JP2004509914A - 微粒子組成物およびその製造方法 - Google Patents

微粒子組成物およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

高分子と界面活性剤の複合体が吸着された微粒子、このような微粒子を作製する方法、およびその使用が開示される。この微粒子は、ポリ(α−ヒドロキシ酸)、ポリヒドロキシ酪酸、ポリカプロラクトン、ポリオルトエステル、ポリ無水物などのポリマーを含み、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、または非イオン性界面活性剤を用いて形成される。この微粒子の表面は、生物学的に活性な高分子(例えば、核酸、ポリペプチド、抗原およびアジュバント)と界面活性剤との複合体を、その表面上に吸着されている。好ましいポリマーは、ポリ(D,L−ラクチド−co−グリコリド)であり、より好ましくは、40:60〜60:40の範囲のラクチド/グリコリドモル比、および30,000ダルトン〜70,000ダルトンの範囲の分子量を有するポリ(D,L−ラクチド−co−グリコリド)である。

Description

【0001】
(関連出願に対する言及)
本出願は、特許出願番号60/236,077(2000年9月28日)に関連する。この出願は、本明細書中でその全体が参考として援用される。
【0002】
(技術分野)
本発明は、概して、薬学的組成物に関する。特に、本発明は、吸着表面を有する微粒子、このような微粒子を調製する方法、およびその使用に関する。さらに、本発明は、生物学的に活性な薬剤(例えば、治療用ポリヌクレオチド、ポリペプチド、抗原、およびアジュバント)をその表面に吸着した生物分解性微粒子を含む組成物に関する。
【0003】
(背景)
粒子状のキャリアは、治療化合物の制御された非経口送達を達成するために使用されている。このようなキャリアは、延長された期間、送達系において活性剤を維持するよう設計されている。粒子状キャリアの例として、ポリメチルメタクリレートポリマーから誘導されるキャリア、ならびに、ポリ(ラクチド)(例えば、米国特許第3,773,919号を参照のこと)、ポリ(ラクチド−co−グリコリド)(PLGとして知られている)(例えば、米国特許第4,767,628号を参照のこと)、およびポリエチレングリコール(PEGとして知られている)(例えば、米国特許第5,648,095号を参照のこと)から誘導される微粒子が挙げられる。ポリメチルメタクリレートポリマーは非分解性であるが、PLG粒子は、エステル結合の無作為な非酵素的加水分解により生物分解し、乳酸およびグリコール酸となり、通常の代謝経路に沿って排出される。
【0004】
例えば、米国特許第5,648,095号は、カプセル化された薬剤を有するミクロスフィアの、鼻送達、経口送達、肺送達、および経口送達用の薬物送達系としての使用を記載している。種々のポリペプチド成長因子を含む緩効性処方物もまた記載されている。例えば、国際公開番号WO94/12158、米国特許第5,134,122号、および国際公開番号WO96/37216を参照のこと。
【0005】
Fattalら、Journal of Controlled Release 53:137−143(1998)は、吸着したオリゴヌクレオチドを有するポリアルキルシアノアクリレート(PACA)から調製されたナノ粒子を記載している。
【0006】
粒子状キャリアはまた、十分な免疫応答を惹起するために、吸着または捕捉された抗原と共に使用されている。このようなキャリアは、免疫系に複数コピーの選択された抗原を提示し、そして局所的なリンパ節における抗原の捕捉および保持を促進する。この粒子は、マクロファージにより貪食され得、そしてサイトカイン放出を通して抗原提示を増強し得る。例えば、共願の同時係属中の出願09/015,652(1998年1月29日出願)は、細胞媒介性免疫応答を刺激するための、抗原吸着微粒子および抗原カプセル化微粒子の使用、ならびにこの微粒子を作製する方法を記載している。
【0007】
共願の同時係属中の特許出願番号09/015,652(1998年1月29日出願)において、例えば、微粒子を形成する方法が開示されている。この方法は、有機溶媒とポリマーを合わせる工程、次いで乳濁液安定化剤(例えば、界面活性剤のポリビニルアルコール(PVA))を添加する工程、次いで有機溶媒をエバポレートし、それによって微粒子を形成する工程を包含する。この微粒子の表面は、ポリマーおよび安定化剤を含む。次いで、高分子(例えば、DNA、ポリペプチド、および抗原)が、この表面に吸着され得る。
【0008】
米国特許第5,814,482号および同第6,015,686号は、とりわけ、病原性因子を阻害する方法および真核生物細胞ならびに動物への異種ヌクレオチド配列の送達において、抗原に対する免疫応答を刺激するのに使用するための、Eukaryotic Layered Vector Initiation Systems(ELVISベクター)、特にアルファウイルスゲノム(例えば、ジンドビスウイルス)から獲得および構築されるベクターを開示している。
【0009】
共願の国際特許出願PCT/US99/17308および同時係属中の米国特許出願番号09/715,902は、吸着した高分子(例えば、薬剤、ポリヌクレオチド、ポリペプチド、タンパク質、ホルモン、酵素、転写メディエーターまたは翻訳メディエーター、代謝経路における中間体、免疫モジュレーター、抗原、アジュバント、またはそれらの組み合わせなど)を有する微粒子を作製するための方法を開示している。この微粒子は、例えば、ポリ(α−ヒドロキシ酸)(例えばPLG)、ポリヒドロキシ酪酸、ポリカプロラクトン、ポリオルトエステル、ポリ無水物などのようなポリマーを含み、そして、例えば、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、および非イオン性界面活性剤を用いて形成される。
【0010】
抗原が吸着したPLG微粒子は、他のより毒性の系を凌ぐ大きな利点を提供するにも関わらず、生物学的に活性な薬剤の微粒子表面への吸着は、改善されていない。例えば、帯電しているか、または嵩高い生物学的に活性な薬剤(例えば、ポリヌクレオチド、大きなポリペプチドなど)を微粒子表面に吸着することは、しばしば困難であるか、または不可能である。従って、引き続き、このような薬剤に対して、特に、処方するのに高度に感受性でありそして処方するのが困難な薬物に対して柔軟性のある送達系の必要性が存在する。
【0011】
(発明の要旨)
本発明者らは、微粒子への高分子の吸着が、界面活性剤が吸着の時に高分子と複合体を形成するのに利用可能になることを確認することにより、改善され得ることを見出した。この利用可能性は、例えば、高分子の吸着の時に一定量の界面活性剤を別々に提供することによるか、または高分子を生成するプロセスにより実質量の非結合界面活性剤を含む生成物が生成していることを確認することにより、達成され得る。この発見は、微粒子が、高分子吸着の前に、完全に洗浄されて、残存する界面活性剤が除去される点で、先行技術と対比される。例えば、上記のPCT/US99/17308において見出される実施例において、微粒子は、目的の高分子に曝露される前に、水で複数回洗浄される(すなわち、これらは、遠心分離により水で4回洗浄される)。このような洗浄工程は、本質的に全ての非結合界面活性剤を除去し、残存する界面活性剤の99%以上が粒子に結合されている最終産物を生じる。
【0012】
従って、本発明の第1の局面に従い、以下を含む微粒子組成物が提供される:(1)ポリマーおよびこのポリマーに結合された第1の界面活性剤をさらに含む、微粒子;および(2)この微粒子の表面に吸着された、第2の界面活性剤部分を有する生物学的に活性な高分子の複合体。第1の界面活性剤部分および第2の界面活性剤部分は、同一の界面活性剤を含み得るし、または異なる界面活性剤を含み得る。
【0013】
好ましい生物学的に活性な高分子は、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、ポリヌクレオシド、抗原、薬剤、ホルモン、酵素、転写メディエーターまたは翻訳メディエーター、代謝経路の中間体、免疫モジュレーター、およびアジュバントからなる群より選択される。好ましいポリマーは、ポリ(α−ヒドロキシ酸)、より好ましくは、ポリ(L−ラクチド)、ポリ(D,L−ラクチド)、およびポリ(D,L−ラクチド−co−グリコリド)からなる群より選択されるポリマーである。より好ましくは、ポリ(D,L−ラクチド−co−グリコリド)ポリマーである。好ましいポリ(D,L−ラクチド−co−グリコリド)ポリマーは、30:70〜70:30、より好ましくは40:60〜60:40の範囲のラクチド/グリコリド分子比を有し、そして10,000〜100,000ダルトン、より好ましくは30,000〜70,000ダルトンの範囲の分子量を有するポリ(D,L−ラクチド−co−グリコリド)ポリマーである。より好ましい生物学的に活性な高分子として、細菌抗原およびウイルス抗原(例えば、HIV抗原(例えば、gp120、gp140、p24gag、およびp55gag、髄膜炎B抗原、連鎖球菌B抗原、およびインフルエンザA赤血球凝集素抗原)、および抗原をコードするポリヌクレオチドが挙げられる。生物学的に活性な高分子は、例えば、プラスミド、ELVISベクター、またはRNAベクター構築物の形態であり得る。特定の好ましい生物学的に活性な高分子は、pCMV−p55gagである。
【0014】
いくつかの実施形態において、この微粒子組成物は、さらなる生物学的に活性な高分子と共に提供される。この高分子は、結合していても、していなくてもよく、そしてポリマー中に捕捉されていてもよい。例えば、微粒子組成物は、アジュバント、特にTh1刺激アジュバントと共に提供され得る。好ましいアジュバントとして、CpGオリゴヌクレオチド、LTK63、LTR72、MPL、およびアルミニウム塩(リン酸アルミニウムを含む)が挙げられる。
【0015】
いくつかの実施形態において、第1の界面活性剤部分および第2の界面活性剤部分は、同一の界面活性剤を含む。この目的のために好ましい界面活性剤は、カチオン性界面活性剤(例えば、CTAB)である。このような実施形態において、第1の界面活性剤部分(ポリマーに結合されている)は、好ましくは、組成物中の総界面活性剤の約5〜95%、より好ましくは、約10〜90%、さらにより好ましくは、約10〜60%、そして最も好ましくは、約25〜40%を含む。
【0016】
他の実施形態において、第1の界面活性剤部分および第2の界面活性剤部分は、異なる界面活性剤を含み得る。例えば、第1の界面活性剤部分は、非イオン性界面活性剤(例えば、PVA)を含み得、そして第2の界面活性剤部分はカチオン性界面活性剤(例えば、CTAB)を含み得る。
【0017】
本発明の別の局面に従って、薬学的に受容可能な賦形剤が、上記微粒子組成物中に添加される。
【0018】
本発明の別の局面は、脊椎動物被験体への高分子の送達に関し、この方法は、上記の微粒子組成物を脊椎動物被験体に投与する工程を包含する。
【0019】
さらなる局面において、本発明は、脊椎動物被験体における、細胞性免疫系および/または体液性免疫系を誘起するための方法に関する。この方法は、治療有効量の上記の微粒子組成物を脊椎動物被験体に投与する工程を包含する。
【0020】
本発明の別の局面は、免疫化方法に関する。この方法は、治療有効量の上記の微粒子組成物を脊椎動物被験体に投与する工程を包含する。
【0021】
本発明の他の局面において、上記微粒子組成物は、疾患の診断、疾患の処置、ワクチン、および/または免疫応答を惹起する際に使用される。
【0022】
本発明のさらに他の局面は、微粒子組成物を生成する方法に関する。一般的に、これらの方法は、(a)乳濁液を形成する工程であって、この乳濁液は、(i)ポリ(α−ヒドロキシ酸)、より好ましくは、ポリヒドロキシ酪酸、ポリカプロラクトン、ポリオルトエステル、ポリ無水物、およびポリシアノアクリレートからなる群より選択されるポリマー、(ii)有機溶媒、(iii)界面活性剤、および(iv)水を含む、工程;その後の(b)有機溶媒を除去する工程を包含する。この実施形態において、好ましくは、得られる組成物中の総界面活性剤の約10〜90%、より好ましくは約10〜60%、そして最も好ましくは約25〜40%が、微粒子に結合される。一般的に、これらの微粒子組成物は、その後、生物学的に活性な高分子と共にインキュベートされ、上述のように、生物学的に活性な組成物を生成する。
【0023】
好ましくは、この乳濁液は、水中油中水の乳濁液である。この乳濁液は、(a)ポリマーおよび水を含む第1の水相を有する有機溶媒を含む有機相を乳化し、油中水の乳濁液を形成する工程;および(b)カチオン性界面活性剤および工程(a)で形成された乳濁液を有する水を含む第2の水相を乳化し、水中油中水の乳濁液を形成する工程、を包含するプロセスによって形成される。
【0024】
いくつかの好ましい実施形態において、この界面活性剤はカチオン性界面活性剤であり、約0.05:1〜約0.5:1の界面活性剤:ポリマー(重量:重量)比で乳濁液中に提供される。これらの実施形態において、この方法は、好ましくは、溶媒の除去工程後に、この粒子のクロスフロー濾過をさらに含む。特定の実施形態において、このポリマーは、ポリ(D,L−ラクチド−co−グリコリド)であり、カチオン性界面活性剤は、CTABであり、そしてカチオン性界面活性剤は、約0.1:1〜約0.5:1の界面活性剤:ポリマー(重量:重量)比で乳濁液中に提供される。
【0025】
他の好ましい実施形態において、この界面活性剤は、約0.001:1〜約0.05:1の界面活性剤:ポリマー(重量:重量)比で乳濁液中に提供されるカチオン性界面活性剤である。これらの低い方のレベルにおいて、代表的に、過剰な界面活性剤の除去のための濾過および洗浄工程の必要が存在しない。特定の実施形態において、このカチオン性界面活性剤はCTABであり、ポリマーは、ポリ(D,L−ラクチド−co−グリコリド)であり、カチオン性界面活性剤は、約0.02:1〜約0.04:1の界面活性剤:ポリマー(重量:重量)比で乳濁液中に提供され、そしてこの微粒子は、この組成物から過剰なCTABを除去するための工程に供されない。
