸上の“P”で表示)とを示している。図3から分かるように、エネルギー比は、全ての場合において、正常な呼吸器の状態については、0.10を超え、気胸による異常な呼吸器の状態については、0.06以下に下がる。その結果、しきい値0.08が異常な気胸な状態から正常な呼吸器の状態を完全に分離し、その結果、システム(10)により0.08以下のエネルギー比が算出された場合には、システム(10)は、ユーザー(医師)に気胸状態の存在の可能性を指摘することができる。
【0029】
図4は、図1に示されるシステムを用いて、患者の肺及び胸部の音の反応特性を分析するための1つの方法(50)をあらわすフロー図である。最初のブロック55では、処理ユニット(34)が、入力信号を信号調整ユニット(28)へ送る。その入力信号は、出力ドライバー(32)により増幅され、スピーカー(20)に送られる。必ずしも必要ではないが、これらの増幅された入力信号は、スピーカー(20)に、広域ノイズ特性を持った音波を生成させることが望ましい。例えば、スピーカー(20)は、周波数域20−1600Hz上で比較的一定の振幅をもつ音波を生成することができる。もちろん、他の周波数域又は振幅特性が、本発明の要旨から逸脱しない限りで使用可能である。例えば、広域ノイズ信号の代わりに、クリック信号やチャープ信号(chirp signal)、掃引周波数信号、若しくは、単一周波数又は選択した周波数帯域を含む信号が使用されてもよい。
【0030】
ブロック60では、処理ユニット(34)が、マイクロフォン(22)および1つ又は複数の体表センサー(24,26)から受信された入力に関係したデジタル化時間領域波形を取得する。詳細については後述するが、ユーザーがその検出を望む特定の呼吸器の状態次第で、1つ又は複数の体表センサー(24,26)からの信号が、処理ユニット(34)により取得される。加えて、患者(12)の胸部上の体表センサー(24,26)の正確な位置は、特定の呼吸器の状態を最もよく検出できるように変更可能である。例えば、気胸状態を検出するために、体表センサー(24,26)は、患者(12)の左右の第3肋骨のレベル付近で鎖骨線上に位置決めされる。更に、ブロック60では、処理ユニット(34)は、その後の処理のために、デジタル波形をメモリー(36)に保存する。
【0031】
ブロック65では、処理ユニット(34)は、マイクロフォン(22)に関係して取得された時間領域信号を、体表センサー(24,26)に関係して取得された時間領域信号と比較することにより、入力信号の伝播に関わる時間遅延を算出する。この伝播時間遅延は、音波が患者(12)の口から胸壁上の体表センサー(24,26)に近接した位置まで到達する時間量をあらわしている。
【0032】
ブロック70では、処理ユニット(34)は、取得された時間領域信号から周波数領域データを生成する。言い換えると、処理ユニット(34)は、入力音波及び胸壁振動をあらわすスペクトルを生成する。ブロック75では、処理ユニット(34)は、入力音波及び胸壁振動のクロススペクトルと、入力音波のパワースペクトルとの商(quotient)としての、患者の口から胸壁までの伝達関数を算出するために、ブロック70で生成されたスペクトルデータを用いる。
【0033】
ブロック80では、処理ユニット(34)は、例えば550−780Hzである高周波数帯域におけるトータルの音のエネルギー、及び、例えば8−224Hzである低周波数帯域におけるトータルの音のエネルギーを決定し、前者を後者で割ることによって、エネルギー比(両方の体表センサー(24,26)からの信号が用いられる場合には、複数の比)を算出する。これらの総エネルギーは、例えば、各周波数帯域に含まれる周波数瓶(すなわちFFTの結果に関係した個別の周波数)のすべてに関した伝達関数値を加算することで得られる。更に、上下の周波数帯域に関係したスペクトル域は、特定の呼吸器の状態の検出を可能にするように最善化され得る。
【0034】
ブロック85では、処理ユニット(34)は、ブロック80で算出された時間遅延と所定の時間遅延のしきい値とを比較し、また、ブロック80で算出されたエネルギー比を、例えば前述した0.08であるエネルギー比のしきい値と比較する。ブロック90では、処理ユニット(34)は、ブロック65で得られた時間遅延値やブロック80で得られたエネルギー比のニューラルネットワーク分析を実行する。周知のように、ニューラルネットワークは、本質的に、1つ又はそれ以上のソフトウエアルーチンであり、これらのルーチンは、訓練データの組に基づく入力パラメータに応答し、ネットワークの振舞いを調整する、例えば、既知の呼吸器の状態に関連したエネルギー比及び時間遅延値を含む訓練データの組が、ニューラルネットワークルーチンを訓練させるために用いられてもよい。ニューラルネットワークルーチンは、例えば0から1までの範囲をなしまた可能性のある診断をあらわす診断指標値を生成することができる。数値“1”は健常者をあらわし、0が特定の異常な呼吸器の状態をあらわし、0から1までの間の値が、正常と異常の間の程度をあらわす。オペレーションの中では、訓練したニューラルネットワークルーチンは、計算された時間遅延値及びエネルギー比の値を受信し、これらの値を用いて、0から1までの診断上の指標値を生成する。
【0035】
