JP2004511572A - 標的化送達のための脂質製剤 - Google Patents
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Abstract
本発明は、脂質ベースの全身送達ベヒクル、および特異的組織部位へ活性物質を選択的に標的化する方法を提供する。これらの方法は、複数の構成的部分を有する脂質ベースの全身送達ベヒクルをデザインし、その後組織選択性を与えるために複数の構成的部分の各々の量を変動することを含む。組織選択性が与えられた後は、活性物質を特異的組織部位へ選択的に標的化することが可能である。
Description
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2000年10月25日に出願された米国特許仮出願第60/243,185号に対する優先権を請求するものであり、その内容は全ての目的についてその全体が本明細書に参照として組み入れられる。
【0002】
(発明の技術分野)
本発明は、脂質製剤、より詳細には、標的化された遺伝子の送達ベヒクルとして有用である核酸−脂質粒子に関する。
【0003】
(発明の背景)
全身の遺伝子療法のための現在の遺伝子送達システムは、ウイルス型および非ウイルス型のシステムを含む。ウイルス型遺伝子導入システムは、全身投与時には速やかに循環からクリアランスされ、それらの使用は肝臓または肺のような初回通過の臓器(first pass organ)に限られている。加えてウイルス型システムの免疫原性は、急性炎症反応を示し、このことは良い場合にあっても後続投与量の作用を制限し、悪い場合は患者にとって有害となりうる(Worgallら、Human Gene Therapy、8:37−44(1997)参照)。非ウイルス型システム、例えばプラスミド−DNA−カチオン性脂質複合体(リポプレックス)は、インビトロにおいて適切に作用するが、それらの大きいサイズおよび表面の正電荷のために、リポプレックスも循環から容易にクリアランスされ、同様に初回通過の臓器のトランスフェクションに関連した用途に限定される(Hoflandら、Pharmaceutical Res、14:742−749(1997)参照)。DNA−カチオン性脂質複合体も、著しい毒性を発揮することがわかっている(LiおよびHuang、Gene Therapy、4:891−900(1997)参照)。
【0004】
巨大な核酸は血清に曝された際には迅速に分解されるので、関心のある領域への遺伝子の送達は、遺伝子薬物の根本的ハードルである。しかしこのハードルは、ウイルスベクター、脂質複合体などの使用により、局所的および限局的(すなわち、吸入または直接注射)送達に関しては克服されている。全身の(すなわち、静脈内)送達に関して、このハードルは、本明細書に参照として組み入れられる国際公開公報第96/40964号に開示された安定したプラスミド−脂質粒子(「SPLP」)の使用により克服されている。SPLPは、ヌクレアーゼ分解に対して抵抗性であり、低い免疫原性を有し、かつサイズが小さい(<150nm)、完全に封入された脂質−プラスミド粒子であり、このことによりこれらは長い循環寿命に特に良く適するようになっている。
【0005】
SPLPは、プラスミドDNAの、小さい(〜70nm)良く限定された脂質ベシクル内部への完全な封入を可能にする、界面活性剤透析法(detergent dialysis method)を用いて作出することができる(Wheelerら、Gene Therapy、6:271−281(1999)参照)。これらのベシクルは、融合性ヘルパー脂質(fusogenic helper lipid)を含み、これは細胞膜との融合を誘導することが知られている。融合性脂質は、リポソーム形成に必要な二重層構造を容易には形成しないので、これらには、ポリエチレングリコール(PEG)−脂質複合体またはアンカーのような安定化剤または凝集防止剤が必要である。得られる粒子は、脂質アンカーの長さによって左右される循環半減期を有することが示されている。循環半減期は、1.2分(PEG−CerC8)から13時間(PEG−CerC20)まで変動する。この特性は、「プログラム可能な」融合性遺伝子送達システムの構築を可能にしている。PEG−Cerは、SPLP膜の外側へそのアンカー長によって左右される速度で拡散するので、このSPLPは、より不安定かつ融合性となり、その結果、膜融合し、プラスミドDNAペイロード(payload)を放出する。これらの粒子は、延長された循環寿命、ならびにウイルス型および他の非ウイルス型システムを上回る増強された薬物動態を示す。インビトロ試験は、高レベルのカチオン性脂質(24mol%)を伴うSPLPは、トランスフェクション特性を有し、これはプラスミドDNA−カチオン性脂質複合体よりも優れていることを示している。
【0006】
このようなSPLP技術における進歩にも関わらず、当該技術分野においては、ペイロードの、標的、すなわち関心のある特定の組織部位への送達を可能にする製剤が必要とされている。本発明は、これおよび他の必要性を満たしている。
【0007】
(発明の概要)
ひとつの態様において、本発明は、複数の構成的部分を有する脂質ベース(lipid−based)の全身送達ベヒクルをデザインする工程;および、組織選択性を与えるために複数の構成的部分の各々の量を変動し、これにより活性物質を特異的組織部位に選択的に標的化することが可能な脂質ベースの全身送達ベヒクルを同定する工程を含む、特異的組織部位への活性物質の選択的標的化が可能である脂質ベースの全身送達ベヒクルを同定する方法を提供する。好ましい局面において、これらの構成的部分として、標的化する部分(例えば抗体)を含まない。適当な組織型は、臓器、骨、様々な腫瘍型およびそれらの組合せを含むが、これらに限定されるものではない。
【0008】
組織選択性は、様々なインビボおよびインビトロアッセイを用いて決定することができる。これらのアッセイは、さらに本発明の他の態様も示している。このように、本発明は、複数の構成的部分を有する脂質ベースの全身送達ベヒクルを、マウスの尾静脈へ注射し、生体分布パターンを作成する工程;および、この生体分布パターンを分析し、これにより組織選択性を決定する工程を含む、組織選択性を決定するアッセイ法を提供する。
【0009】
別の組織選択性を決定するアッセイ法は、第一のウェルおよび第二のウェルを有し、各ウェルはその中に配置された組織型を有するようなマルチウェルプレート(例えば、マルチウェルマイクロタイタープレート)を提供する工程;核酸−脂質粒子のアレイを分配する工程であり、ここで核酸−脂質粒子アレイは、第一のウェル中に分配された第一の複数の構成的部分を有する第一の核酸−脂質粒子、および第二のウェル中に分配された第二の複数の構成的部分を有する第二の核酸−脂質粒子を含む工程;ならびにその後、組織中の核酸−脂質粒子アレイにおける各核酸のトランスフェクション効率を決定する工程を含む。
【0010】
別の態様において、本発明は、組織選択性を有する核酸−脂質粒子アレイを提供する。この核酸−脂質粒子アレイは、第一の複数の構成的部分および第一の組織選択性を有する第一の核酸−脂質粒子ならびに第二の複数の構成的部分および第二の組織選択性を有する第二の核酸−脂質粒子を含み、ここで第一および第二の核酸−脂質粒子は、構成的に異なる。
【0011】
さらに別の態様において、本発明は、脂質ベースの全身送達ベヒクル(「LBSDV」)を提供する。ある好ましい局面において、全身送達ベヒクルは、核酸−脂質粒子であり、この核酸−脂質粒子は以下を含む:
(a)核酸;
(b)カチオン性脂質;
(c)二重層安定化成分;および
(d)コレステロール。
【0012】
この核酸−脂質粒子は、選択的にさらに、(e)別の脂質、例えばカチオン性脂質、および/または(f)式Iを有するカチオン性ポリマー脂質を含む:
A−W−Y I
式Iにおいて、Aは脂質部分であり;Wは親水性ポリマーであり;および、Yはポリカチオン性部分である。ある局面においては、AとWとの間にダンシル化されたリシンスペーサーが挿入される。
【0013】
さらに別の局面において、本発明は、組織選択性を有する脂質ベースの全身送達ベヒクルを投与する工程であり、ここで脂質ベースの全身送達ベヒクルは、複数の構成的部分を有し、これによりペイロードを特異的組織部位へ送達する工程を含む、ペイロードを特異的組織部位へ送達する方法を提供する。好ましくは、LBSDVは、標的化する部分を含まない。本発明のLBSDVを用い、例えばp53、p110Rbおよびp72などの腫瘍抑制遺伝子をコードしている核酸の特異的腫瘍部位への送達が可能になる。
【0014】
別の態様において、本発明は、組織選択性を有する脂質ベースの全身送達ベヒクルを哺乳類へ投与する工程であり、この脂質ベースの全身送達ベヒクルは核酸を含む工程;および、少しでもあれば特異的組織部位に対する核酸の作用を分析し、これにより、核酸機能を決定する工程を含む、特異的組織部位における核酸機能を決定する方法を提供する。
【0015】
これらの態様および他の態様は、添付図面および下記の詳細な説明を読むことでより明らかになるであろう。
【0016】
(発明の詳細な説明および好ましい態様)
I. 定義
用語「脂質」は、脂肪酸エステルを含むが、これらに限定されるものではなく、かつ水には不溶性であるが、多くの有機溶媒中に可溶性であることを特徴とする、有機化合物群を意味している。これらは、通常少なくとも、(1)脂肪および油分に加えワックスを含む、「単純脂質」;(2)リン脂質および糖脂質を含む、「複合脂質」;(3)ステロイドのような、「誘導脂質」の3種類に分類される。
【0017】
用語「ベシクル形成脂質」は、疎水性部分および極性ヘッド基を有し、かつほとんどのリン脂質により例証されるように、それ自身水中で二重層ベシクルを自然発生的に形成することができる両親媒性脂質を含むことが意図されている。
【0018】
用語「ベシクル採用脂質(vesicle−adopting lipid)」は、二重層膜の内側の疎水性領域と接触しているその疎水性部分、および該膜の外側極性表面に向かって並べられたその極性ヘッド基部分が、他の両親媒性脂質と組合せて、脂質二重層に安定して組込まれている両親媒性脂質を含むことが意図されている。ベシクル採用脂質は、それら自身、非層状相(non−lamellar phase)を採用する傾向があるが、二重層安定化成分の存在下では二重層構造をとることが可能である脂質を含む。典型例は、DOPE(ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン)である。二重層安定化成分は、ポリアミドオリゴマー、ペプチド、タンパク質、界面活性剤、脂質誘導体、ホスファチジルエタノールアミンに結合したPEGのようなPEG−脂質誘導体、およびセラミドに結合したPEGを含むが、これらに限定されるものではない(米国特許第5,885,613号参照、これは本明細書に参照として組み入れられる)。
【0019】
用語「両親媒性脂質」は、一部、脂質物質の疎水性部分が、疎水相に向いている一方で、親水性部分は水相へ向いているようないずれか適当な物質を意味する。両親媒性脂質は、通常脂質ベシクルの主成分である。親水性の特徴は、糖、ホスファト(phosphato)、カルボン酸、スルファト(sulfato)、アミノ、スルフヒドリル、ニトロ、ヒドロキシなどの基のような極性基または帯電基の存在に由来する。疎水性は、長鎖の飽和および不飽和の脂肪族炭化水素基ならびに1個または複数の芳香族基、環式脂肪族基、またはヘテロ環式基により置換されたそのような基を含むが、これらに限定されるものではない、無極性基の含包(inclusion)によりもたらされうる。両親媒性化合物の例は、リン脂質、アミノ脂質およびスフィンゴ脂質を含むが、これらに限定されるものではない。リン脂質の代表例は、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジン酸、パルミトイルオレオイルホスファチジルコリン、リゾホスファチジルコリン、リゾホスファチジルエタノールアミン、ジパルミトイルホスファチジルコリン、ジオレオイルホスファチジルコリン、ジステアロイルホスファチジルコリンまたはジリノレオイルホスファチジルコリンを含むが、これらに限定されるものではない。スフィンゴ脂質、スフィンゴ糖脂質ファミリー、ジアシルグリセロールおよびβ−アシルオキシ酸のような、その他のリンを欠いている化合物も、両親媒性脂質と称される群に含まれる。加えて、前述の両親媒性脂質は、トリグリセリドおよびステロールを含む他の脂質と混合することができる。
【0020】
用語「中性脂質」は、選択されたpHで非帯電のまたは中性の双性イオン型のいずれかで存在する多くの脂質種のいずれかを意味する。生理的pHで、このような脂質は、例えばジアシルホスファチジルコリン、ジアシルホスファチジルエタノールアミン、セラミド、スフィンゴミエリン、セファリン、コレステロール、セレブロシド、およびジアシルグリセロールを含む。
【0021】
用語「疎水性脂質」は、長鎖の飽和および不飽和の脂肪族炭化水素基ならびに1個または複数の芳香族基、環式脂肪族基、またはヘテロ環式基により選択的に置換されたそのような基を含むが、これらに限定されるものではない、無極性基を有する化合物を意味する。適例は、ジアシルグリセロール、ジアルキルグリセロール、N−N−ジアルキルアミノ、1,2−ジアシルオキシ−3−アミノプロパンおよび1,2−ジアルキル−3−アミノプロパンを含むが、これらに限定されるものではない。
【0022】
用語「ジアシルグリセロリル」は、2−脂肪族アシル鎖を意味し、R1およびR2は、独立してエステル結合によりグリセロールの1位および2位に結合した2〜30個の炭素を有する。このアシル基は、飽和であるか、もしくは変動する不飽和の程度を有することができる。ジアシルグリセロール基は、下記一般式を有する:
【化1】
【0023】
用語「ジアルキルグリセロリル」は、エーテル結合によりグリセロールの1位および2位に結合した2個のC1−C30アルキル鎖を意味する。ジアルキルグリセロール基は、下記一般式を有する:
【化2】
【0024】
用語「N−N−ジアルキルアミノ」は、下記式を意味する。
【化3】
【0025】
用語「1,2−ジアシルオキシ−3−アミノプロパン」は、エステル結合によりプロパンの1位および2位に結合したC1−C30の2−脂肪族アシル鎖を意味する。これらのアシル基は、飽和であるか、もしくは変動する不飽和の程度を有することができる。プロパン分子の3位は、結合した−NH−基を有する。1,2−ジアシルオキシ−3−アミノプロパンは、下記一般式を有する:
【化4】
【0026】
用語「1,2−ジアルキル−3−アミノプロパン」は、エーテル結合によりプロパンの1位および2位に結合した2−アルキル鎖(C1−C30)を意味する。プロパン分子の3位は、結合した−NH−基を有する。1,2−ジアルキル−3−アミノプロパンは、下記一般式を有する:
【化5】
【0027】
用語「非カチオン性脂質」は、先に説明された中性脂質に加え、アニオン性脂質を意味する。アニオン性脂質の例は、ホスファチジルグリセロール、カルジオリピン、ジアシルホスファチジルセリン、ジアシルホスファチジン酸、N−ドデカノイルホスファチジルエタノールアミン、N−スクシニルホスファチジルエタノールアミン、N−グルタリルホスファチジルエタノールアミン、リゾホスファチジルグリセロール、および中性脂質に結合した他のアニオン性修飾基を含むが、これらに限定されるものではない。
【0028】
用語「カチオン性脂質」は、生理的pHのような、選択されたpHで実効(net)正電荷を保持する多くの脂質種のいずれかを意味する。このような脂質は、N,N−ジオレイル−N,N−ジメチル塩化アンモニウム(「DODAC」);N−(2,3−ジオレイルオキシ)プロピル)−N,N,N−トリメチル塩化アンモニウム(「DOTMA」);N,N−ジステアリル−N,N−ジメチル臭化アンモニウム(「DDAB」);N−(2,3−ジオレオイルオキシ)プロピル)−N,N,N−トリメチル塩化アンモニウム(「DOTAP」);3−(N−(N’,N’−ジメチルアミノエタン)−カルバモイル)コレステロール(「DC−Chol」)およびN−(1,2−ジミリスチルオキシプロプ−3−イル)−N,N−ジメチル−N−ヒドロキシエチル臭化アンモニウム(「DMRIE」)を含むが、これらに限定されるものではない。加えて、本発明において使用することができる多くの市販のカチオン性脂質調製物が入手可能である。これらは、例えば、LIPOFECTIN(登録商標)(DOTMAおよび1,2−ジオレオイル−sn−3−ホスホエタノールアミン(「DOPE」)を含有する市販のカチオン性リポソーム、GIBCO/BRL社、Grand Island、New York、USA、から);LIPOFECTAMINE(登録商標)(N−(1−(2,3−ジオレイルオキシ)プロピル)−N−(2−(スペルミンカルボキサミド)エチル)−N,N−トリフルオロ酢酸ジメチルアンモニウム(「DOSPA」)および(「DOPE」)を含む市販のカチオン性リポソーム、GIBCO/BRL社から);および、TRANSFECTAM(登録商標)(エタノール中のジオクタデシルアミドグリシルカルボキシスペルミン(「DOGS」)を含む市販のカチオン性脂質、Promega社、Madison、Wisconsin、USA)を含む。下記の脂質は、カチオン性であり、生理的pHより下では正電荷を有す:DODAP、DODMA、DMDMAなど。
【0029】
用語「融合性」は、リポソームまたは他の薬物送達システムの細胞の膜に融合する能力を意味する。これらの膜は、形質膜またはオルガネラ、例えばエンドソーム、核などを囲んでいる膜のいずれかでありうる。融合形成とは、リポソームのこのような膜への融合である。
【0030】
用語「デンドリマー」は、複数のジェネレーション(generation)を有する分枝したポリマーに関する。デンドリマーにおいて、各ジェネレーションは、複数の分岐点を作成する。
【0031】
用語「リガンド」は、反応性官能基を有する分子、化合物または装置のいずれかを含み、かつ脂質、両親媒性脂質、担体化合物、生体親和性化合物、生体物質、生体高分子、生物医学的装置、分析により検出可能な化合物、治療的活性化合物、酵素、ペプチド、タンパク質、抗体、免疫賦活物質、放射標識、発蛍光体、ビオチン、薬物、ハプテン、DNA、RNA、多糖、リポソーム、ビロソーム(virosome)、ミセル、免疫グロブリン、官能基、標的化物質、または毒素を含む。前記リストは、例証であり、網羅することを意図するものではない。
【0032】
用語「ATTA」または「ポリアミド」は、本明細書に参照として組み入れられる国際公開公報第99/33494号に開示された化合物を意味するが、これらに限定されるものではない。これらの化合物は、下記式を有する化合物を含む:
【化6】
(式中、Rは、水素、アルキルおよびアシルからなる群より選択される一員であり;R1は、水素およびアルキルからなる群より選択される一員であり;もしくは、選択的に、RおよびR1は、それが結合した窒素と共に、アジド部分を形成し;R2は、 水素、選択的に置換されたアルキル、選択的に置換されたアリールおよびアミノ酸側鎖から選択された基の一員であり;R3は、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、メルカプト、ヒドラジノ、アミノおよびNR4R5(式中、R4およびR5は独立して水素またはアルキルである)からなる群より選択された一員であり;nは4〜80;mは2〜6;pは1〜4;および、qは0または1である)。他のポリアミドを本発明の化合物において使用することができることは、当業者には明らかであろう。
【0033】
本明細書において使用される用語「アルキル」は、分枝したまたは分枝していない炭化水素鎖を意味し、例えばメチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、sec−ブチル、iso−ブチル、tert−ブチル、オクタデシルおよび2−メチルペンチルである。これらの基は、ヒドロキシル、ブロモ、フルオロ、クロロ、イオド、メルカプトまたはチオ、シアノ、アルキルチオ、ヘテロ環式(heterocyclyl)、アリール、ヘテロアリール、カルボキシル、カルバルコイル(carbalkoyl)、アルキル、アルケニル、ニトロ、アミノ、アルコキシル、アミドなどの、通常このような鎖に結合する1個または複数の官能基により選択的に置換することができ、例えば、トリフルオロメチル、3−ヒドロキシヘキシル、2−カルボキシプロピル、2−フルオロエチル、カルボキシメチル、シアノブチルなどのアルキル基を形成する。
【0034】
用語「アルキレン」は、先に定義されたような二価のアルキルを意味し、例えばメチレン(−CH2−)、プロピレン(−CH2CH2CH2−)、クロロエチレン(−CHClCH2−)、2−チオブテン(−CH2CH(SH)CH2CH2−)、1−ブロモ−3−ヒドロキシル−4−メチルペンテン(−CHBrCH2CH(OH)CH(CH3)CH2−)などである。
【0035】
用語「アルケニル」は、1個または複数の炭素−炭素二重結合を含む分枝したまたは分枝していない炭化水素鎖を意味する。
【0036】
用語「アルキニル」は、1個または複数の炭素−炭素三重結合を含む分枝したまたは分枝していない炭化水素鎖を意味する。
【0037】