【0026】
本発明のさらに他の局面は、微粒子組成物を生成する方法に関する。この方法は、(1)乳化プロセスに微粒子を提供する工程であって、この微粒子がポリマーおよびこの微粒子に結合した第1の界面活性剤部分を含む、工程;および(2)生物学的に活性な高分子および第2の界面活性剤部分の複合体を、この微粒子の表面上に吸着させる工程、を包含する。第1の界面活性剤部分および第2の界面活性剤部分は、同一の界面活性剤または異なる界面活性剤を含み得る。このポリマーは、好ましくは、ポリ(α−ヒドロキシ酸)、ポリヒドロキシ酪酸、ポリカプロラクトン、ポリオルトエステル、ポリ無水物、およびポリシアノアクリレートからなる群より選択される。
【0027】
いくつかの実施形態において、第1および第2の界面活性剤部分は、同一の界面活性剤を含む。この界面活性剤は、好ましくは、カチオン性界面活性剤(例えば、CTAB)である。これらの実施形態において、微粒子組成物中の総界面活性剤の約10〜90%、より好ましくは、約10〜60%、そして最も好ましくは、約25〜40%が、この微粒子に結合している第1の界面活性剤部分の形態に存在する。代表的に、全ての界面活性剤は、乳化プロセスの間に添加される。
【0028】
他の実施形態において、第1の界面活性剤部分は第1の界面活性剤を含み、そして第2の界面活性剤部分は、第1の界面活性剤部分と異なる第2の界面活性剤を含む。代表的に、第1の界面活性剤は、乳化プロセス過程で添加され、そして第2の界面活性剤は、乳化プロセス後に添加され、好ましくは、生物学的に活性な高分子と同時に添加される。好ましくは、第1の界面活性剤部分は、非イオン性界面活性剤(例えば、PVA)を含み、そして第2の界面活性剤部分はカチオン性界面活性剤(例えば、CTAB)を含む。
【0029】
本発明のこれらおよび他の実施形態は、本明細書中の開示に照らして、当業者によって容易に想到される。
【0030】
(発明の詳細な説明)
本発明の実施は、他に指示がなければ、当該分野内の化学、ポリマー化学、生物化学、分子生物学、免疫学、および薬理学の従来方法を使用する。このような技術は、文献で十分に説明されている。例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,第18版(Easton,Pennsylvania:Mack Publishing Company,1990);Methods In Enzymology(S.ColowickおよびN.Kaplan,編、Academic Press,Inc.);Handbook of Experimental Immunology,第I〜IV巻(D.M.WeirおよびC.C.Blackwell,編、1986,Blackwell Scientific Publications);Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual(第2版、1989);Handbook of Surface and Colloidal Chemistry(Birdi,K.S.,編、CRC Press,1997)およびSeymour/Carraher’s Polymer Chemistry(第4版、Marcel Dekker Inc.,1996)を参照のこと。
【0031】
全ての刊行物、特許および特許出願が、本明細書中で列挙されており、上記または下記のいずれにかかわらず、その全体が本明細書中で参考として援用される。
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形「a」、「an」および「the」は、他に明確な指示がなければ、複数の言及を含む。従って、例えば、用語「微粒子(単数)」は、1種以上の微粒子などを参照する。
【0032】
(定義)
本発明を記述する際に、以下の用語が用いられ、以下で示されるように定義されることが意図される。
【0033】
他に言及されなければ、本明細書中の全ての割合および比率は、重量に基づいて与えられる。
【0034】
用語「微粒子」とは、本明細書中で使用される場合、約10nm〜約150μmの直径、好ましくは、約200nm〜約30μmの直径、そして最も好ましくは、約500nm〜約10μmの直径の粒子をいう。好ましくは、微粒子は、ニードルおよびキャピラリーを塞ぐことなく、非経口投与また粘膜投与が可能な直径のものである。微粒子サイズは、当該分野で周知の技術(例えば、光子相関分光法、レーザ回折法、および/または走査電子顕微鏡)によって容易に決定され得る。用語「粒子」もまた、本明細書中で定義されるような微粒子を表すために使用され得る。
本明細書中で使用するためのポリマー微粒子は、滅菌可能であり、無毒性であり、かつ生物分解性である材料から形成される。このような材料としては、限定することなく、ポリ(α−ヒドロキシ酸)、ポリヒドロキシ酪酸、ポリカプロラクトン、ポリオルトエステル、ポリ無水物、PACA、およびポリシアノアクリレートが挙げられる。好ましくは、本発明により使用される微粒子は、ポリ(α−ヒドロキシ酸)、特に、ポリ(ラクチド)(「PLA」)、あるいはD,L−ラクチドおよびグリコリドもしくはグリコール酸のコポリマー(例えば、ポリ(D,L−ラクチド−co−グリコリド)(「PLG」または「PLGA」))、またはD,L−ラクチドおよびカプロラクトンのコポリマーから誘導されるポリマー微粒子である。このポリマー微粒子は、種々の分子量を有し、そしてコポリマー(例えば、PLG)の場合、種々のラクチド:グリコリド比を有する任意の種々のポリマー出発材料から誘導され得、これらの選択は、選定する際の大きな問題であり、同時投与される高分子に一部依存する。これらのパラメータは、以下により完全に議論される。
【0035】
用語「界面活性剤」とは、本明細書中で使用される場合、表面活性剤、分散剤、懸濁剤、および乳濁液安定化剤を含む。アニオン性界面活性剤としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)、SLS(ラウリル硫酸ナトリウム)、DSS(ジスルホスクシネート(disulfosuccinate))、硫酸化脂肪アルコールなど。カチオン性界面活性剤としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:セトリミド(セチルトリメチルアンモニウムブロミド、または「CTAB」)、塩化ベンズアルコニウム、DDA(ジメチルジオクトデシルアンモニウムブロミド)、DOTAP(ジオレオイル−3−トリメチルアンモニウム−プロパン)など。非イオン性界面活性剤としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:PVA、ポビドン(ポリビニルピロリドン、またはPVPとしてもまた公知)、ソルビタンエステル、ポリソルベート、ポリオキシエチル化グリコールモノエーテル、ポリオキシエチル化アルキルフェノール、ポルオキサマーなどのような非イオン性界面活性剤である。
【0036】
微粒子形成後、界面活性剤は、同一物に結合されても結合されなくてもよい。結合される場合、この界面活性剤は、任意の機構(イオン結合、水素結合、共有結合、物理的結合、ファンデルワールス結合、および親水性/疎水性相互作用を通じた結合が挙げられるがこれらに限定されない)により微粒子に取り付けられ得る。
【0037】
用語「高分子」とは、本明細書中で使用される場合、限定することなしに、薬剤、ポリヌクレオチド、ポリペプチド、ホルモン、酵素、転写メディエーターまたは翻訳メディエーター、代謝経路の中間体、免疫モジュレーター、抗原、アジュバント、あるいはそれらの組み合わせをいう。本発明により使用される特定の高分子が、以下でより詳細に記載される。「複合体化した」高分子は、界面活性剤と組み合わせて形成され、次いで微粒子への吸着が容易になった高分子である。
【0038】
用語「薬剤」とは、以下でより詳細に議論される、生物学的に活性な化合物(例えば、抗生物質、抗ウイルス剤、成長因子、ホルモンなど)をいう。
【0039】
用語「アジュバント」とは、薬剤の作用を補助または改変する任意の物質をいい、これらとしては、抗原に対する免疫応答を増加または多様化させる免疫学的アジュバントが挙げられるがそれらに限定されない。
【0040】
用語「ポリヌクレオチド」は、核酸ポリマーであり、これは、代表的には、生物学的に活性な(例えば、免疫原性または治療的な)タンパク質またはポリペプチドをコードする。ポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドの性質に依存して、ポリヌクレオチドは、10ヌクレオチドほどの少ないヌクレオチドを含み得、例えば、ここでポリヌクレオチドは、抗原をコードする。さらに、「ポリヌクレオチド」は、二本鎖配列および一本鎖配列の両方を含み得、そして限定することなく、ウイルス由来のcDNA、原核生物mRNAまたは真核生物mRNA、ゲノムRNA、およびウイルス由来のDNA配列(例えば、RNAおよびDNAのウイルスおよびレトロウイルス)または原核生物DNA、ならびに特に、合成DNA配列をいう。この用語はまた、DNAおよびRNAの、公知の塩基アナログのいずれかを含む配列を含む。この用語はさらに、好ましくは、核酸分子が治療的タンパク質または抗原性タンパク質をコードするように、ネイティブな配列に対する改変(例えば、欠失、付加および置換(一般的に、天然において保存的))を含む。これらの改変は、部位特異的変異誘発のように意図的であり得るか、または抗原を産生する宿主の改変体のように偶発的であり得る。
【0041】
用語「ポリペプチド」および「タンパク質」は、アミノ酸残基のポリマーをいい、産物の最小長に限定されない。従って、ペプチド、オリゴペプチド、ダイマー、マルチマーなどは、定義の範囲内に含まれる。全長タンパク質およびそのフラグメントの両方が、この定義に含まれる。この用語はまた、好ましくは、タンパク質が免疫学的応答を誘発するか、またはタンパク質が投与される被験体に対する治療効果を有する能力を維持するように、ネイティブな配列に対する改変(例えば、欠失、付加、および置換(天然において保存的))を含む。
【0042】
「抗原」により、宿主の免疫系を刺激して、細胞性抗原特異的免疫応答(抗原が本発明に従って存在する場合)、または体液性抗体応答を生じ得る1つ以上のエピトープを含む分子が意味される。抗原は、それ自体で、または別の分子との組み合わせで存在する場合、細胞性応答または体液性応答を誘発し得る。通常、エピトープは、約3〜15アミノ酸、一般的に、約5〜15アミノ酸を含む。所定のタンパク質のエピトープは、当該分野で周知の、任意の多数のエピトープマッピング技術を使用して同定され得る。例えば、Epitope Mapping Protocols、Methods in Molecular Biology,第66巻(Glenn E.Morris,編、1996)Humana Press,Totowa,New Jerseyを参照のこと。例えば、線状エピトープは、例えば、固体支持体上の多数のペプチド(タンパク質分子の一部に対応するペプチド)を同時に合成し、そしてこのペプチドが依然として支持体に結合している間に、このペプチドを抗体と反応させることによって決定され得る。このような技術は、当該分野で公知であり、そして例えば、米国特許第4,708,871号;Geysenら(1984)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:3998〜4002;Geysenら(1986)Molec.Immunol.23:709〜715(全てが、本明細書中で参考として援用される)に記載されている。同様に、コンホメーションエピトープは、アミノ酸の空間的なコンホメーションを決定することによって(例えば、x軸結晶学、および二次元核磁気共鳴によって)、容易に同定される。例えば、Epitope Mapping Protocols,前出を参照のこと。
【0043】
用語「抗原」とは、本明細書中で使用される場合、サブユニット抗原(すなわち、その抗原が、天然で結合する全生物から分離および離散された抗原)、および殺傷されたか、弱毒化されたか、または不活化された細菌、ウイルス、寄生生物、または他の微生物の両方を示す。抗体(例えば、抗イディオタイプ抗体、またはそのフラグメント、および合成ペプチドミモトープ(mimotope))(これらは、抗原または抗原性決定因子を模倣し得る)はまた、本明細書中で使用されるような抗原の定義の下で捉えられる。同様に、治療的タンパク質または免疫原性タンパク質を発現するオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチド、あるいはインビボでの抗原決定因子(例えば、遺伝子療法および核酸免疫化適用における)はまた、本明細書中の抗原の定義内に含まれる。
【0044】
さらに、本発明の目的のために、抗原は、数種の公知のウイルス、細菌、寄生生物および菌類のいずれか、ならびに任意の種々の腫瘍抗原から誘導され得る。さらに、本発明の目的のために、「抗原」は、タンパク質が免疫学的応答を誘発する能力を維持する限り、ネイティブの配列に対する改変(例えば、欠失、付加および置換(一般に、天然において保存的))を含むタンパク質をいう。これらの改変は、部位特異的変異誘発を介してのように意図的であり得るか、または抗原を産生する宿主の改変を介してのように偶発的であり得る。
【0045】
抗原または組成物に対する「免疫学的応答」は、被験体における、目的の組成物中に存在する分子に対する体液性免疫応答および/または細胞性免疫応答の発生である。本発明の目的について、「体液性免疫応答」とは、抗体分子によって媒介される免疫応答をいい、「細胞性免疫応答」とは、Tリンパ球および/または他の白血球によって媒介される免疫応答である。細胞性免疫の1つの重要な局面は、細胞溶解性T細胞(「CTL」)による抗原特異的な応答を含む。CTLは、主要組織適合性複合体(MHC)によってコードされ、そして細胞の表面上に発現されるタンパク質に関連して提示されるペプチド抗原に対して特異性を有する。CTLは、細胞内微生物の細胞内破壊、またはこのような微生物によって感染された細胞の溶解を誘導および促進する補助をする。細胞性免疫の別の局面は、ヘルパーT細胞による抗原特異的応答を含む。ヘルパーT細胞は、機能の刺激を補助するように作用し、そしてその表面上にMHC分子に関連するペプチド抗原を提示する細胞に対する、非特異的エフェクター細胞の活性に集中する。「細胞性免疫応答」はまた、サイトカイン、ケモカイン ならびに活性化T細胞および/または他の白血球によって生成される他のこのような分子(CD4+T細胞およびCD8+T細胞に由来するものを含む)の産生をいう。