ブロック95では、処理ユニット(34)は、可能性のある診断をユーザーに示すために、時間遅延及びエネルギー比のそれらのしきい値に対する比較を用いても、また/あるいは、ニューラルネットワーク分析の出力(すなわち診断指標値)又は他の診断に適した出力分類の一覧表(output classification scheme)を用いてもよい。例えば、もし、ブロック80でのエネルギー比に関する基準しきい値に対するエネルギー比の比較の結果が、エネルギー比がエネルギー比に関する基準しきい値を越えるということであれば、また/あるいは、もし、時間遅延がその許容範囲外にあれば、処理ユニット(34)は、ブロック95で、気胸などの異常な呼吸器の状態が存在することを(ディスプレイ(46)内の文章及び/又はグラフィック表示で)あらわす。その代わりに又は加えて、もし、ブロック90におけるニューラルネットワーク分析が、0に十分に近い診断上の指標値(あるいは少なくとも正常な健康状態に関係したいくつかのしきい値以下である値)を生成すれば、処理ユニット(34)は、ブロック95にて、気胸などの異常な呼吸器の状態が存在することを指摘する。更に、ブロック95で決定された診断は、ブロック85での複数の比較とブロック90のニューラルネットワーク分析の組合せの結果であってもよい。実際には、いくつかの適用に際し、ブロック95での診断にてより高い信頼性を実現するには、これらの比較及び/又はニューラルネットワーク分析の複数の使用を要求することが望ましい。
【0036】
図5は、図1のシステムを用いて、患者の胸部及び肺の音の反応特性を測定するための別の方法100をあらわすフロー図である。詳細については後述するが、方法100は、ETチューブが患者の気管内に適切に入っているかどうかを判定するために用いられる。より詳しくは、この方法100は、患者の気管支の一方を部分的に若しくは完全に閉塞し、異常な呼吸器の状態を招来するような、ETチューブの位置異常が生じているか否かを、ユーザー(例えば医師)がリアルタイムで識別可能とするものである。典型的には、ETチューブの位置を検出するには、体表センサー(24,26)が、それらの一方が患者の胸部の左側寄りに、また、他方が患者の胸部の右側寄りに位置するように配置される。
【0037】
ブロック105では、処理ユニット(34)(図1)は、入力信号を信号調整ユニット(28)に送り、その入力信号がスピーカー(20)に広域ノイズ特性をもつ音波を生成させる。そして、ブロック110では、処理ユニット(34)が、1つ又は複数の体表センサー(24,26)から受信される入力に関係した時間領域波形のデジタル情報を取得する。患者の気管支内のETチューブの位置異常などの異常な呼吸器の状態を検知するには、ブロック110で取得された時間領域波形が、何度も測定されてもよい。例えば、基本となる音の特性を確立するために、ETチューブが患者(12)に挿入される前に、時間領域波形が取得されてもよい。そして、付加的な時間領域波形が、ETチューブ(14)が挿入されるにつれ、繰り返し取得されてもよい。また、詳しくは後述するように、これらの付加的な時間領域波形から導かれた音の特性が互いにまた最初の基本となる特性と比較されて、チューブの挿入位置が適切か否かが決定される。
【0038】
ブロック115では、処理ユニット(34)が、ブロック110で取得された時間領域波形の各々から周波数領域データ(すなわちスペクトルデータ)を生成し、この周波数データをメモリー(36)に保存する。ブロック120では、処理ユニット(34)が、患者(12)の左側と右側との間のエネルギー比を、体表センサー(24,26)の一方に関係した周波数領域データの周波数帯域内の総エネルギーを、体表センサー(24,26)の他方に関係した周波数領域データの周波数帯域内の総エネルギーで割ることによって算出する。その結果、ブロック120では、処理ユニット(34)が、特定の周波数帯域内で体表センサー(24,26)により受信された振動又は音波の強度の間の相対比較をあらわす数値を算出する。図5の方法100は、単一の周波数帯域を用いて複数のエネルギー比を算出する例として記載されているが、本発明の要旨を逸脱しない限りで、付加的な周波数帯域が、1つ又はそれ以上のエネルギー比を算出するために用いられてもよい。
【0039】
ブロック125では、処理ユニット(34)が、1つ(あるいは複数)の特定の周波数帯域内のエネルギーを、ETチューブ(14)挿入前に確立された周波数帯域内の基準となる各エネルギーで割ることによって、エネルギー比を算出する。ブロック130では、処理ユニット(34)は、ブロック120及び125で算出されたエネルギー比を、各基準しきい値の組と比較し、また、ブロック135では、処理ユニット(34)は、ブロック130での比較結果を用いて、ETチューブが患者の気管内の適切な位置にあるかどうかを示す。ETチューブの位置異常が生じた場合、典型的には、ETチューブが主気管支の一方に深く入り過ぎ、結果として、閉塞された気管支に関連した側で、患者(12)の他方の側(すなわち閉塞されていない側)と比べ、音波がより大きく減衰することとなる。また、閉塞側で測定された音波又は振動は、その側の基準測定値に関しても減衰することとなる。ブロック135では、処理ユニット(34)が、左右両側間でのエネルギー比が所定のしきい値を越えた場合に、ETチューブの位置に異常がある(すなわち一方の主気管支に入り過ぎている)と指摘する。なお、所定のしきい値は、システム(10)の感度を調節するために、ユーザにより調節可能である。その代わりに若しくは加えて、処理ユニット(34)は、左右両側の測定値およびそれぞれ基準となる左右両側の基準測定値に基づくエネルギー比の比較結果を用いて、ETチューブの位置異常の有無を決定することも可能である。
【0040】
図1に示されるシステム(10)は、患者の口および気管への音波の入力を用いることなく、呼吸器の状態を検出するために用いられ得る。その代わりに、1つ又はそれ以上の体表センサー(24,26)が、患者12内の呼吸器の状態にアクセスすべく、呼吸器の固有音を分析するために用いられてもよい。
【0041】