用語「アリール」は、フェニル、ナフチル、インデニルなどの、好ましくは約6〜14個の炭素原子を有する少なくとも1個の芳香環を形成し、かつヒドロキシル、ブロモ、フルオロ、クロロ、イオド、メルカプトまたはチオ、シアノ、シアノアミド、アルキルチオ、ヘテロ環、アリール、ヘテロアリール、カルボキシル、カルバルコイル、アルキル、アルケニル、ニトロ、アミノ、アルコキシル、アミドなどの通常このような鎖に結合される1個または複数の官能基で置換することができ、例えばビフェニル、イオドビフェニル、メトキシビフェニル、アントリル、ブロモフェニル、イオドフェニル、クロロフェニル、ヒドロキシフェニル、メトキシフェニル、ホルミルフェニル、アセチルフェニル、トリフルオロメチルチオフェニル、トリフルオロメトキシフェニル、アルキルチオフェニル、トリアルキルアンモニウムフェニル、アミドフェニル、チアゾリルフェニル、オキサゾリルフェニル、イミダゾリルフェニル、イミダゾリルメチルフェニルなどのアリール基を形成することができる炭素原子鎖を意味する。
【0038】
用語「アシル」は、−C(O)R基を意味し、ここでRは、先に定義したようなアルキルまたはアリールであり、例えばホルミル、アセチル、プロピオニル、またはブチリルである。
【0039】
用語「アルコキシ」は、−OR−を意味し、ここでRはアルキルである。
【0040】
用語「アミド」は、アミド連結:−C(O)NR−(式中、Rは水素またはアルキルである)を意味する。
【0041】
用語「アミノ」は、アミン連結:−NR−(式中、Rは水素またはアルキルまたは末端NH2である。)を意味する。
【0042】
用語「カルボキシル」は、基−C(O)O−を意味し、用語「カルボニル」は、基−C(O)−を意味する。
【0043】
用語「カーボネート」は、基−OC(O)O−を意味する。
【0044】
用語「カルバメート」は、基−NHC(O)O−を意味し、用語「尿素」は、基−NHC(O)NH−を意味する。
【0045】
用語「ホスホロ」は、基−OP(O)(OH)O−を意味する。
【0046】
用語「塩基性アミノ酸」は、選択されたpH、例えば生理的pHにおいて、実効正電荷を有する、天然のアミノ酸に加え、合成アミノ酸および/またはアミノ酸模倣体を意味する。この群は、リシン、アルギニン、アスパラギン、グルタミン、ヒスチジンなどを含むが、これらに限定されるものではない。
【0047】
用語「ホスホリルエタノールアミノ」は、基−OP(O)(OH)OCH2CH2NH−を意味する。
【0048】
用語「ホスホリルエタノールアミド」は、基−OP(O)(OH)OCH2CH2NHC(O)−を意味する。
【0049】
用語「ホスホ」は、五価のリン部分−P(O)(OH)O−を意味する。
【0050】
用語「ホスホエタノールアミノ」は、基−P(O)(OH)OCH2CH2NH−を意味する。
【0051】
用語「ホスホエタノールアミド」は、基−P(O)(OH)OCH2CH2NHC(O)−を意味する。
【0052】
用語「エチレンオキシド単位」は、基−OCH2CH2−を意味する。
【0053】
用語「CPL」は、カチオン性−ポリマー−脂質、例えばカチオン性−PEG−脂質を意味する。好ましいCPLは、式Iの化合物である。
【0054】
略号「HBS」はHepes緩衝生理食塩水を、「Rho−PE」はローダミン−ホスファチジルエタノールアミンを、および「LUV」は「大単層ベシクル」を意味する。
【0055】
用語「アレイ」は、それが修飾する名詞の少なくとも2個を意味し、例えば、LBSDVのアレイは、少なくとも2個のLBSDVである。
【0056】
本発明の方法において使用される核酸は、天然の給源から単離されるか、ATCCまたはGenBankライブラリーのような給源から得られるか、または合成的方法により調製することができる。合成核酸は、様々な液相または固相法により調製することができる。一般に、固相合成が好ましい。亜リン酸トリエステル、ホスホトリエステル、およびH−ホスホン酸エステル化学による核酸の固相合成の手法の詳細な説明は、広く入手可能である。例えば、Itakuraの米国特許第4,401,796号;Caruthersらの米国特許第4,458,066号および第4,500,707号;Beaucageら、Tetrahedron Lett、22:1859−1862(1981);Matteucciら、J. Am. Chem. Soc.、103:3185−3191(1981);Caruthersら、Genetic Engineering、4:1−17(1982);「オリゴヌクレオチド合成、実践的方法(Oligonucleotide Synthesis: A Practical Approach)の、Jones、第2章、Atkinsonら、第3章およびSproatら、第4章、Gait(編集)、IRL Press社、Washington D.C.、(1984);Froehlerら、Tetrahedron Lett.、27:469−472(1986);Froehlerら、Nucleic Acids Res.、14:5399−5407(1986);Sinhaら、Tetrahedron Lett.、24:5843−5846(1983);および、Sinhaら、Nucl. Acids Res.、12:4539−4557(1984)を参照、これらは全て本明細書に参照として組み入れられる。
【0057】
「治療的遺伝子」は、その遺伝子産物が臨床的に有用な機能を実行するものである。例えば、治療的遺伝子は、癌細胞の形質転換に使用された場合、この治療的遺伝子は癌細胞の増殖を阻害するであろう。この治療的遺伝子は、好ましくは、その遺伝子産物が非標的組織に対して低い毒性を有し、かつ疾患(例えば、癌)部位には高い毒性を有するようなものである。例えば、本発明の好ましい脂質−核酸(例えば、脂質−プラスミド粒子)粒子中で送達された場合、この遺伝子産物は、粒子の大部分が通常ここでクリアランスされうる肝臓または脾臓の細胞よりも腫瘍細胞により大きい毒性を有することが好ましい。あるいは、治療的遺伝子は、疾患部位ではないが、その後治療されるべき疾患または障害を改善するために好ましい免疫応答または他の反応を活性化するような、治療部位へ送達することができる。本発明の方法において有用な治療的遺伝子の例は、下記に関する遺伝子を含むが、これらに限定されるものではない:プロアポトーシス性タンパク質;腫瘍抑制因子(例えば、p53、Rb1(網膜芽細胞腫)など);サイトカイン(例えば、インターロイキン−2、インターロイキン−12など);熱ショックタンパク質;免疫抗原(例えば、腫瘍特異的タンパク質など);胚においてのみ活性化された遺伝子;エンドスタチン、アンジオスタチン、トロンボスポンジン、および他の血管形成のインヒビター;GDEPT組合せにおいて使用される酵素(すなわち、無毒のプロドラッグと組み合わせて使用される自殺遺伝子)、例えば単純ヘルペスウイルス由来のチミジンキナーゼ(HSV−TK);シトシンデアミナーゼ;ポルフィリン;TIMP−2(メタロプロテイナーゼ−2の組織インヒビター);植物、細菌または真菌の毒素遺伝子、例えば、サポリン、リシン、ジフテリア毒、コレラ毒;ウイルスタンパク質遺伝子、例えばE1A;変異E6;SV40 Tagまたはプラスミド維持および/もしくはコピー数に作用するウイルスタンパク質遺伝子、例えばEBNA−1;リボザイムまたはアンチセンスオリゴヌクレオチドをコードしている転写プラスミド、アデノシンデアミナーゼ;CFTR−嚢胞性線維症;GM−CSF、IL−4、IL−2、IL−7、IL−10;癌胎児性抗原;HLA−B7;TNF;T細胞受容体抗体;CEA;Ig;IFN−g;MART−1;キメラ抗体/TCR;前立腺特異抗原;抗erbB−2;単鎖抗体;BRCA−1;α−1アンチトリプシン;p47 phax;ファンコニ貧血相補群C;グルコセレブロシダーゼ;イズロン酸−2−スルファターゼ;プリンヌクレオシドホスホリラーゼ。他の治療的遺伝子も、継続して発見され、および本発明の方法において使用することができる。治療的遺伝子は、一般に発現構築物の一部として送達されるが、他の様式も可能である。
【0058】
II. 脂質ベースの全身送達ベヒクル ( 「 LBSDV 」 )
A. LBSDVの構造
本発明は、関心のある特定の組織部位のような標的へペイロードを送達するのに有用な脂質ベースの全身送達ベヒクルを提供する。このようにある態様において、本発明は、治療的遺伝子のようなペイロードを特異的組織部位へ送達するのに有用な脂質ベースの全身送達ベヒクル(「LBSDV」)を提供する。本発明の適当なLBSDVは、リポソーム、ミセル、脂質−核酸粒子、SPLP、ビロソームなどを含むが、これらに限定されるものではない。ある好ましい局面において、脂質−核酸粒子のような、脂質ベースの全身送達ベヒクルは、複数の構成的部分を有する。好ましい局面において、構成的部分として、抗体または標的化リガンド(例えば、細胞認識部分)のような外部標的化する部分を含まない。ある局面において、LBSDVの構造は、LBSDVを、その結果ペイロードを特異的組織部位へ選択的に送達するような方法でデザインおよび操作することができる。組織部位は、臓器、骨、腫瘍およびそれらの組合せを含むが、これらに限定されるものではない。臓器は、心臓、脾臓、肺、腎臓および肝臓を含むが、これらに限定されるものではない。
【0059】
ひとつの態様において、LBSDVは、核酸−脂質粒子である。核酸−脂質粒子は、治療的遺伝子のような核酸を含む。適当な核酸は、プラスミド、アンチセンスオリゴヌクレオチド、およびリボザイムを含むが、これらに限定されるものではない。核酸は、負帯電しており、かつ正帯電した実体と組み合わせ、製剤および細胞送達に適した脂質複合体を形成することができる。脂質ベースの全身送達ベヒクルは、治療的遺伝子、または細胞内の何らかのタンパク質の生成を誘導またはブロックすることが意図されたオリゴヌクレオチドを送達するために使用される場合、カチオン性脂質は、製剤、例えばリポソーム、ミセル、脂質−核酸粒子などに含まれる。複数の構成的部分を有する脂質ベースの全身送達ベヒクルをデザインし、その後これらの複数の構成的部分の各々の量を変動することにより、組織選択性をLBSDVに与えることが可能である。本明細書において使用される「組織選択性」とは、LBSDVが、特異的組織部位を蓄積または標的化する性向を有し、および/または特異的組織部位において治療的遺伝子が発現することを意味する。以下に詳細に説明するように、組織選択性は、インビボおよびインビトロ両法を用い、決定および確認される。一旦組織選択性がLBSDVに与えられれば、活性物質の特異的組織部位への選択的標的化が可能である。
【0060】
ひとつの好ましい局面において、LBSDVは、安定したプラスミド−脂質粒子である(SPLP)。本発明のSPLPまたは核酸−脂質粒子は、複数の構成的部分を有する。好ましい局面において、SPLPは、下記の構成的部分を含む:(a)核酸;(b)カチオン性脂質を約1.0mol%〜約60mol%;(c)非カチオン性脂質のような、別の脂質を約0.0mol%〜約90mol%;(d)二重層安定化成分を約1.0mol%〜約30mol%;(e)コレステロールを約0.0mol%〜約90mol%;および、(f)カチオン性ポリマー脂質を約0.0mol%〜約15mol%。有利なことに、先に説明したように、複数の構成的部分を各々変動することにより、LBSDV(例えば、SPLP)へ組織選択性を与えることが可能であることが発見された。別の好ましい局面において、SPLPは、下記の構成的部分を含む:(a)核酸;(b)カチオン性脂質を約1.0mol%〜約45mol%;(c)非カチオン性脂質を約0.0mol%〜約90mol%;(d)二重層安定化成分を約1.0mol%〜約10mol%;(e)コレステロールを約0.0mol%〜約60mol%;および、(f)カチオン性ポリマー脂質を約0.0mol%〜約10mol%。
【0061】
例えば、肝硬変、肝腫瘍などの、ある適応症において、従来型薬物または核酸を、肝臓のような様々な組織へ標的化することが望ましい。LBSDVの構成的部分を構造的にデザインすることにより、組織特異的蓄積、例えば肝蓄積、すなわち肝臓に向けられた性向が、LBSDV(例えば、SPLP)に与えられる。
【0062】
腫瘍送達のためにデザインされた例証的LBSDV(例えば、SPLP)は、図1に示されている。この態様において、SPLPは、DOPE、DODACおよびPEGC20を含む。好ましくは、DOPE:DODAC:PEGC20の比は、約82.5mol%対約7.5mol%対約10mol%である。Neuro−2A腫瘍を持つマウスへの全身投与の後、このようなSPLPの生体分布が決定された。図1は、腫瘍蓄積のためのLBSDVの構成的部分、すなわち、腫瘍に向けられた性向を構造的にデザインすること、つまり、他の組織と比べ腫瘍内で治療的遺伝子をより多く発現することが可能であることを示している。
【0063】
図2は、本発明の方法および組成物を使用し、SPLPを、肝臓組織選択性を与えるように操作することが可能であることを示している。この態様において、LBSDVは、組織標的化のためにデザインされ、ここで組織部位は肝臓である。肝臓送達のためにデザインされたLBSDV(例えば、SPLP)の例は、図3〜4に図示されている。図3および4は、SPLPのようなLBSVDを肝臓選択性を得るように操作した結果を示し、ここでSPLPは、DOPE、CHOL、DODAC、PEGC20、およびCPLを含む。より詳細には、SPLPは、DOPE:CHOL:DODAC:PEGC20:CPLを、約31mol%対約45mol%対約14mol%対約10mol%対約4mol%の比で含む。
【0064】
前述の腫瘍および肝組織に加え、さらに別の態様において、LBSDVを心組織へ選択的に送達することが可能である。例えば構成的部分が、DOPE、DODAC、およびPEGC20を約76mol%対約14mol%対約10mol%の比で含むSPLPのようなLBSDVを用い、選択的心臓送達が実現される。
【0065】
本発明のLBSDVのある好ましい構成的部分は、カチオン性脂質である。先に説明したように、カチオン性脂質とは一般に、リポソーム膜またはその近傍に配置された(リポソームへ組込まれた場合)カチオン性ヘッド基を伴う脂質を意味する。LBSVDの別の好ましい構成的部分であるCPLは、場合によってLBSDVの膜から有意の距離にカチオン性電荷を配置する作用を有するポリマー「W」により、カチオン性脂質から識別される。
【0066】
適当なカチオン性脂質の例は、N,N−ジオレイル−N,N−ジメチル塩化アンモニウム(DODAC)、N,N−ジステアリル−N,N−ジメチル臭化アンモニウム(DDAB)、N−(1−(2,3−ジオレオイルオキシ)プロピル)−N,N,N−トリメチル塩化アンモニウム(DOTAP)、N−(1−(2,3−ジオレオイルオキシ)プロピル)−N,N−ジメチル塩化アンモニウム(DODAP)、N−(1−(2,3−ジオレイルオキシ)プロピル)−N,N,N−トリメチル塩化アンモニウム(DOTMA)、およびN,N−ジメチル−2,3−ジオレイルオキシ)プロピルアミン(DODMA)、ならびに前述の2個以上の混合物を含むが、これらに限定されるものではない。別のカチオン性脂質は、DC−Chol(Gaoら、Biochem. Biophys. Res. Comm.、179:280−285(1991)参照);DDAB;DMRIE;DODAC(国際公開公報第96/10390号参照、これは本明細書に参照として組み入れられる);DOGS;DOSPA;DOTAP;および、DOTMAを含む。現時点での好ましい態様においては、N,N−ジオレオイル−N,N−ジメチル塩化アンモニウムが、ホスファチジルエタノールアミンと組み合わせて使用される。
【0067】
加えて、遺伝子およびオリゴヌクレオチド送達のための脂質ベースの担体を作成するのに有用なカチオン性脂質を含む他の組成物は、LIPOFECTIN(Eppsteinらに発行された米国特許第4,897,355号;第4,946,787号;および、第5,208,036号)、およびLIPOFECTACE(Roseに発行された米国特許第5,279,883号)である。両物質に加え、他のトランスフェクションするカチオン性脂質が、Life Technologies社(Gaithersburg、Maryland)から入手できる。
【0068】
別の本発明のLBSDVの好ましい構成的部分は、カチオン性ポリマー脂質(「CPL」、図16参照)である。ある適用において、CPLの「W」のポリマー長、すなわち分子量(「MW」)は、ステルス(stealth)リポソームに使用される通常の中性PEG鎖(M.W. 2000〜5000ダルトン)よりも小さい。このような場合、より短いCPLポリマーは、約250〜約3000ダルトンであり、より好ましくは約1000〜約2000ダルトンである。CPLの完全な説明は、2000年4月20日に出願された米国特許出願第09/553,639号、および2000年10月26日に公開された国際公開公報第00/62813号に開示されており、これらはすべての目的に関して本明細書に参照として組み入れられる。
【0069】
別の態様において、CPLの「W」のポリマー長は、ステルスリポソームに使用される通常の中性PEG鎖よりも大きいMWを有する。このような場合、BSCは、例えばPEG1000−脂質であり、式Iの化合物は、例えば式A−PEG3400−Yを有する。
【0070】
ある製剤および適用において、CPLの種類、すなわちポリマー鎖の長さ、分子当たりのカチオン性電荷の量、および所定の製剤、例えばSPLP中のこのようなCPLの量は、望ましいクリアランス特性を得るために最適化することができる。場合によっては、所定の製剤中のより長い鎖のCPLおよびより高レベルのこのようなCPLは、トランスフェクション増強を生じる。他方で、製剤に組み込まれた、より短い鎖のCPLは、動物においてより長い循環寿命を生じる。
【0071】
典型的には、CPLは、本発明のLBSDV中に、約0.05mol%〜約50mol%の範囲の濃度で存在する。現時点で好ましい態様において、CPLは、0.05mol%〜約25mol%の範囲の濃度で存在する。さらにより好ましい態様において、CPLは、0.05mol%〜約15mol%の範囲の濃度で存在する。当業者は、CPLの濃度は使用されるCPLおよびリポソームが融合性となる速度に応じて変動しうることを理解するであろう。
【0072】
本発明のLBSDVの別の好ましい構成的部分は、二重層安定化成分(BSC)である。適当なBSCは、ポリアミドオリゴマー、ペプチド、タンパク質、界面活性剤、脂質誘導体、ホスファチジルエタノールアミンに結合されたPEGおよびセラミドに結合したPEGのようなPEG−脂質(米国特許第5,885,613号参照、これは本明細書に参照として組み入れられる)を含むが、これらに限定されるものではない。好ましくは、二重層安定化成分は、PEG−脂質、またはATTA−脂質である。本明細書において考察されたように、ある好ましい場合のBSCのPEGまたはATTAは、CPLのポリマー「W」と比べより大きい分子量を有する。別の場合において、BSCは、該ポリマーの「W」と比べより小さい分子量を有する。本発明は、このような変型を包含している。
【0073】
ひとつの態様において、本発明のLBSDVは、非層状相の採用が可能であり、二重層安定化成分(PEG−脂質誘導体など)の存在時に二重層構造をとることが可能な脂質;ならびに、二重層構造内の脂質を安定化するためにこの脂質と逆に会合された二重層安定化成分を含む。このような融合性リポソーム(1996年12月19日に公開された国際公開公報第96/40964号参照)は、これらが融合性となる速度を予め決定することができるだけでなく、必要に応じて数分から数十時間の時間スケールで変動させることができるので有利である。例えば、この二重層安定化成分の組成および濃度を制御することにより、BSCがインビボにおいてリポソーム外に交換される速度を、次にリポソームが融合性となる速度を制御することができることはわかっている(米国特許第5,885,613号参照)。例えば、脂質アシル鎖の長さを制御することにより、BSCがインビボにおいてリポソーム外に交換される速度を、次にリポソームが融合性となる速度を制御することができることがわかっている。特に、より短いアシル鎖(例えば、C−8)は、より長いアシル鎖(例えば、C−20)よりもより迅速にリポソーム外に交換されることが発見されている。あるいは、BSCの組成および濃度を制御することにより、内在性システム、例えば、血清中の内在性酵素により、BSCが分解される、すなわち崩壊する速度、次にリポソームが融合性となる速度を制御することができる。
【0074】
こうしてひとつの態様において、本発明のLBSVDを形成するために使用することができる脂質は、生理的条件下または特異的生理的条件、例えば、カルシウムイオンの存在下で、非層状相を採用するが、BSCの存在下では二重層構造をとることが可能であるものである。このような脂質は、ホスファチジルエタノールアミン、セラミド、糖脂質、またはそれらの混合物を含むが、これらに限定されるものではない。生理的条件下で非層状相を採用する当業者に公知のその他の脂質も、使用することができる。さらに他の脂質は、例えばpHまたはイオン濃度の変化(例えば、カルシウムイオンの存在)を含む、様々な非生理的変化により、非層状相の採用を誘導することができ、従ってこれらは本発明の融合性リポソームを作成するためにも使用することができることが、当業者には容易に明らかであろう。現時点で好ましい態様において、LBSVDは、ホスファチジルエタノールアミンから調製される。このホスファチジルエタノールアミンは、飽和または不飽和であることができる。現時点で好ましい態様において、ホスファチジルエタノールアミンは不飽和である。同等に好ましい態様において、融合性リポソームは、ホスファチジルエタノールアミン(飽和または不飽和)およびホスファチジルセリンの混合物から調製される。別の同等に好ましい態様において、LBSDVは、ホスファチジルエタノールアミン(飽和または不飽和)およびカチオン性脂質の混合物から調製される。