【0046】
細胞性免疫応答を誘発する組成物(例えば、免疫原性組成物)またはワクチンは、細胞表面でのMHC分子に関連する抗原の提示によって、脊椎動物被験体を感作するために働き得る。細胞媒介性の免疫応答は、表面に抗原を提示する細胞に、またはこの細胞の近傍に指向される。さらに、抗原特異的Tリンパ球が生成されて、免疫された宿主のさらなる保護を可能にし得る。
【0047】
特定の抗原または組成物が細胞媒介性の免疫学的応答を刺激する能力は、多くのアッセイ(例えば、リンパ増殖(リンパ球活性化)アッセイ、CTL細胞傷害性細胞アッセイ)によって、感作された被験体における抗原に対するTリンパ球特異性をアッセイすることによって、または抗原を用いた再刺激に応答するT細胞によるサイトカイン産生の測定によって、決定され得る。このようなアッセイは、当該分野で周知である。例えば、Ericksonら、J.Immunol.(1993)151:4189−4199;Doeら、Eur.J.Immunol.(1994)24:2369−2376;および以下の実施例を参照のこと。
【0048】
従って、免疫学的応答は、本明細書中で使用される場合、CTLの産生および/またはヘルパーT細胞の産生もしくは活性化を刺激するものであり得る。目的の抗原はまた、抗体媒介性の免疫応答を誘発し得る。従って、免疫学的応答は、1以上の以下の効果を含み得る:B細胞による抗体の産生;ならびに/または目的の組成物もしくはワクチン中に存在する抗原に特異的に指向する、サプレッサーT細胞および/もしくはγδT細胞の活性化。これらの応答は、感染性を中和し、そして/または抗体−補体もしくは抗体依存性細胞傷害性(ADCC)を媒介して、免疫された宿主に対して保護を提供するように働き得る。このような応答は、当該分野で周知の標準的なイムノアッセイおよび中和アッセイを使用して決定され得る。
【0049】
微粒子に吸着された選択された抗原を含有する組成物は、微粒子との会合なしに送達される場合に等量の抗原によって誘発される免疫応答よりも大きい免疫応答を誘発する能力を有する場合、「増強された免疫原性」を示す。従って、組成物は、「増強された免疫応答」を示し得る。なぜなら、抗原は、微粒子への吸着によってより強力に免疫原性であるか、またはより低用量の抗原が、これが投与される被験体において免疫応答を達成するために必要だからである。このような増強された免疫原性は、微粒子/抗原組成物および抗原コントロールを動物に投与すること、ならびに標準的なアッセイ(例えば、当該分野で周知のラジオイムノアッセイおよびELISA)を使用して、これら2つに対する抗体力価を比較することによって、決定され得る。
【0050】
用語、吸着された高分子を有する微粒子を含む組成物の「有効量」または「薬学的有効量」は、本明細書中で提供される場合、非毒性であるが、目的の状態を処置または診断するのに十分な微粒子/高分子組成物の量をいう。例えば、これらの表現は、所望の応答(例えば、免疫学的応答)および対応する治療的効果を提供するに十分な量をいうか、または治療タンパク質が送達される場合、以下に規定するように、被験体の処置をもたらすために十分な量をいう。以下で指摘されるように、必要な正確な量は、被験体の種、年齢、および全身状態、処置される状態の重篤度、ならびに目的の特定の高分子、投与の様式などに依存して、被験体によって変化する。いずれの個体の場合においても、適切な「有効」量は、従来の実験を使用して、当業者によって決定され得る。
【0051】
「脊椎動物被験体」とは、脊椎動物(cordata)亜門の任意のメンバーを意味し、限定ではなく、以下が挙げられる:哺乳動物(例えば、ウシ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、ウマおよびヒト);家畜動物(例えば、イヌおよびネコ);ならびに家禽、野生および猟鳥を含む鳥類(例えば、ニワトリ、七面鳥および他のキジ類の鳥のオンドリおよびメンドリ)。この用語は、特定の年齢を示さない。従って、成体および新生仔の動物の両方をカバーすることが意図される。
【0052】
「薬学的に受容可能」または「薬理学的に受容可能」とは、生物学的にも別の点でも所望される材料を意味する。すなわち、この材料は、個体における所望でない生物学的効果をいずれも引き起こさないか、またはこの材料が含まれる組成物のいかなる成分とも有害な様式で相互作用しないで、微粒子処方物と共に個体に投与され得る。
【0053】
用語「賦形剤」とは、最終投薬形態内に通常提供される物質をいい、賦形剤としては、以下が挙げられる:ビヒクル、結合剤、崩壊剤、充填剤(希釈剤)、潤滑剤、潤沢剤(流動促進剤)、圧縮補助剤、着色剤、甘味料、保存料、懸濁/分散剤、フィルム形成剤/被覆剤、香料および印刷インク。
【0054】
「生理学的pH」または「生理学的範囲のpH」とは、約7.2〜8.0を含む範囲、より代表的には約7.2〜7.6を含む範囲のpHを意味する。
【0055】
本明細書中で使用される場合、「処置(treatment)」(そのバリエーション、例えば、「処置(「teat」または「treated」)」を含む)とは、以下のいずれかをいう:(i)従来のワクチンにおけるような、感染または再感染の予防、(ii)症状の減少または排除、および(iii)問題の病原または障害の実質的または完全な排除。処置は、予防的に(感染前に)または治療的に(感染後に)もたらされ得る。
【0056】
本明細書中で使用される場合、句「核酸」とは、DNA、RNAまたはこれらから形成されるキメラをいう。
【0057】
本明細書中で使用される場合、句「少なくとも1つのCpGモチーフを含むオリゴヌクレオチド」とは、少なくとも1つのCpGジヌクレオチドを含むポリヌクレオチドをいう。少なくとも1つのCpGモチーフを含むオリゴヌクレオチドは、複数のCpGモチーフを含み得る。これらのオリゴヌクレオチドはまた、当該分野で「CpGオリゴヌクレオチド」としても公知である。本明細書中で使用される場合、句「CpGモチーフ」とは、シトシンヌクレオチドとその後のグアノシンヌクレオチドを含む、オリゴヌクレオチドのジヌクレオチド部分をいう。5−メチルシトシンもまた、シトシンの代わりに使用され得る。
【0058】
本明細書中で使用される場合、「アルファウイルスRNAベクターレプリコン」、「RNAベクターレプリコン」、「RNAベクター構築物」および「レプリコン」とは、標的細胞内でそれ自体の複製またはインビボの自己複製を指向し得るRNA分子をいう。アルファウイルス由来のRNAベクターレプリコンは、以下の順のエレメントを含む:レプリコンに対してシスで必要な5’ウイルス配列(5’CSEとも称される)、発現される場合に生物学的に活性であるアルファウイルス非構造タンパク質(例えば、nsP1、nsP2、nsP3、nsP4)をコードする配列、レプリコンに対してシスで必要な3’ウイルス配列(3’CSEとも称される)、およびポリアデニル化区画。アルファウイルス由来のRNAベクターレプリコンはまた、ウイルスサブゲノム「連結領域」プロモーター、1以上の構造タンパク質遺伝子もしくはその部分に由来する配列、生存ウイルスの産生を可能にするに十分な大きさの外来核酸分子、ならびに発現される異種配列を含み得る。
【0059】
本明細書中で使用される場合、「真核生物多層化ベクター開始系(Eukaryotic Layered Vector Initiation System)」、「ELVIS」または「ELVISベクター」とは、目的の配列または遺伝子の発現を指向し得る構築物をいう。真核生物多層化ベクター開始系は、インビボ(すなわち、細胞内)で、cDNAからのRNAの合成を開始し得る5’プロモーター、および真核生物細胞において自身の複製を指向し得、そして異種配列もまた発現し得るウイルスベクター配列を含むべきである。好ましい実施形態において、この核酸ベクター配列は、アルファウイルス由来の配列であり、そしてアルファウイルスRNAの転写を開始し得る5’配列(5’CSEとも称される)、発現される場合に生物学的に活性であるアルファウイルス非構造タンパク質(例えば、nsP1、nsP2、nsP3、nsP4)をコードする配列、およびアルファウイルスRNAポリメラーゼ認識配列(3’CSEとも称される)から構成される。さらに、このベクター配列は、ウイルスサブゲノム「連結領域」プロモーター、1以上の構造タンパク質遺伝子もしくはその部分に由来する配列、最適な増幅を可能にするに十分な大きさの外来核酸分子、発現される異種配列、異種配列の挿入のための1以上の制限部位ならびにポリアデニル化配列を含み得る。真核生物多層化ベクター開始系はまた、スプライス認識配列、触媒的リボザイムプロセシング配列、核輸送シグナルおよび転写終結配列を含み得る。
【0060】
「アルファウイルスベクター構築物」とは、目的の配列または遺伝子の発現を指向し得る構築物をいう。このようなベクター構築物は、一般に、アルファウイルスRNAの転写を開始し得る5’配列(5’CSEとも称される)、発現される場合に生物学的に活性であるアルファウイルス非構造タンパク質(例えば、nsP1、nsP2、nsP3、nsP4)をコードする配列、アルファウイルスNAポリメラーゼ認識配列(3’CSEとも称される)およびポリアデニル化区画から構成される。さらに、このベクター構築物は、ウイルスサブゲノム「連結領域」プロモーター、1以上の構造タンパク質遺伝子もしくはその部分に由来する配列、生存ウイルスの産生を可能にするに十分な大きさの外来核酸分子、インビトロもしくはインビボでcDNAからウイルスRNAの合成を開始し得る5’プロモーター、発現される異種配列、ならびに異種配列の挿入のための1以上の制限部位を含み得る。
【0061】
本明細書中で使用される場合、句「ベクター構築物」とは、一般に、ELVISベクターをいい、これらは、RNAベクター構築物のcDNA相補体、RNAベクター構築物自体、アルファウイルスベクター構築物などを含む。
【0062】
本発明のいくつかの実施形態に従って、ウイルス、真菌、マイコプラスマ、細菌または原生動物感染、および腫瘍に対して宿主動物を処置する(予防的および/または治療的免疫を含む)組成物および方法が提供される。本発明の方法は、哺乳動物、好ましくはヒトに予防的および/または治療的免疫を付与するために有用である。本発明の方法はまた、生物医学的研究設定の哺乳動物を含む、ヒト以外の哺乳動物に対しても実行され得る。
【0063】
(B.一般的方法)
本発明者らは、高分子の微粒子への吸着は、界面活性剤が、吸着の時間において高分子との複合体を形成するために利用可能となることを保証することによって、改善され得ることを見出している。さらに、多種の分子(荷電高分子および/またはかさ高い高分子を含む)が、吸着され得る。従って、本発明の微粒子/高分子組成物を送達系として使用して、広範な種々の疾患を処置、予防および/または診断するために、生物学的に活性な成分を送達し得る。
【0064】
本発明を使用して広範な種々の高分子を、送達し得、この高分子としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:例えば、抗生物質および抗ウイルス剤、非ステロイド抗炎症薬物、鎮痛剤、血管拡張剤、心臓血管薬物、向精神薬、神経弛緩薬、抗うつ剤、抗パーキンソン薬物、βブロッカー、カルシウムチャネルブロッカー、ブラジキニンインヒビター、ACEインヒビター、血管拡張剤、プロラクチンインヒビター、ステロイド、ホルモンアンタゴニスト、抗ヒスタミン、セロトニンアンタゴニスト、ヘパリン、化学療法剤、抗腫瘍剤のような医薬および増殖因子(例えば、以下が挙げられるが、これらに限定されない:PDGF、EGF、KGF、IGF−1、およびIGF−2、FGF)、治療的もしくは免疫原性タンパク質をコードするポリヌクレオチド、ワクチンに使用するための免疫原性タンパク質およびそのエピトープ、ペプチドホルモン(例えば、インスリン、プロインスリン、成長ホルモン、GHRH、LHRH、EGF、ソマトスタチン、SNX−111、BNP、インスリノトロピン(insulinotropin)、ANP、FSH、LH、PSHおよびhCG)、性腺ステロイドホルモン(アンドロゲン、テストロゲンおよびプロゲステロン)、胸腺刺激ホルモン、インヒビン、コレシストキニン、ACTH、CRF、ジノルフィン、エンドルフィン、エンドセリン、フィブロネクチンフラグメント、ガラニン、ガストリン、インスリノトロピン、グルカゴン、GTP結合タンパク質フラグメント、グアニリン(guanylin)、ロイコキニン、マゲイニン、マストパラン、ダーマセプチン(dermaseptin)、システミン(systemin)、ニューロメディン、ニューロテンシン、パンクレアスタチン、膵臓ポリペプチド、サブスタンスP、セクレチン、サイモシンなどを含むホルモン、酵素、転写メディエーターまたは翻訳メディエーター、代謝経路の中間体、免疫モジュレーター(例えば、インターロイキン−1、インターロイキン−2、インターロイキン−3、インターロイキン−4およびγインターフェロンを含む種々のサイトカインのいずれか)、抗原ならびにアジュバント。
【0065】
本発明の好ましい実施形態において、この高分子は、抗原である。本発明の1つの特定の利点は、脊椎動物被験体において細胞媒介性の免疫応答を生じる、吸着された抗原を有する微粒子の能力である。本発明の抗原/微粒子が、選択された抗原に対する細胞媒介性の免疫応答を誘発する能力は、広範な種々の病原による感染に対する強力な道具を提供する。従って、本発明の抗原/微粒子は、ワクチン組成物中に取り込まれ得る。
【0066】