呼吸器の音は、呼吸機能の臨床評価のために日常的に使われており、正常なまた異常な呼吸器音の特徴は幅広く研究されてきている。正常な呼吸器音のスペクトルは、そのピークが100Hz以下として知られ、その信号は筋肉と心血管系の音が混合したものである。100Hz以上では、信号振幅が急激に小さくなるが、1000Hz位までは測定可能である[Pasterkamp等 96]。対象が小さくなるほどより高い周波数が顕著にみられるが、それは、通常、より小さな肺及び薄い胸壁のために伝播に伴う減衰が小さくなるためである。音の振幅は、気流の二乗に比例することが知られており、肺の基底部後方に向かって増大し、その基底部前方に向かって減少する。これらの音は、肺内の気流が周期的に変化することから、呼吸周期のタイミングに依存する。更に、呼息中よりも吸息中における気流方向の反転が、乱流から派生する肺内の異なる各所における音の発生を変化させる。
【0042】
周知のように、理学的所見において、気胸は、呼吸音の減少としてあらわれる。微弱な肺音を引き起こす他の条件は、主気管支から中小の肺葉気管支までの狭窄を含むのに対し(なお、この狭窄は影響を受けた気道につながる肺の一部において検出可能である)、発声は、これらの位置では変化しない傾向にある。ある研究によると、300Hz以下の周波数では、通気の乏しさと肺呼吸音の減少とが相関する。この所見は、気胸の音の特性と部分的に一致する。
【0043】
図6a−6bは、6名の被験者における正常および気胸状態についての呼吸器の固有音のスペクトルをあらわすグラフである。図6a−6fに示された各スペクトルは、各被験者についての12回以上の呼吸周期を含むものである。呼吸音のスペクトルの内容は、FTTを用いて、ハニング窓(Hanning window)で窓付けしたのち(after windowing)、各1024点分のデータセグメントに関して算出された。その結果、8Hzの周波数分解能が得られた。データセグメントは50%重複し、また、平均スペクトル値は、すべてのセグメントから出た結果を平均することにより決定された。分離式センサー又は前述したような接触式センサーを用いた呼吸周期の観察は、その呼吸周期内の異なる時点における呼吸音の分析を可能とする。この種のゲート分析は、システム(10)の機能を最善化する上で有用である。
【0044】
図6a−6fに示されるように、30Hz以下の周波数では、各被験者内の呼吸器音の振幅は、体表センサー24及び26に使用された電子聴診器の固有のハイパスカットオフ(20Hz)によって、周波数の減少を伴い減少する。正常な呼吸器の状態及び異常な気胸の状態の信号の振幅は、100−200Hz以下とさほど大きな差をもたなかった。実際には、振幅は、正常な呼吸器の状態及び異常な呼吸器の状態の両状態もとで、30−200Hzの範囲における周波数の増加を伴い、21.8+−2.9dB/オクターブ(平均+−標準偏差)で減衰した。この振幅の降下は、音の伝播抵抗の増加及び音生成の減少によるものと考えられる。
【0045】
気胸の結果としての振幅変化は、300−500Hzの周波数領域でもっとも顕著にあらわれた。この変化は、肺が胸壁内面から引き離され空気の隙間ないし気孔を形成する場合に生ずる大きなインピーダンスの不一致から生じ、また、気流及び乱流の減少の結果としての呼吸器系での音生成の減少から生じるものと考えられる。
【0046】
図6a−6fに示されるスペクトルグラフにより示唆されるように、いかなる場合にも、図4に示される方法50が、異常な呼吸器の状態を検出すべく、固有の呼吸器の音を分析するために使用される。しかし、図4の方法50を使用する場合、スピーカー(20)を作動させて音波を生成し患者の口に導入する、ブロック55の工程は省略され、また、信号の時間遅延の算出やその時間遅延値の利用も同様に省略される。更に、固有の呼吸器音の分析において図4の方法50を適応させる場合、ブロック95での診断用出力の信頼性を最大にするために、エネルギー比の算出に用いられる周波数帯域が最善化されてもよい。
【0047】
呼吸器の音はもともと気流によって誘発される乱流が原因で発生するものであることから、図5に示される方法100(ブロック105は除く)は、位置異常の気管内チューブ等の異常な呼吸器の状態を検出するために、固有の呼吸器音を分析するように用いられてもよい。気管内チューブの位置に異常がある場合、通気が肺の一方にて減少し、その結果、妨害された肺に近接して胸部表面で検出される呼吸器音の強度が減少する。さらに、妨害されていない側の肺への気流が増加するため、その妨害されていない側の肺に近接して、胸部表面での呼吸器音の強度は一層強くなる。このことは、位置異常のETチューブに対するシステム(10)の感度がより亢進することを意味している。
【0048】
さらに、呼吸器系の内部の音波の減衰がその周波数とともに大きくなることから(高い周波数ほど低下し易い)、固有の呼吸器音の周波成分が高いほど、それらの発生場所に近くで一層容易に検出される。それゆえ、気管内チューブが位置異常にあり、その先端が主気管支の一方に入り込んでいる場合には、通気をなさない側(すなわち妨害された側)で生成される呼吸器の固有音の高周波成分の強度は、減少するであろう。
【0049】
図7aは、典型的な被験者における正常な呼吸器の状態についての固有の呼吸器音のスペクトル示すグラフ表示である。図7bは、ETチューブが図7aの被験者の右側の気管支内に入り込んだ場合の、固有の呼吸音のスペクトルを示すグラフ表示である。図7a及び7bから分かるように、50−1500Hzの周波数領域では周波数の増大とともに減衰が大きくなる一般的な傾向が認められる。しかしながら、図7bに見られるように、ETチューブを右側気管支へ入れ過ぎることにより、200−1200Hzの周波数領域で左側肺内の固有の呼吸音の強度が大きく減衰する。左側肺では、約15−20dBの固有の呼吸音の最大の減衰が、400Hz付近で観察された。