【0075】
本発明に従い、生理的条件下で非層状相を採用する脂質は、それ自身二重層形成するか、または補足的な動的形状(complementary dynamic shape)であるかのいずれかであるBSCにより、二重層構造内で安定化することができる。非二重層形成脂質は、それがBSCと会合された場合、すなわちBSCが存在する場合にのみ、二重層構造内で安定化される。適当なBSCの選択において、BSCは、リポソームの外へ移動する、または内在性システムにより化学的に修飾されることが可能であることが好ましく、その結果これは経時的に二重層構造中の脂質を安定化するその能力を喪失する。リポソーム安定性が喪失または低下された場合にのみ、リポソームの標的細胞の形質膜への融合を生じることができる。従ってBSC−脂質は、脂質に「可逆的に会合」され、かつこれが脂質と会合された場合にのみ、脂質は、そうでなければ非層状相を採用するであろう条件下で、二重層構造を採用せざるを得ない。こうして、本発明のBSC−脂質は、二重層構造中の脂質の安定化が可能であり、依然これらはリポソーム外に交換されるまたは内在性システムにより化学的に修飾されることが可能であり、その結果経時的に、これらは二重層構造中の脂質を安定化するそれらの能力を喪失し、その結果リポソームを融合性とする。
【0076】
本発明のLBSDVの別の好ましい構成的部分は、非カチオン性脂質のような別の脂質である。非カチオン性脂質は、中性脂質およびアニオン性脂質を含む。好ましい非カチオン性脂質は、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPE)、POPC、および卵ホスファチジルコリン(EPC)を含むが、これらに限定されるものではない。
【0077】
本発明の別の態様において、LBSDV(例えば、リポソーム)は、選択的にコレステロールを含む。インビボにおいてコレステロール非含有リポソームが使用される場合、これらは血漿リポタンパク質および細胞膜からコレステロールを吸収する傾向があることが確定されている。コレステロールが含まれる場合、これは一般に0.2mol%〜約90mol%の範囲の濃度で、より好ましくは15mol%〜約60mol%の濃度、最も好ましくは約35mol%〜約45mol%の濃度で存在する。
【0078】
B. CPL− リポソームのような LBSDV の調製
下記の考察は、概してリポソームに関する;しかし、この同じ考察は、その他の本発明のLBSDV(例えば、ミセル、ビロソーム、脂質−核酸粒子など)に完全に適用可能であることは当業者には容易に明らかであろう。好ましい方法において、SPLPは、1996年12月19日に公開された国際公開公報第96/40964号の開示に従い作成される。
【0079】
本発明の好ましいLBSDVは、CPL−リポソームである。CPL含有SPLP(または、「CPL−リポソーム」)の作成に関する様々な一般的方法が本明細書において考察されている。二つの一般的技法は、「後挿入」技法、すなわちCPLの例えば予め形成したリポソームベシクルへの挿入、ならびにCPLが例えばリポソーム形成工程時に脂質混合物に含まれるような「標準」技法である。後挿入技法は、リポソーム二重層膜の主に外面にCPLを有するリポソームを生じるのに対し、標準技法は、内面および外面の両方にCPLを有するリポソームを提供する。
【0080】
特に「後挿入」は、LBSDV(いずれかの方法による)の形成、および適当な条件(通常60℃で2〜3時間)下、CPLの存在する状態で、予め形成したベシクルをインキュベーションすることを含む。CPLを60〜80%の間で、レシピエントベシクルの外側の葉状部に挿入することができ、最終濃度最大7mol%(総脂質に対して)を生じる。この方法は、特にリン脂質(これはコレステロールを含みうる)から製造されたベシクル、ならびにPEG−脂質(PEG−セラミドなど)を含むベシクルにとって有用である。
【0081】
「標準」技法の例において、本発明のLBSDVは、押出により形成することができる。この態様において、CPLを含む全ての脂質は、クロロホルムに同時溶解され、これはその後窒素下、引き続き高真空下で除去される。この脂質混合物は、適当な緩衝液に水和され、孔径100nmである2個のポリカーボネートフィルターを通って押出される。得られるベシクルは、内面および外面の両方にCPLを含む。さらに別の標準技法において、CPL−LUVの形成は、例えば両方とも本明細書に参照として組み入れられる、米国特許第5,976,567号および第5,981,501号に開示されたような、界面活性剤透析法またはエタノール透析法を用いて実現することができる。
【0082】
C. LBSDV の薬物送達ベヒクルとしての使用
本発明の脂質ベースの薬物製剤および組成物(例えばリポソーム、ミセル、脂質−核酸粒子、ビロソームなど)は、治療的物質、予防的物質および診断的物質のような、生体活性物質の全身的または局所的送達に有用である。このような送達システムは、例えば以下のものに、より詳細に開示されている:国際公開公報第95/32706号、米国特許第5,705,385号、第5,976,567号、第5,981,501号、第60/055,094号、第08/856,374号、国際公開公報第99/04819号および国際公開公報第99/18933号、これらの内容は全て本明細書に参照として組み入れられる。
【0083】
下記の考察は、概してリポソームに関する;しかし、当業者には、これと同じ考察が、本発明のその他の薬物送達システム(例えば、ミセル、ビロソーム、脂質−核酸粒子など)に完全に適用可能であることは容易に理解されるであろう。
【0084】
治療的物質の送達に関し、LBSDVは、治療的物質(従来型または核酸)が負荷され、治療が必要な対象へ投与することができる。本発明を用いて投与される治療的物質は、様々な薬物のいずれかであることができ、これは治療または予防されるべき疾患に関する適切な治療であるように選択される。薬物は、ビンクリスチン、ドキソルビシン、ミトキサントロン、カンプトテシン、シスプラチン、ブレオマイシン、シクロホスファミド、メトトレキセート、ストレプトゾトシンなどの抗新生物物質であることが多い。特に好ましい抗腫瘍物質は、例えば、アクチノマイシンD、ビンクリスチン、ビンブラスチン、システインアラビノシド、アントラサイクリン、アルキル化剤、白金化合物、代謝拮抗物質、およびヌクレオシドアナログ、例えばメトトレキセートならびにプリンおよびピリミジンアナログを含む。本発明の方法により、抗感染物質を特異的組織へ送達することも望ましい。本発明の組成物は、局所麻酔薬、例えば、ジブカインおよびクロルプロマジン;β−アドレナリン遮断薬、例えば、プロプラノロール、チモロールおよびラベトロール;抗高血圧薬、例えば、クロニジンおよびヒドララジン;抗鬱薬、例えば、イミプラミン、アミトリプチリンおよびドキセピン;抗痙攣薬(anti−conversant)、例えば、フェニトイン;抗ヒスタミン薬、例えば、ジフェンヒドラミン、クロルフェニリミンおよびプロメタジン;抗生物質/抗菌剤、例えば、ゲンタマイシン、シプロフロキサシン、およびセフォキシチン;抗真菌薬、例えば、ミコナゾール、テルコナゾール、エコナゾール、イソコナゾール、ブタコナゾール(butaconazole)、クロトリマゾール、イトラコナゾール、ナイスタチン、ナフチフィン、およびアンホテリシンB;寄生虫駆除薬、ホルモン、ホルモンアンタゴニスト、免疫調節薬、神経伝達物質アンタゴニスト、抗緑内障薬、ビタミン、麻酔薬および造影剤(imaging agent)を含むが、これらに限定されるものではない、他の薬物の選択的送達にも使用することができる。
【0085】
前述のように、LBSDVは、例えば細胞内の何らかのタンパク質の産生を誘導またはブロックすることが意図された、治療的遺伝子またはオリゴヌクレオチドの送達に使用することができる。核酸は、負帯電し、かつ正帯電した実体と一緒に、脂質複合体または完全に封入された安定したプラスミド−脂質粒子を形成することができる。
【0086】
特に有用なアンチセンスオリゴヌクレオチドは、c−myc、bcr−abl、c−myb、ICAM−1、C−erb B−2およびBCL−2などの標的に向けられる。本発明のLBSDVは、ペプチド、核酸、プラスミドDNA、ミニ染色体およびリボザイムの送達にも有用である。
【0087】
本発明のLBSDVの別の臨床適用は、動物およびヒトの両方の免疫処置のためのアジュバントである。ジフテリアトキソイド、コレラ毒、寄生体抗原、ウイルス抗原、免疫グロブリン、酵素および組織適合性抗原のようなタンパク質抗原は、免疫処置を目的として、本発明のLBSDVに組込みまたは付着させることができる。
【0088】
本発明のLBSDVは、特に免疫応答を刺激するために、適当なリンパ系器官に対し標的化されるワクチンの担体としても有用である。
【0089】
本発明のLBSDVは、選択的にマクロファージへ免疫抑制物質または免疫賦活物質を送達するためのベクターとして使用することもできる。特に、マクロファージ活性およびマクロファージを活性化するリンホカインの抑制に有用である糖質コルチコイドは、本発明のリポソームを用いて送達することができる。
【0090】
本発明の標的化する分子を含むLBSDVは、細胞の刺激または抑制のために使用することができる。例えば、特定の抗原を組込んでいるリポソームは、その抗原と特異的に結合する表面抗体を提示しているB細胞集団を刺激するために使用することができる。リポソーム表面上に増殖因子およびリンホカインを組込んでいるリポソームは、これらの因子の適当な受容体を発現している細胞を刺激するように指示することができる。この方法を用い、癌患者の治療の一部として、骨髄細胞を刺激し、増殖することができる。
【0091】
LBSDVに封入された抗体を用い、過剰量の薬物を処理することができる。封入された抗体を有するリポソームは、肝臓へ送達される傾向があり、血液循環系からの毒物などの物質のクリアランスにおいて、治療的利点を有する。封入されていないジゴキシンに対する抗体は該薬物の血管内滞留を生じるが、封入された抗体は脾臓および肝臓の取込みならびにジゴキシン排泄率を増大させることが明らかにされている。
【0092】
本発明のLBSDVは、さらに抗原を欠いている細胞の形質膜への脂質またはタンパク質抗原の導入のための担体としての利用性も認められる。例えば、組織適合性抗原またはウイルス抗原は、ウイルス感染した細胞または腫瘍細胞の表面へ導入され、免疫系によるこれらの細胞の認識および殺傷を促進することができる。
【0093】
加えて、本発明のLBSDVは、PEG誘導化されたリポソーム中に現在製剤化されたものを含むいずれかの製品(例えば、治療的物質、診断的物質、標識または他の化合物)を送達するために使用することができる。
【0094】
ある態様において、細胞種または組織に対して特異的である標的化する部分を用い、本発明のLBSDVを標的化することが望ましい。リガンド、細胞表面受容体、糖タンパク質、ビタミン(例えば、リボフラビン)およびモノクローナル抗体のような、様々な標的化する部分を使用するLBSDVの標的化は、これまでに説明されている(例えば、米国特許第4,957,773号および第4,603,044号参照、その内容は本明細書に参照として組み入れられる)。これらの標的化する部分は、全タンパク質またはそれらの断片を含むことができる。
【0095】
場合によっては、LBSDVの診断的標的化は、次に標的化された細胞または組織を治療するために使用することができる。例えば、毒素が標的化されたリポソームに結合された場合は、この毒素はその後、新生物性細胞のような、標的化された細胞を破壊することにおいて有効である。
【0096】
別の局面において、本発明は、下記工程を含むLBSDVの細胞内送達を増大する方法を提供する:LBSDVへの式Iの化合物の組込み工程、これによる式Iの化合物を伴わないLBSDVと比べて、LBSDVの細胞内送達の増大工程。式Iの化合物は、細胞内送達を、約10倍〜約1000倍、および好ましくは約10倍〜約100,000倍増大する。
【0097】
別の局面において、本発明は、下記工程を含む、非経口投与された脂質ベースの薬物製剤の血中循環時間を延長する方法を提供する:脂質ベースの薬物製剤へ、式Iの化合物を約0.1〜20mol%組込む工程。
【0098】
別の局面において、本発明は、下記工程を含む、細胞をLBSDVでトランスフェクションする方法を提供する:細胞を、式Iの化合物を約0.1〜20mol%有するLBSDVと接触する工程。さらに、細胞のLBSDVによるトランスフェクションを増大する方法は、下記の工程を含む:細胞を、式Iの化合物を約0.1〜20mol%有するLBSDVと接触し、これにより式Iの化合物を伴わないLBSDVのトランスフェクション効率と比べて、LBSDVのトランスフェクション効率を増大する工程。
【0099】
D. リポソームの負荷および投与
下記の考察は、概してリポソームに関する;しかし当業者には、これと同じ考察が、本発明のその他の薬物送達システム(例えば、ミセル、ビロソーム、脂質−核酸粒子など)に完全に適用可能であることは容易に理解されるであろう。通常の薬物をリポソームへ負荷する方法は、例えば、封入技術、二重層への負荷およびトランスメンブランポテンシャル負荷法を含む。繰り返しになるが、LBSDVへ核酸を取り込む方法は、1996年12月19日に公開された国際公開公報第96/40964号;1999年2月4日に公開された国際公開公報第99/05303号;および、1999年4月22日に公開された国際公開公報第99/18933号に開示されている。
【0100】
ある封入技術において、薬物およびリポソーム成分は、有機溶媒に溶解され、ここで全ての種が混和可能で、乾燥フィルムへと濃縮される。その後緩衝液が、乾燥フィルムに添加され、ベシクル壁に取り込まれた薬物を有するリポソームが形成される。あるいは、薬物が緩衝液中に入れられ、脂質成分のみの乾燥フィルムに添加される。この方法において、薬物は、リポソームの水性の内部に封入され始める。リポソームの形成に使用される緩衝液は、生物学的に適合性のある緩衝液のいずれか、例えば等張生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水、または他の低イオン強度の緩衝液であることができる。一般に薬物は、約0.01ng/mL〜約50mg/mLの量で存在するであろう。水性の内部または膜内に取り込まれた薬物を伴う得られたリポソームは、その後選択的に前述のようにサイズ決定される。
【0101】
トランスメンブランポテンシャル負荷は、米国特許第4,885,172号、米国特許第5,059,421号、および米国特許第5,171,578号に詳細に開示されており、これらの内容は本明細書に参照として組み入れられる。簡単に述べると、トランスメンブランポテンシャル負荷法は、適当な水性媒質に溶解された場合に帯電した状態で存在することができる本質的に通常の薬物のいずれかとともに使用することができる。好ましくは、この薬物は、相対的に親油性であり、その結果これはリポソーム膜に分配されるであろう。トランスメンブランポテンシャルは、リポソームまたはタンパク質−リポソーム複合体の二重層を横断して生じ、かつこの薬物は、このトランスメンブランポテンシャルによりリポソームへと負荷される。このトランスメンブランポテンシャルは、膜を横断する1個または複数の帯電種(例えば、Na+、K+および/またはH+)の濃度勾配の形成により作成される。この濃度勾配は、内部媒質および外部媒質が異なるリポソームの形成により作成され、プロトン勾配を伴う。薬物蓄積は、Henderson−Hasselbach式により予想される方法で生じうる。
【0102】
本発明のリポソーム組成物は、標準技術に従い対象へ投与することができる。好ましくは、リポソーム組成物の薬学的組成物は、非経口的に、すなわち腹腔内、静脈内、皮下または筋肉内に投与される。より好ましくは、薬学的組成物は、固定注入により静脈内投与される。本発明における使用に適した製剤は、「レミントン薬科学(Remington’s Pharmaceutical Sciences)」、Mack Publishing Company、フィラデルフィア、PA、17版(1985)に記されている。これらの薬学的組成物は、例えば、様々な状態の診断、または病態の治療に使用することができる。疾患は、リウマチ様関節炎に関連した炎症、虚血後の白血球媒介型組織損傷(再灌流損傷)、急性白血球媒介型肺損傷(例えば、成人呼吸窮迫症候群)、敗血症ショック、ならびにアトピー性皮膚炎および乾癬を含む急性および慢性炎症を含むが、これらに限定されるものではない。加えて、様々な新生物および腫瘍の転移を治療することができる。
【0103】
好ましくはこの薬学的組成物は静脈内投与される。従って本発明は、許容できる担体、好ましくは水性担体中に懸濁されたリポソームの溶液を含む静脈内投与のための組成物を提供する。様々な水性担体を使用することができ、例えば、水、緩衝水、0.9%等張生理食塩水などである。これらの組成物は、通常の周知の滅菌技術により滅菌するか、または濾過滅菌することができる。得られる水溶液は、そのまま使用されるように包装されるか、または凍結乾燥され、凍結乾燥された調製物は、投与前に滅菌水溶液と一緒にされる。これらの組成物は、だいたい生理的条件になるように、例えばpH調節剤および緩衝剤、張性調節剤、湿潤剤などの薬学的に許容できる佐剤物質、例えば、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、ソルビタンモノラウリン酸エステル、オレイン酸トリエタノールアミンなどを含むことができる。
【0104】
薬学的製剤中の活性成分の濃度は、広範に、すなわち約0.05%未満、通常約2〜5%または少なくとも約2〜5%から、10〜30重量%と同程度まで変動することができ、選択された投与の特定の様式に従い、主に液体容量、粘度などにより選択されるであろう。診断については、投与される組成物の量は、使用された特定の標識(すなわち、放射標識、蛍光標識など)により左右され、その病態は、臨床医が判定することにより診断される。
【0105】
III. SPLPS のような LBSVD ライブラリー
ある局面において、本発明は、LBSVDライブラリーおよびコンビナトリアル技術を使用するLBSDVライブラリーの構築法を提供する。コンビナトリアルケミストリーは、候補LBSDVおよびそれらの組み合わせを、ライブラリーに、選択、合成および組み合わせることを自動化しかつ簡便化するようにデザインされた一連の革新的技術を説明する総称的用語である。コンビナトリアル法の最初の工程は、LBSDVのライブラリーに包含するためのカチオン性脂質、非カチオン性脂質およびCPLのような化合物の構成的部分の選択である。このライブラリーの組立てにおいて主要な焦点は、様々な操作の各工程の自動化である。多くの場合、96ウェルまたは384ウェルマイクロタイタープレートが試薬の分配に使用される。反応温度、反応試薬の容量、反応雰囲気の不活性度などを制御する自動化されたシステムが利用可能である。加えて、高度に自動化されたサンプリング操作および分析が、ライブラリー内のLBSDVの容量を分析するために開発されている。
【0106】
コンビナトリアルケミカルライブラリーの調製は、当業者に周知である。同様の方法を用い、LBSDVの巨大なライブラリーを調製することが可能である。SPLPのアレイまたはライブラリーは、第一の複数の構成的部分および第一の組織選択性を有する第一の核酸−脂質粒子;ならびに、第二の複数の構成的部分および第二の組織選択性を有する第二の核酸−脂質粒子を含み、ここで第一および第二の核酸−脂質粒子は、構成的に異なる。これらの構成的部分は、同じまたは異なりうることが示されている。例えば、ある態様において、第一のSPLPは、核酸、カチオン性脂質、BSCおよびコレステロールを含み;および、第二のSPLPは、核酸、カチオン性脂質、BSC、コレステロールおよびCPLを含む。
【0107】
コンビナトリアルライブラリーの調製のための装置は、市販されている(例えば、357 MPS、390 MPS、Advanced Chem Tech社、ルイスビル、KY、Symphony, Rainin社、ウォーバーン、MA、433A、Applied Biosystems社、フォスターシティ、CA、9050 Plus、Millipore社、ベッドフォード、MA参照)。液相化学のための多くの周知のロボット型システムも開発されている。これらのシステムは、武田薬品工業株式会社(大阪、日本)により開発された自動合成装置のような自動化されたワークステーションおよび多くのロボットアームを利用するロボット型システム(Zymate II, Zymark社、ホプキントン、Mass.;Orca, Hewlett−Packard社、パロアルト、Calif.)を含み、これは当業者により実行される手動合成操作を模倣するものである。本明細書において考察されたように操作することができるようにするためのこれらの装置の改良の性質および履行(存在するならば)は、当業者には明らかであろう。加えて、多くのコンビナトリアルライブラリーは、それら自身市販されている(例えば、ComGenex社、プリンストン、NJ;Asinex社、モスクワ、ロシア;Tripos社、セントルイス、MO;ChemStar社、モスクワ、ロシア;3D Pharmaceuticals社、エクストン、PA;Martek Biosciences社、コロンビア、MDなど参照)。
【0108】
IV. 組織特異性の決定
A. インビトロ法