本明細書中に記載されるプラスミドベクターおよびELVISべクターの種々の使用の有効性は、選択されたプラスミドおよびELVISベクターを、吸着剤表面を有する微粒子に吸着させることによって強化され得る。このことは、ベクターの導入およびベクター中に含まれる異種核酸配列の動物細胞への導入を容易にする。あるいは、RNAベクター構築物は、異種核酸配列の動物細胞への効果的な送達のために、本発明のポリマー微粒子またはサブミクロン乳濁液に吸着され得る。2000年9月28日に出願された、共有に係る米国仮特許出願(代理人書類番号CHIR−0270;シリアル番号60/236,105)は、特定の微粒子に吸着されたこのようなポリヌクレオチドの使用を開示する。従って、好ましい実施形態において、高分子はポリヌクレオチド(例えば、プラスミド、ELVISベクター、またはRNAベクター構築物)である。本発明の特定の利点は、脊椎動物被験体での細胞媒介性免疫応答を生成する、吸着されたELVISベクターを有する微粒子の能力である。特許出願番号60/236,105号は、ポリペプチド抗原(HIVポリペプチド抗原を含む)の微粒子への吸着をさらに記載する。選択された抗原に対する、本発明の抗原/微粒子の細胞媒介性免疫応答を誘発する能力は、広範な種々の病原菌による感染に対する強力なツールを提供する。従って、本発明の抗原/微粒子は、ワクチン組成物に組み込まれ得る。
【0067】
従って、従来の抗体応答に加えて、本明細書中に記載される系は、例えば、クラスI MHC分子と発現される抗原との関連を提供し得、その結果、CTLの産生を刺激し、抗原の今後の認識を可能にする、目的の抗原に対するインビボの細胞性免疫応答が高められ得る。さらに、この方法は、ヘルパーT細胞による抗原特異的応答を誘発し得る。従って、本発明の方法は、細胞性免疫応答および/または体液性免疫応答が所望される任意の高分子を用いる用途を見出し、好ましくは、ウイルス病原体由来の抗原は、抗体、T細胞ヘルパーエピトープおよびT細胞細胞傷害性エピトープを誘導し得る。このような抗原としては、限定ではなく、ヒトおよび動物のウイルスによってコードされる抗原が挙げられ、構造タンパク質または非構造タンパク質のいずれかに対応し得る。
【0068】
本発明の微粒子は、通常乏しい免疫応答を誘発する細胞内ウイルスに対する免疫のために特に有用である。例えば、本発明は、ヘルペスウイルスファミリー由来の広範な種々のタンパク質に対する免疫応答を刺激するための用途を見出し、このタンパク質としては、1型および2型の単純疱疹ウイルス(HSV)に由来するタンパク質(例えば、HSV−1およびHSV−2の糖タンパク質である、gB、gDおよびgH);水痘−帯状疱疹ウイルス(VZV)、エプスタイン−バーウイルス(EBV)およびサイトメガロウイルス(CMV)由来の抗原(CMV gBおよびgHを含む);ならびに他のヒトヘルペスウイルス(例えば、HHV6およびHHV7)に由来する抗原が挙げられる(例えば、サイトメガロウイルスのタンパク質コード内容の総論については、Cheeら、Cytomegaloviruses(J.K.McDougall、編、Springer−Verlag 1990)125−169頁;種々のHSV−1コードタンパク質の考察については、McGeochら、J.Gen.Virol.(1988)69:1531−1574;HSV−1およびHSV−2のgBおよびgDタンパク質、これらをコードする遺伝子の考察については、米国特許第5,171,568号;EBVゲノム中のタンパク質コード配列の特定については、Baerら、Nature(1984)310:207−211;そしてVZVの総論については、DavisonおよびScott、J.Gen.Virol.(1986)67:1759−1816を参照のこと)。
【0069】
ヘルペスファミリーのウイルス(A型肝炎ウイルス(HAV)、B型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、デルタ型肝炎ウイルス(HDV)、E型肝炎ウイルス(HEV)およびG型肝炎ウイルス(HGV)を含む)由来の抗原はまた、本明細書中に記載される技術において簡便に使用され得る。例として、HCVのウイルスゲノム配列ならびにこの配列を得るための方法は公知である。例えば、国際公開番号WO89/04669;WO90/11089;およびWO90/14436を参照のこと。HCVゲノムは、いくつかのウイルスタンパク質をコードし、このタンパク質としては、E1(Eとしても公知)およびE2(E2/NSIとしても公知)ならびにN末端ヌクレオキャプシドタンパク質(「コア」と称される)が挙げられる(例えば、HCVタンパク質(E1およびE2を含む)の考察については、Houghtonら、Hepatology(1991)14:381−388を参照のこと)。これらのタンパク質の各々ならびにその抗原性フラグメントは、本発明の組成物および方法において用途を見出す。
【0070】
同様に、HDV由来のδ抗原の配列は公知であり(例えば、米国特許第5,378,814号を参照のこと)、そしてこの抗原は、本発明の組成物および方法において簡便に使用され得る。さらに、HBV由来の抗原(例えば、コア抗原、表面抗原、SAg)、ならびにプレ表面(presurface)配列(pre−S1およびpre−S2(以前にはpre−Sと称された))、ならびに上記の組み合わせ(例えば、SAg/pre−S1、SAg/pre−S2、SAg/pre−S1/pre−S2およびpre−S1/pre−S2)が、本明細書中で用途を見出す。例えば、HBV構造の考察については、「HBV Vaccines−from the laboratory to license:a case study」、Mackett,M.およびWilliamson,J.D.、Human Vaccines and Vaccination、159−176頁;およびその全体が本明細書中で参考として援用される米国特許第4,722,840号、同第5,098,704号、同第5,324,513号;Beamesら、J.Virol.(1995)69:6833−6838、Brinbaumら、J.Virol.(1990)64:3319−3330;およびZhouら、J.Virol.(1991)65:5457−5464を参照のこと。
【0071】
他のウイルス由来の抗原(限定ではなく、とりわけ以下のファミリーのメンバーに由来するタンパク質:Picornaviridae(例えば、ポリオウイルスなど);Caliciviridae;Togaviridae(例えば、風疹ウイルス、デングウイルスなど);Flaviviridae;Coronaviridae;Reoviridae;Birnaviridae;Rhabodoviridae(例えば、狂犬病ウイルスなど);Filoviridae;Paramyxoviridae(例えば、流行性耳下腺炎ウイルス、麻疹ウイルス、RSウイルスなど);Orthomyxoviridae(例えば、A型、B型およびC型などのインフルエンザウイルス);Bunyaviridae;Arenaviridae;Retroviradae(例えば、HTLV−I;HTLV−II;HIV−1(HTLV−III、LAV、ARV、hTLRなどとしても公知))、単離体HIVIIIb、HIVSF2、HIVLAV、HIVLAI、HIVMN由来の抗原が挙げられるが、これらに限定されない);HIV−1CM235、HIV−1US4;HIV−2;サル免疫不全ウイルス(SIV))もまた、特許請求された組成物および方法において用途を見出す。さらに、抗原はまた、ヒトパピローマウイルス(HPV)およびダニ媒介脳炎ウイルスに由来し得る。例えば、これらおよび他のウイルスの記載については、Virology、第三版(W.K.Joklik編、1988);Fundamantal virology、第二版(B.N.FieldsおよびD.M.Knipe、編、1991)を参照のこと。
【0072】
より詳細には、上記HIV単離体のいずれか由来のgp120またはgp140エンベロープタンパク質(HIVの種々の遺伝子サブタイプのメンバーを含む)が公知であり、そして報告されており(種々のHIV単離体のエンベロープタンパク質の比較については、例えば、Myersら、Los Alamos Database,Los Alamos National Laboratory,Los Alamos,New Mexico(1992);Myersら、Human Retroviruses and Aids,1990,Los Alamos,New Mexico:Los Alamos National Loboratory;およびModrowら、J.Virol.(1987)61:570−578を参照のこと)、そしてこれらの単離体のいずれかに由来する抗原は、本発明の方法において用途を見出す。さらに、本発明は、種々のHIV単離体のいずれかに由来する他の免疫原性タンパク質(gp160およびgp41のような種々のエンベロープタンパク質、p24gagおよびp55gagのようなgag抗原、ならびにpol領域およびtat領域に由来するタンパク質のいずれかを含む)に等しく適用可能である。
【0073】
インフルエンザウイルスは、本発明が特に有用であるウイルスの別の例である。詳細には、インフルエンザAのエンベロープ糖タンパク質HAおよびNAは、免疫応答を生成するために特に興味深い。インフルエンザAの多数のHAサブタイプが同定されている(Kawaokaら、Virology(1990)179:759−767;Websterら、「Antigenic variation among type A influenza viruses」、127−168頁、P.PaleseおよびD.W.Kingsbury(編)、Genetics of influenza viruses.Springer−Verlag,New York)。従って、これらの単離体のいずれかに由来するタンパク質はまた、本明細書中に記載される組成物および方法において使用され得る。
【0074】
本明細書中に記載される組成物および方法はまた、多数の細菌抗原(例えば、ジフテリア、コレラ、結核、破傷風、百日咳、髄膜炎を引き起こす生物に由来する抗原)、ならびにBordetella pertussis、Neisseria meningitides(A、B、C、Y)、Neisseria gonorrhoeae、Helicobacter pylori、およびHaemophilus influenza.Hemophilus influenzaB型(HIB)、Helicobacter pylori、ならびにこれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない他の病原性状態を用いる用途を見出す。Neisseria meningitides B由来の抗原の例は、以下の共有に係る特許出願において開示される:PCT/US99/09346;PCT IB98/01665;およびPCT IB99/00103。寄生生物抗原の例としては、マラリアおよびライム病を引き起こす生物に由来する抗原が挙げられる。
【0075】
本発明を用いる使用のためのさらなる抗原は、以下(直後に列挙される参考文献)を含み、これらのいくつかは、本願の他の箇所で列挙される:
−N.meningitidis血清型B由来のタンパク質抗原(例えば、以下の参考文献1〜7の抗原)。
−N.meningitidis血清型Bからの外膜小胞(OMV)調製物(以下の参考文献8、9、10、11などにおいて開示されるような外膜小胞)。
−N.meningitidis血清型A、C、W135および/またはY由来の糖抗原(例えば、以下の参考文献12において開示される血清型C由来のオリゴ糖)(参考文献13もまた参照のこと)。
−Streptococcus pneumoniae由来の糖抗原[例えば、参考文献14、15、16]。
−N.gonorrhoeae由来の抗原[例えば、参考文献1、2、3]。
−Chlamydia pneumoniae由来の抗原[例えば、参考文献17、18、19、20、21、22、23]。
−Chlamydia trachomatis由来の抗原[例えば、参考文献24]。
−A型肝炎ウイルス由来の抗原(例えば、不活化ウイルス)[例えば、参考文献25、26]。
−B型肝炎ウイルス由来の抗原(例えば、表面抗原および/またはコア抗原)[例えば、参考文献26、27]。
−C型肝炎ウイルス由来の抗原[例えば、参考文献28]。
−必要に応じてまた、ペルタクチン(pertactin)ならびに/あるいは凝集原2および3と組み合わせた、Bordetella pertussis由来の抗原(例えば、B.pertussis由来の百日咳ホロトキシン(holotoxin)(PT)および糸状赤血球凝集素(FHA))[例えば、参考文献29および30]。
−ジフテリア抗原(例えば、ジフテリアトキソイド[例えば、参考文献31の第3章](例えば、CRM197変異体[例えば、参考文献32]))
−破傷風抗原(例えば、破傷風トキソイド)[例えば、参考文献31の第4章]。
−Helicobacter pylori由来のタンパク質抗原(例えば、CagA[例えば、参考文献33]、VacA[例えば、参考文献33]、NAP[例えば、参考文献34]、HopX[例えば、参考文献35]、HopY[例えば、参考文献35]および/またはウレアーゼ)。
−Haemophilus influenzae B由来の糖抗原[例えば、参考文献13]。
−Porphyramonas gingivalis由来の抗原[例えば、参考文献36]。
−ポリオ抗原[例えば、参考文献37、38](例えば、IPVまたはOPV)。
−ウサギ抗原[例えば、参考文献39](例えば、凍結乾燥した不活化ウイルス[例えば、参考文献40、RabavertTM])。
−麻疹抗原、おたふくかぜ抗原および/または風疹抗原[例えば、参考文献31の第9、10および11章]。
−インフルエンザ抗原[例えば、参考文献31の第19章](例えば、血球凝集素および/またはノイラミニダーゼ表面タンパク質)。
−Moraxella catarrhalis由来の抗原[例えば、参考文献41]。
−Streptococcus agalactiae由来の抗原(B群streptococcus)[例えば、参考文献42、43]。
−Streptococcus pyogenes由来の抗原(A群streptococcus)[例えば、参考文献43、44、45]。
−Staphylococcus aureus由来の抗原[例えば、参考文献46]。