【0050】
更に、ETチューブが食道内に誤入された場合には、通風デバイスの空気が強制的に胃に入り、比較的大きな上腹部の音を生ずる。呼吸器系と上部胃腸管との実質的な解剖学上の違いにより、食道通気から生じる音は、正常な状態の呼吸器音とは実質的に異なるスペクトルおよび時間的特徴を有する。例えば、上部消化管の通気は、少なくとも空気が充分貯まって相当な逆圧になるまで、最小の呼息のフェーズをあらわす。
【0051】
更にまた、抜管から生じる音の変化は、基本的には、新たなETチューブの位置によるものである。典型的には、ETチューブが咽頭の位置にある場合には、胸壁へ伝播する音エネルギーが発生する。しかし、この場合にも、左右の呼吸音のより高い周波数及び振幅の減衰が生じる。
【0052】
図8は、打診入力を用いて気管内に挿管された患者の胸部及び肺の音の反応特性を測定するための、また別のシステム(150)のブロック図を示す。図1に示されるシステム10のそれと同様かまったく同じであるシステム(150)の要素は、同じ参照符号を用いて同定される。
【0053】
別のシステム150は、患者の胸部に打診入力を加えるために、インパクトハンマー(152)を用いる。インパクトハンマー(152)は、患者(12)の胸部に振動を伝えるのに適した作動装置である。更に、このハンマー(152)は、ユーザー(例えば医師,専門家等)が手動で動かすことも可能であり、また、ハンマー(152)が電動式にされる場合、例えばソレノイドで作動させる場合など、自動的に作動することが可能である。このハンマー(152)は、患者(12)の胸部に直接に接触するか、若しくは、代わりに、胸部の表面とハンマー(152)との間に介在する金敷きに衝撃を加えるものであってもよい。
【0054】
空気伝達性マイクロフォン(154)が、ハンマー(152)による打診入力に続く、患者の胸部から発する音に反応し、これらの音をあらわす電気信号を信号調整ユニット(28)に送る。信号調整ユニット(28)は、これらの信号を増幅し、その増幅した信号を更なる処理のために処理ユニット(34)に送る増幅器(30)を使用する。
【0055】
図9は、正常な呼吸器の状態(実線)と気胸状態(破線)における、打診入力に対する胸部の典型的な音響反応をあらわすグラフ表示である。図9に示されるグラフの作成には、打診が、右鎖骨中線にて、第3の肋間スペースにおける肋骨に平行に胸壁に対して保持されたステンレス性円形棒を打つように、インパクトハンマー(152)を作動させることにより、7匹の犬に与えられた。打診テストは、正常と気胸状態の両者に対し実行された。各テストの間には、15回の打診入力が実行され、皮膚からわずかに離れた場所に置かれた空気伝達性マイクロフォン(154)を用いて、胸部音響反応が測定された。各入力に際しては、振幅,優位周波数および減衰率が算出された。
【0056】
図9に示されるように、正常及び気胸の状態をあらわす各信号は、約20−30ミリ秒の持続時間を有し、狭帯域スペクトルの内容を伴う減衰する振動信号により継続される初期スパイクを示している。このことは弱めた振動システムでは典型的である。しかし、この打診テストの結果から明らかなことは、気胸状態に関連した弱い振動反応は、正常な呼吸器の状態のそれより遅い減衰率および高い周波数をもつことである。
【0057】
気胸の状態に関連した遅い減衰率および高周波数は、打診入力に応じて胸壁が自然な周波数で振動しようとする傾向、および、また、胸壁及び肺における機械的振動エネルギーの粘性消失(viscous dissipation)に起因して、振動がそのうち減衰するという事実の結果である。特に、気胸が存在する場合には、肺が胸壁から引き離され、振動の消失が少なくなるため、減衰が遅くなる結果となる。更に、基本をなす組織が空気に置き換わると、呼吸器系の振動質量が低下し、そのため、系の共鳴振動数が増加する。これらの効果は、熟練した医師が理学的所見の間に“過共鳴音(hyperresonance)”として注意されるものと一致する。
【0058】
上記の打診信号の定量分析は、その減衰率と優位周波数を測定するために実行された。減衰率を算出するために、先ず、信号の包絡線が、信号の瞬間的な振幅として測定され、次に、回帰分析を用いて、包絡線の減衰部分の最も適合した部分が求められる。その適合した曲線の勾配は、減衰率をもたらす。その際、線形および指数関数的に、減衰算出が試された。優位周波数は、ゼロ交差およびFTT演算法の両者から推定された。ゼロ交差は、より詳細な周波数分解能(80−200Hz周波数領域中の1−5Hz)を示し、他方、FTT推定は、信号の持続期間が短かいことから40Hzに制限された。ウエーブレット変換および最大エントロピー法を含む自己回帰分析も行われた。
【0059】
データにより提示される各被験者間の変動性のため、正確な診断を下すには、制御状態のパラメータ値(例えば反対側又は同じ側での最初の基準値からの)が必要となる。被験者間の大きな変動は、肺疾患の診断法としての手で行う打診の感度や特異性(specificity)に関して対立する報告が出てくる由縁である。
【0060】
図10は、図8に示されるシステム(150)を用いて、患者の胸部及び肺の音の反応特性を分析するための1つの方法200をあらわすフロー図である。ブロック205では、処理ユニット(34)が、患者(12)の胸部に衝撃を加えるためのインパクトハンマー(152)を作動させる。そして、ブロック210では、処理ユニット(34)が、マイクロフォン(154)及び増幅器(30)を介して電気信号を受信する。この信号は、ハンマーの衝撃により患者の胸部に生ずる振動をあらわすものである。ブロック215では、処理ユニット(34)が、取得した時間領域波形をモニターし、その後の処理のために、その波形の所定のしきい値を超えた部分を割り出す。所定のしきい値以下の波形部分は、それ以上処理されず、擬似及び/又はノイズに関連するものとみなされる。