ある態様において、本発明は、組織選択性を決定するためのインビトロアッセイ法を提供する。この方法は、第一のウェルおよび第二のウェルを有するマルチウェルプレートを提供する工程を含み、各ウェルは、そこに配置された組織型を有する。各ウェル中に、第一の複数の構成的部分を有する核酸−脂質粒子が分配され、その後望ましい組織中の核酸−脂質粒子の核酸のトランスフェクション効率が決定される。
【0109】
ある局面において、マルチプレート中の各ウェルは、肝細胞のような同じ型の組織を有する。この局面において、マルチウェルタイタープレートの各ウェルは、そこに分配されたSPLPのような異なるLBSVDを有し、すなわちSPLPのようなLBSVDの複数の構成的部分は変動する。あるいは、マルチプレートの各ウェルは、その中に配置された組織の異なる型を有することができる。この局面において、LBSDVの複数の構成的部分は、一定に維持される。
【0110】
これらの組織または細胞は、トランスフェクションを達成するのに十分な時間核酸−脂質粒子と接触される。その後、トランスフェクション効率が決定され、組織選択性が評価される。
【0111】
B. インビボ法
ある別の態様において、本発明は、組織選択性を決定するためのインビトロアッセイ法を提供する。このように本発明は、組織選択性を決定するアッセイ法を提供し、このアッセイ法は、複数の構成的部分を有する脂質ベースの全身送達ベヒクルをマウスの尾静脈へ注射し、生体分布パターンを作成する工程;および、生体分布パターンを分析し、これにより組織選択性を決定する工程を含む。ある局面において、このマウスは、SPLPのようなLBSDVがそこに含まれた放射性物質と共に投与されるマウスアレイである。投与後、生体分布試験が行われる。下記実施例1は、このような試験を例証している。臓器および腫瘍への[3H]CHEの蓄積のような放射性物質の蓄積が決定される。あるいは、この活性物質は、ルシフェラーゼのような酵素をコードしている遺伝子である。その後、LBSDVの特定の物質を標的部位に送達する性向が決定される。
【0112】
V. 核酸機能の決定
組織選択性がLBSDVに与えられた後、核酸機能の確認が可能である。このように、本発明は、特異的組織部位での核酸機能を決定する方法を提供し、この方法は、組織選択性を有する脂質ベースの全身送達ベヒクルを哺乳類へ投与する工程であり、この脂質ベースの全身送達ベヒクルは核酸を含む工程;および、少しでもあれば、核酸の特異的組織部位に対する作用を分析し、これにより核酸機能を決定する工程を含む。
【0113】
全ての種類の核酸は、本発明のLBSDVにより会合され、従ってその後特異的組織部位へ送達することができる。これらは、DNA、RNA、DNA/RNAハイブリッド(各々が一本鎖または二本鎖である)を含み、アンチセンスオリゴヌクレオチドなどのオリゴヌクレオチド、キメラDNA−RNAポリマー、およびリボザイムを含み、これらは周知および未知の機能を有し、さらにはこれらの核酸の修飾された変種であり、ここでこの修飾は、塩基、糖部分、リン酸結合、またはそれらのいずれかの組合せにおけるものでありうる。さらに、本発明の組成物および方法の使用により、未知の機能の核酸を特異的組織部位へ向けることが可能である。
【0114】
前述より、本発明のLBSVDは、インビトロおよびインビボの両方の用途において有用であることは当業者には明らかであろう。本発明の方法を用い、核酸の特異的組織部位への作用を分析する、すなわち、例えば、肝臓におけるタンパク質の組換え体作出プロセスのような、核酸機能を決定することが可能である。核酸を特異的部位へ送達した後、核酸機能を変調する化合物を試験することが可能である。
【0115】
ある局面において、これらの核酸は、欠くことのできない遺伝子またはそれらの断片を含み、ここで1つ又は複数の標的組織細胞は何らかの意味で欠損している。これは、遺伝子が欠損している場合または遺伝子が突然変異され、過小または過剰発現を生じる場合に生じる。これらの核酸は、アンチセンスオリゴヌクレオチドも含みうる。このようなアンチセンスオリゴヌクレオチドは、標的遺伝子の発現を阻害するために構築することができる。前述のものは、本発明で使用されうる核酸の例であり、いかなる意味においても本発明を限定するものと考えるべきものではない。当業者は、他の核酸も本発明における使用に適していることを理解するであろう。
【0116】
下記実施例は、例証のために利用されるが、本発明を限定するものではない。(実施例)
材料
6種の大規模ルシフェラーゼプラスミドTCS製剤を調製した。PKおよび生体分布試験を促進するために、全て、[3−H]−CHEで標識した。これらは下記のものである:
A: 303 DOPE:DODAC:PEGC20::82.5:7.5:10 4(全身性のSPLPのリード物質)
B: 303+CPL 303w/4mol% CPL−4−1k
C: 314 DOPE:DODAC:PEGC20::76:l4:10 (高カチオン性脂質)
D: 314+CPL 314w/4mol% CPL−4−1k
E: 314C DOPE:CHOL:DODAC:PEGC20::31:45:14:10 (コレステロール)
F: 314C+CPL 314Cw/4mol% CPL−4−1k
これらの製剤を、インビボ試験を支持するために調製した。
【0117】
実施例1
本実施例は、Neuro−2A腫瘍を持つマウスへのSPLPの全身投与後の薬物動態および生体分布を例証している。
生体分布および遺伝子発現は、遺伝子送達およびトランスフェクションに対する作用の間を区別するため平行して試験した。腫瘍遺伝子発現試験は、PFVの全身投与から生じた遺伝子発現およびインビボにおけるカルシウムのプレインキュベーションが遺伝子発現に与える作用の試験に及んだ。
【0118】
被験試料/薬物:
全ての試料は、作業濃度に希釈する前に、濾過滅菌する。
全ての試料は、滅菌したクリンプ栓(crimp top)付バイアル内で提供する。
全てのバイアルは、調製日、脂質組成、比活性およびDNA濃度をラベル表示する。
全ての試料は、0.5mg/ml DNAで調製する。
[3−H]CHEは、1μCi/mg脂質で組入れる。
【0119】
【0120】
I. 実験デザイン
動物:140 A/Jマウス、雌、18〜23g;
実験群:4個のケージに飼育した動物;
4匹/群;
30群;
実験したマウス総数120匹、接種した(seeded)マウス140匹
【0121】
II. 手法
腫瘍接種:
細胞は、インビトロにおいて、ATCCにより継代されている。試験の0日目、細胞を収集し、洗浄し、計数し、1.5x106個細胞を、各マウスの後脇腹に皮下注射する(注射容量:50μl)。
処置:
マウスを、[3−H]CHE−SPLP(100μg DNA)製剤を総容量200μlでI.V.投与し、処置する。腫瘍容積が適当なサイズであれば、全ての処置を施す(およそ14日目)。不規則な腫瘍を持つ動物は本試験から除外する。マウスは処置を1回のみ受ける。
エンドポイント:
適当な時点で、マウスを秤量し、屠殺し、心穿刺により血液を採取し、秤量し、臓器(肝臓、肺、脾臓、腎臓)および腫瘍を、風袋を計った迅速処理用(fast−prep)チューブに収集し、[3−H]CHEについて評価する。
製剤および腫瘍の負担(burden)は、良く忍容されるが、処置または腫瘍の負担のいずれかに関連した窮迫の徴候を示しているマウスは終了する。
データ解析:
1)血液からの[3−H]CHEクリアランスを決定する。
2)臓器および腫瘍中の[3−H]CHEの蓄積を決定する。
【0122】
III. 結果
【0123】
実施例2
この実施例は、Neuro2A腫瘍を持つマウスにおけるSPLPの全身投与後のルシフェラーゼ遺伝子発現を例証している。
【0124】
被験試料/薬物:
全ての試料は、作業濃度に希釈する前に、濾過滅菌する。
全ての試料は、滅菌したクリンプ栓付バイアル内で提供する。
全てのバイアルは、調製日、脂質組成、比活性およびDNA濃度をラベル表示する。
全ての試料は、0.5mg/ml DNAで調製する。
[3−H]CHEは、1μCi/mg脂質で組入れる。
【0125】
【0126】
I. 実験デザイン
動物:140 A/Jマウス、雌、18〜23g;
実験群:4個のケージに飼育した動物;
4匹/群;
21群;
実験したマウス総数84匹、接種したマウス100匹
【0127】
II. 手法
腫瘍接種:
細胞は、インビトロにおいて、ATCCにより継代されている。試験の0日目、細胞を収集し、洗浄し、計数し、1.5x106個細胞を、各マウスの後脇腹に皮下注射する(注射容量:50μl)。
処置:
マウスを、[3−H]CHE−SPLP(100μg DNA)製剤を総容量200μlでI.V.投与し、処理する。腫瘍容積が適当なサイズであれば、全ての処置を施す(およそ12日目から)。不規則な腫瘍を持つ動物は本試験から除外する。マウスは処置を1回のみ受ける。
エンドポイント:
適当な時点で、マウスを屠殺し、臓器(肝臓、肺、脾臓、腎臓)および腫瘍を、風袋を計った迅速処理用チューブに収集し、ルシフェラーゼ遺伝子発現について評価する。
製剤および腫瘍負担は、良く忍容されることが期待されるが、処置または腫瘍負担のいずれかに関連した窮迫の徴候を示しているマウスは、動物施設スタッフの裁量が下された時点で終了する。
データ解析:
1)ルシフェラーゼ遺伝子発現
【0128】
III. 結果
【0129】
本明細書中の全ての刊行物、特許および特許出願は、全ての目的のためにそれらの全体が本明細書に参照として組み入れられる。本発明はその好ましい態様および実施例を参照し説明されているが、本発明の範囲はこれらの説明された態様のみに限定されるものではない。当業者に理解されるように、前述の本発明の変更および適合を、添付された「特許請求の範囲」により限定および制限された本発明の精神および範囲から逸脱しない限りは行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、SPLPは、腫瘍特異的遺伝子発現を誘起するように遺伝子操作することができることを図示している。
【図2】図2は、肝遺伝子発現のためのSPLPを図示している。これらのSPLPは、肝臓への効果的送達のためにデザインされている。
【図3】図3は、肝遺伝子発現のためのSPLPを図示している。ここに示されたように、SPLPは、血液コンパートメントから迅速にクリアランスされる。
【図4】図4は、SPLPのIV注射後の皮下Neuro2A腫瘍における遺伝子発現を図示している。
【図5】図5は、Neuro−2a腫瘍を持つ雄A/Jマウスの肝臓におけるルシフェラーゼ遺伝子発現を図示している。
【図6】図6は、Neuro−2a腫瘍を持つ雄A/Jマウスの心臓におけるルシフェラーゼ遺伝子発現を図示している。
【図7】図7は、INEX303の単回IV投与後の、Neuro−2a腫瘍を持つマウスにおけるルシフェラーゼ遺伝子発現を図示している。
【図8】図8は、SPLPの静脈内投与後の、SPLP:腫瘍遺伝子発現の効力を図示している。
【図9】図9は、4mol%CPL4−1kを伴うまたは伴わない、303、314、および314Cの単回静脈内投与後の、雄A/Jマウスの肺における注射した用量の割合(%)を図示している。
【図10】図10は、4mol%CPL4−1kを伴うまたは伴わない、303、314、および314Cの単回静脈内投与後の、雄A/JマウスのNeuro−2a腫瘍当たりの注射した用量の割合(%)を図示している。
【図11】図11は、4mol%CPL4−1kを伴うまたは伴わない、303、314、および314Cの単回静脈内投与後の、雄A/Jマウスの血漿中に残存している注射した用量の割合(%)を図示している。
【図12】図12は、4mol%CPL4−1kを伴うまたは伴わない、303、314、および314Cの単回静脈内投与後の、雄A/Jマウスの肝臓当たりの用量に対する割合(%)を図示している。
【図13】図13は、4mol%CPL4−1kを伴うまたは伴わない、303、314、および314Cの単回静脈内投与後の、雄A/Jマウスの脾臓当たりの注射用量に対する割合(%)を図示している。
【図14】図14は、4mol%CPL4−1kを伴うまたは伴わない、303、314、および314Cの単回静脈内投与後の、雄A/Jマウスの腎臓における注射用量に対する割合(%)を図示している。
【図15】図15は、4mol%CPL4−1kを伴うまたは伴わない、303、314、および314Cの単回静脈内投与後の、雄A/Jマウスの心臓における注射用量に対する割合(%)を図示している。
【図16】図16は、CPL化学を図示している。
【図17】図17は、CPLがインビトロトランスフェクションを増強することを図示している。
(関連出願の相互参照)
本出願は、2000年10月25日に出願された米国特許仮出願第60/243,185号に対する優先権を請求するものであり、その内容は全ての目的についてその全体が本明細書に参照として組み入れられる。
【0002】
(発明の技術分野)
本発明は、脂質製剤、より詳細には、標的化された遺伝子の送達ベヒクルとして有用である核酸−脂質粒子に関する。
【0003】
(発明の背景)
全身の遺伝子療法のための現在の遺伝子送達システムは、ウイルス型および非ウイルス型のシステムを含む。ウイルス型遺伝子導入システムは、全身投与時には速やかに循環からクリアランスされ、それらの使用は肝臓または肺のような初回通過の臓器(first pass organ)に限られている。加えてウイルス型システムの免疫原性は、急性炎症反応を示し、このことは良い場合にあっても後続投与量の作用を制限し、悪い場合は患者にとって有害となりうる(Worgallら、Human Gene Therapy、8:37−44(1997)参照)。非ウイルス型システム、例えばプラスミド−DNA−カチオン性脂質複合体(リポプレックス)は、インビトロにおいて適切に作用するが、それらの大きいサイズおよび表面の正電荷のために、リポプレックスも循環から容易にクリアランスされ、同様に初回通過の臓器のトランスフェクションに関連した用途に限定される(Hoflandら、Pharmaceutical Res、14:742−749(1997)参照)。DNA−カチオン性脂質複合体も、著しい毒性を発揮することがわかっている(LiおよびHuang、Gene Therapy、4:891−900(1997)参照)。
【0004】
巨大な核酸は血清に曝された際には迅速に分解されるので、関心のある領域への遺伝子の送達は、遺伝子薬物の根本的ハードルである。しかしこのハードルは、ウイルスベクター、脂質複合体などの使用により、局所的および限局的(すなわち、吸入または直接注射)送達に関しては克服されている。全身の(すなわち、静脈内)送達に関して、このハードルは、本明細書に参照として組み入れられる国際公開公報第96/40964号に開示された安定したプラスミド−脂質粒子(「SPLP」)の使用により克服されている。SPLPは、ヌクレアーゼ分解に対して抵抗性であり、低い免疫原性を有し、かつサイズが小さい(<150nm)、完全に封入された脂質−プラスミド粒子であり、このことによりこれらは長い循環寿命に特に良く適するようになっている。
【0005】
SPLPは、プラスミドDNAの、小さい(〜70nm)良く限定された脂質ベシクル内部への完全な封入を可能にする、界面活性剤透析法(detergent dialysis method)を用いて作出することができる(Wheelerら、Gene Therapy、6:271−281(1999)参照)。これらのベシクルは、融合性ヘルパー脂質(fusogenic helper lipid)を含み、これは細胞膜との融合を誘導することが知られている。融合性脂質は、リポソーム形成に必要な二重層構造を容易には形成しないので、これらには、ポリエチレングリコール(PEG)−脂質複合体またはアンカーのような安定化剤または凝集防止剤が必要である。得られる粒子は、脂質アンカーの長さによって左右される循環半減期を有することが示されている。循環半減期は、1.2分(PEG−CerC8)から13時間(PEG−CerC20)まで変動する。この特性は、「プログラム可能な」融合性遺伝子送達システムの構築を可能にしている。PEG−Cerは、SPLP膜の外側へそのアンカー長によって左右される速度で拡散するので、このSPLPは、より不安定かつ融合性となり、その結果、膜融合し、プラスミドDNAペイロード(payload)を放出する。これらの粒子は、延長された循環寿命、ならびにウイルス型および他の非ウイルス型システムを上回る増強された薬物動態を示す。インビトロ試験は、高レベルのカチオン性脂質(24mol%)を伴うSPLPは、トランスフェクション特性を有し、これはプラスミドDNA−カチオン性脂質複合体よりも優れていることを示している。
【0006】
このようなSPLP技術における進歩にも関わらず、当該技術分野においては、ペイロードの、標的、すなわち関心のある特定の組織部位への送達を可能にする製剤が必要とされている。本発明は、これおよび他の必要性を満たしている。
【0007】
(発明の概要)
ひとつの態様において、本発明は、複数の構成的部分を有する脂質ベース(lipid−based)の全身送達ベヒクルをデザインする工程;および、組織選択性を与えるために複数の構成的部分の各々の量を変動し、これにより活性物質を特異的組織部位に選択的に標的化することが可能な脂質ベースの全身送達ベヒクルを同定する工程を含む、特異的組織部位への活性物質の選択的標的化が可能である脂質ベースの全身送達ベヒクルを同定する方法を提供する。好ましい局面において、これらの構成的部分として、標的化する部分(例えば抗体)を含まない。適当な組織型は、臓器、骨、様々な腫瘍型およびそれらの組合せを含むが、これらに限定されるものではない。
【0008】
組織選択性は、様々なインビボおよびインビトロアッセイを用いて決定することができる。これらのアッセイは、さらに本発明の他の態様も示している。このように、本発明は、複数の構成的部分を有する脂質ベースの全身送達ベヒクルを、マウスの尾静脈へ注射し、生体分布パターンを作成する工程;および、この生体分布パターンを分析し、これにより組織選択性を決定する工程を含む、組織選択性を決定するアッセイ法を提供する。
【0009】
別の組織選択性を決定するアッセイ法は、第一のウェルおよび第二のウェルを有し、各ウェルはその中に配置された組織型を有するようなマルチウェルプレート(例えば、マルチウェルマイクロタイタープレート)を提供する工程;核酸−脂質粒子のアレイを分配する工程であり、ここで核酸−脂質粒子アレイは、第一のウェル中に分配された第一の複数の構成的部分を有する第一の核酸−脂質粒子、および第二のウェル中に分配された第二の複数の構成的部分を有する第二の核酸−脂質粒子を含む工程;ならびにその後、組織中の核酸−脂質粒子アレイにおける各核酸のトランスフェクション効率を決定する工程を含む。
【0010】
別の態様において、本発明は、組織選択性を有する核酸−脂質粒子アレイを提供する。この核酸−脂質粒子アレイは、第一の複数の構成的部分および第一の組織選択性を有する第一の核酸−脂質粒子ならびに第二の複数の構成的部分および第二の組織選択性を有する第二の核酸−脂質粒子を含み、ここで第一および第二の核酸−脂質粒子は、構成的に異なる。
【0011】
さらに別の態様において、本発明は、脂質ベースの全身送達ベヒクル(「LBSDV」)を提供する。ある好ましい局面において、全身送達ベヒクルは、核酸−脂質粒子であり、この核酸−脂質粒子は以下を含む:
(a)核酸;
(b)カチオン性脂質;
(c)二重層安定化成分;および
(d)コレステロール。
【0012】
この核酸−脂質粒子は、選択的にさらに、(e)別の脂質、例えばカチオン性脂質、および/または(f)式Iを有するカチオン性ポリマー脂質を含む:
A−W−Y I
式Iにおいて、Aは脂質部分であり;Wは親水性ポリマーであり;および、Yはポリカチオン性部分である。ある局面においては、AとWとの間にダンシル化されたリシンスペーサーが挿入される。
【0013】
さらに別の局面において、本発明は、組織選択性を有する脂質ベースの全身送達ベヒクルを投与する工程であり、ここで脂質ベースの全身送達ベヒクルは、複数の構成的部分を有し、これによりペイロードを特異的組織部位へ送達する工程を含む、ペイロードを特異的組織部位へ送達する方法を提供する。好ましくは、LBSDVは、標的化する部分を含まない。本発明のLBSDVを用い、例えばp53、p110Rbおよびp72などの腫瘍抑制遺伝子をコードしている核酸の特異的腫瘍部位への送達が可能になる。
【0014】
別の態様において、本発明は、組織選択性を有する脂質ベースの全身送達ベヒクルを哺乳類へ投与する工程であり、この脂質ベースの全身送達ベヒクルは核酸を含む工程;および、少しでもあれば特異的組織部位に対する核酸の作用を分析し、これにより、核酸機能を決定する工程を含む、特異的組織部位における核酸機能を決定する方法を提供する。
【0015】
これらの態様および他の態様は、添付図面および下記の詳細な説明を読むことでより明らかになるであろう。
【0016】
(発明の詳細な説明および好ましい態様)
I. 定義
用語「脂質」は、脂肪酸エステルを含むが、これらに限定されるものではなく、かつ水には不溶性であるが、多くの有機溶媒中に可溶性であることを特徴とする、有機化合物群を意味している。これらは、通常少なくとも、(1)脂肪および油分に加えワックスを含む、「単純脂質」;(2)リン脂質および糖脂質を含む、「複合脂質」;(3)ステロイドのような、「誘導脂質」の3種類に分類される。
【0017】
用語「ベシクル形成脂質」は、疎水性部分および極性ヘッド基を有し、かつほとんどのリン脂質により例証されるように、それ自身水中で二重層ベシクルを自然発生的に形成することができる両親媒性脂質を含むことが意図されている。
【0018】