−これらの抗原の1つ以上を含む組成物。
【0076】
糖抗原または炭水化物抗原が使用される場合、これは、好ましくは、免疫原性を強化するためにキャリアタンパク質に結合体化される[例えば、参考文献47〜56]。好ましいキャリアタンパク質は、細菌毒素またはトキソイド(例えば、ジフテリアトキソイドまたは破傷風トキソイド)である。CRM197ジフテリアトキソイドは、特に好ましい。他の適切なキャリアタンパク質としては、N.meningitidis外膜タンパク質[例えば、参考文献57]、合成ペプチド[例えば、参考文献58、59]、熱ショックタンパク質[例えば、参考文献60]、百日咳タンパク質[例えば、参考文献61、62]、H.Influenzae由来のプロテインD[例えば、参考文献63]、C.difficile由来の毒素AまたはB[例えば、参考文献64]などが挙げられる。混合物が血清型AおよびCの両方由来の被膜糖を含む場合、MenA糖:MenC糖の比(w/w)は、1より大きい(例えば、2:1、3:1、4:1、5:1、10:1またはこれより大きい)ことが好ましい。N.meningitidisの異なる血清型由来の糖は、同じかまたは異なるキャリアタンパク質に結合体化され得る。
【0077】
必要な場合、任意の適切なリンカーとの、任意の適切な結合体化反応が使用され得る。
【0078】
毒性タンパク質抗原は、必要な場合、解毒され得る(例えば、化学的手段による百日咳毒素の解毒)[参考文献30]。
【0079】
ジフテリア抗原が、組成物中に含まれる場合、破傷風抗原および百日咳抗原を含むこともまた好ましい。同様に、破傷風抗原が含まれる場合、ジフテリア抗原および百日咳抗原を含むこともまた、好ましい。同様に、百日咳抗原が含まれる場合、ジフテリア抗原および破傷風抗原を含むこともまた好ましい。
【0080】
本発明は、広範な種々の高分子を送達するために使用され得、従って、多数の疾患を処置、予防、および/または診断するために使用され得ることが容易に明らかである。いくつかの実施形態において、本発明の高分子/微粒子組成物は、部位特異的標的化送達のために使用され得る。例えば、高分子/微粒子組成物の静脈内投与は、肺、肝臓、脾臓、血液循環、または骨髄を標的化するために使用され得る。
【0081】
高分子の吸着剤微粒子の表面への吸着は、イオン結合、水素結合、共有結合、ファンデルワールス結合、および親水性/疎水性相互作用を介する結合を含むがこれらに限定されない、任意の結合相互作用機構を介して生じる。当業者は、吸着される高分子の型に適した界面活性剤を容易に選択し得る。
【0082】
例えば、荷電した界面活性剤(例えば、アニオン性またはカチオン性界面活性剤)の存在下で製造した微粒子は、正味の負電荷または正味の正電荷を有する表面を有する微粒子を生じ得、これは、広範な種々の分子を吸収し得る。例えば、アニオン性界面活性剤(例えば、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS))を用いて製造された微粒子(例えば、SDS−PLG微粒子)は、正に荷電した抗原(例えば、タンパク質)を吸着する。同様に、カチオン性界面活性剤(例えば、CTAB)を用いて製造された微粒子(すなわち、PLG/CTAB微粒子)は、負に荷電した高分子(例えば、DNA)を吸着する。吸着される高分子が、正電荷および負電荷の領域を有する場合、カチオン性もしくはアニオン性または非イオン性の界面活性剤のいずれかが適切であり得る。
【0083】
本発明と共に使用するための微粒子を製造するための生物分解性ポリマーは、例えば、Boehringer Ingelheim、GermanyおよびBirmingham Polymers,Inc.,Birmingham,AL.から容易に商業的に入手可能である。例えば、本明細書中の微粒子を形成するために有用なポリマーとしては、以下に由来するホモポリマー、コポリマーおよびポリマーブレンドが挙げられる:ポリヒドロキシ酪酸(ポリヒドロキシブチレートとしてもまた公知である);ポリヒドロキシ吉草酸(ポリヒドロキシバレレートとしてもまた公知である);ポリグリコール酸(PGA)(ポリグリコリドとしてもまた公知である):ポリ乳酸(PLA)(ポリラクチドとしてもまた公知である);ポリジオキサノン;ポリカプロラクトン;ポリオルトエステル;およびポリ無水物。より好ましいのは、ポリ(α−ヒドロキシ酸)(例えば、ポリ(L−ラクチド)、ポリ(D,L−ラクチド)(本明細書中で共に「PLA」として公知である))、ポリ(ヒドロキシブチレート)、D,L−ラクチドおよびグリコリドのコポリマー(例えば、ポリ(D,L−ラクチド−co−グリコリド))(本明細書中で「PLG」または「PLGA」と命名される)またはD,L−ラクチドおよびカプロラクトンのコポリマーである。本明細書中における使用のための特に好ましいポリマーは、PLAおよびPLGポリマーである。これらのポリマーは、種々の分子量で利用可能であり、そして所定の使用のための適切な分子量が、当業者によって容易に決定される。従って、例えば、PLAについて、適切な分子量は、約2000〜5000のオーダーである。PLGについて、適切な分子量は、一般的に、約10,000〜約200,000の範囲であり、好ましくは、約15,000〜150,000の範囲である。
【0084】
PLGのようなコポリマーが、微粒子を形成するために使用される場合、種々のラクチド:グリコリド比が、本明細書中において用途を見出し、そしてこの比は、大部分は、選択でき、同時投与された高分子および所望の分解速度に一部依存する。例えば、50:50 PLGポリマー(50% D,L−ラクチドおよび50%グリコリドを含む)は、速く再吸収するコポリマーを提供するが、増加したラクチド成分に起因して、75:25 PLGは、よりゆっくり分解し、そして85:15および90:10は、さらによりゆっくり分解する。適切な比のラクチド:グリコリドは、例えば、問題の抗原および障害の性質に基づいて、当業者によって容易に決定されることは、容易に明らかである。さらに、種々のラクチド:グリコリド比を有する微粒子の混合物は、所定の高分子について所望の放出動力学を達成するため、そして一次免疫応答および二次免疫応答の両方を提供するために本明細書中で用途を見出す。本発明の微粒子の分解速度はまた、ポリマー分子量およびポリマー結晶化度のような因子によって制御され得る。種々のラクチド:グリコリド比および分子量を有するPLGコポリマーは、Boehringer Ingelheim,GermanyおよびBirmingham Polymers,Inc.,Birmingham,ALを含む多数の供給元から容易に商業的に入手可能である。これらのポリマーはまた、当業者に周知の技術(例えば、Tabataら、J.Biomed.Mater.Res.(1988)22:837−858において記載されるような技術)を使用して、乳酸成分の簡単な重縮合によって合成され得る。
【0085】
これらの微粒子は、当業者に周知のいくつかの方法のいずれかを使用して調製され得る。例えば、いくつかの実施形態において、二重乳濁液/溶媒エバポレーション技術(例えば、米国特許第3,523,907号およびOgawaら、Chem.Pharm.Bull.(1988)36:1095−1103において記載されるような技術)は、微粒子を作製するために本明細書中において使用され得る。これらの技術は、ポリマー溶液の液滴からなる第1の乳濁液の形成を包含し、これは、引き続き、粒子安定剤/界面活性剤を含む連続的な水相と混合される。
【0086】
他の実施形態において、微粒子はまた、例えば、Thomasinら、J.Controlled Release(1996)41:131;米国特許第2,800,457号;Masters,K.(1976)Spray Drying、第2版、Wiley,New Yorkにおいて記載されるような噴霧乾燥およびコアセルベーション;Hallら(1980)Controlled Release Technologies:Methods,Theory,and Applications(A.F.Kydonieus編)、第2巻、133〜154頁、CRC Press,Boca Raton,Floridaの「Wurster Process」およびDeasy,P.B.,Crit.Rev.Ther.Drug Carrier Syst.(1988)S(2):99−139によって記載されるような空気懸濁コーティング技術(例えば、パンコーティングおよびWursterコーティング);ならびに例えば、Limら、Science(1980)210:908−910によって記載されるようなイオン性ゲル化を使用して形成され得る。
【0087】
好ましい実施形態において、O’Haganら、Vaccine(1993)11:965−969、O’Haganらに対するPCT/US99/17308(WO 00/06123)、およびJefferyら、Pharm.Res.(1993)10:362によって記載されるように、水中油中水(w/o/w)溶媒エバポレーション系を使用して、微粒子を形成し得る。
【0088】
一般に、特定のポリマーは、有機溶媒(例えば、酢酸エチル、ジメチルクロライド(塩化メチレンおよびジクロロメタンとも呼ばれる)、アセトニトリル、アセトン、クロロホルムなど)に溶解される。ポリマーは、有機溶媒中、約1〜30%、好ましくは約2〜15%、より好ましくは約3〜10%、そして最も好ましくは約4〜6%の溶液で提供される。次いでこのポリマー溶液を、水溶液と組み合わせて、乳化してo/w乳濁液を形成する。水溶液は、例えば、脱イオン水、通常の生理食塩水、または緩衝化溶液(例えば、リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)またはクエン酸ナトリウム/エチレンジアミン四酢酸(クエン酸ナトリウム/ETDA)緩衝化溶液)であり得る。好ましくは、ポリマー溶液対水性液体の容量比は、約5:1〜20:1(より好ましくは約10:1)の範囲である。乳化は、この課題に適切な任意の装置を使用して行われ、そして代表的には、例えば、ホモジナイザーのような高剪断デバイスである。
【0089】
次いで、o/w乳濁液の容量を、好ましくは、より大きい容量の水溶液(これは好ましくは、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、または非イオン性界面活性剤を含む)と組み合わせる。水溶液対o/w乳濁液の容量比は、代表的には、約2:1〜10:1(より代表的には約4:1)の範囲である。本発明の実施に適切なアニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、および非イオン性界面活性剤の例は、上記列挙され、それぞれSDS、CTAB、およびPVAが挙げられる。特定の高分子は、界面活性剤の組み合わせ(例えば、PVAおよびDOTAPの組み合わせ)を有する微粒子により容易に吸着し得る。さらに、いくつかの場合において、上記の有機溶媒に界面活性剤を添加することは所望され得る。非イオン性界面活性剤(例えば、PVA)が使用される場合、これは、代表的に約2〜15%溶液、より代表的には約4〜10%溶液で提供される。カチオン性またはアニオン性界面活性剤が使用される場合、これは、代表的に約0.05〜5%溶液、より代表的には約0.25〜1%溶液で提供される。一般的に、約0.00001:1〜約0.5:1の範囲の重量対重量の界面活性剤対ポリマー比が使用され、より好ましくは約0.0001:1〜約0.5:1、より好ましくは約0.001:1〜約0.5:1、そしてなおより好ましくは約0.005:1〜約0.5:1の範囲の重量対重量の界面活性剤対ポリマー比が使用される。
【0090】
次いで混合物を、ホモジナイズし、安定なw/o/w二重乳濁液を生成する。次いで有機溶媒をエバポレートさせる。処方物パラメーターを操作して、0.05μm(50nm)のオーダーの小さい微粒子〜50μm以上のより大きい微粒子の調製を可能にし得る。例えば、Jefferyら、Pharm.Res.(1993)10:362−368;McGeeら、J.Microencap.(1996)を参照のこと。例えば、撹拌の減少によって、内部層容量が増加するにつれて、より大きい微粒子を生じる。小さい粒子は、高濃度の乳濁液安定剤を用いて低水相容量によって、生成される。
【0091】
上記の工程を実施するための好ましい装置は、図1に模式的に例示される。ここで図1を参照して、数102によって一般に示される製造タンクアセンブリが示される。タンクアセンブリ102は、「閉鎖システム」として設計され、その結果、加工の間、無菌環境が維持される。装備および部分の全ての要素は、好ましくは、適切に清浄(clean−in−place)でありかつオートクレーブ可能なように選択される。全てのフィルタ104a〜dは、好ましくは、フルオロポリマーフィルタ(例えば、Pall Corporation製のSuper−CheminertTM all−fluoropolymerフィルタ)である。最初に、水溶液(例えば、クエン酸ナトリウム/ETDA緩衝液系106および有機ポリマー溶液(例えば、塩化メチレン中のPLG溶液108)を濾過し、そしてタンク110に供給し、ここでこれらを、ミキサー112を用いて連続的に混合する。次いで、この混合物を、インラインのホモジナイザー114(例えば、高速、高剪断のオートクレーブ可能なインラインホモジナイザー(例えば、Kinematica MT5000))を介して供給し、o/w乳濁液を形成する。乳濁液を、インラインホモジナイザー114からの出現後に、例えば、水冷却コンデンサー116によって冷却し、その際に、タンク110に戻す。内容物が所望の程度まで乳化された後、界面活性剤水溶液(例えば、水中のCTAB溶液118)を、タンク110に添加し、その際に、w/o/w乳濁液を、インラインミキサー114を介して内容物を再び供給することによって形成する。十分な乳化後、得られたw/o/w乳濁液を分配器119を介して窒素を用いてパージし、有機溶媒を除去する。窒素負荷溶媒蒸気を濾過し、そしてコンデンサー120において冷却し、容器122において溶媒を捕捉する。
【0092】