【0061】
ブロック220では、処理ユニット(34)は、ブロック215で認識された時間領域波形のしきい値以上の部分についての包絡線を算出する。単なる例として、この時間依存波形の包絡線算出には、ヒルバート変換(Hilbert transform)又は他の包絡線算出方法が使用される。ブロック225では、処理ユニット(34)が、包絡線の最大振幅についての時間的位置および強度を測定し、ブロック230では、最大振幅の所定比より大きい振幅をもつ方絡線の部分(最大振幅の位置を囲む)を認識する。例えば、所定比は20%に設定されてもよく、この場合には、ブロック230で割り出された包絡線の部分が、最大の振幅値のどちらか一方へ、包絡線の振幅が最大の包絡線振幅の20%である位置まで、時間的に拡張される。
【0062】
ブロック235では、処理ユニット(34)は、包絡線の立ち上がり部分及び減衰部分の時間的長さを算出する。立ち上がり部分は、最大の包絡線の値の時間的位置に先行する割り出し部分であり、減衰部分は、最大の包絡線の値の時間的位置に続く割り出し部分に対応している。ブロック240では、処理ユニット(34)は、回帰分析にて包絡線の該当する立ち上がりおよび減衰部分を線形ないし指数関数曲線に適合させ(すなわち曲線適合)、それにより、立ち上がりおよび減衰率(すなわち適合曲線の勾配)が算出される。
【0063】
ブロック245では、処理ユニット(34)は、ゼロ交差,フーリエ解析及び自己回帰モデル法を用いて、優位周波数を決定する。これらの方法はすべて時間領域信号の周波数を測定する方法としてよく知られている。ブロック250では、処理ユニット(34)は、立ち上がりおよび減衰時間と各比率を、所定の各しきい値と比較する。例えば、優位周波数が、気胸のような異常な呼吸器の状態に関連した優位周波数のしきい値より大きいことが分かった場合には、処理ユニット(34)は、ディスプレイ(46)を介してユーザーに気胸状態の存在の可能性を示す。同様に、遅延時間及び比率を、1つ又はそれ以上の異なる呼吸器の状態に関連した所定のしきい値と比較することにより、ユーザに対する可能性のある診断が示される。更に、ユーザーに提示する診断の信頼性を高めるために、優位周波数とともに包絡線の立ち上がりおよび減衰率が、ニューラルネットワーク分析(図4に関連して上述したものと同様のもの)を介して伝送されてもよい。
【0064】
ソフトウエアで実行される場合には、ここで述べた機能ブロックやルーチンは磁気的な、光学的な、若しくは、他の記録媒体に、また、コンピューターやコントローラー、現場の機器等のRAMやROMなどの、コンピュータ読取り可能なメモリーに保存可能である。同様に、このソフトウエアは、キャリア上で調整され、例えば電話回線やインターネットなどの通信チャンネルを含む既知のあるいは望ましい伝達手段を介して、ユーザー又は装置に伝送されてもよい。
【0065】
本発明に関しては具体的な例を挙げ記載してきたが、その例はただ本発明を説明するためのものでありそれに制約される必要はない。当業者には、本発明の要旨や精神を逸脱しない限りで、ここに開示されたものに、変更,追加若しくは削除が加えられてもよいことは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【図1】気管内に挿管された患者の口から胸壁への音の伝播特性を測定するためのシステムの一例をあらわすブロック図である。
【図2】(a−f)口から胸壁まで測定された6名の被験者の音の反応特性を示すグラフ表示である。
【図3】図1に示されるシステムを用いて、6名の各被験者の口から胸壁へ伝播した音波の高周波帯および低周波数帯域の音のエネルギーの間の比を示すグラフ表示である。
【図4】図1に示されるシステムを用いて、患者の肺及び胸部の音響反応特性を分析するための1つの方法をあらわすフロー図である。
【図5】図1に示されるシステムを用いて、患者の肺及び胸部の音響反応特性を分析するための、別の方法をあらわすフロー図である。
【図6】(a−f)6名の被験者の正常状態及び気胸状態についての呼吸器の固有音のスペクトルをあらわすグラフ表示である。
【図7】(a)典型的な被験者の正常な呼吸器の状態についての呼吸器の固有音のスペクトルをあらわすグラフ表示である。
(b)ETチューブが図7aの被験者の右側の気管支内に挿入させられた場合の、異常な呼吸器の状態についての呼吸器の固有音のスペクトルをあらわすグラフ表示である。
【図8】気管内に挿管された患者の胸部及び肺内の音の伝播反応の特徴を測定するために打診入力を用いるまた別のシステムの一例をあらわすブロック図である。
【図9】正常な呼吸器の状態及び気胸の状態に関した打診入力に対する典型的な胸部音響反応をあらわすグラフ表示である。
【図10】図8に示されるシステムを用いて、患者の胸部及び肺の音響反応特性を分析するための、1つの方法をあらわすフロー図である。
Claims (67)
- 身体内の呼吸器の状態を検知する方法であって、該方法が、
上記身体の第1の部位に音波を発するステップと、
上記発せられた音波を第1の電気信号に変換するステップと、
上記呼吸器の状態と干渉し、上記身体の第2の部位にぶつかる音波から生じる振動を受信するステップと、
受信した振動を第2の電気信号に変換するステップと、
第1及び第2の電気信号を用いて、上記呼吸器の状態を示す数値を算出するステップと、を有していることを特徴とする方法。 - 上記第1及び第2の電気信号を用いて、上記呼吸器の状態を示す数値を算出するステップは、