用語「ベシクル採用脂質(vesicle−adopting lipid)」は、二重層膜の内側の疎水性領域と接触しているその疎水性部分、および該膜の外側極性表面に向かって並べられたその極性ヘッド基部分が、他の両親媒性脂質と組合せて、脂質二重層に安定して組込まれている両親媒性脂質を含むことが意図されている。ベシクル採用脂質は、それら自身、非層状相(non−lamellar phase)を採用する傾向があるが、二重層安定化成分の存在下では二重層構造をとることが可能である脂質を含む。典型例は、DOPE(ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン)である。二重層安定化成分は、ポリアミドオリゴマー、ペプチド、タンパク質、界面活性剤、脂質誘導体、ホスファチジルエタノールアミンに結合したPEGのようなPEG−脂質誘導体、およびセラミドに結合したPEGを含むが、これらに限定されるものではない(米国特許第5,885,613号参照、これは本明細書に参照として組み入れられる)。
【0019】
用語「両親媒性脂質」は、一部、脂質物質の疎水性部分が、疎水相に向いている一方で、親水性部分は水相へ向いているようないずれか適当な物質を意味する。両親媒性脂質は、通常脂質ベシクルの主成分である。親水性の特徴は、糖、ホスファト(phosphato)、カルボン酸、スルファト(sulfato)、アミノ、スルフヒドリル、ニトロ、ヒドロキシなどの基のような極性基または帯電基の存在に由来する。疎水性は、長鎖の飽和および不飽和の脂肪族炭化水素基ならびに1個または複数の芳香族基、環式脂肪族基、またはヘテロ環式基により置換されたそのような基を含むが、これらに限定されるものではない、無極性基の含包(inclusion)によりもたらされうる。両親媒性化合物の例は、リン脂質、アミノ脂質およびスフィンゴ脂質を含むが、これらに限定されるものではない。リン脂質の代表例は、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジン酸、パルミトイルオレオイルホスファチジルコリン、リゾホスファチジルコリン、リゾホスファチジルエタノールアミン、ジパルミトイルホスファチジルコリン、ジオレオイルホスファチジルコリン、ジステアロイルホスファチジルコリンまたはジリノレオイルホスファチジルコリンを含むが、これらに限定されるものではない。スフィンゴ脂質、スフィンゴ糖脂質ファミリー、ジアシルグリセロールおよびβ−アシルオキシ酸のような、その他のリンを欠いている化合物も、両親媒性脂質と称される群に含まれる。加えて、前述の両親媒性脂質は、トリグリセリドおよびステロールを含む他の脂質と混合することができる。
【0020】
用語「中性脂質」は、選択されたpHで非帯電のまたは中性の双性イオン型のいずれかで存在する多くの脂質種のいずれかを意味する。生理的pHで、このような脂質は、例えばジアシルホスファチジルコリン、ジアシルホスファチジルエタノールアミン、セラミド、スフィンゴミエリン、セファリン、コレステロール、セレブロシド、およびジアシルグリセロールを含む。
【0021】
用語「疎水性脂質」は、長鎖の飽和および不飽和の脂肪族炭化水素基ならびに1個または複数の芳香族基、環式脂肪族基、またはヘテロ環式基により選択的に置換されたそのような基を含むが、これらに限定されるものではない、無極性基を有する化合物を意味する。適例は、ジアシルグリセロール、ジアルキルグリセロール、N−N−ジアルキルアミノ、1,2−ジアシルオキシ−3−アミノプロパンおよび1,2−ジアルキル−3−アミノプロパンを含むが、これらに限定されるものではない。
【0022】
用語「ジアシルグリセロリル」は、2−脂肪族アシル鎖を意味し、R1およびR2は、独立してエステル結合によりグリセロールの1位および2位に結合した2〜30個の炭素を有する。このアシル基は、飽和であるか、もしくは変動する不飽和の程度を有することができる。ジアシルグリセロール基は、下記一般式を有する:
【化1】
【0023】
用語「ジアルキルグリセロリル」は、エーテル結合によりグリセロールの1位および2位に結合した2個のC1−C30アルキル鎖を意味する。ジアルキルグリセロール基は、下記一般式を有する:
【化2】
【0024】
用語「N−N−ジアルキルアミノ」は、下記式を意味する。
【化3】
【0025】
用語「1,2−ジアシルオキシ−3−アミノプロパン」は、エステル結合によりプロパンの1位および2位に結合したC1−C30の2−脂肪族アシル鎖を意味する。これらのアシル基は、飽和であるか、もしくは変動する不飽和の程度を有することができる。プロパン分子の3位は、結合した−NH−基を有する。1,2−ジアシルオキシ−3−アミノプロパンは、下記一般式を有する:
【化4】
【0026】
用語「1,2−ジアルキル−3−アミノプロパン」は、エーテル結合によりプロパンの1位および2位に結合した2−アルキル鎖(C1−C30)を意味する。プロパン分子の3位は、結合した−NH−基を有する。1,2−ジアルキル−3−アミノプロパンは、下記一般式を有する:
【化5】
【0027】
用語「非カチオン性脂質」は、先に説明された中性脂質に加え、アニオン性脂質を意味する。アニオン性脂質の例は、ホスファチジルグリセロール、カルジオリピン、ジアシルホスファチジルセリン、ジアシルホスファチジン酸、N−ドデカノイルホスファチジルエタノールアミン、N−スクシニルホスファチジルエタノールアミン、N−グルタリルホスファチジルエタノールアミン、リゾホスファチジルグリセロール、および中性脂質に結合した他のアニオン性修飾基を含むが、これらに限定されるものではない。
【0028】
用語「カチオン性脂質」は、生理的pHのような、選択されたpHで実効(net)正電荷を保持する多くの脂質種のいずれかを意味する。このような脂質は、N,N−ジオレイル−N,N−ジメチル塩化アンモニウム(「DODAC」);N−(2,3−ジオレイルオキシ)プロピル)−N,N,N−トリメチル塩化アンモニウム(「DOTMA」);N,N−ジステアリル−N,N−ジメチル臭化アンモニウム(「DDAB」);N−(2,3−ジオレオイルオキシ)プロピル)−N,N,N−トリメチル塩化アンモニウム(「DOTAP」);3−(N−(N’,N’−ジメチルアミノエタン)−カルバモイル)コレステロール(「DC−Chol」)およびN−(1,2−ジミリスチルオキシプロプ−3−イル)−N,N−ジメチル−N−ヒドロキシエチル臭化アンモニウム(「DMRIE」)を含むが、これらに限定されるものではない。加えて、本発明において使用することができる多くの市販のカチオン性脂質調製物が入手可能である。これらは、例えば、LIPOFECTIN(登録商標)(DOTMAおよび1,2−ジオレオイル−sn−3−ホスホエタノールアミン(「DOPE」)を含有する市販のカチオン性リポソーム、GIBCO/BRL社、Grand Island、New York、USA、から);LIPOFECTAMINE(登録商標)(N−(1−(2,3−ジオレイルオキシ)プロピル)−N−(2−(スペルミンカルボキサミド)エチル)−N,N−トリフルオロ酢酸ジメチルアンモニウム(「DOSPA」)および(「DOPE」)を含む市販のカチオン性リポソーム、GIBCO/BRL社から);および、TRANSFECTAM(登録商標)(エタノール中のジオクタデシルアミドグリシルカルボキシスペルミン(「DOGS」)を含む市販のカチオン性脂質、Promega社、Madison、Wisconsin、USA)を含む。下記の脂質は、カチオン性であり、生理的pHより下では正電荷を有す:DODAP、DODMA、DMDMAなど。
【0029】
用語「融合性」は、リポソームまたは他の薬物送達システムの細胞の膜に融合する能力を意味する。これらの膜は、形質膜またはオルガネラ、例えばエンドソーム、核などを囲んでいる膜のいずれかでありうる。融合形成とは、リポソームのこのような膜への融合である。
【0030】
用語「デンドリマー」は、複数のジェネレーション(generation)を有する分枝したポリマーに関する。デンドリマーにおいて、各ジェネレーションは、複数の分岐点を作成する。
【0031】
用語「リガンド」は、反応性官能基を有する分子、化合物または装置のいずれかを含み、かつ脂質、両親媒性脂質、担体化合物、生体親和性化合物、生体物質、生体高分子、生物医学的装置、分析により検出可能な化合物、治療的活性化合物、酵素、ペプチド、タンパク質、抗体、免疫賦活物質、放射標識、発蛍光体、ビオチン、薬物、ハプテン、DNA、RNA、多糖、リポソーム、ビロソーム(virosome)、ミセル、免疫グロブリン、官能基、標的化物質、または毒素を含む。前記リストは、例証であり、網羅することを意図するものではない。
【0032】
用語「ATTA」または「ポリアミド」は、本明細書に参照として組み入れられる国際公開公報第99/33494号に開示された化合物を意味するが、これらに限定されるものではない。これらの化合物は、下記式を有する化合物を含む:
【化6】
(式中、Rは、水素、アルキルおよびアシルからなる群より選択される一員であり;R1は、水素およびアルキルからなる群より選択される一員であり;もしくは、選択的に、RおよびR1は、それが結合した窒素と共に、アジド部分を形成し;R2は、 水素、選択的に置換されたアルキル、選択的に置換されたアリールおよびアミノ酸側鎖から選択された基の一員であり;R3は、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、メルカプト、ヒドラジノ、アミノおよびNR4R5(式中、R4およびR5は独立して水素またはアルキルである)からなる群より選択された一員であり;nは4〜80;mは2〜6;pは1〜4;および、qは0または1である)。他のポリアミドを本発明の化合物において使用することができることは、当業者には明らかであろう。
【0033】
本明細書において使用される用語「アルキル」は、分枝したまたは分枝していない炭化水素鎖を意味し、例えばメチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、sec−ブチル、iso−ブチル、tert−ブチル、オクタデシルおよび2−メチルペンチルである。これらの基は、ヒドロキシル、ブロモ、フルオロ、クロロ、イオド、メルカプトまたはチオ、シアノ、アルキルチオ、ヘテロ環式(heterocyclyl)、アリール、ヘテロアリール、カルボキシル、カルバルコイル(carbalkoyl)、アルキル、アルケニル、ニトロ、アミノ、アルコキシル、アミドなどの、通常このような鎖に結合する1個または複数の官能基により選択的に置換することができ、例えば、トリフルオロメチル、3−ヒドロキシヘキシル、2−カルボキシプロピル、2−フルオロエチル、カルボキシメチル、シアノブチルなどのアルキル基を形成する。
【0034】
用語「アルキレン」は、先に定義されたような二価のアルキルを意味し、例えばメチレン(−CH2−)、プロピレン(−CH2CH2CH2−)、クロロエチレン(−CHClCH2−)、2−チオブテン(−CH2CH(SH)CH2CH2−)、1−ブロモ−3−ヒドロキシル−4−メチルペンテン(−CHBrCH2CH(OH)CH(CH3)CH2−)などである。
【0035】
用語「アルケニル」は、1個または複数の炭素−炭素二重結合を含む分枝したまたは分枝していない炭化水素鎖を意味する。
【0036】
用語「アルキニル」は、1個または複数の炭素−炭素三重結合を含む分枝したまたは分枝していない炭化水素鎖を意味する。
【0037】
用語「アリール」は、フェニル、ナフチル、インデニルなどの、好ましくは約6〜14個の炭素原子を有する少なくとも1個の芳香環を形成し、かつヒドロキシル、ブロモ、フルオロ、クロロ、イオド、メルカプトまたはチオ、シアノ、シアノアミド、アルキルチオ、ヘテロ環、アリール、ヘテロアリール、カルボキシル、カルバルコイル、アルキル、アルケニル、ニトロ、アミノ、アルコキシル、アミドなどの通常このような鎖に結合される1個または複数の官能基で置換することができ、例えばビフェニル、イオドビフェニル、メトキシビフェニル、アントリル、ブロモフェニル、イオドフェニル、クロロフェニル、ヒドロキシフェニル、メトキシフェニル、ホルミルフェニル、アセチルフェニル、トリフルオロメチルチオフェニル、トリフルオロメトキシフェニル、アルキルチオフェニル、トリアルキルアンモニウムフェニル、アミドフェニル、チアゾリルフェニル、オキサゾリルフェニル、イミダゾリルフェニル、イミダゾリルメチルフェニルなどのアリール基を形成することができる炭素原子鎖を意味する。
【0038】
用語「アシル」は、−C(O)R基を意味し、ここでRは、先に定義したようなアルキルまたはアリールであり、例えばホルミル、アセチル、プロピオニル、またはブチリルである。
【0039】
用語「アルコキシ」は、−OR−を意味し、ここでRはアルキルである。
【0040】
用語「アミド」は、アミド連結:−C(O)NR−(式中、Rは水素またはアルキルである)を意味する。
【0041】
用語「アミノ」は、アミン連結:−NR−(式中、Rは水素またはアルキルまたは末端NH2である。)を意味する。
【0042】
用語「カルボキシル」は、基−C(O)O−を意味し、用語「カルボニル」は、基−C(O)−を意味する。
【0043】
用語「カーボネート」は、基−OC(O)O−を意味する。
【0044】
用語「カルバメート」は、基−NHC(O)O−を意味し、用語「尿素」は、基−NHC(O)NH−を意味する。
【0045】
用語「ホスホロ」は、基−OP(O)(OH)O−を意味する。
【0046】
用語「塩基性アミノ酸」は、選択されたpH、例えば生理的pHにおいて、実効正電荷を有する、天然のアミノ酸に加え、合成アミノ酸および/またはアミノ酸模倣体を意味する。この群は、リシン、アルギニン、アスパラギン、グルタミン、ヒスチジンなどを含むが、これらに限定されるものではない。
【0047】
用語「ホスホリルエタノールアミノ」は、基−OP(O)(OH)OCH2CH2NH−を意味する。
【0048】
用語「ホスホリルエタノールアミド」は、基−OP(O)(OH)OCH2CH2NHC(O)−を意味する。
【0049】
用語「ホスホ」は、五価のリン部分−P(O)(OH)O−を意味する。
【0050】
用語「ホスホエタノールアミノ」は、基−P(O)(OH)OCH2CH2NH−を意味する。
【0051】
用語「ホスホエタノールアミド」は、基−P(O)(OH)OCH2CH2NHC(O)−を意味する。
【0052】
用語「エチレンオキシド単位」は、基−OCH2CH2−を意味する。
【0053】
用語「CPL」は、カチオン性−ポリマー−脂質、例えばカチオン性−PEG−脂質を意味する。好ましいCPLは、式Iの化合物である。
【0054】
略号「HBS」はHepes緩衝生理食塩水を、「Rho−PE」はローダミン−ホスファチジルエタノールアミンを、および「LUV」は「大単層ベシクル」を意味する。
【0055】
用語「アレイ」は、それが修飾する名詞の少なくとも2個を意味し、例えば、LBSDVのアレイは、少なくとも2個のLBSDVである。
【0056】
本発明の方法において使用される核酸は、天然の給源から単離されるか、ATCCまたはGenBankライブラリーのような給源から得られるか、または合成的方法により調製することができる。合成核酸は、様々な液相または固相法により調製することができる。一般に、固相合成が好ましい。亜リン酸トリエステル、ホスホトリエステル、およびH−ホスホン酸エステル化学による核酸の固相合成の手法の詳細な説明は、広く入手可能である。例えば、Itakuraの米国特許第4,401,796号;Caruthersらの米国特許第4,458,066号および第4,500,707号;Beaucageら、Tetrahedron Lett、22:1859−1862(1981);Matteucciら、J. Am. Chem. Soc.、103:3185−3191(1981);Caruthersら、Genetic Engineering、4:1−17(1982);「オリゴヌクレオチド合成、実践的方法(Oligonucleotide Synthesis: A Practical Approach)の、Jones、第2章、Atkinsonら、第3章およびSproatら、第4章、Gait(編集)、IRL Press社、Washington D.C.、(1984);Froehlerら、Tetrahedron Lett.、27:469−472(1986);Froehlerら、Nucleic Acids Res.、14:5399−5407(1986);Sinhaら、Tetrahedron Lett.、24:5843−5846(1983);および、Sinhaら、Nucl. Acids Res.、12:4539−4557(1984)を参照、これらは全て本明細書に参照として組み入れられる。
【0057】
「治療的遺伝子」は、その遺伝子産物が臨床的に有用な機能を実行するものである。例えば、治療的遺伝子は、癌細胞の形質転換に使用された場合、この治療的遺伝子は癌細胞の増殖を阻害するであろう。この治療的遺伝子は、好ましくは、その遺伝子産物が非標的組織に対して低い毒性を有し、かつ疾患(例えば、癌)部位には高い毒性を有するようなものである。例えば、本発明の好ましい脂質−核酸(例えば、脂質−プラスミド粒子)粒子中で送達された場合、この遺伝子産物は、粒子の大部分が通常ここでクリアランスされうる肝臓または脾臓の細胞よりも腫瘍細胞により大きい毒性を有することが好ましい。あるいは、治療的遺伝子は、疾患部位ではないが、その後治療されるべき疾患または障害を改善するために好ましい免疫応答または他の反応を活性化するような、治療部位へ送達することができる。本発明の方法において有用な治療的遺伝子の例は、下記に関する遺伝子を含むが、これらに限定されるものではない:プロアポトーシス性タンパク質;腫瘍抑制因子(例えば、p53、Rb1(網膜芽細胞腫)など);サイトカイン(例えば、インターロイキン−2、インターロイキン−12など);熱ショックタンパク質;免疫抗原(例えば、腫瘍特異的タンパク質など);胚においてのみ活性化された遺伝子;エンドスタチン、アンジオスタチン、トロンボスポンジン、および他の血管形成のインヒビター;GDEPT組合せにおいて使用される酵素(すなわち、無毒のプロドラッグと組み合わせて使用される自殺遺伝子)、例えば単純ヘルペスウイルス由来のチミジンキナーゼ(HSV−TK);シトシンデアミナーゼ;ポルフィリン;TIMP−2(メタロプロテイナーゼ−2の組織インヒビター);植物、細菌または真菌の毒素遺伝子、例えば、サポリン、リシン、ジフテリア毒、コレラ毒;ウイルスタンパク質遺伝子、例えばE1A;変異E6;SV40 Tagまたはプラスミド維持および/もしくはコピー数に作用するウイルスタンパク質遺伝子、例えばEBNA−1;リボザイムまたはアンチセンスオリゴヌクレオチドをコードしている転写プラスミド、アデノシンデアミナーゼ;CFTR−嚢胞性線維症;GM−CSF、IL−4、IL−2、IL−7、IL−10;癌胎児性抗原;HLA−B7;TNF;T細胞受容体抗体;CEA;Ig;IFN−g;MART−1;キメラ抗体/TCR;前立腺特異抗原;抗erbB−2;単鎖抗体;BRCA−1;α−1アンチトリプシン;p47 phax;ファンコニ貧血相補群C;グルコセレブロシダーゼ;イズロン酸−2−スルファターゼ;プリンヌクレオシドホスホリラーゼ。他の治療的遺伝子も、継続して発見され、および本発明の方法において使用することができる。治療的遺伝子は、一般に発現構築物の一部として送達されるが、他の様式も可能である。
【0058】
II. 脂質ベースの全身送達ベヒクル ( 「 LBSDV 」 )
A. LBSDVの構造
本発明は、関心のある特定の組織部位のような標的へペイロードを送達するのに有用な脂質ベースの全身送達ベヒクルを提供する。このようにある態様において、本発明は、治療的遺伝子のようなペイロードを特異的組織部位へ送達するのに有用な脂質ベースの全身送達ベヒクル(「LBSDV」)を提供する。本発明の適当なLBSDVは、リポソーム、ミセル、脂質−核酸粒子、SPLP、ビロソームなどを含むが、これらに限定されるものではない。ある好ましい局面において、脂質−核酸粒子のような、脂質ベースの全身送達ベヒクルは、複数の構成的部分を有する。好ましい局面において、構成的部分として、抗体または標的化リガンド(例えば、細胞認識部分)のような外部標的化する部分を含まない。ある局面において、LBSDVの構造は、LBSDVを、その結果ペイロードを特異的組織部位へ選択的に送達するような方法でデザインおよび操作することができる。組織部位は、臓器、骨、腫瘍およびそれらの組合せを含むが、これらに限定されるものではない。臓器は、心臓、脾臓、肺、腎臓および肝臓を含むが、これらに限定されるものではない。
【0059】
ひとつの態様において、LBSDVは、核酸−脂質粒子である。核酸−脂質粒子は、治療的遺伝子のような核酸を含む。適当な核酸は、プラスミド、アンチセンスオリゴヌクレオチド、およびリボザイムを含むが、これらに限定されるものではない。核酸は、負帯電しており、かつ正帯電した実体と組み合わせ、製剤および細胞送達に適した脂質複合体を形成することができる。脂質ベースの全身送達ベヒクルは、治療的遺伝子、または細胞内の何らかのタンパク質の生成を誘導またはブロックすることが意図されたオリゴヌクレオチドを送達するために使用される場合、カチオン性脂質は、製剤、例えばリポソーム、ミセル、脂質−核酸粒子などに含まれる。複数の構成的部分を有する脂質ベースの全身送達ベヒクルをデザインし、その後これらの複数の構成的部分の各々の量を変動することにより、組織選択性をLBSDVに与えることが可能である。本明細書において使用される「組織選択性」とは、LBSDVが、特異的組織部位を蓄積または標的化する性向を有し、および/または特異的組織部位において治療的遺伝子が発現することを意味する。以下に詳細に説明するように、組織選択性は、インビボおよびインビトロ両法を用い、決定および確認される。一旦組織選択性がLBSDVに与えられれば、活性物質の特異的組織部位への選択的標的化が可能である。