比較的大きい重量対重量比(例えば、約0.05:1〜約0.5:1、より好ましくは約0.10:1〜約0.50:1、そして最も好ましくは約0.2:1〜約0.4:1の界面活性剤対ポリマー)の界面活性剤対ポリマーが使用される実施形態において、粒子を洗浄して、過剰な量の界面活性剤を除去することが所望される。代表的に、この洗浄工程は、例えば、(図1に接続して実施されるような)溶媒蒸発によってか、溶媒抽出によってか、またはこれら両方によって、最終乳濁液から有機溶媒が除去された後に、実施される。
【0093】
いくつかの実施形態において、微粒子を遠心分離によって洗浄する。このプロセスは、界面活性剤の全体量を減少させ、そして結合界面活性剤に対して比較的少量の未結合界面活性剤を含む最終組成物を生じる。例えば、以下の実施例2において、実行される洗浄工程(すなわち、4回の遠心分離によって、水で洗浄する)によって、約1%w/wのCTAB(その99%より多くが微粒子に結合し、そして1%未満が未結合形態である)を有する微粒子が得られる。
【0094】
他のより好ましい実施形態において、微粒子は、界面活性剤減少プロセスに供されるが、それにもかかわらず未結合形態の有意な量の界面活性剤を保持する。例えば、直交流濾過工程を実施して、かなりの量の未結合界面活性剤を保持し得る。代表的には、この型の濾過工程によって、全体で約0.2〜5%w/wの界面活性剤を含む微粒子が得られ、そのうち約10〜60%が微粒子に結合し、そして約40〜90%が未結合形態で見出される。より好ましくは、約25〜40%が微粒子に結合し、そして約60〜75%が未結合である。例えば、以下の実施例5に記載される手順において、全体で約1%w/wのCTABを有する微粒子が生成され、そのうち約30%が微粒子に結合し、そして約70%が未結合である。
【0095】
十分に小さい界面活性剤対ポリマー比(例えば、約0.001:1〜約0.05:1、より好ましくは約0.002:1〜約0.04:1、そしてさらにより好ましくは約0.006:1〜約0.02:1の界面活性剤対ポリマー比)が使用される実施形態において、微粒子を洗浄して過剰量の界面活性剤を除去する必要はない。代表的には、この型のプロセスによって、約0.2〜5%w/wの界面活性剤を有する微粒子が得られ、そのうち約10〜60%が微粒子に結合し、そして約40〜90%が未結合形態で見出される。より好ましくは、約25〜40%が微粒子に結合し、そして約60〜75%が未結合である。例えば、以下の実施例6に記載される手順において、約1%w/wのCTABを有する微粒子が生成され、そのうち約30%が微粒子に結合し、そして約70%が未結合である。
【0096】
粒子サイズは、例えば、ヘリウムネオンレーザーを組み込んだ分光計を用いて、例えば、レーザー光散乱によって決定され得る。概して、粒子サイズが室温で決定され、そして粒子直径の平均値を得るための該当のサンプルの複数回の(例えば、5〜10回の)分析を包含する。粒子サイズはまた、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて容易に決定される。調製後、将来の使用のために微小粒子をそのまま貯蔵し得るか、または凍結乾燥し得る。微小粒子に対して高分子を吸着するために、微小粒子調製物は、目的の高分子と単に混合され得、そして得られた処方物は、使用の前、再度凍結乾燥され得る。しかし、上記のように、本発明者らは、高分子吸着の時点でかなりの量の未結合型の界面活性剤が存在することを確認することによって、ポリマー微小粒子への高分子の吸着が改善され得ることを見出した。調製されたままの微小粒子組成物中にごくわずか(例えば、約5%以下)の界面活性剤が未結合型で存在する場合、高分子および追加量の界面活性剤の両方とともに微小粒子をインキュベートすることが好ましい。好ましくは、約0.002:1〜0.05:1、より好ましくは約0.005:1〜0.02:1の界面活性剤対高分子の重量対重量比が用いられる。
【0097】
一方では、調製されたままの微小粒子組成物中のかなりの量の界面活性剤が、未結合型で存在する場合(例えば、約50〜90%未結合、より好ましくは約60〜75%)、この微小粒子を目的の高分子と単にインキュベートすることによって(必要に応じてさらなる界面活性剤の使用を伴う)、良好な結果が達成され得る。
【0098】
理論によって束縛されることを望まないが、上記の両方の場合とも、未結合の界面活性剤が、目的の高分子と複合体を形成するために利用可能であり、この高分子を微小粒子に対してさらに吸着しやすくすると考えられる。
【0099】
概して、高分子を、この微小粒子に添加して、高分子対微小粒子の重量比として、約0.0001:1〜0.25:1、好ましくは0.001:1〜0.1:1、より好ましくは0.01:1〜0.05:1である、高分子が吸着された微小粒子を得る。この微小粒子の高分子含量は、標準的技術を用いて決定され得る。
【0100】
本発明の微小粒子は、その中に高分子が捕獲されていてもよく、またはカプセル化されていてもよく、そして表面上に高分子が吸着され得る。従って、例えば、当業者は、本発明に従って、表面上にタンパク質が吸着されたアジュバントをカプセル化した微小粒子、またはその表面上にアジュバントが吸着されたタンパク質をカプセル化した微小粒子を調製し得る。当業者は同様に、本発明に従って、表面上に複合体化ELVISベクターが吸着されたアジュバントをカプセル化した微小粒子、または表面上に核酸プラスミドが吸着された抗原をカプセル化した微小粒子を調製し得る。本発明は、抗原性分子のような他の高分子と、微小粒子に吸着た複合体化高分子および微小粒子内に捕獲された複合体化高分子との種々の組み合わせを企図する。
【0101】
一旦、高分子吸着微小粒子が生成されると、これらは、上記のような広範な種々の障害を処置、および/または診断するために、ワクチンを含む、薬学的組成物に処方される。この組成物一般に、1つ以上の薬学的に受容可能な賦形剤を含む。例えば、ビヒクル(例えば、水、生理食塩水、グリセロール、ポリエチレングリコール、ヒアルロン酸、エタノールなど)が、使用され得る。他の賦形剤(例えば、湿潤剤または乳化剤、生物学的緩衝物質など)が、このようなビヒクル中に存在し得る。生物学的緩衝液は、薬理学的に受容可能でありかつ所望のpH(すなわち、生理学的範囲のpH)を有する処方物を提供する実質的に任意の溶液であり得る。緩衝溶液の例としては、生理食塩水、リン酸緩衝化生理食塩水、Tris緩衝化生理食塩水、ハンクス緩衝化生理食塩水などが挙げられる。当該分野で公知の他の賦形剤(結合剤、崩壊剤、充填剤(希釈剤)、滑沢剤、滑剤(流動向上剤)、圧縮助剤、着色剤、甘味料、保存剤、懸濁/分散剤、フィルム形成剤/コーティング、香味剤および印刷インクを含む)もまた、最終的な投薬形態に導入され得る。
【0102】
この薬学的組成物の効果を増強するために、アジュバントが用いられ得る。これらのアジュバントは、本発明の微小粒子と同時に、例えば、同じ組成物中で、または別個の組成物中で、投与され得る。あるいは、アジュバントは、本発明の微小粒子組成物の前、または引き続いて、投与され得る。別の実施形態において、このアジュバント(例えば、免疫学的アジュバント)は、この微小粒子中にカプセル化され得る。アジュバント(単に任意の高分子として)は、当該分野で公知のいくつかの方法のいずれかを使用して、この微小粒子中にカプセル化され得る。例えば、米国特許第3,523,907号;Ogawaら,Chem Pharm.Bull.(1988)36:1095〜1103;O’Haganら,Vaccine(1993)11:965〜969およびJeffereyら,Pharm.Res.(1993)10:362を参照のこと。あるいは、アジュバントは、任意の高分子について上記されるように、この微小粒子上に吸着され得る。
【0103】
免疫学的アジュバントとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:(1)アルミニウム塩(ミョウバン)(例えば、水酸化アルミウム、リン酸アルミニウム、硫酸アルミニウムなど);(2)他の水中油乳濁剤処方物(他の特定の免疫刺激剤(例えば、ムラミルペプチド(下記を参照のこと)もしくは細菌細胞壁成分)を含むかまたは含まない)(例えば、(a)MF59(国際公開番号WO90/14837;Vaccine design:the subunit an adjuvant approach、PowellおよびNewman編、Plenum Press 1995の第10章)(これは、マイクロフルイダイザー(例えば、Model 110Yマイクロフルイダイザー(Microfluidics,Newton,MA)を使用して1ミクロン未満の粒子へと処方された、5% Squalene、0.5% Tween 80、および0.5% Span 85を含む(必要に応じて、種々の量のMTP−PE(下記を参照のこと)を含むが、必要ではない))、(b)マイクロフルイダイズされて1ミクロン未満の乳濁液にされたかまたはボルテックスされてより大きな粒径(粒子サイズ)の乳濁液にされたかのいずれかである、10% Squalene、0.4% Tween 80、5%プルロニックブロックポリマーL121およびthr−MDP(下記を参照のこと)を含む、SAF、ならびに(c)2% Squaleneと、0.2% Tween 80と、1つ以上の細菌細胞壁成分(モノホスホリルリピドA(MPL)、トレハロースジミコレート(TDM)、および細胞壁骨格(CWS)からなる群より選択され、好ましくは、MPL+CWS(DetoxTM)である)とを含む、RibiTMアジバント系(RAS)(Ribi Immunochem,Hamilton,MT)(本明細書中での用途のために適切な1ミクロン未満の水中油乳濁液のさらなる説明について、共有に係る特許出願第09/015,736号(1998年1月29日出願)を参照のこと);(3)サポニンアジュバント(例えば、Quil AまたはQS21(例えば、StimulonTM(Cambridge Bioscience,Worcester,MA)))が、使用され得るし、またはそれから生成された粒子(例えば、ISCOM(免疫刺激複合体)(このISCOMは、さらなる界面活性剤を欠き得る(例えば、WO00/07621))が使用され得る;(4)完全フロイントアジュバント(CFA)および不完全フロイントアジュバント(IFA);(5)サイトカイン(例えば、インターロイキン(例えば、IL−1、IL−2、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−12(WO99/44636)など)、インターフェロン(例えば、γインターフェロン)、マクロファージコロニー刺激因子(M−CSF)、腫瘍壊死因子(TNF)など);(6)モノホスホリルリピドA(MPL)または3−O−脱アシル化MPL(3dMPL)(例えば、GB−2220221、EP−A−0689454))(これらは、肺炎球菌糖質とともに使用される場合、必要に応じてミョウバンを実質的に伴わない(例えば、WO00/56358));(7)3dMPLと、例えば、QS21および/または水中油乳濁液との組み合わせ(例えば、EP−A〜0835318、EP−A〜0735898、EP−A−0761231);(8)CpGモチーフ含有オリゴヌクレオチド(Romanら、Nat.Med.,1997,3,849〜854;Weinerら、PNAS USA,1997,94,10833〜10837;Davisら、J.Immunol.1988,160,870〜876:Chuら,J.Exp.Med.,1997,186,1623〜1631;Lipfordら,Eur.J.Immunol.1997,27,2340〜2344;Moldoveanuら,Vaccine,1988,16,1216〜1224,Kriegら,Nature,1995,374,546〜549;Klinmanら,PNAS USA,1996,93,2879〜2883:Ballasら,J.Immunol.,1996,157,1840〜1845;Cowderyら,J.Immunol.,1996,156,4570〜4575;Halpernら,Cell.Immunol.,1996,167,72〜78;Yamamotoら,Jpn.J.Cancer Res.,1988,79,866〜873;Staceyら,J.Immunol,1996,157,2116〜2122;Messinaら,J.Immunol.,1991,147,1759〜1764;Yiら,J.Immunol.,1996,157,4918〜4925;Yiら,J.Immunol.,1996,157,5394〜5402;Yiら,J.Immunol.,1998,160,4755〜4761;ならびにYiら,J.Immunol.,1998,160,5898〜5906;国際特許出願WO96/02555,同WO98/16247,同WO98/18810,同WO98/40100,同WO98/55495,同WO98/37919同およびWO98/52581))(すなわち、このオリゴヌクレオチドは、少なくとも1つのCGジヌクレオチドを含み、シトシンの代わりに、5メチルシトシンが、必要に応じて使用される);(9)ポリオキシエチレンエーテルまたはポリオキシエチレンエステル(例えば、WO99/52549);(10)オクトキシノールと組み合わせたポリオキシエチレンソルビタンエステル界面活性剤(WO01/21207)または少なくとも1つのさらなる非イオン性界面活性剤(例えば、オクトオキシノール)と組み合わせたポリオキシエチレンアルキルエーテル(もしくはポリオキシエチレンアルキルエステル)界面活性剤(WO01/21152);(11)サポニンおよび免疫刺激オリゴヌクレオチド(例えば、CpGオリゴヌクレオチド)(WO00/62800);(12)免疫刺激物質および金属塩粒子(例えば、WO00/23105);(13)サポニンおよび水中油乳濁液(例えば、WO99/11241);(14)サポニン(例えば、QS21)+3dMPL+IL−12(必要に応じて+ステロール)(例えば、WO98/57659);(15)細菌ADP−リボシル化毒素(例えば、コレラ毒素(CT)、百日咳毒素(PT)、またはE.coli熱不安定性毒素(LT))の無毒化変異体(特に、LT−K63(63位の野生型アミノ酸に代わってリジンで置換されている)、LT−R72(72位の野生型アミノ酸に代わってアルギニンで置換されている)、CT−S109(109位の野生型アミノ酸に代わってセリンで置換されている)、およびPT−K9/G129(9位の野生型アミノ酸に代わってリジンで置換されており、かつ129位でグリシンで置換されている)(例えば、国際公開番号WO93/13202およびWO92/19265を参照のこと));ならびに(16)この組成物の有効性