上記第1の電気信号を用いて、第1の周波数データの組を生成するステップと、
上記第2の電気信号を用いて、第2の周波数データの組を生成するステップと、
上記第1及び第2の周波数データの組により伝達関数データを算出するステップと、
上記伝達関数データを用いて、上記呼吸器の状態をあらわすエネルギー比を算出するステップと、を有することを特徴とする請求項1記載の方法。 - 上記伝達関数データを用いて、上記呼吸器の状態をあらわすエネルギー比を算出するステップは、上記第1の周波数帯域内の第1のエネルギー及び上記第2の周波数帯域内の第2のエネルギーに基づき、上記呼吸器の状態を示すエネルギー比を算出するステップを有することを特徴とする請求項2記載の方法。
- 上記第1の周波数帯域内の第1のエネルギー及び上記第2の周波数帯域内の第2のエネルギーに基づき、上記呼吸器の状態を示すエネルギー比を算出するステップは、上記第1の周波数帯域を、第2の周波数帯域より高い周波数成分を含むように規定するステップを有することを特徴とする請求項2記載の方法。
- 上記第1及び第2の周波数データの組を生成するステップは、高速フーリエ変換を使用するステップを有することを特徴とする請求項2記載の方法。
- 上記呼吸器の状態と干渉し、上記身体の第2の部位にぶつかる音波から生じる振動を受信するステップは、上記身体の表面に近接して振動を受信するステップを有することを特徴とする請求項1記載の方法。
- 上記身体の表面に近接して振動を受信するステップは、上記身体の胸壁に近接して振動を受信するステップを有することを特徴とする請求項6記載の方法。
- 上記身体の第1の部位に音波を発するステップは、上記身体の第1の部位に広帯域ノイズを発するステップを有することを特徴とする請求項1記載の方法。
- 上記身体の第1の部位に音波を発するステップは、上記身体の口内に音波を発するステップを有することを特徴とする請求項1記載の方法。
- 更に、上記呼吸器の状態を示すエネルギー比を、基準のしきい値とを比較し、その比較結果をあらわす出力を生成するステップを有することを特徴とする請求項2記載の方法。
- 上記比較結果をあらわす出力を生成するステップは、気胸の状態をあらわす出力を生成するステップを有することを特徴とする請求項10記載の方法。
- 上記比較結果をあらわす出力を生成するステップは、気管内チューブの位置異常をあらわす出力を生成するステップを有することを特徴とする請求項10記載の方法。
- 更に、上記第1及び第2の電気信号を用いて、上記時間遅延を算出し、上記呼吸器の状態を示す出力を生成するために、該時間遅延値及びエネルギー比を処理するようニューラルネットワークを用いるステップを有することを特徴とする請求項2記載の方法。
- 上記呼吸器の状態を示す出力を生成するために、上記時間遅延値及びエネルギー比を処理するようニューラルネットワークを用いるステップは、気胸の状態をあらわす出力を生成するステップを有することを特徴とする請求項13記載の方法。
- 上記呼吸器の状態を示す出力を生成するために、上記時間遅延値及びエネルギー比を処理するようニューラルネットワークを用いるステップは、気管内チューブの位置異常をあらわす出力を生成するステップを有することを特徴とする請求項13記載の方法。
- 上記第1及び第2の電気信号を用いて、上記呼吸器の状態を示す数値を算出するステップは、上記第1及び第2の電気信号間の時間遅延を算出し、その信号の時間遅延を所定のしきい値と比較するステップを有することを特徴とする請求項1記載の方法。
- 上記信号の時間遅延値を所定のしきい値と比較するステップは、気胸状態に関連した所定のしきい値を使用するステップを有することを特徴とする請求項16記載の方法。
- 上記信号の時間遅延値を所定のしきい値と比較するステップは、気管内チューブの位置異常に関連した所定のしきい値を使用するステップを有することを特徴とする請求項16記載の方法。
- 身体内の呼吸器の状態を検出するために使用するシステムであって、
上記身体の第1の部位に音波を発する音波源と、
上記第1の部位に発せられた音波を第1の電気信号に変換する第1の変換器と、
上記呼吸器の状態と干渉し、上記身体の第2の部位にぶつかる音波から生じる振動を受信し、その受信した振動を第2の電気信号に変換する、該身体の第2の部位に近接した第2の変換器と、
上記第1及び第2の電気信号を用いて、上記呼吸器の状態を表示する数値を算出する処理ユニットと、を有していることを特徴とするシステム。 - 上記第1の変換器はマイクロフォンであることを特徴とする請求項19記載のシステム。
- 上記第2の変換器は振動センサであることを特徴とする請求項19記載のシステム。
- 上記音波源はスピーカーであることを特徴とする請求項19記載のシステム。
- 上記呼吸器の状態は気胸であることを特徴とする請求項19記載のシステム。
- 上記呼吸器の状態は気管内チューブの位置異常であることを特徴とする請求項19記載のシステム。
- 上記処理ユニットは、
上記第1の電気信号を用いて、第1の周波数データの組を生成し、
上記第2の電気信号を用いて、第2の周波数データの組を生成し、
上記第1及び第2の周波数データの組を用いて、伝達関数データを算出し、
上記伝達関数データを用いて、上記呼吸状態をあらわすエネルギー比を算出する、ことを特徴とする請求項19記載のシステム。 - 上記処理ユニットは、上記第1の周波数帯域内の第1のエネルギー及び第2の周波数帯域内の第2のエネルギーに基づいて、上記呼吸器の状態をあらわすエネルギー比を算出することを特徴とする請求項25記載のシステム。
- 上記第1の周波数帯域は、上記第2の周波数帯域より高い周波数成分を含むことを特徴とする請求項26記載のシステム。