【0060】
ひとつの好ましい局面において、LBSDVは、安定したプラスミド−脂質粒子である(SPLP)。本発明のSPLPまたは核酸−脂質粒子は、複数の構成的部分を有する。好ましい局面において、SPLPは、下記の構成的部分を含む:(a)核酸;(b)カチオン性脂質を約1.0mol%〜約60mol%;(c)非カチオン性脂質のような、別の脂質を約0.0mol%〜約90mol%;(d)二重層安定化成分を約1.0mol%〜約30mol%;(e)コレステロールを約0.0mol%〜約90mol%;および、(f)カチオン性ポリマー脂質を約0.0mol%〜約15mol%。有利なことに、先に説明したように、複数の構成的部分を各々変動することにより、LBSDV(例えば、SPLP)へ組織選択性を与えることが可能であることが発見された。別の好ましい局面において、SPLPは、下記の構成的部分を含む:(a)核酸;(b)カチオン性脂質を約1.0mol%〜約45mol%;(c)非カチオン性脂質を約0.0mol%〜約90mol%;(d)二重層安定化成分を約1.0mol%〜約10mol%;(e)コレステロールを約0.0mol%〜約60mol%;および、(f)カチオン性ポリマー脂質を約0.0mol%〜約10mol%。
【0061】
例えば、肝硬変、肝腫瘍などの、ある適応症において、従来型薬物または核酸を、肝臓のような様々な組織へ標的化することが望ましい。LBSDVの構成的部分を構造的にデザインすることにより、組織特異的蓄積、例えば肝蓄積、すなわち肝臓に向けられた性向が、LBSDV(例えば、SPLP)に与えられる。
【0062】
腫瘍送達のためにデザインされた例証的LBSDV(例えば、SPLP)は、図1に示されている。この態様において、SPLPは、DOPE、DODACおよびPEGC20を含む。好ましくは、DOPE:DODAC:PEGC20の比は、約82.5mol%対約7.5mol%対約10mol%である。Neuro−2A腫瘍を持つマウスへの全身投与の後、このようなSPLPの生体分布が決定された。図1は、腫瘍蓄積のためのLBSDVの構成的部分、すなわち、腫瘍に向けられた性向を構造的にデザインすること、つまり、他の組織と比べ腫瘍内で治療的遺伝子をより多く発現することが可能であることを示している。
【0063】
図2は、本発明の方法および組成物を使用し、SPLPを、肝臓組織選択性を与えるように操作することが可能であることを示している。この態様において、LBSDVは、組織標的化のためにデザインされ、ここで組織部位は肝臓である。肝臓送達のためにデザインされたLBSDV(例えば、SPLP)の例は、図3〜4に図示されている。図3および4は、SPLPのようなLBSVDを肝臓選択性を得るように操作した結果を示し、ここでSPLPは、DOPE、CHOL、DODAC、PEGC20、およびCPLを含む。より詳細には、SPLPは、DOPE:CHOL:DODAC:PEGC20:CPLを、約31mol%対約45mol%対約14mol%対約10mol%対約4mol%の比で含む。
【0064】
前述の腫瘍および肝組織に加え、さらに別の態様において、LBSDVを心組織へ選択的に送達することが可能である。例えば構成的部分が、DOPE、DODAC、およびPEGC20を約76mol%対約14mol%対約10mol%の比で含むSPLPのようなLBSDVを用い、選択的心臓送達が実現される。
【0065】
本発明のLBSDVのある好ましい構成的部分は、カチオン性脂質である。先に説明したように、カチオン性脂質とは一般に、リポソーム膜またはその近傍に配置された(リポソームへ組込まれた場合)カチオン性ヘッド基を伴う脂質を意味する。LBSVDの別の好ましい構成的部分であるCPLは、場合によってLBSDVの膜から有意の距離にカチオン性電荷を配置する作用を有するポリマー「W」により、カチオン性脂質から識別される。
【0066】
適当なカチオン性脂質の例は、N,N−ジオレイル−N,N−ジメチル塩化アンモニウム(DODAC)、N,N−ジステアリル−N,N−ジメチル臭化アンモニウム(DDAB)、N−(1−(2,3−ジオレオイルオキシ)プロピル)−N,N,N−トリメチル塩化アンモニウム(DOTAP)、N−(1−(2,3−ジオレオイルオキシ)プロピル)−N,N−ジメチル塩化アンモニウム(DODAP)、N−(1−(2,3−ジオレイルオキシ)プロピル)−N,N,N−トリメチル塩化アンモニウム(DOTMA)、およびN,N−ジメチル−2,3−ジオレイルオキシ)プロピルアミン(DODMA)、ならびに前述の2個以上の混合物を含むが、これらに限定されるものではない。別のカチオン性脂質は、DC−Chol(Gaoら、Biochem. Biophys. Res. Comm.、179:280−285(1991)参照);DDAB;DMRIE;DODAC(国際公開公報第96/10390号参照、これは本明細書に参照として組み入れられる);DOGS;DOSPA;DOTAP;および、DOTMAを含む。現時点での好ましい態様においては、N,N−ジオレオイル−N,N−ジメチル塩化アンモニウムが、ホスファチジルエタノールアミンと組み合わせて使用される。
【0067】
加えて、遺伝子およびオリゴヌクレオチド送達のための脂質ベースの担体を作成するのに有用なカチオン性脂質を含む他の組成物は、LIPOFECTIN(Eppsteinらに発行された米国特許第4,897,355号;第4,946,787号;および、第5,208,036号)、およびLIPOFECTACE(Roseに発行された米国特許第5,279,883号)である。両物質に加え、他のトランスフェクションするカチオン性脂質が、Life Technologies社(Gaithersburg、Maryland)から入手できる。
【0068】
別の本発明のLBSDVの好ましい構成的部分は、カチオン性ポリマー脂質(「CPL」、図16参照)である。ある適用において、CPLの「W」のポリマー長、すなわち分子量(「MW」)は、ステルス(stealth)リポソームに使用される通常の中性PEG鎖(M.W. 2000〜5000ダルトン)よりも小さい。このような場合、より短いCPLポリマーは、約250〜約3000ダルトンであり、より好ましくは約1000〜約2000ダルトンである。CPLの完全な説明は、2000年4月20日に出願された米国特許出願第09/553,639号、および2000年10月26日に公開された国際公開公報第00/62813号に開示されており、これらはすべての目的に関して本明細書に参照として組み入れられる。
【0069】
別の態様において、CPLの「W」のポリマー長は、ステルスリポソームに使用される通常の中性PEG鎖よりも大きいMWを有する。このような場合、BSCは、例えばPEG1000−脂質であり、式Iの化合物は、例えば式A−PEG3400−Yを有する。
【0070】
ある製剤および適用において、CPLの種類、すなわちポリマー鎖の長さ、分子当たりのカチオン性電荷の量、および所定の製剤、例えばSPLP中のこのようなCPLの量は、望ましいクリアランス特性を得るために最適化することができる。場合によっては、所定の製剤中のより長い鎖のCPLおよびより高レベルのこのようなCPLは、トランスフェクション増強を生じる。他方で、製剤に組み込まれた、より短い鎖のCPLは、動物においてより長い循環寿命を生じる。
【0071】
典型的には、CPLは、本発明のLBSDV中に、約0.05mol%〜約50mol%の範囲の濃度で存在する。現時点で好ましい態様において、CPLは、0.05mol%〜約25mol%の範囲の濃度で存在する。さらにより好ましい態様において、CPLは、0.05mol%〜約15mol%の範囲の濃度で存在する。当業者は、CPLの濃度は使用されるCPLおよびリポソームが融合性となる速度に応じて変動しうることを理解するであろう。
【0072】
本発明のLBSDVの別の好ましい構成的部分は、二重層安定化成分(BSC)である。適当なBSCは、ポリアミドオリゴマー、ペプチド、タンパク質、界面活性剤、脂質誘導体、ホスファチジルエタノールアミンに結合されたPEGおよびセラミドに結合したPEGのようなPEG−脂質(米国特許第5,885,613号参照、これは本明細書に参照として組み入れられる)を含むが、これらに限定されるものではない。好ましくは、二重層安定化成分は、PEG−脂質、またはATTA−脂質である。本明細書において考察されたように、ある好ましい場合のBSCのPEGまたはATTAは、CPLのポリマー「W」と比べより大きい分子量を有する。別の場合において、BSCは、該ポリマーの「W」と比べより小さい分子量を有する。本発明は、このような変型を包含している。
【0073】
ひとつの態様において、本発明のLBSDVは、非層状相の採用が可能であり、二重層安定化成分(PEG−脂質誘導体など)の存在時に二重層構造をとることが可能な脂質;ならびに、二重層構造内の脂質を安定化するためにこの脂質と逆に会合された二重層安定化成分を含む。このような融合性リポソーム(1996年12月19日に公開された国際公開公報第96/40964号参照)は、これらが融合性となる速度を予め決定することができるだけでなく、必要に応じて数分から数十時間の時間スケールで変動させることができるので有利である。例えば、この二重層安定化成分の組成および濃度を制御することにより、BSCがインビボにおいてリポソーム外に交換される速度を、次にリポソームが融合性となる速度を制御することができることはわかっている(米国特許第5,885,613号参照)。例えば、脂質アシル鎖の長さを制御することにより、BSCがインビボにおいてリポソーム外に交換される速度を、次にリポソームが融合性となる速度を制御することができることがわかっている。特に、より短いアシル鎖(例えば、C−8)は、より長いアシル鎖(例えば、C−20)よりもより迅速にリポソーム外に交換されることが発見されている。あるいは、BSCの組成および濃度を制御することにより、内在性システム、例えば、血清中の内在性酵素により、BSCが分解される、すなわち崩壊する速度、次にリポソームが融合性となる速度を制御することができる。
【0074】
こうしてひとつの態様において、本発明のLBSVDを形成するために使用することができる脂質は、生理的条件下または特異的生理的条件、例えば、カルシウムイオンの存在下で、非層状相を採用するが、BSCの存在下では二重層構造をとることが可能であるものである。このような脂質は、ホスファチジルエタノールアミン、セラミド、糖脂質、またはそれらの混合物を含むが、これらに限定されるものではない。生理的条件下で非層状相を採用する当業者に公知のその他の脂質も、使用することができる。さらに他の脂質は、例えばpHまたはイオン濃度の変化(例えば、カルシウムイオンの存在)を含む、様々な非生理的変化により、非層状相の採用を誘導することができ、従ってこれらは本発明の融合性リポソームを作成するためにも使用することができることが、当業者には容易に明らかであろう。現時点で好ましい態様において、LBSVDは、ホスファチジルエタノールアミンから調製される。このホスファチジルエタノールアミンは、飽和または不飽和であることができる。現時点で好ましい態様において、ホスファチジルエタノールアミンは不飽和である。同等に好ましい態様において、融合性リポソームは、ホスファチジルエタノールアミン(飽和または不飽和)およびホスファチジルセリンの混合物から調製される。別の同等に好ましい態様において、LBSDVは、ホスファチジルエタノールアミン(飽和または不飽和)およびカチオン性脂質の混合物から調製される。
【0075】
本発明に従い、生理的条件下で非層状相を採用する脂質は、それ自身二重層形成するか、または補足的な動的形状(complementary dynamic shape)であるかのいずれかであるBSCにより、二重層構造内で安定化することができる。非二重層形成脂質は、それがBSCと会合された場合、すなわちBSCが存在する場合にのみ、二重層構造内で安定化される。適当なBSCの選択において、BSCは、リポソームの外へ移動する、または内在性システムにより化学的に修飾されることが可能であることが好ましく、その結果これは経時的に二重層構造中の脂質を安定化するその能力を喪失する。リポソーム安定性が喪失または低下された場合にのみ、リポソームの標的細胞の形質膜への融合を生じることができる。従ってBSC−脂質は、脂質に「可逆的に会合」され、かつこれが脂質と会合された場合にのみ、脂質は、そうでなければ非層状相を採用するであろう条件下で、二重層構造を採用せざるを得ない。こうして、本発明のBSC−脂質は、二重層構造中の脂質の安定化が可能であり、依然これらはリポソーム外に交換されるまたは内在性システムにより化学的に修飾されることが可能であり、その結果経時的に、これらは二重層構造中の脂質を安定化するそれらの能力を喪失し、その結果リポソームを融合性とする。
【0076】
本発明のLBSDVの別の好ましい構成的部分は、非カチオン性脂質のような別の脂質である。非カチオン性脂質は、中性脂質およびアニオン性脂質を含む。好ましい非カチオン性脂質は、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPE)、POPC、および卵ホスファチジルコリン(EPC)を含むが、これらに限定されるものではない。
【0077】
本発明の別の態様において、LBSDV(例えば、リポソーム)は、選択的にコレステロールを含む。インビボにおいてコレステロール非含有リポソームが使用される場合、これらは血漿リポタンパク質および細胞膜からコレステロールを吸収する傾向があることが確定されている。コレステロールが含まれる場合、これは一般に0.2mol%〜約90mol%の範囲の濃度で、より好ましくは15mol%〜約60mol%の濃度、最も好ましくは約35mol%〜約45mol%の濃度で存在する。
【0078】
B. CPL− リポソームのような LBSDV の調製
下記の考察は、概してリポソームに関する;しかし、この同じ考察は、その他の本発明のLBSDV(例えば、ミセル、ビロソーム、脂質−核酸粒子など)に完全に適用可能であることは当業者には容易に明らかであろう。好ましい方法において、SPLPは、1996年12月19日に公開された国際公開公報第96/40964号の開示に従い作成される。
【0079】
本発明の好ましいLBSDVは、CPL−リポソームである。CPL含有SPLP(または、「CPL−リポソーム」)の作成に関する様々な一般的方法が本明細書において考察されている。二つの一般的技法は、「後挿入」技法、すなわちCPLの例えば予め形成したリポソームベシクルへの挿入、ならびにCPLが例えばリポソーム形成工程時に脂質混合物に含まれるような「標準」技法である。後挿入技法は、リポソーム二重層膜の主に外面にCPLを有するリポソームを生じるのに対し、標準技法は、内面および外面の両方にCPLを有するリポソームを提供する。
【0080】
特に「後挿入」は、LBSDV(いずれかの方法による)の形成、および適当な条件(通常60℃で2〜3時間)下、CPLの存在する状態で、予め形成したベシクルをインキュベーションすることを含む。CPLを60〜80%の間で、レシピエントベシクルの外側の葉状部に挿入することができ、最終濃度最大7mol%(総脂質に対して)を生じる。この方法は、特にリン脂質(これはコレステロールを含みうる)から製造されたベシクル、ならびにPEG−脂質(PEG−セラミドなど)を含むベシクルにとって有用である。
【0081】
「標準」技法の例において、本発明のLBSDVは、押出により形成することができる。この態様において、CPLを含む全ての脂質は、クロロホルムに同時溶解され、これはその後窒素下、引き続き高真空下で除去される。この脂質混合物は、適当な緩衝液に水和され、孔径100nmである2個のポリカーボネートフィルターを通って押出される。得られるベシクルは、内面および外面の両方にCPLを含む。さらに別の標準技法において、CPL−LUVの形成は、例えば両方とも本明細書に参照として組み入れられる、米国特許第5,976,567号および第5,981,501号に開示されたような、界面活性剤透析法またはエタノール透析法を用いて実現することができる。
【0082】
C. LBSDV の薬物送達ベヒクルとしての使用
本発明の脂質ベースの薬物製剤および組成物(例えばリポソーム、ミセル、脂質−核酸粒子、ビロソームなど)は、治療的物質、予防的物質および診断的物質のような、生体活性物質の全身的または局所的送達に有用である。このような送達システムは、例えば以下のものに、より詳細に開示されている:国際公開公報第95/32706号、米国特許第5,705,385号、第5,976,567号、第5,981,501号、第60/055,094号、第08/856,374号、国際公開公報第99/04819号および国際公開公報第99/18933号、これらの内容は全て本明細書に参照として組み入れられる。
【0083】
下記の考察は、概してリポソームに関する;しかし、当業者には、これと同じ考察が、本発明のその他の薬物送達システム(例えば、ミセル、ビロソーム、脂質−核酸粒子など)に完全に適用可能であることは容易に理解されるであろう。
【0084】
治療的物質の送達に関し、LBSDVは、治療的物質(従来型または核酸)が負荷され、治療が必要な対象へ投与することができる。本発明を用いて投与される治療的物質は、様々な薬物のいずれかであることができ、これは治療または予防されるべき疾患に関する適切な治療であるように選択される。薬物は、ビンクリスチン、ドキソルビシン、ミトキサントロン、カンプトテシン、シスプラチン、ブレオマイシン、シクロホスファミド、メトトレキセート、ストレプトゾトシンなどの抗新生物物質であることが多い。特に好ましい抗腫瘍物質は、例えば、アクチノマイシンD、ビンクリスチン、ビンブラスチン、システインアラビノシド、アントラサイクリン、アルキル化剤、白金化合物、代謝拮抗物質、およびヌクレオシドアナログ、例えばメトトレキセートならびにプリンおよびピリミジンアナログを含む。本発明の方法により、抗感染物質を特異的組織へ送達することも望ましい。本発明の組成物は、局所麻酔薬、例えば、ジブカインおよびクロルプロマジン;β−アドレナリン遮断薬、例えば、プロプラノロール、チモロールおよびラベトロール;抗高血圧薬、例えば、クロニジンおよびヒドララジン;抗鬱薬、例えば、イミプラミン、アミトリプチリンおよびドキセピン;抗痙攣薬(anti−conversant)、例えば、フェニトイン;抗ヒスタミン薬、例えば、ジフェンヒドラミン、クロルフェニリミンおよびプロメタジン;抗生物質/抗菌剤、例えば、ゲンタマイシン、シプロフロキサシン、およびセフォキシチン;抗真菌薬、例えば、ミコナゾール、テルコナゾール、エコナゾール、イソコナゾール、ブタコナゾール(butaconazole)、クロトリマゾール、イトラコナゾール、ナイスタチン、ナフチフィン、およびアンホテリシンB;寄生虫駆除薬、ホルモン、ホルモンアンタゴニスト、免疫調節薬、神経伝達物質アンタゴニスト、抗緑内障薬、ビタミン、麻酔薬および造影剤(imaging agent)を含むが、これらに限定されるものではない、他の薬物の選択的送達にも使用することができる。
【0085】
前述のように、LBSDVは、例えば細胞内の何らかのタンパク質の産生を誘導またはブロックすることが意図された、治療的遺伝子またはオリゴヌクレオチドの送達に使用することができる。核酸は、負帯電し、かつ正帯電した実体と一緒に、脂質複合体または完全に封入された安定したプラスミド−脂質粒子を形成することができる。
【0086】
特に有用なアンチセンスオリゴヌクレオチドは、c−myc、bcr−abl、c−myb、ICAM−1、C−erb B−2およびBCL−2などの標的に向けられる。本発明のLBSDVは、ペプチド、核酸、プラスミドDNA、ミニ染色体およびリボザイムの送達にも有用である。
【0087】
本発明のLBSDVの別の臨床適用は、動物およびヒトの両方の免疫処置のためのアジュバントである。ジフテリアトキソイド、コレラ毒、寄生体抗原、ウイルス抗原、免疫グロブリン、酵素および組織適合性抗原のようなタンパク質抗原は、免疫処置を目的として、本発明のLBSDVに組込みまたは付着させることができる。
【0088】
本発明のLBSDVは、特に免疫応答を刺激するために、適当なリンパ系器官に対し標的化されるワクチンの担体としても有用である。
【0089】
本発明のLBSDVは、選択的にマクロファージへ免疫抑制物質または免疫賦活物質を送達するためのベクターとして使用することもできる。特に、マクロファージ活性およびマクロファージを活性化するリンホカインの抑制に有用である糖質コルチコイドは、本発明のリポソームを用いて送達することができる。
【0090】
本発明の標的化する分子を含むLBSDVは、細胞の刺激または抑制のために使用することができる。例えば、特定の抗原を組込んでいるリポソームは、その抗原と特異的に結合する表面抗体を提示しているB細胞集団を刺激するために使用することができる。リポソーム表面上に増殖因子およびリンホカインを組込んでいるリポソームは、これらの因子の適当な受容体を発現している細胞を刺激するように指示することができる。この方法を用い、癌患者の治療の一部として、骨髄細胞を刺激し、増殖することができる。
【0091】
LBSDVに封入された抗体を用い、過剰量の薬物を処理することができる。封入された抗体を有するリポソームは、肝臓へ送達される傾向があり、血液循環系からの毒物などの物質のクリアランスにおいて、治療的利点を有する。封入されていないジゴキシンに対する抗体は該薬物の血管内滞留を生じるが、封入された抗体は脾臓および肝臓の取込みならびにジゴキシン排泄率を増大させることが明らかにされている。