(効果)を増強するための免疫刺激剤として作用する他の物質。ミョウバン(特に、リン酸アルミニウムおよび/または水酸化アルミニウム)ならびにMF59が、好ましい。
【0104】
ムラミルペプチドとしては、N−アセチル−ムラミル−L−スレオニル−D−イソグルタミン(thr−MDP)、N−アセチル−ノルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミン(ノル−MDP)、N−アセチルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミニル−L−アラニン−2−(1’〜2’−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ヒドロキシホスホリルオキシ)−エチルアミン(MTP−PE)などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0105】
アジュバントのさらなる例については、Vaccine Design,The Subunit and the Adjuvant Approach,Powell,M.F.およびNewman,M.J.編、Plenum Press,1995を参照のこと。
【0106】
この組成物は、「治療有効量」の目的の高分子を含む。すなわち、症状を予防、軽減、排除または診断するために、十分な応答を被験体に生じさせる量の高分子/微小粒子が、この組成物中に含まれる。正確な必要量は、例えば、とりわけ、処置されている被験体;処置される被験体の年齢および一般的な状態;処置されている状態の重篤度;免疫応答の場合、被験体の免疫系の抗体合成能力;所望される防御の程度および選択される特定の抗原およびその投与様式に依存して変化する。適切な有効量は、当業者によって容易に決定され得る。従って、「治療的有効量」は、代表的には、慣用的な試行によって決定され得る比較的広い範囲にある。例えば、本発明の目的のために、高分子がポリヌクレオチドである場合、有効用量とは、代表的に、1用量あたり送達される高分子が、約1ng〜約10mg、より好ましくは約10ng〜約1μg、最も好ましくは約50ng〜約500ngの範囲であり;この高分子が抗原である場合、有効用量は、代表的に、1用量あたり送達される高分子が、約1μg〜約100mg、より好ましくは約10μg〜約1mg、最も好ましくは約50μg〜約500μgの範囲である。
【0107】
一旦、処方されると、本発明の組成物は、例えば、注射によって、非経口投与され得る。この組成物は、皮下、腹腔内、静脈内または筋肉内のいずれかに注射され得る。他の投与方法としては、鼻腔投与、経粘膜投与、経直腸投与、経膣投与、経口投与および肺投与、坐剤、経皮(transdermalまたはtranscutaneous)適用が挙げられる。
【0108】
投薬処置は、単回用量スケジュールまたは複数用量スケジュールであり得る。複数用量スケジュールは、1クール目の投与が1〜10の別個の用量で行われ、続いて他の用量が、その治療的応答を維持および/または強化するように選択された引き続く時間間隔(例えば、第2の投薬について1〜4ヶ月、必要ならば、数ヶ月後の引き続く投薬)で投与される、スケジュールである。投薬レジメンはまた、少なくとも一部は、この被験体の必要性によって決定され、そして医師の判断に依存する。
【0109】
さらに、疾患の予防が所望される場合、ワクチン中の高分子は、一般に、目的の病原での一次感染前に投与される。処置(例えば、症状または再発の軽減)が所望される場合、高分子は一般に一次感染の後に投与される。
【0110】
(実験)
以下は、本発明を実施するための特定の実施形態の例である。この実施例は、例示目的のためにのみ提供するものであって、決して本発明の範囲を限定するものではない。
【0111】
用いた数値(例えば、量、温度など)に関して正確性を期すために労力を払ったが、当然ながらある程度の実験誤差および偏差(逸脱)は許容されるべきである。
【0112】
(実施例1)
(PVAを用いるブランクの微小粒子の調製)
ブランクの微小粒子(例えば、高分子が吸着されても捕獲されてもいない)を、以下のように、ポリビニルアルコール(PVA)を用いて作製した。溶液は以下を用いた:
(1)6%RG 504 PLG(Boehringer Ingelheim)含有ジクロロメタン
(2)10%ポリビニルアルコール(PVA)(ICN)含有水。
【0113】
詳細には、10mlのポリマー溶液と1.0mlの蒸留水とを合わせて、10K rpmで、10mmのプローブを備えるOmniベンチトップ(卓上型)ホモジナイザーを用いて3分間ホモジナイズして水/油(w/o)乳濁液を形成することにより、この微小粒子を作製した。このw/o乳濁液を40mlの10%PVA溶液に添加して、3分間ホモジナイズし、水/油/水(w/o/w)乳濁液を形成した。このw/o/w乳濁液を、溶媒をエバポレートするために一晩攪拌したままにして、微小粒子を形成した。この形成された微小粒子を遠心分離によって水で4回洗浄し、そして凍結乾燥した。次いで、将来の使用のために、この微小粒子を、Malvern Masterサイザー中でサイズで分類した。
【0114】
(実施例2)
(CTABを用いるブランクの微小粒子の調製)
ブランクの微小粒子を、以下のように、CTABを用いて作製した。溶液は以下を用いた:
(1)4%RG 504 PLG(Boehringer Ingelheim)含有ジメチルクロライド
(2)0.5%CTAB(Sigma Chemical Co.,St.Louis,MO)を含有する水。
【0115】
詳細には、12.5mlのポリマー溶液と1.25mlの蒸留水とを合わせて、10K rpmで、10mmのプローブを備えるOmniベンチトップホモジナイザーを用いて3分間ホモジナイズしてw/o乳濁液を形成することにより、この微小粒子を作製した。このw/o乳濁液を50mlの0.5%CTAB溶液に添加して、3分間ホモジナイズし、w/o/w乳濁液を形成した。このw/o/w乳濁液を、溶媒をエバポレートするために一晩攪拌したままにして、微小粒子を形成した。次いで、この形成された微小粒子を38μメッシュを通して濾過し、遠心分離によって水で4回洗浄し、そして凍結乾燥した。次いで、将来の使用のために、この微小粒子を、Malvern Masterサイザー中でサイズで分類した。
【0116】
(実施例3)
(SDSを用いるブランクの微小粒子の調製)
ブランクの微小粒子を、以下のように、SDSを用いて作製した。溶液は以下を用いた:
(1)6%RG 504 PLG(Boehringer Ingelheim)含有ジメチルクロライド
(2)1%SDS(Sigma Chemical Co.,St.Louis,MO)を含有する水。
【0117】
詳細には、12.5mlのポリマー溶液と50mlのSDS溶液とを合わせて、10K rpmで、10mmのプローブを備えるOmniベンチトップホモジナイザーを用いて3分間ホモジナイズして、この微小粒子を作製した。この乳濁液を、溶媒をエバポレートするために一晩攪拌させた。この形成された微小粒子を38μメッシュを通して濾過し、遠心分離によって水で4回洗浄し、そして将来の使用のために凍結乾燥した。次いで、将来の使用のために、この微小粒子を、Malvern Masterサイザー中でサイズで分類した。
【0118】
(実施例4)
(DNA/CTABの複合体が吸着された高分子)
ブランクのPLG/PVA微小粒子を、標準的な溶媒エバポレーション法を用いて予備形成した。1gのバッチサイズについて、2mlの脱イオン水(DI)を、6%(w/v)溶液のRG 504(PLG Polymer)を含有するジクロロメタン(DCM)16ml容積とともにホモジナイズした。この乳濁液を2分間モホジナイズして、この混合物に対して、60mlの10%(w/v)溶液のポリビニルアルコール(PVA)を添加した。この複数の乳濁液をさらに3分間モホジナイズして、次いで一晩の溶媒エバポレーションのために磁気攪拌機にかけた。得られた微小粒子を脱イオン水で2回洗浄して凍結乾燥した。この微小粒子をサイズで分類して、ほぼ1μmのサイズであることを見出した。
【0119】
DNA処方物を調製するために、100mgのPLG/PVA微小粒子を、5ml容積のTE緩衝液中で1mgのCTABおよび1mgのDNA(pCMV−p55gag)とともにインキュベートした。この懸濁液を、完全な吸着のために4℃で一晩穏やかに攪拌した。この微小粒子を5000rpmで1回遠心分離し、そしてペレットを50mlのTE緩衝液で1回洗浄した。得られたペレットを3mlのDI水に懸濁し、そして微小粒子を凍結乾燥した。
【0120】
吸着した実際のDNAを、枯渇(上清の測定)および微小粒子の塩基加水分解の両方によって評価した。DNA負荷(ロード)は、0.91%(w/w)であることおよび負荷効率は91%であることを見出した。
【0121】
10mgの処方物は、1日目、1mlのTE緩衝液中、インビトロで、遊離のDNAを全く放出しなかった。
【0122】
(実施例5)
(CTABクロスフロー濾過技術を用いるブランクの微小粒子の調製)
ブランクの微小粒子を、以下のように、CTABを用いて生成する。溶液は以下を用いる:(1)6%RG 504 PLG(Boehringer Ingelheim)含有塩化メチレン、(2)0.5%CTAB(Sigma Chemical Co.,St.Louis,MO)含有水、(3)クエン酸ナトリウム/EDTA含有水。図1に例示されたような装置中で、80mlのポリマー溶液と10mlのクエン酸ナトリウム/EDTA溶液とを、タンク中で一定混合しながら合わせて、微小粒子を作製する。次いで、1〜2ミクロンの平均粒子サイズを有する分散相(水相)を有するo/w乳濁液が得られるまで、この混合物を、インラインホモジナイザー中でホモジナイズする。この時点で310mlのCTAB溶液を、一定混合しながらこのタンクに添加する。次いで、1ミクロンの平均粒子サイズを有する分散相(o/w相)を有する安定なw/o/w乳濁液が得られるまで、この混合物をインラインホモジナイザー中でホモジナイズする。得られたw/o/w乳濁液を窒素でパージして、有機溶媒を取り除き、そして総量4.0リットルの脱イオン水を用い、Milliporeの0.1ミクロンクロスフローフィルターカセットを用いて、形成したままの微小粒子を濾過して、過剰のCTABを除去する。最終のクロスフロー濾過後、この懸濁液を回収する。これは、約1%CTABを含み、その30%が結合した形態で存在し、そして70%が未結合型で存在する。
【0123】
(実施例6)
(CTAB非洗浄技術を用いるブランクの微小粒子の調製)
ブランクの微小粒子を、以下のように、CTABを用いて生成した。溶液は以下を用いる:(1)6%RG 504 PLG(Boehringer Ingelheim)含有塩化メチレン、(2)0.01825%CTAB(Sigma Chemical Co.,St.Louis,MO)を含有する水、(3)クエン酸ナトリウム/EDTAを含有する水。図1に例示されたような装置中で、300mlのポリマー溶液と60mlのクエン酸ナトリウム/EDTA溶液とを、タンク中で一定混合しながら合わせて、微小粒子を作製する。次いで、1ミクロンの平均粒子サイズを有する分散相(水相)を有するo/w乳濁液が得られるまで、この混合物を、インラインホモジナイザー中でホモジナイズする。この時点で1.8リットルのCTAB溶液を、一定混合しながらこのタンクに添加する。次いで、1ミクロンの平均粒子サイズを有する分散相(o/w相)を有する安定なw/o/w乳濁液が得られるまで、この混合物をインラインホモジナイザー中でホモジナイズする。得られたw/o/w乳濁液を窒素でパージして、有機溶媒を取り除く。この微小粒子懸濁物を、将来の使用のためにMalvern Masterサイザー中でサイズで分類する。これらの微小粒子は、約1%CTABを含み、その30%が結合型で存在し、そして70%が未結合型で存在する。
【0124】
(実施例7)
(p55 DNAを吸着した微小粒子の免疫原性)
0.5nl容積のTris−EDTA緩衝液中の1.0mgのDNA(サイトメガロウイルス初期プロモーターの制御下でHIV p55gagタンパク質をコードするpCMV gagプラスミド)とともに、実施例6において形成された100mgの微小粒子懸濁物(10ml容積中)をインキュベートすることによって、DNA処方物を調製する。この懸濁液を4℃で12時間インキュベートする。インキュベーション後、DNAをロードした微小粒子を遠心分離して、Tris−EDTA緩衝液で洗浄し、脱イオン水中に懸濁し、そしてスリーズドライ(凍結乾燥)した。得られた微小粒子のDNAローディングは、約1%w/wである。
【0125】
次いで、このDNAをロードした微小粒子を、2つの総DNAレベルで、マウスに筋肉内注射する。DNAのみも、コントロールとして、同じ2つのレベルで注射する。各処方物を10匹のマウスに注射する。このマウスを28日後にブーストした。第二の免疫の2週後、血清を回収して、各血清の幾何平均力価(GMT)を、その標準誤差(SE)とともに測定する。その結果を以下の表にまとめる:
【0126】
【表1】
Figure 2004509914
本発明の好ましい実施形態をいくらか詳細に記載したが、明らかな改変が、添付の特許請求の範囲によって規定されるような本発明の意図および範囲から逸脱することなくなされ得ることが、理解される。
【0127】
【表2】
Figure 2004509914
Figure 2004509914
Figure 2004509914

【図面の簡単な説明】
【図1】
図1は、本発明の微粒子を生成するのに適切な装置の概略図である。

Claims (57)

  1. 生物学的に活性な微粒子組成物であって、以下:
    (a)ポリ(α−ヒドロキシ酸)、ポリヒドロキシ酪酸、ポリカプロラクトン、ポリオルトエステル、ポリ無水物およびポリシアノアクリレートからなる群より選択されるポリマー、ならびに(b)該ポリマーに結合している第一の界面活性剤部分を含む、微粒子;ならびに
    (a)第一の生物学的に活性な高分子および(b)第二の界面活性剤部分を含む、該微粒子の表面に吸着された複合体、
    を含み、
    ここで、該第一の界面活性剤部分および第二の界面活性剤部分は、同一の界面活性剤または異なる界面活性剤を含み、かつ該第一の生物学的に活性な高分子が、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、ポリヌクレオシド、抗原、薬剤、ホルモン、酵素、転写メディエーターまたは翻訳メディエーター、代謝経路における中間体、免疫モジュレーターおよびアジュバントからなる群より選択される、微粒子組成物。
  2. 前記ポリマーが、ポリ(L−ラクチド)、ポリ(D,L−ラクチド)およびポリ(D,L−ラクチド−co−グリコリド)からなる群より選択されるポリ(α−ヒドロキシ酸)を含む、請求項1に記載の微粒子組成物。
  3. 前記ポリマーが、ポリ(D,L−ラクチド−co−グリコリド)を含む、請求項1に記載の微粒子組成物。
  4. 前記ポリ(D,L−ラクチド−co−グリコリド)が、30:70〜70:30の範囲のラクチド/グリコリドモル比、および10,000〜100,000ダルトンの範囲の分子量を有する、請求項3に記載の微粒子組成物。
  5. 前記ポリ(D,L−ラクチド−co−グリコリド)が、40:60〜60:40の範囲のラクチド/グリコリドモル比、および30,000ダルトン〜700,000ダルトンの範囲の分子量を有する、請求項3に記載の微粒子組成物。
  6. 前記第一の界面活性剤部分および前記第二の界面活性剤部分が同一の界面活性剤を含む、請求項1に記載の微粒子組成物。
  7. 前記第一の界面活性剤部分および前記第二の界面活性剤部分がカチオン性界面活性剤を含む、請求項6に記載の微粒子組成物。
  8. 前記第一の界面活性剤部分および前記第二の界面活性剤部分が異なる界面活性剤を含む、請求項1に記載の微粒子組成物。
  9. 前記第一の界面活性剤部分が非イオン性界面活性剤を含み、かつ前記第二の界面活性剤部分がカチオン性界面活性剤を含む、請求項8に記載の微粒子組成物。
  10. 前記第一の界面活性剤部分がPVAを含み、かつ前記第二の界面活性剤部分がCTABを含む、請求項9に記載の微粒子組成物。
  11. 前記第一の生物学的に活性な高分子が、ポリペプチドまたはポリヌクレオチドである、請求項1に記載の微粒子組成物。
  12. 前記第一の生物学的に活性な高分子が、HIV抗原、髄膜炎B抗原、連鎖球菌B抗原およびインフルエンザA血球凝集抗原より選択される抗原である、請求項1に記載の微粒子組成物。
  13. 前記HIV抗原が、gp120、gp140、p24gag、p55gagからなる群より選択される、請求項12に記載の微粒子組成物。
  14. 前記第一の生物学的に活性な高分子が、gp120、gp140、p24gag、p55gagおよびインフルエンザA血球凝集抗原からなる群より選択される抗原をコードするポリヌクレオチドである、請求項1に記載の微粒子組成物。
  15. 前記第一の生物学的に活性な高分子が、プラスミド、ELVISベクターおよびRNAベクター構築物からなる群より選択されるメンバーである、請求項1に記載の微粒子組成物。
  16. ポリペプチド、ポリヌクレオチド、ポリヌクレオシド、抗原、薬剤、ホルモン、酵素、転写メディエーターまたは翻訳メディエーター、代謝経路における中間体、免疫モジュレーターおよびアジュバントからなる群より選択される第二の生物学的に活性な高分子をさらに含む、請求項1に記載の微粒子組成物。
  17. 前記第二の生物学的に活性な高分子がアジュバントである、請求項16に記載の微粒子組成物。
  18. 前記アジュバントが、CpGオリゴヌクレオチド、LTK63、LTR72、MPLおよびアルミニウム塩からなる群より選択されるメンバーである、請求項17に記載の微粒子組成物。
  19. 前記アジュバントがリン酸アルミニウムである、請求項17に記載の微粒子組成物。
  20. 請求項1に記載の微粒子組成物であって、前記ポリマーが、ポリ(L−ラクチド)、ポリ(D,L−ラクチド)およびポリ(D,L−ラクチド−co−グリコリド)からなる群より選択されるポリ(α−ヒドロキシ酸)を含み、ここで、前記第一の界面活性剤部分および前記第二の界面活性剤部分がカチオン性界面活性剤を含み、かつ前記第一の生物学的に活性な高分子がポリヌクレオチドである、微粒子組成物。
  21. 請求項1に記載の微粒子組成物であって、前記ポリマーが、ポリ(D,L−ラクチド−co−グリコリド)を含み、ここで、前記第一の界面活性剤部分および前記第二の界面活性剤部分がCTABを含み、かつ前記第一の生物学的に活性な高分子がHIV抗原、髄膜炎B抗原、連鎖球菌B抗原およびインフルエンザA血球凝集抗原からなる群より選択される抗原をコードするポリヌクレオチドである、微粒子組成物。
  22. 前記抗原が、gp120、gp140、p24gagおよびp55gagより選択されるHIV抗原である、請求項21に記載の微粒子組成物。
  23. 前記第一の生物学的に活性な高分子がpCMV−p55gagである、請求項22に記載の微粒子組成物。
  24. 請求項20に記載の微粒子組成物であって、前記第一の界面活性剤部分および前記第二の界面活性部分が同一のカチオン性界面活性剤を含み、かつ該第一の界面活性剤部分が、該組成物中の全界面活性剤の約10〜90%を含むポリマーに結合している、微粒子組成物。
  25. 請求項24に記載の微粒子組成物であって、前記第一の界面活性剤部分が、該組成物中の全界面活性剤の約10〜60%を含むポリマーに結合している、微粒子組成物。
  26. 前記カチオン性界面活性剤がCTABである、請求項25に記載の微粒子組成物。
  27. 請求項10に記載の微粒子組成物であって、前記ポリマーが、ポリ(L−ラクチド)、ポリ(D,L−ラクチド)およびポリ(D,L−ラクチド−co−グリコリド)からなる群より選択されるポリ(α−ヒドロキシ酸)を含み、かつ前記第一の生物学的に活性な高分子がポリヌクレオチドである、微粒子組成物。
  28. さらに薬学的に受容可能な賦形剤を含む、請求項1〜27の微粒子組成物。
  29. 疾患の診断のための請求項28に記載の微粒子組成物の使用。
  30. 疾患の処置のための請求項28に記載の微粒子組成物の使用。
  31. ワクチンための請求項28に記載の微粒子組成物の使用。
  32. 免疫応答を生じるための請求項28に記載の微粒子組成物の使用。
  33. 治療有効量の生物学的に活性な高分子を、脊椎動物被験体に送達する方法であって、該方法が、請求項28に記載の微粒子組成物を該脊椎動物被験体に投与する工程を包含する、方法。
  34. 微粒子組成物を生成するための方法であって、該方法が、以下の工程:
    (a)(i)ポリ(α−ヒドロキシ酸)、ポリヒドロキシ酪酸、ポリカプロラクトン、ポリオルトエステル、ポリ無水物およびポリシアノアクリレートからなる群より選択されるポリマー、(ii)有機溶媒、(iii)界面活性剤ならびに(iv)水、を含む乳濁液を形成する工程;ならびに
    (b)乳濁液から有機溶媒を除去して微粒子を形成する工程;
    を包含する、方法であって、
    ここで、該微粒子組成物中の全界面活性剤の約10〜90%が該微粒子に結合されており、残余は結合されておらず、かつ該微粒子が洗浄工程に供されていない、方法。
  35. 請求項34に記載の方法であって、前記乳乳濁液が、以下の工程:
    (a)油中水乳濁液を形成するために、ポリマーおよび水を含む第一の水相を有する有機溶媒を含む有機相を乳化する工程;ならびに
    (b)水中油中水乳濁液を形成するために、カチオン界面活性剤および工程(a)において形成された乳濁液を有する水を含む第二の水相を乳化する工程、
    を包含するプロセスにより形成される水中油中水乳濁液である、方法。
  36. クロスフロー濾過工程が、前記有機溶媒を除去した後に実施される、請求項34に記載の方法。
  37. 前記界面活性剤が、約0.05:1〜約0.5:1の界面活性剤 対 ポリマー(重量 対 重量)の比率で前記乳濁液中に提供されるカチオン性界面活性剤である、請求項36に記載の方法。
  38. 前記カチオン性界面活性剤が、約0.1:1〜約0.5:1の界面活性剤 対 ポリマー(重量 対 重量)の比率で前記乳濁液中に提供され、ここで、該ポリマーがポリ(D,L−ラクチド−co−グリコリド)であり、かつ該カチオン性界面活性剤がCTABである、請求項37に記載の方法。
  39. 前記界面活性剤が、約0.001:1〜約0.05:1の界面活性剤 対 ポリマー(重量 対 重量)の比率で前記乳濁液中に提供されるカチオン性界面活性剤である、請求項34に記載の方法。
  40. 前記カチオン性界面活性剤が、約0.002:1〜約0.04:1の界面活性剤 対 ポリマー(重量 対 重量)の比率で前記乳濁液中に提供され、ここで、該カチオン性界面活性剤がCTABであり、該ポリマーがポリ(D,L−ラクチド−co−グリコリド)であり、かつ前記微粒子が、過剰なCTABを該組成物から除去する工程に供されない、請求項39に記載の方法。
  41. 前記ポリマーがポリ(D,L−ラクチド−co−グリコリド)であり、該ポリ(D,L−ラクチド−co−グリコリド)が、40:60〜60:40の範囲のラクチド/グリコリドモル比、および30,000ダルトン〜70,000ダルトンの範囲の分子量を有する、請求項34に記載の方法。
  42. 請求項34に記載のプロセスにより形成される、微粒子組成物。
  43. 生物学的に活性な微粒子組成物を作製するための方法であって、該方法が、以下:
    (a)請求項34に記載の方法により、微粒子組成物を提供する工程;および
    (b)生物学的に活性な高分子と共に該微粒子組成物をインキュベートする工程、
    を包含する、方法。
  44. 前記生物学的に活性な高分子が、ポリヌクレオチドである、請求項43に記載の方法。
  45. 微粒子組成物を生成する方法であって、該方法が、以下の工程:
    (a)乳化プロセスにより微粒子を提供する工程であって、該微粒子が、以下:ポリ(α−ヒドロキシ酸)、ポリヒドロキシ酪酸、ポリカプロラクトン、ポリオルトエステル、ポリ無水物およびポリシアノアクリレートからなる群より選択されるポリマー、ならびに(b)該ポリマーに結合している第一の界面活性剤部分を含む、工程;ならびに
    該微粒子の表面に、生物学的に活性な高分子と第二の界面活性剤部分との複合体を吸着させる工程;
    を包含する、方法であって、
    ここで、該第一の界面活性剤部分および第二の界面活性剤部分は、同一の界面活性剤または異なる界面活性剤を含み、かつ該生物学的に活性な高分子が、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、ポリヌクレオシド、抗原、薬剤、ホルモン、酵素、転写メディエーターまたは翻訳メディエーター、代謝経路における中間体、免疫モジュレーターおよびアジュバントからなる群より選択される、方法。
  46. 前記第一の界面活性剤部分および第二の界面活性剤部分が同一の界面活性剤を含む、請求項45に記載の方法。
  47. 前記ポリマーが、ポリ(L−ラクチド)、ポリ(D,L−ラクチド)およびポリ(D,L−ラクチド−co−グリコリド)からなる群より選択されるポリ(α−ヒドロキシ酸)を含み、かつ前記第一の界面活性剤部分および第二の界面活性剤部分がカチオン性界面活性剤を含み、かつ前記生物学的に活性な高分子がポリヌクレオチドである、請求項46に記載の方法。
  48. 請求項47に記載の方法であって、前記第一の界面活性剤部分が、前記組成物中の全界面活性剤の約10〜90%を含むポリマーに結合しており、かつ該第一の界面活性剤成分および第二の界面活性剤成分に相当する界面活性剤が、乳化プロセス中に添加される、方法。
  49. 請求項48に記載の方法であって、前記乳化プロセスが以下の工程:
    (a)油中注水乳濁液を形成するために、ポリマーおよび水を含む第一の水相を有する有機溶媒を含む有機相を乳化する工程;ならびに
    (b)水中油中水乳濁液を形成するために、界面活性剤および工程(a)において形成された乳濁液を有する水を含む第二の水相を乳化する工程、
    を包含する、方法。
  50. 請求項48に記載の方法であって、前記第一の界面活性剤部分が、前記組成物中の全界面活性剤の約10〜60%を含むポリマーに結合している、方法。
  51. 前記カチオン性界面活性剤がCTABである、請求項50に記載の方法。
  52. 請求項45に記載の方法であって、前記第一の界面活性剤部分が第一の界面活性剤を含み、かつ前記第二の界面活性剤部分が該第一の界面活性剤とは異なる第二の界面活性剤を含む、方法。
  53. 請求項52に記載の方法であって、前記第一の界面活性剤が乳化プロセス中に添加され、かつ、前記第二の界面活性剤が乳化プロセスに続いて添加される、方法。
  54. 前記第二の界面活性剤が、生物学的に活性な高分子と同時に添加される、請求項53に記載の方法。
  55. 前記ポリマーが、ポリ(L−ラクチド)、ポリ(D,L−ラクチド)およびポリ(D,L−ラクチド−co−グリコリド)からなる群より選択されるポリ(α−ヒドロキシ酸)を含み、かつ前記第一の界面活性剤部分が非イオン性界面活性剤を含み、第二の界面活性剤部分がカチオン性界面活性剤を含み、ここで前記生物学的に活性な高分子がポリヌクレオチドである、請求項53に記載の方法。
  56. 前記第一の界面活性剤がPVAであり、かつ前記第二の界面活性剤がCTABである、請求項55に記載の方法。
  57. 請求項45に記載の方法であって、前記ポリマーが、40:60〜60:40の範囲のラクチド/グリコリドモル比、および30,000ダルトン〜70,000ダルトンの範囲の分子量を有するポリ(D,L−ラクチド−co−グリコリド)である、方法。
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