- 上記処理ユニットは、上記第1及び第2の電気信号間での信号時間遅延を算出し、該時間遅延値を所定のしきい値と比較することを特徴とする請求項19記載のシステム。
- 身体内の呼吸器の状態を検出するために、該身体の第1の部位に、音波を発するプロセッサを有する装置に用いられるシステムであって、
コンピュータ読取り可能な媒体と、
上記コンピュータ読取り可能な媒体に保存され、プロセッサにより実行されるのに適した複数のルーチンであって、
上記身体の第1の部位へ発せられる音波を、第1の電気信号に変換するのに適した第1のルーチンと、
上記呼吸器の状態と干渉し、上記身体の第2の部位にぶつかる上記発せられた音波から生じる振動を、第2の電気信号に変換するのに適した第2のルーチンと、
上記呼吸器の状態をあらわす数値を算出するために、上記第1及び第2の電気信号を用いるのに適した第3ルーチンを有する、複数のルーチンとを有していることを特徴とするシステム。 - 上記第3ルーチンが、更に、
上記第1の電気信号を用いて、第1の周波数データの組を生成し、
上記第2の電気信号を用いて、第2の周波数データの組を生成し、
上記第1及び第2の周波数データの組を用いて、伝達関数データを算出し、
上記呼吸器の状態をあらわすエネルギー比を算出するために、上記伝達関数データを用いるのに適していることを特徴とする請求項29記載のシステム。 - 上記第3ルーチンが、更に、第1の周波数帯域内の第1のエネルギー及び第2の周波数帯域内の第2のエネルギーに基づくエネルギー比を算出するのに適していることを特徴とする請求項30記載のシステム。
- 上記第3ルーチンが、更に、上記第2の周波数帯域よりも高い周波数成分を含むように上記第1の周波数帯域を規定するのに適していることを特徴とする請求項31記載のシステム。
- 上記複数のルーチンが、更に、上記呼吸器の状態をあらわすエネルギー比を基準のしきい値と比較し、その比較結果をあらわす出力を生成するのに適した第4ルーチンを有していることを特徴とする請求項30記載のシステム。
- 上記第4ルーチンが、更に、気胸の状態をあらわす出力を生成するのに適していることを特徴とする請求項33記載のシステム。
- 上記第4ルーチンが、更に、位置異常にある気管内のチューブをあらわす出力を生成するのに適していることを特徴とする請求項33記載のシステム。
- 上記複数のルーチンが、更に、時間遅延を算出するために第1及び第2の電気信号を用い、また、上記呼吸器の状態をあらわす出力を生成するように、上記時間遅延及び呼吸器の状態をあらわすエネルギー比を処理するためにニューラルネットワークを用いるのに適した第4ルーチンを有していることを特徴とする請求項30記載のシステム。
- 上記第4ルーチンが、更に、気胸の状態をあらわす出力を生成するのに適していることを特徴とする請求項36記載のシステム。
- 上記第4ルーチンが、更に、位置異常にある気管内のチューブをあらわす出力を生成するのに適していることを特徴とする請求項36記載のシステム。
- 上記第3ルーチンが、更に、上記第1及び第2の電気信号間の信号の時間遅延を算出し、該信号の時間遅延を所定のしきい値と比較するのに適していることを特徴とする請求項29記載のシステム。
- 身体内の呼吸器の状態を検出する方法であって、
最初の時点での身体の第1の部位に近接して固有の呼吸器音を受信するステップと、
最初の時点で受信した固有の呼吸器音を第1の電気信号に変換するステップと、
上記第1の電気信号を用いて、第1の周波数データの組を生成するステップと、
上記第1の周波数データの組を用いて、上記呼吸器の状態をあらわすエネルギー比を算出するステップと、を有していることを特徴とする身体内の呼吸器の状態を検出する方法。 - 上記第1の周波数データの組を用いて呼吸器の状態を表示するエネルギー比を算出するステップは、上記第1の周波数帯域内の第1のエネルギー及び第2の周波数帯域内の第2のエネルギーに基づいて、上記呼吸器の状態をあらわすエネルギー比を算出するステップを有していることを特徴とする請求項40記載の方法。
- 上記第1の周波数帯域内の第1のエネルギーおよび第2の周波数帯域内の第2のエネルギーに基づいて、呼吸器の状態を表示するエネルギー比を算出するステップは、該第1の周波数帯域を、第2の周波数帯域よりも高い周波数成分からなるように規定するステップを有していることを特徴とする請求項41記載の方法。
- 更に、第2の時点で身体の第1の部位に近接して固有の呼吸器音を受信するステップと、
第2の時点で受信した固有の呼吸器音を第2の電気信号に変換するステップと、
上記第2の電気信号を用いて、第2の周波数データの組を生成するステップと、
上記第2の周波数データの組を用いて、上記呼吸器の状態を表示するエネルギー比を算出するステップと、を有することを特徴とする請求項40記載の方法。 - 上記第1及び第2の時点で身体の第1の部位に近接して固有の呼吸器音を受信するステップは、上記身体内の一方又は両方の肺に関連した呼吸音を受信するステップを有することを特徴とする請求項43記載の方法。
- 上記第2の時点で身体の第1の部位に近接して固有の呼吸器音を受信するステップは、上記呼吸器の状態が存在する以前の固有の呼吸器音を受信するステップを有することを特徴とする請求項43記載の方法。
- 更に、身体の第2の部位に近接して固有の呼吸器音を受信するステップと、
上記第2の部位に近接して受信した固有の呼吸器音を第2の電気信号に変換するステップと、
上記第2の電気信号を用いて、第2の周波数データの組を生成するステップと、