【0092】
本発明のLBSDVは、さらに抗原を欠いている細胞の形質膜への脂質またはタンパク質抗原の導入のための担体としての利用性も認められる。例えば、組織適合性抗原またはウイルス抗原は、ウイルス感染した細胞または腫瘍細胞の表面へ導入され、免疫系によるこれらの細胞の認識および殺傷を促進することができる。
【0093】
加えて、本発明のLBSDVは、PEG誘導化されたリポソーム中に現在製剤化されたものを含むいずれかの製品(例えば、治療的物質、診断的物質、標識または他の化合物)を送達するために使用することができる。
【0094】
ある態様において、細胞種または組織に対して特異的である標的化する部分を用い、本発明のLBSDVを標的化することが望ましい。リガンド、細胞表面受容体、糖タンパク質、ビタミン(例えば、リボフラビン)およびモノクローナル抗体のような、様々な標的化する部分を使用するLBSDVの標的化は、これまでに説明されている(例えば、米国特許第4,957,773号および第4,603,044号参照、その内容は本明細書に参照として組み入れられる)。これらの標的化する部分は、全タンパク質またはそれらの断片を含むことができる。
【0095】
場合によっては、LBSDVの診断的標的化は、次に標的化された細胞または組織を治療するために使用することができる。例えば、毒素が標的化されたリポソームに結合された場合は、この毒素はその後、新生物性細胞のような、標的化された細胞を破壊することにおいて有効である。
【0096】
別の局面において、本発明は、下記工程を含むLBSDVの細胞内送達を増大する方法を提供する:LBSDVへの式Iの化合物の組込み工程、これによる式Iの化合物を伴わないLBSDVと比べて、LBSDVの細胞内送達の増大工程。式Iの化合物は、細胞内送達を、約10倍〜約1000倍、および好ましくは約10倍〜約100,000倍増大する。
【0097】
別の局面において、本発明は、下記工程を含む、非経口投与された脂質ベースの薬物製剤の血中循環時間を延長する方法を提供する:脂質ベースの薬物製剤へ、式Iの化合物を約0.1〜20mol%組込む工程。
【0098】
別の局面において、本発明は、下記工程を含む、細胞をLBSDVでトランスフェクションする方法を提供する:細胞を、式Iの化合物を約0.1〜20mol%有するLBSDVと接触する工程。さらに、細胞のLBSDVによるトランスフェクションを増大する方法は、下記の工程を含む:細胞を、式Iの化合物を約0.1〜20mol%有するLBSDVと接触し、これにより式Iの化合物を伴わないLBSDVのトランスフェクション効率と比べて、LBSDVのトランスフェクション効率を増大する工程。
【0099】
D. リポソームの負荷および投与
下記の考察は、概してリポソームに関する;しかし当業者には、これと同じ考察が、本発明のその他の薬物送達システム(例えば、ミセル、ビロソーム、脂質−核酸粒子など)に完全に適用可能であることは容易に理解されるであろう。通常の薬物をリポソームへ負荷する方法は、例えば、封入技術、二重層への負荷およびトランスメンブランポテンシャル負荷法を含む。繰り返しになるが、LBSDVへ核酸を取り込む方法は、1996年12月19日に公開された国際公開公報第96/40964号;1999年2月4日に公開された国際公開公報第99/05303号;および、1999年4月22日に公開された国際公開公報第99/18933号に開示されている。
【0100】
ある封入技術において、薬物およびリポソーム成分は、有機溶媒に溶解され、ここで全ての種が混和可能で、乾燥フィルムへと濃縮される。その後緩衝液が、乾燥フィルムに添加され、ベシクル壁に取り込まれた薬物を有するリポソームが形成される。あるいは、薬物が緩衝液中に入れられ、脂質成分のみの乾燥フィルムに添加される。この方法において、薬物は、リポソームの水性の内部に封入され始める。リポソームの形成に使用される緩衝液は、生物学的に適合性のある緩衝液のいずれか、例えば等張生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水、または他の低イオン強度の緩衝液であることができる。一般に薬物は、約0.01ng/mL〜約50mg/mLの量で存在するであろう。水性の内部または膜内に取り込まれた薬物を伴う得られたリポソームは、その後選択的に前述のようにサイズ決定される。
【0101】
トランスメンブランポテンシャル負荷は、米国特許第4,885,172号、米国特許第5,059,421号、および米国特許第5,171,578号に詳細に開示されており、これらの内容は本明細書に参照として組み入れられる。簡単に述べると、トランスメンブランポテンシャル負荷法は、適当な水性媒質に溶解された場合に帯電した状態で存在することができる本質的に通常の薬物のいずれかとともに使用することができる。好ましくは、この薬物は、相対的に親油性であり、その結果これはリポソーム膜に分配されるであろう。トランスメンブランポテンシャルは、リポソームまたはタンパク質−リポソーム複合体の二重層を横断して生じ、かつこの薬物は、このトランスメンブランポテンシャルによりリポソームへと負荷される。このトランスメンブランポテンシャルは、膜を横断する1個または複数の帯電種(例えば、Na+、K+および/またはH+)の濃度勾配の形成により作成される。この濃度勾配は、内部媒質および外部媒質が異なるリポソームの形成により作成され、プロトン勾配を伴う。薬物蓄積は、Henderson−Hasselbach式により予想される方法で生じうる。
【0102】
本発明のリポソーム組成物は、標準技術に従い対象へ投与することができる。好ましくは、リポソーム組成物の薬学的組成物は、非経口的に、すなわち腹腔内、静脈内、皮下または筋肉内に投与される。より好ましくは、薬学的組成物は、固定注入により静脈内投与される。本発明における使用に適した製剤は、「レミントン薬科学(Remington’s Pharmaceutical Sciences)」、Mack Publishing Company、フィラデルフィア、PA、17版(1985)に記されている。これらの薬学的組成物は、例えば、様々な状態の診断、または病態の治療に使用することができる。疾患は、リウマチ様関節炎に関連した炎症、虚血後の白血球媒介型組織損傷(再灌流損傷)、急性白血球媒介型肺損傷(例えば、成人呼吸窮迫症候群)、敗血症ショック、ならびにアトピー性皮膚炎および乾癬を含む急性および慢性炎症を含むが、これらに限定されるものではない。加えて、様々な新生物および腫瘍の転移を治療することができる。
【0103】
好ましくはこの薬学的組成物は静脈内投与される。従って本発明は、許容できる担体、好ましくは水性担体中に懸濁されたリポソームの溶液を含む静脈内投与のための組成物を提供する。様々な水性担体を使用することができ、例えば、水、緩衝水、0.9%等張生理食塩水などである。これらの組成物は、通常の周知の滅菌技術により滅菌するか、または濾過滅菌することができる。得られる水溶液は、そのまま使用されるように包装されるか、または凍結乾燥され、凍結乾燥された調製物は、投与前に滅菌水溶液と一緒にされる。これらの組成物は、だいたい生理的条件になるように、例えばpH調節剤および緩衝剤、張性調節剤、湿潤剤などの薬学的に許容できる佐剤物質、例えば、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、ソルビタンモノラウリン酸エステル、オレイン酸トリエタノールアミンなどを含むことができる。
【0104】
薬学的製剤中の活性成分の濃度は、広範に、すなわち約0.05%未満、通常約2〜5%または少なくとも約2〜5%から、10〜30重量%と同程度まで変動することができ、選択された投与の特定の様式に従い、主に液体容量、粘度などにより選択されるであろう。診断については、投与される組成物の量は、使用された特定の標識(すなわち、放射標識、蛍光標識など)により左右され、その病態は、臨床医が判定することにより診断される。
【0105】
III. SPLPS のような LBSVD ライブラリー
ある局面において、本発明は、LBSVDライブラリーおよびコンビナトリアル技術を使用するLBSDVライブラリーの構築法を提供する。コンビナトリアルケミストリーは、候補LBSDVおよびそれらの組み合わせを、ライブラリーに、選択、合成および組み合わせることを自動化しかつ簡便化するようにデザインされた一連の革新的技術を説明する総称的用語である。コンビナトリアル法の最初の工程は、LBSDVのライブラリーに包含するためのカチオン性脂質、非カチオン性脂質およびCPLのような化合物の構成的部分の選択である。このライブラリーの組立てにおいて主要な焦点は、様々な操作の各工程の自動化である。多くの場合、96ウェルまたは384ウェルマイクロタイタープレートが試薬の分配に使用される。反応温度、反応試薬の容量、反応雰囲気の不活性度などを制御する自動化されたシステムが利用可能である。加えて、高度に自動化されたサンプリング操作および分析が、ライブラリー内のLBSDVの容量を分析するために開発されている。
【0106】
コンビナトリアルケミカルライブラリーの調製は、当業者に周知である。同様の方法を用い、LBSDVの巨大なライブラリーを調製することが可能である。SPLPのアレイまたはライブラリーは、第一の複数の構成的部分および第一の組織選択性を有する第一の核酸−脂質粒子;ならびに、第二の複数の構成的部分および第二の組織選択性を有する第二の核酸−脂質粒子を含み、ここで第一および第二の核酸−脂質粒子は、構成的に異なる。これらの構成的部分は、同じまたは異なりうることが示されている。例えば、ある態様において、第一のSPLPは、核酸、カチオン性脂質、BSCおよびコレステロールを含み;および、第二のSPLPは、核酸、カチオン性脂質、BSC、コレステロールおよびCPLを含む。
【0107】
コンビナトリアルライブラリーの調製のための装置は、市販されている(例えば、357 MPS、390 MPS、Advanced Chem Tech社、ルイスビル、KY、Symphony, Rainin社、ウォーバーン、MA、433A、Applied Biosystems社、フォスターシティ、CA、9050 Plus、Millipore社、ベッドフォード、MA参照)。液相化学のための多くの周知のロボット型システムも開発されている。これらのシステムは、武田薬品工業株式会社(大阪、日本)により開発された自動合成装置のような自動化されたワークステーションおよび多くのロボットアームを利用するロボット型システム(Zymate II, Zymark社、ホプキントン、Mass.;Orca, Hewlett−Packard社、パロアルト、Calif.)を含み、これは当業者により実行される手動合成操作を模倣するものである。本明細書において考察されたように操作することができるようにするためのこれらの装置の改良の性質および履行(存在するならば)は、当業者には明らかであろう。加えて、多くのコンビナトリアルライブラリーは、それら自身市販されている(例えば、ComGenex社、プリンストン、NJ;Asinex社、モスクワ、ロシア;Tripos社、セントルイス、MO;ChemStar社、モスクワ、ロシア;3D Pharmaceuticals社、エクストン、PA;Martek Biosciences社、コロンビア、MDなど参照)。
【0108】
IV. 組織特異性の決定
A. インビトロ法
ある態様において、本発明は、組織選択性を決定するためのインビトロアッセイ法を提供する。この方法は、第一のウェルおよび第二のウェルを有するマルチウェルプレートを提供する工程を含み、各ウェルは、そこに配置された組織型を有する。各ウェル中に、第一の複数の構成的部分を有する核酸−脂質粒子が分配され、その後望ましい組織中の核酸−脂質粒子の核酸のトランスフェクション効率が決定される。
【0109】
ある局面において、マルチプレート中の各ウェルは、肝細胞のような同じ型の組織を有する。この局面において、マルチウェルタイタープレートの各ウェルは、そこに分配されたSPLPのような異なるLBSVDを有し、すなわちSPLPのようなLBSVDの複数の構成的部分は変動する。あるいは、マルチプレートの各ウェルは、その中に配置された組織の異なる型を有することができる。この局面において、LBSDVの複数の構成的部分は、一定に維持される。
【0110】
これらの組織または細胞は、トランスフェクションを達成するのに十分な時間核酸−脂質粒子と接触される。その後、トランスフェクション効率が決定され、組織選択性が評価される。
【0111】
B. インビボ法
ある別の態様において、本発明は、組織選択性を決定するためのインビトロアッセイ法を提供する。このように本発明は、組織選択性を決定するアッセイ法を提供し、このアッセイ法は、複数の構成的部分を有する脂質ベースの全身送達ベヒクルをマウスの尾静脈へ注射し、生体分布パターンを作成する工程;および、生体分布パターンを分析し、これにより組織選択性を決定する工程を含む。ある局面において、このマウスは、SPLPのようなLBSDVがそこに含まれた放射性物質と共に投与されるマウスアレイである。投与後、生体分布試験が行われる。下記実施例1は、このような試験を例証している。臓器および腫瘍への[3H]CHEの蓄積のような放射性物質の蓄積が決定される。あるいは、この活性物質は、ルシフェラーゼのような酵素をコードしている遺伝子である。その後、LBSDVの特定の物質を標的部位に送達する性向が決定される。
【0112】
V. 核酸機能の決定
組織選択性がLBSDVに与えられた後、核酸機能の確認が可能である。このように、本発明は、特異的組織部位での核酸機能を決定する方法を提供し、この方法は、組織選択性を有する脂質ベースの全身送達ベヒクルを哺乳類へ投与する工程であり、この脂質ベースの全身送達ベヒクルは核酸を含む工程;および、少しでもあれば、核酸の特異的組織部位に対する作用を分析し、これにより核酸機能を決定する工程を含む。
【0113】
全ての種類の核酸は、本発明のLBSDVにより会合され、従ってその後特異的組織部位へ送達することができる。これらは、DNA、RNA、DNA/RNAハイブリッド(各々が一本鎖または二本鎖である)を含み、アンチセンスオリゴヌクレオチドなどのオリゴヌクレオチド、キメラDNA−RNAポリマー、およびリボザイムを含み、これらは周知および未知の機能を有し、さらにはこれらの核酸の修飾された変種であり、ここでこの修飾は、塩基、糖部分、リン酸結合、またはそれらのいずれかの組合せにおけるものでありうる。さらに、本発明の組成物および方法の使用により、未知の機能の核酸を特異的組織部位へ向けることが可能である。
【0114】
前述より、本発明のLBSVDは、インビトロおよびインビボの両方の用途において有用であることは当業者には明らかであろう。本発明の方法を用い、核酸の特異的組織部位への作用を分析する、すなわち、例えば、肝臓におけるタンパク質の組換え体作出プロセスのような、核酸機能を決定することが可能である。核酸を特異的部位へ送達した後、核酸機能を変調する化合物を試験することが可能である。
【0115】
ある局面において、これらの核酸は、欠くことのできない遺伝子またはそれらの断片を含み、ここで1つ又は複数の標的組織細胞は何らかの意味で欠損している。これは、遺伝子が欠損している場合または遺伝子が突然変異され、過小または過剰発現を生じる場合に生じる。これらの核酸は、アンチセンスオリゴヌクレオチドも含みうる。このようなアンチセンスオリゴヌクレオチドは、標的遺伝子の発現を阻害するために構築することができる。前述のものは、本発明で使用されうる核酸の例であり、いかなる意味においても本発明を限定するものと考えるべきものではない。当業者は、他の核酸も本発明における使用に適していることを理解するであろう。
【0116】
下記実施例は、例証のために利用されるが、本発明を限定するものではない。(実施例)
材料
6種の大規模ルシフェラーゼプラスミドTCS製剤を調製した。PKおよび生体分布試験を促進するために、全て、[3−H]−CHEで標識した。これらは下記のものである:
A: 303 DOPE:DODAC:PEGC20::82.5:7.5:10 4(全身性のSPLPのリード物質)
B: 303+CPL 303w/4mol% CPL−4−1k
C: 314 DOPE:DODAC:PEGC20::76:l4:10 (高カチオン性脂質)
D: 314+CPL 314w/4mol% CPL−4−1k
E: 314C DOPE:CHOL:DODAC:PEGC20::31:45:14:10 (コレステロール)
F: 314C+CPL 314Cw/4mol% CPL−4−1k
これらの製剤を、インビボ試験を支持するために調製した。
【0117】
実施例1
本実施例は、Neuro−2A腫瘍を持つマウスへのSPLPの全身投与後の薬物動態および生体分布を例証している。
生体分布および遺伝子発現は、遺伝子送達およびトランスフェクションに対する作用の間を区別するため平行して試験した。腫瘍遺伝子発現試験は、PFVの全身投与から生じた遺伝子発現およびインビボにおけるカルシウムのプレインキュベーションが遺伝子発現に与える作用の試験に及んだ。
【0118】
被験試料/薬物:
全ての試料は、作業濃度に希釈する前に、濾過滅菌する。
全ての試料は、滅菌したクリンプ栓(crimp top)付バイアル内で提供する。
全てのバイアルは、調製日、脂質組成、比活性およびDNA濃度をラベル表示する。
全ての試料は、0.5mg/ml DNAで調製する。
[3−H]CHEは、1μCi/mg脂質で組入れる。
【0119】
【0120】
I. 実験デザイン
動物:140 A/Jマウス、雌、18〜23g;
実験群:4個のケージに飼育した動物;
4匹/群;
30群;
実験したマウス総数120匹、接種した(seeded)マウス140匹
【0121】
II. 手法
腫瘍接種:
細胞は、インビトロにおいて、ATCCにより継代されている。試験の0日目、細胞を収集し、洗浄し、計数し、1.5x106個細胞を、各マウスの後脇腹に皮下注射する(注射容量:50μl)。
処置:
マウスを、[3−H]CHE−SPLP(100μg DNA)製剤を総容量200μlでI.V.投与し、処置する。腫瘍容積が適当なサイズであれば、全ての処置を施す(およそ14日目)。不規則な腫瘍を持つ動物は本試験から除外する。マウスは処置を1回のみ受ける。
エンドポイント:
適当な時点で、マウスを秤量し、屠殺し、心穿刺により血液を採取し、秤量し、臓器(肝臓、肺、脾臓、腎臓)および腫瘍を、風袋を計った迅速処理用(fast−prep)チューブに収集し、[3−H]CHEについて評価する。
製剤および腫瘍の負担(burden)は、良く忍容されるが、処置または腫瘍の負担のいずれかに関連した窮迫の徴候を示しているマウスは終了する。
データ解析:
1)血液からの[3−H]CHEクリアランスを決定する。
2)臓器および腫瘍中の[3−H]CHEの蓄積を決定する。
【0122】
III. 結果
【0123】
実施例2
この実施例は、Neuro2A腫瘍を持つマウスにおけるSPLPの全身投与後のルシフェラーゼ遺伝子発現を例証している。
【0124】
被験試料/薬物:
全ての試料は、作業濃度に希釈する前に、濾過滅菌する。
全ての試料は、滅菌したクリンプ栓付バイアル内で提供する。
全てのバイアルは、調製日、脂質組成、比活性およびDNA濃度をラベル表示する。
全ての試料は、0.5mg/ml DNAで調製する。
[3−H]CHEは、1μCi/mg脂質で組入れる。
【0125】
【0126】
I. 実験デザイン
動物:140 A/Jマウス、雌、18〜23g;
実験群:4個のケージに飼育した動物;
4匹/群;
21群;
実験したマウス総数84匹、接種したマウス100匹
【0127】
II. 手法
腫瘍接種:
細胞は、インビトロにおいて、ATCCにより継代されている。試験の0日目、細胞を収集し、洗浄し、計数し、1.5x106個細胞を、各マウスの後脇腹に皮下注射する(注射容量:50μl)。
処置:
マウスを、[3−H]CHE−SPLP(100μg DNA)製剤を総容量200μlでI.V.投与し、処理する。腫瘍容積が適当なサイズであれば、全ての処置を施す(およそ12日目から)。不規則な腫瘍を持つ動物は本試験から除外する。マウスは処置を1回のみ受ける。
エンドポイント:
適当な時点で、マウスを屠殺し、臓器(肝臓、肺、脾臓、腎臓)および腫瘍を、風袋を計った迅速処理用チューブに収集し、ルシフェラーゼ遺伝子発現について評価する。
製剤および腫瘍負担は、良く忍容されることが期待されるが、処置または腫瘍負担のいずれかに関連した窮迫の徴候を示しているマウスは、動物施設スタッフの裁量が下された時点で終了する。
データ解析:
1)ルシフェラーゼ遺伝子発現
【0128】
III. 結果
【0129】
本明細書中の全ての刊行物、特許および特許出願は、全ての目的のためにそれらの全体が本明細書に参照として組み入れられる。本発明はその好ましい態様および実施例を参照し説明されているが、本発明の範囲はこれらの説明された態様のみに限定されるものではない。当業者に理解されるように、前述の本発明の変更および適合を、添付された「特許請求の範囲」により限定および制限された本発明の精神および範囲から逸脱しない限りは行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、SPLPは、腫瘍特異的遺伝子発現を誘起するように遺伝子操作することができることを図示している。
【図2】図2は、肝遺伝子発現のためのSPLPを図示している。これらのSPLPは、肝臓への効果的送達のためにデザインされている。