上記第2の周波数データの組を用いて、上記呼吸器の状態をあらわすエネルギー比を算出するステップと、を有することを特徴とする請求項40記載の方法。 - 上記第1の時点で身体の第1の部位に近接して固有の呼吸器音を受信するステップは、上記身体内の一対の肺の一方に関連した呼吸音を受信するステップを有し、また、上記身体の第2の部位に近接して固有の呼吸器音を受信するステップは、上記身体内の一対の肺の他方に関連した呼吸音を受信するステップとを有することを特徴とする請求項46記載の方法。
- 身体内の呼吸器の状態を検出するために使用するシステムであって、
上記身体の第1の部位に近接して受信した固有の呼吸器音を第1の電気信号に変換する第1の変換器と、
上記第1の電気信号を用いて第1の周波数データの組を生成し、該第1の周波数データの組を用いて上記呼吸器の状態をあらわすエネルギー比を算出する処理ユニットと、を有していることを特徴とする身体内の呼吸器の状態を検出するために使用するシステム。 - 上記処理ユニットは、第1の周波数帯域内の第1のエネルギー及び第2の周波数帯域内の第2のエネルギーに基づいて、上記呼吸器の状態をあらわすエネルギー比を算出することを特徴とする請求項48記載のシステム。
- 上記第1の周波数帯域は、上記第2の周波数帯域より高い周波数成分を有することを特徴とする請求項49記載のシステム。
- 上記身体の第1の部位は、上記身体内の一対の肺の一方に関係することを特徴とする請求項48記載のシステム。
- 更に、上記身体の第2の部位に近接して受信した呼吸音を第2の電気信号へ変換する第2の変換器を有しており、
上記処理ユニットは、上記第2の電気信号を用いて、第2の周波数データの組を生成し、上記その第2のデータの組を用いて、上記呼吸器の状態をあらわすエネルギー比を算出することを特徴とする請求項48記載のシステム。 - 上記身体に近接する第1及び第2の部位は、各々身体内の第1及び第2の肺に関係することを特徴とする請求項52記載のシステム。
- 身体内の呼吸器の状態を検出する方法であって、
上記身体の一部分に衝撃を加え、
上記呼吸器の状態と干渉する衝撃と、該衝撃が加えられた身体の一部分とから生じる振動を受信し、
受信された振動を電気信号へ変換し、
上記電気信号を用いて、上記呼吸器の状態をあらわす数値を算出する、ステップを有していることを特徴とする方法。 - 上記電気信号を用いて、上記呼吸器の状態をあらわす数値を算出するステップが、上記電気信号の包絡線を算出し、該電気信号の包絡線の特性を算出するために、該包絡線を用いるステップを有していることを特徴とする請求項54記載の方法。
- 上記電気信号の包絡線の特性を算出するために、該包絡線を用いるステップが、
上記電気信号の包絡線の最大振幅に関連した時間的位置を割り出し、
上記電気信号の包絡線の最大振幅に関連した時間的位置の周囲における電気信号の包絡線の一部分を割り出し、
割り出した電気信号の包絡線の一部分を用いて、該電気信号の包絡線の特性を算出する、ステップを有していることを特徴とする請求項55記載の方法。 - 上記割り出した電気信号の包絡線の一部分を用いて、該電気信号の包絡線の特性を算出するステップが、上記電気信号の包絡線の割り出し部分の立ち上がり部分に関連した第1の時間を算出し、また、上記電気信号の包絡線の割り出し部分の減衰部分に関連した第2の時間を算出する、ステップを有していることを特徴とする請求項56記載の方法。
- 上記割り出した電気信号の包絡線の一部分を用いて、該電気信号の包絡線の特性を算出するステップが、上記電気信号の包絡線の割り出し部分に曲線を適合させ、該曲線の勾配を算出する、ステップを有していることを特徴とする請求項56記載の方法。
- 上記割り出した電気信号の包絡線の一部分を用いて、該電気信号の包絡線の特性を算出するステップが、上記電気信号の優位周波数を決定する、ステップを有していることを特徴とする請求項56記載の方法。
- 上記割り出した電気信号の包絡線の一部分を用いて、該電気信号の包絡線の特性を算出するステップが、気胸の状態に関連した特性値を算出する、ステップを有していることを特徴とする請求項56記載の方法。
- 身体内の呼吸器の状態を検出するのに用いられるシステムであって、
上記身体内の振動を生じさせるために、該身体の一部に衝撃を加える衝撃付加デバイスと、
上記振動が身体の衝撃が加えられた一部分における呼吸器の状態と干渉した後に、身体の一部分への衝撃から生じる信号を電気信号へ変換する変換器と、
上記呼吸器の状態をあらわす数値を算出するために、上記電気信号を用いる処理ユニットと、を有していることを特徴とするシステム。 - 上記処理ユニットが、上記電気信号の包絡線を算出し、該電気信号の包絡線の特性を算出するために、該電気信号の包絡線を用いることを特徴とする請求項61記載のシステム。
- 上記処理ユニットが、
上記電気信号の包絡線の最大振幅に関連した時間的位置を割り出し、
上記電気信号の包絡線の最大振幅に関連した時間的位置の周囲における電気信号の包絡線の一部分を割り出し、
上記電気信号の包絡線の割り出し部分を用いて、該電気信号の包絡線の特性を算出する、ことを特徴とする請求項62記載のシステム。 - 上記処理ユニットが、上記電気信号の包絡線の割り出し部分の立ち上がり部分に関連した第1の時間と、上記電気信号の包絡線の割り出し部分の減衰部分に関連した第2の時間とを算出する、ことを特徴とする請求項62記載のシステム。
- 上記処理ユニットが、上記電気信号の包絡線の割り出し部分に、曲線を適合させ、該曲線の勾配を算出する、ことを特徴とする請求項62記載のシステム。
- 上記処理ユニットが、上記電気信号の優位周波数を決定する、ことを特徴とする請求項62記載のシステム。
- 上記処理ユニットが、気胸の状態に関連した特性値を算出する、ことを特徴とする請求項62記載のシステム。
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