【図3】図3は、肝遺伝子発現のためのSPLPを図示している。ここに示されたように、SPLPは、血液コンパートメントから迅速にクリアランスされる。
【図4】図4は、SPLPのIV注射後の皮下Neuro2A腫瘍における遺伝子発現を図示している。
【図5】図5は、Neuro−2a腫瘍を持つ雄A/Jマウスの肝臓におけるルシフェラーゼ遺伝子発現を図示している。
【図6】図6は、Neuro−2a腫瘍を持つ雄A/Jマウスの心臓におけるルシフェラーゼ遺伝子発現を図示している。
【図7】図7は、INEX303の単回IV投与後の、Neuro−2a腫瘍を持つマウスにおけるルシフェラーゼ遺伝子発現を図示している。
【図8】図8は、SPLPの静脈内投与後の、SPLP:腫瘍遺伝子発現の効力を図示している。
【図9】図9は、4mol%CPL4−1kを伴うまたは伴わない、303、314、および314Cの単回静脈内投与後の、雄A/Jマウスの肺における注射した用量の割合(%)を図示している。
【図10】図10は、4mol%CPL4−1kを伴うまたは伴わない、303、314、および314Cの単回静脈内投与後の、雄A/JマウスのNeuro−2a腫瘍当たりの注射した用量の割合(%)を図示している。
【図11】図11は、4mol%CPL4−1kを伴うまたは伴わない、303、314、および314Cの単回静脈内投与後の、雄A/Jマウスの血漿中に残存している注射した用量の割合(%)を図示している。
【図12】図12は、4mol%CPL4−1kを伴うまたは伴わない、303、314、および314Cの単回静脈内投与後の、雄A/Jマウスの肝臓当たりの用量に対する割合(%)を図示している。
【図13】図13は、4mol%CPL4−1kを伴うまたは伴わない、303、314、および314Cの単回静脈内投与後の、雄A/Jマウスの脾臓当たりの注射用量に対する割合(%)を図示している。
【図14】図14は、4mol%CPL4−1kを伴うまたは伴わない、303、314、および314Cの単回静脈内投与後の、雄A/Jマウスの腎臓における注射用量に対する割合(%)を図示している。
【図15】図15は、4mol%CPL4−1kを伴うまたは伴わない、303、314、および314Cの単回静脈内投与後の、雄A/Jマウスの心臓における注射用量に対する割合(%)を図示している。
【図16】図16は、CPL化学を図示している。
【図17】図17は、CPLがインビトロトランスフェクションを増強することを図示している。
Claims (96)
- 活性物質を特異的組織部位へ選択的に標的化することが可能な脂質ベースの全身送達ベヒクルを同定する方法であり:
複数の構成的部分を有する脂質ベースの全身送達ベヒクルをデザインする工程;および、
該特異的組織部位に関する組織選択性を与えるために該複数の構成的部分の各々の量を変動し、これにより活性物質を該特異的組織部位に選択的に標的化することが可能な脂質ベースの全身送達ベヒクルを同定する工程を含む、方法。 - 前記脂質ベースの全身送達ベヒクルが、核酸−脂質粒子である、請求項1記載の脂質ベースの全身送達ベヒクルを同定する方法。
- 前記核酸−脂質粒子が:
(a)核酸;
(b)カチオン性脂質を約1.0mol%〜約45mol%;
(c)別の脂質を約0.0mol%〜約90mol%;
(d)二重層安定化成分を約1.0mol%〜約10mol%;
(e)コレステロールを約0.0mol%〜約60mol%;および
(f)カチオン性ポリマー脂質を約0.0mol%〜約10mol%含む、複数の構成的部分を有する、請求項2記載の脂質ベースの全身送達ベヒクルを同定する方法。 - 前記活性物質が核酸である、請求項1記載の脂質ベースの全身送達ベヒクルを同定する方法。
- 前記核酸が、プラスミド、アンチセンスオリゴヌクレオチド、およびリボザイムからなる群より選択される、請求項4記載の脂質ベースの全身送達ベヒクルを同定する方法。
- 前記複数の構成的部分として、標的化する部分を含まない、請求項1記載の脂質ベースの全身送達ベヒクルを同定する方法。
- 前記組織が、臓器、骨、腫瘍およびそれらの組合せからなる群より選択される、請求項3記載の脂質ベースの全身送達ベヒクルを同定する方法。
- 前記臓器が、心臓、脾臓、肺、腎臓および肝臓からなる群より選択される、請求項7記載の脂質ベースの全身送達ベヒクルを同定する方法。
- 前記臓器が心臓である、請求項8記載の脂質ベースの全身送達ベヒクルを同定する方法。
- 前記核酸−脂質粒子が、DOPE、DODACおよびPEGC20を含む、請求項9記載の脂質ベースの全身送達ベヒクルを同定する方法。
- DOPE:DODAC:PEGC20の比が、約76mol%対約14mol%対約10mol%である、請求項10記載の脂質ベースの全身送達ベヒクルを同定する方法。
- 前記臓器が肝臓である、請求項8記載の脂質ベースの全身送達ベヒクルを同定する方法。
- 前記核酸−脂質粒子が、DOPE、CHOL、DODAC、PEGC20およびCPLを含む、請求項12記載の脂質ベースの全身送達ベヒクルを同定する方法。
- DOPE:CHOL:DODAC:PEGC20:CPLの比が、約31mol%対約45mol%対約14mol%対約10mol%対約4mol%である、請求項13記載の脂質ベースの全身送達ベヒクルを同定する方法。
- 前記組織が腫瘍である、請求項7記載の脂質ベースの全身送達ベヒクルを同定する方法。
- 前記核酸−脂質粒子が、DOPE、DODACおよびPEGC20を含む、請求項15記載の脂質ベースの全身送達ベヒクルを同定する方法。
- DOPE:DODAC:PEGC20の比が、約82.5mol%対約7.5mol%対約10mol%である、請求項15記載の脂質ベースの全身送達ベヒクルを同定する方法。
- ペイロードを特異的組織部位へ送達する方法であり、該特異的組織部位に関する組織選択性を有する脂質ベースの全身送達ベヒクルを投与し、ここで該脂質ベースの全身送達ベヒクルは、複数の構成的部分を有し、これにより該特異的組織部位へペイロードを送達する工程を含む、方法。
- 前記脂質ベースの全身送達ベヒクルが核酸−脂質粒子である、請求項18記載のペイロードを送達する方法。
- 前記核酸−脂質粒子が:
(a)核酸;
(b)カチオン性脂質を約1.0mol%〜約45mol%;
(c)別のカチオン性脂質を約0.0mol%〜約90mol%;
(d)二重層安定化成分を約1.0mol%〜約10mol%;
(e)コレステロールを約0.0mol%〜約60mol%;および
(f)カチオン性ポリマー脂質を約0.0mol%〜約10mol%含む、複数の構成的部分を有する、請求項18記載のペイロードを送達する方法。 - 前記ペイロードが核酸である、請求項18記載のペイロードを送達する方法。
- 前記核酸が、プラスミド、アンチセンスオリゴヌクレオチド、およびリボザイムからなる群より選択される、請求項21記載のペイロードを送達する方法。
- 前記複数の構成的部分として、標的化する部分を含まない、請求項18記載のペイロードを送達する方法。
- 前記組織が、臓器、骨、および腫瘍からなる群より選択される、請求項20記載のペイロードを送達する方法。
- 前記臓器が、心臓、脾臓、肺、腎臓および肝臓からなる群より選択される、請求項24記載のペイロードを送達する方法。
- 前記臓器が肝臓である、請求項25記載のペイロードを送達する方法。
- 前記核酸−脂質粒子が、DOPE、CHOL、DODAC、PEGC20およびCPLを含む、請求項26記載のペイロードを送達する方法。
- DOPE:CHOL:DODAC:PEGC20:CPLの比が、約31mol%対約45mol%対約14mol%対約10mol%対約4mol%である、請求項27記載のペイロードを送達する方法。
- 前記脂質ベースの全身送達ベヒクルが核酸−脂質粒子であり、該核酸−脂質粒子が:
(a)核酸;
(b)カチオン性脂質;
(c)二重層安定化成分;および
(d)コレステロールを含む、脂質ベースの全身送達ベヒクル。 - さらに(e)別の脂質を含む、請求項29記載の脂質ベースの全身送達ベヒクル。
- 前記別の脂質が、非カチオン性脂質である、請求項32記載の脂質ベースの全身送達ベヒクル。
- 前記核酸が、プラスミド、アンチセンスオリゴヌクレオチド、およびリボザイムからなる群より選択される、請求項29記載の脂質ベースの全身送達ベヒクル。
- 前記核酸−脂質粒子の該核酸が、水溶液中におけるヌクレアーゼによる分解に対し抵抗性である、請求項29記載の脂質ベースの全身送達ベヒクル。
- 前記カチオン性脂質が、N,N−ジオレイル−N,N−ジメチル塩化アンモニウム(DODAC)、N,N−ジステアリル−N,N−ジメチル臭化アンモニウム(DDAB)、N−(1−(2,3−ジオレオイルオキシ)プロピル)−N,N,N−トリメチル塩化アンモニウム(DOTAP)、N−(1−(2,3−ジオレオイルオキシ)プロピル)−N,N−ジメチル塩化アンモニウム(DODAP)、N−(1−(2,3−ジオレイルオキシ)プロピル)−N,N,N−トリメチル塩化アンモニウム(DOTMA)、およびN,N−ジメチル−2,3−ジオレイルオキシ)プロピルアミン(DODMA)、ならびに前述の2種以上の混合物からなる群より選択される、請求項29記載の脂質ベースの全身送達ベヒクル。
- 前記カチオン性脂質が、N,N−ジオレイル−N,N−ジメチル塩化アンモニウム(DODAC)である、請求項34記載の脂質ベースの全身送達ベヒクル。
- 前記非カチオン性脂質が、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPE)、POPC、および卵ホスファチジルコリン(EPC)からなる群より選択される、請求項31記載の脂質ベースの全身送達ベヒクル。
- 前記二重層安定化成分が、前記脂質で被覆された核酸粒子の凝集を阻害する複合脂質である、請求項29記載の脂質ベースの全身送達ベヒクル。
- 前記二重層安定化成分が、親水性ポリマー−脂質である、請求項29記載の脂質ベースの全身送達ベヒクル。
- 前記親水性ポリマー−脂質が、PEG−脂質およびATTA−脂質からなる群より選択される、請求項29記載の脂質ベースの全身送達ベヒクル。
- 前記PEG−脂質が、2個のアシル鎖を有するPEG−セラミドである、請求項39記載の脂質ベースの全身送達ベヒクル。
- 前記PEG−セラミドが、鎖長が約C6〜約C20である少なくとも1種の脂肪酸を含む、請求項40記載の脂質ベースの全身送達ベヒクル。
- コレステロールが、前記粒子中に約15重量%〜約60重量%で存在する、請求項29記載の脂質ベースの全身送達ベヒクル。
- コレステロールが、前記粒子中に約35重量%〜約50重量%で存在する、請求項42記載の脂質ベースの全身送達ベヒクル。
- さらに(f)カチオン性ポリマー脂質複合体を含む、請求項29記載の脂質ベースの全身送達ベヒクル。
- 前記カチオン性ポリマー脂質が下記式を有する、請求項44記載の脂質ベースの全身送達ベヒクル:
A−W−Y I
(式中、Aは脂質部分であり;Wは親水性ポリマーであり;Yはポリカチオン性部分であり;および、選択的にAとWとの間にダンシル化されたリシンスペーサーがある)。 - Aが、ジアシルグリセロリル部分、ジアルキルグリセロリル部分、N−N−ジアルキルアミノ部分、1,2−ジアシルオキシ−3−アミノプロパン部分および1,2−ジアルキル−3−アミノプロパン部分からなる群より選択された一員である、請求項45記載の脂質ベースの全身送達ベヒクル。
- Wが、PEG、ポリアミド、ポリ乳酸、親水性ポリマー、ポリグリコール酸、ポリ乳酸/ポリグリコール酸のコポリマーおよびそれらの組合せからなる群より選択されるポリマーであり、該ポリマーは、分子量約250〜約7000ダルトンを有する、請求項45記載の脂質ベースの全身送達ベヒクル。
- Yが、少なくとも1個の塩基性アミノ酸またはそれらの誘導体を含む、請求項45記載の脂質ベースの全身送達ベヒクル。
- Yが、リシン、アルギニン、アスパラギン、グルタミン、それらの誘導体およびそれらの組合せからなる群より選択された一員である、請求項48記載の脂質ベースの全身送達ベヒクル。
- Wが、分子量約1000〜約3400ダルトンを有する、請求項47記載の脂質ベースの全身送達ベヒクル。
- 前記化合物が、A−PEG1000−Y、A−PEG2000−YおよびA−PEG3400−Yからなる群より選択される、請求項45記載の脂質ベースの全身送達ベヒクル。
- 細胞を核酸でトランスフェクションする方法であり、該方法が、該細胞を:
(a)核酸;
(b)カチオン性脂質;
(c)二重層安定化成分;および
(d)コレステロールを含む、核酸−脂質粒子と、十分な時間接触し、これにより該細胞を該核酸によりトランスフェクションする工程を含む、方法。 - さらに(e)別の脂質を含む、請求項52記載の核酸で細胞をトランスフェクションする方法。
- 前記別の脂質が非カチオン性脂質である、請求項53記載の核酸で細胞をトランスフェクションする方法。
- 前記核酸が、プラスミド、アンチセンスオリゴヌクレオチド、およびリボザイムからなる群より選択される、請求項52記載の核酸で細胞をトランスフェクションする方法。
- 前記核酸−脂質粒子の該核酸が、水溶液中におけるヌクレアーゼによる分解に対し抵抗性である、請求項52記載の核酸で細胞をトランスフェクションする方法。
- 前記カチオン性脂質が、N,N−ジオレイル−N,N−ジメチル塩化アンモニウム(DODAC)、N,N−ジステアリル−N,N−ジメチル臭化アンモニウム(DDAB)、N−(1−(2,3−ジオレオイルオキシ)プロピル)−N,N,N−トリメチル塩化アンモニウム(DOTAP)、N−(1−(2,3−ジオレイルオキシ)プロピル)−N,N,N−トリメチル塩化アンモニウム(DOTMA)、およびN,N−ジメチル−2,3−ジオレイルオキシ)プロピルアミン(DODMA)、ならびに前述の2個以上の混合物からなる群より選択される、請求項52記載の核酸で細胞をトランスフェクションする方法。
- 前記脂質が、N,N−ジオレイル−N,N−ジメチル塩化アンモニウム(DODAC)である、請求項57記載の核酸で細胞をトランスフェクションする方法。
- 前記非カチオン性脂質が、DOPE、POPC、およびEPCからなる群より選択される、請求項54記載の核酸で細胞をトランスフェクションする方法。
- 前記二重層安定化成分が、親水性ポリマー−脂質である、請求52記載の核酸で細胞をトランスフェクションする方法。
- 前記親水性ポリマー−脂質が、PEG−脂質およびATTA−脂質からなる群より選択される、請求項60記載の核酸で細胞をトランスフェクションする方法。
- 前記PEG−脂質が、PEG−セラミドである、請求項61記載の核酸で細胞をトランスフェクションする方法。
- 前記PEG−セラミドが、鎖長が約C6〜約C20である脂肪酸を含む、請求項61記載の核酸で細胞をトランスフェクションする方法。
- さらに(f)カチオン性ポリマー脂質複合体を含む、請求項52記載の核酸で細胞をトランスフェクションする方法。
- 前記カチオン性ポリマー脂質が下記式を有する、請求項64記載の核酸で細胞をトランスフェクションする方法:
A−W−Y I
(式中、Aは脂質部分であり;Wは親水性ポリマーであり;Yはポリカチオン性部分であり;および、選択的にAとWとの間にダンシル化されたリシンスペーサーがある)。 - Aが、ジアシルグリセロリル部分、ジアルキルグリセロリル部分、N−N−ジアルキルアミノ部分、1,2−ジアシルオキシ−3−アミノプロパン部分および1,2−ジアルキル−3−アミノプロパン部分からなる群より選択された一員である、請求項66記載の核酸で細胞をトランスフェクションする方法。
- Wが、PEG、ポリアミド、ポリ乳酸、親水性ポリマー、ポリグリコール酸、ポリ乳酸/ポリグリコール酸のコポリマーおよびそれらの組合せからなる群より選択されるポリマーであり、該ポリマーは、分子量約250〜約7000ダルトンを有する、請求項66記載の核酸で細胞をトランスフェクションする方法。
- Yが、少なくとも1個の塩基性アミノ酸またはそれらの誘導体を含む、請求項66記載の核酸により細胞をトランスフェクションする方法。
- Yが、リシン、アルギニン、アスパラギン、グルタミン、それらの誘導体およびそれらの組合せからなる群より選択された一員である、請求項68記載の核酸で細胞をトランスフェクションする方法。
- Wが、分子量約250〜約3400ダルトンを有する、請求項66記載の核酸で細胞をトランスフェクションする方法。
- 前記化合物が、A−PEG1000−Y、A−PEG2000−YおよびA−PEG3400−Yからなる群より選択される、請求項66記載の核酸で細胞をトランスフェクションする方法。
- 組織選択性を有する核酸−脂質粒子のアレイであり、該核酸−脂質粒子アレイが、
第一の複数の構成的部分および第一の組織選択性を有する第一の核酸−脂質粒子;
第二の複数の構成的部分および第二の組織選択性を有する第二の核酸−脂質粒子を含み、ここで第一および第二の核酸−脂質粒子は構成的に異なる、核酸−脂質粒子のアレイ。 - 前記第一の複数の構成的部分が:
(a)核酸;
(b)カチオン性脂質を約1.0mol%〜約45mol%;
(c)非カチオン性脂質を約0.0mol%〜約90mol%;
(d)二重層安定化成分を約1.0mol%〜約10mol%;
(e)コレステロールを約0.0mol%〜約60mol%;および
(f)カチオン性ポリマー脂質を約0.0mol%〜約10mol%含む、請求項72記載の核酸−脂質粒子のアレイ。 - 前記第二の複数の構成的部分が:
(a)核酸;
(b)カチオン性脂質を約1.0mol%〜約45mol%;
(c)非カチオン性脂質を約0.0mol%〜約90mol%;
(d)二重層安定化成分を約1.0mol%〜約10mol%;
(e)コレステロールを約0.0mol%〜約60mol%;および
(f)カチオン性ポリマー脂質を約0.0mol%〜約10mol%含む、請求項72記載の核酸−脂質粒子のアレイ。 - 複数の構成的部分を有する脂質ベースの全身送達ベヒクルを、マウスの尾静脈へ注射し、生体分布パターンを作成する工程;および、
該生体分布パターンを分析し、これにより組織選択性を決定する工程を含む、組織選択性を決定するアッセイ法。 - 前記マウスが、マウスアレイである、請求項75記載の組織選択性を決定するアッセイ法。
- 前記脂質ベースの全身送達ベヒクルが、標識された物質を含む、請求項75記載の組織選択性を決定するアッセイ法。
- さらに、前記マウスを解剖し、前記標識された物質の存在を決定する工程を含む、請求項77記載の組織選択性を決定するアッセイ法。
- 前記生体分布パターンが、前記脂質ベースの全身送達ベヒクル中の核酸の遺伝子発現により分析される、請求項75記載の組織選択性を決定するアッセイ法。
- 第一のウェルおよび第二のウェルを有し、各ウェルはその中に配置された組織型を有する、マルチウェルプレートを提供する工程;
核酸−脂質粒子アレイを分配する工程であり、ここで該核酸−脂質粒子アレイは、該第一のウェル中に分配された第一の複数の構成的部分を有する第一の核酸−脂質粒子、および該第二のウェル中に分配された第二の複数の構成的部分を有する第二の核酸−脂質粒子を有する工程;ならびに
該組織中の該核酸−脂質粒子アレイにおける核酸のトランスフェクション効率を決定する工程を含む、組織選択性を決定するアッセイ法。 - 前記第一のウェル中の前記組織型が、前記第二のウェル中の組織型と同型である、請求項80記載の組織選択性を決定するアッセイ法。
- 前記第一および第二の核酸−脂質粒子が構成的に異なる、請求項81記載の組織選択性を決定するアッセイ法。
- 前記第一のウェル中の前記組織型が、前記第二のウェル中の組織型と異なる、請求項80記載の組織選択性を決定するアッセイ法。
- 前記第一および第二の核酸−脂質粒子が構成的に類似している、請求項83記載の組織選択性を決定するアッセイ法。
- 前記組織型が、臓器、骨および腫瘍からなる群より選択される、請求項80記載の組織選択性を決定するアッセイ法。
- 特異的組織部位で核酸機能を決定する方法であり、該特異的組織部位に対する組織選択性を有する脂質ベースの全身送達ベヒクルを哺乳類へ投与し、該脂質ベースの全身送達ベヒクルが核酸を含む工程;および
少しでもあれば該核酸の該特異的組織部位に対する作用を分析し、これにより核酸機能を決定する工程を含む、方法。 - 前記核酸が、プラスミド、アンチセンスオリゴヌクレオチド、およびリボザイムからなる群より選択される、請求項86記載の核酸機能の決定法。
- 前記核酸の作用が、前記特異的組織部位から離れた部位において分析される、請求項86記載の核酸機能の決定法。
- 前記脂質ベースの全身送達ベヒクルが核酸−脂質粒子であり、該核酸−脂質粒子が:
(a)核酸;
(b)カチオン性脂質;
(c)二重層安定化成分;および
(d)コレステロールを含む、請求項86記載の核酸機能の決定法。 - さらに(e)別の脂質を含む、請求項89記載の核酸機能の決定法。
- さらに(f)カチオン性ポリマー脂質複合体を含む、請求項89記載の核酸による細胞のトランスフェクション法。
- 前記組織部位が、臓器、骨および腫瘍からなる群より選択される、請求項86記載の核酸機能の決定法。
- 前記臓器が、心臓、脾臓、肺、腎臓および肝臓からなる群より選択される、請求項92記載の核酸機能の決定法。
- 前記臓器が肝臓である、請求項93記載の核酸機能の決定法。
- 前記核酸−脂質粒子が、DOPE、CHOL、DODAC、PEGC20、およびCPLを含む、請求項94記載の核酸機能の決定法。
- DOPE:CHOL:DODAC:PEGC20:CPLの比が、約31mol%対約45mol%対約14mol%対約10mol%対約4mol%である、請求項95記載の核酸機能の決定法。
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